JP2023523275A - 疼痛管理のためのカンナビクロメン製剤 - Google Patents

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Abstract

賦形剤と共に、一次カンナビノイドとしてのカンナビクロメンと、任意選択で、最大で一次カンナビノイドの質量の5%の量の1つ又は複数の二次カンナビノイドとを含む、疼痛管理のための製剤を提供する。製剤は、テトラヒドロカンナビノールを本質的に含まない。製剤により管理する疼痛の種類には、限定されるものではないが、神経障害性疼痛、がん、外傷、事故、手術又は組織損傷による疼痛の処置が含まれる。製剤の使用の方法、用量及び剤形を記載する。

Description

関連出願の相互参照
本出願では、2020年4月24日出願の米国特許仮出願第63/015,039号、2020年9月30日出願の米国実用特許出願第17/038,048号、及び2021年2月3日出願の米国特許仮出願第63/145,040号の利点及び優先権を主張し、それぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は概して、医薬としての使用のための製剤に関する。詳細には、本開示は、疼痛管理における使用のためのカンナビノイド製剤に関する。
疼痛管理を必要とする個体は、疼痛の軽減をもたらすが、意図しない副作用、例えば、胃の不調、便秘、及び嗜癖のリスクを伴う、医薬の選択肢に頼ることが多い。オピエート薬物の代替物が、緊急に必要とされている。
カンナビノイドは、大麻草から単離する構造的に類似する化合物の一群であり、これは、細胞内のカンナビノイド受容体を活性化する。カンナビノイドは、合成し得る、又は大麻草若しくは植物抽出物(本明細書では、カンナビノイド含有植物抽出物)から単離し得る。カンナビノイドは、相当量の天然に存在する他の化合物、例えば、他のカンナビノイド又は植物由来分子、例えば、テルペンを含まない、ほぼ純粋、又は本質的に純粋な形態で得られる限りにおいて、植物又は抽出物から単離することができる。公知のカンナビノイドとしては、限定されるものではないが、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビクロメン(CBC)、テトラヒドロカンナビジバリン(tetrahydrocannabidivarin)(THCV)、テトラヒドロカンナビノール酸(tetrahydrocannabinolic acid)(THCA)、カンナビゲロール(cannabigerol)(CBG)、カンナビジバリン(cannabidivarin)(CBDV)、カンナビノール(CBN)及びカンナビノール酸(cannabidiolic acid)(CBDA)が挙げられる。大麻草は、種々の目的のために望ましい場合に、種々の量の特定のカンナビノイドを有するように繁殖させ得る。THC及びCBDはこれまで、目的の主たるカンナビノイドであると考えられていた。
CBDは、医薬的作用が広範に研究されている。CBDは、5HT1A受容体媒介神経伝達、並びにアナンダミド代謝と、CB1及びCB2媒介応答を促進するTRPV1受容体チャネルの活性化とに対する作用を有するものとされている(Crippa JS 2018)。
Δ9-THCによって、CB1及びCB2受容体に対する部分的アゴニスト活性がCB1受容体との高い結合親和性で発揮され、この精神賦活活性が生じる。
カンナビクロメン(CBC)は、アサ(Cannabis sativa)植物に天然に見出される、主要な非精神賦活カンナビノイドである。
しかし、大麻草におけるこのようなカンナビノイドのそれぞれの割合は、環境的生長条件、地理的な位置、遺伝学、及び化学種に依存する(Lewis M A 2017)。
CBCは、CB2受容体のみに対して中程度の親和性(Ki約100ナノモル)を有し、1マイクロモルを超える濃度においてのみCB1受容体に結合する(Shinjyo N 2013)。脳内での主要なCBC活性は、アナンダミドの細胞取込みの阻害によるCB1受容体の間接的活性化(De Petrocellis L 2011)及びTRPA1(一過性受容体電位A1)チャネルの活性化(Izzo and Capasso R 2012)に部分的に依存することが示唆されている。実際、CBCは、TRPA1チャネルにおける、すべてのフィトカンナビノイドの最も強力なアゴニストであることが見出されている(Maione S 2011)。また、CBCは、抗炎症作用が示されている(Izzo and Capasso R 2012)。
CBDは、Δ9-THCと相乗的に作用し、薬用大麻抽出物の鎮痛作用に寄与し得ることが実証されている(Russo 2011)。
CB1及びCB2受容体によるCBCのアゴニスト活性によって、CB1及びCB2受容体の結合及び活性化を介してこれらの活性を発揮する、他のカンナビノイドの作用を強める有望な手法を提供することができる。
カンナビノイドの医薬としての使用は公知であり、特に疼痛を処置する製剤について記載されている。国際公開第2007/083098号(GW Pharma Ltd社)では、神経変性の処置のためのカンナビノイド含有植物抽出物について記載している。米国特許出願公開第2016/0106705号(United Cannabis Corp.社)では、不安、疼痛、及び関連障害の緩和における使用のための、少なくとも4つのカンナビノイド及びテルペン又はフラボノイドを有する大麻抽出物について記載している。国際公開第2016/044370号(India Globalization Capital Inc.社)では、THC、CBD及びコバラミンの組合せを含む局所的疼痛緩和製剤について教示している。国際公開第2013/165251号(ECHO Pharmaceuticals BV社)では、THC含有単離物を得るための薄膜蒸発方法について記載しており、これは、ごく微量のCBN又はCBDを有し得る。国際公開第2012/144892号(Fytagoras BV社)では、酸性カンナビノイド、例えば、THC、CBD及び疾患に対する動物の天然細胞抵抗性を増強させるための他のカンナビノイドの使用について記載している。更に、国際公開第2012/160358号(GW Pharma Ltd.社)では、神経障害性疼痛の処置としてCBG、CBC、CBDV及びTHCVの少なくとも1つの使用について記載している。
THCを除いて、特定の個々のカンナビノイドが、一次医薬的作用を有する可能性は、完全には探索されていない。疼痛の管理における使用に有利な特性を有するカンナビノイド製剤を提供することが望ましい。
国際公開第2007/083098号 米国特許出願公開第2016/0106705号 国際公開第2016/044370号 国際公開第2013/165251号 国際公開第2012/144892号 国際公開第2012/160358号
Crippa JS 2018 Lewis M A 2017 Shinjyo N 2013 De Petrocellis L 2011 Izzo and Capasso R 2012 Maione S 2011 Kim SHら、1992 Collocaら、2017 Statistical Analysis Abidら、2018 Batesら、2015 Cudalbuら2013 Houら2018
疼痛の管理及び処置のためのこれまでの製剤の少なくとも1つの不利益を、取り除くか又は和らげることが本開示の目的である。
カンナビクロメンは、THC又は他の公知のカンナビノイドを本質的に含まない一次薬用成分として作用可能なものとしては、これまでには確立されていなかった。
本明細書に記載の製剤は、それを必要とする対象による疼痛管理における使用のための製剤である。本明細書に記載の製剤は、疼痛管理の方法における医薬としての使用のための製剤であり得る。製剤は、一次カンナビノイド及び賦形剤を含み、ここで、一次カンナビノイドは、カンナビクロメン(CBC)からなり、製剤は、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない。
疼痛管理のため及び疼痛管理のための医薬の調製のための製剤の使用を記載する。
また、疼痛管理における使用説明書と共に製剤を含む、商用パッケージを記載する。
また、それを必要とする対象における疼痛管理のための方法を記載する。この方法は、一次カンナビノイド及び賦形剤を含む有効量の製剤を対象に投与する工程を含み、ここで、この一次カンナビノイドは、カンナビクロメン(CBC)からなり、この製剤は、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない。
本開示の他の態様及び特徴は、次の特定の実施形態の説明を審査すれば、当業者に明らかとなる。
有利には、精神賦活作用のため、カンナビノイド、例えば、THCの摂取を望まない個体が、一次カンナビノイドとしてCBCを有する製剤を摂取し、有効な疼痛管理を更に行うことができる。
ここで、本開示の実施形態を、例示のみのために添付の図面を参照して記載する。
種々の処置群:プレガバリン、カンナビクロメン(CBC)10mg/kg及び溶媒についての実施例3において試験した時点にわたる動物の体重変化を示す図である。処置群間の体重において有意差は示されない。 脊髄神経結紮(SNL)モデルの検証を提供する図である。データにより、SNL手術後7日のevFにより測定した脊髄神経結紮(SNL)誘導器質的過敏症の強度に対するカンナビクロメンの処置作用の発現前に、すべての群においてアロディニアの存在が確認される。データは、プレガバリン、CBC 10mg/kg及び溶媒について、ベースライン+SEMに対する百分率として示す。 evFにより測定したSNL誘導器質的過敏症の強度に対する別個の複数回用量の作用を示す図である。データは、処置群間(パネルA)及び種々の時点における処置群内(パネルB)の各群:溶媒、プレガバリン及びCBC 10mg/kgについて、ベースライン+SEMに対する百分率として示す。 曲線下面積(AUC)及びパーセント退肢閾値(PWT)に基づく鎮痛作用の測定を提供する図である。パネルAは、ベースラインPWTに対するパーセント変化を示し、パネルBは、溶媒、プレガバリン及びCBC 10mg/kg処置群についての対応する%PWT曲線のAUCを示す。 すべての試験群におけるベースライン(BL)及びD7の差異のPCAに基づくSNL誘導運動表現型を示す、判別ベクトル棒グラフを示す図である。左パネル:元々のベクトルグラフ。右パネル:特徴的な歩容の特徴のグラフであり、SNL運動表現型を最も表し、矢印により強調及び明示する。 溶媒、プレガバリン及びCBC 10mg/kg群のサブセット内の全体的歩容能力(全体的歩容スコア)を示す図である。パネルAでは、種々の時点において処置群を相互に比較し、パネルBでは、処置群内の種々の時点を比較する。 SNLラットの全体的歩容能力を例示する図である。カンナビクロメンによる処置前後のSNL動物の移動運動の静止画像モーショングラフを示す。モーショングラフにより、1秒間のモーションを、3つの異なる側面から記録した映像の運動学的歩容能力評価の例として例示する。左側のパネルはベースラインを呈し、右側のパネルは、投与後5hの同一動物の運動性を示す。 ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における肢測定歩容変数を例示する図である。強調したパネルは、ステップ幅-前肢[mm]及び同側肢間整合性についての、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。 ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における左/右カップリング、趾及び尾の歩容変数を示す図である。強調したパネルは、趾クリアランス-後肢[m]、趾クリアランス-前肢[m]、突出-後肢[m]及び退縮-後肢についての、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。 ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における尾先端、遊脚筋反射測定、臀部及び膝歩容変数を示す図である。強調したパネルは、膝ROM偏差[deg]についての、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。 ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における足根及び臀部高さ/筋反射測定、尾先端測定、及び頭部回旋歩容変数を示す図である。強調したパネルは、足根ROM偏差度ベースライン、平均臀部筋反射[m/s3]及び平均臀部筋反射[m/s3]についての、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。 ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における趾昇、肢軌道測定、肢距離、及び負荷サイクル歩容変数を示す図である。強調したパネルは、肢軌道形状25%、後肢[%]及び相対軌道長、前肢についての、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。 ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における支持測定歩容変数を示す図である。強調したパネルの非存在は、溶媒と比較した、カンナビクロメンで処置したマウスの支持測定において、カンナビクロメンによる処置時に統計学的に有意なパラメータが観察されないことを示す。 ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における臀部、膝、及び足根角度歩容変数を示す図である。強調したパネルは、臀部角度、最大度;膝角度、最小度;足根角度、最小度;及び足根角度、最大度についての、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。 CBC処置対溶媒による、ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における突出、退縮、及び趾クリアランス並びにステップ幅歩容変数を示す図である。パネルAは突出:後肢を示し、パネルBは退縮:後肢を示し、パネルCはステップ幅:前肢を示し、パネルDは趾クリアランス後肢を示し、パネルEは趾クリアランス前肢[m]を示す。 種々の軸に対する神経障害性疼痛作用対鎮静作用をモデル化する図である。カンナビノイド群により、疼痛軸(Y軸)における処置作用が実証され得るが、同時に、鎮静作用(X軸)の変化も存在し得る。 2つの成分:SNLモデル作用及び学習作用の直交化プロセスを示す図である。 処置後0~24時間のCBCの最終鎮痛作用を示す図である。データは、学習作用に対して直交化したSNLモデル作用に基づいて解析する。 鎮静作用がモデル作用に対して直交性であることを示す図である。独立的最終鎮静作用スコアは、SNLモデル及び学習作用の両方に対して直交性である。 処置後5~24時間のステップ又は平均した歩容パラメータに基づいてXYプロットとして示す、CBCの鎮痛対鎮静作用スコアを示す図である。 投与後5~24時間の個々のステップ又は歩容パラメータに基づいてXYプロットとして示す、CBCの鎮痛対鎮静作用スコアを示す図である。 実施例5のベースラインからの平均%BW変化として示す体重増加を示す図である。データは、平均値±SEMとして示す。 実施例5の指示時点における平均ACTスコアの処置群内比較を示す図である。 実施例5の指示時点における平均ACTスコアの処置群間比較を示す。
概して本開示では、疼痛管理のためのカンナビクロメン製剤、及び疼痛を管理するための方法を提供する。製剤中の一次カンナビノイドとして頼る場合、カンナビクロメンが疼痛管理に対する作用を有し得ることは、これまでに認識されていなかった。
それを必要とする対象による疼痛管理における使用のための製剤を記載する。製剤は、一次カンナビノイド及び賦形剤を含む。一次カンナビノイドは、カンナビクロメン(CBC)からなる。製剤は、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まず、これは、少量及びわずかな量が、例えば、CBCの質量の2%以下の量で存在し得ることを意味する。疼痛の管理は、製剤中の一次カンナビノイドとしてCBCの特異な存在が驚くべきことに見出されたことに起因し得る。
一次カンナビノイド及び賦形剤を含む、それを必要とする対象による疼痛管理の方法における使用のための製剤であって、この一次カンナビノイドが、カンナビクロメン(CBC)からなり、この製剤が、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない、製剤を本明細書において記載する。本質的に含まないとは、わずかな量、例えば、一次カンナビノイドの質量と比較して2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、又は0.1質量%以下を意味し得る。
製剤は、神経障害性疼痛、がん、化学療法、炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後の神経痛、末梢神経障害、多発性硬化症、外傷、事故、手術又は組織損傷による疼痛を処置するために使用し得る。
製剤は、1つ又は複数の二次カンナビノイド、好ましくはカンナビジオール(CBD)を更に含み得る。
製剤は、最大で一次カンナビノイドの質量の15%の量の1つ又は複数の二次カンナビノイドを含み得る。
製剤は、丸剤、錠剤、ゲルカプセル、シロップ、油性スプレー及び液体油の形態からなる群から選択される剤形で存在し得る。
製剤により、1用量あたり総量約1mg~約25mg、好ましくは約5mg~約20mgの一次カンナビノイドを提供し得る。
それを必要とする対象における疼痛管理のための製剤の使用、又はこのような疼痛管理のための医薬の調製のための使用を本明細書において記載する。
疼痛管理における使用説明書と共に製剤を含む、商用パッケージを本明細書において記載する。
一次カンナビノイド及び賦形剤を含む有効量の製剤を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象による使用のための疼痛管理のための方法であって、この一次カンナビノイドが、カンナビクロメン(CBC)からなり、この製剤が、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない、方法を本明細書において記載する。
方法において管理する疼痛には、神経障害性疼痛、がん、化学療法、炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後の神経痛、末梢神経障害、多発性硬化症、外傷、事故、手術又は組織損傷による疼痛の軽減を含み得る。
記載の方法では、製剤は、1つ又は複数の二次カンナビノイド、好ましくはカンナビジオール(CBD)を更に含み得る。
方法において使用する製剤は、最大で一次カンナビノイドの質量の15%の量で製剤中に存在する1つ又は複数の二次カンナビノイドを含み得る。方法は、丸剤、錠剤、ゲルカプセル、シロップ、油性スプレー及び液体油の形態からなる群から選択される剤形で投与する工程を含み得る。
方法は、1用量あたり総量約1mg~約25mg、好ましくは1用量あたり約5mg~約20mgの一次カンナビノイドを対象に提供する量の製剤を対象に投与する工程を含み得る。
一次カンナビノイド。用語「一次」は、本明細書に記載するように、目的とする疼痛管理の作用に第1の貢献をするカンナビノイドを示すことを意図する。CBCは、一次カンナビノイドであり、驚くべきことに、疼痛管理の文脈において相当量の他のカンナビノイドを用いずに使用する場合に有効であることが見出されている。別のカンナビノイドが製剤中に少ない量で存在する場合、その存在量のために、当該別のカンナビノイドは「一次」カンナビノイドにはならない。しかし、他のカンナビノイドは、製剤中に二次カンナビノイドとして存在し得る。
カンナビノイド源。1つ又は複数の大麻草などの天然源由来の製剤、特にその抽出物中には、一次カンナビノイドCBCが存在し得る。或いは、一次カンナビノイドは、1つ若しくは複数の単離された源から得てもよく、又はこれにより所望のカンナビノイドの1つ若しくは複数を合成する合成源から得てもよい。天然及び合成カンナビノイドのブレンドを使用してもよく、これにより、(生長条件又は他の理由により)変動し得る含有量を有する天然源を、合成源又は単離源を用いた調整により、所定量に標準化し得る。
抽出物は、存在する一次カンナビノイドのいずれかの量を劇的に変化又は補充することを必要とせずに、所望の一次カンナビノイド比に特に適するカンナビノイド比の生成を促す条件下で特別に修飾又は生長させた植物から得られ得る。
カンナビノイドの精製が望ましい場合、エタノール抽出又はCO2に基づく抽出などの抽出方法を使用し得る。
カンナビノイドは、製剤中に偶発的に存在する場合があり、存在するとしても、このような更なるカンナビノイド成分の量により、製剤の疼痛管理の特徴が減少したり又はこれに著しく影響したりはしない。
疼痛管理。疼痛管理のためのこの製剤の使用目的は、がん関連疼痛の他、神経障害性疼痛、がんにより生じる疼痛、又は非がん関連疼痛、炎症に伴う疼痛、外傷、事故、手術若しくは組織損傷症状による急性疼痛、例えば、関節炎及び関節痛、感染症による疼痛、胃腸に由来する疼痛、或いは他の源による疼痛を含み得る。
対象及び集団。製剤は、ヒト又はペット(伴侶動物、例えば、イヌ又はネコ)並びに使役動物、例えばウマにより使用し得る。
目的とする徴候における疼痛管理のための処置作用を必要とする対象は、医療イベント又は必要性が生じる前、間又は後に、製剤を使用し得る。多くの理由から、がん疼痛により衰弱している場合があり、がん処置により有痛性のエピソードが生じる可能性もある。本明細書に記載の製剤による管理によって、オピエートの使用に内在する問題、例えば、便秘及び嗜癖を回避することができる。嗜癖により製剤の乱用、最終的には、その性質において予想外な不法調達が引き起こされる場合があり、これにより、過量投与が引き起こされ得る。
非がん疼痛に関しては、例えば、疼痛が一般に予測され得る手術を受ける前に、製剤を予防的に使用して、予測される疼痛を減少させ得る。外傷又は事故による予想外の損傷の疼痛では、製剤は、より劣悪又はより有害な鎮痛薬、例えば、オピオイド又はNSAID鎮痛剤の代わりに急性的又は継続的に使用し得る。
送達の方法及び形態。製剤は、例えば、丸剤、錠剤、ゲルカプセル、シロップ、油性スプレー及び液体油の形態による、経口送達に適する。経口形態は、食品によって又は栄養補助食品として提供してもよく、これを食品に加えて口当たりを改善するか又は対象が摂取し易くし得る。局所的又は経鼻吸収が可能である。脂溶性担体、又はナノ若しくはマイクロ粒子、又は乳濁剤を使用してもよく、これにより高度に脂溶性のカンナビノイドを更に容易に吸収させることができる。製剤は、静脈内、筋肉内、又は眼内送達のための注射剤として調製し得る。製剤は、例えば、ベイピング、気化器若しくは嗅ぎタバコにより蒸気によって送達し得るか、又は加熱して揮発及び吸入させてもよく、これは「喫煙」であると考えることができる。
投薬。CBCは、処方剤形の一次カンナビノイドである。他のカンナビノイドは、製剤中に存在し得る。1投薬あたりに基づくと、一次カンナビノイドの総量は、1用量あたり0.1mg~50mg、例えば、1mg~25mg又は5mg~20mgの範囲に及び得る。液体、例えば油により送達する場合、量は、mg/mLに基づいて表してもよく、例えば、1用量あたり0.1mg/mL~50mg/mL、例えば、1用量あたり1mg/mL~25mg/mL又は5mg/mL~20mg/mLである。投薬は、必要に応じて疼痛経験の重症度により使用し得るが、個体によって、必要に応じて製剤を使用することが望ましく、1日1回(必要でない場合は、それ未満)から、より頻繁に、例えば、4時間毎の頻度で1日に6回用量服用の範囲に及び得る。
例となる製剤は、固形剤形、例えば、丸剤、錠剤、又は顆粒含有カプセルであり得る。或いは、製剤は、液体ベースであってもよく、単離若しくは合成一次カンナビノイドを含み得る、又は相当量のCBCを有する油性大麻抽出物であり得る。製剤は、油などの液体形態、及び油性スプレー、又は液体含有ゲルカプセル(ソフトゲルカプセル)であり得る。液体含有又はゲル含有カプセルを使用する場合、これらは、容量が制限される場合があり、例えば、およそ200μLの容量に制限され得る。投薬範囲としての上述のミリグラム量は、そのような各カプセルに含まれてもよく、又はカプセルは、mg/mL単位であまり濃縮せずに製剤化し得る。あまり濃縮されていいカプセルを使用する場合、投薬は、1用量あたりの摂取カプセル数を増加させることにより送達することが適切である。
賦形剤及び製剤の成分。製剤は、薬物又はカンナビノイドの製剤化において公知の任意の許容される賦形剤を包含し得る。このような成分は、デンプン、セルロース、アルギン酸、コロイド状ケイ素、ステアリン酸などの潤滑剤、塩、水性及び非水性(脂溶性)成分を含み得る。当業者が理解するように、製剤処方に関して通常の考慮がなされ得る。
炎症性疼痛管理における使用のための製剤
炎症に伴う疼痛は、根底にある原因に応じて高度に変動し得る。末梢侵害受容性知覚線維の興奮性の増大に起因し得る炎症性疼痛は、本発明の製剤により対処することができる。疼痛を生じる知覚神経におけるイオンチャネル活性の変化を減少させることができる。これにより、慢性炎症と関連する多くの症状に対処することができる。
