JP2023513741A - マンナナーゼバリアント - Google Patents

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Abstract

配列番号2又は配列番号3と少なくとも75%同一のマンナナーゼ、マンナナーゼをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含む発現構築物、及びポリヌクレオチド又は発現構築物を含む宿主細胞。【選択図】なし

Description

本発明は、マンナナーゼ酵素のバリアントに関するものである。このバリアントは、マンナンの分解又は改変が望ましい産業用途、例えば、洗濯及び清浄用途、飼料、食品、紙・パルプ及び石油産業において有用である。本発明はまた、有用なマンナナーゼ酵素、これらの酵素をコードするポリヌクレオチド、酵素組成物並びにそれらの製造方法及び使用方法を提供する。
ヘミセルロース及びガラクトマンナンの主な役割は、構造多糖類及び/又は予備エネルギーとして機能することである。植物における最も広範に存在する貯蔵多糖類であるアミロース及びアミロペクチンに加えて、多様な群のマンナンをベースとする多糖類が、種々の植物の種子、根、鱗茎及び塊茎に存在する。これらは、マンナン、ガラクトマンナン及びグルコマンナンを含む。
マンナンは、β-1,4連結されたD-マンノピラノシル残基の主鎖を有する多糖類である。ほとんどの場合、マンナンは水に非常に不溶性であるが、高い水結合能を有する。非置換マンナンとは異なり、ガラクトマンナンは水溶性である。植物細胞壁の構造組成は複雑であるため、腐りかけの植物材料上に繁殖する微生物は、これらの高重合性でほとんど不溶性の材料を加水分解できるいくつかの異なる酵素を保持しなければならない。ヘミセルロースの分解に関与する2つの主要なエンド作用酵素は、ベータ-マンナナーゼ及びベータ-キシラナーゼである。加えて、ガラクトグルコマンナンの完全な分解には、エキソ作用酵素であるベータ-マンノシダーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ及びベータ-グルコシダーゼが必要である。
マンナン主鎖の分解に関与する主な酵素タイプは、マンナン主鎖中の内部グリコシド結合を加水分解するエンド-1,4-ベータ-マンナナーゼ(EC 3.2.1.78)である。エンド-1,4-β-マンナナーゼ(EC 3.2.1.78)は、マンナン分解酵素であり、本明細書中ではエンド-β-1,4-D-マンナナーゼ、β-マンナナーゼ又はマンナナーゼとも称することもある。エンド-1,4-ベータ-マンナナーゼ(EC 3.2.1.78)はマンナン主鎖を分解するので、マンナン分解は、マンナン、ガラクトマンナン及び/又はグルコマンナンの分解を含む。
マンナナーゼ酵素の使用は、食品及び飼料用途、洗剤並びに紙・パルプ産業において広範にわたる:
・ マンナンは腸内容物の粘度に寄与する因子であり、それにより飼料の消化率及び動物の成長速度に悪影響を与えるので、飼料添加物としてのマンナナーゼ酵素の使用は、いくつかの有益な効果を提供することが示されている。
・ 食品産業において、マンナナーゼ酵素はインスタントコーヒーの製造における使用に関して記載されており、この酵素はコーヒーマンナンの加水分解によりコーヒー抽出物の粘度を低下させる。さらに、マンナナーゼは、機能性食品成分として注目されている特定のマンノオリゴマー、例えば、プレバイオティクス機能を有するマンノオリゴマーを製造するために使用される。このような用途において、植物由来マンノポリマーがマンナナーゼによる加水分解に供される。
・ マンナナーゼは粘度を低下させ、濾過速度、安定性を改善し、果実成分を抽出するのに役立つので、果汁の加工及び製造にマンナナーゼを使用することは一般的である。
・ 洗剤使用: マンナナーゼは、安定剤、乳化剤及び増稠剤のようなマンナン含有添加剤を含むことが多い食品及び化粧品由来の染み/汚れの除去を容易にする。より具体的な清浄用途では、マンナナーゼは、製薬設備のような、微生物を含まないことが求められる表面又は管からバイオフィルムを除去するために適用される。この用途では、マンナナーゼは、洗剤並びにカルボヒドラーゼ及びプロテアーゼのような他の酵素と組み合わせてよく使用される。
・ 紙・パルプ: マンナナーゼは、製紙用パルプの酵素補助漂白に使用される。マンナナーゼはキシラナーゼ(xylananse)の作用を補完すると言われている。
・ マンナナーゼは、水圧破砕による油及びガス井刺激のプロセスにおいて適用される。マンナナーゼは、このプロセスにおいて適用されるグアー溶液の粘度を低下させる。
・ マンナナーゼは、架橋ガラクトマンナンから構成されるマトリックスからの薬物又は他の材料の制御放出に使用される。
適用条件下での活性は、多くの工業的に適用される酵素にとって重要なパラメーターである。なぜなら、これらの酵素は多くの場合、適用条件下で活性が不十分である傾向があるからである。したがって、本発明の目的は、発酵による酵素の産生時における改善された安定性を有するマンナナーゼバリアントを見出し、非分解酵素産物の収率の改善を達成することであった。このようなバリアントは、本明細書中において「分解に対して安定」と称する場合がある。
一実施形態において、本発明のマンナナーゼバリアントは、産生時に非分解産物の収率の改善を、使用時により良好な性能を提供する。
一態様において、本発明は、発酵中に安定であり、それによって十分な酵素活性を有する酵素のより高い収率をもたらす、マンナナーゼを提供する。マンナナーゼは、配列番号2と少なくとも75%同一であり、好ましくは配列番号2の31~490位による配列と少なくとも75%同一である。配列番号2の31~490位による配列は、配列番号3に等しい。
一態様において、本発明は、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
一態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチド配列を含むベクターを提供する。
一態様において、本発明は、宿主細胞が本発明による少なくとも1種の組換えマンナナーゼバリアントを発現することを可能にする本発明のポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞を提供する。
一態様において、本発明は、ポリヌクレオチドを発現させる方法であって、
(a)本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築物を宿主細胞に導入することによって、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む異種核酸構築物を含む宿主細胞を提供するステップ、
(b)ポリヌクレオチドの発現に対して伝導性(conductive)の条件下でステップ(a)の組換え宿主細胞を培養するステップ、及び
(c)場合により、ポリヌクレオチドによってコードされる目的のタンパク質を回収するステップ
を含む、方法を提供する。
本発明の一態様において、本発明によるマンナナーゼバリアントは、1種類の酵素又は酵素の混合物を含む液体配合物、例えば、液体洗剤配合物への柔軟な配合を可能にする酵素調製物内に提供される。「~に配合する」とは、酵素調製物を液体配合物に添加することを意味する。
酵素調製物は、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、エステラーゼ、フィターゼ、DNAse、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチン分解酵素、カルボヒドラーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キサンタナーゼ、キシログルカナーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される他の酵素(複数可)を、含まれる酵素を安定化させる化合物、例えば、酵素安定剤、及び調製物を安定化させる化合物、例えば、保存剤からなる群から選択される好適な添加剤と共に、さらに含み得る。
配列
本明細書中で使用する配列は、次の通りである:
配列番号1 配列番号2による親マンナナーゼをコードするポリヌクレオチド配列:
Figure 2023513741000001
配列番号2 1文字コードでの親マンナナーゼ(シグナル配列を含む490AA):
Figure 2023513741000002
配列番号3 1文字コードでのリンカー及びCBD(炭水化物ドメイン)を含む成熟親マンナナーゼ:
Figure 2023513741000003
発明の詳細な説明:
本明細書中及び特許請求の範囲において使用される「a」又は「an」は、それが使用される文脈に応じて、1つ以上(「少なくとも1つ」の意味で)を意味し得ることを理解すべきである。
さらに、「少なくとも」という用語は、その用語が言及する項目又はパラメーターが一方向には限定されているが、1つ以上の他の方向にはオープンエンドであることを意味することが、理解される。
以下において使用される「有する(have)」、「含む(comprise)」、「含有する(contain)」若しくは「含む(include)」という用語又はそれらのあらゆる文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、この文脈で記載される実在物中にこれらの用語によって導入される特徴以外にはさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。
「一実施形態において」又は同様な表現によって導入される特徴は、追加的な又は代替的な特徴であることが意図され、本発明の代替的実施形態を制限せず、本発明の範囲を制限せず、及びこのような方法で導入される特徴を本発明の他の追加的若しくは代替的又は非追加的若しくは代替的特徴と組み合わせる可能性を制限しない。「得る(may)」という用語は、本明細書中では好ましくは実施形態を包含する。
本明細書中で使用する「約」という用語は、前記用語の後に記載される任意の数に関して、技術的効果を達成できる間隔精度が存在することを意味する。したがって、本明細書中で言及される「約」は好ましくは、正確な数値又は前記正確な数値の前後±15%、好ましくは±10%、より好ましくは±5%又はさらにより好ましくは±3%の範囲を指す。
