JP7493521B2 - Tno155及びリボシクリブを含む医薬組合せ - Google Patents

Tno155及びリボシクリブを含む医薬組合せ Download PDF

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Description

本発明は、TNO155及びリボシクリブを含む医薬組合せ;これを含む医薬組成物;並びにそのような組合せ及び組成物を、症状の処置又は予防に用いる方法に関し、CDK4/6阻害と組み合わせたSHP2阻害は、例えば、癌の処置に有益である。
TNO155は、活性化受容体チロシンキナーゼ(RTK)から、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路を含む下流の経路にシグナルを伝達する、タンパク質チロシンホスファターゼ-2(PTPN11遺伝子によってコードされるSHP2)を含有するSrcホモロジー-2ドメインの経口投与可能なアロステリック阻害剤である。SHP2はまた、免疫チェックポイント及びサイトカイン受容体シグナル伝達に関与しているとされてきた。TNO155は、広範なRTK依存性ヒト癌細胞株及びインビボ腫瘍異種移植片において有効性を実証した。
サイクリンDタンパク質は、癌細胞分裂において重要であり、CDK4及びCDK6プロテインキナーゼと複合体を形成して、網膜芽細胞腫タンパク質(pRb)を高リン酸化及び活性化することによってG1進行を促進する。リボシクリブは、pRbのCDK4/6特異的リン酸化を阻害し、それによって、G1期における細胞周期の進行を停止させる。サイクリンD1は、突然変異EGFR及び他のRTKの下流のシグナル伝達のエフェクターであり、これは、サイクリンD1-CDK4/6軸が、RTKの下流の増殖において重要な役割を果たすことを示唆している。
本発明の組合せ、TNO155及びリボシクリブは、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌の処置において、いずれかの単独の単剤と比較して、改善された有効性を示す。
本発明は、以下を含む医薬組合せを提供する:
(a)構造:
Figure 0007493521000001

を有する(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(TNO155)、又はその薬学的に許容される塩;及び
構造:
Figure 0007493521000002

を有する8-(6-アミノ-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン、又はその薬学的に許容される塩
から選択されるSHP2阻害剤;並びに
(b)構造:
Figure 0007493521000003

を有する7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド(リボシクリブ)、又はその薬学的に許容される塩。
TNO155、又はその薬学的に許容される塩、及びリボシクリブ、又はその薬学的に許容される塩の組合せは、本明細書中で、「本発明の組合せ」とも呼ばれることとなる。
本発明の組合せの別の実施形態において、TNO155又はその薬学的に許容される塩及びリボシクリブ、又はその薬学的に許容される塩は、同じ製剤中にある。
本発明の組合せの別の実施形態において、TNO155又はその薬学的に許容される塩及びリボシクリブ又はその薬学的に許容される塩は、別個の製剤中にある。
別の実施形態において、本発明の組合せは、同時の、又は(あらゆる順序での)順次的な投与用である。
別の実施形態は、癌の処置又は予防を必要とする対象において癌を処置又は予防する方法であって、対象に、治療的に有効な量の本発明の組合せを投与することを含む方法である。
方法の更なる実施形態において、癌は、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌から選択される。
方法の更なる実施形態において、癌は、大腸癌、卵巣癌、膵臓癌及び非小細胞肺癌から選択される。
方法の更なる実施形態において、癌は、腎細胞癌である。
更なる実施形態において、本発明の組合せは、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌から選択される癌を処置する医薬の製造での使用を提供する。
別の実施形態は、本発明の組合せを含む医薬組成物である。
更なる実施形態において、医薬組成物は更に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
EGFRmut NSCLC細胞におけるTNO155及びリボシクリブのインビトロ組合せ効果。 EGFRmut NSCLC細胞におけるTNO155によるリボシクリブ誘発性サイクリンD1蓄積の防止。 SHP2i(TNO155及びLWS391)及びリボシクリブは、NSCLC及びCRC細胞株における組合せ効果を有する。 TNO155及びリボシクリブは、PTX試験において複数の適応症で、いずれかの単剤より有効である。
定義
以前、そして以降で用いられる一般的な用語は、好ましくは、特に明記しない限り、本開示の文脈内で、以下の意味を有し、用いられる場合はいつでも、より一般的な用語が、互いに独立して、より具体的な定義によって置き換えられて、又はそのままであることで、本発明のより詳細な実施形態を定義してもよい。
本明細書中で用いられる用語「対象」又は「患者」は、癌、又は直接的若しくは間接的に癌に関わるあらゆる障害を患う、又はこれらに苦しむ虞がある動物を含むことが意図される。対象の例として、哺乳類、例えば、ヒト、類人猿、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、及びトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。一実施形態において、対象は、ヒトであり、例えば、癌を患っている、癌を患う危険に曝されている、又は潜在的に癌を患う虞があるヒトである。
本明細書中で用いられる用語「処置する」又は「処置」は、対象における少なくとも1つの病徴を和らげ、緩和し、若しくは軽減する、又は疾患の進行の遅延をもたらす処置を含む。例えば、処置は、癌等の障害の1つ若しくはいくつかの病徴の減少、又は障害の完全な根絶であり得る。本開示の意味の範囲内で、用語「処置する」はまた、開始(すなわち、疾患の臨床徴候よりも前の期間)を抑制し、遅らせ、且つ/又は疾患を発症若しくは悪化させるリスクを低下させることを表す。
用語「含む」及び「挙げられる」は、特に明記しない限り、本明細書中で、オープンエンド且つ非限定の意味で用いられる。
本発明を説明する文脈における(とりわけ以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」、並びに類似のリファレンスは、本明細書中で特に明記しない限り、又は文脈によって明らかに相反しない限り、単数及び複数の双方を包含すると解釈されるべきである。複数形が化合物、塩等に用いられる場合、これは、単一の化合物、塩等も意味するととられる。
用語「組合せ療法」又は「と組み合わせて」は、本開示に記載される病態又は障害(例えば、癌)を処置するための2つ以上の治療剤の投与を指す。このような投与は、一定比率の有効成分を有する単一のカプセル剤中など、ほぼ同時でのこれらの治療剤の共投与を包含する。或いは、このような投与は、各有効成分のための複数の容器、又は別個の容器中での共投与(例えば、カプセル剤、粉末、及び液体)を包含する。粉末及び/又は液体は、投与の前に、再構成されるか又は所望の用量に希釈され得る。更に、このような投与は、ほぼ同時に又は異なる時点で連続した、各タイプの治療剤の使用も包含する。いずれの場合も、治療レジメンは、本明細書に記載される病態又は障害を処置する際の薬剤組合せの有益な効果を提供する。
組合せ療法は、「相乗効果」を提供し、「相乗的」である、すなわち、有効成分が一緒に使用されるときに得られる効果が、化合物を別個に使用することから得られる効果の合計より大きいことを示し得る。相乗効果は、有効成分が、(1)同時に処方及び投与されるか、若しくは組み合わされた単位剤形で同時に送達されるとき;(2)別個の製剤として交互に若しくは並行して送達されるとき;又は(3)ある他のレジメンによって送達されるとき、得ることができる。交互の療法で送達される場合、相乗効果は、化合物が、例えば、別個の注射器での異なる注射によって、連続的に投与又は送達されるとき、得ることができる。一般に、交互の療法の際、各有効成分の有効な投与量が、連続的に、すなわち、逐次投与される一方、組合せ療法では、2つ以上の有効成分の有効な投与量が、一緒に投与される。
本明細書中で用いられる用語「医薬組合せ」は、1つの投与単位形態における一定の組合せ、又は一定でない組合せ又は併用投与のためのパーツのキットのいずれかを指し、ここで、2つ以上の治療剤が、同時に又は時間間隔内で別々に独立して投与され得、特に、これらの時間間隔は、組合せ相手が、共同的効果、例えば相乗効果を示すことを可能にする。
