JP2023525219A - タンパク質-アルギニンデイミナーゼ1(pad1)自己抗原を使用する関節リウマチの診断及び評価のための組成物及び方法 - Google Patents

タンパク質-アルギニンデイミナーゼ1(pad1)自己抗原を使用する関節リウマチの診断及び評価のための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、関節リウマチ(RA)患者における診断及び予後情報に関する臨床バイオマーカーとしての、PADタンパク質、例えばPAD1、又はPAD1及びPAD4、又はその抗原断片の使用に関する。本開示はさらに、生物学的サンプル中のPADタンパク質、例えば抗PAD1、又は抗PAD1及び抗PAD4に対する自己抗体の検出のための方法及び組成物を提供する。

Description

[0001] 本出願は、その全体が参照により本明細書に援用される2020年5月15日出願の米国特許仮出願第63/025,854号による利益を主張する。
[0002] 本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に援用される配列表を含む。2021年5月14日に作成された前記ASCIIコピーは、13510-039-228_SL.txtと命名され、サイズが336,532バイトである。
1.分野
[0003] 本開示は一般に、分子及び細胞生物学及び免疫学の分野に関し、より詳細には、関節リウマチ(RA)患者の血清中の1つ以上のPADタンパク質、例えばPAD1、又はPAD1及び他のPADタンパク質の組み合わせ、又はその抗原断片に対する自己抗体を検出する方法に関する。RAを有するか又は有することが疑われる患者を診断する方法も本明細書で提供される。
2.背景
[0004] 関節リウマチ(RA)は、炎症、疼痛、及び滑膜で裏打ちされた関節へのその後の損傷を特徴とする慢性自己免疫疾患である。他の関節炎状態とは異なり、RAは、心臓血管系、呼吸器系及び筋系を含むがこれらに限定されない他の器官系に影響を及ぼし得る全身疾患である。疾患の正確な病因は不明であるが、RAは、免疫系による自己タンパク質(自己抗体)に対する抗体の産生を特徴とする。RAに関与する最も一般的な自己抗体は、リウマチ因子(RF)及び抗シトルリン化タンパク質抗体(ACPA)を含み、これらは、この疾患の分類基準の一部である。ACPAは、RA患者において検出される血清学的因子の中で顕著な特徴であり、したがって有用な診断マーカー及び予後マーカーとして役立つ。(例えば、Aletaha D. et al., Ann. Rheum. Dis. 2010, 69, 1580-1588; Taylor et al., Autoimmune Dis; 2011:815038 (2011)参照)。しかしながら、RAの臨床的不均一性は、信頼できるバイオマーカーとしてのACPA及びRF単独の使用を排除する。びらん性疾患を有する患者は、関節損傷を予防するために、疾患の初期段階においてより積極的な治療を必要とする。RA及び疾患進行の患者を特異的に同定する、より正確なバイオマーカーが必要とされる。
[0005] タンパク質-アルギニンデイミナーゼ(PAD)は、シトルリン化として知られるプロセスであるシトルリンへのアルギニン残基の変換を介して、RAにおいて自己抗原を生成する際に中心的な役割を果たすカルシウム依存性酵素である。ACPA及びRFの他に、PAD酵素を標的とする自己抗体もRAに記載されている(例えばTakizawa et al., Scand. J. Rheumatol. 3: 212-215 (2005); Roth et al., Clin. Exp. Rheumatol. 1: 12-18 (2006); Halvorsen et al., Ann. Rheumatol. Dis. 67:414-417 (2008); Zhao et al., J. Rheumatol., 35:969-974 (2008); Darrah et al., Sci. Trans. Med., 5(186):186ra65 (2013); Darrah et al., Front. Immunol., 9:2696 (2018)参照)。したがって、PADは、RA病因において中心的な役割を果たすようである。
[0006] PADファミリーの合計5つのメンバー:PAD1、2、3、4、及び6がヒトにおいて報告されている。5つのPADタンパク質の中で、PAD2及びPAD4は、関節リウマチ(RA)の病因において中心的な役割を果たすことが知られており、PAD3と共に、それらも抗原標的として同定されている(例えば、Curran, A.M., et al., Nature Reviews Rheumatology, 2020; Darrah, E., et al., Ann Rheum Dis, 2012. 71(1): p. 92-8参照)。特に、特に、PAD4(抗PAD4)に対する抗体の検出は、疾患の重症度のマーカー及びより悪いベースラインのX線画像の関節損傷を有する患者と関連しており(例えば、Darrah E, et al. J Rheumatol., 46:329-330 (2019)参照)、一方、PAD2(抗PAD2)に対する抗体の検出は、RAにおけるより少ない腫脹関節及びより少ない間質性肺疾患(ILD)と関連している(例えば、Darrah et al., Front. Immunol., 9:2696 (2018)参照)。
[0007] 抗PAD4の検出はRAと強く関連し、およそ96%の特異性を有するが、PAD4抗体は、通常、20~45%の有病率でRA患者のサブグループに見出される(例えば、Ren J., et al., Clinical rheumatology, 36:2431-2438 (2017)参照)。抗PAD2の検出は、一般に、抗PAD4と関連せず、RA患者の約18.5%に見られる。したがって、RAの診断及び疾患進行の評価のためのさらなるバイオマーカーに対する満たされていない必要性が存在する。本開示は、この必要性を満たし、関連する利点も提供する。
3.概要
[0008] 一態様において、関節リウマチ(RA)の診断方法が本明細書で提供され、該方法は:(a)RAを有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、(b)少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片と反応性の自己抗体の存在を検出することと、を含み、前記自己抗体の存在はRAを示し、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む。
[0009] 特定の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1又はその抗原断片である。他の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1及びPAD4又はその抗原断片である。
[0010] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質はさらに、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片からなる群から選択される1つ以上のPADタンパク質を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、及びPAD2又はその抗原断片である。他の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、及びPAD3又はその抗原断片である。さらなる実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、PAD2、及びPAD3又はその抗原断片である。尚さらなる実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片である。
[0011] 関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法も本明細書で提供され、該方法は:(a)RAを有するか又は有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、(b)少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片と反応性の自己抗体の存在を検出することと、を含み、前記自己抗体の存在は、疾患進行を示し、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む。
[0012] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1又はその抗原断片である。他の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1及びPAD4又はその抗原断片である。特定の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質はさらに、PAD3又はその抗原断片を含む。いくつかの実施形態では、前記自己抗体の存在は、RAステージを示す。
[0013] 本開示はまた、関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法を提供し、該方法は:(a)RAを有する対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、(b)少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片に結合した自己抗体の非存在を検出することと、を含み、前記自己抗体の非存在は、疾患進行を示し、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む。
[0014] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1又はその抗原断片である。他の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1及びPAD4又はその抗原断片である。特定の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質はさらに、PAD3又はその抗原断片を含む。いくつかの実施形態では、前記自己抗体の存在は、RAステージを示す。
[0015] 本開示のいくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、全血、血清、血漿滑液又は痰を含む。特定の実施形態では、生物学的サンプルは、血清又は血漿を含む。
[0016] 本開示のいくつかの態様では、抗原断片は、6~120、12~100、18~80、24~60、30~50又は35~45アミノ酸残基を含む。
[0017] いくつかの実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、天然源からの単離、化学合成又は組換え発現を含む方法によって得られる。特定の実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、化学合成によって得られる。
[0018] 本明細書で提供されるように、いくつかの実施形態では、検出は、イムノアッセイを含む。特定の実施形態では、イムノアッセイは、蛍光免疫吸着アッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、多重イムノアッセイ、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイ、固相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)、間接免疫蛍光アッセイ(IIF)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、粒子ベースの多分析物試験(PMAT)、及びドットブロットアッセイからなる群から選択される。
[0019] いくつかの実施形態では、検出は、PADタンパク質又はその抗原断片に結合した前記自己抗体を、検出プローブと接触させることを含む。特定の実施形態では、検出プローブは、前記自己抗体に結合する。いくつかの実施形態では、検出プローブは、抗体又はその機能性断片を含む。他の実施形態では、検出プローブは、レポータータグを含む。
[0020] 特定の実施形態では、レポータータグは標識である。特定の実施形態では、標識は、フルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される。
[0021] いくつかの実施形態では、標識は蛍光標識である。特定の実施形態では、蛍光標識はフィコエリトリン(PE)である。
[0022] いくつかの実施形態では、レポータータグは、リガンド又は粒子を含む。特定の実施形態では、リガンドはビオチンである。いくつかの実施形態では、粒子は、ナノ粒子を含む。
[0023] PADタンパク質に特異的な自己抗体を補足することができる少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質、又はその抗原断片;前記自己抗体を認識する検出プローブ、及び固体支持体を含む検出キットが本明細書で提供され、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む。
[0024] 特定の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1又はその抗原断片である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1及びPAD4又はその抗原断片である。
[0025] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質はさらに、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片からなる群から選択される1つ以上のPADタンパク質を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、及びPAD2又はその抗原断片である。他の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、及びPAD3又はその抗原断片である。さらなる実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、PAD2、及びPAD3又はその抗原断片である。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片である。
[0026] いくつかの実施形態では、キットはさらに、標識を含む。いくつかの実施形態では、標識は、フルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される。
[0027] いくつかの実施形態では、キットはさらに、陽性対照を含む。
[0028] いくつかの実施形態では、キットはさらに、1つ以上の補助試薬を含む。特定の実施形態では、1つ以上の補助試薬は、インキュベーション緩衝液、洗浄緩衝液、検出緩衝液及び検出器具からなる群から選択される。
[0029] いくつかの実施形態では、抗原断片は、6~120、12~100、18~80、24~60、30~50又は35~45アミノ酸残基を含む。
[0030] いくつかの実施形態では、検出プローブは、抗体又はその機能性断片を含む。他の実施形態では、検出プローブは、レポータータグを含む。特定の実施形態では、レポータータグは標識である。いくつかの実施形態では、標識は、フルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される。
[0031] いくつかの実施形態では、標識は蛍光標識である。特定の実施形態では、蛍光標識はフィコエリトリン(PE)である。
[0032] いくつかの実施形態では、レポータータグは、リガンド又は粒子を含む。特定の実施形態では、リガンドはビオチンである。いくつかの実施形態では、粒子は、ナノ粒子を含む。
[0033] いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管からなる群から選択される。特定の実施形態では、ビーズ、球体又は粒子は、約0.1~約100マイクロメートルの直径を有する。いくつかの実施形態では、膜は、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ二フッ化ビニリデンからなる群から選択される。
[0034] いくつかの実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、前記固体支持体にコンジュゲートされる。
4.図面の簡単な説明
[0035]コホートIからのRA及び非RA患者の区別を示す、抗PAD1 IgG(黒丸)、抗PAD2 IgG(暗灰色四角)、抗PAD3 IgG(三角)、抗PAD4 IgG(白丸)、及び抗PAD6 IgG(薄灰色四角)の受信者動作特性(ROC)分析を示す。実線は、区別なしを示す。各マーカーの曲線下面積(AUC)は、凡例に示されている。略語:TPF:真陽性率;FPF:偽陽性率。 [0036]コホートIIからのRA及び非RA患者の区別を示す、抗PAD1(白丸)、抗PAD2(黒丸)、抗PAD3(白三角)、抗PAD4(灰色四角)、及び抗PAD6(黒灰色四角)の受信者動作特性(ROC)分析を示す。実線は、区別なしを示す。各マーカーの曲線下面積(AUC)は、凡例に示されている。略語:TPF:真陽性率;FPF:偽陽性率。 [0037]非RA患者からのRA患者の区別における抗PAD1抗体の高い特異性を示す。非RA対照は、橋本病(HD)、突発性炎症性筋疾患(IIM)、シェーグレン症候群(SjS)、強直性脊椎炎(AS)、健康な個体(HI)、若年性突発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎(PsA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、感染性疾患(ID)、変形性関節症(OA)、及び小型血管炎(SVV)からのサンプルを含んでいた。 [0038]RA患者(n=33)及び対照(n=36)における抗PADレベルの二次元主成分分析(PCA)プロットを示す。抗PAD1、抗PAD3及び抗PAD4は、PC1に対する主な寄与を有し、これは分散の51.7%を説明し、抗PAD2及び抗PAD6はPC2に対する主な寄与を有し、これは分散の20.8%を説明する。略語:PC:主成分。 [0039]抗PAD1及び抗PAD4の間の相関を示し、コホートII由来のいくつかのサンプルはPAD1又はPAD4と高いレベルで反応する。 [0040]RA及び非RA患者間の区別を示す、抗PAD1、抗PAD4、抗PAD1/抗PAD4、及び抗PAD1/抗PAD2/抗PAD6の受信者動作特性(ROC)分析を示す。実線は、区別なしを示す。各マーカーの曲線下面積(AUC)は、凡例に示されている。略語:TPF:真陽性率;FPF:偽陽性率。 [0041]抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgAについての受信者動作特性(ROC)分析を示す。合計51人のRA患者及び15人の対照を試験して、RAを対照から区別する能力を抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgAについて評価した。2つの抗原についてのROC曲線を示し、抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgAの等しい又は優れた性能を示す。略語:TPF:真陽性率;FPF:偽陽性率 [0041]抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgAについての尤度比プロットを示す。合計51人のRA患者及び15人の対照を試験して、RAを対照から区別する能力を抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgAについて評価した。抗PAD1 IgA(左)及び抗PAD4 IgA(右)の両方についての尤度及びオッズ比(OR)を示す。 [0042]抗PAD自己抗体間の相関を示す。抗PAD1 IgA及び抗PAD1 IgG間の相関を示す。有意な相関が観察されたが、個々の患者は様々なレベルの抗PAD1 IgA及び抗PAD1 IgGを有した。 [0042]抗PAD自己抗体間の相関を示す。抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgA間の相関を示す。 [0043]カルシウムの非存在又は存在下で社内で生成されたPAD1タンパク質、並びに他の市販のPAD及び異なる実験対照を含む異なるPAD抗原のドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析を示す。タンパク質ラダー内の各バンドに関連した分子量は、ゲル及びブロットの左側に示される。 [0043]カルシウムの非存在又は存在下で社内で生成されたPAD1タンパク質、並びに他の市販のPAD及び異なる実験対照を含む異なるPAD抗原の抗修飾シトルリン(AMC)免疫ブロット分析を示す。タンパク質ラダー内の各バンドに関連した分子量は、ゲル及びブロットの左側に示される。
