JP2023532183A - 細胞遺伝学的解析のためのデバイス及び方法 - Google Patents

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Abstract

ゲノム全染色体解析は、臨床医が疾患及び癌の分子病変を単一の細胞レベルで研究するための重要なゴールドスタンダード法である。しかしながら、それらには試料収量が少なく、高度な訓練を受けた専門家の主観的な手作業を必要とする手間のかかる手順であるという欠点がある。本明細書で、本発明者らは、精密医療を可能にし、臨床診療を改善するために、データ品質が改善されたデジタル細胞病理学的試料及びデータ生成を自動化、標準化、及び加速化するための新規なデバイス、システム、及び方法を開示する。本開示は、細胞、核、小胞エクソソーム及びそれぞれの個々の染色体、クロマチン、核酸ポリマー、細胞内ゲノム要素及びこれらの形態間の他の動的遷移状態について細胞ゲノム学的解析を実行する一連のマイクロ流体デバイス、及び前記デバイスを用いるための付随法について記載する。これらのマイクロ流体デバイスは、高分子の一貫した物理的操作及び調製を可能にし、尋問を行う細胞遺伝学的情報の質を実質的に向上させることができる。【選択図】図14

Description

関連出願の相互参照
本明細書は、2020年6月1日に出願された米国仮出願第63/032,984号、2020年10月2日に出願された米国仮出願第63/087,131号、及び2021年1月31日に出願された米国仮出願第63/143,857号に対する優先権の利益を主張し、これらはそれぞれその全内容が本明細書の一部として援用される。
染色体、染色体外DNA、外来及び転写RNAを含むゲノム材料は、様々な種で異なり、同一種内の個体間でも不均質である。これらのゲノム材料は、モザイク、癌又はニューロンの発生の場合など、同一個体の組織内の個々の細胞間でも異なり、不均質である場合がある。更に、同じ細胞内でも、自然経過、又は感染事象若しくは突然変異などの病的発生、又は外部刺激による分岐環境で動的に変化することもある。ゲノミクス・プロテオミクス解析技術は、これらの差異及び変化を個々の細胞及び細胞下レベルで、構造的、環境的、空間的、時系列的にリアルタイムで検出及び識別できることが理想的である。染色体は、生物の遺伝物質であるその「ゲノム」の全部又は一部を含むデオキシリボ核酸(DNA)分子である。ほとんどの真核生物の染色体には、シャペロンタンパク質の助けで、DNA分子が手に負えないような絡まりにならないように結合して凝縮するパッケージングタンパクが含まれている[Hammond, 2017][Wilson, 2002]。例えば、溶液中に自由に浮遊する直径20~100μmの平均的なヒトの細胞は、46本の染色体(2倍体)に分けられた約64億塩基対のDNAを含む。各塩基対の長さは約0.34nmである。従って、2倍体の細胞内のDNA分子を伸ばして端から端まで並べると、DNAの全長は約2mになり、驚くべきことに、このゲノム物質は直径10マイクロメートルの細胞核の中に整然と収まることができる。これは、細胞内のDNAを高度な秩序を持った三次元の染色体にパッケージングすることで実現されている。更に、このパッケージングのゲノム構造が、遺伝子の転写調節に重要な役割を果たしている[Bonev, 2016]。染色体は、細胞が細胞分裂の中期(全ての染色体が凝縮した形態で細胞の中心に並ぶ)になると、光学顕微鏡下で離散した形で物理的に見える[Alberts, 2014]。これが起こる前に、全ての染色体は1回コピーされ(S期)、コピーと元の染色体は動原体で結合し、動原体が染色体の中央にある場合はX型構造、又は動原体が一方の端部付近にある場合は長さが不均等な2本の腕となる。この段階で、元の染色体とコピー染色体は姉妹染色体と呼ばれる。細胞内では、染色体は前期、中期と段階的な凝縮を経て、後期の染色体分離の際に最大の圧縮度に達する[Antonin, 2016]。ヒトの細胞では、典型的な中期の染色体のサイズは、幅1.4ミクロン、長さ10ミクロン程度である。このような高度に凝縮された形態では、染色体は最も識別・研究しやすい[Schleyden, 1847]。減数分裂とその後の有性生殖における染色体の組換えは、遺伝的多様性に重要な役割を果たしている。これらの構造が誤って操作された場合、染色体不安定性として知られる過程を通じて、逆位、転座などの単純な再配列から、連環染色体断裂融合(chromoplexy)[Shen, 2013]及び染色体破砕(chromothripsis)[Maher, 2012][Stephens, 2011]などの非常に複雑なクロモアナジェネシス(chromoanagenesis)[Pihan, 2013]に及ぶ変異を生じる可能性がある。通常、このようなことが起こると細胞はアポトーシスを起こして自ら死に至るが、時に細胞内の突然変異がこの過程を阻害し、癌の進行又は発達障害及び先天性障害を引き起こすことがある。染色体外DNA(略称:ecDNA)は、細胞の核の内側又は外側にある染色体には見られないDNAである。個々のゲノム内のDNAのほとんどは、核に収容されている染色体に見られる。複数の形態の染色体外DNAが存在し、重要な生物学的機能を果たしており[Rush, 1985]、例えば、癌におけるecDNAのように、疾患において役割を果たしているものもある[Verhaak, 2019]。原核生物では、非ウイルス性の染色体外DNAは主にプラスミドに見られるが、真核生物では染色体外DNAは主にミトコンドリアなどのオルガネラに見られる。染色体外DNA(ecDNA)は、正常な真核細胞にも見られるが、癌細胞の核で同定され、ドライバー癌遺伝子の多数のコピーを保有することが示されている別の実体である[Nathanson, 2014][deCarvalho, 2018][Turner, 2017]。ecDNA分子は、遺伝子増幅の主要な機構であると考えられており、多数のコピーのドライバー癌遺伝子及び極めて侵襲的な癌をもたらす。細胞質内のecDNAは、核DNAとは構造的に異なることが分かっている。細胞質DNAは核内に見られるDNAよりもメチル化が少ない。又、同一の生物でも、細胞質DNAの配列は核DNAと異なることが確認され、細胞質DNAが単なる核DNAの断片ではないことが示された[Koch, 1983]。癌細胞では、ecDNAは主に核に隔離されていることが示されている。又、細胞内の核外に見られるDNAに加え、ウイルスゲノムの感染も染色体外DNAの一例となる。臨床試料は、細胞レベル及び分子レベルにおいて、極めて複雑で、個体差があり、不均質である。大量の染色体損傷及び再配列は、生物学的機能に影響を与えることがよく知られている大規模な構造的又は数的異常であり、発達障害及び精神障害、希少及び未診断疾患、生殖異常、血液の癌及び全ての癌などの複合疾患に関連している。
細胞遺伝学は染色体の研究であり、染色体は、DNAと関連タンパク質の長い鎖であり、細胞内のゲノム情報のほとんどを含んでいる。細胞遺伝学は、組織、血液、羊水又は骨髄の試料を実験室で検査して、遺伝疾患若しくは遺伝病態又はある種の癌の潜在的徴候として、破断、欠損、再配列又は余分な染色体を含む染色体の変化を探すことを含む。細胞遺伝学は、疾患若しくは病態の診断、治療計画、又は治療効果を知るために使用され得る。使用される技術には、核型分析、Gバンド染色体の分析、その他の細胞遺伝学的・光学的バンド技術、並びに蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)及び比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)などの分子細胞遺伝学が含まれる。例えば、Mitelman Database of Chromosome Aberrations and Gene Fusions in Cancerはデータベースの1つに過ぎないが、国立癌研究所(NCI)の支援により、1983年に情報収集を開始して以来(3844例)、公表されたユニークな臨床例の総数が69,551(2019年10月)、ユニークな遺伝子融合の総数が22,091、関与する遺伝子数の総数が12,044というカタログを作成した[Mitelman, 2019].これらの記録された染色体異常は、主として、米国医遺伝学会(American College of Medical Genetics)(ACMG)、米国臨床病理学会(American Society for Clinical Pathology)(ASCP)、全米総合癌センターネットワーク(National Comprehensive Cancer Network)(NCCN)、米国医遺伝学会(ACMG)、米国産科婦人科学会(American College of Obstetricians /Gynecologists)(ACOG)、世界保健機関(World Health Organization)(WHO)が推奨するガイドラインによるファーストライン臨床細胞遺伝学検査のゴールドスタンダード(核型分析、FISH、Array、及びCGH)により発見されたものである。
次世代シークエンシング(NGS)技術の進歩により、ゲノム解析は急速に拡大してきた。このような技術を用いると、ほとんどがヒト又は生物学的集団における何百万という点変異及びSNP(一塩基多型)からなるゲノム変化の大規模なデータベースが作成されているが、これらのゲノム変化の大部分について直接的な臨床的有用性はまだ証明されていない。8000を超える遺伝疾患が知られているが、その2/3より多くは遺伝的原因が解明されていない。NGS技術の進歩にもかかわらず、コストと技術の限界(幾つか挙げれば、例えば、限られたネイティブリード長、ライブラリーの偏り、及びバイオインフォマティクスの複雑さなど)が、NGSのより多くの臨床現場への普及を限られたものとしている。
NGSによりゲノムのヌクレオチド分解能が向上するが、染色体及びゲノム解析の空間的及び構造的分解能が低下するという欠点もある。更に、ゲノムの大部分は、なお容易に接近できない不安定な反復領域などの「ダークマター」を含み、NGS技術は、臨床環境にとって重要な真の二倍体/倍数体医療グレードゲノムデータをまだ提供していない。更に、完全な染色体外DNA(ecDNA)情報及び複雑な染色体破砕構造は、NGS試料の調製及びアルゴリズムではそれらを事前に識別できないことから、依然としてとらえどころがない。構造変異体を正確に同定するためのNGSデータは、主としてSNPと短いインデルにほぼ限定されている。
染色体の広がりを光学的に調査する、十分に確立された細胞遺伝学の技術は、ゲノム染色体セット全体の完全なリアルタイム観察による精緻な「トップダウン」の真の単一の細胞、単一分子レベルの検査を表す。この技術は今なお、確立されたプロトコールとガイドラインを用いて、何万という病院や臨床検査室で臨床医によって使用され、医師や臨床医から信頼される結果が得られるファーストラインの検査のゴールドスタンダードである。しかし、これらの技術は歴史的な成功を収めたものの、大きな技術的課題が低コスト、一貫した品質、エラーの減少、及びゲノム変化の分解能の向上を達成する可能性を制限している。これらの制限には、高度な訓練を受けた専門家の主観的な手作業の関与を必要とする労働集約的な手順(100~500検査/人/年でスケーラビリティが低い)[NPAAC, 2013]、ゲノム変化の識別の分解能の低さ、メガベース以上に限られる、試料から回答までの所要時間が長い(通常3~28日)、及び更に手作業によるキュレーションを必要とする機械学習の適用を阻む曖昧な又は誤った生の画像データセット、が含まれる。従来の細胞遺伝学的方法の臨床的妥当性を維持しながら、これらの制限を克服する技術は、患者や医師が臨床的価値のある実用的なゲノム情報を得やすくし、医療AI解析の検出力を引き出し、個別化医療の展望を実現するのに役立つ。
本明細書で提供されるように、臨床シングルセルサイトゲノム光学イメージング技術をマイクロ流体デバイスと統合するためのデバイス及び方法。ここで、本発明者らは、デジタル細胞病理学的試料調製及びデータ生成を自動化、標準化、及び加速化するためのデバイス、システム、及び方法を提供する。幾つかのデバイス及び方法の実施形態では、試料入力細胞量は、従来の方法よりも実質的に減少し、従って、成長によって細胞を増殖させるのに必要な時間の短縮が可能となる。幾つかのデバイス及び方法の実施形態では、染色体は、秩序を持った制御された方法で尋問(interrogation)のために提供され、従って、画像データにおける曖昧さが軽減され、より大きな自動化と手動キュレーションの低減が可能となる。幾つかのデバイス及び方法の実施形態では、染色体は、光学的に同等の尋問ツールを用いて、染色体内のゲノムの特徴を識別する分解能の向上が実現可能なように、従来の染色体伸展標本上に実質的に伸張した形式で提示される。幾つかのデバイス及び方法の実施形態では、ゲノム材料をマイクロ流体デバイス内で操作して、対象とする領域を異なる視点から尋問できるようにすることができ、更に、中期染色体状態にある間は通常尋問することが困難である基礎的なゲノム内容を難解にしないように、ゲノム材料は長い核酸分子の一本鎖を伸長するように操作することができる。幾つかのデバイス及び方法の実施形態では、単一の染色体、又は対象とする領域を表す単一の染色体の一部を単離することができる。幾つかのデバイス及び方法の実施形態では、これらの分離された対象とする領域は、その後、増幅、配列決定、又は遺伝子型分析を含む、デバイス上、又はデバイス外で更に処理され得る。
発明の概要
本発明は、高分子の尋問、より詳しくは、尋問を含むその後の処理のための単離された単一の高分子の調製のためのマイクロ流体デバイスに関する。更なる態様において、その後の処理のために単離された単一の高分子を調製するための方法が提供される。本発明は、長い核酸分子を調製、処理、及び尋問するために特に適している。
更なる態様によれば、本発明は、生体試料の取り扱い、調製、分析、及び特性決定(任意の順序)のためのシステム、装置、キット、アルゴリズム、及び方法に関する。本発明は又、本発明の使用、特に核酸物理マッピング技術に関連する使用を説明する。
本開示は、大きな核酸分子におけるゲノム変動の特性決定を容易にするデバイス及び方法を提供する。本明細書に開示されるデバイス及び方法は、例えば核型分析又はFISHスプレッドなどの物理マップの質の向上を可能にする。別の例では、本明細書のデバイス及び方法は、マイクロ流体環境における大きな核酸分子の操作を可能にして、前記分子の尋問から得られるゲノムデータの質及び信頼性を向上させることができる。別の例では、尋問を行うために核酸高分子が選択される特定のパッケージは、パッケージの集合体から選択される。別の例では、核酸高分子は、高分子の物理的コンフォメーションを変化させて高分子内の所望の領域及び分解能の尋問データを得ることができるように、マイクロ流体デバイス内で操作される。
幾つかの実施形態では、パッケージは、長い核酸分子内に収容されている単一の細胞、又は単一の核である。好ましい実施形態では、高分子は、中期染色体などの凝縮物である。更に別の実施形態では、細胞又は核は低張状態である。
幾つかの実施形態では、パッケージは、長い核酸分子を含有する液滴である。液滴は、水中油型、油中水型、水中油中水型の液滴であり得る。幾つかの実施形態では、高分子は、単一の細胞に由来する全染色体である。幾つかの実施形態では、高分子は、例えば、タンパク質の消化、標識体の結合、PCRプライマーの結合、MDAプライマーの結合、バーコードの結合、所望のサイズ分布を達成するために高頻度若しくは低頻度のカッターによる核酸の消化、又はこれらの組合せなど、ある程度の処理を既に受けている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの核酸バーコードが液滴に組み込まれていてもよく、これは長い核酸分子と共に得液滴内部の溶液中に別々に浮遊していてもよいし、又は分子に結合していてもよい。幾つかの実施形態では、バーコードは、液滴、又は起源となる細胞、又は他の何らかの内容物に固有の情報を含む。
一組の実施形態において、本発明者らは、核酸が尋問のために準備され、従来の細胞遺伝学的手順を使用して画像化され得るような方法で長い核酸分子を位置させることを可能にする消費可能な受動流体デバイスのためのデバイス及び方法を開示し、しかも高分子は、曖昧さの軽減によって尋問データの分析を改善するために制御された方法でデバイス上に物理的に配置される。一組の実施形態では、これは、パターン化されたフィーチャーによって規定されるデバイスの流体領域への核酸の沈着によって達成される。別の実施形態のセットでは、これは、パターン化されたフィーチャーによって規定されたデバイスの流体領域への核酸の毛細管流を介して達成される。全ての場合において、核酸は、使用される試料調製方法、及び所望の細胞遺伝学的データ型に依存して、様々な状態であり得る。本発明の異なる実施形態は、これらの異なるユーザーニーズに対応するように設計されている。例えば、一組の実施形態では、入力材料は、デバイス上に存在するパターン化されたフィーチャーを介して重ならないようにデバイス上に「広げられる」中期染色体を含む細胞である。別の実施形態のセットでは、入力材料は、デバイス上に存在するパターン化されたフィーチャー内でほとんど直線の細長い状態で提示される長い核酸分子である。このセット内の全ての実施形態について、標識体を有する核酸の調製は、試料をデバイスに導入する前、試料がパターン化されたフィーチャーに入った後、又はこれらの組合せで行うことができる。
別の実施形態のセットでは、本発明者らは、前記装置内の長い核酸分子の位置決め及び状態が制御機器によって制御される、能動マイクロ流体デバイスのためのデバイス及び方法を開示する。このセットの実施形態では、流体チップ内のパターン化されたフィーチャーと、制御機器によって制御される前記分子への外力の適用とを組合せて、前記分子を操作して、分析のために尋問又は捕捉できるようにするために使用される。
記載の全ての実施形態デバイスについて、核酸分子の尋問は、限定されるものではないが、蛍光、TIRF、落射蛍光、明視野、暗視野、位相差を含む光学的尋問技術を含む。
記載の全ての実施形態デバイスについて、核酸分子は、尋問後に、増幅、配列決定、又は遺伝子型分析を含む更なる処理のために回収することができる。
記載の全ての実施形態デバイスについて、核酸分子の尋問は、長い核酸分子がゲル、又は半ゲル様材料内に少なくとも部分的に収容されている間に行うことができる。ゲル化材料は、入力試料を含む入力溶液の一部として導入されてもよいし、又は後の時点で導入されてもよいし、又は分子の導入前に存在していてもよい。1つの好ましい実施形態では、ゲル化材料は、パッケージが溶解された後にデバイスに加えられる。
本発明は、特殊設計され、製作されたマイクロ/ナノ流体表面上又は環境内部の個々の核又は細胞に対してトレーサビリティを持って尋問するために単離、操作、組織化された大きな核酸DNA分子、大きな天然状態のクロマチン及び染色体、染色体外DNAにおいて、天然状態のクロマチン、染色体、染色体外DNA、又は大きなゲノム変動フィーチャー(>50bp、>1000bp、>10kb、>100kb、>1Mb、>5Mb又は>10nm、>100nm、>200nm、>300nm、>500nm、>1?m、>10?m、>100?m、>1000?m)の改善された定量的特性決定を容易にするデバイス及び方法を記載する。
本明細書に開示されるデバイス及び方法は、例えば核型分析又はFISHスプレッドなどの物理マップの質の向上を可能とする。幾つかのデバイス及び方法の実施形態では、試料入力細胞量は、従来の方法よりも実質的に減少し、従って、成長によって細胞を増殖させるのに必要な時間の短縮を可能にし、又は培養しない初代細胞、又は希少な性質の試料、例えばCFC(循環胎児細胞)、CTC(循環腫瘍細胞)、法医学的試料、環境試料、考古学的試料(凍土)、地球外試料の直接尋問を可能にする。
幾つかのデバイス及び方法の実施形態では、改善されたアライメントで、秩序を持った制御された方法での尋問のために、物理的な障害/重なりなく、従来の染色体伸展標本上に実質的に細長い形式で、染色体内のゲノム特徴を識別する分解能が改善され、従って、画像データにおける曖昧さが減少し、より大幅な自動化、機械学習及び人工知能分析の改善、及び手動キュレーションの減少を可能とする染色体が提示される。これにより、より正確なデータ解析、より迅速な所要時間、及びより正確で決定的な診断と予後のレポート作成が可能となり、最終的には、患者の苦痛、試料取得の時間と期間、待ち時間(数十年又は一生続くかもしれないいわゆる診断オデッセイ(診断をつけるための終わりのない旅)の低減)、より効率的な診療、臨床医とスタッフの疲労軽減、医療費と社会負担の全体的な大幅な軽減)に至る。
幾つかのデバイス及び方法の実施形態では、核及び染色体などのゲノム材料は、いわゆるトップダウンアプローチで、過酷な非制御バルク溶液様式の化学的又は酵素的処理を行わない天然状態で提示され、対象とする領域が複数の異なる観点からピンポイントで特定し、尋問され得るようにマイクロ流体デバイス内で操作して、典型的な従来の固定された静的な中期染色体核型分析、又は従来のシークエンシング若しくは光学的ゲノムマッピング法における強制的に断片化されたバルク溶液試料調製法では通常、尋問しにくい基礎的なゲノム内容を、動的又は更には時系列的に解きほぐすことができる。例えば、これは、染色体の動的なゲノム及びエピゲノムの変換(分解/再構成)のin situ尋問を指示して、同じ細胞、同じ試料、又は同じ個体/患者からの全く同じ分析物について、構造(クロマチンドメイン、キンク/ノジュール、フォールドなど)、エピゲノム(TAD、調節結合複合体、メチル化パターン)、及びゲノム(シークエンシング/マッピング、シス/トランス-調節機能的要素、導入/エクソン境界、開始部位、集結部位)を、それらの天然状態で、初めて確認可能とする。
臨床試料は、細胞レベル及び分子レベルで、極めて複雑、個別差があり、不均質である。大量の染色体損傷及び再配列は、生物学的機能に影響を与える大規模な構造的又は数的異常として周知であり、発達障害及び精神障害、希少及び未診断疾患、生殖異常、血液の癌及び全ての癌などの複合疾患と関連している。
ゲノミクス及びプロテオミクス解析技術は、これらの差異及び変化を個々の細胞及び細胞下レベルで、構造的、環境的、空間的、及び時系列的にリアルタイムで検出及び識別することができるはずである。電離放射線への曝露又はレトロウイルス(ヒトゲノムの8%はレトロトランスポジションなどの組込み過程を経たウイルス性のものである)などによって生じたこれらの構造的ゲノム損傷が染色体再配列又は不良なゲノム不安定性を引き起こすと、体細胞de novo様式又は生殖系列に永久的に逆位、転座などの単純な再配列から極めて複雑なクロモアナジェネシスに及ぶ変化を生じることがある。これらは、適正にモニタリングされなければ、癌若しくは遺伝疾患、又は遺伝子治療/編集の失敗若しくは効果のない遺伝子工学/分子育種につながる。
別の応用実施形態において、配列決定だけでは解決できないde novo又は遺伝性の大きな変化の位置、タイプを物理マッピングによってゲノム内で正確に特定する能力、特に、他の既存の機能的、調節的、又は構造的ゲノム内容に関して、生物学的又は病理的結果に影響を与える又は変化を与えるこれらの変異遺伝子座をピンポイントで特定する能力は、診断、予後又は治療薬の開発のための実行可能な薬物標的の特定に卓越したものとなる。例えば、bcr/ablのような翻訳を用いて配列順序及びインフレームコーディングを破壊して、腫瘍形成を促進する新しい融合キナーゼ癌遺伝子を作成すること、又はゲノムリピートの拡大若しくは縮小(脆弱性X又はFSHD)関連の遺伝疾患の例での、イベントを視覚化できるトップダウン可視化技術ツールは、診断のための変異位置、正確な融合点の更なる分離及び拡張を可能にするのに極めて有用である。
幾つかの応用実施形態では、配列決定だけでは解決できないde novo又は遺伝性の大きな変化の位置、タイプを物理マッピングによってゲノム内で正確に特定する能力、特に、他の既存の機能的、調節的、又は構造的ゲノム内容に関して、生物学的又は病理学的結果に影響を及ぼす又は変化を与えるこれらの変異遺伝子座をピンポイントで特定する能力は、診断、予後又は治療薬開発の実行可能な薬物標的の特定に卓越したものとなる。例えば、HIVなどのレトロウイルス又はEBVなどのヘルペスウイルスは、特定の又はランダムな位置又は方向で宿主ゲノムに組み込まれ、配列順序、コーディングフレミング、機能の距離を混乱させる可能性があり、宿主ゲノム配列-外来配列要素-宿主ゲノム(新しいヒト-ウイルス-ヒト構造)を可視化できるトップダウン可視化技術は、例えば、それがインフレームコーディングかアウトオブフレームコーディングかを決定するため、タンパク質の早期切断若しくは新たな融合タンパクを生じさせるため、又は強力なウイルスプロモーターが挿入された場合には、従前に低レベルで発現していた癌遺伝子を駆動するために、挿入位置、方向、正確な境界配列/融合点の更なる分離及び拡張を可能にするのに極めて有用である。
別の応用実施形態では、配列決定だけでは解決できないde novo又は遺伝的に標的とされる大きな変化の位置、タイプを物理マッピングによってゲノム内で正確に特定する能力、特に、ウイルスベクター送達(AAV型)又はCRISPR型などの方法における遺伝子編集又は遺伝子治療に意図される遺伝子座標的をピンポイントで特定する能力は、組換え部位又はガイドRNA配列のプローブ設計の誤り又は非最適化のために標的外の組込み又は改変部位があれば、患者に意図されない有害な短期又は長期の遺伝的影響を与えることもある。ベクター又はプローブの設計の品質管理及び保証試験は、オフターゲット率及び全ゲノムにおける位置、及びその結果としての生物学的又は病理学的転帰を評価することにより、大きな医学的価値を持つことになる。例えば、目的のRNAガイドプローブ配列と、結合及び安定化機能以外の酵素編集機能をノックアウトした操作欠損型の蛍光標識CAS複合体を用いて模擬CRISPR実験を設定し、開示されている発明の技術を用いて、宿主ゲノム内の物理的オフターゲット着地点の有効性と精度を可視化することが可能である。いわば、現実的かつ永久的な損傷が起こる前の遺伝子編集「ドリル」である。
別の応用実施形態では、配列決定だけでは解決できないde novo又は遺伝子工学による大きな変化の位置、タイプを物理マッピングによってゲノム内で正確に特定する能力、特に、遺伝子工学などの方法における遺伝子編集に意図される遺伝子座標的を正確に特定する能力。トランスフェクション又はノックイン/ノックアウト法などの工学的改変を可視化及びモニタリングできることは、分子育種における全ゲノムとその結果としての生物形質改良の点で大きな実用価値がある。例えば、更により堅牢なプロモーター/エンハンサーを標的遺伝子に適正な位置及び方向で導入してその発現量を増加させたり、ゲノム内の抑制的な調節機構をノックアウトしたりすることによって、目的の形質座を強化することができる。
参照文献の援用
本明細書に言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個の刊行物、特許、又は特許出願が本明細書の一部として援用されることが具体的かつ個々に示されている場合と同じく、本明細書の一部として援用される。
全ての図面で、ローマ数字i)、ii)、iii)、iv)の使用は、時系列を表すためのものである。
長い核酸分子の長さに沿って物理マップを生成する3つの異なる非限定実施形態を示す。(A)は、既知の認識部位で分子を切断することによって生成された物理マップであり、順序付けられた長さのパターンが得られる。(B)は、既知の認識部位に標識体を付加することによって生成された物理マップであり、順序付けられたセグメントのパターンが得られる。(C)は、分子の長さに沿って、標識体の密度が基礎的なAT/CG比又は他のエピゲノムパターンと相関するように標識体を付加することによって生成された物理マップである。 コーミングにより線形に伸張された核酸分子を並列に生成するための密閉流体デバイス及び方法を示し、(i)は密閉チャネルに飛ばされている分子を示し、(ii)はチャネルから屋根が除去された後の前記分子を示す。 流体デバイス内の閉じ込め型及び非閉じ込め型チャネルタイプの異なる非限定実施形態を示す。 変形可能な物体がエントロピー障壁、傾斜、及びトラップに遭遇する様々な流体デバイスの実施形態を示す。(A)物体がエントロピー障壁に遭遇している。(B)物体がエントロピートラップから脱出している。(C)物体がエントロピー傾斜に遭遇している。(D)物体がエントロピートラップに遭遇している。 エントロピー障壁に遭遇している変形可能な物体を示す。 疎水性表面及び親水性表面で少なくとも部分的に画定された流体デバイスの表面にパターン化されたチャネルの様々な断面を示す。 ゲノム分析のための染色体伸展標本を作製するために使用される細胞遺伝学的流体デバイスの側面図、断面図、及び等角図を示し、核酸分子を含むパッケージの溶液は、ピペットを介してデバイスのパターン化された表面フィーチャーに分注され、溶液は、重力、毛細管力、微小対流力、表面エネルギー及び張力差、液相差によって、デバイスのパターン化された表面フィーチャーに沿って流れ、溶液の後退するメニスカス(receding meniscus)を介して表面に核酸分子を沈着させることができる。 ゲノム分析のための染色体伸展標本を作製するために使用される細胞遺伝学的流体デバイスの側面図を示し、核酸分子を含むパッケージの溶液は、溶液の後退するメニスカスを介して、デバイスのパターン化された表面フィーチャーに沈着する。 図8(A)に示される細胞遺伝学的流体デバイスの等角図であり、後退するメニスカスは、毛細管力と溶液からの水の蒸発の組合せを介して生成される。 ゲノム分析のための染色体伸展標本を作製するために使用される細胞遺伝学的流体デバイスの側面図を示し、核酸分子を含むパッケージの溶液は、毛細管力によってデバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーの集合体に流れ込み、溶液は大部分がパターン化された表面フィーチャーによって収容されている中央の液滴に由来し、この例では、溶液を含むウェルがデバイスの表面に一体成形されている。 図9(A)に示される流体デバイスの一例のタイプの上面図及び等角図を示し、パターン化されたフィーチャーはチャネルを含む。 図9(A)に示される流体デバイスの一例のタイプの上面図及び等角図を示し、パターン化されたフィーチャーは柱を含む。 ゲノム分析のための染色体伸展標本を作製するために使用される細胞遺伝学的流体デバイスの側面図を示し、核酸分子を含むパッケージの溶液は、毛細管力によってデバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーの集合体に流れ込み、溶液は大部分がパターン化された表面エネルギーフィーチャーによって収容されている中央の液滴に由来する。 図10(A)に示される流体デバイスの一例のタイプの上面図及び等角図を示し、パターン化されたフィーチャーはチャネルを含む。 図10(A)に示される流体デバイスの一例のタイプの上面図及び等角図を示し、パターン化されたフィーチャーは柱を含む。 ゲノム分析のための染色体伸展標本を作製するために使用される細胞遺伝学的流体デバイスの側面図を示し、核酸分子を含むパッケージの溶液は、毛細管力によってデバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーの集合体に流れ込み、溶液は大部分がウェルによって収容されている中央の液滴に由来する。 図11(A)に示される流体デバイスの一例のタイプの上面図及び等角図を示し、パターン化されたフィーチャーはチャネルを含む。 図11(A)に示される流体デバイスの一例のタイプの上面図及び等角図を示し、パターン化されたフィーチャーは柱を含む。 核酸分子を含むパッケージが2枚の平行基板の間に閉じ込められる流体デバイスを示し、i)パッケージが閉じ込められ、ii)パッケージが圧力による非閉じ込め寸法で拡張し、iii)パッケージ内容物が放出される。 核酸分子を含むパッケージが2つの平行な境界の間に閉じ込めされる流体デバイスを示し、i)パッケージが閉じ込められ、ii)パッケージが圧力による非閉じ込め寸法で拡張し、iii)パッケージ内容物が放出される。 核酸分子のパッケージ内容物が尋問領域(反応チャンバー)内で尋問できるように単一のパッケージを捕捉するための流体デバイスを示す。 2つの単一のパッケージを平行に捕捉するための流体デバイスを示し、核酸分子の各単一パッケージそれぞれの内容物は、異なる尋問領域(反応チャンバー)において尋問され、それによって2つの尋問領域はエントロピー障壁を介して流体的に接続される。 核酸分子の各パッケージの各内容物は共通の尋問領域(反応チャンバー)で尋問でき、尋問領域がエントロピー障壁と共に2つの流体的に接続したチャネルを備えるように、3つのパッケージを平行に捕捉するための流体デバイスを示す。 伸張チャネルを含む尋問領域(反応チャンバー)を備えた流体デバイスを示す。 流体デバイスの反応チャンバー内の核酸分子がタンパク質消化酵素への曝露により物理的膨張を受けているところの3時点の上面図を示す。 流体デバイスの反応チャンバー内の核酸分子が試薬交換により物理マップの生成を受けているところの2時点の上面図を示す。 核酸分子の接続部分が起源する流体デバイスの尋問領域内の長い核酸分子の上面図を示し、前記部分は伸張チャネル内で少なくとも部分的に伸張されている状態である。 流体デバイスの尋問領域内の2つの異なる物理的閉じ込め状態の物理マップを有する長い核酸分子の上面図を示す。 図18(A)の断面図を示す。 流体デバイスの尋問領域内の、物理マップを有する長い核酸分子の上面図を示す。 図19(A)の断面図を示す。 分子の少なくとも一部が伸張チャネル内に収容された流体デバイスの尋問領域内の、物理マップを有する長い核酸分子の上面図を示す。 図19(C)の断面図を示す。 閉じ込め寸法を徐々に小さくすることにより尋問領域と伸長チャネルとを接続する流体デバイスの移行領域における、物理マップを有する長い核酸分子の上面図である。 図20(A)の断面図を示す。 エントロピートラップからなる流体デバイスの尋問領域(反応チャンバー)の上面図を示し、i)長い核酸分子はトラップに向かって移動し、ii)分子が全て捕捉される。 図21(A)の断面図を示す。 尋問領域内の長い核酸分子のための流体デバイス内のエントロピートラップの上面図を示し、エントロピートラップは伸張チャネルに接続している。 図22(B)の断面図を示す。 流体デバイス内の調節可能なエントロピートラップを示し、i)変形可能な物体がトラップに接近している、ii)トラップの調節可能な閉じ込め寸法が小さくなり、物体がエントロピートラップ内に捕捉される、iii)トラップの調節可能な閉じ込め寸法が大きくなり、物体がエントロピートラップから解放される。 流体デバイス内の変形可能な物体の概略図を示し、i)物体が閉じられた調節可能なエントロピー障壁ゲートで遮断され、次いでii)ゲートの開放によって物体を放出する。 流体デバイス内の調節可能なエントロピー障壁の断面の概略図を示し、i)ゲートが閉じている、ii)ゲートが開いている。 変形可能な物体を選択するための流体デバイスの概略図を示し、i)選ぶための物体の選択が存在する、ii)選択が行われた後。 変形可能な物体をマージするための流体デバイスの概略図を示し、i)閉じたゲートの後ろに物体を共局在させ、次いでii)前記物体を一緒にマージする。 変形可能な物体を捕捉するための流体デバイスの概略図であり、i)物体が開いたゲートを通って、閉じたゲートに向かって輸送され、次いでii)前記物体を2つのゲート間に捕捉する。 最小閉じ込め寸法を設定するためのパターン化されたフィーチャーを有する調節可能なエントロピートラップを備えた流体デバイスを示し、i)変形可能な物体がトラップに接近している、ii)トラップの調節可能な閉じ込め寸法が最小値まで減り、物体が捕捉される。 図25(A)の等角図を示す。 流体デバイス内の調整可能なトラップを示し、i)本体が2枚の基板の間に運ばれる、ii)2枚の基板を互いに静電的に引き寄せて本体を捕捉する。 流体デバイス内の長い核酸分子を捕捉及び/又は伸長するためのテーパー付きチャネルを示し、i)電極で挟まれたチャネルに分子が輸送される、ii)DEP力を用いて分子をテーパーに引き込む。 図27(A)の断面図である。 相変化材料を含むチャネルを有する流体デバイスを示し、i)長い核酸分子が相変化材料に輸送される、ii)印加電場の適用を介して材料が相変化を受ける、次いでiii)相変化材料中の分子の局在移動度が低減される。 長い核酸分子上に差次的な2色のAT/CG密度線形物理マップを生成するための方法を示し、i)分子が色1の2本鎖結合標識体で非選択的に標識される、ii)分子が部分的に融解され、ATリッチ領域の標識体を放出する、iii)色2の一本鎖標識体が結合される。 分子の長軸の長さに沿って核酸密度が異なる、伸張している長い核酸分子を示す。 図30(B)の分子からの色-1及び色-2の測定信号の変動を示す概略図である。
詳細な説明
インターネット上で利用可能であり、本明細書で言及されている全ての刊行物、特許、特許出願、及び情報は、各個の刊行物、特許、特許出願、又は情報の項目は、具体的かつ個々に本明細書の一部として援用されることが示された場合と同じく、本明細書の一部として援用される。本明細書の一部として援用される刊行物、特許、特許出願、及び情報の項目が本明細書に含まれる開示と矛盾する場合には、本明細書は、そのような矛盾する材料に取って代わること、及び/又は優先されることが意図される。
本明細書で使用される用語は、一般に、当該技術分野において、本発明の文脈内で、及び各用語が使用される特定の文脈において、その通常の意味を有する。特定の用語は、本発明のデバイス及び方法、並びにそれらの製造方法及び使用方法を説明する際に、当業者に更なる指針を提供するために、以下で、又は本明細書の他所で説明される。これはそのように理解される。その結果、代替言語及び同義語は、ここで論じた用語のいずれか1つ以上に対して、同じものを典型的には2つ以上で記述することができる。特定の用語に対する同義語が提供されている。しかし、1つ以上の同義語の記載は、他の同義語の使用を排除するものではないし、ある用語が本書で詳説又は論述されているか否かに特別な意味を置くものでもない。本明細書に記載された全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、本明細書の一部として援用される。矛盾が生じた場合は、定義を含む本明細書が優先する。更に、材料、方法、及び実施例は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
本発明は又、特定の実施例によって説明される。しかしながら、本明細書で議論される任意の用語の例を含む、本明細書の任意の場所におけるそのような例の使用は、例示に過ぎず、本発明又は任意の例示された用語の範囲及び意味を何ら限定するものではない。同様に、本発明は、本明細書に記載された任意の特定の実施形態に限定されるものではない。実際、本発明の多くの修正及び変形は、本明細書を読めば当業者には明らかであり、その趣旨及び範囲から逸脱することなく実行することができる。従って、本発明は、特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
本明細書で使用する場合、数に関する「約」又は「およそ」は、その数の±10%の範囲を指すものとし、又は範囲に関しては、記載された範囲の下限の10%未満から記載された範囲の上限を10%超えるまでの拡大された範囲を指すものとする。
特許請求の範囲における用語「又は」の使用は、選択肢のみを指すこと、又は選択肢は相互に排他的であるが、本開示は選択肢及び「及び/又は」のみに言及する定義を支持することが明示的に示されない限り、「及び/又は」を意味して用いられる。
特許請求の範囲又は明細書において、単語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、単語「含む(comprising)」と共に使用される場合、特に断りのない限り、1以上を意味する。
文脈が明らかに他のことを要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む」などの語は、排他的又は網羅的な意味ではなく包括的な意味で、即ち、「限定されるものではないが含む」の意味で解釈される。又、単数又は複数を用いる語は、それぞれ、複数及び単数を含む。更に、「本明細書」、「上」、「下」、及び類似の語は、本願で用いられる場合、本願を全体として参照し、本願の特定の部分を参照することを指すのではないものとする。
「組合せ」という用語の使用は、選択順序が問題にならないような、集合からの項目の選択を意味して使用され、空集合(無し)の選択も、明示された場合は有効な選択である。例えば、集合{A,B}の無を含むユニークな組合せで選択可能なものは、無、A、B、AとBである。
「A、B、及びCのリストから選択される少なくとも1つ」という語句は、単独又は他の部分と組合せて、AとBのみ、又はAとBとCを含む集合を指す。この語句は、A、B、及びCが必ずしも存在することを必要としない。
試料 本明細書で使用される「試料」という用語は、一般に、少なくとも部分的に前記対象に由来する核酸を含む対象の生物学的試料を意味する。生物学的試料は、任意の数の高分子、例えば、細胞内の長い核酸分子を含んでいてもよい。試料は、細胞試料であってもよい。試料は、細胞株又は細胞培養物試料であってもよい。試料は、CTC(循環腫瘍細胞)試料又はCFC(循環胎児細胞)試料であってもよい。試料は、1以上の細胞を含み得る。試料は、1以上の微生物を含み得る。生物学的試料は、核酸試料であってもよい。生物学的試料は、他の試料に由来するものであってもよい。試料は、生検、コア生検、針吸引、又は細針吸引などの組織試料であってもよい。試料は、血液試料、尿試料、又は唾液試料などの液体試料であってもよい。試料は、皮膚試料であってもよい。試料は、頬側スワブであってもよい。試料は、血漿又は血清試料であってもよい。試料は、無細胞試料であってもよい。無細胞試料は、細胞外ポリヌクレオチドを含んでもよい。細胞外ポリヌクレオチドは、血液、血漿、血清、尿、唾液、粘膜排泄物、喀痰、便及び涙液からなる群から選択され得る身体試料から単離されてもよい。
核酸 「核酸」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」、及び「ポリヌクレオチド」、「核酸ポリマー」、「核酸断片」、「ポリマー」という用語は互換的に用いられ、任意の長さのヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのいずれか、又はその類似体のいずれかの重合体を指す。この用語は、例えば、DNA、RNA及びそれらの修飾形態を包含する。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有していてもよく、既知又は未知の任意の機能を遂行し得る。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、遺伝子、遺伝子断片、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、lncRNA(ロングノンコーディングRNA)、lincRNA(ロング遺伝子間ノンコーディングRNA)、リボザイム、cDNA、ecDNA(染色体外DNA)、人工ミニ染色体、cfDNA(循環遊離DNA)、ctDNA(循環腫瘍DNA)、cffDNA(無細胞胎児DNA)、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、制御領域、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ及びプライマーが挙げられる。特に断りのない限り、核酸分子は一本鎖、二本鎖、又はそれらの混合物であり得る。例えば、ヘアピンターン又はループがあってもよい。
長い核酸分子 特に断りのない限り、「長い核酸断片」又は「長い核酸分子」は、少なくとも5kbpの長さの二本鎖核酸であり、従って、高分子の一種であり、染色体全体にも及ぶこともある。単細胞、細胞集団、液滴、増幅過程などを含む、人工又は天然のあらゆる供給源に由来し得る。構造タンパク質ヒストンのような付加的な構造を有する核酸も含むことができ、従って、クロマチンを含む。例えば標識体、DNA結合タンパク質、RNAなど、それに結合されている付加的本体を有する核酸を含み得る。
標識体 本明細書で使用される「標識体」は、核酸分子に結合することができ、尋問で検出することができる信号を生成するために使用することができ、前記標識体がなければ前記核酸によって生成される検出信号(又はその欠如)とは異なる物理的本体である。標識体は、核酸に結合した際に、前記核酸の存在を特定するために蛍光イメージングシステムで使用することができる蛍光インターカレーション色素であってもよい。別の例では、標識体は、メチル化ヌクレオチドに特異的に結合し、ナノポアを介して輸送される際に電流遮断信号を与え、従って、前記分子のメチル化状態に関する信号を報告する化合物によるものであり得る。別の例では、蛍光プローブが核酸の配列に特異的にハイブリダイズし、従って、配列が前記核酸上に存在することを蛍光イメージングシステムで確認することができる。幾つかの場合では、標識体の不在自体が信号である。幾つかの場合では、標識体に関連する信号は、別の標識体からの信号の減衰、遮断、置換、消光、又は修飾である。非限定的例としては、既存の結合蛍光体を置換するための暗黒標識体の核酸への結合、蛍光標識体の結合をブロックするための暗黒標識体の核酸への結合、核酸への蛍光標識体の結合の近傍の消光、蛍光を減じるための、核酸に結合した蛍光標識体との直接的又は間接的反応が挙げられる。幾つかの場合では、標識体は、前記核分子と標識体の尋問時に、核分子に物理的に付着していない。例えば、標識体は、切断可能なリンカーを介して核酸分子に付着させてもよい。所望の時点で、リンカーが切断され、前記標識分子が放出され、これが後に尋問によって検出される。
尋問 尋問は、標識体から直接的又は間接的に発生する信号を測定することにより、核酸上の標識体の状態を評価する過程である。これは標識体が存在するかしないかといった二値的な評価であってもよい。これは分子上に何個の標識体が存在するかといった定量的なものであってもよい。これは、分子の物理的構造に関して、分子の長さに沿った標識体の密度及び/又は物理的な数の追跡であってもよい。信号は、蛍光信号、電気信号、磁気信号、物理的信号、化学的信号のいずれであってもよい。信号は、本質的にアナログであってもデジタルであってもよい。例えば、信号は、核酸の長さに沿った標識体のアナログの密度プロファイルであってもよい。異なる尋問方法の非網羅的な例としては、蛍光イメージング、明視野イメージング、暗視野イメージング、位相差イメージング、超解像イメージング、電流、電圧、電力、容量性、導電性、又は反応性測定、ナノポアセンシング(ポアを介したカラム遮断とポアを横切るトンネルの両方)、化学センシング(例えば、反応を介して)、物理センシング(例えば、検出プローブとの相互作用)、SEM、TEM、STM、SPM、AFMが挙げられる。更に、異なる標識体及び尋問方法の組合せも可能である。例えば、核酸上のインターカレーション色素の蛍光イメージングを行いながら、前記核酸をナノ細孔に通し、細孔電流を測定する。
