JP2023517579A - 呼吸器系の病変の治療のための組成物 - Google Patents

呼吸器系の病変の治療のための組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、特に、肺損傷の予防及び/又は治療に使用するための薬学的組成物に関する。本発明はまた、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、特に、肺損傷の治療に使用するための薬学的組成物に関する。本発明は、特に治療分野、薬学分野、及び獣医学的分野における用途を有する。

Description

本発明は、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、具体的には、肺損傷の予防及び/又は治療に使用するための薬学的組成物に関する。
本発明はまた、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、特に、肺損傷の治療に使用するための薬学的組成物に関する。
本発明は、特に治療分野、薬学分野、及び獣医学的分野における用途を有する。
以下の説明では、括弧()の間の参照は、本文書の終わりに提示された参考文献のリストを指す。
組織病変、特に呼吸器系の組織病変は、多くの因子、例えば、空気汚染、微生物、例えば、ウイルス、細菌、真菌によって発生し得るか、及び/又は引き起こされ得る。病状はまた、呼吸器系の病変、例えば気管支炎、肺炎、結核、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)、肺線維症、気管支肺がんの原因であり得る。
呼吸器系の病状に従って、異なる治療が知られている。例えば、吸入コルチコステロイドの投与は、例えば、気管支の炎症を低減するために使用することができ、抗生物質の投与も、例えば肺炎の場合に細菌に関連する病状に使用される。
しかしながら、これらの治療は、相応する程度の有効性を有する場合がある。更に、肺系の病変を伴う病状の場合、これらの病変を治療するための治療及び/又は手段は存在しない。
肺感染症は、ニューモパシ(pneumopathy)とも称され、微生物、特にウイルスによって引き起こされ得る。ニューモパシの症状は、微生物によって様々である。例えば、ニューモパシの症状は、例えば40℃に近い高熱、胸痛、咳、倦怠感、息切れなどを引き起こす可能性がある。肺及び/又は呼吸器系の感染症は、特にそれらが微生物、例えば細菌又はウイルスによって引き起こされる場合には、伝染性であることが知られている。
肺感染症の治療は、感染性微生物に応じて変わる。細菌性肺感染症の場合、既知の治療は、抗生物質の使用を伴う。インフルエンザなどのウイルス性肺感染症の場合、相応する程度の有効性を有するか、又は有効ではない抗ウイルス治療を除き、これらの感染症に対する特定の治療はない。
最先端では、組織環境を改善することができる治療分野で使用される化合物、例えば、鎮静及び疼痛緩和特性(任意選択で抗線維症活性)を有することも知られている生体適合性ポリマーが存在する。化合物、特にオリゴ糖、カラギーナン、セルロース硫酸塩、ナフタレンスルホネートなどの硫酸化ポリアニオン。しかしながら、これらの化合物は、特に呼吸器系感染症の治療において有効性を示すことができなかった。
したがって、微生物によって引き起こされる呼吸器系の感染、特に、微生物によって引き起こされる肺感染症の治療を改善することを可能にする化合物及び/又は組成物に対する、最先端における現実の必要性が存在する。
したがって、ウイルスによって引き起こされる呼吸器系の感染、特に、ウイルスによって引き起こされる肺感染症の治療を改善することを可能にする化合物及び/又は組成物に対する、最先端における現実の必要性が存在する。
更に、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、特に、微生物によって引き起こされる肺感染症の治療を改善することを可能にする化合物及び/又は組成物に対する、最先端における現実の必要性が存在する。
また、ウイルスによって引き起こされる呼吸器系の病変、特に、ウイルスによって引き起こされる肺感染症の治療を改善することを可能にする化合物及び/又は組成物に対する、最先端における現実の必要性が存在する。
本発明は、具体的には、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、好ましくは微生物によって引き起こされる肺損傷の予防及び/又は治療に使用するための薬学的組成物であって、上述の組成物が、
-以下の一般式(I)の生体適合性ポリマー
AaXxYy (I)
を含み、式中、
Aは、モノマーであり、
Xは、RCOOR又は-R(C=O)R10基であり、
Yは、O又はN-スルホネート基であり、以下の式-ROSO、-RNSO、RSOのうちの1つを有し、
、R、R及びRは、独立して、任意選択で分岐及び/又は不飽和、任意選択でベンジルアミン及びベンジルアミンスルホネートを除き1つ以上の芳香族環を含有する、脂肪族炭化水素鎖であり、R、R、R及びRは、独立して、水素原子又はMカチオンであり、
及びR10は、独立して、結合、任意選択で分岐及び/又は不飽和である、脂肪族炭化水素鎖であり、
aは、モノマーの数であり、
xは、X基によるAモノマーの置換率であり、
yは、Y基によるAモノマーの置換率である、薬学的組成物を提供することによって、これらの必要性に対処することを目的とする。
本発明はまた、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、好ましくは微生物によって引き起こされる肺損傷の予防に使用するための薬学的組成物であって、上述の組成物が、
-以下の一般式(I)の生体適合性ポリマー
AaXxYy (I)
を含み、式中、
Aは、モノマーであり、
Xは、RCOOR又は-R(C=O)R10基であり、
Yは、O又はN-スルホネート基であり、以下の式-ROSO、-RNSO、RSOのうちの1つを有し、
、R、R及びRは、独立して、任意選択で分岐及び/又は不飽和、任意選択でベンジルアミン及びベンジルアミンスルホネートを除き1つ以上の芳香族環を含有する、脂肪族炭化水素鎖であり、R、R、R及びRは、独立して、水素原子又はMカチオンであり、
及びR10は、独立して、結合、任意選択で分岐及び/又は不飽和である、脂肪族炭化水素鎖であり、
aは、モノマーの数であり、
xは、X基によるAモノマーの置換率であり、
yは、Y基によるAモノマーの置換率である、薬学的組成物を提供することによって、これらの必要性を満たすことを目的とする。
有利には、本発明者は、驚くべきことに、本発明による生体適合性ポリマー、特に本発明による生体適合性ポリマーを含む組成物の使用が、有利には、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変を治療することを可能にすることを実証した。特に、本発明者は、驚くべきことであり、かつ予想外であるが、本発明による組成物が、有利には、微生物によって引き起こされる肺組織の病変、特に有利には、ウイルス感染症を相乗的な様式で修復することを可能にすることを実証した。
更に、本発明者は、驚くべきことであり、かつ予想外であるが、肺組織の病変を非常に短時間で修復することを可能にし、更に、有利には、かつ予想外であるが、損傷した呼吸器系の組織及び/又は器官の機能的回復を可能にすることを実証した。本発明者はまた、本発明による組成物が、有利には、肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の機能の回復を可能にすることを実証した。特に、本発明者らは、本発明による組成物が、有利には、特に短時間で(例えば、治療から数日後に)、特に、機能的な呼吸器の回復(すなわち、肺系の正常な機能へと戻すこと)を介して、呼吸器系の感染症の影響、特に肺系の感染症の影響、特に、ウイルス感染症の影響を中和することを可能にすることを実証した。更に、本発明者は、本発明による組成物が、有利には、再発することなく肺組織病変の修復を可能にすることを実証した。
本発明者はまた、驚くべきことであり、かつ予想外であるが、本発明による組成物が、有利には、かつ予想外であるが、肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の保護を可能にすることを実証した。特に、本発明者らは、本発明による組成物が、有利には、呼吸器系の病変を引き起こす少なくとも1つの微生物に曝露された患者において、及び/又は微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変を有する患者において、予防的に使用され得ることを実証した。特に、本発明者は、本発明による組成物が、有利には、微生物によって引き起こされる呼吸器系の感染症の影響、特に肺系の感染症の影響、特に、ウイルス感染症の影響を中和することを可能にし、したがって、本発明による組成物を予防的に、例えば、任意の症状、例えば、呼吸の前に使用することを可能にすることを実証した。この効果は、ある環境で観察することができる。
本発明者はまた、組成物が、微生物によって引き起こされる肺損傷によって損なわれる呼吸機能の急速な回復を可能にすること、かつ、有利には、肺機能の回復、特に肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の機能の回復を可能にすることを実証した。
