JP2023514002A - う蝕を予防及び処置する方法及び組成物 - Google Patents

う蝕を予防及び処置する方法及び組成物 Download PDF

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Abstract

本出願で提供されるのは、う蝕のための治療薬として有用なロシア属の細菌に関連する方法及び組成物である。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月6日に出願された米国仮出願第62/944717号の利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に援用する。
権利に関する声明
本発明は、国立衛生研究所により認可番号NIH-1-R01-DE020102の下で授与された政府支援によってなされた。米国政府は、本発明においてある一定の権利を有する。
う蝕又はう窩は虫歯(tooth decay)としても知られ、文明人に広く認められる感染性疾患である。その治療は年間数十億ドルの費用を要する上、相当な不快感を伴う。エナメル質、象牙質、又はセメント質の破壊であるう蝕は、宿主感受性及び発酵性炭水化物を含む食事をはじめとした、多因子からなる病因を有する。主なう蝕原性微生物には、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans(S.ミュータンス)、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、アクチノマイセス・ビソサス・セロバーII(Actinomyces visosus serovar II)、アクチノマイセス・ネスランディ(Actinomyces naeslundii)及び「インターメディエイト」アクチノマイセス、他のストレプトコッカス属並びに酵母が含まれる。これらの微生物は食物性炭水化物から酸、例えば、酢酸及び乳酸を産生し、これらが歯の破壊を引き起こす。う蝕に対抗するために、う蝕原性微生物に対するプロバイオティクスが利用されてきた。しかしながら、これらの微生物の酸産生を特異的に標的とするプロバイオティクスが、今もなお大きく求められている。
一部の態様において、ロシア・デントカリオーサ(Rothia dentocariosa)種の細菌、ロシア・アエリア(Rothia aeria)種の細菌、ロシア・ムシラギノーサ(Rothia mucilaginosa)種の細菌、又はこれらの組合せを含む細菌組成物を投与することを含む、対象(例えば、ヒト)におけるう蝕の予防、処置及び/又はその重症度の低減に関する方法及び組成物を、本明細書において提供する。一部の態様において、ロシア属の細菌を含む細菌組成物を対象に投与することを含む、対象(例えば、ヒト)におけるう蝕原性細菌(例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス種の細菌)による酸産生の阻害に関する方法及び組成物を、本明細書において提供する。
一部の態様において、ロシア・デントカリオーサ種の細菌、ロシア・アエリア種の細菌、ロシア・ムシラギノーサ種の細菌、又はこれらの組合せを含む治療有効量の細菌組成物を対象に投与することを含む、対象におけるう蝕を予防する方法を、本明細書において提供する。一部の実施形態において、細菌組成物は、う蝕原性細菌による酸産生を阻害することによってう蝕を予防する。一部の実施形態において、細菌組成物はう蝕原性細菌の増殖を阻害しない。う蝕原性細菌は、例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス種の細菌、例えば、ATCC UA140株又はATCC UA159株の細菌であってもよい。う蝕原性細菌は、例えば、ストレプトコッカス属の細菌、例えば、ストレプトコッカス・インファンティス(Streptococcus infantis)、ストレプトコッカス・サングイニスSK36(Streptococcus sanguinis SK36)、又はストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)であってもよい。う蝕原性細菌はまた、例えば、ラクトバチルス属の細菌、例えば、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)であってもよい。ある特定の実施形態において、対象はう蝕を発生するリスクを有する。
一部の態様において、ロシア・デントカリオーサ種の細菌、ロシア・アエリア種の細菌、ロシア・ムシラギノーサ種の細菌、又はこれらの組合せを含む治療有効量の細菌組成物を対象に投与することを含む、対象におけるう蝕を処置する又はその重症度を低減する方法を、本明細書において提供する。一部の実施形態において、細菌組成物は、う蝕原性細菌による酸産生を阻害することによってう蝕を処置する又はその重症度を低減する。一部の実施形態において、細菌組成物はう蝕原性細菌の増殖を阻害しない。ある特定の実施形態において、う蝕原性細菌は、ストレプトコッカス・ミュータンス種の細菌、例えば、ATCC UA140株又はATCC UA159株の細菌である。う蝕原性細菌は、例えば、ストレプトコッカス属の細菌、例えば、ストレプトコッカス・インファンティス、ストレプトコッカス・サングイニスSK36、又はストレプトコッカス・ソブリナスであってもよい。ある特定の他の実施形態において、う蝕原性細菌は、ラクトバチルス属の細菌、例えば、ラクトバチルス・ファーメンタム及びラクトバチルス・サリバリウスである。ある特定の実施形態において、対象はう蝕を発生するリスクを有する。
一部の実施形態において、本明細書に記載される細菌組成物中の細菌の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%は、ロシア・デントカリオーサ種、ロシア・アエリア種、ロシア・ムシラギノーサ種又はこれらの組合せの細菌である。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される細菌組成物中の細菌の実質的にすべてが、ロシア・デントカリオーサ種、ロシア・アエリア種、ロシア・ムシラギノーサ種又はこれらの組合せの細菌である。一部の実施形態において、本明細書に記載される細菌組成物は、少なくとも1×10、5×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10又は1×10コロニー形成単位(CFU)のロシア・デントカリオーサ種、ロシア・アエリア種、ロシア・ムシラギノーサ種又はこれらの組合せの細菌を含む。
一部の態様において、ロシア属の細菌を含む細菌組成物を対象に投与することを含む、対象におけるう蝕原性細菌による酸産生を阻害する方法を、本明細書において提供する。一部の実施形態において、細菌組成物は、ロシア・デントカリオーサ種の細菌、ロシア・アエリアの細菌、及びロシア・ムシラギノーサの細菌から選択される少なくとも1種の細菌を含む。一部の実施形態において、細菌組成物はう蝕原性細菌の増殖を阻害しない。ある特定の実施形態において、う蝕原性細菌は、ストレプトコッカス・ミュータンス種の細菌、例えば、ATCC UA140株又はATCC UA159株の細菌である。う蝕原性細菌は、例えば、ストレプトコッカス・インファンティス種、ストレプトコッカス・サングイニスSK36種、又はストレプトコッカス・ソブリナス種の細菌であってもよい。ある特定の他の実施形態において、う蝕原性細菌は、ラクトバチルス属の細菌、例えば、ラクトバチルス・ファーメンタム及びラクトバチルス・サリバリウスである。ある特定の実施形態において、対象はう蝕を発生するリスクを有する。ある特定の他の実施形態において、対象はう蝕に罹患している。ある特定の実施形態において、細菌組成物は対象におけるう蝕を予防する。ある特定の他の実施形態において、細菌組成物は対象におけるう蝕を処置する又はその重症度を低減する。
一部の実施形態において、本明細書に記載される細菌組成物中の細菌の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%は、ロシア属の細菌である。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される細菌組成物中の細菌の実質的にすべてがロシア属の細菌である。一部の実施形態において、本明細書に記載される細菌組成物は、少なくとも1×10、5×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10又は1×10コロニー形成単位(CFU)のロシア属の細菌を含む。
本開示のいずれの態様にも適用することができる及び/又は本明細書に記載される他のいずれの実施形態とも組み合わせることができる、数多くの実施形態をさらに提供する。例えば、一部の実施形態において、本明細書に記載される細菌組成物は経口投与される。一部の実施形態において、本明細書に記載される細菌組成物は2回以上(例えば、3回以上、4回以上、又は5回以上の用量)で投与される。一部の実施形態において、対象への2回以上の用量での投与は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、又は21日隔てられている。本明細書に記載される細菌組成物は、生きた細菌、弱毒化された細菌、又は死滅した細菌を含んでいてもよい。一部の実施形態において、第2の細菌が生態学的コンソーシアム(ecological consortium)の一部として投与される。
一部の実施形態において、本明細書に記載される方法は、う蝕を予防する、処置する、及び/又はその重症度を低減する1つ以上の他の治療薬を対象に投与する(他の治療法を対象に施す)ことをさらに含む。一部の実施形態において、他の治療薬(治療法)は、他の治療用細菌(例えば、う蝕原性細菌の増殖を阻害する第2の細菌組成物)の投与を含む。ある特定の実施形態において、う蝕原性細菌は、ストレプトコッカス・ミュータンス種の細菌、例えば、ATCC UA140株又はATCC UA159株の細菌である。う蝕原性細菌は、例えば、ストレプトコッカス属の細菌、例えば、ストレプトコッカス・インファンティス、ストレプトコッカス・サングイニスSK36、又はストレプトコッカス・ソブリナスであってもよい。ある特定の他の実施形態において、う蝕原性細菌は、ラクトバチルス属の細菌、例えば、ラクトバチルス・ファーメンタム及びラクトバチルス・サリバリウスである。
一部の実施形態において、本明細書に記載される方法は、プレバイオティクスを対象に投与することをさらに含む。プレバイオティクスは、例えば、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マンノオリゴ糖、マルトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、ラクツロース、ラクトスクロース、パラチノース、グリコシルスクロース、グアーガム、アラビアゴム、タガロース、アミロース、アミロペクチン、ペクチン、キシラン、又はシクロデキストリンであってもよい。
一部の実施形態において、対象は哺乳動物である。一部の実施形態において、哺乳動物は、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ロバ、ヤギ、ラクダ、マウス、ラット、モルモット、ヒツジ、ラマ、サル、ゴリラ、チンパンジー又はヒトからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、哺乳動物はヒト(例えば、子供)である。
