JP2023506760A - ポリヌクレオチドのテンプレートフリー酵素合成のためのキメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素 - Google Patents

ポリヌクレオチドのテンプレートフリー酵素合成のためのキメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素 Download PDF

Info

Publication number
JP2023506760A
JP2023506760A JP2022535446A JP2022535446A JP2023506760A JP 2023506760 A JP2023506760 A JP 2023506760A JP 2022535446 A JP2022535446 A JP 2022535446A JP 2022535446 A JP2022535446 A JP 2022535446A JP 2023506760 A JP2023506760 A JP 2023506760A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
motif
tdt
substitution
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022535446A
Other languages
English (en)
Inventor
エリーズ シャンピオン,
ミカエル ソスキヌ,
ファーテン ジャジリ,
ダニエル マクヘール,
Original Assignee
ディーエヌエー スクリプト
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ディーエヌエー スクリプト filed Critical ディーエヌエー スクリプト
Publication of JP2023506760A publication Critical patent/JP2023506760A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/12Transferases (2.) transferring phosphorus containing groups, e.g. kinases (2.7)
    • C12N9/1241Nucleotidyltransferases (2.7.7)
    • C12N9/1264DNA nucleotidylexotransferase (2.7.7.31), i.e. terminal nucleotidyl transferase
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/26Preparation of nitrogen-containing carbohydrates
    • C12P19/28N-glycosides
    • C12P19/30Nucleotides
    • C12P19/34Polynucleotides, e.g. nucleic acids, oligoribonucleotides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y207/00Transferases transferring phosphorus-containing groups (2.7)
    • C12Y207/07Nucleotidyltransferases (2.7.7)
    • C12Y207/07031DNA nucleotidylexotransferase (2.7.7.31), i.e. terminal deoxynucleotidyl transferase

Abstract

本発明は、異なる種からのバリアントに由来するキメラである末端デオキシヌクレオチド転移酵素を使用するポリヌクレオチドの酵素的テンプレートフリー合成のための組成物及び方法に関する。【選択図】なし

