JP2023533801A - 病原性抑制のためのホスホネート含有ポリマー - Google Patents

病原性抑制のためのホスホネート含有ポリマー Download PDF

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Abstract

微生物の病原性を抑制する医療用組成物及び方法が提供される。病原性を抑制することによって、医療用組成物の投与及び/又は適用は、微生物感染を予防、緩和又は治療することに使用できる。より具体的には、医療用組成物は、ホスホネート含有ポリマーを含む。ホスホネート含有ポリマーは、存在し得る全ての微生物を破壊することなく、様々な病原性因子の発現を抑制することができる。

Description

病原体の多くの既知の処置は、存在し得る全ての微生物、更には有益な微生物の破壊をもたらす。更に、これらの治療方法のために、患者、特に外科的処置を受ける患者に対するリスクを増加させる抗生物質耐性についての関心が高まっている。より新しいアプローチは、全ての微生物を破壊するのではなく、感染を引き起こす病原体の病原性を抑制することに向けられている。
有益な細菌のコロニー形成を維持しながら、1つ以上の病原性因子の発現を防止するための新しい方法が必要とされている。すなわち、病原体によってなされる害を防止するプロセスにおいて全ての有益な細菌を破壊しない新しい方法が必要とされる。病原性抑制のためのホスフェート含有組成物の重要性は、米国特許公開第2019/0247423号(Alverdyら)などの最近の参考文献において実証されている。
微生物の病原性を抑制する医療用組成物及び方法が提供される。病原性を抑制することによって、医療用組成物の投与及び/又は適用は、微生物感染を予防、緩和又は治療することに使用できる。より具体的には、医療用組成物は、ホスホネート含有ポリマーを含む。ホスホネート含有ポリマーは、存在し得る全ての微生物を破壊することなく、様々な病原性因子の発現を抑制することができる。
第1の態様では、微生物感染を予防、緩和、又は治療するのに好適である医療用組成物が提供される。医療用組成物は、ホスホネート含有ポリマーであって、ホスホネート含有ポリマー1グラム当たり少なくとも0.8ミリモルのホスホネートを有する、ホスホネート含有ポリマーを含む。ホスホネート含有ポリマーは、モノマー組成物の重合反応生成物であり、このモノマー組成物は、(a)エチレン性不飽和基及び(b)式-P(=O)(OR[式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである]のホスホネート基又はその塩を有する第1のモノマーを含む。
第2の態様では、微生物の病原性を抑制する方法が提供される。この方法は、ホスホネート含有ポリマーであって、ホスホネート含有ポリマー1グラム当たり少なくとも0.8ミリモルのホスホネートを有する、ホスホネート含有ポリマーを含む医療用組成物を投与すること及び/又は適用することを含む。ホスホネート含有ポリマーは、モノマー組成物の重合反応生成物であり、このモノマー組成物は、(a)エチレン性不飽和基、及び(b)式-P(=O)(OR[式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである]のホスホネート基又はその塩を有する第1のモノマーを含む。
本明細書で使用する場合、「アルキル」は、アルカンの基である一価の基を指し、直鎖、分岐鎖、環式、二環式又はこれらの組み合わせである基を含む。別段の指示がない限り、アルキル基は、典型的には、1~20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個~10個の炭素原子、2~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、2~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は2~4個の炭素原子を含有する。環状アルキル基及び分岐鎖アルキル基は、少なくとも3個の炭素原子を有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルキレン」は、アルカンの基である二価の基を指し、直鎖、分岐鎖、環式、二環式、又はこれらの組み合わせである基を含む。別段の指示がない限り、アルキレン基は、典型的には、1個~20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、1~10個の炭素原子、2~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、2~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は2~4個の炭素原子を有する。環状及び分岐鎖アルキレン基は、少なくとも3個の炭素原子を有する。好適なアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、1,4-ブチレン、1,4-シクロヘキシレン、及び1,4-シクロヘキシルジメチレンが挙げられる。
用語「ヘテロアルキレン」は、少なくとも1つの-CH-基が硫黄、酸素又は窒素などのヘテロ原子で置換されたアルキレン基を指す。へテロ原子は、典型的には、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、又は-NH-基の形態である。ヘテロアルキレンは、典型的には、各ヘテロ原子のいずれかの側に少なくとも1つの炭素原子(-CH-基)を有する。
用語「アリール」は、芳香族であり、及び任意に、しかし通常は炭素環である、一価の基を指す。アリールは、少なくとも1つの芳香環を有する。任意の更なる環は、不飽和、部分飽和、飽和、又は芳香族であってもよい。任意に、芳香環は、芳香環に縮合された、又は芳香族管に連結された1つ以上の更なる炭素環を有し得る。別段の指示がない限り、アリール基は、典型的には、6個~20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は6個~18個、6個~16個、6個~12個、又は6個~10個の炭素原子を有する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、及びアントラシルが挙げられる。
用語「アラルキル」は、アリール基で置換されたアルキル基である一価の基(例えば、ベンジル基など)を指す。用語「アルカリール」は、アルキル基で置換されたアリール基である一価の基(例えば、トリル基など)を指す。別段の指示がない限り、どちらの基においても、アルキル部分は多くの場合1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有し、アリール部分は多くの場合6~20個の炭素原子、6~18個の炭素原子、6~16個の炭素原子、6~12個の炭素原子、又は6~10個の炭素原子を有する。
「エチレン性不飽和」という用語は、化学構造の末端の2つの炭素原子間に二重結合を有する基を指す。エチレン性不飽和基は、典型的には、ビニル基又は(メタ)アクリロイル基のいずれかである。
用語「(メタ)アクリロイル」は、式CH=CR-(CO)-[式中、Rは、アクリロイル基については水素であり、メタクリロイル基についてはメチルであり、-(CO)-はカルボニル基を指す]の一価の基を指す。
本明細書で使用する場合、「ホスホネート基」という用語は、炭素原子に結合している式-P(=O)(OR[式中、Rは、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである]の基を指す。この用語は、ホスホン酸基(少なくとも1つのR基が水素である)、ホスホン酸基の塩、及びホスホン酸エステル基(ホスホネートエステル基としても知られ、両方のR基がアルキル、アリール、アラルキル、及びアラルキルから選択される)を含む。ホスホネート基は、-P(=O)(OR又は-PO(ORと互換的に書くことができる。
「モノマー単位」という用語は、モノマーの重合生成物を指す。例えば、モノマーメチルアクリレート(CH=CH-(CO)-O-CH)に関連するモノマー単位は、下記であり、
Figure 2023533801000001
式中、各アスタリスク(*)は、モノマー単位が別のモノマー単位又はポリマーの末端基に結合している位置を示す。
「病原性」という用語は、哺乳動物などの宿主に感染するか又は損傷を与える病原体の能力を指す。
用語「病原性抑制」及び「微生物の病原性の抑制」又は類似の表現は、1つ以上の病原性因子の合成及び/又は発現を抑制若しくは阻害することを指す。
「病原性因子」という用語は、微生物が哺乳動物などの宿主に感染することを可能にする、微生物によって産生される分子を指す。細菌の病原性因子は、小分子、タンパク質、又はバイオフィルム(例えば、表面上の細菌の粘液性の蓄積)であり得る。病原性因子は、典型的には、微生物によって分泌されて、宿主へのコロニー形成及び/又は接着を促進し(例えば、バイオフィルム形成をもたらす)、宿主の免疫応答を回避し、又は宿主から栄養素を得る。
用語「含む(comprise)」、「含む(contain)」、及び「含む(include)」及びその変化形は、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲において現れるところでは、限定的な意味を有するものではない。このような用語は、記述される1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群が含まれることを示唆するが、いかなる他の1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群も除外されないことを示唆すると理解される。「からなる」により、この語句「からなる」の前のあらゆるものを含み、これらに限定することを意味する。したがって、語句「からなる」は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる」は、この語句の前に列挙されるあらゆる要素を含み、これらの列挙された要素に関して本開示で特定した作用若しくは機能に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、語句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は任意に含まれ、列挙された要素の作用若しくは機能に実質的に影響を及ぼすかどうかに応じて存在してもよい又は存在しなくてもよいことを示す。オープンエンド言語(例えば、含む(comprise)、含む(include)、含む(contain)、及びそれらの派生語)で本明細書に記載される、要素のいずれか又は要素の組み合わせは、クローズドエンド言語(例えば、「からなる」とその派生語)及び部分的クローズドエンド言語(例えば、「から本質的になる」とその派生語)で更に記載されると考えられる。
本出願では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、全般分類を含み、その具体例を、例示のために使用し得る。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と互換的に用いられる。列挙に後続する「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び、列挙内の2つ以上の項目のいずれかの組み合わせを指す。
本明細書で使用される場合、用語「又は」は、内容がそうでない旨を特に明示しない限り、概して「及び/又は」を含む通常の意味で使用される。用語「及び/又は(and/or)」は、一方又は両方を意味する。例えば、表現A及び/又はBは、A単独、B単独、又はAとBの両方を意味する。
また、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数並びにその端点(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)及び任意の部分範囲む(例えば、1~5は、1~4、1~3、2~4などを含む)を含む。
細菌の近傍における利用可能なホスフェートの量の重要性は、最近、様々な研究者によって実証されている。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)などの特定の細菌の病原性活性は、それらの環境中のホスフェートが乏しい場合に増加し得るが、ホスフェートが豊富である場合に減少し得る。例えば、哺乳動物の腸が手術などの生理学的ストレスを経験する場合、ホスフェートが枯渇し得る。この枯渇は、コロニー形成された細菌が特定の病原性因子を発現するきっかけとなる。したがって、腸にホスフェート供給を提供することができる医療用組成物が非常に必要とされている。ホスフェート供給を提供するための1つのアプローチは、腸を被覆し、細菌が病原性になるのを防ぐことができる医療用組成物を投与することである。同様に、創傷環境又は手術部位においてホスフェートを補充することができる医療用組成物もまた、緑膿菌などの細菌が病原性になるのを防ぐのに有用である。
