JP2023510871A - Il2ムテイン - Google Patents

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Abstract

本開示は、IL2ムテインおよびヒト疾患の治療におけるその使用に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月14日に出願された米国仮特許出願第62/960,847号の優先権を主張し、その開示は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
連邦政府による資金に関する陳述
本開示の主題の構想または実施化に連邦政府による資金は使用されなかった。
発明の背景
インターロイキン2(IL-2)は、正常な免疫応答の産生に関与する活性化CD4+ T細胞によって主に産生される多能性サイトカインである。IL-2は、免疫系に幅広い効果を及ぼし、免疫活性化、抑制、およびホメオスタシスのいずれの調節にも重要な役割を演じる。IL-2は、活性化Tリンパ球の増殖および拡大増殖を促進し、B細胞の成長を強化し、単球およびナチュラルキラー細胞を活性化する。ヒトIL-2(SEQ ID NO:1)のアミノ酸配列は、Genbankアクセッション番号(accession locator)NP_000577.2に見出される。
免疫系刺激物質としてIL-2は、がんおよび慢性ウイルス感染症の治療に用いられてきた。しかし、IL-2の効果は、自己免疫および移植片拒絶の媒介にも関連している。IL2療法は、特に高用量で、ヒト対象における顕著な毒性と関連している。結果として、治療目標は、関連する自己免疫応答または免疫抑制応答を最小限にしながらIL2の所望の作用を維持することである。免疫調節および免疫疾患におけるその役割のせいで、新しいIL-2類似体およびバリアントの探索は、依然として研究の盛んな分野である。
IL-2は、以下の3つの異なる細胞表面タンパク質との相互作用を経て哺乳動物免疫細胞にその効果を及ぼす:(1)CD25(IL2受容体アルファ、IL-2Rα、p55とも称される)、CD122(インターロイキン-2受容体ベータ、IL2Rβ、IL15Rβ、およびp70-75とも称される)、ならびにCD132(インターロイキン2受容体ガンマ、IL-2Rγ;またはこれがこのファミリー内の他の多量体受容体の構成要素であることから共通ガンマ鎖とも称される)。
CD25は、Treg細胞では構成的に発現し、他のT細胞上では活性化(例えばCD3による)に応答して誘導的に発現する、55kDのポリペプチドである。hIL-2は、約10-8MのKdでhCD25に結合する。CD25は、文献では「低親和性」IL-2受容体とも称される。ヒトCD25は、アミノ酸21個のシグナル配列を含むアミノ酸272個のプレタンパク質として発現し、翻訳後にシグナル配列が除去されて、アミノ酸251個の成熟タンパク質になる。アミノ酸22~240(成熟タンパク質のアミノ酸1~219)は細胞外ドメインに相当する。アミノ酸241~259(成熟タンパク質のアミノ酸220~238)は膜貫通ドメインに相当する。アミノ酸260~272(成熟タンパク質のアミノ酸239~251)は細胞内ドメインに相当する。CD25の細胞内ドメインは比較的小さく(アミノ酸13個)、いかなる独立したシグナル伝達活性とも関連付けられていない。IL2/CD25複合体は、検出可能な細胞内シグナル伝達応答をもたらすことが観察されていない。ヒトCD25の核酸配列およびタンパク質配列は、それぞれGenBankアクセッション番号NM_000417およびNP_0004Q8として見出され得る。
CD122は、1回膜貫通型タイプI膜貫通タンパク質である。ヒトCD122(hCD122)は、アミノ酸551個のタンパク質として発現し、これは最初のアミノ酸26個はシグナル配列を含み、翻訳後にシグナル配列が切断されて、アミノ酸525個のタンパク質になる。アミノ酸27~240(成熟タンパク質のアミノ酸1~214)は細胞外ドメインに相当し、アミノ酸241~265(成熟タンパク質のアミノ酸225~239)は膜貫通ドメインに相当し、アミノ酸266~551(成熟タンパク質のアミノ酸240~525)は細胞内ドメインに相当する。本明細書で使用される用語CD122は、S57FおよびD365E(成熟hCD122タンパク質に従って番号付けされた場合)を含むCD122タンパク質の天然バリアントを含む。hCD122は、UniProtKBデータベースでエントリーP14784として参照される。ヒトCD122の核酸配列およびタンパク質配列は、それぞれGenBankアクセッション番号NM_000878およびNP_000869として見出され得る。
CD132は、1型サイトカイン受容体であり、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、およびIL-21に対する受容体複合体によって共有されるので、「共通」γ鎖を指す。ヒトCD132(hCD132)は、アミノ酸22個のN末端シグナル配列を含む、アミノ酸369個のプレタンパク質として発現する。アミノ酸23~262(成熟タンパク質のアミノ酸1~240)は細胞外ドメインに相当し、アミノ酸263~283(成熟タンパク質のアミノ酸241~262)はアミノ酸21個の膜貫通ドメインに相当し、アミノ酸284~369(成熟タンパク質のアミノ酸262~347)は細胞内ドメインに相当する。hCD132は、UniProtKBデータベースでエントリーP31785として参照される。ヒトCD132の核酸配列およびタンパク質配列は、それぞれGenBankアクセッション番号:NM_000206およびNP_000197として見出され得る。
IL2受容体タンパク質は、組み合わされて2種のさらなるIL-2受容体複合体:(a)CD122およびCD132を含む「中親和性」IL2受容体(IL2Rβγとも称される)ならびに(b)CD25、CD122、およびCD132タンパク質を含む「高親和性」IL2受容体複合体(IL2Rαβγとも称される)を産生する。hIL-2は、中親和性CD122/CD132(IL2βγ)受容体複合体に対して約10e-9MのKdを有する。中親和性CD122/CD132(IL2βγ)受容体複合体は、主に休止T細胞およびNK細胞上に発現する。hIL-2は、高親和性IL-2受容体複合体に対して約10e-11MのKdを有する。休止T細胞などの大部分の細胞は、CD25/CD122/CD132高親和性受容体複合体と比べてIL-2に対して比較的低い親和性を有するCD122およびCD132だけを発現するので、IL-2に対して低い応答性を示す。高親和性受容体複合体は、主に、CD25を誘導性発現する活性化リンパ球およびCD25を構成的に発現するTreg細胞上にて確認される。
IL2分子の多能性効果およびそれがヒト疾患に関連して多種多様な細胞型の活性をモジュレートする、実証された能力に照らして、治療状況に応じて望ましくない特徴を最小限に抑えながら天然型分子の特定の望ましい特徴を保持するIL-2ムテインが、ヒト疾患の治療に有用であろう。
Garciaら(国際出願番号PCT/2018/062122、2019年5月31日に公開されたPCT国際公開公報番号WO2019/104092A1(特許文献1)、以下「Garcia '092」)は、とりわけ、部分的なIL2活性を保持しながらCD132に対する結合性の低下を示す、18、22、および126位を含む改変を有する特定のIL2ムテインを記載している。
WO2019/104092A1
本開示は、IL-2の部分アゴニストおよびアンタゴニストとして機能するIL-2ムテインを提供する。
本開示の概要
本開示は、CD132に対する結合親和性が低下しているが、それにもかかわらずCD122および/またはCD25に対して野生型ヒトIL-2の活性と同等の顕著な結合親和性を依然として保持するヒトIL-2ムテインの治療有効量を投与することによる、炎症性、感染性、または自己免疫性の疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供する。
いくつかの態様では、本開示は、CD132に対する結合親和性が低下しているが、それにもかかわらずCD122および/またはCD25に対して野生型ヒトの活性と同等の顕著な結合親和性を依然として保持し、IL-2として機能する、ヒトIL-2ムテインの治療有効量を、化学療法剤、免疫チェックポイントモジュレーター、放射線療法、および/または手術などの物理的介入治療方法のうちの1つまたは複数を含むが、それに限定されるわけではない補助作用物質と組み合わせて投与することによる、炎症性、感染性、または自己免疫性の疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供する。
いくつかの態様では、本開示は、CD132に対する結合親和性が低下しているが、それにもかかわらずCD122および/またはCD25に対して野生型ヒトIL-2の活性と同等の顕著な結合親和性を依然として保持し、IL-2として機能する、ヒトIL-2ムテインの治療有効量を投与することによる、炎症性、感染性、または自己免疫性の疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供し、ここで、該IL2ムテインの血清濃度は、該IL2ムテインに関してCD3により活性化した初代ヒトT細胞の増殖を促進するのに十分なIL2ムテインの有効濃度以上の血清濃度であるが、該IL2ムテインに関してT細胞の活性化を誘導するのに十分な該IL2ムテインの血清濃度の有効濃度以下の血清濃度で、ある期間維持される。
いくつかの態様では、本開示は、炎症性、感染性、または自己免疫性の疾患、障害、または状態の治療のための、1つまたは複数のIL2受容体に改変された結合性質を提供するヒトインターロイキン-2(IL-2)ムテインを提供する。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、hCD132の細胞外ドメインに対して低下した結合親和性を有する。
いくつかの態様では、IL-2ムテインは、hCD25/hCD122受容体複合体への顕著な結合性および/またはhCD25/hCD122/hCD132受容体複合体の活性化を保持しながらhCD132の細胞外ドメインに対して低下した結合親和性を有する。
いくつかの態様では、IL-2ムテインは、hCD25に対する実質的な結合親和性を保持しながらCD132に対して低下した結合親和性を有する。
一局面では、本開示は、野生型ヒトIL-2(hIL-2)と比較してhCD25に対する顕著なまたは向上した結合親和性およびhCD132受容体の細胞外ドメインに対して低下した結合親和性を示すhIL-2ムテインを提供する。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、成熟野生型hIL-2に従って番号付けされたアミノ酸位置18、22、および126より選択される、CD132受容体結合親和性を低下させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
別の局面では、本開示は、式:
Figure 2023510871000001
[式中:
・ a、b、c、d、e、f、g、h、およびiの各々は、0または1より個々に選択され;
・ AA1は、A(野生型、a=1)であるか、または欠失しており(a=0);
・ AA2は、P(野生型、b=1)であるか、または欠失しており(b=0);
・ AA3は、T(野生型、c=1)、C、A、G、Q、E、N、D、R、K、Pであるか、または欠失しており(c=0);
・ AA4は、S(野生型、d=1)であるか、または欠失しており(d=0);
・ AA5は、S(野生型、e=1)であるか、または欠失しており(e=0);
・ AA6は、S(野生型、f=1)であるか、または欠失しており(f=0);
・ AA7は、T(野生型、g=1)であるか、または欠失しており(g=0);
・ AA8は、K(野生型、h=1)であるか、または欠失しており(h=0);
・ AA9は、K(野生型、i=1)であるか、または欠失しており(i=0);
・ AA18は、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTであり;
・ AA22は、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFであり;
・ AA35は、K(野生型)またはEであり;
・ AA38は、R(野生型)、WまたはGであり;
・ AA39は、M(野生型)、LまたはVであり;
・ AA55は、H(野生型)またはYであり;
・ AA69は、V(野生型)またはAであり;
・ AA74は、Q(野生型)、P、N、H、Sであり;
・ AA80は、L(野生型)、FまたはVであり;
・ AA81は、R(野生型)、I、DまたはTであり;
・ AA85は、L(野生型)またはVであり;
・ AA86は、I(野生型)またはVであり;
・ AA89は、I(野生型)またはVであり;
・ AA92は、I(野生型)またはFであり;
・ AA97は、K(野生型)またはQであり;
・ AA104は、M(野生型)またはAであり;
・ AA109は、D(野生型)、C、または活性化した側鎖を有する非天然アミノ酸であり;
・ AA113は、T(野生型)またはNであり;
・ AA125は、C(野生型)、AまたはSであり;
・ AA126は、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTであり;
・ AA130は、S(野生型)、T、GまたはRであるが;
但し、AA18がRでありかつAA22がEである場合は、AA126は、H、M、K、C、D、E、G、I、R、S、およびTのいずれでもない]
のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
この局面のいくつかの態様では、
・ AA18は、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTからなる群より選択され;
・ AA22は、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFからなる群より選択され;
・ AA126は、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTからなる群より選択される。
いくつかの態様では、ポリペプチドは、L18R、Q22EおよびQ126M;L18R、Q22E、Q126T;L18R;Q22E;Q126H;L18R、およびQ126H;Q22E、およびQ126H;L18G、Q22EおよびQ126H;L18A、Q22EおよびQ126H;L18M、Q22EおよびQ126H;L18F、Q22EおよびQ126H;L18W、Q22EおよびQ126H;L18K、Q22EおよびQ126H;L18Q、Q22EおよびQ126H;L18E、Q22EおよびQ126H;L18S、Q22EおよびQ126H;L18V、Q22EおよびQ126H;L18I、Q22EおよびQ126H;L18Y、Q22EおよびQ126H;L18H、Q22EおよびQ126H;L18N、Q22EおよびQ126H;L18D、Q22EおよびQ126H;L18T、Q22EおよびQ126H;L18R、Q22GおよびQ126H;L18R、Q22AおよびQ126H;L18R、Q22LおよびQ126H;L18R、Q22MおよびQ126H;L18R、Q22FおよびQ126H;L18R、Q22WおよびQ126H;L18R、Q22KおよびQ126H;L18R、Q22SおよびQ126H;L18R、Q22VおよびQ126H;L18R、Q22IおよびQ126H;L18R、Q22YおよびQ126H;L18R、Q22HおよびQ126H;L18R、Q22RおよびQ126H;L18R、Q22NおよびQ126H;L18R、Q22DおよびQ126H;ならびにL18R、Q22TおよびQ126Hからなる群より選択される変異のセットを含む。
いくつかの態様では、ポリペプチドはPEG化されている。いくつかの態様では、ポリペプチドはPEG化されており、このようなPEG化ポリペプチドのPEG部分は、約10kD~約70kDの分子量を有する。
いくつかの態様では、ポリペプチドは融合タンパク質である。特定の態様では、融合タンパク質はFcドメインを含む。
別の局面では、本開示は、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする核酸を提供する。いくつかの態様では、核酸はDNAである。
別の局面では、本開示は、本明細書に記載される核酸を含む組み換え発現ベクターを提供する。いくつかの態様では、ベクターはウイルスベクターである。特定の態様では、ベクターは非ウイルスベクターである。
別の局面では、本開示は、本明細書に記載されるベクターにより形質転換された宿主細胞を提供する。
別の局面では、本開示は、本明細書に記載されるポリペプチド、核酸、またはベクターを含む薬学的製剤を提供する。
別の局面では、本開示は、本明細書に記載される薬学的製剤の治療有効量を投与する段階を含む、自己免疫性もしくは炎症性の疾患、障害、もしくは状態またはウイルス感染症を患っている哺乳動物対象を治療する方法を提供する。
いくつかの態様では、方法は、コルチコステロイド、ヤヌスキナーゼ阻害剤、カルシニューリン阻害剤、mTor阻害剤、IMDH阻害剤、生物製剤(biologic)、ワクチン、および治療用抗体からなる群より選択される1つまたは複数の補助作用物質を投与する工程をさらに含む。特定の態様では、治療用抗体は、BLyS、CD11a、CD20、CD25、CD3、CD52、IgEIL-12/IL-23、IL-17a、IL-1β、IL-4Rα、IL-5、IL-6R、インテグリン-α4β7、RANKL、TNFα、VEGF-A、およびVLA-4からなる群より選択されるタンパク質と結合する抗体である。
いくつかの態様では、疾患、障害、または状態は、ウイルス感染症、ヘリコバクターピロリ(heliobacter pylori)感染症、HTLV、臓器拒絶反応、移植片対宿主病、自己免疫性甲状腺疾患、多発性硬化症、アレルギー、喘息、アルツハイマー病を含む神経変性疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、糖尿病、軟骨炎、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身発症型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、少関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身発症型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎(湿疹)、剥脱性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎、毛孔性紅色粃糠疹、ばら色粃糠疹、類乾癬、苔癬状粃糠疹、扁平苔癬、光沢苔癬、魚鱗癬様皮膚疾患、角化症、皮膚疾患、円形脱毛症、壊疽性膿皮症、白斑、類天疱瘡、蕁麻疹、汗孔角化症、関節リウマチ;脂漏性皮膚炎、日光皮膚炎;脂漏性角化症、老人性角化症、日光角化症、光線角化症、毛包性角化症;尋常性ざ瘡;ケロイド;母斑;疣、コンジローマまたは尖圭コンジローマを含む疣贅、およびヒトパピローマウイルス(HPV)感染症より選択される。
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面と組み合わせて読むとき、最も良く理解される。慣例に従って、図面の様々な特徴は原寸に比例しないことが強調される。逆に言うと、様々な特徴の寸法は、明確にするために自由裁量で拡大または縮小されている。図面には次の図が含まれる。
実施例に記載される、表示のIL2ムテイン(および対照)を含有する293Tトランスフェクション上清で処理されたNKL細胞において測定されたpSTAT5レベルのグラフ表示を提供する。縦軸は、実施例に従って測定されたIL2活性のレベルを表し、各棒線は、実施例に記載の3文字略号によって識別される構築物に関連して評価された特定のIL2ペプチドの活性レベルを示す。 実施例に記載される、表示のIL2ムテイン(および対照)を含有する293Tトランスフェクション上清で処理されたCD25陽性YT細胞およびCD25陰性YT細胞におけるpSTAT5活性の比較を提供する。縦軸は、CD25陽性YT細胞上で観察されたpSTAT5活性のレベルを、CD25陰性YT細胞上で測定されたpSTAT5活性のレベルで割った比率として計算された選択性の尺度であり、各棒線は、実施例に記載の3文字略号によって識別される、評価された特定のIL2ペプチドの活性レベルを示す。 図3A~3Fは、明細書および実施例8により十分に記載される、hIL2ムテインと接触した3F8細胞の細胞増殖に関するデータを提供する。 図3Aの説明を参照。 図3Aの説明を参照。 図3Aの説明を参照。 図3Aの説明を参照。 図3Aの説明を参照。
詳細な説明
本開示をより容易に理解するために、特定の用語および語句を下記のみならず本明細書全体にわたり定義する。本明細書に提供される定義は非限定的であり、当業者が知っているであろう知識を考慮して読むべきである。
本方法および組成物を説明する前に、本発明が記載される特定の方法または組成物に限定されず、このようにもちろん変動し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様だけを説明することを目的とし、限定することを意図しないことも理解されたい。
値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、この範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各介在値も具体的に開示されることが理解されている。任意の表示値または表示範囲内の介在値と、他の任意の表示値または表示範囲内の介在値との間のより小さい範囲が各々本発明に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれるまたはより小さい範囲から除外される場合があり、表示範囲において具体的に除外される任意の限界値があれば、これらの限界値のうちのいずれか一方もしくは両方がより小さい範囲に含まれる各範囲またはどちらも含まれない各範囲も、本発明に包含される。表示範囲がこれらの限界値のうちのいずれか一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値のうちのいずれか一方または両方を除外する範囲もまた本発明に含まれる。
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。本明細書に記載の方法および物質と同様もしくは同等の任意の方法および物質を本発明の実施または試験に使用することもできるが、いくつかの潜在的で好ましい方法および物質が、これから説明される。本明細書で言及されるすべての刊行物は、それとの関連で刊行物が引用される方法および/または物質を開示および記載するために、参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書および添付の特許請求の範囲に使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数指示対象を含むことに留意すべきである。したがって例えば、「細胞」への言及は、複数の当該細胞を含み、「ペプチド」への言及は、1つまたは複数のペプチドおよびその等価物、例えば、当業者に公知のポリペプチドなどへの言及を含む。
本明細書で論じる刊行物は、それらの開示が本出願の出願日に先行するものについてのみ提供される。本明細書に含まれるいかなる記述も、本発明が先行発明によってそのような刊行物に先行する権利を与えられないことを認めるものとして解釈すべきではない。さらに、提示する刊行の日付は、別個に確認する必要があり得る実際の刊行の日付と異なる場合がある。
特に指示されない限り、部分は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度(℃)であり、圧力は大気圧または大気圧近くである。以下を含む標準的な省略が使用される:bp=塩基対;kb=キロ塩基;pl=ピコリットル;sまたはsec=秒;min=分;hまたはhr=時間;AAまたはaa=アミノ酸;kb=キロ塩基;nt=ヌクレオチド;pg=ピコグラム;ng=ナノグラム;μg=マイクログラム;mg=ミリグラム;g=グラム;kg=キログラム;dlまたはdL=デシリットル;μlまたはμL=マイクロリットル;mlまたはmL=ミリリットル;lまたはL=リットル;μM=マイクロモル濃度;mM=ミリモル濃度;M=モル濃度;kDa=キロダルトン;i.m.=筋肉内(に);i.p.=腹腔内(に);SCまたはSQ=皮下(に);QD=1日1回;BID=1日2回;QW=週1回;QM=月1回;HPLC=高速液体クロマトグラフィー;BW=体重;U=単位;ns=統計的に有意でない;PBS=リン酸緩衝食塩水;PCR=ポリメラーゼ連鎖反応;HSA=ヒト血清アルブミン;MSA=マウス血清アルブミン;DMEM=ダルベッコ変法イーグル培地;EDTA=エチレンジアミン四酢酸。
本開示にわたり、アミノ酸が1文字コードまたは3文字コードに従って参照されることが認識されるであろう。読者の便宜上、1文字アミノ酸コードおよび3文字アミノ酸コードを下の表1に提供する:
(表1)アミノ酸の略号
Figure 2023510871000002
分子生物学における標準方法は、科学文献に記載されている(例えば、Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;ならびに細菌細胞におけるクローニングおよびDNA変異誘発(Vol. 1)、哺乳動物細胞および酵母におけるクローニング(Vol. 2)、複合糖質およびタンパク質の発現(Vol. 3)、ならびにバイオインフォマティクス(Vol. 4)を記載しているAusubel, et al. (2001) Current Protocols in Molecular Biology, Vols. 1-4, John Wiley and Sons, Inc. New York, N.Y.を参照されたい)。この科学文献は、免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、および結晶化を含むタンパク質精製のための方法のみならず、化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の産生、およびタンパク質のグリコシル化を記載している(例えば、Coligan, et al. (2000) Current Protocols in Protein Science, Vols. 1-2, John Wiley and Sons, Inc., NYを参照されたい)。
特に指示されない限り、以下の用語は下に示される意味を有することが意図される。他の用語は、本明細書を通して別途定義される。
定義:
活性化する:本明細書で使用される場合、「活性化する」という用語は、受容体または受容体複合体を参照して受容体へのアゴニストリガンドの結合の生物学的効果を反映するために使用される。活性化物質は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、または細胞を、増大させる、活性化する、促進する、活性化を増強する、感作する、またはアップレギュレーションする分子である。例えば、IL2アゴニストのIL2受容体(例えば、高親和性CD25/CD122/CD132受容体複合体)への結合は、受容体のシグナル伝達を「活性化して」、1つまたは複数の細胞内生物学的効果(例えば、STAT5のリン酸化)を産生する。
活性:本明細書で使用される場合、「活性」という用語は、ある分子に関して、検査系または生物学的機能に関する当該分子の性質(例えば当該分子の別の分子への結合の程度)を記載するために使用される。そのような生物学的機能の例は、生物学的作用物質の触媒活性、細胞内シグナル伝達を刺激する能力、遺伝子発現、細胞増殖、炎症応答などの免疫活性をモジュレートする能力を含むが、それに限定されるわけではない。「活性」は、典型的には、投与された作用物質の単位あたりの生物学的活性、例えば[触媒活性]/[mgタンパク質]、[免疫活性]/[mgタンパク質]、活性の国際単位(IU)、[STAT5リン酸化]/[mgタンパク質]、[T細胞増殖]/[mgタンパク質]、プラーク形成単位(pfu)などとして表現される。
投与する/投与:「投与」および「投与する」という用語は、対象のインビトロ、インビボおよび/またはエクスビボで細胞、組織、臓器、または生体液を作用物質(例えば、IL-2ムテインまたはその薬学的製剤)と接触させることを含む、対象を接触させる行為を指すために、本明細書において互換的に使用される。作用物質の投与は、外用、血管内注射(静脈内または動脈内注入を含む)、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、頭蓋内注射、腫瘍内注射、リンパ節内注射、経皮、経粘膜、イオントフォレーシス送達、リンパ内注射(Senti and Kundig (2009) Current Opinions in Allergy and Clinical Immunology 9(6):537-543)、胃内注入、前立腺内注射、膀胱内注入(例えば、膀胱)、ネブライザーを含む吸入器、眼内注射、腹内注射、病巣内注射、卵巣内注射、脳内注入または注射、脳室内注射(ICVI)などを含むが、それに限定されるわけではない、当技術分野において承認されている多様な方法のいずれかにより達成され得る。「投与」という用語は、作用物質と、細胞、組織または臓器との接触のみならず、作用物質と、細胞と接触している流体との接触を含む。「投与」という用語は、対象から単離され、作用物質と接触されうる細胞(または細胞集団)のエクスビボ接触を含み、該細胞(または細胞集団)は、同じ対象(例えば、自家細胞移入)または異なる対象(例えば、同種細胞移入)に投与される。
有害事象:本明細書で使用される用語「有害事象」は、対象における治療剤または予防剤の使用と関連する任意の望ましくない経験を指す。有害事象は、治療剤または予防剤(例えば、IL2ムテイン)の投与によって必ずしも引き起こされる必要はなく、無関係の状況から生じ得る。有害事象は、典型的には軽度、中等度、または重度に分類される。本明細書で使用される場合、本明細書で使用される有害事象の分類は、米国保健福祉省、米国国立保健研究所および米国国立がん研究所によって刊行された、刊行日2017年11月27日の有害事象共通用語規準v5.0(CTCAE)に従う。
親和性:本明細書で使用される「親和性」という用語は、第1の分子(例えばリガンド)の第2の分子(例えば受容体)への特異的結合の程度を指し、分子とその標的との間の解離定数(Koff)と、分子とその標的の間の会合定数(Kon)との比であるKdとして表現される結合動態によって測定される。
アゴニスト:本明細書で使用される「アゴニスト」という用語は、第2の分子(「標的」)と特異的に結合し、標的と相互作用して標的の活性化の増強を引き起こすまたは促進する、作用物質を指す。アゴニストは、細胞の活性化をモジュレートする、活性化を増強する、細胞を第2の作用物質による活性化へと感作する、または例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、細胞における免疫チェックポイント経路を含む生物学的経路、もしくは細胞増殖をアップレギュレーションする、活性化物質である。いくつかの態様では、アゴニストは、受容体に結合し、受容体の状態を変更し、生物学的応答をもたらす作用物質である。この応答は、受容体の内因性活性化物質の効果を模倣している。「アゴニスト」という用語は、部分アゴニスト、完全アゴニスト、およびスーパーアゴニストを含む。アゴニストは、当該アゴニストが研究中の受容体によって誘導される完全応答(すなわち、天然のリガンド/受容体結合相互作用と関連する応答)をもたらす場合の「完全アゴニスト」、または部分アゴニストとして記載され得る。アゴニストと対照的に、アンタゴニストは、受容体に特異的に結合し得るが、典型的には受容体によって開始されるシグナルカスケードをもたらさず、その受容体でのアゴニストの作用を改変し得る。インバースアゴニストは、アゴニストの薬理応答と逆方向の薬理応答を産生する作用物質である。「スーパーアゴニスト」は、標的受容体に対して内因性アゴニストよりも大きな最大応答を産生することが可能なタイプのアゴニストであり、したがって、100%よりも大きな有効性を有する。本開示のIL-2スーパーアゴニストは、同等のアッセイにおいて同様の濃度で評価された場合、WHO国際標準(NIBSCコード:86/500)野生型成熟ヒトIL-2の活性の110%よりも大きい、代替的に120%よりも大きい、代替的に130%よりも大きい、代替的に140%よりも大きい、代替的に150%よりも大きい、代替的に160%よりも大きい、または代替的に170%よりも大きい活性を有し得る。
アンタゴニスト:本明細書で使用される「アンタゴニスト」または「阻害剤」という用語は、アゴニストの作用と対抗する分子を指す。アンタゴニストは、アゴニストの活性を防止、低減、阻害、または中和し、アンタゴニストはまた、特定されたアゴニストがない場合であっても、標的、例えば標的受容体の構成的活性を防止、阻害、または低減することができる。阻害剤は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、生物学的経路、または細胞を減少させる、遮断する、防止する、活性化を遅延させる、不活性化する、脱感作する、またはダウンレギュレーションする分子である。
