JP2023527768A - 核酸検出のためのヌクレアーゼ連鎖反応用の組成物および方法 - Google Patents

核酸検出のためのヌクレアーゼ連鎖反応用の組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本明細書では、シグナル増幅のための、内部ヌクレアーゼ連鎖反応(NCR)を含む、核酸検出用組成物および核酸検出システム、ならびにこれらのNCR含有組成物およびシステムを使用する方法について記載される。【選択図】図1-2

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月19日に出願された、米国特許出願第63/027,175号明細書の利益を主張する。先行出願の開示は、本出願の開示の一部であると考えられる(参照により、その開示に組み込まれる)。
技術分野
本発明は、核酸の検出のための方法および組成物であって、内部ヌクレアーゼ連鎖反応(NCR)を含む、任意の標的核酸配列の、迅速かつ高感度の検出のための検出システムを含む方法および組成物に関する。
連邦政府による後援
本発明は、米国国立衛生研究所により支給された、助成金第OD021369号の下にある政府助成によりなされた。米国連邦政府は、本発明において、一定の権利を有する。
CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)は、1980年代後半に発見された。これらの配列が、細菌の防御系に関与するという考えは、その後、多年にわたり示唆されたが、2000年代半ば~後期まで、この考えが、より広く受容されるようになることはなかった。この時期に、いくつかの論文が、この獲得免疫系の基礎:回文リピートにより挟まれた外来DNA配列(例えば、プラスミドおよびウイルスに由来する)が、宿主ゲノム内に組み込まれ、それらのRNA産物が、相補性配列を含有する核酸を切断するように、Cas複合体を方向付けることを解明した。
その後、操作ガイドRNAと組み合わされた、CRISPR関連(Cas)タンパク質の簡素化複合体は、特異的DNA配列を探し当て切断することが可能であることが示された。これは、新規の技術、とりわけ、ゲノム編集技術の爆発的発展をもたらした。さらなる調査研究は、これらのタンパク質が、in vivoにおいて、ゲノムを編集するのに使用されうることを示した。CRISPRシステムは、古細菌内および多数の細菌内に見出されている。DNAをターゲティングする、より広く認識された、それらの能力に加えて、一部の種類のCasタンパク質はまた、RNAをターゲティングする活性も有する。例えば、Cas13a、Cas13b、Cas13c、およびCas13dなど、酵素のCas13ファミリーは、2つのRNAエンドヌクレアーゼ(RNアーゼ)ドメインを有する。
一部のCRISPR関連タンパク質の、非特異的なリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)活性またはデオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)活性は、タンパク質またはタンパク質複合体への、他の因子の結合により活性化されるまで、休眠している場合がある。したがって、Cas13酵素またはCas12酵素を、所望の標的配列を認識するガイドRNAによりプログラム化し、非特異的なRNアーゼまたはDNアーゼ活性を活性化することができる。これは、蛍光などの検出用シグナルをもたらす、消光させられた蛍光レポーターなどの検出用標識を放出するのに使用されうる。例えば、SHERLOCK(Specific High-Sensitivity Enzymatic Report UnLOCKing)は、RNA標的の検出のために、Cas13タンパク質を使用し、DETECTRシステムは、DNA標的のために、Cas12タンパク質を使用して、指定された標的RNA配列または標的DNA配列の存在下に限り、消光レポーター分子を切断する。例えば、Li et al. (2019) Trends in Biotech. 37(7):730-743;Petri & Pattanayak (2018) The CRISPR Journal 1(3):209-211;Gootenberg et al. (2017) Science 356(6336):438-442;ならびに米国公開第20180274017号明細書および同第20190241954号明細書を参照されたい。
しかし、現行のCasベースの検出システムは、感度が限定的な場合があり、加えて、ウイルスおよび他の病原体への広範な曝露時には、迅速な試験結果も所望される。「ポイントオブケア」状況またはPOC状況において、現場ベースで実施される場合もあり、使用者の「自家」使用において実施される場合もあるように、特殊装置を必要とせずに、高感度、特異的、かつ、迅速な結果をもたらすことが可能な試験もまた、高度に所望される。
したがって、直接的、高感度、迅速、かつ使いやすい核酸の検出を可能とする方法および組成物であって、試料中の病原体の検出を含む方法および組成物が、依然として必要とされている。
本明細書では、RNAまたはDNAを検出するための組成物および方法が開示される。本明細書で記載されるシステムは、標的核酸を検出すると、指数関数的シグナルを発生させるように、増幅的フィード-フォワードループをもたらす、内部ヌクレアーゼ連鎖反応(NCR)を有する一体型検出モダリティーで、高感度、定量的、かつ迅速なアッセイをもたらす。
本明細書では、核酸を検出するためのシステムについて記載される。システムは、典型的に、少なくとも2つの構成要素:(1)核酸を検出し、加えて、任意の試料中で、標的核酸を検出すると、それ自体、シグナルを発生させることが可能であるか、または、代替的に、1つもしくは複数の、他の分子(例えば、レポーター)を介して、シグナルを発生させる、第1の構成要素;および(2)第1の構成要素により検出されると発生させられるシグナルを増幅する、第2の構成要素を含む。システムは、第1の構成要素(例えば、一次活性化複合体)が、活性化されると、シグナル(例えば、検出用標識の放出)が、さらに増幅されるよう、活性化シグナル増幅因子となるように第2の認識複合体を活性化するように、不活性の第2の認識複合体の構成要素に作用することが可能である、「フィードフォワード」システムを含みうる。構成要素の各々は、1つまたは複数の分子(例えば、1つまたは複数の融合タンパク質、1つまたは複数の酵素、1つまたは複数の核酸、1つまたは複数の、核酸と、核酸との融合体など)を含みうる。検出シグナルを増幅する構成要素を含む、本明細書で記載されるシステムは、核酸の検出を、増幅構成要素を含まないシステムと比較して、1~10倍、1~50倍、1~100倍、1~500倍、1~1000倍(またはこの間の任意の値)もしくはこれを超える量を含むがこれらに限定されない、任意の量だけ増大させうる。
本明細書のある特定の態様では、検出用標識を含み、レポーター分子が切断されると、検出用標識が、検出のために放出される、レポーター分子;第1の認識複合体(「標的センサー」)を含み、第1の認識複合体が、試料中の、1つまたは複数の標的配列(「一次活性化因子」)を認識し、標的配列を認識すると、一次活性化複合体が、活性化され、レポーター分子に作用し、検出用標識を放出させることが可能である、一次活性化複合体;第2の不活性認識複合体を含み、活性化一次活性化複合体が、第2の認識複合体の構成要素に作用した後に、第2の認識複合体が、活性化され、1つまたは複数の増幅配列(「活性化因子」)を認識し、レポーター分子に作用し、検出用標識を放出させ、他の不活性の第2の認識複合体が活性化されるように、それらに作用する、二次増幅複合体を含む核酸検出システムについて記載される。したがって、本発明は、(i)検出用標識を含み、レポーター分子が切断されると、検出用標識が、検出のために放出される、レポーター分子;(ii)第1の認識複合体を含む一次活性化複合体;および(iii)不活性の二次複合体を含む核酸検出システムであって、(a)第1の認識複合体が、試料中の、1つまたは複数の一次活性化因子を認識し;(b)一次活性化因子を認識すると、一次活性化複合体が、活性化され、検出用標識を放出させるように、レポーター分子に作用することが可能であり;(c)活性化シグナル増幅因子となるように第2の認識複合体を活性化するように、活性化一次活性化複合体が、不活性の第2の認識複合体の構成要素に作用することが可能であり;(d)前記活性化シグナル増幅因子が、検出用標識を放出させるように、レポーター分子に作用することが可能であり;(e)フィード-フォワードループが開始されるよう、活性化シグナル増幅因子となるように第2の認識複合体を活性化するように、前記活性化シグナル増幅因子が、不活性の第2の認識複合体の構成要素に作用することが可能である、核酸検出システムに関する。
本明細書の他の態様では、検出用標識を含み、レポーター分子が切断されると、検出用標識が、検出のために放出される、レポーター分子;第1のガイドRNAによりプログラム化された、第1のCasエフェクター酵素(「標的センサー」)を含み、第1のガイドRNAが、試料中の、1つまたは複数の標的配列(「一次活性化因子」)を認識し、第1のガイドRNAの、標的配列へのハイブリダイゼーション時に、一次活性化複合体が、活性化され、レポーター分子を切断し、検出用標識を放出する非特異的ヌクレアーゼ活性を呈する、一次活性化複合体;および第2のCasエフェクター酵素と、第2のガイドRNAとを含み、第2のガイドRNAが、1つまたは複数の増幅配列(「活性化因子」)を認識し、第2のガイドRNAの、増幅配列へのハイブリダイゼーション時に、シグナル増幅因子が、活性化され、レポーター分子を切断し、検出用標識を放出する非特異的ヌクレアーゼ活性を呈し、さらなる、第2のCasエフェクター酵素に作用して、これらが、シグナル増幅因子となるように活性化することが可能である、シグナル増幅複合体を含む核酸検出システムについて記載される。したがって、本発明は、検出用標識を含み、レポーター分子が切断されると、検出用標識が、検出のために放出される、レポーター分子;第1のガイドRNAによりプログラム化された、第1のCasエフェクター酵素を含み、第1のガイドRNAが、試料中の、1つまたは複数の一次活性化因子を認識し、第1のガイドRNAの、一次活性化因子へのハイブリダイゼーション時に、一次活性化複合体が、活性化され、レポーター分子を切断し、検出用標識を放出する非特異的ヌクレアーゼである、一次活性化複合体;および第2のCasエフェクター酵素と、第2のガイドRNAとを含み、一次活性化複合体の活性化が、第2のガイドRNAにより認識される、1つまたは複数の活性化配列の活性化を結果としてもたらし、第2のガイドRNAの、活性化配列へのハイブリダイゼーション時に、シグナル増幅複合体が、活性化され、レポーター分子を切断し、検出用標識を放出する非特異的ヌクレアーゼである、シグナル増幅因子を含む核酸検出システムに関する。
本明細書で記載される核酸検出システムは、好ましくは、一次活性化因子の検出が、一次活性化複合体の活性化を誘発し、これが、標的の存在下で、検出用シグナル(まず、標的センサー/一次活性化因子により検出される)を増幅するように、二次活性化複合体の活性化を引き起こす、「フィードフォワード」ループ、例えば、さらなる消光レポーター分子が切断され、さらなる検出用標識が放出されるよう、二次増幅複合体の、第2のガイドRNAが、放出された活性化分子とハイブリダイズするように、活性化一次活性化複合体が、活性化分子および/または二次ガイドRNA(例えば、活性化分子上および/または二次ガイドRNA上のケージ構造の放出を介して)を活性化するシステムを伴う。
本明細書で記載される核酸検出システムのうちのいずれかでは、第1のCasエフェクター酵素、および/または第2のCasエフェクター酵素は、RNアーゼおよび/またはDNアーゼ、例えば、1つもしくは複数のCas13タンパク質、1つもしくは複数のCas12タンパク質、1つもしくは複数のCas14タンパク質、1つもしくは複数のCsm6タンパク質、および/または1つもしくは複数のCsx1タンパク質を、任意の組合せ(複数可)で含むことが可能であり、任意選択で、付属の表、図、または実施例のうちのいずれかに示される、1つまたは複数のタンパク質(配列番号115~268)を含みうる。ある特定の実施形態では、第1のCasエフェクター酵素、および/または第2のCasエフェクター酵素は、同じであるか、または異なる、Cas13dタンパク質のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数のCasエフェクター酵素は、同じタンパク質の場合もあり、異なるタンパク質の場合もある。さらに、本明細書で記載されるシステムの、第1のガイドRNA、および/または第2のガイドRNAは、付属の表(例えば、表4)、図、または実施例のうちのいずれかにおいて示される、同じであるか、または異なるRNAのうちの1つまたは複数(配列番号42~85)を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の定常領域を含みうる。
本明細書で記載される核酸検出システムのうちのいずれかでは、レポーターは、検出用標識に作動可能に連結された消光剤を含む場合があり、任意選択で、この場合、検出用標識は、1つまたは複数の蛍光分子(例えば、蛍光染料)を含む。レポーター分子は、消光剤と、フルオロフォアとを連結するオリゴヌクレオチドを含む場合があり、オリゴヌクレオチドは、任意選択でステムループ構造を有するケージ化構造を任意選択で含む。レポーター分子は、表8に示される配列を含みうる。ある特定の実施形態では、レポーター分子は、トランスケージ分子と複合体化している。
本明細書で記載される核酸検出システムのうちのいずれかでは、構成要素のうちの1つまたは複数(例えば、活性化因子、1つまたは複数のガイド分子、増幅配列、および/またはレポーター)は、ケージ化されうる(例えば、ケージ化構造またはケージ化分子により)。ある特定の実施形態では、ケージは、ステムループ構造を有する分子(例えば、オリゴヌクレオチド配列)を含むか、またはこれを創出する。活性化因子と共に組み入れられたオリゴヌクレオチド配列は、DNA塩基および/またはRNA塩基を含む場合があり、加えて、DNA塩基および/またはRNA塩基のうちの1つまたは複数は、任意選択で、1つもしくは複数のロックト核酸(LNA)もしくは部分、および/または2’-OMe RNAを含む、修飾ヌクレオチド塩基でありうる。例えば、増幅配列のうちの1つもしくは複数が、それらの3’末端および/または5’末端において、ケージ化構造を含む、1つまたは複数のケージ化構造が使用されうる。1つまたは複数のトランスケージ化分子はまた、本明細書で記載される核酸システムのうちのいずれかにおいても使用されうる。
本明細書で記載される核酸検出システムのうちのいずれかでは、構成要素のうちの1つまたは複数の間の相互作用は、ある特定量の時間(例えば、数秒間、数分間、またはこれを超える時間)に限定される場合がある、例えば、第1のガイドRNA、および第2のガイドRNAの一方もしくは両方、ならびに/または増幅配列のうちの1つもしくは複数は、最適の時間枠において、Casエフェクター酵素との条件付き相互作用を可能とするように修飾されている。ある特定の実施形態では、第1のガイドRNA、および第2のガイドRNAの一方もしくは両方、ならびに/または増幅配列のうちの1つもしくは複数は、最適の時間枠において、Casエフェクター酵素との条件付き相互作用を可能とするように修飾されている。本明細書で記載される核酸検出システムのうちのいずれかでは、1つまたは複数の増幅配列は、ポリU配列および/またはポリA配列、任意選択で、A-U配列、A-U配列、および/またはA-U配列を含む。
本明細書で記載されるシステムのうちのいずれかの、標的配列および/または増幅配列は、第1のガイドRNAおよび/または第2のガイドRNAに対して、100%相補性の場合もあり、または代替的に、第1のガイドRNAおよび/または第2のガイドRNAに対して、100%相補性でない場合もある。本明細書で記載されるシステムのうちのいずれかにおける標的配列は、1つまたは複数の哺乳動物、ウイルス、細菌、および/または真菌に由来するDNAおよび/またはRNAでありうる。ある特定の実施形態では、標的配列は、RNAウイルス、例えば、コロナウイルス中、任意選択で、SARS-Cov-2コロナウイルス中に存在する。
本明細書で記載される核酸検出システムのうちのいずれかでは、試料は、生体試料または環境試料でありうる。生体試料は、個体から回収された、血液、唾液、尿、生検、血漿、血清、気管支肺胞洗浄液、痰、糞便試料、脳脊髄液、細針吸引物、スワブ試料(例えば、口腔スワブ、子宮頸部スワブ、鼻腔スワブ)、間質液、滑液、鼻漏、涙液、軟膜、粘膜試料、および/または上皮細胞試料(例えば、上皮細胞掻爬試料)などを含みうる。試料は、液体試料であることが可能であり、無細胞液の場合もあり、細胞を含む液体の場合もある。
また、核酸(例えば、標的配列)を検出する方法であって、(a)核酸(例えば、標的配列)を含むことが疑われる試料を、(i)本明細書で記載される核酸検出システムと接触させるステップと、(b)検出用標識からの検出用シグナルを測定し、これにより、標的配列を検出するステップとを含む方法についても記載される。ある特定の実施形態では、方法は、検出用標識のレベルを定量するステップをさらに含む。接触させるステップは、in vitroまたはin vivoにおける、無細胞環境内または細胞内において、二価金属イオンの存在下で実行されうる。接触させるステップは、数秒間、数分間、もしくは数時間、またはこれらを超える時間(またはこれらの間の任意の時間)を含む、任意の長さの時間、任意選択で、数秒間~2時間(またはこれらの間の任意の時間)実行されうる。
したがって、本発明の方法および組成物は、少なくとも以下の番号付け実施形態を含む。
実施形態
1.核酸を検出するためのシステムであって、核酸の検出時に、シグナルを発生させる核酸を検出するための、第1の組成物を含む、第1の構成要素と、第1の構成要素により発生させられたシグナルを増幅する、第2の組成物を含む、第2の構成要素とを含むシステム。
2.第1の構成要素および第2の構成要素が、実施形態4から41に記載の組成物を含む、本明細書で記載される組成物のうちのいずれかを含む、実施形態1に記載のシステム。
3.核酸を検出する方法であって、実施形態4から41に記載の、1つまたは複数のシステムを使用するステップを含む方法。
4.i)検出用標識を含み、レポーター分子が切断されると、検出用標識が、検出のために放出される、レポーター分子;
ii)第1の認識複合体を含む一次活性化複合体;および
iii)不活性の二次複合体
を含む核酸検出システムであって、
a)第1の認識複合体が、試料中の、1つまたは複数の一次活性化因子を認識し;
b)一次活性化因子を認識すると、一次活性化複合体が、活性化され、検出用標識を放出させるように、レポーター分子に作用することが可能であり;
c)活性化シグナル増幅因子となるように第2の認識複合体を活性化するように、活性化一次活性化複合体が、不活性の第2の認識複合体の構成要素に作用することが可能であり;
d)前記活性化シグナル増幅因子が、検出用標識を放出させるように、レポーター分子に作用することが可能であり;
e)フィード-フォワードループが開始されるよう、活性化シグナル増幅因子となるように第2の認識複合体を活性化するように、前記活性化シグナル増幅因子が、不活性の第2の認識複合体の構成要素に作用することが可能である、
核酸検出システム。
5.検出用標識を含み、レポーター分子が切断されると、検出用標識が、検出のために放出される、レポーター分子;
第1のガイドRNAによりプログラム化された、第1のCasエフェクター酵素を含み、第1のガイドRNAが、試料中の、1つまたは複数の一次活性化因子を認識し、第1のガイドRNAの、一次活性化因子へのハイブリダイゼーション時に、一次活性化複合体が、活性化され、レポーター分子を切断し、検出用標識を放出する非特異的ヌクレアーゼである一次活性化複合体;ならびに
第2のCasエフェクター酵素と、第2のガイドRNAとを含み、一次活性化複合体の活性化が、第2のガイドRNAにより認識される、1つまたは複数の活性化配列の活性化を結果としてもたらし、第2のガイドRNAの、活性化配列へのハイブリダイゼーション時に、シグナル増幅複合体が、活性化され、レポーター分子を切断し、検出用標識を放出する非特異的ヌクレアーゼである、シグナル増幅因子
を含む核酸検出システム。
6.第1のCasエフェクター酵素、および/または第2のCasエフェクター酵素が、RNアーゼまたはDNアーゼを含む、実施形態1から5のいずれかに記載の核酸検出システム。
7.第1のCasエフェクター酵素、および/または第2のCasエフェクター酵素が、1つもしくは複数のCas13タンパク質、1つもしくは複数のCas12タンパク質、1つもしくは複数のCas14タンパク質、1つもしくは複数のCsm6タンパク質、および/または1つもしくは複数のCsx1タンパク質、任意選択で、付属の表、実施例、または図のうちのいずれかに示される、1つまたは複数のタンパク質(例えば、配列番号115~268)を含む、実施形態1から6のいずれかに記載の核酸検出システム。
8.第1のCasエフェクター、および/または第2のCasエフェクターが、1つもしくは複数のCas13タンパク質、任意選択で、付属の表、実施例、または図のうちのいずれかに示される、1つもしくは複数のCas13タンパク質(例えば、配列番号115~135)を含む、実施形態1から7のいずれかに記載の核酸検出システム。
9.第1のCasエフェクター、および/または第2のCasエフェクターが、1つまたは複数のCas13dタンパク質を含む、実施形態1から8のいずれかに記載の核酸検出システム。
10.第1のCasエフェクター、および/または第2のCasエフェクターが、1つもしくは複数のCas12タンパク質、1つもしくは複数のCas13タンパク質、1つもしくは複数のCas14タンパク質、および/または1つもしくは複数のCsm6タンパク質を、任意の組合せで含む、実施形態1から9のいずれかに記載の核酸検出システム。
11.第1のCasエフェクター酵素、および第2のCasエフェクター酵素が、同じタンパク質または異なるタンパク質のうちの1つまたは複数を含む、実施形態1から10のいずれかに記載の核酸検出システム。
12.第1のガイドRNA、および/または第2のガイドRNAが、1つまたは複数の定常領域を含む、実施形態1から11のいずれかに記載の核酸検出システム。
13.第1のガイドRNA、および/または第2のガイドRNAが、付属の表、図、または実施例のうちのいずれかによる、同じRNAおよび/または異なるRNAを含み、任意選択で、第1のガイドRNA、および/または第2のガイドRNAが、表4に示される、配列番号42~85から選択される、実施形態1から12のいずれかに記載の核酸検出システム。
14.レポーター分子が、検出用標識に作動可能に連結された消光剤を含み、任意選択で、検出用標識が、1つまたは複数の蛍光分子を含む、実施形態1から13のいずれかに記載の核酸検出システム。
15.レポーター分子が、消光剤と、フルオロフォアとを連結するオリゴヌクレオチドを含み、オリゴヌクレオチドが、任意選択で、ステムループ構造を有するか、または創出する、任意選択で、ケージ化構造を含む、実施形態1から14のいずれかに記載の核酸検出システム。
16.レポーター分子が、表8に示される配列を含む、実施形態1から15のいずれかに記載の核酸検出システム。
17.レポーター分子が、トランスケージ分子と複合体化している、実施形態1から16のいずれかに記載の核酸システム。
18.検出用標識が、1つまたは複数の蛍光染料を含む、実施形態1から17のいずれかに記載の核酸検出システム。
19.活性化分子が、ケージ化されており、任意選択で、ステムループ構造を有する分子(例えば、オリゴヌクレオチド)を含むか、または創出する、実施形態1から18のいずれかに記載の核酸検出システム。
20.活性化分子が、オリゴヌクレオチド配列をさらに含み、オリゴヌクレオチド配列が、修飾ヌクレオチド塩基を含む、実施形態1から19のいずれかに記載の核酸検出システム。
21.活性化分子が、オリゴヌクレオチド配列をさらに含み、オリゴヌクレオチド配列が、RNA塩基およびDNA塩基の両方を含む、実施形態1から20のいずれかに記載の核酸検出システム。
22.ガイド分子が、ケージ化されている、例えば、ケージ化構造またはケージ化分子であり、任意選択で、ステムループ構造を含むか、または創出する、実施形態1から21のいずれかに記載の核酸検出システム。
23.増幅配列のうちの1つもしくは複数、および/またはガイド配列の一方もしくは両方が、ケージ化されており、任意選択で、ケージが、ループ構造など、1つまたは複数の構造、ならびに/あるいは1つもしくは複数のロックト核酸(LNA)もしくは部分、および/または2’-OMe RNAを含む、増幅配列のうちの1つまたは複数に対する修飾を含むか、または引き起こす、実施形態1から22のいずれかに記載の核酸検出システム。
24.増幅配列のうちの1つもしくは複数が、それらの3’末端および/または5’末端において、ケージ化構造を含む、実施形態1から23のいずれかに記載の核酸検出システム。
25.トランスケージ化分子をさらに含む、実施形態1から24のいずれかに記載の核酸検出システム。
26.構成要素のうちの1つまたは複数の間の相互作用が、ある特定量の時間(例えば、数秒間、数分間、またはこれを超える時間)に限定され、例えば、第1のガイドRNA、および第2のガイドRNAの一方もしくは両方、ならびに/または増幅配列のうちの1つもしくは複数が、最適の時間枠において、Casエフェクター酵素との条件付き相互作用を可能とするように修飾されている、実施形態1から25のいずれかに記載の核酸検出システム。
27.1つまたは複数の増幅配列が、ポリU配列および/またはポリA配列、任意選択で、A-U、A-U、およびA-U配列を含む、実施形態1から26のいずれかに記載の核酸検出システム。
28.標的配列および/または増幅配列が、第1のガイドRNAおよび/または第2のガイドRNAに対して、100%相補性である、実施形態1から27のいずれかに記載の核酸検出システム。
29.標的配列および/または増幅配列が、第1のガイドRNAおよび/または第2のガイドRNAに対して、100%相補性ではない、実施形態1から28のいずれかに記載の核酸検出システム。
30.標的配列が、1つまたは複数の哺乳動物、ウイルス、細菌、または真菌に由来するDNAまたはRNAである、実施形態1から29のいずれかに記載の核酸検出システム。
31.標的配列が、RNAウイルス中に存在する、実施形態1から30のいずれかに記載の核酸検出システム。
32.標的配列が、コロナウイルス中、任意選択で、SARS-Cov-2コロナウイルス中に存在する、実施形態1から31のいずれかに記載の核酸検出システム。
33.試料が、生体試料または環境試料である、実施形態1から32のいずれかに記載の核酸検出システム。
34.生体試料が、個体から回収された、血液、唾液、尿、生検、血漿、血清、気管支肺胞洗浄液、痰、糞便試料、脳脊髄液、細針吸引物、スワブ試料(例えば、口腔スワブ、子宮頸部スワブ、鼻腔スワブ)、間質液、滑液、鼻漏、涙液、軟膜、粘膜試料、上皮細胞試料(例えば、上皮細胞掻爬試料)などを含む、実施形態1から33のいずれかに記載の核酸検出システム。
35.試料が、無細胞液体試料を含む、実施形態1から34のいずれかに記載の核酸検出システム。
36.試料が、無細胞液体環境試料を含む、実施形態1から35のいずれかに記載の核酸検出システム。
37.試料が、細胞を含む液体を含む、実施形態1から36のいずれかに記載の核酸検出システム。
38.試料中の標的配列を検出する方法であって、
(a)標的配列を含むことが疑われる試料を、
(i)実施形態1から37のいずれかに記載の核酸検出システム
と接触させるステップと、
(b)検出用標識からの検出用シグナルを測定し、これにより、標的配列を検出するステップと
を含む方法。
39.検出用標識のレベルを定量するステップをさらに含む、実施形態38に記載の方法。
40.接触させるステップが、in vitroまたはin vivoにおける、無細胞環境内または細胞内において、二価金属イオンの存在下で実行される、実施形態38または39に記載の方法。
41.接触させるステップが、数秒間~2時間である、実施形態38から40のいずれかに記載の方法。
これらの態様および他の態様は、全体としての本開示に照らして、当業者にたやすく明らかであろう。
本明細書で記載される、例示的NCRシステムを描示する概略図である。本発明の方法および組成物は、これらの例示的NCRシステムの構成要素の、任意の組合せを含む、全ての「ミックス/マッチ」変動を含むことが理解されるであろう。図1Aは、一次活性化複合体(1)が、試料(例えば、ウイルスDNAまたはRNA)中の、所望の標的核酸配列を認識するガイドRNAによりプログラム化されたCasエフェクター酵素(Casエフェクター酵素/ガイドは、「標的センサー」であり、また、「一次活性化因子」としても公知の、「標的」核酸を認識する)(2)を含むことを示す。標的配列の、標的センサーのガイドRNA(また、「crRNA」としても公知である)とのハイブリダイゼーション時に、標的センサーは、Casヌクレアーゼとして活性化され、非特異的RNアーゼ(例えば、Cas13エフェクタータンパク質)活性、またはDNアーゼ(例えば、Cas12エフェクタータンパク質)活性を呈する(「活性化センサー」)。活性化センサーは、レポーター分子(3)を切断して、検出用標識を放出し(例えば、蛍光レポーターを、消光剤から放出し)、検出用シグナル(蛍光など)をもたらす。この一次シグナリング経路では、シグナルは、標的核酸を検出するセンサーからの直接的応答として発生させられ、次いで、センサーを活性化する(活性化センサー)。次いで、活性化センサーは、一本鎖核酸の非特異的切断活性(「トランス切断」)に関与することが可能である。図1Bに示される通り、本明細書で記載されるNCRシステムは、シグナル増幅因子(4)を含み、一部の実施形態では、シグナル増幅因子を、レポーター分子(3)を切断し、レポーターから検出されたシグナル(6)を増幅することが可能な非特異的ヌクレアーゼへと活性化するように、シグナル増幅因子のガイドRNAとハイブリダイズする増幅RNA(5)を認識する活性化ガイドRNAによりプログラム化された第2のCasエフェクタータンパク質を含む、さらなるシグナル増幅経路を含む。示される通り、増幅RNA(5)は、増幅複合体と相互作用しないように、ケージ化されうる。活性化センサーまたは増幅複合体のトランス切断活性による、ケージ複合体内の一本鎖ループの切断は、ケージを放出し、増幅RNAが、増幅複合体と相互作用することを可能とする。一部の実施形態では、ガイドまたはcrRNAはまた、ケージ複合体も含みうる。一部の実施形態では、活性化因子またはcrRNAと相互作用し、ケージとして用いられるように、短鎖トランスケージ分子が添加される。一部の実施形態では、ケージは、アプタマー、リボザイムなどの使用を介するなど、他の機構により放出される。図1Cは、一次活性化複合体内のCas13の、シグナル増幅経路内のCas12を伴う使用を描示する。図1Dは、一次活性化複合体内のCas12の、シグナル増幅経路内のCas12を伴う使用を示す。この状況では、RT-LAMP (Reverse Transcription Loop-Mediated isothermal amplification;Fu et al (2011) Appl. Biochem. Biotechnol. 163 (7): 845-50)は、標的RNAを増幅するのに使用される。例えば、ミスマッチ寛容型LAMP、LAMP-T7、鎖置換増幅(SDA)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、転写媒介性増幅(TMA)などを含む、他の増幅法も使用されうる(下記を参照されたい)。図1Eは、一次活性化複合体内のCas13の、シグナル増幅経路内のCas13を伴う使用を示し、図1Fは、一次活性化複合体内のCas12の、シグナル増幅経路内のCas13を伴う使用を示す。一部の実施形態では、RT-LAMP-T7増幅は、Cas13標的センサー複合体によるセンシングのために、一次増幅因子を増幅して、標的分子の数を増大させるのに使用される。この場合を、Cas13センサー複合体およびCas13増幅複合体(図1E)の文脈で、またはCas13センサー複合体およびCas12センサー複合体を伴うシステム(図1F)において例示する。図1Gは、例示的ケージ化ガイドRNAの使用を示すが、この場合、ケージは、ガイドRNAの5’末端(上)または3’末端(下)に存在する。図1Hは、ケージ化増幅因子およびケージ化ガイドの使用のための、2つ戦略を描示し、増幅因子は、RNAヌクレオチドおよびDNAヌクレオチドの両方を含みうる。一部の実施形態では、増幅RNAまたはガイドRNAへと、共有結合的に連結されておらず、増幅因子またはガイドと相互作用することが可能であり、ケージ(トランスケージ分子)として作用するオリゴヌクレオチド配列が使用されうる。図1Iおよび図1Jは、Csm6を使用して、シグナルを増幅する経路を示す。これらの図では、「NCR」という用語は、合成核酸を指し、NCRの後の数値コードは、特定の核酸(例えば、付属の表、実施例、または図のうちのいずれかに示される)を同定する。「RNP」とは、リボヌクレオチド-タンパク質複合体、典型的に、Casタンパク質およびcrRNAまたはガイドRNAを指す。 図1-1の続きである。 図1-1の続きである。 図1-1の続きである。 図1-1の続きである。 図1-1の続きである。 図1-1の続きである。 図1-1の続きである。 図1-1の続きである。 いくつかの活性化RNAについて、一次活性化RNA(各条件下に右バーとして示される、「一次活性化あり」)の存在下、および一次(各条件下に左バーとして示される、「一次活性化なし」)の非存在下で検出されるシグナルを示すグラフを描示する図である。「二次活性化なし」とは、一次活性化システムまたは二次活性化システムの非存在下におけるシグナルを示す。一次活性化RNAの存在下または非存在下で、示差的シグナルを呈する、2つの配列(NCR_061およびNCR_064)が表示される。 4つの活性化RNA、NCR_045(図3A)、NCR_042(図3B)、NCR_061(図3C)、およびNCR_067(図3D)について、時間経過にわたるシグナルを示す、4つのグラフを描示する図である。NCR_045およびNCR_042について、「ケージのみ」とは、増幅RNAのみの存在下で観察されるシグナルであり;「一次」とは、二次増幅を伴わない場合に観察されるシグナルを指し示し;「ケージ+一次」とは、全ての構成要素が存在する場合に観察されるシグナルを指し示す。NCR_061およびNCR_067について、データ曲線は、グラフに表示の通りである。「RNP2」とは、二次増幅複合体を意味する。 図3-1の続きである。 一連の最適化反応物中で観察されるシグナルを描示するグラフである。図4Aは、一次活性化RNAの濃度を、200pM~20fMで変動させるときに観察されるシグナルを示す。20pMにおけるシグナルは、これらの条件下にあるNCR_061について、NCRの非存在下におけるシグナルを、増幅の存在下と比較した場合の、最大の差違を呈する。図4Bは、時間経過にわたるシグナルの発生を描示し、200pMにおけるNCRシグナルが、最も急速に発生することを裏付ける。図4Cは、最適化ガイドRNAによるシグナルを描示する。図4Dは、これらの結果を、時間経過にわたり示し、このガイドについて、濃度を20pMとする一次活性化RNAが、最も急速に発光することを裏付ける。 図4-1の続きである。 活性化RNAの修飾について調べる実験からの結果を示す図である。図5Aは、活性化因子が、抗タグ配列を組み入れた場合に得られるシグナルを示し、図5Bは、抗タグ配列が、非存在である場合のシグナルを示す。「通常型」とは、抗タグ配列を欠く活性化RNAが使用される場合に観察されるデータを指し示す。示差的シグナルは、抗タグ配列を組み入れる場合に観察される。図5C~5Eは、活性化RNA内の変動に由来する、シグナル増幅に対する効果を裏付ける。図5Cは、活性化RNA上に、ケージを伴わない場合における、時間経過にわたるシグナル発生を描示する。図5Dおよび図5Eは、活性化因子が、ケージ構造内に、さらなるウリジンを有する場合における、シグナル発生に対する効果を示す。 図5-1の続きである。 図5-1の続きである。 図5-1の続きである。 ケージ化ガイドRNAの使用と関連する配列およびデータを描示する図である。図6Aは、ガイドRNA(NCR_018、配列番号21)を描示する。図6Bは、ケージ化NCR_018またはそのコグネイトの非ケージ化同等物(NCR_009)が使用される場合に観察されるデータを描示する。2つの濃度を10pMおよび10nMとする、NCR_009を使用した。図6Cは、バックグラウンドシグナルを、一次活性化因子および二次活性化の存在下におけるシグナルから差し引いた場合に観察される結果を描示する。 図6-1の続きである。 代替的ケージ化ガイドRNAにより得られるデータを示すグラフを描示する図である。描示されるデータは、一次活性化および二次活性化(ケージ)の存在下で得られるデータが、一次シグナルのみから観察されるシグナルを有し、二次(ケージ)シグナルのみから観察されるシグナルが、これから差し引かれる場合に観察されるシグナルである。 異なる一本鎖ループ構造を含む、ケージ化ガイドRNAが使用される場合に観察されるシグナル動態を示すグラフである。ガイドのステム-ループ区間は、表示される、それらの融点により特徴づけられる。融点が低いステムループを組み入れるガイドを使用すると、急速なシグナル動態が観察される。 トランスケージ分子を使用する実験の結果を示す図である。図9Aは、その固有のケージ構造を欠くが、上図に、トランスケージ分子である、NCR_271と複合体化していることが示されるガイドRNA(NCR_004)を描示する。下方に、上から下へと、NCR_268、NCR_269、NCR_270、NCR_271、およびNCR_272を含む、一連のトランスケージ分子とアライメントさせられたNCR_004を示す。図9B(NCR_269)、図9C(NCR_268)、図9D(NCR_270)、図9E(NCR_271)、および図9F(NCR_272)は、トランスケージの、ガイドRNAに対する比を変動させる、異なるトランスケージ分子を使用して発生させられるシグナルを描示する。 図9-1の続きである。 図9-1の続きである。 図9-1の続きである。