微生物の病原性を抑制する医療用組成物及び方法が提供される。微生物の病原性は、微生物感染をもたらし得る有害な産物である1つ以上の病原性因子の形成及び/又は発現を低減若しくは阻害することによって抑制される。すなわち、医療用組成物は、微生物感染を予防、緩和、若しくは治療することができる。より具体的には、医療用組成物は、ホスホネート含有ポリマーを含む。医療用組成物は、典型的には、哺乳動物にとって有用な微生物などの微生物の継続的なコロニー形成を防止しない。
医療用組成物
医療用組成物は、ホスホネート含有ポリマーであって、ホスホネート含有ポリマー1グラム当たり少なくとも0.8ミリモルのホスホネートを有する、ホスホネート含有ポリマーを含む。ホスフェート基と比較してホスホネート基の増加した加水分解安定性のために、ホスホネート含有基は、所望の生物学的環境に留まり、より長い期間にわたって有効性を保持する可能性が高い。これらのホスホネート含有ポリマーはまた、ホスフェート含有ポリマーよりも酵素分解に対してより耐性であり得る。他の好適な任意選択の成分をホスホネート含有ポリマーと組み合わせて、微生物感染を予防、緩和、又は治療するために投与及び/若しくは適用することができる医療用組成物を提供することができる。
ホスホネート含有ポリマー
ホスホネート含有ポリマーは、モノマー組成物の重合反応生成物であり、このモノマー組成物は、(a)エチレン性不飽和基及び(b)式-P(=O)(OR[式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである]のホスホネート基又はその塩を有する第1のモノマーを含む。ホスホネート含有ポリマーは、第1のモノマー単位のみを含有するホモポリマーであり得、又は第1のモノマー単位及び他の任意選択の追加のモノマー単位を含有するコポリマーであり得る。
(a)エチレン性不飽和基及び(b)式-P(=O)(ORのホスホネート基又はその塩の両方を有する任意のモノマーが、ホスホネート含有ポリマーを調製するための第1のモノマーとして使用され得る。エチレン性不飽和基は、典型的には、ビニル基又は(メタ)アクリロイル基のいずれかである。エチレン性不飽和基の選択及びR基の選択の両方が、ホスホネート含有ポリマーの水との混和性に影響を及ぼし得る。
多くの実施形態では、エチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基であり、第1のモノマーは、式(I)のもの又はその塩である。
Figure 2023533801000002
式(I)中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アラルキル、又はアルカリールである。基Rは水素又はメチルであり、基Xはオキシ(-O-)又は-NH-である。基Rは、アルキレン又は1つ以上の酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンのいずれかである。基Rは、アルキレンである。基Qは、-(CO)-O-、-(CO)-NR-、-NR-(CO)-NR-、又は-O-(CO)-NR-[式中、各Rは独立して、水素又はアルキルである]である。変数mは、0又は1である。基-(CO)-X-R-[-Q-R-]-P(=O)(ORは、第1のモノマーのペンダント基であると考えることができる。
式(I)中の基-P(=O)(ORは、ホスホン酸基(式中、少なくとも1つのRは水素である)、ホスホン酸基の塩、又はホスホン酸エステル(式中、各Rは、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである)であり得る。ホスホン酸基の塩中の任意のアニオン基は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の陽イオン又は第四級アンモニウムイオンなどの陽イオン基と電荷平衡状態にある。塩は、ホスホン酸基を塩基で処理することによって形成することができる。多くの実施形態では、各Rは、独立して、水素、又は1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、若しくは1~3個の炭素原子を有するアルキルなどのアルキルである。Rに好適なアリール基は、多くの場合、6~12個の炭素原子、6~10個の炭素原子、又は6~8個の炭素原子を有する。好適なアルカリール基及びアラルキルR基は、多くの場合、7~12個、7~10個、又は7~8個の炭素原子を有する。アラルキル及びアルカリールの例は、それぞれベンジル及びトリルである。
式(I)のいくつかの実施形態では、末端CH=CHR-基とホスホネート基(-P(=O)(OR)との間のモノマー骨格中に、少なくとも6個、少なくとも8個、又は少なくとも10個の炭素原子が存在する。この距離は、ホスホネート含有ポリマーの所望の適用及び/又は結合部位へのより良好な結合を可能にし得る。
が水素であり、Xがオキシである場合、式(I)のものである第1のモノマーはアクリレートである。Rがメチルであり、Xがオキシである場合、モノマーはメタクリレートである。Rが水素であり、Xが-NH-である場合、第1のモノマーはアクリルアミドであり、Rがメチルであり、Xが-NH-である場合、第1のモノマーはメタクリルアミドである。
基Rは、アルキレン又は少なくとも1つの酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンのいずれかである。好適なアルキレン基は、多くの場合、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有する。好適なヘテロアルキレン基は、多くの場合、2~20個の炭素原子、2~10個の炭素原子、2~6個の炭素原子、又は2~4個の炭素原子と、1~5個のヘテロ原子、1~4個のヘテロ原子、又は1~3個のヘテロ原子と、を含有する。
基Qは、-(CO)-O-、-(CO)-NR-、-NR-(CO)-NR-、又は-NR-(CO)-O-[式中、Rは、水素又はアルキルである]である。Rに好適なアルキル基は、多くの場合、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有する。多くの実施形態では、Rは水素又はメチルである。基Rは、多くの場合水素である。
基Rは、アルキレンである。好適なアルキレン基は、典型的には、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を有する。
mが0に等しい場合、式(I)のものである第1のモノマーは、式(I-A)のものである。
CH=CR-(CO)-X-R-P(=O)(OR
(I-A)
mが1に等しい場合、式(I)のものである第1のモノマーは、式(I-B)のものである。
CH=CR-(CO)-X-R3-Q-R-P(=O)(OR
(I-B)
基R、R、X、R、Q及びRは、式(I)についてと同一である。
式(I-A)のものである第1のモノマーは、式(I-A1)の(メタ)アクリレート又は式(I-A2)の(メタ)アクリルアミドであり得る。
CH=CR-(CO)-O-R-P(=O)(OR
(I-A1)
CH=CR-(CO)-NH-R-P(=O)(OR
(I-A2)
基R、R、及びRは、式(I)のモノマーについて上記のものと同一である。
式(I-A)のものである第1のモノマーは、例えば、(メタ)アクリロイルクロリドを等モル量のHX-R-PO(ORと反応させ、式CH=CR-(CO)-X-R-PO(ORの第1のモノマーを形成することによって調製することができる。基X、R、R、及びRは、上記のものと同じである。式HX-R-PO(ORの化合物の好適な例としては、ヒドロキシエチルホスホネートジメチルエステル、アミノメチルホスホン酸、アミノエチルホスホン酸、及びアミノプロピルホスホン酸が挙げられる。
ホスホン酸基を有する式(I-A)のものである第1のモノマーは、ホスホン酸エステル基を有する式CH=CR-(CO)-X-R-PO(OR1aの第1のモノマーから形成することもできる。R1aは、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであることができるが、R1aは多くの場合、アルキルである。ホスホン酸エステル含有モノマーをブロモトリメチルシランで処理して、式CH=CR-(CO)-X-R-PO(OSi(CHの中間体を形成することができ、これを続いてメタノールなどのアルコールで処理して、式CH=CR-(CO)-X-R-PO(OH)の第1のモノマーを形成する。pHに応じて、ホスホン酸基はホスホネート塩になることができる。例えば、ホスホン酸基を塩基で処理して、ホスホネート塩に変換することができる。
式(I-B)のものである第1のモノマーは、式(I-B1)の(メタ)アクリレート又は式(I-B2)の(メタ)アクリルアミドであり得る。
CH=CR-(CO)-O-R-Q-R-P(=O)(OR
(I-B1)
CH=CR-(CO)-NH-R-Q-R-P(=O)(OR
(I-B2)
基R、R、Q、R、及びRは、式(I)についてのものと同一である。
式(I-B)の第1のモノマー中のQ基は、式-(CO)-O-、-(CO)-NR-、-NR-(CO)-NR-、又は-NR-(CO)-O-[式中、Rは水素又はアルキルである]であってよい。したがって、式(I-B1)の(メタ)アクリレートは、式(I-B1-1)、(I-B1-2)、(I-B1-3)、又は(I-B1-4)のものであり得る。
Figure 2023533801000003
同様に、式(I-B2)の(メタ)アクリレートは、式(I-B2-1)、(I-B2-2)、(I-B2-3)、又は(I-B2-4)のものであり得る。
Figure 2023533801000004
いくつかの実施形態では、第1のモノマーは、式(I-B1-3)又は式(I-B1-4)のものである。そのようなモノマーは、例えば、式CCH=CR-(CO)-O-R-NCOのイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートと式HX-R-PO(ORの化合物との反応によって調製することができる。基Xは、オキシ又は-NR-[式中、Rは、水素又はアルキルであり、基Rは多くの場合、水素である]である。すなわち、式(I-B1-3)及び(I-B1-4)のモノマーは、式(I-C)によって記述することができる。
Figure 2023533801000005
基R、R、及びR、Rは、式(I)について定義されたものと同一である。イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートは、多くの場合、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート又は3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートである。式HX-R-PO(ORの化合物の好適な例としては、ヒドロキシエチルホスホネートジメチルエステル、ヒドロキシエチルホスホネートジエチルエステル、アミノメチルホスホン酸、アミノエチルホスホン酸、アミノプロピルホスホン酸が挙げられる。ホスホン酸エステル含有モノマーをブロモトリメチルシランと反応させ、次いでメタノールなどのアルコールで処理して、対応するホスホン酸含有モノマーを形成することができる。
式(I-C)の多くの実施形態では、基Rはエチレンであり、式(I-C)のものであるモノマーは、式(I-C-1)又は(I-C-2)のものである。
Figure 2023533801000006
基は、通常、オキシ又は-NH-である。
他の実施形態では、第1のモノマーは、式(I-B2-1)又は式(I-B2-2)のものである。そのようなモノマーは、ビニルジメチルアズラクトン(VDM)と式HX-R-PO(ORの化合物との反応によって調製することができる。基X、R、及びRは、上記と同じである。式HX-R-PO(ORの好適な化合物の例は、上記のものと同じである。得られた式(I-D)のモノマー。
Figure 2023533801000007
基R、R、及びRは、式(I)について定義されたものと同一である。基Xは、オキシ又は-NR-[式中、Rは、水素又はアルキルであり、基Rは通常、水素である]である。ホスホン酸エステル含有モノマーをブロモトリメチルシランと反応させ、次いでメタノールなどのアルコールで処理して、ホスホン酸含有モノマーを形成することができる。
