JP2023504515A - 骨髄異形成症候群の処置のための併用療法 - Google Patents

骨髄異形成症候群の処置のための併用療法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023504515A
JP2023504515A JP2022533119A JP2022533119A JP2023504515A JP 2023504515 A JP2023504515 A JP 2023504515A JP 2022533119 A JP2022533119 A JP 2022533119A JP 2022533119 A JP2022533119 A JP 2022533119A JP 2023504515 A JP2023504515 A JP 2023504515A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
albocidib
administered
pharmaceutically acceptable
acceptable salt
prodrug
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022533119A
Other languages
English (en)
Inventor
スティーブン エル. ワーナー,
スティーブン パトリック アンソニー,
デイビッド ジェイ. ベアス,
マイケル ヴィンセント マッカラー,
Original Assignee
スミトモ ファーマ オンコロジー, インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by スミトモ ファーマ オンコロジー, インコーポレイテッド filed Critical スミトモ ファーマ オンコロジー, インコーポレイテッド
Publication of JP2023504515A publication Critical patent/JP2023504515A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/435Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
    • A61K31/44Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof
    • A61K31/445Non condensed piperidines, e.g. piperocaine
    • A61K31/4523Non condensed piperidines, e.g. piperocaine containing further heterocyclic ring systems
    • A61K31/453Non condensed piperidines, e.g. piperocaine containing further heterocyclic ring systems containing a six-membered ring with oxygen as a ring hetero atom
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7042Compounds having saccharide radicals and heterocyclic rings
    • A61K31/7052Compounds having saccharide radicals and heterocyclic rings having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. nucleosides, nucleotides
    • A61K31/706Compounds having saccharide radicals and heterocyclic rings having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. nucleosides, nucleotides containing six-membered rings with nitrogen as a ring hetero atom

Abstract

本発明は、アザシチジンまたはデシタビンなどの低メチル化剤(HMA)、または前述のいずれかのプロドラッグ、または前述のいずれかの薬学的に許容され得る塩と、アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することによる、骨髄異形成症候群(MDS)の処置のための方法に関する。一態様では、本開示は、患者に治療有効量の低メチル化剤(HMA)(例えば、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;またはデシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩)と、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含む、骨髄異形成症候群(MDS)の処置を、それを必要とする患者において行う方法を提供する。

Description

関連出願
本願は、2020年6月10日に出願された米国特許出願第63/037,553号、および2019年12月5日に出願された米国特許出願第62/944,339号の利益を主張する。上記出願の教示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、低メチル化剤(HMA)およびアルボシジブを投与することによる、骨髄異形成症候群(MDS)の処置のための方法に関する。
発明の背景
骨髄異形成症候群(MDS)は、健康な数の血液細胞を生成することができないことを特徴とする、多様な骨髄障害の群である。多くの場合(症例の約30%で)、MDSは急性骨髄性白血病(AML)に進行する。AMLは生存率が比較的低く、主に不治の状態のままである。MDSの処置選択肢の1つは、低メチル化剤(HMA)であるアザシチジンとデオキシアザシチジン(デシタビン)であり、これらは次の2つの主要な機構によって作用する:1)DNAメチルトランスフェラーゼを阻害することにより、主要な腫瘍抑制遺伝子を活性化すること;および2)複製中のDNA鎖に組み込まれた後にDNAを直接損傷すること。これらの機構の2つ目は、プログラム細胞死経路(アポトーシス)を活性化するものであり、この経路は、アポトーシス調節タンパク質のBH3ファミリーの抗アポトーシスメンバーであるMCL-1を含む主要なアポトーシス調節タンパク質の発現レベルに幾分依存していることが示されている。
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、細胞周期のタイミングおよび協調を制御する重要な調節因子である。CDKは、偏性サイクリンパートナーと可逆的な複合体を形成して、細胞周期の主要な分岐点を通過する移行を制御する。細胞周期の進行を調節することに加えて、一部のCDKファミリーメンバー、例えば、CDK7およびCDK9は、転写においても能動的な役割を果たす。特に、CDK9はRNAポリメラーゼIIを直接リン酸化し、生産的な転写に寄与する。CDK9を阻害する薬剤は、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤によって活性化されるアポトーシス経路の重要なタンパク質であるMCL-1の発現を阻害することが示されている。そのようなCDK阻害剤の1つは、アルボシジブである。これは、CDK(例えば、CDK-9)の強力で選択的な阻害剤であり、様々な腫瘍細胞株に対する抗腫瘍活性を有する。アルボシジブは、MCL-1の発現レベルを急速に低下させることも知られている。
DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤とサイクリン依存性キナーゼ阻害剤の組合せによりがんの処置は進歩したが、MDSの処置のための改善された併用療法および改善された方法が当技術分野で依然として必要とされている。本発明は、この必要性を満たし、関連する利点を提供する。
本発明の様々な限定されない態様および実施形態を以下に説明する。
一態様では、本開示は、患者に治療有効量の低メチル化剤(HMA)(例えば、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;またはデシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩)と、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含む、骨髄異形成症候群(MDS)の処置を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、この際、患者は、これまでにMDSの処置を受けていない;6サイクル未満の低メチル化剤による処置を受けた;デノボMDSを有するおよび/または続発性MDSを有する。
別の態様では、本開示は、MDSの処置を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、方法は、患者に治療有効量のアザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;および、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含む。アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩は、28日間の処置サイクルの1、2、3、4、5、6および7日目、または1、2、3、4、5、8および9日目に投与される。アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩は、28日間の処置サイクルの10日目に投与される。
なお別の態様では、本開示は、MDSの処置を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、方法は、患者に治療有効量のデシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;および、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含む。デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩は、28日間の処置サイクルの1、2、3、4および5日目に投与される。アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩は、28日間の処置サイクルの8日目に投与される。
別の態様では、本開示は、治療有効量の低メチル化剤(HMA)と治療有効量のアルボシジブを患者に投与することを含む、これまでに処置を受けていないMDSを有する患者において骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法を提供する。
別の態様では、本開示は、治療有効量のHMAと治療有効量のアルボシジブを患者に投与することを含む、6サイクル未満の低メチル化剤(HMA)による処置を受けた患者においてMDSを処置する方法を提供する。
別の態様では、本開示は、患者に治療有効量の低メチル化剤(HMA)と治療有効量のアルボシジブを投与することを含む、これまでにMDS処置を受けていないデノボMDSを有する患者においてMDSを処置する方法を提供する。
一実施形態では、患者は、集中的な導入化学療法にも幹細胞移植にも適格でない。
一実施形態では、患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたは複数において、1またはそれを超える変異を有する。
別の態様では、本開示は、患者に治療有効量の低メチル化剤(HMA)と治療有効量のアルボシジブを投与することを含む、これまでにMDS処置を受けていない続発性MDSを有する患者においてMDSを処置する方法を提供する。
一実施形態では、患者が、集中的な導入化学療法にも幹細胞移植にも適格でない。
一実施形態では、患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたは複数において、1またはそれを超える変異を有する。
別の実施形態では、MDSが、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB-T)、および慢性骨髄単球性白血病(CMML)からなる群より選択される。
別の実施形態では、MDSが、中間-1改訂国際予後判定システム(IPSS-R)群、中間-2 IPSS-R群、および高IPSS-R群から選択される。
別の実施形態では、HMAとアルボシジブが同時に投与される。
別の実施形態では、HMAとアルボシジブが逐次的に投与される。
別の実施形態では、HMAが最初に投与され、続いてアルボシジブが投与される。
別の実施形態では、HMA投与後のNOXA発現が増加している期間中にアルボシジブが投与される。
別の実施形態では、HMAがプロドラッグとして投与される。
別の実施形態では、アルボシジブがプロドラッグとして投与される。
別の実施形態では、アルボシジブプロドラッグが、アルボシジブホスフェートプロドラッグである。
別の実施形態では、アルボシジブホスフェートプロドラッグが、以下の構造
Figure 2023504515000001
を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
別の実施形態では、HMAがシチジンデアミナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
別の実施形態では、HMAが静脈内投与されるかまたは皮下注射により投与される。
別の実施形態では、HMAがアザシチジンおよびデシタビンから選択される。
別の実施形態では、HMAがアザシチジンである。
別の実施形態では、アザシチジンがアザシチジンホスフェートプロドラッグとして投与される。
別の実施形態では、アザシチジンホスフェートプロドラッグが、式
Figure 2023504515000002
(式中、RおよびRは、独立にHまたはCO(C~Cアルキル)である)
を有する。
別の実施形態では、式中、Rが各出現においてHであり、RがHおよびCO(Cアルキル)から選択される。
別の実施形態では、アザシチジンが、2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジンである。
別の実施形態では、アザシチジンが経口投与される。
別の実施形態では、アザシチジンがCC-486組成物として投与される。
別の実施形態では、アザシチジンが静脈内注入として投与される。
別の実施形態では、静脈内注入が約5分から約100分にわたる。
別の実施形態では、静脈内注入が約10分から約40分にわたる。
別の実施形態では、アザシチジンが皮下投与される。
別の実施形態では、アザシチジンが7日間連続して投与される。
別の実施形態では、アザシチジンが1日1回5日間投与され、続いて2日間アザシチジンは投与されず、その後、アザシチジンが1日1回2日間投与される。
別の実施形態では、アザシチジンが、約10mg/m~約90mg/mの投薬量で投与される。
別の実施形態では、アザシチジンが約90mg/mより低い投薬量で投与され、その後、約90mg/mの投薬量まで漸増させる。
