JP2023524789A - Tno155及びナザルチニブを含む医薬組合せ - Google Patents

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Abstract

本発明は、TNO155及びナザルチニブを含む医薬組合せ;これを含む医薬組成物;並びにそのような組合せ及び組成物を、症状の処置又は予防に用いる方法に関し、EGFR阻害と組み合わせたSHP2阻害剤は、例えば、癌の処置に有益である。

Description

本発明は、TNO155及びナザルチニブを含む医薬組合せ;これを含む医薬組成物;並びにそのような組合せ及び組成物を、症状の処置又は予防に用いる方法に関し、EGFR阻害と組み合わせたSHP2阻害は、例えば、癌の処置に有益である。本発明はまた、癌を処置するのに使用するためのTNO155、又はその薬学的に許容される塩に関し、ここで、TNO155.又はその薬学的に許容される塩が、ナザルチニブ、又はその薬学的に許容される塩と共投与される。本発明はまた、癌を処置するのに使用するためのナザルチニブ、又はその薬学的に許容される塩に関し、ここで、ナザルチニブ又はその薬学的に許容される塩が、TNO155、又はその薬学的に許容される塩と共投与される。
異常な受容体チロシンキナーゼ(RTK)シグナル伝達は、多くのヒト癌の共通の特徴であり、これらのキナーゼを標的とする治療法に対する感受性を引き起こすことが多い。このような癌の例として、EGFR変異型肺癌、KIT変異型消化管間質腫瘍(GIST)、及びHER2陽性乳癌、並びに頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)及びRAS/BRAF-WT大腸癌(CRC)が挙げられ、これらは両方とも、EGFRを過剰発現することが多い。SHP2は、活性化RTKに結合し、それらのシグナル伝達を下流のRas/MAPK及びPI3K/Akt経路に伝達するホスファターゼである。したがって、SHP2の阻害は、RTK媒介性シグナル伝達を阻害する。
SHP2はまた、PI3K、Fak、RhoA、Ca2+振動、Ca2+/カルシニューリン及びNFATシグナル伝達を調節することが記載されており、SHP2はまた、Jak/Statシグナル伝達の調節においてサイトカインシグナル伝達の下流に作用する。更に、SHP2は、免疫チェックポイント分子PD-1、B-及びT-リンパ球アテニュエーター(BTLA)、及びインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の下流にシグナルを伝達する。したがって、SHP2は、腫瘍の移動、浸潤、転移、又は抗腫瘍免疫応答を調節することによって、腫瘍発生において、RAS/MAPKとは独立した機能を有し得る。
世界的に、肺癌は、全ての総癌症例の13%(160万)及び癌死亡の18%(140万)を占める。米国において、肺癌は、年間160,000件を超える死亡の原因となる。西洋諸国において、非小細胞肺癌(NSCLC)患者の10~15%が、腫瘍内に活性化上皮成長因子受容体(EGFR)突然変異を有し(米国で年間20,000~30,000人の新規患者に相当する)、アジア諸国では、30~40%もの割合が報告されている。主な腫瘍形成EGFR突然変異(L858R及びex19del)は、EGFR変異型NSCLCの約90%を占める。これは、生存、増殖、血管新生及び転移を促進する複数の経路の活性化をもたらす。
EGFR変異型NSCLCを有する患者は、第1世代EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ)による高い病勢コントロール率を有するが、耐性が必然的に生じる。耐性腫瘍の約50%が、EGFRゲートキーパーT790M突然変異を有する一方、残りの50%は、様々な遺伝子変化を有し、これは、多くの場合、SHP2に集中する並行シグナル伝達(例えば、MET、ERBB2、HGFの増幅)を促進する。更に、EGFR T790M突然変異を発生する患者は、第3世代EGFR阻害剤(例えば、ナザルチニブ及びオシメルチニブ)による高い病勢コントロール率を有するが、これらの薬剤に対する耐性も生じる。これらの薬剤に対する耐性は、あまり特徴付けられていないが、場合によっては、第3世代EGFR阻害剤の結合、又はMET若しくはFGFR1の増幅を破壊する、EGFR C797S突然変異に関連することが分かっている。これらの知見は、RTKシグナル伝達へのこれらの癌の持続的な依存を強調しており、これは、SHP2阻害に対する感受性を予測するはずである。分子を標的とした治療選択肢は、これらの患者に残されていない。
NSCLCの約30%は、活性化KRAS突然変異を有し、これらの突然変異は、EGFR TKIに対する耐性に関連している。これらの突然変異は、12、13、又は61位にアミノ酸置換を導入し、G12C突然変異は、肺腺癌の約12%に見られる、肺癌における最も一般的なKRAS突然変異の1つである。興味深いことに、EGFR及びKRAS突然変異は、同じ腫瘍中で検出されることは稀であり、これは、それらが、肺腫瘍発生において機能的に同等の役割を果たし得ることを示唆している。KRASの直接の阻害が、KRASG12Cの標的化における最近の進歩を除いて難題であることが分かっている。その代わりに、RAF、MEK及びERKなどの、KRASの下流のシグナル伝達節を標的とする阻害剤が、開発され、単剤として又は組み合わせて、KRAS変異型NSCLCにおいて臨床的に試験されている。しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、KRAS変異型NSCLCを有する患者のための標的治療は承認されていない。
頭頸部癌(HNSCC)の約550,000の症例が、世界的に毎年診断されている。米国において、約50,000の症例が、年間に発生すると推定され、患者の約3分の1が、診断から5年以内に死亡する。頭頸部癌は、EGFR、FGFR、及びそれらのリガンドの高頻度の増幅によって特徴付けられ、約90%が、扁平上皮組織構造を有する。更に、EGFRを標的とするモノクローナル抗体、セツキシマブは、転移性/切除不能頭頸部扁平上皮細胞癌において抗腫瘍有効性を実証した。しかしながら、セツキシマブ含有レジメンによる病勢コントロールは、この患者集団において比較的短期間であり、標準治療での進行後にこの適応症に治療選択肢はほとんど残っていない。阻害のSHP2抑制に対するHNSCC細胞株の感受性の高い割合を実証する前臨床データと共に、HNSCCにおけるRTKシグナル伝達成分の増幅又は過剰発現の高い頻度は、これらの癌が、SHP2阻害に対して感受性であり得ることを示唆する。
皮膚黒色腫の約232,000の新規症例が、毎年世界的に診断され、その発生率は、数十年間にわたって着実に増加している。MAPK経路は、黒色腫の発生及び進行において大きな役割を果たす。BRAF突然変異は、40~60%において発生し、NRAS突然変異は、黒色腫患者の15~20%において発生する。これらの突然変異は、癌細胞増殖及び生存のためのシグナルを伝達する、MAPK経路におけるBRAF及び下流のシグナル伝達を構成的に活性化する。黒色腫におけるMAPK経路における3番目に高頻度の突然変異遺伝子は、NF1であり、これは、黒色腫の約14%で突然変異され、これらの突然変異の半分以上は、機能喪失をもたらすことが予測される。NF1変異型黒色腫は、BRAF及びNRAS野生型黒色腫の約半分を占める。NF1変異側黒色腫患者は、より高い突然変異量及びより悪い予後を有する傾向がある。これらの患者の多くは、PD-1阻害剤に応答するが、PD-1阻害剤処置に不応性であるか又はPD-1阻害剤処置で再発した患者のための満たされていない医療ニーズが依然としてある。
多くの他の転移性/切除不能固形悪性腫瘍、例えば、イマチニブに対して感受性であることが多いKIT-若しくはPDGFRA変異型GIST、セツキシマブ及びパニツムマブに対して感受性を示し得るK/NRAS-WT CRC、RET-、VEGFR-、及びEGFR標的化 TKIバンデタニブに対して感受性であることが多い甲状腺髄様癌、又はクリゾチニブ又はセリチニブに一般的に応答するALK再構成NSCLCは、RTKシグナル伝達への依存性を示す。このような薬剤に対する耐性の機構が記載されている場合、RTKシグナル伝達の再活性化が一般的であり、SHP2阻害に対する感受性を予測することが予想されるであろう。
TNO155は、野生型SHP2の選択的な、経口投与可能な、アロステリック阻害剤である。TNO155は、前臨床癌モデル(インビトロ及びインビボ)において、有意な有効性を実証した。前臨床モデルにおいて、RTK抑制又は阻害に対する感受性は、TNO155に対する感受性を予測したが、RAS、BRAF又はPTPN11(SHP2をコードする遺伝子)における構成的活性化突然変異の存在は、TNO155に対する感受性の欠如を予測した。これらの観察は、RAS及びBRAFの上流のRTKシグナル伝達におけるSHP2の役割、並びにTNO155が野生型SHP2を阻害するという生化学的証拠と一致している。TNO155は、生存及び増殖についてRTKシグナル伝達に依存する細胞株及び異種移植片腫瘍モデルにおいて、強力なマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路薬力学的調節及び抗増殖活性を実証した。
ナザルチニブは、EGFR C797に不可逆的に結合し、EGFR感作性突然変異(例えば、ex19del、L858R)並びにゲートキーパー突然変異T790Mに対して活性である第3世代EGFR TKIである。第1~第3世代EGFR TKIに対する記載される耐性機構は、変異型EGFRをTKIに対して非感受性にする突然変異、並びにMET又はHGF増幅などの他のRTKバイパス経路の活性化を含み;耐性機構は、所与の腫瘍内でさえ不均一であり得る。ここで、TNO155とナザルチニブとの組合せは、不均一性の状況であっても、多くの記載される耐性機構の発生を防止するか又は遅延させ得る。
本発明の組合せ、TNO155及びナザルチニブは、二次EGFR突然変異又はMET増幅のいずれかにより、EGFR阻害剤に対する獲得耐性を克服することができる。更に、TNO155及びナザルチニブの組合せは、相乗効果があり、持続したERK阻害と一致し、限定はされないが:EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される癌の処置において有益であろう。
本発明は、以下を含む医薬組合せ物を提供する:
(a)構造:
Figure 2023524789000001

を有する(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(TNO155)、又はその薬学的に許容される塩;及び
(b)構造:
Figure 2023524789000002

を有する(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド(ナザルチニブ)、又はその薬学的に許容される塩。
TNO155、又はその薬学的に許容される塩、及びナザルチニブ、又はその薬学的に許容される塩の組合せは、本明細書中で、「本発明の組合せ」とも呼ばれることとなる。
