JP2023536630A - Pd-l1結合性作用剤およびその使用 - Google Patents

Pd-l1結合性作用剤およびその使用 Download PDF

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Abstract

本開示は、PD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの多重特異性抗体を含めた抗体)およびその使用を提供する。そのような抗体は、一部の実施形態では、ヒトPD-L1の結合について、本明細書(例えば、表1~3)に記載の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する抗体と競合する。本開示はまた、PD-L1結合性作用剤を含む組成物を提供する。本開示はまた、PD-L1結合性作用剤または当該作用剤を含む組成物を含めたPD-L1結合性作用剤または当該作用剤を含む組成物により、T細胞機能不全疾患、障害または状態の1つまたは複数の症状を含むT細胞機能不全疾患、障害または状態を処置、防止、または緩和する方法を提供する。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年8月4日出願の米国仮出願第63/061,109号の利益を主張するものである。
配列表
本出願には、2021年7月29日に作成され、サイズが52,941バイトである14529-007-228_SEQ_LISTING.txtという表題のテキストファイルとして本出願と共に提出される配列表が参照により組み込まれる。
分野
本開示は、全般的には、ヒトPD-L1を含めたPD-L1に結合する抗体などの結合性作用剤、およびその使用方法に関する。
背景
プログラム死リガンド1(PD-L1)は、重要な免疫チェックポイント受容体であるプログラム死受容体1(PD-1)に特異的に結合する細胞表面糖タンパク質リガンドである。PD-1は、活性化T細胞、B細胞および単球上でアップレギュレーションされ、免疫抑制を媒介する。他方のPD-1リガンドであるPD-L2は、主に活性化抗原提示細胞(APC)上に発現されるが、PD-L1は、活性化T細胞、B細胞、単球、樹状細胞およびマクロファージなどの造血系列の細胞、ならびに心臓、骨格筋(skeletal, muscle)、胎盤、肺、腎臓および肝臓組織などの末梢組織を含む部位で広く発現される。
PD-L1のPD-1への結合は、T細胞におけるPD-1受容体の下流シグナル伝達を活性化し、よって、T細胞の増殖、サイトカイン生成および放出ならびに細胞傷害性を阻害することができる、負のチェックポイントである。T細胞活性化およびエフェクターサイトカインの分泌のこのような阻害は、自己免疫および慢性感染を防止することができる。
しかし、多くの腫瘍細胞は、この機構を使用して、免疫攻撃から自身を保護し、腫瘍免疫回避(例えば、腫瘍免疫)をもたらす。多くのがんは、PD-L1を過剰発現し、その過剰発現は、予後不良に関連することが多い。がんにおいて、PD-1/PD-L1相互作用は、T細胞活性化を抑制するように下流シグナルを刺激し、腫瘍細胞生存をもたらす。
そのリガンドとPD-1の相互作用の遮断は、腫瘍細胞に対するT細胞免疫応答を増強する免疫療法的方法として提案されてきた。PD-1/PD-L1に基づく免疫療法の現在の戦略は、いくつかの進行型の癌の処置において有効性を示したが、多くの固形腫瘍およびある特定のPD-L1機能における効果は限定されている。したがって依然として、当技術分野には、PD-1/PD-L1相互作用を遮断もしくは防止することができる、および/またはPD-L1を標的化して、PD-L1を発現する腫瘍細胞が関与するものを含めた、T細胞機能不全疾患、障害、もしくは状態を処置、防止、もしくは緩和することができる作用剤の差し迫った必要がある。本明細書に提供されるPD-L1結合性作用剤、組成物および方法は、このような必要を満たし、関連する利点を提供する。
要旨
本開示は、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤を提供する。そのような作用剤としては、PD-L1に結合する抗体、例えば、PD-L1に結合する単一特異性または多重特異性(例えば、二重特異性)抗体が挙げられる。そのような抗体は、一部の実施形態では、ヒトPD-L1の結合について、本明細書(例えば、表1~3)に記載の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する抗体と競合する。
本開示はまた、PD-L1結合性作用剤を含む組成物を提供する。そのような組成物としては、一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体、例えば、PD-L1に結合する単一特異性または多重特異性(例えば、二重特異性)抗体が挙げられる。そのような組成物は、一部の実施形態では、本明細書(例えば、表1~3)に記載の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する抗体と本質的に同じ親和性を有し、かつ/またはこれとヒトPD-L1の結合について競合する、抗体を含む。
本開示はまた、PD-L1結合性作用剤または当該作用剤を含む組成物を含めたPD-L1結合性作用剤または当該作用剤を含む組成物により、T細胞機能不全疾患、障害または状態の1つまたは複数の症状を含むT細胞機能不全疾患、障害または状態を処置、防止、または緩和する方法を提供する。そのような組成物は、PD-L1に結合する抗体、例えば、PD-L1に結合する単一特異性または多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を含む。
図1A~1Cは、実施例2にさらに記載されているOctet結合アッセイから得た例示的な結果を説明する。 同上。 同上。
図2A~2Cは、実施例3にさらに記載されている細胞結合アッセイから得た例示的な結果を説明する。 同上。 同上。
図3A~3Cは、実施例4にさらに記載されているPD-L1/PD-1阻害アッセイから得た例示的な結果を説明する。 同上。 同上。
図4A~4Cは、実施例5にさらに記載されているSECクロマトグラフィーから得た例示的な結果を説明する。 同上。 同上。
図5A~5Cは、実施例5にさらに記載されているHICクロマトグラフィーから得た例示的な結果を説明する。 同上。 同上。
図6A~6Cは、実施例5にさらに記載されているSMACクロマトグラフィーから得た例示的な結果を説明する。 同上。 同上。
図7A~7Bは、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3のコンセンサス配列を含む、P22、P24、およびP31.2の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の配列アライメントを示す。CDRの境界は、Kabat、AbM、Chothia、Contact、およびIMGTナンバリングによって指し示されている。 同上。
詳細な説明
本開示は、PD-L1結合性作用剤を提供する。そのような作用剤としては、ヒトPD-L1に結合する抗体を含めた、PD-L1に結合する抗体(例えば、単一特異性または二重特異性を含む多重特異性)が挙げられる。そのような結合性作用剤は、組成物において、およびT細胞機能不全疾患、障害または状態を、疾患、障害、または状態の1つまたは複数の症状を含め、処置、防止、または緩和する方法において有用である。T細胞機能不全疾患、障害、および状態としては、これだけに限定されないが、腫瘍細胞がPD-L1を発現または過剰発現する任意のがんを含めた、腫瘍免疫および関連するがんが挙げられる。そのようなPD-L1発現腫瘍細胞は、腫瘍細胞が、免疫監視およびクリアランスをエスケープすることを補助し得る(例えば、腫瘍免疫)。加えて、PD-L1結合抗体(例えば、単一特異性または二重特異性抗体を含む多重特異性抗体)などの本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤は、PD-1シグナル伝達を阻害し、かつ/またはT細胞機能を増強し、したがって、免疫監視および腫瘍細胞の除去を増強するのに有用である。PD-L1結合抗体(例えば、単一特異性または二重特異性抗体を含む多重特異性抗体)などの本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤は、組成物において、および細胞媒介性免疫応答のアップレギュレーションを含めた、T細胞機能を増強するための方法において有用である。
「プログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)」、「プログラム死リガンド-1」、「PD-1リガンド1」という用語または同様の用語は、別段の指定のない限り、霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno))、イヌ、および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含めた任意の脊椎動物供給源由来のポリペプチド(「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書で互換的に使用される)または任意のネイティブなPD-L1を指す。表面抗原分類274(CD274)またはB7ホモログ1(B7-H1)としても公知のPD-L1は、ヒトでは、CD274遺伝子によってコードされるタンパク質である。PD-L1は、PD-1に対する天然に存在する細胞表面糖タンパク質リガンド2種のうち一方である(もう一方はPD-L2)。PD-1と同様に、PD-L1は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、2種の細胞外Igドメイン、N末端Vドメイン、およびC末端定常ドメインからなる。PD-L1は、PD-1への結合後に、T細胞活性化およびサイトカイン分泌をダウンレギュレーションすることが当技術分野で公知である。PD-L1という用語は、「全長」PD-L1と共に、細胞におけるプロセシングに起因する任意の形態のPD-L1またはその任意の断片を包含する。PD-L1という用語は、SNPバリアント、スプライスバリアントおよび対立遺伝子バリアントなど、PD-L1の天然に存在するバリアントも包含する。ヒトPD-L1の全長アミノ酸配列を以下に提示する(例示的な細胞外ドメイン=下線の文字列):
PD-L1という用語によって同様に包含される他の関連するPD-L1ポリペプチドとしては、PD-L1活性を保持し、かつ/または抗PD-L1免疫応答を生成するのに十分な断片、誘導体(例えば、置換、欠失、短縮、および挿入バリアント)、融合ポリペプチド、および種間ホモログが挙げられる。当業者に理解される通り、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、PD-L1ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド断片、PD-L1抗原、および/またはPD-L1エピトープに結合することができる。エピトープは、より大きなPD-L1抗原の一部となることができ、抗原は、より大きなPD-L1ポリペプチド断片の一部となることができ、さらには、断片は、より大きなPD-L1ポリペプチドの一部となることができる。PD-L1は、ネイティブな形態または変性形態で存在することができる。本明細書に記載のPD-L1ポリペプチドは、ヒト組織型などの種々の供給源から、もしくは別の供給源から単離することもでき、または組換えもしくは合成方法によって調製することもできる。PD-L1ポリペプチドは、天然に由来する対応するPD-L1ポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことができる。PD-L1ポリペプチドに対するオルソログも、当技術分野で周知である。
「プログラム細胞死-1(PD-1)」、「プログラム死-1」、「PD-1受容体」という用語または同様の用語は、別段の指定のない限り、霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno))、イヌ、および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含めた任意の脊椎動物供給源由来のポリペプチド(「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書で互換的に使用される)または任意のネイティブなPD-1を指す。CD279(表面抗原分類279)としても公知のPD-1は、CD28ファミリーに属する免疫阻害受容体である。PD-1は、in vivoで以前に活性化されたT細胞上で優勢に発現され、2種のリガンド、PD-L1およびPD-L2に結合する。PD-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、2種の細胞外Igドメイン、N末端Vドメイン、およびC末端定常ドメインからなる。PD-1は、2種の細胞質チロシンに基づくシグナル伝達モチーフ、免疫受容体チロシンに基づく阻害モチーフ(ITIM)、および免疫受容体チロシンに基づくスイッチモチーフ(ITSM)を含有する。PD-1という用語は、「全長」PD-1と共に、細胞におけるプロセシングに起因する任意の形態のPD-1またはその任意の断片を包含する。PD-1という用語は、SNPバリアント、スプライスバリアントおよび対立遺伝子バリアントなど、PD-1の天然に存在するバリアントも包含する。T細胞刺激後に、PD-1は、その細胞質テイル内のITSMモチーフへとチロシンホスファターゼSHP-2を動員し、とりわけ、CD3 T細胞シグナル伝達カスケードに関与するCD3ゼータ、PKCシータおよびZAP70などのエフェクター分子の脱リン酸化をもたらすことが当技術分野で公知である(Carter et al. (2002) Eur J Immunol 32:634-43)。ヒトPD-1の全長アミノ酸配列を以下に提示する:
本明細書で使用される場合、「結合性作用剤」という用語またはその文法上の等価物は、抗原に結合する抗原結合性部位を1つまたは複数有する分子(例えば、抗体)を指す。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤は、ヒトPD-L1などのPD-L1に結合する抗体、抗体断片、または他のペプチドに基づく分子である。
「抗体」、「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、本明細書では互換的に使用され、かつ最も広範な意味で使用され、具体的には、例えば、全長重鎖および/または軽鎖を有するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、全長モノクローナル抗体を含む)、多エピトープ特異性または単一エピトープ特異性を有する抗体組成物、組換えによって産生された抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、合成抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒトバージョンの抗体を網羅する。本開示はまた、PD-L1に結合する特徴を保持する抗体断片(および/または抗体断片を含むポリペプチド)も含む。抗体断片の非限定的な例としては、抗体の抗原結合性領域および/またはエフェクター領域、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、scFv、(scFv)、単鎖抗体分子、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体、V領域、抗体断片から形成された多重特異性抗体、F(ab)、Fd、Fc、ジアボディ(diabody)、ジ-ジアボディ(di-diabody)、ジスルフィド連結したFv(dsFv)、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディ)または他の断片(例えば、非共有結合によりカップリングした重鎖可変領域と軽鎖可変領域からなる断片)が挙げられる。一般に述べると、可変(V)領域ドメインは、任意の適切な配置の免疫グロブリン重鎖(VH)および/または軽鎖(VL)可変ドメインであり得る。例えば、本開示は、2つの重鎖分子および2つの軽鎖分子、抗体軽鎖単量体、ならびに抗体重鎖単量体を含む四量体抗体も含む。したがって、例えば、V領域ドメインは、二量体であってもよく、PD-L1に結合するVH-VH、VH-VL、またはVL-VL二量体を含有する。所望であれば、VH鎖とVL鎖は、直接かまたはリンカーを通じて共有結合によりカップリングして、単鎖Fv(scFv)を形成していてもよい。参照しやすさのために、scFvタンパク質は、本明細書では、「抗体断片」のカテゴリーに含めて言及される。抗体断片の別の形態は、抗体の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドである。CDR(「最小認識単位」または「超可変領域」とも称される)は、目的のCDRをコードするポリヌクレオチドを構築することによって得ることができる。そのようなポリヌクレオチドは、例えば、抗体産生細胞のmRNAを鋳型として使用し、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して可変領域を合成することによって調製される(例えば、Larrick et al., Methods: A Companion to Methods in Enzymology, 2: 106 (1991);Courtenay-Luck, "Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies," in Monoclonal Antibodies Production, Engineering and Clinical Application, Ritter et al. (eds.), page 166, Cambridge University Press (1995);およびWard et al., "Genetic Manipulation and Expression of Antibodies," in Monoclonal Antibodies: Principles and Applications, Birch et al., (eds.), page 137, Wiley-Liss, Inc. (1995)を参照されたい)。抗体断片を単一ドメイン抗体、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minibody)、細胞内抗体、ジアボディ、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、新抗原受容体の可変ドメイン(v-NAR)、およびビス-単鎖Fv領域に組み入れることができる(例えば、Hollinger and Hudson, Nature Biotechnology, 23(9): 1126-1136, 2005を参照されたい)。結合性作用剤は、一部の実施形態では、軽鎖および/または重鎖定常領域、例えば、1つまたは複数のIgG1、IgG2、IgG3および/またはIgG4定常領域を含む1つまたは複数の定常領域を含有する。一部の実施形態では、抗体は、上記のいずれかのエピトープ結合性断片を含み得る。本明細書に記載の抗体は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgA)または任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)であり得る。抗体は、アゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体であり得る。
「単一特異性」という用語は、本明細書で使用される場合、結合性作用剤(例えば、抗体)に関して使用される場合、それぞれが同じ抗原の同じエピトープに結合する1つまたは複数の結合性部位を有する結合性作用剤を指す。
「二重特異性」という用語は、結合性作用剤(例えば、抗体)に関して使用される場合、結合性作用剤が、少なくとも2つの別個の抗原性決定因子に特異的に結合することができるものであること、例えば、それぞれ抗体重鎖可変ドメイン(VH)と抗体軽鎖可変ドメイン(VL)の対によって形成される、異なる抗原または同じ抗原上の異なるエピトープに結合する2つの結合性部位を意味する。そのような二重特異性結合性作用剤(例えば、抗体)は、1+1フォーマットを有し得る。他の二重特異性結合性作用剤(例えば、抗体)フォーマットは、2+1もしくは1+2フォーマット(第1の抗原またはエピトープに対する結合性部位を2つと第2の抗原またはエピトープに対する結合性部位を1つ含む)または2+2フォーマット(第1の抗原またはエピトープに対する結合性部位を2つと第2の抗原またはエピトープに対する結合性部位を2つ含む)であり得る。二重特異性結合性作用剤(例えば、抗体)が抗原結合性部位を2つ含む場合、それぞれが、異なる抗原性決定因子に結合し得る。そのような二重特異性結合性作用剤(例えば、抗体)は、同じ抗原上の2つの異なるエピトープ(例えば、PD-L1上のエピトープ)に結合し得る。
「同一」またはパーセント「同一性」という用語は、2つまたはそれよりも多くの核酸またはポリペプチドの文脈においては、いかなる保存的アミノ酸置換も配列同一性の一部として考えずに、対応が最大になるように比較およびアラインメント(必要であればギャップを導入する)した場合に、同じであるか、または同じヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を特定のパーセンテージで有する、2つまたはそれよりも多くの配列または部分配列(subsequence)を指す。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを使用することにより、または目視検査により、測定することができる。アミノ酸配列またはヌクレオチド配列のアラインメントを得るために使用することができる種々のアルゴリズムおよびソフトウェアは、当技術分野で周知である。それらとしては、これだけに限定されないが、BLAST、ALIGN、Megalign、BestFit、GCG Wisconsin Package、およびその変形形態が挙げられる。一部の実施形態では、2つの核酸またはポリペプチドは実質的に同一であり、これは、対応が最大になるように比較およびアラインメントした場合に、配列比較アルゴリズムを使用することでまたは目視検査により測定して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、および一部の実施形態では、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有することを意味する。一部の実施形態では、同一性は、少なくとも約10残基、少なくとも約20残基、少なくとも約40~60残基、少なくとも約60~80残基またはその間の任意の整数値の長さであるアミノ酸配列の領域にわたって存在する。一部の実施形態では、同一性は、60~80残基よりも長い領域、例えば、少なくとも約80~100残基などにわたって存在し、一部の実施形態では、配列は、比較される配列、例えば標的タンパク質または抗体のコード領域などの全長にわたって実質的に同一である。一部の実施形態では、同一性は、少なくとも約10塩基、少なくとも約20塩基、少なくとも約40~60塩基、少なくとも約60~80塩基またはその間の任意の整数値の長さであるヌクレオチド配列の領域にわたって存在する。一部の実施形態では、同一性は、60~80塩基よりも長い領域、例えば、少なくとも約80~1000塩基またはそれよりも長い領域にわたって存在し、一部の実施形態では、配列は、比較される配列、例えば目的のタンパク質をコードするヌクレオチド配列などの全長にわたって実質的に同一である。
「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸残基が、同様の化学的特徴を有する側鎖を有する別のアミノ酸残基で置き換えられたものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において一般に定義されており、それらには、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。例えば、フェニルアラニンでのチロシンの置換は保存的置換である。一般に、本開示のポリペプチド、可溶性タンパク質、および/または抗体の配列内の保存的置換は、そのアミノ酸配列を含有するポリペプチド、可溶性タンパク質、または抗体の標的結合性部位への結合を抑止するものではない。結合を排除しないアミノ酸の保存的置換を同定する方法は、当技術分野で周知である。
「ポリペプチド」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは直鎖であっても分枝であってもよく、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、また、非アミノ酸を含んでもよい(例えば、非アミノ酸で中断されていてもよい)。この用語は、天然にまたは介入によって修飾;例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または任意の他のマニピュレーションもしくは修飾、例えば、標識用構成成分などの部分との連結もしくはコンジュゲーション(直接的または間接的)がなされたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸の1つまたは複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸を含む)、および当技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドも、この定義に含まれる。本開示のポリペプチドは抗体または免疫グロブリンスーパーファミリーの他のメンバーに基づき得るので、一部の実施形態では、ポリペプチドは単鎖として存在し得ることが理解される。
本明細書で使用される場合、「抗原」は、結合性作用剤(例えば、抗体)が結合し得るエピトープを含有する部分または分子である。したがって、抗原には抗体が結合し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の結合性作用剤(例えば、抗体)が結合する抗原は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)またはその断片である。
本明細書で使用される場合、「エピトープ」は、当技術分野における用語であり、抗体が結合し得る、抗原の局所的な領域を指す。エピトープは、線状エピトープまたは構造的、非線形、もしくは不連続エピトープであり得る。ポリペプチド抗原の場合では、例えば、エピトープは、ポリペプチドの連続したアミノ酸であり得る(「線状」エピトープ)か、または、エピトープは、ポリペプチド、例えば、PD-L1の2つもしくはそれよりも多くの連続していない領域からのアミノ酸を含み得る(「構造的」、「非線形」または「不連続」エピトープ)。一般に、線状エピトープは、二次構造、三次構造、または四次構造に依存する場合もあり、依存しない場合もあることが、当業者には理解されよう。例えば、一部の実施形態では、抗体は、天然の三次元タンパク質構造にフォールディングされているかどうかにかかわらず、アミノ酸の群に結合する。他の実施形態では、抗体がエピトープを認識し、それに結合するためには、アミノ酸残基が、特定のコンフォメーション(例えば、折曲がり、ねじれ、ターンまたはフォールド)を示すようにエピトープを構成することが必要である。
抗体は、「エピトープ」に結合する、または参照抗体と「本質的に同じエピトープ」もしくは「同じエピトープ」に結合し、これは、2つの抗体が、3次元空間において同一であるか、重複しているか、または近接しているエピトープを認識する場合である。2つの抗体が、3次元空間において同一であるか、重複しているか、または近接しているエピトープに結合するかどうかを決定するための、最も広く使用され、かつ迅速な方法は、競合アッセイであり、これは、例えば、標識された抗原または標識された抗体のいずれかを使用することでいくつかの異なるフォーマットに構成することができる。一部のアッセイでは、抗原を96ウェルプレートに固定化するかまたは細胞表面上に発現させ、標識されていない抗体の、標識された抗体の結合を遮断する能力を、放射標識、蛍光標識または酵素標識を使用して測定する。
「エピトープビニング」は、抗体を、それらが認識するエピトープに基づいて群分けするプロセスである。より詳細には、エピトープビニングは、競合アッセイと、抗体をそれらのエピトープ認識特性に基づいてクラスタリングし、別個の結合特異性を有する抗体を同定するためコンピュータによるプロセスとを組み合わせて、使用して異なる抗体のエピトープ認識特性を区別するための方法およびシステムを含む。
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」、「特異的に認識する」、「免疫特異的に結合する」、「選択的に結合する」、「免疫特異的に認識する」および「免疫特異的」という用語は、抗体の文脈において類似の用語であり、抗原(例えば、エピトープ)に結合する分子を指し、そのような結合は当業者には理解される。一部の実施形態では、「特異的に結合する」とは、例えば、ポリペプチドまたは分子が、エピトープ、タンパク質、または標的分子と、関連するタンパク質および無関連のタンパク質を含めた代替物質よりも頻繁に、それよりも急速に、それよりも長い持続時間で、それよりも高い親和性で、または上記のいくつかの組合せで相互作用することを意味する。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、他のペプチドまたはポリペプチドには、一般に、例えば、イムノアッセイ、Biacore(商標)、KinExA 3000機器(Sapidyne Instruments、Boise、ID)、または当技術分野で公知の他のアッセイによって決定して、より低い親和性で結合し得る。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性ドメインは、抗原に、ラジオイムノアッセイ(RIA)および酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などの実験技法を使用して決定して、任意の交差反応性抗原よりも高い親和性で結合する場合、抗原に結合するまたは特異的に結合する。典型的には、特異的または選択的反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍になり、バックグラウンドの10倍を超える場合もある。結合特異性に関する考察については、例えば、Fundamental Immunology 332-36 (Paul ed., 2d ed. 1989)を参照されたい。一部の実施形態では、例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析またはRIAによって決定して、抗体または抗原結合性ドメインの「非標的」タンパク質への結合の程度は、抗体または抗原結合性ドメインのその特定の標的抗原への結合の約10%未満である。一部の実施形態では、抗原に特異的に結合する分子は、その抗原に、その分子が別の抗原に結合する場合のKaの少なくとも2log、2.5log、3log、4logまたはそれよりも大きいKaで結合する。一部の実施形態では、抗原に特異的に結合する分子は、他のタンパク質と交差反応しない。別の特定の実施形態では、抗原に特異的に結合する分子は、他の非PD-L1タンパク質と交差反応しない。一部の実施形態では、「特異的に結合する」とは、例えば、ポリペプチドまたは分子が、タンパク質または標的に、約0.1mMまたはそれ未満であるが、通常は約1μM未満のKDで結合することを意味する。一部の実施形態では、「特異的に結合する」とは、ポリペプチドまたは分子が、標的に、少なくとも約0.1μMもしくはそれ未満、少なくとも約0.01μMもしくはそれ未満、または少なくとも約1nMもしくはそれ未満のKDで結合することを意味する。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性に起因して、特異的結合には、1つよりも多くの種におけるタンパク質または標的を認識するポリペプチドまたは分子が含まれ得る。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列のある特定の領域内での相同性に起因して、特異的結合には、1種よりも多くのタンパク質または標的を認識するポリペプチドまたは分子が含まれ得る。一部の実施形態では、第1の標的に特異的に結合するポリペプチドまたは分子が、第2の標的にも特異的に結合する場合もあり、第2の標的には特異的に結合しない場合もあることが理解される。したがって、「特異的結合」は、必ずしも、排他的結合、例えば、単一の標的への結合を要求するものではない(しかし、それを含み得る)。したがって、ポリペプチドまたは分子は、一部の実施形態では、1つよりも多くの標的に特異的に結合し得る。一部の実施形態では、複数の標的に、ポリペプチドまたは分子の同じ抗原結合性部位が結合し得る。例えば、抗体は、ある特定の場合には、2つの同一の抗原結合性部位を含み、そのそれぞれが、2種またはそれよりも多くのタンパク質の同じエピトープに特異的に結合する。ある特定の代替的な実施形態では、抗体は、二重特異性であってもよく、異なる特異性を有する少なくとも2つの抗原結合性部位を含む。必ずではないが一般に、「結合」への言及は、「特異的結合」を意味する。
「結合親和性」は、一般に、分子(例えば、抗体などの結合性タンパク質)の単一の結合性部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との非共有結合性相互作用全体の強度を指す。別段の指定のない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する内在性結合親和性を指す。結合性分子Xのその結合パートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(K)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載のものを含めた、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般に、抗原に緩徐に結合し、容易に解離する傾向があるが、一方、高親和性抗体は、一般に、抗原により速く結合し、より長く結合したままになる傾向がある。結合親和性を測定する種々の方法が当技術分野で公知であり、それらのうちのいずれも本開示の目的に関して使用することができる。一実施形態では、「K」または「K値」を、例えば、OctetQK384 sytem(ForteBio、Menlo Park、CA)を使用し、バイオレイヤー干渉法(BLI)によって測定することができる。あるいは、Kを、例えば、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原を用いて実施される放射標識抗原結合アッセイ(RIA)で(Chen, et al., (1999) J. Mol Biol 293: 865-881)、またはBiacoreによる表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを使用し、例えば、BIAcoreTM-2000またはBIAcoreTM-3000 BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を使用して、測定することもできる。「会合速度(on-rate)」または「会合速度(rate of association)」または「会合速度(association rate)」または「kon」、および「解離速度(off-rate)」または「解離速度(rate of dissociation)」または「解離速度(dissociation rate)」または「koff」も、上記と同じSPRまたはBLI技法を用い、例えば、それぞれOctetQK384 sytem(ForteBio、Menlo Park、CA)またはBIAcoreTM-2000もしくはBIAcoreTM-3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を使用して決定することができる。
「競合する」という用語は、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の文脈で使用される場合、研究中の結合性作用剤が、共通抗原(例えば、PD-L1)への参照分子(例えば、参照抗体など、参照リガンドまたは参照抗原結合性タンパク質)の特異的結合が妨げられるまたは阻害されるアッセイによって決定される、このような結合性作用剤間の競合を含む、標的上の同じエピトープまたは結合部位について競合する結合性作用剤を意味する。多数の型の競合結合アッセイを使用して、試験結合性作用剤が、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合について参照分子と競合するかどうかを決定することができる。用いることができるアッセイの例としては、固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al., (1983) Methods in Enzymology 9:242-253を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al., (1986) J. Immunol. 137:3614-3619を参照されたい) 固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane, (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Pressを参照されたい);1-125標識を使用した固相直接標識RIA(例えば、Morel et al., (1988) Molec. Immunol. 25:7-15を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung, et al., (1990) Virology 176:546-552を参照されたい);および直接標識RIA(Moldenhauer et al., (1990) Scand. J. Immunol. 32:77-82)が挙げられる。典型的には、このようなアッセイは、標識されていない試験抗原結合性タンパク質(例えば、試験PD-L1抗体)または標識された参照抗原結合性タンパク質(例えば、参照PD-L1抗体)のいずれかを有する固体表面または細胞に結合された精製された抗原(例えば、ヒトPD-L1などのPD-L1)の使用が伴う。競合阻害は、試験抗原結合性タンパク質の存在下で固体表面または細胞に結合された標識の量を決定することにより測定することができる。通常、試験抗原結合性タンパク質は、過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗体(競合抗体)としては、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、および/または立体障害が起きるのに十分なほど、参照抗体によって結合されるエピトープの近位にある隣接エピトープ(例えば、同様のエピトープまたは重複するエピトープ)に結合する抗体が挙げられる。競合結合を決定するための方法に関する追加の詳細は、実施例6に示す通り、本明細書に記載されている。通常、競合抗体は、過剰に存在する場合、共通抗原への参照抗体の特異的結合が、少なくとも20%、例えば、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%阻害される。一部の場合では、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%もしくは97%、98%、99%またはそれよりも大きく阻害される。