ホスホネート含有モノマーは、(メタ)アクリロイル基ではなくビニル基を有することができる。このようなホスホネート含有化合物は、式(II):
Figure 2023533801000008
[式中、R基は、式(I)のモノマーについて上で記載したものと同じである]のビニルホスホネートである。式(II)の多くの実施形態において、各Rは、独立して、水素又はメチル若しくはエチルなどのアルキルである。
ホスホネート含有ポリマーは、モノマー単位が全て式(I)又は(II)のものであるホモポリマーであり得る。あるいは、ホスホネート含有ポリマーは、式(I)又は(II)のものである第1のモノマーに加えて、第1のモノマーとは異なる1つ以上の追加のモノマーを含むモノマー組成物から形成され得る。すなわち、ホスホネート含有ポリマーを形成するために使用されるモノマー組成物は、モノマー組成物中のモノマーの総モルに基づいて、最大100モルパーセントの式(I)又は(II)のモノマーを含むことができる。第1のモノマーの量は、最大99モルパーセント、最大98モルパーセント、最大97モルパーセント、最大95モルパーセント、最大90モルパーセント、最大85モルパーセント、最大80モルパーセント、最大75モルパーセント、最大70モルパーセント、最大65モルパーセント、最大60モルパーセント、最大55モルパーセント、又は最大50モルパーセントであり得る。この量は、典型的には、25モルパーセント超、少なくとも30モルパーセント、少なくとも35モルパーセント、少なくとも40モルパーセント、少なくとも45モルパーセント、少なくとも50モルパーセント、又は50モルパーセント超、少なくとも55モルパーセント、少なくとも60モルパーセント、少なくとも65モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、少なくとも75モルパーセント、少なくとも80モルパーセント、少なくとも85モルパーセント、少なくとも90モルパーセント、又は少なくとも95モルパーセントである。モノマー組成物中の第1のモノマーの量は、多くの場合、モノマーの総モルに基づいて、50~100モルパーセント、50モルパーセント超~100モルパーセント、55~100モルパーセント、60~100モルパーセント、70~100モルパーセント、75~100モルパーセント、80~100モルパーセント、又は90~100モルパーセントの範囲である。
ホスホネート基を含まない追加のモノマーを、モノマー組成物中に含めることができる。追加のモノマーは、水又は他の溶媒系(種々の有機溶媒を含み得る)中でのホスホネート含有ポリマーの混和性を調節するために使用され得る。追加のモノマーが(メタ)アクリレート系モノマー又は(メタ)アクリルアミド系モノマーである場合、得られるホスホネート含有ポリマーは、第1のモノマーが式(I)のものである場合にはランダムコポリマーであるが、第1のモノマーが式(II)のものである場合には勾配又はブロック様コポリマーである傾向がある。すなわち、式(II)のものである第1のモノマーの重合速度は、追加のモノマーの重合速度より遅いことがある。
いくつかの実施形態ではホスホネート含有ポリマーを形成するために使用されるモノマー組成物は、親水性の第2のモノマーを含む。そのようなホスホネート含有ポリマーは、水、極性有機溶媒、又はそれらの混合物に混和性である傾向がある。多くの実施形態では、第2のモノマーに関する「親水性」という用語は、親水性の第2のモノマーが、溶液の総重量に基づいて少なくとも10重量パーセント、少なくとも15重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセントの量で蒸留水に可溶性であることを意味する。本明細書で使用される場合、モノマーの溶解度は、所与の量のモノマーを水に添加することによって決定することができる。モノマーが水に完全に溶解する場合(すなわち、モノマーが水に完全に可溶性である場合)、得られる溶液は、通常、1センチメートル(cm)の経路長を通して550ナノメートル(nm)で少なくとも90パーセントの透過率を有する。
いくつかの親水性の第2のモノマーは、エチレン性不飽和基に加えて、酸性基若しくはその塩、ヒドロキシル基、エーテル(若しくはポリエーテル)基、又は窒素含有基などの極性基を含有する。他の親水性の第2のモノマーは、エチレン性不飽和基に加えて双性イオン性基を含有する。親水性の第2のモノマー中のエチレン性不飽和基は、第1のモノマーが式(I)のものである場合、典型的には(メタ)アクリロイル基である。
酸性基を有する好適な親水性の第2のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの酸性基の種々の塩は、pHに応じて存在し得る。
ヒドロキシル基を有する例示的な親水性の第2のモノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、及び3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド)、エトキシル化ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、商品名CD570、CD571、及びCD572でSartomer(Exton、PA、USA)から市販されているモノマー)、アリールオキシ置換ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシ-2-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート)、4-ビニルフェノール、及びヒドロキシ-プロピル-カルバメートアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
第2の親水性の第2のモノマーとして使用することができる例示的なエーテル含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、2-エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)-2-エチルヘキシル-エーテルアクリレート、エチレングリコール-メチルエーテルアクリレート、及びこれらの組み合わせから選択されるものが挙げられる。
第一級アミド基を有する例示的な親水性の第2のモノマーとしては、(メタ)アクリルアミドが挙げられる。第二級アミド基を有する例示的な極性モノマーとしては、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、N-(3-メトキシプロピル)アクリルアミド、及びN-(イソブトキシメチル)アクリルアミドなどのN-アルキル(メタ)アクリルアミド又はN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。第三級アミド基を有する例示的な極性モノマーとしては、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルアズラクトン、4-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルイミダゾール、ウレイド(メタ)アクリレート、並びにN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、及びN,N-ジブチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
アミノ基を有する親水性の第2のモノマーとしては、様々なN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。例としては、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、及びN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施形態では、第2のモノマーは、双性イオン性モノマーである。双性イオン性の第2のモノマーは、多くの場合、式(III)のものである。
Figure 2023533801000009
式(III)において、Rは水素又はメチルであり、Xはオキシ又は-NH-である。基Rは、アルキレン又は1つ以上の酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンである。基R及びRは、各々独立して、アルキル、アリール、アルカリール又はアラルキルであるか、あるいはR及びRの両方が、それらの両方が結合している窒素と一緒になって、3~7環員を有するヘテロ環式環を形成する。基R10はアルキレンであり、Zはカルボキシレート又はスルホネートである。
が水素であり、Xがオキシである場合、式(III)のものである双性イオン性の第2のモノマーは、アクリレートである。Rがメチルであり、Xがオキシである場合、モノマーはメタクリレートである。Rが水素であり、Xが-NH-である場合、双性イオン性の第2のモノマーはアクリルアミドであり、Rがメチルであり、Xが-NH-である場合、モノマーはメタクリルアミドである。
基Rは、アルキレン又は少なくとも1つの酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンのいずれかである。好適なアルキレン基は、多くの場合、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有する。好適なヘテロアルキレン基は、多くの場合、2~20個の炭素原子、2~10個の炭素原子、2~6個の炭素原子、又は2~4個の炭素原子と、1~5個のヘテロ原子、1~4個のヘテロ原子、又は1~3個のヘテロ原子と、を含有する。
いくつかの実施形態では、R及びRは、各々独立して、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである。好適なアルキル基は、多くの場合、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を有する。好適なアリール基は、多くの場合、6~12個の炭素原子、6~10個の炭素原子、又は6~8個の炭素原子を有する。好適なアルカリール基及びアラルキル基は、多くの場合、7~12個、7~10個、又は7~8個の炭素原子を有する。例示的なアラルキルは、ベンジルである。他の実施形態では、R及びRの両方が、それらが両方とも結合している窒素と一緒になって、3~7環員を有するヘテロ環式環を形成する。窒素ヘテロ原子に加えて、ヘテロ環式環は、窒素、硫黄、又は酸素から選択される別のヘテロ原子を含むことができる。多くの実施形態では、R及びRは各々、1~4個又は1~3個の炭素原子を有するアルキル基などのアルキル基である。アルキル基は、多くの場合、メチルである。
基R10は、アルキレンである。好適なアルキレン基は、多くの場合、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を有する。
基Zは、典型的にはカルボキシレート又はスルホネートのいずれかである。
式(III)のものである双性イオン性の第2のモノマーは、式(III-A)の(メタ)アクリレート又は式(III-B)の(メタ)アクリルアミドであり得る。
CH=CR-(CO)-O-R-[NR-R10-Z
(III-A)
CH=CR-(CO)-NH-R-[NR-R10-Z
(III-B)
基R、R、R、R、R10、及びZは、式(III)のモノマーについて上で記載したものと同じである。
特定の実施形態では、式(II-A)のモノマーは、式(III-A1)又は(III-A2)から選択される。
CH=CR-(CO)-O-R-[N(CH-R10-SO
(III-A1)
CH=CR-(CO)-O-R-[N(CH-R10-CO
(III-A2)
及び式(III-B)のモノマーは、式(III-B1)又は(III-B2)から選択される。
CH=CR-(CO)-NH-R-[N(CH-R10-SO
(III-B1)
CH=CR-(CO)-NH-R-[N(CH-R10-CO
(III-B2)