別の実施形態では、アザシチジンが約75mg/mの投薬量で投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、アザシチジンの投与開始から10日目に投与される。
別の実施形態では、アザシチジン投与後のNOXA発現が増加している期間中にアルボシジブが投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが静脈内注入として投与される。
別の実施形態では、静脈内注入が約20分から約120分にわたる。
別の実施形態では、静脈内注入が約1時間にわたる。
別の実施形態では、アルボシジブが約90mg/mの投薬量で投与される。
別の実施形態では、HMAがデシタビンである。
別の実施形態では、デシタビンがセダズリジンと組み合わせて投与される。
別の実施形態では、デシタビンが静脈内注入として投与される。
別の実施形態では、静脈内注入が約20分から約120分にわたる。
別の実施形態では、静脈内注入が約1時間にわたる。
別の実施形態では、デシタビンが5日間毎日投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、デシタビンの投与開始から8日目に投与される。
別の実施形態では、デシタビン投与後のNOXA発現が増加している期間中にアルボシジブが投与される。
別の実施形態では、アルボシジブがボーラスとして投与され、続いて静脈内注入される。
別の実施形態では、ボーラスが約10分から約40分にわたる。
別の実施形態では、ボーラスが約30分にわたる。
別の実施形態では、静脈内注入が約30分から約6時間にわたる。
別の実施形態では、静脈内注入が約4時間にわたる。
別の実施形態では、アルボシジブが、約20mg/mの投薬量でボーラスとして投与され、続いて約10mg/m~約60mg/mの投薬量で静脈内注入される。
別の実施形態では、アルボシジブが、約20mg/m~約100mg/mの全体的な投薬量で投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが静脈内注入として投与される。
別の実施形態では、静脈内注入が約1時間にわたる。
別の実施形態では、アルボシジブが約90mg/mの投薬量で投与される。
別の実施形態では、デシタビンが、約10mg/m~約30mg/mの1日投薬量で投与される。
別の実施形態では、デシタビンが、約20mg/mの1日投薬量で投与される。
別の実施形態では、患者が、腫瘍崩壊症候群の予防をさらに投与される。
別の実施形態では、腫瘍崩壊症候群の予防が、0.45%水性NaClによる静脈内水分補給を含む。
別の実施形態では、腫瘍崩壊症候群の予防が、アロプリノール、経口ホスフェート結合剤(oral phosphate binder)、体液喪失の補充、および止痢薬のうちの1またはそれより多くを投与することを含む。
別の実施形態では、腫瘍崩壊症候群の予防が、最初のHMA用量の前に投与される。
別の実施形態では、腫瘍崩壊症候群の予防が、最初のアルボシジブ用量の前に投与される。
別の実施形態では、患者が18歳またはそれより年長である。
別の実施形態では、前記患者の米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS)スコアが2以下である。
別の実施形態では、患者の平均余命が3か月以上である。
別の実施形態では、患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたは複数において、1またはそれを超える変異を有する。
別の実施形態では、患者が、検査データに基づいて以下の判定基準を満たす:
a)患者の血清クレアチニンが、正常値上限(ULN)範囲の1.8倍以下であり;
b)患者の総ビリルビンが、ULN範囲の2倍以下であり、かつ
c)患者のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアラニントランスアミナーゼ(ALT)が、ULN範囲の3倍以下である。
別の実施形態では、患者が重度の心血管疾患を併発していない。
別の実施形態では、患者が、ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類IIIまたはIVの心疾患、米国国立がん研究所(NCI)の有害事象の共通用語基準(CTCAE)v5.0のグレード3またはそれを超える不整脈、狭心症、異常な心電図所見、間質性肺炎、および肺線維症から選択される状態を有していない。
別の実施形態では、患者が処置前の6か月以内に心筋梗塞を起こしていない。
別の実施形態では、患者が化学療法を必要とする悪性疾患を併発しておらず、また患者が処置前6か月以内に化学療法を受けた悪性疾患を併発していない(ただし、悪性疾患は皮膚の基底細胞癌および扁平上皮癌から選択されない)。
別の実施形態では、患者が、制御されないかまたは制御できない感染、あるいはNCI CTCAE v5.0によるグレードが3以上の感染を有していない。
別の実施形態では、患者が骨髄穿刺でドライタップを有さない。
別の実施形態では、患者が、自己免疫疾患を併発しておらず、または慢性もしくは再発性の自己免疫疾患の既往歴もない。
別の実施形態では、患者が、毎日20mgのプレドニゾンに相当する量よりも多い長期の全身ステロイド治療を必要としない。
別の実施形態では、患者が、過去1年以内に別の記録された悪性疾患を有さない。
別の実施形態では、患者が、NCI CTCAE v5.0によるグレードが2以上の出血を有していない。
別の実施形態では、患者が妊娠していないかまたは授乳していない。
別の実施形態では、患者がこれまでにアルボシジブまたは別のサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤を投与されていない。
別の実施形態では、方法は、患者の腫瘍細胞標本のBH3プロファイルを決定することをさらに含む。
別の実施形態では、方法は、MDSに関連する追加のバイオマーカーの測定をさらに含む。
別の実施形態では、MDSに関連する追加のバイオマーカーが、核酸、タンパク質、脂質、および代謝物からなる群より選択される。
別の実施形態では、MDSに関連する追加のバイオマーカーがMCL-1である。
別の実施形態では、方法は、患者のBH3プロファイルに基づいて、MDS処置への応答の可能性について患者を分類することをさらに含む。
別の実施形態では、BH3プロファイルがフローサイトメトリーによって決定される。
別の態様では、本開示は、これまでに処置を受けていないMDS患者に低メチル化剤およびアルボシジブを投与することを含む、MDS処置に対する応答を決定するための方法であって、患者の腫瘍細胞標本のBH3プロファイルを決定すること、およびMDS処置に対する応答の可能性について患者を分類することを含む、方法を提供する。
一実施形態では、患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたは複数において、1またはそれを超える変異を有する。。
別の実施形態では、方法は、MDSに関連する追加のバイオマーカーの測定をさらに含む。
別の実施形態では、追加のバイオマーカーが、核酸、タンパク質、脂質、および代謝物からなる群より選択される。
別の実施形態では、追加のバイオマーカーがMCL-1である。
別の実施形態では、BH3プロファイルがフローサイトメトリーによって決定される。
なお別の態様では、本開示は、アザシチジンおよびデシタビンから選択される治療有効量の低メチル化剤(HMA)を患者に投与し、続いて治療有効量のアルボシジブを患者に投与することを含む、骨髄異形成症候群(MDS)の患者を処置する方法を提供する。
別の実施形態では、HMAが静脈内投与される。
別の実施形態では、HMAが、約10mg/m~約30mg/mの用量で、約1~約3時間、1日1~3回投与されるデシタビンである。
