JP2023538693A - ポリプロピレン組成物、その調製方法、及びそれを用いて製造される製品 - Google Patents
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Abstract
ポリプロピレン組成物、その製造法、およびそれを用いて製造する製品であって、ポリプロピレン組成物は(a)アイソタクチックペンタッド成分率が96%以上であり、当該ポリプロピレン組成物中で連続マトリックス相を形成する、70~95重量%の結晶性ホモポリプロピレン、(b)20~35重量%のエチレン構造単位および65~80重量%のプロピレン構造単位を含有し、前記連続マトリックス相に分散ゴム相を形成する、5~30重量%のエチレン-プロピレン弾性共重合体を含み、前記ゴム相は、配向力の作用下で少なくとも部分的に変形され、配向構造を形成することができ、前記結晶性ホモポリプロピレンおよび前記ポリプロピレン組成物の、230℃、2.16kgの荷重下で測定されたメルトマスフローレートの比率は、0.5~2.0である。ポリプロピレン組成物および製品は高い光沢および良好な機械的性能を兼備し、調製方法は単純であり、低コストであり、環境に優しく、製品は電器、家庭、包装、自動車、玩具、または医療分野で使用することができる。
Description
本発明はポリオレフィンの分野に属し、具体的には、ポリプロピレン組成物、当該ポリプロピレン組成物の調製方法、および当該ポリプロピレン組成物を用いて調製される製品に関する。
ポリプロピレン樹脂は、家電と自動車業界で広く使用されている。その利点は、金属とエンジニアリングプラスチックに取って代わることができるだけでなく、リサイクルが容易で、軽量で、比較的低価格であるという特徴を有することである。これらの適用分野は製品の美学的効果を得るために、優れた機械的性能(剛性および靭性)と理想的な光沢度とを有する材料を必要とする。高光沢ポリプロピレンは現在、HIPS、ABSなどの材料に代わって徐々に使用されており、炊飯器、電気ケトル、電子レンジ、掃除機、洗濯機などの家電製品のケース、自動車内装部品、子供用玩具、家庭用収納庫などの様々な分野で使用されている。
また、ポリプロピレン材料が良好な力学的性能および化学的安定性を有するため、医療用使い捨てシリンジを作製するためにポリプロピレン材料を使用する技術は、ますます成熟しつつある。社会の発展に伴い、フラッシュシリンジの需要も増加している。フラッシュシリンジは液体薬剤を事前に充填する必要があり、変形することなく高温蒸気消毒に耐性がある必要がある。ポリプロピレンは、高い熱変形温度、高い弾性率、高い耐衝撃性、高い光沢、および低いヘイズの性質を有することが要求される。
ホモ重合ポリプロピレンおよびランダム共重合ポリプロピレンは高い光沢度を有するが、衝撃性能が悪く、したがって、高い剛性および靭性を必要とする場合を満たすことができない。ホモ重合ポリプロピレンおよびランダム共重合ポリプロピレンの機械的性能はPOEなどのエラストマーを添加することによって改善することができるが、光沢度は影響され、かつ改質プロセスは複雑でコストが高い。
耐衝撃性ポリプロピレンは多相構造を有するため、その剛性と靭性が理想的であり、同時に高い弾性率と高い耐衝撃性を有することができる。しかしながら、ゴム相が存在するため、その製品のヘイズは通常高く、光沢度は比較的低く、光沢度>80%(60°角度光沢)という高い光沢要求を満たすことができない。また、耐衝撃性ポリプロピレンは自身が多相構造を有するため、造核剤の添加、プロセス条件の変更等により、光沢度を著しく向上させることができず、自身の構造に基づいて調整および最適化する必要がある。
CN104448538Aでは、透明性と耐衝撃性とを有するポリプロピレン組成物が開示されている。良好な透明性を有するポリプロピレンは、通常、高い光沢度を有する。当該文献では、エチレン-プロピレン弾性共重合体(30~60重量%)の比較的高い含有量を有するポリプロピレン組成物を連続重合法で調製できるために、特定のZN触媒が選択されている。透明耐衝撃性ポリプロピレン製品のゴムの粒度は非常に小さく、ゴム相はホモ重合ポリプロピレンマトリックスの結晶化に一定の影響を及ぼし、それによってポリプロピレンの剛性に影響を及ぼす。したがって、透明耐衝撃性ポリプロピレン製品の弾性率は通常に低い。
CN109422958Aでは、高い流動性、高い剛性、高い靭性のポリオレフィン組成物およびその調製方法が開示されている。前記ポリオレフィン組成物において、エチレン-プロピレン共重合体は、40~50重量%の高いエチレン単位含有量を有する。前記耐衝撃性ポリプロピレンは良好な剛性と靭性とを有するが、そのゴム相構造に制限されるため、当該耐衝撃性ポリプロピレンは光沢度が低く(80%未満)、高い光沢レベルに達することができない。
CN1321178Aでは、高い弾性率、高い衝撃、および低いヘイズを有する耐衝撃性ポリプロピレン組成物が開示されているが、当該耐衝撃性ポリマーのゴム相はエチレン-ブテン共重合体であり、これは中国国内の既存のポリプロピレン装置では製造できない。
したがって、特定の適用分野における要求を満たし、ポリプロピレン組成物の適用範囲を拡大するために、高い光沢度を有するか、または低いヘイズをさらに有する一方で、耐衝撃ポリプロピレンの剛性と靭性との間の良好なバランスを維持することができるポリプロピレン組成物を見出す必要があり、同時に、前記ポリプロピレン組成物は、既存の工業装置で製造可能であるべきである。
上記のような従来技術に鑑み、本発明の目的は高い光沢と良好な耐衝撃性、特に、高い光沢、高い剛性、高い靭性および低い収縮特性を兼備するポリプロピレン組成物を提供することである。
本発明の別の目的は既存の工業装置で実施することができ、特に連続重合法によって直接前記ポリプロピレン組成物を得ることができる、前記ポリプロピレン組成物の調製方法を提供することである。この方法は複雑な改質を必要とせず、したがって、単純であり、低コストであり、環境に優しい。
本発明によれば、特定の触媒系を採用し、特定の重合プロセス条件を調整することによって、特定の構成を有し、高い立体規則性を有するホモポリプロピレン、およびエチレン-プロピレン弾性共重合体の組成物が得られ、この組成物はホモポリプロピレン連続マトリックス相と、その中に分散されたエチレン-プロピレン弾性共重合体ゴム相とを含む特定の微細構造を有し、それによって上記目的が達成する。
したがって、第1の態様によれば、本発明は、ポリプロピレン組成物であって、
(a)成分Aとしての70~95重量%の結晶性ホモポリプロピレンであって、アイソタクチックペンタッド成分率が96%以上、好ましくは97%以上であり、前記ポリプロピレン組成物中で連続マトリックス相を形成する、結晶性ホモポリプロピレン;および
(b)成分Bとしての5~30重量%のエチレン-プロピレン弾性共重合体であって、当該エチレン-プロピレン弾性共重合体の総重量を基準にして20~35重量%、好ましくは25~35重量%のエチレン構造単位、および65~80重量%、好ましくは65~75重量%のプロピレン構造単位を含有し、前記連続マトリックス相に分散ゴム相を形成する、エチレン-プロピレン弾性共重合体、を含み;
GB/T 3682.1-2018に基づいて230℃で、2.16kgの荷重下で測定された、前記ポリプロピレン組成物のメルトマスフローレートに対する前記結晶性ホモポリプロピレンのメルトマスフローレートの比率は、0.5~2.0、好ましくは0.9~1.5である、ポリプロピレン組成物を提供する。
(a)成分Aとしての70~95重量%の結晶性ホモポリプロピレンであって、アイソタクチックペンタッド成分率が96%以上、好ましくは97%以上であり、前記ポリプロピレン組成物中で連続マトリックス相を形成する、結晶性ホモポリプロピレン;および
(b)成分Bとしての5~30重量%のエチレン-プロピレン弾性共重合体であって、当該エチレン-プロピレン弾性共重合体の総重量を基準にして20~35重量%、好ましくは25~35重量%のエチレン構造単位、および65~80重量%、好ましくは65~75重量%のプロピレン構造単位を含有し、前記連続マトリックス相に分散ゴム相を形成する、エチレン-プロピレン弾性共重合体、を含み;
GB/T 3682.1-2018に基づいて230℃で、2.16kgの荷重下で測定された、前記ポリプロピレン組成物のメルトマスフローレートに対する前記結晶性ホモポリプロピレンのメルトマスフローレートの比率は、0.5~2.0、好ましくは0.9~1.5である、ポリプロピレン組成物を提供する。
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様に記載のポリプロピレン組成物の調製方法を提供し、以下の工程を含む。
(1)第1のオレフィン重合条件で、プロピレンモノマーを立体選択性を有するチーグラー・ナッタ触媒と接触させて反応させ、接触させて反応させた後に得られた混合物から未反応モノマーを除去して生成物aを得、前記生成物aは成分Aを含む。
(2)第2のオレフィン重合条件で、エチレンモノマーおよびプロピレンモノマーを、工程(1)で得られた生成物aと、気相で接触させて反応させ、接触させて反応させた後に得られた混合物から未反応モノマーを除去して、前記ポリプロピレン組成物として成分Aおよび成分Bを含む生成物bを得る。
第3の態様によれば、本発明は、第1の態様のポリプロピレン組成物を用いて調製された製品を提供する。
本発明の他の態様および有益な効果は、これから図面を参照して本発明の詳細な説明と以下の発明を実施するための形態部分から明らかになる。
第1の態様において、本発明は、ポリプロピレン組成物であって、
(a)成分Aとしての70~95重量%の結晶性ホモポリプロピレンであって、アイソタクチックペンタッド成分率が96%以上、好ましくは97%以上である。前記ポリプロピレン組成物中で連続マトリックス相を形成する、結晶性ホモポリプロピレン。
(a)成分Aとしての70~95重量%の結晶性ホモポリプロピレンであって、アイソタクチックペンタッド成分率が96%以上、好ましくは97%以上である。前記ポリプロピレン組成物中で連続マトリックス相を形成する、結晶性ホモポリプロピレン。
(b)成分Bとしての5~30重量%のエチレン-プロピレン弾性共重合体であって、当該エチレン-プロピレン弾性共重合体の総重量を基準にして20~35重量%、好ましくは25~35重量%のエチレン構造単位、および65~80重量%、好ましくは65~75重量%のプロピレン構造単位を含有し、前記連続マトリックス相に分散ゴム相を形成する、エチレン-プロピレン弾性共重合体、を含む。
ここで、GB/T 3682.1-2018に基づいて230℃で、2.16kgの荷重下で測定された、前記ポリプロピレン組成物のメルトマスフローレートに対する前記結晶性ホモポリプロピレンのメルトマスフローレートの比率は、0.5~2.0、好ましくは0.9~1.5である。
本発明のポリプロピレン組成物の成分Aは結晶性ホモポリプロピレンであり、そのアイソタクチックペンタッド成分率は96%以上、好ましくは97%以上、例えば97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.5%、99.0%、およびこれらの数値ポイントによって形成する範囲である。結晶性ホモポリプロピレンは、高結晶性ホモポリプロピレンである。
アイソタクチックペンタッド成分率は13C NMRによって測定され、使用される溶剤は重水素化o-ジクロロベンゼンである。
当該結晶性ホモポリプロピレンはポリプロピレン組成物において連続相を形成し、この相は、「ベース相」とも呼ばれるマトリックス相である。マトリックス相は、ほぼ成分Aによって形成される。
本発明のポリプロピレン組成物の成分Bは、エチレン-プロピレン弾性共重合体である。
エチレン-プロピレン弾性共重合体の総重量を基準にすると、当該エチレン-プロピレン弾性共重合体は20~35重量%、好ましくは25~35重量%のエチレン構造単位、および65~80重量%、好ましくは65~75重量%のプロピレン構造単位を含有する。
当該エチレン-プロピレン弾性共重合体は前記連続マトリックス相に分散されてゴム相を形成し、当該ゴム相は分散相である。前記ゴム相はほぼ成分Bによって形成される。