したがって、本発明はまた、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、好ましくは微生物によって引き起こされる肺損傷に起因する呼吸機能の欠損の治療に使用するための薬学的組成物であって、上述の組成物が、
-以下の一般式(I)の生体適合性ポリマー
AaXxYy (I)
を含み、式中、
Aは、モノマーであり、
Xは、RCOOR又は-R(C=O)R10基であり、
Yは、O又はN-スルホネート基であり、以下の式-ROSO、-RNSO、RSOのうちの1つを有し、
、R、R及びRは、独立して、任意選択で分岐及び/又は不飽和、任意選択でベンジルアミン及びベンジルアミンスルホネートを除き1つ以上の芳香族環を含有する
、脂肪族炭化水素鎖であり、R、R、R及びRは、独立して、水素原子又はMカチオンであり、
及びR10は、独立して、結合、任意選択で分岐及び/又は不飽和である、脂肪族炭化水素鎖であり、
aは、モノマーの数であり、
xは、X基によるAモノマーの置換率であり、
yは、Y基によるAモノマーの置換率である、薬学的組成物に関する。
本文書において、微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変は、当業者に知られている微生物によって引き起こされる呼吸器系の任意の病変を意味する。これらは、例えば、微生物によって引き起こされる、咽頭の病変、喉頭の病変、気管の病変、肺の病変、気管支の病変及び/又は細気管支の病変であり得る。
本文書において、微生物によって引き起こされる肺損傷は、当業者に知られている微生物によって引き起こされる任意の肺損傷を意味する。これらは、例えば、微生物によって引き起こされる、肺の病変、気管支の病変及び/又は細気管支の病変であり得る。これらは、例えば、微生物、例えば、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫による感染後の呼吸器合併症であり得る。これらは、例えば、Aleksandra Milewska et al.,「Human Coronavirus NL63 Utilizes Heparan Sulfate Proteoglycans for Attachment
to Target Cells」November 2014 Volume 88
Number 22 Journal of Virology pages 13221-13230,De Haan et al,「Cleavage of Group 1 Coronavirus Spike Proteins:How Furin Cleavage Is Traded Off against Heparan Sulfate Binding upon Cell Culture Adaptation」,JOURNAL OF VIROLOGY,pages 6078-6083 Vol.82,June 2008に記載されるような、微生物によって引き起こされる呼吸器合併症及び/又は呼吸作用であり得る。
本文書において、「治療」、「治癒する」、「治療される」、又は「治療する」という用語は、特に、その目的が、微生物、好ましくはウイルスによって引き起こされる呼吸器系の病変、及び/又は微生物、例えば、ウイルス、細菌、寄生虫、及び真菌、好ましくはウイルスからなる群から選択される微生物によって引き起こされる肺損傷を予防するか、及び/又は遅らせる(低減する)場合に、予防及び/又は療法を指す。有益な臨床的転帰又は所望の臨床的転帰は、限定されないが、検出可能であるか否かにかかわらず、症状の軽減、疾患の範囲の低減、疾患状態の安定化(すなわち、悪化しないこと)、疾患の進行の遅延又は遅らせること、疾患状態の改善若しくは緩和、並びに寛解(部分的又は完全に)を含む。「治療」はまた、患者が治療を受けない場合に予想される生存期間及び/又は生活の質と比較した、生存期間の延長及び/又は生活の質の改善を意味し得る。有利には、治療は、呼吸器症候群の低減、呼吸窮迫の低減、肺痛の低減、呼吸困難及び/又は疼痛の低減、咳頻度の低減のうちの1つを含み得る。
本文書において、予防は、微生物、例えば、ウイルス、細菌、寄生虫、及び真菌、好ましくはウイルスを含む群から選択される微生物によって引き起こされる呼吸器系の障害及び/又は病変の予防を特に意味する。
本文書において、予防はまた、呼吸器系の病変の臨床徴候又は症状の開始における任意の程度の遅延、並びに呼吸器系の病変の完全な予防を含むが、これらに限定されない、呼吸器系の病変の臨床徴候又は症状の重症度の任意の程度の阻害を意味する。例えば、予防
は、例えば、予防的措置としての、すなわち、上述の微生物によるコロニー形成を防止するか、又は肺損傷の任意の臨床徴候若しくは症状の出現を回避するための、肺損傷を引き起こす可能性が高い微生物によってコロニー形成及び/又は感染させられる可能性が高い哺乳動物、好ましくはヒトへの本発明による組成物の投与を含み得る。予防的投与は、上述の哺乳動物、好ましくはヒトが、上述の哺乳動物において(特に上述のヒトにおいて)肺損傷を引き起こす可能性が高い生物に曝露される前に、又は曝露時に行うことができる。このような予防的投与は、有利には、任意のその後の肺損傷を予防し、改良し、及び/又は重症度を低減することを可能にし得る。したがって、有利には咽喉刺激、咳、くしゃみの繰り返しなどの第1の徴候から、有利には、組成物の投与(例えば、吸入)によって制御される。
本文書において、呼吸機能は、肺胞内の空気と血液との間の酸素(O)及び二酸化炭素(CO)の換気及び交換を意味する。呼吸機能は、例えば、気体交換、特に空気と血液との間の酸素(O)及び二酸化炭素(CO)の気体交換に関与する肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の機能と関連する肺機能であり得る。
本文書において、呼吸機能の欠損は、肺胞内の空気と血液との間の酸素(O)及び二酸化炭素(CO)の交換の低減及び/又は障害を意味する。例えば、呼吸性アシドーシスを誘発する可能性が高い呼吸機能の欠損であり得る。この欠損は、呼吸困難、あえぎ呼吸、息切れ、及び窒息感、ときには胸部の痛み、並びに大きな倦怠感によって、臨床的に現れる場合がある。指及び唇の皮膚は、青色になる場合がある。
本文書において、微生物は、呼吸器系の病変及び/又は肺損傷を引き起こす可能性が高い、当業者に既知の任意の微生物を意味する。例えば、ウイルス、細菌、真菌、及び寄生虫を含む群から選択される微生物であり得る。
本文書において、ウイルスは、呼吸器系の病変及び/又は肺損傷を引き起こす可能性が高い、当業者に既知の任意のウイルスを意味する。例えば、Picornavirus科、例えば、ライノウイルス、Coronaviridae科、例えば、コロナウイルス、Orthomyxoviridae科、例えば、インフルエンザウイルスを含む群から選択されるウイルスであり得る。例えば、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルスを含む群から選択されるウイルスであり得る。例えば、ウイルス、特に、コロナウイルス229E、コロナウイルスNL63(HCoV-NL63)(ヒトコロナウイルスNL63)、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV-OC43)、ヒトコロナウイルスHKU1((HCoV-HKU1)、頭字語でSARSコロナウイルス(重症急性呼吸器症候群:severe acute respiratory syndrome)、MERS-CoVコロナウイルス(中東呼吸器症候群:Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus)、SARS-CoV-1コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス:severe acute respiratory syndrome coronavirus)、SARS-CoV-2 コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)を含む群から選択されるCoronaviridaeファミリーのウイルスであり得る。例えば、ウイルス、特に、ヒトライノウイルスC、ヒトライノウイルスB、ヒトライノウイルスAを含む群から選択されるPicornavirusファミリーのウイルスであり得る。例えば、ウイルス、特に、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、インフルエンザCウイルスを含む群から選択されるOrthomyxoviridaeファミリーのウイルスであり得る。
本文書において、本発明者らは、本発明による組成物が、有利には、例えば、Cagno et al.「Heparan Sulfate Proteoglycans a
nd Viral Attachment:True Receptors or Adaptation Bias?」Viruses.2019 Jul;11(7):596という文書に記載されるように、標的細胞を感染させる入口としてのヘパラン硫酸を使用して、ウイルスの呼吸器系の病変及び/又は肺損傷を治療することを可能にし得ることを示した。
本文書において、例えば、デングウイルス(Dengue virus、DENV)、エコーウイルス5、例えば、メタニューモウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)、ジカウイルス、チクングニアウイルスを含む群から選択されるウイルスであり得る。細胞への侵入のための共受容体としてヘパラン硫酸を使用する可能性が高い、当業者に既知の任意のウイルスであり得る。
