JP2023515061A - ジグリセリド量の少ないカカオバター同等物として適した脂肪組成物 - Google Patents

ジグリセリド量の少ないカカオバター同等物として適した脂肪組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、カカオバター同等物として使用するのに適した脂肪組成物であって、該脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、Pまたはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、脂肪組成物に関するものである。

Description

発明の技術分野
本発明は、好ましくはジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であることを特徴とする、カカオバター同等物として使用するのに適した脂肪組成物に関する。
また、本発明は、前記脂肪組成物の使用にも関する。
発明の背景
パームミッドフラクション(PMF)、カカオバター、イリペオイル(illipe oil)、シアナッツオイル(shea nut oil)など、40%を超えるSatOSatを特徴とする多様なグループからの粗製油とその分別油の場合、遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリドのような微量の成分の存在は、所定の製品における油脂のその後の応用にマイナスの影響を与える可能性がある。遊離脂肪酸とモノグリセリドは通常、油脂の精製時に除去されるが、ジグリセリド(DAG)は通常の精製プロセスでは除去されず、所定の製品内に未変化のまま残ることになる。
所定の油脂製品からDAGを除去する公知の方法が存在する。そのような方法の一つが、アルコールによる洗浄である。しかし、そうした方法を行うと爆発の危険性があるため、大規模な製造システムではそのような方法を行わないことが好ましい。したがって、DAGが油脂中に一定量存在することは受け入れられている。
チョコレートの製造では、カカオバターを完全にまたは部分的にカカオバター同等物(CBE)で置き換えることができ、このCBEは、多くの場合、StOSt含有量が高い(30%超)植物性脂肪とPOP含有量が高い(40%超)植物性脂肪とを、20:80から80:20などの比率で混合することによって製造されている。
今日の市場では、CBEなどの所定の油脂製品について、ビューラー結晶化指数(BCI)の高い値の方に関心がますますシフトしており、その製品の品質はBCI値と相関している。そのため、需要はBCI値の高い油脂製品に向かっている。
さらに、今日の生産者は、生産ラインの速度を上げ、かつ該生産ラインではるかに高い生産能力を得るために、あらゆる生産パラメーターを最適化することに重点を置いている。
したがって、本発明の主な目的は、取り扱いが容易で、チョコレートなどの菓子製品の製造に使用できる、40%を超えるSatOSatを特徴とする少なくとも1つの脂肪組成物を含む、CBEとして使用するのに適した脂肪組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、脂肪組成物のBCI値、または該脂肪組成物を含むチョコレートコンパウンドのBCI値を改善することである。
本発明のさらに別の目的は、生産ラインの速度を上げ、かつ該生産ラインではるかに高い生産能力を得ることである。
本発明は、カカオバター同等物(CBE)として使用するのに適した脂肪組成物であって、該脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物、に関する。
一態様では、本発明は、CBEとして使用するのに適した脂肪組成物であって、該脂肪組成物が20~80重量%の植物性脂肪組成物を含み、該植物性脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat2Oであり、該植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、前記脂肪組成物、に関する。
まとめると、本発明による脂肪組成物は、ジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であることを特徴とするCBEとして使用するのに適している。
本発明により、驚くべきことに、本開示による脂肪組成物は、DAG量がより多い同様の脂肪から作られた脂肪組成物と比べて、BCI値に重要な影響を与えることが見いだされた。
脂肪組成物または該脂肪組成物を含む食品において、BCI値に対するDAGの影響は、DAGの濃度、脂肪組成、およびDAGのタイプにかかっている。
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物は、より高いBCI値によって示されるように、DAG含有量がより高い同様の脂肪組成物と比べて、著しく速くかつより高温で結晶化する。
本発明はさらに、CBEとして使用するのに適した脂肪組成物であって、該脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物の、人が摂取するための食品の製造における使用に関する。
本発明はまた、CBEとして使用するのに適した脂肪組成物であって、該脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物の、例えば、菓子製品、あるいはチョコレートまたはチョコレート様の製品またはフィリングなどの、食品の材料としての使用に関する。
食品に組み込まれた本明細書に記載の脂肪組成物を含む食品は、改善されたBCI値を有し、このことは、改善されることになる生産ラインの能力に反映されて、さらに、十分にテンパリングされた製品の特性を依然として維持したまま、食品の製造時の取り扱いをも改善するであろう。
本発明はさらに、本開示によるCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法に関し、この方法は、以下の工程:
a)トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物、を提供する工程;
b)該脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と反応容器内で混合する工程であって、これによって混合物を得る、工程;
c)該混合物を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
d)該混合物から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物を減圧下で乾燥させる工程であって、それによって、
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物
を得る、工程
を含む。
定義
本発明において、以下の用語は、本明細書の他の箇所で定義されていない限り、以下を含むことを意味する。
用語「含む」(「comprising」または「to comprise」)は、記載された部品、工程、特徴、または構成要素の存在を特定するものと解釈されるが、1つまたは複数の追加の部品、工程、特徴、または構成要素の存在を排除するものではない。
用語「油」および「脂肪」は、脂肪酸とグリセロールとのエステルに使用される。1分子のグリセロールが1、2、または3個の脂肪酸分子にエステル化されると、それぞれモノグリセリド(MAG)、ジグリセリド(DAG)、またはトリグリセリド(TAG)が生成される。通常、脂肪は、主にトリグリセリドと少量のレシチン、ステロールなどから構成される。脂肪が室温で液体である場合、それは通常、油と呼ばれる。脂肪が室温で半固体であり、外来起源のものである場合、それはしばしばバターと呼ばれ、例えばシアバターなどがある。それが室温で固体である場合は、通常、脂肪と呼ばれる。ただし、本明細書では、特に断りのない限り、「油」と「脂肪」は交換可能に使用される。
