JP2023523894A - 緊急救助のための組成物及び方法 - Google Patents

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Abstract

特定の実施形態において開示されているのは、治療的有効量の緊急救助用医薬品有効成分と、体循環への緊急救助用医薬品有効成分(ER-API)の吸収を増強する量の非経口的に許容されるアジュバントとを含む、非経口製剤である。吸収増強は、アジュバントを含まない製剤と比較して速い発現時間、速いTmax及び/または高いCmax及び/または大きいAUClast及び/または大きいAUC0.25及び/または大きいAUC0.5及び/または大きいAUC0.75及び/または大きいAUC1及び/または高いバイオアベイラビリティによる証拠であってよい。【選択図】図1

Description

本発明は、アレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)または中毒による対象に緊急救助、アレルギー反応に対する防御として対象に前投与すること、緊急救助を提供する方法、及びその薬物送達システムを提供するための、医薬組成物の分野に関する。
特定のアレルゲン及び/または毒に対する反応は、ときには極めて重度であり、致命的にさえなる場合がある。アレルギー反応と関連する症状を経験している対象の場合は、そのような症状を速やかに中和、治療、予防、及び/または軽減することができる医薬品による利益が得られるであろう。同様に、意図せず毒物に曝露された対象または毒物に曝露され得るリスクのある対象の場合は、毒に対する解毒剤を提供して、中毒と関連する症状を中和、治療、予防、及び/または軽減することができる医薬品による利益が得られるであろう。
アレルギー症状及び中毒症状としては、アナフィラキシーショック、呼吸困難、腹部痙攣もしくは疼痛、胸痛もしくは胸部圧迫感、下痢、嚥下困難、めまい(眩暈)、不安、恐怖、顔面の紅潮、悪心もしくは嘔吐、心臓動悸、気道及び/または顔面及び/または眼及び/または舌の腫脹、意識消失、脱力、蕁麻疹、そう痒、うっ血、皮疹、喉のチクチクする感じ、涙目もしくは目のかゆみ、血圧降下、重度もしくは生命を脅かすムスカリン様作用の一過性の遮断、徐脈収縮不全心停止、ならびにアレルギー反応及び/または中毒を示唆する他の症状が挙げられるが、これらに限定されない。
アレルギー反応及び/または中毒の症状を中和するために、緊急隊員等は、緊急救助用医薬品有効成分の筋肉内注射等の解毒剤を投与する場合がある。投与される解毒剤は血流中に吸収される必要があることから、そこにはどうしても解毒剤投与の時間から、解毒剤がアレルゲンまたは毒の作用を効果的に中和するのに十分な治療濃度に到達する時間までのラグタイムが生じる。残念なことに、このラグタイムにより、アレルギー反応及び中毒作用による障害及び死亡を防ぐのに十分な時間内に、解毒剤処置が十分に有効とはならなくなる場合がある。
アレルギー反応及び/または中毒から対象を救助するための医薬組成物、ならびにアレルギー反応及び/または中毒から対象を救助する方法であって、それを介して吸収増強が達成される方法に対するニーズが当該技術分野には存在する。
本発明の特定の実施形態の目的は、アレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)もしくは中毒から対象を救助するため、または対象がアレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)を経験することを防ぐ(またはリスクを低減する)ための、医薬組成物(例えば、非経口製剤または鼻腔内製剤)を提供することである。
本発明の特定の実施形態の目的は、アレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)もしくは中毒から対象を救助するため、または対象がアレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)を経験することを防ぐかもしくは対象の中毒を防ぐ(またはリスクを低減する)ための、非経口製剤を提供することである。一実施形態では、非経口製剤は、筋肉内投与に好適である。別の実施形態では、非経口製剤は、皮下投与に好適である。
本発明の特定の実施形態の目的は、アレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)もしくは中毒から対象を救助するため、または対象がアレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)を経験することを防ぐかもしくは対象の中毒を防ぐ(またはリスクを低減する)ための、鼻腔内製剤を提供することである。
本発明の特定の実施形態の目的は、アレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)もしくは中毒から対象を救助するため、または対象がアレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)を経験することを防ぐかもしくは対象の中毒を防ぐ(またはリスクを低減する)ための、方法を提供することである。
本発明の特定の実施形態の目的は、対象がアレルギーを示す物質(例えば、花粉、ピーナッツ及び木の実等のナッツ、乳、卵、貝、小麦、大豆、魚類等)、または毒物(例えば、神経剤中毒、殺虫剤中毒等)に曝露されるリスクのある対象に、本明細書に開示される医薬組成物を予防的に投与する方法を提供することである。
本発明の特定の実施形態の目的は、アレルギー反応もしくは中毒から対象を救助するため、または対象がアレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)もしくは中毒を経験することを防ぐ(またはリスクを低減する)ための、薬物送達システムを提供することである。
上記の目的及び他の目的は、特定の実施形態において、アレルギー反応もしくは中毒を経験している対象に緊急救助を提供するため、または対象でのアレルギー反応中毒を予防する(またはそのリスクを低減する)ための医薬組成物を対象とする本発明によって達成され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、治療的有効量の緊急救助用医薬品有効成分(ER-API)、及び筋肉内注射もしくは皮下注射時のER-APIの全身吸収速度を促進する、増強する、または速める非経口的に許容される吸収増強量のアジュバントを含み、ここで、ER-APIは、オピオイド拮抗薬ではない。アジュバントは、現在知られている適切な吸収増強剤、またはそのような使用について(製剤及び医療分野の)当業者によって容易に理解されるものから選択されてよい。特定の非限定的な実施形態では、アジュバントは、一酸化窒素誘導物質、ナイアシン、ナイアシン誘導体、ナイアシン代謝物、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、硝酸塩またはそれらの組み合わせの群から選択される。一実施形態では、アジュバントは塩化マグネシウムである。
特定の実施形態では、ER-APIは、エピネフリン、もしくはアトロピン、またはその薬学的に許容される塩、あるいはそれらの組み合わせである。
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、治療的有効量のER-API及び吸収増強有効量の薬学的に許容されるアジュバント(例えば、非経口的に許容されるアジュバントまたは鼻腔内で許容されるアジュバント)を含み、ここで、組成物は、アレルギー反応を経験しているかもしくは経験するリスクのある対象への筋肉内注射もしくは皮下注射後かまたは鼻腔内投与もしくは吸入による投与時に5分以下である、ER-APIの作用発現までの時間を提供する。
特定の実施形態では、組成物は、健常対象の集団への筋肉内注射後は約2.0時間以下、または健常対象の集団への皮下注射後は約1.0時間以下である、ER-APIの最高血漿中濃度までの平均時間を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、アレルギー反応を経験しているかもしくは経験するリスクのある対象に、緊急救助またはアレルギー反応予防を提供する方法を対象とし、本明細書に開示される医薬組成物を対象に筋肉内、皮下、鼻腔内に投与するかまたは吸入により投与することを含む。
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される医薬組成物を含有するデバイス(例えば、注射デバイス)を含む薬物送達システムを対象とする。一実施形態では、そのようなデバイスは、注射を介して医薬組成物を送達するのに好適である。特定の実施形態では、組成物は、プレフィルドシリンジ、バイアル、ペン型注射器、または自己注射器内に配される。一実施形態では、そのようなデバイスは、鼻腔内かまたは吸入により医薬組成物を送達するのに好適である。
本発明の上記及び他の特徴、それらの性質、ならびに様々な利点は、添付の図面と併せた以下の詳細な説明の考察後に、より明らかとなるであろう。
0.2mgの用量のエピネフリンに異なるレベルのMgClアジュバント(0%(群1)、1%(w/v)(群2)、及び2%(w/v)(群3))を用いた場合の3匹のイヌ対象における筋肉内投与後の平均血漿中濃度プロファイルの比較を示す。0%のMgClを用いて0.2mgの用量のエピネフリンを投与されるイヌ対象には、0.9%(w/v)NaCl(群1)を用いた。 0.2mgの用量のアトロピンに異なるレベルのMgClアジュバント(0%(群1)、1%(w/v)(群2)、及び2%(w/v)(群3))を用いた場合の3匹のイヌ対象における筋肉内投与後の平均血漿中濃度プロファイルの比較を示す。0%のMgClを用いて0.2mgの用量のアトロピンを投与されるイヌ対象には、0.9%(w/v)NaCl(群1)を用いた。
定義
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」には、文脈で特に明確に指示されない限り、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「活性薬剤(an active agent)」への言及には、単一の活性薬剤及び2つ以上の異なる活性薬剤の混合物が含まれ、また、「添加剤(excipient)」への言及には、単一の添加剤及び2つ以上の異なる添加剤の混合物が含まれる等となる。