がスルホネートである式(III-A1)及び(III-B1)の双性イオン性の第2のモノマーは、市販されている。これらとしては、例えば、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]-ジメチル-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド及び[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシドが挙げられる。Zがカルボキシレートである式(III-A2)及び(III-B2)の双性イオン性の第2のモノマーは、例えば、式CH=CR-(CO)-X-R-NRの化合物を、式Br-R10-(CO)-O-R11[式中、R11はアルキル(例えば、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を有するアルキル)である]の化合物と反応させることによって調製することができる。次いで、中間体モノマーを水酸化ナトリウムで処理して、カルボキシレートZ基を形成することができる。式(III-B2)のものである例示的な双性イオン性モノマーは、2-[ジメチル-[3-(プロパ-2-エノイルアミノ)プロピル]アンモニオ]アセテートである。
ホスホネート含有ポリマーを形成するために使用されるモノマー組成物は、通常、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、75モルパーセント未満の任意選択の第2のモノマーを含む。この量は、存在する場合、最大70モルパーセント、最大65モルパーセント、最大60モルパーセント、最大55モルパーセント、最大50モルパーセント、50モルパーセント未満、最大45モルパーセント、最大40モルパーセント、最大35モルパーセント、最大30モルパーセント、最大25モルパーセント、最大20モルパーセント、最大15モルパーセント、又は最大10モルパーセントであり得る。
いくつかの実施形態では、モノマー組成物は、100モルパーセントの第1のモノマーを含む。他の実施形態では、モノマー組成物は、25モルパーセント超の第1のモノマー及び75モルパーセント未満の第2のモノマー、少なくとも30モルパーセントの第1のモノマー及び最大70モルパーセントの第2のモノマー、少なくとも40モルパーセントの第1のモノマー及び最大60モルパーセントの第2のモノマー、少なくとも50モルパーセントの第1のモノマー及び最大50モルパーセントの第2のモノマー、50モルパーセント超の第1のモノマー及び50モルパーセント未満の第2のモノマー、少なくとも55モルパーセントの第1のモノマー及び最大45モルパーセントの第2のモノマー、少なくとも60モルパーセントの第1のモノマー及び最大40モルパーセントの第2のモノマー、少なくとも70モルパーセントの第1のモノマー及び最大30モルパーセントの第2のモノマー、少なくとも75モルパーセントの第1のモノマー及び最大25モルパーセントの第2のモノマー、少なくとも80モルパーセントの第1のモノマー及び最大20モルパーセントの第2のモノマー、又は少なくとも90モルパーセントの第1のモノマー及び最大10モルパーセントの第2のモノマーを含む。
モノマー組成物は、任意選択で、2つのラジカル重合性基を有する架橋性モノマーを更に含んでもよい。架橋は、医療用組成物の投与及び/又は適用後にポリマー材料の溶解度を低下させるのに有用であり得る。したがって、適用及び/又は投与部位での医療用組成物の保持は、ポリマーを架橋することによって増強され得る。架橋モノマーは、典型的には、水又は極性有機溶媒に可溶性及び/又は混和性であるように選択される。
(メタ)アクリロイル含有モノマー(例えば、式(I)のホスホネート含有モノマーを使用して調製されるもの)を使用して調製されるポリマーの架橋のために、架橋モノマーは、典型的には、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含有し、多官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物であり得る。例示的な(メタ)アクリロイル含有架橋モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化グリセリントリ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジアクリロイルピペラジンなど、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
ビニル含有モノマー(例えば、式(II)のホスホネート含有モノマーを使用して調製されるもの)を使用して調製されるポリマーの架橋のために、架橋モノマーは、典型的には、少なくとも2つのアリル基を含有する。アリル含有架橋モノマーの例としては、式C(CHOCHCH=CH(CHOH)[式中、m+nは4に等しく、nは少なくとも2である]のペンタエリスリトールアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリオキサールビス(ジアリルアセタール)、アリルエーテル、及びアリルスクロースが挙げられるが、これらに限定されない。
任意選択の架橋モノマーは、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、0~10重量パーセントの範囲の量で使用され得る。使用される場合、この量は、少なくとも0.01重量パーセント、少なくとも0.05重量パーセント、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.2重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも3重量パーセント、少なくとも5重量パーセントであり得、かつ最大10重量パーセント、最大8重量パーセント、最大6重量パーセント、最大5重量パーセント、最大4重量パーセント、最大3重量パーセント、最大2重量パーセント、又は最大1重量パーセントであり得る。
多くの実施形態では、ホスホネート含有ポリマーを形成するために使用されるモノマー組成物は、25重量パーセント超~100重量パーセントの第1のモノマー、0~75重量パーセント未満の第2のモノマー、及び0~10重量パーセントの架橋モノマーを含有する。いくつかの実施形態では、モノマー組成物は、50重量パーセント超~100重量パーセントの第1のモノマーと、0~50重量パーセント未満の第2のモノマーと、0~10重量パーセントの架橋モノマーと、を含有する。別の例では、モノマー組成物は、60~100重量パーセントの第1のモノマーと、0~40重量パーセントの第2のモノマーと、0~10重量パーセント(又は0~5重量パーセント)の架橋モノマーと、を含有する。
ホスホネート含有ポリマーは、典型的には、モノマー組成物に加えて、光開始剤又は熱開始剤であり得る開始剤を含む重合性組成物から調製される。光開始剤を有する重合性組成物は、多くの場合、重合のために電磁スペクトルの紫外及び/又は可視領域の放射線に曝露される。熱開始剤を有する重合性組成物は、重合のために十分に高い温度で重合のために加熱される。
モノマー組成物の重合のための熱開始剤は、使用される重合方法に応じて、水溶性又は水不溶性(すなわち、油溶性)とすることができる。好適な水溶性開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物などの過硫酸塩、過硫酸塩と、メタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)又は重硫酸塩(例えば、重硫酸ナトリウム)などの還元剤との反応生成物などの酸化還元開始剤、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)及びその可溶性塩(例えば、ナトリウム若しくはカリウム)、又は4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)及びその可溶性塩(例えば、ナトリウム若しくはカリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な油溶性開始剤としては、VAZO67(2,2’-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)である)、VAZO64(2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)である)、及びVAZO52(2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)である)を含む、E.I.DuPont de Nemours Co.,(Wilmington,DE)から商品名VAZOで市販されているものなどの様々なアゾ化合物、並びに過酸化ベンゾイル、過酸化シクロヘキサン、及び過酸化ラウロイルなどの様々な過酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。所望であれば、様々な熱開始剤の混合物を使用してもよい。
多くの実施形態では、光開始剤が使用される。いくつかの例示的な光開始剤は、ベンゾインエーテル(例えばベンゾインメチルエーテル若しくはベンゾインイソプロピルエーテル)、又は置換ベンゾインエーテル(例えばアニソインメチルエーテル)である。他の例示的な光開始剤は、2,2-ジエトキシアセトフェノン、又は2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(商標名IRGACURE 651でBASF Corp.(Florham Park,NJ)から、又は商標名ESACURE KB-1でSartomer(Exton,PA)から市販されている)などの置換アセトフェノンである。更に他の例示的な光開始剤は、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換アルファ-ケトール、2-ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド、及び1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシムである。他の好適な光開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(IRGACURE 2959)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン(IRGACURE 369)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(IRGACURE 907)、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(DAROCUR 1173)が挙げられる。追加の光開始剤としては、メチル2,2-ビス(イソプロポキシカルボチオイルスルファニル)アセテート、ポリエチレングリコール2,2-ビス(イソプロポキシカルボチオイルスルファニル)アセテート、及び国際公開第2018/013330号(Griesgraberら)に開示されている他のものが挙げられる。所望であれば、光開始剤の混合物を使用してもよい。
特定の実施形態では、重合性組成物は、モノマー組成物中のモノマーの総モルに基づいて0.01~10モルパーセントの開始剤を含有する。この量は、例えば、少なくとも0.01モルパーセント、少なくとも0.05モルパーセント、少なくとも0.1モルパーセント、少なくとも0.5モルパーセント、又は少なくとも1モルパーセントであり得、かつ最大10モルパーセント、最大8モルパーセント、最大6モルパーセント、最大5モルパーセント、最大3モルパーセント、又は最大1モルパーセントであり得る。
重合性組成物は、任意選択で、得られるポリマーの分子量を制御するために、連鎖移動剤を更に含有してもよい。有用な連鎖移動剤の例としては、四臭化炭素、アルコール、イソオクチルチオグリコレートなどのメルカプタン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されない。使用される場合、重合性組成物は、モノマー組成物中のモノマーの総重量に基づいて、最大0.5重量の連鎖移動剤を含んでもよい。例えば、重合性組成物は、0.01~0.5重量%、0.05~0.5重量%、又は0.05~0.2重量%の連鎖移動剤を含有し得る。
ホスホネート含有ポリマーは、多くの場合、少なくとも2,000ダルトン、少なくとも5,000ダルトン、少なくとも8,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、又は少なくとも15,000ダルトンの理論(すなわち、推定)重量平均分子量(Mw)を有する。特定の実施形態では、コポリマーは、最大20,000ダルトン、最大50,000ダルトン、最大100,000ダルトン、最大150,000ダルトン、最大200,000ダルトン、最大500,000ダルトン、又はそれ以上の理論重量平均分子量(Mw)を有する。理論重量平均分子量は、理論的手法を含む標準的な手法によって(例えば、NMR分析において出発モノマーに対応するアクリレートピークの減少積分値を評価することによって)決定することができる。あるいは、重量平均分子量は、多角度散乱光(MALS)検出器を備えた水系サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、酸塩基滴定を使用して、又は水系ゲル浸透クロマトグラフを使用して、末端基又は骨格水素分析のH-NMR特定を含む当業者に既知の方法を使用して、最終ホスフェート含有ポリマーについて決定することができる。