図1は図1A及び1Bの2つのパネルを含み、ロシア属の細菌がストレプトコッカス・ミュータンスによる酸産生を阻害することを示す。 図2Aは、近接阻害(proximity inhibition)の構成の概略図を示す。 図2B~2Gは、ロシア属をSmに隣接して増殖させた場合にロシア属がSmによる酸産生を有意に阻害したことを示す。 図2B~2Gは、ロシア属をSmに隣接して増殖させた場合にロシア属がSmによる酸産生を有意に阻害したことを示す。 図2B~2Gは、ロシア属をSmに隣接して増殖させた場合にロシア属がSmによる酸産生を有意に阻害したことを示す。 図2B~2Gは、ロシア属をSmに隣接して増殖させた場合にロシア属がSmによる酸産生を有意に阻害したことを示す。 図2B~2Gは、ロシア属をSmに隣接して増殖させた場合にロシア属がSmによる酸産生を有意に阻害したことを示す。 図2B~2Gは、ロシア属をSmに隣接して増殖させた場合にロシア属がSmによる酸産生を有意に阻害したことを示す。 図3Aは、軟寒天の構成の概略図を示す。 図3Bは、3種のロシア属のすべてが、物理的にも時間的にも接触することなくUA140(ストレプトコッカス・ミュータンスUA140)及びUA159(ストレプトコッカス・ミュータンスUA159)における酸産生を阻害したことを示す。 図3Cは、Rd(ロシア・デントカリオーサ)が非Sm口腔酸産生生物における酸産生を阻害したことを示す。 図3Dは、ロシア属よるSm酸産生の阻害が低い開始pH(6.16)によって防がれなかったことを示す。 図3Eは、プレートの開始pHが通常のプレートのpH(約7.4)より低い場合であっても、3種のロシア属種のすべてがS.ミュータンスの酸産生を有意に阻害したことを示す。 図4Aは、時差式接種(Starggered inoculation)の構成の概略図を示す。 図4Bは、予備増殖させたRdがSm UA140における酸産生を有意に阻害したことを示す。 図4Cは、近傍における予備増殖させたRdコロニーの存在により誘発されるS.ミュータンスpHの平均増加量を示す。
全般
本発明は、少なくとも部分的に、ロシア属の細菌(例えば、ロシア・デントカリオーサ種に由来する細菌、ロシア・アエリア種に由来する細菌、及び/又はロシア・ムシラギノーサ種に由来する細菌)が、う蝕原性細菌(例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス種の細菌又はラクトバチルス属の細菌)による酸産生を特異的に阻害したという発見に基づいている。興味深いことに、ロシア属のこれらの細菌は、う蝕原性細菌の増殖を阻害しなかった。う蝕原性細菌による酸産生、例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス種の酸産生は、う窩生成に関わる主要因の一つである。したがって、ロシア属の細菌を含む組成物を使用することで、う蝕原性細菌の酸産生に対する標的阻害により、う蝕を予防、処置、及び/又はその重症度を低減することができる。ロシア属の細菌の技術的効果は、う蝕原性細菌(例えば、S.ミュータンス)に対する、酸産生を標的としない多くの市販のプロバイオティクスとは異なる。
したがって、一部の態様において、ロシア属の細菌(例えば、ロシア・デントカリオーサ種に由来する細菌、ロシア・アエリア種に由来する細菌、及び/又はロシア・ムシラギノーサ種に由来する細菌)を含む細菌組成物を対象に投与することを含む、対象におけるう蝕を予防、処置、及び/又はその重症度を低減する方法及び/又は組成物を、本明細書において提供する。一部の態様において、ロシア属の細菌(例えば、ロシア・デントカリオーサ種に由来する細菌、ロシア・アエリア種に由来する細菌、及び/又はロシア・ムシラギノーサ種に由来する細菌)を含む細菌組成物を対象に投与することを含む、対象におけるう蝕原性細菌(例えば、S.ミュータンス)による酸産生を阻害する方法及び/又は組成物を、本明細書において提供する。
定義
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明確に別段の規程がない限り、複数形を含む。
「含む(comprise及びcomprising)」という用語は、追加の要素が含まれていてもよいという、包括的でオープンな意味で使用される。
「有効量」という用語は、所望の結果をもたらすのに十分な医薬組成物の量を指す。1回以上の投与で有効量の医薬組成物を投与することができる。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」及び「有効量」という語句は、対象中の少なくとも細胞の亜集団において、いかなる医学的処置にも適用できる妥当なベネフィットリスク比で所望の治療効果を生じるのに効果的な薬剤の量を意味する。
「う蝕原性細菌」という用語は、う蝕を引き起こし得るあらゆる口腔細菌を指す。う蝕原性細菌には、ストレプトコッカス属のミュータンス菌(例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.ミュータンス)又はストレプトコッカス・ソブリナス(S.ソブリナス))、又はラクトバチルス属の細菌が含まれるが、これらに限定されない。
「プレバイオティクス」という用語は、有益な微生物、例えば、細菌及び真菌類(例えば、本明細書に記載される細菌組成物において使用されるロシア属の細菌)の増殖又は活性を誘発する、食物中の化合物を指す。
「プロバイオティクス」という用語は、消費された場合に健康上の利益を与え得る微生物(例えば、本明細書に記載される細菌組成物)を指す。一部の実施形態において、プロバイオティクスは生きた微生物である。好ましい実施形態において、プロバイオティクスは、細菌宿主相互作用又は望ましくない副作用が最小限又は皆無であり、安全に消費することができる。
「虫歯」又は「う窩」とも呼ばれる「う蝕」という用語は、歯のエナメル質、象牙質、又はセメント質の崩壊によって引き起こされる状態を指す。一部の実施形態において、この崩壊は、歯上の細菌が食品を分解し、歯のエナメル質を破壊する酸を産生するために生じる。
「アジュバント」又は「アジュバント療法」は、患者又は対象の免疫学的反応又は生理学的反応に影響を及ぼす薬剤を広く指す。例えば、アジュバントは、時間と共に又は腫瘍のような目的の領域への抗原の存在を高めたり、抗原提示細胞抗原の吸収を促進したり、マクロファージ及びリンパ球を活性化したり、サイトカインの産生を支持したりする可能性がある。免疫反応を変化させることにより、アジュバントは、免疫相互作用剤のより少ない用量がこの免疫相互作用剤の特定の用量の有効性又は安全性を高めることを可能にする可能性がある。例えば、アジュバントは、T細胞の枯渇を防止し、それゆえ特定の免疫相互作用剤の有効性又は安全性を高める可能性がある。
「投与」は、対象への組成物の投与経路を広く指す。投与経路の例には、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入(鼻)又は注射が含まれる。注射による投与には、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与、腫瘍内(IT)投与及び皮下(SC)投与が含まれる。本明細書に記載の医薬組成物は、限定されるものではないが、腫瘍内、経口、非経口、腸内、静脈内、腹腔内、局所、経皮(例えば、任意の標準的なパッチを使用)、皮内、眼内、経鼻(鼻腔内)、局所、非経口、例えばエアロゾル、吸入、皮下、筋肉内、口腔、舌下、(経)直腸、膣内、動脈内及び髄腔内、経粘膜(例えば、舌下、舌、(経)頬、(経)尿道、膣(例えば、経膣及び膣周囲)、埋め込み、膀胱内、肺内、十二指腸内、胃内及び気管支内を含む任意の効果的な経路によって任意の形態で投与することができる。好ましい実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、経口、直腸、腫瘍内、局所、膀胱内、排出リンパ節内又はその近傍への注射により、静脈内、吸入若しくはエアロゾルにより、又は皮下投与される。
「減少する」又は「枯渇する」という用語は、状況に応じて、処置前の状態と比較したときに処置後、差が少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1/100、1/1000、1/10,000、1/100,000、1/1,000,000又は検出不能であるような変化を意味する。
「生態学的コンソーシアム(ecological consortium)」という用語は、有効性の改善のために相補的な宿主経路を活性化することにより宿主の相乗効果を誘発する2種の細菌とは対照的に、代謝産物を交換し且つ相互に積極的に共制御する細菌のグループのことである。
「遺伝子」という用語は、生物学的機能に関連する任意の核酸を指すために広く使用される。「遺伝子」という用語は、特定のゲノム配列及びそのゲノム配列によってコードされるcDNA又はmRNAに適用される。
2つの核酸分子の核酸配列間の「同一性」は、例えば、Pearson et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444に記載されているようにデフォルトパラメータを使用する「FASTA」プログラムなどの既知のコンピューターアルゴリズム(他のプログラムには、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al., Nucleic Acids Research 12(I):387 (1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA Atschul, S.F., et al., J Molec Biol 215:403 (1990);Guide to Huge Computers, Mrtin J. Bishop, ed., Academic Press, San Diego, 1994及びCarillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48:1073が含まれる)を使用して同一性のパーセンテージとして決定することができる。例えば、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のデータベースのBLAST機能を使用して同一性を決定することができる。その他の市販又は公的に利用可能なプログラムには、DNAStar「MegAlign」program(Madison,Wis.)及びUniversity of Wisconsin Genetics Computer Group(UWG)「Gap」program(Madison Wis.))が含まれる。
「増加する」という用語は、状況に応じて、処置前の状態と比較したときに処置後、差が少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、2倍、4倍、10倍、100倍、10倍、10倍、10倍、10倍及び/又は10倍超であるような変化を意味する。増加し得る特性には、免疫細胞、細菌細胞、間質細胞、骨髄由来サプレッサー細胞、線維芽細胞、代謝産物及びサイトカインが含まれる。
