JP2023530415A - オマダサイクリンの結晶形態、その合成方法及びその使用方法 - Google Patents

オマダサイクリンの結晶形態、その合成方法及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、オマダサイクリン結晶性遊離塩基及びその合成方法を提供する。本発明はまた、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む医薬組成物、及び細菌感染症を処置するためのその使用方法を提供する。本発明はまた、結晶性オマダサイクリン遊離塩基を生成するための結晶化を含む、粗オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法を提供する。オマダサイクリン結晶性遊離塩基はまた、オマダサイクリンの塩、例えばトシル酸塩を調製するために使用され得る。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年06月11日に出願された米国仮特許出願第63/037,807号の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
緒論
オマダサイクリン(OMC又はPTK 0796としても知られる)は、様々な細菌感染症の処置のために現在高度臨床開発中である9-アミノメチルテトラサイクリン誘導体である。オマダサイクリンの構造を以下に示す。
Figure 2023530415000001
オマダサイクリンの化学合成は、例えば米国特許第9,434,680号、米国特許第9,522,872号及び米国特許第8,383,610号において以前に説明されており、それぞれの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。オマダサイクリンの合成のための例示的な手順を、以下のスキーム1に示す。この手順では、ミノサイクリン(A)を出発材料として使用し、これを第1のステップにおいてN-(ヒドロキシメチル)フタルイミド(phtalimide)による9位でのアルキル化に供する。この変換の生成物(B)をメチルアミンと反応させ、これがアミン基の脱保護をもたらし、中間体(C)を生成する。次のステップにおいて、中間体(C)を還元アルキル化条件下でトリメチルアセトアルデヒドと反応させ、遊離塩基形態の粗オマダサイクリンを得る。
Figure 2023530415000002
合成後、粗オマダサイクリン遊離塩基を精製し、トシル酸塩形態に変換するが、これは一方でオマダサイクリンの医薬組成物を調製するために使用される。粗オマダサイクリン遊離塩基の精製は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の使用及び精製オマダサイクリン遊離塩基を含有するHPLC画分の収集を含む。その後、HPLC画分中のオマダサイクリン遊離塩基を、ジクロロメタンでの抽出によって濃縮する。この精製手順は時間を要し、例えば、1キログラムの純粋なオマダサイクリンを生成するためには70時間を超える処理時間を必要とし得る。それによってオマダサイクリンは溶媒蒸発の間長期間高温に曝露され、これは分解をもたらす。さらに、この精製手順は大量の溶媒を必要とし、それによって相当量の廃棄物が生成される。したがって、オマダサイクリン遊離塩基を精製して高純度生成物を得るためのより容易でより効率的な手順が望まれている。さらに、医薬組成物に製剤化され得るオマダサイクリンの新規な純粋形態もまた必要とされている。
したがって、いくつかの態様において、本発明は、オマダサイクリン、例えば粗オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法を提供する。この方法は、いくつかの実施形態において、調整剤、例えば酢酸を利用し、以前に使用されていた方法よりも速く効率的な粗オマダサイクリン遊離塩基の精製をもたらす、改良されたHPLC手順を含む。
本発明のオマダサイクリン遊離塩基を精製する方法はまた、いくつかの実施形態において、オマダサイクリンの結晶化の前に、ナノ濾過を使用してオマダサイクリン遊離塩基を含有するHPLC画分を濃縮するステップを含む。ナノ濾過の使用によって、溶媒、例えばジクロロメタンによるHPLC画分の抽出が置き換えられ、それにより精製プロセスにおいて大量の有毒な溶媒を使用する必要性が排除される。ナノ濾過の使用はまた、オマダサイクリンの分解をもたらし得る長期間の高温へのオマダサイクリンの曝露を回避する。場合により、溶媒、例えばジクロロメタンによる抽出がナノ濾過後に使用される場合、ナノ濾過は、ナノ濾過なしで行われる抽出と比較して、オマダサイクリンの抽出に必要とされる溶媒の量の大幅な低減をもたらす。本明細書に記載のオマダサイクリンを精製する方法はまた、いくつかの実施形態において、例えばHPLC精製、ナノ濾過及び場合による抽出後にオマダサイクリン遊離塩基を結晶化させて、以前の方法を使用して生成されたオマダサイクリンよりも不純物の量が大幅に低い、極めて純粋なオマダサイクリン結晶性遊離塩基を得るステップを含む。
本発明の新規な精製方法は、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の合成を初めてもたらした。したがって、いくつかの実施形態において、本発明はまた、オマダサイクリン結晶性遊離塩基、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む医薬組成物、及びオマダサイクリン結晶性遊離塩基を使用して細菌感染症を処置する方法を提供する。
本発明のオマダサイクリン結晶性遊離塩基はまた、極めて純粋なオマダサイクリントシル酸塩の合成に使用され得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明はまた、オマダサイクリン結晶性遊離塩基からオマダサイクリンのトシル酸塩を調製する方法を提供する。本発明はまた、本発明の方法により調製されるオマダサイクリントシル酸塩を提供する。
したがって、いくつかの態様において、本発明は、式(1)で表されるオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態を提供する。
Figure 2023530415000003
さらなる実施形態において、オマダサイクリンは、式(2)で表される。
Figure 2023530415000004
いくつかの態様において、本発明はまた、
およそ7.25°2θのピーク、
およそ7.37°2θのピーク、
およそ10.33°2θのピーク、
およそ12.58°2θのピーク、
およそ12.81°2θのピーク、
およそ14.75°2θのピーク、
およそ16.44°2θのピーク、
およそ17.86°2θのピーク、
およそ19.32°2θのピーク、
およそ19.44°2θのピーク、
およそ19.62°2θのピーク、
およそ22.19°2θのピーク、及び
およそ23.38°2θのピーク
からなる群から選択される少なくとも1つのピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とするオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、多形体は、
およそ7.25°2θのピーク、
およそ7.37°2θのピーク、
およそ12.58°2θのピーク、
およそ12.81°2θのピーク、
およそ16.44°2θのピーク、及び
およそ17.86°2θのピーク
を含む粉末X線回折パターンを特徴とする。
いくつかの実施形態において、多形体は、
およそ7.25°2θのピーク、
およそ7.37°2θのピーク、
およそ10.33°2θのピーク、
およそ12.58°2θのピーク、
およそ12.81°2θのピーク、
およそ14.75°2θのピーク、
およそ16.44°2θのピーク、
およそ17.86°2θのピーク、
およそ19.32°2θのピーク、
およそ19.44°2θのピーク、
およそ19.62°2θのピーク、
およそ22.19°2θのピーク、及び
およそ23.38°2θのピーク
を含む粉末X線回折パターンを特徴とする。
いくつかの態様において、本発明はまた、上述の多形体を調製する方法であって、有機溶媒及び水を含む溶媒系からオマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させるステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、有機溶媒及び水は、約5:95v/v~約95:5v/vの範囲の有機溶媒:水の比で溶媒系中に存在する。さらなる実施形態において、有機溶媒は、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンからなる群から選択される。1つの特定の実施形態において、有機溶媒はアセトンである。
いくつかの態様において、本発明はまた、上述の方法により調製されたオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態の多形体を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、本発明は、有機溶媒及び水を含む溶媒系からオマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させるステップを含む方法により調製されたオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、有機溶媒及び水は、約5:95v/v~約95:5v/vの範囲の有機溶媒:水の比で溶媒系中に存在する。さらなる実施形態において、有機溶媒は、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンからなる群から選択される。1つの特定の実施形態において、有機溶媒はアセトンである。
いくつかの実施形態において、多形体は、
およそ7.25°2θのピーク、
およそ7.37°2θのピーク、
およそ10.33°2θのピーク、
およそ12.58°2θのピーク、
およそ12.81°2θのピーク、
およそ14.75°2θのピーク、
およそ16.44°2θのピーク、
およそ17.86°2θのピーク、
およそ19.32°2θのピーク、
およそ19.44°2θのピーク、
およそ19.62°2θのピーク、
およそ22.19°2θのピーク、及び
およそ23.38°2θのピーク
からなる群から選択される少なくとも1つのピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする。
いくつかの実施形態において、多形体は、
およそ7.25°2θのピーク、
およそ7.37°2θのピーク、
およそ12.58°2θのピーク、
およそ12.81°2θのピーク、
およそ16.44°2θのピーク、及び
およそ17.86°2θのピーク
を含む粉末X線回折パターンを特徴とする。
いくつかの実施形態において、多形体は、
およそ7.25°2θのピーク、
およそ7.37°2θのピーク、
およそ10.33°2θのピーク、
およそ12.58°2θのピーク、
およそ12.81°2θのピーク、
およそ14.75°2θのピーク、
およそ16.44°2θのピーク、
およそ17.86°2θのピーク、
およそ19.32°2θのピーク、
およそ19.44°2θのピーク、
およそ19.62°2θのピーク、
およそ22.19°2θのピーク、及び
およそ23.38°2θ
のピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする。
いくつかの実施形態において、アセトン及び水は、約50:50v/vのアセトン:水の比で溶媒系中に存在する。ある特定の態様において、有機溶媒は、イソプロパノール、アセトニトリル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される。
いくつかの態様において、本発明はまた、式(1)で表されるオマダサイクリンの遊離塩基形態を精製する方法であって、
Figure 2023530415000005
オマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製に供するステップであって、HPLCは、メチルスルホン酸ではない強酸(例えば塩酸)、弱酸及び有機アミンからなる群から選択される調整剤の使用を含み、それによりオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を得るステップを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、調整剤は弱酸であり、弱酸は、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、亜硫酸、リン酸、亜硝酸、フッ化水素酸、安息香酸、酢酸及びギ酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、弱酸は、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、酢酸及びギ酸からなる群から選択される。特定の実施形態において、弱酸は酢酸である。いくつかの実施形態において、調整剤は、HPLC中に移動相に添加される、又は、調整剤は、HPLCカラムに投入される前にオマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液に添加される。いくつかの実施形態において、移動相は溶出緩衝液A及び溶出緩衝液Bを含み、溶出緩衝液Aは水及びアセトニトリルを含み、及び/又は溶出緩衝液Bはアセトニトリルを含む。
いくつかの態様において、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液中のオマダサイクリンのベータエピマー不純物の量は、オマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液中に存在するオマダサイクリンのベータエピマー不純物の量の5分の1以下である。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ナノ濾過を使用してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濃縮するステップであって、ナノ濾過は、膜を通してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濾過して、濾液及び保持液を形成することを含み、保持液は、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む濃縮溶液であるステップをさらに含む。一実施形態において、方法は、保持液を収集するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ナノ濾過の前に、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液に酸化防止剤を添加するステップをさらに含む。さらなる実施形態において、酸化防止剤は、約0.01%~約0.5%w/vの溶液中の酸化防止剤の濃度を達成するのに十分な量で添加される。
いくつかの実施形態において、膜は、約150~約500ダルトンの範囲の分子量カットオフ(MWCO)を有する。いくつかの実施形態において、保持液中のオマダサイクリンの濃度は、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液中のオマダサイクリンの濃度より少なくとも約2倍高い、例えば少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも8倍、又は少なくとも10倍高い。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、オマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させ、それによりオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態を得るステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、オマダサイクリンの遊離塩基形態は、有機溶媒及び水を含む溶媒系から結晶化される。さらなる実施形態において、有機溶媒及び水は、約5:95v/v~約95:5v/vの範囲の有機溶媒:水の比で溶媒系中に存在する。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、ニトリル、アルコール、ケトン及びエーテルからなる群から選択される。例えば、有機溶媒は、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンからなる群から選択され得る。特定の実施形態において、有機溶媒はアセトンである。
いくつかの実施形態において、アセトン及び水は、約50:50v/vのアセトン:水の比で溶媒系中に存在する。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、イソプロパノール、アセトニトリル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、本発明の方法により得られるオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態は、
およそ7.25°2θのピーク、
およそ7.37°2θのピーク、
およそ10.33°2θのピーク、
およそ12.58°2θのピーク、
およそ12.81°2θのピーク、
およそ14.75°2θのピーク、
およそ16.44°2θのピーク、
およそ17.86°2θのピーク、
およそ19.32°2θのピーク、
およそ19.44°2θのピーク、
およそ19.62°2θのピーク、
およそ22.19°2θのピーク、及び
およそ23.38°2θのピーク
からなる群から選択される少なくとも1つのピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする多形体である。
いくつかの態様において、本発明はまた、式(1)で表されるオマダサイクリンのトシル酸塩を調製する方法であって、
Figure 2023530415000006
上述の方法によりオマダサイクリンの遊離塩基形態を精製し、それによりオマダサイクリンの精製遊離塩基形態を得るステップ、及び
オマダサイクリンの精製遊離塩基形態をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得るステップ
を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明はまた、式(1)で表されるオマダサイクリンのトシル酸塩を調製する方法であって、
Figure 2023530415000007
オマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させ、それによりオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態を得るステップ、及びオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得るステップを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、オマダサイクリンの遊離塩基形態は、有機溶媒及び水を含む溶媒系から結晶化される。いくつかの実施形態において、有機溶媒及び水は、約5:95v/v~約95:5v/vの範囲の有機溶媒:水の比で溶媒系中に存在する。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、トルエン及びテトラヒドロフランからなる群から選択される。1つの特定の実施形態において、有機溶媒はアセトンである。
