JP2023534460A - コンジュゲーション部位を有するt細胞調節性ポリペプチド及びその使用方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、化学的コンジュゲーション部位及び少なくとも1つの免疫調節性ポリペプチド配列を含むT細胞調節ポリペプチド(T細胞-MP)であって、少なくとも1つの免疫調節性ポリペプチド配列は、そのコグネイト共免疫調節性ポリペプチドに対する減少した結合親和性を示すように選択され得る、T細胞調節ポリペプチド(T細胞-MP)を提供する。コンジュゲートされていないT細胞-MPは、エピトープを提示する分子にコンジュゲートされてT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを形成し得る。T細胞-エピトープコンジュゲートは、コンジュゲートエピトープに特異的なT細胞の活性を調節する(例えば、増殖または細胞傷害活性を増加させる)のに有用であり、したがって、治療剤としての使用のために有用である。【選択図】図1

Description

配列表の組み込み
本出願は、紙コピー及びコンピュータ可読形式(CRF)の両方として機能する、EFS-webを介して電子的に提出された配列表を含有し、「123640-8021US02_seqlist.txt」という名前のファイルからなり、これは2021年7月13日に作成され、サイズが641,516バイトであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
序論
適応免疫反応を誘導する能力は、T細胞の表面上に配置されたT細胞受容体(TCR)と、抗原提示細胞(APC)の表面上に提示される主要組織適合遺伝子複合体(MHC;ヒトではヒト白血球抗原(HLA)複合体とも称される)によって提示される小ペプチドまたは非ペプチド分子(例えば、ポリペプチド等の分子のエピトープ)との係合を伴う。この係合は、免疫系の標的化メカニズムを表し、T細胞調節(活性化または阻害)及びエフェクター機能のための不可欠な分子相互作用である。エピトープ特異的細胞標的化の後、標的とされたT細胞の反応は、T細胞上の対応受容体の係合を介して作用する免疫調節性分子(その一部はAPCの表面上に見られる)の存在によって指示される。両方のシグナル(エピトープ/TCR結合及び免疫調節性分子とT細胞上のそれらの対応受容体との係合)は、標的T細胞機能の活性化または阻害を誘導するために必要とされる。TCRは、所与のエピトープに特異的である;しかしながら、免疫調節性分子のための対応受容体は、エピトープ特異的ではなく、代わりに、すべてのT細胞または大型のT細胞サブセットに広く発現する。
本開示は、とりわけ、哺乳動物(例えば、ヒト)の様々な疾患(例えば、がん、ウイルス感染症及び自己免疫障害)及び他の障害のin vivo、ex vivo、及びin vitro処置の方法及びそのような処置のための薬品の調製に利用されるT細胞調節性ポリペプチド(「T細胞-MP」または多重「T細胞-MP」)を提供する。一態様では、本明細書に記載のT細胞-MPは、クラスI MHC-Hポリペプチドの一部、β2Mポリペプチド、エピトープ提示分子に共有結合させるための化学的コンジュゲーション部位、及び少なくとも1つの免疫調節性ポリペプチド(本明細書で「MODポリペプチド」または、単に、「MOD」とも称される)を含む。T細胞-MPに存在するMODの任意の1つ以上は、Co-MODと称される野生型(「wt.」)、またはその細胞結合パートナー/受容体(例えば、T細胞表面)に対する変化した結合親和性を示すバリアントであり得る。
T細胞-MPは、コンジュゲートされていない場合があり、その場合、それらは、少なくとも1つの化学的コンジュゲーション部位を含み、そこで標的抗原決定基を含む分子(例えば、ペプチド、糖ペプチド、または非ペプチド、例えば、エピトープを提示する炭水化物)が共有結合されて、T細胞受容体を保有する細胞への提示のためのT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを形成し得る。エピトープを連結させるための化学的コンジュゲーション部位を含むコンジュゲートされていないT細胞-MPは、提示されるエピトープに特異的なT細胞の活性を調節し得るT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを迅速に調製するため、及び、したがって、個体におけるそれらのT細胞を伴う免疫反応を調節するために有用である。
本明細書に記載のT細胞-MPは、細胞ベースの発現システムにおける生成に好適であり、その場合、発現したコンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチド/タンパク質のほとんど、または実質的にすべて(例えば、75%、85%または90%超)またはすべては、37℃において組織培養における生成及び少なくともその温度までの使用のために好適に安定した可溶性非凝集状態である。T細胞-MPは、有利には、単一のベクターに含有される核酸配列によってコードされる単一のポリペプチドとして生成され得る。T細胞-MPは、高次構造、例えば、二重体(例えば、図1を参照されたい)を形成し得、これは、図9のようなホモ二量体、または、例えば、図10及び11に示されるように2つのT細胞-MPから形成される場合はヘテロ二量体であり得る。コンジュゲートされていないT細胞-MPは、例えば、25、40、60、または80mg/リットル超(例えば、CHO細胞において約25~約40、約40~約60、または約60~約80mg/l)の高収率で発現し得る。特にジスルフィド結合がMHC-H鎖αヘリックスのカルボキシル末端とMHC-H鎖α2-1ヘリックスとの間に存在し(例えば、Y84CからA139Cへのジスルフィド結合)、MHC-Hポリペプチド配列とβ2Mポリペプチドとの間のリンカーが十分な長さのものである(例えば、約10~約50aa長)場合に収率が高い場合がある。ジスルフィド結合がα及びαヘリックスの間に存在する場合、コンジュゲートされていないT細胞-MP発現レベルは、80mg/lを超え得る(例えば、約80~約100、約100~約120、約120~約140、約140~約160、約160~約180、または約180~約200mg/l)。
精製されると、発現したコンジュゲートされていないT細胞-MPタンパク質のほとんど、実質的にすべて(例えば、T細胞-MPの85%または90%超)、またはすべては、エピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)へのコンジュゲーション後であっても可溶性非凝集状態で残存し、コンジュゲートされていないT細胞-MPと比較して同様に安定である。コンジュゲートされていないT細胞-MP及びそれらのエピトープコンジュゲートは、T細胞-MPエピトープコンジュゲートを特定の細胞または組織(例えば、腫瘍)に仕向け得る標的化配列を追加的に含み得る。特定の標的エピトープとの共送達のためのペイロード(例えば、生物活性物質または標識)、例えば、治療剤(例えば、化学療法剤)もまた、架橋剤等によってT細胞-MPに共有結合され得る。したがって、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、標的化配列を用いてエピトープ特異的手法でT細胞にMOD(例えば、IL-2、4-1BBL、FasL、TGF-β、CD70、CD80、CD86、またはそのバリアント)及び/またはペイロード(例えば、化学療法剤)を送達する手段とみなされ得る。
T細胞-MPは、関連するエピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)の非存在下であっても細胞内輸送中の及び/または多量体ポリペプチドを発現する細胞による分泌後のコンジュゲートされていないT細胞-MPの安定化を補助する修飾を含み得る。1つのそのような修飾は、MHCクラスIのαヘリックスのカルボキシル末端におけるアミノ酸位置84(またはその隣接アミノ酸配列aac1及びaac2)と、MHC-クラスIのα2-1ヘリックスのアミノ末端におけるアミノ酸位置139(またはその隣接アミノ酸配列aac3及びaac4)との間に形成される結合(例えば、ジスルフィド結合)である。例えば、MHC-Hのアミノ酸84(Y84C置換)及び139(A139C置換)または同等の位置(例えば、図3Iを参照されたい)におけるシステイン残基の挿入は、T細胞-MPの安定化を補助するジスルフィド結合を形成し得る。例えば、Z.Hein et al.(2014),Journal of Cell Science 127:2885-2897を参照されたい。
本明細書に記載のT細胞-MP分子の1つの態様は、コンジュゲートされていないT細胞-MPであって、ポリペプチドは、(例えば、N末端からC末端まで)
(i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
(ii)1つ以上の任意のMODポリペプチド配列をβ2Mポリペプチド配列に接続させる任意のL2リンカーポリペプチド配列;
(iii)β2Mポリペプチド配列;
(iv)任意のL3リンカーポリペプチド配列(例えば、長さが10~50aa);
(v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列;
(vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;
(vii)骨格ポリペプチド配列(例えば、免疫グロブリンFc配列);
(viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
を含み、コンジュゲートされていないT細胞調節性ポリペプチドは、少なくとも1つのMODポリペプチド配列(例えば、要素(i)及び/または(ix)のMOD(複数可))を含み;
を含み、β2Mポリペプチド配列、L3リンカーポリペプチド配列、及び/またはMHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位(例えば、タンパク質操作、例えば、システイン置換によって提供される)を含む、コンジュゲートされていないT細胞-MPを広く対象とする。
そのようなコンジュゲートされていないT細胞-MPは、共有結合したエピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)を含まないことが理解される;しかしながら、本開示は、共有結合したエピトープをさらに含むT細胞-MPエピトープコンジュゲートを含み、それを提供する。共有結合したエピトープは、MHC-H/β2Mポリペプチド配列の結合割れ目内に位置し、TCRに提示され得、それによりその分子を臨床検査及び診断のための薬剤として、及び治療剤として使用することが可能となる。本明細書に記載のT細胞-MP及びそれらのエピトープコンジュゲートは、存在するMOD(複数可)に応じて臨床的に有効なレベルの抗原特異的T細胞調節(例えば、阻害または活性化)を可能にする拡縮可能な抗原提示細胞非依存性(APC非依存性)免疫治療剤を表す。その上、免疫グロブリンFcドメインであり得るT細胞MPの骨格部分は、それらの活性化のために十分なコグネイトT細胞に対するMHC-エピトープコンジュゲート及びMOD部位の多価提示を可能にする。
β2Mポリペプチドに対するエピトープの間接的(リンカーを介する)共有結合を有し、かつwt.及び/またはバリアントMOD(例えば、それらの受容体(Co-MOD)に対する減少した親和性を有する)であり得るMODを保有する二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの実施形態によるT細胞の優先的活性化を示している。第1のエピトープ特異的T細胞は、TCR及びCo-MODの両方の生産的係合により活性化される。対照的に、第2のエピトープ非特異的T細胞は、エピトープがTCRに係合することができないので活性化されず、よって、MODは、それら自体で生産的係合をもたらさない。リンカー及び任意のリンカーの箇所は、T細胞-MPの要素を接続する黒色の線によって表される。
免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1~13を含む)を提供する。 免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1~13を含む)を提供する。 免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1~13を含む)を提供する。 免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1~13を含む)を提供する。 免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1~13を含む)を提供する。 免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1~13を含む)を提供する。 免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1~13を含む)を提供する。 免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1~13を含む)を提供する。
ヒト免疫グロブリンJ-鎖の配列(配列番号14)を提供する。
Ig CH1ドメイン配列の配列(配列番号15)を提供する。
Igκ及びIgλ鎖の配列(配列番号16~17)を提供する。
主要組織適合遺伝子複合体クラスI重鎖(MHC-H;ヒト白血球抗原(HLA)クラスI重鎖としても知られている)ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。シグナル配列aa1~24は、太字で下線が引かれている。図3Aエントリ:3A.1は、HLA-A重鎖(HLA-A*01:01:01:01またはA*0101)(NCBIアクセッションNP_001229687.1)、配列番号18であり;エントリ3A.2は、HLA-A*1101、配列番号19であり;エントリ3A.3は、HLA-A*2402、配列番号20であり、エントリ3A.4は、HLA-A*3303、配列番号21である。 主要組織適合遺伝子複合体クラスI重鎖(MHC-H;ヒト白血球抗原(HLA)クラスI重鎖としても知られている)ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。シグナル配列aa1~24は、太字で下線が引かれている。図3Bは、HLA-B*07:02:01(HLA-B*0702)(NCBI GenBank Accession NP_005505.2)の配列である配列番号22を提供する。 主要組織適合遺伝子複合体クラスI重鎖(MHC-H;ヒト白血球抗原(HLA)クラスI重鎖としても知られている)ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。シグナル配列aa1~24は、太字で下線が引かれている。図3Cは、HLA-C*0701(GenBank Accession NP_001229971.1)(HLA-C*07:01:01:01またはHLA-Cw*070101)、(HLA-Cw*07)(GenBank Accession CAO78194.1を参照されたい)、配列番号23の配列を提供する。
11種の成熟MHC-Hポリペプチド配列(それらのリーダー、膜貫通及び細胞内ドメイン領域のすべて、または実質的にすべてを有しない)のα1、α2、及びα3ドメインのすべて、または実質的にすべてのアライメントを提供する。アライメントされた配列には、ヒトHLA-A*0101、配列番号24(配列番号18も参照されたい);HLA-B*0702、配列番号25;HLA-C、配列番号26;HLA-A*0201、配列番号27;マウスH2Kタンパク質配列、配列番号28;HLA-Aの3つのバリアント(var.2、var.2C[Y84C及びA139C置換を有する]、及びvar.2CP)、配列番号29~31;3つのヒトHLA-A分子(HLA-A*1101(HLA-A11)、配列番号32;HLA-A*2402(HLA-A24)、配列番号33;及びHLA-A*3303(HLA-A33)、配列番号34)が含まれる。HLA-A*0201は、HLA-Aのバリアントである。HLA-AのY84A及びA236Cバリアントは、HLA-A(var.2)として表記されている。HLA-A(var.2C)として表記されている7番目のHLA-A配列は、位置84、139及び236でC残基で置換されたHLA-Aを示しており、8番目の配列は、1つの追加のプロリンを先行の配列のC末端に付加している。9~11番目の配列は、それぞれ、HLA-A11(HLA-A*1101);HLA-A24(HLA-A*2402);及びHLA-A33(HLA-A*3303)からのものであり、これらは、所定のアジア人集団において多く存在する。アライメントでは、結合するペプチドエピトープの非存在下でMHC-H-β2M複合体を安定化するためのジスルフィド結合の形成のためのその位置におけるaaに代わってシステイン残基が挿入され得る箇所(成熟タンパク質の84及び139)が示されている。また、アライメントでは、β2Mと(例えば、HLA-A*0201のA236Cからβ2MのR12Cへのジスルフィド結合を形成する成熟ポリペプチドのaa12で)鎖間ジスルフィド結合を形成し得るシステイン残基によって置き換えられ得る位置236(成熟ポリペプチドのもの)が示されている。矢印がそれらの箇所の各々の上に現れており、残基は太字である。残基84、139及び236を挟むボックスは、(i)任意の天然に存在するaaまたは(ii)プロリンまたはグリシンを除く任意の天然に存在するaaから独立して選択される1~5aaによって置き換えられ得るクラスター1、2、3、4、5、及び6(それぞれ、aac1~aac6として図に示されている)として表記されている、それらの5残基の6セットの各々の側の5aaの群を示している。
いくつかの成熟HLA-A、-B、及び-CクラスI重鎖のα1、α2、及びα3ドメインのすべて、または実質的にすべてのaa配列のアライメントをそれぞれを提供する。配列は、成熟タンパク質(それらのリーダー配列、膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインのすべて、または実質的にすべてを有しない)の一部を提供する。図3Dに記載されるように、aa残基84、139、及び236の位置ならびに(i)任意の天然に存在するaaまたは(ii)プロリンまたはグリシンを除く任意の天然に存在するaaから独立して選択される1~5aaによって置き換えられ得るそれらの隣接残基(aac1~aac6)も示されている。コンセンサス配列もまた、図に提供されるHLAアレルの各群について提供されており、その図は、連続付番された「X」残基としての可変aa位置及び二重下線が引かれたaa84、139及び236の箇所を示している。 いくつかの成熟HLA-A、-B、及び-CクラスI重鎖のα1、α2、及びα3ドメインのすべて、または実質的にすべてのaa配列のアライメントをそれぞれを提供する。配列は、成熟タンパク質(それらのリーダー配列、膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインのすべて、または実質的にすべてを有しない)の一部を提供する。図3Dに記載されるように、aa残基84、139、及び236の位置ならびに(i)任意の天然に存在するaaまたは(ii)プロリンまたはグリシンを除く任意の天然に存在するaaから独立して選択される1~5aaによって置き換えられ得るそれらの隣接残基(aac1~aac6)も示されている。コンセンサス配列もまた、図に提供されるHLAアレルの各群について提供されており、その図は、連続付番された「X」残基としての可変aa位置及び二重下線が引かれたaa84、139及び236の箇所を示している。 いくつかの成熟HLA-A、-B、及び-CクラスI重鎖のα1、α2、及びα3ドメインのすべて、または実質的にすべてのaa配列のアライメントをそれぞれを提供する。配列は、成熟タンパク質(それらのリーダー配列、膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインのすべて、または実質的にすべてを有しない)の一部を提供する。図3Dに記載されるように、aa残基84、139、及び236の位置ならびに(i)任意の天然に存在するaaまたは(ii)プロリンまたはグリシンを除く任意の天然に存在するaaから独立して選択される1~5aaによって置き換えられ得るそれらの隣接残基(aac1~aac6)も示されている。コンセンサス配列もまた、図に提供されるHLAアレルの各群について提供されており、その図は、連続付番された「X」残基としての可変aa位置及び二重下線が引かれたaa84、139及び236の箇所を示している。
HLA-E、-F、及び-Gポリペプチドの各々のα1、α2、及びα3ドメインのすべて、または実質的にすべてについてのコンセンサス配列を、連続付番された「X」残基として示された可変aa位置及び二重下線が引かれたaa84、139及び236の箇所と共に提供する。
図3E~3Hに提供されるHLA-A、-B、-C、-E、-F、及び-G(配列番号39、47、及び57~60)のコンセンサスaa配列のアライメントを提供する。アライメントは、異なる配列間のaaの一致を示している。各配列における可変残基は、連続付番が除かれた「X」として列挙されている。各可変残基における容認可能なaaは、図3E~3Hへの参照によって決定され得る。図3Dに示されているように、aa84、139及び236の箇所と共に、(i)任意の天然に存在するaaまたは(ii)プロリンまたはグリシンを除く任意の天然に存在するaaから独立して選択される1~5aaによって置き換えられ得るそれらの隣接する5aaクラスターも示されている。
Homo sapiens(NP_004039.1;配列番号61)、Pan troglodytes(NP_001009066.1;配列番号62)、Macaca mulatta(NP_001040602.1;配列番号63)、Bos Taurus(NP_776318.1;配列番号64)及びMus musculus(NP_033865.2;配列番号65)からのβ2M前駆体(すなわち、リーダー配列を含む)の多重aa配列アライメントを提供する。下線が引かれたaa1~20は、シグナルペプチド(時にリーダー配列と称される)である。成熟β2M配列は、aa21で開始する。
AからFとして表記された6つのコンジュゲートされていないT細胞-MPの実施形態(構造)を提供する。各場合において、T細胞-MPは、少なくとも1つのMODポリペプチド配列;N末端からC末端方向の要素:β2Mポリペプチド配列、MHC-Hのα1、α2、及びα3ドメイン配列を含むクラスI MHC-Hポリペプチド配列を含むコア構造;ならびに骨格ポリペプチド配列(例えば、Ig Fcポリペプチド配列)を含む。示される実施形態では、α1及びα2ポリペプチド配列は、例えば、Tyr84及びAla139で置換されたシステイン(Y84C及びA139C置換)間のペプチド内結合によって連結されている。1つ以上のMODは、コア構造のアミノ及び/またはカルボキシル側に配置されている。L1~L6として表記されている独立して選択される任意のリンカーポリペプチドは、線セグメントによって示されている。任意のリンカーポリペプチドは、T細胞-MPポリペプチドの末端または示されたポリペプチド配列の接続において現れ得る。エピトープをカップリングさせるための化学的コンジュゲーション部位は、T細胞-MP上の任意の箇所に配置され得るが、化学的コンジュゲーション部位のためのβ2Mポリペプチド配列及びMHC-Hポリペプチド配列における潜在的箇所は、アスタリスクによって示されている。示されていないが、化学的コンジュゲーション部位はまた、β2Mポリペプチド配列及びMHC-Hポリペプチド配列を接続させるL3リンカーにおいて配置され得る。
図5における実施形態に類似するA~Fとして表記されているコンジュゲートされていないT細胞-MPの6つの実施形態を提供する。示される実施形態では、化学的コンジュゲーション部位は、β2Mポリペプチド配列(例えば、E44C置換を含む)に存在するものとして示されており、骨格は、種間であり得る免疫グロブリンFc領域であり、それにより、2つの異なるコンジュゲートされていないT細胞-MPが特異的に組み合わさってヘテロ二重体を形成することが可能となる。
異なるMOD置換(例えば、構造AにおけるタンデムIL-2 MOD)を有するコンジュゲートされていないT細胞-MPの例を提供する。化学的コンジュゲーション部位は、β2Mポリペプチド配列(例えば、E44C置換)に存在するものとして示されている;しかしながら、それらは、MHC-Hポリペプチド(α1、α2、及びα3配列)、またはβ2M及びMHCポリペプチドを接続させるリンカーにあり得る。Fc骨格は、その対応配列とヘテロ二量体を形成し得る種間Fcポリペプチド配列等の任意の他の骨格配列によって置き換えられ得、列挙された特定のリンカーは、例示にすぎず、他のリンカーポリペプチド配列によって置き換えられ得る。
エピトープコンジュゲートを形成するためにT細胞-MPに存在する遊離求核剤(例えば、システイン)へのコンジュゲーションのために付加されたマレイミド基を有するエピトープのいくつかの概略図を示している。「a」では、マレイミド基は、任意のリンカー(例えば、ペプチドリンカー配列)によってエピトープに結合される。「b」~「e」では、リンカーは、n回繰り返されたグリシンセリンポリペプチドGGGGS(配列番号139)であり、nは、存在する場合、1~5であり、リンカーが存在しない場合はnは0である。「c」~「e」では、マレイミド基の結合は、(GGGGS)nリンカーの末端のリジン(K)を介し、例えば、リジンのイプシロンアミノ基を介する。「d」及び「e」では、マレイミド基は、リジン(K)残基のイプシロンアミノ基と形成されたアルキルアミドを介してペプチドに連結されており、mは、1~7である。
(A)で示される骨格(この場合Ig Fc骨格)を有するコンジュゲートされていないT細胞-MPからのコンジュゲートされたT細胞-MPホモ二重体の形成を示している。(A)からのコンジュゲートされたT細胞-MPポリペプチドは、骨格配列間の相互作用を介して(B)に示されているようにホモ二重体を形成する。コンジュゲートされていないホモ二重体は、T細胞-MPタンパク質を安定にまたは一過性に発現する細胞から単離され得る。通常は精製された形態のコンジュゲートされていないホモ二重体は、エピトープをコンジュゲーション部位にカップリングすることによって化学的コンジュゲーションに供され、これは、(C)に示されるT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを生成するための、β2Mポリペプチド配列(例えば、E44C置換を含む)におけるシステインとマレイミド標識ペプチドとの間の反応によって例示される。過剰の反応性ペプチドは除去され得、または(コンジュゲーション部位の量に対して)準化学量論量の反応性エピトープは、コンジュゲートされたT細胞-MPホモ二重体を生成するために利用され得る。コンストラクトは、用いられ得るリンカーの例示である、示されるリンカー配列に限定されない。
(A)で示されるヘテロ二重体を選択的に形成する骨格(この場合、種間ノブ・イン・ホールIg Fc骨格)を有するコンジュゲートされていないT細胞-MPからのコンジュゲートされたT細胞-MPヘテロ二重体の形成を示している。コンジュゲートされたT細胞-MPポリペプチドは、種間骨格配列間の相互作用を介して(B)に示されているようにヘテロ二重体を形成する。コンジュゲートされていないヘテロ二重体は、そのタンパク質を安定にまたは一過性に発現する細胞から単離され得る。通常は精製された形態のコンジュゲートされていないヘテロ二重体は、エピトープをコンジュゲーション部位にカップリングすることによって化学的コンジュゲーションに供され、これは、(C)に示されるT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを生成するための、β2Mポリペプチド配列(例えば、E44C置換)におけるシステインとマレイミド標識ペプチドとの間の反応によって例示される。過剰の反応性ペプチドは除去され得、または(コンジュゲーション部位の量に対して)準化学量論量の反応性エピトープは、コンジュゲートされたT細胞-MPヘテロ二重体(示されるようにT細胞-MPポリペプチドの各々に異なるMODを含み得る)を生成するために利用され得る。コンストラクトは、用いられ得るリンカーの例示である、示されるリンカー配列に限定されない。
3つのヘテロ二量体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート二重体を示している。各々は、種間Ig Fcポリペプチド対を含む骨格を有する;しかしながら、骨格ポリペプチドは、任意の他の種間ポリペプチド対によって置き換えられ得る。コンストラクトは、用いられ得るリンカーの例示である、示されるリンカー配列に限定されない。
L3リンカー内及び他の箇所における様々な置換を有する分子(コンストラクト)を用いた、実施例1に記載される培養されたCHO細胞におけるT細胞-MPを含む一連の分子の発現についての比較結果を示している。分子の構造全体がA、B、及びCで提供される。分子の力価(タンパク質の量)及び凝集していない分子(例えば、可溶性二重体として存在している)の画分は、それぞれ、ヒストグラムD及びEにおいて提供される。
数日にわたって32及び28°の両方で1ml当たり2、4、及び6百万細胞でのコンジュゲートされていないT細胞-MP(3回繰り返されたGlySerからなるL3リンカーを有するコンストラクト3861)の培養における生成及び安定性を示している(A及びB)。クロマトグラムは、サイズ排除クロマトグラフィーによるさらなる精製の前(C)及び後(D)の培養物からのプロテインA精製された物質を示している。クマシーブルーゲル(E)は、物質が、還元された場合(R)の103128ダルトン及び非還元サンプルの場合の206213ダルトンにおける分子量標準(Mw)に対して移動することを示している。詳細については実施例2を参照されたい。
Aにおいて、コンジュゲートされたエピトープに特異的なT細胞に対するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの特異性を実証する。Bにおいて、図14は、エピトープコンジュゲートの非還元及び還元サンプルの電気泳動ゲルを示している。詳細については実施例3を参照されたい。
実施例4に記載されるT細胞-MPエピトープコンジュゲート及び対照処置に対する、CMV及びMART-1反応ドナーからのLeukopakサンプルに存在するCD8+T細胞の反応を示している。 実施例4に記載されるT細胞-MPエピトープコンジュゲート及び対照処置に対する、CMV及びMART-1反応ドナーからのLeukopakサンプルに存在するCD8+T細胞の反応を示している。
2つのシリーズのコンジュゲートされていないT細胞-MPのCHO細胞発現に対するL3リンカーの長さの効果を示しており、AにおけるOctet分析による培地中の力価、及びプロテインA磁性ビーズでの精製後のBにおけるサンプルに存在する非凝集(二重体)分子の画分を提供する。
T細胞(例えば、CD8+細胞傷害性T細胞)を標的細胞(例えば、示されるようながん細胞)に仕向け、T細胞の反応を標的細胞に仕向ける方法を示している。
本開示において論述される所定のコンストラクトのアミノ酸配列を提供する。リンカー配列(例えば、AAAGG及びGGGGS)は、それらの同定を可能にするために太字でイタリック体で下線が引かれている場合がある。MHCクラスI重鎖における示された単一のアミノ酸置換は、下線を伴って太字で示されている。ヒトIL2配列は、hIL2によって示され、ベータ-2-ミクログロブリン配列は、β2Mによって示され、及びHLA-A02配列は、HLA-A*0201によって示され、各々は、示されたaa置換を保有する。
定義
T細胞-MPという用語は、コンジュゲートされていないT細胞-MP及びT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの両方について包括的であり、それらを含む。用語「コンジュゲートされていないT細胞-MP(または複数の場合は「MP(MPs)」)は、エピトープ及び/またはペイロード(例えば、非エピトープ分子、例えば、標識)にコンジュゲート(共有結合)されておらず、そのため、少なくとも1つの化学的コンジュゲーション部位を含むT細胞-MPを指す。コンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドはまた、β2Mポリペプチド配列と併せてMHC-H結合割れ目内に位置し、かつTCRに提示され得る融合したペプチドエピトープを含まない。用語「T細胞-MP-エピトープコンジュゲート」(または複数の場合は「コンジュゲート(conjugates)」)は、共有結合したエピトープが、MHCの結合割れ目に存在し、かつT細胞(エピトープ特異的T細胞)上に発現したそのエピトープに対する特異性を有するTCRに提示されることを可能にする、化学的コンジュゲーション部位でエピトープにコンジュゲート(共有結合)されたT細胞-MPを指す。「T細胞-MP-ペイロードコンジュゲート」及び「T細胞-MP-ペイロードコンジュゲート」は、1つ以上の独立して選択されるペイロードにコンジュゲート(共有結合)されたT細胞-MPを指す。用語「T細胞-MP」にはまた、1つ以上の独立して選択されるMODを含む、またはMODがないコンジュゲートされていないT細胞-MP及びT細胞MP-エピトープコンジュゲートが含まれる。本開示が特に、MODを含有しないT細胞-MPを指すそれらの例では、「MODがないT細胞-MP」または「MODを有しないT細胞-MP」等の用語が用いられる。用語「T細胞-MP」にはまた、1つ以上の独立して選択される標的化配列(以下に論述される)を含むコンジュゲートされていないT細胞-MP及びT細胞MP-エピトープコンジュゲートが含まれる。
本明細書で互換的に使用される用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。よって、これらの用語には、一本鎖、二本鎖、もしくは多本鎖DNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、またはプリン及びピリミジン塩基もしくは他の天然の、化学的もしくは生化学的に修飾された、非天然の、または誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で互換的に使用される用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、別途記述されない限り、哺乳動物細胞における翻訳中にタンパク質に生合成的に組み込まれる天然に存在するタンパク質構成L-アミノ酸であるアミノ酸のポリマー形態を指す。
核酸またはポリペプチドは、別の核酸またはポリペプチドに対する所定の「配列同一性」率を有し、アライメントされた場合、2つの配列を比較した場合に塩基またはアミノ酸のパーセンテージが同じであり、同じ相対的位置にあることを意味する。配列同一性は、多数の異なる方法で決定され得る。配列同一性を決定するために、配列は、BLAST+2.10.0のためのblast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi、ebi.ac.uk/Tools/msa/tcoffee/、ebi.ac.uk/Tools/msa/muscle/、及びmafft.cbrc.jp/alignment/software/を含むサイトでワールドワイドウェブで利用可能な様々な好都合な方法及びコンピュータプログラム(例えば、BLAST、T-COFFEE、MUSCLE、MAFFT等)を使用してアライメントされ得る。例えば、Altschul et al.(1990),J.Mol.Biol.215:403-10を参照されたい。
本明細書で使用される場合、アミノ酸(「aa」単数または「aa(aas)」複数)は、哺乳動物細胞の翻訳においてポリペプチド及びタンパク質に組み込まれた天然に存在するタンパク質構成アミノ酸を意味する。別途記述されない限り、これらは、L(Leu、ロイシン)、A(Ala、アラニン)、G(Gly、グリシン)、S(Ser、セリン)、V(Val、バリン)、F(Phe、フェニルアラニン)、Y(Tyr、チロシン)、H(His、ヒスチジン)、R(Arg、アルギニン)、N(Asn、アスパラギン)、E(Glu、グルタミン酸)、D(Asp、アスパラギン酸)、C(Cys、システイン)、Q(Gln、グルタミン)、I(Ile、イソロイシン)、M(Met、メチオニン)、P(Pro、プロリン)、T(Thr、トレオニン)、K(Lys、リジン)、及びW(Trp、トリプトファン)である。アミノ酸にはまた、哺乳動物細胞に見られるいくつかのタンパク質に現れるアミノ酸であるヒドロキシプロリン及びセレノシステインが含まれる;しかしながら、それらの存在が明示的に示されない限り、それらは含まれると理解されない。
用語「保存的アミノ酸置換」は、同様の側鎖を有するaa残基のタンパク質における互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するaaの群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンからなり;脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有するaaの群は、セリン及びトレオニンからなり;アミド含有側鎖を有するaaの群は、アスパラギン及びグルタミンからなり;芳香族側鎖を有するaaの群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンからなり;塩基性側鎖を有するaaの群は、リジン、アルギニン、及びヒスチジンからなり;酸性側鎖を有するaaの群は、グルタミン酸及びアスパラギン酸からなり;硫黄を含有する側鎖を有するaaの群は、システイン及びメチオニンからなる。例示的な保存的aa置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン-グリシン、及びアスパラギン-グルタミンである。
用語「結合」(または「結合した」)は、通常、例えば、塩橋及び水架橋等の相互作用を含む、共有結合性、静電気性、疎水性、イオン性及び/または水素結合相互作用による、分子及び/または原子間の直接的会合を指す。
用語「結合」(または「結合した」)は、ポリペプチド(例えば、T細胞上のT細胞受容体)に対するT細胞-MP結合に関して使用される場合、2つの分子間の非共有結合性相互作用を指す。非共有結合性相互作用は、例えば、塩橋及び水架橋等の相互作用を含む、静電気性、疎水性、イオン性及び/または水素結合相互作用による、2つの分子間の直接的会合を指す。非共有結合性相互作用は、通常、10-6M未満、10-7M未満、10-8M未満、10-9M未満、10-10M未満、10-11M未満、10-12M未満、10-13M未満、10-14M未満、または10-15M未満の解離定数(K)によって特性化される。「共有結合(covalent bonding)」または「共有結合(covalent binding)」は、本明細書で使用される場合、2つの異なる分子間の1つ以上の共有結合性化学的結合の形成を指す。
「親和性」は、本明細書で使用される場合、通常、非共有結合の強度を指し、増加した結合親和性は、より低いKと相関する。本明細書で使用される場合、用語「親和性」は、2つの物質(例えば、抗体及び抗原)の可逆的結合についての解離定数(K)によって記載され得る。親和性は、非関連aa配列(例えば、リガンド)に対する抗体または受容体の親和性よりも少なくとも1倍~少なくとも1,000倍高い(例えば、少なくとも2倍~少なくとも5倍高い、少なくとも3倍~少なくとも6倍高い、少なくとも4倍~少なくとも8倍高い、少なくとも5倍~少なくとも10倍高い、少なくとも6倍~少なくとも15倍高い、少なくとも7倍~少なくとも20倍高い、少なくとも8倍~少なくとも30倍高い、少なくとも9倍~少なくとも35倍高い、少なくとも10倍~少なくとも40倍高い、少なくとも20倍~少なくとも60倍高い、少なくとも40倍~少なくとも80倍高い、少なくとも60倍~少なくとも180倍高い、少なくとも80倍~少なくとも240倍高い、少なくとも100倍~少なくとも1,000倍高い、または少なくとも1,000倍高い)場合がある。標的タンパク質に対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル濃度(nM)~約0.1nM、約100nM~約1ピコモル濃度(pM)、または約100nM~約1フェムトモル濃度(fM)またはそれ以上であり得る。本明細書で使用される場合、用語「アビディティ」は、2つ以上の物質の複合体が希釈後に解離することに対する抵抗性を指す。
用語「免疫学的シナプス」または「免疫シナプス」は、本明細書で使用される場合、通常、例えば、抗原提示細胞(APC)または標的細胞とエフェクター細胞、例えば、リンパ球、エフェクターT細胞、ナチュラルキラー細胞等との間の界面を含む、適応免疫反応の2つの相互作用する免疫細胞間の自然界面を指す。APCとT細胞との間の免疫学的シナプスは、通常、例えば、Bromley et al.,Ann.Rev.Immunol.2001;19:375-96(その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、T細胞抗原受容体及びMHC分子の相互作用によって開始する。
「T細胞」には、T-ヘルパー細胞(CD4細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8細胞)、制御性T細胞(Treg)、及びNK-T細胞を含む、CD3を発現する免疫細胞のすべてのタイプが含まれる。
用語「免疫調節性ポリペプチド」(「共刺激ポリペプチド」または、上記したように、「MOD」とも称される)には、本明細書で使用される場合、APC(例えば、樹状細胞、B細胞等)上の、またはそうでなければT細胞と相互作用するために利用可能であるポリペプチドまたはその一部(例えば、エクトドメイン)であって、T細胞上に存在するコグネイト共免疫調節性ポリペプチド(「Co-MOD」)に特異的に結合し、それによりシグナルを提供するものが含まれる。MODがそのCo-MODに係合することによって提供されるシグナルは、例えば、TCR/CD3複合体とペプチドエピトープが搭載されたMHCポリペプチドとの結合によって提供される主要シグナルに加えて、T細胞反応を媒介する(例えば、誘導する)。反応には、増殖、活性化、分化等が含まれるがこれらに限定されない。MODには、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、Fasリガンド(FasL)、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、トル様受容体(TLR)に結合するアゴニストまたは抗体、及びB7-H3と特異的に結合するリガンドが含まれ得るがこれらに限定されない。MODはまた、とりわけ、T細胞上に存在するCo-MOD分子と特異的に結合し、それを活性化する抗体または抗体断片、例えば、限定されないが、IL-2、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)としても知られている)、NKG2C、B7-DC、B7-H2、B7-H3、及びCD83のいずれかの受容体に対する抗体を包含する。
「組換え」は、本明細書で使用される場合、特定の核酸(DNAまたはRNA)が、天然系に見られる内因性核酸とは区別可能な構造的コードまたは非コード配列を有するコンストラクトをもたらすクローニング、制限、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び/またはライゲーション工程の様々な組み合わせの産物であることを意味する。ポリペプチドをコードするDNA配列は、細胞または無細胞転写及び翻訳システムに含有される組換え転写単位から発現することが可能な合成核酸を提供するために、cDNA断片からまたは一連の合成オリゴヌクレオチドから構築され得る。
本明細書で互換的に使用される用語「組換え発現ベクター」または「DNAコンストラクト」は、ベクター及び少なくとも1つのインサートを含むDNA分子を指す。組換え発現ベクターは、通常、インサート(複数可)を発現及び/または増殖させる目的のため、または他の組換えヌクレオチド配列の構築のために生成される。インサート(複数可)は、プロモーター配列に機能可能に連結される場合があり、またはそうでない場合があり、DNA制御配列に機能可能に連結される場合があり、またはそうでない場合がある。
用語「処置」、「処置すること」等は、通常、所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを意味するために本明細書で使用される。効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防する観点から予防的であり得、及び/または疾患及び/または疾患に起因する有害作用のための部分的または完全な治癒の観点から治療的であり得る。「処置」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物における疾患または症状の任意の処置を包含し、(a)疾患または症状にかかりやすい可能性があるが、それを有するものとしてまだ診断されていない対象において疾患または症状が生じることを防止すること;(b)疾患または症状を阻害すること、すなわち、その進行を阻止すること;及び/または(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすことを含む。治療剤は、疾患または傷害の発症の前、間または後に投与され得る。進行中の疾患の処置は、処置が患者の望ましくない臨床症状を安定化または減少させる場合、特に興味深い。そのような処置は、望ましくは、罹患した組織における機能の完全な喪失の前に実施される。本治療は、望ましくは、疾患の症候段階中に、及び、いくつかの場合では、疾患の症候段階の後に投与される。
用語「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」は、本明細書で互換的に使用され、診断、処置、または治療が望まれる任意の哺乳動物対象を指す。哺乳動物には、ヒト及び非ヒト霊長類が含まれ、また、齧歯類(例えば、ラット;マウス)、ウサギ目動物(例えば、ウサギ)、有蹄動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギ等)、ネコ、イヌ等が含まれる。
本発明をさらに説明する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定することは意図されていないことも理解されたい。
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値から範囲の下限の10分の1までが、範囲内の任意の他の記述された値または介在値と共に本開示に包含されることが理解される。上限及び下限は、独立して、より小さな範囲に含まれ得、それはまた、記述された範囲における任意の特に除外される限度次第で本開示に包含される。記述された範囲が値(例えば、上限または下限)を有する場合、それらの値を除く範囲もまた本発明に含まれる。
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法及び物質も本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法及び物質がこれより記載される。本明細書で挙げられるすべての刊行物は、刊行物が引用された関連する方法及び/または物質を開示及び記載するために参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される場合、及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈が別途明らかに示さない限り、複数の指示対象が含まれることが留意されなければならない。よって、例えば、「a Treg」に対する言及には、複数のそのようなTregが含まれ、「the MHCクラスI重鎖」に対する言及には、1つ以上のMHCクラスI重鎖及び当業者に知られているその均等物に対する言及等が含まれる。特許請求の範囲は、いかなる任意の要素も除外するように作成され得ることがさらに留意される。このように、この記述は、特許請求の範囲の要素の記述に関連して「単独で」、「のみ」等としてのそのような排他的な用語の使用、または「否定的」な限定の使用のための先行的基礎として機能することが意図されている。
明確性のため、別々の実施形態の文脈で記載される本発明の所定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴はまた、別々にまたは任意の好適な副次的組み合わせで提供され得る。本発明に関連する実施形態のすべての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、ありとあらゆる組み合わせが個々にかつ明示的に開示されているかのように本明細書に開示される。また、様々な実施形態及びそれらの要素のすべての副次的組み合わせも本発明によって具体的に包含され、ありとあらゆるそのような副次的組み合わせが個々にかつ明示的に本明細書に開示されているかのように本明細書に開示される。
本明細書で論述される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書において、本発明が先行発明によりそのような刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるものはない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、独立して確認する必要があり得る。
I.エピトープ結合のための化学的コンジュゲーション部位を有するT細胞調節性ポリペプチド(T細胞-MP)
本開示は、T細胞-MP(エピトープを結合させるのに好適な化学的コンジュゲーション部位を有するコンジュゲートされていないT細胞-MP及びエピトープがコンジュゲートされたT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの両方)を含み、それを提供する。そのようなT細胞-MPは、例えば、in vitro、ex vivo、またはin vivoで免疫反応を調節し、それにより治療的処置を達成するためにT細胞の活性を調節するのに有用である。本開示は特に、T細胞MP-エピトープコンジュゲートの調製及びヒトまたは非ヒト試験対象または患者であり得る個体においてin vitro、ex vivo、またはin vivoで免疫反応を調節する際の使用の方法を提供する。ヒトまたは非ヒト試験対象または患者は、1つ以上の腫瘍、1つ以上のがん、及び/または1つ以上の感染症(例えば、細菌及びウイルス感染症)に罹患している場合がある。存在する他の要素に加えて、T細胞-MPは、それらのCo-MODに対する減少した結合親和性を示す1つ以上の独立して選択されるwt.及び/またはバリアントMODポリペプチド及び1つ以上のペイロードを含み得る。
本開示には、同一の第1及び第2のT細胞-MPポリペプチドを含む、ホモ二量体であるT細胞-MPが含まれる。本開示にはまた、第1及び第2のT細胞-MPポリペプチドを含む、ヘテロ二量体であるT細胞-MPであって、それらのポリペプチドのうちの少なくとも1つは、エピトープの結合のための化学的コンジュゲーション部位を含む、T細胞-MPが含まれる。任意に、ヘテロ二量体のうちの少なくとも1つは、ペイロード、例えば、化学療法剤及び/または標的化配列を含み得る。本開示には、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを形成するためにエピトープに化学的にコンジュゲートされており、かつ標的化配列及び/またはペイロードを任意に含むT細胞-MPが含まれる。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するMOD(複数可)のタイプに応じて、T細胞-MPに存在するエピトープに特異的なTCRを保有するT細胞は、例えば、クローン増殖を含む活性化を受けることによって反応し得る(例えば、T細胞-MPに組み込まれたIL-2、4-1BBL及び/またはCD80のwt.及び/またはバリアント等の活性化性MODの場合)。代替的には、T細胞は、FASL及び/またはPD-L1のwt.及び/またはバリアント等のMODがT細胞-MPに組み込まれた場合、T細胞活性を下方制御する阻害を受け得る。IL-2及びCD80またはIL2及びPD-L1のwt.及び/またはバリアント等のMODの組み合わせのT細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)への組み込みは、相乗効果をもたらし得、その場合、T細胞反応は、MODの1つを欠くこと以外は同一のT細胞-MPに対するT細胞の反応の合計を超える。MODは、いかなるエピトープにも特異的ではないので、T細胞の活性化または阻害は、T細胞に対するT細胞-MPの結合がMHC-エピトープ-TCR相互作用によって強力に影響を受けるように、または支配さえされるように、それらのCo-MODに対する減少した親和性を有するバリアントMODをT細胞-MPに組み込むことによってエピトープ特異的相互作用に偏る場合がある。
MODを保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、代理APCとして機能し、T細胞と相互作用することによって、適応免疫反応においてエピトープの提示を模倣すると考えられ得る。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、共有結合したエピトープ(例えば、エピトープを提示するペプチド)をT細胞の表面上に存在するTCRと係合させ、それに提示することによってそれを行う。この係合は、エピトープ特異的細胞標的化を達成する能力を有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを提供する。本明細書に記載の実施形態では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートはまた、T細胞上の対応共刺激タンパク質(Co-MOD)に係合する少なくとも1つのMODを保有する。両方のシグナル(TCRに対するエピトープ/MHC結合及びCo-MODに対するMOD結合)は次いで、所望のT細胞特異性及び阻害/アポトーシスまたは活性化/増殖のいずれかの両方を誘導する。
化学的コンジュゲーション部位を有するコンジュゲートされていないT細胞-MPは、治療、診断及び研究用途のための物質を調製するために、異なるエピトープが単独でまたはT細胞-MPに付加される1つ以上の追加のペイロードと組み合わせて導入され得るプラットフォームとして利用される。ホモ二量体を含む二重体、及び高次ホモマー複合体を含むT細胞-MPは、単一のポリペプチド配列のみを必要とするため、それらは、有利には、単一の発現カセットを有する単一のベクターを使用して細胞に導入され、発現され得る。同様に、ヘテロ二量体二重体T細胞-MPは、2つの別々の発現カセットまたはバイシストロン性発現カセットを有する単一のベクターを使用して(例えば、タンパク質は、2Aタンパク質配列または内部リボソーム進入配列(IRES)によって分離される)、または1つのヘテロ二量体サブユニットをコードするカセットをそれぞれ保有する2つのベクターを使用することによって細胞に導入され得る。二重体または高次T細胞-MPが種間骨格配列を含有する場合、異なるT細胞-MPは、二重または高次構造が異なるMODを含有することを可能とする異なるMODを保有し、またはヘテロ二量体の各ポリペプチド上の異なる箇所でMODを保有し得る。T細胞-MPのモジュール型特質は、後にエピトープに特異的なTCRを保有するT細胞の活性化または阻害について試験され得る調製されたT細胞-MPポリペプチドにエピトープ含有分子(例えば、ペプチド)をカップリングすることによって診断及び治療候補の迅速調製及び試験を可能にする。コンジュゲートされていないT細胞-MP、及び特に異なるMODを有するヘテロ二量体T細胞-MP二重体を構築する能力は、MODと疾患状態または病態に関連する1つ以上のエピトープとの異なる組み合わせの迅速構築及び評価を可能にする。前述のものに加えて、様々なペイロード、例えば、抗ウイルス剤、化学療法剤、及び/または標的化配列の有効性をT細胞-MPに迅速に付与し、利用可能にする能力は、スクリーニングのための及び治療剤としてのT細胞-MPの調製を容易化する。
1つ以上の活性化性wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列がT細胞-MPエピトープコンジュゲートに組み込まれた場合、そのエピトープに特異的なTCRを有するT細胞を、少なくとも1つの濃度のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートと接触させることは、T細胞活性化をもたらし得る。T細胞活性化は、以下のうちの1つ以上をもたらし得る:ZAP-70プロテインキナーゼ活性の活性増加、T細胞(複数可)の増殖の誘導、顆粒依存性エフェクター作用(例えば、細胞傷害性T細胞からのグランザイム、パーフォリン、及び/またはグラニュリシンの放出)、及び/またはT細胞サイトカイン(例えば、CD8+細胞からのインターフェロンγ)の放出。MODポリペプチド配列(複数可)がT細胞増殖を誘導する場合、T細胞-MPエピトープコンジュゲートは、エピトープに特異的なTCRを有しない、同じ濃度のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートと接触したT細胞(図1を参照されたい)と比較して、エピトープに特異的なTCRを有するT細胞の活性化において少なくとも2倍(例えば、少なくとも2、3、4、5、10、20、30、50、75、または100倍)の差を誘導し得る。T細胞の活性化は、例えば、ZAP-70活性またはT細胞増殖(例えば、Wang,et al.,Cold Spring Harbor perspectives in biology 2.5(2010):a002279を参照されたい)、またはサイトカイン放出によって測定され得る。T細胞活性化を阻害する1つ以上のwt.またはバリアントMODポリペプチド配列がT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに組み込まれた場合、エピトープに特異的なTCRを有するT細胞を、少なくとも1つの濃度のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートと接触させることは、以下のうちの1つ以上をもたらし得る:T細胞の活性化の予防または阻害、活性化したT細胞の反応の減少、及び/またはエピトープ特異的T細胞の下方制御。いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在する阻害性MODは、エピトープに特異的なTCRを有するT細胞(複数可)のアポトーシスをもたらし得る。阻害性MOD配列の効果は、T細胞増殖、ZAP-70活性、顆粒依存性エフェクター作用の減少、及び/または細胞死に対するそれらの効果のうちの1つ以上によって測定され得る。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの特異性は、結合に対するエピトープ及びそのMODの相対的寄与に依存する。Co-MOD(複数可)に対するMOD(複数可)の親和性が相対的に高いことにより、MOD(複数可)が結合相互作用においてT細胞-MPを支配する場合、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの特異性は、エピトープが全体の結合エネルギーに対してMODよりも大きく寄与することによって結合相互作用を支配するT細胞-MP複合体と比べて減少する。エピトープとエピトープに特異的なTCRとの間の結合エネルギーの寄与が大きいほど、そのタイプのTCRを保有するT細胞に対するT細胞-MPの特異性が大きくなる。エピトープMHC複合体がそのTCRに対して強い親和性を有する場合、比較的低い親和性を有するwt.MOD及び/またはそれらのCo-MODに対する減少した親和性を有するバリアントMODの使用は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートと特定のT細胞とのエピトープ選択的相互作用を優先し、また、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートにコンジュゲートされ得る任意のペイロードのT細胞及び/またはT細胞が配置される箇所への選択的送達を容易化する。
本開示は、エピトープ特異的様式でT細胞の活性を調節するため、及び、したがって、個体におけるそれらの疾患状態に対する免疫反応を調節するために有用であるがん及び/または感染性物質(例えば、ウイルス、細菌)のエピトープを提示するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを提供する。T細胞-MPは、wt.であり、及び/またはCo-MODに対する減少した結合親和性を示す1つ以上のMODを含む。
A.コンジュゲートされていないT細胞-MP及びT細胞-MP-エピトープコンジュゲート
1 コンジュゲートされていないT細胞-MP及びT細胞-MP-エピトープコンジュゲート成分の構造及び組成
本明細書に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、エピトープを直接的に、またはリンカーを介して間接的にカップリングするための化学的コンジュゲーション部位を含む。化学的コンジュゲーション部位は、T細胞-MP上の任意の箇所に配置され得る。本開示の1つの態様は、骨格(例えば、Ig Fc)、β2M、もしくはMHC-Hポリペプチド配列内、またはβ2M及びMHC-Hポリペプチド配列を接続させるリンカー(L3)内のペプチドエピトープの結合のための化学的コンジュゲーション部位を含むT細胞-MP、及びそれらのT細胞-MPの高次複合体を対象とする。本開示の別の態様は、β2M、もしくはMHC-Hポリペプチド配列内、またはβ2M及びMHC-Hポリペプチド配列を接続させるリンカー(L3)内のペプチドエピトープの結合のための化学的コンジュゲーション部位を含むT細胞-MP、及びそれらのT細胞-MPの高次複合体を対象とする。エピトープを直接的に、またはリンカーを介して間接的にカップリングするための化学的コンジュゲーション部位は、β2Mポリペプチド配列に配置され得る。エピトープを直接的に、またはリンカーを介して間接的にカップリングするための化学的コンジュゲーション部位は、MHC-Hポリペプチド配列に配置され得る。エピトープを直接的に、またはリンカーを介して間接的にカップリングするための化学的コンジュゲーション部位は、β2Mポリペプチド配列及びMHC-Hポリペプチド配列を接続させるリンカー(L3)に配置され得る。エピトープを直接的に、またはリンカーを介して間接的にカップリングするための化学的コンジュゲーション部位は、骨格(例えば、Ig Fc)内に配置され得る。コンジュゲートされていないT細胞-MPにエピトープをカップリングさせるための化学的コンジュゲーション部位が骨格(例えば、Ig Fc)、β2M、またはMHC-Hポリペプチド配列において現れる場合、化学的コンジュゲーション部位は、それらの配列のいずれかに天然には現れないアミノ酸またはアミノ酸の配列に限定され得、それらの配列のうちの1つに導入された1つ以上のアミノ酸(例えば、1つ以上のaaが天然に存在する配列には現れないaa配列位置に導入された1つ以上のaa)を伴い得る。また、エピトープ結合のための化学的コンジュゲーション部位としてT細胞-MPポリペプチドのN末端アミノ基またはC末端カルボキシル基を利用することが可能であるが、それらの部位は、本明細書に記載のT細胞-MPまたはそれらの高次複合体のいずれかからコンジュゲーション部位として除外され得る。実際に、T細胞-MPの化学的コンジュゲーション部位は、N末端の10または20aa及び/またはC末端の10または20aaから除外され得る。
T細胞-MPは、高次複合体(例えば、二重体、三重体等)であり得る。高次複合体は、ホモマー(例えば、ホモ二量体またはホモ二重体)またはヘテロマー(例えば、ヘテロ二量体またはヘテロ二重体)であり得る。種間配列の対が骨格配列として用いられ得、その場合、複合体は、2つの異なるT細胞-MPが特定のヘテロ二重体を形成することを可能にするのでヘテロ二量体となることが意図されており、これは、種間結合配列の対を有しない2つのT細胞-MPが混合された場合に形成し得るホモ二重体及びヘテロ二重体の混合物とは対照的である。
本明細書に記載のT細胞-MP分子の第1の群は、それらの骨格配列において相互作用を介して会合する二重体を形成し得るT細胞-MPを広く対象とする。そのようなT細胞-MPは、少なくとも第1のT細胞-MPポリペプチド配列(例えば、ホモ二量体として二重体化される)、または非同一の第1及び第2のT細胞-MPポリペプチド配列(例えば、ヘテロ二量体として二重体化される)を有し得、T細胞-MPの一方または両方は、(例えば、N末端からC末端まで)
(i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
(ii)1つ以上のMODポリペプチド配列をβ2Mポリペプチド配列に接続させる任意のL2リンカーポリペプチド配列;
(iii)β2Mポリペプチド配列;
(iv)任意のL3リンカーポリペプチド配列(例えば、長さが10~50aa);
(v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列;
(vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;
(vii)骨格ポリペプチド配列(例えば、免疫グロブリンFc配列);
(viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
を含み、コンジュゲートされていないT細胞-MPは、少なくとも1つのMODポリペプチド配列(例えば、要素(i)及び/または(ix)のMOD(複数可))を含み;
β2Mポリペプチド配列、L3リンカーポリペプチド配列、及び/またはMHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの化学的コンジュゲーション部位を含む。
本明細書に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPの第2の群は、それらの骨格配列において相互作用を介して会合する第1のT細胞-MPと第2のT細胞-MPとの間の二重体を形成し得る。そのようなコンジュゲートされていない二重体T細胞-MPは、ホモ二量体として二重体化された同一の第1及び第2のT細胞-MPポリペプチド配列、またはヘテロ二量体として二重体化された非同一の第1及び第2のT細胞-MPポリペプチド配列を有し得、T細胞-MPの一方または両方は、N末端からC末端まで、
(i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
(ii)1つ以上の任意のMODポリペプチド配列をβ2Mポリペプチド配列に接続させる任意のL2リンカーポリペプチド配列;
(iii)β2Mポリペプチド配列;
(iv)任意のL3リンカーポリペプチド配列(例えば、長さが10~50aa);
(v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列;
(vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;
(vii)骨格ポリペプチド配列(例えば、免疫グロブリンFc配列);
(viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
を含み、コンジュゲートされていないT細胞調節性ポリペプチドは、少なくとも1つのMODポリペプチド配列(例えば、要素(i)及び/または(ix)のMOD(複数可))を含み;
β2Mポリペプチド配列、L3リンカーポリペプチド配列、及び/またはMHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、例えば、エピトープコンジュゲーション及び/またはペイロードコンジュゲーションのための、少なくとも1つの化学的コンジュゲーション部位を含む。
本明細書に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPの第3の群は、それらの骨格配列において相互作用を介して会合する第1のT細胞-MPと第2のT細胞-MPとの間の二重体として現れる。そのようなコンジュゲートされていない二重体T細胞-MPは、ホモ二量体として二重体化された同一の第1及び第2のT細胞-MPポリペプチド配列、またはヘテロ二量体として二重体化された非同一の第1及び第2のT細胞-MPポリペプチド配列を有し得、T細胞-MPの一方または両方は、N末端からC末端まで、
(i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
(ii)1つ以上の任意のMODポリペプチド配列をβ2Mポリペプチド配列に接続させる任意のL2ポリペプチド配列;
(iii)β2Mポリペプチド配列;
(iv)10~50アミノ酸を含むL3リンカーポリペプチド配列;
(v)位置84及び139で置換されたシステインを含み(図3E~3H、例えば、Y84C及びA139C置換を参照されたい)、かつジスルフィド結合を形成するクラスI MHC-Hポリペプチド配列;
(vi)L4リンカーポリペプチド配列;
(vii)種間または非種間免疫グロブリンFc骨格配列;
(viii)L5リンカーポリペプチド配列;及び
(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
を含み、β2Mポリペプチド配列、L3リンカーポリペプチド配列、及び/またはMHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、例えば、エピトープコンジュゲーション及び/またはペイロードコンジュゲーションのための、少なくとも1つの化学的コンジュゲーション部位を含み;β2Mポリペプチド配列、L3リンカーポリペプチド配列、またはMHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、wt.配列に現れない化学的コンジュゲーション部位を含み;
第1及び第2のT細胞-MPは、それらのIg Fc骨格配列の間の少なくとも1つのジスルフィド結合を介して任意に共有結合されている。化学的コンジュゲーション部位は、T細胞-MPとTCRとの相互作用を妨害せず、好ましくは溶媒露出性であることでエピトープに対するそのコンジュゲーションを可能にするという点で、エピトープコンジュゲーションに好適であるべきである。
コンジュゲートされていないT細胞-MPの上記第1、第2、及び第3の群のものを含むT細胞-MPに対するエピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位は、T細胞-MPへのエピトープ提示分子(例えば、ペプチドエピトープ)の共有結合を可能にし、これによりそれは、MHC-Hポリペプチドによって結合され(結合割れ目に配置され)、TCRに提示され得る。コンジュゲートされていないT細胞-MPの化学的コンジュゲーション部位は、wt.配列に現れないものであり得る(例えば、それらは、生化学及び/または分子生物学に基づいてタンパク質操作の技術を使用して生成される)。化学的コンジュゲーション部位はまた、T細胞-MPとTCRとの相互作用を妨害せず、好ましくは溶媒露出性であることでエピトープに対するそのコンジュゲーションを可能にするという点で、エピトープコンジュゲーションに好適であるべきである。
コンジュゲートされていないT細胞-MPは、MHC-H/β2Mポリペプチド配列の結合割れ目に配置され、かつTCRに提示され得る(T細胞-MPポリペプチドに共有結合した、またはそれとの融合体としての)ペプチドエピトープを含まないことが理解される。しかしながら、本開示は、化学的コンジュゲーション部位でT細胞-MPに直接的にまたは間接的に(例えば、ペプチドまたは非ペプチドリンカーを介して)共有結合したエピトープを提示する分子をさらに含むT細胞-MP-エピトープコンジュゲートであって、エピトープはまた、T細胞-MPのMHC-Hポリペプチド配列の結合割れ目に関連付けられ(そこに配置され、または位置し)、そのエピトープに特異的なTCRを保有するT細胞に機能的に提示され、T細胞のTCR媒介活性化または阻害をもたらし得る、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを含み、それを提供する。
本開示はまた、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するエピトープが、少なくとも100マイクロモル濃度(μM)(例えば、少なくとも10μM、少なくとも1μM、少なくとも100nM、少なくとも10nM、または少なくとも1nM)の親和性でTCR(例えば、T細胞上のもの)に結合し得るT細胞-MPを提供する。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートが第2のT細胞に結合する親和性よりも高い親和性で第1のT細胞に結合し得;第1のT細胞は、その表面上にCo-MOD及びエピトープに結合するTCRを発現し、第2のT細胞は、その表面上に第1のT細胞に存在するものと同じCo-MODを発現するが、その表面上にそのエピトープに結合するTCRを発現しない(例えば、仮にそれが結合するとしても第1の細胞のTCRと同じくらいの緊密性である)。図1を参照されたい。増加した親和性は、結合アッセイにおいて測定され、または第2のT細胞と比較して第1のT細胞を刺激するために必要とされるT細胞-MPエピトープコンジュゲートの濃度から推測され得る。エピトープ特異的T細胞に対する増加した親和性は、臨床試験、診断のための薬剤としての、及びエピトープ特異的T細胞作用を誘導することが可能な治療剤としてのエピトープコンジュゲートの使用を可能にする。
T細胞-MPに存在するMODは、独立して選択されるwt.MOD及び/またはバリアントMODである。T細胞-MPがヘテロマー複合体を、例えば、種間骨格ポリペプチド配列の使用を介して形成する場合、ヘテロマーのT細胞-MPの少なくとも1つで提供されるMODは、ヘテロマー複合体の他のT細胞-MPとは独立して選択され得る。したがって、ヘテロ二量体性二重体T細胞-MPは、二重体の第1及び第2のT細胞-MPにおいて異なる独立して選択されるMODを有し得る。一態様におけるMODは、エピトープ特異的T細胞活性化/増殖を刺激することが可能な1つ以上の活性化性wt.MOD及び/またはバリアントMOD(例えば、wt.及び/またはバリアントIL-2、4-1BBL及び/またはCD80)となるように選択される。別の実施形態では、MODは、T細胞活性化/増殖を阻害することが可能な1つ以上の阻害性wt.MOD及び/またはバリアントMOD(例えば、FAS-L及び/またはPD-L1)である。好適なエピトープを保有するT細胞-MPと併せて使用される場合、特にMODがバリアントMODであり、MHC-エピトープ-TCR相互作用がT細胞-MPとT細胞との相互作用を支配するのに十分に強力である場合、そのような活性化性または阻害性MODは、エピトープ特異的T細胞作用が可能である。
2 コンジュゲートされていないT細胞-MPの化学的コンジュゲーション部位
用語「化学的コンジュゲーション部位」は、T細胞-MPとエピトープまたはペイロード含有分子との間の直接的または間接的(介在リンカーまたはスペーサーを介する)共有結合の選択的形成を可能にするT細胞-MPの任意の好適な部位を意味する。コンジュゲートされていないT細胞-MPの化学的コンジュゲーション部位は、(i)活性、すなわち、化学的コンジュゲーション部位(例えば、溶媒露出性システインスルフヒドリル)の追加の化学的反応または変換を伴わずにT細胞-MPとエピトープまたはペイロードとの間の直接的または間接的(介在リンカーまたはスペーサーを介する)共有結合を形成することが可能であり得る、または(ii)発生段階、すなわち、活性化学的コンジュゲーション部位となるように化学的コンジュゲーション部位のさらなる化学的反応または酵素変換を必要とし得る(例えば、fGly酵素によってまだ活性化されていないスルファターゼ配列)。
用語「選択的形成」は、エピトープまたはペイロード含有分子が、T細胞-MPの活性化学的コンジュゲーション部位と反応性である部位を保有する場合、エピトープまたはペイロード含有分子が、T細胞-MPにおける任意の他の部位よりも多い量でその化学的コンジュゲーション部位に共有結合されることを意味する。
化学的コンジュゲーション部位は、所望のaa配列を有するT細胞-MPを達成するためにタンパク質操作技術を使用して(例えば、適切な核酸配列の使用によって)T細胞-MPに導入され得る。化学的コンジュゲーション部位は、T細胞-MPのタンパク質またはポリペプチド配列における個々のaa(例えば、システインまたはリジン)またはaa配列(例えば、スルファターゼ、ソルターゼまたはトランスグルタミナーゼ配列)であり得る。
T細胞-MPのタンパク質またはポリペプチド配列が、天然に存在するタンパク質(例えば、B2M、MHC-HまたはIgG骨格)に由来する場合、化学的コンジュゲーション部位は、天然に存在する配列に現れない部位、例えば、アミノ酸置換(例えば、システイン置換)、挿入、及びまたは欠失に起因する部位であり得る。化学的コンジュゲーション部位はまた、天然に存在するタンパク質に由来しない配列、または配列の一部、例えば、リンカー配列(例えば、T細胞-MPのβ2M及びMHC-Hポリペプチド配列を接続させるT細胞-MPのL3リンカー)であり得る。
いくつかの実施形態では、エピトープがMHCポリペプチドの結合割れ目に配置され、TCRに提示され得るように共有結合されることを可能にする各々のコンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドにおける1つのみの化学的コンジュゲーション部位(例えば、タンパク質操作によって付加された1つの化学的コンジュゲーション部位)が存在する。各々の個々のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、同じまたは異なるタイプの化学的コンジュゲーション部位となるように選択される複数の化学的コンジュゲーション部位を含み得、それにより同じまたは異なる分子(例えば、エピトープ及び1つ以上のペイロード)が、化学的コンジュゲーション部位の各々に選択的にコンジュゲートされることを可能にする。したがって、各々の個々のまたは二重体化されたコンジュゲートされていないT細胞-MPは、同じまたは異なるタイプの化学的コンジュゲーション部位となるように選択された1つ以上の化学的コンジュゲーション部位を含み得、それにより同じまたは異なる分子が化学的コンジュゲーション部位の各々に選択的にコンジュゲートされることを可能にする。化学的コンジュゲーション部位(例えば、エピトープのコンジュゲーションのためのもの)は通常、単一の反応を使用して、例えば、二重体のコンジュゲートされていないT細胞-MPにおける所望の部位のすべてにエピトープ提示分子が共有結合され得るように同じ(例えば、同じタイプのもの)である。T細胞-MPは、エピトープへのコンジュゲーションのためのものに加えて、例えば、標的化配列及び/またはペイロード、例えば、標識の組み込みのためのコンジュゲーション部位を含む、化学的コンジュゲーション部位を含有し得る。
エピトープ提示分子以外の分子を組み込むために使用される化学的コンジュゲーション部位は、ほとんどの例において、異なるタイプのものであり(例えば、異なる化学的反応を利用する)、また、エピトープを組み込むために使用される部位とは異なる箇所におけるものであり、それにより異なる分子がポリペプチドの各々に選択的にコンジュゲートされることを可能にする。T細胞-MPが標的化配列及び/または1つ以上のペイロード分子を含むべき場合、コンジュゲートされていないT細胞-MPは、標的化配列及び/またはペイロードの複数の分子への結合を可能にするために化学的コンジュゲーション部位(例えば、タンパク質操作によって付加される化学的コンジュゲーション部位)の複数のコピーを含み得る。
コンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドに組み込まれ得る化学的コンジュゲーション部位には、
a)酵素修飾配列として作用するペプチド配列(例えば、スルファターゼ、ソルターゼ、及び/またはトランスグルタミナーゼ配列);
b)非天然aa及び/またはセレノシステイン;
c)個体アミノ酸を含む化学的コンジュゲーション部位;
d)炭水化物またはオリゴ糖部位;及び
e)IgGヌクレオチド結合部位
が含まれるがこれらに限定されない。
a.スルファターゼモチーフ
酵素修飾が化学的コンジュゲーションの手段として選択されるそれらの実施形態では、化学的コンジュゲーション部位(複数可)は、スルファターゼモチーフを含み得る。スルファターゼモチーフは、通常、長さが5または6aaであり、例えば、米国特許第9,540,438号及び米国特許公開第2017/0166639Al号(参照により組み込まれる)に記載されている。モチーフの挿入は、アルデヒドタグ化またはアルデヒドタグを有すると時に称されるタンパク質またはポリペプチドの形成をもたらす。モチーフは、選択的(例えば、部位特異的)化学的コンジュゲーション反応のために利用され得る、時にオキソアラニンと称されるアルデヒド含有aaであるホルミルグリシン残基(「fGly」であるが、時に「FGly」と表記される)にモチーフにおけるシステインまたはセリンを変換するためのホルミルグリシン生成酵素(複数可)(「FGE」または「FGE(FGEs)」)によって作用され得る。したがって、本明細書で使用される場合、「アルデヒドタグ」または「アルデヒドタグ化」ポリペプチドは、変換されていないスルファターゼモチーフを含むaa配列、ならびにモチーフのシステインまたはセリン残基がFGEの作用によってfGlyに変換されたスルファターゼモチーフを含むaa配列を指す。スルファターゼモチーフという用語がaa配列との関連で利用される場合、発生段階の化学的コンジュゲーション配列(例えば、変換されていないモチーフを含有するポリペプチド)ならびに活性化学的コンジュゲーション部位対応物を含有するそのfGlyの両方が開示される。fGly残基は、ポリペプチド(例えば、T細胞-MPのもの)に存在すると、チオセミカルバジド、アミノオキシ、ヒドラジド、及びヒドラジノ基を含むがこれらに限定されない多様な反応性基を含む分子(例えば、介在リンカーを有するまたは有しないペプチドエピトープ)と反応して、fGly残基を介してペプチドと分子との間に共有結合を有するコンジュゲート(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)を形成し得る。スルファターゼモチーフは、エピトープ(例えば、エピトープ提示ペプチド)だけでなく、(例えば、薬物及び診断分子とのコンジュゲートの形成において)標的化配列及び/またはペイロードも組み込むために使用され得る。
実施形態では、スルファターゼモチーフは、少なくとも5または6aa残基であるが、例えば、長さが5~16(例えば、6~16、5~14、6~14、5~12、6~12、5~10、6~10、5~8、または6~8)aaであり得る。スルファターゼモチーフは、16、14、12、10、または8aa残基未満の長さに限定され得る。
実施形態では、スルファターゼモチーフは、式(I)の配列を含む:X1Z1X2Z2X3Z3(配列番号66)(式中、
Z1は、システインまたはセリンであり;
Z2は、プロリンまたはアラニンのいずれかの残基であり(「P/A」によっても表され得る);
Z3は、塩基性aa(アルギニン、リジン、またはヒスチジン、通常はリジン)、または脂肪族aa(アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、またはプロリン、通常はA、G、L、V、またはI)であり;
X1は、存在または非存在であり、存在する場合、任意のaaであり得るが、通常は脂肪族aa、硫黄含有aa、または極性非荷電aa(例えば、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)、通常はL、M、V、SまたはT、より通常はL、M、SまたはVであり得、但し、スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端にある場合、X1は、存在し;
X2及びX3は、独立して、任意のaaであり得るが、通常は脂肪族aa、極性非荷電aa、または硫黄含有aa(例えば、芳香族aaまたは荷電aa以外)、通常はS、T、A、V、GまたはC、より通常はS、T、A、VまたはGであり得る)。
上で示されているように、アルデヒドタグのスルファターゼモチーフは、長さが少なくとも5または6aa残基であるが、例えば、5~16aaであり得る。モチーフは、アルデヒドタグがスルファターゼモチーフ及び「補助モチーフ」の両方を含むように、N及びC末端の一方または両方で追加の残基を含有し得る。実施形態では、スルファターゼモチーフには、C末端補助モチーフが含まれる(すなわち、モチーフのZ3位置に続く)。
スルファターゼモチーフにおけるシステインまたはセリンのfGlyへの変換(酸化)のために多様なFGEが用いられ得る。本明細書で使用される場合、ホルミルグリシン生成酵素、またはFGEという用語は、スルファターゼモチーフのシステインまたはセリンのfGlyへの変換を触媒するfGly生成酵素を指す。米国特許第9,540,438号において論述されるように、その文献は、しばしば、モチーフのシステインをfGlyに変換するそれらの酵素についてホルミルグリシン生成酵素という用語を使用する一方で、スルファターゼモチーフにおけるセリンをfGlyに変換する酵素は、Ats-B様と称される。
原核生物のFGEによる変換に適した式(I)のスルファターゼモチーフはしばしば、「SUMP I型」FGEまたは「Ats-B様」FGEによってそれぞれ修飾され得るZ1におけるシステインまたはセリン及びZ2におけるプロリンを含有する。用いられ得る原核生物のFGE酵素には、Clostridium perfringens(システイン型酵素)、Klebsiella pneumoniae(セリン型酵素)またはMycobacterium tuberculosisのFGEからの酵素が含まれる。スルファターゼモチーフを含有するペプチドが、真核生物のFGEによって、例えば、真核生物のFGEを使用する真核細胞または無細胞システムにおけるペプチドの発現及び変換によって、fGly含有ペプチドへの変換のために調製されている場合、真核生物のFGEによる変換に適するスルファターゼモチーフが有利に用いられ得る。
変換されていないスルファターゼモチーフを有するポリペプチドの生成のための、または細胞がfGly含有ポリペプチド配列を変換するための好適なFGEを発現する宿主細胞には、原核生物及び真核生物のものが含まれる。非限定的な例には、Escherichia coli株、Bacillus spp.(例えば、B.subtilis等)、酵母または真菌(例えば、S.cerevisiae、Pichia spp.等)が含まれる。昆虫及び脊椎動物、特に哺乳動物等の高等生物に由来するものを含む他の宿主細胞の例には、HeLa細胞(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)番号CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618及びCRL9096)、CHO DG44細胞、CHO-Kl細胞(ATCC CCL-61)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero細胞、NIH 3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Hnh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCLlO)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞等が含まれるがこれらに限定されない。
スルファターゼモチーフは、T細胞-MPの任意の所望の箇所に組み込まれ得る。実施形態では、それらは、アミノまたはカルボキシル末端の10または20アミノ酸から除外され得る。実施形態では、スルファターゼモチーフは、MHC-Hもしくはβ2Mポリペプチド配列またはそれらを接続させる任意のリンカー配列(L3リンカー)を含む、任意のT細胞-MP要素に(例えば、その末端にまたは末端の近くに)付加され得る。スルファターゼモチーフはまた、骨格ポリペプチド(例えば、Ig Fc)またはT細胞-MPに存在するリンカー(例えば、L1~L6)のいずれかに付加され得る。
スルファターゼモチーフは、図4に示される成熟β2Mポリペプチド配列(例えば、aa21で開始し、それらのC末端で終了する図4に示される配列)の少なくとも50個(例えば、少なくとも60、70、80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有する配列を有するT細胞-MPにおけるβ2Mポリペプチドに組み込まれ、または結合され得る(例えば、ペプチドリンカーを介して)。図4における成熟ヒトβ2Mポリペプチド配列は、スルファターゼモチーフの組み込みのために選択され得る。β2Mポリペプチドとの配列同一性は、付加されるスルファターゼモチーフまたは存在する任意のリンカーもしくは他の配列を考慮せずに図4におけるβ2Mポリペプチドの対応する部分と比べて決定される。
実施形態では、スルファターゼモチーフは、図4に示される配列(図4に示される配列全体、またはaa21で開始し、そのC末端で終了する成熟ポリペプチドの配列のいずれか)と比較して1~15(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15)aaの欠失、挿入及び/または変化を有するβ2Mポリペプチド配列に組み込まれ得る。変化は、スルファターゼモチーフ及び存在する任意のリンカー配列のaaを考慮せずに評価される。1つのそのような実施形態では、スルファターゼモチーフは、成熟β2M配列、例えば、図4に示されるもののaa1~15、15~35、35~55、40~50、または50~70内に配置及び/または挿入され得る。一実施形態では、スルファターゼモチーフは、図4のヒト成熟β2Mポリペプチド配列のaa35~55の間(例えば、aa40~50の間)に配置され得、図4に示される配列(図4に示される配列全体、またはaa21で開始し、そのC末端で終了する成熟ポリペプチドの配列のいずれか)と比較して0~15aaの置換を有し得る。
スルファターゼモチーフは、スルファターゼモチーフの付加の前に図3A~3Iに示されるMHC-H配列の少なくとも150、175、200、または225個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するMHCクラスI重鎖ポリペプチド配列に組み込まれ、または結合され得る(例えば、ペプチドリンカーを介して)。
実施形態では、付加されるスルファターゼモチーフは、T細胞-MPのNまたはC末端に付加され、または、存在する場合、T細胞-MPのNまたはC末端に配置されたリンカーにまたはその中に結合される。
米国特許第9,540,438号は、Fc領域ポリペプチドを含む様々な免疫グロブリン配列へのスルファターゼモチーフの組み込みについて論述しており、スルファターゼモチーフならびにFcポリペプチド及び他のポリペプチドの修飾に対するその教示のために参照により本明細書に組み込まれる。その特許はまた、FGE酵素、及びfGly残基を形成する際のそれらの使用、ならびに分子、例えば、エピトープ及びペイロードのfGly残基へのカップリングに関連する化学に関するそのガイダンスについて参照により組み込まれる。
スルファターゼモチーフの組み込みは、T細胞-MPをコードする核酸における所望の箇所でモチーフをコードする核酸配列を組み込むことによって達成され得る。以下に論述されるように、核酸配列は、転写制御配列(複数可)(プロモーター)のコントロール下に配置され、その発現を誘導する制御要素が備えられ得る。発現したタンパク質は、発現及び部分的または完全な精製の後に1つ以上のFGEで処置され得る。代替的には、スルファターゼモチーフを認識するFGEを発現する細胞における核酸の発現は、モチーフのシステインまたはセリンのfGlyへの変換をもたらす。
前述の観点では、本開示は、上で論述されるT細胞-MPポリペプチド鎖に組み込まれた1つ以上のfGly残基を含むT細胞-MPを提供する。fGly残基は、例えば、配列X1(fGly)X2Z2X3Z3(式中、fGlyは、ホルミルグリシン残基であり;Z2、Z3、X1、X2及びX3は、上の式(I)で定義されるとおりである)の関連であり得る。エピトープ及び/またはペイロードは、ペプチドまたは化学的リンカーを介してスルファターゼモチーフの反応性ホルミルグリシンに直接的にまたは間接的にコンジュゲートされ得る。化学的コンジュゲーションの後、T細胞-MPは、配列X1(fGly’)X2Z2X3Z3(式中、fGly’残基は、化学的反応を受け、共有結合したエピトープまたはペイロードを有することになったホルミルグリシンである)の関連で組み込まれた1つ以上のfGly’残基を含む。
fGly含有化学的コンジュゲーション部位でカップリングされる分子のチオセミカルバジド、アミノオキシ、ヒドラジド、またはヒドラジノ誘導体の使用を含むがこれらに限定されない多数の化学及び市販の試薬が、分子(例えば、エピトープまたはペイロード)をfGly残基にコンジュゲートするために利用され得る。例えば、(例えば、直接的にペプチドのaaにまたはPEG等のリンカーを介して結合される)チオセミカルバジド、アミノオキシ、ヒドラジド、ヒドラジノまたはヒドラジニル官能基を保有するエピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)及び/またはペイロードは、共有結合したエピトープを形成するためにfGly含有T細胞-MPポリペプチドと反応させられ得る。同様に、標的化配列及び/またはペイロード、例えば、薬物及び治療剤は、例えば、ビオチンヒドラジドを連結剤として使用して組み込まれ得る。
本開示は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート及び/またはT細胞-MP-ペイロードコンジュゲートを含むコンジュゲートされたT細胞-MPを調製する方法であって、
a)コンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする核酸にセリンまたはシステインを含むスルファターゼモチーフ(例えば、式(I)または(II)のスルファターゼモチーフ、例えば、上で論述されたX1CX2PX3Z3(配列番号67);CX1PX2Z3(配列番号68))をコードするヌクレオチド配列を組み込むこと;
b)スルファターゼモチーフを含有するコンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドを、
i)FGEを発現し、かつスルファターゼモチーフのセリンまたはシステインをfGlyに変換する細胞において発現させ、fGlyを含有するコンジュゲートされていないT細胞-MPを部分的または完全に精製すること、または
ii)スルファターゼモチーフのセリンまたはシステインをfGlyに変換するFGEを発現しない細胞において発現させ、スルファターゼモチーフを含有するT細胞-MPを精製しまたは部分的に精製し、精製されたまたは部分的に精製されたT細胞-MPをスルファターゼモチーフのセリンまたはシステインをfGly残基に変換するFGEと接触させること;及び
c)fGlyを含有するポリペプチドを、fGlyのアルデヒドとエピトープ及び/またはペイロードとの間で共有結合を形成する基で官能化されたエピトープ及び/またはペイロードと接触させること;
を含み、それによりT細胞-MP-エピトープコンジュゲート及び/またはT細胞-MPペイロードコンジュゲートを形成する、方法を提供する。
そのような方法では、エピトープ(エピトープ含有分子)及び/またはペイロードは、アルデヒド基と選択的に反応する任意の好適な官能基によって官能化され得る。そのような基は、例えば、チオセミカルバジド、アミノオキシ、ヒドラジド、及びヒドラジノからなる群から選択され得る。実施形態では、スルファターゼモチーフは、図4に示されるβ2M配列(例えば、スルファターゼモチーフ配列の付加を含まずにまたは付加の前に計算された同一性を有する成熟β2Mポリペプチド)の少なくとも60、70、80または90個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)の配列同一性を有するβ2Mのaa配列を含む第2のT細胞-MPポリペプチドに組み込まれる。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲート及び/またはT細胞-MPペイロードコンジュゲートを調製する方法の実施形態では、スルファターゼモチーフは、図3A~3Iに示される配列の少なくとも150、175、200、または225個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有する配列を含むポリペプチドに組み込まれ、配列同一性は、スルファターゼモチーフ配列の付加を含めずに計算される)。
b.ソルターゼA酵素部位
エピトープ(例えば、エピトープの配列を含むペプチド)及びペイロードは、T細胞-MPのN及び/またはC末端で、ソルターゼAコンジュゲーションのための部位をそれらの箇所で組み込むことによって結合され得る。
ソルターゼAは、C末端ペンタペプチド配列LP(X5)TG/A(配列番号69(X5は、任意の単一のアミノ酸であり、G/Aは、グリシンまたはアラニンである)を認識し、配列内のトレオニンとコンジュゲーションパートナーのN末端におけるグリシンまたはアラニンとの間でアミド結合を生成する。
T細胞-MPポリペプチドのC末端部分へのエピトープまたはペイロードの結合のため、LP(X5)TG/Aは、露出したL5リンカーにおけるもの等の所望のポリペプチド(複数可)のカルボキシ末端部分において提供される(図5の構造Aを参照されたい)。グリシンまたはアラニンの露出伸長部(例えば、Staphylococcus aureusからのソルターゼAを使用する場合は(G)3-5(配列番号70及び71)またはStreptococcus pyogenesからのソルターゼAを使用する場合はアラニン(A)3-5(配列番号72及び73))は、エピトープを含むペプチド(例えば、エピトープに結合したリンカーにおけるもの)、ペプチドペイロード(またはそれに結合したリンカー)、または非ペプチドエピトープもしくはペイロードに共有結合したペプチドのN末端で提供される。
T細胞-MPポリペプチドのアミノ末端へのエピトープまたはペイロードの結合のため、グリシン(例えば、(G)2、3、4、または5)またはアラニン(例えば、(A)2、3、4、または5)の露出伸長部を含むaa配列がN末端で提供され、エピトープを含むペプチド(またはそれに結合したリンカー)、ペプチドペイロード(またはそれに結合したリンカー)、または非ペプチドエピトープもしくはペイロードに共有結合したペプチドのカルボキシ末端部分においてLP(X5)TG/Aが提供される。
ソルターゼAを上述したアミノ及びカルボキシ修飾ペプチドと組み合わせることは、LP(X5)TG/A配列におけるThrとGly/Ala残基との間の切断、及び形態:カルボキシ修飾ポリペプチド-LP(X5)T*G/A-アミノ修飾ポリペプチド(式中、「*」は、LP(X5)TG/AモチーフのトレオニンとN末端修飾ペプチドのグリシンまたはアラニンとの間に形成された結合を表す)の共有結合した複合体の形成をもたらす。
LP(X5)TG/Aの代わりに、LPETGG(配列番号74)ペプチドがS.aureusソルターゼAカップリングのために使用され得、またはLPETAA(配列番号75)ペプチドがS.pyogenesソルターゼAカップリングのために使用され得る。コンジュゲーション反応は、依然として、トレオニンとアミノ末端オリゴグリシンまたはオリゴアラニンペプチドとの間で生じて、カルボキシ修飾ポリペプチド-LP(X5)T*G/A-アミノ修飾ポリペプチド(式中、「*」は、トレオニンとN末端修飾ペプチドのグリシンまたはアラニンとの間に形成された結合を表す)を生成する。
c.トランスグルタミナーゼ酵素部位
トランスグルタミナーゼ(mTG)は、グルタミン残基の側鎖上のアミド基と第1級アミンドナー(例えば、第1級アルキルアミン、例えば、ポリペプチドにおけるリジン残基の側鎖に見られるもの)との間で共有結合の形成を触媒する。トランスグルタミナーゼは、遊離アミンを介して直接的に、または遊離アミンを含むリンカーを介して間接的に、エピトープ及びペイロードをT細胞-MPにコンジュゲートするために用いられ得る。このように、トランスグルタミナーゼ部位との関連でT細胞-MPに付加されるグルタミン残基は、それらがStreptoverticillium mobaraenseトランスグルタミナーゼ等の酵素によって近接され得る場合、化学的コンジュゲーション部位としてみなされ得る。その酵素(EC 2.3.2.13)は、リジンのε-アミノ基へのグルタミンのγ-アシル移行を触媒する安定なカルシウム非依存性酵素である。しかしながら、配列において現れるグルタミン残基は、酵素修飾のために常に近接可能であるわけではない。制限された近接可能性は、修飾が生じ得る箇所の数を制限するので有利であり得る。例えば、細菌のmTGは通常、ネイティブIgG1におけるグルタミン残基を修飾することはできない;しかしながら、Schibli及び同僚(Jeger,S.,et al.Angew Chem(Int Engl).2010;49:99957及びDennler P,et al.Bioconjug Chem.2014;25(3):569-78)は、N297におけるIgG1の脱グリコシル化がグルタミン残基Q295を近接可能とし、酵素ライゲーションを可能として抗体薬物コンジュゲートを生成することを見出した。さらに、N297からQ297へのIgG1変異体を生成することによって、彼らは、トランスグルタミナーゼによる酵素標識のための2つの部位を導入した。N297における修飾はまた、補体C1qタンパク質とのIgG Fc反応の相互作用を減少させるための潜在性を提供する。