一般に、「酵素」は、基質に作用して基質を産物に変換する、触媒的に活性なタンパク質又はポリペプチドである。この反応は、本明細書中において酵素変換とも称し、典型的には、酵素の「活性部位」において行われる。酵素変換を行う酵素は、酵素的に活性である又は酵素活性を有する。本明細書中において「酵素」と称するポリペプチドはいずれも、触媒的に活性であるポリペプチドを意味する。
本発明によるマンナナーゼバリアントは、マンナン分解活性を有し、酵素クラスEC 3.2.1.78のものである。一実施形態において、マンナン分解活性は、少なくとも1種のガラクトマンナンの分解を意味する。好ましくは、少なくとも1種のガラクトマンナンは、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1及び/又は5:1のマンノース:ガラクトース比を特徴とする。
マンナン分解活性又はマンナナーゼ活性は、当技術分野において公知の標準的な試験手順に従って試験することができる。例えば、試験しようとするマンナナーゼを、0.2%のAZCLガラクトマンナン(カロブ)、すなわち、Megazyme社からI-AZGMAとして入手可能である、エンド-1,4-ベータ-D-マンナナーゼのアッセイ用の基質を含む寒天プレートに開けられた直径4mmの孔に適用することができる。(Megazymeのインターネットアドレス:http://www.megazyme.com/Purchase/index.html)。マンナン分解活性は、McCleary, B. V. (1978). Carbohydrate Research, 67(1), 213-221に開示されたようにして、液体アッセイにおいて、レマゾールブリリアントブルーで染色されたカロブガラクトマンナンを使用して試験することができる。マンナン分解活性を試験する別の方法は、基質、例えば、グアーガム又はローカストビーンガムと一緒にインキュベートする場合の還元糖の検出を使用する-参考のため、Miller, G. L. Use of Dinitrosalicylic Acid Reagent for Determination of Reducing Sugars. Analytical Chemistry 1959; 31: 426-428を参照のこと。
酵素は、通常、ポリペプチド配列(本明細書中では、アミノ酸配列とも称する)によって特定されるポリペプチドである。ポリペプチド配列は、本開示に添付される配列表中の、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)に従って提供される配列番号によって特定され得、これは、本明細書中におけるアミノ酸が、最初の文字を大文字とする3文字のコード又は対応する1文字を使用して表されることを意味する。
ポリペプチドは通常、ポリヌクレオチドによってコードされる。ポリヌクレオチドは通常、ポリヌクレオチド配列によって、及び本開示に添付される配列表中の、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)に従って提供される配列番号によって特定される。
「親」ポリペプチドアミノ酸配列は、配列に突然変異の導入(例えば、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、欠失又はそれらの組合せを導入することによる)して親ポリペプチドアミノ酸配列の「バリアント」をもたらすための開始配列である。親としては、(さらなる)変化の導入のための開始配列として使用される、野生型ポリペプチドアミノ酸配列又は合成的に生成されたポリペプチドアミノ酸配列が挙げられる。
本発明のマンナナーゼバリアントの親ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号3によるポリペプチド配列を有し得る。本発明の一態様において、親ポリペプチドは、配列番号2の31~490位による配列を有する。配列番号2の31~490位による配列は、配列番号3に等しい。
「バリアントポリペプチド」とは、アミノ酸配列がその親とは異なる酵素を指す。
バリアントポリペプチド配列は、親配列と比較した場合のそれらの「配列同一性」によって定義され得る。「配列番号Xと少なくともx%同一の」酵素又はポリペプチドとは、配列番号Xによるポリペプチド配列と比較した場合にx%同一であるポリペプチド配列を有する酵素又はポリペプチドを意味し、配列番号Xは、本発明による配列を意味する。一実施形態において、配列番号Xは、配列番号2、配列番号3及び配列番号4から選択される。
「配列番号Yと少なくともy%同一の」ポリヌクレオチドとは、配列番号Yによるポリヌクレオチド配列と比較した場合にy%同一であるポリヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを意味し、配列番号Yは本明細書中では配列番号1に相当する。
配列同一性は通常、「配列同一性%」又は「同一性%」として示される。配列同一性の算出のためには、第1のステップで配列アラインメントを作成する必要がある。
本発明によれば、アラインメントは、Needleman及びWunschのアルゴリズム(J. Mol. Biol. (1979) 48, p. 443-45)を使用することによって作成する。好ましくは、プログラム「NEEDLE」(The European Molecular Biology Open Software Suite (EMBOSS))を、プログラムのデフォルトパラメーター(ポリヌクレオチド:gap open=10.0、gap extend=0.5及びmatrix=EDNAFULL;ポリペプチド:gap open=10.0、gap extend=0.5及びmatrix=EBLOSUM62)を使用して、本発明の目的のために使用する。
2つの配列のアラインメント後、第2のステップにおいて、作成したアラインメントから同一性値を決定する。
一実施形態において、同一性%は、同一残基の数を、本発明の各配列をその完全長にわたって示しているアラインメント領域の長さで除し、100を乗ずることによって算出する:同一性%=(同一残基/本発明の各配列をその完全長にわたって示しているアラインメント領域の長さ)×100。
ポリペプチド
本発明のポリペプチドは、配列番号2と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であり、ポリペプチドはマンナン分解活性を有する。本発明の一態様において、本発明によるマンナナーゼバリアントは、配列番号2の31~490位による配列又は配列番号3による配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であり、ポリペプチドはマンナン分解活性を有する。
本発明のマンナナーゼバリアントは、1つ以上の保存的置換をさらに含んでいてもよく、これは1つのアミノ酸が類似のアミノ酸で置換されていることを意味する。本発明による類似のアミノ酸は、以下のように定義する:
アミノ酸Aはアミノ酸Sと類似している;アミノ酸Dはアミノ酸E及びNと類似している;アミノ酸Eはアミノ酸D、K及びQと類似している;アミノ酸Fはアミノ酸W及びYと類似している;アミノ酸Hはアミノ酸N及びYと類似している;アミノ酸Iはアミノ酸L、M及びVと類似している;アミノ酸Kはアミノ酸E、Q及びRと類似している;アミノ酸Lはアミノ酸I、M及びVと類似している;アミノ酸Mはアミノ酸I、L及びVと類似している;アミノ酸Nはアミノ酸D、H及びSと類似している;アミノ酸Qはアミノ酸E、K及びRと類似している;アミノ酸Rはアミノ酸K及びQと類似している;アミノ酸Sはアミノ酸A、N及びTと類似している;アミノ酸Tはアミノ酸Sと類似している;アミノ酸Vはアミノ酸I、L及びMと類似している;アミノ酸Wはアミノ酸F及びYと類似している;アミノ酸Yはアミノ酸F、H及びWと類似している。
一実施形態において、本発明によるマンナナーゼバリアントは、「成熟ポリペプチド」であり、これは、あらゆる翻訳後修飾、グリコシル化、リン酸化、トランケーション、N-末端修飾、C-末端修飾、シグナル配列欠失を含む最終形態の酵素を意味する。成熟ポリペプチドは、発現系、ベクター、プロモーター及び/又は産生プロセスによって異なり得る。本発明による成熟マンナナーゼバリアントは、配列番号2の31~490位による配列と少なくとも75%同一であり得、又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一であり得る。
本発明は、N341、F346、T348、E349、S352、G356及びD379から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一のポリペプチドであって、番号付けが配列番号2によるものである、ポリペプチドを提供する。少なくとも1つのアミノ酸置換は、N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349T/S/G/D、S352N/G、G356Y/V/T/Q/H/C及びD379Vから選択され得る。
本発明の一態様において、本発明によるマンナナーゼバリアントは、以下の位置:T32、N37、F61、I80、Y90、T91、K99、S100、V125、L150、D179、S183、Y196、D206、D229、N258、I323、N345、V358、S370、N383、N384、Q423、F435、D459、N461、I463及びV482に1つ以上の保存的アミノ酸置換を含み、好ましくは以下の置換:T32S、N37S、F61Y、I80V、Y90W、T91S、K99R、S100N、V125I、L150I、D179N、S183N、Y196F、D206E、D229N、N258D、I323L、N345D、V358I、S370A、N383S、N384S、Q423K、F435Y、D459N、N461S、I463V及びV482Lの少なくとも1つから選択される保存的アミノ酸置換を含み、マンナナーゼバリアントは配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一であり、番号付けは配列番号2によるものである。本発明によるマンナナーゼバリアントは、T32S、T91S、K99R、S100N、V125I、D179N、S183N、Y196F、D206E、N258D、V358I、S370A、Q423K、D459N、N461S及びV482Lから選択される置換の組合せを含み得る。本発明によるマンナナーゼバリアントは、T32S、N37S、F61Y、I80V、Y90W、K99R、S100N、V125I、L150I、D179N、S183N、Y196F、D206E、D229N及びI323Lから選択される置換の組合せを含み得る。好ましくは、本発明によるマンナナーゼバリアントは、N37S、F61Y、I80V、Y90W、T91S、L150I、D229N、N258D、I323L、N345D、V358I、S370A、N383S、N384S、Q423K、F435Y、D459N、N461S、I463V及びV482Lから選択される1つ以上の保存的アミノ酸置換を含み、マンナナーゼバリアントは、配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一であり、番号付けは配列番号2によるものである。
