JP2023534190A - GABAAα5アゴニストの多形および認知障害の処置において使用する方法 - Google Patents

GABAAα5アゴニストの多形および認知障害の処置において使用する方法 Download PDF

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Abstract

GABAAα5アゴニストの結晶形態、それらの結晶形態を含む医薬組成物および組合せ物、中枢神経系(CNS)障害に関連する認知障害、脳がんに関連する認知障害、脳がん自体、またはパーキンソン病精神疾患を処置する方法におけるそれらの使用、ならびに結晶形態を生成する方法。別の態様では、本開示は、a.本明細書に記載される化合物1の結晶形態を含む第1の医薬組成物、ならびにb.抗精神病薬、メマンチン、SV2A阻害剤、およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)からなる群から選択される1つもしくはそれよりも多くの治療剤、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグを含む1つまたはそれよりも多くのさらなる医薬組成物を含む医薬組合せ物に関する。

Description

政府支援の陳述
本発明は、合衆国政府の機関である、米国国立衛生研究所(NIH)、特にその米国国立老化研究所(NIA)部門により授与された助成金番号UH3NS101856の下、政府支援によりなされたものである。合衆国政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
関連出願
本出願は、2020年7月10日出願の、米国仮出願第63/050,642号の利益および優先権を主張し、この米国仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、GABAα5アゴニストの結晶形態、すなわち多形、それらの結晶形態を含む医薬組成物および組合せ物、ならびに中枢神経系(CNS)障害に関連する認知障害、脳がんに関連する認知障害、脳がん自体、またはパーキンソン病精神疾患の処置方法におけるそれらの使用に関する。
開示の背景
認知能力は、加齢の正常な結果または中枢神経障害の結果として低下することがある。例えば、かなりの高齢者集団が、正常な加齢における典型的なものを超える認知能力の低下を経験する。そのような認知機能の加齢関連性喪失は、記憶、認知、推論および判断の進行性の喪失によって臨床的に特徴付けられる。加齢関連性軽度認知障害(MCI)、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、加齢関連性認知低下(ARCD)または同様の臨床上の分類が、そのような認知機能の加齢関連性喪失に関連するものである。いくつかの推定によると、米国だけで1600万を超える人がAAMIを有し(Barker et al., 1995)、米国において65歳を超える550~700万人が加齢関連性MCIに罹患していると推定されている(Plassman et al., 2008)。
認知障害は、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆AD、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症、双極性障害(特に躁病)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、がん治療に関連する認知障害、精神遅滞、パーキンソン病(PD)、自閉症スペクトラム障害、脆弱X障害、レット症候群、強迫行動および物質嗜癖などの他の中枢神経系(CNS)障害にも関連する。
したがって、加齢関連性のものを含むがこれらに限定されない中枢神経系(CNS)障害に関連する認知障害の有効な処置に対する必要性が存在し、そのようなCNS障害には、例えば、加齢関連性認知障害、MCI、健忘性MCI、AAMI、ARCD、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆AD、外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症、双極性障害(例えば、躁病)、筋萎縮性側索硬化症、がん治療に関連する認知障害、精神遅滞、パーキンソン病(PD)、自閉症、強迫行動および物質嗜癖、ならびに認知障害に関連する他の中枢神経系(CNS)障害が含まれる。
さらに、処置を必要とする対象における脳がんに関連する認知障害を処置すること、または脳がん自体を処置することが必要とされている。さらに、処置を必要とする対象におけるパーキンソン病精神疾患を処置することが必要とされている。
研究により、GABAα5アゴニストの使用が、CNS障害に関連する認知障害、脳がんに関連する認知障害、脳がん、またはパーキンソン病精神疾患の処置に有用であることが実証されている。例えば、WO2015/095783、WO2016/205739、WO2018/130869、WO2018/130868、WO2019/246300、およびU.S.62/950,886を参照されたい。さらに、本明細書で化合物1と表記されている、構造
を有する化合物が、例えば認知障害がある対象の認知を改善するGABAα5アゴニストの具体例であることが見出された。化合物1に関して合成手順が記載されている(WO2019/246300を参照されたい)。しかし、化合物1はこれまで、いかなる多形形態でも存在することが公知でなかった。
国際公開第2015/095783号 国際公開第2016/205739号 国際公開第2018/130869号 国際公開第2018/130868号 国際公開第2019/246300号
開示の概要
本開示は、構造
を有する化合物1の結晶形態を提供する。一部の実施形態では、結晶形態は、塩、溶媒和物、または水和物である。本開示はまた、化合物1の結晶形態を含む医薬組成物を提供する。本開示はまた、化合物1の結晶形態を調製するためのプロセス、および中枢神経系(CNS)障害または脳がんに関連する認知障害の処置、脳がんの処置、またはパーキンソン病精神疾患の処置においてそれらを使用する方法を提供する。
一態様では、本開示は、化合物1の結晶形態に関し、結晶形態は形態Aである。
別の態様では、本開示は、化合物1の結晶形態に関し、結晶形態は形態Bである。
別の態様では、本開示は、化合物1の結晶形態に関し、結晶形態は形態Cである。
別の態様では、本開示は、化合物1の結晶形態に関し、結晶形態は形態Eである。
別の態様では、本開示は、化合物1の結晶形態に関し、結晶形態は形態Fである。
一態様では、本開示は、化合物1の結晶形態を含む医薬組成物に関する。
別の態様では、本開示は、
a.本明細書に記載される化合物1の結晶形態を含む第1の医薬組成物、ならびに
b.抗精神病薬、メマンチン、SV2A阻害剤、およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)からなる群から選択される1つもしくはそれよりも多くの治療剤、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグを含む1つまたはそれよりも多くのさらなる医薬組成物
を含む医薬組合せ物に関する。
本開示の別の態様では、その処置を必要とする対象またはそのリスクのある対象におけるCNS障害に関連する認知障害を処置する方法であって、前記対象に治療有効量の本開示による化合物1の結晶形態を投与するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、認知障害を伴うCNS障害には、限定することなく、加齢関連性軽度認知障害、軽度認知障害(MCI)、健忘性MCI(aMCI)、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、加齢関連性認知低下(ARCD)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆AD、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症、双極性障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、がん治療に関連する認知障害、精神遅滞、パーキンソン病(PD)、自閉症スペクトラム障害、脆弱X障害、レット症候群、強迫行動および物質嗜癖を含む、加齢関連性認知障害が含まれる。
本開示の別の態様ではその処置を必要とする対象における認知機能を保護または改善する方法であって、前記対象に治療有効量の本開示による化合物1の結晶形態を投与するステップを含む、方法が提供される。本開示のある特定の実施形態では、本開示の化合物1の結晶形態は、12時間または24時間毎に投与される。
本開示の別の態様では、その処置を必要とする対象における脳がん(脳腫瘍、例えば髄芽腫を含む)を処置する方法であって、前記対象に治療有効量の本開示の化合物1の結晶形態を投与するステップを含む、方法が提供される。
本開示の別の態様では、脳がん(脳腫瘍、例えば髄芽腫を含む)に罹患している対象における認知機能を保護または改善する方法であって、前記対象に治療有効量の本開示の化合物の結晶形態を投与するステップを含む、方法が提供される。本開示のある特定の実施形態では、化合物の結晶形態は、12時間または24時間毎に投与される。
本開示の別の態様では、その処置を必要とする対象におけるパーキンソン病精神疾患を処置する方法であって、前記対象に治療有効量の本開示の化合物の結晶形態を投与するステップを含む、方法が提供される。ある特定の実施形態では、化合物の結晶形態は、12時間または24時間毎に投与される。
一部の実施形態では、本開示による化合物の結晶形態、ならびにそれらの結晶形態を含む医薬組合せ物および組成物は、医薬として、または医薬の製造において使用するためのものである。一部の実施形態では、化合物の結晶形態、ならびにそれらの結晶形態を含む医薬組合せ物および組成物は、認知障害の処置を必要とする対象またはそのリスクのある対象におけるCNS障害に関連する前記認知障害を処置するための医薬において、または医薬の製造において使用するためのものである。一部の実施形態では、認知障害を伴うCNS障害には、限定することなく、加齢関連性軽度認知障害、軽度認知障害(MCI)、健忘性MCI(aMCI)、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、加齢関連性認知低下(ARCD)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆AD、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症、双極性障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、がん治療に関連する認知障害、精神遅滞、パーキンソン病(PD)、自閉症スペクトラム障害、脆弱X障害、レット症候群、強迫行動および物質嗜癖が含まれる。一部の実施形態では、本開示の化合物、組成物および組合せ物は、脳がん(脳腫瘍、例えば髄芽腫を含む)の処置における医薬として使用するためのものである。一部の実施形態では、本開示の化合物の結晶形態、組成物および組合せ物は、脳がん(脳腫瘍、例えば髄芽腫を含む)に関連する認知障害を処置するための医薬として、または医薬の製造において使用するためのものである。一部の実施形態では、本開示の化合物の結晶形態、組成物および組合せ物は、パーキンソン病精神疾患の処置における医薬として使用するためのものである。
本開示の別の態様では、化合物1の無水結晶形態である形態Aを生成する方法であって、
a.化合物をジクロロメタンに溶解するステップ、
b.ジクロロメタンを蒸発させて沈殿物を生成するステップ、および
c.沈殿物を回収して、化合物の無水結晶性の形態Aを得るステップ
を含む、方法が提供される。
別の態様では、化合物1の無水結晶形態である形態Aを生成する方法であって、
a.化合物を第1の温度で第1の溶媒に溶解して、溶液を生成するステップ、
b.溶液に第2の溶媒を添加して、混合物を形成するステップ、
c.必要に応じて混合物を第2の温度に冷却するステップ、および
d.得られた沈殿物を回収して、化合物の無水結晶形態である形態Aを得るステップ
を含む、方法が提供される。
別の態様では、化合物1のメタノレート結晶形態である形態Cを生成する方法であって、
a.化合物をメタノール中で合わせて混合物を形成するステップ、
b.混合物を所定時間混合するステップ、
c.必要に応じて混合物からメタノールを蒸発させるステップ、および
d.沈殿物を回収して、化合物のメタノレート結晶形態である形態Cを得るステップ
を含む、方法が提供される。
別の態様では、化合物1の脱溶媒和結晶形態である形態Bを生成する方法であって、
a.化合物のメタノレート形態Cを得るステップ、
b.化合物を所定時間加熱して、化合物の脱溶媒和結晶形態である形態Bを形成するステップ
を含む、方法が提供される。
別の態様では、化合物1の一水和物結晶形態である形態Fを生成する方法であって、
a.化合物の塩酸塩を得るステップ、
b.化合物の塩酸塩を溶媒に添加して、混合物を形成するステップ、
c.混合物を所定時間混合するステップ、
d.沈殿物を回収して、化合物の一水和物結晶形態である形態Fを得るステップ
を含む、方法が提供される。
別の態様では、化合物1の無水結晶形態である形態Eを生成する方法であって、
a.化合物を第1の温度でテトラヒドロフランに溶解して、溶液を形成するステップ、
b.第1の温度を第2の温度に調整して、沈殿を誘導するステップ、
c.沈殿物を回収して、化合物の無水結晶形態である形態Eを得るステップ
を含む、方法が提供される。
図1は、化合物1の無水多形形態のXRPDパターンを重ね合わせたものである。一番上のディフラクトグラムは無水形態Aに相当し、上から2番目のものは、脱溶媒和形態Bに相当し、上から3番目のものは、無水物質D(形態Aとの混合物として)に相当し、一番下は、無水形態Eに相当する。
図2は、化合物1の溶媒和物された多形形態のXRPDパターンを重ね合わせたものである。上部のディフラクトグラムは、メタノレート形態Cに相当し、下部のものは、一水和物形態Fに相当する。
図3は、無水形態Aのサーモグラムを図示する。図3Aは、熱重量分析(TGA)曲線に相当し、図3Bは、示差走査熱量測定(DSC)曲線に相当する。 同上。
図4は、無水形態Aの原子変位楕円体ダイアグラムを図示する。非水素原子は、50%の確率の異方性熱振動楕円体によって表される。
図5は、無水形態Aに関する、実験による(上部)パターンおよび計算した(下部)パターンのXRPDを重ね合わせたものである。
図6は、無水形態Aの動的水蒸気収着等温線を図示する。
図7は、脱溶媒和形態Bのインデックス付きXRPDパターンを図示する。
図8は、調製後(上部)に最初に採取した物質Dと周囲保管で7週間後(中央)の物質DのXRPDを重ね合わせたものである。形態AのXRPDパターンが、参照として提示されている(下部)。
図9は、物質D(形態Aとの混合物として)のサーモグラムを図示する。図9Aは、TGA曲線に相当し、図9Bは、DSC曲線に相当する。
図10は、無水形態Eの原子変位楕円体ダイアグラムを図示する。非水素原子は、50%の確率の異方性熱振動楕円体によって表される。
図11は、実験(上部)によるおよび計算(下部)した無水形態EのXRPDを重ね合わせたものである。
図12は、無水形態Eのサーモグラムを図示する。図12Aは、TGA曲線に相当し、図12Bは、DSC曲線に相当する。 同上。
図13は、一水和物形態F(上部)と参照のための化合物1のHCl塩(下部)のXRPDを重ね合わせたものである。
図14は、一水和物形態Fのインデックス付きXRPDパターンである。
図15は、一水和物形態Fのサーモグラムを図示する。図15Aは、TGA曲線に相当し、図15Bは、DSC曲線に相当する。 同上。
図16は、一水和物形態Fの動的水蒸気収着(DVS)等温線を図示する。
図17は、メタノレート形態Cのインデックス付きXRPDパターンである。
図18は、メタノレート形態Cのサーモグラムを図示する。図18Aは、TGA曲線に相当し、図18Bは、DSC曲線に相当する。 同上。
図19は、粗製化合物1(上部)、計算した形態A(中央)および実験による形態B(下部)のXRPDを重ね合わせたものである。記号*は、形態Aにも形態Bにも起因しない、さらなるピークを意味する。
図20は、高齢障害ラットにおいて、放射状迷路行動タスクを使用する、ビヒクル対照と比較した、化合物1の効果を示すグラフである。グラフは、様々な用量の化合物1(2.5mg/kg、5mg/kgおよび10mg/kg)により処置した高齢障害ラットが犯した誤りの平均数を示す。
図21Aおよび21Bは、高齢障害ラットにおける、ビヒクル対照と比較した、モーリス水迷路行動タスクを使用する、化合物1の効果を示すグラフである。図21Aは、化合物1(10mg/kg)による急性処置後の標的四分円で費やした時間の量を示す。図21Bは、化合物1(10mg/kg)による慢性処置(12週間)後の標的四分円で費やした時間の量を示す。
開示の詳細な説明
定義
本明細書において特に定義しない限り、本出願において使用される科学用語および専門用語は、当業者により一般に理解されている意味を有するものとする。一般に、本明細書に記載される、化学、細胞および組織培養物、分子生物学、細胞およびがん生物学、神経生物学、神経科学、ウイルス学、免疫学、微生物学、薬理学、遺伝学、およびタンパク質、および核酸化学に関連する、およびそれらの技術に使用される命名法は、当分野において周知であり、一般に使用されている。
特に示さない限り、本開示の方法および技術は、一般に、当技術分野で周知の従来の方法、ならびに本明細書全体を通して引用され、議論されている様々な全般的な参考文献およびより具体的な参考文献に記載される従来の方法に準拠して行われる。例えば、"Principles of Neural Science," McGraw-Hill Medical, New York, N.Y. (2000); Motulsky, "Intuitive Biostatistics," Oxford University Press, Inc. (1995); Lodish et al., "Molecular Cell Biology, 4th ed.," W. H. Freeman & Co., New York (2000); Griffiths et al., "Introduction to Genetic Analysis, 7th ed.," W. H. Freeman & Co., N.Y. (1999);およびGilbert et al., "Developmental Biology, 6th ed.," Sinauer Associates, Inc., Sunderland, MA (2000)を参照されたい。
本明細書において使用される化学用語は、"The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms," Parker S., Ed., McGraw-Hill, San Francisco, C.A. (1985)に例証されている、当分野における従来の使用法に従って使用される。
本出願において言及される刊行物、特許および公開特許出願のすべてが、具体的に本明細書において参照により組み込まれている。矛盾する場合、その具体的な定義を含めた本明細書が支配する。
本明細書全体を通じて、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変化形は、明記されている整数(または構成要素)または整数(または構成要素)の群の包含を意味するが、他の任意の整数(または構成要素)または整数(または構成要素)の群の排除を意味しないと理解される。
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が、特に明確に指示しない限り、複数を含む。
用語「含む(including)」は、「含むがこれらに限定されない」を意味するために使用される。「含む(Including)」および「含むがこれらに限定されない」は、互換的に使用される。
「患者」、「対象」、または「個体」は、互換的に使用され、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを指す。これらの用語には、哺乳動物(ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ、ブタなどを含む)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコなど)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が含まれる。
「認知機能」または「認知状態」とは、以下に限定されないが、注意、情報取得、情報処理、作業記憶、短期記憶、長期記憶、前向性記憶、逆向性記憶、記憶検索、弁別学習、意志決定、抑制応答制御、注意セットシフト、遅延強化学習、逆転学習、自発的行動の時間積分、周囲環境およびセルフケアへの関心表示、処理速度、推論および問題解決、ならびに社会的認知を含む学習および/または記憶に関わるそれぞれ任意の高次の知的な脳のプロセスまたは脳の状態のことを指す。
ヒトにおいて、認知機能は、例えば限定することなく、臨床全般印象変化尺度(CIBIC-plus尺度);ミニメンタルステート検査(MMSE);神経精神症状検査(NPI);臨床的認知症尺度(CDR);ケンブリッジ神経心理学的検査バッテリー(CANTAB);サンド老年者臨床評価(SCAG)、ブシュケ選択式回想テスト(Buschke and Fuld, 1974);言語性対連合サブテスト;論理的記憶サブテスト;ウェクスラー記憶検査改訂版(WMS-R)の視覚的再現サブテスト(Wechsler, 1997);ベントン視覚記銘検査または明示的3肢強制選択タスク、またはMATRICSコンセンサス神経心理学的検査バッテリーによって評価することができる。Folstein et al., J Psychiatric Res 12:189-98, (1975);Robbins et al., Dementia 5:266-81, (1994);Rey, L'examen clinique en psychologie, (1964);Kluger et al., J Geriatr Psychiatry Neurol 12:168-79, (1999);Marquis et al., 2002およびMasur et al., 1994を参照されたい。Buchanan, R.W., Keefe, R.S.E., Umbricht, D., Green, M.F., Laughren, T., and Marder, S.R. (2011), The FDA-NIMH-MATRICS guidelines for clinical trial design of cognitive-enhancing drugs: what do we know 5 years later? Schizophr. Bull. 37, 1209-1217もまた参照されたい。
動物モデル系において、認知機能は、モーリス水迷路(MWM)、バーンズ円形迷路、高架式放射状迷路、T型迷路、または動物が空間的情報を使用する他の任意の迷路の使用を含む、当技術分野で公知の様々な従来の方法で評価することができる。認知機能は、逆転学習、次元外セットシフト、条件性弁別学習、および報酬期待の評価によって評価することができる。当技術分野で公知の他の試験もまた、新規物体認識タスクおよび匂い認識タスクなどの認知機能を評価するために使用することもできる。
認知機能は、ポジトロン放出断層法(PET)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、単一光子放出断層撮影法(SPECT)または脳機能を測定することができる他の任意のイメージング技術などのイメージング技術を使用して評価することもできる。動物では、電気生理学的技術により認知機能を測定することもできる。
認知機能の「促進」とは、損なわれた認知機能が、正常な対象の機能に酷似するように、損なわれた認知機能に影響を及ぼすことを指す。認知機能は、任意の検出可能な程度にまで促進することができるが、ヒトでは、好ましくは、損なわれた対象が、正常な対象または同齢の正常な対象に可能な限り近い熟達レベルで通常の生活の毎日の活動を行うことができるように十分に促進される。
一部の場合では、年齢関連性の認知の影響を受けた対象における認知機能の「促進」とは、損なわれた認知機能が、同齢の正常な対象の機能、または若年成人対象の機能に酷似するように、損なわれた認知機能に影響を及ぼすことを指す。その対象の認知機能は、任意の検出可能な程度にまで促進することができるが、ヒトでは、好ましくは、損なわれた対象が、正常な対象または若年成人対象または同齢の正常な対象に可能な限り近い熟達レベルで通常の生活の毎日の活動を行うことができるように十分に促進される。
認知機能の「保護」とは、正常な認知機能または損なわれた認知機能が低下しないように、または最初の提示もしくは診断時に対象において観察された認知機能を下回らないように、またはそのような低下が遅延するように、正常な認知機能または損なわれた認知機能に影響を及ぼすことを指す。