本明細書で使用される場合、測定された量または時間との関連における用語「約」とは、測定を行い、測定の目的に見合ったレベルの注意を払う際に当業者によって予測されるような、その測定された量または時間の正常な変動を指す。特定の実施形態では、用語「約」には、記述された数±10%が含まれ、「約10」には9~11が含まれる、または1時間には54分~66分が含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「活性薬剤」とは、治療効果、予防効果、または他の意図される効果を生み出すことが意図される任意の物質を指し、それを目的として政府機関により承認されているか否かは問わない。特定の薬剤に関してのこの用語には、薬学的に活性な薬剤、ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物及び結晶形のすべてが含まれ、その場合、その塩、溶媒和物及び結晶形は治療的活性がある。
本明細書で使用される場合、用語「治療的に有効な」及び「有効量」とは、所望の治療結果を生み出すために必要とされる活性薬剤の量またはそれが投与される速度を指す。
用語「対象」とは、救助治療の必要性を示唆するアレルギー反応の臨床症状を示しているヒトもしくは動物、またはアレルゲン性物質もしくは毒に曝露されるリスクがあり、ER-APIにより予防的に処置されるヒトもしくは動物を指す。用語「対象」には、アレルギー反応もしくは中毒を治療する、予防する、もしくはそのリスクを低減するために医療介護者によりER-APIを用いて適切に処置される患者である、人または動物(例えば、イヌ)が含まれ得る。用語「対象」にはまた、臨床的に訓練されていない居合わせた人にとってアレルギー反応、例えば、アナフィラキシーショック、呼吸困難、腹部痙攣もしくは疼痛、胸痛もしくは胸部圧迫感、下痢、嚥下困難、めまい(眩暈)、不安、恐怖、顔面の紅潮、悪心もしくは嘔吐、心臓動悸、気道及び/または顔面及び/または眼及び/または舌の腫脹、意識消失、脱力、蕁麻疹、そう痒、うっ血、皮疹、喉のチクチクする感じ、涙目もしくは目のかゆみ、血圧降下、ならびにアレルギー反応を示唆する他の症状を経験しているように見える任意の人も含まれ得る。用語「対象」にはまた、臨床的に訓練されていない居合わせた人にとって、中毒反応、例えば、重度もしくは生命を脅かすムスカリン様作用の一過性の遮断、徐脈収縮不全心停止、及び中毒を示唆する他の症状を経験しているように見える任意の人も含まれ得る。
用語「の治療」及び「治療すること」には、ある状態の重症度を軽減することを目的とした活性薬剤(複数可)の投与が含まれる。
用語「の予防」及び「予防すること」には、活性薬剤の予防投与による、ある状態の発症の回避が含まれる。
用語「状態」または「状態(複数)」とは、アレルギー反応もしくは中毒の結果として一般的に認識されている医学的状態、例えば、アナフィラキシーショック、呼吸困難、腹部痙攣もしくは疼痛、胸痛もしくは胸部圧迫感、下痢、嚥下困難、めまい(眩暈)、不安、恐怖、顔面の紅潮、悪心もしくは嘔吐、心臓動悸、気道及び/または顔面及び/または眼及び/または舌の腫脹、意識消失、脱力、蕁麻疹、そう痒、うっ血、皮疹、喉のチクチクする感じ、涙目もしくは目のかゆみ、血圧降下、重度もしくは生命を脅かすムスカリン様作用の一過性の遮断、徐脈収縮不全心停止、あるいはそれらの組み合わせであり、対象に対する有効量のER-APIの適時投与によって治療、軽減または予防され得るものを指す。
用語「アジュバント」とは、活性薬剤の吸収を、例えば、Cmaxを増大させること、Tmaxを短縮すること、AUClast、AUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、AUCのうちの1つ以上を増大させること、発現時間を短縮すること、もしくはバイオアベイラビリティを増大させること、またはそれらの任意の組み合わせによって増強させるために医薬組成物中に組み込まれる薬剤を指す。アジュバントは、他のすべての点で不活性な場合もあれば、活性薬剤の吸収を増強することに加えて、意図する、または意図しない薬理学的作用をもたらす場合もある。
用語「吸収増強」とは、アジュバントを含まない製剤と比較した場合の、アジュバントを含む同じ製剤のCmaxの増大及び/またはTmaxの短縮及び/または発現時間の短縮及び/またはAUClastの増大及び/またはAUC0.25の増大及び/またはAUC0.5の増大及び/またはAUC0.75の増大及び/またはAUCの増大及び/またはバイオアベイラビリティの増大、あるいはそれらの任意の組み合わせを指す。
用語「非経口」とは、静脈内、動脈内、心内、脊髄内、骨内、関節内、滑膜内、皮内、皮下もしくは筋肉内等の経路による、注射、移植または浸潤による投与を意味する。
用語「注射」とは、ヒトまたは動物の、皮膚を介するかもしくは組織内への別個の部位への投与を意味する。
用語「移植」とは、ヒトまたは動物の、皮膚、組織、筋肉、腱、関節、もしくは身体の他の部位内に医薬組成物を埋め込むことによる別個の部位への投与を意味する。
用語「浸潤」とは、別個の注射部位、または手術部位もしくは開放創内への投与を意味する。
1/2は、投与された活性薬剤の初回用量の半分が対象の身体から排泄されるのに要する時間を指す薬物動態学的用語である。
maxは、Cmaxが観察される時間を指す薬物動態学的用語である。
maxは、活性薬剤の最高血漿中濃度を指す薬物動態学的用語である。
MRTlastは、最終観察可能時点まで計算された平均滞留時間を指す薬物動態学的用語である(例えば、MRTは、2時間まで計算された平均滞留時間を指す)。
AUClastは、最終観察可能時点まで計算された、時間の関数としての血漿中濃度の曲線下面積を指す薬物動態学的用語である(例えば、AUCは、2時間まで計算された曲線下面積を指す)。
AUCは、無限大まで外挿された、時間の関数としての血漿中濃度の曲線下面積を指す薬物動態学的用語である。
本明細書における値の範囲の記述は、本明細書で別段の指示がない限り、その範囲内に該当する別個の値それぞれに個々に言及する簡略な方法としての役割を果たすことを意図するにすぎず、それぞれの別個の値は、それが本明細書に個々に記述されているかの如く明細書に組み込まれる。本明細書に記載される方法はすべて、本明細書で別段に指示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、あらゆる好適な順序で実施可能である。本明細書で記載されるすべての例、または例示的な言い回し(例えば、「等の」)の使用は、特定の材料及び方法を明確にすることのみを意図しており、範囲に制限を設けるものではない。本明細書内のいかなる言語も、特許請求されていない任意の要素を、開示の材料及び方法の実施に不可欠な要素として示していると解釈されるべきではない。
剤形及び医薬組成物
様々な実施形態によれば、本発明は、アレルギー反応または中毒からの緊急救助のための医薬組成物に関連している。特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、筋肉内注射または皮下注射時にER-APIの吸収速度を促進する非経口的に許容されるアジュバント(例えば、薬学的に許容されるアジュバント)とを含む医薬組成物を対象とする。本発明に好適なアジュバントは、一酸化窒素誘導物質、ナイアシン、ナイアシン誘導体、ナイアシン代謝物、局所麻酔薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、硝酸塩及びそれらの組み合わせを含んでよい。特定の実施形態では、そのような医薬組成物は、アジュバントを含まない同じ医薬組成物と比較して、ER-APIの作用のより速い発現を提供する。
ER-APIは、現在知られている任意の緊急救助用医薬品有効成分でも、またはアレルギー反応もしくは中毒を効果的に中和もしくは予防するような使用について(製剤及び医療分野の)当業者によって容易に理解されるものでもあり得る。特定の実施形態では、好適なER-APIは、エピネフリン、アトロピン、それらの薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、ER-APIは、エピネフリンまたはその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態では、ER-APIは、アトロピンまたはその薬学的に許容される塩である。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、アレルギー反応もしくは中毒を経験しているか、または潜在的なアレルゲンもしくは毒への曝露に対する前処置をしている対象への筋肉内注射または皮下注射後に約5分未満である、作用発現(すなわち、ER-APIと関連する最初の検出可能な治療効果、例えば、アレルギー反応または中毒と関連する症状のうちのいずれかの検出可能な減少もしくは軽減)までの時間を提供する。
特定の実施形態では、医薬組成物は、アレルギー反応もしくは中毒を経験しているか、または潜在的なアレルゲンもしくは毒への曝露のために前処置を必要としている対象への筋肉内注射または皮下注射後に約4分以下、約3分以下、約2分以下または約1分以下である、作用発現(すなわち、アレルギー反応または中毒の少なくとも1つの症状を中和する)までの時間を提供する。特定の実施形態では、医薬組成物は、アレルギー反応もしくは中毒を経験している対象または潜在的なアレルゲンもしくは毒への曝露に対する前処置を必要としている対象への筋肉内注射または皮下注射時に、約5秒超、約10秒超、約15秒超、約30秒超、約45秒超もしくは約1分超から、約2分以下、約3分以下、約4分以下、もしくは約5分以下までの間、または任意のそれらの部分的範囲である、作用発現(すなわち、アレルギー反応または中毒の少なくとも1つの症状を中和する)までの時間を提供する。
他の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射後は約2.0時間以下、または対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への皮下注射後は約1時間以下である、ER-APIの最高血漿中濃度を達成するまでの平均時間を提供する。