本発明の組合せの別の実施形態において、TNO155又はその薬学的に許容される塩及びナザルチニブ、又はその薬学的に許容される塩は、同じ製剤中にある。
本発明の組合せの別の実施形態において、TNO155又はその薬学的に許容される塩及びナザルチニブ又はその薬学的に許容される塩は、別個の製剤中にある。
別の実施形態において、本発明の組合せは、同時の、又は(あらゆる順序での)順次的な投与用である。
別の実施形態は、癌の処置又は予防を必要とする対象において癌を処置又は予防する方法であって、対象に、治療的に有効な量の本発明の組合せ物を投与することを含む方法である。
方法の更なる実施形態において、癌は、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される。
方法の更なる実施形態において、癌は、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC)から選択される。
更なる実施形態において、本発明は、癌、例えば、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される癌の処置に使用するための本発明の組合せ物を提供する。
更なる実施形態において、本発明は、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される癌を処置するための医薬の製造に使用するための本発明の組合せ物を提供する。
別の実施形態は、本発明の組合せを含む医薬組成物である。
更なる実施形態において、医薬組成物は更に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
PC-14及びNCI-H1975細胞に対する抗増殖効果を評価するTNO155及びナザルチニブの組合せ用量マトリックス。6日間のアッセイにおける化合物で処置された細胞の阻害のパーセンテージ(DMSO処置対照と比べた)の平均(n=3)及び対応するLoewe過剰マトリックスが示される。 4時間又は24時間にわたって、ナザルチニブ(0.1若しくは0.3μM)、3μMのTNO155、又はナザルチニブ及びTNO155の組合せで処置されたPC-14細胞からの溶解物を用いた、示されるタンパク質の免疫ブロット。 ビヒクル、オシメルチニブ(10mg/kg体重(mpk)、毎日)、TNO155(10mpk、1日2回)、又はオシメルチニブ及びTNO155の組合せによる処置後の時間経過に伴う、ヌードマウスにおけるEGFR変異型NSCLC患者由来の異種移植片の腫瘍体積のパーセンテージ変化。
定義
以前、そして以降で用いられる一般的な用語は、好ましくは、特に明記しない限り、本開示の文脈内で、以下の意味を有し、用いられる場合はいつでも、より一般的な用語が、互いに独立して、より具体的な定義によって置き換えられて、又はそのままであることで、本発明のより詳細な実施形態を定義してもよい。
本明細書中で用いられる用語「対象」又は「患者」は、癌、又は直接的若しくは間接的に癌に関わるあらゆる障害を患う、又はこれらに苦しむ虞がある動物を含むことが意図される。対象の例として、哺乳類、例えば、ヒト、類人猿、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、及びトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。一実施形態において、対象は、ヒトであり、例えば、癌を患っている、癌を患う危険に曝されている、又は潜在的に癌を患う虞があるヒトである。
本明細書中で用いられる用語「処置する」又は「処置」は、対象における少なくとも1つの病徴を和らげ、緩和し、若しくは軽減する、又は疾患の進行の遅延をもたらす処置を含む。例えば、処置は、癌等の障害の1つ若しくはいくつかの病徴の減少、又は障害の完全な根絶であり得る。本開示の意味の範囲内で、用語「処置する」はまた、開始(すなわち、疾患の臨床徴候よりも前の期間)を抑制し、遅らせ、且つ/又は疾患を発症若しくは悪化させるリスクを低下させることを表す。
用語「含む」及び「挙げられる」は、特に明記しない限り、本明細書中で、オープンエンド且つ非限定の意味で用いられる。
本発明を説明する文脈における(とりわけ以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」、並びに類似のリファレンスは、本明細書中で特に明記しない限り、又は文脈によって明らかに相反しない限り、単数及び複数の双方を包含すると解釈されるべきである。複数形が化合物、塩等に用いられる場合、これは、単一の化合物、塩等も意味するととられる。
当該技術分野において慣例であるように、投与量は、遊離形態での治療剤の量を指す。例えば、150mgのナザルチニブの投与量が言及され、ナザルチニブが、そのメシル酸塩として使用される場合、使用される治療剤の量が、150mgのナザルチニブの遊離形態に相当する。
用語「約(about)」及び「約(approximately)」は、一般に、測定の性質又は精度を考慮して測定される量の許容される誤差の程度を意味するものとする。例示的な誤差の程度は、所与の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、典型的に、10%以内、より典型的に、5%以内である。特に、投与量が「約」特定の値として言及される場合、それは、規定の値の±10%の周りの範囲を含むことが意図される。
特に、投与量が、「約」特定の値として言及されるか、又は投与量が、特定の値として示される場合(すなわち、特定の値の前に用語「約」がない)、それは、規定の値の±10%、又は±5%の周りの範囲を含むことが意図される。
用語「組合せ療法」又は「と組み合わせて」又は「共投与」は、本開示に記載される病態又は障害(例えば、癌)を処置するための2つ以上の治療剤の投与を指す。このような投与は、一定比率の有効成分を有する単一のカプセル剤中など、ほぼ同時でのこれらの治療剤の共投与を包含する。或いは、このような投与は、各有効成分のための複数の容器、又は別個の容器中での共投与(例えば、カプセル剤、粉末、及び液体)を包含する。粉末及び/又は液体は、投与の前に、再構成されるか又は所望の用量に希釈され得る。更に、このような投与は、ほぼ同時に又は異なる時点で連続した、各タイプの治療剤の使用も包含する。いずれの場合も、治療レジメンは、本明細書に記載される病態又は障害を処置する際の薬剤組合せの有益な効果を提供する。
組合せ療法は、「相乗効果」を提供し、「相乗的」である、すなわち、有効成分が一緒に使用されるときに得られる効果が、化合物を別個に使用することから得られる効果の合計より大きいことを示し得る。相乗効果は、有効成分が、(1)同時に処方及び投与されるか、若しくは組み合わされた単位剤形で同時に送達されるとき;(2)別個の製剤として交互に若しくは並行して送達されるとき;又は(3)ある他のレジメンによって送達されるとき、得ることができる。交互の療法で送達される場合、相乗効果は、化合物が、例えば、別個の注射器での異なる注射によって、連続的に投与又は送達されるとき、得ることができる。一般に、交互の療法の際、各有効成分の有効な投与量が、連続的に、すなわち、逐次投与される一方、組合せ療法では、2つ以上の有効成分の有効な投与量が、一緒に投与される。
本明細書中で用いられる用語「医薬組合せ」は、1つの投与単位形態における一定の組合せ、又は一定でない組合せ又は併用投与のためのパーツのキットのいずれかを指し、ここで、2つ以上の治療剤が、同時に又は時間間隔内で別々に独立して投与され得、特に、これらの時間間隔は、組合せ相手が、共同的効果、例えば相乗効果を示すことを可能にする。
本明細書中で用いられる用語「相乗効果」は、例えば、SHP2阻害剤としての化合物TNO155及びEGFR阻害剤としてのナザルチニブなどの2つの治療剤の、例えば、増殖性疾患、特に癌、又はその病徴の症候的な進行を遅らせ、それ自体で投与される各薬物の効果の単純な追加よりも大きい効果をもたらす作用を指す。相乗効果は、例えば、適切な方法、例えば、Sigmoid-Emax式(Holford,N.H.G.and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429-453(1981))、Loewe additivityの式(Loewe,S.and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol Pharmacol.114:313-326(1926))、及びmedian-effect式(Chou,T.C.and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27-55(1984))を用いて算出することができる。先で言及された各式を、実験データに用いて、対応するグラフが生じて、薬物組合せの効果を評価する一助とすることができる。先で言及した式と関連する、対応するグラフはそれぞれ、濃度-効果曲線、アイソボログラム曲線、及び組合せ指数曲線である。
本発明の組合せ、TNO155及びナザルチニブはまた、化合物の非標識形態並びに同位体標識形態を表すことが意図される。同位体標識された化合物は、選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置換された1つ以上の原子を有する。TNO155及びナザルチニブ中に組み込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、及び塩素の同位体、例えば、H、H、11C、13C、14C、15N、35S、36Clが挙げられる。本発明は、同位体標識されたTNO155及びナザルチニブを含み、例えば、これらの中に、放射性同位体、例えばH及び14C、又は非放射性同位体、例えばH及び13Cが存在する。同位体標識されたTNO155及びナザルチニブは、代謝研究(14Cによる)、反応速度研究(例えばH又はHによる)、検出若しくは撮像技術、例えば陽電子放射断層撮影(PET)若しくは単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)(薬物又は基質の組織分布アッセイを含む)、又は患者の放射性治療において有用である。特に、18Fで標識されたLSZ102は、PET研究又はSPECT研究に特に所望されてもよい。本発明の同位体標識された化合物は、通常、当業者に知られている従来の技術によって、又は、適当な同位体標識試薬を用いる添付の実施例に記載されるプロセスに類似したプロセスによって、調製することができる。
更に、より重い同位体、特に、重水素(すなわちH又はD)による置換は、より大きな代謝安定性に起因するある種の治療利点、例えば、インビボ半減期の増大、投薬量要件の縮小、又は治療指数の向上をもたらし得る。重水素は、この文脈において、TNO155又はナザルチニブの置換基とみなされることが理解される。そのようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体富化係数によって定義されてもよい。本明細書中で用いられる用語「同位体富化係数」は、同位体の存在量と、指定された同位体の天然の存在量との比率を意味する。TNO155又はナザルチニブ中の置換基が重水素と示されるならば、そのような化合物は、指定された各重水素原子についての同位体富化係数が、少なくとも3500(指定された各重水素原子にて52.5%の重水素組込み)、少なくとも4000(60%の重水素組込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組込み)、少なくとも5000(75%の重水素組込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組込み)、少なくとも6000(90%の重水素組込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組込み)、少なくとも6600(99%の重水素組込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素組込み)である。