認知機能の「改善」には、対象における認知機能の促進および/または認知機能の保護が含まれる。
「認知障害」とは、正常な対象において予想される認知機能ほど頑健ではない、対象における認知機能を指す。一部の場合では、認知機能は、正常な対象において予想される認知機能と比べて、約5%、約10%、約30%またはそれを超えて低下している。一部の場合では、加齢関連性認知障害に罹患した対象における「認知障害」とは、正常な対象もしくは同齢の正常な対象、または若年成人対象(すなわち、認知テストにおいて所与の年齢の平均スコアを有する対象)において予想される認知機能ほど頑健ではない、対象における認知機能を指す。
「加齢関連性認知障害」とは、加齢の機能であると考えられる、高齢の対象における認知障害を指し、それらの対象の認知機能は、同齢の正常な対象において予想される認知機能、または若年成人対象もしくは若年成人対象において予想される認知機能ほど頑健ではない。一部の場合では、認知機能は、同齢の正常な対象において予想される認知機能と比べて、約5%、約10%、約30%またはそれを超えて低下している。一部の場合では、認知機能は、同齢の正常な対象において予想される程度であるが、若年成人対象において予想される認知機能と比べて、約5%、約10%、約30%、約50%またはそれを超えて低下している。加齢関連性の損なわれた認知機能は、軽度認知障害(MCI)(健忘性MCIおよび非健忘性MCIを含む)、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、および加齢関連性認知低下(ARCD)に関連し得る。
ADに関連する、またはADに関係する、またはADにおける「認知障害」とは、従来の方法および基準を使用してADと診断されていない対象において予想される認知機能ほど頑健ではない対象における認知機能を指す。
「軽度認知障害」または「MCI」は、他の認知異常を伴わない孤立性記憶障害および比較的正常な機能的能力を特徴とする、必ずしも加齢関連性ではない状態を指す。MCIを臨床的に特徴付けるための一連の診断基準は、以下の特色:(1)記憶愁訴(患者、情報提供者、または医師によって報告される)、(2)正常な日常生活動作(ADL)、(3)正常な全認知機能、(4)年齢に対する異常な記憶(所与の年齢に対する平均値より1.5標準偏差分を超えて低いスコアとして定義される)、および(5)認知症の指標(DSM-IVガイドラインによって定義される)の非存在のうちの1つまたはそれより多くを規定している。Petersen et al., Srch. Neurol. 56:303-308(1999);Petersen, "Mild cognitive impairment: Aging to Alzheimer's Disease." Oxford University Press, N.Y.(2003)。MCIを有する対象における失認は、記憶、言語、関連、注意、知覚、問題解決、実行機能および視空間スキルを含む任意の認知領域または精神的過程に関わり得る。例えば、Winbald et al., J. Intern. Med. 256: 240-240, 2004;Meguro, Acta. Neurol. Taiwan. 15:55-57, 2008;Ellison et al., CNS Spectr. 13:66-72, 2008, Petersen, Semin. Neurol. 27:22-31, 2007を参照されたい。MCIは、特に記憶の機能障害(またはその喪失)を特徴とする、健忘性MCI(aMCI)および非健忘性MCIにさらに細分化される。MCIは、対象の年齢および教育レベルを考慮して、記憶が損なわれていると判明した場合、aMCIと定義される。一方、対象の記憶が、年齢および教育に対して無傷であると判明したが、言語、実行機能、または視空間スキルなどの他の非記憶認知領域が損なわれている場合、MCIは、非健忘性MCIと定義される。aMCIおよび非健忘性MCIはどちらも、単一領域MCIまたは複数領域MCIにさらに細分化することができる。aMCI-単一領域とは、記憶は損なわれているが他の認知領域が損なわれていない状態を指す。aMCI-複数領域とは、記憶および少なくとも1つの他の認知領域が損なわれている状態を指す。非健忘性MCIは、1つより多い非記憶認知領域が損なわれているか否かに応じて、単一領域または複数領域である。例えば、Peterson and Negash, CNS Spectr. 13:45-53, 2008を参照されたい。
MCIの診断は、通常、ミニメンタルステート検査(MMSE)、ケンブリッジ神経心理学的検査バッテリー(CANTAB)、および各検査、例えばレイ聴覚性言語学習検査(AVLT)、ウェクスラー記憶検査改訂版(WMS-R)の論理的記憶サブテスト、およびニューヨーク大学(NYU)パラグラフ想起検査を含む、十分に確立された神経心理学的検査の使用によって蓄積可能な、認知障害の客観的評価を必要とする。Folstein et al., J Psychiatric Res 12:189-98(1975);Robbins et al., Dementia 5:266-81(1994);Kluger et al., J Geriatric Psychiatry Neurol 12:168-79(1999)を参照されたい。
「加齢に伴う記憶障害(AAMI)」とは、加齢による記憶力の低下を指す。患者が少なくとも50歳であり、以下の診断基準をすべて満たす場合、その患者は、AAMIを有するとみなすことができる:a)患者が記憶能力の低下に気づいている、b)患者が、若年成人と比べて標準的な記憶テストの成績が劣る、c)正常な加齢を除く他の明らかな記憶力低下のすべての原因が除外されている(言い換えると、記憶力低下が、最近の心臓発作または頭部損傷、鬱、薬物への有害反応、アルツハイマー病などの他の原因に起因し得ない)。
「加齢関連性認知低下(ARCD)」とは、ヒトにおける加齢の正常な結果である記憶力および認知能力の低下を指す(例えば、Craik & Salthouse, 1992)。これはまた、実質的にすべての哺乳動物種に当てはまる。加齢に伴う記憶障害とは、自身の若年期と比べて客観的な記憶力が低下しているが、同年齢者と比べて正常な認知機能を有する高齢者を指す(Crook et al., 1986)。年齢相応の記憶力低下は、これらが正常な発達上の変化であり(Crook, 1993;Larrabee, 1996)、病態生理学的でなく(Smith et al., 1991)、明白な認知症に進行することが稀である(Youngjohn & Crook, 1993)ことを強調する、あまり軽蔑的でない呼称である。DSM-IV(1994)は、ARCDの診断分類を体系化している。
「認知症」とは、日常生活の正常な動作に支障をきたす重度の失認を特徴とする状態を指す。認知症を有する対象は、損なわれた判断力、人格の変化、失見当識、錯乱、行動変化、発話困難および運動障害などの他の症状を示すことが多い。認知症には、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症、レビー小体型認知症および前頭側頭型認知症などの様々な種類がある。
アルツハイマー病(AD)は、その初期段階における記憶欠損によって特徴付けることができる。後期症状としては、損なわれた判断力、失見当識、錯乱、行動変化、発話困難、および運動障害を挙げることができる。組織学的には、ADは、ベータ-アミロイド斑およびタウタンパク質の濃縮体によって特徴付けられる。
血管性認知症は、脳卒中により引き起こされる場合がある。症状はADの症状と重複するが、記憶障害に焦点があてられていない。
レビー小体型認知症は、脳内の内部ニューロンを形成するアルファ-シヌクレインの異常な沈着によって特徴付けることができる。認知障害は、ADと類似する場合があり、記憶および判断力の機能障害、ならびに行動変化を含む。
前頭側頭型認知症は、グリオーシス、ニューロンの喪失、前頭皮質および/または前側頭葉における表在性海綿状変性、ならびにピック小体によって特徴付けることができる。症状としては、ソーシャルスキルおよび言語表現/理解力の低下を含む、人格および行動の変化が挙げられる。
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」とは、外傷の再体験、外傷に関連する刺激の精神的麻痺または回避、および覚醒の増加によって特徴付けられる、破局的事象に対する即時または遅延反応によって特徴付けられる障害を指す。現象の再体験としては、侵入的記憶、フラッシュバック、悪夢、および外傷を思い出させるものに応答した心理学的または生理学的な苦痛が挙げられる。このような応答は不安をもたらし、患者の生活の質ならびに身体的および情動的な健康状態に対して慢性および急性の両方の重大な影響を及ぼし得る。PTSDはまた、損なわれた認知能力にも関連し、PTSDを有する高齢の個体は、対照患者と比べて一層大きな認知能力の低下を有する。
「統合失調症」とは、異常なまたはゆがんだ心的表象(例えば、幻覚、妄想)、意欲の減退および適応性の目標指向性行動の減少を特徴とする陰性症状(例えば、無快感症、感情の平坦化、意欲消失)ならびに認知障害などの陽性症状を含む一連の精神病理学を特徴とする慢性消耗性障害のことを指す。脳における異常が、統合失調症における広範囲の精神病理学の基礎をなすと提唱されているが、現在利用可能な抗精神疾患薬は、多くの場合、患者における認知障害の処置に有効でなく、およびそれらの障害を悪化させる可能性がある。
「双極性障害」、または「BP」、または「躁鬱病性障害」、または「躁鬱病」とは、鬱の期間および多幸性の躁の期間を含む著しい情緒変化を特徴とし得る慢性の心理学的/気分障害を指す。BPは、個人歴および病歴、問診による診察ならびに身体検査に基づいて、熟練医師によって診断され得る。用語「躁病」または「躁の期間」または他の変形形態は、ある個体が、以下:競争心、早口、活動および激越のレベルの上昇、ならびに自尊心が膨張した感覚、多幸感、判断力の低下、不眠、損なわれた集中力および攻撃性の特色のうちのいくつかまたはすべてを示す期間のことを指す。
ALSとしても知られる「筋萎縮性側索硬化症」とは、筋肉の随意運動を制御する中枢神経系における神経細胞である運動ニューロンの変性を特徴とする進行性の致死的な神経変性疾患を指す。ALSは、嗅内皮質および海馬におけるニューロン変性、記憶欠損、ならびに皮質などの様々な脳の領域におけるニューロンの過剰興奮性も特徴とし得る。
「がん治療に関連する認知障害」とは、化学療法(例えば、ケモブレイン)および放射線照射などのがん治療で処置されている対象において発症する認知障害を指す。がん治療の脳に及ぼす細胞傷害性のおよび他の有害な副作用は、記憶、学習および注意などの機能における認知障害をもたらす恐れがある。
パーキンソン病(PD)は、随意運動の減少を特徴とし得る神経障害である。罹患患者は、正常な個体と比べて、運動活性が低下し、随意運動が遅くなる可能性がある。患者は、特徴的な「仮面様」顔貌、歩行中に急ぐ傾向、腰が曲がった姿勢および筋肉の全身性衰弱を有し得る。受動運動の典型的な「鉛管様」硬直がある。この疾患の別の重要な特徴は、安静時に生じ、運動中に減少する、四肢の振戦である。
パーキンソン病精神疾患は、PD患者の約3分の1が経験し、患者の生活の質に著しい影響を及ぼす。精神疾患は、錯覚および幻覚が「存在する感覚」を含めた、幻覚、妄想および他の感覚障害を特徴とする。PD患者における精神疾患の根本的な原因は、十分に理解されていない。しかし、PD患者における認知障害の発生は、精神疾患の発症に関連するリスク因子として特定されている(Laura B. Zahodne and Hubert H. Fernandez, Drugs Aging. 2008, 25(8), 665-682)。
「自閉症」は、本明細書で使用される場合、制限された行動および繰り返し行動による、損なわれた社会的相互作用およびコミュニケーションに至る神経発生障害を特徴とする自閉スペクトラム障害のことを指す。「自閉スペクトラム障害」とは、自閉症;アスペルガー症候群;特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOSまたは非定型自閉症);レット症候群;および小児期崩壊性障害を含む発達障害の一群を指す。
精神遅滞は、著しく損なわれた認知機能および適応行動の欠陥を特徴とする全般的な障害である。精神遅滞は、70未満の知能指数(IQ)スコアと定義されることが多い。先天的な原因が、精神遅滞に対する多くの根本原因である。ニューロンの連絡の機能不全もまた、精神遅滞の根本原因の1つと考えられている(Myrrhe van Spronsen and Casper C. Hoogenraad, Curr. Neurol. Neurosci. Rep. 2010, 10, 207-214)。
一部の例では、精神遅滞には、以下に限定されないが、ダウン症候群、口蓋心臓顔面(velocariofacial)症候群、胎児性アルコール症候群、脆弱X染色体症候群、クラインフェルター症候群、神経線維腫症、先天性甲状腺機能低下症、ウィリアムズ症候群、フェニルケトン尿症(PKU)、スミス-レムリ-オピッツ症候群、プラダー-ウィリー症候群、フェラン-マクダーミド症候群、モワット-ウィルソン症候群、繊毛関連疾患、ロー症候群およびシデリウム型(siderium type)X連鎖精神遅滞が含まれる。ダウン症候群は、ある程度の精神遅滞、特徴的な顔面の特徴、および多くの場合、心臓欠損、多くの感染症、視力および聴力の問題、ならびに他の健康問題を含めた、出生時欠損の組合せを含む障害である。脆弱X染色体症候群は、男性では4,000人に1人および女性では8,000人に1人の頻度で生じる遺伝性精神遅滞のよくある形態である。この症候群は、発育遅延、多動、注意欠陥障害および自閉症様行動も特徴とする。脆弱X染色体症候群に対する有効な処置は存在しない。
強迫性障害(「OCD」)は、最も一般的には、個体が行動せざるを得なく感じる(強制)、強迫行動および精神的行為をもたらす侵入的な反復性の不必要な思考(強迫観念)を特徴とする精神状態である。現在の疫学的データにより、OCDは、米国において4番目に最も一般的な精神障害であることが示されている。いくつかの検討により、OCDの有病率は1~3パーセントであることが示唆されているが、臨床的に認識されているOCDの有病率はもっと低く、その障害を有する多数の個体は診断されていない可能性があることが示唆される。OCDを有する患者は、強迫観念および強制の特色を含む、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition text revision (DSM-IV-TR) (2000)の診断基準に従って、心理学者、精神科医または精神分析学者によって診断されることが多い。
物質嗜癖(例えば、薬物嗜癖、アルコール嗜癖)は、精神障害である。この嗜癖は、物質に曝露された際に、瞬時に引き起こされるわけではない。むしろ、この嗜癖は、数時間から数日間、数ヶ月間の範囲の異なる期間が経過するにつれて発生する、複数の複雑なニューロンの順応を必要とする(Kauer J. A. Nat. Rev. Neurosci. 2007, 8, 844-858)。嗜癖に至るまでの道は、一般に、1つまたはそれよりも多くの規制物質または他の物質(麻薬、バルビツレート、メタンフェタミン、アルコール、ニコチンおよび様々なそのような他の物質のいずれかなど)の自発的な使用から始まる。長い時間にわたって、それらの物質を持続的に使用すると、脳機能に対する長期間の使用の影響およびそれゆえの行動への影響に起因して、それらの物質を控える自発的な能力が損なわれる。したがって、物質嗜癖は、一般に、ネガティブな結果にもかかわらず固執する強迫性の物質欲求、探索および使用を特徴とする。その欲求は、患者の根底にある神経生物学の変化に相当し得るものであり、それは、回復を得ようとする場合、有意義な方法で対処されなければならない可能性が高い。物質嗜癖はまた、多くの場合において、いくつかの物質の場合、生命を危うくする禁断症状(例えば、アルコール、バルビツレート)も特徴とし、他の場合では、実質的な病的状態(悪心、嘔吐、発熱、眩暈および大量の発汗を含みことができる)、窮迫、および回復する能力の低下をもたらし得る。例えば、アルコール依存としても知られるアルコール嗜癖は、そのような物質嗜癖の1つである。アルコール依存症は、主に、欲求、制御不能、身体依存および寛容を含む4つの症状を特徴とする。これらの症状は、他の物質に対する嗜癖も特徴付けることができる。アルコールおよび他の物質に対する欲求は、食物または水に対する欲求と同程度に強いことが多い。したがって、アルコール依存者は、家族、健康および/または法律上の重大な副次的影響があるにもかかわらず、飲み続けることがある。
脳がんは、悪性脳腫瘍の成長に通常、関連する脳の組織における異常細胞の成長である。脳腫瘍は、成長すると脳の隣接領域を圧迫し、これによって、脳のその部分の、本来行うべき働きが停止する恐れがある。脳がんが、脳の外側の他の組織にまで広がることはほとんどない。がん細胞が顕微鏡でどの程度異常に見えるかに基づいた腫瘍のグレードを使用して、低成長腫瘍と急成長腫瘍との間の差を述べることができる。脳腫瘍は、腫瘍が発生していると思われる細胞の種類に応じて分類される。びまん性の線維性星状細胞腫は、成人において最も一般的なタイプの原発性脳腫瘍である。これらの腫瘍は、3つのグレードの悪性腫瘍:世界保健機関(WHO)グレードII星状細胞腫、WHOグレードIII退形成性星状細胞腫、およびWHOグレードIV多形膠芽細胞腫(GBM)に病理組織学的に分けられる。WHOグレードII星状細胞腫(astocytoma)は、最も遅発性のびまん性星状細胞腫スペクトルである。星状細胞腫は、周囲の脳に浸潤し、局所制御での治療試みを悪化させる顕著な傾向を示す。これらの侵襲的な能力は、多くの場合、低いグレードおよび高いグレードの腫瘍において明らかである。
多形膠芽細胞腫は、大部分の患者にとって2年未満の生存時間しかない、星状細胞腫の最も悪性のステージである。組織学的に、これらの腫瘍は、細胞充実度が高密度であること、増殖インデックスが高いこと、内皮増殖および巣状壊死により特徴付けられる。これらの病変の高い増殖性質は、多数の分裂促進作用に起因する可能性が高い。GBMの顕著な特徴の1つは、内皮増殖である。血管新生成長因子の宿主およびそれらの受容体が、GBMに見出される。
星状細胞腫の生物学的サブセットが存在し、これは、これらの腫瘍において観察される臨床的不均質性を反映し得る。これらのサブセットには、脳幹神経膠腫が含まれ、これは、多くの場合、悪性の経過をたどる小児のびまん性線維性星状細胞腫の一形態である。脳幹GBMは、若年患者に罹患する成人GBMと遺伝的特徴を共有する。多形黄色星細胞腫(PXA)は、主に若年成人が罹患する表在性の低悪性度星状細胞腫瘍である。これらの腫瘍は、奇妙な組織学的外観を有するが、それらは、通常、外科的治療に適し得る成長の遅い腫瘍である。しかし、一部のPXAは、GBMとして再発することがある。毛様細胞性星状細胞腫は、小児期の最も一般的な星状細胞系腫瘍であり、成人に罹患するびまん性の線維性星状細胞腫とは臨床的および組織病理学的に異なる。毛様細胞性星状細胞腫は、びまん性の線維性星状細胞腫と同じゲノム変質を有していない。上衣下巨細胞星状細胞腫(SEGA)は、通常は結核性硬化症(TS)に関連する、脳室周囲の低悪性度星状細胞系腫瘍であり、組織学的には、TS患者の心室を内張りする、いわゆる「キャンドルガタリング(candle-guttering)」と同一である。TSの他の腫瘍性病変と同様に、これらはゆっくりと成長し、真の新生物よりも過誤腫に類似していることがある。乳児の線維形成性大脳星状細胞腫(DCAI)および線維形成性乳児神経節膠腫(DIGG)は、生後1~2年の小児に罹患する大きく、表在性の、通常は嚢胞性の良性星状細胞腫である。
乏突起神経膠腫および乏突起星状細胞腫(混合性神経膠腫)は、びまん性線維性星状細胞腫と臨床的および生物学的に最も密接に関連する、びまん性の、通常は脳性腫瘍である。しかし、この腫瘍は星状細胞腫ほどはるかに一般的ではなく、一般に、びまん性星状細胞腫よりも予後が良好である。乏突起神経膠腫および乏突起星状細胞腫は、WHOグレードIIIの未分化乏突起膠腫もしくは退形成性乏突起星状細胞腫、またはWHOグレードIV GBMのいずれかに進行する恐れがある。したがって、乏突起膠細胞系腫瘍に至る遺伝的変化は、GBMへのさらに別の経路を構成する。
上衣腫は、小児の侵襲性脳室内腫瘍から成人の良性脊髄腫瘍に及ぶ、臨床的に多様な神経膠腫のグループである。上衣腫からGBMへの移行は稀である。脈絡叢腫瘍はまた、小児の侵襲性のテント上脳室内腫瘍から成人の良性小脳橋角腫瘍にまで及ぶ、脳室系において優先的に発生する腫瘍の多様なグループでもある。脈絡叢腫瘍は、リ-フラウメニ症候群およびフォンヒッペル-リンダウ(VHL)病を有する患者において、時折、報告されている。
髄芽腫は、主に小児の後部窩に発生する非常に悪性の原始腫瘍である。髄芽腫は、最も一般的な小児悪性脳腫瘍である。最も致死的な髄芽腫サブタイプは、GABA受容体α5サブユニット遺伝子の高い発現量およびMYC増幅を示す。例えば、J Biomed Nanotechnol. 2016 Jun;12(6):1297-302を参照されたい。
髄膜腫は、髄膜に発生し、下にある脳を圧迫する一般的な頭蓋内腫瘍である。髄膜腫は、通常、良性であるが、一部の「非定型」髄膜腫は局所的に再発することがあり、一部の髄膜腫は、率直に述べると、悪性であり、脳に侵入するまたは転移することがある。非定型および悪性髄膜腫は、良性の髄膜腫ほど一般的ではない。神経鞘腫は、末梢神経に発生する良性腫瘍である。神経鞘腫は、脳神経、特に第8脳神経の前庭部分(前庭神経鞘腫、聴神経鞘腫)で発生し得、この場合、小脳橋角腫瘤として現れる。血管芽細胞腫は、内皮細胞、周囲細胞、およびいわゆる間質細胞から構成される、起源が不明な腫瘍である。これらの良性腫瘍は、若年成人の小脳および脊髄に最も頻繁に発生する。複数の血管芽細胞腫は、フォンヒッペル-リンダウ病(VHL)の特徴である。血管周囲細胞腫(HPC)は、局所的に侵襲性の挙動を示すことがあり、かつ転移し得る硬膜腫瘍である。硬膜に基づく血管外皮腫(HPC)の組織形成が、長い間、議論されており、一部の著者は、それを別個の実体として分類し、他の著者はそれを髄膜腫のサブタイプとして分類している。
「認知障害を処置する」とは、認知障害を有する対象の1つまたはそれよりも多くの認知テストにおける成績が、任意の検出可能な程度にまで改善されるか、またはさらなる低下が予防されるように、その対象における認知機能を改善するステップをとることを指す。好ましくは、認知障害の処置後、その対象の認知機能は、正常な対象の機能に酷似する。ヒトにおける認知障害の処置は、認知機能を任意の検出可能な程度にまで改善させることができるが、好ましくは、損なわれた対象が、正常な対象と同じ熟達レベルで通常の生活の毎日の活動を行うことができるように十分に改善される。一部の場合では、「認知障害を処置する」とは、認知障害を有する対象の1つまたはそれよりも多くの認知テストにおける成績が、任意の検出可能な程度にまで改善されるか、またはさらなる低下が予防されるように、その対象における認知機能を改善するステップをとることを指す。好ましくは、認知障害の処置後、その対象の認知機能は、正常な対象の機能に酷似する。一部の場合では、加齢関連性認知障害に罹患した対象における「認知障害を処置する」とは、認知障害の処置後、その対象の認知機能が、同齢の正常な対象の機能、または若年成人対象の機能に酷似するように、その対象における認知機能を改善するステップをとることを指す。認知障害の処置の有益なまたは所望される臨床結果には、以下に限定されないが、認知障害の予防またはその進行の遅延もしくは減速、認知障害に罹患している対象における認知機能の低下速度の減速、またはCNS障害に関連する認知障害、例えば加齢関連性認知障害、軽度認知障害(MCI)、健忘性MCI(aMCI)、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、加齢関連性認知低下(ARCD)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆AD、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症、双極性障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、がん治療に関連する認知障害、精神遅滞、パーキンソン病(PD)、自閉症スペクトラム障害、脆弱X障害、レット症候群、強迫行動および物質嗜癖の1つまたはそれよりも多くの症状の軽減、改善またはその進行の減速が含まれる。加齢関連性認知障害の処置は、加齢関連性認知障害(以下に限定されないが、MCI、ARCDおよびAAMIを含む)の認知症(例えば、AD)への移行の減速をさらに含む。
「脳がんを処置する」とは、脳がんの予防またはその進行の減速を指す。ある特定の実施形態では、処置は、脳がんに関連する1つまたはそれよりも多くの症状の軽減、改善、またはその進行の減速を含む。ある特定の実施形態では、処置される症状は認知障害である。例えば、本開示の方法および組成物は、脳がんを有する患者における認知障害を処置するためおよび/または認知機能を改善するために使用することができる。本発明の一部の実施形態では、脳がんを有する対象における認知機能を保護または改善する方法であって、前記対象に治療有効量の本発明の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形、その異性体、またはそれらの組合せを投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、脳腫瘍は髄芽腫である。