本明細書で使用される場合、「定常領域」または「定常ドメイン」という用語は、周知の抗体専門用語であり、抗体の一部分、例えば、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの種々のエフェクター機能を示し得る、軽鎖および/または重鎖のカルボキシル末端部分を指す。この用語は、一般に、免疫グロブリン可変ドメインと比べてより保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の一部を含む。
抗体「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(例えば、ネイティブな配列のFc領域またはアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因するその生物活性を指し、抗体のアイソタイプに応じて変動する。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合および補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性傷害(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;ならびにB細胞活性化が挙げられる。
「Fc領域」という用語は、本明細書では、例えば、ネイティブな配列のFc領域、組換えFc領域、およびバリアントFc領域を含めた、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、多くの場合、Cys226位のアミノ酸残基から(EU番号付け方式に従って)、またはPro230から(EU番号付け方式に従って)、そのカルボキシル末端までのひと続きと定義される。Fc領域のC末端リシン(EU番号付け方式に従って、残基447)は、例えば、抗体の産生もしくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換えによって操作することにより、除去され得る。例示的なFc領域配列を以下に提示する(CH2ドメイン=太字;CH3ドメイン=下線が引かれた文字):
「機能的なFc領域」は、ネイティブな配列のFc領域の「エフェクター機能」を保有する。例示的な「エフェクター機能」としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性傷害(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。そのようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域が結合性領域または結合性ドメイン(例えば、抗体可変領域またはドメイン)と組み合わされることを必要とするものであり、開示されている様々なアッセイを使用して評定することができる。
「ネイティブな配列のFc領域」は、天然に見いだされるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含み、ヒトによるマニピュレーション、改変、および/または変化(例えば、単離、精製、選択、可変領域配列などの他の配列に含めることまたはそれと組み合わせること)がなされていない。ネイティブな配列のヒトFc領域としては、ネイティブな配列のヒトIgG1 Fc領域(非AアロタイプおよびAアロタイプ);ネイティブな配列のヒトIgG2 Fc領域;ネイティブな配列のヒトIgG3 Fc領域;およびネイティブな配列のヒトIgG4 Fc領域、ならびに天然に存在するそのバリアントが挙げられる。
「バリアントFc領域」は、ネイティブな配列のFc領域のアミノ酸配列と、少なくとも1つのアミノ酸の改変(例えば、置換、付加、または欠失)、好ましくは1つまたは複数のアミノ酸置換によって異なるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、バリアントFc領域は、ネイティブな配列のFc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、ネイティブな配列のFc領域または親ポリペプチドのFc領域内に約1~約10のアミノ酸置換、好ましくは約1~約5のアミノ酸置換を有する。本明細書に記載のバリアントFc領域は、ネイティブな配列のFc領域および/もしくは親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、またはそれらと少なくとも約90%の相同性、例えば、それらと少なくとも約95%の相同性を保有し得る。本明細書に記載のバリアントFc領域は、エフェクター機能が喪失したものであり得る(例えば、サイレントFc)。例示的なバリアントFc領域(「サイレントFc」)配列を以下に提示する(CH2ドメイン=太字、アミノ酸の変化に下線が引かれている;CH3ドメイン=下線が引かれた文字):
本明細書で使用される場合、「重鎖」という用語は、抗体に関して使用される場合は、約50~70kDaのポリペプチド鎖を指し、ここで、アミノ末端部分は約120~130またはそれよりも多くのアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分は1つまたは複数の定常領域を含む。「重鎖」は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、別個の型のいずれか、例えば、それぞれIgA、IgD、IgE、IgG(サブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)およびIgMクラスの抗体を生じる、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)およびミュー(μ)を指し得る。
本明細書で使用される場合、「軽鎖」という用語は、抗体に関して使用される場合、約25kDaのポリペプチド鎖を指し得、ここで、アミノ末端部分は約100~約110またはそれよりも多くのアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分は定常領域を含む。軽鎖のおおよその長さは211~217アミノ酸である。定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの別個の型、例えば、カッパ(κ)またはラムダ(λ)が存在する。軽鎖アミノ酸配列は当技術分野で周知である。
「抗原結合性断片」、「抗原結合性ドメイン」、「抗原結合性領域」という用語および同様の用語は、抗原と相互作用し、結合性断片、ドメイン、または領域に、抗原に対する特異性および親和性を付与するアミノ酸残基(例えば、CDR)を含む、抗体の部分を指す。「抗原結合性断片」は、本明細書で使用される場合、抗体の抗原結合性領域または可変領域などの1つまたは複数のCDRを含む抗体の一部を含む「抗体断片」を含む。
本明細書に記載の抗体は、これだけに限定されないが、合成抗体、モノクローナル抗体、組換えによって産生された抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、細胞内抗体、単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、ラクダ化抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド連結したFv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合性断片を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、免疫グロブリン分子、および、PD-L1抗原に結合する1つまたは複数の抗原結合性部位を含有する分子を含めた、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分を含む。
抗体は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAまたはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2aまたはIgG2b)の免疫グロブリン分子であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、IgG抗体(例えば、ヒトIgG)、またはそのクラス(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)またはそのサブクラスである。
一部の実施形態では、抗体は、2つの重(H)鎖/軽(L)鎖対を含む4鎖抗体単位であり、ここで、H鎖のアミノ酸配列は同一であり、L鎖のアミノ酸配列は同一である。一部の実施形態では、H鎖およびL鎖は、定常領域、例えば、ヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、そのような抗体のL鎖定常領域は、カッパまたはラムダ軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ軽鎖定常領域である。一部の実施形態では、そのような抗体のH鎖定常領域は、ガンマ重鎖定常領域、例えば、ヒトガンマ重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、そのような抗体は、IgG定常領域、例えば、ヒトIgG定常領域(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4定常領域)を含む。
抗体またはその断片は、ヒトPD-L1などのPD-L1に優先的に結合することができ、これは、抗体またはその断片が、無関係の対照タンパク質に結合するよりも高い親和性でPD-L1に結合し、かつ/または無関係の対照タンパク質に結合するよりも高い親和性でヒトPD-L1に結合することを意味する。例えば、抗体またはその断片は、PD-L1またはその部分を特異的に認識し結合することができる。「特異的結合」は、抗体またはその断片が、無関係の対照タンパク質(例えば、ニワトリ卵白リゾチーム)に対する親和性の少なくとも5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、100倍、250倍、500倍、1000倍または10,000倍の親和性でPD-L1に結合することを意味する。一部の実施形態では、抗体またはその断片は、実質的に排他的にPD-L1に結合することができる(例えば、例えば結合親和性の測定可能な差に基づいて、PD-L1を他の公知のポリペプチドから区別することができる)。一部の実施形態では、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、ヒトPD-L1配列以外のPD-L1配列(例えば、カニクイザル(cynomolgous)PD-L1配列)と反応することができる。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、一般に、軽鎖または重鎖のアミノ末端に位置し、重鎖の長さが約120~130アミノ酸であり、軽鎖の長さが約100~110アミノ酸であり、特定の抗体それぞれのその特定の抗原に対する結合および特異性に使用される、抗体の軽鎖または重鎖の一部分を指す。重鎖の可変領域は「VH」と称され得る。軽鎖の可変領域は「VL」と称され得る。「可変」という用語は、可変領域のある特定のセグメントの配列が抗体の間で広範囲にわたって異なるという事実を指す。V領域により、抗原への結合が媒介され、特定の抗体のその特定の抗原に対する特異性が規定される。しかし、変動性は、可変領域の110アミノ酸の長さにわたって均等には分布していない。その代わりに、V領域は、変動性がより高い(例えば、極度の変動性)、「超可変領域」と称される、あるいは「相補性決定領域」と称される短い領域によって分離された、可変性がより低い(例えば、比較的インバリアントである)、フレームワーク領域(FR)と称される約15~30アミノ酸のストレッチからなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ、4つのFR(FR1、FR2、FR3およびFR4)を含み、これらは、βシートの立体配置を主にとり、βシート構造を接続し、一部の場合ではその一部を形成するループを形成した3つの超可変領域によって接続されている。各鎖内の超可変領域は、FRによって極めて近傍に一緒に保持され、他の鎖由来の超可変領域が抗体の抗原結合性部位の形成に寄与する(例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991を参照されたい)。定常領域は、抗体の抗原への結合に直接は関与しないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)への抗体の関与などの種々のエフェクター機能を示す。可変領域の配列は、異なる抗体間で広範囲にわたって異なる。配列の変動性はCDRに集中しており、一方、可変領域内の可変性が低い部分は、フレームワーク領域(FR)と称される。軽鎖および重鎖のCDRは、抗体の抗原との相互作用を主に担う。特定の実施形態では、可変領域はヒト可変領域である。
「超可変領域」、「HVR」、「HV」、「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、本明細書で使用される場合、配列が超可変であり、かつ/または構造的に規定されるループを形成する、抗体可変領域の領域を指す。一般に、抗体は、6つの超可変領域;VHに3つ(H1、H2、H3)、およびVLに3つ(L1、L2、L3)を含む。いくつかの超可変領域の描写が使用されており、本発明に包含される。Kabat CDRは、配列変動性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照されたい)。Chothiaは、その代わりに、構造的ループの場所を参照するものである(例えば、Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987)を参照されたい)。Kabat番号付け慣用法を使用して番号付けした場合、Chothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32からH34の間で変動する(これは、Kabat番号付けスキームではH35AおよびH35Bに挿入がなされているからである;35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終わる;35Aのみが存在する場合、ループは33で終わる;35Aと35Bがどちらも存在する場合、ループは34で終わる)。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造的ループとの折衷法であり、Oxford Molecular’s AbM antibody modeling softwareで使用されている(例えば、Martin, in Antibody Engineering, Vol. 2, Chapter 3, Springer Verlagを参照されたい)。「接触(contact)」超可変領域は、入手可能な複雑な結晶構造の解析に基づくものである。これらの超可変領域またはCDRのそれぞれからの残基を以下に記載する。
普遍的な番号付け方式、ImMunoGeneTics(IMGT)Information System(登録商標)(Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27(1): 55-77 (2003))が開発され、広範に採用されている。IMGTは、ヒトおよび他の脊椎動物の免疫グロブリン(IG)、T細胞受容体(TR)および主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)を専門とする統合情報システムである。本明細書では、CDRは、アミノ酸配列および軽鎖または重鎖内の場所の両方の点から言及される。免疫グロブリン可変ドメインの構造内のCDRの「場所」は、種間で保存されており、可変ドメイン配列を構造的特色、CDRおよびフレームワーク残基に従ってアラインメントする番号付け方式を使用することにより、ループと称される構造で示され、容易に同定することができる。この情報を、1つの種の免疫グロブリンから、典型的にはヒト抗体由来のアクセプターフレームワークへの、CDR残基のグラフト化および置換えに使用することができる。追加的な番号付け方式(AHon)が、Honegger and Pluckthun, J. Mol. Biol. 309: 657-670 (2001)により開発されている。例えば、Kabat番号付けおよびIMGT一意的番号付け方式を含めた番号付け方式間の対応は当業者には周知であり(例えば、Kabat、上記;Chothia and Lesk、上記;Martin、上記;Lefranc et al., 上記を参照されたい)、また、以下にも例示されている。本明細書に示されている例示的な方式は、KabatとChothiaを組み合わせたものである。
超可変領域は、以下の通り「超可変領域延長部」を含み得る:VLにおける24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)および89~97または89~96(L3)ならびにVHにおける26~35または26~35A(H1)、50~65または49~65(H2)および93~102、94~102、または95~102(H3)。本明細書で使用される場合、「超可変領域」、「HVR」、「HV」、「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、互換的に使用される。
「ベクター」という用語は、例えば、核酸配列を宿主細胞に導入する目的のものを含め、核酸配列を運搬させるまたは含めるために使用される物質を指す。使用のために適用可能なベクターとしては、例えば、発現ベクター、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソームおよび人工染色体が挙げられ、これには、宿主細胞の染色体への安定な組込みのために作動可能な選択配列またはマーカーを含めることができる。さらに、ベクターに1つまたは複数の選択マーカー遺伝子および適当な発現制御配列を含めることができる。含めることができる選択マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質もしくは毒素に対する耐性をもたらすもの、栄養要求性欠損を補完するもの、または培養培地中に存在しない極めて重要な栄養分を供給するものである。発現制御配列には、当技術分野で周知の構成的プロモーターおよび誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーターなどが含まれ得る。2つまたはそれよりも多くの核酸分子を同時発現させる場合(例えば、抗体重鎖および軽鎖の両方または抗体VHおよびVL)、両方の核酸分子を、例えば、単一の発現ベクターに挿入することもでき、または別々の発現ベクターに挿入することもできる。単一のベクターによる発現に関しては、コードする核酸を1つの共通する発現制御配列に作動可能に(operationally)連結することもでき、または異なる発現制御配列、例えば、1つの誘導性プロモーターおよび1つの構成的プロモーターに連結することもできる。核酸分子の宿主細胞への導入は、当技術分野で周知の方法を使用して確認することができる。そのような方法としては、例えば、mRNAのノーザンブロットもしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などの核酸解析、または遺伝子産物の発現についての免疫ブロッティング、または導入された核酸配列の発現もしくはその対応する遺伝子産物を試験するための他の適切な解析方法が挙げられる。核酸分子は所望の産物(例えば、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤)の産生に十分な量で発現されることが当業者には理解され、さらに、十分な発現が得られるように、当技術分野で周知の方法を使用して発現レベルを最適化することができることが理解される。
免疫機能不全の文脈における「機能不全」は、抗原性刺激に対する免疫低減応答性の状況を指す。この用語は、抗原認識は起こり得るが、後に続く免疫応答が感染または腫瘍成長の制御に無効である、消耗および/またはアネルギーの両方の共通要素を含む。
「T細胞機能不全疾患」および「T細胞機能不全障害」および「T細胞機能不全状態」は、互換的に使用されており、抗原性刺激に対する減少した応答性(responsivemess)によって特徴付けされるT細胞の任意の疾患、障害、または状態を指す。T細胞機能不全疾患は、PD-L1またはPD-L1とPD-1との相互作用によって完全にもしくは部分的に引き起こされる、またはその結果である疾患、障害または状態、および/あるいはその代わりに、PD-L1とPD-1との相互作用のin vivo効果を阻害することが望ましい、任意の疾患、障害または状態を含む。一部の実施形態では、T細胞機能不全疾患は、PD-1を介して不適切な増加したシグナル伝達に特異的に関連する、疾患、障害または状態(contition)である。一部の実施形態では、T細胞機能不全疾患は、T細胞が、アネルギー性であるか、またはサイトカインを分泌する、増殖するもしくは細胞溶解活性を果たす能力が減少した、疾患である。一部の実施形態では、減少した応答性は、PD-L1を発現する腫瘍を含むがこれに限定されない、病原体または腫瘍の無効な制御をもたらす。T細胞機能不全によって特徴付けされるT細胞機能不全疾患の例としては、消散されていない急性感染、慢性感染および腫瘍免疫(例えば、PD-L1を発現または過剰発現するがんを含むがこれに限定されない、任意のがんに由来する)が挙げられる。
「腫瘍免疫」は、腫瘍が、免疫認識およびクリアランスを回避するプロセスを指す。したがって、治療概念として、そのような回避が減弱され、腫瘍が免疫系によって認識および攻撃された場合、腫瘍免疫は、「処置される」。したがって、そのような処置には、任意のがんの処置が含まれる。腫瘍認識の例としては、腫瘍への結合、腫瘍の縮小(strinkage)および腫瘍のクリアランスが挙げられる。
「T細胞機能の増強」は、持続したもしくは増加した生物学的機能を有するように、または消耗したもしくは不活性なT細胞を再生もしくは再活性化するようにT細胞を誘導する、引き起こす、または刺激することを意味する。T細胞機能の増強の例としては、介入前のレベルと比べた、CD8T細胞からのサイトカイン(例えば、TNFα、IFNγ)の分泌増加、増殖増加、抗原応答性(例えば、腫瘍細胞除去)増加が挙げられる。一部の実施形態では、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは、60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%である。この増強の測定の様式は、当業者に公知である。
「有効量」は、一般に、疾患、障害、または状態に起因するまたはそれに関連する症状の重症度および/もしくは頻度を低減させる、症状および/もしくは根本原因を排除する、症状および/もしくはそれらの根本原因の出現を防止する、ならびに/または損傷を改善するもしくは矯正するために十分な量である。一部の実施形態では、有効量は、治療有効量または予防有効量である。
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、所与の疾患、障害もしくは状態、および/またはそれに関する症状の重症度および/または持続時間を低減させるおよび/または好転させるために十分な、作用剤(例えば、本明細書に記載の抗体または本明細書に記載の任意の他の作用剤)の量を指す。治療剤を含めた作用剤の治療有効量は、(i)所与の疾患、障害、もしくは状態の進行もしくは増悪を低減もしくは好転させるため、(ii)所与の疾患、障害もしくは状態の再発(recurrence)、発生もしくは発症を低減もしくは好転させるため、および/または、(iii)別の治療法(例えば、本明細書に記載の抗体の投与以外の治療法)の予防効果もしくは治療効果を改善もしくは増強するために必要な量であり得る。本開示の物質/分子/作用剤(例えば、PD-L1抗体)の「治療有効量」は、個体の病態、年齢、性別、および体重、ならびに、物質/分子/作用剤の、個体において所望の応答を引き出す能力などの因子に応じて変動し得る。治療有効量は、物質/分子/作用剤のあらゆる毒性影響または有害な影響よりも治療的に有益な影響が上回る量を包含する。ある特定の実施形態では、「治療有効量」という用語は、対象または哺乳動物における疾患、障害、または状態を「処置する」のに有効な、抗体または他の作用剤(例えば、または薬物)の量を指す。
「予防有効量」は、対象に投与された場合に、意図された予防効果を有する、例えば、疾患、障害もしくは状態の発症(または再発(reoccurrence))を防止するもしくは遅延させる、あるいは疾患、障害、もしくは状態または関連する症状(複数可)の発症(または再発(reoccurrence))の可能性を低減させる、医薬組成物の量である。完全な治療効果または予防効果は、必ずしも1用量の投与によって生じるものではなく、一連の用量の投与後に初めて生じる場合もある。したがって、治療有効量または予防有効量は、1回または複数回の投与で投与され得る。
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、動物、より詳細にはヒトにおける使用について、連邦または州政府の規制当局による承認を受けていること、または米国薬局方、欧州薬局方または他の一般に認められている薬局方に収載されていることを意味する。
「担体」は、本明細書で使用される場合、用いられる投薬量および濃度で、それに曝露される細胞または哺乳動物に対して非毒性である担体、賦形剤、または安定剤を含む。多くの場合、担体は、水性pH緩衝液である。担体の例としては、緩衝剤、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸;アスコルビン酸を含めた抗酸化剤;低分子量(例えば、約10アミノ酸残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンなど;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリシンなど;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含めた単糖、二糖、および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTAなど;糖アルコール、例えば、マンニトールもしくはソルビトールなど;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウムなど、ならびに/または非イオン界面活性物質、例えば、TWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(登録商標)などが挙げられる。「担体」という用語は、治療薬が共に投与される、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全または不完全))、賦形剤、またはビヒクルも指し得る。そのような担体は、滅菌された液体、例えば、水、および、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、野菜または合成起源の油などであり得る。水は、組成物(例えば、医薬組成物)を静脈内投与する場合の代表的な担体である。生理食塩溶液ならびに水性ブドウ糖およびグリセロール溶液も、液体担体として、特に注射液として用いることができる。適切な賦形剤(例えば、医薬賦形剤)としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、イネ、穀粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、所望であれば、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含有してもよい。組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、ピル、カプセル剤、散剤、持続放出製剤などの形態をとり得る。製剤を含む経口用組成物は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準の担体を含み得る。適切な担体の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) Mack Publishing Co., Easton, PAに記載されている。医薬化合物を含む組成物は、予防有効量または治療有効量のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、例えば、単離または精製された形態で、対象(例えば、患者)への適当な投与のための形態を提供するために適量の担体と共に、含有し得る。製剤は投与形式に適合すべきである。
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で治療剤として使用することができるPD-L1結合性作用剤を提供する。そのような作用剤としては、PD-L1に結合する抗体(例えば、単一特異性または二重特異性を含む多重特異性)が挙げられる。例示的な抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、ならびに増加または減少した親和性または他の特性を有するこれらのバリアントが挙げられる。
一部の実施形態では、PD-L1ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド断片、PD-L1ペプチドまたはPD-L1エピトープを含めたPD-L1に結合するPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、PD-L1結合性作用剤は、PD-L1ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド断片、PD-L1ペプチドまたはPD-L1エピトープを含めたPD-L1に結合するヒト抗体またはヒト化抗体(例えば、ヒト定常領域を含む)である。一部の実施形態では、ヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、PD-L1発現腫瘍細胞を含めた哺乳動物(例えば、ヒト)細胞の表面上に発現されたPD-L1に結合することができる。一部の実施形態では、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、腫瘍細胞などの細胞上に露出したPD-L1細胞外エピトープ(例えば、PD-L1エピトープ)に結合する。一部の実施形態では、ヒトPD-L1またはその一部などのPD-L1に結合するPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、PD-L1は、ヒトPD-L1である。一部の実施形態では、PD-L1結合性作用剤は、ヒトPD-L1結合性作用剤(例えば、ヒトPD-L1に結合する抗体)である。ヒトPD-L1の例示的なアミノ酸配列は、本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、ヒトPD-L1などのPD-L1への結合について、表1~3に示されるVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3のアミノ酸配列など、本明細書に記載の抗体のいずれか1つのVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3を含むPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と競合する。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、ヒトPD-L1などのPD-L1への結合について、表1~3に示される、(a)P22と称される抗体、(b)P24と称される抗体;または(c)P31.2と称される抗体からの1つ、2つ、および/もしくは3つのVH CDR、ならびに/または1つ、2つ、および/もしくは3つのVL CDRを含むPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と競合する。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、ヒトPD-L1などのPD-L1への結合について、表1~3に示される、(a)P22と称される抗体、(b)P24と称される抗体;または(c)P31.2と称される抗体からの1つ、2つ、および/または3つのVH CDR、ならびに1つ、2つ、および/または3つのVL CDRを含むPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と競合する。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、ヒトPD-L1などのPD-L1への結合について、表1~3に示される、(a)P22と称される抗体、(b)P24と称される抗体;または(c)P31.2と称される抗体からのVH領域およびVL領域を含むPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と競合する。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、ヒトPD-L1などのPD-L1への結合について、(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVH領域および配列番号26のアミノ酸配列を含むVL領域、(b)配列番号51のアミノ酸配列を含むVH領域および配列番号52のアミノ酸配列を含むVL領域;または(c)配列番号77のアミノ酸配列を含むVH領域および配列番号78のアミノ酸配列を含むVL領域を含むPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と競合する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、表1~3に示されるVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2および/またはVL CDR3のアミノ酸配列など、本明細書に記載の抗体のいずれか1つのVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2および/またはVL CDR3を含む。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、表1~3に示される、(a)P22と称される抗体;(b)P24と称される抗体;または(c)P31.2と称される抗体からの1つ、2つ、および/もしくは3つの重鎖CDR、ならびに/または1つ、2つ、および/もしくは3つの軽鎖CDRを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、表1~3に示される、(a)P22と称される抗体;(b)P24と称される抗体;または(c)P31.2と称される抗体からの1つ、2つ、および/または3つの重鎖CDR、ならびに1つ、2つ、および/または3つの軽鎖CDRを含む。
一部の実施形態では、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、本明細書に記載の結合性作用剤のいずれか1つのVH CDR1、VH CDR2および/またはVH CDR3を含むVH領域、ならびにVL CDR1、VL CDR2および/またはVL CDR3を含むVL領域を含む(例えば、表1、表2、表3を参照されたい)。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、表1からの1つ、2つ、および/もしくは3つの重鎖CDR、ならびに/または1つ、2つ、および/もしくは3つの軽鎖CDRを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤は、表2からの1つ、2つ、および/もしくは3つの重鎖CDR、ならびに/または1つ、2つ、および/もしくは3つの軽鎖CDRを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、表3からの1つ、2つ、および/もしくは3つの重鎖CDR、ならびに/または1つ、2つ、および/もしくは3つの軽鎖CDRを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、二重特異性であり、表1、表2、または表3からの1つ、2つ、および/もしくは3つの重鎖CDR、ならびに/または1つ、2つ、および/もしくは3つの軽鎖CDRを含む第1の結合性ドメインと、PD-L1ではない第2の標的抗原に結合する結合性作用剤からの1つ、2つ、および/もしくは3つの重鎖CDR、ならびに/または1つ、2つ、および/もしくは3つの軽鎖CDRを含む第2の結合性ドメインとを含む。
P22と称される抗体は、配列番号25であるVH配列および配列番号26であるVL配列を含む。
P24と称される抗体は、配列番号51であるVH配列および配列番号52であるVL配列を含む。
P31.2と称される抗体は、配列番号77であるVH配列および配列番号78であるVL配列を含む。
表1:抗体P22
表2:抗体P24
表3:抗体P31.2
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、VH領域またはVHドメインを含む。他の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、VL領域またはVLドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(i)VHドメインもしくはVH領域;および/または(ii)VLドメインもしくはVL領域の組合せを有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(i)表1~3のいずれか1つに記載されているVHドメインと、(ii)1つまたは複数の重鎖定常ドメイン(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3)との組合せを有する重鎖を含む。例示的なIgG重鎖は、本明細書に記載の任意のVHドメイン、ならびに次のCH1、ヒンジ、CH2、およびCH3アミノ酸配列を含む:
別の例示的なIgG重鎖は、本明細書に記載の任意のVHドメイン、ならびに次のCH1、ヒンジ、CH2、およびCH3アミノ酸配列を含む:
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(i)表1~3のいずれか1つに記載されているVLドメインと、(ii)軽鎖定常ドメイン(CL)との組合せを有する軽鎖を含む。例示的な軽鎖(例えば、IgG重鎖と対形成するための)は、本明細書に記載のドメインとして任意のVLおよび次のCLアミノ酸配列を含む:
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(a)(i)表1~3のいずれか1つに記載されているVHドメインと、(ii)1つまたは複数の重鎖定常ドメイン(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3)との組合せを有する重鎖;および(b)(i)表1~3のいずれか1つに記載のVLドメインと、(ii)IgGフォーマットにおける軽鎖定常ドメイン(CL1)との組合せを有する軽鎖を含む。例示的なPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、本明細書に記載の任意のVHドメインおよび配列番号96または98のアミノ酸配列を含むIgG重鎖、ならびに本明細書に記載の任意のVLドメインおよび配列番号97のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、6つのCDR、例えば、表1に識別されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3を含めた、1つまたは複数のCDRを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、6つのCDR、例えば、表2に識別されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3を含めた、1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、6つのCDR、例えば、表3に識別されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3を含めた、1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、6つのCDR、例えば、表1、2および/または3に識別されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3を含めた、1つまたは複数を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、3つのVH CDR、例えば、表1に列挙されているVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3を含めた、1つまたは複数のCDRを含む。他の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、3つのCDR、例えば、表1に列挙されているVL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3を含めた、1つまたは複数のCDRを含む。さらに他の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、3つのVH CDR、例えば、表1に列挙されているVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3を含めた、1つまたは複数のCDR、ならびに3つのVL CDR、例えば、表1に列挙されているVL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3を含めた、1つまたは複数のCDRを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号1~24、27~50、および53~76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号1~24、27~50、および53~76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む2つまたはそれよりも多くの相補性決定領域(CDR)を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号1~24、27~50、および53~76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む3つまたはそれよりも多くの相補性決定領域(CDR)を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号1~24、27~50、および53~76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む4つまたはそれよりも多くの相補性決定領域(CDR)を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号1~24、27~50、53~76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む5つまたはそれよりも多くの相補性決定領域(CDR)を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号1~24、27~50、53~76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む6つまたはそれよりも多くの相補性決定領域(CDR)を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~3に列挙されている1つまたは複数の(例えば、1つ、2つまたは3つの)VH CDRを含む。他の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~3に列挙されている1つまたは複数の(例えば、1つ、2つまたは3つの)VL CDRを含む。さらに他の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~3に列挙されている1つまたは複数の(例えば、1つ、2つまたは3つの)VH CDR、および表1~3に列挙されている1つまたは複数のVL CDRを含む。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、および70のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、および76のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、および72のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~3に示されるアミノ酸配列のいずれか1つで示されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3から独立して選択されるVH CDR1および/またはVH CDR2および/またはVH CDR3を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、および73のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、および74のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、および75のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~3に示されるアミノ酸配列のいずれか1つで示されるVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3から独立して選択されるVL CDR1および/またはVL CDR2および/またはVL CDR3を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(1)(i)配列番号1、27、もしくは53、(ii)配列番号7、33、もしくは59、(iii)配列番号12、38、もしくは64、(iv)配列番号13、39、もしくは65、および(v)配列番号18、44、もしくは70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)(i)配列番号2、28、もしくは54、(ii)配列番号8、34、もしくは60、(iii)配列番号14、40、もしくは66、(iv)配列番号19、45、もしくは71、および(v)配列番号24、50、もしくは76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、ならびに(3)(i)配列番号3、29、もしくは55、(ii)配列番号9、35、もしくは61、(iii)配列番号15、41、もしくは67、および(iv)配列番号20、46、もしくは72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、かつ/または、(1)(i)配列番号4、30、もしくは56、(ii)配列番号10、36、もしくは62、(iii)配列番号16、42、もしくは68、および(iv)配列番号21、47、もしくは73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)(i)配列番号5、31、もしくは57、(ii)配列番号11、37、もしくは63、および(iii)配列番号22、48、もしくは74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、ならびに(3)(i)配列番号6、32、もしくは58、(ii)配列番号17、43、もしくは69、および(iii)配列番号23、49、もしくは75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(1)(i)配列番号1、27、または53、(ii)配列番号7、33、または59、(iii)配列番号12、38、または64、(iv)配列番号13、39、または65、および(v)配列番号18、44、または70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)(i)配列番号2、28、または54、(ii)配列番号8、34、または60、(iii)配列番号14、40、または66、(iv)配列番号19、45、または71、および(v)配列番号24、50、または76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、ならびに(3)(i)配列番号3、29、または55、(ii)配列番号9、35、または61、(iii)配列番号15、41、または67、および(iv)配列番号20、46、または72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(1)(i)配列番号4、30、または56、(ii)配列番号10、36、または62、(iii)配列番号16、42、または68、および(iv)配列番号21、47、または73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)(i)配列番号5、31、または57、(ii)配列番号11、37、または63、および(iii)配列番号22、48、または74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、ならびに(3)(i)配列番号6、32、または58、(ii)配列番号17、43、または69、および(iii)配列番号23、49、または75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
1つまたは複数(例えば、1つ、2つまたは3つ)の、表1~3に列挙されているVH CDR、および1つまたは複数(例えば、1つ、2つまたは3つ)の、表1~3に列挙されているVL CDRを含むPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)も本明細書に記載される。特に、表1~3に列挙されているVH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)およびVL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)およびVL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)およびVL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73);VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)およびVL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)およびVL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)およびVL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR3
(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)、およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR1(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、または70)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)、およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);VH CDR2(配列番号2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、または76)、VH CDR3(配列番号3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)、VL CDR1(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、または73)、VL CDR2(配列番号5、11、22、31、37、48、57、63、または74)、およびVL CDR3(配列番号6、17、23、32、43、49、58、69、または75);またはこれらのVH CDR(配列番号1、7、12、13、18、27、33、38、39、44、53、59、64、65、70、2、8、14、19、24、28、34、40、45、50、54、60、66、71、76、3、9、15、20、29、35、41、46、55、61、67、または72)とVL CDR(配列番号4、10、16、21、30、36、42、47、56、62、68、73、5、11、22、31、37、48、57、63、74、6、17、23、32、43、49、58、69、または75)の任意の組合せを含むPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体またはその断片であって、(a)(1)(i)配列番号1、27、もしくは53、(ii)配列番号7、33、もしくは59、(iii)配列番号12、38、もしくは64、(iv)配列番号13、39、もしくは65、および(v)配列番号18、44、もしくは70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)(i)配列番号2、28、もしくは54、(ii)配列番号8、34、もしくは60、(iii)配列番号14、40、もしくは66、(iv)配列番号19、45、もしくは71、および(v)配列番号24、50、もしくは76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、ならびに(3)(i)配列番号3、29、もしくは55、(ii)配列番号9、35、もしくは61、(iii)配列番号15、41、もしくは67、(iv)配列番号20、46、もしくは72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、かつ/または(b)(1)(i)配列番号4、30、もしくは56、(ii)配列番号10、36、もしくは62、(iii)配列番号16、42、もしくは68、(iv)配列番号21、47、もしくは73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)(i)配列番号5、31、もしくは57、(ii)配列番号11、37、もしくは63、(iii)配列番号22、48、もしくは74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)(i)配列番号6、32、もしくは58、(ii)配列番号17、43、もしくは69、(iii)配列番号23、49、もしくは75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む、抗体またはその断片が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体またはその断片であって、(1)(i)配列番号1、27、または53、(ii)配列番号7、33、または59、(iii)配列番号12、38、または64、(iv)配列番号13、39、または65、および(v)配列番号18、44、または70をからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)(i)配列番号2、28、または54、(ii)配列番号8、34、または60、(iii)配列番号14、40、または66、(iv)配列番号19、45、または71、および(v)配列番号24、50、または76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、ならびに(3)(i)配列番号3、29、または55、(ii)配列番号9、35、または61、(iii)配列番号15、41、または67、および(iv)配列番号20、46、または72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域を含む、抗体またはその断片が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、PD-L1に結合する抗体またはその断片であって、(1)(i)配列番号4、30、または56、(ii)配列番号10、36、または62、(iii)配列番号16、42、または68、および(iv)配列番号21、47、または73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)(i)配列番号5、31、または57、(ii)配列番号11、37、または63、および(iii)配列番号22、48、または74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、ならびに(3)(i)配列番号6、32、または58、(ii)配列番号17、43、または69、および(iii)配列番号23、49、または75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む、抗体またはその断片が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、配列番号25であるVH配列および配列番号26であるVL配列を含む、P22と称される抗体;配列番号51であるVH配列および配列番号52であるVL配列を含む、P24と称される抗体;または、配列番号77であるVH配列および配列番号78であるVL配列を含む、P31.2と称される抗体からの3つの重鎖相補性決定領域(CDR)全ておよび/または3つの軽鎖CDR全てを含む、PD-L1に結合する抗体またはその断片が本明細書に記載される。一部の実施形態では、抗体またはその断片は、P22と称される抗体からの3つの重鎖CDR全ておよび/または3つの軽鎖CDR全てを含む。一部の実施形態では、抗体またはその断片は、P24と称される抗体からの3つの重鎖CDR全ておよび/または3つの軽鎖CDR全てを含む。一部の実施形態では、抗体またはその断片は、P31.2と称される抗体からの3つの重鎖CDR全ておよび/または3つの軽鎖CDR全てを含む。
一部の実施形態では、(a)表1~3に示されるVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域、ならびに/または(b)表1~3に示されるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を含む、PD-L1に結合する抗体またはその断片が本明細書に記載される。一部の実施形態では、抗体は、表1~3に示されるVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、表1~3に示されるVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号1、7、12、13、および18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号2、8、14、19、および24からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、ならびに(3)配列番号3、9、15、および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号4、10、16、および21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号5、11、および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、ならびに(3)配列番号6、17、および23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号8のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号9のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号11のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号14のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号15のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号11のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号17のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号18のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号19のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号20のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号21のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号22のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号23のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号24のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号27、33、38、39、および44からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号28、34、40、45、および50からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、ならびに(3)配列番号29、35、41、および46からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号30、36、42、および47からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号31、37、および48からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、ならびに(3)配列番号32、43、および49からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号31のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号34のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号35のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号37のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号38のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号31のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号39のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号40のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号41のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号42のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号37のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号43のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号44のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号45のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号46のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号47のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号48のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号49のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号50のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号31のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。一部の実施形態では、(a)(1)配列番号53、59、64、65、および70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号54、60、66、71、および76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、ならびに(3)配列番号55、61、67、および72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号56、62、68、および73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号57、63、および74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、ならびに(3)配列番号58、69、および75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号53のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号54のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号55のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号56のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号57のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号58のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号59のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号60のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号61のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号62のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号63のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号58のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号64のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号54のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号55のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号56のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号57のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号58のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号65のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号66のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号67のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号68のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号63のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号69のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号70のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号71のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号72のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号73のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号74のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号75のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、(a)(1)配列番号53のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号76のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)配列番号55のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、(b)(1)配列番号56のアミノ酸配列を有するVL CDR1、(2)配列番号57のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および(3)配列番号58のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む抗体が本明細書に記載される。
一部の実施形態では、本明細書に記載のVH領域および/またはVL領域を含む抗体であって、VH領域および/またはVL領域が、ヒトフレームワーク配列をさらに含む、抗体が本明細書に記載される。一部の実施形態では、VH領域および/またはVL領域は、フレームワーク1(FR1)、フレームワーク2(FR2)、フレームワーク3(FR3)および/またはフレームワーク4(FR4)配列をさらに含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、モノクローナル抗体は、ヒト化抗体、ヒト抗体またはキメラ抗体である。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、scFv、(scFv)、単鎖抗体分子、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体、V領域、または抗体断片から形成された多重特異性抗体である。
一部の実施形態では、本明細書に開示されるCDRは、関連する抗体の群に由来するコンセンサス配列を含む(例えば、表1~3を参照されたい)。本明細書に記載の通り、「コンセンサス配列」は、いくつかの配列の間で共通の保存されたアミノ酸と所与のアミノ酸配列内で変動する可変アミノ酸とを有するアミノ酸配列を指す。提供されるCDRコンセンサス配列は、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、および/またはCDRL3に対応するCDRを含む。PD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)のCDRのコンセンサス配列は、図7Aおよび7Bに示されている。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(a)(1)アミノ酸配列GFTFXYYIH(配列番号83)(配列中、XおよびXはそれぞれ独立して、天然に存在するアミノ酸である)を有するVH CDR1、(2)XIXGXTXYADSVKG(配列番号84)(配列中、X、X、X、X、X、X、およびXはそれぞれ独立して、天然に存在するアミノ酸である)のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および(3)XLDY(配列番号85)(配列中、X、X、X、X、X、X、X、およびXはそれぞれ独立して(independendy)、天然に存在するアミノ酸である)のアミノ酸を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、かつ/または(b)(1)アミノ酸配列RASQSVSSAVA(配列番号86)を有するVL CDR1、(2)アミノ酸配列SASSLYS(配列番号87)を有するVL CDR2、および(3)アミノ酸配列QQXPXT(配列番号88)(配列中、X、X、X、X、およびXはそれぞれ独立して(independenty)、天然に存在するアミノ酸である)を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域とを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤のVH CDR1は、GFTFXYYIH(配列番号101)(配列中、Xは、DまたはSであり、Xは、QまたはSである)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤のVH CDR2は、XIXGXTXYADSVKG(配列番号89)(配列中、Xは、E、WまたはTであり、Xは、Y、TまたはSであり、Xは、PまたはSであり、Xは、A、HまたはGであり、Xは、S、YまたはGであり、Xは、Y、SまたはFであり、Xは、YまたはKである)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤のVH CDR3は、XLDY(配列番号90)(配列中、Xは、GまたはDであり、Xは、P、SまたはYであり、Xは、Y、VまたはTであり、Xは、S、IまたはLであり、Xは、V、YまたはTであり、Xは、R、GまたはPであり、Xは、YまたはVであり(または存在しない)、Xは、Aである(または存在しない))のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤のVL CDR1は、RASQSVSSAVA(配列番号86)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤のVL CDR2は、SASSLYS(配列番号87)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤のVL CDR3は、QQXPXT(配列番号91)(配列中、Xは、V、YまたはFであり、Xは、S、YまたはGであり、Xは、Y、TまたはAであり、Xは、SまたはEであり、Xは、YまたはIである)のアミノ酸配列を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体のいずれか1つの抗体またはその断片と本質的に同じエピトープに結合する結合性作用剤が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、ヒトPD-L1への結合について、本明細書に記載の抗体のいずれか1つの抗体またはその断片と競合する結合性作用剤が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、結合性作用剤は、抗体またはその断片である。
ある特定の態様では、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のCDRは、Kabat方式に従って決定することができる(Kabat et al. (1971) Ann. NY Acad. Sci. 190:382-391およびKabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。
ある特定の態様では、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のCDRは、Chothia方式に従って決定することができ、これは、「Chothia CDR」と本明細書で称される(例えば、Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol., 196:901-917; Al-Lazikani et al., 1997, J. Mol. Biol., 273:927-948;Chothia et al., 1992, J. Mol. Biol., 227:799-817;Tramontano A et al., 1990, J. Mol. Biol. 215(1):175-82;および米国特許第7,709,226号を参照されたい)。
ある特定の態様では、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のCDRは、例えば、Lefranc, M.-P., 1999, The Immunologist, 7:132-136およびLefranc, M.-P. et al., 1999, Nucleic Acids Res., 27:209-212に記載の通り、ImMunoGeneTics(IMGT)方式に従って決定することができる(「IMGT CDR」)。
ある特定の態様では、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のCDRは、例えば、MacCallum et al., 1996, J. Mol. Biol., 262:732-745に記載の通り、AbM方式に従って決定することができ、これは、「AbM CDR」と本明細書で称される。例えば、Martin, A., "Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains," in Antibody Engineering, Kontermann and Dubel, eds., Chapter 31, pp. 422-439, Springer-Verlag, Berlin (2001)も参照されたい。