本発明のポリプロピレン組成物のエチレン-プロピレン弾性共重合体によって形成されるゴム相の形態は、従来の方法によって得られるゴム相の形態と類似する。配向力が作用しない場合、本発明のポリプロピレン組成物のゴム相は、球状または略球状の粒子である。球状および略球状とは、ゴム相粒子のアスペクト比が実質的に1~2の範囲内にあることを指す。「実質的に」とは、ゴム相粒子の少なくとも90%が、アスペクト比が1~2の範囲内にあることを指す。アスペクト比は、粒子の最長寸法(粒子輪郭の最も遠い2点間の距離、すなわち長手軸)の、長手軸に垂直な直線のうち、粒子輪郭(横軸)と交差する交点間の距離が最も長い直線の交点間の長さに対する比である。好ましくは、配向力が作用しない場合、前記ゴム相粒子の少なくとも95%は、アスペクト比が1~2である。
本発明で得られるゴム相の寸法は、従来の方法で得られるゴム相の寸法よりも小さい。配向力が作用しない場合、本発明のポリプロピレン組成物のゴム相粒子の平均寸法は0.03~3.0μmであってよく、好ましくは0.05~2.0μm、より好ましくは0.05~1.5μm、より好ましくは0.1~1.5μmである。
前記ゴム相粒子の平均寸法は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用する方法によって測定する。具体的には、球状のゴム相粒子についてはSEM写真におけるゴム相粒子の直径を測定し、略球状であるまたは配向力が作用したゴム相粒子については粒子の最長寸法(粒子輪郭の最も遠い2つの点の間の距離)を測定する。50個のゴム相粒子の平均値は、ゴム相の平均寸法またはゴム相粒子の平均寸法としてSEM写真を観察することにより得られる。配向力作用後のゴム相粒子の平均寸法を測定する場合、SEMの観察面は、射出成形方向などの配向力(外部場力)の方向と平行である。
また、通常のゴム相とは異なり、本発明のポリプロピレン組成物のゴム相は、配向力の作用下で少なくとも部分的に(ひいては全部)変形され、配向構造を形成することができる。配向力が除去され、サンプルが成形された後、前記ゴム相は、配向構造を依然として維持することができる。
前記配向力は物体を配向させることができる外部場力を指し、配向は、外部場力の方向に沿った、物体の平行整列を指す。外部場力は引張応力および/またはせん断応力、例えば、射出成形等加工過程においてポリプロピレン組成物に加える力など、製品を製造するプロセス自身においてポリプロピレン組成物に加えられる力である。
ここで、用語「配向構造」とは、配向力の作用によってゴム相粒子が変形して伸張することによって形成する、長手軸がある方向に沿って平行に整列することを指す。ここで、異なる方向に配列され、組成物の局所領域に位置する少量のゴム相粒子は調製プロセスのために、組成物全体におけるゴム相粒子の全体的な配向方向と一致しないことを除外する。
本明細書において、用語「平行整列」は、実質的に平行である場合を含み、これはゴム相粒子の長手軸同士の角度が約10度未満、好ましくは約5度未満である。
好ましくは、配向力が作用した後、ゴム相粒子の少なくとも80%が配向構造を形成し、これはSEM写真におけるゴム相粒子の総数に基づく。調製プロセスまたはSEM法に起因して明確に観察することができないゴム相粒子は、ここでは除外する。
配向力が作用した後、本発明のポリプロピレン組成物のゴム相粒子の少なくとも50%が2を超えるアスペクト比を有することができ、これはSEM写真のゴム相粒子の総数に基づく。
配向力が作用した後、本発明のポリプロピレン組成物のゴム相は組成物の表面層で(例えば射出成形試験片の製品表面からの厚さ10%以内の位置で、すなわち、製品表面からの距離が厚さの10%未満または10%に等しい領域で)変形して配向することができるだけでなく、組成物の内部で、特に射出成形試験片の製品表面からの厚さの10%を超えるコア部分で(製品表面からの距離が厚さの10%以上の領域で)の位置のゴム相が変形して配向しにくいが、組成物の内部で変形して配向してもよい。結晶性ホモポリプロピレンとポリプロピレン組成物とのメルトマスフローレートの比率が1に近い場合、前記コア部分位置のゴム相の変形および配向を容易に達成することができる。
本発明のポリプロピレン組成物において、GB/T 3682.1-2018に基づいて230℃で、2.16kgの荷重下で測定された、前記ポリプロピレン組成物に対する前記結晶性ホモポリプロピレンのメルトマスフローレートの比率は、0.5~2.0、好ましくは0.9~1.5である。
マトリックス相を形成する結晶性ホモポリプロピレンは、GB/T 3682.1-2018に基づいて230℃で、2.16kgの荷重下でのメルトマスフローレートは5~200g/10minであってもよく、好ましくは10~100g/10minである。
ポリプロピレン組成物は、GB/T 3682.1-2018に基づいて230℃で、2.16kgの荷重下でのメルトマスフローレートは5~100g/10min、好ましくは6~30g/10min、より好ましくは8.89~30g/10minである。
本発明によるポリプロピレン組成物の固有粘度は1.0~2.5dL/gであってもよく、好ましくは1.4~2.4dL/g、より好ましくは1.52~2.08dL/gである。ポリプロピレン組成物のキシレン可溶物の固有粘度は1.0~4.0dL/gであってもよく、好ましくは1.11~3.65dL/gである。ポリプロピレン組成物の結晶性ホモポリプロピレンの固有粘度に対するキシレン可溶物の固有粘度の比率は、好ましくは0.7~2.6である。固有粘度は、毛管検出器によって測定する。
ポリプロピレン組成物の分子量分布Mw/Mnは好ましくは≦5であり、より好ましくは分子量分布Mw/Mnは≦4.5である。分子量分布は、ポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によって測定する。
一実施形態によれば、本発明によるポリプロピレン組成物は、(c)成分Cとして造核剤をさらに含むことができ、それによって機械的性能をさらに向上させることができる。前記造核剤は、カルボン酸およびその金属塩、ソルビトール、アリールホスフェート、デヒドロアビエチン酸およびその塩、芳香族アミド、芳香族アミン、希土類化合物、準平面構造を有する縮合環化合物、ならびに高分子造核剤からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。造核剤は好ましくはカルボン酸塩造核剤および/またはアリールホスフェート造核剤、例えば、Millad HPN-20E造核剤、Millad HPN-715造核剤、およびMillad 600EI造核剤(アメリカのMilliken Companyから購入可能)である。
ポリプロピレン組成物の総重量に対し、造核剤の含有量は0.05~0.3重量%であってもよい。成分Aおよび成分Bの総重量に対し、成分Cとしての造核剤の含有量は0.05~3重量%であってもよい。
本発明によるポリプロピレン組成物は共重合体分野で従来使用されている他の補助剤をさらに含んでもよく、それによって、本発明のポリプロピレン組成物にさらなる有利な特性を付与する。前記他の補助剤は、酸化防止剤、帯電防止剤および着色剤からなる群から選択される少なくとも1種であることができる。ポリプロピレン組成物の総重量に対し、前記他の補助剤の含有量は0.05~0.6重量%、好ましくは0.1~0.3重量%であってもよい。
本発明によるポリプロピレン組成物は著しく高い光沢度を有し、その60°角度光沢度は≧80%、好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%に達し得る。好ましい一実施形態では、ポリプロピレン組成物が同時に、高い光沢度および高い透明性を兼備するように、≦50%のヘイズ、より好ましくは≦40%のヘイズを有することもできる。
本発明によるポリプロピレン組成物はさらに良好な機械的性能、特に1以上の、好ましくは以下の性能の全てを有する。
1) ≦1.15、好ましくは≦1.1の平行収縮率;
2) ≦1.36、好ましくは≦1.15の垂直収縮率;
3) ≧1000MPa、好ましくは≧1300MPa、より好ましくは≧1400MPa、さらにより好ましくは≧1450MPaの曲げ弾性率;
4) ≧5kJ/m2、好ましくは≧6kJ/m2の室温でのシャルピーノッチ付き衝撃強さ;
5) ≧90℃、好ましくは≧92℃の熱変形温度。
2) ≦1.36、好ましくは≦1.15の垂直収縮率;
3) ≧1000MPa、好ましくは≧1300MPa、より好ましくは≧1400MPa、さらにより好ましくは≧1450MPaの曲げ弾性率;
4) ≧5kJ/m2、好ましくは≧6kJ/m2の室温でのシャルピーノッチ付き衝撃強さ;
5) ≧90℃、好ましくは≧92℃の熱変形温度。
本明細書では、60°角度光沢度は、GB/T 8807-1988に基づいて射出成形試験片を測定することによって得られ、試験片の厚さは2mmである。ヘイズは、GB/T 2410-2008に基づいて射出成形試験片を測定することによって得られ、試験片の厚さは1mmである。収縮率は、GB/T17037.4-2003に基づいて射出成形試験片を測定することによって得られる。曲げ弾性率は、GB/T9341-2008に基づいて射出成形試験片を測定することによって得られる。室温でのシャルピーノッチ付き衝撃強度は、GB/T 1043.1-2008に基づいて23℃で射出成形試験片を測定することによって得られる。熱変形温度は、GB/T 1634.2-2004に基づいて射出成形試験片を測定することによって得られる。
前記ポリプロピレン組成物は、粉末またはペレットの形態であってもよい。前記ペレットは例えば、混合ペレット化方法によって得ることができる。前記混合ペレット化方法は、当該技術分野における様々な従来の方法であってもよく、本発明は特に限定されず、例えば二軸押出機をペレット化に使用することができる。本発明のポリプロピレン組成物のペレットにおいて、ゴム相は球状または略球状を保持することができる。
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に記載のポリプロピレン組成物の調製方法を提供し、以下の工程を含む。
(1)第1のオレフィン重合条件で、プロピレンモノマーを立体選択性を有するチーグラー・ナッタ触媒と接触させて反応させ、接触させて反応させた後に得られた混合物から未反応モノマーを除去して生成物aを得、前記生成物aは成分Aを含む。
(2)第2のオレフィン重合条件で、エチレンモノマーおよびプロピレンモノマーを、工程(1)で得られた生成物aと、気相で接触させて反応させ、接触させて反応させた後に得られた混合物から未反応モノマーを除去して、前記ポリプロピレン組成物として成分Aおよび成分Bを含む生成物bを得る。
本発明の方法では、立体選択性を有するチーグラー・ナッタ触媒を使用して、高い立体規則性を有する前述の高結晶性ホモポリプロピレンを調製することができ、ホモポリマーを活性触媒と共にエチレンおよびプロピレンとさらに接触させて、ホモポリマー連続マトリックス相に分散したゴム相を有するポリプロピレン組成物を形成する。
前記立体選択性を有するチーグラー・ナッタ触媒は下記成分を有してもよい。
(i)マグネシウム源、チタン源および内部電子供与体の反応から得られる生成物を含有する固体触媒成分;
(ii)有機アルミニウム化合物;および
(iii)任意の外部電子供与体。
(ii)有機アルミニウム化合物;および
(iii)任意の外部電子供与体。
前記チーグラー・ナッタ触媒は、好ましくは高い立体選択性を有する。
本発明の方法では、前記固体触媒成分を主触媒として使用する。固体触媒成分の各成分の量は、必要に応じて確定することができる。好ましくはマグネシウム源としてのマグネシウム元素、チタン源としてのチタン元素、及び内部電子供与体の使用量のモル比は1:(20~150):(0.1~0.9)であり得、好ましくは1:(30~120):(0.15~0.6)である。
本発明の方法において使用する固体触媒成分は商業的に購入することができ、または当該技術分野において公知の方法、例えばCN106608934Bに開示されている方法によって調製することができる。
前記チタン源はチタン化合物、例えば、一般式Ti(OR)4-mXmで示すチタン化合物から選択する1種または多数種であることができる。ここで、mは0~4の整数、好ましくは1~4の整数であり、RはC1-C20のアルキル、好ましくはC1-C10のアルキルであり、Xはハロゲン、好ましくは塩素である。
前記マグネシウム源は、オレフィン重合のための触媒において使用することができる様々なマグネシウム含有化合物、例えばハロゲン化マグネシウム、アルコラートまたはハロゲン化アルコラートおよびハロゲン化マグネシウム付加物担体など、好ましくは球状ハロゲン化マグネシウム付加物担体、例えばCN1330086Aの実施例1に開示された方法またはCN106608934Bに開示された方法に基づいて調製されたものであってもよい。