尋問領域 「尋問領域」は、尋問を行うデバイス内の領域である。
配列 「配列」又は「核酸配列」又は「オリゴヌクレオチド配列」という用語は、ヌクレオチド塩基の連続した文字列を指し、特定の文脈では、オリゴヌクレオチドに現れる場合、互いに対するヌクレオチド塩基の特定の配置も指す。
配列決定は、現在入手可能な様々なシステムによって行うことができ、例えば、限定されるが、Illumina、Pacific Biosciences、Oxford Nanopore、Life Technologies(Ion Torrent)、BGI。
相解析 「相解析」とは、父方染色体又は母方染色体のいずれかに遺伝子内容を割り当てる作業又は工程である。遺伝子内容は、核酸分子、配列、又は配列のセットからのコンセンサスであり得る。遺伝子内容は、配列内容が既知、未知、又は部分的に既知であり得る単一の核酸分子であり得る。例えば、核酸分子が母親に由来することが決定されても、当該分子の配列内容は完全に又は部分的に未知である。
幾つかの実施形態では、本開示の文脈内で、相解析は又、2つの別々の遺伝子内容が同じ母方又は父方染色体に由来するかを特定すること(しかしながら、どちらかは分からない場合がある);又は2つの別々の遺伝子内容が異なる染色体(一方は母方に、他方は父方に)に由来すること(しかしながら、この場合にもどちらに由来するかは分からない場合がある)を識別することを指す。「ゲノム相解析」の概念では、前記遺伝子内容は、父方、母方染色体、姉妹染色分体及び染色体外実体の文脈で一次直鎖核酸配列情報を分離することから更に拡大し、配列に関連するその天然のエピゲノム情報を含み、及び母方、父方染色体、姉妹染色分体、大ゲノム領域に対して基礎的な配列情報に付随する二次/三次/四次構造の次のレベルを含み、及び限定されるものではないが、ecDNA又は人工ミニ染色体など自然界に存在していた染色体外ゲノムを含み得る。
構造的変異 本明細書で使用する場合、「構造的変異」又は「SV」は、ゲノム参照に対する生物の染色体の構造の変異である。これらの変異には、挿入、欠失、倍加、逆位、転座、逆位短鎖・長鎖タンデム反復、再配列などを含む、多様な異なる変異事象が含まれる。これらの構造変異は、様々な異なる遺伝病と関連すると考えられていることから、科学的に大きな関心を集めている。一般に、構造変異の操作範囲は50bpを超える事象を含み、「大きな構造変異」は一般に1,000bp以上の事象を示す。構造変異の定義は、頻度又は表現型効果については何も示唆するものではない。
ゲノム参照 「ゲノム参照」又は「参照」は、別のゲノムデータセットと比較することができる任意のゲノムデータセットである。限定されるものではないが、配列データ、核型分析データ、メチル化データ、シス調節要素(CRE)マップなどのゲノム機能的要素データ、一次レベル構造変異マップデータ、高次核酸構造データ、物理マッピングデータ、遺伝子マッピングデータ、光学マッピングデータ、生データ、加工データ、シミュレーションデータ、電子的又は蛍光的に生成されたものを含む信号プロファイルを含む、任意のデータ形式が使用可能である。ゲノム参照は、複数のデータ形式を含んでもよい。ゲノム参照は、複数のデータセットからのコンセンサスを表す場合があり、これらのデータセットは、異なるデータ形式に由来する場合と由来しない場合がある。ゲノム参照は、生物若しくはモデルのゲノム情報の全体、又はサブセット、又は表現を含み得る。ゲノム参照は、それが表現しているゲノム情報の不完全な表現であってもよい。
ゲノム参照は、疾患若しくは障害状態がないことを示すゲノムに由来しても、又は疾患若しくは障害状態を示すゲノムに由来してもよい。更に、ゲノム参照(例えば。100bpより長い、1kbより長い、100kbより長い、10Mbより長い、1000Mbより長い長さを有する)は、1以上の点で、特定の特徴、特定のハプロタイプの存在(又は不在)、1以上の遺伝子変異、一塩基多型(SNP)、及びそれらの組合せを決定することを含む非限定的な例で特性決定を行うことができ、ゲノム参照から全体として存在するか存在しないことのみならず、隣接するゲノム内容によって定義されるようなゲノム参照の特定の領域からも存在するか存在しないことを指す。更に、ゲノム参照の配列特性の任意の適切なタイプ及び数を使用して、試料核酸の配列が、参照核酸配列と同様の特徴を示すかどうかに基づいて、障害又は疾患を示す核酸に由来する(又は由来しない)ように特徴付けることができる。
幾つかの場合において、ゲノム参照は物理マップである。これは、限定されるものではないが、生の単一分子のデータ、処理された単一分子のデータ、配列又はシミュレーションから生成された物理マップのin silico表現、複数の単一分子の物理マップのアセンブル及び/又は平均化することによって生成された物理マップのin silico表現、又はそれらの組合せを含む任意の数的方法で生成することができる。例えば、既知又は部分的に既知の配列に基づいて、使用される物理マップの生成方法に基づいて、シミュレーションされたin silico物理マップを生成することができる。物理マップが既知の配列における標識体を含む実施形態では、塩基対におけるセグメント長の離散型の順序付けられた集合を生成することができる。ある実施形態では、物理マップは、二重らせん間のシミュレーションされた局所的水素結合解離速度に基づく塩基対、ヌクレオチド配列及び予測機能要素データベースマップに基づく化学部分修飾、調節因子の会合又は構造的折りたたみパターンにおける、配列長に沿った標識信号密度の連続的アナログ信号を含む。
幾つかの場合において、ゲノム参照は、マイクロアレイ(例えば、DNAマイクロアレイ、MMChip、タンパク質マイクロアレイ、ペプチドマイクロアレイ、組織マイクロアレイなど)、又は核型、又はFISH解析から得られるデータである。幾つかの場合において、ゲノム参照は、3Dマッピング技術から得られるデータである。
幾つかの場合において、ゲノム参照との比較の特性決定は、プログラムされたコンピュータプロセッサの助けで完了することができる。幾つかの場合において、そのようなプログラムされたコンピュータプロセッサは、コンピュータ制御システムに含まれ得る。
物理マッピング 核酸の「物理マッピング」又は「マッピング」は、長い核酸分子の物理的断片からゲノム、エピゲノム、機能、又は構造情報を抽出する様々な方法を含み、抽出された情報は、分子上の物理的座標と関連付けることができる。原則として、得られた情報は、実際の基礎的配列情報よりも低い分解能であるが、これらの2種類の情報は、分子内で空間的に相関しており(又は反相関しており)、そのため、前者は、核酸に沿った物理的位置に関して配列内容の「マップ」を提供することが多い。幾つかの実施形態では、マップと基礎的配列との間の関係は直接的であり、例えば、マップは、分子の長さに沿ったAG内容の密度、又は特定の認識配列の頻度を表す。幾つかの実施形態では、マップと基礎的配列との間の関係は間接的であり、例えば、マップは、タンパク質と共に構造体に封入された核酸の密度を表し、これは、次に少なくとも部分的に基礎的配列の関数となる。幾つかの実施形態では、物理マップは線形物理マップであり、抽出された情報は、軸の長さに沿って割り当てられることができ、例えば、長い核酸分子の長軸に沿ったAT/CG比がある。好ましい実施形態では、線形(又は1D)物理マップは、長い核酸分子の長軸の伸張された部分に沿って結合している標識体を尋問することによって生成される。明確にするために、コイル状態で3D空間を占める文字列は、直線として表すことができ、従って、3Dコイルに沿って抽出された値は、文字列の1D表現に沿ったビニング値として表すことができ、従って、線形物理マップを構成する。幾つかの実施形態では、物理マップは、抽出された情報が分子を含む平面内で割り当て可能な2D物理マップであり、例えば、核型分析である。幾つかの実施形態では、物理マップは3D物理マップであり、抽出された情報は、分子が占める3D体積内に割り当てることができる。例えば、OligoFISSEQで実証されたように染色体内のタグの位置を(x,y,z)空間で特定する超解像技術によるタグ付け[Nguyen, 2020]、又はin-situゲノムシークエンシング[Payne, 2020]が挙げられる。
第1の最も広く使用されている物理マップの形態が核型分析であり、中期染色体が、AT又はCG領域に優先的に結合し、従って、核酸の構造及びエピゲノムパターンと同様に、基礎的配列と相関する「バンド」を生成する染色法で処理される[Moore, 2001]。しかし、このような方法の分解能は、ヌクレオチド配列に関して、イメージングされる核酸の凝集性のために約5~10Mbp程度と極めて悪い。伸長した間期のゲノムDNAの線形マッピングを用いるより最近の方法は、既知の制限部位で消化した核酸のイメージング[Schwartz, 1988, 6,147,198](例えば、図1(A)参照)、ニッキング部位に付着した蛍光プローブのイメージング[Xiao, 2007](例えば、図01(B)参照)、核酸分子のメチル化パターンの蛍光シグネチャーのイメージング[Sharim, 2019]、クロマチンのヒストンの蛍光シグネチャーのイメージング[Riehn, 2011]、センサーによる核酸への結合プローブの電気検出[Rose, 2013,2014/0272954]、及びナノポアセンサーを用いる核酸上のメチル化シグネチャーの電気検出[Rand, 2017]によって生み出されている。線形物理マッピングの別法は、伸張された核分子の長さに沿ってAT/CG相対密度又は局所的融解温度を測定することである(例えば、図1(C)参照)。このような信号は、他の類似のマップと比較するため、又は配列データからin-silicoで生成したマップと比較するために使用することができる。このような信号を生成する方法は数多くある。例えば、信号は本質的に蛍光性又は電気的なものであり得る。核酸をインターカレーション色素で均一に染色した後に部分的に融解すると、AT含量が豊富な領域で色素が相対的に失われる[Tegenfeldt, 2009, 10,434,512]。もう一つの方法は、二本鎖核酸を、核酸に結合しようと競争する2つの異なる種に曝すことである。一方の種は非蛍光性でATリッチ領域に優先的に結合し、他方の種は蛍光性でそのような偏りはない[Nilsson, 2014]。更に別の方法として、AT領域とCG領域を区別して標識する2つの異なる色の色素を使用するものがある。
このような非凝縮性の間期核酸ポリマー鎖を用いたマッピングは、一次配列情報の分解能を向上させたが、これらのマップは、天然の構造的折りたたみ又は結合した支持タンパク質情報を除き、多くの潜在的に不均質な細胞を有するプールされた試料のバルク溶液から抽出されることが多い。最近では、染色体の特定の位置に付着させた蛍光タグが尋問されて染色体内の相対的な位置を三次元空間で決定する3D物理マップが実証されている。
図1は、長い核酸分子の線形物理マップを生成し、尋問するための様々な異なる実施形態を示す。図1(A)では、長い核酸分子104の物理マップは、特定の配列部位(例えば、制限酵素の認識部位)で分子を切断することによって生成され、従って、切断事象が行われたギャップ105が生じる。分子の長さに沿って色素を非特異的に付着させ(例えば、インターカレーション色素を使用)、親分子を起源とする子分子が尋問され、親分子の物理的長さ(0106)に従った信号101を生成することができる。次に、この信号を使用して、個々の子分子{103-x}の長さと順序を決定し、親分子の物理マップを生成することができる。この方法のほとんどの実施形態では、親分子は、子分子の物理的近接性及び相対的順序を維持するように、表面上にコーミングされ、次に切断される。しかしながら、このような実施形態は、子分子の順序を尋問できるように、閉じ込められた流体デバイスの伸長チャネル内で少なくとも部分的に伸長された状態で実施することもできる[Ramsey, 2015, 10,106,848]。幾つかの実施形態では、異なる切断部位の混合物が同時に使用され得る。
図1(B)において、長い核酸分子114の物理マップは、分子の長さに沿って標識体115をまばらに結合させることによって生成され、結合部位が特定の標的のセットと相関(又は反相関)している。幾つかの方法では、標識体は、配列モチーフ標的に直接結合される。幾つかの方法では、信号を生成する標識体は、配列特異的なニック部位を介して組み込まれる。標識体を有する長い核酸分子は尋問され、分子の物理的長さ116に沿って標識体115から信号111を生成する。次に、信号間の距離、長さと次数{113-x}の集合が、分子の物理的マップを表す。幾つかの実施形態では、様々な標識部位からの信号112の相対的な大きさをも解釈することによって、更なる情報を生成することができる。蛍光尋問が使用される場合、異なる特定の部位を表すために異なる色の標識体を使用することができる。
図1(C)において、長い核酸分子124の物理マップは、分子の長さに沿って標識体125を密に結合させることにより、結合パターンが分子の基礎的物理配列内容と相関する(又は反相関する)ように生成される。例えば、相対的AT/CGの含量、又は相対的な融解温度、又はメチル化CGの相対的密度などである。この方法における標識体の密な性質のため、物理マップは、長さと次数の集合ではなく、分子126の物理的長さに沿って強度が変化するアナログ信号121である。
物理マップを生成するための尋問方法は、典型的には蛍光イメージングであるが、表面上のコーミング分子の長さに沿った走査プローブ、又は分子が移動する際に狭窄部を通るクーロン遮断電流又はトンネル電流を測定する狭窄デバイスを含む異なる実施形態も又可能である。
特に断りのない限り、物理マップは、それらの組合せを含む、先に述べた方法のいずれかを指す。例えば、長い核酸分子は、分子の長さに沿った蛍光標識体によるAT/TC密度から生成された物理マップを有し、更に分子が前記狭窄装置を通って輸送される際に、狭窄デバイスによる分子の長さに沿ったメチル化プロファイルから生成された物理マップを有してもよい。
伸長された核酸 蛍光イメージング又は電子信号を使用して、基礎的ゲノム、構造、又はエピゲノム内容に関連する信号を抽出する線形物理マッピング法の大部分は、伸長領域における物理マッピングの分解能を改善し、曖昧さを低減できるように、長い核酸分子を少なくとも局所的に「伸長」させる何らかの形式の方法を採用している。溶液中の天然状態の長い核酸分子は、ランダムコイルを形成する。そのため、分子を「ほぐし」、伸長させるための様々な方法が開発されてきた。
長い核酸分子の一部を官能基化した固体表面に結合させることにより、溶液を流すことで分子を伸長させ、最終的にぴんと張り、基板表面と完全に接触させる[Bensimon, 1997, 7,368,234]、この手法は一般にDNA「コーミング」と呼ばれる。或いは、末端が表面に係留された状態での流体流動による伸長[Gibb, 2012]、層流による水溶液流体力学的収束[Chan, 1999, 6,696,022]、又はナノチャネルの閉じ込めによる線形化[Tegenfeldt, 2005]、マイクロ流体デバイス内の長い核酸分子を物理的な障害物フィーチャーの存在下で2つの角度のついた対向する電場力によって引っ張る[Volkmuth, 1992]、流体デバイス内で、2つの対向する外力に同時に曝すことにより分子を流体力学的に捕捉する[Tanyeri, 2011]などの、他の長いポリマーを伸長させる方法がある。ほとんどの場合、核酸の少なくとも一部が持続的な外力なしに物理的な閉じ込めによって伸長状態に保持されない限り、そうでなければ天然のランダムコイル状態に戻る前に、長い核酸分子の少なくとも一部の伸長状態が外力によって持続されなければならない[Dai, 2016]。
特に断りのない限り、「伸長した」又は「部分的に伸長した」核酸は、少なくとも1kbを含む分子の長軸の少なくとも1つのセグメントが2D平面に対して投影でき、それ自身と重ならない長い核酸断片である。明確にするために、例えば、核酸がヒストンと共に圧縮されたクロマチン中に収容されている場合のように、長い核酸が付加的な構造を含む実施形態では、長軸は、核酸鎖自体ではなく、より大きなクロマチン分子を指す。従って、本開示において、長い核酸分子に言及する場合の「分子の長さに沿って」などの記述は、長軸の長さに沿うことを指す。
3Dマッピング 本明細書において「3Dマッピング」とは、同じ染色体であるか否かを問わず、少なくとも2本の核酸鎖の近接関係を捕捉することを含むプロトコールを指す。参照として、[Kempfer , 2020]及び[Szabo, 2019]は、これらの様々な技術を検証し、そのうちの非網羅的リストには、以下のものが含まれる:3C、4C、5C、Hi-C、TCC、PLAC-seq、ChIA-PET、Capture-C、C-HiC、Single-Cell HiC、GAM、SPRITE、ChIA-Drop。
結合 「結合」は、本明細書で使用する場合、一般に、2つの実体(本明細書では「結合パートナー」と呼ぶ、例えば、基質と酵素、又は抗体とエピトープ)間の共有結合性又は非共有結合性の相互作用を指す。2つ以上の実体の間の化学的結合は何れも結合であり、限定されるものではないが、共有結合、シグマ結合、パイ結合、イオン結合、双極子結合、金属結合、分子間結合、水素結合、ファンデルワールス結合が挙げられる。「結合」は一般的な用語であるため、以下は全て結合の種類の例である:「ハイブリダイゼーション」、水素結合、小溝結合、大溝結合、クリック結合、アフィニティー結合、特異的結合及び非特異的結合。
固定化 本明細書で使用される場合、用語「固定化」は、共有結合又は非共有結合を介して基板に直接又は間接的に付着した分子、又は物理的な閉じ込めによる静止状態又は外力によって静止状態で保持された分子を指して使用される。基板への間接的な付着は、少なくとも1つの付加的中間分子又は本体を介してもよい。特定の実施形態では、共有結合を用いることができるが、必要とされるのは、使用に意図される条件下で、分子が基板に共局在化したままであることである。非限定的な例としては、分子全体が基板に対して静止している、又は分子の一部が基板に対して静止しており、分子の残りの部分は限られた動きの自由度を有する、又は分子が仲介物を介して間接的に基板に付着し、分子全体がある程度限られた動きの自由度を有する。例えば、オリゴヌクレオチドの基板への固定化は、前記オリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを介して行われ、前記第2のオリゴヌクレオチドは少なくとも部分的に第1のオリゴヌクレオチドとの相補配列を含み、それ自体が基板に固定化されている。
特定の実施形態では、分子は物理吸着を介して表面に固定化されてもよい。
特定の実施形態では、分子は、生体分子、核酸分子、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
特定の実施形態は、例えば、ポリヌクレオチドなどの生体分子への共有結合を可能にする反応性基を含む中間材料の層又はコーティングの適用によって官能基化された基板を使用することができる。
例示的な結合例としては、クリックケミストリー技術、非特異的相互作用(例えば、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス相互作用など)又は特異的相互作用(例えば、親和性相互作用、受容体-リガンド相互作用、抗体-エピトープ相互作用、アビジン-ビオチン相互作用、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用、レクチン-糖質相互作用など)が挙げられる。例示的な結合機構は、米国特許[Pieken, 1998, 6,737,236];[Kozlov, 2003, 7,259,258];[Sharpless, 2002, 7,375,234]及び[Pieken, 1998, 7,427,678];及び米国特許公開[Smith, 2004, 2011/0059865]に記載されており、これらはそれぞれ本明細書の一部として援用される。
表面エネルギー 流体の表面張力は、表面に平行で、表面を伸張させることに対向するエネルギーである。表面張力と表面エネルギーはしばしば互換的に使用される。ここでは、表面エネルギーは、表面を濡らすのに必要なエネルギーとして定義される。最適なウィッキング、ウェッティング、及びスプレッディングを実現するためには、流体の表面張力を低下させ、濡らそうとする表面の表面エネルギーよりも小さくする。流体デバイスのチャネルを通る流体のウィッキング運動は、毛細管流によって生じる。毛細管流は、液体分子間の凝集力と液体とチャネル壁との間の付着力に依存する。ヤング/ラプラス方程式は、流体の重量とチャネルを通ってそれを押し出す力との圧力差が等しくなるまで、流体がチャネル又はカラム内を上昇することを表す[Moore, 1962] Walter J. Moore, Physical Chemistry 3rd edition, Prentice-Hall, 1962, p. 730。
Δp=(2γ cosθ)/r ここで、Δpは表面を横切る圧力差であり、γは液体の表面張力であり、θは液体とチャネル壁との接触角であり、rは円柱の半径である。毛管上昇をh、ρを液体の密度とすると、カラム内の液体の重量はπr2ghρ、又は圧力差に釣り合う単位面積あたりの力はghρとなり、従って
(2γ cosθ)/r=ghρとなる。毛細管チャネルを最大に流れるためには、チャネルの半径が小さく、接触角θが小さく、流体の表面張力γが大きくなければならない。この現象を理論的に説明すると、接触角θと液体-蒸気界面の表面張力γLV、固体-蒸気界面の表面張力γSV、液体-蒸気界面の表面張力γSLの関係を記述したヤングの方程式(γSV=γSL+γLV cosθ)として知られる古典モデルで説明することができる。液体と固体の接触角θが0又は0に近い場合、液体は固体上に広がる。接触角測定試験は、固体の比較表面張力を測定するための客観的かつ簡便な方法として使用されている。一般に、この試験で接触角が90°を下回ると、親水性であると見なされる。接触角が90°を上回ると疎水性であると見なされる。
分子コーミング 本明細書で定義される「分子コーミング(molecular combining)」又は「コーミング」とは、高分子、特に核酸分子の少なくとも一部を、基板表面、又は基板表面の多孔質膜内に固定化する方法を指し、これにより高分子の少なくとも一部が、前記基板表面と実質的に平行な平面内で伸張される。伸張された部分は、基板に完全に固定化することもできるし、又は当該部分の少なくとも一部がある程度の自由度を有する。幾つかの実施形態では、分子の少なくとも一部は、前記基板の表面に平行な多孔質材料膜内で伸張されるか、又は分子の少なくとも一部は、前記基板の表面に平行な多孔質材料膜の上面で伸張されるか、又は分子の少なくとも一部が伸張され、2点間に吊り下げられる。幾つかの実施形態では、基板表面は、流体デバイスの少なくとも一部である。
一実施形態では、単一の核酸分子は、修飾された表面(例えば、シラン化ガラス)に一方又は両方の端部(又は一方若しくは両方の端部に近接した領域)によって結合し、その後、後退する空気/水界面によって実質的に均一に引き伸ばされ、整列させられる。Schurra and Bensimon (2009) “Combing genomic DNA for structure and functional studies.”. Methods Mol. Biol. 464: 71-90;又米国特許[Bensimon,1995,7,122,647]を参照しこれらの両方はその全内容が本明細書の一部として援用される。
完全に伸展した核酸分子のパーセンテージは、核酸分子の長さと使用した方法に依存する。一般に、表面に伸展させた核酸分子が長いほど、完全な伸展を達成することが容易となる。例えば、[Conti, 2003]によれば、10kbのDNA分子の40%以上が、毛細管流のある条件下で定常的に伸長できたが、4kbの分子は同じ条件を用いて20%しか伸長できなかった。より短い核酸断片の場合、カバーガラスをスライドに落として流れを強くすれば、伸展の質を向上させることができる。しかし、このアプローチは、長い核酸断片をより短く剪断する可能性があり、従ってより長い分子の伸展には適さないかもしれない。例えば、[Conti, 2003 ]Conti, et al. (2003) Current Protocols in Cytometry John Wiley & Sons, Inc.、[Gueroui, 2002] Gueroui, et al. (Apr.30, 2002) “Observation by fluorescence microscopy of transcription on single combed DNA.” PNAS 99(9): 6005-6010参照、これらの両方はその全内容が本明細書の一部として援用される。又、全内容が本明細書の一部として援用される[Bensimon,1994,5,840,862]、[Bensimon,1995,WO 97/18326]、[Bensimon,1999,WO 00/73503]、[Bensimon,1995,7,122,647]も参照。その全内容が本明細書の一部として援用される[Lebofsky, 2003] “Single DNA molecule analysis: applications of molecular combing.” Brief Funct. Genomic Proteomic 1: 385-96。
幾つかの実施形態では、長い核酸分子は、一端で基板に取り付けられ、様々な弱い力(例えば、電気力、表面張力、又は光学力)により伸展される。この実施形態では、核酸分子の一端は、まず表面に固定される。例えば、分子は、吸着によって疎水性表面(例えば、改質ガラス)に付着させることができる。固定された核酸分子は、後退するメニスカス、蒸発、又は窒素ガス流によって伸展させることができる。例えば、全内容が本明細書の一部として援用される[Chan,2006]“A simple DNA stretching method for fluorescence imaging of single DNA molecules ” Nucleic Acids Research 34(17):e1-e6参照。
本明細書に記載の一般的な方法において、分子の一端が延伸中に表面に結合され、核酸は、核酸の結晶学的長さの1.5倍の倍率で延伸され得る。特定の理論に縛られるものではないが、核酸分子の末端は、イオン化可能な基のpKaを下回るpHで修飾基板(例えば、シラン化ガラス板)をコーティングするイオン化可能な基に結合する(例えば、核酸分子の末端と相互作用するのに十分な電荷を持つように)ほつれ(例えば、開いて極性基を露出する)と考えられている。二本鎖の核酸分子の残りの部分は、これらの相互作用を形成することができない。メニスカスが収縮すると、表面保持力により核酸分子を液相に保持する力が働くが、この力は核酸分子の付着の強度より劣るため、結果として核酸分子は気相に入る際に伸展され、この力は気相/液相の局所に働くため、溶液中の核酸分子の長さ又はコンフォメーションの違いに対して不変であり、従ってどのような長さの核酸分子もメニスカスの収縮に伴って同じように伸展される。この伸展は核酸分子の長さに沿って一定であるため、鎖に沿った距離は塩基含量と関連付けることができる。
別の実施形態では、核酸分子は、長い核酸分子を緩衝液の液滴に溶解し、基板を流下させることによって伸展される。更なる実施形態では、長い核酸分子は、アガロース、又は他のゲルに包埋される。その後、核酸を含むアガロースを融解し、基板に沿ってコーミングする。
別の実施形態では、分子は、少なくとも1つの特定の点で基板に取り付けられ、分子の残りの部分に実質的な量の自由度を与えて、分子における伸長の部分が、基板の表面に実質的に平行である方向で分子に外力を適用することによって得られるようにする。このような実施形態の例としては、付着点が制御された方法である「DNAカーテン」[Gibb,2012]、又は付着点は、例えば[Craighead,2011,特許9,926,552]に示されるような柱などの流体フィーチャーと分子の相互作用を介してランダムになり得るものが挙げられる。
幾つかの実施形態では、分子コーミングは、デバイス内で伸長した後、分子がデバイスの表面上、又はデバイスの表面上の多孔質膜内に伸長した状態で提供されるように、流体デバイス内で分子を伸長することによって生成される流体流を用いて行うことができる。一実施形態では、分子は、閉じ込め寸法、外力、物理的障害物との相互作用、官能基化表面との相互作用、又はそれらの組合せを含む、本開示の他所に記載される方法によって分子を伸長させることができる伸長チャネルを介して伸長される。幾つかの実施形態では、輸送溶液の蒸発後、分子が伸長した状態でデバイスの表面に少なくとも部分的に固定化されるように、デバイスの流体チャネルは完全に閉じ込められない。好ましくは、幾つかの実施形態では、デバイスの流体チャネルの断面は、三角形のテーパー形状であり、上部により広い開口部と無限に狭い底部を有し、実質的に閉鎖されているか、又は完全には閉鎖されておらず、輸送溶液の蒸発後に、浮遊分子がますます狭くなる閉じ込め底部に向かって引き下ろされてますます伸張され、少なくとも少量の溶液中に閉じ込められるか、又は線形化状態でデバイスの表面に部分的に固定化されるようになる。好ましくは、デバイスの流体チャネルの断面が三角形のテーパー形状であり、上部に広い開口部と無限に狭い底部を有するそのような実施形態では、がますます狭くなる閉じ込め底部に向かって引き下ろされてますます伸張され、超閉じ込められた少量の溶液中で線形化され、又はデバイスの表面に固定化された浮遊分子は、超高解像度又は超解像度のイメージング又は尋問に適合する。幾つかの実施形態では、図2に示すように、分子205は、マイクロ流体デバイス(204)の閉じ込められた伸長チャネル内で伸長され、ここでは、閉じ込め環境及び/又は伸長の促進を補助する物理的障害物(203)を提供するチャネル寸法(202)を有している。次に、マイクロ流体デバイス内の分子を取り囲む溶液内のゲル化材料がゲル化される。最後に、分子(215)は、分子をゲル膜内に維持しながら屋根(201)の除去によって、又は多孔性屋根材料を使用することによって、デバイスの表面に接近できるようにする。
マイクロ流体デバイス 「マイクロ流体デバイス」又は「流体デバイス」という用語は、本明細書で使用する場合、一般に、流体輸送及び/又は流体を介した本体の輸送のために構成され、約100ミクロン以下の少なくとも1つの最小寸法で流体が流れ得る流体チャネルを有するデバイスを指す。最小寸法は、長さ、幅、高さ、半径、又は断面軸のいずれであってもよい。マイクロ流体デバイスは又、複数の流体チャネルを含むこともできる。マイクロ流体デバイスの所定の流体チャネルの寸法は、例えば、チャネル及び/又はチャネルとデバイスに含まれる他のフィーチャーの構成によって異なり得る。
本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスは又、例えば、流体流調節器(例えば、ポンプ、圧力源など)、流体チャネルの詰まりを防止する助けをする特徴(例えば、チャネル内の漏斗特徴;チャネル間に配置されたリザーバ、流体チャネルに流体を供給するリザーバなど)及び/又は例えばフィルターなどの流体流からゴミを除去するなどの、流体フローの調節を助けることができる任意の付加的構成要素を含むことができる。更に、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体チャネルの配列に流体を供給する1以上のリザーバを含み、又、マイクロ流体デバイスを通過した流体を受け取る1以上のリザーバを含む流体チップとして構成されてもよい。更に、マイクロ流体デバイスは、ポリマー種及びガラス、又は多相不混和媒体のカプセル化によって形成されたチャネル及びキャビティを含む任意の適切な材料で構築され得る。マイクロ流体デバイスは、液滴を生成するための多数のマイクロチャネル、バルブ、ポンプ、リアクター、ミキサー及び他の構成要素を含むことができる。マイクロ流体デバイスは、アクティブ及び/又はパッシブセンサー、電子及び/又は磁気デバイス、統合光学系、又は官能基化表面を含み得る。マイクロ流体デバイスのチャネルを画定する物理的基板は、固体又は可撓性、透過性若しくは不透過性、又は場所及び/又は時間によって変化し得るこれらの組合せであり得る。マイクロ流体デバイスは、少なくとも1つの波長の光に対して少なくとも部分的に透明である材料、及び/又は少なくとも1つの波長の光に対して少なくとも部分的に不透明である材料で構成され得る。
マイクロ流体デバイスは、一般に、何らかの所望の結果を達成するために、溶液中に含まれる試料を操作するように設計され、操作される。試料は、例えばピペットを使用して手動で、又は例えば自動液体処理システムを介して自動化された方法でデバイスにロードすることができる。更に、緩衝液及びや試薬を含む様々な他の溶液を、試料入力と同時に、又は別々に、異なる入口及び/又は異なる時点に添加することができる。幾つかの場合では、マイクロ流体デバイスは、内部に液体及び試薬を収容した状態で製造される。
マイクロ流体デバイスは、内部に収容される所望の試料に対して動作するために必要な全ての機能を備えた完全に独立したものであり得る。操作は、毛細管圧を用いるなど、流体流を操作するような完全に受動的なものであってもよいし[Junker, 2002]、又は電池などの内部電源を含んでもよい。或いは、流体デバイスは、電力、電圧、電流、磁場、圧力、真空、光、熱、冷却、センシング、イメージング、デジタル通信、カプセル化、環境条件などの任意の組合せを提供できる外部デバイスの助けで作動させてもよい。外部デバイスは、スマートフォンなどのモバイルデバイス、又はより大きなデスクトップ型デバイスであってもよい。
チャネル内の流体の閉じ込めは、流体が一定期間、流体デバイス内又はデバイス上に規定されたフィーチャー内に又はフィーチャー上に維持され得る任意の手段によることができる。ほとんどの実施形態では、流体は、チャネル壁の固体又は半固体の物理的境界によって収容される。図3は、矩形(302)、三角形(303)、楕円(304)、及び混合幾何学(305)などの断面を有するチャネル壁が全て流体デバイス(301)内に規定されている例を示す。他の実施形態では、流体デバイス内の流体の閉じ込めは、表面エネルギーフィーチャーと組合せた固体の物理的フィーチャー[Casavant, 2013]、又は非混和性流体[Li, 2020]を介して少なくとも部分的に収容され得る。物理的境界内に少なくとも部分的に閉じ込められる流体の例としては、溝(307、308)及び矩形(309、310)などの流体デバイスの表面(306)に物理的に規定された様々なチャネルがあり、これらは全て、表面張力によって液体をチャネル内に物理的に維持し、オーバーフローさせない、十分に最小量の液体が充填されている。他の実施形態では、チャネル(311)は、流体デバイスの角(312)の溝によって画定され得るか、又はチャネル(314)は、流体デバイスの2つの物理的に分離した境界(313及び315)によって画定され得るか、又はチャネル(321)は、流体デバイスの角(320)により画定され得る。他の実施形態では、チャネル(317)は、流体デバイス(316)の表面上の親水性セクション(318)によって画定され、それによって親水性セクションは、流体デバイスの表面上の疎水性セクション(319)によって境界が定められる。全ての場合において、これらの実施形態は非限定的な例である。
幾つかの実施形態では、流体デバイスは、「エレクトロウェッティングデバイス」又は「液滴マイクロアクチュエータ」を含み、これは、局所電場の特定の適用を介して流体デバイス内で制御された液滴の動作が可能なマイクロ流体デバイスの一種である。このようなデバイスの非限定的な例としては、開放表面で空気に囲まれた液滴、及び2つの表面の間に挟まれた油に囲まれた液滴がある。使用の様々な構成、及び液滴制御の物理学の詳細な総説は、[Mugele, 2005]及び[Zhao, 2013]によって提供され、両方とも本明細書の一部として援用される。
本明細書に記載される原理及び設計特徴の幾つかは、ミリメートル又はセンチメートルスケールのチャネル断面に達するチャネル及びフィーチャーを採用するデバイス及びシステムを含むより大きなデバイス及びシステムにスケールアップすることができると理解されるべきである。従って、幾つかのデバイス及びシステムを「マイクロ流体」として記載する場合、特定の実施形態において、幾つかのより大きなスケールのデバイスにも同様に当てはまることが意図される。更に、本明細書に記載される原理及び設計特徴の幾つかは、数100ナノメートル、又は更には数10ナノメートル、又はシングルナノメートルのスケールのチャネル断面であるチャネル及びフィーチャーを採用するデバイス及びシステムを含むより小さいデバイス及びシステムとすることができると理解されるべきである。従って、幾つかのデバイス及びシステムを「マイクロ流体」として記載する場合、特定の実施形態において、幾つかのより小さいスケールのデバイスにも同様に当てはまることが意図される。一例として、あるデバイスは、直径数ミリメートルのピペットからの液体のロードに対応する入力ウェルを有する場合があり、これは長さ数センチメートル、幅数100ミクロン、深さ数100nmのチャネルと流体連通しており、これが次に直径0.1~10nmのナノポアの狭窄デバイスと流体連通している。
本発明の特定の態様によれば、様々な材料及び方法を使用して、本明細書に記載されるような物品又は構成要素、例えば、マイクロ流体チャネルなどのチャネル、チャンバーなどを形成することができる。例えば、様々な物品又は構成要素を固体材料から形成することができ、チャネルは、マイクロマシニング、成膜法(スピンコーティング及び化学蒸着など)、レーザー加工、フォトリソグラフィー技術、接合技術、蒸着技術、積層技術、成形技術、エッチング法(湿式化学又はプラズマ法を含む)、多相不混和媒体カプセル化などによって形成することができる。パターン化には、限定されるものではないが、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、ナノインプリントリソグラフィー、AFMリソグラフィー、STMリソグラフィー、集束イオンビームリソグラフィー、スタンピング、エンボス、モールド、及びディップペンリソグラフィーを含む様々な方法を採用することができる。接合には、限定されるものではないが、熱接合、接着剤接合、界面活性化接合、融着接合、陽極接合、プラズマ活性化接合、レーザー接合、及び超音波接合を含む様々な方法を採用することができる。
一組の実施形態では、本明細書に記載の物品の様々な構造又は構成要素は、ポリマー、例えば、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」又はTeflon(登録商標))などのエラストマーポリマーから形成することができる。例えば、一実施形態によれば、PDMS又は他のソフトリソグラフィー技術を使用して流体システムを個別に作製することによって、マイクロ流体チャネルを実装してもよい[Xia, 1998、Whitesides, 2001]。
潜在的に好適なポリマーの他の例としては、限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリマー、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン、ポリ塩化ビニリデン、ビス-ベンゾシクロブテン(「BCB」)、ポリイミド、ポリイミドのフッ化誘導体などが挙げられる。又、上記のものを含むポリマーを含む組合せ、共重合体、又はブレンドも想定される。又、デバイスは、例えば、ポリマーと半導体材料との複合材料などの複合材料から形成されてもよい。デバイスは、ガラス、ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、石英から形成されてもよい。デバイスは、混合された、結合された、積層された、層とされた、接合された、連結された、又はこれらの組合せである異なる材料の組合せから形成されてもよい。
フィーチャー 特に断りのない限り、「フィーチャー」は、少なくとも1つの境界によって画定される流体デバイス内又は流体デバイス上の領域である。幾つかの実施形態では、境界は、パターン化によって画定される。幾つかの実施形態では、境界は、例えば、角、曲線、辺、点、窪み、変曲点、丘などの物理的トポロジーの変化であり得る。従って、例えば、フィーチャーは、チャネル、壁、ピット、ホール、柱、ウェル、床、屋根であり得る。幾つかの実施形態では、境界は、例えば、絶縁材料に面した導電性材料、又は酸化ケイ素材料に面した窒化ケイ素材料など、材料組成又は特性の変化であってもよい。従って、フィーチャーは、PMMAに包埋された磁気キューブ、又はガラス表面のポリスチレンビーズであり得る。幾つかの実施形態では、境界は表面特性の変化であってよく、例えば、境界は、親水性表面に面した疎水性表面、又は官能化表面に面した非官能化表面であってもよい。従って、フィーチャーは、親水性COC表面上の疎水性経路、非官能基化表面間の官能基化細胞接着パターン、又は酸化ケイ素基板表面上に光切断可能なバーコードを導入した円であってもよい。
物理的障害物 特に断りのない限り、「物理的障害物」とは、適用される力の存在下で、長い核酸分子が物理的に相互作用し、分子の物理的コンフォメーション又は位置が、前記物理的障害物が存在しなかった場合とは異なるような、流体デバイス内の物理的フィーチャーである。非限定的な例としては、柱状物、角、ピット、トラップ、障壁、壁、バンプ、狭窄、拡大がある。物理的障害物は、流体チャネルと物理的に連続である必要はなく、デバイスに付加的であってもよく、非限定的な例としては、ビーズ、ゲル、粒子が挙げられる。
エントロピー障壁、エントロピー傾斜、及びエントロピートラップ ナノ又はマイクロ流体デバイスの特定の領域は、(a)デバイスの幾何学的形状が、目的の分析物のサイズ以下の程度で不均一なフィーチャーを含み、(b)分析物の凝集サイズ、拡張形状又はコンフォメーションに依存する方法で、フィーチャーの周り又はフィーチャーを通る分析物の拡散又は流れが著しく阻害又は遅延される場合、「エントロピー障壁」と定義するものとする。更に、「エントロピートラップ」とは、流体デバイスにおいて、全ての流体接続が直ちにエントロピー障壁を通過し、静止したままであれば、トラップを占有する物体が局所的に最も低いエネルギー状態にあるため、目的の分析物がトラップに留まる領域と定義される。エントロピートラップの定義は、物品を保持したり、デバイスを通過する進行をブロックするために継続的なエネルギー供給を必要とせず、物品を解放したり障壁を通過させるためにエネルギーを必要とする、本質的に受動的なトラップに制限される。この定義は、ポケット、狭窄、閉じ込め、及び物理的障害などのフィーチャーを流体デバイスに作製することによって作成されるトラップに更に限定され、それらは、その幾何学的形状、ひいてはリソグラフィーアートワーク及び処理パラメーターによって一部又は全部を定義することができる。
エントロピートラップは、パッケージ、長いポリマー鎖分子及び更には対象とする長いポリマー鎖分子の部分領域さえ、空間的に保持及び位置させることを可能にする。簡潔となるように、これらの物体は全て、閉じ込め流体デバイス要素にあるときにその物理的なコンフォメーションが変化し得るという点で変形可能な物体と呼ばれ、エントロピートラップと障壁に関してそれらの一般的な挙動を支配する多くの類似性を共有する。しかし、それらの類似性が分岐する場合、又は特定の物体に関連する対象とする特定のフィーチャーが参照されることが望ましい場合、その特定物体は本明細書に言及される。
変形可能な物体は、緩衝液又は周囲の流体を低速で流すと、トラップ内又はバリアを超えずに留まり、反応などのために化学環境を変化させることが可能である。更に、トラップは、その中に捕捉された変形可能な物体の物理的コンフォメーションの変化に影響を与えるように設計することができる。様々なトラップの幾何学は見かけ上は似ているが、その動作原理は、トラップと捕捉される変形可能な物体のサイズと組成、並びにそれらを囲む流体デバイスの化学的・局所的環境に基づいて著しく異なり得る。それに応じて、動作方法も異なる。トラップ動作の正確な機構は、物理学的研究の豊富で継続的な領域であるが、ほとんどの場合、その使用の基礎となるマルチスケール物理現象を詳細に理解しなくても、幾何学及び使用方法によって定義されるトラップの利点を享受することができる。無傷の細胞又は液滴を拘束するためのトラップなどのより大きなトラップは、捕捉される物体の弾性変形に依存しているが、そのような物体も同様に、トラップを占有する際に局所のエネルギー最小値を持ち、変形可能な物体が任意の特定のエントロピー障壁を通過できる以上の最小適用力が存在するために、本開示では一貫してエントロピートラップと呼称する。これは完全に作為的なものではなく、弾性はとりわけエントロピー的な力の巨視的な現れである。同様に、油滴/水滴システムに関しても、エントロピートラップは水滴の運動と挙動を操作するために使用することができ、表面張力エネルギーの最小化によって駆動されると理解される。
エントロピートラップ及び障壁は、変形可能な物体を操作するための流体デバイスを作成するために配置することができる幅広い構成ブロック系列を形成している。これらは、変形可能な物体及び様々な試薬を移動させるチャネル、チャネルを結合又は分割するマニホールド、及び変形可能な物体の観察を容易にする尋問領域などの、他の構成要素を補完する。又、クロマトグラフィーの分野で理解されているように、変形可能な物体と流体デバイスの表面、又はクロマトグラフィー樹脂若しくはビーズなどの機械的に拘束された付属品の表面との間の化学引力を利用し、デバイスを通過する移動相中の変形可能な物体の流れを遅らせるように機能する固定相材料も補完する。エントロピートラップ及び障壁は、しばしばチャネル及び/又は尋問領域の交差点に見られ、チャネル及び尋問領域、定義された表面化学又は他の構成要素を備えた領域の内部に又は隣接して配置することができる。流体デバイスの特定の部分は、エントロピートラップ又は障壁の質並びに別のタイプの構成ブロックの質を有することができる。
エントロピートラップの閉じ込めエネルギーは、古典的には、限定されるものではないが、長いポリマーの特定の例が、構造全体にわたって様々な物理的コンフォメーションを占めるときに示す自由エネルギーの差として理解される。エントロピートラップの存在下でランダムな熱運動をする長いポリマーは、最も自由エネルギーの低いトラップの部分へと移動する。自由エネルギーには2つの部分があり、1つは、化学状態、伸展若しくは拘束された化学結合、静電引力又は静電斥力などのエネルギーなど、温度によって変化しないエンタルピー成分である。2つ目は、デバイスのその部分における長いポリマーの温度とエントロピーの両方に比例する形で自由エネルギーを低下させるエントロピー成分があり、これは長いポリマーがデバイス内で適合することができる方法の数である。エントロピートラップの解析は、通常、自由エネルギーのエントロピー成分のみを考慮し、エンタルピー部分を無視する。エントロピートラップの2つの領域を比較すると、ランダムなコイル状のポリマーがトラップを占有することができる方法が何通りあるかを数えることが必要である。例えば、ポリマーの外径よりわずかに大きいだけの狭い円筒形のパイプでは、線形分子は前方か後方の2通りの適合しかない。これに対して、大きな開放容積では、ランダムな走行、ねじれ、コンフォメーションが組合せ的に多く存在し得る。後者の場合、より多くの状態が存在するため、その形状のエントロピーは高くなり、その領域での長いポリマーの自由エネルギーは、それに応じて低くなる。