抗体:本明細書で使用される用語「抗体」は、まとめて:(a)標的分子に特異的に結合するグリコシル化および非グリコシル化免疫グロブリン(哺乳動物免疫グロブリンクラスIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むが、それに限定されるわけではない)ならびに(b)標的分子との結合をそれが由来した免疫グロブリンと競合する、IgG(1-4)デルタCH2、F(ab')2、Fab、ScFv、VH、VL、テトラボディー、トリアボディー、ダイアボディー、dsFv、F(ab')3、scFv-Fcおよび(scFv)2を含むが、それに限定されるわけではない免疫グロブリン誘導体を指す。抗体という用語は、任意の特定の哺乳動物種に由来する免疫グロブリンに限定されず、マウス、ヒト、ウマ、ラクダ科動物、抗体、ヒト抗体を含む。抗体という用語は、典型的にはラクダ科動物(ラクダ、ラマおよびアルパカを含む)の免疫処置から得られるような、いわゆる「重鎖抗体」または「VHH」または「Nanobodies(登録商標)」を含む(例えば、Hamers-Casterman, et al. (1993) Nature 363:446-448を参照されたい)。所与の特異性を有する抗体はまた、サメを含むが、それに限定されるわけではない軟骨魚類の免疫処置から得られるVHHなどの非哺乳動物起源に由来し得る。「抗体」という用語は、天然起源から、または抗原による免疫処置後の動物から単離可能な抗体のみならず、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、三重特異性、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植、ベニヤ化(veneered)、または脱免疫化(deimmunized)(例えば、T細胞エピトープを除去するため)抗体を含む、操作された抗体を包含する。「ヒト抗体」という用語は、ヒトから得られた抗体のみならず、抗原により刺激されると、トランスジェニック動物が、ヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列特性を含む抗体を産生するような、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニック哺乳動物から得られた抗体を含む。抗体という用語は、親抗体およびその誘導体、例えば親和性成熟、ベニヤ化、CDR移植(CDR移植VHHを含む)、ヒト化、ラクダ化(非ラクダ由来VHHの場合)、または非免疫グロブリン足場中に抗体の結合ドメイン(例えばCDR)を含む結合分子の両方を含む。「抗体」という用語は、任意の特定の合成手段に限定されず、これは、天然起源から単離可能な天然抗体のみならず、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックであるトランスジェニック動物またはそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体、抗体の発現をもたらす核酸構築物により形質転換された宿主細胞から単離された抗体、ファージディスプレイライブラリーを含むコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体を含む、「組み換え」手段によって調製される、操作された抗体分子を含む、または化学合成(例えば、固相タンパク質合成)される。一態様では、「抗体」は、哺乳動物免疫グロブリンである。いくつかの態様では、抗体は、結合機能およびエフェクター機能を提供する可変ドメインおよび定常ドメインを含む「全長抗体」である。ほとんどの場合、全長抗体は、2つの軽鎖および2つの重鎖を含み、各軽鎖は、可変領域および定常領域を含む。いくつかの態様では、「全長抗体」という用語は、2つの軽鎖および2つの重鎖を含む従来のIgG免疫グロブリン構造を指すために使用され、各軽鎖は、可変領域および定常領域を含み、結合機能およびエフェクター機能を提供する。抗体という用語は、下記により詳細に記載するような融合タンパク質またはポリマーとのコンジュゲーション(例えばPEG化)などの、作用持続時間を延長するための改変を含む抗体コンジュゲートを含む。
生体試料:本明細書で使用される「生体試料」または「試料」という用語は、対象から得られた、または対象に由来する試料を指す。例として、生体試料は、体液、血液、全血、血漿、血清、粘液分泌、唾液、脳脊髄液(CSF)、気管支肺胞洗浄液(BALF)、眼球液(fluid of the eye)(例えば、硝子体液、房水)、リンパ液、リンパ節組織、脾臓組織、骨髄、およびこれらの組織のうちの1つまたは複数に由来する免疫グロブリン濃縮画分からなる群より選択される材料を含む。いくつかの態様では、試料は、同じIL2ムテインへの反復曝露などの、IL2ムテインの薬学的製剤を含む治療的処置レジメンを受けたことがある対象から得られる。他の態様では、試料は、最近IL2ムテインに曝露されたことがない対象から得られる、またはIL2ムテインの計画投与前の対象から得られる。
「CAR」または「キメラ抗原受容体」:本明細書で使用される用語「キメラ抗原受容体」および「CAR」は、アミノ末端からカルボキシ末端への配列に配置された複数の機能的ドメイン:(a)抗原結合ドメイン(ABD)および「ヒンジ」ドメインを含む細胞外ドメイン(ECD)、(b)膜貫通ドメイン(TD);ならびに(c)1つまたは複数の細胞質シグナル伝達ドメイン(CSD)を含むキメラポリペプチドを指すために互換的に使用され、ここで、前述のドメインは、任意で1つまたは複数のスペーサードメインによって連結されている場合がある。CARはまた、シグナルペプチド配列をさらに含む場合があり、シグナルペプチドは、CARの翻訳後プロセシングおよびCARをコードする核酸配列を含む発現ベクターにより形質転換された細胞の細胞表面でのCARの提示の間に慣例的に除去される。CARは、当技術分野において周知の原理に従って調製され得る。例えば、Eshharら(2010年6月22日に発行された米国特許第7,741,465 B1号);Sadelain, et al. (2013) Cancer Discovery 3(4):388-398;CampanaおよびImai(2013年3月19日に発行された米国特許第8,399,645号)、Jensen and Riddell (2015) Current Opinions in Immunology 33:9-15;Gross, et al. (1989) PNAS(USA) 86(24): 10024-10028;Curran, et al. (2012) J Gene Med 14(6):405-15;Brogdonら(2019年1月8日に発行された米国特許第10,174,095号)、Guedan, et al. (2019) Engineering and Design of Chimeric Antigen Receptors (2019) Molecular Therapy: Methods & Clinical Development Vol. 12: 145-156を参照されたい。
CAR-T細胞:本明細書で使用される用語「キメラ抗原受容体T細胞」および「CAR-T細胞」は、キメラ抗原受容体を発現するように組み換え改変されているT細胞を指すために互換的に使用される。市販のCAR-T細胞製品の例は、アキシカブタゲン シロルユーセル(Gilead PharmaceuticalsからYescarta(登録商標)として市販)およびチサゲンレクルユーセル(NovartisからKymriah(登録商標)として市販)を含む。
CD25:本明細書で使用される「CD25」、「IL2受容体アルファ」、「IL-2Rα」、「IL2Ra」および「p55」という用語は、Treg細胞において構成的に発現する55kDポリペプチドであって、活性化(例えば、CD3による)に応答して他のT細胞上で誘導的に発現する55kDポリペプチドに互換的に使用される。CD25はまた、文献で「低親和性」IL-2受容体とも称される。ヒトCD25の核酸配列およびタンパク質配列は、それぞれ、GenBankアクセッション番号NM_000417およびNP_0004Q8として見出され得る。ヒトCD25は、アミノ酸21個のシグナル配列を含むアミノ酸272個のプレタンパク質として発現し、シグナル配列が翻訳後に除去されてアミノ酸251個の成熟タンパク質になる。アミノ酸22~240(成熟タンパク質のアミノ酸1~219)は、細胞外ドメインに対応する。アミノ酸241~259(成熟タンパク質のアミノ酸220~238)は、膜貫通ドメインに対応する。アミノ酸260~272(成熟タンパク質のアミノ酸239~251)は、細胞内ドメインに対応する。hCD25の成熟形態のアミノ酸配列は、
Figure 2023510871000003
である。
CD122:本明細書で使用される「CD122」、「インターロイキン-2受容体ベータ」、「IL2Rb」、「IL2Rβ」、「IL15Rβ」および「p70-75」という用語は、ヒトCD122膜貫通タンパク質を指すために互換的に使用される。ヒトCD122(hCD122)は、アミノ酸551個のタンパク質として発現し、最初のアミノ酸26個はシグナル配列を含み、シグナル配列が翻訳後に切断されてアミノ酸525個の成熟タンパク質になる。アミノ酸27~240(成熟タンパク質のアミノ酸1~214)は、細胞外ドメインに対応し、アミノ酸241~265(成熟タンパク質のアミノ酸225~239)は膜貫通ドメインに対応し、アミノ酸266~551(成熟タンパク質のアミノ酸240~525)は細胞内ドメインに対応する。本明細書で使用される用語CD122は、S57FおよびD365E(成熟hCD122タンパク質に従って番号付けされた場合)を含むCD122タンパク質の天然バリアントを含む。hCD122は、UniProtKBデータベースでエントリーP14784として参照される。ヒトCD122の核酸配列およびタンパク質配列は、それぞれGenBankアクセッション番号NM_000878およびNP_000869として見出され得る。成熟hCD122タンパク質のアミノ酸配列は、
Figure 2023510871000004
である。hCD122の細胞外ドメインのアミノ酸配列は、
Figure 2023510871000005
である。
CD132:本明細書で使用される「CD132」、「IL2受容体ガンマ」、「IL2Rg」、「IL2Rγ」という用語は、1型サイトカイン受容体を指し、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、およびIL-21に対する受容体複合体によって共有されることから「共通」ガンマ鎖を指す。ヒトCD132(hCD132)は、アミノ酸22個のN末端シグナル配列を含む、アミノ酸369個のプレタンパク質として発現する。アミノ酸23~262(成熟タンパク質のアミノ酸1~240)は細胞外ドメインに対応し、アミノ酸263~283(成熟タンパク質のアミノ酸241~262)はアミノ酸21個の膜貫通ドメインに対応し、アミノ酸284~369(成熟タンパク質のアミノ酸262~347)は細胞内ドメインに対応する。hCD132は、UniProtKBデータベースでエントリーP31785として参照される。ヒトCD132の核酸配列およびタンパク質配列は、それぞれGenBankアクセッション番号:NM_000206およびNP_000197として見出され得る。成熟hCD132タンパク質のアミノ酸配列は、
Figure 2023510871000006
である。
CDR:本明細書で使用される用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖免疫グロブリンポリペプチドおよび軽鎖免疫グロブリンポリペプチドの両方(またはVHHの場合は重鎖)の可変領域内に見出される非連続抗原結合部位(combining site)を意味することが意図される。CDRは、Kabat, et al. (1977) J. Biol. Chem. 252:6609-6616;Kabat, et al. (1991) U.S. Dept, of Health and Human Services, "Sequences of proteins of immunological interest"(本明細書において「Kabat 1991」とも称される);Chothia et al. (1987) J. Mol Biol. 196:901-917;およびMacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996)によって記載されており、ここで、これらの定義は相互に比較した場合にアミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。本開示に関連して、CDR位置の番号付けは、Kabatの番号付けの慣例に従って提供される。
同等:本明細書で使用される「同等」という用語は、評価可能な定量または定性パラメーターの2つの測定値における差の程度を記載するために使用される。例えば、評価可能な定量パラメーター(例えば、CTLL-2の増殖またはホスホ-STAT5アッセイによって決定される場合のIL-2の活性レベル)の第1の測定値と、評価可能なパラメーターの第2の測定値との差が、当業者がその状況における2つの結果の間に実際に統計的有意差を生じないと認識するであろう範囲を超えない場合、これら2つの測定値は「同等」と見なされるであろう。場合によっては、ある測定値の別の測定値からの差が30%未満、代替的に25%未満、代替的に20%未満、代替的に15%未満、代替的に10%未満、代替的に7%未満、代替的に5%未満、代替的に4%未満、代替的に3%未満、代替的に2%未満、または1%未満である場合、これらの測定値は「同等」と見なされ得る。特定の態様では、ある測定値の参照標準からの差15%未満、代替的に10%未満、または代替的に5%未満である場合、この測定値は参照標準と同等である。
由来する:本明細書で使用される「由来する」という用語は、アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の文脈で(例えば、IL-2ポリペプチドに「由来する」アミノ酸配列)、ポリペプチドまたは核酸が参照ポリペプチドまたは核酸(例えば、天然IL-2ポリペプチドまたはIL-2コード核酸)の配列に基づく配列を有することを示すことが意味され、タンパク質または核酸が作られる起源または方法に関して限定的であることは意味されない。例として、「由来する」という用語は、参照アミノ酸配列またはDNA配列の相同体またはバリアントを含む。
濃縮されている:本明細書に使用されている「濃縮されている」という用語は、関心対象の分子が:(a)出発試料、例えば生体試料(例えば、分子が自然に存在するもしくは分子が投与後に存在する試料)中の分子の濃度よりも高い濃度(例えば、少なくとも3倍高い、代替的に少なくとも5倍高い、代替的に少なくとも10倍高い、代替的に少なくとも50倍高い、代替的に少なくとも100倍高い、代替的に少なくとも1000倍高い);または(b)分子が作られた環境(例えば、組み換え改変された細菌または哺乳動物細胞中のような)よりも高い濃度で存在するように試料が非天然に操作されたことを指す。
細胞外ドメイン:本明細書で使用される「細胞外ドメイン」という用語またはその略語「ECD」は、細胞の形質膜外側である、細胞表面タンパク質(例えば細胞表面受容体)の部分を指す。「ECD」という用語は、膜貫通タンパク質の細胞質外部分または細胞表面(もしくは膜関連タンパク質)の細胞質外部分を含み得る。
同一性:ポリペプチド配列またはDNA配列を参照して本明細書において使用される「同一性」という用語は、2つの分子の間のサブユニット配列同一性を指す。両方の分子におけるサブユニット位置が同じ単量体サブユニット(すなわち、同じアミノ酸残基またはヌクレオチド)によって占有されている場合、これらの分子はその位置で同一である。2つのアミノ酸または2つのヌクレオチド配列の間の類似性は、同一位置の数の直接の関数である。一般に、最高水準のマッチが得られるようにこれらの配列がアライメントされる。必要ならば、公表された技術および広く利用可能なコンピュータープログラム、例えばGCSプログラムパッケージ(Devereux et al., Nucleic Acids Res. 12:387, 1984)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul et al., J. Molecular Biol. 215:403, 1990)を使用して同一性を計算することができる。配列同一性は、配列解析ソフトウェア、例えばウィスコンシン大学バイオテクノロジーセンター遺伝学コンピューターグループ(1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705)配列解析ソフトウェアパッケージを使用し、そのデフォルトのパラメーターを用いて測定することができる。
IL-2:本明細書で使用される「インターロイキン-2」または「IL-2」という用語は、IL-2活性を有する天然IL-2ポリペプチドを指す。いくつかの態様では、IL-2は、成熟野生型ヒトIL-2を指す。成熟野生型ヒトIL-2(hIL2)は、Fujita, et. al, PNAS USA, 80, 7437-7441 (1983)に記載されるように、アミノ酸133個の成熟ポリペプチド(さらなる20個のN末端アミノ酸からなるシグナルペプチドだけ小さい)として存在する。成熟野生型ヒトIL-2(hIL2)の天然バリアントのアミノ酸配列は、
Figure 2023510871000007
である。本明細書において使用されるhIL2ムテインの残基の番号付けは、SEQ ID NO:5の配列と同じであるシグナルペプチドを除外するhIL2配列UniProt ID P60568に基づく。
IL2活性:「IL2活性」という用語は、細胞をIL2ポリペプチドの有効量と接触させることに応答した、細胞に対する1つまたは複数の生物学的効果を指す。IL2活性は、例えば、実質的にGearing, A.J.H. and C.B. Bird(1987) in Lymphokines and Interferons, A Practical Approach. Clemens, M.J. et al. (eds): IRL Press. 295の教示に従ってCTLL-2マウス細胞傷害性T細胞を使用する細胞増殖アッセイで測定され得る。組み換えヒトIL-2(rhIL2)の比活性は約2.1×104IU/μgであり、これは、組み換えヒトIL-2のWHO国際標準(NIBSCコード:86/500)に対して較正される。IL2活性は、当技術分野において公知のフローサイトメトリー法によって決定され得るSTAT5リン酸化レベルとして表現され得る(Bitar, et al (2019) Evaluating STAT5 Phosphorylation As A Mean to Assess T Cell Proliferation (2019) Frontiers In Immunology Volume 10, Article 722, pages 1-11)。
IL-2ムテイン:本明細書で使用される「IL-2ムテイン」という用語は、IL2分子のアミノ酸配列への改変を含む、天然形態のIL2に由来するムテインを指す。IL-2ムテインは、天然型の親IL-2ポリペプチド鎖の1つもしくは複数の部位またはその他の残基でのアミノ酸の挿入、欠失、置換、および改変によって特徴付けられる。いくつかの態様では、本発明のIL2ムテインは、同等のアッセイで同様の濃度で評価された場合、WHO国際標準(NIBSCコード:86/500)の野生型成熟ヒトIL-2の活性と同等のCD122結合活性を保持する。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのアミノ酸の置換を含むことができる。
変化を引き起こすのに十分な量で:本明細書で使用される「変化を引き起こすのに十分な量で」という語句は、ある量の被験作用物質の投与に応答して、細胞ベースアッセイで評価された生物学的機能などの指標のレベルが、系への被験作用物質の適用前に測定された場合(例えば、ベースラインレベル)と後に測定された場合との間に検出可能な差異をもたらすのに十分な、被験作用物質の量を指す。「変化を引き起こすのに十分な量」は、治療有効量であるのに十分であり得るが、「変化を引き起こすのに十分な量で」は、治療有効量よりも大きい場合も小さい場合もある。
治療を必要とする:本明細書で使用される「治療を必要とする」という用語は、対象に関して医師または他の介護者によってなされる、対象が治療を必要とするまたは治療から潜在的に恩恵を受けるであろうという判断を指す。この判断は、医師または介護者の専門的知識の範囲内である多様な要因に基づいて行われる。
予防を必要とする:本明細書で使用される「予防を必要とする」という用語は、対象に関して医師または他の介護者によってなされる、対象が予防的ケアを必要とするまたは予防的ケアから潜在的に恩恵を受けるであろうという判断を指す。この判断は、医師または介護者の専門的知識の範囲内である多様な要因に基づいて行われる。
阻害剤:本明細書で使用される「阻害剤」という用語は、例えば、遺伝子、タンパク質、リガンド、受容体、または細胞を減少させる、遮断する、防止する、その活性化を遅延させる、不活性化する、脱感作する、またはダウンレギュレーションする分子を指す。阻害剤はまた、細胞または生物の構成的活性を低減、遮断、または不活性化する分子としても定義することができる。
単離されている:本明細書で使用される「単離されている」という用語は、天然に存在するならば、天然に存在することができる環境と異なる環境中にある、関心対象のポリペプチドを参照して使用される。「単離されている」は、関心対象のポリペプチドが実質的に濃縮されており、かつ/または関心対象のポリペプチドが部分的もしくは実質的に精製されている試料内にあるポリペプチドを含むことが意味される。ポリペプチドが非天然の場合、「単離されている」は、ポリペプチドが合成手段または組み換え手段のいずれかによって製造された環境から分離されていることを示す。
Kabat番号付け:本明細書で使用される「Kabat番号付け」という用語は、免疫グロブリンの重鎖領域および軽鎖領域内の他のアミノ酸残基(例えば、超可変残基)よりも変動が大きいアミノ酸残基の番号付けシステムを指すための、抗体操作の技術分野において認識されている用語である(Kabat, el al., (1971) Ann. NY Acad. Sci 190:382-93;Kabat, et al., (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。本開示のために、本明細書に開示される抗体の可変領域内のCDRの位置付けは、Kabat番号付けまたは単に「Kabat」に従う。
リガンド:本明細書で使用される「リガンド」という用語は、受容体に対する特異的結合性を示す分子であって、それが結合する受容体の活性に変化を引き起こすように受容体の生物学的活性に変化をもたらす分子を指す。一態様では、「リガンド」という用語は、受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用することができる分子、またはその複合体を指す。本明細書で使用される「リガンド」という用語は、天然および合成リガンドを包含する。「リガンド」はまた、小分子、例えば、サイトカインのペプチド模倣体および抗体のペプチド模倣体を包含する。リガンドおよび受容体の複合体は、「リガンド-受容体複合体」と名付けられる。
改変IL-2ムテイン:本明細書で使用される「改変IL-2ムテイン」という用語は、1つまたは複数の余分なさらなる改変(すなわち、IL2ムテインのコアアミノ酸配列外側の改変)、例えばPEG化、グリコシル化(N-結合型およびO-結合型)、アシル化、もしくはポリシアリル化を含むIL-2ムテイン、または血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)もしくはウシ血清アルブミン(BSA))を含むアルブミン融合ポリペプチドまたはおよびFc-融合タンパク質を含むが、それに限定されるわけではない、他のポリペプチド担体分子とのコンジュゲーション(化学的コンジュゲーションもしくは融合タンパク質として)によるIL-2ムテイン、またはIL2オルソゴナルポリペプチド融合タンパク質、標的IL-2ムテインポリペプチド、例えばScFv-IL2ムテインポリペプチド融合タンパク質およびVHH-IL-2ムテインポリペプチド融合タンパク質を含むIgGなどのターゲティング部分を有するIL-2ムテインを指すために使用される。改変IL2ムテインは、1つまたは複数の性質を増強するために、例えば、免疫原性をモジュレートする;水溶性、バイオアベイラビリティー、血清半減期、および/もしくは治療的半減期を増大させる方法;ならびに/または生物学的活性をモジュレートするために調製され得る。特定の改変はまた、例えば、検出アッセイ(例えば、エピトープタグ)に使用するための抗体を産出するためおよびタンパク質の精製の容易さを提供するために有用であることができる。いくつかの態様では、改変IL-2ムテインは、SEQ ID NO:5と少なくとも95、96、97、98、または99%同一であり、表2に示されるようなSEQ ID NO:5に対して3つの改変の組み合わせのうち1つを有する。配列同一性および配列類似性を決定するために適したアルゴリズムは、それぞれAltschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410およびAltschul et al. (1977) Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載されているBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のウェブサイトを通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアライメントした場合にマッチするまたはある正の値の閾値スコアTを満たす、クエリ配列内の長さWの短いワードを同定することによって、最初に高スコア配列ペア(HSP)を同定することを伴う。Tは、隣接ワードスコアの閾値と称される(Altschulら、前記)。これらの最初の隣接ワードのヒットは、それらを含有するより長いHSPを見出す検索を開始するためのシードとして働く。次いで、アライメントスコアの合計が増加できる限り、配列毎にワードのヒットを両方向に伸ばす。ヌクレオチド配列について、パラメーターM(マッチする残基のペアについての報酬スコア(reward score);常に>0)およびN(ミスマッチする残基についてのペナルティースコア(penalty score);常に<0)を使用してスコアの合計が計算される。アミノ酸配列について、スコアの合計を計算するためにスコアリング行列が使用される。各方向におけるワードヒットの伸展は、アライメントスコアの合計がその最大達成値から量Xだけ低下する;1つもしくは複数の負スコアの残基のアライメントの累積によりスコアの合計がゼロ以下になる;またはいずれかの配列の末端に達する場合に停止される。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとしてワードサイズ(W)28、期待値(E)10、M=1、N=-2、および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワードサイズ(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリング行列を使用する(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照されたい)。
モジュレートする:本明細書で使用される「モジュレートする」、「モジュレーション」などの用語は、生物学的システムまたは生化学経路を含むシステムにおいて被験作用物質が応答にプラスもしくはマイナスまたは直接的もしくは間接的に影響する能力を指す。
ムテイン:本明細書で使用される「ムテイン」という用語は、このようなポリペプチドの一次構造(すなわちアミノ酸配列)への改変を含む野生型ポリペプチドの改変バージョンを指すために使用される。ムテインという用語は、ポリペプチド自体、ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードする核酸配列を指す場合がある。いくつかの態様では、ムテインポリペプチドは、親ポリペプチドと比べて約1~約10個のアミノ酸改変、代替的に親と比較して約1~約5つのアミノ酸改変、代替的に親と比較して約1~約3つのアミノ酸改変、代替的に親と比較して1~2つのアミノ酸改変、代替的に親と比較して単一のアミノ酸改変を含む。ムテインは、親ポリペプチドと少なくとも約99%同一、代替的に少なくとも約98%同一、代替的に少なくとも約97%同一、代替的に少なくとも約95%同一、または代替的に少なくとも約90%同一であり得る。
N末端:ポリペプチドの構造の文脈で本明細書で使用される「N末端」(または「アミノ末端」)および「C末端」(または「カルボキシル末端」)は、それぞれポリペプチドのアミノ最末端およびカルボキシル最末端を指すのに対し、「N末端側」および「C末端側」は、それぞれポリペプチドのアミノ酸配列におけるN末端およびC末端方向の相対位置を指し、それぞれN末端およびC末端の残基を含むことができる。「直接N末端側」または「直接C末端側」は、第2のアミノ酸残基と比べた第1のアミノ酸残基の位置を指し、ここで、第1のアミノ酸残基および第2のアミノ酸残基は共有結合して、連続するアミノ酸配列を提供する。
核酸:「核酸」、「核酸分子」、「ポリヌクレオチド」などの用語は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはそれらの類似体であるヌクレオチドの任意の長さのポリマー形態を指すために、本明細書において互換的に使用される。ポリヌクレオチドの非限定的な例は、線状または環状核酸、メッセンジャーRNA(mRNA)、相補的DNA(cDNA)、組み換えポリヌクレオチド、ベクター、プローブ、プライマーなどを含む。
IL-2に従って番号付けされた:本明細書で使用される「IL-2に従って番号付けされた」という用語は、特定のアミノ酸が成熟野生型hIL-2の成熟配列中に通常存在する位置を基準とする該アミノ酸の場所の識別を指し、例えばR81は、SEQ ID NO:5に存在する81番目のアミノ酸、アルギニンを指す。
機能的に連結されている:「機能的に連結されている」という用語は、本明細書において、異なる機能をコードする核酸配列を組み合わせて単一の核酸配列にした場合の、これらの核酸配列間の関係を指すために使用され、この単一の核酸配列は、細胞内に導入された場合に細胞内で特定の核酸配列の転写および/または翻訳を引き起こすことが可能な核酸を提供する。例えば、シグナル配列についてのDNAがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合、シグナル配列は該ポリペプチドについてのDNAに機能的に連結されている;プロモーターもしくはエンハンサーは、それが配列の転写に影響する場合、コード配列に機能的に連結されている;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置する場合、コード配列に機能的に連結されている。一般的に「機能的に連結されている」は、連結されているDNA配列が連続していること、分泌リーダーの場合は、連続し、かつ読み取り相(reading phase)にあることを意味する。しかし、エンハンサーなどの特定の遺伝要素は、それらがそれらの効果を提供する配列に関して連続している必要はない。
親ポリペプチド:本明細書で使用される「親ポリペプチド」、「親タンパク質」、「前駆ポリペプチド」、または「前駆タンパク質」という用語は、その後、改変されて、バリアントポリペプチドまたはムテインを生成する未改変ポリペプチドを指すために互換的に使用される。親ポリペプチドは、野生型(または天然型)ポリペプチドであり得る。
部分アゴニスト:本明細書で使用される「部分アゴニスト」という用語は、所与の受容体に特異的に結合し、それを活性化するが、完全アゴニストと比べて受容体の部分活性化だけを有する分子を指す。部分アゴニストは、アゴニスト効果およびアンタゴニスト効果の両方を示す場合がある。例えば、完全アゴニストおよび部分アゴニストの両方が存在する場合、部分アゴニストは、受容体との結合を完全アゴニストと競合することによって競合アンタゴニストとして作用し、部分アゴニストの非存在下での受容体と完全アゴニストとの接触と比べて受容体活性化に純減をもたらす。臨床的には、部分アゴニストは、不十分な量の内因性リガンドが存在する場合に受容体を活性化して、所望の最大下の応答を与えるように使用することができる、または過剰量の内因性リガンドが存在する場合に、それらは受容体の過刺激を低減することができる。部分アゴニストによって産生される最大応答(Emax)は、その内在活性と呼ばれ、完全アゴニストが100%応答を産生したパーセンテージスケールで発現し得る。本開示のIL-2部分アゴニストは、同等のアッセイにおいて同様の濃度で評価された場合にWHO国際標準(NIBSCコード:86/500)野生型成熟ヒトIL-2の活性の10%超、代替的に20%超、代替的に30%超、代替的に40%超、代替的に50%超、代替的に60%超、または代替的に70%超を有する場合がある。
