JP2023524434A - 新規療法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、細胞間接着分子(ICAM)へのグルココルチコイドの結合によって媒介される、新たに提供された治療メカニズムに基づく新規療法および関連する治療方法に関する。

Description

本発明は、新たに提供された治療メカニズムに基づく新規療法を提供する。より具体的には、本発明者らは、グルココルチコイドが、細胞間接着分子(ICAM)への結合が関わる、これまで知られていなかったメカニズムを通じて作用できることを見出した。これにより、SARS-COV-2によって引き起こされる重度の急性呼吸器障害であるCOVID-19のような、生命を脅かす疾患を治療するための新しい治療様式が切り開かれる。
接着分子は細胞表面に発現する糖タンパク質であり、2つの細胞間の接触(ホモタイプな相互作用およびヘテロタイプな相互作用の両方)または細胞と細胞外マトリックスとの間の接触を媒介する(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるHua et al. 2013)。ICAMは、例えば白血球インテグリンなどの、免疫細胞の表面に発現される抗原のリガンドである、免疫グロブリンスーパーファミリーのI型膜貫通糖タンパク質である。
ICAM-1はライノウイルスのための主要な表面受容体であることが知られている(Staunton et al, 1989; Bhella, 2015;いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。ICAM-1は多くの研究の主要な焦点となっているが(Hua et al.)、ICAMファミリーには他に4つのメンバーがあり、ICAM-2、3、4、5と呼ばれる。
ICAM3(CD50としても知られる)は、リンパ球、単球、好酸球および好中球によって(ならびにリンパ腫細胞および一部の黒色腫、肉腫、およびその他のがん細胞だけでなく、細気管支上皮細胞によっても)発現される。基礎となるICAM3遺伝子に関する情報はオンライン(例えばEnsembleデータベース;エントリーENSG00000076662参照)で入手可能である。ICAM3を介したシグナル伝達は、ICAM3細胞内ドメイン中のYLPLモチーフによるSrcのリクルートを介して進行し、PI3K-AKTリン酸化カスケードにつながる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるShen et al., 2018)。好酸球上のICAM3発現は、控えめな濃度のデキサメタゾン(100 pM~1μM)への曝露によって減少する(その全体が参照により本明細書に組み込まれるJuan et al, 1999)。ICAM3はウイルスのための細胞侵入受容体の候補である。例えば、ICAM3はHIV-1の侵入において役割を果たすと提唱されているが、それはICAM3に特異的な抗体のなかに該ウイルスのライフサイクルの初期イベントを著しく阻害するものがあるためである(Sommerfelt and Asjo, 1995; Barat et al, 2004;いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。下記でより詳細に議論するように、特定のICAM3遺伝子バリアントは、重症急性呼吸器症候群(SARS)の病因と関連していると報告されている(その全体が参照により本明細書に組み込まれるChan et al, 2007)。
ICAM4は当初「LW糖タンパク質」と名付けられ、その発現は大部分赤血球に限定されると考えられていたが、より最近の研究ではマクロファージでも発現されることが示されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるChoi et al., 2017)。基礎となるICAM4遺伝子に関する情報はオンライン(例えばEnsembleデータベース;エントリーENSG00000105371参照)で入手可能である。ICAM4は、Mycobacterium tuberculosisおよびPlasmodium falciparumなどの病原体のための細胞侵入受容体の候補である(Bhalla et al, 2015)。
コロナウイルスは一本鎖RNAウイルスのファミリーである。コロナウイルスには4種類が存在する;αコロナウイルス (α-COV) 、βコロナウイルス (β-COV) 、γコロナウイルス (γ-COV) 、およびδコロナウイルス (δ-COV) である(その全体が参照により本明細書に組み込まれるChan et al, 2013)。いくつかのコロナウイルスがヒトにおいて疾患を引き起こすことが知られている。βコロナウイルスSARS-CoV(本明細書ではSARS-Cov-1または「CoV1」とも呼ばれる)とMERS-CoVによってそれぞれ引き起こされたSARSとMERSの致死的な流行に続いて、別のβコロナウイルスがCOVID-19と呼ばれる大きなパンデミック性疾患をもたらし、2020年に世界中に広がった。COVID-19の原因はSARS-CoV-2ウイルスであり、このウイルスはゲノム配列相同性によれば元のSARS-CoVに対して約79%の相同性を有し(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWang et al, 2020)、コウモリに感染するSARS様コロナウイルス(MG772933)にはさらに近く関連している(その全体が参照により本明細書に組み込まれるWu et al., 2020)。
コロナウイルスは、主にその表面のスパイク(S)糖タンパク質を介して標的細胞上の対応する受容体を認識して細胞内に侵入し、感染を引き起こすと考えられていた(Wang et al, 2020)。SARS-CoV-2が細胞侵入受容体として、SARS-CoV-1と同様にアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を使用することを示す分析もある。構造モデル解析は、SARS-CoV-2はSARS-CoVよりも10倍以上高い親和性でACE2と結合することが示し、これはウイルス感染に必要な閾値よりも高い(Wrapp et al, 2020)。しかし、SARS-CoV-2がACE2へのSタンパク質の結合を介してヒトに感染するのか、その相互作用はヒトへの感染をもたらすためにどれほど強いのか、およびSARS-CoV-2がどのように病理学的疾患や臓器障害を引き起こすのかについての詳細なメカニズムは未知のままであり、詳細を明らかにするにはさらなる研究が必要である(Wang et al, 2020)。2020年4月の時点で、COVID-19にはワクチンや特異的抗ウイルス治療が存在せず、病気の管理は症状の処置とサポート的療法に集中していた。
SARS-CoV-1により引き起こされたSARS突発に関する研究では、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することに加えて、C型レクチンL-SIGN(liver-specific ICAM3 grabbing nonintegrin)およびDC-SIGN(dendritic cell-specific ICAM3 grabbing nonintegrin)が「第2の」あるいは「サポート的」受容体を構成することが報告され、これらもウイルスの細胞侵入を促進することにおいて役割を果たすことが見出された(Jia et al, 2005; Kuba et al, 2006;いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。その後、L-SIGNとDC-SIGNはACE2とは独立したSARS-CoV-1受容体であるが、SARS-CoV-1のS糖タンパク質のいくつかのアスパラギン残基におけるN結合型グリコシル化がL-SIGN/DC-SIGN媒介性の細胞侵入のために重要であることが報告された(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるHan et al., 2017)。L-SIGNは肝臓、リンパ節、および肺に存在する(Han et al., 2017)。
N-グリコシル化はICAM3の機能にとっても重要である。ICAM3はICAMファミリーの中で最も多くグリコシル化されているタンパク質であり、リガンド結合ドメイン上に5つのN結合型グリコシル化部位を持つ(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSong et al., 2005)。
初期の研究は、SARS-Cov-2は主にACE2を介してヒト細胞に侵入すると想定されている。しかし、SARS-Cov-2の主な標的と考えられていた肺胞II型(AT2)細胞ではACE2の発現レベルが低いことが報告されている。他のいくつかの受容体が、SARS-Cov-2がAT2細胞に侵入するための受容体である可能性について研究されているところである(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるQi et al., 2020)。
***
著者らは以前に、例えばリンパ球媒介性疾患を治療するために(その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2020/072713A1に記載されているとおり)、または養子T細胞療法のような細胞免疫療法の有効性を高めるために(その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2018/183927に記載されている)、高濃度のグルココルチコイドを使用して患者においてリンパ球枯渇を引き起こすことができることを発見した。しかしながら、今日に至るまで、高用量のグルココルチコイドが、ウイルス細胞侵入受容体を遮断することによってウイルス侵入点において作用し得ることは示唆されていなかった。
COVID-19のようなウイルス感染症に対するさらなる治療の必要性が存在する。シンプルであって低毒性および低コストの治療が特に望まれる。
上記の考慮点に鑑みて本発明は考案された。