自由エネルギーを最小化するために変形可能な物体が流体デバイス内で移動する場合、それらが局所的な最低エネルギー状態を可能にするデバイスの領域を占有する際に、それらはエントロピートラップに入り、占有すると言われる。均一な幾何学を持つデバイスの部分に完全に閉じ込められているが、隣接するトラップには及ばない変形可能な物体は、自発的にトラップに移動することはなく、代わりに外力に応じて自由に拡散し、移動することになる。しかし、逆に、変形可能な物体の一部がエントロピーの障壁を構成する流体デバイスの領域に拡散したり移動したりすると、分子は傾斜に引き込まれるので、そのような流体要素はエントロピー傾斜であると言える。言い換えれば、外力がなければ、流体デバイス内のある物理的コンフォメーションと位置Aにある変形可能な物体は、エントロピー傾斜を通過して新たな物理的コンフォメーションと位置Bに移動することによってその総エネルギーを下げることができるが、BからAへエントロピー障壁を介して移動できる最小限の外力が加わらなければ逆は不可能である。
変形可能な物体は、捕捉された状態と解放された状態との自由エネルギーの差が、自由状態がより低いエネルギーを持つように変化した際に捕捉から解放される。長いポリマーの場合、これは一般に、流体の流れから生じる流体力学的抗力又はDNAなどの正味の電荷を持つ分子への電場の印加などの外力を分子に与えることにより、自由エネルギーのエンタルピー部分を調節することによって達成される。
トラップの強さは、トラップからの脱出確率がトラップエネルギーの増加と共に減少するという確率論的な意味で理解される。バランスのとれたトラップは、物品に対する外力、又は固有のトラップ自体の操作若しくは調節によって変位するまで物品を保持する。
長いポリマーを捕捉する小型のトラップの挙動は、長いポリマーの化学的性質の影響を受け、それによって変調され、更に緩衝条件及び局所的化学環境によっても変調されうる。より短い長さのスケールでは、高分子のあるセグメントの伸長方向は、それに先行するセグメントの伸長方向に依存し、長いポリマーの持続長として知られる固有のパラメーターによって定量化される。長い高分子を持続長に対して急激に曲げる必要があるコンフォメーションは、バネエネルギーを発生させる。ポリマーがループを形成する際に前のセグメントと重なることができないので、自己回避は長い長さのスケールで優勢となる。このエントロピーの損失は、分子の直径と正味の静電荷に比例する排除体積エネルギーによって表される。
幾つかの実施形態では、変形可能な物体は、エントロピー障壁を低減する、又は完全に除去するように作用する環境条件(例えば、温度、pH、圧力)の変化により、少なくとも部分的にエントロピー障壁を克服することができる。例えば、長い核酸分子は、溶液のイオン濃度を変更することによってその回転半径を変更することができ、従って、エントロピー障壁エネルギーの高さを操作することができる[Dai, 2016]。
溶液中に静止している長い高分子鎖(核酸など)は、球に近似させることができる外面境界を持つランダムコイル構成を形成し、その半径は溶液と分子自体の性質に支配される。これは、溶液中のポリマーのエネルギーが最も低い状態であり、溶液内で摂動無く放置すると自然にこの状態に戻る。しかし、ポリマーがランダムコイル構造をとることを制限するような物理的フィーチャー及び/又は外力が存在すると、ポリマー鎖はより高いエネルギー状態に物理的に操作される。逆に、物理的な境界及び/又は外力が取り除かれると、ポリマー鎖は球状のランダムコイル構成に戻る[Reisner, 2005][Han, 2007][Dai, 2016]。
流体環境における長い核酸断片とエントロピートラップ及び障壁との相互作用は、従前に実証されている[Craighead, 1999, 6,635,163].ここで、エントロピー障壁とは、核酸断片がより高い閉じ込めの領域に移行する際に核酸の全体的なエネルギー状態が増加するような物理的閉じ込めの増大である。エネルギー状態の変化の量は、物理的フィーチャーの寸法、溶液の組成、及びポリマーの物理的特性に依存する。エネルギーの増大は障壁となり、外部から十分に大きな力が加わらなければ、長い核酸断片はより高いエネルギー状態に移行することはない。しかし、十分に大きな外力を加えることで、長い核酸分子はより閉じ込められた領域を占有するようになる[Craighead, 1999, 6,635,163]。
同様に、エントロピートラップ内の長い核酸分子は、十分に大きな外力が加わらない限り、脱出することはない。更に、例えば外力又はブラウン運動を介して前記トラップに物理的に接触させられた長い核酸断片は、緩和してトラップに入っている。長い核酸分子は、その全エネルギー状態が最小になるまで、緩和してトラップに入っている。そのため、トラップの物理的寸法が十分に小さい場合、長い核酸断片の一部のみがトラップを占有する可能性がある。このことは、以前、小さな「ピット」(トラップ)を用いて、長い核酸分子のサブユニットを、各トラップ内のランダムコイルからなる変形可能な物体に捕捉し、物体は、分子の伸展した部分によって互いに接続されて、「糸に通した真珠」の構成を形成することが示された[Reisner, 2009]。
長い核酸分子(長いポリマー)に加えて、液滴(場合によっては細胞)も、エントロピー障壁、傾斜、トラップによって操作可能な変形可能な物体である。チャネルを流れる液滴は、狭窄部(エントロピー障壁)で停止し、前記液滴に十分に大きな力(例えば圧力)が加わらない限り通過することはない。更に、液滴は、この場合にも十分に大きな外力(例えば圧力)が加わって液滴がトラップから解放されるまで2つの狭窄点の間に、従ってエントロピートラップに捕捉され得る[Tan, 2004][Fraden, 2007, 8,592,221][Baroud, 2010]。エントロピートラップのもう1つの例は、[Abbyad, 2011]によって示されており、液滴は緩和してレール構造となることによって局所的に低いエネルギー状態を持つようになり、レールに沿って「固定」(「捕捉」)される。
図4及び図5は、外力が加えられた際の、エントロピー障壁、傾斜、及びトラップと変形可能な物体との相互作用の幾つかの非限定的な例を示す。図4及び図5の全ての例は、説明的なものに過ぎず、特定の理論に縛られるものではなく、流体変位による摩擦、ブラウン運動、又は圧力変動などの二次的な力を無視したものである。更に、図4及び図5で説明した以下の例では、より大きいチャネルとより狭いチャネルとの交差によってエントロピー障壁及び/又は傾斜が形成されている。図では、最も低いエネルギーのコンフォメーションにある変形可能な物体は、油中水型の液滴に対して合理的に正確な幾何学的近似である球体として記述されている。しかし、非均質材料、長いポリマー鎖、又は構造的非対称性(例えば、中期の染色体)からなる、より複雑な変形可能な物体では、最低エネルギー状態のコンフォメーションは異なるであろう。これらのエントロピー障壁及び傾斜の非限定的な物理的例は、純粋に説明のためのものであり、簡単なデモンストレーションであることを意図する。
図4(A)(i、ii、iii)は、エントロピー障壁に近接した変形可能な物体(401)の例を示し、ここでは、より大きいチャネル(402)とより狭いチャネル(404)との交差点として識別される。外力が加わっていない状態では、物体(401)は狭いチャネル(404)に入らないが、これはそうすると物体のエネルギー状態を増加させる必要があるためである。そのため、物体には外力(403)を加える必要があり、さもなければ広いチャネル(402)内に留まることになる。外力が加えられると(407)、物体はエントロピー障壁に近づき、より高いエネルギー状態へと変形し始める(406)。物体がエントロピー障壁内に少なくとも部分的に局在している間、緩和力(405)が物体をより大きいチャネルに引き戻す。緩和力の大きさは、物体の変形度、及び物体がエントロピー障壁内にどれだけ留まっているかなど、多くの要因に依存する。外力(407)が緩和力(405)に打ち勝つのに十分大きい場合、物体はエントロピー障壁を克服することになる。物体のどの部分も障壁内に残っていないため、物体はより高いエネルギー状態(408)で静止したままとなる。
図4(B)(i、ii、iii)は、より大きいチャネル(413)の全ての流体接続が2つのエントロピー障壁のうちの1つを介している、エントロピートラップ(413)内の変形可能な物体(412)の例を示す。第1のエントロピー障壁は、より大きいチャネル(412)とより狭いチャネル(415)の界面に位置し、第2のエントロピー障壁は、より大きいチャネル(412)とより狭いチャネル(411)の界面に位置している。外力が加わっていない状態では、物体はトラップ内に無限に留まる。しかし、外力を加えることにより(414)、物体をエントロピー障壁の1つ、ここでは413と415の界面に向かって移動させることができる。外力を加えると(418)、物体は狭いチャネルに近づき、より高いエネルギー状態へと変形し始める(417)。物体がエントロピー障壁内に少なくとも部分的に局在している間、緩和力(416)が物体をより大きいチャネルに引き戻す。緩和力の大きさは、物体の変形の程度、及び物体がエントロピー障壁内にどれだけ留まっているかを含む多くの要因に依存する。外力(418)が緩和力(416)に打ち勝つのに十分大きい場合、物体はエントロピー障壁を克服し、物体のどの部分も障壁内に残らず、物体がより高いエネルギー状態(419)で静止したままとなることを可能にする。
図4(C)(i、ii、iii)は、より大きいチャネル(425)に流体的に接続されている、より狭いチャネル(421)内で変形した形状で静止している変形可能な物体(422)の一例を示す。より狭いチャネル(421)とより大きいチャネル(425)の界面は、物体の現在の状態(422)に関してエントロピー傾斜を特定する。外力をかけると(424)、物体をエントロピー傾斜の存在下へ移動させることができる。物体の少なくとも一部が傾斜に入った際に、緩和力(427)は物体をより低いエネルギー状態(426)へと緩和する働きをし、物体をより大きいチャネルに移動させる。物体が傾斜を脱すると、物体は傾斜の反対側でより低いエネルギー状態(428)で静止することになる。
図4(D)(i、ii、iii)は、より大きいチャネル(435)に流体的に接続されている狭いチャネル(431)内の変形した形状で静止している変形可能な物体(432)の例を示す。より狭いチャネル(431)とより大きいチャネル(435)の界面は、物体の現在の状態(432)に関してエントロピー傾斜を特定する。外力をかけると(434)は、物体をエントロピー傾斜の存在下へ移動させることができる。物体の少なくとも一部が傾斜に入った際に、緩和力(437)は物体をより低いエネルギー状態(436)へと緩和する働きをし、物体をより大きいチャネルに移動させる。この例では、より大きいチャネルは、物体がその可能な限り低い自由エネルギー状態まで完全に緩和する自由を与えるには不十分であるが、物体の最終エネルギー状態(438)は物体の元の状態(432)よりも低く、従って物体はこの時点でエントロピートラップ(438)にある。
図5(i、ii、iii、iv)は、ここではより大きいチャネル(501)とより狭いチャネル(504)との交差点として識別されるエントロピー障壁に近接した変形可能な物体(501)の例を示す。外力が加わっていない状態では、物体(501)はより狭いチャネル(504)に入らないが、これはそうすると物体のエネルギー状態を増加させる必要があるためである。そのため、物体には外力(503)を加える必要があり、さもなければ、より大きいチャネル(502)内に留まる。外力が加えられると(508)、物体はエントロピー障壁に接近し、より高いエネルギー状態へと変形し始める(507)。物体がエントロピー障壁内に少なくとも部分的に局在している間、緩和力(506)が物体をより大きなチャネルに引き戻す。緩和力(506)の大きさは、物体の変形の程度、及び物体がエントロピー障壁内にどれだけ留まっているかを含む多くの要因に依存する。外力(508)が緩和力(506)に打ち勝つのに十分大きければ、この例では、物体は、狭いチャネル(504)とより大きいチャネル(505)との界面として定義されるエントロピー傾斜へ導入される。このエントロピー傾斜の存在下に入ると、追加の緩和力(511)が、より大きいチャネル(505)の方向で物体に作用することになる。ここでも、第2の緩和力の大きさは、斜面内の物体の物理的位置を含む幾つかのパラメーターの関数である。外力(508)がなお印加されている状態で、ある時点で、第2の緩和力(511)が第1の緩和力(509)に打ち勝ち、従って、外力の印加があってもなくても、物体をより大きいチャネル(512)に移動させる。
全ての実施形態について、エントロピー障壁及びトラップの物理的閉じ込め寸法は、障壁及びトラップが相互作用するように設計されている変形可能な物体の関数となる。例えば、300nmのナノピットは、500kbpの長い核酸分子の10kbpセグメントを捕捉するのに適したサイズであり、一方、20μmの狭窄は、1nLの油中水型の液滴の障壁となるのに適したサイズである。
パッケージ 「パッケージ」は、本体の定義された境界内に内容物を保持することができる任意の本体である。幾つかの実施形態では、境界は、脂質二重層又は界面活性剤などの物理的障壁によって定義される。幾つかの実施形態では、2つの非混和性流体を混合することによって形成される液滴などの障壁は存在しない。パッケージの非網羅的なリストには、細胞、核、小胞、エクソソーム、ミトコンドリア、オルガネラ、細菌、ウイルス、泡、人工膜パッケージ、油中水型の液滴、水中油型の液滴、水-油-水型の液滴、油-水-油型の液滴が含まれる。いずれの場合も、パッケージは様々な手段で溶解(又は破裂)させ、内容物を放出させることができる。
溶解 「溶解(又は破裂)」は、内容物がパッケージからより容易に放出され得るように、パッケージ境界を弱める過程である。幾つかの実施形態では、パッケージ境界は、放出された内容物と共に非回復的に破壊される。幾つかの実施形態では、パッケージの境界は破裂し、その完全性は回復され得る。幾つの実施形態では、パッケージ境界は、永久的又は一時的に透過性が高まる。異なる溶解方法の例には、化学的、酵素的、電気化学的、物理的、機械的、音響的、エレクトロポレーション、及び集束光子が含まれる。好適な溶解剤には、例えば、酵素(例えば、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、ヌクレアーゼ)が含まれる。例示的な酵素には、リゾスタフィン、ペプシン、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、リゾチーム、アクロモペプチダーゼ、エンドペプチダーゼ、N-アセチルムラニル-L-アラニンアミダーゼ、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ、ALE-1、DNase及びRNaseが含まれる。その他の溶解剤としては、塩類(例えば、カオリン塩)、可溶化剤(例えば、洗浄剤)、還元剤(例えば、β-メルカプトエタノール(BME)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP;Pierce Chemical Company, Rockford, Ill)、システイン、n-アセチルシステイン)、酸(例えばHCl)及び塩基(例えばNaOH)である。所望により、溶解剤及び/又は方法の様々な組合せを使用することができる。
パッケージを溶解するための集束光、又は「光学的溶解」は、溶液中の細胞を溶解するために500nmから3500nmの波長のレーザー光を使用することによって、又は短いパルス[Allbritton, 1998, 6,156,576]によって以前に実証されている[Baeummer, 2001, 6,815,209]。細胞の集光溶解のための様々な方法の総説は、[Islam, 2017]によって報告され、光学的に誘導された電気泳動(ODEP)は、細胞-溶液界面で集光レーザーパルスが細胞を溶解させるキャビテーション泡を生成する方法であるとされている。集束レーザー溶解は更に、細胞群、典型的には組織試料内の特定の個々の細胞を溶解する効果的な手段として[Meldrum, 2014, 10,221,443]によって実証されている。
ゲル及びゲル化剤 「ゲル」は、架橋 (「ゲル化」) された「ゲル化剤」からなる実質的に希薄な又は多孔性の系として定義される。ゲルの非限定的な例としては、アガロース、ポリアクリルアミド、ヒドロゲル[Calo, 2015]、DNAゲル[Gacanin, 2020]が挙げられる。本明細書において、ゲルと半ゲルは同等であり、半ゲルは、架橋が不完全であり、かつ/又はゲル化剤の濃度が低いゲルである。
外力 「外力」とは、静止状態から本体を摂動させ得るような、本体に加えられる力のことである。非限定的な例としては、流体流によって及ぼされる流体力学的抗力[Larson, 1999](圧力差、重力、毛細管作用、電気浸透によって模倣できる)、電場、電気運動力、電気泳動力、パルス電気泳動力、磁力、誘電力、遠心加速度又はこれらの組合せが挙げられる。又、ビーズを本体に結合させた後、磁場などの外力を与える場合、又は光学的テスターなど、間接的に外力を与えてもよい。
遅延力 「遅延力」とは、外力の存在下で本体の動きを遅延させる任意の力である。非限定的な例としては、以下の何れか、又はこれらの組合せが挙げられる:エントロピー障壁、剪断力、ファンデルワールス力、物理的障害物、表面(基板又はビーズなど)への結合、ゲル、人工ゲル。注意すべきは、遅延力は、本体を動かさないようにしたり、ゼロ平均速度を維持したりする必要はないことに留意されたい。幾つかの場合、遅延力自体が外力であり、2つの外力が互いに打ち消し合い、一方が第1の外力の方向への本体の移動を遅延させるように作用する。
分注システム 本明細書において使用される「分注システム」又は「ディスペンサー」は、ディスペンシングチップ、ノズル、又はオリフィス(本明細書では「チップ」と総称)から、(x,y,z)空間における所望の位置に、液体の量を分注することができる機器、又は機器の構成要素である。幾つかの実施形態では、液体は連続流として分注される。幾つかの実施形態では、液体は、一連の液滴として分注される。液滴のサイズは、100マイクロリットル以下、10マイクロリットル以下、1マイクロリットル以下、100ピコリットル以下、10ピコリットル以下、1ピコリットル以下、100フェムトリットル以下、10フェムトリットル以下、1フェムトリットル以下、100アトリットル以下、10アトリットル以下であり得る。幾つか実施形態では、チップは、消耗品であるピペットチップで構成される。幾つかの実施形態では、ディスペンサーチップは、(x,y,z)空間において対象溶液から溶液を抽出することも可能であるため、ディスペンサーは「抽出器」でもある。幾つかの実施形態では、分注用チップと抽出用チップは異なるチップである。幾つかの実施形態では、それらは同じである。幾つかの実施形態では、チップは、マイクロシリンジ、又はキャピラリーチューブの端部、又はノズルである。幾つかの実施形態では、液体の分注は、加圧された空気ラインを介した空気変位、又はステッピングモーターなどの電気機械システムを介して動かされるシリンジ-ポンプによって制御される。
幾つかの実施形態では、インクジェットディスペンサーが使用され得る。インクジェット印刷は、連続ジェット(CJ)及びドロップオンデマンドジェット(DODJ)を含む。トランスデューサ、帯電電極及び電場に基づくCJは、液滴を連続的に生成することができ、基板上の液滴の位置は、その帯電密度によって決定することができる。DODJデバイスのアクチュエーターには、圧電型、熱型、ソレノイド型、空圧型、磁歪型、音響型を含む幾つかの種類がある。特に圧電マイクロジェットデバイスには、単一作動モードとハイブリッド作動モードの2つの作動モードがある。単一作動モードには、剪断モード、スクイズモード、ベンドモード、プッシュモード、ニードルコリジョンモードが含まれ、ハイブリッド作動モードには、電気流体力学(EHD)補助作動が含まれる。異なるインクジェット技術の詳細な総説は、[Li, 2019]によって提供され、その全内容が本明細書の一部として援用される。
幾つかの実施形態では、ディスペンサーは、接触湿潤によって溶液の滴を搬送及び沈着させることができる接触プローブからなる。幾つかの実施形態では、表面からの液滴の抽出は、接触プローブが前記液滴と接触し、接触プローブを濡らすことによって行われる。
接触プローブシステム 本明細書で使用する「接触プローブ」システムは、接触プローブのポイントを(x,y,z)空間内の所望の位置内に、好ましくはナノメートル位置精度又はそれ以上で配置することができる機器、又は機器内の構成要素である。好ましい実施形態では、接触プローブは、物理的物体との相互作用に基づいて信号を生成することが可能である。好ましい実施形態では、接触プローブは、表面走査プローブであり、プローブが機器によって空間内で物理的に移動している間に信号を生成することが可能である。異なるタイプのプローブには、SPM(Scanning Probe Microscopy)、AFM(Atomic Force Microscopy)、STM(Scanning Tunneling Microscopy)、SPE(Scanning Probe Electrochemistry)などが含まれる。様々な走査型プローブ顕微鏡システムの総説としては、[Takahashi, 2017]を参照。幾つかの実施形態では、接触プローブは、乾燥環境、又は湿度環境、又は液体環境で動作することができる。幾つかの実施形態では、接触プローブの点は、プローブされる物理的対象との生化学的相互作用を可能にするために、化学的部位、生物体、又は親和性基で官能基化することができる。接触型プローブで実証されている様々な機能化の総説としては、[Ebner, 2019]を参照。幾つかの実施形態では、接触プローブのポイントは、カーボンナノチューブ、ナノロッド、又はナノスパイクを含んでもよい。
細胞遺伝学的解析のための受動的マイクロ流体デバイス
この一連の実施形態では、本発明者らは、受動的な方法でデバイスの尋問領域内の長い核酸分子の制御された物理的配置を介して、データ品質を向上させる方法で尋問のための核酸材料の位置付け(「広がり」)を可能にする、消耗品としての流体デバイスのデバイス及び方法を開示し、従って、移動が、限定されるものではないが、表面エネルギー、エントロピー差、相、温度又は圧力差、重力、毛細管作用、電気浸透流又は微小対流を含む力によって駆動される場合を除き、入力試料がデバイスに分注された後、パッケージ及び核酸分子の移動及び位置決めを制御するために内部又は外部電源は必要とされない。
本明細書に記載の幾つかのデバイス及び方法の実施形態は、単一のパッケージに由来する大きな核酸分子が流体デバイスの表面に同時局在し、実質的に重ならないように、大きな核酸分子の伸展標本を生成するために設計されており、染色体が顕微鏡スライドの表面にランダムに配置される一般的な染色体調製方法[Grubb, 2015]を用いる標準的な顕微鏡スライドに比べて高い収率及び向上したデータ品質が提供される。幾つかの実施形態では、核酸分子の伸展標本は、流体デバイスの表面に固定化された長い核酸分子からなる。本明細書に記載の幾つかのデバイス及び方法の実施形態は、マイクロ流体デバイスの表面上の細長い核酸断片の生成のために設計され、一般的なファイバーFISH及びDNAコーミングプロトコールと比較して、伸長及び分子の重なりの変動が低減されたものを提供する。
細胞遺伝学的解析のための染色体伸展標本の準備で重要なのは、遺伝情報を最小限の曖昧さで尋問できるように、表面上の細胞の密度と分散を調整することである。染色体伸展の主要な目標は、1つの細胞の遺伝的内容を表す離散的な領域内で、染色体を伸張させ、できるだけ重なりを避けて、染色体の均一な分散を達成することである。この一連の実施形態では、流体デバイス上のパターン化された表面フィーチャーは、類似の従来のランダムな染色体伸展と比較して、個々の細胞のより改善された付着、細胞膜の効率的な破裂、及びより制御された分離、整列、伸長、及び乾燥を含む、尋問のための染色体のより最適な配置を可能にする毛細管又はマイクロコンベンションフォースにより駆動する設計された流体流を可能にする。ここで、この一連の実施形態では、分子は、密閉されたマイクロ流体システム内のマイクロ溝、ピラーポスト、又はエントロピートラップ内に完全に閉じ込められ、隔離され、それらの物理的重複を最小限に抑え、従って、標的分子及び染色体の尋問は、パターン化領域の周囲の限られた領域に収容される。これは、細胞懸濁液は固定液の蒸発に伴い乾燥し始め、不均一に広がり、しばしば中期標本が破損したり、失われたりすることがある従来のスライドとは異なる。
1つの好ましい実施形態では、流体デバイスは、試薬、試料調製、試料分注、液体分注、自動処理、画像化システム、又は解析ソフトウエアを含む細胞遺伝学研究室の既存のインフラのいずれかと互換性があることが好ましい。1つの好ましい実施形態において、デバイスのフォームファクターは、25mm×75mmのサイズの標準的な顕微鏡スライドと互換性がある。幾つかの実施形態では、デバイスは、例えばプラスチック、ガラス、又は石英などの光学的に透明な流体デバイスで構成される。幾つかの実施形態では、デバイスは、COC、PMMA、PC、シリコーン、又は非透過性ガラスで構成される。幾つかの実施形態では、カバーガラスはユーザーによって追加され、他の実施形態では、カバースリップはデバイスに組み込まれる。
試料入力、試薬及び色素の添加、洗浄は、標準的な顕微鏡スライド上に広がった染色体を準備するために通常行われるものと同様の様式である、手動又は自動の分注又はディッピングステップを介して全て行うことができる。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、手動又は自動画像処理システムによるデバイスの視覚的な位置合わせを可能にするために使用できるフィデューシャルマーカー又はアライメントマーカーを含むことができる。幾つかの実施形態では、流体デバイス上に複数のゾーンがあり、各ゾーンは異なる細胞又は試料を物理的に分離するように設計されている。幾つかの実施形態では、デバイス上にフィデューシャルマーカーがあり、ユーザー又は自動分注システムがデバイス上のどこに溶液を分注すればよいかを誘導する。幾つかの実施形態では、デバイス上又はデバイス内に、デバイス又は尋問領域の向きをユーザー又は自動データ取得画像化システムに誘導フィデューシャルマーキング又は物理的基準点が存在する。幾つかの実施形態では、ユーザー又は自動分注システムに、デバイス上のどこに溶液を分注すべきかを誘導する、デバイス上のフィデューシャルマーカーが存在する。物理的な参照点には、刻み目のある又は丸みを帯びた角が含まれ得る。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのウェル又は位相的に凹んだ領域が、分注中の溶液の封入を助けるため、又は誘導を提供するために、デバイスの表面に組み込まれている。
デバイス及び方法の好ましい一実施形態では、長い核酸分子の伸展標本は、浮遊パッケージの入力試料溶液からデバイス表面上に生成される。溶液がデバイス内又はデバイス上に分注されると、溶液のデバイスの物理的界面及び周辺環境との相互作用から固有の流体力が、関連する方法と共に、標準的なスライド調製と比較して、前記分子の重複又は自己折りたたみの確率が減少するように、パッケージの大きな核酸分子をデバイスの尋問領域内に一貫して配置することを可能にする。大型核酸分子の伸展標本は、同じパッケージからの他の分子と物理的に同位置にあり、隣接するパッケージの分子から十分に離れているため、イメージングによるグループ化識別が可能である。好ましい一実施形態では、パッケージは低張状態の細胞であり、大きな核酸分子は、前期又は中期などの、より凝縮した相の1つにおける染色体である。
凝縮した前期又は中期の染色体に加え、異なる相の染色体も可能である。例えば、FISHに使用するための間期染色体の析出など。更に、核酸は、染色体外DNA(ecDNA)のように染色体の一部であってもよいし、ミトコンドリアDNA、人工ミニ染色体、微生物由来DNAなど、染色体以外の由来の核酸であってもよい。核酸は、クロマチンの形態であってもよい。又、核酸は長い核酸断片であってもよいので、ファイバー-FISHへの応用が可能である。DNA結合法と同様に、長い核酸断片は、細胞遺伝学的な適用を可能にするために、表面上に整列し伸長される。しかし、ここでは、パターン化された表面のフィーチャー又は差次的エントロピーエネルギーにより、長い核酸断片は、純粋にランダムな過程ではなく、制御された方法で整列、配列又は伸長されることになる。更に、スライドを試料のプールに浸す必要があるコーミングとは異なり、ここでは入力試料はピペット又はプローブを介して数10マイクロリットル以下の少量で分配されるため、入力試料量の要求がかなり少なくなる。
ここに記載されているのは、多数の異なるデバイスの実施形態である。しかし、ほとんどの実施形態は、幾つかの基本的な機能性を共有している。第一に、浮遊しているパッケージからなる入力試料が、デバイスに導入される。第二に、長い核酸分子のパッケージの内容物は、デバイスの尋問領域内に広げられる。第三に、長い核酸分子は、典型的には、交換又は試薬溶液及びリンス及び追加処理によって、尋問のために準備される。第4に、長い核酸分子は、尋問領域内にある間、光学的又は電子的に尋問される。
試薬材料及び溶液は、細胞遺伝学的分析を行う技術において訓練を受けた者が一般的に使用するものを含む。これらの試薬は、様々な染色、染料、固定剤、及び溶媒を含む。更なる試薬としては、物理的マッピング用の各種色素、FISHプローブ、標識体、メチル化色素、非メチル化色素を挙げることができる。
幾つかの実施形態では、流体装置上に分注する前に、又は流体装置上に分注した後に、長い核酸分子を標識体で標識し、物理マップを生成する。幾つかの実施形態では、物理マップは核型である。幾つかの実施形態では、物理マップは、線形物理マップである。好ましい実施形態では、物理マップは、AT/CG密度線形物理マップである。
幾つかの実施形態では、尋問領域を構成する流体デバイスの境界壁の少なくとも1つの表面は、表面エネルギーを変更するか、又は官能基化を追加して、当該表面との核酸分子の固定化を促進するように修正される。幾つかの実施形態では、デバイス表面の官能基化の特定領域は、高分子の特定標的を固定化するように設計されている。幾つかの実施形態では、特定の標的は、染色体の一種である。幾つかの実施形態では、官能基化は、標的細胞又は分子と接触するように、湿潤時又は試料ロード中の共因子によって活性化される化学的又は酵素的コーティングで処理されたチップ表面など、細胞の溶解又は破裂を促進するように設計されている。
スライド上に伸展されれば、尋問の主要な方法が光学イメージングを介したものとなる従来の細胞遺伝学的方法及び手順に加え、核酸分子がデバイス表面により制御された方法で配置されるこの一連の実施形態のデバイス及び方法は、光学イメージングとは別に、又は光学イメージングと組合せて、他の形式の尋問及び処理に適合性が高い。1つの好ましい実施形態において、光学イメージングを使用して、特定の長い核酸分子を特定の追加的な尋問及び処理のために選択することができる。高分子に対して行うことができる尋問及び処理方法の非限定的な例としては、接触プローブシステムによる尋問、原子間力顕微鏡(AFM)、走査トンネル顕微鏡(STM)、走査プローブ顕微鏡(SPM)、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)、接触プローブシステムによる表面からの捕捉及び除去、又は分注システムから分注した溶液への浸漬、PCR増幅又は配列決定を挙げることができる。実施形態の更なる拡張では、溶液滴中の少なくとも1つの核酸分子は、滴下溶液に再懸濁され得、別の追加の実施形態では、少なくとも1つの分子を含む前記液滴は、表面から抽出され得る。
マイクロ流体デバイスのパターン化された又は改変された表面との相互作用を介した長い核酸の伸展
この一連の実施形態では、長い核酸分子の伸展標本は、対象核酸の長さスケールである物理的形状又は表面エネルギー変化からなるマイクロ流体デバイスのパターン化された表面フィーチャーとの分子の相互作用を介して生成される。好ましい実施形態では、長さスケールは、一寸法に沿って単一の大きな核酸分子を収容するのに十分な大きさである。例えば、パターン化されたフィーチャーは、単一又は複数のヒト染色体を一列に収容する大きさのパターン化されたチャネルで構成されてもよく、従って、好ましくは約1~5ミクロンの幅である。或いは、パターン化されたフィーチャーは、伸長した状態の長い核酸分子を収容するように大きさがパターン化されたチャネルから構成されてもよく、従って、好ましくは、幅が5~1000nmである。パターン化されたフィーチャーは、流体デバイスの表面にわたってランダムに、又は何らかの設計意図によって変化する、可変幅又は可変深さを有していてもよい。パターン化されたフィーチャーは、流体デバイスの表面上の配置において、規則的な周期又はパターンを有していてもよく、又はランダムであってもよい。パターン化されたフィーチャーは、尋問される分子の物理的長さスケール内にある任意の形状又は寸法で構成することができ、又は以下の非限定的な例:チャネル(孤立、連結、ネットワーク)、ピット、柱、角、シェブロン、枝、フォーク、又は交点を含むことができる。パターン化されたフィーチャーは、物理的な障害物を含んでもよい。
核酸をチャネル内に整然と配置できるように、核酸のウィッキング、湿潤、又は維持を促進するために、流体デバイスの上面を、特定の領域を除いて疎水性にすることができる。例えば、疎水性分子をガラス流体デバイス表面に転写スタンプで接触させ[Smith, 2004]、流体デバイス表面に定義された天然の親水性チャネルを未修飾のままにすることができる。多数の異なる親水性パターンの設計が可能である。好ましい実施形態では、溶液は、両側の疎水性バリアを使用して前記パターン内に収容することができる。非限定的な変形形態が図6に示され、流体デバイス(601)の表面は、疎水性表面(602)又は親水性表面(603)で選択的にパターン化することができる。幾つかの実施形態では、流体デバイスの表面は自然に疎水性であるため、疎水性領域は、親水性パターニングがないことによってパターン化することができる。或いは、幾つかの実施形態では、流体デバイスの表面は、自然に親水性であるので、親水性領域は、任意の疎水性パターニングがないことによってパターン化することができる。流体デバイスの表面上に定義されるパターンは、チャネル、ピット、穴、丘、マウント、谷、柱などを含む任意の幾何学的形状をとることができる。幾つかの実施形態では、パターンの断面は矩形であってよい(604、605、606)。好ましい実施形態では、604、605、606で示されるように、チャネル間に疎水性表面領域が存在し、チャネル内に親水性領域が存在する。幾つかの実施形態では、パターン化されたフィーチャーは、三角形の断面(607、608、609)、又は楕円形の断面を有してもよい。幾つかの実施形態では、パターン化された領域は、流体デバイスの表面上の表面エネルギーフィーチャーのみからなり得る。
幾つかの実施形態では、チャネルは、0.2~100ミクロンの範囲であり得る距離で、隣接し、実質的に平行なチャネルから分離されている。幾つかの実施形態では、チャネルは、一定の周期でパターン化される。幾つかの実施形態では、チャネルは、ランダムにパターン化される。幾つかの実施形態では、パターン化されたフィーチャーは、少なくとも部分的にピット又は柱からなる。幾つかの実施形態では、パターン化されたフィーチャーの深さ、又はパターン化されたフィーチャーの高さは、0nm~10ミクロンの範囲とすることができる。(チャネルが表面エネルギーフィーチャーのみによって画定される実施形態では、深さは0である。)幾つかの実施形態では、パターン化されたフィーチャーは、それらが流体デバイスの表面上に物理的に併置されるセットでグループ化される。幾つかの実施形態では、フィーチャーのセットは、少なくとも1つのパッケージに由来する長い核酸分子の全てを物理的に収容するように画定される。幾つかの実施形態では、フィーチャーのセットは、1つのパッケージのみに由来する長鎖核酸分子の全てを物理的に収容するように画定される。幾つかの実施形態では、セットは、単一のパッケージが2つの隣接するセットに物理的に接触することができないように、互いから十分に物理的に離される。幾つかの実施形態では、セット間の物理的距離は、2~500ミクロンで変化する。
長い核酸スプレッドの後退メニスカスの生成
この実施形態のサブセットでは、流体デバイス及び方法は、尋問領域への分子の沈着を介してデバイスの表面上に大きな核酸分子の伸展標本を生成することができ、沈着プロセスは、パターン化されたフィーチャー上の後退メニスカスを介して行われる。伸展された分子は、同じパッケージの他の分子と物理的に同位置にあり、隣接するパッケージの分子とは十分に離れているため、イメージングによるグループ識別が可能である。幾つかの実施形態では、分子の画像化は、ガラスカバースリップを通して従来の細胞遺伝学的試料を見るために設計された対物レンズを有する既存の顕微鏡システムを採用することができるように、標準的なカバーガラスの十分に類似した光学特性及び厚さの、典型的にはガラス又はプラスチックである透明表示材料を試料上に組み込むことによって可能にされる。幾つかの実施形態では、カバーガラスはデバイスに組み込まれ、他の実施形態では、カバーガラスは、標準的な細胞遺伝学プロトコールと同様の工程でユーザーによって追加され得る。
幾つかの実施形態では、後退するメニスカスは、主に重力の力によって移動する溶液の液滴によって生成される[Oshige, 2010]。図7に示される一実施形態では、マイクロ流体デバイスは、パターン化された表面フィーチャー(712)を有するマイクロ流体デバイスからなり、この例では、パターン化された表面フィーチャーは、実質的に環境に露出されるパターン化されたチャネルで構成されている。チャネル(708)は、チャネル内の物理的境界壁が実質的に親水性であるように、表面上にパターン化される。このような態様では、本体からなる溶液の後退するメニスカスは、前記本体をチャネルに沈着させる。隣接するチャネル(711)間の領域に疎水性表面を含むことによって、チャネル間ではなくチャネルへの本体の沈着の特異性を高めることができる。
大きな核酸分子の伸展標本を生成するための1つの好ましい実施形態では、デバイスは、手動又は治具の使用により、0~90度、好ましくは20~70度、より好ましくは30~60度の間の角度(710)に維持され、試料分配ツール(701)が長い核酸分子(703)のパッケージを含む試料溶液(702)を分注する。溶液がデバイスと接触した後、溶液(707)は重力の力(709)を介してデバイスの表面を流れ落ち、後退するメニスカス(705)が形成される。幾つかの実施形態では、パッケージは、溶液をデバイスに落とす際の衝突力を介して既に実質的に破裂している。他の実施形態では、パッケージは、ほとんど破裂せずに衝突を生き残るが、その後、パッケージ(706)は、後退するメニスカスによるチャネルへの染色体の沈着時に溶解し、チャネルに核酸分子(704)の痕跡を残す。先行技術[Park, 2006]は、パターン化された表面上の細胞を含む溶液の後退するメニスカスが、表面パターンへの前記細胞の配置を秩序づける有効な手段であることを実証している。
幾つかの実施形態では、後退するメニスカスは、毛細管力によって大きく移動する溶液の液滴によって生成される。毛細管力は、流体がある領域から別の領域へ優先的に流れるように、構造の表面エネルギーフィーチャー及び物理的フィーチャーを利用して非対称の濡れを促進するように設計されたマイクロ流体デバイス内の流体構造によって生成することができる(表面エネルギーに関する定義の節を参照)。一般に、他の全ての条件が同じであれば、溶液は、より大きな寸法の閉じ込め領域よりも小さな寸法の閉じ込め領域をより優先的に濡らすことになる。
毛細管力は、多数の異なる実施形態を実施するために使用することができる。図8(A)及び図8(B)に記載された一実施形態では、表面上のフィーチャー(801)でパターン化されたマイクロ流体デバイス表面(816)上に形成されるチャネル壁(811)によって画定される収容チャネル(803)は、毛細管力又はマイクロ対流によって流体がパターン化されたフィーチャー上を実質的に一方向(804)に流れるように設計されている。この特定の実施形態では、デバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーは、チャネルである。一実施形態では、収容チャネルは、溶液からの水の蒸発(805)が、表面張力を介して、収容チャネル内の最も高い濡れ引力の領域に残った溶液を優先的に集めるように設計されている、又はマイクロ対流流(815)を介して、収容チャネル内の最も高い濡れ引力の領域内に残った溶液を集める。これは、収容チャネル内のより高い濡れ引力の領域へ移動する(804)後退メニスカス(806)を生成する(815)。図8に示す例では、より高い濡れ引力の領域は、溶液が優先的に収容チャネル(815)の狭い部分を濡らすように、単調に減少する断面を有する収容チャネルによって画定され、大きな表面積対体積比を生成する。このように、溶液を収容チャネルの一端から他端まで移動させることにより、収容チャネルの底面に沿って、パターン化されたフィーチャー上を制御された方向に移動する後退するメニスカスが生じる。メニスカスの移動の速度及び方向は、狭窄チャネルの物理的及び寸法的特性(幾つか挙げれば、例えば、表面エネルギー、深さ、狭窄角度、高さなど)、並びに環境特性(幾つか挙げれば、例えば、温度、湿度、圧力など)によって調節することができる。幾つかの実施形態において、収容チャネル深さは、1ミクロン~1000ミクロン、又は10ミクロン~500ミクロンの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、収容チャネルの幅は、1000ミクロンから1ミクロンまで変化することができる。好ましい実施形態では、収容チャネルは、試料溶液がデバイスにロードされるウェル領域と流体的に接触している。幾つかの実施形態では、ウェル領域に接続された複数の収容チャネルが存在する。
別のデバイスの実施形態では、パターン化されたフィーチャー上の後退するメニスカスの方向及び速度は、キャピラリーポンプ又は局所蒸発によって引き起こされるマイクロ対流力によって少なくとも部分的に影響される。幾つかの実施形態では、キャピラリーポンプは、一旦濡れると、キャピラリーポンプが溶液を収容チャネルからポンプに引き込み、従って、収容チャネル内のパターン化されたフィーチャー上に後退するメニスカスを生成するように、収容チャネルと流体的に接続される。
幾つかのデバイスの実施形態では、パターン化されたフィーチャー上の後退するメニスカスの方向及び速度は、少なくとも部分的に、毛細管力、マイクロ対流力及び重力の組合せによって、構成的に、又は互いに反対方向に、制御される。
閉じ込めチャネル内のパターン化されたフィーチャーの正確な位置決めは、重要ではない。1つの好ましい実施形態では、パターン化されたフィーチャーの長軸は、後退するメニスカスの方向と実質的に平行である。
長い核酸伸展標本の毛細管流生成
デバイスの別の実施形態セットでは、大きな核酸分子は、パターン化されたフィーチャーが尋問領域の少なくとも一部を形成し、キャピラリーポンプが前記フィーチャーを通して溶液を引っ張っている間に溶液を収容する働きをする流体チャネルネットワークの一部を形成する、溶液毛細管流を介して流体デバイスの表面上のパターン化されたフィーチャー内に位置が決められる。長い核酸分子は、前記フィーチャーを通って流れながらフィーチャー内に配列される。十分に配列されると、溶液は蒸発し、核酸分子が配列された状態で表面に残り、その後の細胞遺伝学的処理及び光学的尋問の準備が整う。
幾つかの実施形態では、溶液は、入力試料溶液でウェルが濡らされた際にパターン化されたフィーチャーに流体的に接続される少なくとも1つのウェルに由来する。幾つかの実施形態では、パターン化されたフィーチャーは、キャピラリーポンプの少なくとも一部を構成している。幾つかの実施形態では、キャピラリーポンプは、パターン化されたフィーチャーに流体的に接続している。
一実施形態を図9(A)に示す。ここでは、長い核酸分子(906)のパッケージ(905)を含む入力試料溶液(904)が、入力溶液を収容するためのパターン化されたウェル(907)を含むマイクロ流体デバイス(910)にロードされる。パターン化されたウェルは、物理的フィーチャー及び表面エネルギーフィーチャーによって画定される。ウェルは、流体デバイス(901)の表面上のパターン化されたフィーチャーと流体的に接続されており、入力試料溶液をウェルにロードすると、溶液(908)は毛細管力(909)を介して接続パターン化されたフィーチャーを濡らす。流体フィーチャーへの毛細管流の剪断力によって、又は局所的な物理的に鋭い構造と相まって、パッケージ(903)が破裂し、長い核酸分子がフィーチャー内に規則的に入ることを可能とする(902)。
図9(B)は、図9(A)の更に洗練された実施形態を示し、ここでは、流体デバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーは、チャネルの底部領域が大部分親水性であり、チャネル間の領域が大部分疎水性である(923)、大部分が平行のチャネル(925)である。次に、長い鎖核酸分子(922)は、毛細管力によって前記チャネルに流入し、パターン化されたフィーチャー(925)内に沈着する。この実施形態では、ウェルの底部(907)は、相互接続チャネル(925)よりも物理的に低く、ウェル内の流体閉じ込めは、チャネル間の疎水性領域(923)により少なくとも部分的に制御される。
図9(C)は、図9(A)の別の更に洗練された実施形態を示し、ここでは、流体デバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーは、チャネルの底部領域が大部分親水性である大部分が相互接続されたチャネル(945)である。相互接続されたチャネルのネットワークは、大部分が疎水性の頂部を有する柱(943)の集合体によって互いに分離されている。この実施形態では、ウェル(907)の底は、相互接続チャネル(945)よりも物理的に低く、ウェル内の流体閉じ込めは、チャネル(943)間の疎水性領域によって少なくとも部分的に制御される。入力溶液がウェル内に導入された後、溶液は接続された相互接続チャネルを濡らし、パターン化されたフィーチャー(945)内に長い核酸分子(942)を沈着させる。隣接するチャネルを分離する支柱の形状は、様々な形態をとることができる。非限定的な例(947)として、矩形、多角形、円柱、及び円錐が挙げられる。