T細胞-MPが化学的コンジュゲーション部位として用いられ得るグルタミンを含有しない場合(例えば、それがトランスグルタミナーゼに近接可能ではなく、所望の箇所に配置もされない場合)、グルタミン残基が配列に付加されてトランスグルタミナーゼ部位が形成され得、またはトランスグルタミナーゼ近接可能グルタミン(時に「グルタミンタグ」または「Q-タグ」と称される)を含む配列がタンパク質操作を介してポリペプチドに組み込まれ得る。付加されたグルタミンまたはQ-タグは、エピトープまたはペイロードのための化学的コンジュゲーション部位として作用し得る。米国特許公開第2017/0043033A1号は、グルタミン残基及びQ-タグの組み込みならびにポリペプチドを修飾するためのトランスグルタミナーゼの使用を記載しており、それらの教示のために本明細書に組み込まれる。
グルタミン残基及びQ-タグの組み込みは、ペプチドが合成される場合は化学的に、またはポリペプチドをコードする核酸を修飾し、細胞または無細胞システムにおいて修飾された核酸を発現させることによって達成され得る。実施形態では、グルタミン含有Q-タグは、LQG、LLQGG(配列番号76)、LLQG(配列番号77)、LSLSQG(配列番号78)、及びLLQLQG(配列番号79)からなる群から選択されるaa配列を含む(多数の他のものが利用可能である)。
グルタミン残基及びQ-タグは、T細胞-MPの任意の所望の箇所に組み込まれ得る。実施形態では、グルタミン残基またはQ-タグは、MHC-Hもしくはβ2Mポリペプチド配列またはそれらを接続させる任意のリンカー配列(L3リンカー)を含む、任意のT細胞-MP要素に(例えば、その末端にまたは末端の近くに)付加され得る。グルタミン残基及びQ-タグはまた、骨格ポリペプチド(例えば、Ig Fc)またはT細胞-MPに存在するリンカー(例えば、L1~L6)のいずれかに付加され得る。
グルタミン残基またはQ-タグは、図4に示される成熟β2Mポリペプチド配列(例えば、aa21で開始し、それらのC末端で終了する図4に示される配列)の少なくとも50個(例えば、少なくとも60、70、80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有する配列を有するT細胞-MPにおけるβ2Mポリペプチドに組み込まれ、または結合され得る(例えば、ペプチドリンカーを介して)。図4における成熟ヒトβ2Mポリペプチド配列が、グルタミン残基またはQ-タグの組み込みのために選択され得る。β2Mポリペプチドとの配列同一性は、付加されるグルタミン残基、Q-タグ、または存在する任意のリンカーもしくは他の配列を考慮せずに図4におけるβ2Mポリペプチドの対応する部分と比べて決定される。
実施形態では、グルタミン残基またはQ-タグは、図4に示される配列(図4に示される配列全体、またはaa21で開始し、そのC末端で終了する成熟ポリペプチドの配列のいずれか)と比較して1~15(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15)aaの欠失、挿入及び/または変化を有するβ2Mポリペプチド配列に組み込まれ得る。変化は、グルタミン残基、Q-タグ及び存在する任意のリンカー配列のaaを考慮せずに評価される。1つのそのような実施形態では、グルタミン残基またはQ-タグは、成熟β2M配列、例えば、図4に示されるもののaa1~15、15~35、35~55、40~50、または50~70内に配置及び/または挿入され得る。一実施形態では、グルタミン残基またはQ-タグは、図4のヒト成熟β2Mポリペプチド配列のaa35~55の間(例えば、40~50)に配置され得、0~15aaの置換を有し得る。
グルタミン残基またはQ-タグは、グルタミン残基またはQ-タグの付加の前に図3A~3Iに示されるMHC-H配列の少なくとも150、175、200、または225個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するMHCクラスI重鎖ポリペプチド配列に組み込まれ、または結合され得る(例えば、ペプチドリンカーを介して)。
実施形態では、付加されるグルタミン残基またはQ-タグは、T細胞-MPのNまたはC末端に付加され、または、存在する場合、T細胞-MPのNまたはC末端に配置されたリンカーにまたはその中に結合される。
第1級アミン基を含有する、または含有するように修飾されたペイロード及びエピトープは、グルタミン残基(例えば、Q-タグにおけるグルタミン残基)とエピトープまたはペイロードとの間に共有結合を形成するトランスグルタミナーゼ触媒反応においてアミンドナーとして使用され得る。
エピトープまたはペイロードが、アミンドナーとして作用することを可能にする好適な第1級アミンを含まない場合、エピトープまたはペイロードは、アミン基を組み込むように化学的に修飾され得る(例えば、リジン、アミノカプロン酸、カダベリン等への結合によって第1級アミンを組み込むように修飾される)。エピトープまたはペイロードがペプチドを含み、アミンドナーとして作用するための第1級アミンを必要とする場合、トランスグルタミナーゼが作用し得るリジンまたは別の第1級アミンがペプチドに組み込まれ得る。第1級アミン基を提供し得、アルファアミノ酸鎖に、またはその末端に組み込まれ得る他のアミン含有化合物には、ホモリジン、2,7-ジアミノヘプタン酸、及びアミノヘプタン酸が含まれるがこれらに限定されない。代替的には、エピトープまたはペイロードは、好適なアミン基を含むペプチドまたは非ペプチドリンカーに結合され得る。好適な非ペプチドリンカーの例には、アルキルリンカー及びPEG(ポリエチレングリコール)リンカーが含まれる。
トランスグルタミナーゼは、哺乳動物の肝臓(例えば、モルモットの肝臓);真菌(例えば、Oomycetes、Actinomycetes、Saccharomyces、Candida、Cryptococcus、Monascus、またはRhizopusのトランスグルタミナーゼ);変形菌(例えば、Physarum polycephalumのトランスグルタミナーゼ);及び/または多様なStreptoverticillium、Streptomyces、Actinomadura sp.、Bacillusを含む細菌等からの酵素を含む、多様な源から得られ得る。
Q-タグは、グルタミンを挿入することによってまたはT細胞-MPに現れるIg Fc、β2M、及び/またはMHC-H鎖配列に現れるグルタミン残基の周りのaa配列を修飾することによって生成され、エピトープまたはペイロードの付加のための化学的コンジュゲーション部位として使用され得る。同様に、Q-タグは、直接的にまたは第1級アミンを保有するペプチドまたは化学的リンカーを介して間接的に、例えば、エピトープ及び/またはペイロードのコンジュゲーションのために使用され得る化学的コンジュゲーション部位としてIg Fc領域に組み込まれ得る。
d.化学的コンジュゲーション部位としてのセレノシステイン及び非天然アミノ酸
部位特異的化学的コンジュゲーション部位をT細胞-MPポリペプチドに提供するための1つのストラテジーは、ポリペプチドに存在する天然に存在するタンパク質構成L-アミノ酸とは異なる反応性を有するaaの挿入を用いる。そのようなaaには、セレノシステイン(Sec)、及び非天然aa:アセチルフェニルアラニン(p-アセチル-L-フェニルアラニン、pAcPhe);パラジドフェニルアラニン;及びプロピニル-チロシンが含まれるがこれらに限定されない。米国特許公開第20140051836A1号におけるThanosらは、O-メチル-L-チロシン、O-4-アリル-L-チロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcβ-セリン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、L-ホスホセリン、及びp-プロパルギルオキシ-フェニルアラニンを含むいくつかの他の非天然aaについて論述している。他の非天然aaには、例えば、アミノ、カルボキシ、アセチル、ヒドラジノ、ヒドラジド、セミカルバジド、スルファニル、アジド及びアルキニル等の反応性基が含まれる。例えば、米国特許公開第20140046030A1号を参照されたい。
実験室でポリペプチドを直接的に合成することに加えて、転写-翻訳システムを利用してタンパク質及びポリペプチドに非天然aaを組み込むための終止コドンを利用する2つの方法が開発されている。1つ目は、オパール終止コドンであるUGAをSec挿入配列と対合させることによってセレノシステイン(Sec)を組み込む。2つ目は、通常はアンバー、オーカー、またはオパール終止コドンの使用を介して非天然aaをポリペプチドに組み込む。独自コドン、稀なコドン、非天然コドン、5塩基コドン、及び4塩基コドン等の他のタイプのコドンの使用、ならびにナンセンス及びフレームシフト抑制の使用もまた報告されている。例えば、米国特許公開第20140046030A1号及びRodriguez et al.,PNAS 103(23)8650-8655(2006)を参照されたい。例として、非天然アミノ酸アセチルフェニルアラニンは、in vivoまたは無細胞転写-翻訳システムにおいてtRNA/アミノアシルtRNA合成酵素対を使用してアンバーコドンで組み込まれ得る。
セレノシステイン及び非天然aaの両方の組み込みは、所望の箇所(複数可)でT細胞MPポリペプチドの核酸コード配列への必要な終止コドン(複数可)を操作することを必要とし、その後、コード配列は、in vivoまたは無細胞転写-翻訳システムにおいてT細胞-MPを発現させるために使用される。
in vivoシステムは通常、ポリペプチド及びタンパク質への生体直交化学的コンジュゲーション部位として作用する非天然aaを組み込むための操作された細胞株に依存する。例えば、「In vivo incorporation of unnatural amino acids」という題目の国際公開された出願第2002/085923号を参照されたい。in vivoでの非天然aaの組み込みは、宿主細胞における内因性tRNA及び合成酵素のすべて直交するtRNA及びアミノアシルtRNA合成酵素対に依存する。選抜された非天然aaは、細胞浸透性及び安定性を重要な考慮事項として、細胞培養または発酵中に培地に補充される。
補充されたtRNAを備える様々な無細胞合成システムもまた、非天然aaを組み込むために利用され得る。そのようなシステムには、米国特許公開第20160115487A1号;Gubens et al.,RNA.2010 Aug;16(8):1660-1672;Kim,D.M.and Swartz,J.R.Biotechnol.Bioeng.66:180-8(1999);Kim,D.M.and Swartz,J.R.Biotechnol.Prog.16:385-90(2000);Kim,D.M.and Swartz,J.R.Biotechnol.Bioeng.74:309-16(2001);Swartz et al,Methods Mol.Biol.267:169-82(2004);Kim,D.M.and Swartz,J.R.Biotechnol.Bioeng.85:122-29(2004);Jewett,M.C.and Swartz,J.R.,Biotechnol.Bioeng.86:19-26(2004);Yin,G.and Swartz,J.R.,Biotechnol.Bioeng.86:188-95(2004);Jewett,M.C.and Swartz,J.R.,Biotechnol.Bioeng.87:465-72(2004);Voloshin,A.M.and Swartz,J.R.,Biotechnol.Bioeng.91:516-21(2005)に記載されているものが含まれる。
T細胞-MPに組み込まれると、組み込まれたセレノシステインまたは非天然aaと反応性の基を保有するエピトープ及び/またはペイロードは、共有結合を形成するために好適な条件下でT細胞-MPと接触させられる。例として、pAcPheのケト基は、アルコキシアミンに対して反応性であり、オキシムカップリングを介して、アルコキシアミン含有エピトープ及び/またはペイロードに直接的に、またはアルコキシアミン含有リンカーを介してエピトープ及びペイロードに間接的にコンジュゲートされ得る。セレノシステインは、例えば、第1級アルキルヨウ化物(例えば、リンカーとして使用され得るヨードアセトアミド)、マレイミド、及びメチルスルホンフェニルオキサジアゾール基と反応する。したがって、それらの基を保有するまたはそれらの基を保有するリンカーに結合したエピトープ及び/またはペイロードは、セレノシステインを保有するポリペプチド鎖に共有結合され得る。
他の化学的コンジュゲーション部位について上で論述されるように、セレノシステイン及び/または非天然aaは、T細胞-MPにおける任意の所望の箇所に組み込まれ得る。実施形態では、セレノシステイン及び/または非天然aaは、MHC-Hもしくはβ2Mポリペプチド配列またはそれらを接続させる任意のリンカー配列(L3リンカー)を含む、任意のT細胞-MP要素に(例えば、その末端にまたは末端の近くに)付加され得る。セレノシステイン及び/または非天然aaはまた、骨格ポリペプチド(例えば、Ig Fc)またはT細胞-MPに存在するリンカー(例えば、L1~L6)のいずれかに付加され得る。
セレノシステイン及び非天然aaは、図4に示される成熟β2Mポリペプチド配列(例えば、aa21で開始し、それらのC末端で終了する図4に示される配列)の少なくとも50個(例えば、少なくとも60、70、80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有する配列を有するT細胞-MPにおけるβ2Mポリペプチドに組み込まれ、または結合され得る(例えば、ペプチドリンカーを介して)。図4における成熟ヒトβ2Mポリペプチド配列は、セレノシステイン及び非天然aaの組み込みのために選択され得る。β2Mポリペプチドとの配列同一性は、付加されるセレノシステイン、非天然aa、または存在する任意のリンカーもしくは他の配列を考慮せずに図4におけるβ2Mポリペプチドの対応する部分と比べて決定される。
実施形態では、セレノシステイン(複数可)または非天然aa(複数可)は、図4に示される配列(図4に示される配列全体、またはaa21で開始し、そのC末端で終了する成熟ポリペプチドの配列のいずれか)と比較して1~15(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15)aaの欠失、挿入及び/または変化を有するβ2Mポリペプチド配列に組み込まれ得る。変化は、セレノシステイン(複数可)、非天然aa(複数可)、及び存在する任意のリンカー配列を考慮せずに評価される。1つのそのような実施形態では、セレノシステインまたは非天然aaは、成熟β2M配列、例えば、図4に示されるもののaa1~15、15~35、35~55、40~50、または50~70内に配置及び/または挿入され得る。一実施形態では、セレノシステインまたは非天然aaは、図4のヒト成熟β2Mポリペプチド配列のaa35~55の間(例えば、40~50)に配置され得、0~15aaの置換を有し得る。
セレノシステインまたは非天然aaは、セレノシステインまたは非天然aaの付加の前に図3A~3Iに示されるMHC-H配列の少なくとも150、175、200、または225個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するMHCクラスI重鎖ポリペプチド配列に組み込まれ、または結合され得る(例えば、ペプチドリンカーを介して)。
実施形態では、付加されるセレノシステイン(複数可)または非天然aa(複数可)は、T細胞-MPのNまたはC末端に結合され、または、存在する場合、T細胞-MPのNまたはC末端に配置されたリンカーにまたはその中に結合される。1つのそのような実施形態では、それらは、直接的にまたはペプチドまたは化学的リンカーを介して間接的にT細胞-MPにコンジュゲートされる、例えば、エピトープ、標的化配列、及び/またはペイロードのコンジュゲーションのための部位として利用され得る。
e.アミノ酸化学的コンジュゲーション部位
天然に存在するアミノ酸の側鎖、またはポリペプチドの末端に存在する多様な官能基(例えば、-SH、-NH、-OH、-COOH等)のいずれは、化学的コンジュゲーション部位として使用され得る。これには、N-ヒドロキシスクシンイミド及びマレイミド官能基をそれぞれ含む試薬によって容易に修飾可能なリジン及びシステインの側鎖が含まれる。そのようなアミノ酸残基を利用する主要な欠点は、産物の潜在的変動性及び不均一性である。例えば、IgGは、80を超えるリジンを有し、溶媒露出部位で20を超えるリジンを有する。例えば、McComb and Owen,AAPS J.117(2):339-351を参照されたい。システインは、あまり広く分布しない傾向があり;それらは、ジスルフィド結合において係合される傾向があり、近接不可能であり得(例えば、溶媒によってまたはシステインを修飾するために使用される分子に近接可能ではなく)、化学的コンジュゲーション部位を配置することが望ましい場所に位置していない場合がある。しかしながら、化学的コンジュゲーション部位の配置のための所望の箇所で天然に存在するアミノ酸及び、上に論述されるように、天然に存在しないアミノ酸を提供するためにT細胞-MPポリペプチドを選択的に修飾することが可能である。修飾は、ポリペプチドの直接的な化学的合成(例えば、適切にブロックされたアミノ酸をカップリングすることによる)及び/または細胞または無細胞システムにおける発現後のポリペプチドをコードする核酸の配列を修飾することによる形態を取り得る。したがって、本開示は、エピトープまたはペイロードコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位として使用される非天然aaまたは天然aa(セレノシステインを含む)を組み込むことが可能な転写/翻訳システムによるT細胞-MPポリペプチドの調製を含み、それを提供する。
本開示は、転写/翻訳システムによるT細胞-MPの一部の調製及び、そのCまたはN末端に、例えば、化学的合成によって調製された非天然aaまたは天然aa(セレノシステインを含む)を保有するポリペプチドを接続させることを含み、それを提供する。リンカーを含み得るポリペプチドは、ペプチドエピトープのための上述したソルターゼの使用を含む任意の好適な方法によって接続され得る。実施形態では、そのポリペプチドは、ソルターゼコンジュゲーションのために及び/またはリンカー配列の一部として機能し得る2、3、4、または5個のアラニンまたはグリシンの配列を含み得る。
化学的コンジュゲーション部位として使用される天然に存在するaa(例えば、システイン)は、T細胞-MPの任意の所望の箇所で提供され得る。実施形態では、天然に存在するaaは、MHC-Hもしくはβ2Mポリペプチド配列またはそれらを接続させる任意のリンカー配列(L3リンカー)を含む、任意のT細胞-MP要素に(例えば、その末端にまたは末端の近くに)提供され得る。天然に存在するaa(複数可)はまた、骨格ポリペプチド(例えば、Ig Fc)またはT細胞-MPに存在するリンカー(例えば、L1~L6)のいずれかに提供され得る。
天然に存在するaa(例えば、システイン)はまた、図4に示される成熟β2Mポリペプチド配列(例えば、aa21で開始し、それらのC末端で終了する図4に示される配列)の少なくとも50個(例えば、少なくとも60、70、80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有する配列を有するT細胞-MPにおけるβ2Mポリペプチドに提供され(例えば、タンパク質操作を介して)、または結合され得る(例えば、ペプチドリンカーを介して)。図4における成熟ヒトβ2Mポリペプチド配列は、天然に存在するaaの組み込みのために選択され得る。β2Mポリペプチドとの配列同一性は、付加される天然に存在するaa、任意のリンカー、または存在する任意の他の配列を考慮せずに図4におけるβ2Mポリペプチドの対応する部分と比べて決定される。
実施形態では、天然に存在するaa(例えば、システイン)は、図4に示される配列(図4に示される配列全体、またはaa21で開始し、そのC末端で終了する成熟ポリペプチドの配列のいずれか)と比較して1~15(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15)aaの欠失、挿入及び/または変化を有するβ2Mポリペプチド配列に、例えば、タンパク質操作を介して提供され得る。変化は、天然に存在するaa、任意のリンカー、または存在する他の配列のaaを考慮せずに評価される。1つのそのような実施形態では、天然に存在するaa(例えば、システイン)は、成熟β2M配列、例えば、図4に示されるもののaa1~15、15~35、35~55、40~50、または50~70内で(例えば、分子生物学の技術を使用して)修飾され得る。一実施形態では、天然に存在するaa(例えば、システイン)は、図4のヒト成熟β2Mポリペプチド配列のaa35~55の間で(例えば、40と50との間で、42と48との間で、43と45との間で、またはaa44で)提供され得、0~15aaの置換を有し得る。
天然に存在するaa(例えば、システイン)は、天然に存在するaaの付加の前に図3A~3Iに示されるMHC-H配列の少なくとも150、175、200、または225個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するMHCクラスI重鎖ポリペプチド配列において提供され、またはそれに結合され得る(例えば、ペプチドリンカーを介して)。
実施形態では、天然に存在するaa(例えば、システイン)は、T細胞-MPのNまたはC末端に結合され、または、存在する場合、T細胞-MPのNまたはC末端に配置されたリンカーにまたはその中に結合され得る。
一実施形態では、T細胞-MPは、図4に示されるβ2M配列、図2A~Gのいずれかに示されるIg Fc配列、または図3A~3Iに示されるMHCクラスI重鎖ポリペプチドにおいて、例えば、タンパク質操作を介して、提供される化学的コンジュゲーション部位として使用される少なくとも1つの天然に存在するaa(例えば、システイン)を含有する。実施形態では、化学的コンジュゲーション部位として使用される少なくとも1つの天然に存在するaaは、図4に示される成熟β2M配列の少なくとも50個(例えば、少なくとも60、70、80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性、図2に示されるIg Fc配列、または図3A~3Iのいずれかに示されるMHCクラスI重鎖ポリペプチドの少なくとも150、175、200、または225個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するポリペプチドにおいて提供される。少なくとも1つの天然に存在するaa(例えば、システイン)は、図4に示される成熟β2M配列の少なくともアミノ末端の10、20、30、40、50、60または70aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも93%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するT細胞-MPのβ2Mのaa配列において化学的コンジュゲーション部位として提供され得る。少なくとも1つの天然に存在するaa(例えば、システイン)は、T細胞-MPのIg Fc配列(例えば、図2A~2Gのいずれかに示される)において化学的コンジュゲーション部位として提供され得る。少なくとも1つの天然に存在するaa(例えば、システイン)は、図3A~3Iのいずれかに提供されるMHC Hポリペプチド配列の少なくとも150、175、200、または225個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するT細胞-MPのMHCクラスI重鎖ポリペプチド配列において化学的コンジュゲーション部位として提供され得る。別の実施形態では、化学的コンジュゲーション部位として使用される少なくとも1つの天然に存在するaaは、図3A~3Iのいずれかに示されるMHCクラスI重鎖配列または図4に示される成熟β2M配列と100%のaa配列同一性を有する少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または100個の連続aaを含むT細胞-MPポリペプチドにおいて提供される。
天然に存在するaaが、例えば、タンパク質操作を介して、ポリペプチドに提供される上記の実施形態のいずれかでは、aaは、アルギニン、リジン、システイン、セリン、トレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、及びアスパラギンからなる群から選択され得る。代替的には、コンジュゲーション部位として提供されるaaは、リジン、システイン、セリン、トレオニン、及びグルタミンからなる群から選択される。コンジュゲーション部位として提供されるaaはまた、リジン、グルタミン、及びシステインからなる群から選択され得る。1つの例では、提供されるaaは、システインである。別の例では、提供されるaaは、リジンである。また別の例では、提供されるaaは、グルタミンである。
コンジュゲートされていないT細胞-MPにおいて提供されるアミノ酸にペイロードまたはエピトープをカップリングするために当該技術分野で知られている任意の方法が使用され得る。例として、マレイミドは、スルフヒドリルにカップリングするために利用され得、N-ヒドロキシスクシンイミドは、アミン基にカップリングするために利用され得、酸無水物または塩化物は、アルコールまたはアミンにカップリングするために使用され得、脱水剤は、アルコールまたはアミンをカルボン酸基にカップリングするために使用され得る。したがって、そのような化学を使用して、エピトープまたはペイロードは、直接的に、またはリンカー(例えば、ホモまたはヘテロ2官能性架橋剤)を介して間接的に、コンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチド上の箇所にカップリングされ得る。本明細書で以下に記載されるT細胞-MPにペイロードを連結するために記載されているものを含むがこれらに限定されない多数の2官能性架橋剤が利用され得る。例えば、ホモまたはヘテロ2官能性リンカーを用いて結合されたマレイミド基(例えば、図9を参照されたい)またはマレイミドアミノ酸を含むペプチドエピトープ(またはペプチド含有ペイロード)は、天然に存在するまたはT細胞-MPにおいて提供される化学的コンジュゲーション部位(例えば、システイン残基)のスルフヒドリルにコンジュゲートされ得る。
マレイミドアミノ酸は、固相ペプチド合成の一部としてディールス・アルダー/レトロ・ディールス・アルダー保護スキームを使用してペプチド(例えば、ペプチドエピトープ)に直接的に組み込まれ得る。例えば、Koehler,Kenneth Christopher(2012),“Development and Implementation of Clickable Amino Acids,” Chemical & Biological Engineering Graduate Theses & Dissertations,31,https://scholar.colorado.edu/ chbe_gradetds/31を参照されたい。
マレイミド基はまた、マレイミドを直接的に(または例えば、エピトープに結合した追加のaaを含み得る介在リンカーを介して間接的に)エピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)に結合させるホモまたはヘテロ2官能性リンカー(時に架橋剤と称される)を使用してエピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)に付加され得る。例えば、ヘテロ2官能性N-ヒドロキシスクシンイミド-マレイミド架橋剤は、マレイミドをペプチドリジンのアミン基に結合させ得る。いくつかの特定の架橋剤には、マレイミド官能基及びマレイミドをアミン(例えば、リジンのイプシロンアミノ基)に結合させ得るN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)またはN-スクシンイミジル基のいずれかを有する分子が含まれる。そのような架橋剤の例には、NHS-PEG4-マレイミド、γ-マレイミド酪酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS);ε-マレイミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS);m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS);及びN-(α-マレイミドアセトキシ)-スクシンイミドエステル(AMAS)が含まれるがこれらに限定されず、これらは、ペプチド固定化のための異なる長さ及び特性を提供する。マレイミド基を組み込む他のアミン反応性架橋剤には、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)が含まれる。追加の架橋剤(2官能性薬剤)が以下に記述される。実施形態では、T細胞-MPにカップリングされるエピトープは、例えば、リジンのイプシロンアミノ基を用いて形成されたアミドによってカップリングされた、任意のリンカー(例えば、図9を参照されたい)によってペプチドにカップリングされたマレイミドアルキルカルボン酸を有する。マレイミドカルボン酸は、例えば、マレイミドエタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、またはオクタン酸であり得る。
ペプチドエピトープは、例えば、マレイミドを含む2官能性リンカーまたはペプチドに組み込まれたマレイミドアミノ酸を介してT細胞-MPの結合ポケットに存在するまたは提供された(例えば、その中に操作された)天然に存在するシステインにカップリングされ、それによりT細胞-MPエピトープコンジュゲートを形成し得る。ペプチドエピトープは、MHC-H結合ポケット内のまたはそれに隣接する任意の1つ以上の箇所でシステイン残基を有するMHC重鎖にコンジュゲートされ得る(例えば、1または2つのマレイミドアミノ酸または少なくとも1つのマレイミド含有2官能性リンカーによって)。例として、マレイミドアミノ酸を含むまたはペプチドに結合した架橋剤の一部としてのマレイミド基を保有するペプチドエピトープは、図3D~3Iのように付番されるMHC-Hの位置2、5、7、59、84、116、139、167、168、170、及び/または171で1または2aa(例えば、システイン)に共有結合され得る(例えば、Y7C、Y59C、Y116C、A139C、W167C、L168C、R170C、及びY171C置換)。ペプチドエピトープはまた、図3D~3Hのように付番される位置7及び/または116から選択される任意の1つ以上(例えば、1または2つ)のaa位置でシステイン残基(例えば、Y7C及びY116C置換)を有するMHC重鎖にコンジュゲートされ得る(例えば、1または2つのマレイミドアミノ酸または少なくとも1つのマレイミド含有2官能性リンカーによって)。図3D~3Hのように付番される位置116におけるシステイン置換(例えば、Y116C)及び/または位置167におけるシステイン置換(例えば、W167C)は、(例えば、エピトープ含有ペプチドの末端の一方または両方で)マレイミド基を介して形成される1または2つの結合を用いてエピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)を固定するために別々にまたは組み合わせて使用され得る。
ペプチドエピトープはまた、図4に示される成熟β2Mポリペプチド配列の少なくとも60個の連続するアミノ酸(例えば、少なくとも70、80、90個またはすべての連続aa)と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%または100%)の配列同一性を有するβ2Mポリペプチド配列に存在するまたは提供された(例えば、その中に操作された)天然に存在するシステインにカップリングされ得る。化学的コンジュゲーション部位を生成するためにシステインによって置換され得る成熟β2Mポリペプチドのいくつかの溶媒露出性位置には、NP_004039.1からの成熟ペプチドの2、14、16、34、36、44、45、47、48、50、58、74、77、85、88、89、91、94、及び98(Gln2、Pro14、Glu16、Asp34、Glu36、Glu44、Arg45、Glu47、Arg48、Glu50、Lys58、Glu74、Glu77、Val85、Ser88、Gln89、Lys91、Lys94、及びAsp98)、または他のβ2M配列におけるそれらの対応するアミノ酸が含まれる(図4における配列アライメントを参照されたい)。例えば、エピトープは、成熟β2Mポリペプチドの位置2、44、50、77、85、88、91、または98(図4に示される成熟β2M配列のaa22、64、70、97、105、108、111、または118)でシステインにコンジュゲートされ得る。したがって、T細胞-MPのβ2M配列は、Q2C、E44C、E50C、E77C、V85V、S88C、K91C、及びD98Cから選択される、成熟β2M配列において(例えば、タンパク質操作によって)提供されるシステイン化学的コンジュゲーション部位を含有し得る。β2M配列におけるシステイン化学的コンジュゲーション部位はまた、MHC-H配列間に鎖内ジスルフィド結合を形成することによってMHCを安定化するためになされるMHC-HのY84C及びA139C置換と組み合わされ得る。1つの例では、成熟β2Mにおいて提供されるシステイン化学的コンジュゲーション部位は、E44に位置する(E44C置換)。別の例では、成熟β2Mにおいて提供されるシステイン化学的コンジュゲーション部位は、E44に位置し(E44C置換)、β2M配列はまた、鎖内ジスルフィド結合を形成するMHC-HのY84C及びA139C置換を含む。
エピトープ、標的化配列及び/またはペイロードのコンジュゲーションが、(例えば、マレイミド修飾エピトープまたはペイロードを使用して)コンジュゲートされていないT細胞-MPに存在するシステイン化学的コンジュゲーション部位を介して行われる場合、多様なプロセス条件が、コンジュゲーション反応に起因するコンジュゲートされたT細胞-MPのコンジュゲーション効率及び質(例えば、反応に起因する非凝集二重体T細胞-MPエピトープコンジュゲートの量/画分)に影響を及ぼし得る。個々に最適化され得るコンジュゲーションプロセス条件には、(i)コンジュゲーション前のシステインスルフヒドリルの非ブロック化(例えば、潜在的ブロック基が存在し、除去され得る)、(ii)T細胞-MPのエピトープまたはペイロードに対する比、(iii)反応pH、(iv)用いられる緩衝液、(v)反応に存在する添加剤、(vi)反応温度、及び(vii)反応時間が含まれるがこれらに限定されない。
コンジュゲーションの前に、T細胞-MPは、ブロックされている場合があるシステインスルフヒドリルを減少させ、遊離させるためにジスルフィド還元剤、例えば、ジチオスレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、またはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)で処置され得る。処置は、例えば、システインコンジュゲーション部位当たり約0.5~2.0還元当量の比較的少ない量の還元剤を使用して、比較的短い期間行われ得、コンジュゲートされていないT細胞MPのシステイン化学的コンジュゲーション部位は、約10分~約1時間、または約1時間~5時間、コンジュゲーションのための反応性求核剤として利用可能であり得る。
コンジュゲートされていないT細胞-MPのコンジュゲートされるエピトープまたはペイロードに対する比は、約1:2~約1:100、例えば、約1:2~約1:3、約1:3~約1:10、約1:10~約1:20、約1:20~約1:40、または約1:40~約1:100で変更され得る。反応性エピトープまたはペイロードの逐次付加の使用は、カップリング反応を完了するまで誘導するために行われ得る(例えば、マレイミドまたはN-ヒドロキシスクシンイミド修飾エピトープの複数の用量がT細胞-MPと反応させるために添加され得る)。
先に示されているように、コンジュゲーション反応は、緩衝液、そのpH、及び存在し得る添加剤によって影響を受け得る。T細胞-MPに存在する反応性システインに対するマレイミドカップリングのため、反応は、典型的には、約pH6.5~約pH8.5(例えば、約pH6.5~約pH7.0、約pH7.0~約pH7.5、約pH7.5~約pH8.0、または約pH8.0~約pH8.5)で行われる。活性求核剤(例えば、反応性チオール)を含有せず、好ましくはスルフヒドリルの再酸化を避けるために脱気された任意の好適な緩衝液が反応のために用いられ得る。いくつかの好適な従来の緩衝液には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス-HCl、及び(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)HEPESが含まれる。従来の緩衝液に対する代替手段として、マレイミドコンジュゲーション反応は、アルギニン、グリシン、リジン、またはヒスチジン等のアミノ酸を含む緩衝液/反応混合物中で行われ得る。高い濃度のアミノ酸、例えば、約0.1M(モル濃度)~約1.5M(例えば、約0.1~約0.25、約0.25~約0.5、約0.3~約0.6、約0.4~約0.7、約0.5~約0.75、約0.75~約1.0、約1.0~約1.25M、または約1.25~約1.5M)の使用は、コンジュゲートされた及び/またはコンジュゲートされていないT細胞-MPを安定化し得る。
マレイミド及び他のコンジュゲーション反応に有用な添加剤には、プロテアーゼ阻害剤;不要な副反応を妨害し、金属依存性プロテアーゼが存在する場合にそれを阻害する金属キレート剤(例えば、EDTA);洗浄剤(例えば、TWEEN80(登録商標)として販売されているポリソルベート80、またはNP40及びTergitol(商標)NPの名称で販売されているノニルフェノキシポリエトキシエタノール);及びタンパク質に安定性を加え得るスクロースまたはグリセロール等のポリオールが含まれるがこれらに限定されない。
T細胞-MP中のエピトープ、標的化配列及び/またはペイロードとのコンジュゲーション、及び特にマレイミド化学を使用するシステインにおけるコンジュゲーションは、所定範囲の温度、例えば、0℃~40℃にわたって行われ得る。例えば、システイン-マレイミド反応を含むコンジュゲーション反応は、約0℃~約10℃、約10℃~約20℃、約20℃~約30℃、約25℃~約37℃、または約30℃~約40℃(例えば、約20℃、約30℃または約37℃)で行われ得る。
スルフヒドリル基の対が存在する場合、それらは、T細胞-MPへの化学的コンジュゲーションのために同時に用いられ得る。そのような実施形態では、ジスルフィド結合を有する、または互いに近接する箇所で提供される2つのシステイン(またはセレノシステイン)を有するコンジュゲートされていないT細胞-MPは、ビス-チオールリンカーの組み込みによって化学的コンジュゲーション部位として利用され得る。Godwin及び同僚によって記載されるビス-チオールリンカーは、その場所において架橋基を形成することによってジスルフィド結合を減少させることに関連する不安定性を回避し、同時にエピトープまたはペイロードであり得る別の分子の組み込みを可能にする。例えば、親水性リンカー(例えば、PEG(ポリエチレングリコール)リンカー)を組み込むビス-スルホン試薬の使用を記載しているBadescu G,et al.,(2014),Bioconjug Chem.,25(6):1124-36,entitled Bridging disulfides for stable and defined antibody drug conjugatesを参照されたい。
通常、ジスルフィド結合を減少させ、ビス-チオールリンカーをシステイン及び/またはセレノシステイン残基の両方と反応させるためにジチオール還元剤(例えば、ジチオスレイトール)の化学量論量またはほぼ化学量論量が用いられる。複数のジスルフィド結合が存在する場合、還元剤の化学量論量またはほぼ化学量論量の使用が、1つの部位における選択的修飾を可能にし得る。例えば、Brocchini,et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.(2008)60:3-12を参照されたい。T細胞-MPまたは二重体化T細胞-MPがシステイン及び/またはセレノシステイン(例えば、セレノシステイン及びシステイン)の対を含まない場合、それらは、ビス-チオールリンカーと相互作用し得る残基の対を提供するためにポリペプチドにおいて(システインまたはセレノシステインの一方または両方を導入することによって)提供され得る。システイン及び/またはセレノシステインは、ビス-チオールリンカーが(例えば、2つのシステインがジスルフィド結合を形成し得る箇所で)それらを架橋させ得るように配置され得る。システイン及びセレノシステインの任意の組み合わせが用いられ得る(すなわち、2つのシステイン、2つのセレノシステイン、またはセレノシステイン及びシステイン)。システイン及び/またはセレノシステインはいずれとも、T細胞-MP上に存在し得る。代替的には、二重体T細胞-MPにおいて、第1のシステイン及び/またはセレノシステインは、二重体の第1のT細胞-MPに存在し、第2のシステイン及び/またはセレノシステインは、二重体の第2のT細胞-MPに存在し、ビス-チオールリンカーは、二重体化T細胞-MPの間で共有結合性架橋として作用する。
実施形態では、システイン及び/またはセレノシステイン残基の対は、システイン及び/またはセレノシステインの対の、及び/またはそれらの配列のうちの1つに結合したL2またはL3ペプチドリンカーへの付加の前に、図4に示される成熟β2Mポリペプチド配列の少なくとも50個(例えば、少なくとも60、70、80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するT細胞-MPのβ2M配列に組み込まれる。1つのそのような実施形態では、システイン及び/またはセレノシステインの対は、ビス-チオール基に結合したペプチドまたは化学的リンカーを介するエピトープ及び/またはペイロードのコンジュゲーションのためのビス-チオールリンカーカップリング部位として利用され得る。
別の実施形態では、システイン及び/またはセレノシステインの対は、化学的コンジュゲーション部位としてT細胞-MPのMHC-Hポリペプチド配列に組み込まれる。実施形態では、システイン及び/またはセレノシステインの対は、システインまたはセレノシステインの、またはそれらの配列のうちの1つに結合したペプチドリンカーへの付加の前に、図3A~3Iのいずれかに示されるMHC-H配列の少なくとも150、175、200、または225個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有する配列を含むポリペプチドに組み込まれる。1つのそのような実施形態では、システイン及び/またはセレノシステインの対は、ビス-チオールリンカーに結合したペプチドまたは化学的リンカーを介するエピトープ及び/またはペイロードのコンジュゲーションのためのビス-チオールリンカーカップリング部位として利用され得る。MHC-H配列にY84C及びA139C置換が含まれる場合、ビス-チオールリンカーは、エピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)の共有結合性カップリングのためのそれらの部位間の共有結合性架橋を形成するために使用され得る。
別の実施形態では、システイン及び/またはセレノシステインの対は、化学的コンジュゲーション部位を提供するためにT細胞-MPのIg Fc配列に組み込まれる。実施形態では、システイン及び/またはセレノシステインの対は、システインまたはセレノシステインの対の付加の前に、図2A~2GのFc配列のいずれかに示される配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するIg Fc配列を含むポリペプチドに組み込まれる。1つのそのような実施形態では、システイン及び/またはセレノシステインの対は、ビス-チオール基に結合したペプチドまたは化学的リンカーを介するエピトープ及び/またはペイロードのコンジュゲーションのためのビス-チオールリンカーカップリング部位として利用される。ビス-チオールリンカーは、二重体T細胞-MPの骨格ポリペプチド間で共有結合性架橋を形成するために使用され得る。そのような場合、鎖間ジスルフィド結合を形成する下側ヒンジ領域のシステインは、Ig Fc骨格ポリペプチド配列に存在する場合、ビス-チオールリンカーを挿入するために使用され得る。
f.他の化学的コンジュゲーション部位
(i)炭水化物化学的コンジュゲーション部位
細胞発現によって調製される多くのタンパク質は、付加された炭水化物(例えば、哺乳動物細胞において発現した抗体に付加されたタイプのオリゴ糖)を含有する。したがって、T細胞-MPが細胞発現によって調製される場合、炭水化物が存在し得、特にT細胞-MPがIg Fc骨格を含む場合、例えば、グリコール-コンジュゲーション反応において、選択的化学的コンジュゲーション部位として利用可能であり得る。McCombs and Owen,AAPS Journal,(2015)17(2):339-351、及びその中で引用された参考文献は、抗体に対する分子のグリコール-コンジュゲーションのための炭水化物残基の使用を記載している。
炭水化物残基の付加または修飾はまた、ex vivoで、炭水化物を変化させる化学物質(例えば、アルデヒド基を導入する過ヨード酸塩)の使用を介して、または化学的コンジュゲーション部位として使用するための化学的に反応性の炭水化物または炭水化物アナログを組み込み得る酵素(例えば、フコシルトランスフェラーゼ)の作用によって行われ得る。実施形態では、既知のグリコシル化部位を有するIg Fc骨格の組み込みは、部位特異的化学的コンジュゲーション部位を導入するために使用され得る。
本開示は、化学的コンジュゲーション(例えば、グリコール-コンジュゲーション)部位として炭水化物を有するT細胞-MPを含み、それを提供する。
本開示はまた、エピトープならびに他の分子、例えば、標的化配列、薬物、及び診断剤ペイロードとのコンジュゲートを形成する際のそのような分子の使用を含み、それを提供する。
(ii)ヌクレオチド結合部位
ヌクレオチド結合部位は、結合部位に共有結合し得るUV反応性部位の使用を介して部位特異的官能化を提供する。Bilgicer et al.,Bioconjug Chem.(2014)25(7):1198-202は、ヌクレオチド結合部位でIgGに共有結合され得るインドール-3-酪酸(IBA)部位の使用を報告した。ヌクレオチド結合部位を形成するために必要とされる配列の組み込みにより、T細胞-MPと、反応性ヌクレオチドを保有する好適に修飾されたエピトープ及び/または他の分子(例えば、ペイロード薬物または診断剤)との化学的コンジュゲートは、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを調製するために用いられ得る。エピトープまたはペイロードは、直接的にまたは介在リンカーを介して間接的に、反応性実体(例えば、IBA部位)を介してヌクレオチド結合部位にカップリングされ得る。
本開示は、化学的コンジュゲーション部位としてヌクレオチド結合部位を有するT細胞-MPを含み、それを提供する。本開示はまた、エピトープならびに他の分子、例えば、薬物及び診断剤とのコンジュゲートを形成する際のそのような分子の使用、ならびに処置及び診断の方法におけるそれらの分子の使用を含み、それを提供する。
3 T細胞-MPのMHCポリペプチド
上記したように、T細胞-MPには、MHCポリペプチドが含まれる。本開示の目的のため、用語「主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチド」は、ヒトMHC(ヒト白血球抗原(HLA)とも称される)ポリペプチド、げっ歯類(例えば、マウス、ラット等)MHCポリペプチド、及び他の哺乳動物種(例えば、ウサギ目動物、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ等)のMHCポリペプチド等を含む、様々な種のMHCクラスIポリペプチドを含むことを意味する。用語「MHCポリペプチド」は、クラスI MHCポリペプチド(例えば、β-2ミクログロブリン及びMHCクラスI重鎖及び/またはその一部)を含むことを意味する。T細胞-MPにおけるβ2M及びMHC-H鎖配列の両方は、ヒト起源のものであり得る。別途明示的に記述されない限り、本明細書に記載のT細胞-MP及びT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、MHC-H鎖の膜固定化ドメイン(膜貫通領域)、またはT細胞-MP、もしくはそのペプチドを、それが発現する細胞(例えば、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞)に固定するのに十分なその分子の一部を含むことは意図されていない。また、T細胞-MPに存在するMHC-H鎖は、ネイティブMHCクラスI重鎖に関連するシグナルペプチド、膜貫通ドメイン、または細胞内ドメイン(細胞質尾部)を含まない。よって、例えば、いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するMHC-H鎖には、MHCクラスI重鎖のα1、α2、及びα3ドメインのみが含まれる。T細胞-MPに存在するMHCクラスI重鎖は、約270アミノ酸(aa)~約290aaの長さを有し得る。T細胞-MPに存在するMHCクラスI重鎖は、270aa、271aa、272aa、273aa、274aa、275aa、276aa、277aa、278aa、279aa、280aa、281aa、282aa、283aa、284aa、285aa、286aa、287aa、288aa、289aa、または290aaの長さを有し得る。
いくつかの場合では、T細胞-MPのMHC-H及び/またはβ2Mポリペプチドは、ヒト化またはヒトMHCポリペプチド(ヒトMHCポリペプチドは、「ヒト白血球抗原」(「HLA」)ポリペプチドとも称される)、より具体的には、クラスI HLAポリペプチド、例えば、β2Mポリペプチド、またはクラスI HLA重鎖ポリペプチドである。T細胞-MPに含まれ得るクラスI HLA重鎖ポリペプチドには、HLA-A、-B、-C、-E、-F、及び/または-G重鎖ポリペプチドが含まれる。T細胞-MPのクラスI HLA重鎖ポリペプチドは、図3A~3Iに示されるヒトHLA重鎖ポリペプチド(例えば、α1、α2、及びα3ドメインを包含する配列)のいずれかのaa配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するポリペプチド配列を含み得る。例えば、それらは、1~30、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る(図3E~3Iの重鎖コンセンサス配列において可変であるものとして示されているそれらの箇所に加えて)。
例として、多量体ポリペプチドのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図3A、3B及び/または3Cに示されるヒトHLA-A重鎖ポリペプチドのaa25~300(リーダー、膜貫通及び細胞質配列のすべて、または実質的にすべてを欠く)または25~365(リーダーを欠く)と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。
a.MHCクラスI重鎖
クラスIヒトMHCポリペプチドは、古典的HLAアレル(HLA-A、B、及びC)、または非古典的HLAアレル(例えば、HLA-E、F及びG)に由来し得る。以下は、T細胞-MP及びそれらのエピトープコンジュゲートに組み込まれ得るMHC-Hアレル及びそれらのアレルのバリアントの非限定的な例である。
(i)HLA-A重鎖
T細胞-MPに組み込まれ得るHLA-A重鎖ペプチド配列、またはその一部には、アレル:A*0101、A*0201、A*0301、A*1101、A*2301、A*2402、A*2407、A*3303、及びA*3401が含まれるがこれらに限定されず、これらは、図3Eにおいてリーダー、膜貫通及び細胞質配列のすべて、または実質的にすべてを伴わずにアライメントされている。それらのアレルのいずれかは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139(図3Eに示される)における1つ以上における置換をさらに含み得る。また、それらのHLA-Aアレルの配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%)のaa配列同一性を有するHLA-A配列もまた、T細胞-MPに組み込まれ得る(例えば、それは、1~30、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。T細胞-MPのHLA-A重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(a)HLA-A*0101(HLA-A*01:01:01:01)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、HLA-A*01:01:01:01(図3D(配列番号24)及び図3E)においてHLA-Aとして列挙されるHLA-A*0101、またはHLA-A*01:01)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%)のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~30、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。実施形態では、T細胞-MPのHLA-A重鎖ポリペプチドが図3DにおいてHLA-Aと表示された配列と100%未満の同一性を有する場合、それは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-A*0101重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(b)HLA-A*0201(HLA-A*02:01)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図3Dまたは図3Eに提供されるHLA-A*0201(配列番号27)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%)のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~30、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。実施形態では、T細胞-MPのHLA-A*0201重鎖ポリペプチドが図3Dまたは3EにおいてHLA-A*0201と表示された配列と100%未満の同一性を有する場合、それは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-A*0201重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(c)HLA-A*1101(HLA-A*11:01)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図3Dまたは3Eに提供されるHLA-A*1101(配列番号32)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%)のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~30、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。HLA-A*1101重鎖アレルは、アジア系の個体の集団を含む、アジア人の集団において突出して多い場合がある。
実施形態では、T細胞-MPのHLA-A*1101重鎖ポリペプチドが図3Dまたは3EにおいてHLA-A*1101と表示された配列と100%未満の同一性を有する場合、それは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-A*1101重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(d)はHLA-A*2402(HLA-A*24:02)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図3Dまたは3Eに提供されるHLA-A*2402(配列番号33)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%)のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~30、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。HLA-A*2402重鎖アレルは、アジア系の個体の集団を含む、アジア人の集団において突出して多い場合がある。
実施形態では、T細胞-MPのHLA-A*2402重鎖ポリペプチドが図3Dまたは3EにおいてHLA-A*2402と表示された配列と100%未満の同一性を有する場合、それは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/またはの1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-A*2402重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(e)HLA-A*3303(HLA-A*33:03)またはHLA-A*3401(HLA-A*34:01)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図3Dまたは3Eに提供されるHLA-A*3303(配列番号34)またはHLA-A*3401(配列番号38)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。HLA-A*3303重鎖アレルは、アジア系の個体の集団を含む、アジア人の集団において突出して多い場合がある。
実施形態では、T細胞-MPのHLA-A*3303またはHLA-A*3401重鎖ポリペプチドが図3DにおいてHLA-A*3303と表示された配列と100%未満の同一性を有する場合、それは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-A*3303またはHLA-A*3401重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(ii)HLA-B重鎖。
T細胞-MPに組み込まれ得るHLA-B重鎖ペプチド配列、またはその一部には、アレル:B*0702、B*0801、B*1502、B*3802、B*4001、B*4601、及びB*5301が含まれるがこれらに限定されず、これらは、図3Fにおいてリーダー、膜貫通及び細胞質配列のすべて、または実質的にすべてを伴わずにアライメントされている。それらのアレルのいずれかは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139(図3Fに示される)のうちの1つ以上における置換を含み得る。また、それらのHLA-Bアレルの配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有するHLA-B配列もまた、T細胞-MPに組み込まれ得る(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。T細胞-MPのHLA-B重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(a)HLA-B*0702(HLA-B*07:02)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図3DにおけるHLA-B*0702(配列番号25)(図3DにおいてHLA-Bと表示されている)、HLA-B*03501、HLA-B*4402、HLA-B*4403、HLA-B*5801のaa配列またはそれらの配列のいずれかのすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。実施形態では、T細胞-MPのHLA-B重鎖ポリペプチドが図3DにおいてHLA-Bと表示された配列と100%未満の同一性を有する場合、それは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-B*0702重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(b)HLA-B*3501(HLA-B*35:01)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、HLA-B*3501:GSHSMRYFYTAMSRPGRGEPRFIAVGYVDDTQFVRFDSDAASPRTEPRAPWIEQEGPEYWDRNTQIFKTNTQTYRESLRNLRGYYNQSEAGSHIIQRMYGCDLGPDGRLLRGHDQSAYDGKDYIALNEDLSSWTAADTAAQITQRKWEAARVAEQLRAYLEGLCVEWLRRYLENGKETLQRADPPKTHVTHHPVSDHEATLRCWALGFYPAEITLTWQRDGEDQTQDTELVETRPAGDRTFQKWAAVVVPSGEEQRYTCHVQHEGLPKPLTLRWEP(そのシグナル配列及び膜貫通/細胞内領域配列番号80を欠いて示されている)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。実施形態では、その配列は、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-B*3501重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(c)HLA-B*4402(HLA-B*44:02)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、HLA-B*4402:GSHSMRYFYTAMSRPGRGEPRFITVGYVDDTLFVRFDSDATSPRKEPRAPWIEQEGPEYWDRETQISKTNTQTYRENLRTALRYYNQSEAGSHIIQRMYGCDVGPDGRLLRGYDQDAYDGKDYIALNEDLSSWTAADTAAQITQRKWEAARVAEQDRAYLEGLCVESLRRYLENGKETLQRADPPKTHVTHHPISDHEVTLRCWALGFYPAEITLTWQRDGEDQTQDTELVETRPAGDRTFQKWAAVVVPSGEEQRYTCHVQHEGLPKPLTLRWEP(そのシグナル配列及び膜貫通/細胞内領域配列番号81を欠いて示されている)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。実施形態では、その配列は、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-B*4402重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(d)HLA-B*4403(HLA-B*44:03)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、HLA-B*4403:GSHSMRYFYTAMSRPGRGEPRFITVGYVDDTLFVRFDSDATSPRKEPRAPWIEQEGPEYWDRETQISKTNTQTYRENLRTALRYYNQSEAGSHIIQRMYGCDVGPDGRLLRGYDQDAYDGKDYIALNEDLSSWTAADTAAQITQRKWEAARVAEQLRAYLEGLCVESLRRYLENGKETLQRADPPKTHVTHHPISDHEVTLRCWALGFYPAEITLTWQRDGEDQTQDTELVETRPAGDRTFQKWAAVVVPSGEEQRYTCHVQHEGLPKPLTLRWEP(そのシグナル配列及び膜貫通/細胞内領域配列番号82を欠いて示されている)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。実施形態では、その配列は、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-B*4403重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(e)HLA-B*5801(HLA-B*58:01)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、HLA-B*58:01:GSHSMRYFYTAMSRPGRGEPRFIAVGYVDDTQFVRFDSDAASPRTEPRAPWIEQEGPEYWDGETRNMKASAQTYRENLRIALRYYNQSEAGSHIIQRMYGCDLGPDGRLLRGHDQSAYDGKDYIALNEDLSSWTAADTAAQITQRKWEAARVAEQLRAYLEGLCVEWLRRYLENGKETLQRADPPKTHVTHHPVSDHEATLRCWALGFYPAEITLTWQRDGEDQTQDTELVETRPAGDRTFQKWAAVVVPSGEEQRYTCHVQHEGLPKPLTLRWEP(そのシグナル配列及び膜貫通/細胞内領域配列番号83を欠いて示されている)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。実施形態では、その配列は、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-B*5901重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(iii)HLA-C重鎖
T細胞-MPに組み込まれ得るHLA-C重鎖ペプチド配列、またはその一部には、アレル:C*0102、C*0303、C*0304、C*0401、C*0602、C*0701、C*0702、C*0801、及びC*1502が含まれるがこれらに限定されず、これらは、図3Gにおいてリーダー、膜貫通及び細胞質配列のすべて、または実質的にすべてを伴わずにアライメントされている。それらのアレルのいずれかは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84、139及び/または236(図3Gに示される)のうちの1つ以上における置換を含み得る。また、それらのHLA-Cアレルの配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有するHLA-C配列もまた、T細胞-MPに組み込まれ得る(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。T細胞-MPのHLA-C重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(a)HLA-C*701(HLA-C*07:01)及びHLA-C*702(HLA-C*07:02)
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図3GにおけるHLA-C*701(配列番号23)またはHLA-C*702(配列番号54)(図3DにおいてHLA-Cと表示されている)のaa配列、またはそれらの配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、それらの配列と比べて1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。実施形態では、T細胞-MPのHLA-C重鎖ポリペプチドが図3DにおいてHLA-Cと表示された配列と100%未満の同一性を有する場合、それは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのHLA-C*701またはHLA-C*0702重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(iv)非古典的HLA-E、F及びG重鎖
T細胞-MPに組み込まれ得る非古典的HLA重鎖ペプチド配列、またはその一部には、HLA-E、F、及び/またはGアレルのものが含まれるがこれらに限定されない。それらのアレル、(ならびにHLA-A、B及びCアレル)の配列は、ワールドワイドウェブで、例えば、hla.alleles.org/nomenclature/index.html、European Molecular Biology Laboratory(EMBL)の部門であるEuropean Bioinformatics Institute(www.ebi.ac.uk)、及びNational Center for Biotechnology Information(www.ncbi.nlm.nih.gov)で見ることができる。
いくつかの好適なHLA-Eアレルには、HLA-E*0101(HLA-E*01:01:01:01)、HLA-E*01:03(HLA-E*01:03:01:01)、HLA-E*01:04、HLA-E*01:05、HLA-E*01:06、HLA-E*01:07、HLA-E*01:09、及びHLA-E*01:10が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの好適なHLA-Fアレルには、HLA-F*0101(HLA-F*01:01:01:01)、HLA-F*01:02、HLA-F*01:03(HLA-F*01:03:01:01)、HLA-F*01:04、HLA-F*01:05、及びHLA-F*01:06が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの好適なHLA-Gアレルには、HLA-G*0101(HLA-G*01:01:01:01)、HLA-G*01:02、HLA-G*01:03(HLA-G*01:03:01:01)、HLA-G*01:04(HLA-G*01:04:01:01)、HLA-G*01:06、HLA-G*01:07、HLA-G*01:08、HLA-G*01:09:HLA-G*01:10、HLA-G*01:11、HLA-G*01:12、HLA-G*01:14、HLA-G*01:15、HLA-G*01:16、HLA-G*01:17、HLA-G*01:18:HLA-G*01:19、HLA-G*01:20、及びHLA-G*01:22が含まれるがこれらに限定されない。リーダー、膜貫通及び細胞質配列のすべて、または実質的にすべてを有しないそれらのHLA-E、-F、及び-Gアレルについてのコンセンサス配列は、図3Hに提供されており、図3E~3G及び図3Iに提供される上記HLA-A、-B、及び-Cアレルのコンセンサス配列とアライメントされている。
上記HLA-E、F及び/またはGアレルのいずれかは、コンセンサス配列について図3Iに示されるように位置84及び/または139のうちの1つ以上で置換を含み得る。実施形態では、置換は、位置84のチロシンからアラニン(Y84A)またはシステイン(Y84C)、またはHLA-Fの場合はR84AまたはR84C置換;及び/または位置139のアラニンからシステイン(A139C)、またはHLA-Fの場合はV139C置換から選択され得る。また、図3Iに示されるコンセンサス配列のいずれかのすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のaa配列同一性を有するHLA-E、-F、及び/または-G配列もまた用いられ得る(例えば、その配列は、そこで挙げられた可変残基における変化に加えて1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。T細胞-MPのHLA-E、F、またはG重鎖ポリペプチド配列は、位置84及び139の両方でシステインを含み得る。
(v)マウスH2K
T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、マウスH2K(配列番号28)(図3DにおけるマウスH2K)のaa配列、またはその配列のすべてまたは一部(例えば、50、75、100、150、200、225、250、または260個の連続aa)と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のaa配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~30、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30aaの挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含み得る。実施形態では、T細胞-MPのマウスH2K重鎖ポリペプチドが図3DにおいてマウスH2Kと表示された配列と100%未満の同一性を有する場合、それは、位置84におけるチロシンからアラニン(Y84A);位置84におけるチロシンからシステイン(Y84C);及び位置139におけるアラニンからシステイン(A139C)から選択される位置84及び/または139の1つ以上における置換を含み得る。T細胞-MPのマウスH2K重鎖ポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を含み得る。
(vi)T細胞-MP上のMHCポリペプチドにおけるアミノ酸置換の効果
(a)位置84及び139における置換
MHC H鎖の位置84(図3を参照されたい)(特にそれがチロシン残基である場合)の小さなアミノ酸、例えば、アラニンでの置換(Y84A)は、MHC結合ポケットの一方の端部を開く傾向にあり、(例えば、ペプチドエピトープに結合した)リンカーが、ポケットの端部を介して「通り抜ける」ことを可能にし、したがって、MHCポケットに適合し、かつT細胞-MPによって提示され得るエピトープのサイズのより大きなバリエーション(例えば、エピトープ配列を保有するより長いペプチド)を許容する。代替的には、T細胞-MPのMHC-H(例えば、HLA-重鎖)は、α1ヘリックスのカルボキシル末端部分内に置換されたシステインとα2-1ヘリックスのアミノ末端部分におけるシステイン(例えば、アミノ酸84及び139)との間の鎖内ジスルフィド結合を形成するためにシステインで置換され得る。そのようなジスルフィド結合は、T細胞-MPのMHC-Hポリペプチド配列を安定化し、結合されるペプチドエピトープ(またはヌルペプチド)の非存在下でのその翻訳、細胞処理、及び真核細胞からの排出を可能にする。残基84及び130における以下に提供される表で提供される置換の任意の組み合わせは、位置116及び167で記載されるものなどの、エピトープ結合割れ目における置換の任意の組み合わせと組み合わされ得る。
(b)位置116及び167における置換
任意のMHCクラスI重鎖配列(HLA-A*0101;HLA-A*0201;HLA-A*1101;HLA-A*2402;HLA-A*3303;HLA-B;HLA-C;マウスH2Kについて上で開示されているもの、または本明細書に開示される他のHLA-A、B、C、E、F、及び/またはG配列のいずれか)は、位置116におけるシステイン置換(例えば、Y116C)または位置167におけるシステイン置換をさらに含み得る。
MHC-H結合ポケットの一方の端部を開くaa位置84の置換(例えば、Y84Aまたはその同等物)のように、位置167におけるアラニンまたはグリシンの置換(例えば、W167A置換またはその同等物)は、MHC結合ポケットの他方の端部を開き、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートによって提示され得るペプチドエピトープのより大きなバリエーション(例えば、より長い長さ)を許容する溝を生成する。位置84及び/または167における置換、またはそれらの同等物(例えば、W167AまたはW167Gと組み合わせたY84A)は、MHC-H鎖の結合ポケットを修飾するために組み合わせて使用され得る。位置116におけるシステイン置換(例えば、Y116C)及び/または167におけるシステイン置換(例えば、W167C)は、1つまたは2つの箇所(例えば、エピトープ含有ペプチドの末端)においてエピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)を固定するために別々にまたは組み合わせて使用され得る。位置116及び/または167における置換は、上述した位置84及び/または139におけるものを含む置換と組み合わされ得る。
以下の表は、T細胞-MPに組み込まれ得るいくつかのMHC重鎖配列修飾を列挙する。
Figure 2023534460000002
Figure 2023534460000003
b.MHCクラスI β2-ミクログロブリン及びMHC-Hポリペプチドとの組み合わせ
T細胞-MPのβ2Mのポリペプチドは、ヒトβ2Mポリペプチド、非ヒト霊長類β2Mポリペプチド、マウスβ2Mポリペプチド等であり得る。いくつかの例では、β2Mポリペプチドは、図4に示されるβ2Mのaa配列(例えば、成熟β2M配列)と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む。T細胞-MPのβ2Mのポリペプチドは、図4に示されるβ2Mのaa配列のaa21~119と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得、同一性が100%未満である場合、エピトープ結合のための化学的コンジュゲーション部位としてシステインまたは他のaa置換または挿入(例えば、及びE44C置換)を含み得る。化学的コンジュゲーション部位は、例えば、β2Mポリペプチド配列における溶媒露出箇所に配置され得る。
T細胞-MPのβ2Mポリペプチド配列は、成熟ヒトβ2Mポリペプチド(例えば、図4に提供されるNCBIアクセッション番号NP_004039.1のaa21~119)の少なくとも70個(例えば、少なくとも80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有し得る。例として、T細胞-MPのβ2Mポリペプチド配列は、成熟ヒトβ2Mポリペプチド(例えば、図4に提供されるNCBIアクセッション番号NP_004039.1のaa21~119)の少なくとも70個(例えば、少なくとも80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaのaaセグメント内で最大で6(例えば、1、2、3、4、5、または6)aaの置換を有し得、エピトープの結合のための化学的コンジュゲーション部位(例えば、成熟ペプチドにおけるE44C置換)を含み得る。上記したように、そのようなβ2Mポリペプチド配列において、エピトープの化学的コンジュゲーション部位は、溶媒露出性aa位置を含む多様な箇所に配置され得る。例えば、溶媒露出性アミノ酸位置におけるシステインまたは他のアミノ酸置換または挿入は、エピトープの直接的または間接的(例えば、ペプチドリンカーを介する)結合のための化学的コンジュゲーション部位を提供し得る。
成熟β2Mポリペプチド(それらのリーダー配列を欠く)のいくつかの溶媒露出性位置には、NP_004039.1からの成熟ペプチドのaa位置2、14、16、34、36、44、45、47、48、50、58、74、77、85、88、89、91、94、及び98(Gln2、Pro14、Glu16、Asp34、Glu36、Glu44、Arg45、Glu47、Arg48、Glu50、Lys58、Glu74、Glu77、Val85、Ser88、Gln89、Lys91、Lys94、及びAsp98)、または他のβ2M配列におけるそれらの対応するアミノ酸(図4における配列アライメントを参照されたい)が含まれる。化学的コンジュゲーション部位(例えば、システインまたは別の反応性aa置換)のための溶媒露出性箇所は、NP_004039.1等の成熟β2Mポリペプチド配列の位置2、44、50、77、85、88、91、もしくは98、または他のβ2M配列、例えば、図4におけるものにおける対応するaa位置から選択され得る。化学的コンジュゲーション部位(例えば、システインまたは別の反応性aa置換)のための溶媒露出性箇所はまた、NP_004039.1等の成熟β2Mポリペプチド配列の位置2、44、50、もしくは98、または他のβ2M配列、例えば、図4におけるものにおける対応するaa位置から選択され得る。化学的コンジュゲーション部位(例えば、システインまたは別の反応性aa置換)のための溶媒露出性箇所は、NP_004039.1等の成熟β2Mポリペプチド配列の位置2または44(Glu2またはGlu44)、または他のβ2M配列、例えば、図4におけるものにおける対応するaa位置から選択され得る。
β2Mポリペプチド配列は、wt.β2Mポリペプチド(例えば、図4におけるβ2M配列)内に置換された単一のシステインを含み得る。そのようなシステイン残基は、T細胞-MPポリペプチドに存在する場合、エピトープの共有結合(直接的またはリンカーを介して間接的)のための化学的コンジュゲーション部位として作用し得る。共有結合は、エピトープにおけるまたはエピトープに結合した反応性基、例えば、エピトープまたはペプチドエピトープに結合したリンカーに組み込まれたマレイミド基に対して作られた結合の形態、またはジスルフィド結合の形態の形態であり得る。例えば、いくつかの場合では、そのシグナル配列を欠く成熟β2Mのアミノ酸43、44、または45(図4におけるそれらのシグナル配列と共に示される処理されていないタンパク質の残基63、64、及び65)のうちの1つは、システイン残基で置換され得る。システインで置換されるaa位置は、位置44であり得る(例えば、成熟ヒトタンパク質NP_004039.1のE44C置換または図4におけるもの等のβ2M配列における対応するaa置換)。代替的には、システインで置換されるaa位置は、位置2であり得る(例えば、成熟ヒトタンパク質NP_004039.1のQ44C置換または図4におけるもの等のβ2M配列における対応するaa置換)。
c.MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列における置換のいくつかの組み合わせ
エピトープまたはペイロードのための化学的コンジュゲーション部位として機能し得るT細胞-MPのMHC-Hまたはβ2Mポリペプチド配列に挿入される任意のシステイン残基(例えば、エピトープのための化学的コンジュゲーション部位を提供するβ2Mポリペプチド配列におけるE44C置換)とは別に、またはそれに加えて、T細胞-MPは、α1ヘリックスのカルボキシル末端部分内に置換されたシステインとα2-1ヘリックスのアミノ末端部分におけるシステイン(例えば、aa位置84及び139におけるアミノ酸、例えば、Y84C及びA139C)との間の鎖内ジスルフィド結合を含み得る。α1ヘリックスのカルボキシル末端部分は、約aa位置79~約aa位置89であり、α2-1ヘリックスのアミノ末端部分は、MHC-H鎖の約aa位置134~約aa位置144である(aa位置は、それらのリーダー配列を有しない重鎖の配列に基づいて決定される(例えば、図3D~3Hを参照されたい)。したがって、ジスルフィド結合は、MHC-Hポリペプチド配列の位置83、84、または85に位置するシステインと、位置138、139または140のいずれかに位置するシステインとの間におけるものであり得る。例えば、T細胞-MPにおいて、ジスルフィド結合は、MHC-Hポリペプチド配列の位置84に挿入されたシステインと位置138、139または140のいずれかに挿入されたシステインとの間に形成され得る。一態様では、MHC-H鎖内ジスルフィド結合は、図3D~3Hに示される重鎖配列のいずれかの位置84及び139で挿入されたシステイン間のものである。
T細胞-MPは、(i)エピトープのための化学的コンジュゲーション部位としてE44C(または別のシステイン置換)を有するNP_004039.1のaa21~119の少なくとも70個(例えば、少なくとも80、90、96、97、98個またはすべて)と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%または98%)の配列同一性を有する成熟β2Mポリペプチド配列;及び(ii)GSHSMRYFFTSVSRPGRGEPRFIAVGYVDDTQFVRFDSDAASQRMEPRAPWIEQEGPEYWDGETRKVKAHSQTHRVDL(aaクラスター1){C}(aaクラスター2)AGSHTVQRMYGCDVGSDWRFLRGYHQYAYDGKDYIALKEDLRSW(aaクラスター3){C}(aaクラスター4)(2xhIL2(F42A,H16A)-(G4S)-GMGGSGGGGS-(G4S)-β2M(E44C)-(G4S)3-HLA-A02(Y84C,A139C)-AAAGG-hIgG1(L234A,L235A)HKWEAAHVAEQLRAYLEGTCVEWLRRYLENGKETLQRTDAPKTHMTHHAVSDHEATLRCWALSFYPAEITLTWQRDGEDQTQDTELVETRPAGDGTFQKWAAVVVPSGQEQRYTCHVQHEGLPKPLTLRWEP(配列番号84)
(式中、{C}として示されるシステイン残基は、α1及びα2-1ヘリックスの間でジスルフィド結合を形成する)と可変aaクラスター1~4を除いて少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、98%、または100%の配列同一性)を有するHLAクラスI重鎖ポリペプチド配列の組み合わせを含み得る。
aaクラスター1、aaクラスター2、aaクラスター3、aaクラスター4、aaクラスター5、及びaaクラスター6の各存在は、1~5aa残基となるように独立して選択され、aa残基は、i)任意の天然に存在する(タンパク質構成)aaまたはii)プロリンまたはグリシンを除く任意の天然に存在するaaからそれぞれ独立して選択される。MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-A鎖であって、
aaクラスター1は、アミノ酸配列GTLRG(配列番号85)または1つもしくは2つのaaが欠失したまたは他の天然に存在するaaで置換された(例えば、LがI、V、AまたはFによって置換された)その配列であり得;
aaクラスター2は、アミノ酸配列YNQSE(配列番号86)または1つもしくは2つのaaが欠失したまたは他の天然に存在するaaで置換された(例えば、NがQによって置換され、QがNによって置換され、及び/またはEがDによって置換された)その配列であり得;
aaクラスター3は、アミノ酸配列TAADM(配列番号87)または1つもしくは2つのaaが欠失したまたは他の天然に存在するaaで置換された(例えば、TがSによって置換され、AがGによって置換され、DがEによって置換され、及び/またはMがL、V、またはIによって置換された)その配列であり得;及び/またはaaクラスター4は、アミノ酸配列AQTTK(配列番号88)または1つもしくは2つのaaが欠失したまたは他の天然に存在するaaで置換された(例えば、AがGによって置換され、QがNによって置換され、またはTがSによって置換され、及びまたはKがRまたはQによって置換された)その配列であり得る、
HLA-A鎖であり得る。
上記のように、84及び139におけるシステイン間のジスルフィド結合(Y84C及びA139Cジスルフィド)を含むMHC-H鎖内ジスルフィド結合のいずれかは、T細胞-MPへのペプチドエピトープの組み込みを可能にする置換と組み合わされ得る。したがって、本開示は、鎖内Y84C A139Cジスルフィド結合を有するMHC-Hポリペプチド配列及びβ2Mポリペプチド配列におけるE44C置換を有する1つ以上のT細胞-MPポリペプチドを含むT細胞-MP及びそれらの高次複合体(例えば、二重体)を含み、それを提供する。T細胞-MP及びそれらの高次複合体(例えば、二重体)は、(i)NP_004039.1、NP_001009066.1、NP_001040602.1、NP_776318.1、またはNP_033865.2(配列番号61~65、図4を参照されたい)のいずれか1つのaa21~119の少なくとも70個(例えば、少なくとも80、90、96、97、98個またはすべて)と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%または98%)の配列同一性を有するE44C置換を有する成熟β2Mポリペプチド配列;及び(ii)図3D~3HにおけるHLA-A、-B、-C、-E、-F、または-G配列のα1、α2、及びα3ドメインの少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有し得る、Y84C及びA139C置換(ジスルフィド結合を形成する)を有するMHC-H配列を含み得る。MHC-Hポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を有するHLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*1101、HLA-A*2402、HLA-A*3303、またはHLA-A*3401ポリペプチド配列であり得る(図3Eを参照されたい)。MHC-Hポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を有するHLA-B*0702、HLA-B*0801、HLA-B*1502、B27(サブタイプHLA-B*2701-2759)、HLA-B*3802、HLA-B*4001、HLA-B*4601、またはHLA-B*5301ポリペプチド配列であり得る(例えば、図3Fを参照されたい)。MHC-Hポリペプチド配列は、Y84C及びA139C置換を有するHLA-C*0102、HLA-C*0303、HLA-C*0304、HLA-C*0401、HLA-C*0602、HLA-C*0701、HLA-C*0702、HLA-C*0801、またはHLA-C*1502ポリペプチド配列であり得る(例えば、図3Gを参照されたい)。
4 骨格ポリペプチド
T細胞-MP及びT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、免疫グロブリン重鎖定常領域(「Ig Fc」または「Fc」)ポリペプチドを含み得、または別の好適な骨格ポリペプチドを含み得る。骨格ポリペプチド配列が同一であり、対合または多量体化する場合(例えば、いくつかのIg Fc配列またはロイシンジッパー配列)、それらは、対称対または多量体(例えば、ホモ二量体(例えば、Fc骨格を用いた図9を参照されたい))を形成し得る。対照的に、2つのT細胞-MP分子間で非対称対合が所望である場合(例えば、各々が1つ以上の異なるMODを保有する二重体T細胞-MPを生成するため)、T細胞-MPに存在する骨格ポリペプチドは、種間結合配列を含み得る。種間結合配列は、それらの特定の相補的対応配列と選択的に相互作用して非対称対(ヘテロ二量体、例えば、種間Fc骨格を有する図10を参照されたい)を形成する非同一のポリペプチド配列である。種間結合配列は、いくつかの例では、いくらかの量のホモ二量体を形成し得るが、それらの対応種間結合配列とより強力に結合することによって優先的に二量体化し得る。したがって、特定のヘテロ二量体は、種間二量体化配列及びその対応種間結合配列がポリペプチドの対に組み込まれた場合に形成される傾向がある。例として、種間二量体化配列及びその対応物がポリペプチドの対に組み込まれた場合、それらは、そのポリペプチドの等モル混合物が組み合わされた場合に70%、80%、90%、95%、98%または99%を超えるヘテロ二量体を選択的に形成し得る。ポリペプチドの残りは、モノマーまたはホモ二量体として存在し、これはヘテロ二量体から分離され得る。その上、種間配列は、それらの対応配列について選択的であるため、それらは、特に種間配列が天然に存在せず、または天然に存在するタンパク質配列のバリアントである場合、細胞(例えば、培養中または対象におけるもの)によって発現した他のタンパク質との相互作用を制限し得る。
骨格ポリペプチド配列は、通常、300aa未満(例えば、約100~約300aa)であり得る。骨格ポリペプチド配列は、250aa未満(例えば、約75~約250aa)であり得る。骨格ポリペプチド配列は、200aa未満(例えば、約60~約200aa)であり得る。骨格ポリペプチド配列は、150aa未満(例えば、約50~約150aa)であり得る。
骨格ポリペプチド配列には、種間及び非種間Ig Fcポリペプチド配列が含まれるがこれらに限定されず、しかしながら、Ig Fcポリペプチド配列以外のポリペプチド配列(非免疫グロブリン配列)が骨格として使用され得る。
a.非免疫グロブリンFc骨格ポリペプチド
非免疫グロブリンFc骨格ポリペプチドには、アルブミン、XTEN(伸長組換え体);トランスフェリン;Fc受容体、エラスチン様;アルブミン結合;シルク様(例えば、Valluzzi et al.(2002)Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci.357:165を参照されたい);シルク-エラスチン様(SELP;例えば、Megeed et al.(2002)Adv Drug Deliv Rev.54:1075)を参照されたい)ポリペプチド等が含まれるがこれらに限定されない。好適なXTENポリペプチドには、例えば、WO2009/023270、WO2010/091122、WO2007/103515、US2010/0189682、及びUS2009/0092582に開示されているものが含まれる;Schellenberger et al.(2009)Nat Biotechnol.27:1186も参照されたい)。好適なアルブミンポリペプチドには、例えば、ヒト血清アルブミンが含まれる。好適なエラスチン様ポリペプチドは、例えば、Hassouneh et al.(2012)Methods Enzymol.502:215に記載されている。
他の非免疫グロブリンFc骨格ポリペプチド配列には、コラーゲンリピートGly-Xaa-Yaa及び/またはGly-Xaa-Pro(これは10~40回繰り返され得る)からなるコラーゲンドメインを含有するコレクチンファミリーのポリペプチド(例えば、ACRP30またはACRP30様タンパク質);コイルドコイルドメイン;ロイシン-ジッパードメイン;Fos/Jun結合対;Ig CH1及び軽鎖定常領域C配列(Ig CH1/C対、例えば、Ig CκまたはCλ軽鎖定常領域配列と対合したIg CH1配列)が含まれるがこれらに限定されない。
非免疫グロブリンFc骨格ポリペプチドは、事実上、種間または非種間であり得る。例えば、Fos/Jun結合対ならびにIg CH1ポリペプチド配列及び軽鎖定常領域C配列の両方は、種間結合対を形成する。ロイシンジッパー配列を含むコイルドコイル配列は、種間ロイシンジッパーまたは非種間ロイシンジッパー配列のいずれかであり得る。例えば、Zeng et al.,(1997)PNAS(USA)94:3673-3678;及びLi et al.,(2012),Nature Comms.3:662を参照されたい。
二重体T細胞-MPの骨格ポリペプチドはそれぞれ、ロイシンジッパーポリペプチド配列を含み得る。ロイシンジッパーポリペプチドは、互いに結合して二量体を形成する。ロイシン-ジッパーポリペプチドの非限定的な例には、以下のaa配列のうちのいずれか1つを含むペプチドが含まれる:RMKQIEDKIEEILSKIYHIENEIARIKKLIGER(配列番号89);LSSIEKKQEEQTSWLIWISNELTLIRNELAQS(配列番号90);LSSIEKKLEEITSQLIQISNELTLIRNELAQ(配列番号91;LSSIEKKLEEITSQLIQIRNELTLIRNELAQ(配列番号92);LSSIEKKLEEITSQLQQIRNELTLIRNELAQ(配列番号93);LSSLEKKLEELTSQLIQLRNELTLLRNELAQ(配列番号94);ISSLEKKIEELTSQIQQLRNEITLLRNEIAQ(配列番号95)。いくつかの場合では、ロイシンジッパーポリペプチドは、以下のaa配列:LEIEAAFLERENTALETRVAELRQRVQRLRNRVSQYRTRYGPLGGGK(配列番号96)を含む。さらなるロイシン-ジッパーポリペプチドは、当該技術分野で知られており、その多数は、骨格ポリペプチド配列として使用するのに好適である。
T細胞-MPの骨格ポリペプチドは、二量体を形成するコイルドコイルポリペプチド配列を含み得る。コイルドコイルポリペプチドの非限定的な例には、以下のaa配列:LKSVENRLAVVENQLKTVIEELKTVKDLLSN(配列番号97);LARIEEKLKTIKAQLSEIASTLNMIREQLAQ(配列番号98);VSRLEEKVKTLKSQVTELASTVSLLREQVAQ(配列番号99);IQSEKKIEDISSLIGQIQSEITLIRNEIAQ(配列番号100);及びLMSLEKKLEELTQTLMQLQNELSMLKNELAQ(配列番号101)のいずれか1つのペプチドが含まれる。
T細胞MP二重体のT細胞-MPは、ジスルフィド結合を形成し得る少なくとも1つのシステイン残基をそれぞれ含む骨格ポリペプチド配列の対を含み得、そのジスルフィド結合は、システイン残基間の鎖間ジスルフィド結合によって安定化されるそれらのポリペプチドのホモ二量体化またはヘテロ二量体化を可能にする。そのようなaa配列の例には、VDLEGSTSNGRQCAGIRL(配列番号102);EDDVTTTEELAPALVPPPKGTCAGWMA(配列番号103);及びGHDQETTTQGPGVLLPLPKGACTGQMA(配列番号104)が含まれる。
いくつかの骨格ポリペプチド配列は、二重体よりも高次のT細胞-MP複合体、例えば、三重体、四重体、五重体または六重体の形成を可能にする。そのようなaa配列には、IgM定常領域(以下に論述される)が含まれるがこれらに限定されない。三量体を形成するコラーゲンドメインも用いられ得る。コラーゲンドメインは、3aaの配列Gly-Xaa-Xaa及び/またはGlyXaaYaa(式中、Xaa及びYaaは、独立して、任意のaaである)を含み得、その配列は、複数回(例えば、10~40回)現れ、または繰り返される。Gly-Xaa-Yaa配列では、Xaa及びYaaは、高い頻度でプロリン及びヒドロキシプロリンであり、それぞれGly-Xaa-Yaaの存在、またはGly-Xaa-Yaaの存在の各々において25%、50%、75%、80%、90%または95%を超える。いくつかの場合では、コラーゲンドメインは、10~40回繰り返された配列Gly-Xaa-Proを含む。コラーゲンオリゴマー化ペプチドは、以下のaa配列:VTAFSNMDDMLQKAHLVIEGTFIYLRDSTEFFIRVRDGWKKLQLGELIPIPADSPPPPALSSNP(配列番号105)を含み得る。
b.免疫グロブリンFc骨格ポリペプチド
(i)非種間免疫グロブリンFc骨格ポリペプチド
T細胞-MPまたはその対応するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの骨格ポリペプチド配列は、Fcポリペプチドを含み得る。T細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのFcポリペプチドは、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgMからのものであり得、そのいずれかは、ヒトポリペプチド配列、ヒト化ポリペプチド配列、合成重鎖定常領域のFc領域ポリペプチド、またはコンセンサス重鎖定常領域であり得る。実施形態では、Fcポリペプチドは、ヒトIgG1 Fc、ヒトIgG2 Fc、ヒトIgG3 Fc、ヒトIgG4 Fc、ヒトIgA Fc、ヒトIgD Fc、ヒトIgE Fc、ヒトIgM Fc等からのものであり得る。いくつかの場合では、Fcポリペプチドは、図2A~2Hに示されるFc領域のaa配列の少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む。そのような免疫グロブリン配列は、相互作用し、T細胞-MP分子から二重体または高次構造を形成し得る。いくつかの例では、Fc骨格ポリペプチド配列には、2つのT細胞-MPポリペプチドを互いに共有結合させる鎖間ジスルフィド結合を形成することが可能な天然に存在するシステイン残基(またはタンパク質操作によって提供される天然に存在しないシステイン残基)が含まれる。別途記述されない限り、T細胞-MP及びそれらのエピトープコンジュゲートにおいて使用されるFcポリペプチドは、T細胞-MPを細胞膜に固定させるのに十分な膜貫通固定化ドメインまたはその一部を含む。