炎症性疼痛を有する個体は、一定用量の次の油性カンナビノイド製剤を定期的、例えば6時間毎に経口摂取し得る。
製剤は、油性液体中20mg/mLのCBC及び1mg/mLのCBDを含む。適切な間隔で、個体は、1mLを経口的に服用し得る。
最初に個体は、製剤1mLを1日2回の頻度で摂取することにより開始し得る。個体が製剤に順応するようになるため、用量は、1日4~6回の服用で1~2mLの用量に達するまで経時的に高量に用量決定し得る。
外傷による疼痛を管理するための製剤
急性及び予想外の事故又は外傷に伴う疼痛により個体が衰弱している場合があり、これは、処置及び回復のプロセスを遅らせる。
外傷により生じた個体が経験している急性疼痛では、製剤を使用してこの疼痛を管理し得る。次いで、個体は、定期的に又は必要に応じて、次の油性カンナビノイドのカプセル製剤の用量を、疼痛が許容されるレベルに鎮静するまで経口摂取し得る。
製剤は、1カプセルあたりおよそ200μLの容量を有するソフトゲルカプセル内に存在する。各カプセルは、CBC 10mgを油性液体中に含む。ソフトゲルカプセルは、油性液体をゼラチンベースのシェルにより被包し、このシェルは、一般に公知の他のゲルカプセル成分、例えばグリセリン又はソルビトールを組み込んでもよく、これにより容易な嚥下が可能となる。適切な間隔で、個体は1カプセルを経口的に服用し得る。
個体は、1~4カプセルを1日2~4回の頻度で摂取し得る。用量に良好な耐容性を示す場合及び個体が製剤に順応するようになる場合、用量を、より多い量に増加させ得る。経時的に個体が外傷から回復し、疼痛が減少するにつれて、使用頻度は1日2回1カプセルの用量に下げて用量決定し得るか、又は必要に応じて頻度を下げる。
神経障害性疼痛における疼痛管理
要約。疼痛を経験している個体による使用のための、疼痛管理のための製剤について説明する。製剤は、疼痛の管理に最適な量のカンナビクロメンを含む。賦形剤、希釈剤又は担体を製剤中に含む。製剤により管理可能な疼痛の種類は、限定されるものではないが、炎症、化学療法、がん、糖尿病、外傷、事故、手術又は組織損傷による疼痛の処置を含む。脊髄神経結紮(SNL)モデルは、例えば、多発性硬化症(MS)、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後の神経痛、又は末梢神経障害(広汎性神経損傷)による疼痛を試験する適切な動物系である。この実施例により、このカンナビクロメン製剤の疼痛の動物モデルにおける有効性を例示する。接触性アロディニアの有意な及び高度に有意な回復、並びにSNL誘導機能的活動の改善が、カンナビクロメンによりもたらされた。カンナビクロメンは、接触性アロディニアに対して、参照鎮痛薬(プレガバリン、50mg/kg)よりも高い有効性を呈した。まとめると、カンナビクロメンにより、疼痛管理における使用に適する、高度に強力な鎮痛作用が例示された。歩容解析結果によって、カンナビクロメンにより運動神経障害、他のカンナビノイド、例えば、CBD及びTHCの顕著な寄与作用の消失が回復することが明らかとなる。
はじめに。世界人口の大部分は、疼痛に悩まされている。疼痛のための安全かつ有効な処置が望まれている。この試験の目的は、脊髄神経結紮(SNL)誘導器質的過敏症及び運動学的能力の変化に対するカンナビクロメン(CBC)の作用を評価することであった。SNL誘導モデルは、疼痛緩和に対するカンナビクロメンの作用を示す。歩容解析及び他にパラメータにより、カンナビクロメン10mg/kgを受けた処置群における器質的過敏症及び運動学的能力の有意な改善が示された。器質的過敏症の減少により、SNL誘導神経障害性疼痛の運動学的能力が改善した。改善は、対照媒体と比較して、並びにGABA(ガンマアミノ酪酸)類似体であるプレガバリンの鎮痛作用と比較して示され、このプレガバリンは、現在の処置選択肢の1つである。
カンナビクロメンは、製剤中の唯一の成分として有効であり、相当量で存在すべき他のカンナビノイドの必要性なく鎮痛作用をもたらし得る。CBCを含む製剤により、問題となる作用と関連する疼痛緩和薬、例えばオピオイドの使用の顕著な減少が可能となり得る。
試験の目的。この試験の目的は、脊髄神経結紮(SNL)誘導器質的過敏症及び運動学的能力の変化に対するカンナビクロメン(CBC)処置の作用を評価することであった。
脊髄神経結紮手術により、末梢(坐骨)神経において部分的除神経が生じ、これにより坐骨神経支配部位において接触性過敏症(アロディニア)が誘発される。SNLラットモデルは、1992年に最初に記載されており(Kim SHら、1992)、L4及びL5脊髄神経上に固く結紮を行うことにより実施する。神経障害性疼痛は、世界中のすべての人々の最大10%において、生活の質のいくつかの態様に影響し得る(Collocaら、2017)。神経障害性疼痛のための有効かつ安全な処置が必要とされている。カンナビノイドは、内在性カンナビノイド系を用いた反応により、いくつかの機能を有する。カンナビクロメンは、種々の疼痛型の軽減における使用のための有望な候補である。これまでに、カンナビクロメンは、植物性疼痛緩和製剤中に偶発的に存在すると考えられており、CBDとTHCとの組合せに大きく焦点が置かれていた。
試験プロトコールは、次の工程により実施した。
D-7からD-1:手術前に、電子von Frey検査(evF)による接触性アロディニアのベースライン検査(ナイーブラットの器質的感受性);ベースライン歩容解析。
D0:脊髄神経結紮手術。
D0からD6:術後ケア期間。
D7:外傷ベースラインアロディニア、及びSNLにより誘導される運動能力の変化を(それぞれ)定義するevF及び歩容解析。また、D7検査により、投与前の感受性及び運動能力を定義した。
D8:0hに、カンナビクロメン又はプレガバリンの投与;投与後(PD)2h、4h、及び8hにevF;PD 5h及び9hに歩容解析。
D9:PD 24hにevF検査。D9の最終検査後、各群の一部を安楽死させた。
D10(残りのラット):0hに、カンナビクロメン又はプレガバリンの投与;PD 2h、4h、及び8hに、PK血漿試料採取。
D11:安楽死時24hのPK血漿試料採取と共に脳及び腰椎DRGの試料採取。
材料及び方法
検査製剤。検査製剤は、Purisys社のAdvanced Cannabinoids(Athens GA、米国)によりCharles River Laboratories Discovery Serices(CRL DS)に送達した。検査製剤は、供給業者により提供された説明書詳細に従って取り扱い、保存し、用量処方を調製した。
設備、試薬及び溶液。次の材料及び物質を試験において使用した。スチールメッシュ検査板:Ugo Basile社、独国。プレキシガラス検査チャンバー:Ugo Basile社、独国。電子von Frey検査ハード及びソフトウェア: Somedic社、スウェーデン。MotoRater:TSE Systems社、Homburg、独国。ガス麻酔設備:Harvard Apparatus社。液体イソフルラン:Attane Vet社。光学顕微鏡:Zeiss Stereomicroscope社、Stemi DV4。恒温手術ブランケットサーモスタット及びプローブ:Harvard Apparatus社。結紮用絹縫合糸 6-0 Ethicon社。ポリアミド縫合糸(5-0):Ethicon社。ブプレノルフィンTemgesic(登録商標): Oriola社フィンランド。0.9% NaCl(食塩水):Braun社。
検査動物。すべての動物実験は、実験動物のケア及び使用について、フィンランド国立動物実験委員会により認定されたライセンスに明示するように、かつ、国立衛生研究所(Bethesda、MD、米国)のガイドラインに従って実施した。雄のスプラーグ・ドーリーラット226匹を独国Charles River社から購入し、高い割合の動物が軽度の器質的過敏症を示すか又はまったく示さず、適切な群の大きさが得られた。
ラットの体重は、SNL手術日に200~300gであった。動物は、標準温度(22±1℃)及び光制御環境(点灯は7am~8pm)で飼育し、餌及び水は自由摂食とした。
すべての動物に脊髄神経結紮(SNL)手術を行った。群の大きさは、n=15となるように計画した。予想外に多数の除外後、最終的な群の大きさは、n=7~12となった。
処置群に次の検査物質混合物を投与した。
群1:溶媒(0.9%の食塩水)で処置
群2:プレガバリン(50mg/kg)で処置
群3:CBC(10m/kg)で処置
すべてのラットは、D9行動検査の完了まで同一の検査デザインに従った。
各群由来のラット6匹によりPK群を形成し、10日目に、対応する検査物質の第2の用量をこれらに投与した後、PK血漿試料採取を行った。エンドポイント試料は、これらのラットのみから採取した。
処置の施行。CBC(カンナビクロメン)製剤、溶媒又はプレガバリン処置を、試験8日目にすべての試験動物に、試験10日目に1群あたり6匹にTable1(表1)に従って施した。CBC又は溶媒の投与経路は、胃内(p.o.)投与であり、一方、プレガバリンは、腹腔内(i.p.)に投与した。D8に加えて、プレガバリンは、D9のevf検査前に2時間投与した。プレガバリン群のすべての動物は、D9の最終検査試行後に安楽死させた。CBCは、溶解及び希釈して、次の溶媒のうちの1つを作製した。
溶媒1:食塩水中15mg/mLのトウモロコシ油、10%のエタノール、5%のKolliphor HS(溶媒投与に使用、CBCを希釈)
溶媒3:食塩水中500mg/mLのトウモロコシ油、10%のエタノール、5%のKolliphor HS、最終製剤に使用する(すべての製剤の油濃度を同一レベルとするため)
Table1(表1)は、この実施例に使用した検査物質(CBC)、プレガバリン及び溶媒による処置群を示す。
Figure 2023523275000001
脊髄神経結紮(SNL)手術。動物は、1日コホートn=6(1日あたりの手術動物数に従う)によるSNL手術に登録した。ラットは、手術前に最低30分、0.03mg/kgのブプレノルフィン(Temgesic)の腹腔内用量を最初に投与して、神経障害に無関係な手術及び術後の疼痛を軽減させた。ラットは、70%のN2O及び30%のO2中のイソフルランにより、300ml/分の流量で麻酔した。麻酔は、2~3分間の5%のイソフルランにより誘導し、その後は1~2%のイソフルランを用いた鼻マスクにより維持した。
L3からS2に及ぶ背側切開を、無菌操作を使用してラットの内背側部に実施した。鈍的及び鋭的切開の組合せを使用してL6/S1後関節間突起を露出させた。脊柱のL6横突起を可視化し、神経を操作せずに部分的に除去した後、椎間孔から出現するこれらの神経より遠位のL4及びL5脊髄神経を露出させた。6-0絹縫合糸の固い二重結びを両方の脊髄神経上に行った。
結紮の実施後、組織層及び創傷を閉じ、動物は、恒温のケージ内で麻酔から覚醒させた。
術後ケア期間を1日2回、術後更に7日間設け、次の手順を含んだ。
全身状態及び福祉を慎重に観察すると共に、動物の手術した肢及び歩容を監視した。
創傷が適切に閉じるまで1日2回、手術創及び縫合を点検し、必要に応じて適切に消毒した。
術後最初の2日、およそ12時間毎に、0.03mg/kgのブプレノルフィンをs.c.で投与した。
手術直後に無菌食塩水4mlをi.p.で補水し、1日2回を更に7日、又は更なる体重減少が生じなくなるまで継続した。
接触性アロディニア検査(evF)。この試験では、穿刺刺激に対する器質的感受性を、電子von Frey(evF)デバイスを添付の解析ソフトウェア(Somedic(登録商標)、スウェーデン)と共に使用することによって6つの時点で定義した。
ベースラインevFの前に、検査における驚愕性過敏症を減少させる目的で、2日間連続で2~3分間、ラットに事前に触った。ベースライン検査前に最大3日、事前に触った。
先天的に過敏症を呈するラットは、試験に不適格とした。過敏症は、1mmのプローブによる退肢閾値(PWT)のベースラインが<20gとして定義した。ベースラインevF検査の後、手術前にラットを秤量して付番した。
evF検査を実施するために、ラットは、高くしたスチールメッシュ上に位置する個々のvon Frey検査チャンバー内に配置した。ラットは、チャンバー内に順応させ、それらがチャンバーを確認し、グルーミングして落ち着いた後(およそ15分)検査を行った。
器質的アロディニアは、SNL手術前にevF検査により評価して(ベースライン)、試験動物の個々の「生得的」感受性レベルを定義した。次いで、SNL後のD7にevFを実施して、SNL手術により誘発された過敏症を評価し、投与前感受性の値を評価した。翌日(D8)、投与後(PD)2h、4h及び8hに動物をevFにより検査した。最終evFの時点は、PD 24h、すなわち、D9であった。列挙する投与後時間は、D9のevF前2hにプレガバリンを投与した群2を除くすべての群に適用した。