このデバイスの更なる実施形態を図10(A)に示す。ここでは、長い核酸分子(1006)のパッケージ(1005)を含む入力試料溶液(1004)が、入力溶液を含むためのパターン化ウェル(1007)を含むマイクロ流体デバイス(1010)上にロードされる。パターン化されたウェルは、疎水性領域に囲まれた親水性領域が存在し、親水性領域が流体デバイス(1001)の表面のパターン化されたフィーチャーと関連している表面エネルギーフィーチャーによって画定されており、入力試料溶液をウェルにロードすると、溶液(1008)は毛細管力(1009)によって接続パターン化フィーチャーを濡らすようになっている。毛細管流が流体フィーチャーに流入する際の剪断力がパッケージを破裂させ(1003)、長い核酸分子がフィーチャーに規則的に入ることを可能とする(1002)。
図10(B)は、図10(A)の更に洗練された実施形態を示し、ここでは、流体デバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーは、チャネルの底部領域が大部分親水性であり、チャネル間の領域が大部分疎水性(1023)である大部分が平行のチャネル(1025)である。次に、長い核酸分子(1022)は、毛細管力によって前記チャネルに流れ込み、パターン化されたフィーチャー(1025)内に沈着する。本実施形態では、ウェルの底部は相互接続チャネル(1025)に面し、チャネル間の領域は、ウェル領域内では親水性(1021)、ウェル領域外では疎水性(1023)である。ウェル内の流体閉じ込めは、ウェル領域外のチャネル間の疎水性領域(1023)により少なくとも部分的に制御される。
図10(C)は、図10(A)の別の更に洗練された実施形態を示し、ここでは、流体デバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーは、チャネルの底部領域が大部分親水性である、大部分が相互接続されたチャネル(1045)である。相互接続されたチャネルのネットワークは、大部分が疎水性の頂部を有する柱(1043)の集合体によって互いに分離されている。この実施形態では、ウェルの底部は相互接続チャネル(1045)に面し、チャネル間の領域はウェル領域内では親水性(1041)であり、ウェル領域外では疎水性(1043)である。ウェル内の流体閉じ込めは、ウェル領域外のチャネル間の疎水性領域(1043)により少なくとも部分的に制御される。入力溶液がウェル内に導入された後、溶液は、接続された相互接続チャネルを濡らし、パターン化されたフィーチャー(1045)内に長い核酸分子(1042)を沈着させる。隣接するチャネルを分離する支柱の形状は、様々な形態をとることができる。非限定的な例(1047)として、矩形、多角形、円柱、及び円錐が挙げられる。
このデバイスの更なる実施形態を図11(A)に示す。ここでは、長い核酸分子(1106)のパッケージ(1105)を含む入力試料溶液(1104)が、入力溶液とパターン化されたフィーチャーとの界面を含む統合ウェル(1107)を含むマイクロ流体デバイス(1110)上にロードされる。統合ウェルは物理的な境界によって画定される。ウェルは、流体デバイス(1101)の表面のパターン化されたフィーチャーと流体的に接続されており、入力試料溶液をウェルにロードすると、溶液(1108)は毛細管力(1109)を介して接続しているパターン化されたフィーチャー(1101)を濡らすようになる。毛細管流による流体フィーチャーに及ぼす剪断力がパッケージを破裂させ(1103)、長い核酸分子が規則的にフィーチャーに入ることを可能とする(1102)。
図11(B)は、図11(A)の洗練された実施形態の例を示し、ここでは、流体デバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーは、チャネルの底部領域が大部分親水性であり、チャネル間の領域が大部分疎水性(1123)である、大部分が平行のチャネル(1125)である。次に、長い核酸分子(1122)は、毛細管力によって前記チャネルに流入し、チャネル(1125)内に沈着される。この実施形態では、統合ウェル(1107)の底部は、相互接続チャネル(1125)と流体的に接触しており、ウェル内の流体閉じ込めは、ウェルの物理的境界によって制御されている。
図11(C)は、図11(A)の別の例の洗練された実施形態を示し、ここでは、流体デバイスの表面上のパターン化されたフィーチャーは、チャネルの底部領域が大部分親水性である大部分が相互接続されたチャネル(1145)である。相互接続されたチャネルのネットワークは、大部分が疎水性の頂部を有する柱(1143)の集合体によって互いに分離されている。この実施形態では、統合ウェル(1107)の底部は、相互接続されたチャネル(1145)と流体的に接触しており、ウェル内の流体閉じ込めは、ウェルの物理的境界によって制御される。入力溶液がウェルに導入された後、溶液は接続された相互接続チャネルを濡らし、チャネル(1145)内に長い核酸分子(1142)を沈着させる。隣接するチャネルを分離する柱の形状は、様々な形態をとることができる。非限定的な例(1147)として、矩形、多角形、円柱、及び円錐が挙げられる。
幾つかの実施形態では、入力試料を流した後、ユーザーによって、統合ウェルを流体デバイスから分離することができる。ウェルの取り出しは、固定された幾何学のそのようなスライドを収容するように設計された既存の細胞遺伝学的システムとデバイスの改良された統合を可能にする。更に、統合ウェルの取り出しは、例えば核型分析又はFISHプロトコールなどの様々な試薬へのパターン化されたフィーチャーにおける核酸分子への接近を改善し得る。最後に、統合ウェルの取り出しは、長い核酸分子の上にユーザーによりカバーガラスの適用の修正を可能とする。
幾つかの実施形態では、統合ウェルは、ユーザーによる装置への入力試料の適用前に装置に取り付けることができる。
幾つかの実施形態では、試料入口ウェルから尋問領域を含むパターン化されたフィーチャーまでの流体界面は、尋問領域への長い核酸分子のロード及び伸長の過程を補助するための追加のパターン化されたフィーチャーを含み得る。一実施形態では、尋問領域は、上部でより広い開口部を有し、限りなく狭い底部に向かってテーパーがある三角形の形状のチャネルで構成され、毛細管力がより小さい底部を支持して毛細管流差を生成し、チャネルの長手方向の狭い縫合線に沿って下降抗力並びに前進流を生じ、その長軸に沿って染色体及びDNA分子の配列及び伸長を促す。
マイクロ流体デバイス内の物理的閉じ込めを介した長い核酸の伸展標本
この一連の実施形態において、長い核酸分子のパッケージは、パッケージの内側とパッケージの外側の溶液との間の圧力差の増大によって、マイクロ流体デバイスの封入された尋問領域内で破裂するが、パッケージは、パッケージを閉じ込める尋問領域内に維持される。特定の実施形態では、圧力差は、細胞が低張になるような試薬交換によって生成される。特定の実施形態では、圧力差は、パッケージが含まれる流体デバイスの領域の物理的境界を修正することによって生成される。特定の実施形態では、試薬交換と物理的境界の修正との両方の組合せが使用される。
幾つかの実施形態では、閉じ込め領域の少なくとも1つの境界壁は、標準的な顕微鏡カバーガラスと実質的に同様の光学特性を有する。1つの好ましい実施形態では、境界壁は、約170ミクロンの厚さを有し、約1.52の光学的屈折率を有する。1つの好ましい実施形態では、境界壁は、ボロフロートガラスで構成される。
パッケージが装置内で破裂した後、特定の実施形態では、長い核酸分子のパッケージ内容物は、チャネル内の試薬の流体交換によって、尋問のために準備され得る。他の実施形態では、長い核酸分子を含むマイクロ流体デバイスの少なくとも1つの物理的チャネル壁を、長い核酸分子がこの時、露出表面マイクロ流体デバイス内に含まれるように除去することができ、従って、試薬交換を促進することができる。
図12に示す1つの特定の実施形態では、長い核酸分子(1204)のパッケージ(1203、1206)は、パッケージが少なくとも1つの寸法に沿って物理的に閉じ込められるように、流体デバイス(1202)の尋問領域(1205)として機能する囲まれたチャネルにロードされ、従って「つぶされた」と見なされ得る。幾つかの実施形態では、パッケージ(1203)が占有し得るチャネルに沿った優先的な位置は存在しない。他の実施形態では、流体デバイスは、ピットの位置にパッケージ(1206)を優先的に局在化させるエントロピートラップとして機能する少なくとも1つのピット(1207)を有する。
この特定の実施形態では、次に、パッケージが圧力差(1222)から膨張(1223)し、最終的に破裂(iii)して長い核酸分子(1241、1242)を放出するように、低張溶液が尋問領域内に導入される(ii)。尋問領域の高さは、分子を少なくとも1つの寸法に沿って閉じ込め、分子がエネルギー的に好ましくない状態で互いに垂直に重なるのを防ぐ。この時、核酸分子がデバイス内で伸展している状態で、次に、追加の試薬及び溶媒が所望の順序及びタイミングで、尋問領域に順次添加され得る。特定の実施形態では、試薬の尋問領域への導入は、毛細管力を介して補助される。幾つかの実施形態では、毛細管力は、キャピラリーポンプによって少なくとも部分的に提供される。幾つかの他の実施形態では、毛細管力は、温度、浸透圧若しくは表面エネルギー勾配又は蒸発力によって引き起こされる局所的マイクロ対流流によって少なくとも部分的に維持及び提供される。幾つかの実施形態では、試薬の交換は、試薬の尋問領域への拡散によって行われる。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイス内のパッケージの破裂は、パッケージが保持される閉じ込め領域を減少させることによって少なくとも部分的に補助される。
図13に示す1つの特定の実施形態では、長い核酸分子(1304)のパッケージ(1303、1306)は、パッケージが少なくとも1つの寸法に沿って物理的に閉じ込められ、従って「つぶされた」と見なされ得るように、デバイス(1302)の尋問領域(1305)として機能する囲まれたチャネルにロードされる。幾つかの実施形態では、パッケージが占有し得るチャネルに沿った優先的な位置は存在しない(1303)。他の実施形態では、流体デバイスは、ピットの場所にパッケージ(1306)を優先的に局在させるエントロピートラップとして機能する少なくとも1つのピット(1307)を有する。
この特定の実施形態では、パッケージが占有する閉じ込め領域は、パッケージ内の圧力がパッケージの外部の溶液に対して増大するように、少なくとも1つの寸法で閉じ込め(1322、1325)の増加(閉じ込め寸法の減少)を受ける(ii)。閉じ込めの増加は、例えば、プローブでデバイスを押し下げる、又はプレスで圧力を加えることによって、デバイス内のマイクロ流体チャネルの境界(1322、1325)に加えられる圧縮力によるものである。力が局所的に適用される方法の場合、適用される力の適用位置は、ピット1307の位置で調整することができる。圧縮力は、パッケージを圧力差(1323、1326)から非閉じ込め寸法で膨潤させ(1324)、破裂させ、長い核酸分子(iii)を解放する。幾つかの実施形態では、この過程は、低張状態のパッケージで行われる。尋問領域の高さは、少なくとも1つの寸法に沿って分子を閉じ込め、エネルギー的に好ましくない状態で分子が互いに垂直に重なることを防ぐ(1341、1342)。この時、核酸分子はデバイス内に伸展し、追加の試薬及び溶媒は、次に、所望の順序及びタイミングで尋問領域内に順次添加され得る。特定の実施形態では、試薬の尋問領域への導入は、毛細管力を介して補助される。幾つかの実施形態では、毛細管力は、キャピラリーポンプによって少なくとも部分的に提供される。幾つかの実施形態では、試薬の交換は、尋問領域への試薬の拡散によって行われる。
好ましい実施形態では、チャネルの深さ(1305、1205)は、閉じ込めに応答してパッケージが膨張できる非閉じ込め寸法が検査の光軸に実質的に垂直な平面に実質的に平行であるような閉じ込め寸法(又は閉じ込め寸法のうちの1つ)である。好ましい実施形態では、チャネルの深さは、パッケージの直径以下、より好ましくは直径の約75%以下であるように、パッケージ寸法に対して適切に定義される。直径は、使用されるパッケージのタイプによってかなり幅がある場合がある。例えば、血球は5~15ミクロンであり得、一方、水-油-水型液滴は数100ミクロンと大きくてもよい。同様に、好ましい実施形態では、ピット(1207、1307)の大きさは、単一のパッケージ、より好ましくは単一のパッケージのみを捕捉するように適切な大きさとするべきである。従って、好ましくは、ピットの体積はパッケージの体積の200%未満、又はより好ましくはパッケージの体積の150%未満であるべきである。
幾つかの実施形態のデバイスでは、溶液及び試薬を複数、かつ制御して尋問領域へ導入することができるように、キャピラリーリテンションバルブ(CRV)及びキャピラリーポンプ[Juncker, 2002]がデバイスに組み込まれる。このようなCRVとポンプをデバイスに組み込むことにより、異なる試薬溶液及び洗浄液を複数連続して入口に加えることができ、その結果、長い核酸分子を所望の時間間隔で前記試薬に曝すことができる。
幾つかのデバイスの実施形態では、様々な物理的障害物を尋問領域に含めることができる。これらの物理的障害物は、パッケージ及び長い核酸分子の移動を制限し、流体が流れている間、パッケージ又は長い核酸分子を尋問領域内に物理的に維持するために使用することができる。
試薬及び溶液交換が、尋問領域への及び尋問領域からの拡散によって少なくとも部分的に促進される幾つかのデバイスの実施形態では、尋問領域は、リザーバウェルを所望の溶液中に浸漬することによってリザーバウェルの流動性内容物が効率的に交換され、拡散によって尋問領域とリザーバウェルとの間で溶液の交換を可能とする大きなリザーバウェルと流体的に接続しているように、デバイス内に物理的に位置決めされている。一般に、拡散制限された溶液交換過程は、マイクロ流体デバイス環境において極めて遅い。一実施形態デバイスでは、拡散過程は、尋問領域の一部がリザーバウェルの1000ミクロン以内、好ましくはリザーバウェルの500ミクロン以内、更に好ましくはリザーバウェルの250ミクロン以内にあるようにデバイスを設計することによって促進される。
幾つかのデバイスの実施形態では、尋問領域を構成する少なくとも1つの境界壁は、それ自体が変形可能又は取り外し可能な蓋の一部である。幾つかの実施形態では、蓋は、蓋に統合されているタブを使用して、ユーザーが取り外すことができる。
細胞遺伝学的解析のための能動的マイクロ流体デバイス
この一連の実施形態では、本発明者らは、流体デバイスが制御機器によって動作されるように、能動的な方法でデバイスの尋問領域内の長い核酸分子の制御された物理的配置を介して、データ品質を向上させる方法で尋問のための核酸物質の位置決めを可能にする、消耗品としての流体デバイスのためのデバイス及び方法を開示する。
本明細書に記載の幾つかの流体デバイス及び方法の実施形態は、単一のパッケージに由来する大きな核酸分子が流体デバイスの尋問領域内で同時局在され、実質的に重ならないように、大きな核酸分子の伸展標本を生成するために設計されており、染色体が顕微鏡スライドの表面上にランダムに配置される一般的な染色体調製方法を用いる標準的な顕微鏡スライドよりも高い収率と向上したデータ品質を提供する。幾つかのデバイス及び設計の実施形態は、酵素などの試薬の相互作用又はパターン化されたフィーチャーとの物理的相互作用を介して高分子の物理的コンフォメーションを物理的に操作するように設計されており、高分子内の明確に異なるフィーチャーの分解能の向上を可能にする。本明細書に記載の幾つかのデバイス及び方法の実施形態は、マイクロ流体デバイスの伸長チャネル内で伸長した長い核酸断片を生成するように設計されており、一般的なファイバー-FISH及びDNA結合プロトコールと比較して、伸長及び分子の重なりの変動の低減を提供する。
高分子の浮遊パッケージを含む入力溶液をデバイスにロードした後、パッケージは、単一のパッケージのみを収容するように設計された様々な捕捉部位で個別に捕捉される[Wheeler, 2003]、[Lee, 2006]、[Voldman, 2008, 9,201,060]、[Le Gac, 2009] 、[Chung, 2001]。捕捉されると、パッケージ全体、又はその中の長い核酸分子内容物は、反応チャンバーに流体的に流入される。捕捉部位からの流体接続を除き、反応チャンバーは、他の全ての流体接続がエントロピー障壁を通るように設計されている。幾つかの実施形態では、捕捉部位への流体接続もエントロピー障壁を備えることができ、従って、反応チャンバーはエントロピートラップとなる。幾つかの実施形態では、単一の捕捉部位に関連する単一の反応チャンバーが存在し得る。幾つかの実施形態では、反応チャンバーは、複数の捕捉部位を収容することができる。幾つかの実施形態では、パッケージは、捕捉部位において溶解又は破裂される。幾つかの実施形態では、パッケージは、反応チャンバーにおいて溶解又は破裂させることができる。
反応チャンバーは、エントロピー障壁を介して少なくとも1つの流体チャネルに流体的に接続され、チャンバー内で、接続チャネルを介して流体交換を可能にするが、高分子が前記障壁を克服できるほど十分に大きい最小限の外力が働くようにする。このようなデバイスでは、高分子は、所望の組成、時間、圧力、及び温度の一連の溶液交換に曝されながら、反応チャンバー内に収容されたままとなる。幾つかの実施形態では、高分子は全ヒト染色体であり、反応は、デバイスの尋問領域内でFISH又は物理的マッピング尋問のために前記分子を準備する。幾つかのデバイスの実施形態構成では、反応チャンバーと尋問領域は同じである。他のデバイスの実施形態構成では、これらは流体的に接続されているが、別々のチャンバーである。
反応チャンバーのエントロピー障壁は、大きな高分子を物理的に閉じ込めるように設計されているが、より小さな分子、例えばパッケージ内に含まれ、パッケージの溶解時に放出される分子は、容易に当該障壁を通過する。結果として、これは、更なる下流分析のために、より小さな分子を収集する機会を提供する。幾つかの実施形態では、収集される分子には、タンパク質、酵素、RNA、mRNA、sRNA、tRNA、snRNA、核酸分子、核酸バーコード、抗体、ウイルスが含まれる。
デバイスの1つの好ましい実施形態では、入力試料溶液及びデバイスを操作するために必要な任意の関連試薬溶液は、手動ピペット分注又は自動液体処理システムを介してロードすることができる。マイクロ流体デバイスの好ましい一実施形態では、デバイスの動作は、少なくとも1つの制御機器によって制御され得、この制御機器は、プログラム又は人によって制御され得る。制御機器によるデバイスの動作は、前記本体への外力の適用を介してパッケージ又は高分子の物理的位置及びコンフォメーションを操作すること、種々の時間及び温度で、パッケージ又は高分子を種々の試薬組成及び濃度に曝すこと、その組成の分析を容易にするため又はデバイスの動作を制御するフィードバックシステムの一部として、パッケージ又は高分子を光学的に尋問すること、又はデバイスから望ましい高分子又は高分子の一部を抽出することを含み得る。マイクロ流体デバイスと制御機器は、多くの方法で接続することができる。非網羅的なリストとしては、流体ポート(開放及び閉鎖の両方)、電気端子、光学窓、機械的パッド、ヒートパイプ又はシンク、インダクタンスコイルが挙げられる。制御機器がデバイスに対して行うことができる潜在的機能の非網羅的リストには、温度監視、熱の適用、熱の除去、ポートへの圧力又は真空の適用、真空測定、圧力測定、電圧印加、電圧測定、電流印加、電流測定、電力印加、電力測定、デバイスへの集束光及び/又は非集束光の照射、デバイスから生成又は反射した光の収集が含まれる。
一実施形態では、高分子の存在の確認及びデバイス内のその物理的位置に対する制御は、フィードバックコントローラシステムを使用して制御機器によって制御される。高分子の検出は、少なくとも1つの光信号又は電子信号の検出による。好ましい実施形態では、信号は、前記高分子に結合した標識体に由来する光信号である。
一実施形態では、制御機器フィードバック制御システムは、少なくとも部分的に、分子内の特定の対象領域の識別、又は分子内の特定の対象領域の不在を利用する。様々な対象領域は、表現型、疾患、起源細胞型、物理マップパターンに関連してもよい。
制御機器は、中央に配置されていてもよいし、異なる機能又は冗長な機能のために分散された異なる部分を有していてもよい。
制御機器上で操作ソフトウエアを実行し、フィードバック制御又は尋問データ収集のための分析を実行するために、潜在的な選択肢の非網羅的なリストには、制御機器内に限局される処理、直接通信接続による隣接処理、ネットワーク接続による外部処理、又はこれらの組合せが含まれる。処理モジュールの様々な例としては、PC、マイクロコントローラ、特定用途向け集積マイクロチップ(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、CPU、GPU、ネットワークサーバー、クラウドコンピューティングサービス、又はこれらの組合せが挙げられる。
制御機器は、イメージングシステムを含んでもよく、これは、以下のタイプのイメージングのいずれか、又はこれらの組合せを含み得る:蛍光、落射蛍光、全内部反射蛍光、暗視野、明視野、共焦点。
制御機器は、複数の光源を同時に、又は順次に点灯することができ、複数の色を同時に、又は順次に画像化することができる。複数の色を同時に画像化する場合、これは、異なるカメラで、単一のカメラであるがセンサーアレイの異なる領域で、又は同じカメラの同じセンサーで行うことができる。幾つかの実施形態では、制御機器によって発せられる光の波長は、試料、試料標識体、又は官能基化表面と何らかの方法で相互作用するように選択される。非限定的な例としては、核酸の光切断、光切断可能なリンカーの光切断、光ピンセットの操作、光活性化反応の活性化が挙げられる。
制御機器は、少なくとも1つの感光性センサーを有していてもよく、その非限定的な例としてはCMOSカメラ、SCMOSカメラ、CCDカメラ、光電子増倍管(PMT)、時間遅延積分(TDI)センサー、フォトダイオード、光依存抵抗器、光伝導セル、光接合デバイス、光揮発性セルが挙げられる。
制御機器は、少なくともxyステージを有し、イメージングシステムがデバイスの異なる領域、又は制御機器内の他のデバイスを画像化することを可能にする。
制御機器は、自動焦点フィードバックシステム、画像品質のソフトウエア分析、デバイスアクセス性要件、ユーザアクセス、又はそれらの組合せに基づいて、z、先端、及び傾きを含む制御機器の光路に対するデバイスの尋問領域を調整することができる1以上のモータを備えていてもよい。
制御機器は、制御機器の異なる部分への1以上のデバイスのロボット搬送が可能であり得る。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、手動で又は制御機器のプログラムを用いてデバイスの視覚的な配列を可能にするために使用できるフィデューシャルマーカー又はアライメントマーカーを含み得る。幾つかの実施形態では、流体デバイス上に複数のゾーンがあり、各ゾーンは異なる入力試料を物理的に分離するように設計されている。幾つかの実施形態では、デバイス上にフィデューシャルマーカーがあり、ユーザー又は自動分注システムがデバイス上のどこに溶液を分注すべきかを誘導する。
入力試料溶液がデバイス内又はデバイス上に分注されると、制御機器の制御下でパッケージ又は高分子に対する外力が、標準的なスライド調製と比較して、前記分子の重なり又は自己フォールディングの確率が減少するように、パッケージの大きな核酸分子をデバイスの尋問領域内に一貫して配置することを可能にする。更に、制御機器の制御下で、流体デバイス内にある間、高分子は、高分子を尋問のために準備するために所望の時間及び温度で一連の試薬組成及び濃度に曝される。大きな核酸分子の伸展標本は、同じパッケージの他の分子と物理的に同位置にあり、イメージングによるグループ化識別が可能となるように、隣接するパッケージの分子とは十分に離れている。
ある好ましい実施形態では、パッケージは低張状態の細胞であり、大きな核酸分子は中期の染色体である。中期の染色体に加え、異なる相の染色体も可能である。例えば、FISHアプリケーションで使用するための間期染色体の沈着。更に、沈着される核酸は、染色体の一部であってもよいし、ミトコンドリアDNAなどの染色体以外の供給源に由来する核酸であってもよい。核酸は、やはりクロマチン形態であり得る。核酸は長い核酸断片であってもよいので、ファイバーFISHの適用が可能である。DNA結合法と同様に、長い核酸断片を表面で伸長させ、細胞遺伝学的適用を可能にする。しかし、ここでは、制御機器によるデバイス内の長い核酸分子の操作のため、長い核酸断片は、純粋にランダムな過程ではなく、制御された方法で伸長される。更に、スライドを試料のプールに浸漬する必要があるコーミングとは異なり、ここでは、単一のパッケージの核酸から取得尋問データを生成することができる。
1つの実施形態では、高分子上の物理マップ又はFISHプローブの光学分解能は、尋問に使用される光軸に実質的に垂直な少なくとも1つの平面内で高分子を物理的に拡張及び/又は伸長することによって改善される。幾つかの実施形態では、この拡張は、制御された濃度の試薬(例えば、タンパク質及び/又は核酸を消化する酵素)への分子の時限露出を介して少なくとも部分的に達成され、従って、核酸鎖をクロマチン構造から部分的又は完全に解放する。幾つかの実施形態では、これは、物理的障害物、多孔質媒体、ゲル、又は遅延力を提供する反応チャンバー内の局所的エントロピートラップの存在下で高分子に対する外力の適用を介して少なくとも部分的に達成され、高分子に対する大きく対抗する遅延力及び外力がそれを伸長させる働きをする。幾つかの実施形態では、遅延力は、第2の外力である。幾つかの実施形態では、これは、少なくとも部分的に、高分子をデバイス内の流体環境に導入して、少なくとも1つの寸法での分子の物理的閉じ込めを増加させ、高分子を非閉じ込め寸法内で物理的に膨張させることによって達成される。幾つかの実施形態では、分子は、より大きな物理的閉じ込めの領域に移動される。他の実施形態では、分子が占有する流体環境は、例えば、可撓性壁と界面を形成する隣接するチャネルに圧力又は真空を加えることによって調節できるチャネル壁[Unger, 1999, 6,899,137]、又はチャネルを囲む柔軟な屋根[Yao, 2015, 2019/0217295]を有して、又は外力による可撓性の屋根を有して[Leslie, 2017, 2020/0240898]、[Mahshid, 2015]、[Cohen, 2011, 10,048,193]、又は何らかの刺激に対してその形状を変えることができる位相変化材料からなるか、それに隣接する可撓性チャネル壁を有して[Hilber, 2016]、又は交流電場の適用を介して静電気引力によって互いに引き合うチャネル壁を有して[Sounart, 2005]、[Sounart, 2010]、分子に対してより閉じ込められるように調整することができる。幾つかの実施形態では、高分子は、誘電泳動(DEP)力の適用で圧縮力を受ける[Mashid, 2018, 10,307,769]。幾つかの実施形態では、これらの実施形態のデバイス及び方法のありとあらゆる組合せが、高分子を物理的に拡張するために使用され、これらの実施形態のデバイス方法のありとあらゆるものが、制御機器の制御下で、好ましくはフィードバック制御システムを用いる。幾つかの実施形態では、核型分析バンドの生成、及び核酸分子の長さに沿った線形物理マップの生成の両方を可能にする物理マッピング標識法が使用される。このようにして、高分子内の従来の核型分析バンドを得ることができ、次いで、試薬曝露及び/又は物理的閉じ込めを介した前記高分子の操作を通じて、高分子に由来する長い核酸分子の一部を伸長させ、尋問し、参照と比較することができる。幾つかの実施形態では、長い核酸分子の伸長した部分は、尋問中に起源の高分子に接続されたままである。幾つかの実施形態では、その部分は、起源の高分子から切断される。好ましい実施形態では、長い核酸分子の伸張した部分が由来する高分子内の起源位置は、制御機器によって監視され記録される。幾つかの実施形態では、起源位置は選択され、好ましい実施形態では、起源高分子上の物理マップの分析のために選択される。幾つかの実施形態では、起源パッケージ又は高分子は、デバイスに統合されたエレクトロウェッティングデバイスによって操作される。操作には、分子の物理的移動、試薬又は洗浄溶媒の導入、高分子の物理的分離、高分子の物理的共局在が含まれ得る。
使用され得る試薬材料及び溶液は、染色体に関する細胞遺伝学的分析を行う技術の訓練を受けた者によって一般に使用され得るものを含む。これらの試薬には、様々な染色液、固定剤、色素、及び溶媒が含まれる。更なる試薬としては、特に物理的マッピング、線形物理的マッピング、FISHプローブ、標識体、メチル化色素、非メチル化色素のための様々な色素を含み得る。幾つかの実施形態では、様々な試薬の流れは一方向であってよい。他の実施形態では、流体の流れは交互であってもよい。幾つかの実施形態では、荷電した長い核酸分子を操作するために、外力、例えば圧力駆動試薬流と印加電場の混合があってもよい。
幾つかの実施形態のデバイス及び方法において、核型分析バンディングプロファイルと同様又は同等の信号を提供する、それに結合した標識体を有する高分子を尋問することが望まれる。幾つかの実施形態では、バンディングプロファイルは、高分子を、様々な試薬組成及び濃度に、様々な温度及び時間で曝露することによって生成される。幾つかの実施形態では、試薬組成は、Rバンド、Qバンド、Cバンド、及びGバンドを含む、細胞遺伝学業界の人々によってよく認識されるバンディングパターンを生成するように選択することができる。信号のコントラストを改善するために、幾つかの実施形態は又、対比染色を含む。一般的に使用される細胞遺伝学的核型分析用色素及びバンディングの総説としては、[Moore, 2001]を参照されたい。従来の核型分析色素に加えて、幾つかの実施形態のデバイス及び方法では、先に述べた物理的マッピング法、特に線形物理的マッピング法などの伸張した単一分子マッピング用途に適合するバンディングパターンを生成することが望ましい。更に、幾つかの実施形態では、バンドを生成する工程は、工程を監視するためのフィードバック制御システムを用いて、制御機器によって制御することができ、所望の用途のためにバンディングコントラストを最適化することができる。
幾つかの実施形態では、尋問領域を構成する流体デバイスの境界壁の少なくとも1つの表面は、表面エネルギーを変更するか、又は官能基化を追加して、当該表面との核酸分子の固定化を促進するように修正される。幾つかの実施形態では、デバイス表面の官能基化の特定領域は、高分子の特定標的を固定化するように設計されている。幾つかの実施形態では、特定の標的は、染色体の一種である。
全ての実施形態について、「尋問のための準備」とは、先に述べたデバイス及び方法の実施形態のいずれかを介して、所望の濃度、時間、及び温度の一連の異なる試薬溶液曝露を介して前記分子の尋問を可能にするために、長い核酸分子のコンフォメーション又は構造及び/又は分子への標識体の結合を物理的、化学的、又は酵素的に操作する工程を指す。好ましい実施形態では、長い核酸分子上の標識体は、物理マップ及び/又はFISHプローブを含んでいる。幾つかの実施形態では、これらの準備の幾つかは事前に行われ、従って、この文脈での「尋問の準備」とは、幾つかのステップが既に完了しているため、分子の尋問を可能にするために必要な最終ステップを指す。例えば、捕捉部位に捕捉されたパッケージは、液滴であってもよく、液滴の内容物は、物理的マッピングを可能にするために、溶解、タンパク質の酵素消化、及び蛍光標識体の核酸標識を含む、液滴内の処理を従前に受けた単一細胞である。幾つかの実施形態では、「尋問の準備」を定義する処理の少なくとも幾つかは、幾つかの実施形態では、フィードバックシステムの一部として、尋問の間に行われる。例えば、追加の伸長が必要であること、又は異なる物理的コンフォメーションが望まれること、又は高分子上の標識体を何らかの方法で修正する(例えば、異なる蛍光色の新しい標識を追加する)必要があること、又はそれらの組合せが尋問中に決定される場合がある。
この中に記載されているのは、多数の異なる能動的デバイスの実施形態である。しかし、ほとんどの実施形態は、幾つかの基本的な機能性を共有している。第一に、浮遊パッケージを含む入力試料がデバイスに導入される。第二に、パッケージは、捕捉部位で個別に捕捉される。第三に、長い核酸分子からなるパッケージ内容物が反応チャンバーに導入される。第四に、長い核酸分子を物理的に位置決めし、該分子に標識体を結合させることにより、「尋問の準備」をする。第五に、制御機器は、デバイスの尋問領域内にある間に該分子の光学的尋問を行う。幾つかのデバイスの実施形態では、反応チャンバーと尋問領域は同じである。幾つかの実施形態では、尋問領域は又、伸長チャネルを含んでもよい。幾つかの実施形態では、伸長及び尋問チャンバーは分離されているが、実施形態によっては、伸長チャネル内の核酸分子の尋問が依然として行われる可能性がある。幾つかの実施形態では、「尋問のための準備」は、反応チャネルに入る前に少なくとも部分的に実行されていてもよい。幾つかの実施形態では、「尋問のための準備」は、デバイスにロードする前に、デバイスの外部で少なくとも部分的に実行されてもよい。
以下の実施形態は、本発明の様々な態様を表し、可能性のある全ての実施形態の完全なリストではない。特に、以下の実施形態は、デバイスの特定の特徴及び使用方法を説明するものである。従って、実施形態は、以下の実施形態の様々な特徴の全ての実現可能な組合せ及び順列も含む。更に、別段の明示がない限り、与えられた実施形態において、反応チャンバー及び尋問チャンバーは、流体デバイス内の同じ流体構成要素である。しかしながら、特定の実施形態では、これらは装置内の異なる構成要素であり得る。更に、伸長チャネルは、尋問領域とは物理的に別のデバイス領域であるが、特定の状況下では、長い核酸分子の少なくとも一部は、伸長チャネル内で尋問を受けることもできる。
説明された全てのデバイス及び方法の実施形態について、本文中で明示されていなければ、様々なフィーチャーの寸法は、そのフィーチャーがどのような物理的本体と相互作用することを意図しているか、及び相互作用の方法によって決まる。例えば、捕捉部位は、少なくとも1つの、好ましくは1つのみの、パッケージを捕捉するのに適した大きさであるべきであり、従って、好ましくはパッケージ体積の約175%以下、又はより好ましくはパッケージ体積の150%以下の大きさであるべきである。パッケージの大きさは、直径2~10ミクロンのヒト血液細胞から、500ミクロンにもなり得る水-油-水型液滴まで、様々であり得る。同様に、エントロピー障壁を有するデバイスの実施形態は、好ましくは、パッケージ直径の95%以下、又はより好ましくはパッケージ直径の75%以下の大きさの閉じ込め寸法を有するべきである。
注:以下の用語は、デバイスの実施形態の様々な物理的構成要素を説明するために使用される。
流体接続点(実施形態において定義される)
試料ローディングチャネル(実施形態において定義される)
捕捉部位(実施形態において定義される)
層流ポート(実施形態において定義される)
狭窄接続部(実施形態において定義される)
反応チャンバー(実施形態において定義される)
尋問領域(定義において定義される)
エントロピー障壁、エントロピートラップ(定義において定義される)
伸長チャネル(実施形態において定義される)
接続点(実施形態において定義される)
長い核酸分子が尋問された後、尋問の分析に基づいて、分子は次に追加の試薬曝露及び/又は物理的操作に曝され得る。例えば、尋問の結果からの何らかの決定基準に基づいて、分子は次に、以下のいずれかに曝露されてもよい:FISHプローブ、PCRプライマー、バーコード、バーコードを有するプライマー、MDAプライマー、標識体、物理的マッピング標識体。幾つかの実施形態では、分子は、次に、更なる分析のために収集され、デバイス上で実行されるか、又は分子の抽出を介してデバイスの外部で実行され得る。追加の分析としては、限定されるものではないが、マッピング、シークエンシング、アレイCGH、SNP-アレイ、3Dマッピング、増幅(PCR)、又は追加の細胞遺伝学的方法、例えばFISHプローブのハイブリダイゼーションが含まれる。
単一パッケージの捕捉及び尋問のための能動的マイクロ流体デバイス
デバイスの一実施形態を図14(A)に記載する。このデバイスの主な流体的特徴は、入力試料ローディングチャネル(1410)、単一パッケージ捕捉部位(1408)、この実施形態のための尋問領域としても機能する反応チャンバー(1411)、及びエントロピー障壁(1415)を含む。この図及び以降の全ての図における流体接続点(1401、1402、1403)は、デバイス内の他の何らかのマイクロ流体装置構成要素、例えばデバイス外部への入口又は出口ポート、チャネル、ウェル、混合器、液滴生成器、液滴注入器への流体接続を表している。本実施形態では、浮遊パッケージの入力試料(1404)は、1401を介して試料ローディングチャネルに入り、外力の下で、パッケージは1402に向かって流れる。1401から1402への通過の間、パッケージは少なくとも1つの捕捉部位(1408)に遭遇する。様々な異なる捕捉部位の幾何学が従前に実証されており[Wheeler, 2003][Le Gac, 2009]、層流流体ライン(1407)が、捕捉部位から流体流が出ることを可能にする(従って捕捉部位への流れを可能にする)のに十分大きいが、操作上加えられる力の下でフローポート(1409)をパッケージが通過するには小さすぎる開口が存在する捕捉部位へパッケージを誘導する。全ての場合において、捕捉部位開口部及びチャンバーは、一旦パッケージで占有されると、占有パッケージが他の占有パッケージを排除するように、単一の所望のパッケージを収容するのにちょうど良い大きさに設定される。幾つかのデバイスの実施形態では、捕捉部位におけるパッケージ捕捉の確率を向上させるように層流の流路を修正するように作用する流体的特徴(1406)が試料ローディングチャネルに含まれる。更に、捕捉部位(1408)を反応チャンバー(1412)に接続する第3の流出点、狭窄接続部(1413)が存在する。1409と同様に、狭窄接続部(1413)は、操作上適用される外力の下でパッケージが通過するには小さすぎる大きさである。
パッケージが捕捉された後、その時点で、パッケージの内容物(1412)を反応チャンバー(1411)内に輸送することが望まれる。この実施形態のデバイスでは、少なくとも2つの異なる輸送方法がある。第1の方法では、パッケージは、定義に記載された溶解方法のいずれかによって、捕捉部位の内部にある間に溶解される。溶解が溶解剤によって行われる場合、溶解剤は、流体接続点1401から流体接続点1402に流されてもよいし、又はより好ましくは、流体接続点1401から流体接続点1403に流される。溶解されると、パッケージから放出された高分子は、適用された外力によって、狭窄接続部を介して、反応チャンバー内に輸送される。可能性のある第2の方法では、パッケージは、狭窄接続部を通過するのに十分な大きさの加えられた外力を介して反応チャンバーに直接輸送され、反応チャンバー内部に入ると、パッケージは、定義に記載の溶解方法のいずれかにより溶解される。幾つかの実施形態では、捕捉部位でパッケージを捕捉し、パッケージを溶解し、パッケージの内容物を反応チャンバーに輸送する動作ステップは、制御機器によって利用可能な任意の手段を用いて監視され得る。幾つかの実施形態では、制御機器は、工程を調整、再開、又は停止するためのフィードバックシステムの一部として、監視されたデータを使用してもよい。
全ての実施形態において、反応チャンバー(1411)は、捕捉部位(1408)からの流体接続を除いて、反応チャンバーが全ての流体接続がエントロピー障壁を通るように設計されている流体デバイス内の囲まれた流体チャンバーとして定義される。図14(A)において、これは、反応チャンバー(1412)を流体接続部1403と分離するエントロピー障壁(1415)によって示され、この実施形態では、エントロピー障壁は柱(1414)で構成される。好ましい実施形態では、例えば、狭窄接続(1413)が反応チャンバー内の大きな核酸分子(1412)にエントロピー障壁を提示する場合には、捕捉部位から反応チャンバーへの流体接続もエントロピー障壁を含む。定義で説明したように、流体チャンバーから出る全ての流体接続がエントロピー障壁を通る場合、流体チャンバーは、当該流体チャンバーを占有する変形可能な物体に対するエントロピートラップである。反応チャンバーは、異なる試薬組成と濃度を含む様々な溶液を反応チャンバーを通して流すことができ、一方で分子を尋問のために準備するようにパッケージ及び/又は長い核酸分子を前記反応チャンバー内に維持するように設計されている。好ましい実施形態では、流体デバイスは、任意の単一の時点で、単一の起源パッケージからの長い核酸分子のみが反応チャンバーを占有し得るように設計及び操作される。図14(A)に示すこの実施形態では、反応チャンバー及び尋問領域は、同じ流体フィーチャー(1411)である。
幾つかの実施形態では、長い核酸分子(1412)の尋問前又は尋問中に、分子は、尋問中に個々の分子の識別を助けるために、分子が実質的に互いに物理的に接触しないような方法でチャンバー内に配置される。幾つかの実施形態では、長い核酸分子の尋問前又は尋問中に、分子は、従前に記載されたデバイス及び方法を使用して「尋問のために準備される」。
幾つかの実施形態では、尋問領域は、複数のパッケージを連続的に分析するために使用することができる。所望の場合、長い核酸分子は、十分に大きな外力の適用を介して、エントロピー障壁(1415)を介して、尋問領域からフラッシュさせることができる。幾つかの実施形態では、フラッシングの過程は、チャンバー内の分子の物理的サイズを減じるために切断剤又は光切断法を加えることによって補助され、従って、分子が障壁を克服するために必要な最小の力を弱める。幾つかの実施形態では、チャンバーも又、様々な試薬を含む溶液を含む溶液でフラッシングされる。幾つかの実施形態では、分子を尋問チャンバーからフラッシュする方法は、フラッシュが完全であることを確実にするために、制御機器によって監視及び制御される。チャンバーがフラッシュされると、パッケージ捕捉及び長い核酸分子の尋問のために従前に記載された方法を振り返すことができる。
図14(B)は、図14(A)で示されたものと多くの類似の特徴及び機能を有するが、2つのパッケージを同時に又は順次に捕捉、準備、及び尋問するための追加機能を有するデバイス及び方法の実施形態を表す。図14(A)についての従前の説明を参照すると、1425は溶液中に浮遊したパッケージ(1404と同様)であり、1426は層流ライン(1405と同様)であり、1427は流体流ラインを操作する流体フィーチャー(1427と同様)であり、1428はパッケージを捕捉部位に誘導する層流ラインであり、1429は単一のパッケージ捕捉部位(1408と同様)であり、1430は層流ポート(1409と同様)であり、1431は試料ローディングチャネル(1410と同様)であり、1401及び1402は試料ローディングチャネルへの流体接続ポート(それぞれ1401及び1410と同様)である。
この実施形態のデバイス及び方法において、第2のパッケージ(1432)を捕捉することができる第2の捕捉部位(1433)がある。このデバイスには、多くの異なる動作モードがある。好ましい一実施形態では、浮遊パッケージの溶液は、捕捉部位1429及び1433の両方がパッケージを捕捉するまで、1421から1422へ流れる。捕捉統計は、制御機器によって決定及び確認することができる。両方の部位がパッケージを捕捉すると、長い核酸分子のそれぞれの内容物は、次に、実施形態14(A)について従前に記載したものと同様の方法のいずれかを使用して、それぞれの尋問領域に輸送されてもよい。ここで、捕捉部位1429は、狭窄接続部1437を介して流体的に接続され、これは次に、そのそれぞれの尋問領域/反応チャンバー1436に流体的に接続される。同様に、捕捉部位1433は、狭窄接続部を介して流体的に接続され、これは次に、そのそれぞれの尋問領域/反応チャンバー1441に流体的に接続される。デバイスの正常な動作の鍵は、異なるパッケージに由来する長い核酸分子の物理的分離を維持する能力である。分離を維持することができないと、曖昧さなく単一細胞分析を促進するデバイスの能力が損なわれる可能性がある。これは、2つの尋問領域を分離するエントロピー障壁1440によって達成され、この実施形態では、柱1439で構成されている。更に、この実施形態では、2つの尋問領域は、それぞれのエントロピー障壁1434及び1443を介して、流体接続ポート1423及び1424に流体的に接続されている。この1つの好ましい実施形態では、分子がそれらの各尋問領域にあると、単一パッケージ分離を維持しながら、尋問領域内の分子を前記試薬に曝露するために様々な組成の試薬を含む溶液を1423と1424との間に流すことができる。これは、複数のパッケージ(この実施形態では2つ)の同時処理を可能とするので非常に有利である。尋問のために分子を準備するために使用される図14(A)の従前に記載したデバイスの特徴及び方法、並びに尋問自体も全て、この実施形態では2つのパッケージで実施することも可能である。この実施形態は、任意の数の捕捉部位-尋問領域対に拡張することができ、そのため、多数のパッケージが、それらの内容物を「尋問のために準備」され、同時に又は順次に尋問され、全て、別のパッケージに由来する内容物の物理的分離は維持される。幾つかの実施形態では、デバイスは、5つを超える捕捉部位-尋問領域対、10を超える捕捉部位-尋問領域対、50を超える捕捉部位-尋問領域対、100を超える捕捉部位-尋問領域対、500を超える捕捉部位-尋問領域対、1000を超える捕捉部位-尋問領域対、5000を超える捕捉部位-尋問領域対、10000を超える捕捉部位-尋問領域対を有してよい。
図14(B)の更なる実施形態では、例えば試料濃度が非常に低い場合、全ての捕捉部位が完全に占有されずにデバイスが動作する状況が存在し得る。更なる実施形態では、捕捉されたパッケージの選択されたサブセットのみを尋問することが有利である状況が存在し得る。選択された捕捉パッケージのサブセットは、何らかの基準に基づき得る。例えば、所望の統計的サンプリング数、又は所望のパッケージ形状、物理的コンフォメーション、形態、タイプ、表現型又はマーカーである。例えば、所望のパッケージは、対象とする特定の細胞、対象とする特定の細胞種を表し、対象とする特定の疾患との関連を有し、循環癌細胞、腫瘍細胞であり、それを識別する結合マーカーを有し、対象とする特定の組織に由来し得る。捕捉されたパッケージのサブセットを選択するために、制御機器によって光溶解が採用され、対象とするパッケージに焦点を合わせた光子を標的化することができる。
選択的な単一パッケージの捕捉及び尋問のための能動的マイクロ流体デバイス