本明細書中で用いられる用語「相乗効果」は、例えば、SHP2阻害剤としての化合物TNO155及びCDK4/6阻害剤としてのリボシクリブなどの2つの治療剤の、例えば、増殖性疾患、特に癌、又はその病徴の症候的な進行を遅らせ、それ自体で投与される各薬物の効果の単純な追加よりも大きい効果をもたらす作用を指す。相乗効果は、例えば、適切な方法、例えば、Sigmoid-Emax式(Holford,N.H.G.and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429-453(1981))、Loewe additivityの式(Loewe,S.and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol Pharmacol.114:313-326(1926))、及びmedian-effect式(Chou,T.C.and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27-55(1984))を用いて算出することができる。先で言及された各式を、実験データに用いて、対応するグラフが生じて、薬物組合せの効果を評価する一助とすることができる。先で言及した式と関連する、対応するグラフはそれぞれ、濃度-効果曲線、アイソボログラム曲線、及び組合せ指数曲線である。
本発明の組合せ、TNO155及びリボシクリブはまた、化合物の非標識形態並びに同位体標識形態を表すことが意図される。同位体標識された化合物は、選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置換された1つ以上の原子を有する。TNO155及びリボシクリブ中に組み込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、及び塩素の同位体、例えば、H、H、11C、13C、14C、15N、35S、36Clが挙げられる。本発明は、同位体標識されたTNO155及びリボシクリブを含み、例えば、これらの中に、放射性同位体、例えばH及び14C、又は非放射性同位体、例えばH及び13Cが存在する。同位体標識されたTNO155及びリボシクリブは、代謝研究(14Cによる)、反応速度研究(例えばH又はHによる)、検出若しくは撮像技術、例えば陽電子放射断層撮影(PET)若しくは単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)(薬物又は基質の組織分布アッセイを含む)、又は患者の放射性治療において有用である。特に、18Fで標識されたLSZ102は、PET研究又はSPECT研究に特に所望されてもよい。本発明の同位体標識された化合物は、通常、当業者に知られている従来の技術によって、又は、適当な同位体標識試薬を用いる添付の実施例に記載されるプロセスに類似したプロセスによって、調製することができる。
更に、より重い同位体、特に、重水素(すなわちH又はD)による置換は、より大きな代謝安定性に起因するある種の治療利点、例えば、インビボ半減期の増大、投薬量要件の縮小、又は治療指数の向上をもたらし得る。重水素は、この文脈において、TNO155又はリボシクリブの置換基とみなされることが理解される。そのようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体富化係数によって定義されてもよい。本明細書中で用いられる用語「同位体富化係数」は、同位体の存在量と、指定された同位体の天然の存在量との比率を意味する。TNO155又はリボシクリブ中の置換基が重水素と示されるならば、そのような化合物は、指定された各重水素原子についての同位体富化係数が、少なくとも3500(指定された各重水素原子にて52.5%の重水素組込み)、少なくとも4000(60%の重水素組込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組込み)、少なくとも5000(75%の重水素組込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組込み)、少なくとも6000(90%の重水素組込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組込み)、少なくとも6600(99%の重水素組込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素組込み)である。
好ましい実施形態の説明
TNO155は、SHP2活性の経口投与可能な小分子阻害剤である治験薬である。SHP2は、活性化RTKの下流のシグナル伝達を行う。前臨床モデルにおいて、RTKへの腫瘍依存性は、SHP2への依存性を予測する。
一実施形態において、癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、第2の治療剤と組み合わせて投与することを含む方法である。
更なる実施形態において、癌は、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌:及び腎細胞癌から選択される。
更なる実施形態において、癌は、食道癌である。
更なる実施形態において、癌は、頭頸部扁平上皮細胞癌である。
更なる実施形態において、癌は、大腸癌である。
更なる実施形態において、癌は、卵巣癌である。
更なる実施形態において、癌は、膵臓癌である。
更なる実施形態において、癌は、非小細胞肺癌である。
更なる実施形態において、癌は、腎細胞癌である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される。
更なる実施形態において、それを必要とする対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩は、癌を処置するのに有効である。
更なる実施形態において、本方法は、第2の治療剤を含む。
更なる実施形態において、それを必要とする対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤の量は、癌を処置するのに有効である。
更なる実施形態において、第2の治療剤は、CDK4/6阻害剤である。
更なる実施形態において、CDK4/6阻害剤は、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は70mg/日、又は80mg/日、又は90mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、2週間の投薬とその後の1週間の休薬の21日サイクルで、20mgの一日用量で経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって200mgで経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって300mgで経口投与され、その後、7日間休薬する。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する。
別の実施形態において、癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日、又は70mg/日、又は80mg/日、又は90mg/日、又は100mg/日の用量で経口投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンを投与することを含む方法である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、2週間の投薬とその後の1週間の休薬の21日サイクルで、20mgの一日用量で経口投与される。
更なる実施形態において、癌は、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌から選択される。
更なる実施形態において、癌は、食道癌である。
更なる実施形態において、癌は、頭頸部扁平上皮細胞癌である。
更なる実施形態において、癌は、大腸癌である。
更なる実施形態において、癌は、卵巣癌である。
更なる実施形態において、癌は、膵臓癌である。
更なる実施形態において、癌は、非小細胞肺癌である。
更なる実施形態において、癌は、腎細胞癌である。
更なる実施形態において、本方法は、第2の治療剤を含む。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される。
更なる実施形態において、第2の治療剤は、CDK4/6阻害剤である。
更なる実施形態において、CDK4/6阻害剤は、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する。
一実施形態において、本発明の医薬組合せに関して、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組合せである。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩は、別々に、同時に、又はあらゆる順序で順次、投与される。
更なる実施形態において、医薬組合せは、経口投与用である。