Casタンパク質を伴う、現行のCRISPRベースの核酸検出法は、Cas13酵素またはCas12酵素が、所望の標的配列を認識し、非特異的な、RNアーゼまたはDNアーゼ活性を活性化する、ガイドRNAによりプログラム化されうるという事実を利用する。非特異的ヌクレアーゼは、蛍光などの検出用シグナルをもたらす、消光させられた蛍光レポーターなどの検出用標識を放出するのに使用される。しかし、現行の方法は、感度が限定的な場合がある。現行の方法はまた、特異的装置(例えば、PCR機器)、特殊条件(例えば、温度)、複数のピペッティングステップなどの反復的手作業法、または報告の長時間化を結果としてもたらす、他の複雑なステップも要求しうる。
したがって、本明細書では、標的核酸を検出すると、指数関数的シグナルを発生させ、標的配列の、効率的な検出をもたらすように、増幅的フィード-フォワードループを付与する内部ヌクレアーゼ連鎖反応(NCR)を含む一体型検出モダリティーをもたらすことにより、現行の方法の限界を克服する、核酸検出用の組成物、システム、および方法について記載される。本明細書で記載されるNCR用の組成物、システム、および方法は、任意の標的DNAまたは標的RNAの、高感度かつ迅速な検出であって、転写状態、がん、または細菌、もしくはSARS-CoV-2(COVID-19感染症と関連する)などのコロナウイルスを含むウイルスなどの病原体の検出を含む検出をもたらす。
全般
本明細書で開示される方法の実践、ならびに本明細書で開示される組成物の調製および使用は、そうでないことが指し示されない限りにおいて、分子生物学、生化学、クロマチンの構造および解析、計算化学、細胞培養法、組換えDNA法、ならびに当技術分野の技術範囲内にある関連分野における、常套的な技法を利用する。
定義
本明細書では、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、および「核酸」は、互換的に使用される。これらの用語は、任意の長さ、鎖状態(二本鎖または一本鎖)の核酸、ならびにリボヌクレオチド(RNA)またはデオキシヌクレオチド(DNA)、およびこれらのハイブリッド分子(DNAおよびRNAを含む)のポリマー形態を指す場合がある。開示される核酸はまた、天然に存在するヌクレオ塩基、および合成または非天然のヌクレオ塩基も含みうる。天然ヌクレオ塩基は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびウラシル(U)を含む。
「相補性」とは、それが、第2の核酸と、「塩基対合する」か、「結合する」か、「アニールする」か、または「ハイブリダイズする」ことを可能とする、第1の配列を有する、第1の核酸を指す。結合は、相補性の量と、環境のイオン強度、温度など、ある特定の外部条件とに影響される場合がある。当技術分野では、塩基対合規則が周知である(Aは、DNAでは、Tと対合し、RNAでは、Uと対合し;Gは、Cと対合する)。場合によって、RNAは、Gが、Uと対合しうる対合を含みうる。相補性は、全ての場合に、完全な相補性または100%の相補性を指し示すわけではない。例えば、相補性は、100%未満であり、かつ、約60%を超える場合がある。
「タンパク質」、「ペプチド」、「ポリペプチド」は、互換的に使用される。用語は、天然残基および非天然残基を含みうる、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指す。残基はまた、ポリペプチドへの組込みの前に修飾される場合もあり、この後で修飾される場合もある。一部の実施形態では、ポリペプチドは、分枝状の場合もあり、直鎖状の場合もある。
Casタンパク質に言及する場合の「プログラム化」とは、標的配列と相補性の配列を含有するガイドRNAを含む、Casタンパク質を指す。典型的に、プログラム化Casタンパク質は、操作ガイドRNAを含む。
「Casタンパク質」とは、CRISPR関連タンパク質である。本明細書で開示されるCasタンパク質は、標的配列が、Casタンパク質が結合したガイドRNAに結合すると、活性化されうるヌクレアーゼ活性を有する。下記でより詳細に開示される通り、ガイドRNAは、一部の実施形態では、プレcrRNA配列からプロセシングされうるcrRNAを、他の配列と共に含みうる。ある実施形態では、ガイドRNA配列は、天然核酸、または合成核酸、例えば、限定せずに述べると、ロックト核酸(LNA)、2’-o-メチル化塩基、なおまたはssDNA(一本鎖DNA)などの修飾核酸を含みうる。Casタンパク質は、当業者に公知の、多様な供給源に由来しうる、Cas12群またはCas13群に由来しうる。
Casタンパク質は、天然に存在するCasタンパク質の「機能的誘導体」でありうる。天然配列ポリペプチドの「機能的誘導体」とは、天然配列ポリペプチドと共通の、定性的生物学的特性を有する化合物である。「機能的誘導体」は、それらが、対応する天然配列ポリペプチドと共通の生物学的活性を有することを条件として、天然配列の断片、ならびに天然配列ポリペプチドの誘導体およびその断片を含むがこれらに限定されない。本明細書で想定される生物学的活性とは、機能的誘導体が、DNA基質を、断片へと加水分解する能力である。「誘導体」という用語は、ポリペプチドのアミノ酸配列変異体、共有結合的修飾、およびこれらの融合体の全てを包含する。Casポリペプチドまたはその断片の、適切な誘導体は、Casタンパク質またはその断片の、突然変異体、融合体、共有結合的修飾を含むがこれらに限定されない。Casタンパク質またはその断片のほか、Casタンパク質またはその断片の誘導体を含むCasタンパク質は、細胞から得られる場合もあり、化学合成される場合もあり、これらの2つの手順の組合せにより得られる場合もある。細胞は、Casタンパク質を、天然で産生する細胞の場合もあり、Casタンパク質を、天然で産生し、かつ、内因性Casタンパク質を、高発現レベルで産生するか、または内因性Casと同じであるか、または異なるCasをコードする、外因的に導入された核酸から、Casタンパク質を産生するように遺伝子操作された細胞の場合もある。場合によって、細胞は、Casタンパク質を、天然で産生せず、Casタンパク質を産生するように遺伝子操作されている。
「コード配列」とは、ポリペプチド配列またはRNA配列、例えば、ガイドRNAをコードするDNA配列である。ポリペプチドをコードするコード配列は、まず、RNAへと転写され、RNAは、ポリペプチドのアミノ酸配列をコードしうる。ガイドRNAなど、一部のRNA配列は、アミノ酸配列をコードしない場合がある。
「天然」、「天然に存在する」、「非改変」、または「野生型」とは、とりわけ、天然で見出される、タンパク質、アミノ酸、細胞、ヌクレオ塩基、核酸、ポリヌクレオチド、および生物について記載する。例えば、天然で見出される核酸配列と同一であり、人為により改変されていない核酸配列は、天然配列である。
「ハイブリダイズ可能」または「相補性」または「実質的に相補性」とは、核酸(例えば、RNA、DNA)が、温度および溶液イオン強度についての、適切なin vitro条件、および/またはin vivo条件下で、核酸が、配列特異的に、アンチパラレル式に(すなわち、核酸は、相補性核酸に特異的に結合する)、別の核酸に非共有結合的に結合する、すなわち、ワトソン-クリック型塩基対合、および/もしくはG/U塩基対合を形成するか、「アニールする」か、または「ハイブリダイズする」ことを可能とする、ヌクレオチド配列を含むことを意味する。標準的ワトソン-クリック型塩基対合は、アデニン/アデノシン(A)の、チミジン/チミジン(T)との対合、Aの、ウラシル/ウリジン(U)との対合、およびグアニン/グアノシン(G)の、シトシン/シチジン(C)との対合を含む。加えて、2つのRNA分子の間のハイブリダイゼーション(例えば、dsRNA)、およびDNA分子の、RNA分子とのハイブリダイゼーション(例えば、DNAである標的核酸が、ガイドRNAと塩基対合する場合など)では、Gはまた、Uとも塩基対合しうる。例えば、G/U塩基対合は、tRNAアンチコドンの、mRNA内のコドンとの塩基対合の文脈では、部分的に、遺伝子コードの縮重(すなわち、冗長性)の一因となる。したがって、本開示の文脈では、G(例えば、ガイドRNA分子のタンパク質結合性セグメント(例えば、dsRNA二重鎖);ガイドRNAと塩基対合する標的核酸(例えば、標的DNA)の)は、UおよびCの両方と相補性であると考えられる。例えば、G/U塩基対が、ガイドRNA分子の、タンパク質結合性セグメント(例えば、dsRNA二重鎖)の所与のヌクレオチド位置において成立しうる場合、この位置は、非相補性であるとは考えられず、相補性であると考えられる。
ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が、相補性配列を含有することを要求するが、塩基間のミスマッチも可能である。2つの核酸の間のハイブリダイゼーションに適する条件は、当技術分野で周知の変数である、核酸の長さと、相補性の程度とに依存する。2つのヌクレオチド配列の間の相補性の程度が大きいほど、これらの配列を有する核酸のハイブリッド体の融点(Tm)の値は大きい。典型的に、ハイブリダイズ可能な核酸の長さは、8ヌクレオチドもしくはこれを超える(例えば、10ヌクレオチドもしくはこれを超えるか、12ヌクレオチドもしくはこれを超えるか、15ヌクレオチドもしくはこれを超えるか、20ヌクレオチドもしくはこれを超えるか、22ヌクレオチドもしくはこれを超えるか、25ヌクレオチドもしくはこれを超えるか、または30ヌクレオチドもしくはこれを超える)である。
ポリヌクレオチドの配列は、特異的にハイブリダイズ可能であるために、その標的核酸の配列と、100%相補性である必要がないことが理解される。さらに、介在するセグメントまたは隣接セグメント(例えば、ループ構造またはヘアピン構造、「バルジ」など)が、ハイブリダイゼーションイベントに関与しないように、ポリヌクレオチドは、1つまたは複数のセグメントを越えてハイブリダイズしうる。ポリヌクレオチドは、それがハイブリダイズする標的核酸配列内の標的領域に対する、60%もしくはこれを超えるか、65%もしくはこれを超えるか、70%もしくはこれを超えるか、75%もしくはこれを超えるか、80%もしくはこれを超えるか、85%もしくはこれを超えるか、90%もしくはこれを超えるか、95%もしくはこれを超えるか、98%もしくはこれを超えるか、99%もしくはこれを超えるか、99.5%もしくはこれを超えるか、または100%の配列相補性を含みうる。例えば、アンチセンス化合物の、20ヌクレオチドのうちの18ヌクレオチドが、標的領域と相補性であり、したがって、特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸であれば、90パーセントの相補性を表すであろう。残りの非相補性ヌクレオチドは、クラスター化している場合もあり、相補性ヌクレオチドが散在している場合もあり、互いと、または相補性ヌクレオチドと連続する必要がない。核酸内の核酸配列の特定の連なりの間の相補性パーセントは、任意の好都合な方法を使用して決定されうる。例示的な方法は、BLASTプログラム(基本的なローカルアライメント検索ツール)およびPowerBLASTプログラム(Altschul et al., J. Mol. Biol., 1990, 215, 403-410;Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649-656)、またはGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8 for Unix、Genetics Computer Group、University Research Park、Madison Wis)の使用、例えば、Smith and Waterman(Adv. Appl. Math., 1981, 2, 482-489)によるアルゴリズムを使用する、デフォルト設定の使用を介する方法を含む。
本明細書で使用される、「~に結合すること」(例えば、標的核酸に結合する、ポリペプチドのRNA結合性ドメインなどに関する)とは、高分子の間の、非共有結合的相互作用(例えば、タンパク質と核酸との間;ガイドRNAと標的核酸との間など)を指す。非共有結合的相互作用の状態にある場合、高分子は、「会合している」または「相互作用している」または「結合している」と言われる(例えば、分子Xが、分子Yと相互作用すると言われる場合、これは、分子Xが、分子Yに、非共有結合的に結合することを意味する)。結合相互作用の全ての成分が、配列特異的である(例えば、DNA骨格内のリン酸残基と接触する)必要はなく、結合相互作用のうちの一部が配列特異的である場合もある。結合相互作用は、一般に、10-6M未満、10-7M未満、10-8M未満、10-9M未満、10-10M未満、10-11M未満、10-12M未満、10-13M未満、10-14M未満、または10-15M未満の解離定数(Kd)により特徴づけられる。「アフィニティー」とは、結合の強度を指し、結合アフィニティーの増大は、低値のKdと相関する。
「結合性ドメイン」とは、別の分子に非共有結合的に結合することが可能である、タンパク質ドメインを意味する。結合性ドメインは、例えば、RNA分子(RNA結合性ドメイン)および/またはタンパク質分子(タンパク質結合性ドメイン)に結合しうる。タンパク質結合性ドメインを有するタンパク質の場合、結合性ドメインは、場合によって、それ自体に結合する(ホモ二量体、ホモ三量体などを形成する)場合もあり、かつ/または1つまたは複数の、異なるタンパク質の、1つまたは複数の領域に結合する場合もある。
「保存的アミノ酸置換」という用語は、タンパク質内の、類似の側鎖を有するアミノ酸残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなり;脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリンおよびトレオニンからなり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギンおよびグルタミンからなり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンからなり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リシン、アルギニン、およびヒスチジンからなり;酸性側鎖を有するアミノ酸の群は、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなり;硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システインおよびメチオニンからなる。例示的な保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン-グリシン、およびアスパラギン-グルタミンである。
本明細書では、「DNA調節配列」、「制御エレメント」、および「調節エレメント」という用語は、互換的に使用され、非コード配列(例えば、ガイドRNA)もしくはコード配列(例えば、タンパク質をコードする)の転写をもたらし、かつ/もしくは調節し、かつ/またはコードされるポリペプチドの翻訳を調節するなど、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、タンパク質分解シグナルなどの転写制御配列および翻訳制御配列を指す。
本明細書で使用される、「プロモーター配列」とは、RNAポリメラーゼに結合し、下流(3’方向)における、コード配列または非コード配列の転写を誘発することが可能なDNA調節領域である。真核生物プロモーターは、常にではないが、しばしば、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有するであろう。誘導可能なプロモーターを含む、多様なプロモーターが、本開示の、多様な核酸(例えば、ベクター)を駆動するのに使用されうる。
核酸、ポリペプチド、細胞、または生物へと適用される場合に本明細書で使用される、「天然に存在する」または「非改変」または「野生型」という用語は、天然で見出される、核酸、ポリペプチド、細胞、または生物を指す。
本明細書で使用される「組換え」とは、特定の核酸(DNAまたはRNA)が、天然系において見出される内因性核酸から識別可能な、構造的コード配列または構造的非コード配列を有する構築物を結果としてもたらす、クローニングステップ、制限ステップ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ステップ、および/またはライゲーションステップの多様な組合せの生成物であることを意味する。ポリペプチドをコードするDNA配列は、cDNA断片からアセンブルされる場合もあり、細胞内または無細胞転写系内および無細胞翻訳系内に含有される組換え転写単位からの発現が可能な合成核酸をもたらす、一連の合成オリゴヌクレオチドからアセンブルされる場合もある。対象とする配列を含むゲノムDNAもまた、組換え遺伝子または転写単位の形成において使用されうる。非翻訳DNAの配列は、オープンリーディングフレームから5’側に存在する場合もあり、3’側に存在する場合もあるが、これらの場合に、このような配列は、コード領域の操作または発現に干渉せず、実際には、多様な機構による、所望の生成物の作製をモジュレートするように作用しうる(下記の「DNA調節配列」を参照されたい)。代替的に、翻訳されないRNA(例えば、ガイドRNA)をコードするDNA配列もまた、組換えであると考えられうる。したがって、「組換え」核酸という用語は、天然に存在しない核酸、例えば、ヒト介入を介して、天然に存在しない形で隔てられた、2つの配列セグメントの人工的組合せにより作製された核酸を指す。この人工的組合せは、単離核酸セグメントの化学合成手段または人工的操作により、例えば、遺伝子操作法により達せられることが多い。このような人工的組合せは、通例、コドンを、同じアミノ酸、保存的アミノ酸、または非保存的アミノ酸をコードするコドンで置きかえるようになされる。代替的に、人工的組合せは、所望の機能を有する核酸セグメントを、一体に接続して、所望の機能の組合せをもたらすように実施される。この人工的組合せは、単離核酸セグメントの化学合成手段または人工的操作により、例えば、遺伝子操作法により達せられることが多い。組換えポリヌクレオチドが、ポリペプチドをコードする場合、コードされるポリペプチドの配列は、天然に存在する(「野生型」)配列の場合もあり、天然に存在する配列の変異体(例えば、突然変異体)の場合もある。したがって、「組換え」ポリペプチドという用語は、その配列が、天然に存在しないポリペプチドを、必ずしも指さない場合がある。そうではなく、「組換え」ポリペプチドは、組換えDNA配列によりコードされるが、ポリペプチドの配列は、天然に存在する(「野生型」)配列の場合もあり、天然に存在しない(例えば、変異体、突然変異体など)配列の場合もある。したがって、「組換え」ポリペプチドは、ヒト介入の結果であるが、天然に存在するアミノ酸配列でありうる。
「ベクター」または「発現ベクター」とは、接合されたセグメントの、細胞内の複製をもたらすように、別のDNAセグメントすなわち、「インサート」が、接合されうるプラスミド、ファージ、ウイルス、またはコスミドなどのレプリコンである。
「発現カセット」は、プロモーターに作動可能に連結された、DNAコード配列を含む。「作動可能に連結された」とは、そのように記載された構成要素が、意図された形で機能することを可能とする関係にある並置を指し、例えば、プロモーターが、その転写または発現に影響を及ぼす場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結されている。
本明細書では、「組換え発現ベクター」または「DNA構築物」という用語は、ベクターと、1つのインサートとを含むDNA分子を指すように、互換的に使用される。組換え発現ベクターは、通例、インサート(複数可)を発現および/または増殖させることを目的として作出され、または他の組換えヌクレオチド配列の構築のために作出される。インサート(複数可)は、プロモーター配列に作動可能に連結される場合もあり、そうでない場合もあり、DNA調節配列に作動可能に連結される場合もあり、そうでない場合もある。
任意の所与の構成要素、または構成要素の組合せは、標識化されない場合もあり、標識部分により、検出可能な形で標識される場合もある。場合によって、2つまたはこれを超える構成要素が、標識付けされる場合、これらは、互いから識別可能な標識部分により標識されうる。
「標識」または「標識化」とは、構成要素を、1つまたは複数の技法により同定可能とする分子を伴う構成要素を指す。標識の非限定例は、ストレプトアビジンおよび蛍光分子を含む。「蛍光剤」という用語は、検出可能な範囲内で、蛍光を呈することが可能な物質またはその部分を指す。標識は、標識(例えば、ストレプトアビジンに結合するビオチン)との結合相互作用により検出される場合もあり、蛍光光度計を使用する、蛍光シグナルの検出を介して検出される場合もある。他の検出用標識は、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、またはアルカリホスファターゼなどの酵素標識を含む。「レポーター遺伝子」または「レポーター配列」とは、必ずしも、規定のアッセイにより測定されるわけではないが、好ましくは、規定のアッセイにより容易に測定される、タンパク質産物をもたらす、任意の配列を指す。適切なレポーター遺伝子は、発色タンパク質または蛍光タンパク質または発光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、増強緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質)をコードする配列を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、酵素標識は、CRISPR酵素活性(例えば、一次活性化因子の存在による活性化の後におけるトランス切断)によりターゲティング可能な核酸リンカーにより連結される、2つもしくはこれを超える部分片への分割により不活化される。リンカーが切断されると、酵素レポーターの部分片は、検出用シグナルを発生させるように、基質へと作用しうる、活性酵素へのアセンブルが可能となるであろう。
本明細書では、「試料」という用語は、RNAまたはDNAを含む、任意の試料(例えば、標的配列が、ポリヌクレオチド配列の集団の中に存在するのかどうかを決定するために)を意味するように使用される。試料は、任意の供給源に由来することが可能であり;例えば、試料は、精製RNA/DNAの、合成による組合せの場合もあり;試料は、細胞溶解物、RNA/DNAがエンリッチされた細胞溶解物、または細胞溶解物から単離および/または精製されたRNA/DNAの場合もある。試料は、環境試料、農業試料、または食物試料でありうる。試料は、患者(例えば、診断を目的として)に由来しうる。試料は、血液、汗、血漿、血清、痰、唾液、粘液、細胞、排出物、尿、脳脊髄体液(CSF)、母乳、精液、膣液、組織などのうちの1つまたは複数から選択されるか、またはこれらに由来しうる。試料は、透過化細胞に由来しうる。試料は、架橋化細胞に由来しうる。試料は、組織切片内の細胞でありうる。試料は、架橋化、続いて脱脂化、および一様な屈折率をもたらすための補正により調製された組織に由来しうる。架橋化、続いて脱脂化、および一様な屈折率をもたらすための補正による組織調製の例については、例えば、Shah et al., Development (2016) 143, 2862-2867 doi:10.1242/dev.138560において記載されている。
値の範囲が提示される場合は、その範囲の上限と下限との間の、文脈によりそうでないことが明確に指示されない限りにおいて、下限の単位の10分の1までの、各中間の値、およびその言明された範囲内の、他の任意の言明された値または中間の値が、本発明に包含されることが理解される。これらの小範囲の上限および下限は、独立に、より小さな範囲内に包含される場合があり、これらもまた、本発明の範囲内に包含され、言明された範囲内の、任意の、具体的に除外された限界により決まる。言明された範囲が、限界の一方または両方を包含する場合、これらの包含された限界の一方または両方を除外する範囲もまた、本発明に包含される。
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書で使用される、全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により、一般に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実施または試行では、本明細書で記載される方法および材料と、同様または同等である、任意の方法および材料が使用されうるが、ここでは、好ましい方法および材料が記載される。本明細書で言及される、全ての刊行物は、刊行物が引用される関連の方法および/または材料を開示し、これらについて記載するように、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
文脈が、そうでないことを明確に指示しない限りにおいて、本明細書および付属の特許請求の範囲において使用される、単数形の「ある(a)」「ある(an)」、および「その」は、複数形の指示対象も含むことに注意されたい。したがって、例えば、「CRISPR/Casエフェクタータンパク質」への言及は、複数のCRISPR/Casエフェクタータンパク質(同じであるか、または異なるCasエフェクタータンパク質を含む)を含み、「ガイドRNA」への言及は、1つまたは複数のガイドRNA、および当業者に公知のその同等物への言及を含むなどである。特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように起草されうることに、さらに注意されたい。このように、本言明は、特許請求の範囲の要素の列挙、または「否定的」限定の使用との関連における、「ただ」、「のみ」などの除外的用語法の使用のための先行詞として用いられることが意図される。
明確さのために、個別の実施形態の文脈で記載される、本発明のある特定の特色はまた、単一の実施形態に組み合わされても提示されうることが理解される。逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈でも記載される、本発明の多様な特色はまた、個別に提示される場合もあり、任意の適切な部分的組合せにおいて提示される場合もある。本発明に関する実施形態の、全ての組合せは、本発明により、具体的に包含され、本明細書では、各組合せおよびあらゆる組合せが、個別に、かつ、明示的に開示された場合と全く同様に開示される。加えて、多様な実施形態およびその要素の、全ての部分的組合せもまた、本発明により、具体的に包含され、本明細書では、このような各部分的組合せおよびあらゆる部分的組合せが、本明細書で、個別に、かつ、明示的に開示された場合と全く同様に開示される。
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日の前における、それらの開示のみについて提示される。本明細書におけるいかなる内容も、本発明が、先行発明である理由で、このような刊行物に先行する権利がないことの容認として理解されるべきではない。さらに、提示される刊行日は、独立に確認される必要がありうる、実際の刊行日と異なりうる。試料中の特異的標的核酸配列(例えば、RNAまたはDNA)の存在または非存在を検出するための組成物、方法、およびシステムは、1つまたは複数の特異的核酸配列の存在の同定により、ウイルス感染、細菌感染、寄生虫感染、もしくは真菌感染、または状態、疾患、もしくは障害を有する、患者または試料を、費用効果的に診断することを可能とする。本発明の組成物、方法、およびシステムはまた、遺伝子スクリーニング、がんスクリーニング、突然変異解析、マイクロRNA解析、mRNA解析、一塩基多型解析などにおいても有用である。
組成物およびシステム
試料中の標的RNA配列または標的DNA配列(二本鎖または一本鎖)を検出するための組成物、システム、および方法が提供される。特に、本明細書では、標的核酸の検出時に、増幅的フィード-フォワードループを発生させて、シグナルの指数関数的増大をもたらす、内部NCRを含むシステムについて記載される。システムおよび方法は、任意の数および種類の、検出構成要素および/または増幅構成要素、例えば、目的の核酸を検出し、検出後にシグナルを発生させることが可能な検出剤を含む、少なくとも第1の構成要素と、目的の核酸の存在下で発生させられるシグナルを増大させる(増幅する)増幅因子を含む、第2の構成要素とを含むシステムを含みうる。構成要素(例えば、検出剤および/または増幅因子)は、スプリット酵素、Ttago(argonaute)タンパク質、プログラム型単鎖ガイドRNAなどの核酸結合性分子を含むがこれらに限定されない、任意の数の、同じ分子または異なる分子を含みうる。
