JP2023508281A - 改善された勾配帯を有する中間層 - Google Patents

Abstract

改善された勾配帯を有するポリマー中間層およびこれらの中間層を含む積層体を開示する。ポリマー中間層、およびポリマー中間層を含む積層体は、可視光透過率スペクトルの観点から高レベルの勾配美を有する勾配帯を有する。【選択図】図１

Description

[0001]本発明は、概して、改善された勾配帯を有するポリマー中間層およびこれらの中間層を含む積層体に関する。より詳細には、本発明は、概して、ポリマー中間層、および可視光透過率スペクトルの観点から高レベルの勾配美を有する勾配帯を有するポリマー中間層を含む積層体に関する。

[0002]一般に、多重層ガラスパネルは、中間層もしくは多層中間層または２枚のガラス板の間に挟まれた中間層で構成される積層体を含む。一部の用途では、積層体は、１枚のみのガラス板または他の剛性基板を含んでもよい。積層多重層ガラスパネルは、一般的に、運搬車両に（自動車、トラック、列車、ボート、飛行機を含む）、および他の用途に利用される。運搬用途に使用される多重層ガラスパネルは、一般的に積層安全ガラスと呼ばれる。典型的には、積層安全ガラスにおける中間層の主要な機能は、ガラスに加えられた衝撃または力からもたらされるエネルギーを吸収すること、力が加えられた場合でさえも結合されたガラスの層を保持すること、かつガラスが破損した場合、ガラスが鋭い破片に飛散することを防止することである。これらの安全上の利点に加えて、中間層は、付加的に、より高い防音等級を積層ガラスに付与し、ＵＶおよびＩＲの透過を低減し、勾配もしくはシェード帯を提供し、および／または関連するウィンドウの美感を向上させることができる。

[0003]典型的には、積層ガラス用途における使用を目的とする中間層は、一般に、ポリ（ビニルアセタール）などのポリマー樹脂と、１つまたは複数の可塑剤とを混合し、混合物を当業者に公知の任意の適用可能なプロセスまたは方法により溶融加工して中間層とすることにより製造される。形成された後、これらの中間層、または多層中間層は、典型的には多重層ガラスパネルにおける後での使用の前に、保管用にロールに巻き付けられる。

[0004]中間層は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して、多重層ガラスパネルに組み込まれ得る。例えば、少なくとも１つの中間層は、２枚の基板の間に配置され得て、過剰の中間層は端から切り取られて、それにより組立体が作り出され得る。多重中間層が２枚の基板の内またはその間に配置され、それにより外部ガラスパネルおよび多重の内部ポリマー中間層を有する多重層スタックが作り出されることは珍しいことではない。いったん形成されると、これらのスタックは、典型的には、ニップローラ、減圧バッグ、減圧リング、または別の好適な脱気機構によるなどの当業者に公知の適用可能なプロセスまたは方法により、大部分の界面空気を除去するように処理される。加えて、中間層は、当業者に公知の任意の方法により、基板に部分的に圧着され得る。最後のステップでは、脱気操作中に生成される界面結合は、典型的には高温および／または高圧の積層プロセスによりさらに持続的なものとなり、その一部はオートクレーブ処理などの当業者に公知のプロセスであるが、それに限定されない。

[0005]自動車で評判が良い選択肢は、上部領域が着色勾配（またはシェード）帯を有し、前面ガラスのその部分を通って運転者および助手席の乗員に当たる太陽光の強度を低減する前面ガラスまたは風防ガラスである。この着色勾配帯シェードは、前面ガラスの残りの部分の主な色相まで徐々に弱くなる。

[0006]勾配帯を含有する中間層は、いくつかの異なる方法で製造され得る。米国特許第４，３１６，８６８号は、押出された熱可塑性シート中の着色勾配帯を製造する方法および装置を開示する。この方法では、プローブがシート押出ダイマニホールドに挿入され、着色溶融物がポリマー溶融物に注入され、色帯を有するシートが得られる。米国特許第８，９４５，４４６号は、勾配または着色層が二次押出機により押出される方法を開示する。この方法では、溶融された着色樹脂組成物は、押出ダイ内部に個別に設置された流路を通り、外部層により取り囲まれた挿入層を形成する。代替的に、熱可塑性シート材料上の着色帯は、適切に制御された条件下で、インク材料をシート表面に塗布することにより得ることができる。使用されてきた技術は、多様な装置を使用する、印刷、浸漬、および噴霧を含む。加えて、着色プラスチックと透明プラスチックとの共押出が使用され、勾配中間層を製造することができる。

[0007]勾配帯を有する中間層を作製する現在の技術は、典型的には着色ポリマーと透明ポリマーとの共押出を含む。一部の共押出技術は、特に、自動車の前面ガラス用の中間層における使用に所望されるような勾配色帯が目標である場合、実際に制御するのが困難である。カットオフ領域に向けての光学的濃度の緩やかな減少とは別の色調変化を伴わない、質に極端なむらがないことが、そのような中間層に対する特徴的要件である。その上、カットオフの位置は、シートにわたり同じでなければならない。したがって、押出装置を通るポリマー溶融物流における変化は回避されなければならない。これは、非常に困難な制御上の問題を引き起こす。

[0008]カットオフ領域に向けての光学的濃度の緩やかな減少とは別の色調変化を伴わない、質に極端なむらがないことが、そのような中間層に対する特徴的要件であり、これはまた視覚的美観も決定する。勾配帯は、それらの可視光透過率スペクトルがどのような形状であるかに基づいて、異なる外観および視覚的美観を有し得る。付加的に、「マッハバンド」として公知の錯視が、カットオフの透明側に現れる。鮮明さおよび／または幅に関して、マッハバンドの識別度は視覚的に美観を損ねる場合がある。

[0009]入手できる上述の技術を通して、中間層の目標の透過率スペクトルは、スペクトルの所望の形状を反映して容易に設計され、簡便に製造され得る。特に暗プラトー部とカットオフの間のフェードオフ範囲で、可視光透過率スペクトルの形状を変化させる試みがなされてきたが、限られた成功しか得られていない。例えば、通常より短いかまたは長いかのいずれかのフェードオフ距離を制御すること、隣接する透明層（複数可）へ着色剤を拡散させること、拡散現象を活用することが、勾配美を改善するために一般的に使用される手段である。これらの方法のいずれも、そのような中間層を含有する積層ガラスに、可視光透過率スペクトルの観点から高レベルの勾配美を有する勾配帯を有する中間層をもたらすことはない。

[0010]したがって、改善された勾配帯を有する中間層および制御するのが相対的に容易であり、均一の勾配帯を得ることが可能な中間層を作製する方法に対する必要性がある。

[0011]本発明は、概して、前面ガラスなどの積層体に組み込まれた場合に、優れた特性を示し、望ましい光学特性を提供する勾配帯を有する中間層に関する。本発明は、概して、ポリマー中間層、および可視光透過率スペクトルの観点から高レベルの勾配美を有する勾配帯を有するポリマー中間層を含む積層体に関する。

[0012]一実施形態では、改善された勾配品質を有する中間層は：透明部分および勾配色帯部分を有する第１の層を含み、勾配色帯部分は透明部分内にカプセル化され、勾配色帯部分は、勾配色帯の開始部のカットオフＸ、勾配色帯の％透過率が４０％であるＹ点、勾配色帯の％透過率が７０％であるＺ点、ＸからＹまでの距離である距離ＤおよびＹからＺまでの距離である距離ｄを有し、勾配部分の距離Ｄは次の式：２２．９ｍｍ＜Ｄ＜３８．１ｍｍおよびＤ／ｄ＜２．００を満たす。

[0013]一実施形態では、改善された勾配品質を有する中間層を作製する方法は：（ａ）オリフィス、およびポリマー溶融物を押出通路を介してオリフィスに供給するように適合されたマニホールドを有するシート押出ダイを提供するステップと；（ｂ）マニホールド内に位置し、押出通路に隣接するプローブを提供するステップであって、プローブは、押出通路に隣接する表面に、プローブ軸と平行に伸びる押出オリフィスを有し、プローブは、熱可塑性ポリマーの主流がマニホールドに供給されかつ押出通路を介してスリットダイを通って押出される場合、主流の流線がプローブオリフィスのそばを通過する時に、実質的に平行で押出方向であるような場所に位置する、ステップと；（ｃ）溶融された熱可塑性ポリマーの主流をマニホールドに、かつ溶融された熱可塑性ポリマーの着色二次流を、実質的に同じ温度および粘度で、プローブに供給するステップと；（ｄ）幅は一定であるがその幅の一端で厚さが徐々に細くなる着色ポリマーの層が、溶融されたポリマーの主流中に完全にカプセル化されるように、両流を同時に押出すステップと；（ｅ）統合流をスリットダイを通して押出し、カプセル化された勾配色帯部分を有するシートを製造するステップと、を含み、勾配色帯部分は、勾配色帯の開始部のカットオフＸ、勾配色帯の％透過率が４０％であるＹ点、勾配色帯の％透過率が７０％であるＺ点、ＸからＹまでの距離である距離ＤおよびＹからＺまでの距離である距離ｄを有し、勾配部分の距離Ｄは次の式：２２．９ｍｍ＜Ｄ＜３８．１ｍｍおよびＤ／ｄ＜２．００を満たす。

[0014]別の実施形態では、本発明は、前述の方法により製造された中間層を含む。
[0015]別の実施形態では、前面ガラスは、第１のガラス基板、前述の中間層、および第２のガラス基板を含む。