図15は、図14(A)で示されたものと多くの類似の特徴及び機能を有するが、3つのパッケージを順次捕捉、準備、及び尋問するための更なる機能性を有するデバイス及び方法の実施形態を表す。図14(A)についての従前の説明を参照すると、1504は溶液中に浮遊するパッケージ(1404と同様)であり、1505は層流ライン(1405と同様)であり、1506は流体流ラインを操作するための流体フィーチャー(1427と同様)であり、1507はパッケージを捕捉部位に誘導する層流ラインである。1508は単一のパッケージ捕捉部位(1408と同様)であり、1509は層流ポート(1409と同様)であり、1503は試料ローディングチャネル(1410と同様)であり、1501及び1502は試料ローディングチャネルへの流体接続ポート(それぞれ1401及び1410と同様)である。
この実施形態のデバイス及び方法において、単一の尋問領域/反応チャンバー(1515)は、3つの接続パッケージ捕捉部位(1508、1510、及び1512)を共有する。更に、尋問領域は、それぞれエントロピー障壁1513及び1519を介して流体接続ポート1520及び1521に流体的に接続されている。この実施形態のデバイスでは、図14(A)において実施形態について説明した方法を介して複数の捕捉部位からパッケージ内容物を同時に輸送すると、異なるパッケージに由来するパッケージ内容物が同じ尋問領域を占有することになる。単一の尋問領域におけるパッケージ内容物の混合が管理可能、許容可能、又は望ましい、デバイス動作の特定の実施形態が存在し得る。例えば、機器コントローラーは、パッケージの溶解と大きな核酸分子の放出の進行を監視及び記録することができ、従って、それらの起源パッケージに関して各分子を個々に追跡することができる。別の例では、各パッケージの内容物は、各パッケージの内容物を互いに区別するために用いることができる識別ラベル、マーカー、バーコードなどで既に予めラベル付けされていてもよい。このような実施形態では、分子の重なりを減らすために実質的な物理的閉じ込めがある尋問領域は、分子が流体環境内で動的に移動する際に制御機器がどの分子がどれであるかを追跡し続けるのに有用である。或いは、幾つかの実施形態では、複数のパッケージ起源からの長い核酸分子の混合は、例えば、パッケージが本質的にほぼ均質であると予想される場合、問題ではない場合があり、どの起源パッケージであるかにかかわらず、ある状態の長い核酸分子の同定で十分である。一例として、X染色体上の脆弱性X症候群の同定がある。
図15に示されるデバイスの好ましい実施形態の動作方法において、単一のパッケージのみに由来する長い核酸分子1517は、単一の時点で尋問領域1515に入ることが許容される。これは、機器コントローラーが、単一のパッケージのみが全ての利用可能な捕捉部位に捕捉されることを保証することによって達成され得る。或いは、機器コントローラーが、従前に述べたように、例えば、潜在的に何らかの決定基準に基づく集束光子によって、捕捉部位において単一の捕捉されたパッケージを選択的に溶解させることによっても達成され得る。このようなデバイス及び方法の実施形態は、所望のパッケージがパッケージの集合体内の希少なパッケージである場合、このようなデバイス実施形態の設計は製造コスト及び捕捉確率の改善という点でより効率的である可能性があるので、極めて有利であり得る。例えば、所望のパッケージが、多数の非CTC細胞も含む溶液中に浮遊した循環腫瘍細胞(CTC)である場合がある。
この実施形態は、単一の尋問領域(反応チャンバー)に関連する任意の数の捕捉部位に拡張することができ、従って、多数のパッケージを捕捉し、次に所望の動作に応じて、それらの内容物を連続方式、並行方式、又は所望の組合せで尋問領域内に輸送することができる。幾つかの実施形態では、デバイスは、単一の尋問領域に関連した5つを超える捕捉部位、10を超える捕捉部位、50を超える捕捉部位、100を超える捕捉部位、500を超える捕捉部位、1000を超える捕捉部位、5000を超える捕捉部位、10000を超える捕捉部位、50000を超える捕捉部位を有し得る。
伸長チャネルにおける選択的単一パッケージ捕捉及び尋問のための能動的マイクロ流体デバイス
図16は、図15で示されるものと多くの類似の特徴及び機能を有するデバイス及び方法の実施形態を表すが、ここでこの実施形態において、尋問領域(反応チャンバー)1603は、チャネル1605を介して少なくとも1つの捕捉部位(示されていない)に流体的に接続されており、尋問領域は少なくとも1つの伸長チャネル1610と流体的に接続されている。図16に示される実施形態では、伸長チャネル1611のアレイが存在する。尋問領域は、それぞれエントロピー障壁1601及び1607を介して流体接続ポート1608及び1609に流体的に接続されている。
伸長チャネルは、尋問領域の一種であるが、伸長状態の少なくとも一部で長い核酸分子を尋問するという定義された目的を有する。これは、チャネル内の少なくとも1つの閉じ込め寸法、好ましくは、尋問システムの光軸に平行な寸法(すなわち、深さ)を200nm未満にすることによって達成される。より好ましくは、100nm未満である。更により好ましくは、50nm未満である。
デバイス及び方法の好ましい実施形態では、長い核酸分子1612の一部が伸長チャネルに入る前に、大きな核酸分子1604は、少なくとも部分的に、尋問領域内で「尋問のために準備される」。記載された実施形態では、伸長チャネルは、次に、それ自体が流体接続ポート1614及び1615と接続している収集チャネル1613と流体的に接触している。
尋問のための高分子の準備
図17は、少なくとも部分的に「尋問のための準備」を含む反応チャンバー内で長い核酸分子を操作するための実施形態のデバイス及び方法の集合体を示す。図17(A)は、長い核酸分子を、長い核酸分子を一緒に結合する化合物(例えば、DNA結合タンパク質)を消化する試薬に暴露し、従って、長い核酸分子を前記化合物によって制限された物理的確認から解放するデバイス及び方法を示す。図17(A)で、反応チャンバー(尋問領域)1702は、少なくとも1つの捕捉部位(示されていない)と、又3つのエントロピー障壁(1701、1709、1708)を介してそれぞれ3つの流体接続ポート(1710、1711、1712)と流体接続1703している。この実施形態のデバイス及び方法では、長い核酸分子(ここでは中期の染色体)を、タンパク質を消化するための酵素、好ましくはプロテアーゼKを含む1710に起源する溶液流1704に曝して、長い核酸分子を染色体構造に一緒に結合させるヒストン及びシャペロンタンパク質を消化する。消化され、結合タンパク質から解放されると、中期染色体は流体環境内で普遍的に膨潤する。このような膨潤は、染色体内の特徴をより高い分解能で調べるための絶好の機会となる。例えば、これまで光学的に区別できなかった分離した核型分析バンドをここで解明することができる。或いは、これまでには重なっていた同じ色の2つのFISHプローブが物理的に互いに分離されるようになる。1705、1706、及び1707は、分子がタンパク質消化酵素の存在下で膨潤するにつれて、進行する時点における同じ長い核酸分子を表す。幾つかの実施形態では、標識体(例えば、核型分析染色液)は、タンパク質消化酵素に曝露する前に分子に適用される。幾つかの実施形態では、標識体は、タンパク質消化に曝した後に分子に適用される。幾つかの実施形態では、標識体は、タンパク質消化に曝している間に、分子に適用される。幾つかの実施形態では、長い核酸分子を強制的な物理的配置となるように結合させる本体は、切断可能な実体である。幾つかの実施形態では、それらは光切断可能な実体であり、適切な波長の光の曝露を介して実体を光切断した後に、長い核酸分子を溶液中で膨潤させることができるようになっている。
図17(B)は、長い核酸分子を、分子に結合する試薬に暴露して物理マップ、この実施形態では核型分析バンディングパターンを生成するデバイス及び方法を示す。反応チャンバー/尋問領域1722は、少なくとも1つの捕捉部位(示されていない)と、又3つのエントロピー障壁(1732、1729、1728)を介してそれぞれ3つの流体接続ポート(1720、1721、1722)と流体接続1723している。この実施形態のデバイス及び方法では、長い核酸分子(ここでは中期の染色体)は、標識化工程の少なくとも1つのステップに関与する試薬を含む1720に起源する溶液流1724に曝される。標識化工程全体は、異なる試薬組成及び濃度、様々な時間及び温度で複数のステップを必要とする場合がある。その結果、長い核酸分子上で尋問可能な物理マップが生成される(1727)。
図17(C)は、大きな核酸分子から少なくとも一本の一本鎖を抽出するデバイス及び方法を示す。ここで、物理的マップパターン1742で準備された大きな核酸分子は、エントロピー障壁1743及び伸長領域1745(従前に定義)を介して、流体接続ポート1746に流体的に接続されている尋問領域(反応チャンバー)内にある。尋問領域への少なくとも1つの他の流体接続があるが、これらは示されていない。この実施形態では、「尋問の準備」のために従前に述べた方法のいずれかを採用する機器コントローラーは、より大きな塊から少なくとも単一の長い核酸分子鎖1745を引き出すか、又は分離させることができる。好ましい実施形態では、より大きな塊1742に存在する2D物理マップは、線形物理マップ1745に適合する方法によって生成される。例えば、物理マップは、基礎的なAT/CG含有量との相関を生成する工程を介して核酸分子に直接結合する標識体によって生成される。このような物理マップを用いると、2D物理マップ核型分析バンドを生成する標識化工程は、より大きな分子塊に起源する長い核酸分子の伸張した部分に沿った線形物理マップを生成することも可能である。2D物理マップ、又は線形物理マップのいずれかを参照と比較することができる。幾つかの実施形態では、長い核酸分子は、核型分析バンドの分析に基づく主要塊内の領域からの主要塊から一本鎖を抽出するように操作される。幾つかの実施形態では、一本鎖は、主要塊に物理的に付着したままである。幾つかの実施形態では、一本が主要塊から切断によって分離され、幾つかの実施形態では、光切断によって分離される。幾つかの実施形態では、伸長領域の閉じ込め空間が長い核酸分子に十分に大きなエントロピー障壁を提供するので、エントロピー障壁と伸長領域は同じものである。
閉じ込め寸法
図18は、好ましくは尋問の光軸に平行な寸法に沿って分子の物理的閉じ込めを増加させることによって、長い核酸分子上の物理マップ(ここでは中期の染色体上の核型分析2D物理マップとして示される)の分解能を向上させる実施形態の方法及びデバイスを表す。図18(A)は、流体デバイスの比較的深いセクション1801に長い核酸分子1805があり、デバイスの比較的浅いセクション1803に同じ分子1806がある実施形態の上面図を示す。分子を深いセクションから浅いセクションに輸送することによって、物理マップの分解能を向上させることができる。この特定の実施形態では、物理マップは、核型分析バンディングパターンであり、深いセクションの単一のバンドが、浅いセクションで2つの別々のバンドとなるように分解される(1804)。
図18(B)は図18(A)の断面を示し、深さ1811の深いセクション1812の分子1813はその最もエネルギー的に好ましい形状に物理的に緩和するようにより高い自由度を有するが、深さ1816の浅いセクション1814の同じ分子1815は物理的に緩和する自由度が少なく、従ってそれが占有する物理境界により適合し、従って閉じ込めの寸法に垂直な平面に沿って著しく伸張する。
幾つかの実施形態では、浅いセクションと深いセクションは、図18に示すように、デバイス内の物理的に異なる位置にある。幾つかの実施形態では、浅いセクションと深いセクションは、デバイスの同じ領域であるが、閉じ込め寸法は調節可能である。好ましい実施形態では、調節は、制御機器によって制御可能である。幾つかの実施形態では、分子が尋問され得る1811から1816に及ぶ様々な深さの範囲が存在する。
伸長チャネルの統合
図19は、長い核酸分子の少なくとも一部が、尋問中に長い核酸分子の一本鎖の少なくとも一部が伸長状態となることを可能にする条件下で伸長チャネルに曝される実施形態のデバイス及び方法を示す。図19(A)は、2D物理マップ1901が尋問領域1902にある長い核酸分子の上面図である。図19(B)は、寸法1911によって閉じ込められた分子塊1912を示す、線1903を通る図19(A)の断面図である。好ましい実施形態では、分子1901は、従前にタンパク質消化酵素に曝されて分子が膨潤した中期染色体である。好ましい実施形態では、分子は、核酸に結合した標識体から生成された2D物理マップを有し、これは、基礎的なAT/CG密度と相関する核型分析バンドを生成する。図19(C)は、従前に記載した尋問領域1902内の従前に記載した分子1901を示すが、ここでは尋問1922内の分子1921は伸長チャネル1925に少なくとも部分的に曝され、その結果、分子塊1921に由来する長い核酸分子鎖1924が尋問中に少なくとも部分的に伸長チャネル内で伸長できる。好ましい実施形態では、基礎的なAT/CG密度と相関する、長い核酸分子鎖1924の長さに沿った線形物理マップが存在し、その結果、その鎖が参照にマッピングでき、識別及び比較を可能にする。好ましい実施形態では、個々の鎖が由来する核型分析バンド領域は、制御機器によって監視及び記録される。図19(D)は、線1923を通る図19(C)の断面を示し、個々の長い核酸分子1942が閉じ込め寸法1941の伸長チャネルに閉じ込められていることを示す。全ての実施形態において、1941は1911より小さい。幾つかの実施形態では、1911は、20ミクロン未満、又は10ミクロン未満、又は5ミクロン未満、又は2ミクロン未満、又は1ミクロン未満、又は0.5ミクロン未満である。幾つかの実施形態では、1941は、500nm未満、又は200nm未満、又は100nm未満、又は50nm未満、又は25nm未満である。
好ましい実施形態において、1921は、中期の染色体であり、流動的な環境においてタンパク質が消化され、染色体が膨潤することを可能にするが、元の染色体構造の実質的な構造的比例関係を維持する。好ましい実施形態では、核酸に結合しているのは、基礎的なAT/CG含量と相関する標識体であり、核型分析バンドが形成され、染色体タイプ、対象とする構造変化、又はアルゴリズム若しくはユーザー入力によって特定される対象領域の尋問による識別を可能とする。好ましい実施形態では、染色体の一部は、次に、長い核酸分子の少なくとも一部を更に伸長させるために、伸長チャネルに導入される。幾つかの実施形態では、伸長される染色体の部分はランダムである。他の実施形態では、伸長される染色体の部分は、何らかの基準に基づいた染色体の所望の領域である。幾つかの実施形態では、伸長される部分は、伸長領域に輸送される。他の実施形態では、伸長される部分は、物理的境界の調節によって伸長領域となり得る尋問チャンバーの領域に輸送される。
図20に示されるような別の実施形態のデバイス及び方法では、尋問領域から伸長チャネルへの移行領域が存在する。この実施形態では、尋問の光軸(例えば、チャネルの深さ)に平行な一貫した閉じ込め寸法で尋問領域内に現れる場合の、AT/GC密度に相関する標識体(例えば、核型分析バンド)が見えている長い核酸分子が示されている2001。この同じ分子は、次に、尋問領域から伸長チャネルへの移行領域を占有する2002として示されている。図20(B)は図20(A)の断面であり、尋問領域2013の閉じ込め寸法は、伸長チャネル2014の閉じ込め寸法まで減少し、分子(2002、2011)のかなりの部分が移行領域を占有している。このようなデバイスの実施形態は、多くの潜在的な利点を有する。第1に、分子がより閉じ込められるようになると、核型分析バンドの分解能が向上する。点線(2003)は、閉じ込めの程度が大きくなるにつれて、核型分析バンドがどのように変化するかを示している。例えば、2006のバンドの集まりは、分子の閉じ込め度が高い場合には個々に分解できるが、閉じ込め度の低い状態2001では単一のバンド分子として分解される。更に、それまで見えなかった新しいバンドが明らかになる(2004)。更に、閉じ込めの程度が高くなり、そのような閉じ込めに対する分子の膨張程度が高くなると、分子を構成する個々の核酸鎖が見えるようになる(2007、2012)。好ましい一実施形態では、核型分析バンドを生成するために使用される標識体は、個々の核酸分子鎖2007上に線形物理マップを生成することもできる。幾つかの実施形態では、この移行領域は、少なくとも10ミクロンの長さ、又は少なくとも50ミクロンの長さ、又は少なくとも100ミクロンの長さ、又は少なくとも250ミクロンの長さである。
エントロピートラップへの高分子の収容
図21は、長い核酸分子又はパッケージが、少なくとも1つのエントロピートラップ2103を含む尋問領域に流されるデバイス及び方法の実施形態を示す。図21(A)に示される1つの好ましい実施形態では、エントロピートラップは、一旦占有されると別の分子がトラップに入ることができないように、長い核酸分子を1つだけ捕捉するように適切な大きさとされる。好ましい一実施形態では、エントロピートラップ2103のアレイが存在し、長い核酸分子(2102、2104、2105)は、アレイに向かって流される2101染色体である。従前に記載したように、核酸分子がエントロピートラップに遭遇すると、当該トラップを占有することがエネルギー的に有利となる。好ましい一実施形態では、尋問領域内のアレイにおけるエントロピートラップの数は、尋問領域内の長い核酸分子の数に等しいか、又はそれを超える。一実施形態では、尋問領域内のトラップの数は、少なくとも1つ、又は少なくとも2つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも10、又は少なくとも50、又は少なくとも100、又は少なくとも500である。
従前に記載した実施形態に対する1つの例外として、反応チャンバーがその中に少なくとも1つのエントロピートラップを含む一実施形態のデバイスでは、高分子が前記エントロピートラップ内に配置されると、高分子の物理的隔離を前記トラップ内に維持しながら、高分子と種々の試薬の相互作用を支持するための流体流を持続させることができるので、少なくとも1つのエントロピートラップが反応チャンバーとなる。従って、流体接続点に対する追加のエントロピー障壁は必要ないが、幾つかの実施形態では、それが維持される。高分子がトラップ(2121、2122、2123)内に収容されると、その高分子は、様々な試薬及び条件に曝されて、核型分析バンドを生成する。
図21(B)は、線2107を通る図21(A)の断面図である。ここで2111は、この時に分子2111がその寸法によって少なくとも部分的に閉じ込められるように十分に小さい臨界寸法2116の尋問領域にある2104として示された長い核酸分子である。エントロピートラップ2112の臨界寸法2114は2116より大きく、従ってトラップを占有する分子2113のエントロピートラップである(エントロピートラップに関する定義を参照)。
好ましい一実施形態では、エントロピートラップアレイは、長い核酸分子が尋問されている間、その物理的分離を維持するために使用される。好ましい一実施形態では、エントロピートラップアレイは、様々な時間及び温度で様々な組成及び濃度の様々な試薬を含む流体流の存在下にある間、長い核酸分子を物理的位置に維持するために使用される。
図22に示されるこの実施形態の別の変形例では、長い核酸分子2203は、尋問領域2201内にあり、伸長チャネル2206と流体的に接触しているエントロピートラップ2202内に捕捉される。2204は、物理的障壁である。本実施形態では、大きな塊2203から長い核酸分子鎖2207を抽出し、伸長チャネル2206内で尋問することができる。図22(B)は、線2205を通る図22(A)の断面であり、様々なフィーチャーの相対的な深さを示している。エントロピートラップは最大の閉じ込め寸法2212を有し、伸長チャネルは最小の閉じ込め寸法2215を有し、尋問領域はその中間の閉じ込め寸法2211を有する。デバイスの好ましい操作方法の実施形態の下では、長い核酸分子の少なくとも一部はトラップ2213に閉じ込められたままであり、その核酸の一部は伸長領域2215で尋問される。
調節可能なエントロピートラップへの高分子の収容
ここでは、本発明者らは、制御可能なエントロピー障壁を備えたエントロピートラップを用いて、長い核酸分子、並びに細胞、核小体、及び液滴などの他の変形可能な物体を操作するためのデバイス及び関連する方法を開示する。従前に述べたように(エントロピー障壁に関する定義を参照)、エントロピートラップは、変形可能な物体を捕捉するのに非常に効果的であり、従って、このような物体を分離及び選別するために実装することができる。しかしながら、そのような装置を実装するための1つの重要な制限要因は、変形可能な物体を捕捉及び解放するための大きな動作ウィンドウが存在するように、エントロピー障壁の物理的寸法を調整することである。例えば、染色体をエントロピートラップから解放するために必要な最小の外力が毎秒数ミクロンの流速である場合、染色体をトラップに捕捉したまま染色体の周囲の流体の試薬交換を望む場合には、この最小流速を超えないように時間制限を受ける。物体を解放するのに必要な最小の外力は、エントロピートラップのエネルギー障壁を増やすことによって、典型的には障壁の閉じ込め寸法を低減することによって、増加させることができる。しかしながら、全てのものが等しいままであれば、閉じ込め寸法の低減は、典型的には、体積流量(例えば、毎秒ナノリットル)という相応の減少をもたらし、これは、再びトラップ内の試薬交換に必要な時間に影響を与える。極端な場合、閉じ込め寸法をゼロまで減らすことができるが、この場合、流体の出口が遮断されているため、物体を脱出させるのに十分な力がなく、試薬交換溶液も流れない。これらのパラメーターの最適化は、デバイス設計と試験の繰り返し、又は物体のシミュレーションモデルが十分に正確であれば、数値シミュレーションによって行うことができる。しかし、たとえ上手くいったとしても、結果として得られる寸法は、問題となっている特定の変形可能な物体に対して最適化されたにすぎない。ここで、本発明者らは、エントロピー障壁の閉じ込め寸法をオンザフライで調整し、所望のタスクのリアルタイムの最適化を可能にするデバイス及び方法を開示する。このような発明は、24種類のヒト染色体のように、捕捉すべき所望の変形可能な物体の大きさが異なる場合に特に有用である。
図23に示される一実施形態では、第1の基板(2309)内に画定されたピット(2308)は、流体チャネル(2305)と流体的に接続している。ピットの上にエラストマー境界(2303)で構成された蓋は、エントロピー障壁の閉じ込め寸法を構成する高さ(2307)を画定する。本実施形態では、高さ2307は、加えられた力2301を介して変形可能な物体2302を輸送する流体チャネル2305と、エラストマー材料の上に位置し、第1の基板2309と実質的に平行な第2の基板2306の下にある第2のチャネル2304の間の圧力差を調節することによって変調することができる。ここで、第2のチャネルは、液体、気体、又はいずれかの混合物を運ぶことができる。この実施形態では、エントロピートラップは、ピット2308、及びピットの上方からエラストマー境界2304までの領域によって画定される。しかしながら、閉じ込め寸法2307が物体の物理的サイズ及びコンフォメーションと比較して十分に小さい場合、エントロピートラップは、物体2302に対して機能的に「トラップ」のみであることに留意すべきである(エントロピートラップの定義を参照)。
好ましい実施形態では、デバイスは、閉じ込め寸法2307及び/又は外力2301の変化に対する変形可能な物体の応答が機器コントローラーによって観察され得るように、視野窓を含んでおり、従って、機器コントローラーは、外力及び閉じ込め寸法を制御するのにフィードバックシステムを使用することができる。
図23(ii)は、ピットと、第2のチャネル2312内の圧力2311の増加を介してその前の値(2307)から減少した新しい閉じ込め寸法2316とによって画定されるエントロピートラップ2314に閉じ込められた後の変形可能な物体(2302)を示す。ここで、閉じ込め寸法は、外力2313が物体を脱出させるには不十分であるように、コントローラー機器によって適切に設定される。後の時点で、閉じ込め寸法2324を増加させるために第2のチャネル2321内の圧力を減少させると、適用された外力2323が物体を脱出させることができるようになる。
変形可能な物体を捕捉する方法は複数ある。一実施形態では、物体に対して加えた力が、物体をトラップ内に位置付けるには十分であるが、脱出させるには不十分であるように、閉じ込め寸法を規定することによって、物体は観察することなく盲目的に捕捉される。盲目的捕捉のための好ましい実施形態では、エントロピートラップは、単一の物体を捕捉するのに十分な空間しかないように、物理的に規定される。別の実施形態では、変形可能な物体は、次に、物体がトラップの近傍にあるときに閉じ込め寸法及び/又は外力を調節する機器コントローラーによって監視することができる。幾つかの実施形態では、制御機器の観察及び制御下にある場合、変形可能な物体の少なくとも一部がエントロピートラップ内にある間に閉じ込め寸法及び/又は適用力を調節することができる。幾つかの実施形態では、そのような観察は、所与の閉じ込め寸法について物体を脱出させる又は閉じ込めるために必要な最小外力を測定するために使用され得る。幾つかの実施形態では、そのような観察は、物体の形状及び/又はコンフォメーションを物理的に操作するために使用され得る。例えば、コイル状の構成である長い核酸分子をほぐすこと及び/又は伸張させる。別の例では、好ましくはタンパク質消化への曝露後、又は曝露中に、中期構成である染色体をほぐすこと及び/又は伸張させること。
別の実施形態では、デバイスは、少なくとも1つの変形可能な物体を含む液滴を形成するために使用することができる。この実施形態では、変形可能な物体がエントロピートラップに捕捉された後、周囲の水溶液を油に置換して、従前に開示されるようにピット内に油中水型の液滴を形成する[Amselem, 2016]。油による水の置換のために輸送チャネルとエントロピートラップとの間の流体交換が必要であるため、このような実施形態では閉じ込め寸法をゼロにすることはできないことに留意されたい。液滴が形成されると、外力を増加させるか、閉じ込め寸法を大きくするか、又はその両方の組合せのいずれかによって、液滴を解放することができる。
別の実施形態では、独立してアドレス指定可能な閉じ込め寸法を有するエントロピートラップのアレイは、変形可能な物体を選別及び/又は選択するために使用され得る。例えば、変形可能な物体の集合がこのようなアレイを含む流体チャンバーに輸送される。盲目的捕捉又は機器コントローラーのフィードバックにいずれかによって、物体は前記トラップ内に捕捉される。好ましい実施形態では、1つのトラップにつきただ1つの物体である。次いで、機器コントローラーは、捕捉された物体を尋問し、判断基準に基づいて、物体のそれぞれのトラップの閉じ込め寸法を調節することにより、所望の物体を個々に解放することができる。
図25(A)に記載される別の実施形態では、閉じ込め寸法は、エントロピートラップに隣接するパターン化されたフィーチャー2507によって許容されるゼロでない最小値を有する。この実施形態は、従前に図23に記載したものと同様であり、変形可能な物体2502が、外力2501を介して輸送チャネル2505内で第1の基板2509に画定されたピット2508に向かって輸送される。ピットの上には、搬送チャネルを分離するエラストマー境界2503と、それ自体が第1の基板2509と実質的に平行な第2の基板2506によって部分的に画定される第2のチャネル2504とがある。しかしながら、この実施形態では、第2のチャネル2512内の圧力2511の増加に伴い、エラストマー境界は、パターン化されたフィーチャー2507と接触することができる。パターン化されたフィーチャーは、フィーチャーがii)に示されるようにエラストマー境界2511と物理的に接触している場合に、エントロピートラップ2515と輸送チャネル2505との間の流体的接触を可能にするように設計されている。従って、外力2513は、この状態でエントロピートラップへの溶液の輸送、及びエントロピートラップからの溶液の輸送に使用することができる。更に、閉じ込め寸法2516は、パターン化されたフィーチャーの物理的寸法によって画定される。このような実施形態は、所望の閉じ込め寸法が既知の場合に有利であり、第2のチャネルを十分に加圧することによって、所望の閉じ込め寸法が達成されるので最適化する必要がない。
図25(B)は図25(A)のデバイスの等角図を示し、明確にするためにエラストマー境界(2503)及び第2の基板(2506)は描かれていない。ピット2508の隣接する側面には、パターン化されたフィーチャー2507があり、この実施形態では柱である。柱間の間隔は、ピット2508と輸送チャネル2505との間の流体的接続2513を可能にする。パターン化されたフィーチャーは、エラストマー境界との物理的接触後に前記流体的接続を可能にするフィーチャーのいずれの集合体であってもよい。フィーチャーの寸法は、意図される使用、特にどのようなタイプの変形可能な物体が捕捉されるかに依存する。
図24に記載される実施形態の別のセットでは、可変障壁は、特に変形可能な物体が液滴である場合に、マイクロ流体デバイス内の変形可能な物体流を制御するために使用される。チャネル寸法におけるフィーチャーサイズの変化が、液滴を操作するために使用できることは従前に示されている。これらの変化には,液滴を物理的に押さえつけるための開口部[Boehm, 2008, 9,664,619]及び液滴を遮断するための狭窄部[Fraden, 2007, 8,592,221]が含まれる。しかし、これらのフィーチャーは、やはりデバイスの製造時に寸法を設定しなければならず、従って、それらの実用性は限定される。ほとんどの液滴マイクロ流体デバイスは、液滴を輸送するために使用される外力が、一般的に一定に保たれるか、又は液滴形成などの所望の機能に合わせて調節されるモードで動作する。従って、液滴にかかる外力を調節してエントロピートラップに入る、又はエントロピートラップから脱出することは、設計の制約から許容されない選択肢である場合が多い。更に、液滴を操作するために外力を調節することが可能であっても、多くの場合で液滴は多数生成され、流体デバイスを高密度に占有するので、当該外力は近隣の液滴にもかかることになる。閉じ込め寸法を調節できるエントロピー障壁を組み込むことで、重要な個々の液滴制御機能を液滴マイクロ流体デバイスに組み込むことができる。更に、調節可能なエントロピー障壁は流体デバイスに極めて有利であり、流体流を完全に(又はほぼ完全に)止めるバルブで変形可能な物体を遮断又は捕捉することは、デバイス設計には実質的に連続した流体流が必要であるので実現不可能である。このような調節可能なエントロピー障壁は、デバイス内の流体流を著しく妨げることなく、液滴の位置を制御することを可能にする。
図24(A)は、ゲーティング機能を表現する簡単な概略図を示し、外力2405の存在下で流体チャネル2401内の変形可能な物体2402の輸送を遮断するために閉じ込め寸法が十分に小さい場合、「閉じられた」エントロピー障壁は黒いゲート2403として表現されている。同様に、外力2405で物体2407がエントロピー障壁を通過できるように、閉じ込め寸法がii)に示すように広げられる場合、「開いた」エントロピー障壁は、白色のゲート2407として表される。
図24(C)は、このようなゲートが変形可能物体選択システムを実装するために使用される実施形態を示す。ここでは、2つの変形可能な物体(2422及び2425)がそれぞれ流体チャネル2421及び2424内にあり、各チャネルはそれぞれゲート2423及び2426を備え、各チャネルは出口チャネル2428と流体的に接続されている。ゲートが閉位置にある場合、両方の変形可能な物体は、外力が加えられると2428、それぞれのゲートの背後に留まる。しかし、ゲート2431(従前には2423として閉じていた)を開くことによって、物体2422はゲートを通過して、出口チャネルに入ることができる。一方、他の変形可能な物体2425は、閉じたゲート2426の背後に残っている。このような選択デバイスは、変形可能な物体を選択、選別、又は廃棄するために使用することができる。幾つかの実施形態では、ゲートの開閉は、物体の解放(又は保持)が流体デバイス内の他の機能との同期を可能にするように、タイミング機構に基づくことができる。幾つかの実施形態では、ゲートの開閉は、解放(又は保持)のための何らかの基準が決定される変形可能な物体の尋問に基づき得る。
図24(D)は、このようなゲートが2つのマージ可能な変形可能物体(例えば、液滴)をマージするために使用され得る実施形態を示す。ここで、外力2445の存在下で閉じたゲート2444を有する流体チャネル2442内の2つの異なる物体2441及び2442を示す。ゲートが閉じられると、2つの物体は、外力によってゲートで互いに押し上げられ、適切な条件下でマージして1つの物体2446となる。このような実施形態は、反応を開始、修正、又は停止するように、異なる内容物を含む液滴をマージするために使用することができる。例えば、このような実施形態は、異なる内容物の様々な液滴を選択することができる図24(C)に示されるものと同様の選択機構の下流にあってよく、従って、所望の試薬及び比率の異なる内容物のオンザフライ混合を可能にする。デバイスにおける液滴のマージは通常、連続的な方法で液滴の複数の流れを合流することに頼り、動的な動きの慎重な同期を必要とし、従って、マージする液滴の異なる組合せを選択する柔軟性は最小であることから、これは極めて有利である。
図24(E)は、2つのそのようなゲートがエントロピートラップを形成するために採用される実施形態を示す。ここで、外力2453によって流体チャネル2453内を通過する変形可能な物体2451は、開状態2452の第1のゲートを通過し、閉状態2454の第2のゲートで停止する。物体が第1のゲートを通過すると、第1のゲートが閉じる(2456)ので、2つのゲートの間に物体が捕捉される。このような実施形態は、物体を所望の位置に維持しながら(捕捉)、外力の方向を反転させることができるので、極めて有利である。或いは、チャネル内に複数の物体がある場合、このような実施形態は、そのような物体を物理的に分離し、次に、所望であれば解放するために使用することができる。これにより、下流チャネルにおける物体の物理的な間隔をオンザフライで調整することができる。単一ファイルの液滴流内の液滴を下流の何らかの過程と同期させる適用では、このような制御は極めて有益である。例えば、複数の液滴流から液滴をマージし、コンビナトリアルなバリエーションの液滴内容を形成する。
断面の調節が、従前に定義において述べられたように、問題の変形可能な物体に対するエントロピー障壁エネルギー高さの変調をもたらす限り、そのようなゲートを製造する可能性のある方法は複数存在する。図24(B)は、エントロピー障壁の閉じ込め寸法が画定される流体チャネルの断面の例を示し、ゲートが「閉」2411から、「開」2415に移行する。この実施形態では、ゲートが閉じている際に、閉じ込め寸法2413は、開いた際2416のチャネルの元の断面から減少しているが、他の非閉じ込め寸法2414は、円形フープを圧縮すると一方の軸が縮小し、他方の軸が拡大して楕円を形成するのとほぼ同じ方法で、開いた際2417の元のチャネルから増大している(参考として、2412は、開いた際のチャネルの寸法2415を示す)。
方向を参照する言葉(例えば、「高さ」、「上」など)は、特定の実施例を説明する際に明確にするためにのみ使用され、本発明を限定するものではないことに留意されたい。調節可能な閉じ込め寸法は、流体装置内の任意の空間軸に沿って変更することができる。更に、1つの寸法がエントロピーエネルギー障壁を増加させるためにより閉じ込められるようになり、他の寸法は拡大するか(図24(B)に示すように)、又は同じままであるか、又は減少する場合がある。同様に、全体の断面積も減少するか、一定のままであるか、又は増加し得る。
幾つかの実施形態では、ゲートは、[Ahn, 2006]によって総説されているように、マイクロ流体デバイス内の流体流を制御するために使用される能動的マイクロ値とほとんど同じように製造することができるが、これらの実施形態では、値に求められるような流体流の調節の要件はない。代わりに、調節可能なエントロピー障壁は、少なくとも1つの閉じ込め寸法を制御する能力を必要とするので、デバイスに統合される磁気、電気、圧電、又は熱効果を含む、チャネル寸法を調節するマイクロバルブ技術を利用することができる。或いは、非機械的要素をデバイスに統合して、双安定材料、相変化材料、レオロジー材料などのチャネル寸法を調節することができる。更に、デバイスに真空や圧力をかけることで、外部機構を用いてチャネル寸法を調節することもできる。
好ましい実施形態では、調節可能なエントロピー障壁は、閉じ込め寸法が調節されるチャネルの少なくとも一部を形成する弾性材料を含む。弾性材料の変形を介したチャネル寸法の調節の先行技術例には、一次チャネルを閉じる値を形成するための二次加圧チャネル[Unger, 1999, 6,899,137]、及びナノチャネルを囲む屋根を形成するための二次加圧チャネル[Yao, 2015, 2019/0217295]が含まれる。或いは、ナノチャネルを囲むデバイスに外力を用いた[Leslie, 2017, 2020/0240898]、[Mahshid, 2015]、[Cohen, 2011, 10,048,193]。
幾つかの実施形態では、記載されている、調節可能なエントロピー障壁を採用するデバイス及び方法が、パッケージ又は長い核酸分子を「尋問のために準備する」ために少なくとも部分的に使用される。
引き合う基板の間への高分子の収容
別の一連の実施形態では、生体、例えばパッケージ又は高分子は、溶液及びスペーサーによって分離された、静電気力を介して一緒にされる流体デバイスを構成する2つの基板間に収容される。2枚の基板間の液体を介して静電場を印加すると、液体中の電荷移動体が静電気力に反応して一方の基板界面に集まり、電場を遮蔽して表面間の吸引力を低減させる。このような表面への電荷の蓄積を防ぐには、十分に高い周波数の振動電場が必要である。周波数に依存する静電気力は、流体デバイスにおける平行な表面の分離を調節する手段として、特に、流体制御のためのバルブの開閉にその力を用いることを意図して、以前から研究されてきた[Sounart, 2005]、[Sounart, 2010]。ここでは、2つの基板間に発生する振動電場を使用して、前記基板間の物体の動きを制御し、及び/又は乱す実施形態のデバイス及び方法を記載する。
図26は、それぞれが導電性フィルム(2602、2609)を含む2つの基板(2601、2608)が、距離2605によって互いに分離されており、基板の間に、少なくとも1つの本体2604を含む溶液2603がある実施形態のデバイス及び方法を示す。この実施形態では、基板が互いに引き寄せられる際に、スペーサー高さ2607が、基板が互いに近接内に持ち込まれ得る最小距離を規定するように、スペーサー2606が少なくとも1つの基板に付加される。
振動電圧源2613を膜に印加すると、基板間に振動電場が発生し、基板同士を引き寄せ2611、その結果、基板間に本体2612を閉じ込める。
本実施形態では、基板がスペーサーを介して接触している際に、基板間の垂直方向の寸法に本体が物理的に閉じ込められるように、スペーサーの物理寸法が画定されている。このような実施形態は、ある本体を別の本体から物理的に隔離するため、本体が変形可能な物体である場合にエントロピー障壁を生成するため、及び/又は機械的圧縮手段を介して本体を溶解/破壊するために用いることができる[Lele, 2015, 特許出願]。
幾つかの実施形態では、スペーサーは存在しない。幾つかの実施形態では、スペーサーは、上部、下部、又は両方の基板上に画定される。スペーサーが基板内に画定される実施形態では、スペーサーは、基板に材料を付加することによって形成することができ、その場合、スペーサーは付加された材料から少なくとも部分的に形成され、又は基板から材料を差し引くことによって形成することができ、その場合、スペーサーは残っている材料から少なくとも部分的に形成され、又はその組合せである。スペーサーは、基板と同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。幾つかの実施形態では、スペーサーは、既知の物理的形状の溶液内の移動体、例えば既知の直径のビーズである。一方又は両方の基板は、可撓性又は変形性であり得る。一方又は両方の基板は、透明であり得る。幾つかの実施形態では、印加電圧の周波数及び大きさの調節は、少なくとも部分的に、本体の尋問によって制御してもよい。
導電性フィルムは、基板に埋め込むことができる導電性材料で構成されるか、又は基板の表面にある。好ましい実施形態では、導電性材料は可視光に対して透明であり、例えばITOである。好ましい実施形態では、基板材料は、誘電材料である。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの導電膜は、デバイスに外部から適用される金属電極である。
幾つかの実施形態では、振動電圧源は、100~1,000Hzの間、又は1,000~10,000Hzの間、又は10,000~100,000Hzの間、又は1,000,000~100,000Hzの間、又は1,000,000~10,000,000Hzの間、又は10,000,000~100,000,000Hzの間の周波数成分を含む。
別の実施形態では、流体デバイスは、それぞれが独自の電極を有する複数の誘引基板領域で構成される。これらの領域は、共通の電極を共有することができ、又は他の領域から独立している電極の組を有することができる。幾つかの実施形態では、これらの領域の少なくともサブセットは、それらの印加電場を別のサブセットの領域から独立して制御することができる。
幾つかの実施形態では、記載されている、引き合う基板を採用するデバイス及び方法は、パッケージ又は長い核酸分子を「尋問のために準備する」ために少なくとも部分的に使用される。
スペーサーの高さ、それらの間隔、密度、及び物理的形状は、所望の用途、特に、収容される本体の物理的寸法によって変化し得る。例えば、直径50ミクロンの液滴を物理的に分離することが望まれる用途では、スペーサー材料は、中央に液滴が収容され得る50ミクロンの孔を有する高さ50ミクロンの連続リングであり得る。別の例では、中期染色体を光軸に平行な寸法500nm内に物理的に閉じ込め、染色体を試薬の流体流に曝しながら、染色体の尋問を可能にすることが望まれる適用である。ここで、スペーサーは、高さ500nm、直径2ミクロン、1ミクロン以上の間隔でリング状にパターン形成された柱であり、リングの中央には柱がない10μmの穴が開いていてここに染色体が収容される。別の例では、基板間に捕捉される圧力で細胞を溶解させたいのでスペーサーがない適用である。
DEPトラップへの高分子の閉じ込め
別の一連の実施形態では、高分子は、外部から印加される誘電泳動(DEP)力の適用を介して分子を閉じ込め、伸長するように、高分子をチャネルテーパーの表面に対して押し上げることによって物理的に操作される。DEPとは、電気的に中性な粒子が電場と粒子の誘導双極子モーメントとの相互作用により力を感じる不均一様電場で起こる現象である。DEPによって誘起される粒子の運動の方向は、懸濁媒体に対する粒子の分極率に依存し、ひいては印加される電場の周波数に依存する。粒子は、より高い電界に向かって動くこともあれば(正のDEP効果と呼ばれる)、電界から離れることもある(負のDEP効果)。正と負のDEPの切り替えは、電場の周波数を調節することで達成することができる[Ahamed, 2018]。
一般に、誘電体材料と導電性材料の界面領域を有する流体デバイスでは、不均一電場が発生する。電界線は、導電性材料が流体デバイスチャネル内の導電性溶液である[Chou, 2002]によって記載されるように、電界線がより好ましくは導電性材料に存在するように、誘電性材料と界面を形成する際に導電性材料が狭まる領域で局所的に集中する。
図27は、核酸がチャネルのテーパー領域に押し込まれ、従って、より大きな閉じ込め度を受けるように、長い核酸分子に対するDEP効果の調節を介して、テーパー流体チャネルにおける長い核酸分子の伸長度を調整するための実施形態のデバイス及び方法を示す。核酸の伸長の度合いは、核酸が存在する物理的な閉じ込めの度合いに直接関係する[Reisner, 2005]。ここで、DEP力は核酸分子をテーパーに押し込むように調整される。分子に対するDEP力が大きいほど、分子はより深くテーパーに押し込まれ、その結果、分子の物理的閉じ込め、伸長、及びエネルギー状態の程度が高まる(エントロピートラップに関する定義を参照)。力がなくなると、分子はより低いエネルギー状態まで緩和され、自由なコイル形成でチャネルを自由に占有する。従って、分子に対するDEP力の方向と大きさをテーパーポイントに調整することで、分子が受ける閉じ込めの度合いを調節することができる。
本実施形態では、図27(A)に示されるテーパーチャネル2703が誘電体材料2701中に画定され、チャネルは2つの電極2702及び2705に挟まれる。好ましい実施形態では、チャネルの断面内で、図27(A)に示すように、電極に実質的に垂直なテーパー、又は点が存在する。図27(B)は、描かれた線2704を通る図27(A)に示されたデバイスの断面を示す。ここで、長い核酸分子2706がチャネル2703内に閉じ込められているが、チャネルの断面寸法は十分に大きく、分子は拘束されず、溶液中で自由にランダムにコイルを形成する。幾つかの実施形態では、最小の閉じ込め寸法は、少なくとも500nm、又は少なくとも1ミクロン、又は少なくとも2ミクロン、又は少なくとも5ミクロン、又は少なくとも20ミクロン、又は少なくとも50ミクロンである。
振動する電気電圧源2712が電極に印加されると、電界線2711は、チャネル2713のテーパー領域に電界線の集中があるように、デバイス内の電極間に不均一に形成される。図27(B)(ii)は、図27(A)(i)に示すデバイスの、2712で画定される線を通る断面を示す。振動電場は、長い核酸分子2706には、チャネル2713のテーパー点に向かってDEP力を誘導する。分子に作用するDEP力に加えて、DEP力に対して垂直に加えられる追加の外力2714を用いて、分子を更に操作することができる。
このような実施形態のデバイス及び方法は、要求に応じた調整可能な伸長を可能にする。1つの方法において、長い核分子は、対象物体として識別され得る。識別後、分子を静止させ、次に、長い核酸分子がテーパーに引き込まれて伸長するようにDEP力をかける。幾つかの実施形態では、分子を伸長させる過程は、DEP力に対して垂直な、分子への追加の外力の適用によって補助される。幾つかの実施形態では、力の極性は振動性である。分子をテーパー内に閉じ込めることで、DEP力の強さとテーパー点の狭さによって、分子の伸長度、及び対応するランダムな熱運動の低減を調整することができる。幾つかの実施形態では、テーパー点は、100nm以下、又は75nm以下、又は50nm以下、又は25nm以下、又は15nm以下、又は10nm以下の半径を有する。
別の実施形態の方法では、このようなデバイスは、「尋問の準備」の一部として、長い核酸をランダムコイル構成から少なくとも部分的に伸長した状態にほどく補助をするために使用され得る。別の実施形態では、このようなデバイスは、チャネル内の流体流の存在下で、適用されたDEP力によってチャネル内の高分子を物理的に局在させるために使用され得る。この実施形態は、分子の周囲で試薬溶液の交換を可能にする。