ほとんどの免疫グロブリンFc骨格ポリペプチド、特にwt.配列のみまたは主にwt.配列を含むものは、ジスルフィド結合を介して互いに自発的に連結して、二重体T細胞-MPをもたらすホモ二量体を形成し得る。IgM重鎖定常領域の場合、J-鎖の存在下では、高次複合体が形成され得る。骨格ポリペプチドは、図2Dに示されるwt.ヒトIgG1 Fcポリペプチドと100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。骨格ポリペプチドは、図2Dに示されるwt.ヒトIgG1 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約80%、90%、95%、98%、または99%)または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。そのような骨格配列には、アスパラギン以外のaaでのN297(図2D、配列番号4において付番されるN77)の置換が含まれ得る。1つの場合では、N297は、アラニンによって置換される(N297A)。N297における置換は、炭水化物修飾の除去をもたらし、wt.タンパク質と比較して減少した補体成分1q(「C1q」)結合を有する抗体配列、したがって、補体依存性細胞傷害(CDC)の減少をもたらす。K322(例えば、K322A)置換は、C1q結合及びCDC機能が実質的にまたは完全に排除されると共に、FcγR結合親和性及びADCCの実質的減少を示す。Hezareh et al.,(2001)J.Virol.75:12161-168。
IgGのアミノ酸L234及び下側ヒンジ領域における他のaa(例えば、配列番号8のaa14~19に相当するaa234~239、例えば、L235、G236、G237、P238、S239)は、Fcガンマ受容体(FcγR)への結合に関与し、したがって、その箇所における変異は、(wt.タンパク質と比べて)受容体への結合を減少させ、抗体依存性細胞傷害(ADCC)の減少をもたらす。Hezareh et al.,(2001)は、二重変異体(L234A、L235A)が、FcγRまたはC1qのいずれにも有効に結合せず、ADCC及びCDC機能の両方が実質的にまたは完全に無効化されたことを実証した。下側ヒンジ領域における置換を有する骨格ポリペプチドは、ロイシン以外のaaでのL234(図2Dに示されるaa配列のL14)の置換を含む、図2Dに示されるwt.ヒトIgG1 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約80%、90%、95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。
下側ヒンジ領域における置換を有する骨格ポリペプチドは、ロイシン以外のaaでのL235(図22Dに示されるaa配列のL15)の置換を含む、図2Dに示されるwt.ヒトIgG1 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約80%、90%、95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。いくつかの場合では、下側ヒンジ領域における置換を有するT細胞-MPに存在する骨格ポリペプチドには、L234A及びL235A(「LALA」)置換(図2Dに示されるwt.aa配列の位置14及び15に対応する位置;例えば、配列番号8を参照されたい)が含まれる。
下側ヒンジ領域における置換を有する骨格ポリペプチドは、プロリン以外のaaでのP331(図2Dに示されるaa配列のP111)の置換を含む、図2Dに示されるwt.ヒトIgG1 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約80%、90%、95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。P331における置換は、N297におけるもののように、wt.タンパク質と比べてC1qへの減少した結合をもたらし、よって、補体依存性細胞傷害の減少をもたらす。一実施形態では、置換は、P331S置換である。別の実施形態では、置換は、P331A置換である。
骨格ポリペプチドは、図2Dに示されるwt.ヒトIgG1 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約80%、90%、95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するaa配列を含み得、wt.タンパク質と比べてC1qタンパク質への結合を減少させるD270、K322、及び/またはP329(図2Dにおける配列番号4のD50、K102、及びP109に対応する)の置換を含む。
骨格ポリペプチドは、L234及び/またはL235(図2Dに示されるaa配列のL14及び/またはL15)におけるロイシン以外のaaでの置換(例えば、L234A及びL235A置換)、及びP331S等のプロリン以外のaaでのP331(図2Dに示されるaa配列のP111)の置換を含む、図2Dに示されるwt.ヒトIgG1 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約80%、90%、95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。1つの例では、T細胞-MPに存在する骨格ポリペプチドは、L234F、L235E、及びP331S置換(図2Dに示されるaa配列のaa位置14、15、及び111に対応する)を有する図2Dに示される「三重変異体」aa配列(配列番号6)(ヒトIgG1 Fc)を含む。
T細胞-MPの骨格Fcポリペプチドは、図2Eに示されるヒトIgG2 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。T細胞-MPの骨格Fcポリペプチドは、図2Fに示されるヒトIgG3 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。T細胞-MPの骨格Fcポリペプチドは、図2Gに示されるヒトIgG4 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)、またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。T細胞-MPの骨格Fcポリペプチドは、図2Gに示されるGenBank P01861ヒトIgG4 Fcポリペプチドの少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa、例えば、aa99~327または111~327)、またはすべてと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。
T細胞-MPの骨格Fcポリペプチドは、六量体、または五量体を形成する(特に図2Iに提供されるもの等のシグナル配列を欠く成熟j-鎖ペプチドと組み合わされた場合)IgM重鎖定常領域(例えば、図2Hを参照されたい)を含み得る。
(ii)種間免疫グロブリンFc骨格ポリペプチド
2つのT細胞-MP分子の間の非対称対合が所望である場合(例えば、異なるMODを有する二重体T細胞-MPを生成するため)、T細胞-MPに存在する骨格ポリペプチドは、種間Ig Fcポリペプチド)配列バリアントを含み、それから本質的になり、またはそれからなり得る。そのような種間ポリペプチド配列には、安定化ジスルフィド結合を有しない(KiH)または有する(KiHs-s)ノブ・イン・ホール、HA-TF、ZW-1、7.8.60、DD-KK、EW-RVT、EW-RVTs-s、及びA107配列が含まれるがこれらに限定されない。1つの種間結合対は、IgG1のCH3ドメイン界面におけるT366Y及びY407T変異体対、または他の免疫グロブリンの対応する残基を含む。Ridgway et al.,Protein Engineering 9:7,617-621(1996)を参照されたい。第2の種間結合対は、T366W置換によるノブ、及び相補的Ig Fc配列上の三重置換T366S、L368A及びY407Vによるホールの形成を伴う。Xu et al.mAbs 7:1,231-242(2015)を参照されたい。別の種間結合対は、Y349C、T366S、L368A、及びY407V置換を有する第1のIg FcポリペプチドならびにS354C、及びT366W置換を有する第2のIg Fcポリペプチドを有する(ジスルフィド結合がY349CとS354Cとの間で形成し得る)。例えば、Brinkmann and Konthermann,mAbs 9:2,182-212(2015)を参照されたい。ノブ・イン・ホール修飾を有するまたは有しないIg Fcポリペプチド配列は、Ig Fcポリペプチド間のジスルフィド結合(例えば、ヒンジ領域ジスルフィド結合)の形成によって安定化され得る。免疫グロブリン配列に基づくいくつかの種間結合配列は、aa位置の付番に対する相互参照を伴って(それらは、括弧「{ }」内に示される図2Dに示されるwt.IgG1配列(配列番号4)に現れる)以下の表にまとめられている。
Figure 2023534460000004
表1における配列の種間対に加えて、骨格ポリペプチドには、種間配列のIgG1 CH3ドメインにおけるIgAに由来する45残基、及びその対応種間配列におけるIgA CH3におけるIgG1に由来する57残基を有する種間「SEED」配列が含まれ得る。Ha et al.,Frontiers in Immunol.7:1-16(2016)を参照されたい。
種間免疫グロブリン配列には、FcγRまたはC1qのいずれかまたは両方への結合を阻害し、ADCC及びCDC機能を減少または無効化する非種間免疫グロブリン配列について上述した置換が含まれ得る。
実施形態では、T細胞-MPに見られる骨格ポリペプチドは、ノブ・イン・ホール(KiH);安定化ジスルフィドを有するノブ・イン・ホール(KiHs-s);HA-TF;ZW-1;7.8.60;DD-KK;EW-RVT;EW-RVTs-s;A107;またはSEED配列からなる群から選択される種間結合配列またはその対応種間結合配列を含み得る。
実施形態では、T細胞-MPは、T146W KiH配列置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、T146W、L148A、及びY187V KiH配列置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含む。骨格ポリペプチドは、L234及びL235(例えば、L234A/L235A「LALA」またはL234F/L235E);N297(例えば、N297A);P331(例えば、P331S);L351(例えば、L351K);T366(例えば、T366S);P395(例えば、P395V);F405(例えば、F405R);Y407(例えば、Y407A);及びK409(例えば、K409Y)のうちの1つ以上で置換を任意に含む。それらの置換は、図2Dの野生型IgG1配列におけるL14及びL15(例えば、L14A/L15A「LALA」またはL14F/L15E);N77(例えば、N77A);P111(例えば、P111S)L131(例えば、L131K);T146(例えば、T146S);P175(例えば、P175V);F185(例えば、F185R);Y187(例えば、Y187A);及びK189(例えば、K189Y)で現れる。
実施形態では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、T146W KiH配列置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、T146S、L148A、及びY187V KiH配列置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含み;一方または両方(二重体T細胞-MPの場合)の骨格ポリペプチド配列(複数可)は、追加の置換、例えば、L14及び/またはL15置換(例えば、「LALA」置換L234A及びL235A)、及び/またはN77(N297、例えば、N297AまたはN297G)を含み得る。
実施形態では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、T146W及びS134C KiHs-s置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、T146S、L148A、Y187V及びY129C KiHs-s置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含み;一方または両方(二重体T細胞-MPの場合)の骨格ポリペプチド配列(複数可)配列は、追加の置換、例えば、L14及び/またはL15置換(例えば、「LALA」置換L234A及びL235A)、及び/またはN77(N297、例えば、N297AまたはN297G)を含み得る。
実施形態では、T細胞-MPは、S144H及びF185A HA-TF置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、Y129T及びT174F HA-TF置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含み;一方または両方(二重体T細胞-MPの場合)の骨格ポリペプチド配列(複数可)は、追加の置換、例えば、L14及び/またはL15置換(例えば、「LALA」置換L234A及びL235A)、及び/またはN77(N297、例えば、N297AまたはN297G)を含み得る。
実施形態では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、T130V、L131Y、F185A、及びY187V ZW1置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、T130V、T146L、K172L、及びT174W ZW1置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含み;一方または両方(二重体T細胞-MPの場合)の骨格ポリペプチド配列(複数可)は、追加の置換、例えば、L14及び/またはL15置換(例えば、「LALA」置換L234A及びL235A)、及び/またはN77(N297、例えば、N297AまたはN297G)を含み得る。
実施形態では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、K140D、D179M、及びY187A 7.8.60置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、T130V E125R、Q127R、T146V、及びK189V 7.8.60置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含み;一方または両方(二重体T細胞-MPの場合)の骨格ポリペプチド配列(複数可)は、追加の置換、例えば、L14及び/またはL15置換(例えば、「LALA」置換L234A及びL235A)、及び/またはN77(N297、例えば、N297AまたはN297G)を含み得る。
実施形態では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、K189D、及びK172D DD-KK置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、T130V D179K及びE136K DD-KK置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含み;一方または両方(二重体T細胞-MPの場合)の骨格ポリペプチド配列(複数可)は、追加の置換、例えば、L14及び/またはL15置換(例えば、「LALA」置換L234A及びL235A)、及び/またはN77(N297、例えば、N297AまたはN297G)を含み得る。
実施形態では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、K140E及びK189W EW-RVT置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、T130V Q127R、D179V、及びF185T EW-RVT置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含み;一方または両方(二重体T細胞-MPの場合)の骨格ポリペプチド配列(複数可)は、追加の置換、例えば、L14及び/またはL15置換(例えば、「LALA」置換L234A及びL235A)、及び/またはN77(N297、例えば、N297AまたはN297G)を含み得る。
実施形態では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、K140E、K189W、及びY129C EW-RVTs-s置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、T130V Q127R、D179V、F185T、及びS134C EW-RVTs-s置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含み;一方または両方(二重体T細胞-MPの場合)の骨格ポリペプチド配列(複数可)は、追加の置換、例えば、L14及び/またはL15置換(例えば、「LALA」置換L234A及びL235A)、及び/またはN77(N297、例えば、N297AまたはN297G)を含み得る。
実施形態では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、K150E及びK189W A107置換を有するIgG1配列を含む骨格ポリペプチドを含み、その対応種間結合パートナーポリペプチドは、T130V E137N、D179V、及びF185T A107置換を有するIgG1配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Dのwt.IgG1の少なくとも100個(例えば、少なくとも125、150、170、180、190、200、210、220個、または227個すべて)の連続aaと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の配列同一性を有する配列を含み;一方または両方(二重体T細胞-MPの場合)の骨格ポリペプチド配列(複数可)は、追加の置換、例えば、L14及び/またはL15置換(例えば、「LALA」置換L234A及びL235A)、及び/またはN77(N297、例えば、N297AまたはN297G)を含み得る。
骨格配列としての免疫グロブリンCH2及びCH3重鎖定常領域の使用に対する代替手段として、免疫グロブリン軽鎖定常領域(図2Kを参照されたい)が、種間骨格配列としてIg CH1配列(例えば、図2Jを参照されたい)と対合され得る。
実施形態では、T細胞-MP骨格ポリペプチドは、Ig CH1ドメイン(例えば、図2Jのポリペプチド)を含み、それが複合体を形成する配列(その対応結合パートナー)は、Igκ鎖定常領域配列を含み、その骨格ポリペプチドは、配列番号16及び/または17それぞれの少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、または少なくとも110個の連続aaと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。図2Kを参照されたい。Ig CH1及びIgκ配列は、それらの互いに対する親和性を増加させ、したがって、それらを利用して形成される任意のヘテロ二量体の安定性を増加させるために修飾され得る。CH1-Igκヘテロ二量体の安定性を増加させる置換には、Chen et al., MAbs,8(4):761-774(2016)においてMD13組み合わせとして同定されたものがある。MD13組み合わせにおいて、2つの置換がIgCH1及びIgκ配列の各々に導入される。Ig CH1配列は、S64E及びS66V置換(図2Jに示される配列のS70E及びS72V)を含有するように修飾される。Igκ配列は、S69L及びT71S置換(図2Kに示される配列のS68L及びT70S)を含有するように修飾される。
別の実施形態では、T細胞-MPの骨格ポリペプチドは、Ig CH1ドメイン(例えば、図2Jの配列番号15のポリペプチド)を含み、その対応配列は、図2K(配列番号17)に示されるようなIgλ鎖定常領域配列を含み、骨格ポリペプチドは、図2Kに示される配列の少なくとも70(例えば、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100)個の連続aaと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
c.安定性及び半減期に対する効果
好適な骨格ポリペプチド(例えば、Ig Fc骨格配列を有するもの)は、いくつかの場合では、T細胞-MPポリペプチド及びそれらの高次複合体の半減期を延長させる。いくつかの場合では、好適な骨格ポリペプチドは、その骨格ポリペプチドを欠くまたは対照骨格ポリペプチドを含む対照T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPと比較して、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPのin vivo半減期(例えば、血清半減期)を増加させる。例えば、いくつかの場合では、骨格ポリペプチドは、コンジュゲートされたまたはコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MPのin vivo半減期(例えば、血清半減期)を、その骨格ポリペプチドを欠く、または対照骨格ポリペプチドを有する他の同一の対照と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、または100倍超増加させる。
5 免疫調節性ポリペプチド(「MOD」)
本開示のT細胞-MPに含めるのに好適なMODには、以下の免疫調節性ポリペプチドIL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21、IL-23、CD7、CD30L、CD40、CD70、CD80、(B7-1)、CD83、CD86(B7-2)、HVEM(CD270)、ILT3(免疫グロブリン様転写産物3)、ILT4(免疫グロブリン様転写産物4)、Fasリガンド(FasL)、ICAM(細胞間接着分子)、ICOS-L(誘導性共刺激リガンド)、JAG1(CD339)、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、OX40L(CD252)、PD-L1、PD-L2、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、4-1BBL、及びそれらのコグネイト受容体を介して係合及びシグナル伝達が可能なそれらのいずれかの断片、例えば、エクトドメイン断片のwt.及びバリアントが含まれるがこれらに限定されない。別途記述されない限り、本開示のT細胞-MPにおいて用いられるMODは、wt.免疫調節性ポリペプチドのwt.及び/またはバリアント、例えば、特定のCo-MODに選択的に結合し、及び/または特定のCo-MODに対する減少した親和性を有するバリアントであり得ることが理解される。本開示のT細胞-MPに含めるのに好適ないくつかのMODポリペプチド及びそれらの1つのCo-MODまたは複数のCo-MOD(「共免疫調節性ポリペプチド」またはコグネイト共刺激受容体)には、以下の表に記述されるタンパク質対からのT細胞調節活性を有するポリペプチド配列が含まれる:
Figure 2023534460000005
いくつかの場合では、MODは、IL-2ポリペプチド、4-1BBLポリペプチド、B7-1ポリペプチド;B7-2ポリペプチド、ICOS-Lポリペプチド、OX-40Lポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド、FasLポリペプチド、TGFβポリペプチド、及びPD-L2ポリペプチドのwt.またはバリアントから選択される。いくつかの場合では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、2つの異なるMOD、例えば、IL-2 MODまたはIL-2バリアントMODポリペプチド及びCD80またはCD86 MODポリペプチドのwt.またはバリアントのいずれかを含む。別の例では、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、IL-2 MODまたはIL-2バリアントMODポリペプチド及びPD-L1 MODポリペプチドのwt.またはバリアントを含む。いくつかの場合では、同じまたは異なり得るMODは、タンデムでT細胞-MPまたは二重体T細胞-MPに存在する。MODがタンデムで提供される場合、それらの配列は、いかなる介在配列も伴うことなくまたはリンカーポリペプチドのみによって隔てられて(例えば、MHC配列またはエピトープ配列の介在は存在せず)、単一のポリペプチド上で互いにすぐ隣接する。MODポリペプチドは、全長MODの細胞外部分のすべてまたは一部を含み得る。よって、例えば、MODは、いくつかの場合では、天然に存在するMODに通常見られるシグナルペプチド、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインのうちの1つ以上を除外し得る。別途記述されない限り、T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPに存在するMODは、シグナルペプチド、細胞内ドメイン、または実質的な量(例えば、5%または10%超)のT細胞-MPまたは二重体T細胞-MPを哺乳動物細胞膜に固定するのに十分な部分の膜貫通ドメインを含まない。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適なMODは、天然に存在するMODのaa配列のすべてまたは一部(例えば、細胞外部分)を含む。他の例では、T細胞-MPに含めるのに好適なMODは、天然に存在するMODのaa配列と比較して少なくとも1つのaa置換を含むバリアントMODである。いくつかの例では、バリアントMODは、Co-MODに対する対応する天然に存在するMOD(例えば、バリアントに存在するaa置換(複数可)を含まないMOD)の親和性よりも低いCo-MODに対する結合親和性を示す。親和性を変化させるMODポリペプチド配列における好適なバリエーションは、ペプチドの長さにわたってスキャンし(aa置換、例えば、アラニン置換の生成または「アラニンスキャニング」または荷電残基変化)、その親和性を試験することによって同定され得る。親和性を変化させる重要なaa位置が同定されると、それらの位置は、アラニン以外の1つ以上のaa置換の効果が試験される垂直走査に供され得る。親和性は、以下に記載されるBLIによって決定され得る。
a.減少した親和性を有するMOD及びバリアントMOD
共免疫調節性ドメインに対する減少した親和性を示す好適な免疫調節性ドメインは、wt.免疫調節性ドメインから1aa~20aaの相違を有し得る。例えば、いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、aa配列において、対応するwt.MODとは1aa~10aa、または11aa~20aa異なる。T細胞-MPに存在するバリアントMODには、対応する参照(例えば、wt.)MODと比較して単一のaa置換が含まれ得る。T細胞-MPに存在するバリアントMODには、対応する参照(例えば、wt.)MODと比較して2aaの置換が含まれ得る。T細胞-MPに存在するバリアントMODには、対応する参照(例えば、wt.)MODと比較して3aaの置換が含まれ得る。T細胞-MPに存在するバリアントMODには、対応する参照(例えば、wt.)MODと比較して4aaの置換が含まれ得る。T細胞-MPに存在するバリアントMODには、対応する参照(例えば、wt.)MODと比較して5aaの置換が含まれ得る。T細胞-MPに存在するバリアントMODには、対応する参照(例えば、wt.)MODと比較して6aaまたは7aaの置換が含まれ得る。T細胞-MPに存在するバリアントMODには、対応する参照(例えば、wt.)MODと比較して8aa、9aaまたは10aaの置換が含まれ得る。T細胞-MPに存在するバリアントMODには、対応する参照(例えば、wt.)MODと比較して11、12、13、14、または15aaの置換が含まれ得る。T細胞-MPに存在するバリアントMODには、対応する参照(例えば、wt.)MODと比較して16、17、18、19、または20aaの置換が含まれ得る。
上で論述されるように、本開示のT細胞-MPに含めるのに好適なバリアントMODは、コグネイトCo-MODに対する対応するwt.MODの親和性と比較して、コグネイトCo-MODに対する減少した親和性を示し得る。いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、100nM~100μMであるコグネイトCo-MODに対する結合親和性を有する。例えば、いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、約100nM~約200nM、約200nM~約300nM、約300nM~約400nM、約400nM~約500nM、約500nM~約600nM、約600nM~約700nM、約700nM~約800nM、約800nM~約900nM、約900nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約20μM、約20μM~約30μM、約30μM~約50μM、約50μM~約75μM、または約75μM~約100μMであるコグネイトCo-MODに対する結合親和性を有する。
代替的に、または減少した親和性結合に加えて、MODは、Co-MODに対する選択的結合を示すバリアントであり得る。一態様では、MODが複数のCo-MODに結合し得る場合、少なくとも1つのCo-MODに選択的に結合し得るバリアントが選択され得る。例えば、wt.PD-L1は、PD-1及びCD80(B7-1としても知られている)の両方に結合する。そのような場合では、PD-1またはCD80のいずれかに選択的に(優先的に)結合するバリアントPD-L1 MODが選択され得る。同様に、wt.MODがCo-MOD内の複数のポリペプチドに結合し得る場合、バリアントは、Co-MODと所望のポリペプチドにのみ選択的に結合するように選択され得る。例えば、IL-2は、IL-2Rのアルファ、ベータ及びガンマ鎖に結合する。減少した親和性で結合するか、またはポリペプチドの1つ、例えば、IL-2Rのアルファ鎖、またはさらに鎖の2つに結合しないIL-2のバリアントが選択され得る。
(i)結合親和性の決定
MODとそのコグネイトCo-MODとの間の結合親和性は、精製されたMOD及び精製されたコグネイトCo-MODを使用してバイオレイヤー干渉法(BLI)によって決定され得る。T細胞-MPとそのコグネイトCo-MODとの間の結合親和性はまた、精製されたT細胞-MP及びコグネイトCo-MODを使用してBLIによって決定され得る。BLI法は、当業者によく知られている。例えば、Lad et al.(2015)J.Biomol.Screen.20(4):498-507;及びShah and Duncan(2014)J.Vis.Exp.18:e51383を参照されたい。MODとそのコグネイトCo-MODとの間、またはMODを有するT細胞-MPとそのコグネイトCo-MODとの間の本開示に記載される特異的及び相対的結合親和性は、以下の手順を使用して決定され得る。
T細胞-MPとそのコグネイトCo-MODとの間の結合親和性を決定するために、Octet RED 96(Pal ForteBio)装置、または同様の装置を使用して以下のようにBLIアッセイが行われ得る。T細胞-MP(例えば、wt.MODを含む対照T細胞-MP)は、不溶性支持体(「バイオセンサー」)に固定化される。固定化されたT細胞-MPは、「標的」である。固定化は、捕捉抗体がT細胞-MPを固定化する不溶性支持体上に捕捉抗体を固定化することによって達成され得る。例えば、固定化は、抗Fc(例えば、抗ヒトIgG Fc)抗体を不溶性支持体上に固定化することによって達成され得、不溶性支持体上で固定化された抗Fc抗体は、T細胞-MP(T細胞-MPはIg Fcポリペプチドを含む)に結合し、それを固定化する。Co-MODは、いくつかの異なる濃度で、固定化されたT細胞-MPに施され、装置の反応が記録される。アッセイは、25mMのHEPES(pH6.8)、5%のポリ(エチレングリコール)6000、50mMのKCl、0.1%のウシ血清アルブミン、及び0.02%のTween 20非イオン性洗浄剤を含む液体媒体中で行われる。固定化されたT細胞-MPに対するCo-MODの結合は、30℃で行われる。結合親和性についての陽性対照として、T細胞-MPにおけるMHCポリペプチドのクラスに応じて抗MHCクラスIモノクローナル抗体が使用され得る。例えば、7nMのKDを有する抗HLAクラスIモノクローナル抗体(mAb)W6/32(American Type Culture Collection番号HB-95;Parham et al.(1979)J.Immunol.123:342)、または抗HLD-DR3モノクローナル抗体、例えば、16-23抗体(Sigma;「16.23」とも称される;例えば、Pious et al.(1985)J.Exp.Med.162:1193;Mellins et al.(1991)J.Exp.Med.174:1607;ECACCハイブリドーマコレクション16-23,ECACC 99043001を参照されたい)が結合親和性についての陽性対照として使用され得る。抗MHCクラスIモノクローナル抗体の段階希釈物を使用して標準曲線が生成され得る。Co-MOD、または抗MHC mAbは、「分析物」である。BLIは、2つの表面:i)固定化されたポリペプチド(「標的」);及びii)内部参照層から反射した白色光の干渉パターンを分析する。バイオセンサーチップに結合した分子(「分析物」;例えば、Co-MOD;抗HLA抗体)の数の変化は、干渉パターンのシフトを引き起こす;この干渉パターンのシフトはリアルタイムで測定され得る。標的/分析物相互作用の親和性を表す2つの動態的用語は、結合定数(k)及び解離定数(k)である。これらの2つの用語の比(k/k)は、親和性定数Kを生じさせる。
上記のとおり、MOD(例えば、IL-2またはIL-2バリアント)とそのコグネイトCo-MOD(例えば、IL-2R)との間の結合親和性の決定はまた、BLIによって決定され得る。そのアッセイは、T細胞-MPについて上述したものと同様である。BLIアッセイは、Octet RED 96(Pal ForteBio)装置、または同様の装置を使用して以下のように行われ得る。T細胞-MPの成分MOD(例えば、本開示のバリアントIL-2ポリペプチド);及び対照MOD(対照MODは、wt.MOD、例えば、wt.IL-2を含む)を不溶性支持体に固定化する(それぞれ「バイオセンサー」)。MODは、「標的」である。固定化は、捕捉抗体がMODを固定化する不溶性支持体上に捕捉抗体を固定化することによって達成され得る。例えば、標的がイムノアフィニティータグ(例えば、FLAG、ヒトIgG Fc)に融合された場合、固定化は、イムノアフィニティータグに対する適切な抗体(例えば、抗ヒトIgG Fc)を用いて不溶性支持体上に固定化することによって達成され得、不溶性支持体上で固定化された抗体は、MOD(MODはIg Fcポリペプチドを含む)に結合し、それを固定化する。Co-MOD(またはポリペプチド)は、いくつかの異なる濃度で、固定化されたMODに施され、装置の反応が記録される。代替的には、Co-MOD(またはポリペプチド)が、バイオセンサーに固定化され(例えば、単量体サブユニット、ヘテロ二量体サブ複合体、または完全なヘテロ三量体としてIL-2受容体ヘテロ三量体のために)、MODは、いくつかの異なる濃度で、固定化されたCo-MOD(複数可)に施され、装置の反応が記録される。アッセイは、25mMのHEPES(pH6.8)、5%のポリ(エチレングリコール)6000、50mMのKCl、0.1%のウシ血清アルブミン、及び0.02%のTween 20非イオン性洗浄剤を含む液体媒体中で行われる。固定化されたMODに対するCo-MODの結合は、30℃で行われる。BLIは、2つの表面:i)固定化されたポリペプチド(「標的」);及びii)内部参照層から反射した白色光の干渉パターンを分析する。バイオセンサーチップに結合した分子(「分析物」;例えば、Co-MOD)の数の変化は、干渉パターンのシフトを引き起こす;この干渉パターンのシフトはリアルタイムで測定され得る。標的/分析物相互作用の親和性を表す2つの動態的用語は、結合定数(k)及び解離定数(k)である。これらの2つの用語の比(k)は、親和性定数Kを生じさせる。よって、その受容体(例えば、IL-2R)に対するwt.MOD(例えば、IL-2)及びそのコグネイトCo-MOD(例えば、その受容体;(例えば、IL-2R))に対するバリアントMOD(例えば、本明細書に開示されるIL-2バリアント)の結合親和性の決定は、コグネイトCo-MODに対する、wt.Co-MODと比較したバリアントCo-MODの相対的結合親和性を決定することを可能にする。すなわち、その受容体(そのコグネイトCo-MOD)に対するバリアントMODの結合親和性が、同じコグネイトCo-MODに対するwt.MODの結合親和性と比較して減少するかどうか、及び、減少する場合、wt.Co-MODの結合親和性からの減少率はどのくらいかを決定することができる。
BLIアッセイは、マルチウェルプレートで行われ得る。アッセイを実行するために、Octet Data Acquisitionソフトウェアにおいてプレートレイアウトが規定され、アッセイ工程が規定され、バイオセンサーが割り当てられる。バイオセンサーアセンブリは、水和されている。水和バイオセンサーアセンブリ及びアッセイプレートは、Octet装置で10分間平衡化される。データが取得されると、取得されたデータは、Octet Data Analysisソフトウェアにロードされる。データは、参照減算、y軸アライメント、工程間補正、及びSavitzky-Golayフィルタリングのための方法を特定することによって処理ウィンドウにおいて処理される。データは、分析するための工程を特定し(結合及び解離)、カーブフィッティングモデル(1:1)、フィッティング法(大域)、及び対象となるウィンドウ(秒)を選択することによって分析ウィンドウにおいて分析される。フィッティングの質が評価される。3倍の範囲内である場合、各データトレース(分析物濃度)についてのK値が平均化され得る。K誤差値は、親和性定数値の1桁以内となるべきであり;R値は、0.95を超えるべきである。例えば、Abdiche et al.(2008)J.Anal.Biochem.377:209を参照されたい。
別途本明細書で記述されない限り、Co-MODに対する本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの親和性、またはCo-MODに対する対照T細胞-MP-エピトープコンジュゲート(対照T細胞-MP-エピトープコンジュゲートはwt.MODを含む)の親和性は、上述したように、BLIを使用して決定される。同様に、MOD及びそのCo-MODポリペプチドの親和性は、上述したBLIを使用して決定され得る。
本開示のT細胞-MPに存在するバリアントMODは、Co-MODに対する対応するwt.MODの親和性よりも少なくとも10%低い、少なくとも15%低い、少なくとも20%低い、少なくとも25%低い、少なくとも30%低い、少なくとも35%低い、少なくとも40%低い、少なくとも45%低い、少なくとも50%低い、少なくとも55%低い、少なくとも60%低い、少なくとも65%低い、少なくとも70%低い、少なくとも75%低い、少なくとも80%低い、少なくとも85%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または95%超低い親和性でそのCo-MODに結合し得る。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPに存在するバリアントMODは、1nM~100nM、または100nM~100μMであるCo-MODに対する結合親和性を有する。例えば、いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~約50nM、約50nM~約100nM、約100nM~約150nM、約150nM~約200nM、約200nM~約250nM、約250nM~約300nM、約300nM~約350nM、約350nM~約400nM、約400nM~約500nM、約500nM~約600nM、約600nM~約700nM、約700nM~約800nM、約800nM~約900nM、約900nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約15μM、約15μM~約20μM、約20μM~約25μM、約25μM~約50μM、約50μM~約75μM、または約75μM~約100μMであるCo-MODに対する結合親和性を有する。いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~約50nM、または約50nM~約100nMであるCo-MODに対する結合親和性を有する。
標的T細胞に対する本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの結合親和性は、以下の手法で測定され得る:A)本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを、i)親wt.MODに結合するCo-MOD;及びii)エピトープに結合するTCRをその表面上に発現する標的T細胞と、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートが標的T細胞に結合するように接触させることであって、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、エピトープタグまたは蛍光標識(例えば、T細胞-MPの一部として、緑色蛍光タンパク質等の蛍光ペイロードまたは蛍光タンパク質標識)を含む、接触させること;B)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートが標識されていない場合、標的T細胞が結合したT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを、エピトープタグに結合する蛍光標識された結合剤(例えば、蛍光標識された抗体)と接触させ、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート/標的T細胞/結合剤複合体を生成すること;及びC)フローサイトメトリーを使用してT細胞-MP-エピトープコンジュゲート/標的T細胞/結合剤複合体の平均蛍光強度(MFI)を測定すること。エピトープタグは、例えば、FLAGタグ、血球凝集素タグ、c-mycタグ、ポリ(ヒスチジン)タグ等であり得る。所定範囲の濃度のT細胞-MP-エピトープコンジュゲート(ライブラリメンバー)にわたって測定されたMFIは、親和性の指標を提供する。所定範囲の濃度のT細胞-MP-エピトープコンジュゲート(ライブラリメンバー)にわたって測定されたMFIは、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの半数効果濃度(EC50)を提供する。いくつかの場合では、標的T細胞についての本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのEC50は、nM範囲の範囲であり;対照T細胞(対照T細胞は、その表面上にi)親wt.MODに結合するCo-MOD;及びii)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するエピトープに結合しないT細胞受容体を発現する)についてのT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのEC50は、μMの範囲である。対照T細胞についての本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのEC50の、標的T細胞についてのT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのEC50に対する比は、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または少なくとも10:1であり得る。対照T細胞についての本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのEC50の、標的T細胞についてのT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのEC50に対する比は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの選択性の表現である。
いくつかの場合では、先行段落において記載されるように測定される場合、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、i)親wt.MODに結合するCo-MOD;及びii)T細胞-MP-エピトープコンジュゲート(ライブラリメンバー)に存在するエピトープ以外のエピトープに結合するTCRを含む対照T細胞に対するT細胞-MP-エピトープコンジュゲート(ライブラリメンバー)の結合と比較して、標的T細胞に対する選択的結合を示す。
i)コグネイトCo-MODに対する対照T細胞-MP(対照T細胞-MPは、wt.MODを含む)の結合親和性のii)コグネイトCo-MODに対するwt.MODのバリアントを含むT細胞-MPの結合親和性に対する比は、BLI(上述される)によって測定された場合、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または少なくとも10:1であり得る。i)コグネイトCo-MODに対する対照T細胞-MP(対照T細胞-MPは、wt.MODを含む)の結合親和性のii)コグネイトCo-MODに対するwt.MODのバリアントを含むT細胞-MPの結合親和性に対する比は、1.5:1~10:1、例えば、1.5:1~10:1、10:1~50:1、50:1~10:1、10:1~10:1、10:1~10:1、10:1~10:1、または10:1~10:1の範囲であり得る。
例として、対照T細胞-MP-エピトープコンジュゲートがwt.IL-2ポリペプチドを含む場合、及び本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートがMODとしてバリアントIL-2ポリペプチド(wt.IL-2ポリペプチドのaa配列と比べて1~10aaの置換を含む)を含む場合、i)IL-2受容体(Co-MOD)に対する対照T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの結合親和性のii)IL-2受容体(Co-MOD)に対する本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの結合親和性に対する比は、BLIによって測定される場合、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または少なくとも10:1である。対照T細胞-MP-エピトープコンジュゲートがwt.IL-2ポリペプチドを含む場合、及び本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートがMODとしてバリアントIL-2ポリペプチド(wt.IL-2ポリペプチドのaa配列と比べて1~10aaの置換を含む)を含む場合、i)IL-2受容体(Co-MOD)に対する対照T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの結合親和性のii)IL-2受容体に対する本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの結合親和性に対する比は、BLIによって測定される場合、1.5:1~10:1、例えば、1.5:1~10:1、10:1~50:1、50:1~10:1、10:1~10:1、10:1~10:1、10:1~10:1、または10:1~10:1の範囲であり得る。同じ比の結合親和性を有し得る他の例には、wt.MODを保有するT細胞-MP及びバリアントMODを保有するT細胞-MPであって、wt.及びバリアントMODが、wt.CD80及びバリアントCD80;wt.CD86及びバリアントCD86;wt.PD-L1及びバリアントPD-L1;wt.CTLA4及びバリアントCTLA4;またはwt.4-1BBL及びバリアント4-1BBLから選択されるものが含まれる。
本開示のT細胞-MPに存在するバリアントMODは、1nM~100nM、または100nM~250μMであるコグネイトCo-MODに対する結合親和性を有し得る。例えば、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、約1nM~約10nM、約10nM~約100nM、約100nM~約500nM、約500nM~約750nM、約750nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約25μM、約25μM~約50μM、約50μM~約100μM、または約100μM~約250μMであるコグネイトCo-MODに対する結合親和性を有し得る。T細胞-MPに存在するバリアントMODは、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~約50nM、または約50nM~約100nMであるコグネイトCo-MODに対する結合親和性を有し得る。
MODのそのCo-MODに対する減少した親和性及びTCRに対するエピトープの親和性の組み合わせは、MODの活性を依然として可能にしつつ、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの向上した選択性を提供する。よって、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、i)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するエピトープ以外のエピトープに特異的なTCR;及びii)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するMODに結合するCo-MODを提示する第2のT細胞に対する結合と比較して、i)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するエピトープに特異的なTCR;及びii)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するMODに結合するCo-MODの両方を提示する第1のT細胞に選択的に結合し得る。例えば、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、第2のT細胞に結合する親和性よりも少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも200%(2倍)、少なくとも250%(2.5倍)、少なくとも500%(5倍)、少なくとも1,000%(10倍)、少なくとも1,500%(15倍)、少なくとも2,000%(20倍)、少なくとも2,500%(25倍)、少なくとも5,000%(50倍)、少なくとも10,000%(100倍)、または100倍超高い親和性で第1のT細胞に結合し得る。例えば、図1を参照されたい。
b.IL-2及びそのバリアント
1つの非限定的な例として、T細胞-MPに存在するwt.MODまたはバリアントMODは、IL-2またはバリアントIL-2ポリペプチドである。いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、バリアントIL-2ポリペプチドである。野生型IL-2は、IL-2受容体(IL-2R)に結合する。wt.IL-2のaa配列は、以下のとおりであり得る:
Figure 2023534460000006
野生型IL2は、細胞の表面上のIL2受容体(IL2R)に結合する。IL2受容体は、いくつかの場合では、アルファ鎖(IL-2Rα;CD25とも称される)、ベータ鎖(IL-2Rβ;CD122とも称される)及びガンマ鎖(IL-2Rγ;CD132とも称される)を含むヘテロ三量体ポリペプチドである。ヒトIL-2Rα、IL2Rβ、及びIL-2Rγのアミノ酸配列は、以下のとおりであり得る。
ヒトIL-2Rα:ELCDDDPPE IPHATFKAMA YKEGTMLNCE CKRGFRRIKS GSLYMLCTGN SSHSSWDNQC QCTSSATRNT TKQVTPQPEE QKERKTTEMQ SPMQPVDQAS LPGHCREPPP WENEATERIY HFVVGQMVYY QCVQGYRALH RGPAESVCKM THGKTRWTQP QLICTGEMET SQFPGEEKPQ ASPEGRPESE TSCLVTTTDF QIQTEMAATM ETSIFTTEYQ VAVAGCVFLL ISVLLLSGLT WQRRQRKSRR TI(配列番号107)。
ヒトIL-2Rβ:VNG TSQFTCFYNS RANISCVWSQ DGALQDTSCQ VHAWPDRRRW NQTCELLPVS QASWACNLIL GAPDSQKLTT VDIVTLRVLC REGVRWRVMA IQDFKPFENL RLMAPISLQV VHVETHRCNI SWEISQASHY FERHLEFEAR TLSPGHTWEE APLLTLKQKQ EWICLETLTP DTQYEFQVRV KPLQGEFTTW SPWSQPLAFR TKPAALGKDT IPWLGHLLVG LSGAFGFIIL VYLLINCRNT GPWLKKVLKC NTPDPSKFFS QLSSEHGGDV QKWLSSPFPS SSFSPGGLAP EISPLEVLER DKVTQLLLQQ DKVPEPASLS SNHSLTSCFT NQGYFFFHLP DALEIEACQV YFTYDPYSEE DPDEGVAGAP TGSSPQPLQP LSGEDDAYCT FPSRDDLLLF SPSLLGGPSP PSTAPGGSGA GEERMPPSLQ ERVPRDWDPQ PLGPPTPGVP DLVDFQPPPE LVLREAGEEV PDAGPREGVS FPWSRPPGQG EFRALNARLP LNTDAYLSLQ ELQGQDPTHL V(配列番号108)。
ヒトIL-2Rγ:LNTTILTP NGNEDTTADF FLTTMPTDSL SVSTLPLPEV QCFVFNVEYM NCTWNSSSEP QPTNLTLHYW YKNSDNDKVQ KCSHYLFSEE ITSGCQLQKK EIHLYQTFVV QLQDPREPRR QATQMLKLQN LVIPWAPENL TLHKLSESQL ELNWNNRFLN HCLEHLVQYR TDWDHSWTEQ SVDYRHKFSL PSVDGQKRYT FRVRSRFNPL CGSAQHWSEW SHPIHWGSNT SKENPFLFAL EAVVISVGSM GLIISLLCVY FWLERTMPRI PTLKNLEDLV TEYHGNFSAW SGVSKGLAES LQPDYSERLC LVSEIPPKGG ALGEGPGASP CNQHSPYWAP PCYTLKPET(配列番号109)。
いくつかの場合では、T細胞-MPがバリアントIL-2ポリペプチドを含む場合、コグネイトCo-MODは、配列番号107、配列番号108、及び配列番号109のいずれか1つのaa配列を含むポリペプチドを含むIL-2Rである。
いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、配列番号106に示されるaa配列を含むIL-2ポリペプチドの結合親和性と比較して、IL-2Rに対する減少した結合親和性を示す。例えば、いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、IL-2R(例えば、配列番号107~109に示されるaa配列を含むポリペプチドを含むIL-2R)に対する配列番号106に示されるaa配列を含むIL-2ポリペプチドの結合親和性よりも少なくとも10%低い、少なくとも20%低い、少なくとも30%低い、少なくとも40%低い、少なくとも50%低い、少なくとも60%低い、少なくとも70%低い、少なくとも80%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または95%超低い結合親和性でIL-2Rに結合する。
いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチド(例えば、配列番号106のバリアント)は、100nM~100μMであるIL-2R(例えば、配列番号107~109のもの)に対する結合親和性を有する。別の例として、いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチド(例えば、配列番号106のバリアント)は、約100nM~約200nM、約200nM~約400nM、約400nM~約600nM、約600nM~約800nM、約800nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約20μM、約20μM~約40μM、約40μM~約75μM、または約75μM~約100μMであるIL-2R(例えば、配列番号107~109に示されるaa配列を含むポリペプチドを含むIL-2R)に対する結合親和性を有する。
いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、配列番号106に示されるIL-2のaa配列と比較して単一のaa置換を有する。いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、配列番号106に示されるIL-2のaa配列と比較して2~10aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、配列番号106に示されるIL-2のaa配列と比較して2aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、配列番号106に示されるIL-2のaa配列と比較して3aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、配列番号106に示されるIL-2のaa配列と比較して4aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、配列番号106に示されるIL-2のaa配列と比較して5aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、配列番号106に示されるIL-2のaa配列と比較して6または7aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントIL-2ポリペプチドは、配列番号106に示されるIL-2のaa配列と比較して8、9、または10aaの置換を有する。
好適なバリアントIL-2ポリペプチド配列には、配列番号106の少なくとも80(例えば、90、100、110、120、130または133)個の連続aaと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%)のaa配列同一性を有するaa配列を含むポリペプチド配列が含まれる。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置15におけるaaは、E以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、H16の位置は、Alaによって置換される(H16A)。1つの場合では、E15の位置は、Alaによって置換される(E15A)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置16におけるaaは、H以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、H16の位置は、Asn、Cys、Gln、Met、Val、またはTrpによって置換される。1つの場合では、H16の位置は、Alaによって置換される。別の場合では、H16の位置は、Thrによって置換される。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置20におけるaaは、D以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、D20の位置は、Alaによって置換される。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置42におけるaaは、F以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、F42の位置は、Met、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、Val、またはHisによって置換される。1つの場合では、F42の位置は、Alaによって置換される。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置45におけるaaは、Y以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、Y45の位置は、Alaによって置換される。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置88におけるaaは、N以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、N88の位置は、Alaによって置換される。別の場合では、N88の位置は、Argによって置換される。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置126におけるaaは、Q以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、Q126の位置は、Alaによって置換される(Q126A)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置16におけるaaは、H以外のaaであり、位置42におけるaaは、F以外である、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、H16の位置は、AlaまたはThrによって置換され、F42の位置は、AlaまたはThrによって置換される。1つの場合では、H16の位置は、Alaによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換される(H16A及びF42Aバリアント)。1つの場合では、H16の位置は、Thrによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換される(H16T及びF42Aバリアント)。
IL-2バリアントは、配列:
Figure 2023534460000007
と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得、位置16及び42は、以下のように置換される:Xは、His以外の任意のaaであり;Xは、Phe以外の任意のaaである。第2のIL-2バリアントは、XがAlaであり、XがAlaである置換を含む(H16A及びF42Aバリアント)。第3のIL-2バリアントは、XがThrであり、XがAlaである置換を含む(H16T及びF42Aバリアント)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置20におけるaaは、D以外のaaであり、位置42におけるaaは、F以外である、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、D20の位置は、Alaによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換される(D20A及びF42A置換)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置15におけるaaは、E以外であり、位置20におけるaaは、D以外のaaであり、位置42におけるaaは、F以外である、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、E15の位置は、Alaによって置換され、D20の位置は、Alaによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換される(E15A、D20A、及びF42A置換)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置16におけるaaは、H以外であり、位置20におけるaaは、D以外のaaであり、位置42におけるaaは、F以外である、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、H16の位置は、Alaによって置換され、D20の位置は、Alaによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換される(H16A、D20A、及びF42A置換)。別の場合では、位置H16は、Thrによって置換され、D20の位置は、Alaによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換される(H16T、D20A、及びF42A置換)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置16におけるaaは、H以外であり、位置42におけるaaは、F以外であり、位置88におけるaaは、R以外である、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、H16の位置は、AlaまたはThrによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換され、N88の位置は、Argによって置換される(H16A、F42A、及びN88R置換またはH16T、F42A、及びN88R置換)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置16におけるaaは、H以外であり、位置42におけるaaは、F以外であり、位置126におけるaaは、Q以外である、ポリペプチドが含まれる。そのようなIL-2バリアントには、H16の位置が、AlaまたはThrによって置換されており、F42の位置が、Alaによって置換されており、Q126の位置が、Alaによって置換されているものが含まれる(H16A、F42A、及びQ126A置換またはH16T、F42A、及びQ126A置換)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置20におけるaaは、D以外であり、位置42におけるaaは、F以外であり、位置126におけるaaは、Q以外である、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、位置D20は、Alaによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換され、Q126の位置は、Alaによって置換される(D20A、F42A、及びQ126A置換)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置20におけるaaは、D以外であり、位置42におけるaaは、F以外であり、位置45におけるaaは、Y以外である、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、位置D20は、Alaによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換され、Y45の位置は、Alaによって置換される(D20A、F42A、及びY45A置換)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置16におけるaaは、H以外であり、位置20におけるaaは、D以外であり、位置42におけるaaは、F以外であり、位置45におけるaaは、Y以外である、ポリペプチドが含まれる。そのようなIL-2バリアントには、H16の位置が、AlaまたはThrによって置換されており、位置D20が、Alaによって置換されており、F42の位置が、Alaによって置換されており、Y45の位置が、Alaによって置換されているものが含まれる(H16A、D20A、F42A、及びY45A置換、またはH16T、D20A、F42A、及びY45A置換)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置20におけるaaは、D以外であり、位置42におけるaaは、F以外であり、位置45におけるaaは、Y以外であり、位置126におけるaaは、Q以外である、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、位置D20は、Alaによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換され、Y45の位置は、Alaによって置換され、Q126の位置は、Alaによって置換される(D20A、F42A、Y45A、Q126A置換)。
IL-2バリアントには、配列番号106の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置16におけるaaは、H以外であり、位置20におけるaaは、D以外であり、位置42におけるaaは、F以外であり、位置45におけるaaは、Y以外であり、位置126におけるaaは、Q以外である、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、H16の位置は、AlaまたはThrによって置換され、位置D20は、Alaによって置換され、F42の位置は、Alaによって置換され、Y45の位置は、Alaによって置換され、Q126の位置は、Alaによって置換される(H16A、D20A、F42A、Y45A、及びQ126A置換またはH16T、D20A、F42A、Y45A、及びQ126A置換)。
c.Fasリガンド(FasL)及びそのバリアント
いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するMODは、Fasリガンド(FasL)である。FasLは、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーにおけるホモマーII型膜貫通タンパク質である。FasLは、標的細胞におけるFas受容体の三量体化によってシグナルを伝達し、これは、標的細胞のアポトーシスをもたらす死誘導複合体を形成する。可溶性FasLは、保存部位における膜結合型FasLのマトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)切断に起因する。
実施形態では、wt.Homo sapiens FasLタンパク質は、配列
MQQPFNYPYP QIYWVDSSAS SPWAPPGTVL PCPTSVPRRP GQRRPPPPPP PPPLPPPPPP PPLPPLPLPP LKKRGNHSTG LCLLVMFFMV LVALVGLGLG MFQLFHLQKE LAELRESTSQ MHTASSLEKQ IGHPSPPPEK KELRKVAHLT GKSNSRSMPL EWEDTYGIVL LSGVKYKKGG LVINETGLYF VYSKVYFRGQ SCNNLPLSHK VYMRNSKYPQ DLVMMEGKMM SYCTTGQMWA RSSYLGAVFN LTSADHLYVN VSELSLVNFE ESQTFFGLYK L、(配列番号111)、NCBI参照配列NP_000630.1、UniProtKB-P48023(残基1~80は、細胞質性であり、810102は、膜貫通ドメインであり、aa103~281は、細胞外(エクトドメイン)である)を有する。
好適なFasLポリペプチドは、FasLのエクトドメイン:QLFHLQKE LAELRESTSQ MHTASSLEKQ IGHPSPPPEK KELRKVAHLT GKSNSRSMPL EWEDTYGIVL LSGVKYKKGG LVINETGLYF VYSKVYFRGQ SCNNLPLSHK VYMRNSKYPQ DLVMMEGKMM SYCTTGQMWA RSSYLGAVFN LTSADHLYVN VSELSLVNFE ESQTFFGLYK L(配列番号112)のすべてまたは一部を含む。
Fas受容体は、配列
MLGIWTLLPL VLTSVARLSS KSVNAQVTDI NSKGLELRKT VTTVETQNLE GLHHDGQFCH KPCPPGERKA RDCTVNGDEP DCVPCQEGKE YTDKAHFSSK CRRCRLCDEG HGLEVEINCT RTQNTKCRCK PNFFCNSTVC EHCDPCTKCE HGIIKECTLT SNTKCKEEGS RSNLGWLCLL LLPIPLIVWV KRKEVQKTCR KHRKENQGSH ESPTLNPETV AINLSDVDLS KYITTIAGVM TLSQVKGFVR KNGVNEAKID EIKNDNVQDT AEQKVQLLRN WHQLHGKKEA YDTLIKDLKK ANLCTLAEKI QTIILKDITS DSENSNFRNE IQSLV(配列番号113)NCBI参照配列:NP_000034.1、UniProtKB-P25445(aa26~173は、エクトドメイン(細胞外ドメイン)を形成し、aa174~190は、膜貫通ドメインを形成し、191~335は、細胞質ドメインを形成する)を有し得る。エクトドメインは、FasLとの結合親和性を決定するために使用され得る。
いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチド(例えば、配列番号112のバリアントを含む)は、配列番号112に示されるaa配列を含むFasLポリペプチドの結合親和性と比較して、成熟Fas受容体配列(例えば、配列番号113に示されるポリペプチドのすべてまたは一部、例えば、そのエクトドメインを含むFasL受容体)に対する減少した結合親和性を示す。例えば、いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチド(例えば、配列番号112のバリアントを含む)は、配列番号111または112に示されるaa配列を含むFasLポリペプチドの結合親和性よりも少なくとも10%低い、少なくとも20%低い、少なくとも30%低い、少なくとも40%低い、少なくとも50%低い、少なくとも60%低い、少なくとも70%低い、少なくとも80%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または95%超低い結合親和性でFas受容体(例えば、配列番号102に示されるポリペプチドのすべてまたは一部、例えば、そのエクトドメインを含む)に結合する。
いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチド(例えば、配列番号112のバリアントを含む)は、1nM~1mM(例えば、1nM~10nM、10nM~100nM、100nM~1μM、1μM~10μM、10μM~100μM、または100μM~1mM)であるFas受容体(例えば、そのエクトドメイン等の配列番号113に示されるポリペプチドのすべてまたは一部を含む)に対する結合親和性を有する。別の例として、いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチド(例えば、配列番号101のバリアントを含む)は、約100nM~約200nM、約200nM~約400nM、約400nM~約600nM、約600nM~約800nM、約800nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約20μM、約20μM~約40μM、約40μM~約75μM、または約75μM~約100μMである成熟Fas受容体(例えば、そのエクトドメイン等の配列番号113に示されるポリペプチドのすべてまたは一部を含む)に対する結合親和性を有する。
いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチド(例えば、配列番号112のバリアントを含む)は、配列番号112に示されるFasLポリペプチド配列と比較して単一のaa置換を有する)。いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチド(例えば、配列番号112のバリアントを含む)は、配列番号112に示されるFasLポリペプチド配列と比較して2aa~10aaの置換を有する)。いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチドは、配列番号112に示されるFasLポリペプチド配列と比較して2aaの置換を有する)。いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチドは、配列番号112に示されるFasLポリペプチド配列と比較して3aaまたは4aaの置換を有する)。いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチドは、配列番号112に示されるFasLポリペプチド配列と比較して5aaの置換を有する)。いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチドは、配列番号112に示されるFasLポリペプチド配列と比較して6aaまたは7aaの置換を有する)。いくつかの場合では、バリアントFasLポリペプチドは、配列番号112に示されるFasLポリペプチド配列と比較して8aa、9aa、または10aaの置換を有する)。
好適なバリアントFasLポリペプチド配列には、配列番号112の少なくとも140個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、または少なくとも175個の連続aa)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有するポリペプチド配列が含まれる(例えば、少なくとも1つのaa置換、欠失または挿入を有する)。
FasLバリアントは、配列番号112の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドを含み、aa1からaa50までで1つ以上のaa置換を保有する。そのようなFasLバリアントは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つのaaのAlaまたはGlyでの置換を含み得る。
FasLバリアントは、配列番号112の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドを含み、aa51から100までで1つ以上のaa置換を保有する。そのようなFasLバリアントは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つのaaのAlaまたはGlyでの置換を含み得る。
FasLバリアントは、配列番号112の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドを含み、aa101から150までで1つ以上のaa置換を保有する。そのようなFasLバリアントは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つのaaのAlaまたはGlyでの置換を含み得る。
FasLバリアントは、配列番号112の少なくとも80(例えば、少なくとも100、110、120、または130)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドを含み、aa151から170までで1つ以上のaa置換を保有する。そのようなFasLバリアントは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つのaaのAlaまたはGlyでの置換を含み得る。
任意のAlaまたはGly置換とは独立して、またはそれに加えて、上記のFasLバリアントのいずれかは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの正に荷電したaaのAsp(D)またはGlu(E)での置換、及び/または少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの負に帯電したaaのArg(R)またはLys(K)残基での置換を含み得る。
d.PD-L1及びそのバリアント
1つの非限定的な例として、T細胞-MPに存在するwt.MODまたはバリアントMODは、PD-L1またはバリアントPD-L1ポリペプチドである。野生型PD-L1は、PD1及びCD80(B7-1としても知られている)に結合する。wt.ヒトPD-L1ポリペプチドは、以下のaa配列:MRIFAVFIFM TYWHLLNAFT VTVPKDLYVV EYGSNMTIEC KFPVEKQLDL AALIVYWEME DKNIIQFVHG EEDLKVQHSS YRQRARLLKD QLSLGNAALQ ITDVKLQDAG VYRCMISYGG ADYKRITVKV NAPYNKINQR ILVVDPVTSE HELTCQAEGY PKAEVIWTSS DHQVLSGKTT TTNSKREEKL FNVTSTLRIN TTTNEIFYCT FRRLDPEENH TAELVIPGNI LNVSIKICLT LSPST(配列番号114)(aa1~18は、シグナル配列を形成し、aa19~127は、Ig様V型またはIgVドメインを形成し、133~225は、Ig様C2型ドメインを形成する)を含み得る。
wt.ヒトPD-L1エクトドメインは、以下のaa配列:FT VTVPKDLYVV EYGSNMTIEC KFPVEKQLDL AALIVYWEME DKNIIQFVHG EEDLKVQHSS YRQRARLLKD QLSLGNAALQ ITDVKLQDAG VYRCMISYGG ADYKRITVKV NAPYNKINQR ILVVDPVTSE HELTCQAEGY PKAEVIWTSS DHQVLSGKTT TTNSKREEKL FNVTSTLRIN TTTNEIFYCT FRRLDPEENH TAELVIPGNI LNVSIKI(配列番号115)(aa1~109は、Ig様V型または「IgV」ドメインを形成し、aa115~207は、Ig様C2型ドメインを形成する)を含み得る。
MODとして使用するのに好適なwt.PD-L1のIgVドメインは、配列番号114のaa18~127またはaa19~127、及びカルボキシル末端安定化配列、例えば、配列:
Figure 2023534460000008
の最後の7aa(太字かつイタリック体)を含み得る。カルボキシル安定化配列が約aa122でヒスチジン(例えば、配列番号116のaa117として現れるTyr(Y)のおよそ5残基C末端側のヒスチジン)を含む場合、ヒスチジンは、aa82及び83(配列番号116における太字かつイタリック体(配列番号114のQ107及びL106))で骨格アミドと安定化静電気的結合を形成し得る。代替手段として、安定化ジスルフィド結合は、aa82または83(配列番号114のQ107及びL106)のうちの1つ及びaa残基121、122、または123(配列番号114のaa位置139~141と同等)のうちの1つを置換することによって形成され得る。
wt.PD-1ポリペプチドは、以下のaa配列:PGWFLDSPDR PWNPPTFSPA LLVVTEGDNA TFTCSFSNTS ESFVLNWYRM SPSNQTDKLA AFPEDRSQPG QDCRFRVTQL PNGRDFHMSV VRARRNDSGT YLCGAISLAP KAQIKESLRA ELRVTERRAE VPTAHPSPSP RPAGQFQTLV VGVVGGLLGS LVLLVWVLAV ICSRAARGTI GARRTGQPLK EDPSAVPVFS VDYGELDFQW REKTPEPPVP CVPEQTEYAT IVFPSGMGTS SPARRGSADG PRSAQPLRPE DGHCSWPL(配列番号117)を含み得る。
いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチド(例えば、配列番号115またはPD-L1のIgVドメインのバリアント)は、配列番号114または配列番号115に示されるaa配列を含むPD-L1ポリペプチドの結合親和性と比較して、PD-1(例えば、配列番号117に示されるaa配列を含むPD-1ポリペプチド)に対する減少した結合親和性を示す。例えば、いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチドは、配列番号114または配列番号115に示されるaa配列を含むPD-L1ポリペプチドの結合親和性よりも少なくとも10%低い、少なくとも20%低い、少なくとも30%低い、少なくとも40%低い、少なくとも50%低い、少なくとも60%低い、少なくとも70%低い、少なくとも80%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または95%超低い結合親和性でPD-1(例えば、配列番号117に示されるaa配列を含むPD-1ポリペプチド)に結合する。
いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチド(例えば、配列番号115またはそのIgVドメインのバリアント)は、1nM~1mM(例えば、1nM~10nM、10nM~100nM、100nM~1μM、1μM~10μM、10μM~100μM、または100μM~1mM)であるPD-1(例えば、配列番号117のもの)に対する結合親和性を有する。別の例として、いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチド(例えば、配列番号115のバリアント)は、約100nM~約200nM、約200nM~約400nM、約400nM~約600nM、約600nM~約800nM、約800nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約20μM、約20μM~約40μM、約40μM~約75μM、または約75μM~約100μMであるPD1(例えば、配列番号117に示されるaa配列を含むPD1ポリペプチド)に対する結合親和性を有する。
配列番号114、配列番号115、配列番号114のaa19~127(IgVドメイン)、及び配列番号116のうちのいずれか1つの少なくとも85個の連続aa(例えば、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、または少なくとも105個の連続aa)と90%超(95%、98%または99%)の配列同一性を有する配列に対する置換を含めて、MODとして使用されるPD-L1エクトドメイン配列において多数のaa置換が生成され得る。置換には、ジスルフィド結合置換対D103C及びG33C、または対V104及びS34C(配列番号114に基づく)が含まれ得る。置換にはまた、塩橋形成置換対Q107D及びK62Rまたは対Q107D及びS80R(配列番号114に基づく)が含まれる。また、置換には、パイスタッキング置換M36YまたはM36F(配列番号114に基づく)が含まれる。PD-L1 MOD配列は、配列番号115の少なくとも85個の連続aa(例えば、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、または少なくとも105個の連続aa)を有する配列、及び少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のジスルフィド、塩橋、及び/またはパイスタッキング置換を含み得る。PD-L1 MOD配列は、配列番号114のaa19~127(IgVドメイン)の少なくとも85個の連続aa(例えば、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、または少なくとも105個の連続aa)を有する配列、及び少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のジスルフィド、塩橋、及び/またはパイスタッキング置換を含み得る。PD-L1 MOD配列は、aa配列番号116の少なくとも85個の連続aa(例えば、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、または少なくとも105個の連続aa)を有する配列、及び少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つまたは少なくとも3つ)のジスルフィド、塩橋、及び/またはパイスタッキング置換を含み得る。
いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチドは、配列番号114、配列番号115またはPD-L1のIgVドメインに示されるPD-L1のaa配列と比較して単一のaa置換を有する。いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチドは、配列番号114、配列番号115またはPD-L1のIgVドメインに示されるPD-L1のaa配列と比較して2aa~10aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチドは、配列番号114、配列番号115またはPD-L1のIgVドメインに示されるPD-L1のaa配列と比較して2aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチドは、配列番号114、配列番号115またはPD-L1のIgVドメインに示されるPD-L1のaa配列と比較して3aaまたは4aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチドは、配列番号114、配列番号115またはPD-L1のIgVドメインに示されるPD-L1のaa配列と比較して5aaまたは6aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチドは、配列番号114、配列番号115またはPD-L1のIgVドメインに示されるPD-L1のaa配列と比較して7aaまたは8aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントPD-L1ポリペプチドは、配列番号114、配列番号115またはPD-L1のIgVドメインに示されるPD-L1のaa配列と比較して9aaまたは10aaの置換を有する。
好適なバリアントPD-L1ポリペプチド配列には、配列番号115の少なくとも170個の連続aa(例えば、少なくとも180、190または200個の連続aa)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有するポリペプチド配列(例えば、少なくとも1つのaa挿入、欠失または置換を有する)が含まれる。好適なバリアントPD-L1のIgVポリペプチド配列には、配列番号115のaa1~109の少なくとも70個の連続aa(例えば、少なくとも80、90、100または105個の連続aa)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有するポリペプチド配列(例えば、少なくとも1つのaa挿入、欠失または置換を有する)が含まれる。
バリアントPD-L1ポリペプチド配列には、aa8におけるAsp、aa36におけるIle、及び/またはaa54におけるGluのうちの1つ以上(2つ以上、または3つすべて)の置換を含む、配列番号115の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、110、120、150、180、190、200、210、または219)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチド配列が含まれる。
バリアントPD-L1ポリペプチド配列には、配列番号115の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、110、120、150、180、190、200、210、または219)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチド配列であって、位置8におけるaaは、D以外のaaである、ポリペプチド配列が含まれる。1つの場合では、D8の位置は、Alaによって置換される。別のそのような実施形態では、D8の位置は、Argによって置換される。
バリアントPD-L1ポリペプチド配列には、配列番号115の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、110、120、150、180、190、200、210、または219)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチド配列であって、位置36におけるaaは、I以外のaaである、ポリペプチド配列が含まれる。1つの場合では、I36の位置は、Alaによって置換される。別のそのような実施形態では、I36の位置は、Aspによって置換される。
バリアントPD-L1ポリペプチド配列にはまた、配列番号115の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、110、120、150、180、190、200、210、または219)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチド配列であって、位置54におけるaaは、E以外のaaである、ポリペプチド配列が含まれる。1つの場合では、E54の位置は、Alaによって置換される。別のそのような実施形態では、E54は、Argによって置換される。
e.CD80及びそのバリアント
いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、バリアントCD80ポリペプチドである。野生型CD80は、CD28に結合する。
ヒトCD80のエクトドメインのwt.aa配列は、以下のとおりであり得る:VIHVTK EVKEVATLSC GHNVSVEELA QTRIYWQKEK KMVLTMMSGD MNIWPEYKNR TIFDITNNLS IVILALRPSD EGTYECVVLK YEKDAFKREH LAEVTLSVKA DFPTPSISDF EIPTSNIRRI ICSTSGGFPE PHLSWLENGE ELNAINTTVS QDPETELYAV SSKLDFNMTT NHSFMCLIKY GHLRVNQTFN WNTTKQEHFP DN(配列番号118)。NCBI参照配列:NP_005182.1を参照されたい。wt.ヒトCD80のIgVドメインのaa配列は、以下のとおりであり得る:VIHVTK EVKEVATLSC GHNVSVEELA QTRIYWQKEK KMVLTMMSGD MNIWPEYKNR TIFDITNNLS IVILALRPSD EGTYECVVLK YEKDAFKREH LAEVTLSV(配列番号119)(配列番号118のaa1~104である)。
wt.CD28のaa配列は、以下のとおりであり得る:MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSC KYSYNLFSRE FRASLHKGLD SAVEVCVVYG NYSQQLQVYS KTGFNCDGKL GNESVTFYLQ NLYVNQTDIY FCKIEVMYPP PYLDNEKSNG TIIHVKGKHL CPSPLFPGPS KPFWVLVVVG GVLACYSLLV TVAFIIFWVR SKRSRLLHSD YMNMTPRRPG PTRKHYQPYA PPRDFAAYRS(配列番号120)。
wt.CD28のaa配列は、以下のとおりであり得る:MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSW KHLCPSPLFP GPSKPFWVLV VVGGVLACYS LLVTVAFIIF WVRSKRSRLL HSDYMNMTPR RPGPTRKHYQ PYAPPRDFAA YRS(配列番号121)
wt.CD28のaa配列は、以下のとおりであり得る:MLRLLLALNL FPSIQVTGKH LCPSPLFPGP SKPFWVLVVV GGVLACYSLL VTVAFIIFWV RSKRSRLLHS DYMNMTPRRP GPTRKHYQPY APPRDFAAYR S(配列番号122)。
いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、CD28に対する、配列番号118、またはIgVドメイン配列の配列番号119に示されるaa配列を含むCD80ポリペプチドの結合親和性と比較して、CD28に対する減少した結合親和性を示す。例えば、いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、CD28(例えば、配列番号120、配列番号121、または配列番号122のうちの1つに示されるaa配列を含むCD28ポリペプチド)に対する配列番号118に示されるaa配列を含むCD80ポリペプチドの結合親和性よりも少なくとも10%低い、少なくとも20%低い、少なくとも30%低い、少なくとも40%低い、少なくとも50%低い、少なくとも60%低い、少なくとも70%低い、少なくとも80%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または95%超低い結合親和性でCD28に結合する。
いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、100nM~100μMであるCD28に対する結合親和性を有する。別の例として、いくつかの場合では、本開示のバリアントCD80ポリペプチドは、約100nM~約200nM、約200nM~約400nM、約400nM~約600nM、約600nM~約800nM、約800nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約20μM、約20μM~約40μM、約40μM~約75μM、または約75μM~約100μMであるCD28(例えば、配列番号120、配列番号121、または配列番号122に示されるaa配列を含むCD28ポリペプチド)に対する結合親和性を有する。
いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、配列番号118または119に示されるCD80のaa配列と比較して単一のaa置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、配列番号118または119に示されるCD80のaa配列と比較して1~10aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、配列番号118または119に示されるCD80のaa配列と比較して1aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、配列番号118または119に示されるCD80のaa配列と比較して2aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、配列番号118に示されるCD80のaa配列と比較して3aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、配列番号118または119に示されるCD80のaa配列と比較して4aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、配列番号118または119に示されるCD80のaa配列と比較して5aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、配列番号118または119に示されるCD80のaa配列と比較して6または7aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD80ポリペプチドは、配列番号118または119に示されるCD80のaa配列と比較して8、9、または10aaの置換を有する。
少なくとも1つのaa置換を有するいくつかのCD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有するものが含まれる。