好ましい実施形態の説明
TNO155は、SHP2活性の経口投与可能な小分子阻害剤である治験薬である。SHP2は、活性化RTKの下流のシグナル伝達を行う。前臨床モデルにおいて、RTKへの腫瘍依存性は、SHP2への依存性を予測する。
一実施形態において、癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を、第2の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
更なる実施形態において、癌は、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される。
更なる実施形態において、癌は、進行期又は転移期にある。
更なる実施形態において、対象は、活性化EGFR突然変異を有し、標準治療(SOC)EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)で進行した(若しくは利用可能なSOC EGFR TKIを有さない)、及び白金含有組合せ化学療法で進行した進行NSCLC;又はSOCで進行したKRAS G12突然変異を有する進行NSCLC;又は白金含有組合せ化学療法で進行した進行HNSCC;又は白金含有化学療法で進行した進行食道SCC;又は活性化KRAS(KRAS G12Cを除く)、NRAS、若しくはBRAF突然変異を欠き、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカンで進行した進行CRC;又はSOCで進行した進行NRAS/BRAF WT皮膚黒色腫;又はSOCで進行した進行GISTのいずれかを有する患者である。
更なる実施形態において、対象は、以下の癌のうちの1つ以上に罹患した患者である:
a.オシメルチニブ又はナザルチニブでの進行後に、EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有する進行NSCLC。
b.第1及び/又は第2世代EGFR TKI(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ)での進行後に、EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有し、これらの薬剤での進行後に、T790突然変異を欠くことが実証された進行NSCLC。
c.EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有し、最も近い過去の治療としてのオシメルチニブで進行している(試験処置を開始する2週間前までオシメルチニブ処置を継続している(したがって、オシメルチニブが、スクリーニング期間中に継続され得る)進行NSCLC、又はオシメルチニブを最近中断したこのような患者。
更なる実施形態において、癌は、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC)である。
更なる実施形態において、対象は、以下の癌のうちの1つ以上に罹患した患者である:
a.オシメルチニブ又はナザルチニブでの進行後に、EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有する進行NSCLC。
b.第1及び/又は第2世代EGFR TKI(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ)での進行後に、EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有し、これらの薬剤での進行後に、T790突然変異を欠くことが実証された進行NSCLC。
c.EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有し、最も近い過去の治療としてのオシメルチニブで進行している(試験処置を開始する2週間前までオシメルチニブ処置を継続している(したがって、オシメルチニブが、スクリーニング期間中に継続され得る)進行NSCLC、又はオシメルチニブを最近中断したこのような患者。
更なる実施形態において、癌は、頭頸部扁平上皮細胞癌である。
更なる実施形態において、癌は、KRAS変異型非小細胞肺癌である。
更なる実施形態において、癌は、頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC)である。
更なる実施形態において、癌は、黒色腫である。
更なる実施形態において、癌は、消化管間質腫瘍(GIST)である。
更なる実施形態において、癌は、大腸癌(CRC)である。
更なる実施形態において、癌は、甲状腺髄様癌である。
更なる実施形態において、癌は、ALK再構成NSCLCである。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される。
更なる実施形態において、それを必要とする対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤の量は、癌を処置するのに有効である。
更なる実施形態において、第2の治療剤は、EGFR阻害剤である。
更なる実施形態において、第2の治療剤は、オシメルチニブ、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、オシメルチニブは、食事と共に又は食事を伴わずに、約40mg~約80mg/日の範囲の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、オシメルチニブは、食事と共に又は食事を伴わずに、80mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、EGFR阻害剤は、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日~約100mg/日、例えば、約1.5mg/日~約60mg/日又は約20mg/日~約60mg/日の範囲の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は70mg/日、又は80mg/日、又は90mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、用量(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、2週間の休薬とその後の1週間の休薬のサイクルで投与される。ここで、更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、2週間の投薬とその後の1週間の休薬の21日サイクルで、20mg、30mg、40mg、60mg、80mg又は100mgの一日用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドは、約75mg/日~350mg/日の範囲の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドは、約75mg/日、又は100mg/日、又は150mg/日、又は200mg/日、又は250mg/日、又は300mg/日、又は350mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドは、150mg/日で経口投与される。
別の実施形態において、癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は70mg/日、又は80mg/日、又は90mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンを投与することを含む方法である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、2週間の投薬とその後の1週間の休薬の21日サイクルで、20mg、30、40、又は60mgの一日用量で経口投与される。
更なる実施形態において、癌は、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される。
更なる実施形態において、癌は、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC)である。
更なる実施形態において、癌は、頭頸部扁平上皮細胞癌である。
更なる実施形態において、癌は、KRAS変異型非小細胞肺癌である。
更なる実施形態において、癌は、頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC)である。
更なる実施形態において、癌は、黒色腫である。
更なる実施形態において、癌は、消化管間質腫瘍(GIST)である。
更なる実施形態において、癌は、大腸癌(CRC)である。
更なる実施形態において、癌は、甲状腺髄様癌である。
更なる実施形態において、癌は、ALK再構成NSCLCである。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される。
更なる実施形態において、第2の治療剤は、EGFR阻害剤である。
更なる実施形態において、第2の治療剤は、オシメルチニブ、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、EGFR阻害剤は、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドは、約75mg/日、又は100mg/日、又は150mg/日、又は200mg/日、又は250mg/日、又は300mg/日、又は350mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドは、150mg/日で経口投与される。
一実施形態において、本発明の医薬組合せに関して、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び7(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組合せである。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩は、別々に、同時に、又はあらゆる順序で順次、投与される。
更なる実施形態において、医薬組合せ物は、経口投与用である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、経口投与形態(1.5mg、5mg、10mg及び50mgの用量強度におけるハードシェルゼラチンカプセル)である。