5.詳細な説明
[0044] 本開示は、部分的に、PAD1がRAにおける新規な自己抗原であり、PAD1に対する自己抗体(「抗PAD1」)の検出が、RAの診断バイオマーカーとして役立つことの発見に基づく。本開示の態様はまた、部分的に、抗PAD1の検出を1つ以上の抗PAD自己抗体、例えば抗PAD4の検出と組み合わせて、RA及び非RA患者の間の区別の感度を増加させることができるという発見に基づく。したがって、本開示は、RAの存在を示し得る新たなバイオマーカーを提供することによって、RA患者に利益をもたらす。
[0045] 特に定義されない限り、本出願で使用される技術及び科学用語を含む全ての用語は、本発明が属する当業者が通用理解するものと同じ意味を有する。一般に、本明細書及び以下に記載される実験方法で使用される命名は、関連技術分野において広く知られ、且つ一般に使用されている。
[0046] 本明細書を解釈する目的で、用語の以下の説明が適用され、適宜、単数形で使用される用語は複数形も含み、逆も同様である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、数値の範囲が提供される場合、その範囲は、その範囲を規定する数字も含むものと理解されることにも留意する必要がある。文脈が明白に指示しない限り、列挙される範囲内の介在する各整数、及び例えば選択された介在する整数の10分の1単位を含むその分数、又は列挙される範囲の下限は、本開示内に含まれることが意図されることも理解される。
[0047] 本明細書で使用される場合、用語「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、「含む(include)」、「含むこと(including)」、「有する」、「有すること」、「含む(contain)」、「含むこと(containing)」及びその任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図し、したがって、要素又は要素のリストを含む(include)有する又は含む(contain)プロセス、方法、プロダクト・バイ・プロセス、又は物質の組成は、それらの要素のみを含むのではなく、明示的にリストされない、又はそのようなプロセス、方法、プロダクト・バイ・プロセス、若しくは物質の組成に固有の他の要素を含むことができる。
[0048] 本明細書で使用される場合、用語「自己抗体」は、自己抗体産生動物中に存在する自己免疫抗原又はそのエピトープ、例えば自己タンパク質、炭水化物、核酸又は他の分子に結合する免疫グロブリン分子を意味することが意図される。抗体は、例えば、ヒト、ハツカネズミ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマなどの哺乳動物を含む任意の動物起源に由来することができる。一般に、動物免疫系は、身体自体の健康なタンパク質、細胞、及び組織を認識及び無視することができる。しかしながら、時には、免疫系は身体の正常な成分の1つ以上を「自己」として認識することを止め、自己抗体の産生をもたらし、これは炎症及び組織損傷などの特定の症状に繋がる。
[0049] 本明細書で使用される場合、用語「抗原断片」は、抗原の一部分を意味することが意図される。この用語は、6~120、12~100、18~80、24~60、30~50又は35~45アミノ酸残基を含む。
[0050] 本明細書で使用される場合、PADIとしても知られる用語「ペプチジルアルギニンデイミナーゼ」又は「PAD」は、シトルリンを生成する脱イミノ化又は脱メチルイミノ化によって、タンパク質アルギニン残基の翻訳後修飾を触媒する酵素のファミリーを指す(例えば、Wang and Wang, Biochim. Biophys. Acta., 1829:1126-35 (2013)参照)。PADの5つのアイソタイプがヒトにおいて同定されており、PAD1、PAD2、PAD3、PAD4及びPAD6を含む。このようなPADポリペプチドの全部、PAD1、PAD2、PAD3、PAD4及びPAD6は、本明細書で使用される場合、用語「PAD」の意味に含まれる。
[0051] 本明細書で使用される場合、用語「反応性」は、自己抗体及びPADタンパク質又はその抗原断片を参照して使用される場合、自己抗体がPADタンパク質又はその抗原断片を特異的に認識することを意味する(me)ことが意図される。一般に、これは、PADタンパク質又はその抗原断片に結合し又は別様に相互作用して、抗原-抗体複合体を形成することを含むであろう。したがって、PADタンパク質又はその抗原断片と反応性の自己抗体は、PADタンパク質又は抗原断片に対して唯一であり、特定のPADタンパク質に対する自己抗体は、特定のPADタンパク質のみと反応性であると理解される。
[0052] 本明細書で使用される場合、RAステージに対する参照は、臨床的及び放射線学的基準により分類される、RAの4つの主要なステージを指すことが意図される。ステージI(早期RA)は、一般に、X線検査で観察される破壊的な変化がなく、関節包の初期炎症、及び滑膜組織の膨張を含み得る。ステージII(中等度の進行)は、一般に、わずかな軟骨下破壊を伴う又は伴わない関節周囲の骨粗鬆症のX線画像の証拠;わずかな軟骨破壊の可能性;関節可動性が限定されている可能性、しかし関節変形は観察されない;隣接する筋肉萎縮症が存在する;関節外軟組織病変(例えば、小結節及び腱鞘炎)の可能性を含む。ステージIII(重度の進行)は、一般に、関節周囲骨粗鬆症に加えて、軟骨及び骨破壊のX線画像の証拠;線維性又は骨性強直症を伴わない関節変形(例えば、亜脱臼、尺骨偏位、又は過伸展);筋萎縮が広範囲である;関節外軟部組織病変(例えば、結節、腱鞘炎)の可能性を含む。ステージIV(最終進行)は一般に、ステージIIIの基準と共に、線維性又は骨性強直症の存在を含む。
[0053] 本明細書で使用される場合、用語「固体支持体」は、自己抗体の検出で使用するための自己免疫抗原又はその断片の1つ以上の沈着の固体又は半固体基礎として役立ち得る任意の材料を意味することが意図される。固体支持体の代表的な例としては、例えば、ビーズ、微小粒子及びナノ粒子を含む粒子、マイクロ-又はマルチ-ウェルプレートのウェル、ゲル、コロイド、シート、チップ、電極、試験管、及び当業者に公知の他の構成が挙げられる。代表的な粒子は、例えば、ビーズ、球体又は他の固体支持体担体を含む。
[0054] 本明細書で使用される場合、用語「補助剤」は、検出方法に適用可能な試薬又は成分を意味することが意図される。補助試薬は、例えば、固定化緩衝液、固定化試薬、希釈緩衝液、二次抗体、レポーター試薬、検出試薬、ブロッキング緩衝液、洗浄緩衝液、検出緩衝液、停止溶液、システム濯ぎ緩衝液、システム清浄溶液、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
[0055] タンパク質-アルギニンデイミナーゼ(PAD)酵素は、1977年に最初に記載された。PADファミリーの合計5つのメンバー:PAD1、2、3、4、及び6がヒトにおいて報告されており、それらの間には有意なタンパク質配列相同性がある。5つのPADタンパク質の中でも、PAD2及びPAD4は、関節リウマチ(RA)の発病に重要な役割を有することが知られ、PAD3と一緒に、それらは抗原標的として同定されている。しかしながら、約PAD1又はPAD6については殆ど分かっていない。
[0056] 本明細書で使用される場合、PADI1、及びPDI1としても知られる用語「ペプチジルアルギニンデイミナーゼ1」又は「PAD1」は、酵素のPADファミリーの一メンバーを指す。
[0057] 本明細書で使用される場合、PADI2、PAD-H19及びPDI2としても知られる用語「ペプチジルアルギニンデイミナーゼ2」又は「PAD2」は、酵素のPADファミリーの一メンバーを指す。PAD2は、分泌腺、脳、子宮、脾臓、膵臓及び骨格筋において豊富に発現される。PAD2の既知の基質は、ミエリン塩基性タンパク質、ビメンチン及びマクロファージを含む。Vossenaar et al., Annals of the Rheumatic Diseases, 63:373-81 (2004); Watanbe et al., Biochim Biophys Acta., 966:375-383 (1988); Watanabe et al., J. Biol Chem., 264:15255-15260 (1989); Nagata et al., Experientia, 46:72-74 (1990); Urano et al., Am J Dermatopathol., 12(3):249-55 (1990), Vossenaar et al., Arthritis and Rheum., 48:2489-2500 (2003)を参照されたい。約726のコード化単一ヌクレオチド多型(SNP)及び少なくとも184の既知のオルソログがPAD2について同定されている(例えば、NCBI Gene ID:11240参照)。用語「PAD2」は、そのようなPAD2変異体及びPAD2オルソログの全てを含む。例示的なヒトPAD2(hPAD2)ヌクレオチド配列は、ジェンバンクにおいてジェンバンク受入番号NM_007365(配列番号1)の下で見出すことができ、ジェンバンク受入番号NP_031391(配列番号2)の下で見出される見出されるアミノ酸配列を有する例示的なヒトPAD2をコードする。このPAD2及び他の例示的なPAD2酵素のジェンバンク受入番号及びジェンバンクGI番号は、下記の表1に見出すことができる。このようなPAD2ポリペプチド及びその変異体の全ては、本明細書で使用されるように、用語「PAD2」の意味に含まれる。
[0058] いくつかの実施形態では、PAD2、又はその抗原断片は、成熟ヒトPAD2(hPAD2;NCBI受入番号NP_031391のアミノ酸25-665;GI:122939159)の配列番号2のアミノ酸、又は天然に存在するその変異体を含む:
配列番号2
Figure 2023525219000002
[0059] 本明細書で使用される場合、PADI3、PDI3及びUHS1としても知られる用語「ペプチジルアルギニンデイミナーゼ3」又は「PAD3」は、酵素のPADファミリーの一メンバーを指す。PAD3は表皮に検出され、そこでPAD3は最終分化に役割を果たし、また、毛包に検出され、そこでPAD3はフィラグリン及びトリコヤリン(trichoyalin)を含む構造タンパク質を修飾する。Chavanas et al., J Dermatol Sci., 44:63-72 (2006); Kanno et al., J. Invest Dermatol. 115(5):813-23 (2000); Nachat et al., J Investig Dermatol., 125:34-41 (2005)を参照されたい。約738のコード化SNP及び少なくとも109の既知のオルソログがPAD3について同定されている(例えば、NCBI Gene ID:51702参照)。用語「PAD3」は、そのようなPAD3変異体及びPAD3オルソログの全てを含む。例示的なヒトPAD3(hPAD3)ヌクレオチド配列は、ジェンバンクにおいてジェンバンク受入番号NM_016233(配列番号5)の下で見出すことができ、ジェンバンク受入番号NP_057317(配列番号6)の下で見出される見出されるアミノ酸配列を有する例示的なヒトPAD3をコードする。このPAD3及び他の例示的なPAD3酵素のジェンバンク受入番号及びジェンバンクGI番号は、下記の表2に見出すことができる。このようなPAD3ポリペプチド及びその変異体の全ては、本明細書で使用されるように、用語「PAD3」の意味に含まれる。
[0060] いくつかの実施形態では、PAD3、又はその抗原断片は、成熟ヒトPAD3(hPAD3;NCBI受入番号NP_057317のアミノ酸25-664;GI:122939161)の配列番号6のアミノ酸、又は天然に存在するその変異体を含む:
配列番号6
Figure 2023525219000003
[0061] 本明細書で使用される場合、PAD、PADI4、PDI4、PADV、PDI5及びPADI5としても知られる用語「ペプチジルアルギニンデイミナーゼ4」又は「PAD4」は、酵素のPADファミリーの一メンバーを指す。PAD4は、正常な生理学的条件下で顆粒球及び単球を含む白血球中に検出され得(Vossenaar et al., Annals of the Rheumatic Diseases, 63:373-81 (2004); Asaga et al., J. Leukocyte Biology 70:46-51 (2001))、一般に核内に局在する(Nakashima et al., JBC 277:49562-68 (2002))。約737のコード化SNP及び少なくとも108の既知のオルソログがPAD4について同定されている(例えば、NCBI Gene ID:23569参照)。用語「PAD4」は、そのようなPAD4変異体及びPAD4オルソログの全てを含む。例示的なヒトPAD4(hPAD4)ヌクレオチド配列は、ジェンバンクにおいてジェンバンク受入番号NM_012387.2(配列番号61)の下で見出すことができ、ジェンバンク受入番号NP_036519.2(配列番号62)の下で見出される見出されるアミノ酸配列を有する例示的なヒトPAD4をコードする。このPAD4及び他の例示的なPAD4酵素のジェンバンク受入番号及びジェンバンクGI番号は、下記の表3に見出すことができる。このようなPAD4ポリペプチド及びその変異体の全ては、本明細書で使用されるように、用語「PAD4」の意味に含まれる。
[0062] いくつかの実施形態では、PAD4、又はその抗原断片は、成熟ヒトPAD4(hPAD4;NCBI受入番号NP_036519のアミノ酸25-663;GI:216548487)の配列番号62のアミノ酸、又は天然に存在するその変異体を含む:
配列番号62
Figure 2023525219000004
[0063] 表1、2及び3は、2つの配列識別名、GI番号及びジェンバンク受入番号を含む。GI番号及びジェンバンク受入番号は、公に利用可能なデータベースにおける参照配列にアクセスするために、唯一の識別名として並列に配置される。表1は、PAD2についてのGI番号及びジェンバンク受入番号を含み、表2は、PAD3についてのGI番号及びジェンバンク受入番号を含み、表3は、PAD4についてのGI番号及びジェンバンク受入番号を含む。
[0064] 表1、2及び3の配列識別名は、各々、野生型PAD2、3及び4について提供されている。本明細書の野生型核酸及びアミノ酸配列は、集団間で優位な核酸及びアミノ酸配を指し、それらの各々の変異体に対する参照としての役割を果たすことを理解するべきである。例として、表3の配列番号61(GI番号:1519314340及び受入番号:NM_012387)は、hPAD4の野生型核酸配列を特定する一方、配列番号62(GI番号:216548487及び受入番号:NP_036519)は、hPAD4の野生型核酸配列を特定する。
[0065] 表1、2及び3の配列識別名はまた、各々、PAD2、3及び4の変異体についても提供されている。変異体は、野生型核酸配列と類似しているが、野生型核酸配列とは異なる核酸配列を指すことを理解するべきである。
[0066] 下記の表のいずれかの変異体は、例えば、選択的スプライシング(例えばスプライス変異体)をもたらし得る核酸置換を含むことができる。例として、表3の配列番号69(GI番号:767903519及び受入番号:XM_011541150.1:c.23G>A)は、配列番号61のhPAD4核酸スプライス変異体である。
[0067] 下記の表のいずれかの変異体はまた、例えば、核酸置換(例えばSNP)を含むことができる。例として、表3の配列番号63(GI番号:216548486及び受入番号:NM_012387.2:c.23G>A)は、配列番号61のhPAD4核酸変異体であり、G(グアノシン)によるA(アデニン)の置換をもたらす核酸位置23の単一核酸置換を含む。
[0068] 変異体は、野生型アミノ酸配列と類似しているが野生型アミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列も指すことを理解するべきである。
[0069] 下記の表のいずれかの変異体は、例えば、選択的スプライシング(例えばスプライス変異体)の結果であり得るアミノ酸置換をさらに含むことができる。例として、上述の配列番号69によりコードされる表3の配列番号70(GI番号:767903520及び受入番号:XP_011539452.1:p.Arg8His)は、Arg(アルギニン)によるHis(ヒスチジン)の置換をもたらす位置8のアミノ酸置換を含むhPAD4である。
[0070] 下記の表のいずれかの変異体は、例えば、遺伝(例えばSNP)の結果であり得るアミノ酸置換をさらに含むことができる。例として、上述の配列番号63によりコードされる表3の配列番号64(GI番号:216548487及び受入番号:NP_036519.2:p.Arg8His)は、Arg(アルギニン)によるHis(ヒスチジン)の置換をもたらす位置8のアミノ酸置換を含むhPAD4である。
Figure 2023525219000005
Figure 2023525219000006
Figure 2023525219000007
Figure 2023525219000008
Figure 2023525219000009
Figure 2023525219000010
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Figure 2023525219000012
Figure 2023525219000013
Figure 2023525219000014
Figure 2023525219000015
[0071] 「ポリペプチド」は、2~30アミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25又は30アミノ酸)を有する短いオリゴペプチドと、例えば、30アミノ酸を超える、50アミノ酸を超える、100アミノ酸を超える、150アミノ酸を超える、200アミノ酸を超える、300アミノ酸を超える、400アミノ酸を超える、500アミノ酸を超える、又は600アミノ酸を超えるより長いアミノ酸鎖とを含むことに留意するべきである。いくつかの実施形態では、PADは、全長の野生型ポリペプチドであり得る。PADポリペプチドは、天然の遺伝暗号によりコードされない非天然アミノ酸を含み得る。
[0072] いくつかの実施形態では、精製ポリペプチドは、PAD抗原断片を含む。いくつかの実施形態では、PAD抗原断片は、全長PADポリペプチドの3を超える、5を超える、10を超える、15を超える、20を超える、25、50を超える、75超、100を超える、125を超える、150を超える、200を超える、250を超える、300を超える、350を超える、400を超える、500を超える、又は600を超える連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、PAD抗原断片は、全長PADの100%未満、95%未満、90%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は5%未満の連続アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、PAD抗原断片は、PADペプチド断片である。
[0073] いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、哺乳動物PADであり得る。いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、ヒトであり得る。いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、本開示の生物のうちの1つのPAD又はその抗原断片であり得る。いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、表1~3の変異体又は単一ヌクレオチド多型のいずれかを含むことができる。