PEG-IL2ムテイン:本明細書で使用される「PEG-IL2ムテイン」という用語は、少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)分子に共有結合したIL2ムテインを指し、少なくとも1つのPEG分子は、IL-2ムテインの少なくとも1つのアミノ酸残基に共有結合している。PEG化ポリペプチドは、モノPEG化、ジPEG化、トリPEG化(およびその他)とさらに称されて、それぞれIL-2ムテインに結び付いた1、2、3つ(またはそれより多く)のPEG部分を含むPEG-IL2ムテインを表す場合がある。いくつかの態様では、PEGは、IL-2ムテインと(例えば、リシンの側鎖、システインのスルフヒドリル基もしくはN末端アミンを経由して)直接共有結合している場合がある、またはPEGとIL-2ムテインとの間にリンカーを採用してもよい。いくつかの態様では、PEG-IL2ムテインは、それぞれが異なるアミノ酸残基に結合した複数のPEG分子を含む。いくつかの態様では、PEG-IL2ムテインは、SEQ ID NO:2(天然hIL2)に由来する。IL2のPEG化形態およびIL2ポリペプチドのPEG化の方法論は、当技術分野において周知である(例えば、1990年6月5日に発行されたKatreら、米国特許第4,931,544号;1993年4月27日に発行されたKatreら、米国特許第5,206,344号;および2018年1月9日に発行されたBossardら、米国特許第9,861,705号を参照されたい)。いくつかの態様では、2017年12月28日に公開されたPtacinら、米国特許出願公開US20170369871A1に記載されるように、部位特異的PEG化を促進するために、IL2ムテインが天然に存在しないアミノ酸側鎖を有する非天然アミノ酸の組み入れによって改変される場合がある。他の態様では、2016年2月18日にWO2016/025385として公開されたGreveら、PCT国際特許出願番号PCT/US2015/044462に記載されたように、システイン側鎖を介する部位特異的PEG化を促進するために、システイン残基がIL2分子内の様々な位置に組み入れられる場合がある。
ポリペプチド:本明細書で使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、遺伝的にコードされるアミノ酸および遺伝的にコードされないアミノ酸、化学的または生化学的に改変または誘導体化されたアミノ酸、ならびに改変ポリペプチド主鎖を有するポリペプチドを含むことができる任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指すために本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質;異種および相同リーダー配列を有する融合タンパク質;N末端メチオニン残基を有するまたは有しない融合タンパク質;免疫的にタグ付けされたタンパク質との融合タンパク質;免疫的活性タンパク質(例えば、抗原性ジフテリア毒素断片または破傷風毒素断片)などの融合タンパク質を含むが、それに限定されるわけではない融合タンパク質を含む。
予防する:本明細書で使用される「予防する」、「予防すること」、「予防」などの用語は、一般的に遺伝要因、経験的要因、または環境要因により、特定の疾患、障害、または状態を有する素因のある対象に関連して、対象が疾患、障害、状態もしくはその他(例えば、臨床症状の非存在によって決定されるもの)を発生するリスクを一時的もしくは永続的に予防する、抑制する、阻害する、もしくは低減する、またはそれらの発生を遅延させるように、疾患、障害、状態、またはそれらの症状の発生前に対象に関して開始される行動を指す。特定の例では、「予防する」、「予防すること」、「予防」という用語は、疾患、障害、または状態の現在の状態からより有害な状態への進行を遅らせることを指すためにも使用される。
受容体:本明細書で使用される「受容体」という用語は、リガンドの結合がポリペプチドの少なくとも1つの生物学的性質に変化をもたらす、リガンドと特異的に結合するドメインを有するポリペプチドを指す。いくつかの態様では、受容体は、細胞表面と関連しない「可溶性」受容体である。可溶性形態のhCD25は、hIL2と特異的に結合する可溶性受容体の例である。いくつかの態様では、受容体は、細胞外ドメイン(ECD)と、ECDを細胞表面に固定するように作用する膜関連ドメインとを含む細胞表面受容体である。細胞表面受容体のいくつかの態様では、受容体は、典型的には膜貫通ドメイン(TM)と称される膜貫通ドメインによって連結された細胞内ドメイン(ICD)および細胞外ドメイン(ECD)を含む膜貫通ポリペプチドである。リガンドの受容体への結合は、受容体にコンフォメーション変化をもたらし、測定可能な生物学的効果をもたらす。受容体がECD、TMおよびICDを含む膜貫通ポリペプチドであるいくつかの場合では、リガンドのECDへの結合は、リガンドのECDへの結合に応答してICDの1つまたは複数のドメインによって媒介される測定可能な細胞内生物学的効果をもたらす。いくつかの態様では、受容体は細胞内シグナル伝達を促進するための多成分複合体の一成分である。例えば、リガンドは、いかなる細胞内シグナル伝達単独とも関連していない細胞表面分子と結合し得るが、リガンドが結合すると、ヘテロ二量体型(例えば、中親和性CD122/CD132 IL2受容体)、ヘテロ三量体型(例えば、高親和性CD25/CD122/CD132 hIL2受容体)または細胞内シグナル伝達カスケード(例えば、Jak/STAT経路)の活性化をもたらすホモ多量体型(例えば、ホモ二量体型、ホモ三量体型、ホモ四量体型)複合体を含むヘテロ多量体の形成を促進する。
組み換え:本明細書で使用される組み換えという用語は、組み換えDNA技術を使用して生成されるポリペプチドを指す。組み換えDNA技術のための技術およびプロトコルは、当技術分野において周知である。
応答:本明細書で使用される「応答」という用語は、例えば、細胞、組織、臓器、または生物を指し、生化学的または生理学的挙動、例えば、生体区画内の濃度、密度、接着、もしくは遊走、遺伝子発現速度、または分化状態における変化を包含し、ここで、変化は、活性化、刺激、もしくは治療と、または遺伝的プログラミングなどの内部メカニズムと相関関係にある。特定の文脈では、「活性化」、「刺激」という用語、などは、内部メカニズムによって調節されるのみならず、外部または環境要因により調節される場合の細胞の活性化を指し;一方で、「阻害」、「ダウンレギュレーション」などの用語は、逆の効果を指す。
選択的:本明細書で使用される「選択的」という用語は、このような細胞集団の特定の性質に基づき、作用物質が特定の細胞型に優先的に結合するおよび/またはそれを活性化する性質を指すために使用される。いくつかの態様では、本開示は、このようなムテインがCD132受容体を発現している細胞と比べてCD25および/またはCD25/CD122受容体を発現している細胞の優先的活性化を示す点でCD25選択的なムテインを提供する。選択性は、典型的には、リガンド/受容体結合に応答して誘導される活性のアッセイ特性として測定された活性によって評価される。いくつかの態様では、選択的IL2ムテインは、顕著に低下した結合性を示す。いくつかの態様では、選択性は、顕著に低い(好ましくは検出不能な)レベルのCD25を提示している細胞(例えば、YTCD25NEGまたはYTCD25-細胞)の活性化と比べたCD25を発現している細胞(例えば、YTCD25POSまたはYTCD25+細胞)の活性化によって測定される。いくつかの態様では、選択性は、低レベルのCD25を発現しているT細胞(例えば、刺激されていないCD8+ T細胞またはCD4+ T細胞)と比べたCD25を発現しているT細胞(例えばTreg)の活性化によって測定される。いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、同じアッセイで測定した場合にCD25-細胞と比べてCD25+細胞上にEC50の少なくとも3倍、代替的に少なくとも5倍、代替的に少なくとも10倍、代替的に少なくとも20倍、代替的に少なくとも30倍、代替的に少なくとも40倍、代替的に少なくとも50倍、代替的に少なくとも100倍、代替的に少なくとも200倍の差を有する。
顕著に低下した結合性:本明細書で使用される「顕著に低下した結合性を示す」という用語は、改変リガンド(例えば、IL2ムテインまたは改変IL2ムテイン)の受容体への結合の親和性に関して、天然形態の当該リガンドの当該同族受容体への結合性と比べて使用される。IL2ムテインが天然リガンドの40%未満、代替的に約30%未満、代替的に約20%未満、代替的に約10%未満、代替的に約5%未満、代替的に約2%未満、代替的に約1%未満で天然形態の受容体に結合する場合、IL2ムテインは顕著に低下した結合性を示す。
特異的に結合する:本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、1つの分子が別の分子に結合する選択性または親和性の程度を指す。結合ペア(例えば、リガンド/受容体、抗体/抗原、抗体/リガンド、抗体/受容体結合ペア)に関連して、結合ペアの第1の分子が試料中に存在する他の成分と有意な量で結合しない場合、結合ペアの第1の分子は、結合ペアの第2の分子に特異的に結合すると言われる。結合ペアの第1の分子の、結合ペアの第2の分子に対する親和性が、試料中に存在する他の成分に対する第1の分子の親和性よりも少なくとも2倍大きい、代替的に少なくとも5倍大きい、代替的に少なくとも10倍大きい、代替的に少なくとも20倍大きい、または代替的に少なくとも100倍大きい場合、結合ペアの第1の分子は第2の分子と特異的に結合すると言われる。結合ペアの第1の分子が抗体である特定の態様では、例えば、Scatchard analysis (Munsen, et al. 1980 Analyt. Biochem. 107:220-239)によって決定された場合、抗体と結合ペアの第2の分子との間の平衡解離定数が約106Mよりも大きい、代替的に約108Mよりも大きい、代替的に約1010Mよりも大きい、代替的に約1011Mよりも大きい、代替的に約1010Mよりも大きい、約1012Mよりも大きいならば、抗体は、結合ペアの第2の分子(例えば、タンパク質、抗原、リガンド、または受容体)に特異的に結合する。リガンドがIL2ムテインであり、受容体がオルソゴナルなCD122 ECDを含む一態様では、IL2ムテイン/オルソゴナルなCD122 ECDの平衡解離定数が約105Mよりも大きい、代替的に約1O6Mよりも大きい、代替的に約107Mよりも大きい、代替的に約108Mよりも大きい、代替的に約109Mよりも大きい、代替的に約1010Mよりも大きい、または代替的に約1011Mよりも大きいならば、IL2ムテインは特異的に結合する。特異的結合は、競合ELISA、放射性リガンド結合アッセイ(例えば、飽和結合、スキャッチャードプロット、非線形カーブフィッティングプログラムおよび競合結合アッセイ);非放射性リガンド結合アッセイ(例えば、蛍光偏光法(FP)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)および表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、Drescher et al., Methods Mol Biol 493:323-343 (2009)を参照されたく、Biacore 8+、Biacore S200、Biacore T200(GE Healthcare Bio-Sciences, 100 Results Way, Marlborough MA 01752)のような計装は、GE Healthcare Bio-Sciencesから市販されている);液相リガンド結合アッセイ(例えば、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)、および免疫沈降);ならびに固相リガンド結合アッセイ(例えば、マルチウェルプレートアッセイ、オンビーズリガンド結合アッセイ、オンカラムリガンド結合アッセイ、およびフィルターアッセイ)を含むが、それに限定されるわけではない、当技術分野において公知の技術を使用して評価される場合がある。
対象:「レシピエント」、「個体」、「対象」、および「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用され、診断、治療、または治療法が所望される任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。治療のための「哺乳動物」は、ヒト、家畜および農用動物、および展示動物、競技動物、または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどを含む哺乳動物として分類される任意の動物を指す。いくつかの態様では、哺乳動物はヒトである。
患っている:本明細書で使用される「患っている」という用語は、X線、CTスキャン、従来の臨床診断検査(例えば血球算定など)、ゲノムデータ、タンパク質発現データ、免疫組織化学を含むが、それに限定されるわけではない疾患、障害、または状態の特定のために、当分野において受け入れられている入手可能な情報に基づき、対象に関して医師によって行われる、対象が治療を必要とするまたは治療から恩恵を受けるであろうという決定を指す。典型的には、「炎症性、感染性、または自己免疫性の疾患、障害、または状態を患っている」のように特定の病状と共に使用される、患っているという用語は、炎症性、感染性、または自己免疫性の疾患、障害、または状態が存在すると診断されている対象を指す。
実質的に純粋な:本明細書で使用される「実質的に純粋な」という用語は、成分(例えばポリペプチド)が組成物の内容物全体の約50%超、典型的には総ポリペプチド含量の約60%超を構成することを示す。より典型的には、「実質的に純粋な」は、組成物全体の少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、またはそれより多くが関心対象の成分である組成物を指す。場合によりポリペプチドは、組成物の内容物全体の約90%超、または約95%超を構成するであろう。
T細胞:本明細書で使用される「T-細胞」または「T細胞」という用語は、胸腺内で分化し、特異的細胞表面抗原受容体を有し、細胞媒介免疫および液性免疫の開始または抑制を制御するものならびに抗原担持細胞を溶解させるものを含む、リンパ球を指すためにその従来の意味で使用される。いくつかの態様では、T細胞は、ナイーブCD8+T細胞、細胞傷害性CD8+T細胞、ナイーブCD4+T細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1、TH2、TH9、TH11、TH22、TFH;制御性T細胞、例えばTR1、Treg、誘導性Treg;メモリーT細胞、例えば中枢性メモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、NKT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)ならびにCAR-T細胞、組み換え改変TILおよびTCR操作細胞を含むが、それに限定されるわけではない、このようなT細胞の操作バリアントを含むが、それに限定されるわけではない。
治療有効量:「治療有効量」という語句は、対象に投与した場合に疾患、障害、または状態の任意の症状、局面、または特徴に任意の検出可能なプラス効果を有することができる量の単一用量で、一連の用量の一部として、単独で、または薬学的組成物もしくは治療レジメンの一部として作用物質を対象に投与することを参照して本明細書において使用される。治療有効量は、関連する生理学的効果を測定することによって確認することができ、これは、投薬レジメンに関して、ならびに対象の状態、などの診断分析に応じて調整され得る。作用物質の治療有効量を決定するための評価のためのパラメーターは、年齢、体重、性別、全身の健康状態、ECOGスコア、観察可能な生理学的パラメーター、血中レベル、血圧、心電図、コンピューター断層撮影、X線、およびその他などの徴候を含むが、それに限定されるわけではない、当技術分野において承認されている診断基準を使用して医師によって決定される。代替的にまたは追加的に、臨床背景で通常評価される他のパラメーター、例えば、体温、心拍、血液化学の正常化、血圧の正常化、コレステロールレベルの正常化、または疾患、障害、もしくは状態の任意の症状、局面、もしくは特徴、バイオマーカー(例えば、炎症性サイトカイン、IFN-γ、グランザイム、など)、血清腫瘍マーカーの低減、固形がん効果判定基準(RECIST)の改善、免疫関連応答基準(irRC)の改善、生存期間の延長、無増悪生存期間の延長、無増悪期間の延長、治療成功期間の延長、無イベント生存期間の延長、次治療までの期間の延長、奏効率の改善、奏効期間の改善、腫瘍量の低減、完全奏効、部分奏効、病状安定、などは、作用物質の治療有効量が対象に投与されていたかを決定するために監視される場合があり、これらのパラメーターは、作用物質の投与に応答した対象の状態の改善を評価するために当技術分野の臨床家によって頼られている。標的病変に関連して本明細書で使用される「完全奏効(CR)」、「部分奏効(PR)」、「病状安定(SD)」および「病態進行(PD)」という用語、ならびに非標的病変に関連する「完全奏効(CR)」、「不完全奏効/病状安定(SD)」および病態進行(PD)という用語は、RECIST基準に定義される通りであると理解される。本明細書で使用される「免疫関連完全奏効(irCR)」、「免疫関連部分奏効(irPR)」、「免疫関連病態進行(irPD)」および「免疫関連病状安定(irSD)」という用語は、免疫関連応答基準(irRC)に従って定義される通りである。本明細書で使用される「免疫関連応答基準(irRC)」という用語は、Wolchok, et al. (2009) Guidelines for the Evaluation of Immune Therapy Activity in Solid Tumors: Immune-Related Response Criteria, Clinical Cancer Research 15(23): 7412-7420に記載されているような免疫療法に対する応答の評価のためのシステムを指す。治療有効量は、投薬レジメンならびに/または対象の状態および前述の要因における変動の評価に関連する対象の治療の経過にわたり調整される場合がある。一態様では、治療有効量は、単独で使用された場合または別の作用物質と併用された場合に、哺乳動物対象への投与の過程で不可逆的な重篤な有害事象をもたらさない作用物質の量である。
膜貫通ドメイン:「膜貫通ドメイン」または「TM」という用語は、膜貫通ポリペプチドが細胞膜と関連している場合に、細胞膜内に埋もれ、膜貫通ポリペプチドの細胞外ドメイン(ECD)および細胞内ドメイン(ICD)とペプチド結合している、膜貫通ポリペプチド(例えば、CD122またはCD132またはCARなどの膜貫通ポリペプチド)のドメインを指す。膜貫通ドメインは、細胞外ドメインおよび/または細胞内ドメインの一方または両方と相同(天然に関連している)または異種(天然には関連していない)である場合がある。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、オルソゴナルな受容体が由来する同族受容体のECDドメインと元々関連している膜貫通ドメインである。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、オルソゴナルな受容体が由来する同族受容体のICDドメインと元々関連している膜貫通ドメインである。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、増殖シグナル伝達ドメインと元々関連している膜貫通ドメインである。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、異なるタンパク質と元々関連している膜貫通ドメインである。代替的に、受容体の膜貫通ドメインは、形質膜を貫通する人工アミノ酸配列であり得る。受容体が第1の親受容体に由来する細胞内ドメインおよび第2の異なる親受容体に由来する第2の細胞外ドメインを含むキメラ受容体であるいくつかの態様では、キメラ受容体の膜貫通ドメインは、キメラ受容体が由来する親受容体のICDまたはECDのいずれかと通常関連している膜貫通ドメインである。
治療する:「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、疾患、障害、もしくは状態、またはそれらの症状が対象において診断された、観察された、またはその他の後に、対象を苦しめている当該疾患、障害、もしくは状態の根本原因の少なくとも1つ、または当該疾患、障害、もしくは状態に関連する症状の少なくとも1つを一時的または永続的に除去する、低減する、抑制する、緩和する、または回復させるように対象に関して開始される行動(例えば、IL-2ムテイン、またはそれを含む薬学的組成物を投与すること)を指す。治療は、疾患を患っている対象に関して採られる行動を含み、当該行動は、対象における疾患の阻害をもたらす(例えば、疾患、障害、もしくは状態の進展を停止させる、またはそれに関連する1つもしくは複数の症状を回復させる)。
Treg細胞または制御性T細胞:本明細書で使用される「制御性T細胞」または「Treg細胞」という用語は、エフェ
クターT細胞(Teff)を含むが、それに限定されるわけではない他のT細胞の応答を抑制することができるCD4+T細胞のタイプを指す。Treg細胞は、CD4、IL-2受容体aサブユニット(CD25)、および転写因子フォークヘッドボックスP3(FOXP3)の発現によって特徴付けられる(Sakaguchi, Annu Rev Immunol 22, 531-62 (2004))。「従来型CD4+T細胞」によって、制御性T細胞以外のCD4+T細胞が意味される。
バリアント:「タンパク質バリアント」または「バリアントタンパク質」または「バリアントポリペプチド」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸改変によって親ポリペプチドと異なるポリペプチドを指すために本明細書において互換的に使用される。親ポリペプチドは、天然もしくは野生型(WT)ポリペプチドの場合があり、またはWTポリペプチドの改変バージョン(すなわちムテイン)の場合がある。
野生型:本明細書における「野生型」または「WT」または「天然型」によって、アレル変異を含む、自然界で見出されるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列が意味される。野生型のタンパク質、ポリペプチド、抗体、免疫グロブリン、IgGなどは、ヒトの手によって改変されていないアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する。
いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、IL2ムテインの、他のタンパク質、特にCD25、CD122およびCD132のみならず、これらのようなタンパク質の組み合わせ、例えばCD122/CD132(「中親和性IL2受容体」)、CD25(「低親和性IL2受容体」)およびCD25/CD122/CD132(「高親和性IL2受容体」)への結合性を改変する改変を提供する。
本開示は、CD132に対する結合親和性が減少しているが、それでもCD122および/またはCD25に対して野生型ヒトIL-2の親和性と同等の顕著な結合親和性を保持するヒトIL-2ムテインの治療有効量の投与による、炎症性、感染性、または自己免疫性の疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供する。
いくつかの態様では、IL-2ムテインは、hCD132の細胞外ドメインに対して低下した結合親和性(例えば、野生型hIL2の親和性の<50%、代替的に野生型hIL2の親和性の<45%、代替的に野生型IL2の親和性の<40%、代替的に野生型hIL2の親和性の<35%、代替的に野生型hIL2の親和性の<25%、代替的に野生型hIL2の親和性の<20%、代替的に野生型IL2の親和性の<15%、代替的に野生型IL2の親和性の<10%、または代替的に野生型IL2の親和性の<5%)を有するのに対し、野生型ヒトCD122受容体の細胞外ドメインに対して実質的な親和性(例えば、野生型hIL2の親和性の20%、代替的に野生型hIL2の親和性の>30%、代替的に>40%、代替的に野生型hIL2の親和性の>50%、代替的に野生型hIL2の親和性の>60%、代替的に野生型hIL2の親和性の>65%、代替的に野生型hIL2の親和性の>70%、代替的に野生型hIL2の親和性の>75%、代替的に野生型hIL2の親和性の>80%、代替的に野生型hIL2の親和性の>85%、代替的に野生型IL2の親和性の>90%、代替的に野生型IL2の親和性の>90%、代替的に野生型IL2の親和性の>95%、代替的に野生型IL2の親和性の>100%、代替的に野生型hIL2の親和性の>105%、代替的に野生型IL2の親和性の>110%、代替的に野生型hIL2の親和性の>115%、代替的に野生型IL2の親和性の>125%、または代替的に野生型hIL2の親和性の>150%)の結合親和性を保持する。
いくつかの態様では、CD132受容体に対する結合親和性が低減している、本開示の方法の実施に有用なIL-2ムテインは、CD122結合親和性を向上させる1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個、またはそれより多くの変異をさらに含む。特定の態様では、本開示の方法の実施に有用な対象IL-2ムテインは、野生型IL-2(例えば、SEQ ID NO:5)と比べて少なくとも1つの変異(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれより多くのアミノ酸残基の欠失、付加、または置換)を含み、野生型IL-2よりも高い親和性でCD122と結合する。特定の態様では、IL-2ムテインは、野生型IL-2よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%大きい親和性でCD122と結合する。IL-2ムテインの結合親和性はまた、CD122に対して野生型hIL-2よりも1.2倍、1.4倍、1.5倍、2倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、100倍、200倍、250倍大きいか、またはそれ以上大きい親和性として表現することができる。
いくつかの態様では、IL-2ムテインは、hCD132の細胞外ドメインに対して低下した結合親和性(例えば、野生型hIL2の親和性の<50%、代替的に野生型hIL2の親和性の<45%、代替的に野生型hIL2の親和性の<40%、代替的に野生型hIL2の親和性の<35%、代替的に野生型hIL2の親和性の<25%、代替的に野生型hIL2の親和性の<20%、代替的に野生型hIL2の親和性の<15%、代替的に野生型hIL2の親和性の<10%、または代替的に野生型hIL2の親和性の<5%)を有するのに対し、hCD25/hCD122受容体複合体において実質的な親和性(例えば、野生型hIL2の親和性の>50%、代替的に野生型hIL2の親和性の>60%、代替的に野生型hIL2の親和性の>65%、代替的に野生型hIL2の親和性の>70%、代替的に野生型hIL2の親和性の>75%、代替的に野生型hIL2の親和性の>80%、代替的に野生型hIL2の親和性の>85%、代替的に野生型hIL2の親和性の>90%、代替的に野生型hIL2の親和性の>90%、代替的に野生型hIL2の親和性の>95%、代替的に野生型hIL2の親和性の>100%、代替的に野生型hIL2の親和性の>105%、代替的に野生型hIL2の親和性の>110%、代替的に野生型hIL2の親和性の>115%、代替的に野生型hIL2の親和性の>125%、または代替的に野生型IL2の親和性の>150%)を保持する。特定の態様では、本開示のIL2ムテインは、CD132に対して低減した親和性を有する。いくつかの態様では、このようなIL2ムテインは、野生型hIL-2に従って番号付けされた18、22、および126位に1つまたは複数の改変を組み入れている、野生型IL2の一次構造への改変を組み入れている。
いくつかの態様では、IL-2ムテインは、CD132に対して低下した結合親和性を有するのに対し、hCD25に対して実質的な親和性(例えば、野生型hIL2の親和性の>50%、代替的に野生型hIL2の親和性の>60%、代替的に野生型hIL2の親和性の>65%、代替的に野生型hIL2の親和性の>70%、代替的に野生型hIL2の親和性の>75%、代替的に野生型hIL2の親和性の>80%、代替的に野生型hIL2の親和性の>85%、代替的に野生型hIL2の親和性の>90%、代替的に野生型IL2の親和性の>90%、代替的に野生型hIL2の親和性の>95%、代替的に野生型IL2の親和性の>100%、代替的に野生型hIL2の親和性の>105%、代替的に野生型hIL2の親和性の>110%、代替的に野生型hIL2の親和性の>115%、代替的に野生型hIL2の親和性の>125%、代替的に野生型hIL2の親和性の>150%、代替的に野生型hIL2の親和性の>200%、代替的に野生型IL2の親和性の>300%、代替的に野生型hIL2の親和性の>400%、代替的に野生型IL2の親和性の>500%)の結合親和性を保持する。
一局面では、本開示は、野生型ヒトIL-2(hIL-2)と比較して、hCD25に対して顕著なまたは向上した結合親和性およびhCD132受容体の細胞外ドメインに対して低下した結合親和性を示すhIL-2ムテインを提供する。
いくつかの態様では、IL-2ムテインは、成熟野生型hIL-2に従って番号付けされたアミノ酸位置18、22、および126より選択される、CD132受容体の結合親和性を低下させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
いくつかの態様では、部分アゴニストである本開示の方法の実施に有用な対象IL-2ムテインは、野生型IL-2と比較して1つまたは複数の低減した機能を有する。
特定の態様では、本開示の方法の実施に有用なIL-2ムテインは、CD122とCD132との会合を破壊し、その結果、このCD122/CD132相互作用は、野生型hIL-2と比べて約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約50%、約75%、約90%、約95%、またはそれより大きく低減される。いくつかの態様では、IL-2ムテインのCD132に対する結合親和性を低減する1つまたは複数の変異は、アミノ酸置換である。いくつかの態様では、対象hIL-2ムテインは、野生型IL-2(SEQ ID NO:5)と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸置換からなる。
特定の態様では、本開示の方法の実施に有用なIL2ムテインは、CD8+ T細胞におけるIL-2および/またはIL-15のリン酸化の阻害剤である。いくつかの態様では、ムテインは、CD8+ T細胞のIL-2および/またはIL-15誘導増殖の阻害剤である。いくつかの態様では、ムテインは、IL-2依存性TCR誘導細胞増殖の阻害剤である。
特定の態様では、本開示の方法の実施に有用なIL2ムテインは、ナチュラルキラー(NK)細胞のIL-2依存性活性化の阻害剤である。NK細胞のIL-2活性化は、当技術分野において公知の任意の適切な方法によって、例えば、本明細書に記載されるようにIL-2誘導CD69発現および/または細胞傷害性を測定することによって、測定することができる。
本開示のいくつかの態様では、IL-2ムテインは部分アゴニストである。特定の態様では、本開示の方法の実施に有用なIL-2ムテインは、CD122/CD132ヘテロ二量体化に依存する1つまたは複数のシグナル伝達経路を刺激する能力が低減した部分アゴニストである。いくつかの態様では、対象IL-2ムテインは、野生型hIL-2と比較してCD122+細胞におけるリン酸化を刺激する能力が低減している。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、同じ細胞において野生型IL-2がSTAT5リン酸化を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ未満であるレベルでIL-2RP+細胞におけるSTAT5リン酸化を刺激する。いくつかの態様では、IL-2Rp+細胞はT細胞である。特定の態様では、T細胞はCD8+ T細胞である。いくつかの態様では、CD8+ T細胞は、新鮮単離されたCD8+ T細胞である。他の態様では、CD8+ T細胞は、活性化CD8+ T細胞である。他の態様では、CD122+細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。
いくつかの態様では、本開示の方法の実施に有用なIL2ムテインは、野生型hIL-2と比較してCD122+細胞におけるシグナル伝達を刺激する能力が低減した部分アゴニストである。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、同じ細胞において野生型IL-2がpERK1/ERK2シグナル伝達を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ未満であるレベルでCD122+細胞におけるpERK1/ERK2シグナル伝達を刺激する。いくつかの態様では、CD122+細胞はT細胞である。特定の態様では、CD122+ T細胞はCD8+ T細胞である。いくつかの態様では、CD122+ CD8+ T細胞は、対象から単離されたCD122+ CD8+ T細胞である。他の態様では、CD8+ T細胞は活性化CD122+ CD8+ T細胞である。他の態様では、CD122+細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。STAT5およびERK1/2シグナル伝達は、例えば、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用してSTAT5およびERK1/2のリン酸化によって測定することができる。例えば、STAT5およびERK1/2リン酸化は、これらの分子のリン酸化バージョンに特異的な抗体を使用して測定することができる。