別の実施形態では、デシタビンが1日1回、3~7日間投与される。
別の実施形態では、デシタビンが1日1回、5日間投与される。
別の実施形態では、デシタビンが、約20mg/mの用量で1時間の注入で投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、約10mg/m~約120mg/mの速度で投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、デシタビン投与の停止から2日後に投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、デシタビン投与の停止から2日後に投与される。
別の実施形態では、アルボシジブの一部が、約10分~約60分の期間にわたって約10mg/m~約50mg/mのボーラス用量として投与される。
別の実施形態では、ボーラス用量が約30分の期間にわたって投与される。
別の実施形態では、ボーラス用量が約20mg/m~約30mg/mである。
別の実施形態では、約10mg/m~約60mg/mのアルボシジブが、約2時間~約6時間の期間にわたって静脈内投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、約4時間の期間にわたって投与される。
別の実施形態では、アルボシジブの用量が、約20mg/m~約60mg/mである。
別の実施形態では、アルボシジブが、約90mg/mの用量で約20分~約120分の期間にわたって静脈内投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、約1時間の期間にわたって投与される。
別の実施形態では、静脈内注入によるアルボシジブの投与が、ボーラス用量の完了から約30分以内に開始される。
別の実施形態では、HMAが、約30~約90mg/mの用量のアザシチジンである。
別の実施形態では、用量が1日あたり約75mg/mである。
別の実施形態では、アザシチジンが、約10~約40分にわたる静脈内ボーラス注射または皮下注射として7日間投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、アザシチジン投与の停止から2日後に静脈内投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、アザシチジン投与の開始後10日目に投与され、8日目および9日目にアザシチジン投与を行わない。
別の実施形態では、90mg/mのアルボシジブが、約20分~約120分の期間にわたって静脈内投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、約1時間の期間にわたって投与される。
別の実施形態では、アザシチジンが、約30~約90mg/m/日の用量で5日間連続して投与され、続いて6日目および7日目にアザシチジンを投与せず、さらに8日目および9日目に約30~約90mg/mの用量でアザシチジンが静脈内投与され、さらに、10日目にアルボシジブが静脈内投与される。
別の実施形態では、アザシチジンが、1~5日目および8日目および9日目に約75mg/m/日の用量で静脈内ボーラス注射により投与され、アルボシジブが、10日目に約90mg/mの用量で約1時間の期間にわたって静脈内注入により投与される。
別の実施形態では、処置が少なくとも1回繰り返される。
別の実施形態では、処置が少なくとも1回繰り返される。
別の実施形態では、処置サイクルが28日を含む。
別の実施形態では、処置サイクルが少なくとも1回繰り返される。
別の実施形態では、処置が少なくとも4サイクル繰り返される。
別の実施形態では、処置サイクルが4~6週間を含む。
別の実施形態では、処置が少なくとも4サイクル繰り返される。
別の実施形態では、HMAが経口投与される。
別の実施形態では、HMAがプロドラッグとして投与される。
別の実施形態では、HMAがシチジンデアミナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
別の実施形態では、HMAがデシタビンである。
別の実施形態では、シチジンデアミナーゼ阻害剤がセダズリジンである。
別の実施形態では、HMAがアザシチジンホスフェートプロドラッグである。
別の実施形態では、アザシチジンプロドラッグが、式
Figure 2023504515000003
(式中、RおよびRは、独立にHまたはCO(C~Cアルキル)である)
を有する。
別の実施形態では、HMAが組成物CC-486である。
別の実施形態では、HMAが、2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジンとして投与されるアザシチジンである。
本発明のこれらおよびその他の態様は、添付される特許請求の範囲を含む以下の発明の詳細な説明を読めば当業者に明らかになるであろう。
特許または特許出願のファイルには、カラーで描かれた図面が少なくとも1つ含まれている。カラー図面を含むこの特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な料金の納付によって、米国特許商標庁より提供される。
図1は、細胞におけるCDK機能の概要を提供する図である。
図2は、24時間のアルボシジブ曝露後にアポトーシスを受けた細胞のパーセンテージ(y軸)をアルボシジブのnM(x軸)でプロットしたものである。
図3Aおよび3Bは、アルボシジブのIC50値を示す棒グラフである。図3Aは、無細胞生化学アッセイにおいてアルボシジブにより標的化された異なるCDKファミリーメンバーのIC50値(M)の棒グラフである。図3Bは、2μM未満の細胞濃度でアルボシジブにより阻害されたキナーゼのIC50値(nM)の棒グラフである。 図3Aおよび3Bは、アルボシジブのIC50値を示す棒グラフである。図3Aは、無細胞生化学アッセイにおいてアルボシジブにより標的化された異なるCDKファミリーメンバーのIC50値(M)の棒グラフである。図3Bは、2μM未満の細胞濃度でアルボシジブにより阻害されたキナーゼのIC50値(nM)の棒グラフである。
図4は、CDK9キナーゼ活性とMCL-1安定性のアップレギュレーションが、白血病におけるサイクリン依存性キナーゼ阻害剤に対する獲得耐性に寄与することを示している。図4の左側パネルの棒グラフは、細胞がインビトロでフラボピリドール誘導性細胞死に対する耐性を獲得したことを示す。図4の右上のパネルは、RNA Pol IIのCTDのSer2のリン酸化が、フラボピリドールの薬効に対してより耐性が高いことを示している。図4の右中央のパネルは、CDK9キナーゼ活性がアップレギュレートされてRNA Pol II活性を促進し、フラボピリドールの薬物機構に対抗することを示している。図4の右下のパネルは、MCL-1タンパク質レベルがより安定しており、Flavo-Rのフラボピリドール媒介性枯渇に拮抗することを示している。
図5は、CDK9によるMCL-1転写調節と、CDK9阻害を介するアルボシジブのスーパーエンハンサー活性の破壊を説明する図である。
図6は、CDK9が、RNAポリメラーゼIIを調節するスーパーエンハンサー複合体の一部であり、アポトーシスを阻害するBCL-2ファミリーのメンバーであるMCL-1の発現を駆動する方法を示す図である。
図7Aおよび7Bは、MCL-1が、AML細胞においてスーパーエンハンサーによって調節されることをともに実証する。図7Aは、スーパーエンハンサーのエンハンサー関連因子の協同的相互作用が、より高い転写出力と、因子濃度に対する感受性の増加の両方をどのようにもたらすかを示す概略図である。図7Bは、MCL1遺伝子と重なっていて、その下流にあるMED1(上)およびBRD4(下)の遺伝子トラックのChIP-seq占有率を示す。