組成物および本明細書で記載されるシステムは、(i)第1のガイドRNAと会合し、この第1のガイドRNAが、試料の標的RNA配列または標的DNA配列(一次活性化因子)を認識する(これとハイブリダイズする)、第1のCasエフェクタータンパク質(例えば、RNAの検出のためにはCas13タンパク質、DNAの検出のためにはCas12タンパク質またはCas14)を含む標的センサー;(ii)第1のガイドRNAにより認識されない配列を介して、消光剤へと連結された検出用標識(例えば、蛍光部分)を含み、検出用標識が測定されうるように、切断、例えば、複合体から、検出用標識を放出する、ヌクレアーゼによる切断(例えば、トランス切断)(例えば、標識を、消光剤またはケージへと連結する配列の切断)時に活性化される不活性レポーター分子(複合体);(iii)第2のガイドRNAと会合した、第2のCasエフェクタータンパク質を含むシグナル増幅因子、またはケージが放出されるまで、シグナル増幅因子が、不活性であるように、ケージ化ガイドRNAの存在下にある、第2のCasエフェクタータンパク質を含むシグナル増幅因子;ならびに(iv)第2のシグナル増幅因子のガイドRNAにより認識される配列を含み、任意選択で、シグナル増幅因子が、レポーターを切断して、検出用標識を放出することが可能な非特異的ヌクレアーゼとなるように、活性化因子の、シグナル増幅因子への結合(例えば、活性化因子の、シグナル増幅因子のガイドRNAへのハイブリダイゼーション)が、シグナル増幅因子を活性化する、不活性レポーター複合体の一部である、活性化分子(本明細書でまた、「増幅活性化因子」とも称される)を含みうる。
図1A~1Jに示される通り、第1のCasエフェクタータンパク質の、一次活性化配列へのハイブリダイゼーション(結合)(第1のガイドRNAを介する)がなされて、標的センサーが活性化されると、非特異的なRNアーゼ(Cas13エフェクター)またはDNアーゼ(Cas12エフェクターまたはCas14エフェクター)を含む活性化一次活性化複合体が形成される。この活性化一次活性化複合体は、トランスの非特異的ヌクレアーゼ活性を呈し、次いで、標識が、検出可能となる(もはや、消光させられない)ように、不活性レポーター複合体を切断することにより、レポーター(検出用標識)を活性化するが、この反応は、標的の存在下でのみ生じる。加えて、活性化一次活性化複合体は、二次増幅複合体の、第2のガイドRNAが、放出された活性化分子とハイブリダイズするか、または二次ガイドが放出されて、ガイドRNAの複合体化を欠くCasタンパク質(apo Casタンパク質)および遊離活性化因子と結合するように、活性化分子を放出しうる。活性化分子とハイブリダイズさせられると、さらなる検出用標識が放出されるように、二次増幅複合体が、不活性レポーター複合体を切断することが可能である、非特異的な活性化トランスRNアーゼまたは活性化トランスDNアーゼとなるか、またはケージが放出されて、ケージ化活性化RNAおよび/またはケージ化ガイドRNAが、二次増幅複合体と相互作用することを可能とするように、トランス切断活性が作用する。この工程は、「フィードフォワード増幅」と称される。2つの活性化センサー(一次活性化複合体および二次増幅複合体)の存在は、迅速かつ高感度の検出のために、一次活性化配列の存在下で得られるシグナルを増幅する。このシステムでは、一次活性化複合体が、一次活性化複合体の検出からの、シグナルの直線的増幅を結果としてもたらすのに対し、二次増幅システムの付加は、指数関数的増幅を結果としてもたらす。場合によって、ケージは、1つまたは複数のステムループ構造を含む。場合によって、ループ構造は、場合によって一本鎖ループを残して、RNAにフォールドバックする相補性配列の付加により、RNA上で引き起こされる。このようにして、ケージ配列の付加は、RNA上における、1つまたは複数のステムループの形成を引き起こす。
したがって、開示されるシステムは、最小限の試料調製を伴うが、特に、試料から核酸を増幅する必要を伴わずに、哺乳動物、ウイルス、細菌、真菌などを含む、様々な供給源からの、廉価かつ迅速な核酸標的配列の検出をもたらす。試料は、ヒト患者または非ヒト患者に由来する生物学的試料の場合もあり、水、食物などに由来する環境試料の場合もある。
CasセンサーおよびCsm6センサーならびにシグナル増幅因子
組成物およびシステムのCasエフェクター分子(標的センサーおよび/またはシグナル増幅因子)内では、任意の種類のCRISPR/Casシステム(例えば、II型、III型、V型、VI型)、Csm6タンパク質、Csx1タンパク質などに由来するCasタンパク質を含むがこれらに限定されない、任意のCasタンパク質(複数可)が使用されうる。
Casタンパク質は、古細菌および細菌を含む、任意の適切な供給源に由来しうる。一部の実施形態では、天然Casタンパク質は、パルディバクター属(Paludibacter)、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)、リステリア属(Listeria)、ヘルビニクス属(Herbinix)、ロドバクター属(Rhodobacter)、レプトトリキア属(Leptotrichia)、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)、エウバクテリウム属(Eubacterium)、またはクロストリジウム属(Clostridium)に由来しうる。一部の実施形態では、天然Casタンパク質は、パルジバクター・プロピオニキゲネス(Paludibacter propionicigenes)、カルノバクテリウム・ガリナルム(Carnobacterium gallinarum)、リステリア・セーリゲリ(Listeria seeligeri)、リステリア・ニューヨーケンシンス(Listeria newyorkensis)、ヘルビニクス・ヘミセルロシリティカ(Herbinix hemicellulosilytica)、ロドバクター・カプスラートゥス(Rhodobacter capsulatus)、レプトトリキア・ウェイディイ(Leptotrichia wadei)、レプトトリキア・ブッカーリス(Leptotrichia buccalis)、レプトトリキア・シャーイイ(Leptotrichia shahii)、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)菌NK4A179株、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)菌MA2020株、エウバクテリウム・レクターレ(Eubacterium rectale)、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)菌NK4A144株、およびクロストリジウム・アミノフィルム(Clostridium aminophilum)に由来しうる。
本明細書で記載されるCasタンパク質(複数可)は、天然Casタンパク質と相同でありうる。一部の実施形態では、開示されるCasタンパク質は、天然Casタンパク質配列と、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%を超え、かつ、約100%、99%、98%、97%、95%、90%、85%、80%、または75%未満同一である。開示されるCasタンパク質は、1つまたは複数のHEPNドメインを有する場合があり、活性化の後で、前駆体ガイドRNAと、インディケーターRNAとを含む、一本鎖RNAを切断することが可能でありうる。
Casタンパク質の活性化は、1つまたは複数の標的配列を、Casタンパク質と会合したガイドRNA配列と接触させることを含みうる。一部の実施形態では、Casタンパク質のガイドRNAは、相補性の標的RNA配列とハイブリダイズすることにより、Casタンパク質のRNアーゼ活性を活性化する一助となりうる。
開示されるCasタンパク質は、V型(例えば、Cas12および/またはCas14)、VI型(例えば、Cas13)、および/またはIII型(例えば、Csm6)タンパク質を含むがこれらに限定されない、任意のCasタンパク質でありうる。
ある特定の実施形態では、組成物、システム、および方法は、各々が、2つのコンセンサスHEPN(Higher eukaryotes and prokaryotes nucleotide結合性ドメイン)のRNアーゼモチーフである、R-X4-6-Hを別として、著明な配列分岐を呈する、これまでに特徴づけられている、4つの亜型(Cas13a~Cas13d)を伴う、1つまたは複数のCas13タンパク質を含む。ウイルス感染に対して防御するために、Cas13酵素は、プレcrRNAを、成熟crRNAガイドへと、HEPN非依存的にプロセシングした後で、シスにおいて、相補性「活性化因子」標的RNAの、HEPN依存性切断を行う。標的依存性活性化がなされると、Cas13はまた、トランスにおいて、バイスタンダーRNAを切断することも可能であり、シス切断およびトランス切断の両方が可能である、一般的なRNアーゼ活性を反映する(例えば、米国公開第20200032324号明細書、および国際公開第2017218573号パンフレット、Konnermann et al (2018) Cell Apr 19;173(3):665-676;Zhang et al (2018) Cell 175 (1), 212-223を参照されたい)。VI-A型CRISPR-Cas系である、Cas13a(旧称:C2c2)の署名タンパク質は、crRNAの成熟、およびRNA活性化ssRNA切断の両方の一因となる、二重ヌクレアーゼである(East-Seletsky et al., (2016) Nature 538(7624):270-273)。Cas13aは、前駆体crRNA(プレcrRNA)転写物に結合し、それらを、リピート領域内で切断して、成熟crRNAをもたらす。プレcrRNAが、個々の成熟crRNAへとプロセシングされても、CRISPRアレイ内のスペーサー領域の各々を隔てる、8ヌクレオチド片のリピート領域は、成熟crRNAへの接合を維持し、「タグ」と称される。crRNAと相補性である、ssRNA活性化因子(標的)配列への結合は、Cas13aを、トランスssRNA切断のために活性化し、宿主生物の細胞死または休眠を、潜在的に誘発する。しかし、標的RNAまたは活性化RNAが、タグ配列と相補性である配列(「抗タグ」配列として公知である)を含む場合、複合体は、活性化を阻害される。これは、自己免疫の阻止に関与する機構であると考えられている(Meeske & Marriffini (2018) Mol Cell 71:791)。異なるCas13a相同体に対する優先性に対応する、ケージ配列の使用により微調整されうる活性である、Cas13aのトランスssRNA活性は、RNA上のケージ構造の放出における使用のために利用されうる。
一部の実施形態では、Cas13タンパク質は、任意のCas13aアミノ酸配列、例えば、表1および/または実施例3に示されるCas13a配列に対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、Cas13aポリペプチドである。
Figure 2023527768000002
さらなるCas13タンパク質は、BzoCas13b(ベルゲイエラ・ゾオヘルクム(Bergeyella zoohelcum);WP_002664492);PinCas13b(プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia);WP_036860899);PbuCas13b(プレボテラ・ブッケ(Prevotella buccae);WP_004343973);AspCas13b(アリスティペス属(Alistipes)種ZOR0009株;WP_047447901);PsmCas13b(プレボテラ属(Prevotella)種MA2016株;WP_036929175);RanCas13b(リエメレラ・アナティペスティフェル(Riemerella anatipestifer);WP_004919755);PauCas13b(プレボテラ・アウランティアーカ(Prevotella aurantiaca);WP_025000926);PsaCas13b(プレボテラ・サッカロリティカ(Prevotella saccharolytica):WP_051522484);Pin2Cas13b(プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia);WP_061868553);CcaCas13b(カプノシトファーガ・カニモルスス(Capnocytophaga canimorsus);WP_013997271);PguCas13b(ポルフィロモナス・グレ(Porphyromonas gulae);WP_039434803);PspCas13b(プレボテラ属(Prevotella)種P5-125株:WP_0440652940);PgiCas13b(ポルフィロモナス・ギンギバリス(Porphyromonas gingivalis);WP_053444417);FbrCas13b(フラボバクテリウム・ブランキオフィルム(Flavobacterium branchiophilum);WP_014084666);およびPin3Cas13b(プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia);WP_050955369);FnsCas13c(フソバクテリウム・ネクロフォルム・フンドゥリフォルメ亜種(Fusobacterium necrophorum subsp.funduliforme)ATCC 51357株コンティグ00003;WP_005959231.1);FndCas13c(フソバクテリウム・ネクロフォルム(Fusobacterium necrophorum)DJ-2株コンティグ0065、全ゲノムショットガン配列;WP_035906563.1);FnfCas13c(フソバクテリウム・ネクロフォルム・フンドゥリフォルメ亜種(Fusobacterium necrophorum subsp.funduliforme)1_1_36S cont1.14;EHO19081.1);FpeCas13c(フソバクテリウム・ペルフェテンス(Fusobacterium perfoetens)ATCC 29250 T364DRAFT_scaffold00009.9_C;WP_027128616.1);FulCas13c(フソバクテリウム・ウルセランス(Fusobacterium ulcerans)ATCC 49185 cont2.38;WP_040490876.1);AspCas13c(アネロサリバクター属(Anaerosalibacter)種ND1株のゲノムアセンブリーによる、アネロサリバクター・マシリエンシス(Anaerosalibacter massiliensis)ND1株;WP_042678931.1);ルミノコッカス属(Ruminococcus)種によるCas13d(GI:1690532978);EsCas13d([エウバクテリウム・]シレウム([Eubacterium]siraeum)DSM 15702株;GI:1486942132またはGI:1486942131)、および米国特許公開第20190062724号明細書で開示されている、Cas13d相同体を含む。
ある特定の実施形態では、組成物、システム、および方法は、1つまたは複数のV型Casタンパク質を含む。V型CRISPR/Casタンパク質の非限定例は、Cas12タンパク質およびCas14タンパク質を含む。例えば、米国公開第20190241954号明細書を参照されたい。一部の実施形態では、Cas12タンパク質は、任意のCas12アミノ酸配列、例えば、図6A~6Cに示されるCas12配列に対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、Cas12ポリペプチドである。例えば、PCT/米国特許出願第2020/021213号明細書、国際公開第2020023529号パンフレット、国際公開第2019104058号パンフレット、および国際公開第2019089796号パンフレットを参照されたい。
一部の実施形態では、Cas14タンパク質は、任意のCas14アミノ酸配列、例えば、図6に示されるCas14配列に対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、Cas14ポリペプチドである。例えば、Harrington et al(Harrington LB, (2018) Science 362(6416):839-842)、およびPCT/米国特許出願第2020/021214号明細書(Cas14)を参照されたい。例えば、PCT/米国特許出願第2020/021214号明細書を参照されたい。
ある特定の実施形態では、本明細書で記載されるシステム、組成物および方法は、Csm6タンパク質を含む。Csm6は、III型CRISPR-Cas系と関連する、一本鎖リボ核酸(ssRNA)エンドヌクレアーゼのファミリーである。Csm6のRNA切断活性は、環状オリゴアデニル酸(cA)、または末端2’-3’環状リン酸(A>P)を有する短鎖直鎖状オリゴアデニル酸の結合により、アロステリックに活性化されうる。Csm6は、SHERLOCKシステムにおいて、ウイルスRNAの検出を増幅するのに使用されている。一部の実施形態では、EiCasm6(エンテロコッカス・イタリクス(Enterococcus italicus);WP_007208953.1)、LsCsm6(ラクトバシルス・サリワリウス(Lactobacillus salivarius);WP_081509150.1)、および/またはTtCsm6(テルムス・テルモフィルス(Thermus thermophilus);WP_011229148.1)が使用される。一実施形態では、TtCsm6は、長さを4アデノシンとするオリゴアデニル酸(cAまたはA>P)により、特異的に活性化され、AおよびCを伴うRNA配列に対する、切断優先性を呈する。一実施形態では、EiCsm6および/またはLsCsm6は、Aの長さを含むガイドと共に、保護(ケージ化)増幅RNAの切断の後に、シグナルを増幅するのに使用される。したがって、Csm6変異体は、例えば、このような好ましい配列を含む、適切な基質(例えば、トリガー基質)の組入れによる、標的の存在下における、検出用シグナルの増幅のために使用されうる。例えば、一部の実施形態では、その一次RNA活性化因子との相互作用の後で、Cas13が活性化すると、Cas13による、ARNAのトランス切断が、レポーター分子を切断するよう、EiCsm6を誘導する、EiCsm6のための活性化因子を創出し、これにより、Cas13の、その一次活性化因子との、元の相互作用により誘発されたシグナルを増幅するように、RNAを含むAが、Cas13およびEiCsm6を含む反応混合物へと添加される。別の実施形態では、EiCsm6ではなく、TtCsm6を含む反応において、ARNAが使用される(Gootenberg et al, (2018) Science 360(6387): 439)。
ある実施形態では、Casタンパク質は、ガイド配列もしくは標的配列とのその相互作用を変更し、かつ/またはそのヌクレアーゼ活性、例えば、特異性、代謝回転、ヌクレオチド優先性などを変更するように、修飾もしくは操作されるか、または突然変異させられた、修飾タンパク質である。他の実施形態では、Casタンパク質は、単離、同定、分離、ヌクレアーゼ活性、標的配列への結合などの一助となるように、別のタンパク質、ペプチド、またはマーカーと融合させうる。
場合によって、RNA(ウイルスRNA、mRNA、低分子RNAなど)が、野生型Cas13タンパク質および/または修飾Cas13タンパク質を含むシステムを使用して直接(逆転写酵素を必要とせずに)検出されるのに対して、DNA(ウイルスDNAなど)は、野生型Cas12タンパク質もしくは野生型Cas14タンパク質、および/または操作Cas12タンパク質もしくは操作Cas14タンパク質を含むシステムを使用して直接検出される。他の場合に、RNAは、Cas12エフェクタータンパク質またはCas14エフェクタータンパク質を使用して検出されるDNAへと逆転写されうる。
本明細書記載されるシステムでは、同じであるか、または異なるCasエフェクタータンパク質のうちの1つまたは複数が使用されうる。場合によって、標的センサーおよびシグナル増幅因子は、いずれも、例えば、標的DNA配列を検出するために、1つまたは複数のCas12タンパク質および/またはCas14タンパク質を含む。1つまたは複数のCas12タンパク質および/またはCas14タンパク質は、それら自体、同じタンパク質の場合もあり、異なるタンパク質の場合もある(修飾タンパク質または操作タンパク質でありうる)。他の場合に、標的センサーおよびシグナル増幅因子は、いずれも、例えば、標的RNA配列を検出するために、1つまたは複数のCas13タンパク質を含む。Cas13タンパク質は、それら自体、同じCas13タンパク質の場合もあり、異なるCas13タンパク質の場合もある(修飾Cas13タンパク質または操作Cas13タンパク質でありうる)。他の実施形態では、標的センサーおよびシグナル増幅因子は、Cas12タンパク質、Cas13タンパク質、Cas14タンパク質、およびCsm6タンパク質を含む、異なる種類のCasエフェクタータンパク質を含むことが可能であり、例えば、この場合、標的センサーは、標的RNA配列を検出するために、1つまたは複数のCas13タンパク質を含み、シグナル増幅因子は、1つまたは複数のCas12タンパク質および/またはCas14タンパク質を含む。場合によって、シグナル増幅因子はまた、Csm6タンパク質(酵素)も含む。一部の実施形態では、標的センサーは、標的核酸配列を検出するために、1つまたは複数のCas12タンパク質および/またはCas14タンパク質を含み、シグナル増幅因子は、1つもしくは複数のCas13タンパク質を含む。場合によって、シグナル増幅因子はまた、Csm6タンパク質(酵素)も含む。
ガイドRNA配列
本明細書で記載されるNCRシステムおよびNCR組成物はまた、ガイドRNAが、コグネイト(標的、活性化因子など)配列に結合したときに、ヌクレアーゼへと活性化するように、1つもしくは複数のCasタンパク質をプログラム化するのに使用される分子、典型的に、ガイドRNAも含む。
本明細書では、Casエフェクタータンパク質(例えば、Cas13タンパク質またはCas12タンパク質)と会合し(これに結合し)、リボヌクレオタンパク質複合体(RNP)を形成し、この複合体を、ポリヌクレオチド内の特異的標的配列へとターゲティングする核酸分子は、「ガイドRNA」と称される。場合によって、ハイブリッドDNA/RNAは、ガイドRNAが、RNA塩基に加えて、DNA塩基も含むように作製されうる(しかし、本明細書では、このようなハイブリッド分子を包含するのにもやはり、「ガイドRNA」という用語が使用される)ことが理解されるものとする。対象のガイドRNAは、(標的RNAまたは標的DNAの標的配列とハイブリダイズする)ガイド配列(また、「スペーサー」とも称される)と、定常領域(例えば、ガイド配列と隣接し、Casエフェクタータンパク質に結合する領域)とを含みうる。本明細書では、「定常領域」はまた、「タンパク質結合性セグメント」とも称されうる。場合によって、定常領域は、ガイド配列の5’側にある。
ガイドRNAは、標的RNA配列と相補性である、少なくとも1つの配列を含む。一部の実施形態では、この標的相補性配列は、スペーサー配列と称される場合があり、さらなる配列は、足場配列と称される場合がある。一部の実施形態では、スペーサー配列は、ヒト(例えば、ゲノムDNAまたは逆転写RNA)に由来する場合もあり、非ヒト供給源(例えば、病原体)に由来する場合もある。一部の実施形態では、選択される病原体は、細菌、ウイルス、真菌、および寄生虫に由来しうる。一部の実施形態では、病原体は、ウイルス(例えば、オルトコロナウイルス亜科(Orthocoronavirinae)、ディペンドウイルス属(Dependovirus)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、ポックスウイルス科(Poxviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、トガウイルス科(Togaviridae)、フィロウイルス科(Filoviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、パピローマウイルス科(Papillomaviridae)、ニューモウイルス科(Pneumoviridae)、オルトミクスウイルス科(Orthomyxoviridae)、アレナウイルス科(Arenaviridae)、およびパラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、カリシウイルス科(Caliciviridae))または細菌(例えば、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、連鎖球菌属(Streptococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、赤痢菌属(Shigella)、カンピロバクター属(Campylobacter)、サルモネラ属(Salmonella)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、およびトレポネーマ属(Treponema))でありうる。一部の実施形態では、ウイルスは、オルトコロナウイルス亜科(Orthocoronavirinae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、オルトミクスウイルス科(Orthomyxoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、パポバウイルス科(Papovaviridae)、ポリオーマウイルス科(Polyomavirus)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、およびトガウイルス科(Togaviridae)を含む、DNAまたはRNAウイルスから選択されうる。一部の実施形態では、病原性真菌は、カンジダ属(Candida)、アスペルギルス属(Aspergillus)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ニューモシスティス属(Pneumosystis)、およびスタキボトリス属(Stachybotrys)を含む。
他の実施形態では、スペーサーのRNA配列は、非病原体と相補性である。例えば、スペーサーのRNA配列は、任意の目的の核酸配列とハイブリダイズするように操作されうる。一部の実施形態では、ガイドRNA配列は、目的の哺乳動物配列、例えば、ゲノム配列、または転写配列(mRNA、マイクロRNAなど)と相補性であるように操作されうる。多様な実施形態では、ガイドRNAは、哺乳動物の生物学的状態、敗血症、がん、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染などの状態、疾患、または障害と関連する配列と相補性の配列を含みうる。一部の実施形態では、ガイドRNAは、mRNA、またはマイクロRNA、例えば、マイクロRNA署名内のマイクロRNA配列と相補性でありうる。一部の実施形態では、ガイドRNA配列は、前駆体RNA内のガイドRNA配列の場合があり、前駆体RNAは、複数のガイドRNA配列を伴うアレイの一部でありうる。一部の実施形態では、前駆体RNA配列は、ガイドRNA配列をもたらすように、Casタンパク質によりプロセシングされうる。
ガイドRNA配列は、標的配列と相補性である、スペーサー配列と、スペーサー配列の5’側にある、より定常的な配列とを含む。この定常配列は、足場配列、リピート、ハンドル、または定常領域と称される場合があり、ガイドRNAの、Casタンパク質への結合の一助となる。一部の実施形態では、定常配列は、進化的に類縁である定常配列で置きかえられうる。当技術分野で公知である通り、Casタンパク質は、crRNAの直交セットを認識し、異なるssRNA切断特異性を有する機能群を含む、異なるファミリーへと群分けされうる。一部の実施形態では、定常配列は、天然に存在するヌクレオ塩基、および合成もしくは非天然のヌクレオ塩基、または骨格修飾を含むことにより、アフィニティーおよび安定性を改善するように修飾されうる。一部の実施形態では、定常配列は、前駆体配列を含みうる。ある実施形態では、プレcrRNA配列は、ガイド配列を含む、crRNA配列を形成するようにプロセシングされうる。
標的RNA配列または標的DNA配列の標的配列との相補性を有する(これらとハイブリダイズする)ガイド配列は、任意の適切な長さでありうる。場合によって、ガイド配列は、15~28ヌクレオチド(nt)の長さ(例えば、15~26、15~24、15~22、15~20、15~18、16~28、16~26、16~24、16~22、16~20、16~18、17~26、17~24、17~22、17~20、17~18、18~26、18~24、または18~22ntの長さ)である。場合によって、ガイド配列は、18~24ヌクレオチド(nt)の長さである。場合によって、ガイド配列は、少なくとも15nt長(例えば、少なくとも16、18、20、または22nt長)である。場合によって、ガイド配列は、少なくとも17nt長である。場合によって、ガイド配列は、少なくとも18nt長である。場合によって、ガイド配列は、少なくとも20nt長である。
場合によって、ガイド配列は、標的配列との、80%もしくはこれを超える(例えば、85%もしくはこれを超えるか、90%もしくはこれを超えるか、95%もしくはこれを超えるか、または100%の)相補性を有する。場合によって、ガイド配列は、標的配列に対して、100%相補性である。場合によって、標的配列は、ガイドRNAのガイド配列との、少なくとも15ヌクレオチド(nt)の相補性を含む。
ガイドRNAは、RNAとして提供される場合もあり、ガイドRNAをコードする核酸(例えば、組換え発現ベクターなどのDNA)として提供される場合もある。Casエフェクタータンパク質(例えば、LshCas13a、LwaCas13a、LseCas13a、LbmCas13a、LbnCas13a、CamCas13a、CgaCas13a、Cga2Cas13a、PprCas13a、LweCas13a、LneCas13a、Lwa2Cas13a、RcsCas13a、RcrCas13a、RcdCas13a、LbuCas13a、RcaCas13a、EreCas13a、BzoCas13b、PinCas13b、PbuCas13b、AspCas13b、PsmCas13b、RanCas13b、PauCas13b、PsaCas13b、Pin2Cas13b、CcaCas13b、PguCas13b、PigCas13b、Pin3Cas13b、およびHheCas13a、EsCas13d([エウバクテリウム・]シレウム([Eubacterium]siraeum)DSM 15702株)、UrCas13d、ルミノコッカス属(Ruminococcus)種から単離されたCas13d、消化管メタゲノムから単離されたCas13d、new_flavefaciens,_strain_XPD3002に由来するCas13d(例えば、米国特許出願第20190062724号明細書を参照されたい)などのCas13タンパク質、ならびに/またはCas12a、Cas12b、Cas12c、Cas12d、Cas12eなどのCas12タンパク質、ならびに/またはCas14a、Cas14b、Cas14c、Cas14i、Cas14j、Cas14k、Cas14uなどのCas14タンパク質)は、タンパク質として提供される場合もあり、またはタンパク質をコードする核酸(例えば、組換え発現ベクターなどのmRNA、DNA)として提供される場合もある(Harrington et al (2018) Science 362(6416):839-842)。場合によって、2つもしくはこれを超える(例えば、3つもしくはこれを超えるか、4つもしくはこれを超えるか、5つもしくはこれを超えるか、または6つもしくはこれを超える)ガイドRNAは、例えば、Casエフェクタータンパク質により、個々の(「成熟」)ガイドRNAへと切断されうる前駆体ガイドRNAアレイを使用することにより提供されうる。
ガイドRNAを含むCasタンパク質は、「プログラム化」Casタンパク質と称されうる。ガイドRNA配列は、Casタンパク質へと導入されえ、ガイドRNA配列にCasタンパク質が結合しうる。例えば、ガイドRNAは、細胞内または細胞外において、Casタンパク質に接触しうる。ガイドRNAを、Casタンパク質と接触させて、プログラム化Casタンパク質を作製するのに、多様な方法が使用されうる。一部の実施形態では、接触は、約2時間未満、例えば、約90分間、60分間、40分間、30分間、20分間、10分間、5分間、4分間、3分間、2分間、または1分間未満を要求する。
定常領域
本発明のガイドRNAでは、任意の定常領域が使用されうる。定常領域の非限定例については、米国公開第20190241954号明細書において開示されている。