一実施形態において、本発明によるマンナナーゼバリアントは、以下の位置:N39T、T45N、D64Q、S133D、E140S、S168D、A173V、Q202N、S305D、H332D、G335D、A360G、A365V、D372G、Q381N、S391Y、F398L、K433T、E438G、I449T及びK475Nに1つ以上のアミノ酸置換を含み、マンナナーゼバリアントは、配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一であり、番号付けは配列番号2によるものである。本発明によるマンナナーゼバリアントは、S133D、S168D、A173V、Q202N、S305D、H332D、G335D、A365V、D372G、Q381N、S391Y、E438G及びK475Nから選択される置換の組合せを含み得る。本発明によるマンナナーゼバリアントは、N39T、T45N、D64Q、S133D、E140S及びS168Dから選択される置換の組合せを含み得る。好ましくは、本発明によるマンナナーゼバリアントは、A360G及びI449Tから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含み、マンナナーゼバリアントは、配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一であり、番号付けは配列番号2によるものである。
一実施形態において、本発明によるマンナナーゼバリアントは、そのポリペプチド配列内に1つ以上の「保存アミノ酸領域」を含む。本明細書中における「保存アミノ酸領域」は、いくつかの連続するアミノ酸が変異していないことを特徴とし、連続するアミノ酸の数は3~10個、4~10個、5~10個、6個、7個、8個、9個又は10個である。1つ以上の保存アミノ酸領域は、G76-A77-N78-T79、R81-V83-L84、E115-V116-H117-D118、Y134-W135-I136、A154-N155-E156-W157、A191-G192-W193-G194-Q195、F218-S219-I220-H221-M222-Y223-E224-Y225-A226-G227、N236-I237-D238、I249-G250-E251-F252-G253、G259-D260-V261-D262-E263及びG276-W277-L278-A279-W280から選択することができ、番号付けは配列番号2によるものである。
本発明の一態様において、本発明によるマンナナーゼバリアントは、親酵素と比較した場合に改善された発酵安定性を有する。
本発明による発酵安定性は、発酵によって産生される、触媒ドメイン、リンカー及びCBDからなるマンナナーゼ酵素の、内因的にトランケートされたマンナナーゼ酵素に対する割合である。
本明細書中における、改善された発酵安定性とは、本発明によるマンナナーゼバリアントの発酵安定性が、親酵素と比較した場合に少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも2倍であることを意味する。
一実施形態において、発酵安定性とは、細菌宿主細胞、好ましくはバチルス属(Bacillus)の宿主細胞、より好ましくは枯草菌(Bacillus subtilis)の宿主細胞において発現される場合の発酵安定性を意味する。
一実施形態において、発酵安定性とは、35℃~45℃の範囲の発酵温度、好ましくは37℃の温度における発酵安定性を意味する。
一実施形態において、改善された発酵安定性を有するマンナナーゼバリアントは、配列番号2と少なくとも75%同一のポリペプチドであって、N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349T/S/G/D、S352N/G、G356Y/V/T/Q/H/C及びD379Vから選択される位置の少なくとも2つ以上にアミノ酸置換を有する、ポリペプチドであり、番号付けは配列番号2によるものである。一実施形態において、改善された発酵安定性を有するマンナナーゼは、配列番号2と少なくとも75%同一のポリペプチドであって、
(a)T348N/G、S352N及びD379Vから選択される位置の1つ以上のアミノ酸置換を、好ましくは、
(b)N341F、F346T、T348S/R/M、E349T/S/G/D、S352G及びG356Y/V/T/Q/H/Cから選択される1つ以上のアミノ酸置換と
組み合わせて有するポリペプチドであり、(b)で定義されるアミノ酸置換は、(a)で定義される対応する位置に置換が存在する場合には存在せず、番号付けは配列番号2によるものであり、ポリペプチドはマンナン分解活性を有する。
ポリヌクレオチド
本発明は、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドに関する。ポリヌクレオチドは、配列番号2と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一のポリペプチドをコードする。本発明の一態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号3による配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一のポリペプチドをコードする。本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一の配列を有し得る。
本発明によるポリヌクレオチドは、配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一の本発明によるマンナナーゼバリアントであって、N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349T/S/G/D、S352N/G、G356Y/V/T/Q/H/C及びD379Vから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、マンナナーゼバリアントをコードし、番号付けは配列番号2によるものである。
一実施形態において、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドは、以下の位置:T32S、N37S、F61Y、I80V、Y90W、T91S、K99R、S100N、V125I、L150I、D179N、S183N、Y196F、D206E、D229N、N258D、I323L、N345D、V358I、S370A、N383S、N384S、Q423K、F435Y、D459N、N461S、I463V及びV482Lにおける1つ以上の保存的アミノ酸置換をさらにコードし、マンナナーゼバリアントは、配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一であり、番号付けは配列番号2によるものである。本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドは、T32S、T91S、K99R、S100N、V125I、D179N、S183N、Y196F、D206E、N258D、V358I、S370A、Q423K、D459N、N461S及びV482Lから選択されるアミノ酸置換の組合せをコードし得る。本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドは、T32S、N37S、F61Y、I80V、Y90W、K99R、S100N、V125I、L150I、D179N、S183N、Y196F、D206E、D229N及びI323Lから選択される置換の組合せをコードし得る。好ましくは、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドは、N37S、F61Y、I80V、Y90W、T91S、L150I、D229N、N258D、I323L、N345D、V358I、S370A、N383S、N384S、Q423K、F435Y、D459N、N461S、I463V、V482Lから選択される1つ以上の保存的アミノ酸置換をコードし、マンナナーゼバリアントは、配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一であり、番号付けは配列番号2によるものである。
一実施形態において、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドは、以下の位置:N39T、T45N、D64Q、S133D、E140S、S168D、A173V、Q202N、S305D、H332D、G335D、A360G、A365V、D372G、Q381N、S391Y、F398L、K433T、E438G、I449T及びK475Nの1つ以上のアミノ酸置換をコードし、マンナナーゼバリアントは、配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一であり、番号付けは配列番号2によるものである。本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドは、S133D、S168D、A173V、Q202N、S305D、H332D、G335D、A365V、D372G、Q381N、S391Y、E438G及びK475Nから選択されるアミノ酸置換の組合せをコードし得る。本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドは、N39T、T45N、D64Q、S133D、E140S及びS168Dから選択される置換の組合せをコードし得る。好ましくは、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドは、A360G及びI449Tから選択される1つ以上のアミノ酸置換をコードし、マンナナーゼバリアントは、配列番号2又は配列番号3による配列と少なくとも75%同一であり、番号付けは配列番号2によるものである。