いくつかの実施形態において、アセトン及び水は、約50:50v/vのアセトン:水の比で溶媒系中に存在する。いくつかの態様において、有機溶媒は、イソプロパノール、アセトニトリル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、オマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態は、
およそ7.25°2θのピーク、
およそ7.37°2θのピーク、
およそ10.33°2θのピーク、
およそ12.58°2θのピーク、
およそ12.81°2θのピーク、
およそ14.75°2θのピーク、
およそ16.44°2θのピーク、
およそ17.86°2θのピーク、
およそ19.32°2θのピーク、
およそ19.44°2θのピーク、
およそ19.62°2θのピーク、
およそ22.19°2θのピーク、及び
およそ23.38°2θのピーク
からなる群から選択される少なくとも1つのピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする多形体である。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、オマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製に供するステップであって、HPLCは、メチルスルホン酸ではない強酸(例えば塩酸)、弱酸及び有機アミンからなる群から選択される調整剤の使用を含み、それによりオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を得るステップ、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液からオマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させ、それによりオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態を得るステップ、並びにオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得るステップを含む。
いくつかの実施形態において、調整剤は弱酸であり、弱酸は、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、亜硫酸、リン酸、亜硝酸、フッ化水素酸、安息香酸、酢酸及びギ酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、弱酸は、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、酢酸及びギ酸からなる群から選択される。1つの特定の実施形態において、弱酸は酢酸である。
いくつかの実施形態において、調整剤は、HPLC中に移動相に添加される、又は、調整剤は、HPLCカラムに投入される前にオマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液に添加される。いくつかの実施形態において、移動相は溶出緩衝液A及び溶出緩衝液Bを含み、溶出緩衝液Aは水及びアセトニトリルを含み、及び/又は溶出緩衝液Bはアセトニトリルを含む。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ナノ濾過を使用してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濃縮するステップであって、ナノ濾過は、膜を通してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濾過して、濾液及び保持液を形成することを含み、保持液は、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む濃縮溶液であるステップをさらに含む。いくつかの態様において、本発明の方法は、保持液を収集するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ナノ濾過の前に、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液に酸化防止剤を添加するステップをさらに含む。さらなる実施形態において、酸化防止剤は、約0.01%~約0.5%w/vの溶液中の酸化防止剤の濃度を達成するのに十分な量で添加される。いくつかの実施形態において、ナノ濾過で使用される膜は、約150~約500ダルトンの範囲の分子量カットオフ(MWCO)を有する。
いくつかの態様において、本発明はまた、式(1)で表されるオマダサイクリンのトシル酸塩を調製する方法であって、
Figure 2023530415000008
オマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製に供するステップであって、HPLCは、弱酸及び有機アミンからなる群から選択される調整剤の使用を含み、それによりオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を得るステップ、
ナノ濾過を使用してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濃縮するステップであって、ナノ濾過は、膜を通してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濾過して、濾液及び保持液を形成することを含み、保持液は、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む濃縮溶液であるステップ、
オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む濃縮溶液からオマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させ、それによりオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態を得るステップ、並びに
オマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得るステップ
を含む方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明はまた、上述の方法により得られる式(1)で表されるオマダサイクリンのトシル酸塩を提供する。
Figure 2023530415000009
いくつかの態様において、本発明はまた、上述の方法により得られる式(1)で表されるオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩を提供する。
Figure 2023530415000010
さらなる実施形態において、本発明はまた、結晶性トシル酸塩の多形体、例えば形態1の多形体又は形態3の多形体を提供する。
いくつかの態様において、本発明はまた、上述のオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、上述のオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態の多形体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
いくつかの態様において、本発明はまた、上述のオマダサイクリンのトシル酸塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明はまた、上述のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明はまた、上述のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩の多形体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、錠剤形態である。他の実施形態において、医薬組成物は、凍結乾燥粉末の形態の注射製剤である。
いくつかの態様において、本発明はまた、細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の上述のオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態又は医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明はまた、細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の上述のオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態の多形体又は医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明はまた、細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の上述のオマダサイクリンのトシル酸塩又は医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明はまた、細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の上述のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩又は医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明はまた、細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の上述のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩の多形体又は医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、細菌感染症は、グラム陽性又はグラム陰性細菌により引き起こされる。いくつかの実施形態において、細菌感染症は、他のテトラサイクリン化合物に対して耐性である細菌により引き起こされる。いくつかの態様において、細菌感染症は、クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae)、サルモネラ菌(Salmonella)、エンテロコッカス・ヒラエ(E. hirae)、アシネトバクター・バウマニー(A. baumanii)、ブランハメラ・カタラーリス(B. catarrhalis)、ヘモフィルス・インフルエンザ(H. influenza)、緑膿菌(P. aeruginosa)、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)、大腸菌(E. coli)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)及びエンテロコッカス・フェカリス(E. faecalis)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされる。
いくつかの実施形態において、細菌感染症は、急性細菌性皮膚組織感染症(ABSSSI)である。さらなる実施形態において、ABSSSIは、菌血症を伴う場合を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感受性及び耐性分離株)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・アンギノーサス(Streptococcus anginosus)群(ストレプトコッカス・アンギノーサス(S. anginosus)、ストレプトコッカス・インターメディウス(S. intermedius)及びストレプトコッカス・コンステラタス(S. constellatus)を含む)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)(バンコマイシン感受性分離株)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、プレボテラ・メラニノゲニカ(Prevotella melaninogenica)、及びフィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされる。
いくつかの実施形態において、細菌感染症は、市中感染性細菌性肺炎(CABP)である。さらなる実施形態において、CABPは、菌血症を伴う場合を含む肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(ペニシリン感受性及び耐性分離株、マクロライド耐性分離株)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感受性分離株)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)(ベータ-ラクタマーゼ陰性及び陽性分離株)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、及びクラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされる。
いくつかの実施形態において、細菌感染症は、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)の種の細菌により引き起こされる。いくつかの態様において、細菌感染症は、マイコバクテリアにより引き起こされる。
オマダサイクリン結晶性遊離塩基の典型的なXRPDスペクトルを示す図である。 アセトニトリル及び水を含む溶媒系(湿潤アセトニトリル)から結晶化させたオマダサイクリン遊離塩基のXRPDスペクトルを示す図である。 イソプロパノール及び水を含む溶媒系(湿潤イソプロパノール)から結晶化させたオマダサイクリン遊離塩基のXRPDスペクトルを示す図である。 2-ブタノン及び水を含む溶媒系(湿潤2-ブタノン)から結晶化させたオマダサイクリン遊離塩基のXRPDスペクトルを示す図である。 対照オマダサイクリン結晶性遊離塩基のXRPDスペクトルを示す図である。 オマダサイクリン結晶性遊離塩基を調製する方法の概略図である。 オマダサイクリン結晶性遊離塩基を調製するステップを含む、オマダサイクリンの結晶性トシル酸塩を調製する方法の概略図である。
オマダサイクリンの結晶性遊離塩基
本発明は、オマダサイクリン遊離塩基の結晶形態を提供する。オマダサイクリンは、主に重度の市中感染症、例えば急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症(ABSSSI)、中等度から重度の市中感染性細菌性肺炎(CABP)及び複雑性尿路感染(cUTI)の経験的治療の第一選択薬として開発されている、9-アミノメチルテトラサイクリン誘導体である。「オマダサイクリン」という名称は、本明細書において、「OMC」、「PTK 0796」又は「化合物1」という名称と同義的に使用され得る。いくつかの例において、オマダサイクリンは、式(1)で表され得る。
Figure 2023530415000011
いくつかの例において、オマダサイクリンは、式(2)で表され得る。
Figure 2023530415000012
オマダサイクリンは、その非結晶形態において、空気、光及び/又は湿気への曝露に対して特に不安定であり得る黄色い非晶質固体である。したがって、オマダサイクリンは、その固体形態において、0℃未満の温度で、空気、光及び湿気への曝露が制限された状態で保存されなければならない。これらの制限された曝露条件外では、オマダサイクリンは分解して分解生成物、例えば式(3)及び式(4)で表される空気分解生成物、並びに式(5)で表される4-エピ異性体を生成する。
Figure 2023530415000013
オマダサイクリンの遊離塩基及びある特定の薬学的に許容される塩が米国特許第7553828号に記載されており、またオマダサイクリンのある特定の結晶性塩が米国特許第8,383,610号に記載されており、それぞれの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本開示の前には、オマダサイクリン遊離塩基の結晶形態、又は結晶形態の多形体は知られていなかった。
したがって、本発明は、オマダサイクリン(化合物1)の遊離塩基の結晶形態を提供する。「結晶性」又は「結晶形態」という用語は、本明細書で使用される場合、原子が規則的な反復パターンで配列したオマダサイクリンの固体形態を指す。いくつかの実施形態において、「結晶性」という用語は、オマダサイクリンの多形形態又は非晶質でない形態を区別せずに包含する。
「非晶質」又は「非晶質形態」という用語は、本明細書で使用される場合、物質の非結晶形態、例えば規則的な原子配列を有さない固体形態を指す。
「多形体」又は「多形形態」という用語は、本明細書で使用される場合、溶質分子のみを含み、特徴的な結晶特性を有する組織化構造を指す。これらの用語は、同じ分子の異なる結晶形態を指し得る。異なる多形体は、結晶格子内の分子の異なる配置又は立体配座の結果、異なる物理的特性、例えば融点、融解熱、溶解度、溶解速度及び/又は振動スペクトル等を有し得る。異なる多形体により示される物理的特性の差は、医薬物質にとって重要なパラメータ、例えば保存安定性、圧縮性及び密度(製剤及び製品製造において重要)、並びに溶解速度(バイオアベイラビリティにおいて重要な因子)に影響し得る。
異なる多形体の安定性の差はまた、化学反応性の差(例えば酸化に対する異なる感受性)から生じ得る。したがって、1つの多形体を含む剤形は、同じ物質の異なる多形体を含む剤形よりも急速に変色し得る。異なる多形体の安定性の差はまた、機械的特性の差から(例えば、動力学的に有利な多形体が熱力学的により安定な多形体に変換すると、錠剤は保存中に砕ける可能性がある)、又は化学的特性及び機械的特性の両方の差から(例えば、1つの多形体の錠剤は高い湿度においてより壊れやすい)生じ得る。溶解度/溶解の差の結果として、極端な場合には、いくつかの多形転移が有効性の喪失をもたらし得、又は他の極端な場合には毒性をもたらし得る。さらに、結晶の物理的特性は、加工において重要となり得る。例えば、同じ物質の異なる多形体は、溶媒和物を形成する傾向、又はその粒子形状及びサイズ分布の差を示し、精製に影響し得る(例えば、1つの多形体は、濾過して不純物を洗浄除去することが別の多形体よりも困難となり得る)。
分子の多形体は、当該技術分野において知られているいくつかの方法により得ることができる。そのような方法は、これらに限定されないが、溶融再結晶化、溶融冷却、溶媒再結晶化、脱溶媒和、急速蒸発、急冷、徐冷、蒸気拡散及び昇華を含み得る。多形体を特性評価するための技術は、これらに限定されないが、示差走査熱量測定(DSC)、粉末X線回折法(XRPD)、単結晶X線回折法、振動分光法、例えばIR及びラマン分光法、固体NMR、ホットステージ光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM)、電子結晶学及び定量分析、粒子サイズ分析(PSA)、表面積分析、溶解度試験及び溶解試験を含み得る。具体的には、XRPDは、多結晶又は粉末固体試料中の結晶学的構造、サイズ、及び好ましい配向を特性評価するために使用される技術である。この回折はまた、不均一固体混合物を特性評価して存在する結晶性化合物のパーセントを決定するために使用され、未知の材料に関する構造情報を提供し得る。本明細書において「XRPDパターン」という用語と同義的に使用される「粉末X線回折パターン」という用語は、XRPD分析により収集されたデータのグラフ表現を指す。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書において「オマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体」とも呼ばれるオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態の多形体を提供する。いくつかの実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体は、