本発明は、グルココルチコイド分子が高用量での投与後、ICAM3のような細胞間接着分子に結合しそれをブロックすることができるという発見に基づいている。結合は協調的であり、最大26分子がICAM3の最初のIgドメインに結合する。本発明者らはまた、SARS-Cov-2のスパイク(S)糖タンパク質とDC-SIGNおよびL-SIGNとの間に実質的な機能的相同性を同定し、これは、DC-SIGNおよびL-SIGNと同様にSARS-Cov-2 S糖タンパク質はICAM3と結合し、L-SIGNおよびDC-SIGNとも結合する可能性があることを示している。本発明者らはそれから分子モデリング研究を行い、SARS-Cov-2の受容体結合ドメイン(RBD)とICAM3との間の結合エネルギーが、SARS-Cov-2のRBDとACE2との間の結合エネルギーよりも有利(favorable)であることを発見した。同様に、発明者らが行った予備的なマイクロスケール熱泳動実験では、SARS-Cov-2の受容体結合ドメイン(RBD)とICAM3の結合親和性(KD)が、SARS-Cov-2のRBDとACE2のものよりも低値であることが示されている。これらの発見は、高用量グルココルチコイド療法が、SARS-Cov-2による標的細胞への感染を阻害するべき複数の協調的作用を有し得るという驚くべき結論に発明者らを導いた。これは、COVID-19を治療するための重要な新しいアプローチを表す。
高用量で投与すると、グルココルチコイドはICAM3(リンパ球、単球、および好中球などの細胞上にかなりのレベルで発現され、細気管支細胞上にも発現される)によって「吸い上げられ」得、従ってグルココルチコイド受容体を介しては作用しない。理論に縛られないが、本発明者らは、このICAM3への結合が、脾臓、胸腺、または骨髄から循環系への新規ナチュラルキラーT(NKT)細胞の産生と動員をもたらすことができると考えている。これらの新規のNKT細胞は、SAR CoV2感染細胞を破壊のために同定し標的化することができる。ICAM3へのグルココルチコイドの結合は、NKT細胞やCD 8+ T細胞などのリンパ球による攻撃を受けるように細胞がマーキングされることももたらし得る。グルココルチコイドの結合後にICAM3のシェディング(shedding)も起こり得、これは免疫反応をさらに促進するだけでなく、ICAM3が細胞侵入の主要な受容体である場合には、SARS-CoV-2ウイルスが気道を介して体内に入ることを防ぐ。ICAM3は、ヒトの体内で最も多くAsp-グリコシル化されたタンパク質の1つであり、このことは(例えばいったん可溶化されると)SARS-CoV-2の細胞侵入を遮断することにおける作用に寄与し得る。さらに、デキサメタゾンなどのグルココルチコイド分子がICAM3に結合すると、L-SIGNおよびDC-SIGNへのその結合が強化され、それによってSARS-CoV-2がこれらのタンパク質に結合することが排除され得る。
さらに、上記のように、本発明者らは、SARS-CoV-2ウイルスが細胞(特に、ICAM3を高発現する免疫細胞)に侵入するための重要な侵入点であるものとしてICAM3を考える。したがって、ICAM3がグルココルチコイドによって占有されると、SARS-CoV-2がこれらの細胞に入ることが阻害され、患者の免疫系がウイルスによって損なわれることを防ぐ重要な方法を提供する。さらに、細胞がSARS-Cov-2に感染した場合でも、ICAM3がグルココルチコイドによって占有されることは、例えば上述したメカニズムを介して、感染細胞を破壊のためにマーキングする。したがって、このクラスの薬剤によるICAM3結合は、個体内でのSARS-CoV-2ウイルスの拡散を抑制するための潜在的な相乗的方法を表す。したがって、本明細書に記述される治療法は、COVID-19の拡大を抑制する潜在的に重要な方法を表す。
従って、第一の側面において、本発明は、SARS-Cov-2ウイルスが宿主細胞に侵入することを阻害する方法を提供し、その方法は、細胞をグルココルチコイド受容体(GR)調節剤と接触させることを含む。GR調節剤は、例えばICAM3アゴニストまたはアンタゴニストとして、宿主細胞の表面に存在する細胞間接着分子3(ICAM3)に結合することによって作用し得る。このように、GR調節剤は、SARS-Cov-2のスパイク(S)糖タンパク質が宿主細胞の表面に存在するICAM3に結合するのを阻害することができる。いくつかの実施形態では、GR調節剤は宿主細胞の表面から細胞外空間へのICAM3シェディング(shedding)を引き起こす。気道では、このICAM3のシェディングがSARS-CoV-2ウイルスの体内侵入が妨げ得る。いくつかの実施形態では、GR調節剤は追加の細胞に接触し、追加の細胞の表面から細胞外空間へのICAM3シェディングを引き起こす。細胞外空間にシェディングされたICAM3は、SARS-Cov-2が宿主細胞の表面に結合することを阻害し得る。いくつかの実施形態では、細胞外空間にシェディングされたICAM3は、宿主細胞の表面でL-SIGNおよび/またはDC-SIGNへのSARS-Cov-2の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、細胞外空間にシェディングされたICAM3はSARS-Cov-2自体に結合し、それによって宿主細胞表面でのICAM3、L-SIGNおよび/またはDC-SIGNへのその結合が減少させる。
いくつかの実施形態では、GR調節剤は、SARS-Cov-2に結合して宿主細胞上のウイルス侵入受容体へのその結合を遮断することによって作用する。
いくつかの実施形態では、宿主細胞は免疫細胞であり、例えばリンパ球、単球、好酸球、好中球または樹状細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は肺細胞であり、例えば肺胞2型細胞または細気管支上皮細胞などの細気管支細胞である。
本明細書で論じられるように、GR調節剤はグルココルチコイドであり得る。いくつかの実施形態では、グルココルチコイドは、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、コルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、フルメタゾンおよびベクロメタゾンからなる群から選択される。好ましくはグルココルチコイドはデキサメタゾンであり、例えばデキサメタゾン塩基またはリン酸デキサメタゾンナトリウムである。
さらなる側面において、本発明は、患者のCOVID-19を治療する方法を提供し、その方法は、SARS-Cov-2粒子が患者の細胞に感染するのを阻害するのに十分な高用量、および/または患者においてSARS-Cov-2に対する有効な免疫応答を支援もしくは誘発するのに十分な高用量において、グルココルチコイド受容体 (GR) 調節剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、GR調節剤は、ICAM3発現細胞(SARS-Cov-2に感染している可能性がある)に対して直接的な殺作用を有し得る。
関連する側面において、本発明は、患者のCOVID-19を治療する方法における使用のためのグルココルチコイド受容体 (GR) 調節剤を提供し、その方法は、GR調節剤を、SARS-Cov-2粒子が患者の細胞に感染するのを阻害するのに十分な高用量、および/または患者においてSARS-Cov-2に対する有効な免疫応答を支援もしくは誘発するのに十分な高用量において投与することを含む。
関連する側面において、本発明は、患者のCOVID-19を治療するための医薬の製造におけるグルココルチコイド受容体 (GR) 調節剤の使用を提供し、ここで、治療は、SARS-Cov-2粒子が患者の細胞に感染することを阻害するため、および/または、患者においてSARS-Cov-2に対する有効な免疫応答を支援もしくは誘発するために十分な高用量で該医薬を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、GR調節剤はグルココルチコイドであり、例えば、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレニリデン、コルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、フルメタゾンおよびベクロメタゾンである。好ましくは、グルココルチコイドは、本明細書に開示されているデキサメタゾンの化合物または製剤である。GR調節剤の用量は、デキサメタゾン塩基のヒト等価用量(HED)として少なくとも約12 mg/kg、少なくとも約15 mg/kg、少なくとも約18 mg/kg、少なくとも約24 mg/kg、少なくとも約30 mg/kg、または少なくとも約45 mg/kgである。患者は好ましくは人間の患者である。したがって、本発明の治療関連の側面がヒトの患者に対して実施され、デキサメタゾン化合物が治療に使用される場合、デキサメタゾンの用量は、少なくとも約12 mg/kg、少なくとも約15 mg/kg、少なくとも約18 mg/kg、少なくとも約24 mg/kg、少なくとも約30 mg/kg、または少なくとも約45 mg/kgであり得る。
いくつかの実施形態では、SARS-Cov-2粒子は、免疫細胞の表面に存在する細胞間接着分子3(ICAM3)に結合することによって、患者の免疫細胞に感染することが阻害される。GR調節剤はICAM3アゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得る。GR調節剤は、SARS-Cov-2のスパイク(S)糖タンパク質が免疫細胞表面に存在するICAM3に結合することを阻害するように作用し得る。免疫細胞にはリンパ球、単球、好酸球、好中球、または樹状細胞であり得る。
いくつかの実施形態では、SARS-Cov-2粒子が患者の肺細胞に感染することが阻害される。高用量のGR調節剤は、(肺細胞および/または他の細胞からの)ICAM3の細胞外空間へのシェディングを引き起こし得、細胞外空間へシェディングされたこのICAM3は、SARS-Cov-2が肺細胞の表面に結合することを阻害し得る。細胞外空間にシェディングされたICAM3は、肺細胞表面のL-SIGNおよび/またはDC-SIGNへのSARS-Cov-2の結合を阻害し得る。いくつかの実施形態では、肺細胞は肺胞2型細胞および/または細気管支細胞である。いくつかの実施形態では、肺細胞は肺胞2型細胞である。いくつかの実施形態では、肺細胞は細気管支上皮細胞などの細気管支細胞である。