「単離された」又は「濃縮された」という用語は、(1)(天然又は実験的設定にかかわらず)最初に産生されたときに結合していた成分の少なくとも一部から分離された、且つ/又は(2)人間の手若しくは人間によって生産、調製、精製、且つ/若しくは製造された、又は人為的に製造された、微生物、細菌又は他の実体若しくは物質を含む。単離された微生物は、最初に結合していた他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又はそれを超えるものから分離することができる。いくつかの実施形態では、単離された微生物は、約80%超、約85%超、約90%超、約91%超、約92%超、約93%超、約94%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超又は約99%超の純度である。本明細書で使用される物質は、他の成分を実質的に含まない場合には「純粋」である。「精製する」、「精製すること」及び「精製された」という用語は、(例えば、自然又は実験的設定にかかわらず)最初に生産又は生成されたとき又は最初の生産後の任意の時間に結合していた成分の少なくとも一部から単離された微生物又はその他の材料を指す。微生物又は微生物集団は、生産時又は生産後に分離された場合、微生物又は微生物集団を含む材料又は環境などから精製されたと見なすことができ、精製された微生物又は微生物集団は、最大約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又は約90%超までの他の材料を含み得、それでも「単離された」と見なされる。いくつかの実施形態では、精製された微生物又は微生物集団は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%又は約99%超の純度である。本明細書で提供される微生物組成物の場合、組成物中に存在する1つ又は複数の微生物種を、微生物種を含む材料又は環境で生産される及び/又は存在する1つ又は複数の他の微生物とは別に精製することができる。微生物組成物及びその微生物成分は、一般に、残存生息産物から精製される。
本明細書で使用される場合、遺伝子が細菌で「過剰発現」されるとは、同じ条件下で同じ種の野生型細菌によって発現されるよりも、少なくともいくつかの条件下で操作された細菌でより高いレベルで発現される場合である。同様に、遺伝子が細菌で「過少発現」されるとは、同じ条件下で同じ種の野生型細菌によって発現されるよりも、少なくともいくつかの条件下で操作された細菌でより低いレベルで発現される場合である。
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は互換的に使用される。それらは、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド又はそれらの類似体である任意の長さのポリマー型のヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有し得、あらゆる機能を果たし得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子又は遺伝子断片のコード領域又は非コード領域、連鎖解析から定義される遺伝子座、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリ前又は後に付与され得る。ポリヌクレオチドは、標識成分との結合などによりさらに修飾し得る。本明細書で提供される全ての核酸配列において、UヌクレオチドはTヌクレオチドと交換可能である。
「操作的分類単位」及び「OTU」は、系統樹における末端の葉を指し、核酸配列、例えば全ゲノム又は特定の遺伝子配列及びこの核酸配列と種のレベルで配列同一性を共有する全ての配列によって定義される。いくつかの実施形態では、特定の遺伝子配列は、16S配列又は16S配列の一部であり得る。他の実施形態では、2つの実体の全ゲノムが配列決定され、比較される。別の実施形態では、多遺伝子座配列タグ(MLST)、特定の遺伝子又は遺伝子のセットなどの選択領域を遺伝的に比較することができる。16Sの場合、16S全体又は16Sの一部の可変領域で97%以上の平均ヌクレオチド同一性を共有するOTUは、同じOTUと見なされる。例えば、Claesson MJ, Wang Q, O’Sullivan O, Greene-Diniz R, Cole JR, Ross RP, and O’Toole PW. 2010. Comparison of two next-generation sequencing technologies for resolving highly complex microbiota composition using tandem variable 16S rRNA gene regions. Nucleic Acids Res 38:e200. Konstantinidis KT, Ramette A, and Tiedje JM. 2006. The bacterial species definition in the genomic era. Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci 361:1929-1940を参照されたい。完全なゲノムの場合、MLST、16S以外の特定の遺伝子又は95%以上の平均ヌクレオチド同一性を共有する遺伝子セットOTUは同じOTUと見なされる。例えば、Achtman M, and Wagner M. 2008. Microbial diversity and the genetic nature of microbial species. Nat. Rev. Microbiol. 6:431-440. Konstantinidis KT, Ramette A, and Tiedje JM. 2006. The bacterial species definition in the genomic era. Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci 361:1929-1940を参照されたい。OTUは、多くの場合、生物間の配列を比較することで定義される。一般に、95%未満の配列同一性を有する配列は、同じOTUの部分を形成するとは見なされない。OTUは、ヌクレオチドマーカー又は遺伝子、特に高度に保存された遺伝子(例えば、「ハウスキーピング」遺伝子)の任意の組み合わせ又はそれらの組み合わせによっても特徴付けることができる。本明細書では、例えば、属、種及び系統分岐群に分類学的に割り当てられた操作的分類単位(OTU)が提供される。
「対象」又は「患者」という用語は、任意の動物を指す。「それを必要とする」として記載される対象又は患者は、疾患の処置を必要とする者を指す。哺乳類(すなわち、哺乳動物)には、ヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ)及びペット(例えば、イヌ、ネコ、げっ歯類)が含まれる。例えば、対象は、非ヒト哺乳類(例えば、限定されないが、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ロバ、ヤギ、ラクダ、マウス、ラット、モルモット、ヒツジ、ラマ、サル、ゴリラ又はチンパンジー)であり得る。対象又は患者は、健康であり得るか、う蝕を発症するリスクがあり得るか、又は任意の発育段階でう蝕を罹患し得る。一部の実施形態において、対象は、う蝕の予防、処置、及び/又は重症度の軽減を目的とした治療を受けたものである。
「菌株(株)」とは、同じ細菌種の密接に関連するメンバーと区別できるような遺伝的特徴を有する細菌種のメンバーを指す。遺伝的特徴は、少なくとも1つの遺伝子の全て又は一部の欠如、少なくとも1つの調節領域(例えば、プロモーター、ターミネーター、リボスイッチ、リボソーム結合部位)の全て又は一部の欠如、少なくとも1つの天然プラスミドの欠如(「キュアリング」)、少なくとも1つの組換え遺伝子の存在、少なくとも1つの変異遺伝子の存在、少なくとも1つの外来遺伝子(別の種に由来する遺伝子)の存在、少なくとも1つの変異した調節領域(例えば、プロモーター、ターミネーター、リボスイッチ、リボソーム結合部位)の存在、少なくとも1つの非天然プラスミドの存在、少なくとも1つの抗生物質耐性カセットの存在又はそれらの組み合わせであり得る。異なる菌株間の遺伝的特徴は、PCR増幅及び任意選択によるそれに続く目的のゲノム領域又はゲノム全体のDNA配列決定によって特定することができる。1つの菌株(同じ種の別の菌株と比較した)が抗生物質耐性を獲得若しくは喪失した場合又は生合成能力(栄養要求性菌株など)を獲得若しくは喪失した場合、抗生物質を使用した選択又は栄養素/代謝産物を使用した対抗選択によって菌株を区別することができる。
本明細書で使用される、対象の疾患を「処置(治療)する」又は疾患を有する若しくは有すると疑われる対象を「処置する」という用語は、疾患の少なくとも1つの症状が軽減されるか又は悪化が防止されるように、対象を薬学的に処置すること、例えば1つ又は複数の薬剤を投与することを指す。従って、一実施形態では、「処置する」は、とりわけ、進行の遅延、寛解の促進、寛解の誘発、寛解の増強、回復の加速、代替治療薬の有効性の増加若しくは耐性の低下又はそれらの組み合わせを指す。
本明細書で使用される、状態(例えばう蝕)を「予防する」治療薬は、障害又は状態の発症前に統計的サンプルに投与された場合、未処置の対照サンプルと比較して、処置されたサンプルにおける障害又は状態の発生を減少させる、あるいは未処置の対照サンプルと比較して障害又は状態の1以上の症状の発症を遅延させる又は重症度を低減する組成物を指す。
細菌
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、ロシア属(Rothia)の細菌を含む細菌組成物を使用する方法である。細菌は、口腔内で同定される任意のロシア種であってよく、又は口腔内常在菌と考えられてもよい。いくつかの実施形態では、細菌は、ロシア・デントカリオーサ(Rothia denticariosa)、ロシア・アエリア(Rothia aeria)、又はロシア・ムシラギノーサ(Rothia mucilaginosa)の種である。いくつかの実施形態では、細菌組成物は、1つのロシア種(例えば、ロシア・デントカリオーサ、ロシア・アエリア、又はロシア・ムシラギノーサ)のみを含む。いくつかの他の実施形態では、細菌組成物は、複数のロシア種、例えば、ロシア・デントカリオーサとロシア・アエリアの組み合わせ、ロシア・デントカリオーサとロシア・ムシラギノーサの組み合わせ、ロシア・アエリアとロシア・ムシラギノーサの組み合わせ、又はロシア・デントカリオーサ、ロシア・アエリア、及びロシア・ムシラギノーサの組み合わせを含む。
特定の実施形態では、細菌組成物中の細菌の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%は、ロシア属のものである。特定の実施形態では、細菌組成物中の実質的に全ての細菌がロシア属のものである。
ロシア株は、免疫原性の向上、う蝕原性微生物に対する選択性の向上、リンパ節炎の減少、病原性の低下、骨炎の減少、活性酸素種(ROS)に対する抵抗性の向上、低い局所pH又は低い局所酸素濃度(低酸素)に対する耐性向上、又は他の望ましい特性のうちの1以上を含む向上した特性について選択されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で使用されるロシア株は、口腔内で定期的に検出されるもの、及び/又は口腔内常在菌株とみなされるものである。