化合物、組成物、組合せ物または化合物の結晶形態を対象に「投与すること」またはそれらの「投与」は、当業者に公知の様々な方法のうちの1つを使用して行うことができる。例えば、化合物、組成物、組合せ物または化合物の結晶形態は、静脈内に、動脈に、皮内に、筋肉内に、腹腔内に、静脈内に、皮下に、眼球に、舌下に、経口的に(摂取によって)、鼻腔内に(吸入によって)、髄腔内に、脳内に、および経皮的に(吸収によって、例えば、皮膚の管を通じて)投与することができる。化合物、組成物、組合せ物または化合物の結晶形態はまた、再充填可能なもしくは生分解性のポリマーデバイスもしくは他のデバイス、例えば、パッチ剤およびポンプ、またはその化合物もしくは薬剤の徐放、緩徐もしくは制御放出をもたらす製剤によって適切に導入することができる。投与はまた、例えば、1回、複数回および/または1つもしくはそれより多くの長期間にわたって実施することができる。一部の態様では、投与は、自己投与を含む直接的な投与と、化合物、組成物、組合せ物または化合物の結晶形態を処方する行為を含む間接的な投与の両方を含む。例えば、本明細書で使用される場合、患者に化合物、組成物、組合せ物もしくは化合物の結晶形態を自己投与するように指示する医師、または化合物、組成物、組合せ物もしくは化合物の結晶形態を別の者に投与してもらうように指示する医師、および/あるいは患者に薬物の処方箋を提供する医師が、患者に化合物、組成物、組合せ物または化合物の結晶形態を投与している。
また、化合物、組成物、組合せ物または化合物の結晶形態を対象に投与する適切な方法は、例えば、対象の年齢、投与時の対象が活動性であるか非活動性であるか、投与時の対象に認知障害があるかどうか、機能障害の程度、ならびに化合物、組成物、組合せ物または化合物の結晶形態の化学的特性および生物学的特性(例えば、溶解度、消化性、生体利用率、安定性および毒性)に依存する。一部の実施形態では、化合物、組成物、組合せ物または化合物の結晶形態は、経口的に、例えば、摂取によって対象に投与されるか、または静脈内に、例えば、注射によって対象に投与される。一部の実施形態では、経口投与される化合物、組成物、組合せ物または化合物の結晶形態は、徐放製剤もしくは緩徐放出製剤であるか、またはそのような緩徐もしくは徐放のためのデバイスを使用して投与される。
本明細書で使用される場合、「α5含有GABA受容体アゴニスト」、「α5含有GABARアゴニスト」または「GABAα5受容体アゴニスト」、および本明細書で使用される他の変化形は、α5含有GABA受容体(GABAR)の機能を増強する化合物、すなわちGABA作動性Cl電流を増加させる化合物を指す。一部の実施形態では、本明細書で使用される場合、α5含有GABARアゴニストは、GABAの活性を賦活するポジティブアロステリックモジュレーターを指す。本開示における使用に好適なα5含有GABA受容体アゴニストには、本明細書に記載されるすべての式のα5含有GABA受容体アゴニストおよび具体的なα5含有GABA受容体アゴニスト、ならびにそれらの水和物、それらの溶媒和物、それらの多形、それらの塩(例えば、薬学的に許容される塩)、それらの異性体(例えば、立体異性体、E/Z異性体および互変異性体)、およびそれらの組合せが含まれる。
「抗精神疾患薬」、「抗精神疾患剤」、「抗精神疾患薬物」または「抗精神疾患化合物」とは、(1)定型または非定型抗精神疾患薬;(2)ドーパミン作動剤、グルタミン酸作動剤、NMDA受容体ポジティブアロステリックモジュレーター、グリシン再取り込み阻害剤、グルタミン酸再取り込み阻害剤、代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)アゴニストまたはポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)(例えば、mGluR2/3アゴニストまたはPAM)、グルタミン酸受容体glur5ポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、M1ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)ポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、AMPA/カイニン酸受容体アンタゴニスト、アンパカイン(ampakine)(CX-516)、グルタチオンプロドラッグ、ノルアドレナリン作動剤、セロトニン受容体モジュレーター、コリン作動剤、カンナビノイドCB1アンタゴニスト、ニューロキニン3アンタゴニスト、ニューロテンシンアゴニスト、MAO B阻害剤、PDE10阻害剤、nNOS阻害、神経ステロイドおよび神経栄養因子、アルファ-7アゴニストまたはポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)PAM、セロトニン2Cアゴニストから選択される薬剤、および/または(3)統合失調症もしくは双極性障害(特に、躁病)の1つまたはそれよりも多くの兆候あるいは症状を処置するのに有用な薬剤を指す。
「定型抗精神疾患薬」は、本明細書で使用される場合、抗精神疾患作用、ならびに黒質線条体のドーパミン系の障害に関係する運動に関連する有害作用をもたらす、従来の抗精神疾患薬を指す。これらの錐体外路の副作用(EPS)には、パーキンソニズム、静座不能、遅発性ジスキネジアおよびジストニーが含まれる。Baldessarini and Tarazi in Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics 10 Edition, 2001, pp. 485-520を参照されたい。
「非定型抗精神疾患薬」は、本明細書で使用される場合、EPSをほとんどまたはまったく伴わずに抗精神疾患作用を生じる抗精神疾患薬を指し、それらには、以下に限定されないが、アリピプラゾール、アセナピン、クロザピン、イロペリドン、オランザピン、ルラシドン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンが含まれる。「非定型」抗精神疾患薬は、その薬理学的プロファイルが従来の抗精神疾患薬と異なる。従来の抗精神疾患薬は、主にDドーパミン受容体の遮断を特徴とするが、非定型抗精神疾患薬は、5HTおよび5HTセロトニン受容体を含む複数の受容体に対してアンタゴニスト作用および様々な程度の受容体親和性を示す。非定型抗精神疾患薬は、通常、セロトニン/ドーパミンアンタゴニストとも称され、D受容体に対してよりも5HT受容体に対する方に高い親和性があることが、「非定型」抗精神疾患薬の作用または「第二世代」抗精神疾患薬の基礎となるという誘因のある仮説を反映している。しかし、非定型抗精神疾患薬は、以下に限定されないが、体重増加、糖尿病(例えば、II型糖尿病)、高脂血症、QTc間隔の延長、心筋炎、性的副作用、錐体外路の副作用および白内障を含む、副作用を示すことが多い。したがって、非定型抗精神疾患薬は、臨床症状の軽減と、上に列挙したものなどの副作用を誘導する潜在性の両方の状況における差異を考慮すると、同質なクラスではない。さらに、上に記載される非定型抗精神疾患薬の通常の副作用は、多くの場合、これらの薬剤に対して使用することができる抗精神疾患薬の用量を制限する。
本開示の一部の実施形態では、SV2A阻害剤は、レベチラセタム、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはその異性体である。レベチラセタムは、化合物(2S)-2-(2-オキソピロリジン-1-イル)ブタンアミド(国際純正応用化学連合(IUPAC)名)を指す。レベチラセタムは、FDA承認の抗てんかん薬KEPPRAとして販売されている。通常、レベチラセタム(KEPPRA)の治療有効用量は、1000~3000mg/日の範囲である。レベチラセタムは、広く使用されている抗てんかん薬である。レベチラセタムは、CNSの特異的部位であるシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に結合し(例えば、Noyer et al. 1995;Fuks et al. 2003;Lynch et al. 2004;Gillard et al. 2006を参照されたい)、シナプス前の神経伝達物質放出を阻害することによって、シナプス活性および神経伝達を直接阻害することがさらに示されている(Yang et al., 2007)。
本開示の一部の実施形態では、SV2A阻害剤は、ブリバラセタム(BRIVIACの名称で販売されている)、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはその異性体である。ブリバラセタムは、化合物(2S)-2-[(4R)-2-オキソ-4-プロピルピロリジン-1-イル]ブタンアミド(IUPAC名)を指す。ブリバラセタムは抗けいれん活性を有し、脳内のSV2Aに結合する。
本開示の一部の実施形態では、SV2A阻害剤は、セレトラセタム、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはその異性体である。セレトラセタムは、化合物(2S)-2-[(4S)-4-(2,2-ジフルオロエテニル)-2-オキソピロリジン-1-イル]ブタンアミド(IUPAC名)を指す。セレトラセタムは、抗てんかん剤であり、脳内でSV2Aに結合する。
様々な研究により、SV2Aに結合し、シナプス前小胞放出を低減することによってシナプス機能を低減する化合物であるSV2A阻害剤(例えば、Noyer et al. 1995、Fuks et al. 2003、Lynch et al. 2004、Gillard et al. 2006、Custer et al., 2006、Smedt et al., 2007、Yang et al., 2007、Meehan, "Levetiracetam has an activity-dependent effect on inhibitory transmission," Epilepsia, 2012 Jan 31、およびWO2001/62726の実施例8(これらすべてが、特に参照により本明細書に組み込まれている)を参照されたい)が、狭い低用量の範囲で、CNS障害に関連する認知障害の処置において有用であり得ることが示された。例えば、国際特許出願PCT/US2009/005647(公開番号WO2010/044878号)、国際特許出願PCT/US2011/024256(公開番号WO2011/100373号)、国際特許出願PCT/US2012/024556(公開番号WO2012/109491号)、国際特許出願PCT/US2013/070144(公開番号WO2014/078568号)、国際特許出願PCT/US2014/029170(公開番号WO2014/144663号)、国際特許出願PCT/US2014/029362(公開番号WO2014/144801号)、および国際特許出願PCT/US2016/033567(公開WO2016/191288号)(これらすべてが、特に参照により本明細書に組み込まれている)を参照されたい。
メマンチンは、3,5-ジメチルアダマンタン-1-アミンまたは3,5-ジメチルトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-1-アミンとして化学的に知られており、中程度の親和性を有する非競合的なN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストである。メマンチンの商標名としては、Axura(登録商標)およびAkatinol(登録商標)(Merz)、Namenda(登録商標)(Forest Laboratories)、Ebixa(登録商標)およびAbixa(登録商標)(Lundbeck)ならびにMemox(登録商標)(Unipharm)が挙げられる。メマンチンは、米国において、中度から重度のアルツハイマー病(AD)への最大28mg/日の用量での処置に承認されている。メマンチンに構造的または化学的に似ている化合物を含むメマンチンの誘導体またはアナログもまた、本開示において有用である。そのようなメマンチンの誘導体またはアナログには、以下に限定されないが、米国特許第3,391,142号;同第4,122,193号;同第4,273,774号および同第5,061,703号;米国特許出願公開US20040087658、同US20050113458、同US20060205822、US20090081259、US20090124659およびUS20100227852;欧州特許出願公開EP2260839A2;欧州特許EP1682109B1;ならびにPCT出願公開WO2005079779に開示されているそのような化合物が含まれ、これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれている。メマンチンには、本開示において使用される場合、メマンチンならびにその誘導体およびアナログ、ならびにそれらの水和物、多形、プロドラッグ、塩および溶媒和物が含まれる。メマンチンには、本明細書で使用される場合、メマンチンまたはその誘導体もしくはアナログ、または薬学的に許容されるそれらの塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグを含む組成物も含まれ、この場合、その組成物は、必要に応じて、少なくとも1つのさらなる治療剤(CNS障害またはそれに関連する認知障害の処置に有用な治療剤など)をさらに含む。一部の実施形態では、本開示において使用するのに好適なメマンチン組成物は、メマンチン、およびドネペジル(商品名ARICEPT)である第2の治療剤を含む。
本明細書で使用される場合、「アセチルコリンエステラーゼ阻害剤」または「AChEI」は、神経伝達物質アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼ酵素の能力を阻害することにより、主に脳シナプスまたは神経筋接合部におけるアセチルコリンの濃度を高めてその持続時間を延長する薬剤を指す。本出願における使用に好適なAChEIは、例えば、(i)可逆的な非競合阻害剤または可逆的な競合阻害剤、(ii)不可逆的な阻害剤、および(iii)準非可逆的な阻害剤の下位分類を含んでもよい。ARICEPT(ドネペジル)は、AChEIの一例である。他の非限定的な例としては、リバスチグミン、ガランタミン(RAZADYNE)およびアンベノニウム(MYTELASE)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、用語「同時投与」は、α5含有GABA受容体アゴニスト(例えば、α5含有GABA受容体ポジティブアロステリックモジュレーター)、もしくはその結晶形態、および第2の治療剤(例えば、抗精神病薬、メマンチン、またはAChEI)、またはそれらの薬学的に許容される塩、それらの水和物、それらの溶媒和物もしくはそれらの多形が、約15分を超えない時間間隔で、一部の実施形態では約10分を超えない時間間隔で投与されることを意味してもよい。薬物が同時に投与されると、α5含有GABA受容体アゴニスト(例えば、α5含有GABA受容体ポジティブアロステリックモジュレーター)、もしくはその結晶形態、および第2の治療剤(例えば、抗精神病薬、メマンチン、またはAChEI)、またはそれらの塩、それらの水和物、それらの溶媒和物もしくはそれらの多形は、同じ投与量(例えば、α5含有GABA受容体アゴニスト(例えば、α5含有GABA受容体ポジティブアロステリックモジュレーター)と第2の治療剤(例えば、抗精神病薬、メマンチン、またはAChEI)の両方を含む単位剤形)で、あるいは別個の投与量(例えば、α5含有GABA受容体アゴニスト(例えば、α5含有GABA受容体ポジティブアロステリックモジュレーター)またはその塩、それらの水和物、それらの溶媒和物もしくはそれらの多形が1つの剤形に含有され、第2の治療剤(例えば、抗精神病薬、メマンチン、またはAChEI)またはその塩、その水和物、その溶媒和物もしくはその多形が別の剤形に含有される)で含有されてもよい。
本明細書で使用される場合、用語「逐次投与」は、α5含有GABA受容体アゴニスト(例えば、α5含有GABA受容体ポジティブアロステリックモジュレーター)、もしくはその結晶形態、および第2の治療剤(例えば、抗精神病薬、メマンチン、またはAChEI)、またはそれらの薬学的に許容される塩、それらの水和物、それらの溶媒和物、それらの多形が、約15分を超えない時間間隔で、一部の実施形態では約1時間を超えない時間間隔で、または最大で12~24時間の時間間隔で投与されることを意味する。α5含有GABA受容体アゴニスト(例えば、α5含有GABA受容体ポジティブアロステリックモジュレーター)、もしくはその結晶形態、または第2の治療剤(例えば、抗精神病薬、メマンチン、またはAChEI)のいずれかが最初に投与されてもよい。逐次投与するためのα5含有GABA受容体アゴニスト(例えば、α5含有GABA受容体ポジティブアロステリックモジュレーター)、もしくはその結晶形態、および第2の治療剤(例えば、抗精神病薬、メマンチン、またはAChEI)、またはそれらの塩、それらの水和物、それらの溶媒もしくはそれらの多形は、別個の剤形に含有されてもよく、必要に応じて同じ容器または包装に含有されてもよい。
薬物または薬剤の「治療有効量」は、対象に投与されると、対象、例えば、CNS障害に関連する認知障害を有する患者において、意図された治療効果、例えば、認知機能の改善を有する薬物または薬剤の量である。完全な治療効果は、必ずしも1回分の用量の投与で発生するわけではなく、一連の用量の投与後にしか発生しないことがある。したがって、治療有効量は、1回またはそれよりも多くの回数の投与で投与することができる。対象に必要な正確な有効量は、例えば、対象のサイズ、健康状態および年齢、認知障害またはCNS障害の他の症状(例えば、加齢関連性認知障害、軽度認知障害(MCI)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆AD、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症、双極性、ALS、がん治療に関連する認知障害、精神遅滞、パーキンソン病(PD)、自閉症スペクトラム障害、脆弱X障害、レット症候群、強迫行動および物質嗜癖)の性質および程度、ならびに投与のために選択される治療薬または治療薬の組合せ、ならびに投与様式に依存する。当業者は、型通りの実験により、所与の状況に対する有効量を容易に決定することができる。
用語「医薬組合せ物」は、2種の活性剤を一緒に(すなわち、1つの製剤で)、または別個に(すなわち、2つの別個の製剤として)含有する薬物製品を指す。医薬組合せ物中の活性剤は、同時にまたは逐次的に投与することができる。2種の活性剤は、同じ方法を使用して、すなわち腹腔内、経口などで、または異なる方法によって投与することができる。例えば、一方の薬剤を1つの方法を使用して、例えば経口で投与し、他方を異なる方法を使用して、例えば腹腔内に投与することができる。
認知障害に関連する様々なCNS障害(例えば、加齢関連性認知障害(加齢関連性軽度認知障害を含む)軽度認知障害(MCI)、健忘性MCI(aMCI)、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、加齢関連性認知低下(ARCD)、認知症、アルツハイマー病(AD)、前駆AD、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、統合失調症、双極性障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、がん治療に関連する認知障害、精神遅滞、パーキンソン病(PD)、自閉症スペクトラム障害、脆弱X障害、レット症候群、強迫行動および物質嗜癖)は、様々な病因を有する可能性がある。しかし、上記の障害のそれぞれにおける認知障害の症状は、原因が重複している可能性がある。したがって、あるCNS障害に関連する認知障害を処置する組成物または処置方法は、他のCNS障害に関連する認知障害も処置することができる。
本明細書で使用される場合、用語「結晶形態」は、化合物1の無水物、水和物、溶媒和物または塩の形態を指す。
本明細書で使用される場合、用語「水和物」は、水と本開示による化合物の組合せを指し、ここで水は、基質化合物の結晶格子内に吸収、吸着または含有される。
本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」は、溶媒と本開示による化合物の組合せを指し、ここで溶媒和物は、化合物の結晶格子内に吸収、吸着または含有される。
本明細書で使用される場合、用語「無水」は、溶媒を完全に含まない、例えば、化合物の結晶格子内に溶媒分子が含有されない、本開示による化合物の形態を指す。
本明細書で使用される場合、用語「多形」とは、同じ化合物の水和物(例えば、結晶構造中に存在する結合水)および溶媒和物(例えば、水以外の結合溶媒)などの、同じ化合物の異なる結晶形態および他の固体状態の分子形態(偽多形を含む)を指す。異なる結晶多形は、その格子内の分子の充填が異なることに起因して、異なる結晶構造を有する。これにより、異なる結晶対称性および/または単位格子パラメータがもたらされ、これは、結晶または粉末のX線回折の特色のようなその物理的特性に直接、影響する。例えば、異なる多形は、一般に、異なる一組の角度で回折し、それらの強度に対して異なる値をもたらす。したがって、粉末X線回折を使用して、異なる多形、または1つより多い多形を含む固体形態を、再現性がありかつ信頼できる方法で特定するまたは区別することができる。結晶多形形態は、医薬品業界、およびとりわけ、好適な剤形の開発に関わる人々にとって興味深いものである。その多形形態が、臨床検討または安定性検討の間、一定に保持されない場合、使用されまたは検討されたまさにその剤形は、ロット毎に比較可能でないことがある。ある化合物が、臨床検討または製品において使用される場合に、存在する不純物が、望ましくない毒物学的作用をもたらす恐れがあるので、選択された多形形態を有するその化合物を高純度で生成するためのプロセスを有することがやはり望ましい。ある特定の多形形態は、熱力学的安定性の向上を示すことがあるか、またはより容易に、高純度で大量に一層容易に製造されることがあり、したがって、医薬製剤に含ませるのに一層好適である。ある特定の多形は、吸湿傾向がない、溶解度の改善、および異なる格子エネルギーに起因する溶出速度の向上などの他の有益な物理的特性を示し得る。
本開示による化合物
一部の態様では、本開示は、構造
を有する化合物1、ならびにその非晶質形態、その塩の形態、その無水形態、およびその溶媒和形態に関する。化合物1は、GABAα5ポジティブアロステリックモジュレーターであり、その処置を必要とする対象もしくはそのリスクのある対象におけるCNS障害に関連する認知障害の処置、および/またはその処置を必要とする対象もしくはそのリスクのある対象における認知障害の進行の減速、および/またはその処置を必要とする対象もしくはそのリスクのある対象の認知機能の低下速度の低減に有用である(WO2019/246300を参照されたい)。化合物1は、脳がん、脳がんに関連する認知障害、およびパーキンソン病精神疾患の処置にも有用である。
一部の場合では、溶解度および生体利用率特性の改善のために、化合物1のアモルファス形態を使用することが望ましい。他の場合では、安定性の改善のために、化合物1の結晶形態を使用することが望ましい。
化合物1は、少なくとも5種の結晶多形形態(すなわち、形態A、形態B、形態C、物質D、形態Eおよび形態F)で存在することが見出されている。一部の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態に関し、結晶形態は形態A、形態B、形態C、物質D、形態Eもしくは形態F、またはそれらの任意の混合物に対応する。一部の実施形態では、本開示は、化合物1の無水結晶形態に関し、結晶形態は形態A、形態B、物質Dまたは形態Eに対応する。一部の実施形態では、本開示は、化合物1の溶媒和結晶形態に関し、結晶形態は形態Cまたは形態Fに対応する。ある特定のそのような実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態は、メタノレートまたは水和物である。