いくつかの実施形態では、GR調節剤は、SARS-Cov-2粒子に結合することによって作用し、これにより、SARS-Cov-2粒子は患者の細胞上のウイルス侵入受容体に結合することが阻害される。
いくつかの実施形態では、患者におけるCOVID-19の治療は、有効な免疫反応を誘発または支援する。(「誘発または支援」という用語は、これらの免疫反応を誘発し且つ支援する治療を包含することを意図している;したがって、「誘発または支援」という用語は「誘発および/または支援」に置き換えられ得る)。有効な免疫反応が誘発または支援され得るのは、高用量のGR調節剤が、ウイルスと戦うために免疫細胞を誘導および/または動員することができるからである。
高用量のGR調節剤は、
CD3を発現し、
a. CD4、CD8、CD45、CD49b(ヒトではCD56)、CD62L、NK1.1、Ly6G、Sca1、および/またはTCRガンマ/デルタを発現する;および/または
b. C-kit、B220、FoxP3、および/またはTCRアルファ/ベータは発現しない
ということで特徴付けられるNKT細胞の集団を誘導および/または動員することによって、有効な免疫反応を誘発または支援し得る。
高用量のGR調節剤は、CD3を非常に高いレベル(「CD3-very-high」)で発現するT細胞集団を誘導および/または動員することによって、有効な免疫応答を誘発または支援し得る。
高用量のGR調節剤は、CD11bを非常に高いレベルで発現する樹状細胞(DC)の集団(「CD11b-very-high樹状細胞」)を誘導および/または動員することによって、有効な免疫応答を誘発または支援し得る。
本発明は、そのような組み合わせが明確に許容不可能であるかまたは明示的に回避されている場合を除き、記載された側面と好ましい特徴の組み合わせを含む。
以下、本発明の原理を説明する実施形態および実験について、添付の図面を参照して論じる。
ヒトDC-SIGN、L-SIGN、SARS-CovおよびSARS-Cov-2スパイク(spike)糖タンパク質の配列アラインメント。SARS-Cov-2スパイクとDC/L-SIGNの間の相同性の領域が示されている。この相同性はSARS-Covスパイク糖タンパク質には共有されていない。 ICAM3のアミノ酸配列。下線を付けた残基は52、84、87、101、110、134、206、264、295、308、320、363、389、453、および457位のN結合型グリコシル化アスパラギン残基である。 デキサメタゾン塩基(1 nM~250μM)と4時間インキュベートした後の脾臓細胞の生存率。 SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)とドッキングしたACE2のClusProモデル(左図)。ドッキングモデルのロゼッタ干渉スコアプロット(右図)。 SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)とドッキングしたICAM3のClusProモデル(左図)。ドッキングモデルのロゼッタ干渉スコアプロット(右図)。 SARS-CoV-1のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)とドッキングしたICAM3のClusProモデル(左図)。ドッキングモデルのロゼッタ干渉スコアプロット(右図)。 ClusProモデリングの独立した反復からの結果と結合の予測エネルギー論。図7Aは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)とドッキングしたACE2の反復ドッキングモデルのRosetta干渉スコアプロットを示す。図7Bは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)とドッキングしたICAM3の反復ドッキングモデルのロゼッタ干渉スコアプロットを示す。図7Cは、SARS-CoV-1のスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)とドッキングしたICAM3の反復ドッキングモデルのロゼッタ干渉スコアプロットを示す。 SARS-CoV-2受容体結合ドメイン、ICAM3、およびDC-SIGNの結合相互作用のClusProモデル。SARS CoV-2スパイクRBD(左下の分子)がICAM3(上の分子)に結合すると、DC-SIGN(右下の分子)は結合できなくなり、その逆も然りである。
ここで、本発明の側面と実施形態について、添付の図面を参照して説明する。さらなる側面と実施形態は当業者には明らかである。このテキストに言及されているすべての文書は参照により本明細書に組み込まれる。
[SARS CoV2]
SARS CoV-2(CoV-2)の初期症状は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)につながるインフルエンザ症状(SARS CoV(CoV-1)の特徴である)とは異なる。CoV2の初期症状には、肺胞によるARDSではなく、細気管支を介したサイレント低酸素血症が含まれる。CoV1 スパイクは感染/病因のためにACE2、L-SIGN(類洞内皮細胞)およびDC-SIGN(樹状細胞)を用いた。SIGNはRBDの外部においてCoV1スパイクに結合する(Jeffers, 2004; Marzi, 2004)。CoV1によるリンパ球感染は稀である一方(Panesar 2008)、CoV2によるリンパ球(Shih 2020; Feng 2020)および単球(Zhang 2020)感染は一般的に観察される。CoV1スパイクではなくCoV2スパイクは、ACE2を全くまたはほとんど発現しないTリンパ球に感染することができる(Wang 2020)。これらのデータは、CoV2が細胞侵入のために他の受容体を使用し得ることを示唆している。ICAM3は最も高度にマンノシル化されている(ウイルス結合のために重要);その発現はリンパ球、単球、顆粒球、ならびに肺胞および細気管支の上皮細胞に限定され(ヒトプロテオームプロジェクト;ATTC)、ARDSの重症度と関連付けられていることから(Chan 2007)、CoV2スパイク結合の候補であることが示唆されている。COV2相互作用の一般的なスクリーニングであるHEK293細胞はICAM3を発現しない。
COVID-19患者の症状と発見されつつあるその生物学的特性(SARS CoV-1とはかなり異なる疾患である)に基づいて、本発明者らはhACE2の他にSARS CoV-2侵入のための潜在的な受容体を探索した。COVID-19患者は初期症状としてサイレント低酸素血症を示すが、これは肺胞を介したARDSではなく、細気管支を介した病理である。細気管支はACE2ではなくICAM3を発現する。さらに、SARS CoV-2は、DC-SIGNおよびL-SIGNへの結合を介して樹状細胞に感染したSARS CoV-1とは異なり、ICAM3を大量かつ選択的に発現するリンパ球、単球および好中球に感染する。DC-SIGNおよびL-SIGNは、リンパ球、単球、好中球、細気管支およびがん細胞に選択的に発現される受容体であるICAM3の天然リガンドである(ヒトプロテオームプロジェクト)。
また、吸入ステロイドを使用している患者は80%の感染防御を有する一方、ACE阻害薬や受容体遮断薬を使用している患者は防御を有さないことが報告により示唆されている。吸入デキサメタゾンはICAM3を切断(cleave)すると予測される―インビトロでは、デキサメタゾンは細胞からICAM3を切断し、デキサメタゾンは重症のCOVID-19患者において死亡率を低下させることが報告されている(Horby et al, 2021)。
[N結合型グリコシル化]
ICAM3はヒトの体内で最も高度にAspグリコシル化されたタンパク質の1つである。アスパラギン残基 (Asp) はそのアミド側基の窒素で結合されたグリカンで修飾される。これは生物学的に重要な翻訳後修飾であり、小胞体において3つのマンノーズサブユニットを含むコアグリカンの転移によって始まる。さらなる修飾が、ゴルジ体および/または細胞膜(そこで糖タンパク質は分泌され得る)でも起こり得る。
低レベルのマンノース結合レクチンが、コーカサス人種などの特定の民族に広く見られる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるSiljan et al, 2018)。これは、COVID-19などの特定のウイルス性疾患に起因する重篤な症状や合併症を発症する可能性の低下と関連している可能性がある。
[薬理作用]
受容体アンタゴニストは、受容体に結合して、それゆえに受容体結合部位を占有するが、受容体を活性化することはないリガンドである。対照的に、受容体アゴニストは受容体に結合して活性化させ、それは典型的には細胞内で伝達されるシグナルを引き起こす。したがって、アンタゴニストは、結合についてアゴニストや他の受容体結合剤と競合することによって、生物学的に関連する作用を発揮することができる。そのため、アンタゴニストは一般に「ブロッカー」と呼ばれる。
本開示のグルココルチコイド調節剤は、典型的にはグルココルチコイド受容体のアゴニストとして作用する。しかしながら、本願は、細胞内接着分子3(ICAM3)に結合するというグルココルチコイド受容体調節剤(例えばデキサメタゾン、およびその他のグルココルチコイド)の驚くべき能力を開示する。理論に縛られることなく、著者らは、グルココルチコイド受容体調節剤がICAM3に結合し、ICAM3の活性化によって引き起こされる通常のシグナル伝達カスケードを誘発することなくICAM3に対してアンタゴニスト作用を発揮し得ると考えている。
[その他の機序]
高用量のグルココルチコイドは、COVID-19の治療に貢献する強力な生物学的作用を発揮する。
上記で概説したメカニズムに加えて、ICAM3に高用量のグルココルチコイド受容体調節剤が結合することで、グルココルチコイド受容体調節剤がICAM3発現細胞(SARS-Cov-2に感染したICAM3発現細胞であり得る)に対して濃度依存的な直接的殺作用を発揮することを可能にし得ると著者らは考えている。