およそ7.25°2θのピーク、
およそ7.37°2θのピーク、
およそ10.33°2θのピーク、
およそ12.58°2θのピーク、
およそ12.81°2θのピーク、
およそ14.75°2θのピーク、
およそ16.44°2θのピーク、
およそ17.86°2θのピーク、
およそ19.32°2θのピーク、
およそ19.44°2θのピーク、
およそ19.62°2θのピーク、
およそ22.19°2θのピーク、及び
およそ23.38°2θのピーク
からなる群から選択される少なくとも1つのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とする。
「ピーク」という用語は、本明細書で使用される場合、ベースラインノイズより少なくとも20%、例えば少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%又は少なくとも100%大きい強度を有するXRPDパターンにおけるピークを指す。
「およそ」又は「約」という用語は、本明細書でXRPDパターンにおけるピークに関連して使用される場合、ピークが所与の°2θ値の0.5°2θ以内、例えば0.4、0.3、0.2、0.1、0.05又は0.01°2θ以内に現れるXRPDパターンを指す。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも2つのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリンの結晶形態の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも4つのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも6つのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも7つのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも8つのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも9つのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも10個のピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙されたピークの群から選択される少なくとも11個のピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、上に列挙された全てのピークを含む粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、図1~5のいずれか1つに示される粉末X線回折パターン(XRPDパターン)を特徴とするオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を提供する。
いくつかの態様において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体は、組成物の重量に対するオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体の重量(w/w%)で表した場合、少なくとも90%純粋である。例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体は、少なくとも95%純粋、少なくとも96%純粋、少なくとも97%純粋、少なくとも98%純粋、少なくとも99%純粋、少なくとも99.1%純粋、少なくとも99.5%純粋、又は少なくとも99%純粋である。本明細書で使用される場合、「純粋」又は「純度」は、約90~100%純粋、例えば約95~100%純粋、98~100%純粋、又は約99~100%純粋な化合物を指す。いくつかの実施形態において、純粋なオマダサイクリン遊離塩基は、約10%未満、約5%未満、約2%未満又は約1%未満の不純物を含む。不純物は、例えば、分解生成物、酸化生成物、エピマー、溶媒、及び/又は他の望ましくない不純物の1つ以上を含み得る。
オマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体の純度の1つの尺度は、上で示される式(5)で表される4-エピ異性体(β-エピマー)により定義される。したがって、いくつかの例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体中のβ-エピマーの含有量は、HPLCにより測定した場合(すなわちHPLCトレース上の曲線下総面積の%)、10%以下、例えば5%以下、2%以下、1%以下、0.9%以下、0.5%以下、0.1%以下、0.05%以下、又は0.01%以下である。1つの特定の例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体中のβ-エピマーの含有量は、0.9%以下である。
オマダサイクリン結晶性遊離塩基を合成する方法
オマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体は、有機溶媒及び水を含む溶媒系から非晶質オマダサイクリン遊離塩基を結晶化させることにより調製され得る。
そのような溶媒系において、有機溶媒及び水は、約5:95v/v~約95:5v/vの範囲の有機溶媒:水の比で存在し得る。例えば、水は、溶媒系中に約95%v/v(すなわち、約5:95v/vの有機溶媒:水の比)、約90%v/v(すなわち、約10:90v/vの有機溶媒:水の比)、約80%v/v(すなわち、約20:80v/vの有機溶媒:水の比)、約70%v/v(すなわち、約30:70v/vの有機溶媒:水の比)、約60%v/v(すなわち、約40:60v/vの有機溶媒:水の比)、約50%v/v(すなわち、約50:50v/vの有機溶媒:水の比)、約40%v/v(すなわち、約60:40v/vの有機溶媒:水の比)、約30%v/v(すなわち、約70:30v/vの有機溶媒:水の比)、約20%v/v(すなわち、約80:20v/vの有機溶媒:水の比)、約15%v/v(すなわち、約85:15v/vの有機溶媒:水の比)、約10%v/v(すなわち、約90:10v/vの有機溶媒:水の比)、約5%v/v(すなわち、約95:5v/vの有機溶媒:水の比)、又は約1%v/v(すなわち、約99:1v/vの有機溶媒:水の比)の量で存在し得る。他の例において、水は、溶媒系中に約1%~約10%、約2%~約15%、約5%~約20%、又は約1%~約15%の量で存在し得る。
溶媒系中に存在する有機溶媒は、ニトリル、アルコール、ケトン及びエーテルからなる群から選択され得る。例えば、有機溶媒は、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、トルエン及びテトラヒドロフランからなる群から選択され得る。いくつかの例において、有機溶媒は、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンからなる群から選択され得る。
一例において、溶媒系は、アセトン及び水を含み得る。アセトン及び水は、約1:99v/v~約99:1v/v、例えば約10:90v/v~約90:10v/v、約20:80v/v~約80:20v/v、約30:70v/v~約70:30、約40:60v/v~約60:40v/vの比で溶媒系中に存在し得る。一例において、アセトン及び水は、約50/50v/vのアセトン:水の比で溶媒系中に存在し得る。別の例において、溶媒系は、例えば約95/5v/vのアセトニトリル:水の比で溶媒系中に存在するアセトニトリル及び水を含み得る。さらに別の例において、溶媒系は、例えば約95/5v/vのイソプロピルアルコール:水の比で溶媒系中に存在するイソプロピルアルコール及び水を含み得る。別の例において、溶媒系は、例えば約95/5v/vのメチルエチルケトン:水の比で溶媒系中に存在するメチルエチルケトン及び水を含み得る。
いくつかの例において、オマダサイクリン非晶質遊離塩基は、結晶化の前に、本開示の別の場所で説明される高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び/又はナノ濾過により、粗オマダサイクリン非晶質遊離塩基を含む溶液から精製され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、上述の方法により調製されるオマダサイクリン結晶性遊離塩基を提供する。
オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む医薬組成物
本発明はまた、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む医薬組成物を提供する。例えば、本発明の医薬組成物は、有効量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基、及び場合により薬学的に許容される担体を含み得る。本発明の医薬組成物は、細菌感染症を処置又は予防するために、それを必要とする患者に投与され得る。
「薬学的に許容される担体」という語句は、オマダサイクリン結晶性遊離塩基と同時投与され得る物質を含み、この物質は、両方がその意図される機能を果たすことを可能にし得る、例えば細菌感染症を処置又は予防することを可能にし得る。好適な薬学的に許容される担体は、これらに限定されないが、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、石油エーテル性(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル-セルロース、ポリビニルピロリドン等を含む。医薬組成物は滅菌されてもよく、所望により、オマダサイクリン遊離塩基と有害に反応しない補助薬剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、香料及び/又は芳香物質等と混合されてもよい。
オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む本発明の医薬組成物は、経口、非経口又は局所経路による投与用に構成され得る。一般に、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、最も望ましくは、処置されている対象の体重及び状態、並びに選択された特定の投与経路に依存して、有効投薬量で投与される。処置されている対象の種、及びその医薬に対する個々の応答だけでなく、選択された医薬組成物の種類、並びにそのような投与が行われる期間及び間隔に依存して変動が生じ得る。
経口投与の場合、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、錠剤又はカプセルの形態で投与され得る。錠剤又はカプセルは、様々な賦形剤、例えば微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びグリシンからなる群から選択される賦形剤を含んでもよい。錠剤又はカプセルはまた、崩壊剤、例えばデンプン(及び好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、アルギン酸及びある特定の複合シリケートを含んでもよい。錠剤又はカプセルはまた、造粒結合剤、例えばスクロース、ゼラチン又はアカシアを含んでもよい。さらに、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクもまた、錠剤化目的で錠剤又はカプセルに添加されてもよい。
いくつかの例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む経口製剤は、少なくとも1つ以上の追加の成分、例えば希釈剤、安定剤、滑剤、滑沢剤、及び崩壊剤を含む。いくつかの例において、希釈剤は、ラクトース若しくは微結晶セルロース、又はラクトース及び微結晶セルロースの両方の組合せであってもよい。いくつかの例において、安定剤は、重亜硫酸ナトリウムであってもよい。いくつかの例において、滑剤は、コロイド状二酸化ケイ素であってもよい。いくつかの例において、滑沢剤は、ステアリルフマル酸ナトリウム又はステアリン酸マグネシウムであってもよい。いくつかの例において、崩壊剤は、クロスポビドンであってもよい。
いくつかの実施形態において、経口投与、例えば錠剤又はカプセルを意図した本発明の医薬組成物は、約10~約1000mgのオマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば約20~約750mg、約50~約500mg、約75~約400mg、約100~約300mg、約110~約250mg、約120~約240mg、約130~約210mg、約140~約170mg、又は約150mgのオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含み得る。
非経口投与(腹腔内、皮下、静脈内、皮内又は筋肉内注射を含む)の場合、本発明はまた、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む注射製剤を提供する。そのような注射製剤は、投与前に担体で、例えば水性担体で、例えば水で復元される、乾燥した、例えば凍結乾燥した粉末の形態であってもよい。いくつかの実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む注射製剤はまた、少なくとも1種以上の追加的な成分、例えば凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)、酸化防止剤及びpH調整化合物を含んでもよい。
いくつかの例において、凍結乾燥保護剤は、糖、例えばスクロースであってもよい。いくつかの例において、酸化防止剤は、重亜硫酸塩化合物、例えば重亜硫酸ナトリウムであってもよい。いくつかの例において、pH調整化合物は、酸、例えば無機酸、例えばリン酸、硝酸、硫酸又は塩酸であってもよい。pH調整化合物はまた、塩基、例えば無機塩基、例えば水酸化ナトリウムであってもよい。いくつかの例において、pH調整化合物は、所望のpHを達成するためにオマダサイクリン結晶性塩を含む注射製剤に共に添加される、酸、例えば無機酸、及び塩基の両方を含んでもよい。いくつかの実施形態において、所望のpHは、約4.0~約4.5、例えば4.2である。
いくつかの実施形態において、非経口投与、例えば凍結乾燥形態の、又は担体で復元された注射製剤を意図した本発明の医薬組成物は、約5~約500mgのオマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば約10~約400mg、約25~約300mg、約50~約200mg、約50~約150mg、約60~約140mg、約70mg~約130mg、約80mg~約120mg、約90mg~約110mg、又は約100mgのオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含み得る。
いくつかの実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む医薬組成物は、エアロゾル医薬組成物の形態であってもよい。そのようなエアロゾル医薬組成物は、溶液、懸濁液、粉末製剤又はリポソーム製剤の形態であってもよい。オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含むエアロゾル医薬組成物は、いくつかの例において、定量スプレーデバイスも含み得るエアロゾルディスペンサに含まれてもよい。いくつかの例において、エアロゾルディスペンサは、ネブライザ、例えば少量ネブライザ(SVN)、加圧定量吸入器(pMDI)又は乾燥粉末吸入器(DPI)であってもよい。本発明の文脈におけるエアロゾルでのテトラサイクリン化合物、例えばオマダサイクリン、又はその薬学的に許容される塩の投与は、肺性疾患、例えば細菌感染症、例えばマイコバクテリア感染症に関連した肺性疾患の処置に特に有用となり得る。
いくつかの実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む医薬組成物は、局所投与用に構成された医薬組成物の形態であってもよい。そのような医薬組成物は、ゲル、軟膏、ローション又はクリームの形態であってもよく、薬理学的に不活性な局所用担体中に適切に混合されたテトラサイクリン化合物を含み得る。薬理学的に不活性な局所用担体は、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、又は鉱油を含み得る。他の可能な局所用担体は、流動ワセリン、パルミチン酸イソプロピル、ポリエチレングリコール、エタノール、ポリオキシエチレンモノラウレート(monolauriate)、ラウリル硫酸ナトリウム等であってもよい。さらに、酸化防止剤、保湿剤、粘度安定剤等の材料もまた、所望により添加され得る。
オマダサイクリン結晶性遊離塩基を使用して細菌感染症を処置又は予防する方法
本発明はまた、細菌感染症を処置又は予防する方法であって、細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象に、オマダサイクリン結晶性遊離塩基又はオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、細菌感染症は、グラム陽性又はグラム陰性細菌により引き起こされ得る。いくつかの実施形態において、細菌感染症は、他のテトラサイクリン化合物に対して耐性である細菌により引き起こされ得る。いくつかの例において、細菌感染症は、クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae)、サルモネラ菌(Salmonella)、エンテロコッカス・ヒラエ(E. hirae)、アシネトバクター・バウマニー(A. baumanii)、ブランハメラ・カタラーリス(B. catarrhalis)、ヘモフィルス・インフルエンザ(H. influenza)、緑膿菌(P. aeruginosa)、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)、大腸菌(E. coli)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)及びエンテロコッカス・フェカリス(E. faecalis)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされ得る。