前記内部電子供与体は、好ましくはモノカルボン酸エステル、ジカルボン酸エステル、リン酸エステル化合物、ジエーテル化合物およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
好ましい実施形態において、前記内部電子供与体は、モノカルボン酸エステルおよび/またはジカルボン酸エステル、好ましくは安息香酸エステル、マロン酸エステル、フタル酸エステルおよびコハク酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つ、より好ましくはフタル酸エステルであってもよい。フタル酸エステルとしては、アルキルフタレート(例えば、ジイソブチルフタレートおよび/またはジオクチルフタレート)および/またはアリールフタレート(例えば、ジフェニルフタレートおよび/またはベンジルブチルフタレート)が挙げられる。アルキルフタレートが好ましく、ジイソブチルフタレートおよび/またはジオクチルフタレートがさらに好ましい。
内部電子供与体としてモノカルボン酸エステルおよび/またはジカルボン酸エステルを使用する本発明の方法のこのような実施形態では、好ましくは造核剤を使用する。調製されたポリプロピレン組成物の60°角度光沢度は≧80%、好ましくは≧85%に達することができ、平行収縮率は≦1.15であることができ、垂直収縮率は≦1.15であることができ、曲げ弾性率は≧1000MPa、好ましくは≧1300MPaであることができ、室温でのシャルピーノッチ付き衝撃強度は≧5kJ/m2であることができる。
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、前記内部電子供与体がリン酸エステル化合物およびジエーテル化合物によって配合された内部電子供与体であってもよい。
前記ジエーテル化合物と前記リン酸エステル化合物との使用量のモル比は、1:(0.02~0.25)であり得、好ましくは1:(0.04~0.15)である。
前記リン酸エステル化合物は、下記一般式(1)で示すリン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも一種であることができる。
ここで、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、C1-C4直鎖または分岐鎖アルキル、C3-C20シクロアルキル、C6-C20アリール、C7-C20アルカリールまたはC7-C20アラルキルから選択する。
好ましくは、前記リン酸エステル化合物がトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリイソプロピルフェニルホスフェート、トリメトキシフェニルホスフェート、フェニルジメチルホスフェート、クレシルジブチルホスフェート、クミルジメチルホスフェート、クミルジエチルホスフェート、クミルジブチルホスフェート、クミルジブチルホスフェート、フェニルキシリルホスフェート、フェニルジイソプロピルフェニルホスフェート、p-クレシルジブチルホスフェート、m-クレシルジブチルホスフェート、p-クミルジメチルホスフェート、p-クミルジエチルホスフェート、p-tert-ブチルフェニルジメチルホスフェート、o-クレシルp-ジ-tert-ブチルフェニルホスフェートなどからなる群から選択される少なくとも1つを含み得る。
前記ジエーテル化合物は、式(2)で示すジエーテル化合物から選択する少なくとも1種であってもよい。
R1R2C(CH2OR3)(CH2OR4) 式(2)
ここで、R1およびR2はそれぞれ独立して、水素、C1-C20直鎖または分岐鎖アルキル、C3-C20シクロアルキル、C6-C20アリール、C7-C20アラルキルまたはC7-C20アルカリールから選択され、R3およびR4はそれぞれ独立して、C1-C10アルキルから選択する。
ここで、R1およびR2はそれぞれ独立して、水素、C1-C20直鎖または分岐鎖アルキル、C3-C20シクロアルキル、C6-C20アリール、C7-C20アラルキルまたはC7-C20アルカリールから選択され、R3およびR4はそれぞれ独立して、C1-C10アルキルから選択する。
好ましくは、ジエーテル化合物が2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-bis(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-bis(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチルブチル)-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパンおよび9,9-ジメトキシメチルフルオレンからなる群から選択する少なくとも1つを含み得る。
リン酸エステル化合物とジエーテル化合物とを配合した内部電子供与体を用いる本発明の方法のこのような実施形態では、好ましくは造核剤を使用する。調製されたポリプロピレン組成物の60°角度光沢度は≧85%、好ましくは≧90%に達することができる。同時に、ヘイズは≦50%、好ましくは≦40%である。このような実施形態では、調製されたポリプロピレン組成物の平行収縮率は≦1.15、好ましくは≦1.1である。曲げ弾性率は≧1400MPa、好ましくは≧1450MPaである。室温でのシャルピーノッチ付き衝撃強度は≧5kJ/m2、好ましくは≧6kJ/mである。熱変形温度は≧90℃、好ましくは熱変形温度は≧92℃である。分子量分布Mw/Mnは狭く、これは≦5、好ましくは分子量分布Mw/Mnは≦4.5であってもよい。
本発明において、リン酸エステル化合物とジエーテル化合物とが配合された内部電子供与体を用いた触媒系により製造されたポリプロピレン組成物は光沢度が高く、ヘイズが低く、機械的性能が高く、良好な透明性、高い光沢性、高い剛性、高い靭性、低い収縮性の性質を兼ね備え、良好な機械的性能と良好な美学的特性を兼ね備えていることが予想外に見出された。
本発明の方法では、補助触媒として有機アルミニウム化合物が使用される。それはトリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジ-n-ブチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジ-n-ヘキシルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、n-ブチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリドおよびn-ヘキシルアルミニウムジクロリドからなる群から選択する1種または1種以上を含むが、これらに限定されない。アルキルアルミニウム化合物であることが好ましい。アルキルアルミニウム化合物は、好ましくはトリアルキルアルミニウム、例えばトリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムから選択される少なくとも1種である。
本発明の方法で使用する触媒系は、外部電子供与体をさらに含むことができる。前記外部電子供与体は有機ケイ素化合物、好ましくは一般式RnSi(OR´)4ーnを有する有機ケイ素化合物であり得る。ここで、0<n≦3、Rはアルキル、シクロアルキル、アリールおよびハロアルキルから選択され、R´はアルキル、シクロアルキル、アリールおよびハロアルキルから選択される。
好ましくは、前記外部電子供与体はテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルtert-ブチルジメトキシシラン、メチルイソプロピルジメトキシシラン、ジフェノキシジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、2-エチルピペリジニル-2-tert-ブチルジメトキシシラン、(1,1,1-トリフルオロ-2-プロピル)-2-エチルピペリジニルジメトキシシラン、および(1,1,1-トリフルオロ-2-プロピル)-メチルジメトキシシランなどからなる群から選択される少なくとも1つである。
外部電子供与体としての有機ケイ素化合物は連続して操作する2つ以上の反応器の系に一度に添加することができ、異なる位置で部分的に添加することもでき、反応器に直接添加することができ、または反応器の原料供給に関連する装置もしくはパイプラインに添加することができる。
本発明の方法において、固体触媒成分、有機アルミニウム化合物および外部電子供与体の量も必要に応じて確定することができる。前記固体触媒成分と有機アルミニウム化合物との使用量の比率は、チタン/アルミニウムモル比で1:(25~100)であってもよい。有機アルミニウム化合物と外部電子供与体との重量比率は(0~150):1、好ましくは(2~150):1、より好ましくは(3~10):1であってよい。
本発明で使用する触媒を調製する過程で、有機アルミニウム化合物および任意選択した外部電子供与体を固体触媒成分と別々に混合して反応させることができる。または有機アルミニウム化合物および任意選択した外部電子供与体を予備混合し、その後に固体触媒成分と混合して反応させることができる。
本発明で使用する触媒は反応器に直接添加することができ、または当技術分野で公知の予備錯化および/または予備重合の後に反応器に添加することができる。
前記予備錯化および予備重合プロセスは重合モノマーの有無にかかわらず、例えば別々に配置された予備錯化または予備重合反応器で実施することができる。予備錯化反応だけを実施する場合、反応器は連続撹拌タンク反応器、またはループ反応器、スタティックミキサーを含むパイプラインの、または材料が乱流状態にあるパイプラインなどの十分な混合効果を得ることができる他のものであってもよい。予備重合温度は-10℃~60℃、好ましくは0℃~30℃に制御することができる。予備錯化時間は、0.1~180min、好ましくは5~30minに制御することができる。
触媒は、予備錯化の有無にかかわらず、任意に予備重合処理を行ってもよい。予備重合は液相バルク状態で連続的に行うことができ、不活性溶媒中で間歇的に行うこともできる。予備重合反応器は、連続撹拌タンク、ループ反応器などであってもよい。予備重合温度は、-10℃~60℃、好ましくは0℃~40℃に制御することができる。予備重合収率は、0.5~1000倍、好ましくは1.0~500倍に制御することができる。
本発明の方法の工程(1)において、前記第1のオレフィン重合条件は液相重合条件または気相重合条件であってもよく、すなわち、重合は液相重合または気相重合であってもよい。
液相重合条件は、分子量調節剤として水素を使用すること、重合温度は0~150℃、好ましくは40~100℃である。重合圧力は対応する重合温度でのプロピレンの飽和蒸気圧よりも高くてもよい。
気相重合条件は、分子量調節剤として水素を使用すること、重合温度は0~150℃、好ましくは40~100℃である。重合圧力は常圧または常圧以上、好ましくは0.5~2.5MPaであってもよい。
工程(1)において使用する水素/プロピレンの比率は好ましくは0.0010~0.0060mol/molであり、すなわち、水素濃度は好ましくは0.10~0.60mol%である。
本発明の方法の工程(2)の気相重合反応系において、エチレン/(エチレン+プロピレン)のモル比は0.1~0.4mol/mol、好ましくは0.1~0.3mol/mol、より好ましくは0.1~0.25mol/mol、さらにより好ましくは0.15~0.25mol/molであってもよい。オレフィン気相重合の温度は40~100℃、好ましくは60~80℃とすることができる。圧力は0.6~1.4MPa、好ましくは1.0~1.3MPaであってもよい。工程(2)の好ましい実施形態において、水素/エチレンの比率は0.02~0.70mol/mol、好ましくは0.04~0.54mol/molである。
ここで、圧力とは、ゲージ圧を指す。
本発明による工程(1)および(2)に記載する前記重合は、連続的にまたは間歇的に行うことができる。
連続重合のために、直列の2つ以上の反応器を使用することができる。これらの中で、成分Aを含む、特に主に前記成分Aからなる生成物aを調製するために、第1または前にある複数個の反応器が使用される。生成物aを調製するための反応器は、液相反応器または気相反応器であってもよい。液相反応器は、ループ反応器または撹拌タンク反応器であってもよい。気相反応器は、水平撹拌床反応器、垂直撹拌床反応器、流動床反応器またはマルチゾーン循環反応器などであってもよい。生成物aの調製後の反応器は生成物bまたは成分Bの調製のために使用され、前記生成物bは成分Aおよび成分Bを含み、特に主に成分AおよびBからなる。生成物bまたは成分Bを調製するための反応器は気相反応器であり、当該気相反応器は水平撹拌床反応器、垂直撹拌床反応器または流動床反応器などであってもよい。これらの気相反応器は、任意に組み合わせることもできる。