図8は、アルボシジブがMCL-1の発現を阻害することを示す。図8の左側のパネルは、アルボシジブに応答したMCL-1の用量依存的な減少を実証するウエスタンブロットである。図8の右側のパネルは、80nMアルボシジブで処置したMV4-11細胞におけるMCL-1の経時的な段階的減少を示すウエスタンブロットである。図8の右側のパネルは、MCL-1のノックダウンが96時間を超えることを実証する。
図9は、アルボシジブがCDK9を阻害することによってMCL-1の発現を阻害する機構を提案する説明図である。
図10は、示された濃度のアルボシジブの正規化されたMCL-1の遺伝子発現(mRNAとして測定)の棒グラフである。
図11は、NOXAプライミング(MCL-1依存)が、アルボシジブの応答に関連していることを示す。図11は、示された濃度のアルボシジブで処置した細胞のBH3プロファイル(ミトコンドリアプロファイリング)の結果を示す。有意性の値(p値)が提供されている。
図12Aおよび12Bは、Zella201臨床試験の設計を要約した図である。図12Aは、Zella201臨床試験のステージ1およびステージ2の概要を提供する。図12Bは、Zella201臨床試験の用量および処置スケジュールの概要を提供する。 図12Aおよび12Bは、Zella201臨床試験の設計を要約した図である。図12Aは、Zella201臨床試験のステージ1およびステージ2の概要を提供する。図12Bは、Zella201臨床試験の用量および処置スケジュールの概要を提供する。
図13は、Zella201臨床試験の患者の特徴を記載する。
図14は、Zella201臨床試験のステージ1の応答の特徴を記載する。
図15は、Zella201臨床試験から得たレスポンダー(CR/CRi)の結果を要約したグラフである。
図16Aおよび16Bは、NOXAプライミングはアルボシジブへの応答を予測するが、NOXAプライミングは7+3化学療法への応答を予測しないことを示す。図16Aは、急性骨髄性白血病(AML)患者において、高いNOXAプライミング(MCL-1依存)がアルボシジブ感受性を予測することを示す箱ひげ図である。図16Bは、NOXAプライミングされた(MCL-1依存性)患者の応答と7+3化学療法による処置とが相関しないことを示す箱ひげ図である。(CR=完全寛解;NR=無応答)。
図17は、MCL-1依存がAML患者のアルボシジブ感受性を予測することを実証する棒グラフである。
図18Aおよび18Bは、AML(続発性AML)を発症している骨髄異形成症候群(MDS)患者が非MDS AML患者よりもアルボシジブ処置に対して応答する可能性が高いことを実証する。図18Aは、MDS患者が一般的なAML患者集団よりも高度にNOXAプライミングされる(MCL-1依存性である)ことを示すプロットである。網掛けされた領域は、95%信頼区間を表す。図18Bは、40%以上のNOXAプライミング(MCL-1依存)を有する患者が、40%未満のNOXAプライミングを有する患者よりも長い生存を実証したことを示すプロットである。40%を超えるNOXAプライミングは、高度にNOXAプライミングされた(あるいは、MCL-1依存性である)とみなされる。
図19は、MCL-1依存性がヘム悪性疾患で一般的であることを示している。図19は、BH3プロファイリングによって決定された、MCL-1依存性であると推定される集団のパーセンテージをグラフにしたものである。
図20は、アルボシジブとHMAとの間に仮定される相乗作用の機構を表す。
図21Aおよび21Bは、アルボシジブが続発性AMLにおいて臨床活性を示すことを示す。図21Aは、続発性AMLを有する処置群のCR/CRi率の棒グラフである。図21Bは、処置前の骨髄試料(n=24)で実施され、応答と相関させたミトコンドリアプロファイリングの結果を示す。
図22Aおよび22Cは、アルボシジブがインビトロでRNApol IIリン酸化とMCL-1発現を減少させることを示す。図22Aおよび22Bは、24時間処置後のフローサイトメトリーによって測定されるように、アルボシジブがMV-4-11 AML細胞においてRNApol IIのリン酸化を用量依存的に阻害することを示す。図22Cは、図22Aおよび22Bに示されるデータのグラフである。 図22Aおよび22Cは、アルボシジブがインビトロでRNApol IIリン酸化とMCL-1発現を減少させることを示す。図22Aおよび22Bは、24時間処置後のフローサイトメトリーによって測定されるように、アルボシジブがMV-4-11 AML細胞においてRNApol IIのリン酸化を用量依存的に阻害することを示す。図22Cは、図22Aおよび22Bに示されるデータのグラフである。 図22Aおよび22Cは、アルボシジブがインビトロでRNApol IIリン酸化とMCL-1発現を減少させることを示す。図22Aおよび22Bは、24時間処置後のフローサイトメトリーによって測定されるように、アルボシジブがMV-4-11 AML細胞においてRNApol IIのリン酸化を用量依存的に阻害することを示す。図22Cは、図22Aおよび22Bに示されるデータのグラフである。
図23は、MDS患者細胞において、ホスホRNAポリメラーゼ(pRpb1)およびMCL-1(MCL1)レベルが、アルボシジブ処置の後に低下することを示す棒グラフである。
図24A~24Cは、HMAがインビトロでNOXA発現を増加させることを示す。図24Aおよび24Cはウエスタンブロットであり、図24Bは、mRNA濃度の棒グラフである。総合して、図24A~24Cは、デシタビンなどのHMAがNOXAの再発現を誘導することを実証する。 図24A~24Cは、HMAがインビトロでNOXA発現を増加させることを示す。図24Aおよび24Cはウエスタンブロットであり、図24Bは、mRNA濃度の棒グラフである。総合して、図24A~24Cは、デシタビンなどのHMAがNOXAの再発現を誘導することを実証する。
図25は、アザシチジンがインビトロでNOXA発現を誘導することを示すウエスタンブロットである。MV-4-11 AML細胞を示された濃度のアザシチジンで24時間処置し、タンパク質をNOXA発現についてウエスタンブロットで評価した。NOXA発現の用量依存的増加が観察された。
図26Aおよび26Bは、示された濃度のアザシチジンまたはアルボシジブでの48時間処置後の細胞生存率を示す散布図である。図26Aは、示された濃度のアザシチジンに対する48時間処置後の細胞生存率のプロットである。アザシチジン処置のIC50は1031nMであった。図26Bは、示された濃度のアルボシジブに対する48時間処置後の細胞生存率のプロットである。アザシチジン処置のIC50は95.63nMであった。
図27Aおよび27Bは、アルボシジブとHMAとの間の相乗効果によるアポトーシス誘導を実証する。図27Aは、DMSO(対照)と示された濃度のアザシチジン、または80nMのアルボシジブ(alvocibib)と示された濃度のアザシチジンで処置した細胞における細胞生存率のプロットである。図27Aの下側のパネルは、細胞生存率のプロットから求めたEC50値が記載されている。細胞生存率はMV4-11細胞で評価した(Celltiter-glo)。図27Bは、DMSO(対照)、デシタビン、アルボシジブ、またはデシタビンとアルボシジブで処置した細胞におけるカスパーゼ活性の棒グラフである。
図28Aおよび28Bは、アルボシジブが、MV-4-11細胞におけるNOXA誘導に影響を及ぼすことなく、アザシチジンによるMCL-1のアップレギュレーションを阻害することを示す。図28Aは、MCL-1およびNOXA発現に関してアルボシジブとアザシチジンとの相互作用を評価するために使用した実験の概要である。図28Bは、示された薬物濃度で図28Aに要約された実験に従って処置した細胞中のNOXAおよびMCL-1レベルを示すウエスタンブロットである。