[0016]本発明の実施形態は、以下の図に関連して本明細書に記載される。

[0017]勾配帯を含有する積層ガラスの透過率スペクトルの簡略化した図である。 [0018]実施例１の勾配帯にわたる％透過を示すグラフである。 [0019]実施例２の勾配帯にわたる％透過を示すグラフである。 [0020]比較例１の勾配帯にわたる％透過を示すグラフである。 [0021]比較例２の勾配帯にわたる％透過を示すグラフである。 [0022]比較例３の勾配帯にわたる％透過を示すグラフである。 [0023]比較例４の勾配帯にわたる％透過を示すグラフである。 [0024]比較例５の勾配帯にわたる％透過を示すグラフである。

[0025]本発明は、概して、改善された勾配帯を有し、前面ガラスなどの積層体に組み込まれた場合に、望ましい光学特性を提供する中間層に関する。中間層は、光学品質を改善した。より詳細には、本発明は、概して、改善された勾配美および良好なマッハバンド品質を有する色または勾配帯を有するポリマー中間層に関する。

[0026]以下にさらに記載されるように、勾配帯を作製するための特定のパラメータが使用される場合、勾配帯を有する中間層が首尾よく製造され得ることが発見された。詳細には、本発明は、そのような中間層を含有する積層ガラスに、可視光透過率スペクトルの観点から高レベルの勾配美を達成するために必要なものを開示する。

[0027]図１は、勾配帯を含有する積層ガラスの透過率スペクトルの様相を簡略化して示す。図１に関して、カットオフは、勾配帯の開始点であり、着色層の厚さがゼロになる点である。カットオフは、Ｘ点と称されてもよい。暗プラトー部は、透過率がその最低レベルに達する領域である。図１では、Ｄは、カットオフから、透過率が４０％に達する点（Ｙ点と称されてもよい）までの距離であり、ｄは、透過率が７０％に達する点（Ｚ点と称されてもよい）から、透過率が４０％に達する点までの距離である。Ｄとｄの両方とも、暗プラトー部とカットオフの間のフェードオフ距離を記載する手段として定義される。Ｘ、ＹおよびＺ点を使用して距離Ｄおよびｄを定義すると、距離ＤはＸからＹまでの距離に等しく、距離ｄはＹからＺまでの距離に等しい。

[0028]勾配中間層を用いる複数の実験および透過率スペクトルの分析に基づいて、本発明の発明者らは、その幅が約１０～１０２センチメートル（ｃｍ）（約４～４０インチ）である勾配帯に関して、以下の条件が満たされる時、勾配帯がどのように製造されるかにかかわらず、かつ勾配帯を含有するシートが一体式であっても多重層であっても、勾配美は最適化されると決定した。改善された勾配美を有する勾配帯を製造するために、満たす必要がある条件は以下の通りである：１）２２．９ｍｍ＜Ｄ＜３８．１ｍｍ（０．９０インチ＜Ｄ＜１．５インチ）；２）Ｄ／ｄ＜２．００；および３）色は、１層に存在するのみで目視でき、隣接する層（複数可）への色の目視できる拡散はない。

[0029]Ｄが約２２．９ｍｍ未満である場合、暗プラトー部からカットオフへの移行は滑らかではなく、勾配帯の視覚的な品質を低下させ、カットオフの透明側により鮮明なおよび／またはより明るいマッハバンドを伴うことが多い。本明細書で使用される場合、マッハバンドは、網膜に捉えられた像の輝度チャネルに対してヒトの視覚系によりなされる空間的高ブーストのフィルタリングに起因する光学的錯視である視覚的「欠陥」と定義される。それは、ヒトの視覚系における端部検出を引き起こすことにより、青などの特定の色のわずかに異なるシェードの端の間のコントラストを、それらが互いに隣接するとすぐに誇張する。より鮮明なまたはより明るいマッハバンドの存在は、消費者にとって不快なものである。Ｄが約３８．１ｍｍより大きい場合、暗プラトー部からカットオフへの移行は広くなりすぎて、また勾配帯の品質、特に美しさに悪影響を及ぼす。実施形態では、２３．２ｍｍ＜Ｄ＜３７．５ｍｍ、または２３．４ｍｍ＜Ｄ＜３７．０ｍｍ、または２３．６ｍｍ＜Ｄ＜３６．５ｍｍ、または２３．８ｍｍ＜Ｄ＜３６．０ｍｍ、または２４．０ｍｍ＜Ｄ＜３６．５ｍｍ、または２４．２ｍｍ＜Ｄ＜３６．０ｍｍ、または２４．４ｍｍ＜Ｄ＜３５．５ｍｍ、または２４．５ｍｍ＜Ｄ＜３５．０ｍｍ、または２４．６ｍｍ＜Ｄ＜３４．５ｍｍ、または２４．７ｍｍ＜Ｄ＜３４．０ｍｍ、または２４．８ｍｍ＜Ｄ＜３３．５ｍｍ、または２４．９ｍｍ＜Ｄ＜３３．０ｍｍ、または２５．０ｍｍ＜Ｄ＜３２．５ｍｍ、または２５．１ｍｍ＜Ｄ＜３２．０ｍｍ、または２５．２ｍｍ＜Ｄ＜３１．５ｍｍ、または２５．３ｍｍ＜Ｄ＜３１．０ｍｍ、または２５．４ｍｍ＜Ｄ＜３０．５ｍｍ（１．０インチ＜Ｄ＜１．２インチ）の場合、より望ましい。実施形態では、Ｄは、２２．９より大きいか、または２３．０、２３．１、２３．２、２３．３、２３．４、２３．５、２３．６、２３．７、２３．８、２３．９、２４．０、２４．１、２４．２、２４．３、２４．４、２４．５、２４．６、２４．７、２４．８、２４．９、２５．０、２５．１、２５．２、２５．３より大きいか、または２５．４より大きい。実施形態では、Ｄは、３８．１未満、３８．０、３７．９、３７．８、３７．７、３７．６、３７．５、３７．４、３７．３、３７．２、３７．１、３７．０、３６．９、３６．８、３６．７、３６．６、３６．５、３６．４、３６．３、３６．２、３６．１、３６．０、３５．９、３５．８、３５．７、３５．６、３５．５、３５．４、３５．３、３５．２、３５．１、３５．０、３４．９、３４．８、３４．７、３４．６、３４．５、３４．４、３４．３、３４．２、３４．１、３４．０、３３．９、３３．８、３３．７、３３．６、３３．５、３３．４、３３．３、３３．２、３３．１、３３．０、３３．９、３２．８、３２．７、３２．６、３２．５、３２．４、３２．３、３２．２、３２．１、３２．０、３１．９、３１．８、３１．７、３１．６、３１．５、３１．４、３１．３、３１．２、３１．１、３１．０、３０．９、３０．８、３０．７、３０．６未満、または３０．５未満である。

[0030]勾配品質に重要である別の要因は、Ｄ／ｄの比である。実施形態では、Ｄ／ｄの比は、２．００未満、または１．９９未満、または１．９８未満、または１．９７未満、または１．９６未満または１．９５未満である。Ｄ／ｄが２．００より大きい場合、全般的な勾配美は低下し、カットオフに達する透過スペクトルは急になり得る。付加的に、カットオフの透明側に対するマッハバンドの識別度はより大きくなり、マッハバンド品質は悪化する。実施形態では、Ｄ／ｄは、少なくとも１．５０、または少なくとも１．６０、または少なくとも１．７０、または少なくとも１．８０以上である。実施形態では、Ｄ／ｄが１．８０～１．９９の間であることがさらにより望ましい。

[0031]中間層において勾配帯を形成するために使用される着色剤が、隣接する「透明」層または複数の層への目視できる拡散がなく、単一の独自層に留まらなければならないことが重要である。ここで、「層」は、米国特許第４，３１６，８６８号に開示されるものなどのプローブの使用により勾配が可能となる場合、勾配帯をカプセル化する透明層を含む。隣接する層（複数可）へのそのような着色剤の拡散は、シート押出（または機械）方向における勾配帯の均一性を維持することをより困難にして、勾配帯内のむらなどの品質問題を起こす場合がある。

[0032]一般に、勾配帯を有する中間層を製造するために使用される方法は以下の通り：（ａ）スリットダイオリフィス、およびポリマー溶融物を押出通路を介して前記オリフィスに供給するように適合されたマニホールドを有するシート押出ダイを提供するステップと；（ｂ）マニホールド内に偏心して位置し、押出通路に隣接する一般にトルペド形状のプローブを提供するステップであって、プローブの軸はスリットダイオリフィスに平行であり、前記プローブは、押出通路に隣接する表面に、押出通路の幅の半分未満でプローブ軸と平行に伸びるくさび形の押出オリフィスを有し、熱可塑性ポリマーがマニホールドに供給されかつ押出通路を介してスリットダイを通って押出される場合、ポリマー流の流線がプローブ中のくさび形のオリフィスのそばを通過する時に、実質的に平行で押出方向であるような場所に位置する、ステップと；（ｃ）溶融された熱可塑性ポリマーの主流をマニホールドに、かつ同ポリマーの着色二次流を、実質的に同じ温度および粘度でプローブに供給するステップと；（ｄ）幅が一定である着色ポリマーの層が、押出マニホールドに供給された溶融されたポリマーの主流中に完全にカプセル化されるように、両流を同時に押出すステップと；（ｅ）統合流をスリットダイを通して押出し、勾配色帯を有するシートを製造するステップと、である。