場合によって、ガイドRNAは、二本鎖RNA二重鎖(dsRNA二重鎖)を含む。場合によって、ガイドRNAは、長さを、2~12bp(例えば、2~10bp、2~8bp、2~6bp、2~5bp、2~4bp、3~12bp、3~10bp、3~8bp、3~6bp、3~5bp、3~4bp、4~12bp、4~10bp、4~8bp、4~6bp、または4~5bp)とする、dsRNA二重鎖を含む。場合によって、ガイドRNAは、2もしくはこれを超えるbpの長さ(例えば、3もしくはこれを超えるか、4もしくはこれを超えるか、5もしくはこれを超えるか、6もしくはこれを超えるか、または7もしくはこれを超えるbpの長さ)である、dsRNA二重鎖を含む。場合によって、ガイドRNAは、対応する野生型ガイドRNAのdsRNA二重鎖より長い、dsRNA二重鎖を含む。場合によって、ガイドRNAは、対応する野生型ガイドRNAのdsRNA二重鎖より短い、dsRNA二重鎖を含む。
場合によって、ガイドRNAの定常領域は、15ヌクレオチド(nt)もしくはこれを超える長さ(例えば、18ntもしくはこれを超えるか、20ntもしくはこれを超えるか、21ntもしくはこれを超えるか、22ntもしくはこれを超えるか、23ntもしくはこれを超えるか、24ntもしくはこれを超えるか、25ntもしくはこれを超えるか、26ntもしくはこれを超えるか、27ntもしくはこれを超えるか、28ntもしくはこれを超えるか、29ntもしくはこれを超えるか、30ntもしくはこれを超えるか、31ntもしくはこれを超えるか、32ntもしくはこれを超えるか、33ntもしくはこれを超えるか、34ntもしくはこれを超えるか、または35ntもしくはこれを超える長さ)である。場合によって、ガイドRNAの定常領域は、18ntもしくはこれを超える長さである。
場合によって、ガイドRNAの定常領域は、12~100nt(例えば、12~90、12~80、12~70、12~60、12~50、12~40、15~100、15~90、15~80、15~70、15~60、15~50、15~40、20~100、20~90、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、25~100、25~90、25~80、25~70、25~60、25~50、25~40、28~100、28~90、28~80、28~70、28~60、28~50、28~40、29~100、29~90、29~80、29~70、29~60、29~50、または29~40nt)の範囲の長さを有する。場合によって、ガイドRNAの定常領域は、28~100ntの範囲の長さを有する。場合によって、ガイド配列の5’側である、ガイドRNAの領域は、28~40ntの範囲の長さを有する。
場合によって、ガイドRNAの定常領域は、対応する野生型ガイドRNAの、対応する領域と比べて、切断されている(これより短い)。場合によって、ガイドRNAの定常領域は、対応する野生型ガイドRNAの、対応する領域と比べて、伸長させられている(これより長い)。場合によって、対象のガイドRNAは、30ヌクレオチド(nt)もしくはこれを超える長さ(例えば、34ntもしくはこれを超えるか、40ntもしくはこれを超えるか、45ntもしくはこれを超えるか、50ntもしくはこれを超えるか、55ntもしくはこれを超えるか、60ntもしくはこれを超えるか、65ntもしくはこれを超えるか、70ntもしくはこれを超えるか、または80ntもしくはこれを超える長さ)である。場合によって、ガイドRNAは、35ntもしくはこれを超える長さである。
前駆体ガイドRNAアレイ
Casエフェクタータンパク質は、例えば、前駆体のエンドリボ核酸分解性切断により、例えば、前駆体ガイドRNAアレイ(タンデムで配置された、1つを超えるガイドRNAを含む)を、2つまたはこれを超える、個々のガイドRNAへと切断することにより、前駆体ガイドRNAを、成熟ガイドRNAへと切断しうる。したがって、場合によって、前駆体ガイドRNAアレイは、2つまたはこれを超える(例えば、3つまたはこれを超えるか、4つまたはこれを超えるか、5つまたはこれを超えるか、2つ、3つ、4つ、または5つの)ガイドRNA(例えば、前駆体分子としてタンデムで配置された)を含む。言い換えれば、場合によって、2つまたはこれを超えるガイドRNAは、アレイ(前駆体ガイドRNAアレイ)上に存在しうる。本明細書で記載されるCasエフェクタータンパク質は、前駆体ガイドRNAアレイを、個々のガイドRNAへと切断しうる。
場合によって、対象のガイドRNAアレイは、2つまたはこれを超えるガイドRNA(例えば、3つもしくはこれを超えるか、4つもしくはこれを超えるか、5つもしくはこれを超えるか、6つもしくはこれを超えるか、または7つもしくはこれを超えるガイドRNA)を含む。所与のアレイのガイドRNAは、同じ標的RNA/DNAの、異なる標的部位(例えば、検出感度を増大させうる)をターゲティングする(すなわち、これとハイブリダイズするガイド配列を含みうる)場合もあり、かつ/または異なる標的RNA/DNA分子(例えば、特定のウイルスの、一塩基多型(SNP)、異なる株など)をターゲティングする場合もあり、このようなガイドRNAは、例えば、複数のウイルス株を検出するのに使用されうるであろう。場合によって、前駆体ガイドRNAアレイの、各ガイドRNAは、異なるガイド配列を有する。場合によって、前駆体ガイドRNAアレイの、2つまたはこれを超えるガイドRNAは、同じガイド配列を有する。
場合によって、前駆体ガイドRNAアレイは、同じ標的配列内の、異なる標的部位をターゲティングする、2つまたはこれを超えるガイドRNAを含む。場合によって、前駆体ガイドRNAアレイは、異なる標的配列をターゲティングする、2つまたはこれを超えるガイドRNAを含む。例えば、このような状況は、潜在的な標的RNA/DNAのファミリーのうちの、いずれか1つが存在する場合に、陽性シグナルを結果としてもたらしうる。このようなアレイは、例えば、一塩基多型(SNP)などの変異に基づき、転写物のファミリーをターゲティングするために(例えば、診断を目的として)使用されうるであろう。このようなアレイはまた、多数の異なるウイルス株のうちのいずれか1つが存在するのかどうかを検出するために有用でもありうるであろう。このようなアレイはまた、ウイルスまたは細菌の、多数の異なる種、株、分離株、または変異体のうちのいずれか1つが存在するのかどうかを検出するために有用でもありうるであろう。このように、場合によって、組成物(例えば、キット)または方法は、対象として、2つまたはこれを超えるガイドRNAを含む(前駆体ガイドRNAアレイの文脈で、または前駆体ガイドRNAアレイの文脈ではなく、例えば、ガイドRNAが、成熟ガイドRNAでありうる文脈で)。
プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)
標的配列が、dsDNAである場合、標的内のPAM配列の同定が要求される場合がある。V型CRISPR/Casエフェクタータンパク質は、DNAターゲティングRNAと、標的DNAとの相補性に関わる領域により規定される、標的配列において、標的DNAに結合する。多くのCRISPR/Casエンドヌクレアーゼについての場合と同様に、二本鎖標的DNAの部位特異的結合(および/または切断)は、(i)ガイドRNAと、標的DNAとの、塩基対合相補性;および(ii)標的DNA内の短いモチーフ[プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と称される]の両方により決定される位置において生じる。
場合によって、V型CRISPR/Casエフェクタータンパク質のためのPAMは、標的配列のすぐ5’側にある(例えば、標的DNAの非相補鎖(相補鎖が、ガイドRNAのガイド配列とハイブリダイズするのに対し、非相補鎖は、ガイドRNAと、直接ハイブリダイズせず、非相補鎖の逆相補体である))。場合によって、(例えば、本明細書で記載されるCas12aまたはCas12bが使用される場合)、PAM配列は、5’-TTN-3’である。場合によって、PAM配列は、5’-TTTN-3’である。
場合によって、異なるV型CRISPR/Casエフェクタータンパク質(すなわち、多様な種に由来するV型CRISPR/Casエフェクタータンパク質)は、所望の特色(例えば、異なるV型CRISPR/Casエフェクタータンパク質の、特異的酵素特徴)を、十分に活用するために、提示される多様な方法において使用するのに有利でありうる。異なる種に由来するV型CRISPR/Casエフェクタータンパク質は、標的DNA内の、異なるPAM配列を要求しうる。したがって、選り抜きである、特定のV型CRISPR/Casエフェクタータンパク質のために、PAM配列の要求は、上記で記載された、5’-TTN-3’配列または5’-TTTN-3’配列と異なりうる。当技術分野では、適切なPAM配列を同定するための、多様な方法(コンピュータ法および/またはウェットラボ法を含む)が、公知かつ規定であり、任意の好都合な方法が使用されうる。
CRISPR-Cas13系のメンバーは、crRNAが、tracrRNAの関与を伴わずに、Cas13タンパク質との複合体を形成する、二構成要素システムとして働く。プロトスペーサーのフランキング領域は、Cas13a媒介型ターゲティングの有効性に影響を及ぼす、3’側のプロトスペーサーフランキング部位(PFS)を含む(Abudayyeh et al (2016) Science. 353(6299))。PFSは、プロトスペーサーの標的と隣接するが、一般に使用される、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の用語法は、RNAターゲティング系では妥当ではない、自己対非自己の差別化において使用される配列を含意するようになってきたので、使用されない。したがって、場合によって、標的内の、PFS配列の同定が要求される場合がある。
レポーター
本明細書で記載されるシステムでは、任意のレポーター分子(また、検出配列とも称される)が使用されうる。
レポーター分子(複合体)は、検出用標識(また、シグナル部分とも称される)を含む。検出用標識の非限定例は、蛍光標識、酵素的標識、および/または生物発光標識を含む。レポーターは、典型的に、検出用標識と近接する(これと連結される)場合に、例えば、シグナルを発することにより、標識が検出されることを阻止する分子(また、「消光剤」または「消光分子」または「消光部分」とも称される)をさらに含む。
場合によって、検出用シグナルは、レポーター分子(例えば、また、F/Qレポーターとも称される、消光剤/フルオロフォア対)が切断された場合にもたらされる。シグナル消光対のうちの、一方のシグナルパートナーは、検出用シグナルをもたらし、他方のシグナルパートナーは、第1のシグナルパートナーの検出用シグナルを消光させる、消光部分である(すなわち、シグナルパートナーが、互いと近接する、例えば、シグナル対のシグナルパートナーが近接する場合に、消光部分は、シグナル部分からのシグナルが低減される(消光させられる)ように、シグナル部分のシグナルを消光させる)。
例えば、場合によって、標識化レポーターが、切断されると、検出用シグナルの量は、増大する。例えば、場合によって、例えば、両方が、非特異的活性化Casヌクレアーゼ(例えば、活性化センサーおよびシグナル増幅因子)による切断の前に、同じ分子上に存在する場合に、シグナル消光対のうちの、一方のシグナルパートナー(シグナル部分)により呈されるシグナルは、他方のシグナルパートナー(消光剤シグナル部分)により消光させられる。本明細書では、このようなシグナル対は、「消光剤/フルオロフォア対」、「消光対」、または「シグナル消光対」と称される。例えば、場合によって、一方のシグナルパートナー(例えば、第1のシグナルパートナー)は、第2のシグナルパートナー(例えば、消光部分)により消光させられる、検出用シグナルをもたらすシグナル部分である。したがって、このような消光剤/フルオロフォア対のシグナルパートナーは、パートナーが隔てられた(例えば、活性化センサーまたはシグナル増幅因子による、レポーター分子の切断の後に)場合には、検出用シグナルをもたらすが、パートナーが近接する(例えば、レポーターの切断の前に)場合には、シグナルが消光させられる。
レポーターは、典型的に、本明細書で記載される、増幅因子の活性化基質を含む。場合によって、増幅活性化配列は、F/Q対の間に配置され、AまたはCを含みうるが、また、Cas13(U)、Cas12(デオキシリボヌクレオチド)、Csm6などの活性に必要な、さらなるヌクレオチド、すなわち、Casエフェクタータンパク質が結合する、シグナル増幅因子の配列も有しうる。例えば、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)Csm6(SeCsm6)など、A>Pに応答するCsm6相同体を含むレポーターは、ケージ化crRNA内のヘアピンループの、Aの数を、4から6へと変化させることにより作出されうる。
検出用標識は、バックグラウンド活性を低減し、かつ/または感度を改善する、1つまたは複数の修飾を含みうる。一部の実施形態では、検出用標識は、オリゴヌクレオチド配列により連結された、フルオロフォアおよび消光分子から構成される。フルオロフォアの、消光剤との近接性、およびループの長さを増大させるのに、ステムループ構造の利用が可能であり、Casヌクレアーゼ活性による、それらの放出の効率をモジュレートするように、配列(U塩基およびA塩基など)が組み込まれうる。場合によって、フルオロフォアを、消光剤へと連結するオリゴの配列は、特異的トランスヌクレアーゼ活性による放出に対して高感度である、ケージ化構造を含む。場合によって、レポーター分子は、トランスケージ化分子と会合している。「トランスケージ化分子」は、二重鎖構造が、形成または創出されるように、別の核酸に結合する、任意の核酸を含みうる。場合によって、二重鎖構造は、1つまたは複数のループ(例えば、ステムループ)を含む。
消光部分は、シグナル部分からのシグナル(例えば、切断の前における)を、様々な程度で消光しうる。場合によって、消光部分の存在下で検出されるシグナル(シグナルパートナーが、互いと近接する場合の)が、消光部分の非存在下で検出されるシグナル(シグナルパートナーが隔てられている場合の)の、95%またはこれ未満である場合、消光部分は、シグナル部分からのシグナルを消光している。例えば、場合によって、消光部分の存在下で検出されるシグナルは、消光部分の非存在下で検出されるシグナルの、90%もしくはこれ未満、80%もしくはこれ未満、70%もしくはこれ未満、60%もしくはこれ未満、50%もしくはこれ未満、40%もしくはこれ未満、30%もしくはこれ未満、20%もしくはこれ未満、15%もしくはこれ未満、10%もしくはこれ未満、または5%もしくはこれ未満でありうる。場合によって、消光部分の存在下では、シグナル(例えば、バックグラウンドを上回る)が検出されない。
場合によって、消光部分の非存在下で検出されるシグナル(シグナルパートナーが隔てられている場合の)は、消光部分の存在下で検出されるシグナル(シグナルパートナーが、互いと近接する場合の)の、少なくとも1.2倍(例えば、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.7倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、または少なくとも50倍)である。
場合によって、シグナル部分は、蛍光標識である。一部のこのような場合では、消光部分は、蛍光標識からのシグナル(光シグナル)を消光させる(例えば、標識の発光スペクトル内で、エネルギーを吸収することにより)。したがって、消光部分が、シグナル部分と近接しない場合、シグナルは、消光部分により吸収されないため、蛍光標識からの発光(シグナル)は、検出可能である。任意の好都合なドナー/アクセプター対(シグナル部分/消光部分対)の使用が可能であり、当技術分野では、多くの適切な対が公知である。
場合によって、消光部分は、シグナル部分(本明細書ではまた、「検出用標識」とも称される)からエネルギーを吸収し、次いで、シグナル(例えば、異なる波長の光)を発する。したがって、場合によって、消光部分は、それ自体、シグナル部分(例えば、シグナル部分が、6-カルボキシフルオレセインでありうるのに対し、消光部分は、6-カルボキシ-テトラメチルローダミンでありうる)であり、一部のこのような場合では、対はまた、FRET対でもありうるであろう。場合によって、消光部分は、ダーククエンチャーである。ダーククエンチャーは、励起エネルギーを吸収することが可能であり、エネルギーを、異なる形で(例えば、熱として)散逸させうる。したがって、ダーククエンチャーは、それ自体では、最小~ゼロの蛍光をもたらす(蛍光を発しない)。ダーククエンチャーの例については、それらの全てが、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第8,822,673号明細書、および同第8,586,718号明細書;米国特許公開第20140378330号明細書、同第20140349295号明細書、および同第20140194611号明細書;ならびに国際特許公開:国際公開第200142505号パンフレット、および国際公開第200186001号パンフレットにおいて、さらに記載されている。
蛍光標識の例は、Alexa Fluor(商標)染料、ATTO染料(例えば、ATTO 390、ATTO 425、ATTO 465、ATTO 488、ATTO 495、ATTO 514、ATTO 520、ATTO 532、ATTO Rho6G、ATTO 542、ATTO 550、ATTO 565、ATTO Rho3B、ATTO Rho11、ATTO Rho12、ATTO Thio12、ATTO Rho101、ATTO 590、ATTO 594、ATTO Rho13、ATTO 610、ATTO 620、ATTO Rho14、ATTO 633、ATTO 647、ATTO 647N、ATTO 655、ATTO Oxa12、ATTO 665、ATTO 680、ATTO 700、ATTO 725、ATTO 740)、DyLight染料、シアニン染料(例えば、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy3b、Cy5、Cy5.5、Cy7、Cy7.5)、FluoProbes染料、Sulfo Cy染料、Seta染料、IRIS染料、SeTau染料、SRfluor染料、Square染料、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、テトラメチルローダミン(TRITC)、Texas Red、Oregon Green、Pacific Blue、Pacific Green、Pacific Orange、量子ドット、およびテザリング蛍光タンパク質を含むがこれらに限定されない。
場合によって、検出用標識は、Alexa Fluor(商標)染料、ATTO染料(例えば、ATTO 390、ATTO 425、ATTO 465、ATTO 488、ATTO 495、ATTO 514、ATTO 520、ATTO 532、ATTO Rho6G、ATTO 542、ATTO 550、ATTO 565、ATTO Rho3B、ATTO Rho11、ATTO Rho12、ATTO Thio12、ATTO Rho101、ATTO 590、ATTO 594、ATTO Rho13、ATTO 610、ATTO 620、ATTO Rho14、ATTO 633、ATTO 647、ATTO 647N、ATTO 655、ATTO Oxa12、ATTO 665、ATTO 680、ATTO 700、ATTO 725、ATTO 740)、DyLight染料、シアニン染料(例えば、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy3b、Cy5、Cy5.5、Cy7、Cy7.5)、FluoProbes染料、Sulfo Cy染料、Seta染料、IRIS染料、SeTau染料、SRfluor染料、Square染料、フルオレセイン(FITC)、テトラメチルローダミン(TRITC)、Texas Red、Oregon Green、Pacific Blue、Pacific Green、およびPacific Orangeから選択される蛍光標識である。
場合によって、検出用標識は、Alexa Fluor(商標)染料、ATTO染料(例えば、ATTO 390、ATTO 425、ATTO 465、ATTO 488、ATTO 495、ATTO 514、ATTO 520、ATTO 532、ATTO Rho6G、ATTO 542、ATTO 550、ATTO 565、ATTO Rho3B、ATTO Rho11、ATTO Rho12、ATTO Thio12、ATTO Rho101、ATTO 590、ATTO 594、ATTO Rho13、ATTO 610、ATTO 620、ATTO Rho14、ATTO 633、ATTO 647、ATTO 647N、ATTO 655、ATTO Oxa12、ATTO 665、ATTO 680、ATTO 700、ATTO 725、ATTO 740)、DyLight染料、シアニン染料(例えば、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy3b、Cy5、Cy5.5、Cy7、Cy7.5)、FluoProbes染料、Sulfo Cy染料、Seta染料、IRIS染料、SeTau染料、SRfluor染料、Square染料、フルオレセイン(FITC)、テトラメチルローダミン(TRITC)、Texas Red、Oregon Green、Pacific Blue、Pacific Green、Pacific Orange、量子ドット、およびテザリング蛍光タンパク質から選択される蛍光標識である。
ATTO染料の例は、ATTO 390、ATTO 425、ATTO 465、ATTO 488、ATTO 495、ATTO 514、ATTO 520、ATTO 532、ATTO Rho6G、ATTO 542、ATTO 550、ATTO 565、ATTO Rho3B、ATTO Rho11、ATTO Rho12、ATTO Thio12、ATTO Rho101、ATTO 590、ATTO 594、ATTO Rho13、ATTO 610、ATTO 620、ATTO Rho14、ATTO 633、ATTO 647、ATTO 647N、ATTO 655、ATTO Oxa12、ATTO 665、ATTO 680、ATTO 700、ATTO 725、およびATTO 740を含むがこれらに限定されない。
Alexa Fluor染料の例は、Alexa Fluor(商標)350、Alexa Fluor(商標)405、Alexa Fluor(商標)430、Alexa Fluor(商標)488、Alexa Fluor(商標)500、Alexa Fluor(商標)514、Alexa Fluor(商標)532、Alexa Fluor(商標)546、Alexa Fluor(商標)555、Alexa Fluor(商標)568、Alexa Fluor(商標)594、Alexa Fluor(商標)610、Alexa Fluor(商標)633、Alexa Fluor(商標)635、Alexa Fluor(商標)647、Alexa Fluor(商標)660、Alexa Fluor(商標)680、Alexa Fluor(商標)700、Alexa Fluor(商標)750、Alexa Fluor(商標)790などを含むがこれらに限定されない。
消光部分の例は、ダーククエンチャーである、Black Hole Quencher(商標)(BHQ(商標))(例えば、BHQ-0、BHQ-1、BHQ-2、BHQ-3)、Qx1消光剤、ATTO消光剤(例えば、ATTO 540Q、ATTO 580Q、およびATTO 612Q)、ジメチルアミノアゾベンゼンスルホン酸(Dabsyl)、Iowa Black RQ、Iowa Black FQ、IRDye QC-1、QSY 染料(例えば、QSY 7、QSY 9、QSY 21)、AbsoluteQuencher、Eclipse、および金ナノ粒子などの金属クラスターを含むがこれらに限定されない。
場合によって、消光部分は、ダーククエンチャーである、Black Hole Quencher(商標)(BHQ(商標))(例えば、BHQ-0、BHQ-1、BHQ-2、BHQ-3)、Qx1消光剤、ATTO消光剤(例えば、ATTO 540Q、ATTO 580Q、およびATTO 612Q)、ジメチルアミノアゾベンゼンスルホン酸(Dabsyl)、Iowa Black RQ、Iowa Black FQ、IRDye QC-1、QSY 染料(例えば、QSY 7、QSY 9、QSY 21)、AbsoluteQuencher、Eclipse、および金属クラスターから選択される。
ATTO消光剤の例は、ATTO 540Q、ATTO 580Q、およびATTO 612Qを含むがこれらに限定されない。Black Hole Quencher(商標)(BHQ(商標))の例は、BHQ-0(493nm)、BHQ-1(534nm)、BHQ-2(579nm)、およびBHQ-3(672nm)を含むがこれらに限定されない。
一部の検出用標識(例えば、蛍光染料)および/または消光部分の例については、それらの全てが、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、例えば、Bao et al., Annu Rev Biomed Eng. 2009;11:25-47のほか;米国特許第8,822,673号明細書、および同第8,586,718号明細書;米国特許公開第20140378330号明細書、同第20140349295号明細書、同第20140194611号明細書、同第20130323851号明細書、同第20130224871号明細書、同第20110223677号明細書、同第20110190486号明細書、同第20110172420号明細書、同第20060179585号明細書、および同第20030003486号明細書;ならびに国際特許公開:国際公開第200142505号パンフレット、および国際公開第200186001号パンフレットを参照されたい。
場合によって、標識化検出剤の切断は、比色リードアウトを測定することにより検出されうる。例えば、フルオロフォアの遊離(例えば、FRET対からの遊離、消光剤/フルオロフォア対からの遊離など)は、検出用シグナルの波長シフト(かつ、これによる、色シフト)を結果としてもたらしうる。したがって、場合によって、対象の標識化検出剤であるssDNAの切断は、色シフトにより検出されうる。このようなシフトは、1つの色(波長)のシグナル量の喪失、別の色のシグナル量の獲得、1つの色から別の色への配分の変化などとして表されうる。
場合によって、シグナルは、側方流クロマトグラフィーを使用して検出される。簡単なサンドイッチ型のシステムでは、試料は、吸収工程の第1段階として作用し、場合によって、試料の高精度/制御流動を確保するように、フィルターを含有する、側方流デバイス内のパッドへと適用される。コンジュゲートされた標識と、抗体とを保持するコンジュゲートパッドは、試料を受容するものとする。標的が存在する場合、固定化され、コンジュゲートされた抗体および標識は、標的に結合し、判定ラインに沿って泳動され続ける。試料が、デバイスに沿って移動するにつれて、ニトロセルロース膜上に配置された結合性試薬は、判定ラインにおいて、標的に結合するであろう。発色ラインが形成され、ラインの密度は、存在する標的の数量に応じて変動するであろう。一部の標的は、標的濃度を決定する定量を要求しうる。迅速な検査が、定量結果をもたらすリーダーと組み合わされうるのは、この点においてである。
場合によって、方法は、側方流を介して検出されるレポーター分子により実行される。一次活性化因子が存在すれば、システムが活性化され、NCRが生じる。活性化Casタンパク質は、検出用シグナルを含む、トランスレポーターの切断を呈する。反応混合物を、側方流デバイスへとロードすると、切断されなかったレポーター分子が、対照ラインまで流動するのに対し、検出剤を含む、任意の切断されたレポーターの一部は、対照ラインを流過して、検出剤に結合する捕捉分子を含む帯域まで流動する。場合によって、Milenia Genline HybriDetect 1(TwistDx(商標))試験紙が使用される。例えば、場合によって、測定するステップは、金ナノ粒子ベースの検出(例えば、Xu et al., (2017) Angew Chem Int Ed Engl.;46(19):3468-70;ならびにXia et al., (2010) Proc Natl Acad Sci U S A. Jun 15;107(24):10837-41を参照されたい)蛍光の偏光、コロイドの相転移/分散(例えば、Baksh et al., (2004) Nature. Jan 8;427(6970): 139-41)、電気化学検出、半導体ベースのセンシング(例えば、Rothberg et al., (2011) Nature Jul 20;475(7356):348-52;例えば、2’-3’環状リン酸エステルを開環させ、無機リン酸エステルを、溶液へと放出することにより、ssDNA切断反応の後で、pHの変化をもたらすように、ホスファターゼを使用しうるであろう)、および標識化検出剤であるssDNAの検出のうちの1つまたは複数を含みうる。このような検出法のリードアウトは、任意の簡便なリードアウトでありうる。可能なリードアウトの例は、検出用蛍光シグナルの量測定;ゲル上のバンド(例えば、切断された産物を、切断されていない基質と対比して表すバンド)の、目視による解析、色の存在または非存在の、目視による検出、またはセンサーベースの検出(すなわち、色検出法)、および電気信号の存在または非存在(または特定の量の電気信号)を含むがこれらに限定されない。
場合によって、測定される検出用シグナルは、蛍光発光染料対によりもたらされる。例えば、場合によって、対象の方法は、試料を、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)対もしくは消光剤/フルオロフォア対、またはこれらの両方を含む標識化検出剤であるssDNAと接触させるステップを含む。
場合によって、対象の方法は、試料を、FRET対を含む標識化検出剤であるssDNAと接触させるステップを含む。場合によって、対象の方法は、試料を、フルオロフォア/消光剤対を含む標識化検出剤であるssDNAと接触させるステップを含む。蛍光発光染料対は、FRET対、または消光剤/フルオロフォア対を含む。FRET対、および消光剤/フルオロフォア対のいずれの場合でも、染料のうちの一方の発光スペクトルは、対内の他の染料の吸収スペクトルの領域と重複する。本明細書で使用される、「蛍光発光染料対」という用語は、それらの用語のいずれもが、下記でより詳細に論じられる、「蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)対」および「消光剤/フルオロフォア対」の両方を包含するように使用される、一般用語である。「蛍光発光染料対」という用語は、「FRET対および/または消光剤/フルオロフォア対」という語句と互換的に使用される。場合によって(例えば、検出用ssDNAが、FRET対を含む場合)、標識化検出剤であるssDNAは、切断される前における、検出用シグナルの量をもたらし、標識化検出剤であるssDNAが切断されると、測定される検出用シグナルの量は、低減される。場合によって、標識化検出剤であるssDNAは、切断される前における、第1の検出用シグナル(例えば、FRET対からの)と、標識化検出剤であるssDNAが切断された場合における、第2の検出用シグナル(例えば、消光剤/フルオロフォア対からの)とをもたらす。このように、場合によって、標識化検出剤であるssDNAは、FRET対、および消光剤/フルオロフォア対を含む。場合によって、標識化検出剤であるssDNAは、FRET対を含む。FRETとは、励起状態のフルオロフォアから、近接する第2の発色団へと、無放射のエネルギー移動が生じる過程である。エネルギー移動が生じうる範囲は、約10ナノメートル(100オングストローム)に限定され、移動の効率は、フルオロフォア間の隔離距離に対して、極めて高感度である。したがって、本明細書で使用される、「FRET」(「蛍光共鳴エネルギー移動」;「フェルスター共鳴エネルギー移動」としてもまた公知である)という用語は、ドナーフルオロフォアと、ドナーの発光スペクトルが、アクセプターの励起スペクトルと重複するように選択され、かつ、エネルギーの一部は、量子カップリング効果を介して、ドナーから、アクセプターへと受け渡されるので、ドナーと、アクセプターが、互いと近接する(通例、10nmまたはこれ未満に)場合、ドナーの励起が、アクセプターの励起およびアクセプターからの発光を引き起こすように、さらに選択された、マッチするアクセプターフルオロフォアとを伴う物理現象を指す。したがって、FRETシグナルは、ドナーおよびアクセプターについての近接性ゲージとして用いられ;それらが、互いと近接する場合に限り、シグナルが発生させられる。本明細書では、FRETドナー部分(例えば、ドナーフルオロフォア)およびFRETアクセプター部分(例えば、アクセプターフルオロフォア)は、併せて、「FRET対」と称される。本明細書では、ドナー-アクセプター対(FRETドナー部分およびFRETアクセプター部分)は、「FRET対」または「シグナルFRET対」と称される。したがって、場合によって、一方のシグナルパートナーが、FRETドナー部分であり、他方のシグナルパートナーが、FRETアクセプター部分である場合、対象の標識化検出剤であるssDNAは、2つのシグナルパートナー(シグナル対)を含む。したがって、シグナルパートナーが、近接する(例えば、同じRNA分子上にある場合)場合、このようなFRET対(FRETドナー部分およびFRETアクセプター部分)を含む、対象の標識化検出剤であるssDNAは、検出用シグナル(FRETシグナル)を呈するが、パートナーが、隔てられると、シグナルは、低減されるであろう(または非存在であろう)。当業者には、FRETドナー部分およびFRETアクセプター部分(FRET対)が公知であり、任意の好都合なFRET対(例えば、任意の好都合な、ドナー部分と、アクセプター部分との対)が使用されうる。Bajar et al. (2016) Sensors (Basel). Sep 14; 16(9);およびAbraham et al. (2015) PLoS One. Aug 3; l0(8):e0l34436を参照されたい。