evF装置を製造者の説明書に従って使用した。簡潔には、各測定時に、後肢の足底中央の表面に線形に増加する速さで力を加えた。使用したevFプローブの直径は1mmであり、選択した力の上昇速度は10g/sであった。加力の線形性をリアルタイムで監視した。退肢を生じる加えた力(グラム)は、検査の間にノートにより記録し、検査物質の可能ないかなる鎮静作用をも記録により残した。
全部で5回反復する測定を各時点で各後肢に適用し、反復の間に最短で3分の間隔を置いた。次いで、中央値に最も近い3つの値を平均して、所与の任意の時点における各肢についての結果の値を生成した。同側及び対側の両方の肢を各検査日に検査した。
精密な運動力学的歩容解析。ベースライン及び試験8、9、11、14及び17日目に、evF検査後最短で30分、歩容解析に供した。アッセイは、MotoRater(TSE Systems社、Homburg、独国)により歩行モードで行った。検査の開始前に、重点的な体の部位(例えば、関節、肢、鼻、尾)を標識して追跡した。歩容能力の情報を、高速度カメラ(300フレーム/秒)を使用して下及び両側から取得した。次いで、取得した映像をカスタムソフトウェアに変換する。未加工データは、3つすべての側面から記録した映像から、標識した体の部位を追跡することにより得られた。したがって未加工データは、基底及び3つの各側面と関連する、座標における体の種々の部位の運動の相関性を含む。
種々の歩容パターン及び運動を、カスタムメイドの自動解析系を使用して解析した。100の運動学的パラメータに及ぶ全部についての情報が得られた。これらは、例えば、
一般的歩容パターンパラメータ、例えば、ストライド時間、並びにストライドの間の速度、ステップ幅、立脚及び遊脚時間、並びに肢間整合性。
体位及びバランスのパラメータ、例えば、趾クリアランス、腸骨稜及び臀部の高さ、後肢の突出及び退縮、尾の位置及び運動。
例えば、ストライドの間の遊脚速度、遊脚期の間の筋反射測定、種々の関節の角度範囲及び偏差、並びに垂直及び水平方向の頭部の運動を含む、精密な運動技能。
すべてのMotoRaterデータは、主成分分析(PCA)を使用して、別個のパラメータ並びにパラメータのすべての組合せについて解析した。得られた結果により、歩容解析におけるモデル表現型、すなわち、個々のパラメータ及びPCAの両方に関する溶媒及びカンナビノイド処置動物間の差異がもたらされる。
ベースライン検査に加えて、motorater検査を全部で4回、行動試験相の過程を通じて実施した:
D7、投与前にモデル特異的運動異常を評価するため、
D8、4-hのevF終了後、
D8、8-hのevF終了後、及び
D9、24-hのevF終了後。
運動学的アッセイは、evF検査後最短で30分前には動物に実施しなかった。
体重の監視。手術日(D0)及びその後毎日、動物の体重をベースラインevF検査において記録した。
エンドポイント、血液試料、及び組織の処理。D9に、最終のmotorater検査後、行動試験相を、1群あたりラット6匹を選択して、PK相へと継続することにより完了した。残りの動物は、CO2の過量投与及び断頭により安楽死させた。
PK相のエンドポイント日のD11に、ラットをペントバルビタール(60mg/kgのMebunat)により終末的に麻酔した。血液試料を心穿刺により採取し、血漿を2000×gで10分間の遠心分離により単離した。分離した血漿試料を無菌チューブに移し、発送まで-80℃で保存した。
次いで、動物をPBSによって最初に経心的に灌流した。脳を頭蓋から剥離し、液体N2中に瞬間凍結させた。その後、脳試料を発送まで-80℃で保存した。
腰椎DRGが見えるように準備し、両側から回収した。両側由来の腰椎DRG L4~L6を事前標識した2mlのチューブ内に(同側DRGを一方のチューブ内に、対側DRGを他方に)貯蔵し、10%の市販のホルマリン中に24h(+4℃)後固定を実施した。最終的には、DRG試料を、0.1MのPBSで簡潔に流し、発送まで及び輸送の間、緩衝液中に+4℃で保存した。
試料の保存及び発送。試験試料は、フィンランドのCharles Riverで保存した。
全身的健康状態及び人道的エンドポイント。動物は、実験室の人員により毎日監視した。動物の全身的健康状態が顕著に悪化した場合、CO2の過量投与及び断頭により犠死させた。許容されるエンドポイントの定義は、24-hの観察期間において自発性の運動がないこと及び飲食ができないこと、大量出血、自発性炎症、組織の喪失、20mmを超える腫脹又は腫瘍、並びに30秒の期間起き上がることができないことを含む。
加えて、次のモデル特異的エンドポイント判断基準を適用した:創傷の縫合が3回開く(最初は新たに縫合し、2回目は組織接着剤を加えて使用し得る)、48hの処置にもかかわらず悪化する創傷炎症、任意の程度のいずれかの後脚の麻痺、神経障害性疼痛モデルと関連する場合のある自傷。
統計学的解析。すべての値は、群平均値±平均値の標準誤差として表す。すべての統計学的解析は、α=0.05の有意性レベルにより、GraphPad Prism統計学的プログラム(バージョン8、GraphPad Software,Inc.社、San Diego、CA)を使用して行った。
有意性のレベルは、次のようにGraphPadの定義に基づいて報告する。
****p<0.0001、極めて/高度に有意である
***p<0.001、極めて/高度に有意である
**p<0.01、非常に有意である
*p<0.05、有意である
*p<0.1、有意性の傾向の確立
有意性の尺度は、(p<0.1)の概念と共に更なる記号(*)を含んでおり、これは、示される作用が本物であって真の作用である90~95%の確率と、これに対応して、作用が偽である5~10%の確率とを指す。利用する統計学的ソフトウェアでは、この有意性レベルを「有意性の傾向の確立」と呼ぶ。
それにもかかわらず、このような比較が「計画的比較」であると考えられ、群の大きさが小さいことと相まって「分散の発見」が存在するため、p値の補正と共に更に保存的方法を使用することが推奨される。したがって、Dunnett/ダネットの多重比較検定を事後検定として使用した。
そうでなければ、「Statistical Analysis(統計学的解析)」の試験プロトコールの節に示すガイドラインに従った。
結果
福祉及び中途終了。試験における全体的な動物福祉は、良好であった。一部の動物(動物のおよそ2%)は、陰茎脱又はその部位における他の重篤な問題のため、終了させた。これは、初期の試験にも見られており、SNLモデルと関連する。この理由は未知であるが、神経障害様症候が掻痒、痺れ等として現れた可能性があり、モデルの誘導により、この症候が何らかの理由で誘発された可能性がある。グルーミングにおいて、この問題を経験した更なるラットが存在したが、対症療法により回復した。
終了させたか又は死んでいた動物の場合では、1匹の動物がD10の第2の投与時に非常に突然に死に、2匹目の動物は、手術の間に呼吸異常を呈し、その後手術終了直後に死んだ。
処置群の体重において有意差なし
試験を通じて。試験の間の処置群の体重増加を図1に示す。体重(BW)は、ベースライン検査(BL)時に測定した。その後、マウスをD9のエンドポイント試料採取まで毎日、残りの動物はD11に秤量した。
図1は、溶媒、プレガバリン及びCBC 10mg/kgの3つの群の体重の作用が、試験の過程を通じて有意差はなかったことを示す。データは、平均値+SEMとして示す(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。種々の処置群を溶媒処置動物と比較した場合、統計学的有意性は観察されなかった(two-way ANOVA、Tukeyの事後検定)。
カンナビクロメンにより接触性アロディニアが減少する。この試験では、接触刺激に対する器質的過敏症を、電子von Frey(evF)デバイスを添付の解析ソフトウェアと共に使用することによって(Somedic(登録商標)、スウェーデン)6つの時点で定義した。
器質的アロディニアは、SNL手術の前にevF検査により評価して(ベースライン)、試験動物の個々の感受性レベルを定義した。次いで、D7のSNL後にevFを実施して、SNLにより誘発される過敏症を評価し、投与前の値を生成した。D8の投与後(PD)2h、4h及び8hに、動物をevF検査に供した。その後、PD 24h、すなわち、D9に検査を実施した。図及び本文の両方を単純化及び合理化するために、これ以降の時点では、次の用語を使用する。
ベースライン→BL
D7→投与前
D8のPD 2h→2h PD
D8のPD 2h→2h PD
D8のPD 4h→4h PD
D8のPD 8h→8h PD
D9→24h PD
次の節(7.3.1~7.3.4)では、evF測定の結果を、ベースラインに対する平均百分率として示す。この値は、正規化した結果を表し、ここでは、個々の動物のベースライン値の変動を考慮した。したがって、値の増加は過敏症の回復を指し、一方、低い柱は更に重度の過敏症を指す。平均ベースライン(100%)及び平均投与前レベルは、図に示す。
化合物の作用の評価及び処置間の比較を実施して、時点における群間の差異(群を別個の各時点で比較)及び群内における時点間の差異(ベースライン、投与前、2h PD、4h PD、8h PD及び24h PD)を明らかとした。
加えて、結果を曲線として示し、24h PD期間の各用量混合物の全作用を、曲線下の全面積を解析することにより評価する。
その上、長期化する可能性のある処置作用及び持続的作用の差異に焦点を置くために、最終時点、すなわち、24h PDにおいて得られる結果のみにより別々の解析を実施した。
モデル誘導の有効性及び結果の値。器質的アロディニアをSNL手術前にevF検査により評価して(ベースライン)、試験動物の個々の感受性レベルを定義した。その後、D7のSNL後にevFを実施して、SNL手術により誘発される過敏症を評価し、投与前の感受性の値を生成して続く処置の比較を行った。ベースラインとD7(=投与前)との間の差異によってモデルの強度が例示され、処置が作用することを観察する手段が提供される。
図2は、脊髄神経結紮モデルの検証を示す。示すデータにより、SNL手術後7日に処置開始前のすべての群においてアロディニアの存在が確認される。チャートは、evFにより測定したSNL誘導器質的過敏症の強度に対するカンナビクロメンの作用を示す。データは、各群について、ベースライン+SEMに対する百分率として示す(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。統計学的有意性:****p<0.0001、対ベースライン(two-way ANOVA、Sidakの事後検定)。
SNL手術により、すべての群において堅牢かつ再現性の接触性アロディニアが発症し、Table2(表2)の補正したp値により示すように、ベースラインとD7との間で高度な有意差を示した(p<0.0001、two-way ANOVA、Sidakの事後検定)(図2)。したがって動物が、SNL手術後の顕著な機能障害において機能していることが確認された。
Table2(表2)は、図2の補正したp値(ベースライン対D7)を示す。D7は、「投与前」と互換的に言及し得る時点を指す。
Figure 2023523275000002
試験動物の個々の感受性レベルを考え、種々の動物間の公正な比較を確保するために、結果をベースラインに対して正規化して、[ベースラインに対する百分率]-値を生成した。このような値は、未加工の個々の各PWT結果を個々の各ベースライン値に比例させることにより得られた。次いで、値を群平均に平均し、それによって解析した。各パネルの群比較を、適切な図と関連する表により本明細書において報告する。
カンナビクロメンは器質的アロディニアの減少及び器質的過敏症の回復により示される長期の抗侵害受容作用を示す。SNL誘導器質的過敏症に対するカンナビクロメン投与の作用を評価するために、プレガバリン(陽性対照、50mg/kg)、CBC(10mg/kg)及び溶媒群を比較した。
図3は、比較の実施を例示する。SNL誘導器質的過敏症の強度に対する別個の複数用量のCBCの作用をevFにより測定した。データは、各群についてベースライン+SEMに対する百分率として示す(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。
統計学的有意性:
A)*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、対溶媒
B)*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、対D7(two-way ANOVA、Dunnettの事後検定)。