特定の態様では、本開示の方法の実施に有用なムテインは、野生型hIL-2と比較してリンパ球の増殖を誘導する能力が低減した部分アゴニストである。いくつかの態様では、リンパ球はT細胞である。特定の態様では、リンパ球は初代CD8+ T細胞である。他の態様では、リンパ球は活性化CD8+ T細胞である。細胞増殖は、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して測定することができる。例えば、リンパ球の増殖は、本明細書に記載されるカルボキシフルオレセイン二酢酸サクシニミジルジエステル(CFSE)希釈アッセイを使用して、または[31-1]-チミジン取り込みによって測定することができる。いくつかの態様では、本開示のIL-2ムテインは、野生型hIL-2がリンパ球の増殖を誘導するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ未満であるレベルでリンパ球の増殖を誘導する。
いくつかの態様では、本開示のIL-2ムテインは、野生型IL-2と比較してリンパ球におけるCD25発現を活性化する能力が低減した部分アゴニストである。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、野生型IL-2が同じ細胞においてCD25の発現を活性化するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ未満であるレベルでリンパ球におけるIL-2Ra発現を活性化する。いくつかの態様では、リンパ球はCD8+ T細胞である。いくつかの態様では、CD8+ T細胞は新鮮単離されたCD8+ T細胞である。他の態様では、CD8+ T細胞は活性化CD8+ T細胞である。
本開示のいくつかの態様では、IL-2ムテインは完全アゴニストである。
本開示のいくつかの態様では、IL-2ムテインはスーパーアゴニストである。
いくつかの態様では、本開示は、CD132に対する結合親和性が低下しているが、それでもCD122および/またはCD25に対して野生型hIL2と同等の顕著な結合親和性を保持するヒトIL-2ムテインの治療有効量の、化学療法剤、免疫チェックポイントモジュレーター、放射線療法および/または手術などの物理的介入治療方法のうち1つまたは複数を含むが、それに限定されるわけではない補助作用物質と組み合わせた投与による、炎症性、感染性、または自己免疫性の、疾患、障害、または状態を治療および/または予防するための方法および組成物を提供する。
いくつかの態様では、本開示は、炎症性、感染性、または自己免疫性の疾患、障害、または状態の治療のための、1つまたは複数のIL2受容体への改変された結合性質を提供するヒトインターロイキン-2(IL-2)ムテインを提供する。
様々な態様では、本開示は、以下の式1:
Figure 2023510871000008
[式中:
・ a、b、c、d、e、f、g、h、およびiの各々は、0または1より個々に選択され;
・ AA1は、A(野生型、a=1)であるか、または欠失しており(a=0);
・ AA2は、P(野生型、b=1)であるか、または欠失しており(b=0);
・ AA3は、T(野生型、c=1)、C、A、G、Q、E、N、D、R、K、Pであるか、または欠失しており(c=0);
・ AA4は、S(野生型、d=1)であるか、または欠失しており(d=0);
・ AA5は、S(野生型、e=1)であるか、または欠失しており(e=0);
・ AA6は、S(野生型、f=1)であるか、または欠失しており(f=0);
・ AA7は、T(野生型、g=1)であるか、または欠失しており(g=0);
・ AA8は、K(野生型、h=1)であるか、または欠失しており(h=0);
・ AA9は、K(野生型、i=1)であるか、または欠失しており(i=0);
・ AA18は、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTであり;
・ AA22は、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFであり;
・ AA35は、K(野生型)またはEであり;
・ AA38は、R(野生型)、WまたはGであり;
・ AA39は、M(野生型)、LまたはVであり;
・ AA55は、H(野生型)またはYであり;
・ AA69は、V(野生型)またはAであり;
・ AA74は、Q(野生型)、P、N、H、Sであり;
・ AA80は、L(野生型)、FまたはVであり;
・ AA81は、R(野生型)、I、DまたはTであり;
・ AA85は、L(野生型)またはVであり;
・ AA86は、I(野生型)またはVであり;
・ AA89は、I(野生型)またはVであり;
・ AA92は、I(野生型)またはFであり;
・ AA97は、K(野生型)またはQであり;
・ AA104は、M(野生型)またはAであり;
・ AA109は、D(野生型)、C、または活性化した側鎖を有する非天然アミノ酸であり;
・ AA113は、T(野生型)またはNであり;
・ AA125は、C(野生型)、AまたはSであり;
・ AA126は、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTであり;
・ AA130は、S(野生型)、T、GまたはRであるが;
但し、AA18がRでありかつAA22がEである場合は、AA126は、H、M、K、C、D、E、G、I、R、S、およびTのいずれでもない]
に従うアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
特定の態様では、本開示は、以下の変異:
・ AA18が、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTからなる群より選択され;
・ AA22が、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFからなる群より選択され;
・ AA126が、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTからなる群より選択される
[但し、AA18がRでありかつAA22がEである場合は、AA126は、H、M、K、C、D、E、G、I、R、S、およびTのいずれでもない]
を含むIL2ムテインを提供する。
特定の態様では、本開示は、以下の変異:
・ a=0であり;
・ AA18は、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTからなる群より選択され;
・ AA22は、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFからなる群より選択され;
・ AA126は、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTからなる群より選択される
[但し、AA18がRでありかつAA22がFまたはVである場合は、AA126は、H、M、K、C、D、E、G、I、R、S、およびTのいずれでもない]
を含むIL2ムテインを提供する。
いくつかの態様では、本開示は、下の表2に記載される野生型hIL-2に従って番号付けされたアミノ酸位置18、22、および126にアミノ酸置換を含むIL-2ムテインを提供する。特定のIL2ムテインについての三文字略号は、18、22、および126位に変異を有するIL2ムテインを反映することに留意されたく、例えば、「FEH」は、置換L18F、Q22EおよびQ126Hを含むIL2ムテインについての短縮命名法である。特に、本開示のIL2ムテインは、下の表2に記載される18および/または22、ならびに126位にアミノ酸置換を含む:
(表2)IL2ムテイン
Figure 2023510871000009
Figure 2023510871000010
表2の前記IL2ムテインを調製し、本明細書における実施例に実質的に従って試験した。添付の図面の図1および2において実験結果を提供する。図1において示すように、本発明のIL2ムテインは、顕著なIL2活性を保持した。図2において示すように、本開示のIL2ムテインは、野生型IL2と比べてCD25発現細胞に対して顕著に優先的な活性を示した。
IL2ムテインはまた、野生型IL-2のアミノ酸配列内に1つまたは複数の置換、欠失、または挿入を含有し得る。置換、欠失または挿入を指すために以下の命名法が本明細書で使用される。残基は、本明細書において一文字または三文字アミノ酸コードに続くIL-2のアミノ酸位置によって名付けられる場合があり、例えば、「Cys125」または「C125」は、SEQ ID NO:5の125位のシステイン残基を指す。置換は、本明細書において、一文字アミノ酸コードに続く、IL-2のアミノ酸位置に続く、置換後の一文字アミノ酸コードによって名付けられ、例えば「K35A」は、配列番号5の35位のリシン(K)残基のアラニン(A)残基による置換を指す。欠失は、「des」に続く、欠失されたアミノ酸残基およびSEQ ID NO:5におけるその位置として称される。例えば、「des-Ala1」または「desA1」という用語は、SEQ ID NO:5のポリペプチドの1位でのアラニンの欠失を指す。
CD122親和性を向上させるための変異
本発明のいくつかの態様では、IL2ムテインは、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換を含み得る。CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換の例は、Q74N、Q74H、Q74S、L80F、L80V、R81D、R81T、L85V、I86V、I89V、および/もしくはI92Fまたはそれらの組み合わせを含むが、それに限定されるわけではない。特定の態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含む。いくつかの態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、N74Q、L80F、R81D、L85V、I86V、I89V、およびI92Fを含む。いくつかの態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、Q74N、L80V、R81T、L85V、I86V、およびI92Fを含む。特定の態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、Q74H、L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含む。いくつかの態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、Q74S、L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含む。特定の態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、Q74N、L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含む。特定の態様では、CD122の結合親和性を向上させるアミノ酸置換は、Q74S、R81T、L85V、およびI92Fを含む。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、それらのCD25および/またはCD122に対する親和性を向上させるために親和性成熟される場合がある。「親和性成熟された」ポリペプチドは、1つまたは複数の残基に1つまたは複数の変更を有するポリペプチドであり、その変更の結果、それらの変更を有しない親ポリペプチドと比較して、オルソゴナルなポリペプチドの同族のオルソゴナルな受容体に対する親和性に改善がもたらされる、またはその逆である。親和性成熟は、IL2ムテインの結合親和性を「親」ポリペプチドと比較して少なくとも約10%、代替的に少なくとも約50%、代替的に少なくとも約100%、代替的に少なくとも約150%、または1~5倍増大させるために行うことができる。
CD25の親和性を向上させるための変異:
いくつかの態様では、IL-2ムテインは、CD25と接触するか、またはCD25と接触する他の位置の配向を変更して、CD25に対して向上した親和性を有するIL2ムテインをもたらす、IL-2配列の位置に1つまたは複数の変異を含有する。いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、IL2のCD25に対する結合親和性を向上させると記載されている1つまたは複数の置換V69AおよびQ74Pを含む。
Thr3グリコシル化部位の除去
本開示のIL2ムテインは、それがCHO細胞またはHEK細胞などの哺乳動物細胞で発現する場合、非グリコシル化IL2ムテインの産生を促進するためにThr3位でO-グリコシル化部位の脱離をさらにまたは任意で提供する場合がある。したがって、特定の態様では、IL2ムテインは、ヒトIL-2の残基3に対応する位置でIL-2のO-グリコシル化部位を脱離する改変をさらに含む。一態様では、ヒトIL-2の残基3に対応する位置でIL-2のO-グリコシル化部位を脱離する該改変は、アミノ酸置換である。例示的なアミノ酸置換は、生物学的活性を消失させずに3位のグリコシル化部位を除去するT3A、T3G、T3Q、T3E、T3N、T3D、T3R、T3K、T3S、T3CおよびT3Pを含む(米国特許第5,116,943号; Weiger et al., (1989) Eur. J. Biochem., 180:295-300を参照されたい)。特定の態様では、該改変はアミノ酸置換T3Aである。
血管漏出症候群の最小化
本開示のいくつかの態様では、IL2ムテインは、有効性の実質的な喪失なしにヒトにおけるIL2療法の使用の実質的にマイナスの用量制限副作用、血管漏出症候群を回避するために、アミノ酸置換を含み得る。2009年4月7日に発行されたEpsteinら、米国特許第7,514,073B2号を参照されたい。本開示のIL2ムテインに含まれるこのような改変の例は、R38W、R38G、R39L、R39V、F42K、およびH55Yのうちの1つまたは複数を含む。
酸化抵抗性M104A
IL2ムテインは、M104位にさらに改変を含んでもよい場合があり、一態様では、メチオニン104のアラニン残基による置換(M104A)は、酸化抵抗性のより高いIL2ムテインを提供する(1988年6月21日に発行されたKothsら、米国特許第4,752,585号を参照されたい)。
Cys125
いくつかの態様では、細菌において組み換え発現し、記載のように封入体から単離された場合のタンパク質の潜在的ミスフォールディングを最小限にするために、125位のシステインは、アラニンまたはセリンにより置換される(C125AまたはC125S)。
N末端の欠失
リーダー配列の非存在下で細菌発現系において直接的に組み換え産生された場合、内因性プロテアーゼは、N末端Met-Ala1残基の欠失をもたらして、「desAla1」IL2ムテインを提供する。いくつかの態様では、本開示は、以下のセットのアミノ酸改変の1つを含むhIL2ポリペプチドであるhIL2ムテインを提供する。
IL2ムテインは、選択的N末端改変、特にシステインのスルフヒドリル基のPEG化を促進するために、最初の2つのアミノ酸の欠失(desAla1-desPro2)のみならず、Thr3グリコシル化のシステイン残基による置換を含む場合がある(例えば、1993年4月27日に発行されたKatreら、米国特許第5,206,344号を参照されたい)。
IL2ムテインは、IL2活性を保持しながら、1~9位(a、b、c、d、e、f、g、h、およびiがすべてゼロである上記式の化合物)、代替的に1~8位(a、b、c、d、e、f、g、およびhがすべてゼロである上記式の化合物)、代替的に1~7位(a、b、c、d、e、f、およびgがすべてゼロである上記式の化合物)、代替的に1~6位(a、b、c、d、e、およびfがすべてゼロである上記式の化合物)、代替的に1~5位(a、b、c、d、およびeがすべてゼロである上記式の化合物)、代替的に1~4位(a、b、cおよびdがすべてゼロである上記式の化合物)、代替的にdes1~3位(a、b、およびcがすべてゼロである上記式の化合物)、または代替的に1~2位(aおよびbがすべてゼロである上記式の化合物)のうちの1つまたは複数におけるN末端アミノ酸の脱離をさらに含み得る。
保存的アミノ酸置換
いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、野生型IL-2アミノ酸配列内に1つまたは複数の保存的アミノ酸置換をさらに含み得る。このような保存的置換は、DayhoffによってThe Atlas of Protein Sequence and Structure 5 (1978)に、およびArgosによってEMBO J., 8:779-785 (1989)に記載されたものを含む。保存的置換は、一般的に、下の表3に示されるチャートに従って行われる。
(表3)例示的な保存的アミノ酸置換
Figure 2023510871000011
機能または免疫学的同一性における実質的な変化は、表3に示される置換よりも保存的でないアミノ酸置換を選択することによって行われ得る。例えば、小型非荷電側鎖を有するアミノ酸(例えばグリシン)の大型荷電かさばり側鎖(アスパラギン)による置換を含む、ポリペプチド主鎖の構造により顕著に影響する、または二次もしくは三次エレメントを破壊する置換が行われ得る。特に、記載のようにその受容体と会合したIL2の結晶構造から分かり得るように、CD25、CD122および/またはCD123のうち1つまたは複数と相互作用するアミノ酸に関わるIL2残基の置換が行われ得る。
インビボ残留性を延長するための改変
上述のように、本開示の組成物は、対象においてインビボでの存続期間の延長および/または作用の持続期間の延長を提供するように改変されているIL2ムテインを含む。
一次配列の改変
いくつかの態様では、IL2ムテインは、インビボ存続期間の延長をもたらす特定のアミノ酸置換を含み得る。例えば、Dakshinamurthi, et al. (International Journal of Bioinformatics Research (2009) 1(2):4-13)は、IL2ポリペプチドにおける置換、V91R、K97EおよびT113Nのうち1つまたは複数が、安定性および活性の増強を有しているIL2バリアントをもたらすであろうと述べている。いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、V91R、K97EおよびT113N改変のうち1つ、2つまたは3つすべてを含む。
コンジュゲートおよび担体分子
いくつかの態様では、IL2ムテインは、対象における作用の持続期間延長を提供するように改変され、持続期間延長は、半減期の延長などの所望の薬理学的性質を提供するための担体分子へのコンジュゲーションを経て達成され得る。いくつかの態様では、IL2ムテインは、その半減期を延長するために、IgGのFcドメイン、アルブミン、または他の分子に、例えば、PEG化、グリコシル化、脂肪酸アシル化、および当技術分野において公知のその他によって共有結合的に連結することができる。いくつかの態様では、IL-2コンジュゲートは、ヒト対象において4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、14日、または30日よりも長い血漿半減期を含む。
アルブミン融合体
いくつかの態様では、IL2ムテインは、当技術分野においてインビボ曝露延長を促進することが知られている、アルブミン分子(例えばヒト血清アルブミン)との融合タンパク質として発現する。
本発明の一態様では、hIL2類似体は、アルブミンとコンジュゲートされ、本明細書において「IL2ムテインアルブミン融合体」と称される。hIL2類似体アルブミン融合体に関連して使用される「アルブミン」という用語は、ヒト血清アルブミン(HSA)、イヌ血清アルブミン、およびウシ血清アルブミン(BSA)などのアルブミンを含む。いくつかの態様では、HSAは、野生型HSA配列と比べてC34SまたはK573Pアミノ酸置換を含む。本開示に従って、アルブミンをカルボキシル末端で、アミノ末端で、カルボキシル末端およびアミノ末端の両方で、ならびに内部でhIL2ムテインとコンジュゲートすることができる(例えば、米国特許第5,876,969号および米国特許第7,056,701号を参照されたい)。本開示によって考えられているHSA-hIL2ムテインポリペプチドコンジュゲートにおいて、アルブミン分泌プレ配列およびそれらのバリアント、断片およびそれらのバリアント、ならびにHSAバリアントなどの様々な形態のアルブミンを使用することができる。このような形態は、一般的に1つまたは複数の所望のアルブミン活性を有する。さらなる態様では、本開示は、アルブミン、アルブミン断片、およびアルブミンバリアントなどと直接または間接的に融合されたhIL2類似体ポリペプチドを含む融合タンパク質を伴い、ここで、融合タンパク質は、融合していない薬物分子よりも高い血漿安定性を有し、かつ/または融合タンパク質は、融合していない薬物分子の治療活性を保持する。いくつかの態様では、間接的融合は、より十分に後述されるペプチドリンカーまたはその改変バージョンなどのリンカーによって達成される。
代替的に、hIL2類似体アルブミン融合体は、アルブミン結合ドメイン(ABD)ポリペプチド配列およびIL2ムテインポリペプチドを含む融合タンパク質であるIL2ムテインを含む。上に言及するように、アルブミン結合ドメイン(ABD)ポリペプチド配列およびhIL2類似体ポリペプチドを含む融合タンパク質は、例えば、HSAをコードする核酸、またはその断片が、1つまたは複数のIL2ムテイン配列をコードする配列と繋がれるような遺伝子操作によって達成することができる。いくつかの態様では、アルブミン結合ペプチドは、アミノ酸配列DICLPRWGCLW(SEQ ID NO:6)を含む。
IL2ムテインポリペプチドはまた、タンパク質;多糖、例えばセファロース、アガロース、セルロース、またはセルロースビーズ;ポリマーアミノ酸、例えばポリグルタミン酸、またはポリリシン;アミノ酸コポリマー;不活性化ウイルス粒子;不活性化細菌毒素、例えばジフテリア、破傷風、コレラ由来トキソイド、またはロイコトキシン分子;不活性化細菌、樹状細胞、サイログロブリン;破傷風トキソイド;ジフテリアトキソイド;ポリアミノ酸、例えばポリ(D-リシン:D-グルタミン酸);ロタウイルスのVP6ポリペプチド;インフルエンザウイルスヘマグルチニン、インフルエンザウイルス核タンパク質;キーホールリンペットヘモシアニン(KLH);ならびにB型肝炎ウイルスコアタンパク質および表面抗原のような大型でゆっくりと代謝される高分子とコンジュゲートすることができる。このようなコンジュゲート形態は、所望であれば、本開示のポリペプチドに対する抗体を産生するために使用することができる。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、PEG化に似た持続期間延長を提供するXTENとコンジュゲートされ(化学的にまたは融合タンパク質として)、これは、大腸菌(E. coli)において組み換え融合タンパク質として産生され得る。本開示のIL2ムテインとのコンジュゲーションに使用するために適したXTENポリマーは、Podust, et al. (2016) "Extension of in vivo half-life of biologically active molecules by XTEN protein polymers", J. Controlled Release 240:52-66およびHaeckel et al. (2016) "XTEN as Biological Alternative to PEGylation Allows Complete Expression of a Protease-Activatable Killin-Based Cytostatic" PLOS ONE | DOI:10.1371/journal.pone.0157193 June 13, 2016に提供される。XTENポリマーは、XTENポリペプチドとIL2ムテインとの間にMMP-2切断部位などのプロテアーゼ感受性切断部位を組み入れている場合がある融合タンパク質であり得る。
コンジュゲーションのためのさらなる候補成分および分子は、単離または精製に適したものを含む。特定の非限定的な例は、ビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合ペア)、抗体、受容体、リガンド、レクチンなどの結合分子、または例えば、プラスチックもしくはポリスチレンビーズ、プレートもしくはビーズ、磁気ビーズ、テストストリップ、およびメンブランを含む固体支持体を含む分子を含む。
PEG化:
いくつかの態様では、IL2ムテインは、1つまたは複数の水溶性ポリマーとコンジュゲートされる。本発明の実施に有用な水溶性ポリマーの例は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ-プロピレングリコール(PPG)、多糖(ポリビニルピロリドン、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリオレフィンアルコール、多糖、ポリ-アルファ-ヒドロキシ酸、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(POZ)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの組み合わせを含む。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、1つまたは複数のポリエチレングリコール分子とコンジュゲートされる、または「PEG化」される。PEGをIL2ムテインに結び付ける方法または部位は様々であり得るものの、特定の態様では、PEG化は、IL2ムテインの活性を変更しない、または最小限しか変更しない。
いくつかの態様では、特定の化学反応を使用してN末端のPEG化を促進するために、システインが3位のスレオニンの代わりに置換され得る(3TC)。
いくつかの態様では、例えば、Ptacinら(2018年8月3日に出願され、2019年2月7日に国際公開公報番号WO2019/028419A1として公開されたPCT国際出願公開番号PCT/US2018/045257)に記載された選択的PEGコンジュゲーション化学反応を促進するために側鎖を有する非天然アミノ酸の組み入れによるIL2ムテインの選択的PEG化が、IL2受容体複合体の1つまたは複数のサブユニット(例えば、CD25、CD132)に対する親和性が低減しているIL2ムテインを生成するために採用され得る。例えば、アミノ酸34~45、61~72および105~109を含む、CD25と相互作用すると特定されたIL2の配列または残基にPEG化可能な特異的部分を有する非天然アミノ酸を組み入れているhIL2ムテインは、典型的には、CD25への結合性が低下したIL2ムテインを提供する。同様に、アミノ酸18、22、109、126、もしくは119~133を含む、hCD132と相互作用すると特定されたIL2の配列または残基にPEG化可能な特異的部分を有する非天然アミノ酸を組み入れているhIL2ムテインは、hCD132への結合性が低下したIL2ムテインを提供する。
特定の態様では、半減期の増大は、いかなる生物学的活性の低下よりも大きい。ポリペプチド配列へのコンジュゲーションに適したPEGは、一般的に、室温で水溶性であり、一般式R(O-CH2-CH2)nO-R[式中、Rは水素またはアルキル基もしくはアルカノール基などの保護基であり、nは、1~1000の整数である]を有する。Rが保護基である場合、これは一般的に1~8つの炭素を有する。ポリペプチド配列とコンジュゲーションされるPEGは、直鎖または分岐であることができる。分岐PEG誘導体、「スターPEG」およびマルチアーム型PEGが本開示によって考えられている。
本開示に使用されるPEGの分子量は、任意の特定の範囲に制限されない。PEG-IL2ムテインのPEG部分は、約5kDaよりも大きい、約10kDaよりも大きい、約15kDaよりも大きい、約20kDaよりも大きい、約30kDaよりも大きい、約40kDaよりも大きい、または約50kDaよりも大きい分子質量を有することができる。いくつかの態様では、分子質量は、約5kDa~約1OkDa、約5kDa~約15kDa、約5kDa~約20kDa、約10kDa~約15kDa、約10kDa~約20kDa、約1OkDa~約25kDaまたは約1OkDa~約30kDaである。直鎖または分岐PEG分子は、約2,000~約80,000ダルトン、代替的に約2,000~約70,000ダルトン、代替的に約5,000~約50,000ダルトン、代替的に約10,000~約50,000ダルトン、代替的に約20,000~約50,000ダルトン、代替的に約30,000~約50,000ダルトン、代替的に約20,000~約40,000ダルトン、代替的に約30,000~約40,000ダルトンの分子量を有する。本発明の一態様では、PEGは2つの20kDアームを含む40kDの分岐PEGである。
本開示はまた、PEGが異なるn値を有し、したがって、様々な異なるPEGが特定の比で存在する、コンジュゲートの組成物を考えている。例えば、いくつかの組成物は、n=1、2、3および4であるコンジュゲートの混合物を含む。いくつかの組成物では、n=1であるコンジュゲートの率は18~25%であり、n=2であるコンジュゲートの率は50~66%であり、n=3であるコンジュゲートの率は12~16%であり、n=4であるコンジュゲートの率は最大5%である。このような組成物は、当技術分野において公知の反応条件および精製方法によって産生することができる。クロマトグラフィーは、コンジュゲートの画分を分離するために使用される場合があり、次いで、例えば、所望の数のPEGが結び付いているコンジュゲートを含有する画分が特定され、未改変タンパク質配列および他の数のPEGが結び付いたコンジュゲートがないように精製される。
ポリペプチド配列へのコンジュゲーションに適したPEGは、一般的に室温で水溶性であり、一般式R(O-CH2-CH2)nO-R[式中、Rは水素またはアルキル基もしくはアルカノール基などの保護基であり、nは1~1000の整数である]を有する。Rが保護基である場合、これは一般的に1~8つの炭素を有する。
2つの広く使用されている第1世代活性化モノメトキシPEG(mPEG)はスクシンイミジルカルボネートPEG(SC-PEG;例えば、Zalipsky, et al. (1992) Biotehnol. Appl. Biochem 15:100-114を参照されたい)およびベンゾトリアゾールカルボネートPEG(BTC-PEG;例えば、Dolenceら、米国特許第5,650,234号を参照されたい)であり、それらは、リシン残基と優先的に反応してカルバメート結合を形成するが、ヒスチジン残基およびチロシン残基と反応することも知られている。PEG-アルデヒドリンカーの使用は、還元的アミノ化を経てポリペプチドのN末端の単一部位をターゲティングする。
PEG化は、ポリペプチドのN末端でのα-アミノ基、リシン残基の側鎖でのイプシロンアミノ基、およびヒスチジン残基の側鎖でのイミダゾール基で起こることが最も多い。大部分の組み換えポリペプチドは、単一のαアミノ基ならびにいくつかのεアミノ基およびイミダゾール基を有するので、リンカーの化学的性質に依存して多数の位置異性体を生成することができる。当技術分野に公知の一般的なPEG化戦略を本明細書に適用することができる。
PEGは、1つまたは複数のポリペプチド配列の遊離アミノ基またはカルボキシル基とポリエチレングリコールとの間の結合を媒介する末端反応基(「スペーサー」)を介して本開示のIL2ムテインに結合されることができる。遊離アミノ基に結合されることができるスペーサーを有するPEGは、ポリエチレングリコールのコハク酸エステルをN-ヒドロキシスクシニルイミドで活性化することによって調製することができるN-ヒドロキシスクシニルイミドポリエチレングリコールを含む。
いくつかの態様では、独特な側鎖を担持する非天然アミノ酸を組み入れて部位特異的PEG化を促進することによって、IL2ムテインのPEG化が促進される。このようなポリペプチドの部位特異的PEG化を達成するための機能的部分を提供するためにポリペプチドに非天然アミノ酸を組み入れることは、当技術分野において公知である。例えば、Ptacinら(2018年8月3日に出願され、2019年2月7日に国際公開公報番号WO2019/028419A1として公開されたPCT国際出願番号PCT/US2018/045257)を参照されたい。一態様では、本発明のIL2ムテインは、IL2ムテインのD109位に非天然アミノ酸を組み入れている。本発明の一態様では、IL2ムテインは、IL2ムテインの109位で約20kD、代替的に約30kD、代替的に約40kDの分子量を有するPEG分子へとPEG化される。