特定の実施形態では、細菌組成物は、少なくとも1×10コロニー形成単位(CFU)、1×10コロニー形成単位(CFU)、1×10コロニー形成単位(CFU)、5×10コロニー形成単位(CFU)、1×10コロニー形成単位(CFU)、2×10コロニー形成単位(CFU)、3×10コロニー形成単位(CFU)、4×10コロニー形成単位(CFU)、5×10コロニー形成単位(CFU)、6×10コロニー形成単位(CFU)、7×10コロニー形成単位(CFU)、8×10コロニー形成単位(CFU)、9×10コロニー形成単位(CFU)、1×10コロニー形成単位(CFU)、2×10コロニー形成単位(CFU)、3×10コロニー形成単位(CFU)、4×10コロニー形成単位(CFU)、5×10コロニー形成単位(CFU)、6×10コロニー形成単位(CFU)、7×10コロニー形成単位(CFU)、8×10コロニー形成単位(CFU)、9×10コロニー形成単位(CFU)、1×10コロニー形成単位(CFU)、2×10コロニー形成単位(CFU)、3×10コロニー形成単位(CFU)、4×10コロニー形成単位(CFU)、5×10コロニー形成単位(CFU)、6×10コロニー形成単位(CFU)、7×10コロニー形成単位(CFU)、8×10コロニー形成単位(CFU)、9×10コロニー形成単位(CFU)、1×10コロニー形成単位(CFU)、5×10コロニー形成単位(CFU)、1×1010コロニー形成単位(CFU)の、ロシア属を含む。
いくつかの実施形態では、細菌組成物は、死滅細菌、生細菌及び/又は弱毒化細菌を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細菌は、哺乳動物の口内におけるコロニー形成及び/又は生着(例えば、代謝の改変、口腔ムチンへの結合の改善、競合プロファイルの強化、運動性の増加、歯垢への付着の増加、又は化学走性の改変)を改善するために改変される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細菌は、う蝕の予防、低減又は処置に対する治療効果を高めるように改変される(例えば、単独で又は別の治療剤との組み合わせのいずれかである)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細菌は、細菌製造(例えば、より高い酸素耐性、改善された凍結融解耐性、又はより短い生成時間)を改善するために改変される。
細菌組成物
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、細菌及び/又は細菌の組み合わせを対象に投与するステップを含む。特定の実施形態では、細菌は、細菌製剤(すなわち、細菌組成物)において対象に投与される。いくつかの実施形態では、細菌製剤は、本明細書に記載される細菌及び/又は細菌の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含んでいる。
微生物組成物を製造する方法は、3つの主な処理工程を含み得る。これらの工程は、生物の貯蔵、生物の生産及び保存である。特定の実施形態では、豊富なロシアを含むサンプルを、単離工程を避けながら培養し得る。
貯蔵に関して、細菌組成物中に含まれる株を(1)検体から直接単離し得るか、又は貯蔵ストックから取り出し得るか、(2)任意選択により、増殖を補助する栄養寒天又は栄養ブロスで培養することにより、生存可能なバイオマスが生成され得、且つ(3)このバイオマスを長期保存において複数のアリコートに任意選択的に保存し得る。
培養工程を使用する実施形態では、寒天又はブロスは、増殖を可能にする必須元素及び特定の因子を供給する栄養素を含み得る。一例は、20g/Lのグルコース、10g/Lの酵母抽出物、10g/Lの大豆ペプトン、2g/Lのクエン酸、1.5g/Lのリン酸ナトリウム一塩基性、100mg/Lのクエン酸鉄アンモニウム、80mg/Lの硫酸マグネシウム、10mg/Lの塩化ヘミン、2mg/Lの塩化カルシウム、1mg/Lのメナジオンで構成された培地であるであろう。別の例は、pH6.8において10g/Lの牛肉抽出物、10g/Lのペプトン、5g/Lの塩化ナトリウム、5g/Lのデキストロース、3g/Lの酵母抽出物、3g/Lの酢酸ナトリウム、1g/Lの可溶性デンプン及び0.5g/LのL-システインHClで構成される培地であり得る。様々な微生物培地及びバリエーションが当該技術分野で周知である(例えば、R.M. Atlas, Handbook of Microbiological Media (2010) CRC Press)。培養培地を培養物に開始時に添加し得、培養中に添加し得るか、又は培養物に断続的に/継続的に流し得る。細菌組成物中の株を微生物組成物の一部として単独で培養し得るか、又は微生物組成物を含む全収集物として培養し得る。一例として、第1の株を、混合連続培養で第2の株と一緒に、培養から培養物が洗い流されることを防ぐために、いずれかの細胞の最大増殖率と比べて低い希釈率で培養し得る。
播種された培養物を、バイオマスを構築するのに十分な時間にわたり好ましい条件下でインキュベートする。ヒトでの使用のための微生物組成物の場合、この条件は、正常なヒトの適所(ニッチ)に類似する値を有する37℃の温度、pH及び他のパラメータであることが多い。環境を能動的に制御し得るか、(例えば、緩衝液により)受動的に制御し得るか、又は変動させ得る。例えば、嫌気性細菌組成物の場合、無酸素/還元環境を採用し得る。このことをシステイン等の還元剤のブロスへの添加により、且つ/又は酸素をブロスから取り除くことにより達成し得る。一例として、細菌組成物の培養物を、1g/Lのシステイン-HClで予め還元された上記の培地中において、37℃、pH7で増殖させ得る。
培養物が十分なバイオマスを生成した場合、貯蔵用に保存し得る。生物は、凍結(「凍結保護剤」の添加)、乾燥(「リオプロテクタント」)及び/又は浸透圧ショック(「浸透圧保護剤」)から保護する化学的環境に置かれ、複数の(任意選択的に同一の)容器に分配されて均一に貯蔵され、次いで保存のために培養物が処理される。容器は一般に不透過性であり、環境からの隔離を保証するクロージャを有する。凍結保存処理は、液体を超低温(例えば、-80℃以下)で凍結することにより達成される。乾燥保存は、蒸発(噴霧乾燥若しくは「冷却乾燥」の場合)により、又は昇華(例えば、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥の場合)により、培養物から水を除去する。水の除去により、超低温条件よりも高い温度で長期微生物組成物の貯蔵安定性が改善される。微生物組成物が例えば胞子形成種を含み、結果として胞子が生じる場合、最終組成物は、密度勾配遠心分離等の追加の手段により精製され得、上記で説明された技術を使用して保存され得る。微生物組成物の貯蔵を、株を個別に培養して保存するか、又は株を一緒に混合して組み合わされた貯蔵を作成することにより、行い得る。冷凍保存の一例として、微生物組成物の培養物を、遠心分離により培養培地から細胞をペレット化し、上清をデカントし、15%のグリセロースを含む新鮮な培養ブロスに置き換え得ることにより、回収し得る。次いで、培養物を1mLのクライオチューブに分注し、密封し、長期にわたる生存率の保持のために-80℃に置くことができる。この手順により、凍結保存からの回復時に許容可能な生存率が達成される。
微生物の生産を、上記で説明した培地組成及び培養条件を含む、貯蔵と類似の培養工程を使用して実行し得る。微生物の生産を特に臨床開発又は商業生産のために大規模な運用で実行し得る。より大きい規模で、最終培養前に微生物組成物の数回の継代培養があり得る。培養の終了時、培養物を回収して、投与用の剤形へのさらなる製剤化を可能にする。これには、濃縮、望ましくない培地成分の除去及び/又は微生物組成物を保存し且つ選択された経路を介した投与を許容可能にする化学的環境への導入が含まれ得る。例えば、微生物組成物を1010CFU/mLの濃度まで培養し、次いで接線流精密ろ過により20倍に濃縮し、使用済みの培地を、2%のゼラチン、100mMのトレハロース及び10mMのリン酸ナトリウム緩衝液からなる保存培地で透析ろ過することにより交換し得る。次いで、懸濁液を凍結乾燥させて粉末にして、用量を設定する。
乾燥後、この粉末を適切な効能とブレンドし、他の培養物並びに/又は一貫性及び取扱いの容易さのための充填剤(例えば、微結晶セルロース)と混合し、細菌組成物を本明細書に記載したように製剤化し得る。
特定の態様では、提供されるのは、対象への投与のための細菌組成物である。いくつかの実施形態では、細菌組成物は、単回投与単位又は複数回投与形式であり得る最終製品を製造するために、追加の活性物質及び/又は不活性物質と組み合わされている。
いくつかの実施形態では、この組成物は少なくとも1種の炭水化物を含む。「炭水化物」は糖又は糖のポリマーを指す。「糖」、「多糖」、「炭水化物」及び「オリゴ糖」という用語は互換的に使用され得る。ほとんどの炭水化物は、多くのヒドロキシル基(通常は分子の各炭素原子上に1個)を有するアルデヒド又はケトンである。炭水化物は一般に、分子式C2nを有する。炭水化物は、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖又は多糖であり得る。最も基本的な炭水化物は単糖であり、例えばグルコース、スクロース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース及びフルクトースである。二糖は、2個の連結された単糖である。例示的な二糖として、スクロース、マルトース、セロビオース及びラクトースが挙げられる。典型的には、オリゴ糖は3~6個の単糖単位(例えば、ラフィノース、スタキオース)を含み、多糖は6個以上の単糖単位を含む。例示的な多糖として、デンプン、グリコーゲン及びセルロースが挙げられる。炭水化物は、改変された糖単位を含み得、例えばヒドロキシル基が除去されている2’-デオキシリボース、ヒドロキシル基がフッ素に置き換えられている2’-フルオロリボース、又はグルコースの窒素含有形態であるN-アセチルグルコサミン(例えば、2’-フルオロリボース、デオキシリボース及びヘキソース)を含み得る。炭水化物は多くの異なる形態で存在し得、例えば配座異性体、環式形態、非環式形態、立体異性体、互変異性体、アノマー及び異性体で存在し得る。
