JP2023530385A - オートファジーを誘導するための方法および組成物 - Google Patents

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Abstract

本明細書において提供されるのは、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物に関連する方法および組成物である。また、本明細書において提供されるのは、オートファジーを誘導するか、または増加させるための方法および組成物である。

Description

発明の分野
本明細書で提供されるのは、オートファジーを誘導するための、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアに関連する方法および組成物である。組成物および方法は、例えば、オートファジーに関連する疾患および障害を処置するまたは予防するために使用されてもよい。
発明の概要
一側面において、本明細書で提供されるのは、対象においてオートファジーを誘導するかまたは増加させる方法であって、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物を、対象に投与することを含む。一態様において、対象は、オートファジーの誘導または増加を必要としている。
一側面において、本明細書で提供されるのは、対象におけるオートファジーに関連する疾患または障害を処置または予防するための方法であって、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物を対象に投与することを含み、ここで対象は、オートファジー関連の疾患または障害を有するか、またはこれを発症するリスクがあるものである。
提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの投与は、オートファジーを誘導する(例として、ATG7、LC3II、および/またはp62のレベルを調節する)。
提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの投与は、肝臓におけるオートファジーを増加させる。
提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、治療用高分子と併用して(concomitantly)投与されないか、または、治療用高分子と、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの別個の投与(例として、同一の投与組成物中にない、および/またはオートファジーを誘導または増加させるためではないなどの異なる目的のために別個に投与される)との組み合わせと併用して投与される。提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、治療用高分子と、同時に(simultaneously)投与されない。
提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、ウイルスベクターと併用して投与されないか、または、ウイルスベクターと、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの別個の投与(例として、同一の投与組成物中にない、および/またはオートファジーを誘導または増加させるためではないなどの異なる目的のために別個に投与される)との組み合わせと併用して投与される。提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、ウイルスベクターと、同時に投与されない。
提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、APC提示可能抗原と併用して投与されないか、または、APC提示可能抗原と、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの別個の投与(例として、同一の投与組成物中にない、および/またはオートファジーを誘導するまたは増加させるためではないなどの異なる目的のために別個に投与される)との組み合わせと併用して投与される。提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、APC提示可能抗原と、同時に投与されない。
提供される方法のいずれかの一態様において、方法はさらに、オートファジーの誘導または増加を必要としているかまたはオートファジーに関連する疾患または障害を有するかまたは有すると疑われる対象を提供することを含む。
本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、方法はさらに、対象を、本明細書で提供される方法を必要としているとして、あるいはオートファジーの誘導または増加を必要としているかまたはオートファジーに関連する疾患または障害を有するかまたは有するリスクがあるとして、特定することを含む。
本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、オートファジーを誘導するかまたは増加させるための免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、オートファジーを誘導するかまたは増加させるための有効量にある。本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、オートファジーに関連する疾患または障害を処置または予防するための免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、オートファジーに関連する疾患または障害を処置または予防するための有効量にある。方法は、異なる目的(例として、オートファジーを誘導または増加させるためではない)のための免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの別個の投与を含み得、およびかかる態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、かかる異なる目的に有効な量において投与される。
提供される方法のいずれかの一態様において、オートファジーに関連する疾患または障害は、肝疾患である。
提供される方法のいずれかの一態様において、対象は、本明細書で提供される対象のいずれかである。一態様において、対象は、小児または若年の対象である。
提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤は、mTOR阻害剤である。提供される方法のいずれかの一態様において、mTOR阻害剤は、ラパマイシンまたはラパログである。
提供される方法のいずれかの一態様において、免疫抑制剤は、合成ナノキャリアに封入されている。
提供される方法のいずれかの一態様において、合成ナノキャリアは、脂質ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、金属ナノ粒子、界面活性剤ベースのエマルジョン、デンドリマー、バッキーボール、ナノワイヤー、ウイルス様粒子またはペプチドもしくはタンパク質粒子を含む。提供される方法のいずれかの一態様において、ポリマーナノ粒子は、ポリエステル、ポリエーテルに付着したポリエステル、ポリアミノ酸、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリケタール、多糖、ポリエチルオキサゾリンまたはポリエチレンイミンを含む。提供される方法のいずれかの一態様において、ポリマーナノ粒子は、ポリエステルまたはポリエーテルに付着したポリエステルを含む。提供される方法のいずれかの一態様において、ポリエステルは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)またはポリカプロラクトンを含む。提供される方法のいずれかの一態様において、ポリマーナノ粒子は、ポリエステルおよびポリエーテルに付着したポリエステルを含む。提供される方法のいずれかの一態様において、ポリエーテルは、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを含む。
提供される方法のいずれかの一態様において、合成ナノキャリアの集団の、動的光散乱を使用して得られる粒子サイズ分布の平均は、直径が110nmより大、150nmより大、200nmより大、または250nmより大である。提供される方法のいずれかの一態様において、合成ナノキャリアの集団の、動的光散乱を使用して得られる粒子サイズ分布の平均は、5μm未満、4μm未満、3μm未満、2μm未満、1μm未満、750nm未満、500nm未満、450nm未満、400nm未満、350nm未満、または300nm未満である。
提供される方法のいずれかの一態様において、合成ナノキャリアに含まれる免疫抑制剤の負荷量は、合成ナノキャリア全体の平均で、0.1%~50%(重量/重量)の間、4%~40%の間、5%~30%の間、または8%~25%の間である。
提供される方法のいずれかの一態様において、合成ナノキャリアの集団のアスペクト比は、1:1以上、1:1.2以上、1:1.5以上、1:2以上、1:3以上、1:5以上、1:7以上または1:10以上である。
本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、対象は、肝疾患または肝障害を有するものであり、および/または本明細書において提供される肝疾患または肝障害または肝臓毒性を処置または予防するための組成物を必要としている。
本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、対象は、肝疾患または肝障害を有さないものであり、および/または本明細書において提供される肝疾患または肝障害または肝臓毒性を処置または予防するための組成物を必要としていない。本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、対象は、代謝の先天性異常症を有さないものである。本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、対象は、有機酸血症を有さないものである。本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、対象は、メチルマロン酸血症またはオルニチン脱炭酸酵素欠損症を有さないものである。
別の側面において、提供される方法のいずれかまたは実施例のいずれかに記載される組成物が提供される。一態様において、組成物は、提供される方法のいずれかによる投与のための組成物のいずれかである。
別の側面において、組成物のいずれかは、提供される方法のいずれかで使用するためのものである。
図1は、ImmTOR(商標)による予防的または治療的処置が、ポリクローナルT細胞活性化因子であるコンカナバリンA(Con A)によるマウスのチャレンジの24時間後に、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血清レベルを低下させることを示す。統計的有意性が示された(p<0.05)。 図2は、OTC欠損症のマウスモデルにおける、4、8、12mg/kgのImmTOR(商標)、1E13/kgのAAV-OTC、またはネガティブコントロールとして空のナノ粒子を投与した後の尿中オロト酸レベルを示す。
図3は、ImmTOR(商標)による予防的または治療的処置が、アセトアミノフェン(APAP)によるマウスのチャレンジの24時間後に、血清ALTを低下させることを示す。統計的有意性が示された(p<0.05)。 図4A~4Fは、幼若OTCspf-ashマウスにおけるImmTOR(商標)ナノ粒子の耐容性試験の結果を示す。図4Aは、空のナノ粒子またはImmTOR(商標)ナノ粒子を、OTCspf-ash幼若マウスに静脈内投与したことを示す。注射されたマウスを、注射後2、7、および14日にAST(図4B)、体重(図4C)、血漿アンモニア濃度(図4D)、尿中オロチン酸(図4E)について、および処置されたマウスの肝臓溶解物中のオートファジーマーカー(図4F)について試験した。 図4A~4Fは、幼若OTCspf-ashマウスにおけるImmTOR(商標)ナノ粒子の耐容性試験の結果を示す。図4Aは、空のナノ粒子またはImmTOR(商標)ナノ粒子を、OTCspf-ash幼若マウスに静脈内投与したことを示す。注射されたマウスを、注射後2、7、および14日にAST(図4B)、体重(図4C)、血漿アンモニア濃度(図4D)、尿中オロチン酸(図4E)について、および処置されたマウスの肝臓溶解物中のオートファジーマーカー(図4F)について試験した。 図4A~4Fは、幼若OTCspf-ashマウスにおけるImmTOR(商標)ナノ粒子の耐容性試験の結果を示す。図4Aは、空のナノ粒子またはImmTOR(商標)ナノ粒子を、OTCspf-ash幼若マウスに静脈内投与したことを示す。注射されたマウスを、注射後2、7、および14日にAST(図4B)、体重(図4C)、血漿アンモニア濃度(図4D)、尿中オロチン酸(図4E)について、および処置されたマウスの肝臓溶解物中のオートファジーマーカー(図4F)について試験した。 図5Aは、注射後2、7、および14日の尿中オロト酸レベルを示す。図5Bは、注射後2、7、および14日の体重を示す。図5Cおよび図5Dは、それぞれ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性のレベルを示す。
図5A~5Dは、4、8、または12mg/kgのImmTOR(商標)ナノ粒子または12mg/kgの空の粒子を静脈内注射した幼若OTCspf-ashマウス(n=3/群)における、ImmTOR(商標)ナノ粒子の耐容性試験の結果を示す。図5Aは、注射後2、7、および14日の尿中オロト酸レベルを示す。図5Bは、注射後2、7、および14日の体重を示す。図5Cおよび図5Dは、それぞれ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性のレベルを示す。 図5A~5Dは、4、8、または12mg/kgのImmTOR(商標)ナノ粒子または12mg/kgの空の粒子を静脈内注射した幼若OTCspf-ashマウス(n=3/群)における、ImmTOR(商標)ナノ粒子の耐容性試験の結果を示す。図5Aは、注射後2、7、および14日の尿中オロト酸レベルを示す。図5Bは、注射後2、7、および14日の体重を示す。図5Cおよび図5Dは、それぞれ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性のレベルを示す。 図6A~6Dは、12mg/kgのImmTOR(商標)ナノ粒子または12mg/kgの空の粒子を静脈内注射した幼若OTCspf-ashマウス(n=4/群)における、ImmTOR(商標)ナノ粒子の耐容性試験の結果を示す。図6Aは、プロトコルを示す。図6Bは、注射後2、7、および14日の尿中オロト酸レベルを示す。図6Cは、感染後14日での尿中オロト酸レベルを示す。図6Dは、注射後14日での肝臓のアンモニアレベルを示す。統計分析は、Tukeyの多重比較検定を用いる一元配置分散分析により実施した。(p値<0.05、***p値<0.0001)。 図6A~6Dは、12mg/kgのImmTOR(商標)ナノ粒子または12mg/kgの空の粒子を静脈内注射した幼若OTCspf-ashマウス(n=4/群)における、ImmTOR(商標)ナノ粒子の耐容性試験の結果を示す。図6Aは、プロトコルを示す。図6Bは、注射後2、7、および14日の尿中オロト酸レベルを示す。図6Cは、感染後14日での尿中オロト酸レベルを示す。図6Dは、注射後14日での肝臓のアンモニアレベルを示す。統計分析は、Tukeyの多重比較検定を用いる一元配置分散分析により実施した。(p値<0.05、***p値<0.0001)。 図6A~6Dは、12mg/kgのImmTOR(商標)ナノ粒子または12mg/kgの空の粒子を静脈内注射した幼若OTCspf-ashマウス(n=4/群)における、ImmTOR(商標)ナノ粒子の耐容性試験の結果を示す。図6Aは、プロトコルを示す。図6Bは、注射後2、7、および14日の尿中オロト酸レベルを示す。図6Cは、感染後14日での尿中オロト酸レベルを示す。図6Dは、注射後14日での肝臓のアンモニアレベルを示す。統計分析は、Tukeyの多重比較検定を用いる一元配置分散分析により実施した。(p値<0.05、***p値<0.0001)。