ある特定の態様では、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のCDRは、Contact方式に従って決定することができ、これは、「Contact CDR」と本明細書で称される(例えば、MacCallum RM et al., 1996, J Mol Biol 5: 732-745を参照されたい)。Contact CDRは、利用できる複雑な結晶構造の解析に基づく。
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のVH(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)および/またはVL(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)領域に沿った1つまたは複数のCDRの位置は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限りにおいて、1、2、3、4、5、または6つのアミノ酸位置だけ変動し得る。例えば、一部の実施形態では、表1または2のいずれかのCDRを定義する位置は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限りにおいて、現状のCDR位置と比べて、CDRのN末端および/またはC末端境界を1、2、3、4、5、または6つのアミノ酸だけシフトすることにより変動し得る。他の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のVH(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)および/またはVL(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)領域に沿った1つまたは複数のCDRの長さは、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限りにおいて、1、2、3、4、5、またはそれよりも多くのアミノ酸だけ変動し得る(例えば、より短くまたはより長くなり得る)。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のVHおよび/またはVL CDR1、CDR2および/またはCDR3は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限りにおいて、配列番号1~24、27~50、または53~76によって記載されるCDRの1つまたは複数よりも1、2、3、4、5、またはそれよりも多くのアミノ酸だけ短くなり得る。他の実施形態では、本明細書に記載のVHおよび/またはVL CDR1、CDR2および/またはCDR3は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限りにおいて、配列番号1~24、27~50または53~76によって記載のCDRのうち1つまたは複数よりも1、2、3、4、5、またはそれよりも多くのアミノ酸だけ長くなり得る。他の実施形態では、本明細書に記載されるVHおよび/またはVL CDR1、CDR2および/またはCDR3のアミノ末端は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限りにおいて、配列番号1~24、27~50、または53~76によって記載されるCDRの1つまたは複数と比較して、1、2、3、4、5、またはそれよりも多くのアミノ酸だけ伸長され得る。他の実施形態では、本明細書に記載のVHおよび/またはVL CDR1、CDR2および/またはCDR3のカルボキシ末端は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限りにおいて、配列番号1~24、27~50または53~76によって記載のCDRのうち1つまたは複数と比較して、1、2、3、4、5つまたはそれよりも多いアミノ酸だけ伸長され得る。他の実施形態では、本明細書に記載のVHおよび/またはVL CDR1、CDR2および/またはCDR3のアミノ末端は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限りにおいて、配列番号1~24、27~50または53~76によって記載のCDRのうち1つまたは複数と比較して、1、2、3、4、5つまたはそれよりも多いアミノ酸だけ短縮され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載のVHおよび/またはVL CDR1、CDR2および/またはCDR3のカルボキシ末端は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限りにおいて、配列番号1~24、27~50、または53~76によって記載されるCDRの1つまたは複数と比較して、1、2、3、4、5、またはそれよりも多くのアミノ酸だけ短縮され得る。当技術分野で公知の任意の方法、例えば、本明細書に記載の「実施例」の節に記載されている結合アッセイおよび条件を使用して、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合が維持されるかどうかを確かめることができる。例えば、本明細書に記載の実施例2は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)への結合を測定するためのアッセイについて記載する。
他の実施形態では、本明細書に提示される、PD-L1に結合するヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、保存的な配列改変を含む。ヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)であるポリペプチドに関して、保存的な配列改変としては、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられたものを含む、保存的アミノ酸置換が挙げられる。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。このようなファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、無極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。したがって、一部の実施形態では、PD-L1において予測される非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置き換えられる。抗原への結合を排除しないヌクレオチドおよびアミノ酸保存的置換を同定する方法は、当技術分野で周知である(例えば、Brummell et al., Biochem. 32:1180-1187 (1993);Kobayashi et al. Protein Eng. 12(10):879-884 (1999);およびBurks et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:412-417 (1997)を参照されたい)。一部の実施形態では、本明細書に記載の保存的な配列改変は、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のアミノ酸配列を、50%、または55%、または60%、または65%、または70%、または75%、または80%、または85%、または90%、または95%、または98%、または99%だけ改変する。一部の実施形態では、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列改変は、表1、表2、または表3に記載のCDRに対する多くても1、2、3、4、5、または6つのアミノ酸置換を指す。したがって、例えば、そのようなCDRのぞれぞれは、最大5つの保存的アミノ酸置換、例えば、最大4つの(4つを超えない)保存的アミノ酸置換、例えば、最大3つの(3つを超えない)保存的アミノ酸置換、例えば、最大2つの(2つを超えない)保存的アミノ酸置換、または1つを超えない保存的アミノ酸置換を含有することができる。
本開示は、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のPD-L1結合性ドメインの1つまたは複数が、遮蔽されており(例えば、遮蔽部分により)、かつ/または活性化可能である(例えば、切断可能部分により)、遮蔽部分および/または切断可能部分を有するPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を提供する。PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を遮蔽するための技術は、当技術分野で周知であり、それらとして、SAFE body遮蔽技術(例えば、米国特許出願公開第2019/0241886号を参照されたい)およびProbody遮蔽技術(例えば、米国特許出願公開第2015/0079088号を参照されたい)が挙げられる。そのような技術を使用して、遮蔽されたおよび/または活性化可能であるPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を生成することができる。そのような遮蔽されたおよび/または活性化可能なPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、薬物などの別の作用剤と直接的または間接的に連結されたものを含めた、本開示のヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)のいずれか1つを含む、イムノコンジュゲート、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、遮蔽されたADCおよび活性化可能な抗体-薬物コンジュゲート(AADC)を含めたコンジュゲートの調製に有用である。例えば、本開示のヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、合成リンカーによって、薬物などの1つまたは複数の作用剤と共有結合することができる。
所望であれば、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、細胞傷害活性(例えば、化学療法部分または放射性同位元素)または免疫動員活性などのエフェクター機能を有する部分に連結またはコンジュゲートする(直接的または間接的に)。連結またはコンジュゲートする(直接的または間接的に)部分としては、遮蔽されたコンジュゲートの形態で、細胞傷害性薬物(例えば、アウリスタチン(aurostatin)などの毒素)または非細胞傷害性薬物(例えば、キナーゼなどのシグナルトランスダクションモジュレーター、またはPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の1つもしくは複数の結合性ドメインを遮蔽する遮蔽部分、または腫瘍微小環境においてPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の1つもしくは複数の結合性ドメインの遮蔽を取るために切断可能部分を切断することによってPD-L1結合性作用剤の活性化を可能にする切断可能部分)が挙げられる。免疫動員を促進する部分としては、自然免疫系の細胞に選択的に結合するウイルスタンパク質などの他の抗原結合性作用剤を挙げることができる。その代わりにまたはそれに加えて、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、必要に応じて、混合物からの単離を容易にする部分(例えば、タグ)またはレポーター活性を有する部分(例えば、検出用標識またはレポータータンパク質)に連結またはコンジュゲートさする(直接的または間接的に)。本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の特色が、PD-L1結合性作用剤断片を含むポリペプチドにも拡大することが認められるであろう。
一部の実施形態では、ヒトPD-L1に結合する本明細書に記載されているPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、活性化可能な抗体の生成をもたらすことができるポリペプチドと連結またはコンジュゲートすることができる(直接的または間接的に)。一部の実施形態では、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、作用剤と連結またはコンジュゲートする(直接的または間接的に)。一部の実施形態では、作用剤は薬物であり、ADCがもたらされるか、またはADCの抗体が遮蔽部分および切断可能部分を含む場合にAADCがもたらされる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、治療剤(例えば、細胞傷害性作用剤)または診断剤もしくは検出剤とコンジュゲートするかまたは組換えによって連結する(直接的または間接的に)。遮蔽されたまたは活性化可能なコンジュゲートを含めた、コンジュゲートしたまたは組換えによって連結した抗体は、例えば、PD-L1媒介性疾患、障害または状態などの疾患、障害または状態を処置または防止するのに有用であり得る。遮蔽されたまたは活性化可能なコンジュゲートを含めた、コンジュゲートしたまたは組換えによって連結したPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、例えば、T細胞機能不全疾患、障害または状態の発症、発生、増悪、および/または重症度をモニタリングまたは予後判定するのに有用であり得る。
そのような診断および検出は、例えば、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、例えば、これだけに限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含めた酵素;これだけに限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチンまたはアビジン/ビオチンを含めた補欠分子族;これだけに限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリンを含めた蛍光材料;これだけに限定されないが、ルミノールを含めた発光材料;これだけに限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、またはエクオリンを含めた生物発光材料;これだけに限定されないが、アクリジニウムに基づく化合物またはHALOTAGを含めた化学発光材料;これだけに限定されないが、ヨウ素(131I、125I、123I、および121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、および111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Gaおよび67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、または117Snを含めた放射性材料;種々の陽電子放出断層撮影法を使用する陽電子放出金属;および非放射性常磁性金属イオンを含めた検出可能な物質とカップリングすることによって実現することができる。
異種タンパク質またはポリペプチド(またはその断片)、例えば、ポリペプチド(例えば、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、または約100アミノ酸のもの)と組換えによって連結するかまたはコンジュゲートして(直接的または間接的な共有結合性または非共有結合性コンジュゲーション)融合タンパク質を生成するPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)、およびその使用も本明細書に記載されている。特に、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の抗原結合性断片(例えば、VHおよび/またはVLのCDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む)と、異種タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドとを含む融合タンパク質が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と連結する異種タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドは、PD-L1結合性作用剤を特定の細胞(例えば、腫瘍細胞を含めたPD-L1発現細胞)に標的化するのに有用なものである。
さらに、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、精製を容易にするためのペプチドなどのマーカーまたは「タグ」配列に連結することができる(直接的または間接的に)。一部の実施形態では、マーカーまたはタグアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクター(例えば、QIAGEN、Inc.を参照されたい)中に提供されるタグなどのヘキサ-ヒスチジンペプチドであり、その多くが市販されている。例えば、Gentz et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-24に記載されている通り、ヘキサ-ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製に有用な他のペプチドタグとしては、これだけに限定されないが、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する赤血球凝集素(「HA」)タグ(Wilson et al., 1984, Cell 37:767-78)、および「FLAG」タグが挙げられる。
部分(ポリペプチドを含む)を抗体と連結またはコンジュゲートするための(直接的または間接的に)方法は、当技術分野で周知であり、そのうちのいずれか1つを使用して、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたは融合タンパク質を作出することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、融合タンパク質である。「融合タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、結合性作用剤(例えば、抗体)のアミノ酸配列と、異種ポリペプチドまたはタンパク質(例えば、通常は、抗体の一部ではないポリペプチドまたはタンパク質(例えば、非PD-L1結合抗体))のアミノ酸配列とを含むポリペプチドを指す。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、PD-L1結合性作用剤の生物活性を保持する。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、PD-L1抗体のVH領域、VL領域、VH CDR(1つ、2つ、または3つのVH CDR)、および/またはVL CDR(1つ、2つ、または3つのVL CDR)を含み、融合タンパク質は、PD-L1エピトープ、PD-L1断片および/またはPD-L1ポリペプチドに結合する。
融合タンパク質は、例えば、遺伝子-シャフリング、モチーフ-シャフリング、エクソン-シャフリングおよび/またはコドン-シャフリング(「DNAシャフリング」とまとめて称される)の技法により生成することができる。DNAシャフリングを用いて、例えば、より高い親和性およびより低い解離速度を有するPD-L1結合性作用剤を含めた本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の活性を変更することができる(例えば、米国特許第5,605,793号;同第5,811,238号;同第5,830,721号;同第5,834,252号;および同第5,837,458号;Patten et al., 1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8:724-33;Harayama, 1998, Trends Biotechnol. 16(2):76-82;Hansson et al., 1999, J. Mol. Biol. 287:265-76;ならびにLorenzo and Blasco, 1998, Biotechniques 24(2):308-13を参照されたい)。一部の実施形態では、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤は、組換えに先立ち、エラープローンPCR、ランダムヌクレオチド挿入、または他の方法によるランダム突然変異誘発に付すことによって変更させることができる。本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤をコードするポリヌクレオチドは、1つまたは複数の異種分子の1つまたは複数の構成成分、モチーフ、切片、部分、ドメイン、断片などにより組み換えることができる。
本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、標的抗原のイムノアッセイまたは精製に有用な固体支持体に結合させることもできる。そのような固体支持体としては、これだけに限定されないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンが挙げられる。
本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、第2の抗体と連結またはコンジュゲートして(直接的または間接的に)、抗体ヘテロコンジュゲートを形成することもできる。
リンカーは、連結またはコンジュゲートした作用剤の細胞内での放出を容易にする「切断可能部分」であり得るが、切断不可能なリンカーも本明細書において意図されている。本開示のコンジュゲート(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)に使用するためのリンカーとしては、限定することなく、酸に不安定なリンカー(例えば、ヒドラゾンリンカー)、ジスルフィド含有リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー(例えば、シトルリン-バリンまたはフェニルアラニン-リシンなどの、アミノ酸、例えばバリンおよび/またはシトルリンを含むペプチドリンカー)、感光性リンカー、ジメチルリンカー、チオエーテルリンカー、または多剤輸送体に媒介される抵抗性を回避するように設計された親水性リンカーが挙げられる。
作用剤がADCまたはAADCを調製するための薬物である場合を含めた、抗体と作用剤のコンジュゲートを、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、スルホ-SMPB、およびSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)安息香酸)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作出することができる。本開示では、作用剤がADCまたはAADCを調製するための薬物である場合を含めた、抗体と作用剤のコンジュゲートを、当技術分野において開示されている任意の適切な方法を使用して調製することができることがさらに意図されている(例えば、Bioconjugate Techniques(Hermanson ed., 2d ed. 2008)を参照されたい)。
作用剤がADCまたはAADCを調製するための薬物である場合を含めた、抗体と作用剤のコンジュゲーション戦略は、従来、Lys残基のε-アミノ基またはCys残基のチオール基が関与する、異種コンジュゲートをもたらすランダムなコンジュゲーション化学に基づくものである。最近開発された技法では、抗体との部位特異的コンジュゲーションが可能になり、それにより、均一な負荷がもたらされ、抗原結合性または薬物動態が変更されたコンジュゲート亜集団が回避される。これらの技法は、反応性チオール基をもたらし、免疫グロブリンのフォールディングおよびアセンブリを乱すことも抗原への結合を変更することもない重鎖および軽鎖上の位置にシステイン置換を含む「チオmab」の操作を含む(例えば、Junutula et al., 2008, J. Immunol. Meth. 332: 41-52;およびJunutula et al., 2008, Nature Biotechnol. 26: 925-32を参照されたい)。別の方法では、セレノシステインを抗体配列に同時翻訳されるように挿入し、これは、終止コドンUGAを終結からセレノシステイン挿入へと再コーディングし、他の天然アミノ酸の存在下でのセレノシステインの求核性セレノール基における部位特異的共有結合性コンジュゲーションを可能にすることによって行う(例えば、Hofer et al., 2008, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105: 12451-56;およびHofer et al., 2009, Biochemistry 48(50): 12047-57を参照されたい)。
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、細胞傷害性作用剤とコンジュゲートする。一部の実施形態では、本明細書に開示されるヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、ADCまたはAADCを生成するために、本明細書に開示されているかまたは当技術分野で公知の1つまたは複数の細胞傷害性作用剤と必要に応じてコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、細胞傷害性作用剤は、これだけに限定されないが、メトトレキセート、アドリアマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入剤を含めた化学療法剤である。一部の実施形態では、細胞傷害性作用剤は、これだけに限定されないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖、リシン(ricin)A鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、Momordica charantia阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、Sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセン(tricothecene)を含めた、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素活性がある毒素、またはその断片である。一部の実施形態では、細胞傷害性作用剤は、放射性コンジュゲートまたは放射性コンジュゲートした作用剤を作製するための放射性同位元素である。これだけに限定されないが、90Y、125I、131I、123I、111In、131In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re、188Re、および212Biを含めた種々の放射性核種が、放射性コンジュゲートした作用剤の作製に利用できる。ポリペプチドまたは分子と、カリチアマイシン、メイタンシノイド、トリコテセン(trichothene)、およびCC1065、ならびに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体などの1つまたは複数の小分子毒素とのコンジュゲートを使用することもできる。N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジル(pyridyi)ジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(iminothiolane)(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒド(glutareldehyde)など)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアン酸(トルエン2,6-ジイソシアン酸など)、およびビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を使用して、ポリペプチドまたは分子と細胞傷害性作用剤とのコンジュゲートが作出される。
一部の実施形態では、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、シグナルトランスダクションモジュレーター、アポトーシス促進剤、有糸分裂阻害剤、抗腫瘍抗生物質、免疫調節剤、遺伝子治療用の核酸、アルキル化剤、抗血管新生剤、代謝拮抗薬、ホウ素含有作用剤、化学保護剤、ホルモン剤、抗ホルモン剤、コルチコステロイド、光活性治療剤、オリゴヌクレオチド、放射性核作用剤、放射線増感剤、トポイソメラーゼ阻害剤、およびチロシンキナーゼ阻害剤などの薬物とコンジュゲートする。一部の実施形態では、有糸分裂阻害剤は、ドラスタチン、アウリスタチン、メイタンシノイド、および植物アルカロイドである。一部の実施形態では、薬物は、ドラスタチン、アウリスタチン、メイタンシノイド、および植物アルカロイドである。アウリスタチンの例は、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)またはモノメチルアウリスタチン(monomethyauristatin)E(MMAE)である。メイタンシノイドの例としては、これだけに限定されないが、DM1、DM2、DM3、およびDM4が挙げられる。一部の実施形態では、抗腫瘍抗生物質は、アクチノマイシン、アントラサイクリン、カリチアマイシン、およびデュオカルマイシンからなる群から選択される。一部の実施形態では、アクチノマイシンは、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)である。
本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはより高次の多重特異性を有するものであり得る。そのような作用剤には、抗体を含むことができる。二重特異性抗体などの多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる標的(例えば、抗原)に対するまたは同じ標的上の2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である(例えば、PD-L1の第1のエピトープに対する第1の結合性ドメインとPD-L1の第2のエピトープに対する第2の結合性ドメインとを有する、PD-L1を対象とする二重特異性抗体)。一部の実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、本明細書に記載の抗体の配列、例えば、表1、表2、および表3に列挙されているCDR配列に基づき構築することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。一部の実施形態では、二重特異性抗体は、マウス、キメラ、ヒト抗体またはヒト化抗体である。一部の実施形態では、多重特異性抗体の結合特異性のうちの1つは、PD-L1に対するものであり、他方は、他の任意の標的(例えば、抗原)に対するものである。一部の実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、1つよりも多くの標的(例えば、抗原)結合性ドメインを含むことができ、異なる結合性ドメインは、異なる標的に特異的である(例えば、PD-L1に結合する第1の結合性ドメインと、免疫チェックポイント調節因子(例えば、負のチェックポイント調節因子)などの別の標的(例えば、抗原)に結合する第2の結合性ドメイン)。一部の実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体分子は、同じ標的(例えば、抗原)上の1つよりも多く(例えば、2つまたはそれよりも多く)のエピトープに結合することができる。一部の実施形態では、結合特異性のうちの1つは、PD-L1であり、他方は、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)、CD80、CD86、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223としても公知)、ガレクチン-3、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ガレクチン-9(GAL9)、B7-H1、B7-H3、B7-H4、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9)、T細胞活性化のV-ドメインIg抑制因子(VISTA)、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイルス進入メディエーター(HVEM)、OX40、CD27、CD28、CD137、CGEN-15001T、CGEN-15022、CGEN-15027、CGEN-15049、CGEN-15052、ならびにCGEN-15092のうち1つまたは複数に対するものである。
多重特異性抗体を作出するための方法は、例えば、2つの重鎖が異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対を同時発現させることによるものなど、当技術分野で公知である(例えば、Milstein and Cuello, 1983, Nature 305: 537-40を参照されたい)。多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)の生成のさらなる詳細については、例えば、Bispecific Antibodies(Kontermann ed., 2011)を参照されたい。
多重特異性抗体の例示的な構造は、当技術分野で公知であり、Weidle et al., 2013, Cancer Genomics & Proteomics 10: 1-18;Brinkman et al., 2017, MABS, 9:2, 182-212;Godar et al., 2018, Expert Opinion on Therapeutic Patents, 28:3, 251-276;およびSpiess et al., 2015, Mol. Immunol. 67 95-106にさらに記載されている。
例えば、二重特異性抗体分子は、異なる構造群に分類することができる:(i)二重特異性免疫グロブリンG(BsIgG)、(ii)追加的な抗原結合性部分が付加されたIgG、(iii)二重特異性抗体断片、(iv)二重特異性融合タンパク質、および(v)二重特異性抗体コンジュゲート。非限定的な例として、BsIgGフォーマットには、crossMab、DAF(ツーインワン(two-in-one))、DAF(フォーインワン(four-in-one)、DutaMab、DT-IgG、ノブインホール(knobs-in-holes)共通LC、ノブインホールアセンブリ、電荷対、Fab-アーム交換、SEEDbody、トリオマブ、LUZ-Y、Fcab、κλ-ボディ(κλ-body)、直交性Fabが含まれ得る。
一部の実施形態では、BslgGは、ヘテロ二量体形成のために操作された重鎖を含む。例えば、重鎖を、ヘテロ二量体形成のために、「ノブイントゥホール(knobs-into-holes)」戦略、SEEDプラットフォーム、共通重鎖(例えば、κλ-ボディにおけるもの)、およびヘテロ二量体Fc領域の使用を使用することにより操作することができる。ノブイントゥホール、デュオボディ(duobody)、アジメトリック(azymetric)、電荷対、HA-TF、SEEDbody、および示差的プロテインA親和性を含めた、BsIgGにおけるホモ二量体の重鎖対形成を回避するための戦略が当技術分野で公知である。
別の二重特異性抗体フォーマットは、追加的な抗原結合性部分が付加されたIgGである。例えば、追加的な抗原結合性単位を単一特異性IgGに、例えば、重鎖または軽鎖のいずれかのN末端またはC末端に付加することにより、単一特異性IgGを、二重特異性を有するように操作することができる。例示的な追加的な抗原結合性単位としては、単一ドメイン抗体(例えば、可変重鎖または可変軽鎖)、操作されたタンパク質足場、および対形成した抗体可変ドメイン(例えば、単鎖可変性断片または可変性断片)が挙げられる。付加IgGフォーマットの非限定的な例としては、二重可変ドメインIgG(DVD-Ig)、IgG(H)-scFv、scFv-(H)IgG、IgG(L)-scFv、scFv-(L)IgG、IgG(L,H)-Fv、IgG(H)-V、V(H)-IgG、IgG(L)-V、V(L)-IgG、KIH IgG-scFab、2scFv-IgG、IgG-2scFv、scFv4-Ig、zybody、およびDVI-IgG(フォーインワン)が挙げられる。Spiess et al. Mol. Immunol. 67 (2015): 95-106を参照されたい。一部の実施形態では、例示的な抗体フォーマットは、例えば、国際特許出願公開第WO2018/075692号および米国特許出願公開第2018/0118811号に記載されている単一特異性または多重特異性(例えば、二重特異性抗体)のためのB-Bodyフォーマットである。
二重特異性抗体断片(BsAb)は、抗体定常ドメインの一部または全部を欠く二重特異性抗体分子のフォーマットである。例えば、一部のBsAbは、Fc領域を欠く。複数の実施形態では、二重特異性抗体断片は、ペプチドリンカーによって接続された重鎖領域と軽鎖領域を含み、それにより、単一の宿主細胞におけるBsAbの効率的な発現が可能になる。二重特異性抗体断片の非限定的な例としては、これだけに限定されないが、ナノボディ、ナノボディ-HAS、BiTE、Diabody、DART、TandAb、scDiabody、scDiabody-CH3、Diabody-CH3、トリプルボディ(triple body)、ミニ抗体(miniantibody)、ミニボディ、TriBiミニボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、F(ab’)、F(ab’)-scFv2、scFv-KIH、Fab-scFv-Fc、四価HCAb、scDiabody-Fc、Diabody-Fc、タンデムscFv-Fc、および細胞内抗体が挙げられる。
二重特異性融合タンパク質には、他のタンパク質と連結した抗体断片が含まれる。例えば、二重特異性融合タンパク質を他のタンパク質と連結して、追加的な特異性および/または機能性を付加することができる。一部の実施形態では、ドックアンドロック(dock-and-lock)(DNL)法を使用して、結合価が高い二重特異性抗体分子を生成することができる。例えば、二重特異性抗体をアルブミン結合性タンパク質またはヒト血清アルブミンと融合することにより、抗体断片の血清中半減期を延長することができる。複数の実施形態では、化学的コンジュゲーション、例えば、抗体および/または抗体断片の化学的コンジュゲーションを使用して、BsAb分子を創出することができる。例示的な二重特異性抗体コンジュゲートとしては、CovX-bodyフォーマットが挙げられ、これは、各Fabアームまたは抗体またはその断片内の単一の反応性リシンに低分子量薬物を部位特異的にコンジュゲートしたものである。複数の実施形態では、コンジュゲーションにより、血清中半減期が改善される。