本発明の重合は、間歇的に実施することもできる。生成物aおよび生成物bは、反応器中で逐次的に調製する。生成物aの調製のために、重合は、液相または気相のいずれかで実施することができる。生成物bまたは成分Bの調製のためには、気相で重合を実施する必要がある。
本発明のポリプロピレン組成物が造核剤および任意の他の補助剤を含む場合、前記造核剤および他の補助剤は、重合反応に影響を及ぼさない場合、工程(1)の前または過程中、または工程(2)の前、過程中またはその後に添加することができる。好ましくは、本発明の方法が下記工程(3)を含む:工程(2)で得られた生成物bおよび造核剤と任意の他の補助剤を混合し、特に混合してペレット化をおこなう工程。混合およびペレット化の方法は当該技術分野における様々な従来の方法でもよく、例えば、二軸押出機をペレット化に使用することができる。
特に、リン酸エステル化合物とジエーテル化合物とを配合した内部電子供与体の触媒系の場合、工程(3)において、工程(2)で得られた生成物bと造核剤とを混合してペレット化を行う。このようにして調製されたポリプロピレン組成物は同時に、高い光沢度(60°角度光沢度≧85%、好ましくは≧90%)および低いヘイズ(ヘイズ≦50%、好ましくは≦40%)を有することができ、それによって高い光沢度および高い透明性を同時に有する。
本発明の方法に基づいて調製されたポリプロピレン組成物は特に、良好な機械的性能(高い剛性、高い靭性および低い収縮特性)および美学的特性(高い光沢、高い透明性および低いヘイズを兼備する)の組み合わせをすることができる。
カルボン酸エステルを内部電子供与体とする触媒系と比較して、リン酸エステル化合物とジエーテル化合物とを配合した内部電子供与体の触媒系を用いて調製したポリプロピレン組成物は光沢度がより高く、ヘイズがより低く、機械的性能が高く、良好な透明性、高い光沢、高い剛性、高い靭性、低い収縮性の性質を兼備する。
上記の全体的な高い性能により、本発明の方法に基づいて調製されたポリプロピレン組成物は下流処理のためのより良好な全体的性能を有する原料を提供することができ、より広い分野に適用することができる。本発明のポリプロピレン組成物の製造方法は、既存の工業装置で、特に連続重合プロセスによって実施することができる。当該調製方法は経済的で、便利である。
第3の態様では、本発明は、本発明によるポリプロピレン組成物を用いて調製される製品を提供する。製品において、ゴム相は、少なくとも部分的に変形され、配向構造を形成する。好ましい実施形態では、製品表面からの厚さの10%以内の位置および製品表面からの厚さの10%を超えるコア部分の位置の何れにおいて、前記ゴム相は変形され、伸長して配向構造を形成し、好ましくは前記製品において、ゴム相は完全に変形され、配向構造を形成する。
前記製品は、好ましくは射出成形製品である。
本発明によれば、ゴム相の少なくとも一部、好ましくは少なくとも80%、またはさらには全体が例えば製品の調製(例えば、射出成形)中に配向力を受けた後に、変形され、伸長して配向構造を形成する。
好ましい実施形態では、SEM写真における対応する位置におけるゴム相粒子の総数に基づいて、製品表面からの厚さの10%以内の位置におけるゴム相粒子の50%超が4以上のアスペクト比を有し、製品表面からの厚さの10%を超えるコア部分の位置におけるゴム相粒子の50%超が、2以上のアスペクト比を有する。
したがって、本発明の製品は高結晶性ホモポリプロピレンの連続相中に分散されたエチレン-プロピレン弾性共重合体ゴム相を有する配向構造を含み、それによって、製品の光沢度を予想外に改善し、良好な機械的性能を保持する。
本発明の製品は、家電、家庭、包装、玩具、自動車改造、及び医薬品分野などの様々な分野で使用することができる。例えば、本発明の製品は電器、家庭用製品、包装、玩具、自動車または医薬品分野、特に家電製品のケース、家庭用収納製品、玩具、自動車内装部品または医療用使い捨てシリンジ、例えば、フラッシュシリンジにおいて使用される生成物または生成物の一部であってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定するものではない。
パラメータの測定方法:
メルトマスフローレート(MFR):GB/T 3682.1-2018に基づいて230℃、2.16kgの荷重下で測定。
メルトマスフローレート(MFR):GB/T 3682.1-2018に基づいて230℃、2.16kgの荷重下で測定。
反応器のガスモル比:ガスクロマトグラフィーによって測定する。Vista IIオンラインクロマトグラフィー、スイスABB社。
キシレン可溶物の含有量:GB/T 24282-2009に基づいて測定した。
引張強度:GB/T 1040.1-2006に基づいて射出成形試験片を測定する。
曲げ弾性率:GB/T 9341-2008に基づいて射出成形試験片を測定する。
シャルピーノッチ付き衝撃強さ:GB/T 1043.1-2008に基づいて、射出成形試験片を23℃および-20℃で測定する。
ロックウェル硬度:GB/T 3398.2-2008に基づいて射出成形試験片を測定する。
熱変形温度:GB/T 1634.2-2004に基づいて射出成形試験片を測定する。
光沢度:GB/T 8807-1988に基づいて、2mmの厚さを有する射出成形試験片を測定する。
収縮率:GB/T 17037.4-2003に基づいて射出成形試験片を測定する。
ヘイズ:GB/T 2410-2008に基づいて1mmの厚さを有する射出成形試験片を測定する。
分子量分布(GPC分析):アメリカAgilent Technologies社が製造したPL-GPC 220高温ゲルパーミエーションクロマトグラフによって測定した。温度:150℃;3本PLgel 13μm Olexis柱、300.0mm×7.5mm;移動相:1,2,4-トリクロロベンゼン(0.25g/L抗酸化剤2,6-ジブチル-p-クレゾール添加);流速:1.0mL/min;IR5赤外検出器;試料濃度:約1mg/mL;およびユニバーサルキャリブレーションのための狭い分布ポリスチレン標準物質。
アイソタクチックペンタッド成分率:10mmプローブを有するBruker Corporation社製のAVANCEIII 400MHz NMR分光計を使用し、溶媒として重水素化o-ジクロロベンゼンを使用する。試料約200mg/溶剤2.5mlをとり、油浴中で130~140℃に加熱し、試料が溶解して均一な溶液となるまで加熱する。試験条件:プローブ温度: 125℃;90℃パルス;サン-プリング時間AQ:5秒;および遅延時間D1:10秒。
エチレン構造単位含有量及びプロピレン構造単位含有量:赤外線法により、米国Nicolet社製のMagna-IR 200赤外分光計を用いて測定した。
SEM写真:サンプリングペレット、またはGB/T17037.1-2019の射出成形条件に基づいて射出成形した射出成形試験片を、液体窒素で冷却し、次いで脆性破砕、または極薄切片化した。この切片をキシレン溶液に浸漬してゴム相をエッチング除去し、次いで表面を洗浄した。乾燥後、SEMテストを行った。テストの前に、表面に金スプレー処理を施した。日本のHITACHI社製のHITACHI S-4800冷水電界放出走査電子顕微鏡を使用した。
ゴム相粒子の平均寸法:SEM方法により測定した。球状ゴム相粒子についてはSEM写真におけるゴム相粒子の直径を測定し、略球状または配向力が作用したゴム相粒子については粒子の最長寸法(粒子輪郭上の最も遠い2点間の距離)を測定し、ゴム相粒子の平均寸法としてSEM写真を観察することにより、50個のゴム相粒子の寸法を上記の寸法の平均値を得た。配向力の作用後のゴム相粒子の平均寸法を測定したところ、SEM観察面は射出成形方向と平行であった。
固有粘度:毛管検出器(スペインのPolymerChar社のCRYSTEX装置における毛管検出器)を用いて測定する。
実施例A1
(1)ポリプロピレン組成物の調製
ポリプロピレンパイロット装置のセットで重合反応を行う。重合方法および工程は以下の通りである。
(1)ポリプロピレン組成物の調製
ポリプロピレンパイロット装置のセットで重合反応を行う。重合方法および工程は以下の通りである。
主触媒Cat-1の調製:調製は、CN106608934Bの実施例1の方法に基づいて行う。150mLのホワイトオイル(広州銘恩石油化学有限会社から購入、重量で水含有量50ppm未満)、300mLのメチルシリコーンオイル(ダウコーニング社から購入、粘度300センチポアズ/20℃、重量で水含有量50ppm未満)、0.44wt%の水を含む30gの塩化マグネシウム(撫順シン(注:品の口を金)宜チタン工場から購入)、50mLの無水エタノール(北京化学工業工場から購入、重量で水含有量100ppm未満)、および1mLの2-メトキシベンゾイルクロリド(東京化成工業有限会社から購入)を1000mLの反応釜に加え、攪拌しながら125℃まで昇温させた。一定温度で3時間反応させた後、0.3MPaの圧力下、75μmの孔径を有する4層の金属メッシュ(各層は0.1mmの厚さを有する)を予め備えた排出パイプラインを介して、混合物を-30℃(重量で水含有量5ppm未満)に予め冷却した2Lのヘキサンにプレスし、急速冷却で成形した。液体を濾過除去し、得られた固体をヘキサン300mLで5回洗浄し、30℃で1.5時間真空乾燥して球状のハロゲン化マグネシウム化合物を得た。300mLのガラス反応フラスコに、窒素保護下、ヘキサン10mLと四塩化チタン90mLを順次加え、-20℃に冷却し、球状ハロゲン化マグネシウム化合物8.0gを加え、-20℃で30分間攪拌した。その後110℃まで徐々に昇温させ、昇温中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。110℃の恒温で30分間反応させた後、液体を濾過した。四塩化チタン80mLを加え、120℃に昇温させ、120℃を30分間保持して液体を濾過し、さらに四塩化チタン80mLを加え、120℃に昇温させ、120℃を30分間保持して液体を濾過した。最後に、得られた固体を60℃のヘキサン(ヘキサンの使用量は80mL/回)で5回洗浄し、真空乾燥して固体物を得た。
予備重合:主触媒であるCat-1、内部電子供与体であるジイソブチルフタレート、補助触媒(トリエチルアルミニウム)および外部電子供与体であるジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)を10℃で20分間予備接触反応させた後、予備重合反応器に連続的に添加して予備重合反応させた。ここで、トリエチルアルミニウム(TEAL)の流量は6g/hrであり、ジイソプロピルジメトキシシランの流量は1.2g/hrであり、主触媒の流量は0.36g/hrである。予備重合はプロピレン液相バルク環境で実施し、温度が15℃であり、滞留時間が約4分である。
予備重合後、触媒をループ反応器に連続的に供給し、ループ反応器内でプロピレン単独重合反応を完了させた。重合反応の温度は70°C、反応圧力は4.0MPa、水素ガスをループ反応器に供給し、オンラインクロマトグラフで測定した水素濃度は0.15mol%、相応する水素/プロピレンの比率は0.0015mol/molである。
ループ反応器での反応後、得られた材料を、エチレンとプロピレンとの共重合反応のために流動床気相反応器に供給した。気相反応温度は70°C、反応圧力は1.1MPa、エチレン/(プロピレン+エチレン)は0.21(mol/mol)である。一定の量の水素ガスを気相反応器の材料に添加し、オンラインクロマトグラフで測定した気相反応器の循環ガスの水素/エチレンは0.13(mol/mol)である。具体的なプロセス条件を表1に示す。
反応により得られた重合体を、脱気、湿潤窒素による不活性化処理を行い、ポリプロピレン組成物を得た。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が31.0重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.08であった。
(2)ポリプロピレンペレットおよび射出成形試験片の調製