一例において、細菌感染症は、急性細菌性皮膚組織感染症(ABSSSI)である。ABSSSIは、グラム陽性又はグラム陰性細菌、例えば菌血症を伴う場合を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感受性及び耐性分離株)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・アンギノーサス(Streptococcus anginosus)群(ストレプトコッカス・アンギノーサス(S. anginosus)、ストレプトコッカス・インターメディウス(S. intermedius)及びストレプトコッカス・コンステラタス(S. constellatus)を含む)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)(バンコマイシン感受性分離株)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、プレボテラ・メラニノゲニカ(Prevotella melaninogenica)、及びフィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされ得る。
別の例において、細菌感染症は、市中感染性細菌性肺炎(CABP)である。CABPは、グラム陽性、グラム陰性又は非定型細菌、例えば菌血症を伴う場合を含む肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(ペニシリン感受性及び耐性分離株、マクロライド耐性分離株)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感受性分離株)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)(ベータ-ラクタマーゼ陰性及び陽性分離株)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、及びクラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされ得る。
別の例において、細菌感染症は、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)により引き起こされ得る。
別の例において、細菌感染症は、マイコバクテリア、例えば、それぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第62/726,738号、米国特許出願第62/731,410号、米国特許出願第62/746,039号及び米国特許出願第62/760,131号に記載のマイコバクテリア種に属するマイコバクテリアにより引き起こされ得る。
さらに別の例において、細菌感染症は、尿路感染(UTI)である。
「処置する」又は「処置」という用語は、処置される障害、例えば細菌感染症の1つ以上の症状の改善又は減少を指す。
「予防(prophylaxis)」、「予防する(prevent)」又は「予防(prevention)」という用語は、細菌感染症のリスクを防止又は低減することを意味する。
「耐性(resistance)」又は「耐性(resistant)」という用語は、臨床検査標準協議会(Clinical and Laboratories Standards Institute、CLSI)及び/又は食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)により定義される抗生物質/生物標準を指す。
「対象」という用語は、細菌感染症にさらされる動物を含む。対象の例は、動物、例えば家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ニワトリ等)、実験動物(マウス、ラット、サル、チンパンジー等)、ペット(例えば、イヌ、ネコ、フェレット、ハムスター等)、鳥(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、ガン、カラス、レイブン、スズメ等)、霊長類(例えば、サル、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ及びヒト)、並びにその他の動物(例えば、リス、アライグマ、マウス、ラット等)を含む。一実施形態において、対象はマウス又はラットである。一実施形態において、対象はウシ、ブタ、又はニワトリである。一実施形態において、対象はヒトである。
「有効量」という用語は、細菌感染症を処置又は予防するために必要なオマダサイクリン結晶性遊離塩基の量を含む。例えば、有効量は、細菌の死滅及び/又は細菌増殖の阻害により所望の治療効果を達成するのに十分な効力レベルを表す。一実施形態において、有効量は、感染症を引き起こす細菌を根絶するのに十分である。
オマダサイクリン結晶性遊離塩基の投与
オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、単独で、又は医薬組成物の一部としてそれを必要とする対象に投与され得る。オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含むいかなる例示的医薬組成物も、有効量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基、及び場合により薬学的に許容される担体を含み得る。
「薬学的に許容される担体」という語句は、オマダサイクリン結晶性遊離塩基と同時投与され得る物質を含み、この物質は、両方がその意図される機能を果たすことを可能にし得る、例えば細菌感染症を処置又は予防することを可能にし得る。好適な薬学的に許容される担体は、これらに限定されないが、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、石油エーテル性脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル-セルロース、ポリビニルピロリドン等を含む。医薬組成物は滅菌されてもよく、所望により、オマダサイクリン結晶性遊離塩基と有害に反応しない補助薬剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、香料及び/又は芳香物質等と混合されてもよい。
本発明の方法で使用され得る医薬組成物は、経口、非経口又は局所経路のいずれかでの投与用に構成され得る。いくつかの例において、本発明の方法で使用され得る医薬組成物はまた、エアロゾルでの送達用に構成され得る。一般に、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、最も望ましくは、処置されている対象の体重及び状態、並びに選択された特定の投与経路に依存して、有効投薬量で投与される。処置されている対象の種、及びそのオマダサイクリン結晶性遊離塩基に対する個々の応答だけでなく、選択された医薬組成物の種類、並びにそのような投与が行われる期間及び間隔に依存して変動が生じ得る。
経口投与の場合、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、錠剤又はカプセルの形態で投与され得る。錠剤又はカプセルは、様々な賦形剤、例えば微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びグリシンからなる群から選択される賦形剤を含んでもよい。錠剤又はカプセルはまた、崩壊剤、例えばデンプン(及び好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、アルギン酸及びある特定の複合シリケートを含んでもよい。錠剤又はカプセルはまた、造粒結合剤、例えばスクロース、ゼラチン又はアカシアを含んでもよい。さらに、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクもまた、錠剤化目的で錠剤又はカプセルに添加されてもよい。
非経口投与(腹腔内、皮下、静脈内、皮内又は筋肉内注射を含む)の場合、本発明はまた、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む注射製剤を提供する。そのような注射製剤は、投与前に担体で、例えば水性担体で、例えば水で復元される、乾燥した、例えば凍結乾燥した粉末の形態であってもよい。いくつかの実施形態において、注射製剤はまた、少なくとも1種以上の追加的な成分、例えば凍結乾燥保護剤、酸化防止剤及びpH調整化合物を含んでもよい。
本発明の方法での使用に好適となり得るオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含むある特定の医薬組成物は、例えば、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる米国特許第9,315,475号に記載されている。
本発明の方法において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基はまた、エアロゾルにより対象に投与され得る。オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含むエアロゾル医薬組成物は、溶液、懸濁液、粉末製剤又はリポソーム製剤の形態であってもよい。オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含むエアロゾル医薬組成物は、いくつかの例において、定量スプレーデバイスも含み得るエアロゾルディスペンサに含まれてもよい。いくつかの例において、エアロゾルディスペンサは、ネブライザ、例えば少量ネブライザ(SVN)、加圧定量吸入器(pMDI)又は乾燥粉末吸入器(DPI)であってもよい。
局所投与の場合、オマダサイクリン結晶性遊離塩基はまた、局所投与用に構成された医薬組成物の一部として対象に投与され得る。そのような組成物は、ゲル、軟膏、ローション又はクリームの形態であってもよく、薬理学的に不活性な局所用担体中に適切に混合されたテトラサイクリン化合物を含み得る。薬理学的に不活性な局所用担体は、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、又は鉱油を含み得る。他の可能な局所用担体は、流動ワセリン、パルミチン酸イソプロピル、ポリエチレングリコール、エタノール、ポリオキシエチレンモノラウレート(monolauriate)、ラウリル硫酸ナトリウム等であってもよい。さらに、酸化防止剤、保湿剤、粘度安定剤等の材料もまた、所望により添加され得る。
オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、約100~約200mg、約100~約300mg、約100~400mg、約100~約500mg、約100~約600mg、約200~約500mg、又は約300~約600mgのオマダサイクリン結晶性遊離塩基の用量、例えば一日用量で対象に投与され得る。さらなる例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、経口的に投与され得る。さらなる例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、静脈内投与され得る。
いくつかの態様において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、約50~約150mg、約50~約400mg、約50~約300mg、約50~約200mg、約100~約300mg若しくは約200~約300mg、又は約100mgの用量で対象に投与され得る。例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg又は約300mgの用量、例えば一日用量で対象に投与され得る。一実施形態において、用量は、静脈内用量である。
いくつかの態様において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、約50~約800mg、約100~約700mg、約250~約600mg、約300~約500mg、約100~約400mg、約100~約600mg、又は約300mgの用量で対象に投与され得る。例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、約300mg、約450mg又は約600mgの用量で投与され得る。一実施形態において、用量は、経口用量である。
一実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、約100mg、約200mg、又は約300mgの用量で静脈内投与され得る。別の実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、約300mg、約600mg、又は約900mgの用量で経口的に投与され得る。
いくつかの例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、エアロゾル用量として投与され得、例えばエアロゾルディスペンサを使用して送達され得る。いくつかの例において、エアロゾルディスペンサは、約1~約2000mg、例えば約1~約500mg、約25~約300mg、約50~約400mg、約100~約500mg、約200~約800mg、約500mg~約1000mg、約10mg~約200mg又は約300mg~約700mgの用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含み得る。いくつかの例において、エアロゾルディスペンサは、約1mg、約5mg、約10mg、約30mg、約50mg、約80mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg又は約1000mgの用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含み得る。
いくつかの例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基を含む局所投与用に構成された医薬組成物を罹患領域に塗布することにより局所的に投与され得る。例えば、局所投与用に構成された医薬組成物は、溶液の形態であってもよく、組成物の体積を基準として約0.01%~約20%w/v、例えば約0.01%~約10%w/v、約0.1%~約20%w/v、約0.5%~約5%w/v、約1%~約10%w/v又は約5%~約20%w/vの濃度のオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含み得る。例えば、局所投与用に構成された医薬組成物は、約0.01%w/v、約0.05%w/v、約0.1%w/v、約0.5%w/v、約1%w/v、約5%w/v、約10%w/v、約15%w/v又は約20%w/vの濃度のオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含み得る。
別の例において、局所投与用に構成された医薬組成物は、組成物の体積を基準として約0.01%~約20%w/w、例えば約0.01%~約10%w/w、約0.1%~約20%w/w、約0.5%~約5%w/w、約1%~約10%w/w又は約5%~約20%w/wの濃度のオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含み得る。例えば、局所投与用に構成された医薬組成物は、約0.01%w/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1%w/w、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w又は約20%w/wの濃度のオマダサイクリン結晶性遊離塩基を含み得る。
いくつかの例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、少なくとも1日1回、例えば1日1回、1日2回、1日3回又は1日4回、上述の用量で投与され得る。さらなる例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、1日2回対象に投与され得る。1つの特定の例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、1日2回対象に経口的に投与され得る。
上で列挙された用量を含む用量範囲の投与もまた本発明に含まれることが理解されるべきである。例えば、上記用量のいずれも、本発明の方法に含まれる用量範囲の下部又は上部となり得る。さらに、本出願全体で使用される数値の全ての列挙又は集合はまた、列挙された数値のいずれも範囲の下部又は上部となり得る数値の範囲を含むことを意図することが理解されるべきである。これらの範囲は、本発明に含まれることを意図する。
一実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の経口用量は、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の静脈内用量より3倍多くてもよい。
全ての列挙された実施形態について、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の用量はまた、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の有効量であることが理解される。
一実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の有効量は、経口的に投与される場合、約100~約1000mg、例えば約200~約750mg、約100~約500mg、約200~約600又は約400~約600のオマダサイクリン結晶性遊離塩基となり得る。さらなる例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の有効量は、経口的に投与される場合、約300mg、約450mg又は約600mgのテトラサイクリン化合物となり得る。
別の実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の有効量は、静脈内投与される場合、約50~約500mg、例えば約50~約400mg、約100~約300mg又は約50~約200mgのオマダサイクリンとなり得る。例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の有効量は、静脈内投与される場合、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg又は約300mgとなり得る。
いくつかの例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、本発明の文脈において、経口、非経口、全身、局所経路、又はエアロゾル送達のいずれかで投与され得る。一般に、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、最も望ましくは、処置されている対象の体重及び状態、並びに選択された特定の投与経路に依存して、有効投薬量で投与される。処置されている対象の種、及びその医薬に対する個々の応答だけでなく、選択された医薬製剤の種類、並びにそのような投与が行われる期間及び間隔に依存して変動が生じ得る。
いくつかの実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、少なくとも3日、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも5週間、少なくとも10週間、少なくとも15週間、少なくとも20週間、少なくとも30週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、少なくとも12カ月、少なくとも13カ月、少なくとも14カ月、少なくとも15カ月、少なくとも16カ月、少なくとも17カ月、少なくとも18カ月、少なくとも19カ月、少なくとも20カ月、少なくとも21カ月、少なくとも22カ月、少なくとも23カ月、又は少なくとも24カ月投与され得る。例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の投与は、3日~7日、3日~14日、3日~21日、3日~30日、3日~60日、7日~14日、7日~21日、7日~30日、7日~60日、14日~21日、14日~30日、14日~60日、21日~30日、21日~60日、30日~60日、1週間~5週間、3週間~10週間、5週間~20週間、10週間~30週間、20週間~35週間、1週間~1カ月、2週間~2カ月、1カ月~3カ月、1カ月~6カ月、1カ月~9カ月、3カ月~12カ月、6カ月~12カ月、9カ月~12カ月、9カ月~16カ月、12カ月~18カ月、14カ月~24カ月、12カ月~24カ月、又は24カ月以上続いてもよい。
