JP2023522068A - 毛包関連状態を処置するための組成物および方法 - Google Patents

毛包関連状態を処置するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023522068000001
ヒト皮膚および生物学的障壁、機能および構造を維持するようにケラチノサイトによって補助されている毛包などのその付属器の機能および完全性を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素を含む組成物を開示する。これらの組成物は、男性型多毛症および化膿性汗腺炎などの毛包系皮膚疾患および毛包関連状態を処置するのに有用である。これらの組成物は、皮膚からの毛を緩めるのに使用することもでき、それにより望まれない毛をヒト身体から除去するのに使用することもできる。

Description

本発明は、電子化フォーマットで提供されている提出書類リストを含み、このリストの内容を参照により本明細書に組み込む。
本発明は、毛包関連状態を処置するための組成物に関する。この組成物は、角質化による組織生成の過程でケラチノサイトによって産生されるタンパク質ケラチンまたはケラチン関連タンパク質などの重要なエフェクター分子の加水分解を触媒することができる少なくとも1種の酵素を含む。角質化は、ケラチノサイトが皮膚層を共に繋留するのを可能にし、毛包中の毛など、付属器が機能的であることを確実なものとする。病的な角質増殖中の前記ケラチンの過剰生産は、様々な毛包関連の皮膚状態または毛包系皮膚疾患を引き起こす毛包閉塞依存性症候群をもたらす可能性がある。本発明は、毛根組織の破壊を亢進し、酵素触媒作用による毛の繋留ケラチンなどの毛包タンパク質の加水分解を可能にして、同一個体の毛包から未処置の髪を除去するよりかなり少ない力による毛幹全体の除去を亢進し、毛包内の毛根組織の破壊を亢進して、角質増殖症、毛幹異常、閉塞、および皮膚疾患発症を回避する組成物を包含する。本発明は、男性型多毛症、多毛症、もしくは須毛部仮性毛包炎、または尋常性ざ瘡、毛孔性角化症、ダウリング-デゴス病、ヘイリー-ヘイリー病、乳管瘻、もしくは集簇性ざ瘡、毛巣洞疾患、頭皮の解離性蜂巣炎、および化膿性汗腺炎が含まれる毛包閉塞四徴症候群などの毛包関連状態および毛包系皮膚疾患を処置、介入治療、または防止するため、またはヒト身体上の皮膚からの望まれない毛の整容的および美容的除去のためのそのような組成物の使用にさらに関する。
ヒト皮膚は、環境に対する防御的および調節的な生物学的障壁であり、ホメオスタシスおよび健康に不可欠である。ヒト皮膚は、爪、汗腺、および毛包が含まれるいくつかの異なる付属器を有する。皮膚の構造、機能、および完全性は、疎水性脂質および角質化タンパク質の両方に依存している。角質化は、タンパク質ケラチンおよびケラチン結合タンパク質のサブセットが共有結合性および非共有結合性の相互作用によってペアリングおよび架橋されて、線維および抵抗組織の構造的ネットワークを形成する過程である。角質層は、ケラチンで満たされ、相互接続され、死んでいるケラチノサイトを主に含む皮膚の最も外側の死細胞層であり、外来分子の貫通に対する主な障壁である。それは、内因性プロテアーゼおよび阻害因子によって制御される剥離のレベルによって調節される。下には、時間がたつと角質層細胞に分化し、角質化する多数の増殖中のケラチノサイトから構成されるより活性な表皮がある。一部の安定なケラチノサイトは、K1、K2、K5、およびK14などのケラチンを構成的に発現する。他のものは、外部ストレスおよび疾患に反応して、K17、K16、およびケラチン6ファミリーなどのケラチンを特徴的に発現する過剰増殖のケラチノサイトである(https://doi.org/10.5772/intechopen.79050)。
毛包では、毛が毛乳頭から成長するのを可能にする内毛根鞘(IRS)および外毛根鞘(ORS)によって毛幹が形作られ、繋留されている。したがって、健康な毛の成長は、根鞘およびそのケラチノサイトに依存している。IRSは、共に毛幹を封入するヘンレ層、ハックスレー層、およびキューティクル層(CL)という別個のサブレイヤーから構成される。IRSは、毛乳頭から峡部への上向きの表皮角質化によって徐々に角質化し、峡部でそれが落屑され、裸の毛幹が毛包管を通り、皮膚から出るのが亢進される。健康な毛の成長は、IRSとORSの間の双方向の細胞シグナルによって調整される。IRSは、主として表皮性の角質化を行うが、ORSは、峡部のすぐ上にある漏斗からの外毛根鞘性角質化によって角質化する。障壁機能および完全性における角質化の中心的役割のため、皮膚およびその付属器の多くの重大な皮膚疾患が調節不全の角質化から生じる。
毛包閉塞が、ケラチンなどのORSケラチノサイトタンパク質の角質増殖および調節不全の角質化から起こることを当業者ならば認識することができる。したがって、加水分解酵素が前記角化異常症の部位に達することによる任意の分化段階でのORS組織の破壊により、そうでなければ生じる前記皮膚疾患の負担に関連する主な皮膚病態の発症が回避されることになる。局所的酵素の主要な病態生理学的作用部位は、ORSの角化異常によって引き起こされるほとんどの毛包系皮膚疾患において、漏斗だろう。ほとんどの毛包関連状態が生じる最終毛包の漏斗は、平均500~660μmの深さにある(https://doi.org/10.1007/s00441-014-1999-1)。
薬物および化粧料の開発で広く適用されるヒト皮膚および毛包の1モデルは、当業者にとっては、ブタの耳であり、これは生理機能が類似していることによる。角質増殖症の利用可能なインビボ(in vivo)モデルはマウスであり、マウスでは、皮膚状態の個別の要素を別々に研究することができる。最後に、皮膚状態および皮膚疾患が大部分、皮膚に限局されるので、患者が含まれるヒト対象からの皮膚生検は、最も価値があり、現実的な組織モデルを提供する。
毛包は、通常、全ての非粘膜性の皮膚全体に分布しているが、タイプおよび外観は、年齢、性、およびホルモンシグナル伝達が含まれるいくつかの因子に依存する。例えば、成熟した男性のヒトは、顔、首、四肢、胴体、背中、殿部、鼠蹊部など、身体上の多くの箇所で、主に粗く有色の毛の成長を有するが、典型的に、女性では、思春期に入った後でも、このタイプの毛の分布はそれほど広くないことがよく知られている。現在、世界人口の大部分によって、望まれない毛の除去が行われており、それには、物理的方法と化学的方法の両方が用いられている。物理的なデバイスは、剃毛、レーザー処置、抜毛/エピレーション、またはワックス脱毛の形態での除毛を可能にする。毛幹を溶解することによる脱毛は、典型的にはチオグリコレートおよびpHが高いアルカリ性を含む強い化学物質を用いて行われ、そのような化学物質は、反応性が強いことによる不都合を有し、このことは、意図されたような毛および毛根の完全な除去がなされず、結果が長続きしないだけでなく、重度の皮膚刺激を引き起こす可能性がある。剃毛は、さらに、皮膚上に目に見える小さな毛を残し、日常的に皮膚刺激を引き起こし、皮膚を切る危険がある。機械的な手段を用いて毛根を引き抜くことによる除毛は、苦痛であり、不便であり、再び除去するのに新しい毛がある程度の長さのものである必要がある。レーザーは、毛包を不可逆的に損傷するようにあてて毛の成長を抑制するが、この方法は、スペシャリストによる複数回の高費用の処置を必要とし、苦痛であり、熱傷および瘢痕をもたらす可能性がある。その有効性がメラニン含有量に直接的に依存しているため、全ての髪色、皮膚領域、皮膚色、または皮膚タイプに適用可能なわけではないので、除毛のこの方法は、処置された患者の50%にしか有益な効果が無い。
過度もしくは病的な毛髪成長、毛包および皮膚の角質増殖および閉塞、例えば、男性型多毛症、多毛症、もしくは須毛部仮性毛包炎、または毛包性角質増殖症によって誘導される皮膚疾患もしくは尋常性ざ瘡の発症をもたらす毛包閉塞、毛孔性角化症、ダウリング-デゴス病、ヘイリー-ヘイリー病、乳管瘻、もしくは集簇性ざ瘡、毛巣洞疾患、頭皮の解離性蜂巣炎、および化膿性汗腺炎が含まれる毛包閉塞四徴症候群などの複数の状態および疾患が、角質化の機能不全と結びついている。
世界中で男性と女性の両方が男性型多毛症を患っている。約5~15%の女性が、様々な程度で男性型多毛症を患っていると推算されている。男性型多毛症は、身体上の通常は毛が無い部分、例えば上唇および顔、胸、背中、腕、脚、鼠蹊部、ならびに殿部における、粗い有色の男性パターンの毛の成長によって特徴付けられる。男性型多毛症患者では、毛包を刺激する過剰な男性ホルモンアンドロゲンのシグナル伝達によって症状が引き起こされる。アメリカ合衆国(USA)だけで約40万人の女性が重度の臨床的男性型多毛症を有する。自己申告によれば、それらの女性が正常で充足した生活を送るには毎日の除毛が欠かせないことが明らかである。したがって、未だ対処されていない大きな医学的必要性が示されている。
世界人口の1%が化膿性汗腺炎を患っている。化膿性汗腺炎は、複数の重大な併存症および非常に低いクオリティオブライフを伴う、毛包の進行性、再発性の慢性疾患である。化膿性汗腺炎および複数の関連状態において、ホールマークの疾患誘発イベントは、毛包閉塞をもたらす、毛包漏斗における角質増殖である。化膿性汗腺炎では、毛包閉塞が、架橋しているケラチン凝集体が真皮内に漏出する毛包破裂をもたらし、これが、強度の炎症反応を誘導し、それによって、深在性、化膿性、有痛性の嚢胞性病変が生じる。これらの病変は、典型的には、腋窩、殿部、鼠蹊部、皮膚のヒダ、例えば過体重および女性の乳房の下に見られるものに局在する。患者の四分の三が女性である。患者は、典型的には、思春期に現れ、生涯にわたる身体的および精神的な瘢痕化および障害の予後を有する。疾患重症度段階は、軽度(Hurley病期1)、中等度(Hurley病期2)、および重度(Hurley病期3)として特徴付けられ、それぞれが患者集団の68%、28%、および4%という分布になっている。中等度から重度の患者では、皮膚嚢胞が洞トンネル形成および外観を損ない障害をもたらす線維性の皮膚瘢痕化に進行する。
現在、アメリカ合衆国、日本、スペイン、イタリア、フランス、英国、および独国で80万人の患者、すなわち患者の集団の約10%のみが、様々なレベルの疾患重症度の化膿性汗腺炎と診断され、処置されている。利用可能である有効な治療法が極めて限定されており、治療応答が極めて個別的であるため、診断患者および診断されていない患者の両方が、未だ対処されていない大きな医学上の必要性を有する。疾患を他の人々に意図せずに知らせる可能性のある露出した感受性の皮膚の処置は、患者にとって、対処が特に困難であり、不良な治療結果は、患者にさらなる身体的および精神的苦痛をもたらすことになりやすい。加えて、患者の皮膚が高感受性であるため、定期的な除毛が極めて困難である。第一選択療法には、全身性抗生物質とホルモンの組合せが含まれ、抗腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)モノクローナル抗体の生物学的製剤であるHumira(登録商標)が、米国食品医薬品局によりオーファンドラッグトラックで2015年に中等度から重度の疾患用に承認された。Humira(登録商標)は、費用が高いこと、化膿性汗腺炎における疾患管理効果が限定的であること、重篤かつ場合により生命に危険を及ぼす有害事象があること、および禁忌が多いことにより、その使用が大きく制限されている。西側諸国では、有用な処置を得る機会が現時点において不足していることにより、疾患管理に不満を有している患者が46%、自身の疾患が自身のクオリティオブライフに極度に悪い影響を与えていると報告している患者が43%、皮膚の手術を行った患者が83%いると推算されている(https://doi.org/10.1016/j.jaad.2019.06.1301)。したがって、予防治療およびより良い疾患管理を可能にする選択肢が必要である。毛の成長中の毛包性角質増殖症およびその閉塞は、多数の皮膚状態の中心的なボトルネックイベントである。したがって、疾患発症におけるこの初期に疾患に干渉することは、既存の治療法と比較して、はるかに有効であるだろう。尋常性ざ瘡の処置に使用される外用ケラチン分解化学物質であるベンゼン-1,3-ジオールは、高用量における化膿性汗腺炎患者のいくつかの第II相臨床試験で特有だが不十分な疾患管理上の利点を有していた。外用の過酸化ベンゾイルは、化膿性汗腺炎を緩和する選択肢として、まだ臨床試験調査中である。
レーザー除毛も、現在、毛包幹細胞を殺し、それによって、毛包からの毛の成長および角質増殖の両方を回避する目的の臨床試験で研究されている。最初の結果は、化膿性汗腺炎に対する限定的な予防有効性を示した。加えて、この処置は、安全に用いるには、高価な設備、専門的技術、および認定された操作者を必要とするので、開発の程度が低く貧しい国の多くの患者には利用できないものである。ひりひりし、炎症を起こしている病変、特に発症していることが多く、薄く、接触困難かつ感受性の皮膚を有するプライベートゾーンにおける病変のため、発症している全ての身体領域を処置することは、ほとんどの場合、困難である。