ポリペプチド配列とコンジュゲートされたPEGは、直鎖または分岐であることができる。分岐PEG誘導体、「スターPEG」およびマルチアーム型PEGが、本開示によって考えられている。特定の態様では、本発明の実施に有用なPEGは、10kDa直鎖PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)ME-100AL, NOF America Corporation, One North Broadway, White Plains, NY 10601 USA)、10kDa直鎖PEG-NHSエステル(例えば、Sunbright(登録商標)ME-100CS、Sunbright(登録商標)ME-100AS、Sunbright(登録商標)ME-100GS、Sunbright(登録商標)ME-100HS、NOF)、20kDa直鎖PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)ME-200AL、NOF、20kDa直鎖PEG-NHSエステル(例えば、Sunbright(登録商標)ME-200CS、Sunbright(登録商標)ME-200AS、Sunbright(登録商標)ME-200GS、Sunbright(登録商標)ME-200HS、NOF)、20kDa 2アーム型分岐PEG-アルデヒドであって、2つの10kDa直鎖PEG分子を含む20kDA PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)GL2-200AL3、NOF)、20kDa 2アーム型分岐PEG-NHSエステルであって、2つの10kDA 直鎖PEG分子を含む20kDA PEG-NHSエステル(例えば、Sunbright(登録商標)GL2-200TS、Sunbright(登録商標)GL200GS2、NOF)、40kDa 2アーム型分岐PEG-アルデヒドであって、2つの20kDA 直鎖PEG分子を含む40kDA PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)GL2-400AL3)、40kDa 2アーム型分岐PEG-NHSエステルであって、2つの20kDA 直鎖PEG分子を含む40kDA PEG-NHSエステル(例えば、Sunbright(登録商標)GL2-400AL3、Sunbright(登録商標)GL2-400GS2、NOF)、直鎖30kDa PEG-アルデヒド(例えば、Sunbright(登録商標)ME-300AL)および直鎖30kDa PEG-NHSエステルを含む。
前述のように、PEGはIL2ムテインに直接、またはリンカー分子を介して結び付けられる場合がある。適切なリンカーは、一般的に改変ポリペプチド配列と、連結された構成要素および分子との間に幾分の運動を可能にするのに十分な長さの「フレキシブルなリンカー」を含む。リンカー分子は、一般的に約6~50原子長である。リンカー分子はまた、例えば、アリールアセチレン、2つ~10の単量体ユニットを含有するエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸、アミノ酸、またはそれらの組み合わせであることができる。適切なリンカーは、容易に選択することができ、任意の適切な長さ、例えば1アミノ酸長(例えば、Gly)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10~20、20~30、30~50または50超のアミノ酸長であることができる。フレキシブルなリンカーの例は、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、および他のフレキシブルなリンカーを含む。グリシンポリマーおよびグリシン-セリンポリマーは、相対的に構造不定であり、したがって、構成要素間の中立テザーとして役立つことができる。フレキシブルなリンカーのさらなる例は、グリシンポリマー(G)n、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、グリシン-セリンポリマーを含む。グリシンポリマーおよびグリシン-セリンポリマーは相対的に構造不定であり、したがって、構成要素間の中立テザーとして役立つ場合がある。異種アミノ酸配列を本明細書に開示されるポリペプチドにコンジュゲートするために使用され得るフレキシブルなリンカーを提供するために、これらのリンカー配列の多量体(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10~20、20~30、または30~50)が一緒に連結される場合がある。
さらに、このようなリンカーは、IL2ムテインを本明細書に記載されるさらなる異種ポリペプチド成分に連結するために使用される場合があり、異種アミノ酸配列は、シグナル配列および/または融合パートナー、例えば、アルブミン、Fc配列、などであり得る。
アシル化
いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、Resh (2016) Progress in Lipid Research 63: 120-131に記載されるように脂肪酸分子とのコンジュゲーションによってアシル化され得る。コンジュゲートされ得る脂肪酸の例は、ミリステート、パルミテートおよびパルミトレイン酸を含む。ミリストイレートは、典型的には、N末端グリシンに連結されるが、リシンもミリストイル化され得る。パルミトイル化は、典型的には、S-パルミトイル化を触媒するDHHCタンパク質などの遊離システインの-SH基の酵素修飾によって達成される。セリンおよびスレオニン残基のパルミトレイル化(palmitoleylation)は、典型的には、PORCN酵素を使用して酵素的に達成される。
アセチル化
いくつかの態様では、IL-2ムテインは、N末端アセチルトランスフェラーゼおよび例えばアセチルCoAとの酵素反応によってN末端がアセチル化される。N末端アセチル化に代替的にまたは追加的に、IL-2ムテインは、例えばリシンアセチルトランスフェラーゼとの酵素反応によって1つまたは複数のリシン残基がアセチル化される。例えば、Choudhary et al. (2009) Science 325 (5942):834L2 ortho840を参照されたい。
Fc融合体
いくつかの態様では、IL2融合タンパク質は、IgG重鎖可変領域を欠如するIgGサブクラスの抗体に由来するFc領域を組み入れる場合がある。「Fc領域」は、パパインによるIgGの消化によって産生されるIgG C末端ドメインと相同な天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであることができる。IgG Fcは、約50kDaの分子量を有する。変異型IL-2ポリペプチドは、Fc領域全体、またはそれが一部分をなすキメラポリペプチドの循環半減期を延長する能力を保持するより小さな部分を含むことができる。加えて、全長または断片化Fc領域は、野生型分子のバリアントであることができる。すなわち、それらは、ポリペプチドの機能に影響する場合も影響しない場合もある変異を含有することができ;下にさらに記載するように、天然型の活性がすべての場合で必要または所望のわけではない。特定の態様では、IL-2ムテイン融合タンパク質(例えば、本明細書に記載されるIL-2部分アゴニストまたはアンタゴニスト)は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域を含む。例示的なFc領域は、補体結合およびFc受容体の結合を阻害する変異を含むことができる、またはこれは溶解性であり得、すなわち、補体と結合する、または抗体依存性補体溶解(ADCC)などの別のメカニズムを介して細胞を溶解することができる。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、Fc-融合キメラポリペプチド分子の機能的ドメインを含む。Fc融合コンジュゲートは、生物製剤の全身半減期を増大させることが示されており、したがって、生物製剤製品は、より頻度の少ない投与を必要とすることができる。Fcは、血管を覆う内皮細胞中の新生児Fc受容体(FcRn)に結合し、結合すると、Fc融合分子は、分解から保護され、循環中に再放出され、該分子を循環中により長く保つ。このFc結合は、内因性IgGがその長い血漿半減期を保持するメカニズムであると考えられる。最近のFc-融合技術は、生物製剤の単一コピーを抗体のFc領域に連結して、従来のFc-融合コンジュゲートと比較して生物製剤の薬物動態性質および薬力学性質を最適化する。Fc融合体の調製に有用な「Fc領域」は、パパインによるIgGの消化によって産生されるIgG C末端ドメインと相同な天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであることができる。IgG Fcは、約50kDaの分子量を有する。IL2ムテインは、Fc領域全体、またはそれが一部分をなすキメラポリペプチドの循環半減期を延長する能力を保持する、より小さな部分を提供し得る。加えて、全長または断片化Fc領域は、野生型分子のバリアントであることができる。典型的な提示では、二量体Fcの各単量体は異種ポリペプチドを保有し、異種ポリペプチドは同じまたは異なる。
いくつかの態様では、IL2ムテインがFc融合体の形式で投与されることになる場合、特にFc二量体の各サブユニットにコンジュゲートされたポリペプチド鎖が異なる状況で、Fc融合は、「ノブイントゥホール(knob-into-hole)改変」を有するように操作され得る。ノブイントゥホール改変は、Ridgway, et al. (1996) Protein Engineering 9(7):617-621および1998年3月24日に発行された米国特許第5,731,168号により十分に記載されている。ノブイントゥホール改変は、CH3ドメイン中の2つの免疫グロブリン重鎖の間の界面での改変を指し、その際:i)第1の重鎖のCH3ドメイン中のアミノ酸残基が、より大きな側鎖を有するアミノ酸残基(例えば、チロシンまたはトリプトファン)により置換され、表面からの突出(「ノブ」)を作り出し、ii)第2の重鎖のCH3ドメイン中のアミノ酸残基が、より小さな側鎖を有するアミノ酸残基(例えば、アラニンまたはスレオニン)により置換され、それにより、第2のCH3ドメインにおける界面内に空洞(「ホール」)が生成し、その空洞の中で第1のCH3ドメインの突出している側鎖(「ノブ」)が第2のCH3ドメイン中の空洞によって収容される。一態様では、「ノブイントゥホール改変」は、抗体重鎖の一方にアミノ酸置換T366Wおよび任意でアミノ酸置換S354Cを含み、抗体重鎖の他方にアミノ酸置換T366S、L368A、Y407Vおよび任意でY349Cを含む。さらに、Fcドメインは、S354およびY349位でのシステイン残基の導入によって改変される場合があり、これは、Fe領域中の2つの抗体重鎖の間に安定化ジスルフィド架橋をもたらす(Carter, et al. (2001) Immunol Methods 248, 7-15)。ノブイントゥホール形式は、ヘテロ二量体ポリペプチドコンジュゲートの発現を促進するための「ノブ」改変を有する第1のFc単量体上の第1のポリペプチド(例えばIL2ムテイン)および「ホール」改変を有する第2のFc単量体上の第2のポリペプチドの発現を促進するために使用される。
Fc領域は、「溶解性」または「非溶解性」であることができるが、典型的には非溶解性である。非溶解性Fc領域は、典型的には高親和性Fc受容体結合部位およびC1q結合部位を欠如する。マウスIgG Fcの高親和性Fc受容体結合部位は、IgG Fcの235位にLeu残基を含む。したがって、Fc受容体結合部位は、Leu235を変異または欠失させることによって阻害することができる。例えば、Leu235に代わるGluへの置換は、Fc領域が高親和性Fc受容体と結合する能力を阻害する。マウスC1q結合部位は、IgGのGlu318、Lys320、およびLys322残基を変異または欠失させることによって機能的に破壊することができる。例えば、Glu318、Lys320、およびLys322に代わるAla残基への置換は、IgG1 Fcが抗体依存性補体溶解を指示できないようにする。対照的に、溶解性IgG Fc領域は、高親和性Fc受容体結合部位およびC1q結合部位を有する。高親和性Fc受容体結合部位は、IgG Fcの235位にLeu残基を含み、C1q結合部位は、IgG1のGlu318、Lys320、およびLys322残基を含む。溶解性IgG Fcは、これらの部位に野生型残基または保存的アミノ酸置換を有する。溶解性IgG Fcは、抗体依存性細胞性細胞傷害または補体依存性細胞溶解(CDC)のために細胞を標的付けることができる。ヒトIgGに適した変異も公知である(例えば、Morrison et al., The Immunologist 2: 119-124, 1994;およびBrekke et al., The Immunologist 2: 125, 1994を参照されたい)。
特定の態様では、本開示のIL2ムテインのアミノ末端またはカルボキシル末端を免疫グロブリンFc領域(例えば、ヒトFc)と融合して、融合コンジュゲート(または融合分子)を形成させることができる。Fc融合コンジュゲートは、生物製剤の全身半減期を増大させることが示されており、したがって、生物製剤製品に必要な投与頻度をより少なくすることができる。Fcは、血管を覆う内皮細胞中の新生児Fc受容体(FcRn)に結合し、結合すると、Fc融合分子は、分解から保護され、循環中に再放出され、該分子を循環中により長く保つ。このFc結合は、内因性IgGがその長い血漿半減期を保持するメカニズムであると考えられる。最近のFc-融合技術は、生物製剤の単一コピーを抗体のFc領域と連結して、従来のFc-融合コンジュゲートと比較して生物製剤の薬物動態的性質および薬力学的性質を最適化する。
いくつかの態様では、Fcドメイン単量体は、その全教示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許US10259859B2に記載される野生型ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4 Fc領域と比べて少なくとも1つの変異を含む。そこに開示されるように、Fcドメイン単量体は、
(a)野生型ヒトIgG1と比べた以下のアミノ酸置換のうち1つ:
T366W、T366S、L368A、Y407V、T366Y、T394W、F405W、Y349T、Y349E、Y349V、L351T、L351H、L351N、L351K、P353S、S354D、D356K、D356R、D356S、E357K、E357R、E357Q、S364A、T366E、L368T、L368Y、L368E、K370E、K370D、K370Q、K392E、K392D、T394N、P395N、P396T、V397T、V397Q、L398T、D399K、D399R、D399N、F405T、F405H、F405R、Y407T、Y407H、Y407I、K409E、K409D、K409T、またはK409I;あるいは
(b)(i)ヒトIgG1 Fc領域と比べたN297A変異;
(ii)ヒトIgG1 Fc領域と比べたL234A、L235A、およびG237A変異;
(iii)ヒトIgG1 Fc領域と比べたL234A、L235A、G237A、およびN297A変異;
(iv)ヒトIgG2 Fc領域と比べたN297A変異;
(v)ヒトIgG2 Fc領域と比べたA330SおよびP331S変異;
(vi)ヒトIgG2 Fc領域と比べたA330S、P331S、およびN297A変異;
(vii)ヒトIgG4 Fc領域と比べたS228P、E233P、F234V、L235A、およびdelG236変異;または
(viii)ヒトIgG4 Fc領域と比べたS228P、E233P、F234V、L235A、delG236、およびN297A変異
を含む。
いくつかの態様では、Fcドメイン単量体は、
(a)野生型ヒトIgG1と比べた以下のアミノ酸置換のうち1つ:
T366W、T366S、L368A、Y407V、T366Y、T394W、F405W、Y349T、Y349E、Y349V、L351T、L351H、L351N、L351K、P353S、S354D、D356K、D356R、D356S、E357K、E357R、E357Q、S364A、T366E、L368T、L368Y、L368E、K370E、K370D、K370Q、K392E、K392D、T394N、P395N、P396T、V397T、V397Q、L398T、D399K、D399R、D399N、F405T、F405H、F405R、Y407T、Y407H、Y407I、K409E、K409D、K409T、またはK409I
を含み;
(b)Fcドメイン単量体は、
(i)ヒトIgG1 Fc領域と比べたN297A変異;
(ii)ヒトIgG1 Fc領域と比べたL234A、L235A、およびG237A変異;
(iii)ヒトIgG1 Fc領域と比べたL234A、L235A、G237A、およびN297A変異;
(iv)ヒトIgG2 Fc領域と比べたN297A変異;
(v)ヒトIgG2 Fc領域と比べたA330SおよびP331S変異;
(vi)ヒトIgG2 Fc領域と比べたA330S、P331S、およびN297A変異;
(vii)ヒトIgG4 Fc領域と比べたS228P、E233P、F234V、L235A、およびdelG236変異;または
(viii)ヒトIgG4 Fc領域と比べたS228P、E233P、F234V、L235A、delG236、およびN297A変異
をさらに含む。
いくつかの態様では、ポリペプチドは、野生型ヒトIgG Fc領域を有するポリペプチドと比較して、食作用アッセイにおいて食作用の低減を示す。いくつかの態様では、Fcドメイン単量体は、第2のFcドメイン単量体を含む第2のポリペプチドと連結されてFcドメイン二量体を形成する。
キメラポリペプチド/融合タンパク質
いくつかの態様では、IL2ムテインは、キメラポリペプチドの機能的ドメインを含み得る。本開示のIL2ムテイン融合タンパク質は、当技術分野において公知の技術による組み換えDNA方法論によって、IL2ムテインのN末端またはC末端のいずれかに融合パートナーをコードする核酸配列とインフレームでIL2ムテインをコードする核酸配列を含む組み換えベクターを構築することによって容易に産生される場合があり、該配列は、場合によりリンカーまたはスペーサーポリペプチドをインフレームでコードする核酸配列をさらに含んでもよい。
いくつかの態様では、IL2ムテインは、生物製剤(例えばエタネルセプト(entaracept))、モノクローナル抗体を含む、抗炎症性、抗菌性、または抗ウイルス性の化合物または自己免疫疾患の治療に有用な他の作用物質などの治療用化合物を含むさらなる化学作用物質または生物学的作用物質に(抗体またはワクチンなどのポリペプチド剤の場合、化学的にまたは融合タンパク質として)コンジュゲートされる。抗菌剤は、ゲンタマイシンなどのアミノグリコシド;リファンピシン、3'-アジド-3'-デオキシチミジン(AZT)、およびアシクロビル(acylovir)などの抗ウイルス化合物;フルコナゾールを含むアゾール類などの抗真菌剤;アンホテリシンBおよびカンジシジンなどのプリレ(plyre)マクロライド;アンチモン薬などの抗寄生虫化合物、などを含む。IL2ムテインは、さらなるサイトカイン、例えばCSF、GSF、GMCSF、TNF、エリスロポエチン、免疫モジュレーターまたはサイトカイン、例えばインターフェロンもしくはインターロイキン、神経ペプチド、生殖ホルモン、例えばHGH、FSH、もしくはLH、甲状腺ホルモン、神経伝達物質、例えばアセチルコリン、ホルモン受容体、例えばエストロゲン受容体にコンジュゲートされ得る。非ステロイド系抗炎症薬、例えばインドメタシン、サリチル酸アセテート、イブプロフェン、スリンダク、ピロキシカム、およびナプロキセン、ならびに麻酔薬または鎮痛薬も含まれる。イメージングのみならず治療に有用なものを含む放射性同位体も含まれる。
IL-2ムテインはまた、コルチコステロイド(プレドニゾン、ブデソニド、プレドニゾロン(prednilisone)を含むが、それに限定されるわけではない)、ヤヌスキナーゼ阻害剤(トファシチニブ(Xeljanz(登録商標))を含むが、それに限定されるわけではない)、カルシニューリン阻害剤(シクロスポリンおよびタクロリムスを含むが、それに限定されるわけではない)、mTor阻害剤(シロリムスおよびエベロリムスを含むが、それに限定されるわけではない)、IMDH阻害剤(アザチオプリン、レフルノミドおよびミコフェノレートを含むが、それに限定されるわけではない)にコンジュゲートされ得る。IL-2ムテインはまた、アバタセプト(Orencia(登録商標))またはエタネルセプト(Enbrel(登録商標))などの生物製剤とコンジュゲートされ得る。IL-2ムテインはまた、抗CD25抗体(例えば、ダクリズマブおよびバシリキシマブ)、抗VLA-4抗体(例えばナタリズマブ)、抗CD52抗体(例えばアレムツズマブ)、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ)、抗TNF抗体(例えば、インフリキシマブ、およびアダリムマブ)、抗IL-6R抗体(例えばトシリズマブ)、抗TNFα抗体(例えば、アダリムマブ(Humira(登録商標))、ゴリムマブ、およびインフリキシマブ)、抗インテグリン-α4β7抗体(例えばベドリズマブ)、抗IL-17a抗体(例えば、ブロダルマブまたはセクキヌマブ)、抗IL-4Rα抗体(例えばデュピルマブ)、抗RANKL(例えば)抗体、IL-6R抗体、抗IL-1β抗体(例えばカナキヌマブ)、抗CD11a抗体(例えばエファリズマブ)、抗CD3抗体(例えばムロモナブ)、抗IL5抗体(例えばメポリズマブ、レスリズマブ)、抗BLyS抗体(例えばベリムマブ);および抗IL-12/IL-23抗体(例えばウステキヌマブ)などの治療用抗体にコンジュゲートされ得る。
IL-2ムテインはまた、HSVワクチン、百日咳菌(Bordetella pertussis)、大腸菌(Escherichia coli)ワクチン、多価肺炎球菌ワクチン、例えばPrevnar(登録商標)13を含む肺炎球菌ワクチン、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイドおよび百日咳ワクチン(混合ワクチン、例えばPediatrix(登録商標)およびPentacel(登録商標)を含む)、水痘ワクチン、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)B型(HIB)ワクチン、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン、例えばGarasil(登録商標)、ポリオワクチン、レプトスピラ症ワクチン、呼吸器病混合ワクチン、モラクセラ(Moraxella)ワクチン、および弱毒化生または死滅ウイルス産物、例えばウシ呼吸器病ワクチン(RSV)、ヒトインフルエンザワクチン、例えばFluzone(登録商標)および四価Fluzone(登録商標)、ネコ白血病ワクチン、伝染性胃腸炎ワクチン、および狂犬病ワクチンなどにコンジュゲートされ得る。
本開示のIL2ムテインは、周知の化学コンジュゲーション方法を使用してこのようなさらなる作用物質に化学的にコンジュゲートされ得る。当技術分野において周知のホモ官能性およびヘテロ官能性架橋試薬などの二機能性架橋試薬をこの目的のために使用することができる。使用すべき架橋試薬のタイプは、IL-2ムテインにカップリングされる分子の性質に依存し、当業者はこれを容易に特定することができる。代替的にまたは追加的に、コンジュゲートすることが意図されるIL2ムテインおよび/または分子が化学誘導される場合があり、その結果、これら2つを当技術分野において周知の別々の反応でコンジュゲートすることができる。
Flagタグ
他の態様では、IL2ムテインは、抗原タグ、例えばFLAG配列として機能するさらなるポリペプチド配列を含むように改変することができる。FLAG配列は、本明細書に記載されるビオチン化高特異性抗FLAG抗体によって認識される(例えば、Blanar et al. (1992) Science 256:1014およびLeClair, et al. (1992) PNAS-USA 89:8145を参照されたい)。いくつかの態様では、IL2ムテインポリペプチドはさらに、C末端c-mycエピトープタグを含む。
Hisタグ
ある態様では、本発明のIL2ムテイン(当該IL2ムテインの融合タンパク質を含む)は、1つまたは複数の遷移金属キレートポリペプチド配列を有する融合タンパク質として発現する。そのような遷移金属キレートドメインの組み入れは、1986年2月11日に発行されたSmithら、米国特許第4,569,794号に記載されたような精製固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を容易にする。本発明の実施に有用な遷移金属キレートポリペプチドの例は、Smithら、前記および1995年5月10日に発行されたDobeliら、米国特許第5,320,663号に記載されており、これらの全教示は、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の実施に有用な特定の遷移金属キレートポリペプチドは、3~6つの連続ヒスチジン残基、例えば6-ヒスチジンペプチド(His)6を含むペプチドであり、当技術分野においてしばしば「Hisタグ」と称される。
ターゲティング部分:
いくつかの態様では、IL2ムテインは、ポリペプチド配列(「ターゲティングドメイン」)を有する融合タンパク質として提供されて、このようなターゲティングドメインに特異的に結合する細胞表面分子を発現している特定の細胞型または組織への選択的結合を促進する。いくつかの態様では、ターゲティングドメインは、BLyS、CD11a、CD20、CD25、CD3、CD52、IgEIL-12/IL-23、IL-17a、1L-1β、IL-4Rα、IL-5、IL-6R、インテグリン-α4β7、RANKL、TNFα、VEGF-A、VLA-4からなる群より選択されるタンパク質の表面タンパク質に特異的に結合する抗体(特に、単一ドメイン抗体、scFvもしくはVHH)またはリガンドである。
IL2ムテインの調製
IL2ムテインは、組み換え合成または固相合成を含む、ポリペプチドを構築するための従来の方法論によって産生され得る。
化学合成:
組み換え分子生物学的技術によって変更されている核酸分子の発現を介して変異型ポリペプチドを生成することに加えて、対象IL-2ムテインを化学合成することができる。化学合成されたポリペプチドは、当業者によって日常的に生成される。化学合成は、記載された性質を示しているIL-2ムテインをコードするタンパク質配列の化学的手段によるペプチドの直接合成を含む。この方法は、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の両方をIL2と、CD25、CD122およびCD132との相互作用に影響する位置で組み入れることができる。
いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインは、化学合成によって調製され得る。IL2ムテインの化学合成は、液相または固相を介して進行し得る。固相ペプチド合成(SPPS)は、非天然アミノ酸および/またはペプチド/タンパク質主鎖改変の組み入れを可能にする。本開示のIL2ムテインを合成するために利用可能な様々な形態のSPPSが、当技術分野において公知である(例えば、Ganesan A. (2006) Mini Rev. Med. Chem. 6:3-10;およびCamarero et al., (2005) Protein Pept Lett. 12:723-8)。化学合成の過程で、アミド結合を連結するための条件下で安定であるが、形成したペプチド鎖を損なわずに容易に切断することができる、酸不安定基または塩基不安定基により、アルファ官能基および任意の反応性側鎖が保護され得る。
固相合成において、N末端またはC末端アミノ酸が適切な支持体材料にカップリングされ得る。適切な支持体材料は、合成工程の段階的縮合および切断反応のための試薬および反応条件に対して不活性な支持体材料であって、使用されている反応媒質中に溶解しない支持体材料である。市販の支持体材料の例は、反応基を有するように改変されているスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーおよび/またはポリエチレングリコール;クロロメチル化スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー;ヒドロキシメチル化スチレンまたはアミノメチル化スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー;などを含む。保護されたアミノ酸の逐次カップリングは、ペプチド合成における従来方法に従って、典型的には自動ペプチド合成装置を用いて実行することができる。
固相合成の終わりに、側鎖保護基を同時に切断しながらペプチドが支持体材料から切断される。得られたペプチドは、疎水性吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および逆相HPLCを含むが、それに限定されるわけではない様々なクロマトグラフィー方法によって精製することができる。
組み換え産生:
あるいは、本開示のIL2ムテインは組み換えDNA技術によって産生される。ポリペプチドの組み換え産生の典型的な実施において、所望のポリペプチドをコードする核酸配列は、発現が成し遂げられるであろう宿主細胞に適した発現ベクターに組み入れられ、該核酸配列は、ベクターによってコードされ、かつ標的宿主細胞において機能的な1つまたは複数の発現制御配列に機能的に連結される。分泌リーダー配列(シグナルペプチド)がポリペプチド中に組み入れられるならば、組み換えタンパク質は、宿主細胞の破壊を経て、または細胞培地から回収される場合がある。組み換えタンパク質は、組み入れを含むさらなる使用のために精製および濃縮され得る。IL2ポリペプチドの組み換え産生のための方法は、当技術分野において公知であり、1986年8月5日に発行されたFernandesおよびTaforo、米国特許第4,604,377号に記載され、IL2ムテインの組み換え産生のための方法は、1985年5月21日に発行されたMarkら、米国特許第4,512,584号、1983年8月30日に発行されたGillis、米国特許第4,401,756号に記載され、これらの全教示は、参照により本明細書に組み入れられる。
IL2ムテインをコードする核酸配列の構築
いくつかの態様では、IL2ムテインは、IL2ムテイン(またはIL2ムテインを含む融合タンパク質)をコードする核酸配列を使用して組み換え方法によって産生される。所望のIL-2ムテインをコードする核酸配列は、代替的に、オリゴヌクレオチド合成装置を使用して化学的手段によって合成することができる。
核酸分子は、ポリペプチドをコードする配列に限定されず;コード配列の上流または下流に存在する非コード配列の一部またはすべて(例えば、IL-2のコード配列)も含むことができる。分子生物学の当業者は、核酸分子を単離するための日常的な手順に精通している。それらは、例えば、制限エンドヌクレアーゼを用いたゲノムDNAの処理によって、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の能力によって生成することができる。結果的に、核酸分子はリボ核酸(RNA)であり、分子は、例えばインビトロ転写によって産生することができる。
IL2ムテイン(およびその融合体)をコードする核酸分子は、天然配列または天然に存在する配列と異なる配列を含有し得るが、遺伝コードの縮重により、同じポリペプチドをコードする。これらの核酸分子は、RNAもしくはDNA(例えば、ゲノムDNA、cDNA、もしくは合成DNA、例えば、ホスホロアミダイトベースの合成によって産生されたもの)、またはこれらのタイプの核酸内のヌクレオチドの組み合わせもしくは改変からなることができる。加えて、核酸分子は、二本鎖または一本鎖(すなわち、センス鎖もしくはアンチセンス鎖)であることができる。
IL2ムテインをコードする核酸配列は、オーダーメイドの核酸配列を提供する様々な商業的供給源から得られる場合がある。本開示のIL2ムテインを産生するためのIL2ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、当技術分野において周知である遺伝コードに基づいてコード配列に適切なヌクレオチド変化を導入することによって調製される。このようなバリアントは、記載のように残基の挿入、置換、および/または特定の欠失を表す。最終構築物が本明細書において定義されるような所望の生物学的活性を有するならば、最終構築物に到達するために挿入、置換、および/または特定の欠失の任意の組み合わせが行われる。
IL-2ムテインをコードするDNA配列を構築するための方法および適切な形質転換宿主にそれらの配列を発現させるための方法は、PCR介助変異誘発技術を使用することを含むが、それに限定されるわけではない。IL-2ポリペプチドへのアミノ酸残基の欠失または付加からなる変異はまた、標準的な組み換え技術を用いて行うことができる。欠失または付加の場合に、IL-2をコードする核酸分子は、任意で、適切な制限エンドヌクレアーゼで消化される。結果として生じる断片を、直接発現させる、または例えばそれを第2の断片とライゲートすることによってさらに操作することができる。核酸分子の2つの末端が相互に重なり合う相補性ヌクレオチドを含有するならば、ライゲーションが促進される場合があるが、平滑末端断片もライゲートすることができる。PCRにより生成される核酸もまた使用して、様々な変異型配列を生成することができる。
