JP2023513015A - 異常な細胞成長を処置するための併用療法 - Google Patents

異常な細胞成長を処置するための併用療法 Download PDF

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Abstract

本発明は、異常な細胞成長(例えば、がん)を処置するための方法、FAK阻害剤および/もしくはMEK阻害剤、またはデュアルRAF/MEK阻害剤と組み合わせた、KRAS G12C阻害剤の組成物および経口剤形に関する。例えば、それを必要としている被験体における異常な細胞成長(例えば、がん)を処置する方法に使用することができる、組み合わせ(例えば、本明細書に記載されている化合物の組み合わせ、例えば、FAK阻害剤および/もしくはMEK阻害剤またはデュアルRAF/MEK阻害剤と組み合わせたKRAS G12C阻害剤)が、一部、本明細書において提供される。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2020年1月31日出願の米国仮特許出願第62/968,615号、および2020年11月18日出願の同第63/115,433号(これは、その全体が参照により本明細書で援用される)に対する優先権および利益を主張する。
背景
焦点接着キナーゼ(FAK)、すなわち細胞質非受容体チロシンキナーゼは、細胞生存、増殖、移動、侵襲および接着において必須の役割を果たしていること(Clark and Brugge 1995, Science 268: 233-239)、およびその異常な活性化が、腫瘍の転移潜在能の増大と関連していること(Owens et al. 1995, Cancer Research 55: 2752-2755)が、説得力のある証拠により示唆されている。FAK、ICK、SRC、ABLなどのある特定の非受容体チロシンキナーゼまたはセリン/トレオニンキナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ)の選択的阻害剤は、哺乳動物における異常な細胞成長、特にがんの処置において有用である。FAKもまた、タンパク質-チロシンキナーゼ2、すなわちPTK2として公知である。FAK発現および/または活性は、ぶどう膜黒色腫、ならびに甲状腺、前立腺、子宮頸部、結腸、直腸、口腔上皮、卵巣および胸部のがんを含めた、様々な悪性疾患において上方調節されることが報告されている。
キルスティンラット肉腫2ウイルス性癌遺伝子ホモログ(KRAS)は、小型のGTPアーゼであり、癌遺伝子のRasファミリーのメンバーである。KRASは、不活性(GDP結合)状態と活性(GTP結合)状態との間の分子スイッチサイクリングとして働き、複数のチロシンキナーゼから受容した上流の細胞シグナルを下流エフェクターに伝達して、細胞増殖を含めた幅広い過程を調節する(例えば、Alamgeer et al., (2013) Current Opin Pharmcol. 13:394-401を参照されたい)。KRAS遺伝子の変異は、がん、例えば、膵臓がん、肺腺癌、結腸直腸がん(CRC)、胆嚢がん、甲状腺がんおよび胆管がんに一般的なものである(Kodaz et al., EJMO 2017)。KRAS変異は、肺腺癌を有する患者の約30%、CRCを有する患者の40%、および膵臓腺癌を有する患者の67%に観察される。KRASは、肺腺癌および膵臓がんでは、主要な駆動因子となるが、KRASは、結腸直腸がんでは、原発性の開始事象ではない(McCormick, 2015)。
RAS/RAF/MEK/ERKのシグナル伝達経路の構成要素もまた、異常な細胞成長、例えばがんの処置の機会となる。RAS、RAF、MEKおよびERKなどのRAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達経路のある特定の構成要素の選択的阻害剤は、哺乳動物における異常な細胞成長、特にがんの処置に有用である。
Alamgeerら、Current Opin Pharmcol.(2013)13:394~401
異常な細胞成長に関連する疾患および障害(例えば、がん)の重症度および幅広さのために、処置のための有効な治療的手段および方法が必要とされている。本明細書に記載されている、化合物、化合物の組み合わせ、組成物および方法は、この目的を対象とする。
概要
例えば、それを必要としている被験体における異常な細胞成長(例えば、がん)を処置する方法に使用することができる、組み合わせ(例えば、本明細書に記載されている化合物の組み合わせ、例えば、FAK阻害剤および/もしくはMEK阻害剤またはデュアルRAF/MEK阻害剤と組み合わせたKRAS G12C阻害剤)が、一部、本明細書において提供される。
したがって、一態様では、がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤(例えば、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、AMG-510およびMRTX849)または薬学的に許容されるその塩をFAK阻害剤(例えば、デファクチニブ、TAE226、BI-853520(IN10018)、GSK2256098、PF-03814735、BI-4464、VS-4718およびAPG-2449)または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて被験体に投与し、これにより被験体を処置するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
別の態様では、がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤(例えば、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、AMG-510およびMRTX849)または薬学的に許容されるその塩をMEK阻害剤(例えば、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040、CH5126766、MEK162、AZD8330、GDC-0623、レファメチニブ、ピマセルチブ、WX-554、HL-085、CH4987655、TAK-733、CInQ-03、G-573、PD184161、PD318088、PD98059、RO5068760、U0126およびSL327、例えば、CH5126766)または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて被験体に投与し、これにより被験体を処置するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
一態様では、がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤(例えば、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、AMG-510およびMRTX849)または薬学的に許容されるその塩をデュアルRAF/MEK阻害剤(例えば、CH5126766)または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて被験体に投与し、これによって被験体(subjec)を処置するステップを含む、方法が本明細書において開示される。
同様に、がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤(例えば、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、AMG-510およびMRTX849)または薬学的に許容されるその塩をFAK阻害剤(例えば、デファクチニブ、TAE226、BI-853520(IN10018)、GSK2256098、PF-03814735、BI-4464、VS-4718およびAPG-2449)または薬学的に許容されるその塩、およびMEK阻害剤(例えば、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040、CH5126766、MEK162、AZD8330、GDC-0623、レファメチニブ、ピマセルチブ、WX-554、HL-085、CH4987655、TAK-733、CInQ-03、G-573、PD184161、PD318088、PD98059、RO5068760、U0126およびSL327)または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて被験体に投与し、これにより被験体を処置するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、AMG-510およびMRTX849または薬学的に許容されるその塩からなる群より選択される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、AMG-510または薬学的に許容されるその塩である。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、MRTX849または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、デファクチニブ、TAE226、BI-853520(IN10018)、GSK2256098、PF-03814735、BI-4464、VS-4718およびAPG-2449または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される。一部の実施形態では、FAK阻害剤は、デファクチニブまたは薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、本方法は、MEK阻害剤を投与するステップをさらに含む。
一部の実施形態では、MEK阻害剤は、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040、CH5126766、MEK162、AZD8330、GDC-0623、レファメチニブ、ピマセルチブ、WX-554、HL-085、CH4987655、TAK-733、CInQ-03、G-573、PD184161、PD318088、PD98059、RO5068760、U0126およびSL327または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される。
一部の実施形態では、MEK阻害剤は、デュアルRAF/MEK阻害剤である。
一部の実施形態では、MEK阻害剤は、CH5126766または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約100mg~約2000mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、1日1回、投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、1日2回、投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、経口投与される。
一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、1日2回、投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、1日1回、投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約100mg~約1000mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約200mg~約400mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、経口投与される。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与する前に投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与した後に投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤と同時併発的に投与される。
一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1週間に少なくとも1回(例えば、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、または1週間に6回)、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1週間に1回、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1週間に2回、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1日1回、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1日2回、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、約0.1mg~約100mgで投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、経口投与される。