更なる実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、経口投与形態である。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、経口投与形態である。
別の実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、並びに少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物である。
更なる実施形態において、食道又は頭頸部扁平上皮細胞癌の処置に使用するための、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せである。
別の実施形態において、大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌の処置に使用するための、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せである。
別の実施形態において、腎細胞癌の処置に使用するための、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せである。
別の実施形態において、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌から選択される癌の処置用の医薬を製造するための、((3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩の医薬組合せの使用である。
別の実施形態において、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌から選択される癌を処置する方法であって;それを必要とする患者に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、若しくはその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、若しくはその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、又は(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、若しくはその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、若しくはその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、並びに少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
別の実施形態において、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌から選択される癌を処置する方法であって;それを必要とする患者に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、若しくはその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、若しくはその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、又は(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、若しくはその薬学的に許容される塩、及び7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、若しくはその薬学的に許容される塩の医薬組合せ、並びに少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を投与することを含む方法である。
別の実施形態において、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で連続的に経口投与される。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mgの用量で経口投与され、その後、7日間休薬する。
更なる実施形態において、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する。
薬理学及び有用性
非小細胞肺癌-2012年には、世界で約180万人が、肺癌と診断され、160万人が、肺癌で死亡したと推定された。非小細胞肺癌は、肺癌の約85%を占め、腺癌及び扁平上皮癌が、最も一般的な亜型である。EGFR、ALK、又はROSなどのドラッガブルなドライバー癌遺伝子における遺伝子変異を有さない進行期の非小細胞肺癌(NSCLC)のための標準治療は、同時に又は連続して投与される、化学療法及び免疫療法を含む。これらの処置は、臨床的利点を提供するが、患者の大部分は、1年以内に疾患の進行を示し、進行NSCLCに罹患した患者の予後は、不良な状態のままである。免疫チェックポイント阻害剤を用いたNSCLCのための免疫療法は、有望さを実証したが、一部のNSCLC患者は、何年間も持続的な疾患管理を受ける。しかしながら、このような長期非進行者は、稀であり、チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法に反応し、寛解を維持する患者の割合を増加させ得る組合せ治療法が、緊急に必要とされている。KRAS癌遺伝子の活性化突然変異は、肺腺癌の約30%で発生し、いくつかの研究において不良転帰と関連付けられている。突然変異型KRASを直接標的にする承認薬がないため、進行期のKRAS突然変異型NSCLCのための標準治療も、上述される化学療法及び免疫療法である。
頭頸部扁平上皮細胞癌-扁平上皮細胞癌は、頭頸部に発生する最も一般的な癌であり、口腔咽頭癌及び喉頭癌を合わせて世界で約686,000件の発症が推定されている。アルコール及び喫煙が、頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC)の最も一般的な危険因子であり、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染も、原因となる役割を果たす可能性が高い。HNSCCの90%超が、EGFR又はそのリガンドの過剰発現を有する。転移性疾患を有する患者については、標準的な全身治療は、セツキシマブを用いた又は用いない、白金ベースの化学療法を含む。従来、全身化学療法による平均生存期間は、約6か月間であり、患者のわずか約20%が1年間生存する。より最近では、白金ベースの化学療法中に進行した患者における標準的な二次単剤療法(ドセタキセル、メトトレキサート、又はセツキシマブ)と比べて、ニボルマブ、抗プログラム死-1(PD-1)抗体について、生存利益が示された。それでもなお、ニボルマブで処置された患者の1年間の生存率は、わずか36%であった。したがって、この侵襲性且つ消耗性の癌の改善された処置が強く必要とされている。
大腸癌-大腸癌(CRC)は、女性の2番目に多い癌であり、男性の3番目に多い癌であり、2012年の世界の推定140万の新規癌症例を占めている。染色体不安定性及びマイクロサテライト不安定性の両方が、CRCの発症において役割を果たす。染色体不安定性が、散発性大腸癌の約85%で見られ、Wnt経路遺伝子、APC及びCTNNB1の突然変異によって特徴付けられる。コドン12又は13において最も一般的に発生するKRAS突然変異が、これらの症例の約45%において存在し、抗EGFR療法の効果をなくす。DNAミスマッチ修復の欠損に起因して生じるマイクロサテライト不安定性(MSI)が、散発性CRCの約15%、並びにミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系突然変異に起因するリンチ症候群において生じるCRCに関与している。MSI-high CRCは、非MSI-high CRCより良好な予後を有する傾向があり、また、いくつかの全身療法に対して異なる反応を示した。転移性CRCのための全身療法は、5-フルオロウラシル/ロイコボリン、カペシタビン、オキサリプラチン、及びイリノテカンなどの化学療法剤;ベバシズマブ及びラムシルマブなどの抗血管新生剤;KRAS/NRAS野生型癌のためのセツキシマブ及びパニツムマブを含む抗EGFR剤;並びにニボルマブ及びペムブロリズマブを含む免疫療法剤を含む、単独で又は組み合わせて使用される様々な薬剤を含む。しかしながら、多くの積極的治療にもかかわらず、転移性CRCは、依然として治癒不可能である。ミスマッチ修復が欠損した(MSI-high)CRCが、免疫チェックポイント阻害剤療法に対する高い奏効率を示す一方、ミスマッチ修復正常CRCはそうではない。KRAS突然変異型CRCは、典型的に、ミスマッチ修復正常であり、抗EGFR療法剤の候補でないため、CRCのこの亜型は、特に、改善された治療法を必要としている。