毛幹を囲む根鞘タンパク質ケラチンなどの原因となるケラチノサイトおよびそのエフェクター分子を標的にする、より良い療法の治療上または美容上の必要性がある、望ましくない毛の成長、男性型多毛症などの毛の病態、ならびに化膿性汗腺炎および上に列挙した複数の関連する毛包関連状態などの毛包系皮膚疾患に介入するため、酵素ベースの療法は、ユーザフレンドリーな方法で早期に安全に穏やかに進行を予防および管理する見込みが大きい新規の介入治療薬を構成する。
本発明は、ヒト皮膚ならびに生物学的障壁、その機能および構造を維持するようにケラチノサイトによって補助されている、毛包などのその付属器の機能および完全性を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素を含む組成物であって、
a.ケラチノサイトによって補助されているヒト皮膚および毛包などのその付属器の完全性を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素に加えて、少なくとも1種の薬学的に許容される成分を含む医薬組成物、または
b.ヒト皮膚および毛包などのその付属器の完全性を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素に加えて、少なくとも1種の美容上許容される成分を含む美容組成物
である組成物に関する。
本発明は、例えば酵素が埋め込まれている溶解性マイクロニードルが付いている、医療用パッチ、または最も外側の一次皮膚障壁を貫通し、それにより作用部位への酵素のデリバリーを強化するように設計された頑丈なマイクロニードルを備えたデバイスなど、本発明の組成物を含む医療デバイスにも関する。
本発明は、毛包関連状態を処置するための、本発明の組成物または医療デバイスの使用にさらに関する。使用は、男性型多毛症、多毛症、もしくは須毛部仮性毛包炎などの状態、または須毛部仮性毛包炎などの毛包性角質増殖症もしくはORS、IRS、および毛幹が含まれる毛包毛鞘における角質化異常によって引き起こされる過度もしくは病的な毛の成長の他の状態によって誘導される毛包系皮膚疾患、または尋常性ざ瘡、毛孔性角化症、ダウリング-デゴス病、ヘイリー-ヘイリー病、乳管瘻、もしくは同一の組織が疾患進行の原因となる集簇性ざ瘡、毛巣洞疾患、頭皮の解離性蜂巣炎、および化膿性汗腺炎が含まれる毛包閉塞四徴症候群などの毛包性角質増殖症および毛包閉塞によって誘導される皮膚疾患を処置するための医療使用のためのものであってもよく、使用は、人体から望まれない毛を除去するための整容的および美容的使用のためのものであってもよい。
本発明はさらに、医薬として使用するために規定される組成物にも関する。
図1は、皮膚から毛を放出させる酵素を同定するためのスクリーニングアッセイを示す。 図2は、酵素組成物を局所的適用した後の皮膚からの毛の放出の定量を示す。 図3は、グルタミルエンドペプチダーゼが、ヒトの毛のORS組織を強力に破壊することを示す。 図4は、グルタミルエンドペプチダーゼがORS由来のケラチンを強力かつ選択的に加水分解することを示す。 図5は、グルタミルエンドペプチダーゼが健康なヒトORS組織を選択的に破壊することを示す。 図6は、グルタミルエンドペプチダーゼが化膿性汗腺炎の病変皮膚におけるORS組織を選択的に破壊することを示す。 図7は、グルタミルエンドペプチダーゼが毛包への酵素デリバリーの増強を促進することを示す。
本発明によれば、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の完全性、機能、および構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素を含む組成物で毛包性皮膚状態などの皮膚疾患を処置することができる。
注目すべきことに、哺乳動物の皮膚から毛を選択的かつ強力に放出することができる酵素が、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の機能および完全性、機能、ならびに構造を補助するケラチンなどのI型およびII型ケラチノサイトタンパク質の加水分解を触媒し、それゆえ、ヒト皮膚を処置することおよび/または毛包のうっ滞を除去または低減させて、皮膚疾患および美容状態を回避することにそれらを使用することができることが発見された。それによって、前記酵素は、ケラチンなどのこれらのタンパク質によって引き起こされる疾患進行を防止および/または低減および/または制御して、皮膚疾患の進行と再発と何らかのそれらの皮膚徴候に望ましくない結果を阻害することによって、有意の望ましくない損傷を生じないで、毛包が含まれるその付属器が含まれる皮膚の病態の早期の寛解を引き起こすことができる。
酵素
ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の完全性、機能、および構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素は、原則として、ケラチンとして分類されたものが含まれるそのようなタンパク質の加水分解を触媒する能力を有するいかなる酵素でもよい。皮膚疾患を媒介し、毛を囲み、その毛包における毛の自然な成長を亢進するヒト毛包組織の完全性を補助する増殖性または過増殖のケラチノサイトケラチンは、ORSもしくはIRS、または付属器を有する皮膚もしくは障壁が破られた皮膚の任意の他の明確に定義された機能的な組織が含まれるヒト毛アンカー組織で典型的に見いだされ、事前に説明された状態または疾患進行を助長するヒト毛を囲む機能的および構造的タンパク質ケラチンである。当業者は、所与の酵素が、ケラチンとして分類され得る増殖性または過増殖のケラチノサイトタンパク質でできた組織を破壊する能力を有するかどうかを、実施例1~10および図1~7に開示する実験およびその結果のような単純な日常的実験によって決定することができる。本発明の目的では、その活性を、毛が生えているブタ皮膚を基質として、陰性対照および酵素対照と比較して測定した場合において、局所適用の後に毛を引き抜いた場合の力の低減が40%超、好ましくは50%超、好ましくは60%超、好ましくは70%超、最も好ましくは80%超、または皮膚からのヒト除毛の際に識別可能な疼痛を避けるのに十分に大きい場合に、酵素が健康な毛包のORS組織を破壊する能力を有するとみなす。
好ましくは、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の機能および完全性、機能、ならびに構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が、エンドペプチダーゼ、特にグルタミル特異性プロテアーゼ、すなわち、グルタミル残基に隣接するペプチド結合を切断する特異性が高いプロテアーゼが含まれるプロテアーゼから選択され、さらに好ましくは1種または複数種の酵素が、タンパク質基質におけるグルタミン酸アミノ酸へのそれらの選択性により、グルタミルエンドペプチダーゼから選択され、ケラチンは、真皮への顕著な巻き添え損傷を回避することができる。そのような酵素の例は、ストレプトマイセス・グリセウスのグルタミルエンドペプチダーゼII sprE黄色ブドウ球菌のV8プロテアーゼ、特にバシラスのグルタミルエンドペプチダーゼであり、特にバチルス・プミルスJA16のグルタミルエンドペプチダーゼセリンプロテアーゼbppBが好ましく、特にバチルス・リケニフォルミスのグルタミルエンドペプチダーゼblaSEが好ましい。
好ましい実施形態では、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の完全性、機能、および構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が、プロテアーゼ、好ましくは、配列番号1または配列番号13の配列を有するポリペプチドに少なくとも60%の配列同一性、例えば少なくとも70%の配列同一性、例えば少なくとも80%の配列同一性、例えば少なくとも90%の配列同一性、例えば少なくとも95%の配列同一性、例えば少なくとも96%の配列同一性、例えば少なくとも97%の配列同一性、例えば少なくとも98%の配列同一性、例えば少なくとも99%の配列同一性を有するグルタミルエンドプロテアーゼから選択される。好ましい実施形態では、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の完全性、機能、および構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が配列番号1および/または配列番号13の配列を含む。
ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の完全性、機能、および構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が、配列番号1または配列番号13と比較して1個または複数個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の置換、好ましくは保存的置換を含む変異型など、配列番号1および配列番号13の配列を含むプロテアーゼの変異型であってもよい。
別の好ましい実施形態では、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の完全性、機能、および構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が、配列番号12または配列番号14の配列を有するポリペプチドに少なくとも60%の配列同一性、例えば、少なくとも70%の配列同一性、例えば少なくとも80%の配列同一性、例えば少なくとも90%の配列同一性、例えば少なくとも95%の配列同一性、例えば少なくとも96%の配列同一性、例えば少なくとも97%の配列同一性、例えば少なくとも98%の配列同一性、例えば少なくとも99%の配列同一性を有するプロテアーゼ、好ましくはグルタミルエンドプロテアーゼから選択される。好ましい実施形態では、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の完全性、機能、および構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が配列番号12および/または配列番号14の配列を含む。
ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の完全性、機能、および構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が、配列番号12または配列番号14と比較して1個または複数個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の置換、好ましくは保存的置換を含む変異型など、配列番号12および配列番号14の配列を含むプロテアーゼの変異型であってもよい。
当業者は、所与の酵素が、ケラチンとして分類され得るケラチノサイトおよびそのエフェクタータンパク質を含むORS組織を破壊する能力があるかどうかを、実施例3に開示の実験およびその結果のような単純で日常的な実験によって決定することができる。好ましくは、酵素は、陽性対照が陰性対照とかなり異なっている場合、酵素が適用された場合に毛を引き抜く場合の、陰性対照と比較して40%超の力の低減を得ることができる。酵素は、酵素が、1000ppm未満、好ましくは100ppm未満、より好ましくは10ppm未満の濃度で供給された場合に健康な組織を破壊することができるとみなされる。特に良い濃度範囲は、0.01ppmと1ppmの間であり、さらに好ましいのは、0.01ppmと0.05ppmの間の濃度範囲である。
皮膚サンプル分析(実施例6~9)では、陰性対照バッファー(酵素が添加されていない)ではなく、30~1000ppmもしくは好ましくは1~10ppmの酵素の酵素を用いた、好ましくは1ppm未満の酵素もしくはさらには0.1ppm未満の酵素を用いた、より好ましくは0.01~0.1ppmの酵素を用いた酵素インキュベーションの後に顕微鏡下で組織学的検査を行うことによって、好ましくは、陰性対照バッファーではなく、30~1000ppmの酵素、もしくは好ましくは1~10ppmの酵素を用いた、好ましくは1ppm未満の酵素もしくはさらに0.1ppm未満の酵素を用いた、好ましくは0.01~0.1ppmの酵素を用いた酵素インキュベーションの後に、それが抜き取った髭の毛で可視的にORSを破壊し、それによってそれが顕微鏡下で有意に膨潤する場合、または、それが、陰性対照バッファーではなく30~1000ppmの酵素、もしくは好ましくは1~10ppmの酵素を用いて、好ましくは1ppm未満の酵素もしくはさらに0.1ppm未満の酵素を用いて、好ましくは0.01~0.1ppmの酵素を用いて、上皮を破壊することによって、陰性対照バッファーではなく、酵素インキュベーションの後、顕微鏡下での観察でORS細胞を顕著に損なわずにORS組織を可視的に分解している場合に、ORS組織を破壊する酵素組成物の能力を観察することができる。