0.1重量%のIRGAFOS 168(BASF、ドイツ)、0.1重量%のIRGANOX 1010(BASF、ドイツ)、0.05重量%のステアリン酸カルシウムおよび0.04重量%のMillad HPN-20E造核剤(Milliken、アメリカ)を、重合によって得られたポリプロピレン組成物に添加し、続いて二軸押出機を用いてペレット化した。次いで、GB標準を満たす射出成形試験片を、射出成形機を用いて調製した。それらの物理性質を測定した。
0.1重量%のIRGAFOS 168(BASF、ドイツ)、0.1重量%のIRGANOX 1010(BASF、ドイツ)、0.05重量%のステアリン酸カルシウムおよび0.04重量%のMillad HPN-20E造核剤(Milliken、アメリカ)を、重合によって得られたポリプロピレン組成物に添加し、続いて二軸押出機を用いてペレット化した。次いで、GB標準を満たす射出成形試験片を、射出成形機を用いて調製した。それらの物理性質を測定した。
測定結果を表2に示す。
図1~図3は、実施例A1で調製したペレットおよび射出成形試験片のSEM写真を示す。これらのSEM写真からわかるように、射出成形後、実施例A1の射出成形試験片におけるゴム相は明らかな配向構造を示し、製品表面からの厚さの10%以内の射出成形試験片の位置および製品表面からの厚さの10%を超えるコア部分の位置の両方において、ゴム相が変形しており、一定方向に沿って伸長および配向しており、一方、製品表面からの厚さの10%以内の位置におけるゴム相の変形の程度はより高かった(製品表面からの厚さの10%以内の位置において、ゴム相粒子の70%超のアスペクト比が4を超え、あるゴム相粒子のアスペクト比が7を超え、製品表面からの厚さの10%を超えるコア部分の位置において、ゴム相粒子の50%超がアスペクト比が2を超えている)。また、射出成形前のペレットのゴム相が実質的に球状であることも分かった。そのため、射出成形時に加わる配向力の作用により、ゴム相が変形して配向構造を形成し、配向力を除去して試料を形成した後、ゴム相は配向構造を保持した。
実施例A2
実施例A2は、ループ反応器の水素濃度が0.21mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.1(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が31.1重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.28であった。
実施例A2は、ループ反応器の水素濃度が0.21mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.1(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が31.1重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.28であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表2に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例A2の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例A3
実施例A3は、気相反応器の水素/エチレン=0.14(mol/mol)、およびエチレン/(エチレン+プロピレン)=0.25(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤、および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が34.89重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が0.93であった。
実施例A3は、気相反応器の水素/エチレン=0.14(mol/mol)、およびエチレン/(エチレン+プロピレン)=0.25(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤、および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が34.89重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が0.93であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表2に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例A3の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例A4
実施例A4は、ループ反応器の水素濃度が0.23mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.02(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が31.2重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.81であった。
実施例A4は、ループ反応器の水素濃度が0.23mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.02(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が31.2重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.81であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表2に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例A4の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例A5
実施例A5は、ループ反応器の水素濃度が0.26mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.19(mol/mol)および水素/エチレン=0.35(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。
実施例A5は、ループ反応器の水素濃度が0.26mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.19(mol/mol)および水素/エチレン=0.35(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が30.96重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.14であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表2に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例A5の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例A6
実施例A6は、ループ反応器の水素濃度が0.60mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.04(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。
実施例A6は、ループ反応器の水素濃度が0.60mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.04(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が31.67重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.85であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表2に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例A6の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
比較例A1
比較例A1は、ループ反応器の水素濃度が0.28mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.45(mol/mol)、水素/エチレン=0.01(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。
比較例A1は、ループ反応器の水素濃度が0.28mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.45(mol/mol)、水素/エチレン=0.01(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が48.61重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が2.49であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表2に示す。
比較例A2
比較例A2は、ループ反応器の水素濃度が0.70mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.45(mol/mol)、および水素/エチレン=0.02(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤、および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。
比較例A2は、ループ反応器の水素濃度が0.70mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.45(mol/mol)、および水素/エチレン=0.02(mol/mol)であることを除いて、実施例A1と同じ触媒系、造核剤、および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表1に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が48.58重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が2.34であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表2に示す。
図6および図7は、比較例A2の射出成形試験片およびペレットのSEM写真を示す。これらの写真からわかるように、射出成形後であっても、比較例A2の射出成形試験片のゴム相は変形または配向の傾向が見られず、特に製品表面からの厚さの10%を超えたコア部分の位置において、変形および配向を伴わずに、依然として実質的に球形である。
表1および2のデータからわかるように、エチレン-プロピレン弾性共重合体のエチレン含有量および/またはホモポリプロピレンのメルトマスフローレートとポリプロピレン組成物のメルトマスフローレートとの比率が、本発明の範囲内にないように重合プロセス条件を調整した場合と比較して、本発明のポリプロピレン組成物は、より高い光沢度および同等またはより良好な機械的性能を有する。
したがって、本発明のポリプロピレン組成物は特に、良好な機械的性能(高い剛性、高い靭性および低い収縮特性)および美学的特性(高い光沢)を組み合わせた製品の製造に使用することができる。
実施例B1
主触媒Cat-1の調製:300mLガラス反応ボトル中に、90mL(820mmol)の四塩化チタンを添加し、-20℃に冷却し、マグネシウム元素でハロゲン化マグネシウム担体(CN1330086Aの実施例1に開示された方法に基づいて調製)37mmolを添加し、次いで、温度を110℃に上昇させ、温度上昇中に0.3mmolのリン酸トリブチルおよび7.3mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加し、110℃で30分間維持した後に液体を濾過し、得られた生成物を四塩化チタンで2回、ヘキサンで5回洗浄し、真空乾燥して触媒成分Cat-1を得た。