ホスホネート含有ポリマーは、ホスホネート含有ポリマー1グラム当たり少なくとも0.8ミリモルのホスホネートを含有する。この量は、モノマー組成物中に含まれるホスホネート含有モノマーの理論含有量に基づいて決定することができる。あるいは、この量は、当業者に既知の分析方法、例えば、P31-NMR又はリン元素分析(例えば、誘導結合プラズマスペクトル法又はイオンクロマトグラフィーを使用する分析)を使用して決定され得る。ホスホネート含有ポリマーは、多くの場合、ホスホネート含有ポリマー1グラム当たり、少なくとも0.8、少なくとも0.9、少なくとも1.0、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.8、又は少なくとも2.0ミリモルのホスホネートを含有する。上限量は、ホスホネート含有ポリマーを調製する際に使用するために選択される第1のモノマーに依存し得る。第1のモノマーが式(II)のものである場合、ホスホネート含有ポリマーは、ホスホネート含有ポリマー1グラム当たり最大9.3ミリモルのホスホネートを含むことができる。あるいは、第1のモノマーが式(I)のものである場合、ホスホネート含有ポリマーは、ホスホネート含有ポリマー1グラム当たり最大4.0ミリモルのホスホネートを含むことができる。この量は、ホスホネート含有ポリマー1グラム当たり、最大9.3、最大9.0、最大8.5、最大8.0、最大7.5、最大7.0、最大6.5、最大6.0、最大5.5、最大5.0、最大4.5、最大4.0、最大3.8、最大3.5、最大3.4、最大3.2、最大3.0、最大2.8、最大2.6、最大2.4、最大2.2、又は最大2.0ミリモルのホスホネートであり得る。
1つ又は複数の異なるホスホネート含有ポリマーを、医療用組成物において使用することができる。異なるタイプの病原体の病原性を抑制するために、及び/又は単一タイプの病原体によって発現される異なる病原性因子を抑制するために、2つ以上の異なるホスホネート含有ポリマーを医療用組成物内で一緒にブレンドすることができる。例えば、第1の病原体の病原性を抑制するのに特に有効である第1のホスホネート含有ポリマーを、第2の病原体の病原性を抑制するのに特に有効である第2のホスホネート含有ポリマーと組み合わせることができる。複数の異なるホスホネート含有ポリマーは、任意の所望の比で一緒にブレンドされ得る。
ホスホネート含有ポリマー、特に式(I)のものであるホスホネート含有モノマーから形成されるものは、通常、水溶性である。室温(例えば、20~25℃)での溶解度は、典型的には、1mL当たり少なくとも0.001グラムであり、かつ1mL当たり最大2グラム又は更にそれ以上であり得る。ホスホネート含有ポリマーは、典型的には、水、極性有機溶媒、又はそれらの混合物と混和性である。
ホスホネート含有ポリマーは、ホスフェート含有ポリマーよりも加水分解的に安定である。ホスホネート含有ポリマーは、室温(例えば、20~25℃)で貯蔵される場合、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、又は少なくとも24ヶ月間、水溶液中で安定である。
医療用組成物は、多くの場合、医療用組成物の総重量に基づいて、0.1~100重量パーセントのホスホネート含有ポリマーを含有する。この量は、少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.5重量パーセント、少なくとも1重量パーセント、少なくとも2重量パーセント、少なくとも5重量パーセント、少なくとも10重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、少なくとも30重量パーセント、少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセントであり得、かつ最大100重量パーセント、最大90重量パーセント、最大80重量パーセント、最大70重量パーセント、最大60重量パーセント、又は最大50重量パーセントであり得る。
ホスホネート含有コポリマーは、所望に応じて、医療用組成物に含まれるポリマー材料の精製に好適な任意の方法を使用して精製することができる。例えば、ホスフェート含有コポリマーは濾過によって精製することができる。
任意選択の成分
医療用組成物は、ホスホネート含有ポリマーを含み、任意選択で、微生物感染を予防、緩和又は治療するための医療用組成物の送達を容易にする他の成分を含み得る。任意選択の成分は、治療的に許容されるように選択され、これは、任意選択の成分がホスホネート含有ポリマーの有効性を妨害せず、治療される哺乳動物に対して毒性でないことを意味する。追加の成分は、典型的には、医療用組成物が、存在し得る非病原性及び/又は正常に有用な微生物を実質的に減少させないように選択される。微生物の対数減少は、多くの場合、1未満である。
医療用組成物は、スプレー、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、分散液、フォーム、コーティング、ペースト、粉末、錠剤、カプセル、接着剤(例えば、シーラント)などの任意の所望の製剤で送達することができる。使用される製剤は、感染又は潜在的な感染の位置及び所望の送達方法に依存する。
いくつかの用途では、医療用組成物は、それが投与及び/又は適用される位置に留まることが望ましい。そのような医療用組成物は、通常、好適に高い粘度を有するように、また適用位置での医療用組成物の保持を増強する疎水性成分を含むように製剤化される。これらの製剤は、例えば、エマルジョン、軟膏、ゲル、又はローションであり得る。エマルジョンは、水中油型又は油中水型のいずれかであり得る。
医療用組成物は、例えば、水、有機溶媒、疎水性成分(例えば、ワセリン及び油)、親水性成分(グリセリン並びに様々なエーテル及び/又はポリエーテル化合物)、シリコーン、界面活性剤(すなわち、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、及び両性電解質界面活性剤)、炭水化物、乳化剤、水、有機溶媒(例えば、アルコール及びポリオール)、安定剤(例えば、ポリマー)、充填剤(例えば、ポリマー粒子などの有機材料、並びにセラミック粒子、シリカ粒子、粘土粒子、及びガラス粒子を含む無機材料)、皮膚軟化剤/保湿剤、湿潤剤、等張化剤、キレート剤、抗炎症剤、ゲル化剤、保存剤、pH調整剤、粘度上昇剤、徐放剤、染料、香料又は油などの成分を含む。
医療用組成物は、任意選択で、その有効性に悪影響を与えない任意の好適な方法によって滅菌することができる。例えば、所望であれば、医療用組成物をエチレンオキシドで処理することができる。
医療用組成物を投与する及び/又は適用する方法
別の態様では、微生物の病原性を抑制する方法が提供される。微生物の病原性は、典型的には、微生物による1つ以上の病原性因子の合成及び/又は発現を低減若しくは阻害することによって抑制される。1つ以上の病原性因子を合成及び/又は発現を抑制することによって、微生物感染を予防、緩和、又は治療することができる。
方法は、ホスホネート含有ポリマーであって、ホスホネート含有コポリマー1グラム当たり少なくとも0.8ミリモルのホスホネートを有する、ホスホネート含有ポリマーを含む医療用組成物を投与すること及び又は適用することを含み、ホスホネート含有コポリマーは、(a)エチレン性不飽和基、及び(b)式-P(=O)(OR[式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである]のホスホネート基又はその塩を有する第1のモノマーを含むモノマー組成物の重合反応生成物である。上記の医療用組成物のいずれも使用することができる。
医療用組成物を投与する及び/又は適用する任意の好適な方法を使用することができる。例えば、医療用組成物は、皮膚、粘膜、組織(組織の外面及び内面の両方)、創傷部位、手術部位、移植片(例えば、膝及び股関節置換、ペースメーカー、心臓弁、又はステント)、カテーテル、縫合糸、又は骨に適用することができる。
医療用組成物は、局所的又は全身的に投与及び/若しくは適用することができる。例えば、医療用組成物は、スワブ、布、スポンジ、不織材ワイプ、ティッシュ又はペーパータオルなどの紙製品などを使用して適用することができる。あるいは、医療用組成物は、チューブ、カニューレ、又は医療用具を使用して所望の位置に送達され得る。局所的に適用される場合、医療用組成物は、それが適用された位置に留まることが望ましい。すなわち、医療用組成物は、病原体の病原性を抑制するのに十分な時間、その位置に存続する。他の例では、医療用組成物は、経口投与又は静脈内投与することができる。腸で開始される感染症などのいくつかの感染症については、溶液を飲むことによって、又は錠剤若しくはカプセルを飲み込むことによって、医療用組成物を投与することができる。
創傷及び手術部位の治療のために、コーティングとしての医療用組成物の適用が望ましいことがある。あるいは、医療用組成物は、中実又は多孔性支持体に適用され、次いで、創傷に適用され得る。好適な支持体としては、例えば、ポリマーフォーム、ポリマーフィルム、及び編まれた又は不織材料が挙げられる。医療用組成物は、急性及び慢性の両方の創傷感染を予防及び治療するために使用することができ、任意の創傷表面に適用することができる。
医療用組成物は、様々な表面上でのバイオフィルム付着を低減するために投与及び/又は適用することができる。例えば、医療用組成物は、哺乳動物の体内に挿入する前に、永久移植片若しくは分解性移植片又は医療用具(例えば、内視鏡、カテーテルなど)に適用することができる。他の例では、医療用組成物は、寝具、手術台、医療処置で使用されるチューブ、及び哺乳動物に接触する他の再使用可能な医療機器に適用することができる。更に他の例では、医療用組成物は、歯肉炎を治療するためなど、口腔適用においてバイオフィルム集団を制御又は予防するために使用される液体組成物であり得る。更に他の例では、医療用組成物は、慢性中耳炎において見出された中耳内のバイオフィルム集団を制御又は予防するために使用することができる。更に他の例では、医療用組成物は、鼻におけるバイオフィルム集団を制御又は予防するために使用することができ、これは、肺及び血液における感染症などの様々な感染症の予防又は治療をもたらすことができる。医療用組成物は、多くの場合、バイオフィルム形成の前又は後のいずれかで病原性因子に影響を与えることができる。
医療用組成物は、尿路感染症(例えば、飲料の形態で投与される)、人工呼吸器関連肺炎(例えば、飲料、錠剤、又はカプセルの形態で投与される)、移植片感染(例えば、移植片上にコーティングとして適用することによって投与される)、創傷(例えば、慢性又は急性を問わず、創傷上にコーティングを適用することによって投与される)、血流感染症(例えば、血液接触組織に投与及び/又は適用される)、粘膜組織感染症(例えば、鼻に投与される)、胃腸管(コーティング、飲料、錠剤、又はカプセルの形態で投与される)、吻合組織(例えば、吻合部漏出を防止するために手術部位上にコーティングとして投与される)、腹膜(例えば、手術部位に投与される)、敗血症などを予防及び治療するために好適である。いくつかの実施形態では、これが既存の微生物感染である場合、医療用組成物は、微生物が位置する領域にわたって適用される。
医療用組成物は、通常、治療有効量で投与される。これは、微生物による1つ以上の病原性因子の合成及び/若しくは発現を阻害するために必要とされるか、又は微生物感染を低減、緩和、若しくは予防するために十分である、医療用組成物の量(又はホスホネート含有ポリマーの量)を指す。
医療用組成物の投与は、少なくとも一種類の病原性因子を抑制する。すなわち、医療用組成物は、哺乳動物に有害であり得る様々な分子の形成及び/若しくは発現を抑制し、並びに/又は哺乳動物における移植片縫合糸などの異物上でのバイオフィルムの形成を抑制する。例えば、医療用組成物は、ピオシアニン、ピオベルジン、コラゲナーゼ(多くの場合、コラゲナーゼ活性の代用としてゼラチンの分解によって測定される)、並びに細菌によるバイオフィルムの形成及び/又は発現を抑制することができる。