CBC 10mg/kgにより、過敏症が回復する傾向が誘発されると考えられる。それにもかかわらず、行ったtwo-way ANOVAの群間比較によれば、群のこのサブセットに存在する有意な処置作用又は処置時間相互作用は存在しなかった(p>0.05、two-way ANOVA)。
Table3A(表3)では、図3パネルAの補正したp値を提供する。2つの群を各時点で溶媒に対して比較した。
Figure 2023523275000003
Table3B(表4)では、図3パネルBの補正したp値を提供する。各群における時点を同一の群の投与前の値に対して比較した。
Figure 2023523275000004
興味深いことには、群比較によってCBC 10mg/kgの処置による高度に有意な時間制限的作用が呈され(図3パネルA、Table3A(表3))、投与後2時間の投与ピークに対する動的応答が示され(2h-PD、p=0.0006)、その後、漸進的にベースラインに戻った。その上、4h PD(p=0.0487)、更には8h PDにおいても(p=0.0355)統計学的有意性が見出された。このような結果により、カンナビクロメンの長期の抗侵害受容作用が、投与後に最大で8時間確認される(図3パネルB、Table3B(表4))。
投与後24hに、結果の値が、投与前レベル(PD)をなお超えていたことは注目に値するが、24h PDにおける投与前レベルとの差異は、CBC処置群については非有意のままである(p=0.1334、two-way ANOVA、Dunnettの事後検定)(図3)。
カンナビクロメンは参照物質(プレガバリン)と比較して優れた鎮痛作用を示す。CBC 10mg/kgによる単回処置によって、疼痛による過敏症の高度に有意な減少により示される強力な鎮痛作用が誘導されると思われた。
図4では、群のサブセット(溶媒、プレガバリン及びCBC 10mg/kg)と対照群とについての曲線下面積(AUC)に関するデータを提供する。データは、各群についてベースラインPWT+SEMに対する百分率として(パネルA)及び対応する曲線についてAUCとして示す(パネルB)。パネルA:曲線下面積(AUC)を測定して、投与前、並びに2h PD、4h PD、8h PD及び24h PDの%退肢閾値を評価した。パネルB:溶媒と比較したカンナビクロメンの抗侵害受容作用(p=0.0024)が、溶媒と比較したプレガバリン(p=0.0536)よりも優れていることが見出された。群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。AUC:曲線下面積。PWT:退肢閾値。統計学的有意性:*p<0.05、**p<0.01、対溶媒(Welchの独立的t検定)。
Table4(表5)は、図4に示すAUCの補正したp値を示す。プレガバリン(接触性アロディニアの回復において参照物質として作用する)及びCBC 10mg/kgを溶媒AUCと比較した。
Figure 2023523275000005
図4に示すように、曲線下面積(AUC)を測定して、投与前、並びに2h PD、4h PD、8h PD及び24h PDの%退肢閾値を評価した(図4パネルA)。溶媒と比較したカンナビクロメンの抗侵害受容作用(p=0.0024)が、溶媒と比較したプレガバリン(p=0.0536)よりも優れていることが見出された(図4パネルB、Table4(表5))。最大で48時間の動物の長期監視により、AUCの値が更に解明され得る。
この実施例のこのような結果により、カンナビクロメンが、疼痛誘導性痛覚過敏及び接触性アロディニアを減少させるように強力に作用し、この作用を得るのに他の任意のカンナビノイドとの併用を必要としないことが確認される。
注目すべきことには、このようなデータは、1回限りの投与後に最大で8時間持続するカンナビクロメンの長期の抗侵害受容作用をも示唆し、この作用は、プレガバリン処置では観察されなかった。
カンナビクロメンにより疼痛が効率的に軽減されることが、SNLラットモデルにおける運動性障害の改善により実証される。ベースライン並びにSNL手術後4つの時点、投与後(PD)2、5、9及び24時間における動物の精密な運動能力及び歩容を、MotoRater系において、別々のパラメータ全97種の運動学的運動解析の記録を使用して評価した。パラメータデータについて主成分分析(PCA)を実施して、変数を減少させ、別々のパラメータ間の相関性を明らかとした。
図5では、試験群におけるBL及びD7の差異のPCAに基づくSNL誘導運動表現型を示す判別ベクトル棒グラフを提供する。左パネル:元々のベクトルグラフ。右パネル:特徴的な歩容の特徴のグラフであり、SNL運動表現型を最も表し、矢印により強調及び明示する(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。
PCAによってパラメータデータを組み合わせ、これらの間の相関性を明らかとし、SNL手術ラットの精密な運動及び歩容特性の全体像を提供する。すべての試験群におけるBL及びD7の差異のPCAに基づくSNL誘導運動表現型を棒グラフ(図5)に示し、SNL後に変化したパラメータを例示する(ゼロ=BL)。棒の長さ及び方向は、全体的スコアにおける各パラメータに寄与する重みの程度を示す。SNLモデルの運動表現型を特性決定し、歩容の特徴における変化の次の組合せとして解釈することができる(図5)。
- 全体的速度が上昇し、これは主に、ストライド距離が長くなるためである(ステップ長の増大)。
- 後肢の左右交替リズムにおける非対称が増加すること(L/RカップリングH)を除いて、肢間整合性は劇的には変化しない。
- 全体的臀部の高さ及び臀部の運動の垂直範囲が増大する(尾基底平均/最大/範囲、臀部の高さ、臀部の高さの範囲、腸骨稜の高さ)。
- 尾の先端位置が低くなる(尾の先端が最小/平均/最大)。
- 臀部の角度範囲が増大する。
- 後肢趾クリアランスが上昇する。
カンナビクロメン処置によりSNL疼痛モデルの全体的な運動学的及び機能的能力における有望な改善が示される。歩容スコアを次のように評価する。
図6では、CBC 10mg/kg、溶媒及びプレガバリン群のサブセットにおける全体的歩容能力(全体的歩容スコア)を例示する。データは、各群について平均zスコア+SEMとして示す。群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9、A)*p<0.05、対溶媒、B)p<0.1、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、対D7(two-way ANOVA、Dunnettの事後検定)。統計学的有意性:パネルA)*p<0.05、対溶媒、パネルB)p<0.1、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001、対D7(two-way ANOVA、Dunnettの事後検定)。
図7では、SNLラットの全体的歩容能力を例示する。カンナビクロメンによる処置前後のSNL動物の移動運動の静止画像を提供する。モーショングラフにより、1秒間のモーションを、3つの異なる側面から記録した映像の運動学的歩容能力評価の例として例示する。モーショングラフは、外側像から1秒で取得したモーションを示す。グレースケールは現在、動物の移動運動を例示するために使用するが、図7のモーショングラフでは、赤色を独自に利用して右側(SNL手術側)の肢の体部位を、青色により左側(正常な肢)の肢の体部位を例示した。尾及び鼻の先端は、緑色で独自に示した。左側のパネルはベースラインを呈し、右側のパネルは、投与後5hの同一動物の運動性を示す。各溶媒、カンナビクロメン及びプレガバリン処置について3つの異なる動物を示す。Preg:プレガバリン、CBC10:10mg/kgのカンナビクロメン、Veh:溶媒群。D8 5h: 8日目の投与後5時間。Id:動物同定。
全体的歩容スコア(図6及び図7)は、判別方向ベクトルを「物差し」として共に使用して、PCA解析上で見出される変化のすべてを反映し、ベースラインの平均スコアがゼロと等しくなるように示す。
D7のすべての試験群の平均スコアは、3.107に等しい(「zスコア」)。明らかに、全体的スコアの低下は、SNL前の状態又はベースライン(BL)対して歩容能力が変化したことを意味し、これは、運動性障害の改善として解釈される。
10mg/kgのカンナビクロメンは、溶媒と比較して全体的歩容スコアの有意な低下は示さなかった(図6パネルA)。それにもかかわらず、カンナビクロメン処置により、5h PD(p=0.07693)及び9h PD(p=0.04717)にプレガバリンと比較した場合、全体的歩容スコアのより良い傾向が実証された(図6パネルA)。
群比較では、CBC処置群において、時間制限的な全体的歩容スコアの有意差は同定されなかった(図6パネルB)。
このような際立った結果は、プレガバリンよりも優れたCBCの作用を示し、これを更に調べて、典型的運動能力を特徴づける特異的な歩容特徴の変化を念入りに調査した(図7~図14)。
Table5(表6)では、全体的な運動学的歩容スコア:各時点における群間比較を提供する。すべての群を各時点で溶媒と比較した。図6パネルAの補正p値を示す。
Table6(表7)では、全体的な運動学的歩容スコア:7日目のベースライン(処置前)に対する各時点における群内比較を提供する。図6パネルBの補正p値を示す。統計学的有意性:p<0.1、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
Figure 2023523275000006
Figure 2023523275000007
カンナビクロメンにより疼痛誘導機能性臀部障害が強力に改善し、肢運動性が改善する。各群の動物3匹(合計動物9匹)の「モーショングラフ」を作成して、ベースライン及び投与後D8 5hにおける歩容能力を例示した。
図7では、各処置群についての3つのモーショングラフを実証して、1秒間のモーションを例示する。同一の個体を、両時点において図の各「列」に示す(図7)。このような3×3=9種の例となる動物を、D8 5h PD時点の全体的歩容スコアのこれらの群平均に近くなるように選択した。映像の可視化及びパラメータの評価を、種々のパラメータ97種について慎重に行った。各パラメータは、更に解析して、プレガバリン又はカンナビクロメン処置により影響される判別因子を特性決定した。例えば、長いモーショングラフは、この1秒間で動物が速く移動し、長い距離を歩行することを示す。歩容変数は、図8~図14に例示する。強調したパネルでは、投与後の異なる時点の歩容パラメータにおいて、中程度又は高度に有意な改善を実証する(p≦0.01)。
Table7(表8)は、特定の歩容パラメータについて溶媒に対する処置作用の調査を行った、更なる統計学的解析を表す。CBC又はプレガバリン処置を受けたラットと溶媒群とにおける運動学的歩容解析を、判別パラメータと比較して示す。Table7(表8)は、特定の歩容パラメータにおける溶媒に対するCBC又はプレガバリン処置の作用を調査するために行った統計学的解析を表す。統計学的有意値を要約する;補正p値を示し、p≦0.01は、列挙する比較について、統計学的に有意であると考えた。統計学的有意性は、補正p値:*pが約0.01、**p≦0.01、***p≦0.001であると考えた。N:各群の動物数(df:自由度)。
Figure 2023523275000008
Figure 2023523275000009
このような結果によって、8日目の5h PDに、SNL誘導疼痛の軽減におけるカンナビクロメンの有効性が臀部モーション障害の著しい改善により示され(p=0.01)、体位の有意な回復が後肢突出及び退縮(それぞれp=0.00047及びp=0.000746)並びに趾クリアランス(p=0.002)により実証されたことが明らかとなった(図9、Table7(表8))。
また8日目の5hに、CBCにより可動域(ROM)が有意に増強されたことが観察された。CBC投与後、最大臀部角度(p=0.0005)及び膝角度(p=0.001)の低下と共に足根角度のわずかな低下(p=0.01)が示されることにより、このような利点が実証された(図14、Table7(表8)も参照)。
図8では、ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における肢測定歩容変数を例示する。強調したパネルは、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。統計学的有意性:p≦0.01は、補正p値に基づいて有意であると考えた。強調したパネル:ステップ幅、前肢[mm]-D8-5h PD:CBC対溶媒:**p=0.012;同側肢間整合性ベースライン:CBC対溶媒:**p=0.01;同側肢間整合性-D9:CBC対溶媒:*p=0.03(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。