一部の実施形態では、MEK阻害剤は、デュアルRAF/MEK阻害剤である。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与する前に投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与した後に投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤と同時併発的に投与される。
一部の実施形態では、がんは、KRAS G12C変異を有するがんである。
一部の実施形態では、がんは、肺腺癌、非小細胞肺癌、結腸直腸がん(CRC)、子宮類内膜癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤性小葉癌、子宮頸部扁平上皮癌、皮膚黒色腫、頚管内腺癌(endocervical adenocarcinoma)、肝細胞癌、膵臓腺癌、二相型胸膜中皮腫(biphasic type pleural mesothelioma)、腎明細胞癌、腎明細胞癌、胃腺癌、管状胃腺癌(tubular stomach adenocarcinoma)、子宮癌肉腫または子宮悪性混合ミュラー腫瘍である。
他の目的および利点は、以下の発明を実施するための形態、実施例および特許請求の範囲を考慮することから、当業者に明白となろう。
図1Aは、KRAS G12C変異体NSCLCおよびCRC細胞系における、VS-6766とAMG-510またはMRTX849との間の相乗作用スコア(Loeweモデル)を示す。
図1Bは、H2122 KRAS G12C変異体NSCLCにおける、腫瘍細胞系の生存度に及ぼす、AMG-510もしくはMRTX849単独の、またはこれらをVS-6766と組み合わせた用量応答(左)、およびVS-6766単独の、またはAMG-510またはMRTX849と組み合わせた用量応答(右)を示す。
図2は、KRAS G12C変異体NSCLCおよびCRC細胞系における、VS-6766とAMG-510またはMRTX849(左)との間、およびデファクチニブとAMG-510またはMRTX849(右)との間の相乗作用スコア(Loeweモデル)を示すヒートマップを示す。
図3は、100nMのVS-6766および100nMのAMG-510またはMRTX849により4時間および48時間、処置したKRAS G12C mt NSCLC細胞系における、pERKのイムノブロットタンパク質ウエスタン解析を示す。
図4は、100nMのVS-6766および100nMのAMG-510またはMRTX849により4時間および48時間、処置したKRAS G12C mt NSCLC細胞系における、KRAS経路標的(pMEK、pERKおよびp-p90RSK)のイムノブロットタンパク質ウエスタン解析を示す。
図5は、KRAS経路標的(pMEKおよびpERK)のイムノブロットタンパク質ウエスタン解析、ならびにウエスタンブロットデンシトメトリーによるpMEKおよびpERKの定量を示す。
図6は、VS-6766+/- FAKi +/- AMG-510により10日間、処置したH2122腫瘍を有するマウスにおける、腫瘍体積の変化を示す。
図7は、VS-6766+/- FAKi +/- AMG-510により21日間、処置したH358腫瘍を有するマウスにおける、腫瘍体積の変化を示す。
詳細な説明
本明細書に一般に記載されている通り、本開示は、それを必要としている被験体における、異常な細胞成長(例えば、がん)の処置に有用な方法および化合物の組み合わせを提供する。
定義
「約」および「およそ」は、一般に、測定値の性質または精度を考慮して、測定された量の許容可能な程度の誤差を意味するものとする。誤差の例示的な程度は、所与の値または値の範囲の、20パーセント(%)以内、典型的には10%以内、より典型的には5%以内である。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」とは、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織に接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合う、妥当な医療的判断の範囲内にある塩を指す。薬学的に許容される塩は、当分野において周知である。例えば、Bergeらが、J. Pharmaceutical Sciences (1977) 66:1-19に薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機酸および有機酸、ならびに無機塩基および有機塩基から誘導されるものを含む。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と共に形成される、またはイオン交換などの当分野において使用されている他の方法を使用することによる、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。適切な塩基から誘導される薬学的に許容される塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1~4アルキル)の塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらに薬学的に許容される塩には、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成されるアミン陽イオンが含まれる。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」とは、本化合物の薬理学的活性を破壊しない、非毒性の担体、佐剤またはビヒクルであって、本化合物と共に製剤化される、上記の非毒性の担体、佐剤またはビヒクルを指す。本明細書に記載されている組成物において使用され得る薬学的に許容される担体、佐剤またはビヒクルには、以下に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなど)、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウムなど)、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
本明細書で使用する場合、投与が企図される「被験体」とは、以下に限定されないが、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児被験体(例えば、乳児、小児、青年)または成人被験体(例えば、若い成人、中年成人または老人成人))、ならびに/または非ヒト動物、例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコおよび/もしくはイヌなどの哺乳動物が含まれる。ある種の実施形態では、被験体は、ヒトである。ある種の実施形態では、被験体は、非ヒト動物である。用語「ヒト」、「患者」および「被験体」は、本明細書において互換的に使用される。
疾患、障害および状態は、本明細書において互換的に使用される。
本明細書で使用する場合、および別段の指定がない限り、用語「処置する」、「処置すること」および「処置」は、被験体が特定の疾患、障害または状態を罹患している間に行われる行為であって、疾患、障害もしくは状態の重症度を軽減する、あるいは疾患、障害もしくは状態の進行を遅延または減速させる行為を企図する(「治療的処置」でもある)。
一般に、化合物の「有効量」とは、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。当業者によって理解されている通り、有効量の本発明の化合物は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、処置される疾患、投与様式、ならびに被験体の年齢、重量、健康および状態などの因子に応じて様々になり得る。
本明細書で使用する場合、および別段の指定がない限り、化合物の「治療有効量」とは、疾患、障害もしくは状態の処置において治療的有益性を提供するため、あるいは疾患、障害もしくは状態に関連する1つまたは複数の症状を遅延させるまたは最小限にするための十分な量のことである。治療有効量の化合物は、単独のまたは他の治療法と組み合わせた治療剤の量であって、疾患、障害または状態の処置において治療的有益性を提供する治療剤の量を意味する。用語「治療有効量」は、全体的な治療を改善する、疾患もしくは状態の症状または原因を軽減するまたは回避する、あるいは別の治療剤の治療的有効性を増強する量を包含することができる。
本明細書で使用する場合、「予防処置」は、被験体が、特定の疾患、障害または状態に罹患し始める前に行われる行為を企図する。
本明細書で使用する場合、および別段の指定がない限り、化合物の「予防有効量」は、疾患、障害もしくは状態、あるいは疾患、障害もしくは状態に関連する1つまたは複数の症状を予防する、あるいはその再発を予防するのに十分な量のことである。予防有効量の化合物は、単独のまたは他の薬剤と組み合わせた治療剤の量であって、疾患、障害または状態の予防における予防的有益性を提供する治療剤の量を意味する。用語「予防有効量」は、予防を総合的に改善する、または別の予防剤の予防的有効性を増強する量を包含することができる。
用語「経口剤形」とは、本明細書で使用する場合、薬剤を被験体に投与するために使用される組成物または媒体を指す。通常、経口剤形は、口を経て投与されるが、「経口剤形」は被験体に投与され、かつ例えば口、食道、胃、小腸、大腸および結腸を含めた、消化管の膜、例えば粘膜を横切って吸収される、あらゆる物質を包含するよう意図されている。例えば、「経口剤形」は、栄養管を介して胃に投与される溶液を包含する。
処置方法
本明細書に記載されている化合物の組み合わせ(例えば、FAK阻害剤および/もしくはMEK阻害剤、またはデュアルRAF/MEK阻害剤と組み合わせたKRAS G12C阻害剤)およびその医薬組成物は、がんなどの異常な細胞成長を処置する方法に一般に、有用である。
したがって、一態様では、がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤または薬学的に許容されるその塩をFAK阻害剤または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて被験体に投与し、これにより被験体を処置するステップを含む、方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、本方法は、MEK阻害剤を投与するステップをさらに含む。
別の態様では、がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤または薬学的に許容されるその塩をMEK阻害剤または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて被験体に投与し、これにより被験体を処置するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
一態様では、がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤または薬学的に許容されるその塩をデュアルRAF/MEK阻害剤または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて被験体に投与し、これにより被験体を処置するステップを含む、方法が本明細書において開示される。
同様に、がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤または薬学的に許容されるその塩をFAK阻害剤または薬学的に許容されるその塩、およびMEK阻害剤または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて被験体に投与し、これにより被験体を処置するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
本明細書に記載されている方法の一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤に対する応答期間は、それを必要としている被験体に、KRAS G12C阻害剤をFAK阻害剤および/またはMEK阻害剤と組み合わせて投与することによって低減することができる。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤に対する応答期間は、それを必要としている被験体に、KRAS G12C阻害剤をFAK阻害剤および/またはデュアルRAF/MEK阻害剤と組み合わせて投与することによって低減することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている組み合わせは、被験体における、応答(例えば、抗腫瘍応答)の深度および/または期間を改善することができる。
本明細書に記載されている方法のための企図される被験体は、KRAS G12C変異を有すると特定(例えば、スクリーニング、例えば、配列決定による)され得る。
KRAS G12C阻害剤
例示的なKRAS G12C阻害剤は、以下に限定されないが:
以下の構造を有するMRTX849(アダグラシブ):
Figure 2023513015000002
以下の構造を有するAMG-510(ソトラシブ):
Figure 2023513015000003
以下の構造を有するARS-1620:
Figure 2023513015000004
以下の構造を有するARS-853:
Figure 2023513015000005
LY3499446(Eli Lilly);および
ARS-3248(Araxes Pharma/Wellspring Biosciences)を含む。