本明細書で使用する用語「植物性」とは、植物または単細胞生物に由来して、その元の化学構造/組成を保持すると理解されるものとする。したがって、植物性脂肪または植物性トリグリセリドは、脂肪成分またはトリグリセリドの化学構造が変化しない限り、分別などの後でも植物性脂肪または植物性トリグリセリドとして理解されるべきである。植物性トリグリセリドが例えばエステル交換される場合、本明細書においてそれらがもはや植物性トリグリセリドとして理解されることはない。
本明細書で使用する用語「単細胞油」とは、酵母、カビ(真菌)、細菌および微細藻類の種である油脂生産性微生物からの油を意味するものとする。これらの単細胞油は、細胞内で生産され、ほとんどの場合、特定の生育条件(例えば、窒素制限、同時に過剰の炭素源)下で定常期の間に生産される。油脂生産性微生物の例としては、限定するものではないが、モルティエレラ・アルピネア(Mortierella alpineea)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シゾキトリウム属(Schizochytrium)、ナンノクロロプシス属(Nannochloropsis)、クロレラ属(Chlorella)、海洋性微細藻(Crypthecodinium cohnii)、シュワネラ属(Shewanella)がある。
この状況での油、脂肪、および関連製品に関しては、“Physical and Chemical Characteristics of Oils, Fats and Waxes”, AOCS, 1996、および“Lipid Glossary 2”, F.D. Gunstone, The Oily Press, 2004を参照されたい。
Satは飽和脂肪酸を意味し、Uは不飽和脂肪酸を意味する。式Sat2U、SatUSatなどのトリグリセリドに含まれる脂肪酸は、同一の飽和および不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和および不飽和脂肪酸であってもよい。
Stはステアリン酸/ステアレート(C18:0)を意味し、Oはオレイン酸/オレエート(C:18:1)を意味し、Pはパルミチン酸(C16:0)を意味する。
本明細書で使用する用語「トリグリセリド」は、用語「トリアシルグリセリド」と交換可能に使用することができ、グリセロールと3個の脂肪酸から誘導されるエステルとして理解されるべきである。「トリグリセリド」は、TGまたはTAGと略記することができる。
本明細書で使用する用語「ジグリセリド」は、用語「ジアシルグリセリド」と交換可能に使用することができ、グリセロールと2個の脂肪酸から誘導されるエステルとして理解されるべきである。「ジグリセリド」は、DGまたはDAGと略記することができる。
トリグリセリド(TAG)の%量は、植物油中のトリグリセリドをHPLCで測定するための標準法であるAOCS Ce 5b-89法を用いて測定される。この方法では、所定のTAGの異なる位置異性体を区別しないため、例えば、PPOとPOPは1つのものとして測定される。
個々の位置異性体を決定したい(例えば、SatOSat/SatSatOの比率を決定する)態様では、当業者は、例えば蒸発光散乱検出器(ELSD)と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、位置異性体を決定する方法を知っているはずである。サンプルの調製は、不飽和脂肪酸の二重結合をエポキシ化することから成る。あるいは、該比率を決定するには、銀イオンカラムでの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、ELSDで検出することができる。これらの方法は公知であり、Reading Scientific Services Ltd.およびMylnefield Lipid Analysisなどの民間検査機関で適切な方法を入手することができる。
SatOSat/SatSatOの比率とは、全てのSatOSat TAGの総重量(合計)を全てのSatSatO TAGの総重量(合計)で割ったものを意味する。
本明細書で使用する「重量%」は、他に何も示されていない場合、重量パーセント、すなわちwt%、wt.%またはwt.-%に関する。
本明細書で使用する「チョコレート」は、チョコレート製品および/またはチョコレート様製品として理解されたい。チョコレート様製品とは、消費者が少なくともチョコレートとして、またはチョコレートに共通した、例えば溶融プロファイル、味などの感覚属性を有する菓子製品として経験する製品を意味する。一部のチョコレートはカカオバターを、通常はかなりの量で含んでいるが、一部のチョコレート様製品は、例えばカカオバターをカカオバター同等物、カカオバター代替品などで置き換えることによって、少量のカカオバターで、またはカカオバターなしでさえ、製造することが可能である。さらに、多くのチョコレート製品はカカオパウダーまたはカカオマスを含んでいるが、典型的なホワイトチョコレートのように、一部のチョコレート製品は、カカオパウダーを使用せず、例えばカカオバターからそのチョコレート味を引き出して、製造されることもある。国および/または地域によっては、チョコレートとして販売できる製品に様々な制限事項が存在し得る。
前記チョコレートは、乳脂肪を含むチョコレートであってもよいが、「ミルクチョコレート」と表示されることはない。ヨーロッパの法律では、チョコレートをミルクチョコレートと表示するためには、チョコレートレシピ全体の重量に対して最低でも3.5重量%の乳脂肪を含む必要があると規定されており、これは、脂肪含有量に応じて、標準的なチョコレートの脂肪組成の7~14重量%に相当する。
本明細書で使用する「カカオバター同等物」またはCBEは、カカオバター(CB)と非常に類似した化学的・物理的特性を有し、かつCBと適合しうる食用脂肪を意味することが意図される。CBおよびCBEのいずれにおいても、主な脂肪酸は通常、パルミチン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸である。トリグリセリドは通常、2-オレオ-ジ飽和(Sat2O)である。カカオバター同等物は、例えば、パームミッドフラクションと、シアステアリンのステアリン画分またはSatOSatトリグリセリドに富む他の油画分との混合物から作られ、ここで、Satは、C16以上、例えばC16および/またはC18、の鎖長を有する飽和脂肪酸である。
「食品」は、人が摂取するための製品を含む。重要な製品群は、カカオバターとカカオバター様脂肪が使用されているものである。
菓子製造分野の製品および製法については、“Chocolate, Cocoa and Confectionery”, B. W. Minifie, Aspen Publishers Inc., 3. Edition 1999を参照されたい。
パームミッドフラクション(PMF)は、パーム油の複数回の分別により製造される。その主な特徴は、対称型ジ飽和トリグリセリド(主にPOP)の非常に高い含有量である。本開示では、パームミッドフラクションとPMFは交換可能に使用される。
固体脂含有量(SFC)は、温度勾配に沿って測定された、特定の温度または温度範囲での総脂肪に対する結晶相(固相)の脂肪の割合(残りは液相にある)の尺度である。
発明の詳細な説明
以下の態様を説明する場合、本発明は、以下に記載される態様と上記に開示された局面とのあらゆる可能な組み合わせおよび順列を想定している。
本発明は、カカオバター同等物として使用するのに適した脂肪組成物であって、該脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物、に関する。
本発明は、DAGの量を減らし、それによって、製造された脂肪組成物単独においてだけでなく、例えばDAGを減らした植物性脂肪組成物が一部となるチョコレート様のコンパウンドまたはフィリングであり得る、最終食品においても、BCI値を大幅に改善することがいかにして可能であるかを実証する。
さらに、本発明は、DAGの量を減らし、それによって、脂肪組成物単独においてだけでなく、例えばDAGを減らした脂肪組成物が一部となるチョコレート様のコンパウンドまたはフィリングであり得る、最終食品においても、結晶化挙動を大幅に改善することがいかにして可能であるかを実証する。