[0074] 本開示は、RAを診断する方法を提供する。方法は:(a)RAを有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、(b)少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片に結合した自己抗体の存在を検出することと、を含み、前記自己抗体の存在は、RAを示し、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1又はその抗原断片を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1又はその抗原断片及び別のPADタンパク質、例えばPAD4、又はその抗原断片を含む。しかしながら、PADタンパク質又はその抗原断片の他の組み合わせは本開示に有用であり得、PAD1及びPAD4に限定されないことが理解される。
[0075] 本明細書で提供されるように、本開示は、PAD1がRAにおける新規な自己抗原であり、PAD1又はその抗原断片に対する自己抗体の検出が、RA及び非RA患者を高い感度で区別できることを最初に同定した。したがって、いくつかの実施形態では、RAの診断方法は、PAD1又はその抗原断片である少なくとも1つのPADタンパク質を含む。
[0076] 本開示はまた、部分的に、RAの診断のためにPAD1又はその抗原断片を1つ以上のさらなるPADタンパク質又はその抗原断片と組み合わせることができるという知見に基づく。例えば、PAD1又はその抗原断片に対する自己抗体及び1つ以上のさらなるPADタンパク質又はその抗原断片に対する自己抗体の検出のために、PAD1又はその抗原断片を、1つ以上のさらなるPADタンパク質又はその抗原断片と組み合わせることができる。したがって、いくつかの実施形態では、RAの診断方法は、PAD1又はその抗原断片及び1つのさらなるPADタンパク質又はその抗原断片を含む。他の実施形態では、RAの診断方法は、PAD1又はその抗原断片及び2つのさらなるPADタンパク質又はその抗原断片を含む。尚さらなる実施形態では、RAの診断方法は、PAD1又はその抗原断片及び3つのさらなるPADタンパク質又はその抗原断片を含む。またさらなる実施形態では、RAの診断方法は、PAD1又はその抗原断片及び全ての4つのさらなるPADタンパク質又はその抗原断片を含む。
[0077] 特に、本明細書で提供されるように、PAD1及びPAD4又はその抗原断片の組み合わせは、RA及び非RA患者を高い感度で区別することができる。したがって、特定の実施形態では、RAの診断方法は、PAD1及びPAD4又はその抗原断片を含む。しかしながら、RAの診断方法は、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片のいずれかと組み合わせたPAD1又はその抗原断片も含み得ることがさらに理解される。例えば、PAD1及びPAD4又はその抗原断片の組み合わせに加えて、PAD1又はその抗原断片は、PAD2、PAD3、若しくはPAD6又はその抗原断片と個々に組み合わせることができる。PAD1又はその抗原断片はまた、PAD2及びPAD3、PAD2及びPAD6、若しくはPAD3及びPAD6又はその抗原断片の各々と組み合わせることができる。さらに、PAD1又はその抗原断片はまた、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片と組み合わせることができる。
[0078] 他の実施形態では、RAの診断方法は、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片のいずれかと組み合わせたPAD1及びPAD4又はその抗原断片を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、PAD1及びPAD4又はその抗原断片は、PAD3又はその抗原断片と組み合わせることができる。他の実施形態では、PAD1及びPAD4又はその抗原断片は、PAD2又はその抗原断片と組み合わされる。またさらなる実施形態では、PAD1及びPAD4又はその抗原断片は、PAD6又はその抗原断片と組み合わされる。いくつかの実施形態では、PAD1及びPAD4又はその抗原断片は、PAD3及びPAD2又はその抗原断片と組み合わされる。他の実施形態では、PAD1及びPAD4又はその抗原断片は、PAD3及びPAD6又はその抗原断片と組み合わされる。さらに他の実施形態では、PAD1及びPAD4又はその抗原断片は、PAD2及びPAD6又はその抗原断片と組み合わされる。さらに他の実施形態では、PAD1及びPAD4又はその抗原断片は、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片と組み合わされる。
[0079] 本明細書で提供されるように、上述した少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片を生物学的サンプルと接触させ得、少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片と反応性の自己抗体の存在を検出し得る。本明細書に記載されるPADタンパク質の特異性は十分な感度を有するので、生物学的サンプル中に自己抗体が検出される場合、生物学的サンプルドナーはRAを有するとみなされ得る。例として、及び非限定的に、PAD1又はその抗原断片が使用され得、抗PAD1自己抗体が本明細書に記載される方法に従って検出され得る。同様に、別の例示的な実施形態は、PAD1及びPAD4又はその抗原断片を含み得、自己抗体が本明細書に記載される方法に従って検出される場合、生物学的サンプルドナーはRAを有するとみなされ得る。
[0080] 特定の実施形態では、検出されるPAD自己抗体は、特定のアイソタイプである。例えば、いくつかの実施形態では、検出されるPAD自己抗体は、IgAアイソタイプ(例えば、抗PAD1 IgA又は抗PAD4 IgA)である。他では、検出される自己抗体は、IgGアイソタイプ(例えば、抗PAD1 IgG又は抗PAD4 IgG)である。特定の実施形態では、自己抗体アイソタイプは、抗PAD1 IgAである。他の実施形態では、自己抗体アイソタイプは抗PAD4 IgGである。尚さらなる実施形態では、自己抗体アイソタイプは抗PAD4 IgAである。特定の実施形態では、IgG及びIgAアイソタイプの両方の検出が組み合わされて、自己抗体の検出を増加させる。したがって、本開示全体において、特定のアイソタイプの列挙なしでの抗PAD1又は抗PAD4自己抗体に対する参照は、IgA及びIgGなどの特定のアイソタイプを含み得ることが理解される。
[0081] 2つ以上のPADタンパク質又はその抗原断片が使用される本発明のいくつかの態様では、本開示は、どの自己抗体が検出されるかを同定できる選択肢を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、PAD1及びPAD4又はその抗原断片が使用され、自己抗体の検出は、PAD1又はPAD4又はその抗原断片との反応に対して追跡することができる。或いは、PAD1、PAD4、及びPAD3又はその抗原断片が使用され得、自己抗体の検出は、PAD1、PAD4、又はPAD3又はその抗原断片との反応に対して追跡することができる。上記に提供した例は、単なる例示であることに留意するべきであり、2つ以上のPADタンパク質又はその抗原断片の他の組み合わせを本開示に従って使用できることが理解される。
[0082] 2つ以上のPADタンパク質又はその抗原断片が使用され、自己抗体が検出される場合、どのPADタンパク質又はその抗原断片が自己抗体と反応性であったかを決定することが望ましい可能性がある。自己抗体の検出をその自己抗原基質と関連付ける様々な技術及びアッセイデザインが当技術分野で公知である。例えば、例示的な一手法は、2つ以上のPADタンパク質又は抗原断片の各々が、固体支持体上の独特の空間を占めるように、2つ以上のPADタンパク質又はその抗原断片の空間的分離を含む。別の例示的な手法は、2つ以上のPADタンパク質又は抗原断片の各々が順次アッセイされるように、一時的分離を含む。これらの例は例示であるが、利用可能なデザインの全てを網羅することを意図するものではなく、2つ以上のPADタンパク質又はその抗原断片を含む本開示の実施形態は、多重に適切であることが当技術分野で知られる任意の技術にて使用できることが理解される。
[0083] 本明細書で提供されるように、各々が特定のPADタンパク質又はその抗原断片に反応性の2つ以上の異なる自己抗体の検出は、個々の自己抗体単独の検出と比較して、RAの診断能力を改善することができる。例えば、本明細書に開示されるように、抗PAD1及び抗PAD4の検出は、抗PAD1又は抗PAD4単独よりも、RA患者を非RA患者からより良好に区別することができた。したがって、2つ以上の異なる自己抗体の検出の組み合わせは、RA診断を改善することができる。
[0084] 本開示のいくつかの態様では、2つ以上の異なる自己抗体が検出される場合、複合スコアが形成される。例えば、いくつかの実施形態では、複合スコアは、検出される2つ以上の異なる自己抗体の組み合わせによって生成され得る。複合スコアはまた、例えば、次の例示的な等式=(抗PAD1+抗PAD4)/(抗PAD6)を使用して、PADタンパク質又はその抗原断片のうちの1つの負の関連を含めることにより形成することができる。複合スコアの形成はまた、人工知能(AI)ベースのスコアを生成することを含み得る。
[0085] いくつかの態様では、少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片と反応性である自己抗体の検出は、自己抗体の存在を定量することを含む。しかしながら、本開示のいくつかの用途では、定性アッセイが望ましい可能性があり、定量は必要ではないことも理解される。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片に対する自己抗体の検出は、RAの診断に十分である。
[0086] 関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法も本明細書で提供され、該方法は、(a)RAを有するか又は有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、(b)少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片と反応性の自己抗体の存在を検出することと、を含み、前記自己抗体の存在は、疾患進行を示し、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む。
[0087] 例えば、特定の実施形態では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PAD自己抗体などの抗PAD自己抗体の量の増加は、疾患進行を示し得る。他の実施形態では、2つ以上の抗PAD1抗体の間の比の変化は、疾患進行を示し得る。抗PAD自己抗体の量の変化は、同じ対象から得られた以前の生物学的サンプルに対する、又は参照標準に対するものであり得る。
[0088] したがって、いくつかの実施形態では、関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法は、RAを有するか又は有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、PAD1又はその抗原断片と接触させることと、抗PAD1の存在を検出することと、を含む。他の実施形態では、関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法は、RAを有するか又は有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、PAD1及びPAD4又はその抗原断片と接触させることと、抗PAD1及び/又は抗PAD4の存在を検出することと、を含む。
[0089] 本開示はまた、抗PAD3の検出が、RA患者由来の生物学的サンプル中の抗PAD1及び抗PAD4と相関することも示す。したがって、いくつかの実施形態では、関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法は、RAを有するか又は有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、PAD1及びPAD3又はその抗原断片と接触させることと、抗PAD1及び/又は抗PAD3の存在を検出することと、を含む。加えて、いくつかの実施形態では、関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法は、RAを有するか又は有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、PAD1、PAD4、及びPAD3又はその抗原断片と接触させることと、抗PAD1、抗PAD4、及び/又は抗PAD3の存在を検出することと、を含む。
[0090] RAステージは、通常、臨床的及び放射線学的基準により分類される4つの主要なステージに特徴付けられる。ステージI(早期RA)は、一般に、X線検査で観察される破壊的な変化がなく、及関節包の初期炎症、及び滑膜組織の膨潤を含み得る。ステージII(中等度の進行)は、一般に、わずかな軟骨下破壊を伴う又は伴わない関節周囲の骨粗鬆症のX線画像の証拠;わずかな軟骨破壊の可能性;関節可動性が限定されている可能性、しかし関節変形は観察されない;隣接する筋肉萎縮症が存在する;関節外軟組織病変(例えば、小結節及び腱鞘炎)の可能性を含む。ステージIII(重度の進行)は、一般に、関節周囲骨粗鬆症に加えて、軟骨及び骨破壊のX線画像の証拠;線維性又は骨性強直症を伴わない関節変形(例えば、亜脱臼、尺骨偏位、又は過伸展);を含み、筋萎縮が広範囲であり;関節外軟部組織病変(例えば、結節、腱鞘炎)が可能である。ステージIV(最終進行)は一般に、ステージIIIの基準と共に、線維性又は骨性強直症の存在を含む。
[0091] 上述したように、抗PAD4は、一般に重度のRAに関連し、多くの場合、関節びらんを有するRA患者を示す。したがって、いくつかの実施形態では、抗PAD1の検出は、中等度~重度のステージのRAを示す。いくつかの実施形態では、抗PAD1及び抗PAD4の検出は、中等度~重度のステージのRAを示す。いくつかの実施形態では、抗PAD1及び抗PAD3の検出は、中等度~重度のステージのRAを示す。いくつかの実施形態では、抗PAD1、抗PAD4、及び抗PAD3の検出は、中等度~重度のステージのRAを示す。特定の実施形態では、中等度~重度のステージのRAは、関節びらんの存在を含む。
[0092] 抗PAD2の検出パターンは、一般に抗PAD3又は抗PAD4と関連しないことも知られており、進行性関節損傷と逆相関する。したがって、いくつかの実施形態では、抗PAD2の検出は、中等度~重度ではないステージのRAを示す。
[0093] 本開示は、抗PAD2及び抗PAD6がRA患者由来の生物学的サンプルにおいて相関することも見出した。したがって、いくつかの実施形態では、抗抗PAD6の検出は、中等度~重度のステージではないRAを示す。他の実施形態では、抗PAD2及び抗PAD6の検出は、中等度~重度のステージではないRAを示す。
[0094] 本開示の他の態様では、疾患進行を監視する方法は、(a)RAを有する対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、(b)少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片と反応性の自己抗体の非存在を検出することであって、前記自己抗体の非存在は疾患進行を示す、検出することと、を含み、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む。
[0095] 例えば、特定の実施形態では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PAD自己抗体などの抗PAD自己抗体の量の非存在は、疾患進行の低下又は変化がないことを示し得る。特定の実施形態では、抗PAD自己抗体の量の低下又は変化がないことは、同じ対象から得られた以前の生物学的サンプル、又は参照標準に対してであり得る。
[0096] 上述したように、抗PAD4の存在は、RAのより重度の形態を有するRA患者にしばしば見出され、抗PAD4の検出は抗PAD1、及び抗PAD3と強く相関する。したがって、RAを有することが既知の患者において、抗PAD4、抗PAD1、及び/又は抗PAD3の非存在は、重度が低い形態のRAを示し得る。抗PAD4、抗PAD1、及び/又は抗PAD3の非存在は、抗PAD2及び/又は抗PAD6の存在が検出される場合、さらにより情報価値があり得る。逆に、抗PAD1、抗PAD4、及び/又は抗PAD3の存在、並びに抗PAD2及び/又は抗PAD6の非存在は、RAについて情報価値があり得る。
[0097] したがって、いくつかの実施形態では、関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法は、RAを有する対象由来の生物学的サンプルを、PAD1又はその抗原断片と接触させることと、抗PAD1の非存在を検出することと、を含む。他の実施形態では、関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法は、RAを有する対象由来の生物学的サンプルを、PAD1及びPAD4又はその抗原断片と接触させることと、抗PAD1及び/又は抗PAD4の非存在を検出することと、を含む。いくつかの実施形態では、関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法は、RAを有する対象由来の生物学的サンプルを、PAD1及びPAD3又はその抗原断片と接触させることと、抗PAD1及び/又は抗PAD3の存在を検出することと、を含む。加えて、いくつかの実施形態では、関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法は、RAを有するか又は有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、PAD1、PAD4、及びPAD3又はその抗原断片と接触させることと、抗PAD1、抗PAD4、及び/又は抗PAD3の非存在を検出することと、を含むことができる。特定の実施形態では、前記自己抗体の非存在は、早期ステージのRAを示す。特定の実施形態では、早期ステージのRAは、関節への損傷が殆ど~全くないことを含む。
[0098] 加えて、健康な対照個体と比較した、対象における例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADの増加の存在は、RAの存在、又はRAを発症するリスクを示し得る。したがって、抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などのPADに対する自己抗体のかなりの増加は、RAの診断に使用することができる。抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADの検出、及び対照に対するレベルの比較の例示的な方法は、本明細書で提供され及び下記にさらに記載される。
[0099] いくつかの実施形態では、健康な対照個体と比較して増加した、抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADのレベルの検出は、RAを有する対象を示す。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物及び方法を用いたRAの診断後、RAの存在は、RAの発症又は存在に関連した多様な症状に基づいてさらに裏付けることができる。
[00100] RAに関連した臨床症状は、例えば、大小の両側関節の疼痛及び膨張、回帰性発症、単関節症状、並びに腱鞘炎及び滑液包炎のような関節外滑膜炎、多発筋痛様発症、並びに倦怠感、体重減少、疲労、発熱及び能力障害を含む他の症状を含む。Grassi et al., Eur. J. Radiol., Suppl 1:S 18-24 (1998); Aletaha and Smolen, JAMA, 320(13):1360-1372 (2018)。