TNO155は、野生型SHP2のファースト・イン・クラス(first-in-class)のアロステリック阻害剤である。SHP2は、2つのN末端SH2ドメイン、古典的なPTPドメイン、及びC末端尾部から構成される、遍在的に発現される非受容体タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)である。ホスファターゼ活性は、PTPドメイン(閉鎖立体配座)に結合する2つのSHP2ドメインによって自己阻害される。受容体チロシンキナーゼ(RTK)が活性化すると、SHP2が、細胞膜に動員され、ここで、それは、活性化RTK及びいくつかのアダプタータンパク質と結合して、RAS/MAPK経路を活性化することによってシグナル伝達を中継する。TNO155は、SHP2の不活性な又は「閉鎖」立体配座に結合し、それによって、それが開いて活性な立体配座になるのを防ぐ。これは、活性化RTKから、下流のRAS/MAPK経路へのシグナル伝達を防ぐ。
TNO155は、広範なRTK依存性ヒト癌細胞株及びインビボ異種移植片において有効性を実証した。TNO155の前臨床インビトロ及びインビボ評価は、RTK依存性ヒト癌モデル、例えば、食道、HNSCC及びNSCLCにおいて、SHP2ホスファターゼの選択的且つ強力な阻害を実証する。SHP2阻害は、低下したレベルのリン酸化ERK1/2(pERK)及び二重特異性ホスファターゼ6(DUSP6)mRNA転写産物の下方制御などの、MAPKシグナル伝達経路内のバイオマーカーを評価することによって測定され得る。KYSE-520(食道扁平上皮細胞癌)及びDETROIT-562(咽頭扁平上皮細胞癌)癌細胞株において、インビトロpERK IC50はそれぞれ、8nM(3.4ng/mL)及び35nM(14.8ng/mL)であり、抗増殖IC50はそれぞれ、100nM(42.2ng/mL)及び470nM(198.3ng/mL)であった。TNO155の抗増殖効果は、RTKシグナル伝達に依存している癌細胞株において最も有効であることが示された。インビボで、経口投与されるTNO155(20mg/kg)によるSHP2阻害は、1日2回のスケジュールで投与された場合、EGFR依存性DETROIT-562癌細胞株においてDUSP6 mRNA転写産物の約95%の減少、及び47%の退縮を達成した。用量分割(dose fractionation)試験は、腫瘍DUSP6バイオマーカーの調節と組み合わされて、50%のPD阻害が、投与間隔の少なくとも80%で到達されたときに、最大の有効性が達成されることを示す。癌細胞におけるMAPK経路とCDK4/6経路との間の広範なクロストークを考慮して、TNO155と選択的CDK4/6阻害剤、リボシクリブとの組合せが、検討された。
リボシクリブ(LEE011、Kisqali(登録商標))は、サイクリン依存性キナーゼ4及び6(CDK4/6)の経口投与可能な、高度選択的な小分子阻害剤である。リボシクリブは、ランダム化二重盲検プラセボ対照国際臨床試験(MONALEESA-2[CLEE011A2301])に基づいて、アロマターゼ阻害剤(AI)と組み合わせた、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の進行又は転移性乳癌を有する閉経後の女性の処置のための初期の内分泌ベース療法として、米国食品医薬品局(the United States Food and Drug Administration)(U.S.FDA)及び欧州委員会(the European Commission)を含むいくつかの保健機関によって承認されている。2018年7月18日に、米国食品医薬品局(the U.S.FDA)は、初期の内分泌ベース療法として、AIと組み合わせたリボシクリブの適応を、HR陽性、HER2陰性の進行又は転移性乳癌を有する閉経前/閉経周辺期の女性を含むように拡大した。適応拡大は、初期の内分泌ベース療法として又は内分泌療法中の疾患進行後に、HR陽性、HER2陰性の進行又は転移性乳癌を有する閉経後の女性のための、フルベストラントと組み合わせたリボシクリブも含む(それぞれ、MONALEESA-7[CLEE011E2301]及びMONALEESA-3[CLEE011F2301])。HR陽性、HER2陰性の進行又は転移性乳癌における更なる販売承認が、世界中の保健機関によって検討中である。HR陽性乳癌患者の処置のための更なる第III相臨床試験、並びにいくつかの他の第I相又は第II相臨床試験が、実施中である。
リボシクリブは、他のサイクリン依存性キナーゼと比べて、CDK4/6に対する高度の選択性を示しながら、生化学アッセイにおいてそれぞれ0.01及び0.039μMのIC50値で、CDK4/サイクリンD(CCND1)及びCDK6/CCND3酵素複合体を阻害する。多様な癌型に由来する40超のpRb陽性細胞株において、リボシクリブは、網膜芽細胞腫タンパク質(pRb)リン酸化を阻害し、G1期からS期への細胞周期進行を妨げた。対照的に、系統を一致させたpRb陰性細胞株において、細胞周期進行に対するリボシクリブの効果は観察されなかった。
リボシクリブは、それぞれ経口で1日1回最大で250mg/kg又は経口で1日1回150mg/kgの用量で、最大で28日間にわたってマウス及びラットにおいて忍容性が良好であり、体重減少は、12.5%を超えなかった。しかしながら、骨髄抑制が観察され、pRb阻害と相関していた。リボシクリブは、以下に限定されないが、乳房悪性腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、悪性ラブドイド、肺、膵臓及び血液の悪性腫瘍を含む腫瘍異種移植モデルのサブセットにおいてインビボ抗腫瘍活性を実証した。さらに、リボシクリブは、RAF、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)、ホスホイノシタイド3-キナーゼ(PI3K)及びラパマイシン(mTOR)経路の哺乳類標的の阻害剤を含む、サイクリンDレベルを調節することが知られているシグナル伝達経路を阻害する標的化薬剤と組み合わせたときに、抗腫瘍活性を示した。
上皮成長因子受容体(EGFR)は、活性化しているEGFR突然変異を有するNSCLCにおいて確立された重要な治療標的である。第1世代(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ)及び第2世代(例えば、アファチニブ、ダコミチニブ)EGFR阻害剤を用いた多くの試験が、EGFR突然変異型進行/切除不能NSCLC集団において行われ、この集団において化学療法を上回るEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の優れた有効性を一貫して実証した。第1世代EGFR TKIに対する耐性は、TKIの結合を損なうEGFR「ゲートキーパー」T790M突然変異の発生によって、並びにMET及びERBB2増幅を含む、別のRTK経路の活性化によって生じることが示された。EGFR活性化及びゲートキーパー突然変異を阻害する第3世代の不可逆的EGFR阻害剤(例えば、オシメルチニブ、ロシレチニブ)を用いた臨床試験は、EGFR T790M突然変異型NSCLCにおける有効性を実証し、これは、EGFRシグナル伝達へのそれらの持続的な依存性を強調している。第3世代阻害剤に対して耐性を持つようになった癌の新たなデータは、これらの癌が、活性化RTKシグナル伝達を選択し続けることを示唆しており、EGFR(C797S)における耐性突然変異並びにRTK増幅(MET、ERBB2、FGFR1)が記載されている。限られた治療選択肢が、第1/第2及び第3世代EGFR TKIに対する耐性を生じた癌の患者に使用可能である。SHP2が、EGFRシグナル伝達を行い、前臨床モデルが、RTK依存性とSHP2依存性との間の強い相関を実証したため、TNO155は、耐性が、EGFR又は別のRTKからのシグナル伝達のいずれによって引き起こされるかにかかわらず、これらの癌において臨床的利点を提供することが予測される。
頭頸部癌の90%超が、EGFRの過剰発現又は増幅;他のRTK、特にFGFRの増幅/過剰発現を特徴とし、それらのリガンドもよく見られる。進行HNSCCにおけるセツキシマブによるEGFRの阻害も、疾患管理が持続的でないが、臨床的利点を実証した。HNSCCにおけるEGFR阻害の低い有効性は、他のRTKを介した補償的シグナル伝達に関連する可能性があり、これは、TNO155処置によるSHP2阻害によって抑止されることが予測されるであろう。更に、前臨床試験は、SHP2阻害に対する感受性の最も高い頻度を有する系統として頭頸部癌細胞を同定した。
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)再構成NSCLC又は幹細胞因子受容体(KIT)突然変異型消化管間質性腫瘍(GIST)などの転移性又は切除不能RTK駆動癌を有する患者は、これらのRTKを直接標的にする分子から利益を得るが、これらの薬剤に対する耐性が、常に生じる。耐性の機序は、多くの場合、標的とされるRTKにおける薬剤耐性突然変異及び/又はバイパスRTK経路の活性化を含み;大抵の場合、更なる治療選択肢は限られる。TNO155によりSHP2を標的化することは、このようなRTK依存性癌における理にかなった手法である。