例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、51日、52日、53日、54日、55日、56日、57日、58日、59日、60日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、23カ月又は24カ月投与されてもよい。他の例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、24カ月超、例えば25カ月、26カ月、27カ月、28カ月、29カ月、30カ月、31カ月、32カ月、33カ月、34カ月、35カ月、36カ月、37カ月、38カ月、39カ月、40カ月、41カ月、42カ月、43カ月、44カ月、45カ月、46カ月、47カ月、48カ月、又は48カ月超投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の対象への投与は、1つ以上の負荷用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基を投与し、続いて1つ以上の維持用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基を投与することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の負荷用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基は、1つ以上の維持用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基より多くてもよい。例えば、負荷用量は、約450mgの一日用量、例えば一日経口用量であってもよく、一方維持用量は、約300mgの一日用量、例えば一日経口用量であってもよい。別の例において、負荷用量は、約200mgの一日用量、例えば一日静脈内用量であってもよく、一方維持用量は、約100mgの一日用量、例えば一日静脈内用量、又は300mgの一日用量、例えば一日経口用量であってもよい。
負荷用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基及び維持用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基は、同じ経路又は異なる経路で投与され得る。例えば、負荷用量は静脈内投与されてもよく、維持用量は経口的に投与されてもよい。他の実施形態において、負荷用量及び維持用量の両方が経口的に投与されてもよく、又は負荷用量及び維持用量の両方が静脈内投与されてもよい。
いくつかの例において、負荷用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基は、1日2回投与される経口用量又は静脈内用量であってもよく、維持用量は、1日1回投与される経口用量又は静脈内用量であってもよい。例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、1日2回100mgの静脈内負荷用量として投与され、続いて1日1回100mgの静脈内維持用量として投与されてもよい。別の例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、1日2回100mgの静脈内負荷用量として投与され、続いて1日1回300mgの経口維持用量として投与されてもよい。さらに別の例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、1日2回300mgの経口負荷用量として投与され、続いて1日1回300mgの経口維持用量として投与されてもよい。
別の例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の投与は、1つ以上の負荷用量のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の投与を含まなくてもよい。したがって、いくつかの例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、処置期間にわたり同じ用量で対象に投与されてもよい。例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、約100mg、約200mg又は約300mgの静脈内用量で対象に投与されてもよい。静脈内用量は、処置にわたり1日1回又は2回対象に投与されてもよい。別の例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、約300mg、約450mg又は約600mgの経口用量で対象に投与されてもよい。経口用量は、処置期間にわたり1日1回対象に投与されてもよい。
いくつかの例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基は、単独で、又は少なくとも1種の追加的な治療薬剤と組み合わせて対象に投与され得る。治療薬剤「と組み合わせて」という語句は、オマダサイクリン結晶性遊離塩基及び治療薬剤の同時の投与、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の最初の投与に続く治療薬剤の投与、並びに、治療薬剤の最初の投与に続くオマダサイクリン結晶性遊離塩基の投与を含むことを意図する。一例において、治療薬剤は、抗生物質である。
「約」という用語は、指定された値より15%、10%、8%、5%、3%、2%、1%、又は0.5%大きくても、又は小さくてもよい値の範囲を指す。例えば、「約10%」は、8.5%~11.5%となり得る。一実施形態において、「約」という用語は、指定された値より5%大きい又は小さい値の範囲を指す。別の実施形態において、「約」という用語は、指定された値より2%大きい又は小さい値の範囲を指す。別の実施形態において、「約」という用語は、指定された値より1%大きい又は小さい値の範囲を指す。
本明細書において、例えば対象集団の年齢、投薬量、期間等において値及び範囲が記載された場合は常に、これらの値及び範囲により包含される全ての値及び範囲が本発明の範囲内に包含されることが意図されることを理解されたい。さらに、これらの値及び範囲内の全ての値がまた、範囲の上限又は下限となり得る。
オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法
本発明はまた、オマダサイクリン遊離塩基、例えば粗オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法を提供する。オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法は、いくつかの例において、粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、例えば分取HPLCによる精製に供し、それによりHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を得るステップを含む。いくつかの実施形態において、オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法はまた、HPLC精製後に、ナノ濾過を使用してHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を濃縮し、それによりHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液を得るステップを含んでもよい。いくつかの実施形態において、オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法はまた、ナノ濾過ステップの後に、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液からオマダサイクリン遊離塩基を結晶化させ、それによりオマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を生成するステップを含んでもよい。
本発明により提供されるオマダサイクリン遊離塩基、例えば粗オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法により、(例えば米国特許第9,434,680号に記載のような)オマダサイクリンを精製する以前の方法よりも高いオマダサイクリン精製の処理量及び生産性が達成され得る。具体的には、いくつかの実施形態において、本発明により提供されるオマダサイクリンを精製する方法は、以前の方法よりも低いレベルの不純物、例えば上で示された式(5)で表される4-エピ異性体(β-エピマー)を含む精製オマダサイクリン遊離塩基を生成する。いくつかの実施形態において、本発明により提供されるオマダサイクリンを精製する方法は、以前のオマダサイクリン精製方法よりも大幅に短い処理時間を特徴とする。「処理時間」という用語は、本明細書で使用される場合、粗オマダサイクリン遊離塩基から出発して1キログラムのオマダサイクリン結晶性遊離塩基を生成するために必要な時間を指す。いくつかの例において、「処理時間」という用語は、図6に示される手順、すなわちHPLC、ナノ濾過及び結晶化のステップを含む手順に従って1キログラムのオマダサイクリン結晶性遊離塩基を生成するために必要な時間である。いくつかの例において、「処理時間」という用語は、結晶化後にオマダサイクリン結晶性遊離塩基を乾燥させるための時間を含まない。
例えば、以前の方法と比較して、本発明は、処理時間を以前の方法で必要とされる処理時間と比較して2分の1以下、例えば約3分の1以下、約4分の1以下、約5分の1以下、約6分の1以下、約7分の1以下、約8分の1以下、約9分の1以下、約10分の1以下、約11分の1以下、又は約12分の1以下に低減することを可能にする。1つの特定の実施形態において、本発明は、処理時間を約12分の1以下に、すなわち以前の方法で達成される約73.9時間から約6.1時間に低減することを可能にする。
高速液体クロマトグラフィー
いくつかの例において、オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法は、粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、例えば分取HPLCによる精製に供し、それによりHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を得るステップを含む。粗オマダサイクリン遊離塩基のHPLCによる精製は、不純物、例えば上述の化合物(3)、(4)及び(5)、並びに合成副生成物の除去を可能にする。粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液は、粗オマダサイクリン遊離塩基を調製するための本技術分野において知られている任意の方法、例えば上記スキーム1に示される手順により、又は例えばそれぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,434,680号、米国特許第9,522,872号若しくは米国特許第8,383,610号に記載の方法により得ることができる。
いくつかの実施形態において、HPLC精製は、固定相、例えば逆相(RP)の使用を含む。本発明の文脈において使用され得る固定相は、粗オマダサイクリン遊離塩基の適正な精製を提供する任意の固定相であり得る。いくつかの例において、RP固定相は、C18固定相であってもよい。いくつかの例において、RP固定相は、約50Å~約200Å、例えば約50Å~約90Å、約80Å~約150Å、約120Å~約200Å又は約100Åの細孔サイズを有し得る。いくつかの例において、RP固定相は、約0.5μm~約20μm、例えば約0.5μm~約5μm、約2μm~約15μm、約5μm~約20μm、又は約10μmの粒子サイズを有し得る。一例において、RP固定相は、約100Åの細孔サイズ及び約10μmの粒子サイズを有するC18相であってもよい。一実施形態において、RP固定相は、PhenomenexからのLuna(登録商標)10μm PREP C18(2) 100Å、LC Column 250×21.2mm、AXIA(商標)Packed、Eaであってもよい。別の実施形態において、RP固定相は、Synergi Polar RP10 10μ 80Åであってもよい。
いくつかの実施形態において、HPLC精製は、移動相、例えば溶出緩衝液、例えば溶出緩衝液A及び溶出緩衝液Bの使用を含む。溶出緩衝液Aは、水及び有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、塩化メチレン又はアセトニトリルの混合物を含み得る。特定の実施形態において、緩衝液Aは、水及びアセトニトリルを含む。溶出緩衝液Aはまた、いくつかの例において、無機塩、例えばリン酸塩(例えばリン酸カリウム、二塩基性リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム若しくはリン酸アンモニウム)、酢酸塩(例えば酢酸アンモニウム、酢酸カリウム若しくは酢酸ナトリウム)又はギ酸塩(例えばギ酸ナトリウム又はギ酸カリウム)を含み得る。溶出緩衝液Bは、有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、塩化メチレン又はアセトニトリルを含み得る。特定の実施形態において、溶出緩衝液Bは、アセトニトリルを含む。
いくつかの実施形態において、溶出緩衝液A及び/又は溶出緩衝液Bはまた、メチルスルホン酸ではない強酸(例えば塩酸)、弱酸及び有機アミンからなる群から選択される調整剤を含み得る。他の実施形態において、弱酸及び有機アミンからなる群から選択される調整剤が、HPLC精製の前に粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液に添加され得る。
本明細書で使用される場合、「調整剤」という用語は、溶出緩衝液A及び/若しくは溶出緩衝液B、並びに/又は粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液に添加された場合に、HPLCによる粗オマダサイクリン遊離塩基の精製を促進する化学薬品を指す。
本明細書で使用される場合、「弱酸」という用語は、溶液、例えば水溶液に溶解された場合に完全には解離しない酸を指す。いくつかの実施形態において、弱酸は、約3.0~約6.0のpKaを有する酸である。
いくつかの実施形態において、調整剤は弱酸であってもよい。本発明の文脈において調整剤として使用され得る弱酸の限定されない例は、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、亜硫酸、リン酸、亜硝酸、フッ化水素酸、安息香酸、酢酸及びギ酸を含み得る。例えば、弱酸は、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、酢酸及びギ酸からなる群から選択され得る。1つの特定の例において、弱酸は酢酸であってもよい。
他の実施形態において、調整剤は有機アミンであってもよい。本発明の文脈において調整剤として使用され得る有機アミンの限定されない例は、3-エタノールアミン、ジエチルアミン及びトリメチルアミンを含む。
1つの特定の実施形態において、調整剤は弱酸、例えば酢酸である。さらなる例において、弱酸、例えば酢酸は、溶出緩衝液Aに添加される。別のさらなる例において、弱酸、例えば酢酸は、溶出緩衝液Bに添加される。別のさらなる例において、弱酸、例えば酢酸は、HPLC精製の前に粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液に添加される。
特定の理論に束縛されることを望まないが、ある特定の調整剤、例えば弱酸、例えば酢酸は、HPLC精製の前に溶出緩衝液A及び/若しくは溶出緩衝液B、並びに/又は粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液に添加された場合、オマダサイクリンに対して使用されていた以前のHPLCベースの精製方法と比較して、HPLCによるオマダサイクリン遊離塩基のより迅速でより効率的な精製を可能にすると考えられる。以前のオマダサイクリン精製方法、例えば参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる米国特許第8,946,196号に記載の方法は、強酸、すなわちメタンスルホン酸を移動相の調整剤として利用していた。特定の理論に束縛されることを望まないが、HPLC精製の前に弱酸、例えば酢酸を溶出緩衝液A及び/若しくは溶出緩衝液B、並びに/又は粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液に添加することにより、オマダサイクリン遊離塩基に対応する明確なHPLCピーク、例えば明瞭な境界を有するHPLCピークが生成されると考えられる。これは一方で、以前の精製方法で必要とされていたように、多くのHPLC画分の代わりにオマダサイクリン遊離塩基を含む単一のHPLC画分又はいくつかのHPLC画分を収集すること可能にする。これは一方で、大幅に少ない量のHPLC用溶媒を使用しながら、より多くの材料、すなわち粗オマダサイクリン遊離塩基をHPLCカラムに投入し、以前の精製方法よりはるかに短時間でHPLC画分を収集することを可能にする。さらに、これはまた、以前の精製方法と比較して、生成物、すなわちオマダサイクリン遊離塩基のより良好な精製効果及び/又は回収の達成を可能にする。これによって、本発明のHPLC精製方法は、大量のオマダサイクリン遊離塩基の精製に特に適したものとなる。
オマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体の純度の1つの尺度は、上で示される式(5)で表される4-エピ異性体(β-エピマー)の含有量により定義される。いくつかの例において、HPLC、例えば分取HPLCによる粗オマダサイクリン遊離塩基の精製は、かなりの量のβ-エピマーの除去をもたらす。例えば、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液中に存在するβ-エピマーの量は、HPLCトレースの%曲線下面積により測定した場合、粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液中に存在するβ-エピマーの量より少なくとも50%、例えば少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも650%、少なくとも700%、少なくとも750%、少なくとも800%、少なくとも850%、少なくとも900%、少なくとも950%又は少なくとも1000%低い。例えば、本明細書に記載の実施例1、表2において、β-エピマーの%含有量は、粗オマダサイクリン遊離塩基の溶液中に存在する約11.13%のβ-エピマーから、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基の溶液中に存在する約1.71%のβ-エピマーに低減された。
ナノ濾過