図7A~7Bは、ImmTOR(商標)粒子が、12mg/kgのImmTOR(商標)ナノ粒子または12mg/kgの空の粒子を静脈内注射した幼若OTCspf-ashマウス(n=4/群)の肝臓において、オートファジーを誘発することを示す。図7Aは、ATG7、LC3II、およびp62のウエスタンブロット分析を示す。図7Bは、ATG7、LC3II、およびp62のレベルの、デンシトメトリーによる定量化を示す。統計分析は、Tukeyの多重比較検定を用いる一元配置分散分析により実施した。(p値<0.05)。 図7A~7Bは、ImmTOR(商標)粒子が、12mg/kgのImmTOR(商標)ナノ粒子または12mg/kgの空の粒子を静脈内注射した幼若OTCspf-ashマウス(n=4/群)の肝臓において、オートファジーを誘発することを示す。図7Aは、ATG7、LC3II、およびp62のウエスタンブロット分析を示す。図7Bは、ATG7、LC3II、およびp62のレベルの、デンシトメトリーによる定量化を示す。統計分析は、Tukeyの多重比較検定を用いる一元配置分散分析により実施した。(p値<0.05)。
発明の詳細な説明
本発明の詳細な説明に先立ち、本発明は特に例示された材料またはプロセスパラメータに限定されず、それらは無論変化し得ることが理解されるべきである。また、本明細書で用いられる用語は、本発明の特定の態様を説明することのみを目的とし、本発明を説明する代替用語の使用を制限することを意図するものではないことも、理解されるべきである。
本明細書で引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、上記または下記を問わず、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「ポリマー(a polymer)」についての言及は、2以上のかかる分子の混合物または単一のポリマー種の異なる分子量の混合物を含み、「合成ナノキャリア(a synthetic nanocarrier)」についての言及は、2以上のかかる合成ナノキャリアの混和物または複数のかかる合成ナノキャリアを含む、などである。
本明細書において用いられる場合、用語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などのそのバリエーションは、任意の列記される完全体(integer)(例として、特色、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップもしくは限定)、または完全体(例として、特色、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップもしくは限定)の群の包含を示すが、任意の他の完全体または完全体の群の除外を示すものではないと、読まれるべきである。したがって、本明細書において用いられる場合、用語「含むこと(comprising)」は、包括的であり、さらなる列記されていない完全体または方法/プロセスステップを除外しない。
本明細書において提供される組成物および方法のいずれかの態様において、「含むこと(comprising)」は、「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」で置き換えることができる。「から本質的になる」という句は、本明細書において、特定の完全体(単数または複数)またはステップ、ならびに請求される発明の特徴または機能に実質的には影響を及ぼさないものを必要とするために用いられる。本明細書において用いられる場合、用語「からなる」は、列記される完全体(例として、特色、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップもしくは限定)または完全体(例として、特色、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップもしくは限定)の群のみが存在することを示すために用いられる。
A.導入
オートファジーは、成分が細胞内で分解されるメカニズムの1つである。これは、細胞質に存在する成分が消化細胞小器官であるオートファゴソーム(リソソーム)に移動して分解される系についての、グローバルな用語である。オートファジーの誘導は炎症を抑制し、細胞小器官の分解、細胞内精製、および抗原提示等のオートファジーの既知の効果を介して、疾患および障害を予防および処置できると考えられている。
本明細書で提供されるように、免疫抑制剤(例として、ラパマイシン)を含む合成ナノキャリアの投与は、オートファジーを誘導することが見出された。本明細書で記載されるように、本発明者らは驚くべきことに、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物が、肝臓毒性および関連する疾患および障害に対して、有益な効果を有し得ることを見出した。理論に縛られることなく、これらの効果は、少なくとも部分的には、肝臓におけるオートファジーの増加によって達成されると考えられている。
したがって本明細書で提供されるのは、例えば、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを投与することにより、オートファジーに関連する疾患または障害を有する対象を処置するための方法および関連する組成物である。本明細書で示されるように、かかる方法および組成物は、肝疾患のモデル等におけるオートファジーの増加と一致するバイオマーカーを変化させることが見出された。前記組成物は、他の治療法の不在下で投与された場合に有効であり得、または本明細書で提供されるように他の治療法との組み合わせで有効であり得る。本明細書に記載の組成物はまた、併用して投与されない場合であっても、遺伝子治療などの既存の治療法を補完するのにも有用であり得る。
本発明を、以下にさらに詳細に説明する。
B.定義
「投与すること」または「投与」または「投与する」とは、材料を、対象において薬理学的結果が生じるような様式で、対象に与えることを意味する。これは直接的または間接的な投与であってよく、例えば、別の臨床医または対象自体を含む別の対象に、投与を実施するように誘導または指示することによる。
対象への投与のための組成物または用量の文脈における「有効量」は、対象において1以上の所望の応答をもたらす、例として、本明細書に記載のように、オートファジーを誘導するか、または増加させるか、またはオートファジーによって媒介される疾患または障害を予防または処置する、組成物の量または用量を指す。したがっていくつかの態様において、有効量は、本明細書で提供される所望の治療効果および/または予防応答の1つ以上を生成する、本明細書で提供される組成物の任意の量または用量である。この量は、in vitroまたはin vivoの目的のためであることができる。in vivoの目的のために、この量は、それを必要とする対象に対して臨床的利益を有し得ると臨床医が信じるであろう量であることができる。本明細書で提供されるように、ラベル用量を含む、組成物または用量のいずれかは、有効量であることができる。
有効量は、望ましくない応答のレベルを低下させることを含み得るが、ただしいくつかの態様においては、望ましくない応答を完全に予防することを含む。有効量はまた、望ましくない応答の発生を遅らせることも含むことができる。有効量はまた、所望の治療エンドポイントまたは所望の治療結果を生み出す量であることもできる。他の態様において、有効量は、治療のエンドポイントまたは結果などの、所望の応答のレベルを高めることを含み得る。有効量は好ましくは、本明細書で提供される対象のいずれかにおけるオートファジーに関連する疾患または障害に関して、予防的結果または治療的結果またはエンドポイントをもたらす。前述のいずれかの達成は、日常的な方法でモニタリングすることができる。
有効量は、無論、処置される特定の対象;状態、疾患または障害の重篤度;年齢、身体条件、サイズおよび体重を含む個々の患者のパラメータ;処置の期間;併用療法(concurrent therapy)の性質(存在する場合);投与の特定の経路、ならびに保健従事者の知識および経験の範囲内の類似の要因に依存するであろう。これらの要因は、当業者に周知であり、慣用的な実験のみを用いて対処することができる。一般に、最大用量、すなわち、健全な医学的判断による最大の安全用量を使用することが好ましい。しかしながら当業者は、患者が、医学的理由、心理的理由、または実質的に任意の他の理由のために、より低い用量または許容用量を主張する可能性があることを理解するであろう。
「APC提示可能抗原」とは、免疫系の細胞による認識のために提示され得る抗原、例えば、樹状細胞、B細胞またはマクロファージを含むがこれらに限定されない抗原提示細胞によって提示されるものを、意味する。APC提示可能抗原は、T細胞による認識などの、細胞による認識のために提示することができる。かかる抗原は、クラスIまたはクラスII主要組織適合遺伝子複合体分子(MHC)に結合したか、またはCD1複合体に結合した抗原またはその一部の提示を介して、T細胞によって認識され免疫応答を引き起こす。
「治療的または予防的反応の評価」とは、in vitroまたはin vivoでの治療的または予防的反応の、レベル、存在または不在、減少、増加などの任意の測定または決定を指す。かかる測定または決定は、対象から得られた1以上の試料に対して実施され得る。かかる評価は、本明細書で提供されるか、または当技術分野で知られている方法のいずれかを用いて実施することができる。評価は、本明細書で提供されるか、または当技術分野で知られているバイオマーカーのいずれか1つ以上を評価することであり得る。例として、評価は、本明細書で提供されるか、または当技術分野で知られているオートファジーの、またはオートファジーに関連する疾患または障害のいずれかの任意の1以上のマーカーを評価することであり得る。一態様において、マーカー(単数または複数)は、肝疾患のものであり得る。
肝疾患に関して、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベル、アルカリホスファターゼ(ALP)、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、ビリルビン、プロトロンビン時間、総タンパク質、グロブリン、プロトロンビン、および/またはアルブミンを評価することができる。
いくつかの態様において、炎症のマーカーは、サイトカイン/ケモカイン、免疫関連エフェクター、急性期タンパク質(例として、C反応性タンパク質、血清アミロイドA)、活性酸素および窒素種、プロスタグランジン、およびシクロオキシゲナーゼ関連因子(例として、転写因子、成長因子)である。
「付着する(attach)」または「付着させられた(attached)」または「連結する(couple)」または「連結された(coupled)」(など)は、1つの実体(例えば部分)を、別のものに化学的に会合させることを意味する。いくつかの態様において、付着は共有的であり、これは、付着が2つの実体の間の共有結合の存在に関して起こることを意味する。非共有的態様において、非共有的付着は、限定されないが以下を含む非共有的相互作用により媒介される:電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理的吸着、ホスト-ゲスト相互作用、疎水性相互作用、TTスタッキング相互作用、水素結合相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子-双極子相互作用、および/またはこれらの組み合わせ。態様において、封入は、付着することまたは連結することの一形態である。
「オートファジーに関連する疾患」または「オートファジーに関連する障害」とは、オートファジーにおけるまたは細胞の自己消化における破壊によって引き起こされる疾患または障害、またはオートファジーの誘導または増加から利益を得るであろう疾患または障害をいう。
「平均(average)」は、特に明記されていない限り、平均(mean)を指す。
「併用して」とは、2つ以上の材料/薬剤を対象に投与する場合に、第1の組成物(例として、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア)が第2の組成物に対して効果を有するように、例えば第2の組成物の有効性を高めるように、時間的に相関する様式で、好ましくは時間的に十分に相関する様式で、2つ以上の材料/薬剤を対象に投与することを意味し、好ましくは2つ以上の材料/薬剤は、組み合わせて投与される。態様において、併用投与は、2つ以上の組成物の、特定の期間内の投与を包含し得る。いくつかの態様において、2つ以上の組成物は、1ヶ月以内、1週間以内、1日以内、または1時間以内に投与される。いくつかの態様において、併用投与は、2つ以上の組成物の同時投与を包含する。いくつかの態様において、2つ以上の組成物が併用して投与されない場合、第1の組成物(例として、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア)の第2の組成物に対する効果は、ほとんどないか、または全くない。明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、オートファジーを誘導するかまたは増加させるため、またはオートファジーに関連する疾患または障害を処置または予防するための免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、治療用高分子、ウイルスベクター、APC提示可能抗原等の異なる治療薬などの、第2の組成物に影響するようには投与されない(例として、第2の組成物に対する、抗体応答などの免疫応答に影響しないように)。
「剤形(dosage form)」とは、対象への投与に適した培地、担体、ビヒクル、またはデバイス中の、薬理学的および/または免疫学的に活性な材料を意味する。本明細書で提供される組成物または用量のいずれかは、剤形中にあってよい。
「用量」は、対象への所与の時間での投与のための薬理学的および/または免疫学的に活性な材料の、特定の量を指す。特に明記しない限り、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物について記載されている用量は、免疫抑制剤の重量を指す(すなわち、合成ナノキャリア材料の重量を含まない)。投与のための用量に言及する場合、本明細書で提供される方法、組成物またはキットのいずれかの態様において、本明細書で提供される用量のいずれかは、ラベル/ラベル用量に表示される用量である。
「封入する」とは、物質の少なくとも一部を合成ナノキャリア内に閉じ込めることを意味する。いくつかの態様において、物質は、合成ナノキャリア内に完全に閉じ込められている。他の態様において、封入された物質のほとんどまたは全ては、合成ナノキャリアの外部の局所環境に曝露されない。他の態様において、50%、40%、30%、20%、10%または5%(重量/重量)以下が、局所環境に曝露される。封入は吸収とは別のものであり、吸収は、物質のほとんどまたは全てが合成ナノキャリアの表面に配置され、物質は合成ナノキャリアの外部の局所環境に曝露されている。本明細書で提供される方法または組成物のいずれかの態様において、免疫抑制剤は、合成ナノキャリア内に封入される。
「対象を特定すること」とは、臨床医が対象を、本明細書で提供される方法もしくは組成物または提供される他の何らかの指標から、利益を得る可能性があるとして認識することを可能にする、任意の行動または一連の行動である。好ましくは、特定された対象は、オートファジーの誘導または増加、またはオートファジーに関連する疾患または障害の、予防的または治療的処置を必要としている対象である。かかる対象には、オートファジーに関連する疾患または障害などの肝臓毒性を有するかまたは有するリスクのある、任意の対象が含まれる。いくつかの態様において、対象は、症状(および/またはその欠如)、行動のパターン(例として、対象にリスクを与えるような)に基づき、および/または本明細書に記載の1以上の試験(例として、バイオマーカーアッセイ)に基づき、オートファジーに関連する疾患または障害などの肝臓毒性の可能性またはリスクがあると疑われるか、またはそのように決定される。