サイクリンDタンパク質は、癌細胞分裂において重要であり、CDK4及びCDK6プロテインキナーゼと複合体を形成して、網膜芽細胞腫タンパク質(pRb)を高リン酸化及び活性化することによってG1進行を促進する。サイクリンD1は、突然変異EGFR及び他のRTKの下流のシグナル伝達のエフェクターであり、これは、サイクリンD1-CDK4/6軸が、RTKの下流の増殖において重要な役割を果たすことを示唆している。
以下の実施例に示される前臨床データは、SHP2阻害剤、TNO155及びCDK4/6阻害剤、リボシクリブの組合せが、多くの癌系統にわたって顕著な組合せ効果を発揮するというインビトロ及びインビボでのエビデンスを提供する。インビトロで、TNO155及び別の選択的SHP2阻害剤、LWS391を、4つのNSCLC及び1つのCRCモデルにおいて評価した。SHP2阻害剤とリボシクリブとの組合せは、いずれかの単剤より促進された抗細胞増殖効果を実証した。インビボで、TNO155及びリボシクリブの組合せを、免疫不全マウス中に移植された広範囲の様々な系統のヒト初代異種移植片において評価した。組合せ有効性(NSCLC、CRC、HNSCC、食道SCC及び腎臓癌)について評価される全ての系統において、腫瘍進行までの期間が、TNO155及びリボシクリブの組合せが投与されたとき、有意に延長された。以下の「実施例」の項に記載される阻害試験に基づいて、インビボ及びインビトロでのデータは、いくつかの適応症にわたっていずれかの単剤と比較して、TNO155及びリボシクリブの組合せの改善された有効性を示す。
医薬組成物
別の態様において、本発明は、1つ以上の薬学的に許容されるキャリア(添加物)及び/又は希釈剤と一緒に製剤化された、治療的に有効な量のTNO155及びリボシクリブを含む、薬学的に許容される組成物を提供する。以下に詳細に記載されるように、本発明の医薬組成物は、固体又は液体の形態での投与用に特別に製剤化されていてもよく、経口投与に適合するもの、例えば、水薬(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、タブレット、例えば、口腔内、舌下、及び体内吸収を対象とするもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌への塗布用のペーストが挙げられる。
本明細書中で用いられるフレーズ「治療的に有効な量」は、あらゆる医学的処置に適用可能な、合理的な利益/リスク比にて、動物中の細胞の少なくとも亜集団において、多少の所望の治療効果をもたらすのに有効な、本発明の化合物を含む化合物、材料、又は組成物の量を意味する。
フレーズ「薬学的に許容される」は、合理的な利益/リスク比に相応した、過剰な毒性も、炎症も、アレルギー反応も、他の問題も合併症もなしに、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触させての使用に適した、化合物、材料、組成物、及び/又は剤型に言及するのに、本明細書中で使用される。
本明細書中で用いられるフレーズ「薬学的に許容されるキャリア」は、薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクル、例えば、液体若しくは固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、若しくはステアリン酸亜鉛、又はステアリン酸)、又は、一方の臓器、若しくは体の一部から、もう一方の臓器、若しくは体の一部への対象化合物の運送又は運搬に関与する材料をカプセル化する溶媒を意味する。各キャリアは、製剤の他の成分と適合するという意味において、「許容可能」でなければならず、且つ患者に有害であってはならない。薬学的に許容されるキャリアとして供給することができる材料の一部の例として:(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;(2)デンプン、例えばコーンスターチ及びジャガイモデンプン;(3)セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;(4)粉末トラガカントゴム;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばカカオバター及び坐薬ワックス;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)アガー;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/又はポリ無水物;並びに(22)医薬の調合に使用される他の非毒性適合物質が挙げられる。
先で提示したように、本化合物の特定の実施形態は、塩基性の官能基、例えばアミノ基又はアルキルアミノ基を含有してもよく、そしてこのため、薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される酸により形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、この点で、本発明の化合物の比較的非毒性の無機酸付加塩及び有機酸付加塩を指す。この塩は、投与ビヒクル中に、若しくは剤型製造プロセスにおいて、又は本発明の精製された化合物を、その遊離塩基形態で、適切な有機酸若しくは無機酸と別個に反応させて、こうして形成された塩を、以降の精製の間に単離することによって、in situで調製することができる。代表的な塩として、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナプシル酸(napthylate)塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩等が挙げられる(例えば、Berge et al.(1977)「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.66:1-19参照)。
対象化合物の薬学的に許容される塩として、例えば非毒性の有機酸又は無機酸由来の、化合物の従来の非毒性の塩、又は四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性の塩として、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等に由来するもの;及び有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等から調製される塩が挙げられる。例えばTNO155及びリボシクリブの薬学的に許容される塩は、コハク酸塩である。
その他の場合、本発明の化合物は、1つ以上の酸性の官能基を含有してもよく、そしてこのため、薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される塩基により形成することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、この場合には、本発明の化合物の比較的非毒性の無機塩基付加塩及び有機塩基付加塩を指す。この塩は、同様に、投与ビヒクル中に、若しくは剤型製造プロセスにおいて、又は精製された化合物を、その遊離酸形態で、適切な塩基、例えば薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、若しくは重炭酸塩と、アンモニアと、又は薬学的に許容される有機一級、二級、若しくは三級アミンと別個に反応させることによって、in situで調製することができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩として、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとして、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びピペラジン等が挙げられる(例えば、前掲のBerge et al.参照)。
また、湿潤剤、乳化剤、及び潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料、香料、及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤が、組成物中に存在してもよい。
薬学的に許容される抗酸化剤の例として、以下が挙げられる:(1)水溶性の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫化水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2)油溶性抗酸化剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール等;並びに(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等。