いくつかの好適なCD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有し、かつ以下のものを含む約残基19から約残基67までのその配列における少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ)のaa置換を有するポリペプチドが含まれる。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置19におけるaaは、N以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、N19の位置は、Alaによって置換される。別のそのような実施形態では、N19は、Argによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置25におけるaaは、L以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、L25の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置31におけるaaは、Y以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、Y31の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置33におけるaaは、Q以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、Q33の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置38におけるaaは、M以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つのそのような実施形態では、M38の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置39におけるaaは、V以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、V39の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置49におけるaaは、I以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、I49の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置53におけるaaは、Y以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、Y53の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置60におけるaaは、D以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、D60の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置63におけるaaは、N以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、N63の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置67におけるaaは、I以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、I67の位置は、Alaによって置換される。
いくつかの好適なCD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有し、かつ以下のものを含む約残基86から約残基118までのその配列における少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ)のaa置換を有するポリペプチドが含まれる。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置86におけるaaは、K以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、K86の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置119におけるaaは、F以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、F119の位置は、Alaによって置換される。CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置118におけるaaは、P以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、P118の位置は、Alaによって置換される。
いくつかの好適なCD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有し、かつ以下のものを含む、約残基156から約残基158までのその配列における少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ)のaa置換を有するポリペプチドが含まれる。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置156におけるaaは、S以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、aa156の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置157におけるaaは、Q以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、aa157の位置は、Alaによって置換される。
CD80エクトドメインバリアントには、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または104、120、150、180、200、または208)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置158におけるaaは、D以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、aa158の位置は、Alaによって置換される。
CD80バリアントは、配列番号118またはIgVドメイン配列の配列番号119の少なくとも80(例えば、90、100、110、120、130または133)個の連続aaと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%)のaa配列同一性を有するaa配列を含むポリペプチドを含み、CD80バリアントMODの表に示されるCD80配列バリエーションのうちの少なくとも1つを含む。
f.CD86及びそのバリアント
いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、バリアントCD86ポリペプチドである。野生型CD86は、CD28に結合する。
wt.ヒトCD86の全エクトドメインのaa配列は、以下のとおりであり得る:
Figure 2023534460000009
wt.ヒトCD86のIgVドメインのaa配列は、以下のとおりであり得る:
Figure 2023534460000010
いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、CD28についての配列番号123または配列番号124に示されるaa配列を含むCD86ポリペプチドの結合親和性と比較して、CD28に対する減少した結合親和性を示す。例えば、いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、CD28(例えば、配列番号120、配列番号121、または配列番号122のうちの1つに示されるaa配列を含むCD28ポリペプチド)に対する配列番号123または配列番号124に示されるaa配列を含むCD86ポリペプチドの結合親和性よりも少なくとも10%低い、少なくとも20%低い、少なくとも30%低い、少なくとも40%低い、少なくとも50%低い、少なくとも60%低い、少なくとも70%低い、少なくとも80%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または95%超低い結合親和性でCD28に結合する。
いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、100nM~100μMであるCD28に対する結合親和性を有する。別の例として、いくつかの場合では、本開示のバリアントCD86ポリペプチドは、約100nM~約200nM、約200nM~約400nM、約400nM~約600nM、約600nM~約800nM、約800nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約20μM、約20μM~約40μM、約40μM~約75μM、または約75μM~約100μMであるCD28(例えば、配列番号120、配列番号121、または配列番号122のうちの1つに示されるaa配列を含むCD28ポリペプチド)に対する結合親和性を有する。
いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、配列番号123または124に示されるCD86のaa配列と比較して単一のaa置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、配列番号123に示されるCD86のaa配列と比較して2~10aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、配列番号123または124に示されるCD86のaa配列と比較して2aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、配列番号123または124に示されるCD86のaa配列と比較して3aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、配列番号123または124に示されるCD86のaa配列と比較して4aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、配列番号123または124に示されるCD86のaa配列と比較して5aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、配列番号123または124に示されるCD86のaa配列と比較して6または7aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアントCD86ポリペプチドは、配列番号123または124に示されるCD86のaa配列と比較して8、9、または10aaの置換を有する。
少なくとも1つのaa置換を有するいくつかのCD86エクトドメインバリアントには、配列番号123またはIgVドメイン配列の配列番号124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有するものが含まれる。好適なCD86エクトドメインバリアントには、配列番号8123または124と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有し、かつ以下のものを含む、約残基33から約残基110までのその配列における少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ)のaa置換を有するポリペプチドが含まれる。
CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置33におけるaaは、F以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、F33の位置は、Alaによって置換される。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置35におけるaaは、Q以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、Q35の位置は、Alaによって置換される。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置41におけるaaは、V以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、V41の位置は、Alaによって置換される。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置59におけるaaは、Y以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、Y59の位置は、Alaによって置換される。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置61におけるaaは、N以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、N61の位置は、Alaによって置換される。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置66におけるaaは、D以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、D66の位置は、Alaによって置換される。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置70におけるaaは、W以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、W70の位置は、Alaによって置換される。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置72におけるaaは、L以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、L72の位置は、Alaによって置換される。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置91におけるaaは、H以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、H91の位置は、Alaによって置換される。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置110におけるaaは、L以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、L110の位置は、Alaによって置換される。
CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、N61は、Asn以外のaaであり、H91は、His以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。実施形態では、Asn61及びHis91の両方の位置は、Alaによって置換される(N61A、及びH91A置換)。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、D66は、Asp以外のaaであり、H91は、His以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。実施形態では、Asp66及びHis91の両方の位置は、Alaによって置換される(D66A及びH91A置換)。CD86エクトドメインバリアントには、配列番号123または124の少なくとも80(例えば、少なくとも90、100、または109、120、150、180、200、または224)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、N61は、Asn以外のaaであり、D66は、Asp以外のaaであり、H91は、His以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、Asn61、Asp66及びHis91の位置は、Alaによって置換される(N61A、D66A及びH91A置換)。
g.4-1BBL及びそのバリアント
いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するバリアントMODは、バリアント4-1BBLポリペプチドである。野生型4-1BBLは、4-1BB(CD137)に結合する。
wt.4-1BBLのaa配列は、以下のとおりであり得る:MEYASDASLD PEAPWPPAPR ARACRVLPWA LVAGLLLLLL LAAACAVFLA CPWAVSGARA SPGSAASPRL REGPELSPDD PAGLLDLRQG MFAQLVAQNV LLIDGPLSWY SDPGLAGVSL TGGLSYKEDT KELVVAKAGV YYVFFQLELR RVVAGEGSGS VSLALHLQPL RSAAGAAALA LTVDLPPASS EARNSAFGFQ GRLLHLSAGQ RLGVHLHTEA RARHAWQLTQ GATVLGLFRV TPEIPAGLPS PRSE(配列番号125)。NCBI参照配列:NP_003802.1(aa29~49は、膜貫通領域である)。
いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、ヒト4-1BBLの腫瘍壊死因子(TNF)相同性ドメイン(THD)のバリアントである。ヒト4-1BBLのTHDのwt.aa配列は、例えば、以下のように、配列番号126~128のうちの1つを含み得る:
PAGLLDLRQG MFAQLVAQNV LLIDGPLSWY SDPGLAGVSL TGGLSYKEDT KELVVAKAGV YYVFFQLELR RVVAGEGSGS VSLALHLQPL RSAAGAAALA LTVDLPPASS EARNSAFGFQ GRLLHLSAGQ RLGVHLHTEA RARHAWQLTQ GATVLGLFRV TPEIPAGLPS PRSE(配列番号126);
D PAGLLDLRQG MFAQLVAQNV LLIDGPLSWY SDPGLAGVSL TGGLSYKEDT KELVVAKAGV YYVFFQLELR RVVAGEGSGS VSLALHLQPL RSAAGAAALA LTVDLPPASS EARNSAFGFQ GRLLHLSAGQ RLGVHLHTEA RARHAWQLTQ GATVLGLFRV TPEIPAGLPS PRSE(配列番号127);及び
D PAGLLDLRQG MFAQLVAQNV LLIDGPLSWY SDPGLAGVSL TGGLSYKEDT KELVVAKAGV YYVFFQLELR RVVAGEGSGS VSLALHLQPL RSAAGAAALA LTVDLPPASS EARNSAFGFQ GRLLHLSAGQ RLGVHLHTEA RARHAWQLTQ GATVLGLFRV TPEIPA(配列番号128)。
wt.4-1BBのaa配列は、以下のとおりであり得る:MGNSCYNIVA TLLLVLNFER TRSLQDPCSN CPAGTFCDNN RNQICSPCPP NSFSSAGGQR TCDICRQCKG VFRTRKECSS TSNAECDCTP GFHCLGAGCS MCEQDCKQGQ ELTKKGCKDC CFGTFNDQKR GICRPWTNCS LDGKSVLVNG TKERDVVCGP SPADLSPGAS SVTPPAPARE PGHSPQIISF FLALTSTALL FLLFFLTLRF SVVKRGRKKL LYIFKQPFMR PVQTTQEEDG CSCRFPEEEE GGCEL(配列番号129)。
いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、配列番号126~128のうちの1つに示されるaa配列を含む4-1BBLポリペプチドの結合親和性と比較して、4-1BBに対する減少した結合親和性を示す。例えば、いくつかの場合では、本開示のバリアント4-1BBLポリペプチドは、4-1BBポリペプチド(例えば、配列番号129に示されるaa配列を含む4-1BBポリペプチド)に対する配列番号125~128のうちの1つに示されるaa配列を含む4-1BBLポリペプチドの結合親和性よりも少なくとも10%低い、少なくとも20%低い、少なくとも30%低い、少なくとも40%低い、少なくとも50%低い、少なくとも60%低い、少なくとも70%低い、少なくとも80%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または95%超低い結合親和性で4-1BBに結合する。
いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、100nM~100μMである4-1BBに対する結合親和性を有する。別の例として、いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、約100nM~約200nM、約200nM~約400nM、約400nM~約600nM、約600nM~約800nM、約800nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約20μM、約20μM~約40μM、約40μM~約75μM、または約75μM~約100μMである4-1BB(例えば、配列番号129に示されるaa配列を含む4-1BBポリペプチド)に対する結合親和性を有する。
いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、配列番号126~128のうちの1つに示される4-1BBLのaa配列と比較して単一のaa置換を有する。いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、配列番号126~128のうちの1つに示される4-1BBLのaa配列と比較して2~10aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、配列番号125~128のうちの1つに示される4-1BBLのaa配列と比較して2aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、配列番号126~128のうちの1つに示される4-1BBLのaa配列と比較して3aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、配列番号126~128のうちの1つに示される4-1BBLのaa配列と比較して4aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、配列番号126~128のうちの1つに示される4-1BBLのaa配列と比較して5aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、配列番号125~128のうちの1つに示される4-1BBLのaa配列と比較して6または7aaの置換を有する。いくつかの場合では、バリアント4-1BBLポリペプチドは、配列番号126~128のうちの1つに示される4-1BBLのaa配列と比較して7、8または9aaの置換を有する。
少なくとも1つのaa置換を有するいくつかの4-1BBLバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有するものが含まれる。
好適な4-1BBLバリアントには、配列番号126と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有し、残基11から残基30までのその配列における少なくとも1つのaa置換を有するポリペプチドが含まれる。残基11から残基30までで置換を有するいくつかの4-1BBlバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置11におけるaaは、M以外のaaであり、位置12におけるaaは、F以外のaaであり、位置14におけるaaは、Q以外のaaであり、位置15におけるaaは、L以外のaaであり、位置16におけるaaは、V以外のaaであり、位置18におけるaaは、Q以外のaaであり、位置19におけるaaは、N以外のaaであり、位置20におけるaaは、V以外のaaであり、位置21におけるaaは、L以外のaaであり、位置22におけるaaは、L以外のaaであり、位置23におけるaaは、I以外のaaであり、位置24におけるaaは、D以外のaaであり、位置25におけるaaは、G以外のaaであり、位置26におけるaaは、P以外のaaであり、位置27におけるaaは、L以外のaaであり、位置28におけるaaは、S以外のaaであり、位置29におけるaaは、W以外のaaであり、または位置30におけるaaは、Y以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。4-1BBLバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、aa11、12、14、15、16、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のうちの1つは、Alaによって置換されている、ポリペプチドが含まれる。
好適な4-1BBLバリアントには、配列番号126と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有し、残基31から残基50までのその配列における少なくとも1つのaa置換を有するポリペプチドが含まれる。残基31から残基50までで置換を有するいくつかの4-1BBlバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置31におけるaaは、S以外のaaであり、位置32におけるaaは、D以外のaaであり、位置33におけるaaは、P以外のaaであり、位置34におけるaaは、G以外のaaであり、位置35におけるaaは、L以外のaaであり、位置37におけるaaは、G以外のaaであり、位置38におけるaaは、V以外のaaであり、位置39におけるaaは、S以外のaaであり、位置40におけるaaは、L以外のaaであり、位置41におけるaaは、T以外のaaであり、位置42におけるaaは、G以外のaaであり、位置43におけるaaは、G以外のaaであり、位置44におけるaaは、L以外のaaであり、位置45におけるaaは、S以外のaaであり、位置46におけるaaは、Y以外のaaであり、位置47におけるaaは、K以外のaaであり、位置48におけるaaは、E以外のaaであり、位置49におけるaaは、D以外のaaであり、または位置50におけるaaは、T以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。
好適な4-1BBLバリアントには、配列番号126と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%のaa配列同一性を有し、残基51から残基78までのその配列における少なくとも1つのaa置換を有するポリペプチドが含まれる。残基51から残基78までで置換を有するいくつかの4-1BBlバリアントには、以下のものが含まれる。4-1BBLバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、aa31、32、33、34、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50のうちの1つは、Alaによって置換されている、ポリペプチドが含まれる。
好適な4-1BBLバリアントには、配列番号126と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有し、残基51から残基100までのその配列における少なくとも1つのaa置換を有するポリペプチドが含まれる。残基51から残基100までで置換を有するいくつかの4-1BBlバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置51におけるaaは、K以外のaaであり、位置52におけるaaは、E以外のaaであり、位置65におけるaaは、F以外のaaであり、位置66におけるaaは、Q以外のaaであり、位置67におけるaaは、以外のaaであり、位置68におけるaaは、E以外のaaであり、位置69におけるaaは、L以外のaaであり、位置70におけるaaは、R以外のaaであり、位置71におけるaaは、R以外のaaであり、位置72におけるaaは、V以外のaaであり、位置73におけるaaは、V以外のaaであり、位置75におけるaaは、G以外のaaであり、位置76におけるaaは、E以外のaaであり、位置77におけるaaは、G以外のaaであり、または位置78におけるaaは、S以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。4-1BBLバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、aa51、52、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、76、77、または78のうちの1つは、Alaによって置換されている、ポリペプチドが含まれる。
好適な4-1BBLバリアントには、配列番号126と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有し、残基103から残基117までのその配列における少なくとも1つのaa置換を有するポリペプチドが含まれる。残基103から残基117までで置換を有するいくつかの4-1BBlバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置103におけるaaは、V以外のaaであり、位置104におけるaaは、D以外のaaであり、位置105におけるaaは、L以外のaaであり、位置106におけるaaは、P以外のaaであり、位置109におけるaaは、S以外のaaであり、位置110におけるaaは、S以外のaaであり、位置111におけるaaは、E以外のaaであり、位置113におけるaaは、R以外のaaであり、位置125におけるaaは、N以外のaaであり、または位置115におけるaaは、S以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。1つの場合では、S115の位置は、Alaによって置換されており、または位置117におけるaaは、F以外のaaである。
4-1BBLバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、aa103、104、105、106、109、110、111、113、114、115、または117のうちの1つは、Alaによって置換されている、ポリペプチドが含まれる。
好適な4-1BBLバリアントには、配列番号126と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のaa配列同一性を有し、残基130から残基154までのその配列における少なくとも1つのaa置換を有するポリペプチドが含まれる。残基130から残基154までで置換を有するいくつかの4-1BBlバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、位置130におけるaaは、Q以外のaaであり、位置131におけるaaは、R以外のaaであり、位置132におけるaaは、L以外のaaであり、位置133におけるaaは、G以外のaaであり、位置134におけるaaは、V以外のaaであり、位置135におけるaaは、H以外のaaであり、位置136におけるaaは、L以外のaaであり、位置137におけるaaは、H以外のaaであり、位置138におけるaaは、T以外のaaであり、位置139におけるaaは、E以外のaaであり、位置141におけるaaは、R以外のaaであり、位置143におけるaaは、R以外のaaであり、位置144におけるaaは、H以外のaaであり、位置146におけるaaは、W以外のaaであり、位置147におけるaaは、Q以外のaaであり、位置148におけるaaは、L以外のaaであり、位置149におけるaaは、T以外のaaであり、位置150におけるaaは、Q以外のaaであり、位置151におけるaaは、G以外のaaであり、位置153におけるaaは、T以外のaaであり、または位置154におけるaaは、V以外のaaである、ポリペプチドが含まれる。4-1BBLバリアントには、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドであって、aa130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、141、143、144、146、147、148、149、150、151、153、または154のうちの1つは、Alaによって置換されている、ポリペプチドが含まれる。
4-1BBLバリアントは、配列番号126の少なくとも140(例えば、少なくとも160、175、180、または181)個の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%)のaa配列同一性を有するポリペプチドを含み、Lys以外のaaでのK47(配列番号125のK127)の置換を含む。実施形態では、K47は、K47A置換(配列番号126におけるK127A置換)を形成するためにAlaで置換される。実施形態では、Asp66及びHis91の両方の位置は、Alaによって置換される(例えば、配列番号126におけるD66A及びH91A置換)。
h.抗CD28
いくつかの場合では、CD28に対して仕向けられた抗体または抗体配列(例えば、抗CD28抗体、CD28に結合する抗体断片、またはCD28に結合するscFv、ナノボディ、もしくはダイアボディ)がT細胞-MPにおけるMODとして用いられ得る。抗CD28抗体がCD28活性のスーパーアゴニスト、アゴニスト、またはアンタゴニストとして作用する能力が記載されている。例えば、Poirier et al.,(2012)Amer.J.of Transplantation,“CD28-Specific Immunomodulating Antibodies:What Can Be Learned From Experimental Models?”12:1682-1690を参照されたい。アゴニストまたはスーパーアゴニストとして作用する抗CD28抗体が特に興味深い。
抗CD28抗体または抗CD28配列は、任意の他のMOD配列の非存在下でT細胞-MPに含まれ得る。代替的には、CD28に対して仕向けられた抗体または抗体配列は、1つ以上の追加のMOD、またはバリアントMODと共にT細胞-MPに組み込まれ得る。実施形態では、T細胞-MPは、1つ以上(例えば、2つ)の4-1BBL MODまたはバリアントMOD、例えば、上述したものと共に1つ以上(例えば、2つ)の抗CD28抗体または抗CD28配列を含む。実施形態では、T細胞-MPは、1つ以上(例えば、2つ)のIL-2 MODまたはバリアントIL-2 MOD、例えば、上述したものと共に1つ以上(例えば、2つ)の抗CD28抗体または抗CD28配列を含む。例えば、バリアントIL-2 MODにおける置換には、F42AまたはF42T置換と共にH16AまたはH16Tが含まれ得る。例として、T細胞-MPは、H16A及び/またはF42A置換を含む1つ以上のバリアントIL-2 MODと共に1つ以上(例えば、2つ)の抗CD28抗体または抗CD28配列(例えば、抗CD28 scFv)を含み得る。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗CD28抗体は、a)以下のアミノ酸配列:QWYQQKPGQPPKLLIFAASNVESGVPARFSGSGSGTNFSLNIHPVDEDDVA MYFCQQSRKVPYTFGGGTKLEIKR(配列番号559)を含む軽鎖可変領域(VL)に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及びb)以下のアミノ酸配列:QVKLQQSGPGLVTPSQSLSITCTVSGFSLSDYGVHWVRQSPGQGLEWLGVIWAGGGTNYNSALMSRKSISKDNSKSQVFLKMNSLQADDTAVYYCARDKGYSYYYSMDYWGQGTTVTVSS(配列番号560)を含む重鎖可変領域(VH)に存在するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。いくつかの場合では、V及びVのCDRは、Kabatによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びKabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、V及びVのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表、及びChothia 1987を参照されたい)。いくつかの場合では、VH CDRは、DYGVH(VH CDR1)(配列番号561);VIWAGGGT NYNSALMS(VH CDR2)(配列番号562);及びDKGYSYYYSMDY(VH CDR3)(配列番号563)である。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗CD28抗体は、a)以下のアミノ酸配列:QWYQQKPGQPPKLLIF AASNVESGVPARFSGSGSGTNFSLNIHPVDEDDVAMYFCQQSRKVPYTFGGGTKLEIKR(配列番号559)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;及びb)以下のアミノ酸配列:QVKLQQSGPGLVTPSQSLSITCTVSGFSLSDYGVHWVRQSPGQGLEWLGVIWAGGGTNYNSALMSRKSISKDNSKSQVFLKMNSLQADDTAVYYCARDKGYSYYYSMDYWGQGTTVTVSS(配列番号560)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗CD28抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:QWYQQKPGQPPKLLIFAASNVESGVPARFSGSGSGTNFSLNIHPV DEDDVAMYFCQQSRKVPYTFGGGTKLEIKR(配列番号559)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:QVKLQQSGPGLVTPSQ SLSITCTVSGFSLSDYGVHWVRQSPGQGLEWLGVIWAGGGTNYNSALMSRKSISKDNSKSQVFLKMNSLQADDTAVYYCARDKGYSYYYSMDYWGQGTTVTVSS(配列番号560)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗CD28抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:QVKLQQSGPGLVTPSQSLSITCTVSGFSLSDYGVHWVRQSPGQG LEWLGVIWAGGGTNYNSALMSRKSISKDNSKSQVFLKMNSLQADDTAVYYCARDKGYSYYYSMDYWGQGTTVTVSS(配列番号560)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:QWYQQKPGQPPKLLIFAASNVESGVPARF SGSGSGTNFSLNIHPVDEDDVAMYFCQQSRKVPYTFGGGTKLEIKR(配列番号559)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
6 リンカー
T-細胞-MP(及びそれらのT細胞-MP-エピトープコンジュゲート)は、例えば、
i)β2Mポリペプチド配列のN末端側に配置された2つのMODポリペプチド(L1リンカーまたは位置と称される);
(ii)MODとβ2Mポリペプチド配列との間(L2リンカーまたは位置と称される);
(iii)β2Mポリペプチド配列とMHC-Hポリペプチド配列との間(L3リンカーまたは位置と称される);
(iv)MHC-Hポリペプチド配列と骨格ポリペプチド配列との間(L4リンカーまたは位置と称される);
(iv)骨格のカルボキシル末端または骨格ポリペプチド配列とそのカルボキシ末端に配置されたMODポリペプチド配列との間(L5リンカーまたは位置と称される);または
(vi)骨格のカルボキシ側に配置された2つのMODポリペプチド配列の間(L6リンカーまたは位置と称される)
のうちの任意の1つ以上の間に介在する1つ以上の独立して選択されるリンカーポリペプチド配列を含み得る。
例えば、図5を参照されたい。
エピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)をカップリングするための化学的コンジュゲーション部位は、MHC-Hとβ2Mポリペプチド配列との間のL3を含むリンカー(例えば、L1~L6リンカー)に組み込まれ得る。したがって、スルファターゼ、ソルターゼ、トランスグルタミナーゼ、セレノシステイン、非天然アミノ酸、及び天然に存在するタンパク質構成アミノ酸(例えば、システイン残基)等を含むがこれらに限定されない化学的コンジュゲーション部位は、L3リンカーを含むリンカーに組み込まれ得る。NまたはC末端のいずれかに配置されるポリペプチドリンカーは、追加のポリペプチド(例えば、ヒスチジンタグ)、ペイロード等をカップリングするための、及びエキソプロテアーゼからポリペプチドを保護するための箇所を提供する。
リンカーはまた、ペプチドエピトープと、コンジュゲートされていないT細胞-MPの化学的コンジュゲーション部位にペプチドエピトープをカップリングするために使用される任意の反応性化学的部位(基)との間で利用され得る(例えば、図10を参照されたい)。エピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)と反応性化学的部位との間で利用されるリンカーは、ペプチド/ポリペプチドリンカー、及び/または他の化学的リンカー(例えば、スペーサーとしてアルキル基を含むホモまたはヘテロ2官能性リンカーの形態の非ペプチドリンカー、例えば、図10のエントリd及びeを参照されたい)であり得る。
好適なポリペプチドリンカー(「スペーサー」とも称される)は、容易に選択され得、多数の好適な長さ、例えば、1aa~50aa、1aa~5aa、1aa~15aa、2aa~15aa、2aa~25aa、3aa~12aa、4aa~10aa、4aa~35aa、5aa~35aa、5aa~10aa、5aa~20aa、6aa~25aa、7aa~35aa、8aa~40aa、9aa~45aa、10~15aa、10aa~50aa、15~20aa、20~40aa、または40~50aaのいずれかのものであり得る。長さが10~50aaの範囲の好適なポリペプチドリンカーは、10~20、10~25、15~25、20~30、25~35、25~50、30~35、35~45、または40~50であり得る)。実施形態では、好適なリンカーは、長さが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50aaであり得る。ポリペプチドリンカーは、長さが15aa~50aa、例えば、20~35、25~30、25~45、30~35、35~40、40~45、または45~50aaの長さを有し得る。
T細胞-MPにおけるポリペプチドリンカーには、例えば、i)Gly及び/またはSer;ii)Ala及びSer;iii)Gly、Ala、及びSer;iv)Gly、Ser、及びCys(例えば、単一のCys残基);v)Ala、Ser、及びCys(例えば、単一のCys残基);及びvi)Gly、Ala、Ser、及びCys(例えば、単一のCys残基)を含む、それから本質的になる、またはそれからなるポリペプチドが含まれ得る。例示的なリンカーは、グリシンポリマー、グリシン-セリンポリマー、グリシン-アラニンポリマー;アラニン-セリンポリマー(例えば、配列GA、AG、AS、SA、GS、GSGGS(配列番号130)またはGGGS(配列番号131)を含むポリマーを含む)(そのいずれかは、1~10回繰り返され得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回繰り返される));及び当該技術分野で知られている他のフレキシブルリンカーを含み得る。Gly及びSerの両方は、比較的非構造化され、そのため、成分間の中性繋ぎ部として機能し得るので、グリシン及びグリシン-セリンポリマーがいずれとも使用され得る。グリシンポリマーは、アラニンポリマーよりもさらに有意に多くのファイ-プサイ空間に近接し、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限が少ない(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173-142(1992)を参照されたい)。例示的なリンカーはまた、限定されないが、GGSG(配列番号132)、GGSGG(配列番号133)、GSGSG(配列番号134)、GSGGG(配列番号135)、GGGSG(配列番号136)、GSSSG(配列番号137)(そのいずれかは、1~15回繰り返され得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15回繰り返される))、またはそれらの組み合わせ等を含むaa配列を含み得る。リンカーはまた、配列Gly(Ser)(配列番号138)または(Gly)Ser(配列番号139)を含み得、そのいずれかは、1~10回(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回)繰り返され得る。実施形態では、リンカーは、X1-X2-X3-X4-X5(式中、X1~X5は、グリシン及びセリンから選択され、そのうち1つは、ロイシン、システイン、メチオニンまたはアラニンであり得る)(配列番号140)を含む。一実施形態では、リンカーは、1~10回繰り返され得るaa配列AAAGG(配列番号532)を含む。
いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するリンカーポリペプチドには、別のT細胞-MPに存在するシステイン残基とジスルフィド結合を形成し、またはエピトープのカップリング(例えば、マレイミドとの反応を介する)のための化学的コンジュゲーション部位として作用し得るシステイン残基が含まれる。いくつかの場合では、例えば、リンカーは、例えば、aa配列
Figure 2023534460000011
(式中、GS単位は、1~10回繰り返され得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回繰り返される))、
Figure 2023534460000012
におけるGly、Ser及び単一のCysを含む。
リンカーは、1~10回繰り返され得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回繰り返される)aa配列(GGGGS)(配列番号139、GlySerまたはGSとしても表され得る)を含み得る。いくつかの実施形態では、GSリピートを含むリンカーは、1つのグリシンまたはセリン残基がロイシンまたはメチオニンによって置き換えられる。システイン残基を含むGlySer含有リンカーポリペプチドを含む第1のT細胞-MPは、第2のT細胞-MPと二重体化された場合、二重体T細胞-MPの第2のT細胞-MPに存在するシステイン残基とジスルフィド結合を形成し得る。リンカー(特にL3リンカー)に存在するそのようなシステイン残基また、例えば、エピトープの一部である、またはエピトープにリンカーによって間接的に接続されたマレイミド官能基との反応によって、エピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)の結合のための化学的コンジュゲーション部位として利用され得る。いくつかの場合では、例えば、リンカーは、aa配列GCGGS(GS)(配列番号141)(式中、GS単位は、1~10回繰り返され得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回繰り返される))、
Figure 2023534460000013
を含む。エピトープ、標的化配列及び/またはペイロード(例えば、薬物または標識剤)をT細胞-MP(そのペプチドリンカーを含む)に共有結合させるために使用され得る非ペプチドリンカーは、アルキル、ポリ(エチレングリコール)、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸に不安定な基、光に不安定な基、ペプチダーゼに不安定な基、及びエステラーゼに不安定な基を含むがこれらに限定されない多様な形態を取り得る。非ペプチドリンカー(または「架橋剤」)はまた、例えば、反応性末端基、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド、ヨード酢酸エステル等を含むホモ2官能性またはヘテロ2官能性リンカーであり得る。好適な架橋剤の例には、N-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP);N-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミドカプロエート)(LC-SMCC);κ-マレイミドウンデカン酸N-スクシンイミジルエステル(KMUA);γ-マレイミド酪酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS);ε-マレイミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS);m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS);N-(α-マレイミドアセトキシ)-スクシンイミドエステル(AMAS);スクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH);N-スクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB);N-(p-マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI);N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP);N-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB);6-マレイミドカプロイル(MC);マレイミドプロパノイル(MP);p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB);N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC);N-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミドカプロエート)、SMCC(LC-SMCC)の「長鎖」アナログ;3-マレイミドプロパン酸N-スクシンイミジルエステル(BMPS);N-スクシンイミジルヨードアセテート(SIA);N-スクシンイミジルブロモアセテート(SBA);及びN-スクシンイミジル3-(ブロモアセタミド)プロピオネート(SBAP)が含まれる。
7 追加のポリペプチド配列
T細胞-MPのポリペプチド鎖には、上述したものに加えて1つ以上のポリペプチドが含まれ得る。好適な追加のポリペプチドには、エピトープタグ、親和性ドメイン、及び蛍光タンパク質配列(例えば、緑色蛍光タンパク質)が含まれる。1つ以上の追加のポリペプチド(複数可)は、多量体ポリペプチドのポリペプチド鎖のN末端で、多量体ポリペプチドのポリペプチド鎖のC末端で、または多量体ポリペプチドのポリペプチド鎖内で内部に、細胞または無細胞システムによって翻訳されたポリペプチドの一部として含まれ得る。
a.エピトープタグ及び親和性ドメイン
好適なエピトープタグには、血球凝集素(HA;例えば、YPYDVPDYA(配列番号145));c-myc(例えば、EQKLISEEDL;配列番号146))等が含まれるがこれらに限定されない。
親和性ドメインには、例えば、同定または精製に有用な、固体支持体に固定化されたもの等の、結合パートナーと相互作用し得るペプチド配列が含まれる。複数の連続した単一アミノ酸、例えば、ヒスチジンをコードするDNA配列は、発現したタンパク質に融合された場合、樹脂カラム、例えば、ニッケルSEPHAROSE(登録商標)への高い親和性結合によって組換えタンパク質の1工程精製のために使用され得る。例示的な親和性ドメインには、His5(HHHHH)(配列番号147)、HisX6(HHHHHH)(配列番号148)、C-myc(EQKLISEEDL)(配列番号146)、Flag(DYKDDDDK)(配列番号149、StrepTag(WSHPQFEK)(配列番号150)、血球凝集素(例えば、HAタグ(YPYDVPDYA)(配列番号145))、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、セルロース結合ドメイン、RYIRS(配列番号151)、Phe-His-His-Thr(配列番号152)、キチン結合ドメイン、S-ペプチド、T7ペプチド、SH2ドメイン、C末端RNAタグ、WEAAAREACCRECCARA(配列番号153)、金属結合ドメイン(例えば、亜鉛結合ドメインまたはカルシウム結合ドメイン、例えば、カルシウム結合タンパク質、例えば、カルモジュリン、トロポニンC、カルシニューリンB、ミオシン軽鎖、リカバリン、S-モジュリン、ビシニン、VILIP、ニューロカルシン、ヒポカルシン、フリクエニン、カルトラクチン、カルパイン大サブユニット、S100タンパク質、パルブアルブミン、カルビンジンD9K、カルビンジンD28K、及びカルレチニンからのもの)、インテイン、ビオチン、ストレプトアビジン、MyoD、Id、ロイシンジッパー配列、及びマルトース結合タンパク質が含まれる。
b.標的化配列
本開示のT細胞-MPには、1つ以上の標的化ポリペプチド配列(複数可)または「標的化配列(複数可)」が含まれ得る。標的化配列は、T細胞-MPポリペプチド内のいずれかの箇所に、例えば、骨格ペプチドのカルボキシル末端内に、カルボキシル末端に、またはカルボキシル末端の近くに配置され得る(例えば、図5もしくは6におけるC末端MODの代わりに骨格と共に翻訳されるまたはL5リンカーに結合される)。代替的には、標的化配列、例えば、抗体抗原結合断片(Fab)は、T細胞-MPに共有結合または非共有結合され得る。標的化配列の共有結合は、標的化配列が有効にT細胞-MPに結合したペイロード様分子となる化学的コンジュゲーション部位(例えば、骨格ポリペプチドにおける化学的コンジュゲーション部位)で行われ得る。標的化配列はまた、T細胞-MPに非共有結合され得る(例えば、ビオチン標識骨格を有するT細胞-MPは、がん抗原に仕向けられたアビジン標識標的化抗体またはFabに非共有結合され得る)。T細胞-MPの一部(例えば、骨格)に仕向けられた第1の抗原結合部位を有する二重特異的抗体(例えば、二重特異的IgGまたはヒト化抗体)もまた、標的(例えば、がん抗原)に仕向けられた標的化配列(第2の二重特異的抗体結合部位)にT細胞-MPを非共有結合させるために用いられ得る。標的化配列は、T細胞-MPを、標的化配列が結合するタンパク質(または他の分子)を提示する細胞及び/または組織に結合させるまたは「局在化」させる役割を果たす。標的化配列は、抗体またはその抗原結合断片であり得る。標的化配列はまた、一本鎖T細胞受容体(scTCR)であり得る。
(i)標的
本開示のT細胞-MPに存在する標的化配列は、感染性生物及び/または感染した細胞の抗原を標的とし得る。1つの例では、標的化配列は、抗体または抗体の抗原結合断片を包含するポリペプチドであり得る。標的化配列は、例えば、細胞表面上に発現した感染性物質のそれらのタンパク質/エピトープを含む、感染性物質、例えば、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、及び寄生蠕虫のタンパク質/エピトープに仕向けられ得る。例として、HPVに感染した細胞は、標的化配列が仕向けられ得るE6またはE7タンパク質またはその一部を発現し得る。標的化配列はまた、がん関連抗原(「CAA」)、例えば、非固形がん(例えば、白血病)に関連する抗原及び/または固形腫瘍関連抗原に特異的ながん標的化ポリペプチド、または「CTP」であり得る。1つの例では、標的化配列は、がん細胞の表面上のがん関連ペプチド/HLA(pHLA)複合体に特異的であり、そのペプチドは、がん関連ペプチド(例えば、がん関連抗原のペプチド断片)であり得る。本開示のT細胞-MPは、がん細胞上に存在するまたはHLAタンパク質との関連でペプチドとして提示されるCAAに結合する標的化配列を使用してがん細胞に標的化され得る。
(a)がん関連抗原(CAA)
本開示のT細胞-MPまたは高次T細胞-MP複合体、例えば、二重体T細胞-MPに存在するCTPで標的化され得るCAAには、例えば、NY-ESO(ニューヨーク食道扁平上皮癌1)、MART-1(T細胞1によって認識される黒色腫抗原、メラン-Aとしても知られている)、HPV(ヒトパピローマウイルス)E6、BCMA(B細胞成熟抗原)、CD123、CD133、CD171、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CEA(がん胎児性抗原)、EGFR(上皮成長因子受容体)、EGFRvIII(上皮成長因子受容体バリアントIII)、EpCAM(上皮細胞接着分子)、EphA2(エフリンA型受容体2)、ジシアロガングリオシドGD2、GPC3(グリピカン-3)、HER2、IL13Rアルファ2(インターロイキン13受容体サブユニットアルファ-2)、LeY(ジフコシル化2型血液型関連抗原)、黒色腫関連抗原(黒色腫関連抗原遺伝子産物またはMAGEとしても知られている)A3(MAGE A3)、黒色腫糖タンパク質、メソテリン、MUC1(ムチン1)、MUC16(ムチン16)、ミエリン、NKG2D(ナチュラルキラー群2D)リガンド、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、及びROR1(I型受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体)が含まれる。
T細胞-MPに存在するCTPで標的化され得るCAAにはまた、17-1A-抗原、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、アルファ-アクチニン-4、A3、A33抗体に特異的な抗原、ART-4、B7、Ba733、BAGE、bcl-2、bcl-6、BCMA、BrE3-抗原、CA125、CAMEL、CAP-1、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、CASP-8/m、CCL19、CCL21、CD1、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD11A、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD28、CD29、CD30、CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD46、CD52、CD54、CD55、CD59、CD64、CD66a-e、CD67、CD70、CD70L、CD74、CD79a、CD79b、CD80、CD83、CD95、CD123、CD126、CD132、CD133、CD138、CD147、CD154、CD171、CDC27、CDK-4/m、CDKN2A、CEA、CEACAM5、CEACAM6、クローディン(例えば、クローディン-1、クローディン-10、クローディン-18(例えば、クローディン-18、アイソフォーム2))、補体因子(例えば、C3、C3a、C3b、C5a及びC5)、結腸特異的抗原-p(CSAp)、c-Met、CTLA-4、CXCR4、CXCR7、CXCL12、DAM、Dickkopf関連タンパク質(DKK)、ED-Bフィブロネクチン、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、EGP-1(TROP-2)、EGP-2、ELF2-M、Ep-CAM、EphA2、EphA3、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、線維芽細胞成長因子(FGF)、Flt-1、Flt-3、葉酸結合タンパク質、葉酸受容体、G250抗原、ガングリオシド(例えば、GC2、GD3及びGM2)、GAGE、GD2、gp100、GPC3、GRO-13、HLA-DR、HM1.24、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)及びそのサブユニット、HER2、HER3、HMGB-1、低酸素誘導性因子(HIF-1)、HIF-1a、HSP70-2M、HST-2、Ia、IFN-ガンマ、IFN-アルファ、IFN-ベータ、IFN-X、IL-4R、IL-6R、IL-13R、IL13Rアルファ2、IL-15R、IL-17R、IL-18R、IL-2、IL-6、IL-8、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、IL-25、ILGF、ILGF-1R、インスリン様成長因子-1(IGF-1)、IGF-1R、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、KC4-抗原、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、Kras、KS-1-抗原、KS1-4、LDR/FUT、レガンマ(Legamma)、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)、MAGE、MAGE-3、MART-1、MART-2、mCRP、MCP-1、黒色腫糖タンパク質、メソテリン、MIP-1A、MIP-1B、MIF、ムチン(例えば、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5ac、MUC13、MUC16、MUM-1/2及びMUM-3)、NCA66、NCA95、NCA90、ネクチン-4、NY-ESO-1、PAM4抗原、膵臓癌ムチン、PD-1、PD-L1、PD-1受容体、胎盤成長因子、p53、PLAGL2、前立腺酸ホスファターゼ(PAP)、PSA、PRAME、PSMA、P1GF、RSS、RANTES、SAGE、5100、スルビビン、スルビビン-2B、T101、TAC、TAG-72、テネイシン、トムソン・フリーデンレイチ抗原、Tn抗原、TNF-アルファ、腫瘍壊死抗原、TRAG-3、TRAIL受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、VEGF受容体(VEGFR)及びWT-1が含まれるがこれらに限定されない。
T細胞-MPのCTPで標的化されるCAAは、血液癌に関連する抗原であり得る。そのような抗原の例には、BCMA、C5、CD19、CD20、CD22、CD25、CD30、CD33、CD38、CD40、CD45、CD52、CD56、CD66、CD74、CD79a、CD79b、CD80、CD138、CTLA-4、CXCR4、DKK、EphA3、GM2、HLA-DRベータ、インテグリンαVβ3、IGF-R1、IL6、KIR、PD-1、PD-L1、TRAILR1、TRAILR2、トランスフェリン受容体、及びVEGFが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの場合では、CAAは、悪性B細胞によって発現する抗原、例えば、CD19、CD20、CD22、CD25、CD38、CD40、CD45、CD74、CD80、CTLA-4、IGF-R1、IL6、PD-1、TRAILR2、またはVEGFである。
T細胞-MPのCTPで標的化されるCAAは、固形腫瘍に関連し得る。そのような抗原の例には、CAIX、カドヘリン、CEA、c-MET、CTLA-4、EGFRファミリーメンバー、EpCAM、EphA3、FAP、葉酸結合タンパク質、FR-アルファ、ガングリオシド(例えば、GC2、GD3及びGM2)、HER2、HER3、IGF-1R、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、レガンマ、Liv1、メソテリン、ムチン、NaPi2b、PD-1、PD-L1、PD-1受容体、pgA33、PSMA、RANKL、ROR1、TAG-72、テネイシン、TRAILR1、TRAILR2、VEGF、VEGFR、及び上に列挙される他のものが含まれるがこれらに限定されない。
(b)ペプチド/HLA複合体
いくつかの場合では、T細胞-MPまたは高次T細胞-MP複合体、例えば、二重体T細胞-MPのCTPは、がん細胞の表面上のペプチド/HLA(pHLA)複合体を標的とし、そのペプチドは、がん関連ペプチド(例えば、がん関連抗原のペプチド断片)である。がん関連ペプチド抗原は、当該技術分野で知られている。いくつかの場合では、がん関連ペプチドは、HLA-A*0201重鎖及びβ2Mポリペプチドを含むHLA複合体に結合する。
いくつかの場合では、がん細胞の表面上のpHLAに存在するCAAペプチドエピトープは、HLA重鎖、例えば、HLA-A*0101、A*0201、A*0301、A*1101、A*2301、A*2402、A*2407、A*3303、及び/またはA*3401を含むHLA複合体に結合する。いくつかの場合では、がん細胞の表面上のpHLAに存在するペプチドエピトープは、HLA重鎖、例えば、HLA-B*0702、B*0801、B*1502、B*3802、B*4001、B*4601、及び/またはB*5301を含むHLA複合体に結合する。いくつかの場合では、がん細胞の表面上のpHLAに存在するペプチドエピトープは、HLA重鎖、例えば、C*0102、C*0303、C*0304、C*0401、C*0602、C*0701、C*702、C*0801、及び/またはC*1502を含むHLA複合体に結合する。
いくつかの場合では、CAAペプチドは、以下のがん関連抗原:CD28ポリペプチド、MUC1ポリペプチド、LMP2ポリペプチド、上皮成長因子受容体(EGFR)vIIIポリペプチド、HER-2/neuポリペプチド、黒色腫抗原ファミリーA、3(MAGE A3)ポリペプチド、p53ポリペプチド、変異体p53ポリペプチド、NY-ESO-1ポリペプチド、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原;PSMA)ポリペプチド、がん胎児性抗原(CEA)ポリペプチド、クローディンポリペプチド(例えば、クローディン-1、クローディン-10、クローディン-18(例えば、クローディン-18、アイソフォーム2))、ネクチン-4ポリペプチド、T細胞によって認識される黒色腫抗原(メランA/MART1)ポリペプチド、Rasポリペプチド、gp100ポリペプチド、プロテイナーゼ3(PR1)ポリペプチド、bcr-ablポリペプチド、チロシナーゼポリペプチド、スルビビンポリペプチド、前立腺特異的抗原(PSA)ポリペプチド、hTERTポリペプチド、肉腫転座切断点ポリペプチド、滑膜肉腫X(SSX)切断点ポリペプチド、EphA2ポリペプチド、酸ホスファターゼ、前立腺(PAP)ポリペプチド、アポトーシスの黒色腫阻害因子(ML-IAP)ポリペプチド、上皮細胞接着分子(EpCAM)ポリペプチド、ERG(TMPRSS2 ETS融合)ポリペプチド、NA17ポリペプチド、対合ボックス3(PAX3)ポリペプチド、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)ポリペプチド、アンドロゲン受容体ポリペプチド、サイクリンB1ポリペプチド、N-mycがん原遺伝子(MYCN)ポリペプチド、Rasホモログ遺伝子ファミリーメンバーC(RhoC)ポリペプチド、チロシナーゼ関連タンパク質-2(TRP-2)ポリペプチド、メソテリンポリペプチド、前立腺幹細胞抗原(PSCA)ポリペプチド、黒色腫関連抗原-1(MAGE A1)ポリペプチド、シトクロムP450 1B1(CYP1B1)ポリペプチド、胎盤特異的タンパク質1(PLAC1)ポリペプチド、BORISポリペプチド(CCCTC結合因子またはCTCFとしても知られている)、ETV6-AMLポリペプチド、乳癌抗原NY-BR-1ポリペプチド(アンキリンリピートドメイン含有タンパク質30Aとも称される)、G-タンパク質シグナル伝達の制御因子(RGS5)ポリペプチド、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原(SART3)ポリペプチド、炭酸脱水酵素IXポリペプチド、対合ボックス5(PAX5)ポリペプチド、OY-TES1(精巣抗原;アクロシン結合タンパク質としても知られている)ポリペプチド、精子タンパク質17ポリペプチド、リンパ球細胞特異的タンパク質-チロシンキナーゼ(LCK)ポリペプチド、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、A-キナーゼ固定タンパク質-4(AKAP-4)、滑膜肉腫X切断点2(SSX2)ポリペプチド、X抗原ファミリーメンバー1(XAGE1)ポリペプチド、B7ホモログ3(B7H3;CD276としても知られている)ポリペプチド、レグマインポリペプチド(LGMN1;アスパラギニルエンドペプチダーゼとしても知られている)、Ig及びEGF相同性ドメインを有するチロシンキナーゼ-2(Tie-2;アンジオポイエチン-1受容体としても知られている)ポリペプチド、P抗原ファミリーメンバー4(PAGE4)ポリペプチド、血管内皮成長因子受容体2(VEGF2)ポリペプチド、MAD-CT-1ポリペプチド、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)ポリペプチド、血小板由来成長因子受容体ベータ(PDGFβ)ポリペプチド、黒色腫がん精巣抗原-2(MAD-CT-2)ポリペプチド、Fos関連抗原-1(FOSL)ポリペプチド;ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原;アルファ-フェトプロテイン(AFP)抗原;及びウィルムス腫瘍-1(WT1)抗原のいずれか1つの長さが約4aa~約20aa(例えば、4aa~5aa、6aa~8aa、9aa~11aa、12aa~16aa、または16aa~20aa)のペプチドである。
例えば、T細胞-MPに存在するCTPは、a)HLA重鎖(例えば、HLA-A*0201重鎖またはHLA-A*2402重鎖)及びβ2Mポリペプチドを含むHLA複合体に結合したWT-1ペプチド;b)クラスI HLA重鎖及びβ2Mポリペプチドを含むHLA複合体に結合したHPVペプチド;c)クラスI HLA重鎖及びβ2Mポリペプチドを含むHLA複合体に結合したメソテリンペプチド;d)クラスI HLA重鎖及びβ2Mポリペプチドを含むHLA複合体に結合したHer2ペプチド;またはe)クラスI HLA重鎖及びβ2Mポリペプチドを含むHLA複合体に結合したBCMAペプチドに結合し得る。
CAAペプチドは、以下のメソテリンaa配列:LAGE TGQEAAPLDG VLANPPNISS LSPRQLLGFP CAEVSGLSTE RVRELAVALA QKNVKLSTEQ LRCLAHRLSE PPEDLDALPL DLLLFLNPDA FSGPQACTRF FSRITKANVD LLPRGAPERQ RLLPAALACW GVRGSLLSEA DVRALGGLAC DLPGRFVAES AEVLLPRLVS CPGPLDQDQQ EAARAALQGG GPPYGPPSTW SVSTMDALRG LLPVLGQPII RSIPQGIVAA WRQRSSRDPS WRQPERTILR PRFRREVEKT ACPSGKKARE IDESLIFYKK WELEACVDAA LLATQMDRVN AIPFTYEQLD VLKHKLDELY PQGYPESVIQ HLGYLFLKMS PEDIRKWNVT SLETLKALLE VNKGHEMSPQ VATLIDRFVK GRGQLDKDTL DTLTAFYPGY LCSLSPEELS SVPPSSIWAV RPQDLDTCDP RQLDVLYPKA RLAFQNMNGS EYFVKIQSFL GGAPTEDLKA LSQQNVSMDL ATFMKLRTDA VLPLTVAEVQ KLLGPHVEGL KAEERHRPVR DWILRQRQDD LDTLGLGLQG GIPNGYLVLD LSMQEALSGT PCLLGPGPVL TVLALLLAST LA(配列番号154)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するメソテリンポリペプチドの長さが約4aa~約20aa(例えば、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、または20aa)を含み得る。例えば、pHLA複合体に存在するメソテリンペプチドは、i)KLLGPHVEGL(配列番号155);ii)HLA-A*2402/β2Mに結合し得るAFYPGYLCSL(配列番号156);iii)VLPLTVAEV(配列番号157);iv)ELAVALAQK(配列番号158);v)ALQGGGPPY(配列番号159);vi)FYPGYLCSL(配列番号160);vii)LYPKARLAF(配列番号161);viii)LLFLLFSLGWVGPSR(配列番号162);ix)VNKGHEMSPQAPRRP(配列番号163);x)FMKLRTDAVLPLTVA(配列番号164);またはxi)DAALLATQMD(配列番号165)であり得る。
CAAペプチドは、以下のHer2(受容体チロシン-プロテインキナーゼerbB2)のaa配列:MELAALCRWG LLLALLPPGA ASTQVCTGTD MKLRLPASPE THLDMLRHLY QGCQVVQGNL ELTYLPTNAS LSFLQDIQEV QGYVLIAHNQ VRQVPLQRLR IVRGTQLFED NYALAVLDNG DPLNNTTPVT GASPGGLREL QLRSLTEILK GGVLIQRNPQ LCYQDTILWK DIFHKNNQLA LTLIDTNRSR ACHPCSPMCK GSRCWGESSE DCQSLTRTVC AGGCARCKGP LPTDCCHEQC AAGCTGPKHS DCLACLHFNH SGICELHCPA LVTYNTDTFE SMPNPEGRYT FGASCVTACP YNYLSTDVGS CTLVCPLHNQ EVTAEDGTQR CEKCSKPCAR VCYGLGMEHL REVRAVTSAN IQEFAGCKKI FGSLAFLPES FDGDPASNTA PLQPEQLQVF ETLEEITGYL YISAWPDSLP DLSVFQNLQV IRGRILHNGA YSLTLQGLGI SWLGLRSLRE LGSGLALIHH NTHLCFVHTV PWDQLFRNPH QALLHTANRP EDECVGEGLA CHQLCARGHC WGPGPTQCVN CSQFLRGQEC VEECRVLQGL PREYVNARHC LPCHPECQPQ NGSVTCFGPE ADQCVACAHY KDPPFCVARC PSGVKPDLSY MPIWKFPDEE GACQPCPINC THSCVDLDDK GCPAEQRASP LTSIISAVVG ILLVVVLGVV FGILIKRRQQ KIRKYTMRRL LQETELVEPL TPSGAMPNQA QMRILKETEL RKVKVLGSGA FGTVYKGIWI PDGENVKIPV AIKVLRENTS PKANKEILDE AYVMAGVGSP YVSRLLGICL TSTVQLVTQL MPYGCLLDHV RENRGRLGSQ DLLNWCMQIA KGMSYLEDVR LVHRDLAARN VLVKSPNHVK ITDFGLARLL DIDETEYHAD GGKVPIKWMA LESILRRRFT HQSDVWSYGV TVWELMTFGA KPYDGIPARE IPDLLEKGER LPQPPICTID VYMIMVKCWM IDSECRPRFR ELVSEFSRMA RDPQRFVVIQ NEDLGPASPL DSTFYRSLLE DDDMGDLVDA EEYLVPQQGF FCPDPAPGAG GMVHHRHRSS STRNM(配列番号166)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するメソテリンポリペプチドの長さが約4aa~約20aa(例えば、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、または20aa)を含み得る。
CAAペプチドは、以下のBCMAのaa配列:MLQMAGQCSQ NEYFDSLLHA CIPCQLRCSS NTPPLTCQRY CNASVTNSVK GTNAILWTCL GLSLIISLAV FVLMFLLRKI SSEPLKDEFK NTGSGLLGMA NIDLEKSRTG DEIILPRGLE YTVEECTCED CIKSKPKVDS DHCFPLPAME EGATILVTTK TNDYCKSLPA ALSATEIEKS ISAR(配列番号167)の一部と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するB細胞成熟タンパク質(BCMP)ポリペプチドの長さが約4aa~約20aa(例えば、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、または20aa)のペプチドを含み得る。
CAAペプチドは、以下のWT-1のaa配列:MDFLLLQDPA STCVPEPASQ HTLRSGPGCL QQPEQQGVRD PGGIWAKLGA AEASAERLQG RRSRGASGSE PQQMGSDVRD LNALLPAVPS LGGGGGCALP VSGAAQWAPV LDFAPPGASA YGSLGGPAPP PAPPPPPPPP PHSFIKQEPS WGGAEPHEEQ CLSAFTVHFS GQFTGTAGAC RYGPFGPPPP SQASSGQARM FPNAPYLPSC LESQPAIRNQ GYSTVTFDGT PSYGHTPSHH AAQFPNHSFK HEDPMGQQGS LGEQQYSVPP PVYGCHTPTD SCTGSQALLL RTPYSSDNLY QMTSQLECMT WNQMNLGATL KGHSTGYESD NHTTPILCGA QYRIHTHGVF RGIQDVRRVP GVAPTLVRSA SETSEKRPFM CAYPGCNKRY FKLSHLQMHS RKHTGEKPYQ CDFKDCERRF SRSDQLKRHQ RRHTGVKPFQ CKTCQRKFSR SDHLKTHTRT HTGEKPFSCR WPSCQKKFAR SDELVRHHNM HQRNMTKLQL AL(配列番号168)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するメソテリンポリペプチドの長さが約4aa~約20aa(例えば、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、または20aa)のペプチドを含み得る。
WT-1ペプチドの非限定的な例には、RMFPNAPYL(配列番号397)、CMTWNQMN(配列番号403)、CYTWNQMNL(配列番号400)、CMTWNQMNLGATLKG(配列番号361)、WNQMNLGATLKGVAA(配列番号362)、CMTWNYMNLGATLKG(配列番号363)、WNYMNLGATLKGVAA(配列番号364)、MTWNQMNLGATLKGV(配列番号534)、TWNQMNLGATLKGVA(配列番号366)、CMTWNLMNLGATLKG(配列番号367)、MTWNLMNLGATLKGV(配列番号368)、TWNLMNLGATLKGVA(配列番号369)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号370)、MNLGATLK(配列番号371)、MTWNYMNLGATLKGV(配列番号372)、TWNYMNLGATLKGVA(配列番号373)、CMTWNQMNLGATLKGVA(配列番号374)、CMTWNLMNLGATLKGVA(配列番号375)、CMTWNYMNLGATLKGVA(配列番号376)、GYLRNPTAC(配列番号377)、GALRNPTAL(配列番号378)、YALRNPTAC(配列番号379)、GLLRNPTAC(配列番号380)、RYRPHPGAL(配列番号381)、YQRPHPGAL(配列番号382)、RLRPHPGAL(配列番号383)、RIRPHPGAL(配列番号384)、QFPNHSFKHEDPMGQ(配列番号385)、HSFKHEDPY(配列番号386)、QFPNHSFKHEDPM(配列番号387)、QFPNHSFKHEDPY(配列番号388)、KRPFMCAYPGCNK(配列番号389)、KRPFMCAYPGCYK(配列番号390)、FMCAYPGCY(配列番号391)、FMCAYPGCK(配列番号392)、KRPFMCAYPGCNKRY(配列番号393)、SEKRPFMCAYPGCNK(配列番号394)、KRPFMCAYPGCYKRY(配列番号395)、NLMNLGATL(配列番号359)、NYMNLGATL(配列番号360)、及びセクションI.A.8.d.i.(b)に記述されるそれらのWT-1ペプチドが含まれる。
いくつかの場合では、CAAペプチドは、ヒトパピローマウイルス(HPV)ペプチドと少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するHPVポリペプチドの長さが約4aa~約20aa(例えば、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、または20aa)のペプチドである。HPVペプチドは、HPV E6ポリペプチドまたはHPV E7ポリペプチドのペプチドであり得る。HPVエピトープは、例えば、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、またはHPV82を含む、多様な遺伝子型のいずれかのHPVのエピトープであり得る。HPVペプチドの非限定的な例には、E6 18~26(KLPQLCTEL;配列番号274);E6 26~34(LQTTIHDII;配列番号404);E6 49~57(VYDFAFRDL;配列番号405);E6 52~60(FAFRDLCIV;配列番号406);E6 75~83(KFYSKISEY;配列番号407);E6 80~88(ISEYRHYCY;配列番号408);E7 7~15(TLHEYMLDL;配列番号409);E7 11~19(YMLDLQPET;配列番号276);E7 44~52(QAEPDRAHY;配列番号410);E7 49~57(RAHYNIVTF(配列番号411);E7 61~69(CDSTLRLCV;配列番号412);及びE7 67~76(LCVQSTHVDI;配列番号413);E7 82~90(LLMGTLGIV;配列番号414);E7 86~93(TLGIVCPI;配列番号277);E7 92~93(LLMGTLGIVCPI;配列番号415);ならびにセクションI.A.8.d.i.(c)におけるそれらのHPVペプチドが含まれる。
いくつかの場合では、CAAペプチドは、以下のクローディン-18(アイソフォーム2)(CLDN18.2)アミノ酸配列:MAVTACQGLG FVVSLIGIAG IIAATCMDQW STQDLYNNPV TAVFNYQGLW RSCVRESSGF TECRGYFTLL GLPAMLQAVR ALMIVGIVLG AIGLLVSIFA LKCIRIGSME DSAKANMTLT SGIMFIVSGL CAIAGVSVFA NMLVTNFWMS TANMYTGMGG MVQTVQTRYT FGAALFVGWV AGGLTLIGGVMMCIACRGLA PEETNYKAVS YHASGHSVAY KPGGFKASTG FGSNTKNKKI YDGGARTEDE VQSYPSKHDY V(配列番号169)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するクローディンポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、がん関連ペプチドは、アミノ酸配列TEDEVQSYPSKHDYV(配列番号170)(約15アミノ酸の長さを有する)またはEVQSYPSKHDYV(配列番号171)(約12アミノ酸の長さを有する)を有するクローディンポリペプチドのペプチドである。
いくつかの場合では、CAAペプチドは、トロホブラスト細胞表面抗原-2(Trop-2)ポリペプチドのペプチドである。Trop-2(上皮糖タンパク質-1、胃腸腫瘍関連抗原GA733-1、膜成分染色体1表面マーカー-1、及び腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質-2としても知られている)は、多数のがんタイプにおいて制御されず、TACSTD2遺伝子のタンパク質産物である膜貫通糖タンパク質である。いくつかの場合では、がん関連ペプチドは、以下のTROP-2アミノ酸配列:QDNCTCPTNK MTVCSPDGPG GRCQCRALGS GMAVDCSTLT SKCLLLKARM SAPKNARTLV RPSEHALVDN DGLYDPDCDP EGRFKARQCN QTSVCWCVNS VGVRRTDKGD LSLRCDELVR THHILIDLRH RPTAGAFNHS DLDAELRRLF RERYRLHPKF VAAVHYEQPT IQIELRQNTS QKAAGDVDIG DAAYYFERDI KGESLFQGRG GLDLRVRGEP LQVERTLIYY LDEIPPKFSM KRLTAGLIAV IVVVVVALVA GMAVLVITNR RKSGKYKKVE IKELGELRKE PSL(配列番号535)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するTROP-2ポリペプチドのペプチドである。
(ii)抗体
上記したように、いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPまたは高次T細胞-MP複合体、例えば、二重体T細胞-MPに存在するCTPは、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの場合では、CTPは、CAAに特異的な抗体である。いくつかの場合では、CTPは、感染した細胞(例えば、ウイルス、細菌、またはマイコプラズマ)の表面上のペプチドに特異的な抗体である。いくつかの場合では、CTPは、がん細胞の表面上のペプチド/HLA複合体に特異的な抗体であり、そのペプチドは、がん関連ペプチド(例えば、がん関連抗原のペプチド断片)であり得る。
免疫グロブリン5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのクラスの一部は、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに分けられ得る。サブクラスは、タイプ、例えば、IgG2a及びIgG2bにさらに分けられ得る。
用語「ヒト化免疫グロブリン」は、本明細書で使用される場合、異なる起源の免疫グロブリンの部分を含む免疫グロブリンであって、少なくとも一部は、ヒト起源のアミノ酸配列を含む、免疫グロブリンを指す。キメラまたはCDRグラフト化一本鎖抗体もヒト化免疫グロブリンという用語に包含される。
用語「抗体」及び「免疫グロブリン」には、任意のアイソタイプの抗体または免疫グロブリン、Fab、F(ab’)、Fv、scFv、及びFd断片を含むがこれらに限定されない抗原に対する特異的結合を保持する抗体の断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体(scAb)、シングルドメイン抗体(dAb)、シングルドメイン重鎖抗体、シングルドメイン軽鎖抗体、ナノボディ、二重特異的抗体、多重特異的抗体、ならびに抗体及び非抗体タンパク質の抗原-結合(本明細書で抗原結合とも称される)部分を含む融合タンパク質が含まれる。
用語「ナノボディ」(Nb)は、本明細書で使用される場合、天然に存在する重鎖抗体に由来する最小の抗原結合断片または単一可変ドメイン(VHH)を指し、当業者に知られている。それらは、ラクダ科動物に見られる重鎖のみの抗体に由来する(Hamers-Casterman et al.(1993)Nature 363:446;Desmyter et al.(1996)Nature Structural Biol.3:803;及びDesmyter et al.(2015)Curr.Opin.Struct.Biol.32:1)。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。この領域は、非共有結合性会合で緊密となった1つの重鎖可変領域ドメイン及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。
「一本鎖Fv」または「sFv」または「scFv」抗体断片は、抗体のV及びVドメインであって、これらのドメインが単一のポリペプチド鎖に存在するものを含む。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これにより、sFvが抗原結合に望ましい構造を形成することが可能となる。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片であって、その断片が、同じポリペプチド鎖(V-V)において軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含むものを指す。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには過度に短いリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対合し、2つの抗原結合部位を形成せざるを得なくなる。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;及びHollinger et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448においてより十分に記載されている。
本明細書で使用される場合、用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内に見られる非連続的抗原結合部位を意味することが意図されている。CDRは、Kabat et al(1977)J.Biol.Chem.252:6609;Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequences of proteins of immunological interest”(1991)(本明細書でKabat 1991とも称される)によって;Chothia et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901(本明細書でChothia 1987とも称される)によって;及びMacCallum et al.(1996)J.Mol.Biol.262:732によって記載されており、その定義には、互いに比較された場合にアミノ酸残基の重複またはサブセットが含まれる。それにもかかわらず、抗体もしくはグラフト抗体またはそのバリアントのCDRを指すためのいずれの定義の適用も、本明細書で定義及び使用される用語の範囲内であることが意図されている。上で引用された引用文献の各々によって定義されるCDRを包含するアミノ酸残基が比較として以下のCDR表に示されている。
Figure 2023534460000014
本明細書で使用される場合、用語「CDR-L1」、「CDR-L2」、及び「CDR-L3」は、それぞれ、軽鎖可変領域における第1、第2、及び第3のCDRを指す。用語「CDR-L1」、「CDR-L2」、及び「CDR-L3」は、「VL CDR1」、「VL CDR2」、及び「VL CDR3」とそれぞれ互換的に使用され得る。本明細書で使用される場合、用語「CDR-H1」、「CDR-H2」、及び「CDR-H3」は、それぞれ、重鎖可変領域における第1、第2、及び第3のCDRを指す。用語「CDR-H1」、「CDR-H2」、及び「CDR-H3」は、「VH CDR1」、「VH CDR2」、及び「VH CDR3」とそれぞれ互換的に使用され得る。本明細書で使用される場合、用語「CDR-1」、「CDR-2」、及び「CDR-3」は、それぞれ、いずれかの鎖の可変領域の第1、第2及び第3のCDRを指す。
T細胞-MPに含まれ得るCAA標的化抗体(またはその抗原結合断片)の非限定的な例には、アビツズマブ(抗CD51)、LL1(抗CD74)、LL2またはRFB4(抗CD22)、ベルツズマブ(hA20、抗CD20)、リツクスマブ(抗CD20)、オビヌツズマブ(GA101、抗CD20)、ダラツムマブ(抗CD38)、ラムブロリズマブ(抗PD-1受容体)、ニボルマブ(抗PD-1受容体)、イピリムマブ(抗CTLA-4)、RS7(抗TROP-2)、PAM4またはKC4(いずれも抗ムチン)、MN-14(抗CEA)、MN-15またはMN-3(抗CEACAM6)、Mu-9(抗結腸特異的抗原-p)、Immu31(抗アルファ-フェトプロテイン)、R1(抗IGF-1R)、A19(抗CD19)、TAG-72(例えば、CC49)、Tn、J591またはHuJ591(抗PSMA)、AB-PG1-XG1-026(抗PSMA二量体)、D2/B(抗PSMA)、G250(抗炭酸脱水酵素IX)、L243(抗HLA-DR)アレムツズマブ(抗CD52)、オポルツズマブ(抗EpCAM)、ベバシズマブ(抗VEGF)、セツキシマブ(抗EGFR)、ゲムツズマブ(抗CD33)、イブリツモマブチウキセタン(抗CD20);パニツムマブ(抗EGFR);トシツモマブ(抗CD20);PAM4(クリバツズマブ;抗ムチンとしても知られている)、トラスツズマブ(抗HER2)、ペルツズマブ(抗HER2)、ポラツズマブ(抗CD79b)、及びアネツマブ(抗メソテリン)が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含まれ得るCAA標的化抗体(またはその抗原結合断片)は、一本鎖抗体である。いくつかの場合では、T細胞-MPに含まれ得るCAA標的化抗体(またはその抗原結合断片)は、scFvである。いくつかの場合では、腫瘍標的化ポリペプチドは、ナノボディ(シングルドメイン抗体(sdAb)とも称される)である。いくつかの場合では、腫瘍標的化ポリペプチドは、重鎖ナノボディである。いくつかの場合では、腫瘍標的化ポリペプチドは、軽鎖ナノボディである。
様々な腫瘍抗原結合抗体のVH及びVLのaa配列は、そのような抗体の軽鎖及び重鎖CDRと同様に、当該技術分野で知られている。例えば、Ling et al.(2018)Frontiers Immunol.9:469;WO2005/012493;US2019/0119375;US2013/0066055を参照されたい。以下は、腫瘍抗原結合抗体の非限定的な例である。
(a)抗Her2
CTPとして有用な抗Her2抗体(またはその抗原結合断片)は、a)以下のaa配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号172)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む軽鎖;及びb)以下のaa配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号173)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む重鎖を含み得る。
抗Her2抗体(またはその抗原結合断片)は、上で提供される軽鎖aa配列に存在する軽鎖可変領域(VL);及び上で提供される重鎖aa配列に存在する重鎖可変領域(VH)を含み得る。例えば、抗Her2抗体は、a)aa配列:DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQDVN TAVAWYQQKP GKAPKLLIYS ASFLYSGVPS RFSGSRSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ HYTTPPTFGQ GTKVEIK(配列番号174)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVL;及びb)aa配列:EVQLVESGGG LVQPGGSLR LSCAASGFNI KDTYIHWVRQ APGKGLEWVA RIYPTNGYTR YADSVKGRFT ISADTSKNTA YLQMNSLRAE DTAVYYCSRW GGDGFYAMDY WGQGTLVTVS S(配列番号175)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVHを含み得る。抗Her2抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)aa配列:EVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGFNIK DTYIHWVRQA PGKGLEWVAR IYPTNGYTRY ADSVKGRFTI SADTSKNTAY LQMNSLRAED TAVYYCSRWG GDGFYAMDYW GQGTLVTVSS(配列番号176)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVH;b)リンカー;及びc)aa配列:DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQDVN TAVAWYQQKP GKAPKLLIYS ASFLYSGVPS RFSGSRSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ HYTTPPTFGQ GTKVEIK(配列番号177)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVLを含み得る。本明細書における他の個所に記載されている好適なリンカー配列には、例えば、1~10回(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回)繰り返され得る(GGGGS)(配列番号139)が含まれる。
いくつかの場合では、抗Her2抗体(またはその抗原結合断片)は、上で提供される軽鎖aa配列に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及び上で提供される重鎖aa配列に存在するVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの場合では、VH及びVL CDRは、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977);Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequences of proteins of immunological interest”(1991)(本明細書でKabat 1991とも称される)によって定義されるとおりである。いくつかの場合では、VH及びVL CDRは、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)(本明細書でChothia 1987とも称される)によって定義されるとおりである。例えば、抗Her2抗体(またはその抗原結合断片)は、aa配列RASQDVNTAVA(配列番号179)を有するVL CDR1;aa配列SASFLY(配列番号180)を有するVL CDR2;aa配列QQHYTTPP(配列番号181)を有するVL CDR3;aa配列GFNIKDTY(配列番号182)を有するVH CDR1;aa配列IYPTNGYT(配列番号183)を有するVH CDR2;及びaa配列SRWGGDGFYAMDY(配列番号184)を有するVH CDR3を含み得る。
いくつかの場合では、抗Her2抗体(またはその抗原結合断片)は、scFv抗体である。例えば、抗Her2 scFvは、以下のaa配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIK(配列番号185)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。
別の例として、いくつかの場合では、抗Her2抗体(またはその抗原結合断片)は、a)以下のaa配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSIGVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYIYPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号186)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む軽鎖可変領域(VL);及びb)以下のaa配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFTDYTMDWVRQAPGKGLEWVADVNPNSGGSIYNQRFKGRFTLSVDRSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARNLGPSFYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号187)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