Description

広範囲の長さの予め決まった配列の高度に精製された安価なポリヌクレオチドの使用は、ゲノム及び診断配列決定、多重核酸増幅、治療用抗体開発、合成生物学、核酸ベースの治療薬、DNAオリガミ、DNAベースのデータ保存などを含む多くの技術の中心となっている。最近、例えばYbert等の国際特許公開第2015/159023号;Hiatt等の米国特許第5763594号;Jensen等,Biochemistry,57:1821-1832(2018)など、実証された酵素の効果と穏やかな非毒性反応条件の利点のため、化学ベース合成法を、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)などのテンプレートフリーのポリメラーゼを使用する酵素ベース法で補足し又はこれに置き換えることに関心が集まっている。酵素ベース合成法における殆どのアプローチは、ポリヌクレオチド生成物において所望の配列を得るために、可逆的にブロックされたヌクレオシドトリホスフェートの使用を必要とする。残念ながら、天然のTdTは、未修飾ヌクレオシドトリホスフェートと比較して効率が低下した修飾ヌクレオシドトリホスフェートを取り込んでいる。従って、多くの研究が、例えばChampion等の米国特許出願公開第2019/0211315号;Ybert等の国際特許公開第2017/216472号など、修飾ヌクレオシドトリホスフェートのより優れた取り込み効率、並びに成長鎖の異なる3’配列間の取り込み変動の低減、製造可能性の改善などの他の性能特性を備えた新しいTdTバリアントの開発に向けられている。
上記に鑑みると、新TdTバリアントなどの新しいテンプレートフリーポリメラーゼと、使用方法が、改善された安定性と可逆的にブロックされたヌクレオシドトリホスフェートの取り込みのために利用可能ならば、テンプレートフリー酵素ベースのポリヌクレオチド合成の分野は進歩するであろう。
本発明は、ポリヌクレオチドのテンプレートフリー酵素合成のための方法及び組成物に関する。本発明は、異なる種に由来するアミノ酸配列を含み、可逆的にブロックされたヌクレオシドトリホスフェートをポリヌクレオチドに取り込む際の改善された効率、安定性の改善、製造可能性の改善、又は配列特異的取り込み率の変動の減少を含む一又は複数の改善を示すデオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)バリアントのキメラであるTdTバリアントとその組成物を含む。本発明はまた予め決まった配列のポリヌクレオチドを合成するためにそのようなキメラTdTバリアントを使用する方法及びキットを含む。
より特定的には、本発明は、式:
-B-B
[上式中、
は、BRCT様領域を持たない第一の種のTdTのアミノ酸セグメントであり、そのN末端からそのVSCモチーフとそのKMTモチーフの間のアミノ酸位置まで伸び、ここで、BはそのFMRモチーフにメチオニン又は機能的に同等の残基の置換を、BがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにBがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換をそれぞれ含み;
は、BのC末端から第二の種のTdTのC末端まで、又はBが一又は複数のアミノ酸を含む場合は常にBのN末端まで伸びる第二の種のTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、Bは、BがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換を、BがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、BがTGSRモチーフを含む場合は常にそのTGSRモチーフにアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにBがFERモチーフを含む場合は常にそのFERモチーフにグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含み;且つ
は、0から70個のアミノ酸を含み、第三の種のTdTのC末端からBのC末端アミノ酸まで伸びる第三の種のTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、Bは、BがTGSRモチーフを含む場合は常にそのTGSRモチーフにアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにBがFERモチーフを含む場合は常にそのFERモチーフにグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含み;
ここで、キメラTdTバリアントは、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートを核酸断片に取り込むことができ;
且つ、B、B及びBは、キメラTdTバリアントが350から410個のアミノ酸を有するように選択される]
によって定まるアミノ酸配列と少なくとも80パーセント同一であるアミノ酸配列を含むキメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)バリアントに関する。
本発明はまた、式:
-J-J
[上式中、
は、BRCT様領域を持たないマウスTdTのアミノ酸セグメントであり、そのN末端からVSCモチーフとKMTモチーフの間のアミノ酸位置まで伸び、ここで、JはFMRモチーフにメチオニン又は機能的に同等の残基の置換を、JがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにJがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換をそれぞれ含み;
は、VSCモチーフとKMTモチーフとの間に位置するアミノ酸位置からTGSRモチーフのアミノ酸位置まで伸びる非マウスTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、アミノ酸セグメントは、JがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにJがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換を含み;且つ
は、TGSRモチーフのアミノ酸位置からそのC末端アミノ酸まで伸びるマウスTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、Jは、JがTGSRモチーフを含む場合は常にそのTGSRモチーフにアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにJがFERモチーフを含む場合は常にそのFERモチーフにグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含み;
ここで、キメラTdTバリアントは、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートを核酸断片に取り込むことができ;
且つ、J、J及びJは、キメラTdTバリアントが350から410個のアミノ酸を有するように選択される]
によって定まるアミノ酸配列と少なくとも80パーセント同一であるアミノ酸配列を含むキメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)バリアントに関する。
幾つかの実施態様では、本発明のキメラTdTバリアントは、三つの隣接セグメント、すなわちBRCT様断片を持たないN末端セグメント、内部セグメント及びC末端セグメントを含み、ここで、N末端セグメントとC末端セグメントはそれぞれ第一の種のTdTに由来し、内部セグメントは第二の種のTdTに由来する。幾つかの実施態様では、N末端セグメントと内部セグメントとの間の境界はVSCモチーフにあり、内部セグメントとC末端セグメントとの間の境界はTGSRモチーフにある。他の実施態様では、N末端セグメントと内部セグメントとの間の境界はKMTモチーフにあり、内部セグメントとC末端セグメントとの間の境界はTGSRモチーフにある。他の実施態様では、N末端セグメントと内部セグメントとの間の境界はVSCモチーフにあり、内部セグメントとC末端セグメントとの間の境界はKMTモチーフにある。ここで使用される場合、示されたモチーフにおけるセグメント間の境界の出現は、境界がモチーフ内に、或いはモチーフのN末端アミノ酸からN末端方向に1から15アミノ酸までに、或いはモチーフのC末端アミノ酸からC末端方向に1から15アミノ酸までに位置しうることを意味する。幾つかの実施態様では、そのような境界位置は、モチーフのN末端アミノ酸からN末端方向に1から10アミノ酸、又はモチーフのC末端アミノ酸からC末端方向に1から10アミノ酸でありうる。幾つかの実施態様では、そのような境界位置は、モチーフのN末端アミノ酸からN末端方向に1から5アミノ酸、又はモチーフのC末端アミノ酸からC末端方向に1から5アミノ酸でありうる。幾つかの実施態様では、上記のキメラTdTバリアントのN末端セグメントとC末端セグメントは、それぞれ、マウスTdTバリアントに由来する。幾つかの実施態様では、そのようなマウスセグメントは、表2に記載されるように、一又は複数の変異、或いは複数の変異を受ける。
幾つかの実施態様では、本発明は、以下に記載される単離されたキメラTdTバリアントを含む。
一態様では、本発明は、(a)遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーターを提供する工程;及び(b)(i)伸長条件下で、遊離3’-O-ヒドロキシルを有するイニシエーター又は伸長断片を3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェート及びキメラTdTバリアントと接触させて、イニシエーター又は伸長断片が3’-O-ブロック(且つ任意選択的に塩基保護)ヌクレオシドトリホスフェートの取り込みにより伸長されて3’-O-ブロック伸長断片を形成し、且つ(ii)伸長断片をデブロックして遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片を形成するサイクルを、ポリヌクレオチドが合成されるまで繰り返す工程を含む、本発明のキメラTdTバリアントを使用してポリヌクレオチドを合成する方法に関する。
本発明は更にa)請求項1から20の何れか一項に記載のキメラTdTバリアント、b)一又は複数のヌクレオチド、好ましくは一又は複数の3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェート、及びc)任意選択的に、少なくとも一種の核酸プライマーを含む、ヌクレオチド取り込み反応を実施するためのキットに関する。
図1は、本発明のTdTバリアントを使用するテンプレートフリー酵素核酸合成法の工程を図式的に示している。
本発明のキメラTdTバリアントの構造を図式的に示している。
図3A-3Bは、TdTバリアントM27、M57及びM59での合成中に異なる三量体配列(又は「コドン」)で発生する欠失の割合を示すデータを示している。 上記
本発明は、様々な変形例及び代替形態に適しているが、その詳細は、図面に例として示され、詳しく記載される。意図は、本発明を記載された特定の実施態様に限定することではないことを理解されたい。本発明の精神及び範囲内に入る全ての変形例、均等物、及び代替物を包含することが意図される。本発明の態様に関するガイダンスは、当業者によく知られている多くの入手可能な参考文献及び論文に見出される。
本発明は、キメラTdTバリアントと、3’-O-可逆的ブロックヌクレオシドトリホスフェートを使用する所与の(又は同等に、予め決まった、又はユーザーが決定した)配列のポリヌクレオチドのテンプレートフリー又はテンプレート非依存性の合成におけるそれらの使用に関する。本発明のTdTバリアントは、二以上の異なる生物種、通常は異なる哺乳動物種からの複数のアミノ酸セグメントを含むという意味で「キメラ」である。幾つかの実施態様では、アミノ酸セグメントの複数とは2又は3であり、幾つかの実施態様では、そのようなセグメントは、2つの異なる種から、また他の実施態様では3つの異なる種から選択されうる。すなわち、幾つかの実施態様では、2つ又は3つのセグメントが2つの異なる種から得られる。3つのセグメントが2つの異なる種に由来する場合は常に、第一の種の2つのセグメントが、得られるキメラTdTバリアントのN末端とC末端にあり、第二の種のTdTセグメントはそれらの間に挟まれている。何れの場合も、選択されたセグメントは、3’-O-可逆的ブロックヌクレオシドトリホスフェートに対するキメラTdTバリアントの取り込み活性を高めるアミノ酸置換を以下に示される位置に有するTdTバリアントからのものである。幾つかの実施態様では、異なる種からのセグメント間の境界の位置と本発明のキメラTdTバリアントにおけるアミノ酸置換の位置は、全てのTdTタンパク質、特に哺乳動物TdTタンパク質のアミノ酸配列において生じ、科学文献においてよく知られているか又はここで定義される複数の配列モチーフとの関連で定義される。本発明のキメラTdTバリアントにおけるアミノ酸セグメントの順序付けは、天然TdTに見出される配列モチーフの順序及び数を維持する。すなわち、各天然TdTには、ある順序と数の配列モチーフがある(例えば、N末端からC末端へ:FMR、VSC、GGFRR、KMT、TGSR、FERなど)。本発明の各キメラTdTバリアントは、同じ順序及び数のそのような配列モチーフを有する。
3つの異なる種からの3つのセグメントを含む本発明のキメラTdTバリアントの幾つかの実施態様について図2に示されるように、Bは種1のTdTバリアント(200)、Bは種2のTdTバリアント(202)、及びBは種3のTdTバリアント(204)由来である。本発明のキメラTdTは、例えばDelarue等,EMBO J.,21(3):427-439(2002)のように野生型又は天然に生じるTdTにある約130アミノ酸を典型的には含むN末端BRCT様セグメントを含んでいない。すなわち、本発明の全てのキメラTdTバリアントは、それらのBRCT様セグメント分、N末端が切断されている。幾つかの実施態様では、BセグメントのN末端アミノ酸は、一般的な配列アラインメントツール、例えば、Multalin(Mitchell,Bioinformatics,9(5):614-615(1993))を使用して、その配列を、配列番号:2の切断型マウスTdT又は同様の配列とアラインメントすることによって、全長TdTから容易に決定される。矢印(206a、206b、208a及び208b)で示されるように、セグメントBとBの間及びセグメントBとBの間の境界は、示された配列モチーフの位置によって定義され(且つ矢印によって示され)る示された領域内の異なるキメラTdTバリアントに対して異なりうる:B-B境界はVSCモチーフとKMTモチーフの間の任意のアミノ酸位置に位置し得、B-B境界はDRRモチーフ(又は均等にC末端から約70アミノ酸のアミノ酸位置)とキメラTdTバリアントのC末端の間の任意のアミノ酸位置に位置しうる。すなわち、幾つかの実施態様では、セグメントBは、ゼロのアミノ酸を含みうるか、言い換えれば、実施態様が2つの異なる種からの2つのセグメントのみからなるように存在しない場合がある。
ここで使用される周知のTdT配列モチーフには、(全長マウスTdT、例えば、配列番号:1に関して測定される)330-340アミノ酸セグメントに又はその近くに位置するGGFRR(又はTGGFRRG)モチーフと(再び、全長マウスTdT、例えば、配列番号:1に関して測定される)450-460アミノ酸セグメントに又はその近くに位置するTSGRモチーフが含まれる。これらと更なる配列モチーフFRM(配列番号:1に関して185-195アミノ酸セグメントの近くに位置)、VSC(配列番号:1に関して295-305アミノ酸セグメントの近くに位置)、KMT(配列番号:1に関して335-345アミノ酸セグメントの近くに位置)及びFER(配列番号:1に関して450-465アミノ酸セグメントの近くに位置)が本発明の幾つかの実施態様を定めるために使用される。或いは、KMTモチーフにおけるアミノ酸置換は、(配列番号:1に関してアミノ酸セグメント34-345に又はその近くに位置する)GGFRRモチーフとGHDモチーフとの間のセグメント内のアミノ酸置換として同等に定義されうる。幾つかの実施態様では、KMTモチーフは、代替的に、例えばDelarue等(上に引用)など、TGGFRRGモチーフとGHDモチーフ(非包括的)との間のアミノ酸セグメントとして定義されうる。他の実施態様では、KMTモチーフは、KMT、KKI、KKM、KEF、KKV、KKL及びKKTからなる群から選択される、TGGFRRGモチーフとGHDモチーフとの間の3アミノ酸セグメントである。幾つかの実施態様では、FMRモチーフは、FMR、FLR及びYMRからなる群から選択される185-200アミノ酸セグメント(配列番号:1に関して)に又はその近くに位置する3アミノ酸セグメントである。幾つかの実施態様では、VSCモチーフは、VSC、IDC、ISS、TSY、SKA、SKP、SRA及びASCからなる群から選択されるアミノ酸セグメント295-305(配列番号:1に関して)に又はその近くに位置する3アミノ酸セグメントである。幾つかの実施態様では、TGSRモチーフは、TGSR、TGSP及びSGSRからなる群から選択されるアミノ酸セグメント445-460(配列番号:1に関して)に又は近くに位置する4アミノ酸セグメントである。幾つかの実施態様では、FERモチーフは、FER及びFGRからなる群から選択されるアミノ酸セグメント454-460(配列番号:1に関して)に又はその近くに位置する3アミノ酸セグメントである。配列モチーフに関して使用される場合、幾つかの実施態様では、「近く」又は「に」という用語は、示された範囲又はモチーフの15アミノ酸以内、或いは示された範囲又はモチーフの10アミノ酸以内を意味する。様々なモチーフの位置はTdTの種毎に異なりうるが、TdTアミノ酸配列に沿ったモチーフの順序は全ての種に対して同じであり、配列モチーフのペア間の相対的間隔(アミノ酸単位で)は、次の表1に選択されたモチーフに対して示されているように、高度に保存されている。従って、モチーフは、本発明のキメラTdTを作製するアミノ酸セグメントを定義するための有用なマイルストーンである。
Figure 2023506760000001
幾つかの実施態様では、本発明のキメラTdTバリアントは、式:
-B-B
によって定まるアミノ酸配列と少なくとも80パーセント同一であるアミノ酸配列を有し、上式中、
は、BRCT様領域を持たない第一の種のTdTのアミノ酸セグメントであり、そのN末端からそのVSCモチーフとそのKMTモチーフの間のアミノ酸位置まで伸び、ここで、BはそのFMRモチーフにメチオニン又は機能的に同等の残基の置換を、BがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン(N末端からC末端)又は機能的に同等の残基の置換を、並びにBがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換をそれぞれ含み;
は、BのC末端から第二の種のTdTのC末端まで、又はBが一又は複数のアミノ酸を含む場合は常にBのN末端まで伸びる第二の種のTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、Bは、BがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換を、BがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、BがTGSRモチーフを含む場合は常にそのTGSRモチーフにアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにBがFERモチーフを含む場合は常にそのFERモチーフにグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含み;且つ
は、0から70個のアミノ酸を含み、第三の種のTdTのC末端からBのC末端アミノ酸まで伸びる第三の種のTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、Bは、BがTGSRモチーフを含む場合は常にそのTGSRモチーフにアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにBがFERモチーフを含む場合は常にそのFERモチーフにグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含み;且つ、キメラTdTバリアントは、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートを核酸断片に取り込むことができ;且つ、B、B及びBは、キメラTdTバリアントが350から410個のアミノ酸を有するように選択される。