本文書において、細菌は、呼吸器系の病変及び/又は肺損傷を引き起こす可能性が高い、当業者に既知の任意の細菌を意味する。例えば、Streptococcus pneumoniae、ヘモフィルスインフルエンザB型又はマイコプラズマ、例えば、Mycoplasma pneumoniaeを含む群から選択される細菌であり得る。
本文書において、真菌は、呼吸器系の病変及び/又は肺損傷を引き起こす可能性が高い、当業者に既知の任意の真菌を意味する。例えば、Pneumocystis jirovici、Cryptococcus neoformens、Aspergillus
sp、及び線形動物を含む群から選択される真菌であり得る。
本文書において、寄生虫は、呼吸器系の病変及び/又は肺損傷を引き起こす可能性が高い、当業者に既知の任意の寄生虫を意味する。例えば、呼吸器病変(例えば、シャーガス病、肺アメーバ症)に関与する寄生虫であり得る。例えば、Trypanosoma cruzi又はアメーバ、例えば、Entamoeba histolyticaを含む群から選択される寄生虫であり得る。
本明細書において、モノマーは、例えば、糖、エステル、アルコール、アミノ酸、又はそれらのヌクレオチド若しくは誘導体からなる群から選択されるモノマーを意味する。
本発明において、Aモノマーは、式Iのポリマーの基本的な要素を構成し、同一であってもよく、又は異なっていてもよい。
本発明において、同一又は異なるAモノマーは、独立して、糖又はその誘導体から選択され得る。
本発明において、Aモノマーは、独立して、以下の式のモノマーであってもよく、
Figure 2023517579000001
式中、R11及びR12は、独立して、酸素原子、任意選択で分岐及び/又は不飽和である脂肪族炭化水素鎖、独立して1つ以上の酸素及び/又は窒素原子を含むヘテロアリール基、アルデヒド官能性、カルボン酸基、ジオール、置換ジオール、式-R13-(X)n-R14の基であり、R13は、任意選択で分岐及び/又は不飽和であるC~C脂肪族炭素鎖であり、Xは、酸素及び窒素から選択されるヘテロ原子であり、は1~4の範囲の整数であり、R14は、水素原子、任意選択で分岐及び/又は不飽和である、脂肪族炭化水素鎖、1つ以上の酸素及び/又は窒素原子を独立して含むヘテロアリール基、アルデヒド機能、カルボン酸基、ジオール、置換ジオールである。
本発明において、モノマーの組み合わせによって、ポリマー骨格、例えば、ポリエステル、ポリアルコール、多糖類のポリマー骨格、核酸型又はタンパク質型のポリマー骨格を形成することができる。
本発明において、ポリエステルの中で、これらは、例えば、生合成若しくは化学合成からのコポリマー、例えば、脂肪族ポリエステル、又は天然由来のポリエステル、例えばポリヒドロキシアルカノエートであり得る。
本発明において、多糖類及びそれらの誘導体は、細菌、動物、真菌、及び/又は植物由来であり得る。これらは、例えば、一本鎖多糖類、例えば、ポリグルコース、例えば、デキストラン、セルロース、ベータグルカン、又はより複雑な単位、例えばキサンタン、例えば、グルコース、マンノース及びグルクロン酸、又はグルクロン及びグルコグルクロナンを含む他のモノマーであり得る。
本発明において、植物由来の多糖類は、一本鎖、例えば、セルロース(グルコース)、ペクチン(ガラクツロン酸)、フカン、デンプン、又はアルギネート(グルロン酸及びマンヌロン酸)などのより複雑なものであり得る。
本発明において、真菌由来の多糖類は、例えば、ステログルカン(steroglucan)であり得る。
本発明において、動物由来の多糖類は、例えば、キチン又はキトサン(グルコサミン)であり得る。
本発明において、式Iのポリマーの基本的な要素を構成するAモノマーは、有利には、同一であり得る。
本発明において、式Iのポリマーの基本的な要素を構成するAモノマーは、有利には、グルコースであり得る。
「a」によって式(I)で定義されるAモノマーの数は、上述の式(I)のポリマーの重量が2,000ダルトン以上であるようなものであってもよい。「a」によって式(I)で定義されるAモノマーの数は、上述の式(I)のポリマーの重量がほぼ2,000~6,000ダルトンであるようなものであってもよく、例えば、少なくとも10個のグルコースモノマーに対応する。例えば、上述の式(I)のポリマーの重量は、ほぼ3,000ダルトン~6,000ダルトンであってもよく、例えば、12~20個のグルコースモノマーに対応する。
「a」によって式(I)で定義されるAモノマーの数はまた、上述の式(I)のポリマーの重量が約2,500,000ダルトン未満であるようなものであってもよい(7,000個のグルコースモノマーに対応する)。
「a」によって式(I)で定義されるAモノマーの数はまた、上述の式(II)のポリマーの重量が、ほぼ2,000~500,000ダルトン、例えば、3,000~500,000ダルトン、例えば、3,000ダルトン、5,000ダルトン、6,000ダルトン、10,000ダルトン、20,000ダルトン、40,000ダルトン、80,000ダルトン、220,000ダルトン、500,000ダルトンに等しくなるようなものであってもよい。
有利には、上述の式(I)のポリマーの重量は、3,000~250,000ダルトン、例えば、3,000~6,000ダルトン、又は例えば、20,000~250,000ダルトン、又は例えば、75,000~150,000ダルトンから構成され得る。
有利には、上述の式(I)のポリマーの重量は、3,000~500,000ダルトン、例えば、3,000~250,000ダルトン、例えば、3,000~6,000ダルトン、又は例えば、20,000~250,000ダルトン、又は例えば、75,000~150,000ダルトンから構成され得る。
本発明において、Xを表す-RCOOR基において、Rは、C~Cアルキル、例えば、メチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、好ましくは、メチル基であってもよく、Rは、結合、Cアルキル、例えば、メチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、R2122基であってもよく、R21は、アニオンであり、アルカリ金属の群から選択されるカチオンR22
好ましくは、X基は、式-RCOORの基であり、Rは、メチル基-CH-及びR2122基であり、R21は、アニオンであり、アルカリ金属の群から選択されるカチオンR22、好ましくは、X基は、式-CH-COOの基、又はカルボキシメチルである。
本発明において、Xを表す-R(C=O)R10基において、Rは、C~Cアルキル、例えば、メチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、好ましくは、メチル基であってもよく、R10は、結合、C~Cアルキル、例えば、メチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシルであってもよい。
「x」によって一般式(I)で定義されるX基による全てのAモノマーの置換率は、10~150%、40~80%、好ましくは、50%又は60%程度で構成され得る。
本発明において、以下の式-ROSO、-RNSO、-RSOのうちの1つを有し、Y基を表す基において、Rは、結合、C~Cアルキル、例えば、メチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、好ましくは、メチル基であってもよく、Rは、結合、C~Cアルキル、例えば、メチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、好ましくは、メチル基であってもよく、Rは、結合、C~Cアルキル、例えば、メチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、好ましくは、メチル基であってもよく、R、R及びRは、独立して、水素原子又はカチオンMであってもよく、例えば、Mは、アルカリ金属であってもよい。
好ましくは、Y基は、式-RSOの基であり、Rは、結合であり、Rは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムを含む群から選択されるアルカリ金属である。好ましくは、Y基は、-SO 、-SO Na基である。
「y」によって一般式(I)で定義されるY基による全てのAモノマーの置換率は、1
0~170%、30~150%、55~160%、55~85%、120~160%、好ましくは、70、140、又は150%程度で構成され得る。
本発明において、上の置換率の定義、100%の置換率「x」は、本発明のポリマーの各Aモノマーが、統計的にX基を含有することを意味する。同様に、100%の置換率「y」は、本発明のポリマーの各モノマーが、統計的にY基を含有することを意味する。100%を超える置換率は、各モノマーが、統計的に、考慮される型の基を1つより多く有するという事実を反映している。逆に、100%未満の置換率は、各モノマーが、統計的に、考慮される型の基を1つ未満有するという事実を反映している。
ポリマーはまた、X及びY以外の官能性化学基(Zで示される)を含み得る。