図29Aおよび29Bは、HMA処置によりMCL-1依存性が高まることを示す。図29Aは、MCL-1依存アッセイの概要を提供する。図29Bは、フローサイトメトリーデータを示す。図29Bの下側のパネルは、各処置条件下のプライミング%を示す。 図29Aおよび29Bは、HMA処置によりMCL-1依存性が高まることを示す。図29Aは、MCL-1依存アッセイの概要を提供する。図29Bは、フローサイトメトリーデータを示す。図29Bの下側のパネルは、各処置条件下のプライミング%を示す。
図30は、HMA処置がMCL-1抑制に対する感受性を増加させることを実証する棒グラフである。
図31Aおよび31Bは、MDS/sAML用のMOLM13モデルにおけるアルボシジブおよびHMAの逐次的投与の結果を示す。HMAの投与は、AML細胞を逐次的投与に感作させ、インビボでの生存を改善した。アルボシジブ、アザシチジン、およびデシタビンの活性は、MOLM13異種移植モデルで評価した。図31Aは、腫瘍体積の経時的なプロットであり、図31Bは、生存パーセントの経時的なプロットである。マウスにアルボシジブ、qdx2、および/またはHMA、qdx3を毎週投与した。用量はmg/kg(mpk)で示される。
図32Aおよび32Bは、MOLM13モデルにおけるアルボシジブおよびデシタビンの積極的な毎日の投与の結果を示す。腫瘍を有するマウスを処置した。用量およびスケジュールが示されている。図32Aは、処置後の腫瘍体積をプロットし、図32Bは、処置後の体重をプロットしている。単剤として、アルボシジブは75.8の腫瘍増殖阻害(%TGI)を達成した。デシタビンは、単剤として58.6の%TGIを達成した。組み合わせると、デシタビンとアルボシジブは95.8の%TGIを達成した。
図33は、アザシチジンアームを含むALV-102臨床試験の研究スキームを説明する図である。臨床試験は、アザシチジン+/-アルボシジブを、新たに診断された中および高リスクの骨髄異形成症候群で評価することになる。アルボシジブは、1時間の注入として投与されることになる。
図34は、アルボシジブがACMレジメンの一部として以前のMDSを有するAML患者において臨床活性を示したことを実証する。
図35は、デシタビンに媒介されるNOXAの再発現が、アルボシジブによるMCL-1抑制を補完することを示す図である。
図36は、デシタビンがNOXA発現の増加をもたらすことを実証するウエスタンブロットの画像である。
図37は、デシタビンの投与とそれに続くアルボシジブの投与が、AML細胞株において正規化されたカスパーゼ3/7活性の相乗的増加をもたらすことを実証する。図37の下側のパネルは、デシタビンとアルボシジブとの間の任意の相乗作用を評価するために使用される投薬レジメンを示す図である。細胞をデシタビン(DAC)に24時間曝露させた後、ALVまたはPalboに24時間曝露させた。図37の左上のパネルと図37の右上のパネルは、図37の下のパネルに示されるプロトコールに従って示された濃度で投与されたDACとAMLとの間の相乗作用を実証する棒グラフである。
図38は、処置の経過にわたる患者のNOXA mRNA発現を示す。
図39Aは、実施例16に記載の実験から得たウエスタンブロットであり、患者0219のCD34MDS骨髄単核細胞(BMMNC)においてDMSO処置試料と比較して、アザシチジン(単独)はNOXA発現を誘導し、アルボシジブ(単独)はMCL-1発現を抑制したが、アザシチジンとアルボシジブの逐次的処置は、NOXA誘導とMCL-1抑制の両方を示したことを示す。
図39Bは、実施例16に記載の実験による処置と比較したアポトーシスのグラフであり、DMSO処置試料と比較して、アザシチジン(単独)が、それぞれ0.3および0.6μMの濃度でアポトーシス活性の52および62%の増加を示し、一方、アザシチジン(0.3または0.6μM)とアルボシジブの逐次的処置は、それぞれ、アポトーシス活性の104および110%の増加を示す。
図40Aは、患者試料のCD34MDS BMMNCにおけるアルボシジブ、アザシチジンまたはアルボシジブ+アザシチジンのアポトーシスに対する効果を示す。
図40Bは、別の患者試料のCD34BMMNCにおけるアルボシジブ、アザシチジンまたはアルボシジブ+アザシチジンのアポトーシスに対する効果を示す。
図41Aは、実施例18に記載のMCL-1依存アッセイで使用されるゲーティング戦略を示す。
図41Bは、実施例18に記載のMCL-1依存アッセイの概略図である。
図41Cは、アザシチジン処置の関数としての、患者に対する較正されたMCL-1プライミングパーセントのグラフであり、MDS患者の複数の骨髄試料にわたる0.3、1および2.5μMのアザシチジン処置で観察されたプライミングの用量依存的増加を示す。
図42は、実施例9~15に記載の臨床試験からの中間応答評価の要約であり、腫瘍型ごとの応答および処置期間を示す。
図43Aは、C1D8の実施例9~15に記載の臨床試験のコホート4(30mg/mボーラス+60mg/m注入)の患者からのアルボシジブの薬物動態曲線を示す。
図43Bは、C1D10の実施例9~15に記載の臨床試験のコホート5(75mg/mIVI)の患者からのアルボシジブの薬物動態曲線を示す。
図43Cは、実施例9~15に記載の臨床試験のコホートの関数としての、アルボシジブの平均Cmaxのプロットである。
図43Dは、実施例9~15に記載の臨床試験のコホートの関数としての、アルボシジブの平均AUCのプロットである。
図43Eは、実施例9~15に記載の臨床試験による処置のサイクル1中のコホート1~4のさまざまな処置傾向を示す。
図43Fは、実施例9~15に記載の臨床試験による処置のサイクル2中のコホート1~4のさまざまな処置傾向を示す。
図43Gは、実施例9~15に記載の臨床試験による処置のサイクル4中のコホート1~4のさまざまな処置傾向を示す。
図43Hは、実施例9~15に記載の臨床試験のコホートの関数としての、C1D8の相対的なNOXA発現を示す。
図43Iは、実施例9~15に記載の臨床試験のコホートの関数としての、C1D15の相対的なNOXA発現を示す。
図44Aは、多形形態BのXRPD分析から得られたX線回折図である。
図44Bは、多形形態Bの温度の関数としてプロットされた熱流の示差走査熱量測定出力を示す。
詳細な説明
本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されている。しかし、この開示された実施形態が、様々な形態で具体化することのできる本発明の単なる例示に過ぎないことは当然理解されよう。その上、本発明の様々な実施形態に関連して記載される各実施例は、例示的なものであり、制限的なものでないことが意図される。したがって、本明細書に開示された具体的な構造的および機能的詳細は、限定的であると解釈されるものではなく、単に本発明を様々に用いることを当業者に教えるための代表的な根拠として解釈されるものである。
別に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。
本明細書および添付される特許請求の範囲で使用される、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに示されている場合を除き、複数形の参照を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、1またはそれを超える方法、および/または本明細書に記載される種類のステップ、および/または本開示を読むと当業者に明らかになるであろうものを含む。