本発明は、BCI値、結晶化速度、および硬度を大幅に改善するという課題を、CBEなどの脂肪組成物中のDAGを除去することによって解決する。
一つ以上の態様では、DAGの総量は、1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、例えば1.2重量%以下、例えば1.0重量%以下、例えば0.8重量%以下、例えば0.6重量%以下、または例えば0.5重量%以下である。
一つ以上の態様では、DAGの総量は、1.5重量%以下である。
一つ以上の態様では、前記脂肪組成物中のDAGの量は、0.2~2.0重量%の範囲、例えば0.2~1.8重量%の範囲、例えば0.2~1.5重量%の範囲、例えば0.2~1.2重量%の範囲、または例えば0.2~1.0重量%の範囲にある。
一つ以上の態様では、前記脂肪組成物は、2.5以上のビューラー結晶化指数(BCI)値を有する。
一つ以上の態様では、前記脂肪組成物は、少なくとも2.6、例えば少なくとも2.7、例えば少なくとも2.8、例えば少なくとも2.9、例えば少なくとも3.0、例えば少なくとも3.2、例えば少なくとも3.4、例えば少なくとも3.6、例えば少なくとも3.8、または例えば少なくとも4.0のBCI値を有する。
一つ以上の態様では、前記脂肪組成物は、2.5~6.0、例えば3.0~5.5、のBCI値を有する。
一つ以上の態様では、前記脂肪組成物は、2.8~6.0、例えば2.7~6.0、例えば3.0~6.0、または例えば3.5~6.0のBCI値を有する。一つ以上の態様では、該脂肪組成物は、4.0~6.0のBCI値を有する。
チョコレートの重要な製造パラメーターは、安定した結晶形態で高速に結晶化する能力である。チョコレートにその能力を付加するカカオバターの能力は、多くの場合、いわゆるビューラー結晶化指数BCIで評価されている。得られたBCI値は、チョコレートおよび油脂業界で、カカオバターの結晶化挙動を迅速に予測するために使用されている。それは経験値であり、3.5を上回る値は、結晶化挙動に関して良質のカカオバターであると広く受け入れられている。このように、BCI値は当業界で知られている経験値である。
他の物理的パラメーターでカカオバターを1:1に置き換えたカカオバター同等物(CBE)のBCI値は、しばしば2.5未満であり、その結果、カカオバターのBCI値よりも著しく低いBCI値を有する。したがって、当技術分野では、カカオバターと同様の物理的特性を有しかつ2.5を超えるBCI値を有するCBEとして使用するのに適した脂肪組成物が必要とされている。
BCI値は、ビューラー社製のMultiTherm TCで測定された、制御冷却速度に基づいて算出された経験的な値である。チョコレート業界での経験では、カカオバターのBCI値は、チョコレートの一般的な結晶化特性とよく相関しており、すなわち、BCI値が高いほど、テンパリングが容易で、テンパリング能力が高く、結晶化が速いことを示している。多くのチョコレート製造業者は、カカオバターとして受け入れることができる最小値として3.5の値を使用している。CBEはカカオバターと同様の物理的特性を備えているものの、標準的なCBEは比較的低いBCI値を有し、しばしば2.5を下回るというのが事実である。
実施例において、DAG含有量が高い脂肪組成物と比較して、DAG含有量が低いタイプの脂肪組成物では脂肪組成物のBCI値が増加することが示される。これは、DAG含有量が減った脂肪は、より高いBCI値により実証されるように、DAG含有量が高い2種の脂肪よりもかなり速く、より高い温度で結晶化するようになる、ことを意味している(表2参照)。
一つ以上の態様では、St2Oの含有量は、40重量%以下、例えば38重量%以下である。
一つ以上の態様では、St2Oの含有量は、25~40重量%、例えば25~38重量%、例えば27~38重量%、例えば30~38重量%、または例えば32~38重量%である。
一つ以上の態様では、St2Oの含有量は、20~40重量%、例えば22~38重量%、例えば24~38重量%、例えば26~36重量%、または例えば28~36重量%である。
一つ以上の態様では、St2Oの含有量は、20~35重量%、例えば22~32重量%、例えば24~30重量%、または例えば26~30重量%である。
一つ以上の態様では、StOP+StPO+St2Oの総含有量は、55重量%以下、例えば52重量%以下、例えば50重量%以下、または例えば45重量%以下である。StOP+StPO+St2Oの重量による総含有量は、StOPとStPOとSt2Oの重量の合計、すなわち、重量によるΣStOP+StPO+St2Oトリグリセリドとして計算される。
一つ以上の態様では、StOP+StPO+St2Oの総含有量は、26~60重量%、例えば26~55重量%、例えば26~52重量%、例えば26~50重量%、例えば27~52重量%、または例えば27~50重量%である。
一つ以上の態様では、前記脂肪組成物は、カカオ、マンゴー、シア、イリペ(illipe)、サル(sal)、コクム(kokum)、またはこれらの組み合わせに由来する脂肪および/または油をさらに含む。
一つ以上の態様では、前記脂肪組成物は20~80重量%の植物性脂肪組成物を含み、該植物性脂肪組成物はトリグリセリドを含み、その少なくとも60重量%がSat2Oであり、該植物性脂肪組成物において、POP含有量は25~95重量%である。
非本質的な態様では、前記脂肪組成物は20~80重量%の植物性脂肪組成物を含み、該植物性脂肪組成物はトリグリセリドを含み、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat2Oであり、該植物性脂肪組成物において、SatOSat/SatSatOの比率は12以上であり、POP含有量は25~95重量%である。一つ以上の態様では、SatOSat/SatSatOの比率は、少なくとも14、例えば少なくとも15、例えば少なくとも16、例えば少なくとも17、例えば少なくとも18、例えば少なくとも20、例えば少なくとも21、例えば少なくとも22、例えば少なくとも23、例えば少なくとも24、または例えば少なくとも25である。一つ以上の態様では、SatOSat/SatSatOの比率は、12~50、例えば14~50、例えば15~50、例えば16~50、例えば17~50、例えば18~50、例えば20~50、例えば21~50、例えば22~50、例えば23~50、例えば24~50、例えば25~50である。SatOSat/SatSatOのより高い比率は、テンパリング特性および脂肪成分の結晶化速度に影響を与える可能性がある。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物はトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60~95重量%、例えば60~90重量%、例えば60~85重量%、または例えば60~80重量%がSat2Oである。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物のPOP含有量は、30~95重量%、例えば30~90重量%、例えば30~80重量%、例えば40~75重量%、または例えば45~70重量%である。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物のPOP含有量は、30~95重量%、例えば30~90重量%、例えば30~80重量%、例えば30~75重量%、または例えば30~70重量%である。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物のPOP含有量は、40~95重量%、例えば40~90重量%、例えば40~80重量%、例えば40~75重量%、または例えば40~70重量%である。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物のPOP含有量は、45~95重量%、例えば45~90重量%、例えば45~80重量%、例えば45~75重量%、または例えば45~70重量%である。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物のPOP含有量は、35~75重量%、例えば40~75重量%、例えば45~75重量%、または例えば50~75重量%である。