したがって、いくつかの実施形態では、GR調節剤はICAM3への結合後にICAM3発現細胞の細胞死を誘導し得る。いくつかの実施形態では、GR調節剤はICAM3に結合することによってICAM3発現細胞のアポトーシスを誘導する。いくつかの実施形態では、GR調節剤はICAM3発現細胞に対する有効な免疫応答を誘発または支援する。いくつかの実施形態では、GR調節剤は細胞の表面から細胞外空間へのICAM3シェディングを引き起こす。いくつかの実施形態では、GR調節剤は、免疫細胞による攻撃のためのICAM3発現細胞のマーキングを引き起こす。いくつかの実施形態では、GR調節剤は細胞アポトーシス経路を直接誘発(活性化)する。
[免疫攻撃のために細胞をマーキングすることによる生物学的作用]
単球とマクロファージは食作用性白血球であり、脊椎動物において非特異的および特異的の両方の防御機序において作用する。それらの役割は、死んだ細胞や死にかけている細胞、細胞の残骸、および病原体を、静止細胞または移動細胞として貪食(飲み込んでから消化)し、リンパ球や他の免疫細胞を刺激して病原体に応答させることである。食作用性白血球の動員の基にある分子機序には、死にゆく細胞の表面にある分子フラッグの認識が関わっていると考えられており、それが結合されて、死にゆく細胞が食べられて破壊されることを可能にする(Gregory & Pound, 2010、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ICAM3は、死にゆく細胞上での機能変化に続いてそのような分子「フラッグ」として作用することが示されている(Moffat et el 1999、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
理論に縛られることなく、著者らは、ICAM3発現細胞に対する急性高用量グルココルチコイドの直接的な殺作用は、グルココルチコイドがICAM3に結合することによって、ICAM3発現細胞がマクロファージおよび/またはNKT細胞やCD8+ T細胞のような白血球による攻撃のためにマーキングされることによって媒介され得ると考えている。これらには、以下に詳しく説明するように、高濃度のグルココルチコイドによって誘導/動員されることが本著者らによって示された免疫細胞が含まれ得る。
グルココルチコイド結合後のICAM3シェディングは、ICAM3がシェディングされたところの細胞の位置へのマクロファージ/食細胞の動員を促進する化学誘引シグナルとして作用することにより(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるTorr et al. 2012に記述されている)、これらの細胞型に対する免疫応答をさらに刺激し得る。ICAM3がシェディングされたところの細胞の位置に動員される細胞には、下記でより詳細に説明するように、高濃度グルココルチコイドによって誘導/動員されることが本著者らによって示された免疫細胞が含まれ得る。著者らは、デキサメタゾン結合後のICAM3シェディングが、超高濃度のグルココルチコイド後のこれら新規免疫細胞の動員に寄与し得るという仮説を立てている。ICAM3のシェディングは、細胞侵入の受容体であるICAM3を介してSARS-CoV-2ウイルスが細胞に侵入することも防ぎ得る。
したがって、本開示の方法のいくつかの実施形態において、GR調節剤は細胞表面から細胞外空間へのICAM3シェディングを引き起こす。いくつかの実施形態では、細胞により発現されるICAM3全体の少なくとも約10、20、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、または99%が細胞外空間にシェディングされる。いくつかの実施形態では、ICAM3は、細胞上のICAM3の表面発現の少なくとも約10、20、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、または99%の減少を誘発する。いくつかの好ましい実施形態では、細胞によって発現された総ICAM3の少なくとも約30または40%が細胞外空間にシェディングされる。いくつかの好ましい実施形態では、ICAM3は細胞上のICAM3の表面発現を少なくとも約35または40%減少させる。ICAM3の発現およびシェディングの程度および変化を決定するための適切な方法は、当業者によく知られており、例えば、Juan et alに記載されている方法がある(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
[免疫細胞の誘導を介した生物学的作用]
高用量のグルココルチコイドは、COVID-19の治療に貢献する強力な生物学的効果を発揮する。ヒト等価用量(HED用量)18 mg/kg以上のAVM0703は、CD3を非常に高レベルで発現する非常に活性なナチュラルキラーT細胞を動員するが(AVM_NKT細胞)、これはこの高用量処置を行わなければ循環血液中に見出されることがない。この細胞タイプについては、下記で詳しく論じられる。このように、グルココルチコイドがICAM3に結合すると、脾臓、胸腺、または骨髄から新規のナチュラルキラーT(NKT)細胞が生成され循環系に動員されることにつながる。これらの新規NKT細胞は、SAR CoV2感染細胞を破壊のために同定および標的化することができる。
18 mg/kg以上のデキサメタゾンのHEDでは、上記のAVM_NKT細胞を動員することのほか、新規のCD3超高(very-high)T細胞、およびCD11b-very-high樹状細胞も誘導される。驚くべきことに、これらの用量のグルココルチコイドは、インビトロでは全血に対しても脾臓細胞対しても同等濃度で活性を有さないため、GRを活性化しないと見られ(下記実施例2参照)、インビボでは、GRが活性化されるならば予想されるであろう結腸、膵臓または骨に対する影響が存在しなかった。インビボではリンパ球、単球、一部の好中球、およびがん細胞のみが除去された。デキサメタゾン投与後わずか6時間でほぼ完全な除去が認められて、作用の発現が迅速であることが示され、これは効果のために数日間掛かり得る遅い作用の代替COVID-19薬よりも好ましくなり得る。最も重要なことは、本明細書に記載される新規NKT集団のTリンパ球成分は、患者が再びウイルスにさらされた場合に保護的となる、長期免疫を患者に提供し得る。
重度のCOVID-19患者は既にリンパ球減少症を有することが報告されているため(広州自然科学財団の支援を受けた研究;S2018010009732、著者非公表;およびXu et al 2020)、本発明者らは、本発明による高用量グルココルチコイドによって引き起こされるリンパ球数に対する何らかの悪化効果は予測していない。さらに、CD3-very-high NK細胞、CD3-very-high T細胞、およびCD11b-very-high樹状細胞を動員することにより、この処置はウイルスを直接殺して飲み込むメカニズムを誘発する。リンパ球減少症を報告した同じ研究では、重症のCOVID-19患者で典型的なNKT細胞の減少は見られなかった。AVM‐NKT細胞はどのCOVID-19患者の血液中にも存在せず(典型的なNKTよりも1~1.5 log高い平均蛍光強度(MFI)でCD3を発現する細胞は観察されなかったことから)、COVID-19患者において内因性コルチゾールはこのAVM_NKT細胞集団を動員するためには十分でないことが示された。
AVM_NKT細胞はNKp46+でLy6G陽性であり、標的を飲み込むだけでなく直接殺す可能性を示している。上記で要約した典型的AVM_NKTのうちCD1d制限付きのものはLy6Gを発現しない。CD11b-very-high樹状細胞も、これらの用量のAVM0703によって活性化される。インビボでは、グルココルチコイドはナイーブマウスに経口投与後6時間以内にNK細胞とNKT細胞以外のリンパ球および単球を除去する。腫瘍モデルにおいて、該新規NKTおよびT細胞は血液中で観察されない。しかし、投与後48時間以内に、NKp46+細胞およびLy6G+細胞(これらはF4/80について陰性であるからマクロファージではない)が、腫瘍内で、残存する生存腫瘍の周辺領域で形成していることを認めることができる。これは、これらの細胞の機能的な効力を示している。
NKT細胞の既知の特性とNKT細胞標的免疫療法の利点を超えて、当該新規のAVM_NKT細胞は、他の誘導型NKT(iNKT)細胞の既知の殺傷特性に直接的な標的細胞呑み込みを追加し得るため、追加の利点を提供する。この機能は、AVM_NKTがLy6GとTCRγδのユニークな発現をしていることに起因する。さらに、AVM_NKTは高用量のグルココルチコイドによって誘導されるため、原理的に大量に入手可能であり、このことは、COVID-19に対して最も脆弱である高齢者における自己治療には不十分である天然のNKT(およびiNKT細胞)の限られた数とは対照的である。
[グルココルチコイド受容体調節剤]
本明細書で使用されるグルココルチコイド受容体(GR)調節剤という用語には、グルココルチコイド、グルココルチコイド受容体アゴニスト、およびグルココルチコイド受容体に結合する任意の化合物が含まれる。グルココルチコイドのようなグルココルチコイド受容体(GR)調節剤は、遺伝子発現を活性化または抑制する膜GRおよび細胞質GRの両方を通じて効果を発揮する。グルココルチコイドおよびGR調節剤の望ましいリンパ球枯渇性作用のいくつかは、そのゲノム性効果に加えて、膜GRまたはその他の非ゲノム性効果を介して媒介されると考えられている。グルココルチコイドは、投与されるグルココルチコイドの濃度と治療期間に応じて、リンパ球レベルに異なる影響を有することが報告されている。一般に、慢性療法に典型的に用いられる低用量では、グルココルチコイドは末梢血から骨髄へのリンパ球の再分布を引き起こすと報告されており、中用量ではグルココルチコイドは骨髄、脾臓および胸腺から末梢血への白血球の再分布であると考えられる白血球増加を引き起こすことが報告されており、そして高用量では、グルココルチコイドはアポトーシスおよびネクロプトーシスを誘発することによってリンパ球に対するリンパ球毒性作用を有する。効果の持続時間も用量レベルによっても異なる;例えば、Fauci et al (1976) は、0.24 mg/kgデキサメタゾンの単回経口用量が、末梢血中のTリンパ球とBリンパ球を80%抑制し、回復は12時間で始まり、24時間までに正常レベルに戻ると報告している。著者らは以前(国際特許出願PCT/US2019/054395において)、投与後24~48時間で末梢血中のT細胞およびB細胞を減少させるためには3 mg/kg以上のデキサメタゾンの急性経口用量が必要であり、投薬後5~14日程度でベースライン値への回復が起こることを示した。