幾つかの実施態様では、上に記載したキメラTdTバリアントは、配列番号:2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、27、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40及び41からなる群のアミノ酸配列から選択されるB、B及びBセグメントを有し、ここで、各Bセグメントは、(i)FMRモチーフ内のメチオニン又はその機能的に同等の残基の置換が、配列番号:2、3、4、6、7、8、11、12及び13に関して63位;配列番号:5に関して62位;配列番号:9に関して64位;配列番号:10、26、28、29、30、32、33、34、36、37、38及び39に関して61位;配列番号:14に関して66位;配列番号:15に関して47位;配列番号:27、31、35及び40に関して48位にあり;(ii)VSCモチーフ内のバリン又はその機能的に同等の残基の置換が、配列番号:2、3、4、6、7、8、11及び12に関して171位;配列番号:5、32、33、34、36、37、38、39及び41に関して170位;配列番号:9に関して172位;配列番号:10、28、29、30、32、33、34、36、37、38、38及び41に関して169位;配列番号:13に関して180位;配列番号:14に関して174位;配列番号:15に関して154位;配列番号:26に関して168位;配列番号:27、35及び40に関して156位;配列番号:31に関して157位にあり;(iii)前記VSCモチーフ内のセリン又はその機能的に同等の残基の置換が、配列番号:2、3、4、6、7、8、11及び12に関して172位;配列番号:5に関して171位;配列番号:9に関して173位;配列番号:10、28、29、30に関して170位;配列番号;13に関して181位;配列番号:14に関して175位;及び配列番号:15に関して155位;配列番号:26に関して169位及び配列番号:27、31、35及び40に関して157位にあり;(iv)前記VSCモチーフ内のシステイン又はその機能的に同等の残基の置換が、配列番号:2、3、4、6、7、8、11及び12に関して173位;配列番号:5に関して172位;配列番号:9に関して174位;配列番号:10、28、29、30、32、33、34、37、38、39及び41に関して171位;配列番号:13に関して182位;配列番号:14に関して176位;配列番号:26に関して170位;配列番号:27、31、35、36及び40に関して158位;及び配列番号:15に関して156位にあり;且つ各Bセグメントは、前記GGFRRモチーフ内の第二のアルギニン又はその機能的に同等の残基の置換が、配列番号:2、3、4、6、7、8、11及び12に関して207位;配列番号:5に関して206位;配列番号:9に関して208位;配列番号:10、28、29、30、32、33、34、36、37、38、39及び41に関して205位;配列番号:26に関して204位;配列番号:27、31、35及び40に関して192位;配列番号:13に関して216位;配列番号:14に関して210位;配列番号:15に関して190位にあり;且つ、各Bセグメント(又は幾つかの実施態様ではBセグメント)は、(i)前記TGSRモチーフのアルギニン又は機能的に同等の残基の置換が、配列番号:2、7、8、12及び33に関して325位;配列番号:3、4、29及び32に関して324位;配列番号:5に関して320位;配列番号:6に関して331位;配列番号:9及び26に関して326位;配列番号:28、30に関して327位;配列番号:10に関して323位;配列番号:11及び14に関して328位;配列番号:13に関して338位;配列番号:27、31に関して314位;配列番号:35に関して310位;配列番号:31に関して311位;配列番号:32に関して321位;配列番号:33、34に関して322位;配列番号:36、37、38、39及び41に関して323位;配列番号:40に関して309位;及び配列番号:15に関して308位にあり;且つ(ii)FERモチーフのグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換が、配列番号:2、7、8及び12に関して328位;配列番号:3、4及び29に関して327位;配列番号:5に関して323位;配列番号:6に関して334位;配列番号:9及び26に関して329位;配列番号:10、36、37、38、39及び41に関して326位;配列番号:11及び14に関して331位;配列番号:13に関して341位;配列番号:27に関して317位;配列番号:28及び30に関して330位;配列番号:40に関して312位;配列番号:35に関して313位;配列番号:31に関して314位;配列番号:32に関して324位;配列番号:33及び34に関して325位:及び配列番号:15に関して311位にある。
幾つかの実施態様では、本発明のキメラTdTバリアントは、(i)R又はQであるFMRモチーフにおけるメチオニン又は機能的に同等の残基の置換;(ii)L又はNであるGGFRRモチーフの第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換;及び(iii)G、R、P、A、V、S、N、Q、又はDであり、或いは幾つかの実施態様ではG又はRであるVSCモチーフにおけるシステイン又は機能的に同等の残基の置換;(iv)P、N又はAである前記TGSRモチーフにおけるアルギニン又は機能的に同等の残基の置換;及び(v)N、L、T、又はSである前記FERモチーフにおけるグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含む。
幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたB-B-Bアミノ酸配列と少なくとも80パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたB-B-Bアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたB-B-Bアミノ酸配列と少なくとも95パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は少なくとも97パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は少なくとも98パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は少なくとも99パーセントの同一性である。
幾つかの実施態様では、キメラTdTバリアントは、B及びBが上記のようにマウスTdTバリアントに由来し、Bが上記のようにウシTdTバリアントに由来する、マウス及びウシTdTバリアントのキメラを含む。特に、本発明のキメラTdTバリアントは、マウスTdTバリアントM53(配列番号:21)とウシTdTバリアントM54(配列番号:22)から得られたB、B及びBセグメントを含みうる。幾つかのそのようなキメラTdTバリアントでは、B及びBはM53に由来し、BはM54に由来する。
幾つかの実施態様では、キメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)バリアントは、アミノ酸の3つのセグメント、すなわち(a)N末端からVSCモチーフの位置まで伸びる(そのBRCT様断片を持たない)マウスTdTのN末端セグメント、(b)VSCモチーフの位置からTGSRモチーフのN末端方向の約5-15アミノ酸まで(又はTGSRモチーフの位置まで)伸びる非マウスTdTの中央又は内部セグメント、及び(c)TGSRモチーフからN末端方向に5-15アミノ酸の位置からマウスTdTセグメントのC末端まで伸びるマウスTdTからのC末端セグメントを含む。
幾つかの実施態様では、キメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)バリアントは、式:
-J-J
によって定まるアミノ酸配列と少なくとも80パーセント同一であるアミノ酸配列を含み、上式中、
は、BRCT様領域を持たないマウスTdTのアミノ酸セグメントであり、そのN末端からそのVSCモチーフとそのKMTモチーフの間のアミノ酸位置まで伸び、ここで、JはFMRモチーフにメチオニン又は機能的に同等の残基の置換を、JがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにJがVSCモチーフを含む場合は常にVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換をそれぞれ含み;
は、VSCモチーフとKMTモチーフとの間に位置するアミノ酸位置からTGSRモチーフのアミノ酸位置まで伸びる非マウスTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、アミノ酸セグメントは、JがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、JがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換を含み;且つ
は、TGSRモチーフのアミノ酸位置からそのC末端アミノ酸まで伸びるマウスTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、Jは、JがTGSRモチーフを含む場合は常にそのTGSRモチーフにアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、JがFERモチーフを含む場合は常にそのFERモチーフにグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含み;ここで、キメラTdTバリアントは、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートを核酸断片に取り込むことができる。上記のように、J、J及びJは、キメラTdTバリアントが350から410個のアミノ酸を有するように選択される。
幾つかの実施態様では、そのようなキメラTdTバリアントは、式:
-J-J
によって定まるアミノ酸配列と少なくとも80パーセント同一であるアミノ酸配列を含み、上式中、
は、配列番号:42、71、73又は82から選択されるアミノ酸配列を有するアミノ酸セグメントであり;
は、それぞれ35位にアルギニンの置換を有する、配列番号:44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69又は70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアミノ酸セグメントであり;且つ
は、配列番号:43に関して12位にアルギニン及び15位にグルタミン酸の置換を有する、配列番号:43のアミノ酸配列、或いは配列番号:72のアミノ酸配列を有するアミノ酸セグメントであり;ここで、キメラTdTバリアントは、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートを核酸断片に取り込むことができる。
幾つかの実施態様では、Jは、配列番号:82のアミノ酸配列を有するアミノ酸セグメントであり;Jは、配列番号:52、53、54、55、56、57、58、59、62及び63からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアミノ酸セグメントであり;且つJは、配列番号:43に関して12位にアルギニン及び15位にグルタミン酸の置換を有する、配列番号:43のアミノ酸配列、或いは配列番号:72のアミノ酸配列を有するアミノ酸セグメントである。
幾つかの実施態様では、配列番号:42のアミノ酸配列は、63位にメチオニンの置換を更に有し;配列番号:44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69及び70のアミノ酸配列はそれぞれ1位にシステインの置換を更に有し;且つ配列番号:43のアミノ酸配列は38位にアルギニンの置換を更に有する。
更なる実施態様では、63位でのメチオニンの置換はR又はQであり、35位でのアルギニンの置換はL又はNであり、1位でのシステインの置換はG又はRである。
幾つかの実施態様では、Jは、配列番号:52、53、54、55、56、57、58、59、62、63、64、65、66、67、69又は70などの哺乳動物のTdTから選択されるアミノ酸配列を有するアミノ酸セグメントである。幾つかの実施態様では、Jは、配列番号:58などのウシTdTから選択されるアミノ酸セグメントである。
更なる実施態様では、配列番号:42のアミノ酸配列は、17位にアラニン、52位にロイシン、57位にグリシン、63位にメチオニン及び108位にアラニンの置換を更に有する。
幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたJ-J-Jアミノ酸配列と少なくとも80パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたJ-J-Jアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたJ-J-Jアミノ酸配列と少なくとも95パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたJ-J-Jアミノ酸配列と少なくとも97パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたJ-J-Jアミノ酸配列と少なくとも98パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたJ-J-Jアミノ酸配列と少なくとも99パーセントの同一性である。
上記実施態様の発明は、上記キメラTdTバリアントJ-J-Jが、以下に記載されるように、一般的なサーマルシフトアッセイに基づき、M57(配列番号:23)などの以前のTdTバリアントよりも高い熱安定性を有しているという本出願人による発見に部分的に基づいている。幾つかの実施態様では、そのような熱安定性の増加は、1-2℃の範囲にある。
更なる実施態様では、キメラTdTバリアントは、式:
-R-R
によって定まるアミノ酸配列と少なくとも90パーセント同一であるアミノ酸配列を含み、上式中、
は、N末端からVSCモチーフの位置まで伸びるBRCT様断片を持たないマウスTdTのアミノ酸セグメントであり;
は、VSCモチーフの位置からTGSRモチーフの位置まで伸びる非マウスTdTのアミノ酸セグメントであり、RのGGFRRモチーフの第二のアルギニンは置換されており;且つ
は、TGSRモチーフの位置からC末端まで伸びるマウスTdTのアミノ酸セグメントであり、TGSRモチーフのアルギニンが置換され、RのFERモチーフのグルタミン酸が置換されており;且つキメラTdTバリアントは、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートを核酸断片に取り込むことができる。
幾つかの実施態様では、RのC末端アミノ酸は、VSCモチーフの第二のアミノ酸であり;RのN末端アミノ酸はVSCモチーフの第三のアミノ酸であり;RのC末端アミノ酸はTGSRモチーフからN末端方向に5から10アミノ酸の領域にある。
幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、示されたR-R-Rアミノ酸配列と少なくとも95パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも97パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも98パーセントの同一性であり;幾つかの実施態様では、上記の同一性パーセント値は、少なくとも99パーセントの同一性である。
幾つかの実施態様では、キメラTdTバリアントは、マウスTdT由来の少なくとも一つのアミノ酸セグメントとウシTdT由来の少なくとも一つのアミノ酸配列を含む。そのようなキメラTdTバリアントには、配列番号:74(HisタグなしのM57-N27-8-13c7)、配列番号:75(Hisタグなしの46-557)、配列番号:76(Hisタグなしの46-342)、配列番号:77(Hisタグなしの46-571)、配列番号:78(HisタグなしのM92)、配列番号:79(HisタグなしのM93)、配列番号:80(HisタグなしのM94)及び配列番号:81(HisタグなしのM88)を含むTdTが含まれる。本出願人は、以下に記載されるように、一般的なサーマルシフトアッセイに基づいて、上記キメラTdTバリアントが、M57(配列番号:23)などの以前のTdTバリアントよりも高い熱安定性を有していることを発見した。幾つかの実施態様では、そのような熱安定性の増加は、1-2℃の範囲にある。
本発明のキメラTdTバリアントは、選択されたアミノ酸の変異を追加的に受ける複数の異なる種由来のアミノ酸セグメントを含みうる。例えば、次の種のTdTから構築されたキメラTdTバリアントは、次の表に記載されるように、一以上の、又は複数の変異を受けうる:
Figure 2023506760000002
Figure 2023506760000003
本発明のキメラTdTバリアントは、示された置換の存在を条件として、特定された配列番号における所与のセグメントの配列同一性パーセントを有するアミノ酸セグメントを含みうる。幾つかの実施態様では、このように記載される本発明のキメラTDTバリアントと特定された配列番号との間の配列差の数及びタイプは、置換、欠失及び/又は挿入に起因し得、置換、欠失及び/又は挿入されたアミノ酸は、任意のアミノ酸を含みうる。幾つかの実施態様では、そのような欠失、置換及び/又は挿入は、天然に生じるアミノ酸のみを含む。幾つかの実施態様では、置換は、Grantham,Science,185:862-864(1974)に記載されているように、保存的又は同義のアミノ酸変化のみを含む。つまり、アミノ酸の置換は、その同義アミノ酸セットのメンバー間でのみ起こりうる。幾つかの実施態様では、用いられうる同義アミノ酸のセットは、表3Aに示される。
Figure 2023506760000004
幾つかの実施態様では、用いられうる同義アミノ酸のセットは、表3Bに示される。
Figure 2023506760000005
[ヌクレオチド取り込み活性の測定]
本発明のバリアントによるヌクレオチド取り込みの効率は、例えば、Boule等(以下に引用);Bentolila等(以下に引用);及びHiatt等の米国特許第5808045(後者は、ここに出典明示により援用される)に記載されるような、伸長、又はエロンゲーションアッセイによって測定されうる。簡潔に述べれば、そのようなアッセイの一形態では、遊離3’-ヒドロキシルを有する蛍光標識オリゴヌクレオチドを、TdT伸長条件下で可逆的にブロックされたヌクレオシドトリホスフェートの存在下で予め決まった期間にわたって、試験されるバリアントTdTと反応させ、その後に伸長反応を停止させ、伸長産物と非伸長イニシエーターオリゴヌクレオチドの量を、ゲル電気泳動による分離後に定量する。そのようなアッセイにより、バリアントTdTの取り込み効率を、他のバリアントの効率又は野生型若しくは参照TdT若しくは他のポリメラーゼの効率と容易に比較することができる。幾つかの実施態様では、バリアントTdT効率の尺度は、等価なアッセイにおける野生型TdTを使用した伸長産物の量に対するバリアントTdTを使用した伸長産物の量の比(百分率として与えられる)でありうる。
幾つかの実施態様では、次の特定の伸長アッセイを使用して、TdTの取り込み効率を測定することができる:使用されるプライマーは次の通りである:
5’-AAAAAAAAAAAAAAGGGG-3’(配列番号:20)