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物のPOP含有量は、35~70重量%、例えば40~70重量%、例えば45~70重量%、または例えば50~70重量%である。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物は、DAGの総量が2.0重量%以下、例えば1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、例えば1.2重量%以下、例えば1.0重量%以下、例えば0.8重量%以下、例えば0.6重量%以下、または例えば0.5重量%以下である。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物は、1.0重量%以下、例えば0.5重量%以下、例えば0.2重量%以下、または例えば0.1重量%以下の総量でモノグリセリド(MAG)を含む。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物は、パームミッドフラクションである。
一つ以上の態様では、前記脂肪組成物は、カカオバター同等物(CBE)である。
本発明はまた、CBEである、本明細書に開示および記載される脂肪組成物に関する。
本発明はまた、人が摂取するための食品の製造における、本明細書に開示および記載される脂肪組成物の使用に関する。
本発明はまた、食品の材料としての、本明細書に開示および記載される脂肪組成物の使用に関する。
本発明はまた、菓子製品の材料としての、本明細書に開示および記載される脂肪組成物の使用に関する。
本発明はまた、チョコレートまたはチョコレート様の製品またはフィリングの材料としての、本明細書に開示および記載される脂肪組成物の使用に関する。
実施例(表3)から分かるように、テンパリング曲線の変曲点(すなわち、テンパリング曲線が平坦になる/プラトーに達する点)は、DAG量を減らしたチョコレートでより高くなっており、このことは、後続の冷却工程での結晶化がより高温で起こること、すなわち、より速い結晶化が達成されることを示している。
本発明はまた、菓子製品におけるフィリング脂肪としての、本明細書に開示および記載される脂肪組成物の使用に関する。
本発明はまた、チョコレートまたはチョコレート様の製品におけるフィリング脂肪としての、本明細書に開示および記載される脂肪組成物の使用に関する。
一つ以上の態様では、植物性脂肪組成物は、カカオバター同等物(CBE)を製造するために、マンゴー、シア、イリペ、サル、コクム、またはこれらの組み合わせに由来する油と混合される。
本発明はまた、本開示によるCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法を開示し、この方法は、以下の工程:
a)トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物、を提供する工程;
b)該脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と反応容器内で混合する工程であって、これによって混合物を得る、工程;
c)該混合物を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
d)該混合物から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物を減圧下で乾燥させる工程であって、それによって、
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物
を得る、工程
を含む。
本発明はまた、本開示によるCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法を開示し、この方法は、以下の工程:
a)トリグリセリドを含む植物性脂肪組成物であって、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat2Oであり、該植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、植物性脂肪組成物、を提供する工程、および、シアステアリン組成物をさらに提供する工程;
b)該植物性脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と第1の反応容器内で混合する工程であって、これによって第1の混合物を得る、工程、および、該シアステアリン組成物をDAG特異的酵素および水と第2の反応容器内でさらに混合する工程であって、これによって第2の混合物を得る、工程;
c)該混合物の各々を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
d)該混合物の各々から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物の各々を減圧下で乾燥させる工程;
e)工程d)から得られた2つの混合物を混合する工程であって、それによって、
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、カカオバター同等物として使用するのに適した、前記脂肪組成物
を得る、工程
を含む。
一つ以上の態様では、最初に記載した方法の工程d、および2番目に記載した方法の工程eにおいて得られた脂肪組成物は、DAGの総量が1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、例えば1.2重量%以下、例えば1.0重量%以下、例えば0.8重量%以下、例えば0.6重量%以下、または例えば0.5重量%以下である。
一つ以上の態様では、最初に記載した方法の工程d、および2番目に記載した方法の工程eにおいて得られた脂肪組成物中のDAGの量は、0.2~2.0重量%の範囲、例えば0.2~1.8重量%の範囲、例えば0.2~1.5重量%の範囲、例えば0.2~1.2重量%の範囲、または例えば0.2~1.0重量%の範囲にある。
一つ以上の態様では、最初に記載した方法の工程d、および2番目に記載した方法の工程eにおいて得られた脂肪組成物は、2.5以上のビューラー結晶化指数(BCI)値を有する。
一つ以上の態様では、最初に記載した方法の工程d、および2番目に記載した方法の工程eにおいて得られた脂肪組成物中のSt2Oの含有量は、40重量%以下、例えば38重量%以下である。
一つ以上の態様では、最初に記載した方法の工程d、および2番目に記載した方法の工程eにおいて得られた脂肪組成物中のStOP+StPO+St2Oの総含有量は、55重量%以下、例えば52重量%以下、例えば50重量%以下、または例えば45重量%以下である。
本発明はまた、本開示によるCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法を開示し、この方法は、以下の工程:
a)トリグリセリドを含む植物性脂肪組成物であって、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat2Oであり、該植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、植物性脂肪組成物、を提供する工程;
b)該植物性脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と反応容器内で混合する工程であって、これによって混合物を得る、工程;
c)該混合物を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
d)該混合物から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物を減圧下で乾燥させる工程;
e)工程d)から得られた混合物をシアステアリン組成物と混合する工程であって、それによって、
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、カカオバター同等物として使用するのに適した、前記脂肪組成物