[00101] いくつかの実施形態では、健康な対照と比較して増加した、対象における例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADのレベルの検出は、重度のRAを有することを示す。他の実施形態では、同じ抗PADのレベルの増加を有さないRA対象と比較して増加した、対象における例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADのレベルの検出は、重度のRAを有することを示す。いくつかの実施形態では、重度のRAを有することは、当技術分野の方法により決定される関節びらんの程度又はX線画像による進行のリスクによって考慮される。健康な対照と比較して、又は例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADの増加したレベルを有さないRA対象と比較して増加した、対象における例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADのレベルの検出は、関節びらんが重度であるより進行したRAを有する、より高い可能性を有することを示す。いくつかの実施形態では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADの増加を有する対象は、重度の関節びらんが存在するより進行したRAを有する可能性が5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、60%超、70%超、80%超又は90%超であり得る。他の実施形態では、増加した抗PADを有する対象は、重度の関節びらんが存在するより進行したRAを有する可能性が2倍超、3倍超、4倍超、5倍超、6倍超、7倍超、8倍超、9倍超、又は10倍超であり得る。
[00102] 重度のRAでは、関節中の骨及び軟骨の喪失が存在する場合に関節びらんが起こる。関節びらんの重症度は、例えば、例えば、Sharpスコア方法により決定することができる。Sharp, Arthritis Rheum., 32:221-229 (1989); Brower, Arthritis Rheum., 33:316-324 (1990)を参照されたい。Sharpスコアは、X線画像に基づいて、関節の狭窄及びびらんを評価する。びらんスコアは0~3.5の範囲であり、関節腔狭窄スコアは0~4の範囲である。スコア0は狭窄又はびらんを伴わない正常な関節を示し、スコア3.5~4は、びらん及び狭窄を伴う異常な関節を示す。本開示のいくつかの実施形態では、対象における関節びらんはSharpスコアの使用により決定される。
[00103] 他の実施形態では、重度のRAを有することは、健康評価質問表(HAQ)能力障害指数(DI)により決定される。Fries et al., Arthritis Rheum, 23(2):137-145 (1980); Bruce and Fries, Health Qual Life Outcomes, 1(1):20 (2003)。HAQは、着衣、起立、食事、歩行、衛生、手の届く範囲、握力及び活動を含む8つのセクションにおける身体能力を評価する。各セッションの実行には、0(何の困難さもない)から3(実行できない)までのスコアが割り当てられる。8つのセクションのスコアを合計し、8で割ってDIを生成する。0~3の範囲のDIは、能力障害を予測し、人は、課題を何の困難さもなく完了することができる(DI 0)、幾分かの困難さを有する(DI 1)、多くの困難さを有する(DI 2)、又は不可能である(DI 3)。
[00104] いくつかの実施形態では、健康な対照個体と比較して増加した、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADのレベルの検出は、対象がRAの臨床症状を発症するリスクがあることを示す。いくつかの実施形態では、対象は、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADの増加の決定から3ヵ月未満、6ヵ月未満、9ヵ月未満、12ヵ月未満、18ヵ月未満、2年未満、3年未満、4年未満、5年未満、6年未満、7年未満、8年未満、9年未満、10年未満、12年未満、14年未満、又は16年未満以内にRAの臨床症状を発症するリスクがあり得る。
[00105] いくつかの実施形態では、健康な対照個体と比較して増加した、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADのレベルの存在は、対象が、増加した抗PADの決定から5年以内に、RAの臨床症状を発症する可能性が5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、60%超、70%超、又は80%超又は90%超であることを示す。いくつかの実施形態では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADの増加したレベルの存在は、健康な対照個体と比較して、対象が、増加した抗PADレベルの決定から5年以内に、RAの臨床症状を発症する可能性が2倍超、3倍超、4倍超、5倍超、6倍超、7倍超、8倍超、9倍超、又は10倍超であることを示し得る。
[00106] 例えば、抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADは、対象から得られた多様な異なる生物学的サンプル中に検出され得る。そのようなサンプルは、例えば、固体組織及び生物学的流体を含む。本明細書で使用される場合、用語「生物学的サンプル」は、分析又は診断に使用することができる生物の身体からの任意の標本を指す。本開示の文脈において、対象から得られた生物学的サンプルは、自己抗体を含むか又は含むことが疑われる任意のサンプルであり得、抗PAD自己抗体が検出され得る任意の材料を包含する。例えば、生物学的サンプルは、自己抗体を含む液体サンプル、例えば全血、血漿、血清、滑液、羊水、痰、胸水、腹水、中央脊椎液、尿、唾液、涙液又は他の体液を含むことができる。生物学的サンプルはまた、骨髄、組織、頬側又は細胞の他の固体若しくは半固体凝集体などの固体組織サンプルを含むことができる。
[00107] いくつかの実施形態では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADは、全血、血漿、血清、滑液又は痰中に検出される。本開示のいくつかの実施形態では、抗PADのレベルが検出される。他の実施形態では、抗PAD-PAD複合体が本明細書に記載の組成物及び方法を用いて形成され得、複合体中の抗PADが検出され得る。したがって、本開示は、抗PAD-PAD複合体を含む組成物を提供する。
[00108] 本開示の生物学的サンプルは、例えば、ヒト、サル、チンパンジー、オランウータン及びゴリラなどの霊長類、ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ及びブタなどの家畜、並びにマウス、ラット、ハムスター及びモルモットなどのげっ歯類などの哺乳動物を含む任意の生物から得ることができる。
[00109] いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、複数のサンプルであり得る。いくつかの実施形態では、複数のサンプルは、12時間超、1日間超、2日間超、3日間超、4日間超、5日間超、6日間超、7日間超、10日間超、14日間超、3週間超、1ヵ月超、2ヵ月超、3ヵ月超、4ヵ月超、5ヵ月超、6ヵ月超、9ヵ月超、12ヵ月超、18ヵ月超、24ヵ月超、30ヵ月超、3年超、4年超又は5年超の過程にわたって定期的に得ることができる。
[00110] いくつかの実施形態では、本開示のサンプルは、新鮮な状態で収集及び処理され得る。他の実施形態では、本開示のサンプルは、後日凍結、保存及び処理され得る。
[00111] いくつかの実施形態では、本開示は、対象において例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADのレベルを決定して、対象がRA、重度のRA又は重度の関節びらんを含む関節びらんを有するか否かを決定する方法を提供する。本明細書で使用される場合、用語「対象」、「生物」、「個人」又「患者」は、同義語として、及び互換的に使用され、脊椎哺乳動物指すことに留意される。哺乳動物は、ヒト、サル、チンパンジー、オランウータン及びゴリラなどの霊長類、ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ及びブタなどの家畜、並びにマウス、ラット、ハムスター及びモルモットなどのげっ歯類を含む。この開示の対象は、健康な対象、無症状対象、及び疾患対象を含むことができる。
[00112] いくつかの実施形態では、疾患対象は、異常な、例えば抗PAD1レベル又は抗PAD1及び抗PAD4レベルを含む抗PADレベルに関連した任意の疾患に罹患し得る。用語「異常な抗PADレベル」は、健康な対象の集団に見られるメジアン抗PADレベルからかなり逸脱する、サンプル中の抗PAD1レベル又は抗PAD1及び抗PAD4レベルなどの抗PADレベルを指すことに留意される。いくつかの実施形態では、異常な抗PADレベルは、メジアン抗PADレベルよりも高い可能性がある。いくつかの実施形態では、異常な抗PADレベルは、メジアン抗PADレベルよりも低い可能性がある。
[00113] いくつかの実施形態では、健康な対象は、特定の疾患に決して罹患していない可能性がある。いくつかの実施形態では、健康な対象は、以前に疾患を有した可能性がある。いくつかの実施形態では、健康な対象は、日常的な健康診断を受けている可能性がある。いくつかの実施形態では、健康な対象は、例えば臨床試験の対照群のメンバーであり得る。いくつかの実施形態では、健康な対象は、当技術分野で周知の特定のリスク因子の存在により決定して、疾患にかかるリスクにあり得る。そのようなリスク因子は、非限定的に、遺伝的素因、個人の病歴、家族の病歴、ライフスタイル要因、環境要因、診断指標などを含む。
[00114] いくつかの実施形態では、対象は無症状であり得る。無症状対象は、RAを発症するリスクが本質的にないか又は低いリスクのみを有する(例えば、無症状患者が後の5年間にRAを発症する10%未満、5%未満、3%未満、又は1%未満の可能性がある)健康な対象を含む。無症状対象はさらに、RAを発症する高いリスクを有する(例えば、無症状患者が後の5年間にRAを発症する50%超、70%超、90%超、又は95%超の可能性がある)健康な対象を含む。無症状対象はさらに、RAの軽度の早期診断指標を示し得るが、それ以外では疾患又は訴えがない(例えば、滑膜関節疼痛がない、全身炎症性障害がない)疾患対象を含む。いくつかの実施形態では、無症状患者は、関節痛患者であり得る。
[00115] いくつかの実施形態では、対象はRAを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、関節疼痛を伴うRAを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、系統的炎症性障害を伴うRAを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、若年性突発性関節炎(JIA)を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、RA前症候群を有し得る。いくつかの実施形態では、RA前症候群は、関節痛であり得る。
[00116] いくつかの実施形態では、対象は、RAを有することが疑われ得る。本明細書で使用される場合、対象は、当技術分野で周知の特定のリスク因子の存在によって決定して、「RAを有することが疑われ」得る。そのようなリスク因子は、非限定的に、遺伝的素因、個人の病歴、ライフスタイル要因、環境要因、診断指標などを含む。
[00117] いくつかの実施形態では、対象は、RAを発症するリスクにあり得る。いくつかの実施形態では、対象は、RAを発症する遺伝的素因、又はRA若しくは他の自己免疫疾患の家族歴を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、RAの発症を促進する特定のライフスタイル要因(例えば、喫煙)に晒され得、又は対象は、RAの臨床疾患症状を示し得る。いくつかの実施形態では、対象は、RAを診断する、又はRAを発症するリスクを評価する臨床検査を受けている患者であり得る。
[00118] いくつかの実施形態では、対象は、例えば、対象の血液又は別の身体組織若しくは流体中に存在する、例えば、抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PADを有し得る(抗PAD陽性対象)。いくつかの実施形態では、対象は、正常な健康な対象と比較して、例えば、対象の血液又は別の身体組織若しくは流体中の高い抗PADレベルを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、対象の血液又は別の身体組織若しくは流体中に存在する抗PADを有さない可能性がある(抗PAD陰性対象)。
[00119] いくつかの実施形態では、対象は、例えば、対象の血液又は別の組織若しくは体液中に存在する抗PAD1を有し得(抗PAD1陽性対象)、又は対象は、正常な健康な対象と比較して、例えば、対象の血液又は別の組織若しくは体液中の高い抗PAD1レベルを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、抗PAD1について陰性であり得る。
[00120] いくつかの実施形態では、対象は、例えば、対象の血液又は別の組織若しくは体液中に存在する抗PAD1及び抗PAD4を有し得(抗PAD1及び抗PAD4陽性対象)、又は対象は、正常な健康な対象と比較して、例えば、対象の血液又は別の組織若しくは体液中の高い抗PAD1及び抗PAD4レベルを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、抗PAD1及び抗PAD4について陰性であり得る。
[00121] いくつかの実施形態では、対象は、治療ナイーブであり得る。いくつかの実施形態では、対象は、RAの治療(例えば、薬物治療)を受けている可能性がある。いくつかの実施形態では、対象は、寛解中であり得る。いくつかの実施形態では、寛解は、薬物により誘導され得る。いくつかの実施形態では、寛解は、薬物を使用しない可能性がある。
[00122] いくつかの実施形態では、対象は、RAの動物モデルであり得る。いくつかの実施形態では、動物モデルは、RAのマウス、ウサギ、又は霊長類モデルであり得る。いくつかの実施形態では、動物モデルは、動物をPADで免疫化又はワクチン接種することにより、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4を含む抗PAD応答を誘導することを含み得る。
[00123] 用語「健康な対照個体」、「健康な対象」、及び本明細書の文法的等価物は、互換的に使用され、既知の又は非RA対象を表すように決定されたベースライン又は標準を超える、増加した抗PADレベル、RA又は関節びらんを有さない対象を指すことに留意するべきである。
[00124] 対象を非RA対象として決定又は定義するベースライン又は標準は、基準範囲である。診断又は健康関連分野では、基準範囲は、特定のパーセンタイルによって指定される、健康な対照個体であり得る参照対照において観察される値の範囲である。基準範囲は、当業者により決定される任意の値の範囲であり得る。CLSI, “How to define and determine reference intervals in the clinical laboratory: approved guideline,” C28:A2 (2000)を参照されたい。いくつかの場合、基準範囲は、測定される特定の分析物、又は研究される疾患に応じてストリンジェント又はより低いストリンジェントであり得る。当業者は、基準範囲を決定する際に使用される適切なストリンジェンシーを理解するであろう。したがって、いくつかの実施形態では、基準範囲は、95thパーセンタイルに設定され得る。特異度を増加させ、感度を低下させる、例えばストリンジェンシーを増加させるためには、96thパーセンタイル又は97th、又は98th、又は99thなどのより高いカットオフを使用することができる。
[00125] 本開示では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADは、特定のタイプの抗PADレベルが、健康な対照対象における対応する特定のタイプの抗PADレベルに対して少なくとも95thパーセンタイルを超える場合、対象において増加したとみなされ得る。他の実施形態では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADは、特定のタイプの抗PADレベルが96th、97th、98th又は99thパーセンタイルを超える場合、対象において増加したとみなされ得る。
[00126] いくつかの実施形態では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADの存在は、健康な対象における背景に対するシグナルの比較に基づく可能性がある。いくつかの実施形態では、抗PADの存在は、健康な対象の集団において観察される平均又はメジアン抗PADレベルに対して増加又は減少し得る。いくつかの実施形態では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADは、健康な対象に存在しない可能性がある。いくつかの実施形態では、抗PADレベルは、抗PADレベルの決定に使用される各々のアッセイのノイズを超えて検出することができない。いくつかの実施形態では、抗PADは、抗PADレベルが抗PADレベルの決定に使用される各々のアッセイのノイズを超えて検出できる場合、サンプル中に存在するとみなされ得る。いくつかの実施形態では、抗PADは、抗PAD検出アッセイのシグナルが、対照サンプルの平均(average)又は平均(mean)シグナルなどのノイズよりも少なくとも2標準偏差高い場合、サンプル中で増加したとみなされ得る。いくつかの実施形態では、抗PADは、抗PADのレベルが所定の閾値レベルを超える場合、サンプル中に存在するとみなされ得る。抗PAD閾値レベルは、多様な因子、例えば臨床試験の特定の目的、又は特定の抗PADレベルの診断的及び予後的意義、又は抗PADレベルの検出を含まないRAについての別の診断試験の結果に基づいて、臨床医などの当業者により決定され得る。
[00127] いくつかの実施形態では、本開示は、PAD又はその抗原断片を含むポリペプチドを提供する。PADは、本明細書で提供される方法で使用され、又は本明細書で提供されるキットに含まれ得る。
[00128] PAD又はその抗原断片は、当技術分野で周知の様々な方法を用いて得ることができる。例えば、PAD又はその抗原断片は、天然源から単離され、化学合成によって生成され、又は組換えタンパク質発現によって生成され得る。
[00129] いくつかの実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、天然源からの単離、化学合成又は組換え発現を含む方法によって得られる。特定の実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、天然源からの単離を含む方法によって得られる。特定の実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、組換え発現を含む方法によって得られる。特定の実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、化学合成によって得られる。特定の実施形態では、PADタンパク質は、下の実施例に記載される方法によって得られる。
[00130] いくつかの実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、組換え発現を含む方法によって得られ、カルシウムが使用される。いくつかの実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、組換え発現を含む方法によって得られ、カルシウムは使用されない。
[00131] いくつかの実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、シトルリン化PADタンパク質又はその抗原断片である。他の実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、シトルリン化PADタンパク質又はその抗原断片である。