いくつかの場合では、CTPとして有用な抗Her2抗体(またはその抗原結合断片)は、上で提供される軽鎖aa配列に存在するVL;及び上で提供される重鎖aa配列に存在するVHを含み得る。例えば、抗Her2抗体は、a)aa配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSIGVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYIYPYTFGQGTKVEIK(配列番号188)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVL;及びb)aa配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFTDYTMDWVRQAPGKGLEWVADVNPNSGGSIYNQRFKGRFTLSVDRSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARNLGPSFYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号189)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVHを含み得る。
いくつかの場合では、CTPとして使用される抗Her2抗体(またはその抗原結合断片)は、上で提供される軽鎖aa配列に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及び上で提供される重鎖aa配列に存在するVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Kabatによって定義されるとおりである(例えば、Kabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、Chothia 1987を参照されたい)。例えば、抗HER2抗体は、aa配列KASQDVSIGVA(配列番号190)を有するVL CDR1;aa配列SASYRY(配列番号191)を有するVL CDR2;aa配列QQYYIYPY(配列番号192)を有するVL CDR3;aa配列GFTFTDYTMD(配列番号193)を有するVH CDR1;aa配列ADVNPNSGGSIYNQRFKG(配列番号194)を有するVH CDR2;及びaa配列ARNLGPSFYFDY(配列番号195)を有するVH CDR3を含み得る。
いくつかの場合では、抗Her2抗体(またはその抗原結合断片)は、scFvである。例えば、いくつかの場合では、抗Her2 scFvは、以下のaa配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIK(配列番号196)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む。
(b)抗CD19
CTPとして有用な抗CD19抗体(及びその抗原結合断片)は、当該技術分野で知られており;任意の抗CD19抗体のVH及びVL、またはVH及びVL CDRがT細胞-MPにおいて使用され得る。例えば、WO2005/012493を参照されたい。
抗CD19抗体(またはその抗原結合断片)には、aa配列KASQSVDYDGDSYLN(配列番号197)を含むVL CDR1;aa配列DASNLVS(配列番号198)を含むVL CDR2;及びaa配列QQSTEDPWT(配列番号199)を含むVL CDR3が含まれ得る。抗CD19抗体(またはその抗原結合断片)には、aa配列SYWMN(配列番号200)を含むVH CDR1;aa配列QIWPGDGDTNYNGKFKG(配列番号201)を含むVH CDR2;及びaa配列RETTTVGRYYYAMDY(配列番号202)を含むVH CDR3が含まれ得る。抗CD19抗体には、aa配列KASQSVDYDGDSYLN(配列番号197)を含むVL CDR1;aa配列DASNLVS(配列番号198)を含むVL CDR2;aa配列QQSTEDPWT(配列番号199)を含むVL CDR3;aa配列SYWMN(配列番号200)を含むVH CDR1;aa配列QIWPGDGDTNYNGKFKG(配列番号201)を含むVH CDR2;及びaa配列RETTTVGRYYYAMDY(配列番号202)を含むVH CDR3が含まれ得る。
抗CD19抗体(またはその抗原結合断片)は、scFvであり得る。例えば、抗CD19 scFvは、以下のaa配列:DIQLTQSPAS LAVSLGQRAT ISCKASQSVD YDGDSYLNWY QQIPGQPPKL LIYDASNLVS GIPPRFSGSG SGTDFTLNIH PVEKVDAATY HCQQSTEDPW TFGGGTKLEI KGGGGSGGGG SGGGGSQVQL QQSGAELVRP GSSVKISCKA SGYAFSSYWM NWVKQRPGQG LEWIGQIWPG DGDTNYNGKF KGKATLTADE SSSTAYMQLS SLASEDSAVY FCARRETTTV GRYYYAMDYW GQGTTVTVS(配列番号203)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含み得る。
(c)抗メソテリン
CTPとして有用な抗メソテリン抗体(またはその抗原結合断片)は、当該技術分野で知られており;任意の抗メソテリン抗体のVH及びVL、またはVH及びVL CDRが標的化配列としてT細胞-MPおいて使用され得る。例えば、U.S.2019/0000944;WO2009/045957;WO2014/031476;USPN8,460,660;US2013/0066055;及びWO2009/068204を参照されたい。
抗メソテリン抗体(またはその抗原結合断片)は、a)以下のaa配列:DIALTQPASV SGSPGQSITI SCTGTSSDIG GYNSVSWYQQ HPGKAPKLMI YGVNNRPSGV SNRFSGSKSG NTASLTISGL QAEDEADYYC SSYDIESATP VFGGGTKLTV LGQPKAAPSV TLFPPSSEEL QANKATLVCL ISDFYPGAVT VAWKGDSSPV KAGVETTTPS KQSNNKYAAS SYLSLTPEQW KSHRSYSCQVT HEGSTVEKTV APTESS(配列番号204)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む軽鎖;及びb)以下のaa配列:QVELVQSGAE VKKPGESLKI SCKGSGYSFT SYWIGWVRQA PGKGLEWMGI IDPGDSRTRY SPSFQGQVTI SADKSISTAY LQWSSLKASD TAMYYCARGQ LYGGTYMDGW GQGTLVTVSS ASTKGPSVFP LAPSSKSTSG GTAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSG VHTFPAVLQS SGLYSLSSV VTVPSSSLGT QTYICNVNHK PSNTKVDKKV EPKSCDKTHT CPPCPAPELL GGPSVFLFPP KPKDTLMISR TPEVTCVVVD VSHEDPEVK FNWYVDGVEV HNAKTKPRE EQYNSTYRVV SVLTVLHQDW LNGKEYKCKV SNKALPAPIE KTISKAKGQ PREPQVYTL PPSRDELTKN QVSLTCLVKG FYPSDIAVE WESNGQPEN NYKTTPPVL DSDGSFFLYS KLTVDKSRWQQ GNVFSCSVMH EALHNHYTQ KSLSLSPGK(配列番号205)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む重鎖を含み得る。
抗メソテリン抗体(またはその抗原結合断片)は、上で提供される軽鎖aa配列に存在するVL;及び上で提供される重鎖aa配列に存在するVHを含み得る。例えば、抗メソテリン抗体は、a)aa配列:DIALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDIGGYNSVSWYQQHPGKAPKLMIYGVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYDIESATPVFGGGTK(配列番号206)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVL;及びb)aa配列:QVELVQSGAE VKKPGESLKI SCKGSGYSFT SYWIGWVRQ APGKGLEWMG IIDPGDSRTR YSPSFQGQV TISADKSIST AYLQWSSLK ASDTAMYYCA RGQLYGGTYM DGWGQGTLV TVSS(配列番号207)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVHを含み得る。
抗メソテリン抗体(またはその抗原結合断片)は、上で提供される軽鎖aa配列に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及び上で提供される重鎖aa配列に存在するVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含み得る。VH及びVLのCDRは、Kabatによって定義されるとおりであり得る(例えば、Kabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、Chothia 1987を参照されたい)。例えば、抗メソテリン抗体(またはその抗原結合断片)は、aa配列TGTSSDIGGYNSVS(配列番号208)を有するVL CDR1;aa配列LMIYGVNNRPS(配列番号209)を有するVL CDR2;aa配列SSYDIESATP(配列番号210)を有するVL CDR3;aa配列GYSFTSYWIG(配列番号211)を有するVH CDR1;aa配列WMGIIDPGDSRTRYSP(配列番号212)を有するVH CDR2;及びaa配列GQLYGGTYMDG(配列番号213)を有するVH CDR3を含み得る。抗メソテリン抗体は、scFvであり得る。1つの非限定的な例として、抗メソテリンscFvは、以下のaa配列:
Figure 2023534460000015
(VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、下線が引かれており;VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、太字であり下線が引かれている)を含み得る。
1つの非限定的な例として、抗メソテリンscFvは、以下のaa配列:
Figure 2023534460000016
(VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、下線が引かれており;VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、太字であり下線が引かれている)を含み得る。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、a)以下のアミノ酸配列:EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAW YQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPIFTFGPGTKVDIK(配列番号536)を含む軽鎖可変領域(VL)に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及びb)以下のアミノ酸配列:QMQLVESGGGVVQPGRSLRLSCTASG FTFSNNGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWFDGMNKFYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLEMNSLRAEDTAIYYCAREGDGSGIYYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号537)を含む重鎖可変領域(VH)に存在するVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Kabatによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びKabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びChothia 1987を参照されたい)。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、a)以下のアミノ酸配列:EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPIFTFGPGTKVDIK(配列番号536)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;及びb)以下のアミノ酸配列:QMQLVESGGGVVQPGRSLRLSCTASGFTFSNNGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWFDGMNKFYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLEMNSLRAEDTAIYYCAREGDGSGIYYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号537)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:QMQLVESGGGVVQPGRSLRLSCTASGFTFSNNGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWFDGMNKFYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLEMNSLRAEDTAIYYCAREGDGSGIYYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号537)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPIFTFGPGTKVDIK(配列番号536)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPIFTFGPGTKVDIK(配列番号536)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:QMQLVESGGGVVQPGRSLRLSCTASGFTFSNNGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWFDGMNKFYVDSVKGRFTISRDNSKNTLYLEMNSLRAEDTAIYYCAREGDGSGIYYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号537)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIELTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPGRFSGSGSGNSYSLTISSVEAEDDATYYCQQWSKHPLTFGSGTKVEIK(配列番号539)を含む軽鎖可変領域(VL)に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及びb)以下のアミノ酸配列:QVQLQQSGPELEKPGASVKISCKASGYSFTGYTMNWVKQSHGKSLEWIGLITPYNGASSYNQKFRGKATLTVDKSSSTAYMDLLSLTSEDSAVYFCARGGYDGRGFDYWGSGTPVTVSS(配列番号540)を含む重鎖可変領域(VH)に存在するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Kabatによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びKabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びChothia 1987を参照されたい)。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIELTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPGRFSGSGSGNSYSLTISSVEAEDDATYYCQQWSKHPLTFGSGTKVEIK(配列番号539)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;及びb)以下のアミノ酸配列:QVQLQQSGPELEKPGASVKISCKASGYSFTGYTMNWVKQSHGKSLEWIGLITPYNGASSYNQKFRGKATLTVDKSSSTAYMDLLSLTSEDSAVYFCARGGYDGRGFDYWGSGTPVTVSS(配列番号540)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:DIELTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPGRFSGSGSGNSYSLTISSVEAEDDATYYCQQWSKHPLTFGSGTKVEIK(配列番号539)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:QVQLQQSGPELEKPGASVKISCKASGYSFTGYTMNWVKQSHGKSLEWIGLITPYNGASSYNQKFRGKATLTVDKSSSTAYMDLLSLTSEDSAVYFCARGGYDGRGFDYWGSGTPVTVSS(配列番号540)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:QVQLQQSGPELEKPGASVKISCKASGYSFTGYTMNWVKQSHGKSLEWIGLITPYNGASSYNQKFRGKATLTVDKSSSTAYMDLLSLTSEDSAVYFCARGGYDGRGFDYWGSGTPVTVSS(配列番号540)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:DIELTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPGRFSGSGSGNSYSLTISSVEAEDDATYYCQQWSKHPLTFGSGTKVEIK(配列番号539)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDIGGYNSVSWYQQHPGKAPKLMIYGVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYDIESATPVFGGGTKLTVLG(配列番号541)を含む軽鎖可変領域(VL)に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及びb)以下のアミノ酸配列:QVELVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQAPGKGLEWMGIIDPGDSRTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGQLYGGTYMDGWGQGTLVTVSS(配列番号542)を含む重鎖可変領域(VH)に存在するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Kabatによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表、及びKabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表、及びChothia 1987を参照されたい)。
いくつかの場合では、標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDIGGYNSVSWYQQHPGKAPKLMIYGVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYDIESATPVFGGGTKLTVLG(配列番号541)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;及びb)以下のアミノ酸配列:QVELVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQAPGKGLEWMGIIDPGDSRTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGQLYGGTYMDGWGQGTLVTVSS(配列番号542)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:DIALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDIGGYNSVSWYQQHPGKAPKLMIYGVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYDIESATPVFGGGTKLTVLG(配列番号541)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:QVELVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQAPGKGLEWMGIIDPGDSRTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGQLYGGTYMDGWGQGTLVTVSS(配列番号542)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含み得るscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
標的化配列としてT細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:QVELVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQAPGKGLEWMGIIDPGDSRTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARGQLYGGTYMDGWGQGTLVTVSS(配列番号542)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:DIALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDIGGYNSVSWYQQHPGKAPKLMIYGVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYDIESATPVFGGGTKLTVLG(配列番号541)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含み得るscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMHWYQQKSGKAPKLLIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSKHPLTFGQGTKLEIK(配列番号543)を含む軽鎖可変領域(VL)に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及びb)以下のアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYSFTGYTMNWVRQAPGQGLEWMGLITPYNGASSYNQKFRGKATMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGGYDGRGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号544)を含む重鎖可変領域(VH)に存在するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Kabatによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びKabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びChothia 1987を参照されたい)。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMHWYQQKSGKAPKLLIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSKHPLTFGQGTKLEIK(配列番号543)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;及びb)以下のアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYSFTGYTMNWVRQAPGQGLEWMGLITPYNGASSYNQKFRGKATMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGGYDGRGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号544)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMHWYQQKSGKAPKLLIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSKHPLTFGQGTKLEIK(配列番号543)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYSFTGYTMNWVRQAPGQGLEWMGLITPYNGASSYNQKFRGKATMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGGYDGRGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号544)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗メソテリン抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYSFTGYTMNWVRQAPGQGLEWMGLITPYNGASSYNQKFRGKATMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGGYDGRGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号544)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMHWYQQKSGKAPKLLIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSKHPLTFGQGTKLEIK(配列番号543)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
(d)抗-TROP-2
トロホブラスト細胞表面抗原2(Trop-2)(上皮糖タンパク質-1、胃腸腫瘍関連抗原GA733-1、膜成分染色体1表面マーカー-1、及び腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質-2としても知られている)は、多数のがんタイプにおいて上方制御される膜貫通糖タンパク質であり、TACSTD2遺伝子のタンパク質産物である。
いくつかの場合では、T細胞-MPのCTPは、図23A~23Dに示されるアミノ酸配列のいずれか1つに存在するVH及びVL CDRを含む抗TROP-2 scFvまたは抗TROP-2ナノボディである。いくつかの場合では、TTPは、図23A~23Dのいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む抗TROP-2 scFvである。
抗TROP-2抗体は、当該技術分野で知られており;任意の抗TROP-2抗体のVH及びVL、またはVH及びVL CDRは、標的化配列として本開示のT細胞-MPにおいて使用され得る。例えば、米国特許第7,238,785号を参照されたい)。いくつかの場合では、抗TROP-2抗体は、i)軽鎖CDR配列CDR1(KASQDVSIAVA;配列番号545);CDR2(SASYRYT;配列番号546);及びCDR3(QQHYITPLT;配列番号547);及びii)重鎖CDR配列CDR1(NYGMN;配列番号548);CDR2(WINTYTGEPTYTDDFKG;配列番号549);及びCDR3(GGFGSSYWYFDV;配列番号550)を含む。
いくつかの場合では、抗TROP-2抗体は、i)重鎖CDR配列CDR1(TAGMQ;配列番号551);CDR2(WINTHSGVPKYAEDFKG(配列番号552);及びCDR3(SGFGSSYWYFDV;配列番号553);及びii)軽鎖CDR配列CDR1(KASQDVSTAVA;配列番号554);CDR2(SASYRYT;配列番号546);及びCDR3(QQHYITPLT;配列番号547)を含む。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗TROP2抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIQLTQSPSSLSASVGDRVSITCKASQDVSIAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGAGTKVEIK(配列番号555)を含む軽鎖可変領域(VL)に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及びb)以下のアミノ酸配列:QVQLQQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYTDDFKGRFAFSLDTSVSTAYLQISSLKADDTAVYFCARGGFGSSYWYFDVWGQGSLVTVSS(配列番号556)を含む重鎖可変領域(VH)に存在するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。いくつかの場合では、V及びVのCDRは、Kabatによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びKabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、V及びVのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びChothia 1987を参照されたい)。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗TROP-2抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIQLTQSPSSLSASVGDRVSITCKASQDVSIAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGAGTKVEIK(配列番号555)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;及びb)以下のアミノ酸配列:QVQLQQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYTDDFKGRFAFSLDTSVSTAYLQISSLKADDTAVYFCARGGFGSSYWYFDVWGQGSLVTVSS(配列番号556)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗TROP-2抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:DIQLTQSPSSLSASVGDRVSITCKASQDVSIAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGAGTKVEIK(配列番号555)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:QVQLQQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYTDDFKGRFAFSLDTSVSTAYLQISSLKADDTAVYFCARGGFGSSYWYFDVWGQGSLVTVSS(配列番号556)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗TROP-2抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:QVQLQQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYTDDFKGRFAFSLDTSVSTAYLQISSLKADDTAVYFCARGGFGSSYWYFDVWGQGSLVTVSS(配列番号556)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:DIQLTQSPSSLSASVGDRVSITCKASQDVSIAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGAGTKVEIK(配列番号555)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗TROP2抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGQGTKLEIK(配列番号557)を含む軽鎖可変領域(VL)に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及びb)以下のアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTTAGMQWVRQAPGQGLEWMGWINTHSGVPKYAEDFKGRVTISADTSTSTAYLQLSSLKSEDTAVYYCARSGFGSSYWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号558)を含む重鎖可変領域(VH)に存在するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。いくつかの場合では、V及びVのCDRは、Kabatによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びKabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、V及びVのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、上のCDR表;及びChothia 1987を参照されたい)。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗TROP-2抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGQGTKLEIK(配列番号557)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;及びb)以下のアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTTAGMQWVRQAPGQGLEWMGWINTHSGVPKYAEDFKGRVTISADTSTSTAYLQLSSLKSEDTAVYYCARSGFGSSYWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号558)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗TROP-2抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGQGTKLEIK(配列番号557)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTTAGMQWVRQAPGQGLEWMGWINTHSGVPKYAEDFKGRVTISADTSTSTAYLQLSSLKSEDTAVYYCARSGFGSSYWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号558)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、T細胞-MPに含めるのに好適な抗TROP-2抗体は、N末端からC末端までの順序で、a)以下のアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTTAGMQWVRQAPGQGLEWMGWINTHSGVPKYAEDFKGRVTISADTSTSTAYLQLSSLKSEDTAVYYCARSGFGSSYWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号558)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域;b)ペプチドリンカー;及びc)以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGQGTKLEIK(配列番号557)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含むscFvである。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(nは、1~10の整数である(例えば、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である))を含む。いくつかの場合では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号538)を含み、15アミノ酸の長さを有する。
(e)抗BCMA
抗BCMA(B細胞成熟抗原)抗体(またはその抗原結合断片)は、当該技術分野で知られており;任意の抗BCMA抗体のVH及びVL、またはVH及びVL CDRは、T細胞-MPの標的化において使用され得る。例えば、WO2014/089335;及びUS2019/0153061を参照されたい。
抗BCMA抗体(またはその抗原結合断片)は、a)以下のaa配列:QSVLTQPPSA SGTPGQRVTI SCSGSSSNIGSNTVNWYQQL PGTAPKLLIF NYHQRPSGVP DRFSGSKSGS SASLAISGLQ SEDEADYYCA AWDDSLNGWV FGGGTKLTVL GQPKAAPSVT LFPPSSEELQ ANKATLVCLI SDFYPGAVTV AWKADSSPVK AGVETTTPDS KQSNNKYAAS SYLSLTPEQW KSHRSYSCQV THEGSTVEKT VAPTECS(配列番号216)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む軽鎖;及びb)以下のaa配列:EVQLVESGGG LVKPGGSLRL SCAASGFTFG DYALSWFRQ APGKGLEWVG VSRSKAYGG TTDYAASVKG RFTISRDDS KSTAYLQMNS LKTEDTAVY YCASSGYSSG WTPFDYWGQG TLVTVSSAST KGPSVFPLAP SSKSTSGGTA ALGCLVKDYF PEPVTVSWNS GALTSGVHTF PAVLQSSGLY SLSSVVTVPS SSLGTQTYIC NVNHKPSNTK VDKKVEPKSC DKTHTCPPCP APELLGGPSV FLFPPKPKDT LMISRTPEVT CVVVDVSHED PEVKFNWYVD GVEVHNAKTK PREEQYNSTY RVVSVLTVLH QDWLNGKEYK CKVSNKALPA PIEKTISKAK GQPREPQVYT LPPSREEMTK NQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPVLDS DGSFFLYSKL TVDKSRWQQG NVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPGK(配列番号217)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む重鎖を含み得る。
抗BCMA抗体(またはその抗原結合断片)は、上で提供される軽鎖aa配列に存在するVL;及び上で提供される重鎖aa配列に存在するVHを含み得る。例えば、抗BCMA抗体は、a)aa配列:QSVLTQPPSA SGTPGQRVTI SCSGSSSNIG SNTVNWYQQL PGTAPKLLIF NYHQRPSGVP DRFSGSKSGS SASLAISGLQ SEDEADYYCA AWDDSLNGWV FGGGTKLTVL G(配列番号218)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVL;及びb)aa配列:EVQLVESGGG LVKPGGSLR LSCAASGFTF GDYALSWFRQ APGKGLEWVG VSRSKAYGGT TDYAASVKGR FTISRDDSKST AYLQMNSLKT EDTAVYYCAS SGYSSGWTPF DYWGQGTLVT VSSASTKGPSV(配列番号219)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むVHを含み得る。
いくつかの場合では、抗BCMA抗体(またはその抗原結合断片)は、上で提供される軽鎖aa配列に存在するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;及び上で提供される重鎖aa配列に存在するVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Kabatによって定義されるとおりである(例えば、Kabat 1991を参照されたい)。いくつかの場合では、VH及びVLのCDRは、Chothiaによって定義されるとおりである(例えば、Chothia 1987を参照されたい)。
例えば、抗BCMA抗体(またはその抗原結合断片)は、aa配列SSNIGSNT(配列番号220)を有するVL CDR1、aa配列NYHを有するVL CDR2、aa配列AAWDDSLNGWV(配列番号221))を有するVL CDR3、aa配列GFTFGDYA(配列番号222)を有するVH CDR1、aa配列SRSKAYGGTT(配列番号223)を有するVH CDR2、及びaa配列ASSGYSSGWTPFDY(配列番号224)を有するVH CDR3を含み得る。
抗BCMA抗体は、scFvであり得る。1つの非限定的な例として、抗BCMA scFvは、以下のaa配列:QVQLVQSGAE VKKPGSSVKV SCKASGGTFS NYWMHWVRQA PGQGLEWMGA TYRGHSDTYY NQKFKGRVTI TADKSTSTAY MELSSLRSED TAVYYCARGA IYNGYDVLDN WGQGTLVTVS SGGGGSGGGG SDIQMTQSPS SLSASVGDRVT ITCSASQDIS NYLNWYQQKP GKAPKLLIYY TSNLHSGVPS RFSGSGSGT DFTLTISSLQP EDFATYYCQQ YRKLPWTFGQG TKLEIKR(配列番号225)、または配列:QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYNGYDVLDNWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSNLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYRKLPWTFGQGTKLEIKR(配列番号564)を含み得る。
別の例として、抗BCMA scFvは、以下のaa配列:DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCSASQDIS NYLNWYQQKP GKAPKLLIYY TSNLHSGVPS RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ YRKLPWTFGQ GTKLEIKRGG GGSGGGGSGG GGSGGGGSQV QLVQSGAEVK KPGSSVKVSC KASGGTFSNY WMHWVRQAPG QGLEWMGA TYRGHSDTYY NQKFKGRVTI TADKSTSTAY MELSSLRSED TAVYYCARGA IYNGYDVLDN WGQGTLVTVS S(配列番号226)を含み得る。
いくつかの場合では、抗BCMA抗体は、アミノ酸配列SASQDISNYLN(配列番号565)を有するVL CDR1;アミノ酸配列YTSNLHS(配列番号566)を有するVL CDR2;アミノ酸配列QQYRKLPWT(配列番号567)を有するVL CDR3;アミノ酸配列NYWMH(配列番号568)を有するVH CDR1;アミノ酸配列ATYRGHSDTYYNQKFKG(配列番号569)を有するVH CDR2;及びアミノ酸配列GAIYNGYDVLDN(配列番号570)を有するVH CDR3を含み得る。
いくつかの場合では、抗BCMA抗体は、a)以下のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSNLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYRKLPWTFGQGTKLEIKR(配列番号571)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
いくつかの場合では、抗BCMA抗体は、以下のアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSS(配列番号572)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
いくつかの場合では、抗BCMA抗体(例えば、文献においてべランタマブと称される抗体)は、アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSNLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYRKLPWTFGQGTKLEIKR(配列番号571)を含む軽鎖;及びアミノ酸配列:QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSS(配列番号572)を含む重鎖を含む。
いくつかの場合では、抗BCMA抗体は、抗体に連結されたがん化学療法剤である。例えば、いくつかの場合では、抗BCMA抗体は、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)がマレイミドカプロイルリンカーを介して抗BCMA抗体べランタマブに連結されたGSK2857916(べランタマブ-マホドチン)である。
(f)抗MUC1
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPに存在する標的化配列は、MUC1に特異的な抗体である。例えば、標的化配列は、がん細胞上に存在するMUC1ポリペプチドに特異的であり得る。いくつかの場合では、標的化配列は、MUC1の切断形態に特異的である;例えば、Fessler et al.(2009)Breast Cancer Res.Treat.118:113を参照されたい。いくつかの場合では、標的化配列は、グリコシル化MUC1ペプチドに特異的な抗体である;例えば、Naito et al.(2017)ACS Omega 2:7493;及びUS10,017,580を参照されたい。
1つの非限定的な例として、標的化配列は、MUC1に特異的な一本鎖Fvであり得る。例えば、Singh et al.(2007)Mol.Cancer Ther.6:562;Thie et al.(2011)PLoSOne 6:e15921;Imai et al.(2004)Leukemia 18:676;Posey et al.(2016)Immunity 44:1444;EP3130607;EP3164418;WO2002/044217;及びUS2018/0112007を参照されたい。いくつかの場合では、標的化配列は、MUC1ペプチドVTSAPDTRPAPGSTAPPAHG(配列番号227)に特異的なscFvである。いくつかの場合では、標的化配列は、MUC1ペプチド:SNIKFRPGSVVVQLTLAFREGTINVHDVETQFNQYKTEAASRY(配列番号228)に特異的なscFvである。いくつかの場合では、標的化配列は、MUC1ペプチドSVVVQLTLAFREGTINVHDVETQFNQYKTEAASRY(配列番号229)に特異的なscFvである。いくつかの場合では、標的化配列は、MUC1ペプチドLAFREGTINVHDVETQFNQY(配列番号230)に特異的なscFvである。いくつかの場合では、標的化配列は、MUC1ペプチドSNIKFRPGSVVVQLTLAAFREGTIN(配列番号231)に特異的なscFvである。
例として、抗MUC1抗体は、アミノ酸配列RYGMS(配列番号232)を有するVH CDR1;アミノ酸配列TISGGGTYIYYPDSVKG(配列番号233)を有するVH CDR2;アミノ酸配列DNYGRNYDYGMDY(配列番号234)を有するVH CDR3;アミノ酸配列SATSSVSYIH(配列番号235)を有するVL CDR1;アミノ酸配列STSNLAS(配列番号236)を有するVL CDR2;及びアミノ酸配列QQRSSSPFT(配列番号237)を有するVL CDR3を含み得る。例えば、US2018/0112007を参照されたい。
別の例として、抗MUC1抗体は、アミノ酸配列GYAMS(配列番号238)を有するVH CDR1;アミノ酸配列TISSGGTYIYYPDSVKG(配列番号239)を有するVH CDR2;アミノ酸配列LGGDNYYEYFDV(配列番号240)を有するVH CDR3;アミノ酸配列RASKSVSTSGYSYMH(配列番号241)を有するVL CDR1;アミノ酸配列LASNLES(配列番号242)を有するVL CDR2;及びアミノ酸配列QHSRELPFT(配列番号243)を有するVL CDR3を含み得る。例えば、US2018/0112007を参照されたい。
別の例として、抗MUC1抗体は、アミノ酸配列DYAMN(配列番号244)を有するVH CDR1;アミノ酸配列VISTFSGNINFNQKFKG(配列番号245)を有するVH CDR2;アミノ酸配列SDYYGPYFDY(配列番号246)を有するVH CDR3;アミノ酸配列RSSQTIVHSNGNTYLE(配列番号247)を有するVL CDR1;アミノ酸配列KVSNRFS(配列番号248)を有するVL CDR2;及びアミノ酸配列FQGSHVPFT(配列番号249)を有するVL CDR3を含み得る。例えば、US2018/0112007を参照されたい。
別の例として、抗MUC1抗体は、アミノ酸配列GYAMS(配列番号238)を有するVH CDR1;アミノ酸配列TISSGGTYIYYPDSVKG(配列番号239)を有するVH CDR2;アミノ酸配列LGGDNYYEY(配列番号250)を有するVH CDR3;アミノ酸配列TASKSVSTSGYSYMH(配列番号251)を有するVL CDR1;アミノ酸配列LVSNLES(配列番号252)を有するVL CDR2;及びアミノ酸配列QHIRELTRSE(配列番号253)を有するVL CDR3を含み得る。例えば、US2018/0112007を参照されたい。
(g)抗MUC16
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPに存在する標的化配列は、MUC16(CA125としても知られている)に特異的な抗体である。例えば、Yin et al.(2002)Int.J.Cancer 98:737を参照されたい。例えば、標的化配列は、がん細胞上に存在するMUC16ポリペプチドに特異的であり得る。例えば、US2018/0118848;及びUS2018/0112008を参照されたい。いくつかの場合では、MUC16特異的標的化配列は、scFvである。いくつかの場合では、MUC16特異的標的化配列は、ナノボディである。
1つの例として、抗MUC16抗体は、アミノ酸配列GFTFSNYY(配列番号254)を有するVH CDR1;アミノ酸配列ISGRGSTI(配列番号255)を有するVH CDR2;アミノ酸配列VKDRGGYSPY(配列番号256)を有するVH CDR3;アミノ酸配列QSISTY(配列番号257)を有するVL CDR1;アミノ酸配列TASを有するVL CDR2;及びアミノ酸配列QQSYSTPPIT(配列番号258)を有するVL CDR3を含み得る。例えば、US2018/0118848を参照されたい。
(h)抗クローディン-18.2
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPに存在する標的化配列は、クローディン-18アイソフォーム2(「クローディン-18.2」)に特異的な抗体である。例えば、WO2013/167259を参照されたい。いくつかの場合では、クローディン-18.2特異的標的化配列は、scFvである。いくつかの場合では、クローディン-18.2特異的標的化配列は、ナノボディである。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPに存在するCTPは、TEDEVQSYPSKHDYV(配列番号170)またはEVQSYPSKHDYV(配列番号171)に特異的な抗体である。
1つの例として、抗クローディン-18.2抗体は、アミノ酸配列GYTFTDYS(配列番号259)を有するVH CDR1;アミノ酸配列INTETGVP(配列番号260)を有するVH CDR2;アミノ酸配列ARRTGFDY(配列番号261)を有するVH CDR3;アミノ酸配列KNLLHSDGITY(配列番号262)を有するVL CDR1;アミノ酸配列RVSを有するVL CDR2;及びアミノ酸配列VQVLELPFT(配列番号263)を有するVL CDR3を含み得る。
別の例として、抗クローディン-s抗体は、アミノ酸配列GFTFSSYA(配列番号264)を有するVH CDR1;アミノ酸配列ISDGGSYS(配列番号265)を有するVH CDR2;アミノ酸配列ARDSYYDNSYVRDY(配列番号266)を有するVH CDR3;アミノ酸配列QDINTF(配列番号267)を有するVL CDR1;アミノ酸配列RTNを有するVL CDR2;及びアミノ酸配列LQYDEFPLT(配列番号268)を有するVL CDR3を含み得る。
(iii)一本鎖T細胞受容体
いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するCTPは、scTCRである。CTPは、がん細胞の表面上のペプチド/HLA複合体に特異的なscTCRであり得、そのペプチドは、がん関連ペプチド(例えば、がん関連抗原のペプチド断片)であり得る。HLA複合体に結合したがん関連ペプチドに特異的なscTCRのアミノ酸配列は、当該技術分野で知られている。例えば、US2019/0135914;US2019/0062398;及びUS2018/0371049を参照されたい。
scTCRには、好適なペプチドリンカー配列を介して共有結合したアルファ鎖可変領域(Vα)及びベータ鎖可変領域(Vβ)が含まれる。例えば、Vαは、VαのC末端及びVβのN末端に融合した好適なペプチドリンカー(L)配列を介してVβに共有結合され得る。scTCRは、構造Vα-L-Vβを有し得る。scTCRは、構造Vβ-L-Vαを有し得る。scTCRはまた、定常ドメイン(定常領域とも称される)を含み得る。いくつかの場合では、scTCRは、N末端からC末端までの順序で、i)TCRα鎖可変ドメインポリペプチド;ii)ペプチドリンカー;iii)TCRβ鎖可変ドメインポリペプチド;及びiv)TCRβ鎖定常領域細胞外ドメインポリペプチドを含む。いくつかの場合では、scTCRは、N末端からC末端までの順序で、i)TCRβ鎖可変ドメインポリペプチド;ii)ペプチドリンカー;iii)TCRα鎖可変ドメインポリペプチド;及びiv)TCRα鎖定常領域細胞外ドメインポリペプチドを含む。
ペプチドががん関連ペプチドであるペプチド/HLA複合体に特異的なscTCRのアミノ酸配列は、当該技術分野で知られている。例えば、US2019/0135914;US2019/0062398;US2018/0371049;US2019/0144563;及びUS2019/0119350を参照されたい。例えば、scTCRは、HLA-A*0201重鎖及びβ2Mポリペプチドを含むHLA複合体に結合したSLLMWITQC(配列番号178)ペプチド等のNY-ESOエピトープに特異的であり得る。例として、そのようなscTCRは、i)aa配列:MQEVTQIPAA LSVPEGENLV LNCSFTDSA IYNLQWFRQD PGKGLTSLLL IQSSQREQTS GRLNASLDKS SGRSTLYIAA SQPGDSATYL CAVRPTSGGS YIPTFGRGTS LIVHPY(配列番号269)(aa20はVまたはAであり得;aa51はQ、P、S、T、またはMであり得;aa52はS、P、F、またはGであり得、aa53はS、W、H、またはTであり得;aa94はP、H、またはAであり得;aa95はT、L、M、A、Q、Y、E、I、F、V、N、G、S、D、またはRであり得;aa96はS、L、T、Y、I、Q、V、E、A、W、R、G、H、D、またはKであり得;aa97はG、D、N、V、S、T、またはAであり得;aa98はG、P、H、S、T、W、またはAであり得;aa99はS、T、Y、D、H、V、N、E、G、Q、K、A、I、またはRであり得;aa100はY、F、M、またはDであり得;aa101はI、P、T、またはMであり得;aa103はTまたはAであり得る)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むTCRα鎖可変領域;及びii)aa配列:MGVTQTPKFQVLKTGQSMTLQCAQDMNHEYMSWYRQDPGMGLRLIHYSVGAGITDQGEVPNGYNVSRSTTEDFPLRLLSAAPSQTSVYFCASSYVGNTGELFFGEGSRLTVL(配列番号270)(aa18はMまたはVであり得;aa50はG、V、またはIであり得;aa52はGまたはQであり得;aa53はI、T、またはMであり得;aa55はDまたはRであり得;aa56はQまたはRであり得;aa70はTまたはIであり得;aa94はY、N、またはFであり得;aa95はVまたはLであり得;aa97はN、G、またはDであり得る)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むTCRβ鎖可変領域を含み得る。例えば、いくつかの場合では、scTCRは、i)aa配列:MQEVTQIPAA LSVPEGENL VLNCSFTDS AIYNLQWFRQ DPGKGLTSL LLIMSHQREQ TSGRLNASLD KSSGRSTLYI AASQPGDSAT YLCAVRPTSG GSYIPTFGRG TSLIVHPY(配列番号271)を含むTCRα鎖可変領域;及びaa配列:MGVTQTPKFQVLKTGQSMTLQCAQDMNHEYMSWYRQDPGMGLRLIHYSVSAGITDQGEVPNGYNVSRSTTEDFPLRLLSAAPSQTSVYFCASSYVGNTGELFFGEGSRLTVL(配列番号272)を含むTCRβ鎖可変領域を含み得る。
別の例として、scTCRは、HL重鎖及びβ2Mポリペプチドを含むHLA複合体に結合したHPVペプチドエピトープ(例えば、aa配列YIIFVYIPL(HPV 16 E563-71;配列番号273)、KLPQLCTEL(HPV 16 E611-19;配列番号274)、TIHEIILECV(HPV 16 E6;配列番号275)、YMLDLQPET(HPV 16 E711-19;配列番号276)、TLGIVCPI(HPV 16 E786-93;配列番号277)、KCIDFYSRI(HPV 18 E667-75;配列番号278)、またはFQQLFLNTL(HPV 18 E786-94;配列番号279)のHPVペプチド)に特異的であり得る。例として、そのようなscTCRは、i)aa配列:METLLGLLILQ LQLQWVSSKQ EVTQIPAALS VPEGENLVLN CSFTDSAIYN LQWFRQDPG KGLTSLLLIQ SSQREQTSGR LNASLDKSSG RSTLYIAASQ PGDSATYLCA VRETSGSRLT FGEGTQLTVN PD(配列番号280)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むTCRα鎖可変領域;及びii)aa配列:MGIRLLCRVA FCFLAVGLVD VKVTQSSRYL VKRTGEKVFL ECVQDMDHEN MFWYRQDPGL GLRLIYFSYD VKMKEKGDIP EGYSVSREKK ERFSLILESA STNQTSMYLC ASSFWGRSTD TQYFGPGTRL TVL(配列番号281)と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含むTCRβ鎖可変領域を含み得る。
8 エピトープ及びそれらの評価
本開示のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、抗原決定基を提示する多様な分子に化学的コンジュゲーション部位でコンジュゲートされてT細胞-MP-エピトープコンジュゲートが形成され得る。コンジュゲートされていないT細胞-MPにコンジュゲートされ得るエピトープを提示する分子には、非ペプチドエピトープ(例えば、炭水化物エピトープ)、及びペプチドエピトープ、ホスホペプチドエピトープ、グリコシル化ペプチド(糖ペプチド)エピトープ、炭水化物、及びリポペプチドエピトープ(例えば、脂肪酸、イソプレノイド、ステロール、リン脂質、またはグリコシルホスファチジルイノシトールで修飾されたペプチド)を提示するものが含まれ;まとめて「エピトープ(epitope)」または「エピトープ(epitopes)」と称される。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するペプチド、ホスホ-ペプチド、リポペプチド、または糖ペプチドのエピトープ提示配列は、4~25個の連続aa(例えば、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、もしくは25aa、または7aa~25aa、7aa~12aa、7aa~25aa、10aa~15aa、15aa~20aa、もしくは20aa~25aa)のペプチドであり得る。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートのエピトープは、mRNAから翻訳されるT細胞-MPの一部ではなく、上で示されるとおり、化学的コンジュゲーション部位でT細胞-MPに付加される。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートによるTCRへの有効な提示のための候補MHCアレル及びペプチド(例えば、ホスホペプチド、リポペプチドまたは糖ペプチド)エピトープの組み合わせの選択は、遊離ペプチドが、エピトープコンジュゲートの一部として提示されるT細胞-MPを構築するために使用される特定のHLAアレルに対する親和性を有するかどうかを決定するために多数のよく知られている方法のいずれかを使用して達成され得る。
特定の重鎖アレル及びβ2Mと組み合わせたペプチドが、所望の様式(例えば、増殖、アネルギー、またはアポトーシスの誘導)でT細胞に影響を及ぼし得るかどうかを決定することが可能である。適用可能な方法には、T細胞-MPと上で論述されるwt.及びバリアントMODとの結合親和性を評価するために利用されるBLIアッセイを含む、結合アッセイ及びT細胞活性化アッセイが含まれる。本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを調製するために使用されるエピトープ(例えば、ペプチドエピトープ)は、少なくとも100μM(例えば、少なくとも10μM、少なくとも1μM、少なくとも100nM、少なくとも10nM、または少なくとも1nM)の親和性でT細胞上のT細胞受容体(TCR)に結合し得る。いくつかの場合では、エピトープは、約10-4M~約10-5M、約10-5M~約10-6M、約10-6M~約10-7M、約10-7M~約10-8M、または約10-8M~約10-9Mの親和性でT細胞上のTCRに結合する。別の言い方をすれば、いくつかの場合では、T細胞-MPに存在するエピトープは、約1nM~約10nM、約10nM~約100nM、約0.1μM~約1μM、約1μM~約10μM、約10μM~約25μM、約25μM~約50μM、約50μM~約75μM、または約75μM~約100μMの親和性でT細胞上のTCRに結合する。
a.細胞ベースの結合アッセイ
1つの例として、細胞ベースのペプチド誘導安定化アッセイは、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートにおいて使用するために意図されるHLAクラスIアレルに候補ペプチドが結合するかどうかを決定するために使用され得る。その結合アッセイは、意図されるアレルを使用してT細胞-MP-エピトープコンジュゲートへの組み込みのためのペプチドを選択するために使用され得る。このアッセイでは、対象となるペプチドをTAP欠損性細胞、すなわち、欠損性の抗原処理に関連するトランスポーター(TAP)機構を有し、結果的に、表面クラスI分子がほとんどない細胞に結合させる。そのような細胞には、例えば、ヒトT2細胞株(T2(174 x CEM.T2;American Type Culture Collection(ATCC)番号CRL-1992))が含まれる。Henderson et al.(1992)Science 255:1264。小胞体への細胞質ペプチドの効率的なTAP媒介輸送を伴わないと、構築されたクラスI複合体は、構造的に不安定であり、一時的にしか細胞表面で保持されない。しかしながら、T2細胞がクラスIに結合することが可能な外因性ペプチドとインキュベートされた場合、表面ペプチド-HLAクラスI複合体は安定化され、例えば、汎抗クラスIモノクローナル抗体でフローサイトメトリーによって、またはペプチドが蛍光標識されている場合に間接的に検出され得る。ペプチドの付加による細胞表面上のペプチド-HLA複合体の安定化及び結果として生じる寿命の延長は、それらの同一性を確認する。したがって、様々なクラスI HLA重鎖アレルによる提示のための候補ペプチドの結合は、対象となるHLA Hアレルを発現するようにT2または同様のTAP欠損性細胞を遺伝子修飾することによって試験され得る。
HLA A*0201に結合するペプチドを評価するためのT2アッセイの使用の非限定的な例では、T2細胞を細胞培地で洗浄し、10細胞/mlで懸濁する。対象となるペプチドを細胞培地において調製し、連続希釈して200μM、100μM、20μM及び2μMの濃度を提供する。細胞を各ペプチド希釈物と1:1で混合して、200μLの最終体積ならびに100μM、50μM、10μM及び1μMの最終ペプチド濃度を得る。HLA A*0201結合ペプチドであるGILGFVFTL(配列番号282)、及び非HLA A*0201限定ペプチドであるHPVGEADYF(HLA-B*3501;配列番号283)をそれぞれ陽性及び陰性対照として含める。細胞/ペプチド混合物を37℃で5%CO中で10分間維持し;次いで室温で一晩インキュベートする。細胞を次いで、37℃で2時間インキュベートし、蛍光標識された抗ヒトHLA抗体で染色する。細胞をリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄し、フローサイトメトリーを使用して分析する。抗HLA抗体染色の平均的な平均蛍光強度(MFI)を使用して結合の強度を測定する。
MODがないT細胞-MP-エピトープコンジュゲート、特に高次複合体(例えば、二重体、四量体または五量体)の形態のものを含む標識された(例えば、放射性または蛍光標識されたペイロード)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートとT細胞との間のエピトープ特異的結合を確立するためにin vitroで使用され得る。しかしながら、T-MP-エピトープコンジュゲート及び/またはMODがないT細胞-エピトープコンジュゲートによるT細胞結合は、in vitro用途に制限されない。特にT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの高次複合体による結合は、例えば、エピトープ特異的T細胞の移動及び局在化を追跡するために、in vivoまたはex vivoで行われ得る。MODがない分子の使用は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート上のMODと、対象とならない細胞上のCo-MODとの間の相互作用による潜在的干渉を制限するので有利である。そのようなin vivoまたはex vivo結合評価において、MODがない場合がある標識された(例えば、蛍光または放射性標識された)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートをin vivoで対象に投与し、またはex vivoで組織と接触させる。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートが対象または組織におけるT細胞と結合すると、それは、標識の局在化によって証明されるように循環し、または局在化され得るT細胞を有効に標識する。したがって、そのような標識されたT細胞-MP-エピトープコンジュゲート(それらのMODがないバリアントを含む)は、研究において及びコンパニオン診断としての両方で利用される。標識は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートと標的T細胞との間のエピトープ特異的結合の評価及びそれらの運命を決定するためのエピトープ特異的T細胞の追跡を可能にする。標識はまた、in vivo及び/またはex vivoでT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの局在化の決定を可能にし、これは、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートが、医療処置が所望である組織(例えば、腫瘍組織)を含む組織に局在化されるかどうかを決定するために使用され得る。
b.生化学的結合アッセイ
T細胞-MPの構築における使用が意図された特定のアレルのHLA重鎖ポリペプチドと複合体化されたβ2Mポリペプチドを含むMHCクラスI複合体は、無細胞in vitroアッセイシステムにおいて対象となるペプチドに対する結合について試験され得る。例えば、標識された参照ペプチド(例えば、蛍光標識)をMHC-クラスI複合体に結合させてMHC-参照ペプチド複合体を形成する。対象となる試験ペプチドが、複合体からの標識参照ペプチドを移動させる能力が試験される。結合した参照ペプチドを移動させるのに必要とされる試験ペプチドの量として相対的結合親和性が計算される。例えば、van der Burg et al.(1995)Human Immunol.44:189を参照されたい。
別の例として、対象となるペプチドは、MHCクラスI複合体(HLA重鎖ペプチド及びβ2Mを含有する)とインキュベートされ得、結合したペプチドによるMHC複合体の安定化がイムノアッセイ形式で測定され得る。対象となるペプチドがMHC複合体を安定化する能力は、既知のT細胞エピトープを提示する対照ペプチドのものと比較される。安定化の検出は、抗HLA抗体を使用して、ペプチドに結合したMHC複合体のネイティブコンフォメーションの存在または非存在に基づく。例えば、Westrop et al.(2009)J.Immunol.Methods 341:76;Steinitz et al.(2012)Blood 119:4073;及び米国特許第9,205,144号を参照されたい。
c.T細胞活性化アッセイ
所与のペプチドがMHCクラスI複合体(HLA重鎖及びβ2Mポリペプチドを含む)に結合するかどうか、及び、HLA複合体に結合した場合、TCRにエピトープを有効に提示し得るかどうかは、ペプチド-HLA複合体に対するT細胞反応を評価することによって決定され得る。測定され得るT細胞反応には、例えば、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)生成、細胞傷害活性等が含まれる。
(i)ELISPOTアッセイ
好適なT細胞活性化アッセイには、例えば、酵素結合イムノスポット(ELISPOT)アッセイが含まれ、その場合、標的細胞による産物の生成(例えば、標的CD8+TによるIFNγ生成)が、標的と、クラスI MHC(例えば、HLA)と複合体化された対象となるペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)との接触の後に測定される。標的細胞が生成する因子(例えば、IFNγ)に対する抗体を、マルチウェルプレートのウェルに固定化する。APCをウェルに添加し、プレートを、ペプチドがAPCの表面上のHLAクラスIに結合するように、対象となるペプチドと所定期間インキュベートする。ペプチドに特異的なCD8+T細胞をウェルに添加し、プレートを約24時間インキュベートする。次いでウェルを洗浄し、固定化された抗体に結合した任意の放出された因子(例えば、IFNγ)を、検出可能に標識された抗体を使用して検出する。比色分析アッセイが使用され得る。例えば、IFNγ放出が測定される場合、検出可能に標識された抗IFNγ抗体は、ビオチン標識された抗IFNγ抗体であり得、これは、アッセイを展開するために添加されるBCIP/NBT(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム)溶液を用いて、例えば、アルカリホスファターゼにコンジュゲートされたストレプトアビジンを使用して検出され得る。IFNγ分泌T細胞の存在は、着色したスポットによって同定される。陰性対照には、ペプチドと接触していないAPCが含まれる。対象となるペプチドが特定のHLA H鎖を含むHLAクラスI分子に有効に結合するかどうかを決定するために様々なHLA重鎖アレルを発現するAPCが使用され得る。
(ii)細胞傷害アッセイ
所与のエピトープ(例えば、ペプチド)がβ2Mと複合体化された特定のMHCクラスI重鎖アレルに結合するかどうか、及び、結合した場合、エピトープをTCRに有効に提示し得るかどうかはまた、細胞傷害アッセイを使用して決定され得る。細胞傷害アッセイは、標的細胞と細胞傷害性CD8T細胞とのインキュベートを伴う。標的細胞は、その表面上に、試験されるβ2M、及びエピトープ及びMHC重鎖アレルの組み合わせを含むMHCクラスI複合体を提示する。標的細胞は、例えば、51Crで放射性標識され得る。標的細胞がエピトープを細胞傷害性CD8T細胞上のTCRに有効に提示する場合、それは、標的細胞に対してCD8T細胞による細胞傷害活性を誘導し、これは、溶解した標的細胞からの51の放出を測定することによって決定される。特定の細胞傷害性は、ペプチドの存在下での細胞傷害活性の量からペプチドの非存在下での細胞傷害活性の量を減算したものとして計算され得る。
(iii)ペプチド-HLA四量体での抗原特異的T細胞の検出
別の例として、ペプチド-MHC複合体の多量体(例えば、二量体、四量体、または五量体)は、標識またはタグ(例えば、蛍光または重金属タグ)を用いて生成される。多量体は次いで、フローサイトメトリー(FACS)またはマスサイトメトリー(CyTOF)を介して特定のT細胞を同定及び定量するために使用され得る。エピトープ特異的T細胞の検出は、ペプチド結合HLA分子が抗原特異的T細胞のサブセット上の特定のTCRに結合することが可能であるという直接的証拠を提供する。例えば、Klenerman et al.(2002)Nature Reviews Immunol.2:263を参照されたい。
d.エピトープ
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するエピトープは、エピトープ特異的様式でT細胞によって結合され得る(すなわち、エピトープは、TCRがペプチドを認識するエピトープ特異的T細胞によって特異的に結合される)。エピトープ特異的T細胞は、特定のMHC-Hアレルポリペプチド/β2M複合体との関連で参照aa配列を有するエピトープに結合するが、同じ状況で提示される参照aa配列とは異なるエピトープには実質的に結合しない。例えば、エピトープ特異的T細胞は、参照aa配列を有する特定のMHC-Hアレルポリペプチド/β2M複合体との関連でエピトープに結合し得、同じ状況で存在する参照aa配列とは異なるエピトープには、仮にあったとしても、10-6M未満、10-5M未満、または10-4M未満の親和性で結合し得る。エピトープ特異的T細胞は、少なくとも10-7M、少なくとも10-8M、少なくとも10-9M、または少なくとも10-10Mの親和性で特異的であるエピトープ(例えば、対象となるエピトープを提示するペプチド)に結合し得る。
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するエピトープペプチドは、HLA-A、-B、-C、-E、-Fまたは-Gアレルに特異的なエピトープを提示する。実施形態では、T細胞-MPに存在するペプチドエピトープは、HLA-A*0101、A*0201、A*0301、A*1101、A*2301、A*2402、A*2407、A*3303、及び/またはA*3401に限定されたエピトープを提示する。実施形態では、T細胞-MPに存在するペプチドエピトープは、HLA-B*0702、B*0801、B*1502、B*3802、B*4001、B*4601、及び/またはB*5301に限定されたエピトープを提示する。実施形態では、T細胞-MPに存在するペプチドエピトープは、C*0102、C*0303、C*0304、C*0401、C*0602、C*0701、C*702、C*0801、及び/またはC*1502に限定されたエピトープを提示する。
クラスI MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列を有するT細胞-MPによってTCRに結合及び提示され得るエピトープには、がん抗原、及び感染性物質(例えば、ウイルスまたは細菌物質)からの抗原がある。アレルゲンに対する過剰反応をもたらすT細胞異常調節(例えば、CD8+T細胞異常調節)の場合、提示され得るエピトープには、自己抗原(自己エピトープ)及びアレルゲンのエピトープが含まれる。例えば、アレルゲンは、ナッツ(例えば、木及び/またはピーナッツ)、グルテン、花粉、卵(例えば、ニワトリ、Gallus domesticusの卵)、甲殻類、大豆、魚、及び昆虫毒(例えば、ハチ及び/またはカリバチ毒抗原)のタンパク質または非タンパク質成分から選択され得る。同様に、CD8+Treg細胞及び自己反応性CD8+エフェクターT細胞の異常調節が自己免疫疾患をもたらす場合、提示されるエピトープは、例えば、多発性硬化症、ラスムッセン脳炎、腫瘍随伴症候群、セリアック病、全身性硬化症(SSc)、1型糖尿病(T1D)、グレーブス病(GD)、全身性エリテマトーデス(SLE)、再生不良性貧血(AA)、または白斑に関連するタンパク質からのものであり得る。
(i)がんに存在するエピトープ-がん関連抗原(「CAA」)
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの高次複合体に含めるのに好適なエピトープには、がん関連抗原に存在するエピトープが含まれるがこれらに限定されない。がん関連抗原は、当該技術分野で知られている;例えば、Cheever et al.(2009)Clin.Cancer Res.15:5323を参照されたい。がん関連抗原には、α-葉酸受容体;炭酸脱水酵素IX(CAIX);CD19;CD20;CD22;CD30;CD33;CD44v7/8;がん胎児性抗原(CEA);上皮糖タンパク質-2(EGP-2);上皮糖タンパク質-40(EGP-40);葉酸結合タンパク質(FBP);胎児アセチルコリン受容体;ガングリオシド抗原GD2;Her2/neu;IL-13R-a2;カッパ軽鎖;LeY;L1細胞接着分子;黒色腫関連抗原(MAGE);MAGE-A1;メソテリン;MUC1;NKG2Dリガンド;がん胎児性抗原(h5T4);前立腺幹細胞抗原(PSCA);前立腺特異的膜抗原(PSMA);腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72);血管内皮成長因子受容体-2(VEGF-R2)(例えば、Vigneron et al.(2013)Cancer Immunity 13:15;及びVigneron(2015)BioMed Res.Int’l Article ID 948501を参照されたい);及び上皮成長因子受容体(EGFR)vIIIポリペプチド(例えば、Wong et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2965;及びMiao et al.(2014)PLoSOne 9:e94281を参照されたい)が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートへの組み込みのための好適なペプチドエピトープは、MUC1ポリペプチド、LMP2ポリペプチド、上皮成長因子受容体(EGFR)vIIIポリペプチド、HER-2/neuポリペプチド、黒色腫抗原(例えば、MAGE A3)ポリペプチド、p53ポリペプチド、変異体p53ポリペプチド、NY-ESO-1ポリペプチド、葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原;PSMA)ポリペプチド、CEAポリペプチド、T細胞によって認識される黒色腫抗原(メランA/MART1)ポリペプチド、Rasポリペプチド(KRASポリペプチドを含む)、gp100ポリペプチド、プロテイナーゼ3(PR1)ポリペプチド、bcr-ablポリペプチド、チロシナーゼポリペプチド、スルビビンポリペプチド、前立腺特異抗原(PSA)ポリペプチド、hTERTポリペプチド、肉腫転座切断点ポリペプチド、滑膜肉腫X(SSX)切断点ポリペプチド、EphA2ポリペプチド、酸ホスファターゼ、前立腺(PAP)ポリペプチド、アポトーシスの黒色腫阻害因子(ML-IAP)ポリペプチド、アルファ-フェトプロテイン(AFP)ポリペプチド、上皮細胞接着分子(EpCAM)ポリペプチド、ERG(TMPRSS2 ETS融合)ポリペプチド、NA17ポリペプチド、対合ボックス3(PAX3)ポリペプチド、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)ポリペプチド、アンドロゲン受容体ポリペプチド、サイクリンB1ポリペプチド、N-mycがん原遺伝子(MYCN)ポリペプチド、Rasホモログ遺伝子ファミリーメンバーC(RhoC)ポリペプチド、チロシナーゼ関連タンパク質-2(TRP-2)ポリペプチド、メソテリンポリペプチド、前立腺幹細胞抗原(PSCA)ポリペプチド、黒色腫関連抗原-1(MAGE A1)ポリペプチド、シトクロムP450 1B1(CYP1B1)ポリペプチド、胎盤特異的タンパク質1(PLAC1)ポリペプチド、BORISポリペプチド(CCCTC結合因子またはCTCFとしても知られている)、ETV6-AMLポリペプチド、乳癌抗原NY-BR-1ポリペプチド(アンキリンリピートドメイン含有タンパク質30Aとも称される)、G-タンパク質シグナル伝達の制御因子(RGS5)ポリペプチド、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原(SART3)ポリペプチド、炭酸脱水酵素IXポリペプチド、対合ボックス5(PAX5)ポリペプチド、OY-TES1(精巣抗原;アクロシン結合タンパク質としても知られている)ポリペプチド、精子タンパク質17ポリペプチド、リンパ球細胞特異的タンパク質-チロシンキナーゼ(LCK)ポリペプチド、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、A-キナーゼ固定タンパク質-4(AKAP-4)、滑膜肉腫X切断点2(SSX2)ポリペプチド、X抗原ファミリーメンバー1(XAGE1)ポリペプチド、B7ホモログ3(B7H3;CD276としても知られている)ポリペプチド、レグマインポリペプチド(LGMN1;アスパラギニルエンドペプチダーゼとしても知られている)、Ig及びEGF相同性ドメインを有するチロシンキナーゼ-2(Tie-2;アンジオポイエチン-1受容体としても知られている)ポリペプチド、P抗原ファミリーメンバー4(PAGE4)ポリペプチド、血管内皮成長因子受容体2(VEGF2)ポリペプチド、MAD-CT-1ポリペプチド、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)ポリペプチド、血小板由来成長因子受容体ベータ(PDGFβ)ポリペプチド、MAD-CT-2ポリペプチド、Fos関連抗原-1(FOSL)ポリペプチドまたはクローディン(例えば、クローディン18.2)ポリペプチドの長さが約4aa~約20aa(例えば、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、または20aa)のペプチド断片である。いくつかの場合では、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原が特に除外される。いくつかの場合では、アルファ-フェトプロテイン(AFP)抗原が特に除外される。いくつかの場合では、ウィルムス腫瘍-1(WT1)抗原が特に除外される。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに組み込まれ得るがん関連抗原のアミノ酸配列は、当該技術分野で知られている;例えば、MUC1(GenBank CAA56734);LMP2(GenBank CAA47024);EGFRvIII(GenBank NP_001333870);HER-2/neu(GenBank AAI67147);MAGE-A3(GenBank AAH11744);p53(GenBank BAC16799);NY-ESO-1(GenBank CAA05908);PSMA(GenBank AAH25672);CEA(GenBank AAA51967);メラン/MART1(GenBank NP_005502);Ras(GenBank NP_001123914);gp100(GenBank AAC60634);bcr-abl(GenBank AAB60388);チロシナーゼ(GenBank AAB60319);スルビビン(GenBank AAC51660);PSA(GenBank CAD54617);hTERT(GenBank BAC11010);SSX(GenBank NP_001265620);Eph2A(GenBank NP_004422);PAP(GenBank AAH16344);ML-IAP(GenBank AAH14475);EpCAM(GenBank NP_002345);ERG(TMPRSS2 ETS融合)(GenBank ACA81385);PAX3(GenBank AAI01301);ALK(GenBank NP_004295);アンドロゲン受容体(GenBank NP_000035);サイクリンB1(GenBank CAO99273);MYCN(GenBank NP_001280157);RhoC(GenBank AAH52808);TRP-2(GenBank AAC60627);メソテリン(GenBank AAH09272);PSCA(GenBank AAH65183);MAGE A1(GenBank NP_004979);CYP1B1(GenBank AAM50512);PLAC1(GenBank AAG22596);BORIS(GenBank NP_001255969);ETV6(GenBank NP_001978);NY-BR1(GenBank NP_443723);SART3(GenBank NP_055521);炭酸脱水酵素IX(GenBank EAW58359);PAX5(GenBank NP_057953);OY-TES1(GenBank NP_115878);精子タンパク質17(GenBank AAK20878);LCK(GenBank NP_001036236);HMW-MAA(GenBank NP_001888);AKAP-4(GenBank NP_003877);SSX2(GenBank CAA60111);XAGE1(GenBank NP_001091073;XP_001125834;XP_001125856;及びXP_001125872);B7H3(GenBank NP_001019907;XP_947368;XP_950958;XP_950960;XP_950962;XP_950963;XP_950965;及びXP_950967);LGMN1(GenBank NP_001008530);TIE-2(GenBank NP_000450);PAGE4(GenBank NP_001305806);VEGFR2(GenBank NP_002244);MAD-CT-1(GenBank NP_005893 NP_056215);FAP(GenBank NP_004451);PDGFβ(GenBank NP_002600);MAD-CT-2(GenBank NP_001138574);及びFOSL(GenBank NP_005429)を参照されたい。これらのポリペプチドはまた、例えば、Cheever et al.(2009)Clin.Cancer Res.15:5323、及びその中で引用されている参考文献;Wagner et al.(2003)J.Cell.Sci.116:1653;Matsui et al.(1990)Oncogene 5:249;Zhang et al.(1996)Nature 383:168で論述されている。
(a)アルファフェトプロテイン(AFP)
T細胞-MP-エピトープコンジュゲート、またはそれらの高次複合体(例えば、二重体)は、肝細胞癌、膵臓癌、胃癌、大腸癌、肝芽腫、及び卵巣卵黄嚢腫瘍に関連しているアルファ-フェトプロテイン(AFP)のエピトープを提示するペプチドを含み得る。AFPエピトープは、a)HLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*1101、HLA-A*2301、HLA-A*2402、HLA-A*2407、HLA-A*3303、またはHLA-A*3401と少なくとも95%のaa(例えば、少なくとも97%、98%、または99%)配列同一性を有するaa配列;b)HLA-B*0702、HLA-B*0801、HLA-B*1502、HLA-B*3802、HLA-B*4001、HLA-B*4601、またはHLA-B*5301と少なくとも95%のaa(例えば、少なくとも97%、98%、または99%)配列同一性を有するaa配列;またはc)図3A~3Gに示されるHLA-C*0102、HLA-C*0303、HLA-C*0304、HLA-C*0401、HLA-C*0602、HLA-C*0701、HLA-C*0702、HLA-C*0801、またはHLA-C*1502と少なくとも95%のaa(例えば、少なくとも97%、98%、または99%)配列同一性を有するaa配列を有し得るクラスI MHCポリペプチド配列との関連で提示され得る。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに含まれ得るAFPペプチドには、AITRKMAAT(配列番号284);AYTKKAPQL(配列番号285);LLNQHACAV(配列番号286);KLVLDVAHV(配列番号287);FMNKFIYEI(配列番号288);SIPLFQVPE(配列番号289);LLNFTESRT(配列番号290);FVQEATYKF(配列番号291);ATYKEVSKM(配列番号292);KEVSKMVKD(配列番号293);RHNCFLAHK(配列番号294);ATAATCCQL(配列番号295);YIQESQALA(配列番号296);QLTSSELMAI(配列番号297);KLSQKFTKV(配列番号298);KELRESSLL(配列番号299);SLVVDETYV(配列番号300);ILLWAARYD(配列番号301);KIIPSCCKA(配列番号302);CRGDVLDCL(配列番号303);QQDTLSNKI(配列番号304);TMKQEFLINL(配列番号305);NLVKQKPQI(配列番号306);AVIADFSGL(配列番号307);LLACGEGAA(配列番号308);LACGEGAAD(配列番号309);KAPQLTSSEL(配列番号310);YICSQQDTL(配列番号311);TECCKLTTL(配列番号312);CTAEISLADL(配列番号313);VTKELRESSL(配列番号314);IMSYICSQQD(配列番号315);TRTFQAITV(配列番号316);FQKLGEYYL(配列番号317);RVAKGYQEL(配列番号318);SYQCTAEISL(配列番号319);KQEFLINLV(配列番号320);MKWVESIFL(配列番号321);PVNPGVGQC(配列番号322);AADIIIGHL(配列番号323);QVPEPVTSC(配列番号324);TTLERGQCII(配列番号325);KMAATAATC(配列番号326);QAQGVALQTM(配列番号327);FQAITVTKL(配列番号328);LLEKCFQTE(配列番号329);VAYTKKAPQ(配列番号330);KYIQESQAL(配列番号331);GVALQTMKQ(配列番号332);GQEQEVCFA(配列番号333);SEEGRHNCFL(配列番号334);RHPFLYAPTI(配列番号335);TEIQKLVLDV(配列番号336);RRHPQLAVSV(配列番号337);GEYYLQNAFL(配列番号338);NRRPCFSSLV(配列番号339);LQTMKQEFLI(配列番号340);IADFSGLLEK(配列番号341);GLLEKCCQGQ(配列番号342);TLSNKITEC(配列番号343);LQDGEKIMSY(配列番号344);GLFQKLGBY(配列番号345);NEYGIASILD(配列番号346);KMVKDALTAI(配列番号347);FLASFVHEY(配列番号348);AQFVQEATY(配列番号349);EYSRRHPQL(配列番号350);AYEEDRETF(配列番号351;SYANRRPCF(配列番号352);CFAEEGQKL(配列番号353);RSCGLFQKL(配列番号354);IFLIFLLNF(配列番号355);KPEGLSPNL(配列番号356);及びGLSPNLNRFL(配列番号357)が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するAFPペプチドは、HLA-A*2402に限定されたエピトープを提示する。HLA-A*2402に限定されたエピトープを提示するAFPペプチドの非限定的な例には、KYIQESQAL(配列番号331);EYYLQNAFL(配列番号358);AYTKKAPQL(配列番号285);EYSRRHPQL(配列番号350);RSCGLFQKL(配列番号354)及びAYEEDRETF(配列番号351)が含まれる。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するAFPペプチドは、KYIQESQAL(配列番号331)である。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するAFPペプチドは、EYYLQNAFL(配列番号358)である。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するAFPペプチドは、AYTKKAPQL(配列番号285)である。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するAFPペプチドは、EYSRRHPQL(配列番号350)である。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するAFPペプチドは、RSCGLFQKL(配列番号354)である。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPに存在するAFPペプチドは、HLA-A*0201に限定されたエピトープを提示する。HLA-A*0201に限定されたエピトープを提示するAFPペプチドの非限定的な例は、FMNKFIYEI(配列番号288);及びGLSPNLNRFL(配列番号357)である。
(b)ウィルムス腫瘍抗原(WT-1)
T細胞-MP-エピトープコンジュゲート及びそれらの高次複合体(例えば、二重体)は、骨髄性白血病、骨髄腫、卵巣癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、大腸癌、乳癌、ウィルムス腫瘍、中皮腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞腫、及び腎芽細胞腫に関連しているウィルムス腫瘍-1タンパク質のエピトープを提示するペプチドを含み得る。WT-1エピトープは、クラスI MHC提示配列との関連で提示され得る。WT-1エピトープは、HLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*1101、HLA-A*2301、HLA-A*2402、HLA-A*2407、HLA-A*3303、またはHLA-A*3401と少なくとも95%(例えば、少なくとも97%、98%、または99%)のaa配列同一性;b)HLA-B*0702、HLA-B*0801、HLA-B*1502、HLA-B*3802、HLA-B*4001、HLA-B*4601、またはHLA-B*5301と少なくとも95%のaa配列同一性を有するaa配列;またはc)図3A~3Gに示されるHLA-C*0102、HLA-C*0303、HLA-C*0304、HLA-C*0401、HLA-C*0602、HLA-C*0701、HLA-C*0702、HLA-C*0801、またはHLA-C*1502と少なくとも95%のaa配列同一性を有するaa配列を有するクラスI MHC提示複合体との関連で提示され得る。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに含まれ得るWT-1ペプチドには、NLMNLGATL(配列番号359)、NYMNLGATL(配列番号360)、CMTWNQMNLGATLKG(配列番号361)、WNQMNLGATLKGVAA(配列番号362)、CMTWNYMNLGATLKG(配列番号363)、WNYMNLGATLKGVAA(配列番号364)、TWNQMNLGATLKGV(配列番号365)、TWNQMNLGATLKGVA(配列番号366)、CMTWNLMNLGATLKG(配列番号367)、MTWNLMNLGATLKGV(配列番号368)、TWNLMNLGATLKGVA(配列番号369)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号370)、MNLGATLK(配列番号371)、MTWNYMNLGATLKGV配列番号372)、TWNYMNLGATLKGVA(配列番号373)、CMTWNQMNLGATLKGVA(配列番号374)、CMTWNLMNLGATLKGVA(配列番号375)、CMTWNYMNLGATLKGVA(配列番号376)、GYLRNPTAC(配列番号377)、GALRNPTAL(配列番号378)、YALRNPTAC(配列番号379)、GLLRNPTAC(配列番号380)、RYRPHPGAL(配列番号381)、YQRPHPGAL(配列番号382)、RLRPHPGAL(配列番号383)、RIRPHPGAL(配列番号384)、QFPNHSFKHEDPMGQ(配列番号385)、HSFKHEDPY(配列番号386)、QFPNHSFKHEDPM(配列番号387)、QFPNHSFKHEDPY(配列番号388)、KRPFMCAYPGCNK(配列番号389)、KRPFMCAYPGCYK(配列番号390)、FMCAYPGCY(配列番号391)、FMCAYPGCK(配列番号392)、KRPFMCAYPGCNKRY(配列番号393)、SEKRPFMCAYPGCNK(配列番号394)、KRPFMCAYPGCYKRY(配列番号395)、VLDFAPPGA(配列番号396);RMFPNAPYL(配列番号397);YMFPNAPYL(配列番号398);SLGEQQYSV(配列番号399);CYTWNQMNL(配列番号400);CMTWNQMNL(配列番号401);及びNQMNLGATL(配列番号402)が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するWT-1ペプチドは、HLA-A*2402に限定されたエピトープを提示する。HLA-A*2402に限定されたエピトープを提示するWT-1ペプチドには、例えば、CMTWNQMN(配列番号403);NYMNLGATL(配列番号360)(WT-1 239~247;Q240Y);CYTWNQMNL(配列番号400)(WT-1 235~243);CMTWNQMNL(配列番号401)(WT-1 235~243);NQMNLGATL(配列番号402)(WT-1 239~247);及びNLMNLGATL(配列番号359)(WT-1 239~247;Q240L)が含まれる。