図9は、ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における左/右カップリング、趾及び尾の歩容変数を示す。強調したパネルは、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。統計学的有意性:p≦0.01は、補正p値に基づいて有意であると考えた。強調したパネル:趾クリアランス:後肢[m]D8-5h PD:CBC対溶媒:**p=0.002;趾クリアランス、前肢[m]-D9:CBC対溶媒:**p=0.007;突出、後肢[m]-D8-5h PD:CBC対溶媒:***p=0.000746、退縮、後肢D8-5h PD[m]:CBC対溶媒:***p=0.00047(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。
1つの際立った知見は、8日目の5h PDの前肢ステップ幅の増大及び9日目PD(CBC処置後24時間)の前肢趾クリアランスにより示される肢間整合性の有効な増強であった(それぞれp=0.012及びp=0.007)(図8及び図9、Table7(表8))。このような知見は主に、8日目のカンナビクロメン投与後5hに観察された、後肢の更に効率的な退縮及び突出の結果(それぞれp=0.00047及びp=0.000746)であり得る。
更なる統計学的解析を行って、溶媒群と比較した、判別歩容パラメータに対するカンナビクロメンの作用を更に調査した(図15及びTable8(表9))。このような知見によって、SNLにより誘導された体位及び後肢の機能障害の増強に対するCBCの作用が、8日目の処置後5時間の後肢退縮、突出、及び趾クリアランスの増強により示されたことが更に確認された(それぞれp=0.00047、p=0.0007、p=0.00218;図15(パネルA、パネルB及びパネルD)並びにTable8(表9))。
Figure 2023523275000010
肢間整合性の増強の傾向が、8日目のCBC処置による投与後5時間における、溶媒群と比較したステップ幅の増大により示されたことを観察した(p=0.0124、図15パネルC、Table8(表9))。
また、9日目のCBCによる処置後、前肢趾クリアランスの明らかな改善が示された(p=0.007、図15パネルE及びTable8(表9))。この知見は、9日目投与後の同側肢間整合性の改善と共に(p=0.03、図8)、特に興味深いパラメータであり、カンナビクロメンによる処置後、最大で24時間のSNLラットにおける疼痛の軽減を示す(図15パネルE)。
この試験では、単一回用量後における機能障害の著しい改善、体位の改善、並びに肢間整合性及び運動性の増大により実証されるように、疼痛の軽減におけるカンナビクロメンの有効性が確認された。加えて、カンナビクロメンにより、プレガバリン(50mg/kg)と比較して、接触性アロディニアの改善における優れた有効性及び抗侵害受容作用の増大が示された。
したがってCBCは、長期疼痛管理に効率的に使用し得る。
図10は、ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における尾の先端、遊脚筋反射測定、臀部及び膝の歩容変数を示す。強調したパネルは、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。統計学的有意性:p≦0.01は、補正p値に基づいて有意であると考えた。強調したパネル:臀部ROM度-D8-9h PD:溶媒対プレガバリン:**p=0.009(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。
図11は、ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における足根及び臀部の高さ/筋反射測定、尾先端測定、並びに頭部回旋歩容変数を示す。強調したパネルは、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。統計学的有意性:p≦0.01は、補正p値に基づいて有意であると考えた。強調したパネル:足根ROM偏差度ベースライン:CBC対溶媒:**p=0.008、平均臀部筋反射[m/s3]-D8-5h PD:CBC対溶媒:*p=0.01、平均臀部筋反射[m/s3]ベースライン:溶媒対プレガバリン:**p=0.001(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10。
図12は、ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における趾昇、肢軌道測定、肢距離、及び負荷サイクル歩容変数を示す。強調したパネルは、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。統計学的有意性:p≦0.01は、補正p値に基づいて有意であると考えた。強調したパネル:肢軌道形状25%、後肢[%] D7:溶媒対プレガバリン:**p=0.007、相対軌道長、前肢D7:溶媒対プレガバリン:**p=0.004、群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。
図13は、ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における支持測定歩容変数を示す。強調したパネルは、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。統計学的有意性:p≦0.01は、補正p値に基づいて有意であると考えた。カンナビクロメンで処置したマウスの支持測定において、溶媒と比較して統計学的有意性は観察されなかった(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。
図14は、ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における臀部/膝/足根角度歩容変数を示す。強調したパネルは、カンナビクロメンによる処置時に観察された統計学的に有意なパラメータを表す。統計学的有意性:p≦0.01は、補正p値に基づいて有意であると考えた。強調したパネル:臀部角度、最大度-D8-5h PD:CBC対溶媒:***p=0.000501;膝角度、最小度-D8-5h PD:CBC対溶媒:**p=0.001;足根角度、最小度-D8-5h PD:溶媒対プレガバリン**p=0.009;足根角度、最大度-D8-5h PD:CBC対溶媒:*p=0.011(群の大きさ:溶媒n=12、プレガバリンn=12、CBC 10mg/kg n=9)。
図15は、CBC処置対溶媒による、ベースライン、D7、D8-5h、D8-9h及びD9投与後における突出、退縮、及び趾クリアランス並びにステップ幅歩容変数を示す。統計学的有意性:p<0.01は、補正p値に基づいて有意であると考えた。パネルA:突出:後肢-D8-5h PD:CBC対溶媒:***p=0.000746、パネルB:突出:後肢-D8-5h PD:CBC対溶媒:***p=0.00047、パネルC:ステップ幅:前肢-D8-5h:CBC対溶媒:*p=0.0124、パネルD:趾クリアランス後肢[m]-D8-5h PD:溶媒対CBC:**p=0.00218、パネルE:趾クリアランス前肢[m]-D9 PD:溶媒対CBC:**p=0.00716(群の大きさ:溶媒;CBC 10mg/kg n=9)。
パラメータの定義。次のリストでは、評価したパラメータのそれぞれを定義する。
空間的-時間的パラメータ:
ストライド時間=十分なストライドの持続時間。
平均速度=平均歩行移動速度。
ストライド距離=十分なストライドの間に移動した距離。
立脚時間(後、前)=肢が床と接触している持続時間、立脚期。
遊脚時間(後、前)=肢が空中にある持続時間、遊脚期。
平均遊脚速度(後、前)=遊脚期における平均肢運動速度。
ピーク遊脚速度(後、前)=遊脚期における最大肢運動速度。
遊脚速度測定(後、前)=平均遊脚速度対ピーク遊脚速度の比率。
平均遊脚筋反射(後、前)=非平滑性の程度、すなわち、遊脚中期における肢の加速度変化率。
遊脚筋反射測定(後、前)=遊脚平均筋反射対遊脚ピーク速度の比率。正規化した遊脚軌道平滑性パラメータ。
負荷サイクル(後、前)=肢が床と接触しているストライド時間の百分率。
肢間整合性:
同側肢間整合性=同側肢が同時に立脚又は遊脚期にある全ストライド持続時間の割合。
相同肢間整合性=同側及び対側の前又は後肢が同時に立脚又は遊脚期にある全ストライド持続時間の割合。歩調。
対角肢間整合性=後肢及び対側前肢が同時に立脚又は遊脚期にある全ストライド距離の割合。速歩。
左/右カップリング(後、前)=左右交替リズム。左及び右の連続的接地間の時差対全ストライド持続時間の比率。
L/Rカップリング偏差(後、前)=ストライド間の左/右カップリングの偏差。
ステップ幅(後、前)=正中に対して垂直な、立脚期における左及び右の後/前肢間の距離。
ステップ幅偏差(後、前)=ストライド間のステップ幅の偏差。
二重支持(後、前)=左及び右(後又は前)の両(肢)が同時に接地しているストライド時間の百分率。
単一支持(後、前)=後/前肢対の一方の肢が接地していて他方が接地していない場合のストライド時間の百分率。
支持ゼロ=四肢のいずれも接地していない(及びすべての四肢が空中にある)ストライド時間の百分率。
支持1=四肢のうちの1つが接地している(3つが空中にある)ストライド時間の百分率。
支持対角/ガードル/外側=四肢のうちの2つが接地しているストライド時間の百分率、3つの方法:対角、ガードル(ギャロップ)、外側。
支持3=四肢のうちの3つが接地している(1つが空中にある)ストライド時間の百分率。
支持4=すべての四肢が接地しているストライド時間の百分率。
体位:
趾クリアランス(後、前)=遊脚期における肢の最大クリアランス、すなわち、地面からの距離。
腸骨稜の高さ=立脚中期における腸骨稜の高さ
臀部高さ平均=ストライドにわたる臀部の平均的高さ。
臀部高さ範囲=ストライドにおける臀部高さの範囲(垂直運動)。
臀部筋反射平均=ストライドにおける臀部の非平滑性の平均的程度、すなわち、加速度変化率。
尾基底高さ(最小、平均、最大)=地面からの尾先端の最小、平均、及び最大の高さ。
尾基底高さ範囲=ストライドにおける尾基底の垂直運動の範囲。
突出(後)=腸骨稜を基点とする後肢の最大突出(順方向、初接触時に生じる)。
退縮(後)=腸骨稜を基点とする後肢の最大退縮(逆方向、初遊脚時に生じる)。
鼻高さ=鼻の平均的高さ。
鼻高さの範囲=ストライドにおける鼻の高さの範囲。
頭部外旋=水平面の中心線を基準とする頭部方向に基づく頭部外旋角度の平均的絶対値。
頭部回旋偏差=種々のストライド間の頭部外旋の偏差。
頭部回旋範囲=ストライドにおける水平面での頭部外旋角度の範囲。
尾先端:
尾先端高さ(最小、平均、最大)=地面から尾の先端の最小、平均、及び最大の高さ。
尾先端高さ範囲=ストライドにおける尾の先端の垂直運動の範囲。
尾先端対臀部=尾の先端が臀部レベルよりも高いストライド持続時間の百分率。
尾先端接地=尾の先端が地面に接触するストライド持続時間の百分率。
尾先端距離2D=側面像により決定する2次元的な尾先端軌道長のストライド長に対する比率。
尾先端距離3D=3次元的な尾先端軌道長のストライド長に対する比率。
関節角度:
臀部角度(最小、平均、最大)=臀部関節の角度、最小、平均、及び最大値。
膝角度(最小、平均、最大)=膝関節の角度、最小、平均、及び最大値。
足根の角度(最小、平均、最大)=足根関節の角度、最小、平均、及び最大値。
臀部ROM=ストライドにおける臀部関節の可動域(ROM)、最大及び最小臀部角度間の差異。
膝ROM=ストライドにおける膝関節の可動域。
足根ROM=ストライドにおける足根関節の可動域。
臀部ROM偏差=種々のストライド間の臀部ROMの偏差。
膝ROM偏差=種々のストライド間の膝ROMの偏差。
足根ROM偏差=種々のストライド間の足根ROMの偏差。
肢軌道:
肢軌道形状25%(後、前)=肢が趾クリアランスの25%を超える遊脚期持続時間の百分率。
肢軌道形状50%(後、前)=肢が趾クリアランスの50%を超える遊脚期持続時間の百分率。
肢軌道形状75%(後、前)=肢が趾クリアランスの75%を超える遊脚期持続時間の百分率。
趾離昇角度(前、後)=遊脚初期における肢軌道上昇角度。
相対軌道長=前肢2D軌道経路長のストライド長に対する比率、1を減算する。
過剰垂直運動=垂直前肢軌道距離の、趾クリアランスの2倍に対する比率、1を減算する。
逆肢距離=ストライドにおける前肢の過剰逆運動の和。
運動学的歩容データに基づくデータマイニング