他の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射後に約2時間以下、約1.5時間以下、約1時間以下、約0.75時間以下、約0.5時間以下、約20分以下、約15分以下、約10分以下、約5分以下、約3分以下、または約1分以下である、ER-APIの最高血漿中濃度を達成するまでの平均時間を提供する。他の実施形態では、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射後に約0.1時間以上、約0.2時間以上、約0.3時間以上、または約0.4時間以上から、約0.5時間以下、約1時間以下、約1.5時間以下、または約2.0時間以下までの間である、ER-APIの最高血漿中濃度を達成するまでの平均時間を提供する。
他の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への皮下注射後に約2時間以下、約1.5時間以下、約1時間以下、約0.9時間以下、約0.8時間以下、約0.75時間以下、約0.7時間以下、約0.6時間以下、約0.5時間以下、約20分以下、約15分以下、約10分以下、約5分以下、約3分以下、または約1分以下である、ER-APIの最高血漿中濃度を達成するまでの平均時間を提供する。他の実施形態では、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への皮下注射後に約0.1時間以上、約0.2時間以上、約0.3時間以上、または約0.4時間以上から、約1.0時間または約0.5時間以下までの間である、ER-APIの最高血漿中濃度までの平均時間を提供する。
特定の実施形態では、組成物は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に約2.0時間以下、約1.5時間以下、約1時間以下、約0.9時間以下、約0.8時間以下、約0.75時間以下、約0.7時間以下、約0.6時間以下、約0.5時間以下、約20分以下、約15分以下、約10分以下、約5分以下、約3分以下、または約1分以下である、ER-APIの最高血漿中濃度までの平均時間を提供し、また、アレルギー反応もしくは中毒を経験しているか、または潜在的なアレルゲンもしくは毒への曝露のために前処置を必要としている対象への筋肉内注射または皮下注射後に5分未満、約4分以下、約3分以下、約2分以下または約1分以下である、治療効果の発現も提供する。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に約2.0時間以下、約1.5時間以下、約1時間以下、約0.9時間以下、約0.8時間以下、約0.75時間以下、約0.7時間以下、約0.6時間以下、約0.5時間以下、約20分以下、約15分以下、約10分以下、約5分以下、約3分以下、または約1分以下である、エピネフリンの最高血漿中濃度までの平均時間(Tmax)を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に、アジュバントを含まない比較製剤のエピネフリンの最高血漿中濃度までの平均時間(Tmax)よりも短い、エピネフリンの最高血漿中濃度までの平均時間を提供する。例えば、本発明の平均Tmaxは、アジュバントを含まない比較製剤のそれよりも約1.1倍短い、約1.2倍短い、約1.3倍短い、約1.4倍短い、約1.5倍短い、約1.6倍短い、約1.7倍短い、約1.8倍短い、約1.9倍短い、または約2倍短い場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内投与または皮下投与後に、0.3mgのエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩あたり少なくとも約15ng/mLである、エピネフリンの平均最高血漿中濃度(Cmax)を提供する。
特定の実施形態では、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内投与または皮下投与後に、0.3mgのエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩あたり少なくとも約1ng/mL、少なくとも約3ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約7ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約18ng/mL、または少なくとも約20ng/mLである、エピネフリンの平均最高濃度を提供する。
特定の実施形態では、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内投与または皮下投与後に、0.3mgのエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩あたり約50ng/mL以下、約45ng/mL以下、約40ng/mL以下、約35ng/mL以下、約30ng/mL以下、約28ng/mL以下、約26ng/mL以下、約24ng/mL以下、または約22ng/mL以下である、エピネフリンの平均最高濃度を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に、アジュバントを含まない比較製剤のエピネフリンの平均最高血漿中濃度(Cmax)より高い、エピネフリンの平均最高血漿中濃度を提供する。例えば、Cmaxは、アジュバントを含まない比較製剤のそれより約1.1倍高い、約1.2倍高い、約1.3倍高い、約1.4倍高い、約1.5倍高い、約1.6倍高い、約1.7倍高い、約1.8倍高い、約1.9倍高い、または約2倍高い場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に、アジュバントを含まない比較製剤のエピネフリンのAUClastよりも大きいかまたは小さいAUClastを提供する。例えば、AUClastは、アジュバントを含まない比較製剤のそれよりも約1.1倍大きいかもしくは小さい、約1.2倍大きいかもしくは小さい、約1.3倍大きいかもしくは小さい、約1.4倍大きいかもしくは小さい、約1.5倍大きいかもしくは小さい、約1.6倍大きいかもしくは小さい、約1.7倍大きいかもしくは小さい、約1.8倍大きいかもしくは小さい、約1.9倍大きいかもしくは小さい、または約2倍大きいかもしくは小さい場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に、アジュバントを含まない比較製剤のエピネフリンのAUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCそれぞれより大きい、AUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCを提供する。例えば、AUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCはそれぞれ、アジュバントを含まない比較製剤のAUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCのそれより約1.1倍大きい、約1.2倍大きい、約1.3倍大きい、約1.4倍大きい、約1.5倍大きい、約1.6倍大きい、約1.7倍大きい、約1.8倍大きい、約1.9倍大きい、もしくは約2倍大きい場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のアトロピンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に約3.0時間以下、約2.5時間以下、約2.0時間以下、約1.5時間以下、約1時間以下、約0.9時間以下、約0.8時間以下、約0.75時間以下、約0.7時間以下、約0.6時間以下、約0.5時間以下、約20分以下、約15分以下、もしくは約10分以下、約5分以下、約3分以下、または約1分以下である、アトロピンの最高血漿中濃度までの平均時間(Tmax)を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のアトロピンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に、アジュバントを含まない比較製剤のアトロピンの最高血漿中濃度までの平均時間(Tmax)よりも短い、アトロピンの最高血漿中濃度までの平均時間を提供する。例えば、本発明の平均Tmaxは、アジュバントを含まない比較製剤のそれよりも約1.1倍短い、約1.2倍短い、約1.3倍短い、約1.4倍短い、約1.5倍短い、約1.6倍短い、約1.7倍短い、約1.8倍短い、約1.9倍短い、または約2倍短い場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のアトロピンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内投与または皮下投与後に、2mgのアトロピンまたはその薬学的に許容される塩あたり少なくとも約12ng/mLである、アトロピンの平均最高血漿中濃度(Cmax)を提供する。
特定の実施形態では、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内投与または皮下投与後に、2mgのアトロピンまたはその薬学的に許容される塩あたり少なくとも約12ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約25ng/mL、または少なくとも約30ng/mLである、アトロピンの平均最高濃度を提供する。