状況、障害または状態について「処置する」または「処置」という用語には、以下が含まれる:(1)状況、障害または状態に罹患しているかまたはその素因がある可能性があるが、まだ状況、障害または状態の臨床症状もしくは不顕性症状を経験または提示していない対象において発症している状況、障害または状態の少なくとも1つの臨床症状もしくは不顕性症状の発生率および/または出現の可能性を予防、遅延または低減すること;あるいは(2)状況、障害または状態を阻害すること、例えば、疾患の発症またはその再発またはその少なくとも1つの臨床症状もしくは不顕性症状を停止、低減または遅延させること;あるいは(3)疾患を軽減すること、例えば、状況、障害または状態またはその臨床症状もしくは不顕性症状の少なくとも1つの退行を引き起こすこと。処置される対象にとっての利益は、統計学的に有意であるか、あるいは患者または医師が少なくとも知覚できるものである。
「対象」または「患者」または「個体」または「動物」は、本明細書において、ヒト、獣医学的動物(例えば、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタなど)および疾患の実験動物モデル(例えば、マウス、ラット)を指す。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
本明細書において、用量または量に適用される「有効」という用語は、化合物または医薬組成物を必要とする対象に投与すると、望ましい活性をもたらすのに十分な化合物または医薬組成物の量を指す。有効成分の組み合わせを投与する場合、有効量の組合せには、個々に投与された場合に有効であったと思われる各成分量が含まれていてもいなくてもよいことに留意されたい。正確な必要量は、対象の種、年齢、および全体的な状態、処置される状態の重症度、用いる特定の1つまたは複数の薬物、投与様式などに応じて、対象ごとに異なる。
本発明の組成物に関連して使用される「薬学的に許容され得る」という句は、生理学的に許容され得、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与された場合に、通常、有害反応を生じない組成物の分子実体および他の成分を指す。好ましくは、本明細書において、「薬学的に許容され得る」という用語は、連邦または州政府の規制当局によって承認されているか、あるいは、哺乳動物、より詳細にはヒトでの使用のために米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしにヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に見合った、適切な無機および有機の酸および塩基から誘導される塩を指す。
薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機酸および有機酸を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。塩を誘導することができる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などが含まれる。薬学的に許容され得る酸付加塩には、それだけに限らないが、酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物塩/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、カプリン酸塩、塩化物塩/塩酸塩、クロルテオフィロネート(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩/ヒドロキシマロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシナホ酸塩が含まれる。
薬学的に許容され得る塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機塩基には、例えば、アンモニウム塩および周期表のI~XII族の金属が含まれる。一定の実施形態では、塩が、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛または銅から誘導される;特に適切な塩には、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が含まれる。塩を誘導することができる有機塩基には、例えば、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが含まれる。有機アミンの例には、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンが含まれるが、これらに限定されない。
薬学的に許容され得る塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水または有機溶媒中、またはこれら2つの混合物中で反応させることによって調製することができる;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストは、その関連する開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Allen,L.V.,Jr.編、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第22版、Pharmaceutical Press、ロンドン、英国(2012)に見られる。
「溶媒和物」という用語は、化合物と、有機または無機にかかわらず1またはそれを超える溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合には、水素結合が含まれる。一定の例では、溶媒和物を、例えば1またはそれを超える溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合に、単離することができる。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配置および/または非規則的な配置で存在し得る。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒分子を含み得る。「溶媒和物」は、溶液相と単離可能な溶媒和物の両方を包含する。溶媒和物の例としては、それだけに限らないが、水和物、エタノレート、メタノレートおよびイソプロパノレートが挙げられる。溶媒和の方法は、当技術分野で一般的に公知である。本明細書において言及される化合物(例えば、アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩)は、ある種の実施形態では、溶媒和形態で、溶媒和物(例えば、水和物)として存在することができる。
範囲は、本明細書において、「約」または「およそ」ある特定の値から、かつ/または「約」または「およそ」別の特定の値までとして表すことができる。そのような範囲が表される場合、別の実施形態には、ある特定の値から、かつ/または他の特定の値までが含まれる。
「含む(comprising)」または「含有する(containing)」または「含む(including)」とは、少なくとも命名された化合物、要素、粒子、または方法ステップが、組成物または物品または方法に存在するが、たとえ他のそのような化合物、材料、粒子、または方法ステップが、命名されたものと同じ機能を有している場合であっても、その他の化合物、材料、粒子、または方法ステップの存在を除外しないことを意味する。
多くの治療は、処置サイクル、またはサイクルで投与される。本明細書において、「処置サイクル」および「サイクル」は、定期的または実質的に定期的なスケジュールで繰り返される治療(例えば、処置期間を含む治療のスケジュールまたは過程)を指すために同義的に使用される。処置サイクルの長さは、投与される処置によって決定されるが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28日、または4、5、6、7、8、9、10、11または12週であり得る。いくつかの実施形態では、処置サイクルは21日である。いくつかの実施形態では、処置サイクルは28日である。