を得る、工程
を含む。
本発明はまた、本開示によるCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法を開示し、この方法は、以下の工程:
a)シアステアリン組成物を提供する工程;
b)シアステアリン組成物をDAG特異的酵素および水と反応容器内で混合する工程であって、これによって第2の混合物を得る、工程;
c)該混合物を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
d)該混合物から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物を減圧下で乾燥させる工程;
e)工程d)から得られた混合物を、
トリグリセリドを含む植物性脂肪組成物であって、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat2Oであり、該植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、該植物性脂肪組成物
と混合する工程であって、それによって、
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、カカオバター同等物として使用するのに適した、前記脂肪組成物
を得る、工程
を含む。
実施例1 - カカオバター同等物(CBE)
表1は、4つの脂肪組成物を示す。最初の2つの脂肪組成物は、2つのPMF(脂肪AおよびB)である。両方とも同じバッチに由来し、そのバッチが2つのバッチに分割されている。こうして、脂肪Aは元のDAG含有量を有する基準であり、脂肪Bは脂肪Aと同じ脂肪であるが、本明細書に後述する方法を用いて作られたDAG含有量を減らしたものである。
3番目と4番目の脂肪組成物は、2つのシアステアリン(脂肪CおよびD)である。両方とも同じバッチに由来し、そのバッチが2つのバッチに分割されている。こうして、脂肪Cは元のDAG含有量を有する基準であり、脂肪Dは脂肪Cと同じ脂肪であるが、本明細書に後述する方法を用いて作られたDAG含有量を減らしたものである。
本実施例ではPMFとシアステアリンであるが、例えばカカオバターまたはイリペオイルであってもよい、SatOSat含有量が40%より高い脂肪組成物からジグリセリドを除去するために、以下のプロセスを実施した:アンカー型スターラーを備えた1Lジャケット付き容器を使用した。このジャケット付き容器に、600gの油を1%(w/w)のDAG特異的酵素および10%(w/w)の水と共に加えた。この実施例で使用した酵素は、アマノリパーゼG(Amano Lipase G;Sigma Aldrich社より購入)であった。撹拌速度を100rpmに、ジャケット内の水温を60℃に設定した。該混合物をこれらの条件下で約24時間放置した後、このプロセスを停止させた。該酵素から液体部分をろ過し、油を真空下で乾燥させて、存在する水分を除去した。
本明細書で上述したようなバッチセットアップを用いる代わりに、酵素を担体に固定化することが可能である。その後、この固定化酵素を含むカラムを通して油を供給することができる。
Figure 2023515061000001
#1:トリグリセリド(TAG)の%量は、植物油中のトリグリセリドをHPLCで測定する標準法であるAOCS Ce 5b-89法を用いて測定される。
#2:TAG、MAG、およびDAGの%量は、標準法であるAOCS Cd 22-91法を用いて測定される。
表1の脂肪組成物を混合して、表2に従って4つの異なるカカオバター同等物(CBE)を得る。DAG含有量が標準量である2つの基準CBE(EおよびG)と、DAG含有量を減らした2つのCBE(FおよびH)。
この実施例では、PMFとシアステアリンを、個別に上記のDAG量を減らすプロセスにかけた後に、混合することによってCBEを得ているが、同じ結果を得る別の方法は、最初にPMFとシアステアリンを混合し、その後この混合物を上記のDAG量を減らすプロセスに供することである。
Figure 2023515061000002
#1:トリグリセリド(TAG)の%量は、植物油中のトリグリセリドをHPLCで測定する標準法であるAOCS Ce 5b-89法を用いて測定される。
#2:TAG、MAG、およびDAGの%量は、標準法であるAOCS Cd 22-91法を用いて測定される。
#3:IUPAC 2.150b。
#4:MultiTherm(商標)T/TC機器。この方法は、この機器のメーカーであるビューラー社によって記載されている。使用した方法は、カカオバターに使用される方法と同じである。
#5:DSCは、後述されるメトラー・トレド社(Mettler Toledo)のプログラムXによる。サンプルサイズは10mg±0.5mgである。16℃での結晶化面積はジュール/グラム(J/g)で計算される。
プログラムX:
等温60℃で5分間、その後
10℃/分で60℃→18℃、その後
等温18℃で120分間。
結論:
実施例1では、2種類のCBE、すなわちCBE IとCBE IIが示される(表2参照)。CBE IはStOSt含有量がより高いCBEの例であり、CBE IIはStOSt含有量がより低いCBEの例である。両方のCBEには、2つの変型がある。1つが通常のDAG含有量を有する基準(EおよびG)で、1つがDAG含有量を減らした変型(FおよびH)である。
表2から、両方のCBEでは、DAG含有量を減らすと、かなり硬い脂肪になることが明らかであり、これは4つの異なる温度で固体脂含有量(SFC)がより高くなることで示される。特にチョコレートの臨界温度である30℃では、DAGを少し減らすことで、CBEレシピ、特にCBE IIのようなCBEの硬度がどれだけ改善されるかが非常に明確である(表2、SFC 30℃を参照)。臨界30℃のSFC値は、チョコレートが溶けることなく取り扱える可能性がどの程度かを当業者に知らせる値であるため、非常に興味深いものである。この値が高い場合、それは、食べる前に溶けてしまうことなくチョコレートを扱うことができる指標となる。
DAG含有量が低い2つのCBE(FおよびH、表2)のかなり高いBCI値は、結晶化時間の改善を実証しており、これは、より高い生産ライン能力と、それによる大幅な生産コストの削減に密接に関連している。
DSCの結果は、このことをさらに裏付けており、プログラムXを使用した場合、DAG含有量が高い2つのCBE(EおよびG、表2)と比較して、DAG含有量が低い2つのCBE(FおよびH、表2)では等温保持温度18℃で結晶化面積がより大きく、より速いことを示している。
したがって、2つの異なるCBEのDAG含有量を減らすことによって、結晶化速度と硬度の非常に明確な改善がDAGを減らしたCBEで得られることが明らかである。
実施例2 - チョコレート
表3に示すように、レシピXおよびYを使用することにより、CBE-EとCBE-Fを用いて2つのチョコレートを製造する。
一部の脂肪とレシチンを除く全ての材料を、50℃の加熱ジャケット付きTeddyミキサーで、マジパンのような質感になるまで混合する。その後、両方の混合物をビューラー社製の3本ロールリファイナーで平均粒径20ミクロンに微粒化する。微粒化されたマスを、残りの脂肪と一緒にTeddyミキサーで50℃にて6時間コンチングする。コンチングが終了する0.5時間前にレシチンを添加する。
BCI値を20℃で測定し、結晶化時間と面積をDSCで測定する。
チョコレートをAasted社製のテンパリングマシン(AMC 50)に移し、両方のチョコレートを、まだ十分にテンパリングされている間に、可能な限り高い出口温度で、可能な限り高い変曲点に最適化する。
変曲点は、該製品の結晶化点と相関関係がある。
Figure 2023515061000003
#6:MultiTherm(商標)T/TC機器。この方法は、この機器のメーカーであるビューラー社によって記載されている。使用した方法は、チョコレートに使用される方法と同じである。
#7:Exothermal 7400テンパーメーターで測定。
#8:DSCは、後述されるメトラー・トレド社のDSC 823e、プログラムYによる。サンプルサイズは10mg±0.5mgである。20℃での結晶化面積はジュール/グラム(J/g)で計算される。