本開示のIL2ムテインは、直接のみならず、異種ポリペプチド、例えばシグナル配列との、または成熟IL2ムテインのN末端もしくはC末端に特定の切断部位を有する他のポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても、組み換え産生される場合がある。一般に、シグナル配列は、ベクターの構成要素である場合も、またはベクターに挿入されるコード配列の一部である場合もある。選択された異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞により認識およびプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)配列である。いくつかの態様では、シグナル配列は、元々IL2ムテインと関連するシグナル配列(すなわち、ヒトIL2シグナル配列)である。シグナル配列の包含は、IL-2ムテインが製造される組み換え細胞からIL-2ムテインを分泌させることが望ましいかどうかによる。選ばれた細胞が原核細胞ならば、一般的に、DNA配列がシグナル配列をコードしないことが好ましい。選ばれた細胞が真核細胞ならば、一般的に、シグナル配列がコードされることが好ましく、野生型IL-2シグナル配列が使用されることがもっとも好ましい。あるいは、異種哺乳動物シグナル配列、例えば、同じ種または関係する種の分泌ポリペプチドからのシグナル配列のみならず、ウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが適切であり得る。組み換え宿主細胞がサッカロミセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母細胞である場合、2007年4月3日に発行されたSingh、米国特許第7,198,919B1号に記載されたように培養培地中へのIL2ムテインの細胞外分泌を達成するためにアルファ接合因子分泌シグナル配列が採用され得る。
発現させるIL2ムテインをキメラ(例えば、IL2ムテインと異種ポリペプチド配列とを含む融合タンパク質)として発現させる場合、キメラタンパク質は、IL-2ムテインの全部または一部をコードする第1の配列と、異種ポリペプチドの全部または一部をコードする第2の配列とを含むハイブリッド核酸分子によってコードされることができる。例えば、本明細書に記載される対象IL-2ムテインは、細菌において発現したタンパク質の精製を促進するためにヘキサ-ヒスチジンタグに、または真核細胞において発現したタンパク質の精製を促進するためにヘマグルチニンタグに融合され得る。第1および第2によって、融合タンパク質のエレメントの配向への限定として理解すべきでなく、異種ポリペプチドは、IL2ムテインのN末端および/またはC末端に連結することができる。例えば、N末端がターゲティングドメインに連結され、C末端がヘキサ-ヒスチジンタグ精製ハンドルに連結される場合がある。
発現させるポリペプチド(または融合体/キメラ)の全長アミノ酸配列を使用して、逆翻訳遺伝子を構築することができる。IL-2ムテインをコードするヌクレオチド配列を含有するDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの部分をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次いでそれをライゲートすることができる。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には、相補的な集合のための5'または3'オーバーハングを含有する。
コドン最適化:
いくつかの態様では、IL2ムテインをコードする核酸配列は、特定の宿主細胞型における発現を促進するために「コドン最適化」される場合がある。哺乳動物、酵母および細菌宿主細胞を含む多種多様な発現系におけるコドン最適化のための技術は、当技術分野において周知であり、多種多様な宿主細胞型における発現のためのコドン最適化配列を提供するためにオンラインツールがある。例えば、Hawash, et al (2017) 9:46-53およびDavid Hacker編、Recombinant Protein Expression in Mammalian Cells: Methods and Protocols (Human Press New York)中のMauro and Chappellを参照されたい。追加的に、コドン最適化核酸配列の調製を介助するために無料公開されている多様なウェブベースのオンラインソフトウェアパッケージがある。
発現ベクターの構築:
集合した後(合成、部位特異的変異誘発または別の方法による)、IL-2ムテインをコードする核酸配列は、発現ベクターに挿入されるであろう。様々な宿主細胞に使用するための多様な発現ベクターが入手可能であり、それらは、典型的には発現のための宿主細胞に基づき選択される。発現ベクターは、典型的には、以下のうちの1つまたは複数を含むが、それに限定されるわけではない:複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列。ベクターは、ウイルスベクター、プラスミドベクター、組み入れベクター、などを含む。プラスミドは、非ウイルスベクターの例である。
組み換えポリペプチドの効率的な発現を促進するために、発現させるポリペプチド配列をコードする核酸配列は、選ばれた発現宿主において機能的な転写および翻訳調節制御配列に機能的に連結される。
選択マーカー:
発現ベクターは、通常、選択マーカーとも名付けられる選択遺伝子を含有する。この遺伝子は、選択培地中で成長した形質転換宿主細胞の生存または成長に必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子を含有するベクターにより形質転換されていない宿主細胞は、培養培地中で生存しないであろう。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンへの耐性を付与する、(b)栄養要求欠損を補完する、または(c)複合培地から利用不可能な重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする。
調節制御配列:
本開示のIL2ムテインのための発現ベクターは、宿主生物によって認識される調節配列を含有し、IL2ムテインをコードする核酸配列に機能的に連結される。「調節制御配列」、「調節配列」または「発現制御配列」という用語は、本明細書において互換的に使用されて、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を指す。例えば、Goeddel (1990) in Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185 (Academic Press, San Diego CA USA)を参照されたい。調節配列は、多くのタイプの宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指示する調節配列および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指示する調節配列(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル、などのような要因に依存することができるのが当業者によって認識されているであろう。発現制御配列を選択する上で、当業者によって理解される多様な要因を考慮すべきである。これらは、例えば、配列の相対強度、その制御可能性、および、それと、対象IL-2ムテインをコードする実際のDNA配列との、特に潜在的二次構造に関する適合性を含む。
プロモーター:
いくつかの態様では、調節配列はプロモーターであり、調節配列は、例えば、発現が探究される細胞型に基づき選択される。プロモーターは、それが機能的に連結される特定の核酸配列の転写および翻訳を制御する構造遺伝子(一般的に約100~1000bp以内)の開始コドンの上流(5')に位置する非翻訳配列である。このようなプロモーターは、典型的には2つのクラス、誘導性プロモーターおよび構成的プロモーターに分けられる。誘導性プロモーターは、培養条件におけるある変化、例えば栄養素の存在もしくは非存在、または温度変化に応答する制御下にあるDNAから増大したレベルの転写を開始するプロモーターである。多様な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。
T7プロモーターは、細菌において使用することができ、ポリヘドリンプロモーターは昆虫細胞において使用することができ、サイトメガロウイルスプロモーターまたはメタロチオネインプロモーターは、哺乳動物細胞において使用することができる。また、高等真核生物の場合、組織特異的プロモーターおよび細胞型特異的プロモーターが広く利用可能である。これらのプロモーターは、体内の所与の組織または細胞型において核酸分子の発現を指示できることから、そのように名付けられている。当業者は、数多くのプロモーターおよび核酸の発現を指示するために使用することができる他の調節エレメントを十分承知している。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばヒトアデノウイルス血清型5)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス(例えばマウス幹細胞ウイルス)、B型肝炎ウイルスおよびもっとも好ましくはサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーター、PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、または免疫グロブリンプロモーターから、熱ショックプロモーターから得られるプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系と適合するという条件で、制御され得る。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含有するSV40制限断片として好都合に得られる。
エンハンサー:
高等真核生物による転写は、しばしば、ベクターにエンハンサー配列を挿入することによって増大する。エンハンサーは、プロモーターに作用してその転写を増大させる、通常約10~300bpのDNAシス作用エレメントである。エンハンサーは、相対的に配向および位置に非依存性であり、転写ユニットの5'および3'、イントロン内のみならず、コード配列自体の内部に見出されている。今や、哺乳動物遺伝子から多くのエンハンサー配列が知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、アルファ-フェトタンパク質、およびインスリン)。しかし、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用されるであろう。例には、複製起点の後側(late side)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、発現ベクター内のコード配列に対して5'または3'位にスプライス導入され得るが、好ましくはプロモーターの5'部位に位置する。真核宿主細胞に使用される発現ベクターはまた、転写終結およびmRNA安定化に必要な配列を含有する。このような配列は、通常、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5'非翻訳領域、場合により3'非翻訳領域から入手可能である。上記構成要素のうちの1つまたは複数を含有する適切なベクターの構築は、標準的な技術を採用する。
挿入された核酸分子の転写を促進する配列に加えて、ベクターは、複製起点、および選択マーカーをコードする他の遺伝子を含有することができる。例えば、ネオマイシン耐性(neoR)遺伝子は、それを発現する細胞にG418耐性を与え、したがって、トランスフェクトされた細胞の表現型選択を可能にする。マーカーまたはレポーター遺伝子の追加的な例は、ベータ-ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(TK)、lacZ(ベータ-ガラクトシダーゼをコードする)、およびキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)を含む。当業者は、所与の調節エレメントまたは選択マーカーが特定の実験状況における使用に適しているかどうかを容易に決定することができる。
発現ベクターの適切な組み立ては、ヌクレオチドシーケンシング、制限マッピング、および適切な宿主中の生体活性ポリペプチドの発現によって確認することができる。
宿主細胞:
本開示はさらに、IL-2ムテインをコードする核酸分子を含有および発現する原核細胞または真核細胞を提供する。本開示の細胞は、トランスフェクトされた細胞、すなわち核酸分子、例えば変異型IL-2ポリペプチドをコードする核酸分子が、組み換えDNA技術によって導入されている細胞である。そのような細胞の後代もまた、本開示の範囲内であると考えられている。
宿主細胞は、典型的には、それらの選ばれた発現ベクターとの適合性、本発明のDNA配列によってコードされる産物の毒性、それらの分泌特徴、それらがポリペプチドを正しく折り畳む能力、それらの発酵または培養要求性、およびDNA配列によってコードされる産物の精製の容易さに従って選択される。本明細書におけるベクター中のDNAをクローニングまたは発現させるために適した宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞、または高等真核細胞である。
いくつかの態様では、組み換えIL-2ムテインまたはそれらの生体活性バリアントはまた、真核生物、例えば酵母細胞またはヒト細胞において製造することができる。適切な真核宿主細胞は、昆虫細胞(培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターの例は、pAcシリーズ(Smith et al. (1983) Mol. Cell Biol. 3:2156-2165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers (1989) Virology 170:31-39)を含む);酵母細胞(酵母S.セレビシアにおける発現のためのベクターの例は、pYepSec1(Baldari et al. (1987) EMBO J. 6:229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz (1982) Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultz et al. (1987) Gene 54:113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)、およびpPicZ(Invitrogen Corporation, San Diego, Calif.)を含む);または哺乳動物細胞(哺乳動物発現ベクターは、pCDM8(Seed (1987) Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufman et al. (1987) EMBO J. 6:187:195)を含む)を含む。
有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、マウスL細胞(L-M[TK-]、ATCC#CRL-2648)、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(懸濁培養での成長のためにサブクローニングされたHEK293またはHEK293細胞;ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO);マウスセルトリ細胞(TM4);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1 587);ヒト子宮頸がん細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞; MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞腫株(Hep G2)である。哺乳動物細胞において、発現ベクターの制御機能は、ウイルス調節エレメントによってしばしば提供される。例えば、通常使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびサルウイルス40に由来する。
IL-2ムテインは、細菌である大腸菌などの原核生物宿主または昆虫細胞(例えば、Sf21細胞)、もしくは哺乳動物細胞(例えば、COS細胞、NIH 3T3細胞、もしくはHeLa細胞)などの真核生物宿主において産生することができる。これらの細胞は、アメリカ培養細胞系統保存機関(Manassas, Va.)を含む多くの入手源から入手可能である。発現系を選択するにあたり、構成要素が相互に適合性であるかだけが問題である。当業者は、そのような決定を行うことができる。さらに、発現系の選択に指導が必要ならば、当業者は、Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, New York, N.Y., 1993)およびPouwelsら(Cloning Vectors: A Laboratory Manual, 1985 Suppl. 1987)を調べる場合がある。
いくつかの態様では、得られたIL-2ムテインは、ムテインを産生するために使用される宿主生物に応じてグリコシル化されるまたはグリコシル化されない。細菌が宿主として選ばれるならば、産生されるIL-2ムテインは、グリコシル化されないであろう。他方、真核細胞は、おそらく天然型IL-2がグリコシル化されるのと同じ方法ではないものの、IL-2ムテインをグリコシル化するであろう。
原核細胞および真核細胞の両方のための他のさらなる発現系については、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, N.Y.)の第16および17章を参照されたい。Goeddel (1990) in Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185(Academic Press, San Diego, Calif)を参照されたい。
トランスフェクション:
発現構築物を宿主細胞に導入して、それにより、本明細書に開示されるIL-2ムテインを産生するまたはその生体活性なムテインを産生することができる。ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核細胞または真核細胞に導入することができる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするために適した方法は、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, N.Y.)および他の標準的な分子生物学の実験マニュアルに見出すことができる。
標的細胞のトランスフェクションを促進するために、非ウイルスベクターの取り込みを促進する条件下で標的細胞が非ウイルスベクターに直接曝露される場合がある。哺乳動物細胞による外来核酸の取り込みを促進する条件の例は、当技術分野において周知であり、それらは、化学的手段(例えば、Lipofectamine(登録商標)、Thermo-Fisher Scientific)、高塩、および磁場(エレクトロポレーション)を含むが、それに限定されるわけではない。
細胞培養:
細胞は、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適するように改変された従来の栄養培地中で培養され得る。哺乳動物宿主細胞は、多様な培地中で培養され得る。ハムのF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、Sigma)、RPMI 1640(Sigma)、およびダルベッコ変法イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地は、宿主細胞を培養するために適する。これらの培地のいずれかは、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩)、緩衝剤(例えば、HEPES)、ヌクレオシド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質、微量元素、およびグルコースまたは等価のエネルギー源を補充される場合がある。任意の他の必要な栄養補助剤がまた、当業者に公知であろう適切な濃度で含まれる場合がある。培養条件、例えば温度、pH、などは、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用された条件であり、当業者に明白であろう。
組み換えタンパク質の回収:
組み換え産生されたIL2ムテインポリペプチドは、分泌リーダー配列が採用されるならば、分泌されたポリペプチドとして培養培地から回収することができる。あるいは、IL2ムテインポリペプチドはまた、宿主細胞溶解物から回収することができる。精製の間にタンパク質分解を阻害するためにプロテアーゼ阻害剤、例えばフェニルメチルスルホニルフッ化物(PMSF)が、細胞溶解物からの回収段階の間に採用される場合があり、外来性汚染菌の増殖を防止するために抗生物質が含まれる場合がある。
精製:
様々な精製段階が当技術分野において公知であり、例えばアフィニティークロマトグラフィーが用いられる。アフィニティークロマトグラフィーは、生体高分子に通常存在する高特異的結合部位を利用し、分子が特定のリガンドと結合する能力に応じてそれらの分子を分離する。リガンドをタンパク質試料に明らかに提示し、それにより、1つの分子種の自然な特異的結合を使用して、第2の種を混合物から分離および精製する方法で、共有結合がリガンドを不溶性の多孔性支持媒体に結び付ける。抗体は、アフィニティークロマトグラフィーにおいて通常使用される。サイズ選択段階もまた使用される場合があり、タンパク質をそのサイズに応じて分離するために、例えばゲル濾過クロマトグラフィー(サイズ排除クロマトグラフィーまたは分子ふるいクロマトグラフィーとしても知られる)が使用される。ゲル濾過では、タンパク質溶液は、半透過性多孔性樹脂が充填されたカラムを通過する。半透過性樹脂は、カラムにより分離することができるタンパク質のサイズを決定する孔径範囲を有する。
形質転換宿主によって産生されるIL-2ムテインは、任意の適切な方法に従って精製することができる。IL-2を精製するために様々な方法が公知である。例えば、Current Protocols in Protein Science, Vol 2. Eds: John E. Coligan, Ben M. Dunn, Hidde L. Ploehg, David W. Speicher, Paul T. Wingfield, Unit 6.5 (Copyright 1997, John Wiley and Sons, Incを参照されたい。IL-2ムテインは、大腸菌において生成された封入体から、または所与のムテインを産生している哺乳動物培養物もしくは酵母培養物からの馴化培地から、陽イオン交換、ゲル濾過、および/または逆相液体クロマトグラフィーを使用して単離することができる。
組み換えポリペプチドの実質的に精製された形態は、日常的な生化学手順を使用して発現系から精製することができ、例えば、本明細書に記載される治療用作用物質として使用することができる。
IL-2ムテインの生物学的活性は、当技術分野において公知の任意の適切な方法によってアッセイすることができ、実質的に精製された形態として、または細胞溶解物、もしくは分泌リーダー配列が発現のために採用される場合は、細胞培地の部分として評価される場合がある。このような活性アッセイは、CTLL-2増殖、T細胞におけるホスホ-STAT5(pSTAT5)活性の誘導、PHA-芽球増殖およびNK細胞増殖を含む。
製剤
治療適用のために、ムテインを哺乳動物に投与することができる。投与は、静脈内、ボーラスとして、またはある期間にわたる連続注入であり得る。投与の代替経路は、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内、くも膜下腔内、経口、外用、または吸入経路を含む。IL2ムテインはまた、腫瘍内、腫瘍周囲、病巣内、結節内もしくは病変周囲経路によって、またはリンパへと適切に投与されて、局所のみならず全身治療効果を発揮する。
いくつかの態様では、主題のIL-2ムテインおよび/または核酸は、薬学的組成物を含む組成物に組み入れることができる。このような組成物は、典型的には、ポリペプチドまたは核酸分子と、薬学的に許容される担体とを含む。薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合するように製剤化され、治療または予防を必要とする対象にIL2ムテインが投与されることになる治療的用途と適合する。
非経口製剤
本発明の変異型IL-2ポリペプチドは、経口的に与えられる場合があるが、それらが非経口経路で投与される可能性の方が高い。非経口経路の投与の例は、例えば、静脈内、皮内、皮下、経皮(外用)、経粘膜、および直腸投与を含む。非経口適用のために使用される溶液または懸濁液を含む非経口製剤は、ビヒクル、担体および緩衝剤を含むことができる。非経口投与のための薬学的製剤は、無菌水溶液(水溶性の場合)または分散物、および無菌注射液または分散物の即時調製のための無菌粉末を含む。
担体:担体は、注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの無菌希釈剤を含む。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、その他)、およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散物の場合、所要粒子径の維持によって、および界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムの使用によって維持することができる。静脈内投与のために、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。
緩衝剤:緩衝剤という用語は、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性の調整のための作用物質を含む。pHは、リン酸一ナトリウムおよび/もしくはリン酸二ナトリウム、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基を用いて調整することができる(例えば、pH約7.2~7.8、例えば、7.5へと)。
分散物:一般的に分散物は、基本分散媒および上に列挙した成分からの所要の他の成分を含有する無菌ビヒクル中に活性化合物を組み入れることによって調製される。無菌注射液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、それは、以前のその無菌濾過溶液から活性成分に加えて任意のさらなる所望の成分の粉末をもたらす。
保存剤:対象に非経口投与するための薬学的製剤は、無菌であるべきであり、容易なシリンジ通過性を促進するために流体であるべきである。これは、製造および保存の条件下で安定であるべきであり、汚染から保護されている。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの作用物質;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール、およびその他などの作用物質によって達成することができる。無菌溶液は、上に列挙された成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に所要量の活性化合物を組み入れ、必要に応じてその後無菌濾過することによって調製することができる。
等張化剤:多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましいであろう。
経口組成物:経口組成物は、使用されるならば、一般的に不活性希釈剤または食用担体を含む。経口治療用投与のために、活性化合物を賦形剤と共に組み入れることができ、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物はまた、洗口剤として使用するために液体担体を使用して調製することができる。薬学的に適合性の結合剤、および/または補助物質を、組成物の部分として含ませることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分:結合剤、例えば結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチン;賦形剤、例えばデンプンもしくはラクトース、崩壊剤、例えばアルギン酸、Primogel(商標)、もしくはトウモロコシデンプン;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはSterotes(商標);流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリン;または香味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料または類似の性質の化合物のいずれかを含有することができる。
吸入製剤:吸入による投与の際には、対象IL-2ムテイン、またはそれらをコードする核酸は、加圧容器または適切な噴射剤、例えば二酸化炭素などの気体を内部に含むディスペンサ、またはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で送達される。このような方法は、米国特許第6,468,798号に記載される方法を含む。
粘膜および経皮:対象IL-2ムテインまたは核酸の全身投与はまた、経粘膜または経皮手段によることができる。経粘膜または経皮投与のために、透過する障壁に適した浸透剤が製剤中に使用される。このような浸透剤は、当技術分野において一般的に公知であり、例えば、経粘膜投与のために、洗剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、点鼻スプレーまたは直腸送達のための坐剤(例えば、カカオ脂および他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を用いる)もしくは停留浣腸の使用により達成することができる。経皮投与のために、活性化合物は、当技術分野において一般的に公知のように軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに製剤化され、エタノールまたはラノリンなどの透過エンハンサーを組み入れる場合がある。
徐放性製剤およびデポー製剤:いくつかの態様では、IL2ムテインは、IL2ムテイン作用物質の徐放を提供するために製剤として投与される。注射用組成物の徐放性製剤の例は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含むことによってもたらすことができる。一態様では、対象IL-2ムテインまたは核酸は、変異型IL-2ポリペプチドを体内からの急速消失から保護する担体と一緒に調製され、例えば植込み剤およびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤である。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤は、標準的な技術を使用して調製することができる。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に得ることができる。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を感染細胞に標的付けるリポソームを含む)はまた、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、当業者に公知の方法に従って、例えば米国特許第4,522,811号に記載されるように調製することができる。
IL2ムテインをコードする核酸の投与(遺伝子療法):いくつかの態様では、化合物(対象IL-2ムテインまたは核酸)はまた、McCaffreyら(Nature 418:6893, 2002)、Xiaら(Nature Biotechnol. 20: 1006-1010, 2002)、またはPutnam(Am. J. Health Syst. Pharm. 53: 151-160, 1996, erratum at Am. J. Health Syst. Pharm. 53:325, 1996)に記載されている方法を含むが、それに限定されるわけではない、当技術分野において公知の方法を使用してトランスフェクションまたは感染によって投与することができる。いくつかの態様では、IL2ムテインは、組み換え発現ベクターの薬学的に許容される製剤の投与によって対象に投与される。一態様では、組み換え発現ベクターはウイルスベクターである。いくつかの態様では、組み換えベクターは組み換えウイルスベクターである。いくつかの態様では、組み換えウイルスベクターは、組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)または組み換えアデノウイルス(rAd)、特にヒトアデノウイルス血清型3および/または5に由来する複製欠損アデノウイルスである。いくつかの態様では、複製欠損アデノウイルスは、ウイルスがヒト細胞において細胞周期および/またはアポトーシス経路を開始する能力を妨害する、E1領域への1つまたは複数の改変を有する。複製欠損アデノウイルスベクターは、任意で、E3ドメインに欠失を含んでもよい場合がある。いくつかの態様では、アデノウイルスは複製可能なアデノウイルスである。いくつかの態様では、アデノウイルスは、リンパ球において選択的に複製するように操作された複製可能な組み換えウイルスである。