本発明の製剤は、経口、経鼻、局所的(口腔内及び舌下が挙げられる)、直腸、膣、及び/又は非経口投与に適したものが挙げられる。製剤は、好都合には、ユニット剤型で提示されてもよく、そして薬学の技術において周知であるあらゆる方法によって調製されてもよい。キャリア材料と組み合わされて単一の剤型を作製することができる活性成分の量は、処置されることとなる宿主、特定の投与モードに応じて変わることとなる。キャリア材料と組み合わされて単一の剤型を作製することができる活性成分の量は、通常、治療効果をもたらす化合物の量となるであろう。通常、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約0.1パーセント~約99パーセント、好ましくは約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントに及ぶこととなる。
特定の実施形態において、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば胆汁酸、及びポリマーキャリア、例えばポリエステル及びポリ無水物からなる群から選択される賦形剤;並びに本発明の化合物を含む。特定の実施形態において、上述の配合により、本発明の化合物は、生物が経口的に利用可能となる。
この製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、キャリアと、そして場合によっては1つ以上の副成分と結合させる工程を含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を、液体キャリア、若しくは微細に分割された固体キャリア、又は双方と一様に、且つ緊密に結合させ、そしてその後必要ならば、生成物を成形することによって、調製される。
経口投与に適した本発明の組成物は、カプセル、カシェ、ピル、タブレット、ロゼンジ(風味をつけたベース、通常、スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴムを用いる)、粉末、顆粒の形態であってもよいし、水性又は非水性の液体中の溶液、懸濁液、又は固体分散系としてあってもよいし、水中油又は油中水の液体エマルジョンとしてあってもよいし、エリキシル又はシロップとしてあってもよいし、トローチ(不活性のベース、例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴムを用いる)としてあってもよいし、うがい薬等としてあってもよく、それぞれ、所定の量の本発明の化合物を活性成分として含有する。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤、又はペーストとして投与されてもよい。
経口投与用の本発明の固体剤型(カプセル、タブレット、ピル、ドラジェ、粉末、顆粒、トローチ(trouches)等)中で、活性成分は、1つ以上の薬学的に許容されるキャリア、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、並びに/又は以下のいずれかと混合されている:(1)フィラー若しくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/若しくはケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/若しくはアラビアゴム;(3)湿潤剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、及び炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤(solution retarding agent)、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物及び界面活性剤、例えばポロキソマー及びラウリル硫酸ナトリウム;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、及び非イオン性界面活性剤;(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ;(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、及びそれらの混合物;(10)着色剤;並びに(11)放出制御剤、例えばクロスポビドン若しくはエチルセルロース。カプセル、タブレット、及びピルの場合、医薬組成物は、緩衝剤を含んでもよい。また、類似の型の固体組成物は、ラクトース又は乳糖のような賦形剤、及び高分子量ポリエチレングリコール等を用いるソフトシェルゼラチンカプセル及びハードシェルゼラチンカプセル中で、フィラーとして使用されてもよい。
タブレットは、場合によっては1つ以上の副成分と共に、圧縮又は成形によって製造されてもよい。結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤、又は分散剤を用いて、圧縮タブレットが調製されてもよい。適切な機械において、不活性の希釈液で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって、成形タブレットが製造されてもよい。
本発明の医薬組成物のタブレット及び他の固体剤型、例えば、ドラジェ、カプセル、ピル、及び顆粒は、場合によっては、コーティング及び殻、例えば、医薬製剤技術において周知の腸溶コーティング及びその他のコーティングでスコア化又は調製されてもよい。また、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、及び/又はマイクロスフェアを、所望の放出プロファイルを実現するような様々な割合で用いて、活性成分の徐放又は制御放出を実現するように製剤化されてもよい。例えば凍結乾燥させて、迅速に放出するように製剤化されてもよい。例えば、細菌保持フィルタによる濾過によって、又は滅菌水若しくは一部の他の滅菌注射可能な媒体中に使用直前に溶解させることができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌されてもよい。この組成物はまた、場合によっては乳白剤を含有してもよく、そして消化管のある部分において活性成分のみを、又は優先的に、場合によっては遅らせて、放出する組成物であってもよい。用いることができる埋込み組成物(embedding composition)の例として、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。また、活性成分は、適切な場合、先に記載される賦形剤の1つ以上と共に、ミクロカプセル化された形態であってもよい。
本発明の化合物の経口投与用の液体剤型として、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルが挙げられる。活性成分に加えて、液体剤型は、当該技術において一般的に用いられている不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及び胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、香味剤、着色剤、芳香剤、並びに保存剤を含んでもよい。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、ミクロクリスタリンセルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、並びにトラガカントゴム、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
本発明の医薬組成物に使用されてもよい適切な水性キャリア及び非水性キャリアの例として、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール等)、及びそれらの適切な混合液、植物油、例えばオリーブ油、並びに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えばレシチンの使用によって、分散系の場合に必要とされる粒子サイズの維持によって、そして界面活性剤の使用によって、維持することができる。
この組成物はまた、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤を含有してもよい。対象化合物に及ぶ微生物の作用の予防が、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸(phenol sorbic acid)の包含によって確実にされてもよい。また、等張剤、例えば糖及び塩化ナトリウム等を組成物中に含むことが所望されてもよい。
本発明の化合物は、医薬としてヒト及び動物に投与される場合、それ自体が与えられてもよいし、薬学的に許容されるキャリアと組み合わせて、例えば、0.1~99%(より好ましくは10~30%)の活性成分を含有する医薬組成物として与えられてもよい。
本発明の化合物(適切な水和形態で用いられてもよい)、及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に知られている従来の方法によって、薬学的に許容される剤型に製剤化される。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の患者、組成物、及び投与モードについて、患者に有毒であることなく、所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量が得られるように変化してもよい。