本発明において、Z基は、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、独立して、アミノ酸、脂肪酸脂肪アルコール、セラミド、若しくはそれらの誘導体、ヌクレオチドアドレスアドレッシング配列、抗体、抗体断片を含む群から選択されてもよい。
Z基はまた、同一又は異なる活性剤であり得る。Z基は、例えば、治療薬剤、診断剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、成長因子、細胞間コミュニケーションサイトカイン、例えばインターフェロン、酵素、抗酸化化合物、ポリフェノール、タンニン、アントシアニン、リコペン、テルペノイド、及びレスベラトロールであり得る。本発明において、Z基は、有利には、飽和又は不飽和の脂肪酸であり得る。Z基は、例えば、酢酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、トランスバクセン酸、リノール酸、リノレイド酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、クルパノドン酸、又はドコサヘキサエン酸を含む群から選択される脂肪酸であり得る。好ましくは、脂肪酸は、酢酸である。
本発明において、Z基は、有利には、アラニン、アスパラギン、芳香族鎖、例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロキシン又はヒスチジンを含む群から選択されるL系列又はD系列のアミノ酸であり得る。好ましくは、アミノ酸は、フェニルアラニンである。
本発明において、Z基は、酸化防止剤、例えば、ビタミンA、C、E、B9、B6、グルタチオン、セレン、ポリフェノール、例えば、カテキン(例えば緑茶)、フラボノイド、タンニン、アントシアニン(例えば赤色の果実)、リコピン、テルペノイド、及びレスベラトロールであり得る。
本発明において、Z基は、老化防止化合物、例えば、レチノイド、アラントインであり得る。
本発明において、Z基は、抗体、抗体断片、例えばFab断片であり得る。例えば、抗体及び/又は抗体断片、例えば、血液脳関門を標的とする可能性が高い抗体及び/又は抗体断片に対処することができる。
本発明において、Z基は、抗ウイルス剤であり得る。Z基は、任意の好適な抗ウイルス剤、例えば、細胞へのウイルス侵入へのアクセスを遮断するか、又はその受容体に対してリガンドとして天然ウイルスを模倣する受容体デコイ及び/若しくは受容体模倣物及び/又は共受容体若しくは抗イディオタイプ抗体として作用する抗ウイルス剤であり得る。Z基は、例えば、コロナウイルスの場合、Aleksandra Milewska et
al.,「Human Coronavirus NL63 Utilizes Heparan Sulfate Proteoglycans for Attachment to Target Cells」November 2014 Volume 88 Number 22 Journal of Virology pages 13221-13230によって、及びHoffmann et al.in「SARS-CoV-2 Cell Entry Depends on ACE2 and TMPRSS2 and Is Blocked by a Clinically Proven Protease Inhibitor 2020」,Cell 181,1-10 https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.02.052によって記載されるような、アンジオテンシン2変換酵素(angiotensin 2 converting enzyme、ACE)阻害剤、又はセリンプロテアーゼ阻害剤、例えば、細胞へのウイルス侵入のための共受容体として関与するTMPRSS2であり得る。
有利には、Z基は、ポリマーに更なる生物学的特性又は物理化学的特性を付与することができる。例えば、Z基は、例えば、より良好な拡散又は組織浸透を可能にする上述のポリマーの溶解性又は親油性を増加させることができる。
有利には、Z基は、ポリマーに更なる生物学的特性又は物理化学的特性を付与することができる。したがって、本発明のポリマーは、例えば、Z基が、抗酸化化合物、老化防止化合物から選択される場合、本発明のポリマーは、有利には、これらの化合物を運ぶことができ、したがって、更なる及び/又は相補的な生物学的効果を提供することができる。
Zが存在するポリマーは、以下の式II:Aa Xx Yy Zz(II)を有していてもよく、式中、A、X、Y、a、x、yは、本明細書で上に定義される通りであり、zは、Z基による置換率である。
本発明において、式(II)のポリマーの基本的な要素を構成するAモノマーは、有利には、同一であり得る。
本発明において、式(II)のポリマーの基本的な要素を構成するAモノマーは、有利には、グルコースであり得る。
「a」によって式(II)で定義されるAモノマーの数は、上述の式(II)のポリマーの重量が2,000ダルトン以上であるようなものであってもよい。「a」によって式(II)で定義されるAモノマーの数は、上述の式(II)のポリマーの重量が約2,000~6,000ダルトンであるようなものであってもよく、例えば、少なくとも10個のグルコースモノマーに対応する。例えば、上述の式(II)のポリマーの重量は、ほぼ3,000ダルトン~6,000ダルトンであってもよく、例えば、12~20個のグルコースモノマーに対応する。
「a」によって式(II)で定義されるAモノマーの数はまた、上述の式(II)のポリマーの重量が約2,500,000ダルトン未満であるようなものであってもよい(7,000個のグルコースモノマーに対応する)。
「a」によって式(II)で定義されるAモノマーの数はまた、上述の式(II)のポリマーの重量が、ほぼ2,000~500,000ダルトン、例えば、3,000~500,000ダルトン、例えば、3,000ダルトン、5,000ダルトン、6,000ダルトン、10,000ダルトン、20,000ダルトン、40,000ダルトン、80,000ダルトン、220,000ダルトン、500,000ダルトンに等しくなるようなものであってもよい。
有利には、上述の式(II)のポリマーの重量は、3,000~500,000ダルトン、例えば、3,000~250,000ダルトン、例えば、3,000~6,000ダルトン、又は例えば、20,000~250,000ダルトン、又は例えば、75,000~150,000ダルトンから構成され得る。
「x」によって一般式(II)で定義されるX基による全てのAモノマーの置換率は、10~150%、40~80%、好ましくは、50%又は60%程度で構成され得る。
「y」によって一般式(II)で定義されるY基による全てのAモノマーの置換率は、10~170%、30~150%、55~160%、55~85%、120~160%、好ましくは、70、140、又は150%程度であり得る。
本発明において、「z」によって表されるZ基による置換率は、1~50%、10~25%、好ましくは、15、20、又は25%に等しくてもよい。
X、Y、及びZ基は、Aモノマーに独立して結合してもよく、及び/又は互いに独立して結合してもよい。X、Y、及びZ基のうちの少なくとも1つが、第1のもの以外のX、Y、及びZ基に独立して結合している場合、上述のX、Y、又はZ基のうちの1つは、Aモノマーに結合している。
したがって、Z基は、Aモノマーに直接的に共有結合してもよく、又はX及び/若しくはY基に共有結合してもよい。
本発明において、Z基はまた、共有結合以外の結合によって、例えば、イオン結合(例えばイオン性相互作用を介する)、疎水性結合又は疎水性結合によって、式AaXxYyのポリマーとコンジュゲート化することができる。次いで、本発明のポリマーは、Zベクトル化システムを構成することができる。
本発明において、ポリマーは、例えば、化合物OTR4120、OTR41201、OTR41202、OTR41203、OTR41205、OTR41210、OTR41301、OTR41302、OTR41303、OTR41305、OTR41310、OTR3131を含む群から選択されるポリマーであり得る。
本発明において、ポリマーは、例えば、以下の表1に述べられる特徴を有する、化合物OTR41201、OTR41202、OTR41203、OTR41205、OTR41210、OTR4120、OTR4122、OTR4125、OTR41301、OTR41302、OTR41303、OTR41305、OTR41310、OTR3131、OTR4132、OTR4135、OTR415を含む群から選択されるポリマーであり得る。
Figure 2023517579000002

表1:Aが、グルコース(MW 180Da)であり、Xが、カルボキシメチル(MW
58Da)であり、Y:SO (MW 80Da)であり、Zは、アセテート(MW
43Da)又はフェニルアラニン(MW 165Da)である、Aa Xx Yy(I)及びAa Xx Yy Zz(II)ファミリーのポリマー。
本発明において、組成物は、組成物の体積に対して、重量単位で0.1~100μg/mLの濃度の生体適合性ポリマーを含み得る。例えば、組成物は、組成物の総体積に対して、重量単位で1~100μg/mL、10~100μg/mlの濃度の生体適合性ポリマーを含み得る。
本発明において、組成物は、その投与に従って製剤化及び/又は適合され得る。例えば、非経口投与の場合、組成物は、1回の投与、2日毎又は3日毎に1回の投与、例えば、1週間当たり2~3回の頻度で、体重1キログラム当たり0.01~5mg、好ましくは体重1キログラム当たり0.1~1.5mgで構成される用量の生体適合性ポリマーを送達するように投与され得る。