当業者は、所与の酵素が、ケラチンとして分類され得るケラチノサイトおよびそのエフェクタータンパク質を含む健康なORS組織を破壊する能力を有するかどうかを、実施例6~8に開示の実験およびその結果のような単純で日常的な実験によって決定することができる。
当業者は、所与の酵素が、ケラチンとして分類され得るケラチノサイトおよびそのエフェクタータンパク質を含む病変ORS組織を破壊する能力があるかどうかを、実施例9に開示の実験およびその結果のような単純で日常的な実験によって決定することができる。
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、処置される皮膚部位への局所適用で使用される。当業者は、所与の酵素が、局所適用の後に毛包内の作用部位に送達されているかどうかを、実施例10に開示の実験およびその結果のような単純で日常的な実験によって決定することができる。実施例10では、酵素が皮膚表面から少なくとも300μm離れた毛包への金ナノ粒子デリバリーを亢進する。本発明では、酵素活性の結果、陰性対照(同じ組成物中に酵素がない)と比較して、金ナノ粒子が毛包にかなり深く貫入する場合に、酵素が局所的に送達されているとみなされる。
したがって、本発明の組成物は、好ましくは、以下の形態にある。
- 局所適用に適している形態、例えば、10~1000ナノメートルのサイズを有するクリーム、ローション、ゲル、軟膏剤、フォーム、フィルム、スプレー、粒子、フィラメント、もしくは球の懸濁液の形態、もしくはより容易にかつ深く毛包および皮膚に入るこれらの組合せ、または
- 場合によって、皮膚腫脹を促進する閉塞性処置、もしくは微小針もしくは類似の尖った構造もしくは組成物を保持するリザーバなどが付いている、強化された活性部位への皮膚の成分および酵素貫通を物理的および/または化学的に促進するパッチの形態、または
- 皮膚インプラントの形態、例えば、針などのデバイスが配置されている物理的なリザーバ、ポンプ、もしくは粒子、もしくは組成物中の活性成分の局所適用などの皮膚もしくは病変への標的指向適用について認可されているか、もしくは将来認可される他の知られている製剤もしくは投与形態。
組成物は、潜在的に透過性が低い、進行した病変の原因タンパク質を加水分解するべき作用部位に溶液を注射することによって既存の病変を処置するための毛包内、皮内注射剤、好ましくは中空針を使用するものなどの病巣内注射剤として製剤化されることも好ましい。
好ましくは、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の機能および完全性、機能、ならびに構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が、皮膚1平方センチメートルあたり10ng~10000μgの酵素タンパク質、好ましくは皮膚1平方センチメートルあたり100ng~1000μgの酵素タンパク質、より好ましくは皮膚1平方センチメートルあたり100ng~100μgの酵素タンパク質の量で適用される。
好ましくは、ヒト皮膚、閉塞した毛包、および嚢胞などの皮膚病変の生物学的障壁の機能および完全性、機能、ならびに構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が、処置される必要がある皮膚部位1箇所あたり10ng~10000μgの酵素タンパク質、好ましくは皮膚病変1箇所あたり100ng~1000μgの酵素タンパク質、より好ましくは処置される必要がある皮膚部位1箇所あたり100ng~100μgの酵素タンパク質の量で、患部皮膚に注射される。
本発明の組成物は、好ましくは、組成物1gあたりの1ng~100mg酵素タンパク質の範囲の量のヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の機能および完全性、機能、ならびに構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素、または本発明において1ppm=本発明の組成物のL容積あたり1mgの酵素タンパク質と定義されるppmで表して、好ましくは、0.01ppm~1000ppmの量の組成物、好ましくは1ppm~100ppmの組成物、より好ましくは30ppm~100ppmの組成物中のヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の機能および完全性、機能、ならびに構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素を含む。
一実施形態では、組成物は、その成分および濃度が、関係する現在の医薬品規制に従って薬学的に許容されるか、薬学的に許容されることになるか、関係する市場、状態、または疾患で販売および適用される特定の組成物用に規制当局によって別段に特に認可されている医薬組成物である。
「薬学的に許容される成分(pharmaceutically acceptable ingredients)」、「薬学的に許容される成分(ingredients that are pharmaceutically acceptable)」、または文法的に同等の用語は、本明細書および特許請求の範囲において、医薬組成物の製造における構成成分として使用されるのに必要な均一性および純度を有する成分を意味するものとする。当業者は、例えば、米国薬局方もしくは欧州薬局方または世界中の同等の法的および規制機関などの認められている薬局方の使用によって、そのような使用に許容される適した成分をどのように選択するか知っている。
一実施形態では、少なくとも1種の薬学的に許容される成分に加えて、追加の賦形剤が組成物に添加される。
一実施形態では、組成物が、他の薬学的に活性な分子をさらに含む。
一実施形態では、組成物が、疼痛を軽減する薬学的に活性な分子をさらに含む。
一実施形態では、組成物が、炎症を軽減する薬学的に活性な分子をさらに含む。
一実施形態では、組成物が、毛の成長を低減する薬学的に活性な分子をさらに含む。
一実施形態では、組成物が、乳剤などの半固形組成物である。
一実施形態では、組成物が、固体もしくは半固形の粒子、フィラメント、またはその混合物が分散した液体または半固形組成物を含む懸濁液である。好ましくは、粒子が10~10000nm、好ましくは50~2000nm、特に100~800nmの平均サイズを有する。
一実施形態では、組成物は、局所的に送達するので、薬学的に活性分子にその利点をさらに含む。
追加の組成物賦形剤
本発明の組成物は、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の機能および完全性、機能、ならびに構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素、および水、pH調整剤、保存剤、カオトロピック剤などのタンパク質変性剤、有機塩、還元剤、希釈剤、イオン強度調整剤、界面活性物質、アルコール、有機塩、キレート剤、pH調節化合物、酵素補因子、ワックス、組成物および酵素安定化剤、精油、油およびワックスが含まれる脂質、構造的および活性重合体から選択される1種または複数種のさらなる成分を、抗炎症剤および鎮痛化合物、スキンピーリング剤、健康微生物促進物質などのケラチン分解剤と組み合わせて含む。好ましくは、1種または複数種のさらなる成分が、カルシウム塩、pH緩衝塩などの酵素活性化薬剤、ポリオールおよび糖などの安定化剤、界面活性物質などの湿潤剤、カオトロピック剤、還元剤、および水などの透過増強成分から選択される。
一実施形態では、組成物は、組成物中に1~99%濃度、好ましくは1~80%の濃度、好ましくは1~60%の濃度、より好ましくは1~40%で存在することによって、水分活性を低減する追加の賦形剤を有する。これは、それが組成物を損なう可能性のある微生物増殖を低下させるため、およびそれらの活性が水に依存するのでプロテアーゼなどの酵素の安定性を増加させるためである。好ましくは、これらの賦形剤は、グリセロールおよびポリエチレングリコールなどのポリオールから選択される。
一実施形態では、組成物が界面活性物質を含む。界面活性物質の親水性親油性バランス(HLB)は、それがより親水性であるか、より親油性であるかの程度の尺度であり、当業者に知られている。
一実施形態では、界面活性物質が陽イオン性である。
別の実施形態では、水を含有する組成物の湿潤を確実にし、外部の化合物に対する分子の透過性を促進する皮膚腫脹を強化するため、界面活性物質が、ラウリル硫酸ナトリウムなど、陰イオン性である。
別の実施形態では水を含有する組成物の湿潤を確実にし、毛包皮脂などの疎水性障壁を通るデリバリーを亢進するため、界面活性物質が、Span 20などのラウリン酸ソルビタンなどのHLBが低い非イオン性界面活性剤である。好ましくは、非イオン性界面活性剤が0と20の間のHLB値、より好ましくは5と12の間のHLB値を有する。好ましくは、非イオン性界面活性剤が、0.001~10%トリトンX100など、5と18の間のHLBを有する。好ましくは、界面活性物質が、0.01~1%トリトンX100など、5と12の間のHLBを有する。別の適した非イオン性界面活性剤は、0.1~5%Span 20などのラウリン酸ソルビタンなどのHLBが低い非イオン性界面活性剤である。好ましくは、界面活性剤が、0.5~2%Span 20などのラウリン酸ソルビタンなどのHLBが低い非イオン性界面活性剤である。
一実施形態では、酵素などのタンパク質の安定性を乱す可能性のある遊離の単一界面活性剤濃度を低下させるために、異なる界面活性物質が混合される。良い混合物は、0.01~1%トリトンX100などHLBが8~20と高い非イオン性界面活性剤と、0.1~5%Span 20などのラウリン酸ソルビタンなどのHLBが0~12と低い非イオン性界面活性剤との混合物である。別の良い混合物は、非イオン性界面活性剤と水分活性が低い陰イオン界面活性剤との組合せである。
一実施形態では、組成物が、組成物中の1種または複数種の酵素が最も活性である範囲にある安定的pHを確実にする、10~1000mMのTris/HClなどの緩衝塩をさらに含む。好ましい実施形態では、組成物が、組成物中の1種または複数種の酵素が最も活性である範囲にある安定的pHを確実にする25~200mMのTris/HClなど、生理学的条件に近い、組成物が潜在的な皮膚刺激を限定するのを可能にする緩衝塩を含む。
一実施形態では、組成物が、0.01~2%NaClなどの生理学的条件に近い、組成物が潜在的皮膚刺激を限定するのを可能にする塩をさらに含む。好ましい実施形態では、組成物が、組成物中の1種または複数種の酵素が最も活性である範囲にあるイオン強度を確実にする0.5~1.5%NaClなどのさらに生理的に最適な濃度にイオン強度を調整する塩を含む。
一実施形態では、組成物が増粘剤をさらに含む。
一実施形態では、組成物を損なう可能性があろう微生物増殖を回避するために、組成物が、安息香酸塩、プロピオン酸塩、またはソルビン酸塩などの保存剤をさらに含む好ましくは、0.001~10%ソルビン酸カリウムなどのソルビン酸塩である。好ましい実施形態では、組成物が、0.01~2%ソルビン酸カリウムなどの保存剤を含む。
一実施形態では、組成物が、0.1~100mMのCaClなどの可溶性カルシウム塩を含む。これは、それが酵素活性化および安定化補助因子であるためである。好ましい実施形態では、有益な酵素を安定化させるために、組成物が、1~10mMのCaClなどの可溶性カルシウム塩を含む。
一実施形態では、組成物が、0.01~8M尿素などのカオトロピック剤を含む。これは、それが、皮膚タンパク質を部分的に可溶化するか、またはその膨潤を亢進して、それによって酵素活性への感受性を高くすることができるからである。好ましい実施形態では、皮膚腫脹およびケラチンの溶解増強を亢進するために、組成物が0.1~4M尿素を含む。
一実施形態では、組成物が0.1~1000mMのジチオスレイトールまたはグリコール酸などの還元剤を含む。これは、それが、酵素の基質である可能性のあるタンパク質を架橋するシスチン架橋を化学的還元によって破壊し、それによって酵素活性への感受性を高くするためである。好ましい実施形態では、ケラチン中のジスルフィド架橋結合の還元および切断を亢進して、酵素基質到達性を増大させるために、組成物が1~20mMのジチオスレイトールまたはグリコール酸を含む。
一実施形態では、組成物は、酵素活性、安定性、および基質溶解を亢進するpH調整を可能にする1~1000mMのNaOHなどのアルカリ塩を含む。好ましい実施形態では、組成物は、皮膚腫脹およびケラチン溶解の増強を亢進するアルカリ性pH組成物を可能にするためのNaOHを含む。
一実施形態では、組成物が、酵素活性、安定性、および基質溶解を亢進するpH調整を可能にする1~1000mMのHClなどの酸性塩を含む。好ましい実施形態では、組成物は、酵素活性、安定性、および生理的に許容されたpHを亢進する酸性組成物を可能にするためのHClを含む。