一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、AMG-510およびMRTX849または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、AMG-510または薬学的に許容されるその塩である。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、MRTX849または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、少なくとも1日1回、投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、1日1回、投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、1日2回、投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、経口投与される。
一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約10mg~約2000mg、例えば、約100mg~約2000mg、約100mg~約1500mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約200mg、約200mg~約2000mg、約200mg~約1500mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約400mg~約2000mg、約400mg~約1500mg、約400mg~約1000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約600mg、約600mg~約2000mg、約600mg~約1500mg、約600mg~約1000mg、約600mg~約800mg、約800mg~約2000mg、800mg~約1500mg、約800mg~約1000mg、約600mg~約2000mg、約600mg~約1500mg、約600mg~約1000mg、約600mg~約800mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約100mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約200mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約300mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約400mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約500mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約600mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約700mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約800mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約900mgで投与される。一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤は、約1000mgで投与される。
FAK阻害剤
FAKタンパク質チロシンキナーゼの強力な阻害剤は、哺乳動物、特にヒトにおいて、抗増殖剤(例えば、抗がん)、抗腫瘍(例えば、固形腫瘍に対して有効)、抗血管新生(例えば、血管の増殖を停止または阻止する)としての治療的使用に適応され得る。本明細書において記載されている化合物、例えばFAK阻害剤は、本明細書に記載されている疾患または障害(例えば、異常な細胞成長、例えばがん(例えば、本明細書に記載されているがん))の予防および処置に有用となり得る。本明細書において記載されている化合物、例えばFAK阻害剤は、非血液系悪性疾患、肝臓、腎臓、膀胱、胸部、胃、卵巣、結腸直腸、前立腺、膵臓、肺、外陰部、甲状腺の悪性腫瘍および良性腫瘍、肝細胞癌、肉腫、神経膠芽腫、頭部および頸部などの様々なヒト過剰増殖性障害、ならびに皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)および前立腺の良性過形成(例えば、BPH)などの他の過形成状態の予防および処置、ならびに中皮腫などの障害の予防および処置において有用となり得る。一部の実施形態では、本明細書において記載されている化合物、例えばFAK阻害剤は、タンパク質チロシンキナーゼ2(PYK2)を阻害する。
例示的なFAK阻害剤は、以下に限定されないが、以下の構造を有するデファクチニブ:
Figure 2023513015000006
または薬学的に許容されるその塩を含む。デファクチニブは、VS-6063(例えば、VS-6063の遊離塩基)またはPF-04554878としても公知である。VS-6063および関連化合物はまた、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,928,109号に開示されている。一部の実施形態では、VS6063は、薬学的に許容される塩(例えば、VS-6063の塩酸塩)を形成することができる。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、以下の構造を有するVS-4718
Figure 2023513015000007
または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、以下の構造を有するTAE226
Figure 2023513015000008
または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、以下の構造を有するGSK2256098
Figure 2023513015000009
または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、以下の構造を有するPF-03814735
Figure 2023513015000010
または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、以下の構造を有するBI-4464
Figure 2023513015000011
または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、BI-853520(IN10018;Boehringer Ingelheim)である。一部の他の実施形態では、FAK阻害剤は、APG-2449(Ascentage Pharma Group)である。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、デファクチニブ、TAE226、BI-853520、GSK2256098、PF-03814735、BI-4464、VS-4718およびAPG-2449、または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される。例えば、FAK阻害剤は、デファクチニブまたは薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、少なくとも1日1回、投与される。例えば、一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、1日2回、投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、1日1回、投与される。
一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約100mg~約1000mg、例えば、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約200mg、約200mg~約1000mg、約400mg~約1000mg、約600mg~約1000mg、約800mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約400mg~約800mgまたは約400mg~約600mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約200mg~約400mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約100mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約200mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約300mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約400mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約500mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、約600mgで投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)は、経口投与される。
MEK阻害剤
MEK阻害剤は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)酵素MEK1および/またはMEK2(例えば、MAPK/ERK経路)の低分子または生物的阻害剤であり得る。
MEK阻害剤の例は、以下に限定されないが、以下の構造を有する、トラメチニブ(メキニスト、GSK1120212としても公知である):
Figure 2023513015000012
以下の構造を有するコビメチニブ(GDC-0973、XL518としても公知である):
Figure 2023513015000013
以下の構造を有するビニメチニブ:
Figure 2023513015000014
以下の構造を有するCI-1040(PD184352としても公知である):
Figure 2023513015000015
以下の構造を有するPD-325901:
Figure 2023513015000016
以下の構造を有するセルメチニブ(AZD6244としても公知である):
Figure 2023513015000017
以下の構造を有するMEK162:
Figure 2023513015000018
以下の構造を有するAZD8330:
Figure 2023513015000019
以下の構造を有するTAK-733:
Figure 2023513015000020
以下の構造を有するGDC-0623:
Figure 2023513015000021
以下の構造を有するレファメチニブ(RDEA119;BAY869766としても公知である):
Figure 2023513015000022
以下の構造を有するピマセルチブ(AS4987655としても公知である):
Figure 2023513015000023
以下の構造を有するRO4987655(CH4987655としても公知である):
Figure 2023513015000024
以下の構造を有するCH5126766(VS-6766):
Figure 2023513015000025
以下の構造を有するCInQ-03:
Figure 2023513015000026
以下の構造を有するG-573:
Figure 2023513015000027
以下の構造を有するPD184161:
Figure 2023513015000028
以下の構造を有するPD318088:
Figure 2023513015000029
以下の構造を有するPD98059:
Figure 2023513015000030
以下の構造を有するRO5068760:
Figure 2023513015000031
以下の構造を有するSL327:
Figure 2023513015000032
以下の構造を有するU0126:
Figure 2023513015000033
WX-554(Wilex);およびHL-085(Shanghai Kechow Pharma)を含む。
一部の実施形態では、MEK阻害剤は、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040、CH5126766、MEK162、AZD8330、GDC-0623、レファメチニブ、ピマセルチブ、WX-554、HL-085、CH4987655、TAK-733、CInQ-03、G-573、PD184161、PD318088、PD98059、RO5068760、U0126およびSL327、または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される。