二重特異性抗体を含めた多重特異性抗体の作製方法は、当技術分野で公知である。例えば、構成成分である抗体を異なる宿主細胞において別々に発現させ、その後、精製/アセンブリすることによって、または、構成成分である抗体を単一の宿主細胞において発現させることによって、二重特異性抗体を含めた多重特異性抗体を作製することができる。多重特異性(例えば、二重特異性)抗体分子の精製は、アフィニティークロマトグラフィーを含めた当技術分野で公知の様々な方法によって実施することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示されているヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、本明細書に開示されているかまたは当技術分野で公知の任意の抗体フォーマットで提供することができる。非限定的な例として、一部の実施形態では、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、Fabs-in-tandem-lg(FIT-lg);DVD-lg;ハイブリッドハイブリドーマ(クアドローマまたはテトラドーマ(tetradoma));アンチカリン(anticalin)プラットフォーム(Pieris);ジアボディ(diabody);単鎖ジアボディ;タンデム単鎖Fv断片;TandAb、三重特異性Ab(Affimed);Darts二重親和性再標的化(Macrogenics);二重特異性Xmab(Xencor);二重特異性T細胞誘導抗体(engager)(Bite;Amgen;55kDa);トリプルボディ(Triplebody);トリボディ(Tribody)=Fab-scFv融合タンパク質多機能性組換え抗体誘導体(CreativeBiolabs);デュオボディ(Duobody)プラットフォーム(Genmab);ドックアンドロック(dock and lock)プラットフォーム;ノブイントゥホール(knobs-into-holes)(KIH)プラットフォーム;ヒト化二重特異性IgG抗体(REGN1979)(Regeneron);Mab2二重特異性抗体(F-Star);DVD-lg=二重可変ドメイン免疫グロブリン(Abbott);カッパーラムダボディ;TBTI=四価二重特異性タンデムIg;およびCrossMab(Roche)から選択することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示されている多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、PD-L1結合性ドメイン、およびPD-L1ではない1つまたは複数の標的に結合する1つまたは複数の追加の結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されている多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、例えば、表1のVHおよび/またはVLアミノ酸配列を含むPD-L1結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されている多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、表2のVHおよび/またはVLアミノ酸配列を含むPD-L1結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されている多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、表3のVHおよび/またはVLアミノ酸配列を含むPD-L1結合性ドメインを含む。
一部の実施形態では、表1に記載のVHおよびVL CDRを含むPD-L1に結合する結合性ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗体が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、表2に記載の(set for)VHおよびVL CDRを含むPD-L1に結合する結合性ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗体が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、表3に記載のVHおよびVL CDRを含むPD-L1に結合する結合性ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗体が本明細書に記載されている。
PD-L1に結合する抗体は、PD-L1を含む全腫瘍細胞を用いた免疫化および抗体の収集、組換え技法、またはPD-L1細胞外ドメインエピトープを使用して抗体もしくは抗体断片のライブラリーのスクリーニングなどの(ただしこれだけに限定されない)任意の適した方法によって得ることができる。モノクローナル抗体は、種々の公知の技法を使用して生成することができる(例えば、Coligan et al. (eds.), Current Protocols in Immunology, 1:2.5.12.6.7 (John Wiley & Sons 1991);Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, Plenum Press, Kennett, McKearn, and Bechtol (eds.) (1980);Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Lane (eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988);およびPicksley et al., "Production of monoclonal antibodies against proteins expressed in E. coli," in DNA Cloning 2: Expression Systems, 2nd Edition, Glover et al. (eds.), page 93 (Oxford University Press 1995)を参照されたい)。モノクローナル抗体を生成するための例示的な技法の1つは、ヒトPD-L1抗原を用いて動物を免疫化し、この動物から採取された脾臓細胞からハイブリドーマを生成することを含む。ハイブリドーマは、PD-L1に結合するモノクローナル抗体または抗体断片を産生することができる。
さらなる実施形態では、例えば、Antibody Phage Display: Methods and Protocols, P.M. O'Brien and R. Aitken, eds, Humana Press, Totawa N.J., 2002.に記載されている技法を使用して生成した抗体ファージライブラリーから、モノクローナル抗体または抗体断片を単離することができる。原理上は、ファージコートタンパク質と融合した抗体可変領域(Fv)の種々の断片をディスプレイするファージを含有するファージライブラリーをスクリーニングすることによって、合成抗体クローンを選択する。そのようなファージライブラリーを、所望の抗原に対してスクリーニングする。所望の抗原に結合することが可能なFv断片を発現するクローンは抗原に吸着し、したがって、ライブラリー中の非結合性クローンから分離される。次いで、結合性クローンを抗原から溶出させ、追加的なサイクルの抗原吸着/溶出によってさらに富化することができる。
例えば、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994)に記載されている通り、可変ドメインをファージ上に、VHとVLが短い柔軟なペプチドによって共有結合により連結した単鎖Fv(scFv)断片として、または、VHとVLがそれぞれ定常ドメインと融合しており、非共有結合により相互作用するFab断片としてのいずれかで、機能的にディスプレイさせることができる。
Winter et al.,上記に記載されている通り、VH遺伝子のレパートリーとVL遺伝子のレパートリーを別々にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってクローニングし、ファージライブラリーにおいてランダムに組み換えることができ、次いでそれを抗原結合性クローンについて検索することができる。免疫化した供給源からのライブラリーにより、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対する高親和性抗体がもたらされる。あるいは、Griffiths et al., EMBO J, 12: 725-734 (1993)に記載されている通り、ナイーブなレパートリーをクローニングして、いかなる免疫化も伴わずに、広範囲の非自己抗原および同様に自己抗原に対するヒト抗体の単一の供給源をもたらすことができる。最後に、例えば、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)に記載されている通り、高度に可変性のCDR3領域をコードするため、およびin vitroにおいて再構成を実現するために、幹細胞由来の再構成されていないV遺伝子セグメントをクローニングすること、およびランダムな配列を含有するPCRプライマーを使用することによってナイーブなライブラリーを合成的に作出することもできる。
ライブラリーのスクリーニングは、当技術分野で公知の様々な技法によって達成することができる。例えば、PD-L1(例えば、PD-L1ポリペプチド、断片、またはエピトープ)は、吸着プレートのウェルのコーティングに使用することができ、吸着プレートに貼り付けた宿主細胞において発現させることができ、または細胞選別において使用することができ、またはストレプトアビジンでコーティングされたビーズによる捕捉のためにビオチンとコンジュゲートすることができ、またはディスプレイライブラリーをパニングするための他の任意の方法において使用することができる。Bass et al., Proteins, 8: 309-314 (1990)およびWO92/09690に記載されている通り、長い洗浄および一価ファージディスプレイを使用することにより、解離カイネティクスが緩徐な(例えば、結合親和性が良好な)抗体の選択、ならびにMarks et al., Biotechnol., 10: 779-783 (1992)に記載されている通り、抗原の低コーティング密度によって促進され得る。
PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、目的のファージクローンを選択するための適した抗原スクリーニング手順を設計し、続いて、目的のファージクローン由来のVHおよび/もしくはVL配列(例えば、Fv配列)またはVHおよびVL配列由来の様々なCDR配列、ならびにKabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3に記載されている適した定常領域(例えば、Fc)配列を使用して、全長PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)クローンを構築することにより得ることができる。
同様に、PD-L1に結合するヒト抗体を、これだけに限定されないが、ヒト末梢血液細胞(例えば、Bリンパ球を含有する)のエプスタイン-バーウイルス(EBV)形質転換、ヒトB細胞のin vitroにおける免疫化、ヒト免疫グロブリン遺伝子が挿入された免疫化トランスジェニックマウス由来の脾臓細胞の融合、ヒト免疫グロブリンV領域ファージライブラリーからの単離、または当技術分野で公知のおよび本開示に基づく他の手順を含めたいくつかの技法のいずれかによって生成することができる。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法は、例えば、Bruggemann et al., Curr. Opin. Biotechnol., 8: 455 58, 1997;Jakobovits et al., Ann. N. Y. Acad. Sci., 764: 525 35, 1995;Green et al., Nature Genet., 7: 13-21, 1994;Lonberg et al., Nature、368: 856-859, 1994;Taylor et al., Int. Immun. 6: 579-591, 1994;および米国特許第5,877,397号にさらに記載されている。
例えば、PD-L1に結合するヒト抗体を、抗原による攻撃に応答して特異的なヒト抗体を産生するように操作されたトランスジェニック動物から得ることができる。例えば、国際特許公開第WO98/24893号には、ヒトIg遺伝子座を有するトランスジェニック動物であって、内因性重鎖および軽鎖遺伝子座の不活化が原因で機能的な内因性免疫グロブリンを産生しない、トランスジェニック動物が開示されている。免疫原に対する免疫応答を開始することが可能なトランスジェニック非霊長類哺乳動物宿主であって、抗体が霊長類定常および/または可変領域を有し、また、遺伝子座をコードする内因性免疫グロブリンが置換または不活化されている、トランスジェニック非霊長類哺乳動物宿主も記載されている。国際特許公開第WO96/30498号には、哺乳動物における免疫グロブリン遺伝子座を改変するため、例えば、定常または可変領域の全部または一部を置き換えて、改変された抗体分子を形成するための、Cre/Lox系の使用が開示されている。国際特許公開第WO94/02602号には、不活化された内因性Ig遺伝子座および機能的なヒトIg遺伝子座を有する非ヒト哺乳動物宿主が開示されている。米国特許第5,939,598号には、内因性重鎖を欠き、1つまたは複数の異種定常領域を発現する外因性免疫グロブリン遺伝子座を発現するトランスジェニックマウスを作出する方法が開示されている。本明細書に記載のトランスジェニック動物などのトランスジェニック動物を使用して、選択された抗原性分子に対する免疫応答を生じさせることができ、抗体産生細胞を動物から取り出し、それを使用して、ヒト由来のモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製することができる。免疫化プロトコール、アジュバントなどは当技術分野で公知であり、例えば、国際特許公開第WO96/33735号に記載されている通り、トランスジェニックマウスの免疫化に使用されている。モノクローナル抗体を、対応するタンパク質の生物活性または生理作用を阻害または中和する能力について試験することができる。
本開示は、ヒトPD-L1を含めたPD-L1に結合するヒト化抗体を提供する。本開示のヒト化抗体は、表1~3に示される1つまたは複数のCDRを含み得る。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が当技術分野で公知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源由来の1つまたは複数のアミノ酸残基が導入されたものであり得る。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、「移入」残基と称され、典型的には、「移入」可変ドメインから取得される。PD-L1に結合するヒト化抗体は、当業者に公知の技法を使用して作製することができる(Zhang et al., Molecular Immunology, 42(12): 1445-1451, 2005;Hwang et al., Methods, 36(1): 35-42, 2005;Dall'Acqua et al., Methods, 36(1): 43-60, 2005;Clark, Immunology Today, 21(8): 397-402, 2000、ならびに米国特許第6,180,370号;同第6,054,927号;同第5,869,619号;同第5,861,155号;同第5,712,120号;および同第4,816,567号、全てがこれにより参照により本明細書に明白に組み込まれる)。
一部の場合では、ヒト化抗体は、親非ヒト抗体(例えば、齧歯類)の6つの相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列をヒト抗体フレームワークにグラフト化するCDRグラフト化によって構築される。例えば、Padlan et al. (FASEB J. 9: 133-139, 1995)により、実際に抗原と接触するのはCDR内の残基の約3分の1のみであることが決定されており、これらは、「特異性決定残基」またはSDRと称される。SDRグラフト化の技法では、SDR残基のみをヒト抗体フレームワークにグラフト化する(例えば、Kashmiri et al., Methods 36: 25-34, 2005を参照されたい)。
ヒト化抗体の作出に使用される軽鎖および重鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低減させるために重要であり得る。例えば、いわゆる「最良適合」法に従って、非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の可変ドメインの配列を、公知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。齧歯類の配列に最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のためのヒトフレームワークとして選択することができる(Sims et al. (1993) J. Immunol. 151: 2296;Chothia et al. (1987) J. Mol. Biol. 196: 901)。別の方法では、軽鎖または重鎖が特定のサブグループのものである、全体がヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークが使用される。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用することができる(Carter et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 4285;Presta et al. (1993) J. Immunol., 151: 2623)。一部の場合では、フレームワークは、最も豊富なヒトサブクラス、V6サブグループI(V6I)およびVサブグループIII(VIII)のコンセンサス配列に由来するものである。別の方法では、ヒト生殖細胞系列遺伝子がフレームワーク領域の供給源で使用される。
超ヒト化(superhumanization)と称されるCDRの比較に基づく代替パラダイムでは、FR相同性は無関連である。この方法は、非ヒト配列と機能的なヒト生殖細胞系列遺伝子レパートリーの比較からなる。次いで、マウス配列と同じまたは密接に関連するカノニカル構造をコードする遺伝子を選択する。次に、非ヒト抗体とカノニカル構造を共有する遺伝子の中で、CDR内の相同性が最も高いものをFRドナーとして選択する。最後に、非ヒトCDRをこれらのFRにグラフト化する(例えば、Tan et al., J. Immunol. 169: 1119-1125, 2002を参照されたい)。
さらに、抗体は、それらの抗原に対する親和性および他の好都合な生物学的特性を保持してヒト化されることが一般に望ましい。この目的を実現するために、1つの方法によると、ヒト化抗体を、親配列および種々の概念的なヒト化産物を親およびヒト化配列の3次元モデルを使用して解析するプロセスによって調製する。3次元免疫グロブリンモデルが一般に利用可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の確度の高い3次元コンフォメーション構造を例示および表示するコンピュータプログラムが利用可能である。それらとしては、例えば、WAM(Whitelegg and Rees, Protein Eng. 13: 819-824, 2000)、Modeller(Sali and Blundell, J. Mol. Biol. 234: 779-815, 1993)、およびSwiss PDB Viewer(Guex and Peitsch, Electrophoresis 18: 2714-2713, 1997)が挙げられる。これらの表示の検査により、候補免疫グロブリン配列の機能において役割を果たす可能性が高い残基の解析、例えば、候補免疫グロブリンのその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の解析が可能になる。このように、レシピエントおよび移入配列からFR残基を選択し、組み合わせることができ、その結果、標的抗原(複数可)に対する親和性の増大などの所望の抗体特徴が実現される。一般に、抗原への結合に影響を及ぼすことに関して、超可変領域残基が直接かつ最も実質的に関与する。
抗体ヒト化のための別の方法は、ヒトストリングコンテント(Human String Content)(HSC)と称される、抗体のヒト性に関する測定基準に基づく。この方法では、マウス配列とヒト生殖細胞系列遺伝子のレパートリーを比較し、差異をHSCとしてスコア化する。次いで、標的配列を、多数の多様なヒト化バリアントを生成するための全体的な同一性評価基準を使用するのではなく、そのHSCを最大にすることによってヒト化する(Lazar et al., Mol. Immunol. 44: 1986-1998, 2007)。
上記の方法に加えて、経験的な方法を使用して、ヒト化抗体を生成および選択することができる。これらの方法は、ヒト化バリアントの大きなライブラリーを生成すること、および富化技術またはハイスループットスクリーニング技法を使用して最良のクローンを選択することを含む。抗体バリアントを、ファージ、リボソームおよび酵母ディスプレイライブラリーから、ならびに細菌コロニースクリーニングによって、単離することができる(例えば、Hoogenboom, Nat. Biotechnol. 23: 1105-1116, 2005;Dufner et al., Trends Biotechnol. 24: 523-529, 2006;Feldhaus et al., Nat. Biotechnol. 21: 163-70, 2003;Schlapschy et al., Protein Eng. Des. Sel. 17: 847-60, 2004を参照されたい)。
FRライブラリー手法では、残基バリアントの収集物をFRの特定の位置に導入し、その後、ライブラリーの選択を行って、グラフト化されたCDRを最良に支持するFRを選択する。置換される残基は、CDR構造に潜在的に寄与することが同定された(例えば、Foote and Winter, J. Mol. Biol. 224: 487-499, 1992を参照されたい)、またはBaca et al.(J. Biol. Chem. 272: 10678-10684, 1997)によって同定されたより限定された標的残基のセットからの「バーニア(Vernier)」残基の一部または全部を含み得る。
FRシャッフリングでは、選択された残基バリアントのコンビナトリアルライブラリーを創出する代わりに、FR全体を非ヒトCDRと組み合わせる(例えば、Dall'Acqua et al., Methods 36: 43-60, 2005を参照されたい)。ライブラリーを、結合について二段階選択プロセスで、まずVLのヒト化、その後、VHについてスクリーニングすることができる。あるいは、一段階FRシャッフリングプロセスを使用することができる。そのようなプロセスは、得られる抗体が発現の増強、親和性および熱安定性の増大を含めた生化学的および物理化学的特性の改善を示すので、二段階スクリーニングよりも効率的であることが示されている(例えば、Damschroder et al., Mol. Immunol. 44: 3049-60, 2007を参照されたい)。
「ヒューマニアリング(humaneering)」法は、必須の最小特異性決定因子(MSD)の実験的同定に基づき、非ヒト断片をヒトFRのライブラリーに逐次的に置き換え、結合を評定することに基づく。非ヒトVHおよびVL鎖のCDR3の領域から開始し、非ヒト抗体のVHおよびVLの両方のCDR1およびCDR2を含めた他の領域をヒトFRに次第に置き換えていく。この方法体系により、典型的には、エピトープの保持および別個のヒトVセグメントCDRを有する複数のサブクラスからの抗体の同定がもたらされる。ヒューマニアリングにより、ヒト生殖細胞系列遺伝子抗体と91~96%相同である抗体を単離することが可能になる(例えば、Alfenito, Cambridge Healthtech Institute's Third Annual PEGS, The Protein Engineering Summit, 2007を参照されたい)。
「ヒューマンエンジニアリング」法は、マウスまたはキメラ抗体または抗体断片などの非ヒト抗体または抗体断片を、抗体のアミノ酸配列に特定の変化を加えることによって変更して、ヒトにおける免疫原性が低下しているにもかかわらず、元の非ヒト抗体の望ましい結合特性を保持する、改変された抗体を作製することを伴う。一般に、この技法は、非ヒト(例えば、マウス)抗体のアミノ酸残基を「低リスク」、「中リスク」、または「高リスク」残基に分類することを伴う。分類は、特定の置換を行うことの予測される利益(例えば、ヒトにおける免疫原性について)を、得られる抗体のフォールディングに置換が影響を及ぼす、および/またはヒト残基で置換されるリスクに対して評価する包括的なリスク/リワード算出を使用して実施される。非ヒト(例えば、マウス)抗体配列の所与の位置に置換される特定のヒトアミノ酸残基(例えば、低または中リスク)は、非ヒト抗体の可変領域からのアミノ酸配列を特定のまたはコンセンサスヒト抗体配列の対応する領域とアラインメントすることによって選択することができる。非ヒト配列内の低または中リスク位置のアミノ酸残基を、アラインメントに従ってヒト抗体配列内の対応する残基で置換することができる。ヒューマンエンジニアリングされたタンパク質を作出するための技法は、Studnicka et al., Protein Engineering、7: 805-814 (1994)、米国特許第5,766,886号、同第5,770,196号、同第5,821,123号、および同第5,869,619号、ならびにPCT出願公開第WO93/11794号に、より詳細に記載されている。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤は、非抗体タンパク質足場を含む。そのような非抗体タンパク質足場の非限定的な例としては、フィブロネクチン足場、アンチカリン、アドネクチン、アフィボディ、DARPin、フィノマー、アフィチン、アフィリン、アビマー、システインリッチノッチンペプチド、または操作されたクニッツ型阻害剤が挙げられる。そのような非抗体タンパク質足場を生成するための方法は当技術分野で周知であり、そのうちのいずれか1つを使用して、非抗体タンパク質足場を含むPD-L1結合性作用剤を生成することができる(例えば、Simeon and Chen, Protein Cell、9(1): 3-14 (2018);Yang et al., Annu Rev Anal Chem (Palo Alto Calif). 10(1): 293-320 (2017)を参照されたい)。
PD-L1結合性作用剤、例えば、ヒトPD-L1結合性作用剤およびその断片を生成するための材料がさらに提供される。例えば、単離された細胞(例えば、ハイブリドーマ)は、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体または抗体断片)を産生することができる。この点に関して、細胞(例えば、単離された細胞)は、それぞれP22、P24、またはP31.2について表1、2、または3に示されるVHおよびVLを含む抗体またはその断片を産生することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体または抗体断片)をコードする1つまたは複数の核酸配列を含むことができる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離されたおよび/または組換えポリヌクレオチドである。様々な態様では、単離されたポリヌクレオチドは、抗体重鎖可変領域(VH)および/または抗体軽鎖可変領域(V)をコードするヌクレオチド配列を含み、VおよびVは、表1に示されるCDR、表2に示されるCDR、または表3に示されるCDRと同一の相補性決定領域(CDR)を含む。
一部の実施形態では、1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)は、1つまたは複数のポリヌクレオチドを適切な宿主細胞において発現させるための1つまたは複数のポリヌクレオチドを含み得る。そのようなベクターは、例えば、ポリヌクレオチドを宿主細胞において増幅させてその有用な分量を創出するのに、および、組換え技法を使用して抗体または抗体断片などの結合性作用剤を発現させるのに有用である。
一部の実施形態では、1つまたは複数のベクターは、発現ベクターであり、ここで、1つまたは複数のポリヌクレオチドは、発現制御配列を含む1つまたは複数のポリヌクレオチドに作動可能に(operatively)連結している。PD-L1に結合する抗体配列をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを組み入れるプラスミドおよびウイルスDNAベクターなどの自律複製性組換え発現構築物が特に意図されている。発現制御DNA配列としては、プロモーター、エンハンサー、およびオペレーターが挙げられ、一般に、発現構築物が利用される発現系に基づいて選択される。プロモーターおよびエンハンサー配列は、一般に、遺伝子発現を増大させる能力のために選択され、一方、オペレーター配列は、一般に、遺伝子発現を調節する能力のために選択される。発現構築物はまた、構築物を担持する宿主細胞の同定を可能にする1つまたは複数の選択マーカーをコードする配列も含み得る。発現構築物はまた、宿主細胞における相同組換えを容易にする、好ましくは促進する配列も含み得る。一部の実施形態では、発現構築物はまた、宿主細胞における複製に必要な配列も含み得る。
例示的な発現制御配列としては、哺乳動物細胞における発現のための、プロモーター/エンハンサー配列、例えば、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサー(Lehner et al., J. Clin. Microbiol., 29: 2494-2502, 1991;Boshart et al., Cell、41: 521-530, 1985);ラウス肉腫ウイルスプロモーター(Davis et al., Hum. Gene Ther., 4: 151, 1993);Tieプロモーター(Korhonen et al., Blood, 86(5): 1828-1835, 1995);シミアンウイルス40プロモーター;DRA(アデノーマにおいてダウンレギュレートされる;Alrefai et al., Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 293: G923-G934, 2007);MCT1(モノカルボン酸トランスポーター1;Cuff et al., Am. J. Physiol. Gastrointet. Liver Physiol., G977-G979. 2005);およびMath1(マウスアトナルホモログ1;Shroyer et al., Gastroenterology, 132: 2477-2478, 2007)が挙げられ、プロモーターは、ポリペプチドコード配列の上流(例えば、5’)に作動可能に(operatively)連結している。別の変形形態では、プロモーターは、上皮特異的プロモーターまたは内皮特異的プロモーターである。ポリヌクレオチドはまた、ポリペプチドコード配列の下流(例えば、3’)に作動可能に(operably)連結した適切なポリアデニル化配列(例えば、SV40またはヒト成長ホルモン遺伝子ポリアデニル化配列)も必要に応じて含み得る。
所望であれば、1つまたは複数のポリヌクレオチドはまた、ポリペプチド配列とインフレームで融合した分泌シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列も必要に応じて含む。分泌シグナルペプチドは、1つまたは複数のポリヌクレオチドを発現する細胞による抗体ポリペプチドの分泌を方向づけ、細胞により、分泌されたポリペプチドから切断される。1つまたは複数のポリヌクレオチドはまた、ベクターの大規模生産を容易にするためだけに機能することが意図された配列を必要に応じてさらに含み得る。遺伝子治療のためのポリヌクレオチドの製造および投与は、種々の導入遺伝子に関する文献に記載されている手順を使用して行うことができる。例えば、Isner et al., Circulation, 91: 2687-2692, 1995;およびIsner et al., Human Gene Therapy, 7: 989-1011, 1996を参照されたい。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、抗体またはその断片(および/または任意の他のペプチド)の宿主細胞による取り込みおよび発現を容易にするための追加的な配列をさらに含み得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその断片をコードする「ネイキッド」導入遺伝子(例えば、トランスフェクションを容易にするためのウイルス、リポソーム、または他のベクターを伴わない導入遺伝子)を用いる。
任意の適切なベクターを使用して、抗体またはその断片をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを宿主に導入することができる。記載されている例示的なベクターとしては、これだけに限定されないが、レンチウイルスベクターを含めた複製欠損性レトロウイルスベクター(Kim et al., J. Virol., 72(1): 811-816, 1998;Kingsman & Johnson, Scrip Magazine, October, 1998, pp. 43-46);パルボウイルスベクター、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(米国特許第5,474,935号;同第5,139,941号;同第5,622,856号;同第5,658,776号;同第5,773,289号;同第5,789,390号;同第5,834,441号;同第5,863,541号;同第5,851,521号;同第5,252,479号;Gnatenko et al., J. Invest. Med., 45: 87-98, 1997);アデノウイルス(AV)ベクター(米国特許第5,792,453号;同第5,824,544号;同第5,707,618号;同第5,693,509号;同第5,670,488号;同第5,585,362号;Quantin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89: 2581-2584, 1992;Stratford Perricaudet et al., J. Clin. Invest., 90: 626-630, 1992;およびRosenfeld et al., Cell, 68: 143-155, 1992);アデノウイルスアデノ随伴ウイルスキメラ(米国特許第5,856,152号)またはワクシニアウイルスもしくはヘルペスウイルスベクター(米国特許第5,879,934号;同第5,849,571号;同第5,830,727号;同第5,661,033号;同第5,328,688号);リポフェクチン媒介性遺伝子移入(BRL);リポソームベクター(米国特許第5,631,237号);およびこれらの組合せが挙げられる。これらの発現ベクターはいずれも、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, a Laboratory Manual, 2d edition, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)、およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons, New York, N.Y. (1994)に記載されている標準の組換えDNA技法を使用して調製することができる。必要に応じて、例えば、ウイルス複製に必要な選択遺伝子を欠失させるまたは乱すことによって、ウイルスベクターに複製欠損性を付与する。
他の意図されている非ウイルス性送達機構としては、リン酸カルシウム沈殿(Graham and Van Der Eb, Virology、52: 456-467, 1973;Chen and Okayama, Mol. Cell Biol., 7: 2745-2752, 1987;Rippe et al., Mol. Cell Biol., 10: 689-695, 1990) DEAE-デキストラン(Gopal, Mol. Cell Biol., 5: 1188-1190, 1985)、電気穿孔(Tur-Kaspa et al., Mol. Cell Biol., 6: 716-718, 1986;Potter et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA、81: 7161-7165, 1984)、直接マイクロインジェクション(Harland and Weintraub, J. Cell Biol., 101: 1094-1099, 1985)、DNAがローディングされたリポソーム(Nicolau and Sene, Biochim. Biophys. Acta, 721: 185-190, 1982;Fraley et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA、76: 3348-3352, 1979;Felgner, Sci Am., 276(6): 102-6, 1997;Felgner, Hum Gene Ther., 7(15): 1791-3, 1996)、細胞超音波処理(Fechheimer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84: 8463-8467, 1987)、高速微粒子銃を使用した遺伝子銃(Yang et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA、87: 9568-9572, 1990)、および受容体媒介性トランスフェクション(Wu and Wu, J. Biol. Chem., 262: 4429-4432, 1987;Wu and Wu, Biochemistry, 27: 887-892, 1988;Wu and Wu, Adv. Drug Delivery Rev., 12: 159-167, 1993)が挙げられる。
発現ベクター(または本明細書で考察される抗体もしくはその断片)は、リポソーム内に閉じ込めることができる。例えば、Ghosh and Bachhawat, In: Liver diseases, targeted diagnosis and therapy using specific receptors and ligands, Wu G, Wu C ed., New York: Marcel Dekker, pp. 87-104 (1991);Radler et al., Science, 275(5301): 810-814, 1997)を参照されたい。「リポフェクション」技術を伴う様々な商業的手法も意図される。一部の実施形態では、リポソームは、センダイウイルス(hemagglutinating virus)(HVJ)と複合体形成させることができる。これは、細胞膜との融合を容易にし、リポソームに封入されたDNAの細胞進入を促進することが示されている(Kaneda et al., Science, 243: 375-378, 1989)。一部の実施形態では、リポソームは、核非ヒストン染色体(nuclear nonhistone chromosomal)タンパク質(HMG-1)と複合体形成されるかまたはそれと併せて用いられる(Kato et al., J. Biol. Chem., 266: 3361-3364, 1991)。一部の実施形態では、リポソームは、HVJおよびHMG-1の両方と複合体形成されるかまたはそれと併せて用いられる。そのような発現構築物は、in vitroおよびin vivoでの核酸の移入および発現に用いることに成功している。一部の実施形態では、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)をリポソームに含めて、そのリポソームを、PD-L1をその表面に発現する細胞(腫瘍細胞など)に標的化する。