一態様では、IL2ムテイン製剤は、その教示が参照により本明細書に組み入れられる、1986年8月5日に発行されたFernandesおよびTaforo、米国特許第4,604,377号ならびにYasuiら、米国特許第4,645,830号の教示に従って提供される。
非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブル注射筒または複数回投与用バイアル中に包有されることができる。一態様では、製剤は、非経口投与のための充填済み注射筒の中に提供される。
使用方法
本開示はさらに、本開示のIL2ムテイン(またはIL2ムテインをコードする組み換えウイルスを含む、IL2ムテインをコードする核酸)の治療有効量の投与によって、疾患、障害、または状態を患っている対象を治療する方法を提供する。このような疾患の治療において、本開示のIL-2ムテインは、血管漏出症候群の低減などの有利な性質を提供するために改変を組み入れる場合がある。本開示のIL-2ムテイン(IL2ムテインおよび/または当該IL2ムテインをコードする組み換えウイルスを含む、それらをコードする核酸分子を含む薬学的に許容される製剤を含む)による治療が適用できる障害は、ウイルス感染症(例えば、AIDS、インフルエンザ、慢性HCV、慢性B、CまたはD型ウイルス性肝炎)、ヘリコバクターピロリ(heliobacter pylori)感染症、HTLV、臓器拒絶反応、移植片対宿主病、自己免疫性甲状腺疾患、多発性硬化症、アレルギー、喘息、アルツハイマー病を含む神経変性疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、1型または2型糖尿病を含む糖尿病、炎症、自己免疫疾患、アトピー性疾患、傍腫瘍性自己免疫疾患、軟骨炎、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身発症型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群(セロネガティブ、腱付着部症、関節症症候群)、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、少関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身発症型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群(セロネガティブ、腱付着部症、関節症症候群)を含むが、それに限定されるわけではない炎症性疾患または自己免疫疾患を含む。
本開示のIL-2ムテイン(IL2ムテインおよび/または当該IL2ムテインをコードする組み換えウイルスを含むそれらをコードする核酸分子を含む薬学的に許容される製剤を含む)による治療が適用できる増殖性および/または分化性障害の他の例は、皮膚障害を含むが、それに限定されるわけではない。皮膚障害は、真皮、表皮、もしくは皮下組織層における細胞または細胞もしくは層の群の異常活性、あるいは真皮-表皮接合部における異常を伴う場合がある。例えば、皮膚障害は、ケラチノサイト(例えば、過剰増殖性の基底ケラチノサイトおよび基底層上ケラチノサイト)、メラニン形成細胞、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、免疫細胞、および表皮層、例えば、基底層(胚芽層)、有棘層、顆粒層、透明層または角質層のうち1つまたは複数に見出される他の細胞の異常活性を伴い得る。他の態様では、障害は、皮層、例えば、乳頭層または網状層に見出される真皮細胞、例えば、皮膚内皮細胞、線維芽細胞、免疫細胞(例えば、マスト細胞またはマクロファージ)の異常活性を伴い得る。
皮膚障害の例は、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎(湿疹)、例えば、剥脱性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎、毛孔性紅色粃糠疹、ばら色粃糠疹、類乾癬、苔癬状粃糠疹、扁平苔癬、光沢苔癬、魚鱗癬様皮膚疾患、角化症、皮膚疾患、円形脱毛症、壊疽性膿皮症、白斑、類天疱瘡(例えば、眼瘢痕性類天疱瘡または水疱性類天疱瘡)、蕁麻疹、汗孔角化症、関節包を覆う上皮関連細胞の過剰増殖および炎症を伴う関節リウマチ;脂漏性皮膚炎および日光皮膚炎などの皮膚炎;脂漏性角化症、老人性角化症、日光角化症、光誘発角化症(photo-induced keratosis)、および毛包性角化症などの角化症;尋常性ざ瘡;ケロイドおよびケロイド形成予防;母斑;疣、コンジローマまたは尖圭コンジローマを含む疣贅、ならびに性病いぼなどのヒトパピローマウイルス(HPV)感染症;白斑症;扁平苔癬;および角膜炎を含む。皮膚障害は、皮膚炎、例えば、アトピー性皮膚炎もしくはアレルギー性皮膚炎、または乾癬であることができる。
本開示の組成物(IL2ムテインおよび/または当該IL2ムテインをコードする組み換えウイルスを含むそれらをコードする核酸分子を含む薬学的に許容される製剤を含む)はまた、乾癬または乾癬障害を患っている(または患い得る)患者に投与することができる。「乾癬」という用語は、その医学的意味、すなわち主に皮膚に罹患し、隆起病変、肥厚病変、鱗屑病変、非瘢痕性病変を産生する疾患を有することが意図される。病変は、通常、重なり合う光沢のある鱗屑で覆われた境界の極めて明瞭な紅斑性丘疹である。鱗屑は、典型的には銀白色またはわずかに乳白色である。爪の併発がしばしば起こり、その結果、爪の点状陥凹、分離、肥厚および変色が起こる。乾癬はときに関節炎と関連し、手足を不自由にし得る。ケラチノサイトの過剰増殖は、表皮炎症およびケラチノサイトの分化低減と共に乾癬の表皮増生の重要な特徴である。乾癬を特徴付けるケラチノサイトの過剰増殖を説明するために複数のメカニズムが引き合いに出されている。細胞免疫障害もまた、乾癬の病態形成に意味付けられている。乾癬障害の例は、慢性静止期乾癬、局面状乾癬、中等度~重度局面状乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、乾癬性紅皮症、汎発性膿疱性乾癬、環状膿疱性乾癬、または限局性膿疱性乾癬を含む。
特定の態様では、本明細書に記載されるIL-2アンタゴニストとして機能する対象IL-2ムテインは、1つまたは複数の状態の治療に有用であり、ここで、1つまたは複数のIL-2および/またはIL-15依存性機能の抑制が有用である。特定の態様では、本明細書に記載されるIL-2ムテインは、1つまたは複数の疾患または状態の治療のために使用され、ここで、CD122/CD132ヘテロ二量体化および下流のシグナル伝達の抑制が有用である(例えば、GVDHまたは白血病)。一態様では、治療の方法は、移植片対宿主病(GVHD)の治療のための方法である。いくつかの態様では、治療は、GVHDを有する対象に、IL-2ムテイン(IL2ムテインおよび/または当該IL2ムテインをコードする組み換えウイルスを含むそれらをコードする核酸分子を含む薬学的に許容される製剤を含む)の治療有効量を投与する段階を含む。
自己免疫疾患のためのIL2ムテインとさらなる治療用作用物質との組み合わせ:
本開示は、自己免疫疾患の治療における、1つまたは複数のさらなる活性作用物質(「補助作用物質」)と組み合わせた本開示のIL2ムテインの使用を提供する。本明細書で使用される「補助作用物質」という用語は、別々に投与もしくは導入することができる、例えば、別々の投与のために別々に製剤化することができる(例えば、キットとして提供され得る)作用物質および/またはIL2ムテインと組み合わせて投与もしくは導入することができる治療法を含む。
本明細書で使用される場合、複数の作用物質の対象への投与に関連して使用される場合の「と組み合わせて」という用語は、第1の作用物質および少なくとも1つのさらなる(すなわち、第2、第3、第4、第5などの)作用物質の対象への投与を指す。本発明のために、第1の作用物質の投与に起因する生物学的効果が第2の作用物質の投与時点で対象において持続するならば、1つの作用物質(例えばIL2ムテイン)は、第2の作用物質(例えば、Humira(登録商標)などの治療用自己免疫抗体)と組み合わせて投与されると見なされ、その結果、第1の作用物質および第2の作用物質の治療効果は重なり合う。例えば、治療用抗体(例えば、クローン病の治療におけるアダリムマブ)は、時に、IV注入によって2週間毎に投与されるのに対し、本開示のIL2ムテインは、より頻繁に、例えば毎日、BID、または毎週投与され得る。しかし、第1の作用物質(例えばエタネルセプト)の投与は、長期にわたり治療効果を提供し、第2の作用物質(例えばIL2ムテイン)の投与は、第1の作用物質の治療効果が継続している間にその治療効果を提供し、その結果、第1の作用物質が第2の作用物質の投与時間から顕著に離れた(例えば数日または数週)時点で投与され得るにしても第2の作用物質は第1の作用物質と組み合わせて投与されると見なされる。一態様では、1つの作用物質は、第1の作用物質および第2の作用物質が、同時に(相互に30分以内)、同時発生的または順次に投与されるならば、1つの作用物質は第2の作用物質と組み合わせて投与されると見なされる。いくつかの態様では、第1の作用物質および第2の作用物質が相互に約24時間以内、好ましくは相互に約12時間以内、好ましくは相互に約6時間以内、好ましくは相互に約2時間以内、または好ましくは相互に約30分以内に投与されるならば、第1の作用物質は、第2の作用物質と「同時発生的に」投与されると考えられる。「と組み合わせて」という用語はまた、第1の作用物質および第2の作用物質が単一の薬学的に許容される製剤として同時製剤化され、同時製剤が対象に投与される状況に適用されることを理解されたい。特定の態様では、例えば、1つの作用物質が1つまたは複数の他の作用物質の前に投与される場合、IL2ムテインおよび補助作用物質は、順次に投与または適用される。他の態様では、例えば、2つ以上の作用物質が同時またはほぼ同時に投与される場合、IL2ムテインおよび補助作用物質は同時に投与され;2つ以上の作用物質が2つ以上の別々の製剤として存在する場合も、または単一の製剤として組み合わされる(すなわち、同時製剤化)場合もある。作用物質が順次にまたは同時に投与されるかどうかにかかわらず、それらは、本開示のために組み合わせて投与されると見なされる。
いくつかの態様では、補助作用物質は、コルチコステロイド(プレドニゾン、ブデソニド、プレドニゾロン(prednilisone)を含むが、それに限定されるわけではない)、ヤヌスキナーゼ阻害剤(トファシチニブ(Xeljanz(登録商標)を含むが、それに限定されるわけではない)、カルシニューリン阻害剤(シクロスポリンおよびタクロリムスを含むが、それに限定されるわけではない)、mTor阻害剤(シロリムスおよびエベロリムスを含むが、それに限定されるわけではない)、IMDH阻害剤(アザチオプリン、レフルノミドおよびミコフェノレートを含むが、それに限定されるわけではない)、生物製剤、例えばアバタセプト(Orencia(登録商標))またはエタネルセプト(Enbrel(登録商標))、および治療用抗体からなる群より選択される1つまたは複数の作用物質である。自己免疫疾患の治療において本開示のIL2ムテインと組み合わせて補助作用物質として投与され得る治療用抗体の例は、抗CD25抗体(例えば、ダクリズマブおよびバシリキシマブ)、抗VLA-4抗体(例えばナタリズマブ)、抗CD52抗体(例えばアレムツズマブ)、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ)、抗TNF抗体(例えば、インフリキシマブ、およびアダリムマブ)、抗IL-6R抗体(例えばトシリズマブ)、抗TNFα抗体(例えばアダリムマブ(Humira(登録商標))、ゴリムマブ、およびインフリキシマブ)、抗インテグリン-α4β7抗体(例えばベドリズマブ)、抗IL-17a抗体(例えば、ブロダルマブまたはセクキヌマブ)、抗IL-4Rα抗体(例えばデュピルマブ)、抗RANKL抗体、IL-6R抗体、抗IL-1β抗体(例えばカナキヌマブ)、抗CD11a抗体(例えばエファリズマブ)、抗CD3抗体(例えばムロモナブ)、抗IL5抗体(例えば、メポリズマブ、レスリズマブ)、抗BLyS抗体(例えばベリムマブ);および抗IL-12/IL-23抗体(例えばウステキヌマブ)を含むが、それに限定されるわけではない。
多くの治療用抗体が、自己免疫疾患に対する臨床使用のために認可されている。表示の自己免疫疾患の治療のために、補助作用物質として本開示のIL2ムテイン(および任意でさらなる補助作用物質)と組み合わせて投与され得る、自己免疫疾患を患っている対象において該疾患の治療に使用するための米国食品医薬品局(FDA)によって認可された抗体の例を表4に提供する。
(表4)
Figure 2023510871000012
Figure 2023510871000013
本開示の方法の実施において補助作用物質として有用な前述の抗体は、単独で、または抗体、リンカー、および1つもしくは複数の薬物(例えば、1、2、3、4、5、6、7、もしくは8つの薬物)を含む任意の抗体薬物コンジュゲート(ADC)の形態で、または改変された形態(例えばPEG化)で投与され得る。
いくつかの態様では、補助作用物質はワクチンである。本発明のIL2ムテインは、1998年9月1日に発行されたDoyleら、米国特許第5,800,819号の教示に従ってワクチンへの免疫応答を増強するためのアジュバントとしてワクチンと組み合わせて対象に投与され得る。本発明のIL2ムテインと組み合わされ得るワクチンの例は、HSVワクチン、百日咳菌、大腸菌ワクチン、Prevnar(登録商標)13などの多価肺炎球菌ワクチンを含む肺炎球菌ワクチン、ジフテリア、破傷風および百日咳ワクチン(Pediatrix(登録商標)およびPentacel(登録商標)などの混合ワクチンを含む)、水痘ワクチン、インフルエンザ菌B型ワクチン、Garasil(登録商標)などのヒトパピローマウイルスワクチン、ポリオワクチン、レプトスピラ症ワクチン、呼吸器病混合ワクチン、モラクセラワクチン、および弱毒化生または死滅ウイルス産物、例えばウシ呼吸器病ワクチン(RSV)、多価ヒトインフルエンザワクチン、例えばFluzone(登録商標)および四価Fluzone(登録商標))、ネコ白血病ワクチン、伝染性胃腸炎ワクチン、および狂犬病ワクチンを含む。
投薬量
このような対象IL-2ムテインまたは核酸化合物の投薬量、毒性、および治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトに使用するための投薬量範囲の設定に使用することができる。このような化合物の投薬量は、好ましくは、最小許容毒性を有するED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、採用される投薬形態および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。本発明の方法に使用される任意の化合物について、治療有効用量は、最初、細胞培養アッセイから推定することができる。用量は、細胞培養において決定された場合のIC50(すなわち、症状の最大半減阻害を達成する被験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルで設定され得る。このような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
本明細書において定義される場合、対象IL-2ムテインの治療有効量(すなわち、有効投薬量)は、選択されるポリペプチドに依存する。例えば、約0.001~0.1mg/kg患者体重の範囲の単回用量を投与することができる。いくつかの態様では、約0.005、0.01、0.05mg/kgが投与され得る。いくつかの態様では、600,000IU/kgが投与される(IUは、リンパ球増殖バイオアッセイによって決定することができ、インターロイキン-2(ヒト)に関する世界保健機関第1回国際標準によって確立された国際単位(IU)で表現される)。
いくつかの態様では、本開示のIL2ムテインの薬学的に許容される形態は、Klatzmanら、米国特許第9,669,071号および第10,293,028B2に記載される「低用量」治療プロトコルに従って対象に投与され、それらの全教示は、参照により本明細書に組み入れられる。さらなる低用量プロトコルは、Smith, K.A. (1993) Blood 81(6): 1414-1423、He, et al (2016) Nature Medicine 22(9): 991-993に記載されている。
本開示の別の局面に従い、本開示のIL-2ムテインを投与することによって動物の免疫系を刺激するための方法が提供される。方法は、宿主免疫応答が欠損している病状を治療するために有用である。対象を治療するにあたり、化合物(すなわち活性成分)の治療有効用量が投与される。治療有効用量は、対象の症状の改善または生存期間の延長を生じる活性成分の量を指す。有効用量は、投与されるIL-2ムテインの特徴、治療される対象の身体的特徴、疾患または状態の性質、などにより変動するであろう。単回投与は、約50,000IU/kg~約1,000,000IU/kgまたはそれ以上の範囲、より典型的には約600,000IU/kgの範囲であることができる。これは、1日数回(例えば、1日2~3回)、数日間(例えば、連続約3~5日)繰り返される場合があり、次いで休止期間(例えば、約7~14日)の後に1回または複数回繰り返される場合がある。したがって、有効用量は、単回だけの投与またはある期間にわたる多回投与を含み得る(例えば、約600,000IU/kgを約20~30回、各々約10~20日間にわたり与える個別の投与)。
組成物は、1回または複数回/日から、一日おきに一回を含む、1回または複数回/週投与することができる。当業者は、疾患または障害の重症度、以前の治療、対象の全身の健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むが、それに限定されるわけではない特定の要因が、対象を効果的に治療するために必要な投薬量およびタイミングに影響し得ることを認識しているであろう。その上、対象IL-2ムテインの治療有効量を用いた対象の治療は、単回治療を含むことができる、または一連の治療を含むことができる。一態様では、組成物は、8時間毎5日間投与され、続いて、2~14日の休止期間、例えば9日に、さらなる8時間毎5日間の投与が続く。別の態様では、組成物は、2日に1回、少なくとも6日間、任意で少なくとも10日間、任意で少なくとも14日間、任意で少なくとも30日間、任意で少なくとも60日間投与される。当業者は、治療が慢性状態の治療のために延長される場合があり、自己免疫疾患(例えば、乾癬、IBD、その他)などの慢性疾患の症状の再発を予防する場合があることを認識しているであろう。
薬学的組成物は、投与のための説明書と一緒に容器、パック、またはディスペンサー中に含まれることができる。
毒性副作用を示す化合物が使用され得るとはいえ、未感染細胞への潜在的損傷を最小限にし、それにより副作用を低減するために、罹患組織部位にこのような化合物を標的付ける送達システムを設計するために注意を払うべきである。IL-2ムテインの毒性および治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準的薬学的手順によって決定することができる。細胞培養アッセイおよび動物試験を使用して、LD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を決定することができる。毒性作用と治療効果との間の用量比は治療指数であり、治療指数は、比LD50/ED50として表現することができる。大きな治療指数を示すIL-2変異体が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトでの使用に適した投薬量の範囲の設定に使用することができる。このような変異体の投薬量は、好ましくは、毒性がほとんどまたはまったくなしにED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、多様な要因、例えば、採用される剤形、利用される投与経路、対象の状態、などに応じてこの範囲内で変動し得る。
治療有効用量は、最初、IC50を決定することによって細胞培養アッセイから推定することができる。次いで、用量を動物モデルで設定して、細胞培養で決定されたIC50を含む循環血漿濃度範囲を達成することができる。このような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより精密に決定することができる。血漿中レベルは、例えばHPLCによって測定され得る。正確な製剤、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個別の医師によって選択されることができる。
IL-2ムテインおよび任意で補助作用物質を用いて治療された患者の担当医師は、毒性、臓器機能不全などの要因により、投与をいつ、どのように終結する、中断する、または調整するかを知っているであろう。逆に、担当医師はまた、臨床応答が不十分(毒性を除く)ならば、治療をより高いレベルに調整することを知っているであろう。関心対象の障害の管理における投与用量の大きさは、治療される状態の重症度、投与経路、などに応じて変動するであろう。状態の重症度は、例えば、標準的な予後評価方法によって一部評価され得る。さらに、用量およびおそらく投薬回数はまた、個々の患者の年齢、体重、および応答に従って変動するであろう。
本発明のIL-2変異体は、送達経路および治療されている状態に適切なように製剤化された医薬品として単独で個体に投与され得る。適切な経路は、経口、直腸、経皮、膣、経粘膜、または腸管投与;筋肉内、皮下、髄内注射のみならず、くも膜下腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射、などを含む非経口送達を含み得る。経粘膜投与のために、透過する障壁に適した浸透剤が製剤中に使用される。このような浸透剤は、当技術分野において一般的に公知である。
IL-2変異体は、当技術分野において周知にように1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤と一緒に製剤として製造され得る。製剤および投与のための技術は、"Remington's Pharmaceutical Sciences," (18th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990)に見出され得る。IL-2製剤の具体例は、米国特許第4,604,377号および同第4,766,106号に記載されている。IL-2変異体は、リン酸緩衝食塩水のように緩衝液および/または塩を含み得る担体を用いて液体として製剤化され得る。あるいは、IL-2変異体は、ラクトースなどの担体もしくは増量剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および任意で安定化剤を用いて固体として製剤化され得る。
キット
本開示はまた、薬学的組成物、IL2ムテインおよびその薬学的組成物を含むキットを考えている。キットは、一般的に、下記のような様々な構成要素を収容している物理的構造の形態であり、例えば上記の方法の実施に利用することができる。キットは、使用できる状態の、対象への投与に適した薬学的組成物の形態、または投与前に調製、例えば、解凍、再構成もしくは希釈を必要とする形態のIL2ムテインを含み得る。IL2ムテインが使用者によって再構成される必要のある形態である場合、キットはまた、緩衝剤、薬学的に許容される賦形剤、などを含む再構成媒を提供している無菌容器を含み得る。
本開示のキットはさらに、その他の構成要素に加えて1つまたは複数の補助作用物質を含み得る。
本開示のキットは、その中に収容された構成要素を正しく維持する(例えば、冷蔵または凍結)ために必要な条件のために設計することができる。
キットはさらに、その中の構成要素についての識別情報およびそれらの使用説明書を含むラベルまたは添付文書を含有する場合がある。キットの各構成要素を個々の容器内に内蔵することができ、様々な容器をすべて1つのパッケージに入れることができる。ラベルまたは添付文書は、ロット番号および有効期限などの製造者情報を含むことができる。ラベルまたは添付文書は、例えば、構成要素を内蔵している物理的構造中に組み入れられるか、物理的構造内に別々に含有されるか、またはキットの構成要素(例えば、アンプル、シリンジまたはバイアル)に貼り付けられることができる。ラベルまたは添付文書は、物理的形態またはコンピューター可読媒体中に提供される場合がある。いくつかの態様では、実際の説明書はキット内に存在せず、逆にキットは、行政の規制(例えばHIPAA)に従い遠隔供給源から例えばパスワード(またはIL2ムテインもしくはそれを含むキットの容器上のバーコードもしくはQRコードのようなスキャン可能なコード)を提供することによる安全なアクセスによるものを含むインターネットのサイトを介して説明書を得るための手段を提供する。
以下の実施例は、本明細書に提供される発明の特定の態様を説明するために提供されるのであって、限定するものとして解釈されるべきでない。
実施例1:ヒトIL2発現ベクターpcDNA3.1/hygro(+)-huIL2の生成
ヒトIL2 DNAオープンリーディングフレーム(「ORF」)(Genbank NM_000586.3)を合成し(Life Technologies GeneArt Service, Carlsbad, CA)、これを、Platinum SuperFi II DNAポリメラーゼキット(カタログ番号12361050として市販、ThermoFisher)を使用し、製造者のプロトコルに実質的に従い、NheI制限部位を組み入れるプライマー
Figure 2023510871000014
およびApaI制限部位を組み入れるプライマー
Figure 2023510871000015
を使用するPCRにより増幅した。PCR断片を1% アガロースゲル(アイテム#54803, Lonza, Rockland, ME)上で視覚化し、ゲルから切り出し、QIAquick PCR精製キット(カタログ番号28106として市販、Qiagen、Germany)を使用して製造者のプロトコルに従って精製した。
精製されたPCR断片および哺乳動物発現ベクターpcDNA 3.1/hygro(+)(カタログ番号V87020として市販、ThermoFisher、Carlsbad CA)をNheIおよびApaI(カタログ番号R0111SおよびR0114Lとして市販、New England Biolabs、Ipswich、MA)制限酵素で消化した。発現ベクターを、製造者のプロトコルに実質的に従ってQuick脱リン酸化キット(カタログ番号M0508Lとして市販、New England Biolabs)を用いてさらに処理した。Rapid DNAライゲーションキット(カタログ番号11635379001として市販、Sigma Aldrich、St. Louis、MO)を製造者のプロトコルに実質的に従って使用して、PCR断片をpcDNA 3.1/hygro(+)内にライゲートし、One Shot TOP 10ケミカルコンピテント大腸菌(カタログ番号C404006として市販、Life Technologies、Carlsbad、CA)中に形質転換し、100ug/ml カルベニシリンを含有するLB寒天プレート(カタログ番号L1010として市販、Teknova、Hollister、CA)上に蒔き、37Cで一晩成長させた。
翌日、個々の細菌コロニーを釣り上げ、100ug/ml アンピシリン(カタログ番号A9626として市販、Teknova)を有するLBブロス(#10855-001, Life Technologies)中で3ml細菌培養を開始するために使用した。培養物を37Cで一晩成長させた。翌日、大腸菌をペレットにし(6,000rpm、10分、卓上遠心分離機カタログ番号5424として市販、Eppendorf、Hauppauge、NY)、QIAprep Spin Mimprep Kit(#27106, Qiagen)を使用してDNA発現ベクターを単離した。プラスミドDNAをシーケンシングにより検証した(MCLab, South San Francisco, CA)。
実施例2. ヒトIL2 REH発現ベクターpcDNA3.I/hygro(+)-huIL2-REHの生成
ヒトIL2 ORE内に3つの変異(L38R、Q42EおよびQ146H;すべての番号付けは、全長ヒトIL2 ORF NM_000586.3の番号付け、すなわち、成熟hIL2分子のアミノ酸20個の配列ではなく、シグナルペプチドを含んで発現した場合のhIL2の番号付けに基づく)を導入した発現ベクターを実施例1の教示に実質的に従って組み立てたが、以下を例外とした。PCRのために使用された最初のテンプレートDNAを、L38R(成熟タンパク質のL18R)、Q42E(成熟タンパク質のQ22E)およびQ146H(成熟タンパク質のQ126H)変異を有するように合成した。
実施例3. ヒトIL2 REM発現ベクターpcDNA3.1/hygro(+)-huIL2 REMの生成
ヒトIL2 ORF内に3つの変異(L38R、Q42EおよびQ146M;すべての番号付けは、全長ヒトIL2 ORF NM_000586.3の番号付けに基づく)を導入した発現ベクターを、pcDNA3.1/hygro(+)におけるヒトIL2発現ベクターについて記載したものに正確に従って組み立てたが、以下を例外とした:PCRのために使用された最初のテンプレートDNAを、L38R、Q42EおよびQ146M変異を有するように合成した。
実施例4. pcDNA3.1/hygro(+)-huIL2およびpcDNA3.1/hygro(+)-huIL2 REH発現ベクター内への変異または逆変異の導入
すべての変異または逆変異(pcDNA3.1/hygro(+)-huIL2-REHにおける変異を野生型ヒトIL2 ORFとマッチするように復帰させる)をQuik Change II部位特異的変異誘発キット(#200524, Agilent Technologies, Santa Clara, CA)を製造者のプロトコルに実質的に従って使用して、pcDNA 3.1/hygro(+)-huIL2またはpcDNA3.1/hygro(+)-huIL2-REH発現ベクター中に導入した。表5および表6に、生成された変異、変異が導入されたテンプレート、および変異を導入するために使用したプライマーセットを記載する。pcDNA3.1/hygro-huIL2発現ベクターの生成と同じプロトコルを使用して、Quik Change PCR反応物の大腸菌への形質転換のみならず、プラスミドDNAの単離および配列解析を実施した。
(表5)Quik Change変異誘発
Figure 2023510871000016
Figure 2023510871000017
Figure 2023510871000018
(表6)hIL2オルソログ構築物
Figure 2023510871000019
Figure 2023510871000020
Figure 2023510871000021
Figure 2023510871000022
Figure 2023510871000023
実施例5. HEK293細胞における一過性トランスフェクション
すべての発現ベクターをHEK293細胞(#CRL-1573, ATCC, Manassas, VA)中に一過性トランスフェクトした。約1E6個のHEK293細胞を、6ウェル組織培養プレートの各ウェル中の、10% ウシ胎児血清(#SH30071.03, Fisher Scientific. Chicago, IL)を補充したDMEM(#10569044, Life Technologies)2ml中に蒔き、37Cおよび5% CO2で一晩成長させた。翌日、トランスフェクション1回あたりDNA 2.5ug、P3000試薬 5ul、およびLipofectamine 3000 7.5ulを使用して、Lipofectamine 3000試薬(#L3000150, Life Technologies)を製造者のプロトコルに従って使用して細胞をトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を37C、5% C02で48~72時間成長させ、次いで馴化培地を回収した。
実施例6. タンパク質の発現解析
タンパク質の発現を、ヒトIL2 V-PLEX ELISAキット(#K151QQD-4, Mesoscale Diagnostics, Baltimore, MD)を製造者のプロトコルに従って使用するELISAによって測定した(トランスフェクト後の培地を最初1:4に希釈し、次いで1:2に系列希釈した)。Meso Quickplex SQ120(Mesoscale Diagnostics)を用いて、このELISAキットのための製造者の事前プログラム設定を使用してプレートを読み取った。キット中のヒトIL2標準を使用して、馴化培地試料中のおよその発現レベルを計算した。
実施例7. CD25-細胞およびCD25+細胞上のIL2活性(STAT5)の決定
2~3日インキュベートした後、可溶性IL2タンパク質を含有する293T細胞からの上清の試料を上記実施例5に従って調製し、YT細胞(CD25NEG)およびCD25を構成的に発現するように操作されたYT細胞(YTCD25POS)に約20分間添加した。ホスホ-STAT5(pSTAT5)の誘導レベルをフローサイトメトリーによって測定した。pSTAT5レベルの誘導倍率の結果を添付の図面の図2に示す。CD25状態に対するIL2タンパク質の選択性を、CD25+ YT細胞でのホスホ-STAT5の上昇レベル(pSTAT5YTCD25)をCD25陰性YT細胞におけるホスホ-STAT5のレベル(pSTAT5YT)で割ったものとして計算した。これらの実験の結果を添付の図面の図2に提供する。