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するWT-1ペプチドは、HLA-A*0201に限定されたエピトープを提示する。HLA-A*0201に限定されたエピトープを提示するWT-1ペプチドには、例えば、VLDFAPPGA(配列番号396)(WT-1 37~45);RMFPNAPYL(配列番号397)(WT-1 126~134);YMFPNAPYL(配列番号398)(WT-1 126~134;R126Y);SLGEQQYSV(配列番号399)(WT-1 187~195);及びNLMNLGATL(配列番号359)(WT-1 239~247;Q240L)が含まれる。
(c)ヒトパピローマウイルスI(HPV)
T細胞-MP-エピトープコンジュゲート及びそれらの高次複合体(例えば、二重体)は、子宮頸癌、前立腺癌、または卵巣癌に関連しているヒトパピローマウイルス(HPV)のエピトープを提示するペプチドを含み得る。HPVエピトープは、クラスI MHC提示配列との関連で提示され得る。HPVエピトープは、HLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*1101、HLA-A*2301、HLA-A*2402、HLA-A*2407、HLA-A*3303、またはHLA-A*3401と少なくとも95%のaa配列同一性;b)HLA-B*0702、HLA-B*0801、HLA-B*1502、HLA-B*3802、HLA-B*4001、HLA-B*4601、またはHLA-B*5301と少なくとも95%(例えば、少なくとも97%、98%、または99%)のaa配列同一性を有するaa配列;またはc)図3A~3Gに示されるHLA-C*0102、HLA-C*0303、HLA-C*0304、HLA-C*0401、HLA-C*0602、HLA-C*0701、HLA-C*0702、HLA-C*0801、またはHLA-C*1502と少なくとも95%のaa配列同一性を有するaa配列を有するクラスI MHC提示複合体との関連で提示され得る。HPVはまた、感染性物質であり、そのエピトープは、感染症の予防または処置のためにHPVに対する免疫反応を変化させるために用いられ得る。
HPVペプチドエピトープには、E6及びE7遺伝子産物:E6 18-26(KLPQLCTEL;配列番号274);E6 26~34(LQTTIHDII;配列番号404);E6 49~57(VYDFAFRDL;配列番号405);E6 52~60(FAFRDLCIV;配列番号406);E6 75~83(KFYSKISEY;配列番号407);E6 80~88(ISEYRHYCY;配列番号408);E7 7~15(TLHEYMLDL;配列番号409);E7 11~19(YMLDLQPET;配列番号276);E7 44~52(QAEPDRAHY;配列番号410);E7 49~57(RAHYNIVTF(配列番号411);E7 61~69(CDSTLRLCV;配列番号412);E7 67~76(LCVQSTHVDI;配列番号413);E7 82~90(LLMGTLGIV;配列番号414);E7 86~93(TLGIVCPI;配列番号277);またはE7 92~93(LLMGTLGIVCPI;配列番号415)からのものが含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの場合では、エピトープは、HPV16E7/82~90(LLMGTLGIV;配列番号414)である。いくつかの場合では、エピトープは、HPV16E7/86~93(TLGIVCPI;配列番号277)である。いくつかの場合では、エピトープは、HPV16E7/11~20(YMLDLQPETT;配列番号416)である。いくつかの場合では、エピトープは、HPV16E7/11~19(YMLDLQPET;配列番号276)である。追加の好適なHPVエピトープについては、例えば、Ressing et al.((1995)J.Immunol.154:5934)を参照されたい。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに含めるのに好適なHPVペプチドには、HLA-A24に結合するHPV E6ペプチドが含まれる(例えば、HLA-A2401に限定されたエピトープである)。そのようなペプチドの非限定的な例には、VYDFAFRDL(配列番号405);CYSLYGTTL(配列番号417);EYRHYCYSL(配列番号418);KLPQLCTEL(配列番号274);DPQERPRKL(配列番号419);HYCYSLYGT(配列番号420);DFAFRDLCI(配列番号421);LYGTTLEQQY(配列番号422);HYCYSLYGTT(配列番号423);EVYDFAFRDL(配列番号424);EYRHYCYSLY(配列番号425);VYDFAFRDLC(配列番号426);YCYSIYGTTL(配列番号427);VYCKTVLEL(配列番号428);VYGDTLEKL(配列番号429);及びLTNTGLYNLL(配列番号430)が含まれる。
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに含めるのに好適なHPVペプチドは、DLQPETTDL(配列番号431);TLHEYMLDL(配列番号409);TPTLHEYML(配列番号432);RAHYNIVTF(配列番号411);GTLGIVCPI(配列番号433);EPDRAHYNI(配列番号434);QLFLNTLSF(配列番号435);FQQLFLNTL(配列番号279);及びAFQQLFLNTL(配列番号436)からなる群から選択される。
いくつかの場合では、好適なHPVペプチドは、HLA-A*2401に限定されたエピトープを提示する。HLA-A*2401に限定されたエピトープを提示するHPVペプチドの非限定的な例は、VYDFAFRDL(配列番号405);RAHYNIVTF(配列番号411);CDSTLRLCV(配列番号412);及びLCVQSTHVDI(配列番号413)である。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPに含めるのに好適なHPVペプチドは、VYDFAFRDL(配列番号405)である。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに含めるのに好適なHPVペプチドは、RAHYNIVTF(配列番号411)である。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPに含めるのに好適なHPVペプチドは、CDSTLRLCV(配列番号412)である。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MPに含めるのに好適なHPVペプチドは、LCVQSTHVDI(配列番号413)である。
(d)B型肝炎ウイルス(HBV)
T細胞-MP-エピトープコンジュゲート及びそれらの高次複合体(例えば、二重体)は、肝細胞癌に関連しているB型肝炎ウイルス(HBV)のエピトープを提示するペプチドを含み得る。HBVエピトープは、クラスI MHC提示複合体との関連で提示され得る。クラスI MHCは、a)HLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*1101、HLA-A*2301、HLA-A*2402、HLA-A*2407、HLA-A*3303、またはHLA-A*3401と少なくとも95%の配列同一性を有するaa配列;b)HLA-B*0702、HLA-B*0801、HLA-B*1502、HLA-B*3802、HLA-B*4001、HLA-B*4601、またはHLA-B*5301と少なくとも95%のaa配列同一性を有するaa配列;またはc)図3A~3Gに示されるHLA-C*0102、HLA-C*0303、HLA-C*0304、HLA-C*0401、HLA-C*0602、HLA-C*0701、HLA-C*0702、HLA-C*0801、またはHLA-C*1502と少なくとも95%のaa配列同一性を有するaa配列であり得る。HBVはまた、感染性物質であり、そのエピトープは、感染症の予防または処置のためにHBVに対する免疫反応を変化させるために用いられ得る。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに含めるのに好適なHBVペプチドには、FLPSDFFPSV(配列番号437)、GLSRYVARLG(配列番号438)、KLHLYSHPI(配列番号439)、FLLSLGIHL(配列番号440)、ALMPLYACI(配列番号441)、SLYADSPSV(配列番号442)、STLPETTVV(配列番号443)、LIMPARFYPK(配列番号444)、AIMPARFYPK(配列番号445)、YVNVNMGLK(配列番号446)、MQWNSTALHQALQDP(配列番号447)、LLDPRVRGL(配列番号448)、SILSKTGDPV(配列番号449)、VLQAGFFLL(配列番号450)、FLLTRILTI(配列番号451)、FLGGTPVCL(配列番号452)、LLCLIFLLV(配列番号453)、LVLLDYQGML(配列番号454)、LLDYQGMLPV(配列番号455)、IPIPSSWAF(配列番号456)、WLSLLVPFV(配列番号457)、GLSPTVWLSV(配列番号458)、SIVSPFIPLL(配列番号459)、ILSPFLPLL(配列番号460)、ATVELLSFLPSDFFPSV(配列番号461)、LPSDFFPSV(配列番号462)、CLTFGRETV(配列番号463)、VLEYLVSFGV(配列番号464)、EYLVSFGVW(配列番号465)、ILSTLPETTV(配列番号466)、STLPETTVVRR(配列番号467)、NVSIPWTHK(配列番号468)、KVGNFTGLY(配列番号469)、GLYSSTVPV(配列番号470)、TLWKAGILYK(配列番号471)、TPARVTGGVF(配列番号472)、LVVDFSQFSR(配列番号473)、GLSRYVARL(配列番号474)、SIACSVVRR(配列番号475)、YMDDVVLGA(配列番号476)、PLGFFPDH(配列番号477)、QAFTFSPTYK(配列番号478)、KYTSFPWLL(配列番号479)、ILRGTSFVYV(配列番号480)、HLSLRGLFV(配列番号481)、VLHKRTLGL(配列番号482)、GLSAMSTTDL(配列番号483)、CLFKDWEEL(配列番号484)、及びVLGGCRHKL(配列番号485)が含まれるがこれらに限定されない。
(ii)感染性物質
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)T細胞-MPに含まれ得る感染性物質からの好適なエピトープには、感染性ウイルス、細菌、真菌、原生動物、または寄生蠕虫疾患を引き起こす物質に存在するエピトープ、例えば、ウイルスがコードするポリペプチドによって提示されるエピトープが含まれるがこれらに限定されない。
ウイルス感染病物質の例には、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、アルファウイルス(トガウイルス)、東部ウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ脳脊髄炎ワクチン株TC-83、西部ウマ脳脊髄炎ウイルス、アレナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(非神経向性株)、タカリベウイルス複合体、ブニヤウイルス、ブニヤムウェラウイルス、リフトバレー熱ウイルスワクチン株MP-12、チクングンヤウイルス、カルシウイルス、コロナウイルス、ウシポックスウイルス、フラビウイルス(トガウイルス)-群Bアルボウイルス、デングウイルス血清型1、2、3、及び4、黄熱病ウイルスワクチン株17D、A、B、C、D、及びE型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、単純ヘルペス1及び2型、帯状疱疹、ヒトヘルペスウイルス6及び7型、C型肝炎ウイルス(HVC)、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザウイルスA、B、及びC型、パポバウイルス、ニューカッスル病ウイルス、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、パラインフルエンザウイルス1、2、3、及び4型、ポリオーマウイルス(JCウイルス、BKウイルス)、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトパルボウイルス(B19)、コクサッキーウイルスA及びB型、エコーウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、小痘瘡(天然痘マイナーウイルス)、天然痘(天然痘メジャーウイルス)、ホワイトポックスレオウイルス、コルチウイルス、ヒトロタウイルス、及びオルビウイルス(コロラドダニ熱ウイルス)、狂犬病ウイルス、水胞性口炎ウイルス、ルビウイルス(風疹)、セムリキフォレストウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス、アレナウイルス(南米出血熱ウイルスとしても知られている)、フレキサール(Flexal)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCM)(神経向性株)、ハンターンウイルスを含むハンタウイルス、リフトバレー熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、サル痘ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1及び2型、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス(HTLV)1及び2型、サル免疫不全ウイルス(SIV)、水胞性口炎ウイルス、グアナリトウイルス、ラッサ熱ウイルス、フニンウイルス、マチュポウイルス、サビア、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、中欧ダニ媒介性脳炎、極東ダニ媒介性脳炎、ハンザロバ、ヒプル(Hypr)、クムリンゲ、キャサヌールフォレスト病、オムスク出血熱、及びロシア春夏脳炎ウイルスを含むダニ媒介性脳炎ウイルス複合体(フラビ)、サルヘルペスウイルス(ヘルペスBまたはサルBウイルス)、セルコピテシンヘルペスウイルス1(ヘルペスBウイルス)、ウマモルビリウイルス(ヘンドラ及びヘンドラ様ウイルス)、ニパウイルス、天然痘メジャーウイルス(スモールポックスウイルス)、天然痘マイナーウイルス(小痘瘡)、アフリカ豚熱ウイルス、アフリカウマ病ウイルス、アカバネウイルス、トリインフルエンザウイルス(高病原性)、ブルータングウイルス、ラクダポックスウイルス、古典的ブタ熱ウイルス、Cowdria ruminantium(心水病)、口蹄疫ウイルス、ヤギポックスウイルス、日本脳炎ウイルス、ランピースキン病ウイルス、悪性カタル熱ウイルス、メナングルウイルス、ニューカッスル病ウイルス(VVND)、水胞性口炎ウイルス(外来)、及びジカウイルスが含まれる。そのようなウイルスによってコードされる抗原は、当該技術分野で知られている;本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートにおいて使用するのに好適なペプチドエピトープには、任意の既知のウイルス抗原からのペプチドが含まれ得る。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートが、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを既定の標的細胞または組織(例えば、がん性細胞または組織)に仕向ける標的化配列(例えば、がん関連ポリペプチドに対して仕向けられた標的化配列)を含む実施形態では、エピトープは、有利には、例えば、外来物質、例えば、ウイルスまたは細菌に対する曝露、またはワクチン接種に起因する患者に既に存在するT細胞に結合するものである。例えば、エピトープは、ヒト集団の大部分に感染するウイルス、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ヒトパピローマウイルス、アデノウイルス等、またはヒト集団の大部分がワクチン接種を介して免疫を有するウイルス、例えば、破傷風、または患者が特に、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートでの処置の前に、例えば、CMV、破傷風またはHPVワクチンでワクチン接種されたウイルスによってコードされるウイルス抗原に存在するエピトープであり得る。結果は、患者に存在するT細胞が、エピトープを提示する細胞に対する作用から、標的化配列によって認識される標的細胞または組織に対する作用まで有効に再指向されることである。例えば、図18を参照されたい。
(a)CMVペプチドエピトープ
上記のように、いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、CMVペプチドエピトープ、すなわち、MHC/ペプチド複合体(例えば、HLA/ペプチド複合体)において、CMVエピトープ(すなわち、CMV抗原に存在するエピトープ)をT細胞に提示するペプチドを含む。本開示の他のペプチドエピトープと同様に、CMVペプチドエピトープは、少なくとも4アミノ酸、例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸(例えば、4アミノ酸(aa)、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、または25aa(長さが4~20aa、6~18aa、8~15aa、8~12aa、5~10aa、10~15aa、15~20aa、10~20aa、または15~25aaの範囲内を含む))の長さを有する。
所与のCMVエピトープ特異的T細胞は、所与のCMVエピトープの参照アミノ酸配列を有するエピトープに結合するが、参照アミノ酸配列とは異なるエピトープには実質的に結合しない。例えば、所与のCMVエピトープ特異的T細胞は、参照アミノ酸配列を有するCMVエピトープに結合し、参照アミノ酸配列とは異なるエピトープに、仮にあったとしても、10-6M未満、10-5M未満、または10-4M未満の親和性で結合する。所与のCMVエピトープ特異的T細胞は、少なくとも10-7M、少なくとも10-8M、少なくとも10-9M、または少なくとも10-10Mの親和性で特異的であるエピトープに結合し得る。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するCMVペプチドエピトープは、CMV pp65からのペプチドである。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するCMVペプチドエピトープは、CMV gB(糖タンパク質B)からのペプチドである。
例えば、いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するCMVペプチドエピトープは、少なくとも4アミノ酸、例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸(例えば、4アミノ酸(aa)、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、または25aa(長さが4~20aa、6~18aa、8~15aa、8~12aa、5~10aa、10~15aa、15~20aa、10~20aa、または15~25aaの範囲を含む))の長さを有し、かつ以下のCMV pp65アミノ酸配列:
MESRGRRCPE MISVLGPISG HVLKAVFSRG DTPVLPHETR LLQTGIHVRV SQPSLILVSQ YTPDSTPCHR GDNQLQVQHT YFTGSEVENV SVNVHNPTGR SICPSQEPMS IYVYALPLKM LNIPSINVHH YPSAAERKHR HLPVADAVIH ASGKQMWQAR LTVSGLAWTR QQNQWKEPDV YYTSAFVFPT KDVALRHVVC AHELVCSMEN TRATKMQVIG DQYVKVYLES FCEDVPSGKL FMHVTLGSDV EEDLTMTRNP QPFMRPHERN GFTVLCPKNM IIKPGKISHI MLDVAFTSHE HFGLLCPKSI PGLSISGNLL MNGQQIFLEV QAIRETVELR QYDPVAALFF FDIDLLLQRG PQYSEHPTFT SQYRIQGKLE YRHTWDRHDE GAAQGDDDVW TSGSDSDEEL VTTERKTPRV TGGGAMAGAS TSAGRKRKSA SSATACTSGV MTRGRLKAES TVAPEEDTDE DSDNEIHNPA VFTWPPWQAG ILARNLVPMV ATVQGQNLKY QEFFWDANDI YRIFAELEGV WQPAAQPKRR RHRQDALPGP CIASTPKKHR G(配列番号486)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCMVポリペプチドのペプチドである。
1つの非限定的な例として、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するCMVペプチドエピトープは、アミノ酸配列NLVPMVATV(配列番号487)を有し、9アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するCMVペプチドエピトープは、以下のCMV gBアミノ酸配列:
MESRIWCLVVCVNLCIVCLGAAVSSSSTSHATSSTHNGSHTSRTTSAQTRSVYSQHVTSSEAVSHRANETIYNTTLKYGDVVGVNTTKYPYRVCSMAQGTDLIRFERNIICTSMKPINEDLDEGIMVVYKRNIVAHTFKVRVYQKVLTFRRSYAYIYTTYLLGSNTEYVAPPMWEIHHINKFAQCYSSYSRVIGGTVFVAYHRDSYENKTMQLIPDDYSNTHSTRYVTVKDQWHSRGSTWLYRETCNLNCMLTITTARSKYPYHFFATSTGDVVYISPFYNGTNRNASYFGENADKFFIFPNYTIVSDFGRPNAAPETHRLVAFLERADSVISWDIQDEKNVTCQLTFWEASERTIRSEAEDSYHFSSAKMTATFLSKKQEVNMSDSALDCVRDEAINKLQQIFNTSYNQTYEKYGNVSVFETSGGLVVFWQGIKQKSLVELERLANRSSLNITHRTRRSTSDNNTTHLSSMESVHNLVYAQLQFTYDTLRGYINRALAQIAEAWCVDQRRTLEVFKELSKINPSAILSAIYNKPIAARFMGDVLGLASCVTINQTSVKVLRDMNVKESPGRCYSRPVVIFNFANSSYVQYGQLGEDNEILLGNHRTEECQLPSLKIFIAGNSAYEYVDYLFKRMIDLSSISTVDSMIALDIDPLENTDFRVLELYSQKELRSSNVFDLEEIMREFNSYKQRVKYVEDKVVDPLPPYLKGLDDLMSGLGAAGKAVGVAIGAVGGAVASVVEGVATFLKNPFGAFTIILVAIAVVIITYLIYTRQRRLCTQPLQNLFPYLVSADGTTVTSGSTKDTSLQAPPSYEESVYNSGRKGPGPPSSDASTAAPPYTNEQAYQMLLALARLDAEQRAQQNGTDSLDGQTGTQDKGQKPNLLDRLRHRKNGYRHLKDSDEEENV(配列番号488)と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCMVポリペプチドの少なくとも4アミノ酸、例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸(例えば、4アミノ酸(aa)、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、または25aa(長さが4~20aa、6~18aa、8~15aa、8~12aa、5~10aa、10~15aa、15~20aa、10~20aa、または15~25aaの範囲を含む))の長さを有するペプチドである。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するCMVエピトープは、HLA-A、-B、-C、-E、-F、または-Gアレルに特異的なエピトープを提示する。いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するペプチドエピトープは、HLA-A*0101、A*0201、A*0301、A*1101、A*2301、A*2402、A*2407、A*3303、及び/またはA*3401に限定されるエピトープを提示する。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するCMVエピトープは、HLA-B*0702、B*0801、B*1502、B*3802、B*4001、B*4601、及び/またはB*5301に限定されるエピトープを提示する。いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するCMVエピトープは、C*0102、C*0303、C*0304、C*0401、C*0602、C*0701、C*702、C*0801、及び/またはC*1502に限定されるエピトープを提示する。1つの例として、いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、a)アミノ酸配列NLVPMVATV(配列番号487)を有し、9アミノ酸の長さを有するCMVペプチドエピトープ;b)HLA-A*0201クラスI重鎖ポリペプチド;及びc)β2Mポリペプチドを含む。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、がん標的化ポリペプチド(CTP)として、がん細胞の表面上に存在するHer2ポリペプチドに特異的なscFvまたはナノボディを含み;エピトープとしてCMVペプチドエピトープを含む。いくつかの場合では、CMVペプチドは、CMV pp65ポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV gBポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、アミノ酸配列NLVPMVATV(配列番号487)を有し、9アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、CTPとして、がん細胞の表面上に存在するMUC1ポリペプチドに特異的なscFvまたはナノボディを含み;エピトープとしてCMVペプチドエピトープを含む。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV pp65ポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドは、CMV gBポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドは、アミノ酸配列NLVPMVATV(配列番号487)を有し、9アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、CTPとして、がん細胞の表面上に存在するWT1ポリペプチドに特異的なscFvまたはナノボディを含み;エピトープとしてCMVペプチドエピトープを含む。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV pp65ポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV gBポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、アミノ酸配列NLVPMVATV(配列番号487)を有し、9アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、CTPとして、がん細胞の表面上に存在するメソテリンポリペプチドに特異的なscFvまたはナノボディを含み;エピトープとしてCMVペプチドエピトープを含む。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV pp65ポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV gBポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、アミノ酸配列NLVPMVATV(配列番号487)を有し、9アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、CTPとして、がん細胞の表面上に存在するCD19ポリペプチドに特異的なscFvまたはナノボディを含み;エピトープとしてCMVペプチドエピトープを含む。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV pp65ポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV gBポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、アミノ酸配列NLVPMVATV(配列番号487)を有し、9アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、CTPとして、がん細胞の表面上に存在するBCMAポリペプチドに特異的なscFvまたはナノボディを含み;エピトープとしてCMVペプチドエピトープを含む。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV pp65ポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV gBポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、アミノ酸配列NLVPMVATV(配列番号487)を有し、9アミノ酸の長さを有する。
いくつかの場合では、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、CTPとして、がん細胞の表面上に存在するMUC16ポリペプチドに特異的なscFvまたはナノボディを含み;エピトープとしてCMVペプチドエピトープを含む。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV pp65ポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、CMV gBポリペプチドのペプチドである。いくつかの場合では、CMVペプチドエピトープは、アミノ酸配列NLVPMVATV(配列番号487)を有し、9アミノ酸の長さを有する。
9 ペイロード--薬物及び他のコンジュゲート
T細胞-MPのポリペプチド鎖は、化学的コンジュゲーション部位でポリペプチド鎖に連結された(例えば、共有結合した)治療剤(例えば、小分子薬物または治療剤)、標識(例えば、蛍光標識または放射性標識)、または他の生物学的活性剤等の結合したペイロードを含み得る。例えば、T細胞-MPがFcポリペプチドを含む場合、Fcポリペプチドは、がん、感染性疾患、または自己免疫疾患を処置する、またはそのような疾患の症状を軽減する薬剤である共有結合したペイロードを含み得る。
ペイロードは、本開示のT細胞-MPのポリペプチド鎖の一部である化学的コンジュゲーション部位に(例えば、Ig Fcポリペプチド等の骨格に)直接的にまたは間接的に連結され得る。直接連結は、aa側鎖に対する直接的な連結を伴い得る。間接連結は、2官能性架橋リンカー等の架橋リンカーを介して連結され得る。ペイロードは、架橋剤との反応によって形成されるチオエーテル結合、アミド結合、カルバメート結合、ジスルフィド結合、またはエーテル結合を含むがこれらに限定されない任意の許容可能な化学的連結によってT細胞-MPに連結され得る。
架橋剤(架橋物質)には、ペイロード及び/または標的化配列をT細胞-MPポリペプチドに連結させるために使用され得る切断可能な架橋剤及び切断可能ではない架橋剤が含まれる。架橋剤は、反応性NHS、マレイミド、ヨード酢酸、ブロモ酢酸及び/またはカルボキシル基を含み得る。いくつかの場合では、架橋リンカーは、プロテアーゼ切断性架橋リンカーである。好適な架橋剤には、例えば、ペプチド(例えば、長さが2~10;例えば、長さが2、3、4、5、6、7、8、9、または10aa)、アルキル鎖、ポリ(エチレングリコール)、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸に不安定な基、光に不安定な基、ペプチダーゼに不安定な基、及びエステラーゼに不安定な基が含まれ得る。好適な架橋剤の非限定的な例は、N-スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-テトラエチレングリコール]エステル(NHS-PEG4-マレイミド);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP);N-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミドカプロエート)(LC-SMCC);κ-マレイミドウンデカン酸N-スクシンイミジルエステル(KMUA);γ-マレイミド酪酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS);ε-マレイミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS);m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS);N-(α-マレイミドアセトキシ)-スクシンイミドエステル(AMAS);スクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH);N-スクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB);N-(p-マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI);N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP);N-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB);6-マレイミドカプロイル(MC);マレイミドプロパノイル(MP);p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB);N-スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC);N-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミドカプロエート)、SMCC(LC-SMCC)の「長鎖」アナログ;3-マレイミドプロパン酸N-スクシンイミジルエステル(BMPS);N-スクシンイミジルヨードアセテート(SIA);N-スクシンイミジルブロモアセテート(SBA);及びN-スクシンイミジル3-(ブロモアセタミド)プロピオネート(SBAP)である。
T細胞-MP-ペイロードコンジュゲートは、1~10個の反応性基を導入するためにT細胞-MPポリペプチド(例えば、T細胞-MPのIg Fcポリペプチド)と架橋試薬との反応によって形成され得る。ポリペプチドは次いで、T細胞-MP-ペイロードコンジュゲートを生成するために、コンジュゲートされる分子(例えば、チオール含有ペイロード薬物、標識または薬剤)と反応させられる。例えば、本開示のT細胞-MPがIg Fcポリペプチドを含む場合、コンジュゲートは、(A)-(L)-(C)のものであり得、(A)は、Ig Fcポリペプチドを含むポリペプチド鎖であり;(L)は、存在する場合、架橋リンカーであり;(C)は、ペイロードである。(L)は、存在する場合、(A)を(C)に連結させる。いくつかの場合では、T細胞-MPには、1つ以上(例えば、2、3、4、5、または5超)の分子のペイロードを含むIg Fcポリペプチド配列が含まれる。過剰の架橋剤を使用してT細胞-MPにペイロードを導入することは、複数の分子のペイロードがT細胞-MPに導入されることをもたらし得る。
好適なペイロード(例えば、薬物)には、米国食品医薬品局によって承認された及び/または2020米国薬局方または国内医薬品集(National Formulary)に列挙された事実上任意の小分子(例えば、分子量が2,000ダルトン未満)が含まれる。実施形態では、それらの薬物は、1,000未満の分子量である。好適な薬物には、抗生物質、化学療法剤(抗新生物剤)、抗真菌剤、または抗寄生蠕虫剤等(例えば、スルファサラジン、アザチオプリン、シクロホスファミド、レフルノミド;メトトレキサート、抗マラリア剤、D-ペニシラミン、シクロスポリン)が含まれる。好適な化学療法剤は、アルキル化剤、細胞骨格破壊剤(タキサン)、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログ、ペプチド抗新生物性抗生物質(例えば、ブレオマイシンまたはアクチノマイシン)、白金系剤、レチノイド、またはビンカアルカロイドであり得る。好適な薬物にはまた、非ステロイド性抗炎症薬及びグルココルチコイド等が含まれる。好適な化学療法剤にはまた、アルキル化剤、細胞骨格破壊剤(タキサン)、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログ、ペプチド抗新生物性抗生物質(例えば、ブレオマイシンまたはアクチノマイシン)、白金系剤、レチノイド、またはビンカアルカロイドが含まれる。
実施形態では、ペイロードは、生物学的活性剤または薬物、診断剤または標識、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ、核酸または合成核酸(例えば、アンチセンス核酸、低分子干渉RNA、二本鎖(ds)DNA、一本鎖(ss)DNA、ssRNA、dsRNA)、毒素、リポソーム(例えば、5-フルオロデオキシウリジン等の化学療法剤を組み込む)、ナノ粒子(例えば、核酸または他の分子を保有する金または他の金属保有、脂質、核酸または他の分子を保有する粒子)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
実施形態では、ペイロードは、治療剤(例えば、薬物またはプロドラッグ)、化学療法剤、細胞傷害剤、抗生物質、抗ウイルス剤(例えば、レムデシビル)、細胞周期同期化剤、細胞表面受容体(複数可)に対するリガンド、免疫調節剤(例えば、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン)、アポトーシス促進剤、抗血管形成剤、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、タンパク質またはポリペプチド、抗体またはその抗原結合断片、酵素、プロ酵素、ホルモン及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される生物学的活性剤または薬物から選択される。
実施形態では、ペイロードは、光検出可能な標識(例えば、色素、蛍光標識、リン光性標識、及び発光標識)、造影剤(例えば、ヨウ素またはバリウムを含有する物質)、放射性標識、画像化剤、常磁性標識/画像化剤(ガドリニウムを含有する磁気共鳴画像化標識)、超音波標識及びそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される標識である。いくつかの実施形態では、ペイロードは、放射性同位体である、またはそれを含む標識である。放射性同位体または他の標識の例には、H、11C、14C、15N、35S、18F、32P、33P、64Cu、68Ga、89Zr、90Y、99Tc、123I、124I、125I、131I、111In、131In、153Sm、186Re、188Re、211At、212Bi、及び153Pbが含まれるがこれらに限定されない。
II.核酸
本開示は、T細胞-MPまたは複数のT細胞-MP(例えば、種間ヘテロ二量体を形成するT細胞-MPの対)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。ヘテロマー(例えば、ヘテロ二重体を形成する種間対)の個々のT細胞-MPは、別々の核酸でコードされ得る。代替的には、ヘテロマーT細胞-MP(例えば、種間対)のT細胞-MPはまた、単一の核酸にコードされ得る。そのような核酸には、T細胞-MPのMHC-H、β2Mまたは骨格ポリペプチド配列において、またはそれらのポリペプチド配列を接続させる任意のリンカー(例えば、L3リンカー)に提供される化学的コンジュゲーション部位(例えば、システイン残基)を有するT細胞-MPをコードするヌクレオチド配列を含むものが含まれる。
A.コンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする核酸
本開示は、高次複合体(例えば、二重体)を形成し得るコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。コンジュゲートされていないT細胞-MPをコードするヌクレオチド配列は、転写コントロール要素、例えば、プロモーター、例えば、真核細胞において機能的なプロモーターに機能可能に連結され得、プロモーターは、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであり得る。上記したように、いくつかの場合では、個々のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、ヘテロマー複合体(例えば、種間骨格対を含むヘテロ二重体T細胞-MP)を形成する。ヘテロマーのコンジュゲートされていないT細胞-MPは、単一のポリシストロン性核酸配列においてコードされ得る。代替的には、ヘテロマーT細胞-MPは、別々の転写コントロール要素によって誘導される発現を伴う別々のモノシストロン性核酸配列においてコードされ得る。別々のモノシストロン性配列が利用される場合、それらは、単一のベクターまたは別々のベクターに存在し得る。
本開示は、(例えば、N末端からC末端まで)(i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);(ii)1つ以上のMODポリペプチド配列をβ2Mポリペプチド配列に接続させる任意のL2リンカーポリペプチド配列;(iii)β2Mポリペプチド配列;(iv)任意のL3リンカーポリペプチド配列(例えば、長さが10~50aa);(v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列;(vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;(vii)骨格ポリペプチド配列(例えば、免疫グロブリンFc配列);(viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列)を含むコンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドであって、コンジュゲートされていないT細胞調節性ポリペプチドは、少なくとも1つのMODポリペプチド配列(例えば、要素(i)及び/または(ix)のMOD(複数可))を含み;β2Mポリペプチド配列、L3リンカーポリペプチド配列、及び/またはMHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位を含む、コンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドをコードする核酸配列を含み、提供する。
本開示は、NからC末端まで、(i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);(ii)任意のL2リンカーポリペプチド配列;(iii)β2Mポリペプチド配列;(iv)任意のL3リンカーポリペプチド配列(例えば、長さが10~50aa);(v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列;(vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;(vii)骨格ポリペプチド配列(例えば、免疫グロブリンFc配列);(viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列)を含むコンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドであって、コンジュゲートされていないT細胞調節性ポリペプチドは、少なくとも1つのMODポリペプチド配列(例えば、要素(i)及び/または(ix)のMOD(複数可))を含み;β2Mポリペプチド配列、L3リンカーポリペプチド配列、及び/またはMHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位を含む、コンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドをコードする核酸配列を含み、提供する。
本開示は、NからC末端まで、(i)1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);(ii)任意のL2リンカーポリペプチド配列;(iii)β2Mポリペプチド配列;(iv)任意のL3リンカーポリペプチド配列(例えば、長さが10~50aa);(v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列;(vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;(vii)骨格ポリペプチド配列(例えば、免疫グロブリンFc配列);(viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列)を含むコンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドであって、コンジュゲートされていないT細胞調節性ポリペプチドは、少なくとも1つのMODポリペプチド配列(例えば、要素(i)及び/または(ix)のMOD(複数可))を含み;β2Mポリペプチド配列、L3リンカーポリペプチド配列、及び/またはMHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位を含む、コンジュゲートされていないT細胞-MPポリペプチドをコードする核酸配列を含み、提供する。
好適なMHC-H、β2-ミクログロブリン(β2M)ポリペプチド、及び骨格ポリペプチドは、上述されている。MHC-Hポリペプチドは、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、またはHLA-G重鎖であり得る。いくつかの場合では、MHC-Hポリペプチドは、図3A~3Hのいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも85%のaa配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。そのような実施形態では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、膜貫通固定化ドメイン及び細胞内ドメインを含まない場合がある(例えば、図3DにおけるMHC-Hポリペプチドを参照されたい)。いくつかの場合では、第1のMHCポリペプチドは、β2-ミクログロブリン(β2M)ポリペプチドを含み;第2のMHCポリペプチドは、MHCクラスI重鎖ポリペプチドを含む。いくつかの場合では、β2Mポリペプチドは、図4に示されるβ2Mアミノ酸配列と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約90%、95%、98%、99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
B.組換え発現ベクター
本開示は、本開示のT細胞-MPをコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを提供する。いくつかの場合では、組換え発現ベクターは、非ウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、組換え発現ベクターは、ウイルスコンストラクト、例えば、組換えアデノ随伴ウイルスコンストラクト(例えば、米国特許第7,078,387号を参照されたい)、組換えアデノウイルスコンストラクト、組換えレンチウイルスコンストラクト、組換えレトロウイルスコンストラクト、非組み込みウイルスベクター等である。
好適な発現ベクターには、ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549,1994;Borras et al.,Gene Ther 6:515 524,1999;Li and Davidson,PNAS 92:7700 7704,1995;Sakamoto et al.,H Gene Ther 5:1088 1097,1999;WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984及びWO95/00655を参照されたい);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al.,Hum Gene Ther 9:81 86,1998,Flannery et al.,PNAS 94:6916 6921,1997;Bennett et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863,1997;Jomary et al.,Gene Ther 4:683 690,1997,Rolling et al.,Hum Gene Ther 10:641 648,1999;Ali et al.,Hum Mol Genet 5:591 594,1996;Srivastava in WO93/09239,Samulski et al.,J.Vir.(1989)63:3822-3828;Mendelson et al.,Virol.(1988)166:154-165;及びFlotte et al.,PNAS(1993)90:10613-10617);SV40;単純ヘルペスウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al.,PNAS 94:10319 23,1997;Takahashi et al.,J Virol 73:7812 7816,1999を参照されたい)をベースとするウイルスベクター;レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、及びレトロウイルス、例えば、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、及び乳房腫瘍ウイルスに由来するベクター)等が含まれるがこれらに限定されない。
多数の好適な発現ベクターが当業者に知られており、多くが市販されている。以下のベクターは、真核宿主細胞のための例として提供される:pXT1、pSG5(Stratagene(登録商標))、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVLSV40(Pharmacia)。しかしながら、宿主細胞と適合性である限り、任意の他のベクターが使用され得る。
利用される宿主/ベクターシステムに応じて、構成的及び誘導性プロモーター、転写エンハンサー要素、転写ターミネーター等を含む多数の好適な転写及び翻訳コントロール要素のいずれが発現ベクターにおいて使用され得る(例えば、Bitter et al.(1987),Methods in Enzymology,153:516-544を参照されたい)。
好適な真核生物プロモーター(真核細胞において機能的なプロモーター)の非限定的な例には、サイトメガロウイルス(CMV)最初期、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウイルスからの長い末端反復(LTR)、及びマウスメタロチオネイン-Iからのものが含まれる。適切なベクター及びプロモーターの選択は、当該技術分野の通常の知識のレベルの範囲内である。発現ベクターはまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位及び転写ターミネーターを含有し得る。発現ベクターにはまた、発現を増幅させるための適切な配列が含まれ得る。
III.T細胞-MPを生成及び選択する方法
本開示は、Co-MODに対する対応するwt.MODポリペプチド配列の親和性と比較して、Co-MODに対するより低い親和性を示す1つ以上のwt.MODポリペプチド配列及び/または1つ以上のバリアントMODポリペプチド配列を含み得る、二重体及び他の高次凝集体のものを含むT細胞-MP(コンジュゲートされていないT細胞-MP及び/またはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの両方)を得る方法であって、方法は、
A)コンジュゲートされていないT細胞-MPまたはヘテロマー(例えば、コンジュゲートされていないT細胞-MPのヘテロ二量体二重体)を構成するコンジュゲートされていないT細胞-MPの各々をコードする1つ以上の核酸を細胞または無細胞システムに導入することによってT細胞-MP(または高次複合体、例えば、二重体)を生成すること;
を含み、T細胞-MPは、1つ以上の発生段階の化学的コンジュゲーション部位を含み、発生段階の化学的コンジュゲーション部位は、化学的コンジュゲーション部位を有するコンジュゲートされていないT細胞-MPを生成するように活性化され得る(例えば、T細胞-MP核酸を翻訳する細胞がホルミルグリシン生成酵素を発現しない場合、スルファターゼモチーフをFGEと反応させてCys残基をfGly残基に変換する)、方法を提供する。
T細胞-MPを生成する上記の方法は、組換え発現ベクターに存在し得る及び/または転写コントロール要素、例えば、真核細胞において機能的であるものに機能可能に連結され得る、本開示に具体的に記載されるものを含む、コンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする1つ以上の核酸を提供することをさらに含み得る。方法は、この時点で停止され得、未精製のコンジュゲートされていないT細胞-MP(例えば、コンジュゲートされていない二重体T細胞-MP)(細胞ライセート及び未精製培地を含む)が得られ得る。代替的には、コンジュゲートされていないT細胞-MPは、精製によって得られ得るサンプルに存在するタンパク質の総重量を基準として、粗製(60重量%未満)、最初に純化された(少なくとも60重量%)、部分的に純化された(少なくとも80重量%)、実質的に純化された(少なくとも95重量%)、部分的に純粋なまたは部分的に精製された(少なくとも98重量%)、実質的に純粋なまたは実質的に精製された(少なくとも99重量%)、本質的に純粋なまたは本質的に精製された(少なくとも99.5重量%)または精製された(少なくとも99.8%)または高度に精製された(少なくとも99.9重量%)コンジュゲートされていないT細胞-MPを生成するように、例えば、塩析出(例えば、硫酸アンモニウム)、アフィニティークロマトグラフィー、及び/またはサイズ排除クロマトグラフィーのうちの1つ以上を使用して精製され得る。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートが所望である場合、方法は、粗製調製物から高度に精製された調製物までのいずれかでT細胞-MPを工程Bのようにエピトープ提示分子と反応させることによって行われ得る:
B)工程AのコンジュゲートされていないT細胞-MPに存在する化学的コンジュゲーション部位とのコンジュゲーションに好適なエピトープ(例えば、エピトープ提示ペプチド)(例えば、スルファターゼモチーフのホルミルグリシンとの反応のためのヒドラジニルもしくはヒドラジニルインドール修飾ペプチドまたはシステイン残基との反応のためのマレイミド含有ペプチド)を提供し、エピトープをT細胞-MPと(例えば、好適な反応条件下で)接触させてT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを生成すること。
反応に投入されるコンジュゲートされていない物質がどのくらい精製される必要があるかの選択は、コンジュゲーション反応及び条件、副反応の潜在性、ならびに最終エピトープコンジュゲートが精製される必要がある程度を含む多数の要因に依存する。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲート(例えば、二重体または高次複合体として)は、サンプルに存在するタンパク質の総重量を基準として、少なくとも部分的に純化された(サンプルに存在するタンパク質の少なくとも80重量%)、実質的に純化された(少なくとも95重量%)、部分的に純粋なまたは部分的に精製された(少なくとも98重量%)、実質的に純粋なまたは実質的に精製された(少なくとも99重量%)、本質的に純粋なまたは本質的に精製された(少なくとも99.5重量%)、精製された(少なくとも99.8%)、または高度に精製された(少なくとも99.9重量%)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートとなるように、例えば、塩析出、サイズ分離、及び/またはアフィニティークロマトグラフィーによって精製され得る。
T細胞-MPまたは高次複合体がペイロードを含有することが所望である場合、ペイロードは、コンジュゲートされていないT細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートと反応させられ得る。異なるコンジュゲーション部位についてのエピトープ及びペイロードの選択性は、直交化学及び/またはコンジュゲーション反応における化学量論のコントロールの使用を介してコントロールされ得る。実施形態では、リンカー(例えば、ポリペプチドまたは他の2官能性化学的リンカー)が、エピトープ及び/またはペイロードをそれらのコンジュゲーション部位に結合させるために使用され得る。ペイロードは、例えば、メイタンシノイド、ベンゾジアゼピン、タキソイド、CC-1065、デュオカルマイシン、デュオカルマイシンアナログ、カリケアミシン、ドラスタチン、ドラスタチンアナログ、アウリスタチン、トマイマイシン、及びレプトマイシン、または前述のいずれか1つのプロドラッグから選択される細胞傷害剤であり得る。ペイロードは、レチノイドであり得る。可能な場合、エピトープのコンジュゲーション及びペイロードの結合から存在する試薬及び他の物質を除去する単一精製スキームが、タンパク質の損失を最小化するために用いられる。
多様な細胞及び無細胞システムが、コンジュゲートされていないT細胞-MPの調製のために使用され得る。「遺伝子修飾された宿主細胞」という名前のセクションにおいて論述されるように、細胞は、真核生物起源、より具体的には哺乳動物、霊長類またはさらにヒト起源のものであり得る。
本開示は、Co-MODに対する対応する親wt.MODの親和性と比較してCo-MODに対する減少した親和性を示す1つ以上のwt.MOD及び/またはバリアントMODを含むコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲート(またはそれらの高次複合体、例えば、二重体)を得る方法を提供する。減少した親和性を有するバリアントMODが所望である場合、方法は、バリアントMODポリペプチド(例えば、少なくとも1つの挿入、欠失または置換を有する)のライブラリを調製すること及び(例えば、上述したBLIによって)それらのCo-MODに対する減少した親和性を示す複数のメンバーをMODポリペプチドのライブラリから選択することを含み得る。バリアントMODが選択されると、バリアントMODを含むコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする核酸が調製及び発現される。コンジュゲートされていないT細胞-MPが発現した後、それは精製され、所望の場合、エピトープにコンジュゲートされて、選択されたT細胞-MP-エピトープコンジュゲートが生成され得る。プロセスは、コンジュゲートされていないT細胞-MPまたはそれらのエピトープコンジュゲートのライブラリを調製するために繰り返され得る。
本開示は、T細胞に対する選択的結合を示すT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体、例えば、二重体)を得る方法であって、方法は、
A)複数のメンバーを含むT細胞-MP-エピトープコンジュゲート(またはそれらの高次複合体)のライブラリを生成することであって、各メンバーは、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート上に異なるバリアントMODを含み、バリアントMODは、アミノ酸配列がその親wt.MODとは異なり(例えば、1aa~10aa)、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートライブラリメンバーは、エピトープタグまたは蛍光標識をさらに含む、生成すること、及び
B)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートライブラリメンバーを、標的T細胞であって、その表面上にi)親wt.MODに結合するCo-MOD;及びii)エピトープに結合するTCRを発現する、標的T細胞と接触させること;
C)i)親wt.MODに結合するCo-MOD;及びii)T細胞-MPライブラリメンバーに存在するエピトープ以外のエピトープに結合するTCRを含む対照T細胞と同じ条件下でのその結合と比べて、標的T細胞に選択的に結合するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートライブラリメンバーを選択すること(例えば、上述したBLI等によって対照T細胞よりも高い標的T細胞に対するアビディティまたは親和性を有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを選択すること)
を含む、方法を提供する。標的T細胞に選択的に結合するものとして同定されたT細胞-MP-エピトープコンジュゲートライブラリメンバーは、ライブラリから単離され得る。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートがエピトープタグまたは標識を含む場合、標的T細胞に選択的なT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを同定することは、例えば、フローサイトメトリーを使用することによって、標的及び対照T細胞に関連するエピトープタグまたは標識を検出することを含み得る。標識されたT細胞-MP(例えば、蛍光標識されているもの)は、検出されるのに修飾を必要としないが、エピトープタグ化分子は、エピトープタグを可視化する薬剤(例えば、エピトープタグに結合する蛍光剤)と接触させることを必要とし得る。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの親和性/アビディティは、所定範囲の濃度にわたって(例えば、フローサイトメトリーを使用して平均蛍光強度を測定することによって)標的及び対照T細胞に関連する薬剤または標識を測定することによって決定され得る。対照T細胞と比べて標的T細胞に対する最も高い親和性またはアビディティで結合するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、標的T細胞に選択的に結合すると理解される。
T細胞-MPを得る方法及びT細胞に対する選択的結合を示すT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを得る方法において利用されるwt.及びバリアントMOD及びCo-MOD対を含むMOD及びCo-MOD対は、IL-2及びIL-2受容体;4-1BBL及び4-1BB;PD-L1及びPD-1;FasL及びFas;TGF-β及びTGF-β受容体;CD80及びCD28;CD86及びCD28;OX40L及びOX40;ICOS-L及びICOS;ICAM及びLFA-1;JAG1及びNotch;JAG1及びCD46;CD70及びCD27;CD80及びCTLA4;ならびにCD86及びCTLA4から選択され得る。代替的には、それらは、IL-2及びIL-2受容体;4-1BBL及び4-1BB;PD-L1及びPD-1;FasL及びFas;CD80及びCD28;CD86及びCD28;CD80及びCTLA4;ならびにCD86及びCTLA4から選択され得る。いくつかの場合では、独立して選択されるT細胞-MPに存在するバリアントMODは、対応する親wt.MODと比較して1~20aaの独立して選択される配列バリエーション(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20aaの置換、欠失、または挿入)を含む。
T細胞-MP(コンジュゲートされていないT細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲート)は、2つ以上のwt.及び/またはバリアントMODを含み得る。2つ以上のMODは、同じまたは異なるアミノ酸配列を含み得る。2つ以上のMODは、T細胞-MP-二重体の同じT細胞-MP上に(例えば、タンデムで)あり得る。2つ以上のMODの1つ目は、T細胞-MP二重体の第1のT細胞-MP上にあり得、2つのバリアントMODの2つ目は、二重体の第2のT細胞-MP上にあり得る。
IV.遺伝子修飾された宿主細胞
本開示は、遺伝子修飾された宿主細胞であって、宿主細胞は、本開示の核酸(例えば、プロモーターに機能可能に連結され得るコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする核酸)で遺伝子修飾されている、宿主細胞を提供する。そのような細胞がT細胞-MPを発現する場合、それらは、先行のセクションにおいて論述されるT細胞-MPを生成及び選択する方法において利用され得る。
好適な宿主細胞には、真核細胞、例えば、酵母細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞が含まれる。いくつかの場合では、宿主細胞は、哺乳動物細胞株の細胞である。好適な哺乳動物細胞株には、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株等が含まれる。好適な哺乳動物細胞株には、HeLa細胞(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)番号CCL-2(商標))、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL-9618(商標)、CCL-61(商標)、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573(商標))、Vero細胞、NIH3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL-10(商標))、PC12細胞(ATCC番号CRL-1721(商標))、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞等が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの場合では、宿主細胞は、内因性β2Mを合成しないように、及び/または内因性MHCクラスI重鎖(MHC-H)を合成しないように遺伝子修飾された哺乳動物細胞である。前述のものに加えて、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)活性を発現する宿主細胞は、スルファターゼモチーフを含むT細胞-MPと使用するために上で論述されており、そのような細胞は、有利には、内因性MHC β2M及びMHC-Hタンパク質の少なくとも1つ(両方ではない場合)を発現しないように修飾され得る。
V.組成物及び製剤
本開示は、薬学的組成物及び製剤を含む組成物及び製剤を提供する。組成物は、a)T細胞-MP及びb)賦形剤を含み得る。組成物または製剤に存在する賦形剤(複数可)が薬学的に許容可能な賦形剤である場合、組成物は、薬学的組成物または製剤であり得る。薬学的組成物または製剤はまた、無菌及び/または発熱物質非含有であり得る。いくつかの薬学的に許容可能な賦形剤が以下に提供される。本開示はまた、核酸または組換え発現ベクターを含む薬学的組成物を含む組成物及び製剤であって、核酸または発現核酸は、T細胞-MPまたはその高次複合体(例えば、ヘテロ二量体T細胞-MP二重体の1つのT細胞-MP)のすべてまたは一部をコードする、組成物及び製剤を提供する。
A.T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを含む組成物
本開示の組成物は、T細胞-MPに加えて、塩、例えば、NaCl、MgCl、CaCl、KCl、MgSO、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム塩等;緩衝剤、(例えば、トリス緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)等);可溶化剤;洗浄剤(界面活性剤)、例えば、非イオン性洗浄剤、例えば、Tween-20等;プロテアーゼ阻害剤;グリセロール等(そのいずれかまたはすべては、溶媒和物(例えば、水及び/または有機溶媒との混合イオン塩)、水和物等の形態であり得る)のうちの1つ以上を含み得る。
T細胞-MPエピトープコンジュゲートを含む薬学的に許容可能な組成物は、T細胞-MPに加えて、薬学的に許容可能な賦形剤を含み得、その様々なものが当該技術分野で知られており、本明細書で詳細に論述する必要はない。薬学的に許容可能な組成物(例えば、注射用製剤)は、無菌であり、及び/または発熱物質及び患者または対象への投与に有害な他の物質(例えば、リポ多糖類)を含まない場合がある。薬学的に許容可能な賦形剤は、例えば、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,19th Ed.(1995),または最新版,Mack Publishing Co;A.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,” 20th edition,Lippincott,Williams,& Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Ansel et al.,eds 7th ed.,Lippincott,Williams,& Wilkins;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbe et al.,eds.,3rd ed.Amer.Pharmaceutical Assocを含む多様な刊行物に十分に記載されている。
本薬学的組成物は、対象への投与に好適であり得、例えば、通常は無菌である。例えば、いくつかの実施形態では、本薬学的組成物は、ヒト対象への投与に好適であり、例えば、組成物は、無菌であり、検出可能な発熱物質及び/または他の毒素を含まない。薬学的組成物は、ex vivoまたはin vitro(細胞のex vivo処置)での使用に好適であり得、例えば、それは、細胞と接触させられ、次いでその後、対象への細胞の投与の前に除去され得る。
薬学的組成物を含むT細胞-MP組成物はまた、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、グリセロール、マグネシウム、カルボネート等の成分を含み得、そのいずれかまたはすべては、薬学的グレードであり得る。
組成物は、水溶液または他の溶液、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、座剤、カプセル、懸濁液、スプレー等の形態であり得る。組成物は、以下に記載される様々な投与経路に従って製剤化され得る。
本開示のT細胞-MPエピトープコンジュゲートが注射剤として組織に直接的に(例えば、皮下、腹腔内、筋肉内、及び/または静脈内に)投与される場合、製剤は、すぐに使用可能な投薬形態、非水性形態(例えば、再構成可能な保存安定粉末)または水性形態、例えば、薬学的に許容可能な担体及び賦形剤から構成される液体として提供され得る。T細胞-MP製剤はまた、投与後の本タンパク質の血清半減期を延長させるように提供され得る。例えば、T細胞-MPは、コロイドとして調製されたリポソーム製剤で、または血清半減期を延長させるための他の従来の技術で提供され得る。例えば、Szoka et al.1980 Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号及び第4,837,028号に記載されているように、多様な方法がリポソームを調製するために利用可能である。調製物はまた、制御放出または遅延放出形態で提供され得る。
非経口投与に好適な製剤の他の例には、滅菌注射溶液、塩、抗酸化剤、静菌剤、及び/または製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含むものが含まれる。そのような非経口製剤にはまた、1つ以上の独立して選択される懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び防腐剤が含まれ得る。
T細胞-MPを含む製剤または薬学的組成物は、容器、例えば、滅菌容器、例えば、シリンジに存在し得る。製剤はまた、単位用量または複数用量密閉容器、例えば、アンプル及びバイアルで提供され得、そのいずれかは、滅菌されていてもよい。製剤または薬学的組成物は、使用直前に滅菌液体賦形剤、例えば、注射用水の添加のみを必要とする滅菌冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保存され得る。即席注射溶液及び懸濁液は、T細胞-MPを含む滅菌溶液、粉末、顆粒、及び/または錠剤から調製され得る。
製剤におけるT細胞-MPの濃度は、広く様々であり得(例えば、重量で約0.1%未満、通常は約2%または少なくとも約2%から20%~50%またはそれ以上まで)、通常、選択された特定の投与様式及び患者のニーズに従って主に流体体積、粘度、及び患者ベースの要因に基づいて選択される。
いくつかの場合では、T細胞-MPは、液体組成物に存在する。よって、本開示は、本開示のT細胞-MPを含む組成物(例えば、薬学的組成物を含む液体組成物)を提供する。本開示はまた、a)本開示のT細胞-MP;及びb)生理食塩水(例えば、0.9%または約0.9%のNaCl)を含む組成物を提供する。いくつかの場合では、組成物は、無菌である。組成物は、ヒト対象への投与に好適であり得、例えば、組成物は、無菌であり、検出可能な発熱物質及び/または他の毒素を含まない。よって、本開示は、a)T細胞-MP-エピトープコンジュゲート;及びb)生理食塩水(例えば、0.9%または約0.9%NaCl)を含む組成物であって、組成物は、無菌であり、検出可能な発熱物質及び/または他の毒素を含まない、組成物を提供する。
B.核酸または組換え発現ベクターを含む組成物
本開示は、任意の1つ以上のT細胞-MPポリペプチド(またはヘテロ二量体等の二重体T細胞-MP多量体のポリペプチドの各々)をコードする1つ以上の核酸配列を含む本開示の核酸または組換え発現ベクター(例えば、上掲を参照されたい)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を提供する。薬学的に許容可能な賦形剤は、当該技術分野で知られており、例えば、A.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,20th edition,Lippincott,Williams,& Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Ansel et al.,eds 7th ed.,Lippincott,Williams,& Wilkins;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbe et al.,eds.,3rd ed.Amer.Pharmaceutical Assocを含む多様な刊行物に十分に記載されている。
本開示の組成物には、a)本開示のT細胞-MPポリペプチド(またはT細胞-MPのすべてのポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸または1つ以上の組換え発現ベクター;及びb)塩、緩衝液、界面活性剤、抗酸化剤、親水性ポリマー、デキストリン、キレート剤、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、静菌剤、及び防腐剤のうちの1つ以上が含まれ得る。好適な緩衝液には、(例えば、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(BIS-トリス)、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’3-プロパンスルホン酸(EPPSまたはHEPPS)、グリシルグリシン、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタン-スルホン酸)(PIPES)、重炭酸ナトリウム、3-(N-トリス(ヒドロキシメチル)-メチル-アミノ)-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸)TAPSO、(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-グリシン(トリシン)、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン(トリス)等)が含まれるがこれらに限定されない。好適な塩には、例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSO等が含まれる。
本開示の薬学的製剤には、約0.001%~約90%(w/w)の量で本開示の核酸または組換え発現ベクターが含まれ得る。以下の製剤の説明において、「本核酸または組換え発現ベクター」には、本開示の核酸または組換え発現ベクターが含まれることが理解されるだろう。例えば、製剤は、本開示の本核酸または本組換え発現ベクターを含み得る。
本核酸または組換え発現ベクターは、他の化合物または化合物の混合物と混合され、それに封入され、それとコンジュゲートされまたはそうでなければそれと関連付けられ得る;そのような化合物には、例えば、リポソームまたは受容体標的化分子が含まれ得る。本核酸または組換え発現ベクターは、取り込み、分布及び/または吸収を補助する1つ以上の成分と製剤において組み合わされ得る。
本核酸または組換え発現ベクター組成物は、限定されないが、錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体シロップ、軟質ゲル、座剤、及び浣腸等の多くの可能性のある投薬形態のいずれかへと製剤化され得る。本核酸または組換え発現ベクター組成物はまた、水性、非水性または混合媒体中の溶液または懸濁液として製剤化され得る。
本核酸または組換え発現ベクターを含む製剤は、リポソーム製剤であり得る。本明細書で使用される場合、用語「リポソーム」には、送達される組成物(例えば、本核酸)を含有し得る水性内部を有する単層または多層ベシクルが含まれる。カチオン性リポソームは、安定な複合体を形成するために負に荷電したDNA分子と相互作用し得る正に荷電した脂質を含む。pH感受性であるまたは負に荷電したリポソームは、それを有する複合体よりもDNAを捕捉すると考えられる。リポソームを形成し得るカチオン性及び非カチオン性脂質の両方は、in vitro、ex vivo、またはin vivoで本核酸または組換え発現ベクターを送達するため使用され得る。
リポソームにはまた、「立体的に安定化した」リポソームが含まれ、その用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上の特殊な脂質であって、リポソームに組み込まれた場合に、そのような特殊な脂質を欠くリポソームと比べて延長した循環寿命をもたらす、1つ以上の特殊な脂質を含むリポソームを指す。立体的に安定化したリポソームの例には、1つ以上の糖脂質を含むもの及び1つ以上の親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)部位)で誘導体化された脂質を含むものが含まれる。リポソーム及びそれらの使用は、例えば、米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
本核酸または発現ベクターを含む組成物には、それらの効率的な核酸の送達を達成するために浸透向上剤が含まれ得る。細胞膜を介する核酸等の非脂溶性薬物の拡散を補助することに加えて、浸透向上剤はまた、脂溶性薬物、例えば、本核酸と共投与され得るものの浸透性を向上させる。浸透向上剤は、5つの広いカテゴリー、すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、及び非キレート性非界面活性剤のうちの1つに属するものとして分類され得る。浸透向上剤及びそれらの使用は、例えば、米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
経口投与のための組成物及び製剤には、粉末または顆粒、微粒子、ナノ粒子、水または非水性媒体中の懸濁液または溶液、カプセル、ゲルカプセル、サシェ、錠剤、またはミニ錠剤が含まれる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤が所望であり得る。好適な経口製剤には、本核酸が1つ以上の浸透向上剤、界面活性剤及びキレート剤と併せて投与されるものが含まれる。好適な界面活性剤には、脂肪酸及び/またはエステルまたはその塩、胆汁酸及び/またはその塩が含まれるがこれらに限定されない。好適な胆汁酸/塩及び脂肪酸ならびにそれらの使用は、米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。浸透向上剤、例えば、脂肪酸/塩を胆汁酸/塩と組み合わせた組み合わせも好適である。例示的な好適な組み合わせは、ラウリン酸、カプリン酸、及びUDCAのナトリウム塩である。さらなる浸透向上剤には、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン-20-セチルエーテルが含まれるがこれらに限定されない。好適な浸透向上剤にはまた、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、2-ピロリドン及びその誘導体、テトラヒドロフルフリルアルコール、ならびにAZONE(商標)が含まれる。
VI.免疫反応を調節する方法ならびに疾患及び障害を処置する方法
本開示のT細胞-MP及び高次T細胞-MP複合体(例えば、二重体T細胞-MP)は、T細胞の活性を調節し、免疫系の他の細胞の活性を直接的にまたは間接的に調節するのに有用である。本開示は、エピトープに選択的なT細胞(例えば、「エピトープ特異的T細胞」または「エピトープ選択的T細胞」)の活性を調節する方法であって、方法は、通常、標的T細胞を本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートの高次複合体(例えば、二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)と接触させることを伴う、方法を提供する。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体は、がん、新生物、または病原体特異的抗原(例えば、腫瘍、ウイルスまたは細菌抗原)を認識するエピトープ特異的T細胞を活性化する1つ以上の独立して選択されるMODを含み得る。いくつかの場合では、活性化T細胞は、細胞傷害性T細胞(例えば、CD8細胞)である。したがって、本開示は、がん、新生物(例えば、非悪性であるが手術不可能な腫瘍)、または感染症を処置する方法であって、方法は、がん、新生物、または病原体(例えば、ウイルスまたは細菌)抗原に特異的なエピトープを認識するエピトープ特異的T細胞を活性化する1つ以上の独立して選択されるMODを含むT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の有効量をそれを必要とする個体に投与することを含む、方法を含み、それを提供する。そのようなT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の有効量は、コンジュゲートされたエピトープに特異的なCD8T細胞を活性化する(例えば、CD8T細胞の増殖を増加させる及び/または増殖関連細胞シグナル伝達を増加させる、細胞傷害因子、例えば、グランザイムの放出を増加させる、及び/またはそれらのサイトカイン、例えば、インターフェロンγの放出を誘導または増強する)量であり得る。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体はまた、エピトープ特異的T細胞を阻害する1つ以上の独立して選択されるMODを含み得る。そのようなT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、対象が、様々な腫瘍において生じ得るように、例えば、CD8+Treg細胞抑制により、十分な免疫反応を作り出すことができない疾患及び障害に処置に有用である。
前述のものに加えて、本開示は、MODポリペプチドの送達のためのT細胞-MPの使用を企図し、それを提供する。MODの送達は、T細胞-MPエピトープコンジュゲートを使用してエピトープ選択的様式で達成され得、また、コンジュゲートされていないT細胞-MPを使用して非特異的様式で達成され得る。MODを送達する方法は、疾患または障害に罹患している哺乳動物対象(例えば、処置を必要とするヒト患者)の処置において利用され得る。
A.T細胞活性を調節する方法
本開示は、T細胞の活性を選択的に調節する方法であって、方法は、対象にT細胞-MPまたはその高次複合体(いくつかの例ではペイロードを有する)を接触させることまたは投与することを含む、方法を提供する。接触または投与は、分子が動物(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、または霊長類)に投与されるin vivo、in vitro、またはex vivoで行われ得る;それは、以下にさらに論述されるように疾患または障害を処置する方法のすべてまたは一部を構成し得る。調節に供されるT細胞は、例えば、CD8+T細胞、NK-T細胞、及び/またはTreg細胞であり得る。いくつかの場合では、T細胞は、CD8+エフェクターT細胞である。
本開示は、エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する方法を提供する。方法は、T細胞を、エピトープ特異的T細胞によって認識されるエピトープを保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲート(例えば、二重体形態)と接触させることを含む。接触は、エピトープによって誘導される選択性を有するエピトープ特異的T細胞の活性、及びT細胞-MP-エピトープコンジュゲートのMODポリペプチド配列によって少なくとも部分的に誘導される結果的に生じる活性化を選択的に誘導することをもたらす。T細胞とT細胞-MP-エピトープコンジュゲート、または高次T細胞-MP複合体(例えば、二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)との接触は、顆粒依存性及び非依存性反応の誘導または抑制を含む、コンジュゲートされたエピトープに特異的なTCRを発現するT細胞(エピトープ特異的T細胞)の活性化または抑制をもたらし得る。顆粒非依存性反応には、エピトープ特異的CD8+T細胞(例えば、血液、リンパ系、及び/または標的組織等の細胞の集団におけるもの)の数または割合の変化、Fasリガンド(カスパーゼの活性化及びアポトーシスを介する標的細胞死をもたらし得るFas-L)の発現の変化、及びサイトカイン/ケモカイン生成(例えば、インターフェロンガンマ(IFN-γ)の生成及び放出)が含まれるがこれらに限定されない。顆粒依存性エフェクター作用には、グランザイム、パーフォリン、及び/またはグラニュリシンの放出が含まれる。エピトープ特異的CD8細胞傷害性T細胞(例えば、CD8細胞傷害性エフェクターT細胞)の活性化は、顆粒依存性及び/または非依存性反応を介してT細胞-MP-エピトープコンジュゲート(またはその高次複合体(例えば、二重体)によって提示されるエピトープを認識するエピトープ特異的T細胞によって、例えば、がん細胞及び/または感染細胞の標的化殺傷をもたらし得る。
活性化性MODを保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)(T細胞-MPは、標的T細胞(エピトープ特異的T細胞)のTCRによって認識されるエピトープにコンジュゲートされている)の接触は、i)エピトープ特異的T細胞(例えば、CD8+細胞傷害性T細胞)の増殖;ii)エピトープ特異的誘導細胞傷害活性;iii)エピトープ特異的細胞傷害性(例えば、CD8+)T細胞による1つ以上の細胞傷害性分子(例えば、パーフォリン;グランザイム;グラニュリシン)の放出のうちの1つ以上をもたらし得る。対照的に、阻害性MODを保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)(T細胞-MPは、標的T細胞(エピトープ特異的T細胞)のTCRによって認識されるエピトープにコンジュゲートされている)の接触は、i)エピトープ特異的T細胞(例えば、CD8+細胞傷害性T細胞)の増殖の抑制及び/または数の減少;ii)細胞傷害活性のエピトープ特異的抑制;iii)エピトープ特異的細胞傷害性(例えば、CD8+)T細胞による1つ以上の細胞傷害性分子(例えば、パーフォリン;グランザイム;グラニュリシン)の生成及び/または放出の抑制のうちの1つ以上をもたらし得る。T細胞(エピトープ特異的T細胞)のTCRによって認識されるエピトープにコンジュゲートされており、かつ阻害性MODを保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の接触はまた、i)自己反応性T細胞のエピトープ特異的阻害;またはii)エピトープ特異的CD8+T制御性細胞の誘導等のうちの1つ以上をもたらし得る。
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート(またはその高次複合体(例えば、二重体))は、がんエピトープを含み、それは、CD8T細胞反応(例えば、がん細胞に対する細胞傷害性CD8T細胞反応)を誘導する。いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート(またはその高次複合体(例えば、二重体))は、感染性物質のエピトープを含み、それは、感染性物質/病原体の抗原を発現する細胞に対するCD8T細胞反応(例えば、細胞傷害性CD8T細胞反応)を活性化する。
本開示は、IL-2等の活性化性MODを保有するT細胞-MPエピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)によって提示されるエピトープに特異的な動物または組織におけるCD8+エフェクターT細胞の増殖(例えば、増殖率)及び/または総数を増加させる方法を提供する。T細胞の増殖または数を増加させる方法は、T細胞をT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体と(例えば、in vitro、in vivo、またはex vivoで)接触させることを含む。接触は、例えば、1つ以上の用量でT細胞-MP-エピトープコンジュゲート)を対象に投与することによって行われ得る。接触または投与は、組織に存在するT細胞(例えば、血液、リンパ系、及び/または標的組織、例えば、腫瘍等の細胞の集団におけるもの)の数(例えば、総数または割合)と比べて、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するエピトープに結合することが可能なTCRを有するCD8+エフェクターT細胞の数を増加させ得る。例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)によって提示されるエピトープに特異的なCD8+エフェクターT細胞の絶対または相対数は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の用量または投与との1回以上の接触の後に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍超増加し得る。増加は、接触または投与の前のCD8+T細胞数と比べて、またはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは高次複合体と接触されていないサンプル(例えば、血液または組織のサンプル)に存在するT細胞の集団と比べて計算され得る。
本開示は、エピトープ特異的CD8+T細胞の顆粒依存性及び/または顆粒非依存性反応を増加させる方法であって、T細胞をT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、CD80、及び/またはCD86 MODを有する)と(例えば、in vitro、in vivo、またはex vivoで)接触させることまたはそれを投与することを含む、方法を提供する。接触または投与は、例えば、増加したFasリガンド発現の発現、サイトカイン/ケモカイン(例えば、IL-2、IL-4、及び/またはIL-5)、インターフェロン(例えば、IFN-γ)の放出、グランザイムの放出、パーフォリンの放出、及び/またはグラニュリシンの放出をもたらし得る。例えば、CD8+エフェクター細胞を、エフェクター細胞に特異的なエピトープを提示するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその複合体(例えば、二重体)と接触させることは、Fasリガンド発現、インターフェロンガンマ(IFN-γ)放出、グランザイム放出、パーフォリン放出、及び/またはグラニュリシン放出のうちの1つ以上を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍超増加させ得る。増加は、接触または投与の前の発現または放出のレベルと比べて、またはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその複合体と接触されていないサンプル(例えば、血液または組織のサンプル)に存在するT細胞の集団と比べて計算され得る。
CD8Treg細胞及び自己反応性CD8エフェクターT細胞の異常調節はいずれとも、多発性硬化症、ラスムッセン脳炎、腫瘍随伴症候群、全身性硬化症(SSc)、グレーブス病(GD)、全身性エリテマトーデス(SLE)、再生不良性貧血(AA)、及び白斑を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患の発病に関連している(例えば、Pilli et al,Frontiers in Immunology,Article 652,vol.8,June 2017;Coppieters et al,J.Exp.Med.Vol.209 No.1 51-60(2012);Han et al.,PNAS(USA),110(32):13074-13078(2013)及びPellegrino et al.PLOS ONE,https://doi.org/10.1371/journal.pone.0210839 January 16,(2019)を参照されたい)。Dengらは、自己免疫疾患におけるCD8+T細胞のエピジェネティックな役割をレビューした(Deng et al,Frontiers in Immunology,Article 856,vol.10,April 2019を参照されたい)。CD8+エフェクターはまた、炎症性サイトカインの分泌の異常調節、歪められた分化プロファイル、不適切なアポトーシス、または標的細胞に対して仕向けられたエフェクターT細胞の機能の誘導を介して自己免疫疾患を促進し得る。いくつかの場合では、自己エピトープ(例えば、自己抗原の抗原決定基)を提示するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)は、細胞との直接的相互作用によって自己反応性CD8+エフェクターT細胞の活性を減少させ得る。自己抗原及び1つ以上の独立して選択される阻害性MOD(例えば、PDL1及び/またはFasL)を提示するそのようなT細胞-MP-エピトープコンジュゲートを自己反応性CD8+エフェクターT細胞と接触させることは、そのようなT細胞による炎症促進性分子の放出を制御する(減少させる)ことによって及び/または自己反応性細胞を排除することによって自己免疫疾患を阻止するための手段として用いられ得る。
エピトープ特異的T細胞の活性を減少させることが所望である場合(例えば、それらが自己抗原に対して仕向けられている場合)、それらは、エピトープを提示し、かつそれらのエピトープ特異的反応を調節するMODを保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその複合体(例えば、二重体)と接触させられ得る。T細胞-MP-エピトープコンジュゲート及びそれらの高次複合体による細胞傷害性CD8+T細胞の調節は、限定されないが、i)T細胞によるFasL発現の抑制;ii)ケモカイン及び/またはサイトカイン放出(例えば、IFN-γ)の抑制;及び/またはiii)細胞毒素(例えば、パーフォリン;グランザイム;グラニュリシン)合成または放出の抑制のうちの1つ以上をもたらし得る。本開示は、例えば、T細胞が自己抗原に仕向けられている場合、エピトープ特異的様式でエフェクターT細胞活性を(例えば、in vivo、in vitro、またはex vivoで)減少させるための方法を含み、それを提供する。例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)によって提示されるエピトープに特異的なCD8+エフェクターT細胞の絶対または相対数は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の用量または投与との1回以上の接触の後に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも75%減少し得る。方法は、(例えば、対象に投与することによって)エピトープ特異的T細胞を、エピトープを提示し、かつMOD(例えば、TGF-β)を保有する1つ以上の用量のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体と接触させることを含む。接触または投与は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍超の(i)T細胞によるFasL発現;ii)ケモカイン及び/またはサイトカイン放出(例えば、IFN-γ)の抑制;及びiii)細胞毒素(例えば、パーフォリン;グランザイム;グラニュリシン)合成または放出の抑制のうちの1つ以上の減少をもたらす。変化は、接触または投与の前の発現または放出のレベルと比べて、またはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体と接触されていないサンプル(例えば、血液または組織のサンプル)に存在するT細胞の集団と比べて計算され得る。