特定の実施形態では、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内投与または皮下投与後に、2mgのアトロピンまたはその薬学的に許容される塩あたり約100ng/mL以下、約75ng/mL以下、約50ng/mL以下、約45ng/mL以下、約40ng/mL以下、約35ng/mL以下、約30ng/mL以下、約25ng/mL以下、または約20ng/mL以下である、アトロピンの平均最高濃度を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のアトロピンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に、アジュバントを含まない比較製剤のアトロピンの平均最高血漿中濃度(Cmax)より大きい、アトロピンの平均最高血漿中濃度を提供する。例えば、Cmaxは、アジュバントを含まない比較製剤のそれより約1.1倍高い、約1.2倍高い、約1.3倍高い、約1.4倍高い、約1.5倍高い、約1.6倍高い、約1.7倍高い、約1.8倍高い、約1.9倍高い、または約2倍高い場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のアトロピンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に、アジュバントを含まない比較製剤のアトロピンのAUClastよりも大きいかまたは小さいAUClastを提供する。例えば、AUClastは、アジュバントを含まない比較製剤のそれよりも約1.1倍大きいかもしくは小さい、約1.2倍大きいかもしくは小さい、約1.3倍大きいかもしくは小さい、約1.4倍大きいかもしくは小さい、約1.5倍大きいかもしくは小さい、約1.6倍大きいかもしくは小さい、約1.7倍大きいかもしくは小さい、約1.8倍大きいかもしくは小さい、約1.9倍大きいかもしくは小さい、または約2倍大きいかもしくは小さい場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のアトロピンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への筋肉内注射または皮下注射後に、アジュバントを含まない比較製剤のアトロピンのAUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCそれぞれより大きい、AUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCを提供する。例えば、AUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCはそれぞれ、アジュバントを含まない比較製剤のAUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCより約1.1倍大きい、約1.2倍大きい、約1.3倍大きい、約1.4倍大きい、約1.5倍大きい、約1.6倍大きい、約1.7倍大きい、約1.8倍大きい、約1.9倍大きい、もしくは約2倍大きい場合がある。
特定の実施形態では、本明細書に記載される薬物動態値は、個々の対象(健常であるかまたはその治療を必要としている)から、または複数の対象(健常であるかまたはその治療を必要としている)から、本明細書に開示される医薬組成物のうちのいずれかの非経口投与後に得られ得る。
アジュバントの役割は、筋肉内注射または皮下注射後のER-API(例えば、エピネフリンもしくはその薬学的に許容される塩またはアトロピンもしくはその薬学的に許容される塩)の全身吸収速度を促進するかまたは速めることである。特定の実施形態では、アジュバントは血管拡張剤である。血管拡張剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、硝酸塩または塩化マグネシウムであってよい。
いくつかの実施形態では、アジュバントは塩化マグネシウムであり、医薬組成物中に、例えば、医薬組成物中約0.1%(w/v)~約50%(w/v)、約0.1%(w/v)~約30%(w/v)、約5%(w/v)~約30%(w/v)、約1%(w/v)~約25%(w/v)、約15%(w/v)~約25%(w/v)、約0.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1.5%(w/v)、1.5%(w/v)~3.5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約3.5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約3.0%(w/v)、約2.5%(w/v)~約3%(w/v)、約2.0%(w/v)~約4%(w/v)、約2.0%(w/v)~約3.0%(w/v)、約4.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.9%(w/v)、約1%(w/v)、約2%(w/v)、約2.8%(w/v)、約3%(w/v)、約4.7%(w/v)、約5%(w/v)、約10%(w/v)、約15%(w/v)、または約20%(w/v)の範囲の濃度で存在する。
特定の実施形態では、アジュバントは塩化マグネシウムであり、本明細書に記載される医薬組成物のうちのいずれか中に、約0.1%(w/v)~約10%(w/v)、約0.2%(w/v)~約5%(w/v)、もしくは約0.3%(w/v)~約3%(w/v)の範囲、またはその中の任意の単一の濃度値もしくは部分的範囲の濃度で存在する。
ACE阻害薬は、例えば、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、エナラプリラト、エスピラプリル(espirapril)、ホシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせを含んでよい。アンジオテンシン受容体遮断薬は、例えば、バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、カンデサルタン、オルメサルタン、サプリサルタン、タソサルタン、エリサルタン(elisartan)、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせから選択されてよい。カルシウムチャネル遮断薬は、例えば、アムロジピン、アニパミル、バルニジピン、ベニジピン、ベプリジル、ダロジピン、ジルチアゼム、エホニジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、リドフラジン、マニジピン、メピロジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ペルヘキシリン、チアパミル、ベラパミル、それらの薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせから選択されてよい。
特定の実施形態では、アジュバントは一酸化窒素誘導物質を含む。一酸化窒素誘導物質は、例えば、アミノ酸(例えば、アルギニン)であり得る。一酸化窒素誘導物質は、限定することなく、L-アルギニン、L-ホモアルギニン、N-ヒドロキシ-L-アルギニン、そのニトロン化類似体、そのニトロシル化類似体、その前駆体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。ニトロン化類似体は、例えば、ニトロン化L-アルギニン、ニトロン化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロン化L-ホモアルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。ニトロシル化類似体は、例えば、ニトロシル化L-アルギニン、ニトロシル化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロシル化L-ホモアルギニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。また、前駆体は、例えば、シトルリン、オルニチン、グルタミン、リジン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。一実施形態では、アジュバントはL-アルギニンであり、医薬組成物中に、例えば、医薬組成物あたり約0.1%~約50%、約5%~約30%、約15%~約25%の範囲、または約20%(w/v)のL-アルギニンの濃度で存在する。
特定の実施形態では、一酸化窒素誘導物質は、アルギナーゼ阻害剤、一酸化窒素合成酵素の基質、ニトログリセリン、アミル硝酸塩、及びそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、アルギナーゼ阻害剤は、例えば、N-ヒドロキシ-L-アルギニン、2(S)-アミノ-6-ボロノヘキサン酸またはそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。他の実施形態では、一酸化窒素合成酵素の基質は、サイトカイン、アデノシン、ブラジキニン、カルレティキュリン、ビサコジル、フェノールフタレイン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
他の実施形態では、アジュバントは、ナイアシン、ナイアシン誘導体、ナイアシン代謝物、またはそれらの組み合わせを含む。ナイアシン誘導体は、例えば、アシフラン、アシピモクス、ニセリトロール、イソニコチン酸、イソニコチノヒドラジド、カルボン酸ピリジン誘導体、3-ピリジン酢酸、5-メチルニコチン酸、ピリダジン-4-カルボン酸、ピラジン-2-カルボン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。特定の実施形態では、ナイアシン誘導体は、ニコチン酸のエステル、例えば、ニコチン酸メチル等のアルキルニコチン酸のエステルである。他の実施形態では、ナイアシン代謝物は、例えば、ニコチヌル酸、ニコチンアミド、6-ヒドロキシニコチンアミド、N-メチルニコチンアミド、ニコチンアミド-N-酸化物、N-メチル-2-ピリドン-5-カルボキサミド、N-メチル-4-ピリドン-5-カルボキサミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。特定の実施形態では、アジュバントはナイアシンであり、医薬組成物中に、医薬組成物あたり約0.1%~約15%、約0.5%~約5%の範囲、約1%、約2%、または約3%(w/v)のナイアシンの濃度で存在する。
特定の実施形態では、アジュバントは局所麻酔薬を含む。局所麻酔薬は、例えば、エステル系局所麻酔薬またはアミド系局所麻酔薬であってよい。エステル系局所麻酔薬は、例えば、ベンゾカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、テトラカイン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。また、アミド系局所麻酔薬は、例えば、アルチカイン、ブピバカイン、ジブカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