化合物1の塩形態も、本開示によって企図される。化合物1(遊離塩基)のpK値は、1.16±0.04である。したがって、塩形態は、化合物1の遊離塩基形態を適切な強酸、例えば塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸およびトルエンスルホン酸と反応させることによって達成することができる。一部の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶塩形態に関し、塩は塩酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、ナパジシル酸塩、ナプシル酸塩、硫酸塩またはトシル酸塩である。さらなる塩の形態は、当業者に公知の他の強酸を使用して達成することができる。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Aであり、3.0、および21.0度2θ±0.2度2θから選択される少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Aであり、9.1、10.7、13.8、22.0、23.1、23.9、24.4、および27.1度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態を提供し、結晶形態は無水である。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Aである。一部の実施形態では、結晶形態Aは、
a.実質的に図5に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.C2/cの単結晶のx線回折空間群、
c.パラメータ:a=58.1415(14)Å、b=4.03974(8)Å、c=17.1204(3)Å、α=90°、β=90.261(2)°、γ=90°、V=4021.15(14)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
d.実質的に図3Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約207℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの1つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Aは、
a.実質的に図5に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.C2/cの単結晶のx線回折空間群、
c.パラメータ:a=58.1415(14)Å、b=4.03974(8)Å、c=17.1204(3)Å、α=90°、β=90.261(2)°、γ=90°、V=4021.15(14)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
d.実質的に図3Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約207℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Aは、
a.実質的に図5に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.C2/cの単結晶のx線回折空間群、
c.パラメータ:a=58.1415(14)Å、b=4.03974(8)Å、c=17.1204(3)Å、α=90°、β=90.261(2)°、γ=90°、V=4021.15(14)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
d.実質的に図3Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約207℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの3つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Aは、以下の特性:
a.実質的に図5に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.C2/cの単結晶のx線回折空間群、
c.パラメータ:a=58.1415(14)Å、b=4.03974(8)Å、c=17.1204(3)Å、α=90°、β=90.261(2)°、γ=90°、V=4021.15(14)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
d.実質的に図3Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約207℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
によって特徴付けられる。
1つまたはそれよりも多くの実施形態では、化合物1の結晶形態Aは、200℃~215℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。例えば、化合物1の形態Aは、200℃、201℃、202℃、203℃、204℃、205℃、206℃、207℃、208℃、209℃、210℃、211℃、212℃、213℃、214℃または215℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。例えば、化合物1の形態Aは、約200℃、約201℃、約202℃、約203℃、約204℃、約205℃、約206℃、約207℃、約208℃、約209℃、約210℃、約211℃、約212℃、約213℃、約214℃または約215℃に発熱を有する示差走査熱測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Aは、207℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Aは、約207℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Bであり、13.0および15.3度2θ±0.2度2θから選択される少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Bであり、7.0、9.3、10.2、10.4、12.5、13.6、14.0、22.0、23.0、23.6および27.3度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態を提供し、結晶形態は脱溶媒和されている。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Bである。一部の実施形態では、結晶形態Bは、
a.実質的に図7に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
c.約497Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
d.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの1つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Bは、
a.実質的に図7に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
c.約497Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
d.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Bは、
a.実質的に図7に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
c.約497Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
d.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの3つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Bは、
a.実質的に図7に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
c.約497Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
d.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
によって特徴付けられる。
1つまたはそれよりも多くの実施形態では、化合物1の結晶形態Bは、495Å~500Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられる。例えば、化合物1の形態Bは、495Å、496Å、497Å、498Å、499Å、または500Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Bは、単結晶のx線回折式単位体積497℃によって特徴付けられる。
1つまたはそれよりも多くの実施形態では、化合物1の結晶形態Bは、185℃~195℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。例えば、化合物1の形態Bは、185℃、186℃、187℃、188℃、189℃、190℃、191℃、192℃、193℃、194℃、195℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。例えば、化合物1の形態Bは、約185℃、約186℃、約187℃、約188℃、約189℃、約190℃、約191℃、約192℃、約193℃、約194℃、約195℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Bは、190℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Bは、約190℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Cであり、8.5および18.9度2θ±0.2度2θから選択される少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Cであり、7.1、9.4、10.3、12.3、12.5、14.2、20.7、22.1、23.2、23.7、24.0および26.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態を提供し、結晶形態は溶媒和されている。一部の実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態はメタノレートである。一部の実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態は形態Cである。一部の実施形態では、結晶形態Cは、
a.実質的に図17に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
c.約544Åの単結晶のx線回折式単位体積、
d.実質的に図18Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの1つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Cは、
a.実質的に図17に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
c.約544Åの単結晶のx線回折式単位体積、
d.実質的に図18Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Cは、
a.実質的に図17に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
c.約544Åの単結晶のx線回折式単位体積、
d.実質的に図18Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの3つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Cは、
a.実質的に図17に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
c.約544Åの単結晶のx線回折式単位体積、
d.実質的に図18Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの4つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Cは、
a.実質的に図17に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
c.約544Åの単結晶のx線回折式単位体積、
d.実質的に図18Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
によって特徴付けられる。
1つまたはそれよりも多くの実施形態では、化合物1の結晶形態Cは、495Å~505Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられる。例えば、化合物1の形態Cは、495Å、496Å、497Å、498Å、499Å、500Å、501Å、502Å、503Å、504Å、または505Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Cは、497Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられる。
1つまたはそれよりも多くの実施形態では、化合物1の結晶形態Cは、185℃~195℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。例えば、化合物1の形態Cは、185℃、186℃、187℃、188℃、189℃、190℃、191℃、192℃、193℃、194℃、または195℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。例えば、化合物1の形態Cは、約185℃、約186℃、約187℃、約188℃、約189℃、約190℃、約191℃、約192℃、約193℃、約194℃、または約195℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Cは、190℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Cは、約190℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Eであり、11.4、18.1、および21.6度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Eであり、7.2、22.0、23.0、24.2、25.0、および26.6度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態を提供し、結晶形態は無水である。一部の実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態は形態Eである。一部の実施形態では、結晶形態Eは、
a.実質的に図11に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.P2/nの単結晶のx線回折空間群、
c.パラメータ:a=11.83974(13)Å、b=23.5195(2)Å、c=14.48807(17)Å、α=90°、β=101.5333(11)°、γ=90°、V=3952.96(7)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
d.実質的に図12Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約201℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの1つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態は形態Eである。一部の実施形態では、結晶形態Eは、
a.実質的に図11に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.P2/nの単結晶のx線回折空間群、
c.パラメータ:a=11.83974(13)Å、b=23.5195(2)Å、c=14.48807(17)Å、α=90°、β=101.5333(11)°、γ=90°、V=3952.96(7)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
d.実質的に図12Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約201℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態は形態Eである。一部の実施形態では、結晶形態Eは、
a.実質的に図11に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.P2/nの単結晶のx線回折空間群、
c.パラメータ:a=11.83974(13)Å、b=23.5195(2)Å、c=14.48807(17)Å、α=90°、β=101.5333(11)°、γ=90°、V=3952.96(7)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
d.実質的に図12Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約201℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの3つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態は形態Eである。一部の実施形態では、結晶形態Eは、
a.実質的に図11に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.P2/nの単結晶のx線回折空間群、
c.パラメータ:a=11.83974(13)Å、b=23.5195(2)Å、c=14.48807(17)Å、α=90°、β=101.5333(11)°、γ=90°、V=3952.96(7)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
d.実質的に図12Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約201℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの4つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態は形態Eである。一部の実施形態では、結晶形態Eは、
a.実質的に図11に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.P2/nの単結晶のx線回折空間群、
c.パラメータ:a=11.83974(13)Å、b=23.5195(2)Å、c=14.48807(17)Å、α=90°、β=101.5333(11)°、γ=90°、V=3952.96(7)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
d.実質的に図12Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
e.約201℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
によって特徴付けられる。
1つまたはそれよりも多くの実施形態では、化合物1の結晶形態Eは、195℃~205℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。例えば、化合物1の形態Eは、195℃、196℃、197℃、198℃、199℃、200℃、201℃、202℃、203℃、204℃、または205℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。例えば、化合物1の形態Eは、約195℃、約196℃、約197℃、約198℃、約199℃、約200℃、約201℃、約202℃、約203℃、約204℃、または約205℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Eは、190℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Eは、約190℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Fであり、9.9、11.9、17.3、19.4、および25.7度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのピークを含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、化合物1の結晶形態は形態Fであり、9.7、12.1、20.8、23.2、23.7、24.2、25.0、および26.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むXRPDパターンを示す。
一部の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態を提供し、結晶形態は溶媒和されている。一部の実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態は水和物である。一部の実施形態では、化合物1の溶媒和結晶形態は形態Fである。一部の実施形態では、結晶形態Fは、
a.実質的に図13に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.三斜晶系単結晶のx線回折単位格子、および
c.約511Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
d.約120℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの1つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Fは、
a.実質的に図13に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.三斜晶系単結晶のx線回折単位格子、および
c.約511Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
d.約120℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Fは、
a.実質的に図13に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.三斜晶系単結晶のx線回折単位格子、および
c.約511Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
d.約120℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
のうちの3つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、結晶形態Fは、
a.実質的に図13に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
b.三斜晶系単結晶のx線回折単位格子、および
c.約511Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
d.約120℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
によって特徴付けられる。
1つまたはそれよりも多くの実施形態では、化合物1の結晶形態Fは、506Å~516Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられる。例えば、化合物1の形態Fは、506Å、507Å、508Å、509Å、510Å、511Å、512Å、513Å、514Å、515Å、516Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Fは、511Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられる。
1つまたはそれよりも多くの実施形態では、化合物1の結晶形態Fは、115℃~130℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。例えば、化合物1の形態Fは、115℃、116℃、117℃、118℃、119℃、120℃、121℃、122℃、123℃、124℃、125℃、126℃、127℃、128℃、129℃または130℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。例えば、化合物1の形態Fは、約115℃、約116℃、約117℃、約118℃、約119℃、約120℃、約121℃、約122℃、約123℃、約124℃、約125℃、約126℃、約127℃、約128℃、約129℃または約130℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Fは、120℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Fは、約120℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。一部の実施形態では、化合物1の結晶形態Fは、約120℃を超える発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられる。