更なる実施形態において、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドは、経口投与形態(25mg又は50mgの用量強度におけるハードシェルゼラチンカプセル)である。
別の実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、並びに少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物である。
更なる実施形態において、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCの処置に使用するための、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せである。
別の実施形態において、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC)の処置に使用するための、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せである。
別の実施形態において、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される癌の処置用の医薬を製造するための、((3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せの使用である。
別の実施形態において、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される癌を処置する方法であって;それを必要とする患者に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、又は(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、並びに少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
別の実施形態において、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される癌を処置する方法であって;それを必要とする患者に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、又は(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、並びに少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
別の実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドは、約75mg/日、又は100mg/日、又は150mg/日、又は200mg/日、又は250mg/日、又は300mg/日、又は350mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドは、約150mg/日の用量で連続的に経口投与される。
薬理学及び有用性
非小細胞肺癌-2012年には、世界で約180万人が、肺癌と診断され、160万人が、肺癌で死亡したと推定された。非小細胞肺癌は、肺癌の約85%を占め、腺癌及び扁平上皮癌が、最も一般的な亜型である。EGFR、ALK、又はROSなどのドラッガブルなドライバー癌遺伝子における遺伝子変異を有さない進行期の非小細胞肺癌(NSCLC)のための標準治療は、同時に又は連続して投与される、化学療法及び免疫療法を含む。これらの処置は、臨床的利点を提供するが、患者の大部分は、1年以内に疾患の進行を示し、進行NSCLCに罹患した患者の予後は、不良な状態のままである。免疫チェックポイント阻害剤を用いたNSCLCのための免疫療法は、有望さを実証したが、一部のNSCLC患者は、何年間も持続的な疾患管理を受ける。しかしながら、このような長期非進行者は、稀であり、チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法に反応し、寛解を維持する患者の割合を増加させ得る組合せ治療法が、緊急に必要とされている。KRAS癌遺伝子の活性化突然変異は、肺腺癌の約30%で発生し、いくつかの研究において不良転帰と関連付けられている。突然変異型KRASを直接標的にする承認薬がないため、進行期のKRAS突然変異型NSCLCのための標準治療も、上述される化学療法及び免疫療法である。
皮膚黒色腫の約232,000の新規症例が、毎年世界的に診断され、その発生率は、数十年間にわたって着実に増加している。MAPK経路は、黒色腫の発生及び進行において大きな役割を果たす。BRAF突然変異は、40~60%において発生し、NRAS突然変異は、黒色腫患者の15~20%において発生する。これらの突然変異は、癌細胞増殖及び生存のためのシグナルを伝達する、MAPK経路におけるBRAF及び下流のシグナル伝達を構成的に活性化する。
黒色腫におけるMAPK経路における3番目に高頻度の突然変異遺伝子は、NF1であり、これは、黒色腫の約14%で突然変異され、これらの突然変異の半分以上は、機能喪失をもたらすことが予測される。NF1変異型黒色腫は、BRAF及びNRAS野生型黒色腫の約半分を占める。NF1変異側黒色腫患者は、より高い突然変異量及びより悪い予後を有する傾向がある。これらの患者の多くは、PD-1阻害剤に応答するが、PD-1阻害剤処置に不応性であるか又はPD-1阻害剤処置で再発した患者のための満たされていない医療ニーズが依然としてある。
TNO155は、野生型SHP2のファースト・イン・クラス(first-in-class)のアロステリック阻害剤である。SHP2は、2つのN末端SH2ドメイン、古典的なPTPドメイン、及びC末端尾部から構成される、遍在的に発現される非受容体タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)である。ホスファターゼ活性は、PTPドメイン(閉鎖立体配座)に結合する2つのSHP2ドメインによって自己阻害される。受容体チロシンキナーゼ(RTK)が活性化すると、SHP2が、細胞膜に動員され、ここで、それは、活性化RTK及びいくつかのアダプタータンパク質と結合して、RAS/MAPK経路を活性化することによってシグナル伝達を中継する。TNO155は、SHP2の不活性な又は「閉鎖」立体配座に結合し、それによって、それが開いて活性な立体配座になるのを防ぐ。これは、活性化RTKから、下流のRAS/MAPK経路へのシグナル伝達を防ぐ。
TNO155は、広範なRTK依存性ヒト癌細胞株及びインビボ異種移植片において有効性を実証した。TNO155の前臨床インビトロ及びインビボ評価は、RTK依存性ヒト癌モデル、例えば、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCにおいて、SHP2ホスファターゼの選択的且つ強力な阻害を実証する。SHP2阻害は、低下したレベルのリン酸化ERK1/2(pERK)及び二重特異性ホスファターゼ6(DUSP6)mRNA転写産物の下方制御などの、MAPKシグナル伝達経路内のバイオマーカーを評価することによって測定され得る。KYSE-520(食道扁平上皮細胞癌)及びDETROIT-562(咽頭扁平上皮細胞癌)癌細胞株において、インビトロpERK IC50はそれぞれ、8nM(3.4ng/mL)及び35nM(14.8ng/mL)であり、抗増殖IC50はそれぞれ、100nM(42.2ng/mL)及び470nM(198.3ng/mL)であった。TNO155の抗増殖効果は、RTKシグナル伝達に依存している癌細胞株において最も有効であることが示された。インビボで、経口投与されるTNO155(20mg/kg)によるSHP2阻害は、1日2回のスケジュールで投与された場合、EGFR依存性DETROIT-562癌細胞株においてDUSP6 mRNA転写産物の約95%の減少、及び47%の退縮を達成した。用量分割(dose fractionation)試験は、腫瘍DUSP6バイオマーカーの調節と組み合わされて、50%のPD阻害が、投与間隔の少なくとも80%で到達されたときに、最大の有効性が達成されることを示す。
上皮成長因子受容体(EGFR)は、活性化しているEGFR突然変異を有するNSCLCにおいて確立された重要な治療標的である。第1世代(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ)及び第2世代(例えば、アファチニブ、ダコミチニブ)EGFR阻害剤を用いた多くの試験が、EGFR突然変異型進行/切除不能NSCLC集団において行われ、この集団において化学療法を上回るEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の優れた有効性を一貫して実証した。第1世代EGFR TKIに対する耐性は、TKIの結合を損なうEGFR「ゲートキーパー」T790M突然変異の発生によって、並びにMET及びERBB2増幅を含む、別のRTK経路の活性化によって生じることが示された。EGFR活性化及びゲートキーパー突然変異を阻害する第3世代の不可逆的EGFR阻害剤(例えば、オシメルチニブ、ロシレチニブ)を用いた臨床試験は、EGFR T790M突然変異型NSCLCにおける有効性を実証し、これは、EGFRシグナル伝達へのそれらの持続的な依存性を強調している。第3世代阻害剤に対して耐性を持つようになった癌の新たなデータは、これらの癌が、活性化RTKシグナル伝達を選択し続けることを示唆しており、EGFR(C797S)における耐性突然変異並びにRTK増幅(MET、ERBB2、FGFR1)が記載されている。限られた治療選択肢が、第1/第2及び第3世代EGFR TKIに対する耐性を生じた癌の患者に使用可能である。SHP2が、EGFRシグナル伝達を行い、前臨床モデルが、RTK依存性とSHP2依存性との間の強い相関を実証したため、TNO155は、耐性が、EGFR又は別のRTKからのシグナル伝達のいずれによって引き起こされるかにかかわらず、これらの癌において臨床的利点を提供することが予測される。
頭頸部癌の90%超が、EGFRの過剰発現又は増幅;他のRTK、特にFGFRの増幅/過剰発現を特徴とし、それらのリガンドもよく見られる。進行HNSCCにおけるセツキシマブによるEGFRの阻害も、疾患管理が持続的でないが、臨床的利点を実証した。HNSCCにおけるEGFR阻害の低い有効性は、他のRTKを介した補償的シグナル伝達に関連する可能性があり、これは、TNO155処置によるSHP2阻害によって抑止されることが予測されるであろう。更に、前臨床試験は、SHP2阻害に対する感受性の最も高い頻度を有する系統として頭頸部癌細胞を同定した。
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)再構成NSCLC又は幹細胞因子受容体(KIT)突然変異型消化管間質性腫瘍(GIST)などの転移性又は切除不能RTK駆動癌を有する患者は、これらのRTKを直接標的にする分子から利益を得るが、これらの薬剤に対する耐性が、常に生じる。耐性の機序は、多くの場合、標的とされるRTKにおける薬剤耐性突然変異及び/又はバイパスRTK経路の活性化を含み;大抵の場合、更なる治療選択肢は限られる。TNO155によりSHP2を標的化することは、このようなRTK依存性癌における理にかなった手法である。