また、プライマーは、5’端にATTO蛍光色素を有する。使用される代表的な改変ヌクレオチド(表4にdNTPとして示す)には、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシヌクレオチド-5’-トリホスフェート(ONH2,Firebird Biosciences)、例えば3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-トリホスフェートなどが含まれる。試験されるそれぞれの異なるバリアントについて、一つのチューブを反応に使用する。試薬を、水から開始し、ついで、表4の順でチューブに添加する。37℃で30分後、ホルムアミド(Sigma)の添加によって反応を停止させる。
Figure 2023506760000006
活性緩衝液は、例えば、CoClを補充したTdT反応緩衝液(New England Biolabsから入手可能)を含む。
アッセイの生成物を、一般的なポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析する。例えば、上記アッセイの生成物は、16パーセントのポリアクリルアミド変性ゲル(Bio-Rad)において分析されうる。ゲルは、分析直前に、ポリアクリルアミドをガラスプレートの内側に注ぎ、それを重合させることによって作製される。ガラスプレート内側のゲルを、電気泳動工程のためのTBE緩衝液(Sigma)を満たした適合タンクにマウントする。分析される試料を、ゲルの上部にロードする。500から2000Vの電圧を、ゲルの上部と下部との間に室温において3から6時間印加する。分離後、ゲルの蛍光を、例えば、Typhoonスキャナー(GE Life Sciences)を使用してスキャンする。ImageJソフトウェア(imagej.nih.gov/ij/)又はその同等物を使用してゲル画像を解析して、改変ヌクレオチドの取り込み率を計算する。
[ヘアピン完了アッセイ] 一態様では、本発明は、TdTバリアントなどのポリメラーゼが、ポリヌクレオチド(すなわち、「試験ポリヌクレオチド」)の3’末端上にdNTPを取り込む能力を測定する方法を含む。一つのそのような方法は、試験ポリヌクレオチドに、それが実質的に一本鎖のみであるが、TdTバリアントなどのポリメラーゼを用いて伸長させると、一本鎖ループと二本鎖ステムを含む安定なヘアピン構造を形成する反応条件下で、遊離3’ヒドロキシルを提供することを含み、それにより、二本鎖ポリヌクレオチドの存在によって3’末端の伸長の検出が可能になる。二本鎖構造は、限定されないが、二本鎖構造中への挿入時に優先的に蛍光を発する蛍光色素、伸長したポリヌクレオチド上のアクセプター(又はドナー)と新たに形成されたヘアピンステムと三重鎖を形成するオリゴヌクレオチド上のドナー(又はアクセプター)との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、両方が試験ポリヌクレオチドに結合し、ヘアピン形成時にFRET近傍にもたらされるFRETアクセプター及びドナーなどを含む様々な方法で検出されうる。幾つかの実施態様では、単一ヌクレオチドによる伸長後の試験ポリヌクレオチドのステム部分は、4から6塩基対長の範囲にあり;他の実施態様では、そのようなステム部分は4から5塩基対長であり;更に他の実施態様では、そのようなステム部分は4塩基対長である。幾つかの実施態様では、試験ポリヌクレオチドの長さは、10から20ヌクレオチドの範囲であり;他の実施態様では、試験ポリヌクレオチドの長さは、12から15ヌクレオチドの範囲である。幾つかの実施態様では、伸長のないステムと伸長を伴うステムとの間の融解温度の差を最大にするヌクレオチドを用いて試験ポリヌクレオチドを伸長させることが有利又は簡便であり;従って、幾つかの実施態様では、試験ポリヌクレオチドは、dC又はdGを用いて伸長される(従って、試験ポリヌクレオチドは、ステム形成に適切な相補的ヌクレオチドを有するように選択される)。
ヘアピン完了アッセイのための例示的な試験ポリヌクレオチドには、dGTPを用いた伸長によって完了するp875(5’-CAGTTAAAAACT)(配列番号:16);dCTPを用いた伸長によって完了するp876(5’-GAGTTAAAACT)(配列番号:17);及びdGTPを用いた伸長によって完了するp877(5’-CAGCAAGGCT)(配列番号:18)が含まれる。そのような試験ポリヌクレオチドのための例示的な反応条件は、2.5-5μMの試験ポリヌクレオチド、1:4000希釈のGelRed(登録商標)(Biotium,Inc.,Fremont,CAの挿入色素)、200mMのカコジラートKOH(pH6.8)、1mMのCoCl、0-20%のDMSO、並びに所望の濃度の3’ONH dGTP及びTdTを含みうる。ヘアピンの完了は、360nmに設定した励起フィルターセットと635nmに設定した発光フィルターセットを使用した反応温度28-38℃でのTECANリーダーなどの一般的な蛍光光度計を使用して、GelRed(登録商標)色素の蛍光の増加によってモニターされうる。
本発明のこの態様の幾つかの実施態様では、TdTバリアントは、次の工程によってヌクレオシドトリホスフェートをテンプレートなしで取り込むその能力について試験されうる:(a)遊離3’-ヒドロキシルを有する試験ポリヌクレオチド、TdTバリアント、及びヌクレオシドトリホスフェートを、試験ポリヌクレオチドが一本鎖であるが、ヌクレオシドトリホスフェートの取り込み時に、二本鎖ステム領域を有するヘアピンを形成する条件下で組み合わせる工程、及び(b)TdTバリアントがヌクレオシドトリホスフェートを取り込む能力の尺度として、形成された二本鎖ステム領域の量を検出する工程。幾つかの実施態様では、ヌクレオシドトリホスフェートは、3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートである。
[TdTバリアントの安定性の測定]
タンパク質の安定性の増加は、様々な方法で測定することができる。蛍光ベースのサーマルシフトアッセイは、その単純さと低コストのため、このような測定に対して特に有用である。サーマルシフトアッセイとタンパク質安定性の測定へのそれらの応用を記載する例示的な参考文献は、次の通りである:Pantoliano等,J.Biomolecular Screening,6(6):429-440(2001);Huynh等,Curr.Protocol.Protein Science,79:28.9.1-28.9.14;Ericsson等,Anal.Biochem.,357:289-298(2006);Niesen等,Nature Protocols,2(9):2212-2221(2007);及びPantoliano等の米国特許第6020141号(後者は出典明示によりここに援用される)。このようなアッセイの概念的基礎は、疎水性蛍光プローブへの曝露により、フォールドタンパク質とアンフォールドタンパク質を区別できることである。このようなプローブは水溶液でクエンチされるが、アンフォールディングタンパク質の露出した疎水性内部に優先的に結合し、クエンチングが急激に減少するため、容易に検出される蛍光発光を温度の関数として研究することができる。熱的に誘発されたアンフォールディングは、フォールド状態とアンフォールド状態の間に鋭い遷移がある典型的な二状態モデルに従う不可逆的なアンフォールディングプロセスであり、融解温度(Tm)は、タンパク質アンフォールディング遷移の温度の中間点として定義される。このようないわゆる「サーモフルオロ」法で得られる融解温度は、円二色性(CD)、濁度測定、及び示差走査熱量測定など、タンパク質安定性を測定するために使用される他の生物物理学的方法によって決定された値と、幾つかのタンパク質についてよく相関することが示されている。
室温での低蛍光は、十分に折り畳まれたタンパク質を示す。蛍光発光は温度の上昇と共に増加し、タンパク質の協調的なアンフォールディングを表すシグモイド曲線を生じる。得られたシグモイド曲線をボルツマン方程式に当てはめて、アンフォールディング遷移の中間点で起こる融解温度を特定することができる;或いは、Tmは、温度の関数として蛍光発光の一次導関数(-dF/dT)をプロットすることによって簡単に同定され、ここで、Tmは曲線の最小値に対応する(Huynh等(上に引用))。
様々な蛍光色素を使用することができ、直接又はアッセイキットのパーツとして市販されている。例示的な蛍光色素はSYPROオレンジである。一般的なリアルタイムPCR装置は、温度制御と蛍光検出に使用できる。典型的には、緩衝液、塩濃度と組成、及びその他の添加剤、例えばDMSOの選択は、TdTバリアントを使用したDNA合成反応の取り込み又はカップリング条件に対応してなされる。例示的なカップリング条件を以下に与える。
上記のように、幾つかの実施態様では、N切断TdTバリアントの特定の位置での安定化アミノ酸置換(又は同等に、安定化アミノ酸)は、安定化アミノ酸置換を除いて、同じアミノ酸配列のTdTの融解温度に対して少なくとも1℃だけ前記TdTバリアントの融解温度を上昇させるアミノ酸置換であり、融解温度は蛍光ベースのサーマルシフトアッセイによって決定される。幾つかの実施態様では、そのようなアッセイは、SYPROオレンジ色素を使用する。また更なる実施態様では、そのようなアッセイの反応条件は、カップリング反応条件を含む。更なる実施態様では、そのような安定化アミノ酸置換は、TdTバリアントの融解温度を1.5℃上昇させる。
幾つかの実施態様では、融解温度は、次の溶液中でのサーマルシフトアッセイを用いて測定される:SYPROオレンジ色素を含む0.5カコジラートKOH緩衝液(pH7.4)。色素及びタンパク質濃度の幾つかの常套的最適化が、アッセイのために行われる場合があり、例えばそのような最適化のガイダンスは、上で引用した参考文献、特にHuynh等(上で引用)に提供されている。
[テンプレートフリー酵素合成]
ポリヌクレオチドのテンプレートフリー酵素合成は、例えば、Ybert等の国際特許公開第2015/159023号;Ybert等の国際特許公開第2017/216472号;Hymanの米国特許第5436143号;Hiatt等の米国特許第5763594号;Jensen等,Biochemistry,57:1821-1832(2018);Mathews等,Organic & Biomolecular Chemistry,DOI:0.1039/c6ob01371f(2016);Schmitz等,Organic Lett.,1(11):1729-1731(1999)など、3’-O-ブロックデオキシヌクレオシドトリホスフェート(3’-O-ブロックdNTP)の取り込みにおける効率の向上又は温度安定性の向上などのような改善された特性を有するように改変されたそのバリアントを含む、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)などのテンプレートフリーポリメラーゼを使用する様々な既知のプロトコルによって行うことができる。
幾つかの実施態様では、酵素によるDNA合成法は、図1に示されるなど、予め決まったヌクレオチドが各サイクルで付加される、工程の反復サイクルを含む。例えば、遊離3’-ヒドロキシル基(103)を有する、固体支持体(102)に結合したイニシエーターポリヌクレオチド(100)が提供される。イニシエーターポリヌクレオチド(100)(又はその後のサイクルで伸長されたイニシエーターポリヌクレオチド)に、イニシエーターポリヌクレオチド(100)(又は伸長されたイニシエーターポリヌクレオチド)の3’末端上に3’-O-保護dNTPを酵素的に取り込むのに効果的な条件(104)下で、3’-O-保護dNTP及びTdTバリアントを付加する。この反応により、その3’-ヒドロキシルが保護された伸長したイニシエーターポリヌクレオチド(106)が産生される。伸長したイニシエーターポリヌクレオチドが競合配列を含む場合、3’-O-保護基が除去され、すなわち脱保護され、所望の配列が元のイニシエーターポリヌクレオチドから切断される。そのような切断は、様々な一本鎖切断技術のうちの何れかを使用して、例えば、元のイニシエーターポリヌクレオチド内の予め決まった位置に切断可能なヌクレオチドを挿入することによって、行うことができる。例示的な切断可能なヌクレオチドは、ウラシルDNAグルコシラーゼによって切断されるウラシルヌクレオチドでありうる。伸長したイニシエーターポリヌクレオチドが完了した配列を含まない場合、3’-O-保護基が除去されて遊離3’-ヒドロキシル(103)を露出させ、伸長したイニシエーターポリヌクレオチドがヌクレオチド付加及び脱保護の別のサイクルに供される。
ここで使用される場合、ヌクレオチド又はヌクレオシドの3’-ヒドロキシルなどの特定の基に関しての「保護」及び「ブロック」という用語は、交換可能に使用され、特定の基に化学的又は酵素的プロセス中に基への化学変化を防ぐ部分が共有結合していることを意味するものである。特定の基がヌクレオシドトリホスフェートの3’-ヒドロキシル、又は3’保護(又はブロック)-ヌクレオシドトリホスフェートが取り込まれた伸長断片(又は「伸長中間体」)である場合は常に、防止される化学変化は、酵素カップリング反応による伸長断片(又は「伸長中間体」)の更なる、若しくはその後の、伸長である。
幾つかの実施態様では、各合成工程において3’-O-可逆的ブロックdNTPの存在下でTdTを使用して、ヌクレオチドの整列配列をイニシエーター核酸にカップリングする。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドを合成する方法は、(a)遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーターを提供する工程;(b)伸長条件下、遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーター又は伸長中間体をTdTと、3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートの存在下で反応させて3’-O-ブロック伸長中間体を産生する工程;(c)伸長中間体をデブロックして遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長中間体を産生する工程;及び(d)ポリヌクレオチドが合成されるまで工程(b)及び(c)を繰り返す工程を含む。(時折、「伸長中間体」は、「エロンゲーション断片」とも称される)。幾つかの実施態様では、イニシエーターは、例えば、その5’末端が固体支持体に結合されたオリゴヌクレオチドとして提供される。また、上記の方法は、反応、すなわち伸長工程後、並びにデブロッキング工程後に、洗浄工程を含みうる。例えば、反応工程は、予め決まったインキュベーション期間、又は反応時間後に、例えば洗浄によって、非取り込みヌクレオシドトリホスフェートを除去するサブ工程を含みうる。そのような予め決まったインキュベーション期間又は反応時間は、数秒間、例えば、30秒から数分、例えば、30分でありうる。
また、上記方法は、反応、又は伸長工程後、並びにデブロッキング工程後に、キャッピング工程並びに洗浄工程を含みうる。上記のように、幾つかの実施態様では、非伸長遊離3’-ヒドロキシルが、キャッピングされた鎖の如何なる更なる伸長も防止する化合物と反応させるキャッピング工程が含まれうる。幾つかの実施態様では、そのような化合物は、ジデオキシヌクレオシドトリホスフェートでありうる。他の実施態様では、遊離3’-ヒドロキシルを有する非伸長鎖は、3’-エキソヌクレアーゼ活性、例えば、ExoIでの処理によって分解されうる。例えば、Hymanの米国特許第5436143号を参照のこと。同様に、幾つかの実施態様では、デブロックが失敗した鎖は、鎖を除去するか、更なる伸長に不活性になるように処理されうる。
オリゴヌクレオチドの連続合成を含む幾つかの実施態様では、キャッピングが等モル量の複数のオリゴヌクレオチドの産生を防止しうるので、キャッピング工程は望ましくない場合がある。キャッピングがない場合、配列には欠失エラーが均一に分布するが、複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれが等モル量で存在する。これは、非伸長断片がキャッピングされる場合にはそうではない。
幾つかの実施態様では、伸長又はエロンゲーション工程のための反応条件は、次を含みうる:2.0μMの精製TdT;125-600μMの3’-O-ブロックdNTP(例えば、3’-O-NH-ブロックdNTP);約10から約500mMのカコジル酸カリウム緩衝液(pH6.5と7.5の間)、及び約0.01から約10mMの二価カチオン(例えば、CoC1又はMnC1)、ここで、エロンゲーション反応は、50μLの反応体積中、室温から45℃までの範囲内の温度において3分間実施されうる。3’-O-ブロックdNTPが3’-O-NH-ブロックdNTPである実施態様では、デブロッキング工程のための反応条件は、次を含みうる:700mMのNaNO;1Mの酢酸ナトリウム(酢酸を用いて4.8-6.5の範囲のpHに調整)、ここで、デブロッキング反応は、50μLの体積中、室温から45℃までの範囲内の温度において30秒間から数分間実施されうる。
特定の適用に応じて、デブロッキング及び/又は切断工程は、様々な化学的又は物理的条件、例えば、光、熱、pH、特定の化学結合を切断することができる酵素などの特異的試薬の存在を含みうる。3’-O-ブロッキング基と対応するデブロッキング条件の選択における指針は、出典明示により援用される次の参考文献に見出されうる:米国特許第5808045号;米国特許第8808988号;国際特許公開第91/06678号;及び以下に引用した参考文献。幾つかの実施態様では、切断剤(しばしば、デブロッキング試薬又はデブロッキング剤とも呼ばれる)は、化学的切断剤、例えば、ジチオトレイトール(DTT)などである。別の実施態様では、切断剤は、3’-ホスフェートブロッキング基を切断しうる酵素切断剤、例えば、ホスファターゼなどでありうる。デブロッキング剤の選択が、使用される3’-ヌクレオチドブロッキング基のタイプ、一又は複数のブロッキング基が使用されるかどうか、イニシエーターが生細胞若しくは生物又は固体支持体などに結合されるかどうか(これは穏やかな処理に必要)などに依存することが当業者には理解される。例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などのホスフィンを使用して3’O-アジドメチル基を切断することができ、パラジウム錯体を使用して3’O-アリル基を切断することができ、或いは、亜硝酸ナトリウムを使用して3’O-アミノ基を切断することができる。特定の実施態様では、切断反応は、TCEP、パラジウム錯体又は亜硝酸ナトリウムを含む。
上述の通り、幾つかの実施態様では、オルソゴナルなデブロッキング条件を使用して除去されうる二以上のブロッキング基を用いることが望ましい。次の例示的なブロッキング基の対(表5)を、上述したもののような並行合成実施態様で使用できる。他のブロッキング基の対又は二を超えて含む基が、本発明のこれらの実施態様での使用に対して利用可能でありうると理解される。
Figure 2023506760000007
生細胞でオリゴヌクレオチドを合成するには、穏やかなデブロッキング又は脱保護条件、すなわち細胞膜を破壊せず、タンパク質を変性させず、重要な細胞機能に干渉しない等の条件が必要である。幾つかの実施態様では、脱保護条件は、細胞生存に適合する生理学的条件の範囲内にある。そのような実施態様では、酵素的脱保護が、生理学的条件下で実施されうるので望ましい。幾つかの実施態様では、特異的な酵素的に除去可能なブロッキング基が、その除去に特異的な酵素に関連する。例えば、エステル又はアシルベースのブロッキング基は、アセチルエステラーゼなどのエステラーゼ又は類似の酵素を用いて除去され得、リン酸ブロッキング基は、T4ポリヌクレオチドキナーゼなどの3’ホスファターゼを用いて除去されうる。例として、3’-O-ホスフェートは、100mMのTris-HCl(pH6.5)、10mMのMgC1、5mMの2-メルカプトエタノール、及び1単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼの溶液での処理によって除去されうる。反応は、37℃の温度において1分間進行する。
「3’-ホスフェートブロック」又は「3’-ホスフェート保護」ヌクレオチドは、3’位のヒドロキシル基がホスフェート含有部分の存在によってブロックされているヌクレオチドを指す。本発明に係る3’-ホスフェートブロックヌクレオチドの例は、ヌクレオチジル-3’-ホスフェートモノエステル/ヌクレオチジル-2’,3’-環状ホスフェート、ヌクレオチジル-2’-ホスフェートモノエステル及びヌクレオチジル-2’又は3’-アルキルホスフェートジエステル、並びにヌクレオチジル-2’又は3’-ピロリン酸である。置換が脱リン酸化を妨げずホスファターゼによって遊離3’-OHを生じる限り、チオホスフェート又はそのような化合物の他のアナログをまた使用することができる。