例えば、経口投与の場合、組成物は、1日1回又は隔週投与の頻度で、体重1キログラム当たり0.1~5mg、好ましくは0.01~1.5mgで構成される用量の生体適合性ポリマーを送達するように投与され得る。
舌下投与の場合、用量は、1日1回又は隔週で、0.5μg/kg~100μg/kgであり得る。
例えば、動脈内投与の場合、生体適合性ポリマーは、組成物の総体積に対して、重量基準で0.1~100μg/mL、好ましくは1~20mLの範囲の濃度の生体適合性ポリマーであり得る。
例えば、経口投与の場合、生体適合性ポリマーは、組成物の総体積に対して、重量基準で0.1~100μg/mL、好ましくは、1~20mLの範囲、好ましくは5mLに等しい濃度の生体適合性ポリマーであり得る。
例えば、空気による、例えば、鼻腔用スプレーとして、好ましくは吸入又は噴霧による投与の場合、生体適合性ポリマーは、組成物の総体積に対して、重量基準で0.1~100μg/mL、好ましくは、1~20mLの範囲、好ましくは5mLに等しい濃度の生体適合性ポリマーであり得る。例えば、5~10分間で構成される投与時間で1分当たり1~3mLの送達を可能にするネブライザに配置された、例えば、100μg/mLのOTR4120又は10μg/mLのOTR4131の水溶液の組成物(好ましくは1~20mL)であり得る。例えば、5~10分間で構成される投与時間で1分当たり0.5~3mLの送達を可能にするネブライザに配置された、例えば、10~100μg/mLのOTR4120、例えば、10μg/mLのOTR4120、又は10μg/mL~100μg/mLのOTR4131の水溶液の組成物(好ましくは1~20mL)であり得る。5分間の投与時間で1分当たり0.5mLの送達を可能にするネブライザに配置された、例えば、10~100μg/mLのOTR4120、例えば、10μg/mLのOTR4120の水溶液の組成物であり得る。
本発明によれば、組成物は、ヒアルロン酸を更に含み得る。
本文書において、「ヒアルロン酸」は、当業者に既知の任意のヒアルロン酸、例えば、D-グルクロン酸及びN-アセチル-D-グルコサミンの繰り返し単位から構成される非硫酸化直鎖グリコサミノグリカンを意味する。ヒアルロン酸は、例えば、その酸形態若しくは塩形態のヒアルロン酸(hyaluronic acid、HA)(ヒアルロネート)であってもよく、架橋ヒアルロン酸HAは、D-グルクロン酸及びN-アセチル-D-グルコサミンの繰り返し単位で構成される非硫酸化直鎖グリコサミノグリカンである(Tammi R.,Agren UM.,Tuhkanen AL.,Tammi M.Hyaluronan metabolism in skin.Progress in Histochemistry & Cytochemistry.29(2):1-81,1994[26])。例えば、5,000~3,000,000ダルトン、好ましくは50,000~2,000,000ダルトンの平均分子量分率を有するヒアルロン酸であり得る。本文書において、ヒアルロン酸は、当業者に既知の任意の方法によって得ることができる。これは、例えば、Hyaluronan fragments:an information-rich system(R.Stern et al.,European Journal of Cell Biology 58(2006)699-715[27])という雑誌に記載されている方法であり得る。ヒアルロン酸はまた、それらの名称及び/又は分子量にかかわらず、市販の天然又は修飾ヒアルロン酸であってもよく、例えば、Hyactive CPN、Cristalhyal、Nutra HA、Oligo HA、D Factor、Hyaluderm、juvelift、Restylane、Revitacareから選択される市販のヒアルロン酸であってもよいが、このリストは網羅的ではない。また、Contipro社によって上市されているヒアルロン酸であってもよい(https://www.contipro.com/portfolio/manufacturer-of-anti-ageing-cosmetic-raw-materials/HyActive”)。
本文書において、組成物は、組成物の総重量に対して、0.1~5重量%の濃度のヒアルロン酸を含み得る。例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、0.2重量%~2.5重量%の濃度のヒアルロン酸を含み得る。
本文書において、組成物は、組成物の総体積に対して、重量基準で1~10mg/mLの濃度のヒアルロン酸を含み得る。
有利には、本発明者は、バイオポリマー及びヒアルロン酸を含む組成物によって、微生物、特にウイルスによって引き起こされる呼吸器系の病変を治療することができることを実証した。更に、バイオポリマー及びヒアルロン酸を含む組成物は、有利には、呼吸器系の病変、有利には肺損傷の修復の相乗効果を提供することを可能にする。
本文書において、「薬学的組成物」は、当業者に既知の任意の形態の薬学的組成物を意味する。本文書において、薬学的組成物は、例えば、注射可能な溶液であり得る。例えば、注射可能な溶液、例えば、局所投与若しくは全身注射のための、例えば、生理学的血清中、注射可能なグルコース溶液中、賦形剤(例えばデキストリン)の存在下、例えば、当業者に既知の濃度、例えば、1マイクログラム~数ミリグラム/mLの注射可能な溶液であり得る。薬学的組成物は、例えば、液体製剤、経口発泡剤形、経口粉末、多粒子系、又は口内分散性剤形を含む群から選択される、経口投与を意図した薬物であり得る。
例えば、薬学的組成物が、経口投与のためのものである場合、溶液、シロップ、懸濁液、エマルジョンを含む群から選択される液体製剤の形態であり得る。薬学的組成物が、経口発泡剤形の形態である場合、錠剤、顆粒、粉末を含む群から選択される形態であり得る。薬学的組成物が、経口粉末又は多粒子系の形態である場合、ビーズ、顆粒、ミニ錠剤、及び微粒剤を含む群から選択される形態であり得る。薬学的組成物が、口内分散性剤形の形態である場合、口内分散性錠剤、凍結乾燥ウェハース、薄膜、チュアブル錠、錠剤、カプセル、又は医療チューインガムからなる群から選択される形態であり得る。
本発明によれば、薬学的組成物は、例えば、口腔又は舌下錠剤、ロゼンジ、液滴、スプレー用の溶液を含む群から選択される、経口、例えば、口腔及び/又は舌下投与のための薬学的組成物であり得る。
本発明によれば、薬学的組成物は、例えば、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、パッチ、及びフォームを含む群から選択される、局所投与、経皮投与のための薬学的組成物であり得る。
本発明によれば、薬学的組成物は、例えば、ネブライザ及び/又は吸入器とともに投与される、例えばエアロゾルの形態の、呼吸器又は経鼻投与のための薬学的組成物であり得る。
本発明によれば、組成物は、例えば、点鼻薬、鼻腔用スプレー、経鼻用粉末、エアロゾ
ル、例えばエアロゾル及び/又は圧縮ガス鼻腔用スプレー、又はネブライザを含む群から選択される、鼻、鼻呼吸器、又は呼吸器投与のための組成物であり得る。
本発明によれば、薬学的組成物は、例えば肺内注射による、肺内投与に好適な薬学的組成物であり得る。
有利には、薬学的組成物が鼻又は呼吸器投与に適合される場合、有利には、気管支肺的であり得る。
好ましくは、薬学的組成物は、鼻、鼻呼吸器、又は呼吸器投与のための薬学的組成物であり得る。
本発明によれば、薬学的組成物は、非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、頭蓋内、髄腔内投与のための薬学的組成物であり得る。
本発明の組成物はまた、例えば、同時又は別個の使用のために、又は使用されるガレヌス製剤に応じて経時的に拡散して使用するための、少なくとも1つの他の活性成分、特に別の治療活性成分を含み得る。この他の成分は、例えば、微生物、例えばウイルス又は細菌によって引き起こされる呼吸器系の感染を有する患者に発生し得る日和見感染の治療に使用される活性成分であり得る。また、当業者に知られている薬学的製品、例えば、抗生物質、抗炎症剤、抗ウイルス薬であり得る。
本発明の組成物はまた、例えば、同時又は別個の使用のために、又は使用されるガレヌス製剤に応じて経時的に拡散して使用するための、少なくとも1つの他の活性成分、特に別の治療活性成分を含み得る。この他の成分は、例えば、例えば日和見感染の治療に使用される活性成分、又はビタミン、例えば高用量(例えば50~100mg/kg/日)で使用されるビタミンC、又は鎮痛剤若しくは抗生物質若しくは気管支拡張薬(例えば、サルブタモール)、又はコルチコステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン)、又は抗ウイルス薬(例えば、インターフェロンアルファ-2b又はロピナビル抗ウイルス療法などであり得る。
本文書において、生体適合性ポリマー及びヒアルロン酸の投与は、同時、連続的、又は付随的であり得る。
本発明によれば、投与のうちの少なくとも1つは、局所、経口、呼吸経路、又は注射によって、好ましくは呼吸経路によって実施され得る。2回の投与は、同じ方式で、又は異なって実行することができる。例えば、生体適合性ポリマー及びヒアルロン酸は、呼吸経路によって投与され得る。投与はまた、治療されるべき領域及び/又は生体組織の機能であり得る。