いくつかの実施形態では、この組成物は少なくとも1種の脂質を含む。本明細書で使用される場合、「脂質」は、脂肪、油、トリグリセリド、コレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸を含む任意の形態の脂肪酸を含む。脂肪、油及び脂肪酸は、飽和であり得るか、不飽和(シス又はトランス)であり得るか、又は部分的に不飽和(シス又はトランス)であり得る。いくつかの実施形態では、脂質は、下記から選択される少なくとも1種の脂肪酸を含む:ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1)、マルガリン酸(17:0)、ヘプタデセン酸(17:1)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、オクタデカテトラエン酸(18:4)、アラキジン酸(20:0)、エイコセン酸(20:1)、エイコサジエン酸(20:2)、エイコサテトラエン酸(20:4)、エイコサペンタエン酸(20:5)(EPA)、ドコサン酸(22:0)、ドコセン酸(22:1)、ドコサペンタエン酸(22:5)、ドコサヘキサエン酸(22:6)(DHA)及びテトラコサン酸(24:0)。いくつかの実施形態では、組成物は少なくとも1種の改変脂質を含み、例えば調理により改変されている脂質を含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の補充ミネラル又はミネラル源を含む。ミネラルの例として、塩化物、ナトリウム、カルシウム、鉄、クロム、銅、ヨウ素、亜鉛、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、カリウム及びセレンが挙げられるが、これらに限定されない。上述したミネラルの内のいずれかの適切な形態として、可溶性のミネラル塩、わずかに可溶性のミネラル塩、不溶性のミネラル塩、キレート化ミネラル、ミネラル複合体(錯体)、非反応性ミネラル(例えば、カルボニルミネラル)及び還元ミネラル並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、組成物は少なくとも1種の補充ビタミンを含む。この少なくとも1種のビタミンは、脂溶性又は水溶性のビタミンであり得る。適切なビタミンとして、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB12、ビタミンK、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンD、ビタミンB6、葉酸、ピリドキシン、チアミン、パントテン酸及びビオチンが挙げられるが、これらに限定されない。上述の内のいずれかの適切な形態は、ビタミンの塩、ビタミンの誘導体、ビタミンと同一の又は類似の活性を有する化合物及びビタミンの代謝産物である。
いくつかの実施形態では、組成物は賦形剤を含む。適切な賦形剤の非限定的な例として、緩衝剤、保存料、安定剤、結合剤、圧縮剤、潤滑剤、分散増強剤、崩壊剤、香味料、甘味料及び着色料が挙げられる。
いくつかの実施形態では、賦形剤は緩衝剤である。適切な緩衝剤の非限定的な例として、クエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び重炭酸カルシウムが挙げられる。
いくつかの実施形態では、賦形剤は保存料を含む。適切な保存料の非限定的な例として、抗酸化剤(例えば、α-トコフェロール及びアスコルビン酸塩)並びに抗菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール及びフェノール)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、組成物は賦形剤として結合剤を含む。適切な結合剤の非限定的な例として、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリドン、ポリビニルアルコール、C12~C18脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、糖、オリゴ糖及びこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、組成物は賦形剤として潤滑剤を含む。適切な潤滑剤の非限定的な例として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、硬化植物油、ステロテックス、ポリオキシエチレンモノステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム及び軽油が挙げられる。
いくつかの実施形態では、組成物は賦形剤として分散増強剤を含む。適切な分散剤の非限定的な例として、デンプン、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、グアーガム、カオリン、ベントナイト、精製済木材セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、イソアモルファスケイ酸塩及び高HLB乳化剤界面活性剤としての微結晶セルロースが挙げられる。
いくつかの実施形態では、組成物は賦形剤として崩壊剤を含む。いくつかの実施形態では、この崩壊剤は非発泡性崩壊剤である。適切な非発泡性崩壊剤の非限定的な例として、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、これらのアルファ化デンプン及び加工デンプン、甘味料、粘土、例えばベントナイト、微結晶セルロース、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム、例えば寒天(アガー)、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン及びトラガカントが挙げられる。いくつかの実施形態では、崩壊剤は発泡性崩壊剤である。適切な発泡性崩壊剤の非限定的な例として、クエン酸と組み合わされた重炭酸ナトリウム及び酒石酸と組み合わされた重炭酸ナトリウムが挙げられる。
いくつかの実施形態では、組成物は食品(例えば、食物又は飲料)であり、例えば健康食品若しくは健康飲料、乳児用の食物若しくは飲料、妊婦、アスリート、高齢者若しくは他の特定の群のための食物若しくは飲料、機能性食品、飲料、特定の健康用途のための食物若しくは飲料、栄養補助食品、患者用の食物若しくは飲料又は動物の飼料である。この食物及び飲料の具体例として下記が挙げられる:様々な飲料、例えばジュース、清涼飲料、茶飲料、飲料調製物、ゼリー飲料及び機能性飲料;アルコール飲料、例えばビール;炭水化物含有食品、例えば米食品、麺類、パン及びパスタ;ペースト製品、例えば魚肉ハム、ソーセージ、シーフードのペースト製品;レトルトパウチ製品、例えばカレー、濃厚なあんかけソースがかかった食品及び中華スープ;スープ;乳製品、例えば牛乳、乳飲料、アイスクリーム、チーズ及びヨーグルト;発酵製品、例えば発酵味噌、ヨーグルト、発酵飲料及び漬物;豆製品;様々な菓子製品、例えばビスケット、クッキー及び同類のもの、キャンディ、チューインガム、グミ、冷たいデザート、例えばゼリー、クリームキャラメル及びフローズンデザート;インスタント食品、例えばインスタントスープ及びインスタント大豆スープ;電子レンジで調理可能な食品;並びに同類のもの。さらに、この例として、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、液体、ペースト及びゼリーの形態で調製された健康食品及び健康飲料も挙げられる。
特定の実施形態では、本明細書で開示されている細菌をプレバイオティックと共に対象に投与する。プレバイオティクスは、一般に宿主動物により消化されず且つ細菌により選択的に発酵されるか又は代謝される炭水化物である。プレバイオティクスは、宿主のマイクロバイオームの組成又は代謝を変更する短鎖炭水化物(例えば、オリゴ糖)、並びに/又は単糖(例えば、単糖及び二糖)、並びに/又はムチン(重グリコシル化タンパク質)であり得る。この短鎖炭水化物はオリゴ糖とも称され、2又は3から最大8、9、10、15又はより多くの糖部分を通常は含む。プレバイオティクスが宿主に導入された場合、プレバイオティクスは、宿主内の細菌に影響を及ぼし且つ宿主には直接影響を及ぼさない。特定の態様では、プレバイオティック組成物は、宿主内の限られた数の細菌の内の1つの増殖及び/又は活性を選択的に刺激し得る。プレバオティクスとしてオリゴ糖が挙げられ、例えばフルクトオリゴ糖(FOS)(イヌリンを含む)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、トランス-ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖(XOS)、キトオリゴ糖(COS)、大豆オリゴ糖(例えば、スタキオース及びラフィノース)、ゲンチオオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マンノオリゴ糖、マルトオリゴ糖並びにマンナンオリゴ糖が挙げられる。オリゴ糖は必ずしも単一成分ではなく、オリゴマー化の程度が異なるオリゴ糖を含む混合物であり得、親の二糖と単糖とを含む場合がある。多くの一般的な食品(例えば、果実、野菜、牛乳及び蜂蜜)には、様々な種類のオリゴ糖が天然成分として見出されている。オリゴ糖の具体例は、ラクツロース、ラクトスクロース、パラチノース、グリコシルスクロース、グアーガム、アラビアゴム、タガロース、アミロース、アミロペクチン、ペクチン、キシラン及びシクロデキストリンである。プレバイオティクスはまた、精製されるか又は化学的若しくは酵素的に合成され得る。
投与
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、対象に本明細書で説明されている細菌組成物を送達する方法である。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、細菌組成物を、う蝕の予防、処置又はその重症度の低減のための第2の治療薬の投与と共に投与する。このような第2の治療薬には、プロバイオティクス、抗生物質、ワクチン、及び化学療法剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、第2の治療薬は、第2の細菌組成物(例えば、う蝕原性微生物の数を減少させる細菌組成物)である。いくつかの実施形態では、第1の細菌組成物及び第2の細菌組成物は、同じう蝕原性微生物を標的としている。他の実施形態では、第1の細菌組成物及び第2の細菌組成物は、異なるう蝕原性微生物を標的としている。
いくつかの実施形態では、細菌を第2の治療薬と共に医薬組成物に共製剤化する。いくつかの実施形態では、細菌を第2の治療薬と共投与する。いくつかの実施形態では、第2の治療薬を細菌の投与前(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50若しくは55分前、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23時間前又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13若しくは14日前)に対象に投与する。いくつかの実施形態では、第2の治療薬を細菌の投与後(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50若しくは55分後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23時間後又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13若しくは14日後)に対象に投与する。いくつかの実施形態では、同一の送達モードを使用して、細菌と第2の治療薬との両方を送達する。いくつかの実施形態では、異なる送達モードを使用して、細菌と第2の治療薬とを投与する。例えば、いくつかの実施形態では、細菌を経口投与し、第2の治療薬を注射(例えば、静脈内注射、筋肉内注射及び/又は腫瘍内注射)により投与する。
特定の実施形態では、本明細書で説明されている医薬組成物、剤形及びキットを、う蝕を管理するための任意の他の従来の治療、例えば、食事及び口腔衛生対策、活動性う蝕の兆候を示すエナメル質及び/若しくは象牙質の除去、又は新たに露出した非う蝕性のエナメル質及び/若しくは象牙質を修復材で保護すること等と共に投与し得る。これらの処置を必要に応じて及び/又は指示されているように適用し得、且つこれらの処置は、本明細書で説明されている医薬組成物、剤形及びキットの投与前、それと同時に又はその後に起こり得る。