プログラムY:
等温60℃で5分間、その後
10℃/分で60℃→20℃、その後
等温20℃で120分間。
結論:
表3のBCI値は、CBEにおける改善が、最終的なチョコレートコンパウンドのBCI値の改善としてもいかに反映されるかを示している。カカオバターのBCI値が3.5を上回ると、チョコレート製造業者の間では高品質と見なされている。
この効果は、DSCの測定によってさらに裏付けられる。DAG含有量がより高いチョコレート(チョコレートX)と比較して、DAGを減らした同じチョコレート(チョコレートY)では、等温冷却段階での結晶化時間がより短く、結晶化のエンタルピーが著しく高いことが示される。
テンパリングされたチョコレートYのより高い変曲点は、DAG含有量が高いCBE IをベースとしたチョコレートXと比較して、DAGを減らしたCBE Iを使用した場合のテンパリングプロセスの間のより速い結晶化を裏付けている。
本発明は、以下の項目において説明される。
1. カカオバター同等物(CBE)として使用するのに適した脂肪組成物であって、該脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、ジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物。
2. DAGの総量が、1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、例えば1.2重量%以下、例えば1.0重量%以下、例えば0.8重量%以下、例えば0.6重量%以下、または例えば0.5重量%以下である、前記請求項のいずれかに記載の脂肪組成物。
3. 2.5以上のビューラー結晶化指数(BCI)値を有する、請求項1に記載の脂肪組成物。
4. 少なくとも2.6、例えば少なくとも2.7、例えば少なくとも2.8、例えば少なくとも2.9、例えば少なくとも3.0、例えば少なくとも3.2、例えば少なくとも3.4、例えば少なくとも3.6、例えば少なくとも3.8、または例えば少なくとも4.0のBCI値を有する、請求項3に記載の脂肪組成物。
5. 2.5~6.0、例えば3.0~5.5、のBCI値を有する、前記請求項のいずれかに記載の脂肪組成物。
6. 4.0~6.0のBCI値を有する、前記請求項のいずれかに記載の脂肪組成物。
7. 脂肪組成物において、St2Oの含有量が、40重量%以下、例えば38重量%以下である、前記請求項のいずれかに記載の脂肪組成物。
8. St2Oの含有量が、25~40重量%、例えば25~38重量%、例えば27~38重量%、例えば30~38重量%、または例えば32~38重量%である、請求項7に記載の脂肪組成物。
9. StOP+StPO+St2Oの総含有量が、55重量%以下、例えば52重量%以下、例えば50重量%以下である、前記請求項のいずれかに記載の脂肪組成物。
10. StOP+StPO+St2Oの総含有量が、26~60重量%、例えば26~55重量%、例えば26~52重量%、例えば26~50重量%、例えば27~52重量%、または例えば27~50重量%である、前記請求項のいずれかに記載の脂肪組成物。
11. カカオ、マンゴー、シア、イリペ、サル、コクム、またはこれらの組み合わせに由来する脂肪および/または油をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の脂肪組成物。
12. 脂肪組成物が20~80重量%の植物性脂肪組成物を含み、植物性脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat2Oであり、植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、前記請求項のいずれかに記載の脂肪組成物。
13. SatOSat/SatSatOの比率が12以上である、請求項12に記載の脂肪組成物。
14. SatOSat/SatSatOの比率が、少なくとも14、例えば少なくとも15、例えば少なくとも16、例えば少なくとも17、例えば少なくとも18、例えば少なくとも20、例えば少なくとも21、例えば少なくとも22、例えば少なくとも23、例えば少なくとも24、または例えば少なくとも25である、請求項12または13に記載の脂肪組成物。
15. 植物性脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60~95重量%、例えば60~90重量%、例えば60~85重量%、または例えば60~80重量%がSat2Oである、請求項12~14のいずれかに記載の脂肪組成物。
16. 植物性脂肪組成物のPOP含有量が、30~95重量%、例えば30~90重量%、例えば30~80重量%、例えば40~75重量%、または例えば45~70重量%である、請求項12~15のいずれかに記載の脂肪組成物。
17. 植物性脂肪組成物のDAGの総量が、2.0重量%以下、例えば1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、例えば1.2重量%以下、例えば1.0重量%以下、例えば0.8重量%以下、例えば0.6重量%以下、または例えば0.5重量%以下である、請求項12~16のいずれかに記載の脂肪組成物。
18. 植物性脂肪組成物が、モノグリセリド(MAG)を1.0重量%以下、例えば0.5重量%以下、例えば0.2重量%以下、または例えば0.1重量%以下の総量で含む、請求項12~17のいずれかに記載の脂肪組成物。
19. 植物性脂肪組成物がパームミッドフラクションである、請求項12~18のいずれかに記載の脂肪組成物。
20. カカオバター同等物(CBE)である、前記請求項のいずれかに記載の脂肪組成物。
21. 人が摂取するための食品の製造における、前記請求項のいずれか一項に記載の脂肪組成物の使用。
22. 食品の材料としての、請求項1~20のいずれか一項に記載の脂肪組成物の使用。
23. 食品が菓子製品である、請求項22に記載の使用。
24. 菓子製品がチョコレートまたはチョコレート様の製品またはフィリングである、請求項23に記載の使用。
25. 項目1~20のいずれかに記載のCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法であって、以下の工程:
a)トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物、を提供する工程;
b)該脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と反応容器内で混合する工程であって、これによって混合物を得る、工程;
c)該混合物を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
d)該混合物から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物を減圧下で乾燥させる工程であって、それによって、
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物
を得る、工程
を含む、方法。
26. 項目1~20のいずれかに記載のCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法であって、以下の工程:
a)トリグリセリドを含む植物性脂肪組成物であって、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat2Oであり、該植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、植物性脂肪組成物、を提供する工程、および、シアステアリン組成物をさらに提供する工程;
b)該植物性脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と第1の反応容器内で混合する工程であって、これによって第1の混合物を得る、工程、および、該シアステアリン組成物をDAG特異的酵素および水と第2の反応容器内でさらに混合する工程であって、これによって第2の混合物を得る、工程;