本発明によれば、組成物は、例えば、1回のみ投与され得る。
本発明によれば、組成物は、更に、例えば、1日1回、1日に2回、及び週に1回、又はそれより少なく投与され得る。例えば、1日に1回、1日に2回、又はそれより少ない、例えば、1日おきに1回、又は週に1回投与され得る。
本発明、及び投与態様によれば、組成物は、生理食塩水組成物の場合、例えば、1日1回、1日に2回、及び週に1回、又はそれより少なく投与され得る。組成物は、例えば、1日に1回、1日に2回、又はそれより少なく投与され得る。
本発明によれば、組成物は、例えば、1日~3ヶ月間、例えば2ヶ月間、例えば1ヶ月間、例えば1週間にわたって投与され得る。例えば、組成物は、1~3週間、例えば、毎日又は1日おきの投与頻度で投与され得る。
例えば、組成物が、呼吸経路による投与に好適な形態である場合、組成物は、好ましくは、2日毎又は3日毎の投与頻度で投与され得る。
本発明によれば、組成物は、例えば、1日1回、1日に2回、及び週に1回投与され得る。組成物は、例えば、1日1回、1日に2回、又はそれより多く投与され得る。本発明によれば、組成物は、例えば、1日~3ヶ月間、例えば2ヶ月間にわたって投与され得る。例えば、組成物は、毎日の投与頻度で3ヶ月間にわたって投与され得る。
本発明者は、驚くべきことに、式AaXxYy又はAaXxYyZzの生体適合性ポリマーと、天然若しくは修飾ヒアルロン酸との組み合わせが、有利には、かつ驚くべきことであるが、治療における相乗効果を得ることを可能にすることを実証した。特に、本発明者は、その得られた効果が、両方とも化合物の各々の個々の効果を超える相乗効果であり、また、有利には、これらの効果の持続時間の増加を示した。
他の利点は、例示として提供される添付の図面によって例示される以下の実施例を読むことによって、当業者によって見ることができる。
実施例1:インフルエンザウイルスに感染した患者の治療における生体適合性ポリマーの使用
A/生体適合性ポリマーの調製。
生体適合性ポリマーRGTAの合成は、従来技術に広く記載されており、例えば、「Process for the sulfonation of compounds comprising free hydroxyl groups(OH)or primary or secondary amines」という名称の米国特許第7396923号に、また抄録参考文献Yasunori I.et al.,Biomaterials 2011,32:769e776)及びPetit E.et al.,Biomacromolecules.2004 Mar-Apr;5(2):445-52[28]に記載されている。
OTR4120を含む、いくつかのタイプのRGTAが示され、記載されており、多くの前臨床及び臨床の刊行物に記載している(RGTA(登録商標)-based matrix therapy-A new branch of regenerative
medicine in locomotion.Barritault D,Desgranges P,Meddahi-Pelle A,Denoix JM,Saffar JL.Joint Bone Spine.2017 May;84(3):283-292.doi:10.1016/j.jbspin.2016.06.012[29],RGTA(登録商標)or ReGeneraTing Agents mimic heparan sulfate in regenerative medicine:from concept to curing patients.Barritault D,Gilbert-Sirieix M,Rice KL,Sineriz F,Papy-Garcia D,Baudouin C,Desgranges P,Zakine G,Saffar JL,van Neck J.Glycoconj J.2017 Jun;34(3):325-338.doi:10.1007/s10719-016-9744-5[2]。化合物OTR4131は、Frescaline G.et al.,Tissue Eng Part A.2013 Jul;19(13-14):1641-53.doi:10.1089/ten.TEA.2012.0377[30]),Randomized controlled trial demonstrates the benefit of RGTA(登録商標)based matrix therapy to treat tendinopathies in racing horses.Jacquet-Guibon S,Dupays AG,Coudry V,Crevier-Denoix N,Leroy S,Sineriz F,Chiappini F,Barritault D,Denoix JM.PLoS One.2018 Mar 9;13(3):e0191796.doi:10.1371/journal.pone.0191796[31]に記載されるような脂肪酸(すなわち、酢酸)であるラジカルZを含む化合物である。Zが、フェニルアラニンなどのアミノ酸(Heparan sulfate proteoglycans mediate internalization and propagation of specific proteopathic seeds.Holmes BB,DeVos SL,Kfoury N,Li M,Jacks R,Yanamandra K,Ouidja MO,Brodsky FM,Marasa J,Bagchi DP,Kotzbauer PT,Miller TM,Papy-Garcia D,Diamond MI.Proc Natl Acad Sci U S A.2013 Aug 13;110(33):E3138-47.doi:10.1073/pnas.1301440110[32])、又は別の疎水性化合物(Structure-activity studies of heparan mimetic polyanions for anti-prion therapies.Ouidja MO,Petit E,Kerros ME,Ikeda Y,Morin C,Carpentier G,Barritault D,Brugere-Picoux J,Deslys JP,Adjou K,Papy-Garcia D.Biochem Biophys Res Commun.2007 Nov 9;363(1):95-100[33])である他の化合物が、特許文書、米国特許出願第06689741号、米国特許出願公開第2014301972(A1)号にも記載されている。
B/ウイルス感染症、特に、インフルエンザを有する喘息患者の呼吸機能に対するバイオポリマーOTR4120の効果
本実施例において、インフルエンザに罹患した喘息患者における呼吸の改善に対する、本発明による生体適合性ポリマーRGTA OTR4120の効果を評価した。この患者は、インフルエンザ感染症を呈し、特に慢性喘息に関連するウイルス感染症の合併症のために入院の病歴(集中治療において入院期間10日間)を有する、35歳の女性であった。
患者を、1週間(7日間)に1日おきに、吸入によって100μg/mLのOTR4120で5mLの生理食塩水(CACIPLIQ(登録商標)、OTR3 Paris France)を摂取しつつ、生体適合性ポリマー、すなわち、化合物OTR4120で治療した。この溶液を、電気ネブライザを用いた吸入によって経口投与した。吸入時間は、Omron型の電気吸入器などを使用して、10分間であった。
最初の用量の24時間後、呼吸器系の窮迫及び/又は障害の臨床徴候は、大幅に低減した。特に、咳発作の頻度(すなわち、1分間当たり数回)が、急速に減少し、それに伴う呼吸と関連する痛み(あえぎ呼吸であった)、及び患者の全身に走る震えがあった。体温も、1週間以内に40℃から通常の温度である37℃まで低下し、倦怠感も、極度の疲労から徐々に回復する。
1週間の治療後、患者は、呼吸器系の窮迫及び/又は障害の任意の徴候をもはや示さなかった。
全ての改善は、特に、最初の用量から24時間後の全ての改善は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器系の病変の治療に特に関連しており、有利には、呼吸器系の機能の改善及び回復を可能にする。
その結果は、その後に、同一の臨床プロファイルを有する女性患者、及びインフルエンザウイルスに感染した乳児において、上述の患者のインフルエンザウイルスによるその後のウイルス感染中に確認された。
同様に、かつ驚くべきことに、本発明による生体適合性ポリマー(すなわちOTR4120)を含む組成物の最初の用量の24時間後、治療された患者は、呼吸器系の窮迫及び/又は障害の任意の徴候の有意な低減を示した。
全ての改善は、特に、最初の用量から24時間後の全ての改善は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器系の病変の治療に特に関連しており、有利には、呼吸器系の機能の改善及び回復を可能にする。
この実施例は、式AaXxYy又はAaXxYyZzのポリマーを含む本発明による組成物の例が、有利には、微生物(すなわち、ウイルス)によって引き起こされる呼吸器系の病変、好ましくは、微生物(特にウイルス)によって引き起こされる肺損傷を治療及び/又は治療を改善することを可能にすることを明確に実証する。特に、この実施例は、本発明による組成物の例が、特に、肺経路によって投与される場合、ウイルス、特にインフルエンザウイルスによって引き起こされる肺損傷を治療することを可能にすることを明確に実証する。