特定の実施形態では、アジュバントはホスホジエステラーゼ阻害剤を含む。ホスホジエステラーゼ阻害剤は、例えば、ホスホジエステラーゼ1阻害剤、ホスホジエステラーゼ2阻害剤、ホスホジエステラーゼ3阻害剤、ホスホジエステラーゼ4阻害剤、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。他の実施形態では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、例えば、ビンポセチン、EHNA(エリスロ-9-(2-ヒドロキシ-3-ノニル)アデニン)、アナグレリド、エノキシミン(enoximine)、シロミラスト、エタゾラート、グラウシン、イブジラスト、メセンブリン、ロリプラム、ペントキシフィリン、ピクラミラスト、ジピリダモール、アセチルデナフィル、アバナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル、バルデナフィル、ミルリノン、アムリノン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
特定の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物及び剤形は、剤形あたり約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、または約1%から、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約70%、または約80%(w/v)までの間のアジュバントを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物及び剤形は、剤形あたり約0.1%~約30%、約0.5%~約25%、または約1%~約20%(w/v)のアジュバントを含む。
活性薬剤
本明細書に開示される送達システム及び医薬組成物には、様々な活性薬剤またはそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。薬学的に許容される塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等のような無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩等のような有機酸塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸等のようなスルホン酸塩;アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のようなアミノ酸塩、及びナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等のような金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のようなアルカリ土類金属;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩等のような有機アミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される送達システム及び医薬組成物には、緊急救助用医薬品有効成分(ER-API)が含まれる。特定の実施形態では、ER-APIは、エピネフリン、アトロピン、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせである。
特定の実施形態では、ER-APIは、医薬製剤中に約0.001mg/ml~約10mg/ml、約0.005mg/ml~約9mg/ml、約0.01mg/ml~約8mg/ml、約0.05mg/ml~約7mg/ml、約0.1mg/ml~約5mg/ml、約0.3mg/ml~約2.5mg/ml、約0.5mg/ml~約1.5mg/ml、または約1mg/mlで存在し、かつ非経口投与に適合している、エピネフリンまたはその薬学的に許容される塩である。
特定の実施形態では、ER-APIは、エピネフリンまたはその薬学的に許容される塩であり、その医薬製剤(例えば、非経口製剤)は、約0.05mg、約0.1mg、約0.15mg、または約0.2mgのいずれかから、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、または約0.5mgのいずれかまでの(エピネフリンベースの)用量を含んでよい。
特定の実施形態では、医薬組成物は、治療的有効量のエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容される吸着増強量の塩化マグネシウムとを含む非経口製剤であり、非経口的に許容される吸着増強量の塩化マグネシウムは、約0.1%(w/v)~約10%(w/v)、約0.2%(w/v)~約5%(w/v)、もしくは約0.3%(w/v)~約3%(w/v)の範囲であるか、またはその中の任意の単一の濃度値もしくは部分的範囲である。
特定の実施形態では、ER-APIは、医薬製剤中に約0.001mg/ml~約10mg/ml、約0.005mg/ml~約9mg/ml、約0.01mg/ml~約8mg/ml、約0.05mg/ml~約7mg/ml、約0.1mg/ml~約5mg/ml、約0.3mg/ml~約2.5mg/ml、約0.5mg/ml~約1.5mg/ml、または約1mg/mlで存在し、かつ非経口投与に適合している、アトロピンまたはその薬学的に許容される塩である。
特定の実施形態では、ER-APIは、アトロピンまたはその薬学的に許容される塩であり、その医薬製剤(例えば、非経口製剤)は、約0.05mg、約0.1mg、約0.15mg、もしくは約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、または約0.5mgのうちのいずれかから、約1mg、約1.25mg、約1.5mg、約1.75mg、約2mg、約2.25mg、約2.5mg、約2.75mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、または約5mgのうちのいずれかまでの(アトロピンベースの)用量を含んでよい。
特定の実施形態では、医薬組成物は、治療的有効量のアトロピンまたはその薬学的に許容される塩と、非経口的に許容される吸着増強量の塩化マグネシウムとを含む非経口製剤であり、非経口的に許容される吸着増強量の塩化マグネシウムは、約0.1%(w/v)~約10%(w/v)、約0.2%(w/v)~約5%(w/v)、もしくは約0.3%(w/v)~約3%(w/v)の範囲であるか、またはその中の任意の単一の濃度値もしくは部分的範囲である。
予防的治療
本発明の特定の実施形態の目的は、アレルゲンもしくは毒への曝露のリスクがある対象でのアレルギー反応もしくは中毒を予防するかまたは最小限に抑えるための方法を提供することである。例えば、法執行機関の職員または最初の医療対応者は、意図的もしくは非意図的に毒(例えば、神経剤)が放出された可能性があるか、そうでなければ毒が存在していることが疑われる環境または場所(例えば、犯罪現場または緊急事態)に入る前に、本発明によるER-APIで前処置され得る。また、アレルゲンまたは毒を伴う環境災害地域の労働者は、その環境に存在し得るアレルゲンまたは毒の毒性を回避するために前処置され得る。予防的治療方法を対象とする実施形態では、投与される組成物として、本明細書に開示される医薬組成物を含めることができるが、これに限定されない。例えば、予防的治療のためのER-APIの投与では、筋肉内投与もしくは皮下投与のための本願開示の製剤を用いることができ、また、経口、経鼻、経肺、経皮、直腸、または静脈内のER-API投与経路を用いることもできる。
薬学的に許容される添加剤
本発明による医薬組成物は、筋肉内投与または皮下投与に適切な1つ以上の薬学的に許容される担体及び添加剤を含んでよい。可能である薬学的に許容される担体及び添加剤の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association(6th Edition,2009 Publication)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。筋肉内用製剤及び皮下用製剤に好適な担体及び添加剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、希釈剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、親水性ポリマー、付加的な吸収もしくは透過性の促進剤、保存剤、浸透圧性薬剤、等張性薬剤、pH調整剤、溶媒、共溶媒、粘稠性薬剤、ゲル化剤、懸濁剤、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される製剤のための好適な界面活性剤としては、ポリソルベート80 NF、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアラート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレアート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノイソステアラート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタントリラウラート、ソルビタントリオレアート、ソルビタントリステアラート等、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される医薬組成物のための好適な等張性薬剤としては、デキストロース、ラクトース、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、グリシン等、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される製剤のための好適な懸濁剤としては、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムNF、ポリアクリル酸、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、キサンタンガム等、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、医薬組成物には、1つ以上の懸濁剤が、医薬組成物の総重量の約0.1重量%~約15重量%、または約0.25重量%~約10重量%、または約1重量%~約8重量%の量で含まれ得る。