1つまたはそれよりも多くの実施形態では、本開示は、化合物1の他の結晶形態と比べて、より高い熱力学的安定性によって特徴付けられる化合物1の結晶形態に関する。結晶形態A、B、C、EおよびFの熱力学的安定性が調査され、化合物1の多形形態Aは、形態B、物質D、形態C、形態Eおよび形態Fと比べて、優れた熱力学的安定性を有することが決定された。多形形態Aは、吸湿性も制限されており、結晶性および効力を維持し、取り扱いを容易にする。したがって、一部の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態に関し、結晶形態は形態Aに相当する。
医薬組成物および組合せ物
一態様では、本開示は、化合物1の結晶形態(例えば、形態A、形態B、形態C、形態Eまたは形態F)、および必要に応じて1種またはそれよりも多くのさらなる治療剤を含む医薬組成物および組合せ物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、形態Aである化合物1の結晶形態、および必要に応じて1種またはそれよりも多くのさらなる治療剤を含む医薬組成物および組合せ物を提供する。一部の実施形態では、1種またはそれよりも多くのさらなる治療剤は、抗精神病薬、メマンチン、SV2A阻害剤、およびAChEI、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグからなる群から選択される。一部の実施形態では、1種またはそれよりも多くのさらなる治療剤の少なくとも1種は、レベチラセタム、セレトラセタム、およびブリバラセタムからなる群から選択されるSV2A阻害剤、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグである。一部の実施形態では、1種またはそれよりも多くのさらなる治療剤の少なくとも1種は、アリピプラゾール、オランザピンおよびジプラシドンからなる群から選択される抗精神病薬、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグである。一部の実施形態では、1種またはそれよりも多くのさらなる治療剤の少なくとも1種は、メマンチン、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはそのプロドラッグである。一部の実施形態では、1種またはそれよりも多くのさらなる治療剤の少なくとも1種は、ドネペジル、ガランタミン、アンベノニウムおよびリバスチグミンからなる群から選択されるAChEI、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグである。一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物および組合せ物は、化合物1の結晶形態、および1種またはそれよりも多くのさらなる治療剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物および組合せ物は、化合物1の結晶形態よりも多くを含む。
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の化合物1の結晶形態(例えば、形態A、形態B、形態C、形態Eまたは形態F)を含む第1の医薬組成物、ならびに抗精神病薬、メマンチン、SV2A阻害剤およびAChEI、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグからなる群から選択される治療剤を含む1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物を含む、医薬組合せ物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の形態Aである化合物1の結晶形態を含む第1の医薬組成物、ならびに抗精神病薬、メマンチン、SV2A阻害剤およびAChEI、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグからなる群から選択される1種またはそれよりも多くの治療剤を含む1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物を含む、医薬組合せ物を提供する。一部の実施形態では、第1の医薬組成物は、化合物1の1種より多くの結晶形態を含む。一部の実施形態では、1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物の少なくとも1種は、レベチラセタム、セレトラセタム、およびブリバラセタムからなる群から選択されるSV2A阻害剤、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグを含む。一部の実施形態では、1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物の少なくとも1種は、アリピプラゾール、オランザピンおよびジプラシドンからなる群から選択される抗精神病薬、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグを含む。一部の実施形態では、1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物の少なくとも1種は、メマンチン、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはそのプロドラッグを含む。一部の実施形態では、1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物の少なくとも1種は、ドネペジル、ガランタミン、アンベノニウムおよびリバスチグミンからなる群から選択されるAChEI、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグを含む。
一部の実施形態では、第1のおよび1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物は、別個に製剤化される。ある特定のそのような実施形態では、第1のおよび1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物は、一緒に包装される。一部の実施形態では、第1のおよび1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物は、別個に包装される。一部の実施形態では、第1のおよび1種またはそれよりも多くのさらなる医薬組成物は、一緒に製剤化される。
ある特定の実施形態では、本開示による医薬組成物および組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、固体形態で製剤化される。ある特定の実施形態では、本開示による医薬組成物および組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、液体形態で製剤化される。ある特定の実施形態では、本開示による医薬組成物および組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、懸濁液形態で製剤化される。ある特定の実施形態では、本開示による医薬組成物および組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、単位剤形で製剤化される。ある特定の実施形態では、本開示による医薬組成物および組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、カプセル剤または錠剤形態で製剤化される。ある特定の実施形態では、本開示による医薬組成物および組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、経口投与のために製剤化される。ある特定の実施形態では、本開示による医薬組成物および組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、内部非経口(intraperenteral)投与のために製剤化される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物および組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。薬学的に許容される担体としては、以下に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質などの緩衝物質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。本開示の医薬組成物または組合せ物(またはその構成要素)に用いられ得る好適な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、植物油、例えばオリーブ油、および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合の必要な粒子径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。一部の実施形態では、担体は使用されない。本明細書に記載される医薬組成物および組合せ物は、ヒトの医学における使用のために任意の簡便な方法で製剤化することができる。
本明細書に記載の医薬組成物および組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、本明細書に記載され、かつ当技術分野で公知のように、任意の好適な経路による投与のために製剤化することができる。例えば、非経口投与(例えば、皮下、静脈内、動脈内、皮内、筋肉内、腹腔内)または髄腔内または脳内投与のための本明細書に記載の医薬組成物および組合せ物(またはその構成要素の1種もしくはそれよりも多く)は、無菌水性および非水性注射液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、および使用前に無菌注射液または分散液に再構成される無菌粉末を含み、これらは抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、医薬組成物もしくは組合せ物(またはその構成要素)を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁化剤もしくは増粘剤を含有してもよい。非経口投与される場合、本明細書に記載の化合物1の結晶形態、および/または1種もしくはそれよりも多くのさらなる治療剤は、パイロジェンフリーで生理学的に許容される形態であってもよい。技術および製剤化は、一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences, Meade Publishing Co., Easton, PAに見出すことができる。
口腔内および経口送達(舌下および口腔内投与、例えばDanckwerts et al.、ならびに経口を含む)のための本開示による医薬組成物または組合せ物には、以下に限定されないが、生体接着性ポリマー、錠剤、パッチ剤、薄膜剤、液剤および半固体剤(例えば、Smart et al.を参照されたい)が含まれる。
一部の実施形態では、本開示による医薬組成物または組合せ物(またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多く)は、カプセル剤、錠剤、糖衣錠剤、丸剤、ロゼンジ剤、カシェ剤、散剤、トローチ剤、オブラート剤、または顆粒剤などの固体剤形であってもよい。経口投与のための固形剤形において、本明細書に記載の化合物1の結晶形態、および/または1種もしくはそれよりも多くのさらなる治療剤は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの1種もしくはそれよりも多くの薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれかと混合されてもよい:(1)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸、(2)結合剤、例えば、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア、(3)保湿剤、例えばグリセロール、(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケートおよび炭酸ナトリウム、(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン、(6)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、(7)湿潤剤、例えば、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、(8)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレイ、(9)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物、ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、本開示の医薬組成物または組合せ物(またはその構成要素)は、緩衝剤も含んでもよい。同様のタイプの固体医薬組成物または組合せ物(またはその構成要素)は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質および硬質ゼラチンカプセルにおける充填剤として用いることもできる。
一部の実施形態では、本開示による医薬組成物または組合せ物(またはその構成要素の1種もしくはそれよりも多く)はまた、溶液剤、エマルジョン剤、マイクロエマルジョン剤、懸濁液剤、シロップ剤、トローチ剤、またはエリキシル剤を含む水性または非水性液体剤形であってもよい。一部の実施形態では、本開示の医薬組成物または組合せ物は、水溶液中にある。一部の実施形態では、本開示の医薬組成物または組合せ物は、懸濁形態である。適切な場合、本開示の医薬組成物または組合せ物は、腸溶性コーティングなどのコーティングを用いて調製することができ、または当技術分野で周知の方法に従い、化合物1の結晶形態、および/または1種もしくはそれよりも多くのさらなる治療剤の徐放(例えば、制御放出、長期放出、持続放出、遅延放出、または緩徐放出)をもたらすように製剤化されてもよい。液体剤形はまた、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール(エタノール)、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含んでもよい。不活性希釈剤の他に、経口医薬組成物または組合せ物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、香料および保存剤などのアジュバントも含むことができる。一部の実施形態では、本開示による医薬組成物または組合せ物(またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多く)は、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガント、ならびにそれらの混合物などの懸濁化剤を含むことができる。
呼吸器送達(肺および鼻送達)のための本開示の医薬組成物もしくは組合せ物、またはその構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、以下に限定されないが、様々な加圧式定量噴霧吸入器、乾燥散剤吸入器、ネブライザー、水性ミスト吸入器、ドロップ剤、溶液剤、懸濁液剤、スプレー剤、散剤、ゲ剤ル、軟膏剤、ならびにリポソームおよびミクロスフェアなどの特殊システムを含む(例えば、Owens et al, "Alternative Routes of Insulin Delivery"およびMartini et alを参照されたい)。経皮送達のための本開示の医薬組成物または組合せ物(またはその構成要素)には、以下に限定されないが、コロイド剤、パッチ剤、およびマイクロエマルジョン剤が含まれる。
本開示の医薬組成物または組合せ物(またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多く)に適した他の投与形態としては、デポー注射可能な製剤、坐剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、吸入剤、皮膚パッチ剤、インプラント、デバイス、眼への投与のための製剤などが挙げられる。
本開示の医薬組成物もしくは組合せ物、またはそれらの構成要素の1種もしくはそれよりも多くは、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散化剤などのアジュバントも含んでもよい。微生物の作用の予防は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール ソルビン酸などを含むことによって確保されてもよい。また、医薬組成物もしくは組合せ物、または構成要素に、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含ませることが望ましい場合がある。さらに、注射用医薬形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含むことによってもたらされ得る。
本開示の医薬組成物または組合せ物は、薬学の技術分野で周知の方法によって調製することができ、例えば、Goodman et al., 2001;Ansel, et al., 2004;Stoklosa et al., 2001;およびBustamante, et al., 1993を参照されたい。
一部の実施形態では、本開示による医薬組成物および/または組合せ物は、0.05mg~5000mgまたは5mg~1000mgの量の化合物1の結晶形態(例えば、形態A、形態B、形態C、形態Eまたは形態F)を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.5mg、約5mg、約20mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約250mg、約500mg、約750mg、約1000mg、約1250mg、約2500mg、約3500mg、または5000mgの化合物1の結晶形態を含んでもよい。
SV2A阻害剤(例えば、レベチラセタム、ブリバラセタム、またはセレトラセタム)、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはその異性体を含む医薬組成物および/または組合せ物の一部の実施形態では、SV2A阻害剤(例えば、レベチラセタム、ブリバラセタム、またはセレトラセタム)、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはその異性体は、0.07mg~60mg、0.07mg~350mg、3mg~50mg、3mg~60mg、25mg~60mg、25mg~125mg、50mg~250mg、5mg~140mg、0.7mg~180mg、125mg~240mgまたは190~220mgの量で存在する。SV2A阻害剤(例えば、レベチラセタム、ブリバラセタム、またはセレトラセタム)、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはその異性体を含む医薬組成物および/または組合せ物の一部の実施形態では、SV2A阻害剤(例えば、レベチラセタム、ブリバラセタム、またはセレトラセタム)、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはその異性体は、220mgの量で存在する。
化合物1の結晶形態の生成方法
本開示による例示的な方法は、化合物1の結晶形態を生成するのに有用である。一部の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態を生成する方法に関し、結晶形態は形態A、形態B、形態C、形態Eまたは形態Fである。一部の実施形態では、本開示による方法は、化合物1の結晶形態Aの生成に関する。
一部の実施形態では、本開示の方法は、化合物1の無水結晶形態である形態Aを生成する方法であって、
a.化合物を第1の温度で第1の溶媒に溶解して、溶液を生成するステップ、
b.溶液に第2の溶媒を添加して、混合物を形成するステップ、
c.必要に応じて混合物を第2の温度に冷却するステップ、および
d.得られた沈殿物を回収して、化合物の無水結晶形態である形態Aを得るステップ
を含む、方法に関する。
本開示による一部の実施形態では、第1および第2の溶媒は、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、水、またはこれらの任意の混合物からなる群から選択される。
一部の実施形態では、第1の溶媒は、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、またはそれらの任意の混合物である。一部の実施形態では、第1の溶媒はジメチルホルムアミドである。
第1の溶媒は、当業者に認識されるいくつかの方法を使用して化合物1に添加することができる。例えば、溶媒は、化合物1を含有する容器に溶媒を注ぐ、ピペッティングする、またはカニューレで移すことによって化合物1に添加することができる。あるいは、化合物1は、溶媒を含有する容器に添加することができる。一部の実施形態では、第1の溶媒および化合物1を含む溶液は、化合物1の溶解を助けるために、例えば撹拌によってかき混ぜられる。一部の実施形態では、溶媒および化合物1を含む溶液は、化合物1の溶解を助けるために第1の温度に調整される。一部の実施形態では、第1の温度は周囲温度、例えば約20℃~約22℃である。一部の実施形態では、第1の温度は少なくとも20℃である。一部の実施形態では、第1の溶媒および化合物1を含む溶液は、希薄、濃縮、ほぼ飽和、または飽和である。一部の実施形態では、第1の溶媒および化合物1を含む溶液は、ほぼ飽和または飽和である。
一部の実施形態では、本開示による方法における第2の溶媒は、貧溶媒(すなわち、化合物1が部分的に可溶性であるかまたは可溶性でない溶媒)であり、溶液から化合物1の結晶形態(例えば、結晶形態A)の沈殿を誘導するように選択される。当業者は、当技術分野における型通りの実験を通じて、化合物1がどの溶媒に可溶性であるかを決定することができる。一部の実施形態では、第2の溶媒は、エタノール、メタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、または水である。一部の実施形態では、第2の溶媒は水である。第2の溶媒は、当業者に公知の技術を使用して混合物に添加することができる。例えば、第2の溶媒は、第2の溶媒を溶液に注ぐか、ピペッティングするか、またはカニューレで移すことによって溶液に添加され、混合物を形成することができる。
一部の実施形態では、方法は、化合物1の結晶形態(例えば、結晶形態A)の沈殿を誘導するために、第1の温度を、第1の温度とは異なる第2の温度に調整するステップを必要に応じてさらに含む。一部の実施形態では、第2の温度は、第1の温度未満である。一部の実施形態では、第2の温度は、周囲温度(すなわち、約20℃~22℃)である。一部の実施形態では、第2の温度は約20℃未満である。一部の実施形態では、温度は、約-30℃~約20℃である。一部の実施形態では、第2の温度は、0℃~20℃、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19℃である。一部の実施形態では、第2の温度は、約0℃~約20℃、例えば約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18または約19℃である。一部の実施形態では、混合物は、第2の温度に調整されない。当業者が認識するように、混合物が第2の温度で維持される時間の長さは、溶液の濃度、および溶液が保持されている温度に基づいて変化し得る。一部の実施形態では、混合物は、1時間から7日間、第2の温度で維持される。一部の実施形態では、混合物は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間、第2の温度で維持される。一部の実施形態では、混合物は、少なくとも1日間、2日間、または3日間、第2の温度で維持される。一部の実施形態では、混合物は、約1時間から約7日間、第2の温度で維持される。