別の実施形態では、流体デバイスは、それぞれが固有の電極を有する複数のDEP領域で構成されている。これらの領域は、共通の電極を有することができ、又は他の領域とは独立に電極の組を有することができる。幾つかの実施形態では、これらの領域の少なくともサブセットは、それらの印加電場が別のサブセットの領域とは独立に制御され得る。
このようなテーパーチャネルデバイスを製造する方法は多数ある。一実施形態では、テーパーを生成するために、既存の矩形チャネルの上部に材料を堆積させる[Austin, 2001, Patent]。別の実施形態では、プラズマアシストエッチングは、結果として得られるチャネルが傾斜した側壁を有するように、パターン化されたマスクを有する基板をエッチングするように調整することができる。この工程は、エッチングと同時に、又はサイクリングを介して、堆積/パッシベーション工程を追加することによって、様々なテーパー幾何学に対して更に最適化することができる[Horowitz, 1989]。別の実施形態では、チャネルは、テーパー型を用いてポリマー、又はポリマーフィルムにインプリント又はエンボス加工することができる[Yu, 2004]。例えば、長い三角形のようなグレーティングを生成するために、マスクを用いて{111}結晶面を露出させるためにシリコーン基板をウェットエッチングすることによって型を製造することができ[Fruhauf, 2005]、これをその後、成形工程を介してポリマーに変換することができる。このような工程により、テーパー半径を5nm以下とすることができる。
幾つかの実施形態では、電極はデバイスに統合される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの電極がデバイスに外部適用される。
位相シフト材料への高分子の収容
別の一連の実施形態では、本体の移動度が、材料が転移を受ける過程を介して制御可能に低減し得るように、本体(例えば、パッケージ又は高分子)の少なくとも一部が、流体デバイスを含む相変化材料内に収容される。幾つかの実施形態では、遷移は可逆的である。他の実施形態では、遷移は非可逆的である。
ゲル化したゾル-ゲル材料に生物学的本体を固定化することは、熱ノイズの抑制により、解像度蛍光顕微鏡イメージングを改善する有効な方法であることが従前に実証されている[Lira, 2016]。この一連の実施形態では、相変化材料は、流体デバイスの流体チャネルの領域内に収容され、相変化材料内の本体の移動度を少なくとも部分的に低減するために使用される。幾つかの実施形態では、移動度低減を伴う熱ノイズの対応する低減は、尋問を受ける際の本体の分解能を向上させるために使用され得る。幾つかの実施形態では、移動度の低減は、集団から選択又は選別することができるように、本体を物理的に局在させるために使用され得る。幾つかの実施形態では、移動度の低減は、本体の物理的形状又はコンフォメーションを操作するための工程の一部として使用され得る。
相変化材料は流体デバイスに広く使用されているが、それらの応用は主にバルブ及び流体流の制御など、流体成分の機械的操作に限られている。参考のための要約がある[Hilbar, 2016]。この一連の実施形態において、本発明者らは、様々な本体、好ましくはパッケージ及び高分子の移動性を低減するためにこれらの材料を使用することに特に関心を持ち、従って、液体から固体への完全な相変化は必ずしも必要でない。幾つかの実施形態では、不完全な相変化及び/又は材料の希釈による、部分的な転移が望まれる。先行技術において、流体デバイス内の相変化材料は、流体制御機構として使用され[Wang, 2011]、それによって、デバイス内の局所的な相変化は、流体流を遮断するために固体材料に対してほぼ完全でなければならない。
異なる相変化材料と、その相変化を引き起こす機序が可能である。これらには、温度変化でゲル-ゾル転移を起こすゲル-ゾル材料が含まれる。好ましい実施形態は、液体状態のゾル-ゲルへの生物学的本体の移行、及び固体(半固体)状態にある際の分析の両方が室温であるように、その液体-ゲル転移においてヒステリシスを示すゾル-ゲル材料を採用する。このような材料の非限定的な例としては、アガロース、K-カラギーナン、キサンタン-カロブ混合ゲル、多糖類含有ゲル、及び[Hilbar, 2016]に記載のゲルが挙げられる。このような実施形態では、本体を液体状態でゾルーゲル材料に転移させることができ、次にデバイスを冷却してゾル-ゲル材料をゲルに移行させ、ゲル中に本体の少なくとも一部を含有させる。他の可能な相変化材料には、適切な電場及び/又は磁場の存在下で液体-固体相変化を起こし得る電気レオロジー、電気磁気レオロジー、及び磁気レオロジー流体が含まれる[Dong, 2019]。この実施形態では、材料を含む流体デバイスの領域、及び本体の少なくとも一部が、材料の状態を液体から固体に変化させる電場及び/又は磁場に曝される。この場は、デバイス内に埋め込まれた電極又はコイルを含む任意のソースから発生することができ、又は外部から供給することもできる。非限定的な例示的材料には、含まれる参照文献[Dong, 2019]及び[Hilbar, 2016]に列挙されるものが含まれる。好ましい実施形態では、材料内の本体の光学的な尋問を可能にするために、光学的に透明な材料が使用される。
他の可能な相変化材料には、光への曝露によって相変化が開始される光レオロジー液体がある。非限定的な例としては、光応答性アゾベンゼン、スチルベン、スピロピラン、又はアルギン酸部位を含む界面活性剤、塩、ポリマー、又は低分子ゲル化剤が挙げられる[Kelly, 2020]、[Raghavan, 2016]。その他の可能な相変化材料としては、液晶がある。
図28は、長い核酸分子の一部が、局所的な熱ノイズを低減して尋問中の分解能を向上させることができるように、相変化材料と共に収容されている実施形態を示す。ここで、標識体2806が結合している長い分子2802は、流体デバイス2803のチャネル2801に収容されている。デバイス内には、チャネルを挟む導電性電極2805及び2807がある。チャネル内には、電気レオロジー流体2804がある。電気レオロジー流体の領域2812が印加電圧2814によって発生する電場2813に曝されると、その領域における粘度は相変化2811によって増大し、移動度の局所的な減少によって局所的なランダム熱運動が抑制される。分子を蛍光尋問する場合、領域内の標識2823からの測定信号2825は、熱ノイズ2821の程度が高いため、領域外の標識2826からの測定信号2828よりも分解能が改善される。
2つの標識体タイプのスキーム
この一連の実施形態では、本発明者らは、2つの異なるタイプの標識体を使用して、長い核酸分子の長さに沿った物理マップを生成する方法を記載する。
1組の実施形態では、二本鎖核酸に特異的に結合する第1の標識体タイプと、一本鎖核酸に特異的に結合する第2の標識体タイプとを用いてメルトマップ型物理マップを生成する。一本鎖標識体のメルトマッピングは、長い核酸分子の長さに沿った物理地図の生成の有効な手段であることは従前に示されている。この方法では、分子をインターカレート色素で一様に染色し、DNAを部分的に融解することによってCG濃度の低い特定の領域で色素を選択的に放出し、分子の長さに沿って、基盤的なゲノム内容と相関がある蛍光シグネチャーを生成する(線形物理地図)ことによりプロファイルを生成する。その後、DNAを蛍光標識し、その物理マップを用いて分子を同定することができる。この方法には限界がある。第一に、インターカレート色素がATリッチ領域から流出した後、DNAが完全に二本鎖の状態に戻ると、色素がATリッチ領域に再び結合する可能性がある。従って、標識プロトコールを実施する際には、物理マップの忠実性を確保するために注意を払う必要がある。第二に、イメージングされた分子の長軸の長さに沿って測定された蛍光アナログ信号には、長軸の長さに沿ったAT/CGの変動による信号変調と、長軸の長さに沿った核酸密度の変動による信号変調を区別することに関して、かなりの曖昧さがある。
ここで、これらの問題を解決するために、2つの異なる標識体タイプを使用する実施形態の方法を説明する。第1の標識体タイプは二本鎖核酸分子に非特異的に結合し、第2の標識体タイプは一本鎖核酸分子に非特異的に結合する。核酸分子が孔を通って移動する際に測定される信号が孔を通る電流の遮断、又は孔を横切るトンネル電流であるような、尋問システムがナノポアなどの狭窄デバイスである実施形態では、核酸に結合した際の物理的コンフォメーションが信号を生成するので、2つの標識体タイプは蛍光性である必要はない。むしろ、好ましい実施形態では、2つの標識体のタイプは、核酸と結合した際に、固有の電流遮断信号を生成するように異なる物理的コンフォメーションを有する。尋問システムが蛍光イメージングシステムであり、分子の少なくとも一部が流体デバイスの流体チャネル内で伸長状態にある際、又は基板若しくは流体デバイスの表面上でコーミングされた際に、長い核酸分子が尋問される実施形態では、少なくとも1つの標識体タイプが蛍光信号を生成する。好ましい実施形態では、両方の標識体タイプが蛍光信号を生成し、各タイプは異なる発光波長、又は異なる励起波長を有する。
幾つかの実施形態では、二本鎖核酸に結合する第1の標識体タイプは、異なるシアニン蛍光色素の群から選択されてもよく、これは、TOTO-1(商標)及びYOYO-1(商標)(1,1’-(4,4,8,8,-テトラメチル-4,8-ジアザインデカミチレン)ビス[4-[[3-メチル-ベンゾ-1,3-オキサゾール-2-イル]メチリデン]-1,4-ジヒドロキノリニウム]テトラヨード)など、Invitrogen社(www. invitrogen.com)から入手可能である。Invitrogen社からの更なる例として、POPO-1(商標)、BOBO-1(商標)、JOJO-1(商標)、POPO-3(商標)、LOLO-1(商標)、BOBO-3(商標)、YOYO-3(商標)及びTOTO-3(商標)がある。
幾つかの実施形態では、一本鎖核酸に結合する第2の標識体タイプは、一本鎖結合タンパク質であってよい。幾つかの実施形態では、一本鎖結合タンパク質は、蛍光標識を含むように修飾される。幾つかの実施形態では、修飾された一本鎖結合タンパク質は、Alexa Fluor 488(AF488SSB)又は546(AF546SSB)色素である。幾つかの実施形態では、一本鎖結合タンパク質は、複製タンパク質、又は複製タンパク質A(RPA)の修飾変異体である。幾つかの実施形態では、RPAは、蛍光タグを含むように修飾されている。幾つかの実施形態では、第2の標識体タイプは、以下のうちのいずれか1つを含む。QuantiFluor、SYBR Green II、OliGreen。幾つかの実施形態では、第2の標識体タイプは、ハイブリダイゼーションが可能な核酸結合体である。
図29に記載される、長い核酸を標識するための一実施形態では、まず、完全に成熟した分子2901が、CGリッチ領域2902とATリッチ領域2904の両方が均一に結合されるように、第1の標識体タイプ2903に非選択的に結合される。次に、分子は、従前に記載されるように[Tegenfeldt, 2008, 10,434,512]、分子を部分的に変性させる条件(2911)に曝される。分子が部分的に変性状態にある間に、第2の標識体タイプ2921が、露出した一本鎖に結合される。最後に、分子は、分子が完全に変性されるのに有利な環境条件に戻される。しかしながら、ATリッチ領域における一本鎖標識体の存在により、当該標識体は、分子がATリッチ領域で完全に天然(二本鎖)の状態に戻ることを制限し、結果として、第1の標識体はこれらの領域において再結合しにくくなり、従って標識パターンの忠実性が維持される。
長い核酸を標識するための別の実施形態では、分子はまず、分子を部分的に変性させる条件に曝露される。分子が部分的に変性された状態にある間に、第2の標識体タイプが、露出した一本鎖に結合される。その後、分子を完全に天然状態とするのに有利な環境条件に戻すと、第1の標識体タイプが二本鎖DNAに結合する。しかし、ATリッチ領域には一本鎖の標識体が存在するため、当該標識体は、分子がATリッチ領域で完全に天然(二本鎖)の状態に戻ることを制限し、結果として、第1の標識体はこれらのATリッチ領域において結合しにくくなり、標識パターンの忠実性が維持される。
好ましい実施形態では、第1及び第2のタイプの標識体は共に蛍光性であり、差次的な2色物理マップを生成できるようにそれぞれ異なる発光波長、又は異なる励起波長を有する。ここで、AT/CG線形密度に相関する単色物理マップの幾つかの課題(例えば、メルトマップ、競合結合)を克服するために、AT及びCGリッチ領域を選択的に識別する2つの異なる色を使用する実施形態の方法を説明する。単色のAT/CG物理マップだけでは、このマップは、長い核酸分子の長軸の長さに沿った蛍光信号の変動が、AT/GC含量の変動によるものか、分子の伸張の局所的な変動(例えば、局所的な核酸密度)であるかが曖昧になる。更に、分子の長さに沿った黒い領域は、高いAT含量又は間に空間がある2つの分子が隣接していることによるものである可能性がある。これらの曖昧さは、2色を用いて差次的信号を生成し、伸縮のばらつきを補正することで克服することができる。例えば、1色のC1(CG含量の領域に関連する第1の標識体タイプ)に増加がある場合、これは、蛍光画像における分子の局所的な高い核酸密度(例えば、圧縮、折りたたみ、節)、又はCG含量の濃縮によるものである可能性がある。2色目のC2(AT含有の領域に関連する第2の標識体タイプ)を採用することで、この曖昧さを解消することができる。分子が局所的に圧縮されると、その空間位置で測定されたC1とC2の両方が増加し、一方、局所的にCGが濃縮されると、測定されたC1が増加し、C2が減少することになる。更に、分子の末端は両方の色がないことで明確に識別することができる。
図30は、伸張状態にあるうちに蛍光尋問される長い核酸分子からの2色AT/CG密度物理マップを解釈する実施形態の方法を示す。図30(A)は、分子の長軸に沿って核酸密度に変動がある伸張した分子3001を示す。この例では、密度の変動は伸縮の変動によるものであり、長軸に沿ったある領域では、分子はより圧縮され、より高い線形密度3002を有し、他の領域では、分子の圧縮はより小さく、より低い線形密度3003を有する。図30(B)は、測定した蛍光信号値を分子の長軸の長さに沿ってプロットしたものを示す(この例では、各標識体からの信号の直線性を単純なモデルで仮定している)。ここで、3012は標識体タイプ1からの正規化(0.5まで)された信号、3014は標識体タイプ2からの正規化(0.5まで)された信号、3011は2つの信号の和である。この単純なモデルの例では、分子が長軸に沿って均一な線形密度を有する場合、2つの信号の和は、一定の正規化値1となる。他の実施形態では、一定の線形密度を与えられた場合に、正規化された信号の和の期待値を提供する較正曲線が、実験又はシミュレーションを通じて生成される。次いで、和の曲線3011は、高密度3016、及び低密度3017の領域を示す、分子の長軸の長さに沿った分子の線形核酸密度のマップを生成するために使用される。次に、このようなマップを、解釈された分子の物理マップを修正するために使用して塩基対としてのゲノム配列に沿った分子のAT/CG密度のより正確な推定値を得ることができる。
長い核酸分子の長さに沿った差次的信号物理マップを生成するための別の実施形態の方法は、2つの標識体タイプがそれぞれ異なる発光波長又は異なる励起波長を有する競合結合を用いることである[Nyberg, 2012]。この方法では、分子全体が完全に天然(二本鎖)の状態に留まりつつ、第1の標識体タイプは第2の標識体タイプとの競合に打ち勝ってATリッチ領域に結合し、第2の標識体タイプは第1の標識体タイプとの競合に打ち勝ってCGリッチ領域に結合する。
別の実施形態では、蛍光尋問される際に伸張した核酸分子の長軸に沿った線形核酸密度の変動に関連する曖昧さを低減するための方法は、蛍光照明システムからのスペックルの影響を低減させることである。スペックル効果とは、同じ周波数で位相と振幅が異なる多くの波が干渉する結果であり、これらを一緒に加えて、振幅、ひいては強度がランダムに変化する波を与える。コヒーレントレーザー光源を使用して蛍光試料を照明する場合、これはノイズ源となる可能性があり[Deschamps, 2006]、従って、モジュレーター及びマルチモードファイバーを含む、このノイズを管理するための様々な技術が開発されてきた。多くの蛍光イメージング適用では、スペックルは注意を払うほど重要なノイズ源ではない。これは、信号が分離された蛍光分子である適用に特に当てはまる。しかし、複数の蛍光分子を回折分解限界よりもはるかに密接して近接させると、単一体が連続体となる。AT/CG密度物理マップなどの用途では、分子の長さに沿ったこの連続体の変調が有用な情報となるが、ここでは、スペックルが大きなノイズ源となる。スペックルの抑制は、LED、ハロゲン灯、水銀灯などの非コヒーレント光源の使用、又はファイバー、振動窓などのコヒーレント光源からのスペックルの抑制によって達成することができる。
応用例-テロメア解析
テロメア解析は、本明細書に開示されるシステム、組成物及び方法の1つの応用である。テロメアは、線状染色体の末端に存在する特殊なタンパク質-DNA構築物の一般的な真核生物の遺伝的特徴であり(テロメアの3’最末端には、シェルタリン複合体と呼ばれる幾つかのタンパク質によって維持され、TRF1、TRF2、TIN2、POT1、TPP1、及びRAP1と同定される6つのタンパク質からなるTループと呼ばれる300bpのオーバーハングがある)、これは、複製中に容易に進行する分解から防ぎ、端同士の染色体融合を防ぐことによって線状染色体の完全性を確保する。脊椎動物のテロメアDNAのほとんどは、様々な長さの長い(TTAGGG)n個の繰り返しからなり、3~20kb程度である場合が多い。細胞が分裂すると共に、染色体の末端にあるテロメアは最終的に小さくなり(ヒト培養細胞のDNAは細胞分裂の度に50~100塩基対短くなる)、一種の時間遅延「ヒューズ」、すなわち体細胞の老化の測定値として機能し、ある特定の回数(平均50~70回)の細胞分裂の後に最終的に尽き、線状染色体の末端の更に後ろにある重要なコード遺伝情報が最終的に喪失するために、通常の老化/細胞死を引き起こすことになる。ところが生殖細胞及び癌細胞では、テロメラーゼという活性を持つ酵素が、テロメアの伸長を維持して細胞は極めて長寿になる。
テロメアはゲノムの完全性を維持するために重要であり、加齢性疾患の要因であり得る。テロメアの機能不全又は異常な短縮は、ゲノムの不安定化、染色体の損失、及び非反復性転座(体細胞の老化、心理社会的・酸化的ストレス及び腫瘍形成の過程でよく獲得される)の形成につながり得る。腫瘍細胞及びそれらの前駆病変におけるテロメアは、周囲の正常組織よりも著しく短くなっている。
サブテロメアは、2つのテロメアエンドキャップとクロマチンの間にあるDNAセグメントで、染色体上のユニークなDNAの最遠位(動原体から最も遠い)領域であり、時には数100キロ塩基にわたる配列の多染色体ブロックの異常に動的で変動性のあるモザイクである。サブテロメア領域は、長いセグメントの倍加、タンデム又は散在反復などの染色体再配列及びコピー数変動に富む構造変動ホットスポットであり、しばしば顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(FSHD)、アルツハイマー病、及び特異な症候群性疾患(奇形及び精神遅滞)のような障害並びに免疫における重要な機能に関与する。
ゲノム解析、特に患者のテロメア及びサブテロメア領域の配列決定及びプロファイリングは、末端位置、繰り返し配列、ストレッチの長さ、及びこのテーマに関するデータベースの不足により困難である。現在の幾つかの方法は、平均化されたバルク溶液試料に基づく間接的な推論に基づくアプローチによる「推定」技術がほとんどである。
染色体末端及びサブ領域を、それらの本来のゲノム及びエピゲノムに関して、特に単一細胞及び単一分子レベルで、直接モニタリングし特性評価を行う能力は、癌、幹細胞研究、健康、及び老化/長寿の分野において、非常に望ましく、生物学及び医学的に重要な価値がある。
1つの応用実施形態において、物理的マッピングを通じて、配列決定だけでは解決できないde novo又は遺伝性の大きな変化の位置、タイプをゲノム内で正確に特定する能力、
単一分子/染色体及び/又は単一細胞レベルで、テロメアの物理的長さを直接測定する能力、
配列コード化、化学的部分修飾又はタンパク質結合又は物理的折り畳みに関して、テロメア及びサブテロメア領域の特徴及びパターンを直接画像化して測定する能力、
他の既存の機能的、調節的、又は構造的なゲノム内容に関して、生物学的又は病理学的結果に影響を与える又は変更する、これらの変異遺伝子座データを分析し相関させる能力、
健康管理又は治療戦略の開発の指針とするために、DNA損傷、病変、細胞老化の進行、又は癌の進行に対する診断的、予後的、又は識別的な実施可能な薬物標的を研究する能力。
例えば、テロメラーゼを一時的に活性化することで、テロメアの短縮を逆転させることが、老化を遅らせる有力な手段であり得ることが明らかになりつつある。テロメア短縮を逆転させるために、薬物、遺伝子治療、又は代謝抑制、いわゆる休眠/冬眠の3つのルートが提案されている。テロメアを延長する技術は、癌でない健康な哺乳類細胞を生物医学的修復のための工学的材料として十分に大量に培養することを可能にする可能性があるので、組織工学に有用であり得る。
健康・長寿産業は17兆ドル市場として急成長しており、2026年には27兆ドルに到達する。長寿産業は、規模と時価総額の両方で他の全ての産業を矮小化し、世界の金融システムを再構築し、年金基金、保険会社、投資銀行、及び国家経済全体のビジネスモデルを崩壊させることになる。
サブテロメア障害の一例であるFSHDは、染色体4qのサブテロメア領域における欠失と関連している。正常な4qサブテロメアには10から100kb超の一連のリピートが存在するが、FSHD患者には1~10個のリピート単位しかない。この欠失は、リピート配列自体が失われるのではなく、近傍の遺伝子の転写に影響を与える位置効果によって疾病を引き起こすと考えられている。
事象を可視化できるトップダウン可視化技術ツールは、診断及び治療のための変異体のコピー数、位置、正確な融合点、及び隣接する遺伝子の影響の更なる分離及び普及を可能とするのに極めて有用である。
本明細書における開示の符番した態様
本開示を、以下の本明細書における実施形態の符番した態様を参照して更に説明する。1.2つの高分子が互いに重なる確率がパターン化された表面フィーチャーを持たない類似のデバイスと比較した場合に減少するように、尋問のための単一のパッケージから生じる少なくとも2つの高分子の配置を可能にするパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギーから構成される流体デバイス。2.少なくとも2つの高分子がパッケージ内のデバイスに送達される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。3.パッケージが以下のもの:細胞、核、小胞、液滴、ミトコンドリア、オルガネラであり得る、上記態様のいずれかに記載のデバイス。4.試料溶液が溶解剤を含有する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。5.パッケージが部分的に破裂される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。6.パッケージが過加圧状態である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。7.パッケージが低張状態である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。8.デバイスの表面に配置された少なくとも2つの高分子が固定されている、上記態様のいずれかに記載のデバイス。9.少なくとも2つの高分子が長い核酸分子である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。10.少なくとも2つの長い核酸分子が以下のもの:少なくとも染色体の一部、中期染色体、間期染色体、細胞タンパク質が結合したクロマチン天然核酸のいずれかを少なくとも部分的に含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。11.少なくとも2つの長い核酸分子が少なくとも部分的に伸張される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。12.伸張の長軸がパターン化された表面フィーチャー及び/又はパターン表面エネルギーの長軸に実質的に平行である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。13.少なくとも2つの長い核酸分子にそれぞれ少なくとも2つの標識体が結合している、上記態様のいずれかに記載のデバイス。14.長い核酸分子上の少なくとも2つの標識体が物理マップを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。15.物理マップが線形物理マップである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。16.物理マップが2D物理マップである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。17.物理マップが3D物理マップである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。18.少なくとも2つの標識体の結合が、長い核酸分子をデバイスに導入する前に行われる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。19.少なくとも2つの標識体の結合が、長い核酸分子をデバイスに導入した後に行われる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。20.標識体が以下のもの:核酸染色液又は色素、二本鎖核酸染色液又は色素、一本鎖核酸染色液又は色素、核型分析染色液又は色素、AT特異的染色液又は色素、インターカレーション色素、CG特異的染色液又は色素、FISHプローブ、ファイバーFISHプローブ、メチル化蛍光プローブ、蛍光修飾ヌクレオチド、組込み蛍光修飾ヌクレオチド、ガイドRNA蛍光プローブ、配列特異的蛍光プローブ、物理マッピング標識体、線形物理マッピング標識体、2D物理マッピング標識体、3D物理マッピング体、テロメア染色液、蛍光修飾DNA又はRNA結合酵素、蛍光修飾CRISPR複合体、蛍光修飾DNA又はRNA結合剤、蛍光修飾一本鎖DNA結合体のいずれかを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。21.少なくとも2つの高分子が以下のもの:試薬、溶液、溶媒、温度変化、湿度変化、遠心分離力、圧力変化、蒸気、外力、超音波力、分注システム、接触プローブのいずれか、又はこれらの組合せに曝される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。22.超音波が以下のもの:パッケージの溶解、染色体の分離、長い核酸分子の分離、長い核酸分子の伸長、長い核酸分子の剪断のいずれか、又はこれらの組合せを補助するために使用される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。23.高分子が、パターン化されたフィーチャー又はパターン化された表面エネルギー上を後退する溶液のメニスカスからの沈着によって、デバイスのパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー内に配置される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。24.後退するメニスカスの方向及び/又は速度がパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギーにより少なくとも部分的に影響を受ける、上記態様のいずれかに記載のデバイス。25.後退するメニスカスの方向及び/又は速度が重力により少なくとも部分的に影響を受ける、上記態様のいずれかに記載のデバイス。26.後退するメニスカスの方向及び/又は速度が毛細管力により少なくとも部分的に影響を受ける、上記態様のいずれかに記載のデバイス。27.溶液中のパッケージ内に収容された高分子が沈着の過程で溶解する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。28.規定されたフィーチャーがデバイスの表面に少なくとも1つのチャネル、又は少なくとも壁、又は少なくとも1つのピット、又は少なくとも1つの柱を含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。29.トポロジー的に最も著明な(prominent)フィーチャーの表面が疎水性である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。30.高分子が、毛細管により駆動される溶液流を介してデバイスのパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー内に配置される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。31.毛細管流の方向又は速度がパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギーにより少なくとも部分的に影響を受ける、上記態様のいずれかに記載のデバイス。32.毛細管流の方向又は速度が少なくとも1つのキャピラリーポンプにより少なくとも部分的に影響を受ける、上記態様のいずれかに記載のデバイス。33.少なくとも1つのCRVを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。34.少なくとも1つの閉じ込めチャネルが、チャネルの少なくとも1つの寸法に沿って、寸法長が少なくとも1つのパッケージに閉じ込められるように画定されている、上記態様のいずれかに記載のデバイス。35.チャネルの閉じ込め寸法が、閉じ込められずに溶液中に浮遊している場合の長軸に沿ったパッケージの長さの95%未満である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。36.少なくとも1つのエントロピートラップがチャネル内でパターン化されている、上記態様のいずれかに記載のデバイス。37.エントロピートラップの体積がパッケージの体積の150%以下である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。38.少なくとも1つの閉じ込めチャネルが、チャネル少なくとも1つの寸法に沿って、寸法長が閉じ込め寸法を長軸に沿ったパッケージの長さの95%以下に縮小するように調節できるように規定されている、上記態様のいずれかに記載のデバイス。39.調節が指定の場所にかけられるデバイスへの外部圧縮力を介する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。40.パッケージを溶解するように調節が使用される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。41.尋問の光軸に実質的に垂直な二次元平面に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー寸法長が10ミクロンである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。42.尋問の光軸に実質的に垂直な二次元平面に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー寸法長が2ミクロンである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。43.尋問の光軸に実質的に垂直な二次元平面に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー寸法長が0.5ミクロンである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。44.尋問の光軸に実質的に垂直な二次元平面に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー寸法長が0.1ミクロンである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。45.尋問の光軸に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー寸法長が10ミクロンである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。46.尋問の光軸に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー寸法長が2ミクロンである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。47.尋問の光軸に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー寸法長が0.5ミクロンである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。48.尋問の光軸に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー又はパターン化された表面エネルギー寸法長が0.1ミクロンである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。49.尋問のタイプが以下のもの:電磁気、蛍光、共焦点、TIRF、落射蛍光、明視野、暗視野、AFM、SPM、TEM、SEMのいずれか、又はこれらの組合せを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。50.フォームファクターが標準的な顕微鏡スライドに適合している(およそ75×25mm、又は3”×1”)、上記態様のいずれかに記載のデバイス。51.一体型カバーガラスを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。52.デバイスへの試料適用のための溶液封入ウェルが使用者により適用及び/又は取り外しが可能である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。53.パターン化された表面フィーチャーがチャネル、柱、ピット、溝、マウンド、角、グリッド、壁、ライン、パッド、単層、トポロジー変化、規定された表面エネルギー又は電荷のパターンを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。54.パターン化された表面フィーチャーが以下の方法:リソグラフィー、エンボス、射出成形、3D印刷、ナノインプリント、ELB、フォトリソグラフィー、スタンピング、エッチング、プラズマエッチング、ウェットエッチング、フィジカルエッチング、積層、接合、転写印刷、印刷、インクジェット印刷、ディップペンリソグラフィー、蒸着、自己組織化のいずれか、又はこれらの組合せを用いて製造され得る、上記態様のいずれかに記載のデバイス。
55.パターン化された表面エネルギーが組合せを含め以下のもの:材料選択、表面処理(液体、蒸気、UV、及び/又はプラズマ、蒸着、選択的薬剤結合)、転写印刷単層のいずれかにより形成され得る、上記態様のいずれかに記載のデバイス。56.デバイスの材料組成が組合せを含め以下のもの:プラスチック、ガラス、ケイ素、エラストマー、PDMS、COC、Topaz、PC、PS、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ボロフロート、石英、溶融シリカのいずれかを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。57.(i)溶液中に浮遊している少なくとも1つのパッケージを含有する試料溶液を受容するための試料ローディングチャネル、前記パッケージは少なくとも2つの高分子を含有する;(ii)単一のパッケージを捕捉するための少なくとも1つの捕捉部位;(iii)少なくとも1つの捕捉部位と流体的に接続している少なくとも1つの反応チャンバー;(iv)エントロピー障壁を介して少なくとも1つの反応チャンバーと流体的に接続している少なくとも1つの流体接続点、前記障壁は、前記反応チャンバーを占有している前記高分子に対して画定される、を含む流体デバイス。58.尋問のための高分子を調製することが、反応チャンバー内の少なくとも1つの高分子を試薬、温度、圧力、溶媒のいずれか、又はこれらの組合せに曝すことを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。59.試薬が以下のもの:酵素、標識体、DNAバーコード、PCRプライマー、バーコード付きPCRプライマー、MDAプライマー、ユニバーサルプライマー、DNA結合剤、DNA結合タンパク質のいずれかを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。60.標識体が以下のもの:核酸染色液又は色素、二本鎖核酸染色液又は色素、一本鎖核酸染色液又は色素、核型分析染色液又は色素、AT特異的染色液又は色素、インターカレーション色素、CG特異的染色液又は色素、FISHプローブ、ファイバーFISHプローブ、メチル化蛍光プローブ、蛍光修飾ヌクレオチド、組込み蛍光修飾ヌクレオチド、ガイドRNA蛍光プローブ、配列特異的蛍光プローブ、物理マッピング標識体、線形物理マッピング標識体、2D物理マッピング標識体、3D物理マッピング体、テロメア染色液、蛍光修飾DNA又はRNA結合酵素、蛍光修飾CRISPR複合体、蛍光修飾DNA又はRNA結合剤、蛍光修飾一本鎖DNA結合体のいずれかを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。61.試薬がタンパク質又は核酸消化酵素を含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。62.尋問のための高分子を調製することが、反応チャンバー内の少なくとも1つの高分子を少なくとも1つの外力に曝すことを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。63.前記分子が少なくとも1つの物理的障害物、多孔質媒体、ゲル、又は少なくとも1つのエントロピートラップの存在下にある場合に、少なくとも1つの外力が少なくとも1つの高分子にかけられる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。64.少なくとも1つのエントロピートラップが単一の高分子、及びただ1つの高分子を収容するサイズである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。65.尋問のための高分子を調製することが、外力を介して前記高分子の少なくとも一部を閉じ込めが増大した領域に輸送することを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。66.閉じ込めが増大した領域の、光学的尋問の軸に平行な寸法が高分子の長軸の長さの95%以下である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。67.尋問のための高分子を調製することが前記高分子の少なくとも一部分をデバイスの領域に位置させることを含み、それにより、少なくとも1つの寸法が前記寸法を縮小するように可逆的に調節できる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。68.前記寸法が光学的尋問の軸に平行である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。69.前記寸法を高分子の長軸の長さの少なくとも95%以下に縮小することができる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。70.寸法の調節が同じ流体チャネル内の別の壁に対するその相対的位置を調節することができる流体デバイス内の流体チャネルの少なくとも1つの可撓性壁を介するものである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。71.寸法の調節が、何らかの刺激のために同じ流体チャネル内の別の壁に対するその相対的位置を調節することができる相転移材料を少なくとも部分的に含む流体デバイス内の流体チャネルの少なくとも1つの壁によるものである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。72.寸法の調節が流体チャネル内の2つの対向する壁の間の静電引力の適用によるものである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。73.静電引力が時間的に変化する電場により生成される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。74.尋問のための高分子を調製することが、前記高分子の少なくとも一部分をエレクトロウェッティングデバイス内に位置させることを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。75.尋問のための高分子を調製することが、前記高分子の少なくとも一部分に誘電泳動(DEP)力を適用することを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。76.機器コントローラーが、少なくとも部分的にフィードバックシステムに基づいて前記流体デバイスとのその界面を調節し、前記フィードバックシステムが、少なくとも1つの高分子の尋問から生成されるデータである少なくとも1つの入力を有する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。77.少なくとも1つの高分子が少なくとも2つの標識体に結合されている、上記態様のいずれかに記載のデバイス。78.少なくとも2つの標識体が高分子上の物理マップを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。79.物理マップが線形物理マップである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。80.物理マップが2D物理マップである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。81.物理マップが3D物理マップである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。82.物理マップが以下の方法:メルトマッピング、ディファレンシャルマッピング、競合結合、標識ニック部位、バーコーディング、メチル化マッピング、メチルトランスフェラーゼマッピング、配列特異的結合、化学部分結合、抗体、CRISPR-Cas及び修飾酵素からの誘導体のいずれか、又はこれらの組合せから生成される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。83.物理マップが核型分析Qバンドを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。84.使用される色素が以下のもの:キナクリン、ヘキスト33258、ヘキスト33342、DAPI(4’,6’-ジアミジノ-2-フェニルインドール)及びジイミダゾリノフェニルインドール(DIPI)、ダウノマイシンのうち1つを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。85.物理マップが核型分析Gバンドを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。86.使用される色素が限定されるものではないが以下のもの:ギムザ、ライト、及びリーシュマン、又はこれらの組合せを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。87.物理マップが核型分析Rバンドを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。88.使用される色素が限定されるものではないが以下のもの:クロモマイシンA3、オリボマイシン、ミトラマイシン、7-アミノアクチノマイシンDのうち1つ、又はこれらの組合せを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。89.物理マップが核型分析Cバンド(異質染色質密度)を含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。90.物理マップが姉妹染色分体を識別する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。91.高分子を標識体で標識する工程が、物理マップの信号コントラストを最適化するためにフィードバックシステムを用いた制御装置により少なくとも部分的に制御される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。92.少なくとも1つの高分子が、尋問の後に、前記尋問の結果に少なくとも部分的に基づいて補正される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。93.長い核酸分子からなる高分子の一部が伸張チャネル内で少なくとも部分的に伸張し、前記部分の少なくとも一部が尋問される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。94.前記伸張部分が線形物理マップを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。95.前記部分が尋問中に高分子に物理的に接続している、上記態様のいずれかに記載のデバイス。96.前記部分が尋問前又は尋問中に高分子から物理的に解離している、上記態様のいずれかに記載のデバイス。97.前記部分が尋問のために高分子内のその起源する位置に基づいて選択される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。98.伸張チャネルの、尋問の光軸に平行な閉じ込め寸法が100nm以下である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。99.高分子が限定されるものではないが以下のもの:染色体、中期又はその付近の染色体、間期又はその付近の染色体、余分な染色体、ecDNA、染色体のセグメント、長い核酸分子、クロマチンのいずれかであり得る、上記態様のいずれかに記載のデバイス。100.第2のパッケージの内容物をロードする前に、まず第1のパッケージの内容物を、チャンバーからフラッシュすることにより、同じ反応チャンバー内の2つのパッケージを順次尋問することができる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。101.尋問される少なくとも1つのパッケージが、前記パッケージが捕捉部位にある間に前記少なくとも1つのパッケージを選択的に溶解することによって選択される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。102.選択的溶解がパッケージに以下のもの:光溶解、溶解剤の流動、熱、音響エネルギー、超音波エネルギー、電場のいずれか、又はこれらの組合せの選択的適用によって実施される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。103.選択基準が以下のもの:パッケージサイズ、パッケージ形状、パッケージ上のマーカーの有無のいずれか、又はこれらの組合せであり得る、上記態様のいずれかに記載のデバイス。104.複数の流体反応チャンバーがエントロピー障壁を介して互いに流体的に接続している、上記態様のいずれかに記載のデバイス。105.高分子に対するエントロピー障壁が分子の長軸の長さの95%以下の閉じ込め寸法を示す、上記態様のいずれかに記載のデバイス。106.尋問領域と反応チャンバーが同じものである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。107.尋問の光軸に実質的に垂直な平面で測定される尋問領域面積が少なくとも100000平方ミクロンの大きさである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。108.尋問の光軸に実質的に垂直な平面で測定される尋問領域面積が少なくとも10000平方ミクロンの大きさである、