他の例では、抗原(例えば、自己抗原のエピトープ)を提示するT細胞-MP-エピトープコンジュゲート(特に1つ以上のIL-6 MODを提示する場合)またはその高次複合体は、エピトープに特異的なCD8+制御性T細胞(例えば、CD8+FOXP3+またはCD8+FOXP3+CD25+として特性化されるCD8+Treg)と相互作用し、その数または活性を増加させ得る。様々なCD8Tregサブセットは、例えば、IL-10、TGF-β、IL-16、IFN-γ及びケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド4(CCL4)を含むサイトカイン及びケモカインを分泌することによって機能し、それにより、例えば、それらのサイトカインのいずれかの作用によって、エフェクターT細胞の活性及び潜在的にCD4+T細胞の活性を抑制する。CD8Tregはまた、表面タンパク質、例えば、TGF-β及び細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)がTエフェクター細胞に作用する細胞対細胞の接触を介してT細胞機能を阻害し得る。例えば、Yu et al.Oncol.Lett 15(6):8187-8194(2018)を参照されたい。
本開示は、自己抗原に仕向けられたエピトープ特異的CD8+Tregの数(増殖)及び/またはIL-10、TGF-β、IL-16、IFN-γ及びCCL4のうちの1つ以上の放出を増加させ、それにより免疫/自己免疫反応を抑制する方法を提供する。(例えば、対象における)自己抗原特異的CD8+Tregの数を増加させる1つの方法は、エピトープ特異的T細胞を、自己エピトープを提示し、かつCD8+Treg増殖に対して刺激性のMOD(例えば、IL-6、例えば、akagawa et al.,International Immunology,Vol.22,No.2,pp.129-139,(2009)を参照されたい)を保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の1つ以上の用量と(in vitro、ex vivo、またはin vivoで、例えば、対象に投与することによって)接触させることを含み、接触させることは、T細胞-MPまたはT細胞-MP複合体と接触されていないサンプル(例えば、血液または組織のサンプル)に存在するCD8+Tregの数と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍超増加する。
本開示はまた、IL-10、TGF-β、IL-16、IFN-γ及びCCL4のうちの1つ以上を増加させ、それにより免疫/自己免疫反応を抑制する方法を提供する。方法は、(in vitro、ex vivo、またはin vivoで、例えば、対象に投与することによって)エピトープ特異的T細胞を、抗原を提示しかつCD8+Treg細胞に対して刺激性のMODを保有する1つ以上の用量のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)と接触させることを含む。接触は、接触の前の量と比べてまたはT細胞-MPまたはT細胞-MP複合体と接触されていないサンプル(例えば、血液または組織のサンプル)に存在するT細胞の集団と比べてIL-10、TGF-β、IL-16、IFN-γ及びCCL4のうちの少なくとも1つの放出を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または10倍超増加させる。
エピトープ特異的CD8+エフェクターを排除することが所望である場合(例えば、それらが、自己抗原に対して仕向けられている場合)、それらは、そのエピトープを提示するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)と接触させられ得る。T細胞-MPは、アポトーシスをもたらす1つ以上のMODを含み得、及び/またはMODポリペプチド配列の非存在下であっても抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)を容易化するIg Fc領域を含み得る(例えば、wt.Ig Fc骨格を有するMODがないT細胞-MP)。アポトーシスは、例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)が、エピトープ(例えば、自己抗原)及びMOD、例えば、FAS媒介アポトーシスを誘導するFasLの両方を含む場合に生じ得る。エピトープ特異的T細胞の排除はまた、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)がエピトープを提示し、wt.または向上したADCC及び/またはCDC機能性を有する免疫グロブリンFcポリペプチドを含む場合に抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)の結果として生じ得る。したがって、本開示は、例えば、T細胞が自己抗原に仕向けられている場合、エピトープ特異的様式でエフェクターT細胞を(例えば、in vivo、in vitro、またはex vivoで)排除する方法を含み、それを提供する。方法は、エピトープ特異的T細胞を、エピトープを提示し、かつT細胞アポトーシスを誘導し得るMOD、例えば、TNFまたはFas-L(Fas受容体(CD95)媒介細胞死をもたらす)、及び/またはADCCまたはCDC活性を有するIg Fc領域を保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の1つ以上の用量と(例えば、in vivoで対象に、またはin vitroもしくはex vivoで細胞に投与することによって)接触させることを含む。接触または投与は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)によって提示されるエピトープに特異的なCD8+細胞の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の排除をもたらす。変化は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の接触(投与)前のサンプル(例えば、血液または組織のサンプル)、またはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)と接触されていないサンプルに存在するT細胞の数と比べて計算され得る。
T細胞のエピトープ制限調節に加えて、本開示はまた、特定のエピトープによって制限されない様式で免疫調節性ポリペプチドを提供することによってT細胞(及び免疫系の他の細胞)の活性を調節する方法を提供する。方法は、コンジュゲートされていないT細胞-MPまたはその高次複合体(例えば、二重体T細胞-MP)(T細胞-MPは、1つ以上のMODを保有する)、またはそのようなコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする核酸を対象に投与することまたはそうでなければ免疫系の細胞と接触させることを含む。例えば、IL-2及び/またはCD80 MODを保有するコンジュゲートされていないT細胞-MPは、エピトープ非依存的様式でそれらのサイトカインをそれを必要とする対象または患者に有効に提供するために利用され得る。
B.MOD(共刺激ポリペプチド)を選択的に送達する方法
本開示は、MOD(共刺激ポリペプチド)、例えば、IL-2、4-1BBL、CD-80、CD-86、Fas-L、PD-L1、またはそれらのいずれかの親和性が減少したバリアント(例えば、本明細書に開示されるPD-L1及び/またはIL-2バリアント)を、所与のエピトープに特異的なTCRを有する選択されたT細胞または選択されたT細胞集団に送達する方法を提供する。方法は、T細胞の集団を、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)と接触させること(例えば、対象への投与による)を含む。T細胞の集団は、i)標的エピトープに特異的なTCRを有する標的T細胞;及びii)標的エピトープに特異的ではない非標的T細胞(例えば、エピトープ特異的T細胞が結合するエピトープ以外のエピトープ(複数可)に特異的なT細胞)を含む混合集団であり得る。エピトープ特異的T細胞は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体に存在し、それによって提示されるエピトープに特異的であり、T細胞-MPエピトープコンジュゲートによって提供されるペプチドMHC複合体に結合し、それによりT細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するMODを標的T細胞(複数可)に選択的に送達する。接触または投与は、in vitro、ex vivo、またはin vivoで行われ得、処置方法のすべてまたは一部を構成し得る。よって、例えば、本開示は、共刺激ポリペプチド、例えば、PD-L1、または天然に存在する共刺激ポリペプチドの親和性が減少したバリアント、例えば、本明細書に開示されるPD-L1バリアント、またはその両方の組み合わせを標的T細胞に選択的に送達する方法であって、疾患または障害の処置を一部を形成する、方法を提供する。
例として、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)は、i)エピトープコンジュゲートに存在するエピトープに特異的な標的T細胞(複数可);及びii)エピトープコンジュゲートに存在するエピトープではない第2のエピトープ(複数可)に特異的な非標的T細胞(複数可)を含むT細胞の集団と接触させられる。集団を接触させることは、MOD(複数可)または親和性が減少したバリアントMOD(複数可)の標的T細胞への選択的送達をもたらす。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体T細胞-MP)の50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または4%、3%、2%もしくは1%未満は、非標的T細胞に結合し得、結果として、MOD(複数可)は、標的T細胞に選択的に送達される(したがって、非標的T細胞には実質的に送達されない)。
いくつかの場合では、MOD(複数可)及び/またはバリアントMOD(複数可)が送達されるT細胞の集団は、in vitroまたはex vivoで存在し、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)に対する標的T細胞集団の生物学的反応(例えば、T細胞活性化、増殖、及び/または表現型分化)は、in vitroまたはex vivo環境の状況下で誘発される。例えば、T細胞の混合集団が個体から得られ得、in vitroまたはex vivoでT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)と接触させられ得る。そのような接触は、規定の用量(複数可)に対するT細胞の集団の単一または複数の曝露及び/または曝露スケジュール(複数可)を含み得る。いくつかの場合では、前記接触は、T細胞の集団内の標的T細胞の選択的な結合/活性化、及び/または増殖をもたらし、活性化及び/または増殖した標的T細胞の集団の生成をもたらす。例として、T細胞の混合集団は、末梢血単核細胞(PBMC)であり得る。例えば、患者からのPBMCは、標準的なリンパ球培養条件下で0.1~1000nMのT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)に曝露される前に標準的な採血及びPBMC濃縮技術によって得られ得る。規定の用量及びスケジュールでの混合T細胞集団の曝露の前、間、及び後の時点で、in vitro培養下の標的T細胞の存在量が、特定のペプチド-MHC多量体、表現型マーカー、及び/または機能的活性(例えば、サイトカインELISpotアッセイ)によってモニタリングされ得る。いくつかの場合では、in vitroで抗原特異的細胞の最適な存在量及び/または表現型を達成すると、活性化及び/または増殖した標的T細胞の集団のすべてまたは一部は、個体(例えば、T細胞の混合集団が障害の疾患のための処置として得られた個体)に投与される。
例えば、T細胞の混合集団は、個体から得られ、in vitroでT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)と接触させられる。in vitro細胞培養の状況下での規定の用量(複数可)及び/または曝露スケジュール(複数可)に対するT細胞の単一または複数の曝露を含み得るそのような接触は、T細胞の混合集団がT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは高次複合体によって提示されるエピトープに特異的なT細胞を含むかどうかを決定するために使用され得る。T細胞-MPまたは高次複合体のエピトープに特異的なT細胞の存在は、T細胞の混合集団を含むサンプルをアッセイすることよって決定され得、そのT細胞の集団は、エピトープに特異的ではないT細胞(非標的T細胞)を含み、エピトープに特異的なT細胞(標的T細胞)を含み得る。既知のアッセイは、標的T細胞の活性化及び/または増殖を検出するために使用され得、それにより、特定のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体が個体に存在するT細胞に結合するエピトープを保有するかどうか、及び、したがって、エピトープコンジュゲートがその個体のための治療的組成物としての潜在的使用を有するかどうかを決定し得るex vivoアッセイを提供する。標的T細胞の活性化及び/または増殖の検出のための好適な既知のアッセイには、例えば、T細胞表現型及び/または抗原特異性及び/または増殖のフローサイトメトリー特性化が含まれる。エピトープ特異的T細胞の存在を検出するためのそのようなアッセイ、例えば、コンパニオン診断は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)が標的T細胞に選択的に結合し、それを調節(活性化または阻害)し、及び/または増殖させるかどうかを決定するために追加のアッセイ(例えば、エフェクターサイトカインELISpotアッセイ)及び/または適切な対照(例えば、抗原特異的及び抗原非特異的多量体ペプチド-HLA染色試薬)をさらに含み得る。よって、例えば、本開示は、個体から得られたT細胞の混合集団において、対象となるエピトープに結合する標的T細胞の存在を検出する方法であって、方法は、a)T細胞の混合集団をT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)とin vitroで接触させること;及びb)前記接触に反応したT細胞の調節(活性化または阻害)及び/または増殖を検出することであって、T細胞の調節及び/または増殖は、標的T細胞の存在を示す、検出することを含む、方法を提供する。代替的に、または追加的に、所望のT細胞集団の活性化及び/または増加(増殖)がT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)を使用して得られた場合、次いで活性化/増加したT細胞を含むT細胞の集団のすべてまたは一部は、治療として個体に投与されて戻され得る。
いくつかの例では、T細胞の集団は、個体におけるin vivoのものである。そのような例では、1つ以上の共刺激ポリペプチド(例えば、IL-2またはPD-L1または親和性が減少したIL-2またはPD-L1)をエピトープ特異的T細胞に選択的に送達するための本開示の方法は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)を個体に投与することを含む。
いくつかの例では、1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、IL-2またはPD-L1の野生型または親和性が減少したバリアント)が選択的に送達されているエピトープ特異的T細胞は、標的T細胞である。
C.処置方法
本開示は、多様な疾患及び障害のための処置方法を提供する。処置され得る疾患及び/または障害には、新生物(例えば、非悪性新生物)、がん、感染症、アレルギー、移植(移植片)拒絶反応、移植片対宿主病、及び自己免疫疾患または障害が含まれる。処置方法は、(i)少なくとも1つのT細胞-MP(コンジュゲートされていないまたはエピトープコンジュゲートとしてのいずれか)またはその高次複合体(例えば、二重体);または(ii)コンジュゲートされていないT細胞-MP(高次複合体へと構築し得る)をコードする1つ以上の核酸または発現ベクターの所定量を個体に投与することを含み得る。個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節し、それにより疾患または病態を処置する方法を行うことが所望である場合、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)が個体に投与され得る。処置方法において利用されるコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、1つ以上(例えば、2つ以上)の独立して選択されるMOD及び/またはバリアントMODポリペプチド配列を含み得る。
標的エピトープ特異的標的細胞集団に限定されない免疫調節性ポリペプチドでの処置が所望である場合、コンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする核酸が患者または対象に投与され得る。本開示の1つの処置方法は、高次T細胞-MP複合体へと構築し得るコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸(例えば、組換え発現ベクター)をそれを必要とする個体に投与することを含む。本開示の別の処置方法は、本開示のコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上のmRNA分子をそれを必要とする個体に投与することを含む。コンジュゲートされていないT細胞-MPで処置され得る疾患及び/または障害には、MOD(複数可)の免疫調節作用が、コグネイトco-MODを保有する細胞の反応を増強または抑制し、それにより疾患症状を軽減するまたは基礎疾患または障害を治癒する免疫反応をもたらすものが含まれる。
本開示は、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節し、それにより処置を行う方法であって、方法は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量を個体に投与することを含み、投与された分子は、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節し、それにより個体における疾患または障害を処置する、方法を提供する。よって、本開示は、処置を行うのに十分なT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の有効量をそれを必要とする個体に投与することを含む処置方法を提供する。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを投与することは、エピトープ特異的T細胞反応を誘導し、また、エピトープ非特異的T細胞反応を誘導し得、エピトープ特異的T細胞反応のエピトープ非特異的T細胞反応の比は、少なくとも2:1である。いくつかの場合では、エピトープ非特異的T細胞反応に対するエピトープ特異的T細胞反応の比は、少なくとも5:1である。いくつかの場合では、エピトープ非特異的T細胞反応に対するエピトープ特異的T細胞反応の比は、少なくとも10:1である。いくつかの場合では、エピトープ非特異的T細胞反応に対するエピトープ特異的T細胞反応の比は、少なくとも25:1である。いくつかの場合では、エピトープ非特異的T細胞反応に対するエピトープ特異的T細胞反応の比は、少なくとも50:1である。いくつかの場合では、エピトープ非特異的T細胞反応に対するエピトープ特異的T細胞反応の比は、少なくとも100:1である。いくつかの場合では、個体は、ヒトである。いくつかの場合では、調節は、がんまたは感染細胞、例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートに存在するペプチドエピトープによって提示される同じエピトープを提示するウイルスまたはがん抗原を発現する細胞に対する細胞傷害性T細胞反応を増加させる。以下に論述されるように、いくつかの場合では、投与は、静脈内、皮下、筋肉内、全身性、リンパ管内、処置部位の遠位、局所、または処置部位もしくはその近くであり、投与される分子の有効量を投与するために必要とされる用量が本明細書で以下に論述される。
本開示はまた、特定のエピトープ(例えば、CMVタンパク質の特定のエピトープ)に仕向けられたT細胞(例えば、CD8+エフェクターT細胞)を選択された細胞または組織に向けて再指向させる方法を含み、それを提供する。患者が特定のエピトープに仕向けられた十分なT細胞を有しない(または有しない可能性がある)場合、方法は、特定のエピトープに特異的なT細胞を誘導する抗原(例えば、サイトメガロウイルス「CMV」タンパク質)で、処置される患者を免疫する開始工程を含む(図18の上部セクションを参照されたい)。エピトープに特異的な十分なT細胞を有する患者は、1つ以上(例えば、2つ以上)の標的化配列及び1つ以上のMODをさらに含む特定のエピトープにコンジュゲートされたT細胞-MPで処置される。図18の中央部分「T細胞-MPでの処置」を参照されたい。例として、特定のエピトープにコンジュゲートされたT細胞-MPは、標的化配列として、がん標的化ペプチドCTP1及び/またはCTP2及びMOD(例えば、wt.またはバリアントIL-2等、細胞傷害性T細胞に対して刺激性である)を含み得る。標的化配列を保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、標的細胞または組織上に局在化される(例えば、図18に示されるがん細胞であるが、特定の表面抗原を有する任意の細胞または組織が標的化され得る)。特定のエピトープにコンジュゲートされたT細胞-MPの局在化は、特定のエピトープに特異的なT細胞の局在化を引き起こす一方で、T細胞-MPによって提示される特定のエピトープによって係合されたTCRからのシグナルと組み合わされたMODからのシグナルは、T細胞反応(例えば、図18の下側セクションに示されているような標的細胞の細胞傷害攻撃)を誘導する。全体のプロセスは、T細胞の作用を、特定のエピトープを発現する細胞または組織から、標的化配列(複数可)が認識する抗原を発現する細胞または組織に再指向させることを可能にする。標的ががん性細胞または組織である場合、標的抗原の喪失または変異による処置からのがんの逃避を防止するために、がん細胞または組織の異なる抗原に対して仕向けられた複数の標的化配列(例えば、図18におけるCTP1及びCTP2)を有するヘテロマーT細胞-MP(例えば、ヘテロ二量体)を使用することが有利であり得る。
(i)コンジュゲートされていないT細胞またはその高次複合体(例えば、二重体);(ii)コンジュゲートされていないT細胞MPまたはその高次複合体(例えば、ホモ二重体またはヘテロ二重体)をコードする1つ以上の核酸;または(iii)T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、ホモ二重体またはヘテロ二重体)のいずれかは、単独でまたは1つ以上の追加の治療剤または薬物と共に投与され得る。治療剤(例えば、チェックポイント阻害因子に対する抗体、例えば、抗PD-1、例えば、ニボルマブ、セミプリマブ、及びペムブロリズマブ;抗PDL-1、例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブ;または抗CTLA-4、例えば、イピリムマブ(これらは、他のものと共に、以下にさらに記載される))は、1つ以上のコンジュゲートされていないT細胞-MP分子をコードする核酸の投与の前、間、または後に投与され得る。追加の治療剤または薬物が、T細胞-MPまたはその高次複合体(例えば、二重体)、またはコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする核酸を含む組成物または製剤と共に投与される場合、治療剤または薬物は、それらの分子のいずれかと同時に投与され得る。代替的には、治療剤は、単一の製剤または組成物(例えば、薬学的組成物)の一部としてT細胞-MPまたは核酸と共投与され得る。
エピトープがアレルゲンに関連する場合、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、アレルギー反応を処置する方法において利用され得る。エピトープが感染性物質(例えば、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、または寄生蠕虫)に関連する場合、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、病原体による感染症の処置または予防の方法において利用され得る。エピトープが新生物またはがん性細胞または組織(例えば、がん関連抗原、新抗原、または所定のHPV及びHBV抗原等の特定のがんに関連することが知られているウイルスの抗原のエピトープ)に関連する場合、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、様々な新生物またはがんを処置する方法において利用され得る。
1 新生物及びがん
本開示の方法で処置され得るがん(例えば、悪性新生物)及び新生物(例えば、良性新生物または良性腫瘍)には、図18に関して上述したようにT細胞作用の再指向によるものを含めて、標的化配列で標的化され得る任意の新生物またはがんが含まれる。本開示の方法で処置され得るがんには、癌腫、肉腫、黒色腫、白血病、及びリンパ腫が含まれる。本開示の方法で処置され得るがん及び新生物には、固形腫瘍が含まれる。本開示の方法で処置され得るがんには、転移がんが含まれる。
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)は、(i)がん特異的エピトープ(例えば、がん関連抗原)、及び(ii)エピトープ特異的T細胞を活性化する(例えば、エフェクター機能及び/または増殖を活性化する)1つ以上の独立して選択される活性化性MODポリペプチド配列を含む。CD8+T細胞を1または2つのIL-2 MOD(例えば、二重体においてH16及び/またはF42置換、例えば、H16A及び/またはF42A置換を保有する2または4つのIL-2 MOD)を保有するT細胞-MP-エピトープコンジュゲートと接触させることは、提示されたエピトープに特異的なTCRを有するT細胞の増殖をもたらし得る。T細胞が細胞傷害性T細胞(例えば、CD8+細胞)である場合、そのようなT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体は、エピトープを発現するがん細胞または病原体感染細胞に特異的なCD8+エフェクターT細胞の数及び/または活性を増加させ得る。CD8+T細胞の活性化は、CD8+T細胞の増加した増殖及び/またはCD8+T細胞によるケモカイン及び/またはサイトカインの放出の誘導または増強をもたらし得る。したがって、本開示は、がんまたは感染症を処置する方法であって、(i)がんエピトープ(例えば、がん関連抗原のエピトープ);及び(ii)コンジュゲートされたエピトープに特異的なT細胞を活性化する1つ以上の独立して選択される活性化性MODポリペプチド配列を含むT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量をそれを必要とする個体に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの例では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量は、CD8+エフェクター細胞の数または活性を増加させる量である。
CD8+T制御性細胞(Treg)は、抗腫瘍免疫を抑制することが示されている(例えば、Wang,R-F.Human Immunity,69(11):811-814(2008)を参照されたい)。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体が阻害性MOD(例えば、PD-L1、FasL等)及びがんまたは新生物に対して反応性のT細胞に特異的なエピトープを含む場合、それは、T細胞-MPエピトープコンジュゲートによって提示されるエピトープに特異的なCD8Treg(例えば、FoxP3、CD8T細胞)の増殖及び/または活性を減少させるために処置(治療方法)において利用され得る。抗腫瘍免疫を増強するそのような処置は、単独でまたはがん及び新生物の処置のための他の治療と組み合わせて利用され得る。したがって、本開示は、がんまたは新生物を有する個体を処置する方法であって、個体は、CD8+T-reg細胞による反応の抑制に少なくとも部分的に起因して十分な抗腫瘍免疫反応をもたらさない、方法を提供する。過剰なCD8+Treg活性を伴う疾患または障害を処置する方法には、(i)新生物またはがんに特異的なエピトープ(例えば、がん関連抗原の抗原決定基);及び(ii)T細胞-MPにコンジュゲートされたエピトープに対して特異性を有するCD8+Tregを阻害する1つ以上の独立して選択される阻害性MODポリペプチド配列を含むT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量をそれを必要とする個体に投与することが含まれる。そのようなT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の有効量はまた、1つ以上の用量で投与される場合、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートによって提示される新生物またはがんエピトープに対する特異性を有するCD8+Tregの増殖、絶対数、及び/または活性(例えば、IL-10、TGF-β、IL-16、IFN-γ、またはCCL4のうちの1つ以上の放出)の減少を引き起こす量であり得る。新生物またはがんエピトープに対する特異性を有するCD8+Tregの減少は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の投与前のそれらの細胞の数と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%であり得る。
処置を行うために有効量のT細胞-MPを提供するために必要とされる用量及び投与経路は、以下に論述される。
本明細書に開示される方法によって処置され得るがんには、食道癌、肝細胞癌、基底細胞癌(皮膚癌の形態)、扁平上皮癌(様々な組織)、移行細胞癌(膀胱の悪性新生物)を含む膀胱癌、気管支癌、結腸癌、大腸癌、胃癌、肺の小細胞癌及び非小細胞癌を含む肺癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、腎細胞癌、非浸潤性乳管癌または胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、骨原性癌、上皮癌、及び鼻咽腔癌が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書に開示される方法によって処置され得る肉腫には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、脊索腫、骨原性肉腫、骨肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、及び他の軟部組織肉腫が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書に開示される方法によって処置され得る他の固形腫瘍には、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書に開示される方法による治療に適している場合がある白血病には、a)慢性骨髄増殖性症候群(多能性造血幹細胞の腫瘍性障害);b)急性骨髄性白血病(制限された系統潜在性の多能性造血幹細胞または造血細胞の腫瘍性形質転換;c)B細胞CLL、T細胞CLL前リンパ球性白血病、及び有毛細胞白血病を含む慢性リンパ球性白血病(CLL;免疫学的に未熟な及び機能的に無能な小リンパ球のクローン増殖);及びd)急性リンパ芽球性白血病(リンパ芽球の蓄積によって特性化される)が含まれるがこれらに限定されない。本方法を使用して処置され得るリンパ腫には、B細胞リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫);ホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫等が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書に開示される方法に従って処置され得る他のがんには、非定型髄膜腫、膵島細胞癌、甲状腺の髄様癌、間葉腫、肝細胞癌、肝芽腫、腎臓の明細胞癌、及び縦隔神経線維腫が含まれる。
上記したように、いくつかの場合では、本処置方法を行う際、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)は、それを必要とする個体に、ポリペプチド自体として投与される。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの投与に加えて、がんまたは新生物を処置する方法は、例えば、CD8+T細胞機能(例えば、エフェクター機能)を増強する、及び/またはそうでなければがんまたは新生物を処置するまたはその症状を軽減する1つ以上の治療剤を投与することをさらに含み得る。したがって、抗TGF-β抗体、例えば、TGF-β1に対して仕向けられたメテリムマブ(CAT192)ならびにTGF-β1及びTGF-β2に対して仕向けられたフレソリムブ、またはTGF-β捕捉剤は、がんまたは新生物の処置のためにT細胞-MP-エピトープコンジュゲートと併せて投与され得る。但し、抗TGF-β抗体での処置は、T細胞-MPが、抗体またはTGF-βが結合するaa配列を含まないことを条件とし得る)。
がんまたは新生物の処置のためにT細胞-MPまたはその高次複合体(例えば、二重体)と併せて投与され得るCD8+機能を増強する他の治療剤には、チェックポイント阻害剤(以下に論述される)、以下のものに対して仕向けられた抗体が含まれるがこれらに限定されない:Bリンパ球抗原(例えば、イブリツモマブチウキセタン、オビヌツズマブ、オファツムマブ、CD20に対するリツキシマブ、CD30に対して仕向けられたブレンツキシマブベドチン、及びCD52に対するアレムツズマブ);EGFR(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、及びネシツムマブ);VEGF(例えば、ベバシズマブ);VEGFR2(例えば、ラムシルマブ);HER2(例えば、ペルツズマブ、トラスツズマブ、及びアド-トラスツズマブ);PD-1(例えば、チェックポイント阻害を標的とするニボルマブ及びペムブロリズマブ);RANKL(例えば、デノスマブ);CTLA-4(例えば、チェックポイント阻害を標的とするイピリムマブ);IL-6(例えば、シルツキシマブ);ジシアロガングリオシド(GD2)、(例えば、ジヌツキシマブ)ジシアロガングリオシド(GD2);CD38(例えば、ダラツムマブ);SLAMF7(エロツズマブ);EpCAM及びCD3の両方(例えば、カツマキソマブ);またはCD19及びCD3の両方(例えば、ブリナツモマブ)(任意に、但し、T細胞-MPまたは二重体化T細胞-MPは、抗体が結合するaa配列を含まないことを条件とする)。
がん及び新生物の処置のためにT細胞-MP-エピトープコンジュゲートと併せて投与され得る化学療法剤には、アルキル化剤、細胞骨格破壊剤(例えば、タキサン)、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログ、ペプチド抗新生物性抗生物質(例えば、ブレオマイシンまたはアクチノマイシン)、白金系剤、レチノイド、またはビンカアルカロイド及びそれらの誘導体が含まれるがこれらに限定されない。化学療法剤は、アクチノマイシンオールトランスレチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビンデシンからなる群から選択され得る。
2 免疫チェックポイント阻害剤
上記したように、がんまたは新生物の処置のためにT細胞-MPまたはその高次複合体(例えば、二重体)と併せて投与され得る治療剤の1つのタイプは、免疫チェックポイント阻害剤である。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、免疫チェックポイントポリペプチド、例えば、CD27、CD28、CD40、CD122、CD96、CD73、CD47、OX40、GITR、CSF1R、JAK、PI3Kデルタ、PI3Kガンマ、TAM、アルギナーゼ、CD137(4-1BBとしても知られている)、ICOS、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、VISTA、CD96、TIGIT、CD122、PD-1、PD-L1及びPD-L2を標的とする阻害剤が含まれる。いくつかの場合では、免疫チェックポイントポリペプチドは、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR、CD122及びCD137から選択される刺激性チェックポイント分子である。いくつかの場合では、免疫チェックポイントポリペプチドは、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM3、CD96、TIGIT及びVISTAから選択される阻害性チェックポイント分子である。
いくつかの場合では、免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントに特異的な抗体、例えば、モノクローナル抗体である。抗免疫チェックポイント抗体は、抗体がヒトにおいて免疫反応を実質的に誘発しないように、完全ヒト、ヒト化、または非免疫化であり得る。いくつかの場合では、抗免疫チェックポイント抗体は、免疫チェックポイントポリペプチドのリガンドに対する免疫チェックポイントポリペプチドの結合を阻害する。いくつかの場合では、抗免疫チェックポイント抗体は、免疫チェックポイントポリペプチドの受容体に対する免疫チェックポイントポリペプチドの結合を阻害する。
免疫チェックポイントに特異的であり、かつ免疫チェックポイント阻害剤として機能する抗体、例えば、モノクローナル抗体は、当該技術分野で知られている。例えば、Wurz et al.(2016)Ther.Adv.Med.Oncol.8:4;及びNaidoo et al.(2015)Ann.Oncol.26:2375を参照されたい。好適な抗免疫チェックポイント抗体には、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(Merck)、ピジリズマブ(Curetech)、AMP-224(GlaxoSmithKline/Amplimmune)、MPDL3280A(Roche)、MDX-1105(Medarex,Inc./Bristol Myer Squibb)、MEDI-4736(Medimmune/AstraZeneca)、アレルマブ(Merck Serono)、イピリムマブ(YERVOY、(Bristol-Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)、ピジリズマブ(CureTech、Ltd.)、IMP321(Immutep S.A.)、MGA271(Macrogenics)、BMS-986016(Bristol-Meyers Squibb)、リリルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ウレルマブ(Bristol-Meyers Squibb)、PF-05082566(Pfizer)、IPH2101(Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb)、MEDI-6469(MedImmune/AZ)、CP-870,893(Genentech)、モガムリズマブ(Kyowa Hakko Kirin)、バルリルマブ(CelIDex Therapeutics)、アベルマブ(EMD Serono)、ガリキシマブ(Biogen Idec)、AMP-514(Amplimmune/AZ)、AUNP12(Aurigene and Pierre Fabre)、インドキシモド(NewLink Genetics)、NLG-919(NewLink Genetics)、INCB024360(Incyte)及びそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。好適な抗LAG3抗体には、例えば、BMS-986016及びLAG525が含まれる。好適な抗GITR抗体には、例えば、TRX518、MK-4166、INCAGN01876、及びMK-1248が含まれる。好適な抗OX40抗体には、例えば、MEDI0562、INCAGN01949、GSK2831781、GSK-3174998、MOXR-0916、PF-04518600、及びLAG525が含まれる。好適な抗VISTA抗体は、例えば、WO2015/097536に提供されている。
抗免疫チェックポイント抗体の好適な投薬量は、1日当たり約1mg/kg~約2400mg/kg、例えば、1日当たり約1mg/kg~約1200mg/kg(1日当たり約50mg/kg~約1200mg/kgを含む)である。そのような薬剤の他の代表的な投薬量には、1日当たり約5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、125mg/kg、150mg/kg、175mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、400mg/kg、500mg/kg、600mg/kg、700mg/kg、800mg/kg、900mg/kg、1000mg/kg、1100mg/kg、1200mg/kg、1300mg/kg、1400mg/kg、1500mg/kg、1600mg/kg、1700mg/kg、1800mg/kg、1900mg/kg、2000mg/kg、2100mg/kg、2200mg/kg、及び2300mg/kgが含まれる。抗体の有効用量は、1日全体にわたって適切な間隔で別々に投与される、2、3、4、5、6回またはそれ以上の副次的用量として投与され得る。
いくつかの場合では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体である。好適な抗PD-1抗体には、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ(MK-3475としても知られている)、ピジリズマブ、SHR-1210、PDR001、及びAMP-224が含まれる。いくつかの場合では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブまたはPDR001である。好適な抗PD1抗体は、米国特許公開第2017/0044259号に記載されている。ピジリズマブについては、例えば、Rosenblatt et al.(2011)J.Immunother.34:409-18を参照されたい。
いくつかの場合では、抗PD1抗体は、ペムブロリズマブである。いくつかの場合では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(MDX-1106またはBMS-936558としても知られている;例えば、Topalian et al.(2012)N.Eng.J.Med.366:2443-2454;及び米国特許第8,008,449号を参照されたい)である。いくつかの場合では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたはトレメリムマブである。トレメリムマブについては、例えば、Ribas et al.(2013)J.Clin.Oncol.31:616-22を参照されたい。
いくつかの場合では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの場合では、抗PD-L1モノクローナル抗体は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446としても知られている)、またはMSB0010718Cである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1モノクローナル抗体は、MPDL3280A(アテゾリズマブ)またはMEDI4736(デュルバルマブ)である。デュルバルマブについては、例えば、WO2011/066389を参照されたい。アテゾリズマブについては、例えば、米国特許第8,217,149号を参照されたい。
いくつかの場合では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。
3 自己免疫及びアレルギー反応
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)は、エピトープ特異的T細胞の活性を阻害する(例えば、顆粒依存性及び/または顆粒非依存性反応を含むエフェクター機能及び/または増殖を阻害する)1つ以上の独立して選択される阻害性MODポリペプチド配列を含む。
したがって、本開示は、抑制することが必要な抗原決定基(特定のエピトープ)に対する活性T細胞反応(例えば、アレルギー反応または自己免疫障害)を伴う個体における疾患または障害を処置する方法であって、方法は、特定のエピトープにコンジュゲートされており、かつ1つ以上の独立して選択されるMOD(例えば、野生型及び/またはバリアント阻害性MOD)を含むT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量を個体に投与することを含む、方法を提供する。エピトープが自己抗原の決定基である場合、そのようなT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体は、自己反応性T細胞の活性を選択的に阻害し得る。したがって、本開示は、個体における自己免疫疾患または障害を処置する方法であって、方法は、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量を個体に投与することを含み、コンジュゲートされたエピトープは、自己エピトープ(自己抗原のエピトープ)であり、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)は、1つ以上の独立して選択されるMOD(例えば、野生型及び/またはバリアント阻害性MOD及び/またはバリアントMOD)を含む、方法を提供する。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の「有効量」はまた、1つ以上の用量でそれを必要とする個体に投与された場合、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体の投与の前、または投与の非存在下での個体における自己反応性T細胞の数と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、コンジュゲートされたエピトープ(例えば、自己抗原またはアレルゲンのエピトープ)に特異的なT細胞の数を減少させる量であり得る。アレルゲンのエピトープに特異的な反応(例えば、アレルギー反応)または自己抗原のエピトープに特異的な反応(例えば、自己免疫反応)を伴う疾患または障害を処置するための「有効量」は、1つ以上の用量でそれを必要とする個体に投与された場合、個体におけるTh2サイトカインの生成を減少させる量であり得る。いくつかの場合では、抗原に対する不要な免疫反応(例えば、アレルギー反応または自己免疫反応)を処置するためのT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の「有効量」は、1つ以上の用量でそれを必要とする個体に投与された場合、不要な免疫反応に関連する1つ以上の症状を改善する量である。T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量は、CD8+自己反応性T細胞の数を減少させる量であり得る。いくつかの例では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量は、CD8+Tregの数を増加させ、ひいてはCD8+自己反応性Tエフェクター細胞及び/または活性化CD8+エフェクター細胞によって放出されるサイトカインまたは細胞傷害性成分(例えば、パーフォリン;グランザイム;グラニュリシン)の数を減少させる量である。処置を行うためにT細胞-MPの有効量を提供するために必要とされる用量及び投与経路は、以下に論述される。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの投与に加えて、自己免疫疾患またはアレルギーを処置する方法は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば、NSAIDs(例えば、Cox-1及び/またはCox-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、及びナプロキセン);コルチコステロイド(例えば、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、エタメタソネブ、フルドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン及びトリアムシノロン);腫瘍壊死因子アルファの1つ以上の作用を遮断する薬剤(例えば、抗TNFアルファ、例えば、ゴリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブ、アダリムマブまたはTNFアルファデコイ受容体、例えば、エタネルセプト);IL-1と競合的にIL-1受容体に結合する薬剤(例えば、アナキンラ);IL-6受容体に結合し、受容体を介するシグナル伝達からIL-6を阻害する薬剤(例えば、トシリズマブ)を含むがこれらに限定されない、炎症及び/または免疫反応を抑制する1つ以上の治療剤を投与することをさらに含み得る。但し、そのような薬剤の使用は、それらが抗体である場合、T細胞-MPが、抗体が結合する及び/または薬剤が結合するaa配列(例えば、wt.MODまたはバリアントMOD)を含まないことを条件とする)。
4 病原性物質による感染症
いくつかの場合では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)は、(i)病原体特異的エピトープ(例えば、ウイルスまたは細菌抗原のエピトープ)、及び(ii)エピトープに特異的な標的T細胞を活性化する(例えば、活性化性顆粒依存性または顆粒非依存性エフェクター機能を活性化する)1つ以上の独立して選択される活性化性MODポリペプチド配列を含む。標的T細胞が細胞傷害性T細胞(例えば、CD8+細胞)である場合、そのようなT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体は、病原体感染細胞または組織によって発現したエピトープに特異的なCD8+エフェクターT細胞の数及び/または活性を増加させ得る。CD8+T細胞の活性化は、CD8+T細胞の増殖を増加させ、及び/またはCD8+T細胞によるケモカイン及び/またはサイトカインの放出を誘導または増強し得る。いくつかの例では、エピトープ特異的T細胞は、ペプチド、ホスホペプチド、または糖ペプチドエピトープ(例えば、ウイルス、細菌、または他の病原体のスパイク糖タンパク質、核タンパク質、膜タンパク質、レプリカーゼタンパク質、または非構造タンパク質からのもの)に特異的なT細胞であり、エピトープ特異的T細胞をT細胞-MP-エピトープコンジュゲートと接触させることは、病原体感染細胞または組織に対する標的T細胞の細胞傷害活性を増加させる。
エピトープ特異的T細胞は、ウイルスエピトープに特異的なT細胞であり得、エピトープ特異的T細胞を、ウイルスエピトープにコンジュゲートされたT細胞-MPと接触させることは、それらのエピトープ特異的T細胞の数及び/またはウイルスで感染した細胞に対するそれらの細胞傷害活性を増加させる。
したがって、本開示は、病原体による感染症を有する個体を処置する方法であって、(i)病原体特異的エピトープ(例えば、ウイルスまたは細菌抗原のエピトープ);及び(ii)病原体特異的エピトープに特異的なT細胞を活性化する1つ以上の独立して選択される活性化性MODポリペプチド配列を含むT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量をそれを必要とする個体に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの例では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたはその高次複合体(例えば、二重体)の有効量は、病原体特異的エピトープに対して仕向けられたCD8+エフェクター細胞の数または活性を増加させる量である。
T細胞-MP-エピトープコンジュゲートの投与に加えて、感染症(例えば、病原性感染症)を処置する方法は、1つ以上の抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、及び/または抗寄生蠕虫剤等の1つ以上の治療剤を別々に(例えば、順次に、例えば、T細胞-MPの投与の直前もしくは直後にまたはT細胞-MP投与と1日おきもしくは1週おきに)または同時に(同じ時間にまたは混合して)投与することをさらに含み得る。
5 移植拒絶反応及び移植片対宿主病
移植片対宿主または移植拒絶反応について処置されている患者/対象は、それらの免疫反応を抑制する目的のためにT細胞-MPの投与に加えて治療剤を摂取し得る。そのような治療剤には、限定されないが、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、抗増殖剤(例えば、ミコフェノレート)及び/またはカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリンまたはタクロリムス)が含まれる。治療剤は、T細胞-MPと同時に(同じ時間にまたは混合して)または別々に(例えば、順次に、例えば、T細胞-MPの投与の直前もしくは直後にまたはT細胞-MP投与と1日おきもしくは1週おきに)投与され得る。
6 処置方法において使用するための追加の治療剤
T細胞-MPもしくは高次T細胞-MP複合体、またはコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする核酸と共に投与され得る好適な治療剤または薬物には、事実上任意の治療剤が含まれる。好適な治療剤または薬物には、米国食品医薬品局によって承認された及び/または2020米国薬局方または国内医薬品集に列挙された小分子治療剤(例えば、分子量が2,000ダルトン未満)が含まれるがこれらに限定されない。実施形態では、それらの治療剤または薬物は、1,000未満の分子量である。好適な薬物には、抗生物質、化学療法剤(抗新生物剤)、抗真菌剤、または抗寄生蠕虫剤等(例えば、スルファサラジン、アザチオプリン、シクロホスファミド、レフルノミド;メトトレキサート、抗マラリア剤、D-ペニシラミン、シクロスポリン)が含まれるがこれらに限定されない。好適な化学療法剤は、アルキル化剤、細胞骨格破壊剤(タキサン)、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログ、ペプチド抗新生物性抗生物質(例えば、ブレオマイシンまたはアクチノマイシン)、白金系剤、レチノイド、またはビンカアルカロイドであり得る。好適な薬物にはまた、非ステロイド性抗炎症薬及びグルココルチコイド等が含まれる。
実施形態では、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート、またはその高次複合体と共に投与され得る好適な治療剤は、抗TGF-β抗体、例えば、TGF-β1に対して仕向けられたメテリムマブ(CAT192)及び/またはTGF-β1及びTGF-β2に対して仕向けられたフレソリムブ、またはTGF-β捕捉剤(例えば、Cablivi(登録商標)カプラシズマブ-yhdp)を含む。そのような抗体は、一般論として、TGF-β1またはTGF-β2 MOD等の、抗体が結合する配列を含むT細胞-MPまたは高次T細胞-MP複合体と併せて投与されないであろう。
実施形態では、T細胞-MPまたは高次T細胞-MP複合体と共に投与され得る好適な治療剤は、次のものに対して仕向けられた1つ以上の抗体を含む:Bリンパ球抗原(例えば、イブリツモマブチウキセタン、オビヌツズマブ、オファツムマブ、CD20に対するリツキシマブ、CD30に対して仕向けられたブレンツキシマブベドチン、及びCD52に対するアレムツズマブ);EGFR(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、及びネシツムマブ);VEGF(例えば、ベバシズマブ);VEGFR2(例えば、ラムシルマブ);HER2(例えば、ペルツズマブ、トラスツズマブ、及びアド-トラスツズマブ);PD-1(例えば、チェックポイント阻害を標的とするニボルマブ及びペムブロリズマブ);RANKL(例えば、デノスマブ);CTLA-4(例えば、チェックポイント阻害を標的とするイピリムマブ);IL-6(例えば、シルツキシマブ);ジシアロガングリオシド(GD2)、(例えば、ジヌツキシマブ)ジシアロガングリオシド(GD2);CD38(例えば、ダラツムマブ);SLAMF7(エロツズマブ);EpCAM及びCD3の両方(例えば、カツマキソマブ);またはCD19及びCD3の両方(ブリナツモマブ)。そのような抗体は、一般論として、投与される抗体のいずれかが結合する配列を含むT細胞-MPまたは高次T細胞-MP複合体(例えば、二重体化T細胞-MP)と併せて投与されないであろう。
特にがんまたは新生物の処置のために、T細胞-MPまたは高次T細胞-MP複合体と共に投与され得る好適な治療剤は、1つ以上の化学療法剤を含み得る。そのような化学療法剤は、アルキル化剤、細胞骨格破壊剤(例えば、タキサン)、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログ、ペプチド抗新生物性抗生物質(例えば、ブレオマイシンまたはアクチノマイシン)、白金系剤、レチノイド、またはビンカアルカロイド及びそれらの誘導体から選択され得る。実施形態では、化学療法剤は、アクチノマイシンオールトランスレチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビンデシンから選択される。
細菌、真菌、及び/または寄生蠕虫感染症を処置するために投与される場合、T細胞-MPまたは高次T細胞-MP複合体と共に投与され得る好適な治療剤は、抗生物質、抗真菌剤、及び/または抗寄生蠕虫剤を含み得る。
自己免疫疾患または障害を処置するために投与される場合、T細胞-MPまたは高次T細胞-MP複合体と共に投与され得る好適な治療剤には、NSAID、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、抗増殖剤(例えば、ミコフェノレート)及び/またはカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリンまたはタクロリムス)が含まれるがこれらに限定されない。
VII.処置に好適な対象
例えば、MODをT細胞に選択的に送達することによるまたはそれらのT細胞活性を調節することによる処置に好適な対象には、がん、感染疾患(例えば、ウイルス、細菌、及び/またはマイコプラズマ原因物質を有する者を含む)、移植片対宿主病、移植拒絶反応、アレルギー反応、及び/または自己免疫疾患を有する者が含まれる。
がんを有する処置に好適な対象には、がんのための他の処置が提供されたが、処置に反応しなかった個体が含まれるがこれらに限定されない。本開示の方法で処置され得るがん及び新生物には、AFP、WT-1、HPV及びHBVエピトープを含むがこれらに限定されない本明細書に記述されるがんエピトープのいずれかを提示するもの(例えば、セクションIで記述されたエピトープを参照されたい)、ならびに本明細書に記載の処置方法において記述されるそれらのがん及び新生物(例えば、セクションVIを参照されたい)が含まれるがこれらに限定されない。
アレルギーを有する処置に好適な対象には、アレルギーのための他の処置が提供されたが、処置に反応しなかった個体が含まれるがこれらに限定されない。本開示の方法で処置され得るアレルギー病態には、ナッツ(例えば、木及び/またはピーナッツ)、花粉、及び昆虫毒(例えば、ハチ及び/またはカリバチ毒抗原)への曝露に起因するものが含まれるがこれらに限定されない。
自己免疫疾患を有する処置に好適な対象には、自己免疫疾患のための他の処置が提供されたが、処置に反応しなかった個体が含まれるがこれらに限定されない。本開示の方法で処置され得る自己免疫疾患には、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫関連不妊症、自己免疫血小板減少性紫斑病、水疱性類天疱瘡、セリアック病、クローン病、グッドパスチャー症候群、糸球体腎炎(例えば、半月体形成性糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、グレーブス病、橋本甲状腺炎、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症(MG)、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、悪性貧血、多発性筋炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病、血管炎、及び白斑が含まれるがこれらに限定されない。
処置に好適な対象には、感染性物質(例えば、病原体、例えば、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、または寄生蠕虫)に曝露され得る者、曝露が疑われる者、及び活動的感染症を有する者が含まれる。そのような対象には、感染性疾患のための他の処置が提供されたが、処置に反応しなかった個体が含まれるがこれらに限定されない。本開示の方法で処置され得る感染性疾患には、本明細書に記述される感染性物質(例えば、ウイルス、例えば、HPV、HBV等)を有する者が含まれるがこれらに限定されない(例えば、セクションIにおける感染性物質を参照されたい)。
処置に好適な対象には、移植を受け、かつ移植片対宿主病または移植拒絶反応の形態の移植された組織に対する免疫反応を有する、またはそのリスクを有する個体が含まれる。対象には、他の処置が提供されたが、処置に反応しなかった個体が含まれるがこれらに限定されない。対象は、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、抗増殖剤(例えば、ミコフェノレート)及び/またはカルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリンまたはタクロリムス)を含むがこれらに限定されない、移植された組織に対する免疫反応を抑制する目的のためのT細胞-MPの投与と同時の他の処置を受け得る。
VIII.投薬量及び投与経路
A.投薬量
T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)の好適な投薬量は、様々な臨床的要因に基づいて、担当医、または他の資格のある医療従事者によって決定され得る。医学の技術分野でよく知られているように、任意の1人の患者についての投薬量は、患者のサイズ、身体表面積、年齢、投与される特定のT細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)、患者の性別、時間、投与経路、全般的健康状態、及び同時に投与されている他の薬物を含む、多くの要因に依存する。当業者はまた、用量レベルが、投与されている特定のT細胞-MP、症状の重症度及び副作用に対する対象の感受性に応じて変わり得ることを理解する。所与の化合物についての好ましい投薬量は、多様な手段によって当業者によって容易に決定可能である。
T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)は、用量当たり1ng/kg体重~100mg/kg体重の間、例えば、体重1kg当たり0.01μg~100mg、体重1kg当たり0.1μg~10mg、体重1kg当たり1μg~50mg、体重1kg当たり10μg~20mg、体重1kg当たり100μg~15mg、体重1kg当たり500μg~10mg(例えば、体重1kg当たり0.1~0.5mg、体重1kg当たり0.5~1.0mg、体重1kg当たり1.0~5.0mg、体重1kg当たり5.0~10.0mg、体重1kg当たり1.0~3.0mg、体重1kg当たり2.0~4.0mg、体重1kg当たり3.0~5.0mg、体重1kg当たり4.0~6.0mg、体重1kg当たり5.0~7.0mg、1kg当たり6.0~8.0mg、体重1kg当たり7.0~9.0mg、及び体重1kg当たり8.0~10.0mg)、または0.5mg/kg体重~5mg/kg体重の量で投与され得る;しかしながら、特に前述した要因を考慮して、これらの例示的な範囲を下回るまたは上回る用量が想定される。レジメンが連続的注入である場合、上記の用量が利用され得、または用量は、例えば、1分当たり体重1キログラム当たり1μg~10mgの範囲であり得る。T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)はまた、約0.1mg/kg体重~50mg/kg体重、例えば、約0.1mg/kg体重~約5mg/kg体重、約5mg/kg体重~約10mg/kg体重、約10mg/kg体重~約20mg/kg体重、約20mg/kg体重~約30mg/kg体重、約30mg/kg体重~約40mg/kg体重、または約40mg/kg体重~約50mg/kg体重の量で投与され得る。当業者は、体液または組織中の投与された薬剤の測定された滞留時間及び濃度に基づいて投薬のための繰り返し率を容易に推定し得る。
成功裏の処置の後、疾患状態の再発を予防するために維持療法を患者に受けさせることが所望であり得、その場合、T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)は、例えば、体重1kg当たり0.01μg~100mg、体重1kg当たり0.1μg~100mg、体重1kg当たり1μg~50mg、体重1kg当たり10μg~20mg、体重1kg当たり100μg~15mg、または体重1kg当たり500μg~10mg(例えば、1kg当たり0.1~0.5mg、1kg当たり0.5~1.0mg、1kg当たり1.0~3.0mg、1kg当たり2.0~4.0mg、1kg当たり3.0~5.0mg、1kg当たり4.0~6.0mg、1kg当たり5.0~7.0mg、1kg当たり6.0~8.0mg、1kg当たり7.0~9.0mg、及び1kg当たり8.0~10.0mg)の範囲の維持用量投与される。
T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)の投与の頻度は、多様な要因のいずれか、例えば、症状の重症度等に応じて変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、T細胞-MPは、2ヶ月毎に1回、1ヶ月に1回、1ヶ月に2回、2週毎に1回、1ヶ月に3回、3週毎に1回、1週おき(qow)、1週毎に1回、1週に1回(qw)、1週に2回(biw)、1週に3回(tiw)、1週に4回、1週に5回、1週に6回、1日おき(qod)、毎日(qd)、1日2回(qid)、または1日3回(tid)で投与される。
本開示のT細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)の投与の継続期間(例えば、T細胞-MPが1つ以上の用量で投与される期間)は、患者反応等を含む多様な要因のいずれかに応じて変化し得る。例えば、本開示のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、約1日~約1週、約2週~約4週、約1ヶ月~約2ヶ月、約2ヶ月~約4ヶ月、約4ヶ月~約6ヶ月、約6ヶ月~約8ヶ月、約8ヶ月~約1年、約1年~約2年、または約2年~約4年、またはそれ以上の範囲の期間にわたって投与され得る。
B.投与経路
T細胞-MP(例えば、本開示のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはT細胞-MP-エピトープコンジュゲート)またはコンジュゲートされていないT細胞-MPのすべてまたは一部をコードする核酸は、in vivo及びex vivo方法を含む送達に好適な任意の利用可能な方法及び経路、ならびに全身及び局所投与経路を使用して個体に投与され得る。
本開示のT細胞-MPは、全身または局所経路を含む、従来の薬物の送達に好適な任意の利用可能な方法及び経路を使用して宿主に投与され得る。通常、本開示の方法において使用するために企図される投与経路には、腸内、非経口、及び吸入経路が含まれるが、かならずしもこれらに限定されるわけではない。いくつかの許容可能な投与経路には、腫瘍内、腫瘍周辺、筋肉内、リンパ管内、気管内、頭蓋内、皮下、皮内、局所、静脈内、動脈内、直腸、鼻、経口、ならびに他の腸内及び非経口投与経路が含まれる。投与経路は、投与されるT細胞-MP及び/または所望の効果に応じて、所望の場合に組み合わされ、または調節され得る。T細胞-MPは、単回用量または複数用量で投与され得る。
T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)は、静脈内に投与され得る。いくつかの実施形態では、T細胞-MPは、筋肉内に投与される。T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)は、リンパ管内に投与され得る。T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)は、局所に投与され得る(例えば、噴霧または他のエアロゾル形態等の肺投与)。T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)は、頭蓋内に投与され得る。T細胞-MP(例えば、T細胞-MP-エピトープコンジュゲート)は、皮下に投与され得る。
吸入投与以外の非経口投与経路には、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、髄腔内、胸骨内、腫瘍内、リンパ管内、腫瘍周辺、及び静脈内経路、すなわち、消化管を介するもの以外の任意の投与経路が含まれるが、かならずしもこれらに限定されるわけではない。非経口投与は、T細胞-MPの全身または局所送達を行うために行われ得る。全身送達が所望である場合、投与は、典型的には、薬学的調製物の侵襲的または全身的に吸収される局所または粘膜投与を伴う。
IX.所定の態様
本発明は、その特定の実施形態を参照して説明されているが、様々な変更が行われ得、本発明の真の主旨及び範囲から逸脱することなく均等物が置換され得ることが当業者によって理解されるはずである。また、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、及び/または1つまたは複数のプロセス工程を、本発明の目的、主旨、及び範囲に適応させるために多くの改変が行われ得る。すべてのそのような改変は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
1.コンジュゲートされていないT細胞調節性ポリペプチド(T細胞-MP)であって、前記ポリペプチドは、
(例えば、N末端からC末端まで)
(i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
(ii)前記1つ以上のMODポリペプチド配列をβ2Mポリペプチド配列に接続させる任意のL2リンカーポリペプチド配列;
(iii)前記β2Mポリペプチド配列;
(iv)任意のL3リンカーポリペプチド配列(例えば、長さが10~50aa);
(v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列;
(vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;
(vii)骨格ポリペプチド配列(例えば、免疫グロブリンFc配列);
(viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
を含み、前記コンジュゲートされていないT細胞-MPは、少なくとも1つのMODポリペプチド配列(例えば、要素(i)または(ix)の前記MOD(複数可))を含み;
前記β2Mポリペプチド配列、前記L3リンカーポリペプチド配列、及び/または前記MHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための1つ以上の化学的コンジュゲーション部位を含む、前記コンジュゲートされていないT細胞調節ポリペプチド(T細胞-MP)。
2.前記ポリペプチドは、N末端からC末端まで、
(i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
(ii)任意のL2リンカーポリペプチド配列;
(iii)β2Mポリペプチド配列;
(iv)任意のL3リンカーポリペプチド配列(例えば、長さが10~50aa);
(v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列;
(vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;
(vii)骨格ポリペプチド配列(例えば、免疫グロブリンFc配列);
(viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの)であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、2つ以上のMODポリペプチド配列);
を含み、前記コンジュゲートされていないT細胞-MPは、少なくとも1つのMODポリペプチド配列(例えば、要素(i)または(ix)の前記MOD(複数可))を含み;
前記β2Mポリペプチド配列、前記L3リンカーポリペプチド配列、及び/または前記MHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための1つ以上の化学的コンジュゲーション部位を含む、態様1に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
態様1及び2に記載のエピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位は、MHC-Hポリペプチドによって結合され、TCRに提示され得るように、T細胞-MPに対するエピトープ提示分子(例えば、ペプチドエピトープ)の共有結合を可能にする。態様1及び2に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、MHC-H/β2Mポリペプチド配列の結合割れ目に配置され、かつTCRに提示され得る(T細胞-MPポリペプチドに共有結合した、またはそれとの融合物としての)ペプチドエピトープを含まないことが理解される。
3.前記MHC-Hポリペプチド配列は、図3A~3Hのいずれかに提供されるMHC-Hポリペプチドの少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有するHLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-G MHC-Hポリペプチド配列から選択されるヒトクラスI MHC-H鎖ポリペプチド配列を含む、態様1または態様2に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
4.前記MHC-H配列は、細胞膜において前記T細胞-MPを固定するMHC-H膜貫通ドメイン、またはその一部を含まない、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
5.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-Aアレルのα1、α2、及びα3ドメインの少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
6.前記MHC-Hポリペプチド配列は、図3Eに提供されるHLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*0301、HLA-A*1101、HLA-A*2301、HLA-A*2402、HLA-A*2407、HLA-A*3303、またはHLA-A*3401ポリペプチド配列の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~5のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
7.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-A*0101、HLA-A*0201、HLA-A*1101、HLA-A*2402、HLA-A*3303、またはHLA-A*3401ポリペプチド配列(例えば、図3Eに提供される)の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~6のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
8.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-Bアレルのα1、α2、及びα3ドメインの少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
9.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-B*0702、HLA-B*0801、HLA-B*1502、B27(サブタイプHLA-B*2701-2759)、HLA-B*3802、HLA-B*4001、HLA-B*4601、またはHLA-B*5301ポリペプチド配列(例えば、図3Fに提供される)の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または8のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
10.前記MHC-H配列は、HLA-B*0702の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または8のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
11.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-Cアレルのα1、α2、及びα3ドメインの少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
12.前記MHC-H配列は、HLA-C*0102、HLA-C*0303、HLA-C*0304、HLA-C*0401、HLA-C*0602、HLA-C*0701、HLA-C*0702、HLA-C*0801、またはHLA-C*1502ポリペプチド配列(例えば、図3Gに提供される)の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または11のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
13.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-C*0701の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または11のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
14.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-Eアレルのα1、α2、及びα3ドメインの少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
15.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-E*0101、HLA-E*01:03、HLA-E*01:04、HLA-E*01:05、HLA-E*01:06、HLA-E*01:07、HLA-E*01:09、またはHLA-E*01:10ポリペプチド配列(例えば、図3Hに提供される)の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または14のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
16.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-Eアレルコンセンサス配列:
Figure 2023534460000017
(式中、X1=KまたはE、X2=RまたはG、X3=RまたはG、X4=AまたはV、X5=QまたはP、及びX6=PまたはS)(配列番号58)
の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または14のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
17.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-Fアレルのα1、α2、及びα3ドメインの少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
18.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-F*0101(HLA-F*01:01:01:01)、HLA-F*01:02、HLA-F*01:03(HLA-F*01:03:01:01)、HLA-F*01:04、HLA-F*01:05、またはHLA-F*01:06.ポリペプチド配列(例えば、図3Hに提供される)の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または17のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
19.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-Fアレルコンセンサス配列:
Figure 2023534460000018
(式中、X1=YまたはF;X2=PまたはQ;X3=SまたはP;及びX4=PまたはL)(配列番号59)
の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または17のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
20.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-Gアレルのα1、α2、及びα3ドメインの少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
21.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-G*01:04(HLA-G*01:04:01:01)、HLA-G*01:06、HLA-G*01:07、HLA-G*01:08、HLA-G*01:09:HLA-G*01:10、HLA-G*01:11、HLA-G*01:12、HLA-G*01:14、HLA-G*01:15、HLA-G*01:16、HLA-G*01:17、HLA-G*01:18:HLA-G*01:19、HLA-G*01:20、またはHLA-G*01:22ポリペプチド配列(例えば、図3Hに提供される)の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または20のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
22.前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-Gアレルコンセンサス配列:
Figure 2023534460000019
(式中、X1=SまたはF、X2=YまたはH、X3=T、S、またはM、X4=LまたはV;X5=QまたはR、X6=PまたはL、X7=GまたはD、X8=GまたはV、X9=SまたはC、X10=LまたはI、X11=YまたはH、X12=HまたはR、X13=YまたはH、X14=MまたはT、X15=PまたはA、X16=R、W、またはQ、X17=TまたはM、X18=KまたはE)(配列番号60)
の少なくとも200(例えば、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも260、または少なくとも275)個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、態様1~4または20のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
23.前記MHC-Hポリペプチド配列は、位置84におけるアラニン(例えば、HLA-Fの場合はY84AまたはR84A)、位置84におけるシステイン(例えば、HLA-Fの場合はY84CまたはR84C)、位置139におけるシステイン(例えば、HLA-Fの場合はA139CまたはV139C)、及び位置236におけるシステイン(例えば、A236C)からなる群から選択される少なくとも1つの変異(例えば、2つ、または3つの変異)を含む、態様1~22のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。それらのaa位置の箇所について図3Iを参照されたい。
24.前記MHC-Hポリペプチド配列は、Y84A及びA139C;Y84A及びA236C;Y84C及びA139C;Y84C及びA236C;ならびにY84C、A139C及びA236Cからなる群から選択される変異の組み合わせを含む、態様1~23のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
25.前記MHC-Hポリペプチド配列は、位置84におけるシステイン(例えば、HLA-Fの場合はY84CまたはR84C)、位置139におけるシステイン(例えば、HLA-Fの場合はA139CまたはV139C)、及び任意に位置236におけるシステイン(例えば、A236C)を含む、態様1~23のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。それらのaa位置の箇所について図3Iを参照されたい。
26.前記β2M配列は、成熟ヒトβ2Mポリペプチド(例えば、図4に提供されるNCBIアクセッション番号NP_004039.1のaa21~119)の少なくとも50個(例えば、60、70、80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%または98%)または100%の配列同一性を有する、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
27.前記β2M配列は、成熟ヒトβ2Mポリペプチド(例えば、図4に提供されるNCBIアクセッション番号NP_004039.1のaa21~119)の少なくとも70個(例えば、少なくとも80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaのaaセグメント内で最大で6(例えば、1、2、3、4、または5)aaの置換を有する、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
28.前記コンジュゲートされていないT細胞-MPは、i)Gly及び/またはSer;ii)Ala及びSer;iii)Gly、Ala、及びSer;iv)Gly、Ser、及びCys(例えば、単一のCys残基);v)Ala、Ser、及びCys(例えば、単一のCys残基);またはvi)Gly、Ala、Ser、及びCys(例えば、単一のCys残基)を含む、それから本質的になる、または、それからなる少なくとも1つのリンカー配列を含む、態様1~27のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
29.前記コンジュゲートされていないT細胞-MPは、ポリG(例えば、1~10個のGly残基を含むポリグリシン)、GA、AG、AS、SA、GS、GSGGS(配列番号130)、GGGS(配列番号131)、GGSG(配列番号132)、GGSGG(配列番号133)、GSGSG(配列番号134)、GSGGG(配列番号135)、GGGSG(配列番号136)、GSSSG(配列番号137)、GGGGS(配列番号139)、またはAAAGG(配列番号532)(そのいずれかは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回繰り返され得る)から選択される1つ以上の配列を含む少なくとも1つのリンカー(例えば、リンカーL1~L6のいずれか)を含む、態様1~27のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
30.前記コンジュゲートされていないT細胞-MPは、1~10回繰り返され得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回繰り返される)GSまたはAAAGG配列を含む少なくとも1つのリンカーを含む、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
31.前記骨格ポリペプチド配列は、非種間配列または種間配列から独立して選択される、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
32.前記種間及び非種間配列は、免疫グロブリン重鎖定常領域(Ig Fc、例えば、CH2-CH3);コレクチンポリペプチド、コイルドコイルドメイン、ロイシン-ジッパードメイン;Fosポリペプチド;Junポリペプチド;Ig CH1;Ig Cκ;Ig C λ;ジスルフィドを有しないノブ・イン・ホール(KiH);安定化ジスルフィド結合を有するノブ・インホール(KiHs-s);HA-TF;ZW-1;7.8.60;DD-KK;EW-RVT;EW-RVTs-s;及びA107配列からなる群から選択される、態様31に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
33.少なくとも態様1~32のいずれかに記載の第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPを含む二重体T細胞-MPまたは高次T細胞-MPを形成するように複合体化された、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPであって、
(i)前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、第1のβ2Mポリペプチド配列;第1のクラスI MHC-Hポリペプチド配列;及び第1の骨格ポリペプチドを含み;
(ii)前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、第2のβ2Mポリペプチド配列;第2のクラスI MHC-Hポリペプチド配列;及び第2の骨格ポリペプチドを含み;
前記第1及び第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、1つ以上の鎖間共有結合(例えば、1または2つのジスルフィド結合)を任意に含む前記第1及び第2の骨格ポリペプチドの間の結合相互作用によって会合する、前記コンジュゲートされていないT細胞-MP。例えば、図8及び9における二重体を参照されたい。
34.前記骨格は、非免疫グロブリンポリペプチド配列を含む、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
35.前記非免疫グロブリンポリペプチド配列は、非種間ポリペプチド配列(例えば、非種間コイルドコイルまたはロイシンジッパー配列)である、態様34に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
36.前記非免疫グロブリンポリペプチド配列は、種間ポリペプチド配列(例えば、種間コイルドコイルまたはロイシンジッパー配列;Junタンパク質配列と対合するFosポリペプチド;またはFosタンパク質配列と対合するJunポリペプチド)である、態様34に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
37.前記骨格は、免疫グロブリンポリペプチド配列を含む、態様1~33のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
38.前記免疫グロブリンポリペプチド配列は、前記免疫グロブリンポリペプチド配列が非置換であるT細胞-MPと比べてIg Fc受容体及び/または補体C1qタンパク質との結合を減少させる1つ以上の置換を含む、態様37に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
39.前記骨格は、非種間免疫グロブリンポリペプチド配列を含む、態様37または38に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
40.前記非種間免疫グロブリンポリペプチド配列は、ヒトIgA Fc、IgD Fc、またはIgE Fc(例えば、図2A~2Cに示されるIg Fc領域のaa配列の少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む)を含む、態様39に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
41.前記非種間免疫グロブリンポリペプチド配列は、ヒトIgG1 Fc、IgG2 Fc IgG3 FcまたはIgG4 Fc(例えば、図2D~2Gに示されるIg Fc領域のaa配列の少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む)を含む、態様39に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。例えば、非種間免疫グロブリンポリペプチド配列は、図2D~2Gに示されるIg Fc領域の少なくとも150または200個の連続aaと少なくとも約90%または少なくとも約95%のaa配列同一性を有するヒトIgG1 Fc、IgG2 Fc IgG3 FcまたはIgG4 Fcのaa配列を含み得る。
42.前記非種間免疫グロブリンポリペプチド配列は、ヒトIgG1 Fc(例えば、図2Dに示される野生型(wt.)Ig Fc配列のaa配列の少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)またはすべてのaaと少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)または100%のaa配列同一性を有するaa配列を含む)を含む、態様39または41に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。例えば、非種間免疫グロブリンポリペプチド配列は、ヒトIgG1 Fc(例えば、図2D(配列番号4)に示される野生型(wt.)Ig Fc配列の少なくとも150または少なくとも200個の連続aaと少なくとも約90%または少なくとも約95%のaa配列同一性を有するaa配列を含む)を含み得る。
43.前記非種間免疫グロブリンポリペプチドは、L234、L235、G236、G237、P238、S239、D270、N297、K322、P329、及び/またはP331(それぞれ、図2Dにおけるwt.IgG1のaa配列のaaL14、L15、G16、G17、P18、S19、D50、N77、K102、P109、及びP111)における少なくとも1つの置換または前記置換を有しない同じ配列と比べてFcλ受容体及び/またはC1qタンパク質に対する結合を減少させる別の置換(例えば、対応する置換)を含む、態様42に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
44.(i)N297の置換(例えば、N297A);(ii)aa234~239のいずれかの置換;(iii)L234における置換;(iv)L235における置換;(v)L234及びL235における置換(例えば、L234A及びL235Aまたは「LALA」置換);(vi)P331の置換;または(vii)D270、K322、及び/またはP329の置換;L234及び/またはL235における置換、ならびにP331における置換(例えば、L234F、L235E、及びP331S置換)を含む、態様42に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
45.前記骨格配列は、IgM重鎖定常領域を含む、態様39に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
46.前記骨格は、種間免疫グロブリンポリペプチド配列を含む、態様1~33のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
47.前記種間免疫グロブリン配列は、免疫グロブリン重鎖定常領域(Ig Fc CH2-CH3);Ig CH1;Ig Cκ;Ig Cλ;ジスルフィドを有しないノブ・イン・ホール(KiH)、安定化ジスルフィド結合を有するノブ・インホール(KiHs-s)、HA-TF、ZW-1、7.8.60、DD-KK、EW-RVT、EW-RVTs-s、及びA107配列からなる群から選択される、態様46に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
48.前記種間免疫グロブリン配列は、KIHまたはKIHs-sポリペプチド配列を含む、態様46に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
49.前記種間免疫グロブリンは、EW-RVTまたはEW-RVTs-sポリペプチド配列を含む、態様46に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
50.前記種間免疫グロブリン配列は、HA-TF、ZW-1、7.8.60、DD-KK、またはA107ポリペプチド配列を含む、態様46に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
51.前記置換を有しない同じ配列と比べてFcλ受容体及び/またはC1qタンパク質に対する結合を減少させる1つ以上の置換(例えば、IgG1のaaL234及び/またはL235、またはK322における置換)をさらに含む、態様46~50のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
52.前記置換を有しない同じ配列と比べて補体活性化を制限する(例えば、IgGのD270、N297、K322、P329、及び/またはP331における置換によって補体C1qタンパク質に対する結合を減少させる)1つ以上の置換をさらに含む、態様46~50のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
53.前記種間免疫グロブリンポリペプチド配列は、図2Dにおけるwt.Ig Gg1のFc配列の少なくとも125個の連続aa(例えば、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも210個の連続aa)と少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、または95%)のaa配列同一性を有するaa配列を含むヒトIgG1 Fcを含む、態様46~52のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
54.前記種間免疫グロブリンポリペプチド配列は、L234、L235、G236、G237、P238、S239、D270、N297、K322、P329、及び/またはP331(それぞれ、図2Dにおけるwt.IgG1のaa配列のaaL14、L15、G16、G17、P18、S19、D50、N77、K102、P109、及びP111)における少なくとも1つの置換または前記置換を有しない同じ配列と比べてFcλ受容体及び/またはC1qタンパク質に対する結合を減少させる別の置換(例えば、対応する置換)を含む、態様53に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