本開示による方法は、得られた沈殿物を混合物から回収するステップをさらに含む。沈殿物は、当業者に公知の方法を使用して、例えば、沈殿物を濾過する、母液を別の容器にデカントして沈殿物を残す、またはピペットで母液を除去して回収することができる。
別の実施形態では、本開示は、化合物1の結晶形態(例えば、形態A)を生成する方法であって、
a.化合物を溶媒に溶解して溶液を形成するステップ、
b.溶媒を蒸発させて沈殿物を生成するステップ、および
c.沈殿物を回収して化合物1の結晶形態(例えば、無水結晶形態A)を得るステップ
を含む、方法を提供する。
一部の実施形態では、溶媒は、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、水、またはこれらの任意の混合物からなる群から選択される。一部の実施形態では、溶媒は、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、またはそれらの任意の混合物である。
溶媒は、当業者に公知のいくつかの方法、例えば不活性ガス、例えば窒素流下での蒸発、フラッシュ蒸発(すなわち、減圧下での蒸発)、昇温での蒸発、またはそれらの組合せを使用して溶液から蒸発させることができる。一部の実施形態では、溶媒は、不活性ガス、例えば窒素流下で蒸発される。一部の実施形態では、溶媒は、減圧下で蒸発される。一部の実施形態では、溶媒は、減圧下で溶液を加熱しながら蒸発される。溶液が加熱される温度は、溶媒の沸点に依存し得る。一部の実施形態では、溶液は、少なくとも溶媒の沸点まで加熱される。一部の実施形態では、溶媒は、溶媒の沸点未満に加熱される。一部の実施形態では、溶液は、約30℃~約170℃に加熱される。一部の実施形態では、溶液は、約50℃~約150℃、または約70℃~約120℃、または約80℃~約110℃に加熱される。一部の実施形態では、溶液は少なくとも80℃に加熱される。溶媒が蒸発される程度は変化してもよい。一部の実施形態では、溶媒は、乾燥するまで(すなわち、最大でも微量の溶媒のみが残存するように)蒸発される。一部の実施形態では、溶媒は、沈殿物が形成されるまで蒸発される。
方法は、沈殿物を回収して化合物1の結晶形態(すなわち、無水結晶形態A)を得るステップをさらに含む。沈殿物は、当業者に公知の方法を使用して、例えば、スパチュラで収集する、残存溶媒を濾過する、残存溶媒をデカントする、またはピペットで沈殿物から残存溶媒を除去して収集することができる。
別の実施形態では、本開示は、化合物1のメタノレート結晶形態である形態Cを生成する方法であって、
a.化合物をメタノール中で合わせて、混合物を形成するステップ、
b.混合物を所定時間混合するステップ、
c.必要に応じて混合物からメタノールを蒸発させるステップ、および
d.沈殿物を回収して、化合物のメタノレート結晶形態である形態Cを得るステップ
を含む、方法を提供する。
メタノールは、当業者に認識されるいくつかの方法を使用して化合物1に添加することができる。例えば、溶媒は、化合物1を含有する容器にメタノールを注ぐ、ピペッティングする、またはカニューレで移すことにより化合物1に添加することができる。別の例として、化合物1は、メタノールを既に含有する容器に添加することができる。一部の実施形態では、メタノールと化合物1を合わせてスラリーを形成する。
混合物は、30分~1日の範囲の期間混合することができる。一部の実施形態では、混合物は、30分または1日混合される。
一部の実施形態では、メタノールは、混合物が所定時間混合された後に蒸発される。メタノールは、当業者に公知のいくつかの方法を使用して蒸発させることができる。例えば、混合物は、減圧下、または不活性ガス、例えば窒素ストリーム下で溶媒を除去することによって乾燥させることができる。あるいは、混合物は、減圧および昇温下で乾燥させることができる。一部の実施形態では、混合物は、少なくとも40℃の温度で減圧下で乾燥させる。ある特定のそのような実施形態では、温度は約40℃~約70℃である。一部の実施形態では、混合物は乾燥させない。一部の実施形態では、溶媒は蒸発乾固される(すなわち、最大で微量のメタノールが残存するように)。他の実施形態では、溶媒を除去して混合物を濃縮し、すなわち飽和溶液を形成することによって沈殿を誘導する。
沈殿物は、当業者に公知の任意の方法を使用して回収されてもよい。例えば、沈殿物は、溶液を濾過して沈殿物を単離することによって回収されてもよい。あるいは、沈殿物は、母液をデカントする、またはピペットで母液を除去することによって回収されてもよい。
別の実施形態では、本開示は、化合物1の脱溶媒和結晶形態である形態Bを生成する方法であって、
a.化合物のメタノレート形態Cを得るステップ、
b.化合物を所定時間加熱して、化合物の脱溶媒和結晶形態である形態Bを形成するステップ
を含む、方法を提供する。
化合物1のメタノレート形態Cは、本明細書に記載の方法を使用して得ることができる。
方法は、メタノレート形態Cを加熱して、溶媒を追い出して脱溶媒和形態Bを生成するステップを含む。一部の実施形態では、メタノレート形態Cは、周囲温度を超えて加熱される。一部の実施形態では、メタノレート形態Cは、少なくとも60℃に加熱される。一部の実施形態では、メタノレート形態Cは、約60℃~約150℃に加熱される。一部の実施形態では、メタノレート形態Cは、約60℃~約100℃に加熱される。一部の実施形態では、メタノレート形態Cは、少なくとも80℃に加熱される。
一部の実施形態では、メタノレート形態Cは、少なくとも1時間、2時間、4時間、3時間、4時間、5時間、または6時間加熱される。一部の実施形態では、メタノレート形態Cは、1時間~24時間、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24時間加熱される。一部の実施形態では、メタノレート形態Cは、約1時間~約24時間、例えば約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23または約24時間加熱される。
別の実施形態では、本開示は、化合物1の一水和物結晶形態である形態Fを生成する方法であって、
a.化合物の塩酸塩を得るステップ、
b.化合物の塩酸塩を溶媒に添加して、混合物を形成するステップ、
c.混合物を所定時間混合するステップ、
d.沈殿物を回収して、化合物の一水和物結晶形態である形態Fを得るステップ、
を含む、方法を提供する。
一部の実施形態では、化合物1の塩酸塩は、化合物1を塩酸と反応させることによって得られる。化合物1を溶媒に溶解して、化学量論的量、または過剰のHClを混合物に添加することにより、化合物1を塩酸と反応させることができる。溶媒は、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、水、またはそれらの任意の混合物からなる群から選択することができる。一部の実施形態では、塩酸塩は、一水和物結晶形態である形態Fの生成に使用する前に単離される。塩酸塩は、当業者に公知の方法、例えば濾過、減圧下での乾燥 再結晶化などによって単離することができる。
方法のステップ(b)において塩酸塩が添加される溶媒は、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、水またはそれらの任意の混合物からなる群から選択することができる。一部の実施形態では、溶媒は水である。混合物は次に、その後1日~14日の範囲の期間にわたって混合される(すなわち、かき混ぜられるまたは撹拌される)。一部の実施形態では、混合物は、少なくとも1日間混合される。別の実施形態では、混合物は、少なくとも6日間混合される。
次に、沈殿物は、当業者に公知の任意の方法を使用して回収されてもよい。例えば、沈殿物は、溶液を濾過して沈殿物を単離することによって回収されてもよい。あるいは、沈殿物は、母液をデカントする、またはピペットで母液を除去することによって回収されてもよい。
別の実施形態では、本開示は、化合物1の無水結晶形態である形態Eを生成する方法であって、
a.化合物を第1の温度でテトラヒドロフランに溶解して、溶液を形成するステップ、
b.第1の温度を第2の温度に調整して、沈殿を誘導するステップ、
c.沈殿物を回収して、化合物の無水結晶形態である形態Eを得るステップ
を含む、方法を提供する。
一部の実施形態では、第1の温度は、周囲温度、例えば約20℃~22℃である。一部の実施形態では、第1の温度は少なくとも20℃である。一部の実施形態では、第1の温度は、約20℃~約66℃である。一部の実施形態では、第1の溶媒および化合物1を含む溶液は、希薄、濃縮、ほぼ飽和、または飽和である。一部の実施形態では、第1の溶媒および化合物1を含む溶液は、ほぼ飽和または飽和である。
一部の実施形態では、方法は、化合物1の結晶形態(例えば、無水結晶形態E)の沈殿を誘導するために、第1の温度を、第1の温度とは異なる第2の温度に調整するステップを必要に応じてさらに含む。一部の実施形態では、第2の温度は、第1の温度未満である。一部の実施形態では、第2の温度は66℃未満である。一部の実施形態では、第2の温度は20℃未満である。一部の実施形態では、温度は約-30℃~約30℃である。一部の実施形態では、第2の温度は0℃~20℃、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19℃である。一部の実施形態では、第2の温度は約0℃~約20℃、例えば約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18または約19℃である。当業者が認識するように、混合物が第2の温度で維持される時間の長さは、溶液の濃度、および溶液が保持されている温度に基づいて変化し得る。一部の実施形態では、混合物は、1時間から7日間、第2の温度で維持される。一部の実施形態では、混合物は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間、第2の温度で維持される。一部の実施形態では、混合物は、少なくとも1日間、2日間、または3日間、第2の温度で維持される。一部の実施形態では、混合物は、約1時間から約7日間、第2の温度で維持される。
本明細書に記載される方法は、対処されている用途にとって適切となるよう、適応されて改変されてもよいこと、および本明細書に記載される方法は、他の好適な用途において使用され得ること、およびそのような他の追加および改変は、本発明の範囲から逸脱しないことが、当業者によって理解される。
本開示は、以降に続く実施例および実験の詳細からよりよく理解される。しかし、当業者は、議論されている特定の方法および結果が、これ以降に続く実施形態において一層完全に記載される本発明の単なる例示に過ぎないことを容易に認識する。
(実施例1)
化合物1の合成
2-((2,4-ジメトキシベンジル)アミノ)酢酸(C)の調製。
無水CHCl(800mL)中の化合物A(40.0g、240mmol)、化合物B(50.2g、360mmol)およびEtN(50.2mL、360mmol)の混合物を、N下で室温で1時間撹拌した。この時間後、冷水冷却浴で20分かけてNaBH(OAc)(76.4g、360mmol)を少量ずつ添加した(発熱)。得られた混合物を、室温で一晩撹拌した。次に、反応混合物を氷/水浴で冷却し、飽和NaHCO水溶液(約800mL)をゆっくり添加することによってクエンチした。得られた混合物を30分間撹拌した。層を分離した。水層をCHCl(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液(300mL)および水(300mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。残留物をメタノール(320mL)に溶解した。NaOH水溶液(2N、360mL)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。この時間後、反応混合物を氷/水浴で冷却し、濃HCl(約12N)をゆっくり添加してpH4~5まで酸性化した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物に水(80mL)を添加し、すべての固体が溶解するまで70℃浴で撹拌した。得られた溶液を氷/水浴で冷却し、10分間超音波処理した。固体を濾過によって収集し、高真空下で乾燥させ、化合物Cを白色固体として得た(44.3g、82%):1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.26 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.59 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.53 (dd, J = 8.3, 2.4 Hz, 1H), 3.92 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.04 (s, 2H).
7-クロロ-4-(2,4-ジメトキシベンジル)-3,4-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-2,5-ジオン(E)の調製。
キシレン(140mL)中の化合物C(12.5g、55.5mmol)および化合物D(10.0g、50.6mmol)の懸濁液を、N下で撹拌しながら3時間加熱還流した。この時間後、反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮乾固した。残留物をEtOAc/メタノール(10:1、約40mL)でトリチュレートして濾過した。濾過ケーキを高真空下で乾燥させ、化合物Eをオフホワイトの固体として得た(14.0g、77%)。ESI MS、m/z=361[M+H]
エチル8-クロロ-5-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[f]イミダゾ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-3-カルボキシレート(F)の調製。
化合物E(23.0g、63.7mmol)の無水THF(250mL)および無水DMF(125mL)中の撹拌溶液に、NaH(鉱油中60%、3.82g、95.5mmol)を-20℃でN下で添加した。得られた混合物を室温に温め、室温で30分間撹拌した。この時間後、反応混合物を-20℃に冷却し、(EtO)P(O)Cl(13.8mL、95.5mmol)を添加した。次に、得られた混合物を室温に温め、室温で2.5時間撹拌した。反応混合物を氷/水浴で冷却し、CNCHCOEt(10.4mL、95.2mmol)を添加した。得られた混合物を0℃で5分間撹拌し、次いで-78℃に冷却した。NaH(鉱油中60%、3.82g、95.5mmol)を添加した。反応混合物を-78℃で10分間撹拌し、一晩ゆっくりと室温に温めた。この時間後、反応混合物を半飽和NaHCO水溶液(400mL)でクエンチし、EtOAc(3×400mL)で抽出した。合わせた抽出物を10%LiCl水溶液(2×100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。得られた残留物を、80%~100%のEtOAc/CHClで溶出するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物Fをオフホワイトの固体として得た(18.3g、63%):ESI MS、m/z=456[M+H]
エチル8-クロロ-6-オキソ-5,6-ジヒドロ-4H-ベンゾ[f]イミダゾ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-3-カルボキシレート(G)の調製。
無水CHCl(96mL)中の化合物F(18.3g、40.1mmol)の撹拌溶液に、0℃でTFA(48mL)を、続いてTfOH(7.1mL、80.8mmol)を添加した。反応混合物を室温に温め、2時間撹拌した。この時間後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物をCHCl(300mL)で希釈し、氷/水浴で冷却し、飽和NaHCO水溶液をゆっくり添加することによってpH>7まで塩基性化した。混合物を濾過した。濾過ケーキを水(2×30mL)で洗浄した。濾液の層を分離した。水層をCHCl(4×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。得られた残留物をEtOAcでトリチュレートして濾過した。合わせた濾過ケーキを高真空下で乾燥させ、化合物Gをオフホワイトの固体として得た(12.9g、>99%)。ESI MS、m/z=306[M+H]
エチル3-クロロ-7-(メトキシメチル)-9H-ベンゾ[f]イミダゾ[1,5-a][1,2,4]トリアゾロ[4,3-d][1,4]ジアゼピン-10-カルボキシレート(I)の調製。
クロロベンゼン(400mL)中の化合物G(12.9g、約40.1mmol)および化合物H(23.1mL、160mmol)の撹拌懸濁液に、POCl(7.5mL、80.5mmol)をN下で室温で添加した。反応混合物を150℃の油浴(還流)で2.5時間撹拌しながら加熱した。この時間後、反応混合物を室温に冷却し、CHOCHC(O)NHNH(25.0g、240mmol)を、次いでDIPEA(35mL、201mmol)を添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌し、次に135℃の油浴で1.5時間加熱した。この時間後、反応混合物を室温に冷却し、CHCl(500mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(500mL)でクエンチした。層を分離した。水層をCHCl(4×300mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。得られた残留物を、0%~8%のMeOH/EtOAcで溶出するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物Iを淡黄色固体として得た(11.5g、77%)。ESI MS、m/z=374[M+H]。また、化合物G(1.80g)を回収した。
(3-クロロ-7-(メトキシメチル)-9H-ベンゾ[f]イミダゾ[1,5-a][1,2,4]トリアゾロ[4,3-d][1,4]ジアゼピン-10-イル)メタノール(J)の調製。
無水THF(40mL)中の化合物I(3.74g、10.0mmol)の撹拌溶液に、DIBAL-H(THF中1M、30mL、30mmol)を0℃でN下で10分かけて滴下添加した。反応混合物を0℃で2.5時間撹拌した。この時間後、反応混合物を飽和ロッシェル塩水溶液(40mL)および水(50mL)でクエンチした。得られた混合物を室温で1.5時間撹拌した。固体を濾過し、水(10mL)およびEtOAc(10mL)で洗浄した。濾液の層を分離した。水層をEtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。得られた残留物をEtOAc(5mL)でトリチュレートし、濾過した。合わせた濾過ケーキを高真空下で乾燥させ、化合物Gを淡黄色固体として得た(2.95g、89%)。ESI MS、m/z=354[M+Na]
3-クロロ-7-(メトキシメチル)-9H-ベンゾ[f]イミダゾ[1,5-a][1,2,4]トリアゾロ[4,3-d][1,4]ジアゼピン-10-カルバルデヒド(K)の調製。
無水CHCl(50mL)中の化合物J(2.95g、8.89mmol)の撹拌懸濁液に、Dess-Martinペルヨージナン(4.53g、10.7mmol)をN下で0℃で添加した。得られた混合物を0℃で10分間撹拌し、次に3時間かけて室温に温めた。この時間後、反応混合物をメタノール(5mL)でクエンチし、室温で1時間撹拌した。得られた混合物にブライン(50mL)を添加した。層を分離した。水層をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残留物を、EtOAc、次に0%~10%MeOH/CHClで溶出するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物Kを白色固体として得た(2.62g、89%)。ESI MS、m/z=330[M+H]
3-クロロ-10-エチニル-7-(メトキシメチル)-9H-ベンゾ[f]イミダゾ[1,5-a][1,2,4]トリアゾロ[4,3-d][1,4]ジアゼピン(L)の調製。
無水MeOH(70mL)中の化合物K(2.62g、7.95mmol)の撹拌溶液に、KCO(2.20g、15.9mmol)、続いてBestmann-Ohira試薬(2.29g、11.9mmol)をN下で室温で添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。この時間後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチした。得られた混合物をCHCl(3×50mL)で抽出した。合わせた抽出物を減圧下で濃縮した。残留物をCHCl(200mL)に溶解し、水(30mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。得られた残留物をCHCl(10mL)でトリチュレートし、濾過した。濾液を、2%~4%MeOH/EtOAcで溶出するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。カラム精製から得られた生成物を濾過ケーキと合わせ、高真空下で乾燥させ、化合物Lを白色固体として得た(1.96g、76%):ESI MS、m/z=326[M+H]
5-((3-クロロ-7-(メトキシメチル)-9H-ベンゾ[f]イミダゾ[1,5-a][1,2,4]トリアゾロ[4,3-d][1,4]ジアゼピン-10-イル)エチニル)-2-メトキシチアゾール(1)の調製。
無水DMF(15mL)中の化合物L(500mg、1.53mmol)、化合物M(下記の合成を参照)(1.10g、4.60mmol)およびCuI(87mg、0.460mmol)の懸濁液をアルゴンで5分間バブリングした。この時間後、EtN(1.07mL、7.65mmol)、続いてPd(PPh(353mg、0.306mmol)を添加した。得られた混合物を、アルゴン下で室温で一晩撹拌した。次に、反応混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(4×50mL)で抽出した。合わせた抽出物を10%LiCl水溶液(2×20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。得られた残留物を、0%~5%MeOH/CHClで溶出するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物1を淡灰色固体として得た(468mg、69%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.36 (s, 1H), 8.08 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.97 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.87 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 5.43 (s, 2H), 4.76 (s, 2H), 4.09 (s, 3H), 3.31 (s, 3H);ESI MS、m/z=439[M+H]
塩および多形スクリーニングに関する一般手順
貧溶媒の添加
溶液を貧溶媒と接触させた。これらの貧溶媒の添加物は、溶媒系の溶解度を低下させて、結晶化を誘発する一助とするために加えた。
冷却およびゆっくりとした冷却
溶液は、選択した溶媒または溶媒/貧溶媒系中で調製した。これらの溶液は核生成を誘発させようと、様々な時間長の間、冷蔵庫内で室温未満に冷却した。固体の存在または非存在に注意した。固体を観察した場合、物質の単離は、分析に十分な量で行った。不十分な量しか存在しない場合、冷凍庫中でさらなる冷却を行った。試料は、湿潤状態での分析のため、または乾燥粉末としてのどちらかで単離した。
速い蒸発
溶液は、選択した溶媒中で調製し、溶出を支援するために一定分量を添加する間、撹拌した。混合物が、目視観察によって判断して、完全な溶出に到達すると、この溶液を0.2μmのナイロンフィルターに通してろ過し、栓をしていないバイアル中、周囲温度で、または窒素下、周囲温度で蒸発させた。形成した固体を評価するために単離した。
ゆっくりとした蒸発
溶液を、選択した溶媒中で調製し、溶出を支援するために一定分量を添加する間、撹拌した。混合物が、目視観察によって判断して、完全な溶出に到達すると、この溶液を0.2μmのナイロンフィルターに通してろ過し、試料バイアルに入れた。バイアル開口部をホイルで覆い、3×の穴を開けて、周囲温度で蒸発をゆっくりとさせた。形成した固体を評価するために単離した。
スラリー
十分な固体を所与の溶媒に加え、過剰の固体が存在するようにすることによって溶液を調製した。次に、この混合物を周囲温度または高温で、密封したバイアル中で撹拌した。所与の時間の後、この固体を分析するために単離した。
溶解度の推定