本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、方法はさらに、本明細書で提供される組成物または方法を必要とする対象を特定することを含む。行動または一連の行動は、直接的または間接的のいずれかであり得て、例えば、限定はされないが、自分の言葉や行為に依存して行動を起こす無関係の第三者などである。
「免疫抑制剤」は、そのAPCへの作用により寛容原性効果を引き起こすことができる化合物を意味する。寛容原性効果とは、一般に、APCまたは他の免疫細胞による調節であって、抗原に対する望ましくない免疫応答を永続的に低減、阻害、または防止する前記調節を指す。提供される方法または組成物のいずれかの一態様において、免疫抑制剤は、APCに、1以上の免疫エフェクター細胞における調節性表現型を促進させるものである。例えば、調節性の表現型は、抗原特異的CD4+ T細胞またはB細胞の産生、誘導、刺激または動員の阻害、抗原特異的抗体の産生の阻害、Treg細胞(例えば、CD4+CD25highFoxP3+ Treg細胞)の産生、誘導、刺激または動員などにより特徴付けられ得る。このことは、CD4+ T細胞またはB細胞の調節性表現型への変換の結果であってもよい。このことはまた、CD8+ T細胞、マクロファージおよびiNKT細胞などの他の免疫細胞におけるFoxP3の誘導の結果であってもよい。提供される方法または組成物のいずれかの一態様において、免疫抑制剤は、APCが抗原をプロセッシングした後の応答に影響を及ぼすものである。提供される方法または組成物のいずれかの別の態様において、免疫抑制剤は、抗原のプロセシングを妨害するものではない。提供される方法または組成物のいずれかのさらなる態様において、免疫抑制剤は、アポトーシスシグナル伝達分子ではない。提供される方法または組成物のいずれかの別の態様において、免疫抑制剤はリン脂質ではない。
免疫抑制剤には、限定はされないが、mTOR阻害剤、例えばラパマイシンまたはラパマイシン類似体(すなわち、ラパログ);TGF-βシグナル伝達剤;TGF-β受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、例えばトリコスタチンA;コルチコステロイド;ミトコンドリア機能の阻害剤、例えばロテノン;P38阻害剤;NF-κβ阻害剤、例えば6Bio、デキサメタゾン、TCPA-1、IKK VII;アデノシン受容体アゴニスト;プロスタグランジンE2アゴニスト(PGE2)、例えばミソプロストール;ホスホジエステラーゼ阻害剤(PDE4)、例えばロリプラム;プロテアソーム阻害剤;キナーゼ阻害剤、などが包含される。本明細書で使用される「ラパログ」は、ラパマイシン(シロリムス)に構造的に関連する(その類似体である)分子を指す。ラパログの例として、限定することなく、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、リダフォロリムス(AP-23573)、およびゾタロリムス(ABT-578)が挙げられる。ラパログのさらなる例は、例えば、WO公開WO1998/002441および米国特許第8,455,510号に見出すことができ、これらのラパログは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらなる免疫抑制剤は当業者に知られており、本発明はこの点に関して限定されない。
態様において、合成ナノキャリアに連結される場合、免疫抑制剤は、合成ナノキャリアの構造を構成する材料に追加される要素である。例えば、合成ナノキャリアが1以上のポリマーから構成される一態様において、免疫抑制剤は、1以上のポリマーに追加で連結されている化合物である。別の例として、合成ナノキャリアが1以上の脂質から構成される一態様において、免疫抑制剤は再度追加で1以上の脂質に連結される。
「オートファジーを増加させる」等々は、コントロールと比較して対象におけるオートファジーのレベルを増加させることを意味する。いくつかの態様において、オートファジーは増加し、例として、コントロールと比較して少なくとも20~40%、より好ましくは少なくとも50~75%、および最も好ましくは80%を超えて増加する。好ましくは、増加は、少なくとも2倍である。いくつかの態様において、コントロールは、時間的に前の期間における同一の対象からのオートファジー活性(例として、肝臓から)である。いくつかの態様において、コントロールのオートファジーのレベルは、同一のオートファジーに関連する疾患または障害を有する未治療の対象からである。いくつかの態様において、コントロールは、同一のオートファジーに関連する疾患または障害を有する未治療の対象の集団におけるオートファジーの平均レベルである。
いくつかの態様において、オートファジーを増加させることは、オートファジーの1以上のマーカーのレベルを調節することを含む。いくつかの態様において、マーカーは、コントロールと比較して少なくとも20~40%の間、より好ましくは少なくとも50~75%の間、最も好ましくは80%以上増加または減少する。好ましくは、増加または減少は、少なくとも2倍である。「オートファジーのマーカー」とは、通常、対象において(例として、対象の肝臓において)オートファジーを示すものである。これらは、対象からの、特に肝生検からの、細胞、組織または体液において、または、対象の血清または血漿中などにおいて、当業者に知られる方法で決定され得る。オートファジーのマーカーは、例えば、LC3II、p62、およびATG7を包含する。
「負荷量(load)」とは、合成ナノキャリアに連結された場合の、合成ナノキャリア全体における材料の総乾燥処方重量(重量/重量)に基づく、合成ナノキャリアに連結された免疫抑制剤の量である。一般にかかる負荷量は、合成ナノキャリアの母集団全体の平均として計算される。提供される方法または組成物のいずれかの一態様において、合成ナノキャリア全体の平均負荷量は、0.1%~50%の間である。提供される方法または組成物のいずれかの別の場合において、合成ナノキャリア全体の平均負荷量は、4%、5%、65、7%、8%もしくは9%から40%の間、または4%、5%、65、7%、8%もしくは9%から30%の間である。提供される方法または組成物のいずれかの別の場合において、合成ナノキャリア全体の平均負荷量は、10%~40%の間、または10%~30%の間である。提供される方法または組成物のいずれかの別の態様において、負荷量は0.1%~20%の間である。提供される方法または組成物のいずれかのさらなる態様において、負荷量は0.1%~10%の間である。提供される方法または組成物のいずれかのさらなる態様において、負荷量は1%~10%の間である。提供される方法または組成物のいずれかのさらなる態様において、負荷量は7%~20%の間である。提供される方法または組成物のいずれかの別の態様において、負荷量は、合成ナノキャリアの集団全体で平均して、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、または少なくとも30%である。提供される方法または組成物のいずれかのさらなる態様において、負荷量は、合成ナノキャリアの集団全体で平均して、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%である。上記の態様のいずれかのいくつかの態様において、負荷量は、合成ナノキャリアの集団全体で平均して、35%以下、30%以下、または25%以下である。本明細書で提供される方法、組成物またはキットのいずれかにおいて、ラパマイシンなどの免疫抑制剤の負荷量は、本明細書で提供される負荷量のいずれかであり得る。提供される方法または組成物のいずれかの態様において、負荷量は、当技術分野で知られているように計算される。
いくつかの態様において、懸濁液中のナノキャリアの免疫抑制剤負荷量は、試験品のHPLC分析によって決定されたナノキャリアの免疫抑制剤含有量を、ナノキャリア質量で割ることによって計算される。総ポリマー含有量は、乾燥ナノキャリア質量の重量分析によるか、または薬局方の方法に従ってナノキャリア溶液の全有機含有量を決定し、PVA含有量を補正することにより、測定される。
「合成ナノキャリアの最大寸法」とは、合成ナノキャリアの任意の軸に沿って測定されるナノキャリアの最大寸法を意味する。「合成ナノキャリアの最小寸法」とは、合成ナノキャリアの任意の軸に沿って測定される合成ナノキャリアの最小寸法を意味する。例えば、球状の合成ナノキャリアについて、合成ナノキャリアの最大および最小寸法は実質的に同一であり、その直径のサイズである。同様に、立方状合成ナノキャリアについて、合成ナノキャリアの最小寸法は、その高さ、幅または長さのうちの最小のものであり、一方、合成ナノキャリアの最大寸法は、その高さ、幅または長さのうちの最大のものである。一態様において、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいた、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nmと等しいか、またはこれより大きい。一態様において、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいた、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、5μmと等しいか、またはこれより小さい。好ましくは、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいた、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、110nmより大きく、より好ましくは120nmより大きく、より好ましくは130nmより大きく、より好ましくはなお、150nmより大きい。本発明の合成ナノキャリアの最大および最小寸法のアスペクト比は、態様に依存して変化し得る。例えば、合成ナノキャリアの最小寸法に対する最大寸法のアスペクト比は、1:1~1,000,000:1の間、好ましくは1:1~100,000:1の間、より好ましくは1:1~10,000:1の間、より好ましくは1:1~1000:1の間、なおより好ましくは1:1~100:1の間、およびさらにより好ましくは1:1~10:1の間で、変化し得る。
好ましくは、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいた、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、3μmと等しいか、またはこれより小さく、より好ましくは2μmと等しいか、またはこれより小さく、より好ましくは1μmと等しいか、またはこれより小さく、より好ましくは800nmと等しいか、またはこれより小さく、より好ましくは600nmと等しいか、またはこれより小さく、およびより好ましくはなお、500nmと等しいか、またはこれより小さい。好ましい態様において、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいた、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nmと等しいか、またはこれより大きく、より好ましくは120nmと等しいか、またはこれより大きく、より好ましくは130nmと等しいか、またはこれより大きく、より好ましくは140nmと等しいか、またはこれより大きく、およびより好ましくはなお、150nmと等しいか、またはこれより大きい。合成ナノキャリアの寸法(例として、直径)の測定は、合成ナノキャリアを液体(通常は水性)媒体中に懸濁して、動的光散乱(DLS)を用いること(例として、Brookhaven ZetaPALS装置を使用すること)により、得ることができる。例えば、合成ナノキャリアの懸濁液を水性緩衝液から精製水中で希釈して、約0.01~0.1mg/mLの間の最終合成ナノキャリア懸濁液濃度を達成することができる。希釈された懸濁液は、DLS分析のために好適なキュベット中で直接調製しても、またはこれに移してもよい。キュベットを次いで、DLS内に置き、制御された温度まで平衡化させて、次いで、媒体の粘度および試料の屈折率(indicies)のための適切なインプットに基づき、安定で再現性のある分布を得るために十分な時間にわたりスキャンすることができる。有効直径、または分布の平均を、次いで報告させ得る。合成ナノキャリアの「寸法」または「サイズ」または「直径」とは、いくつかの態様において動的光散乱を用いて得た粒子サイズ分布の平均を意味する。
「薬学的に許容し得る賦形剤」または「薬学的に許容し得る担体」は、組成物を製剤化するために薬理学的に活性な材料と共に使用される、薬理学的に不活性な材料を意味する。薬学的に許容し得る賦形剤は、当技術分野で知られている様々な材料を含み、これには、限定はされないが、糖類(例えばグルコース、ラクトースなど)、抗菌剤などの保存剤、再構成補助剤、着色剤、生理食塩水(リン酸緩衝生理食塩水など)および緩衝液を含む。本明細書で提供される組成物のいずれかは、薬学的に許容し得る賦形剤または担体を含み得る。
「プロトコル」とは、1以上の物質の、対象への任意の投薬レジメンを指す。投薬レジメンは、投与の量、頻度、速度、期間、および/または様式を含み得る。いくつかの態様において、かかるプロトコルを使用して、本発明の1以上の組成物を1以上の試験対象に投与することができる。次にこれらの試験対象の治療/予防応答を評価して、プロトコルが、オートファジーに関連する疾患または障害の予防および/または処置、またはオートファジーの誘導または増加などの、望ましい応答を生成するのに有効であったかどうかを、決定することができる。プロトコルが所望の効果を有するかどうかは、本明細書で提供されるか、または当技術分野で知られている方法のいずれかを使用して決定することができる。例えば、細胞の集団を、特定のプロトコルに従って本明細書で提供される組成物を投与された対象から得て、特定の酵素、バイオマーカーなどが生成、活性化されたかどうか等を決定することができる。バイオマーカーの存在および/または数を検出するための有用な方法には、フローサイトメトリー法(例として、FACS)および免疫組織化学法が含まれるが、これらに限定されない。特定のバイオマーカーを特異的に染色するための抗体および他の結合剤は、市販されている。かかるキットは、典型的には、細胞の不均一な集団からの所望の細胞集団の、FACSベースの検出、分離および/または定量化を可能にする複数の抗原のための、染色試薬を含む。本明細書で提供される方法のいずれかは、プロトコルを決定するステップを含むことができ、および/または投与は、本明細書で提供される、オートファジーを誘導するかまたは増加させるなどの、有益な結果または所望の有益な結果のいずれかを有すると決定されたプロトコルに基づいて実施される。
「対象を提供すること」とは、臨床医が対象と接触し、本明細書で提供される組成物を投与する、または本明細書で提供される方法を実行することを引き起こす、任意の行動または一連の行動である。好ましくは、対象は、オートファジーの誘導または増加、またはオートファジーに関連する疾患または障害などの予防または処置を必要としているものである。行動または一連の行動は、直接または間接的に行うことができる。本明細書で提供される方法のいずれかの一態様において、方法はさらに、対象を提供することを含む。
「反復用量」または「反復投薬」または類似のものは、同一の材料の以前の用量または投薬の後に対象に投与される、少なくとも1回のさらなる用量または投薬を意味する。例えば、免疫抑制剤を含むナノキャリアの、同一の材料の以前の投与後の反復された投与。材料は同一であってもよいが、一方で、反復された投与における材料の量は、以前の用量と異なっていてもよい。反復用量は、本明細書で提供されるように、投与することができる。反復投薬は、それが対象に有益な効果をもたらす場合に、効果的であると見なされる。好ましくは、効果的な反復投薬は、オートファジーの増加をもたらす。本明細書で提供される方法のいずれもが、反復投薬のステップを包含し得る。
「対象」とは動物を意味し、温血哺乳動物、例えばヒトおよび霊長類;鳥類;家庭内または家畜動物、例えばネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマおよびブタ;実験動物、例えばマウス、ラット、およびモルモット;魚類;爬虫類;動物園および野生の動物;などを包含する。本明細書で提供される方法、組成物、およびキットのいずれかにおいて、対象はヒトである。