この実施例はまた、本発明による組成物の例が、ウイルス、特に、インフルエンザウイルスによって引き起こされる肺損傷を非常に短時間で修復することを可能にし、有利には、特にウイルスによって引き起こされる呼吸器系及び/又は肺の病変に関連する罹患率のリスクを低減することができることを明確に実証する。
この実施例はまた、機能的回復を通じて、肺機能の回復が、特に肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の機能の回復に関連することを明確に実証する。言い換えれば、本発明による組成物の一例は、微生物(特にウイルス)によって引き起こされる肺損傷を治療し、また、肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の機能の回復を通じて肺機能を回復することを可能にする。また、この実施例に示されるように、本発明は、肺損傷の単純な治療を超え、有利には、肺機能の欠損(例えば、呼吸窮迫)中に、肺機能を相乗的に回復させることを可能にする。
実施例2:MERS-CoVウイルスに感染し、呼吸器症候群を呈する患者の治療における生体適合性ポリマーの使用
この実施例において、使用される組成物は、前述の実施例のものと同一、すなわち、ポリマーOTR4120(製品CACIPLIQ(登録商標)、OTR3 Paris France(OTR4120))であった。
患者は、呼吸窮迫、特に、咳の発生、あえぎ呼吸及び速い呼吸を伴う急性呼吸器症候群、呼吸に伴う痛みを有する、身体の震え、高熱及び疲労の臨床徴候を呈する女性であり、MERS-CoVウイルスに陽性であると検査された。
患者を、1週間(7日間)に1日おきに、吸入によって100μg/mLのOTR4120で5mLの生理食塩水(CACIPLIQ(登録商標)、OTR3 Paris France(OTR4120))を摂取しつつ、生体適合性ポリマー、すなわち、化合物OTR4120で治療した。この溶液を、吸入によって経口投与した。吸入時間は、10分であった。
驚くべきことに、本発明による生体適合性ポリマー(すなわちOTR4120)を含む組成物の最初の用量の24時間後、治療された患者は、呼吸器系の窮迫及び/又は障害の任意の徴候の有意な低減を示した。
全ての改善は、特に、最初の用量から24時間後の全ての改善は、MERS-CoVウイルスによって引き起こされる呼吸器系の病変の治療に特に関連しており、有利には、呼吸器系の機能の改善及び回復を可能にする。
この実施例は、式AaXxYy又はAaXxYyZzのポリマーを含む本発明による組成物の例が、有利には、微生物(すなわち、ウイルス)によって引き起こされる呼吸器系の病変、好ましくは、微生物(特にウイルス)によって引き起こされる肺損傷を治療及び/又は治療を改善することを可能にすることを明確に実証する。特に、この実施例は、本発明による組成物の例が、特に、肺経路によって投与される場合、Coronaviridaeファミリーのウイルス、特にMERS-CoVウイルスによって引き起こされる肺損傷を治療することを可能にすることを明確に示す。
この実施例はまた、本発明による組成物の例が、ウイルス、特に、コロナウイルスによって引き起こされる肺損傷を非常に短時間で修復することを可能にし、有利には、特にCoronaviridaeファミリーのウイルスによって引き起こされる呼吸器系及び/又は肺の病変に関連する罹患率のリスクを低減することができることを明確に実証する。
この実施例はまた、機能的回復を通じて、肺機能の回復が、特に肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の機能の回復に関連することを明確に実証する。言い換えれば、本発明による組成物の一例は、微生物(特にウイルス)によって引き起こされる肺損傷を治療し、また、肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の機能の回復を通じて肺機能を回復することを可能にする。また、この実施例に示されるように、本発明は、肺損傷の単純な治療を超え、有利には、肺機能の欠損(例えば、呼吸窮迫及び/又は呼吸器系の障害)中に、肺機能を相乗的に回復させることを可能にする。
実施例3:季節性インフルエンザウイルスに感染した患者の治療における生体適合性ポリマーの使用
この実施例では、使用される組成物は、上の実施例1のものとは異なっており、すなわち、ポリマーOTR4131は、10μg/mLの濃度の生理食塩水中にあり、0.2%の高分子量ヒアルロン酸(HTL laboratories)を含んでいた。
この患者は、インフルエンザの臨床徴候(すなわち、高熱、ほぼ39℃)を呈し、呼吸困難であり、呼吸時に痛みがあり、むせ返るような咳の発作がある、74歳の男性であった。患者が高齢であったため、患者の臨床状態の移行に対応して、入院は48時間予定された。
患者を、2日毎に100μg/mLのOTR4131で、0.2%のヒアルロン酸も含む5mLの生理食塩水を摂取しつつ、生体適合性ポリマー、すなわち、化合物OTR4131で治療した。
特に、この実施例において、OTR4131は、市販のHA(注射可能グレード)の5mg/mL溶液中、10μ/mLで使用された。
この溶液を、吸入によって経口投与した。吸入時間は、10分であった。
驚くべきことに、本発明による生体適合性ポリマー(すなわちOTR4131)を含む組成物の最初の用量の24時間後、治療された患者は、咳の有意な低減を示し、呼吸困難及び呼吸時の痛みの有意な低減も示した。
前述の組成物の第2の用量は、最初の用量のおよそ48時間後に与えられた。最初の用量の24時間後、驚くべきことに48時間後に行われた観察結果を確認することで、治療された患者は、咳の有意な低減を示し、呼吸困難及び呼吸時の痛みの有意な低減も示した。
患者の臨床評価は、72時間目に行われ、後者はもはや、呼吸窮迫の徴候を示さず、疼痛及び呼吸困難がなく、並びに咳のほぼ完全な消失を示していた。
全ての改善は、特に、最初の用量から24時間後の全ての改善は、ウイルスによって引き起こされる呼吸器系の病変の治療に特に関連しており、有利には、呼吸器系の機能の改善及び回復を可能にする。
この実施例は、式AaXxYy又はAaXxYyZzのポリマー及びヒアルロン酸を含む本発明による組成物の例が、有利には、微生物(すなわち、ウイルス)によって引き起こされる呼吸器系の病変、好ましくは、微生物(特にウイルス)によって引き起こされる肺損傷を治療及び/又は治療を改善することを可能にすることを明確に実証する。特に、この実施例は、本発明による組成物の例が、特に、肺経路によって投与される場合、Orthomyxoviridaeファミリーのウイルス、特にインフルエンザウイルスによって引き起こされる肺損傷を治療することを可能にすることを明確に実証する。
この実施例はまた、本発明による組成物の例が、ウイルスによって引き起こされる肺損傷を非常に短時間で治療することを可能にすることを明確に実証する。特に、この実施例は、驚くべきことに、式AaXxYy又はAaXxYyZzのポリマー及びヒアルロン酸を含む本発明による組成物が、例えば72時間未満で特にウイルスによって引き起こされる呼吸器系及び/又は肺の病変を治療及び/又は有意に低減することを可能にし、有利には、関連する罹患率のリスクを低減することができることを実証する。
この実施例はまた、機能的回復を通じて、肺機能の回復が、特に肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の機能の回復に関連することを明確に実証する。言い換えれば、本発明による組成物の一例は、微生物(特にウイルス)によって引き起こされる肺損傷を治療し、また、肺胞毛細血管関門又は空気血液関門の機能の回復を通じて肺機能を回復することを可能にする。また、この実施例に示されるように、本発明は、肺損傷の単純な治療を超え、有利には、肺機能の欠損(例えば、呼吸窮迫)中に、肺機能を相乗的に回復させることを可能にする。
実施例4:SARS-CoV-2を有する重篤/重度の感染から1ヶ月後の患者の治療における生体適合性ポリマーの使用
患者は、胸部CTスキャンからの画像の分析のためのコンサルテーション中にCOVID-19を有する患者によって感染した69歳の放射線科医であった。したがって、感染日は、コンサルテーションの日であると明確に特定された。4日後、放射線科医は、嗅覚又は味覚を失うことなく、寒気、熱、関節痛といった最初の症状を感じた。感染から10日後及び最初の症状の6日後に、SARS-CoV-2感染症の診断のためのPCR検査を実施し、得られた結果は陰性であった。SARS-CoV-2感染症の診断のためのPCR検査は、最初の症状から7日後に実施し、このときには、28Ctの値を有する陽性
結果を示した。最初の症状から7日後に実施された胸部CTスキャンは、リンパ節結節及び血管石灰化と関連するほぼ20%の「すりガラス状(ground glass)」肺表面を明らかにした。最初の症状から15日後、放射線科医は、意識を消失し、酸素圧が96%まで低下し、意識を繰り返し消失しつつ、発熱は38~39℃で一定のままであり、収縮期血圧が9~9.4mmHgまで低下した。血液検査(通常は、すなわち、血液学的検査、生化学検査、血液凝固検査)を、感染から10日後、13日後、15日後、17日後、19日後、23日後、27日後、32日後及び39日後に実施した。
日数毎に、正常値との差を示す検査のみを以下の表2に表す。最も明らかなパラメータは、C反応性タンパク質、フェリチン及びD-二量体である。