ナザルチニブは、野生型(WT)EGFRを許容しながら、EGFRの活性化(L858R、エクソン19欠失(ex19del))突然変異及びT790M耐性突然変異を選択的に阻害する標的化された共有結合性上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤である。ナザルチニブは、7つの臨床試験において試験された。EGFR変異型NSCLCを有する患者におけるナザルチニブのファースト・イン・ヒューマン試験において、単剤ナザルチニブの推奨されるフェーズII用量は、150mg QDであると決定された(75mg~350mg QDの7つの用量レベルで試験された-最大耐量は、確立されておらず、抗腫瘍有効性が、全ての用量で観察された)。ナザルチニブの有望な抗腫瘍活性が、進行EGFR変異型NSCLCを有する処置前及び処置未経験の患者の両方において実証された。
EGFR変異型NSCLCを有する患者は、EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、オシメルチニブ)による高い病勢コントロール率を有するが、耐性が必然的に生じる。耐性機構は、不均一であるが、変異型EGFRシグナル伝達の回復及び/又はEGFR以外のRTK(METなど)若しくはそれらのリガンドの増幅又は過剰発現を一般的にもたらす。SHP2阻害が、複数のRTKを介してシグナル伝達を損なうため、TNO155とナザルチニブとの組合せは、あらゆる腫瘍細胞内に存在するドライバー腫瘍形成性EGFR突然変異の開始の阻害を維持しながら、腫瘍内の異なるクローン中で生じ得る複数の不均一な耐性機構をブロックする可能性を有する。ナザルチニブは、TNO155との組合せのために選択されたが、その理由は、それが、低下した左心室駆出分画の有害事象と関連しないためである。このような事象は、オシメルチニブ、別の第3世代EGFR TKI(Tagrisso(登録商標)処方情報)について記載されている。
以下の実施例に示される前臨床データは、SHP2阻害剤、TNO155及びEGFR阻害剤、ナザルチニブの組合せが、顕著な組合せ効果を発揮するというインビトロ及びインビボでのエビデンスを提供する。
したがって、本発明の組合せ療法は、例えば、有効性を、忍容性、例えば、減少した副作用(例えば、減少した皮膚毒性及び/又は心筋症)と組み合わせた特別な利益を、NSCLC、例えば:活性化EGFR突然変異を有し、標準治療(SOC)EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)で進行した(若しくは利用可能なSOC EGFR TKIを有さない)、及び白金含有組合せ化学療法で進行したNSCLC(例えば進行NSCLC);又はSOCで進行したKRAS G12突然変異を有するNSCLC(例えば進行NSCLC);又は白金含有組合せ化学療法で進行したHNSCCに罹患した患者に;或いは
以下を有する患者にもたらすことが予想される:
a.オシメルチニブ又はナザルチニブでの進行後に、EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有するNSCLC(例えば進行NSCLC)。
b.第1及び/又は第2世代EGFR TKI(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ)での進行後に、EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有し、これらの薬剤での進行後に、T790突然変異を欠くことが実証されたNSCLC(例えば進行NSCLC)。
c.EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有し、最も近い過去の治療としてのオシメルチニブで進行している(試験処置を開始する2週間前までオシメルチニブ処置を継続している(したがって、オシメルチニブが、スクリーニング期間中に継続され得る)NSCLC(例えば進行NSCLC)、又はオシメルチニブを最近中断した患者。
医薬組成物
別の態様において、本発明は、1つ以上の薬学的に許容されるキャリア(添加物)及び/又は希釈剤と一緒に製剤化された、治療的に有効な量のTNO155及びナザルチニブを含む、薬学的に許容される組成物を提供する。以下に詳細に記載されるように、本発明の医薬組成物は、固体又は液体の形態での投与用に特別に製剤化されていてもよく、経口投与に適合するもの、例えば、水薬(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、タブレット、例えば、口腔内、舌下、及び体内吸収を対象とするもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌への塗布用のペーストが挙げられる。
本明細書中で用いられるフレーズ「治療的に有効な量」は、あらゆる医学的処置に適用可能な、合理的な利益/リスク比にて、動物中の細胞の少なくとも亜集団において、多少の所望の治療効果をもたらすのに有効な、本発明の化合物を含む化合物、材料、又は組成物の量を意味する。
フレーズ「薬学的に許容される」は、合理的な利益/リスク比に相応した、過剰な毒性も、炎症も、アレルギー反応も、他の問題も合併症もなしに、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触させての使用に適した、化合物、材料、組成物、及び/又は剤型に言及するのに、本明細書中で使用される。
本明細書中で用いられるフレーズ「薬学的に許容されるキャリア」は、薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクル、例えば、液体若しくは固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、若しくはステアリン酸亜鉛、又はステアリン酸)、又は、一方の臓器、若しくは体の一部から、もう一方の臓器、若しくは体の一部への対象化合物の運送又は運搬に関与する材料をカプセル化する溶媒を意味する。各キャリアは、製剤の他の成分と適合するという意味において、「許容可能」でなければならず、且つ患者に有害であってはならない。薬学的に許容されるキャリアとして供給することができる材料の一部の例として:(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;(2)デンプン、例えばコーンスターチ及びジャガイモデンプン;(3)セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;(4)粉末トラガカントゴム;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばカカオバター及び坐薬ワックス;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)アガー;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/又はポリ無水物;並びに(22)医薬の調合に使用される他の非毒性適合物質が挙げられる。
先で提示したように、本化合物の特定の実施形態は、塩基性の官能基、例えばアミノ基又はアルキルアミノ基を含有してもよく、そしてこのため、薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される酸により形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、この点で、本発明の化合物の比較的非毒性の無機酸付加塩及び有機酸付加塩を指す。この塩は、投与ビヒクル中に、若しくは剤型製造プロセスにおいて、又は本発明の精製された化合物を、その遊離塩基形態で、適切な有機酸若しくは無機酸と別個に反応させて、こうして形成された塩を、以降の精製の間に単離することによって、in situで調製することができる。代表的な塩として、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナプシル酸(napthylate)塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩等が挙げられる(例えば、Berge et al.(1977)「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.66:1-19参照)。
対象化合物の薬学的に許容される塩として、例えば非毒性の有機酸又は無機酸由来の、化合物の従来の非毒性の塩、又は四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性の塩として、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等に由来するもの;及び有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等から調製される塩が挙げられる。例えばTNO155の薬学的に許容される塩は、コハク酸塩である。ナザルチニブの薬学的に許容される塩は、例えば、メシラートである。
その他の場合、本発明の化合物は、1つ以上の酸性の官能基を含有してもよく、そしてこのため、薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される塩基により形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、この場合には、本発明の化合物の比較的非毒性の無機塩基付加塩及び有機塩基付加塩を指す。この塩は、同様に、投与ビヒクル中に、若しくは剤型製造プロセスにおいて、又は精製された化合物を、その遊離酸形態で、適切な塩基、例えば薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、若しくは重炭酸塩と、アンモニアと、又は薬学的に許容される有機一級、二級、若しくは三級アミンと別個に反応させることによって、in situで調製することができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩として、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとして、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びピペラジン等が挙げられる(例えば、前掲のBerge et al.参照)。
また、湿潤剤、乳化剤、及び潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料、香料、及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤が、組成物中に存在してもよい。