「合成ナノキャリア」とは、天然では見出されず、かつサイズが5ミクロン以下の少なくとも1つの寸法を有する、個別の物体を意味する。合成ナノキャリアは様々な異なる形状であり得、これには、限定はされないが球状、立方体状、ピラミッド形、長円形、円筒形、トロイド状などが包含される。合成ナノキャリアは、1以上の表面を含む。
合成ナノキャリアは、これらに限定されないが、1つまたは複数の脂質ベースのナノ粒子(また本明細書において脂質ナノ粒子、すなわち、それらの構造を構成する材料の大部分が脂質であるナノ粒子としても言及される)、ポリマーナノ粒子、金属ナノ粒子、界面活性剤ベースのエマルション、デンドリマー、バッキーボール、ナノワイヤー、ウイルス様粒子(すなわち、主にウイルスの構造タンパク質からなるが、感染性ではないか、低い感染性を有する粒子)、ペプチドまたはタンパク質ベースの粒子(本明細書において、タンパク質粒子、すなわち、それらの構造を構成する材料の大部分がペプチドもしくはタンパク質である粒子としても言及される)(アルブミンナノ粒子など)および/または脂質-ポリマーナノ粒子などのナノ材料の組み合わせを用いて開発されるナノ粒子であってもよい。合成ナノキャリアは、多様な異なる形状であってよく、これは、限定されないが、球状、立方体状、ピラミッド形、長円形、円筒形、トロイド状などを含む。合成ナノキャリアの例には、以下が挙げられる:(1)Grefらの米国特許第5,543,158号に開示されている生分解性ナノ粒子、(2)Saltzmanらの公開米国特許出願20060002852のポリマーナノ粒子、(3)DeSimoneらの公開米国特許出願20090028910のリソグラフィで構築されたナノ粒子、(4)von AndrianらのWO2009/ 051837の開示、(5)Penadesらの公開米国特許出願2008/0145441に開示されたナノ粒子、(6)P. Paolicelli et al., “Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles” Nanomedicine. 5(6):843-853 (2010)に開示されているナノ沈殿ナノ粒子、および(7)Look et al., Nanogel-based delivery of mycophenolic acid ameliorates systemic lupus erythematosus in mice” J. Clinical Investigation 123(4):1741-1749(2013)のもの。
合成ナノキャリアは、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有し得、補体を活性化するヒドロキシル基を有する表面を含まないか、あるいは、いくつかの態様において、補体を活性化するヒドロキシル基ではない部分から本質的になる表面を含む。一態様において、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する合成ナノキャリアは、補体を実質的に活性化する表面を含まないか、あるいは、補体を実質的に活性化しない部分から本質的になる表面を含む。より好ましい態様において、約100nm以下、好ましくは100nm以下の最小寸法を有する、本発明による合成ナノキャリアは、補体を活性化する表面を含まないか、あるいは、補体を活性化しない部分から本質的になる表面を含む。態様において、合成ナノキャリアは、ウイルス様粒子を除外する。態様において、合成ナノキャリアは、1:1、1:1.2、1:1.5、1:2、1:3、1:5、1:7より高いか等しい、または1:10より高い、アスペクト比を有してもよい。
「治療用高分子」とは、対象に投与することができて治療効果を有する、任意のタンパク質、炭水化物、脂質、または核酸を指す。いくつかの態様において、治療用高分子は、治療用ポリヌクレオチドまたは治療用タンパク質であり得る。
「治療用ポリヌクレオチド」とは、対象に投与することができて治療効果を有する、任意のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドベースの治療を意味する。かかる治療法には、遺伝子サイレンシングが含まれる。かかる治療の例は当技術分野で知られており、裸のRNA(メッセンジャーRNA、修飾メッセンジャーRNA、およびRNAiの形態を含む)が含まれるが、これらに限定されない。
「治療用タンパク質」とは、対象に投与することができて治療効果を有する、任意のタンパク質またはタンパク質ベースの治療を意味する。かかる治療法には、タンパク質補充(protein replacement)療法およびタンパク質補給(protein supplementation)療法が含まれる。かかる治療法には、外因性または外来タンパク質の投与、抗体療法なども含まれる。治療用タンパク質には、酵素、酵素補因子、ホルモン、血液凝固因子、サイトカイン、増殖因子、モノクローナル抗体、抗体-薬物コンジュゲート、およびポリクローナル抗体が含まれるが、これらに限定されない。
「処置すること」とは、対象が投与により結果として生じる利益を有する可能性があることを期待して、1以上の治療を施すことを指す。処置することは直接的または間接的であり得、例えば、別の臨床医または対象自体を含む別の対象を、対象の処置のために誘導または指示することによる。
「ウイルスベクター」は、キャプシドおよび/またはコートタンパク質などのウイルス成分を有するベクター構築物であって、治療用タンパク質等の治療薬をコードするもの等の導入遺伝子または核酸材料を含んで送達するように適合されており、この導入遺伝子または核酸材料は本明細書で提供されるように発現され得る、前記ベクター構築物を意味する。
C.方法および関連組成物
本明細書で提供されるのは、オートファジーを誘導するかまたは増加させるために、および/または、オートファジーに関連する疾患および障害を、例として、オートファジーを誘導するかまたは増加させることにより、予防および/または処置するために有用な、方法および関連組成物である。方法および組成物は、例として、オートファジーを誘導するかまたは増加させることによって、様々なオートファジーの媒介する疾患および障害を予防および/または処置する治療法を有利に提供し、および、対象へ疾患特異的な処置もまた提供されてもよいものの、これは必ずしも疾患特異的な処置を必要としない。
合成ナノキャリア
多種多様な合成ナノキャリアを、本発明に従って使用することができる。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、球体または球状体である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、扁平または平板状である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、立方体または立方である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、卵円または楕円である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、円柱、円錐またはピラミッド形である。
いくつかの態様において、各々の合成ナノキャリアが類似の特性を有するように、サイズまたは形状に関して比較的均一である合成ナノキャリアの集団の使用が望ましい。例えば、合成ナノキャリアの合計数に基づき、提供される組成物または方法のいずれかの合成ナノキャリアの、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%は、合成ナノキャリアの平均直径または平均寸法の5%、10%、または20%以内に該当する最小寸法または最大寸法を有していてもよい。
合成ナノキャリアは、中実であっても中空であってもよく、1以上の層を含んでもよい。いくつかの態様において、各層は、他の層と比較してユニークな組成およびユニークな特性を有する。一例のみを挙げると、合成ナノキャリアは、コア/シェル構造を有していてもよく、ここで、コアは1つの層であり(例として、ポリマーのコア)、シェルは第2の層である(例として、脂質二重層または単層)。合成ナノキャリアは、複数の異なる層を含んでもよい。
いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、1以上の脂質を任意に含んでもよい。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、リポソームを含んでもよい。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、脂質二重層を含んでもよい。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、脂質単層を含んでもよい。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、ミセルを含んでもよい。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、脂質層(例として、脂質二重層、脂質単層など)に囲まれたポリマーマトリックスを含むコアを含んでもよい。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、脂質層(例として、脂質二重層、脂質単層など)に囲まれた非ポリマー性のコア(例として、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子、骨粒子、ウイルス粒子、タンパク質、核酸、炭水化物など)を含んでもよい。
他の態様において、合成ナノキャリアは、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子などを含んでもよい。いくつかの態様において、非ポリマー性合成ナノキャリアは、金属原子(例として、金原子)の凝集体などの、非ポリマー性成分の凝集体である。
いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、1以上の両親媒性実体を任意に含んでもよい。いくつかの態様において、両親媒性実体は、増加した安定性、改善した均一性または増加した粘性により、合成ナノキャリアの製造を促進することができる。いくつかの態様において、両親媒性実体は、脂質膜(例として、脂質二重層、脂質単層など)の内部表面に会合していてもよい。当該分野において公知の多くの両親媒性実体が、本発明による合成ナノキャリアを作製するために好適である。かかる両親媒性実体には、限定はされないが以下を含む:ホスホグリセリド;ホスファチジルコリン;ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC);ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE);ジオレイルオキシプロピルトリエチルアンモニウム(DOTMA);ジオレオイルホスファチジルコリン;コレステロール;コレステロールエステル;ジアシルグリセロール;コハク酸ジアシルグリセロール;ジホスファチジルグリセロール(DPPG);ヘキサンデカノール;ポリエチレングリコール(PEG)などの脂肪アルコール;ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル;パルミチン酸またはオレイン酸などの界面活性脂肪酸;脂肪酸;脂肪酸モノグリセリド;脂肪酸ジグリセリド;脂肪酸アミド;ソルビタントリオレアート(Span(登録商標)85)グリココーレート;ソルビタンモノラウレート(Span(登録商標)20);ポリソルベート20(Tween(登録商標)20);ポリソルベート60(Tween(登録商標)60);ポリソルベート65(Tween(登録商標)65);ポリソルベート80(Tween(登録商標)80);ポリソルベート85(Tween(登録商標)85);ポリオキシエチレンモノステアレート;サーファクチン;ポロキサマー;ソルビタントリオレアートなどのソルビタン脂肪酸エステル;レシチン;リゾレシチン;ホスファチジルセリン;ホスファチジルイノシトール;スフィンゴミエリン;ホスファチジルエタノールアミン(セファリン);カルジオリピン;ホスファチジン酸;セレブロシド;リン酸ジセチル;ジパルミトイルホスファチジルグリセロール;ステアリルアミン;ドデシルアミン;ヘキサデシルアミン;パルミチン酸アセチル;グリセロールリシノレート;ヘキサデシルステアレート;ミリスチン酸イソプロピル;チロキサポール;ポリ(エチレングリコール)5000-ホスファチジルエタノールアミン;ポリ(エチレングリコール)400-モノステアレート;リン脂質;高い界面活性剤特性を有する合成および/または天然の洗剤;デオキシコラート;シクロデキストリン;カオトロピックな塩;イオン対化剤(ion pairing agent);およびこれらの組み合わせ。両親媒性実体成分は、異なる両親媒性実体の混合物であってもよい。当業者は、これは例示的な界面活性剤効果を有する物質のリストであって、包括的なものではないことを理解するであろう。本発明により用いられるべき合成ナノキャリアの製造において、任意の両親媒性実体を用いることができる。
いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、1以上の炭水化物を任意に含んでもよい。炭水化物は、天然であっても合成であってもよい。炭水化物は、誘導体化された天然の炭水化物であってもよい。ある態様において、炭水化物は、単糖または二糖を含み、これは、限定されないが、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、マンノース、キシロース、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミンおよびノイラミン酸を含む。ある態様において、炭水化物は多糖であり、これは、限定されないが、プルラン、セルロース、微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシセルロース(HC)、メチルセルロース(MC)、デキストラン、シクロデキストラン、グリコーゲン、ヒドロキシエチルデンプン、カラギーナン、グリコン(glycon)、アミロース、キトサン、N,O-カルボキシルメチルキトサン、アルギン酸およびアルギニン酸、デンプン、キチン、イヌリン、コンニャク、グルコマンナン、プスツラン(pustulan)、ヘパリン、ヒアルロン酸、カードランおよびキサンタンを含む。態様において、合成ナノキャリアは、多糖などの炭水化物を含まない(または特に除外する)。ある態様において、炭水化物は、糖アルコールなどの炭水化物誘導体を含んでもよく、これは、限定されないが、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトールおよびラクチトールを含む。
いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、1以上のポリマーを含んでもよい。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、非メトキシ末端プルロニックポリマーである1以上のポリマーを含む。いくつかの態様において、合成ナノキャリアを構成するポリマーの、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%(重量/重量)は、非メトキシ末端プルロニックポリマーである。いくつかの態様において、合成ナノキャリアを構成するポリマーの全てが、非メトキシ末端プルロニックポリマーである。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、非メトキシ末端ポリマーである1以上のポリマーを含む。いくつかの態様において、合成ナノキャリアを構成するポリマーの、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%(重量/重量)は、非メトキシ末端ポリマーである。いくつかの態様において、合成ナノキャリアを構成するポリマーの全ては、非メトキシ末端ポリマーである。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、プルロニックポリマーを含まない1以上のポリマーを含む。いくつかの態様において、合成ナノキャリアを構成するポリマーの、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%(重量/重量)は、プルロニックポリマーを含まない。いくつかの態様において、合成ナノキャリアを構成するポリマーの全ては、プルロニックポリマーを含まない。いくつかの態様において、かかるポリマーは、コーティング層(例として、リポソーム、脂質単層、ミセル等)により囲まれていてもよい。いくつかの態様において、合成ナノキャリアの要素は、ポリマーに付着していてもよい。