一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1週間に少なくとも1回(例えば、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、または1週間に6回)、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1週間に1回、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1週間に2回、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1日1回、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、1日2回、投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、約0.1mg~約100mg、例えば、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約4mg、約0.1mg~約3mg、約0.1mg~約2mg、約0.1mg~約1mg、約1mg~約10mg、約1mg~約20mg、約1mg~約40mg、約1mg~約60mg、約1mg~約80mg、約1mg~約100mg、約10mg~約100mg、約20mg~約100mg、約40mg~約100mg、約60mg~約100mgまたは約80mg~約100mgで投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、約0.1mg、0.2mg、0.5mg、1mg、1.5mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mgまたは100mgで投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、経口投与される。
一部の実施形態では、MEK阻害剤は、デュアルRAF/MEK阻害剤である。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、CH5126766または薬学的に許容されるその塩である。
一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、1週間に少なくとも1回(例えば、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、または1週間に6回)、投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、1週間に1回、投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、1週間に2回、投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、1日1回、投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、1日2回、投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、約0.1mg~約100mgで投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、経口投与される。
一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与する前に投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与した後に投与される。一部の実施形態では、デュアルRAF/MEK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤と同時併発的に投与される。
疾患および障害
異常な細胞成長
本明細書で使用する場合、および別に示さない限り、異常な細胞成長は、正常な調節機構(例えば、接触阻害の喪失)に依存しない細胞成長を指す。これには、(1)例えば、変異したチロシンキナーゼを発現することにより、または受容体チロシンキナーゼの過剰発現により増殖する腫瘍細胞(腫瘍)、(2)例えば、異常なチロシンキナーゼ活性化が起こる、他の増殖性疾患の良性および悪性細胞、(3)例えば、受容体チロシンキナーゼにより増殖する任意の腫瘍、(4)例えば、異常なセリン/トレオニンキナーゼ活性化により増殖する任意の腫瘍、および(5)例えば、異常なセリン/トレオニンキナーゼ活性化が起こる、他の増殖性疾患の良性および悪性細胞からなる成長異常が含まれる。異常な細胞成長は、上皮(例えば、癌腫、腺癌)、間葉(例えば、肉腫(例えば、平滑筋肉腫、ユーイング肉腫))、血液系(例えば、リンパ腫、白血病、脊髄形成異常(例えば、前悪性))、または他(例えば、黒色腫、中皮腫、および起源が未知の他の腫瘍)の細胞における細胞成長を指すことができる。
新生物障害
異常な細胞成長とは、新生物障害を指すことができる。「新生物障害」は、自律的成長または複製、例えば、増殖性細胞成長を特徴とする異常な状況または状態の能力を有する細胞を特徴とする疾患または障害である。異常な細胞成長もしくは分裂、または「新生物」の結果としての組織の異常な塊が、良性、前悪性(上皮内癌)または悪性(がん)とすることができる。
例示的な新生物障害には、癌腫、肉腫、転移性障害(例えば、前立腺、結腸、肺、胸部および肝臓を由来とするものから発生する腫瘍)、血液系新生物障害、例えば白血病、転移性腫瘍が含まれる。化合物による処置は、新生物障害の少なくとも1つの症状を改善、例えば細胞増殖の低減、腫瘍量の低下などに有効な量とすることができる。
がん
本発明の独創的な方法は、例えば固形腫瘍、軟部組織腫瘍およびそれらの転移を含めた、がんの予防および処置において有用となり得る。開示されている方法はまた、非固形がんの処置にも有用である。例示的な固形腫瘍には、肺、胸部、リンパ、胃腸(例えば、結腸)、および尿生殖(例えば、腎臓、尿路上皮または精巣の腫瘍)路、咽頭、前立腺および卵巣のものなどの、様々な臓器系の悪性疾患(例えば、肉腫、腺癌および癌腫)が含まれる。例示的な腺癌には、結腸直腸がん、腎細胞癌、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、肺の非小細胞癌、膵臓(例えば、転移性膵臓腺癌)および小腸のがんが含まれる。
がんは、中皮腫;神経線維腫症;例えば、2型神経線維腫症、1型神経線維腫症;腎がん;肺がん、非小細胞肺がん;肝臓がん;甲状腺がん;卵巣;乳がん;神経系腫瘍;神経鞘腫;髄膜腫;神経鞘腫症;聴神経腫瘍;腺様嚢胞癌;上衣腫;上衣腫瘍、あるいはマーリン発現の低下および/もしくは変異、ならびに/またはNF-2遺伝子の欠失および/もしくはプロモーター過剰メチル化を示す任意の他の腫瘍を含むことができる。一部の実施形態では、がんは腎がんである。
がんは、がん幹細胞、がん関連性間葉細胞または腫瘍始原がん細胞を含むものとして特徴づけられるがんを含むことができる。がんは、がん幹細胞、がん関連性間葉細胞または腫瘍始原がん細胞(例えば、上皮間葉転換を受けた細胞、または転移性腫瘍が豊富な腫瘍)が豊富であるものとして特徴づけられるがんを含むことができる。
がんは、原発性腫瘍とすることができる。すなわち腫瘍成長開始の解剖学的部位に位置し得る。がんはまた転移性とすることもできる。すなわち、腫瘍成長開始の解剖学的部位とは別の少なくとも第2の解剖学的部位に現れているものとすることができる。がんは、再発性がん、すなわち、処置後、および該がんが検出不可能なある期間の後に再発するがんとすることができる。再発性がんは、元々の腫瘍に局所的に解剖学的に、例えば、元々の腫瘍近くに解剖学的に、元々の腫瘍に局地的に、例えば元々の腫瘍近辺に位置しているリンパ節に、または元々の腫瘍の遠位に、例えば、元々の腫瘍から離れた領域に解剖学的に位置し得る。
がんはまた、例えば、以下に限定されないが、上皮がん、胸部、肺、膵臓、結腸直腸(例えば、転移性結腸直腸、例えば、転移性変異KRAS)、前立腺、頭部および頸部、黒色腫(例えば、NRASが変異した局所進行性または転移性の悪性皮下黒色腫)、急性骨髄性白血病および神経膠芽腫を含むことができる。例示的な乳がんには、トリプルネガティブ乳がん、基底様乳がん、低クローディン(claudin-low)乳がん、治療に耐性を示す、浸潤性、炎症性、異形成性および進行性のHER-2ポジティブまたはER-ポジティブがんが含まれる。
がんはまた、KRAS G12C変異を有するがんを含むことができる。
がんはまた、肺腺癌、結腸直腸がん(CRC)、子宮類内膜癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤性小葉癌、子宮頸部扁平上皮癌、皮膚黒色腫、頚管内腺癌、肝細胞癌、膵臓腺癌、二相型胸膜中皮腫、腎明細胞癌、腎明細胞癌、胃腺癌、管状胃腺癌、子宮癌肉腫または子宮悪性混合ミュラー腫瘍を含むことができる。
他のがんには、以下に限定されないが、ぶどう膜黒色腫、脳、腹部、食道、胃腸、グリオーマ、肝臓、舌、神経芽細胞腫、骨肉腫、卵巣、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、多発性骨髄腫、皮膚、リンパ腫、血液および骨髄のがん(例えば、進行性血液系悪性疾患、白血病、例えば急性骨髄性白血病(例えば、原発性または続発性)、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、T細胞白血病、血液系悪性疾患、進行性骨髄増殖性障害、骨髄異形成症候群、再発性または治療抵抗性多発性骨髄腫、進行性骨髄増殖性障害)、網膜、膀胱、子宮頸部、腎臓、子宮内膜、髄膜腫、リンパ腫、皮膚、子宮、肺、非小細胞肺、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、固形腫瘍、血液系悪性疾患、扁平上皮癌、精巣、甲状腺、中皮腫、脳 外陰部、肉腫、腸、口腔、内分泌腺、唾液、精巣精母細胞性セミノーマ(spermatocytic seminoma)、散発性甲状腺髄様癌(sporadic medulalry thyroid carcinoma)、非増殖性精巣細胞、悪性肥満細胞に関連するがん、非ホジキンリンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫が含まれる。
一部の実施形態では、腫瘍は固形腫瘍である。一部の実施形態では、この固形腫瘍は、局所進行性または転移性である。一部の実施形態では、この固形腫瘍は標準治療後に、治療抵抗性(例えば、耐性)である。
本明細書に記載されている方法は、障害および/またはその関連症状を軽減する、改善するまたは完全に取り除いて、悪化するのを予防する、進行速度を遅延させる、または一旦、最初に取り除かれると、障害の再発速度を最小限にする(すなわち、再発を回避する)ことができる。好適な用量および治療レジメンは、使用される具体的な化合物、組み合わせおよび/または医薬組成物、ならびに化合物、組み合わせおよび/または医薬組成物の送達様式に応じて様々となり得る。一部の実施形態では、本方法は、統計的に有意な様式で、本明細書に記載されている組み合わせを用いて処置される被験体の、生存の平均長さを増加させる、無進行生存の平均長さを増加させる、および/または再発の速度を低減する。
一部の実施形態では、がんは、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えばKRAS変異NSCLC、転移性のがん)、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭部または頚部のがん、皮膚または眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん(例えば、切除不能で低グレードの卵巣(unresectable low-grade ovarian)、進行性または転移性卵巣がん)、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、結腸がん、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん(例えば、エストロゲン受容体、黄体ホルモン受容体(receiptor)およびHer2/neuについての遺伝子を発現しない乳がん))、子宮がん、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部(cervix)の癌腫、膣の癌腫、外陰の癌腫、ホジキン病、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、前立腺がん、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱のがん、腎臓または尿管のがん、腎細胞癌、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊椎軸(spinal axis)の腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、中皮腫(例えば、悪性胸膜中皮腫、例えば外科的に切除可能な悪性胸膜中皮腫)、または上述のがんの1つまたは複数の組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、がんは転移性である。一部の実施形態では、異常な細胞成長は、局所再発性(例えば、被験体は、局所再発性疾患、例えばがんを有する)である。
追加の治療法