本開示の方法のいくつかの実施形態において、グルココルチコイド受容体(GR)調節剤はグルココルチコイドである。いくつかのそのような実施形態では、グルココルチコイドは、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、コルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、フルメタゾンおよびベクロメタゾンからなる群から選択され得る。いくつかの好ましい実施形態では、グルココルチコイドは、デキサメタゾン、ベタメタゾン、およびメチルプレドニゾンからなる群から選択され得る。いくつかの特に好ましい実施形態では、グルココルチコイドはデキサメタゾンまたはベタメタゾンであり得る。
本開示の方法のいくつかの実施形態では、グルココルチコイドはデキサメタゾンであってもよく、例えば、デキサメタゾン塩基、リン酸デキサメタゾンナトリウム、デキサメタゾンヘミスクシナート、デキサメタゾンコハク酸エステルナトリウム、デキサメタゾンコハク酸エステル、デキサメタゾンイソニコチン酸エステル、デキサメタゾン-21-アセテート、デキサメタゾンリン酸エステル、デキサメタゾン-21-リン酸エステル、デキサメタゾンテブテート、デキサメタゾン-17-吉草酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル一水和物、デキサメタゾンピバル酸エステル、デキサメタゾンパルミテート、デキサメタゾン-21-パルミテート、デキサメタゾンジプロピオン酸エステル、デキサメタゾンプロピオン酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル無水、デキサメタゾン-21-フェニルプロピオン酸エステル、デキサメタゾン-21-スルホ安息香酸エステル、デキサメタゾンヘモサルフェート、デキサメタゾンサルフェート、デキサメタゾンベロキシル、デキサメタゾン酸、デキサメタゾンアセフラート、デキサメタゾンカルボキシミド、デキサメタゾンシペシル酸エステル、デキサメタゾン21リン酸二ナトリウム塩、デキサメタゾンメシル酸エステル、デキサメタゾンリノレイン酸エステル、デキサメタゾングルコシド、デキサメタゾングルクロニド、デキサメタゾンヨード酢酸エステル、デキサメタゾンオキセタノン、カルボキシメチルチオ-デキサメタゾン、デキサメタゾンビセトキシムス、デキサメタゾンエポキシド、デキサメタゾンリノレライダート、デキサメタゾンメチルオルト吉草酸エステル、デキサメタゾンスペルミン、6-ヒドロキシデキサメタゾン、デキサメタゾントリブチル酢酸エステル、デキサメタゾンアスパラギン酸、デキサメタゾンガラクトピラノース、塩酸デキサメサゾン、ヒドロキシデキサメサゾン、カルボキシデキサメサゾン、デソキシデキサメサゾン、デキサメタゾンブタゾン、デキサメタゾンシクロデキストリン、ジヒドロデキサメサゾン、オキソデキサメサゾン、プロピオニルオキシデキサメサゾン、デキサメタゾンガラクトディ、デキサメタゾンイソニコチナート、デキサメタゾンリン酸水素ナトリウム、デキサメタゾンアルデヒド、デキサメタゾンピブラート、デキサメタゾントリデシル酸エステル、デキサメタゾンクロトン酸エステル、デキサメタゾンメタンスルホン酸エステル、デキサメタゾンブチル酢酸エステル、デヒドロデキサメサゾン、デキサメタゾンイソチオシアナトエチル)チオエーテル、デキサメタゾンブロモ酢酸エステル、デキサメタゾンヘミグルタル酸エステル、デオキシデキサメタゾン、クロラムブシル酸デキサメタゾン、メルファラン酸デキサメタゾン、ホルミルオキシデキサメタゾン、酪酸デキサメタゾン、ラウリン酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、および、デキサメタゾンの一形態を含有するいずれかの併用療法物であり得る。いくつかの好ましい実施形態では、グルココルチコイドはデキサメタゾン塩基またはリン酸デキサメタゾンナトリウムである。
開示された方法で使用できるグルココルチコイド受容体(GR)調節剤には、例えば、選択的グルココルチコイド受容体調節剤(SEGRM)および選択的グルココルチコイド受容体アゴニスト(SEGRA)が含まれる。開示された方法で利用できるグルココルチコイド、選択的グルココルチコイド受容体調節剤および選択的グルココルチコイド受容体アゴニスト(SEGRA)は当業者にはよく知られている。
そのようなグルココルチコイドには、デキサメサゾン、デキサメサゾン含有剤、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾン、プレドニゾン、コルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、およびベクロメタゾンが含まれるがこれらに限定されない。他のグルココルチコイドとしては、プレドニゾロン、モメタゾンフランカルボン酸エステル、トリアムシノロンアセトニド、およびメチルプレドニゾロンが挙げられる。
いくつかの実施形態において、グルココルチコイド受容体調節剤は、上述した薬剤のうちの1つ以上ではないことがあり得る。
[高用量グルココルチコイド製剤]
本発明者らは以前、製剤に含まれる保存剤(例えば抗酸化剤)の量が減少されているかまたは無い場合であっても安定な高濃度グルココルチコイド製剤を調製できることを示した。良好な安定性を保証する高濃度グルココルチコイド製剤の1つの側面は、ヘッドスペース体積(ml) 対 グルココルチコイド(mg)の比である。例えば、国際特許出願PCT/US2019/061363において、発明者らはAVM0703と呼ばれるデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム溶液が特に好ましいことを示した。AVM0703は、26.23 mg/mLのデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(24 mg/mLのデキサメタゾンリン酸エステル(DP)に相当)、10 mg/mLのクエン酸ナトリウム、0.5 mg/mLのエデト酸二ナトリウム、0.035 mg/mLの亜硫酸ナトリウム(無水)を含有する。これらの高濃度グルココルチコイド製剤は、本発明の方法および治療のいくつかの実施形態において有用性を見出す。
[グルココルチコイド投薬量の計算]
本開示の方法において、グルココルチコイド受容体(GR)調節剤は、高用量で、好ましくは少なくともおよそ18 mg/kgのデキサメタゾン塩基のヒト等価用量(HED)に相当する用量で、投与される。別のグルココルチコイドまたはグルココルチコイド受容体調節剤の等価用量は、公的に利用可能なコルチコイド変換アルゴリズム(好ましくはhttp://www.medcalc.com)を用いて容易かつ容易に計算することができる。例えば、18 mg/kgのデキサメタゾンは112.5 mg/kgのプレドニゾンに変換される。プレドニゾンの生物学的半減期は約20時間であるのに対し、デキサメタゾンの生物学的半減期は約36時間~54時間であるため、生物学的に同等の投薬量のためにプレドニゾンは24時間ごとに約112.5 mg/kgが投与されるであろう。より具体的には、デキサメタゾンの18 mg/kgの用量は、24時間ごとに約2回から約3回の反復投与を要するプレドニゾロンの112.5 mg/kgの用量に相当する。ベタメタゾンの10 mg/kgの用量はデキサメタゾンの約12 mg/kgであり、デキサメタゾンと同様の薬力学的(生物学的)半減期を有する。
本願においてデキサメタゾンの用量は、ヒト等価用量(HED)として記載されている。ヒト等価用量(HED)を算出する方法は当技術分野で知られている。例えば、FDAの医薬品評価研究センター(CDER)は2005年に高引用度のガイダンス文書を発行しており(米国保健省CDER, 2005年)、その文書の7ページの表1に、体表面積(種間で用量を外挿するための一般的に受け入れられている方法)に基づいて動物の用量をHEDに変換するための確立されたアルゴリズムを示している。参考のために表1を下記に再録する。下記で説明されている、mg/kg単位での動物用量は、表1の右側列における標準的換算係数を用いて簡単にHEDに計算できることを当業者は理解している。
Figure 2023524434000002

表1:体表面積に基づく動物用量からヒト等価用量への換算
a 60 kgのヒトを想定。記載されていない種や、基準範囲外の体重の場合、HEDは次の式から計算することができる:
HED=mg/kg単位の動物用量 × (kg単位の動物体重/kg単位のヒト体重)0.33
b健康な小児が第1相治験にボランティアとして参加することはほとんどないため、このkm値は参考値としてのみ記載する。
c例えばカニクイザル、アカゲザル、ベニガオザル。
本開示の方法のいくつかの実施形態において、グルココルチコイド受容体(GR)調節剤は、少なくとも約6 mg/kg、12 mg/kg、15 mg/kg、18 mg/kg、24 mg/kg、30 mg/kg、または少なくとも約45 mg/kgのデキサメタゾン塩基のヒト等価用量(HED)に相当する用量で投与され得る。いくつかの好ましい実施形態では、グルココルチコイド受容体(GR)調節剤は、デキサメタゾン塩基の約6 mg/kg、12 mg/kg、15 mg/kg、18 mg/kg、24 mg/kg、30 mg/kg、もしくは約45 mg/kgに相当する用量、または約6 mg/kg、約12 mg/kg、約15 mg/kg、約18 mg/kg、約24 mg/kg、約30 mg/kg、もしくは約45 mg/kgのデキサメタゾン塩基のヒト等価用量(HED)に相当する用量で、または、少なくとも約6 mg/kg、約12 mg/kg、約15 mg/kg、約18 mg/kg、約24 mg/kg、約30 mg/kg、もしくは約45 mg/kgのデキサメタゾン塩基のHEDに相当する用量値である用量において、投与され得る。いくつかの好ましい実施形態では、グルココルチコイド受容体 (GR) 調節剤は、デキサメタゾン塩基の少なくとも約6 mg/kgヒト等価用量 (HED) に相当する用量で投与され得る。他のいくつかの好ましい実施形態では、グルココルチコイド受容体 (GR) 調節剤は、デキサメタゾン塩基の少なくとも約18 mg/kgヒト等価用量 (HED)に相当する用量で投与され得る。