[0033]プローブ配置形態は、主ポリマー流の流線がプローブ中の押出オリフィスのそばを通過する時に、実質的に平行で押出方向のままであるように設計されている。プローブの重要部分は、くさび形の押出オリフィスを備える部分であり、その箇所における平行ではない流線が着色押出帯の形状を歪める傾向があるためである。そのため、プローブは、その箇所において詰まりを形成することなく、オリフィスが押出通路に可能な限り接近するような形状であることが望ましい。ＤおよびＤ／ｄがこれまでに開示されたものであるような、特定の暗プラトー部およびカットオフを提供するプローブ配置形態が特に好ましい。必要とされる暗プラトー部およびカットオフを提供するプローブを有することにより、改善された勾配美を有する中間層が製造され得る。

[0034]プローブ中のオリフィスはくさび形であり得るが、これはオリフィスが必ず三角形の配置形態を有することを意味することを意図するものではない。好ましい配置形態では、オリフィスの厚さは、一端で徐々に細くなる前にその幅の多くにわたり一定である。徐々に細くなるのは直線状であり得るが、より頻繁に、細くなるのは色のフェードオフを与える形状であり、仕上がったシートで勾配帯が見られる場合、それは美観的により好ましくかつ前述の基準を満たす。オリフィスは、一般的にプローブの長さより短い幅を有する。オリフィスは、マニホールド内部でプローブの全長の３０～５０％伸びていることが多く、押出されたシートの幅の半分未満、好ましくはその幅の５～３０％である色帯を製造する。プローブは、マニホールド中で、主流の流線がプローブ中のくさび形の押出オリフィスのそばを通過する時に、実質的に平行で押出方向であるような場所に位置する。

[0035]主流が、供給パイプを通って、押出通路によりスリットダイオリフィスと連通するマニホールドに供給される場合、流線は、ポリマーが広がってマニホールドを満たすように、供給パイプから最初に分かれ出る。しかしながら、従来のスリットダイ押出装置は、押出されるポリマーが押出通路を通って流動するように設計され、ポリマーは、その全幅にわたり、実質的に同じ速度で流動し、すなわち、押出通路中のポリマーの流動線が実質的に平行で押出方向であるように流動する。次に、適切かつ上述のように押出通路の入り口近くで平行流に達し、これがプローブオリフィスの好ましい位置である。

[0036]実際に、プローブは、押出通路の幅の７５％まで、または好ましくは２５％まで伸び得る。好ましい配置形態は、くさび形オリフィスの最も細い点をプローブ先端に隣接して配置するため、これは、上方から見て、その最大濃度はシートの端部に隣接し、シートの中央に向かってフェードオフする色帯を有するポリマーシートをもたらす。そのようなシートは、車の前面ガラス中間層の製造に理想的に構成されている。

[0037]プローブを通って押出される着色溶融物の温度および粘度は、マニホールドに供給される主流の温度および粘度と実質的に同じである。しかしながら、これは、２つの流れの間の温度および粘度の１０％までの変動を包含することが意図されており、これによって著しい有害作用を生じることがないためである。

[0038]しかしながら、最初の接触点における２つの流れの速度は、所望ならば、著しく異なってもよい。着色二次溶融物流がより速い速度で押出される場合、速度が一致される場合より厚い帯が得られることが見出される。より厚い帯は、より低い色濃度の溶融物が使用されて、得られるシートに同じ色濃度を達成することを可能にするため、有利なことが多い。したがって、本発明の好ましい特徴は、着色二次溶融物流を、主ポリマー溶融物流が着色溶融物と最初に接触する時に、主ポリマー溶融物流の速度の１２倍まで、好ましくは５～１０倍の速度で押出すことである。得られる勾配帯は、その最も厚い点において、シートの全厚の１５～９５％、好ましくは６０～９０％の厚さを示し得る。

[0039]マニホールドに供給される主流もまた着色され得るが、主流と着色二次流の両方が同じ濃度に着色された場合に、本発明の重要な目的が達成されない。したがって、主流は、透明であるかまたはプローブに供給される流れより実質的に低い色濃度であることが好ましい。

[0040]本明細書で使用される場合、用語「中間層」は、少なくとも１つの剛性基板と共に使用して多重層パネルを形成するのに好適であり得る単層または多重層のポリマーシートを指す。用語「単一シート」および「一体式」の中間層は、１枚の単一シートから形成される中間層を指し、一方、用語「多重層」および「多層」の中間層は、共押出、組立て、積層されるか、またはそうでない場合は互いに組み合わされた２枚以上のシートを有する中間層を指す。

[0041]用語「多層中間層」は、少なくとも２つのポリマー層を含むポリマー中間層を指す。以下でさらに論じられるように、多重層は、別々に押出された層、共押出された層、または別々に押出された層と共押出された層の任意の組合せであってもよい。したがって、多層化中間層は、例えば、一緒に組み合わされた２つ以上の単層中間層（「複数層中間層」）；一緒に共押出された２つ以上の層（「共押出された中間層」）；一緒に組み合わされた２つ以上の共押出された中間層；少なくとも１つの単層中間層と少なくとも１つの共押出された中間層の組合せ；および少なくとも１つの複数層中間層と少なくとも１つの共押出された中間層の組合せを含み得る。

[0042]上記のように、ポリマー層または中間層は、多くの用途に有用な風防ガラスまたは他の積層ガラスパネルなどの多層中間層および積層体を形成するために使用され得る。様々な実施形態では、ポリ（ビニルアセタール）を含む中間層が本明細書に記載されるけれども、これらのポリマー層は、エチレン酢酸ビニル、熱可塑性ポリウレタン、イオノマー、ポリ（ビニルアセタール）、およびこれらの混合物などの熱可塑性樹脂から形成され得る。

[0043]一般に、ポリマー層は、ポリマー層の総重量に基づいて、少なくとも１、少なくとも２、少なくとも３、少なくとも４、少なくとも５、少なくとも１０、少なくとも１５、少なくとも２０、少なくとも２５、少なくとも３０、少なくとも３５、少なくとも４０、少なくとも４５、少なくとも５０、少なくとも５５、少なくとも６０、少なくとも６５、少なくとも７０、少なくとも７５、少なくとも８０、少なくとも８５、少なくとも９０、少なくとも９５、または少なくとも９９重量パーセントの１つまたは複数の熱可塑性樹脂を含み得る。付加的にまたは代替的に、ポリマー層は、ポリマー層の総重量に基づいて、９９以下、９５以下、９０以下、８０以下、７０以下、６０以下、または５０重量パーセント以下の１つまたは複数の熱可塑性樹脂を含み得るが、所望により他の量が使用されてもよい。

[0044]様々な実施形態では、本明細書に記載の層または中間層は、互いに直接接触して配置された少なくとも２つのポリマー層（例えば、単層または共押出された多重層）を含み得る。多層化中間層に３つ以上の層が利用される場合、一部の層はスキン層と称され得て、１つまたは複数の層はコア層と称されてもよい。本明細書で使用される場合、「スキン層」は、一般に中間層の外側の層を指し、「１つまたは複数のコア層」は、一般にスキン層の間に配置された１つまたは複数の内側の層を指す。コア層の少なくとも１つの面は、スキン層の少なくとも１つの面と直接接触し得るか、または結合層、コーティングもしくは接着剤を通してスキン層と非直接接触してもよい。

[0045]多層中間層の実施形態における例示的な層配置形態は：スキン／コア／スキン、スキン／コア、スキン／コア／コア／スキン、およびスキン／コア／コア／コア／スキンを含み、当業者に公知のように、同様に他の実施形態が可能である。

[0046]本明細書に記載の多層中間層はまた、３つ超の層（例えば、少なくとも４、少なくとも５、少なくとも６、または１０以上までの個別の層）を有し得る。様々な実施形態では、多層中間層構造体は、２、３、４、またはこれら以上のポリマー層を含有することができ、それらの２つ以上は、互いに、または他のタイプの層と直接接触し得る。層は様々な厚さを有し得て、それは層が使用されている中間層または積層体のタイプにより主として決定され、所望の厚さのいずれかであり得る。

[0047]様々な実施形態では、任意の層または中間層の厚さ、または規格は、所望の特性および用途に応じて、少なくとも約０．５ミル、少なくとも約１、少なくとも約２、少なくとも約３、少なくとも約４、少なくとも約５、少なくとも約６、少なくとも約７、少なくとも約８、少なくとも約９、少なくとも約１０、少なくとも約１５、少なくとも約２０、少なくとも約２５、少なくとも約３０、少なくとも約３５、少なくとも約４０、少なくとも約４５、少なくとも約５０、少なくとも約５５、少なくとも約６０ミル以上であり得る。ミリメートルでは、ポリマー層または中間層の厚さは、少なくとも約０．０２５、少なくとも約０．０５、少なくとも約０．０７５、少なくとも約０．１０、少なくとも約０．１２５、少なくとも約０．１５０、少なくとも約０．１７５、少なくとも約０．２０、少なくとも約０．２２５、少なくとも約０．２５、少なくとも約０．３８、少なくとも約０．５１、少なくとも約０．６４、少なくとも約０．７６、少なくとも約０．８９、少なくとも約１．０２、少なくとも約１．１５、少なくとも約１．２８、少なくとも約１．５２ミル以上であり得る。