3’-O-エステル保護dNTP又は3’-O-ホスフェート保護dNTPの合成及び酵素的脱保護の更なる例は 次の文献に記載されている:Canard等,Proc.Natl.Acad.Sci.,92:10859-10863(1995);Canard等,Gene,148:1-6(1994);Cameron等,Biochemistry,16(23):5120-5126(1977);Rasolonjatovo等,Nucleosides & Nucleotides,18(4&5):1021-1022(1999);Ferrero等,Monatshefte fur Chemie,131:585-616(2000);Taunton-Rigby等,J.Org.Chem.,38(5):977-985(1973);Uemura等,Tetrahedron Lett.,30(29):3819-3820(1989);Becker等,J.Biol.Chem.,242(5):936-950(1967);Tsien,国際特許公開第1991/006678号。
ここで使用される場合、「イニシエーター」(又は「開始断片」、「イニシエーター核酸」、「イニシエーターオリゴヌクレオチド」などのような等価な用語)は、TdTなどのテンプレートフリーポリメラーゼによって更に伸長させることができる、遊離3’末端を有する短いオリゴヌクレオチド配列を指す。一実施態様では、開始断片はDNA開始断片である。別の実施態様では、開始断片はRNA開始断片である。一実施態様では、開始断片は、3から100のヌクレオチド、特に、3から20のヌクレオチドを有する。一実施態様では、開始断片は一本鎖である。別の実施態様では、開始断片は二本鎖である。特定の実施態様では、5’-一級アミンを用いて合成したイニシエーターオリゴヌクレオチドを、製造者のプロトコルを使用して電磁ビーズに共有結合させうる。同様に、3’-一級アミンを用いて合成したイニシエーターオリゴヌクレオチドを、製造者のプロトコルを使用して電磁ビーズに共有結合させうる。本発明の実施態様で実現可能な様々な他の化学結合が当該分野で、例えば、Integrated DNA Technologies brochure,“Strategies for Attaching Oligonucleotides to Solid Supports,”v.6(2014);Hermanson,Bioconjugate Techniques,2版(Academic Press,2008);及び類似の文献で周知である。
本発明において用いられる多くの3’-O-ブロックdNTPは、販売者から購入されるか、公開された技術、例えば、米国特許第7057026号;国際特許公開第2004/005667号、国際公開第91/06678号;Canard等,Gene(上で引用);Metzker等,Nucleic Acids Research,22:4259-4267(1994);Meng等,J.Org.Chem.,14:3248-3252(3006);米国特許出願公開第2005/037991号を使用して合成されうる。幾つかの実施態様では、改変ヌクレオチドは、プリン又はピリミジン塩基と、3’炭素原子が構造:
-O-Z
の基に結合しているように、除去可能な3’-OHブロッキング基が共有結合的に結合したリボース又はデオキシリボース糖部分とを含む改変ヌクレオチド又はヌクレオシド分子を含み、ここで、-Zは、-C(R’)-O-R’’、-C(R’)-N(R’’)、-C(R’)-N(H)R’’、-C(R’)-S-R’’、及び-C(R’)-Fのうちの何れかであり、各R’’は、除去可能な保護基であるか又はその一部であり;各R’は、独立して、水素原子、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アシル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ若しくはアミド基、又は連結基を介して結合した検出可能な標識であり;但し、幾つかの実施態様では、そのような置換基は、10個までの炭素原子及び/又は5個までの酸素若しくは窒素ヘテロ原子を有し;或いは、(R’)は、式=C(R’’’)の基を示し、ここで、各R’’’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子及びハロゲン原子並びにアルキル基を含む群から選択され、但し、幾つかの実施態様では、各R’’’のアルキルは、1から3の炭素原子を有し;且つ分子が反応して、各R’’がHと交換されるか、或いはZが-(R’)-Fである場合、FがOH、SH、又はNH、好ましくはOHと交換される中間体を生成してよく、該中間体は水性条件下で解離して遊離3’-OHを有する分子が得られ;但し、Zが-C(R’)-S-R’’である場合、両方のR’基はHではない。所定の実施態様では、改変ヌクレオチド又はヌクレオシドのR’は、アルキル又は置換アルキルであり、但し、そのようなアルキル又は置換アルキルは、1から10個の炭素原子と0から4個の酸素又は窒素ヘテロ原子を有する。所定の実施態様では、改変ヌクレオチド又はヌクレオシドの-Zは、式-C(R’)-N3である。所定の実施態様では、Zはアジドメチル基である。
幾つかの実施態様では、Zは、200以下の分子量を有するヘテロ原子を持つか持たない切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、100以下の分子量を有するヘテロ原子を持つか持たない切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、50以下の分子量を有するヘテロ原子を持つか持たない切断可能な有機部分である。幾つかの実施態様では、Zは、200以下の分子量を有するヘテロ原子を持つか持たない酵素的に切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、100以下の分子量を有するヘテロ原子を持つか持たない酵素的に切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、50以下の分子量を有するヘテロ原子を持つか持たない酵素的に切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、200以下の分子量を有する酵素的に切断可能なエステル基である。他の実施態様では、Zは、3’-ホスファターゼによって除去可能なホスフェート基である。幾つかの実施態様では、次の3’-ホスファターゼの一又は複数を、製造者の推奨プロトコルを用いて使用してもよい:T4ポリヌクレオチドキナーゼ、仔ウシ腸アルカリホスファターゼ、組換えエビアルカリホスファターゼ(例えば、New England Biolabs,Beverly,MAから入手可能)。
更なる特定の実施態様では、3’-ブロックヌクレオチドトリホスフェートは、3’-O-アジドメチル、3’-O-NH又は3’-O-アリル基の何れかによってブロックされる。
更に他の実施態様では、本発明の3’-O-ブロッキング基には、3’-O-メチル、3’-O-(2-ニトロベンジル)、3’-O-アリル、3’-O-アミン、3’-O-アジドメチル、3’-O-tert-ブトキシエトキシ、3’-O-(2-シアノエチル)、及び3’-O-プロパルギルが含まれる。
幾つかの実施態様では、3’-O-保護基は、電気化学的に不安定な基である。すなわち、保護基の脱保護又は切断は、切断を生じる保護基近傍の電気化学的条件を変えることによって達成される。電気化学的条件のそのような変化は、電圧差又は光などの物理的量を変化させ又は印加して補助種を活性化し、次に、pHの増減のような保護基の部位で電気化学的条件の変化を引き起こすことによって、もたらされうる。幾つかの実施態様では、電気化学的に不安定な基には、例えば、pHが予め決まった値に変化するときは常に切断されるpH感受性保護基が含まれる。他の実施態様では、電気化学的に不安定な基には、例えば、保護基の部位で電圧差を増加又は減少させることによって、還元又は酸化条件が変化するときは常に直接切断される保護基が含まれる。
ポリヌクレオチド鎖伸長の過程での二次構造の形成を低減し又は排除するために、多種多様な保護基(又は同等に「塩基保護部分」)を用いることができる。一般に、塩基保護基を除去するための条件は、3’-O-ブロッキング基を除去するための条件とオルソゴナルである。特に、3’-O-ブロッキング基の除去又はデブロッキング条件が酸性である場合、塩基保護基は塩基不安定性であるように選択されうる。このような状況下では、例えばBeaucage及びIyer,Tetrahedron Letters,48(12):2223-2311(1992)におけるように酸不安定性5’-O-トリチル保護単量体の使用のため、ホスホロアミダイト合成化学において多くの塩基不安定性保護基が開発されてきた。特に、ホスホロアミダイト化学のためのアシル及びアミジン保護基は、本発明の実施態様において利用可能である(例えば、Beaucage及びIyer(上に引用)の表2及び表3の保護基)。幾つかの実施態様では、塩基保護基は、Beucage及びIyer(上に引用)の表2に記載されているようなアミジンである。一般に、塩基保護3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェート単量体は、以下の実施例に記載されるような、文献に記載された方法の常套的な変更によって合成されうる。
幾つかの実施態様では、塩基保護基は、デオキシアデノシントリホスフェートの6-窒素、デオキシグアノシントリホスフェートの2-窒素、及び/又はデオキシシチジントリホスフェートの4-窒素に結合している。幾つかの実施態様では、塩基保護基は、示された窒素の全てに結合している。幾つかの実施態様では、デオキシアデノシントリホスフェートの6-窒素に結合した塩基保護基は、ベンゾイル、フタロイル、フェノキシアセチル、及びメトキシアセチルからなる群から選択され;デオキシグアノシントリホスフェートの2-窒素に結合した塩基保護基は、イソブチリル、イソブチリルオキシエチレン、アセチル、4-イソプロピル-フェノキシアセチル、フェノキシアセチル、及びメトキシアセチルからなる群から選択され;且つデオキシシチジントリホスフェートの前記4-窒素に結合した塩基保護基は、ベンゾイル、フタロイル、アセチル、及びイソブチリルからなる群から選択される。
幾つかの実施態様では、デオキシアデノシントリホスフェートの6-窒素に結合した保護基は、ベンゾイルであり;デオキシグアノシントリホスフェートの2-窒素に結合した塩基保護基は、イソブトリル又はジメチルホルムアミジンであり;且つデオキシシチジントリホスフェートの4-窒素に結合した塩基保護基はアセチルである。
幾つかの実施態様では、デオキシアデノシントリホスフェートの6-窒素に結合した塩基保護基は、フェノキシアセチルであり;デオキシグアノシントリホスフェートの2-窒素に結合した塩基保護基は、4-イソプロピル-フェノキシアセチル又はジメチルホルムアミジンであり;且つデオキシシチジントリホスフェートの4-窒素に結合した塩基保護基は、アセチルである。
幾つかの実施態様では、塩基保護部分は除去され(すなわち、生成物が脱保護され)、生成物が同じ反応において固体支持体から切断される。例えば、イニシエーターは、塩基不安定性の塩基保護部分を同時に除去する、1MのKOH又は同様の試薬(アンモニア、水酸化アンモニウム、NaOHなど)での処理によって切断されてポリヌクレオチド生成物を放出しうるリボウリジンを含みうる。
塩基保護dNTPが用いられる場合、上記の方法は、塩基保護部分を除去する工程を更に含み得、これは、アシル又はアミジン保護基の場合、(例えば)濃縮アンモニアでの処理を含みうる。
[バリアントTdTの産生]
本発明のバリアントは、既知の参照又は野生型TdTコード化ポリヌクレオチドを変異させ、ついで、一般的な分子生物学技術を使用してそれを発現させることにより産生されうる。例えば、切断型マウスTdT酵素をコードするマウスTdT遺伝子(配列番号:2)は、一般的な分子生物学技術を使用し、例えば、Stemmer等,Gene,164:49-53(1995);Kodumal等,Proc.Natl.Acad.Sci.,101:15573-15578(2004)などに記載のプロトコルを使用して合成断片から構築されうるか、Boule等,Mol.Biotechnology,10:199-208(1998)、又はBentolila等,EMBO J.,14:4221-4229(1995)などに記載のプロトコルを使用して、マウス細胞から直接クローン化されうる。
例えば、単離したTdT遺伝子を、pET32(Novagen)などの発現ベクターに挿入してベクターpCTdTを得ることができ、これをついで使用し、一般的なプロトコルを使用してバリアントTdTタンパク質を作製し発現させることができる。正しい配列を有するベクターを大腸菌産生株において形質転換させうる。
形質転換された株を、一般的な技術を使用してペレットに培養し、それからTdTタンパク質を抽出する。例えば、以前に調製したペレットを30から37℃の水浴中で解凍する。完全に解凍した時点で、ペレットを、50mMのtris-HCL(Sigma)(pH7.5)、150mMのNaCl(Sigma)、0.5mMのメルカプトエタノール(Sigma)、5%のグリセロール(Sigma)、20mMのイミダゾール(Sigma)、及び100mL用のプロテアーゼカクテル阻害剤1タブ(Thermofisher)からなる溶解緩衝液に再懸濁する。早すぎる溶解と凝集物の残存を回避するために慎重な再懸濁を実施する。再懸濁した細胞を、フルカラーの均一性が得られるまで、数サイクルのフレンチプレスによって溶解する。使用される通常の圧力は14000psiである。ついで、ライセートを、10000rpmで1時間から1時間30分間遠心分離する。カラム精製前に遠心分離物を0.2μmフィルターに通してデブリを除去する。
TdTタンパク質は、一段階親和性法で遠心分離物から精製されうる。例えば、Ni-NTAアフィニティーカラム(GE Healthcare)を使用して、ポリメラーゼを結合させる。最初に、カラムを、15カラム体積の50mMのtris-HCL(Sigma)(pH7.5)、150mMのNaCl(Sigma)及び20mMのイミダゾール(Sigma)で洗浄し平衡化する。平衡化後にポリメラーゼはカラムに結合する。ついで、50mMのtris-HCL(Sigma)(pH7.5)、500mMのNaCl(Sigma)及び20mMのイミダゾール(Sigma)からなる洗浄緩衝液を、15カラム体積のカラムに適用する。洗浄後、ポリメラーゼを、50mMのtris-HCL(Sigma)(pH7.5)、500mMのNaCl(Sigma)及び0.5Mのイミダゾール(Sigma)で溶出させる。最高濃度の対象のポリメラーゼに対応する画分を回収し、単一試料にプールする。プールした画分を、透析緩衝液(20mMのTris-HCl(pH6.8)、200mMのNaCl、50mMのMgOAc、100mMの[NH4]2SO4)に対して透析する。透析液をその後に濃縮フィルター(Amicon Ultra-30,Merk Millipore)を用いて濃縮する。濃縮した酵素を、少量のアリコートに分配し、最終50%のグリセロールを添加し、ついで、そのアリコートを-20℃に凍結し、長期間保存する。5μLの精製した酵素の様々な画分を、SDSPAGEゲルで分析する。
幾つかの実施態様では、TdTバリアントは、共有結合又は非共有結合を含むリンカー部分;アミノ酸タグ(例えば、ポリアミノ酸タグ、ポリHisタグ、6Hisタグなど);化合物(例えば、ポリエチレングリコール);タンパク質-タンパク質結合ペア(例えば、ビオチン-アビジン);アフィニティーカップリング;キャプチャープローブ;又はこれらの任意の組み合わせを含むリンカー部分に作用可能に連結されうる。リンカー部分は、TdTバリアントから分離されうるか、又はTdTバリアントの一部になりうる。本発明のTdTバリアントと共に使用するための例示的なHisタグは、MASSHHHHHHSSGSENLYFQTGSSG-(配列番号:19)である。タグリンカー部分は、ヌクレオチド結合活性、又はTdTバリアントの触媒活性を妨害しない。
上記のプロセス、又は同等のプロセスは、活性及び/又は保存に必要であるか有用である、塩、pH緩衝液、担体化合物などの様々な試薬と混合されうる単離TdTバリアントをもたらす。
[本発明の方法を実施するためのキット]
本発明は、本発明の方法を実施するための様々なキットを含む。一態様では、本発明のキットは、ここに記載のテンプレートフリー酵素的ポリヌクレオチド合成を実施するのに適切な製剤中に又は別個に提供される場合は複数の製剤中に本発明の一又は複数のキメラTdTバリアントを含む。また、そのようなキットは、3’-O-保護dNTPの成長中の鎖へのテンプレートフリー付加又は取り込みを最適にするための反応条件を提供する合成緩衝液を各TdTバリアントに対して含みうる。幾つかの実施態様では、TdTバリアントのそれぞれは、別々に、同じ又は異なる製剤に、別々の容器に提供され得、他の実施態様では、TdTバリアントの幾つか又は全てが、共通の製剤にそれらの混合物で提供されうる。幾つかの実施態様では、本発明のキットは、3’-O-可逆的保護dNTPを更に含む。そのような実施態様では、3’-O-可逆的保護dNTPは、3’-O-アミノ-dNTP又は3’-O-アジドメチル-dNTPを含みうる。更なる実施態様では、キットは、次の品目の一又は複数を、別個に又は前記品目と一緒に含みうる:(i)ここに記載の脱保護又はデブロッキング工程を実施するための脱保護又はデブロッキング試薬、(ii)イニシエーターが結合した固体支持体、(iii)完成したポリヌクレオチドを固体支持体から遊離させるための切断試薬、(iv)酵素付加又はカップリング工程の終了時に未反応の3’-O-可逆的保護dNTPを除去するための洗浄試薬又は緩衝液、及び(v)合成後のプロセシング試薬、例えば精製カラム、脱塩試薬、溶出試薬など。
上記の品目(ii)及び(iii)に関して、所定のイニシエーター及び切断試薬は相伴う。例えば、イノシン切断性ヌクレオチドを含むイニシエーターには、エンドヌクレアーゼV切断試薬が相伴い得;ニトロベンジル光切断性リンカーを含むイニシエーターには、光切断性リンカーの切断に適切な光源が相伴い得;ウラシルを含むイニシエーターには、ウラシルDNAグルコシラーゼ切断試薬が相伴いうる等である。
実施例1:3’-O-保護デオキシヌクレオシドトリホスフェートを取り込む活性が増強されたキメラマウス-ウシTdTバリアント
この実施例では、マウスTdTバリアントM53(配列番号:21)とウシTdTバリアントM54(配列番号:54)から構築されたマウス-ウシキメラTdTバリアントM57(配列番号:23)及びM59(配列番号:24)を、マウスTdTバリアントM27(配列番号:25)と比較することにより、dNTP取り込みにおける配列特異的多様性について試験した。つまり、M57とM59を、成長する鎖の三つの3’末端ヌクレオチドの関数として3’-O-ブロックdNTPを取り込むその効率について試験した。試験では、24の52量体ランダム配列ポリヌクレオチドを、対照としてのマウスTdTバリアントM27と共に各キメラTdTバリアント(M57及びM59)によって合成した。合成は二通り行った。24の52量体を、可能な各4量体が、ほぼその予想される頻度、つまり1/256、すなわち約4又は5の発生頻度で全体(24×52の有効配列)で表されるように選択した。
[合成条件] 2倍濃縮dNTP-ONH2(1mM)、DMSO(20%)、補因子(4mMのCoCl)及び2倍濃縮変異体(32μM)を含むプレミックスを、TY 1×緩衝液0.01%Tween20で別々に調製した。M59対M27反応に対しては、Tween20をヌクレオチドプレミックスに2×で添加した。24の配列(52量体)を、37℃においてM27とM59又はM57の何れかを用いて二通り合成した。伸長時間は4分に設定した。合成は、500pmolのdI樹脂(R133)とwwPTFEメンブランを備えたフィルタープレート(Pall Laboratory,New York)を使用して実施した。TY 1×緩衝液には、200mMのカコジル酸カリウム(pH6.8)、5mMのMgCl2が含まれている。dI樹脂R133は、アミノ官能基を介して10T-dI-T初期DNA(イニシエーターDNA)とカップリングさせたCNBrセファロース樹脂(GE Healthcare)であり、リンカーはC12である。従って、樹脂に結合した全配列は、5AmMC12/TTTTTTTTTT/dI/T(配列番号:83)である。