シグナル増幅核酸
任意の増幅活性化核酸(また、「RNA増幅因子」(RNAの場合)、「活性化因子」、または「基質」とも称される)は、本明細書で記載されるNCR用の組成物、システム、および方法において使用されうる。Cas12またはCas13による、標的核酸(例えば、コロナウイルス配列)の検出の前に、本明細書で記載されるシステムの活性化因子は、シグナル増幅因子に結合すること(これを活性化する)ことが可能でない、例えば、シグナル増幅因子とハイブリダイズすることができない(またはこれを活性化することができない)ように、ケージ化されている。しかし、検出される標的配列の存在下で、標的センサーが活性化されると、増幅基質は、放出され、シグナル増幅因子とハイブリダイズする(かつ、これを活性化する)のに利用可能となる。したがって、放出された基質は、シグナル増幅因子を活性化し、Cas酵素活性の第2のカスケードを解放して、より多くの検出用標識をもたらし、これにより、同じ反応において、指数関数的シグナルを発生させる。
したがって、活性化基質は、レポーター複合体を切断し、検出用標識を放出することが可能な非特異的ヌクレアーゼとなるように、シグナル増幅因子を活性化する、任意の配列を含む。適切な配列の非限定例は、ガイドRNA、またはそれらのコグネイトの活性化核酸(例えば、Cas13の場合のRNA、およびCas12の場合のDNA)を含む。
本明細書で記載されるヌクレオチド配列のうちのいずれかは、核酸に、新たな特色または特色の増強(例えば、安定性の改善)をもたらすように、1つまたは複数の修飾、例えば、塩基修飾、骨格修飾、糖修飾などを含みうる。当技術分野で公知の通り、ヌクレオシドとは、塩基-糖の組合せである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常、複素環式塩基である。このような複素環式塩基の、2つの、最も一般的なクラスは、プリンおよびピリミジンである。ヌクレオチドとは、ヌクレオシドの糖部分へと、共有結合的に連結されたリン酸基をさらに含む、ヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドでは、リン酸基は、糖の2’ヒドロキシル部分、3’ヒドロキシル部分、または5’ヒドロキシル部分へと連結されうる。オリゴヌクレオチドの形成において、リン酸基は、隣接するヌクレオシドを、互いと共有結合的に連結して、直鎖状ポリマー化合物を形成する。この直鎖状ポリマー化合物のそれぞれの末端は、環状化合物を形成するように、さらに接続されうるが、一般には、直鎖状化合物が適切である。加えて、直鎖状化合物は、内部におけるヌクレオチド塩基の相補性を有しうるので、完全二本鎖化合物または部分的二本鎖化合物をもたらす形でフォールディングしうる。オリゴヌクレオチド内で、リン酸基は、一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成すると称される。RNAおよびDNAの、通常の連結または骨格は、3’-5’ホスホジエステル連結である。
骨格の修飾、ヌクレオシド間連結、模倣体の使用、ロックト核酸(LNA)の使用、および/または1つまたは複数のヌクレオ塩基の組入れなどの置換による塩基修飾を含む、さらなるヌクレオチド修飾については、米国公開第20190241954号明細書に記載されている。
本明細書で記載される核酸のうちの1つまたは複数はまた、1つまたは複数の置換糖部分も含みうる。
1つまたは複数のRNA増幅因子は、レポーター分子内の、例えば、レポーター複合体の検出用標識と、消光部分とを連結する配列の一部として組み入れられる場合もあり、かつ/または検出用標識および/または消光剤の一方または両方に対して、遠位の位置に組み入れられる場合もある。場合によって、1つまたは複数の増幅活性化因子は、検出用標識と、消光剤との間に組み入れられる。代替的に、かつ/またはレポーター分子が、トリガー基質の配列を含む実施形態に加えて、トリガーは、本明細書で記載される組成物、システム、および方法における構成要素を隔てる場合がある。
増幅活性化因子は、選択的切断を可能とするように、ポリU配列またはポリA配列を含みうる。Cas13酵素は、2’,3’環状リン酸エステルを伴う、切断されたRNA断片をもたらし、これらのサブセットは、Uにおける切断を優先する。したがって、A-Uの配列を伴う基質を使用することにより、Cas13は、TtCsm6のリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)活性を活性化するA>Pを発生させる。かつて、A-U、およびA-Uを伴う配列が、Csm6を、Cas13へとカップリングさせるのに使用された(Gootenberg et al. (2017) Science 356(6336):438-442)が、これらは、TtCsm6など、Aを認識するCsm6酵素の、最適の活性化をもたらさない。加えて、Csm6酵素は、既存の核酸検出法より高度の検出速度および高感度をもたらすフィード-フォワードループとして働くことが裏付けられていない。
一部の実施形態では、ガイドRNAおよび/または活性化RNAは、相互作用が、標的核酸の検出の後など、最適の時間枠のみにおいて生じるよう、Casタンパク質との条件付き相互作用を可能とするように修飾されうる。条件付き相互作用を可能とする、多くの異なる機構であって、gRNA活性に対する保護剤としての、切断可能なアンチセンスDNA(Jain et al, (2016) Angew Chem Int Ed Engl 55 (40) 12440-4);リガンド依存性のRNA切断およびRNA脱保護(Ferry et al (2017) Nat Commun 8:14633);転写活性化因子の、dCasへのリガンド依存性動員(Maji et al (2017) Nat Chem Biol 13 (1):9-11);およびCas:ガイドRNP複合体の低分子誘導性リアセンブリー(Kunert et al (2019) Nat Commun. 10(1):2127);および光を使用して、RNPとdsDNAとの間の相互作用を直接調節するための、gRNAの光ケージ化デザイン(Zhou et al (2020) Angew Chem Int Ed Engl doi: 10.1002/anie.201914575の使用を含む機構が存在する。別の手法は、異なるCas酵素の、固有の切断優先性に依拠する。一部の実施形態では、活性化因子は、それらのコグネイトガイドRNAとの、完全なアンチセンスマッチではない。一部の実施形態では、非マッチ型ヌクレオチドを使用して、ガイドとの相互作用の微調整を解除して、これを低感度化し、非特異的シグナルを結果としてもたらす可能性を低下させる。一部の実施形態では、非マッチ型ヌクレオチドを、相補性領域内の「揺らぎ」位置へと導入する。
一部の実施形態では、活性化分子は、RNA配列およびDNA配列の両方を含む。
場合によって、活性化RNA分子は、ケージ化されている。ケージ化は、任意の物理的手段または化学的手段により達せられうる。例えば、トリガーは、Cas酵素の結合または切断についての、最重要の特色をモジュレートしうる、5’側および3’側の配列伸長部を使用してケージ化されうる。この点で、Cas12およびCas13の非特異的ヌクレアーゼ活性の選択性は、ガイドRNAの直接的リピート、ガイドRNAスペーサー、ガイドRNAスペーサー内のシード配列(活性化配列とのミスマッチに対して高感度であることが公知である、ガイドRNA内の配列;Abudayyeh et al (2016) Science 353: aaf5573を参照されたい)、および/または活性化核酸内のシード配列のコグネイトと塩基対合しうる配列伸長部を利用することにより、一本鎖核酸に対して利用されうる。このようなケージ化配列は、直鎖状の場合もあり、ループ状の場合もあり、他の形態の場合もある。これらの5’側の配列伸長部と、3’側の配列伸長部とは、同じケージ化基質状で組み合わされうる。配列伸長部の異なる組合せは、ガイドRNAおよび活性化核酸対にわたり使用されうる。
場合によって、基質ケージもまた、ガイドRNAまたは活性化因子と塩基対合する分子を隔てうる。このケージは、Xrn1またはCsm6などのエンドヌクレアーゼ活性またはエクソヌクレアーゼ活性を介して放出されうる。一部の実施形態では、ケージは、本明細書で記載される、ロックト核酸(LNA)部分または2’-OMe RNAなどの化学修飾を含有しうる。また、米国公開第20190241954号明細書も参照されたい。
基質は、任意の方式で活性化(非ケージ化)されうる。場合によって、配列伸長部内のケージ化配列(例えば、露出されるループ領域)は、ケージの放出および機能的なガイドRNAまたは活性化因子の産生を引き起こす、Casタンパク質の顕著に異なる亜型(Cas13またはCas12)により、特異的に切断されるようにデザインされる。Cas12タンパク質およびCas13タンパク質の、ホモポリマーのレポーター基質に対する切断優先性をプロファイリングすることで、一般的なオーソログが、ウリジン、塩基の組合せ、またはアデニンを優先することを裏付けた(East-Seletsky (2017) Mol Cell 66(3); 373-383;Gootenberg et al (2018) Science 360(6387): 439-444)。例えば、LmaCas13a、LbuCas13a、およびPprCas13aが、ポリUに対する、強力な優先性を呈したのに対し、CcaCas13bは、ポリUに対する、中程度の優先性を呈した。Pin2Cas13bは、ポリUおよびポリCに対する、中程度の優先性を裏付けた。PbuCas13bおよびPguCas13bは、いずれも、ポリUに対する、微弱な優先性を示したのに対し、LbaCas13aは、ポリAに対する、強力な優先性を有する。最後に、BzoCas13bは、ポリUおよびポリAに対する、微弱な優先性を裏付けた。さらに、被験Cas13オーソログの一部は、イオン濃度および/またはガイドRNAの長さに応じて、示差的活性を示した。したがって、ケージ構造は、無傷の場合、ガイドが、そのコグネイト標的と相互作用することを阻止するように、ガイドRNAへと付加されうる。ケージが、例えば、Cas13a複合体によるトランス切断の後で放出される場合、ガイドは、標的と、自由に相互作用し、RNP複合体の活性化を引き起こす。一部の実施形態では、活性化核酸は、DNAであり、DNA配列は、RNAケージを含む。一部の実施形態では、例えば、Cas13 RNP複合体増幅因子およびCas12 RNP複合体増幅因子との二次増幅複合体を使用する場合、RNA活性化核酸およびDNA活性化核酸が使用される。この場合、活性化RNP複合体は、より多くのケージ化基質を切断する。さらなる活性化Cas複合体の各々は、蛍光シグナルをもたらすことに加えて、より多くのケージ化基質を活性化することが可能であり、Cas指向性ヌクレアーゼ活性の、フィード-フォワードサイクルをもたらす。反応が進むにつれ、これらの酵素は、さらにより多くの検出用標識を切断することが可能であり、シグナルの指数関数的増幅をもたらす。
一部の実施形態では、Csm6は、検出反応をさらに増幅するのに使用される。このシステムでは、ポリAの連なりに続いて、Cas13が、ガイド内の、全てのウリジンを、ホモポリマーであるAの連なりへと分解するように、ウラシル優先型Cas13酵素により切断されうる、保護的なポリUの連なりを含む保護型ガイドRNA増幅因子が使用される。一部の実施形態では、例えば、ポリAの連なりに続いて、Cas13が、ガイド内の、全てのウリジンを、ホモポリマーであるAの連なりへと分解するように、ウラシル優先型Cas13酵素により切断されうる、保護的なポリUの連なりを含む、保護型Csm6活性化RNAが使用される。保護型ガイドRNA増幅因子および保護型活性化RNAは、Cas13切断の後で、2’-3’環状リン酸を有し、これにより、Csm6を活性化するであろう。(A)ポリヌクレオチドは、Csm6を活性化することが公知であり、EiCsm6およびLsCsm6のいずれもが、標的核酸への初期結合の後に、検出シグナルを増幅することが示された(Gootenberg et al (2018) Science 360(6387): 439-444)。
Csm6もまた、フィード-フォワードループを開始するように、Cas13により活性化される、第2の酵素として使用されうる。Csm6のためのケージ化活性化因子は、それ自体またはCas13による未成熟切断を防止するように修飾されうる(例えば、2’-OMe、2’-H、2’-F)、配列の5’末端において、4つ、5つ、または6つのアデノシン(A4、A5、またはA6)を含むであろう。ケージ化活性化因子はまた、その3’末端において、基質をケージ化する、さらなる切断可能なAまたはUも有するであろう。ケージ化の解除は、A4>P、A5>P、またはA6>Pを作出して、Csm6を活性化するように、Cas13を介して、3’側のRNAヌクレオチドをトリミングすることにより達せられるであろう。基質をケージ化するのに使用される3’-ヌクレオチドのアイデンティティーは、非ケージ化のために使用されるCas酵素のヌクレオチド優先性に応じて変動しうる。例えば、1つの潜在的な基質は、5’-fA-fA-fA-AAAAAAA-3’(配列番号1)[配列中、3つのfAヌクレオチドは、2’-F修飾を有し、末端の5つのAは、Csm6またはLbaCas13により切断されうるであろう]でありうるであろう。
Cas酵素であるCsm6によるNCR増幅についての一実施形態では、LbaCas13は、相補性RNAを感知し、トランスRNA切断のために活性化するであろう。次いで、LbaCas13は、ケージ化Csm6活性化因子の3’末端において、アデノシンをトリミングし、Csm6酵素に結合し、これを活性化する修飾A4>P、修飾A5>P、または修飾A6>Pを残すであろう。次いで、活性化Csm6は、さらなるケージ化活性化因子を非ケージ化し、次いで、これは、Csm6分子のさらなる活性化をもたらし、初期検出の後のフィード-フォワードループを誘発するであろう。活性化Csm6分子はまた、蛍光レポーター基質をも切断し、検出用シグナルをもたらすであろう。この戦略は、修飾基質は、高感度をもたらすCsm6を伴う、フィード-フォワードループを可能とするので、Cas13を伴う、従来のCsm6の使用(Gootenberg et al., 2018, Science, ibid)と異なる。
この戦略はまた、その3’末端において、Aではなく、Uを伴う活性化因子(例えば、5’-AAAAUUUUUU-3’、配列番号2)をケージ化することにより、U切断をもたらすCas13オーソログによって、一次RNA検出剤を増幅するようにも適合されうる。例えば、LbuCas13は、A4-U6ケージ化活性化因子を切断して、A4>Pをもたらすであろう。この非ケージ化基質は、TtCsm6を活性化し、次いで、これが、第2の活性化因子(例えば、5’-fA-fA-fA-AAAAAAA-3’、配列番号1)を非ケージ化するほか、レポーターを切断するであろう。これは、一次検出イベントを増幅するフィード-フォワードループを誘発するであろう。Csm6による、活性化因子の分解を防止するのに、活性化配列を含む、ヌクレオチドの2’-OHの修飾が使用されるであろう。
A4活性化配列、A5活性化配列、またはA6活性化配列の後のケージ化ヌクレオチドの非修飾形、または異なる数もしくは配列を含む、活性化因子の多様な変化形について調べられうる。記載された全ての手法が、潜在的に、任意のCsm6酵素またはCsx1酵素へと適用されうるであろう。この戦略はまた、Cas酵素の切断優先性の差違に基づき、複数のRNA標的を、同時に検出するように、Cas13またはCas12を伴う、他のNCR経路と共に、マルチプレックス化するのにも使用されうるであろう。
一部の実施形態では、Csm6活性化配列は、例えば、ガイドRNA上の、ケージ配列内に組み入れられる(図1I、上)。一次活性化RNAとのその相互作用により活性化されたCas13(例えば、LbuCas13a)により、Csm6活性化配列の両側において、配列がトランス切断されると、Csm6配列が放出され、Csm6と相互作用し、これを活性化することが可能となる。次いで、活性化Csm6は、ケージ化ガイドRNAに対して作用し、Cas13酵素との複合体に対する利用可能性を増大させ、これにより、一次活性化因子に対する利用可能性も増大させて、一次活性化因子の検出の増大を持続することが可能となる。同時に、活性化Csm6はまた、レポーター分子も切断し、シグナルを増幅するであろう。一部の実施形態では、活性化Csm6による切断の後で、非ケージ化RNAが、Cas12ベースの増幅システムと相互作用しうるように、Csm6活性化配列を含む、ケージ化活性化RNAが使用される。一部の実施形態では、Csm6活性化因子を含むケージ化ガイド、およびCsm6活性化因子を含むケージ化活性化RNAの両方が使用される。検出される、全てのシグナルは、Cas13の、一次活性化因子との初期相互作用に依存する。
一部の実施形態では、保護型Csm6特異的活性化RNAが、システムに組み入れられる(図1I、下)。この実施形態では、保護型Csm6活性化因子は、一次活性化因子との、その相互作用を介して活性化されたCas13によりトリミングされるヌクレオチドにより保護される。トリミングされたCsm6特異的活性化RNAは、今や、Csm6酵素と相互作用し、これを活性化することができ、活性化Csm6酵素は、検出が、Cas13の、一次活性化因子との初期相互作用に依存するように、ケージ化ガイドRNA、ケージ化活性化RNA、およびRNAレポーター分子などの分子に作用して検出剤を増幅しうる。
一部の実施形態では、保護型Csm6特異的活性化RNAが、システムに組み入れられ(図1J、上)、Csm6による増幅が、唯一の増幅因子として用いられる(例えば、さらなるCas12増幅ステップは用いられない)。この実施形態では、保護型Csm6特異的活性化RNAが、システムに組み入れられ、この場合、保護は、ポリA配列の使用を含み、Csm6特異的活性化因子の5’末端におけるAの一部は、2’-F(フッ素)を含む。Cas13酵素は、古典的な金属非依存性切断機構を使用する可能性が高いので、2’-Fを含むAを切断することができない(Gootenberg et al., (2018) ibid;Yang, W. (2011) Q. Rev. Biophys. 44, 1-93)。次いで、一次活性化因子との、その相互作用を介して活性化されたCas13は、2’-Fを含むAの連なりのすぐ3’側のAを除き、2’-OHを含む、全てのAヌクレオチドをトリミングする。この結果としてトリミングされた配列は、Csm6の活性化のために要求される、2’-3’環状リン酸を有するであろう。活性化Csm6は、今や、検出が、Cas13の、一次活性化因子との初期相互作用に依存するように、ケージ化ガイドRNAおよびレポーター分子などの分子に作用して、検出剤を増幅しうる。一部の実施形態では、2’-Fを伴う5’側のAを含む、Csm6特異的活性化RNAが、二次Cas12増幅システムを含むシステムにおいて使用される。
一部の実施形態では、Csm6の活性化は、長鎖ポリA RNAの使用を介して達せられる(図1J、下)。この実施形態では、Csm6の活性化は、Cas13による、長鎖ポリA RNAの切断の後で達せられる。これらの長鎖ポリA分子は、反応物中に供給され、Cas13のトランス切断活性が活性となるように、一次活性化RNAとの相互作用を介して活性化されたCas13により切断される。ポリA RNAは、ランダムの長さで切断され、全長の3’末端に、2’-3’環状リン酸を有するであろう。これらの長さの一部は、Csm6を活性化するのに適正なサイズ(例えば、A4>P、A5>PまたはA6>P)となるであろう。活性化Csm6酵素は、今や、検出が、Cas13の、一次活性化因子との初期相互作用に依存するように、ケージ化ガイドRNA、ケージ化活性化RNA、およびRNAレポーター分子などの分子に作用して、検出剤を増幅しうる。一部の実施形態では、適正な長さのポリAが、Csm6を刺激したら、次いで、活性化Csm6が、保護型Csm6特異的活性化RNA(上記で記載された)を放出する結果として、シグナルの増幅をもたらすように、上記で論じられた、Csm6特異的保護型活性化因子もまた組み入れられる。
場合によって、例えば、Cas13を使用する場合、Cas酵素が、ケージの切断を伴わずに活性化する場合の、バックグラウンドのヌクレアーゼ活性を抑制するように、抗タグ配列を、3’末端上の切断可能なループ内などの活性化RNAに組み入れる。
Cas12およびCas13、またはU特異的な、切断をもたらすCas13およびA特異的な、切断をもたらすCas13の、顕著に異なるサブファミリーなど、直交ターゲティング系から発生させられたシグナルは、シグナル伝達カスケードのために組み合わされうる。複数の顕著に異なる配列が、増幅について検出される必要がある、論理ゲートもまた、組み込まれうる。顕著に異なるCas酵素はまた、マルチプレックス化シグナルリードアウトのために組み込まれうる、ジヌクレオチドモチーフなど、異なるヌクレオチドモチーフ優先性も呈しうる。
場合によって、Cas酵素の活性は、例えば、バックグラウンドシグナル(これは、偽陽性増幅をもたらしうる)を低下させるために、抑制させる場合がある。これは、任意の適切な手段により、例えば、酵素活性を低下させる突然変異の使用を介して達せられうる。適切な突然変異は、公知の技法を使用して、実験により得られる場合もあり、市販品を得られる場合もあり、文献から同定される場合もある。
LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法および/またはLAMP核酸増幅もまた利用されうる。例えば、Gadkar et al. (2018) Scientific Methods 8:5548;Notomi et al. (2006) Nucleic Acids Research 28(12):e63;Piepenburg et al. (2000) PLoS Biology 4(7):1115-1121を参照されたい。LAMPは、検査室状況およびポイントオブケア状況において、広範に使用されている、単純かつ正確な等温核酸増幅法である(Gadkar et al (2018) Sci Reports 8 (5548))。LAMP法は、単一の温度(60℃~65℃)で実行され、短時間(15分間)で、約50倍の量の増幅産物をもたらすことが可能である。LAMPは、典型的に、4つのプライマー(FIP(forward inner primer)、BIP(backward inner primer)、F3(forward primer)、およびB3(backward primer))を活用して、標的配列の、6つの異なる領域を認識する。LAMPは、RNA分子を検出するための、逆転写酵素ステップと組み合わされうる(Shen (2020) J Pharm Anal 10(2):97を参照されたい)。
場合によって、ミスマッチ寛容型LAMP法が使用される。ミスマッチ寛容型LAMPは、付加増幅時に、LAMPプライマーの3’末端におけるミスマッチを除去する高忠実度DNAポリメラーゼの、反応混合物への添加を含む。ミスマッチ寛容型LAMPの使用は、遺伝学的に多様なウイルス株に由来する配列を増幅する場合に有用でありうる(Zhou et al (2019) Front Micro 10, art 1056)。
核酸配列ベース増幅および転写媒介性増幅(それぞれ、NASBAおよびTMA)は、RNAを介して進行する、類似の等温増幅法であり、使用が可能である。NASBAは、2つのRNA標的特異的プライマー、および3つの酵素(すなわち、トリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素、T7 DNA依存性RNAポリメラーゼ(DdRp)、およびRNアーゼH)を活用する。RNA増幅のための標準的NASBAプロトコールは、酵素を添加する前に、標的を変性する、65℃のRNAインキュベーションステップを要求する。初期段階では、T7 DdRpのプロモーターに対応する、5’側配列を有する特異的フォワードプライマー(P1)が、試料中に存在する、任意の標的RNAとハイブリダイズし、逆転写酵素により伸長させられる。その後、結果として得られるRNA:DNAヘテロ二重鎖のRNA部分が、RNアーゼHにより分解される一方で、特異的リバースプライマー(P2)が、相補性配列とハイブリダイズし、逆転写酵素により伸長させられ、標的配列およびT7プロモーターを伴うdsDNAの形成をもたらす。次いで、T7 DdRpは、元の標的RNAと相補性である、多くのRNA分子をもたらす。増幅段階では、新規に合成された各RNAがコピーされる結果として、標的と相補的なRNAの指数関数的増幅をもたらしうる。
プライマーは、目的の領域をターゲティングするようにデザインされるが、重要なことは、1つのプライマーが、5’末端において、T7 RNAポリメラーゼのためのプロモーター配列を含むことである。これは、反応物中に含まれる逆転写酵素により、cDNAへと逆転写される一本鎖RNA分子種の作製を可能とする。DNA-RNAハイブリッド体内のRNAは、RNアーゼH活性(NASBAにおける外因性タンパク質から、またはTMAにおけるRNアーゼH+RTにより)により破壊され、dsDNAは、RTにより作製される。次いで、この鋳型は、T7 RNAPにより、RNAへと転写され、指数関数的増幅が生じる(Compton (1991) Nature. 350 (6313): 91-2;米国特許第5,480,784号明細書)。
鎖置換増幅(SDA)またはニッキング酵素増幅反応(NEAR)は、DNAの増幅のために使用されうる、2つの類似の手法であり、本発明の方法および組成物と共に使用されうる。いずれの技法も、プライマー内に含有される部位において、鎖限定的制限エンドヌクレアーゼまたはニッキング酵素により創出されるニックにおいて反応を開始するのに、鎖置換DNAポリメラーゼ、典型的に、Bst DNAポリメラーゼ、Large断片、またはKlenow断片(3’-5’exo-)に依拠する。ニッキング部位は、各ポリメラーゼ置換ステップにより再生される結果として、指数関数的増幅をもたらす。NEARは、極めて迅速かつ高感度であり、少量の標的の検出を、数分間で可能とする(Van Ness et al (2003) Proc Natl Acad Sci USA 100(8):4504-9)。SDAおよびNEARは、典型的に、臨床適用およびバイオセイフティー適用において利用される。
場合によって、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)が使用される。HDAは、二本鎖(ds)DNAの相補性鎖をほどき、これにより、プライマーのハイブリダイゼーション、およびDNAポリメラーゼによる、後続のプライマーの伸長のための、一本鎖鋳型をもたらすのに、温度サイクリングを回避するDNAヘリカーゼの活性を利用する。HDAは、複製フォークを模倣し、dsDNA鋳型へとロードされ、2つの鎖を連結する水素結合を破壊しながら、標的DNAに沿って横断する場合、ATPの存在下における、DNAの合成を可能とする。2つの配列特異的プライマーは、各ssDNA鋳型の3’末端とハイブリダイズし、DNAポリメラーゼは、dsDNAをもたらすことにより、標的とアニールさせられたプライマーを伸長させる。次いで、2つの、新規に合成されたdsDNA産物は、次の反応ラウンドにおいて、DNAヘリカーゼのための基質として作用する結果として、選択された標的配列の指数関数的増幅をもたらす(Jeong, Y-J. et al; (2009) Cell. Mol. Life Sci. 66, 3325-3336)。
リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)は、逆行するオリゴヌクレオチドプライマーの、鋳型DNAまたは標的DNAへの結合、およびDNAポリメラーゼによるそれらの伸長により達成される、特異的DNA断片の等温増幅である。プライマーが、それらの相補性標的配列へと方向付けられるのに、増幅鋳型の全体的溶融は要求されない。そうではなくて、RPAは、リコンビナーゼ-プライマー複合体を利用して、二本鎖DNAを走査し、コグネイト部位における鎖交換を容易とする。結果として得られる構造は、押しのけられた鋳型鎖と相互作用する一本鎖DNA結合性タンパク質により安定化させられ、これにより、分岐点移動によるプライマーの放出を阻止する。リコンビナーゼのディスアセンブリーは、この場合、枯草菌(Bacillus subtilis)Pol I(Bsu)の大型断片である鎖置換DNAポリメラーゼがアクセス可能な、オリゴヌクレオチドの3’末端を残し、プライマーの伸長が後続する。指数関数的増幅は、この工程サイクルの反復により達せられる。したがって、一部の実施形態では、標的核酸の前増幅は、LAMP、RPA、または鎖置換増幅(SDA;Walker et al (1992) PNAS USA 89:392-396)、およびヘリカーゼ依存性増幅(Vincent et al (2004) EMBO Rep 5: 795-800)を含む、他の等温増幅法を使用して実施されうる。
増幅法は、マイクロ流体デバイス内で実施されうる(Zanoli and Spoto (2013) Biosensors 3(1), 18-43)。
一部の実施形態では、システムによる検出は、マルチプレックス化ガイドRNAを活用して、標的一次活性化因子を検出する。標的核酸である、一次活性化因子の異なる区間を認識する、複数のガイドが使用されうる。一部の実施形態では、マルチプレックス化は、異なる標的である、一次活性化因子を認識するようになされうる。異なるCasオーソログ、検出のための、異なるフルオロフォア-消光剤レポーターと共に、異なる核酸基質および/またはマルチプレックス化ガイドを切断する、Csm6酵素またはCsx1酵素が使用されうる。これは、単一の反応における、1つまたは複数の一次活性化因子の同定を可能とするであろう。場合によって、複数の標的の存在または非存在がアッセイされうるように、複数の一次活性化因子を検出するシステムがデザインされる。例えば、1つのCas/フルオロフォアの組合せが、1種類のウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)を検出するのに使用される一方で、別のCas/フルオロフォアの組合せが、別の種類のウイルス(例えば、コロナウイルス)を検出する場合もあり、システムが、ウイルス(例えば、コロナウイルス)のほか、A型インフルエンザウイルスおよびB型インフルエンザウイルス、RSV(respiratory syncytial virus)ウイルス、非COVID-19コロナウイルス、アデノウイルス、1~4型パラインフルエンザウイルス、ヒトメタ肺炎ウイルス、リノウイルス/エンテロウイルス、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、および肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)など、任意の共感染病原体の存在を検出するのに使用される場合もある(Kim et al (2020) JAMA doi:10.1001/jama.2020.6266)。
標的(一次活性化因子)配列
一次標的配列の供給源は、哺乳動物、ウイルス、細菌、および真菌を含む、任意の供給源でありうる。一部の実施形態では、標的配列は、微生物配列またはウイルス配列、例えば、COVID-19などのコロナウイルス配列である。さらに他の実施形態では、標的配列は、哺乳動物のゲノム配列または転写配列である。一部の実施形態では、供給源は、ヒト、ヒト以外、または動物でありうる。一部の実施形態では、動物供給源は、家畜の場合もあり、非家畜、例えば、野生動物の場合もある。一部の実施形態では、家畜は、介助動物もしくは愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ、鳥類、魚類、または爬虫類)、または農場家畜である。
病原性供給源に由来する一次標的配列について述べると、病原体は、細菌、真菌、または原虫など、大きな、公衆衛生との関連性を有する場合があり、標的配列は、限定せずに述べると、コロナウイルス(例えば、重症呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)関連コロナウイルス、COVID-19など)、C型肝炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、デング熱ウイルス、またはジカウイルスのうちの1つまたは複数において見出されうる。任意の病原体(例えば、ウイルス、細菌など)が検出されうる。