c)該混合物の各々を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
d)該混合物の各々から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物の各々を減圧下で乾燥させる工程;
e)工程d)から得られた2つの混合物を混合する工程であって、それによって、
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、カカオバター同等物として使用するのに適した、前記脂肪組成物
を得る、工程
を含む、方法。
固体脂含有量(SFC)は、温度勾配に沿って測定された、特定の温度または温度範囲での総脂肪に対する結晶相(固相)の脂肪の割合(残りは液相にある)の尺度である。
[本発明1001]
カカオバター同等物として使用するのに適した脂肪組成物であって、
該脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60重量%以上がSat 2 Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;
該脂肪組成物において、StOP+StPO+St 2 Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、
前記脂肪組成物。
[本発明1002]
DAGの総量が、1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、例えば1.2重量%以下、例えば1.0重量%以下、例えば0.8重量%以下、例えば0.6重量%以下、または例えば0.5重量%以下である、本発明1001の脂肪組成物。
[本発明1003]
2.5以上のビューラー結晶化指数(BCI)値を有する、本発明1001または1002の脂肪組成物。
[本発明1004]
4.0~6.0のBCI値を有する、前記本発明のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1005]
脂肪組成物において、St 2 Oの含有量が、40重量%以下、例えば38重量%以下である、前記本発明のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1006]
StOP+StPO+St 2 Oの総含有量が、55重量%以下、例えば52重量%以下、例えば50重量%以下である、前記本発明のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1007]
StOP+StPO+St 2 Oの総含有量が、26~60重量%、例えば26~55重量%、例えば26~52重量%、例えば26~50重量%、例えば27~52重量%、または例えば27~50重量%である、前記本発明のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1008]
カカオ、マンゴー、シア、イリペ(illipe)、サル(sal)、コクム(kokum)、またはこれらの組み合わせに由来する脂肪および/または油をさらに含む、前記本発明のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1009]
脂肪組成物が20~80重量%の植物性脂肪組成物を含み、植物性脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat 2 Oであり、植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、前記本発明のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1010]
植物性脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60~95重量%、例えば60~90重量%、例えば60~85重量%、または例えば60~80重量%がSat 2 Oである、本発明1009の脂肪組成物。
[本発明1011]
植物性脂肪組成物のPOP含有量が、30~95重量%、例えば30~90重量%、例えば30~80重量%、例えば40~75重量%、または例えば45~70重量%である、本発明1009~1010のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1012]
植物性脂肪組成物のDAGの総量が、2.0重量%以下、例えば1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、例えば1.2重量%以下、例えば1.0重量%以下、例えば0.8重量%以下、例えば0.6重量%以下、または例えば0.5重量%以下である、本発明1009~1011のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1013]
植物性脂肪組成物がパームミッドフラクションである、本発明1009~1012のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1014]
カカオバター同等物(CBE)である、前記本発明のいずれかの脂肪組成物。
[本発明1015]
人が摂取するための食品の製造における、または食品の材料としての、前記本発明のいずれかの脂肪組成物の使用。
[本発明1016]
食品が菓子製品、例えば、チョコレートまたはチョコレート様の製品またはフィリングである、本発明1015の使用。
[本発明1017]
本発明1001~1014のいずれかのCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法であって、以下の工程:
a)トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat 2 Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St 2 Oの総含有量が60重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物、を提供する工程;
b)該脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と反応容器内で混合する工程であって、これによって混合物を得る、工程;
c)該混合物を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
d)該混合物から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物を減圧下で乾燥させる工程であって、それによって、
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat 2 Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St 2 Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物
を得る、工程
を含む、方法。
[本発明1018]
本発明1001~1014のいずれかのCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法であって、以下の工程:
a)トリグリセリドを含む植物性脂肪組成物であって、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat 2 Oであり、該植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、植物性脂肪組成物、を提供する工程、および、シアステアリン組成物をさらに提供する工程;
b)該植物性脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と第1の反応容器内で混合する工程であって、これによって第1の混合物を得る、工程、および、該シアステアリン組成物をDAG特異的酵素および水と第2の反応容器内でさらに混合する工程であって、これによって第2の混合物を得る、工程;