[00132] 組換えポリペプチドの発現及び精製、細胞、組織又は体液からのポリペプチドの精製、並びにポリペプチドの化学合成の例示的な方法は、当技術分野で周知であり、Scopes R.K., Protein Purification-Principles and Practice, Springer Advanced Texts in Chemistry, 3rd Edition (1994); Simpson R.J. et al., Basic Methods in Protein Purification and Analysis: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1st Edition (2008); Green M.R. and Sambrook J., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 4th Edition (2012); Jensen K.J. et al., Peptide Synthesis and Applications (Methods in Molecular Biology), Humana Press, 2nd Edition (2013))に記載されているものに見出すことができる。
[00133] 天然源から精製又は単離されたポリペプチドは、ポリペプチドが天然に発現される供給源からのポリペプチドの単離及び精製を指す。いくつかの実施形態では、PADの天然源は、生物の細胞、組織又は体液であり得る。いくつかの実施形態では、細胞、組織又は体液は、例えば、本開示の生物由来の全血、血清、血漿、滑液又は痰を含むことができる。PAD又はその抗原断片は、本明細書に記載及び提供される任意の生物学的サンプルから同様に単離することができる。
[00134] 用語「精製された」又は「単離された」は、天然に見出される成分の複合混合物から部分的に又は完全に単離されたポリペプチドを指すことに留意するべきである。したがって、いくつかの実施形態では、本開示のPADは、部分的に精製され又は実質的に精製され得る。部分的な精製は、天然に見出される1つ以上の成分からの単離をもたらす。実質的な精製は、天然に見出される全ての成分からの単離をもたらす。本明細書に開示される部分的な精製は、本明細書で提供される方法及び組成物によって達成することができる。いくつかの実施形態では、部分的に精製されたPADは、捕捉プローブを用いて行うことができる。いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、PADに特異的なポリペプチド又はその機能性断片である。いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、抗PAD抗体である。本明細書に例示される実質的な精製は、当技術分野で公知の方法によって達成することができる。いくつかの実施形態では、PADは、抽出、沈殿及び可溶化のプロセスによって実質的に精製される。
[00135] 組換えポリペプチドは、細菌細胞(例えば、大腸菌(E.coli))、酵母細胞(例えば、S.セレビシエ(S.cerevisiae))、昆虫細胞(例えば、S?9)、哺乳動物細胞(例えば、CHO)などにおいて発現させ、それらから精製することができる。組換えポリペプチドは、切断可能なタグ(例えば、TEV-切断部位を含むタグ)を含む、タンパク質検出用のタグ又は親和性精製タグ(例えば、His-タグ、GST-タグ、Myc-タグ)を含む融合タンパク質として発現及び精製され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるPADは、生物から得られた細胞、組織又は体液から精製され得る。組織又は体液は、生物から得られた任意の組織又は体液を含むことができる。いくつかの実施形態では、組織又は体液は、血液、血清、血漿、滑液、尿又は乳(例えば、ヤギ、ウシ、ヒツジ由来)を含むことができる。当業者は、細胞、組織又は体液からポリペプチドを精製するための方法が、当技術分野で周知であることを認識するであろう。
[00136] いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、例えば、Jensen,K.J.(上記)に記載の方法を用いて化学合成される。
[00137] いくつかの実施形態では、PAD抗原断片は、全長PADを酵素的に消化することによって生成され得る。全長PADは、例えば、上述した例示的な方法のいずれかによって得ることができる。酵素消化は、例えば、プロテアーゼ又はペプチダーゼを用いて行うことができる。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ又はペプチダーゼは、エキソプロテアーゼ又はエキソペプチダーゼであり得る。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ又はペプチダーゼは、エンドプロテアーゼ又はエンドペプチダーゼであり得る。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ又はペプチダーゼは、セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸塩プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、又はメタロプロテアーゼを含むことができる。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ又はペプチダーゼは、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パパイン及びカテプシンB、L、D、K、又はGを含む任意のカテプシンを含むことができる。
[00138] いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、天然のPADであり得る。いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、変性又は折り畳まれていないPADであり得る。いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、非天然アミノ酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、α-アミノ基においてメチル化されて、メチル化バックボーンを有するポリペプチドを生成し得る。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、R-アミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、染料(例えば、蛍光染料)又は親和性タグを含むことができる。いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、化学修飾を含むことができる。化学修飾は、例えば、ビオチン、蛍光染料を用いた化学修飾を含むことができる。当業者は、非天然アミノ酸をポリペプチドに導入する方法を認識し、化学修飾されたポリペプチドは当技術分野で周知である。
[00139] いくつかの実施形態では、単離された、化学合成された若しくは組換えPAD又はその抗原断片は、複数のPADであり得る。用語「複数」は、2つ以上のメンバー、例えばポリペプチドメンバー又は他の参照分子の集団を指すことに留意するべきである。いくつかの実施形態では、複数のメンバーの2つ以上のメンバーは、同じメンバーであり得る。例えば、複数のポリペプチドは、同じアミノ酸配列を有する2つ以上のポリペプチドメンバーを含むことができる。例示のために、同じアミノ酸配列を有する複数のメンバーは、表1に例示したPADの任意の1つの2つ以上のメンバーを含むことができる。いくつかの実施形態では、複数のメンバーの2つ以上のメンバーは、異なるメンバーであり得る。例えば、複数のポリペプチドは、異なるアミノ酸配列を有する2つ以上のポリペプチドメンバーを含むことができる。例示のために、異なるアミノ酸配列を有する複数のメンバーは、表1に例示した2つ以上のPADの少なくとも1つのメンバーを含むことができる。複数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100以上の異なるメンバーを含む。複数はまた、200、300、400、500、1000、5000、10000、50000、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10又は1x10以上の異なるメンバーを含むことができる。複数は、例えば、上記の例示的な複数の数字の間の全ての整数を含む。いくつかの実施形態では、PADは、本開示の生物由来の複数のPADであり得る。
[00140] 本明細書で提供されるように、RAは、抗PAD1、又は抗PAD1及び抗PAD4の検出によって、本開示の対象において決定され得る。いくつかの実施形態では、検出はさらに、抗PAD3、抗PAD2、及び/又は抗PAD6を含むことができる。本明細書に記載の抗PADのいずれかの検出は、例えば、IgGに特異的な抗体の使用により行うことができる。当技術分野におけるIgG結合分子を使用することができる。加えて、IgAに特異的な抗体も抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4の検出に使用することができる。いくつかの実施形態では、IgG及びIgA検出の組み合わせが行われ得る。
[00141] 本開示の標識は、本明細書に特定される検出プローブのいずれかにコンジュゲートされ得る。コンジュゲーションは、上述した非共有又は共有架橋を含むことができる。いくつかの構成では、検出プローブにコンジュゲートされた標識は、上述したさらなる基質又は結合剤を必要とする。例として、検出プローブにコンジュゲートされたHRP標識は、検出プローブを検出するために、上記に開示した基質を必要とする。標識の多数の他の構成が当技術分野で公知である。本開示は、本明細書で例示し及び/又は当技術分野で公知の全ての標識構成を含む。いくつかの実施形態では、標識構成は、PAD(例えば、PAD1又はPAD1及びPAD4)、PAD:抗PAD複合体結合剤、抗PAD IgG、抗IgG、抗PAD IgA又は抗IgAにコンジュゲートしたPEを含むことができる。代替的な実施形態では、標識構成は、例えばPAD1、又はPAD1及びPAD4を含む特定のPADにコンジュゲートしたPEを含むことができる。さらなる実施形態では、標識構成は、例えば、抗PAD1 IgG、抗PAD1 IgG及び抗PAD4 IgGを含む抗PAD IgG、抗PAD1 IgA、抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgA又はそれらの組み合わせにコンジュゲートしたPEを含むことができる。
[00142] 本開示の標識により生成されたシグナルの検出、測定及び/又は定量方法は、当技術分野で周知であり、蛍光、発光、化学発光又は吸光度、反射率、透過率、複屈折又は屈折率の検出を含む。光学的方法は、共焦点及び非共焦点顕微鏡法などのイメージング方法、並びにマイクロプレートリーダーなどの非イメージング方法を含む。いくつかの実施形態では、生物学的サンプル中の例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADの検出方法は、生物学的サンプル中の蛍光、比色又は吸光度シグナルの可視化、定量又はその両方を含むことができる。
[00143] 本開示のいくつかの実施形態では、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADの存在は、イムノアッセイによって検出することができる。イムノアッセイ及び生物物理学的タンパク質-相互作用アッセイを行うための方法及びプロトコルは、当技術分野で周知である。例えば、Wild D., The Immunoassay Handbook, Elsevier Science, 4thEdition (2013); Fu H., Protein-Protein Interactions, Humana Press, 4thEdition (2004)を参照されたい。例示的なイムノアッセイは、蛍光免疫吸着剤アッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、多重イムノアッセイ、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイ、固相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)、間接免疫蛍光アッセイ(IIF)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び粒子ベースの多分析物試験(PMAT)、又はドットブロットアッセイを含む。
[00144] いくつかの実施形態では、ELISAはサンドイッチELISAであり得る。いくつかの実施形態では、サンドイッチELISAは、この開示の精製ポリペプチドを、下記に例示するように固体支持体上に固定化する初期工程を含むことができる。例えば、PAD又はその抗原断片は、マイクロタイタープレートウェル又はキュベットの壁上に固定化され得る。いくつかの実施形態では、対象由来のサンプルを、この開示のPAD又はその抗原断片と接触させることは、サンプルを固定化PAD又はその抗原断片に曝露することを含むことができる。
[00145] いくつかの実施形態では、ELISAは直接ELISAであり得る。いくつかの実施形態では、直接ELISAは、PAD又はその抗原断片を、本明細書に開示した固体支持体のいずれかに固定化する初期工程を含むことができる。例えば、PAD又はその抗原断片は、マイクロタイタープレートウェル又はキュベットの壁に固定化され得る。いくつかの実施形態では、対象由来のサンプルを、この開示のPAD又はその抗原断片と接触させることは、患者のサンプルに含まれる抗PADを固定化PADに曝露することを含むことができる。本明細書に開示した方法のいずれかにおいて、本明細書及び当技術分野に開示した(上記参照)イムノアッセイのいずれかを使用することができ、又は使用のために改変することができる。
[00146] いくつかの実施形態では、抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADは、粒子ベースの多分析物試験によって検出することができる。例えば、PMATでは、異なるタイプの粒子が同時に使用され、各タイプは、その粒子の表面上に、特定の分子種の特定の結合パートナーが固定化されている。溶液中で、検出されるべき分析物分子は、対応する粒子タイプ上のそれらの結合パートナーに結合する。次いで、多重アッセイの全ての粒子-結合分析物分子をマークする二次マーカーを添加することにより、結合が光学的に検出される。PMATは、フローサイトメトリー、捕捉サンドイッチイムノアッセイ又は競合イムノアッセイなどの当技術分野で公知の多様なフォーマットを用いて行うことができる。例えば、デュアルレーザーフローベースの検出機器を使用し、自己抗体などの分析物部分の結合を、二次マーカーの蛍光を介して検出することができる。いくつかの実施形態では、PMAT粒子はビーズであり得る。PMATを実行するために、自己免疫疾患に特異的に関連する1つ以上の自己抗体の存在を同定し得、患者は、PMATにより同定された自己抗体に特異的に関連する自己免疫疾患が診断され得る。
[00147] いくつかの実施形態では、ドットブロット又はラインイムノアッセイ(LIA)を用いて、生物学的サンプル中の抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADを検出することができる。ドットブロットの方法及びプロトコルは、当技術分野で周知であり、ポリペプチド濃度を推定することを含む。Joint ProteomicS Laboratory (JPSL) of the Ludwig Institute for Cancer Research, Estimating protein concentration by dot blotting of multiple samples, Cold Spring Harbor Protocols, New York (2006)を参照されたい。
[00148] いくつかの実施形態では、イムノアッセイは、捕捉プローブを固体支持体に十分な時間固定化して結合を起こさせることにより行うことができる。捕捉プローブは、目的の分析物に結合する結合剤を含む。抗PAD、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4の検出に関連して、捕捉プローブは、抗PAD、PAD:抗PAD複合体又は抗PADに特異的に結合する任意の結合剤であり得る。例示的な捕捉プローブは、PAD及び/又は特定のPAD、例えばPAD1、PAD2、PAD3及び/又はPAD4、並びにその抗原断片を含む。他の例示的な捕捉プローブは、抗IgG抗体及び/又は抗IgA抗体、及びその機能性断片、抗IgG及び/又はIgA結合ポリペプチド及びその機能性断片、抗体を含む抗PAD IgG及び/又は抗PAD IgA結合ポリペプチド、及びその機能性断片、及び/又はPAD:抗PAD複合体結合ポリペプチド及びその機能性断片並びに結合剤を含む。
[00149] イムノアッセイはさらに、ブロッキング工程、洗浄工程及び追加的又は代替的に、溶出工程を含むことができる。ブロッキング工程は、イムノアッセイの固体支持体をブロッキング緩衝液中に十分な時間及び温度で接触させて、ブロッキングを可能にすることを含むことができる。例示的なブロッキング緩衝液は、例示的な固体支持体と同様に、下記に特定される。洗浄工程は、イムノアッセイの固体支持体を洗浄緩衝液と接触させて、固体支持体へのポリペプチドの非特異的結合を除去することを含む。例示的な洗浄緩衝液は、下記に記載されている。溶出緩衝液は、当技術分野で公知の、又は本明細書に開示される多様な溶出緩衝液のいずれかを含むことができる。溶出緩衝液は、例えば、pH2.5~3の0.1Mグリシン:HCl溶液を含む。ポリペプチド複合体はイムノアッセイの固体支持体から溶出して、例えば、PAD及び抗IgG複合体又はPAD及び抗IgAの検出及び測定を補助することができる。
[00150] 本開示はまた、RAの診断、又はRA進行の監視に使用することができるキットを提供する。キットは、PADタンパク質に特異的な自己抗体を補足することができる少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質、又はその抗原断片;前記自己抗体を認識する検出プローブ、及び固体支持体を含むことができ、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1又はPAD1及びPAD4を含むことができる。特定の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1又はその抗原断片である。他の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1及びPAD4又はその抗原断片である。
[00151] いくつかの実施形態では、PAD1又はPAD1及びPAD4を含む本開示のキットはさらに、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片からなる群から選択される1つ以上のPADタンパク質を含むことができる。特定の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、及びPAD2又はその抗原断片である。他の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、及びPAD3又はその抗原断片である。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、PAD2、及びPAD3又はその抗原断片である。さらなる実施形態では、少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、PAD4、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片である。
[00152] キットは、本明細書で提供され、また当技術分野で周知の他の検出プローブのいずれかを含むことができる。例えば、検出プローブは、抗体又はリガンドを含むことができる。検出プローブは、固体支持体上に固定化され得る。用語「固定化」は「結合」と互換的に使用され、両方の用語は、別に示さない限り、明示的に又は文脈により、共有及び非共有結合を含むことに留意するべきである。いくつかの実施形態では、PADタンパク質又はその抗原断片は、固体支持体に固定化される。
[00153] この開示の方法に関連して例示されるように、キットは、本明細書に記載され又は例示される標識のいずれかを含むことができる。例えば、キットの標識は、フルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素、小分子、ポリペプチド又はその機能性断片を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットの標識はPEを含む。いくつかの実施形態では、キットの標識はFITCを含む。いくつかの実施形態では、本開示の標識は、上記に例示した本開示の検出プローブにコンジュゲートされる。