[合成後のプロセシング] 合成後、最初の洗浄を実施した(1×100μL/ウェルのH2O、3×100μL/ウェルのSDS/DTT、3×100μL/ウェルのH2O)。M57対M27プレートに対しては、SDS/DTT洗浄を実施しなかった。次に、真空にしてプレートを2000gで2分間遠心分離することにより残りの液体を除去した直後に、3×50μLの洗浄を、M59対M27プレートに対してTH1緩衝液1×で又はM57対M27プレートに対してWLE1緩衝液1×で実施した。合成鎖を樹脂から除去する切断は直後に実施した。dI切断に対しては、樹脂を1μMの社内EndoVと共に50μLの反応容量(M59対M27プレートに対しては173mMのNaClと50mMのMgCl2を含む10mMのTris(pH7.9)、又はM57対M27プレートに対しては50mMのKClと15mMのMgCl2を含む10mMのTris(pH7.9))で42℃、1250rpmで30分間インキュベートし、ついで2000gで2分間遠心分離した。樹脂を、M59対M27プレートに対しては25μLのTH1緩衝液1×で又はM57対M27プレートに対してはWLE1緩衝液1×で洗浄し、42℃、1250rpmで更に2分間インキュベートし、2000gで2分間再び遠心分離した。回収した濾液を96ウェルPCRプレートに移し、必要に応じて-20℃で保存した。最後に、75μL未満を各ウェルから収集した。TH1緩衝液は、10mMのTris、170mMのNaCl、50のMgCl2(pH8)を含んでいる。WLE1緩衝液は、10mMのTris(pH7.9)、50mMのKCl、及び15mMのMgCl2を含んでいる。
[DNA沈殿] 0.5μLのグリコーゲンとNaAc(3M)pH5.2(7.5μL)をウェル毎に加え、簡潔に振盪した。ウェル当たり75μLのイソプロパノールを加え、4℃において3428gで1時間15分遠心分離した。上清を吸引し、各ウェルに20μLだけを残した。180μLの新たに調製したエタノール80%をウェル毎に添加し、4℃において3428gで30分間で遠心分離した。上清の除去と洗浄を再び繰り返した。遠心分離後、ウェル当たり10μLだけを残してSpeedvacで35℃において30分間乾燥させた。乾燥したDNAを15μLの水MBグレードに再懸濁させ、その後濃度を測定した。
[ライブラリー調製] ライブラリーは、Illumina 1 96rxns(ozyme SW10096)のAccel-NGS 1S Plus DNAライブラリーキットを使用して調製した。ライブラリーは、Illumina(ozyme SW16024)の1S Plusインデクシングキットを使用してインデックス付けした。
図3A及び3Bは、シークエンシングデータから得られた結果を示す。図3Aでは、異なる3量体配列の後に生じる欠失の頻度(パーセンテージ)が、マウスTdTバリアントM27(配列番号:25)及びマウス-ウシキメラTdTバリアントM57(配列番号:23)について比較されている。図3Bでは、異なる3量体配列の後に生じる欠失の頻度が、マウスTdTバリアントM27(配列番号:25)及びマウス-ウシキメラTdTバリアントM59(配列番号:24)について比較されている。読みやすくするために、最初の4つの3量体を除いて、データバーの一つおきのペアのみがその対応する3量体で標識されていることに留意のこと。先のTdTバリアント(M27で例示)とキメラTdTバリアント(M57及びM59で例示)の重要な違いは、合成されているポリヌクレオチドにおいて、特にトリプレットCCA及びCTAの出現について(それぞれ図3A及び3Bの300及び302)、キメラTdTバリアントM57及びM59による欠失の配列特異的挿入の最小化である。これらのトリプレットの両方について、M57又はM59の何れかのトリプレット後の欠失率は、約25%であり、又はM27からの率よりも少ない。
[定義]
アミノ酸は、次の命名法に従うそれらの1文字コード又は3文字コードによって表される:A:アラニン(Ala);C:システイン(Cys);D:アスパラギン酸(Asp);E:グルタミン酸(Glu);F:フェニルアラニン(Phe);G:グリシン(Gly);H:ヒスチジン(His);I:イソロイシン(Ile);K:リジン(Lys);L:ロイシン(Leu);M:メチオニン(Met);N:アスパラギン(Asn);P:プロリン(Pro);Q:グルタミン(Gln);R:アルギニン(Arg);S:セリン(Ser);T:スレオニン(Thr);V:バリン(Val);W:トリプトファン(Trp)及びY:チロシン(Tyr)。
二以上の異なるTdTにおけるアミノ酸位置に関して「機能的に同等」とは、(i)それぞれの位置のアミノ酸がTdTの活性において同じ機能的役割を果たし、且つ(ii)アミノ酸がそれぞれのTdTのアミノ酸配列における相同のアミノ酸位置で生じることを意味する。配列アラインメント及び/又は分子モデリングに基づいて、二以上の異なるTdTのアミノ酸配列に位置的に同等又は相同なアミノ酸残基を同定することが可能である。幾つかの実施態様では、機能的に同等のアミノ酸位置は、進化的に関連する種の、例えば属、科などが関連するTdTのアミノ酸配列間で保存されている配列モチーフに属する。そのような保存された配列モチーフの例は、Motea等,Biophys.Acta.1804(5):1151-1166(2010);Delarue等,EMBO J.,21:427-439(2002);及び類似の文献に記載されている。
タンパク質に関して「単離された」は、そのような化合物が、同定され、その自然環境の成分又は不均一の反応混合物から分離され、及び/又は回収されたことを意味する。自然環境又は反応混合物の夾雑成分は、タンパク質の機能を妨害するであろう材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性の溶質を含みうる。幾つかの実施態様では、本発明のタンパク質は、(1)Lowry法によって決定した場合に、95重量%を超え、最も好ましくは、99重量%を超えるタンパク質まで、(2)スピニングカップシークエネーターの使用によって少なくとも15残基のN末端又は内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度まで、或いは(3)クーマシー・ブルー若しくは好ましくは銀染色を使用する還元又は非還元条件下でのSDS-PAGEによって均一になるまで、精製される。組換え法によって製造される場合、本発明の単離されたタンパク質は、タンパク質の自然環境のうちの少なくとも一つの成分が存在しないので、組換え細胞内のインサイツの本発明のタンパク質を含みうる。通常は、本発明の単離されたタンパク質は、少なくとも一の精製工程によって調製される。
「キット」は、本発明の方法を実施するための材料又は試薬を送達するための任意の送達系を指す。反応アッセイの文脈において、そのような送達系は、反応試薬(例えば、適切な容器中の一又は複数のTdTバリアント、反応緩衝液、3’-O-保護dNTP、脱保護試薬、イニシエーターが結合した固体支持体など)及び/又は補助材料(例えば、緩衝液、アッセイを実施するための文書の説明書など)のある場所から別の場所への貯蔵、輸送、又は送達を可能にする系及び/又は化合物(希釈剤、界面活性剤、担体など)を含む。例えば、キットは、関連する反応試薬及び/又は補助材料を含む一又は複数の筐体(例えば、箱)を含む。そのような内容物は、意図されたレシピエントに一緒に又は別個に送達されうる。例えば、第一の容器は、合成法での使用のための一又は複数のTdTバリアントを含み得、第二又は更なる容器は、脱保護剤、イニシエーターを含む固体支持体、3’-O-保護dNTPなどを含みうる。
互換的に使用される「変異体」又は「バリアント」は、一又は複数の位置での特定された配列に対して、修飾又は改変、例えば置換、挿入、及び/又は欠失を含む、例えば、配列番号:2などの特定された(通常は野生型又は天然の)アミノ酸配列に由来するポリペプチドを指す。そのような変異体又はバリアントは、通常、テンプレートフリーポリメラーゼ活性と、一又は複数の可逆的ブロックヌクレオシドトリホスフェート前駆体を取り込む能力の両方を有している。バリアントは、当該分野で周知の様々な技術によって得ることができる。特に、野生型タンパク質をコードするDNA配列を改変するための技術の例には、限定されないが、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発及び合成オリゴヌクレオチド構築などが含まれる。変異誘発活性は、タンパク質又は本発明の場合はポリメラーゼの配列における一又は数個のアミノ酸の欠失、挿入、又は置換からなる。
「配列同一性」は、二つのポリペプチド配列又は二つのポリヌクレオチド配列などの二つの配列の間の一致(例えば、同一のアミノ酸残基)の数(又は通常、百分率で表される分率)を指す。配列同一性は、配列ギャップを最小にしながら重複と同一性が最大になるように整列させたときの配列を比較することによって決定される。特に、配列同一性は、二つの配列の長さに応じて、多くの数学的なグローバル又はローカルアラインメントアルゴリズムのうちの何れかを使用して決定されうる。類似の長さの配列は、全長にわたって配列を最適に整列させるグローバルアラインメントアルゴリズム(例えば、Needleman-Wunschアルゴリズム;Needleman及びWunsch,1970)を使用して整列させることが好ましい一方、実質的に異なる長さの配列は、ローカルアラインメントアルゴリズム(例えば、Smith-Watermanアルゴリズム(Smith及びWaterman,1981)又はAltschulアルゴリズム(Altschul等,1997;Altschul等,2005))を使用して整列させることが好ましい。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当該分野の技量の範囲内にある様々な方法で、例えば、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/又はttp://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/などのインターネットウェブサイトで利用可能な公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するために適切なパラメーターを決定することができる。ここでの目的のために、アミノ酸配列同一性パーセント値は、Needleman-Wunschアルゴリズムを使用して二つの配列の最適なグローバルアラインメントを作り出すペアワイズ配列アラインメントプログラムEMBOSS Needleを使用して生成された値を指し、ここで全ての検索パラメーターはデフォルト値に設定され、すなわち、スコアリング行列=BLOSUM62、ギャップオープン=10、ギャップ伸長=0.5、エンドギャップペナルティ=偽、エンドギャップオープン=10、及びエンドギャップ伸長=0.5である。
「ポリヌクレオチド」又は「オリゴヌクレオチド」は、互換的に使用され、それぞれ、ヌクレオチド単量体の線状ポリマー又はそのアナログを意味する。ポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドを構成する単量体は、ワトソン・クリック型の塩基対形成、塩基スタッキング、又はフーグスティーン若しくは逆フーグスティーン型の塩基対形成などの規則的な単量体対単量体の相互作用パターンによって天然ポリヌクレオチドに特異的に結合することができる。そのような単量体及びそのヌクレオシド間結合は、天然に生じうるか、そのアナログ、例えば、天然に生じるアナログ又は天然には生じないアナログでありうる。天然には生じないアナログには、PNA、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、フルオロフォアなどの標識の結合を可能にする連結基を含む塩基、又はハプテンなどが含まれうる。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの使用が酵素的プロセシング、例えばポリメラーゼによる伸長、リガーゼによるライゲーションなどを必要とする場合は常に、当業者は、前記例では、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが任意の又は幾つかの位置にヌクレオシド間結合、糖部分、又は塩基の所定のアナログを含まないと理解するであろう。ポリヌクレオチドは、典型的には、それらが通常「オリゴヌクレオチド」と呼ばれる場合、数個の単量体単位、例えば、5-40個から、数千の単量体単位までのサイズ範囲である。ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドが文字(大文字又は小文字)の配列、例えば「ATGCCTG」などによって表される場合は常に、別段の指示がない限り又は文脈から明白でない限り、ヌクレオチドが左から右に5’→3’の順序であり、且つ「A」がデオキシアデノシンを示し、「C」がデオキシシチジンを示し、「G」がデオキシグアノシンを示し、「T」がチミジンを示し、「I」がデオキシイノシンを示し、「U」がウリジンを示すと理解される。他に断りのない限り、用語法及び原子番号付けの慣習は、Strachan及びRead,Human Molecular Genetics 2(Wiley-Liss,New York,1999)に開示のものに従う。通常、ポリヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって連結された4つの天然ヌクレオシド(例えば、DNAについては、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、又はRNAについてはそれらのリボース対応物)を含む;しかしながら、それらは、例えば、改変された塩基、糖、又はヌクレオシド間結合を含む非天然ヌクレオチドアナログをまた含みうる。酵素が活性のために特異的なオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド基質要件、例えば、一本鎖DNA、RNA/DNA二重鎖などを有する場合、特に、Sambrook等,Molecular Cloning,2版(Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1989)などの専門書及び類似の文献からのガイダンスを用いての、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド基質に適切な組成の選択は、十分に当業者の知識の範囲内にあることが当業者には明らかである。同様に、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、一本鎖形態又は二本鎖形態(すなわち、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド及びそのそれぞれの相補鎖の二重鎖)の何れかを指しうる。用語使用法の文脈から、どの形態が意図されるのか又は両方の形態が意図されるのかは当業者には明らかであろう。
「プライマー」は、ポリヌクレオチドテンプレートと二重鎖を形成した際に、核酸合成の開始点として作用することができ、伸長した二重鎖が形成されるようにテンプレートに沿ってその3’末端から伸長される、天然又は合成のオリゴヌクレオチドを意味する。通常、核酸ポリメラーゼ、例えばDNA又はRNAポリメラーゼなどを用いてプライマーの伸長は実施される。伸長過程において付加されるヌクレオチドの配列は、テンプレートポリヌクレオチドの配列によって決定される。通常、プライマーは、DNAポリメラーゼによって伸長される。プライマーは、通常、14から40ヌクレオチドの範囲、又は18から36ヌクレオチドの範囲の長さを有する。プライマーは、様々な核酸増幅反応、例えば、単一プライマーを使用する線形増幅反応、又は、二以上のプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応において用いられる。特定の適用のためのプライマーの長さ及び配列の選択のためのガイダンスは、出典明示により援用される次の文献によって証明されているように、当業者に周知である:Dieffenbach編,PCR Primer:A Laboratory Manual,2版(Cold Spring Harbor Press,New York,2003)。
「置換」は、あるアミノ酸残基が別のアミノ酸残基で置き換えられることを意味する。好ましくは、「置換」という用語は、アミノ酸残基の、天然に生じる標準的な20種のアミノ酸残基、稀に天然に生じるアミノ酸残基(例えば、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、6-N-メチルリジン、N-エチルグリシン、N-メチルグリシン、N-エチルアスパラギン、アロ-イソロイシン、N-メチルイソロイシン、N-メチルバリン、ピログルタミン、アミノ酪酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン)、及びしばしば合成的に作製される天然に生じないアミノ酸残基(例えば、シクロヘキシル-アラニン)から選択される別のアミノ酸残基による置き換えを指す。好ましくは、「置換」という用語は、あるアミノ酸残基の、天然に生じる標準的な20種のアミノ酸残基から選択される別のものによる置き換えを指す。符号「+」は、置換の組み合わせを示す。
アミノ酸は、ここでは、次の命名法に従ってその1文字又は3文字コードによって表される:A:アラニン(Ala);C:システイン(Cys);D:アスパラギン酸(Asp);E:グルタミン酸(Glu);F:フェニルアラニン(Phe);G:グリシン(Gly);H:ヒスチジン(His);I:イソロイシン(Ile);K:リジン(Lys);L:ロイシン(Leu);M:メチオニン(Met);N:アスパラギン(Asn);P:プロリン(Pro);Q:グルタミン(Gln);R:アルギニン(Arg);S:セリン(Ser);T:スレオニン(Thr);V:バリン(Val);W:トリプトファン(Trp)及びY:チロシン(Tyr)。
本明細書では、次の用語法を使用して置換を命名する:L238Aは、親配列の238位のアミノ酸残基(ロイシン、L)がアラニン(A)に変えられていることを示す。A132V/I/Mは、親配列の132位のアミノ酸残基(アラニン、A)が次のアミノ酸のうちの一つによって置換されていることを示す:バリン(V)、イソロイシン(I)、又はメチオニン(M)。置換は、保存的置換又は非保存的置換でありうる。保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン及びスレオニン)、疎水性アミノ酸(メチオニン、ロイシン、イソロイシン、システイン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小アミノ酸(グリシン、アラニン及びセリン)のグループ内にある。
タンパク質のアミノ酸配列に関する「野生型」は、天然に見出されるアミノ酸配列を意味する。
TdTバリアントのアミノ酸配列に関してここで使用される「モチーフ」は、異なる種、特に進化的に関連する種のTdTのアミノ酸配列間で保存されている(しかし同一ではない場合がある)特定の位置でのTdTアミノ酸配列の部分配列又はセグメントを意味する。そのような保存された配列モチーフの例は、Motea等,Biochim.Biophys.Acta.1804(5):1151-1166(2010);Delarue等,EMBO J.,21:427-439(2002);及び類似の文献に記載されている。例示的なTdTモチーフには(N末端からC末端に順序付けて)、FMR、VSC、GGFRR、KMT、GHD、TGSR、FERなどが含まれる。ここで参照されるように、配列モチーフは、最も一般的な配列の出現又はコンセンサス配列、例えば「TGSR」によって識別され、但し、そのような命名は、Multalin(Mitchell,Bioinformatics,9(5):614-615(1993))などの一般的なアラインメントツールを使用してTGSRと整列する他の部分配列を除外することを意味するものではない。例えば、「TGSRモチーフ」への言及は、マウスのセグメント「TGSR」と整列するフクロネズミTdTのセグメント「SGSR」を含む。幾つかの実施態様では、配列モチーフは、配列の発現セットとして定義される。例えば、幾つかの実施態様では、FMRモチーフは、FMR、FLR及びYMRからなる群の配列からなる。
この開示は、示された特定の形態の範囲に限定されることは意図されないが、ここに記載されるバリエーションの代替物、変形態様、及び均等物を包含することは意図される。更に、開示の範囲は、この開示に鑑みて、当業者に自明でありうる他のバリエーションを完全に包含する。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (22)