薬学的に許容される抗酸化剤の例として、以下が挙げられる:(1)水溶性の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫化水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2)油溶性抗酸化剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール等;並びに(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等。
本発明の製剤は、経口、経鼻、局所的(口腔内及び舌下が挙げられる)、直腸、膣、及び/又は非経口投与に適したものが挙げられる。製剤は、好都合には、ユニット剤型で提示されてもよく、そして薬学の技術において周知であるあらゆる方法によって調製されてもよい。キャリア材料と組み合わされて単一の剤型を作製することができる活性成分の量は、処置されることとなる宿主、特定の投与モードに応じて変わることとなる。キャリア材料と組み合わされて単一の剤型を作製することができる活性成分の量は、通常、治療効果をもたらす化合物の量となるであろう。通常、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約0.1パーセント~約99パーセント、好ましくは約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントに及ぶこととなる。
特定の実施形態において、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば胆汁酸、及びポリマーキャリア、例えばポリエステル及びポリ無水物からなる群から選択される賦形剤;並びに本発明の化合物を含む。特定の実施形態において、上述の配合により、本発明の化合物は、生物が経口的に利用可能となる。
この製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、キャリアと、そして場合によっては1つ以上の副成分と結合させる工程を含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を、液体キャリア、若しくは微細に分割された固体キャリア、又は双方と一様に、且つ緊密に結合させ、そしてその後必要ならば、生成物を成形することによって、調製される。
経口投与に適した本発明の組成物は、カプセル、カシェ、ピル、タブレット、ロゼンジ(風味をつけたベース、通常、スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴムを用いる)、粉末、顆粒の形態であってもよいし、水性又は非水性の液体中の溶液、懸濁液、又は固体分散系としてあってもよいし、水中油又は油中水の液体エマルジョンとしてあってもよいし、エリキシル又はシロップとしてあってもよいし、トローチ(不活性のベース、例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴムを用いる)としてあってもよいし、うがい薬等としてあってもよく、それぞれ、所定の量の本発明の化合物を活性成分として含有する。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤、又はペーストとして投与されてもよい。
経口投与用の本発明の固体剤型(カプセル、タブレット、ピル、ドラジェ、粉末、顆粒、トローチ(trouches)等)中で、活性成分は、1つ以上の薬学的に許容されるキャリア、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、並びに/又は以下のいずれかと混合されている:(1)フィラー若しくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/若しくはケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/若しくはアラビアゴム;(3)湿潤剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、及び炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤(solution retarding agent)、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物及び界面活性剤、例えばポロキソマー及びラウリル硫酸ナトリウム;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、及び非イオン性界面活性剤;(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ;(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、及びそれらの混合物;(10)着色剤;並びに(11)放出制御剤、例えばクロスポビドン若しくはエチルセルロース。カプセル、タブレット、及びピルの場合、医薬組成物は、緩衝剤を含んでもよい。また、類似の型の固体組成物は、ラクトース又は乳糖のような賦形剤、及び高分子量ポリエチレングリコール等を用いるソフトシェルゼラチンカプセル及びハードシェルゼラチンカプセル中で、フィラーとして使用されてもよい。
タブレットは、場合によっては1つ以上の副成分と共に、圧縮又は成形によって製造されてもよい。結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤、又は分散剤を用いて、圧縮タブレットが調製されてもよい。適切な機械において、不活性の希釈液で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって、成形タブレットが製造されてもよい。
本発明の医薬組成物のタブレット及び他の固体剤型、例えば、ドラジェ、カプセル、ピル、及び顆粒は、場合によっては、コーティング及び殻、例えば、医薬製剤技術において周知の腸溶コーティング及びその他のコーティングでスコア化又は調製されてもよい。また、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、及び/又はマイクロスフェアを、所望の放出プロファイルを実現するような様々な割合で用いて、活性成分の徐放又は制御放出を実現するように製剤化されてもよい。例えば凍結乾燥させて、迅速に放出するように製剤化されてもよい。例えば、細菌保持フィルタによる濾過によって、又は滅菌水若しくは一部の他の滅菌注射可能な媒体中に使用直前に溶解させることができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌されてもよい。この組成物はまた、場合によっては乳白剤を含有してもよく、そして消化管のある部分において活性成分のみを、又は優先的に、場合によっては遅らせて、放出する組成物であってもよい。用いることができる埋込み組成物(embedding composition)の例として、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。また、活性成分は、適切な場合、先に記載される賦形剤の1つ以上と共に、ミクロカプセル化された形態であってもよい。
本発明の化合物の経口投与用の液体剤型として、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルが挙げられる。活性成分に加えて、液体剤型は、当該技術において一般的に用いられている不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及び胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、香味剤、着色剤、芳香剤、並びに保存剤を含んでもよい。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、ミクロクリスタリンセルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、並びにトラガカントゴム、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
本発明の医薬組成物に使用されてもよい適切な水性キャリア及び非水性キャリアの例として、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール等)、及びそれらの適切な混合液、植物油、例えばオリーブ油、並びに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えばレシチンの使用によって、分散系の場合に必要とされる粒子サイズの維持によって、そして界面活性剤の使用によって、維持することができる。
この組成物はまた、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤を含有してもよい。対象化合物に及ぶ微生物の作用の予防が、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸(phenol sorbic acid)の包含によって確実にされてもよい。また、等張剤、例えば糖及び塩化ナトリウム等を組成物中に含むことが所望されてもよい。
本発明の化合物は、医薬としてヒト及び動物に投与される場合、それ自体が与えられてもよいし、薬学的に許容されるキャリアと組み合わせて、例えば、0.1~99%(より好ましくは10~30%)の活性成分を含有する医薬組成物として与えられてもよい。
本発明の化合物(適切な水和形態で用いられてもよい)、及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に知られている従来の方法によって、薬学的に許容される剤型に製剤化される。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の患者、組成物、及び投与モードについて、患者に有毒であることなく、所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量が得られるように変化してもよい。
選択された投薬量レベルは、使用される本発明の特定の化合物、又はそのエステル、塩、若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用されることとなる特定の化合物の排泄又は代謝の速度、吸収の速度及び程度、処置の継続期間、使用される特定の化合物と組み合わせて用いられる他の薬物、化合物、及び/又は材料、処置されることとなる患者の年齢、性別、体重、症状、健康状態、及び先の病歴、並びに医術において周知であるような要因が挙げられる、種々の要因によって決まることとなる。
当該技術の通常の技能を有する医師又は獣医であれば、必要とされる医薬組成物の有効な量を容易に決定且つ処方することができる。例えば、医師又は獣医であれば、所望の治療効果を達成し、且つ、所望の効果が達成されるまで、投薬量を徐々に増大させるのに必要とされるよりも低いレベルにて、医薬組成物中で使用される本発明の化合物の用量をスタートさせることができるであろう。
一般に、本発明の組合せの適切な一日用量は、治療効果をもたらすのに有効な、最も低い用量である各化合物の量となるであろう。そのような有効量は、通常、先に記載される要因によって決まることとなる。