医療用組成物を投与する多くの実施形態では、病原性因子は、ビヒクルのみの対照と比較して、少なくとも50パーセント、少なくとも60パーセント、少なくとも70パーセント、少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセント、少なくとも99パーセント、少なくとも99.5パーセント、又は少なくとも99.9パーセント低減される。百分率は、重量、面積、体積、又は病原性活性を示す蛍光若しくは吸収シグナルの強度などの任意の他の好適な測定可能な量に基づくことができる。
医療用組成物は、例えば、細菌、ウイルス、真菌、例えばカンジダ、及びマイコバクテリアを含む任意の既知の微生物を処置するのに好適であり得る。特に、医療用組成物を投与することは、グラム陰性緑膿菌(Pseudomonas aeruginos)、グラム陽性腸球菌(Enterococcus faecalis)、及びグラム陽性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のうちの少なくとも1つの病原性を抑制することができる。
微生物感染を治療するいくつかの既知の方法とは異なり、医療用組成物は、治療領域内の全ての微生物を実質的に死滅させない。病原体の一部は、バイオフィルムに関連する部位など、治療部位で破壊され得るが、防御微生物のコロニー形成は実質的に低減されない。別の言い方をすれば、病原体を封じ込め、制御することができる一方で、非病原性微生物及び/又は正常防御性微生物のコロニー形成耐性を保存することができる。存在する微生物の数の減少に関して使用される場合、用語「実質的に」は、微生物の1対数未満の減少があることを意味する。いくつかの実施形態では、防御性微生物の増殖が増加し得る。
材料
Figure 2023533801000010
特に明記しない限り、他の全ての試薬は、Sigma-Aldrich Corporation(St.Louis,MO)から入手した。
別途注記のない限り、全ての水性組成物は、浄水システム(EMD Millipore(Billerica,MA)から商品名「Milli-Q」で入手可能)からの18MΩの水を用いて調製した。
培地の調製
リン酸欠乏培地(PDM)を、水中に溶解した0.5mMのMgSO、0.1mMの4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-エタンスルホン酸(HEPES)pH7.0、7mMの(NHSO、20mMのコハク酸二ナトリウム、0.1mMのKHPO、並びに0.1%の2.45mMのCaCl、13.91mMのZnCl、4.69mMのHBO、0.67mMのCoCl、及び1.78mMのFeSOを含有する微量イオン混合物を含有する溶液として調製した。
規定クエン酸塩培地(DCM)を、0.1mMのリン酸カリウム緩衝液中に4.0g/Lのクエン酸ナトリウム、1g/Lの(NHSO、及び0.2g/LのMgSO×7HOを含有する溶液として調製した。
調製例:
モノマーA
[[2-メチル-2-(プロパ-2-エノイルアミノ)プロパノイル]アミノ]メチルホスホン酸(VDM-NC-PA)
Figure 2023533801000011
アミノメチルホスホン酸(2.22g、0.2mol)を、500mLの丸底フラスコに添加した。水酸化ナトリウム水溶液(1.0N、400mL)をこのフラスコに添加し、固体が溶解するまで、得られた混合物を撹拌した。次いでこのフラスコを氷水浴中に置き、30分間撹拌した。VDM(27.8g、0.2mol)をシリンジによって滴下し、フラスコを引き続き氷水浴中に維持し、反応物を30分間撹拌した。次いでこの冷却浴を取り除き、1時間の時間にわたり、反応物を室温まで温めた。少量の沈殿物を濾過により除去した。濃塩酸溶液を数滴添加することにより、濾液のpHを約7に調整した。濾液のアリコートのH-NMRにより、[[2-メチル-2-(プロパ-2-エノイルアミノ)プロパノイル]アミノ]メチルホスホン酸の形成を確認した。H-NMR(DO,500MHz)δ1.38(s,6H),3.07(d,2H),5.62(d,1H),6.02-6.20(m,2H)。
モノマーB
3-[[2-メチル-2-(プロパ-2-エノイルアミノ)プロパノイル]アミノ]プロピルホスホン酸(VDM-NC-PA)
Figure 2023533801000012
3-アミノプロピルホスホン酸(20.9g、0.15mol)を、500mLの丸底フラスコに添加した。水酸化ナトリウム水溶液(1.0N、300.0mL)をこのフラスコに添加し、固体が溶解するまで、得られた混合物を撹拌した。次いでこのフラスコを氷水浴中に置き、30分間撹拌した。VDM(20.9g、0.15mol)をシリンジによって滴下し、フラスコを引き続き氷水浴中に維持し、反応物を30分間撹拌した。次いでこの冷却浴を取り除き、1時間の時間にわたり、反応物を室温まで温めた。少量の沈殿物を濾過により除去した。濃塩酸溶液を数滴添加することにより、濾液のpHを約7に調整した。濾液のアリコートのH-NMRにより、3-[[2-メチル-2-(プロパ-2-エノイルアミノ)プロパノイル]アミノ]プロピルホスホン酸の形成を確認した。H-NMR(DO,500MHz)δ1.19-1.26(m,2H),1.34(s,6H),1.48-1.57(m,2H),3.06(t,2H),5.62(d,1H),6.0-6.2(m,2H)。
モノマーC
[2-(2-メチルプロパ-2-エノイルオキシ)エチルカルバモイルアミノ]メチルホスホン酸(IEM-NC-PA)
Figure 2023533801000013
アミノメチルホスホン酸(2.22g、0.2mol)を、500mLの丸底フラスコに添加した。水酸化ナトリウム水溶液(1.0N、400.0mL)をこのフラスコに添加し、固体が溶解するまで、得られた混合物を撹拌した。次いでこのフラスコを氷水浴中に置き、30分間撹拌した。IEM(31.0g、0.2mol)をシリンジによって滴下し、フラスコを引き続き氷水浴中に維持し、反応物を30分間撹拌した。次いでこの冷却浴を取り除き、1時間の時間にわたり、反応物を室温まで温めた。少量の沈殿物を濾過により除去した。濃塩酸溶液を数滴添加することにより、濾液のpHを約7に調整した。濾液のアリコートのH-NMRにより、3-[2-(2-メチルプロパ-2-エノイルオキシ)エチルカルバモイルアミノ]プロピルホスホン酸の形成を確認した。H-NMR(DO,500MHz)δ1.78(s,3H),3.01-3.07(m,2H),3.29-3.36(m,2H),4.09(t,2H),5.58(s,1H),6.01(s,1H)。
モノマーD
3-[2-(2-メチルプロパ-2-エノイルオキシ)エチルカルバモイルアミノ]プロピルホスホン酸(IEM-NC-PA)
Figure 2023533801000014
3-アミノプロピルホスホン酸(20.9g、0.15mol)を、500mLの丸底フラスコに添加した。水酸化ナトリウム水溶液(1.0N、300.0mL)をこのフラスコに添加し、固体が溶解するまで、得られた混合物を撹拌した。次いでこのフラスコを氷水浴中に置き、30分間撹拌した。IEM(23.3g、0.15mol)をシリンジによって滴下し、フラスコを引き続き氷水浴中に維持し、反応物30分間撹拌した。次いでこの冷却浴を取り除き、1時間の時間にわたり、反応物を室温まで温めた。少量の沈殿物を濾過により除去した。濃塩酸溶液を数滴添加することにより、濾液のpHを約7に調整した。濾液のアリコートのH-NMRにより、3-[2-(2-メチルプロパ-2-エノイルオキシ)エチルカルバモイルアミノ]プロピルホスホン酸の形成を確認した。H-NMR(DO,500MHz)δ1.20-1.27(m,2H),1-47-1.55(m,2H),1.79(s,3H),2.97(t,2H),3.31(t,2H),4.09(t,2H),5.58(s 1H),5.99(s,1H)。
モノマーE
3-[2-(2-メチルプロパ-2-エノイルオキシ)エチルカルバモイルアミノ]プロパン-1-スルホン酸(IEM-NC-S)。
Figure 2023533801000015
3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3.5g、0.025mol)を、100mLの丸底フラスコに添加した。水酸化ナトリウム水溶液(1.0N、25.0mL)をこのフラスコに添加し、固体が溶解するまで、得られた混合物を撹拌した。次いでこのフラスコを氷水浴中に置き、30分間撹拌した。IEM(3.9g、0.025mol)をシリンジによって滴下し、フラスコを引き続き氷水浴中に維持し、反応物を30分間撹拌した。次いでこの冷却浴を取り除き、1時間の時間にわたり、反応物を室温まで温めた。少量の沈殿物を濾過により除去した。濃塩酸溶液を数滴添加することにより、濾液のpHを約7に調整した。濾液のアリコートのH-NMRにより、3-[2-(2-メチルプロパ-2-エノイルオキシ)エチルカルバモイルアミノ]プロパン-1-スルホン酸の形成を確認した。H-NMR(DO,500MHz)δ1.74-1.81(m,5H)2.77-2.81(m,2H)3.07-3.13(m,2H)3.31-3.35(m,2H)4.11(t,2H)5.59-5.62(m,1H)6.02(s,1H)。
モノマーF
3-[2-(2-メチルプロパ-2-エノイルオキシ)エチルカルバモイルアミノ]プロパン酸(IEM-NC-C)
Figure 2023533801000016
3-アミノプロパン酸(18.8g、0.2mol)を、500mLの丸底フラスコに添加した。水酸化ナトリウム水溶液(1.0N、200.0mL)をこのフラスコに添加し、固体が溶解するまで、得られた混合物を撹拌した。次いでこのフラスコを氷水浴中に置き、30分間撹拌した。IEM(31.0g、0.2mol)をシリンジによって滴下し、フラスコを引き続き氷水浴中に維持し、反応物を30分間撹拌した。次いでこの冷却浴を取り除き、1時間の時間にわたり、反応物を室温まで温めた。少量の沈殿物を濾過により除去した。濃塩酸溶液を数滴添加することにより、濾液のpHを約7に調整した。濾液のアリコートのH-NMRにより、3-[2-(2-メチルプロパ-2-エノイルオキシ)エチルカルバモイルアミノ]プロパン酸の形成を確認した。H-NMR(DO,500MHz)δ1.78(s,3H) 2.22(t,2H) 3.17(t,2H) 3.31(t,2H) 4.08(t,2H) 5.57-5.61(m,1H) 6.00(s,1H)。
ポリマーの調製
重合の程度は、H-NMR分析により決定した。実施例の全てのポリマーは、90~99%の(メタ)アクリレート/(メタ)アクリルアミドモノマーの消費を示した。全てのポリマーを、Biotech Cellulose Ester(CE)Dialysis Membrane(Spectrum Laboratories,Rancho Dominguez,CAから入手)を使用して、高分子量試料(>10kD)については分子量カットオフ(MWCO):3.5~5kD(0.05%のアジ化ナトリウム中、湿式)、低分子量試料(<6,000D)についてはMWCO:500~1,000Dで透析した。Milli-Qグレードの水を用いて、試料を48時間透析した。
ホスホネート濃度の計算(ポリマー1グラム当たりのmmol)
ポリマー1グラム当たりのホスホネートの濃度(mmol)を、ポリマーの理論分子量及びホスホネート繰り返し単位の数に基づいて、以下の式に従って計算した。
Figure 2023533801000017
式中、繰り返し単位の数は、以下の式に従って決定した。
Figure 2023533801000018
また、ポリマーの理論分子量は、以下の式に従って計算した。
Figure 2023533801000019
式中、上付き文字iは、ポリマー中の異なるモノマーの数に等しい。
実施例1:5Kポリ(VDM-NC-PA)
モノマーBの溶液(9.68gの14.7%固形分の溶液、4.42mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。反応混合物を窒素流で15分間パージした。次いでねじキャップでバイアル瓶を閉じて、85℃のホットプレート上に置いた。この設定温度で12時間重合を行った。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は、約5,475Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.1mmol/gポリマーであると計算された。
実施例2:5Kポリ(VDM-NC-PA)
モノマーAの溶液(9.35gの13.9%固形分の溶液、4.42mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は、約4,998Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.4mmol/gポリマーであると計算された。
実施例3:5Kポリ(IEM-NC-PA)