一実施形態において、本発明によるマンナナーゼバリアントは、そのポリペプチド配列内に1つ以上の保存アミノ酸領域を含む。本明細書中における保存アミノ酸領域は、いくつかの連続するアミノ酸が変異していないことを特徴とし、連続するアミノ酸の数は3~10個、4~10個、5~10個、6個、7個、8個、9個又は10個である。1つ以上の保存アミノ酸領域は、G76-A77-N78-T79、R81-V83-L84、E115-V116-H117-D118、Y134-W135-I136、A154-N155-E156-W157、A191-G192-W193-G194-Q195、F218-S219-I220-H221-M222-Y223-E224-Y225-A226-G227、N236-I237-D238、I249-G250-E251-F252-G253、G259-D260-V261-D262-E263及びG276-W277-L278-A279-W280から選択することができ、番号付けは配列番号2によるものである。
発酵安定性を改善する方法
本発明は、一態様において、N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349T/S/G/D、S352N/G、G356Y/V/T/Q/H/C及びD379Vから選択されるアミノ酸位置に1つ以上のアミノ酸置換を導入するステップによって、配列番号2又は配列番号3と少なくとも75%同一のマンナナーゼの発酵安定性を増大させる方法であって、番号付けが配列番号2によるものである、方法に関する。好ましくは、マンナナーゼバリアントの発酵安定性は、各親酵素と比較した場合に少なくとも約50%増大される。
一実施形態において、配列番号2又は配列番号3と少なくとも75%同一のマンナナーゼの発酵安定性を増大させる方法は、N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349T/S/G/D、S352N/G、G356Y/T/H/C及びD379Vから選択されるアミノ酸位置に1つ以上のアミノ酸置換を導入するステップを含み、番号付けは配列番号2によるものである。好ましくは、マンナナーゼバリアントの発酵安定性は、各親酵素と比較した場合に少なくとも100%増大される。
一実施形態において、配列番号2又は配列番号3と少なくとも75%同一のマンナナーゼの発酵安定性を増大させる方法は、N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349S/G/D、S352G、G356Y/T/C及びD379Vから選択されるアミノ酸位置に1つ以上のアミノ酸置換を導入するステップを含み、番号付けは配列番号2によるものである。好ましくは、マンナナーゼバリアントの発酵安定性は、各親酵素と比較した場合に少なくとも150%増大される。
一実施形態において、配列番号2又は配列番号3と少なくとも75%同一のマンナナーゼの発酵安定性を増大させる方法は、N341F、F346T、T348N/M/G、E349S/G/D、S352G及びD379Vから選択されるアミノ酸位置に1つ以上のアミノ酸置換を導入するステップを含み、番号付けは配列番号2によるものである。好ましくは、マンナナーゼバリアントの発酵安定性は、各親酵素と比較した場合に少なくとも200%増大される。
マンナナーゼの産生
本発明は、本発明によるマンナナーゼバリアントを産生させる方法であって、
(a)本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築物を宿主細胞に導入することによって、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む異種核酸構築物を含む宿主細胞を提供するステップ、
(b)ポリヌクレオチドの発現に対して伝導性の条件下でステップ(a)の組換え宿主細胞を培養するステップ、及び
(c)場合により、ポリヌクレオチドによってコードされる目的のタンパク質を回収するステップ
を含む、方法に言及する。
本発明はまた、本発明によるマンナナーゼバリアントを発現させる方法であって、
(a)本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築物を宿主細胞に導入することによって、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む異種核酸構築物を含む宿主細胞を提供するステップ、
(b)ポリヌクレオチドの発現に対して伝導性の条件下でステップ(a)の組換え宿主細胞を培養するステップ、及び
(c)場合により、ポリヌクレオチドによってコードされる目的のタンパク質を回収するステップ
を含む、方法に言及する。
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは「発現させる」ことができる。「発現」又は「遺伝子発現」という用語は、1つ以上の特定の遺伝子又は特定の核酸構築物の転写を意味する。「発現」又は「遺伝子発現」という用語は特に、構造RNA(例えば、rRNA、tRNA)又はmRNAへの1つ以上の遺伝子又は遺伝子構築物の転写を意味し、タンパク質への後者のその後の翻訳を伴う又は伴わない。このプロセスは、DNAの転写及び結果として生じるmRNA産物のプロセシングを含む。
本明細書中において、核酸構築物とは、天然に存在する遺伝子から単離された、又はそうでなければ自然界には存在しない様式で核酸のセグメントを含むように改変された、又は合成由来である、一本鎖又は二本鎖のいずれかの核酸分子であって、1以上の制御配列を含むものを意味する。「制御配列」という用語は、本発明のマンナナーゼをコードするポリヌクレオチドの発現に必要な核酸配列を意味する。各制御配列は、バリアントをコードするポリヌクレオチドにとってネイティブであっても外来性であってもよく、又は互いにネイティブであっても外来性であってもよい。このような制御配列としては、これらに限定するものではないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列及び転写ターミネーターが挙げられる。最低でも、制御配列はプロモーター並びに転写及び翻訳停止シグナルを含む。制御配列は、バリアントをコードするポリヌクレオチドのコード領域との制御配列のライゲーションを容易にする特定の制限部位を導入する目的で、リンカーを備えていてもよい。
酵素の工業生産は通常、発現系を使用することによって行われる。「発現系」とは、宿主微生物、発現宿主、宿主細胞、産生生物又は産生株を意味してもよく、これらの用語はそれぞれ、互換的に使用できる。一実施形態において、発現宿主は、細菌発現系、酵母発現系、真菌発現系及び合成発現系からなる群から選択される。発現宿主は野生型細胞又は組換え細胞であることができ、好ましくは組換え細胞である。本明細書中において、「野生型細胞」とは、ある特定の改変前の細胞を意味する。「組換え細胞」(本明細書中では「遺伝子改変細胞」とも称する)という用語は、それが由来した野生型と比較して、変更された、改変された又は異なる遺伝子型を示すように、遺伝的に変更、改変又は操作された細胞を指す。「組換え細胞」は、ある特定のタンパク質又は酵素をコードする外因性ポリヌクレオチドを含み得、したがって前記タンパク質又は酵素を発現し得る。
一実施形態において、本発明は、本明細書中に記載したマンナナーゼをコードするポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞を対象とする。宿主細胞は、原核生物及び真核生物を含むバリアントの組換え産生において有用な任意の細胞であり得る。
発現宿主の例としては、これらに限定するものではないが、以下が挙げられる:
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス属(Bacillus)、好ましくは枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)及びバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)から選択されるもの、シュードモナス属(Pseudomonas)、好ましくはシュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(コマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)としても公知である)、ミセリオフソラ・サーモフィラ(Myceliopthora thermophila)(C1)、サーモセロミセス・サーモフィラス(Themothelomyces thermophilus)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、トリコデルマ属(Trichoderma)、好ましくはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)並びにサッカロミセス属(Saccharomyces)、好ましくはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)。本発明によるマンナナーゼバリアントは、上に列挙した微生物に由来する宿主細胞を使用して産生させ得る。
一実施形態において、細菌発現系は、大腸菌(E.coli)、バチルス属、シュードモナス属及びストレプトミセス属(Streptomyces)から選択される。一実施形態において、酵母発現系は、カンジダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)、サッカロミセス属、及びシゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)から選択される。一実施形態において、真菌発現系は、ペニシリウム属(Penicillium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、フサリウム属(Fusarium)、ミセリオフソラ属(Myceliopthora)、リゾムコール属(Rhizomucor)、リゾプス属(Rhizopus)、サーモミセス属(Thermomyces)及びトリコデルマ属から選択される。