主触媒Cat-1の調製:300mLガラス反応ボトル中に、90mL(820mmol)の四塩化チタンを添加し、-20℃に冷却し、マグネシウム元素でハロゲン化マグネシウム担体(CN1330086Aの実施例1に開示された方法に基づいて調製)37mmolを添加し、次いで、温度を110℃に上昇させ、温度上昇中に0.3mmolのリン酸トリブチルおよび7.3mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加し、110℃で30分間維持した後に液体を濾過し、得られた生成物を四塩化チタンで2回、ヘキサンで5回洗浄し、真空乾燥して触媒成分Cat-1を得た。
X線蛍光分光分析(X線蛍光分光計: 型番 Zetium、PANalytical BV、Netherlands製)により測定したところ、触媒成分Cat-1のリン元素でリン含有量は0.011重量%であった。
ポリプロピレンパイロット装置のセットで重合反応を行った。重合方法および工程は以下の通りである。
予備重合:主触媒であるCat-1、補助触媒(トリエチルアルミニウム)および外部電子供与体であるメチルシクロヘキシルジメトキシシラン(CHMMS)を10℃で20分間予備接触反応させた後、予備重合反応器に連続的に添加して予備重合反応させた。ここで、トリエチルアルミニウム(TEAL)の流量は6g/hrであり、メチルシクロヘキシルジメトキシシランの流量は1.2g/hrであり、主触媒の流量は0.36g/hrであった。予備重合はプロピレン液相バルク環境で行い、温度が15℃、滞留時間が約4分であった。
予備重合後、触媒をループ反応器に連続的に供給し、ループ反応器内でプロピレン単独重合反応を完了させた。重合反応の温度は70°C、反応圧力は4.0MPa、水素をループ反応器の供給物に供給し、オンラインクロマトグラフで測定した水素濃度は0.10mol%であった。
ループ反応器での反応後、得られた材料を、エチレンとプロピレンとの共重合反応のために流動床気相反応器に供給した。気相反応温度は70℃であり、反応圧力は1.1MPaであり、エチレン/(プロピレン+エチレン)は0.21(体積比)であり、一定の量の水素ガスを気相反応器の材料に添加し、オンラインクロマトグラフで測定した気相反応器の循環ガスの水素/エチレンは0.11であった。具体的なプロセスを表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が28.04重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が0.87であった。
反応により得られたポリマーを、脱気、湿潤窒素による不活性化処理を行い、ポリマー粉末を得た。
重合により得られた粉末に、IRGAFOS 168を0.1質量%、IRGANOX 1010を0.1質量%、ステアリン酸カルシウムを0.05質量%、Millad HPN-715を0.05質量%、Millad 600EI造核剤を0.05質量%添加し、二軸押出機を用いてペレット化しポリプロピレン組成物のペレットを得た。次いで、GB標準を満たす射出成形試験片を、射出成形機を用いて調製し、それらの物理性質を測定した。測定結果を表4に示す。
図4は、実施例B1の射出成形試験片の製品表面からの厚さの10%を超えたコア部分の位置におけるSEM写真を示す。図5は、実施例B1のペレットのSEM写真を示した。これらのSEM写真からわかるように、射出成形後、実施例B1で調製した射出成形試験片のゴム相は明らかな配向構造を示し、製品表面からの厚さの10%を超えたコア部分の位置ではゴム相も変形して配向していた(製品表面からの厚さの10%を超えたコア部分の位置ではゴム相粒子の70%超がアスペクト比が2を超え、あるゴム相粒子のアスペクト比が4を超えている)。また、射出成形前のペレットのゴム相は実質的に球状であった。
実施例B2
実施例B2は、ループ反応器の水素濃度が0.13mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.08(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
実施例B2は、ループ反応器の水素濃度が0.13mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.08(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が28.05重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.27であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例B2の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例B3
実施例B3は、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.25(mol/mol)、および水素/エチレン=0.12(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤、および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
実施例B3は、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.25(mol/mol)、および水素/エチレン=0.12(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤、および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が33.67重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が0.93であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例B3の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例B4
実施例B4は、ループ反応器の水素濃度が0.13mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.15(mol/mol)及び水素/エチレン=0.18(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤及び重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
実施例B4は、ループ反応器の水素濃度が0.13mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.15(mol/mol)及び水素/エチレン=0.18(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤及び重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が26.72重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.04であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例B4の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例B5
実施例B5は、ループ反応器の水素濃度が0.18mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.19(mol/mol)及び水素/エチレン=0.22(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤及び重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
実施例B5は、ループ反応器の水素濃度が0.18mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.19(mol/mol)及び水素/エチレン=0.22(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤及び重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が27.89重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.09であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例B5の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例B6
実施例B6は、ループ反応器の水素濃度が0.24mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.13(mol/mol)及び水素/エチレン=0.54(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤及び重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
実施例B6は、ループ反応器の水素濃度が0.24mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.13(mol/mol)及び水素/エチレン=0.54(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤及び重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が25.05重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.04であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例B6の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例B7
実施例B7は、ループ反応器の水素濃度が0.35mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.21(mol/mol)及び水素/エチレン=0.10(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤及び重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
実施例B7は、ループ反応器の水素濃度が0.35mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.21(mol/mol)及び水素/エチレン=0.10(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ触媒系、造核剤及び重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が28.05重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.53であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
SEM分析からわかるように、射出成形後、実施例B7の射出成形試験片のゴム相が明らかな配向構造を呈することを示す。
実施例C1
実施例C1は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを使用し、ループ反応器の水素濃度が0.24mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.35(mol/mol)であることを除いて、実施例B5と同じ外部電子供与体、補助触媒、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