いくつかの実施形態において、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含有するHPLC画分は、ナノ濾過を使用して濃縮され、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基の濃縮溶液を生成し得る。いくつかの実施形態において、ナノ濾過後、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基の濃縮溶液は、溶媒、例えばジクロロメタン(DCM)で抽出されてもよい。他の実施形態において、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基の濃縮溶液は、溶媒、例えばDCMで抽出されず、後述されるようにオマダサイクリン遊離塩基の結晶化に直接使用される。
対照的に、以前のオマダサイクリン精製方法、例えば米国特許第8,946,196号に記載の方法は、ナノ濾過を利用しておらず、溶媒、例えばDCMによる抽出のみを利用していた。本発明の方法によるHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含有するHPLC画分のナノ濾過による濃縮は、ナノ濾過ステップ後に行われる抽出に必要な溶媒の量を大幅に低減することを可能にする。例えば、本明細書の実施例3に記載のように、DCMによる抽出の前にナノ濾過を使用することで、71.04グラムのHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液を生成するために、892mLのDCMが必要であった。それと比較して、ナノ濾過なしで同じ量のHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液を生成するためには、およそ43.97LのDCM、又はおよそ49倍多いDCMが必要となる。したがって、DCMによるHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基の抽出を含む本発明の例示的実施形態において、ナノ濾過は、抽出に必要な溶媒、例えばDCMの量を、約5分の1以下、約10分の1以下、約15分の1以下、約20分の1以下、約25分の1以下、約30分の1以下、約35分の1以下、約40分の1以下、約45分の1以下、又は約50分の1以下に低減することを可能にする。いくつかの実施形態において、ナノ濾過は、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基の抽出に必要な溶媒、例えばDCMの量を、約5~約10分の1、約10~約20分の1、約15~約30分の1、約20~約40分の1、又は約25~約50分の1に低減することを可能にする。
いくつかの例において、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含有するHPLC画分を濃縮するためのナノ濾過は、溶媒、例えばDCMによるその後の抽出なしで行われる。これらの例において、ナノ濾過後に得られたHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液は、後述のようにオマダサイクリン遊離塩基の結晶化に直接使用され得る。したがって、これらの例において、ナノ濾過の使用は、溶媒の必要性を排除する。
HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を濃縮するための溶媒、例えばDCMの体積を低減すること、又は溶媒、例えばDCMの使用を排除することにより、精製手順のコストが削減され、また多量の塩素化廃棄物の処分の必要性が排除される。HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を濃縮するための溶媒、例えばDCMの使用を排除することにより、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液からDCMを除去するための蒸発ステップの必要性も排除される。蒸発ステップは、オマダサイクリン遊離塩基の分解を引き起こし得、その排除は、オマダサイクリン結晶性遊離塩基の回収率の増加をもたらす。
ナノ濾過は、膜を通してHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を濾過することを含む。ナノ濾過の間、濾過されている溶液の一部は膜を通過して濾液を形成し、一方膜の上に残留している溶液は保持液である。本発明の方法において、オマダサイクリン遊離塩基の大部分は保持液中に残留し、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液を形成する。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、ナノ濾過のステップは、保持液を収集することをさらに含み得る。
本発明の方法ステップによるナノ濾過に好適な膜は、溶媒を膜に通過させながらオマダサイクリン遊離塩基の保持を可能にする任意の膜を含み得る。いくつかの例において、ナノ濾過膜は、約150~約500ダルトン、例えば約150~約300ダルトン、約200~約400ダルトン、又は約300~500ダルトンの範囲の分子量カットオフ(MWCO)を有し得る。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ナノ濾過の前に、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液に酸化防止剤を添加するステップをさらに含み得る。例えば、酸化防止剤は、約0.01%~約0.5%w/vの酸化防止剤の、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液中の酸化防止剤の濃度を達成するのに十分な量で添加され得る。
HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液に添加され得る酸化防止剤は、アスコルビン酸(ビタミンC)、グルタチオン、リポ酸、カロテン、α-トコフェロール(ビタミンE)、ユビキノール(コエンザイムQ)、デフェロキサミン及び重亜硫酸塩、例えば重亜硫酸ナトリウムからなる群から選択され得る。
ナノ濾過プロセスは、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液である保持液をもたらす。いくつかの例において、保持液中のオマダサイクリンの濃度は、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液、すなわちHPLC精製の結果収集された画分中のオマダサイクリンの濃度より少なくとも約2倍高い、例えば少なくとも約4倍高い、少なくとも約5倍高い、少なくとも約8倍高い、少なくとも約10倍高い、少なくとも約20倍高い、又は少なくとも約50高い。
結晶化
いくつかの実施形態において、オマダサイクリン遊離塩基を精製する方法はまた、ナノ濾過及び溶媒による抽出後、又は溶媒による抽出なしでのナノ濾過後、オマダサイクリン遊離塩基を結晶化させ、それによりオマダサイクリン結晶性遊離塩基を生成するステップを含み得る。例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体を生成するためのオマダサイクリン遊離塩基の結晶化は、本明細書で上述された方法に従って行われ得る。
オマダサイクリン遊離塩基が溶媒、例えばDCMによる抽出なしでナノ濾過後に濃縮溶液から結晶化される実施形態において、結晶化に使用され得る溶媒は、アセトン及び水の混合物、アセトニトリル及び水の混合物、並びにイソプロパノール及び水の混合物からなる群から選択され得る。一例において、結晶化に使用され得る溶媒は、アセトン及び水の混合物であってもよい。
オマダサイクリン遊離塩基がナノ濾過及び溶媒、例えばDCMによる抽出後に濃縮溶液から析出される実施形態において、ヘプタン及びメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)が、DCM濃縮物から非晶質遊離塩基を析出させるために使用され得る。
いくつかの態様において、結晶化の結果生成されるオマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体は、%w/wで測定された場合、少なくとも90%純粋、例えば少なくとも95%純粋、少なくとも96%純粋、少なくとも97%純粋、少なくとも98%純粋、少なくとも99%純粋、少なくとも99.1%純粋、少なくとも99.5%純粋、又は少なくとも99%純粋である。本明細書で使用される場合、「純粋」又は「純度」は、%w/wで測定された場合、約90~100%純粋、例えば約95~100%純粋、98~100%純粋、又は約99~100%純粋な化合物を指す。いくつかの実施形態において、純粋なオマダサイクリン遊離塩基は、約10%未満、約5%未満、約2%未満又は約1%未満の不純物を含む。不純物は、例えば、分解生成物、酸化生成物、エピマー、溶媒、及び/又は他の望ましくない不純物の1つ以上を含み得る。
HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液からのオマダサイクリン遊離塩基の結晶化は、例えばβ-エピマー含有量により測定されるように、オマダサイクリン遊離塩基のさらなる精製をもたらす。例えば、オマダサイクリン結晶性遊離塩基中のβ-エピマー含有量は、HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液のβ-エピマー含有量と比較して少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%低減され得る。β-エピマーの%含有量は、HPLCトレースの曲線下総面積に対するβ-エピマーに対応する%総ピーク面積として測定される。
いくつかの例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体中のβ-エピマーの含有量は、10%以下、例えば5%以下、2%以下、1%以下、0.9%以下、0.5%以下、0.1%以下、0.05%以下、又は0.01%以下である。1つの特定の例において、オマダサイクリン結晶性遊離塩基、例えば上述のオマダサイクリン結晶性遊離塩基の多形体中のβ-エピマーの含有量は、0.9%以下である。β-エピマーの%含有量は、HPLCトレースの曲線下総面積に対するβ-エピマーに対応する%総ピーク面積として測定される。
本発明により提供されるオマダサイクリン遊離塩基を精製する方法は、(例えば米国特許第9,434,680号に記載のような)オマダサイクリンを精製する以前の方法に勝る利点を提供する。本発明により提供されるオマダサイクリン遊離塩基を精製する方法により、以前の方法と比較してより高いオマダサイクリン精製の処理量及び生産性が達成され得る。
以下の表1は、以前のオマダサイクリン精製方法と本発明の方法との比較を示す。具体的には、表1は、HPLCカラムに投入される材料の量、計算された%回収率及び総処理時間を以前の方法と本発明の方法とで比較したものである。
Figure 2023530415000014
括弧内に示されるHPLCカラムに投入される粗オマダサイクリン材料の量は、アッセイに関して補正された、すなわち投入された材料中に存在するオマダサイクリンの実際の量に関して補正された量である。この数字は、HPLCカラムに投入された粗オマダサイクリン材料中に存在するオマダサイクリンの実際の量を反映している。アッセイに関して補正された粗オマダサイクリン材料の量は、既知の量の粗オマダサイクリン材料により生成されたHPLCシグナルを、既知の高純度のオマダサイクリン標準を使用して生成された較正曲線と比較することにより決定され得る。
計算された%回収率は、アッセイに関して補正された精製後に得られた結晶性オマダサイクリン遊離塩基の量を、アッセイに関して補正されたHPLCカラムに投入された粗オマダサイクリンの量で除し、100%を乗じることにより決定され得る。
表1は、本発明のオマダサイクリン遊離塩基の精製方法が、大幅により多量の粗オマダサイクリンをHPLCカラムに投入することを可能にし、それによりHPLC精製に必要な樹脂の量を大幅に低減することを実証している。本発明のオマダサイクリン遊離塩基の精製方法はまた、より高い計算された回収率をもたらし、1キログラムの純粋なオマダサイクリン遊離塩基を生成するのに必要な処理時間を、約73.9時間から約6.1時間に大幅に短縮する。以前のオマダサイクリンの精製方法と比較して上記の利益を提供する一方で、本発明のオマダサイクリン遊離塩基の精製方法は、以前の方法を使用して得られたオマダサイクリンと少なくとも同程度に純粋なオマダサイクリン遊離塩基を提供する。いくつかの実施形態において、本発明のオマダサイクリンの精製方法は、%w/wで測定された場合、少なくとも90%純粋、例えば少なくとも95%純粋、少なくとも96%純粋、少なくとも97%純粋、少なくとも98%純粋、少なくとも99%純粋、少なくとも99.1%純粋、少なくとも99.5%純粋、又は少なくとも99%純粋なオマダサイクリン遊離塩基を提供する。
これらの特性によって、本発明のHPLC精製方法は、大量のオマダサイクリン遊離塩基の精製に特に適したものとなる。
オマダサイクリンのトシル酸塩を合成する方法
本発明はまた、オマダサイクリン結晶性遊離塩基からオマダサイクリンのトシル酸塩を調製する方法を提供する。例えば、本発明の方法によれば、オマダサイクリンのトシル酸塩は、オマダサイクリン結晶性遊離塩基をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得ることにより調製され得る。いくつかの例において、オマダサイクリンのトシル酸塩は、オマダサイクリンの結晶性トシル酸塩、例えば、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる米国特許第8,383,610号に記載のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩の形態1の多形体、形態2の多形体又は形態3の多形体である。
オマダサイクリン遊離塩基からオマダサイクリンのトシル酸塩、例えば結晶性トシル酸塩、例えば形態1の多形体、形態2の多形体又は形態3の多形体を合成する方法は当技術分野において知られており、例えば、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる米国特許第8,383,610号に記載されている。
いくつかの例において、粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液からオマダサイクリンのトシル酸塩を調製する方法は、
粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液をHPLCによる精製に供し、それによりHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を得るステップ、
ナノ濾過を使用してHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を濃縮し、それによりHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液を得るステップ、
HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液からオマダサイクリン遊離塩基を結晶化させ、それによりオマダサイクリン結晶性遊離塩基を生成するステップ、及び
オマダサイクリン結晶性遊離塩基をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得るステップ
を含む。
上述のオマダサイクリンのトシル酸塩を調製するための手順を示すスキームを、図7に示す。
粗オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液をHPLCによる精製に供し、それによりHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を得るステップは、本明細書において前項で説明したように行うことができる。
ナノ濾過を使用してHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む溶液を濃縮し、それによりHPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液を得るステップは、本明細書において前項で説明したように行うことができる。
HPLC精製オマダサイクリン遊離塩基を含む濃縮溶液からオマダサイクリン遊離塩基を結晶化させ、それによりオマダサイクリン結晶性遊離塩基を生成するステップは、本明細書において前項で説明したように行うことができる。
本発明はまた、上述の方法により得られるオマダサイクリンのトシル酸塩を提供する。いくつかの例において、オマダサイクリンのトシル酸塩は、オマダサイクリンの結晶性トシル酸塩、例えば米国特許第8,383,610号に記載のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩の形態1の多形体、形態2の多形体又は形態3の多形体である。
いくつかの実施形態において、本発明はまた、オマダサイクリンのトシル酸塩を含む医薬組成物を提供し、オマダサイクリンのトシル酸塩は、上述の方法により得られる。オマダサイクリンのトシル酸塩は、オマダサイクリンの結晶性トシル酸塩、例えばオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩の形態1の多形体、形態2の多形体又は形態3の多形体であってもよい。オマダサイクリンのトシル酸塩を含む例示的医薬組成物は、例えば、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる米国特許第9,314,475号に記載されている。
本発明はまた、細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、本発明の方法に従い調製されたオマダサイクリンのトシル酸塩を対象に投与するステップを含む方法を提供する。また、細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、本発明の方法を使用して調製されたオマダサイクリンのトシル酸塩を含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法もまた、本明細書において提供される。
いくつかの例において、細菌感染症は、グラム陽性又はグラム陰性細菌により引き起こされ得る。いくつかの例において、細菌感染症は、他のテトラサイクリン化合物に対して耐性である細菌により引き起こされ得る。いくつかの例において、細菌感染症は、クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae)、サルモネラ菌(Salmonella)、エンテロコッカス・ヒラエ(E. hirae)、アシネトバクター・バウマニー(A. baumanii)、ブランハメラ・カタラーリス(B. catarrhalis)、ヘモフィルス・インフルエンザ(H. influenza)、緑膿菌(P. aeruginosa)、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)、大腸菌(E. coli)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)及びエンテロコッカス・フェカリス(E. faecalis)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされ得る。