投与レジメンは様々な方法及び量のいずれかであり得、且つ既知の臨床学的因子に従って当業者により決定され得る。医学分野で既知であるように、任意の1例の患者のための投与量は多くの因子に依存し得、例えば対象の種、サイズ、体表面積、年齢、性別、免疫能力及び全体的な健康状態、投与する特定の微生物、投与の持続期間及び経路、疾患の種類及び段階、例えばう蝕重症度指数(caries severity index)(csi)並びに他の化合物(例えば、同時に投与する薬物)に依存し得る。上記の因子に加えて、そのようなレベルは、当業者により決定され得るように、微生物の感染力及び微生物の性質の影響を受け得る。本方法では、微生物の適切な最小投与量レベルは、口内で微生物が生存し、増殖し、且つ複製するのに十分なレベルであり得る。本明細書で説明されている医薬組成物の用量を剤形、投与経路、標的疾患の程度又は段階及び同類のものに従って適切に設定し得るか又は調整し得る。
いくつかの実施形態では、対象に投与する用量は、う蝕を予防するのに、その発症を遅延させるのに、又はその進行を遅らせるか若しくは停止させるのに、十分である。投与量が様々な因子(例えば、用いる特定の化合物の強度並びに対象の年齢、種、状態及び体重)に依存することを当業者は認識するであろう。用量の大きさは、投与の経路、タイミング及び頻度並びに特定の化合物の投与に伴う可能性があるあらゆる有害な副作用及び所望される生理学的効果の存在、性質及び程度によっても決定されるであろう。
適切な用量及び投与レジメンを当業者に既知の従来の範囲発見技術により決定し得る。一般に、処置を、化合物の適切な用量未満であるより少ない投与量で開始する。その後、この投与量を、この状況下で最適な効果が達成されるまで少量ずつ増加させる。有効な投与量及び処置プロトコルを、例えば実験動物での低用量から始めて、次いで効果をモニタリングしつつ投与量を増加させ、さらに投与量レジメンを体系的に変えることにより、日常的で従来の手段により決定し得る。一般には、実験動物を使用して体重1キログラム当たりの生物活性剤の最大耐量(「MTD」)を決定する。当業者は、ヒト等の他の種において、毒性を回避しつつ有効性のために用量を定期的に推定する。
上記に従って、治療用途において、本発明に従って使用される活性剤の投与量は、選択された投与量に影響を及ぼす因子の中でも、活性剤、レシピエント患者の年齢、体重及び臨床状態並びに治療を施す(治療薬を投与する)臨床医又は専門家の経験及び判断に依存して変化する。一部の実施形態において、用量は、歯牙破壊の遅延を引き起こすのに十分であるべきであり、好ましくは歯牙修復を引き起こすのに十分であるべきであり、最も好ましくは歯牙の完全な修復を引き起こすのに十分であるべきである。いくつかの実施形態では、用量は、う蝕原性微生物(例えば、S.ミュータンス)による酸産生の低減をもたらすのに十分であり、最も好ましくはう蝕原性微生物(例えば、S.ミュータンス)による酸産生の完全停止を引き起こすのに十分であるべきである。
個別の投与は、2回、3回、4回、5回又は6回の投与等の2回以上の投与(用量)のいずれかの数を含み得る。当業者は、治療方法をモニタリングするための当該技術分野で既知の方法及び本明細書で提供される他のモニタリング方法に従って、1回又は複数回の追加の投与を実施するための投与の数又はこの投与の実施の望ましさを容易に決定し得る。いくつかの実施形態では、用量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30日又は1、2、3若しくは4週間離れている場合がある。従って、本明細書で提供される方法は、細菌の1回又は複数回の投与を対象に行う方法を含み、この投与回数を、対象をモニタリングし、このモニタリングの結果に基づいて、1回又は複数回の追加の投与を行うかどうかを決定することにより、決定し得る。1回又は複数回の追加の投与を行うかどうかの決定は、様々なモニタリング結果(例えば、限定されないが、酸産生の指示(indication)、新たなう蝕の出現、対象の抗細菌抗体力価、対象の全体的な健康状態及び/又は対象の体重)に基づき得る。
投与間の間隔(時間間隔)は、様々な期間のいずれかであり得る。この投与間の間隔は、投与回数、対象が免疫反応を開始するための期間及び/又は対象が正常組織から細菌を排除するための期間に関して説明されているように、モニタリング工程を含む様々な因子のいずれかの関数であり得る。一例では、この期間は対象が免疫反応を開始するための期間の関数であり得、例えば、この期間は、対象が免疫反応を開始するための期間超であり得、例えば約1週間超、約10日超、約2週間超又は約1ヶ月超であり得、別の例では、この期間は対象が免疫反応を開始するための期間未満であり得、例えば約1週間未満、約10日未満、約2週間未満又は約1カ月未満であり得る。別の例では、この期間は対象が正常組織から細菌を排除するための期間の関数であり得、例えば、この期間は、対象が正常組織から細菌を排除するための期間超であり得、例えば約1日超、約2日超、約3日超、約5日超又は約1週間超であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されている細菌組成物と組み合わせた、う蝕を予防する、処置する及び/又はその重症度を低減する第2の治療薬の送達により、副作用が低減され、且つ/又は第2の治療薬の有効性が改善される。
う蝕を予防する、処置する及び/又はその重症度を低減する第2の治療薬の有効用量とは、患者への毒性が最小な、特定の患者、組成物及び投与様式に対して所望の治療反応を達成するのに有効な治療薬の量のことである。有効投与量レベルは、本明細書で説明されている方法を使用して特定され得、且つ様々な薬物動態学的因子(例えば、投与される特定の組成物の活性、投与経路、投与期間、用いられる特定の化合物の排泄速度、処置の持続期間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康状態及び過去の病歴並びに医療分野で公知の類似の因子)に依存するであろう。一般に、う蝕を予防する、処置する及び/又はその重症度を低減する第2の治療薬の有効用量とは、治療効果を生じるのに有効な最低用量である治療薬の量のことであるであろう。そのような有効用量は一般に、上記で説明されている因子に依存するであろう。
いくつかの実施形態では、細菌組成物の投与により、対象におけるう蝕が予防され、処置され、及び/又はその重症度が低減される。一部の実施形態において、細菌組成物は、対象におけるう蝕原性微生物(例えば、S.ミュータンス)による酸産生を阻害する。
[実施例1]
ロシア属の細菌はストレプトコッカス・ミュータンスによる酸産生を阻害する
S.ミュータンスは主要なう蝕原性病原体であり、大量の酸の産生によって歯の破壊を引き起こす。S.ミュータンスと他の共生口腔細菌種の間の相互作用を調べるため、調査を行った。R.デントカリオーサ、R.ムシラギノーサ、及びR.アエリアを含むいくつかの口腔ロシア属種が、S.ミュータンスUA140又はUA159による酸産生を、その増殖に有意な影響を与えることなく阻害したことが見出された。具体的には、ロシア属の3種類の株(フォーサイス・インスティテュート株コレクション(Forsyth Institute strain collection)によるR.デントカリオーサATCC 17931、R.ムシラギノーサATCC 25296及びR.アエリアF0183)、及びS.ミュータンスの2種類のATCC株(S.ミュータンスUA140及びS.ミュータンスUA159)の培養物を培養した。図1Bに示すように、pH指示薬であるフェノールレッドを含むプレート上で、ロシア属種終夜培養物の液滴10μl(約10細胞)をS.ミュータンス終夜培養物の液滴10μl(約10細胞)のすぐ隣に置いた。この指示薬は、酸の存在下でピンク色から黄色に変化する。対照であるS.ミュータンス培養物単独の液滴10μlでは、酸産生によって寒天の色がピンク色から黄色へと変化した(図1A)。興味深いことに、S.ミュータンスがロシア属種と隣り合って増殖した場合、S.ミュータンスの周囲の寒天の色は黄色に変色することなく、ピンク色のままであった。その一方で、ロシア属種のごく近傍にあるS.ミュータンスのコロニーは、明白な増殖阻害のない単独で増殖するS.ミュータンスに比べ、正常に増殖した。これらのデータは、ロシア属種の存在によってS.ミュータンスの酸産生は阻害されたが、その増殖は阻害されなかったことを示唆した(図1B)。
[実施例2]
さらなる調査
ロシア属種及びS.ミュータンスの臨床分離株を単離して、さらなる調査を行う。これらの調査は、臨床ロシア属株を培地中及び哺乳動物細胞培養物中でATCC S.ミュータンス株と共に増殖させた場合に、臨床ロシア属株がATCC S.ミュータンス株の酸産生を阻害することができるかどうかを試験することを含む。また、臨床ロシア属を培地中、あるいは哺乳動物細胞の存在下で同じプラーク試料から単離されたS.ミュータンス株と共に増殖させた場合に、臨床ロシア属株がそれらのS.ミュータンス株の酸産生を阻害することができるかどうかも試験する。さらに、混合種培養物(2種類以上の株からなる)であるロシア属株を培地中、あるいは哺乳動物細胞又は歯表面の存在下でS.ミュータンス(ATCC及び臨床株)と共に増殖させた場合に、ロシア属株がそれらのS.ミュータンスによる酸産生を阻害することができるかどうかを試験する。さらにまた、S.ミュータンスと混合したロシア属の存在下で歯の全体、一部、又は切片を含むヒトの歯の試料をインキュベートすることにより、ロシア属種がS.ミュータンスによる虫歯(tooth decay)を阻害することができるかどうかを試験する。ヒトの歯の試料には、脱落した乳歯である脱落歯が含まれる。永久歯及び抜去歯についても同試験を行う。さらに、ロシア属種が、S.ミュータンス以外の、類似の又は異なる酸産生経路を使用する酸産生細菌種の酸産生を阻害することができるかどうかを試験した。最後に、S.ミュータンス酸産生に対するロシア属種媒介性阻害の詳細な分子的機序について調べた。
[実施例3]
近接阻害の構成
プロトコル:近接阻害の構成を図2Aに示す。ロシア属及びS.ミュータンスの細胞を、好気的振盪条件又は好気的+5%CO条件の各々にて、37℃で終夜増殖させた。細胞培養物の光学濃度を測定し、新しいBHI(ブレインハートインフュージョン培地)液体培地中にOD6000.5となるまで希釈した。pH指示薬であるフェノールレッドを加えたBHI寒天(1.5%寒天を含むことで固化する、BHI培地)プレート上に、20μLの各培養物を単独で、あるいは互いに隣接するが触れないように、スポット状に配置した。フェノールレッドは、寒天プレートのpHに応じて色を変えるpH指示薬である。その色は低いpH(<6)では黄色であり、高いpH(>7)では赤色である。フェノールレッドは、酸産生があったことを即座に視覚的に示す働きをする。このアッセイは一般に、寒天プレート上の細菌コロニーのpHを定量化するために用いられる。
[実施例4]
ロシア属はSmと隣接して増殖させた場合にSmによる酸産生を有意に阻害した
目的:単独で増殖させたS.ミュータンスのコロニーとロシア属由来の細菌の種に隣接して増殖させたS.ミュータンスのコロニーの、局所的なpHの差を定量化する。