一実施形態では、組成物は、過酸化ベンゾイル、1,3-ベンゼンジオール、アゼライン酸、サリチル酸、レチノールホルモン、およびその誘導体などの現在商業的に使用されている化学的および生物学的な薬剤など、化膿性汗腺炎およびざ瘡形態などの毛包関連状態を局所的に処置するのに使用される化学的および生物学的薬剤、好ましくは医薬品および美容組成物中で化膿性汗腺炎およびざ瘡形態を処置するのに使用される任意の化合物を薬学的または美容的に許容される濃度で含む。
一実施形態では、組成物は、皮膚およびその毛包への強化された酵素デリバリーを亢進するのに十分なヒアルロン酸を含む。
一実施形態では、組成物は、皮膚およびその毛包への強化された酵素デリバリーを亢進するペプチドを含む。
美容組成物
別の実施形態では組成物が、その成分が美容組成物用に適した規格のものであり、例えば、欧州委員会の化粧品成分データベースに存在しているか、またはその承認を得ることによって規制機関によって認可を得ることのできる美容組成物である。
美容上許容される成分または美容組成物の適した規格の成分は、本明細書および特許請求の範囲において、美容組成物の製造における構成成分として使用されるのに必要な均一性および純度を有する成分を意味するものとする。当業者は、そのような使用に許容される適した成分を、例えば、化粧品工業の認められた規格およびその立法措置、例えば欧州委員会または立法措置の領域に応じた同等な団体によるものを用いることによって、どのように選択するか知っている。一実施形態では、美容組成物は、医薬組成物と同じ成分および濃度または関連しているが美容上許容される成分および濃度を含む。
特に適した実施形態では、本発明は、
ヒト皮膚ならびに生物学的障壁、機能、および構造を維持するようにケラチノサイトによって補助されている、毛包などのその付属器の機能および完全性を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種のグルタミルエンドペプチダーゼを含む組成物であって、
a.ヒト皮膚および毛包などのその付属器の完全性を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1もしくは複数種のグルタミルエンドペプチダーゼに加えて、酵素活性に対してタンパク質基質を開く界面活性物質、酵素活性を促進および安定化する薬剤、ならびに酵素が皮膚の外層ならびに毛包および作用部位を貫通して、組成物の使用および目的を亢進することを可能にする薬剤から選択される少なくとも1種の薬学的に許容される成分を含む医薬組成物、または
b.ヒト皮膚および毛包などのその付属器の完全性を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種のグルタミルエンドペプチダーゼに加えて、酵素活性に対してタンパク質基質を開く界面活性物質、酵素活性を促進および安定化する薬剤、ならびに酵素が皮膚の外層ならびに毛包および作用部位を貫通して、組成物の使用および目的を亢進することを可能にする薬剤から選択される少なくとも1種の美容上許容される成分を含む美容組成物
である組成物に関する。
上の実施形態における好ましいグルタミルエンドペプチダーゼはバシラスのグルタミルエンドペプチダーゼ、バチルス・プミルスJA16のグルタミルエンドペプチダーゼセリンプロテアーゼbppBおよびバチルス・リケニフォルミスのグルタミルエンドペプチダーゼblaSEである。
全ての実施形態について一般に、グルタミルエンドペプチダーゼは、>5のグルタミルエンドペプチダーゼ比(GR)を有するエンドペプチダーゼである。ここで、GRは、GR=Suc-AAPE-pNAに対する活性/活性が最も高いSuc-AAP(非)E-pNAに対する活性として計算され、Suc-AAP(非)E-pNAが、Suc-AAPA-pNA、Suc-AAPD-pNA、Suc-AAPF-pNA、Suc-AAPI-pNA、Suc-AAPK-pNA、Suc-AAPL-pNA、Suc-AAPM-pNA、Suc-AAPR-pNA、またはSuc-AAPV-pNAの1つである。
局所的に適用されるか、病変皮膚に注射される水性または乳剤組成物が、好ましくは、酵素安定性および活性との適合性を有し、皮膚の外層の酵素貫通ならびに毛包および作用部位へのデリバリーを亢進して、組成物の使用および目的を亢進する陰イオン性のもの、非イオン性のもの、およびその混合物から選択される少なくとも1種の界面活性物質をさらに含むことが好ましい。
病変皮膚に局所的に適用されるか、または注射される懸濁液組成物は、固体もしくは半固形の粒子、フィラメント、またはその混合物が分散した液体または半固形組成物を含むことが好ましい。好ましくは、粒子は、局所的毛包デリバリー用に200~800nmの平均サイズを有し、注射剤組成物用に80~10000nmの平均サイズを有する。
好ましくは、酵素活性に対してタンパク質基質を開く界面活性物質が、Span 20、Span 40、Span 60、Span 80、およびBrij 72から選択される。
好ましくは、酵素活性を促進および安定化する薬剤が、グリセロール、糖およびプロピレングリコール、カルシウム塩、ならびに酵素阻害剤から選択される。
好ましくは、酵素が皮膚の外層ならびに毛包および作用部位を貫通して、組成物の使用および目的を亢進することを可能にする薬剤が、グリコール酸などの還元剤、尿素などのカオトロピック剤およびラウリン酸ソルビタンなどの湿潤剤から選択される。
好ましくは、本発明による組成物は、
- 局所的適用が安全な予防効果および治療効果の両方を提供することができると考えられ、生産が商業的に効率的であり、規制機関によく知られているので、局所的に適用されるか、
- ひりひりしている皮膚への局所的クリームおよび圧とは異なり、マイクロニードルパッチが患者/顧客にフレンドリー/好都合である/酵素を標的皮膚部位のみに制限するので、マイクロニードルパッチによって適用されるか、または
- 孤立性の注射可能な病変/嚢胞がさらに成長するか、または広がり得る前にそれを処置するための皮下針注射によって適用される。
処置のための組成物の使用
本発明の組成物は、皮膚疾患および毛胞関連状態の処置を、そのような処置を必要とするヒトで施すのに使用される。
「毛胞関連状態」という用語は、本出願において、毛包、その組織、細胞、細胞内および細胞外タンパク質ならびにその改変体ならびに毛幹ならびにタンパク質、糖質、および脂質が含まれるその構成成分に関連する任意の状態を意味するものとする。
好ましい一実施形態では、本発明による使用には、男性型多毛症、仮性毛包炎、尋常性ざ瘡、または集簇性ざ瘡、毛巣洞疾患、頭皮の解離性蜂巣炎、および化膿性汗腺炎が含まれる毛包閉塞四徴症候群などの状態の医薬品治療および/または予防が含まれる。
男性型多毛症、多毛症、もしくは須毛部仮性毛包炎が含まれる過度または病的な毛の成長、または毛包性角質増殖症および毛包閉塞によって誘導される皮膚疾患、または尋常性ざ瘡、毛孔性角化症、ダウリング-デゴス病、ヘイリー-ヘイリー病、乳管瘻の発症、フォックス-フォアダイス病、小棘性束毛症、萎縮性毛孔性角化症、虫食い状皮膚萎縮症ならびに集簇性ざ瘡、毛巣洞疾患、頭皮の解離性蜂巣炎、および化膿性汗腺炎が含まれる毛包閉塞四徴症候群、ならびに膿疱性乾癬、毛孔性紅色粃糠疹、円板状ループス、毛孔性扁平苔癬、肥厚性毛孔性扁平苔癬、腫瘍性毛包性扁平苔癬、硬化性苔癬、棘状苔癬、Wong型皮膚筋炎が含まれる炎症性毛包関連状態、カラアザール後遺皮膚病変、境界群類結核型ハンセン病におけるI型反応、毛包性粃糠疹が含まれる感染性毛包関連状態、ならびに面皰母斑、毛包向性菌状息肉症、およびガマ皮症が含まれる他の毛包関連疾患をもたらす付属器の疾患など複数の毛包状態および疾患または毛包関連皮膚疾患が本発明で処置するのに適している。
別の好ましい実施形態では、本発明による使用に、ヒト身体上の望まれない毛の成長の美容処置が含まれる。
本発明の組成物は、処置するべき皮膚または病変領域に組成物を適用し、本発明の組成物が機能するのを可能にする保持時間、皮膚上または皮膚中に組成物を存在させることによって、皮膚疾患および毛胞関連状態を処置するのに使用される。
処置中、本発明の組成物中の1種または複数種の酵素は、なんらかの時点に増殖性または過増殖のケラチノサイトで産生される、ケラチンとして分類され得るタンパク質に加水分解性活性を及ぼし、その結果、毛がゆるめられ、同じ個体の未処置の毛を除去するのに必要な力より有意に小さい力を用いて毛が除去できるようになるか、毛が抜け落ちる可能性さえあるだろう。さらに、毛幹を囲んでいる増殖性または過増殖ケラチノサイトで産生される毛包組織およびその根鞘特異的ケラチンの分解は、毛包閉塞/角栓の頻度および/または程度を低減するという結果をもたらし、これは、毛包閉塞が感染または罹患毛包に進行するのを限定する。処置は、閉塞を低減する可能性もあり、化膿性汗腺炎または関連症候群などの疾患の初期にある毛包の完全な角栓除去およびレスキューをもたらし、それによって初期病期の疾患進行、再発、および発症、ならびに患者の負担がさらに高い、より重度のステージの疾患が続発するそのホールマーク病変を制御および予防する可能性がある。
本発明の組成物は、閉塞および/または感染した毛包または皮膚嚢胞を含む、より重度の病期に冒された体領域に注射または局所的に適用することさえでき、この実施形態では、疾患進行を低減さるか、それに介入するのに使用して、1または複数箇所の領域における疾患のさらなる前進を回避することができる。
保持時間は、ヒト皮膚および毛包などのその付属器の生物学的障壁の完全性、機能、および構造を補助するタンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が、十分な影響を有することを可能にするのに十分に長くなくてはならない。典型的には、局所的に適用される組成物の持時間は、2分間~24時間の範囲内、例えば3~60分間の範囲内、例えば5~30分間の範囲内で選択され、例えば終夜である。例えば組成物がゲルである一部の実施形態では、酵素が不活性になるまで、実際、保持時間が続くだろう。酵素の不活性化は、例えばゲル組成物では、数時間から数日から数週間の後に、皮膚、粘膜、または毛包組織が自然に落屑し、酵素が押し出される場合、および/または皮膚の外部が清掃された場合に起こるであろう。例えば組成物が、物理的な剥皮または洗浄によって完全に回収することができる医療用パッチまたはそれ以外の非液体組成物である一部の実施形態では、酵素が不活性になるまで、実際、保持時間が続くだろう。酵素の不活性化は、例えば医療用パッチ組成物では、数時間から数日の後に起こり得るであろう。例えば組成物が病巣内注射剤である一部の実施形態では、保持時間は重要ではない。
当業者ならば、図2および実施例3に記載の単純な技術的概念を用いて、毛幹がまだある毛包および病変組織のORSの完全性を評価することができる。毛を除去するのに必要な力は、図2に記載のよく知られている技法を用いて当業者が用いることができる好都合な機能的かつ定量的な尺度である。処置された毛を除去するのに必要な力が、未処置の毛を除去するのに必要な力と比較される場合、様々な皮膚生物学および皮膚型、その現在の状態、ならびに経時的に毛が成長、脱落、および再成長する自然な毛包周期により生じるだろう毛の変異に対して毛を補整するために、数本の個々の毛について測定を行い、平均力を計算することが好ましい。したがって、本発明によれば、処置または未処置の毛を除去するのに必要な力は、好ましくは、皮膚生検における少なくとも3本以上の毛の平均として計算するべきである。皮膚生検で利用可能な本数がそれに満たない場合には、生検で利用可能な全ての毛に基づく平均を計算することが好ましい。好ましくは、処置された毛を除去するのに必要な力が、未処置の毛と比較して、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、もしくは少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、または少なくとも無痛除毛までの疼痛低減もしくは毛包関連疾患の予防もしくは制御の増強に対応する程度まで低減される。
毛を除去するのに必要な力を測定するための方法の一例を実施例3に示す。ヒト皮膚のORSの完全性は、引き抜いたORS付きのヒト毛を酵素とインキュベートした後の組織イメージングによってさらに評価することができる。ORSおよび周辺組織の組織学的な完全性は、組織および細胞構成成分に特異的な顕微鏡法および染色を用いて、当業者によって視診される。毛包系皮膚疾患および毛包関連の状態を処置することを含む本発明の目的に有益であると考えることができる当業者が相違を評価する方法の例を実施例1~10および図3~7に示す。
一実施形態では、本発明の組成物が、男性型多毛症および多毛症を処置するのに使用される。この実施形態では、本発明は、その根が含まれる過剰な毛幹を患部皮膚領域から除去するのを可能にする効率的な処置であって、無痛または減じた疼痛でより長く永続的な効果を生む処置を提供する。
別の実施形態では、本発明の組成物を、仮性毛包炎を処置するのに使用する。この実施形態では、本発明は、特に顔および首の患部皮膚領域から過度の毛を除去するか、毛包アンカー組織、細胞、およびそのタンパク質の機能障害によって引き起こされる可能性が高い形態異常を毛が起こし、皮膚を破損している皮膚の刺激を軽減することを可能にする効率的な処置を提供する。