免疫抑制剤は、多数の方法のうちのいずれかにより合成ナノキャリアに連結することができる。一般に付着は、免疫抑制剤と合成ナノキャリアの間の結合の結果である。この結合により、免疫抑制剤の、合成ナノキャリア表面への付着、および/または合成ナノキャリア中への含有(封入)がもたらされ得る。提供される方法または組成物のいずれかのいくつかの態様においては、しかしながら、免疫抑制剤は、合成ナノキャリアへの結合よりもむしろ合成ナノキャリアの構造の結果として、合成ナノキャリアにより封入される。提供される方法または組成物のいずれかの好ましい態様において、合成ナノキャリアは、本明細書で提供されるポリマーを含み、免疫抑制剤はポリマーに連結されている。
連結(coupling)が、免疫抑制剤と合成ナノキャリアの間の結合の結果として生じる場合、連結は、連結部分(coupling moiety)を介して生じてもよい。連結部分は、それを通して免疫抑制剤が合成ナノキャリアに結合する任意の部分であってよい。かかる部分は、アミド結合またはエステル結合などの共有結合、ならびに免疫抑制剤を合成ナノキャリアに(共有的または非共有的に)結合する別の分子を含む。かかる分子は、リンカーまたはポリマーまたはその単位を含む。例えば、連結部分は、免疫抑制剤が静電気的に結合する荷電したポリマーを含むことができる。別の例として、連結部分は、それが共有結合しているポリマーまたはその単位を含むことができる。
提供される方法または組成物のいずれかの好ましい態様において、合成ナノキャリアは、本明細書において提供されるポリマーを含む。これらの合成ナノキャリアは、完全にポリマー性のものであっても、ポリマーと他の材料との混合物であってもよい。
提供される方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、合成ナノキャリアのポリマーは、会合してポリマーマトリックスを形成する。提供される方法または組成物のいずれかのこれら態様のいくつかにおいて、免疫抑制剤などの成分は、ポリマーマトリックスの1以上のポリマーと共有的に会合することができる。提供される方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、共有的会合は、リンカーにより媒介される。提供される方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、成分は、ポリマーマトリックスの1以上のポリマーに、非共有的に会合することができる。例えば、提供される方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、成分は、ポリマーマトリックス中に封入され、ポリマーマトリックスにより囲まれ、および/またはポリマーマトリックス全体に分散されることができる。代替的にまたは加えて、成分は、疎水性相互作用、電荷相互作用、ファン・デル・ワールス力などにより、ポリマーマトリックスの1以上のポリマーに会合することができる。それらからポリマーマトリックスを形成するための広範なポリマーおよび方法が、慣習的に知られている。
ポリマーは、天然または非天然の(合成の)ポリマーであってよい。ポリマーは、ホモポリマーであっても、2以上のモノマーを含むコポリマーであってもよい。配列に関して、コポリマーは、ランダムであっても、ブロックであっても、またはランダムおよびブロック配列の組み合わせを含んでもよい。典型的には、本発明によるポリマーは、有機ポリマーである。
いくつかの態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドまたはポリエーテル、またはこれらの単位を含む。他の態様において、ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、またはポリカプロラクトン、またはこれらの単位を含む。いくつかの態様において、ポリマーは、生分解性であることが好ましい。したがってこれらの態様において、ポリマーが、ポリ(エチレングリコール)またはポリプロピレングリコールまたはこれらの単位などのポリエーテルを含む場合、ポリマーが生分解性となるように、ポリマーが、ポリエーテルと生分解性ポリマーのブロックコポリマーを含むことが好ましい。他の態様において、ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)またはポリプロピレングリコールまたはその単位などのポリエーテルまたはその単位を単独では含まない。
本発明における使用のために好適なポリマーの他の例として、限定されないが、ポリエチレン、ポリカーボネート(例として、ポリ(1,3-ジオキサン-2オン))、ポリ酸無水物(例として、ポリ(セバシン酸無水物))、フマル酸ポリプロピル、ポリアミド(例として、ポリカプロラクタム)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例として、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリラクチド-グリコリドコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酸(polyhydroxyacid)(例として、ポリ(β-ヒドロキシアルカノアート)))、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリラート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリウレア、ポリスチレン、およびポリアミン、ポリリジン、ポリリジン-PEGコポリマー、およびポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンイミン)-PEGコポリマーが挙げられる。
いくつかの態様において、本発明によるポリマーは、米国食品医薬品局(FDA)により21C.F.R. §177.2600下においてヒトにおける使用について承認されているポリマーを含み、これは、限定されないが、ポリエステル(例として、ポリ乳酸、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)コポリマー、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(1,3-ジオキサン-2オン));ポリ酸無水物(例として、ポリ(セバシン酸無水物));ポリエーテル(例として、ポリエチレングリコール);ポリウレタン;ポリメタクリラート;ポリアクリラート;およびポリシアノアクリラートを含む。
いくつかの態様において、ポリマーは、親水性であってよい。例えば、ポリマーは、アニオン基(例として、リン酸基、硫酸基、カルボン酸基);カチオン基(例として、四級アミン基);または極性基(例として、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基)を含んでもよい。いくつかの態様において、親水性ポリマーマトリックスを含む合成ナノキャリアは、合成ナノキャリア中に親水性環境を生じる。いくつかの態様において、ポリマーは、疎水性であってもよい。いくつかの態様において、疎水性ポリマーマトリックスを含む合成ナノキャリアは、合成ナノキャリア中に疎水性環境を生じる。ポリマーの親水性または疎水性の選択は、合成ナノキャリア中に組み込まれる材料の性質に対して影響を有し得る。
いくつかの態様において、ポリマーは、1以上の部分および/または官能基により修飾されていてもよい。本発明に従って多様な部分または官能基を用いることができる。いくつかの態様において、ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)により、炭水化物により、および/または多糖から誘導される非環式ポリアセタールにより、修飾することができる(Papisov, 2001, ACS Symposium Series, 786:301)。ある態様は、Grefらの米国特許第5543158号またはVon AndrianらによるWO公開WO2009/051837の一般的教示を用いて行ってもよい。
いくつかの態様において、ポリマーは、脂質または脂肪酸基により修飾されてもよい。いくつかの態様において、脂肪酸基は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、またはリグノセリン酸の1以上であってもよい。いくつかの態様において、脂肪酸基は、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファ-リノール酸、ガンマ-リノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸またはエルカ酸の1以上であってよい。
いくつかの態様において、ポリマーは、ポリエステルであってよく、これは、乳酸およびグリコール酸の単位を含むコポリマー、例えばポリ(乳酸-コ-グリコール酸)およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(本明細書において集合的に「PLGA」として言及される);ならびにグリコール酸単位を含むホモポリマー(本明細書において「PGA」として言及される)、ならびにポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、およびポリ-D,L-ラクチドなどの乳酸単位を含むホモポリマー(本明細書において集合的に「PLA」として言及される)を含む。いくつかの態様において、例示的なポリエステルとして、例えば、ポリヒドロキシ酸;PEGコポリマーおよびラクチドとグリコリドとのコポリマー(例えば、PLA-PEGコポリマー、PGA-PEGコポリマー、PLGA-PEGコポリマー)およびそれらの誘導体が挙げられる。いくつかの態様において、ポリエステルとして、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)-PEGコポリマー、ポリ(L-ラクチド-L-リジン)コポリマー、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリ[α-(4-アミノブチル)-L-グリコール酸]およびそれらの誘導体が挙げられる。
いくつかの態様において、ポリマーは、PLGAであってよい。PLGAは、乳酸とグリコール酸との生体適合性かつ生分解性のコポリマーであり、PLGAの多様な形態は、乳酸:グリコール酸の比により特徴付けられる。乳酸は、L-乳酸、D-乳酸またはD,L-乳酸であってよい。PLGAの分解速度は、乳酸:グリコール酸比を変更することにより調節することができる。いくつかの態様において、本発明により用いられるべきPLGAは、乳酸:グリコール酸の比として約85:15、約75:25、約60:40、約50:50、約40:60、約25:75、または約15:85により、特徴付けられる。
いくつかの態様において、ポリマーは、1以上のアクリル酸ポリマーであってよい。ある態様において、アクリル酸ポリマーとしては、例えば、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、メチルメタクリラートコポリマー、エトキシエチルメタクリラート、シアノエチルメタクリラート、アミノアルキルメタクリラートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メチルメタクリラート、ポリメタクリラート、ポリ(メチルメタクリラート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリラートコポリマー、グリシジルメタクリラートコポリマー、ポリシアノアクリラート、および前述のポリマーの1以上を含む組み合わせが挙げられる。アクリル酸ポリマーは、四級アンモニウム基の含有量が少ないアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの完全に重合したコポリマーを含んでもよい。
いくつかの態様において、ポリマーは、カチオン性ポリマーであってよい。一般的に、カチオン性ポリマーは、核酸の負に荷電した鎖を縮合および/または保護することができる。ポリ(リジン)などのアミン含有ポリマー(Zauner et al., 1998, Adv. Drug Del. Rev., 30:97;およびKabanov et al., 1995, Bioconjugate Chem., 6:7)、ポリ(エチレンイミン)(PEI;Boussif et al., 1995, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1995, 92:7297)、およびポリ(アミドアミン)デンドリマー(Kukowska-Latallo et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 93:4897;Tang et al., 1996, Bioconjugate Chem., 7:703;およびHaensler et al., 1993, Bioconjugate Chem., 4:372)は、生理学的pHにおいて正に荷電しており、核酸とイオン対を形成する。態様において、合成ナノキャリアは、カチオン性ポリマーを含まなくともよい(またはこれを除外してもよい)。
いくつかの態様において、ポリマーは、カチオン性側鎖を有する分解性ポリエステルであってもよい(Putnam et al., 1999, Macromolecules, 32:3658;Barrera et al., 1993, J. Am. Chem. Soc., 115:11010;Kwon et al., 1989, Macromolecules, 22:3250;Lim et al., 1999, J. Am. Chem. Soc., 121:5633;およびZhou et al., 1990, Macromolecules, 23:3399)。これらのポリエステルの例として、ポリ(L-ラクチド-L-リジン)コポリマー(Barrera et al., 1993, J. Am. Chem. Soc., 115:11010)、ポリ(セリンエステル)(Zhou et al., 1990, Macromolecules, 23:3399)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)(Putnam et al., 1999, Macromolecules, 32:3658;およびLim et al., 1999, J. Am. Chem. Soc., 121:5633)、ならびにポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)(Putnam et al., 1999, Macromolecules, 32:3658;およびLim et al., 1999, J. Am. Chem. Soc., 121:5633)が挙げられる。