本開示の方法のいくつかの実施形態において、グルココルチコイド受容体 (GR) 調節剤は、デキサメサゾン塩基のヒト等価用量 (HED) の少なくとも約6~45 mg/kg、デキサメサゾン塩基のヒト等価用量 (HED) の少なくとも約15~24 mg/kg、デキサメサゾン塩基のヒト等価用量 (HED) の少なくとも約6~12 mg/kg、デキサメサゾン塩基のヒト等価用量 (HED) の少なくとも約12~15 mg/kg、またはデキサメサゾン塩基のヒト等価用量 (HED) の少なくとも約18~30 mg/kgに相当する用量で投与され得る。
本開示の方法では、グルココルチコイド受容体 (GR) 調節剤は単回急性用量で投与されてもよいし、または約24時間、48時間、または72時間にわたって総用量が投与されれてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、グルココルチコイド受容体 (GR) 調節剤は単回急性用量として投与される。他の好ましい実施形態では、グルココルチコイド受容体 (GR) 調節剤は、約72時間にわたって与えられる総用量として投与される。
[投与ルート]
本明細書で使用される「投与する」という用語は、当業者に知られる様々な方法および送達システムのいずれかを使用して、対象者に薬剤を物理的に導入することを意味する。本明細書で開示される薬剤のための投与経路の例としては、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路、例えば注射または点滴によるものが挙げられる。本明細書で用いられる「非経口投与」という語句は、経腸および局所投与以外の投与のモード(通常は注射による)を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病変内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、角質下、関節内、嚢下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入、並びにインビボエレクトロポレーションを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される薬剤は腸管外経路を介して、例えば経口で投与され得る。その他の腸管外投与経路には、局所投与、表皮投与、または粘膜投与が含まれ、例えば鼻腔内投与、膣内投与、直腸投与、舌下投与、または局所投与が含まれる。
本明細書で使用される「全身注射」という語句は、非排他的に、静脈内、腹腔内、皮下、鼻粘膜下経由、舌内、気管支鏡経由、静脈内、動脈内、筋肉内、眼内、線条体内、角質下、皮内、真皮パッチによる、皮膚パッチによる、パッチによる、脳脊髄液への、門脈への、脳への、リンパ系への、胸膜内、眼窩後、皮内、脾臓への、リンパ内、等に関連する。
本明細書で使用される「注射部位」という用語は、非排他的に、腫瘍内、または臓器内(例えば腎臓、肝臓、膵臓、心臓、肺、脳、脾臓、眼等)、筋肉内、眼内、線条体内、皮内、真皮パッチによる、皮膚パッチによる、パッチによる、脳脊髄液への、脳への、等に関連する。本開示のいくつかの好ましい実施形態では、グルココルチコイド受容体調節剤を経口投与され得る。
本開示のいくつかの実施形態において、本明細書に開示されるグルココルチコイド受容体調節剤の投与経路は、上述した経路のうちの1つ以上ではないこともあり得る。
[医薬組成物]
医薬組成物は、安全かつ有効であると考えられる材料で構成された薬学的に許容される「担体」を使用して調製することができる。「薬学的に許容される」とは、「一般的に安全と見なされる(generally regarded as safe)」、例えば、生理学的に忍容され、ヒトに投与されたときに、アレルギー反応または同様の好ましくない反応(胃の不調等)を典型的に生じない、分子実体および組成物を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、米国連邦政府または州政府の規制機関によって認可された分子実体および組成物を指す(FDAによる市販前審査および認可の対象となる連邦食品医薬品化粧品法第204条(s)および第409条下のGRASリストまたは同様のリスト、米国薬局方または動物(より具体的にはヒト)における使用についての他の一般的に認められた薬局方のように)。
「担体」という用語は、希釈剤、結合剤、潤滑剤および崩壊剤を指す。当業者は、そのような医薬担体に精通しておりそのような担体を用いて医薬組成物を調合する方法に精通している。
本明細書で提供される医薬組成物は、1つ以上の賦形剤、例えば溶媒、溶解性増強剤、懸濁剤、緩衝剤、等張剤、抗酸化剤または抗菌保存剤を含むことができる。使用される場合、組成物の賦形剤は、その組成物中に使用される有効成分、すなわちグルココルチコイドの安定性、バイオアベイラビリティ、安全性、および/または有効性に悪影響を及ぼさない。したがって、当業者は、剤形のいずれの成分間にも不適合性がない組成物が提供されることを理解するであろう。賦形剤は、緩衝剤、可溶化剤、張度調整剤、キレート剤、抗酸化剤、抗菌剤、および保存剤からなる群から選択され得る。
[細胞のタイプ]
樹状細胞(DC)は骨髄由来の白血球であり、哺乳類の免疫系で最も強力な抗原提示細胞である。DCは外因性および内因性抗原に対する免疫サーベイランスを行い、その後のナイーブTリンパ球の活性化が様々な免疫学的応答を引き起こす。DCは、病原体の認識と組織損傷のシグナルを担当するセンチネル細胞であり、それがリンパ系臓器への移動を誘導して、Tリンパ球、ナチュラルキラー(NK)リンパ球、NKTリンパ球、Bリンパ球の異なるサブセットの活性化を実行する。成熟表現型のcDCは、MHCII、CD80、CD86、およびCD40の増加により特徴付けられる。樹状細胞はしばしば、通常の(conventional)樹状細胞(cDC)と形質細胞様(plasmacytoid)樹状細胞(pDC)のサブセットに分類される。樹状細胞は主に「未熟」と「成熟」という2つの基本的な機能状態で存在する。樹状細胞の活性化(成熟)により、代謝的、細胞的、および遺伝子転写的なプログラムがオンになり、そのことが、DCを末梢組織から二次リンパ器官のT依存領域に移動させ、そこでTリンパ球活性化抗原提示が起こり得る(Patente et al, 2018;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。樹状細胞の主な機能は、抗原物質をプロセスしてそれを細胞表面上でT細胞に提示することで、適応免疫応答を開始することである。樹状細胞はまた、病原体特異的エフェクターT細胞の分化と活性化を促進する分極性サイトカインを産生し、制御性T細胞の分化を誘導する寛容原性サイトカインを分泌することによって自己耐性を促進することができる。本発明の方法によって誘導されるDCは、CD11bを非常に高いレベルで発現することができる(「CD11b-very-high樹状細胞」)。
T細胞は、免疫応答において重要な役割を果たすリンパ球の一種である。T細胞は、その細胞表面にT細胞受容体が存在することで、他の種類のリンパ球と区別される。T細胞受容体(TCR)は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原の断片を認識することを担い、2つの異なるタンパク質鎖のヘテロ二量体である。ヒトでは、T細胞の95%において、TCRはアルファ(α)鎖およびベータ(β)鎖(それぞれTRBおよびTRBにコードされる)からなるのに対し、T細胞の5%ではTCRはガンマおよびデルタ(γ/δ)鎖(それぞれTRGおよびTRDにコードされる)からなる。この比率は疾患状態(例えば白血病など)において変化する。MHC拘束性アルファベータT細胞とは対照的に、ガンマデルタT細胞は活性化のために抗原プロセシングおよびペプチドエピトープの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)提示を必要としないが、MHCクラスIb分子を認識するものもある。一部のガンマデルタT細胞は、感染や腫瘍形成によりもたらされる細胞ストレスのマーカーを認識する。ガンマデルタT細胞は脂質抗原の認識にも役割を果たすと考えられている。本発明の方法によって誘導されるT細胞は、非常に高いレベルでCD3を発現し得る(「CD3-very-high」)。
ナチュラルキラーT細胞(NKT)は、T細胞とナチュラルキラー(NK)細胞の両方の特性を共有するT細胞の不均一なグループである。通常のT細胞とは対照的に、NKTは胸腺を出た時点で機能的に成熟しており、迅速なサイトカイン産生の準備が整っている。NKTは、CD1dを発現しているがん細胞や腫瘍微小環境マクロファージを直接殺傷し、IFNガンマやIL-4などの免疫活性化サイトカインを迅速に産生・放出し、樹状細胞(DC)、NK細胞、ならびにBおよびTリンパ球などの他の免疫細胞を活性化することができる。
発明者らは、チェックポイント阻害剤の有効性を示すために使用される腫瘍殺傷モデルにおいて、腫瘍などの疾患組織に非常によくホーミングする、AVM_NKTと称する新しいタイプのNKT細胞を発見した。AVM_NKTは、継続的に循環する他のNKやNKTとは異なり、AVM0703処置後にのみ動員され、従ってAVM_NKTの数には実践的に制限がない。これらの細胞は、インフルエンザAを介した炎症と疾患の重症度を軽減することが示されており、CD11b+ DCが、RSウイルスとインフルエンザA(H1N1)に対する保護に関連付けられている。したがって、CD3とCD11bのレベルがより低い細胞が有効であることが知られているところ、AVM0703は、それが動員するCD3 very highのNKTおよびガンマ/デルタT細胞のために、また、従来のCD11b DCの数を増加させるだけでなく通常は観察されないCD11b very high発現DCも動員するために、より効果的であるはずである。