別の実施形態では、本発明の組成物が尋常性ざ瘡を処置するのに使用される。この実施形態では、本発明は、にきび、丘疹、結節、嚢胞、膿疱、病変の軽減、ならびに患部皮膚領域からの過度の毛の除去を可能にする、皮膚刺激のリスクが低い効率的な処置を提供する。
別の実施形態では、本発明の組成物が、閉塞した毛包が、痒みのある広範囲な結節を生じている毛孔性角化症を処置するのに使用される。
別の実施形態では、本発明の組成物が、毛包性角質増殖症ならびにダウリング-デゴス病、ヘイリー-ヘイリー病、乳管瘻などの閉塞関連疾患を処置するのに使用される。
別の実施形態では、本発明の組成物が、化膿性汗腺炎およびその他の毛包四徴症、または状態が発症するのに同じ毛包ケラチン関連発症に依存する毛包閉塞疾患を処置するのに使用される。この実施形態では、本発明は、後期の重症度の高い症状を提示する前に、本発明の組成物が毛包の閉塞を防止または低減するのに使用される早期の病変発症を処置するのに特に適している。記載した化膿性汗腺炎および関連疾患を有する全ての患者が、成長期を通した毛包周期の結果である再発病変を有するので、本発明は、全ての段階の状態または疾患重症度に効果がある。
別の実施形態では、本発明の組成物が、膿疱性乾癬、毛孔性紅色粃糠疹、円板状ループス、毛孔性扁平苔癬、肥厚性毛孔性扁平苔癬、腫瘍性毛包性扁平苔癬、硬化性苔癬、棘状苔癬、Wong型皮膚筋炎が含まれる炎症性毛包関連状態、カラアザール後遺皮膚病変、境界群類結核型ハンセン病におけるI型反応、毛包性粃糠疹が含まれる感染性毛包関連状態、ならびに面皰母斑、毛包向性菌状息肉症、およびガマ皮症が含まれる他の毛包関連疾患を処置するのに使用される。
本発明は、本発明を例証することのみのために提供する以下の実施例によってさらに記載および支持され、いかなる意味でも限定的なものと考えるべきではない。
[実施例1]毛の放出によるORS組織の活性についてのエンドペプチダーゼのスクリーニング
この実施例は、異なるエンドペプチダーゼからなるパネルを、皮膚から毛を放出するエンドペプチダーゼの能力についてスクリーニングして、毛包の機能および完全性を補助する、毛を固定しているケラチンなどのタンパク質の加水分解の触媒作用の尺度を提供するためのアッセイを記載している。
実験計画が図1に記載されている。ブタの耳は、ヒトの有毛皮膚の良好な生理学的モデルであるが、先天的な生物学的ばらつきを制御する必要がある。耳は、動物実験のために飼育されたランドレースブタの1つの供給元から死後に試料として得、水で十分にすすぎ、気密性のプラスチック袋の中に一対にして置き、そして-20℃ですぐに凍結した。耳は、凍結後1カ月未満で実験に使用した。各酵素実験で、一対の凍結された耳を、解凍の間に皮膚が確実に完全に覆われるようにプラスチック袋の中で、150mMの生理学的NaCl(20℃)250mL中でおよそ1時間にわたり解凍した。塩溶液を廃棄し、耳を100mLのシャンプー溶液(スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム(陰イオン性)界面活性剤およびヤシ油アルキルグルコシド(非イオン性)界面活性剤+水96mLを有する、4mLのMacUrthマイルドオーガニックシャンプー)で2分間十分に洗浄して、汚れを除去し、マイクロバイオームを減らした。耳を水道水の中ですすぎ、ペーパータオルで乾かし、その後、皮膚の解剖を行った。
生物学的ばらつきを酵素の影響から最も良く分離するために、各実験に使用した耳の対での鏡写しの位置を参照飼料および酵素試料に使用した(1)。対の間の絶対効果の違いを解消するために、陰性対照および陽性対照を全ての耳で含めた。陽性対照はバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のグルタミルエンドペプチダーゼblaSEであり、これは、アッセイの設計フェーズの間に最も大きな効果を示し、このデータポイントによる、生体試料が信頼性のあるものであり耳の対の間で一貫していることの検証を可能にした。各実験において、耳当たり4つの20×20mmの皮膚片、すなわち対当たり8つの皮膚片を、耳の背側から慎重に切り抜き、鋭利なメスで軟骨表面の脇を切断することによって、皮膚を軟骨から慎重に取り外した。
アッセイは、中性pH=7.4に緩衝した、25mMのTris/HCl、150mMのNaCl、5mMのCaCl、2mMのソルビン酸カリウム、1%スパン20(HZ緩衝剤および陰性対照)を使用して、30℃の皮膚表面温度で行った。これらの条件は、医薬組成物および美容組成物に適切となるように、カルシウムイオンによって酵素を安定化させるように、実験中の微生物の成長を低減させるように、湿潤を促進するように、ならびに刺激を制限するように、それぞれ選択された。
スクリーニングした11のエンドペプチダーゼは、表1に列挙されており、UniProtデータベースまたはMEROPSデータベースで公開で注釈が付いている異なるタンパク質分解特異性を有するエンドペプチダーゼクラスの広範な多様性を表している。これらは、SDS-PAGE分離およびクマシーブルー染色の後に単一のバンドが観察され得る純度まで、カラムクロマトグラフィーによって個別に精製された。
Figure 2023522068000002
2つの皮膚片を陰性対照としてインキュベートし(皮膚片当たり2400μlのHZ緩衝剤)、2つの皮膚片を陽性対照としてインキュベートし(皮膚片当たり2400μlのHZ緩衝剤と100ppmのHZ-2)、そして4つの皮膚片をエンドペプチダーゼ((1)のHZ)インキュベーションとしてインキュベートした(皮膚片当たり2400μlのHZ緩衝剤と100ppmのエンドペプチダーゼ)。皮膚片を30℃で3時間インキュベートした。溶液を廃棄し、皮膚片を水道水で十分にすすぎ、そしてペーパータオルを使用して乾かし、そしてこれらをヒュームフードの下で1時間放置した。
50×25mmのスポーツテープ片(Sportsdoc Medical Pro Deluxe、25mm、Svea medical sports AB、スウェーデンから入手)を、毛の方向と同じ方向で各皮膚片の上に静かに置き、しっかりと押し付けて、毛と接着物質との間の接触が確実になるように十分な力を加えた(2)。テープを、毛の自然な方向と反対の方向で、1回の動作で剥がした(3)。スポーツテープの接着物質は非常に強力であるため、毛が切れて毛根が皮膚内に残るか、または毛根鞘を無傷としたままテープが毛を引き抜くことになる。テープを剥がした後、テープを、IRSを明るい赤に染色する、0.5MのHCl中の1%パラジメチルアミノシンナムアルデヒド(DMACA)で染色した(4)。赤いIRSの数およびこれらの長さは、毛包の機能および完全性を補助する、毛を固定しているケラチンなどのタンパク質の加水分解を触媒する、エンドペプチダーゼの能力を同定するための都合の良い手段である。写真を撮影した後、赤いIRSの数を数えることによって、および、データを正規化するためにテープの幅を使用してドローイングソフトウェア(OpenOrienteering Mapper)を使用してテープ上に存在するIRSの全長を測定することによって、IRSを評価した。結果を以下の表2に列挙する。耳の対の間のばらつきを解消するために、相対的なIRS数および相対的なIRSの全長を、以下のように計算した:[(酵素-陰性対照)/(陽性対照-陰性対照)]×100%。
Figure 2023522068000003
バチルス・リケニフォルミス由来のグルタミルエンドペプチダーゼblaSEを、11の試験したエンドペプチダーゼの中で最も性能が良いエンドペプチダーゼであると同定し、これは、毛包の機能および完全性を補助するケラチンなどのアンカータンパク質の加水分解を最も効果的に触媒する。
グルタミルエンドペプチダーゼが、毛包の機能および完全性を補助するケラチンの触媒作用に特に適しているかどうかを明らかにするために、他の生物由来の3つのグルタミルエンドペプチダーゼ(表3を参照されたい)を上記のように研究した。
Figure 2023522068000004
表3に列挙し、上記のアッセイで試験した、3つの追加のグルタミルエンドペプチダーゼの結果を、以下の表4に示す。
Figure 2023522068000005
上記の表から、グルタミルエンドペプチダーゼが、毛包の機能および完全性を補助する、毛を固定しているケラチンなどのタンパク質の加水分解の触媒作用に最も適したエンドペプチダーゼであることが分かる。
[実施例2]グルタミルエンドペプチダーゼ活性の定義。
この実施例は、エンドペプチダーゼが本発明の文脈におけるグルタミルエンドペプチダーゼであるかどうかを評価するためのアッセイを記載している。グルタミルエンドペプチダーゼは、グルタミン酸残基(またはリン酸緩衝剤中のアスパラギン酸残基)のカルボキシ末端側を切断するエンドペプチダーゼであり、すなわち、グルタミルエンドペプチダーゼは、基質のP1位にある負に荷電したアミノ酸残基に対する優先性を有する。以下のアッセイを使用して、本発明において使用される、表1および表3に列挙する配列番号1~4、7~8、10、および12~14に含まれる、実施例1において顕著な応答を示したエンドペプチダーゼがグルタミルエンドペプチダーゼであるかどうかを試験した。
20μlの各エンドペプチダーゼを0.01%トリトンX-100で希釈し、25℃でマイクロタイタープレート内のウェル内に置き、そして以下の市販されている基質を使用してアッセイした(Bachem AG、ブーベンドルフ、スイス):Suc-AAPA-pNA(Bachem 4015680)、Suc-AAPD-pNA(Bachem 4018122)、Suc-AAPE-pNA(Bachem 4017343)、Suc-AAPF-pNA(Bachem 4002299)、Suc-AAPI-pNA(Bachem 4017698)、Suc-AAPK-pNA(Bachem 4017329)、Suc-AAPL-pNA(Bachem 4003646)、Suc-AAPM-pNA(Bachem 4006760)、Suc-AAPR-pNA(Bachem 4017320)、Suc-AAPV-pNA(Bachem 401767)。
200μlのpNA基質(1.0mlのDMSOに溶解し、50mMのTris/HCl、0.01%トリトンX-100、pH8.0でさらに75倍希釈した、50mg)を添加することによって、反応を開始させた。マイクロタイタープレートを、Molecular DevicesのVERSAmaxマイクロタイターリーダーで読み取り、OD405の最初の増大がエンドペプチダーゼ活性の尺度であった。線形のプロットが4分間の測定時間で得られなければ、エンドペプチダーゼを希釈し、アッセイを反復した。
上記のアッセイで試験した10のエンドペプチダーゼの結果を、以下の表5に示す。データは、10の異なるSuc-AAPX-pNA基質(X=異なるアミノ酸)についての各エンドペプチダーゼの相対的活性に、すなわち、特定のSuc-AAPX-pNA基質の活性を、10のSuc-AAPX-pNA基質のうちの活性が最も高いSuc-AAPX-pNA基質の活性で割ったものに対応する。エンドペプチダーゼの希釈は、計算においては解消された。
Figure 2023522068000006
表5において、バチルス・リケニフォルミス由来のグルタミルエンドペプチダーゼblaSE(HZ-2)、ストレプトミセス・グリセウス由来のグルタミルエンドペプチダーゼII sprE(HZ-13)、バチルス・プミルスJA16由来のセリンプロテアーゼbppB(HZ-15)、およびスタフィロコッカス・アウレウス由来のV8プロテアーゼ(HZ-35)が、Suc-AAPE-pNA基質に対する最も高い活性を有している一方で、これらは他の基質に対しては極めて低い相対的活性を有していることが分かる。結論として、これらのエンドペプチダーゼはグルタミルエンドペプチダーゼであると考えられる。エンドペプチダーゼがグルタミルエンドペプチダーゼであるかどうかを評価するために、本発明者らは、以下のように計算されるグルタミルエンドペプチダーゼ比(GR)を定義した:GR=Suc-AAPE-pNAに対する活性/活性が最も高いSuc-AAP(非)E-pNAに対する活性。
本発明によるグルタミルエンドペプチダーゼは、グルタミルエンドペプチダーゼ比(GR)>5のエンドペプチダーゼと定義される。
[実施例3]エンドペプチダーゼでの局所的処置による毛の放出効果の定量
この実施例は、酵素組成物をブタの有毛皮膚に局所的適用した後に毛を引き抜くための力を測定することによる、選択されたエンドペプチダーゼによる毛の放出効果を定量するためのアッセイを記載している。
皮膚試料間の生物学的ばらつきを酵素の効果から分離するために、実施例1において記載されているものと同一のことをこの実施例でも考慮し、以下のさらなる考慮も行った:外皮層にミシン目をあけ(5)、異なる耳の位置を使用し(6)、そして、局所的相互作用を厳密に確実にするためにモールドを皮膚に接着剤で付けた。