  1. 式:
    -B-B
    [上式中、
    は、BRCT様領域を持たない第一の種のTdTのアミノ酸セグメントであり、そのN末端からそのVSCモチーフとそのKMTモチーフの間のアミノ酸位置まで伸び、ここで、BはそのFMRモチーフにメチオニン又は機能的に同等の残基の置換を、BがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにBがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換をそれぞれ含み;
    は、BのC末端から第二の種のTdTのC末端まで、又はBが一又は複数のアミノ酸を含む場合は常にBのN末端まで伸びる第二の種のTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、Bは、BがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換を、BがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、BがTGSRモチーフを含む場合は常にそのTGSRモチーフにアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにBがFERモチーフを含む場合は常にそのFERモチーフにグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含み;且つ
    は、0から70個のアミノ酸を含み、第三の種のTdTのC末端からBのC末端アミノ酸まで伸びる第三の種のTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、Bは、BがTGSRモチーフを含む場合は常にそのTGSRモチーフにアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにBがFERモチーフを含む場合は常にそのFERモチーフにグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含み;
    ここで、キメラTdTバリアントは、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートを核酸断片に取り込むことができ;
    且つ、B、B及びBは、キメラTdTバリアントが350から410個のアミノ酸を有するように選択される]
    によって定まるアミノ酸配列と少なくとも80パーセント同一であるアミノ酸配列を含むキメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)バリアント。
  2. (i)Bの前記FMRモチーフにおけるメチオニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、R又はQであり;BがGGFRRモチーフを含む場合は常にBの前記GGFRRモチーフにおける前記第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、L又はNであり;並びにBがVSCモチーフを含む場合は常にBの前記VSCモチーフにおけるシステイン又は機能的に同等の残基の前記置換は、G又はRであり;
    (ii)BがVSCモチーフを含む場合は常にBの前記VSCモチーフにおけるシステイン又は機能的に同等の残基の前記置換は、R又はQであり;BがGGFRRモチーフを含む場合は常にBの前記GGFRRモチーフにおける前記第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、L又はNであり;BがTGSRモチーフを含む場合は常にBの前記TGSRモチーフにおけるアルギニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、P、N又はAであり;並びにBがFERモチーフを含む場合は常にBの前記FERモチーフにおけるグルタミン酸又は機能的に同等の残基の前記置換は、N、L、T、又はSであり;且つ
    (iii)BがTGSRモチーフを含む場合は常にBの前記TGSRモチーフにおけるアルギニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、P、N、又はAであり;並びにBがFERモチーフを含む場合は常にBの前記FERモチーフにおけるグルタミン酸又は機能的に同等の残基の前記置換は、N、L、T又はSである、
    請求項1に記載のキメラTdTバリアント。
  3. 前記第一の種のTdT及び前記第三の種のTdTが同じである、請求項1又は2に記載のキメラTdTバリアント。
  4. 前記アミノ酸セグメントB、B及びBのそれぞれは、配列番号:2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40及び41からなる群から選択される配列のアミノ酸セグメントと少なくとも90パーセント同一のアミノ酸配列を有し、ここで、
    前記FMRモチーフにおける前記メチオニン又はその機能的に同等の残基の前記置換は、配列番号:2、3、4、6、7、8、11、12及び13に関して63位;配列番号:5に関して62位;配列番号:9に関して64位;配列番号:10、26、28、29、30、32、33、34、36、37、38及び39に関して61位;配列番号:14に関して66位;配列番号:15に関して47位;並びに配列番号:27、31、35及び40に関して48位にあり;
    前記VSCモチーフにおける前記バリン又はその機能的に同等の残基の前記置換は、配列番号:2、3、4、6、7、8、11、及び12に関して171位;配列番号:5、32、33、34、36、37、38、39及び41に関して170位;配列番号:9に関して172位;配列番号:10、28、29、30、32、33、34、36、37、38、38及び41に関して169位;配列番号:13に関して180位;配列番号:14に関して174位;配列番号:15に関して154位;配列番号:26に関して168位;配列番号:27、35及び40に関して156位;配列番号:31に関して157位にあり;
    前記VSCモチーフにおける前記セリン又はその機能的に同等の残基の前記置換は、配列番号:2、3、4、6、7、8、11及び12に関して172位;配列番号:5に関して171位;配列番号:9に関して173位;配列番号:10、28、29、30に関して170位;配列番号:13に関する181位;配列番号:14に関して175位;配列番号:15に関して155位;配列番号:26に関して169位、並びに配列番号:27、31、35及び40に関して157位にあり;
    前記VSCモチーフにおける前記システイン又はその機能的に同等の残基の前記置換は、配列番号:2、3、4、6、7、8、11及び12に関して173位;配列番号:5に関して172位;配列番号:9に関して174位;配列番号:10、28、29、30、32、33、34、37、38、39及び41に関して171位;配列番号:13に関して182位;配列番号:14に関して176位;配列番号:26に関して170位;配列番号:27、31、35、36及び40に関して158位;並びに配列番号:15に関して156位にあり;
    前記GGFRRモチーフにおける前記第二のアルギニン又はその機能的に同等の残基の前記置換は、配列番号:2、3、4、6、7、8、11及び12に関して207位;配列番号:5に関して206位;配列番号:9に関して208位;配列番号:10、28、29、30、32、33、34、36、37、38、39及び41に関して205位;配列番号:26に関して204位;配列番号:27、31、35及び40に関して192位;配列番号:13に関して216位;配列番号:14に関して210位;並びに配列番号:15に関して190位にあり;
    前記TGSRモチーフにおける前記アルギニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、配列番号:2、7、8、12及び33に関して325位;配列番号:3、4、29及び32に関して324位;配列番号:5に関して320位;配列番号:6に関して331位;配列番号:9及び26に関して326位;配列番号:28、30に関して327位;配列番号:10に関して323位;配列番号:11及び14に関して328位;配列番号:13に関して338位;配列番号:27、31に関して314位;配列番号:35に関して310位;配列番号:31に関して311位;配列番号:32に関して321位;配列番号:33、34に関して322位;配列番号:36、37、38、39及び41に関して323位;配列番号:40に関して309位;並びに配列番号:15に関して308位にあり;且つ
    前記FERモチーフにおける前記グルタミン酸又は機能的に同等の残基の前記置換は、配列番号:2、7、8及び12に関して328位;配列番号:3、4及び29に関して327位;配列番号:5に関して323位;配列番号:6に関して334位;配列番号:9及び26に関して329位;配列番号:10、36、37、38、39及び41に関して326位;配列番号:11及び14に関して331位;配列番号:13に関して341位;配列番号:27に関して317位;配列番号:28及び30に関して330位;配列番号:40に関して312位;配列番号:35に関して313位;配列番号:31に関して314位;配列番号:32に関して324位;配列番号:33及び34に関して325位;並びに配列番号:15に関して311位にある、
    請求項1から3の何れか一項に記載のキメラTdTバリアント。
  5. (i)Bの前記FMRモチーフにおけるメチオニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、R又はQであり;BがGGFRRモチーフを含む場合は常にBの前記GGFRRモチーフにおける前記第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、L又はNであり;並びにBがVSCモチーフを含む場合は常にBの前記VSCモチーフにおけるシステイン又は機能的に同等の残基の前記置換は、G又はRであり;
    (ii)BがVSCモチーフを含む場合は常にBの前記VSCモチーフにおけるシステイン又は機能的に同等の残基の前記置換は、R又はQであり;BがGGFRRモチーフを含む場合は常にBの前記GGFRRモチーフにおける前記第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、L又はNであり;BがTGSRモチーフを含む場合は常にBの前記TGSRモチーフにおけるアルギニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、P、N又はAであり;並びにBがFERモチーフを含む場合は常にBの前記FERモチーフにおけるグルタミン酸又は機能的に同等の残基の前記置換は、N、L、T、又はSであり;且つ
    (iii)BがTGSRモチーフを含む場合は常にBの前記TGSRモチーフにおけるアルギニン又は機能的に同等の残基の前記置換は、P、N、又はAであり;並びにBがFERモチーフを含む場合は常にBの前記FERモチーフにおけるグルタミン酸又は機能的に同等の残基の前記置換は、N、L、T又はSである、
    請求項4に記載のキメラTdTバリアント。
  6. 前記FMRモチーフの前記メチオニンの前記置換は、R又はQであり;前記VSCモチーフの前記バリンの前記置換はAであり;前記VSCモチーフの前記セリンの前記置換はEであり;前記VSCモチーフの前記システインの前記置換は、G又はRであり;前記GGFRRモチーフの前記第二のアルギニンの前記置換は、L又はNであり;前記TGSRモチーフの前記アルギニンの前記置換は、P、N又はAであり;並びに前記FERモチーフの前記グルタミン酸の前記置換は、N、L、T又はSである、請求項4に記載のキメラTdTバリアント。
  7. 前記第一及び第二の種のTdTがそれぞれ哺乳動物のTdTである、請求項1から6の何れか一項に記載のキメラTdTバリアント。
  8. 前記第一の種のTdTと前記第二の種のTdTが、それぞれ、マウス、ウシ、ヒト、フクロネズミ、ハネジネズミ、イヌ、モグラ、ナキウサギ、ハリネズミ、ツパイ、カモノハシ、トビネズミ及びピューマからなる群から選択される種の各TdTである、請求項7に記載のキメラTdTバリアント。
  9. 前記第一の種のTdTがマウスであり、前記第二の種のTdTがウシである、請求項8に記載のキメラTdTバリアント。
  10. 前記第一の種のTdTが配列番号:21のアミノ酸配列を有し、前記第二の種のTdTが配列番号:22のアミノ酸配列を有する、請求項9に記載のキメラTdTバリアント。
  11. 配列番号:23のアミノ酸配列を有する、請求項10に記載のキメラTdTバリアント。
  12. 配列番号:24のアミノ酸配列を有する、請求項10に記載のキメラTdTバリアント。
  13. 前記3’-O-修飾ヌクレオシドトリホスフェートが、3’-O-NH-ヌクレオシドトリホスフェート、3’-O-アジドメチル-ヌクレオシドトリホスフェート、3’-O-アリル-ヌクレオシドトリホスフェート、又は3’-O-(2-ニトロベンジル)-ヌクレオシドトリホスフェートである、請求項1から12の何れか一項に記載のキメラTdTバリアント。
  14. 式:
    -J-J
    [上式中、
    は、BRCT様領域を持たないマウスTdTのアミノ酸セグメントであり、そのN末端からVSCモチーフとKMTモチーフの間のアミノ酸位置まで伸び、ここで、JはFMRモチーフにメチオニン又は機能的に同等の残基の置換を、JがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにJがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換をそれぞれ含み;
    は、VSCモチーフとKMTモチーフとの間に位置するアミノ酸位置からTGSRモチーフのアミノ酸位置まで伸びる非マウスTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、アミノ酸セグメントは、JがGGFRRモチーフを含む場合は常にそのGGFRRモチーフに第二のアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにJがVSCモチーフを含む場合は常にそのVSCモチーフにバリン若しくはセリン若しくはシステイン又は機能的に同等の残基の一又は複数の置換を含み;且つ
    は、TGSRモチーフのアミノ酸位置からそのC末端アミノ酸まで伸びるマウスTdTのアミノ酸セグメントであり、ここで、Jは、JがTGSRモチーフを含む場合は常にそのTGSRモチーフにアルギニン又は機能的に同等の残基の置換を、並びにJがFERモチーフを含む場合は常にそのFERモチーフにグルタミン酸又は機能的に同等の残基の置換を含み;
    ここで、キメラTdTバリアントは、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートを核酸断片に取り込むことができ;
    且つ、J、J及びJは、キメラTdTバリアントが350から410個のアミノ酸を有するように選択される]
    によって定まるアミノ酸配列と少なくとも80パーセント同一であるアミノ酸配列を含むキメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)バリアント。
  15. (i)前記アミノ酸セグメントJは、配列番号:42、71、73又は82から選択されるアミノ酸配列を含み;並びに配列番号:42のアミノ酸配列は、63位にメチオニンの置換を有し、(ii)前記アミノ酸セグメントJは、配列番号:44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、及び70からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、それぞれが35位にアルギニンの置換を有し、並びにそれぞれが1位にシステインの置換を有し、且つ(iii)前記アミノ酸セグメントJは、12位にアルギニン、15位にグルタミン酸の置換、及び38位にアルギニンの置換を有する配列番号:43のアミノ酸配列;又は配列番号:72のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載のキメラTdTバリアント。
  16. 63位でのメチオニンの前記置換がR又はQであり、35位でのアルギニンの前記置換がL又はNであり、並びに1位でのシステインの前記置換がG又はRである、請求項15に記載のキメラTdTバリアント。
  17. 配列番号:42の前記アミノ酸配列が、17位にアラニン、52位にロイシン、57位にグリシン、63位にメチオニン及び108位にアラニンの置換を更に有する、請求項15又は16に記載のキメラTdTバリアント。
  18. 前記非マウスTdTがウシTdTである、請求項14から17の何れか一項に記載のキメラTdTバリアント。
  19. 前記キメラTdTバリアントが、配列番号:74、75、76、77、78、79、80及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項18に記載のキメラTdTバリアント。
  20. 前記3’-O-修飾ヌクレオシドトリホスフェートが、3’-O-NH-ヌクレオシドトリホスフェート、3’-O-アジドメチル-ヌクレオシドトリホスフェート、3’-O-アリル-ヌクレオシドトリホスフェート、又は3’-O-(2-ニトロベンジル)-ヌクレオシドトリホスフェートである、請求項14から19の何れか一項に記載のキメラTdTバリアント。
  21. 予め決まった配列を有するポリヌクレオチドを合成する方法であって、
    a)遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーターを提供する工程;及び
    b)(i)伸長条件下で、遊離3’-O-ヒドロキシルを有するイニシエーター又は伸長断片を3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェート及び末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)バリアントと接触させて、イニシエーター又は伸長断片が3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェートの取り込みにより伸長されて3’-O-ブロック伸長断片を形成し、且つ(ii)伸長断片をデブロックして遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片を形成するサイクルを、ポリヌクレオチドが合成されるまで繰り返す工程
    を含み、TdTバリアントが請求項1から20の何れか一項に記載のキメラTdTバリアントである、方法。
  22. a)請求項1から20の何れか一項に記載のキメラTdTバリアント、b)一又は複数のヌクレオチド、好ましくは一又は複数の3’-O-ブロックヌクレオシドトリホスフェート、及びc)任意選択的に、少なくとも一種の核酸プライマーを含む、ヌクレオチド取り込み反応を実施するためのキット。
JP2022535446A 2019-12-12 2020-12-14 ポリヌクレオチドのテンプレートフリー酵素合成のためのキメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素 Pending JP2023506760A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP19215628 2019-12-12
EP19215628.9 2019-12-12
PCT/EP2020/085475 WO2021116270A1 (en) 2019-12-12 2020-12-14 Chimeric terminal deoxynucleotidyl transferases for template-free enzymatic synthesis of polynucleotides