一次標的配列は、一本鎖(ss)または二本鎖(ds)のDNAまたはRNA(例えば、ウイルスRNA、mRNA、tRNA、rRNA、iRNA、miRNAなど)でありうる。標的配列が、一本鎖である場合、標的内のPAM配列について、優先性または要求は存在しない。しかし、標的DNAが、dsDNAである場合、PAMは、通例、標的DNAの標的配列と隣接して存在する(例えば、本明細書の別の箇所における、PAMについての議論を参照されたい)。標的DNAの供給源は、例えば、下記で記載される、試料の供給源と同じでありうる。
場合によって、一次標的配列は、ウイルス配列(例えば、RNAウイルスのゲノムRNA、またはDNAウイルスのゲノムDNA)である。このように、対象の方法は、核酸集団(例えば、試料中の)内の、ウイルス配列の存在を検出するための方法でありうる。
可能な一次RNA標的の非限定例は、コロナウイルス(SARS、MERS、SARS-CoV-2)、オルトミクスウイルス科のウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、エボラウイルス病ウイルス、インフルエンザウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、ならびに1型成人ヒトT細胞リンパ向性ウイルス(HTLV-1)、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含むレトロウイルスなどのウイルスRNAを含む。
可能な標的DNAの非限定例は、パポバウイルス(例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ポリオーマウイルス);肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス(HBV));ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、リンパ向性ヘルペスウイルス、バラ色粃糠疹ウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス);アデノウイルス(例えば、アタデノウイルス、アビアデノウイルス、イクタデノウイルス、マスタデノウイルス、シアデノウイルス);ポックスウイルス(例えば、天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス、牛痘ウイルス、サル痘ウイルス、オルフウイルス、偽牛痘ウイルス、ウシ丘疹性口内炎ウイルス;タナポックスウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス;伝染性軟属腫ウイルス(MCV));パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、パルボウイルスB19、ヒトボカウイルス、ブファウイルス、ヒトparv4 G1);ジェミニウイルス科(Geminiviridae);ナノウイルス科(Nanoviridae);フィコドナウイルス科(Phycodnaviridae)などのウイルスDNAを含むがこれらに限定されない。場合によって、標的DNAは、寄生虫DNAである。場合によって、標的DNAは、細菌DNA、例えば、病原性細菌のDNAである。
一部の実施形態では、標的核酸は、がんと関連するDNA配列またはRNA配列である。これらの標的核酸は、DNAのメチル化、ヒストンの修飾、メッセージのスプライシング、およびマイクロRNAの発現において役割を果たす遺伝子を含みうる。慢性骨髄性白血病と関連する、いわゆるフィラデルフィア染色体など、周知の例と並んで、一部の実施形態では、標的は、各々が、C-Mycの変更と関連し、急性リンパ性白血病と関連する、t(8;14)(q24;q32)、t(2;8)(p12;q24)、t(8;22)(q24;q11)、t(8;14)(q24;q11)、およびt(8;12)(q24;q22)などの転座と関連するDNAである。他の例は、LYT10遺伝子に影響を及ぼす、t(10;14)(q24;q32)を含み、B細胞リンパ腫と関連する(Nambiar (2008) Biochim Biophys Acta 1786: 139-152を参照されたい)。他の標的は、BRCA2(卵巣がん)、BMP2、3、4、7(子宮内膜がん)、CAGE(子宮頸がん)、HOXA10(卵巣がん)、およびさらなる標的など、がんと関連する突然変異体遺伝子を含む(Jeong et al (2014) Front Oncol 4(12)を参照されたい)。
場合によって、本発明の方法および組成物は、転写状態の変更を呈する、他の障害を検査するのに使用される。例は、糖尿病、メタボリックシンドローム(Hawkins et al (2018) Peer J 6; e5062)、ハンチントン病、および他の神経疾患(Xiang et al, (2018) Front Mol Neurosci 11:153)、およびがんを含む。場合によって、方法および組成物は、転写状態の変更により特徴づけられる障害の処置のために投与される治療に対する応答をモニタリングするのに使用される。場合によって、方法および組成物は、思春期、妊娠、または閉経の発生など、非疾患状態における、転写活性の変更をモニタリングするのに使用される。
試料
本明細書で記載される組成物、システム、および方法では、核酸(例えば、複数の核酸)を含む、任意の試料が使用されうる。本明細書では、「複数」という用語は、2つもしくはこれを超える数量を意味するように使用される。したがって、場合によって、試料は、2つもしくはこれを超える(例えば、3もしくはこれを超えるか、5もしくはこれを超えるか、10もしくはこれを超えるか、20もしくはこれを超えるか、50もしくはこれを超えるか、100もしくはこれを超えるか、500もしくはこれを超えるか、1,000もしくはこれを超えるか、または5,000もしくはこれを超える)核酸(例えば、RNAまたはDNA)を含む。対象の方法は、試料中に存在する(例えば、RNAまたはDNAなどの核酸の、複雑な混合物中の)標的配列を検出するための、極めて高感度の方式として使用されうる。場合によって、試料は、配列が互いと異なる、5もしくはこれを超えるRNAまたはDNA(例えば、10もしくはこれを超えるか、20もしくはこれを超えるか、50もしくはこれを超えるか、100もしくはこれを超えるか、500もしくはこれを超えるか、1,000もしくはこれを超えるか、または5,000もしくはこれを超えるRNAまたはDNA)を含む。場合によって、試料は、10もしくはこれを超えるか、20もしくはこれを超えるか、50もしくはこれを超えるか、100もしくはこれを超えるか、500もしくはこれを超えるか、10もしくはこれを超えるか、5×10もしくはこれを超えるか、10もしくはこれを超えるか、5×10もしくはこれを超えるか、10もしくはこれを超えるか、5×10もしくはこれを超えるか、10もしくはこれを超えるか、5×10もしくはこれを超えるか、または10もしくはこれを超える、RNAまたはDNAを含む。場合によって、試料は、10~20、20~50、50~100、100~500、500~10、10~5×10、5×10~10、10~5×10、5×10~10、10~5×10、5×10~10、10~5×10、または5×10~10、または10を超える、RNAまたはDNAを含む。場合によって、試料は、5~10のRNAまたはDNA(例えば、配列が互いと異なる)(例えば、5~10、5~10、5~50,000、5~30,000、10~10、10~10、10~50,000、10~30,000、20~10、20~10、20~50,000、または20~30,000の、RNAまたはDNA)を含む。場合によって、試料は、配列が互いと異なる、20またはこれを超えるRNAまたはDNAを含む。場合によって、試料は、細胞溶解物(例えば、真核細胞溶解物、哺乳動物細胞溶解物、ヒト細胞溶解物、原核細胞溶解物、植物細胞溶解物など)に由来するRNAまたはDNAを含む。例えば、場合によって、試料は、真核細胞、例えば、ヒト細胞などの哺乳動物細胞などの細胞に由来するRNAまたはDNAを含む。
適切な試料は、唾液試料、血液試料、血清試料、血漿試料、尿試料、吸引試料、および生検試料を含むがこれらに限定されない。したがって、患者に関する、「試料」という用語は、血液および他の生体由来の液体試料、生検検体もしくは組織培養物、またはこれらに由来する細胞およびこれらの後代などの固体組織試料を包含する。定義はまた、それらの調達の後における、試薬を伴う処理によるか;洗浄されるか;またはがん細胞など、ある特定の細胞集団についてのエンリッチメントなど、任意の方式で操作された試料も含む。定義はまた、特定の種類の分子、例えば、DNAについてエンリッチされた試料も含む。「試料」という用語は、血液、血漿、血清、吸引物、脳脊髄液(CSF)などの臨床試料などの生体試料を包含し、手術における切除により得られた組織、生検により得られた組織、培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、組織試料、臓器、骨髄などもまた含む。「生体試料」は、これらに由来する体液(例えば、がん性細胞、感染細胞など)、例えば、このような細胞から得られるDNAを含む試料(例えば、DNAを含む、細胞溶解物または他の細胞抽出物)を含む。
試料は、様々な細胞、組織、臓器、または無細胞体液のうちのいずれかを含みうるか、またはこれらから得られうる。適切な試料供給源は、真核細胞、細菌細胞、および古細菌細胞を含む。適切な試料供給源は、単細胞生物および多細胞生物を含む。適切な試料供給源は、単細胞真核生物;植物または植物細胞;藻類細胞、例えば、ポツリオコッカス・ブラウニイ(Botryococcus braunii)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)、ナンノクロロプシス・ガディターナ(Nannochloropsis gaditana)、クロレラ・ピレノイドーサ(Chlorella pyrenoidosa)、ヤツマタモク(Sargassum patens;C. agardh)など;真菌細胞(例えば、酵母細胞);動物の細胞、組織、または臓器;非脊椎動物(例えば、ショウジョウバエ、刺胞動物、棘皮動物、線虫、昆虫、クモ形類動物など)に由来する細胞、組織、または臓器;脊椎動物(例えば、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物)に由来する細胞、組織、体液、または臓器;哺乳動物(例えば、ヒト;非ヒト霊長動物;有蹄類動物;ネコ;ウシ;ヒツジ;ヤギなど)に由来する細胞、組織、体液、または臓器を含む。適切な試料供給源は、線虫、原虫などを含む。適切な試料供給源は、蠕虫、マラリア寄生虫などの寄生虫を含む。
適切な試料供給源は、6つの界、例えば、細菌界(Bacteria(例えば、真正細菌界(Eubacteria));古細菌界(Archaebacteria);原生生物界(Protista);真菌界(Fungi);植物界(Plantae);および動物界(Animalia)のうちのいずれかの細胞、組織、または生物を含む。適切な試料供給源は、藻類(例えば、緑色藻類、赤色藻類、灰色藻、藍藻)を含むがこれらに限定されない、原生生物界(Protista)の植物様メンバー;原生生物界(Protista)の真菌様メンバー、例えば、粘菌、水生菌など;原生生物界(Protista)の動物様メンバー、例えば、鞭毛虫(例えば、ミドリムシ属(Euglena))、アメーバ様原生動物(例えば、アメーバ)、胞子虫(例えば、アピコンプレックス門(Apicomplexa)、ミクソゾア亜門(Myxozoa)、微胞子虫門(Microsporidia))、および旋毛虫類(例えば、ゾウリムシ属(Paramecium))を含む。適切な試料供給源は、以下の門(phyla):担子菌門(Basidiomycota)(ホウキタケ類;例えば、ハラタケ属(Agaricus)、テングダケ属(Amanita)、ヤマドリタケ属(Boletus)、アンズタケ属(Cantherellus)などのメンバー);子嚢菌門(Ascomycota)(例えば、サッカロミケス属(Saccharomyces)を含む子嚢菌);ミコフィコフィタ門(Mycophycophyta)(地衣類);接合菌門(Zygomycota)(接合菌類);および不完全菌門(Deuteromycota)のうちのいずれかのメンバーを含むがこれらに限定されない、真菌界(Fungi)のメンバーを含む。適切な試料供給源は、以下の門(division):コケ植物門(Bryophyta)(例えば、蘇類)、ツノゴケ植物門(Anthocerotophyta)(例えば、ツノゴケ類)、ヘパティコフィタ門(Hepaticophyta)(例えば、苔類)、小葉植物門(Lycopodiophyta)(例えば、ヒカゲノカズラ類)、有節植物門(Sphenophyta)(例えば、トクサ類)、裸茎植物門(Psilophyta)(例えば、マツバラン類)、オフィオグロソフィタ門(Ophioglossophyta)、シダ門(Pterophyta)(例えば、シダ類)、ソテツ門(Cycadophyta)、イチョウ門(Ginkgophyta)、球果植物門(Pinophyta)、グネツム門(Gnetophyta)、および被子植物門(Magnoliophyta)(例えば、顕花植物類)のうちのいずれかのメンバーを含むがこれらに限定されない、植物界(Plantae)のメンバーを含む。適切な試料供給源は、以下の門:海綿動物門(Porifera)(海綿動物類);平板動物門(Placozoa);直泳動物門(Orthonectida)(海洋無脊椎動物類の寄生虫);菱形動物門(Rhombozoa);刺胞動物門(Cnidaria)(珊瑚類、アネモネ類、クラゲ、ウミエラ類、ウミシイタケ類、オーストラリアンウンバチクラゲ);有櫛動物門(Ctenophora)(有櫛動物類);扁形動物門(Platyhelminthes)(扁形動物類);ひも形動物門(Nemertina)(ひも形動物類);顎口動物門(Gnathostomulida)(顎口動物類);腹毛動物門(Gastrotricha);輪形動物門(Rotifera);鰓曳動物門(Priapulida);動吻動物門(Kinorhyncha);胴甲動物門(Loricifera);鈎頭虫門(Acanthocephala);内肛動物門(Entoprocta);線形動物門(Nematoda);類線形動物門(Nematomorpha);有輪動物門(Cycliophora);軟体動物門(Mollusca)(軟体動物類);星口動物門(Sipuncula)(星口動物類);環形動物門(Annelida)(環形動物類);緩歩動物門(Tardigrada)(緩歩動物類);有爪動物門(Onychophora)(有爪動物類);節足動物門(Arthropoda)(以下の亜門:鋏角亜門(Chelicerata)、多足亜門(Myriapoda)、六脚亜門(Hexapoda)、および甲殻亜門(Crustacea)を含み、ここで、鋏角亜門(Chelicerata)は、例えば、クモ形類動物類、節口綱(Merostomata)、およびウミグモ綱(Pycnogonida)を含み、多足亜門(Myriapoda)は、例えば、ムカデ綱(Chilopoda)(ムカデ類)、ヤスデ綱(Diplopoda)(ヤスデ類)、コムカデ綱(Paropoda)、および結合綱(Symphyla)を含み、六脚亜門(Hexapoda)は、昆虫を含み、甲殻亜門(Crustacea)は、エビ、オキアミ、フジツボ類などを含む);箒虫動物門(Phoronida);外肛動物門(Ectoprocta)(コケムシ類);腕足動物門(Brachiopoda);棘皮動物門(Echinodermata)(例えば、ヒトデ類、シャリンヒトデ類、ウミユリ類、ウニ類、ナマコ類、クモヒトデ類、テヅルモヅル類など);毛顎動物門(Chaetognatha)(毛顎動物類);半索動物門(Hemichordata)(キボシムシ類);および脊索動物門(Chordata)のうちのいずれかのメンバーを含むがこれらに限定されない、動物界(Animalia)のメンバーを含む。脊索動物門(Chordata)の、適切なメンバーは、以下の亜門:尾索動物亜門(Urochordata)(ホヤ綱(Ascidiacea)、サルバ綱(Thaliacea)、および幼形綱(Larvacea)を含む ホヤ類);頭索動物亜門(Cephalochordata)(ナメクジウオ類);ヌタウナギ綱(Myxini)(ヌタウナギ);ならびに脊椎動物亜門(Vertebrata)のメンバーが、例えば、ヤツメウナギ綱(Petromyzontida)(ヤツメウナギ類)、軟骨魚綱(Chondrichthyces)(軟骨魚類)、条鰭綱(Actinopterygii)(条鰭類)、輻鰭下綱(Actinistia)(シーラカンス類)、肺魚亜綱(Dipnoi)(肺魚)、爬虫綱(Reptilia)(爬虫類、例えば、ヘビ類、アリゲーター類、クロコダイル類、トカゲ類など)、鳥亜綱(Aves)(鳥類);および哺乳動物綱(Mammalian)(哺乳動物)のメンバーを含む、脊椎動物亜門(Vertebrata)の任意のメンバーを含む。適切な植物は、任意の単子葉植物、および任意の双子葉植物を含む。
適切な試料の供給源は、生物から採取された、細胞、体液、組織、または臓器;生物から分離された、特定の細胞または細胞群などに由来する供給源を含む。例えば、生物が、植物である場合、適切な供給源は、木部、師部、形成層、葉、根などを含む。生物が、動物である場合、適切な供給源は、特定の組織(例えば、肺、肝臓、心臓、腎臓、脳、脾臓、皮膚、胎児組織など)、または特定の細胞型(例えば、神経細胞、上皮細胞、内皮細胞、星状細胞、マクロファージ、グリア細胞、膵島細胞、Tリンパ球、Bリンパ球など)を含む。
場合によって、試料の供給源は、例えば、ヒト対象の、罹患細胞、罹患体液、罹患組織、または罹患臓器である(またはこれらであることが疑われる)。場合によって、試料の供給源は、正常(非罹患)細胞、正常(非罹患)体液、正常(非罹患)組織、または正常(非罹患)臓器である。場合によって、試料の供給源は、病原体に感染した細胞、組織、または臓器である(またはこれらであることが疑われる)。例えば、試料の供給源は、感染している場合もあり、感染していない場合もある個体であることが可能であり、試料は、個体から回収された、任意の生体試料(例えば、血液、唾液、生検、血漿、血清、気管支肺胞洗浄液、痰、糞便試料、脳脊髄液、細針吸引物、スワブ試料(例えば、口腔スワブ、子宮頸部スワブ、鼻腔スワブ)、間質液、滑液、鼻漏、涙液、軟膜、粘膜試料、上皮細胞試料(例えば、上皮細胞掻爬試料)など)でありうるであろう。場合によって、試料は、無細胞液体試料である。場合によって、試料は、細胞を含みうる液体試料である。
試料中で検出される病原体は、ウイルス、細菌、真菌、蠕虫、原虫、マラリア寄生虫、プラスモジウム属(Plasmodium)寄生虫、トキソプラズマ属(Toxoplasma)寄生虫、住血吸虫属(Schistosoma)寄生虫などを含む。「蠕虫」は、回虫、大糸状虫、および草食性線虫(線形動物門(Nematoda))、吸虫(吸虫綱(Trematoda))、鈎頭虫門(Acanthocephala)、および条虫(条虫綱(Cestoda))を含む。原虫感染症は、ジアルジア属(Giardia)種、トリコモナス属(Trichomonas)種に由来する感染症、アフリカトリパノソーマ症、アメーバ赤痢、バベシア症、バランチジウム症、シャーガス病、コクシジウム症、マラリア、およびトキソプラズマ症を含む。寄生虫/原虫病原体などの病原体の例は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、およびトキソプラズマ・ゴンディイ(Toxoplasma gondii)を含むがこれらに限定されない。真菌病原体は、クリプトコッカス・ヘオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カスプラートゥム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を含むがこれらに限定されない。病原性ウイルスは、例えば、コロナウイルス(例えば、COVID-19、MERS、SARSなど);免疫不全ウイルス(例えば、HIV);インフルエンザウイルス;デング;西ナイルウイルス;ヘルペスウイルス;黄熱ウイルス;C型肝炎ウイルス;A型肝炎ウイルス;B型肝炎ウイルス;パピローマウイルスなどを含む。病原性ウイルスは、パポバウイルス(例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ポリオーマウイルス);肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス(HBV));ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、リンパ向性ヘルペスウイルス、バラ色粃糠疹ウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス);アデノウイルス(例えば、アタデノウイルス、アビアデノウイルス、イクタデノウイルス、マスタデノウイルス、シアデノウイルス);ポックスウイルス(例えば、天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス、牛痘ウイルス、サル痘ウイルス、オルフウイルス、偽牛痘ウイルス、ウシ丘疹性口内炎ウイルス;タナポックスウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス;伝染性軟属腫ウイルス(MCV));パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、パルボウイルスB19、ヒトボカウイルス、ブファウイルス、ヒトparv4 G1);ジェミニウイルス科(Geminiviridae);ナノウイルス科(Nanoviridae);フィコドナウイルス科(Phycodnaviridae)などのDNAウイルスを含みうる。病原体は、例えば、DNAウイルス[例えば、:パポバウイルス(例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ポリオーマウイルス);肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス(HBV));ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、リンパ向性ヘルペスウイルス、バラ色粃糠疹ウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス);アデノウイルス(例えば、アタデノウイルス、アビアデノウイルス、イクタデノウイルス、マスタデノウイルス、シアデノウイルス);ポックスウイルス(例えば、天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス、牛痘ウイルス、サル痘ウイルス、オルフウイルス、偽牛痘ウイルス、ウシ丘疹性口内炎ウイルス;タナポックスウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス;伝染性軟属腫ウイルス(MCV));パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、パルボウイルスB19、ヒトボカウイルス、ブファウイルス、ヒトparv4 G1);ジェミニウイルス科(Geminiviridae);ナノウイルス科(Nanoviridae);フィコドナウイルス科(Phycodnaviridae)など]、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、大腸菌(Escherichia coli)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌、クリプトコッカス・ヘオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カスプラートゥム(Histoplasma capsulatum)、B型ヘルモフィルス・インフルエンゼ(Hemophilus influenzae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ライム病スピロヘータ、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、らい菌(Mycobacterium leprae)、ブルセラ・アボルトゥス(Brucella abortus)、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、I型単純ヘルペスウイルス、II型単純ヘルペスウイルス、ヒト血清パルボウイルス様ウイルス、RSV(respiratory syncytial virus)、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞性白血病ウイルス、エプスタイン-バーウイルス、マウスの白血病ウイルス、ムンプスウイルス、水疱性口炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ性脈絡髄膜炎ウイルス、疣贅ウイルス、ブルータングウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、サルウイルス40、マウス乳腺腫瘍ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、西ナイルウイルス、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、トキソプラズマ・ゴンディイ(Toxoplasma gondii)、ランゲルトリパノソーマ(Trypanosoma rangeli)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、ローデシアトリパノソーマ(ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei) rhodesiense)、ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、ウシバベシア(Babesia bovis)、ニワトリコクシジウム(Eimeria tenella)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、リーシュマニア・トロピカ(Leishmania tropica)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、テイレリア・パルバ(Theileria parva)、胞状条虫(Taenia hydatigena)、ヒツジ条虫(Taenia ovis)、無鉤条虫(Taenia saginata)、単包条虫(Echinococcus granulosus)、ネズミ中殖条虫(Mesocestoides corti)、マイコプラズマ・アルトリティディス(Mycoplasma arthritidis)、M.ヒオルトニス(M. hyorhinis)、M.オラーレ(M. orale)、M.アルギニニー(M. arginini)、アコレプラズマ・レイドローウィイ(Acholeplasma laidlawii)、M.サリワリウム(M. salivarium)および肺炎マイコプラズマ(M. pneumoniae)を含みうる。
方法
したがって、本発明の方法は、(a)標的配列を潜在的に含む試料を、(i)本明細書で記載される組成物またはシステムのうちのいずれかと接触させるステップと、(b)検出用シグナルを測定し、これにより、標的配列(DNAまたはRNA)を検出するステップとを含む。
場合によって、方法は、標的センサーが、非特異的ヌクレアーゼ(例えば、標的センサーが、Cas13エフェクタータンパク質を含む場合における、非特異的RNアーゼ、または標的センサーが、Cas12エフェクタータンパク質を含む場合における、非特異的DNアーゼ)へと活性化されるように、試料(例えば、ウイルスDNAまたはRNA)中の、所望の標的核酸配列(複数可)を認識する、1つまたは複数のガイドRNAによりプログラム化された、1つまたは複数のCasエフェクター酵素を含む標的センサーを接触させるステップを含む。ある特定の場合には、標的センサーは、1つのCasエフェクタータンパク質と、1つのガイドRNAとを含む。方法はまた、活性化標的センサー(非特異的ヌクレアーゼ)を、検出用標識と、増幅活性化配列とを含み、非特異的ヌクレアーゼによる切断の前には、検出用標識は、遮蔽されて(消光させられて)おり、増幅活性化分子は、ケージ化されている(ハイブリダイゼーションが不可能である)、レポーター分子と接触させるステップも含む。切断されると、検出用標識(例えば、蛍光標識)、および増幅活性化分子のいずれもが放出される。その後、放出された増幅活性化因子は、プログラム化されたCasエフェクタータンパク質と、ガイドRNAとを含むシグナル増幅因子のガイドRNAに結合し(とハイブリダイズし)、レポーター分子を切断し、レポーター複合体から、検出用標識および増幅活性化分子を放出することが可能な、さらなる非特異的ヌクレアーゼを活性化する。方法はまた、検出用標識を測定するステップと、任意選択で、レベルを定量するステップとも含む。
接触させるステップと、測定するステップとは、液体中および/または固体支持体内の、同じ容器内で実施される場合もあり、異なる容器内で実施される場合もある。例えば、接触させるステップが、同じ容器内で実施され、検出のために移される場合もあり、代替的に、接触させるステップと、測定するステップとが、同じ容器内で実施される場合もある。
アッセイ混合物は、試料中に存在する場合に、標的核酸配列が、ガイドRNAとハイブリダイズすることを可能とする、多様な条件下でインキュベートしうる。一部の実施形態では、条件は、RNA配列のハイブリダイゼーションの一助となるようにデザインされ、配列は、100%相補性である。他の実施形態では、アッセイ混合物のインキュベーションのための条件は、ガイドRNA配列と、標的配列との間の100%未満の相補性、例えば、標的核酸と、ガイドRNAとの間の、1つのミスマッチ、または約2つ未満のミスマッチ、3つ未満のミスマッチ、4つ未満のミスマッチ、もしくは5つ未満のミスマッチを可能とするように変動しうる。一部の実施形態では、標的RNAと、ガイドRNAとの間のハイブリダイゼーションは、相補性が、約80%を超える場合に、Casエフェクタータンパク質の非特異的RNアーゼ活性を活性化しうる。
対象の方法の接触させるステップは、二価金属イオンを含む組成物中で実行されうる。接触させるステップは、例えば、細胞外の無細胞環境内で実行されうる。接触させるステップは、細胞内で実行されうる。接触させるステップは、in vitroの細胞内で実行されうる。接触させるステップは、ex vivoの細胞内で実行されうる。接触させるステップは、in vivoの細胞内で実行されうる。
接触させるステップは、測定するステップの前における、2時間またはこれ未満(例えば、1.5時間もしくはこれ未満、1時間もしくはこれ未満、40分間もしくはこれ未満、30分間もしくはこれ未満、20分間もしくはこれ未満、10分間もしくはこれ未満、または5分間もしくはこれ未満、または1分間もしくはこれ未満)を含むがこれらに限定されない、任意の長さの時間にわたる、接触させるステップでありうる。例えば、場合によって、試料は、測定するステップの前に、40分間またはこれ未満にわたり接触させられる。場合によって、試料は、測定するステップの前に、20分間またはこれ未満にわたり接触させられる。場合によって、試料は、測定するステップの前に、10分間またはこれ未満にわたり接触させられる。場合によって、試料は、測定するステップの前に、5分間またはこれ未満にわたり接触させられる。場合によって、試料は、測定するステップの前に、1分間またはこれ未満にわたり接触させられる。場合によって、試料は、測定するステップの前に、50秒間~60秒間にわたり接触させられる。場合によって、試料は、測定するステップの前に、40秒間~50秒間にわたり接触させられる。場合によって、試料は、測定するステップの前に、30秒間~40秒間にわたり接触させられる。場合によって、試料は、測定するステップの前に、20秒間~30秒間にわたり接触させられる。場合によって、試料は、測定するステップの前に、10秒間~20秒間にわたり接触させられる。一部の実施形態では、試料は、Casタンパク質と共に、約2時間、90分間、60分間、40分間、30分間、20分間、10分間、5分間、4分間、3分間、2分間、1分間、55秒間、50秒間、40秒間、30秒間、20秒間、または10秒間未満であり、かつ、約5秒間、10秒間、20秒間、30秒間、40秒間、50秒間、60秒間、2分間、3分間、4分間、5分間、10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、または90分間を超える時間にわたりインキュベートされる。
方法は、約30℃~約30℃(またはこの間の任意の温度)を含む、任意の温度で行われうる。一部の実施形態では、アッセイ(方法)は、生理学的温度、例えば、約37℃で行われる。これは、方法が、診察室または自宅(例えば、体温を使用して(例えば、アッセイを、腋下に含有させて、皮膚に対して保持するなどして)アッセイを実施することにより)を含む、任意の場所で、たやすく実施されることを可能とする。一部の実施形態では、アッセイ(方法)は、60~65℃で行われる。