プロトコル:Rd(ロシア・デントカリオーサ)及びSm(S.ミュータンス)(図2B~2C)、Rm(ロシア・ムシラギノーサ)及びSm(図2D~2E)、又はRa(ロシア・アエリア)及びSm(図2F~2G)の細胞を、好気的振盪条件又は好気的+5% CO条件の各々にて、37℃で終夜増殖させた。細胞培養物の光学濃度を測定し、新しいBHI液体培地中にOD6000.5となるまで希釈した。pH指示薬であるフェノールレッドを加えたBHI寒天プレート上に、20μLの各培養物を単独で、あるいは互いに隣接して、スポット状に配置した。20μLをプレート上にスポット状に配置した後、これらを再び好気的+5%CO条件で終夜インキュベートした。各スポットの局所的なpHを、平底pHプローブを使用してスポットの中央で測定した。図2Aを参照のこと。実験は3回行い、エラーバーは標準偏差を示し、スチューデントT検定を使用して統計的有意性を決定した。
結果:単独で増殖させたSmコロニーと比較して、ロシア属細胞のコロニーの隣で増殖させた場合に、Smのコロニーは有意に高いpHを有していた(図2B~2G)。
[実施例5]
軟寒天の構成
軟寒天の構成を図3Aに示す。
目的:阻害性細菌種とSmを物理的に離し、それらの増殖を時間的に離す。これにより、使用した各々の種がそれ自身の栄養源を有するように栄養及び競合が制御される。
プロトコル:フェノールレッドを加えたBHI寒天プレートの中央に0.22μmフィルターを置き、各種ロシア属種又は他の候補阻害生物の終夜培養物のOD600を測定する。細菌培養物をOD6000.5まで希釈し、これらをフィルター上に薄く延ばし、それぞれの増殖条件で終夜増殖させる。これにより、大きさが<.22μmの分子がフィルターを通って寒天中に移行することができるようにしつつ、細菌が寒天の表面に物理的に接触することが防がれた。終夜の増殖の後、菌体を有するフィルターを取り外し、200μLのOD6000.5 Smを含有するフェノールレッドを加えた4mLのBHI軟寒天(0.5%寒天)をプレートに重ね合わせる。BHI軟寒天(0.5%寒天を含むことで固化するが、細菌がその中に浸されている間は生存及び増殖が可能なBHI培地)中にSm細胞を浸し、プレートの表面をこれで覆うことで、Smを阻害性細菌から物理的にも時間的にも離すことができる。軟寒天が固化したら、好気的+5%CO条件にて、37℃で終夜これをインキュベートした。翌日、pH値をプレートの中央部及びプレートの側部より得た。
阻害生物をSmの重ね合せの前日にプレートの上のフィルター上で増殖させたため、ロシア属とSmは時間的に離された。細胞を半固体軟寒天中に浸し、したがってプレートに触れなかったため、ロシア属とSmは物理的に離された。また、阻害性細胞をフィルターの上で増殖させ、そのフィルターが取り除かれたときに一緒にすべての細胞が除去されたため、ロシア属とSmは物理的に離された。中央部の測定値は、Smを阻害性細菌と同じ場所で増殖させた場合のpHを表し、側部の測定値は、Smを他の細菌の非存在下で増殖させた場合のpHを表す。
[実施例6]
3種類のロシア属のすべてが物理的又は時間的な接触なしでUA140及びUA159における酸産生を阻害した
プロトコル:フェノールレッドを加えたBHI寒天プレートの中央に.22μmフィルターを置き、各種ロシア属種又は他の候補阻害生物の終夜培養物のOD600を測定する。細菌培養物をOD6000.5まで希釈し、これらをフィルター上に薄く延ばし、それぞれの増殖条件で終夜増殖させる。これにより、細菌が寒天の表面に物理的に接触することが防がれた。終夜の増殖の後、菌体を有するフィルターを取り外し、200μLのOD6000.5 Smを含有するフェノールレッドを加えた4mLのBHI軟寒天(0.5%寒天)をプレートに重ね合わせる。BHI軟寒天にSm細胞を浸し、プレートの表面をこれで覆うことで、Smを阻害性細菌から物理的にも時間的にも離した。軟寒天が固化したら、好気的+5%CO条件にて、37℃で終夜これをインキュベートした。翌日、pH値をプレートの中央部及びプレートの側部より得た。実験は3回行った。エラーバーは標準偏差を示し、スチューデントT検定を使用して統計的有意性を決定した。
結果:このように、ロシア属はSm UA140及びUA159のいずれの酸産生も阻害することができた(図3B及び3C)。
[実施例7]
Rdは非Sm口腔酸産生生物における酸産生を阻害することができる
目的:この実験は、Rdが他の口腔酸産生細菌の酸産生を阻害することができるか、それともこれがSmに特有の相互作用なのかを示す。
プロトコル:フェノールレッドを加えたBHI寒天プレートの中央に.22μmフィルターを置き、各種ロシア属種又は他の候補阻害生物の終夜培養物のOD600を測定する。細菌培養物をOD6000.5まで希釈し、これらをフィルター上に薄く延ばし、それぞれの増殖条件で終夜増殖させる。これにより、大きさが<.22μmの分子がフィルターを通って寒天中に移行することができるようにしつつ、細菌が寒天の表面に物理的に接触することが防がれた。終夜の増殖の後、菌体を有するフィルターを取り外し、BHI中のRd、ストレプトコッカス・インファンティス、ストレプトコッカス・サングイニスSK36、ストレプトコッカス・ソブリナス、及びラクトバチルス・ファーメンタムの細胞を終夜増殖させる。Rd及びL.ファーメンタムは、好気的条件にて37℃で増殖させた。S.インファンティス、S.サングイニスSK36、及びS.ソブリナスは、微好気的(2%O、5%CO、残部は窒素)にて37℃で増殖させた。フェノールレッドを加えたBHI寒天プレートの中央に.22μmフィルターを置き、各種ロシア属種又は非Sm酸産生細菌の終夜培養物のOD600を測定する。軟寒天が固化したら、好気的+5%CO条件にて、37℃で終夜これをインキュベートした。翌日、pH値をプレートの中央部及びプレートの側部より得た。実験は3回行った。エラーバーは標準偏差を示し、スチューデントT検定を使用して統計的有意性を決定した。
結果:Rdは、Sm以外の口腔細菌の酸産生を阻害した(図3D)。Smとの相互作用と同様に、Rdは、ストレプトコッカス・インファンティス、ストレプトコッカス・サングイニスSK36、ストレプトコッカス・ソブリナス、及びラクトバチルス・ファーメンタムの酸産生を阻害した。こうしたデータはこれがロシア属とSmの間の特有の現象ではないことを意味しているが、このような酸産生の阻害を引き起こす機序は異なっている可能性がある。
[実施例8]
ロシア属によるSm酸産生の阻害は低い開始pH(6.16)によって防がれない
目的:低いpHがロシア属が持つSmの酸産生を阻害する能力に影響を及ぼすかどうかを検討する。
プロトコル:フェノールレッドを加えたBHI寒天プレートの中央に.22μmフィルターを置き、各種ロシア属種又は他の候補阻害生物の終夜培養物のOD600を測定する。細菌培養物をOD6000.5まで希釈し、これらをフィルター上に薄く延ばし、それぞれの増殖条件で終夜増殖させる。これにより、大きさが<.22μmの分子がフィルターを通って寒天中に移行することができるようにしつつ、細菌が寒天の表面に物理的に接触することが防がれた。終夜の増殖の後、菌体を有するフィルターを取り外し、200μLのOD6000.5 Smを含有するフェノールレッドを加えた4mLのBHI軟寒天(0.5%寒天)をプレートに重ね合わせる。BHI軟寒天にSm細胞を浸し、プレートの表面をこれで覆うことで、Smを阻害性細菌から物理的にも時間的にも離した。軟寒天が固化したら、好気的+5%CO条件にて、37℃で終夜これをインキュベートした。翌日、pH値をプレートの中央部及びプレートの側部より得た。ロシア属を増殖させておらず、Smのみが軟寒天中に浸されたプレートを対照(Ctrl)とした。実験は3回行った。エラーバーは標準偏差を示し、スチューデントT検定を使用して統計的有意性を決定した。
結果:プレートの開始pHが通常のプレートのpH(約7.4)より低い場合であっても、3種のロシア属種のすべてがS.ミュータンスの酸産生を有意に阻害した(図3E)。このことは、局所的なpHはロシア属が持つ酸産生を阻害する能力に影響せず、したがってpH変化に影響しないことを意味している。
[実施例9]
時差式接種(Staggered inoculation)の構成
時差式接種の構成を図3Eに示す。
目的:阻害性細菌とSmの間の増殖の競合が酸産生の阻害に影響したかどうかを決定する。
プロトコル:ロシア属の細胞を好気的振盪条件にて37℃で終夜増殖させ、他方、Fn(フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum))及びVa(ベイロネラ・アティピカ(Veillonella atypica))を嫌気的条件にて37℃で終夜増殖させた。Fnはコロンビアブロス中で、VaはBHI中で増殖させた。細胞培養物の光学濃度を測定し、新しいBHI培地中にOD6000.5となるまで希釈した。20μLの各培養物を、フェノールレッドを加えたBHI寒天プレート上の2つの場所にスポット状に配置した。各スポットを乾燥し、次いでそれぞれの増殖条件下に終夜置いた。翌日、この手順をSmを用いて繰り返した。Smの細胞を、好気的+5%CO条件にて37℃で終夜増殖させ、翌日、新しいBHI培地中にOD6000.5となるまで希釈した。20μLの希釈したSmを、プレート上の2つの場所にスポット状に配置した。一方は単独で、もう一方は阻害生物である細菌種のスポットの一つと隣接して配置した。各プレートを乾燥し、好気的+5%CO条件にて37℃で終夜インキュベートし、Sm単独及びSm共培養コロニー(「Co-Sm」)のpHを、平底pHプローブを使用して測定した。
[実施例10]
3つの種のすべてがSm UA140における酸産生を有意に阻害した
目的:阻害性細菌とSmの間の増殖の競合が酸産生の阻害に影響したかどうかを決定する。
プロトコル:ロシア属の細胞を好気的振盪条件にて37℃で終夜増殖させた。細胞培養物の光学濃度を測定し、新しいBHI培地中にOD6000.5となるまで希釈した。20μLの各培養物を、フェノールレッドを加えたBHI寒天プレート上の2つの場所にスポット状に配置した。各スポットを乾燥し、次いでそれぞれの増殖条件下に終夜置いた。翌日、この手順をSmを用いて繰り返した。Smの細胞を、好気的+5%CO条件にて37℃で終夜増殖させ、翌日、新しいBHI培地中にOD6000.5となるまで希釈した。20μLの希釈したSmを、プレート上の2つの場所にスポット状に配置した。一方は単独で、もう一方は阻害生物である細菌種のスポットの一つと隣接して配置した。各プレートを乾燥し、好気的+5%CO条件にて37℃で終夜インキュベートし、Sm単独及びSm共培養コロニー(「Co-Sm」)のpHを、平底pHプローブを使用して測定した。実験は3回行った。エラーバーは標準偏差を示し、スチューデントT検定を使用して統計的有意性を決定した。
結果:Rd属種は、Sm UA140における酸産生を有意に阻害した(図4B)。このことは、酸阻害は阻害性細菌とSmの間の増殖の競合に起因するのではないことを意味する。このことはまた、RdはSmの酸産生を阻害することができ、Smに対する相加的な群集効果(additive community effect)をもたらすことも意味する。
[実施例11]
RdはSm UA140の酸産生を阻害した
目的:時差式接種データから得られるデータを検討して、Rdが持つ酸産生を阻害する能力に有意差があるかどうかを決定する。
プロトコル:各々の阻害性細菌試験について、Sm共培養物からSm単独培養物のpH値を差し引き、中央部及び側部の全ペアでの平均pH差を決定する。エラーバーは標準偏差を示し、スチューデントT検定を使用して統計的有意性を決定した。