一例において、細菌感染症は、急性細菌性皮膚組織感染症(ABSSSI)である。いくつかの実施形態において、ABSSSIは、グラム陽性又はグラム陰性細菌、例えば菌血症を伴う場合を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感受性及び耐性分離株)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・アンギノーサス(Streptococcus anginosus)群(ストレプトコッカス・アンギノーサス(S. anginosus)、ストレプトコッカス・インターメディウス(S. intermedius)及びストレプトコッカス・コンステラタス(S. constellatus)を含む)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)(バンコマイシン感受性分離株)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、プレボテラ・メラニノゲニカ(Prevotella melaninogenica)、及びフィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされ得る。
別の例において、細菌感染症は、市中感染性細菌性肺炎(CABP)であってもよい。いくつかの実施形態において、CABPは、グラム陽性、グラム陰性又は非定型細菌、例えば菌血症を伴う場合を含む肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(ペニシリン感受性及び耐性分離株、マクロライド耐性分離株)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感受性分離株)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)(ベータ-ラクタマーゼ陰性及び陽性分離株)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、及びクラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされ得る。
別の例において、細菌感染症は、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)感染である。
さらに別の例において、細菌感染症は、尿路感染(UTI)であってもよい。
発明の例示
[実施例1]
アセトンからのオマダサイクリン遊離塩基の結晶化
この実施例は、アセトンからオマダサイクリンの遊離塩基を結晶化させ、結晶性生成物を特性評価するための典型的な手順を例示する。オマダサイクリンの遊離塩基を、ナノ濾過後に得られた保持液から結晶化させた。80~100mg/mLの濃度を有する保持液を同体積のアセトンで希釈し、種結晶を入れて撹拌し、オマダサイクリン遊離塩基の結晶化をもたらした。生成物を濾過し、乾燥させた。
オマダサイクリンの結晶性遊離塩基をXRPD分析により特性評価した。得られたXRPDスペクトルを図1に示す。図1のXRPDスペクトルに存在する顕著なピーク(°2θ)を、以下の表2に列挙する。
Figure 2023530415000015
結晶化は、表3に示されるデータから明らかなように、特にβ-エピマーの除去に関してオマダサイクリン遊離塩基の全体的な純度を改善した。
Figure 2023530415000016
[実施例2]
オマダサイクリン遊離塩基を結晶化させるためのさらなる溶媒の特定
この実験の目的は、オマダサイクリン遊離塩基を結晶化させるために使用され得るアセトン以外のさらなる溶媒を特定することである。
材料及び方法
使用した出発材料は、異なるバッチのオマダサイクリンからの精製遊離塩基を希塩酸に溶解することにより調製された非晶質遊離塩基であった。塩基を中性pHでジクロロメタン(DCM)により抽出し、抽出物を濃縮及び乾燥させた。得られた材料は橙色粉末であり、HPLCにより決定すると、98.22%の面積%による純度及び1.44%のβ-エピマーレベルを有していた。
最初の結晶化の試みは、0.5グラムスケールのオマダサイクリンに対して行い、溶媒の典型的な体積は10mLであった。非晶質オマダサイクリンの結晶化のために、41の異なる溶媒又は溶媒の組合せを試験した。溶媒の二成分の組合せの場合、第2の溶媒の含有量は、ほとんどの場合5%を超えなかった。オマダサイクリンの溶液混合物を室温で一晩撹拌した。形成したいかなる固体も、濾過、洗浄及び乾燥させた。それぞれの場合において、固体及び濾液の試料をHPLCで分析し、出発材料と比較した。生成物の結晶化度に関する結論はHPLCの結果に基づいた。結晶性生成物は出発材料よりも純粋なはずである。
これらの最初のHPLC結果に基づいて、結晶化のための3種の溶媒を選択し、1グラムスケールでの別の結晶化に使用した。これらの3種の溶媒は、イソプロパノール、アセトニトリル及び2-ブタノン(メチルエチルケトン)であり、全ての場合において5%の水を含んでいた。次いで、これらの3つの結晶化の生成物に対して、XRPD分析により結晶化度の確認を行い、オマダサイクリンの対照結晶性遊離塩基と比較した。
結果
以下の表4は、出発材料と3種の生成物との間のHPLC純度の比較を含む。生産収率もまた示されている。結晶化に使用された全ての溶媒が、5%の水を含有していた。
Figure 2023530415000017
表4に列挙される結晶化の生成物に対して、XRPD分析により結晶化度の確認を行った。図2は、湿潤アセトニトリルから結晶化させたオマダサイクリン遊離塩基のXRPDスペクトルを示す。図3は、湿潤イソプロパノールから結晶化させたオマダサイクリン遊離塩基のXRPDスペクトルを示す。図4は、湿潤2-ブタノンから結晶化させたオマダサイクリン遊離塩基のXRPDスペクトルを示す。図5は、オマダサイクリンの対照結晶性遊離塩基のXRPDスペクトルを示す。図1~3を図4と比較することにより明らかなように、湿潤アセトニトリル、湿潤イソプロパノール及び湿潤2-ブタノンからの結晶化の生成物は結晶性であった。
[実施例3]
オマダサイクリンの水溶液の濃縮のためのナノ濾過の使用
この実験の目的は、分取HPLCによる精製後に、オマダサイクリン遊離塩基の水溶液を濃縮するためにナノ濾過を効果的に使用することができることを実証することであった。典型的な実験において、150グラムのオマダサイクリンの粗遊離塩基(純度67.4%w/w、アッセイに対して101.1グラムに調節)をHPLCにより精製した。さらなる処理のために、4070mlの水/アセトニトリルの93:7混合物中の80.34gのオマダサイクリン(濃度19.74mg/mL)を含有する画分を選択した。この溶液を、2000mL及び2070mLの2つの部分に分けてナノ濾過により濃縮した。生産物として、全部で76.09グラムの生成物を含有する80.67mg/mL及び52.46mg/mLの濃度の2つの保持溶液が得られた。各保持溶液をDCMによる抽出に供して、オマダサイクリンを乾燥粉末として得、アッセイに関して71.04グラムに補正した。合計で892mLのDCMが抽出回収に使用された。それと比較して、オマダサイクリンの水溶液を濃縮するためにDCMによる抽出を利用するプロセスは、同量の生成物に対しておよそ43.97LのDCMを必要とする。ナノ濾過の第2の部分が第1の部分と同じレベル(すなわち約80mg/mL)まで濃縮されれば、DCM体積のさらなる低減が可能であろう。
ナノ濾過の結果得られた保持溶液をDCMによる抽出に供することは、任意選択的であることに留意されたい。以下の実施例4に記載のように、オマダサイクリンの遊離塩基を保持溶液から直接結晶化させて、結晶性オマダサイクリン遊離塩基を生成してもよい。
次のステップにおいて、オマダサイクリン遊離塩基をトシル化/結晶化手順に供し、82.85グラム(アッセイに関して59.17グラムに調節)の量のトシル酸塩を得た。生成物の純度は仕様の範囲内であった。
[実施例4]
結晶性遊離塩基を介したオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩の生成
この実験の目的は、結晶性遊離塩基を介してオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩を生成することであった。オマダサイクリンの遊離塩基の結晶化は、26.4kgの粗オマダサイクリンを含有する、分取HPLCによる粗遊離塩基の精製及びナノ濾過後に得られた保持液を使用して行った。保持液を反応器に移し、これに同量のアセトンを添加し、溶液を20~25℃に加熱した。酢酸/トリメチルアミン(AcOH/TEA)を使用して、溶液のpHを7.8~8.0に調節し、アセトン/水混合物中の種結晶を添加した。反応混合物を20~25℃で8~12時間撹拌し、濾過した。黄色固体をアセトン-水混合物で洗浄し、乾燥させた。オマダサイクリンの結晶性遊離塩基の補正収率は、10.62kg(41.8%)であった。
オマダサイクリンの結晶性トシル酸塩を調製するために、アセトン/水中のp-トルエンスルホン酸の溶液をガラス反応器内で調製した。それと並行して、第2の反応器内で、乾燥アセトン中の9.76kgのオマダサイクリンの結晶性遊離塩基を含有する溶液を、25~30℃の温度で調製した。その後、p-トルエンスルホン酸溶液の体積の20%を、25~30℃の温度で第2の反応器に添加した。反応混合物に種結晶を入れ、p-トルエンスルホン酸溶液の残りを2~3時間の期間にわたり移した。得られた懸濁液を10~15℃で1~3時間撹拌し、濾過し、洗浄及び乾燥させた。オマダサイクリンの結晶性トシル酸塩の収量は、11.78kg(92.2%)であった。
均等物
当業者は、本明細書に記載の特定の実施形態及び方法の多くの均等物を認識し、又は慣例的にすぎない実験を用いて確認することができる。そのような均等物は、本発明の範囲に包含されることが意図される。本明細書において引用された全ての特許、特許出願及び参考文献は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。

Claims (85)

  1. 式(1)で表されるオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態:
    Figure 2023530415000018
  2. オマダサイクリンが式(2)で表される、請求項1に記載の結晶形態:
    Figure 2023530415000019
  3. およそ7.25°2θのピーク、
    およそ7.37°2θのピーク、
    およそ10.33°2θのピーク、
    およそ12.58°2θのピーク、
    およそ12.81°2θのピーク、
    およそ14.75°2θのピーク、
    およそ16.44°2θのピーク、
    およそ17.86°2θのピーク、
    およそ19.32°2θのピーク、
    およそ19.44°2θのピーク、
    およそ19.62°2θのピーク、
    およそ22.19°2θのピーク、及び
    およそ23.38°2θのピーク
    からなる群から選択される少なくとも1つのピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項1又は2に記載の結晶形態の多形体。
  4. およそ7.25°2θのピーク、
    およそ7.37°2θのピーク、
    およそ12.58°2θのピーク、
    およそ12.81°2θのピーク、
    およそ16.44°2θのピーク、及び
    およそ17.86°2θのピーク
    を含む粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項3に記載の多形体。
  5. およそ7.25°2θのピーク、
    およそ7.37°2θのピーク、
    およそ10.33°2θのピーク、
    およそ12.58°2θのピーク、
    およそ12.81°2θのピーク、
    およそ14.75°2θのピーク、
    およそ16.44°2θのピーク、
    およそ17.86°2θのピーク、
    およそ19.32°2θのピーク、
    およそ19.44°2θのピーク、
    およそ19.62°2θのピーク、
    およそ22.19°2θのピーク、及び
    およそ23.38°2θのピーク
    を含む粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項3に記載の多形体。
  6. 請求項3から5のいずれか一項に記載の多形体を調製する方法であって、有機溶媒及び水を含む溶媒系からオマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させるステップを含む方法。
  7. 有機溶媒及び水が、約5:95v/v~約95:5v/vの範囲の有機溶媒:水の比で溶媒系中に存在する、請求項6に記載の方法。
  8. 有機溶媒が、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 有機溶媒がアセトンである、請求項8に記載の方法。
  10. アセトン及び水が、約50:50v/vのアセトン:水の比で溶媒系中に存在する、請求項9に記載の方法。
  11. 有機溶媒が、イソプロパノール、アセトニトリル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  12. 有機溶媒及び水を含む溶媒系からオマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させるステップを含む方法により調製される、式(1)で表されるオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態の多形体:
    Figure 2023530415000020
  13. 有機溶媒及び水が、約5:95v/v~約95:5v/vの範囲の有機溶媒:水の比で溶媒系中に存在する、請求項12に記載の多形体。
  14. 有機溶媒が、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンからなる群から選択される、請求項13に記載の多形体。
  15. 有機溶媒がアセトンである、請求項14に記載の多形体。
  16. アセトン及び水が、約50:50v/vのアセトン:水の比で溶媒系中に存在する、請求項15に記載の多形体。
  17. 有機溶媒が、イソプロパノール、アセトニトリル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される、請求項14に記載の多形体。
  18. およそ7.25°2θのピーク、
    およそ7.37°2θのピーク、
    およそ10.33°2θのピーク、
    およそ12.58°2θのピーク、
    およそ12.81°2θのピーク、
    およそ14.75°2θのピーク、
    およそ16.44°2θのピーク、
    およそ17.86°2θのピーク、
    およそ19.32°2θのピーク、
    およそ19.44°2θのピーク、
    およそ19.62°2θのピーク、
    およそ22.19°2θのピーク、及び
    およそ23.38°2θのピーク
    からなる群から選択される少なくとも1つのピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項12から17のいずれか一項に記載の多形体。
  19. およそ7.25°2θのピーク、
    およそ7.37°2θのピーク、
    およそ12.58°2θのピーク、
    およそ12.81°2θのピーク、
    およそ16.44°2θのピーク、及び
    およそ17.86°2θのピーク
    を含む粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項18に記載の多形体。
  20. およそ7.25°2θのピーク、
    およそ7.37°2θのピーク、
    およそ10.33°2θのピーク、
    およそ12.58°2θのピーク、
    およそ12.81°2θのピーク、
    およそ14.75°2θのピーク、
    およそ16.44°2θのピーク、
    およそ17.86°2θのピーク、
    およそ19.32°2θのピーク、
    およそ19.44°2θのピーク、
    およそ19.62°2θのピーク、
    およそ22.19°2θのピーク、及び
    およそ23.38°2θのピーク
    を含む粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項18に記載の多形体。
  21. 式(1)で表されるオマダサイクリンの遊離塩基形態を精製する方法であって、
    Figure 2023530415000021
    前記方法が、
    オマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製に供するステップであって、
    HPLCが、弱酸及び有機アミンからなる群から選択される調整剤の使用を含み、それによりオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を得るステップ
    を含む方法。
  22. 調整剤が弱酸であり、弱酸は、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、亜硫酸、リン酸、亜硝酸、フッ化水素酸、安息香酸、酢酸及びギ酸からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 弱酸が酢酸である、請求項22に記載の方法。
  24. 調整剤が、HPLC中に移動相に添加される、又は、調整剤が、HPLCカラムに投入される前にオマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液に添加される、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 移動相が溶出緩衝液A及び溶出緩衝液Bを含み、溶出緩衝液Aは水及びアセトニトリルを含み、並びに/又は溶出緩衝液Bはアセトニトリルを含む、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液中のオマダサイクリンのベータエピマー不純物の量が、オマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液中に存在するオマダサイクリンのベータエピマー不純物の量の5分の1以下である、請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. ナノ濾過を使用してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濃縮するステップであって、
    ナノ濾過は、膜を通してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濾過して、濾液及び保持液を形成することを含み、保持液は、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む濃縮溶液であるステップ
    をさらに含む、請求項21から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 保持液を収集するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  29. ナノ濾過の前に、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液に酸化防止剤を添加するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