図2は、実験計画の概略図を示している。ブタの耳の皮膚の表層の厚みのばらつきを解消するため、および皮膚の深部側でのエンドペプチダーゼの毛包デリバリーを増大させるために、ローラに強い圧力をかけて垂直方向、水平方向、および2つの対角線方向に皮膚の上をダーマローラーで4回ローリングして確実に皮膚に均等にミシン目をあけることによって、耳の背側をダーマローラー(欧州連合において美容用途について承認されている、540×1.5mmのマイクロニードルを有する、RoHsのArgadorダーマローラーシステム)で処置した。酵素処置のための小さな18×18mmの皮膚区域を規定するために、3つのポリメタクリル酸メチル(PMMA)製の四角形のモールドを、シアノアクリル酸エチル接着剤を使用して、各耳の背側に鏡写しの位置で接着した。
組成物の生理学的温度、pH、および塩濃度は実施例1と同一であり、10mMのDTT(HZ緩衝剤DTT)を加えた。耳の対にある6つのPMMA製の四角形を、3つの異なるタイプの処置に使用した:陰性対照、陽性対照、およびエンドペプチダーゼ試料((6)のHZ)。実施例1において正の応答を示した、表1および表3に列挙する配列番号1、3、6~8、10、および配列番号12~14を含む9つのエンドペプチダーゼを、この実施例に含めた。
2つの四角形は陰性対照であり(四角形当たり600μlのHZ緩衝剤DTT)、2つの四角形は陽性対照であり(四角形当たり600μlのHZ緩衝剤DTTおよび100ppmのHZ-2)、そして2つの四角形はエンドペプチダーゼ試料処置であった(四角形当たり600μlのHZ緩衝剤DTTおよび30ppm~100ppmのエンドペプチダーゼ)。四角形を有する皮膚片および酵素を水平にして4℃でおよそ20時間保存し、耳を無傷のままとした。その後、皮膚片を、皮膚表面温度に等しい30℃で4時間インキュベートした。
四角形の溶液を廃棄し、四角形の内側に沿ってメスで切断することによって四角形を皮膚から除去して、毛を接着剤の接着物質から放出させた。処置した皮膚区域を脱イオン水の中で慎重に洗浄し、皮膚片をペーパータオルで慎重に乾かした。最後に、酵素インキュベーション後に個々の毛を各皮膚片から引き抜くために必要な力を、垂直に動くストリングおよびクランプを有するスピンドルモータに接続されたSauter FK 10デジタルフォースゲージに毛を固定することによって測定した(7)。
結果:
結果の概略を以下の表6に示す。陰性対照と比較した力の低下を、以下のように計算した:((陰性対照-酵素)/(陰性対照))×100%。陽性対照と比較した力の低下を次のように計算した:((陰性対照-酵素)/(陰性対照-陽性対照))×100%。各皮膚試料で、試料当たり少なくとも7本、最大10本の個々の毛の力を測定し、耳の対における各処置の2組の試料について平均を計算した。耳の対の間のばらつきに起因して、陽性対照と比較した力の低下についてのデータは、陽性対照(100ppmのHZ-2)がステューデントt検定を使用してp値が0.05以下で陰性対照よりも有意に低いとみなされた場合にのみ許容し、以下の表に示した。
Figure 2023522068000007
表6から、100ppmで、バチルス・リケニフォルミスのグルタミルエンドペプチダーゼblaSEであるHZ-2(陽性対照)は陰性対照と比較して力を最も低下させた一方、100ppmのHZ-10、HZ-11、HZ-15、およびHZ-35は、わずか30ppmでのHZ-2(85%)に等しい、100ppmのHZ-2の79~86%までしか力を低下させ得なかったことが分かった。HZ-13は、実施例1でのその性能から予想されたものよりも低い性能を示したが、実施例4において、この実施例で試験した特定の条件の下では性能が不安定であることが明らかになった。
[実施例4]エンドペプチダーゼ活性の安定性。
この実施例は、本発明において試験した皮膚適用条件においてエンドペプチダーゼが安定であるかどうかを評価するためのアッセイを記載している。1つの関連する皮膚適用は、実施例1において記載されているスクリーニングアッセイである。別の関連する皮膚適用は、実施例3として記載されている皮膚側のアッセイである。
2つのインキュベーション緩衝剤を、この安定性アッセイに使用した。インキュベーション緩衝剤A:25mMのTris/HCl、150mMのNaCl、5mMのCaCl、2mMのソルビン酸カリウム、1%スパン20、pH7.4(実施例1で使用した)、およびインキュベーション緩衝剤B:25mMのTris/HCl、150mMのNaCl、5mMのCaCl、2mMのソルビン酸カリウム、10mMのDTT、1%スパン20、pH7.4(実施例3で使用した)。
各エンドペプチダーゼを、0.10mg/mL(少なくとも20倍希釈)に希釈することによって2つのインキュベーション緩衝剤AおよびBに移し、少量のアリコートを活性分析まで氷上で保存した。インキュベーション緩衝剤Aの希釈物の大部分を30℃で3時間インキュベートした(実施例1における皮膚片のインキュベーションと同様)。インキュベーション後、エンドペプチダーゼの残存活性を、30℃のインキュベートした希釈物Aについておよび氷上(0℃)で維持した対応する希釈物について決定した。実施例1の安定性を、30℃のインキュベートした希釈物Aの活性を0℃のインキュベートした希釈物Aの活性で割ったものとして決定した。
インキュベーション緩衝剤Bの希釈物の大部分を30℃で4時間インキュベートした。酵素の不活化は4℃のような低温では最小であるため、実施例3における4℃での追加の一晩の保存は、残存活性にほとんど影響しなかった。インキュベーション後、エンドペプチダーゼの残存活性を決定した。実施例3の安定性を、30℃のインキュベートした希釈物Bの活性を0℃のインキュベートした希釈物Aの活性で割ったものとして決定した。このようにして、本発明者らは、緩衝剤中のDTTに起因する安定性の低下と、より長いインキュベーション時間に起因する安定性の低下との両方を解消する。
Figure 2023522068000008
各エンドペプチダーゼの適切な基質を、Suc-AAPX-pNA(Xは異なる基質における異なるアミノ酸を表す)またはProtazyme AKのいずれかを使用して、表7に列挙する。Suc-AAPX-pNA基質では、残存活性は、本発明の実施例2において記載されている活性アッセイと同一のアッセイによって決定した。Protazyme AKでは、残存活性は、1.5mLのエッペンドルフチューブ内で、500μlのProtazyme AK懸濁液(2.0mlの0.01%トリトンX-100に懸濁した、Megazyme Ltd.、ウィックロー、アイルランドの1つのProtazyme AK錠剤)および500μlの50mMのMOPS/NaOH、0.01%トリトンX-100、pH7.0の氷冷混合物に、20μlのエンドペプチダーゼ溶液(0.01%トリトンX-100に希釈した)を添加することによって決定した。Protazyme AKアッセイは、37℃に設定した事前に温めたエッペンドルフサーモミキサーにチューブを移すことによって開始した。チューブを次いで、サーモミキサーで1100rpmで15分間インキュベートした。チューブを氷浴に戻した。200μlの冷却した上清をマイクロタイタープレートに移し、OD405を、Molecular DevicesのVERSAmaxマイクロタイターリーダーで読み取った。エンドペプチダーゼ試料のOD405から緩衝剤ブランクのOD405を差し引いたものが、エンドペプチダーゼ試料の残存活性の尺度であった。OD405の測定値が1.5OD405単位を超えていれば、エンドペプチダーゼをさらに希釈し、アッセイを反復した。
各エンドペプチダーゼの相対的活性に対応するデータを上記のように計算し、希釈係数を考慮に入れて表8に列挙した。
Figure 2023522068000009
全ての酵素が実施例1と同じ条件下で安定であったことが分かる。したがって、酵素は、全インキュベーション時間の間、活性であった。
全ての酵素が実施例3と同じ条件下で安定であったわけではないことが分かる。これは、HZ-8、HZ-11、HZ-13、およびHZ-18で、インキュベーション緩衝剤B中に30℃で4時間置いた後に活性が低下したためであり、このことは、これらのエンドペプチダーゼが全インキュベーション時間の間に100%活性であったわけではないことを示唆している。これらのデータは、HZ-13が実施例3においてグルタミルエンドペプチダーゼとして働きが悪かった理由を説明している。
[実施例4]エンドペプチダーゼ活性の安定性。
この実施例は、エンドペプチダーゼが本発明において試験した皮膚適用条件において安定であるかどうかを評価するためのアッセイを記載している。1つの関連する皮膚適用は、実施例1に記載したスクリーニングアッセイである。別の関連する皮膚適用は、実施例3に記載した皮膚側のアッセイである。
Figure 2023522068000010
2つのインキュベーション緩衝剤をこの安定性アッセイに使用した。インキュベーション緩衝剤A:25mMのTris/HCl、150mMのNaCl、5mMのCaCl、2mMのソルビン酸カリウム、1%スパン20、pH7.4(実施例1で使用した)、およびインキュベーション緩衝剤B:25mMのTris/HCl、150mMのNaCl、5mMのCaCl、2mMのソルビン酸カリウム、10mMのDTT、1%スパン20、pH7.4(実施例3で使用した)。
各エンドペプチダーゼを、0.10mg/mL(少なくとも20倍希釈)に希釈することによって2つのインキュベーション緩衝剤AおよびBに移し、少量のアリコートを活性分析まで氷上で保存した。インキュベーション緩衝剤Aの希釈物の大部分を30℃で3時間インキュベートした(実施例1における皮膚片のインキュベーションと同様)。インキュベーション後、エンドペプチダーゼの残存活性を、30℃のインキュベートした希釈物Aについておよび氷上(0℃)で維持した対応する希釈物について決定した。実施例1の安定性を、30℃のインキュベートした希釈物Aの活性を0℃のインキュベートした希釈物Aの活性で割ったものとして決定した。
インキュベーション緩衝剤Bの希釈物の大部分を30℃で4時間インキュベートした。酵素の不活化は4℃のような低温では最小であるため、実施例3における4℃での追加の一晩の保存は、残存活性にほとんど影響しなかった。インキュベーション後、エンドペプチダーゼの残存活性を決定した。実施例3の安定性を、30℃のインキュベートした希釈物Bの活性を0℃のインキュベートした希釈物Aの活性で割ったものとして決定した。このようにして、本発明者らは、緩衝剤中のDTTに起因する安定性の低下と、より長いインキュベーション時間に起因する安定性の低下との両方を解消する。
各エンドペプチダーゼの適切な基質を、Suc-AAPX-pNA(Xは異なる基質における異なるアミノ酸を表す)またはProtazyme AKのいずれかを使用して、表9に列挙する。Suc-AAPX-pNA基質では、残存活性は、本発明の実施例2において記載されている活性アッセイと同一のアッセイによって決定した。Protazyme AKでは、残存活性は、1.5mLのエッペンドルフチューブ内で、500μlのProtazyme AK懸濁液(2.0mlの0.01%トリトンX-100に懸濁した、Megazyme Ltd.、ウィックロー、アイルランドの1つのProtazyme AK錠剤)および500μlの50mMのMOPS/NaOH、0.01%トリトンX-100、pH7.0の氷冷混合物に、20μlのエンドペプチダーゼ溶液(0.01%トリトンX-100に希釈した)を添加することによって決定した。Protazyme AKアッセイは、37℃に設定した事前に温めたエッペンドルフサーモミキサーにチューブを移すことによって開始した。チューブを次いで、サーモミキサーで1100rpmで15分間インキュベートした。チューブを氷浴に戻した。200μlの冷却した上清をマイクロタイタープレートに移し、OD405を、Molecular DevicesのVERSAmaxマイクロタイターリーダーで読み取った。エンドペプチダーゼ試料のOD405から緩衝剤ブランクのOD405を差し引いたものが、エンドペプチダーゼ試料の残存活性の尺度であった。OD405の測定値が1.5OD405単位を超えていれば、エンドペプチダーゼをさらに希釈し、アッセイを反復した。
結果:
各エンドペプチダーゼの相対的活性に対応するデータを上記のように計算し、希釈係数を考慮に入れて表10に列挙した。
Figure 2023522068000011
全ての酵素が実施例1と同じ条件下で安定であったことが分かる。したがって、酵素は、全インキュベーション時間の間、活性であった。
全ての酵素が実施例3と同じ条件下で安定であったわけではないことが分かる。これは、HZ-8、HZ-11、HZ-13、およびHZ-18で、インキュベーション緩衝剤B中に30℃で4時間置いた後に活性が低下したためであり、このことは、これらのエンドペプチダーゼが全インキュベーション時間の間に100%活性であったわけではないことを示唆している。これらのデータは、HZ-13が実施例3においてグルタミルエンドペプチダーゼとして働きが悪かった理由を説明している。
[実施例5]グルタミルエンドペプチダーゼはヒト皮膚外層タンパク質に対してわずかな活性しか有さない
この実施例は、エンドペプチダーゼが皮膚および毛包への酵素または他の医薬化合物のデリバリーに対する主要な生物学的バリアを含む身体の皮膚表層に対してどの程度攻撃的であるかを評価するためのアッセイを記載している。