モノマーCの溶液(9.29gの14.8%固形分の溶液、4.42mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は、約5,270Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.2mmol/gポリマーであると計算された。
実施例4:5Kポリ(IEM-NC-PA)
モノマーDの溶液(10.13gの14.8%固形分の溶液、4.42mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は、約5,746Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.0mmol/gポリマーであると計算された。
実施例5:10Kポリ(VDM-NC-PA)
モノマーBの溶液(19.37gの14.7%固形分の溶液、8.84mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約10,950Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.1mmol/gポリマーであると計算された。
実施例6:10Kポリ(VDM-NC-PA)
モノマーAの溶液(18.7gの13.9%固形分の溶液、8.84mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約9,996Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.4mmol/gポリマーであると計算された。
実施例7:10Kポリ(IEM-NC-PA)
モノマーCの溶液(18.58gの14.8%固形分の溶液、8.84mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約10,540Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.2mmol/gポリマーであると計算された。
実施例8:10Kポリ(IEM-NC-PA)
モノマーDの溶液(20.26gの14.8%固形分の溶液、8.84mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約11,492Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.0mmol/gポリマーであると計算された。
実施例9:15Kポリ(VDM-NC-PA)
モノマーBの溶液(28.49gの14.7%固形分の溶液、13.0mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約16,103Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.1mmol/gポリマーであると計算された。
実施例10:15Kポリ(VDM-NC-PA)
モノマーAの溶液(27.50gの13.9%固形分の溶液、13.0mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約14,700Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.4mmol/gポリマーであると計算された。
実施例11:15Kポリ(IEM-NC-PA)
モノマーCの溶液(27.32gの14.8%固形分の溶液、13.0mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約15,500Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.2mmol/gポリマーであると計算された。
実施例12:15Kポリ(IEM-NC-PA)
モノマーDの溶液(29.8gの14.8%固形分の溶液、13.0mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約16,900Daであった。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、3.0mmol/gポリマーであると計算された。
実施例13:15Kポリ(IEM-NC-PA-コ-SBMA)(50:50)
モノマーDの溶液(14.1gの15.6%固形分の溶液、6.5mmol)、SBMA(1.82g、6.5mmol)、及び開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)を30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。溶液を更に13mLの0.5MのNaCl溶液で希釈した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。コポリマーの推定分子量は約15,000Daであった。コポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、1.6mmol/gポリマーであると計算された。
実施例14:15Kポリ(IEM-NC-PA-コ-SBMA)(75:25)
モノマーDの溶液(10.6gの15.6%固形分の溶液、4.9mmol)、SBMA(0.45g、1.6mmol)、及び開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.018g、0.07mmol)を30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。溶液を更に15mLの0.5MのNaCl溶液で希釈した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。コポリマーの推定分子量は約16,200Daであった。コポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、2.3mmol/gポリマーであると計算された。
実施例15:ポリ(ビニル)ホスホン酸
ポリ(ビニルホスホン酸)は、Sigma-Aldrich Corporationから購入した。ポリマー1g当たりのホスホネート濃度(mmol)は、9.3mmol/gポリマーであると計算された。GPCで測定したところ、数平均分子量は3370ダルトンであり、重量平均分子量は10,300ダルトンであった。
比較例A:15Kポリ(IEM-NC-C)
モノマーFの溶液(20.9gの21.1%固形分の溶液、13.0mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約16,900Daであった。
比較例B:15Kポリ(IEM-NC-S)
モノマーEの溶液(15.6gの24.5%固形分の溶液、13.0mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約14,700Daであった。
比較例C:15Kポリ(SBMA)
SBMAの溶液(3.63g、13.0mmol)を開始剤4,4-アゾビス-4-シアノ吉草酸(0.036g、0.13mmol)と30mLの透明ガラスバイアル中で混合することによって、重合溶液を調製した。溶液を更に25mLの0.5MのNaCl溶液で希釈した。実施例1に記載の手順に従い、最終ポリマーを得た。アリコートのH-NMRは、≧95%のモノマー変換率を示した。ポリマーの推定分子量は約14,000Daであった。
実施例16:ピオシアニンアッセイ
アッセイ用の個々の増殖培地溶液は、実施例1~2、5~9、12~14及び比較例A~Cから選択された0.5重量%(wt.%)の単一のポリマーをPDMに添加し、次いで各溶液のpHを約pH6.0に調整する(1MのNaOH又は1MのHClを使用する)ことによって調製した。可能であれば、0.2マイクロメートルのフィルターを用いて、溶液を滅菌濾過した。
TSAプレートからのMPAO1-P2の緑膿菌コロニーを、TSB培地中で、37℃で振盪しながら一晩増殖させた。一晩培養物を新鮮なTSBで1:50に希釈し、OD600(600nmでの吸光度)が0.5に達するまで37℃で振盪しながら増殖させた。培養物を複数のチューブに等容量に分割し、10,000×gで5分間遠心分離し、上清を除去した。各チューブ中の得られた細菌ペレットを、増殖培地溶液(約2mL)の1つをチューブに添加することによって再懸濁した。添加されたホスホネート含有ポリマーを含まないPDM(2mL)を含むチューブ中で、細菌ペレットを再懸濁することによって、対照試料も調製した。試料チューブを37℃で振盪しながら一晩培養した。培養ステップの後、チューブを目視検査によって観察して、チューブ内の溶液が青色を有しているかどうかを判定した。アッセイ完了時の青色着色溶液の存在は、試験試料中の緑膿菌によるピオシアニンの分泌を示した。結果を表2に報告する。
Figure 2023533801000020
実施例17:ピオベルジンアッセイ
TSAプレートからのMPAO1-P1緑膿菌コロニーを、37℃で振盪しながら1×TY培地(5mL)中で一晩増殖させた。
アッセイ用の個々の増殖培地溶液は、実施例1~4から選択された0.5重量%の単一のポリマーを10%のTY培地に添加し、次いで各溶液のpHを約pH6.0に調整する(1MのNaOH又は1MのHClを使用する)ことによって新たに調製した。可能であれば、0.2マイクロメートルのフィルターを用いて、溶液を滅菌濾過した。
各増殖培地溶液(200マイクロリットル)を、96ウェル黒色透明底プレートの別々のウェルに添加した。試料を三通りに調製した(n=3)。MPAO1-P1細菌を遠心分離し、5mLの10%TY培地中に再懸濁し、3マイクロリットルの再懸濁細菌を各ウェルに添加した。ウェルに細菌を添加しなかったバックグラウンド対照ウェルも調製した。ピオベルジン産生(360nm励起/460nm発光での蛍光強度)及び細菌増殖(D600:すなわち、600nmでの吸光度)を、37℃で振盪しながらプレートリーダー(Synergy HTX Plate Reader,Biotek Instruments,Winooski,VT)を使用して動力学的に測定した。バックグラウンド値を、それぞれの蛍光及び吸光度測定値から差し引いた。次に、ピオベルジン蛍光値(RFU、相対蛍光単位)を、RFU値をOD600測定値で割ることによって細菌増殖について正規化した。表3~表4において、データは24時間の時点で示されている。ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、ポリマーを添加しなかった対照試料よりも、ピオベルジン産生が有意に少なかった(表3)。対照試料と比較して、ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、細菌増殖を実質的に減少させなかった(表4)。
Figure 2023533801000021
Figure 2023533801000022
実施例18:ピオベルジンアッセイ
10%TY増殖培地の代わりに、規定クエン酸塩培地(DCM)中に、実施例1~12から選択される単一のホスホネート含有ポリマーを低濃度(0.1重量%)で含有する試験試料を調製したことを除いて、実施例17に記載されたものと同じ手順に従った。ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、ポリマーを添加しなかった対照試料よりも、ピオベルジン産生が有意に少なかった(表5)。対照試料と比較して、ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、細菌増殖を実質的に減少させなかった(表6)。
Figure 2023533801000023
Figure 2023533801000024
実施例19:ピオベルジンアッセイ
実施例1~4から選択された単一のポリマーを使用して調製された試験試料が、MPAO1-P1細菌の代わりにMPAO1-P2細菌を用いて評価されたことを除いて、実施例17に記載されたものと同じ手順に従った。ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、ポリマーを添加しなかった対照試料よりも、ピオベルジン産生が有意に少なかった(表7)。対照試料と比較して、ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、細菌増殖を実質的に減少させなかった(表8)。
Figure 2023533801000025
Figure 2023533801000026
実施例20:ピオベルジンアッセイ