c)該混合物の各々を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
d)該混合物の各々から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物の各々を減圧下で乾燥させる工程;
e)工程d)から得られた2つの混合物を混合する工程であって、それによって、
トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat 2 Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St 2 Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、カカオバター同等物として使用するのに適した、前記脂肪組成物
を得る、工程
を含む、方法。

Claims (18)

  1. カカオバター同等物として使用するのに適した脂肪組成物であって、
    該脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;
    該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、
    前記脂肪組成物。
  2. DAGの総量が、1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、例えば1.2重量%以下、例えば1.0重量%以下、例えば0.8重量%以下、例えば0.6重量%以下、または例えば0.5重量%以下である、請求項1に記載の脂肪組成物。
  3. 2.5以上のビューラー結晶化指数(BCI)値を有する、請求項1または2に記載の脂肪組成物。
  4. 4.0~6.0のBCI値を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  5. 脂肪組成物において、St2Oの含有量が、40重量%以下、例えば38重量%以下である、前記請求項のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  6. StOP+StPO+St2Oの総含有量が、55重量%以下、例えば52重量%以下、例えば50重量%以下である、前記請求項のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  7. StOP+StPO+St2Oの総含有量が、26~60重量%、例えば26~55重量%、例えば26~52重量%、例えば26~50重量%、例えば27~52重量%、または例えば27~50重量%である、前記請求項のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  8. カカオ、マンゴー、シア、イリペ(illipe)、サル(sal)、コクム(kokum)、またはこれらの組み合わせに由来する脂肪および/または油をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  9. 脂肪組成物が20~80重量%の植物性脂肪組成物を含み、植物性脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat2Oであり、植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、前記請求項のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  10. 植物性脂肪組成物がトリグリセリドを含み、トリグリセリドの60~95重量%、例えば60~90重量%、例えば60~85重量%、または例えば60~80重量%がSat2Oである、請求項9に記載の脂肪組成物。
  11. 植物性脂肪組成物のPOP含有量が、30~95重量%、例えば30~90重量%、例えば30~80重量%、例えば40~75重量%、または例えば45~70重量%である、請求項9~10のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  12. 植物性脂肪組成物のDAGの総量が、2.0重量%以下、例えば1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、例えば1.2重量%以下、例えば1.0重量%以下、例えば0.8重量%以下、例えば0.6重量%以下、または例えば0.5重量%以下である、請求項9~11のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  13. 植物性脂肪組成物がパームミッドフラクションである、請求項9~12のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  14. カカオバター同等物(CBE)である、前記請求項のいずれか一項に記載の脂肪組成物。
  15. 人が摂取するための食品の製造における、または食品の材料としての、前記請求項のいずれか一項に記載の脂肪組成物の使用。
  16. 食品が菓子製品、例えば、チョコレートまたはチョコレート様の製品またはフィリングである、請求項15に記載の使用。
  17. 請求項1~14のいずれか一項に記載のCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法であって、以下の工程:
    a)トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物、を提供する工程;
    b)該脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と反応容器内で混合する工程であって、これによって混合物を得る、工程;
    c)該混合物を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
    d)該混合物から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物を減圧下で乾燥させる工程であって、それによって、
    トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、前記脂肪組成物
    を得る、工程
    を含む、方法。
  18. 請求項1~14のいずれか一項に記載のCBEとして使用するのに適した脂肪組成物の製造方法であって、以下の工程:
    a)トリグリセリドを含む植物性脂肪組成物であって、トリグリセリドの少なくとも60重量%がSat2Oであり、該植物性脂肪組成物において、POP含有量が25~95重量%である、植物性脂肪組成物、を提供する工程、および、シアステアリン組成物をさらに提供する工程;
    b)該植物性脂肪組成物をDAG特異的酵素および水と第1の反応容器内で混合する工程であって、これによって第1の混合物を得る、工程、および、該シアステアリン組成物をDAG特異的酵素および水と第2の反応容器内でさらに混合する工程であって、これによって第2の混合物を得る、工程;
    c)該混合物の各々を所定の時間にわたって加熱および撹拌する工程;
    d)該混合物の各々から該酵素を分離する工程、続いて過剰の水を除去するために該混合物の各々を減圧下で乾燥させる工程;
    e)工程d)から得られた2つの混合物を混合する工程であって、それによって、
    トリグリセリドを含む脂肪組成物であって、トリグリセリドの60重量%以上がSat2Oであり、ここで、SatがSt、P、またはこれらの組み合わせから選択され;該脂肪組成物において、StOP+StPO+St2Oの総含有量が60重量%以下であり、かつジグリセリド(DAG)の総量が2.0重量%以下であり、ここで、Oがオレイン酸、Stがステアリン酸、Pがパルミチン酸である、カカオバター同等物として使用するのに適した、前記脂肪組成物
    を得る、工程
    を含む、方法。
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