緊急救助を提供する方法
特定の実施形態では、本開示は、緊急救助を必要とする対象に、それを提供する方法を対象とする。この方法は、それを必要とする対象に対し、ER-API、及び任意選択で、ER-APIの作用の発現がアレルギー反応もしくは中毒を回復させるかまたは部分的に回復させるのに十分な時間内に達成されるようアジュバントを投与することを含む。特定の実施形態では、本発明は、アレルギー反応(例えば、アナフィラキシーショック)または毒によって引き起こされた医学的緊急事態を経験している対象に緊急に投与されることを意図している。そのような状況では、医薬組成物は典型的に、対象がアレルギー反応または中毒の症状を経験していることが認められた際に、医療従事者、救急救命士、法執行機関の一員、家族、知人、または居合わせた人によって投与される。いくつかの実施形態では、方法はさらに、投与する段階の前に、対象がアレルギー反応または中毒を経験していることを確認することを含む。
本発明により治療されるアレルギー反応または中毒は、現在知られている任意のアレルゲンもしくは毒から、または、例えば、化学神経剤、殺虫剤中毒、アレルゲン(例えば、花粉、ピーナッツ及び木の実等のナッツ、乳、卵、貝、小麦、大豆、魚類、昆虫刺傷、ハチによる刺傷等)、もしくはそれらの組み合わせのうちのいずれかが含まれるが、これらに限定されない使用について(製剤及び医療分野の)当業者によって容易に理解されるものから生じ得る。
いくつかの実施形態では、ER-API及びアジュバントは、それぞれ別々に投与される。他の実施形態では、ER-API及びアジュバントは、単一剤形になった配合剤として一緒に投与される。いくつかの実施形態では、ER-API及びアジュバントは、いずれも同じ投与経路、すなわち、筋肉内または皮下により投与される。他の実施形態では、ER-API及びアジュバントは、異なる投与経路により投与される。
一実施形態では、ER-API及びアジュバントは、いずれもそれを必要とする対象に筋肉内投与により投与される。
別の実施形態では、ER-API及びアジュバントは、それを必要とする対象に皮下投与により投与される。
鼻腔内製剤
特定の実施形態では、本発明は、鼻腔内または吸入による投与に好適な医薬製剤を対象とする。鼻腔内医薬製剤は、治療的有効量のER-API(例えば、エピネフリンもしくはアトロピンまたはその薬学的に許容される塩)、及び鼻腔内投与または吸入による投与後のER-APIの吸収速度を促進する薬学的に許容されるアジュバント(例えば、鼻腔内で許容されるアジュバント)を含んでよい。アジュバントには、塩化マグネシウム等の、本明細書でこれまでに記載されているアジュバントのうちのいずれかが含まれてよい。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、鼻腔内で許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、鼻腔内で許容されるアジュバントを含まない比較医薬組成物の作用発現までの時間(すなわち、ER-APIの投与と関連する最初の検出可能な治療効果、例えば、アレルギー反応または中毒と関連する症状のうちのいずれかの検出可能な減少もしくは軽減)よりも短い、作用発現までの時間を提供する。
他の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、鼻腔内で許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への鼻腔内または吸入による投与後に、鼻腔内で許容されるアジュバントを含まない比較医薬組成物の最高血漿中濃度までの平均時間よりも短い、最高血漿中濃度までの平均時間を提供する。例えば、本発明の平均Tmaxは、アジュバントを含まない比較製剤のそれよりも、例えば、約1.1倍短い、約1.2倍短い、約1.3倍短い、約1.4倍短い、約1.5倍短い、約1.6倍短い、約1.7倍短い、約1.8倍短い、約1.9倍短い、約2倍短い、約3倍短い、または約4倍短い場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、鼻腔内で許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への鼻腔内または吸入による投与後に、アジュバントを含まない比較製剤のER-APIの平均最高血漿中濃度(Cmax)より大きい、ER-APIの平均最高血漿中濃度を提供する。例えば、Cmaxは、アジュバントを含まない比較製剤のそれより約1.1倍高い、約1.2倍高い、約1.3倍高い、約1.4倍高い、約1.5倍高い、約1.6倍高い、約1.7倍高い、約1.8倍高い、約1.9倍高い、または約2倍高い、約4倍高い、約8倍高い、約12倍高い、または約16倍高い場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、鼻腔内で許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への鼻腔内投与後に、アジュバントを含まない比較製剤のAUC0-infより大きいAUCinfを提供する。例えば、AUCinfは、アジュバントを含まない比較製剤のそれより約1.1倍大きい、約1.2倍大きい、約1.3倍大きい、約1.4倍大きい、約1.5倍大きい、約1.6倍大きい、約1.7倍大きい、約1.8倍大きい、約1.9倍大きい、もしくは約2倍大きい、約4倍大きい、約6倍大きい、約8倍大きい、または約10倍大きい場合がある。
特定の実施形態では、本発明は、治療的有効量のER-APIと、鼻腔内で許容されるアジュバントとを含む医薬組成物を対象とし、ここで、製剤は、対象(例えば、健常である、または他の点では健常である対象)の集団への鼻腔内投与後に、アジュバントを含まない比較製剤のAUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCそれぞれより大きい、AUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCを提供する。例えば、AUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCはそれぞれ、アジュバントを含まない比較製剤のAUC0.25、AUC0.5、AUC0.75、またはAUCより約1.1倍大きい、約1.2倍大きい、約1.3倍大きい、約1.4倍大きい、約1.5倍大きい、約1.6倍大きい、約1.7倍大きい、約1.8倍大きい、約1.9倍大きい、もしくは約2倍大きい場合がある。
特定の実施形態では、鼻腔内または吸入による投与のための医薬組成物の、最高血漿中濃度までの平均時間、最高血漿中濃度、及び/またはAUCinfは、非経口製剤について本明細書でこれまでに記載されている範囲と同じ範囲内になってよい。
特定の実施形態では、本明細書に記載される薬物動態値は、鼻腔内投与もしくは吸入による投与に好適な本明細書に開示される医薬組成物のうちのいずれかの鼻腔内投与後もしくは吸入による投与後に、個々の対象(健常であるかまたはその治療を必要としている)から、または複数の対象(健常であるかまたはその治療を必要としている)から得られ得る。
アジュバントの役割は、鼻腔内投与後または吸入による投与後にER-API(例えば、エピネフリンもしくはその薬学的に許容される塩またはアトロピンもしくはその薬学的に許容される塩)の全身吸収速度を促進するかまたは速めることである。特定の実施形態では、アジュバントは塩化マグネシウムである。
いくつかの実施形態では、アジュバントは塩化マグネシウムであり、鼻腔内医薬組成物中に、例えば、医薬組成物中約0.1%(w/v)~約50%(w/v)、約0.1%(w/v)~約30%(w/v)、約5%(w/v)~約30%(w/v)、約1%(w/v)~約25%(w/v)、約15%(w/v)~約25%(w/v)、約0.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1.5%(w/v)、約1.5%(w/v)~約2.5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約3.5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約3.0%(w/v)、約2.5%(w/v)~約3%(w/v)、約2.0%(w/v)~約4%(w/v)、約2.0%(w/v)~約3.0%(w/v)、約4.5%(w/v)~約5%(w/v)、約0.9%(w/v)、約1%(w/v)、約2%(w/v)、約2.8%(w/v)、約3%(w/v)、約4.7%(w/v)、約5%(w/v)、約10%(w/v)、約15%(w/v)、または約20%(w/v)の範囲の濃度で存在する。
特定の実施形態では、鼻腔内または吸入による医薬組成物には、アジュバントとして塩化マグネシウムが約0.1%(w/v)~約10%(w/v)、約0.2%(w/v)~約5%(w/v)、もしくは約0.3%(w/v)~約3%(w/v)の範囲、またはその中の任意の単一の濃度値もしくは部分的範囲の濃度で含まれる。
特定の実施形態では、鼻腔内または吸入による投与のための医薬組成物は、水溶液、懸濁液、またはエマルジョンであってよい。そのような医薬組成物は、経鼻投与に適合しているデバイス、例えば、限定することなく、鼻腔用アトマイザー/ネブライザーデバイス、多回投与用定量スプレーポンプ、単回投与もしくは2回投与用スプレーデバイス等を介して対象に投与されてよい。
特定の実施形態では、医薬製剤(例えば、吸入用製剤)は、1吸入あたり約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.125mg、約0.15mg、約0.175または約0.2mgのうちのいずれかから、約0.225mg、約0.25mg、約0.275mg、約0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、または約0.5mgのうちのいずれかまでの(ER-APIの)用量を含む。