[0048]本明細書に記載のポリマー層は、少なくとも１つの可塑剤をさらに含み得る。ポリマー層を形成する熱可塑性樹脂の特定の組成に応じて、可塑剤は、少なくとも１、少なくとも２、少なくとも３、少なくとも４、少なくとも５、少なくとも１０、少なくとも１５、少なくとも２０、少なくとも２５、少なくとも３０、少なくとも３５、少なくとも４０、少なくとも４５、少なくとも５０、少なくとも５５、少なくとも６０ｐｈｒ以上の量で存在し得る。実施形態では、可塑剤の量は、１２０以下、１１０以下、１０５以下、１００以下、９５以下、９０以下、８５以下、７５以下、７０以下、６５以下、６０以下、５５以下、５０以下、４５以下、または４０ｐｈｒ以下であり得るが、特定の材料および所望の特性に応じて他の量が使用されてもよい。

[0049]様々な実施形態では、中間層は、ポリマー層の重量に基づいて、少なくとも２、少なくとも５、少なくとも８、少なくとも１０、少なくとも１３、少なくとも１５、少なくとも１８、または少なくとも２０重量パーセント以上の少なくとも１つの可塑剤を含有することができる。付加的にまたは代替的に、ポリマーは、ポリマー層の重量に基づいて、１００まで、８０まで、７０まで、６０まで、５０まで、４０まで、３０まで、２５まで、または２０重量パーセントまでの少なくとも１つの可塑剤を含有することができる。

[0050]可塑剤が使用される場合は、可塑剤（複数可）は、当技術分野で公知の任意のものであり得る。可塑剤は、モノマーまたはポリマー構造のいずれかであり得る。様々な実施形態では、可塑剤は、３０個以下、２５個以下、２０個以下、１５個以下、１２個以下、または１０個以下の炭素原子および少なくとも６個の炭素原子の炭化水素セグメントを有する化合物であり得る。これらの中間層における使用のための好適な従来の可塑剤は、例えば、とりわけ多塩基酸または多価アルコールのエステルを含む。好適な可塑剤は、例えば、トリエチレングリコールジ－（２－エチルヘキサノエート）（「３ＧＥＨ」）、トリエチレングリコールジ－（２－エチルブチレート）、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジブチルセバケート、ブチルリシノレエート、ヒマシ油、ジブトキシエチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、トリオクチルホスフェート、ヤシ油脂肪酸のトリエチルグリコールエステル、ポリエチレンオキシドロジン誘導体のフェニルエーテル、油変性セバシン酸アルキド樹脂、トリクレシルホスフェート、およびこれらの混合物を含む。特定の実施形態では、可塑剤は３ＧＥＨである。

[0051]加えて、高屈折率の可塑剤などの他の可塑剤もまた、単独または別の可塑剤との組合せのいずれかで使用されてもよい。本明細書で使用される場合、用語「高屈折率の可塑剤」は、少なくとも１．４６０の屈折率を有する可塑剤を指す。高屈折率の可塑剤は、１つまたは複数の層の屈折率を増加または減少させることができ、むら、ヘイズ、および／または透明度を含む中間層の光学特性を改善し得る。実施形態では、使用に好適な高ＲＩ可塑剤は、上記のように測定して、少なくとも１．４６０、少なくとも１．４７０、少なくとも１．４８０、少なくとも１．４９０、少なくとも１．５００、少なくとも１．５１０、少なくとも１．５２０および／または１．６００以下、１．５７５以下、もしくは１．５５０以下の屈折率を有し得る。

[0052]樹脂層または中間層が高ＲＩ可塑剤を含む場合、可塑剤は、層中に単独で存在することができ、または１つもしくは複数の付加的な可塑剤とブレンドされ得る。高屈折率の可塑剤のタイプまたはクラスの例は、ポリアジペート（１．４６０～１．４８５のＲＩ）；エポキシ化ダイズ油などのエポキシド（１．４６０～１．４８０のＲＩ）；フタレートおよびテレフタレート（１．４８０～１．５４０のＲＩ）；ベンゾエートおよびトルエート（１．４８０～１．５５０のＲＩ）；ならびに他の特殊な可塑剤（１．４９０～１．５２０のＲＩ）を含み得るが、これらに限定されない。好適なＲＩ可塑剤の特定の例は、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、イソデシルベンゾエート、２－エチルヘキシルベンゾエート、ジエチレングリコールベンゾエート、ブトキシエチルベンゾエート、ブトキシエチオキシエチルベンゾエート、ブトキシエトキシエトキシエチルベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、２，２，４－トリメチル－１，３－ペンタンジオールジベンゾエート、２，２，４－トリメチル－１，３－ペンタンジオールベンゾエートイソブチレート、１，３－ブタンジオールジベンゾエート、ジエチレングリコールジ－ｏ－トルエート、トリエチレングリコールジ－ｏ－トルエート、ジプロピレングリコールジ－ｏ－トルエート、１，２－オクチルジベンゾエート、トリ－２－エチルヘキシルトリメリテート、ジ－２－エチルヘキシルテレフタレート、ビス－フェノールＡビス（２－エチルヘキサオネート）、ジ－（ブトキシエチル）テレフタレート、ジ－（ブトキシエチオキシエチル）テレフタレート、およびこれらの混合物を含み得るが、これらに限定されない。実施形態では、高ＲＩ可塑剤は、ジプロピレングリコールジベンゾエートおよびトリプロピレングリコールジベンゾエート、および／または２，２，４－トリメチル－１，３－ペンタンジオールジベンゾエートから選択され得る。様々な実施形態では、可塑剤は、以下のうちの少なくとも１つ：ベンゾエート、フタレート、ホスフェート、アリーレン－ビス（ジアリールホスフェート）、およびイソフタレートから選択され得る。

[0053]他の有用な可塑剤は、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、クレシルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ－２－エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、トリエチルシトレート、トリ－ｎ－ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチル－トリ－ｎ－ブチルシトレート、およびアセチル－トリ－ｎ－（２－エチルヘキシル）シトレートを含む。

[0054]可塑剤の混合物もまた使用され得る。例えば、高屈折率の可塑剤および従来の可塑剤の混合物が使用されてもよい。代替的に、２種以上の従来のおよび／または高屈折率の可塑剤が、単独で、または他の可塑剤と共に使用されてもよい。

[0055]様々な実施形態では、本明細書に記載のポリマー層は、ポリビニルブチラールなどのポリ（ビニルアセタール）樹脂を含むか、ポリ（ビニルアセタール）樹脂から本質的になるか、またはポリ（ビニルアセタール）樹脂からなり得る。ポリ（ビニルアセタール）層は、本明細書に記載の他のポリマー層と連結して使用され、様々なタイプの多層中間層が製造され得る。

[0056]ポリ（ビニルアセタール）樹脂は、例えば、米国特許第２，２８２，０５７号および同第２，２８２，０２６号、同様にＷａｄｅ、Ｂ． ２０１６、Ｖｉｎｙｌ Ａｃｅｔａｌ Ｐｏｌｙｍｅｒｓ、Ｅｎｃｙｃｌｏｐｅｄｉａ ｏｆ Ｐｏｌｙｍｅｒ Ｓｃｉｅｎｃｅ ａｎｄ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ．１～２２頁（オンライン、著作権２０１６年 Ｊｏｈｎ Ｗｉｌｅｙ ＆ Ｓｏｎｓ，Ｉｎｃ．）に記載されるものなどの公知の方法に基づき、触媒の存在下で、１つまたは複数のアルデヒドを用いたポリ（ビニルアルコール）のアセタール化により製造され形成され得る。

[0057]ポリ（ビニルアセタール）樹脂は、典型的には、残留するヒドロキシル含有量、エステル含有量、およびアセタール含有量を有する。本明細書で使用される場合、残留ヒドロキシル含有量（ＰＶＯＨとして算出）は、ポリマー鎖上に残存するヒドロキシル基を有する部分の重量パーセントを指す。例えば、ポリ（ビニルアセタール）は、ポリ（酢酸ビニル）をＰＶＯＨに加水分解し、次にＰＶＯＨと、ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド、望ましくはブチルアルデヒトとを反応させ、繰返しビニルブチラール単位を有するポリマーを作製することにより製造され得る。ポリ（酢酸ビニル）の加水分解のプロセスでは、典型的には、アセテート側鎖基の全てがヒドロキシル基に変換されるわけではない。例えば、ブチルアルデヒドとの反応は、典型的には、ＰＶＯＨ上の全てのヒドロキシル基のアセタール基への変換をもたらすわけではない。したがって、任意の完成したポリビニルブチラールには、典型的には、ポリマー鎖上の側鎖基としてのアセテート基（酢酸ビニル基として）などの残留エステル基および残留ヒドロキシル基（ビニルヒドロキシル基として）、ならびにアセタール（例えば、ブチラール）基（ビニルアセタール基として）が存在するであろう。本明細書で使用される場合、残留ヒドロキシル含有量は、ＡＳＴＭ １３９６に従って重量パーセント基準で測定される。

[0058]様々な実施形態では、ポリ（ビニルアセタール）樹脂は、本明細書で互換的に「ＰＶＢ」とも呼ばれるポリビニルブチラール樹脂を含む。ポリビニルブチラール構造の例が使用されて、重量百分率が、関連するペンダント基と結合する部分的単位にどのように基づくかをさらに説明する：