結果:これらの結果は、RdがSm UA140の酸産生を阻害したことを示す。
[実施例12]
他の観測
3種のロシア属種のすべてが、M9最小塩類培地、BHI培地、及び口腔ロシア属種選択培地(ORSM)(O. Tsuzukibashi et al. (2017) 134:21-26)中で増殖し生残することがきる。
S.ミュータンスUA140は、共培養(Sm+ロシア属)で増殖させた場合、3種のロシア属種のいずれにも増殖で勝り/競合で勝った。
参照による援用
本明細書で言及されたすべての出版物及び特許出願は、個々の出版物又は特許出願それぞれが具体的及び個別に参照により援用されるように示されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に援用される。矛盾がある場合、本明細書中のあらゆる定義を含めて、本出願が優先するものとする。
等価物
当業者は、本明細書に記載された本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するはずであり、又は、通常行われる実験を用いるだけでそれらを確かめることができるはずである。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。

Claims (52)

  1. ロシア・デントカリオーサ種の細菌、ロシア・アエリア種の細菌、又はこれらの組合せを含む治療有効量の細菌組成物を対象に投与することを含む、対象におけるう蝕を予防する方法。
  2. 細菌組成物が、う蝕原性細菌による酸産生を阻害することによってう蝕を予防する、請求項1に記載の方法。
  3. 細菌組成物がう蝕原性細菌の増殖を阻害しない、請求項1又は2に記載の方法。
  4. う蝕原性細菌が、ストレプトコッカス・ミュータンス種、ストレプトコッカス・インファンティス種、ストレプトコッカス・サングイニスSK36種、又はストレプトコッカス・ソブリナス種の細菌である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ストレプトコッカス・ミュータンス種の細菌が、ATCC UA140株又はATCC UA159株の細菌である、請求項4に記載の方法。
  6. う蝕原性細菌がラクトバチルス属の細菌である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  7. ラクトバチルス属の細菌が、ラクトバチルス・ファーメンタム種及びラクトバチルス・サリバリウス種の細菌である、請求項6に記載の方法。
  8. 対象がう蝕を発生するリスクを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. ロシア・デントカリオーサ種の細菌、ロシア・アエリア種の細菌、又はこれらの組合せを含む治療有効量の細菌組成物を対象に投与することを含む、対象におけるう蝕を処置する又はその重症度を低減する方法。
  10. 細菌組成物が、う蝕原性細菌による酸産生を阻害することによってう蝕を処置する又はその重症度を低減する、請求項9に記載の方法。
  11. 細菌組成物がう蝕原性細菌の増殖を阻害しない、請求項9又は10に記載の方法。
  12. う蝕原性細菌が、ストレプトコッカス・ミュータンス種、ストレプトコッカス・インファンティス種、ストレプトコッカス・サングイニスSK36種、又はストレプトコッカス・ソブリナス種の細菌である、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. ストレプトコッカス・ミュータンス種の細菌が、ATCC UA140株又はATCC UA159株の細菌である、請求項12に記載の方法。
  14. う蝕原性細菌がラクトバチルス属の細菌である、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
  15. ラクトバチルス属の細菌が、ラクトバチルス・ファーメンタム種及びラクトバチルス・サリバリウス種の細菌である、請求項14に記載の方法。
  16. 細菌組成物中の細菌の少なくとも50%が、ロシア・デントカリオーサ種、ロシア・アエリア種、又はこれらの組合せの細菌である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 細菌組成物中の細菌の少なくとも90%が、ロシア・デントカリオーサ種、ロシア・アエリア種、又はこれらの組合せの細菌である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 細菌組成物中の細菌の実質的にすべてが、ロシア・デントカリオーサ種、ロシア・アエリア種、又はこれらの組合せの細菌である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 細菌組成物が、少なくとも1×10コロニー形成単位(CFU)のロシア・デントカリオーサ種、ロシア・アエリア種、又はこれらの組合せの細菌を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  20. ロシア属の細菌を含む細菌組成物を対象に投与することを含む、対象におけるう蝕原性細菌による酸産生を阻害する方法。
  21. 細菌組成物が、ロシア・デントカリオーサ種の細菌、ロシア・アエリアの細菌、及びロシア・ムシラギノーサの細菌から選択される少なくとも1種の細菌を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 細菌組成物がう蝕原性細菌の増殖を阻害しない、請求項20又は21に記載の方法。
  23. う蝕原性細菌が、ストレプトコッカス・ミュータンス種、ストレプトコッカス・インファンティス種、ストレプトコッカス・サングイニスSK36種、又はストレプトコッカス・ソブリナス種の細菌である、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. ストレプトコッカス・ミュータンス種の細菌が、ATCC UA140株又はATCC UA159株の細菌である、請求項23に記載の方法。
  25. う蝕原性細菌がラクトバチルス属の細菌である、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
  26. ラクトバチルス属の細菌が、ラクトバチルス・ファーメンタム種及びラクトバチルス・サリバリウス種の細菌である、請求項25に記載の方法。
  27. 対象がう蝕の発生するリスクを有する、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 細菌組成物が対象におけるう蝕を予防する、請求項20から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 対象がう蝕に罹患している、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
  30. 細菌組成物が対象におけるう蝕を処置するはその重症度を低減する、請求項29に記載の方法。
  31. 細菌組成物中の細菌の少なくとも50%がロシア属の細菌である、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 細菌組成物中の細菌の少なくとも90%がロシア属の細菌である、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 細菌組成物中の細菌の実質的にすべてがロシア属の細菌である、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 細菌組成物が、少なくとも1×10コロニー形成単位(CFU)のロシア属の細菌を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
  35. 細菌組成物が経口投与される、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 細菌組成物が2回以上の用量で投与される、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 対象への2回以上の用量での投与が少なくとも1日隔てられている、請求項36に記載の方法。
  38. 2回以上の用量での投与が少なくとも1週間隔てられている、請求項37に記載の方法。
  39. 細菌組成物が生きた細菌を含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 細菌組成物が弱毒化された細菌を含む、請求項39に記載の方法。
  41. 細菌組成物が死滅した細菌を含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
  42. う蝕を予防する、処置する、及び/又はその重症度を低減する第2の治療薬を対象に投与することをさらに含む、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 第2の治療薬が、う蝕原性細菌の増殖を阻害する第2の細菌組成物を対象に投与することを含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
  44. う蝕原性細菌が、ストレプトコッカス・ミュータンス種、ストレプトコッカス・インファンティス種、ストレプトコッカス・サングイニスSK36種、又はストレプトコッカス・ソブリナス種の細菌である、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
  45. う蝕原性細菌がラクトバチルス属の細菌である、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
  46. ラクトバチルス属の細菌が、ラクトバチルス・ファーメンタム種及びラクトバチルス・サリバリウス種の細菌である、請求項45に記載の方法。
  47. プレバイオティクスを対象に投与することをさらに含む、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
  48. プレバイオティクスが、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マンノオリゴ糖、マルトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、ラクツロース、ラクトスクロース、パラチノース、グリコシルスクロース、グアーガム、アラビアゴム、タガロース、アミロース、アミロペクチン、ペクチン、キシラン、又はシクロデキストリンである、請求項47に記載の方法。
  49. 対象が哺乳動物である、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 哺乳動物が、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ロバ、ヤギ、ラクダ、マウス、ラット、モルモット、ヒツジ、ラマ、サル、ゴリラ、チンパンジー又はヒトからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
  51. 哺乳動物がヒトである、請求項50に記載の方法。
  52. ヒトが子供である、請求項51に記載の方法。
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