これらおよび他のポリマーの特性およびそれらを調製する方法は、当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第6,123,727号;5,804,178号;5,770,417号;5,736,372号;5,716,404号;6,095,148号;5,837,752号;5,902,599号;5,696,175号;5,514,378号;5,512,600号;5,399,665号;5,019,379号;5,010,167号;4,806,621号;4,638,045号;および4,946,929号;Wang et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:9480;Lim et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:2460;Langer, 2000, Acc. Chem. Res., 33:94;Langer, 1999, J. Control. Release, 62:7;およびUhrich et al., 1999, Chem. Rev., 99:3181参照)。より一般的には、特定の好適なポリマーを合成するための多様な方法は、Concise Encyclopedia of Polymer Science and Polymeric Amines and Ammonium Salts、Goethals編、Pergamon Press, 1980;OdianによるPrinciples of Polymerization、John Wiley & Sons、第4版、2004;AllcockらによるContemporary Polymer Chemistry, Prentice-Hall, 1981;Deming et al., 1997, Nature, 390:386;および米国特許第6,506,577号、同第6,632,922号、同第6,686,446号および同第6,818,732号において記載される。
いくつかの態様において、ポリマーは、直鎖状または分枝状ポリマーであってよい。いくつかの態様において、ポリマーは、デンドリマーであってよい。いくつかの態様において、ポリマーは、互いに実質的に架橋されていてもよい。いくつかの態様において、ポリマーは、実質的に架橋を含まなくてもよい。いくつかの態様において、ポリマーは、架橋するステップを経ることなく本発明に従って用いることができる。さらに、合成ナノキャリアは、前述のおよび他のポリマーのいずれかのブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ブレンド、混合物および/または付加物を含んでもよいことが、理解されるべきである。当業者は、本明細書において列記されるポリマーは、本発明により使用することができる例示的な、しかし包括的ではない、ポリマーのリストを表すことを認識するであろう。
いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、ポリマー成分を含まない。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子などを含んでもよい。いくつかの態様において、非ポリマー性合成ナノキャリアは、金属原子(例として、金原子)の凝集体などの、非ポリマー性成分の凝集体である。
免疫抑制剤
本明細書で提供される任意の免疫抑制剤は、提供される方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、合成ナノキャリアに連結され得る。免疫抑制剤は、限定されないが以下を含む:スタチン;ラパマイシンまたはラパマイシン類似体(「ラパログ」)などのmTOR阻害剤;TGF-βシグナル伝達剤;TGF-β受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤;コルチコステロイド;ロテノンなどのミトコンドリアの機能の阻害剤;P38阻害剤;NF-κβ阻害剤;アデノシン受容体アゴニスト;プロスタグランジンE2アゴニスト;ホスホジエステラーゼ4阻害剤などのホスホジエステラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;キナーゼ阻害剤;Gタンパク質共役受容体アゴニスト;Gタンパク質共役受容体アンタゴニスト;糖質コルチコイド;レチノイド;サイトカイン阻害剤;サイトカイン受容体阻害剤;サイトカイン受容体アクチベーター;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アンタゴニスト;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;カルシニューリン阻害剤;ホスファターゼ阻害剤ならびに酸化ATP。免疫抑制剤はまた、IDO、ビタミンD3、シクロスポリンA、アリール炭化水素受容体阻害剤、レスベラトロール、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、アスピリン、ニフルミン酸、エストリオール、トリポリド(tripolide)、インターロイキン(例として、IL-1、IL-10)、シクロスポリンA、サイトカインまたはサイトカイン受容体などを標的とするsiRNAなどを含む。
スタチンの例としては、以下が挙げられる:アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標)、TORVAST(登録商標))、セリバスタチン、フルバスタチン(LESCOL(登録商標)、LESCOL(登録商標)XL)、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標)、ALTOCOR(登録商標)、ALTOPREV(登録商標))、メバスタチン(COMPACTIN(登録商標))、ピタバスタチン(LIVALO(登録商標)、PIAVA(登録商標))、ロスバスタチン(PRAVACHOL(登録商標)、SELEKTINE(登録商標)、LIPOSTAT(登録商標))、ロスバスタチン(CRESTOR(登録商標))、およびシンバスタチン(ZOCOR(登録商標)、LIPEX(登録商標))。
mTOR阻害剤の例としては、以下が挙げられる:ラパマイシンおよびその類似体(例として、CCL-779、RAD001、AP23573、C20-メタリルラパマイシン(C20-Marap)、C16-(S)-ブチルスルホンアミドドラパマイシン(C16-BSrap)、C16-(S)-3-メチルインドレラパマイシン(C16-iRap)(Bayle et al. Chemistry & Biology 2006, 13:99-107))、AZD8055、BEZ235(NVP-BEZ235)、クリソファン酸(クリソファノール)、デフォロリムス(MK-8669)、エベロリムス(RAD0001)、KU-0063794、PI-103、PP242、テムシロリムス、およびWYE-354(Selleck, Houston, TX, USAから入手可能)。
本明細書で使用される「ラパログ」は、構造的にラパマイシン(シロリムス)の(類似体)に関する分子を指す。ラパログの例として、限定することなく、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、リダフォロリムス(AP-23573)、およびゾタロリムス(ABT-578)が挙げられる。ラパログのさらなる例は、例えばWO公開WO1998/002441および米国特許第8,455,510号において見出すことができ、それらのラパログは、本明細書においてその全体が参考として援用される。
合成ナノキャリアに連結された場合、合成ナノキャリア全体の材料の総乾燥処方重量(重量/重量)に基づく、合成ナノキャリアに連結された免疫抑制剤の量は、本明細書の他の場所に記載されている通りである。好ましくは、本明細書で提供される方法または組成物またはキットのいずれかのいくつかの態様において、ラパマイシンまたはラパログなどの免疫抑制剤の負荷量は、重量で、4%、5%、65、7%、8%、9%または10%から、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%または40%の間である。
免疫抑制剤に連結された合成ナノキャリアに関して、成分を合成ナノキャリアに連結するための方法が有用であり得る。合成ナノキャリアの要素は、例として、1以上の共有結合によって合成ナノキャリア全体に連結され得るか、または、1以上のリンカーによって付着させられ得る。合成ナノキャリアを機能化する追加の方法は、Saltzmanらの公開米国特許出願2006/0002852、DeSimoneらの公開米国特許出願2009/0028910、またはMurthyらの公開国際特許出願WO/2008/127532A1から適合することができる。
いくつかの態様において、連結は共有結合リンカーであり得る。態様において、本発明による免疫抑制剤は、アジド基とアルキン基含有免疫抑制剤との1,3-双極子付加環化反応、またはアルキンとアジド基含有免疫抑制剤との1,3-双極子付加環化反応によって形成される、1,2,3-トリアゾールリンカーを介して、外面に共有的に連結することができる。かかる付加環化反応は、好ましくは、Cu(I)触媒と適切なCu(I)リガンドおよび、Cu(II)化合物を触媒活性Cu(I)化合物に還元する還元剤の存在下で行われる。このCu(I)触媒によるアジド-アルキン付加環化反応(CuAAC)は、クリック反応とも呼ばれる。
さらに、共有結合連結は、アミドリンカー、ジスルフィドリンカー、チオエーテルリンカー、ヒドラゾンリンカー、ヒドラジドリンカー、イミンまたはオキシムリンカー、尿素またはチオ尿素リンカー、アミジンリンカー、アミンリンカー、およびスルホンアミドリンカーを含む共有リンカーを、含み得る。
代替的にまたは追加的に、合成ナノキャリアは、非共有相互作用を介して直接または間接的に成分に連結することができる。非共有的態様において、非共有付着は、限定されないが以下を含む非共有相互作用によって媒介される:電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理的吸着、ホスト-ゲスト相互作用、疎水性相互作用、TTスタッキング相互作用、水素結合相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子-双極子相互作用、および/またはそれらの組み合わせ。かかる連結は、合成ナノキャリアの外面または内面に配置することができる。提供される方法または組成物のいずれかの態様において、封入および/または吸収は、連結の一形態である。
利用可能なコンジュゲーション法の詳細については、Hermanson G T “Bioconjugate Techniques”, 2nd Edition Published by Academic Press, Inc., 2008を参照されたい。共有的付着に加えて、成分は、事前に形成された合成ナノキャリアへの吸着により連結することができ、または、合成ナノキャリアの形成中の封入により連結することができる。
D.方法および関連する組成物を作成および使用する方法
合成ナノキャリアは、当該分野において公知の広範な方法を用いて調製することができる。例えば、合成ナノキャリアは、ナノ沈殿、流体チャネルを用いるフローフォーカシング(flow focusing)、スプレー乾燥、シングルおよびダブルエマルション溶媒蒸発、溶媒抽出、相分離、製粉、マイクロエマルション法、微細加工(microfabrication)、ナノ加工(nanofabrication)、犠牲層、単純および複合コアセルベーションなどの方法、ならびに当業者に周知の他の方法により形成することができる。代替的にまたは加えて、単分散半導体のための水性および有機性の溶媒合成、伝導性、磁性、有機および他のナノ材料が記載されている(Pellegrino et al., 2005, Small, 1:48;Murray et al., 2000, Ann. Rev. Mat. Sci., 30:545;およびTrindade et al., 2001, Chem. Mat., 13:3843)。さらなる方法は、文献において記載されている(例として、Doubrow編、「Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy」、CRC Press, Boca Raton, 1992;Mathiowitz et al., 1987, J. Control. Release, 5:13;Mathiowitz et al., 1987, Reactive Polymers, 6:275;ならびにMathiowitz et al., 1988, J. Appl. Polymer Sci., 35:755;米国特許第5578325号および同第6007845号;P. Paolicelli et al., 「Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles」Nanomedicine. 5(6):843-853 (2010)を参照)。
材料を、望ましい場合には、限定されないが以下を含む多様な方法を用いて、合成ナノキャリア中に封入してもよい:C. Astete et al., “Synthesis and characterization of PLGA nanoparticles” J. Biomater. Sci. Polymer Edn, Vol. 17, No. 3, pp. 247-289 (2006);K. Avgoustakis「Pegylated Poly(Lactide) and Poly(Lactide-Co-Glycolide) Nanoparticles:Preparation, Properties and Possible Applications in Drug Delivery」Current Drug Delivery 1:321-333(2004);C. Reis et al., 「Nanoencapsulation I. Methods for preparation of drug-loaded polymeric nanoparticles」Nanomedicine 2:8- 21(2006);P. Paolicelli et al., 「Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles」Nanomedicine. 5(6): 843-853(2010)。材料を合成ナノキャリア中に封入するために好適な他の方法を用いてもよく、これらは、限定することなく、2003年10月14日に発行されたUngerに対する米国特許第6,632,671号において開示される方法を含む。
ある態様において、合成ナノキャリアは、ナノ沈殿法またはスプレー乾燥により調製される。合成ナノキャリアを調製することにおいて用いられる条件は、所望されるサイズおよび特性(例として、疎水性、親水性、外側の形態、「粘着性」、形状等)の粒子を得るために変更することができる。合成ナノキャリアを調製する方法および用いられる条件(例として、溶媒、温度、濃度、空気流量等)は、合成ナノキャリアに付着させるべき材料および/またはポリマーマトリックスの組成に依存し得る。
上記の方法のいずれかにより調製される合成ナノキャリアが、所望される範囲の外のサイズ範囲を有する場合、合成ナノキャリアを、例えば篩を用いて、サイズ分類することができる。
本明細書において提供される組成物は、無機または有機の緩衝剤(例として、リン酸、炭酸、酢酸またはクエン酸のナトリウムまたはカリウム塩)およびpH調整剤(例として、塩酸、水酸化ナトリウムまたはカリウム、クエン酸または酢酸の塩、アミノ酸およびそれらの塩)、抗酸化剤(例として、アスコルビン酸、アルファ-トコフェロール)、界面活性剤(例として、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン9-10ノニルフェノール、デオキシコール酸ナトリウム)、溶液および/または低温(cryo)/凍結安定化剤(例として、スクロース、ラクトース、マンニトール、トレハロース)、浸透圧調節剤(例として、塩または糖)、抗菌剤(例として、安息香酸、フェノール、ゲンタマイシン)、消泡剤(例として、ポリジメチルシロキサン)、保存剤(例として、チメロサール、2-フェノキシエタノール、EDTA)、ポリマー性安定化剤および粘度調節剤(例として、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー488、カルボキシメチルセルロース)および共溶媒(例として、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール)を含んでもよい。