別の態様において、本発明は、1つ以上の薬学的に許容されるキャリア(添加物)及び/又は希釈剤と一緒に製剤化された、先に記載される、治療的に有効な量の1つ以上の対象化合物を含む、薬学的に許容される組成物を提供する。
TNO155及びナザルチニブ
(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(TNO155)を、それぞれ国際公開第2015/107495号パンフレットの実施例69に従って合成する。(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド(ナザルチニブ)を、国際公開第2013/184757号パンフレットの実施例5に従って合成する。
本明細書に記載されるTNO155及びナザルチニブの有用性を、以下の実施例における試験によって証明することができる。
実施例1
EGFR変異型NSCLC細胞株におけるTNO155及びナザルチニブにおける組合せ相乗効果
CCLE(Cancer Cell Line Encyclopedia)に由来するヒト癌細胞株は、CCLEが2012年に設立されたとき、単一ヌクレオチド多型解析によって証明され、PCRベースの検出技術(IDEXX BioAnalytics)を用いてマイコプラズマ感染について試験された。使用される全ての細胞株を、CCLEコレクションストックから直接解凍した。全ての細胞株を、10%のFBS(VWR)が補充された、HT-29(McCoy’s 5A)、RKO(MEMα)、MDST8(DMEM)、A-427(MEMα)及びMIA PaCA-2(DMEM)を除いてRPMI培地(ThermoFisher Scientific)中で培養した。細胞株を、解凍の15回継代内で使用し、6か月未満にわたって連続して培養した。
組合せ用量マトリックスアッセイのために、2000~3000個の細胞を、ウェル当たり80μLの培地中で、96ウェルプレートに播種した。2日目に、2つの組合せ薬剤の連続希釈物を、続いて、それぞれ、最終的な示される濃度の6倍で、20μLの培地中で加えた。3日後、細胞生存を、CellTiter-Glo Assay(Promega #G7573)によって測定した。化合物で処置された細胞の阻害のパーセンテージ(DMSO処置対照と比べた)の平均及び標準偏差(n=3)並びに2つの化合物間の相乗効果スコアを決定した。2超の相乗効果スコアは、相加効果より相乗効果を有すると見なされる。
免疫ブロッティングのために:2mLの増殖培地中の細胞(200,000~750,000個)を、6ウェルプレート(Corning、#3506)に播種した。24時間後、細胞を、示される濃度及び期間で、化合物又は成長因子で処理した。細胞を、1mMのEDTA及びHaltプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤混合物(Thermo Fisher Scientific #1861281)が補充された、RIPA緩衝液(Boston Bioproduct #BP-115)中で、氷上で溶解させた。溶解物を、15分間にわたって4℃で、14,000rpmで遠心分離し、タンパク質濃度を、BCAタンパク質アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を用いて決定した。等量のタンパク質を、NuPAGE4%~12%のビス-トリスゲル(Thermo Fisher Scientific #WG1402BX10)中での電気泳動によって分離し、示された一次抗体による免疫ブロットのためにニトロセルロース膜(Bio-Rad、#1704159)に移した。結合一次抗体を、Alexa Fluor 700とコンジュゲートされたヤギ抗ウサギIgG二次抗体及びIRDye 800 CWとコンジュゲートされたヤギ抗マウスIgG二次抗体を用いて、Odyssey Infrared Imager System(Li-Cor)を用いてスキャンしながら、視覚化した。以下の一次抗体を使用した:ホスホ-ERK(Cell signaling Technology #4370)、ホスホ-AKT(Cell signaling Technology #4060)、チューブリン(Cell signaling Technology #3873)、KRAS(Proteintech #12063-1-AP)、ホスホ-MEK(Cell signaling Technology #9154)、ホスホ-RSK3(Cell signaling Technology #9348)、NRAS(Proteintech #10724-1-AP)、HRAS(Proteintech #18925-1-AP)、ホスホ-RB(Cell signaling Technology #8516)、サイクリンD1(Cell signaling Technology #2978)、ホスホ-SHP2(Abcam #ab62322)、アクチン(Cell signaling Technology #3700)、ホスホ-CRAF(Cell signaling Technology #9427)及びホスホ-CSF1R(Cell signaling Technology #3155)。
統計的分析を行い、曲線適合及びIC50値を、GraphPad Prism 8ソフトウェアを用いて生成した。統計的有意性を、対応のない、対応のあるスチューデントt検定、又はマン・ホイットニーの検定を用いて決定した。有意性を、p=0.05に設定した。
PC14及びNCI-H1975細胞を、3μMからの3倍連続希釈されたナザルチニブ及び10μMからのTNO155の8×8組合せマトリックスで処理した。3日後(PC14)又は6日後(NCI-H1975)、細胞増殖を、Cell Titer-Glo(登録商標)アッセイを用いて測定し、各用量組合せの発光シグナルを、DMSO(ビヒクル対照)群のものに対して正規化した。増殖阻害のパーセンテージが、8×8用量グリッドとして数値的に示される。PC14細胞についての組合せ(Loewe過剰)相乗効果スコアは、5.12であり、NCI-H1975細胞についての組合せ相乗効果スコアは、4.92であった。
組合せ相乗効果が、EGFR変異型NSCLC細胞株においてTNO155及びナザルチニブで観察され、相乗効果スコアは、試験される細胞株において、2.03~5.12の範囲であった(図1)。PC14細胞において、組合せ相乗効果が、単剤ナザルチニブ又はTNO155のいずれかと比較して、持続性pERK阻害及び切断ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)などのアポトーシスマーカーのより高い誘導に起因し得る。
EGFR変異型肺癌の処置におけるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の臨床的有効性及び控えのWT EGFRなどの第1世代から第3世代EGFR阻害剤からの有意な改善にもかかわらず、獲得耐性が、患者の大部分において必然的に発生する。EGFR TKIに対する耐性の1つの一般的な機構は、阻害剤結合を妨げる、第1世代TKIに対するT790M及び第3世代TKIに対するC797SなどのEGFRにおけるゲートキーパー突然変異の獲得である。SHP2が、EGFRの下流のRAS活性化を媒介するため、SHP2阻害剤の有効性は、オシメルチニブ処置で再発した一部のEGFR T790M患者において見られるように、2つの突然変異が同じDNA鎖(cis型)で同時に発生する際にも、EGFR T790M及びC797S突然変異によって影響されない。TNO155は、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC)細胞株において広く有効である。試験される8つの細胞株の中でも、6つが、ナザルチニブ/EGF816に対して感受性であり、TNO155は、1.5μM未満のIC50値を有する3つの細胞株において活性を有していた(NCI-H3255、HCC827及びPC9(表1を参照):
Figure 2023524789000003
TNO155は、組合せ用量マトリックスアッセイにおいてEGFR変異型細胞増殖を阻害するナザルチニブとの相乗効果を有する。興味深いことに、TNO155及びナザルチニブは、TNO155単独(PC14及びNCI-H1975)に非感受性である2つの細胞株を含む6つ中5つのナザルチニブ感受性細胞株において強い相乗効果(相乗効果スコア>2)を示した。PC14及びNCI-H1975細胞におけるナザルチニブ及びTNO155の相乗効果が、広い範囲の濃度のナザルチニブ及び低い濃度のTNO155(例えば、0.124μM)で観察され、ここで、TNO155は、両方の株において単剤活性を欠き(図1を参照;Loewe過剰マトリックスグリッド)、これは、TNO155の寄与が、EGFR TKIによる処置時に活性化されるフィードバックであり得る別のRTKシグナル伝達の阻害から生じることを実証している。PC14細胞において、p-ERKレベルの反発が、初期の抑制の後の0.1μMのナザルチニブによる処置の24時間後に観察され、これは、より高い用量のナザルチニブ(0.3μM)によってブロックすることができなかった(図2を参照)。同様に、TNO155は、4時間の時点でp-ERKレベルを有効に低下させたが、また、24時間の時点で反発を生じた一方、TNO155及びナザルチニブの組合せは、ERKの持続した阻害を達成した。この組合せはまた、増加したレベルの切断PARP(c-PARP)及びBIM(図2を参照)から明らかなように、24時間の時点で単剤のいずれかより強いアポトーシス応答を誘導した。
更に、TNO155及びオシメルチニブ、FDAに承認された第3世代EGFR TKIの組合せが、マウス臨床試験形式で、一連のEGFR変異型肺癌患者由来の腫瘍モデルにおいて評価され、3つのEGFR(L858R)モデル(29666HXXTM、29667HXXTM及び29665HXXTM)において組合せ利益が見られた。これらのモデル(図3を参照)において、TNO155を、マウスにおけるその短い半減期のため、1日2回(BID)投与し、その最大耐量は、20mg/キログラム体重(mpk)である。マウス臨床試験組合せにおいて、TNO155の用量を、特定の組合せについて忍容性の理由で10mpkに減少させた。29666HXXTMにおいて、オシメルチニブ(10mpk、毎日)は、一時的な有効性を示したに過ぎない一方、TNO155(10mpk、BID)は、腫瘍増殖を有効に減速した。それは、ほぼ完全な腫瘍退縮を達成した組合せであった。29667HXXTM及び29665HXXTMにおいて、オシメルチニブは、それぞれ中程度の及び強い抗腫瘍活性を有していた一方、TNO155は、インビトロで一部のEGFR変異型細胞株に見られるように最小の活性を有していたが、オシメルチニブの有効性を著しく向上させた。これらのデータは、TNO155が、EGFR TKIに対する獲得耐性を克服し、それらの有効性も向上させ得ることを示唆している。
実施例2