実施例1においてORS組織に対して目標活性を示した、表1および表3に列挙する配列番号1、3、6~8、10、および12~14の9つのエンドペプチダーゼを、この実施例において分析して、角質層タンパク質の加水分解の程度を各酵素について定量した。
硬化した厚い皮膚は、皮膚の表層にある死んだ角質化細胞の増大した層、すなわち角質層から構成される。健康の観点から言えば、これは掌および足の裏で典型的に見られる防御応答であるか、またはこれは皮膚の状態における病理の原因であり得る。健康なヒトボランティアの乾燥した足の裏で金属スクレーパーを使用して、粒状または粉末状の硬化した基質を準備した。基質は、0.01%トリトンX-100での2回の洗浄を使用して可溶性タンパク質を除去することによって準備した。0.01%トリトンX-100中の25mg/mLの懸濁液を調製し、200μLの懸濁液を1.5mLのエッペンドルフチューブにピペットで移した。基質を短時間の遠心分離によって沈殿させ、上清を廃棄した。エッペンドルフサーモミキサー(2000rpm、2分間)で撹拌することによって200μlの0.01%トリトンX-100中にペレットを再懸濁し、懸濁液を再び遠心分離し、そして上清を廃棄した。第2の沈殿物をエッペンドルフミキシングによって180μLのHZ緩衝剤に再懸濁して、190μLの懸濁液を調製し、これを氷上に置いた。エンドペプチダーゼを0.01%トリトンX-100中に希釈して500ppmとし、10μLの各希釈物を、懸濁した皮膚基質を有するエッペンドルフチューブに添加して、アッセイのための、最終濃度が25ppmのエンドペプチダーゼを2セット得た。エッペンドルフチューブを、事前に温めたエッペンドルフサーモミキサーでインキュベートし(30分間、30℃、2000rpm)、インキュベーション後、チューブを氷上に戻して、数分間冷却した。チューブを遠心分離し、上清を0.01%トリトンX-100中に10倍希釈した。
各エンドペプチダーゼについての希釈した上清における加水分解の程度を、PIERCE BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Scientificの23227)を使用して562nmでの吸光度を測定することによって、可溶化タンパク質の濃度として表した。結果を以下の表11に示す。
Figure 2023522068000012
表11において、HZ-10、HZ-11、およびHZ-19が外皮層のほとんどを加水分解したことが分かる。過剰に非特異的な加水分解は、治療用酵素以外に対する生物学的バリアも破り得るため、望ましくない。グルタミルエンドペプチダーゼは、この条件下では、皮膚タンパク質に対して4~5分の1の加水分解活性レベル(HZ-2、HZ-15、HZ-13)、およびほぼゼロの(HZ-35)加水分解活性を有していた。本発明に含まれる酵素が限定された外皮層活性を有していることは利点であり得、それは、これらの酵素が、毛の放出を促進するためにORSを破壊することのみを望まれているわけではなく、毛包、角質層細胞で閉塞された毛包、およびケラチン残屑への酵素のデリバリー、または毛包関連病変へのデリバリーを促進するための一部の選択された活性も望まれているためである。
[実施例6]グルタミルエンドペプチダーゼはヒト髭の毛のヒトORS組織を強力に破壊する
この実施例は、グルタミルエンドペプチダーゼの固有の選択性がいかにしてヒトORS組織および毛包関連疾患を引き起こす原因となるそのケラチン成分の分解を生じさせるかを記載している。実施例1および実施例3において活性を示し、実施例4において安定であった、表1に列挙する配列番号1(HZ-2)および配列番号7(HZ-10)の2つエンドペプチダーゼを、この実施例における顕微鏡法による分析のために選択して、酵素インキュベーション後のこれらの組織学的活性を評価した。
抜き取ったばかりの髭の毛を集めて10本からなる試料とし、ガラススライド上で固定した(図3)。全部で6つの試料を調製した。1つの試料は未処置のままとし、直接染色し、イメージングした(8)。他の毛試料は、以下の溶液中でインキュベートした。1つの試料は陰性対照であり(200μlの、50mMのTris、pH8、2mMのCaCl緩衝剤(9))、2つの試料はHZ-2(200μlの、同一の緩衝剤中で1ppmのHZ-2(10)、または200μlの、同一の緩衝剤中で30ppmのHZ-2(11))とインキュベートし、そして、2つの試料は、HZ-10(200μlの、同一の緩衝剤中で1ppmのHZ-10(12)、または200μlの、同一の緩衝剤中で30ppmのHZ-10(13))で処置した。蒸発を避けるためにガラススライドをカバーし、30℃で3時間インキュベートした。毛を、0.5MのHCl IRS染色剤中の赤い1%DMACA、ならびに、McIlvane緩衝剤、pH=3.6中の2.5mg/mlのトルイジンブルーおよびWalpoles緩衝剤、pH=4.4中の0.1%ローダミンBの1:1混合物を含む紫/青ORS染色剤で染色し、光学顕微鏡を使用して40倍の倍率ですぐにイメージングした。図3の各試料における2~3本の代表的な毛から、陰性対照(9)のORSが未処置対照(8)と比較して違いがなかったことが分かる。30ppmのHZ-10とのインキュベーション(13)では、完全に角質化した毛幹のみがインキュベーション後に残っており、1ppmのHZ-10とのインキュベーション(12)では、あまり耐性は高くないが依然として角質化しているIRSが見られた。30ppmのHZ-2とのインキュベーション(11)では、ORSの内部がインキュベーション後に見られ、1ppmのHZ-2とのインキュベーション(10)では、ORS組織は陰性対照のサイズの2倍まで膨れるまで十分に加水分解されたにすぎないことが明らかである。データは、HZ-10と比較して、HZ-2が、そのより狭い特異性にもかかわらず、細胞および組織の破壊の観点からはあまり攻撃的ではない様式でORSを強力に破壊することを示唆している。選択的な組織破壊は、望ましくない副作用を制限して、より安全な処置を確実にするため、本発明では、選択的な組織破壊が好ましい。
[実施例7]グルタミルエンドペプチダーゼはヒトORS組織においてI型およびII型ケラチンを強力に加水分解する
この実施例は、ヒトORS組織のグルタミルエンドペプチダーゼタンパク質基質を記載している。実施例1および実施例3において正の応答を示し、実施例4において安定であり、そして実施例5および実施例6において顕著な活性を示した、表1に列挙する配列番号1のエンドペプチダーゼ(HZ-2)を、SDS-PAGEを使用して分析して、ORS組織のタンパク質を特異的に加水分解するその能力を調べた。
新たに抜き取った髭の毛を集めて、エッペンドルフチューブ内の5本からなる試料とした。全部で3つの試料を調製した(図4)。試料を緩衝剤中で30℃で30分間インキュベートした。1つの試料は陰性対照であり(50mMのTris/HCl、pH8、0.1%トリトンX-100、および2mMのCaCl緩衝剤)、1つの試料はHZ-2(同一の緩衝剤中で1ppmを200μL)とインキュベートし、そして1つの試料はHZ-2(同一の緩衝剤中で5ppmを200μL)とインキュベートした。インキュベーション後、上清を慎重に除去し、残っている組織を、8Mの尿素、2%SDS、100mMのDTT、および100mMのTris/HCl、pH8中に30℃で30分間溶解した。IRSおよび毛幹が溶解しにくい性質であるため、抽出したタンパク質の大部分はORSに由来し、このことは、溶解の前後に顕微鏡下でORSが存在していないことを観察することによって確認された(データは示していない)。タンパク質を10kDaの分子カットオフのスピンフィルターを使用して濃縮し、SDS-PAGEを使用して分離し、クマシーブルーで染色してプロテオームを可視化した。MES緩衝剤および10%Bolt Bis-Tris Plusゲルを使用した。結果を図4に示す。PageRuler Plus Prestained Proteinラダー(14)(ThermoFischer Scientific)を使用して、ゲルのバンドに対応するおよその実寸を同定した。陰性対照(15)、1ppmのHZ-2(16)、および5ppmのHZ-2(17)を等しくロードした。当業者であればORSの主にI型(50~60kDa)およびII型(60~70kDa)ケラチンに対応すると結論付けるであろう2つの強力なバンド染色群があることが分かった。この条件下で、1ppmのHZ-2のみがI型ケラチンを分解し、一方、5ppmのHZ-2は実験の間にI型およびII型を完全に分化し、両方とも複数のバンドを無傷のまま残した。結果は、HZ-2が強力かつ選択的なORSケラチナーゼであることを示している。ORSのI型およびII型ケラチンは、毛を固定するために必要であり、毛包の過角化および閉塞のエフェクター分子であり、そして毛包の機能および完全性を補助し、HZ-2によるこれらの選択的な加水分解は、実施例1および3における観察された毛の放出を、ならびに、HZ-2などのグルタミルエンドペプチダーゼの組成物が毛包関連状態および毛包系皮膚疾患を処置するためにいかに使用され得るかを説明している。
[実施例8]グルタミルエンドペプチダーゼは健康なヒト皮膚におけるORS組織を選択的に破壊する
この実施例は、ヒト皮膚におけるグルタミルエンドペプチダーゼによるORS組織の選択的破壊を説明している。実施例1および実施例3において毛を放出し得、実施例4において安定であり、そして実施例5および6において顕著な活性を示した、表1に列挙した配列番号1(HZ-2)および配列番号7(HZ-10)の2つのエンドペプチダーゼを、酵素インキュベーション後の組織学的評価によって分析した。
健康な女性ボランティアの腋窩皮膚の6mmのパンチ生検を、ミクロトームを使用して10μmのスライスに凍結切片化した。皮膚スライスを顕微鏡法のためにガラススライドに置いた。3つの代表的な、毛包を通るように横方向に切断した近接する皮膚スライスを準備し、概観を40倍の倍率で図5に示す(18)。組織スライスを、スライド上の、そして蒸発を防ぐためにカバーされた、緩衝液の液滴中で30℃で30分間インキュベートし、そして毛幹およびORSの周辺の(18)の丸を付けた区域から光学顕微鏡法を使用して400倍の倍率で視覚化した。1つのスライスは陰性対照であり(50mMのTris/HCl、pH8、および2mMのCaCl緩衝剤(19))、次のスライスはHZ-2(同一の緩衝剤中で100ppmのHZ-2(20))とインキュベートし、そして次のスライスはHZ-10(同一の緩衝剤中で100ppmのHZ-10(21))とインキュベートした。インキュベーション後、スライスを、ヘマトキシリンおよびエオシン(18~21)で、またはMcIlvane緩衝剤、pH=3.6中の2.5mg/mlのトルイジンブルー、およびWalpoles緩衝剤、pH=4.4中の0.1%ローダミンBで10分間染色し、その後、Walpoles緩衝剤、pH=4.4中の1%ローダミンBで1分間染色した(22~24)。図5に示すデータから、HZ-2(20)がORS組織を選択的に破壊して細胞集塊とすることが分かり(黒い矢印)、このことは、真皮を無傷としたままの、かつ陰性対照(灰色の矢印)に匹敵する、陰性対照と比較した、主に細胞間のORS効果を示唆している。しかし、HZ-10(21)は、ORS組織を明らかに無傷で維持したまま、ORS細胞の内容物を破壊し、このことは、主に細胞内のORS効果(黒い矢印)を示唆しているが、真皮のコラーゲン内に存在する核を明確に排除している(灰色の矢印)。200倍の倍率の蛍光顕微鏡法を使用して、ローダミンB染色剤を緑色光で励起させるとコントラストが向上し、この条件下で、HZ-2(23、白い矢印のORS)がまた、陰性対照(22、黒い矢印のORS)およびHZ-10(24、白い矢印のORS)と比較して、IRS((23、24)の白い矢印)および表皮(示されていない)などの、表皮の角質化を受けた非ORS組織((24)よりも白い(22、23)の組織)を顕著には破壊しないことが明らかになった。このことは、HZ-2が、ORS組織を効果的に破壊しながら、HZ-10よりも有意に低いオフターゲット活性を有していたことを示唆している。HZ-2で見られる効果は、本発明における組成物および使用について記載されているような毛包関連状態および毛包系皮膚疾患の効果的かつ安全な処置に最も望ましい。
[実施例9]グルタミルエンドペプチダーゼは病変性の化膿性汗腺炎皮膚におけるORS組織を選択的に破壊する