本発明による組成物は、薬学的に許容し得る賦形剤、例えば保存剤、緩衝液、生理食塩水、またはリン酸緩衝生理食塩水などを含むことができる。組成物は、従来の医薬品製造および配合技術を用いて作製して、有用な剤形に到達することができる。提供される方法または組成物のいずれかの態様において、組成物を、注射のために、保存剤と共に無菌生理食塩水中に懸濁する。本発明の実施における使用のために好適な技術は、Handbook of Industrial Mixing: Science and Practice, Edited by Edward L. Paul, Victor A. Atiemo-Obeng, and Suzanne M. Kresta, 2004 John Wiley & Sons, Inc.;ならびにPharmaceutics: The Science of Dosage Form Design, 2nd Ed. Edited by M. E. Auten, 2001, Churchill Livingstoneに見出すことができる。提供される方法または組成物のいずれかの一態様において、組成物は注射用に、保存剤と共に無菌生理食塩水中に懸濁される。
本発明の組成物は任意の好適な様式において製造することができることが、理解されるべきであり、本発明は、本明細書に記載の方法を用いて製造することができる組成物に決して限定されない。適切な製造方法の選択は、関連する特定の部分の特性に対する注意を必要とする場合がある。
提供される方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、無菌条件下において製造されるか、最終的に無菌化される。このことにより、結果として生じる組成物が無菌かつ非感染性であることを確実にすることができ、それにより、非無菌の組成物と比較して安全性が改善される。このことは、特に組成物を投与されている対象が免疫欠損を有するか、感染症を罹患しているか、および/または感染に対して感受性である場合に、貴重な安全対策を提供する。
投与
本発明による投与は、皮下、静脈内、および腹腔内経路を含むがこれらに限定されない様々な経路によるものであってよい。例えば、提供される処置方法のいずれかの組成物の投与様式は、静脈内投与、例えば、約1時間にわたって行われ得る静脈内注入などによるものであり得る。本明細書で言及される組成物は、従来方法を用いた投与のために製造および調製することができる。
本発明の組成物は、本明細書に記載の有効量などの有効量で投与することができる。提供される方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの、反復された複数サイクルの投与が行われる。剤形の用量は、本発明による様々な量の免疫抑制剤を含有し得る。剤形中に存在する免疫抑制剤の量は、合成ナノキャリアおよび/または免疫抑制剤の性質、達成されるべき治療効果、および他のかかるパラメータに従って変更することができる。態様において、用量設定試験を実施して、剤形中に存在する成分(単数または複数)の最適な治療量を確立することができる。態様において、成分(単数または複数)は、オートファジーを誘導するか、または増加させるために、またはオートファジーに関連する疾患または障害に対する予防的または治療的応答を生成するために有効な量で、剤形中に存在する。剤形は、様々な頻度で投与することができる。
本発明の側面は、本明細書で提供される投与方法のプロトコルを決定することに関する。プロトコルは、少なくとも、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの頻度、投与量を変更し、続いて、オートファジーにおける誘導および/または増加などの、所望のまたは望ましくない治療反応を評価することにより、決定することができる。プロトコルは、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの、少なくとも投与の頻度および用量を含むことができる。本明細書で提供される方法のいずれかは、プロトコルを決定するステップを含むことができ、または投与ステップは、本明細書で提供される所望の結果のいずれか1つ以上を達成するように決定されたプロトコルに従って、実施される。
免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む本明細書で提供される組成物は、いくつかの態様において、治療用高分子、ウイルスベクター、またはAPC提示可能抗原と併用して(例として、同時に)投与されないか、または、治療用高分子、ウイルスベクター、またはAPC提示可能抗原と、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの別個の投与(例として、同一の投与組成物中にない、および/またはオートファジーを誘導または増加させるためではないなどの異なる目的のために別個に投与される)との組み合わせと併用して、投与される。いくつかの態様において、免疫抑制剤に連結した合成ナノキャリアを含む本明細書で提供される組成物は、治療用高分子、ウイルスベクター、またはAPC提示可能抗原の1ヶ月以内、1週間以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内、5時間以内、4時間以内、3時間以内、2時間以内、または1時間以内には、投与されない。前述のいくつかの態様において、別の治療と併用して投与される場合、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、本明細書で提供される効果のためであり、異なる目的のためではなく(または少なくともそのためのみではなく)、および/または他の治療への効果のためでもない(または少なくともそのためのみではない)。いくつかの態様において、他の治療と免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが併用して投与されない場合、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、他の治療に対して効果または臨床的に意味のあるもしくは実質的な効果を有さない、例えば、免疫抑制剤を含むナノキャリアが他の治療と併用して投与された場合に達成されるような効果を有さない。いくつかの態様において、他の治療および免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの両方が併用して投与されるかどうかにかかわらず、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、臨床的に有意な効果を、オートファジーに対してのみ、または他の治療などの別の効果に加えて、有する。
いくつかの態様において、他の治療および免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが併用して投与されないか、または本明細書で提供される目的以外では併用して投与されない場合、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの、他の治療に対する効果は必要ではないか、または追加の効果である(併用して投与した場合の)。いくつかの態様において、他の治療および免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが併用して投与されない場合、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、他の治療に対して、免疫抑制剤を含むナノキャリアが他の治療と併用して投与された場合に達成するところの、効果または臨床的に意味のあるもしくは実質的な効果を有さない(例として、他の治療の有効性の増加)。
本明細書に記載の組成物および方法は、1以上のオートファジーに関連する疾患または障害を有するかまたは有するリスクのある対象に、使用することができる。オートファジーに関連する疾患または障害の例には、限定はされないが、メタボリックシンドローム、肝疾患、および代謝の先天性異常症(有機酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症、オルニチン脱炭酸酵素欠損症)を包含する。
肝疾患の例には、限定はされないが、代謝性肝疾患(例として、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪肝炎(NASH));アルコール関連肝疾患(例として、脂肪肝、アルコール性肝炎);自己免疫性肝疾患(例として、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎);ウイルス感染症(例として、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎);肝がん(例として、肝細胞がん、HCC);先天性代謝障害(例として、アラジール症候群、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症、クリグラー・ナジャール症候群、ガラクトース血症、ゴーシェ病、尿素サイクル障害(例えば、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症)、ギルバート症候群、ヘモクロマトーシス、リソソーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)、有機酸血症(例として、メチルマロン酸血症)、レイ症候群、I型糖鎖抗原貯蔵病、およびウィルソン病);薬物肝毒性(例として、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、スタチン、抗生物質、例として、アモキシシリン-クラブラン酸またはエリスロマイシン、関節炎薬、例として、メトトレキサートまたはアザチオプリン、抗真菌薬、ナイアシン、ステロイド、アロプリノール、抗ウイルス薬、化学療法、ハーブサプリメント、例として、アロエベラ、ブラックコホシュ、カスカラ、シャパラル、コンフリー、エフェドラ、またはカヴァ、塩化ビニル、四塩化炭素、パラコート、またはポリ塩化ビフェニル)への暴露からの);および線維症(例として、肝硬変)を包含する。
先天性代謝異常症は、限定はされないが、有機酸尿症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症、尿素サイクル異常症、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症、シトリリン血症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症、メープルシュガー尿症(MSUD)、フェニルケトン尿症、グリコーゲン貯蔵病1~13型、G6PD欠損症、グルタル酸血症、チロシン血症、アミノ酸代謝障害、脂質代謝障害、糖質代謝障害を包含する。
投薬
本明細書で提供される組成物は、投薬スケジュールに従って投与することができる。本明細書に提供されるのは、いくつかの可能な投薬スケジュールである。したがって、本明細書で提供される対象のいずれかは、本明細書で提供される投薬スケジュールのいずれかに従って処置され得る。一例として、本明細書で提供される対象のいずれかは、これらの投与スケジュールのいずれかに従って、ラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物で処置することができる。
例1:免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの合成(予言的)
ラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、当業者に公知のいずれかの方法を使用して、生産することができる。好ましくは、本明細書に提供される方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、米国公開US 2016/0128986 A1および米国公開US 2016/0128987 A1の方法のいずれかによって生産され、かかる生産および結果として生じる合成ナノキャリアの記載された方法は、本明細書においてその全体が参考として援用される。本明細書に提供される方法または組成物のいずれかにおいて、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアは、かかる援用された合成ナノキャリアである。
例2:免疫抑制剤に連結した合成ナノキャリアの、催炎物質(Inflammatory Agent)による処置前または処置後の投与
実験室モデルにおいて慢性および急性の性質の薬物毒性および炎症反応により誘発される肝不全を研究するための、いくつかの容認されたモデルがあり、そのうちの1つは、致死量以下のポリクローナルT細胞活性化因子であるコンカナバリンA(Con A)でマウスにチャレンジすることを含む;コンカナバリンAは重大な肝障害を引き起こし、ヒト肝疾患、特に自己免疫性およびウイルス性肝炎における肝損傷の病態生理学の研究によく使用されている(Tiegs et al., 1992;Miyazava et al., 1998)。Con Aで処置されたマウスは、血清中のトランスアミナーゼレベルの著しい増加と肝臓へのリンパ球の大量浸潤を特徴とする、肝不全の重要な臨床的および生化学的特徴を即座に示し、広範な肝細胞壊死の死に至る(Zhang et al, 2009)。さまざまな免疫抑制化合物の全身用量による前処置が、Con Aチャレンジに対して有益であることが示されているが、これらの介入は肝臓特異的でも実用的でもない。
野生型BALB/c雌マウスの3つの群に、Con A(12mg/g)を単独で静脈内(i.v.)注射するか、または、例1のものと同様の免疫抑制剤、例としてImmTOR(商標)、に連結した合成ナノキャリアを、200μgのラパマイシンでCon A注射の1時間前または1時間後に静脈内(i.v.)注射した。24時間後、動物を最終的に出血させ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血清濃度を、マウスアラニンアミノトランスフェラーゼ活性比色/蛍光分析(Biovision, Milpitas, CA)を使用して測定した。
Con A注射のみのほぼ全てのマウスは、ALTの大幅な上昇を示したが、ImmTOR(商標)で処置したマウスのALTレベルは、予防的(Con Aチャレンジの1時間前)または治療的(Con Aチャレンジの1時間後)に関わらず、はるかに低かった(図1)。これは、Con A投与の前または後のいずれかにImmTOR(商標)を単回静脈内注射すると、Con A誘発毒性に対して顕著な利益が得られることを示す。
例3:免疫抑制剤へ連結された合成ナノキャリアは、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症のマウスモデルの尿中オロチン酸濃度を低下させる
OTC欠損症のマウスモデルであるOTCspfashマウスを、例1のものと同様の合成ナノキャリアで、例としてImmTOR(商標)で、4、8、12mg/kgの用量にて、または空のキャリアで、単回注射によって、生後30日に処置した(図2)。ポジティブコントロール群のマウスは、肝臓特異的プロモーターの制御下でOTC遺伝子を発現するAAV8遺伝子治療用ベクターの高用量を受けた。ImmTOR(商標)で処置されたOTCspfashマウスは、投薬の後、2日以内に尿中オロチン酸の急速および用量依存的な減少を示した。尿中オロチン酸の低下は、AAV-OTC遺伝子治療後に観察されたものほど低くはなかったが、かなりのものであった(図2)。
例4:肝毒性剤アセトアミノフェン(APAP)による処置の前または後のImmTOR(商標)の適用は、野生型マウスのアラニントランスフェラーゼ血清濃度の低下をもたらす
薬物毒性によって誘発される肝不全は、主要な医学的および社会的問題である。その主な原因の1つはアセトアミノフェン(APAP)の過量服薬であり、これは最も頻繁に使用される薬剤の1つであって、その過量服薬は肝毒性および急性肝不全(ALF)につながり得る。より具体的には、APAP誘発性肝毒性は、米国を含む多くの国において、ALFの最も一般的な原因であり続けている(Lee WN; Clin. Liver Dis. 2013, 17:575-586)。同時に、APAP誘発性の急性肝損傷は、再現性が高く用量依存的な肝毒性をもたらすことが知られている、マウスの急性肝障害の最も一般的に使用される実験モデルの1つである。さらに、このモデルは、マウスのAPAP誘発性肝障害(AILI)研究の結果が直接ヒトに移行可能であるため、強力な翻訳価値を有する(Mossanen ans Tacke, Lab. Animals, 2015, 49:30-36)。