データマイニングを実施することに成功し、多変量運動学データ解析を拡張し、また、モーションの時間的態様に起因するパラメータの定量的測定に対するカンナビクロメン(CBC)の鎮痛作用を記録して、モーションの時間的態様、例えば、モーションにおける位置、角度、速度、並びに体節及び関節の加速度を評価した。
全体的に見て、歩容パラメータ97種を解析し、各パラメータを各処置群内で平均した。対照主成分分析(cPCA)を使用する統計学的方法を利用した(Abidら、2018)。cPCAの方法は、脊髄神経結紮(SNL)モデル作用(疼痛)及び学習作用に関連づけられる元々の変数の種々の組合せを同定するように設計した。次いで、直交化手順を実施して、学習作用及びあり得る鎮静作用に独立的な作用が得られた。対照的主成分(cPC)(モデル、鎮静)を確立後、対応するcPCスコアを各観察についてコンピュータ処理した。得られたcPCスコアは、推定周辺平均により混合two-way ANOVAの後、Dunnettの検定を使用することによって更に解析した。cPCAに基づく解析フレームワークは、R環境(Rバージョン3.6.3)を使用して実行した。統計学的解析は、lme4(Batesら、2015)及びemmeans (Rパッケージバージョン1.4.5.)パッケージを使用して実施した。このような比較の結果は、これまでに同定されたすべての成分:モデル作用、学習作用、及び学習に対する直交性モデルを使用することにより得られた。
図16では、種々の軸に対する神経障害性疼痛作用対鎮静作用をモデル化する。カンナビノイド群により、疼痛軸(Y軸)における処置作用が実証され得るが、同時に、鎮静作用(X軸)の変化も存在し得る。群は、SNL+溶媒(SNL誘導疼痛スコアにおける対照として)、SNL+カンナビノイド対ベースライン(BL-健常対照)を示す。
図17は、2つの成分:SNLモデル作用及び学習作用の直交化プロセスを示す。SNLモデル作用及び学習作用は、一部の共通の特徴(左)を共有するため、直交化後(右)、学習作用(D7~D9)は、SNLモデル作用(D7~BL)から「除去」して、SNLモデル作用及び学習作用の共有する特徴を例示する。学習作用に対して直交性のSNLモデルは、上部の破線矢印で示す。
結果
この解析により行ったデータマイニングによって、カンナビノイド鎮痛作用に起因し得る運動学的歩容への影響が明らかとなる。
図18は、CBC 10mg/kgによる単回用量処置(p.o.)後0~24時間のCBCの最終鎮痛作用を示す。データは、学習作用に対して直交化したSNLモデル作用に基づいて解析する。データは、平均値±SEMとして示す。統計学的有意性:*p<0.05(two-way混合ANOVAの後Dunnettの検定)。BL:ベースライン、D8 5h:手術後8日目の処置後5時間、D8 9h:手術後8日目の処置後9時間、D9:9日目(投与後24時間)。
SNLモデルスコアは、CBC 10mg/kgの有意な鎮痛作用を示し、溶媒群と比較して8日目の投与後最大5時間(D8 5h)までSNL誘導疼痛の回復を示す(p<0.05)。この鎮痛作用は、処置後5時間を超えては延長されなかった。これは、CBCの半減期が短いためであり得る(データ非指示)。
図19は、SNLモデル作用に対して直交性の鎮静作用を示す。データは、平均値±SEMとして示す。統計学的有意性:*p<0.05(two-way混合ANOVAの後Dunnettの検定)。BL:ベースライン;D8 5h:8日目の処置後5時間、D8 9h:8日目の処置後9時間、D9:9日目、PD:投与後。
独立的鎮静作用スコア(SNLモデル及び学習の両作用に対して直交性)により、D8投与後5h及びD8投与後9hにCBD:THC 10:10mg/kg処置群の有意な鎮静作用が確立されたが、CBCは動物において、いかなる鎮静作用も発揮しなかった(図19)。この知見は、evFアッセイ結果と一致した。
図20は、XYプロットとして示す鎮痛対鎮静作用スコアを示す。投与後5~24時間の各処置の全体的鎮痛対鎮静作用(歩容サイクルの平均)を示す。最終的独立鎮静スコアをX軸上に、最終鎮痛スコア(反転した最終SNLモデルスコア)をY軸上に示す。各小点は、動物1匹を表す(解析した歩容サイクルの平均)。大点は、左から右にそれぞれD8投与後5h(8.5)、D8投与後9h(8.9)、9日目投与後の溶媒群、プレガバリン処置(50mg/kg)及びCBC(10mg/kg)についての群平均を例示する。
図21は、XYプロットとして示す鎮痛対鎮静作用スコアを示す。動物の個々のステップを示す、投与後5~24時間の各処置の全体的鎮痛対鎮静作用である。最終的独立鎮静スコアをX軸上に、最終鎮痛スコア(反転した最終SNLモデルスコア)をY軸上に示す。各小点は、動物1匹を表す(解析した個々の歩容サイクル)。大点は、左から右にそれぞれD8投与後5h(8.5)、D8投与後9h(8.9)、9日目投与後の溶媒群、プレガバリン処置(50mg/kg)及びCBC(10mg/kg)についての群平均(記録した個々のステップ)を例示する。
図20及び図21は、歩容サイクル平均又は個々のステップについてそれぞれ考える、投与後5~24時間の各処置の全体的鎮痛対鎮静作用のXYプロットを示す。
結論
データマイニングにより、各動物における種々の歩容パラメータ97種の比較による複数の処置の鎮痛作用及び鎮静作用の判定に成功した。
最終SNLモデル作用(又はSNL誘導神経障害性疼痛)は、次のパラメータ:臀部の垂直運動の増加、歩容非対称性、及び後肢趾クリアランスの増加と最も特徴的に関連した。
CBCは、カンナビクロメンによる単回用量処置後5時間のSNLモデル作用スコア(鎮痛作用)の有意な回復を実証した。投与後9時間に、有意な鎮痛作用は示されなかった。これは、CBCの半減期が短いためであり得る(図18)。この知見は、SNLモデルスコアの回復が、鎮痛処置作用と関連し、SNLモデルの安定性を支持するという概念を支持する。
データ解析により、精密な運動力学的パラメータが鎮静、例えば、立脚及び遊脚時間の増加、二重支持の増加、及び遊脚速度の減少、又は尾基底の高さの減少と関連することが同定された。このような結果によって、CBCにより鎮静が生じないことが検証された(図19)。
CBCは、8日目のCBC 10mg/kgの単回用量処置(p.o.)による投与後5hに有意な鎮痛作用を実証した。この鎮痛作用は、プレガバリンの鎮痛作用よりも定性的に優れていた。
データマイニングによって、プレガバリン処置50mg/kgが、動物の精密な運動力学的能力における鎮痛又は鎮静作用は示さないことが示された。疼痛管理におけるプレガバリン有効性のこの欠如は、時点を別々に解析した場合、evF検査の結果と一致した。プレガバリンの唯一の有意な作用は、evFの曲線下面積(AUC)解析に見出された。
CBCは、肢間整合性、体位の増強、並びに膝及び足根角度の修正の改善と関連するパラメータにより示すように、SNL誘導疼痛の著しい回復を実証した。
このような結果は、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない、一次カンナビノイドとしてのカンナビクロメン(CBC)による疼痛管理のための製剤の使用により、いかなる鎮静作用もなく鎮痛作用を得ることが可能であることを実証する。これは、特に重要であり、処方される医薬の全鎮静負荷スコアに寄与し得る。
CBCは、肢間整合性、体位の増強、並びに膝及び足根角度の修正の改善と関連する運動技能パラメータの変化により示される、運動障害の著しい回復を示した。この知見により、慢性疼痛を有する患者の臨床環境において運動技能の変化を試験する実践的手引きがもたらされ得る。
化学療法誘導疼痛管理に対するカンナビクロメンによる単回及び反復用量処置の作用
この実施例では、カンナビクロメン(CBC)による単回用量及び反復用量処置の作用を、化学療法誘導疼痛管理に対して、オキサリプラチン(OXP)を含む疼痛モデルにおいて評価する。本明細書に記載のCBC製剤を、公知の疼痛緩和医薬であるデュロキセチンと比較した。デュロキセチンは、セロトニン・ノルエピネフリン再取込み阻害薬(SNRI)と呼ばれる薬物の1種に含まれる医薬である。
方法
モデル誘導-オキサリプラチン誘導多発神経障害(OIPN)マウスモデルを3週間にわたって誘導した。初回オキサリプラチン(OXP)注射日を0日目(D0)と呼ぶ。OXPは、D0、D4、D8、D12、D16及びD20に、別々の6回の腹腔内注射として4.5mg/kg(10ml/kg、i.p.)で群2、3及び4に投与した。したがって、累積OXP用量は27mg/kgであった。生存中の手順、例えば、観察、検査、及び/又は測定は、Charles River Discovery Servicesによって盲検法で実施した。マウスは、4つの群に分配した(溶媒対照はn=8、OXP対照はn=10、CBCはn=20、デュロキセチンはn=15)。
Table9(表10)は、この実施例のための計画及び実際に得た群の大きさを示す。
Figure 2023523275000011
血漿胆汁酸濃度の測定-かなりの百分率のC57BL/6Jマウスが、肝臓門脈体循環シャントを有し、これにより脳形態計測、脳代謝、生理学的読取り(例えば、体重及び肝臓酵素)並びに認知障害の大規模な変化が生じる。試験開始前に、血漿胆汁酸測定を実施して、肝臓門脈体循環シャントの代替マーカーである(Cudalbuら2013)異常に高い胆汁酸濃度(>15μmol/L)を有する動物を除外した。胆汁酸濃度は、外部委託のサードパーティにより、Thermofisher社のKonelab Xti 20(商標)を製造者の指示に従って使用して解析した。
体重-処置群を割り当てる前、次いで試験日毎に動物の体重を測定した。最終体重測定は、エンドポイント試料採取時に実施した。終末体重は、死んでいた動物又は安楽死させた瀕死の動物からは収集しなかった。
処置-20日間のOXPへの曝露後、群3及び4をそれぞれCBC(20mg/kg、p.o.)及びデュロキセチン(25mg/kg、i.p.)で連続10日間処置した。類似のレジメンでは、群1及び2(それぞれ溶媒対照及びOXP-溶媒対照)に対応量の5%グルコース溶液を投与量10mL/kgで投与した。
アセトン冷却検査(ACT)-測定可能な冷却感をもたらすために、アセトン10~15μLを0.5mlのインスリン用シリンジで後肢底の内側部位上に適用した。アセトンに対するマウスの応答を20秒間監視し、応答強度、継続、及び活発さによる4段階評価(0~3点)に基づいてスコアが得られた。スコアが高いほど、マウスにより感知される冷却アロディニアは重度となる。
ある検査時点では、1肢あたり合計3つの試行を実施し、検査間の最小ギャップは5分であった。3つの個々のスコアを加算して、累積期間60秒にわたって単一スコアを得た。したがって、ある検査では、ある肢の最小スコアは0(非冷却アロディニア)であり、一方、最大可能スコアは9(重度の冷却アロディニア)である。左及び右肢の全スコアを平均して、各時点1マウスあたり単一の結果の値を得た。
アセトン冷却検査は、OXP投与前(ベースライン)、最終OXP注射後(D21)、初回のCBC、デュロキセチン又は溶媒処置の翌日(D22)、及びCBC、デュロキセチン又は溶媒処置の10日連日投与の後(D31)に実施した。まとめると、ACTを使用して、次のスケジュールに述べるように、化学療法誘導冷却アロディニアを評価した。
検査日:ベースライン、D21、D22、D31(D0=初回OXP注射日)。
ベースライン:健常動物においてベースラインとして冷却アロディニアを測定する。
D21:OXP曝露後に達した冷却アロディニアレベルについて検査する。
D22:初回溶媒/CBC用量後60分及びデュロキセチン用量後120分。
D31:最終溶媒/CBC後60分及びデュロキセチン用量後120分。
ACT前に、マウスは、検査室において30~60分の馴化、及び検査チャンバーにおいておよそ30~60分の馴化を経た。ベースラインACT前、偽過敏症を減少させる目的のために、2分間、連続2日で維持室においてマウスに事前に触った。
結果
体重及び福祉-マウス合計90匹のうち76匹が、正常な血漿胆汁酸量を呈したため、ベースライン検査に適格となった。すなわちマウス24匹が、血漿中BA濃度が非常に高く、門脈体循環シャントを示しため、試験に不適格となった。マウス7匹が、軽度過ぎる冷却アロディニアを示したため、更なる試験に不適格となった。その上、検査時に行った福祉観察によって、群の30%が眼球の膨張を呈し、活動が明らかに低下したため、デュロキセチンにより最も有害な作用が生じることが見出された。
オキサリプラチン化学療法は、体重(BW)増加に劇的には作用しない。未加工のBW値を、ベースライン体重により正規化して、ベースラインからの%BW変化が得られた。この値の群平均は、図22に示す。