本明細書で記載される方法は、標的配列(RNAまたはDNA)を、高感度で検出しうる。場合によって、本開示の方法は、複数のヌクレオチド(標的配列と、複数の非標的配列とを含む)を含む試料中に存在する標的配列を検出するのに使用される場合があり、この場合、標的配列は、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー(例えば、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列50個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列20個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、または非標的配列5個当たり1つもしくは複数のコピー)で存在する。場合によって、本開示の方法は、複数の配列(標的配列と、複数の非標的配列とを含む)を含む試料中に存在する標的配列を検出するのに使用される場合があり、この場合、標的配列は、非標的配列1018個当たり1つもしくは複数のコピー(例えば、非標的配列1015個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列1012個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列50個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列20個当たり1つもしくは複数のコピー、非標的配列10個当たり1つもしくは複数のコピー、または非標的配列5個当たり1つもしくは複数のコピー)で存在する。
場合によって、本開示の方法は、試料中に存在する標的配列(DNAまたはRNA)を検出することが可能であり、この場合、標的配列は、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー(例えば、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列105個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、または非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー)で存在する。
場合によって、本開示の方法は、試料中に存在する標的配列(RNAまたはDNA)を検出することが可能であり、この場合、標的配列は、非標的配列1018個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー(例えば、非標的配列1018個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列1015個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列1012個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、または非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー)で存在する。
場合によって、本開示の方法は、試料中に存在する標的配列(RNAまたはDNA)を検出することが可能であり、この場合、標的配列は、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列100個当たり1コピー(例えば、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列100個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列100個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー、または非標的配列10個当たり1コピー~非標的配列10個当たり1コピー)で存在する。
場合によって、試料中の標的配列(RNAまたはDNA)を検出する、対象の方法のための検出閾値は、10nMまたはこれ未満である。本明細書では、「検出閾値」という用語は、検出が生じるために、試料中に存在しなければならない標的配列の最小量について記載するのに使用される。したがって、例示的な例として述べると、検出閾値が、10nMである場合、シグナルは、標的配列が、試料中に、10nMまたはこれを超える濃度で存在する場合に検出されうる。場合によって、本開示の方法は、5nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、1nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.5nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.1nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.05nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.01nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.005nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.001nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.0005nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.0001nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.00005nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、0.00001nMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、10pMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、1pMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、500fMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、250fMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、100fMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、50fMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、500aM(アットモル)またはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、250aMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、100aMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、50aMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、10aMまたはこれ未満の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、1aMまたはこれ未満の検出閾値を有する。
場合によって、検出閾値(対象の方法において、標的配列を検出するための)は、500fM~1nM(例えば、500fM~500pM、500fM~200pM、500fM~100pM、500fM~10pM、500fM~1pM、800fM~1nM、800fM~500pM、800fM~200pM、800fM~100pM、800fM~10pM、800fM~1pM、1pM~1nM、1pM~500pM、1pM~200pM、1pM~100pM、または1pM~10pM)(ここで、濃度は、標的配列が検出されうる、標的配列の閾値濃度を指す)の範囲である。場合によって、本開示の方法は、800fM~100pMの範囲の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、1pM~10pMの範囲の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、10fM~500fMの範囲の検出閾値、例えば、10fM~50fM、50fM~100fM、100fM~250fM、または250fM~500fMを有する。
場合によって、標的配列(DNAまたはRNA)が、試料中で検出されうる、最小濃度は、500fM~1nM(例えば、500fM~500pM、500fM~200pM、500fM~100pM、500fM~10pM、500fM~1pM、800fM~1nM、800fM~500pM、800fM~200pM、800fM~100pM、800fM~10pM、800fM~1pM、1pM~1nM、1pM~500pM、1pM~200pM、1pM~100pM、または1pM~10pM)の範囲である。場合によって、標的配列が、試料中で検出されうる、最小濃度は、800fM~100pMの範囲である。場合によって、標的配列が、試料中で検出されうる、最小濃度は、1pM~10pMの範囲である。
場合によって、検出閾値(標的配列を検出するための)は、1aM~1nM(例えば、1aM~500pM、1aM~200pM、1aM~100pM、1aM~10pM、1aM~1pM、100aM~1nM、100aM~500pM、100aM~200pM、100aM~100pM、100aM~10pM、100aM~1pM、250aM~1nM、250aM~500pM、250aM~200pM、250aM~100pM、250aM~10pM、250aM~1pM、500aM~1nM、500aM~500pM、500aM~200pM、500aM~100pM、500aM~10pM、500aM~1pM、750aM~1nM、750aM~500pM、750aM~200pM、750aM~100pM、750aM~10pM、750aM~1pM、1fM~1nM、1fM~500pM、1fM~200pM、1fM~100pM、1fM~10pM、1fM~1pM、500fM~500pM、500fM~200pM、500fM~100pM、500fM~10pM、500fM~1pM、800fM~1nM、800fM~500pM、800fM~200pM、800fM~100pM、800fM~10pM、800fM~1pM、1pM~1nM、1pM~500pM、1pM~200pM、1pM~100pM、または1pM~10pM)(ここで、濃度は、標的配列が検出されうる、標的配列の閾値濃度を指す)の範囲である。場合によって、本開示の方法は、1aM~800aMの範囲の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、50aM~1pMの範囲の検出閾値を有する。場合によって、本開示の方法は、50aM~500fMの範囲の検出閾値を有する。
場合によって、標的配列が、試料中で検出されうる、最小濃度は、1aM~1nM(例えば、1aM~500pM、1aM~200pM、1aM~100pM、1aM~10pM、1aM~1pM、100aM~1nM、100aM~500pM、100aM~200pM、100aM~100pM、100aM~10pM、100aM~1pM、250aM~1nM、250aM~500pM、250aM~200pM、250aM~100pM、250aM~10pM、250aM~1pM、500aM~1nM、500aM~500pM、500aM~200pM、500aM~100pM、500aM~10pM、500aM~1pM、750aM~1nM、750aM~500pM、750aM~200pM、750aM~100pM、750aM~10pM、750aM~1pM、1fM~1nM、1fM~500pM、1fM~200pM、1fM~100pM、1fM~10pM、1fM~1pM、500fM~500pM、500fM~200pM、500fM~100pM、500fM~10pM、500fM~1pM、800fM~1nM、800fM~500pM、800fM~200pM、800fM~100pM、800fM~10pM、800fM~1pM、1pM~1nM、1pM~500pM、1pM~200pM、1pM~100pM、または1pM~10pM)の範囲である。場合によって、標的配列が、試料中で検出されうる、最小濃度は、1aM~500pMの範囲である。場合によって、標的配列が、試料中で検出されうる、最小濃度は、100aM~500pMの範囲である。
場合によって、対象の組成物または方法は、アットモル(aM)単位の検出感度を呈する。場合によって、対象の組成物または方法は、フェムトモル(fM)単位の検出感度を呈する。場合によって、対象の組成物または方法は、ピコモル(pM)単位の検出感度を呈する。場合によって、対象の組成物または方法は、ナノモル(nM)単位の検出感度を呈する。
測定するステップは、場合によって、例えば、検出されるシグナルの量が、試料中に存在する標的配列の量を決定するのに使用されうるという意味で、定量的でありうる。測定するステップは、場合によって、例えば、検出用シグナルの存在または非存在が、標的配列(例えば、ウイルス、SNPなど)の存在または非存在を指し示しうるという意味で、定性的でありうる。場合によって、標的配列(複数可)(例えば、ウイルス、SNPなど)が、特定の閾値濃度を上回って存在しない限りにおいて、検出用シグナルは、存在しないであろう(例えば、所与の閾値レベルを上回って)。場合によって、検出閾値は、システム(例えば、センサーまたは増幅)のCasエフェクタータンパク質、ガイドRNA、試料容量、および/または検出剤(検出剤が使用される場合)の量を変更することにより滴定されうる。このように、例えば、当業者により理解される通り、所望の場合、各々が、標的配列の異なる閾値レベルを検出するように用意される、1つまたは複数の反応を用意し、これにより、試料中に存在する標的配列の量を決定するのに、このような一連の反応が使用されうる(例えば、標的配列が、試料中に、「少なくともXの濃度で」存在することを決定するのに、このような一連の反応を使用しうるであろう)ために、多数の対照が使用されうる。
場合によって、本開示の方法は、試料(例えば、標的配列と、複数の非標的配列とを含む試料)中の、標的配列(RNAまたはDNA)の量を決定するのに使用されうる。試料中の標的配列の量の決定は、被検試料から発生した検出用シグナルの量を、参照試料から発生した検出用シグナルの量と比較するステップを含みうる。試料中の標的配列の量の決定は、検出用シグナルを測定して、被験測定値を生成するステップと;参照試料によりもたらされる検出用シグナルを測定して、参照測定値を生成するステップと;被験測定値を、参照測定値と比較して、試料中に存在する標的配列の量を決定するステップを含みうる。
本明細書で記載される方法では、RNアーゼ阻害剤が使用される場合がある。一部の実施形態では、アッセイ混合物は、非Cas13a依存性RNアーゼ活性は阻害するが、活性化Cas13aタンパク質によるRNアーゼ活性には影響を及ぼさない、1つまたは複数の分子を含みうる。例えば、阻害剤は、限定せずに述べると、RNアーゼAおよびRNアーゼHなどの、哺乳動物RNアーゼ、細菌RNアーゼ、またはウイルスRNアーゼを阻害しうる。一部の実施形態では、RNアーゼ阻害剤は、標的核酸配列を保存する一助となるように、試料へと添加されうる。これらの実施形態では、方法は、1つまたは複数のRNA保存化合物、例えば、1つまたは複数のRNアーゼ阻害剤を、試料へと添加するステップを含みうる。
標識の検出は、当技術分野で公知の、多様な方式で達成されうる。例えば、比色標識、蛍光標識、または発光標識の検出は、特定の波長における吸光または発光の測定により達せられうる。一部の実施形態では、シグナルは、目視、顕微鏡、または光の検出により検出されうる。
キット
本開示は、例えば、複数の配列を含む試料中の、標的ヌクレオチド配列を検出するためのキットを提示する。場合によって、キットは、本明細書で記載される、1つまたは複数のNCR組成物またはNCRシステムを含む。陽性対照および/または陰性対照もまた、組み入れられる場合があり、かつ/または使用のための指示書もまた、組み入れられうる。
[実施例1]
ヌクレアーゼ連鎖反応による、コロナウイルスDNAの検出
ヌクレアーゼ連鎖反応(NCR)を伴わない検出と、合成標的配列(「一次活性化因子」)を使用する、本明細書で記載されるNCRシステムとを比較する実験を行った。特に、蛍光シグナルをもたらす非特異的切断活性を誘発する一次活性化複合体により検出される一次活性化配列を使用する、本明細書で記載されるNCRシステムにより、アッセイを行った(図1Aを参照されたい)。非特異的切断活性が、ケージ化活性化RNAから、ケージを放出すると、一次活性化複合体の活性化に加えて、シグナル増幅複合体の活性化もまた生じうる(図1B)。場合によって、Csm6を介する、さらなる活性化も生じる。ある場合には、一次活性化複合体が、Cas13タンパク質を含むRNPである(図1C)のに対し、他の場合には、一次活性化複合体は、Cas12タンパク質を含む(図1D)。Cas12を、一次活性化法で使用する場合、一次活性化分子が、RNAであるならば、一次活性化核酸を、RT-LAMPにかけうる。これらのシステムのいずれも、シグナルをブーストする、Csm6の使用を含みうる。Csm6のためのケージ化活性化因子は、それ自体またはCas13による未成熟切断を防止するように修飾されうる(例えば、2’-OMe、2’-H、2’-F)、配列の5’末端において、4つまたは6つのアデノシン(A4またはA6)を含むであろう。Csm6活性化因子はまた、その3’末端において、基質をケージ化する、さらなる切断可能なAまたはUも有する。ケージ化の解除は、A4>PまたはA6>Pを作出して、Csm6を活性化するように、3’側のRNAヌクレオチドをトリミングすることにより達せられるであろう。基質をケージ化するのに使用される3’-ヌクレオチドのアイデンティティーは、非ケージ化のために使用されるCas酵素のヌクレオチド優先性に応じて変動しうる。例えば、1つの潜在的な基質は、5’-fA-fA-fA-AAAAAAA-3’(配列番号1)[配列中、fAヌクレオチドは、2’-F修飾を有し、末端の6つのAは、Csm6またはLbaCas13により切断されうるであろう]でありうるであろう。
場合によって、一次活性化複合体が、Cas13タンパク質と、一次活性化RNAに特異的なガイドとを含むRNPであるのに対し、シグナル増幅複合体はまた、Cas13タンパク質と、活性化RNAに特異的なガイドとを含むRNPも含む(図1E)。場合によって、一次活性化複合体は、Cas12タンパク質と、RT-LAMPを使用して作製される、一次活性化RNAに特異的なガイドとを含むRNPである。シグナル活性化複合体はまた、Cas12タンパク質および活性化DNAに特異的なガイドも含む(図1F)。いずれの場合にも、Csm6による増幅もまた利用されうる。
場合によって、一次活性化複合体は、Cas13を含み、ケージ化ガイドRNAが使用される。ある場合には、ケージは、ガイド分子の3’末端上にあるが、他の場合には、ケージは、ガイドの5’末端上にある(図1E)。ある場合には、活性化RNAがケージ化される(図1F、戦略1)が、他の場合には、活性化RNAおよび/または増幅因子ガイドがケージ化される(図1F、戦略2)。いずれの場合にも、ケージは、分子の5’末端、3’末端、または5’末端および3’末端に存在しうる。ケージはまた、Csm6による増幅と共に使用される、核酸活性化因子上で使用されうる。
多様な活性化RNAについて、一次活性化因子の存在下または非存在下で調べた。加えて、NCR能を伴わないアッセイもまた、活性化RNA配列および一次活性化複合体を欠く実験(図2における、「二次活性化なし」)で行った。これらの実験では、一次活性化因子と、活性化RNA配列とは、同じであり、対照実験の、下記の表2Aにおける配列R004であった。被験活性化RNAは、全て、増幅経路の、最良の誘導を結果としてもたらし、一次活性化因子の非存在下における活性化を阻止する、ケージ構造を決定するように、異なるケージ化配列へと連結された、同じ配列を含有した。この実験で使用された配列を、下記の表2Aに提示する。注:「ケージなし」の表示は、ケージ構造を欠く核酸を同定する。
Figure 2023527768000003
表示される全ての反応物について、1倍濃度の緩衝液:20mMのHEPES(pH6.8)、50mMのKCL、100ug/mlのBSA、0.01%のIgepalとした。Integrated Detection Technologies(IDT)が、ガイドRNAを合成し、1倍濃度の緩衝液を使用して、5μMの反応物中で、活性化RNAをアセンブルし、サーモサイクラー内、95℃で、3分間にわたり煮沸するのに続き、氷上で速やかに冷却して、フォールディングさせた。1μMのCas13、および0.5μMのcrRNAによる、2:1のタンパク質対crRNA比を使用して、一次活性化RNAをターゲティングするCas13-crRNA複合体と、増幅RNAをターゲティングするCas13-crRNA複合体とを、1倍濃度の緩衝液中、室温で、10分間にわたり、個別にアセンブルした。次いで、ケージ化増幅因子をターゲティングするRNP複合体を、一次活性化因子をターゲティングするRNPと混合し、200nMのRNaseAlert基質(IDT DNA)、20nMの増幅RNA、および変動量の一次活性化因子(1nM~1aM)の存在下で、1倍濃度の緩衝液を使用して、さらに希釈した。最終濃度を50nMとする、一次活性化因子をターゲティングするRNPと、最終濃度を1nM~50nMとする、増幅RNAをターゲティングするRNPを使用した。反応物を、蛍光プレートリーダー内、37℃で、最長120分間インキュベートし、30秒ごとに蛍光を測定した(励起波長:485nm;発光波長:535nm)。
図2に示される通り、査定された、異なる活性化RNA中、NCR_061が、活性化因子の存在下におけるシグナルと、活性化因子を伴わないシグナルとの間で、最大の差違を示した。さらに、NCRシステムは、合成標的配列による検出用シグナルの、一次活性化因子を欠く実験におけるシグナルと比較した、差違増大を示した。NCR_45およびNCR_42は、増幅の非存在下(「一次活性化のみ」)のシグナルと、活性化工程および増幅工程の両方が行われている場合(「ケージ+一次」)のシグナルとの間における、ある程度のシグナル差を示した。NCR_67は、示差的シグナルを呈さなかった。NCR_061は、一次活性化および増幅の両方が行われた場合(「NCR061増幅」)に、一次活性化シグナルのみにより観察可能なデータ(「一次活性化のみ」)から隔たった、迅速な増幅をもたらした。NCR_061増幅経路のみ(「NCR061ケージのみ」)の使用は、活性化+増幅と比較した、シグナルの遅延をもたらした。
図3A~3Dは、時間経過にわたり、4つの被験活性化RNA(NCR_42、NCR_45、NCR_61、およびNCR_67)を使用する実験の結果が、異なる範囲の結果を示したことを示す(図3)。
添加される一次活性化RNP複合体の濃度を変動させることにより、シグナルの、さらなる最適化を行った(図4A)。この実験では、200pMの一次活性化複合体を使用する場合に、時間経過にわたる測定が、迅速なシグナルの発生を示した(図4B)。終了時点において、一次活性化因子のみ、および一次活性化+NCRを使用する増幅について検出されたシグナルは、類似のシグナルを示した(図4C)が、時間経過にわたり測定したところ、一次活性化+NCRによる実験は、より迅速なシグナルの上昇を示した(図4D)。
抗タグ配列を含む活性化RNAについてもまた調べた。一次活性化および活性化RNA単独により駆動されるシグナルが、一次活性化+NCRをはるかに下回るように、抗タグ配列を、NCR_061に組み入れた(図5A~5E)。
代替的ケージ化構造を含むNCR_061配列に基づく活性化RNAをデザインし、これについて調べた。NCR_176活性化RNAは、3つのさらなるポリU配列を含み、NCR_177は、6つのさらなるポリU配列を含む。これらの実験では、Cas12を、一次センシング複合体内で使用する一方で、Cas13を、増幅複合体内で使用した。LbuCas13aを、Cas13構成要素のために使用し、そのトランスRNアーゼ活性による、潜在的な認識および切断の増大のために、ポリU配列の増大を組み入れた。結果(図5A~5E)は、LbuCas13aより、より容易に放出される、ケージ化活性化因子を使用する場合における、シグナルの増大を示す。
別のケージ化増幅crRNAの使用について調べるNCR反応もまた実施した。非ケージ化ガイドおよびケージ化ガイドのための配列のほか、他の被験配列を、下記の表2Bに示す。
Figure 2023527768000004
ケージ化増幅crRNAである、NCR_018の使用は、非ケージ化増幅crRNA NCR_009と比較した、シグナルのブーストを裏付けた(図6A~6Cを参照されたい)。バックグラウンドシグナル(一次活性化因子の非存在下におけるシグナル、およびケージ化増幅crRNAのみによるシグナル)を差し引くと、検出の増大が観察される。
さらに、ケージ化増幅crRNAおよびCas13単独の存在下で観察されるバックグラウンドシグナルを低減しようとする試みにおいて、多様な代替的ケージ化構造についても調べた。例示的結果を、図7に示すが、ここでは、バックグラウンドを差し引いたシグナルの、ある程度の改善が観察された。
ケージ化構造内の、ループのサイズについてもまた調べた。融点の異なるループを含む、ケージ化crRNAについて調べた(図8を参照されたい)。結果は、融点の最も低いケージ構造が、最も迅速なシグナルの発生を示すことを裏付けた。例えば、NCR_038は、融点を34℃とする、14ヌクレオチドの一本鎖ループを含み、非ケージ化活性化RNA(NCR_035)と同様のシグナル動態を裏付けた。この実験では、NCR_039(12ヌクレオチドループ)およびNCR_036(12ヌクレオチドループ)は、緩徐なシグナル動態を裏付けた。
システムでは、トランスケージについてもまた調べた。活性化Cas複合体のトランスヌクレアーゼ活性による潜在的な切断のための、異なる一本鎖領域を含む、いくつかのトランスケージ(表2Bを参照されたい)を、Cas13a crRNAのために合成した。トランスケージは、crRNAと複合体化している場合に、異なる位置において、一本鎖ループを生じさせるように構築した(図9Aを参照されたい)。次いで、トランスケージ分子について、使用されるcrRNAに対する比を変動させて調べた(例えば、20:1、2:1、1:1、および1:2の、トランスケージ:crRNA比)。結果は、2:1、1:1、および1:2の比では、バックグラウンドシグナルが、依然として検出されたので、この実験では、非特異的バックグラウンドシグナルの阻害は、20:1の比の場合に限り検出されることを裏付けた(図9Bを参照されたい)。
[実施例2]
Cas13-ガイドRNA複合体は標的ssRNA配列を認識し、これは、この複合体を、RNA切断のために活性化する。標的ssRNAは、SARS-Co-V2に特異的な配列である。また、汎コロナウイルス特異的(「汎コロナ」)である標的ssRNAにより試行される実験も組み入れる。これらの配列の例を、下記の表3に示す。また、特異的標的配列を同定するのに使用されうる、SARS-CoV-2 N遺伝子およびSARS-CoV-2 E遺伝子の配列も示す。
Figure 2023527768000005
Figure 2023527768000006
SARS-CoV-2ゲノムをターゲティングするCas13aと共に使用するためのガイドRNA(crRNA)を調製する。例示的ガイド配列を、下記の表4に示す。
Figure 2023527768000007
Figure 2023527768000008
Figure 2023527768000009
表4によるガイド配列のサブセット(NCR_273~NCR_282)について調べるために、標準的プロトコールに従うin vitro転写により、一連のガイドRNAを作製する。これらの配列はまた、RPA増幅およびRT-LAMP-T7増幅を可能とするように、T7プロモーター配列も含む。例示的配列(NCR_317~NCR_326)を、表5に示すが、表中、下線を付した部分は、T7プロモーター配列を同定する。加えて、また、システムについて調べるように、合成の一次活性化配列または標的配列も作出する。表5によるガイドRNAについて調べるのに使用される例示的配列(NCR_327~NCR_336)を、表6に示す。
Figure 2023527768000010
Figure 2023527768000011
実施例1で記載された条件下で、合成一次活性化配列と、合成crRNAとを使用して、in vitroにおいて、実験を実施し、NCRシステムが、一次活性化配列を検出することを裏付ける。
場合によって、特異的活性化複合体(例えば、Cas13を含む)による切断前のレポーターオリゴを保護するケージ化構造を含む、修飾レポーター分子を使用する。例示的配列を、下記の表7に示す。「/56-FAM」とは、5’側6-FAM(フルオレセイン)分子を意味し、「/3IABkFQ」とは、3’側Iowa Black(登録商標)FQ消光剤(IDT)である。配列は、本発明の方法および組成物と共に使用され、バックグラウンドシグナルの低減を呈する。
Figure 2023527768000012
合成試薬を使用するシステムの実証後、標準的プロトコールに従い、患者試料を処理する。例えば、健常ドナーおよび患者から、鼻咽頭スワブを収集する。一部の実施形態では、唾液試料を得る。Qiagen DSP Viral RNA Miniキット(Qiagen)、およびMagNA Pure 24測定器(Roche Life Science)を使用して、CDC EUA承認プロトコール(Centers for Disease Control and Prevention. Real-time RT-PCR Panel for 検出 2019-nCoV(US Centers for Disease Control and Prevention、2020);インプット:120μl、溶出:120μl)に記載される指示に従い、試料RNAofSARS-CoV-2を抽出する。場合によって、患者スワブを、特異的ウイルス不活化緩衝液(例えば、DNA/RNA Shield(Zymo Research)、またはQuickExtract(商標)(Lucigen))、または輸送用緩衝液(例えば、PBS-Azide)へと挿入する。Cas13センサー複合体の初期相互作用は、NCRイベントを誘発する、ケージ化活性化因子またはケージ化ガイド分子の切断イベントをもたらす。ここで、Csm6のための、A活性化配列を、ウラシルにより挟まれた、増幅Cas酵素の、ケージ化crRNA内のヘアピンループに組み入れる。
Cas13による、ループ上のさらなる切断イベントは、A>Pを遊離させ、これが、TtCsm6に結合し、RNアーゼ活性を活性化する。活性化の後、Csm6は、検出用標識、ならびに残存する、任意の、非ケージ化crRNAの一本鎖ヘアピンループ、の両方を切断し、NCRを、さらに活性化する。
DNA標的を検出するために、Cas13ではなくCas12のケージ化crRNA内に存在するフランキングUを伴うA配列を使用して、同様の実験を実施する。
検出用標識は、F/Qレポーターでありうる。使用される蛍光レポーターは、AまたはCを含みうるが、また、Cas13(U)またはCas12(デオキシヌクレオチド)の活性に必要な、さらなるヌクレオチドも有しうる。この戦略はまた、ケージ化crRNA内のヘアピンループの、Aの数を、4から6へと変化させることにより、表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)Csm6(SeCsm6)など、A>Pに応答するCsm6相同体によっても使用されうるであろう。
[実施例3]
本発明の方法および組成物と共に使用されうるタンパク質の配列である。
Cas13a配列
LshCas13a:WP_018451595.1(Abudayyeh,O.O., (2016) Science 353 (6299), aaf5573)
Figure 2023527768000013
LwaCas13a:WP_021746774.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000014
LseCas13a:WP_012985477.1(Liu, L. et al (2017) Cell 170 (4), 714-726)
Figure 2023527768000015
LbmCas13a:WP_044921188.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000016
LbnCas13a:WP_022785443.1(Liu, L. et al, Cell 170 (4), 714-726)
Figure 2023527768000017
CamCas13a:WP_031473346.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000018
CgaCas13a:WP_034560163.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000019
Cga2Cas13a:WP_034563842.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000020
PprCas13a:WP_013443710.1(Liu, L. et al, Cell 170 (4), 714-726)