AILIの主な原因は、肝細胞の大規模な壊死である。ヒトにおいて、APAPは肝臓で代謝され、毒性のN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)の生成につながり得、これは通常、抗酸化剤グルタチオン(GSH)により無害な還元型に変換される。しかし、過量服薬により代謝APAPの量が増加し、GSHが枯渇すると、上昇したNAPQIがミトコンドリアタンパク質に結合して細胞毒性タンパク質付加物を形成し、肝細胞壊死を引き起こす。これに続き肝細胞壊死への反応として無菌炎症が起こり得て、多くの自然免疫細胞における危険関連分子パターンの大量放出とインフラマソーム形成につながる。自然免疫系のかかる活性化は、免疫細胞の炎症部位への動員をもたらし、肝細胞壊死をさらに増加させる。NAPQIの蓄積、肝細胞壊死、および強い炎症反応を含むこれら全ての段階は、マウスのAILIモデルにおいてよく再現されている(Mossanen ans Tacke, 2015)。
APAP誘発性の酸化ストレスおよびミトコンドリア機能障害がAILIの病因に中心的な役割を果たしているため、米国FDAは、抗酸化剤であるN-アセチルシステインを、APAPを過量服薬した患者の唯一の治療選択肢として推奨している;しかし、この薬には副作用および治療可能時間域の狭さなどの制限があり、それを逃した場合、肝移植が、AILI患者の生存を改善する唯一の選択肢である(Yan et al., Redox Biology, 2018, 17:274-283)。したがって、AILIに対する新薬の開発が明らかに必要とされている。ここでは、例1のものと同様の合成ナノキャリアの、例としてImmTOR(商標)の、APAP投与の前または後の単回静脈内注射が、野生型マウスのAILIに対して顕著な利益をもたらすことを示す。
野生型BALB/c雌マウスの3つの群に、APAP(350mg/kg)を単独で静脈内注射するか、またはImmTOR(商標)を、200μgのラパマイシンでAPAP注射の1時間前または1時間後に静脈内注射した。24時間後、動物を最終的に出血させ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血清濃度を、マウスアラニンアミノトランスフェラーゼ活性比色/蛍光分析(Biovision, Milpitas, CA)を使用して測定した。ImmTOR(商標)で処置していないほぼ全てのマウスは、大幅なALT上昇を示したが、予防的に、または重要なことには治療的に、すなわちAPAPチャレンジ後にImmTOR(商標)で処置したマウスのALTレベルは、はるかに低かった(図3)。
例5:免疫抑制剤に連結した合成ナノキャリアは、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症のマウスモデルで尿中オロト酸レベルを低下させる
中和抗体(NAbs)は、AAVベクター投与への応答において形成され、有効性を達成または維持するための1回以上の追加の投薬が必要な小児患者において、ベクター投与を繰り返す能力を妨げている。その結果、例1と同様の合成ナノキャリアの、例としてImmTOR(商標)の、幼若OTCspf-ashマウスにおける耐容性および有効性を評価した。
幼若OTCspf-ashマウスにおいてImmTOR(商標)の耐容性試験を実施した。幼若OTCspf-ashマウスへ空のナノキャリアまたはImmTOR(商標)を静脈内注射した(図4A)。14日後、注射したマウスをALTおよびAST(図4B)、体重(図4C)、血漿アンモニアレベル(図4D)、尿中オロチン酸(図4E)および処置されたマウスの肝臓溶解物中のオートファジーマーカー(図4F)について試験し、すべてが、いかなる目立った副作用も伴わないOTCの減少およびオートファジーの誘導によって示されるように、ImmTOR(商標)単独で、OTCspf-ashモデルにおいて利益を有することを実証した。
注目すべきことに、OTCspf-ashマウスにImmTOR(商標)を単回投薬すると、オートファジーバイオマーカーの肝LC3IIとATG7を誘導し、およびオートファジーバイオマーカーのp62が減少し、オートファジーの増加と一貫する。これは、OTC欠損症のマウスモデルにおいて、ImmTOR(商標)の単回注射は、尿中オロチン酸を減少し、およびこの減少がオートファジーの増加と関連することが実証された。
例6:オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症のマウスモデルにおける免疫抑制剤へ連結された合成ナノキャリアの耐容性試験
例1のものと同様の合成ナノキャリアの、例として、ImmTOR(商標)ナノキャリアの安全性を、OTC欠損OTCSpf-Ashのマウスモデルにおいて評価するために、OTC欠損OTCSpf-Ashのマウスモデルにおいて、ImmTOR(商標)ナノキャリアを幼若OTCSpf-Ashマウス(30日齢)に静脈内(IV)注射した。5つの実験群を試験した:4mg/kgのImmTOR(商標)の投与、8mg/kgのImmTOR(商標)の投与、12mg/kgのImmTOR(商標)の投与、空のナノキャリアの投与、および未処置の動物。
マウスの体重を毎日測定し、尿と血液の試料を、注射の2、7、および14日後に収集した。マウスは注射の14日後に犠牲にした。血漿中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性を、Sigmaのキット(MAK055およびMAK052)を使用して測定し、および尿中オロト酸をHPLC-MSで測定した。
トランスアミナーゼ(例として、AST、ALT)の値は、ImmTOR(商標)投与後、生理的範囲内にあり続け、幼若OTCSpf-Ashマウスにおいて治療が十分に耐容されることを示している(図5C~5D)。さらには、OTC欠損マーカーである尿中オロト酸の用量依存的な改善が観察された。8mg/kgおよび12mg/kg用量のImmTOR(商標)を注射した群は、空のナノキャリアで処置したマウスと比較して、尿中オロト酸の低下を示したが、統計的な有意差はなかった(図5A)。最後の時点(注射後14日)では効果は失われ、全ての群が類似した尿中オロト酸レベルを示した。
全てにおいて、これらのデータは、ImmTOR(商標)を、OTCSpf-Ashの幼若マウスへ安全に投与することができることを例証する。
例7:合成ナノキャリアはオートファジーの活性化を介してOTCspf-ashマウスの尿中オロト酸と肝アンモニアを低下させる
OTCSpf-Ash表現型における例1のものと同様の合成ナノキャリアの、例としてImmTOR(商標)ナノキャリアの有益な効果をさらに調査および確認するために、幼若OTCSpf-Ashマウス(30日齢)に、12mg/kgのImmTOR(商標)または12mg/kgの空のナノキャリアを静脈内(IV)投与した(図6A)。注射は眼窩後方に行った。尿試料は、注射の2、7、および14日後に収集した。マウスを注射の14日後に犠牲にし、肝臓を収集した。尿中オロト酸の分析は、ImmTOR(商標)処置の動物において尿中オロト酸の2倍の低下を示し(図6B)、これは14日間維持された(図6C)。犠牲の際に、肝臓を収集し粉砕した。全溶解物を調製した。肝臓溶解物をブラッドフォードアッセイにより定量化し、等量の溶解物を使用して、アンモニアアッセイキット(Sigma AA0100)でアンモニアを定量化した。ImmTOR(商標)で処置した動物は、空のナノキャリアで処置した動物の50倍の、肝臓でのアンモニアの低下を示した(図6D)。
データは、12mg/kg用量のImmTOR(商標)が、OTCSpf-AshモデルにおけるOTC欠損症の主要なマーカー(オロト酸およびアンモニア)を統計的に低減できたことを示す。特に、オロト酸は尿中で2倍低下し、肝臓は完全にアンモニアから無害化された。
ImmTOR(商標)が、肝臓におけるオートファジーの活性化を介して尿中オロト酸およびアンモニアレベルを低下させている可能性を調査するために、ImmTOR(商標)または空のナノキャリア処置のマウスの肝臓における、オートファジーマーカーを分析した。
ImmTOR(商標)処置および空のナノキャリア処置の動物の肝臓を乳鉢で粉砕し、0.5%のTriton-x、10mMのHepes、pH7.4、および2mMのジチオスレイトールを含有する溶解緩衝液を使用して、粉末から総肝臓タンパク質溶解物を調製した。10μgの肝臓溶解物の分析を、ウエスタンブロットにより、オートファジーの最も一般的なマーカーであるLC3II、ATG7、およびp62を認識する抗体を用いて実施した(図6A)。
注目すべきことに、ImmTOR(商標)処置動物から採取した肝臓は、ATG7オートファジーマーカーの増加および、LC3IIとp62マーカーの減少を示し(図6B)、ImmTOR(商標)投与後のオートファジーフラックスの活性化を示す。
これらのデータは、ImmTOR(商標)がOTCSpf-Ashマウスにおける肝オートファジーフラックスを活性化し、OTC欠損症の臨床症状の軽減に寄与することを裏付けている。

Claims (43)

  1. 対象においてオートファジーを、誘導するかまたは増加させる、および/または対象においてオートファジーに関連する疾患または障害を、処置または予防する方法であって、
    免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物を、対象に投与すること;
    を含み、
    ここで対象は、オートファジーの誘導または増加への必要を有するか、および/またはオートファジーに関連する疾患または障害を有するか、またはこれを発症するリスクがあるものである、前記方法。
  2. 免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの投与が、肝臓におけるオートファジーを増加させる、請求項1に記載の方法。
  3. 免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが、治療用高分子と併用して投与されない、請求項1または2に記載の方法。
  4. 免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが、治療用高分子と同時に投与されない、請求項3に記載の方法。
  5. 免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが、ウイルスベクターと併用して投与されない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが、ウイルスベクターと同時に投与されない、請求項8に記載の方法。
  7. ウイルスベクター、治療用高分子またはAPC提示可能抗原を投与することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが、APC提示可能抗原と併用して投与されない、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが、APC提示可能抗原と同時に投与されない、請求項8に記載の方法。
  10. 免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが、オートファジーに関連する疾患または障害を処置するかまたは予防するための別の治療用高分子と併用して投与されない、請求項1または2に記載の方法。
  11. 免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアが、オートファジーに関連する疾患または障害を処置するかまたは予防するための別の治療用高分子と同時に投与されない、請求項1または2に記載の方法。
  12. 方法が、オートファジーに関連する疾患または障害を有するか、または有すると疑われる対象を、同定することおよび/または提供することをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. オートファジーに関連する疾患または障害が、肝疾患である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 免疫抑制剤が、mTOR阻害剤である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. mTOR阻害剤が、ラパマイシンまたはラパログである、請求項14に記載の方法。
  16. 免疫抑制剤が、合成ナノキャリアに封入されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 合成ナノキャリアが、脂質ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、金属ナノ粒子、界面活性剤ベースのエマルジョン、デンドリマー、バッキーボール、ナノワイヤー、ウイルス様粒子またはペプチドもしくはタンパク質粒子を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 合成ナノキャリアが、ポリマーナノ粒子を含む、請求項17に記載の方法。
  19. ポリマーナノ粒子が、ポリエステル、ポリエーテルに付着したポリエステル、ポリアミノ酸、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリケタール、多糖、ポリエチルオキサゾリンまたはポリエチレンイミンを含む、請求項18に記載の方法。
  20. ポリマーナノ粒子が、ポリエステルまたはポリエーテルに付着したポリエステルを含む、請求項19に記載の方法。
  21. ポリエステルが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)またはポリカプロラクトンを含む、請求項19または20に記載の方法。
  22. ポリマーナノ粒子が、ポリエステルおよびポリエーテルに付着したポリエステルを含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. ポリエーテルが、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 合成ナノキャリアの集団の、動的光散乱を使用して得られる粒子サイズ分布の平均が、110nmより大きい直径である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 直径が150nmより大きい、請求項24に記載の方法。
  26. 直径が200nmより大きい、請求項25に記載の方法。
  27. 直径が250nmより大きい、請求項26に記載の方法。
  28. 直径が5μm未満である、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 直径が4μm未満である、請求項28に記載の方法。
  30. 直径が3μm未満である、請求項29に記載の方法。
  31. 直径が2μm未満である、請求項30に記載の方法。
  32. 直径が1μm未満である、請求項31に記載の方法。
  33. 直径が750nm未満である、請求項32に記載の方法。
  34. 直径が500nm未満である、請求項33に記載の方法。
  35. 直径が450nm未満である、請求項34に記載の方法。
  36. 直径が400nm未満である、請求項35に記載の方法。
  37. 直径が350nm未満である、請求項36に記載の方法。
  38. 直径が300nm未満である、請求項37に記載の方法。
  39. 合成ナノキャリアに含まれる免疫抑制剤の負荷量が、合成ナノキャリア全体の平均で、0.1%~50%(重量/重量)の間である、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 負荷量が4%~40%の間である、請求項39に記載の方法。
  41. 負荷量が5%~30%の間である、請求項40に記載の方法。
  42. 負荷量が8%~25%の間である、請求項41に記載の方法。
  43. 合成ナノキャリアの集団のアスペクト比が、1:1以上、1:1.2以上、1:1.5以上、1:2以上、1:3以上、1:5以上、1:7以上または1:10以上である、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
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