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法および組成物は、追加の治療(例えば、がん処置)と一緒に投与される。一実施形態では、1つもしくは複数の化合物または医薬組成物の混合物は、本明細書に記載されている組み合わせと共にそれを必要としている被験体に投与され得る。さらに別の実施形態では、1つもしくは複数の化合物または組成物(例えば、医薬組成物)は、例えば、がん、糖尿病、神経変性疾患、心血管疾患、血液凝固、炎症、紅潮、肥満、加齢、ストレスなどを含めた様々な疾患を処置または回避するために、本明細書に記載されている組み合わせと共に投与され得る。様々な実施形態では、本明細書に記載されている化合物または医薬組成物を含む併用療法は、(1)本明細書に記載されている組み合わせと組み合わせた1つまたは複数の化合物を含む、医薬組成物、および(2)本明細書に記載されている1つもしくは複数の化合物または医薬組成物と、本明細書に記載されている組み合わせとの共投与を指すことができ、この場合、本明細書に記載されている化合物または医薬組成物は、同一組成物中に製剤化されていない。一部の実施形態では、本明細書に記載されている組み合わせは、追加的な処置(例えば、追加的ながん処置)と共に投与される。一部の実施形態では、追加的な処置(例えば、追加的ながん処置)は、同一または別個の組成物で同時(例えば、同じ時間)に投与され得るか、または逐次投与され得る。逐次投与は、追加的な、例えば第2の処置(例えば、化合物または治療)の投与の前(その直前、その5、10、15、30、45、60分間未満前、1、2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、48、72、96時間またはそれを超えて前、4、5、6、7、8、9日またはそれを超えて前、1、2、3、4、5、6、7、8週またはそれを超えて前)に、1つの処置を投与することを指す。第1および第2の化合物または治療の投与の順序を、逆転することもできる。
例示的ながん処置には、例えば、化学療法、抗体治療法などの標的化治療法、免疫療法およびホルモン治療法が含まれる。これらの処置の各々の例は、以下に提供されている。
化学療法
一部の実施形態では、本明細書に記載されている組み合わせは、化学療法と一緒に投与される。化学療法は、がん細胞を破壊することができる薬物によるがんの処置である。「化学療法」は、通常、一般には標的化治療法とは対照的に、迅速に分裂する細胞に影響を及ぼす細胞毒性薬を指す。化学療法薬は、様々な可能性のある方法で、細胞分裂、例えば、DNAの複製または新しく形成される染色体の分離を妨害する。化学療法の大部分の形態は、迅速に分裂する細胞を標的とし、がん細胞に特異的ではないが、ある程度の特異性は、正常な細胞は一般にDNAの損傷を修復可能である一方、多くのがん細胞がDNAの損傷を修復する能力がないことに由来し得る。
がん治療において使用される化学治療剤の例には、例えば、代謝拮抗薬(例えば、葉酸、プリンおよびピリミジン誘導体)およびアルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、白金、スルホン酸アルキル、ヒドラジン、トリアジン、アジリジン、紡錘体毒、細胞毒性剤、トポイソメラーゼ(toposimerase)阻害剤および他のもの)が含まれる。例示的な薬剤には、アクラルビシン、アクチノマイシン、アリトレチノン(Alitretinon)、アルトレタミン、アミノプテリン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、三酸化ひ素、アスパラギナーゼ、アトラセンタン、ベロテカン(belotecan)、ベキサロテン、エンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボコン、カルモフール、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、クロルメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クリサンタスパーゼ(Crisantaspase)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デメコルシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エファプロキシラル、エレスクロモル(Elesclomol)、エルサミトルシン(Elsamitrucin)、エノシタビン、エピルビシン、エストラムスチン、エトグルシド、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル(5FU)、フォテムスチン、ゲムシタビン、Gliadelインプラント(Gliadel implant)、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イロフルベン、イキサベピロン、ラロタキセル(Larotaxel)、ロイコボリン、リポソームドキソルビシン、リポソームダウノルビシン、ロニダミン、ロムスチン、ルカントン、マンノスルファン、マソプロコール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、アミノレブリン酸メチル、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ネダプラチン、ニムスチン、オブリメルセン、オマセタキシン、オルタタキセル(Ortataxel)、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペガスパルガーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピラルビシン、ピクサントロン(Pixanlrone)、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ルビテカン、サパシタビン(Sapacitabine)、セムスチン、シチマジーンセラデノベック、ストラタプラチン(Strataplatin)、ストレプトゾシン、タラポルフィン、テガフル-ウラシル、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テセタキセル(Tesetaxel)、テストラクトン、テトラニトレート、チオテパ、チアゾフリン、チオグアニン、チピファルニブ、トポテカン、トラベクテジン、トリアジコン、トリエチレンメラミン、トリプラチン(Triplatin)、トレチノイン、トレオスルファン、トロホスファミド、ウラムスチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ボリノスタット、ゾルビシン、および本明細書に記載されている他の細胞増殖抑制剤または細胞毒性剤が含まれる。
一部の薬物は、単独でよりも一緒にしてよく働くので、2つまたはそれ超の薬物が、同時または逐次に与えられることが多い。多くの場合、2つまたはそれ超の化学治療剤が、併用化学療法として使用される。一部の実施形態では、この化学療法剤(併用化学療法を含む)は、本明細書に記載されている組み合わせと組み合わせて使用することができる。
標的化治療法
一部の実施形態では、本明細書に記載されている組み合わせは、標的化治療法と一緒に投与される。標的化治療法は、がん細胞の調節解除されたタンパク質に特異的な薬剤の使用を構成する。低分子標的化治療薬は、一般に、がん細胞内の変異した、過剰発現した、そうでなければ重要なタンパク質上の酵素ドメインの阻害剤である。著名な実施例には、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、デサチニブ、エルロチニブ(erolotinib)、イマチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、レスタウチニブ、ニロチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブおよびバンデタニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤であり、さらには、アルボシジブおよびセリシクリブなどのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤である。モノクローナル抗体療法は、治療剤が、がん細胞の表面上のタンパク質に特異的に結合する抗体である、別の戦略である。例には、通常、乳がんにおいて使用される抗HER2/neu抗体であるトラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、および様々なB細胞悪性疾患において通常、使用される抗CD20抗体であるリツキシマブおよびトシツモマブが含まれる。他の例示的な抗体には、セツキシマブ(Ctuximab)、パニツムマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブおよびゲムツズマブが含まれる。例示的な融合タンパク質には、アフリベルセプトおよびデニロイキンジフチトクスが含まれる。一部の実施形態では、この標的化治療法は、本明細書に記載されている組み合わせと組み合わせて使用することができる。
標的化治療法はまた、細胞表面受容体または腫瘍を取り囲む冒された細胞外マトリックスに結合することができる、「ホーミングデバイス(homing device)」としての小さなペプチドも含むことができる。核種が細胞の近傍で減衰する場合、これらのペプチド(例えば、RGD)に結合している放射性核種は、がん細胞を最終的に死滅させる。こうした治療法の一例には、BEXXAR(登録商標)が含まれる。
免疫療法
一部の実施形態では、本明細書に記載されている組み合わせは、免疫療法と一緒に投与される。がんの免疫療法とは、腫瘍と闘う患者自身の免疫系を誘発するよう設計されている、多様なセットの治療的戦略を指す。腫瘍に対する免疫応答を発生するための現行の方法には、表在性膀胱がんの場合の嚢内BCG免疫療法、ならびに腎細胞癌および黒色腫を有する被験体における免疫応答を誘発するための、インターフェロンおよび他のサイトカインの使用が含まれる。
同種造血幹細胞移植は、ドナーの免疫細胞が移植片対腫瘍効果において腫瘍を攻撃することが多いので、免疫療法の一形態と見なすことができる。一部の実施形態では、この免疫療法剤は、本明細書に記載されている組み合わせと組み合わせて使用することができる。
ホルモン治療法
一部の実施形態では、記載されている組み合わせは、ホルモン治療法と一緒に投与される。一部のがんの成長は、ある種のホルモンを提供または遮断することにより阻害され得る。ホルモン感受性腫瘍の一般的な例には、ある種のタイプの乳がんおよび前立腺がんが含まれる。エストロゲンまたはテストステロンの除去または遮断は、多くの場合、重要な追加処置である。ある種のがんでは、プロゲストゲンなどのホルモンアゴニストの投与が、治療上有益なことがある。一部の実施形態では、このホルモン治療剤は、本明細書に記載されている組み合わせと組み合わせて使用することができる。
放射線療法
本明細書に記載されている組み合わせは、増殖性疾患、例えばがん、例えばがん幹細胞に関連するがんの処置のための、指向性エネルギーもしくは粒子、または放射性同位体処置、例えば放射線治療、例えば放射線腫瘍学と組み合わせて使用することができる。本明細書に記載されている組み合わせは、指向性エネルギーもしくは粒子、または放射性同位体処置と一緒に、被験体に同時にまたは逐次に投与され得る。例えば、本明細書に記載されている組み合わせは、指向性エネルギーもしくは粒子、または放射性同位体処置、またはそれらの組み合わせの前、これらの最中またはこれらの後に投与され得る。指向性エネルギーまたは粒子治療は、全身の照射、身体の局所照射または点照射を含むことができる。指向性エネルギーまたは粒子は、加速器、シンクロトロン、核反応、真空管、レーザー、または放射性同位体に由来し得る。この治療法は、外部ビーム照射療法、遠隔放射線療法、近接照射療法、密封線源放射線療法(sealed source radiation therapy)、全身放射性同位体療法または非密封線源放射線療法(unsealed source radiotherapy)を含むことができる。この治療法は、放射性同位体、例えば、放射性ヨウ素、コバルト、セシウム、カリウム、臭素、フッ素、炭素の摂取、またはこれらの近位部に配置することを含むことができる。外部ビーム照射は、指向性アルファ粒子、電子(例えば、ベータ粒子)、プロトン、中性子、陽電子または光子(例えば、電波、ミリ波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線またはガンマ-線光子)への曝露を含むことができる。放射は、処置を必要としている被験体のいかなる部分も対象となり得る。
手術
本明細書に記載されている組み合わせは、増殖性疾患、例えばがん、例えばがん幹細胞に関連するがんの処置のための、手術、例えば外科的診査、介入、生検と組み合わせて使用することができる。本明細書に記載されている組み合わせは、手術と一緒に、被験体に同時にまたは逐次に投与され得る。例えば、本明細書に記載されている組み合わせは、手術の前(術前)、これらの最中またはこれらの後(術後)、またはそれらの組み合わせに投与され得る。手術は、1つまたは複数の細胞がさらなる分析のために採集されている間の生検であってもよい。生検は、例えば、メス、ニードル、カテーテル、内視鏡、スパチュラまたははさみを使用して実施され得る。この生検は、切除生検、切開生検、コア生検、またはニードル生検、例えばニードル吸引生検とすることができる。手術は、がん性である疑いがあるかまたはそのように特定された局所組織の除去を含むことができる。例えば、手順は、がん性病変、しこり、ポリープまたは母斑の除去を含むことができる。手順は、胸部、骨、皮膚、脂肪または筋肉などの、大量の組織の除去を含むことができる。手順は、臓器または節、例えば、肺、喉、舌、膀胱、子宮頸部、卵巣、精巣、リンパ節、肝臓、膵臓、脳、眼、腎臓、胆嚢、胃、結腸、直腸または腸の一部またはそれらの全部の除去を含むことができる。一実施形態では、がんは乳がん、例えばトリプルネガティブ乳がんであり、手術は、乳房切除術またはランペクトミーである。
抗炎症剤