[00154] キットは、本明細書で提供され又は当技術分野で特定される任意の固体支持体を含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「固体支持体」、「固体表面」及び他の文法的等価物は、この開示のPAD、例えばPAD1又はPAD1及びPAD4、又はその抗原断片の結合に適切な又は適切なように修飾され得る任意の材料を指す。可能な材料は、非限定的に、ガラス及び修飾又は官能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、メチルスチレン、ポリウレタン、テフロン(商標)などを含む)、常磁性材料、トリアソル(thoria sol)、カーボングラファイト、酸化チタン、ラテックス又は架橋デキストラン、例えばセファロース、セルロース多糖、ナイロン又はニトロセルロース、セラミックス、樹脂、ケイ素及び修飾ケイ素を含むシリカ又はシリカ系材料、炭素金属、無機ガラス、光ファイバー束、並びに多様な他のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、マイクロタイターウェルプレート(例えば、96-ウェル、384-ウェル又は1536-ウェルプレート)内に位置し得る。いくつかの実施形態では、固体支持体は、フローセル又はフローセル装置(例えば、Biacore(商標)チップ又はタンパク質チップ上のフローセル)内に位置し得る。
[00155] いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ、ミクロスフェア、粒子、膜、チップ、スライド、ウェル及び試験管であり得る。ビーズは、ミクロスフェア又は粒子を含む。本明細書の「ミクロスフェア」又は「粒子」又は文法的等価物は、マイクロメートル又はナノメートル寸法の小さい、個別の非平面粒子を意味する。いくつかの実施形態では、ビーズは球状であり得、他の実施形態では、ビーズは不規則である。代替的又は追加的に、ビーズは多孔質であり得る。ビーズサイズはナノメートル~ミリメートルの範囲であり、いくつかの実施形態では約0.2~約200ミクロンのビーズが好ましい。他の実施形態では、ビーズサイズは、約0.5~約5ミクロンの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、0.2ミクロンより小さい、及び200ミクロンを超えるビーズが使用され得る。いくつかの実施形態では、固体支持体は、表面内のウェル又は凹部のアレイを含むことができる。これは、フォトリソグラフィ、スタンピング技術、成形技術及びマイクロエッチング技術を含む多様な技術を用いて、当技術分野で公知のように製作することができる。当業者が理解するように、用いられる技術は、アレイ基材の組成及び形状に依存するであろう。
[00156] いくつかの実施形態では、固体支持体は、精製タンパク質を規則正しいパターンに固定化するのに適したパターン化表面を含むことができる(例えば、タンパク質チップ)。「パターン化表面」は、固体支持体の露出層内又は上の異なる領域の配置を指す。例えば、領域の1つ以上は、1つ以上の精製タンパク質が存在するフィーチャであり得る。フィーチャは、精製タンパク質が存在しない介在領域によって分離され得る。いくつかの実施形態では、パターンは、行及び列にあるフィーチャのx-yフォーマットであり得る。いくつかの実施形態では、パターンは、フィーチャ及び/又は介在領域の反復配置であり得る。いくつかの実施形態では、パターンは、フィーチャ及び/又は介在領域のランダム配置であり得る。本明細書に記載される方法及び組成物に使用できる例示的なパターン化表面は、米国特許出願公開第2008/0280785 A1号、米国特許出願公開第2004/0253640 A1号、米国特許出願公開第2003/0153013 A1号及び国際公開第2009/039170 A2号に記載されている。
[00157] いくつかの実施形態では、固体支持体は、その表面に、例えばPAD1又はPAD1及びPAD4などのPAD、又はその抗原断片が結合され得る。いくつかの実施形態では、例えば、表1~3に例示されている任意のPAD(その抗原断片を含む)を、固体支持体に結合することができる。いくつかの実施形態では、本開示の任意のPAD又はその抗原断片は、リンカー分子を介して固体支持体に固定化され得る。いくつかの実施形態では、本開示の任意のPAD又はその抗原断片などの分子が、支持体を使用することが意図される条件下で、例えば、抗体の結合又は検出を必要とする用途において、支持体に固定化又は結合されたままであることが、必要とする全てである。
[00158] キットは、陽性対照を含むことができる。いくつかの実施形態では、陽性対照は、検出可能な量の、又は閾値を超えるレベルの、例えば抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADを含むサンプルであり得る。いくつかの実施形態では、陽性対照は、閾値を超える抗PADのレベルを有する疾患対象から得ることができる。追加的又は代替的に、陽性対照は、本明細書に記載される方法のいずれかを用いてインビトロで合成された抗PADを含み得る。他の実施形態では、キットは、陰性対照を含むことができる。陰性対照は、検出可能な量ではない、又は閾値未満のレベルの抗PADを含むサンプルであり得る。いくつかの実施形態では、陰性対照は、健康な対照個体から得ることができ、又はインビトロで合成することができる。例えば、陰性対照は、水又は緩衝液を含むことができる。
[00159] キット又は本開示はさらに、1つ以上の補助試薬を含むことができる。本明細書で使用される場合、「補助試薬」は、キットの意図する目的を実行するのに有用な、物質、混合物、材料又は成分を指す。補助試薬は、コンジュゲーション試薬を含む試薬、緩衝液、標準、陽性対照、標識、説明書などを含むことができる。
[00160] この開示の方法に関連して本明細書で提供及び例示されるように、この開示のキットは、レポータータグを含むことができる。レポータータグは、バイオマーカーの検出のためのシグナルを生成するように機能する。レポータータグは、例えば、本明細書で使用される検出プローブのいずれかに、非共有又は共有架橋を介して結合することができる。
[00161] いくつかの実施形態では、本開示のキットの試薬は、共有及び非共有コンジュゲーション試薬を含む、当技術分野で公知の任意のコンジュゲーション試薬を含むことができる。共有コンジュゲーション試薬は、この開示のポリペプチドを表面上に共有結合により固定化するのに使用できる任意の化学的又は生物学的試薬を含むことができる。共有コンジュゲーション試薬は、カルボキシルからアミンへの反応性基、例えばEDC若しくはDCCなどのカルボジイミド、アミン反応性基、例えばN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル若しくはイミドエステル、スルフヒドリル反応性架橋剤、例えばマレイミド、ハロアセチル、若しくはピリジルジスルフィド、カルボニル反応性架橋剤基、例えばヒドラジド若しくはアルコキシアミン、光反応性架橋剤、例えばアリールアジド若しくはジジリン(dizirine)、又は化学選択的ライゲーション基、例えばシュタウディンガー反応対を含むことができる。非共有固定化試薬は、この開示のポリペプチドを表面上に非共有結合により固定化するのに使用できる任意の化学的又は生物学的試薬、例えば親和性タグ、例えばビオチン又は捕捉試薬、例えばストレプトアビジン又は抗タグ抗体、例えば抗His6若しくは抗Myc抗体を含むことができる。
[00162] 本開示のキットは、コンジュゲーション試薬の組み合わせを含むことができる。そのような組み合わせは、例えばこの開示のタンパク質を表面、例えばカルボキシル化デキストランマトリクス上(例えば、BIAcore(商標)CM5チップ又はデキストランベースのビーズ上)に固定化するのに使用できる、例えばEDC及びNHSを含む。コンジュゲーション試薬の組み合わせは、予め混合した試薬の組み合わせとして保存されてもよく、又は組み合わせの1つ以上のコンジュゲーション試薬は他のコンジュゲーション試薬とは別個に保存されてもよい。
[00163] 他の実施形態では、キットの試薬は、被覆緩衝液などの試薬を含むことができる。被覆緩衝液は、炭酸ナトリウム-水酸化ナトリウム又はリン酸ナトリウムを含むことができる。いくつかの実施形態では、被覆緩衝液は、0.1M NaHCO(例えば、約pH9.6)であってもよい。
[00164] いくつかの実施形態では、キットの試薬は、洗浄緩衝液を含むことができる。洗浄緩衝液は、Tris緩衝生理食塩水(TBS)のようなトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)ベースの緩衝液、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のようなリン酸緩衝液を含むことができる。洗浄緩衝液は、イオン性又は非イオン性洗剤などの洗剤から構成され得る。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液は、約0.05%のTween(登録商標)20を含む約pH7.4のPBS緩衝液であり得る。他の実施形態では、洗浄緩衝液は、BIO-FLASH(商標)Special Wash Solution (Inova Diagnostics,Inc.、San Diego、CA)であり得る。
[00165] いくつかの実施形態では、キットの試薬は、希釈緩衝液を含むことができる。当技術分野で公知の任意の希釈緩衝液が本開示のキットに含まれ得る。典型的な希釈緩衝液は、ウシ血清アルブミン(BSA)などの担体タンパク質、及びTween(登録商標)20などの洗剤を含む。いくつかの実施形態では、希釈緩衝液は、約1% BSAのBSA及び約0.05%のTween(登録商標)20を含む約pH7.4のPBSであり得る。
[00166] いくつかの実施形態では、試薬は、検出又はアッセイ緩衝液を含むことができる。当技術分野で公知の任意の検出又はアッセイ緩衝液が本開示のキットに含まれ得る。検出又はアッセイ緩衝液は、比色検出若しくはアッセイ緩衝液、蛍光検出若しくはアッセイ緩衝液又は化学発光検出若しくはアッセイ緩衝液であり得る。比色検出又はアッセイ緩衝液は、PNPP(p-ニトロフェニルリン酸)、ABTS(2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸))又はOPD(o-フェニレンジアミン)を含む。蛍光検出又はアッセイ緩衝液は、QuantaBlu(商標)又はQuantaRed(商標)(Thermo Scientific、Waltham、MA)を含む。化学発光検出又はアッセイ緩衝液は、ルミノール又はルシフェリンを含むことができる。検出又はアッセイ緩衝液はまた、Hなどのトリガー、及びイソルミノール-コンジュゲートなどのトレーサーを含むことができる。いくつかの実施形態では、検出試薬は、1つ以上のBIO-FLASH(商標)Trigger溶液(Inova Diagnostics,Inc.、San Diego、CA)を含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示のキットの試薬は、較正又は試験に有用な溶液を含むことができる。
[00167] いくつかの実施形態では、キットの試薬は、停止溶液を含むことができる。当技術分野で公知の任意の停止溶液がこの開示のキットに含まれ得る。この開示の停止溶液は、検出試薬及び対応するアッセイシグナルのさらなる発生を終結又は遅延させる。停止溶液は、例えば、低pH緩衝液(例えば、グリシン-緩衝液、pH2.0)、カオトロピック剤(例えば、塩化グアニジニウム、ドデシル硫酸ナトリウム-(SDS))又は還元剤(例えば、ジチオトレイトール、β-メルカプトエタノール)などを含むことができる。
[00168] いくつかの実施形態では、この開示のキットの試薬は、清浄試薬を含むことができる。清浄試薬は、当技術分野で公知の任意の清浄試薬を含むことができる。いくつかの実施形態では、清浄試薬は、自動アッセイシステムの製造業者により推奨される清浄試薬であってもよい。いくつかの実施形態では、清浄試薬は、BIO-FLASH(商標)System Rinse又はBIO-FLASH(商標)System Cleaning溶液(Inova Diagnostics,Inc.、San Diego、CA)を含むことができる。
[00169] キットの検出プローブは、上述した検出プローブのいずれかを含むことができる。簡単に言えば、キットの検出プローブは、抗体及びリガンドを含むことができる。したがって、抗PADに特異的な検出プローブは、例えば、PAD、PAD:抗PAD複合体結合剤、抗PAD IgG及び/又は抗PAD IgA結合剤並びにIgG及び/又はIgA結合剤を含む。抗PAD IgG検出プローブは、抗PAD1 IgG、抗PAD2 IgG、抗PAD3 IgG、抗PAD4 IgG、及び/又は抗PAD6 IgGへの結合剤を含む。抗PAD IgA検出プローブは、抗PAD1 IgA、抗PAD2 IgA、抗PAD3 IgA、抗PAD4 IgA、及び/又は抗PAD6 IgAへの結合剤を含む。
[00170] キットの検出プローブは、本明細書で以前に開示した標識のいずれかにコンジュゲートされ得る。例えば、検出プローブは、フルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素、小分子、ポリペプチド又はその機能性断片にコンジュゲートされ得る。フルオロフォアの例は、フィコエリトリン(PE)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミン(TRITC)、BODIPY及びAlexaFluor(登録商標)染料のような蛍光染料を含む。蛍光染料はまた、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)-染料又は時間分解(TR)-FRET染料を含むことができる。フルオロフォア標識はまた、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びシアン蛍光タンパク質(CFP)などの蛍光タンパク質を含む。酵素標識の例は、アルカリホスファターゼ(AP)又は西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)を含む。基質3,3’5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、又は2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)のいずれかがHRPに適用される場合、有色(発色)又は光(化学発光)シグナルが生成される。放射性部分標識は、炭素-14又はトリチウムを含む。小分子標識は、ビオチン、アガロースビーズ及び蛍光標識磁気ビーズなどの樹脂、又は金コロイドなどのナノ粒子を含む。ポリペプチド又は機能性断片標識は、ビオチンに対する親和性を有するアビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンを含む。ポリペプチド又は機能性断片標識はまた、ヘマグルチニン(HA)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)又はc-mycを含む。
[00171] いくつかの実施形態では、この開示で提供されるキットは、生物学的サンプルの収集に適した構成要素を含むことができる。構成要素は、収集チューブ、カラム、注射器、針などを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、キットの構成要素を使用するための説明書を含むことができる。説明書は、キットの内部又は外部の任意の形態であり得る。説明書は、プロトコル及び分析技術に関する詳細を提供する。
[00172] いくつかの実施形態では、本開示のキットは、自動アッセイシステムに対する器具を含むことができる。自動アッセイシステムは、任意の製造業者によるシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、自動アッセイシステムは、例えば、BIO-FLASH(商標)、BEST 2000(商標)、DS2(商標)、ELx50 WASHER、ELx800 WASHER、ELx800 READER、及びAutoblot S20(商標)(Inova Diagnostics,Inc.、San Diego、CA)を含むことができる。他の実施形態では、キットの器具は、検出器具であり得る。検出器具は、当技術分野の任意の検出器具を含むことができる。検出器具は、本開示のレポータータグの標識を検出又は測定することが可能である。したがって、検出器具は、蛍光、発光、化学発光又は吸光度、反射率、透過率、複屈折又は屈折率を検出又は測定することが可能である。いくつかの実施形態では、検出器具は、共焦点及び非共焦点顕微鏡法、マイクロプレートリーダー、フローサイトメーターなどを含むことができる。
[00173] 本開示のキットの成分は、様々な物理的状態にあり得る。例えば、成分のいくつか又は全部は、水溶液中で凍結乾燥され、又は凍結され得る。そのような成分は、PAD1又はPAD1及びPAD4などのPAD、検出プローブ、並びに補助試薬を含む。補助試薬は、固定化緩衝液、インキュベーション緩衝液、洗浄緩衝液、希釈緩衝液、検出又はアッセイ緩衝液及びブロッキング緩衝液を含む。当業者は、様々なタイプのインキュベーション、洗浄、検出及びブロッキング緩衝液が存在することを認識する。
[00174] この開示のキットは、特定のアッセイ技術に適合(tailor)させることができる。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に例示したアッセイ技術に適合させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、FIAキット、CIAキット、RIAキット、多重イムノアッセイキット、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイキット、SPRIAキット、IIFキット、ELISA、PMATキット、又はドットブロットキットであり得る。いくつかの実施形態では、ELSAキットは、洗浄緩衝液、サンプル希釈剤、二次抗体-酵素コンジュゲート、検出試薬及び停止溶液を含むことができる。いくつかの実施形態では、ドットブロットキットは、洗浄緩衝液、サンプル希釈剤、二次抗体-酵素コンジュゲート、検出試薬、及び停止溶液を含むことができる。いくつかの実施形態では、CIAキットは、洗浄緩衝液、サンプル希釈剤、トレーサー(例えば、イソルミノール-コンジュゲート)及びトリガー(例えば、H)を含むことができる。いくつかの実施形態では、多重キットは、洗浄緩衝液、サンプル希釈剤及び二次抗体-酵素コンジュゲートを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、Luminexプラットフォームに適合させることができ、例としてxMAP(登録商標)ビーズを含む。
[00175] キットは、各々がPAD1又はPAD1及びPAD4などのPAD、又はその抗原断片と反応性の抗PAD1又は抗PAD1及び抗PAD4などの抗PADを検出する手段を提供することにより、RAの診断、又はRAの監視に使用することができる。キットは、本明細書に記載され、及び当技術分野で公知の技術のいずれかによって、抗PAD自己抗体を検出することができる。抗PAD及びPAD、又はその抗原断片の複合体は、1つの抗PADに対して1又は1を超える化学量論を有し得る。いくつかの実施形態では、複合体は、PAD又はその抗原断片当たり1つの抗PAD抗体を有し得る。いくつかの実施形態では、複合体は、PAD又はその抗原断片当たり2つの抗PADを有し得る。いくつかの実施形態では、複合体は、PAD又はその抗原断片当たり2つを超える抗PADを有し得る。2つの抗原の結合化学量論を測定する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、等温滴定熱量測定(ITC)及び超遠心分離法を含む。
[00176] いくつかの実施形態では、抗PAD及びPAD、又はその抗原断片の複合体は、同一の化学量論を有する複数の複合体であり得る。例えば、複数の複合体おける全複合体は、精製PAD又はその抗原断片当たり1つの抗PADを有する。いくつかの実施形態では、抗PAD及びPAD又はその抗原断片の複合体は、異なる化学量論を有する複数の複合体であり得る。例えば、複数の複合体おけるいくつかの複合体は、PAD又はその抗原断片当たり1つの抗PADを有し得、複数の複合体におけるいくつかの他の複合体は、PAD又はその抗原断片当たり1つを超える抗PADを有し得る。