肺胞II型(AT2)細胞は、ヒト肺におけるSARS-Cov-2の標的であると考えられている。A2T細胞は、表面張力の調節、無気肺の予防、および肺胞内の肺胞液バランスの維持のために重要な肺表面活性剤のすべての成分を合成し、貯蔵し、分泌する唯一の肺細胞である(Henry et al., 2017)。
[細胞マーカー発現レベルの決定]
本発明の方法によって誘導されたNKT細胞、T細胞またはDCによって発現されるマーカーは、例えば治療前に患者から採取された(それぞれ)典型的なNKT細胞、T細胞またはDC集団によるマーカー発現のレベルを参照して決定することができる。発現レベルが「very high(非常に高い)」と言われる場合、対応する典型的な細胞集団と比較して、マーカーの発現レベルが50%、60%、70%、80%、90%、または100%高いことを示すことができる。発現レベルはフローサイトメトリーによって決定される。
***
上記の説明、または下記の請求項、または添付図面に開示されている特徴は、特定の形式で、または開示された機能を実行するための手段に関して、または開示された結果を得るための方法もしくはプロセスに関して、適宜表現されているか、それらの特徴を別々に、またはいずれかの組合せで、その多様な形式で発明を実現するために利用することができる。
本発明は、上述の典型的な実施形態と併せて説明されているが、本開示に接した当業者には、多くの均等な修正および変形が明らかであろう。したがって、上記の発明の典型的な実施形態は例示的なものであって、限定的なものではないと考えられる。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に様々な変更を加えることができる。
疑問を避けるために、本明細書で説明する理論的な説明は、読者の理解を深めることを目的として提供されている。発明者は、これらの理論的説明のいずれかに拘束されることは望まない。
本明細書で使用されるセクション見出しは、整理する目的にのみ使用されており、記述されている主題を限定するものと解されるべきではない。
後に続くクレームを含め、この明細書全体を通して、文脈が別に要求しない限り、「含む(comprise)」および「含む(include)」という語、並びに「comprises」「comprising」および「including」のような変形は、言明されたものもしくはステップまたはそれらの群を含むことを意味するが、他のものもしくはステップまたはそれらの群の除外は意味しないと理解される。
明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるところの、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈に明らかに反しない限り、複数形の対象物も包含することに注意しなければならない。本明細書において範囲は、「約」が付いた一特定値から、および/または「約」が付いた別の特定値までとして表され得る。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、該一特定値からおよび/または該別の特定値までを含む。同様に、先行する「約」の使用により、値が概算値として表現される場合、その特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。数値に関して「約」という用語は任意付加され、例えば+/- 10%を意味する。
[実施例1―ヒトDC-SIGN、L-SIGN、SARS-CovおよびSARS-Cov-2スパイク糖タンパク質の配列アラインメント]
Clustal 0(1.2.4) 多配列アラインメントツール(uniprot.org)を用いて、ヒトCD209(DC-SIGN)、CLEC4M(L-SIGN)の遺伝子産物をSARS-CoVおよびSARS-Cov-2のスパイク糖タンパク質とアラインメントさせた。結果を図1に示す。スパイク糖タンパク質は、DC-SIGNとL-SIGNのICAM3結合領域と明らかな相同性を示している。
[実施例2―全血または脾臓細胞に対する高濃度デキサメタゾンのエクスビボ効果の欠如]
エクスビボでの全血または分離された脾臓細胞(splenocytes)は、ヒト等価用量(HED)6 mg/kg以上あたりでのピークインビボ用量で達成されるのと同等の濃度である100 uM~最大500 uMの濃度におけるAVM0703またはデキサメタゾン塩基に応答しなかった。これらのデータは、がんおよび感染症の治療に好適な用量(HED 6 mg/kg~最大30 mg/kg)では、AVM0703はグルココルチコイド受容体を活性化せず、リンパ球、単球または好中球には受容体が直接発現されてもいないことを示している。ナイーブマウスおよびがんモデルで観察される著しいインビボ活性は、AVM0703 HED 6 mg/kg以上の投与後の動員された過給(supercharged)ナチュラルキラーT細胞、T細胞、および樹状細胞によって媒介される必要がある。
表2に示すインキュベーション条件が調べられた。
Figure 2023524434000003

表2.インキュベーション条件
[結果;全血(試験6)]
サンプルは、500μMのデキサメタゾンベース、50μMのRU486(ステロイド受容体アンタゴニスト)、または対照としての1%のDMSOのいずれかで三重試験で処理された。RU486処理により、好中球の有意ではない増加が誘発された。その他の免疫細胞型;リンパ球、単球、好酸球、好塩基球;は、デキサメタゾンベースまたはRU486の処理で数の変化を示さなかった。このデータは、全血中のデキサメタゾン塩基単独では、インビボ実験で見られたリンパ球殺傷活性を誘導しないことを示している。RU486単独でもリンパ球に対する殺傷活性はなく、リンパ球レベルに影響を与えることなく併用投与が可能である。
[結果;脾臓細胞(試験24)]
脾臓細胞を16時間培養した後、アッセイを実行した。デキサメサゾン塩基を加えた後4においてフローサイトメトリーを行い、その結果を図3に示す。4時間後、デキサメタゾン塩基は100μM未満の濃度で直接殺傷活性を示すと見られたが、100μM超では細胞死を誘発しない。
試験6および24の結果は、デキサメサゾン塩基の低濃度と高濃度では作用機序が異なることを示唆しており、高用量では脾臓細胞に対する活性が認められないこれは、AVM0703の投与によって脾臓の重量が急激に減少する、以前のインビボデータ(WO2018/183927およびWO2020/072713参照;これらのインビボ効果の議論について、両文献とも参照により全体が組み入れられる)とは対照的である。エクスビボとインビボの間の食い違いは、エクスビボと比べてインビボでは異なる作用機序が生じていることを示している。
[結果;ベネトクラクス1]
プラセボ、DMSO、500μMのAVM0703単独、または3μMのベネトクラクスとの組合せと共に全血をインキュベートした場合、CBCのいずれの測定パラメータにも有意な変化は認められなかった。特に、白血球に対して有意な影響はない。リンパ球、単球、および好中球は、インビボで観察されるリンパ球枯渇や除去を示さない。したがって、これらの結果は、全血中の細胞がGCR活性化を介してもAVM0703の影響を受けないことを示している(ベネトクラクスはグルココルチコイド感受性を増加させる)。
[結果;エクスビボのグルココルチコイド比較]
単球、リンパ球、および好中球に対するエクスビボ効果の欠如が100 uMから500 uMのデキサメサゾン塩基の濃度によるものなのか、またはAVM0703中の異なる賦形剤が寄与している可能性があるのかを明らかにするために、他の市販のデキサメタゾンリン酸エステルと比較してAVM0703の間のエクスビボ処理とその後のCBC分析を比較した。異なる製剤間で顕著な違いはなく、予想外のエクスビボ効果(すなわち、エクスビボでの細胞死の驚くべき欠如)を持つのはデキサメタゾン塩基の濃度であることを示していた。
[実施例3―ICAM3およびACE2と、SARS-CoV-2およびSARS-CoVの受容体結合ドメインとの結合のモードおよびエネルギーのモデリング]
発明者らはClusProを使用して、SARS-CoV-2の受容体結合ドメイン(RBD)とICAM3およびACE2との間の有利な(favorable)結合モード(モデル)を探索した。発明者らはそれからRosettaソフトウェアを使用して各結合モード(モデル)のエネルギー論を予測した。
図4の左側は、SARS-CoV-2のRBDとACE2との典型的な結合モードを示している。図4の右側のグラフは、分子の界面におけるルート平均二乗偏差(RMSD)を、結合エネルギーを予測する(より負の値はより発熱的であること、したがってより強い結合相互作用であることを示す)界面スコアに対してプロットしたものである。界面RMSD軸の低端に向かって界面スコアが「注ぎ落ちること」は、SARS-CoV-2のRBDとACE2との間の有利な結合特性を示している。
図5の左側は、SARS-CoV-2のRBDのICAM3との典型的な結合モードを示している。ICAM3は、ACE2と同様に、CoV-2 スパイクタンパク質のRBDポケットにドッキングする(CoV1 スパイク RBDの外部にドッキングするDC-SIGNやL-SIGNの結合モードとは異なる)。CoV-2 RBD-ICAM3の結合モードは、SARS-CoV-2 RBDのArg408とICAM3のGlu43の間の第1の塩橋;およびArg6とGlu484の間の第2の塩橋、ならびに結合界面の中央部分における疎水性相互作用を予測する。図5の右側のグラフは、CoV-2とICAM3の界面での (RMSD) を界面スコアに対してプロットしている。図4と同様に、図5における界面RMSD軸の低端に向かって界面スコアが「注ぎ落ちること」は、SARS-CoV-2のRBDとICAM3の間の有利な結合特性を示している。
図6の左側は、SARS-CoV-1のRBDとICAM3の典型的な結合モードを示している。結合モードは、RBDのArg395とICAM3のGlu43の間の単一の塩橋を予測する。図4および5とは対照的に、図6の右側のグラフは、界面RMSD軸の低端に向かって界面スコアの強い「注ぎ落ち」を示していない。したがって、図6は、SARS-CoV-1のRBDとICAM3の間の結合特性は、図5に示されているようなSARS-CoV-2のRBDとICAM3の間の結合特性よりもはるかに不利であることを示している。