55.(i)N297の置換(例えば、N297A);(ii)aa234~239のいずれかの置換;(iii)L234における置換;(iv)L235における置換;(v)L234及びL235における置換(例えば、L234A及びL235Aまたは「LALA」置換);(vi)P331の置換;または(vii)D270、K322、及び/またはP329の置換;L234及び/またはL235における置換、ならびにP331における置換(例えば、L234F、L235E、及びP331S置換)を含む、態様53に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
56.IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21、IL-23、CD7、CD30L、CD40、CD70、CD80、(B7-1)、CD83、CD86(B7-2)、HVEM(CD270)、ILT3(免疫グロブリン様転写産物3)、ILT4(免疫グロブリン様転写産物4)、Fasリガンド(FasL)、ICAM(細胞間接着分子)、ICOS-L(誘導性共刺激リガンド)、JAG1(CD339)、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、OX40L(CD252)、PD-L1、PD-L2、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、4-1BBL及び抗CD28ポリペプチド配列からなる群から独立して選択される少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ)のwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様1~55のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
57.4-1BBL、抗CD28、PD-L1、IL-2、CD80、CD86、OX40L(CD252)、Fasリガンド(FasL)、ICOS-L、ICAM、CD30L、CD40、CD83、HVEM(CD270)、JAG1(CD339)、CD70、CD80、CD86、TGF-β1、TGF-β2、及びTGF-β3ポリペプチド配列からなる群から独立して選択される少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ)のwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
58.4-1BBL、PD-L1、IL-2、CD80、CD86、FasLのwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列及び抗CD28からなる群から独立して選択される少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ)のwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。例えば、コンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、少なくとも1つのwt.MOD及び/またはバリアントIL-2 MODポリペプチド配列、及び少なくとも1つのwt.CD80、wt.CD86、バリアントCD80またはバリアントCD86ポリペプチド配列を含み得る。
59.少なくとも1つのwt.IL-2またはバリアントIL-2 MOD(例えば、H16AまたはT置換及びF42A置換を含む)ポリペプチド配列、またはタンデムのwt.IL-2 MODまたはバリアントIL-2 MODポリペプチド配列の少なくとも1つの対を含む、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
60.(i)wt.またはバリアントCD80またはCD86 MODポリペプチド配列;(ii)wt.またはバリアントPD-L1 MODポリペプチド配列;及び/または(iii)wt.またはバリアントFasL MODポリペプチド配列のうちの少なくとも1つをさらに含む、態様59に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
61.α1ヘリックスのカルボキシル末端部分内に置換されたシステインと前記MHC-Hポリペプチド配列のα2-1ヘリックスのアミノ末端部分におけるシステインとの間の鎖内ジスルフィド結合をさらに含む、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
62.位置84でα1ヘリックスのカルボキシル末端部分内に置換されたシステインと前記MHC-Hポリペプチド配列の位置139におけるα2-1ヘリックスのアミノ末端部分におけるシステインとの間の鎖内ジスルフィド結合を含み;
位置84に対してアミノ及びカルボキシルの5残基クラスター(それぞれaac1及びaac2と表記される)及び、位置139に対してアミノ及びカルボキシルの5残基クラスター(それぞれaac3及びaac4と表記される)は、1~5個の独立して選択される天然に存在するaaでそれぞれ置換されていてもよく、位置236に対してアミノ及びカルボキシルの5残基クラスター(それぞれaac5及びaac6と表記される)は、1~5個の独立して選択される天然に存在するaaでそれぞれ置換されていてもよい、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
63.aac1~aac6はそれぞれ、プロリン以外の1~5個の独立して選択される天然に存在するaaで置換されていてもよい、態様62に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
64.前記α1ヘリックスの前記カルボキシル末端部分は、第1の配列CYNQSEを含み、前記MHC-Hポリペプチド配列の前記α2-1ヘリックスの前記アミノ末端部分は、第2の配列D(M/T)CAQを含み、前記鎖内ジスルフィド結合は、前記第1及び第2の配列における前記システイン間で形成される、態様62に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。図3Iのaac1~aac4を参照されたい。
65.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、ジスルフィド結合によって連結されていない、態様33~64のいずれかに記載の二重体T細胞-MP。
66.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、少なくとも1つ(例えば、2つ)のジスルフィド結合(複数可)によって共有結合されている、態様33~64のいずれかに記載の二重体T細胞-MP。
67.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、前記第1のT細胞-MP及び前記第2のT細胞-MPの前記骨格ポリペプチド配列間の少なくとも1つ(例えば、2つ)のジスルフィド結合(複数可)によって共有結合されている、態様66に記載の二重体T細胞-MP。
68.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPの少なくとも1つ(例えば、両方)の配列は、Ig CH1ドメインポリペプチド配列を含まない、態様33~66のいずれかに記載の二重体T細胞-MP。
69.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、同一であり、前記コンジュゲートされていない二重体T細胞-MPは、ホモ二量体である、態様33~35及び37~45のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。例えば、図6の構造A及びBを参照されたい。
70.IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21、IL-23、CD7、CD30L、CD40、CD70、CD80、(B7-1)、CD83、CD86(B7-2)、HVEM(CD270)、ILT3(免疫グロブリン様転写産物3)、ILT4(免疫グロブリン様転写産物4)、Fasリガンド(FasL)、ICAM(細胞間接着分子)、ICOS-L(誘導性共刺激リガンド)、JAG1(CD339)、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、OX40L(CD252)、PD-L1、PD-L2、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、4-1BBLポリペプチド配列及び抗CD28からなる群から独立して選択される少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ)のwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様69に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
71.4-1BBL、PD-L1、IL-2、CD80、CD86、FasLのwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列、及び抗CD28からなる群から独立して選択される少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ)のwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様69に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。例えば、前記コンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、少なくとも1つのIL-2 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列、及び少なくとも1つのCD80、CD86、バリアントCD80またはバリアントCD86ポリペプチド配列を含み得る。
72.少なくとも1つのIL-2 wt.MODまたはバリアントMOD(例えば、H16AまたはT置換及びF42A置換を含む)ポリペプチド配列、またはタンデムのIL-2 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列の少なくとも1つの対を含む、態様69に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
73.(i)CD80及び/またはCD86 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列;(ii)少なくとも1つのPD-L1 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列;及び/または(iii)少なくとも1つのFasL wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列
のうちの少なくとも1つをさらに含む、態様69に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
74.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPの前記骨格ポリペプチドは、種間ポリペプチド配列の対であり、前記コンジュゲートされていない二重体T細胞-MPは、ヘテロ二量体である、態様33~34、36~38及び46~68に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
75.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPのうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ)は、IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21、IL-23、CD7、CD30L、CD40、CD70、CD80(B7-1)、CD83、CD86(B7-2)、HVEM(CD270)、ILT3(免疫グロブリン様転写産物3)、ILT4(免疫グロブリン様転写産物4)、Fasリガンド(FasL)、ICAM(細胞間接着分子)、ICOS-L(誘導性共刺激リガンド)、JAG1(CD339)、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、OX40L(CD252)、PD-L1、PD-L2、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、抗CD28、及び4-1BBLポリペプチド配列からなる群から独立して選択される少なくとも1つのwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様74に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
76.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPのうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ)は、4-1BBL、抗CD28、PD-L1、IL-2、CD80、CD86、及びFasLのwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列からなる群から独立して選択される少なくとも1つのwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様74に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。例えば、コンジュゲートされていない二重体T細胞-MPは、少なくとも1つのIL-2 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列、及び少なくとも1つの抗CD28、CD80、CD86、バリアントCD80またはバリアントCD86ポリペプチド配列を含み得る。
77.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPのうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ)は、少なくとも1つのIL-2 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列、またはタンデムのIL-2 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列の少なくとも1つの対を含む、態様74に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
78.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPのうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ)は、(i)CD80及び/またはCD86 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列;(ii)少なくとも1つのPD-L1 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列;及び/または(iii)少なくとも1つのFasL wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列のうちの少なくとも1つを含む、態様74に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
79.前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPのうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ)は、少なくとも1つのCD80及び/またはCD86 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様74に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
80.前記第1のT細胞-MP及び前記第2のT細胞-MPのうちの少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ)は、少なくとも1つのPD-L1 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様74に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
81.(i)前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、同じMODを含まない;(ii)前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、同じ数のMODを含まない;または(iii)前記MODは、前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPの異なる箇所に配置されている、態様74~80のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
82.3つのヘテロ二量体の三重体T細胞-MP、4つのヘテロ二量体の四重体T細胞-MP、5つのヘテロ二量体の五重体T細胞-MP、または6つの二量体の六重体T細胞-MPを形成するように複合体化された、態様1~64のいずれかに記載のT細胞-MP。
83.各化学的コンジュゲーション部位は、a)アミノ酸化学的コンジュゲーション部位;b)非天然アミノ酸及び/またはセレノシステイン;c)酵素修飾配列として作用するペプチド配列(例えば、スルファターゼモチーフ);d)炭水化物またはオリゴ糖部位;及び/またはe)IgGヌクレオチド結合部位から一緒にまたは独立して選択される、態様1~82のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
84.少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の化学的コンジュゲーション部位は、酵素修飾配列を含む、態様1~83のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
85.少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の化学的コンジュゲーション部位は、スルファターゼモチーフを含む、態様1~84のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
86.前記スルファターゼモチーフは、配列X1Z1X2Z2X3Z3(式中、
Z1は、システインまたはセリンであり;Z2は、プロリンまたはアラニン残基のいずれかであり;Z3は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、またはヒスチジン、通常はリジン)、または脂肪族アミノ酸(アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、またはプロリン、通常はA、G、L、V、またはI)であり;
X1は、存在または非存在であり、存在する場合、任意のアミノ酸であり得るが、通常は脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、または極性非荷電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)、通常はL、M、V、SまたはT、より通常はL、M、SまたはVであり得、但し、前記スルファターゼモチーフが標的ポリペプチドのN末端にある場合、X1は、存在し;
X2及びX3は、独立して、任意のアミノ酸であり得るが、通常は脂肪族アミノ酸、極性非荷電アミノ酸、または硫黄含有アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸または荷電アミノ酸以外)、通常はS、T、A、V、GまたはC、より通常はS、T、A、VまたはGであり得る)
を含む、態様85に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
87.少なくとも1つのZ1残基がfGlyアミノ酸残基に変換されている、態様86に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
88.前記化学的コンジュゲーション部位の少なくとも1つ(例えば、2つ以上)は、少なくとも1つ(例えば、両方)のT細胞-MPポリペプチドのC末端に位置するソルターゼA酵素部位(例えば、アミノ酸配列LP(X5)TG、LP(X5)TA、またはLPETGGを含む)を含み;または
前記化学的コンジュゲーション部位の少なくとも1つは、前記第1のまたは第2のT細胞-MPポリペプチドの少なくとも一方または両方のアミノ末端でオリゴグリシン(例えば、(G)2、3、4、または5)またはオリゴアラニン(例えば、(A)2、3、4、または5)を含むソルターゼA酵素部位である、
態様1~84のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
89.少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の化学的コンジュゲーション部位は、トランスグルタミナーゼ部位(例えば、LQG、LLQGG、LLQG、LSLSQG、及びLLQLQGからなる群から選択される)を含む、態様1~84のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
90.少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の化学的コンジュゲーション部位は、セレノシステイン、または1つ以上の独立して選択される非天然アミノ酸を含有するアミノ酸配列を含む、態様1~84のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
91.前記1つ以上の非天然アミノ酸のうちの少なくとも1つ(例えば、2つ以上)は、パラ-アセチルフェニルアラニン、パラ-アジドフェニルアラニン及びプロピニル-チロシンからなる群から選択される、態様90に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
92.少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の化学的コンジュゲーション部位は、炭水化物、単糖、二糖及び/またはオリゴ糖を含む、態様1~84のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
93.少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の化学的コンジュゲーション部位は、1つ以上のIgGヌクレオチド結合部位を含む、態様1~84のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
94.少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の化学的コンジュゲーション部位は、アミノ酸コンジュゲーション部位(例えば、その配列のタンパク質操作によってT細胞-MPに提供されるシステイン)を含む、態様1~84のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
95.前記少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の化学的コンジュゲーション部位は、T細胞MPポリペプチド配列に提供される(例えば、そのポリペプチド配列のタンパク質操作によってT細胞-MPに提供される)リジンのイプシロンアミノ基を含む、態様94に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
96.前記少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の化学的コンジュゲーション部位は、T細胞MPポリペプチド配列において提供される(例えば、そのポリペプチド配列のタンパク質操作によってT細胞-MPに提供される)セレノシステインのセレノール基及び/またはシステインのスルフヒドリル基を含む、態様94に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
97.前記少なくとも1つの化学的コンジュゲーション部位は、T細胞MPポリペプチド配列において、または二重体T細胞-MPの前記第1のT細胞-MP及び第2のT細胞-MPの各々のポリペプチド配列において提供される(例えば、前記ポリペプチド配列(複数可)のタンパク質操作によってT細胞-MPにおいて提供される)システインのスルフヒドリル基を含む、態様94に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
98.前記コンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体化T細胞-MPに存在する各化学的コンジュゲーション部位(例えば、エピトープのコンジュゲーションのためのもの)は、同じとなるように選択される(例えば、いずれとも、前記ポリペプチド配列のタンパク質操作によって前記T細胞-MPポリペプチド配列において提供されるシステインのスルフヒドリルである)、態様1~97のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
99.化学的コンジュゲーション部位(例えば、エピトープのコンジュゲーションのためのもの)は、T細胞-MPのNまたはC末端に配置され、または、存在する場合、前記T細胞-MPのNまたはC末端に位置するリンカーにまたはその中に結合される、態様1~98のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
100.化学的コンジュゲーション部位は、前記T細胞-MPのリンカー(例えば、L1~L6リンカー)に配置されている、態様1~98のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
101.前記1つ以上の化学的コンジュゲーション部位(例えば、エピトープのコンジュゲーションのためのもの)は、前記MHC-Hポリペプチド配列、前記β2Mポリペプチド配列、または前記MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列を接続させるリンカー配列(前記L3リンカー)に配置されている、態様1~98のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
102.前記1つ以上の化学的コンジュゲーション部位(例えば、エピトープのコンジュゲーションのためのもの)は、前記MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列を接続させるリンカー配列(前記L3リンカー)に位置する、態様1~98のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
103.前記1つ以上の化学的コンジュゲーション部位は、前記MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列を接続させる前記リンカー配列に存在するシステインのスルフヒドリルである、態様102に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
104.前記MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列を接続させる前記リンカー配列は、グリシン、グリシン及びセリン、アラニン、アラニン及びセリン、またはアラニン、グリシン及びセリンを含有するポリペプチド配列をさらに含む、態様103に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
105.前記MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列を接続させる前記リンカー配列は、ポリペプチド配列GGGSまたはGGGGSを含む、態様103に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
106.前記MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列を接続させる前記リンカー配列は、GCGGS(G4S)(配列番号141)(式中、G4S単位は、1~10回繰り返され得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回繰り返される))、GCGASGGGGSGGGGS(配列番号142)、GCGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号143)及びGCGGSGGGGSGGGGS配列番号144)からなる群から選択されるポリペプチド配列を含む、態様103に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
107.前記MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列を接続させる前記リンカー配列(前記L3リンカー)は、15~50アミノ酸を含む、態様101~106のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
108.前記MHC-H及びβ2Mポリペプチド配列を接続させる前記リンカー配列(前記L3リンカー)は、10~50アミノ酸を含む、態様101~106のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
109.前記1つ以上の化学的コンジュゲーション部位(例えば、エピトープのコンジュゲーションのためのもの)は、図3A~3Iに示されるMHC-H配列の少なくとも150、175、200、または225個の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有する、前記T細胞-MPのMHC-Hポリペプチド配列に配置されている、態様1~98のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
110.前記1つ以上の化学的コンジュゲーション部位は、システインまたはセレノシステインを含む、態様109に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
111.少なくとも1つのシステインまたはセレノシステイン化学的コンジュゲーション部位は、図3D~3Iのように付番されたMHC-Hポリペプチドの位置2、5、7、59、84、116、139、167、168、170、または171に配置されている、態様110に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
112.化学的コンジュゲーション部位(例えば、エピトープのコンジュゲーションのためのもの)は、図4に示される成熟β2Mポリペプチド配列(例えば、aa21で開始し、それらのC末端で終了する図4に示される配列)の少なくとも50個(例えば、少なくとも60、70、80、90、96、97、もしくは98個またはすべて)の連続aaと少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、98%もしくは99%、またはさらに100%)のaa配列同一性を有する前記β2Mポリペプチド配列に配置されている、態様1~98のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
113.前記1つ以上の化学的コンジュゲーション部位は、図4の成熟ヒトβ2Mポリペプチド配列の35~55(例えば、40~50)の間に配置され、0~15aaの置換を有する、態様112に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
114.少なくとも1つのシステインまたはセレノシステイン化学的コンジュゲーション部位は、前記成熟β2Mポリペプチドの位置2、44、50、77、85、88、91、または98(図4に示されるβ2M配列のaa22、64、70、97、105、108、111、または118)に配置されている、態様112に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
115.化学的コンジュゲーション部位(例えば、エピトープのコンジュゲーションのためのもの)は、図4に示される成熟β2Mポリペプチド(aa21で開始し、そのC末端で終了する)と比較して1~15(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15)aaの欠失、挿入及び/または変化を有する、前記β2Mポリペプチド配列に配置されている、態様1~98のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
116.前記化学的コンジュゲーション部位は、システインである、態様112~115のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
117.前記β2Mポリペプチド配列は、図4の成熟ヒトβ2M配列である、態様112~115のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
118.少なくとも前記第1のT細胞-MPポリペプチド配列、及び任意に前記第1及び第2のT細胞-MPポリペプチド配列は、N末端からC末端まで、
(i)L1リンカーによって任意に接続された1つ以上のMODポリペプチド配列;
(ii)L2リンカーポリペプチド配列;
(iii)β2Mポリペプチド配列;
(iv)10~50(例えば、10~20、10~25、15~25、20~30、25~35、25~50、30~35、35~45、または40~50)アミノ酸を含むL3リンカーポリペプチド配列;
(v)位置84及び139で置換されたシステインを含み(図3E~3H、例えば、Y84C及びA139C置換を参照されたい)、かつジスルフィド結合を形成するクラスI MHC-Hポリペプチド配列;
(vi)L4リンカーポリペプチド配列;
(vii)種間または非種間免疫グロブリンFc骨格配列;
(viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
(ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、任意にL6リンカーによって接続された2つ以上のMODポリペプチド配列(例えば、タンデムのもの));
を含み、前記β2Mポリペプチド配列、前記L3リンカーポリペプチド配列、または前記MHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープ(例えば、ペプチド、ホスホペプチド、糖ペプチド、リポペプチドまたは炭水化物エピトープ)の直接的または間接的(例えば、リンカーを介する)共有結合のための化学的コンジュゲーション部位(例えば、タンパク質操作によって付加される)を含み;
前記第1及び第2のT細胞-MPは、それらのIg Fc骨格配列間の少なくとも1つのジスルフィド結合を介して共有結合されている、態様33~117のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
119.少なくとも前記第1のT細胞-MPポリペプチド配列、及び任意に前記第1及び第2のT細胞-MPポリペプチド配列は、
(i)任意に、L1リンカーによって任意に接続された1つ以上のMODポリペプチド配列;
(ii)任意のL2リンカーポリペプチド配列;
(iii)β2Mポリペプチド配列;
(iv)10~50アミノ酸を含むL3リンカーポリペプチド配列;
(v)位置84及び139で置換されたシステインを含み(図3E~3H、例えば、Y84C及びA139C置換を参照されたい)、かつジスルフィド結合を形成するクラスI MHC-Hポリペプチド配列;
(vi)L4リンカーポリペプチド配列;
(vii)種間または非種間免疫グロブリンFc骨格配列;
(viii)L5リンカーポリペプチド配列;及び
(ix)L6リンカーポリペプチドによって接続された1つ以上のMODポリペプチド配列;
を含み、前記β2Mポリペプチド配列、前記L3リンカーポリペプチド配列、または前記MHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープ(例えば、ペプチド、ホスホペプチド、糖ペプチド、リポペプチドまたは炭水化物エピトープ)の直接的または間接的(例えば、リンカーを介する)共有結合のための化学的コンジュゲーション部位(例えば、タンパク質操作によって付加される)を含み;
前記第1及び第2のT細胞-MPは、それらのIg Fc骨格配列間の少なくとも1つのジスルフィド結合を介して共有結合されている、態様33~117のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
120.前記第1及び第2のT細胞-MPポリペプチドの前記化学的コンジュゲーション部位(複数可)は、L3リンカー内にある、態様118または119に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
121.前記第1及び第2のT細胞-MPポリペプチドの前記化学的コンジュゲーション部位(複数可)は、グリシン、セリン及び/またはアラニン残基を含む、それから本質的に(主に)なる、またはそうでなければそれからなる前記L3リンカーに存在するシステインのスルフヒドリルである、態様120に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
122.前記第1及び第2のT細胞-MPポリペプチドの前記化学的コンジュゲーション部位(複数可)は、前記β2Mポリペプチド配列内(例えば、図4に提供される成熟β2Mポリペプチド配列におけるE44C置換)にある、態様118または119に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
123.前記第1及び第2のT細胞-MPポリペプチドの前記化学的コンジュゲーション部位(複数可)は、前記β2Mポリペプチド配列で提供されるシステインのスルフヒドリルである、態様122に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
124.前記第1及び第2のT細胞-MPポリペプチドの前記化学的コンジュゲーション部位(複数可)は、図4に提供される成熟β2Mポリペプチド配列の位置44において前記β2Mポリペプチドで提供されるシステインのスルフヒドリルである、態様123に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
125.前記1つ以上のMODポリペプチド配列は、少なくとも1つ(例えば、2つ以上)のwt IL-2またはバリアントIL-2配列(例えば、H16AまたはT置換及びF42A置換を含む)を含む、態様118~124のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
126.前記1つ以上のMODポリペプチド配列は、少なくとも1つのwt.またはバリアントCD80またはCD86配列を含む、態様118~125のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
127.前記1つ以上のMODポリペプチド配列は、少なくとも1つのwt.またはバリアントPD-L1配列を含む、態様118~126のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
128.前記1つ以上のMODポリペプチド配列は、少なくとも1つのwt.またはバリアント4-1BBLまたはPD-L1配列を含む、態様118~127のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
129.(i)前記免疫グロブリンFc骨格は、非種間骨格ポリペプチドであり、前記二重体は、同一の第1及び第2のT細胞-MPポリペプチドを含むホモ二量体であり;または
(ii)前記第1及び第2の骨格ポリペプチドは、免疫グロブリンFc骨格ポリペプチドの種間対(例えば、KIHまたはKIH-ss対)であり、前記二重体は、ヘテロ二量体である、
態様118~128のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
130.前記第1及び第2の骨格ポリペプチドは、免疫グロブリンFc骨格ポリペプチドの種間対であり、前記第1のT細胞-MPポリペプチド配列は、前記第2のT細胞-MPポリペプチド配列に存在しない少なくとも1つのMODポリペプチド配列を含む、態様129に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
131.T細胞-MPに共有結合した追加のペプチド及び/またはペイロードをさらに含む、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
132.前記追加のペプチドは、エピトープタグまたは親和性ドメインである、態様131に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
133.前記追加のペプチドは、標的化配列である、態様131に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
134.前記標的化配列は、抗体もしくはその抗原結合断片、または一本鎖T細胞受容体である、態様133に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
135.前記標的化配列は、感染性物質のタンパク質または非タンパク質エピトープに仕向けられている、態様132~133のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
136.前記感染性物質は、ウイルス、細菌、真菌、原虫、または寄生蠕虫である、態様135に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
137.前記標的化配列は、自己抗原またはアレルゲンに仕向けられている、態様132~133のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
138.前記標的化配列は、がん関連抗原(「CAA」)に仕向けられている、態様132~133のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
139.前記がん関連抗原は、セクションI.A.7.b.i.(a)「がん関連抗原「CAA」において記述されているものから選択される、態様138に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
140.前記標的化配列は、抗CD51、抗CD74、抗CD22、抗CD20、抗CD20、抗CD22、抗CD38、抗PD-1受容体、抗CTLA-4、抗TROP-2、抗ムチン、抗CEA、抗CEACAM6、抗結腸特異的抗原-p、抗アルファ-フェトプロテイン、抗IGF-1R、抗CD19、抗PSMA、抗PSMA二量体、抗炭酸脱水酵素IX、抗HLA-DR、抗CD52、抗EpCAM、抗VEGF、抗EGFR、抗CD33、抗HER2、抗CD79b、抗BCMA、及び抗メソテリン抗体またはそれらの抗原結合断片からなる群から選択される、態様138に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
141.前記CAAは、ペプチド/HLA複合体としてHLAによって提示されるペプチドである、態様138に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。セクションI.A.7.b.i.(b)「ペプチド/HLA複合体」を参照されたい。
142.前記標的化配列は、抗HER2、抗CD19、抗メソテリン、抗TROP2、抗BCMA、抗MUC-1、抗MUC16、もしくは抗クローディン抗体またはそれらの抗原結合断片から選択される、態様138に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。セクションI.A.7.b.ii(a)~(h)を参照されたい。
143.T細胞-MPに共有結合したペイロードをさらに含む、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
144.前記ペイロードは、治療剤、化学療法剤、診断剤、または標識である、態様143に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
145.少なくとも1つのT細胞-MPは、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは高次T細胞-MP-エピトープコンジュゲート複合体、例えば、二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを形成するために、前記β2Mポリペプチド配列、前記L3ポリペプチド配列、及び/または前記MHC-Hポリペプチド配列における前記化学的コンジュゲーション部位で非ペプチドまたはペプチドエピトープにコンジュゲートされる、任意の先行態様に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたは二重体T細胞-MP。
146.前記エピトープは、がんエピトープ、感染性物質エピトープ、自己エピトープ(自己抗原)、またはアレルゲンエピトープである、態様145に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
147.前記エピトープは、約4aa~約25aa(例えば、前記エピトープは、4aa~約10aa、約6aa~約12aa、約10aa~約15aa、約15aa~約20aa、または約20aa~約25aaの長さを有し得る)を含むペプチド、糖ペプチド、ホスホペプチド、またはリポペプチドである、態様145~146のいずれかに記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
148.前記ペプチドエピトープは、約6aa~約12aaである、態様147に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
149.前記エピトープは、がんエピトープである、態様145~148のいずれかに記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
150.前記がんエピトープは、セクションI.A.8.d.i「がんに存在するエピトープ-がん関連抗原(「CAA」)」に示される、態様149に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
151.前記がんエピトープは、セクションI.A.8.d.i(a)「アルファフェトプロテイン(AFP)」に示されるアルファフェトプロテイン(AFP)エピトープである、態様150に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
152.前記がんエピトープは、セクションI.A.8.d.i(b)「ウィルムス腫瘍抗原(WT-1)」に示されるウィルムス腫瘍抗原(WT-1)タンパク質のエピトープである、態様150に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
153.前記がんエピトープは、セクションI.A.8.d.i(c)「ヒトパピローマウイルスI(HPV)」に示されるヒトパピローマウイルスI(HPV)エピトープである、態様150に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
154.前記がんエピトープは、セクションI.A.8.d.i(d)「B型肝炎ウイルス(HBV)」に示されるB型肝炎ウイルス(HBV)エピトープである、態様150に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
155.前記エピトープは、自己エピトープである、態様145~148のいずれかに記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
156.前記エピトープは、アレルゲン(例えば、アレルギー性タンパク質)のエピトープである、態様145~148のいずれかに記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
157.前記アレルゲンは、ナッツ(例えば、木及び/またはピーナッツ)、グルテン、花粉、卵(例えば、ニワトリ、Gallus domesticus)、甲殻類、大豆、魚、及び昆虫毒(例えば、ハチ及び/またはカリバチ毒抗原)のタンパク質または非タンパク質成分から選択される、態様156に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
158.前記エピトープは、感染性物質によって提示されるエピトープである、態様145~148のいずれかに記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
159.前記感染性物質は、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、または寄生蠕虫である、態様158に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
160.前記感染性物質は、ウイルスであり、前記エピトープは、ウイルス感染性疾患物質(例えば、セクションI.A.8.d.ii「感染性物質」)に示されるウイルス)によって提示されるエピトープである、態様145~159のいずれかに記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
161.疾患(例えば、がんまたは感染症)または病態(例えば、アレルギー)の処置または予防の方法であって、
(i)有効量の態様1~144のいずれかに記載の1つ以上のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MPを患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること;
(ii)有効量の態様145~160のいずれかに記載の1つ以上のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること;
(iii)有効量の態様1~144のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MPをコードする1つ以上の核酸を患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること;
(iv)細胞または組織をin vitro、in vivo、またはex vivoで態様1~144のいずれかに記載の1つ以上のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MPと接触させること、及び前記細胞、組織、またはその子孫を患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること;
(v)細胞または組織をin vitro、in vivo、またはex vivoで態様145~160のいずれかに記載の1つ以上のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートと接触させること、及び前記細胞、組織、またはその子孫を患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること;
または
(vi)細胞または組織をin vitro、in vivo、またはex vivoで態様1~133のいずれかに記載のT細胞-MPまたは二重体T細胞-MPをコードする1つ以上の核酸と接触させること及び前記細胞、組織、またはその子孫を患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること
を含む、前記方法。
162.疾患(例えば、がんまたは感染症)または病態(例えば、アレルギー)の処置または予防の方法であって、
(i)有効量の態様145~160のいずれかに記載の1つ以上のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること;または
(ii)細胞または組織をin vitro、in vivo、またはex vivoで態様145~160のいずれかに記載の1つ以上のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートと接触させること、及び前記細胞、組織、またはその子孫を患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること
を含む、前記方法。
163.前記1つ以上のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを形成するために、エピトープ(例えば、ペプチド、リポペプチド、ホスホペプチド、炭水化物または糖ペプチドエピトープ)にコンジュゲートされた態様118~130のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを含む、態様162に記載の方法。
164.前記T細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、少なくとも1つの標的化配列(例えば、細胞または組織に特異的な標的化配列)をさらに含む、態様161~163のいずれかに記載の方法。
165.前記投与は、哺乳動物患者または対象へのものである、態様131~164のいずれかに記載の方法。
166.前記患者または対象は、ヒトである、態様165に記載の方法。
167.前記患者または対象は、非ヒト(例えば、げっ歯類、ウサギ目動物、ウシ、イヌ、ネコ、げっ歯類、マウス、ヤギ、サル、ヒツジ、ウマ、ウサギ(lappine)、ブタ等)である、態様165に記載の方法。
168.前記疾患または病態は、がんであり、標的化配列が存在する場合、それは、CTP(例えば、抗HER2、抗CD19、抗メソテリン、抗TROP2、抗BCMA、抗MUC-1、抗MUC16)である、態様161~167のいずれかに記載の方法。
169.前記エピトープは、がんエピトープである、態様161~168のいずれかに記載の方法。
170.前記疾患または病態は、感染症である、態様161~167のいずれかに記載の方法。
171.前記疾患は、ウイルス感染症である、態様161~167のいずれかに記載の方法。
172.前記疾患は、細菌、真菌または原生動物感染症である、態様161~167のいずれかに記載の方法。
173.CD8+T細胞機能(例えば、エフェクター機能)を増強する及び/または疾患または病態を処置する1つ以上の治療剤を投与することをさらに含む、態様161~172のいずれかに記載の方法。
174.CD8+機能を増強する及び/または前記疾患または病態を処置する前記治療剤は、抗TGF-β抗体、例えば、TGF-β1に対して仕向けられたメテリムマブ(CAT192)ならびにTGF-β1及びTGF-β2に対して仕向けられたフレソリムブ、またはTGF-β捕捉剤を含む(任意に、但し、前記T細胞-MPまたは二重体化T細胞-MPは、前記抗体またはTGF-β捕捉剤が結合するaa配列、例えば、TGF-β1またはTGF-β2 wt.MODまたはバリアントMODのaa配列を含まないことを条件とする)、態様173に記載の方法。
175.CD8+機能を増強する及び/または前記疾患または病態を処置する前記治療剤は、以下のものに対して仕向けられた1つ以上の抗体を含む、態様173~174のいずれかに記載の方法:Bリンパ球抗原(例えば、イブリツモマブチウキセタン、オビヌツズマブ、オファツムマブ、CD20に対するリツキシマブ、CD30に対して仕向けられたブレンツキシマブベドチン、及びCD52に対するアレムツズマブ);EGFR(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、及びネシツムマブ);VEGF(例えば、ベバシズマブ);VEGFR2(例えば、ラムシルマブ);HER2(例えば、ペルツズマブ、トラスツズマブ、及びアド-トラスツズマブ);PD-1(例えば、チェックポイント阻害を標的とするニボルマブ及びペムブロリズマブ);RANKL(例えば、デノスマブ);CTLA-4(例えば、チェックポイント阻害を標的とするイピリムマブ);IL-6(例えば、シルツキシマブ);ジシアロガングリオシド(GD2)(例えば、ジヌツキシマブ);CD38(例えば、ダラツムマブ);SLAMF7(エロツズマブ);EpCAM及びCD3の両方(例えば、カツマキソマブ);またはCD19及びCD3の両方(ブリナツモマブ)(任意に、但し、T細胞-MPまたは二重体化T細胞-MPは、抗体が結合するaa配列を含まないことを条件とする)。
176.1つ以上の追加の治療剤(例えば、化学療法剤、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、及び/または抗寄生蠕虫剤)を投与することをさらに含む、態様161~175のいずれかに記載の方法。
177.前記疾患は、がんであり、前記方法は、1つ以上の化学療法剤を投与することをさらに含む、態様176に記載の方法。
178.前記1つ以上の化学療法剤は、アルキル化剤、細胞骨格破壊剤(タキサン)、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログ、ペプチド抗新生物性抗生物質(例えば、ブレオマイシンまたはアクチノマイシン)、白金系剤、レチノイド、ビンカアルカロイド及びそれらの誘導体からなる群から選択される、態様177に記載の方法。
179.前記1つ以上の化学療法剤は、アクチノマイシンオールトランスレチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビンデシンからなる群から選択される、態様176に記載の方法。
180.CD8+T細胞機能を抑制する(例えば、エフェクター機能を抑制する)、免疫反応を抑制する、及び/または前記疾患または病態を処置する1つ以上の治療剤を投与することをさらに含む、態様161~167のいずれかに記載の方法。
181.前記疾患または病態は、自己免疫疾患であり、前記エピトープは、自己抗原(自己エピトープ)である、態様180に記載の方法。
182.前記疾患または病態は、アレルギーであり、前記エピトープは、アレルゲンである、態様180に記載の方法。
183.NSAID(例えば、Cox-1及び/またはCox-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、及びナプロキセン)を投与することをさらに含む、態様180~182のいずれかに記載の方法。
184.コルチコステロイド(例えば、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、エタメタソネブ、フルドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン及びトリアムシノロン)を投与することをさらに含む、態様180~183のいずれかに記載の方法。
185.腫瘍壊死因子アルファの1つ以上の作用を遮断する薬剤(例えば、抗TNFアルファ、例えば、ゴリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブ、アダリムマブまたはTNFアルファデコイ受容体、例えば、エタネルセプト)を投与することをさらに含む(任意に、但し、前記T細胞-MPまたは二重体化T細胞-MPは、腫瘍壊死因子アルファwt.MODまたはバリアントMOD及び/またはTNFアルファの1つ以上の作用を遮断する薬剤が結合するaa配列を含まないことを条件とする)、態様180~184のいずれかに記載の方法。
186.IL-1と競合してIL-1受容体に結合する1つ以上の薬剤(例えば、アナキンラ)を投与することをさらに含む(任意に、但し、前記T細胞-MPまたは二重体化T細胞-MPは、IL-1 wt.MODまたはバリアントMOD及び/または前記薬剤が結合するaa配列を含まないことを条件とする)、態様180~185のいずれかに記載の方法。
187.IL-6受容体に結合し、かつ前記受容体を介するシグナル伝達からIL-6を阻害する1つ以上の薬剤(例えば、トシリズマブ)を投与することをさらに含む(任意に、但し、前記T細胞-MPまたは二重体化T細胞-MPは、IL-6 wt.MODまたはバリアントMOD及び/または前記薬剤が結合するaa配列を含まないことを条件とする)、態様180~186のいずれかに記載の方法。
188.CD80及び/またはCD86受容体に結合し、かつT細胞増殖及び/またはB細胞免疫反応を阻害する1つ以上の薬剤(例えば、アバタセプト)を投与することをさらに含む(任意に、但し、前記T細胞-MPまたは二重体化T細胞-MPは、CD80及び/またはCD86 wt.MODまたはバリアントMOD及び/または前記薬剤が結合するaa配列を含まないことを条件とする)、態様180~187のいずれかに記載の方法。
189.CD20に結合し、B細胞死をもたらす1つ以上の薬剤(例えば、リツキシマブ)を投与することをさらに含む(但し、前記T細胞-MPまたは二重体化T細胞-MPは、CD20 wt.MODまたはバリアントMOD、及び/または前記薬剤が結合するaa配列を含まないことを条件とする)、態様180~188のいずれかに記載の方法。
190.前記T細胞-MPもしくは二重体T細胞-MP、または前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPをコードする核酸は、前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MP及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む組成物で投与される、態様180~189のいずれかに記載の方法。
191.追加のポリペプチドを任意に含む態様1~144のいずれかに記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPをコードする核酸配列。
192.プロモーターに機能可能に連結されている、態様191に記載の核酸配列。
193.態様1~144のいずれかに記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MPをコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸であって、二重体化分子の少なくとも1つは、追加のポリペプチドを任意に含む、前記1つ以上の核酸。
194.前記コンジュゲートされていない二重体T細胞-MPをコードする前記核酸配列は、プロモーターに機能可能に連結されている、態様193に記載の1つ以上の核酸。
195.T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPを発現する細胞を生成する方法であって、前記方法は、態様191~194のいずれかに記載の1つ以上の核酸をin vitroまたはex vivoで前記細胞に導入すること;前記コンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MPを生成する細胞を選び出すこと;及び任意に、少なくとも1つの細胞染色体に組み込まれていないまたは組み込まれた前記1つ以上の核酸のすべてまたは一部を含む細胞を選び出すことを含む、前記方法。
196.前記細胞は、HeLa細胞、CHO細胞、293細胞(HEK-293細胞)、Vero細胞、NIH3T3細胞、Huh-7細胞、BHK細胞、PC12、COS細胞、COS-7細胞、RAT1細胞、マウスL細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、及びHLHepG2細胞から選択される哺乳動物細胞株の細胞である、態様195に記載の方法。
197.態様195または196に記載の方法によって調製されるT細胞-MPまたは二重体T細胞-MPを一過性にまたは安定に発現する1つ以上の細胞。
198.前記細胞は、約20~約200(例えば、20~40、40~80、80~100、100~120、120~140、140~160、160~180または180~200)mg/リットル以上の前記コンジュゲートされていないT細胞-MPを発現する、態様197に記載の細胞。
199.前記細胞は、前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPを発現しないこと以外は同一の細胞と比べて細胞生存性の実質的減少(5%、10%、または15%未満の減少)を伴わずに約20~約200mg/リットル以上の前記コンジュゲートされていないT細胞-MPを発現する、態様198に記載の細胞。
200.1つ以上(例えば、2つ以上)のwt.MODポリペプチド及び/またはバリアントMODポリペプチドを、患者または対象の1つ以上の細胞または組織に選択的に送達する方法であって、前記方法は、
(i)有効量の態様1~160のいずれかに記載の1つ以上のT細胞-MPまたは二重体T細胞-MPを患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること;
を含み、前記1つ以上のT細胞-MPまたは二重体T細胞-MPの少なくとも1つ以上のT細胞-MPは、前記1つ以上の細胞または組織に特異的な標的化配列を含み;
前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、1つ以上(例えば、2つ以上)のwt.MOD及び/またはバリアントMODを含む、前記方法。
201.1つ以上(例えば、2つ以上)のwt.MODポリペプチド及び/またはバリアントMODポリペプチドを、患者または対象の1つ以上のT細胞または組織に選択的に送達する方法であって、前記方法は、
(i)有効量の態様145~160のいずれかに記載の1つ以上のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを患者/対象(例えば、それを必要とする患者)に投与すること;
を含み、前記1つ以上のT細胞、または組織に存在する少なくとも1つのT細胞は、前記T細胞-MPにコンジュゲートされた前記エピトープに選択的(例えば、特異的)であり;
前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、1つ以上のwt.MODまたはバリアントMODを含む、前記方法。
202.前記1つ以上のwt.MODポリペプチド及び/またはバリアントMODポリペプチドは、4-1BBL、PD-L1、IL-2、CD80、CD86、OX40L(CD252)、Fasリガンド(FasL)、ICOS-L、ICAM、CD30L、CD40、CD83、HVEM(CD270)、JAG1(CD339)、CD70、TGF-β1、TGF-β2、及びTGF-β3 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列からなる群から独立して選択される、態様200または201に記載の方法。
203.前記1つ以上のwt.MODポリペプチド及び/またはバリアントMODポリペプチドは、4-1BBL、PD-L1 IL-2、CD80、CD86、及びFasLのwt.MODならびにそれらのいずれかのバリアントMODポリペプチド配列からなる群から独立して選択される、態様200または201に記載の方法。
204.前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、少なくとも1つのIL-2 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列、及び少なくとも1つのCD80、CD86、バリアントCD80またはバリアントCD86ポリペプチド配列を含む、態様200~202のいずれかに記載の方法。
205.前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、少なくとも1つのIL-2 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列、またはタンデムのIL-2 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列の少なくとも1つの対を含む、態様200~202のいずれかに記載の方法。
206.前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、少なくとも1つのCD80及び/またはCD86 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様200~202のいずれかに記載の方法。
207.前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、少なくとも1つのPD-L1 wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様200~202のいずれかに記載の方法。
208.前記T細胞-MPまたは二重体T細胞-MPは、少なくとも1つのFasL wt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含む、態様200~202のいずれかに記載の方法。
X.実施例
実施例1
図12のA、B及びCにおいて二重体として示される分割鎖または一本鎖コンストラクトのコア要素として、HLA-A*02:01(HLA-A02)クラスI重鎖ポリペプチド配列、ヒトβ2Mポリペプチド配列、及びIgG骨格配列を含む一連のコンストラクトをコードする核酸を調製した。
分割鎖コンストラクト(構造AまたはB)の各々は、N末端からC末端まで、F42A、H16A置換を有するタンデムヒトIL-2ポリペプチド配列(2xhIL2)、HLA-A*02:01(A02)α1、α2、及びα3ドメイン、ならびにL234A及びL235A置換を有するヒトIgG1骨格を含む第1のポリペプチド配列を有する。分割鎖コンストラクトのほとんどにおいて現れる1694第1ポリペプチドは、A236C、Y84C及びA139C置換2xhIL2(F42A、H16A)-(GS)-HLA-A02(A236C、Y84C、A139C)-AAAGG-IgG1(L234A、L235A):
Figure 2023534460000020
を含む。
2つの分割鎖コンストラクトにおいて現れる4008ポリペプチドは、1694コンストラクトと似ているが、HLA-A02配列におけるA236C、Y85C、及びD137C置換-2xhIL2(F42A、H16A)-(GS)-HLA-A02(A236C、Y85C、D137C)-AAAGG-IgG1(L234A、L235A):
Figure 2023534460000021
を含む。
図12における分割鎖コンストラクト(構造A及びB)の各々は、R12C及びE44C置換を有するβ2Mポリペプチド配列:IQRTPKIQVYSCHPAENGKSNFLNCYVSGFHPSDIEVDLLKNGCRIEKVEHSDLSFSKDWSFYLLYYTEFTPTEKDEYACRVNHVTLSQPKIVKWDRDM(配列番号495)を含む第2のポリペプチドを含み、示されたリンカー、またはCMVペプチドエピトープNLVPMVATV及びリンカーのいずれかが、以下に提供される表に示されるようにそれらのN末端で付加される。
図12に列挙されるコンジュゲートされていないT細胞-MPコンジュゲートはそれぞれ、単一のポリペプチド鎖として、N末端からC末端まで、IL-2、β2M、HLA-A*02:01(A02)α1、α2、及びα3ドメイン、ならびにヒトIgG1ポリペプチド配列を含む。3861コンストラクトのaa配列は、以下に提供されており、一本鎖T細胞-MPコンストラクトの残りは、3861コンストラクトのバリエーションとみなされ得、これは、F42A及びH16A置換を有するタンデム2xIL-2配列-(GS)リンカー-β2M(E44C)-(GS)リンカー-Y84C、A139Cを有するHLA-A02-AAAGGリンカー-ならびにL234A及びL235A置換を有するIgG1:
Figure 2023534460000022
を有する。
タンデムIL-2配列がこの例のコンストラクトに存在する場合、それらは、(GS)リンカーによって隔てられている。3861以外の配列の各々は、示されるようにIL-2とβ2Mとの間、及び/またはβ2MとHLA-A02配列との間に存在するリンカー(L3リンカー)においてバリエーションを有する。また、コンストラクト3984は、単一のIL-2配列のみを有し、3999~4002の各々は、以下の表に示されるようにHLA-A02ポリペプチド配列における追加のaa置換を有する。
Figure 2023534460000023
Figure 2023534460000024
タンパク質コンストラクトをコードする核酸を培地中においてCHO細胞にトランスフェクションし、それによって可溶性タンパク質として発現させた。7日後に培地において発現したタンパク質のレベルを、発現したタンパク質を捕捉するためのプロテインAを使用してBLIアッセイによって決定した(図12D)。非凝集二重形態で現れるタンパク質の画分を、磁性プロテインAビーズを使用して培地からタンパク質を単離することによって評価する。洗浄後、結合したタンパク質を、pHを低下させることによってビーズから溶出させ、次いでAGILENT(登録商標)クロマトグラフィーシステムでUV検出を使用して分析サイズ排除クロマトグラフィーに供する。12Eで報告される非凝集タンパク質の画分は、クロマトグラフィーされたタンパク質の総面積に対する二重体の分子量に対応するピークの面積に基づく。
結果は、コンジュゲートされていない一本鎖T細胞-MPコンストラクトが、それらのコンジュゲートされていない分割鎖コンストラクト対応物よりも高いレベルでより均一に発現するようであることを示している。
実施例2
コンジュゲートされていないT細胞-MPに対する培養中の時間、細胞培養密度、及び培養温度の効果を、28及び32℃でCHO細胞においてコンストラクト3861(実施例1を参照されたい)を一過性に発現させることによって試験した。トランスフェクションは、ポリペプチドをコードするカセットがクローニングされた組換えpTT5ベクターを使用してexpiCHO(登録商標)トランスフェクションキット(Gibco(商標)/ThermoFisher Scientific,Skokie,IL)を用いて達成した。トランスフェクションされた細胞を1ミリリットル当たり2、4または6百万細胞まで希釈し、T細胞-MP3861発現レベル及び二重体形態の非凝集タンパク質の画分を、培養物の一部を除去することによって示されるように2、4、7、及び/または9日目に決定した。分析は、実施例1のように行われ、図13(A及びB)に示されており、各ヒストグラムセットの下に細胞の数及び培養温度が示されている(例えば、32℃で600万細胞は6M/32Cと表記される)。また、図13には、プロテインAを使用して培養物から収穫された及びサイズ排除クロマトグラフィーによるさらなる精製の後のコンジュゲートされていない3861T細胞-MPのサイズ除外クロマトグラム(C及びD)が示されている(それぞれ上側及び下側クロマトグラム)。クマシーブルー染色したSDS PAGE分析(E)は、精製された物質の純度及び均一性を確認する(このサンプルは、還元形態(R)及び非還元形態(NR)でゲルに施された)。
実施例3
T細胞-MPエピトープコンジュゲート及び対照コンストラクトとエピトープ特異的T細胞との特定の相互作用を、その分子を、CMVペプチドNLVPMVATV(黒色棒)またはメラン-A及びムチン関連ペプチド(MART-1)ELAGIGILTV(白色棒)のいずれかに対して反応性であるT細胞とインキュベートすることによって図14Aに提供されるElispotデータのヒストグラムにおいて評価した。コンジュゲートされていない3861T細胞-MP二重体(一般的構造については図12Cを参照されたい)群1、ならびにポリペプチド1694及び2686を含むコンジュゲートされていない分割鎖コンストラクト(図12Bのように二重体化されている)群2の対照サンプルを試験サンプルを用いて並行に実行した。マレイミド基によって(GS)リンカーを介してβ2MのE44C位置にコンジュゲートされたT細胞-MP及び分割鎖コンストラクトが群3及び4に示されている。融合タンパク質の一部としてCMVまたはMART-1ポリペプチドを有する対照コンストラクト分割鎖融合タンパク質(図12構造A)の効果が群5及び6にそれぞれに示されている。CMV及びMART-1ペプチドによる対照刺激が群7及び8にそれぞれに示されている。ヒストグラムは、処置によるT細胞の活性化を示す捕捉されたインターフェロンガンマによるスポットの数を示している。
図14Bに示されるSDS-PAGEゲルは、エピトープコンジュゲート及び融合タンパク質の還元及び非還元サンプルの分析を提供し、それらの純度及び均一性を示している。
実施例4
CMV反応性ドナー(ドナー8、10、38、及び39)及びMART-1反応性ドナー(ドナー17及び18)からの白血球のFicoll-Paque(登録商標)で精製されたサンプルを調製し、使用して、T細胞-MP-エピトープコンジュゲートがCMVまたはMART-1特異的エピトープに特異的なT細胞を増殖させる能力を実証した。MART-1反応性ドナー18はまた、CMVペプチドに対するいくらかの反応性を示す。陽性及び陰性対照処置は、CMV及びMART-1ペプチドにコンジュゲートされた分割鎖コンストラクトでの処置;培地中のCMVまたはMART-1ペプチドでの処置;及び培地のみの対照処置を含んでいた。実験のため、白血球を、示された量の対照またはT細胞-MP-エピトープコンジュゲートまたは対照処置を含有するImmunoCult(商標)培地(Stemcell Technologies,Vancouver,British Columbia)に1ml当たり2.5×10個の細胞で懸濁した。培養下で10日後、CMVまたはMART-1に反応性の細胞の数を、MBL International Corpから購入したCMVまたはMART-1四量体を使用してフローサイトメトリーによって評価した。結果は、CMVペプチド、及びより少ない程度のCMVペプチドにコンジュゲートされたT細胞-MP及び分割鎖コンストラクトの両方が、CMV反応性ドナーからのCMV特異的T細胞の増殖を濃度依存的に刺激することを示している。MART-1ペプチド、及びより少ない程度のMART-1ペプチドにコンジュゲートされたT細胞-MP及び分割鎖コンストラクトが、MART-1反応性ドナーからのMART-1特異的T細胞の増殖を濃度依存的に刺激する。各例において、CMVペプチドコンジュゲートは、CMV反応性ドナーからのT細胞を選択的に刺激したが、MART-1反応性ドナーからのT細胞ではそうではなく、その逆も同様であった。IL-2の非存在下で遊離ペプチドは、T細胞-MPエピトープコンジュゲートで観察された効果と同等の効果をもたらさなかった。結果は、図15に提供される。
アッセイに用いられたT細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、β2Mポリペプチド配列におけるシステイン(E44C)でCMV(NLVPMVATV)またはMART-1(ELAGIGILTV)(配列番号533)ペプチドのいずれかに、マレイミド基を保有する(GS)リンカー(例えば、CMVペプチドNLVPMVATV-(GS)-リジン-イプシロンアミノ-マレイミドの場合)を介してコンジュゲートされた3186ポリペプチドの二重体であった(コンジュゲートされていない二重体の一般的形態については実施例1及び図12構造Cを参照されたい)。分割鎖エピトープコンジュゲートは、β2Mポリペプチド配列におけるシステイン(E44C)でCMV(NLVPMVATV)またはMART-1(ELAGIGILTV)ペプチドのいずれかに、マレイミド基を保有する(GS)リンカーを介してコンジュゲートされたa1694及び2686ポリペプチドをそれぞれ含む2つの分割鎖コンストラクトの二重体であった(コンジュゲートされていない二重体の一般的形態については実施例1及び図12構造Bを参照されたい)。システインコンジュゲーション部位から任意のキャッピングを除去するための還元の後、マレイミド基を保有するペプチドの少なくとも2つの付加を使用して、マレイミドカップリング反応について記載されているようにコンジュゲーションを行った。
追加の試験において、(GS)L3リンカー(β2MとHLA-A02配列との間のリンカー)を保有すること以外は3861と同一であるコンストラクトの効果を、3861ポリペプチド二重体と比較した(すなわち、コンストラクト4125 2xIL2(F42A、H16A)-(GS)-β2M(E44C)-(GS)-HLA-A02(Y84C、A139C)-AAAGG-IgG1(L234A、L235A))。3861及び4125コンストラクトの両方の二重体を、マレイミド末端(GS)リンカーによってCMVまたはMART-1ペプチドにコンジュゲートし、エピトープ特異的様式でT細胞を増殖させる能力について並行して試験した。アッセイを、培地単独のみの対照を行ったこと以外は3861エピトープコンジュゲートについて上述したように行った。結果が図16に示されており、リンカー長さの延長が、3861エピトープコンジュゲートで見られたT細胞の増殖を実質的に変化させなかったことを示している。
実施例5
細胞発現のレベル及びT細胞-MPタンパク質の質(非凝集画分)に対するL3リンカーの長さの効果を試験するために、増加する長さのL3リンカーを有すること以外はコンストラクト3861に関連するコンストラクト4125~4128をコードする一連の核酸を調製し、発現ベクター(pTT5)に挿入した。β2Mポリペプチドにおける追加のR12C置換(R12C、E44C)及び鎖間ジスルフィド結合を形成し得るHLA-A02ペプチドにおけるA236C置換を保有する第2のセットのコンストラクト(4129~4133)も調製した。ベクターをexpiCHO(登録商標)トランスフェクションキットを用いてCHO細胞にトランスフェクションし、培地において発現したタンパク質の量及び磁性ビーズを使用した精製後の非凝集タンパク質の画分の両方を、示されているように4、6、8、及び/または11日目に評価した。特定のコンストラクトは、以下の表に記述されるものを含んでいた。
Figure 2023534460000025
発現したコンジュゲートされていないT細胞-MPコンストラクトの量を、実施例1に記載の方法を使用してBioForte装置で捕捉のためのプロテインAを使用してBLIアッセイによって決定した。結果は、図17のヒストグラムAで提供される。
磁性プロテインAビーズでの精製後の(二重体形態で存在する)凝集していないコンジュゲートされていないT細胞-MPの画分をサイズ排除クロマトグラフィーによって決定した。実施例1に記載されているようにクロマトグラム下の面積に対する二重体の分子量に対応するクロマトグラフィーピークの面積を使用して画分を決定した。結果は、図17のヒストグラムBに示されている。
追加の最適化は、高い収率が可能であることを示している。単離前にCHO培養細胞培地中でコンストラクト4125は200mg/mlに達したことが観察され、コンストラクト4127は170mg/mlに達したことが観察された。

Claims (25)

  1. コンジュゲートされていないT細胞調節性ポリペプチド(T細胞-MP)であって、前記ポリペプチドは、
    (i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、前記1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列;
    (ii)前記1つ以上のMODポリペプチド配列をβ2Mポリペプチド配列に接続させる任意のL2リンカーポリペプチド配列;
    (iii)前記β2Mポリペプチド配列;
    (iv)長さが10~50aaのL3リンカーポリペプチド配列;
    (v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列であって、前記MHC-Hポリペプチドは、鎖内ジスルフィド結合を形成する位置84及び139におけるシステイン置換を含む、前記クラスI MHC-Hポリペプチド配列;
    (vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;
    (vii)骨格ポリペプチド配列;
    (viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
    (ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、前記任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列;
    を含み、前記コンジュゲートされていないT細胞-MPは、要素(i)または(ix)の一部として少なくとも1つのMODポリペプチド配列を含み;
    前記β2Mポリペプチド配列、前記L3リンカーポリペプチド配列、及び/または前記MHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位を含む、前記コンジュゲートされていないT細胞調節ポリペプチド(T細胞-MP)。
  2. 前記ポリペプチドは、N末端からC末端まで、
    (i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、前記任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列;
    (ii)任意のL2リンカーポリペプチド配列;
    (iii)β2Mポリペプチド配列;
    (iv)長さが10~50aaのL3リンカーポリペプチド配列;
    (v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列であって、前記MHC-Hポリペプチドは、鎖内ジスルフィド結合を形成する位置84及び139におけるシステイン置換を含む、前記クラスI MHC-Hポリペプチド配列;
    (vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;
    (vii)骨格ポリペプチド配列;
    (viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
    (ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、または2つ以上のMODポリペプチド配列、例えば、タンデムのものであって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、前記任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、または2つ以上のMODポリペプチド配列;
    を含み、前記コンジュゲートされていないT細胞-MPは、要素(i)または(ix)の一部として少なくとも1つのMODポリペプチド配列を含み;
    前記β2Mポリペプチド配列、前記L3リンカーポリペプチド配列、及び/または前記MHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位を含む、請求項1に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  3. 前記ポリペプチドは、N末端からC末端まで、
    (i)1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、前記1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列;
    (ii)任意のL2リンカーポリペプチド配列;
    (iii)β2Mポリペプチド配列;
    (iv)長さが10~50aaのL3リンカーポリペプチド配列;
    (v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列であって、前記MHC-Hポリペプチドは、鎖内ジスルフィドを形成する位置84及び139におけるシステイン置換を含む、前記クラスI MHC-Hポリペプチド配列;
    (vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;
    (vii)骨格ポリペプチド配列;
    (viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
    (ix)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、前記任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列;
    を含み、前記β2Mポリペプチド配列、前記L3リンカーポリペプチド配列、及び/または前記MHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位を含む、請求項1に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  4. 前記ポリペプチドは、N末端からC末端まで、
    (i)任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL1リンカーによって互いに任意に接続されている、前記任意に1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列;
    (ii)任意のL2リンカーポリペプチド配列;
    (iii)β2Mポリペプチド配列;
    (iv)長さが10~50aaのL3リンカーポリペプチド配列;
    (v)クラスI MHC-Hポリペプチド配列であって、前記MHC-Hポリペプチドは、鎖内ジスルフィドを形成する位置84及び139におけるシステイン置換を含む、前記クラスI MHC-Hポリペプチド配列;
    (vi)任意のL4リンカーポリペプチド配列;
    (vii)骨格ポリペプチド配列;
    (viii)任意のL5リンカーポリペプチド配列;及び
    (ix)1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列であって、2つ以上のMODポリペプチド配列が存在する場合、それらは、独立して選択されるL6リンカーによって互いに任意に接続されている、前記1つ以上のMODポリペプチド配列、またはタンデムの2つ以上のMODポリペプチド配列;
    を含み、前記β2Mポリペプチド配列、前記L3リンカーポリペプチド配列、及び/または前記MHC-Hポリペプチド配列のうちの少なくとも1つは、エピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位を含む、請求項1に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  5. 前記β2Mポリペプチド配列、前記L3リンカーポリペプチド配列、または前記MHC-Hポリペプチド配列は、エピトープコンジュゲーションのための化学的コンジュゲーション部位を含む、いずれかの先行請求項に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  6. 前記β2Mポリペプチド配列は、図4に提供される成熟ヒトβ2MポリペプチドNP_004039.1、配列番号61の少なくとも70または少なくとも90個の連続aaと少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項5に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  7. 前記MHC-Hポリペプチド配列は、図3A~3Hのいずれかに提供されるMHC-Hポリペプチドの少なくとも200個の連続aaと少なくとも85%の配列同一性を有するHLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-G MHC-Hポリペプチド配列から選択されるヒトクラスI MHC-H鎖ポリペプチド配列を含む、請求項6に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  8. 前記MHC-Hポリペプチド配列は、位置84と位置139との間にジスルフィド結合を含む、請求項7に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  9. 前記MHC-Hポリペプチド配列は、HLA-A*0101(配列番号24)、HLA-A*0201(配列番号27)、HLA-A*0301(配列番号35)、HLA-A*1101(配列番号32)、HLA-A*2301(配列番号36)、HLA-A*2402(配列番号33)、HLA-A*2407(配列番号37)、HLA-A*3303(配列番号34)、HLA-A*3401(配列番号38)、HLA-E(配列番号58)、HLA-F(配列番号59)、またはHLA-G(配列番号60)の少なくとも200個の連続aaと少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項8に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  10. 少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つのwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列を含み、各MODは、抗CD28、4-1BBL、PD-L1、IL-2、CD80、CD86、及びFasLのwt.MODまたはバリアントMODポリペプチド配列からなる群から独立して選択される、請求項9に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  11. 少なくとも1つのwt.またはバリアントIL-2 MODポリペプチド配列、またはタンデムのwt.またはバリアントIL-2 MODポリペプチド配列の少なくとも1つの対を含む、請求項10に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  12. 前記コンジュゲートされていないT細胞-MPは、単一のバリアントIL-2 MODまたはタンデムのバリアントIL-2 MODポリペプチド配列の対を含み、前記バリアントIL-2 MODポリペプチド配列は、F42A及びH16AまたはT置換を含む、請求項10に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  13. 前記骨格ポリペプチド配列は、免疫グロブリン重鎖定常領域;コレクチンポリペプチド、コイルドコイルドメイン、ロイシン-ジッパードメイン;Fosポリペプチド;Junポリペプチド;Ig CH1ポリペプチド;Ig CLκポリペプチド;Ig CLλポリペプチド;ジスルフィドを有しないノブ・イン・ホール(KiH)ポリペプチド;安定化ジスルフィド結合を有するノブ・インホール(KiHs-s)ポリペプチド;HA-TFポリペプチド;ZW-1ポリペプチド;7.8.60ポリペプチド;DD-KKポリペプチド;EW-RVTポリペプチド;EW-RVTs-sポリペプチド;及びA107ポリペプチド配列からなる群から選択される種間または非種間ポリペプチド配列である、請求項10に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MP。
  14. 二重体または高次T細胞-MPを形成するように複合体化された請求項13に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPであって、
    少なくとも請求項13に記載の第1のコンジュゲートされていないT細胞-MP及び第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPを含み、
    (i)前記第1のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、第1のβ2Mポリペプチド配列、第1のクラスI MHC-Hポリペプチド配列、及び第1の骨格ポリペプチド配列を含み;
    (ii)前記第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、第1のβ2Mポリペプチド配列、第2のクラスI MHC-Hポリペプチド配列、及び第2の骨格ポリペプチド配列を含み;
    前記第1及び第2のコンジュゲートされていないT細胞-MPは、前記第1及び第2の骨格ポリペプチド配列の間の1つ以上の鎖間共有結合を任意に含むそれらの間の結合相互作用によって会合し、
    前記二重体または高次T細胞-MPは、ホモマーまたはヘテロマーである、前記コンジュゲートされていないT細胞-MP。
  15. Fcλ受容体及び/またはC1qタンパク質に対する結合を減少させる1つ以上の置換をさらに含む、請求項14に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
  16. 各化学的コンジュゲーション部位は、a)アミノ酸化学的コンジュゲーション部位;b)非天然アミノ酸及び/またはセレノシステイン;c)酵素修飾配列として作用するペプチド配列;d)炭水化物またはオリゴ糖部位;及び/またはe)IgGヌクレオチド結合部位から一緒にまたは独立して選択される、請求項14に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
  17. エピトープコンジュゲーションのための各化学的コンジュゲーション部位は、タンパク質操作によって導入されたシステインである、請求項16に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
  18. 前記タンパク質操作によって導入されたシステインは、前記β2Mポリペプチド配列内にある、請求項17に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
  19. 前記β2Mポリペプチド配列内の前記タンパク質操作によって導入されたシステインは、前記β2Mポリペプチドの位置44にある、請求項18に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
  20. 1つ以上の標的化配列をさらに含む、請求項19に記載のコンジュゲートされていないT細胞-MPまたはコンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
  21. 二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートを形成するように前記β2Mポリペプチド配列、前記L3ポリペプチド配列、及び/または前記MHC-Hポリペプチド配列における前記化学的コンジュゲーション部位で非ペプチドまたはペプチドエピトープにコンジュゲートされた請求項14に記載のコンジュゲートされていない二重体T細胞-MPであって、前記二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲートは、標的化配列を任意に含む、前記コンジュゲートされていない二重体T細胞-MP。
  22. 前記エピトープは、前記β2Mポリペプチド配列におけるシステインに、前記システインと前記エピトープに結合したマレイミド基との間に形成された結合を介して直接的にまたは間接的にコンジュゲートされている、請求項21に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
  23. 前記エピトープは、がんエピトープ(がん細胞によって提示されるエピトープ)、感染性物質エピトープ(感染性物質の抗原のエピトープ)、自己エピトープ(自己抗原のエピトープ)、またはアレルゲンエピトープ(アレルゲンのエピトープ)である、請求項22に記載の二重体T細胞-MP-エピトープコンジュゲート。
  24. 疾患を処置する方法であって、有効量の請求項22に記載のT細胞-MP-エピトープコンジュゲートをそれを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
  25. 前記エピトープは、がんエピトープであり、前記対象は、がんに罹患している、請求項24に記載の方法。
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