[0059]上記構造のポリビニルブチラールを考えると、ブチラールまたはアセタール含有量はポリマー中の単位Ａの重量百分率に基づき、ＯＨ含有量はポリマー中の単位Ｂ（ポリビニルＯＨ部分またはＰＶＯＨ）の重量百分率に基づき、アセテートまたはエステル含有量はポリマー中の単位Ｃの重量百分率に基づく。

[0060]ポリ（ビニルアセタール）樹脂のヒドロキシル基含有量は特に限定されないが、好適な量は、少なくとも６、少なくとも８、少なくとも１０、少なくとも１１、少なくとも１２、少なくとも１３、少なくとも１４、少なくとも１５、少なくとも１６、または少なくとも１７であり、それぞれの場合に３５重量パーセント以上までのＰＶＯＨである。一部の実施形態では、ポリ（ビニルアセタール）は、１５重量パーセント未満、または１４未満、１３未満、１２未満、１１未満、１０未満、９未満、または８重量パーセント未満の残留ヒドロキシル含有量を有し得る。一般に、より低いヒドロキシル重量百分率を有するポリ（ビニルアセタール）樹脂は、より多くの可塑剤を吸収し、より効率的に可塑剤を吸収する能力がある。

[0061]ポリ（ビニルアセタール）樹脂はまた、例えばアセテートのようなポリビニルエステルとして算出して、２０重量パーセント以下、１７重量パーセント以下、１５重量パーセント以下、１３重量パーセント以下、１１重量パーセント以下、９重量パーセント以下、７重量パーセント以下、５重量パーセント以下、または４重量パーセント以下の残留エステル基も含み得て、残りはブチルアルデヒドアセタールなどのアセタールであるが、任意選択で、例えば２－エチルヘキサナール基のような他のアセタール基も少量含む（米国特許第５，１３７，９５４号を参照のこと）。残留ヒドロキシル基測定と同様に、残留エステル基の重量パーセント（すなわち、残留アセテート含有量）は、ペンダントアセテート基を含む、アセテート基と結合しているポリマー骨格中の部分に基づく。

[0062]本発明で使用されるポリ（ビニルアセタール）樹脂はまた、少なくとも５０、少なくとも５５、少なくとも６０、少なくとも６５、少なくとも７０、少なくとも７５、少なくとも８０、少なくとも８５、または少なくとも９０重量パーセント以上のアセタール含有量を有し得る。付加的にまたは代替的に、アセタール含有量は、９４まで、９３まで、９２まで、９１まで、９０まで、８９まで、８８まで、８６まで、８５まで、８４まで、８３まで、８２まで、８０まで、７８まで、７７まで、７５まで、７０まで、または６５重量パーセントまでであり得る。

[0063]ポリ（ビニルアセタール）樹脂中のアセタール基は、ビニルプロピニル基またはビニルブチラール基を含み得る。１つまたは複数の実施形態では、アセタール基はビニルプロピニル基を含む。一部の実施形態では、ポリ（ビニルアセタール）樹脂は、任意のアルデヒドの残留分を含み得て、一部の実施形態では、少なくとも１つのＣ_４～Ｃ_８アルデヒドの残留分を含み得る。好適なＣ_４～Ｃ_８アルデヒドの例は、例えば、ｎ－ブチルアルデヒド、ｉ－ブチルアルデヒド、２－メチルバレルアルデヒド、ｎ－ヘキシルアルデヒド、２－エチルヘキシルアルデヒド、ｎ－オクチルアルデヒド、およびこれらの組合せを含み得る。本明細書に記載の層および中間層に利用される１つまたは複数のポリ（ビニルアセタール）樹脂は、樹脂のアルデヒド残留分の総重量に基づいて、少なくとも２０、少なくとも３０、少なくとも４０、少なくとも５０、少なくとも６０、または少なくとも７０重量パーセント以上の少なくとも１つのＣ_４～Ｃ_８アルデヒドの残留分を含み得る。代替的に、または付加的に、ポリ（ビニルアセタール）樹脂は、９９以下、９０以下、８５以下、８０以下、７５以下、７０以下、または６５重量パーセント以下の少なくとも１つのＣ_４～Ｃ_８アルデヒドを含み得る。Ｃ_４～Ｃ_８アルデヒドは、上に列挙した群から選択されてもよく、またはｎ－ブチルアルデヒド、ｉ－ブチルアルデヒド、２－エチルヘキシルアルデヒド、およびこれらの組合せからなる群から選択され得る。

[0064]ポリ（ビニルアセタール）樹脂の重量平均分子量は、特に限定されない。ポリ（ビニルアセタール）樹脂は、少なくとも２０，０００、少なくとも３０，０００、少なくとも４０，０００、少なくとも５０，０００、少なくとも６０，０００、または少なくとも７０，０００の重量平均分子量（Ｍ_ｗ）を有し得て、特に上限値はない。実質的に３００，０００ダルトンまでが一般的に好適であるが、場合によってはより高い分子量が使用されてもよく、それぞれの場合に、以下に記載されるように、テトラヒドロフラン中で、ＣｏｔｔｓおよびＯｕａｎｏの低角レーザ光散乱（ＳＥＣ／ＬＡＬＬＳ）法を使用して、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される。

[0065]１つまたは複数のポリ（ビニルアセタール）層などの多重層を含有する多層中間層は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して製造され得る。例えば、各層が当技術分野で公知の技術を使用して別々に形成され、次に一緒に積層されてもよい。代替的に、多層中間層は、共押出を介して製造されてもよい。

[0066]様々な実施形態では、中間層は、音響調節中間層であり得る。音響調節性能などの１組の望ましい特性を示すポリマーは、衝撃抵抗性または強度などの他の望ましい特性が欠如することが多い。したがって、望ましい特性の組合せを達成するために、望ましい音響調節性能を示すポリ（ビニルアセタール）層ならびに衝撃強度および抵抗性をもたらす１つまたは複数の他のポリマー層を含有する多層化中間層が製造され得る。１つまたは複数の実施形態では、音響調節中間層は、少なくとも－３０、少なくとも－２５、少なくとも－２０、少なくとも－１５、少なくとも－１０、少なくとも－５、もしくは少なくとも０℃および／または４０未満、３０未満、２５未満、２０未満、１５未満、１０未満もしくは５℃未満のＴｇを有するポリ（ビニルアセタール）層を含有し得る。

[0067]さらに、様々な実施形態では、このポリ（ビニルアセタール）層または中間層は、例えば同等のポリ（ビニルｎ－ブチラール）樹脂層と比較して、改善された損失正接などの音響調節特性の向上を示し得る。損失正接は、動的機械的熱分析（ＤＭＴＡ）により測定された、被検物のパスカルにおける損失弾性率（Ｇ”）とパスカルにおける貯蔵弾性率（Ｇ’）との比である。ＤＭＴＡは、剪断モード下で１Ｈｚの振動周波数、３℃／分の温度掃引速度を用いて実施される。ガラス転移温度におけるＧ”／Ｇ’曲線のピーク値が損失正接値である。より高い損失正接値は、より高い減衰性を示し、より良好な消音特性、または音響調節性能と解釈することができる。

[0068]本発明の様々な実施形態に基づく中間層は、中間層を製造する当業者に公知の任意の好適なプロセスにより、その製造方法に限定されることなく作製され得る。例えば、層または中間層は、前述のようにプローブをダイに挿入することにより、押出または共押出により形成され得ることが企図される。押出プロセスでは、既に記載した１つまたは複数の熱可塑性樹脂、可塑剤、および、任意選択で、１つまたは複数の添加剤が予混合され、押出装置に供給され得る。押出装置は、押出シートを作り出すために、熱可塑性組成物に特定の形状を付与するように構成される。昇温時に全体的に高度の粘稠性である押出シートは、次に冷却されて、ポリマーシートを形成することができる。いったんシートが冷却され固定されると、その後の保管、輸送、および／または中間層としての使用のために、切断されロールにされてもよい。

[0069]共押出は、ポリマー材料の多重層が同時に押出されるプロセスである。一般に、このタイプの押出は、２つ以上の押出機を利用して、安定した容積スループットの、異なる粘度または他の特性の様々な熱可塑性溶融物を、共押出ダイを通して溶融し送達して、所望の最終形態にする。共押出プロセスにおいて押出ダイを出ていく多重ポリマー層の厚さは、一般に、押出ダイを通る溶融物の相対速度の調節により、かつそれぞれの溶融された熱可塑性樹脂材料を処理する個々の押出機の大きさにより制御され得る。押出プロセスは、材料および用途に応じて、当業者に公知の温度で起こり得る。

[0070]代替的に、中間層の各層は、別々にシートに形成または押出され得て、シートは積み重ねられて所望の順序の積層構造体を形成し、次に熱および圧力下で圧縮されて多層中間層を形成し得る。本発明の様々な実施形態では、層または中間層は押出または共押出により形成され得る。押出プロセスでは、１つまたは複数の熱可塑性ポリマー、可塑剤、および任意選択で少なくとも１つの添加剤は予混合され、押出装置に供給され得て、層または中間層は溶融されダイから押出され、それにより押出シートを提供し得る。代替的に、１つまたは複数の層は、購入されるかまたは当技術分野で公知のプロセスを使用して別々に製造されてもよい。

[0071]前述のように、勾配または色帯は、ポリマーの少なくとも１種の他の層と共押出される。実施形態では、勾配帯は、前述の３層中間層などの多層中間層の１つの外側の層に共押出され得る。