提示されたデータから分かるように、本開示のIL2ムテインは、CD25陽性細胞上のpSTAT5の選択的誘導を提供し、顕著なIL2活性を保持する。
実施例8. ヒトT細胞クローン3F8におけるオルソログの活性の評価
CD4陽性ヒトT細胞クローン3F8細胞における活性について代表的なhIL-2ムテインのパネルを評価した。混合リンパ球反応の2連続ラウンドに続く、記載のような(Yssel and Spits (2002) Current Protocols in Immunology 7.19.1 - 7.19.12)限界希釈による単一細胞クローニングにおいてEBV形質導入B細胞株JYによる健康ドナーのPBMCの活性化によってCD4陽性T細胞クローン3F8を生成した。CD4陽性T細胞クローン3F8は、CD25およびCD122を発現し、IL-2に応答して増殖し、IFNγを産生する。
3F8細胞を、hIL-2ムテインをトランスフェクトされた293T細胞からの上清と以下のように接触させた:Yssel培地(Iscove変法ダルベッコ培地(ThermoFisher)、0.25%w/v ヒトアルブミン(Sigma)、1パーセント ペニシリン/ストレプトマイシン(ThermoFisher)、1パーセント ITS-Xインスリン、トランスフェリン、セレン(Gibco)、30mg/L トランスフェリン(Roche)、2mg/L パルミチン酸(Sigma)、1パーセント LA-OA-アルブミンリノール酸、オレイン酸(Sigma)、1パーセント ヒト血清(Gemini))(Yssel et al (1984) J Immunol Methods 72: 219 - 227)からなる成長培地中で細胞を20万個/mlで、10万個/ウェルの50Gy照射JY細胞および100万個/mlの40Gy照射同種PBMCと共に成長させた。6日培養し、100pMのヒトIL-2を用いた拡大増殖後、細胞を洗浄し、透明底黒色96ウェルプレート(Costar)中、成長培地75μl中に細胞5万個/ウェルで蒔いた。成長培地中にトランスフェクトされた293T細胞上清の5倍系列希釈を行い、各希釈物75μlを3F8細胞のプレートに、1:2~1:78125の最終タイトレーションで、二つ組で加えた。プレートを加湿インキュベーター(ThermoFisher)に移し、5パーセント二酸化炭素中、セ氏37度で3日間インキュベートした。
プレートをインキュベーターから取り出し、培養上清40μlを96ウェル平底プレート(Costar)中に回収した。二つ組のウェルからの上清をプールした。製造者の説明に従って、Celltiterglo(Promega)をウェル1つあたり100μl添加することによって細胞を溶解させた。オービタルシェーカー(VWR Scientific)上で細胞溶解物を300rpmで2分間混合し、次いで、10分間室温に保った。3F8細胞溶解物についての発光を、Envision 2103 Multilabelプレートリーダー(Perkin Elmer)を用いてカウント/秒として読み取った。
MSD IFNγ V-Plexキット(MSD K151QOD)を製造者の説明書に従って使用して、培養上清中のIFNγの産生を測定した。簡潔には、mAbをプレコートしたMSD IFNγアッセイプレートをトリス洗浄緩衝液150μLで3回洗浄し、IFNγ標準を希釈液2の中に希釈した。培養上清を希釈液2で1:1希釈し、試料および標準50μLをIFNγアッセイプレートに添加し、オービタルシェーカー(VWR Scientific)上、300rpmおよび室温で120分間インキュベートした。プレートをトリス洗浄緩衝液で3回洗浄し、希釈液3中の1×検出抗体 25μLを各ウェルに添加した。プレートをオービタルシェーカー(VWR Scientific)上、300rpmおよび室温で60分間インキュベートした。プレートをトリス洗浄緩衝液で3回洗浄し、2×リード緩衝液T 150μLを各ウェルに添加し、Mesoscale Quickplex SQ120装置で発光シグナルを読み取った。MSDソフトウェアを用いて標準曲線に基づき上清中のIFNγ濃度を計算した。
3F8細胞の増殖およびIFNγ産生に対する各hIL-2ムテインの効果を比較するために、上清で処理された細胞についてのCelltiterGlo値およびIFNγ濃度を、成長培地のみ、野生型IL-2トランスフェクション、またはヒトREK IL-2トランスフェクションからの上清で処理された対照細胞について得られたものと比較した。これらの実験からのデータを表7および図3A~3Dに示す。これらのデータは、hIL-2ムテインが増殖を誘導する活性と、IFNγ産生との間の相関関係を実証している。
(表7)hIL2ムテインに応答するヒトCD4陽性T細胞クローン3F8による増殖およびIFNγ産生
Figure 2023510871000024
別の局面では、本開示は、式:
Figure 2023510871000034
[式中:
・ a、b、c、d、e、f、g、h、およびiの各々は、0または1より個々に選択され;
・ AA1は、A(野生型、a=1)であるか、または欠失しており(a=0);
・ AA2は、P(野生型、b=1)であるか、または欠失しており(b=0);
・ AA3は、T(野生型、c=1)、C、A、G、Q、E、N、D、R、K、Pであるか、または欠失しており(c=0);
・ AA4は、S(野生型、d=1)であるか、または欠失しており(d=0);
・ AA5は、S(野生型、e=1)であるか、または欠失しており(e=0);
・ AA6は、S(野生型、f=1)であるか、または欠失しており(f=0);
・ AA7は、T(野生型、g=1)であるか、または欠失しており(g=0);
・ AA8は、K(野生型、h=1)であるか、または欠失しており(h=0);
・ AA9は、K(野生型、i=1)であるか、または欠失しており(i=0);
・ AA18は、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTであり;
・ AA22は、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFであり;
・ AA35は、K(野生型)またはEであり;
・ AA38は、R(野生型)、WまたはGであり;
・ AA39は、M(野生型)、LまたはVであり;
・ AA55は、H(野生型)またはYであり;
・ AA69は、V(野生型)またはAであり;
・ AA74は、Q(野生型)、P、N、H、Sであり;
・ AA80は、L(野生型)、FまたはVであり;
・ AA81は、R(野生型)、I、DまたはTであり;
・ AA85は、L(野生型)またはVであり;
・ AA86は、I(野生型)またはVであり;
・ AA89は、I(野生型)またはVであり;
・ AA91は、V(野生型)、RまたはKであり;
・ AA92は、I(野生型)またはFであり;
・ AA97は、K(野生型)またはQであり;
・ AA104は、M(野生型)またはAであり;
・ AA109は、D(野生型)、C、または活性化した側鎖を有する非天然アミノ酸であり;
・ AA113は、T(野生型)またはNであり;
・ AA125は、C(野生型)、AまたはSであり;
・ AA126は、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTであり;
・ AA130は、S(野生型)、T、GまたはRであるが;
但し、AA18がRでありかつAA22がEである場合は、AA126は、H、M、K、C、D、E、G、I、R、S、およびTのいずれでもない]
のアミノ酸配列(SEQ ID NO: 97)を含むポリペプチドを提供する。
いくつかの態様では、疾患、障害、または状態は、ウイルス感染症、ヘリコバクターピロリ(heliobacter pylori)感染症、HTLV、臓器拒絶反応、移植片対宿主病、自己免疫性甲状腺疾患、多発性硬化症、アレルギー、喘息、アルツハイマー病を含む神経変性疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、糖尿病、軟骨炎、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身発症型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、少関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身発症型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎(湿疹)、剥脱性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎、毛孔性紅色粃糠疹、ばら色粃糠疹、類乾癬、苔癬状粃糠疹、扁平苔癬、光沢苔癬、魚鱗癬様皮膚疾患、角化症、皮膚疾患、円形脱毛症、壊疽性膿皮症、白斑、類天疱瘡、蕁麻疹、汗孔角化症、関節リウマチ;脂漏性皮膚炎、日光皮膚炎;脂漏性角化症、老人性角化症、日光角化症、光線角化症、毛包性角化症;尋常性ざ瘡;ケロイド;母斑;疣、コンジローマまたは尖圭コンジローマを含む疣贅、およびヒトパピローマウイルス(HPV)感染症より選択される。
[本発明1001]
以下の式のアミノ酸配列を含むポリペプチド:
Figure 2023510871000035
式中:
・ a、b、c、d、e、f、g、h、およびiの各々は、0または1より個々に選択され;
・ AA1は、A(野生型、a=1)であるか、または欠失しており(a=0);
・ AA2は、P(野生型、b=1)であるか、または欠失しており(b=0);
・ AA3は、T(野生型、c=1)、C、A、G、Q、E、N、D、R、K、Pであるか、または欠失しており(c=0);
・ AA4は、S(野生型、d=1)であるか、または欠失しており(d=0);
・ AA5は、S(野生型、e=1)であるか、または欠失しており(e=0);
・ AA6は、S(野生型、f=1)であるか、または欠失しており(f=0);
・ AA7は、T(野生型、g=1)であるか、または欠失しており(g=0);
・ AA8は、K(野生型、h=1)であるか、または欠失しており(h=0);
・ AA9は、K(野生型、i=1)であるか、または欠失しており(i=0);
・ AA18は、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTであり;
・ AA22は、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFであり;
・ AA35は、K(野生型)またはEであり;
・ AA38は、R(野生型)、WまたはGであり;
・ AA39は、M(野生型)、LまたはVであり;
・ AA55は、H(野生型)またはYであり;
・ AA69は、V(野生型)またはAであり;
・ AA74は、Q(野生型)、P、N、H、Sであり;
・ AA80は、L(野生型)、FまたはVであり;
・ AA81は、R(野生型)、I、DまたはTであり;
・ AA85は、L(野生型)またはVであり;
・ AA86は、I(野生型)またはVであり;
・ AA89は、I(野生型)またはVであり;
・ AA92は、I(野生型)またはFであり;
・ AA97は、K(野生型)またはQであり;
・ AA104は、M(野生型)またはAであり;
・ AA109は、D(野生型)、C、または活性化した側鎖を有する非天然アミノ酸であり;
・ AA113は、T(野生型)またはNであり;
・ AA125は、C(野生型)、AまたはSであり;
・ AA126は、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTであり;
・ AA130は、S(野生型)、T、GまたはRであるが;
但し、AA18がRでありかつAA22がEである場合は、AA126は、H、M、K、C、D、E、G、I、R、S、およびTのいずれでもない。
[本発明1002]
・ AA18が、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTからなる群より選択され;
・ AA22が、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFからなる群より選択され;
・ AA126が、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTからなる群より選択される、
本発明1001のポリペプチド。
[本発明1003]
a=0である、本発明1001または1002のポリペプチド。
[本発明1004]
L18R、Q22E、およびQ126M;L18R、Q22E、Q126T;L18R;Q22E;Q126H;L18RおよびQ126H;Q22EおよびQ126H;L18G、Q22E、およびQ126H;L18A、Q22E、およびQ126H;L18M、Q22E、およびQ126H;L18F、Q22E、およびQ126H;L18W、Q22E、およびQ126H;L18K、Q22E、およびQ126H;L18Q、Q22E、およびQ126H;L18E、Q22E、およびQ126H;L18S、Q22E、およびQ126H;L18V、Q22E、およびQ126H;L18I、Q22E、およびQ126H;L18Y、Q22E、およびQ126H;L18H、Q22E、およびQ126H;L18N、Q22E、およびQ126H;L18D、Q22E、およびQ126H;L18T、Q22E、およびQ126H;L18R、Q22G、およびQ126H;L18R、Q22A、およびQ126H;L18R、Q22L、およびQ126H;L18R、Q22M、およびQ126H;L18R、Q22F、およびQ126H;L18R、Q22W、およびQ126H;L18R、Q22K、およびQ126H;L18R、Q22S、およびQ126H;L18R、Q22V、およびQ126H;L18R、Q22I、およびQ126H;L18R、Q22Y、およびQ126H;L18R、Q22H、およびQ126H;L18R、Q22R、およびQ126H;L18R、Q22N、およびQ126H;L18R、Q22D、およびQ126H;ならびにL18R、Q22T、およびQ126Hからなる群より選択される変異のセットを含む、本発明1001~1003のいずれかのポリペプチド。
[本発明1005]
PEG化されている、本発明1001~1004のいずれかのポリペプチド。
[本発明1006]
前記ポリペプチドがPEG化されており、当該PEG化されているポリペプチドのPEG部分が約10kD~約70kDの分子量を有する、本発明1001~1005のいずれかのポリペプチド。
[本発明1007]
融合タンパク質である、本発明1001~1006のいずれかのポリペプチド。
[本発明1008]
前記融合タンパク質がFcドメインを含む、本発明1007のポリペプチド。
[本発明1009]
本発明1001~1008のいずれかのポリペプチドをコードする、核酸。
[本発明1010]
DNAである、本発明1009の核酸。
[本発明1011]
本発明1009または1010の核酸を含む、組み換え発現ベクター。
[本発明1012]
ウイルスベクターである、本発明1011のベクター。
[本発明1013]
非ウイルスベクターである、本発明1011のベクター。
[本発明1014]
本発明1011~1013のいずれかのベクターにより形質転換された、宿主細胞。
[本発明1015]
本発明1001~1008のいずれかのポリペプチド、本発明1009および1010の核酸、または本発明1011~1013のベクターを含む、薬学的製剤。
[本発明1016]
治療有効量の本発明1015の薬学的製剤を投与する段階を含む、自己免疫性もしくは炎症性の疾患、障害、もしくは状態、またはウイルス感染症を患っている哺乳動物対象を治療する方法。
[本発明1017]
コルチコステロイド、ヤヌスキナーゼ阻害剤、カルシニューリン阻害剤、mTor阻害剤、IMDH阻害剤、生物製剤、ワクチン、および治療用抗体からなる群より選択される1つまたは複数の補助作用物質を投与する段階をさらに含む、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記治療用抗体が、BLyS、CD11a、CD20、CD25、CD3、CD52、IgEIL-12/IL-23、IL-17a、IL-1β、IL-4Rα、IL-5、IL-6R、インテグリン-α4β7、RANKL、TNFα、VEGF-A、およびVLA-4からなる群より選択されるタンパク質と結合する抗体である、本発明1017の方法。
[本発明1019]
前記疾患、障害、または状態が、ウイルス感染症、ヘリコバクターピロリ(heliobacter pylori)感染症、HTLV、臓器拒絶反応、移植片対宿主病、自己免疫性甲状腺疾患、多発性硬化症、アレルギー、喘息、アルツハイマー病を含む神経変性疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、糖尿病、軟骨炎、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身発症型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、少関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身発症型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎(湿疹)、剥脱性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎、毛孔性紅色粃糠疹、ばら色粃糠疹、類乾癬、苔癬状粃糠疹、扁平苔癬、光沢苔癬、魚鱗癬様皮膚疾患、角化症、皮膚疾患、円形脱毛症、壊疽性膿皮症、白斑、類天疱瘡、蕁麻疹、汗孔角化症、関節リウマチ;脂漏性皮膚炎、日光皮膚炎;脂漏性角化症、老人性角化症、日光角化症、光線角化症、毛包性角化症;尋常性ざ瘡;ケロイド;母斑;疣、コンジローマまたは尖圭コンジローマを含む疣贅、およびヒトパピローマウイルス(HPV)感染症より選択される、本発明1016~1018のいずれかの方法。
様々な態様では、本開示は、以下の式1:
Figure 2023510871000036
[式中:
・ a、b、c、d、e、f、g、h、およびiの各々は、0または1より個々に選択され;
・ AA1は、A(野生型、a=1)であるか、または欠失しており(a=0);
・ AA2は、P(野生型、b=1)であるか、または欠失しており(b=0);
・ AA3は、T(野生型、c=1)、C、A、G、Q、E、N、D、R、K、Pであるか、または欠失しており(c=0);
・ AA4は、S(野生型、d=1)であるか、または欠失しており(d=0);
・ AA5は、S(野生型、e=1)であるか、または欠失しており(e=0);
・ AA6は、S(野生型、f=1)であるか、または欠失しており(f=0);
・ AA7は、T(野生型、g=1)であるか、または欠失しており(g=0);
・ AA8は、K(野生型、h=1)であるか、または欠失しており(h=0);
・ AA9は、K(野生型、i=1)であるか、または欠失しており(i=0);
・ AA18は、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTであり;
・ AA22は、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFであり;
・ AA35は、K(野生型)またはEであり;
・ AA38は、R(野生型)、WまたはGであり;
・ AA39は、M(野生型)、LまたはVであり;
・ AA55は、H(野生型)またはYであり;
・ AA69は、V(野生型)またはAであり;
・ AA74は、Q(野生型)、P、N、H、Sであり;
・ AA80は、L(野生型)、FまたはVであり;
・ AA81は、R(野生型)、I、DまたはTであり;
・ AA85は、L(野生型)またはVであり;
・ AA86は、I(野生型)またはVであり;
・ AA89は、I(野生型)またはVであり;
・ AA91は、V(野生型)、RまたはKであり;
・ AA92は、I(野生型)またはFであり;
・ AA97は、K(野生型)またはQであり;
・ AA104は、M(野生型)またはAであり;
・ AA109は、D(野生型)、C、または活性化した側鎖を有する非天然アミノ酸であり;
・ AA113は、T(野生型)またはNであり;
・ AA125は、C(野生型)、AまたはSであり;
・ AA126は、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTであり;
・ AA130は、S(野生型)、T、GまたはRであるが;
但し、AA18がRでありかつAA22がEである場合は、AA126は、H、M、K、C、D、E、G、I、R、S、およびTのいずれでもない]
に従うアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
Hisタグ
ある態様では、本発明のIL2ムテイン(当該IL2ムテインの融合タンパク質を含む)は、1つまたは複数の遷移金属キレートポリペプチド配列を有する融合タンパク質として発現する。そのような遷移金属キレートドメインの組み入れは、1986年2月11日に発行されたSmithら、米国特許第4,569,794号に記載されたような精製固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を容易にする。本発明の実施に有用な遷移金属キレートポリペプチドの例は、Smithら、前記および1995年5月10日に発行されたDobeliら、米国特許第5,320,663号に記載されており、これらの全教示は、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の実施に有用な特定の遷移金属キレートポリペプチドは、3~6つの連続ヒスチジン残基(SEQ ID NO: 98)、例えば6-ヒスチジンペプチド(His)6 (SEQ ID NO: 99)を含むペプチドであり、当技術分野においてしばしば「Hisタグ」と称される。
発現させるIL2ムテインをキメラ(例えば、IL2ムテインと異種ポリペプチド配列とを含む融合タンパク質)として発現させる場合、キメラタンパク質は、IL-2ムテインの全部または一部をコードする第1の配列と、異種ポリペプチドの全部または一部をコードする第2の配列とを含むハイブリッド核酸分子によってコードされることができる。例えば、本明細書に記載される対象IL-2ムテインは、細菌において発現したタンパク質の精製を促進するためにヘキサ-ヒスチジンタグ(SEQ ID NO: 99)に、または真核細胞において発現したタンパク質の精製を促進するためにヘマグルチニンタグに融合され得る。第1および第2によって、融合タンパク質のエレメントの配向への限定として理解すべきでなく、異種ポリペプチドは、IL2ムテインのN末端および/またはC末端に連結することができる。例えば、N末端がターゲティングドメインに連結され、C末端がヘキサ-ヒスチジンタグ(SEQ ID NO: 99)精製ハンドルに連結される場合がある。
実施例1:ヒトIL2発現ベクターpcDNA3.1/hygro(+)-huIL2の生成
ヒトIL2 DNAオープンリーディングフレーム(「ORF」)(Genbank NM_000586.3)を合成し(Life Technologies GeneArt Service, Carlsbad, CA)、これを、Platinum SuperFi II DNAポリメラーゼキット(カタログ番号12361050として市販、ThermoFisher)を使用し、製造者のプロトコルに実質的に従い、NheI制限部位を組み入れるプライマー 5’ TATAGTCAGCGCCACcCATGTACAGGATGCAACTCCTGTC 3’(SEQ ID NO: 100)およびApaI制限部位を組み入れるプライマー 5’ TATAGGGCCCTATCAAGTCAGTGTTGAGATG 3’(SEQ ID NO: 101)を使用するPCRにより増幅した。PCR断片を1% アガロースゲル(アイテム#54803, Lonza, Rockland, ME)上で視覚化し、ゲルから切り出し、QIAquick PCR精製キット(カタログ番号28106として市販、Qiagen、Germany)を使用して製造者のプロトコルに従って精製した。

Claims (19)

  1. 以下の式のアミノ酸配列を含むポリペプチド:
    Figure 2023510871000025
    式中:
    ・ a、b、c、d、e、f、g、h、およびiの各々は、0または1より個々に選択され;
    ・ AA1は、A(野生型、a=1)であるか、または欠失しており(a=0);
    ・ AA2は、P(野生型、b=1)であるか、または欠失しており(b=0);
    ・ AA3は、T(野生型、c=1)、C、A、G、Q、E、N、D、R、K、Pであるか、または欠失しており(c=0);
    ・ AA4は、S(野生型、d=1)であるか、または欠失しており(d=0);
    ・ AA5は、S(野生型、e=1)であるか、または欠失しており(e=0);
    ・ AA6は、S(野生型、f=1)であるか、または欠失しており(f=0);
    ・ AA7は、T(野生型、g=1)であるか、または欠失しており(g=0);
    ・ AA8は、K(野生型、h=1)であるか、または欠失しており(h=0);
    ・ AA9は、K(野生型、i=1)であるか、または欠失しており(i=0);
    ・ AA18は、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTであり;
    ・ AA22は、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFであり;
    ・ AA35は、K(野生型)またはEであり;
    ・ AA38は、R(野生型)、WまたはGであり;
    ・ AA39は、M(野生型)、LまたはVであり;
    ・ AA55は、H(野生型)またはYであり;
    ・ AA69は、V(野生型)またはAであり;
    ・ AA74は、Q(野生型)、P、N、H、Sであり;
    ・ AA80は、L(野生型)、FまたはVであり;
    ・ AA81は、R(野生型)、I、DまたはTであり;
    ・ AA85は、L(野生型)またはVであり;
    ・ AA86は、I(野生型)またはVであり;
    ・ AA89は、I(野生型)またはVであり;
    ・ AA92は、I(野生型)またはFであり;
    ・ AA97は、K(野生型)またはQであり;
    ・ AA104は、M(野生型)またはAであり;
    ・ AA109は、D(野生型)、C、または活性化した側鎖を有する非天然アミノ酸であり;
    ・ AA113は、T(野生型)またはNであり;
    ・ AA125は、C(野生型)、AまたはSであり;
    ・ AA126は、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTであり;
    ・ AA130は、S(野生型)、T、GまたはRであるが;
    但し、AA18がRでありかつAA22がEである場合は、AA126は、H、M、K、C、D、E、G、I、R、S、およびTのいずれでもない。
  2. ・ AA18が、L(野生型)またはR、L、G、M、F、E、H、W、K、Q、S、V、I、Y、H、DもしくはTからなる群より選択され;
    ・ AA22が、Q(野生型)またはF、E、G、A、L、M、F、W、K、S、V、I、Y、H、R、N、D、T、もしくはFからなる群より選択され;
    ・ AA126が、Q(野生型)またはH、M、K、C、D、E、G、I、R、S、もしくはTからなる群より選択される、
    請求項1記載のポリペプチド。
  3. a=0である、請求項1または2記載のポリペプチド。
  4. L18R、Q22E、およびQ126M;L18R、Q22E、Q126T;L18R;Q22E;Q126H;L18RおよびQ126H;Q22EおよびQ126H;L18G、Q22E、およびQ126H;L18A、Q22E、およびQ126H;L18M、Q22E、およびQ126H;L18F、Q22E、およびQ126H;L18W、Q22E、およびQ126H;L18K、Q22E、およびQ126H;L18Q、Q22E、およびQ126H;L18E、Q22E、およびQ126H;L18S、Q22E、およびQ126H;L18V、Q22E、およびQ126H;L18I、Q22E、およびQ126H;L18Y、Q22E、およびQ126H;L18H、Q22E、およびQ126H;L18N、Q22E、およびQ126H;L18D、Q22E、およびQ126H;L18T、Q22E、およびQ126H;L18R、Q22G、およびQ126H;L18R、Q22A、およびQ126H;L18R、Q22L、およびQ126H;L18R、Q22M、およびQ126H;L18R、Q22F、およびQ126H;L18R、Q22W、およびQ126H;L18R、Q22K、およびQ126H;L18R、Q22S、およびQ126H;L18R、Q22V、およびQ126H;L18R、Q22I、およびQ126H;L18R、Q22Y、およびQ126H;L18R、Q22H、およびQ126H;L18R、Q22R、およびQ126H;L18R、Q22N、およびQ126H;L18R、Q22D、およびQ126H;ならびにL18R、Q22T、およびQ126Hからなる群より選択される変異のセットを含む、請求項1~3のいずれか一項記載のポリペプチド。
  5. PEG化されている、請求項1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
  6. 前記ポリペプチドがPEG化されており、当該PEG化されているポリペプチドのPEG部分が約10kD~約70kDの分子量を有する、請求項1~5のいずれか一項記載のポリペプチド。
  7. 融合タンパク質である、請求項1~6のいずれか一項記載のポリペプチド。
  8. 前記融合タンパク質がFcドメインを含む、請求項7記載のポリペプチド。
  9. 請求項1~8のいずれか一項記載のポリペプチドをコードする、核酸。
  10. DNAである、請求項9記載の核酸。
  11. 請求項9または10記載の核酸を含む、組み換え発現ベクター。
  12. ウイルスベクターである、請求項11記載のベクター。
  13. 非ウイルスベクターである、請求項11記載のベクター。
  14. 請求項11~13のいずれか一項記載のベクターにより形質転換された、宿主細胞。
  15. 請求項1~8のいずれか一項記載のポリペプチド、請求項9および10記載の核酸、または請求項11~13記載のベクターを含む、薬学的製剤。
  16. 治療有効量の請求項15記載の薬学的製剤を投与する段階を含む、自己免疫性もしくは炎症性の疾患、障害、もしくは状態、またはウイルス感染症を患っている哺乳動物対象を治療する方法。
  17. コルチコステロイド、ヤヌスキナーゼ阻害剤、カルシニューリン阻害剤、mTor阻害剤、IMDH阻害剤、生物製剤、ワクチン、および治療用抗体からなる群より選択される1つまたは複数の補助作用物質を投与する段階をさらに含む、請求項16記載の方法。
  18. 前記治療用抗体が、BLyS、CD11a、CD20、CD25、CD3、CD52、IgEIL-12/IL-23、IL-17a、IL-1β、IL-4Rα、IL-5、IL-6R、インテグリン-α4β7、RANKL、TNFα、VEGF-A、およびVLA-4からなる群より選択されるタンパク質と結合する抗体である、請求項17記載の方法。
  19. 前記疾患、障害、または状態が、ウイルス感染症、ヘリコバクターピロリ(heliobacter pylori)感染症、HTLV、臓器拒絶反応、移植片対宿主病、自己免疫性甲状腺疾患、多発性硬化症、アレルギー、喘息、アルツハイマー病を含む神経変性疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、糖尿病、軟骨炎、関節炎、関節リウマチ、若年性関節炎、若年性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、多関節型若年性関節リウマチ、全身発症型若年性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎、若年性腸炎性関節炎、若年性反応性関節炎、若年性ライター症候群、SEA症候群、若年性皮膚筋炎、若年性乾癬性関節炎、若年性強皮症、若年性全身性エリテマトーデス、若年性血管炎、少関節型関節リウマチ、多関節型関節リウマチ、全身発症型関節リウマチ、強直性脊椎炎、腸炎性関節炎、反応性関節炎、ライター症候群、SEA症候群、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎(湿疹)、剥脱性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎、毛孔性紅色粃糠疹、ばら色粃糠疹、類乾癬、苔癬状粃糠疹、扁平苔癬、光沢苔癬、魚鱗癬様皮膚疾患、角化症、皮膚疾患、円形脱毛症、壊疽性膿皮症、白斑、類天疱瘡、蕁麻疹、汗孔角化症、関節リウマチ;脂漏性皮膚炎、日光皮膚炎;脂漏性角化症、老人性角化症、日光角化症、光線角化症、毛包性角化症;尋常性ざ瘡;ケロイド;母斑;疣、コンジローマまたは尖圭コンジローマを含む疣贅、およびヒトパピローマウイルス(HPV)感染症より選択される、請求項16~18のいずれか一項記載の方法。
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