[00177] いくつかの実施形態では、PAD又はその抗原断片は、より高い親和性で抗PADにより結合され得る。いくつかの実施形態では、抗PAD結合部位は、2倍超、3倍超、4倍超、5倍超、8倍超、10倍超、15倍超、20倍超、25倍超、50倍超、100倍超、300倍超、1,000倍超、3,000倍超、10,000倍超、30,000倍超、又は100,000倍超のより高い結合親和性で抗PADにより結合され得る。より大きい結合親和性は、抗PAD-PAD複合体についてのより低い解離定数(K)、又は抗PAD及びPADの各々についてのより高い結合定数(K)により証明される。いくつかの実施形態では、抗PAD-PAD複合体についての解離定数(K)は、1mM未満、300nM未満、100nM未満、30nM未満、10nM未満、3nM未満、1nM未満、300pM未満、100pM未満、30pM未満、10pM未満、3pM未満、又は1pM未満であり得る。抗原に対する抗体の結合親和性を測定する方法は、当技術分野で周知であり、ELISA、等温滴定熱量測定(ITC)及び表面プラズモン共鳴(SPR)を含む。
[00178] 本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態により範囲を限定されない。実際に、記載されたものに加えて本発明の様々な改変が、前述の記載及び付随する図面から当業者に明らかとなるであろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
[00179] 本出願を通して、様々な刊行物が参照されている。これらの刊行物の、それら全体における開示は、本発明が属する最先端技術をより完全に記載するために、本出願において参照により本明細書に援用される。上記に提供された例を参照して本発明を記載してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく様々な改変を為し得ることを理解するべきである。
6.実施例
実施例I
関節リウマチ(RA)における新規な抗原標的としてのPAD1及びPAD6の同定
[00180] この実施例は、PAD1及びPAD6がRAにおける新規な抗原標的であり、また抗PAD1及び抗PAD6がRA患者の同定に使用できることを示す。
[00181] 5つの既知のタンパク質-アルギニンデイミナーゼ(PAD)ファミリーメンバー(PAD1、PAD2、PAD3、PAD4、及びPAD6)のいずれかに対する抗体の存在が、RA患者及び非RA対照間を区別できるか否かを決定するために、粒子-ベースの多分析物技術(PMAT)に基づく抗PAD IgGの検出のためにパネルを開発した。パネルは、異なるヒト組換えPADタンパク質(PAD1、PAD2、PAD3、PAD4、及びPAD6)及び抗ヒトIgGコンジュゲートに連結した常磁性粒子を使用した。このパネルを使用して、RA患者由来の血清を使用する患者の第1のコホート(「コホートI」)(n=33)及び非RA対照(n=36)を試験した。対照は、明らかに健康な個体(n=10)と、感染性疾患(n=10)、全身性エリテマトーデス(n=7)、全身性硬化症(n=9)及びシェーグレン症候群(n=1)を有する患者とから構成された。
[00182] 結果は、5つの抗PAD IgG全部が、RA患者及び非RA対照間を区別する能力を示すことを明らかにした(図1)。90%を超える特異度で、抗PAD4 IgG、次いで抗PAD3 IgGは、最良の診断性能を示した。抗PAD2、抗PAD3、及び抗PAD4(各々、p値<0.0001、0.0014、及び0.0039)についてRA対非RA対照において有意に高いレベルの抗体が観察され、これはPAD2、PAD3、及びPAD4が自己抗原であることを確認した。驚くべきことに、より高いレベルの抗PAD1及び抗PAD6も、RA対非RA対照において観察された(各々、p値0.0041、及び0.0140)。
[00183] 同様の結果が、合計275人のRA患者及び285人の対照を含むより大規模な研究(「コホートII」)でも達成された(図2)。注目すべきことに、RA及び非RA対照間の区別は、より大規模な研究においても抗PAD1及び抗PAD4について同等であった。
[00184] 合わせて、これらの結果は、抗PAD2、抗PAD3、及び抗PAD4の同定が、RA患者を非RA対照から区別するのに有用であることを確認し、PAD1及びPAD6も同じ目的に有用であり得ることを最初に同定した。
実施例II
RA患者の血清における抗PAD1及び抗PAD4検出の相関の性能
[00185] この実施例は、抗PAD1及び抗PAD4の性能がRA患者の血清において強く相関することを示す。
[00186] 実施例Iに記載したコホートIからのサンプルの分析は、主成分分析(PCA)が、全ての抗PAD抗体間の関連を示したが、一方では抗PAD1、3及び4の間、並びに抗PAD2及び6の間のより密接な関連を示す、さらなる区別が存在したことを明らかにした(図3)。具体的には、最高の相関は抗PAD1及び抗PAD4の間であり(スピアマンのrho=0.87、p<0.0001)、最低の相関は抗PAD4及び抗PAD2の間(スピアマンのrho=0.38、p=0.0015)、並びに抗PAD4及び抗PAD6の間であった(スピアマンのrho=0.38、p=0.0011)。これらの結果は、患者の両コホートにおいて観察された抗PAD1及び抗PAD4の同様の性能と一致した(図1及び図2)。
[00187] 合わせて、相関結果は、抗PAD1がRAの既知のマーカーである抗PAD4と強く相関することを明らかにした。
実施例III
疾患対照に対して区別される抗PAD1検出
[00188] この実施例は、抗PAD1の検出が、様々な疾患の間でRA患者を同定するのにも有用であることを示す。
[00189] 抗PAD1がRAに特異的であるか否かを決定するために、非RA疾患対照由来の血清のサンプルをRA患者と比較した。非RA対照は、橋本病(HD)、突発性炎症性筋疾患(IIM)、シェーグレン症候群(SjS)、強直性脊椎炎(AS)、健康な個体(HI)、若年性突発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎(PsA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、感染性疾患(ID)、変形性関節症(OA)、及び小型血管炎(SVV)由来のサンプルを含んでいた。自己抗体を通常有する異なるタイプの自己免疫疾患を含む様々な非RA対照に対する試験からの結果は、抗PAD1がRAに特異的であり、各々約30%及び97%の感度及び特異度を有することを明らかにした(図3)。
[00190] したがって、抗PAD1の検出は、異なるタイプの自己免疫疾患を含む他のタイプの疾患からRAを区別することができ、RAを有する患者を同定するための新規な診断マーカーを表す。
実施例IV
抗PAD1の検出とさらなる抗PAD自己抗体の検出との組み合わせは、RAの診断を改善した
[00191] この実施例は、抗PAD1検出を1つ以上のさらなる抗PAD自己抗体と組み合わせて、RAの診断を改善することを示す。
[00192] RA患者を非RA患者から区別する際の抗PAD1及び抗PAD4検出の性能は同様であり(図1~図2)、抗PAD1及び抗PAD4間に強い相関が観察された(図4)。興味深いことに、抗PAD1及び抗PAD4間の相関にもかかわらず、コホートII由来のサンプルの分析は、高いレベルでPAD1又はPAD4のいずれかと反応するサンプルが存在することを明らかにした(図5)。これは、PAD1及びPAD4に対する自己抗体間の交差反応性ではなく、抗体間で排他的エピトープが存在し得ること、並びに抗PAD1及び抗PAD4の検出を組み合わせる新規な方法が性能を改善し得ることを示した。
[00193] コホートIIサンプルをPAD1及びPAD4を使用して試験した場合、PAD1又はPAD4単独を超える改善された性能が観察された(図6)。具体的には、抗PAD1及び抗PAD4の検出は0.718の曲線下面積(AUC)を有し、一方抗PAD1単独の検出は0.683のAUCを有し、抗PAD4単独の検出は0.696のAUCを有した。したがって、それらの抗体として個々に有用であることに加えて、抗PAD1及び抗PAD4の検出のためのPAD1及びPAD4の組み合わせは、各々、RA患者の診断を改善することができる。
[00194] 加えて、抗PAD1抗体の検出は、抗PAD2及び抗PAD6と組み合わせてRA及び非RA患者間を区別することができた。結果は、抗PAD1、抗PAD2及び抗PAD6の検出が、単独又は組み合わせで、抗PAD1及び抗PAD4と比較して、RAの診断を改善することができることを示した(図6)。
[00195] まとめると、これらの実験は、抗PAD1及び抗PAD4の検出の組み合わせが、いずれかの抗体単独と比較してRAの診断を改善することができることを明らかにした。加えて、これらの結果は、抗PAD1の検出が他の抗PAD自己抗体の検出と組み合わせられ、RA用途におけるその有用性について、抗PAD4との組み合わせに限定されないことを示す。
実施例V
RA患者の血清中に同定された抗PAD1のIgA及びIgGアイソタイプ
[00196] この実施例は、IgG及びIgAアイソタイプを有する抗PAD1がRA患者において検出され得ること、及び抗PAD1 IgAもRAを対照から区別できることを示す。
[00197] 上記に示すように、抗PAD1 IgGは、RAを非RA対照から区別する際の有用なバイオマーカーであり、抗PAD1及び抗PAD4の組み合わせは診断を改善できることが見出された。抗PAD1 IgAもRAを対照から区別できたか否かを決定するために、合計51人のRA患者及び15人の対照を、PAD1及びPAD4を抗原として使用して試験し、抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgAについてRAを対照から区別する能力を評価した。結果は、抗原としてのPAD1及びPAD4が、抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgAについて等しい又は優れた性能を示すことを明らかにした(図7A)。
[00198] 加えて、抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgAの両方について尤度及びオッズ比(OR)を決定した。結果は、抗PAD4 IgAに対する抗PAD1 IgAの有意に高い区別を示す(図7B)。
[00199] 抗PAD1 IgG及び抗PAD1 IgAのレベル間の比較も行った。結果は、有意な相関が観察されたが、個々の患者はPAD1に対する様々なレベルの抗PAD1 IgA及び抗PAD1 IgGを有することを示した(図8A)。抗PAD1 IgA及び抗PAD4 IgA間の相間も行い、抗PAD1及び抗PAD4についての IgAアイソタイプ間の有意な相関が明らかとなった(図8B)。驚くべきことに、数人の患者は抗PAD1 IgAについて高く陽性であったが、抗PAD4 IgAについて陰性であり、これは抗PAD1 IgAが、抗PAD4で陰性であり得るRAを有する数人の患者を同定することができることを示した。
[00200] まとめると、これらの結果は、抗PAD1 IgAがRAを対照から区別することができ、単独で又はPAD 自己抗原に対する他の自己抗体の検出と組み合わせて使用できることを示す。
実施例VI
RA患者の血清中で同定された抗PAD4のIgG、IgA、及びIgMアイソタイプ
[00201] この実施例は、IgG、IgA、及びIgMアイソタイプを有する抗PAD4 が、RA患者において検出され得ることを示す。
[00202] RA患者においてどのアイソタイプの抗PAD4が検出され得るかをさらに評価するために、PAD4-連結ビーズを、RA患者の拡大コホート(n=62)及びコホートIからの同じ非RA対照(n=36)に対して、抗ヒトIgM、IgA及びIgGコンジュゲートを用いて試験した。
[00203] IgG、IgA及びIgMを用いた抗PAD4の拡大試験の結果は、3つのアイソタイプの全部がRA患者の血清中で同定されることを明らかにした。より高いレベルの3つのアイソタイプが、びらんを有さない患者と比較した場合、びらん性疾患を有するRA患者で観察されたが、この関連性は抗PAD4 IgAのみで有意であった(p=0.0086)。
実施例VII
抗PAD1抗体は、抗シトルリン化タンパク質/ペプチド抗体とは異なるエピトープを認識した
[00204] この実施例は、RA患者において検出された抗PAD1抗体が、抗シトルリン化タンパク質/ペプチド抗体(ACPA)により認識されるシトルリン化エピトープとは異なる、PAD1酵素中の独特のエピトープを認識することを示す。
目的
[00205] この研究の目的は、抗PAD1抗体の標的としてアッセイで使用されるPADタンパク質を特徴付け、特に、それらの潜在的な自己シトルリン化及びシトルリン化状態を分析することであった。
方法
天然及びシトルリン化PAD抗原の生成
[00206] 天然及びシトルリン化PAD1抗原を生成するために、全長PAD1タンパク質を細菌細胞中で組換え発現させ、カルシウム(酵素の補因子)の非存在下で、又は抽出及び精製緩衝液中に存在する5~10mM CaClを用いて、専売クロマトグラフィー技術により精製した。
シトルリン化状態の分析
[00207] 異なるPAD抗原のシトルリン化状態を、抗シトルリン(修飾)検出キット(EMD Millipore、Cat.#17-347B)を用いた免疫ブロッティングにより確認した。
陽性対照(インビトロシトルリン化ヒストン)の調製
[00208] H3.1ヒト組換えヒストン(New England Biolabs.P/N:M2503S)を8.571U/mgの市販のヒト組換えPAD4と共に、100mM HEPES pH7.6、10mM CaCl2、5mM DTTを含む緩衝液中、37℃で2.5時間インキュベートした。
抗修飾シトルリン(AMC)免疫ブロッティング
[00209] 以下の抗原をAMCアッセイにより試験した:
Figure 2023525219000016
[00210] 製造業者の手順に従ってアッセイを行った。手短には、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を2μg/ウェルの異なるタンパク質(シトルリン化ヒストン陽性対照を2及び4μg/ウェルで行った)サンプルを用いて行い、ゲルの1つからのタンパク質をPVDF膜に移した。製造業者の説明書に従って修飾緩衝液を調製し、これをブロットに加えた。ブロー(blow)を遮光容器に入れ、撹拌せずに37℃で一晩インキュベートした。次いで、ブロットを水で濯ぎ、TBS-Tween中の5%無脂肪乾燥乳でブロットを1時間ブロックした。その後、ブロットを、新たに調製したTBST-MILKで希釈した10mLの1:1000希釈の抗修飾シトルリン抗体と共に、一定に撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。洗浄後、ブロットを、TBS-Tween中の1%乳中の10mLの1:2000希釈のヤギa-ヒトHRPコンジュゲートと共に、一定に撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。膜を再び洗浄し、SuperSignal West Pico PLUS Chemiluminescent Substrateで展開し、iBright FL1000 Imaging Systemで読み取った。
Aptivaアッセイ及びRA血清試験
[00211] 市販のPAD1、Ca2+なしで生成した3つの社内PAD1抗原(Lot #2、Lot #4、及びLot #5)、及びCa2+を用いて生成した2つの社内PAD1抗原(Lot #1、及びLot #3)を含む異なるPAD1抗原バージョンを用いて、粒子-ベースの多分析物技術[PMAT、研究使用のみ(RUO)、Inova Diagnostics、San Diego、US]に基づく抗PAD1 IgGの検出用のパネルを以前記載されたように作製した。試験反応は、Aptiva(登録商標)技術(Inova Diagnostics、San Diego、US、RUO)に基づく研究機器で行った。抗PAD1 IgGパネルを使用して、市販のPAD1抗原に基づいて予想される異なる抗PAD1状態のRA患者(n=22)由来の血清を試験した。
結果
[00212] 強い明白なバンドが、SDS-PAGEゲル中で、各タンパク質に予想される分子量で全てのレーンで観察された(図9A)。
[00213] 抗修飾シトルリン(AMC)ブロット(図9B)では、陰性対照(レーン11及び12)のいずれについてもバンドは観察されなかった。強い比例バンドが、試験した2つの濃度で陽性対照について観察された(レーン13及び14)。予想通り、カルシウムの存在下で生成されたPAD1抗原(レーン2及び4)のみが、ブロットにおいてバンドを示し、これらのタンパク質がシトルリン化されており、したがって、それらはその生成中に自己シトルリン化を受けていたことを示した。カルシウムの非存在下で生成されたPAD1抗原について、又は、含まれるPAD4若しくはPAD6抗原について、ブロットにおいてバンドが観察できず、これらのタンパク質はシトルリン化されていないことを示した。興味深いことに、市販のPAD1タンパク質について弱いバンドが観察でき、これは部分的なシトルリン化を示した。
結論
[00214] まとめると、結果は、抗PAD1抗体が非シトルリン化PAD1を認識し、ACPAとは異なることを示した。
7.実施形態
[00215] 1.関節リウマチ(RA)の診断方法であって:
(a) RAを有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、
(b) 少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片と反応性の自己抗体の存在を検出することであって、前記自己抗体の存在はRAを示す、検出することと、を含み、
少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む、方法。
[00216] 2.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1又はその抗原断片である、実施形態1の方法。
[00217] 3.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1及びPAD4又はその抗原断片である、実施形態1の方法。
[00218] 4.少なくとも1つのPADタンパク質がさらに、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片からなる群から選択される1つ以上のPADタンパク質を含む。実施形態1~3のいずれか1つの方法。
[00219] 5.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1、PAD4、及びPAD2又はその抗原断片である、実施形態4の方法。
[00220] 6.少なくとも1つのPADタンパク質が PAD1、PAD4、及びPAD3又はその抗原断片である、実施形態4の方法。
[00221] 7.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1、PAD4、PAD2、及びPAD3又はその抗原断片である、実施形態4の方法。
[00222] 8.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1、PAD4、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片である、実施形態4の方法。
[00223] 9.関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法であって:
(a) RAを有するか又は有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、
(b) 少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片と反応性の自己抗体の存在を検出することであって、前記自己抗体の存在は疾患進行を示す、検出することと、を含み、
少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む、方法。
[00224] 10.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1又はその抗原断片である、実施形態9の方法。
[00225] 11.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1及びPAD4又はその抗原断片である、実施形態9の方法。