選択された投薬量レベルは、使用される本発明の特定の化合物、又はそのエステル、塩、若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用されることとなる特定の化合物の排泄又は代謝の速度、吸収の速度及び程度、処置の継続期間、使用される特定の化合物と組み合わせて用いられる他の薬物、化合物、及び/又は材料、処置されることとなる患者の年齢、性別、体重、症状、健康状態、及び先の病歴、並びに医術において周知であるような要因が挙げられる、種々の要因によって決まることとなる。
当該技術の通常の技能を有する医師又は獣医であれば、必要とされる医薬組成物の有効な量を容易に決定且つ処方することができる。例えば、医師又は獣医であれば、所望の治療効果を達成し、且つ、所望の効果が達成されるまで、投薬量を徐々に増大させるのに必要とされるよりも低いレベルにて、医薬組成物中で使用される本発明の化合物の用量をスタートさせることができるであろう。
一般に、本発明の組合せの適切な一日用量は、治療効果をもたらすのに有効な、最も低い用量である各化合物の量となるであろう。そのような有効量は、通常、先に記載される要因によって決まることとなる。
別の態様において、本発明は、1つ以上の薬学的に許容されるキャリア(添加物)及び/又は希釈剤と一緒に製剤化された、先に記載される、治療的に有効な量の1つ以上の対象化合物を含む、薬学的に許容される組成物を提供する。
TNO155及びリボシクリブ
(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(TNO155)及び8-(6-アミノ-5-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミンを、それぞれ国際公開第2015/107495号パンフレットの実施例69及び実施例1に従って合成する。7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド(リボシクリブ)を、国際公開第2010/020675号パンフレットの実施例74に従って合成する。
本明細書に記載されるTNO155及びリボシクリブの有用性を、以下の実施例における試験によって証明することができる。
実施例1
EGFRmut NSCLC細胞におけるTNO155及びリボシクリブのインビトロ組合せ効果
2mLの増殖培地中の10,000個のHCC827細胞を、6ウェルプレートの各ウェル中に播種した。1日後、示される濃度のTNO155又はリボシクリブ又は組合せを加えた。14日後、細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2mLのクリスタルバイオレット染色緩衝液(PBS中、1%のクリスタルバイオレット、1%のパラホルムアルデヒド、1%のメタノール)で染色した。10分間のインキュベーションの後、クリスタルバイオレット染色緩衝液を吸引し、細胞を、PBSで2回及び水で1回(各洗浄につき5分間)洗浄した。プレートを乾燥させ、画像を、EPSONスキャナーによって撮影した。複数の濃度でTNO155とリボシクリブとの間に抗増殖組合せ効果がある。
実施例2
EGFRmut NSCLC細胞におけるTNO155によるリボシクリブ誘発性サイクリンD1蓄積の防止
HCC827細胞を、2mlの完全培養培地中で、2×10個の細胞/ウェルの密度で、6ウェルプレートにおいて平板培養した。24時間後、細胞を、示される濃度のTNO155又はリボシクリブ又は組合せで処理した。処理の48時間後、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤混合液が補充された新たに調製されたRIPA細胞溶解緩衝液中で、細胞を採取した。細胞溶解物から抽出されたタンパク質を、NuPAGE4~12%のビス-トリスゲルを用いた電気泳動によって分離し、ニトロセルロース膜に移した後、標準的な免疫ブロッティング手順を行った。使用される一次抗体は全て、以下のカタログ番号でCell Signaling Technologyから得た:ホスホ-RB(S807/811、#8516)、サイクリンD1(#2978)、切断PARP(#9546)、ホスホ-ERK(T202/Y204、#4370)、ホスホ-RSK3(T356/S360、#9348)、ホスホ-AKT(S473、#4060)及びチューブリン(#3873)。シグナルを、Alexa Fluor(登録商標)700とコンジュゲートされたヤギ抗ウサギ二次抗体及びチューブリン(タンパク質ローディングコントロール)のためにIRDye 800 CWとコンジュゲートされたヤギ抗マウス二次抗体との同時のインキュベーションによって、Odyssey Infrared Imager Systemを用いてスキャンしながら、視覚化した。
TNO155によるリボシクリブ誘発性サイクリンD1蓄積の防止、及びリボシクリブ又はTNO155のいずれか単独と比較した、リボシクリブ及びTNO155を組み合わせることによるより良好なp-RB阻害を示す図2中の結果を参照されたい。
実施例3
SHP2i(TNO155又はLWS391)及びリボシクリブは、NSCLC及びCRC細胞株における組合せ効果を有する
2mLの増殖培地中の約10,000個の細胞を、6ウェルプレートの各ウェル中に播種した。1日後、TNO155又はLWS391又はリボシクリブ(全てDMSOに溶解させた)を、示される最終濃度になるまで加えた。化合物を、7日置きに補充した。7~14日後、DMSO処置群における細胞が、所望のコンフルエンスに達したとき、細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2mLのクリスタルバイオレット染色緩衝液(PBS中、1%のクリスタルバイオレット、1%のパラホルムアルデヒド、1%のメタノール)で染色した。10分間のインキュベーションの後、クリスタルバイオレット染色緩衝液を吸引し、細胞を、PBSで2回及び水で1回(各洗浄につき5分間)洗浄した。プレートを乾燥させ、画像を、EPSONスキャナーによって撮影した。試験される癌細胞株は、SK-MES-1(NSCLC、EGFR WT);NCI-H226(NSCLC EGFR WT);A-427(NSCLC、KRAS G12D);NCI-H747(CRC、KRAS G13D);及びHCC366(NSCLC、EGFR WT、1μMのTNO155であった。
図3中の結果を参照されたい。アロステリックSHP2阻害剤、TNO155又はLWS391、及びリボシクリブのインビトロ組合せ効果を、一連のNSCLC及びCRC細胞株を用いて、7~14日の2次元コロニー形成アッセイにおいて評価した。1又は3μMのTNO155又はLWS391及び1μMのリボシクリブの組合せは、3つのEGFR/ALK/KRAS野生型NSCLC細胞株、SK-MES-1及びNCI-H226及びHCC366、並びに2つのKRAS突然変異細胞株、A-427(NSCLC)及びNCI-H747(CRC)において、いずれかの単剤より良好に、コロニー形成を妨げた。
実施例4
免疫不全Nu/Nuマウス中に移植される複数の系統の初代ヒト異種移植モデルにおけるTNO155及びリボシクリブの組合せ効果
ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)、大腸癌(CRC)、頭頸部癌(HNSCC)、膵臓癌(Panc)、食道癌(食道SCC)、腎臓癌、及び卵巣癌の患者由来の異種移植片(PDX)モデルを、ヌードマウスの皮下への患者腫瘍組織の直接の移植によって確立した。各系統について、評価されるヒト初代モデルの数は、NSCLC=32モデル、CRC=38モデル、HNSCC=33モデル、膵臓=21モデル、食道SCC=30モデル、腎臓=21モデル、卵巣=18モデルであった。TNO155及びリボシクリブを、忍容性良好な用量レベルでの強制経口投与によって毎日投与した。TNO155を、10mg/kg BIDの腫瘍抑制(tumoristatic)用量で投与し、リボシクリブを、400mg QDの臨床的に関連する用量でヒトにおいて達成される用量と同様の曝露量をマウスにおいて達成する用量である75mg/kg QDで投与した。TNO155及びリボシクリブの組合せを、単剤用量レベルで行い、忍容性良好であることが分かった。TNO155とリボシクリブとの組合せ効果を、処置を受けた初代腫瘍異種移植片の集団からの、腫瘍倍加を有さなかった腫瘍モデルの割合を評価することによって評価した。
時間と共にプロットされた、倍加されなかった各癌型についての腫瘍の割合を示すカプラン・マイヤーグラフを示す図4中の結果を参照されたい。TNO155及びリボシクリブの組合せは、複数の適応症、特に、NSCLC、CRC、HNSCC、食道SCC及び腎臓癌において、TNO155又はリボシクリブ単剤療法より有効である。
実施例5