[0072]他の添加剤が、最終製品の性能を向上させ、中間層に特定の付加的な特性を付与するために、積層体または中間層を形成するために使用される上記の層のいずれか１つに組み込まれてもよい。そのような添加剤は、当業者に公知の他の添加剤の中でも、ＡＣＡ、アンチブロッキング剤、染料、顔料、安定剤（例えば、紫外線安定剤）、抗酸化剤、難燃剤、ＩＲ吸収剤または遮断剤（例えば、酸化スズインジウム、酸化スズアンチモン、六ホウ化ランタン（ＬａＢ_６）および酸化タングステンセシウム）、加工助剤、流動向上添加剤、滑沢剤、耐衝撃性調節剤、成核剤、熱安定剤、ＵＶ吸収剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、補強添加剤、および充填剤を含むが、これらに限定されない。

[0073]液体、粉末、またはペレットの形態における添加剤が使用されることが多く、押出機装置に到着する前かまたは押出機装置内の熱可塑性樹脂と組み合わせて、熱可塑性樹脂または可塑剤に混合され得る。これらの添加剤は、組成物に、さらには得られた中間層に組み込まれ、多重層ガラスパネル製品における中間層の特定の特性およびその性能を向上させる。

[0074]中間層は、１つまたは複数の剛性基板を含む積層体またはパネル（前面ガラスまたは他の車両ウィンドウなど）などの多くの用途に使用され得る。２つのガラス基板の間に積層された中間層を含むガラスパネルなどの、本明細書に記載の層および中間層で作製されたパネルは、良好な光学的透明度を有し得る。ガラス基板の間に積層された中間層の透明度は、多層中間層を含有するシートガラスパネルを通して透過されない光の数量化であるヘイズ値を測定することにより決定され得る。パーセントヘイズは、以下の技術に従って測定され得る。ヘイズ量を測定する器具、ヘイズメーター、Ｍｏｄｅｌ Ｄ２５は、Ｈｕｎｔｅｒ Ａｓｓｏｃｉａｔｅｓ（Ｒｅｓｔｏｎ、Ｖａ．）から入手可能であり、ＡＳＴＭ Ｄ１００３－６１（１９７７年に再承認）－手順Ａに準拠して、２度の観察角で光源Ｃを使用して使用され得る。前面ガラスなどの様々な実施形態では、本明細書に記載の中間層は、ＡＳＴＭ Ｄ１００３－６１に準拠して測定して、１０未満、９未満、８未満、７未満、６未満、５未満、４未満、３未満、２未満、１．５未満、１未満、０．７５未満、または０．５パーセント未満のヘイズを示し得る。他の実施形態では、光学特性はそれほど重要でない場合があり、またはより低い透明度が所望される場合、より高いヘイズレベルが望ましく、または許容され得る場合がある。

[0075]光学性能を決定するために使用される別のパラメータは、パーセント透過率（％透過率）または透過率スペクトルである。透過率スペクトルを、ＩＬＴ １７００ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｒａｄｉｏｍｅｔｅｒで、可視光源としてＴｈｏｒｌａｂｓ ＯＳＬ１ファイバ照明装置を使用して、積層ガラス試料に対して０．５秒毎に、試料台上で暗プラトー部からカットオフ（前述および図１に示すように）まで３．０ｍｍ／秒で移動して測定した。本明細書で提供される値は、それぞれ２．３ｍｍの厚さを有する２枚の透明ガラス（ペンシルベニアのＰｉｔｔｓｂｕｒｇｈ Ｇｌａｓｓ Ｗｏｒｋｓから市販）の間に積層されたポリマー試料を分析することにより得られた。

[0076]本発明の実施形態に基づく中間層は、少なくとも１つの剛性基板を含む多重層パネルまたは積層体に利用され得る。任意の好適な剛性基板が使用されてもよく、一部の実施形態では、ガラス、ポリカーボネート、二軸配向性ＰＥＴ、コポリエステル、アクリル、およびこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。剛性基板がポリマー材料を含む場合、ポリマー材料は、硬質被覆表層を含んでも、または含まなくてもよい。一部の実施形態では、多層パネルまたは積層体は、樹脂中間層がそれらの間に配置された１対の剛性基板を含む。

[0077]様々な実施形態では、本発明の中間層は、典型的には中間層が２枚の基板の間に配置された１対のガラス基板のような２枚の基板を含む多重層パネルに最も一般的に利用される。そのような構成体の例は：ガラス／中間層／ガラスであり、中間層は、上述の中間層のいずれかを含み得る。上述のもの以外の多数の構成体が、本発明の中間層を用いて作製され得ることを当業者が容易に認識するように、多重層パネルのこれらの例は、決して限定することを意図するものではない。

[0078]本明細書に記載の中間層は、当技術分野で公知の技術を使用して、ガラス間に積層され得る。典型的なガラス積層プロセスは、以下の：（１）２枚の基板（例えば、ガラス）および中間層の組立てのステップと；（２）ＩＲ放射または対流手段を介して組立体を短時間加熱するステップと；（３）第１の脱気のために、組立体を加圧ニップロール内に通過させるステップと；（４）約５０℃～約１２０℃などの適切な温度まで、組立体を２回目に加熱して、組立体に中間層の端部を密封するのに十分な仮接着を行うステップと；（５）組立体を第２の加圧ニップロール内に通過させて、中間層の端部をさらに密封して、さらなる操作を可能にするステップと；（６）８０～１５０℃の間の温度および１５ｐｓｉｇ～２００ｐｓｉｇの間の圧力などの適切な温度および圧力で約３０～９０分間、組立体をオートクレーブ処理するステップと、を含む。中間層－ガラス界面の脱気（ステップ２～５）における使用のための、当技術分野で公知の、商業的に実施されている他の手段は、空気を除去するために減圧が利用される減圧バッグおよび減圧リングのプロセスを含む。代替の積層プロセスは、最初に組立体を脱気し、その後、十分に高い温度および減圧で積層を完成する減圧積層機の使用を含む。

[0079]上述の本発明の好ましい形態は、例示としてのみ使用されるべきであり、本発明の範囲を解釈するために限定的な意味で使用されるべきではない。上に明示された、例示的な実施形態に対する修正は、本発明の趣旨から逸脱することなく、当業者により容易に行われ得る。本発明は、それらの実施形態の以下の実施例によりさらに例証され得るが、これらの実施例は、単に例示の目的のために含まれ、特に別段の記載がない限り、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことは理解されるであろう。

実施例１
[0080]透明のポリビニルブチラール溶融物を、２０４℃の温度で、かつ押出機を通して１３６ｋｇ／時の流量で、供給パイプを通してマニホールドに供給した。着色ポリビニルブチラールを、１９４℃の温度で、かつプローブを通して４４ｋｇ／時の流量で、プローブにサイド供給した。プローブ中のオリフィス隙間プロファイルを調整して、シートを含有する積層ガラスで測定される目標の透過率スペクトルを生成した。シートにわたる優れた外観の均一性およびプローブ中の押出オリフィスの幅に非常に近い幅を有するカプセル化された勾配帯を有する、０．７６ｍｍの厚さを有するシートを得た。該シートを、１対の厚さ２．２ｍｍの透明ガラスシートの間に配置し、Ｃａｒｖｅｒプレス上で２バールおよび１５０℃で１分間、熱および圧力を加え、次に、圧縮された試料を１３バールおよび１４３℃で１時間オートクレーブ処理することにより積層した。積層後、透過率スペクトルを、ＩＬＴ １７００ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｒａｄｉｏｍｅｔｅｒで、可視光源としてＴｈｏｒｌａｂｓ ＯＳＬ１ファイバ照明装置を使用して、積層ガラス試料に対して０．５秒毎に、試料台上で暗プラトー部からカットオフまで３．０ｍｍ／秒で移動して測定した。得られた可視光透過率スペクトルを図２に示す。

[0081]Ｄおよびｄを、生成された透過率スペクトル上で測定した。勾配帯を含有するシートの断面図を、Ｌｅｉｃａ Ｍ１６５Ｃ光学顕微鏡で検査し、カプセル化層または隣接する層（複数可）への着色剤の拡散を検討した。マッハバンドの識別度を、積層ガラス試料をライトボックスの最頂部に置いた時、マッハバンドの外観に基づいて、主観的に決定し、「良好」（もしくは許容される）または「不良」（許容されない）のいずれかに分類した。勾配美を主観的に等級付けし、「Ａ」（最良）、「Ｂ」（中等度）、または「Ｃ」（最悪）に分類した。結果を以下の表１に要約する。

実施例２
[0082]透明のポリビニルブチラール溶融物を、２０４℃の温度で、かつ押出機を通して１３６ｋｇ／時の流量で、供給パイプを通してマニホールドに供給した。着色ポリビニルブチラールを、１９４℃の温度で、かつプローブを通して３３ｋｇ／時の流量で、プローブにサイド供給した。プローブ中のオリフィス隙間プロファイルを調整して、シートを含有する積層ガラスで測定される目的の透過率スペクトルを生成した。シートにわたる優れた外観の均一性およびプローブ中の押出オリフィスの幅に非常に近い幅を有するカプセル化された勾配帯を有する、０．７６ｍｍの厚さを有するシートを得た。該シートを、１対の厚さ２．２ｍｍの透明ガラスシートの間に配置し、Ｃａｒｖｅｒプレス上で２バールおよび１５０℃で１分間、熱および圧力を加え、次に、圧縮された試料を１３バールおよび１４３℃で１時間オートクレーブ処理することにより積層した。積層後、透過率スペクトルを、ＩＬＴ １７００ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｒａｄｉｏｍｅｔｅｒで、可視光源としてＴｈｏｒｌａｂｓ ＯＳＬ１ファイバ照明装置を使用して、積層ガラス試料に対して０．５秒毎に、試料台上で暗プラトー部からカットオフまで３．０ｍｍ／秒で移動して測定した。得られた可視光透過率スペクトルを図３に示す。Ｄおよびｄを、透過率スペクトル上で測定し、マッハバンドおよび勾配美を、実施例１に記載のように評価し、結果を表１に要約する。