上記態様のいずれかに記載のデバイス。109.尋問の光軸に実質的に垂直な平面で測定される尋問領域面積が少なくとも1000平方ミクロンの大きさである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。110.尋問の光軸に実質的に垂直な平面で測定される尋問領域面積が少なくとも100平方ミクロンの大きさである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。111.尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが尋問された際に2つの前記高分子が重ならないように十分に浅い、領域の少なくとも一部分を有する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。112.尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが高分子の長軸の長さの195%以下である、領域の少なくとも一部分を有する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。113.尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが10ミクロン以下である、領域の少なくとも一部分を有する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。114.尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが2ミクロン以下である、領域の少なくとも一部分を有する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。115.尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが1ミクロン以下である、領域の少なくとも一部分を有する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。116.捕捉部位がパッケージの体積の195%以下の体積である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。117.捕捉部位がパッケージの長軸の長さの195%以下の閉じ込め寸法を有する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。118.規定されたフィーチャーが以下の方法:リソグラフィー、エンボス、射出成形、3D印刷、ナノインプリント、ELB、フォトリソグラフィー、スタンピング、エッチング、プラズマエッチング、ウェットエッチング、フィジカルエッチング、積層、接合、転写印刷、印刷、インクジェット印刷、ディップペンリソグラフィー、蒸着、自己組織化のいずれか、又はこれらの組合せを用いて形成され得る、上記態様のいずれかに記載のデバイス。119.デバイスの材料組成が以下のもの:プラスチック、ガラス、ケイ素、エラストマー、PDMS、COC、Topaz、PC、PS、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ボロフロート、石英、溶融シリカのいずれかを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。120.長い核酸分子の少なくとも一部を伸張させることを含み、前記分子はA型の少なくとも2つの標識体で標識され、B型の少なくとも2つの標識体で標識され、AとBは異なる蛍光特性を有し、A型標識体は前記分子の空間的物理マップを含み、B型標識体は前記分子の空間的物理マップを含み、これにより、A型からの物理マップは、分子の空間的核酸密度に関してB型からの物理マップと相関し、A型からの物理マップは、分子の空間的核酸遺伝子内容に関してB型からの物理マップと反相関する、方法。121.蛍光特性が励起波長である、上記の態様のいずれかに記載の方法。122.蛍光特性が発光波長である、上記の態様のいずれかに記載の方法。123.空間的核酸遺伝子内容がAT/CG比である、上記の態様のいずれかに記載の方法。124.B型からの物理マップ及びA型からの物理マップの両方を用いる分析が、長い核酸分子の空間的核酸密度の変動を決定するために使用される、上記の態様のいずれかに記載の方法。125.B型からの物理マップ及びA型からの物理マップの両方を用いる分析が、長い核酸分子の空間的遺伝子内容の変動を決定するために使用される、上記の態様のいずれかに記載の方法。126.B型からの物理マップ及びA型からの物理マップの両方を用いる分析が、分子の新たな線形物理マップを生成するために使用される、上記の態様のいずれかに記載の方法。127.新たな物理マップが分子のゲノム内容と分子のストレッチ補正された長軸を関連付ける、上記の態様のいずれかに記載の方法。128.新たな物理マップが参照と比較される、上記の態様のいずれかに記載の方法。129.同じ分子の複数の画像が異なる時点で採取され、次いで、これらの画像がノイズを減らした分子の単一の物理マップを生成するためのアルゴリズムに従って処理される、上記の態様のいずれかに記載の方法。130.A型標識体が二本鎖核酸に優先的に結合し、B型標識体が一本鎖核酸に優先的に結合する、上記の態様のいずれかに記載の方法。131.B型標識体の結合が、分子が部分的に融解した際に行われる、上記の態様のいずれかに記載の方法。132.部分的融解工程が以下のもの:熱、塩、有機溶媒を含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。133.A型標識体が二量体シアニン核酸染色液、POPO-1、BOBO-1、YOYO-1、JOJO-1、POPO-3、LOLO-1、BOBO-3、YOYO-3、TOTO-3を含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。134.B型標識体が一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)の蛍光タグ付き変異体を含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。135.色素がAlexa Fluor 488(AF488SSB)又は546(AF546SSB)色素を含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。136.B型標識体が複製プロテインA(RPA)の蛍光タグ付き変異体を含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。137.B型標識体がQuantiFluor、SYBR Green II、OliGreenを含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。138.A型標識体が核酸のATリッチ領域に優先的に結合し、B型標識体がCGリッチ核酸に優先的に結合する、上記の態様のいずれかに記載の方法。139.A型標識体がキナクリン、ヘキスト33258、ヘキスト33342、DAPI(4’,6’-ジアミジノ-2-フェニルインドール)及びジイミダゾリノフェニルインドール(DIPI)、ダウノマイシンを含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。140.B型標識体がクロモマイシンA3、オリボマイシン、ミトラマイシン、7-アミノアクチノマイシンDを含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。141.2つの型が同時に結合される、上記の態様のいずれかに記載の方法。142.2つの型が順次結合される、上記の態様のいずれかに記載の方法。143.長い核酸分子の少なくとも一部が流体デバイス内で伸張される、上記の態様のいずれかに記載の方法。144.長い核酸分子の少なくとも一部がコーミングにより伸張される、上記の態様のいずれかに記載の方法。145.実質的に平行な2枚の基板を含み、各基板は導電性材料を含み、前記2枚の基板の間には少なくとも1つの本体を含有する溶液があり、2つの導電性材料の間に時間的に変化する電場が印加されると、2枚の前記基板の間に引力が発生するようになっている、流体デバイス。146.基板間の最短相対距離を表す寸法を引力に応答して変化させることができる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。147.少なくとも1つの基板が可撓性である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。148.少なくとも1つの基板が電磁放射の少なくとも1つの波長に対して透明である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。149.少なくとも1つの基板が導電性である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。150.少なくとも1つの導電性材料がITOを含有する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。151.少なくとも1つのスペーサー体が前記2枚の基板の間に配置され、前記スペーサー体の物理的なコンフォメーションが前記2枚の基板の間の局所的最小分離距離を画定する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。152.スペーサー体が溶液中に浮遊しているビーズである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。153.スペーサー体が他の基板に面した少なくとも1つの基板に固定されているビーズである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。154.スペーサー体が他の基板に面した少なくとも1つの基板の表面のパターン化されたフィーチャーである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。155.フィーチャーが柱、チャネル、ウェル、ホール、ピット、又は壁を含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。156.パターンフィーチャーが、基板が互いに十分に近接された際に本体にエントロピートラップを形成する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。157.時間的に変化する場が1Hz~1GHzの範囲の少なくとも1つの周波数成分を含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。158.本体が以下のもの:細胞、染色体、核、小胞、液滴、核酸、長い核酸分子、タンパク質、ウイルス、細菌、ミトコンドリアのいずれか、又はこれらの組合せを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。159.本体が基板間に捕捉される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。160.本体がパッケージであり、2枚の基板の引力によって破裂される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。161.引力の適用が基板間の本体の尋問を介して少なくとも部分的に制御される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。162.変形可能な物体に対するエネルギー障壁を、流体デバイス内の流体チャネル内の少なくとも1つの閉じ込め寸法を前記流体デバイス内に組み込まれた機構を介して調節することによって調節することができるエントロピー障壁を含む、調節可能なエントロピー障壁デバイス。163.閉じ込め寸法の調節がチャネルの少なくとも一部を含む変形可能な境界を介して行われ、力が境界のチャネルに面していない側にかけられる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。164.変形可能な境界がエラストマーである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。165.力が液体で調節される圧力である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。166.力が気体で調節される圧力である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。167.閉じ込め寸法が、組合せを含め以下のもの:圧電素子、磁性ポリマー複合材料、イオン活性ポリマー複合材料、磁気レオロジー流体、電気レオロジー流体、誘電エラストマーアクチュエーター、電歪強誘電ポリマー、形状記憶ポリマー、液晶エラストマー、ポリマーヒドロゲル、共役ポリマー、相変化材料を介して直接又は間接的に調節され得る、上記態様のいずれかに記載のデバイス。168.閉じ込め寸法が、流体チャネルを形成する2枚の対向する基板の間の静電引力により調節される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。169.調節可能なエントロピー障壁が流体デバイスのチャネル内の変形可能な物体に対する調節可能なエントロピートラップの一部を形成する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。170.トラップにおける変形可能な物体の捕捉又は放出が幾つかの基準により決定される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。171.基準が変形可能な物体の尋問を行う機器コントローラーシステムにより少なくとも部分的に決定される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。172.変形可能な物体を含有する油中水型液滴が、物体がトラップ内にある間に水溶液を油溶液に置換することにより形成される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。173.最小閉じ込め寸法が流体デバイス内のパターン化されたフィーチャーにより画定される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。174.閉じ込め寸法に対する制御が、フィードバックプログラムを計算する機器コントローラーシステムにより決定され、前記プログラムに対する少なくとも1つの入力が、調節可能な障壁の近傍の変形可能な物体の尋問を行うことから得られるデータである、上記態様のいずれかに記載のデバイス。175.少なくとも1つの生物学的本体の少なくとも一部が相変化材料を含有する流体チャネルを占有し、その結果、本体の移動度が、材料が相変化しない同じ条件に増大又は減少する、流体デバイス。176.相変化材料が、粘度が電磁放射への曝露により調節可能である光レオロジー流体を含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。
177.相変化材料が、粘度が電場の印加を介して調節可能である電気レオロジー流体を含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。178.相変化材料が、粘度が磁場の印加を介して調節可能である磁気レオロジー流体を含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。179.相変化材料が、粘度が温度変化を介して調節可能であるゾル-ゲルを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。180.ゾル-ゲル材料(sol-get material)が液体からゲルへの遷移においてヒステリシスを示す、上記態様のいずれかに記載のデバイス。181.生物学的本体がパッケージ、細胞、液滴、染色体、染色体の一部、クロマチン、長い核酸分子、天然核酸、DNA、dsDNA、ssDNA、RNA、ウイルス、BAC、YAC、mRNA、DNA/RNAハイブリッドを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。182.生物学的本体が相変化材料内に少なくとも部分的にある間に尋問される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。183.相変化材料が尋問工程の前、尋問工程の後、又は尋問工程の中に相変化を受ける、上記態様のいずれかに記載のデバイス。184.尋問が電磁気、蛍光、TIRF、落射蛍光、明視野、暗視野、SEM、TEM、AFM、STMを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。185.少なくとも1つの標識体が生物学的本体に結合されている、上記態様のいずれかに記載のデバイス。186.標識体が以下のもの:核酸染色液又は色素、二本鎖核酸染色液又は色素、一本鎖核酸染色液又は色素、核型分析染色液又は色素、AT特異的染色液又は色素、インターカレーション色素、CG特異的染色液又は色素、FISHプローブ、ファイバーFISHプローブ、メチル化蛍光プローブ、蛍光修飾ヌクレオチド、組込み蛍光修飾ヌクレオチド、ガイドRNA蛍光プローブ、配列特異的蛍光プローブ、物理マッピング標識体、線形物理マッピング標識体、2D物理マッピング標識体、3D物理マッピング体、テロメア染色液、蛍光修飾DNA又はRNA結合酵素、蛍光修飾CRISPR複合体、蛍光修飾DNA又はRNA結合剤、蛍光修飾一本鎖DNA結合体のいずれかを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。187.機器コントローラーシステムが材料の相変化の程度を調節する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。188.調節の決定基準が、少なくとも1つの入力が生物学的本体の尋問を行うことから生成されるデータであるフィードバックシステムに少なくとも部分的に基づく、上記態様のいずれかに記載のデバイス。189.高分子の少なくとも一部が、誘電材料内に収容され電極間に挟まれたテーパー断面を有するチャネルを占有し、時間的に変化する電場を電極間に印加すると、前記高分子に誘電泳動力がかるようにされた、流体デバイス。190.高分子が長い核酸分子である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。191.かけられる力の方向がテーパー点に向かう、上記態様のいずれかに記載のデバイス。192.かけられる力の方向がテーパー点から離れる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。193.力の方向及び規模を調節するために時間的に変換する電場が調節される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。194.高分子が長い核酸分子であり、力の調節がテーパーにおける分子の物理的閉じ込めの有効度を調節するために用いられる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。195.チャネル内の長い核酸分子の一部が伸張される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。196.少なくとも第2の外力が高分子に、DEP力に垂直な平面に実質的に平行な方向にかけられる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。197.少なくとも第2の外力が時間的に変化する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。198.少なくとも第2の外力が電場である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。199.少なくとも第2の外力が流体流である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。200.機器制御が時間的に変化する電場を調節する、上記態様のいずれかに記載のデバイス。201.調節の決定基準が、少なくとも1つの入力が高分子の尋問を行うことから生成されるデータであるフィードバックシステムに少なくとも部分的に基づく、上記態様のいずれかに記載のデバイス。202.尋問データが、参照と比較されていた高分子からの物理マップデータを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。203.流体溶液が試薬を含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。204.試薬が酵素である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。205.酵素がタンパク質消化酵素である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。206.試薬がMDAプライマー、プライマー、ユニバーサルプライマー、ポリメラーゼ、標識体である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。207.少なくとも1つの標識体が高分子に結合されている、上記態様のいずれかに記載のデバイス。208.標識体が以下のもの:核酸染色液又は色素、二本鎖核酸染色液又は色素、一本鎖核酸染色液又は色素、核型分析染色液又は色素、AT特異的染色液又は色素、インターカレーション色素、CG特異的染色液又は色素、FISHプローブ、ファイバーFISHプローブ、メチル化蛍光プローブ、蛍光修飾ヌクレオチド、組込み蛍光修飾ヌクレオチド、ガイドRNA蛍光プローブ、配列特異的蛍光プローブ、物理マッピング標識体、線形物理マッピング標識体、2D物理マッピング標識体、3D物理マッピング体、テロメア染色液、蛍光修飾DNA又はRNA結合酵素、蛍光修飾CRISPR複合体、蛍光修飾DNA又はRNA結合剤、蛍光修飾一本鎖DNA結合体のいずれかを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。209.テーパーが視野窓に向かう方向である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。210.テーパーが視野窓から離れる方向である、上記態様のいずれかに記載のデバイス。211.テーパーを有するチャネルが少なくとも部分的にチャネル上への材料の沈着を介して製造される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。212.テーパーを有するチャネルが、少なくとも部分的に、結晶面に沿ったケイ素のウェットエッチングにより逆三角形の形状を形成することによって製造される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。213.テーパーを有するチャネルが、少なくとも部分的に、基板上でのポリマーフィルムのパターン化によって製造される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。214.パターン化がリソグラフィー、フォトリソグラフィー、エンボス、ナノインプリント、インプリント、エンボス、自己組織化、電荷又は鋳型により誘導される形状形成を介して行われる、上記態様のいずれかに記載のデバイス。215.デバイスが第2の基板へのテーパーチャネルの接合を介して封入される、上記態様のいずれかに記載のデバイス。216.接合法が以下のもの:熱接合、プラズマ活性化接合、陽極接合、圧着、融着、接着剤接合、ポリマー補助接合のいずれか、又はこれらの組合せを含む、上記態様のいずれかに記載のデバイス。
受動的デバイスの例:
実施例1.1 細胞遺伝子学的分析のための受動的デバイスの作製
最初の概念実証として、細胞遺伝学的分析のための受動的流体デバイスのモデルシステムが、図7に示す実施形態に類似した幾何学で開発される。まず、CADソフトウエアプログラムを使用して、マスクベンダーからの注文に合わせてコンタクトフォトマスクを指定できるように意図するデバイスの側面幾何学を画定する。得られたところで、0.5mm厚のガラスボロフロートウエハを20nmのクロムと100nmの金を基板表面に蒸着させてコーティングする。次に、ポジ型フォトレジストを表面にスピンコートした後、レジスト製造者の指示に従って露光準備を行う。マスクアライナーをコンタクトモードで作動させ、マスクを介してウエハ上のレジストに紫外線を照射し、その後、製造者の指示と推奨される薬品に従ってレジストを現像して露出したレジストを除去し、チャネルを形成する金薄膜表面を露出させる。この例では、チャネルは幅1ミクロン、ピッチ6ミクロンである。ガラスを金とクロムのエッチング液に浸漬してチャネル内の金属を除去し、次に酸素灰でレジストを除去する。このガラスを、HFを含む液体ガラスエッチング液に浸漬し、1ミクロンの深さまでガラスのエッチングを行う。HFウェットエッチングは等方性であるため、エッチング後、チャネルは1ミクロンずつ横方向に大きくなり、メタルハードマスクを除去した後にガラス内のチャネルは幅3ミクロン、深さ1ミクロン、隣接チャネル間は3ミクロンとなる。次に、エッチングされたガラス基板を水、アンモニア、及び過酸化水素の加熱混合液中で十分に洗浄し、残存する有機物を除去し、表面からの粒子の除去を促す。次に、シャドウマスクを通してガラス基板の上面にサンドブラストを施すことにより、試料分注のアライメントを行うためのフィデューシャルマーカーを追加する。その後、ガラス基板を標準的な顕微鏡スライドのフォームファクターにダイシングし、複数の75mm×25mmのサイズの流体デバイスを生成する。
次に、上部のガラス表面を疎水性シラン単層で処理し、表面をシラン化する。これにより、溶液の後退するメニスカスがチャネル中で濡れることと、チャネル内に溶液と試料を封じ込めることの両方が可能となる。シラン処理は、予めシラン分子の溶媒に浸漬したPDMSフィルムに接触印刷することで行われ、従って、直接的な物理的接触を介して分子をチャネル間の領域に移動させる。接触印刷はチャネルを変化させず、これはそれらの凹んだ形状によりガラスの親水性を保持する。50℃で1時間アニールした後、デバイスは使用可能な状態になる。この例で示されているように、チャネルは幅3ミクロン、深さ1ミクロンで、単一のヒト中期染色体を染色体の長軸に沿って縦に収容するのに適したサイズである。
実施例1.2 核型分析のための低張細胞の準備
37℃、5%CO2加湿インキュベーター内で培養した刺激T細胞からなる末梢血は、大量の有糸分裂細胞の再現性のある供給源となる。培養中の細胞周期の同期化と染色体凝縮の直接阻害を組合せたところ、より長い高分解能前期又は前中期の標本が得られた。2日又は3日の非同期細胞培養は、DNA複製を阻止するためにチミジン合成を阻害する葉酸拮抗剤であるメトトレキサート(10μM)を添加することにより阻害される。その後、チミジン(1mM)を添加すると、細胞の同期波が放出されて複製が完了し、G2を経て有糸分裂に進む。このような標本を、微小欠失又は微妙な再配列の詳細な解析、微細な破断点の解析、及び精密マッピングに使用する。中期細胞は、微小管形成に干渉することで動原体/紡錘体線維複合体を破壊するコルヒチン類似体であるColcemid(10μg/ml)で培養物を処理することにより得られる。この処理により有糸分裂が停止し、その結果、中期の細胞が蓄積される。有糸分裂の停止後、低張力75mM KCl溶液で処理して(低張力「ショック」)細胞体積を増加させる。その後、細胞を3:1メタノール/酢酸で固定し、水分を除去して細胞膜を破壊した後、流体デバイスに適用する。
実施例1.3 細胞遺伝学的分析のための試料の調製と受動的デバイスの使用
染色体流体デバイスの調製:(1)実施例1.1の受動的マイクロ流体デバイスをベンチトップ面に対して45°の角度に傾ける(710)。デバイスの上方10.16センチ(4インチ)のパスツールピペット(701)から、実施例1.2で調製した固定細胞懸濁液(702)をデバイスの一端から滴下し、他端に向かって進行させる。液滴(702)は、持ち上げられた長辺からその幅の3分の1の傾いたデバイスに当たり、液滴はデバイス表面ではじけ、衝突しながら拡散する。この一連の過程により、過剰な懸濁溶液がデバイスの特定の場所に溜まることなく表面全体に拡散し、デバイス表面全体にわたるメニスカスエッジ(705)の均一な分散を促進し、受動的な局所的微小対流が、パターン化された表面フィーチャー(708)とパターン化された表面エネルギー(711)に沿って、まず細胞の定着と局在を豊富にし、次に放出された中期染色体(704)を捕捉、配列、伸長させることが可能となり、(2)細胞懸濁液の適用の後、デバイス表面を、デバイス表面の上端に沿って固定剤ですすぐ。これにより、デバイス表面に残っている水分が前面に押し出される。デバイスの端を濡れたペーパータオルで吸い取ることによって、デバイス表面に余分な流体が溜まるのを避け、より微小対流が制御された乾燥を確保するために、固定剤の薄く均一な膜を得ることが重要である。
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)又は核型分析に使用されるデバイスは、ベーキング又は人工的なエージングを行わず、数週間以内に使用するべきである。これらのデバイス上の染色体標本は生分解性があるので、清潔な乾燥した容器で、暗所、室温で保存(短期保存)するか、-70℃で凍結保存(長期保存)しなければならない。
次に、流体デバイス上に伸展した中期染色体上に、Gバンディング物理マップを作成する。第一に、4つのコプリンジャーに以下の溶液を加える。ジャー#1=30mlの1倍HBSSと4mlの10倍トリプシン(0.5%);ジャー#2=50mlの1倍HBSS;ジャー#3=45mlの1倍HBSSと5mlのウシ胎仔血清;ジャー#4=50mlの1倍HBSS。第二に、デバイスをジャー#1に5秒間浸漬し、ジャー#2で素早くすすぎ、ジャー#3に少なくとも30秒間留め、ジャー#4で素早くすすぎ、その後乾燥させる。第三に、新鮮なギムザ染色液(3:1比のGurr Bufferとギムザステイン)を調製する。デバイスを染色用ラックに設置する。デバイス表面全体をギムザ染色液で覆う。染色体は5分間染色する。第4に、デバイスを蒸留水ですすぐ。デバイスを約10分間乾燥させる。
整列させたGバンド染色体を画像化するため、縁にパーマウントを塗布したカバーガラスをかけ、光学顕微鏡にて10倍及び100倍の倍率で細胞を観察する。
実施例1.4 細胞遺伝学的分析のための試料の調製と受動的デバイスの使用
実施例1.2で調製した中期の細胞をローディング緩衝液に再懸濁し、溶液中に懸濁した細胞をピペットから、ベンチ上に平らに置いた図9(C)に示す流体デバイスの注入ウェル(907)へ分注する。ローディングウェルの周りのデバイス表面のパターン化された表面フィーチャー(945)とパターン化された表面エネルギー(943)は、細胞の配置と局在化を促進し、豊富にする。毛細管作用でデバイスを濡らすことによる激しい剪断力が細胞(903)を破裂させ、分離した中期染色体(942)を、分析のために尋問領域のパターン化された流体中に放出させる。
乾燥させた後、整列した染色体を、従前に実施例1.3に記載したプロトコールを用いてGバンド核型分析のために準備する。
本実施例では、bcr/abl転座構造変異体は、部分bcr遺伝子パターンが、通常これら二つの遺伝子座が9と22の二つの別々の染色体に属する、同じ染色体又はDNA長分子に沿って部分abl遺伝子座パターンと直接並置する物理的共局在によって同定される。
能動的デバイスの例
実施例2.1 細胞遺伝学的分析のための能動的デバイスの作製
最初の概念実証として、細胞遺伝学的分析のための能動的流体デバイスのモデルシステムが、図14(B)に示す実施形態に類似した幾何学で開発される。まず、CADソフトウエアプログラムを使用して、マスクベンダーからの注文に合わせてコンタクトフォトマスクを指定できるように意図するデバイスの側面幾何学を画定する。この設計では、デバイスは、中期染色体を含む直径約15ミクロンのヒト白血球を捕捉するために最適化される。試料ローディングチャンネル(1431)は幅50ミクロン、パッケージ捕捉部位(1429、1433)は幅15ミクロンで、ラミナーフローポート(1430)と狭窄接続(1437)は共に幅2ミクロンである。反応チャンバー(尋問領域)(1436)の面積は10,000平方ミクロンで、柱(1435、1439)は直径3ミクロン、最接近間隔は1ミクロンである。
厚さ0.5mmの両面研磨ホウケイ酸ガラス(パイレックス7740)ウエハにクロム(20nm)の付着層と銅(200nm)のシード層を均一にコーティングし、フォトレジスト(AZ9260)の膜で基板をコーティングし、フォトマスクを介して露光し、製造者の指示に従って現像する。その後,銅の露光領域にニッケルを2ミクロンの厚さに電気メッキした後,フォトレジストを溶剤で,Cr/Cuメッキ層を反応性イオンエッチング(RIE)で除去し,ガラス基板を露出させる。次に、電気メッキされたニッケルによってマスクされた露出ガラス基板を、C4F8とO2のプラズマガス混合物を用いて誘導結合プラズマエッチング装置で1ミクロンの深さまでエッチングし、尋問領域(1436、1441)と接続エントロピー障壁(1434、1440、1443)を画定し、その後ニッケル、銅、及びクロムをウェットエッチングで除去する。その後、この過程を繰り返して、残りのフィーチャーをパターン化し、最初のフィーチャーセットに合わせ、今度は15ミクロンの深さまでエッチングする。
両方の流体フィーチャーがこの時ガラス基板の表面にパターン化された状態で、接続点(1421、1422、1423、1424)は、金属シャドウマスクを用いてガラスウエハを通してサンドブラストすることにより流体ポートに接続される。その後、ガラス基板を水、アンモニア、及び過酸化水素の加熱混合液中で十分に洗浄して残存する有機物を除去し、表面からの粒子除去を容易にする。最後に、パターン化されたガラスウエハをパターン化されていないガラスウエハに400℃でプラズマによる補助で融着した後、650℃のオーブンでアニールして流体デバイスが完成する。冷却したところで、次にウエハを個々のチップに切断し、流体ポートはプラスチック製マニホールドに接続し、全ての入口及び出口ポートにルアーロック接続が可能となる。
実施例2.2 流体デバイスにロードするための細胞の調製
最初の概念実証として、以下のプロトコールに従って、能動的流体デバイスにロードするための末梢血細胞を調製する。末梢血は静脈穿刺により、血液1ml当たり25Uの保存料非含有ヘパリンナトリウムを含むヘパリンナトリウムバキュテナーに採取される。ヘパリンナトリウム中の血液は、4℃で4日間まで保存される。次に、0.25mlの全血を、5mlの完全RPMI/10%FBS培地を含む無菌の15ml遠心管に、21-G注射針を備えたTB注射器を用いて接種する。0.05mlの再構成100倍PHA溶液を加える。1回の培養で、通常3~5枚のフルスライド標本が得られる。チューブは、空気交換を促進するために45°に傾けて3日間インキュベートする。注:高齢患者の白血球は、PHA刺激に迅速に応答しないので、最大4日間培養する必要がある。より多量の培養が必要な場合は、T25フラスコで血液と培地の比率を同じにして増殖させることができる。次に、中期細胞調製に関する実施例1.2のプロトコールに従う。細胞懸濁液をFACSFlow緩衝液(BD Bioscience)と1:1で混合し、400rpmで5分間遠心分離し、FACSFlowに再懸濁させる。最後に、生細胞をCellBrite(登録商標)グリーンで染色する:Ex/Em 484/501nm。
実施例2.3 細胞遺伝学的分析のための試料の調製及び能動的デバイスの使用
図14に基づいて実施例2.1で示された能動的流体デバイスを、デバイス内の溶液交換のための流体チューブと尋問用の光学顕微鏡との接続を可能にするホルダーに取り付ける。60×1.00の水浸対物レンズとSCMOSカメラを備えた倒立顕微鏡を使用して蛍光イメージングを行う。デバイス内部の温度は、デバイスの裏面に接して保持されたヒーターで制御される。
細胞を受け取る前に、デバイスは1%ドデシル硫酸ナトリウム、緩衝液(0.5TBE、3%b-メルカプトエタノール(BME)、0.5%Triton X-100)及びBSA(1mg/mL)により10分間フラッシュする。
実施例2.2で調製した細胞(1425)を含む溶液を試料ローディングチャネル(1431)の入口ポート(1421)で流体デバイスに導入し、染色した細胞の蛍光イメージングにより捕捉部位(1429)で細胞の捕捉が確認されるまで出口ポート(1422)に向かって流動させる。次に、アルカリ溶解液を入口ポート(1421)から二次出口ポート(1424)へ流し、中期染色体を放出させ、放出したところで染色体を狭窄接続部(1437)から反応チャンバー(1436)へ流し込む。反応チャンバー内の染色体は、ここでは、垂直方向の高さは1ミクロンに制限され、染色体はチャンバー内に重ならないように分布する必要がある。次に、染色体は、二次入口ポート(1423)から二次出口ポート(1424)へ1~10nL/分の速度で試薬を流すことにより、尋問のために準備される。これらの試薬は、DNA結合タンパク質を消化するためのプロテイナーゼK、RNAを消化するためのRNase、及び染色体を染色するためのYOYO-1を含む(全てThermo Fisherからの試薬)。消化された分子、及び非染色体物質、及び余分な試薬は全て出口ポートへと洗い流され、エントロピー障壁によって染色体は反応チャンバー内に維持される。タンパク質消化の時間と濃度は、製造者の指示に従う。タンパク質分解が完了したら、放出されたYOYOを出口ポートへ(1424)と洗い流す溶液流を維持しながら、従前に記載したように[Tegenfeldt, 2009, 10,434,512]、デバイスを所望のプロトコールに合わせて加熱制御を行うことで染色体上に物理的なメルトマップを生成する。最後に、入口ポート(1423)と出口ポート(1424)の間に適用される-30~+30ボルトの範囲の時間変動電場の適用により、染色体は好適にチャンバー内に配置される。次に、AT/CG YOYOメルトマップを有する膨潤した、重ならない染色体を画像化する。
実施例2.4 血液試料からの循環腫瘍細胞の選択的な核型分析
図15に示す流体デバイスは、実施例2.1に記載した方法を用いて作製される。このデバイスは、多数の細胞をスクリーニングするために最適化され、64個の細胞捕捉部位(1508)にそれぞれ接続された16個の尋問領域(1515)のアレイを含んでいる。尋問領域は直列に配列され、エントロピートラップによって分離されている。このデバイスは、複数の蛍光チャネル、明視野励起、及びデバイスからの流体の出入りを制御するための流体インターフェースを含む倒立顕微鏡のネストに設置されている。60倍1.4NA油浸対物レンズが使用される。このシステムは、100mWの405nmレーザーダイオード(Obis LX、Coherent社製)を更に含み、アスペクト比1:6で最も広い部分に沿って10mm 1/e2ビームウエストの細長いビームに拡張される。このビームは、対物レンズを通して軸上に発射され、試料に1.3μm×0.22μmの集光線を形成する。
患者から血液試料を採取し、市販のマイクロ流体ソーター(Parsortix, Angle plc)を用いて潜在的なCTCを濃縮し、製造者のプロトコールに従って溶出する。溶出された細胞は、実施例2.2に記載されているように培養し、細胞周期が停止される。細胞を、Alexa488標識抗サイトケラチン抗体、Alexa594標識抗CD45抗体、及びDAPIの混合物を用いて染色し、採取する。
染色細胞をデバイスに導入し、試料ローディングチャネル(1503)に沿って、ポート1501からポート1502まで圧力駆動流で流す。試料を明視野顕微鏡で観察し、トラップのおよそ3/4が細胞で満たされた際に流動を停止させる。次に、3つの蛍光色素全てについて細胞を画像化し、3つの基準全てを満たすかどうかに基づいて、CTC候補を尋問用に選択する:(a)核の存在、(b)サイトケラチン陽性、(c)CDC45陰性。各尋問領域について、1細胞(存在する場合)が選択される。複数の細胞が選択基準を通過した場合、サイトケラチンとCD45の蛍光の比率によってランク付けを行う。
細胞が尋問のために選択されると、ステージを動かして405nmレーザーの焦点をセルトラップと狭窄接続部(1508/1516)の界面に配置し、細長いレーザー焦点の向きを試料入口チャネルと平行にすることによって、選択的に光分解される。レーザーの位置は、細胞膜の尋問チャネルに向けられた部分の上に置かれ、穏やかな流体流が1501からポート1521に開始される。405nmのレーザーは1.0秒間パルス照射されて膜を破壊し[Paterson, 2005]、細胞内容物が尋問領域へ移動するのを可能にする。溶解は、各尋問領域内の対象とする他の細胞に対して繰り返される。
尋問領域内の染色体は実施例1.3のように染色されるが、試薬を含むコプリンジャーにスライドを浸漬する代わりに、試薬は共通尋問チャネル1520-1521を通して流される。イメージングの前に、尋問チャネルを通る流れを反転させ、正弦波状の流体パルスを適用して尋問領域に染色体を分散させることにより、尋問領域を分離するエントロピー障壁から細胞を洗い流す。染色体Gバンディングの画像は、無傷細胞の抗体蛍光の蛍光画像と一緒に保存される。
実施例2.5 DEPデバイスの製造
最初の概念実証として、図27に示す実施形態に類似した幾何学のDEPデバイスのモデルシステムが開発される。2枚のガラス基板(A及びB)に100nmの導電性ITO膜の層をコーティングし、次いで「上」の基板(A)には1ミクロンの厚さのCOC膜をコーティングし、「下」の基板(B)には0.2ミクロンのCOC膜をコーティングする。エンボス型は、まず、[Fruhauf, 2005]に記載されているようにシリコーンウエハをKOHでウェットエッチングして{111}結晶面を露出させ、三角格子を生成することにより作製する。次に、シリコーン表面を熱酸化して厚さ10nmにし、酸化シリコーン表面に自己組織化シランベースの疎水性単層を形成し、離型できるようにする。三角格子型はピッチ2.2ミクロン、深さ1.6ミクロンである。この型を用いて、圧力とCOCのガラス転移温度以上の熱を加えることで、基板AのCOC膜に三角形のパターンをエンボス加工する。COCは流動して型に適合し、三角形の先端(テーパー)とITO膜との間に0.2ミクロンの厚さのCOCの分離が残る。最後に、基板AとBのCOCコーティングした面を接触させ、圧力と熱を加えることで基板を接着し、誘電体材料(COC)内にテーパーを持つ閉じ込めチャネルを生成する。
実施例2.6 ディファレンシャルメルトマッププロトコール
図22に示すデバイスを使用する。染色体をロードする前に、デバイスを0.1%Tween-20で洗浄し、試料を、色素と塩基対の比が1:5になるように十分な濃度でYOYO-1と共にインキュベートする。試料をロードして処理すると、染色体の一部が尋問領域の伸長チャネルに入り込む。このデバイスは、ペルチェ、アクティブフィードバック用熱電対、及び精密なコントローラー(TEC-1089-SV、Meerstetter)を含む温度調節ネストによって顕微鏡ステージ上に保持される。
ディファレンシャル染色緩衝液をデバイスに静かに流し、温度を上昇させてDNAの約50%を融解する。この緩衝液はYOYO-1を含まないが、蛍光耐熱性Single Strand Binding Protein(SSB)(起源:Thermotoga maritima、点突然変異S116CとAtto647Nで標識されたマレイミドを持つ大腸菌で発現)を含む。温度は融点で60秒保持した後、2℃/秒のランプレーとで20℃まで温度を下げる。イメージング緩衝液(0.5倍TBE、0.1%Tween-20、1mM B-メルカプトエタノール)をデバイスに流し、余分な蛍光SSBとYOYO-1を洗い流す。
画像間のDNAの動きを最小限にするため、2つの蛍光チャンネルで迅速に連続してDNAを画像化する。YOYO-1のLED励起は、ケーラー照明でシングルダイオード(GV QSSPA1.13、OSRAM)を動作させ、LEDダイを7倍の倍率で対物レンズ(60倍1.4NA)のバックアパーチャーに結像させることにより達成される。Atto647NのLED励起も同様に(KS DMLS31.23、OSRAM)、9倍の倍率で達成される。
DNA骨格を計算により同定し、各チャネルで強度プロファイルのトレースを生成する。トレースはバックグラウンドが減算され、各チャネルについて累積輝度ヒストグラムが生成される。トレースは、その80パーセンタイル輝度値によって正規化する。正規化YOYOと正規化SSB-Atto647Nの合計に対する正規化YOYO強度の比は、GC含量の最良の推定値及び分析中のDNA鎖の物理マップとして計算される。