図4~6の結果は、Rosettaソフトウェアを使用して各結合モードのエネルギー論を予測したモデリング実験の独立した反復において確認された。図7は、この一連の反復実験の結果を示している。プロットされているのは、結合エネルギーを予測する(より負の値はより発熱的であること、したがってより強い結合相互作用であることを示す)界面スコアに対する、分子界面でのルート平均二乗偏差(RMSD)である。図4および5と同様に、界面RMSD軸の低端に向かって界面スコアが「注ぎ落ちること」は、SARS-CoV-2のRBDとACE2との間(図4右側に対応する図7A)、およびSARS-CoV-2のRBDとICAM3との間(図5右側に対応する図7B)の有利な結合特性を示す。同様に、図6のように、界面RMSD軸の低端に向かって界面スコアの強い「注ぎ落ち」が観察されていないことから、SARS-CoV-1のRBDとICAM3との間の結合特性はSARS-CoV-2のRBDとICAM3との間の結合特性よりもはるかに不利であることを示している(図6右側に対応する図7C)。CoV2 RBD-ICAM3についてのロゼッタエネルギー(界面RMSD -12.7)は、ACE2についてのもの(-12.2)と同様に有利であり、CoV1-RBD-ICAM3の不利なエネルギー(-8.6)とは対照的である。ICAM3は、CoV1 スパイク RBDの外側にドッキングするDC-SIGNまたはL-SIGNとは異なり、ACE2と同様にCoV2 スパイク RBDポケットにドッキングした(有利な静電的相互作用と疎水性相互作用)。
予備的なマイクロスケール熱泳動実験では、CoV2 スパイク-ICAM3の結合親和性(KD)は5~10 nMと決定されたが、CoV2 スパイク-ACE2の結合親和性は約10 nMであった。
[実施例4―SARS-CoV-2受容体結合ドメイン、ICAM3、およびDC-SIGNの結合相互作用のモデリング]
ClusProおよびRosettaソフトウェアを使用して、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン、ICAM3、およびDC-SIGNの結合相互作用をモデリングしたところ、SARS CoV2 スパイク RBDがICAM3に結合するときにはDC-SIGNは結合できず、その逆もまた然りであることが見出された(図8)。これは、SARS CoV-2 スパイク RBDに対して生成された抗体は、DC-SIGNと交差反応して結合し、免疫系に対して意図せず望ましくもない影響をもたらす可能性を有することを示している。
[参考資料]
本発明およびそれが関係する技術水準をより完全に記述し開示するために、多数の出版物が上記で引用されている。これらの参考文献の完全な引用を以下に示す。これらの各参考文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
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標準的な分子生物学の手法については、Sambrook, J., Russel, D.W. Molecular Cloning, A Laboratory Manual. 3 ed. 2001, Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press参照。

Claims (30)

  1. SARS-Cov-2ウイルスが宿主細胞に侵入するのを阻害する方法であって、前記細胞をグルココルチコイド受容体(GR)調節剤と接触させることを含む、方法。
  2. 前記GR調節剤が、前記宿主細胞の表面に存在する細胞間接着分子3(ICAM3)に結合することによって作用する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記GR調節剤がICAM3アンタゴニストとして作用する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記GR調節剤が、SARS-Cov-2のスパイク(S)糖タンパク質が前記宿主細胞の表面に存在するICAM3に結合するのを阻害する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記GR調節剤が前記宿主細胞の表面から細胞外空間へのICAM3シェディングを引き起こす、請求項1~4のいずれか一項の方法。
  6. 前記GR調節剤が追加の細胞に接触して、前記追加の細胞の表面から細胞外空間へのICAM3シェディングを引き起こす、請求項1に記載の方法。
  7. 細胞外空間にシェディングされたICAM3が、SARS-Cov-2の前記宿主細胞表面への結合を阻害する、請求項5または6に記載の方法。
  8. 細胞外空間にシェディングされたICAM3が、
    i) 前記宿主細胞表面のL-SIGNおよび/またはDC-SIGNへのSARS-Cov-2の結合を阻害し;および/または
    ii) SARS-Cov-2に結合し、それによって、前記宿主細胞表面のICAM3、L-SIGN、および/またはDC-SIGNへの結合を減少させる、
    請求項7に記載の方法。
  9. 前記宿主細胞が免疫細胞である、請求項4に記載の方法。
  10. 前記免疫細胞がリンパ球、単球、好酸球、好中球または樹状細胞である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記宿主細胞が肺細胞である、請求項8に記載の方法。
  12. 前記肺細胞が肺胞2型細胞または細気管支細胞である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記GR調節剤が、SARS-Cov-2に結合して、前記宿主細胞上のそのウイルス侵入の受容体に結合することを遮断することによって作用する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記GR調節剤がグルココルチコイドである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記グルココルチコイドが、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、コルチゾン、ブデソニド、ベタメタゾン、フルメタゾンおよびベクロメタゾンからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記グルココルチコイドがデキサメタゾンである、請求項15に記載の方法。
  17. 患者のCOVID-19を治療する方法であって、SARS-Cov-2粒子が前記患者の細胞に感染するのを阻害する、および/または患者においてSARS-Cov-2に対する有効な免疫応答を誘発もしくは支援するために十分な高用量でグルココルチコイド受容体(GR)調節剤を投与することを含む、方法。
  18. 免疫細胞の表面に存在する細胞間接着分子3(ICAM3)に結合することによって、SARS-Cov-2粒子が前記患者の免疫細胞に感染することが阻害される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記GR調節剤がICAM3アンタゴニストとして作用する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記GR調節剤が、SARS-Cov-2のスパイク(S)糖タンパク質が前記免疫細胞の表面に存在する前記ICAM3に結合するのを阻害する、請求項19に記載の方法。
  21. 前記免疫細胞がリンパ球、単球、好酸球、好中球または樹状細胞である、請求項20に記載の方法。
  22. SARS-Cov-2粒子が前記患者の肺細胞に感染することが阻害される、請求項17に記載の方法であって、前記高用量のGR調節剤は細胞外空間へのICAM3のシェディングを引き起こし、細胞外空間にシェディングされた前記ICAM3は、前記肺細胞の表面にSARS-Cov-2が結合するのを阻害する、方法。
  23. 細胞外空間にシェディングされたICAM3が、前記肺細胞の表面のL-SIGNおよび/またはDC-SIGNへのSARS-Cov-2の結合を阻害する、請求項22に記載の方法。
  24. 前記肺細胞は肺胞2型細胞または細気管支細胞である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記GR調節剤が、SARS-Cov-2粒子に結合して、前記患者の細胞上のそのウイルス侵入の受容体に結合するのを遮断することによって作用する、請求項17に記載の方法。
  26. 前記有効な免疫応答は、CD3を発現し、かつ、
    a. CD4、CD8、CD45、CD49b(ヒトではCD56)、CD62L、NK1.1、Ly6G、Sca1、および/またはTCRガンマ/デルタを発現すること;および/または
    b. C-kit、B220、FoxP3、および/またはTCRアルファ/ベータを発現しないこと
    によって特徴づけられるNKT細胞の集団の誘導および/または動員を含む、
    請求項17に記載の方法。
  27. 前記有効な免疫応答は、非常に高いレベルでCD3を発現する(「CD3-very-high」)T細胞集団の誘導および/または動員を含む、請求項17に記載の方法。
  28. 前記有効な免疫応答が、非常に高いレベルでCD11bを発現する樹状細胞(DC)(「CD11b-very-high樹状細胞」)の集団の誘導および/または動員を含む、請求項17に記載の方法。
  29. 前記GR調節剤の用量が、少なくとも約12 mg/kg、少なくとも約15 mg/kg、少なくとも約18 mg/kg、少なくとも約24 mg/kg、少なくとも約30 mg/kg、または少なくとも約45 mg/kgのデキサメタゾン塩基のヒト等価用量(HED)である、請求項17~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記GR調節剤がグルココルチコイド、例えばデキサメタゾンである、請求項17~29のいずれか一項に記載の方法。
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