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023506760A true JP2023506760A (ja) 2023-02-20

Family

ID=68887331

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022535446A Pending JP2023506760A (ja) 2019-12-12 2020-12-14 ポリヌクレオチドのテンプレートフリー酵素合成のためのキメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素

Country Status (9)

Country Link
US (1) US20230062303A1 (ja)
EP (1) EP4073240A1 (ja)
JP (1) JP2023506760A (ja)
KR (1) KR20220114026A (ja)
CN (1) CN114787346A (ja)
AU (1) AU2020401269A1 (ja)
CA (1) CA3161087A1 (ja)
IL (1) IL293820A (ja)
WO (1) WO2021116270A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4150066A1 (en) * 2020-05-12 2023-03-22 Illumina, Inc. Thermostable terminal deoxynucleotidyl transferase
WO2023083997A2 (en) 2021-11-10 2023-05-19 Dna Script Novel terminal deoxynucleotidyl
WO2023083999A2 (en) 2021-11-10 2023-05-19 Dna Script Novel terminal deoxynucleotidyl transferase (tdt) variants
CN114410602B (zh) * 2022-01-28 2024-01-19 赛纳生物科技(北京)有限公司 一种末端脱氧核苷酸转移酶的突变体及其应用
WO2023187214A1 (en) 2022-03-31 2023-10-05 Ribbon Biolabs Gmbh Biopolymer synthesis

Family Cites Families (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2044616A1 (en) 1989-10-26 1991-04-27 Roger Y. Tsien Dna sequencing
US5436143A (en) 1992-12-23 1995-07-25 Hyman; Edward D. Method for enzymatic synthesis of oligonucleotides
US5763594A (en) 1994-09-02 1998-06-09 Andrew C. Hiatt 3' protected nucleotides for enzyme catalyzed template-independent creation of phosphodiester bonds
US5808045A (en) 1994-09-02 1998-09-15 Andrew C. Hiatt Compositions for enzyme catalyzed template-independent creation of phosphodiester bonds using protected nucleotides
KR20000011069A (ko) 1996-05-09 2000-02-25 스리-디멘셔널 파마슈티컬스 인코포레이티드 리간드 개발 및 다변수 단백질 화학의 최적화를 위한미량이식판 열 이동 분석 및 그 장치
US7057026B2 (en) 2001-12-04 2006-06-06 Solexa Limited Labelled nucleotides
DE10215035A1 (de) * 2002-04-05 2003-10-23 Roche Diagnostics Gmbh Rekombinante terminale Deoxynukleotidyltransferase mit verbesserter Funktionalität
US20060086538A1 (en) 2002-07-08 2006-04-27 Shell Oil Company Choke for controlling the flow of drilling mud
US7947817B2 (en) 2003-06-30 2011-05-24 Roche Molecular Systems, Inc. Synthesis and compositions of 2'-terminator nucleotides
US8399188B2 (en) 2006-09-28 2013-03-19 Illumina, Inc. Compositions and methods for nucleotide sequencing
FR3020071B1 (fr) 2014-04-17 2017-12-22 Dna Script Procede de synthese d'acides nucleiques, notamment d'acides nucleiques de grande longueur, utilisation du procede et kit pour la mise en œuvre du procede
CN107109452A (zh) * 2014-08-18 2017-08-29 分子组装公司 合成核酸的方法和设备
CN116458475A (zh) * 2016-06-03 2023-07-21 瑞泽恩制药公司 表达外源末端脱氧核苷酸转移酶的非人动物
FR3052462A1 (fr) * 2016-06-14 2017-12-15 Dna Script Variants d'une adn polymerase de la famille polx
WO2019051253A1 (en) * 2017-09-08 2019-03-14 Sigma-Aldrich Co. Llc DNA MODIFIED POLYMERASES
JP2021510074A (ja) 2018-01-08 2021-04-15 ディーエヌエー スクリプト ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼの改変体およびその使用
JP7430701B2 (ja) * 2018-07-23 2024-02-13 ディーエヌエー スクリプト 核酸鎖の大規模並列酵素合成
CN113302289A (zh) * 2018-11-14 2021-08-24 Dna斯克瑞普特公司 末端脱氧核苷酸转移酶变体及其用途
EP3976809A1 (en) * 2019-05-28 2022-04-06 DNA Script Variants of terminal deoxynucleotidyl transferase and uses thereof
CN110331136B (zh) * 2019-09-05 2019-12-24 中国科学院天津工业生物技术研究所 一种末端脱氧核糖核苷转移酶变体及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
EP4073240A1 (en) 2022-10-19
IL293820A (en) 2022-08-01
KR20220114026A (ko) 2022-08-17
CN114787346A (zh) 2022-07-22
WO2021116270A1 (en) 2021-06-17
US20230062303A1 (en) 2023-03-02
AU2020401269A1 (en) 2022-06-02
CA3161087A1 (en) 2021-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11859217B2 (en) Terminal deoxynucleotidyl transferase variants and uses thereof
US10435676B2 (en) Variants of terminal deoxynucleotidyl transferase and uses thereof
JP2023506760A (ja) ポリヌクレオチドのテンプレートフリー酵素合成のためのキメラ末端デオキシヌクレオチド転移酵素
JP2022543569A (ja) ポリ(a)およびポリ(u)ポリメラーゼを使用するポリヌクレオチドの鋳型なしの酵素による合成
US20230203553A1 (en) Template-Free Enzymatic Polynucleotide Synthesis Using Dismutationless Terminal Deoxynucleotidyl Transferase Variants
US20230159903A1 (en) Terminal Deoxynucleotidyl Transferase Variants and Uses Thereof
US20240093256A1 (en) Stabilized N-Terminally Truncated Terminal Deoxynucleotidyl Transferase Variants and Uses Thereof
US20220411840A1 (en) High Efficiency Template-Free Enzymatic Synthesis of Polynucleotides

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231204