Figure 2023517579000003
胸部CTスキャンを、感染から32日後、治療を開始する前に実施し、ほぼ50%の肺損傷を伴う、非常に悪化した状況を示した。この状況では、特に、患者には、数メートル歩いた後に、深い倦怠感及び息切れがあった。1日に1時間歩くことに慣れていた患者が、息切れなく数メートルより長い距離を歩くことができず、ほとんど自宅を出ることができなかった。
感染から32日後、本発明による組成物の一例を使用した治療を開始した。治療は、超音波又はエアジェットネブライザ(Omron、Newgen Medicaleなどの薬局で見出される一般的なタイプ、又は値段が40~200ユーロまで様々な等価物)を使用した噴霧からなっていた。使用した組成物は、生理食塩水で希釈した100μg/mLのOTR4120を含んでおり(水で10回希釈)、これを、0.5mL/分の流速に設定した装置の拡散チャンバに注いだ。患者は、1日当たり朝に1回、夕方に1回、合計で11回の5分間の治療/投与/用量を受けた。
与えられた第1の治療/投与/用量から、放射線科医は、ある程度のうずき、呼吸のわずかな改善を感じ、これは夜間に特に顕著であった。放射線科医は、目覚めたら、以前の日よりも疲労感が減ったことを感じた。噴霧による第2の用量/投与により、この呼吸の改善を確認し、翌日(すなわち、3回の用量/投与の後)、改善は、呼吸の観点で、並びに動作及び/又は移動能力及び疲労の観点の両方で、非常に明らかになった。3日目に、改善が確認され、放射線科医は、もはや息切れ又は疲労を感じず、歩行を再開した。5日
目の朝、すなわち、11回の用量/投与を行った後、放射線科医は、噴霧を停止し、歩行性能を完全に回復し、異常な疲労をもはや感じなかった。SARS-CoV-2に関連する臨床徴候は、観察可能ではなかった。
噴霧による治療を開始してから8日後の血液検査は、濃度/値の正常化を示した。
治療開始から17日後に行われた胸部X線は、肺の病変表面積の80%の改善を明らかにし、病変表面の10%のみが、胸部CTスキャンから明らかであったが、厄介なものではないと考えられた。したがって、実証されるように、驚くべきことに、呼吸機能の機能的回復は、疾患の前からのその以前の呼吸能力の一部のみを回復するか、又は一生にわたる後遺症を引き起こすその能力の一部のみを回復するために、治療していない患者では数ヶ月を必要とするのと異なり、数日で得られた。
したがって、この症例は、本発明による組成物の一例が、ウイルス、特に、コロナウイルス(特にSARS-CoV-2)によって引き起こされる肺損傷を非常に短時間で修復することを可能にし、有利には、特にCoronaviridaeファミリーのウイルスによって引き起こされる呼吸器系及び/又は肺の病変に関連する罹患率のリスクを低減することができることを明確に実証する。
この実施例はまた、特に肺機能の回復に加えて、治療された患者の一般的な状態の改善を明確に実証する。
実施例5:SARS-CoV-2の予防的治療における生体適合性ポリマーの使用
この実施例において、本発明による組成物の一例は、COVID-19予防用途で使用される。ここで、2名の医師は、2つの主要なメキシコの病院でCovid救急に配属されており、守秘義務の下で(検証/確認される)、CACIPLIQブランド(登録商標)の下で慢性創傷の治療のために上市されている100μg/mL溶液中のOTR4120を使用した。5mLの溶液を、バルブが圧縮される毎におよそ100μLの鼻腔用スプレー又はスプレーを与えることを可能にするノーズバルブに注ぎ入れた。これらの医師は、1日当たり鼻孔当たりに1回のスプレーを2ヶ月間にわたって受けた。これらの病院の各々の全ての医療スタッフ(すなわち、病院当たりほぼ100名)が、COVID-19に感染し、実際に罹患したが(ときには重度の形態で、数名は死亡)、これら2名の医師は、各病院においてCOVID-19に罹患していなかった唯一の医療スタッフであった。
したがって、この実施例は、本発明による組成物の一例が、COVID-19に対する予防効果も有することを明確に実証している。

Claims (16)

  1. 微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、好ましくは微生物によって引き起こされる肺損傷の予防及び/又は治療に使用するための薬学的組成物であって、前記組成物が、
    -以下の一般式(I)の生体適合性ポリマー
    AaXxYy (I)
    を含み、式中、
    Aは、モノマーであり、
    Xは、RCOOR又は-R(C=O)R10基であり、
    Yは、O又はN-スルホネート基であり、以下の式-ROSO、-RNSO、RSOのうちの1つを有し、
    、R、R及びRは、独立して、任意選択で分岐及び/又は不飽和、任意選択でベンジルアミン及びベンジルアミンスルホネートを除き1つ以上の芳香族環を含有する、脂肪族炭化水素鎖であり、R、R、R及びRは、独立して、水素原子又はMカチオンであり、
    及びR10は、独立して、結合、任意選択で分岐及び/又は不飽和である、脂肪族炭化水素鎖であり、
    aは、モノマーの数であり、
    xは、X基によるAモノマーの置換率であり、
    yは、Y基によるAモノマーの置換率である、薬学的組成物。
  2. 微生物によって引き起こされる呼吸器系の病変、好ましくは微生物によって引き起こされる肺損傷に起因する呼吸機能の欠損の治療に使用するための薬学的組成物であって、前記組成物が、
    -以下の一般式(I)の生体適合性ポリマー
    AaXxYy (I)
    を含み、式中、
    Aは、モノマーであり、
    Xは、RCOOR又は-R(C=O)R10基であり、
    Yは、O又はN-スルホネート基であり、以下の式-ROSO、-RNSO、RSOのうちの1つを有し、
    、R、R及びRは、独立して、任意選択で分岐及び/又は不飽和、任意選択でベンジルアミン及びベンジルアミンスルホネートを除き1つ以上の芳香族環を含有する、脂肪族炭化水素鎖であり、R、R、R及びRは、独立して、水素原子又はMカチオンであり、
    及びR10は、独立して、結合、任意選択で分岐及び/又は不飽和である、脂肪族炭化水素鎖であり、
    aは、モノマーの数であり、
    xは、X基によるAモノマーの置換率であり、
    yは、Y基によるAモノマーの置換率である、薬学的組成物。
  3. 前記組成物が、ヒアルロン酸を更に含む、請求項1又は2に記載の使用される組成物。
  4. 同一又は異なるAモノマーが、糖、エステル、アルコール、アミノ酸、ヌクレオチド、核酸、タンパク質、又はそれらの誘導体から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用される組成物。
  5. 前記同一又は異なるAモノマーが、糖若しくはその誘導体から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用される組成物。
  6. 前記モノマーの数「a」は、前記式(I)のポリマーの重量が、2,000ダルトン以上であるようなものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用される組成物。
  7. 前記置換率「x」が、10~150%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用される組成物。
  8. 前記置換率「y」が、10~170%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用される組成物。
  9. 前記生体適合性ポリマーが、前記ポリマーに更なる生物学的特性又は物理化学的特性を付与することができる、X及びYとは異なる官能性化学基Zを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用される組成物。
  10. Z基による全てのAモノマーの置換率「z」が、1~50%である、請求項9に記載の使用される組成物。
  11. 前記Z基が、前記ポリマーに改善された溶解性又は親油性を付与することができる物質である、請求項9又は10に記載の使用される組成物。
  12. 前記Z基が、同一又は異なり、アミノ酸、脂肪酸、脂肪アルコール、セラミド、若しくはそれらの誘導体、又はヌクレオチドアドレスアドレッシング配列からなる群から選択される、請求項11に記載の使用される組成物。
  13. 前記微生物が、ウイルス、細菌、及び寄生虫を含む群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用される組成物。
  14. 前記微生物が、コロナウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルスを含む群から選択されるウイルスである、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用される組成物。
  15. ヒアルロン酸濃度が、1~10mg/mLである、請求項3~12のいずれか一項に記載の使用される組成物。
  16. ポリマー濃度が、0.1~100μg/mLである、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用される組成物。
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