比較例１
[0083]透明のポリビニルブチラール溶融物を、２０４℃の温度で、かつ押出機を通して１３６ｋｇ／時の流量で、供給パイプを通してマニホールドに供給した。着色ポリビニルブチラールを、１９４℃の温度で、かつプローブを通して２２ｋｇ／時の流量で、プローブにサイド供給した。プローブ中のオリフィス隙間プロファイルを調整して、シートを含有する積層ガラスで測定される目標の透過率スペクトルを生成した。シートにわたる優れた外観の均一性およびプローブ中の押出オリフィスの幅に非常に近い幅を有するカプセル化された勾配帯を有する、０．７６ｍｍの厚さを有するシートを得た。該シートを、１対の厚さ２．２ｍｍの透明ガラスシートの間に配置し、Ｃａｒｖｅｒプレス上で２バールおよび１５０℃で１分間、熱および圧力を加え、次に、圧縮された試料を１３バールおよび１４３℃で１時間オートクレーブ処理することにより積層した。積層後、透過率スペクトルを、ＩＬＴ １７００ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｒａｄｉｏｍｅｔｅｒで、可視光源としてＴｈｏｒｌａｂｓ ＯＳＬ１ファイバ照明装置を使用して、積層ガラス試料に対して０．５秒毎に、試料台上で暗プラトー部からカットオフまで３．０ｍｍ／秒で移動して測定した。得られた可視光透過率スペクトルを図４に示す。Ｄおよびｄを、透過率スペクトル上で測定し、マッハバンドおよび勾配美を、実施例１に記載のように評価し、結果を表１に要約する。

比較例２
[0084]透明のポリビニルブチラール溶融物を、２０４℃の温度で、かつ押出機を通して１３６ｋｇ／時の流量で、供給パイプを通してマニホールドに供給した。着色ポリビニルブチラールを、１９４℃の温度で、かつプローブを通して３３ｋｇ／時の流量で、プローブにサイド供給した。プローブ中のオリフィス隙間プロファイルを調整して、シートを含有する積層ガラスで測定される目標の透過率スペクトルを生成した。シートにわたる優れた外観の均一性およびプローブ中の押出オリフィスの幅に非常に近い幅を有するカプセル化された勾配帯を有する、０．７６ｍｍの厚さを有するシートを得た。該シートを、１対の厚さ２．２ｍｍの透明ガラスシートの間に配置し、Ｃａｒｖｅｒプレス上で２バールおよび１５０℃で１分間、熱および圧力を加え、次に、圧縮された試料を１３バールおよび１４３℃で１時間オートクレーブ処理することにより積層した。積層後、透過率スペクトルを、ＩＬＴ １７００ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｒａｄｉｏｍｅｔｅｒで、可視光源としてＴｈｏｒｌａｂｓ ＯＳＬ１ファイバ照明装置を使用して、積層ガラス試料に対して０．５秒毎に、試料台上で暗プラトー部からカットオフまで３．０ｍｍ／秒で移動して測定した。得られた可視光透過率スペクトルを図５に示す。Ｄおよびｄを、実施例１に記載のように透過率スペクトル上で測定し、結果を表１に要約する。

比較例３
[0085]透明のポリビニルブチラール溶融物を、２０４℃の温度で、かつ押出機を通して１３６ｋｇ／時の流量で、供給パイプを通して３層ダイマニホールドに供給した。２％の溶媒を含有する着色ポリビニルブチラールを、１９４℃の温度で、かつプローブを通して２２ｋｇ／時の流量で、スキン層マニホールドの１つに挿入されたプローブにサイド供給した。プローブ中のオリフィス隙間プロファイルを調整して、シートを含有する積層ガラスで測定される目標の透過率スペクトルを生成した。シートにわたる優れた外観の均一性およびプローブ中の押出オリフィスの幅に非常に近い幅を有するカプセル化された勾配帯を有する、０．７６ｍｍの厚さを有するシートを得た。該シートを、１対の厚さ２．２ｍｍの透明ガラスシートの間に配置し、Ｃａｒｖｅｒプレス上で２バールおよび１５０℃で１分間、熱および圧力を加え、次に、圧縮された試料を１３バールおよび１４３℃で１時間オートクレーブ処理することにより積層した。積層後、透過率スペクトルを、ＩＬＴ １７００ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｒａｄｉｏｍｅｔｅｒで、可視光源としてＴｈｏｒｌａｂｓ ＯＳＬ１ファイバ照明装置を使用して、積層ガラス試料に対して０．５秒毎に、試料台上で暗プラトー部からカットオフまで３．０ｍｍ／秒で移動して測定した。得られた可視光透過率スペクトルを図６に示す。Ｄおよびｄを、実施例１に記載のように透過率スペクトル上で測定し、結果を表１に要約する。

比較例４
[0086]透明のポリビニルブチラール溶融物を、２０４℃の温度で、かつ押出機を通して１３６ｋｇ／時の流量で、供給パイプを通してマニホールドに供給した。２％の溶媒を含有する着色ポリビニルブチラールを、１９４℃の温度で、かつプローブを通して３３ｋｇ／時の流量で、プローブにサイド供給した。プローブ中のオリフィス隙間プロファイルを調整して、シートを含有する積層ガラスで測定される目標の透過率スペクトルを生成した。シートにわたる優れた外観の均一性およびプローブ中の押出オリフィスの幅に非常に近い幅を有するカプセル化された勾配帯を有する、０．７６ｍｍの厚さを有するシートを得た。該シートを、１対の厚さ２．２ｍｍの透明ガラスシートの間に配置し、Ｃａｒｖｅｒプレス上で２バールおよび１５０℃で１分間、熱および圧力を加え、次に、圧縮された試料を１３バールおよび１４３℃で１時間オートクレーブ処理することにより積層した。積層後、透過率スペクトルを、ＩＬＴ １７００ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｒａｄｉｏｍｅｔｅｒで、可視光源としてＴｈｏｒｌａｂｓ ＯＳＬ１ファイバ照明装置を使用して、積層ガラス試料に対して０．５秒毎に、試料台上で暗プラトー部からカットオフまで３．０ｍｍ／秒で移動して測定した。得られた可視光透過率スペクトルを図７に示す。Ｄおよびｄを、実施例１に記載のように透過率スペクトル上で測定し、結果を表１に要約する。

比較例５
[0087]透明のポリビニルブチラール溶融物を、２０４℃の温度で、かつ押出機を通して１３６ｋｇ／時の流量で、供給パイプを通してマニホールドに供給した。２％の溶媒を含有する着色ポリビニルブチラールを、１９４℃の温度で、かつプローブを通して２２ｋｇ／時の流量で、プローブにサイド供給した。プローブ中のオリフィス隙間プロファイルを調整して、シートを含有する積層ガラスで測定される目標の透過率スペクトルを生成した。シートにわたる優れた外観の均一性およびプローブ中の押出オリフィスの幅に非常に近い幅を有するカプセル化された勾配帯を有する、０．７６ｍｍの厚さを有するシートを得た。該シートを、１対の厚さ２．２ｍｍの透明ガラスシートの間に配置し、Ｃａｒｖｅｒプレス上で２バールおよび１５０℃で１分間、熱および圧力を加え、次に、圧縮された試料を１３バールおよび１４３℃で１時間オートクレーブ処理することにより積層した。積層後、透過率スペクトルを、ＩＬＴ １７００ Ｒｅｓｅａｒｃｈ Ｒａｄｉｏｍｅｔｅｒで、可視光源としてＴｈｏｒｌａｂｓ ＯＳＬ１ファイバ照明装置を使用して、積層ガラス試料に対して０．５秒毎に、試料台上で暗プラトー部からカットオフまで３．０ｍｍ／秒で移動して測定した。得られた可視光透過率スペクトルを図８に示す。Ｄおよびｄを、実施例１に記載のように透過率スペクトル上で測定し、結果を表１に要約する。

[0088]勾配帯を目視検査して、着色剤が隣接する層に拡散しているか、マッハバンドの識別度（すなわち、不快であるかどうか）、および勾配美の等級を決定した。勾配帯をまた測定して、既に記載したように、Ｄおよびｄを決定した。

[0089]勾配美は、予め製造された基準標本に対して、専門家により試験試料に与えられた主観的等級である。「Ａ」の等級は、試料が、鮮明なカットオフを伴わず、勾配帯の滑らかなフェードオフを有したことを意味する。「Ｃ」等級の「Ｃ」は、試料が、滑らかではない勾配フェードオフまたは鮮明なカットオフのいずれか（またはおそらく両方）を有したことを意味する。「Ｂ」等級は、目視で「Ａ」等級と「Ｃ」等級の間の等級である。マッハバンドの識別度は、「良好」または「不良」のいずれかに主観的に特徴付けられた。「良好な」品質マッハバンドは、試料が、弱く、広いおよび拡散したマッハバンドを有し、一方、鮮明で明るい（またはより明白な）マッハバンドを有する試料は「不良」等級を与えられる。