細胞は、1つもしくは複数のポリヌクレオチドまたは1つもしくは複数のベクターを含むことができ、例えば、細胞は、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)をコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチド、または1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む1つもしくは複数のベクターで形質転換またはトランスフェクトされる。一部の実施形態では、細胞は、P22のCDR(例えば、表1を参照されたい)と少なくとも75%の同一性を有する、6つを含めた1つまたは複数のCDRを含有する、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を発現する。一部の実施形態では、細胞は、P24のCDR(例えば、表2を参照されたい)と同一のCDRを含むVおよびVを含有する、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を発現する。一部の実施形態では、細胞は、P31.2のCDR(例えば、表3を参照されたい)と同一のCDRを含むVおよびVを含有する、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を発現する。細胞は、Escherichia coli(例えば、Pluckthun et al., Methods Enzymol., 178: 497-515, 1989を参照されたい)などの原核細胞、または動物細胞(例えば、骨髄腫細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはハイブリドーマ細胞)、酵母(例えば、Saccharomyces cerevisiae)、もしくは植物細胞(例えば、タバコ、トウモロコシ、ダイズ、またはイネ細胞)などの真核細胞であり得る。哺乳動物宿主細胞の使用は、組換え発現産物における最適な生物活性の付与に望ましくなり得る翻訳後(translational)修飾(例えば、グリコシル化、短縮、脂質付加、およびリン酸化)を提供することができる。同様に、ポリペプチド(例えば、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体))は、グリコシル化されていてもグリコシル化されていなくてもよく、かつ/またはポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、もしくはポリプロピレングリコールなど、1つもしくは複数の水溶性ポリマー結合を含むように共有結合によって修飾されている。
DNAまたはRNAを宿主細胞に導入するための方法は周知であり、それらとして、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、核注射、またはリポソーム、ミセル、ゴースト細胞、およびプロトプラストなどの担体との融合が挙げられる。そのような宿主細胞は、ポリヌクレオチドを増幅させるのに有用であり、また、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現させるのにも有用である。この点について、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を作製するためのプロセスは、宿主細胞を培養することおよびPD-L1結合性作用剤を単離することを含み得る。ネイキッドDNA発現構築物の細胞への移入は、粒子衝撃を使用して実現することができ、これは、DNAコーティングされた微粒子銃を高速度まで加速し、それらが細胞膜を貫通して、細胞を死滅させることなく細胞内に進入することを可能にする能力に依存するものである(Klein et al., Nature, 327: 70-73, 1987)。小粒子を加速させるためのいくつかのデバイスが開発されている。そのようなデバイスの1つは、高圧放電に依拠して電流を生じさせ、今度はそれにより原動力をもたらすものである(Yang et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA、87: 9568-9572, 1990)。使用される微粒子銃は、タングステンまたは金ビーズなどの生物学的に不活性な物質からなるものであった。宿主細胞を単離および/または精製することができる。宿主細胞はまた、in vivoでポリペプチドの一過性のまたは恒久的な発現を引き起こすようにin vivoで形質転換された細胞であってもよい。宿主細胞はまた、ex vivoで形質転換され、例えば、治療目的でin vivoでポリペプチドを産生させるために形質転換後に導入された、単離された細胞であってもよい。トランスジェニックヒトは宿主細胞の定義から明確に除外される。
ポリヌクレオチドから抗体を作製するための種々の方法が一般に周知である。例えば、基本的な分子生物学の手順は、Maniatis et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual、2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1989(Maniatis et al, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 2001も参照されたい)に記載されている。さらに、多数の刊行物に、DNAのマニピュレーション、発現ベクターの創出、ならびに適当な細胞の形質転換および培養による抗体の調製に適した技法が記載されている(例えば、Mountain and Adair, Chapter 1 in Biotechnology and Genetic Engineering Reviews, Tombs ed., Intercept, Andover, UK, 1992;およびCurrent Protocols in Molecular Biology, Ausubel ed., Wiley Interscience, New York, 1999を参照されたい)。
ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、任意の適切な方法を使用して作製され、例えば、上記を含め、免疫化された動物から単離される、組換えによってもしくは合成的に生成される、または遺伝子操作される。抗体に由来する抗体断片は、例えば、抗体のタンパク質分解性加水分解によって得られる。例えば、抗体全体のパパインまたはペプシンによる消化により、それぞれ、F(ab’)と称される5S断片または2つの一価Fab断片およびFc断片がもたらされる。F(ab)を、チオール還元剤を使用してさらに切断して、3.5S Fab一価断片を生じさせることができる。抗体断片を生成する方法は、例えば、Edelman et al., Methods in Enzymology, 1: 422 Academic Press (1967) ;Nisonoff et al., Arch. Biochem. Biophys., 89: 230-244, 1960;Porter, Biochem. J., 73: 119-127, 1959;米国特許第4,331,647号;およびAndrews, S.M. and Titus, J.A. in Current Protocols in Immunology (Coligan et al., eds), John Wiley & Sons, New York (2003), pages 2.8.1 2.8.10および2.10A.1 2.10A.5にさらに記載されている。
ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を遺伝子操作することができる。例えば、ヒトPD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、例えば、組換えDNA操作技法によって生成された可変領域ドメインを含む。この点について、上記を含め、目的の抗体を作製するために、抗体のアミノ酸配列における挿入、欠失、または変化によって可変領域を必要に応じて改変する。目的の相補性決定領域(CDR)をコードするポリヌクレオチドを、例えば、抗体産生細胞のmRNAを鋳型として使用し、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して可変領域を合成することによって調製する(例えば、Courtenay Luck, "Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies," in Monoclonal Antibodies: Production, Engineering and Clinical Application, Ritter et al. (eds.), page 166 (Cambridge University Press 1995);Ward et al., "Genetic Manipulation and Expression of Antibodies," in Monoclonal Antibodies: Principles and Applications, Birch et al., (eds.), page 137 (Wiley Liss, Inc. 1995);およびLarrick et al., Methods: A Companion to Methods in Enzymology, 2: 106-110, 1991を参照されたい)。現行の抗体マニピュレーション技法では、第1の抗体からの少なくとも1つのCDRおよび必要に応じて1つまたは複数のフレームワークアミノ酸、ならびに第2の抗体からの残りの可変領域ドメインを含有する、操作された可変領域ドメインを構築することが可能である。そのような技法は、例えば、抗体をヒト化するため、または結合性標的に対する抗体の親和性を改善するために使用される。
「ヒト化抗体」は、非ヒト免疫グロブリンの重鎖可変および軽鎖可変のCDRがヒト可変ドメインに移入された抗体である。定常領域は存在する必要はないが、存在する場合には、必要に応じて、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一である、例えば、一部の実施形態では、少なくとも約85~90%、約95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも大きく同一である。したがって、一部の場合では、おそらくCDR以外のヒト化免疫グロブリンの全ての部分が、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。例えば、ヒト化抗体は、宿主抗体の超可変領域残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)由来の超可変領域残基によって置き換えられたヒト免疫グロブリン(例えば、宿主抗体)である。
一部の実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、組成物において、および疾患、障害、または状態の1つまたは複数の症状を含むT細胞機能不全疾患、障害、または状態を処置、防止、または緩和する方法において有用である。T細胞機能不全疾患、障害、および状態は、これだけに限定されないが、腫瘍細胞がPD-L1を過剰発現する任意のがんを含めた、腫瘍免疫および関連するがんを含む。そのようなPD-L1過剰発現腫瘍細胞は、腫瘍細胞が、免疫監視および除去をエスケープするのに役立つことができる。加えて、PD-L1結合抗体(例えば、単一特異性または二重特異性抗体を含む多重特異性抗体)などの本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤は、PD-1シグナル伝達を阻害し、かつ/またはT細胞機能(例えば、サイトカインを分泌する、増殖する、細胞溶解活性を果たす)を増強し、したがって、免疫監視および腫瘍細胞の除去を増強するのに有用である。
一部の実施形態では、対象における腫瘍免疫を処置するための方法であって、対象に、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)もしくはその断片または本明細書に記載の結合性作用剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法が本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、対象におけるがんまたは腫瘍を処置するための方法であって、対象に、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)もしくはその断片または本明細書に記載の結合性作用剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法が本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、対象におけるがんまたは腫瘍に付随する1つまたは複数の症状を緩和するための方法であって、対象に、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)もしくはその断片または本明細書に記載の結合性作用剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法が本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、腫瘍を有する対象における腫瘍サイズを縮小するための方法であって、対象に、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)もしくはその断片または本明細書に記載の結合性作用剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法が本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、対象におけるT細胞機能不全疾患、障害、または状態を処置するための方法であって、対象に、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)もしくはその断片または本明細書に記載の結合性作用剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、T細胞機能不全疾患、障害、または状態は、腫瘍免疫である。
一部の実施形態では、腫瘍を有する対象における腫瘍細胞除去を増強するための方法であって、対象に、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)もしくはその断片または本明細書に記載の結合性作用剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法が本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、対象におけるT細胞機能を増強するための方法であって、対象に、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)もしくはその断片または本明細書に記載の結合性作用剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、T細胞機能は、サイトカインの分泌である。一部の実施形態では、T細胞機能は、腫瘍細胞の除去である。一部の実施形態では、対象は、がんまたは腫瘍の診断を受けている。
上記の方法の対象に、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)もしくはその断片または本明細書に記載の結合性作用剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物と組み合わせて、本明細書に記載の1つまたは複数の治療剤を投与することができる。
一部の実施形態では、例えば、Kabat et al. (1991) Sequences of proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242に記載されている通り、抗体は、これだけに限定されないが、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来するものである可変領域を有する抗体を含めた、ヒト抗体である。抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来するものであることが好ましい。ヒト抗体は、例えば、抗体の活性を増強するために、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基を含み得るが、他の種に由来するCDR(例えば、ヒト可変フレームワーク領域内に位置付けられたマウスCDR)は含まない。
一部の実施形態では、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、細胞培養物におけるT細胞機能を増加させ、かつ/または細胞の細胞溶解活性を増強する。そのような細胞培養物は、PD-L1を発現または過剰発現する腫瘍細胞を含むことができる。腫瘍細胞としては、これだけに限定されないが、乳がん細胞、膀胱がん細胞、黒色腫細胞、前立腺がん細胞、中皮腫細胞、肺がん細胞、精巣がん細胞、甲状腺がん細胞、扁平上皮癌細胞、神経膠芽腫細胞、神経芽細胞腫細胞、子宮がん細胞、結腸直腸がん細胞、および膵がん細胞が挙げられる。
一部の実施形態では、対象における腫瘍細胞の除去を増強する方法が本明細書に記載されている。例えば、方法は、本明細書に記載のヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、腫瘍細胞の除去を増強するのに有効な量で投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、ヒトPD-L1への結合について、抗体P22、抗体P24、および/または抗体P31.2(例えば、表1、2および/または3のCDRおよびVH/VLを参照されたい)と競合し、かつ/または抗体P22、抗体P24、および/または抗体P31.2(例えば、表1、2および/または3のCDRおよびVH/VLを参照されたい)によって認識されるPD-L1の領域に結合する、PD-L1結合性作用剤を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を投与するステップを含み、腫瘍細胞の除去の増強をもたらす。一部の実施形態では、上記の1つまたは複数の結合性作用剤(例えば、抗体)、ポリヌクレオチド、ベクター、および/または細胞は、in vivoで腫瘍細胞の除去を増強する方法(例えば、対象におけるがんを処置する方法)において使用することができる。
対象における腫瘍成長をモジュレートする(例えば、阻害する、低減させる、防止する)方法も提供される。例えば、方法は、対象に、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を含む組成物を、対象における腫瘍成長をモジュレートするために有効な量で投与するステップを含む。「腫瘍」は、悪性であるか良性であるかにかかわらず、あらゆる新生細胞の成長または増殖、ならびに全ての前がん性およびがん性細胞および組織を指す。「がん」および「がん性」という用語は、典型的には、調節されない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理的状態を指すまたは記載する。がんの例としては、これだけに限定されないが、乳がん、結腸がん、腎がん、肺がん、扁平上皮細胞骨髄性白血病、血管腫、黒色腫、星状細胞腫、および神経膠芽腫、ならびに、これだけに限定されないが、以下を含めた他の細胞増殖性疾患状態:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支原性肺癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫性過誤腫、イネソテリオーマ(inesothelioma);胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管状腺癌、インスリノーマ(insulinorna)、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、尿細管腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);泌尿生殖器:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(腎芽腫)、リンパ腫、白血病、腎細胞癌)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(前立腺の腺癌、肉腫、小細胞癌)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:ヘパトーマ(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、悪性巨細胞腫脊索腫、オステイクロンフローマ(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形神経膠芽腫、乏枝神経膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌)漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌、顆粒膜細胞腫瘍、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);血液:血液(骨髄性白血病(急性および慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、黒子異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;ならびに副腎:神経芽細胞腫、さらには甲状腺髄様がんを含めた甲状腺のがんが挙げられる。PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)、例えば、ヒトPD-L1結合性作用剤などを、それを必要とする対象に、単独で、または別の作用剤と組み合わせて投与することによってがんを処置する方法も提供される。
腫瘍細胞除去を「増強すること」は、除去の100%の増強を要求するものではない。除去率の任意の増強が意図されている。同様に、腫瘍成長を「モジュレートすること」は、腫瘍のサイズを縮小すること、腫瘍成長を緩徐化すること、または既存の腫瘍のサイズの増大を阻害することを指す。腫瘍の完全な消滅は要求されない;任意の腫瘍サイズの縮小または腫瘍成長の緩徐化が対象における有益な生物学的効果を構成する。この点について、腫瘍細胞除去は、例えば、方法の非存在下で(例えば、方法の作用剤に曝露されていない生物学的に釣り合わせた対照対象または検体において)観察される除去のレベルと比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%または少なくとも約20%増強され得る。効果は、例えば、腫瘍サイズの縮小、腫瘍マーカーのレベルの低下もしくは維持、または腫瘍細胞集団の減少もしくは維持によって検出される。一部の実施形態では、腫瘍細胞の除去は、例えば、方法のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の非存在下での腫瘍細胞の除去と比較して、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれよりも大きく(約100%)増強される。
その上、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を使用して、例えば、骨劣化、脊椎陥没、および麻痺など、がんに付随する副作用を緩和または低減させることができる。一態様では、対象は、骨転移を被っているまたはそのリスクがあり、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、周囲の骨の劣化が低減される量で投与される。したがって、一部の態様では、PD-L1結合性作用剤は、骨転移による骨劣化を防止し、ここで、腫瘍細胞の増殖は、低減されるかまたは低減されない。一部の態様では、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、骨転移による骨劣化の防止と、腫瘍細胞の増殖の低減の両方を行う。一般に、腫瘍細胞の増殖における効果(例えば、増殖の阻害、または増殖に効果なし)は、特定の転移の微小環境に依存する。例えば、相当量の1型コラーゲンを有する微小環境に位置する転移の増殖は、阻害され得る。対照的に、相当量の1型コラーゲンを欠く微小環境に位置する転移の増殖は、阻害されない場合があるが、それにもかかわらず、転移の付近の骨劣化は、低減または防止される。
特定の対象のためのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の特定の投与レジメンは、一部には、使用される作用剤、投与される作用剤の量、投与経路、ならびにあらゆる副作用の原因および程度に依存する。対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与される作用剤(例えば、抗体)の量は、妥当な時間枠にわたり所望の応答をもたらすのに十分なものであるべきである。したがって(According)、一部の実施形態では、対象に投与される本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)または医薬組成物の量は、有効量である。一部の実施形態では、対象に投与される本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)または医薬組成物の量は、治療有効量である。一部の態様では、方法は、例えば、約0.1μg/kgから約100mg/kgまで、またはそれよりも多くまでを投与するステップを含む。一部の実施形態では、投薬量は、約1μg/kgから約100mg/kgまで;または約5μg/kgから約100mg/kgまで;または約10μg/kgから約100mg/kgまで;または約1mg/kgから約50mg/kgまで;または約2mg/kgから約30mg/kgまで;または約3mg/kgから約25mg/kgまで;または約3mg/kgから約25mg/kgまで;または約5mg/kgから約10mg/kgまで;または約10mg/kgから約20mg/kgまで;または約10mg/kgから約30mg/kgまでに及ぶ。一部の状態または疾患状態に対しては持続的な処置が必要であり、それには、多数回の投与(例えば、3日間、7日間、2週間、3週間、1カ月、3カ月、6カ月、9カ月、12カ月、15カ月、18カ月、21カ月、2年間またはそれよりも長い処置期間にわたって、毎日、1週間に3回、1週間に1回、2週間に1回、また毎月1回)にわたって、ヒトPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を含めたPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の用量を投与することが必要な場合もあり、そうでない場合もある。
ヒトPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を含む組成物の適切な投与経路は、当技術分野で周知である。1つよりも多くの経路を使用して、作用剤(例えば、抗体)を投与することができるが、特定の経路は、別の経路よりも速やかで効果的な反応を提供することができる。状況に応じて、ヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を含む組成物は、体腔内に適用もしくは滴下注入される、皮膚もしくは粘膜を通って吸収させる、経口摂取する、吸入する、および/または循環中に導入する。例えば、静脈内、皮下、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、病巣内、髄内、くも膜下腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、経腸、局部、舌下、尿道内、腟内、もしくは直腸内手段による注射により、持続放出系により、または埋め込みデバイスにより、ヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を含む組成物を送達することが望ましい場合がある。所望であれば、ヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)は、目的の領域に供給する動脈内または静脈内投与を介して、例えば、肝臓への送達のために肝動脈を介して、局部投与される。あるいは、ヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、結合性作用剤を吸収させたまたは封入した、膜、海綿、または別の適切な材料の埋め込み物を介して、局所投与する。埋め込みデバイスを使用する場合、デバイスを、一態様では、任意の適切な組織または器官に埋め込み、ヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)の送達は、例えば、拡散、時効性ボーラス、または連続投与を介して為される。他の態様では、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、腫瘍の切除または他の外科手技の間に露出した組織に直接投与する。
本開示は、ヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と、担体(例えば、薬学的に許容される担体)とを含む医薬組成物などの組成物を提供する。用いられる特定の担体は、溶解性および結合性作用剤または併用治療法との反応性の欠如などの化学物理学的な考慮事項、ならびに投与経路に依存し得る。薬学的に許容される担体は当技術分野で周知であり、その例は、本明細書に記載されている。注射使用に適した例示的な医薬形態としては、無菌注射溶液または分散を即時調製するための滅菌水溶液または分散および滅菌粉末が挙げられる。注射製剤は、例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice, J. B. Lippincott Co., Philadelphia. Pa., Banker and Chalmers. eds., pages 238-250 (1982)およびASHP Handbook on Injectable Drugs, Toissel, 4th ed., pages 622-630 (1986))にさらに記載されている。ヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を、一態様では、そのような医薬組成物の使用に関する指示を提供する包装材料と共に、容器内に入れる。一般に、そのような指示は、試薬濃度と共に、一部の実施形態では、医薬組成物を再構成するのに必要となり得る賦形剤成分または希釈剤(例えば、水、生理食塩水またはPBS)の相対量が記載された有形の表現を含む。
一部の態様では、本明細書に記載の方法は、組成物中に存在してもよい、もしくはヒトPD-L1結合性作用剤などのPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と共に投与されてもよい、または同じもしくは異なる投与経路を使用する別々の組成物中に提供されてもよい、治療剤を含めた1つまたは複数の追加の作用剤を投与するステップをさらに含む。治療剤を含めた1つまたは複数の追加の作用剤は、PD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と一緒に投与することもでき(例えば、併用療法)、別々に(例えば、同時に、あるいは、逐次的に(sequencially))投与することもできる。そのような追加の治療剤としては、これだけに限定されないが、治療用抗体、免疫療法および免疫療法剤、細胞傷害性作用剤、化学療法剤、ならびに阻害剤が挙げられる。
本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と共に(例えば、併用療法のために)使用することができる治療抗体としては、これだけに限定されないが、トラスツズマブ;アブシキシマブ;ダクリズマブ;BEC2;IMC-C22;ビタキシン(vitaxin);Campath 1H/LDP-03;Smart M195;エプラツズマブ;ベクツモマブ(bectumomab);ビジリズマブ;CM3、ヒト化抗ICAM3抗体;IDEC-l 14;イブリツモマブチウキセタン;IDEC-131;IDEC-151;IDEC-152;SMART抗CD3;エクリズマブ;アダリムマブ;セルトリズマブ;IDEC-l 51;MDX-CD4;CD20-ストレプトアビジン(sreptdavidin);CDP571;LDP-02;OrthoClone OKT4A;ルプリズマブ(ruplizumab);ナタリズマブ;およびレルデリムマブ(lerdelimumab)が挙げられる。
本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と共に(例えば、併用療法を目的として)使用することができる免疫療法および免疫療法剤としては、これだけに限定されないが、サイトカイン、例えば、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-l-アルファ、インターロイキン(IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、およびIL-27を含む)、腫瘍壊死因子(TNF-アルファを含む)、およびインターフェロン(IFN-アルファ、IFN-ベータ、およびIFN-ガンマを含む);水酸化アルミニウム(アラム);カルメット-ゲラン桿菌(Bacille Calmette-Guerin)(BCG);キーホールリンペットヘモシアニン(KLH);不完全フロイントアジュバント(IF A);QS-21;DETOX;レバミソール;およびジニトロフェニル(DNP)、ならびに、例えば、インターロイキン、例えばIL-2と他のサイトカイン、例えばIFN-アルファとの組合せなどの、これらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、免疫療法として、免疫応答をモジュレートする免疫療法剤、例えば、チェックポイント阻害剤またはチェックポイントアゴニストが挙げられる。一部の実施形態では、免疫療法剤は、当技術分野で公知のものの中でも、PD-1、PD-L1、PD-L2、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFベータ、OX40、41BB、LIGHT、CD40、GITR、TGF-ベータ、TIM-3、SIRP-アルファ、VSIG8、BTLA、SIGLEC7、SIGLEC9、ICOS、B7H3、B7H4、FAS、および/またはBTNL2を標的とする抗体モジュレーターである。一部の実施形態では、免疫療法剤は、ナチュラルキラー(NK)細胞活性を増大させる作用剤である。一部の実施形態では、免疫療法剤は、免疫応答の抑制を阻害する作用剤である。一部の実施形態では、免疫療法剤は、サプレッサー細胞またはサプレッサー細胞活性を阻害する作用剤である。一部の実施形態では、免疫療法剤は、Treg活性を阻害する作用剤または治療法である。一部の実施形態では、免疫療法剤は、阻害性免疫チェックポイント受容体の活性を阻害する作用剤である。
一部の実施形態では、免疫療法剤には、共刺激分子のアゴニストまたは活性化因子から選択されるT細胞モジュレーターが含まれる。一実施形態では、共刺激分子のアゴニストは、GITR、OX40、ICOS、SLAM(例えば、SLAMF7)、HVEM、LIGHT、CD2、CD27、CD28、CDS、ICAM-l、LFA-l(CD1 la/CDl8)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、CD30、CD40、BAFFR、CD7、NKG2C、NKp80、CD160、B7-H3、またはCD83リガンドのアゴニスト(例えば、アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片、または可溶性融合)から選択される。他の実施形態では、エフェクター細胞の組合せとして、二重特異性T細胞誘導抗体(例えば、CD3および腫瘍抗原(例えば、とりわけEGFR、PSCA、PSMA、EpCAM、HER2)に結合する二重特異性抗体分子)が挙げられる。
本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と共に(例えば、併用療法を目的として)使用することができる細胞傷害性作用剤としては、細胞機能を阻害もしくは防止する、および/または細胞の死滅もしくは破壊を引き起こす物質が挙げられる。例示的な細胞傷害性作用剤としては、これだけに限定されないが、放射性同位元素(例えば、At211、1131、1125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位元素);成長阻害剤;核酸分解酵素などの酵素およびその断片;ならびに、断片および/またはバリアントを含めた、細菌、真菌、植物または動物起源の小分子毒素または酵素的に活性な毒素などの毒素が挙げられる。他の例示的な細胞傷害性作用剤は、微小管阻害剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似体、シグナルトランスダクション経路阻害剤、非受容体型チロシンキナーゼ血管新生阻害剤、免疫療法剤、アポトーシス促進剤、LDH-Aの阻害剤;脂肪酸生合成の阻害剤;細胞周期シグナル伝達阻害剤;HDAC阻害剤、プロテアソーム阻害剤;ならびにがん代謝の阻害剤から選択することができる。