特定の実施形態では、医薬組成物は、鼻腔内投与または吸入による投与に好適な製剤であり、治療的有効量のエピネフリンまたはその薬学的に許容される塩と、吸着増強量の塩化マグネシウムとを含み、吸着増強量の塩化マグネシウムは、約0.1%(w/v)~約10%(w/v)、約0.2%(w/v)~約5%(w/v)、もしくは約0.3%(w/v)~約3%(w/v)の範囲であるか、またはその中の任意の単一の濃度値もしくは部分的範囲である。
特定の実施形態では、医薬組成物は、鼻腔内投与または吸入による投与に好適な製剤であり、治療的有効量のアトロピンまたはその薬学的に許容される塩と、吸着増強量の塩化マグネシウムとを含み、吸着増強量の塩化マグネシウムは、約0.1%(w/v)~約10%(w/v)、約0.2%(w/v)~約5%(w/v)、もしくは約0.3%(w/v)~約3%(w/v)の範囲であるか、またはその中の任意の単一の濃度値もしくは部分的範囲である。
薬物送達システム及びキット
特定の実施形態では、本発明は、注射デバイスと、本明細書に開示される医薬製剤(例えば、非経口)とを含有する、薬物送達システムまたはキットを対象とする。特定の実施形態では、注射デバイスは、医薬製剤が予め充填されている。特定の実施形態では、注射デバイスは、本明細書に開示される医薬製剤が予め充填されている、シリンジ、バイアル、ペン型注射器、または自己注射器である。
特定の実施形態では、本発明は、鼻腔内投与または吸入による投与のためのデバイス(例えば、鼻腔用アトマイザー/ネブライザーデバイス、多回投与用定量スプレーポンプ、単回投与もしくは2回投与用スプレーデバイス)を含有する、薬物送達システムまたはキットを対象とする。特定の実施形態では、鼻腔内投与または吸入による投与のためのデバイスは、医薬製剤が予め充填されている。
特定の実施形態では、薬物送達システムまたはキットは、活性薬剤及びアジュバントを別々の容器(例えば、別々のバイアル、別々のシリンジバレル、別々のコンパートメント等)に含む。一実施形態では、ER-API(例えば、エピネフリンもしくはその薬学的に許容される塩、またはアトロピンもしくはその薬学的に許容される塩)が1つの容器に、アジュバント(例えば、MgCl)は別の容器入っており、投与(例えば、非経口、鼻腔内、または吸入によるもの)の前にER-APIをアジュバントと混合する。
特定の実施形態では、活性薬剤(例えば、エピネフリンもしくはその薬学的に許容される塩、またはアトロピンもしくはその薬学的に許容される塩等のER-API)は、薬物送達システムまたはキットにおいて溶液または粉末の形態である。特定の実施形態では、アジュバントは、薬物送達システムまたはキットにおいて溶液または粉末の形態である。
一実施形態では、薬物送達システムまたはキットは、活性薬剤(例えば、エピネフリンもしくはその薬学的に許容される塩、またはアトロピンもしくはその薬学的に許容される塩等のER-API)の溶液を1つの容器に、またアジュバント(例えば、MgCl)溶液を別の容器に含む。活性薬剤溶液及びアジュバント溶液は、投与前に混合される。一実施形態では、活性薬剤溶液が、自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)の1つのコンパートメントに入っており、アジュバント溶液は、自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)内の別のコンパートメントに入っており、この2液が、投与(例えば、非経口、鼻腔内、または吸入による)の前に自己注射器内で混合される。別の実施形態では、活性薬剤溶液は1つのバイアルに、アジュバント溶液は別のバイアルに入っており、これらのバイアルの内容物を投与前に(例えば、本明細書に記載されるキットの一部であり得るシリンジ及び針を用いて、一方のバイアルの内容物を別のバイアル内に移すことによって)混合する。
一実施形態では、本明細書に記載される薬物送達システムまたはキットは、活性薬剤(例えば、エピネフリンもしくはその薬学的に許容される塩、またはアトロピンもしくはその薬学的に許容される塩等のER-API)の溶液を1つの容器に、またアジュバント(例えば、MgCl)粉末を別の容器に含む。活性薬剤溶液及びアジュバント粉末は、投与前に混合される。一実施形態では、活性薬剤溶液が、自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)の1つのコンパートメントに入っており、アジュバント粉末は、自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)内の別のコンパートメントに入っており、この粉末と溶液が、投与前に自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)内で混合される。別の実施形態では、活性薬剤溶液が1つのバイアル(またはプレフィルドシリンジバレル等)に入っており、アジュバント粉末は別のバイアルに入っており、投与(例えば、非経口、鼻腔内、または吸入による)の前に活性薬剤溶液をアジュバント粉末に(例えば、本明細書に記載されるキットの一部であり得るシリンジ及び針を用いて活性薬剤溶液をアジュバント粉末容器内に移すことによって)加えて、アジュバント粉末を懸濁または溶解させてよい。
一実施形態では、本明細書に記載される薬物送達システムまたはキットは、活性薬剤(例えば、エピネフリンもしくはその薬学的に許容される塩、またはアトロピンもしくはその薬学的に許容される塩等のER-API)の粉末を1つの容器に、またアジュバント(例えば、MgCl)溶液を別の容器に含む。活性薬剤粉末及びアジュバント溶液は、投与(例えば、非経口、鼻腔内、または吸入による)の前に混合される。一実施形態では、活性薬剤粉末が、自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)の1つのコンパートメントに入っており、アジュバント溶液は、自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)の別のコンパートメントに入っており、粉末及び溶液が投与前に自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)内で混合される。別の実施形態では、活性薬剤粉末は1つのバイアルに、アジュバント溶液は別のバイアル(またはプレフィルドシリンジバレル等)に入っており、投与(例えば、非経口、鼻腔内、または吸入による)の前にアジュバント溶液を活性薬剤粉末に(例えば、本明細書に記載されるキットの一部であり得るシリンジ及び針を用いてアジュバント溶液を活性薬剤粉末の容器内に移すことによって)加えて、活性薬剤粉末を懸濁または溶解させる。
一実施形態では、本明細書に記載される薬物送達システムまたはキットは、活性薬剤(例えば、エピネフリンもしくはその薬学的に許容される塩またはアトロピンもしくはその薬学的に許容される塩等のER-API)の粉末を1つの容器に、アジュバント(例えば、MgCl)粉末を別の容器に、また溶媒をさらに別の容器に含む。活性薬剤粉末、アジュバント粉末、及び溶媒は、投与前に混合される。一実施形態では、活性薬剤粉末が、自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)の1つのコンパートメントに入っており、アジュバント粉末は、自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)の別のコンパートメントに入っており、溶媒は、自己注射器のさらに別のコンパートメントに入っていて、投与(例えば、非経口、鼻腔内、または吸入による)の前に粉末が溶媒に懸濁または溶解するようになっている。別の実施形態では、活性薬剤粉末は1つのバイアルに、アジュバント粉末は別のバイアルに入っており、溶媒は、さらに別のバイアル(またはプレフィルドシリンジバレル等)に入っていて、投与(例えば、非経口、鼻腔内、または吸入による)の前に溶媒を、活性薬剤粉末及び/またはアジュバント粉末に(例えば、本明細書に記載されるキットの一部であり得るシリンジ及び針を用いて溶媒を活性薬剤粉末及び/またはアジュバント粉末の容器(複数可)内に移すことによって)加えて、粉末を懸濁または溶解させる。
特定の実施形態では、本明細書に記載される薬物送達システムまたはキットは、投与(例えば、非経口、鼻腔内、または吸入による)の前には、合わせて粉末形態になっている活性薬剤(例えば、エピネフリンもしくはその薬学的に許容される塩、またはアトロピンもしくはその薬学的に許容される塩等のER-API)及びアジュバント(例えば、MgCl)を1つの容器に含み、薬学的に許容される溶媒は別の容器に保存されている。一実施形態では、活性薬剤粉末及びアジュバント粉末は、一緒に混合されて自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)の1つのコンパートメントに入っており、薬学的に許容される溶媒は、投与前に粉末混合物が溶媒に懸濁または溶解するよう、自己注射器(または鼻腔内または吸入による投与のためのデバイス)内の別のコンパートメントに保存されてよい。別の実施形態では、活性薬剤粉末及びアジュバント粉末は、一緒に混合されて1つのバイアルに入っており、溶媒は別のバイアル(またはプレフィルドシリンジバレル等)に入っていてよく、投与(例えば、非経口、鼻腔内、または吸入による)の前に溶媒を粉末混合物に(例えば、本明細書に記載されるキットの一部であり得るシリンジ及び針を用いて溶媒を粉末混合物の容器内に移すことによって)加えて、粉末混合物を懸濁または溶解させる。
特定の実施形態では、本明細書に記載される薬物送達システムまたはキットは、ニードルゲージが約18ゲージ~約35ゲージの範囲の針を含む。例えば、本明細書に記載される医薬組成物のうちのいずれかの非経口投与に使用される針は(別々の針であっても自己注射器デバイスの針であっても)、18ゲージ、20ゲージ、21ゲージ、22ゲージ、23ゲージ、25ゲージ、27ゲージ、29ゲージ、31ゲージ、または33ゲージであってよい。
これまで開示されている、%(w/v)で表された活性薬剤及び/またはアジュバントの濃度の範囲及び/または値は、投与直前にすべての成分が一緒に混合された際の最終濃度を指す。