好ましくは、本発明の組換え宿主細胞は、以下を含むがこれらに限定されない、グラム陽性細菌である:バチルス属、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ゲオバチルス属(Geobacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、オセアノバチルス属(Oceanobacillus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)及びストレプトミセス属。より好ましくは、宿主細胞はバチルス属細胞であり、より好ましくは以下の群から選択されるものである:バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophius)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・ロータス(Bacillus Jautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌及びバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)。最も好ましくは、バチルス属細胞は、枯草菌、バチルス・プミルス、バチルス・リケニフォルミス及びバチルス・レンタスから選択される。一実施形態において、バチルス属細胞は、枯草菌細胞である。
本発明は、発酵産物を産生する発酵方法であって、
a)本発明による組換え宿主細胞を用意するステップ、及び
b)本発明のマンナナーゼをコードするポリヌクレオチドの発現を可能にする条件下で組換え宿主細胞を培養するステップ
を含む、方法を提供する。
ポリヌクレオチド及びポリペプチドの文脈における「異種」(又は外因性若しくは外来性若しくは組換え)という用語は、本明細書中では以下のように定義する:
(a)宿主細胞にとってネイティブでない;又は
(b)宿主細胞にとってネイティブであるが、構造改変、例えば、欠失、置換及び/又は挿入が、組換えDNA技術によって宿主細胞のDNAを操作してネイティブ配列を変更した結果として含まれる;又は
(c)宿主細胞にとってネイティブであるが、組換えDNA技術によって宿主細胞のDNAを操作した(例えば、より強力なプロモーター)結果として、発現が定量的に変更され、又は発現がネイティブ宿主細胞とは異なるゲノム位置から指示される。
好ましくは、本明細書中における「異種」とは、「宿主細胞にとってネイティブでない」を意味する。
本発明は、一態様において、配列番号2と少なくとも75%同一であり、N341、F346、T348、E349、S352、G356及びD379から選択される位置の1つ以上にアミノ酸置換を有する、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現する宿主細胞、好ましくはバチルス属(Bacillus)の宿主細胞であって、番号付けが配列番号2によるものであり、マンナナーゼが、親酵素と比較した場合に改善された発酵安定性を有する、宿主細胞に関する。少なくとも1つのアミノ酸置換は、N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349T/S/G/D、S352N/G、G356Y/V/T/Q/H/C及びD379Vから選択され得る。
一実施形態において、改善された発酵安定性を有する本発明によるマンナナーゼバリアントを発現する宿主細胞は、配列番号2と少なくとも75%同一のマンナナーゼバリアントであって、N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349T/S/G/D、S352N/G、G356Y/V/T/Q/H/C及びD379Vから選択される位置の少なくとも2つ以上にアミノ酸置換を有する、マンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含み、番号付けは配列番号2によるものである。一実施形態において、改善された発酵安定性を有するマンナナーゼは、配列番号2と少なくとも75%同一のポリペプチドであって、
(a)T348N/G、S352N、D379V及びそれらの組合せから選択される位置の1つ以上のアミノ酸置換を、好ましくは
(b)N341F、F346T、T348S/R/M、E349T/S/G/D、S352G及びG356Y/V/T/Q/H/Cから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換と
組み合わせて有するポリペプチドであり、(b)で定義されるアミノ酸置換は、(a)で定義される対応する位置に置換が存在する場合には存在せず、番号付けは配列番号2によるものであり、ポリペプチドはマンナン分解活性を有する。
一実施形態において、本発明は、本発明のマンナナーゼをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子構築物を対象とする。本明細書中で使用する「遺伝子構築物」又は「発現カセット」又は「発現構築物」は、発現させる本発明の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列から構成されるDNA分子であって、本明細書中に記載した1つ以上の制御配列に(少なくともプロモーターに)作動可能に(operably)連結されているものである。典型的には、発現カセットは、3つのエレメント:プロモーター配列、オープンリーディングフレーム、及び真核生物では通常、ポリアデニル化部位を含む3'非翻訳領域を含む。
さらなる調節エレメントとしては、転写及び翻訳エンハンサーを挙げることができる。また、イントロン配列を5'非翻訳領域(UTR)に又はコード配列中に付加して、サイトゾル中に蓄積する成熟メッセージの量を増大させてもよい。発現カセットはベクターの一部であってもよいし、又は宿主細胞のゲノムに組み込まれて、その宿主細胞のゲノムと一緒に複製されてもよい。発現カセットは通常、発現を増大又は減少させることができる。
本明細書中で使用する「ベクター」という用語は、別の細胞への移入のために又は所与の細胞内での安定発現又は一過性発現のために外来性ポリヌクレオチド配列を運搬するのに好適なあらゆる種類の構築物を含む。本明細書中で使用する「ベクター」という用語は、あらゆる種類のクローニングビヒクル、例えば、これらに限定されないが、プラスミド、ファージミド、ウイルスベクター(例えば、ファージ)、バクテリオファージ、バキュロウイルス、コスミド、フォスミド、人工染色体、又は目的の特定の宿主に特異的なあらゆる他のベクターを包含する。低コピー数又は高コピー数ベクターも含まれる。外来性ポリヌクレオチド配列は通常、本明細書中で「目的の遺伝子」と称され得るコード配列を含む。目的の遺伝子は、宿主細胞の起源の種類又は目的地の種類に応じて、イントロン及びエキソンを含み得る。
本明細書中で使用するベクターは、宿主細胞又は宿主細胞オルガネラへの形質転換時に外来性ポリヌクレオチドの転写及び翻訳のためのセグメントを提供し得る。このような追加的なセグメントとしては、調節ヌクレオチド配列、特定の細胞型におけるその維持及び/又は複製に必要な1つ以上の複製開始点、1種以上の選択可能なマーカー、ポリアデニル化シグナル、外来性コード配列の挿入に好適な部位、例えば、多重クローニング部位などが挙げられ得る。一例は、ベクターがエピソーム遺伝因子(例えば、プラスミド又はコスミド分子)として細菌細胞内に維持される必要がある場合である。好適な複製起点の非限定的な例としては、f1-ori及びcolE1が挙げられる。ベクターは、宿主細胞のゲノムに組み込まれることなく、例えば、細菌宿主細胞のプラスミドとして複製する、又はそのDNAの一部若しくは全てを宿主細胞のゲノムに組み込み、その結果としてそのDNAの複製及び発現を引き起こす。
外来性核酸は、クローニングによってベクターに導入し得る。クローニングとは、好適な手段及び方法(例えば、制限酵素)によるベクター(例えば、多重クローニング部位内)及び外来性ポリヌクレオチドの切断によって、前記外来性核酸とベクターとの制御された融合を可能にする個々の核酸内の適合する構造が創出され得ることを意味し得る。ベクターに導入されると、コード配列を含む外来性核酸は、宿主細胞又は宿主細胞オルガネラに導入(形質転換、形質導入、トランスフェクトなど)される。宿主細胞又は宿主細胞オルガネラにおける外来性ポリヌクレオチド配列の発現に好適なクローニングベクターが選択され得る。
本明細書中で言及する「導入」又は「形質転換」という用語は、移入に使用される方法に関係なく、外因性ポリヌクレオチドの宿主細胞への移入を包含する。すなわち、本明細書中で使用する「形質転換」という用語は、ベクター、シャトルシステム又は宿主細胞から独立しており、当技術分野で公知の形質転換のポリヌクレオチド移入方法(例えば、Sambrook, J. et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照のこと)に関するだけでなく、あらゆるさらなる種類のポリヌクレオチド移入方法、例えば、これらに限定するものではないが、形質導入又はトランスフェクションを包含する。器官形成又は胚形成のいずれによっても、その後のクローン繁殖が可能な植物組織は、遺伝子構築物で形質転換され、植物全体がそこから再生され得る。選択される特定の組織は、形質転換される特定の種に利用可能であり、かつそれに最も適したクローン繁殖系によって異なる。本発明の一実施形態において、ベクターは、宿主細胞の形質転換に使用される。