実施例C1は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを使用し、ループ反応器の水素濃度が0.24mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.35(mol/mol)であることを除いて、実施例B5と同じ外部電子供与体、補助触媒、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が30.98重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.08であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
実施例C2
実施例C2は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルおよびフタル酸ジエチルを使用し、造核剤を添加しないことを除いて、実施例B1と同じ外部電子供与体、補助触媒、および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
実施例C2は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルおよびフタル酸ジエチルを使用し、造核剤を添加しないことを除いて、実施例B1と同じ外部電子供与体、補助触媒、および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が28.04重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が0.87であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
比較例C1
比較例C1は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを用い、外部電子供与体としてジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)を用い、プロセス条件としてループ反応器の水素濃度が0.25mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.45(mol/mol)、水素/エチレン=0.02(mol/mol)である以外は、実施例B1と同様の補助触媒、造核剤、重合プロセス条件を用いた。具体的なプロセス条件を表3に示す。
比較例C1は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを用い、外部電子供与体としてジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)を用い、プロセス条件としてループ反応器の水素濃度が0.25mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.45(mol/mol)、水素/エチレン=0.02(mol/mol)である以外は、実施例B1と同様の補助触媒、造核剤、重合プロセス条件を用いた。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が48.61重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が2.03であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
比較例C2
比較例C2は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを、外部電子供与体としてジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)を使用し、プロセス条件に関して、ループ反応器の水素濃度が0.65mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.45(mol/mol)および水素/エチレン=0.02(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ補助触媒、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
比較例C2は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを、外部電子供与体としてジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)を使用し、プロセス条件に関して、ループ反応器の水素濃度が0.65mol%であり、気相反応器のエチレン/(プロピレン+エチレン)=0.45(mol/mol)および水素/エチレン=0.02(mol/mol)であることを除いて、実施例B1と同じ補助触媒、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が48.58重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.95であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
比較例C3
比較例C3は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを使用し、ループ反応器の水素濃度が0.18mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.35(mol/mol)であることを除いて、実施例B5と同じ外部電子供与体、補助触媒、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
比較例C3は、主触媒の内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを使用し、ループ反応器の水素濃度が0.18mol%であり、気相反応器の水素/エチレン=0.35(mol/mol)であることを除いて、実施例B5と同じ外部電子供与体、補助触媒、造核剤および重合プロセス条件を使用した。具体的なプロセス条件を表3に示す。
得られたポリプロピレン組成物は成分Bのエチレン含有量が31.05重量%であり、組成物のMFRに対する成分AのMFRの比率が1.05であった。
得られた射出成形試験片の性能測定結果を表4に示す。
表3および4のデータからからわかるように、ホモポリプロピレンの立体規則性、エチレン-プロピレン弾性共重合体のエチレン含有量および/またはホモポリプロピレンのメルトマスフローレートとポリプロピレン組成物のメルトマスフローレートとの比率が、本発明の範囲内にないように重合プロセス条件を調整した場合と比較して、本発明のポリプロピレン組成物は、より低いヘイズおよびより高い光沢度を有し、したがって、より良好な透明性および美学的特性を有し、同時に、同等またはより良好な機械的性能を有している。
カルボン酸エステルを内部電子供与体として使用する触媒系と比較して、リン酸エステル化合物とジエーテル化合物とが配合された内部電子供与体を使用する触媒系によって調製されたポリプロピレン組成物は、より高い光沢度およびより低いヘイズならびに高い機械的性能を有し、良好な透明性、高い光沢、高い剛性、高い靭性および低い収縮性質を兼備し、それによって、良好な機械的性能および美学的特性を兼備する。
また、実施例C2と実施例B1との比較からわかるように、実施例B1において造核剤が添加され、得られた生成物は、より高い弾性率およびより低いヘイズを有している。
以上、本発明を実施例を用いて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではなく、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正及び変更が当業者には明らかである。
本明細書に開示する範囲の端点および任意の値はそのような正確な範囲または値に限定されず、これらの範囲または値はこれらの範囲または値に近い値を含むと理解するべきである。数値範囲については、様々な範囲の端点間、端点と様々な範囲の個々の点値間、および個々の点値間で相互に組み合わせて、1つまたは複数の新しい数値範囲を得ることができ、これは本明細書に具体的に開示されていると見なすべきである。
Claims (22)
- ポリプロピレン組成物であって、
(a)成分Aとしての70~95重量%の結晶性ホモポリプロピレンであって、アイソタクチックペンタッド成分率が96%以上、好ましくは97%以上であり、前記ポリプロピレン組成物中で連続マトリックス相を形成する、結晶性ホモポリプロピレン;および
(b)成分Bとしての5~30重量%のエチレン-プロピレン弾性共重合体であって、当該エチレン-プロピレン弾性共重合体の総重量を基準にして20~35重量%、好ましくは25~35重量%のエチレン構造単位、および65~80重量%、好ましくは65~75重量%のプロピレン構造単位を含有し、前記連続マトリックス相に分散したゴム相を形成し、前記ゴム相は配向力の作用で少なくとも部分的に変形し、配向構造を形成する、エチレン-プロピレン弾性共重合体、を含み;
GB/T 3682.1-2018に基づいて230℃で、2.16kgの荷重下で測定された前記ポリプロピレン組成物のメルトマスフローレートに対する前記結晶性ホモポリプロピレンのメルトマスフローレートの比率は、0.5~2.0、好ましくは0.9~1.5である、ポリプロピレン組成物。 - 配向力が作用しない場合、前記ゴム相が球状または略球状の粒子であり、ゴム相粒子の平均寸法は、SEM方法によって測定し、0.03~3.0μm、好ましくは0.05~2.0μm、より好ましくは0.05~1.5μmである、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記配向力が作用した後、前記SEM写真におけるゴム相粒子の総数に基づいて、ゴム相粒子の少なくとも50%が2より大きいアスペクト比を有する、請求項1または2に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記配向力は、物体を配向させることができる外部場力を指し、前記配向は、物体が外部場力に沿って平行に整列することを指し、前記配向力は、例えば、引張応力および/またはせん断応力、特に製品を製造するプロセス自身において前記ポリプロピレン組成物に加えられる力を指し、前記配向構造は、配向力の作用を受けて、ゴム相粒子が変形して伸長することによって形成する長手軸がある方向に沿って互いに平行に整列することを指し、好ましくは、前記SEM写真におけるゴム相粒子の総数に基づいて、前記ゴム相粒子の少なくとも80%が配向構造を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記結晶性ホモポリプロピレンは、GB/T 3682.1-2018に基づく230℃、2.16kgの荷重下でのメルトマスフローレートが5~200g/10minであり、好ましくは10~100g/10minであり、および/または前記ポリプロピレン組成物は、GB/T 3682.1-2018に基づく230℃、2.16kgの荷重下でのメルトマスフローレートが5~100g/10minであり、好ましくは6~30g/10minであり、より好ましくは8.89~30g/10minである、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記ポリプロピレン組成物の固有粘度が1.0~2.5dL/g、好ましくは1.4~2.4dL/g、より好ましくは1.52~2.08dL/gであり;および/または前記ポリプロピレン組成物のキシレン可溶物の固有粘度が1.0~4.0dL/g、好ましくは1.11~3.65dL/gであり;および/または前記ポリプロピレン組成物におけるキシレン可溶物の固有粘度の前記結晶性ホモポリプロピレンの固有粘度に対する比率が0.7~2.6である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記ポリプロピレン組成物の分子量分布Mw/Mnが≦5であり、好ましくは分子量分布Mw/Mnが≦4.5であり、これはポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によって測定される、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記ポリプロピレン組成物の60°角度光沢度は≧80%、好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%であり、好ましくは、前記ポリプロピレン組成物のヘイズは≦50%、より好ましくは≦40%である、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記ポリプロピレン組成物が、さらに、以下の性能の1つ以上、好ましくは全てを有する、請求項8に記載のポリプロピレン組成物:
1) ≦1.15、好ましくは≦1.1の平行収縮率;
2) ≦1.36、好ましくは≦1.15の垂直収縮率;
3) ≧1000MPa、好ましくは≧1300MPa、より好ましくは≧1400MPa、さらにより好ましくは≧1450MPaの曲げ弾性率;
4) ≧5kJ/m2、好ましくは≧6kJ/m2の室温でのシャルピーノッチ付き衝撃強さ;および
5) ≧90℃、好ましくは≧92℃の熱変形温度。 - 前記ポリプロピレン組成物が(c)成分Cとして造核剤をさらに含み、当該造核剤は、好ましくはカルボン酸およびその金属塩、ソルビトール、アリールホスフェート、デヒドロアビエチン酸およびその塩、芳香族アミド、芳香族アミン、希土類化合物、準平面構造を有する縮合環化合物、および高分子造核剤からなる群から選択される少なくとも1種であり、前記ポリプロピレン組成物の総重量を基準として、前記造核剤の含有量は好ましくは0.05~0.3重量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記ポリプロピレン組成物が他の補助剤をさらに含み、前記他の補助剤が好ましくは酸化防止剤、帯電防止剤および着色剤からなる群から選択される少なくとも1種であり、好ましくは前記ポリプロピレン組成物の総重量を基準として、前記他の補助剤の含有量は好ましくは0.05~0.6重量%、より好ましくは0.1~0.3重量%である、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
- 前記ポリプロピレン組成物が粉末またはペレットの形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
- 以下の工程を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物を調製する方法:
(1)第1のオレフィン重合条件で、プロピレンモノマーを立体選択性を有するチーグラー・ナッタ触媒と接触させて反応させ、接触させて反応させた後に得られた混合物から未反応モノマーを除去して生成物aを得る工程、ここで前記生成物aは成分Aを含み、および
(2)第2のオレフィン重合条件で、エチレンモノマーおよびプロピレンモノマーを、工程(1)で得られた生成物aと、気相で接触させて反応させ、接触させて反応させた後に得られた混合物から未反応モノマーを除去して、前記ポリプロピレン組成物として成分Aおよび成分Bを含む生成物bを得る工程。 - 前記立体選択性を有するチーグラー・ナッタ触媒は下記成分を有する、請求項13に記載の方法:
(i)マグネシウム源、チタン源および内部電子供与体の反応から得られる生成物を含有する固体触媒成分であって、前記内部電子供与体は好ましくはモノカルボン酸エステル、ジカルボン酸エステル、リン酸エステル化合物、ジエーテル化合物およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記マグネシウム源は例えばハロゲン化マグネシウム、アルコラートまたはハロゲン化アルコラートおよびハロゲン化マグネシウム付加物担体から選択され、好ましくは球状ハロゲン化マグネシウム付加物であり、前記チタン源は例えば、一般式Ti(OR)4-mXmで示すチタン化合物から選択される1種以上であり、式中、mは0~4の整数、好ましくは1~4の整数であり、RはC1-C20のアルキル、好ましくはC1-C10のアルキルであり、Xはハロゲン、好ましくは塩素である;
(ii)有機アルミニウム化合物であって、好ましくはアルキルアルミニウム化合物であり、より好ましくはトリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジ-n-ブチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジ-n-ヘキシルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、n-ブチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、n-ヘキシルアルミニウムジクロリドからなる群から選択される少なくとも1種であり、さらに好ましくはトリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムから選択される少なくとも1種であり、
(iii)任意の外部電子供与体であって、好ましくは有機ケイ素化合物、より好ましくは一般式RnSi(OR´)4-nを有する有機ケイ素化合物であり、ここで、0<n≦3であり、Rは水素原子、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびハロアルキルから選択され、R´はアルキル、シクロアルキル、アリールおよびハロアルキルから選択され、より好ましくは外部電子供与体がテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルtert-ブチルジメトキシシラン、メチルイソプロピルジメトキシシラン、ジフェノキシジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、2-エチルピペリジニル-2-tert-ブチルジメトキシシラン、(1,1,1-トリフルオロ-2-プロピル)-2-エチルピペリジニルジメトキシシラン、および(1,1,1-トリフルオロ-2-プロピル)-メチルジメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つであり、好ましくは前記触媒は予備錯化および/または予備重合処理されている。 - 前記内部電子供与体がモノカルボン酸エステルおよび/またはジカルボン酸エステルから選択され、好ましくは安息香酸エステル、マロン酸エステル、フタル酸エステルおよびコハク酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つ、より好ましくはフタル酸アルキル、さらに好ましくはフタル酸ジイソブチルおよび/またはフタル酸ジオクチルである、請求項14に記載の方法。
- 前記内部電子供与体がリン酸エステル化合物およびジエーテル化合物によって配合された内部電子供与体であり、好ましくは前記ジエーテル化合物の量と前記リン酸エステル化合物の量とのモル比は、1:(0.02~0.25)、好ましくは1:(0.04~0.15)であり、
前記リン酸エステル化合物は下記一般式(1)で示すリン酸エステル化合物から選ばれる少なくとも一種であり、
ここで、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、C1-C4直鎖または分岐鎖アルキル、C3-C20シクロアルキル、C6-C20アリ-ル、C7-C20アルカリールまたはC7-C20アラルキルから選択され
より好ましくはリン酸エステル化合物がトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリイソプロピルフェニルホスフェート、トリメトキシフェニルホスフェート、フェニルジメチルホスフェート、クレジルジブチルホスフェート、クミルジメチルホスフェート、クミルジエチルホスフェート、クミルジブチルホスフェート、フェニルキシリルホスフェート、フェニルジイソプロピルフェニルホスフェート、p-クレジルジブチルホスフェート、m-クレジルジブチルホスフェート、p-クミルジメチルホスフェート、p-クミルジエチルホスフェート、p-tert-ブチルフェニルジメチルホスフェート及びo-クレジルp-ジ-tert-ブチルフェニルホスフェートからなる群から選択され、
ここで、ジエーテル化合物は好ましくは式(2)で示すジエーテル化合物から選択する少なくとも1種であり
R1R2C(CH2OR3)(CH2OR4) 式(2)
ここで、R1およびR2はそれぞれ独立して、水素、C1-C20直鎖または分岐鎖アルキル、C3-C20シクロアルキル、C6-C20アリ-ル、C7-C20アラルキルまたはC7-C20アルカリールから選択され、R3およびR4はそれぞれ独立して、C1-C10アルキルからされ、
より好ましくはジエーテル化合物が2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-bis(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-bis(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチルブチル)-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパンおよび9,9-ジメトキシメチルフルオレンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項14に記載の方法。 - マグネシウム源としてのマグネシウム元素、チタン源としてのチタン元素、及び内部電子供与体のモル比は1:(20~150):(0.1~0.9)、好ましくは1:(30~120):(0.15~0.6)であり、および/またはチタン/アルミニウムのモル比での固体触媒成分と有機アルミニウム化合物との使用量の比率は、1:(25~100)であり、および/または有機アルミニウム化合物と外部電子供与体との重量比率が(0~150):1、好ましくは(2~150):1、より好ましくは(3~10):1である、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
- 工程(1)において、前記第1のオレフィン重合条件が液相重合条件または気相重合条件であり、液相重合条件では、分子量調節剤として水素を用い、重合温度0~150℃、好ましくは40~100℃であり、かつ重合圧力は対応する重合温度でのプロピレンの飽和蒸気圧よりも高く、気相重合条件では、分子量調節剤として水素を用い、重合温度0~150℃、好ましくは40~100℃であり、かつ常圧以上の重合圧力、好ましくは0.5~2.5MPaであり、好ましくは工程(1)で使用する水素/プロピレンの比率が0.0010~0.0060mol/molである、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
- 工程(2)の反応系において、エチレン/(エチレン+プロピレン)のモル比が0.1~0.4mol/mol、好ましくは0.1~0.3mol/mol、より好ましくは0.15~0.25mol/molであり、および/またはオレフィン気相重合の温度が40~100℃、好ましくは60~80℃であり、圧力が0.6~1.4MPa、好ましくは1.0~1.3MPaであり、および/または水素/エチレン比が0.02~0.70mol/mol、好ましくは0.04~0.54mol/molである、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が以下の工程をさらに含む、請求項13~19のいずれか一項に記載の方法: (3)工程(2)で得られた生成物bおよび造核剤および任意の他の補助剤を混合し、好ましくはさらにペレット化する工程。
- 請求項1~12のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物を用いて調製された製品、好ましくは射出成形製品であって、ゴム相粒子の少なくとも一部、好ましくは少なくとも80%のゴム相粒子が変形し、配向構造を形成しており、特に、製品表面からの厚さの10%以内の位置および製品表面からの厚さの10%を超えるコア部分の位置の両方において、ゴム相が変形および伸長し、配向構造を形成しており、好ましくは、SEM写真における対応する位置におけるゴム相粒子の総数に基づいて、製品表面からの厚さの10%以内の位置におけるゴム相粒子の50%超が4以上のアスペクト比を有し、製品表面からの厚さの10%を超えるコア部分の位置におけるゴム相粒子の50%超が2以上のアスペクト比を有する、製品。
- 前記製品が電器、家庭、包装、自動車、玩具または医薬品分野、例えば、家電製品のケース、自動車内装部品、子供用玩具、家庭用収納製品または医療用使い捨てシリンジにおいて使用される生成物または生成物の一部である、請求項21に記載の製品。
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