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載されており、本明細書で記載され、かつ特許請求されている本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきではない。当業者の技量の範囲内と考えられる、現在知られているかもしくは後に開発される任意もしくはすべての均等物の置換等のような本発明の変形、及び製剤の変更または治療設計の軽微な変更は、本明細書に組み込まれる本発明の範囲内に入ると見なされるべきである。
実施例1:エピネフリンの研究デザイン
MgClアジュバントの濃度を変えて(0%MgClの生理食塩水試料、1%MgClの水溶液、及び2%MgClの水溶液)エピネフリン(0.2mgの用量、1mg/mLの濃度)の吸収を検討した。各エピネフリン製剤を3匹のイヌ対象に筋肉内投与した。エピネフリンの吸収の薬物動態プロファイルを評価するために、各対象から様々な時点(投与前、投与後2.5分、投与後5分、投与後10分、投与後20分、投与後30分、投与後60分、及び投与後120分)での8つの血液試料を採取した。エピネフリン研究デザインの詳細を、群1~3に関して下表1にまとめた。MgClの濃度を変えたイヌでの筋肉内投与後のエピネフリンの血漿中濃度を図1及び下表2にまとめた。
Figure 2023523894000002
Figure 2023523894000003
図1及び表2から分かるように、MgClを含むエピネフリン製剤(群2及び群3)では、MgClを含まないエピネフリン製剤よりも高いCmaxが達成された。また、2%MgClを含むエピネフリン製剤では、MgClを含まないエピネフリン製剤と比較してTmaxが短縮されることも図1及び表2から観察され得る。さらに、MgClを含むエピネフリン製剤で観察されたAUClastは、MgClを含まないエピネフリン製剤のそれより大きい。限定するものと解釈されることなく、上記データに基づくと、MgClは、Cmaxを増大させること、及び/またはTmaxを減少させること、及び/またはAUClastを増大させることによってエピネフリンの吸収を増強すると考えられる。
実施例2:アトロピン研究デザイン
MgClアジュバントの濃度を変えて(0%MgClの生理食塩水試料、1%MgClの水溶液、及び2%MgClの水溶液)アトロピン(0.2mgの用量、1mg/mLの濃度)の吸収を検討した。各アトロピン製剤を3匹のイヌ対象に筋肉内投与した。アトロピンの吸収の薬物動態プロファイルを評価するために、各対象から様々な時点(投与前、投与後2.5分、投与後5分、投与後10分、投与後20分、投与後30分、投与後60分、及び投与後120分)での8つの血液試料を採取した。アトロピン研究デザインの詳細を、群4~6に関して下表3にまとめた。MgClの濃度を変えたイヌでの筋肉内投与後のアトロピンの血漿中濃度を図2及び下表4にまとめた。
Figure 2023523894000004
Figure 2023523894000005
図2及び表4から分かるように、1%MgClを含むアトロピン製剤(群5)では、MgClを含まないアトロピン製剤(群4)よりも高いCmaxが達成される。さらに、MgClを含むアトロピン製剤(群5及び群6)で観察されたAUClastは、MgClを含まないアトロピン製剤(群4)のそれより大きい。限定するものと解釈されることなく、上記データに基づくと、MgClは、Cmaxを増大させること、及び/またはTmaxを減少させること、及び/またはAUClastを増大させることによってアトロピンの吸収を増強すると考えられる。
前述の説明では、本発明の完全な理解が得られるよう、具体的な材料、寸法、工程パラメータ等のような多数の具体的な詳細が記載されている。特定の特徴、構造、材料、または特性を、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせてよい。「例」または「例示的」という語は、本明細書では、例(example)、例(instance)、または実例の役割を果たすことを意味するために使用される。「例」または「例示的」として本明細書に記載される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様もしくは設計よりも好ましいかまたは有利であると解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示的」という語の使用は、概念を具体的な方法で提示することを単に意図している。本出願で使用される場合、用語「または」は、排他的な「または」よりもむしろ包括的な「または」を意味することを意図している。すなわち、他に明記されているかまたは文脈から明らかでない限り、「XにはAまたはBが含まれる」は、自然の包括的な並べ替えのいずれも意味することを意図している。すなわち、XにはAが含まれる;XにはBが含まれる;またはXにはA及びBの両方が含まれる、という場合には、前述の例のいずれの下でも「Xには、AまたはBが含まれる」が満たされている。本明細書全体を通して、ある実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、または「一実施形態(one embodiment)」とは、ことを意味する、その実施形態と関連して記載されている特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所における、ある実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、または「一実施形態(one embodiment)」という語句の出現は、必ずしもすべてが同一の実施形態に言及しているわけではない。
本発明は、それらの特定の例示的実施形態を参照しながら記載されている。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。本明細書で示され記載されている変更に加え、本発明の様々な変更が当業者には明らかとなり、それらは添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。

Claims (20)

  1. 治療的有効量の緊急救助用医薬品有効成分(ER-API)と、非経口的に許容される吸収増強量のアジュバントとを含む非経口製剤であって、前記ER-APIがオピオイド拮抗薬ではない、前記非経口製剤。
  2. 前記製剤が、前記アジュバントを含まない同じ製剤と比較して、注射時に前記ER-APIの全身吸収速度を促進する、請求項1に記載の非経口製剤。
  3. 前記製剤が、アレルギー反応または中毒を経験している対象への筋肉内注射または皮下注射時に、前記アジュバントを含まない同じ製剤と比較して短い、緊急救助作用の発現までの時間を提供する、請求項1に記載の非経口製剤。
  4. 前記ER-APIが、エピネフリンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1~3のいずれかに記載の非経口製剤。
  5. 前記ER-APIが、アトロピンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1~3のいずれかに記載の非経口製剤。
  6. 前記製剤が、アレルギー反応または中毒を経験している対象への筋肉内注射または皮下注射後に、約5分以下、約4分以下、約3分以下、約2分以下、及び約1分以下である、緊急救助作用の発現までの時間を提供する、請求項1~5のいずれかに記載の非経口製剤。
  7. 前記製剤が、健常対象の集団への筋肉内投与または皮下投与後に約2.0時間以下である、前記ER-APIの最高血漿中濃度までの平均時間を提供する、請求項1~5のいずれかに記載の非経口製剤。
  8. 前記製剤が、健常対象の集団への筋肉内注射または皮下注射後に約1.5時間以下、約1時間以下、約0.75時間以下、約0.5時間以下、約20分以下、約15分以下、約10分以下、約5分以下、約3分以下または約1分以下である、前記ER-APIの最高血漿中濃度までの平均時間を提供する、請求項1に記載の非経口製剤。
  9. 前記アジュバントが塩化マグネシウムを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の非経口製剤。
  10. 前記アジュバントが、筋肉内注射または皮下注射時に前記ER-APIの前記全身吸収速度を増加させる、請求項1~9のいずれか1項に記載の非経口製剤。
  11. 前記アジュバントが、前記非経口製剤中に約0.1%(w/v)~約50%(w/v)で存在する、請求項1~10のいずれか1項に記載の非経口製剤。
  12. アレルギー反応または中毒を経験している対象に緊急救助を提供する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~10のいずれかに記載の製剤を筋肉内または皮下に投与することを含む、前記方法。
  13. 請求項1~10のいずれかに記載の製剤を含有する注射デバイスを含む、薬物送達システム。
  14. 治療的有効量の緊急救助用医薬品有効成分(ER-API)と、吸収増強量の非経口的に許容されるアジュバントとを含むキットであって、前記ER-API及び前記アジュバントが独立して溶液形態または粉末形態にあり、かつ、前記ER-API及び前記アジュバントが別々の容器または1つの容器のいずれかに保存されている、前記キット。
  15. 前記ER-APIが、エピネフリンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項14に記載のキット。
  16. 前記ER-APIが、アトロピンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項14に記載のキット。
  17. 前記アジュバントが塩化マグネシウムである、請求項14~16のいずれか1項に記載のキット。
  18. 前記注射デバイスが自己注射器である、請求項14~17のいずれか1項に記載のキット。
  19. 前記自己注射器に、前記ER-APIの溶液、前記非経口的に許容されるアジュバントの溶液、または両方が予め充填されている、請求項18に記載のキット。
  20. シリンジ及び針をさらに含む、請求項14~19のいずれか1項に記載のキット。
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