目視観察によって判断して、完全な溶出が達成されるまで、規定の温度において、撹拌しながら(通常、超音波処理)、所与の物質の測定量まで、一定分量の様々な溶媒を加えた。溶出が、最初の一定分量の添加後に起こった場合、値は、「>」と報告する。溶出が起こらなかった場合、値は、「<」と報告する。
塩および多形スクリーニングに関する一般的な機器技法
示差走査熱量測定(DSC)
DSCは、Mettler-Toledo DSC3+示差走査熱量測定器を使用して行った。tau lag調整は、インジウム、スズおよび亜鉛を用いて行う。温度およびエンタルピーは、オクタン、サリチル酸フェニル、インジウム、スズおよび亜鉛を用いて調整する。次に、この調整は、オクタン、サリチル酸フェニル、インジウム、スズ、および亜鉛を用いて検証する。試料を気密密閉したアルミニウム製DSCパンに入れ、重量を正確に記録し、試料をDSCセルに挿入した。試料用パンとして構成されている秤量済みアルミニウム製パンをセルの参照側に置いた。試料分析前に、パンの蓋に穴を空けた。試料を10℃/分で、-25℃から250℃まで分析した。
動的水蒸気収着(DVS)
動的水蒸気収着データは、Surface Measurement SystemのDVS Intrinsic instrumentで収集した。試料は、分析前に乾燥させなかった。収着および脱着データは、窒素パージ下、10%RH刻みで5%~95%RHの範囲にわたり収集した。分析に使用した平衡基準は、5分間で0.001dm/dtとなる重量変化、最小ステップ時間は30分、および最大平衡時間は180分、3分間のデータロギング間隔とした。データは、試料の初期水分含量に関して補正しなかった。試料は、以下の表中の定義に基づいて、吸湿性が低い、限定的である、または大きいと特定した。
熱重量分析(TGAまたはTGA/DSC)
熱重量分析は、Mettler-Toledo TGA/DSC3+分析器を使用して行った。温度較正は、シュウ酸カルシウム、インジウム、スズおよび亜鉛を使用して行った。試料は、アルミニウム製パンに入れた。このパンを気密密閉し、蓋に穴を開けて、次に、TG炉にパンを挿入した。試料用パンとして構成されている秤量済みアルミニウム製パンを参照プラットフォームに置いた。炉を窒素下で加熱した。試料を10℃/分で、25℃から350℃まで分析した。
熱重量分析は、通常、サーモグラムの赤色括弧によって表示される、各分析の開始時の平衡期間を受ける。関連する重量減少の算出に関する開始温度は、精度に関して、この領域を超える(通常、35℃を上回る)点で選択する。
この機器でのDSC分析は、DSC3+示差走査熱量測定器ほど感度は高くない。したがって、十分な固体を含む試料は、両方の機器によって分析し、この機器からのTGAサーモグラムだけ報告する。
X線粉末回折(XRPD)
透過幾何学(大部分の試料)
XRPDパターンは、Optix長のファインフォーカスソースを使用して発生させたCu照射の入射ビームを使用する、PANalytical X’Pert PRO MPDまたはPANalytical Empyrean回折計を用いて収集した。段階的楕円形の多層ミラーを使用して、検体を貫通させて、検出器表面にCu KαX線を焦点化した。分析前に、ケイ素検体(NIST SRM 640e)を分析し、Si111ピークの観察位置が、NISTによる認証位置と一致していることを確認した。試料の検体を、3μmの厚みのフィルムの間に挟んで、透過幾何学で分析した。ビーム停止、短い散乱防止エクステンション(antiscatter extension)および散乱防止ナイフエッジを使用して、空気により発生するバックグラウンドを最小限にした。入射ビームおよび回折したビームにソラースリットを使用して、軸発散に起因する広がりを最小限にした。回折パターンは、検体から240mmに位置する走査型位置高感度検出器(X’Celerator)およびデータ収集ソフトウェアv.5.5を使用して収集した。各パターンのデータ取得パラメータを、この報告書のデータ項目における画像の上に表示する。画像はすべて、使用した機器にかかわらず、X’Pert PRO MPDとして標識した機器を有する。
(実施例2)
化合物1の塩スクリーニング
特に示さない限り、以下の手順における化合物1の使用に言及する場合、一部の状況では、本明細書において「粗製物」と称される、化合物1の合成(図19を参照されたい)を行った後に観察可能な形態Aおよび形態Bの混合物を指す。
化合物1が弱塩基性pK値であることに基づいて、強酸を塩形成に選択した。使用した8種の強酸は、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、エタン-1,2-二スルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-二スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸およびトルエンスルホン酸であった。
これらの実験は、一般に、化合物1の遊離塩基形態の溶液または懸濁液に、0.5、1または2モル当量の酸性溶液を直接、添加することを含む。十分量の沈殿が起きた場合、直ちに、物質を収穫した。必要に応じて、(以下に限定されないが)冷却、貧溶媒の添加、融解/冷却、蒸発および/またはスラリー形成を含めた追加のステップを、生じる物質の収率または結晶化度を増大する試みで行った。
生成物は、偏光光学顕微鏡検査(PLM)および/またはX線粉末回折(XRPD)によって結晶化度を定性的に評価した。結晶性物質は、使用した8種の強酸のすべての場合に、首尾よく単離された。しかし、エジシル酸塩は、H NMRによって判定すると、分解したことが分かった。エジシル酸塩を例外として、各対イオンから少なくとも1つの代表的な結晶性塩を単離した。
(実施例3)
化合物1の遊離塩基の多形スクリーニング
特に示さない限り、以下の手順における化合物1の使用に言及する場合、一部の状況では、本明細書において「粗製物」と称される、化合物1の合成(図19を参照されたい)を行った後に観察可能な形態Aおよび形態Bの混合物を指す。
化合物1の結晶形態を特定するために設計した溶媒をベースとするスクリーニングを、表1に要約する。60を超える、蒸発実験、スラリー実験、粉砕沈殿実験および冷却実験を行った。一部の例では、固体を湿潤状態で意図的に分析し、水和物形態または溶媒和物形態を特定する可能性をさらに高めた。水活性スラリーを利用して、化合物1が、水和物を形成する性向を評価し、水和物形成が起こる安定範囲を特定する一助とした。熱により誘発される変換からなる非溶媒ベースの方法も含ませた。さらに、様々な温度における無水形態間の相対的な熱力学安定性を決定する一助とする実験を行った(実施例4を参照されたい)。
形態A、B、物質Dおよび形態Eは、化合物1の無水形態である。形態Fは、水和物であり、形態Cは、メタノレートである。これらの形態のX線粉末パターンを図1および2において比較する。化合物1の結晶形態Aの無水物は、限定的な吸湿性、207℃の分解開始を示し、化合物1の他の無水形態に比べて、熱力学的に最も安定なものとして特定された。化合物1の結晶形態Bは、準安定な脱溶媒和物であり、80℃に一晩曝露させると、結晶形態Cのメタノレートの脱溶媒和により得られる。化合物1の結晶形態Eは、準安定無水物であり、水中での化合物1の様々な塩の不均化により最も頻度高く、観察された。化合物1の結晶形態Fは、水和物であり、水中で、化合物1のHCl塩のスラリー形成によって生成した。水和物は、結晶構造からのClの変位に起因する可能性があり、これは、中間体として、HCl塩なしに起こる可能性は低い。水和物は、周囲温度で真空下、5日間、変化しないままであることが示されたが、100℃に曝露すると、脱水して、分解が同時に起こる。特徴付けデータは、以下において一層詳細に議論する。
無水形態
形態A、安定な無水物
結晶形態Aは、化合物1の無水物であり、207℃で分解が始まる(図3Aおよび図3B)。形態Aは、周囲温度では、他の無水形態に比べると、最も熱力学的に安定である(実施例4を参照されたい)。
形態Aは、様々な溶媒から、型通りに観察され、適正な溶解度を有する溶媒中のスラリー、蒸発、飽和溶液の冷却、および溶媒/貧溶媒の添加によって生成することができる(表1を参照されたい)。例えば、ジクロロメタン(DCM)に化合物1を溶解し、次いで、80℃またはN下の一方で迅速に蒸発させると、化合物1の形態Aが単離された。DCM溶液に化合物1の形態Eでさらに種晶添加し、次いで、N下で迅速に蒸発させると、化合物1の純粋な形態Aがやはり単離された。ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、エタノール(EtOH)および水とDMFの混合物中の様々な他の実験からもやはり、化合物1の純粋な形態Aが単離される。
化合物1の形態Aに関するXRPDパターンおよびピークリストが、それぞれ、図5(実験、上部)および表2に例示されている。
形態Aの単結晶構造が、決定された(図4)。形態AのX線回折に好適な単結晶は、ジメチルホルムアミドに化合物1を溶解し、この溶液をエタノールにろ過して入れ、3日間、冷蔵庫(4℃)中でこの混合物を冷却して、形態Aの結晶化を誘発することによって得られた。結晶系は単斜晶系であり、空間群はC2/cである。格子パラメータおよび計算した体積は、a=58.1415(14)Å、b=4.03974(8)Å、c=17.1204(3)Å、α=90°、β=90.261(2)°、γ=90°、V=4021.15(14)Åである。分子量は、438.89gmol-1であり、Z=8であり、計算した密度は、1.450gcm-3となった。結晶データおよび結晶学的データ収集パラメータのさらなる詳細は、表3に要約されている。非対称単位は、化合物1の分子を1つ含有する。チアゾールおよびエーテルは、180°回転し、優勢な配向で88%の占有率に精密化する。主要な配向の化合物1の形態Aの原子変位楕円形図が、図4に示されている。単結晶データからの計算したXRPDパターンを、図5における実験パターンと比較する。
形態Aのサーモグラムが、図3Aおよび図3Bに示されている。TGAは、最大で207℃まで重量減少を示さず、無水形態に一致する。DSC曲線は、分解のために、約207℃での開始を伴う発熱を示す。
動的水蒸気収着(DVS)等温線は、形態Aが、低い吸湿性を示すことを示唆する(図6)。吸湿性は、参考文献に示されている概念に一部、基づくと、低い、限定的である、または大きいと記載することができる(動的蒸気吸収実験を参照されたい)。収着/脱着サイクルによる重量変化は、約0.3%と無視可能であり、ヒステリシスはなかった。DVS実験から回収した物質は、XRPDによって、出発原料と同じであると特定した。
形態Bの準安定な脱溶媒和物
形態Bは、80℃に一晩、曝露させると、化合物1のメタノレートである、多形形態Cの脱溶媒和により得られる、化合物1の準安定無水物である。形態Cに関するサーモグラムに基づくと、脱溶媒和形態(形態B)は、約190℃で分解の開始を示す。形態Bは、周囲温度で、溶媒が媒介する実験において、形態Aに変換することが示され(実施例4を参照されたい)、形態Bは、その条件では、形態Aに比べて準安定であることが確認された。
化合物1の形態Bに関するXRPDパターンおよびそのピークリストが、それぞれ、図7および表4に例示されている。形態BのXRPDパターンは、首尾よくインデックス化され、暫定的な結晶学的単位格子パラメータによる結晶形態の頑健な記載、およびそのパターンが、単結晶相の代表的なものであるという強力な証拠を提示している(図7)。この形態は、恐らく化合物1の分子を4つ含有する、単斜晶単位格子を有する。したがって、インデックス付き結果から計算した式の単位体積497Åは、無水形態と一致するように思われる。
物質D、準安定無水物
化合物1の物質Dは、無水物として暫定的に特定する。DCMからの回転蒸発により、アモルファス化合物1を単離しようとした試みの失敗から、形態Aとの混合物(および、さらなる未確認ピーク)として物質Dだけが得られた。XRPDディフラクトグラム中のさらなる未確認ピークは、周囲状態での7週間の保管後にもはや明確ではないが、物質Dは、依然として残った(図8)。これは、物質Dは、周囲温度において、ある程度の動力学的安定性を示すことを暗示する。それでも、物質Dは、周囲温度で、溶媒が媒介する実験において、形態Aに変換することが示され(実施例4を参照されたい)、物質Dは、その条件では、形態Aに比べて準安定であることが確認された。
物質D(形態Aとの混合物として)のサーモグラムが、図9Aおよび図9Bに示されている。TGAは、237℃まで重量減少を示さず、無水形態の混合物と一致する。DSCは、分解のために、174℃近くでの開始を伴う、発熱を示す。
形態E、準安定無水物
形態Eは、化合物1の無水物であり、201℃で分解が始まる(図12aおよび図12B)。形態Eは、形態Aに比べて準安定である。相対熱力学的関係は、周囲温度、55℃および77℃で行った、相互変換スラリー実験により確認した(実施例4を参照されたい)。形態Eは、水中での化合物1の様々な塩の不均化により、最も頻度高く観察された。単結晶X線回折に好適な結晶は、アモルファス化合物1で飽和したTHF溶液をゆっくりと冷却することにより得られた。
化合物1の形態Eに関するXRPDパターンおよびピークリストが、それぞれ、図11(実験、上部)および表5に例示されている。
形態Eの単結晶構造が、首尾よく決定された(図10)。結晶系は単斜晶系であり、空間群はP2/nである。格子パラメータおよび計算した体積は、a=11.83974(13)Å、b=23.5195(2)Å、c=14.48807(17)Å、α=90°、β=101.5333(11)°、γ=90°、V=3952.96(7)Åである。分子量は、438.89gmol-1であり、Z=8であり、計算した密度は、1.475gcm-3となった。結晶データおよび結晶学的データ収集パラメータのさらなる詳細は、表6に要約されている。化合物1の形態Eの原子変位楕円形図が、図10に示されている。示された非対称単位は、化合物1の分子を2つ含有する。計算した粉末パターンを、図11における実験パターンと比較する。
形態Eのサーモグラムが、図12Aおよび図12Bに示されている。TGAは、約200℃まで重量減少を示さず、無水形態に一致する。DSC曲線は、分解のために、201℃近くの開始を伴って、発熱を示す。
水和物形態
形態Fの水和物
形態Fは、化合物1の水和物である可能性が高い。形態Fは、水中で化合物1のHCl塩をスラリー形成することによって生成した(実施例2および表1を参照されたい)。水和物は、周囲温度で真空下、5日間、変化しないままであることが示されたが、100℃に曝露すると脱水する。熱的特徴付けにより、高温での脱水時に分解が直ちに起こることが示唆される。
化合物1のHCl塩と遊離塩基形態Fの水和物のXRPDパターンは、類似しており(図13)、結晶構造もやはり類似していることが示唆される。水和物は、この構造からのClの変位に起因する可能性が高い。遊離塩基から水和物形態を直接、結晶化させるようとした多数の試みは、最大で50wt%まで種晶添加した場合でさえも不成功であった。代わりに、遊離塩基のゲルが、高い水分活性で水性溶媒系中に留まるか、または最終的に、0.7およびそれ未満の水分活性で形態Aへと結晶化すると思われる。したがって、遊離塩基の水和物の形成は、中間体としてHCl塩なしに起こる可能性は低い。
化合物1の形態Fに関するXRPDパターンおよびそのピークリストが、それぞれ、図14および表7に例示されている。XRPDパターンは、首尾よくインデックス化され、そのパターンは、単結晶相の代表的なものであるという強力な証拠を提示する(図14)。この形態は、恐らく、化合物1の分子を2つ含有する、三斜晶単位格子を有する。したがって、インデックス付き結果から計算された式の単位体積511Åは、最大で1molあたり1molの水を理論的に収容することができる水和物に一致するように思われる。
溶液のH NMRスペクトルは、化合物1の化学構造と一致する。残留有機溶媒に起因し得るピークは、明白ではない。イオンクロマトグラフィーは、HCl塩に由来するが、無視できる量のClを定量し、形態Fは、遊離塩基の結晶形態であることが確認される。
形態Fのサーモグラムが、図15Aおよび図15Bに提示されている。TGAは、最大で135℃まで最初に3.2%の重量減少、および135~187℃に0.8%のさらなる減少を示す。水が唯一の揮発物であると仮定すると(残留有機溶媒は、上で議論したH NMRスペクトルでは明白ではなかった)、最初のステップでの重量減少は、1モルの化合物1あたり、約0.8モルの水に等しい。DSC曲線は、120℃を上回る発熱を直ちにもたらす、幅広い脱水吸熱を示す。DSC発熱により、脱水時に分解が直ちに起こることが示唆される。したがって、数分間、100℃に試料を曝露すると、XRPDによって結晶性が失われる。
DVS等温線により、形態Fが、限定的な吸湿性を示すことが示される(図16)。5~95%RHに1.8%の重量増加、および脱着時に、大きなヒステリシスを伴って1.5%の重量減少が観察される。回収したDVS後の試料は、依然として、XRPDによって形態Fであった。
溶媒和物形態
形態Cメタノレート
形態Cは、メタノールを含む実験から観察されるメタノレートである。特に、アモルファス化合物1は、N下、30分間、周囲温度でメタノール溶液中でスラリー形成した。その後に60℃で溶媒を除去すると、形態Cが単離された(表1)。溶媒和物は、速度論的に安定であり、周囲条件下、9週間、変化しないままであることが示された。しかし、このメタノレートは、80℃に一晩曝露させると、形態B(形態Bを参照されたい)に脱溶媒和することになる。
化合物1の形態Fに関するXRPDパターンおよびそのピークリストが、それぞれ、図17および表8に例示されている。XRPDパターンは、首尾よくインデックス化され、そのパターンは、単結晶相の代表的なものであるという強力な証拠を提示する(図17)。この形態は、恐らく、化合物1の分子を4つ含有する、単斜晶単位格子を有する。したがって、インデックス付き結果から計算された式の単位体積544Åは、最大で1molあたり1molのメタノールを理論的に収容することができる溶媒和物に一致すると思われる。
形態Cのサーモグラムが、図18Aおよび図18Bに提示されている。TGAは、最大で196℃まで3.2%の重量減少を示す。MeOHが唯一の揮発物であると仮定すると、この重量減少は、化合物1モルあたり、0.5モルのMeOHに等しい。DSCにおいて、60℃より前の幅広い吸熱は、脱溶媒和および形態Bへの形態変換によるものである。脱溶媒和形態の分解による発熱は、190℃の開始を示す。
(実施例4)
相対的な熱力学的安定性
相互変換実験は、化合物1の最も熱力学的に安定な無水形態を特定するために行った(表9)。相互変換または競合的スラリー実験は、より溶解性の高い結晶形を犠牲にして、溶解性の低い(より安定した)結晶が成長するための経路をもたらす溶液媒介過程である。溶媒和物の形成または分解以外では、熱力学的に安定な多形ほどエネルギーが低く、したがって溶解度が低いので、相互変換実験から得られるより安定した多形は、使用する溶媒とは無関係である。溶媒の選択は、多形形態間の熱力学的関係ではなく、多形変換の速度に影響を及ぼす。
形態B、E、Fおよび物質Dの様々な組合せ物を、周囲温度および高温で形態Aと共にスラリー形成した(形態Eを含む実験の場合)。様々な溶媒系を使用し、様々な水分活性を含ませた。飽和溶液を生成し、次に、ほぼ等しい量の形態で構成された混合物に加えた。この混合物を特定の期間、スラリー形成させ、固体を収穫し、XRPDによって分析した。
使用される混合物にかかわらず、形態Aが各実験について優勢であった。これは、形態Aが、周囲温度において、形態Bおよび物質Dよりも熱力学的に安定であり、ならびに周囲温度、55℃および77℃において形態Eよりも熱力学的に安定であることを示唆する。
結論
化合物1が弱塩基性pK値であることに基づいて、より強い酸を塩形成に選択した。使用した8種の強酸をすべて用いて、結晶性物質が首尾よく単離され、ベシル酸塩、HCl塩、メシル酸塩、ナパジシル酸塩、ナプシル酸塩、硫酸塩およびトシル酸塩とされるものに由来する少なくとも1つの代表的な結晶性試料が単離された。
化合物1の遊離塩基形態、形態A、B、物質Dおよび形態Eは、無水形態であり、形態Fは、水和物であり、形態Cは、メタノレートである。形態Aの無水物は、限定的な吸湿性を示し、207℃の分解開始を示し、他の無水形態に比べて、熱力学的に最も安定なものとして特定される。形態Bの準安定な脱溶媒和物は、80℃に一晩曝露させると、結晶形態Cのメタノレートの脱溶媒和により得られる。形態Eの準安定無水物は、水中での化合物1の様々な塩の不均化により最も頻度高く、観察された。形態Fの水和物は、水中でHCl塩である形態AのHClをスラリー形成することによって生成した。理論に縛られることを望むものではないが、水和物は、結晶構造からのClの変位に起因する可能性があり、これは、中間体として、HCl塩なしに起こる可能性は低い。水和物は、周囲温度で真空下、5日間、変化しないままであることが示されたが、100℃に曝露すると、脱水して、分解が同時に起こる。これらの実験から、化合物1の形態Aが、検討した他の多形に比べて、優れた安定性を有することが判明した。
(実施例5)
高齢障害ラットにおける化合物1の効果
対象
高齢の雄Long-Evansラットは、Charles River Laboratories(Raleigh、NC)から9ヶ月齢で入手し、24ヶ月齢に水迷路でバックグラウンド行動評価を行うまで、Johns Hopkins Universityにおけるビバリウムに収容した。同じ供給源から得た若齢ラットを同じビバリウムに収容して、6ヶ月齢におけるバックグラウンド評価に含ませたが、放射状迷路タスクにおける薬物試験には使用しなかった。すべてのラットを25℃で個々に収容し、12時間の明/暗サイクルに維持した。特に明記しない限り、食物および水は自由摂取させた。ラットは、健康状態を検査し、実験および殺害時の検視全体を通して、病原体非含有の状態にした。手順はすべて、Johns Hopkins Universityの施設内動物管理委員会によって承認を受けたプロトコルを使用するNIHガイドラインに準拠した。
バックグラウンド行動評価
すべてのラットを、薬物検討の開始前に、空間認知の標準評価においてスクリーニングした。バックグラウンド評価は、他の場所(Gallagherら、1993年)に詳述されている、十分に確立されたモーリス水迷路プロトコルを使用した。手短に述べると、ラットを8日間訓練して(1日あたり3回の試行)、水迷路における訓練全体にわたり、同じ場所にある偽装した逃避プラットフォームを捜し当てるようにした。6回目の各試行は、逃避プラットフォームを空間的に突き止める探索力の発達を評価する働きをする、プローブ試行(逃避プラットフォームのない自由遊泳)からなった。これらのプローブ試行中に、逃避プラットフォームへのラットの接近度から学習指数を生成し、これを使用して、高齢ラットにおける障害を規定した。学習指数は、プローブ試行中に得られた加重接近スコアの合計であり、低いスコアは、逃避プラットフォームに近づいた探索であることを反映し、高いスコアは、プラットフォームから離れての探索を反映する(Gallagherら、1993年)。手がかり訓練(目に見える逃避プラットフォーム)は、空間学習とは無関係の、感覚運動要因および動機付け要因を試験するための訓練の最終日に行った。空間記憶能力が損なわれている高齢ラット(すなわち、若齢の「規範的な」範囲を外れた学習指数スコアを有するラット)だが、手がかりの与えられた訓練成績に成功を収めた高齢ラットを、以下に記載した検討に使用した。
1.放射状迷路に関する、POによる化合物1での急性処置
放射状迷路タスクにおいて、様々な用量の化合物1(GABAα5受容体アゴニスト)下、ほぼ85%の自由摂食重量に維持した絶食高齢ラットの海馬依存性記憶を試験した。
使用した放射状迷路装置は、等距離間隔の8本の走路からなった。高架式迷路の走路(幅7cm×長さ75cm)が、八角形の中央プラットフォーム(直径30cm、高さ51.5cm)の各面から突き出ていた。走路上の透明の側壁は、10cmの高さがあり、65°の角度に曲げられて、くぼみが形成されていた。食物のウェル(直径4cm、深さ2cm)を各走路の遠位端部に配置した。Froot Loops(商標)(Kellogg Company)を報酬として使用した。任意の走路への進入を防止するため、Plexiglas(商標)から構築されているブロック(高さ30cm×幅12cm)を置くことができた。その装置の周囲に数多くの追加の迷路の手がかりも設けた。ラットを最初に事前訓練(Chappellら、1998年)に供した。事前訓練は、順化期、標準的なウィン-シフトタスクに対する訓練期および実験者によって指定されるサブセットの走路(5本の走路が通行可能であり、3本の走路が遮断されている)を提示する間に次第に長くなる遅延を課す別の訓練期、ならびに8走路のウィン-シフトタスク(すなわち、8本すべての走路が進入可能である)の完了からなった。