本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と共に(例えば、併用療法を目的として)使用することができる化学療法剤としては、がんの処置に有用な化学化合物が挙げられる。化学療法剤の例としては、これだけに限定されないが、エルロチニブ、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、没食子酸エピガロカテキン、サリノスポラミドA、カーフィルゾミブ、l7-AAG(ゲルダナマイシン)、ラディシコール、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH-A)、フルベストラント、スニチニブ、レトロゾール、メシル酸イマチニブ、フマスネート(fmasunate)、オキサリプラチン、5-FET(5-フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン、ラパチニブ、ロナファミブ(SCH66336)、ソラフェニブ、Bayer Labs、ゲフィチニブ、AG1478;チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)などのアルキル化剤;シクロホスファミド;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロメラミンを含めたエチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(トポテカンおよびイリノテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(cally statin);CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);副腎皮質ステロイド(プレドニゾンおよびプレドニゾロンを含む);酢酸シプロテロン;フィナステリドおよびデュタステリドを含めた5アルファ-レダクターゼ;ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスロイキン、タルクデュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなどのニトロソ尿素;エンジイン抗生物質(例えば、カリチアマイシン、特にカリチアマイシンガンマIIおよびカリチアマイシンオメガI(Angew Chem. Inti. Ed. Engl. 1994 33: 183-186)などの抗生物質;ジネミシンAを含めたジネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン、ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン(carabicin)、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フォリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルホミチン;エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシンおよびアンサマイトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダムノール;ニトラクリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジン;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、Ore.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン、特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド「Ara-C」;シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル、ABRAXANE(登録商標)(クレモフォール不使用)、パクリタキセルのアルブミンで操作されたナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Ill.)、およびドセタキセル/ドキセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン;イバンドロネート;CPT-l l;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;ならびに、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸および誘導体が挙げられる。化学療法剤としては、(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えば、タモキシフェン(クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェンクエン酸塩;(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール、エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、およびアナストロゾールなど;(iii)抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリン;ブセレリン、トリプトレリン(tripterelin)、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、全トランス型レチノイン酸、フェンレチニド、ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体)など;(iv)プロテインキナーゼ阻害剤、(v)脂質キナーゼ阻害剤、(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関係づけられるシグナル伝達経路内の遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、RalfおよびH-Rasなど、(vii)リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))およびHER2発現阻害剤など;(viii)ワクチン、例えば、遺伝子治療用ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、およびVAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)、rIL-2;トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、LEIRTOTECAN(登録商標)など;ABARELIX(登録商標)、ならびに(ix)上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸および誘導体も挙げられる。
化学療法剤としては、上記の通り、アレムツズマブ、ベバシズマブ;セツキシマブ;パニツムマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、トシツモマブ、および抗体-薬物コンジュゲート、ゲムツズマブオゾガマイシンを含めた抗体も挙げられる。本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と組み合わせる作用剤としての治療的潜在性を有する追加的なヒト化モノクローナル抗体としては、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクツズマブ、パキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブ セルモロイキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビシリズマブ、および、インターロイキン-12p40タンパク質を認識するように遺伝子改変された組換え型、排他的にヒト配列の全長IgG1λ抗体である抗インターロイキン-l2(ABT-8744695、Wyeth ResearchおよびAbbott Laboratories)が挙げられる。化学療法剤としては、デキサメタゾン、インターフェロン、コルヒチン、メトプリン、シクロスポリン、アンホテリシン、メトロニダゾール、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アミホスチン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、生BCG、ベバクジマブ、ベキサロテン、クラドリビン、クロファラビン、ダルベポエチンアルファ、デニロイキン、デクスラゾキサン、エポエチンアルファ、エロチニブ、フィルグラスチム、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、レナリドマイド、レバミソール、メスナ、メトキサレン、ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オプレルベキン、パリフェルミン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセドナトリウム、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、キナクリン、ラスブリカーゼ、サルグラモスチム、テモゾロミド、VM-26、6-TG、トレミフェン、トレチノイン、ATRA、バルルビシン、ゾレドロネート、およびゾレドロン酸、ならびに薬学的に許容されるその塩も挙げられる。
化学療法剤としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、コルチゾン酢酸エステル、チキソコルトールピバレート、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾンl7-酪酸エステル、ヒドロコルチゾン17-吉草酸エステル、アルクロメタゾンプロピオン酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステル、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、プレドニカルベート、クロベタゾン-l 7-酪酸エステル、クロベタゾール-l 7-プロピオン酸エステル、フルオコルトロンカプロン酸エステル、フルオコルトロンピバル酸エステルおよびフルプレドニデン酢酸エステル;免疫選択的抗炎症性ペプチド(ImSAID)、例えば、フェニルアラニン-グルタミン-グリシン(FEG)およびそのD-異性体形態(feG)(IMULAN BioTherapeutics、LLC);抗リウマチ薬、例えば、アザチオプリン、シクロスポリン(シクロスポリンA)、D-ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミドミノサイクリン、スルファサラジン、腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ)遮断薬、例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ(Simponi)など、アナキンラなどのインターロイキン1(IL-l)遮断薬、アバタセプトなどのT細胞共刺激遮断薬、トシリズマブなどのインターロイキン6(IL-6)遮断薬;インターロイキン13(IL-l3)遮断薬、例えば、レブリキズマブなど;インターフェロンアルファ(IFN)遮断薬、例えば、ロンタリズマブなど;ベータ7インテグリン遮断薬、例えば、rhuMAb Beta7など;IgE経路遮断薬、例えば、Anti-Ml primeなど;分泌型ホモ三量体LTa3および膜結合型ヘテロ三量体LTal/l32遮断薬、例えば、抗リンホトキシンアルファ(LTa)など;様々な治験薬剤、例えば、チオプラチン、PS-341、フェニル酪酸、ET-I8-OCH3、またはファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L-739749、L-744832);ポリフェノール、例えば、ケルセチン、レスベラトロール、ピセタノール、没食子酸エピガロカテキン、テアフラビン、フラバノール、プロシアニジン、ベツリン酸およびこれらの誘導体;オートファジー阻害剤、例えば、クロロキン;デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール)など;ベータ-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;アセチルカンプトテシン、スコポレチン、および9-アミノカンプトテシン;ポドフィロトキシン;テガフール;ベキサロテン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート、エチドロネート、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート、アレンドロネート、パミドロネート、チルドロネート、またはリセドロネートなど;および上皮増殖因子受容体(EGF-R);ワクチン、例えば、THERATOPE(登録商標)ワクチンなど;ペリホシン、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブまたはエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);CCI-779;チピファミブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;Bcl-2阻害剤、例えば、オブリメルセンナトリウムピキサントロンなど;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、ロナファミブ(SCH 6636)など;ならびに、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体、ならびに上記のうちの2つまたはそれよりも多くの組合せ、例えば、CHOP、これはシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの併用療法の略語である;およびFOLFOX、これは、オキサリプラチンを5-FUおよびロイコボリンと組み合わせて用いる処置レジメンの略語である、も挙げられる。化学療法剤としては、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤:オラパリブ、ルカパリブ(rucaprib)、ニラパリブ、タルゾパリブも挙げられる。
本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と共に(例えば、併用療法を目的として)使用することができる阻害剤としては、これだけに限定されないが、イマチニブ、バリシチニブ ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、スニチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、ピルフェニドン、パゾパニブ、クリゾチニブ、ベムラフェニブ、バンデタニブ、ルクソリチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、レゴラフェニブ、トファシチニブ、カボザンチニブ、ポナチニブ、トラメチニブ、ダブラフェニブ、アファチニブ、イブルチニブ、セリチニブ、イデラリシブ、ニンテダニブ、パルボシクリブ、レンバチニブ、コビメチニブ、アベマシクリブ、アカラブルチニブ、アレクチニブ、ビニメチニブ、ブリガチニブ、エンコラフェニブ、エルダフィチニブ、エベロリムス、ホスタマチニブ、ギルテル、ラロトレクチニブ、ロルラチニブ、ネタルスジル、オシメルチニブ、ペミガチニブ、ペキシダルチニブ、リボシクリブ、テムシロリムス、XL-092、XL-147、XL-765、XL-499、およびXL-880などのキナーゼ阻害剤が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物を、がんなどの本明細書に開示される疾患を処置するための、HSP90阻害剤(例えば、XL888)、肝臓X受容体(LXR)モジュレーター、レチノイド関連オーファン受容体ガンマ(RORy)モジュレーター、チェックポイント阻害剤、例えば、CK1阻害剤またはCK1α阻害剤など、Wnt経路阻害剤(例えば、SST-215)、またはミネラルコルチコイド受容体阻害剤(例えば、エサキセレノン)またはXL-888と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、がんを処置するための、以下のキナーゼのうちの1つまたは複数の阻害剤と組み合わせることができる:Akt1、Akt2、Akt3、TGF-βR、PKA、PKG、PKC、CaM-キナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、MEKK、ERK、MAPK、mTOR、EGFR、HER2、HER3、HER4、1NS-R、IGF-1R、IR-R、PDGFαR、PDGFβ/R、CSFIR、KIT、FLK-II、KDR/FLK-1、FLK-4、flt-1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Ron、Sea、TRKA、TRKB、TRKC、FLT3、VEGFR/Flt2、Flt4、EphAl、EphA2、EphA3、EphB2、EphB4、Tie2、Src、Fyn、Lck、Fgr、Btk、Fak、SYR、FRK、JAK(JAK1およびまたはJAK2)、ABL、ALK、CDK7、CDK12、KRAS、およびB-Raf。
例えば、がんの処置のための、本明細書に記載のPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)と共に(例えば、併用療法のために)使用することができる阻害剤の追加の非限定的な例としては、FGFR阻害剤(FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4、例えば、ペミガチニブ(pemigatinib))、EGFR阻害剤(ErB-1またはHER-1としても公知;例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、オシメルチニブ(orsimertinib)、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブ)、VEGFR阻害剤もしくは経路遮断薬(例えば、ベバシズマブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、レゴラフェニブ、ポナチニブ、バンデタニブ、ラムシルマブ、レンバチニブ、ziv-アフリベルセプト)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、またはニラパリブ)、JAK阻害剤(例えば、ルキソリチニブ、バリシチニブ、イタシチニブ(itacitinib))、IDO阻害剤(例えば、エパカドスタット、NLG919、またはBMS-986205、MK7162)、LSD1阻害剤、TDO阻害剤、PI3K-デルタ阻害剤(例えば、パルサクリシブ(parsaclisib))、PI3K-ガンマ選択的阻害剤などのPI3K-ガンマ阻害剤、Pim阻害剤、CSF1R阻害剤、TAM受容体チロシンキナーゼ(Tyro-3、AxlおよびMer)、アデノシン受容体アンタゴニスト(例えば、A2a/A2b受容体アンタゴニスト)、HPK1阻害剤、ケモカイン受容体阻害剤(例えば、CCR2またはCCR5阻害剤)、SHP1/2ホスファターゼ阻害剤、HDAC8阻害剤などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、血管新生阻害剤、インターロイキン受容体阻害剤、ブロモおよび末端外(extra terminal)ファミリーメンバー阻害剤(例えば、ブロモドメイン阻害剤またはBET阻害剤)、またはこれらの組合せを含む。
一部の実施形態では、本明細書に開示されるPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、PD-1の阻害剤またはPD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-1モノクローナル抗体または抗PD-L1モノクローナル抗体、例えば、ニボルマブ(Opdivo)、ペムブロリズマブ(Keytruda、MK-3475)、アテゾリズマブ、アベルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、セトレリマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、AB122、JTX-4014、BGB-108、BCD-100、BAT1306、LZM009、AK105、HLX10、およびTSR-042、AMP-224、AMP-514、PDR001、デュルバルマブ、ピジリズマブ(Imfinzi(登録商標)、CT-011)、CK-301、BMS 936559、MPDL3280A、チスレリズマブ、BMS-935559、MEDI4736、FAZ053、KN035、CS1001、CBT-502、A167、STI-A101、BGB-A333、MSB-2311、HLX20、AUNP12、CA-170、BMS-986189、LY3300054、およびMSB0010718Cと組み合わせて使用することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示されるPD-L1結合性作用剤(例えば、抗体)を、CTLA-4阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体、例えば、イピリムマブ(Yervoy)、トレメリムマブおよびAGEN1884と組み合わせて、または、ホスファチジルセリン阻害剤、例えば、バビツキシマブ(PGN401)と組み合わせて、またはサイトカイン(IL-10、TGF-bなど)に対する抗体と組み合わせて、またはPD-L1およびCTLA-4に結合する二重特異性抗体(例えば、AK104)もしくはPD-1およびCTLA-4に結合する二重特異性抗体と組み合わせて、またはセミプリマブなどの他の抗がん剤と組み合わせて使用することができる。
追加的な作用剤は、上記のこれらの治療剤または他の作用剤のいずれかの薬学的に許容される塩、エステル、アミド、水和物、および/またはプロドラッグであり得る。
本明細書に記載の種々の実施形態の活性に実質的に影響を及ぼさない改変も、本明細書に記載の主題の定義の範囲内で提供されることが理解される。したがって、以下の実施例は、本開示を例示するものであり、限定するものではない。
(実施例1)
抗体生成
ヒトPD-L1に対するバインダーを得るために、標準プロトコールを使用して、実行されたヒトFabライブラリーのファージディスプレイによって抗体発見を行った。Acro BiosystemsからヒトPD-L1の細胞外ドメインを購入した(ヒトPD-L1-Hisタグ Acro Cat.No.PD1H5229、ビオチン化ヒトPD-L1-His Avitag Acro Cat.No.PDL-H82E4)。適宜標準プロトコールを使用したEZ-Link NHS-PEG12-ビオチン(ThermoScientific Cat.No.21312)を使用して、PD-L1の非ビオチン化細胞外ドメインをビオチン化した。標準プロトコールを使用したファージELISAによって、ファージクローンを、ビオチン化ヒトPD-L1に結合する能力についてスクリーニングした。簡単に延べると、ファージにおける複製および発現が可能な発現ベクター(ファージミドとも称される)を使用して、Fabフォーマット化ファージライブラリーを構築した。重鎖および軽鎖の両方を同じ発現ベクターにコードさせ、重鎖は、ファージコートタンパク質pIIIの短縮バリアントと融合した。軽鎖および重鎖-pIII融合物を別々のポリペプチドとして発現させ、細菌ペリプラズム中にアセンブリして、そこで、酸化還元電位によりジスルフィド結合が形成されて、候補抗体の抗原結合性ドメイン(Fab)を形成することが可能になる。
特定のヒト重鎖可変ドメイン(VH3-23)および特定のヒト軽鎖可変ドメイン(Vk-1)に由来する配列を使用してライブラリーを創出した。多様性をもたせて生成した、スクリーニングされるライブラリー内の軽鎖可変ドメインをVL CDR3(L3)に導入し、軽鎖VL CDR1(L1)およびCDR2(L2)は、ヒト生殖細胞系列配列のままにした。スクリーニングされるライブラリーについて、VHドメインの3つのCDR全てを、ヒト抗体レパートリーにおいて見いだされるCDRの長さごとの位置的なアミノ酸頻度と一致するように多様化した。ライブラリーに使用したファージディスプレイ重鎖(配列番号92)および軽鎖(配列番号93)足場を以下に列挙するが、ここで、小文字の「x」はライブラリーを創出するために変動させたCDRアミノ酸を表し、太字のイタリック体は、一定にしたCDR配列を表す。
配列番号92の配列は、
である。配列番号93の配列は、
である。
全体が参照により本明細書に組み込まれるKunkel, TA (PNAS January 1, 1985. 82(2) 488-492)においてより詳細に記載されている通り、天然の抗体レパートリーにおいて見いだされる多様性を模倣するために、縮重DNAオリゴヌクレオチドプライマーを使用した変異誘発を行って、VL CDR3ならびにVH CDR1(H1)、CDR2(H2)およびCDR3(H3)に多様性を導入することにより、多様性を創出した。簡単に述べると、単離されたファージから、標準の手順を使用して、ウラシルが組み入れられた一本鎖環状DNAを調製し、Kunkel変異誘発を行って、4つのCDRに多様性を導入した。次いで、化学合成されたDNAをTG1細胞に電気穿孔により導入し、その後、回収した。回収した細胞を継代培養し、M13K07ヘルパーファージを感染させて、ファージライブラリーを作製した。
ファージパニングを標準の手順を使用して実施した。簡単に述べると、ストレプトアビジン磁気ビーズに固定化した標的を用いてファージパニングの第1ラウンドを実施し、PBST-2%BSA中1mLの体積の、調製されたライブラリーからのおよそ1×1012のファージに供した。1時間のインキュベーション後、ビーズに結合したファージを、磁気スタンドを使用して上清から分離した。ビーズを3回洗浄して、非特異的に結合したファージを除去し、次いで、ER2738細胞(5mL)におよそ0.6のOD600で添加した。室温で20分のインキュベーション後、感染細胞を2xYT+アンピシリンおよびM13K07ヘルパーファージ(最終濃度およそ1×1010pfu/ml)25mL中に継代培養し、37℃で一晩、勢いよく振とうしながら成長させた。翌日、標準の手順を使用してPEG沈殿によってファージを調製した。SAVでコーティングしたビーズに特異的なファージの予備クリアランスを実施した後にパニングを行った。標準手順を使用して、50または25nMのビーズに固定化したPD-L1抗原を用い、KingFisher磁気ビーズハンドラー(handler)を使用して、パニングの第2ラウンドを実施した(ラウンド3では50nM PD-L1、ラウンド4では25nM PD-L1)。合計で3~4ラウンドのファージパニングを実施して、標的抗原に特異的なFabをディスプレイするファージを富化させた。ポリクローナルELISAを使用して、標的特異的富化を確認し、個々のクローンを単離し、モノクローナルファージELISAを実施することによりさらに検証した。DNA配列決定を使用して、候補抗体を含有する単離されたFabクローンのCDRの配列を決定した。
候補抗体の重鎖および軽鎖可変ドメインをコードする遺伝子を、哺乳動物細胞において全長IgGとして発現させるために、哺乳動物発現ベクターに別々にクローニングした。
全長IgGについて、重鎖定常領域(例えば、CH1=標準の文字;ヒンジ=イタリック体で示されている文字;CH2=太字;およびCH3=下線が引かれた文字)は、以下のアミノ酸配列を含むものであった:
全長IgGについて、軽鎖定常領域(例えば、CL)は以下のアミノ酸配列を含むものであった:
プロテインA樹脂を使用してIgG抗体を培養上清から精製した。
(実施例2)
スクリーニングおよび選択
PD-L1に対する抗体を、例えば、実施例1に記載の通り、ファージディスプレイによって生成した。例えば、定性的結合を決定するために、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して、抗原と実施例1において得られた候補抗体との特異的な相互作用を確認した。
Octet(Pall ForteBio)機器を使用して、ストレプトアビジンバイオセンサーに固定化されたビオチン化ヒトPD-L1(実施例1を参照されたい)へのバインダーの二価相互作用をモニタリングした。一価相互作用をモニタリングするために、全長IgG分子をFc捕捉バイオセンサーに固定化し、Octet機器を使用して、それと可溶性抗原との相互作用をモニタリングした。
簡単に述べると、一価結合フォーマットにおけるOctetを使用して、上位のPD-L1抗体に対する親和性の正確な測定値(K値など)を得た。先ず、Fc捕捉センサーに抗体を固定化した。次の会合ステップにおいて、固定化されたIgGへのPD-L1(Acro Cat.No.PD1H5229(PD-L1-Hisタグ))の結合相互作用を測定した。正確なカイネティクス定数を得るために、少なくとも7種の濃度の分析物を伴う希釈系列(およそ10~20×Kから0.1×K値に及ぶ、2倍希釈)を会合ステップにおいて測定した。次の解離ステップにおいて、分析物を含有しない緩衝液中にセンサーを浸漬し、そこで、センサーの表面における結合された分析物を解離させた。Octetカイネティクス解析ソフトウェアを使用して、会合および解離曲線の速度からカイネティクスおよび平衡結合定数を計算した。全体的曲線適合を使用して解析を行い、それによると、カイネティクス定数は、実験に含まれる全分析物濃度から同時に導き出された。
二価定性的Octet結果を表4に示す。Octetを使用した定性的結合親和性に関して、強力な結合を記号「+++」で示し、中程度の結合を「++」で示し、弱い結合を「+」で示す。「ND」は、抗体結合が決定されなかったことを示す。「NB」は、抗体結合が検出されなかったことを示す。結果から、24種の抗体が、強力な結合親和性を示し(P1、P2、P3、P4、P5、P9、P10、P18、P19、P21、P22、P24、P26、P31.2、P33、P34、P35、P36、P38、P39、P45、P47、P53、およびP54)、12種の抗体が、中程度の細胞結合親和性を示し(P6、P12、P17、P23、P28、P30、P37、P40、P41、P44、P46、およびP49)、9種の抗体が、弱い細胞結合親和性を示した(P20、P25、P27、P29、P32、P43、P51、P52、およびP55)ことが示される。
表4. Octetによる二価定性的結合親和性およびmPD-L1交差反応性
一価抗体結合に関する例示的なセンサグラム(sensogram)を図1A~1Cに示す。定性的PD-L1結合および一価K結果を表5に示す。K値が列挙されており、強力な結合、<2×10-8M(<20nM)を記号「+++」で示し、中程度の結合、2×10-8~2×10-7M(20~200nM)を「++」で示し、弱い結合、>2×10-7M(>200nM)は、を「+」で示す。「ND」は、抗体結合が決定されなかったことを示す。結果から、8種の抗体が、強力な結合を示し(P2、P6、P9、P10、P22、P24、P31.2、およびP39)、7種の抗体が、中程度の結合を示し(P21、P23、P34、P35、P36、P45、およびP47)、5種の抗体が、弱い結合を示し(P18、P26、P28、P30、およびP54)、2種の抗体が、結合なしを示した(P7およびP8)ことが示される。P7およびP8について結合なしが検出された。
表5.一価KD
マウス細胞に対する細胞への結合を評定することにより、マウスPD-L1(mPD-L1)への結合を特徴付けた。具体的には、フローサイトメトリーによってマウス細胞への抗体の結合を決定した。抗体を、示されている細胞株と一緒に、示されている濃度でインキュベートし、続いて、蛍光標識した二次抗体で標識した。Acro BiosystemsからマウスPD-L1を入手し(Acro Cat.No.PD1-M5220)、標準のプロトコールを使用してビオチン化した。PBSに対する大規模な透析によって遊離のビオチンを除去した。ビオチン化抗原(PD-L1)をストレプトアビジンセンサーに固定化した。Octetを使用したマウスPD-L1への会合によって、交差反応性抗体を同定した。
マウス交差反応性の結果を表6に示す。マウス交差反応性を「Y」で示し、マウス交差反応性なしを「X」で示す。決定されなかった抗体交差反応性は、「ND」で示される。
表6.マウスPD-L1交差反応性
(実施例3)
追加のスクリーニングおよび選択
例えば、実施例2に記載の抗体など、PD-L1への結合に関して選択された抗体を、PD-L1を発現する細胞への結合に関して評価した。例えば、およそ674,000個の表面PD-L1コピー数を有するPD-L1過剰発現CHO-K1細胞(BPS Bioscience PD-L1/TCR活性化因子 - CHO株、カタログ番号30536)への結合について、フローサイトメトリーを使用して抗体を試験した。
アッセイ当日に細胞を70~90%集密で採取した。細胞を200×gで5分間遠心分離することによって収集し、培地を除去した。細胞を、冷PBS中に1mL当たり細胞2×10個で再懸濁させた。試験を行う抗体の予測される結合親和性を網羅するために、PBS中、8点抗体希釈系列(2×濃度)を調製した。ウェル当たり50μLの抗体希釈物を96ウェルV底プレート(Costar 3897)にプレーティングした。ウェル当たり50μLの 細胞懸濁液を添加した。プレートを4℃で45~60分間置いた。
細胞を、400×gで7分間遠心分離することによって収集し、一次抗体を除去した。ウェル当たり50μLのAF488ヤギ抗ヒトIgG Fab(Jackson Immuno Research 109-547-003)を1:100の希釈度で添加した。プレートを4℃で30分間置いた。
細胞を、400×gで7分間遠心分離することによって収集し、二次抗体を除去した。細胞をウェル当たり50μLのPBS中に再懸濁させ、フローサイトメトリーによって分析した。細胞におけるFITC 蛍光シグナルの平均蛍光強度(MFI)を使用して結合曲線を算出した。
例示的な結合曲線が図2A~2Cに示す。細胞への定性的結合親和性およびアッセイされた抗体についての細胞への結合の最大半量の有効濃度(EC50)を表7に要約する。定性的結合親和性に関して、強力な結合、<2×10-8M(<20nM)を記号「+++」で示し、中程度の結合、2×10-8~2×10-7M(20~200nM)を「++」で示し、弱い結合、>2×10-7M(>200nM)を「+」で示す。「ND」は、抗体結合が決定されなかったことを示す。結果から、29種の抗体が、強力な細胞結合親和性を示し(P2、P3、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12、P13、P14、P18、P19、P21、P22、P23、P24、P26、P28、P31.2、P34、P35、P36、P37、P38、P39、P45、P47、およびP54)、21種の抗体が、弱い結合を示した(P1、P4、P5、P15、P17、P27、P29、P30、P32、P33、P40、P41、P42、P43、P46、P49、P50、P51、P52、P53、およびP55)ことが示される。
表7.定性的結合親和性およびCHO-K1細胞への抗体結合のEC50




(実施例4)
機能アッセイ
例えば、実施例2および3に記載の抗体など、PD-L1への結合について選択された抗体を、PD-L1過剰発現CHO-K1細胞におけるPD-1/PD-L1シグナル伝達の阻害について評価した。
PD-1/PD-L1シグナル伝達を遮断する抗体の能力を試験するために、製造者のプロトコールを使用したPD-1/PD-L1シグナル伝達バイオアッセイキット(93-1104Y19-00117、Eurofins DiscoverX)を使用して抗体をアッセイした。このアッセイにおいて、Jurkat細胞は、B-ガラクトシダーゼProLinkタグおよび酵素アクセプターSH1タグをタグ付けされたPD1を発現するように操作される。操作されたJurkat細胞を、CD47/PD-L1発現細胞株と共培養する。PD-L1がPD1に結合されると、酵素補完が起こり、B-galシグナルは高い。PD-L1遮断抗体の存在下で、SHP-1/2は動員されず、酵素補完は起こらず、B-galシグナルは低い。
簡単に述べると、40μLの標的細胞(40μL当たり30,000個の細胞)を、細胞プレーティング試薬0(CP0)において、白色96ウェルプレートの各ウェルに添加した。プレートを37℃で一晩インキュベートした。T25フラスコに9.6mLの予熱した細胞プレーティング試薬(CP0)を添加し、液体窒素からPD-1 Jurkat細胞の2本のクライオバイアル(cryovial)を取り出し、T25フラスコからクライオバイアルへと1mLの予熱したCP0を直ちに添加することによりペレットを解凍することによって、解凍からの一晩回復のためにPathHunter PD-1 Jurkat細胞を解凍した。優しく数回出し入れしてピペッティングして、凝集塊を全てばらばらにすることにより、細胞を混合した。残っているCP0を含有するT25フラスコに細胞懸濁液を移し、クライオバイアルに残る培地/懸濁液を全て取り出して、バイアルからの全細胞の完全な回収を確実にした。細胞を37℃で一晩インキュベートした。
インキュベーション後に、20μLの抗体を各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。CP0における40μLのPathHunter PD-1 Jurkat細胞を、96ウェルプレートの各ウェルに添加し、プレートを室温で暗所にて1時間インキュベートした。次いで、10μLのPathHunterバイオアッセイ検出試薬1を各ウェルに添加し、プレートを15分間室温で暗所にてインキュベートした。次に、40μLのPathHunterバイオアッセイ検出試薬2を、アッセイプレートの各ウェルに添加し、プレートを3時間室温で暗所にてインキュベートした。ClarioStarプレートリーダー(BMG Labtech)においてプレートを解析した。
PD-L1 MDA-MB-231細胞におけるPD-1/PD-L1チェックポイントシグナル伝達アッセイの例示的な結果を図3A~3Cに示す。アッセイのIC50値を表3に示す。強力な遮断、<2×10-8M(<20nM)を記号「+++」で示し、中程度の遮断、2×10-8~2×10-7M(20~200nM)を「++」で示し、弱い遮断、>2×10-7M(>200nM)を「+」で示す。「ND」は、相互作用の遮断が決定されなかったことを示す。
結果から、15種の抗体が、PD-1/PD-L1相互作用の強力な遮断を有し(P2、P7、P8、P18、P22、P24、P26、P28、P31.2、P34、P35、P36、P39、P45、およびP47)、11種の抗体が、中程度の遮断を有した(P3、P6、P9、P10、P15、P21、P23、P30、P37、P41、およびP54)ことを示す。他の試験した抗体は、弱い遮断を有した。「低い遮断」および「遮断なし」は、アッセイにおける低いまたは検出不能な遮断が原因で、IC50が決定されなかったことが示される。
表8. PD-1/PD-L1相互作用遮断レポーターアッセイ
(実施例5)
開発可能性アッセイ
例えば、実施例2および3に記載の抗体など、PD-L1への結合について選択された抗体を様々な開発可能性方法において試験した。例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、およびスタンドアップ単層吸着クロマトグラフィー(SMAC)を含めた種々のクロマトグラフィー法を用いて、単量体パーセンテージ、溶解性、および抗体凝集または沈殿などの開発可能性因子を評定した。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析を、Agilent 1100 HPLCで7.8mm ID×30cm TSKgel G3000SWXLカラム(Tosoh Bioscience LLC、PN 08541)を使用して実施した。抗体を、ダルベッコPBS(pH7.4、Ca2+/Mg2+を伴わない)中、1mg/mLの濃度に標準化し、粒子がペレット化したが可溶性凝集体がなお保持されている状態まで遠心分離によって清澄化した。移動相緩衝剤はダルベッコPBS(pH7.4、Ca2+/Mg2+を伴わない)であった。各試料について、10μLをローディングし、20分間にわたり、毎分1.0mLで均一濃度で溶出した。吸光度を280nmでモニタリングした。クロマトグラフィーのピークを積分して、%均一性および保持時間を決定した。移動相の選択と併せたカラム固定相により、分子サイズ分類に加えて疎水性相互作用が支持される(SMACと比較して疎水性相互作用がはるかに穏やかになる)。Agilent ChemStation B.04.03を使用してデータ解析を実施した。