実施例12~14又は比較例A~Cから選択された単一のポリマーを使用して調製された試験試料が、24時間の時点の代わりに15時間の時点で評価されたことを除いて、実施例19に記載されたものと同じ手順に従った(n=5)。ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、ポリマーを添加しなかった対照試料よりも、ピオベルジン産生が有意に少なかった(表9)。対照試料と比較して、ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、細菌増殖を減少させなかった(表10)。
Figure 2023533801000027
Figure 2023533801000028
実施例21:代用としてゼラチン分解を用いたコラゲナーゼアッセイ
組織タンパク質の分解は、多くの細菌感染において観察されており、細菌コラゲナーゼ活性に起因する。ゼラチン分解を、アッセイにおけるコラーゲン分解の代用として使用した。蛍光標識されたゼラチン(DQゼラチン-フルオレセインコンジュゲート)を用いてゼラチン分解をモニターし、蛍光シグナルはゼラチン分解の増加とともに増加した。
MPAO1-P2緑膿菌コロニー及び腸球菌(Enterococcus faecalis)(V583)コロニーを各々対応するTSAプレートから得て、別々に37℃で振盪しながら1×TY培地(5mL)中で一晩増殖させた。次に、各培養物を3000×gで5分間遠心分離し、上清を除去した。細菌を水で2回洗浄した。
MPAO1ーP2緑膿菌を使用するアッセイについては、アッセイ用の個々の増殖培地溶液は、実施例1~4から選択された0.5重量%の単一のポリマー、0.05重量%の実施例15、又は実施例5及び7から選択されたポリマーの組み合わせを、10%のTY培地に添加し、次いで各溶液のpHを約pH6.0に調整する(1MのNaOH又は1MのHClを使用する)ことによって新たに調製した。腸球菌(V583)を使用するアッセイについては、アッセイ用の個々の増殖培地溶液は、実施例5、7、及び13~14から選択された0.5重量%の単一のポリマーを1×TY培地に添加し、次いで各溶液のpHを約pH6.0に調整する(1MのNaOH又は1MのHClを使用する)ことによって新たに調製した。可能であれば、全ての増殖培地溶液を、0.2マイクロメートルのフィルターを用いて滅菌濾過した。
各増殖培地溶液(200マイクロリットル)のアリコートを、96ウェル黒色透明底プレートのウェルに添加した。試料を三通りに調製した(n=3)。次いで、再構成したゼラチン-フルオレセイン(1mg/mLの20マイクロリットル)を各ウェルに添加した。細菌試料を5mLの10%TY培地に再懸濁した。再懸濁したMPAO1ーP2緑膿菌又は腸球菌(V583)のいずれかの試料3マイクロリットルを各ウェルに添加した。ウェルに細菌を添加しなかったバックグラウンド対照ウェルも調製した。細菌増殖を600nm(OD600)で測定し、コラゲナーゼ活性を485nm励起/528nm発光での蛍光強度として測定した。コラゲナーゼ活性(RFU)を、各ウェルについて細菌増殖(OD600)に対して正規化した。MPAO1ーP2緑膿菌については、極大蛍光に要する時間(すなわち、変曲点までの時間)を測定した。ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、ポリマーを添加しなかった対照試料よりも、タンパク質分解活性変曲点に達するのに有意に長い時間を有した(表11、12、13)。
腸球菌については、コラゲナーゼ活性を12時間の時点で測定した。ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、ポリマーを添加しなかった対照試料よりもコラゲナーゼ産生が少なかった(表14)。対照試料と比較して、ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、細菌増殖を減少させなかった。
Figure 2023533801000029
Figure 2023533801000030
Figure 2023533801000031
Figure 2023533801000032
実施例22:クリスタルバイオレット染色を用いたバイオフィルム形成アッセイ
TSAプレートからのMPAO1-P2緑膿菌コロニーを、37℃で振盪しながら1×TY培地(5mL)中で一晩増殖させた。次に、細菌を3000×gで5分間遠心分離し、上清を除去した。細菌を水又は10%TY培地で1回洗浄した。
アッセイ用の個々の増殖培地溶液は、実施例12~14及び比較例A~Cから選択された0.5重量%の単一のポリマーを10%のTY培地に添加し、次いで各溶液のpHを約pH6.0に調整する(1MのNaOH又は1MのHClを使用する)ことによって新たに調製した。各増殖培地溶液(200マイクロリットル)を、96ウェル黒色透明底プレートの別々のウェルに添加した。試料を三通りに調製した(n=3)。MPAO1-P2細菌を、5mLの10%TY培地中に再懸濁し、3マイクロリットルの再懸濁細菌を各ウェルに添加した。ウェルに細菌を添加しなかったバックグラウンド対照ウェルも調製した。96ウェルプレートを、37℃で20時間振盪しながらインキュベートして、プレートリーダーを使用して、増殖(OD600)を動力学的に測定した。
溶液をウェルから吸引した。各ウェルを水(ウェル当たり200マイクロリットル)で2回洗浄し、次いで、200マイクロリットルの0.1%クリスタルバイオレット水溶液で5~10分間染色した。次いで、クリスタルバイオレット溶液を各ウェルから吸引し、ウェルを水で4回洗浄した(ウェル当たり200マイクロリットル/洗浄)。各ウェル中の残りのクリスタルバイオレット染色液を200マイクロリットルのエチルアルコールで可溶化し、次いで新しい96ウェルプレート中のウェルに移した。各ウェルの吸光度を550nmで測定し、増殖に対して正規化した(動力学的増殖測定の20時間の時点で測定したバックグラウンドを差し引いたOD600)。結果を表15に報告する。対照試料と比較して、ホスホネート含有ポリマーを添加した試験試料は、細菌増殖を実質的に減少させなかった。
Figure 2023533801000033

Claims (19)

  1. 医療用組成物であって、
    ホスホネート含有ポリマーであって、前記ホスホネート含有ポリマー1グラム当たり少なくとも0.8ミリモルのホスホネートを有する、ホスホネート含有ポリマーを含み、前記ホスホネート含有ポリマーが、(a)エチレン性不飽和基、及び(b)式-P(=O)(OR[式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールである]のホスホネート基又はその塩を有する第1のモノマーを含むモノマー組成物の重合反応生成物であり、
    前記医療用組成物は、微生物感染を予防、緩和又は治療するための投与に好適である、医療用組成物。
  2. 前記第1のモノマーが、式(I)又は式(II):
    Figure 2023533801000034
    [式中、
    各Rは、独立して、水素、アリール、アラルキル、又はアルカリールであり、
    は、水素又はメチルであり、
    Xは、オキシ又は-NH-であり、
    は、アルキレン又は1つ以上の酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンであり
    は、アルキレンであり、
    Qは、-(CO)-O-、-NR-(CO)-NR-、-(CO)-NR-、又は-O-(CO)-NR-であり、
    は、水素又はアルキルであり、
    mは、0又は1に等しい]
    のもの、又はその塩である、請求項1に記載の医療用組成物。
  3. 式(I)のものである前記第1のモノマーが、式(I-C):
    Figure 2023533801000035
    [式中、Xは、オキシ又は-NR-である]
    のモノマー又はその塩である、請求項2に記載の医療用組成物。
  4. 式(I)のものである前記第1のモノマーが、式(I-D):
    Figure 2023533801000036
    [式中、Xは、オキシ又は-NR-である]
    のモノマー又はその塩である、請求項2に記載の医療用組成物。
  5. 前記モノマー組成物が第2のモノマーを更に含み、前記第2のモノマーが、親水性であり、a)エチレン性不飽和基と、b)酸性基若しくはその塩、ヒドロキシル基、エーテル、又は窒素含有基である極性基と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療用組成物。
  6. 前記モノマー組成物が第2のモノマーを更に含み、前記第2のモノマーが、a)エチレン性不飽和基と、b)双性イオン性基と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療用組成物。
  7. 前記第2のモノマーが、式(III):
    Figure 2023533801000037
    [式中、
    は、水素又はメチルであり、
    は、オキシ又は-NH-であり、
    は、アルキレン又は酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンであり、
    及びRは、a)各々独立して、アルキル、アリール、アラルキル、若しくはアルカリールであるか、又はb)R及びRの両方が、それらの両方が結合している窒素と一緒になって、3~7環員を有するヘテロ環式環を形成する]
    のものである、請求項6に記載の医療用組成物。
  8. 前記ホスホネート含有ポリマーが、25モルパーセント超の前記第1のモノマーを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の医療用組成物。
  9. 前記ホスホネート含有ポリマーが、50モルパーセント超の前記第1のモノマーを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の医療用組成物。
  10. 前記医療用組成物が、スプレー、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、分散液、フォーム、コーティング、ペースト、粉末、錠剤、接着剤、又はカプセルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の医療用組成物。
  11. 微生物の病原性を抑制する方法であって、前記方法が、ホスホネート含有ポリマーであって、前記ホスホネート含有コポリマー1グラム当たり少なくとも0.8ミリモルのホスホネートを有する、ホスホネート含有ポリマーを含む医療用組成物を投与すること及び/又は適用することを含み、前記ホスホネート含有ポリマーは、(a)エチレン性不飽和基及び(b)式-P(=O)(OR[式中、各Rは、独立して、水素又はアルキルである]のホスホネート基又はその塩を有する第1のモノマーを含むモノマー組成物の重合反応生成物である、方法。
  12. 前記医療用組成物が、請求項2~10のいずれか一項に記載のものである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記医療用組成物を投与することが、少なくとも一種類の病原性因子を抑制する、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記病原性因子が、ピオシアニン、ピオベルジン、コラゲナーゼ、又はバイオフィルムである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記バイオフィルムが、哺乳動物の組織上にあるか、又は永久移植片若しくは分解性移植片上にある、請求項14に記載の方法。
  16. 微生物の対数減少が、1未満である、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記医療用組成物を投与すること及び/又は適用することが、微生物感染を予防、緩和又は治療する、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記医療用組成物を投与すること及び/又は適用することが、前記医療用組成物を皮膚、粘膜、組織、創傷部位、手術部位、移植片、カテーテル、縫合糸、又は骨に適用することを含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記医療用組成物を投与すること及び/又は適用することが、グラム陰性緑膿菌、グラム陽性腸球菌、又はグラム陽性黄色ブドウ球菌のうちの少なくとも1つの病原性を低減又は阻害する、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
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