  30. 酸化防止剤が、約0.01%~約0.5%w/vの前記溶液中の酸化防止剤の濃度を達成するのに十分な量で添加される、請求項29に記載の方法。
  31. 膜が、約150~約500ダルトンの範囲の分子量カットオフ(MWCO)を有する、請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 保持液中のオマダサイクリンの濃度が、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液中のオマダサイクリンの濃度より少なくとも約2倍高い、請求項27から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. オマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させ、それによりオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態を得るステップをさらに含む、請求項21から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. オマダサイクリンの遊離塩基形態が、有機溶媒及び水を含む溶媒系から結晶化される、請求項33に記載の方法。
  35. 有機溶媒及び水が、約5:95v/v~約95:5v/vの範囲の有機溶媒:水の比で溶媒系中に存在する、請求項34に記載の方法。
  36. 有機溶媒が、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
  37. 有機溶媒がアセトンである、請求項36に記載の方法。
  38. アセトン及び水が、約50:50v/vのアセトン:水の比で溶媒系中に存在する、請求項37に記載の方法。
  39. 有機溶媒が、イソプロパノール、アセトニトリル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
  40. オマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態が、
    およそ7.25°2θのピーク、
    およそ7.37°2θのピーク、
    およそ10.33°2θのピーク、
    およそ12.58°2θのピーク、
    およそ12.81°2θのピーク、
    およそ14.75°2θのピーク、
    およそ16.44°2θのピーク、
    およそ17.86°2θのピーク、
    およそ19.32°2θのピーク、
    およそ19.44°2θのピーク、
    およそ19.62°2θのピーク、
    およそ22.19°2θのピーク、及び
    およそ23.38°2θのピーク
    からなる群から選択される少なくとも1つのピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする多形体である、請求項33から39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 式(1)で表されるオマダサイクリンのトシル酸塩を調製する方法であって、
    Figure 2023530415000022
    前記方法が、
    請求項21から40のいずれか一項に記載の方法によりオマダサイクリンの遊離塩基形態を精製し、それによりオマダサイクリンの精製遊離塩基形態を得るステップ、及び
    前記オマダサイクリンの精製遊離塩基形態をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得るステップ
    を含む方法。
  42. 式(1)で表されるオマダサイクリンのトシル酸塩を調製する方法であって、
    Figure 2023530415000023
    前記方法が、
    オマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させ、それによりオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態を得るステップ、及び
    前記オマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得るステップ
    を含む方法。
  43. オマダサイクリンの遊離塩基形態が、有機溶媒及び水を含む溶媒系から結晶化される、請求項42に記載の方法。
  44. 有機溶媒及び水が、約5:95v/v~約95:5v/vの範囲の有機溶媒:水の比で溶媒系中に存在する、請求項43に記載の方法。
  45. 有機溶媒が、アセトニトリル、アセトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、t-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、トルエン及びテトラヒドロフランからなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
  46. 有機溶媒がアセトンである、請求項45に記載の方法。
  47. アセトン及び水が、約50:50v/vのアセトン:水の比で溶媒系中に存在する、請求項46に記載の方法。
  48. 有機溶媒が、イソプロパノール、アセトニトリル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
  49. オマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態が、
    およそ7.25°2θのピーク、
    およそ7.37°2θのピーク、
    およそ10.33°2θのピーク、
    およそ12.58°2θのピーク、
    およそ12.81°2θのピーク、
    およそ14.75°2θのピーク、
    およそ16.44°2θのピーク、
    およそ17.86°2θのピーク、
    およそ19.32°2θのピーク、
    およそ19.44°2θのピーク、
    およそ19.62°2θのピーク、
    およそ22.19°2θのピーク、及び
    およそ23.38°2θのピーク
    からなる群から選択される少なくとも1つのピークを含む粉末X線回折パターンを特徴とする多形体である、請求項42から48のいずれか一項に記載の方法。
  50. オマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製に供するステップであって、
    HPLCは、弱酸及び有機アミンからなる群から選択される調整剤の使用を含み、それによりオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を得るステップ、
    オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液からオマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させ、それによりオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態を得るステップ、並びに
    前記オマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得るステップ
    を含む、請求項42から49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 調整剤が弱酸であり、弱酸は、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、亜硫酸、リン酸、亜硝酸、フッ化水素酸、安息香酸、酢酸及びギ酸からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
  52. 弱酸が酢酸である、請求項51に記載の方法。
  53. 調整剤が、HPLC中に移動相に添加される、又は、調整剤が、HPLCカラムに投入される前にオマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液に添加される、請求項50から52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 移動相が溶出緩衝液A及び溶出緩衝液Bを含み、溶出緩衝液Aは水及びアセトニトリルを含み、並びに/又は溶出緩衝液Bはアセトニトリルを含む、請求項50から53のいずれか一項に記載の方法。
  55. ナノ濾過を使用してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濃縮するステップであって、
    ナノ濾過は、膜を通してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濾過して、濾液及び保持液を形成することを含み、保持液は、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む濃縮溶液であるステップ
    をさらに含む、請求項50から54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 保持液を収集するステップをさらに含む、請求項55に記載の方法。
  57. ナノ濾過の前に、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液に酸化防止剤を添加するステップをさらに含む、請求項56に記載の方法。
  58. 酸化防止剤が、約0.01%~約0.5%w/vの前記溶液中の酸化防止剤の濃度を達成するのに十分な量で添加される、請求項57に記載の方法。
  59. 膜が、約150~約500ダルトンの範囲の分子量カットオフ(MWCO)を有する、請求項56から58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 式(1)で表されるオマダサイクリンのトシル酸塩を調製する方法であって、
    Figure 2023530415000024
    前記方法が、
    オマダサイクリンの粗遊離塩基形態を含む溶液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製に供するステップであって、
    HPLCは、弱酸及び有機アミンからなる群から選択される調整剤の使用を含み、それによりオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を得るステップ、
    ナノ濾過を使用してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濃縮するステップであって、
    ナノ濾過は、膜を通してオマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む溶液を濾過して、濾液及び保持液を形成することを含み、保持液は、オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む濃縮溶液であるステップ、
    オマダサイクリンのHPLC精製遊離塩基形態を含む濃縮溶液からオマダサイクリンの遊離塩基形態を結晶化させ、それによりオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態を得るステップ、並びに
    前記オマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態をトシル化反応において反応させ、それによりオマダサイクリンのトシル酸塩を得るステップ
    を含む方法。
  61. 請求項41から60のいずれか一項に記載の方法により得られる、式(1)で表されるオマダサイクリンのトシル酸塩:
    Figure 2023530415000025
  62. 請求項50から60のいずれか一項に記載の方法により得られる、式(1)で表されるオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩:
    Figure 2023530415000026
  63. 請求項62に記載の結晶性トシル酸塩の多形体。
  64. 形態1の多形体又は形態3の多形体である、請求項62に記載の結晶性トシル酸塩の多形体。
  65. 請求項1又は2に記載のオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  66. 請求項3から5又は12から20のいずれか一項に記載のオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態の多形体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  67. 請求項61に記載のオマダサイクリンのトシル酸塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  68. 請求項62に記載のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  69. 請求項63又は64に記載のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩の多形体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  70. 錠剤形態である、請求項65から69のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  71. 凍結乾燥粉末の形態の注射製剤である、請求項65から69のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  72. 細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の請求項1若しくは2に記載のオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態、又は請求項65に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
  73. 細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の請求項3から5のいずれか一項に記載のオマダサイクリンの遊離塩基の結晶形態の多形体、又は請求項66に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
  74. 細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の請求項61に記載のオマダサイクリンのトシル酸塩、又は請求項67に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
  75. 細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の請求項62に記載のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩、又は請求項68に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
  76. 細菌感染症の処置又は予防を必要とする対象において細菌感染症を処置又は予防する方法であって、有効量の請求項63若しくは64に記載のオマダサイクリンの結晶性トシル酸塩の多形体、又は請求項69に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
  77. 細菌感染症が、グラム陽性又はグラム陰性細菌により引き起こされる、請求項72から76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 細菌感染症が、他のテトラサイクリン化合物に対して耐性である細菌により引き起こされる、請求項72から76のいずれか一項に記載の方法。
  79. 細菌感染症が、クレブシエラ・ニューモニエ(K. pneumoniae)、サルモネラ菌(Salmonella)、エンテロコッカス・ヒラエ(E. hirae)、アシネトバクター・バウマニー(A. baumanii)、ブランハメラ・カタラーリス(B. catarrhalis)、ヘモフィルス・インフルエンザ(H. influenza)、緑膿菌(P. aeruginosa)、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)、大腸菌(E. coli)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)及びエンテロコッカス・フェカリス(E. faecalis)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされる、請求項72から76のいずれか一項に記載の方法。
  80. 細菌感染症が、急性細菌性皮膚組織感染症(ABSSSI)である、請求項72から76のいずれか一項に記載の方法。
  81. ABSSSIが、菌血症を伴う場合を含む黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感受性及び耐性分離株)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・アンギノーサス(Streptococcus anginosus)群(ストレプトコッカス・アンギノーサス(S. anginosus)、ストレプトコッカス・インターメディウス(S. intermedius)及びストレプトコッカス・コンステラタス(S. constellatus)を含む)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)(バンコマイシン感受性分離株)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、プレボテラ・メラニノゲニカ(Prevotella melaninogenica)、及びフィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされる、請求項80に記載の方法。
  82. 細菌感染症が、市中感染性細菌性肺炎(CABP)である、請求項72から76のいずれか一項に記載の方法。
  83. CABPが、菌血症を伴う場合を含む肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(ペニシリン感受性及び耐性分離株、マクロライド耐性分離株)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感受性分離株)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)(ベータ-ラクタマーゼ陰性及び陽性分離株)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、及びクラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)からなる群から選択される種の細菌により引き起こされる、請求項82に記載の方法。
  84. 細菌感染症が、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)の種の細菌により引き起こされる、請求項72から76のいずれか一項に記載の方法。
  85. 細菌感染症が、マイコバクテリアにより引き起こされる、請求項72から76のいずれか一項に記載の方法。
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