本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞、好ましくはバチルス宿主細胞に一過性に又は安定に導入することができ、組み込まれない状態で、例えば、プラスミドとして、維持することができる。「安定な形質転換」とは、形質転換された細胞又は細胞オルガネラが、外来性コード配列を含む核酸を次の世代の細胞又は細胞オルガネラに引き継ぐことを意味する。通常、安定な形質転換は、外来性コード配列を含む核酸が染色体に又はエピソーム(核DNAの別個の要素)として組み込まれることによる。「一過性形質転換」とは、いったん形質転換された細胞又は細胞オルガネラが、ある一定期間にわたって-大抵1つの世代内で外来性核酸配列を発現することを意味する。通常、一過性形質転換は、外来性核酸配列を含む核酸が染色体に又はエピソームとして組み込まれないことによる。或いは、それは宿主ゲノムに組み込まれる。
酵素は通常、発酵ブロスに由来することが多い液体濃縮物として産生される。本明細書中において、「液体酵素濃縮物」とは、少なくとも1種の酵素を含む、あらゆる、液体酵素を含む産物を意味する。酵素濃縮物の文脈において、「液体」は20℃及び101.3kPaにおける物理的外観に関連する。
液体酵素濃縮物は、溶媒への固体酵素の溶解によって生じ得る。溶媒は水及び有機溶媒から選択され得る。溶媒への固体酵素の溶解によって生じる液体酵素濃縮物は、飽和濃度までの量の酵素を含み得る。
本明細書中において、溶解とは、固体化合物が少なくとも1種の溶媒との接触によって液化されることを意味する。溶解は、指定された溶媒中で飽和濃度が達成されるまでの、相分離が起こらない、固体化合物の完全な溶解を意味する。
本発明の一態様において、酵素濃縮物は本質的に水を含まなくてもよく、このことは有意な量の水が存在しないことを意味する。本明細書中において、有意でない量の水とは、酵素濃縮物が、全て酵素濃縮物の総重量に対して、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満の水を含む又は水を全く含まないことを意味する。一実施形態において、水を含まない酵素濃縮物とは、酵素濃縮物が有意な量の水を含まず、酵素濃縮物の総重量に対して30~80重量%の量で有機溶媒を含むことを意味する。
水を含む液体酵素濃縮物は、「水性酵素濃縮物」と称することもある。一実施形態において、「水性酵素濃縮物」は、固体酵素産物が水に溶解されている、酵素を含む溶液である。一実施形態において、「水性酵素濃縮物」とは、発酵による酵素産生によって生じる、酵素を含む産物を意味する。
発酵とは、所望の酵素を発現する組換え細胞を、組換え宿主細胞が増殖し及び所望のタンパク質を発現することを可能にする好適な栄養培地中で培養するプロセスを意味する。発酵の終わりに、発酵ブロスは通常収集され、さらに処理され、発酵ブロスは液体画分及び固体画分を含む。酵素が液体画分に分泌されているか否かに応じて、所望のタンパク質又は酵素は、発酵ブロスの液体画分から又は細胞溶解物から回収され得る。所望の酵素の回収は、当業者に公知の方法を使用する。発酵ブロスからのタンパク質又は酵素を回収するための好適な方法としては、収集、遠心分離、濾過、抽出及び沈殿が挙げられるが、これらに限定するものではない。
発酵によって生じる水性酵素濃縮物は、全て酵素濃縮物の総重量に対して、0.1重量%~40重量%、又は0.5重量%~30重量%、又は1重量%~25重量%、又は3重量%~25重量%、又は5重量%~25重量%の範囲の量の酵素を含み得る。
発酵によって生じる水性酵素濃縮物は、全て酵素濃縮物の総重量に対して、約50重量%超、約60重量%超、約70重量%超又は約80重量%超の量で水を含み得る。発酵によって生じる水性酵素濃縮物は、一実施形態において、全て酵素濃縮物の総重量に対して、約50重量%~80重量%又は約60重量%~70重量%の範囲の量で水を含む。発酵によって生じる水性酵素濃縮物は、残留成分、例えば、発酵培地に由来する塩、産生宿主細胞に由来する細胞片、産生宿主細胞によって発酵中に産生される代謝産物を含み得る。一実施形態において、残留成分は、全て水性酵素濃縮物の総重量に対して、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満又は5重量%未満の量でしか液体酵素濃縮物中に含まれない可能性がある。
酵素は、水性環境に残存していると酵素活性を喪失する傾向があり、したがって、それを無水の形態に変換することが従来の慣行である:水性濃縮物は、例えば、担体材料の存在下で、凍結乾燥又は噴霧乾燥させて、凝集物を形成してもよい。通常、固体酵素産物は、使用前に「溶解させる」必要がある。液体産物中の酵素を安定化させるために、通常、酵素阻害剤、好ましくは可逆的酵素阻害剤を利用して、酵素阻害剤が遊離されるまで酵素活性を一時的に阻害する。
本発明のマンナナーゼの使用
本発明は、マンナン含有材料中のマンナンを分解させるための、本発明によるマンナナーゼの使用に関する。
マンナン分解とは、一実施形態において、少なくとも1種のガラクトマンナンの分解を意味する。好ましくは、少なくとも1種のガラクトマンナンは、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1及び/又は5:1のマンノース:ガラクトース比を特徴とする。
本発明によるマンナナーゼバリアントは好ましくは、60℃以下、40℃以下及び25℃以下から選択される温度においてマンナン分解活性を発揮する。
酵素調製物
本発明の酵素調製物は好ましくは液体である。酵素調製物の文脈において、「液体」は20℃及び101.3kPaにおける物理的外観に関連する。
本発明の酵素調製物は、本発明による少なくとも1種のマンナナーゼバリアントを含む液体酵素濃縮物を含む。本発明の酵素調製物は、酵素調製物又は酵素調製物に含まれる酵素を安定化させるのに有効な成分、例えば、少なくとも1種の酵素安定剤、液体酵素調製物自体を安定化させる少なくとも1種の化合物及び少なくとも1種の溶媒から選択される成分のみを含む。
一態様において、本発明は、液体酵素調製物であって、配列番号2と少なくとも75%同一の本発明によるマンナナーゼバリアント、好ましくは配列番号3による配列と少なくとも75%同一のマンナナーゼ、液体酵素調製物自体を安定化させる少なくとも1種の化合物、少なくとも1種の溶媒、及び場合により少なくとも1種の酵素安定剤を含む、液体酵素調製物を提供する。
本発明の液体酵素調製物は好ましくは界面活性剤を含まない。一実施形態において、界面活性剤を含まないとは、積極的に添加された界面活性剤が本発明の酵素調製物中に含まれないことを意味する。これは、本発明の酵素調製物が、酵素濃縮物が由来する発酵プロセスから生じる界面活性剤を含み得る(副生成物として)ことを意味する。
本発明の液体酵素調製物は好ましくは錯化剤を含まない。一実施形態において、錯化剤を含まないとは、積極的に添加された錯化剤が本発明の酵素調製物中に含まれないことを意味する。これは、本発明の酵素調製物が、酵素濃縮物が由来する発酵プロセスから生じる錯化剤を含み得る(副生成物として)ことを意味する。
一実施形態において、本発明の液体酵素調製物は、界面活性剤を含まず、錯化剤を含まない。
液体酵素調製物自体を安定化させる化合物
液体酵素調製物自体を安定化させる化合物とは、貯蔵安定性を保証にするのに有効な量で液体調製物の貯蔵安定性を確立するのに必要とされる酵素安定剤以外の任意の化合物を意味する。
当業者にとっての液体調製物の文脈における貯蔵安定性は通常、産物の外観及び投与量の均一性の側面を含む。
産物の外観は、産物のpH及び化合物、例えば、保存剤、酸化防止剤、粘度調整剤、乳化剤などの存在によって影響される。
投与量の均一性は通常、産物の均質性に関係している。
本発明の酵素調製物はアルカリ性であってもよく、又は中性若しくは弱酸性のpH値を示してもよい。酵素調製物は、5~12の範囲、好ましくは6~11の範囲、より好ましくは6~10、7~9及び7.5~8.5から選択される範囲のpHを有し得る。
本発明の液体酵素調製物は少なくとも1種の保存剤を含み得る。保存剤は、液体酵素調製物、好ましくは水性酵素調製物の微生物汚染を防止するのに有効な量で添加する。
本発明は、一態様において、微生物汚染又は増殖に対して本発明による水性酵素調製物を保存する方法であって、
・ 0.01%~5%、より好ましくは0.1%~2%の濃度の2-フェノキシエタノール、2ppm~5000ppm、より好ましくは10ppm~2000ppmの濃度のグルタルアルデヒド、
・ 5ppm~5000ppm、より好ましくは20ppm~1000ppmの濃度の2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、
・ 0.01%~3%、より好ましくは0.05%~0.5%の濃度の、酸形態の又はその塩としてのギ酸、及び
・ 0.001%~1%、より好ましくは0.002%~0.6%の濃度の4,4'-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル
からなる群から選択される抗菌剤を、本発明によるマンナナーゼバリアントを含む水性酵素濃縮物に添加することを含む、方法に関する。
一実施形態において、本発明の液体酵素調製物は保存剤を含まず、これは、保存剤が1ppm未満の量でしか含まれないことを意味する。一実施形態において、「保存剤を含まない」とは、積極的に添加された保存剤が本発明の酵素調製物中に含まれないことを意味する。これは、酵素調製物が、酵素濃縮物が由来する発酵プロセスから生じる保存剤を含み得る(副生成物として)ことを意味する。
溶媒
一実施形態において、本発明の酵素調製物は水性であり、全て酵素調製物の総重量に対して、5重量%~95重量%の範囲の、5重量%~30重量%の範囲の、5重量%~25重量%の範囲の、30重量%~80重量%の範囲の又は20重量%~70重量%の範囲の量で水を含む。
一実施形態において、本発明の酵素調製物は、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、グリセロール、ジグリコール、プロピルジグリコール、ブチルジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル及びフェノキシエタノールから選択される少なくとも1種の有機溶媒を含み、エタノール、イソプロパノール又はプロピレングリコールが好ましい。さらに、本発明の酵素調製物は、2-ブトキシエタノール、イソプロピルアルコール及びd-リモネンなどの化合物から選択される少なくとも1種の有機溶媒を含んでいてもよい。