順化期では、ラットに、数日での10分間のセッションの間、迷路に慣れさせた。これらの各セッションでは、食物の報酬を迷路上に、最初に、中央プラットフォーム上および走路上に点在させ、次に、徐々に走路に閉じ込めた。この順化期の後、標準的な訓練プロトコルを使用し、そのプロトコルでは、食物ペレットを各走路の端に置いた。ラットに毎日1回の試行を受けさせた。8つすべての食物ペレットを得ると、または16回の選択を行ったときもしくは10分が経過すると、毎日の各試行を終了した。この訓練期が完了した後、第2の訓練期を行い、ここでは、試行の間に短い遅延時間を課すことによって、記憶の要求を増大させた。各試行の始めに、8つの走路の迷路の3本の走路を遮断した。ラットは、試行のこの最初の「情報期」の間に立入りを許された5本の走路上の食物を得ることが可能であった。次に、ラットは、数日間にわたり次第に長くなる遅延(1分間、30分間、60分間など)の間、迷路から取り出され、その間に、迷路上の障壁を取り除いて、8本すべての走路への立入りを可能にした。次に、ラットを中央プラットフォームに戻し、この試行の「記銘検査」期の間、残りの食物の報酬を得ることを可能にさせた。遮断された走路がどれであるかおよびその配置は、試行毎に変えた。
ラットが記銘検査期の間に犯した誤りの数を集計した。ラットが、その試行の遅延時間前の構成部分において食物がすでに回収された走路に進入した場合、または遅延時間後のセッションにおいて、すでに訪れていた走路に再訪した場合、その試行において誤りが発生した。事前訓練試験の完了後、ラットは、情報試行とテスト試行との間の5時間の記憶保持遅延を使用して、異なる用量の化合物1を用いたタスクの試験を受けた。
化合物1の有効性は、強制経口投与(PO)を使用して試験し、この場合、薬物は、10ml/kgの体積で各情報試行の30~40分前に投与した。試験した用量は、昇順-降順用量シリーズを使用して、すなわち、一連の用量を最初に昇順で投与し、次に降順で繰り返す、0、3、10および30mg/kgとした。したがって、各用量を2回で決定した。各用量に関して2回の決定から犯した誤りの数平均を分析に使用した。各薬物試験は、1日おきにウォッシュアウト日を介在させて行い、薬物を送達するために使用したビヒクルは、20%Tween(登録商標)-80とした。
結果により、10mg/kgの用量の化合物1により処置した高齢障害ラットは、誤りが少なく、放射状迷路を済ませたことが実証される(図20)。これらの結果は、化合物1が高齢障害ラットの認知を改善することを示す。
2.水迷路に関する化合物1による急性および慢性処置
新しい水迷路環境でラットを訓練して試験し、この処置の効果を評価した。ここで使用した水迷路を異なる部屋に収容し、認知状態の最初の評価に使用した迷路に対して新しい一連のパターンを有するカーテンによって取り囲んだ。使用した訓練およびテストプロトコルは、Habermanら(2008, Proceedings of the National Academy of Sciences USA, 105, 10601-10606)に記載されている空間学習により活発化されたプロトコルと同じとした。このタスクは、8分間の試行間間隔を設けて、8回の訓練試行のため、空間手がかりの存在下で、固定位置にある目に見える逃避プラットフォームまでラットに泳がせることを必要とした。最後の訓練試行の1時間後に、ラットに、逃避プラットフォームの非存在下で(自由遊泳)、プローブテストを行わせ、標的位置の探索に費やした時間によって測定されるプラットフォームの位置の記憶を評価した。
化合物1による処置の急性および慢性効果を評価するため、ラットは、15~16日間の薬物注射を受け、処置の初日(急性効果)および最終日(慢性効果)に関して、水迷路で評価した。水迷路中の異なる周囲の空間手がかりおよび回避位置を、最初の評価および後の評価に使用した。10mg/kgの化合物1を、1ml/kgの体積で、腹腔内注射(IP)を使用して投与した。水迷路評価の当日に、薬物を第1の訓練試行の30~40分前に投与した。化合物1を送達するために使用したビヒクルは、10%N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、45%PEG-400、11.25%の2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPCD)(25%濃度)および33.75%の蒸留水からなった。
結果は、10mg/kgの用量の化合物1で処置されたラットが、モーリス水迷路の標的四分円においてより多くの時間を費やしたことを実証する(図21)。結果は、化合物1が、高齢の損なわれたラットの認知を改善することを示す。

Claims (86)

  1. 構造
    を有する化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が、形態Aである、結晶形態。
  2. 前記結晶形態が、3.0および21.0度2θ±0.2度2θから選択される少なくとも1つのピークを含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項1に記載の結晶形態。
  3. 前記結晶形態が、9.1、10.7、13.8、22.0、23.1、23.9、24.4および27.1度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項1に記載の結晶形態。
  4. 実質的に図5に示されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
  5. C2/cの単結晶のx線回折空間群によって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
  6. パラメータ:a=58.1415(14)Å、b=4.03974(8)Å、c=17.1204(3)Å、α=90°、β=90.261(2)°、γ=90°、V=4021.15(14)Åを有する単結晶のx線回折単位格子によって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
  7. 実質的に図3Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
  8. 約207℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
  9. a.実質的に図5に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
    b.C2/cの単結晶のx線回折空間群、
    c.パラメータ:a=58.1415(14)Å、b=4.03974(8)Å、c=17.1204(3)Å、α=90°、β=90.261(2)°、γ=90°、V=4021.15(14)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
    d.実質的に図3Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
    e.約207℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
    のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
  10. 構造
    を有する化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が、形態Bである、結晶形態。
  11. 前記結晶形態が、13.0および15.3度2θ±0.2度2θから選択される少なくとも1つのピークを含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項10に記載の結晶形態。
  12. 前記結晶形態が、7.0、9.3、10.2、10.4、12.5、13.6、14.0、22.0、23.0、23.6および27.3度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項10に記載の結晶形態。
  13. 実質的に図7に示されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項10に記載の結晶形態。
  14. 単斜晶系単結晶のx線回折単位格子によって特徴付けられる、請求項10に記載の結晶形態。
  15. 約497Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられる、請求項10に記載の結晶形態。
  16. 約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項10に記載の結晶形態。
  17. a.実質的に図7に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
    b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
    c.約497Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
    d.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
    のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる、請求項10に記載の結晶形態。
  18. 構造
    を有する化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が、形態Cである、結晶形態。
  19. 前記結晶形態が、8.5および18.9度2θ±0.2度2θから選択される少なくとも1つのピークを含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項18に記載の結晶形態。
  20. 前記結晶形態が、7.1、9.4、10.3、12.3、12.5、14.2、20.7、22.1、23.2、23.7、24.0および26.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項18に記載の結晶形態。
  21. 実質的に図17に示されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項18に記載の結晶形態。
  22. 単斜晶系単結晶のx線回折単位格子によって特徴付けられる、請求項18に記載の結晶形態。
  23. 約544Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられる、請求項18に記載の結晶形態。
  24. 実質的に図18Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項18に記載の結晶形態。
  25. 約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項18に記載の結晶形態。
  26. a.実質的に図17に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
    b.単斜晶系単結晶のx線回折単位格子、
    c.約544Åの単結晶のx線回折式単位体積、
    d.実質的に図18Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
    e.約190℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
    のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる、請求項18に記載の結晶形態。
  27. 構造
    を有する化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が、形態Eである、結晶形態。
  28. 前記結晶形態が、11.4、18.1および21.6度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのピークを含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項27に記載の結晶形態。
  29. 前記結晶形態が、7.2、22.0、23.0、24.2、25.0および26.6度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項27に記載の結晶形態。
  30. 実質的に図11に示されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項27に記載の結晶形態。
  31. P2/nの単結晶のx線回折空間群によって特徴付けられる、請求項27に記載の結晶形態。
  32. パラメータ:a=11.83974(13)Å、b=23.5195(2)Å、c=14.48807(17)Å、α=90°、β=101.5333(11)°、γ=90°、V=3952.96(7)Åを有する単結晶のx線回折単位格子によって特徴付けられる、請求項27に記載の結晶形態。
  33. 実質的に図12Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項27に記載の結晶形態。
  34. 約201℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項27に記載の結晶形態。
  35. a.実質的に図11に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
    b.P2/nの単結晶のx線回折空間群、
    c.パラメータ:a=11.83974(13)Å、b=23.5195(2)Å、c=14.48807(17)Å、α=90°、β=101.5333(11)°、γ=90°、V=3952.96(7)Åを有する単結晶のx線回折単位格子、
    d.実質的に図12Bに示される示差走査熱量測定(DSC)曲線、および
    e.約201℃で開始する発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
    のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる、請求項27に記載の結晶形態。
  36. 構造
    を有する化合物の結晶形態であって、前記結晶形態が、形態Fである、結晶形態。
  37. 前記結晶形態が、9.9、11.9、17.3、19.4および25.7度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのピークを含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項36に記載の結晶形態。
  38. 前記結晶形態が、9.7、12.1、20.8、23.2、23.7、24.2、25.0および26.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるピークをさらに含むX線回折パターン(XRPD)を示す、請求項36に記載の結晶形態。
  39. 実質的に図13に示されるx線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項36に記載の結晶形態。
  40. 三斜晶系単結晶のx線回折単位格子によって特徴付けられる、請求項36に記載の結晶形態。
  41. 約511Åの単結晶のx線回折式単位体積によって特徴付けられる、請求項36に記載の結晶形態。
  42. 約120℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項36に記載の結晶形態。
  43. a.実質的に図13に示されるx線粉末回折(XRPD)パターン、
    b.三斜晶系単結晶のx線回折単位格子、および
    c.約511Åの単結晶のx線回折式単位体積、および
    d.約120℃に発熱を有する示差走査熱量測定(DSC)曲線
    のうちの2つまたはそれよりも多くによって特徴付けられる、請求項36に記載の結晶形態。
  44. 請求項1~43のいずれか一項に記載の化合物の結晶形態、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  45. a.請求項44に記載の第1の医薬組成物、ならびに
    b.抗精神病薬、メマンチン、SV2A阻害剤およびAChEIからなる群から選択される1つもしくはそれよりも多くの治療剤、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグを含む1つまたはそれよりも多くのさらなる医薬組成物
    を含む、医薬組合せ物。
  46. 前記1つまたはそれよりも多くのさらなる医薬組成物が、
    a.レベチラセタム、セレトラセタム、およびブリバラセタムからなる群から選択されるSV2A阻害剤、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグ、
    b.アリピプラゾール、オランザピン、およびジプラシドンからなる群から選択される抗精神病薬、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグ、
    c.メマンチン、またはその薬学的に許容される塩、その水和物、その溶媒和物、その多形もしくはそのプロドラッグ、ならびに
    d.ドネペジル、ガランタミン、アンベノニウム、およびリバスチグミンからなる群から選択されるAChEI、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、多形もしくはプロドラッグ
    からなる群から選択される1つまたはそれよりも多くの治療剤を含む、請求項45に記載の医薬組合せ物。
  47. 前記第1の医薬組成物、および前記1つまたはそれよりも多くのさらなる医薬組成物の少なくとも1種が、同じ組成物または包装の一部である、請求項45または46のいずれか一項に記載の医薬組合せ物。
  48. CNS障害に関連する認知障害を処置する方法であって、請求項1~43のいずれか一項に記載の化合物の結晶形態、請求項44に記載の医薬組成物、または請求項45~47のいずれか一項に記載の医薬組合せ物を投与するステップを含む、方法。
  49. 前記CNS障害が加齢関連性認知障害である、請求項48に記載の方法。
  50. 前記CNS障害が軽度認知障害(MCI)である、請求項48に記載の方法。
  51. 前記CNS障害が、健忘性軽度認知障害(aMCI)である、請求項50に記載の方法。
  52. 前記CNS障害が認知症である、請求項48に記載の方法。
  53. 前記CNS障害がアルツハイマー病である、請求項48に記載の方法。
  54. 前記CNS障害が、統合失調症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、精神遅滞、パーキンソン病(PD)、自閉症、強迫行動、物質嗜癖、双極性障害、またはがん治療に関連する障害である、請求項48に記載の方法。
  55. 対象における脳がんを処置する方法であって、請求項1~43に記載の化合物の結晶形態、請求項44に記載の医薬組成物、または請求項45~47のいずれか一項に記載の医薬組合せ物を投与するステップを含む、方法。
  56. 対象における脳がんに関連する認知障害を処置する方法であって、請求項1~43のいずれか一項に記載の化合物の結晶形態、請求項44に記載の医薬組成物、または請求項45~47のいずれか一項に記載の医薬組合せ物を投与するステップを含む、方法。
  57. パーキンソン病精神疾患の処置を必要とする患者におけるパーキンソン病精神疾患を処置する方法であって、請求項1~43のいずれか一項に記載の化合物の結晶形態、請求項44に記載の医薬組成物、または請求項45~47のいずれか一項に記載の医薬組合せ物を投与するステップを含む、方法。
  58. 構造
    を有する化合物の無水結晶形態である形態Aを生成する方法であって、
    a.前記化合物をジクロロメタンに溶解して、溶液を形成するステップ、
    b.前記ジクロロメタンを蒸発させて沈殿物を生成するステップ、および
    c.前記沈殿物を回収して、前記化合物の無水結晶性の形態Aを得るステップ
    を含む、方法。
  59. 前記ジクロロメタンが減圧下で蒸発される、請求項58に記載の方法。
  60. 前記ジクロロメタンが蒸発中に少なくとも80℃に加熱される、請求項58または59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 構造
    を有する化合物の無水結晶形態である形態Aを生成する方法であって、
    a.前記化合物を第1の温度で第1の溶媒に溶解して、溶液を生成するステップ、
    b.前記溶液に第2の溶媒を添加して、混合物を形成するステップ、
    c.必要に応じて前記混合物を第2の温度に冷却するステップ、および
    d.得られた沈殿物を回収して、前記化合物の前記無水結晶形態である形態Aを得るステップ
    を含む、方法。
  62. 前記第1の溶媒がジメチルホルムアミドまたはジクロロメタンである、請求項61に記載の方法。
  63. 前記第1の温度が周囲温度である、請求項61または62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記第2の溶媒がエタノールまたは水である、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記混合物が少なくとも4℃に冷却される、請求項61~64のいずれか一項に記載の方法。
  66. 前記混合物が少なくとも1日間、4℃またはそれ未満で維持される、請求項65に記載の方法。
  67. 構造
    を有する化合物のメタノレート結晶形態である形態Cを生成する方法であって、前記方法が、
    a.前記化合物をメタノール中で合わせて、混合物を形成するステップ、
    b.前記混合物を所定時間混合するステップ、
    c.必要に応じて前記混合物から前記メタノールを蒸発させるステップ、および
    d.沈殿物を回収して、前記化合物の前記メタノレート結晶形態である形態Cを得るステップ
    を含む、方法。
  68. 前記混合物が少なくとも30分間混合される、請求項67に記載の方法。
  69. 前記混合物が少なくとも1日間混合される、請求項67または68のいずれか一項に記載の方法。
  70. 前記混合物が窒素ストリーム下で乾燥される、請求項67~69のいずれか一項に記載の方法。
  71. 前記スラリーが周囲温度または昇温で乾燥される、請求項70に記載の方法。
  72. 前記昇温が少なくとも60℃である、請求項71に記載の方法。
  73. 前記沈殿物が濾過によって回収される、請求項67~72のいずれか一項に記載の方法。
  74. 構造
    を有する化合物の脱溶媒和結晶形態である形態Bを生成する方法であって、前記方法が、
    a.前記化合物のメタノレート形態Cを得るステップ、
    b.前記化合物を所定時間加熱して、前記化合物の前記脱溶媒和結晶形態である形態Bを形成するステップ
    を含む、方法。
  75. 前記化合物の形態Cが少なくとも80℃に加熱される、請求項74に記載の方法。
  76. 前記化合物の形態Cが少なくとも6時間加熱される、請求項74または75のいずれか一項に記載の方法。
  77. 構造
    を有する化合物の一水和物結晶形態である形態Fを生成する方法であって、前記方法が、
    a.前記化合物の塩酸塩を得るステップ、
    b.前記化合物の前記塩酸塩を溶媒に添加して、混合物を形成するステップ、
    c.前記混合物を所定時間混合するステップ、
    d.沈殿物を回収して、前記化合物の前記一水和物結晶形態である形態Fを得るステップ
    を含む、方法。
  78. 前記塩酸塩が、前記化合物を塩酸と反応させることによって得られる、請求項77に記載の方法。
  79. 前記溶媒が水である、請求項77または78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記混合物が少なくとも6日間混合される、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
  81. 前記沈殿物が濾過によって回収される、請求項77~80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 構造
    を有する化合物の無水結晶形態である形態Eを生成する方法であって、前記方法が、
    a.前記化合物を第1の温度でテトラヒドロフランに溶解して、溶液を形成するステップ、
    b.前記第1の温度を第2の温度に調整して、沈殿を誘導するステップ、
    c.沈殿物を回収して、前記化合物の前記無水結晶形態である形態Eを得るステップ
    を含む、方法。
  83. 前記第1の溶液が飽和している、請求項82に記載の方法。
  84. 前記第1の温度が周囲温度である、請求項82または83のいずれか一項に記載の方法。
  85. 前記第2の温度が前記第1の温度よりも低い、請求項82~84のいずれか一項に記載の方法。
  86. 前記沈殿物が、濾過によって、または母液をデカンテーションすることによって回収される、請求項82~85のいずれか一項に記載の方法。
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