本明細書に記載されている組み合わせは、抗炎症剤と一緒に投与され得る。抗炎症剤は、以下に限定されないが、非ステロイド系抗炎症剤(例えば、サリチレート系(アスピリン(アセチルサリチル酸)、ジフルニサル、サルサレート)、プロピオン酸誘導体(イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン)、エノール酸(オキシカム)誘導体(ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム)、フェナム酸誘導体(フェナメート)(メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸)、選択的COX-2阻害剤(コキシブ系)(セレコキシブ)、スルホンアニリド系(ニメスリド)を含むことができる。ステロイド系(例えば、ヒドロコルチゾン(コルチソール)、酢酸コルチソン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメサゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)を含むことができる。
鎮痛剤
鎮痛剤は、以下に限定されないが、オピエート系(例えば、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロモルフィン、ペチジン、ブプレノルフィン、トラマドール、ベンラファキシン)、パラセタモール(paracetomal)、および非ステロイド系抗炎症剤(例えば、サリチレート系(アスピリン(アセチルサリチル酸)、ジフルニサル、サルサレート)、プロピオン酸誘導体(イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン)、エノール酸(オキシカム)誘導体(ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム)、フェナム酸誘導体(フェナメート)(メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸)、選択的COX-2阻害剤(コキシブ系)(セレコキシブ)、スルホンアニリド系(ニメスリド)を含むことができる。
抗嘔吐剤
本明細書に記載されている組み合わせは、抗嘔吐剤と一緒に投与され得る。抗嘔吐剤は、以下に限定されないが、5-HT3受容体アンタゴニスト(ドラセトロン(Anzemet)、グラニセトロン(Kytril、Sancuso)、オンダンセトロン(Zofran)、トロピセトロン(Navoban)、パロノセトロン(Aloxi)、ミルタザピン(Remeron))、ドーパミンアンタゴニスト(ドンペリドン、オランザピン、ドロペリドール、ハロペリドール、クロルプロマジン、プロメタジン、プロクロルパラジン、メトクロプラミド(Reglan)、アリザプリド、プロクロルペラジン(Compazine、Stemzine、Buccastem、Stemetil、Phenotil))、NK1受容体アンタゴニスト(アプレピタント(Emend)、抗ヒスタミン薬(シクリジン、ジフェンヒドラミン(Benadryl)、ジメンヒドリネート(Gravol、Dramamine)、メクロジン(Bonine、Antivert)、プロメタジン(Pentazine、Phenergan、Promacot)、ヒドロキシジン)、ベンゾジアザピン系(ロラゼパム、ミダゾラム)、抗コリン作用薬(ヒヨスチン)、ステロイド系(デキサメサゾン)を含むことができる。
組み合わせ
句「と組み合わせて(in combination with)」および用語「共投与(co-administration)」、「共投与すること(co-administering)」または「共提供すること(co-providing)」は、本明細書で使用する場合、本明細書に記載されている化合物または本明細書に記載されている治療の投与の文脈では、2種の(またはそれより多い)異なる化合物または治療が、疾患または障害(例えば、本明細書に記載されている疾患または障害、例えばがん)により被験体が病気の過程にある間に該被験体に送達されること、例えば、2種の(またはそれより多い)異なる化合物または治療が、被験体が疾患または障害(例えば、本明細書に記載されている疾患または障害、例えばがん)であると診断された後、および疾患または障害が治癒されるかもしくは除かれる前、または他の理由のために処置が中止される前に、該被験体に送達されることを意味する。
一部の実施形態では、1種の化合物または治療の送達は、第2のものの送達が開始される際に依然として行われており、その結果、投与に関して重なりが存在する。これは、本明細書では、時として、「同時」または「同時併発送達(concurrent delivery)」と呼ばれる。他の実施形態では、1種の化合物または治療の送達が、他の化合物または治療の送達が開始される前に終了する。いずれの場合でも一部の実施形態では、上記の処置(例えば、化合物、組成物または治療の投与)は、組み合わせ投与のために一層効果的となる。例えば、第2の化合物または治療がより有効である。例えば、第1の化合物または治療の非存在下で第2の化合物または治療が投与された場合に観察されると思われるものよりも、より少ない第2の化合物または第2の治療を用いて等価な効果が観察されるか、または第2の化合物もしくは治療により大きな程度まで症状が軽減されるか、または第1の化合物または治療を用いた場合に、同様の状況が観察される。一部の実施形態では、送達は、症状、または障害に関連する他のパラメータにおける低下が他のものの非存在下で送達される1種の化合物または治療を用いた場合に観察されると思われるものよりも大きいようなものである。2種の化合物または治療の効果は、部分的に相加的であり得るか、全体的に相加的であり得るか、または相加的を超える(例えば、相乗的)ものであり得る。その送達は、送達される第1の化合物または治療が、第2のものが送達された際に、依然として検出可能であるようなものであり得る。
一部の実施形態では、第1の化合物または治療および第2の化合物または治療は、同一または別個の組成物で同時(例えば、同じ時間)に、または逐次に投与することができる。逐次投与は、追加的な、例えば第2の化合物または治療の投与の前(例えば、その直前、その5、10、15、30、45、60分未満前、1、2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、48、72、96時間前またはそれより前、4、5、6、7、8、9日前またはそれより前、1、2、3、4、5、6、7、8週間前またはそれより前)に、1種の化合物または治療を投与することを指す。第1および第2の化合物または治療の投与の順序は、逆転することもできる。
本明細書に記載されている組み合わせは、異常な細胞成長、例えばがんの第1選択処置(すなわち、がんを処置することを意図した別の薬物が以前に投与されていない患者において使用される);がんの第2選択処置(すなわち、がんを処置することを意図した別の薬物が以前に投与されている、それを必要としている被験体において使用される);がんの第3または第4の処置(すなわち、がんを処置することを意図した2種または3種の他の薬物が以前に投与された被験体において使用される)とすることができる。
一部の実施形態では、FAK阻害剤およびKRAS G12C阻害剤が、相乗(例えば、治療的)効果をもたらす量(例えば、用量)で投与される。
一部の実施形態では、FAK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与する前に投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与した後に投与される。一部の実施形態では、FAK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤と同時併発的に投与される。
一部の実施形態では、KRAS G12C阻害剤およびMEK阻害剤は、相乗(例えば、治療的)効果をもたらす量(例えば、用量)で投与される。
一部の実施形態では、MEK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与する前に投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤を投与した後に投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤と同時併発的に投与される。
一部の実施形態では、FAK阻害剤、KRAS G12C阻害剤およびMEK阻害剤が、相乗(例えば、治療的)効果をもたらす量(例えば、用量)で投与される。一部の実施形態では、MEK阻害剤およびFAK阻害剤は、KRAS G12C阻害剤と同時併発的に投与される。
投与および投与量
本発明の組み合わせは、経口、非経口、局所、直腸で、または埋め込み式レザーバーを介して、好ましくは経口投与または注射による投与によって、投与され得る。一部の場合、本組成物(例えば、医薬組成物)のpHは、薬学的に許容される酸、塩基または緩衝液により調節されて、該組成物の安定性または有効性を増強することができる。
一部の実施形態では、被験体には、経口的に組成物(例えば、医薬組成物)が投与される。一部の実施形態では、本組成物(例えば、医薬組成物)は、以下に限定されないが、液状ゲル(liqui-gel)錠剤またはカプセル剤、シロップ剤、エマルション剤および水性懸濁剤を含めた、任意の経口として許容される剤形で経口投与される。液状ゲルは、好適な粘稠度を達成するために必要な場合、ゼラチン、可塑剤および/または乳白剤を含むことができ、使用に承認されている腸溶コーティング、例えばセラックによりコーティングされていてもよい。経口投与として使用される場合、追加の増粘剤、例えばガム、例えばキサンタンガム、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、またはグルテンが加えられて、組成物(例えば、医薬組成物)の所望の粘稠度を達成することができる。所望の場合、ある種の甘味剤および/または矯味矯臭剤および/または着色剤が加えられてもよい。
一部の実施形態では、被験体には、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出性製剤、溶液剤および懸濁剤などの経口投与に適した形態の組成物(例えば、医薬組成物)が投与される。本組成物(例えば、医薬組成物)は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形にあってもよい。医薬組成物は、本明細書に記載の化合物に加え、薬学的に許容される担体を含んでもよく、例えば安定化剤、賦形剤、結合剤および滑沢剤をさらに含んでもよい。さらに、この錠剤は、他の医療的または薬学的な薬剤、担体、およびまたはアジュバントを含んでもよい。例示的な医薬組成物には、圧縮された錠剤(例えば、直接圧縮された錠剤)を含む。
活性成分または治療成分(例えば、本明細書に記載されている化合物)を含む錠剤も提供される。活性成分または治療成分に加え、錠剤は、担体などのいくつかの不活発物質を含んでもよい。薬学的に許容される担体は、石油、動物、植物または合成起源(ピーナッツ油、ゴマ油など)のものを含む、水および油などの滅菌液体とすることができる。食塩溶液および水性デキストロースもまた、液体担体として使用することができる。こうして、本発明による使用のための経口剤形は、添加剤および補助剤を含む1種または複数の薬学的に許容される担体を使用して、従来の方法で製剤化することができ、これらの担体は、薬学的に使用することができる調製物への活性成分の加工を容易にする。
添加剤は、圧縮される材料に、良好な粉末流動および圧縮特徴を付与することができる。添加剤の例は、例えば、Raymond C Rowe、Paul J. SheskeyおよびSian C. Owenにより編集されたHandbook of Pharmaceutical Excipients(第5版);出版社:Pharmaceutical Pressにおいて記載されている。
経口投与の場合、活性成分、例えば本明細書に記載されている化合物は、活性成分と当技術分野で周知の薬学的に許容される担体とを組み合わせることにより、容易に製剤化することができる。こうした担体は、本発明の活性成分を、被験体によって経口で摂取するために、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、散剤または顆粒剤、水性または非水性媒体中の懸濁剤または溶液剤などとして製剤化することを可能にする。経口使用のための薬理学的調製物は、固体添加剤を使用し、場合により得られた混合物を粉砕し、そして顆粒の混合物を加工し、所望の場合、好適な補助剤を加えた後に、例えば錠剤を得ることができる。賦形剤、結合剤または崩壊剤などの適切な添加剤が望ましくなり得る。
投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、様々になり得る。正確な製剤、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して、個々の医師によって選択され得る(例えば、Finglら、1975年の「The Pharmacological
Basis of Therapeutics」を参照されたい)。上で列挙されているものよりも少ないかまたは多い用量が必要となることがある。特定のいかなる被験体にとっての具体的な投与量および処置レジメンは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排出率、薬物組み合わせ、疾患、状態もしくは症状の重症度および経過、疾患、状態もしくは症状に対する被験体の傾向、および処置する医師の判断を含む、様々な要因に依存する。治療の一クールは、本明細書に記載されている化合物の1つまたは複数の別個の投与を含むことができる。治療の一クールは、本明細書に記載されている化合物の1つまたは複数のサイクルを含むことができる。