Figure 2023527768000021
LweCas13a:WP_036059185.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000022
LneCas13a:WP_036091002.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000023
Lwa2Cas13a:WP_021746774.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000024
RcsCas13a:WP_013067728.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000025
RcrCas13a:WP_023911507.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000026
RcdCas13a:WP_023911507.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000027
LbuCas13a:WP_015770004(Liu, L. et al, Cell 170 (4), 714-726)
Figure 2023527768000028
RcaCas13a:ETD76934.1(Ding, H. et al (2014) Genome Announc 2 (1), e00050-14)
Figure 2023527768000029
EreCas13a:WP_055061018.1(仮説的タンパク質)
Figure 2023527768000030
HheCas13a:CRZ35554.1 (Daniel Wibbergによる直接的寄託)
Figure 2023527768000031
LbaCas13a:WP_022785443.1(Liu, L. et al, Cell 170 (4), 714-726)
Figure 2023527768000032
Cas13d
[エウバクテリウム・]シレウム([Eubacterium]siraeum)DSM 15702株によるESCas13d
Figure 2023527768000033
非培養型ルミノコッカス属(Ruminococcus)種によるURCas13d(PDB:6IV9_A)
Figure 2023527768000034
Cas12a配列
ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)菌(LbCas12a)
Figure 2023527768000035
アシドアミノコッカス属(Acidaminococcus)種BV3L6株(Cas12a)
Figure 2023527768000036
フランシセラ・ノビシダ(Francisella novicida)(FnCas12a)
Figure 2023527768000037
ポルフィロモナス・マカセ(Porphyromonas macacae)Cas12a
Figure 2023527768000038
モラクセラ・ボウォクリ(Moraxella bovoculi)237株Cas12a
Figure 2023527768000039
チオミクロスピラ属(Thiomicrospira)種XS5株Cas12a
Figure 2023527768000040
ブチリビブリオ属(Butyrivibrio)種NC3005株Cas12a
Figure 2023527768000041
ブルミミクロビウム・アウランティアクム(Brumimicrobium aurantiacum)Cas12a
Figure 2023527768000042
ポルフィロモナス・クレビオリカニス(Porphyromonas crevioricanis)Cas12a
Figure 2023527768000043
フランシセラ・トゥラレンシス(Francisella tularensis)Cas12a(FtCas12a)
Figure 2023527768000044
エウバクテリウム・ウェントゥリオースム(Eubacterium ventriosum)Cas12a
Figure 2023527768000045
Cas12b配列
アィシクロバチルス・アシドデレストリス(Alicyclobacillus acidoterrestris)Cas12b
Figure 2023527768000046
アィシクロバチルス・カケガウェンシス(Alicyclobacillus kakegawensis)Cas12b
Figure 2023527768000047
アィシクロバチルス・マクロスポランギイドゥス(Alicyclobacillus macrosporangiidus)Cas12b
Figure 2023527768000048
アィシクロバチルス・エスペリドゥム(Alicyclobacillus hesperidum)Cas12b
Figure 2023527768000049
スルフォバチルス・テルモトレランス(Sulfobacillus thermotolerans)Cas12b
Figure 2023527768000050
Cas12c(c2c3)配列
Cas12c1(Yan et al (2019) Science Vol. 363, Issue 6422, pp. 88-91を参照されたい)
Figure 2023527768000051
Cas12c2(Yan et al (2019) Science Vol. 363, Issue 6422, pp. 88-91を参照されたい)
Figure 2023527768000052
Cas12c3(Yan et al (2019) Science Vol. 363, Issue 6422, pp. 88-91を参照されたい)
Figure 2023527768000053
Cas12d(CasY)配列
カタノバクテリア群(Katanobacteria)候補Cas12d(CasY.1):MOEH01000029
Figure 2023527768000054
フォーゲルバクテリア群(Vogelbacteria)候補Cas12d(CasY.2):MOEJ01000028
Figure 2023527768000055
フォーゲルバクテリア群(Vogelbacteria)候補Cas12d(CasY.3):MOEK01000006
Figure 2023527768000056
パルクバクテリア群(Parcubacteria)候補Cas12d(CasY.4):KY040242
Figure 2023527768000057
コメイリバクテリア群(Komeilibacteria)候補Cas12d(CasY.5):MOEI01000022
Figure 2023527768000058
ケルフェルトバクテリア群(Kerfeldbacteria)候補Cas12d(CasY.6):MHKD01000036
Figure 2023527768000059
Cas12e(CasX)
>デルタプロテオバクテリア(Deltaproteobacteria)綱細菌(GWA2_43_19)Cas12e1(CasX1)
Figure 2023527768000060
>プランクトミケス(Planctomycetes)門細菌Cas12e(CasX2)
Figure 2023527768000061
>Cas12e3(CasX3)
Figure 2023527768000062
Cas12J
Cas12J_1947455
Figure 2023527768000063
Cas12J_2071242
Figure 2023527768000064
Cas12J_1973640
Figure 2023527768000065
Cas12J_3339380
Figure 2023527768000066
Cas12J_10037042_3
Figure 2023527768000067
Cas12J_10020921_9
Figure 2023527768000068
Cas12J_10000002_47
Figure 2023527768000069
Cas12J_10100763_4
Figure 2023527768000070
Cas12J_10004149_10
Figure 2023527768000071
Cas12J_10000724_71
Figure 2023527768000072
Cas12J_1000001_267
Figure 2023527768000073
Cas12J_10000286_53
Figure 2023527768000074
Cas12J_10001283_7
Figure 2023527768000075
Cas12J_1000002_112
Figure 2023527768000076
Cas12J_10000506_8
Figure 2023527768000077
Cas12J_1000007_143
Figure 2023527768000078
Cas12J_3877103_16
Figure 2023527768000079
Cas12J_877636_12
Figure 2023527768000080
Cas12L配列
>Cas12L_1_257905508
Figure 2023527768000081
>Cas12L_2_196848753
Figure 2023527768000082
>Cas12L_3_66741167
Figure 2023527768000083
>Cas12L_4_67031163
Figure 2023527768000084
>Cas12L_5_67793351
Figure 2023527768000085
>Cas12L_9_68454124
Figure 2023527768000086
>Cas12L_10_68605313
Figure 2023527768000087
>Cas12L_13_69733214
Figure 2023527768000088
>Cas12L_15_70724743
Figure 2023527768000089
>Cas12L_16_70731038
Figure 2023527768000090
>Cas12L_17_70959391
Figure 2023527768000091
>Cas12L_18_71078086
Figure 2023527768000092
>Cas12L_22_71456687
Figure 2023527768000093
>Cas12L_23_71708971
Figure 2023527768000094
Cas14a配列
>Cas14a.1|rifcsphigho2_02_scaffold_2167_curated|30296..31798|revcom
Figure 2023527768000095
>Cas14a.2|gwa2_scaffold_18027_curated|7105..8628
Figure 2023527768000096
>Cas14a.3|gwa1_scaffold_1795_curated|25635..27224|revcom
Figure 2023527768000097
>Cas14a.4|CG10_big_fil_rev_8_21_14_0.10_scaffold_20906_curated|649..2829
Figure 2023527768000098
>Cas14a.5|rifcsplowo2_01_scaffold_34461_curated|4968..6521
Figure 2023527768000099
>Cas14a.6|3300012359.a|Ga0137385_10000156|41289..42734
Figure 2023527768000100
Cas14b配列
>Cas14b.10|CG08_land_8_20_14_0.20_scaffold_1609_curated|6134..7975
Figure 2023527768000101
>Cas14b.11|CG_4_10_14_0.8_um_filter_scaffold_20762_curated|1372..3219
Figure 2023527768000102
>Cas14b.12|CG22_combo_CG10-13_8_21_14_all_scaffold_2003_curated|553..2880|revcom
Figure 2023527768000103

>Cas14b.13|rifcsphigho2_01_scaffold_82367_curated|1523..3856|revcom
Figure 2023527768000104
>Cas14b.14|gwc1_scaffold_8732_curated|2705..4537
Figure 2023527768000105
>Cas14b.15|3300010293.a|Ga0116204_1008574|2134..4032
Figure 2023527768000106
>Cas14b.16|3300005573.a|Ga0078972_1001015a|33750..35627
Figure 2023527768000107
>Cas14b.1|rifcsplowo2_01_scaffold_239_curated|54653..56257
Figure 2023527768000108
>Cas14b.2|rifcsplowo2_01_scaffold_282_curated|77370..78983
Figure 2023527768000109
>Cas14b.3|rifcsphigho2_01_scaffold_36781_curated|2592..4217
Figure 2023527768000110
>Cas14b.4|cg1_0.2_scaffold_785_c_curated|32521..34155
Figure 2023527768000111
>Cas14b.5|rifcsphigho2_02_scaffold_55589_curated|1904..3598
Figure 2023527768000112
>Cas14b.6|CG03_land_8_20_14_0.80_scaffold_2214_curated|6634..8466|revcom
Figure 2023527768000113
>Cas14b.7|3300013125.a|Ga0172369_10000737|994..2652|revcom
Figure 2023527768000114
>Cas14b.8|3300013125.a|Ga0172369_10010464|885..2489|revcom
Figure 2023527768000115
>Cas14b.9|3300013127.a|Ga0172365_10004421|633..2366|revcom
Figure 2023527768000116
Cas14c配列
>Cas14c.1|CG10_big_fil_rev_8_21_14_0.10_scaffold_4477_curated|19327..20880|revcom
Figure 2023527768000117
>Cas14c.2|3300001245.a|JGI12048J13642_10201286|4257..5489|revcom
Figure 2023527768000118
Cas14d配列
>Cas14d.1|RIFCSPHIGHO2_01_FULL_CPR_46_36_rifcsphigho2_01_scaffold_646_curated|49808..51616|revcom
Figure 2023527768000119
>Cas14d.2|rifcsphigho2_01_scaffold_10981_curated|5762..7246|revcom
Figure 2023527768000120
>Cas14d.3|RIFCSPLOWO2_01_FULL_OD1_45_34b_rifcsplowo2_01_scaffold_3495_curated|25656..27605|revcom
Figure 2023527768000121
Cas14e配列
>Cas14e.1|rifcsphigho2_01_scaffold_566_curated|113069..114313
Figure 2023527768000122
>Cas14e.2|rifcsplowo2_01_scaffold_81231_curated|976..2217
Figure 2023527768000123
>Cas14e.3|rifcsphigho2_01_scaffold_4702_curated|82881..84230|revcom
Figure 2023527768000124
Cas14f配列
>Cas14f.1|rifcsp13_1_sub10_scaffold_3_curated|38906..41041
Figure 2023527768000125
>Cas14f.2|3300009991.a|Ga0105042_100140|1624..3348
Figure 2023527768000126
Cas14g配列
>Cas14g.1|RBG_13_scaffold_1401_curated|15949..18180
Figure 2023527768000127
>Cas14g.2|3300009652.a|Ga0123330_1010394|2814..5123
Figure 2023527768000128
Cas14h配列
>Cas14h.1|3300005602.a|Ga0070762_10001740|7377..9071|revcom
Figure 2023527768000129
>Cas14h.2|3300005921.a|Ga0070766_10011912|384..2081
Figure 2023527768000130
>Cas14h.3|3300009698.a|Ga0116216_10000905|8005..9504
Figure 2023527768000131
Cas14i配列
>Ga0066868_100162752
Figure 2023527768000132
>PhageCas14_SR-VP_2-4_scaffold_141_2548329_92
Figure 2023527768000133
>PhageCas14_SR-VP_4-6_scaffold_141_3640689_5
Figure 2023527768000134
Cas14J配列
>PhageCas14J_k87_9374247_16
Figure 2023527768000135
>PhageCas14J_LacPavin_0818_WC40_scaffold_407201_205
Figure 2023527768000136
>PhageCas14J_BML_08042016_6_5m_scaffold_18_prodigal-single_54
Figure 2023527768000137
>Ga0194119_1000113823
Figure 2023527768000138
>Ga0116197_10005458
Figure 2023527768000139
>Ga0116179_10426881
Figure 2023527768000140
>Ga0268285_10062095
Figure 2023527768000141
Cas14K配列
>PhageCas14_RifSed
Figure 2023527768000142
>PhageCas14_16ft_4_scaffold_2_465_16ft_4_Phage_29_13
Figure 2023527768000143
>Ga0116179_10109322
Figure 2023527768000144
>Ga0116179_10465782
Figure 2023527768000145
>Ga0134101_10165752
Figure 2023527768000146
>Ga0066665_100815632
Figure 2023527768000147
>Ga0224523_10070512
Figure 2023527768000148
>Ga0247839_10583994
Figure 2023527768000149
Cas14u配列
>Cas14u9|PhageCas14|LacPavin_0818_WC55_scaffold_56344_prodigal-single_16
Figure 2023527768000150
>Cas14u10|Ga0153798_100522201
Figure 2023527768000151
>Cas14u_VU_u11|rifcsplowo2_12_scaffold_23_prodigal-single_23
Figure 2023527768000152
>Cas14u_VU_u12|SR-VP_4-6_scaffold_141_2630357_509
Figure 2023527768000153
>Cas14u_VU_u13|gwd1_scaffold_1554_3
Figure 2023527768000154
>Cas14u_VU_u14|pig_F100_scaffold_13388_4
Figure 2023527768000155
>Cas14u_VU_u15|pig_ID_3640_F65_scaffold_73762_2
Figure 2023527768000156
>Cas14u_VU_u16|pig_ID_1851_F40_2_scaffold_55126_1
Figure 2023527768000157
>Cas14u_VU_u17|pig_ID_3784_F96_scaffold_13509_10
Figure 2023527768000158
>Cas14u_VU_u18|SRR1747065_scaffold_28
Figure 2023527768000159
>Cas14u.1|3300009029.a|Ga0066793_10010091|37..1113|revcom
Figure 2023527768000160
>Cas14u.2|3300002172.a|JGI24730J26740_1002785|496..1605|revcom
Figure 2023527768000161
>Cas14u.3|19ft_2_nophage_noknown_scaffold_0_curated|508188..509648
Figure 2023527768000162
>Cas14u.4|rifcsp2_19_4_full_scaffold_168_curated|84455..85657
Figure 2023527768000163
>Cas14u.5|3300012532.a|Ga0137373_10000316|3286..5286
Figure 2023527768000164
>Cas14u.6|3300006028.a|Ga0070717_10000077|54519..56201|revcom
Figure 2023527768000165
>Cas14u.7|3300001256.a|JGI12210J13797_10004690|5792..7006
Figure 2023527768000166
>Cas14u.8|3300005660.a|Ga0073904_10021651|765..1943
Figure 2023527768000167

Claims (37)

  1. i)検出用標識を含み、レポーター分子が切断されると、前記検出用標識が、検出のために放出される、レポーター分子;
    ii)第1の認識複合体を含む一次活性化複合体;および
    iii)不活性の二次複合体
    を含む核酸検出システムであって、
    a)前記第1の認識複合体が、試料中の、1つまたは複数の一次活性化因子を認識し;
    b)前記一次活性化因子を認識すると、前記一次活性化複合体が、活性化され、前記検出用標識を放出させるように、前記レポーター分子に作用することが可能であり;
    c)活性化シグナル増幅因子となるように第2の認識複合体を活性化するように、前記活性化一次活性化複合体が、不活性の第2の認識複合体の構成要素に作用することが可能であり;
    d)前記活性化シグナル増幅因子が、前記検出用標識を放出させるように、前記レポーター分子に作用することが可能であり;
    e)フィード-フォワードループが開始されるよう、活性化シグナル増幅因子となるように前記第2の認識複合体を活性化するように、前記活性化シグナル増幅因子が、不活性の第2の認識複合体の構成要素に作用することが可能である、
    核酸検出システム。
  2. 検出用標識を含み、レポーター分子が切断されると、前記検出用標識が、検出のために放出される、レポーター分子;
    第1のガイドRNAによりプログラム化された、第1のCasエフェクター酵素を含み、前記第1のガイドRNAが、試料中の、1つまたは複数の一次活性化因子を認識し、前記第1のガイドRNAの、前記一次活性化因子へのハイブリダイゼーション時に、一次活性化複合体が、活性化され、前記レポーター分子を切断し、前記検出用標識を放出する非特異的ヌクレアーゼである一次活性化複合体;ならびに
    第2のCasエフェクター酵素と、第2のガイドRNAとを含み、前記一次活性化複合体の活性化が、前記第2のガイドRNAにより認識される、1つまたは複数の活性化配列の前記活性化を結果としてもたらし、前記第2のガイドRNAの、前記活性化配列へのハイブリダイゼーション時に、シグナル増幅複合体が、活性化され、前記レポーター分子を切断し、前記検出用標識を放出する非特異的ヌクレアーゼである、シグナル増幅因子
    を含む核酸検出システム。
  3. 第1のCasエフェクター酵素、および/または第2のCasエフェクター酵素が、活性化された場合に、非特異的RNアーゼおよび/または非特異的DNアーゼを含む、請求項1に記載の核酸検出システム。
  4. 前記第1のCasエフェクター酵素、および/または第2のCasエフェクター酵素が、1つもしくは複数のCas13タンパク質、1つもしくは複数のCas12タンパク質、1つもしくは複数のCas14タンパク質、1つもしくは複数のCsm6タンパク質、および/または1つもしくは複数のCsx1タンパク質、任意選択で、配列番号115~268のうちのいずれか1つに示される、1つまたは複数のタンパク質を含む、請求項1から3のいずれかに記載の核酸検出システム。
  5. 前記第1のCasエフェクター、および/または第2のCasエフェクターが、1つまたは複数のCas13タンパク質、任意選択で、配列番号115~135のうちのいずれか1つに示される、1つまたは複数のCas13タンパク質を含む、請求項1から4のいずれかに記載の核酸検出システム。
  6. 前記第1のCasエフェクター、および/または第2のCasエフェクターが、1つまたは複数のCas13dタンパク質を含む、請求項1から5のいずれかに記載の核酸検出システム。
  7. 前記第1のCasエフェクター、および/または第2のCasエフェクターが、1つもしくは複数のCas12タンパク質、1つもしくは複数のCas13タンパク質、1つもしくは複数のCas14タンパク質、および/または1つもしくは複数のCsm6タンパク質を、任意の組合せで含む、請求項1から6のいずれかに記載の核酸検出システム。
  8. 前記第1のCasエフェクター酵素、および第2のCasエフェクター酵素が、同じタンパク質または異なるタンパク質のうちの1つまたは複数を含む、請求項1から7のいずれかに記載の核酸検出システム。
  9. 前記第1のガイドRNA、および/または第2のガイドRNAが、1つまたは複数の定常領域を含む、請求項2から8のいずれか一項に記載の核酸検出システム。
  10. 前記第1のガイドRNA、および第2のガイドRNAが、独立に、配列番号42~85のいずれか1つに明示された配列から選択される、請求項2から9のいずれか一項に記載の核酸検出システム。
  11. 前記レポーター分子が、前記検出用標識に作動可能に連結された消光剤を含み、任意選択で、前記検出用標識が、1つまたは複数の蛍光分子を含む、請求項1から10のいずれかに記載の核酸検出システム。
  12. 前記レポーター分子が、前記消光剤と、フルオロフォアとを連結するオリゴヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドが、任意選択で、ステムループ構造を有するか、または引き起こすケージ化構造を含む、請求項1から11のいずれかに記載の核酸検出システム。
  13. 前記レポーター分子が、任意選択でステムループ構造を有するか、または引き起こすトランスケージ分子と複合体化している、請求項1から12のいずれかに記載の核酸検出システム。
  14. 前記検出用標識が、1つまたは複数の蛍光染料を含む、請求項1から13のいずれかに記載の核酸検出システム。
  15. 前記活性化複合体が、ケージ化されており、任意選択で、ステムループ構造を有するか、または引き起こす、請求項1から14のいずれかに記載の核酸検出システム。
  16. 前記活性化複合体が、オリゴヌクレオチド配列をさらに含み、前記オリゴヌクレオチド配列が、修飾ヌクレオチド塩基を含む、請求項1から15のいずれかに記載の核酸検出システム。
  17. 前記活性化複合体が、オリゴヌクレオチド配列をさらに含み、前記オリゴヌクレオチド配列が、RNA塩基およびDNA塩基の両方を含む、請求項1から16のいずれかに記載の核酸検出システム。
  18. 前記ガイドRNAが、ケージ化されており、任意選択で、ステムループ構造を有するか、または引き起こす、請求項1から17のいずれかに記載の核酸検出システム。
  19. 増幅配列のうちの1つもしくは複数、および/または前記ガイドRNAの一方もしくは両方が、ケージ化されており、任意選択で、前記ケージが、ループ構造など、1つまたは複数の構造、ならびに/あるいは1つもしくは複数のロックト核酸(LNA)もしくは部分、および/または2’-OMe RNAを含む、増幅配列のうちの1つまたは複数に対する修飾を含むか、または引き起こす、請求項1から18のいずれかに記載の核酸検出システム。
  20. 増幅配列のうちの1つまたは複数が、それらの3’末端および/または5’末端において、ケージ化構造を含む、請求項1から19のいずれかに記載の核酸検出システム。
  21. トランスケージ化分子をさらに含む、請求項1から20のいずれかに記載の核酸検出システム。
  22. 前記第1のガイドRNA、および第2のガイドRNAの一方もしくは両方、ならびに/または増幅配列のうちの1つもしくは複数が、最適の時間枠において、前記Casエフェクター酵素との条件付き相互作用を可能とするように修飾されている、請求項1から21のいずれかに記載の核酸検出システム。
  23. 前記1つまたは複数の増幅配列が、ポリU配列および/またはポリA配列、任意選択で、A-U、A-U、およびA-U配列を含む、請求項1から22のいずれかに記載の核酸検出システム。
  24. 標的配列および/または増幅配列が、第1のガイドRNAおよび/または第2のガイドRNAに対して、100%相補性である、請求項1から23のいずれかに記載の核酸検出システム。
  25. 前記標的配列および/または増幅配列が、第1のガイドRNAおよび/または第2のガイドRNAに対して、100%相補性ではない、請求項1から24のいずれかに記載の核酸検出システム。
  26. 前記標的配列が、1つまたは複数の哺乳動物、ウイルス、細菌、または真菌に由来するDNAまたはRNAである、請求項1から25のいずれかに記載の核酸検出システム。
  27. 前記標的配列が、RNAウイルス中に存在する、請求項1から26のいずれかに記載の核酸検出システム。
  28. 前記標的配列が、コロナウイルス中、任意選択で、SARS-Cov-2コロナウイルス中に存在する、請求項1から27のいずれかに記載の核酸検出システム。
  29. 前記試料が、生体試料または環境試料である、請求項1から28のいずれかに記載の核酸検出システム。
  30. 前記生体試料が、個体から回収された、血液、唾液、尿、生検、血漿、血清、気管支肺胞洗浄液、痰、糞便試料、脳脊髄液、細針吸引物、口腔スワブ、子宮頸部スワブ、鼻腔スワブ、間質液、滑液、鼻漏、涙液、軟膜、粘膜試料、または上皮細胞試料を含む、請求項1から29のいずれかに記載の核酸検出システム。
  31. 前記試料が、無細胞液体試料を含む、請求項1から30のいずれかに記載の核酸検出システム。
  32. 前記試料が、無細胞液体環境試料を含む、請求項1から31のいずれかに記載の核酸検出システム。
  33. 前記試料が、細胞を含む液体を含む、請求項1から32のいずれかに記載の核酸検出システム。
  34. 試料中の標的配列を検出する方法であって、
    (a)前記標的配列を含むことが疑われる試料を、
    (i)請求項1から33のいずれかに記載の核酸検出システム
    と接触させるステップと、
    (b)検出用標識からの検出用シグナルを測定し、これにより、前記標的配列を検出するステップと
    を含む方法。
  35. 前記検出用標識のレベルを定量するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
  36. 接触させるステップが、in vitroまたはin vivoにおける、無細胞環境内または細胞内において、二価金属イオンの存在下で実行される、請求項34または35に記載の方法。
  37. 接触させるステップが、数秒間~2時間である、請求項34から36のいずれかに記載の方法。
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