この実施例は、化膿性汗腺炎患者の皮膚におけるグルタミルエンドペプチダーゼによるORS組織の選択的破壊を説明している。実施例1および実施例3において正の応答を示し、実施例4において安定であり、そして実施例5~6および実施例8において顕著な活性を示した、表1に列挙する配列番号1(HZ-2)および配列番号7(HZ-10)の2つのエンドペプチダーゼを、患者組織の処置に使用し、これをその後、酵素インキュベーション後の組織学的評価によって分析した。明らかな炎症特徴を有する中程度の化膿性汗腺炎に罹患している女性ボランティアから得た10×10×8mmの腋窩病変皮膚切除生検(図6、(25))を、陰性対照(125mMのTris/HCl pH8、0.25%トリトンX-100、および5mMのCaCl緩衝剤)またはHZ-2(同一の緩衝剤中で500ppmのHZ-2)に完全に懸濁して30℃で3時間インキュベートした。試料を10%ホルマリン中で1週間固定し、その後、真空を使用して乾燥させ、そしてパラフィンに包埋した。ミクロトームを使用して皮膚付属器をガラススライド上に置いた後、試料を4μmのスライスに切片化し、試料を60℃で1時間融解することによって脱パラフィン化し、Tissue Clear、99%エタノール、70%エタノール、および脱イオン中で洗浄した。組織をブアン固定液で一晩再固定した後、試料を染色し、脱イオン水で十分に洗浄し、新たなワイゲルト鉄ヘマトキシリンで10分間染色し、脱イオン水で洗浄し、ピクリン酸10%シリウスレッドで15分間対比染色し、そして99%エタノール中で2回脱水した。
図6に示す、処置条件当たり2つの異なる代表的なスライスである、シリウスレッドを励起させた後の200倍ズーム蛍光顕微鏡画像から、角質化の痕跡を有する陰性対照の病変前毛包(26)は毛包嚢胞を閉塞し(27)、一方、HZ-2は2つの病変前毛包におけるORS組織を選択的に破壊し(28)、ORS細胞を毛幹の周辺で分離したままにし、周辺の真皮を無傷のまま残したことが分かる。HZ-2はまた、初期段階の毛包嚢胞(29)を、これらを空のままにすることによって分解することが明らかになった。結論として、実施例8における健康な患者のORSと同様に、HZ-2は、化膿性汗腺炎患者の病変ORS組織で、またおそらく嚢胞形成前の(pre-cystic)ORS組織で活性であり、したがって、また、本発明の組成物および使用による処置の標的である毛包関連状態および毛包系皮膚疾患の複数に罹患している患者の組織に対して同一の効果を有する可能性が高い。
[実施例10]グルタミルエンドペプチダーゼはタンパク質の毛包への局所的なデリバリーを促進する
この実施例は、ブタの有毛皮膚の毛包内部への反射性ナノ粒子の浸透の増大によって示されるように、HZ-2を有する組成物がタンパク質(ここでは酵素自体)などの高分子量化合物の毛包デリバリーを促進することを示している。実施例1および実施例3において正の応答を示し、実施例4において安定であり、そして実施例5~6および実施例8~9において顕著な活性を示した、表1に列挙する配列番号1(HZ-2)および配列番号7(HZ-10)の2つのエンドペプチダーゼ、ならびに組織を、反射型共焦点レーザー顕微鏡法によって分析した。
図7において、25mMのTris/HCl、pH8、150mMのNaCl、1%スパン20界面活性剤、2mMのソルビン酸カリウム、5mMのCaClを含む緩衝剤を、陰性対照として使用した。緩衝剤は、実施例3における局所的実験で使用した組成物と非常に類似しており、DTTのみを欠いていた。陰性対照、HZ-2(同一の緩衝剤中で500ppmのHZ-2)、およびHZ-10(同一の緩衝剤中で500ppmのHZ-10)を、図2(6)および実施例3に示すように、事前のマイクロニードルでの穿孔は行わずに、ブタの耳の背側に厳密に局所的に添加した。皮膚切片を4℃で20時間インキュベートし、その後、PMMA製の四角形に接着剤で付けたところの内部で30℃で5時間インキュベートした。緩衝剤を廃棄し、PMMA製の四角形を取り除いた後、得られた酵素処置したブタ皮膚試料を氷上で最大2時間、分析を開始するまで維持した。
毛を3mmの長さに刈り、800nmで吸光度がピークの120nmのシリカコア金ナノ粒子(GNP)(CE612960、SEB-250、Sebacia Inc.)を、手袋をした指を用いて2分間、皮膚の中に揉み込んだ。830nmの反射型共焦点レーザー顕微鏡をen faceで使用して分析することによって、GNPの浸透を皮膚および毛包のORS酵素の活性のレポーターとして使用した(図7)。GNPは毛包に浸透するため、GNPは、画像中の毛の周りの反射率を増大させることによって顕微鏡画像のコントラストを増強させた。GNPの添加なし(30)および添加後(31)に、スキャンを0μmで行った。実験の間、皮膚表面下での188μm(32)および300μm(33)での反射率を測定して、各試料についてのGNP浸透の深さを評価した。
陰性対照(37)では、GNPは188μm(34)の深さに浸透したのみであり、300μmには浸透しなかったことが見出された。顕著には、HZ-2は、GNPが、化膿性汗腺炎のような毛包系皮膚疾患を処置するために酵素がデリバリーされる必要がある毛包漏斗部および毛包関連作用部位の大部分に等しい、300μmの深さに浸透することを可能にした(35、38)。しかし、より非特異的なHZ-10は188μmを超えることができず(36)、300μmの深さでGNPの痕跡を残さなかった(39)。300μmは共焦点レーザー顕微鏡の技術的限界であり、このことは、HZ-2がさらに深く浸透することを示唆している。この実施例は、毛包による疾患を処置するための、酵素ベースの薬剤および他の薬剤を製剤化するために望ましい手段である毛包へのナノ粒子のデリバリー、または一部のケースでは経毛包デリバリーを増大させる、HZ-2の能力をさらに説明している。この実施例は、タンパク質、例えば、HZ-2酵素自体、またはグルタメート特異的なHZ-2もしくは局所的にデリバリーされることに産業上の利益があるあらゆる医薬品の存在下で安定なあらゆる他のタンパク質を含む、毛包への他の低分子および高分子化合物の浸透性を増強させるための、HZ-2の使用の可能性をさらに説明している。

Claims (21)

  1. 生物学的障壁、その機能および構造を維持するように、ケラチノサイトによって補助されているヒト皮膚および毛包などのその付属器の機能および完全性を補助する、タンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素を含む組成物であって、
    a.1種または複数種の酵素に加えて、少なくとも1種の薬学的に許容される成分を含む医薬組成物、
    または
    b.1種または複数種の酵素に加えて、少なくとも1種の美容上許容される成分を含む美容組成物
    である組成物。
  2. 生物学的障壁、機能、および構造を維持するように、ケラチノサイトによって補助されているヒト皮膚および毛包などのその付属器の完全性を補助する、タンパク質ケラチンなどのケラチノサイトエフェクター分子の加水分解を触媒することができる1種または複数種の酵素が、グルタミルエンドペプチダーゼから選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. グルタミルエンドペプチダーゼが、配列番号1の配列を有するポリペプチドに少なくとも60%の配列同一性、例えば少なくとも70%の配列同一性、例えば少なくとも80%の配列同一性、例えば少なくとも90%の配列同一性、例えば少なくとも95%の配列同一性、例えば少なくとも96%の配列同一性、例えば少なくとも97%の配列同一性、例えば少なくとも98%の配列同一性、例えば少なくとも99%の配列同一性を有するグルタミルエンドペプチダーゼから選択される、請求項2に記載の組成物。
  4. グルタミルエンドペプチダーゼが、配列番号13の配列を有するポリペプチドに少なくとも60%の配列同一性、例えば少なくとも70%の配列同一性、例えば少なくとも80%の配列同一性、例えば少なくとも90%の配列同一性、例えば少なくとも95%の配列同一性、例えば少なくとも96%の配列同一性、例えば少なくとも97%の配列同一性、例えば少なくとも98%の配列同一性、例えば少なくとも99%の配列同一性を有するグルタミルエンドペプチダーゼから選択される、請求項2に記載の組成物。
  5. グルタミルエンドペプチダーゼが、配列番号1を含むかもしくはからなるアミノ酸配列を有するグルタミルエンドペプチダーゼ、または配列番号1と比べて1個または複数個の置換、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の置換を含むその変異型から選択される、請求項3に記載の組成物。
  6. グルタミルエンドペプチダーゼが、配列番号13を含むかもしくはからなるアミノ酸配列を有するグルタミルエンドペプチダーゼ、または配列番号13と比べて1個または複数個の置換、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の置換を含むその変異型から選択される、請求項4に記載の組成物。
  7. グルタミルエンドペプチダーゼが組成物1gあたり1μg~10mg酵素タンパク質の範囲の量で存在する、請求項2~6のいずれかに記載の組成物。
  8. 組成物が、ゲル剤、ナノエマルションおよびマイクロエマルション、ならびに2を超える数の相のものが含まれる半固形および/または液体の親水相および疎水相の半固形乳剤などのクリーム、布、スポンジ、ペースト剤、小丸薬、シャンプー、セッケン、ゼリー、ローション剤、フォーム、軟膏剤、フィルム製剤、スプレー剤、液剤、液状剤、油剤、軟膏剤、液体もしくは固体懸濁液中のナノメートル以下からマイクロメートルサイズの粒子の懸濁剤、医療用パッチ、マイクロニードル付きの医療用パッチ、溶解性マイクロニードル付きの医療用パッチ、マイクロニードル付きのダーマローラー、イオントフォレシス、圧縮空気圧、固体皮膚インプラント、半固形皮膚インプラント、液体皮膚インプラント、皮膚タトゥー、ロールオン、スワブ、シロップ、テープ、ウェーハ、または注射液、注射溶液、乳化注射剤、もしくは懸濁注射剤として製剤化されており、作用部位への酵素のデリバリーを促進してその機能および目的を亢進する、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の医薬組成物を含む医療デバイス。
  10. 医療デバイスが、組成物を含むパッチまたは注射液である、請求項9に記載の医療組成物。
  11. 毛包系皮膚疾患および毛包関連状態を処置するための、請求項1~8のいずれかに記載の組成物または請求項9もしくは10に記載の医療デバイスの使用。
  12. 組成物が医薬組成物であり、毛包関連状態および毛包系皮膚疾患が、男性型多毛症、多毛症、もしくは須毛部仮性毛包炎;または毛包性角質増殖症によって誘導される毛包系皮膚疾患もしくは尋常性ざ瘡の発症をもたらす毛包閉塞、毛孔性角化症、ダウリング-デゴス病、ヘイリー-ヘイリー病、乳管瘻、もしくは集簇性ざ瘡、毛巣洞疾患、頭皮の解離性蜂巣炎、および化膿性汗腺炎が含まれる毛包閉塞四徴症候群;または膿疱性乾癬、毛孔性紅色粃糠疹、円板状ループス、毛孔性扁平苔癬、肥厚性毛孔性扁平苔癬、腫瘍性毛包性扁平苔癬、硬化性苔癬、棘状苔癬、Wong型皮膚筋炎が含まれる炎症性毛包関連状態、カラアザール後遺皮膚病変、境界群類結核型ハンセン病におけるI型反応、毛包性粃糠疹が含まれる感染性毛包関連状態;ならびに面皰母斑、毛包向性菌状息肉症、およびガマ皮症が含まれる他の毛包関連疾患から選択される、請求項11に記載の使用。
  13. 毛包系皮膚疾患および毛包関連状態を処置するための、請求項1~8のいずれかに記載の組成物または請求項9もしくは10に記載の医療デバイスの使用。
  14. 組成物が、感受性個体における毛包系皮膚疾患および毛包関連状態の発症を防止するのに使用される、請求項11または12に記載の使用。
  15. 組成物が美容組成物であり、望まれない毛の除去に使用される、請求項11に記載の使用。
  16. 組成物が美容組成物であり、スキンピーリングに使用される、請求項11に記載の使用。
  17. 組成物が、それら自体が含まれる酵素などの1種または複数種のタンパク質の皮膚および毛包デリバリーを促進するのに使用される、請求項11または12に記載の使用。
  18. 組成物が他の医薬品または化粧料成分の毛包および皮膚デリバリーを増強するのに使用される、請求項11または12に記載の使用。
  19. ヒト毛包関連状態および毛包系皮膚疾患を処置するための医薬または医薬品として使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
  20. 男性型多毛症、多毛症、もしくは須毛部仮性毛包炎;または毛包性角質増殖症によって誘導される毛包系皮膚疾患もしくは尋常性ざ瘡の発症をもたらす毛包閉塞、毛孔性角化症、ダウリング-デゴス病、ヘイリー-ヘイリー病、乳管瘻、もしくは集簇性ざ瘡、毛巣洞疾患、頭皮の解離性蜂巣炎、および化膿性汗腺炎が含まれる毛包閉塞四徴症候群;または膿疱性乾癬、毛孔性紅色粃糠疹、円板状ループス、毛孔性扁平苔癬、肥厚性毛孔性扁平苔癬、腫瘍性毛包性扁平苔癬、硬化性苔癬、棘状苔癬、Wong型皮膚筋炎が含まれる炎症性毛包関連状態、カラアザール後遺皮膚病変、境界群類結核型ハンセン病におけるI型反応、毛包性粃糠疹が含まれる感染性毛包関連状態;ならびに面皰母斑、毛包向性菌状息肉症、およびガマ皮症が含まれる他の毛包関連疾患の処置で使用するための、請求項1~8に記載の組成物。
  21. ヒト毛包関連状態および毛包系皮膚疾患に関係する美容使用のための、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
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