例示的なSEC結果を図4A~4Cに示し、表9に要約する。強力な開発可能性を記号「+++」で示し、中程度の開発可能性を記号「++」で示し、弱い開発可能性を記号「++」で示す。「ND」は、SECを使用して開発可能性が決定されなかったことを示す。結果から、2種の抗体、P11およびP26が、SECアッセイに基づき弱い開発可能性を有し、一方、試験した他の全抗体が、強力なまたは中程度の開発可能性を有したことが示される。結果から、試験した抗体の大多数について、SEC結果に基づき低い抗体凝集および強力な開発可能性が示される。
表9.開発可能性-サイズ排除クロマトグラフィー
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)分析を、Agilent 1100 HPLCで4.6mm ID×3.5cm TSKgel Butyl-NPRカラム(Tosoh Bioscience LLC、PN 14947)を使用して実施した。抗体をdPBS(pH7.4)中2mg/mLの濃度に標準化し、次いで、等体積の移動相緩衝剤Bを用いて最終的なタンパク質濃度1mg/mLまで希釈した。カラムを100%移動相緩衝剤B(2Mの硫酸アンモニウム/20mMのリン酸ナトリウム、pH7.0)を用いて毎分1mLの流速で平衡化した。各試料について、10μLをローディングし、毎分1.0mLで15分間かけて100%移動相緩衝剤Bから100%移動相緩衝剤A(20mMのリン酸ナトリウム、pH7.0)までの勾配を使用して溶出し、100%Aを3分間保持してカラムを洗浄し、平衡化のために2分間かけて100%Bに戻した。吸光度を280nmでモニタリングした。試料保持時間を算出し、標準対照のセットと比較して、保持時間の増大(疎水性の増大)を有する抗体を同定した。
例示的なHIC結果を図5A~5Cに示し、表10に要約する。強力な開発可能性を記号「+++」で示し、中程度の開発可能性を記号「++」で示し、弱い開発可能性を記号「++」で示す。「ND」は、HICを使用して開発可能性が決定されなかったことを示す。結果から、23種の抗体が、HIC結果に基づき強力な開発可能性を有し(P2、P4、P6、P7、P9、P11、P14、P15、P16、P21、P22、P23、P24、P28、P30、P31.2、P34、P35、P36、P37、P39、P45、およびP47)、8種の抗体が、中程度の開発可能性を有し(P3、P8、P10、P12、P13、P17、P18、およびP54)、3種の抗体が、弱い開発可能性を有した(P1、P5、およびP26)ことが示される。抗体疎水性は、抗体凝集、溶解性および粘度に影響を与え得る。結果から、これらの抗体の凝集および沈殿の傾向が低いことが示される。
表10.開発可能性 - 疎水性相互作用クロマトグラフィー
スタンドアップ単層吸着クロマトグラフィー(SMAC)分析を、Agilent 1100 HPLCで4.6mm ID×300mm Zenix SEC 300カラム(Sepax Technologies、PN 213300P-4630)を使用して実施した。抗体を、dPBS(pH7.4)中1mg/mLの濃度に標準化し、粒子がペレット化するまで遠心分離によって清澄化した。移動相緩衝剤はdPBS(pH7.4、カルシウムおよびマグネシウムを伴わない)であった。各試料について、10μLをローディングし、32分間かけて毎分0.25mLで均一濃度で溶出した。吸光度を280nmでモニタリングした。試料保持時間を算出し、標準対照のセットと比較して、保持時間の増大(凝集体を形成する傾向の増大)を有する抗体を同定した。
例示的なSMAC結果を図6A~6Cに示し、表11に要約する。強力な開発可能性を記号「+++」で示し、中程度の開発可能性を記号「++」で示し、弱い開発可能性を記号「++」で示す。「ND」は、SMACを使用して開発可能性が決定されなかったことを示す。結果から、14種の試験した抗体が、コロイド安定性および凝集する傾向が低いことを示す、良好な保持時間を有し(P4、P6、P9、P11、P14、P15、P16、P21、P24、P30、P31.2、P34、P35、およびP45)、6種の抗体が、中程度の開発可能性を有し(P8、P12、P17、P22、P36、およびP39)、14種の抗体が、SMACに基づき弱い開発可能性を有した(P1、P2、P3、P5、P7、P10、P13、P18、P23、P26、P28、P37、P47、およびP54)ことが示される。
表11.開発可能性-スタンドアップ単層吸着クロマトグラフィー
UNcle分析機器(Unchained Labs)を用いて、多数のアッセイを使用して抗体の生体内安定性を評定した。操作された抗体バリアントの安定性分析を、多分散指数(PDI)、流体力学的直径(Z-ave D)、融解温度(Tm)、および凝集温度(Tagg)を測定することによって評価した。
抗体を1~20mg/mLにわたる濃度でダルベッコPBS(pH7.4、Ca2+/Mg2+を伴わない)中に配合し、大きな粒子がペレット化したが可溶性凝集体がなお保持されている状態まで遠心分離によって清澄化し、アッセイした。試料をUNcleの9μL石英キャピラリーキュベットデバイス(Uni)に分注し、密封した。PDIおよび流体力学的直径を15℃でDLSによって測定した。温度を15℃から95℃まで毎分0.5℃で勾配させ、その間にTmおよびTaggをそれぞれ蛍光およびSLS(266nm、フィルター4;473nm、フィルター3)によって測定した。UNcle Analysis Software v3.1またはv3.2を使用してデータを解析した。
例示的な生体内安定結果を表12に示す。
表12.生体安定性評定
(実施例6)
競合結合アッセイおよびエピトープビニング
競合結合アッセイを用いて、抗体がヒトPD-L1の同じ結合性領域について競合するかどうかを決定した。競合イムノアッセイを使用して、1つの抗体の抗原への結合により他の抗体の結合が妨げられる場合、これらの2つの抗体を、同じまたは同様の(例えば、重複する)エピトープに結合するものとみなし、同じエピトープビンに入るとみなした。抗体の結合により別の抗体の結合が干渉されない場合、これらの抗体をPD-L1の別個のエピトープに結合するものとみなし、異なるエピトープビンに入れる。
octetに基づく「タンデムな」アッセイ形式を交差競合アッセイに使用して、競合結合データおよびエピトープビニングを確立した。これらのアッセイのために、100nMのビオチン化抗原を10×カイネティクス緩衝剤(ForteBio)中、ストレプトアビジンセンサーに固定化した。抗体のPD-L1への結び付きを、2つの競合する(または競合しない)抗体を飽和濃度で含有するウェルにセンサーを連続的なステップで浸漬することによってモニタリングした。第1の抗体の飽和により結合が遮断されなかった場合(BLIシグナルがさらに増すことによって示される)、これらの抗体を別個の重複しないエピトープに結合し、異なるビンに属するものとみなした。
結果から、P22およびP31.2が、一緒にビンに入ることが示される(データ図示せず)。これらは、P24とは別々にビンに入る。
本出願全体を通して、様々な刊行物、特許、特許出願および他の文書を参照してきた。これらの刊行物、特許、特許出願および他の文書の開示全体が、本明細書に開示される主題が関係する技術分野の状態をより詳細に記載する目的を含めたあらゆる目的のために、これにより参照により本出願に組み込まれる。開示されている主題を、上に提供される実施例を参照しつつ説明してきたが、開示されている主題の主旨から逸脱することなく、様々な改変を行うことができることを理解されたい。本明細書を精査すれば、当業者には多くの変形形態が明らかとなるであろう。

Claims (61)

  1. (i)配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(ii)配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;または(iii)配列番号77のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号78のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む抗体と本質的に同じ、ヒトPD-L1に対する一価結合親和性(K)を有する抗体またはその断片。
  2. PD-L1に結合する抗体またはその断片であって、
    (a)
    (1)
    (i)配列番号1、27、または53、
    (ii)配列番号7、33、または59、
    (iii)配列番号12、38、または64、
    (iv)配列番号13、39、または65、および
    (v)配列番号18、44、または70
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1;
    (2)
    (i)配列番号2、28、または54、
    (ii)配列番号8、34、または60、
    (iii)配列番号14、40、または66、
    (iv)配列番号19、45、または71、および
    (v)配列番号24、50、または76
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2;ならびに
    (3)
    (i)配列番号3、29、または55、
    (ii)配列番号9、35、または61、
    (iii)配列番号15、41、または67、および
    (iv)配列番号20、46、または72
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3;
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)
    (i)配列番号4、30、または56、
    (ii)配列番号10、36、または62、
    (iii)配列番号16、42、または68、および
    (iv)配列番号21、47、または73
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1;
    (2)
    (i)配列番号5、31、または57、
    (ii)配列番号11、37、または63、および
    (iii)配列番号22、48、または74
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2;ならびに
    (3)
    (i)配列番号6、32、または58、
    (ii)配列番号17、43、または69、および
    (iii)配列番号23、49、または75
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、抗体またはその断片。
  3. PD-L1に結合する抗体またはその断片であって、
    (1)
    (i)配列番号1、27、または53、
    (ii)配列番号7、33、または59、
    (iii)配列番号12、38、または64、
    (iv)配列番号13、39、または65、および
    (v)配列番号18、44、または70
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1;
    (2)
    (i)配列番号2、28、または54、
    (ii)配列番号8、34、または60、
    (iii)配列番号14、40、または66、
    (iv)配列番号19、45、または71、および
    (v)配列番号24、50、または76
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2;ならびに
    (3)
    (i)配列番号3、29、または55、
    (ii)配列番号9、35、または61、
    (iii)配列番号15、41、または67、および
    (iv)配列番号20、46、または72
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域を含む、抗体またはその断片。
  4. PD-L1に結合する抗体またはその断片であって、
    (1)
    (i)配列番号4、30、または56、
    (ii)配列番号10、36、または62、
    (iii)配列番号16、42、または68、および
    (iv)配列番号21、47、または73
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1;
    (2)
    (i)配列番号5、31、または57、
    (ii)配列番号11、37、または63、および
    (iii)配列番号22、48、または74
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2;ならびに
    (3)
    (i)配列番号6、32、または58、
    (ii)配列番号17、43、または69、および
    (iii)配列番号23、49、または75
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域を含む、抗体またはその断片。
  5. PD-L1に結合する抗体またはその断片であって、
    配列番号25であるVH配列および配列番号26であるVL配列を含む、P22と称される抗体からの;
    配列番号51であるVH配列および配列番号52であるVL配列を含む、P24と称される抗体からの;または
    配列番号77であるVH配列および配列番号78であるVL配列を含む、P31.2と称される抗体からのからの
    3つの重鎖相補性決定領域(CDR)全てまたは3つの軽鎖CDR全てを含む、抗体またはその断片。
  6. 前記P22と称される抗体からの3つの重鎖CDR全ておよび3つの軽鎖CDR全てを含む、請求項5に記載の抗体またはその断片。
  7. 前記P24と称される抗体からの3つの重鎖CDR全ておよび3つの軽鎖CDR全てを含む、請求項5に記載の抗体またはその断片。
  8. 前記P31.2と称される抗体からの3つの重鎖CDR全ておよび3つの軽鎖CDR全てを含む、請求項5に記載の抗体またはその断片。
  9. (a)表1~3に示されるV CDR1、V CDR2およびV CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(V)領域
    または
    (b)表1~3に示されるV CDR1、V CDR2およびV CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(V)領域
    を含む、PD-L1に結合する抗体またはその断片。
  10. (a)表1~3に示されるV CDR1、V CDR2およびV CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(V)領域
    ならびに
    (b)表1~3に示されるV CDR1、V CDR2およびV CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(V)領域
    を含む、請求項9に記載の抗体またはその断片。
  11. 表1~3に示されるV CDR1、V CDR2およびV CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(V)領域を含む、請求項9に記載の抗体またはその断片。
  12. 表1~3に示されるV CDR1、V CDR2およびV CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(V)領域を含む、請求項9に記載の抗体またはその断片。
  13. (a)
    (1)配列番号1、7、12、13および18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号2、8、14、19および24からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2、ならびに
    (3)配列番号3、9、15および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号4、10、16および21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号5、11および22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2、ならびに
    (3)配列番号6、17および23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項9に記載の抗体またはその断片。
  14. (a)
    (1)配列番号1のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号2のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号3のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号4のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号5のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号6のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項13に記載の抗体またはその断片。
  15. (a)
    (1)配列番号7のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号8のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号9のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号10のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号11のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号6のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項13に記載の抗体またはその断片。
  16. (a)
    (1)配列番号12のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号2のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号3のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号4のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号5のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号6のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項13に記載の抗体またはその断片。
  17. (a)
    (1)配列番号13のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号14のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号15のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号16のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号11のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号17のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項13に記載の抗体またはその断片。
  18. (a)
    (1)配列番号18のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号19のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号20のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号21のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号22のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号23のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項13に記載の抗体またはその断片。
  19. (a)
    (1)配列番号1のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号24のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号3のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号4のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号5のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号6のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項13に記載の抗体またはその断片。
  20. (a)
    (1)配列番号27、33、38、39、および44からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号28、34、40、45、および50からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2、ならびに
    (3)配列番号29、35、41、および46からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号30、36、42、および47からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号31、37、および48からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2、ならびに
    (3)配列番号32、43、および49からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項9に記載の抗体またはその断片。
  21. (a)
    (1)配列番号27のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号28のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号29のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号30のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号31のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号32のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項20に記載の抗体またはその断片。
  22. (a)
    (1)配列番号33のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号34のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号35のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号36のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号37のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号32のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項20に記載の抗体またはその断片。
  23. (a)
    (1)配列番号38のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号28のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号29のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号30のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号31のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号32のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項20に記載の抗体またはその断片。
  24. (a)
    (1)配列番号39のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号40のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号41のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号42のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号37のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号43のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項20に記載の抗体またはその断片。
  25. (a)
    (1)配列番号44のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号45のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号46のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号47のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号48のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号49のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項20に記載の抗体またはその断片。
  26. (a)
    (1)配列番号27のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号50のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号29のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号30のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号31のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号32のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項20に記載の抗体またはその断片。
  27. (a)
    (1)配列番号53、59、64、65、および70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号54、60、66、71、および76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2、ならびに
    (3)配列番号55、61、67、および72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号56、62、68および73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号57、63、および74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR2、ならびに
    (3)配列番号58、69、および75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項9に記載の抗体またはその断片。
  28. (a)
    (1)配列番号53のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号54のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号55のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号56のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号57のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号58のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項27に記載の抗体またはその断片。
  29. (a)
    (1)配列番号59のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号60のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号61のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号62のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号63のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号58のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項27に記載の抗体またはその断片。
  30. (a)
    (1)配列番号64のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号54のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号55のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号56のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号57のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号58のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項27に記載の抗体またはその断片。
  31. (a)
    (1)配列番号65のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号66のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号67のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号68のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号63のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号69のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項27に記載の抗体またはその断片。
  32. (a)
    (1)配列番号70のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号71のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号72のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号73のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号74のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号75のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項27に記載の抗体またはその断片。
  33. (a)
    (1)配列番号53のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号76のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号55のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む重鎖可変(V)領域と、
    (b)
    (1)配列番号56のアミノ酸配列を有するV CDR1、
    (2)配列番号57のアミノ酸配列を有するV CDR2、および
    (3)配列番号58のアミノ酸配列を有するV CDR3
    を含む軽鎖可変(V)領域と
    を含む、請求項27に記載の抗体またはその断片。
  34. 前記V領域またはV領域が、ヒトフレームワーク配列をさらに含む、請求項9から33のいずれか一項に記載の抗体またはその断片。
  35. 前記VH領域およびVL領域が、ヒトフレームワーク配列をさらに含む、請求項34に記載の抗体またはその断片。
  36. 前記V領域またはV領域が、フレームワーク1(FR1)、フレームワーク2(FR2)、フレームワーク3(FR3)、および/またはフレームワーク4(FR4)配列をさらに含む、請求項9から33のいずれか一項に記載の抗体またはその断片。
  37. 前記VH領域およびVL領域が、フレームワーク1(FR1)、フレームワーク2(FR2)、フレームワーク3(FR3)、およびフレームワーク4(FR4)配列をさらに含む、請求項36に記載の抗体またはその断片。
  38. モノクローナル抗体である、請求項1から37のいずれか一項に記載の抗体またはその断片。
  39. 前記モノクローナル抗体が、ヒト化抗体、ヒト抗体、またはキメラ抗体である、請求項38に記載の抗体またはその断片。
  40. Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、scFv、(scFv)、単鎖抗体分子、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体、V領域、または抗体断片から形成された多重特異性抗体である、請求項1から39のいずれか一項に記載の抗体またはその断片。
  41. 診断剤、検出剤または治療剤とコンジュゲートしている、または組換えによって融合している、請求項1から40のいずれか一項に記載の抗体またはその断片。
  42. 前記治療剤が、化学療法剤、細胞毒、または薬物である、請求項41に記載の抗体またはその断片。
  43. 請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体またはその断片と本質的に同じエピトープに結合する結合性作用剤。
  44. 抗体またはその断片である、請求項43に記載の結合性作用剤。
  45. 非抗体タンパク質足場を含む、請求項43に記載の結合性作用剤。
  46. 前記非抗体タンパク質足場が、フィブロネクチン足場、アンチカリン、アドネクチン、アフィボディ、DARPin、フィノマー、アフィチン、アフィリン、アビマー、システインリッチノッチンペプチド、または操作されたクニッツ型阻害剤を含む、請求項45に記載の結合性作用剤。
  47. 請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体またはその断片と、ヒトPD-L1への結合について競合する、結合性作用剤。
  48. 抗体またはその断片である、請求項47に記載の結合性作用剤。
  49. 請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体またはその断片をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む1つまたは複数のベクター。
  50. 請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体またはその断片、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  51. 対象におけるがんまたは腫瘍を処置するための方法であって、前記対象に請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体もしくはその断片、または請求項50に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
  52. 対象におけるがんまたは腫瘍に付随する1つまたは複数の症状を緩和するための方法であって、前記対象に請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体もしくはその断片、または請求項50に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
  53. 腫瘍を有する対象における腫瘍サイズを縮小するための方法であって、前記対象に請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体もしくはその断片、または請求項50に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
  54. 腫瘍を有する対象における腫瘍細胞除去を増強するための方法であって、前記対象に請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体もしくはその断片、または請求項50に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
  55. 対象におけるT細胞機能不全疾患、障害または状態を処置するための方法であって、前記対象に請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体もしくはその断片、または請求項50に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
  56. 前記T細胞機能不全疾患、障害または状態が、腫瘍免疫である、請求項55に記載の方法。
  57. 対象におけるT細胞機能を増強するための方法であって、前記対象に請求項1から42のいずれか一項に記載の抗体もしくはその断片、または請求項50に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
  58. 前記T細胞機能が、サイトカインの分泌である、請求項57に記載の方法。
  59. 前記T細胞機能が、腫瘍細胞の除去である、請求項57に記載の方法。
  60. 前記対象が、がんまたは腫瘍の診断を受けている、請求項57から59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 前記対象に、1つまたは複数の治療剤を、前記抗体もしくはその断片または前記医薬組成物と組み合わせて投与する、請求項51から60のいずれか一項に記載の方法。
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