[00226] 12.少なくとも1つのPADタンパク質がさらに、PAD3又はその抗原断片を含む、実施形態9~11のいずれか1つの方法。
[00227] 13.前記自己抗体の存在がRAステージを示す、実施形態9~12のいずれか1つの方法。
[00228] 14.関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法であって:
(a) RAを有する対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、
(b) 少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片に結合した自己抗体の非存在を検出することであって、前記自己抗体の非存在は疾患進行を示す、検出することと、を含み、
少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む、方法。
[00229] 15.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1又はその抗原断片である、実施形態14の方法。
[00230] 16.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1及びPAD4又はその抗原断片である、実施形態14の方法。
[00231] 17.少なくとも1つのPADタンパク質がさらに、PAD3又はその抗原断片を含む、実施形態14~16のいずれか1つの方法。
[00232] 18.前記自己抗体の非存在が、RAステージを示す、実施形態14~17のいずれか1つの方法。
[00233] 19.前記生物学的サンプルが、全血、血清、血漿 滑液又は痰を含む、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
[00234] 20.前記生物学的サンプルが、血清又は血漿を含む、実施形態1~19のいずれか1つの方法。
[00235] 21.前記抗原断片が、6~120、12~100、18~80、24~60、30~50又は35~45アミノ酸残基を含む、実施形態1~20のいずれか1つの方法。
[00236] 22.前記PADタンパク質又はその抗原断片が、天然源からの単離、化学合成又は組換え発現を含む方法によって得られる、実施形態1~21のいずれか1つの方法。
[00237] 23.前記PADタンパク質又はその抗原断片が化学合成によって得られる、実施形態1~22のいずれか1つの方法。
[00238] 24.前記検出がイムノアッセイを含む、実施形態1~23のいずれか1つの方法。
[00239] 25.前記イムノアッセイが、蛍光免疫吸着剤アッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、多重イムノアッセイ、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイ、固相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)、間接免疫蛍光アッセイ(IIF)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、粒子ベースの多分析物試験(PMAT)、及びドットブロットアッセイからなる群から選択される、実施形態24の方法。
[00240] 26.前記検出が、PADタンパク質又はその抗原断片に結合した前記自己抗体を検出プローブと接触させることを含む、実施形態1~25のいずれか1つの方法。
[00241] 27.前記検出プローブが前記自己抗体に結合する、実施形態26の方法。
[00242] 28.前記検出プローブが抗体又はその機能性断片を含む、実施形態26又は27の方法。
[00243] 29.前記検出プローブがレポータータグを含む、実施形態26又は27の方法。
[00244] 30.前記レポータータグが標識である、実施形態29の方法。
[00245] 31.前記標識が、フルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される、実施形態30の方法。
[00246] 32.前記標識が蛍光標識である、実施形態30又は31の方法。
[00247] 33.前記蛍光標識がフィコエリトリン(PE)である、実施形態32の方法。
[00248] 34.前記レポータータグが、リガンド又は粒子を含む、実施形態29の方法。
[00249] 35.前記リガンドがビオチンである、実施形態34の方法。
[00250] 36.前記粒子がナノ粒子を含む、実施形態34の方法。
[00251] 37.検出キットであって:
PADタンパク質に特異的な自己抗体を補足することができる、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質、又はその抗原断片;
前記自己抗体を認識する検出プローブ、及び
固体支持体、を含み、
少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含む、検出キット。
[00252] 38.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1又はその抗原断片である、実施形態37のキット。
[00253] 39.少なくとも1つのPADタンパク質がPAD1及びPAD4又はその抗原断片である、実施形態37のキット。
[00254] 40.少なくとも1つのPADタンパク質がさらに、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片からなる群から選択される1つ以上のPADタンパク質を含む、実施形態窶37~39のいずれか1つのキット。
[00255] 41.少なくとも1つのPADタンパク質が、PAD1、PAD4、及びPAD2又はその抗原断片である、実施形態40のキット。
[00256] 42.少なくとも1つのPADタンパク質が、PAD1、PAD4、及びPAD3又はその抗原断片である、実施形態40のキット。
[00257] 43.少なくとも1つのPADタンパク質が、PAD1、PAD4、PAD2、及びPAD3又はその抗原断片である、実施形態40のキット。
[00258] 44.少なくとも1つのPADタンパク質が、PAD1、PAD4、PAD2、PAD3及びPAD6又はその抗原断片である、実施形態40のキット。
[00259] 45.さらに標識を含む、実施形態37~44のいずれか1つのキット。
[00260] 46.前記標識が、フルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される、実施形態45のキット。
[00261] 47.さらに陽性対照を含む、実施形態37~46のいずれか1つのキット。
[00262] 48.さらに1つ以上の補助試薬を含む、実施形態37~47のいずれか1つのキット。
[00263] 49.前記1つ以上の補助試薬が、インキュベーション緩衝液、洗浄緩衝液、検出緩衝液及び検出器具からなる群から選択される、実施形態48のキット。
[00264] 50.前記抗原断片が、6~120、12~100、18~80、24~60、30~50又は35~45アミノ酸残基を含む、実施形態37~49のいずれか1つのキット。
[00265] 51.前記検出プローブが、抗体又はその機能性断片を含む、実施形態37~50のいずれか1つのキット。
[00266] 52.前記検出プローブがレポータータグを含む、実施形態37~50のいずれか1つのキット。
[00267] 53.前記レポータータグが標識である、実施形態52のキット。
[00268] 54.前記標識が、フルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される、実施形態45又は53のキット。
[00269] 55.前記標識が蛍光標識である、実施形態45、53又は54のキット。
[00270] 56.前記蛍光標識がフィコエリトリン(PE)である、実施形態55のキット。
[00271] 57.前記レポータータグがリガンド又は粒子を含む、実施形態53のキット。
[00272] 58.前記リガンドがビオチンである、実施形態57のキット。
[00273] 59.前記粒子がナノ粒子を含む、実施形態57のキット。
[00274] 60.前記固体支持体が、ビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管からなる群から選択される、実施形態37~59のいずれか1つのキット。
[00275] 61.前記ビーズ、球体又は粒子が約0.1~約100マイクロメートルの直径を有する、実施形態60のキット。
[00276] 62.前記膜がニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ二フッ化ビニリデンからなる群から選択される、実施形態60のキット。
[00277] 63.前記PADタンパク質又はその抗原断片が前記固体支持体にコンジュゲートされる、実施形態37~62のいずれか1つのキット。
[00278] 上述した実施形態は、単なる例示であることが意図され、当業者は日常的な実験、特定の化合物、材料及び手順の多数の等価物のみを使用して認識し又は確認することができるであろう。そのような等価物の全ては、本発明の範囲内であるとみなされ、添付の特許請求の範囲により包含される。

Claims (20)

  1. 関節リウマチ(RA)の診断方法であって:
    (a)RAを有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、
    (b) 前記少なくとも1つのPADタンパク質又はその抗原断片と反応性の自己抗体の存在を検出することを含み、ここで、前記自己抗体の存在はRAを示し、
    前記少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含み、場合によりさらに、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片からなる群から選択される1つ以上のPADタンパク質を含む、方法。
  2. 前記少なくとも1つのPADタンパク質が
    (a) PAD1若しくはその抗原断片;
    (b) PAD1及びPAD4若しくはその抗原断片;
    (c) PAD1、PAD4、及びPAD2又若しくはその抗原断片;
    (d) PAD1、PAD4、及びPAD3若しくはその抗原断片;
    (e) PAD1、PAD4、PAD2、及びPAD3若しくはその抗原断片;又は
    (f) PAD1、PAD4、PAD2、PAD3、及びPAD6若しくはその抗原断片
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生物学的サンプルが
    (a) 全血、血清、血漿滑液若しくは痰;又は
    (b) 血清若しくは血漿
    を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記抗原断片が、6~120、12~100、18~80、24~60、30~50又は35~45アミノ酸残基を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記PADタンパク質又はその抗原断片が
    (a) 天然源からの単離、化学合成若しくは組換え発現を含む方法;又は
    (b) 化学合成を含む方法
    によって得られる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記検出が:
    (a) イムノアッセイであって、
    前記イムノアッセイは、場合により蛍光免疫吸着剤アッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、多重イムノアッセイ、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイ、固相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)、間接免疫蛍光アッセイ(IIF)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、粒子ベースの多分析物試験(PMAT)、及びドットブロットアッセイからなる群から選択される、イムノアッセイ;及び/又は
    (b) 前記PADタンパク質若しくはその抗原断片に結合した前記自己抗体を検出プローブと接触させること、を含み、
    前記検出プローブが、場合により:
    (i) 前記自己抗体に結合し;
    (ii) 抗体若しくはその機能性断片を含み;及び/又は
    (iii) レポータータグを含み、
    前記レポータータグは、場合により標識を含み、前記標識は、場合によりフルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択され、及び/又は場合により蛍光標識であり、
    前記蛍光標識は、場合によりフィコエリトリン(PE)であり;又は
    (iv) リガンド若しくは粒子、前記リガンドは、場合によりビオチン若しくはナノ粒子を含む、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 関節リウマチ(RA)の進行を監視する方法であって:
    (a) RAを有するか又は有することが疑われる対象由来の生物学的サンプルを、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質又はその抗原断片と接触させることと、
    (b)
    (i) 前記少なくとも1つのPADタンパク質若しくはその抗原断片と反応性の自己抗体の存在であって、前記自己抗体の存在は疾患進行を示す、自己抗体の存在、及び/又は
    (ii) 前記少なくとも1つのPADタンパク質若しくはその抗原断片に結合した自己抗体の非存在であって、前記自己抗体の非存在は疾患進行を示す、自己抗体の非存在、を検出することと、を含み、
    前記少なくとも1つのPADタンパク質は、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含み、場合によりさらに、PAD3又はその抗原断片を含む、方法。
  8. 前記少なくとも1つのPADタンパク質が:
    (a) PAD1又はその抗原断片;
    (b) PAD1及びPAD4又はその抗原断片
    を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記自己抗体の存在が、RAステージを示す、請求項7又は請求項8に記載の方法。
  10. 前記生物学的サンプルが
    (a) 全血、血清、血漿滑液若しくは痰;又は
    (b) 血清若しくは血漿
    を含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記抗原断片が、6~120、12~100、18~80、24~60、30~50又は35~45アミノ酸残基を含む、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記PADタンパク質又はその抗原断片が:
    (a) 天然源からの単離、化学合成若しくは組換え発現を含む方法;又は
    (b) 化学合成を含む方法
    によって得られる、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記検出が:
    (a) イムノアッセイであって、
    前記イムノアッセイは、場合により蛍光免疫吸着剤アッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ(CIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、多重イムノアッセイ、タンパク質/ペプチドアレイイムノアッセイ、固相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)、間接免疫蛍光アッセイ(IIF)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、粒子ベースの多分析物試験(PMAT)、及びドットブロットアッセイからなる群から選択される、イムノアッセイ;及び/又は
    (b) 前記PADタンパク質若しくはその抗原断片に結合した前記自己抗体を、検出プローブと接触させること、
    を含み、
    前記検出プローブは、場合により:
    (i) 前記自己抗体に結合し;
    (ii) 抗体若しくはその機能性断片を含み;及び/又は
    (iii) レポータータグを含み、
    前記レポータータグは、場合により標識を含み、前記標識は、場合によりフルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択され、及び/又は場合により蛍光標識であり、
    前記蛍光標識は、場合によりフィコエリトリン(PE)であり;又は
    (iv) リガンド若しくは粒子、前記リガンドは、場合によりビオチン若しくはナノ粒子を含む、
    請求項7~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 検出キットであって:
    (a) PADタンパク質に特異的な自己抗体を補足することができる、少なくとも1つのペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)タンパク質、又はその抗原断片;
    (b) 前記自己抗体を認識する検出プローブ、及び
    (c) 固体支持体、
    を含み、
    前記少なくとも1つのPADタンパク質が、PAD1、又はPAD1及びPAD4を含み、場合によりさらに、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片からなる群から選択される1つ以上のPADタンパク質を含む、キット。
  15. 前記少なくとも1つのPADタンパク質が:
    (a) PAD1又はその抗原断片’
    (b) PAD1及びPAD4又はその抗原断片;
    (c) PAD1、PAD4、及びPAD2又はその抗原断片;
    (d) PAD1、PAD4、PAD2、及びPAD3又はその抗原断片;
    (e) PAD1、PAD4、PAD2、及びPAD3又はその抗原断片;
    (f) PAD1、PAD4、PAD2、PAD3、及びPAD6又はその抗原断片
    である、請求項14に記載のキット。
  16. さらに:
    (a) 標識であって、前記標識は、場合によりフルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択される、標識;
    (b) 陽性対照;
    (c) 1つ以上の補助試薬であって、前記1つ以上の補助試薬は、場合によりインキュベーション緩衝液、洗浄緩衝液、検出緩衝液及び検出器具からなる群から選択される、補助試薬
    を含む、請求項14又は請求項15に記載のキット。
  17. 前記抗原断片が、6~120、12~100、18~80、24~60、30~50又は35~45アミノ酸残基を含む、請求項14~16のいずれか1項に記載のキット。
  18. 前記検出プローブが:
    (a) 前記自己抗体に結合し;
    (b) 抗体若しくはその機能性断片を含み;及び/又は
    (c) レポータータグを含み、前記レポータータグは、場合により:
    (i) 標識であって、前記標識は、場合によりフルオロフォア、酵素、化学発光部分、放射性部分、有機色素及び小分子からなる群から選択され、及び/又は場合により蛍光標識である、標識、
    ここで前記蛍光標識は、場合によりフィコエリトリン(PE)であり;又は
    (ii) リガンド若しくは粒子であって、前記リガンドは、場合によりビオチン若しくはナノ粒子を含む、リガンド若しくは粒子
    を含む、請求項14~17のいずれか1項に記載のキット。
  19. 前記固体支持体が、ビーズ、球体、粒子、膜、チップ、スライド、プレート、ウェル及び試験管からなる群から選択され、
    前記ビーズ、球体又は粒子が、場合により約0.1~約100マイクロメートルの直径を有し;
    前記膜が、場合によりニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ二フッ化ビニリデンからなる群から選択される、請求項14~18のいずれか1項に記載のキット。
  20. 前記PADタンパク質又はその抗原断片が前記固体支持体にコンジュゲートされる、請求項14~19のいずれか1項に記載のキット。
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