ベースラインで生検に適した疾患を有し、また、この試験中に、治療中である患者を選択した。患者は、活性化EGFR突然変異を有し、標準治療(SOC)EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)で進行した(若しくは利用可能なSOC EGFR TKIを有さない)、及び白金含有組合せ化学療法で進行した進行NSCLC;又はSOCで進行したKRAS G12突然変異を有する進行NSCLC;又は白金含有組合せ化学療法で進行した進行HNSCC;又は白金含有化学療法で進行した進行食道SCC;又は活性化KRAS(KRAS G12Cを除く)、NRAS、若しくはBRAF突然変異を欠き、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、及びイリノテカンで進行した進行CRC;又はSOCで進行した進行NRAS/BRAF WT皮膚黒色腫;又はSOCで進行した進行GISTのいずれかを有していた。
更に、以下を有する患者が含まれる:
a.オシメルチニブ又はナザルチニブでの進行後に、EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有する進行NSCLC。
b.第1及び/又は第2世代EGFR TKI(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ)での進行後に、EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有し、これらの薬剤での進行後に、T790突然変異を欠くことが実証された進行NSCLC。
c.EGFR TKI感作性EGFR突然変異(例えば、エクソン19欠失、L858R)を有し、最も近い過去の治療としてのオシメルチニブで進行している(試験処置を開始する2週間前までオシメルチニブ処置を継続している(したがって、オシメルチニブが、スクリーニング期間中に継続され得る)進行NSCLC。例外が、オシメルチニブを最近中断した患者について可能であり得る。
この試験におけるナザルチニブの開始用量は、連続的に投与される150mg QDである。CEGF816X2101、ナザルチニブのファースト・イン・ヒューマン試験において、毎日75mgから毎日350mgのナザルチニブの用量を調べた。最大耐量は、確立されておらず、抗腫瘍有効性が、全体的な安全性、忍容性、及び有効性データに基づいて、全ての用量で観察され;毎日150mgが、試験CEGF816X2101のフェーズIIパートのための推奨用量として選択された。したがって、150mg QDのナザルチニブの選択された用量が、患者において忍容性であった最高用量の半分未満の有効な用量であり、それによって、TNO155との組合せについて十分な治療域を可能にする。ナザルチニブは、主に、CYP3A4によって代謝される。TNO155は、CYP3A4の阻害剤の誘導因子でなく、したがって、ナザルチニブ血中濃度に対するTNO155の影響が予測されない。ナザルチニブとの組合せにおけるTNO155の開始用量は、20mg QD、2週間の投薬/1週間の休薬である。TNO155のレジメンは、60mg QD、2週間の投薬/1週間の休薬及び40mg QDであり、3週間の投薬/1週間の休薬が、試験され、患者において忍容性が認められた。したがって、20mg QD、2週間の投薬/1週間の休薬の開始用量は、ナザルチニブ150mg QDとの組合せのために十分な忍容性マージンを提供する。
本明細書中に記載される実施例及び実施形態は、説明を目的とするだけであり、それらを考慮した種々の修飾又は変更が、当業者に示唆されているであろうこと、そして本出願及び添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれ得ることが理解される。

Claims (28)

  1. 癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を、第2の治療剤と組み合わせて含む医薬組成物を投与することを含む方法。
  2. 前記癌が、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. (3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. それを必要とする前記対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩の量は、前記癌を処置するのに有効である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. それを必要とする前記対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤の量は、前記癌を処置するのに有効である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第2の治療剤は、EGFR阻害剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記EGFR阻害剤が、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩である、請求項6に記載の方法。
  8. (3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンが、約1.5~約100mg/日、(例えば、約1.5mg~約60mg/日、及び約20mg~約60mg/日)の範囲の用量で経口投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. (3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は80mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. (R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドが、約75mg~約350mg/日の範囲の用量で経口投与される、請求項9に記載の方法。
  11. (R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドが、約75mg/日、又は100mg/日、又は150mg/日、又は200mg/日、又は250mg/日、又は300mg/日、又は350mg/日のおよその用量で経口投与される、請求項10に記載の方法。
  12. (R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドが、100mg又は150mg/日で経口投与される、請求項11に記載の方法。
  13. (R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドが、150mg/日で経口投与される、請求項11に記載の方法。
  14. 癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は80mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンを投与することを含む方法。
  15. 前記一日用量は、2週間の投薬とその後の1週間の休薬の21日サイクルで投与される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記癌が、EGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC);KRAS変異型非小細胞肺癌;頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC);黒色腫;消化管間質腫瘍(GIST);大腸癌(CRC);甲状腺髄様癌;及びALK再構成NSCLCから選択される、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 第2の治療剤を更に含む、請求項14に記載の方法。
  18. (3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記第2の治療剤は、EGFR阻害剤である、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記EGFR阻害剤が、(R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミド、又はその薬学的に許容される塩である、請求項19に記載の方法。
  21. (R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドが、約75mg/日、又は100mg/日、又は150mg/日、又は200mg/日、又は250mg/日、又は300mg/日、又は350mg/日の用量で経口投与される、請求項20に記載の方法。
  22. (R,E)-N-(7-クロロ-1-(1-(4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エノイル)アゼパン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-2-メチルイソニコチンアミドが、150mg/日で経口投与される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記患者又は対象が、活性化EGFR突然変異を有し、標準治療(SOC)EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)で進行した(若しくは利用可能なSOC EGFR TKIを有さない)、及び白金含有組合せ化学療法で進行した進行NSCLC;又はSOCで進行したKRAS G12突然変異を有する進行NSCLC;又は白金含有組合せ化学療法で進行した進行HNSCC;又は白金含有化学療法で進行した進行食道SCC;又はSOCで進行した進行NRAS/BRAF WT皮膚黒色腫;又はSOCで進行した進行GISTに罹患した患者である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 処置される前記癌が、オシメルチニブ、又はその薬学的に許容される塩による処置に対して耐性又は不応性であるNSCLCである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 癌を処置する方法における使用のための化合物であって、前記化合物が、TNO155、又はその薬学的に許容される塩であり、TNO155が、ナザルチニブ、又はその薬学的に許容される塩と共投与される、使用のための化合物。
  26. 癌を処置する方法における使用のための化合物であって、前記化合物が、ナザルチニブ、又はその薬学的に許容される塩であり、ナザルチニブが、TNO155、又はその薬学的に許容される塩と共投与される、使用のための化合物。
  27. 前記方法が、請求項1~21のいずれか一項に従う、請求項25又は26に記載の使用のための化合物。
  28. TNO155、又はその薬学的に許容される塩、及びナザルチニブ、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組合せ物。
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