一部の実施形態では、サイクルとは、薬物投与のサイクルの文脈において本明細書で使用する場合、薬物が患者に投与される期間を指す。例えば、ある薬物が21日間のサイクルにわたり投与される場合、この周期的投与は、例えば、毎日または1日2回で21日間、投与される。薬物は、1回より多いサイクルにわたり投与することができる。休止期間が、各サイクルの間に設けられてもよい。休止サイクルは、長さが、1、2、4、6、8、10、12、16、20、24時間、1、2、3、4、5、6、7日間、または1、2、3、4週間またはそれ超とすることができる。
経口剤形は、所望の場合、FDAにより承認を受けたキットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで提示されてもよく、これらは、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有してもよい。このパックは、例えば、ブリスターパックなどの金属製またはプラスチック製フォイルを含むことができる。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与するための指示書を伴ってもよい。パックまたはディスペンサーは、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形態の容器を伴う注意書きを伴ってもよく、この注意書きは、該政府機関による、組成物の形態またはヒトもしくは獣医学的投与の承認を反映したものである。こうした注意書きは、例えば、処方薬に対して米国食品医薬品局によって承認を受けたラベル付け、または承認済み製品インサートとすることができる。
本明細書に記載されている発明が一層完全に理解され得るために、以下の実施例を説明する。本出願に記載されている実施例は、本明細書において提供されている医薬組成物および方法を例示するために提示されており、その範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。
以下の略称が、以下の実施例に使用されることがある:DMSO:ジメチルスルホキシド;HPCD:2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン;HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース;PO:経口;QD:1日1回;BID:1日2回;G12Ci:G12C阻害剤;FAKi:FAK阻害剤
(実施例1)
前臨床固形腫瘍モデルにおける、デュアルRAF/MEK阻害剤であるVS-6766とKRAS G12C阻害剤との相乗的抗腫瘍有効性
本研究は、本発明者らが企図した、デュアルRAF/MEK阻害剤(例えば、VS-6766)+/-FAK阻害剤と組み合わせたG12C阻害剤による、RAS、RAFおよびMEKの垂直方向の薬理学的遮断は、優れた経路遮断および抗腫瘍有効性をもたらすことを調査する。
材料および方法
in vitroでの3D増殖アッセイ
KRAS G12C変異体NSCLC(H2122、H358、H2030、H1373)および結腸直腸がん(CRC;SW837およびSW1463)を使用した。手短に述べると、96ウェルプレートを50μLのMatrigel(100%)によりコーティングし、Matrigelを固化させるため、37℃および5%CO2で30分間、インキュベートした。2%Matrigelを含有する培地100μLに細胞を播種した。細胞を一晩(17~22時間)インキュベートした後、7日間、VS-6766+/-G12C阻害剤+/-デファクチニブにより処理した。細胞生存度は、細胞生存度CellTiter-Glo 3Dアッセイを使用して測定した。組み合わせ効果は、単剤の活性に由来する2種の異なるヌル参照モデルに対する生存度/阻害の平均を比較することにより評価した。Bliss、Loeweおよび最高単剤相乗作用解析(Highest Single Agent synergy analysis)を行い、相乗作用スコアを求めた。
ウエスタンブロット
KRAS G12C変異体NSCLC細胞(H2122、H358、H1373およびSW1573)を10cmディッシュに播種した。細胞を一晩(17~22時間)インキュベートした後、100nMのVS-6766+/-100nMのG12C阻害剤により処理した。化合物で処理して4時間および48時間後に、細胞を採集し、プロテアーゼ阻害剤を含有するRIPA緩衝液を使用して細胞溶解物を調製した。ウエスタンブロットアッセイは、pMEK、MEK、pERK、ERK、p-p90RSK、p90RSKおよびアクチンに対する抗体を使用して実施した。
異種移植片腫瘍マウス研究
KRAS G12C変異体NSCLC H2122およびH358腫瘍細胞、ならびにBalb/cヌードマウスを使用した。レシピエントマウスの右脇腹に、1×10個の腫瘍細胞懸濁物を皮下接種することによって、腫瘍チャレンジを開始した。腫瘍サイズ(mm)および体重は、本研究の期間の間、1週間に3回、測定した。常套的なモニタリング時に、動物は、移動度、食物および水の摂取(目視だけによる)、ならびに体重増加/減少、目/毛髪のもつれ(matting)、および任意の他の異常作用などの、正常な挙動に及ぼす、腫瘍成長および処置の何らかの効果について確認した。
薬力学的研究のため、腫瘍が、一旦、200~300mmの平均体積に到達すると、マウスを4つの群(n=5)に分類した:ビヒクル1(滅菌水中の5%DMSO、10%HPCD)+ビヒクル2(滅菌水中の2%HPMC、1%Tween(登録商標)80)、ビヒクル1中のVS-6766(0.3mg/kg PO QD、5日間)+ビヒクル2、ビヒクル2中のAMG-510(30mg/kg PO QD、5日間)+ビヒクル1、およびVS-6766+AMG-510。
有効性研究のため、腫瘍が、一旦、150~200mmの平均体積に到達すると、マウスを10の群(n=10)に分類した:ビヒクル1(滅菌水中の5%DMSO、10%HPCD)+ビヒクル2(滅菌水中の2%HPMC、1%Tween(登録商標)80)、ビヒクル1中のVS-6766(0.3mg/kg PO QD、28日間)+ビヒクル2、ビヒクル2中のAMG-510(30mg/kg PO QD、28日間)+ビヒクル1、VS-6766+AMG-510、VS-4718(滅菌水中の0.5%CMC-Na、0.1%Tween(登録商標)80)(50mg/kg PO BID、28日間)+ビヒクル2、VS-4718+VS-6766、VS-4718+AMG-510、VS-4718+AMG-510+VS-6766、トラメチニブ(0.3mg/kg PO QD、28日間)(蒸留水中の0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび0.2%Tween(登録商標)-80(pH8.0))+ビヒクル2、ならびにトラメチニブ+AMG-510。マウスは、腫瘍体積>2,000mmになると、安楽死させた。
結果
in vitroでの3D増殖アッセイでは、VS-6766は、KRAS G12C mt NSCLCおよび結腸直腸がん細胞系のパネルの生存度を低下させることにおいて、ソトラシブとアダグラシブの両方と相乗的であった(図1、2)。図1Bでは、Loewe相加性モデルを使用して薬物の効果を解析し、組み合わせの効果が、個々の薬物応答の追加を反映したかどうかを決定した(青線(真ん中の線):薬物が単に相加的である場合、予想されるがんの成長阻害、または相乗作用(赤線(下側の線):青線(真ん中の線)からの逸脱であり、相乗作用を示す)。図2では、デファクチニブは、KRAS G12C mt NSCLCおよび結腸直腸がん細胞系のパネルの生存度を低下させることにおいて、ソトラシブとアダグラシブのどちらとも相乗的であることをやはり示した。
したがって、VS-6766は、KRAS-G12C NSCLC細胞系全体に単剤として、RAS経路のシグナル伝達(pMEK、pERK、p-p90RSK)を効果的に抑制し、VS-6766+G12Ciの組み合わせは、G12Ci単独に比べて、RAS経路のシグナル伝達の深度および期間を改善したことを示した(図3、4)。図3は、VS-6766+G12C阻害剤によるpERK阻害が、KRAS G12C mt NSCLC細胞系のパネル全体にわたり、MRTX849またはAMG-510単独よりも優れていることを示している。図4は、KRAS G12C mt NSCLC細胞系のパネル全体にわたり、AMG-510またはMRTX849にVS-6766を添加すると、G12C阻害剤単独に比べて、MEK/ERKシグナル伝達の阻害の深度および期間が増大することを示している。同様に、H2122 KRAS G12C NSCLC異種移植片モデルでは、VS-6766は、ソトラシブと組み合わせると、ソトラシブ単独に比べて、腫瘍におけるpMEKおよびpERKの阻害を改善したことが示された(図5)。0.3mg/kgのVS-6766、30mg/kgのAMG-510、またはそれらの組み合わせを、H21222細胞系異種移植片を有するマウス(n=5/群)に経口胃管栄養により、5日間、毎日、投与した。最終用量の2時間、8時間および24時間後に、腫瘍を採取した。
H2122 KRAS G12C変異体NSCLCにおいて、VS-6766およびFAKiは、in vivoで、AMG-510の有効性を賦活化する(図6)。H2122 KRAS G12C mt NSCLC異種移植片モデルにおいて、VS-6766(0.3mg/kg QD)との組み合わせは、ソトラシブ(30mg/kg QD)による腫瘍成長阻害を増強した一方、トラメチニブ(0.3mg/kg QD)は、ソトラシブの有効性の増強には、はるかに効果が低かった。ソトラシブ単剤療法は、0/10のマウスにおいて、>20%の腫瘍退縮を誘発した一方、VS-6766、トラメチニブまたはFAK阻害剤とソトラシブとの組み合わせは、10日間の処置後に、それぞれ、5/10、1/10および4/10のマウスにおいて腫瘍退縮を誘発した。顕著なことに、VS-6766、ソトラシブおよびFAK阻害剤の三重の組み合わせは、10/10のマウスにおいて、≧35%の腫瘍縮小をもたらした。同様の結果が、H358 KRAS G12C mt NSCLCモデルにおいて観察された(図7)。
結論
VS-6766は、単剤療法としてRAS経路における垂直方向の遮断をもたらす。VS-6766+G12Ciの相乗作用が、KRAS-G12C mt NSCLCおよびCRC細胞系全体に観察された。VS-6766の組み合わせは、G12Ci単独に比べて、in vitroおよびin vivoにおいて優れたERK経路の遮断をもたらす。VS-6766とFAKiのどちらも、H2122およびH358異種移植片モデルにおいて、G12Ciの有効性を増強する。G12Ci+VS-6766+FAKiの三重の組み合わせは、すべてのマウスにおいて、腫瘍退縮をもたらす。これらの結果によって、KRAS G12C mt NSCLCおよびCRCを処置する場合の、G12C阻害剤と組み合わせたデュアルRAF/MEK阻害剤(例えば、VS-6766)±FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)の臨床評価が支持される。
均等物および範囲
特許請求の範囲において、「a」、「an」および「the」などの冠詞は、特に反対の記載がない限り、または文脈から明白ではない限り、1つまたは1つより多いことを意味することができる。ある群の1つまたは複数の構成要素の間の「または」を含む特許請求の範囲または記載は、特に反対のことが示されていない限り、または文脈から明白ではない限り、この群の1つ、1つより多いまたはすべての構成要素が、所与の生成物またはプロセスに存在する、これらに使用される、またはそうではない場合、これらに関連する場合に満たされていると考えられる。本発明は、その群の正確に1つの構成要素が、所与の生成物またはプロセスに存在する、それらに使用される、またはそうでない場合、それらに関連する実施形態を含む。本発明は、その群の構成要素の1つ超またはすべてが、所与の生成物またはプロセスに存在する、それらに使用される、またはそうでない場合、それらに関連する実施形態を含む。
さらに、本発明は、すべての変形、組み合わせおよび変更を包含し、この場合、列挙されている請求項の1つまたは複数からの1つまたは複数の限定、要素、条項および記述用語が、別の請求項に導かれる。例えば、別の請求項に依存するいずれの請求項も修正されて、同じ基本請求項に依存する、任意の他の請求項に見いだされる1つまたは複数の限定を含む。要素が一覧表示として、例えばマーカッシュ群の形式で提示されている場合、これらの要素の部分群の各々もやはり開示されており、いずれの要素もこの群から取り除かれ得る。一般に、本発明、または本発明の態様は、特定の要素および/または特徴を含むと称される場合、本発明のある種の実施形態、または本発明の態様は、このような要素および/もしくは特徴からなる、またはこれらから本質的になることを理解すべきである。単純にする目的で、そのような実施形態は、本明細書において正確な言葉で具体的に説明されていない。用語「含むこと」および「含有すること」は、オープンであることを意図しており、さらなる要素またはステップを含むことを許容することにやはり留意されたい。範囲が示されている場合、端点が含まれる。さらに、特に示さない限り、または文脈からかつ当業者の理解から明白ではない限り、範囲として表されている値は、その文脈が明らかに別段の指定をしない限り、本発明の様々な実施形態において明記されている範囲内で、その範囲の下限値の単位の10分の1までの具体的な任意の値または部分範囲を想定することができる。