好ましい一実施形態において、本発明の酵素調製物は、少なくとも1種の水混和性有機溶媒を含む。この文脈における水混和性とは、全ての割合で水中に混ざって均質な溶液を形成する有機溶媒の性質を意味する。好ましくは、少なくとも1種の水混和性溶媒は、エタノール、イソプロパノール又は1,2-プロピレングリコールから選択される。
一実施形態において、本発明の酵素調製物は、
(a)約20%~50%の範囲の量の水、及び
(b)全て酵素調製物の総重量に対して、30重量%~60重量%の範囲の又は45重量%~55重量%の範囲の量の少なくとも1種の有機溶媒
を含む。
一実施形態において、本発明の酵素調製物は、酵素調製物の総重量に対して0重量%~20重量%の範囲の量で有機溶媒を含む。好ましくは、本発明の酵素調製物は、全て酵素調製物の総重量に対して、約30重量%~80重量%の範囲の量の水及び10重量%未満、5重量%未満又は1重量%未満の量の少なくとも1種の有機溶媒を含む。
一実施形態において、酵素調製物は、全て酵素調製物の総重量に対して、5重量%~15重量%の範囲の量の水を含み、有意な量の有機溶媒を含まず、例えば、1重量%以下の有機溶媒を含む。
酵素安定剤
本明細書中における酵素の安定化は、時間の経過における安定性(例えば、貯蔵安定性)、熱安定性、pH安定性及び化学的安定性に関する。本明細書中において、「酵素安定性」という用語は、好ましくは、例えば貯蔵又は操作中における、時間の関数としての酵素活性の保持に関する。酵素安定剤は液体、好ましくは水性環境中で酵素を安定化させるが、これは、酵素安定剤が時間の経過における酵素活性の喪失を低減する又は回避することを意味する。
一実施形態において、少なくとも1種の酵素、好ましくは本発明による少なくとも1種のマンナナーゼバリアントは、酵素調製物中にカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源が存在することによって安定化される。一実施形態において、少なくとも1種の酵素安定剤は、ポリオール又は水溶性塩から選択される。
ポリオールは、2~6個のヒドロキシル基を含むポリオールから選択され得る。好適な例としては、グリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、エリトリオール(erythriol)、グルコース、フルクトース及びラクトースが挙げられる。
水溶性塩は、NaCl又はKClのような塩並びに乳酸及びギ酸のアルカリ塩から選択され得る。
本発明の一実施形態において、水溶性塩は、酵素に亜鉛(II)、カルシウム(II)及び/又はマグネシウム(II)イオンを提供する完成組成物中の亜鉛(II)、カルシウム(II)及び/又はマグネシウム(II)イオンの水溶性供給源、並びに他の金属イオン(例えば、バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、錫(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)及びオキソバナジウム(IV))の水溶性供給源から選択され得る。好ましくは、水溶性塩はCaCl2及びMgCl2から選択される。
酵素調製物は、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、キシラナーゼ、本発明によるマンナナーゼバリアントとは異なるマンナナーゼ、クチナーゼ、エステラーゼ、フィターゼ、DNAse、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチン分解酵素、カルボヒドラーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キサンタナーゼ、キシログルカナーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ及びオキシダーゼからなる群から選択される、本発明によるマンナナーゼバリアント以外の1種以上の酵素を含んでいてもよい。
一実施形態において、酵素調製物は、プロテアーゼ、好ましくはセリンプロテアーゼ(EC 3.4.21)、より好ましくはサブチリシンEC 3.4.21.62及び/又はリパーゼ、好ましくはトリアシルグリセロールリパーゼ(EC 3.1.1.3)、より好ましくはサーモミセスラヌギノサスリパーゼをさらに含む。好ましくは、前記酵素調製物は、ホウ素含有化合物、ポリオール、ペプチドアルデヒド、他の安定剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の酵素安定剤を含む。
ホウ素含有化合物は、ホウ酸又はその誘導体、及びボロン酸又はその誘導体、例えば、アリールボロン酸又はその誘導体、それらの塩並びにそれらの混合物から選択され得る。本明細書中において、ホウ酸はオルトホウ酸とも称し得る。
一実施形態において、ホウ素含有化合物は、アリールボロン酸及びその誘導体からなる群から選択される。一実施形態において、ホウ素含有化合物は、フェニルボロン酸(PBA)とも称するベンゼンボロン酸(BBA)、その誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される。
一実施形態において、フェニルボロン酸誘導体は、4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA)、4-カルボキシフェニルボロン酸(4-CPBA)、4-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(4-HMPBA)及びp-トリルボロン酸(p-TBA)からなる群から選択される。
一実施形態において、酵素調製物、好ましくはサブチリシンプロテアーゼを追加的に含む酵素調製物は、酵素調製物の総重量に対して約0.1~2重量%の少なくとも1種のホウ素含有化合物を含む。好ましくは、酵素調製物は、酵素調製物の総重量に対して約0.15~1重量%、又は0.2-0.5重量%、又は約0.3重量%の少なくとも1種のホウ素含有化合物を含む。より好ましくは、酵素調製物は酵素調製物の総重量に対して約0.3重量%の4-FPBAを含む。
一実施形態において、少なくとも1種の酵素安定剤は、ペプチド安定剤から選択される。少なくとも1種のペプチド安定剤は、式(D):
Figure 2023513741000004
の化合物から選択され得る。
式(D)内のR1、R2、R3、R4、R5及びZは、以下の通りに定義される:
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素、場合により置換されているC1-8アルキル、場合により置換されているC2-6アルケニル、場合により置換されているC1-8アルコキシ、場合により置換されている3~12員のシクロアルキル、及び場合により置換されている6~10員のアリールからなる群から選択され;又は各R1、R2及びR3は独立して、-(CH2)3-として選択され、-NH-C(H)-の窒素原子にも結合して、それによって-N-C(H)R1、2又は3-が5員複素環を形成し;
R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、場合により置換されているC1-8アルキル、場合により置換されているC2-6アルケニル、場合により置換されているC1-8アルコキシ、場合により置換されているC1-4アシル、場合により置換されているC1-8アルキルフェニル(例えば、ベンジル)及び場合により置換されている6~10員のアリールからなる群から選択され;又はR4とR5は一緒になって、場合により置換されている5若しくは6員環を形成し;
Zは、水素、N末端保護基、及びN末端保護基を場合により含む1種以上のアミノ酸残基から選択される。
好ましい一実施形態において、式(D)によるペプチド安定剤は、以下を特徴とする:
・ R1は、NH-CHR1-COがValのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R2は、NH-CHR2-COがAlaのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R3は、NH-CHR3-COがLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基である;
及び
・ N末端保護基Zは、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)又はtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択され;好ましくは、N末端保護基Zはベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
一実施形態において、酵素調製物、好ましくはサブチリシンプロテアーゼを追加的に含む酵素調製物は、酵素調製物の総重量に対して約0.1~2重量%の少なくとも1種のペプチド安定剤を含む。好ましくは、酵素調製物は、酵素調製物の総重量に対して約0.15~1重量%、又は0.2-0.5重量%、又は約0.3重量%の少なくとも1種のペプチド安定剤を含む。
マンナナーゼの用途
本発明は、一態様において、洗剤配合物、例えば、洗濯及び硬質表面清浄のためのI&I及びホームケア配合物に配合するための、本発明によるマンナナーゼバリアントの使用であって、本発明による少なくとも1種のマンナナーゼバリアント及び少なくとも1つの洗剤成分を不特定の順序で1つ以上のステップで1つ以上の洗剤成分と混合する、使用に関する。
一実施形態において、配合物は、6~11の範囲の、より好ましくは6~10、7~12、7~9、8~12、8~10及び7.5~8.5から選択される範囲のpHを有する。一実施形態において、配合物は洗剤配合物、好ましくは液体洗剤配合物である。
本発明による洗剤配合物は、本発明の少なくとも1種のマンナナーゼ及び1つ以上の洗剤成分を含む。選択される成分は、洗剤配合物の、所望の洗浄若しくは清浄用途及び/又は物理的形態によって決まる。
「洗剤成分」という用語は、本明細書中においては、洗剤配合物に好適な任意のタイプの成分、例えば、界面活性剤、ビルディング剤(building agent)、ポリマー、漂白系を意味するように定義される。公知の特性を認める当技術分野において公知の任意の成分は、本発明による好適な洗剤成分である。一実施形態において、洗剤成分とは、有効量で存在する場合に洗浄若しくは清浄性能を提供する成分又は処理を有効に助ける成分(処理、貯蔵及び使用中に物理的特性を維持する;例えば、レオロジー調整剤、ヒドロトロープ、乾燥剤)を意味する。