リボシクリブと組み合わせたTNO155の初期レジメンは、TNO155ファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)試験、CTNO155X2101からのデータに基づいている。最初に、TNO155を、2週間の毎日(QD)の投薬/1週間の休薬の21日サイクル(20mg QDから開始する)で投与する。リボシクリブを、21日サイクルで200mg QD連続で投与し、これは、600mg QD、3週間の投薬/1週間の休薬の標準的な表示用量の一日用量及びサイクル当たりの総用量の両方の50%未満である。更なる投与スケジュールは、以下を含む:(i)21日サイクルで、TNO155 QD2週間の投薬/1週間の休薬+リボシクリブQD連続;(ii)28日サイクルで、TNO155 QD3週間の投薬/1週間の休薬+リボシクリブQD連続;(iii)28日サイクルで、TNO155 QD3週間の投薬/1週間の休薬+リボシクリブQD3週間の投薬/1週間の休薬;(iv)28日サイクルで、TNO155 QD連続+リボシクリブQD連続;(v)28日サイクルで、TNO155 QD連続+リボシクリブQD、3週間の投薬/1週間の休薬;及び/又は(vi)TNO155及び/又はリボシクリブのBIDスケジュールも、これらの投与スケジュールのいずれかにおいて調査され得る。
以下の群のうちの1つに当てはまる進行固形腫瘍(評価可能な病変を有する)を有する患者を処置する:i).白金含有組合せ化学療法及び抗PD-1若しくは抗PD-L1療法中の進行又はこのような療法に対する不耐後の、進行NSCLC;ii).白金含有組合せ療法及び抗PD-1若しくは抗PD-L1療法中の進行又はこのような療法に対する不耐後の、進行HNSCC又は食道SCC、ここで、このような療法は、利用可能であり、現地のガイドラインに従って標準治療(SOC)療法と見なされる。以下の群のうちの1つに当てはまる、少なくとも1つの測定可能な病変を有する、進行固形腫瘍を有する患者を、用量漸増により処置する:i).白金含有化学療法及び抗PD-1若しくは抗PD-L1療法中の進行又はこのような療法に対する不耐後の、進行EGFR WT、ALK WT、KRAS WT NSCLC、ここで、このような療法は、利用可能であり、SOCと見なされる;ii).現地のガイドラインに従うSOC中の進行又はこのようなSOCに対する不耐後の、KRASコドン12、13、若しくは61の突然変異を有する進行CRC。
本明細書中に記載される実施例及び実施形態は、説明を目的とするだけであり、それらを考慮した種々の修飾又は変更が、当業者に示唆されているであろうこと、そして本出願及び添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれ得ることが理解される。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、第2の治療剤と組み合わせて投与することを含む方法。
2.前記癌は、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌から選択される、上記1に記載の方法。
3.(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される、上記1又は2に記載の方法。
4.それを必要とする前記対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩の量は、前記癌を処置するのに有効である、上記1~3のいずれかに記載の方法。
5.それを必要とする前記対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤の量は、前記癌を処置するのに有効である、上記1~4のいずれかに記載の方法。
6.前記第2の治療剤は、CDK4/6阻害剤である、上記1~5のいずれかに記載の方法。
7.前記CDK4/6阻害剤は、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である、上記6に記載の方法。
8.(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日の用量で経口投与される、上記1~7のいずれかに記載の方法。
9.7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される、上記8に記載の方法。
10.7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する、上記9に記載の方法。
11.癌を処置する方法であって、それを必要とする患者に、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日の用量で経口投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンを投与することを含む方法。
12.前記一日用量は、2週間の投薬とその後の1週間の休薬の21日サイクルで投与される、上記11に記載の方法。
13.前記癌は、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌から選択される、上記12に記載の方法。
14.第2の治療剤を更に含む、上記13に記載の方法。
15.(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される、上記14に記載の方法。
16.前記第2の治療剤は、CDK4/6阻害剤である、上記11~15のいずれかに記載の方法。
17.前記CDK4/6阻害剤は、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である、上記16に記載の方法。
18.7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される、上記17に記載の方法。
19.7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって200mgで経口投与される、上記18に記載の方法。
20.7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する、上記18に記載の方法。

Claims (8)

  1. (3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物は、前記医薬組成物を、第2の治療剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む癌を処置する方法において使用するためのものであり、前記第2の治療剤が、7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、又はその薬学的に許容される塩である、組成物。
  2. 前記癌は、食道若しくは頭頸部扁平上皮細胞癌;大腸癌、卵巣癌、膵臓癌又は非小細胞肺癌;及び腎細胞癌から選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. (3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤は、同時に、別々に、又はある期間にわたって投与される、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. それを必要とする前記対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩の量は、前記癌を処置するのに有効である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. それを必要とする前記対象に投与される、(3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン、又はその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤の量は、前記癌を処置するのに有効である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. (3S,4S)-8-(6-アミノ-5-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)ピラジン-2-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンは、約1.5mg/日、又は3mg/日、又は6mg/日、又は10mg/日、又は20mg/日、又は30mg/日、又は40mg/日、又は50mg/日、又は60mg/日の用量で経口投与される、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、約100mg/日、又は200mg/日、又は300mg/日、又は400mg/日、又は500mg/日、又は600mg/日の用量で経口投与される、請求項に記載の組成物。
  8. 7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、21日間にわたって600mgで経口投与され、その後、7日間休薬する、請求項に記載の組成物。
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