[0090]以下の表１は、実施例および比較例に関して得られた結果を示す。

[0091]上記は、マッハバンドを見た場合の良好な視覚的品質および勾配美（前述のように）を有する勾配帯を有する中間層は、Ｄおよびｄの変数がある特定の数に制御され、かつＤ／ｄが所定の範囲内に制御される場合に製造され得ることを示す。所定の範囲外では、勾配美は難点がある。実施例１および２は両方とも、良好な視覚的品質（マッハバンドは良好でかつ「Ａ」の勾配美等級）を有し、２２．９～３８．１の間のＤ値を有し、Ｄ／ｄ値は２．００未満であり、着色剤または着色層の隣接する層への拡散はない。比較例は全て、所望の範囲外の少なくとも１つの特性を有する。比較例１および２は両方とも、好ましい範囲内のＤ値を有するが、ｄは低く、したがって、Ｄ／ｄは２より大きく、「Ｂ」の勾配美等級を得る。比較例２は、Ｄ／ｄは所望の範囲内であるけれども、低いＤ値を有し、また「Ｂ」の勾配美等級を得る。比較例３もまた低いＤ値を有するが、Ｄ／ｄは所望の範囲内であり、しかし、隣接する層への着色剤の拡散があり、「Ｃ」の勾配美等級を得る。比較例４は、高いＤ値を有するが、Ｄ／ｄは所望の範囲内であり、しかし、隣接する層への着色剤の拡散があり、「Ｃ」の勾配美等級を得る。比較例５は、許容されるＤ値を有するが、Ｄ／ｄはちょうど２．００であり、隣接する層への着色剤の拡散があり、「Ｃ」の勾配美等級を得る。

定義
[0092]以下は、定義された用語の排他的リストであると意図していないことを理解されたい。例えば、文脈中で定義された用語の使用を伴う場合など、上記の記載において他の定義が与えられてもよい。

[0093]本明細書で使用される場合、用語「ａ」、「ａｎ」、および「ｔｈｅ」は、１つまたは複数を意味する。
[0094]本明細書で使用される場合、用語「および／または」は、２つ以上の項目の列挙に使用される場合、列挙された項目のいずれか１つを単独で利用し得るか、または列挙された項目の２つ以上の任意の組合せを利用し得ることを意味する。例えば、ある組成物が、成分Ａ、Ｂ、および／またはＣを含有すると記載された場合、該組成物は、Ａのみ；Ｂのみ；Ｃのみ；ＡとＢの組合せ；ＡとＣの組合せ、ＢとＣの組合せ；またはＡ、Ｂ、およびＣの組合せを含有し得る。

[0095]本明細書で使用される場合、用語「含んでいる（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」、「含む（ｃｏｍｐｒｉｓｅｓ）」、および「含む（ｃｏｍｐｒｉｓｅ）」は、該用語の前に記載された主語から、該用語の後に記載された１つまたは複数の要素に移行するために使用される非限定的な移行用語であり、移行用語の後に列挙された要素または複数の要素は、主語を構成する必ずしも単一の要素とは限らない。本明細書で使用される場合、用語「有している（ｈａｖｉｎｇ）」、「有する（ｈａｓ）」、および「有する（ｈａｖｅ）」は、上に挙げた「含んでいる」、「含む」、および「含む」と同じ非限定的な意味を有する。本明細書で使用される場合、用語「含んでいる（ｉｎｃｌｕｄｉｎｇ）」、「含む（ｉｎｃｌｕｄｅ）」、および「含んだ（ｉｎｃｌｕｄｅｄ）」は、上に挙げた「含んでいる」、「含む」、および「含む」と同じ非限定的な意味を有する。

[0096]本明細書で使用される場合、用語「約」は、記載された値の１０パーセント内の値を指す。本記載は、数値範囲を使用して、本発明に関連する特定のパラメータを定量化する。数値範囲が提供された場合、そのような範囲は、範囲の下限値を記載するのみのクレーム限定と同様に、範囲の上限値を記載するのみのクレーム限定に対する文字通りの裏付けを提供すると解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、開示された１０～１００という数値範囲は、「１０より大きい」（上限を伴わない）と記載するクレーム、および「１００未満」（下限を伴わない）と記載するクレームに対する文字通りの裏付けを提供する。

Claims (20)

1. 改善された勾配品質を有する中間層であって：
   透明部分および勾配色帯部分を有する第１の層を含み、勾配色帯部分は透明部分内にカプセル化され、
   勾配色帯部分は、勾配色帯の開始部のカットオフＸ、勾配色帯の％透過率が４０％であるＹ点、勾配色帯の％透過率が７０％であるＺ点、ＸからＹまでの距離である距離ＤおよびＹからＺまでの距離である距離ｄを有し、
   勾配部分の距離Ｄは次の式：２２．９ｍｍ＜Ｄ＜３８．１ｍｍおよびＤ／ｄ＜２．００を満たす、中間層。
2. 勾配部分の距離Ｄが、次の式：２５．４ｍｍ＜Ｄ＜３０．５ｍｍを満たす、請求項１に記載の中間層。
3. Ｄ／ｄ＜１．９５である、請求項１に記載の中間層。
4. Ｄ／ｄ＜１．９である、請求項１に記載の中間層。
5. Ｄ／ｄ＞１．５０である、請求項１に記載の中間層。
6. Ｄ／ｄ≧１．７０である、請求項１に記載の中間層。
7. Ｄ／ｄ＜１．９５かつ２５．４ｍｍ＜Ｄ＜３０．５ｍｍである、請求項１に記載の中間層。
8. 改善された勾配品質を有する中間層を作製する方法であって：
   （ａ）オリフィス、およびポリマー溶融物を押出通路を介してオリフィスに供給するように適合されたマニホールドを有するシート押出ダイを提供するステップと；
   （ｂ）マニホールド内に位置し、押出通路に隣接するプローブを提供するステップであって、プローブは、押出通路に隣接する表面に、プローブ軸と平行に伸びる押出オリフィスを有し、プローブは、熱可塑性ポリマーの主流がマニホールドに供給されかつ押出通路を介してスリットダイを通って押出される場合、主流の流線がプローブオリフィスのそばを通過する時に、実質的に平行で押出方向であるような場所に位置する、ステップと；
   （ｃ）溶融された熱可塑性ポリマーの主流をマニホールドに、かつ溶融された熱可塑性ポリマーの着色二次流を、実質的に同じ温度および粘度で、プローブに供給するステップと；
   （ｄ）幅は一定であるがその幅の一端で厚さが徐々に細くなる着色ポリマーの層が、溶融されたポリマーの主流中に完全にカプセル化されるように、両流を同時に押出すステップと；
   （ｅ）統合流をスリットダイを通して押出し、カプセル化された勾配色帯部分を有するシートを製造するステップと、
   を含み、
   勾配色帯部分は、勾配色帯の開始部のカットオフＸ、勾配色帯の％透過率が４０％であるＹ点、勾配色帯の％透過率が７０％であるＺ点、ＸからＹまでの距離である距離ＤおよびＹからＺまでの距離である距離ｄを有し、
   勾配部分の距離Ｄは次の式：２２．９ｍｍ＜Ｄ＜３８．１ｍｍおよびＤ／ｄ＜２．００を満たす、方法。
9. 勾配部分の距離Ｄが、次の式：２５．４ｍｍ＜Ｄ＜３０．５ｍｍを満たす、請求項８に記載の方法。
10. Ｄ／ｄ＜１．９５である、請求項８に記載の方法。
11. Ｄ／ｄ＞１．５０である、請求項８に記載の方法。
12. Ｄ／ｄ≧１．７０である、請求項８に記載の方法。
13. Ｄ／ｄ＜１．９５かつ２５．４ｍｍ＜Ｄ＜３０．５ｍｍである、請求項８に記載の方法。
14. 請求項８に記載の方法により製造された、中間層。
15. 第１のガラス基板と、
    請求項１に記載の中間層と、
    第２のガラス基板と、
    を含む、前面ガラス。
16. 第１のガラス基板と、
    請求項１４に記載の中間層と、
    第２のガラス基板と、
    を含む、前面ガラス。
17. 第１のガラス基板と、
    第２のガラス基板と、
    改善された勾配品質を有する中間層であって：
    透明部分および勾配色帯部分を有する第１の層を含み、勾配色帯部分は透明部分内にカプセル化され、
    勾配色帯部分は、勾配色帯の開始部のカットオフＸ、勾配色帯の％透過率が４０％であるＹ点、勾配色帯の％透過率が７０％であるＺ点、ＸからＹまでの距離である距離ＤおよびＹからＺまでの距離である距離ｄを有し、
    勾配部分の距離Ｄは次の式：２２．９ｍｍ＜Ｄ＜３８．１ｍｍおよびＤ／ｄ＜２．００を満たす、中間層と、
    を含み、
    中間層は、第１のガラス基板と第２のガラス基板の間にある、前面ガラス。
18. 中間層が、次の式：２５．４ｍｍ＜Ｄ＜３０．５ｍｍを満たす、勾配部分の距離Ｄを有する、請求項１７に記載の前面ガラス。
19. 中間層が、Ｄ／ｄ＜１．９５を有する、請求項１７に記載の前面ガラス。
20. 中間層が、Ｄ／ｄ＜１．９５かつ２５．４ｍｍ＜Ｄ＜３０．５ｍｍを有する、請求項１７に記載の前面ガラス。

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