通常、洗剤配合物は、3つ以上の洗剤成分の複合配合物である。
洗剤成分は、洗剤配合物の最終用途において1つより多くの機能を有し得るため、本明細書中において特定の機能の文脈において言及されるいずれの洗剤成分も、洗剤配合物の最終用途において別の機能も有し得る。洗剤配合物の最終用途における特定の洗剤成分の機能は通常、洗剤配合物内におけるその量、すなわち、洗剤成分の有効量によって決まる。
「有効量」という用語は、有効な染みの除去及び有効な清浄条件(例えば、pH、泡立ちの量)を提供する個々の成分の量、光学的利益(例えば、光学的増白、染料移動抑制)を有効に提供するある特定の成分の量、及び処理を有効に助けるある特定の成分(処理、貯蔵及び使用中に物理的特性を維持する;例えば、レオロジー調整剤、ヒドロトロープ、乾燥剤)の量を含む。
一実施形態において、本発明による洗剤配合物は、3つ以上の洗剤成分の配合物であって、少なくとも1つの成分が染みの除去に有効であり、少なくとも1つの成分が最適の清浄条件を提供するのに有効であり、少なくとも1つの成分が洗剤の物理的特性を維持するのに有効である、配合物である。
個々の洗剤成分及び洗剤配合物中における使用法は、当業者に公知である。好適な洗剤成分は、とりわけ、界面活性剤、ビルダー、ポリマー、アルカリ性漂白系、蛍光増白剤、泡抑制剤及び安定剤、ヒドロトロープ及び腐食抑制剤を含む。さらなる例は、例えば、「complete Technology Book on Detergents with Formulations (Detergent Cake, Dishwashing Detergents, Liquid & Paste Detergents, Enzyme Detergents, Cleaning Powder & Spray Dried Washing Powder)」, Engineers India Research Institute (EIRI), 6th edition (2015)に記載されている。当業者のための別の参考図書は、"Detergent Formulations Encyclopedia", Solverchem Publications, 2016であり得る。
本発明によるマンナナーゼバリアントは好ましくは、60℃以下、40℃以下及び25℃以下から選択される洗浄又は清浄温度においてマンナン分解活性を発揮する。本明細書における洗浄又は清浄の文脈でのマンナン分解活性は、マンナンを含む染みを除去するその能力に関連する。
一態様において、本発明は、少なくとも1つのマンナンを含む染みを本発明のマンナナーゼと接触させるステップにより、マンナンを含む染みを除去する方法を提供する。マンナナーゼは、5~12又は6~11の範囲のpH、より好ましくは6~10又は7~9又は7~12又は8~12又は8~10の範囲のpH、最も好ましくは7.5~8.5の範囲のpHにおいてマンナン分解活性を有する。前記pHにおいて、マンナナーゼは、マンナンを含む染みに対して洗浄性能を示す。好ましくは、この方法は、60℃以下、好ましくは約5~60℃の範囲、好ましくは約5~40℃の範囲、より好ましくは約10~40℃の範囲の温度においてマンナンを含む染みを除去する方法である。
[実施例1]
マンナナーゼバリアントの発現及び精製
GenScript(New Jersey、USA)によって遺伝子が合成され、バチルス属発現ベクターにクローニングされた。構築物を、配列が確認されたプラスミドDNAとしてGenScriptから受け取り、枯草菌に形質転換した。5μLのプラスミドDNA(20~200ng/μL)を500μLの新たに調製した枯草菌のコンピテント細胞に添加し、37℃で3.5時間インキュベートした。続いて、細胞をLB+50ug/mLカナマイシン寒天プレートにプレーティングし、37℃で一晩増殖させた。枯草菌中のマンナナーゼの発現を確認するために、得られたコロニーをコロニーPCR及びシークエンシングによってスクリーニングした。PCRの前に、各コロニーを、20mM DTT及び0.5mg/mLプロテイナーゼKを含有する緩衝液中で55℃で5分間、続いて95℃で6分間にわたって溶解させた。1μLの溶解細胞及びTaKara Ex Taq(TaKaRa Cat#RR001)ポリメラーゼを使用した20μLのPCRの反応を以下のように実施した:98℃で3分間の初回の変性、それぞれ95℃で10秒間、55℃で30秒間及び72℃で2.5分間の変性、アニーリング及び伸長を30サイクル。72℃で5分間の最後の伸長により、PCR反応を完了させた。マンナナーゼの発現は、例えば、マイクロタイタープレートフォーマットで行った。発酵は、30℃において、1000rpmの攪拌下で、約48時間実施した。最終発酵ブロスを4℃において2500×gで15分間遠心分離して、無細胞の上清を得た。タンパク質の定量化は、自動キャピラリーゲル電気泳動装置:HT Protein Express LabChip(登録商標)及びHT Protein Express Reagent Kitを備えるLabChip(登録商標) GX II(PerkinElmer、USA)を使用して推定した。タンパク質純度の決定及び定量化は、Regular Sensitivity HT Protein Express 200アッセイを使用して実施し、分析は、LabChip(登録商標)GX Reviewer 5.3 ソフトウェアを使用して実施した。分子量の決定は、タンパク質標準のブラケッティングラダー(bracketing ladder)(HT Protein Express Reagent Kitの一部として)を使用してピークのMWの割り当て及び定量化を行うLabChipソフトウェアによって、又は既知のタンパク質標準及び上記機器分析ソフトウェア内の「Titer」機能を使用することによって、又は既知の濃度を有する一連のタンパク質標準のLabChipから得られるピーク面積を使用して標準曲線を作成し、結果として目的のタンパク質を定量化することによって、実施した。
[実施例2]
マンナナーゼの発現
マンナナーゼの発現は、384ウェルディープウェルプレートで行った。発酵は、37℃において、1000rpmの攪拌下で、約48時間実施した。最終発酵ブロスを4℃において2500×gで15分間遠心分離して、無細胞の上清を得た。
タンパク質の定量化は、自動キャピラリーゲル電気泳動装置:HT Protein Express LabChip(登録商標)及びHT Protein Express Reagent Kitを備えるLabChip(登録商標)GX II(PerkinElmer、USA)を使用して推定した。タンパク質純度の決定及び定量化は、Regular Sensitivity HT Protein Express 200アッセイを使用して実施し、分析は、LabChip(登録商標)GX Reviewer 5.3 ソフトウェアを使用して実施した。分子量の決定は、タンパク質標準のブラケッティングラダー(HT Protein Express Reagent Kitの一部として)を使用してピークのMWの割り当て及び定量化を行うLabChipソフトウェアによって、又は既知のタンパク質標準及び上記機器分析ソフトウェア内の「Titer」機能を使用することによって、又は既知の濃度を有する一連のタンパク質標準のLabChipから得られるピーク面積を使用して標準曲線を作成し、結果として目的のタンパク質を定量化することによって、実施した。
マンナナーゼバリアントの発酵安定性は、完全長酵素の量及び完全長マンナナーゼのパーセント(完全長の量÷(完全長マンナナーゼと観察された分解生成物の合計)×100)を算出することによって決定した。
Figure 2023513741000005

Claims (9)

  1. N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349T/S/G/D、S352N/G、G356Y/V/T/Q/H/C及びD379Vから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、配列番号2又は配列番号3と少なくとも75%同一のマンナナーゼバリアントであって、番号付けが配列番号2によるものである、マンナナーゼバリアント。
  2. 請求項1に記載のマンナナーゼをコードするポリヌクオチドであって、配列番号1と少なくとも75%同一である、ポリヌクレオチド。
  3. 請求項2に記載のポリヌクレオチドを含む発現構築物。
  4. 請求項2に記載のポリヌクレオチド又は請求項3に記載の発現構築物を含む宿主細胞。
  5. 請求項1に記載のマンナナーゼバリアントを発現させる方法であって、
    (a)本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築物を宿主細胞に導入することによって、本発明によるマンナナーゼバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む異種核酸構築物を含む宿主細胞を提供するステップ、
    (b)ポリヌクレオチドの発現に対して伝導性の条件下でステップ(a)の組換え宿主細胞を培養するステップ、及び
    (c)場合により、ポリヌクレオチドによってコードされる目的のタンパク質を回収するステップ
    を含む、方法。
  6. 液体酵素調製物であって、請求項1に記載のマンナナーゼ、保存剤のような、液体酵素調製物自体を安定化させる少なくとも1種の化合物、少なくとも1種の溶媒、及び場合により少なくとも1種の酵素安定剤を含む、液体酵素調製物。
  7. N341F、F346T、T348S/R/N/M/G、E349T/S/G/D、S352N/G、G356Y/V/T/Q/H/C及びD379V、並びにそれらの組合せから選択されるアミノ酸位置に少なくとも1つのアミノ酸置換を導入するステップによって、配列番号2又は配列番号3と少なくとも75%同一のマンナナーゼの発酵安定性を増大させる方法であって、番号付けが配列番号2によるものである、方法。
  8. 請求項1に記載の少なくとも1種のマンナナーゼ及び1つ以上の洗剤成分を含む、本発明による洗剤配合物。
  9. マンナン含有材料中のマンナンを分解させるための、請求項1に記載のマンナナーゼの使用。
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