本出願は、様々に交付された特許、公開された特許出願、学術論文、および他の刊行物を参照しており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれている。組み込まれている参照物のいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合、本明細書が優先するものとする。さらに、先行技術の範囲内に収まる任意の本発明の特定の実施形態は、請求項のうちのいずれか1つまたは複数から明示的に除外されてもよい。このような実施形態は、当業者に公知であると見なされているので、それらの実施形態は、この除外が本明細書において明示的に説明されていない場合でさえも、除外されてもよい。本発明の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するか否かに関わらず、何らかの理由のために、いずれの特許請求からも除外され得る。
当業者であれば、型通りの実験のみを使用して、本明細書に記載されている特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または解明することができる。本明細書に記載されている本発明の実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲において説明されている通りである。当業者であれば、以下の特許請求の範囲において定義されている、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、この記載への様々な変更および改変を行うことができることを理解する。

Claims (52)

  1. がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤または薬学的に許容されるその塩をFAK阻害剤または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて前記被験体に投与し、これにより前記被験体を処置するステップを含む、方法。
  2. 前記FAK阻害剤が、デファクチニブ、TAE226、BI-853520(IN10018)、GSK2256098、PF-03814735、BI-4464、VS-4718およびAPG-2449または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記FAK阻害剤が、デファクチニブまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記KRAS G12C阻害剤が、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、AMG-510およびMRTX849または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記KRAS G12C阻害剤が、AMG-510または薬学的に許容されるその塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記KRAS G12C阻害剤が、MRTX849または薬学的に許容されるその塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  7. MEK阻害剤を投与するステップをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記MEK阻害剤が、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040、CH5126766、MEK162、AZD8330、GDC-0623、レファメチニブ、ピマセルチブ、WX-554、HL-085、CH4987655、TAK-733、CInQ-03、G-573、PD184161、PD318088、PD98059、RO5068760、U0126およびSL327または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記MEK阻害剤が、デュアルRAF/MEK阻害剤である、請求項7に記載の方法。
  10. 前記MEK阻害剤が、CH5126766または薬学的に許容されるその塩である、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)が、1日2回、投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)が、1日1回、投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)が、約100mg~約1000mgで投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)が、約200mg~約400mgで投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記FAK阻害剤(例えば、デファクチニブ)が経口投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記KRAS G12C阻害剤が、約100mg~約2000mgで投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記KRAS G12C阻害剤が、1日1回、投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記KRAS G12C阻害剤が、1日2回、投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記KRAS G12C阻害剤が経口投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記FAK阻害剤が、前記KRAS G12C阻害剤を投与する前に投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記FAK阻害剤が、前記KRAS G12C阻害剤を投与した後に投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記FAK阻害剤が、前記KRAS G12C阻害剤と同時併発的に投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記MEK阻害剤が、1週間に少なくとも1回(例えば、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、または1週間に6回)、投与される、請求項7~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記MEK阻害剤が、1週間に1回、投与される、請求項7~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記MEK阻害剤が、1週間に2回、投与される、請求項7~23のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記MEK阻害剤が、1日1回、投与される、請求項7~22のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記MEK阻害剤が、1日2回、投与される、請求項7~22のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記MEK阻害剤が、約0.1mg~約100mgで投与される、請求項7~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記MEK阻害剤が経口投与される、請求項7~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記FAK阻害剤が、デファクチニブまたは薬学的に許容されるその塩であり、前記KRAS G12C阻害剤が、MRTX849または薬学的に許容されるその塩であり、前記MEK阻害剤が、CH5126766または薬学的に許容されるその塩である、請求項7~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記FAK阻害剤が、デファクチニブまたは薬学的に許容されるその塩であり、前記KRAS G12C阻害剤が、AMG-510または薬学的に許容されるその塩であり、前記MEK阻害剤が、CH5126766または薬学的に許容されるその塩である、請求項7~29のいずれか一項に記載の方法。
  32. がんの処置を必要としている被験体において、がんを処置する方法であって、KRAS G12C阻害剤または薬学的に許容されるその塩をデュアルRAF/MEK阻害剤または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて前記被験体に投与し、これにより前記被験体を処置するステップを含む、方法。
  33. 前記KRAS G12C阻害剤が、ARS-853、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、AMG-510およびMRTX849または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記KRAS G12C阻害剤が、AMG-510または薬学的に許容されるその塩である、請求項32または33に記載の方法。
  35. 前記KRAS G12C阻害剤が、MRTX849または薬学的に許容されるその塩である、請求項32または33に記載の方法。
  36. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、CH5126766または薬学的に許容されるその塩である、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記KRAS G12C阻害剤が、約100mg~約2000mgで投与される、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記KRAS G12C阻害剤が、1日1回、投与される、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記KRAS G12C阻害剤が、1日2回、投与される、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記KRAS G12C阻害剤が経口投与される、請求項32~39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、1週間に少なくとも1回(例えば、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、または1週間に6回)、投与される、請求項32~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、1週間に1回、投与される、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、1週間に2回、投与される、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、1日1回、投与される、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、1日2回、投与される、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、約0.1mg~約100mgで投与される、請求項32~45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、経口投与される、請求項32~46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、前記KRAS G12C阻害剤を投与する前に投与される、請求項32~47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、前記KRAS G12C阻害剤を投与した後に投与される、請求項32~47のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記デュアルRAF/MEK阻害剤が、前記KRAS G12C阻害剤と同時併発的に投与される、請求項32~47のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記がんが、KRAS G12C変異を有するがんである、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記がんが、肺腺癌、非小細胞肺癌、結腸直腸がん(CRC)、子宮類内膜癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤性小葉癌、子宮頸部扁平上皮癌、皮膚黒色腫、頚管内腺癌、肝細胞癌、膵臓腺癌、二相型胸膜中皮腫、腎明細胞癌、腎明細胞癌、胃腺癌、管状胃腺癌、子宮癌肉腫または子宮悪性混合ミュラー腫瘍である、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
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