物理マップは、[Tostesen, 2005]の方法で融解状態を解析したヒトゲノムアセンブリGRCh37の配列から得られた、事前に計算された参照物理マップと比較される。参照マップセグメントは、検出画像の1ピクセルに相当する間隔でサンプリングされ、各ピクセル分のGC比情報は、符号付き8ビット整数として正規化され、-128は100%ATを表し、127は100%GCを表す。参照マップは、様々な(最大20)DNA伸縮比に対して予め計算されているため、同じ配列が複数回存在する。観察されたマップは二段階で物理マップ参照と比較され、まず、各分子を1ピクセルおきに開始する32ピクセルのセグメントに人為的に分割する。これは、DNAの伸長度によって異なるが、約8~13kbpに相当する。各セグメントと参照マップセグメントの32ピクセルタイルの点積が計算される。上位4kのマッチが第2段階に送られ、これをマップと試料の両方で隣接する領域に対して点積を繰り返し、局所的な挿入及び欠失を許容するためのSmith-Watermanアルゴリズムを用いてスコア化する。検出のカットオフは経験的に決定される。

Claims (248)

  1. パターン化された表面フィーチャーを含む流体デバイスであって、前記パターン化された表面は、2つの高分子が互いに重なる確率がパターン化されていない表面を含む類似のデバイスと比較して減少するように、単一のパッケージから生じる少なくとも2つの高分子の尋問のための配置を可能にする、流体デバイス。
  2. 前記パターン化された表面フィーチャーがパターン化された表面構造フィーチャーを含む、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記パターン化された表面フィーチャーがパターン化された表面エネルギーフィーチャーを含む、請求項1に記載のデバイス。
  4. 前記単一のパッケージから生じる少なくとも2つの高分子が単一のパッケージ内で流体デバイスに送達される、請求項1に記載のデバイス。
  5. 前記単一のパッケージが以下のもの:細胞、核、小胞、液滴、ミトコンドリア、オルガネラのうち少なくとも1つから選択される、請求項4に記載のデバイス。
  6. 前記単一のパッケージが溶解剤を含む試料溶液中で送達される、請求項4に記載のデバイス。
  7. 前記単一のパッケージが少なくとも部分的に破裂される、請求項4に記載のデバイス。
  8. 前記単一のパッケージが過加圧状態である、請求項4に記載のデバイス。
  9. 前記単一のパッケージが低張状態である、請求項8に記載のデバイス。
  10. 前記少なくとも2つの高分子が固定されるようにデバイスの表面に配置される、請求項1に記載のデバイス。
  11. 前記少なくとも2つの高分子が長い核酸分子である、請求項1に記載のデバイス。
  12. 前記少なくとも2つの長い核酸分子が個々に染色体の一部を含み、前記染色体の一部は細胞タンパク質が結合した中期又は間期のクロマチン天然核酸であるように構成される、請求項11に記載のデバイス。
  13. 前記少なくとも2つの長い核酸分子が個々に、細胞タンパク質が結合したクロマチン天然核酸を含む染色体の一部を含む、請求項11に記載のデバイス。
  14. 前記少なくとも2つの長い核酸分子が少なくとも部分的に伸張される、請求項11に記載のデバイス。
  15. 前記少なくとも2つの長い核酸分子が、伸張の長軸が前記パターン化された表面の一対のフィーチャーの長軸と実質的に平行となるように少なくとも部分的に伸張される、請求項14に記載のデバイス。
  16. 前記少なくとも2つの長い核酸分子にそれぞれ少なくとも2つの標識体が結合している、請求項11に記載のデバイス。
  17. 前記少なくとも2つの標識体が物理マップを示す、請求項16に記載のデバイス。
  18. 前記物理マップが線形物理マップである、請求項17に記載のデバイス。
  19. 前記物理マップが2D物理マップである、請求項17に記載のデバイス。
  20. 前記物理マップが3D物理マップである、請求項17に記載のデバイス。
  21. 前記少なくとも2つの標識体が、第1の時点の少なくとも2つの長い核酸分子の第1の長い核酸分子の第1の物理マップと、第2の時点の少なくとも2つの長い核酸分子の第1の長い核酸分子の第2の物理マップとを示す、請求項16に記載のデバイス。
  22. 前記第1の長い核酸分子が第1の時点の後で第2の時点の前に効果を有する処理を受ける、請求項21に記載のデバイス。
  23. 前記処理がクロマチン分解を含む、請求項22に記載のデバイス。
  24. 前記少なくとも2つの標識体が、前記少なくとも2つの長い核酸分子がデバイスに導入される前に少なくとも2つの長い核酸分子に結合する、請求項16に記載のデバイス。
  25. 前記少なくとも2つの標識体が、前記少なくとも2つの長い核酸分子がデバイスに導入された後に少なくとも2つの長い核酸分子に結合する、請求項16に記載のデバイス。
  26. 前記少なくとも2つの標識体が以下のもの:核酸染色液又は色素、二本鎖核酸染色液又は色素、一本鎖核酸染色液又は色素、核型分析染色液又は色素、AT特異的染色液又は色素、インターカレーション色素、CG特異的染色液又は色素、FISHプローブ、ファイバーFISHプローブ、メチル化蛍光プローブ、蛍光修飾ヌクレオチド、組込み蛍光修飾ヌクレオチド、ガイドRNA蛍光プローブ、配列特異的蛍光プローブ、物理マッピング標識体、線形物理マッピング標識体、2D物理マッピング標識体、3D物理マッピング体、テロメア染色液、蛍光修飾DNA又はRNA結合酵素、蛍光修飾CRISPR複合体、蛍光修飾DNA又はRNA結合剤、及び蛍光修飾一本鎖DNA結合体のうち1つから選択される、請求項16に記載のデバイス。
  27. 少なくとも2つの標識体が以下のもの:核酸染色液又は色素、二本鎖核酸染色液又は色素、一本鎖核酸染色液又は色素、核型分析染色液又は色素、AT特異的染色液又は色素、インターカレーション色素、CG特異的染色液又は色素、FISHプローブ、ファイバーFISHプローブ、メチル化蛍光プローブ、蛍光修飾ヌクレオチド、組込み蛍光修飾ヌクレオチド、ガイドRNA蛍光プローブ、配列特異的蛍光プローブ、物理マッピング標識体、線形物理マッピング標識体、2D物理マッピング標識体、3D物理マッピング体、テロメア染色液、蛍光修飾DNA又はRNA結合酵素、蛍光修飾CRISPR複合体、蛍光修飾DNA又はRNA結合剤、及び蛍光修飾一本鎖DNA結合体のうち少なくとも2つから選択される、請求項16に記載のデバイス。
  28. 前記少なくとも2つの高分子が以下のもの:試薬、溶液、溶媒、温度変化、湿度変化、遠心分離力、圧力変化、蒸気、外力、超音波力、分注システム、及び接触プローブのうち少なくとも1つに曝される、請求項1に記載のデバイス。
  29. 前記少なくとも2つの高分子が超音波力に曝される、請求項28に記載のデバイス。
  30. 超音波力が、パッケージの溶解、染色体の分離、長い核酸分子の分離、長い核酸分子の伸長、及び長い核酸分子の剪断のうちの少なくとも1つを補助するために使用される、請求項29に記載のデバイス。
  31. 前記少なくとも2つの高分子が、前記パターン化された表面上の溶液の後退するメニスカスからの沈着によって、前記デバイスのパターン化された表面内に配置される、請求項1に記載のデバイス。
  32. 前記後退するメニスカスが前記パターン化された表面により少なくとも部分的に影響を受ける方向を有する、請求項31に記載のデバイス。
  33. 前記後退するメニスカスが重力により少なくとも部分的に影響を受ける方向を有する、請求項31に記載のデバイス。
  34. 前記後退するメニスカスが毛細管力により少なくとも部分的に影響を受ける方向を有する、請求項31に記載のデバイス。
  35. 前記後退するメニスカスが前記パターン化された表面により少なくとも部分的に影響を受ける速度を有する、請求項31に記載のデバイス。
  36. 前記後退するメニスカスが重力により少なくとも部分的に影響を受ける速度を有する、請求項31に記載のデバイス。
  37. 前記後退するメニスカスが毛細管力により少なくとも部分的に影響を受ける速度を有する、請求項31に記載のデバイス。
  38. 溶液中のパッケージ内に含まれる高分子が沈着中に溶解される、請求項31に記載のデバイス。
  39. 前記パターン化された表面がチャネル、壁、1ピット、及び柱からなるリストから選択される少なくとも1つのフィーチャーを含む、請求項31に記載のデバイス。
  40. 前記パターン化された表面が、疎水性であるトポロジー的に最も著明なフィーチャーを含む、請求項39に記載のデバイス。
  41. 前記パターン化された表面が、親水性であるトポロジー的に最も著明なフィーチャーを含む、請求項39に記載のデバイス。
  42. 前記少なくとも2つの高分子が毛細管により駆動される溶液流によってパターン化された表面内に配置される、請求項1に記載のデバイス。
  43. 前記パターン化された表面が毛細管流に影響を及ぼす、請求項42に記載のデバイス。
  44. 前記パターン化された表面が毛細管流の方向に影響を及ぼす、請求項43に記載のデバイス。
  45. 前記パターン化された表面が毛細管流速度に影響を及ぼす、請求項43に記載のデバイス。
  46. 少なくとも1つのキャピラリーポンプが毛細管流に影響を及ぼす、請求項42に記載のデバイス。
  47. 少なくとも1つの毛細管保持バルブを含む、請求項42に記載のデバイス。
  48. 少なくとも1つの閉じ込めチャネルを、前記チャネルの少なくとも1つの寸法に沿って、その寸法が少なくとも1つのパッケージ内に閉じ込められる長さを有するように含む、請求項1に記載のデバイス。
  49. 前記パッケージが長軸長の長軸を含み、前記チャネル内に閉じ込められる長さが、前記パッケージが閉じ込められずに溶液中に浮遊している場合のパッケージの長軸長の95%未満である、請求項48に記載のデバイス。
  50. 少なくとも1つのエントロピートラップが前記閉じ込めチャネル内でパターン化されている、請求項48に記載のデバイス。
  51. 前記エントロピートラップが前記パッケージの容量の150%以下の容量を有する、請求項50に記載のデバイス。
  52. チャネルの少なくとも1つの寸法に沿って、前記寸法が、前記パッケージが閉じ込められずに溶液中に浮遊している場合のパッケージの長軸長の95%以下に調節され得る長さを有するように、少なくとも1つの閉じ込めチャネルを含む、請求項1に記載のデバイス。
  53. 前記調節され得る長さが指定の場所にかけられる外部圧縮力によって調節される、請求項52に記載のデバイス。
  54. 前記外部圧縮力がパッケージを溶解させるために用いられる、請求項53に記載のデバイス。
  55. 2つのパターン化された表面フィーチャーが10ミクロン以下の局所的最小寸法長を有する閉じ込め寸法により分離されている、請求項1に記載のデバイス。
  56. 2つのパターン化された表面フィーチャーが2ミクロン以下の局所的最小寸法長を有する閉じ込め寸法により分離されている、請求項1に記載のデバイス。
  57. 2つのパターン化された表面フィーチャーが0.5ミクロン以下の局所的最小寸法長を有する閉じ込め寸法により分離されている、請求項1に記載のデバイス。
  58. 2つのパターン化された表面フィーチャーが0.1ミクロン以下の局所的最小寸法長を有する閉じ込め寸法により分離されている、請求項1に記載のデバイス。
  59. 尋問の光軸に実質的に垂直な二次元平面に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー寸法長が10ミクロン以下である、請求項1に記載のデバイス。
  60. 尋問の光軸に実質的に垂直な二次元平面と実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー寸法長が2ミクロン以下である、請求項1に記載のデバイス。
  61. 尋問の光軸に実質的に垂直な二次元平面に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー寸法長が0.5ミクロン以下である、請求項1に記載のデバイス。
  62. 尋問の光軸に実質的に垂直な二次元平面と実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー寸法長が0.1ミクロン以下である、請求項1に記載のデバイス。
  63. 最小のパターン化された表面フィーチャーが10ミクロン以下の高さを有する、請求項1に記載のデバイス。
  64. 最小のパターン化された表面フィーチャーが2ミクロン以下の高さを有する、請求項1に記載のデバイス。
  65. 最小のパターン化された表面フィーチャーが0.5ミクロン以下の高さを有する、請求項1に記載のデバイス。
  66. 最小のパターン化された表面フィーチャーが0.1ミクロン以下の高さを有する、請求項1に記載のデバイス。
  67. 尋問の光軸に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー寸法長が10ミクロン以下である、請求項1に記載のデバイス。
  68. 尋問の光軸に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー寸法長が2ミクロン以下である、請求項1に記載のデバイス。
  69. 尋問の光軸に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー寸法長が0.5ミクロン以下である、請求項1に記載のデバイス。
  70. 尋問の光軸に実質的に平行な最小のパターン化された表面フィーチャー寸法長が0.1ミクロン以下である、請求項1に記載のデバイス。
  71. 前記尋問が以下のリスト:電磁気、蛍光、共焦点、TIRF、落射蛍光、明視野、暗視野、AFM、SPM、TEM、及びSEMから選択される少なくとも1つの尋問タイプを含む、請求項1に記載のデバイス。
  72. 標準的な顕微鏡スライドに相当する寸法を有する、請求項1に記載のデバイス。
  73. 標準的な顕微鏡スライドイメージングステージに相当する寸法を有する、請求項1に記載のデバイス。
  74. 標準的な顕微鏡スライド自動ハンドリングシステムに相当する寸法を有する、請求項1に記載のデバイス。
  75. 一体型カバースリップを含む、請求項1に記載のデバイス。
  76. 溶液封入ウェルを含む、請求項1に記載のデバイス。
  77. 前記封入ウェルがパターン化された表面から取り外し可能である、請求項に記載のデバイス。
  78. 前記パターン化された表面フィーチャーが以下のリスト:チャネル、柱、ピット、溝、マウンド、角、グリッド、壁、ライン、パッド、単層、トポロジー変化、規定された表面エネルギーのパターン又は電荷から選択される少なくとも1つのフィーチャーを含む、請求項1に記載のデバイス。
  79. 前記パターン化された表面が以下の方法:リソグラフィー、エンボス、射出成形、3D印刷、ナノインプリント、ELB、フォトリソグラフィー、スタンピング、エッチング、プラズマエッチング、ウェットエッチング、フィジカルエッチング、積層、接合、転写印刷、印刷、インクジェット印刷、ディップペンリソグラフィー、蒸着、及び自己組織化のうち少なくとも1つを用いて製造され得る少なくとも1つのフィーチャーを含む、請求項1に記載のデバイス。
  80. 前記パターン化された表面フィーチャーが表面エネルギーを含み、前記表面エネルギーが以下の方法:材料選択、液体表面処理、蒸気表面処理、UV表面処理、プラズマ表面処理、蒸着、選択的薬剤結合、又は転写印刷単層のうち少なくとも1つを用いて形成される、請求項1に記載のデバイス。
  81. 以下のリスト:プラスチック、ガラス、ケイ素、エラストマー、PDMS、COC、Topaz、PC、PS、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ボロフロート、石英、又は溶融シリカから選択される材料を含む少なくとも1つの成分を含む、請求項1に記載のデバイス。
  82. (i)溶液中に浮遊している少なくとも1つのパッケージを含有する試料溶液を受容するための試料ローディングチャネルであって、前記パッケージが少なくとも2つの高分子を含有する、試料ローディングチャネルと、
    (ii)単一のパッケージを捕捉するための少なくとも1つの捕捉部位と、
    (iii)少なくとも1つの捕捉部位と流体的に接続している少なくとも1つの反応チャンバーと、
    (iv)エントロピー障壁を介して前記少なくとも1つの反応チャンバーと流体的に接続している少なくとも1つの流体接続点であって、前記障壁が前記反応チャンバーを占有している前記少なくとも2つの高分子に関して画定されている、少なくとも1つの流体接続点と、
    を含む流体デバイス。
  83. 尋問のために高分子を調製することが、前記反応チャンバー内の少なくとも1つの高分子を試薬、温度、圧力、溶媒、又はこれらの組合せに曝すことを含む、請求項82に記載のデバイス。
  84. 前記試薬がリスト:酵素、標識体、DNAバーコード、PCRプライマー、バーコード化PCRプライマー、MDAプライマー、ユニバーサルプライマー、DNA結合剤、又はDNA結合タンパク質から選択される少なくとも1つの成分を含む、請求項83に記載のデバイス。
  85. 前記標識体が以下のもの:核酸染色液又は色素、二本鎖核酸染色液又は色素、一本鎖核酸染色液又は色素、核型分析染色液又は色素、AT特異的染色液又は色素、インターカレーション色素、CG特異的染色液又は色素、FISHプローブ、ファイバーFISHプローブ、メチル化蛍光プローブ、蛍光修飾ヌクレオチド、組込み蛍光修飾ヌクレオチド、ガイドRNA蛍光プローブ、配列特異的蛍光プローブ、物理マッピング標識体、線形物理マッピング標識体、2D物理マッピング標識体、3D物理マッピング体、テロメア染色液、蛍光修飾DNA又はRNA結合酵素、蛍光修飾CRISPR複合体、蛍光修飾DNA又はRNA結合剤、蛍光修飾一本鎖DNA結合体のいずれかを含む、請求項84に記載のデバイス。
  86. 前記試薬がプロテアーゼを含む、請求項83に記載のデバイス。
  87. 前記試薬がヌクレアーゼを含む、請求項83に記載のデバイス。
  88. 前記試薬がクロマチン三次構造を分解するための試薬を含む、請求項83に記載のデバイス。
  89. 前記試薬がクロマチン二次構造を分解するための試薬を含む、請求項83に記載のデバイス。
  90. 前記試薬が細胞オルガネラを分解するための試薬を含む、請求項83に記載のデバイス。
  91. 尋問のための高分子を調製することが、前記反応チャンバー内の高分子を少なくとも1つの外力に曝すことを含む、請求項82に記載のデバイス。
  92. 前記少なくとも1つの外力が、前記高分子が物理的障害物、多孔質媒体、ゲル、又はエントロピートラップのうち少なくとも1つに隣接した際に、前記高分子にかけられる、請求項91に記載のデバイス。
  93. 前記高分子がエントロピートラップに隣接し、前記エントロピートラップは単一の高分子を収容するサイズである、請求項92に記載のデバイス。
  94. 尋問のための高分子を調製することが、外力を用いて前記高分子の少なくとも一部を閉じ込めが増大した領域に向けることを含む、請求項82に記載のデバイス。
  95. 前記高分子が長軸長を有し、前記の閉じ込めが増大した領域の、光学的尋問の軸に平行な寸法が、前記高分子の長軸長の95%以下である、請求項94に記載のデバイス。
  96. 尋問のための高分子を調製することが、前記高分子の少なくとも一部分を前記デバイスの領域内に位置させることを含み、少なくとも1つの寸法を、前記寸法を縮小するように可逆的に調節することができる、請求項82に記載のデバイス。
  97. 前記寸法が光学的尋問の軸に平行である、請求項96に記載のデバイス。
  98. 前記寸法を高分子の長軸の長さの95%以下に縮小することができる、請求項96に記載のデバイス。
  99. 前記調節された寸法が、同じ流体チャネル内の別の壁に対するその相対的位置を調節することができる流体デバイス内の流体チャネルの少なくとも1つの可撓性壁に関する寸法である、請求項96に記載のデバイス。
  100. 前記調節された寸法が、刺激に応答して同じ流体チャネル内の別の壁に対するその相対的位置を調節することができる相転移材料を含む流体デバイス内の流体チャネルの少なくとも1つの壁に関する寸法である、請求項96に記載のデバイス。
  101. 前記調節された寸法が、流体チャネル内の2つの対向する壁の間の静電引力の適用を介して調節される、請求項96に記載のデバイス。
  102. 前記静電引力が時間的に変化する電場を介して生成される、請求項101に記載のデバイス。
  103. 尋問のための高分子を調製することが、前記高分子の少なくとも一部分をエレクトロウェッティングデバイス内に位置させることを含む、請求項82に記載のデバイス。
  104. 尋問のための高分子を調製することが、前記高分子の少なくとも一部分に誘電泳動(DEP)力をかけることを含む、請求項82に記載のデバイス。
  105. 機器コントローラーが、少なくとも部分的にフィードバックシステムに基づいて前記流体デバイスとの界面を調節し、前記フィードバックシステムは、少なくとも1つの高分子の尋問から生じるデータである少なくとも1つの入力を有する、請求項82に記載のデバイス。
  106. 少なくとも1つの高分子が少なくとも2つの標識体に結合されている、請求項82に記載のデバイス。
  107. 前記少なくとも2つの標識体が高分子上の物理マップを示す、請求項106に記載のデバイス。
  108. 前記物理マップが線形物理マップである、請求項107に記載のデバイス。
  109. 前記物理マップが2D物理マップである、請求項107に記載のデバイス。
  110. 前記物理マップが3D物理マップである、請求項107に記載のデバイス。
  111. 前記少なくとも2つの標識体が、第1の時点の少なくとも2つの長い核酸分子の第1の長い核酸分子の第1の物理マップと、第2の時点の少なくとも2つの長い核酸分子の第1の長い核酸分子の第2の物理マップとを示す、請求項107に記載のデバイス。
  112. 前記物理マップが以下のリスト:メルトマッピング、ディファレンシャルマッピング、競合結合、標識ニック部位、バーコーディング、メチル化マッピング、メチルトランスフェラーゼマッピング、配列特異的結合、化学部分結合、抗体、CRISPR-Cas及び修飾酵素からの誘導体から選択される少なくとも1つの方法から生成され得る、請求項107に記載のデバイス。
  113. 前記物理マップが核型分析Qバンドを含む、請求項107に記載のデバイス。
  114. 前記デバイスの使用がキナクリン、ヘキスト33258、ヘキスト33342、DAPI(4’,6’-ジアミジノ-2-フェニルインドール)及びジイミダゾリノフェニルインドール(DIPI)、ダウノマイシンからなるリストから選択される色素を使用することを含む、請求項113に記載のデバイス。
  115. 前記物理マップが核型分析Gバンドを含む、請求項107に記載のデバイス。
  116. 前記デバイスの使用がギムザ、ライト、及びリーシュマンからなるリストから選択される色素を使用することを含む、請求項115に記載のデバイス。
  117. 前記物理マップが核型分析Rバンドを含む、請求項107に記載のデバイス。
  118. 前記デバイスの使用がクロモマイシンA3、オリボマイシン、ミトラマイシン、7-アミノアクチノマイシンDからなるリストから選択される色素を使用することを含む、請求項117に記載のデバイス。
  119. 前記物理マップが核型分析Cバンドを含む、請求項107に記載のデバイス。
  120. 前記物理マップが姉妹染色分体を識別する、請求項107に記載のデバイス。
  121. 前記高分子を標識体で標識することが、前記物理マップの信号コントラストを改善するためにフィードバックシステムを用いて制御装置により少なくとも部分的に制御される、請求項107に記載のデバイス。
  122. 少なくとも1つの高分子が尋問後に前記尋問の結果に少なくとも部分的に基づいて回収される、請求項82に記載のデバイス。
  123. 長い核酸分子を含む高分子の一部が伸張チャネル内で少なくとも部分的に伸張される、請求項82に記載のデバイス。
  124. 前記伸張チャネル内で伸張した前記高分子の一部が尋問される、請求項123に記載のデバイス。
  125. 前記伸張部分を尋問することが線形物理マップを生成する、請求項123に記載のデバイス。
  126. 前記部分が尋問中に前記高分子に物理的に接続している、請求項123に記載のデバイス。
  127. 前記部分が尋問前又は尋問中に前記高分子から物理的解離している、請求項123に記載のデバイス。
  128. 前記部分が前記高分子内のその元の場所に基づいて尋問のために選択される、請求項123に記載のデバイス。
  129. 前記伸張チャネルが、尋問の光軸に平行であり、500nm以下である閉じ込め寸法を有する、請求項123に記載のデバイス。
  130. 前記少なくとも2つの高分子が染色体、中期又はその付近の染色体、間期又はその付近の染色体、余分な染色体、ecDNA、染色体のセグメント、長い核酸分子、クロマチンからなるリストから選択される、請求項82に記載のデバイス。
  131. 2つのパッケージを同じ反応チャンバー内で順次尋問できる、請求項82に記載のデバイス。
  132. 第1のパッケージの内容物が、第2のパッケージの内容物をロードする前に反応チャンバーからフラッシュされる、請求項131に記載のデバイス。
  133. 尋問される少なくとも1つのパッケージが、前記パッケージが捕捉部位内にある間に前記少なくとも1つのパッケージを選択的に溶解させることによって選択される、請求項82に記載のデバイス。
  134. 前記選択的溶解が以下のもの:光溶解、溶解剤との接触、加熱、音響エネルギーの投与、超音波エネルギーの投与、電場の投与のうち少なくとも1つの選択的適用を含む、請求項133に記載のデバイス。
  135. 前記尋問される少なくとも1つのパッケージが以下の基準:パッケージサイズ、パッケージ形状、パッケージ上のマーカーの有無のうち少なくとも1つに基づいて選択され、請求項133に記載のデバイス。
  136. 複数の流体反応チャンバーが少なくとも1つの透過可能なエントロピー障壁を介して互いに流体接触している、請求項82に記載のデバイス。
  137. 前記高分子に対するエントロピー障壁が、前記分子の長軸の95%以下の閉じ込め寸法を提供する、請求項82に記載のデバイス。
  138. 前記尋問領域が前記反応チャンバー内に配置される、請求項82に記載のデバイス。
  139. 尋問の光軸に実質的に垂直な平面で測定される尋問領域面積が100000平方ミクロンを占める、請求項82に記載のデバイス。
  140. 尋問の光軸に実質的に垂直な平面で測定される尋問領域面積が10000平方ミクロンを占める、請求項82に記載のデバイス。
  141. 尋問の光軸に実質的に垂直な平面で測定される尋問領域面積が1000平方ミクロンを占める、請求項82に記載のデバイス。
  142. 尋問の光軸に実質的に垂直な平面で測定される尋問領域面積が100平方ミクロンを占める、請求項82に記載のデバイス。
  143. 前記尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが尋問される際に2つの前記高分子が重ならないように十分に浅い領域の少なくとも一部分を有する、請求項82に記載のデバイス。
  144. 前記尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが前記高分子の長軸の長さの195%以下である領域の少なくとも一部分を有する、請求項82に記載のデバイス。
  145. 前記尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが10ミクロン以下である領域の少なくとも一部分を有する、請求項82に記載のデバイス。
  146. 前記尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが2ミクロン以下である領域の少なくとも一部分を有する、請求項82に記載のデバイス。
  147. 前記尋問領域が、尋問の光軸に実質的に平行な寸法として測定される深さが1ミクロン以下である領域の少なくとも一部分を有する、請求項82に記載のデバイス。
  148. 前記捕捉部位が前記パッケージの195%以下の体積である、請求項82に記載のデバイス。
  149. 前記捕捉部位が前記パッケージの長軸の195%以下である閉じ込め寸法を有する、請求項82に記載のデバイス。
  150. 前記規定されたフィーチャーが、リソグラフィー、エンボス、射出成形、3D印刷、ナノインプリント、ELB、フォトリソグラフィー、スタンピング、エッチング、プラズマエッチング、ウェットエッチング、フィジカルエッチング、積層、接合、転写印刷、印刷、インクジェット印刷、ディップペンリソグラフィー、蒸着、自己組織化からなるリストから選択される少なくとも1つの方法を用いて形成され得る、請求項82に記載のデバイス。
  151. 前記デバイスの材料組成がプラスチック、ガラス、ケイ素、エラストマー、PDMS、COC、Topaz、PC、PS、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ボロフロート、石英、溶融シリカからなるリストから選択される材料を含む、請求項82に記載のデバイス。
  152. 長い核酸分子の少なくとも一部を伸張させることを含み、前記分子は、第1の蛍光特性を有する少なくとも2つのA型標識体で標識され、第2の蛍光特性を有する少なくとも2つのB型標識体で標識され、前記A型標識体は前記分子の第1の空間的物理マップを示し、前記B型標識体は、前記分子の第2の空間的物理マップを含み;第1の物理マップは前記長い核酸分子の空間的核酸密度に関して第2の物理マップと相関し、第1の物理マップは、前記長い核酸分子の空間的核酸遺伝子内容に関して第2の物理マップと反相関する、方法。
  153. 前記蛍光特性が励起波長である、請求項152に記載の方法。
  154. 前記蛍光特性が発光波長である、請求項152に記載の方法。
  155. 前記空間的核酸遺伝子内容がAT/CG比である、請求項152に記載の方法。
  156. B型からの物理マップとA型からの物理マップの両方を用いる分析が、長い核酸分子の空間的核酸密度の変動を決定するために使用される、請求項152に記載の方法。
  157. B型からの物理マップとA型からの物理マップの両方を用いる分析が、長い核酸分子の空間的遺伝子内容の変動を決定するために使用される、請求項152に記載の方法。
  158. B型からの物理マップとA型からの物理マップの両方を用いる分析が、前記分子の新たな線形物理マップを生成するために使用される、請求項152に記載の方法。
  159. 前記新たな物理マップが分子のゲノム内容と分子のストレッチ補正された長軸を関連づける、請求項158に記載の方法。
  160. 前記新たな物理マップが参照と比較される、請求項158に記載の方法。
  161. 前記同じ分子の複数の画像が異なる時点で採取され、次いで、ノイズを減らした分子の単一の物理マップを生成するためのアルゴリズムに従ってこれらの画像が処理される、請求項152に記載の方法。
  162. A型標識体が二本鎖核酸に優先的に結合し、B型標識体が一本鎖核酸に優先的に結合する、請求項152に記載の方法。
  163. 前記B型標識体の結合が、分子が部分的に融解した際に行われる、請求項162に記載の方法。
  164. 前記部分的融解工程が、限定されるものではないが、以下のもの:熱、塩、有機溶媒のうち1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項163に記載の方法。
  165. A型標識体が、限定されるものではないが、以下のもの:二量体シアニン核酸染色液、POPO-1、BOBO-1、YOYO-1、JOJO-1、POPO-3、LOLO-1、BOBO-3、YOYO-3、TOTO-3のうち1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項162に記載の方法。
  166. B型標識体が、限定されるものではないが、以下のもの:一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)の蛍光タグ付き変異体のうち1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項162に記載の方法。
  167. 前記色素が、限定されるものではないが、以下のもの:Alexa Fluor 488(AF488SSB)又は546(AF546SSB)色素のうち1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項166に記載の方法。
  168. B型標識体が、限定されるものではないが、以下のもの:複製プロテインA(RPA)の蛍光タグ付き変異体のうち1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項162に記載の方法。
  169. B型標識体が、限定されるものではないが、以下のもの:QuantiFluor、SYBR Green II、OliGreenのうち1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項162に記載の方法。
  170. A型標識体が核酸のATリッチ領域に優先的に結合し、B型標識体がCGリッチ核酸に優先的に結合する、請求項152に記載の方法。
  171. A型標識体が、限定されるものではないが、以下のもの:キナクリン、ヘキスト33258、ヘキスト33342、DAPI(4’,6’-ジアミジノ-2-フェニルインドール)及びジイミダゾリノフェニルインドール(DIPI)、ダウノマイシンのうち1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項170に記載の方法。
  172. B型標識体が、限定されるものではないが、以下のもの:クロモマイシンA3、オリボマイシン、ミトラマイシン、7-アミノアクチノマイシンDのうち1つ、又はこれらの組合せを含む、請求項170に記載の方法。
  173. 前記2つの型が同時に結合される、請求項170に記載の方法。
  174. 前記2つの型が順次結合される、請求項170に記載の方法。
  175. 前記長い核酸分子の少なくとも一部が流体デバイス内で伸張される、請求項152に記載の方法。
  176. 前記長い核酸分子の少なくとも一部がコーミングにより伸張される、請求項152に記載の方法。
  177. 実質的に平行な2枚の基板を含み、各基板は導電性材料を含み、前記2枚の基板の間には少なくとも1つの本体を含有する溶液があり、実質的に平行な2枚の基板の間に時間的に変化する電場が印加されると、前記2枚の基板の間に引力が発生する、流体デバイス。
  178. 前記基板間の最短相対距離を表す寸法を前記引力に応答して変化し得る、請求項177に記載のデバイス。
  179. 少なくとも1つの基板が可撓性である、請求項177に記載のデバイス。
  180. 少なくとも1つの基板が電磁放射の少なくとも1つの波長に対して透明である、請求項177に記載のデバイス。
  181. 少なくとも1つの基板が導電性である、請求項177に記載のデバイス。
  182. 少なくとも1つの導電性材料がITOを含有する、請求項177に記載のデバイス。
  183. 少なくとも1つのスペーサー体が前記2枚の基板の間に配置され、前記スペーサー体の物理的なコンフォメーションが前記2枚の基板の間の局所的最小分離距離を画定する、請求項177に記載のデバイス。
  184. 前記スペーサー体が溶液中に浮遊しているビーズである、請求項183に記載のデバイス。
  185. 前記スペーサー体が他の基板に面した少なくとも1つの基板に固定されているビーズである、請求項183に記載のデバイス。
  186. 前記スペーサー体が他の基板に面した少なくとも1つの基板の表面のパターン化されたフィーチャーである、請求項183に記載のデバイス。
  187. 前記フィーチャーが以下のもの:柱、チャネル、ウェル、ホール、ピット、又は壁のいずれかを含む、請求項186に記載のデバイス。
  188. パターンフィーチャーが、前記基板が互いに十分に近接された際に本体にエントロピートラップを形成する、請求項186に記載のデバイス。
  189. 前記時間的に変化する場が1Hz~1GHzの少なくとも1つの周波数成分を含む、請求項177に記載のデバイス。
  190. 前記本体が以下のもの:細胞、染色体、核、小胞、液滴、核酸、長い核酸分子、タンパク質、ウイルス、細菌、ミトコンドリアのいずれか、又はこれらの組合せを含む、請求項177に記載のデバイス。
  191. 前記本体が前記基板間に捕捉される、請求項177に記載のデバイス。
  192. 前記本体がパッケージであり、前記2枚の基板の引力によって破裂される、請求項177に記載のデバイス。
  193. 引力の適用が前記基板間の本体の尋問を介して少なくとも部分的に制御される、請求項177に記載のデバイス。
  194. 流体デバイス内の流体チャネル内の少なくとも1つの閉じ込め寸法を前記流体デバイス内に組み込まれた機構を介して調節することによって調節することができる、変形可能な物体に対するエネルギー障壁を有するエントロピー障壁を含む、調節可能なエントロピー障壁デバイス。
  195. 前記閉じ込め寸法の調節が前記チャネルの少なくとも一部を含む変形可能な境界を介して行われ、力が前記境界のチャネルに面していない側にかけられる、請求項194に記載のデバイス。
  196. 前記変形可能な境界がエラストマーである、請求項195に記載のデバイス。
  197. 前記力が液体で調節される圧力である、請求項195に記載のデバイス。
  198. 前記力が気体で調節される圧力である、請求項195に記載のデバイス。
  199. 前記閉じ込め寸法が、組合せを含め以下のもの:圧電素子、磁性ポリマー複合材料、イオン活性ポリマー複合材料、磁気レオロジー流体、電気レオロジー流体、誘電エラストマーアクチュエーター、電歪強誘電ポリマー、形状記憶ポリマー、液晶エラストマー、ポリマーヒドロゲル、共役ポリマー、相変化材料のいずれかを介して直接又は間接的に調節され得る、請求項194に記載のデバイス。
  200. 前記閉じ込め寸法が、前記流体チャネルを形成する2枚の対向する基板の間の静電引力により調節される、請求項194に記載のデバイス。
  201. 前記調節可能なエントロピー障壁が前記流体デバイスのチャネル内の変形可能な物体に対する調節可能なエントロピートラップの一部を形成する、請求項194に記載のデバイス。
  202. 前記トラップにおける変形可能な物体の捕捉又は放出が幾つかの基準により決定される、請求項201に記載のデバイス。
  203. 前記基準が変形可能な物体の尋問を行う機器コントローラーシステムにより少なくとも部分的に決定される、請求項202に記載のデバイス。
  204. 前記変形可能な物体を含有する油中水型液滴が、物体がトラップ内にある間に水溶液を油溶液に置換することにより形成される、請求項201に記載のデバイス。
  205. 前記最小閉じ込め寸法が前記流体デバイス内のパターン化されたフィーチャーにより画定される、請求項194に記載のデバイス。
  206. 前記閉じ込め寸法に対する制御が、フィードバックプログラムを計算する機器コントローラーシステムにより決定され、前記プログラムに対する少なくとも1つの入力が、前記調節可能な障壁の近傍の変形可能な物体の尋問を行うことから得られるデータである、請求項194に記載のデバイス。
  207. 少なくとも1つの生物学的本体の少なくとも一部が相変化材料を含有する流体チャネルを占有し、前記少なくとも1つの生物学的本体の移動度が、材料が相変化しない少なくとも1つの生物学的本体に比べて変更される、流体デバイス。
  208. 前記相変化材料が、粘度が電磁放射への曝露により調節可能である光レオロジー流体を含む、請求項207に記載のデバイス。
  209. 前記相変化材料が、粘度が電場の印加を介して調節可能である電気レオロジー流体を含む、請求項207に記載のデバイス。
  210. 前記相変化材料が、粘度が磁場の印加を介して調節可能である磁気レオロジー流体を含む、請求項207に記載のデバイス。
  211. 前記相変化材料が、粘度が温度変化を介して調節可能であるゾル-ゲルを含む、請求項207に記載のデバイス。
  212. ゾル-ゲル材料が液体からゲルへの遷移においてヒステリシスを示す、請求項211に記載のデバイス。
  213. 前記生物学的本体がパッケージ、細胞、液滴、染色体、染色体の一部、クロマチン、長い核酸分子、天然核酸、DNA、dsDNA、ssDNA、RNA、ウイルス、BAC、YAC、mRNA、DNA/RNAハイブリッドを含む、請求項207に記載のデバイス。
  214. 前記生物学的本体が前記相変化材料内に少なくとも部分的にある間に尋問される、請求項207に記載のデバイス。
  215. 前記相変化材料が尋問工程の前、尋問工程の後、又は尋問工程中に相変化を受ける、請求項214に記載のデバイス。
  216. 前記尋問が電磁気、蛍光、TIRF、落射蛍光、明視野、暗視野、SEM、TEM、AFM、STMを含む、請求項214に記載のデバイス。
  217. 少なくとも1つの標識体が前記生物学的本体に結合されている、請求項207に記載のデバイス。
  218. 前記標識体が以下のもの:核酸染色液又は色素、二本鎖核酸染色液又は色素、一本鎖核酸染色液又は色素、核型分析染色液又は色素、AT特異的染色液又は色素、インターカレーション色素、CG特異的染色液又は色素、FISHプローブ、ファイバーFISHプローブ、メチル化蛍光プローブ、蛍光修飾ヌクレオチド、組込み蛍光修飾ヌクレオチド、ガイドRNA蛍光プローブ、配列特異的蛍光プローブ、物理マッピング標識体、線形物理マッピング標識体、2D物理マッピング標識体、3D物理マッピング体、テロメア染色液、蛍光修飾DNA又はRNA結合酵素、蛍光修飾CRISPR複合体、蛍光修飾DNA又はRNA結合剤、蛍光修飾一本鎖DNA結合体のいずれかを含む、請求項217に記載のデバイス。
  219. 前記機器コントローラーシステムが前記材料の相変化の程度を調節する、請求項207に記載のデバイス。
  220. 調節の決定基準が、少なくとも1つの入力が前記生物学的本体の尋問を行うことから生成されるデータであるフィードバックシステムに少なくとも部分的に基づく、請求項219に記載のデバイス。
  221. 高分子の少なくとも一部が、誘電材料内に収容され電極間に挟まれたテーパー断面を有するチャネルを占有し、時間的に変化する電場を電極間に印加すると、前記高分子に誘電泳動力が印加される、流体デバイス。
  222. 前記高分子が長い核酸分子である、請求項221に記載のデバイス。
  223. かけられる力の方向が前記テーパー点に向かう、請求項221に記載のデバイス。
  224. かけられる力の方向が前記テーパー点から離れる、請求項221に記載のデバイス。
  225. 前記力の方向及び規模を調節するために前記時間的に変換する電場が調節される、請求項221に記載のデバイス。
  226. 前記高分子が長い核酸分子であり、前記力の調節が前記テーパーにおける前記分子の物理的閉じ込めの有効度を調節するために使用される、請求項225に記載のデバイス。
  227. 前記チャネル内の長い核酸分子の一部が伸張される、請求項226に記載のデバイス。
  228. 少なくとも第2の外力が前記高分子に、DEP力に垂直な平面に実質的に平行な方向にかけられる、請求項221に記載のデバイス。
  229. 前記の少なくとも第2の外力が時間的に変化する、請求項228に記載のデバイス。
  230. 前記の少なくとも第2の外力が電場である、請求項228に記載のデバイス。
  231. 前記の少なくとも第2の外力が流体流である、請求項228に記載のデバイス。
  232. 機器制御が時間的に変化する電場を調節する、請求項221に記載のデバイス。
  233. 前記調節の決定基準が、少なくとも1つの入力が高分子の尋問を行うことから生成されるデータであるフィードバックシステムに少なくとも部分的に基づく、請求項232に記載のデバイス。
  234. 前記尋問データが、参照と比較された高分子からの物理マップデータを含む、請求項233に記載のデバイス。
  235. 前記流体溶液が試薬を含む、請求項221に記載のデバイス。
  236. 前記試薬が酵素である、請求項235に記載のデバイス。
  237. 前記酵素がタンパク質消化酵素である、請求項236に記載のデバイス。
  238. 前記試薬がMDAプライマー、プライマー、ユニバーサルプライマー、ポリメラーゼ、標識体である、請求項235に記載のデバイス。
  239. 少なくとも1つの標識体が前記高分子に結合されている、請求項221に記載のデバイス。
  240. 前記標識体が以下のもの:核酸染色液又は色素、二本鎖核酸染色液又は色素、一本鎖核酸染色液又は色素、核型分析染色液又は色素、AT特異的染色液又は色素、インターカレーション色素、CG特異的染色液又は色素、FISHプローブ、ファイバーFISHプローブ、メチル化蛍光プローブ、蛍光修飾ヌクレオチド、組込み蛍光修飾ヌクレオチド、ガイドRNA蛍光プローブ、配列特異的蛍光プローブ、物理マッピング標識体、線形物理マッピング標識体、2D物理マッピング標識体、3D物理マッピング体、テロメア染色液、蛍光修飾DNA又はRNA結合酵素、蛍光修飾CRISPR複合体、蛍光修飾DNA又はRNA結合剤、蛍光修飾一本鎖DNA結合体のいずれかを含む、請求項239に記載の
    デバイス。
  241. 前記テーパーが視野窓に向かう方向である、請求項221に記載のデバイス。
  242. 前記テーパーが視野窓から離れる方向である、請求項221に記載のデバイス。
  243. テーパーを有する前記チャネルが、少なくとも部分的に、チャネル上への材料の沈着を介して製造される、請求項221に記載のデバイス。
  244. テーパーを有する前記チャネルが、少なくとも部分的に、結晶面に沿ったケイ素のウェットエッチングにより逆三角形の形状を形成することによって製造される、請求項221に記載のデバイス。
  245. テーパーを有する前記チャネルが、少なくとも部分的に、基板上でのポリマーフィルムのパターン化によって製造される、請求項221に記載のデバイス。
  246. 前記パターン化がリソグラフィー、フォトリソグラフィー、エンボス、ナノインプリント、インプリント、エンボス、自己組織化、電荷又は鋳型により誘導される形状形成を介して行われる、請求項245に記載のデバイス。
  247. 前記デバイスが第2の基板への前記テーパーチャネルの接合を介して封入される、請求項221に記載のデバイス。
  248. 前記接合法が以下のもの:熱接合、プラズマ活性化接合、陽極接合、圧着、融着、接着剤接合、ポリマー補助接合のいずれか、又はこれらの組合せを含む、請求項247に記載のデバイス。
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