図22は、ベースラインからの平均%BW変化として示す体重増加を示す。データは、平均値±SEMとして示す。two-way ANOVA、Sidakの多重比較検定を、溶媒-溶媒対OXP-溶媒との比較に使用する。***p<0.001、**p<0.01、*p<0.05、Base=ベースライン。x軸は、平均ベースラインBWを示す。簡潔には、垂線は、OXP曝露の終了(D21)及び溶媒/CBC/デュロキセチン投与の開始(D22)を示す。
OXP曝露期間では、数パーセントのわずかな体重増加が見られる(溶媒-溶媒群のおよそ10%と比較して)。D22以降では、すべての群が体重のわずかな減少を呈するが、これは群によっては、増加し始める。CBC及びデュロキセチン処置群に観察された体重の緩徐な増加は、潜在的にはこの処置による、食欲の低下のためであり得る。
アセトン冷却検査-図23は、各処置群内のACTスコアの時点比較を示す。高度に有意な冷却アロディニアが、すべての処置群においてOXPにより誘導された(図23、ベースライン対D21)。単回用量処置(D22)検査時点時では、CBC処置群は、D21の処置前と比較して、冷却アロディニアの最も有意な回復を示した(p<0.001)。デュロキセチンにより、冷却アロディニアの有意な回復が誘導されたが、CBC処置群と同一の有意性レベルには達しなかった(p<0.01)。
図23では、指示時点における平均ACTスコアの処置群内比較を提供する。データは、平均値±SEMとして示す。two-way ANOVA、Dunnettの多重比較検定を、D21(処置前)との比較に使用した。****p<0.0001、***p<0.001、**p<0.01、*p<0.05、Base=ベースライン。
その上、CBCによる10日の反復投与では、冷却アロディニアの有意な回復が示された(D31対D21)。同様に、デュロキセチンによる反復投与では、冷却アロディニアの有意な減少が示された(D31対D21)(図23)。
図24は、急性的単回用量(D22)又は慢性的反復投与(D31)後の平均ACTスコアの処置群間比較を示す。CBC又はデュロキセチンによる急性的投与では、OXP-溶媒対照と比較した場合、冷却アロディニアの統計学的に有意かつ比較可能な減少が示された。慢性的投与時点(D31)では、デュロキセチンにより、冷却アロディニアの有意な減少が維持されたが、定性的であるが統計学的に有意ではない減少が、CBC処置について、なお観察された(p=0.06、図24)。
図24では、指示時点における平均ACTスコアの処置群間比較を提供する。データは、平均値±SEMとして示す。**p<0.01、*p<0.05、同一時点でOXP-溶媒と比較(Mann-Whitney検定)、###p<0.001、##p<0.01、OXP-溶媒、同一時点で溶媒-溶媒と比較(Mann-Whitney検定)。
結論
製剤は、公知の疼痛緩和医薬と比較して、疼痛管理において有効であることを示した。
オキサリプラチン(OXP)曝露期間後、すべてのOXP処置群は、アセトン冷却検査(ACT)で確認されたように、高度に堅牢なOIPNモデル誘導を呈した。
CBC(20mg/kg)又はデュロキセチン(25mg/kg)により、ACTにより測定した場合、単回用量処置時の化学療法誘導疼痛における比較可能かつ有意な回復が示された。
10日間の慢性的複数回用量処置時では、ACTにより測定した場合、対応する溶媒対照(溶媒-OXP)群と比較して、CBC及びデュロキセチンの両方により、オキサリプラチン誘導疼痛の有意な減少が生じた。
注目すべきは、デュロキセチンは、米国臨床腫瘍学会により化学療法誘導末梢神経障害(CIPN)に推奨される唯一の処置であり、CIPNのための処置の系統的審査によって、デュロキセチンの中程度の利点を示す証拠が示されていることである(Houら2018)。しかし、デュロキセチン処置により、顕著な副作用が生じる。したがって、この試験では、明白な有害作用が、デュロキセチン群の30%において観察され、これは、眼球の膨張及び全体的活動の明らかな低下を誘導した。意義深いことに、CBC処置により、過反応性又は精神賦活性有害作用は生じなかった。
このような結果は、CBCを含む製剤が、神経障害性疼痛を経験している対象のための疼痛管理を効率的に達成可能であるということを肯定する。
前述の説明では、説明目的のために多数の詳細を記載して、実施形態の徹底的な理解を提供する。しかし、このような特定の詳細が必要とされるとは限らないことは当業者に明らかである。本明細書に列挙する参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
上記の実施形態は、単なる例示であることを意図する。特定の実施形態に対する変更、修飾及び変形は、当業者によりなされ得る。特許請求の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態により制限されるべきではないが、全体として本明細書と一致するように解釈されるべきである。
以下の文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
(参考文献)
Figure 2023523275000012
Figure 2023523275000013

Claims (34)

  1. 一次カンナビノイド及び賦形剤を含む、それを必要とする対象による疼痛管理における使用のための製剤であって、前記一次カンナビノイドが、カンナビクロメン(CBC)からなり、前記製剤が、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない、製剤。
  2. 疼痛管理が、神経障害性疼痛、がん、化学療法、炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後の神経痛、末梢神経障害、多発性硬化症、外傷、事故、手術又は組織損傷による疼痛の処置を含む、請求項1に記載の疼痛管理における使用のための製剤。
  3. 1つ又は複数の二次カンナビノイド、好ましくは、カンナビジオール(CBD)を更に含む、請求項1又は2に記載の疼痛管理における使用のための製剤。
  4. 1つ又は複数の二次カンナビノイドが、最大で一次カンナビノイドの15質量%の量で存在する、請求項3に記載の疼痛管理における使用のための製剤。
  5. 丸剤、錠剤、ゲルカプセル、シロップ、油性スプレー又は液体油の形態の剤形に調製された、請求項1から4のいずれか一項に記載の疼痛管理における使用のための製剤。
  6. 1用量あたり総量1mg~25mg、好ましくは5mg~20mgの一次カンナビノイドを提供する、請求項1から5のいずれか一項に記載の疼痛管理における使用のための製剤。
  7. 疼痛管理が、鎮静作用を有しない鎮痛作用を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の疼痛管理における使用のための製剤。
  8. 一次カンナビノイド及び賦形剤を含む、それを必要とする対象による疼痛管理の方法における医薬としての使用のための製剤であって、前記一次カンナビノイドが、カンナビクロメン(CBC)からなり、前記製剤が、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない、製剤。
  9. 疼痛管理が、神経障害性疼痛、がん、化学療法、炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後の神経痛、末梢神経障害、多発性硬化症、外傷、事故、手術又は組織損傷による疼痛の処置を含む、請求項8に記載の疼痛管理の方法における医薬としての使用のための製剤。
  10. 1つ又は複数の二次カンナビノイドを更に含み、好ましくは、1つ又は複数の前記二次カンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)を含む、請求項8又は9に記載の疼痛管理の方法における医薬としての使用のための製剤。
  11. 1つ又は複数の二次カンナビノイドが、最大で一次カンナビノイドの質量の15%の量で存在する、請求項10に記載の疼痛管理の方法における医薬としての使用のための製剤。
  12. 丸剤、錠剤、ゲルカプセル、シロップ、油性スプレー又は液体油の形態の剤形である、請求項8から11のいずれか一項に記載の疼痛管理の方法における医薬としての使用のための製剤。
  13. 1用量あたり総量1mg~25mg、好ましくは5mg~20mgの一次カンナビノイドを提供する、請求項8から12のいずれか一項に記載の疼痛管理の方法における医薬としての使用のための製剤。
  14. 疼痛管理が、鎮静作用を有しない鎮痛作用を含む、請求項8から13のいずれか一項に記載の疼痛管理の方法における医薬としての使用のための製剤。
  15. 有効量の一次カンナビノイド及び賦形剤を含む、それを必要とする対象における疼痛管理のための製剤の使用であって、前記一次カンナビノイドが、カンナビクロメン(CBC)からなり、前記製剤が、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない、使用。
  16. 有効量の一次カンナビノイド及び賦形剤を含む、それを必要とする対象における疼痛管理のための医薬の調製のための製剤の使用であって、前記一次カンナビノイドが、カンナビクロメン(CBC)からなり、前記製剤が、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない、使用。
  17. 疼痛管理が、神経障害性疼痛、がん、化学療法、炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後の神経痛、末梢神経障害、多発性硬化症、外傷、事故、手術又は組織損傷による疼痛の処置を含む、請求項15又は16に記載の使用。
  18. 製剤が、1つ又は複数の二次カンナビノイドを更に含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の使用。
  19. 1つ又は複数の二次カンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)を含む、請求項18に記載の使用。
  20. 1つ又は複数の二次カンナビノイドが、最大で一次カンナビノイドの質量の15%の量で製剤中に存在する、請求項18又は19に記載の使用。
  21. 製剤が、丸剤、錠剤、ゲルカプセル、シロップ、油性スプレー又は液体油の形態の剤形である、請求項15から20のいずれか一項に記載の使用。
  22. 製剤が、1用量あたり総量1mg~25mgの一次カンナビノイドを提供する、請求項15から21のいずれか一項に記載の使用。
  23. 製剤が、1用量あたり総量5mg~20mgの一次カンナビノイドを提供する、請求項22に記載の使用。
  24. 疼痛管理が、鎮静作用を有しない鎮痛作用を含む、請求項15から23のいずれか一項に記載の使用。
  25. 請求項15から24のいずれか一項に記載の使用のための説明書と共に請求項1に記載の製剤を含む、商用パッケージ。
  26. 一次カンナビノイド及び賦形剤を含む有効量の製剤を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象における疼痛管理のための方法であって、前記一次カンナビノイドが、カンナビクロメン(CBC)からなり、前記製剤が、テトラヒドロカンナビノール(THC)を本質的に含まない、方法。
  27. 疼痛管理が、神経障害性疼痛、がん、化学療法、炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後の神経痛、末梢神経障害、多発性硬化症、外傷、事故、手術又は組織損傷による疼痛の軽減を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 製剤が、1つ又は複数の二次カンナビノイドを更に含む、請求項26に記載の方法。
  29. 1つ又は複数の二次カンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)を含む、請求項28に記載の方法。
  30. 1つ又は複数の二次カンナビノイドが、最大で一次カンナビノイドの質量の15%の量で製剤中に存在する、請求項28に記載の方法。
  31. 製剤を丸剤、錠剤、ゲルカプセル、シロップ、油性スプレー又は液体油の形態の剤形で投与する、請求項26に記載の方法。
  32. 製剤が、1用量あたり総量1mg~25mgの一次カンナビノイドを対象に提供する、請求項26に記載の方法。
  33. 製剤が、1用量あたり総量5mg~20mgの一次カンナビノイドを対象に提供する、請求項32に記載の方法。
  34. 疼痛管理が、鎮静作用を有しない鎮痛作用を含む、請求項26に記載の方法。
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