多くの処置サイクルは、処置期間と無処置期間を含む。本明細書において、「休薬期間」とは、対象が、治療を構成する1つまたは複数の薬剤(例えば、アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩、および/または低メチル化剤)を投与されない期間を指す。いくつかの実施形態では、対象は、休薬期間中にいかなる治療薬も投与されない場合がある。他の実施形態では、対象は、休薬期間中に予防薬または緩和ケアを投与される場合がある。
治療および/または特定の治療薬(例えば、アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩、特に、構造式Iの化合物)も、連続的に投与することができる。
「MCL-1依存性」とは、骨髄系細胞白血病1(MCL-1)が、アポトーシスを抑制する主要な駆動因子であるがんのサブセットを指す。通常、MCL-1依存性は、芽球の生存を促進し、処置抵抗性および再発に関連している。MCL-1依存は、例えば、国際公開第2016/172214号および国際公開第2018/119000号に記載されているように、対象のがん細胞をプロファイリングペプチドと接触させることによって評価することができ、その関連内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書中の実施例5および18は、MDS患者試料からの芽球を含む血液がん細胞の様々な集団でのMCL-1依存の評価を記載している。
本発明の化合物は、本明細書に一般に記載されるものを含み、本明細書に開示されたクラス、サブクラス、および種によってさらに示されている。本明細書において、特に明記しない限り、以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的において、化学元素は、元素周期表、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って特定される。さらに、有機化学の一般原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版:Smith、M.B.and March,J.,John Wiley&Sons,New York:2001に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
また、1またはそれを超える方法ステップへの言及は、追加の方法ステップ、または明示的に特定されたステップの間に介在する方法ステップの存在を排除するものでないことも理解される。同様に、装置またはシステムの1またはそれを超える構成要素に言及することが、追加の構成要素または明示的に特定された構成要素の間に介在する構成要素の存在を排除するものでないことも理解される。
「DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤」は、DNAメチルトランスフェラーゼの阻害剤(すなわち、低メチル化剤(「HMA」))としての活性と、DNA損傷剤としての活性の二重の活性を有する薬剤である。例示的なDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、DNA(例えば、がん細胞のDNA)に組み込まれ、それによってDNAメチルトランスフェラーゼを阻害し、DNA損傷およびアポトーシスをもたらす。例示的なDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤には、ヌクレオシド類似体、例えばアザヌクレオシドが含まれる。
「アザヌクレオシド」は、少なくとも1つの炭素原子が窒素原子で置き換えられている、天然に存在するヌクレオシドの類似体である。アザヌクレオシドの限定されない例には、アザシチジン(例えば、ONUREG(登録商標))、またはそのプロドラッグ(例えば、ホスフェートプロドラッグまたは2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジン)、およびデシタビン(例えば、INQOVI(登録商標))、またはそのプロドラッグが挙げられる。本発明の方法における使用に適したアザシチジンのホスフェートプロドラッグは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/153374号に開示されている。例えば、アザシチジンのあるホスフェートプロドラッグは式:
Figure 2023504515000004

[式中、RおよびRは、独立に、HまたはCO(C~Cアルキル)である(例えば、各RはHであり、RはCO(C-アルキル)である)]
を有するか、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である。ホスフェートプロドラッグおよび2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジンを含む、アザシチジンのプロドラッグは、経口投与することができる。例示的なアザヌクレオシドには、それぞれ以下の構造:
Figure 2023504515000005
を有する、低メチル化剤(HMA)アザシチジンおよびデシタビンが含まれる。
「サイクリン依存性キナーゼ阻害剤」は、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9およびCDK11を含むサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を阻害する薬剤である。例示的なCDK阻害剤は、MCL-1の発現を阻害する。例示的なCDK阻害剤としては、限定されるものではないが、アルボシジブ、ディナシクリブ、オロモウシン、ロスコビチン、プルバラノール(purvalanol)、パウロン(paullone)、パルボシクリブ、チオ/オキソフラボピリドール、オキシインドール、アミノチアゾール、ベンゾカルバゾール、ピリミジンおよびセリシクリブ(seliciclib)が挙げられる。
「アルボシジブ」(「フラボピリドール」としても公知)は、以下の構造を有する合成フラボンである。
Figure 2023504515000006
細胞におけるCDK機能の概要を提供する概略図を図1に示す。Malumbres M.Genome Biol.2014;15(6):122。各CDK(オレンジ色のボックス内)は、その主なパートナー(緑色)との複合体で示されている。明確にするために、少数の基質のみが表されている。大部分のCDKは、核(オレンジ色の背景)で機能するが、少数のファミリーメンバーは細胞膜に付着しているか、または細胞質活性を提示する(青色の背景)。従来の細胞周期CDK-Cdk4、Cdk6、Cdk2およびCdk1-は、細胞分裂周期の異なる期での移行を調節する。これらの活性は、少なくとも部分的に、複数の転写因子(TF)または網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)などの調節エレメントの制御によって媒介される。Cdk10およびCdk11も、TF、ホルモン受容体および関連する調節因子(HR)、またはスプライシング因子(SPF)をリン酸化することによって転写を制御する。Cdk7、Cdk9、およびCdk12は、RNAポリメラーゼII(RNAPII)のC末端ドメイン(CTD)を直接リン酸化し、したがって転写産物の生成のさまざまな段階を調節している。メディエーター複合体は、Cdk8または関連性の高いCdk19によって特異的に調節されている。Cdk7は、上記のいくつかのCDKを直接リン酸化することによって、CDK活性化キナーゼ(CAK)として機能する。Cdk5は細胞内で多くの機能を示すが、タウなどの神経特異的タンパク質の制御におけるその機能でよく知られている。Cdk14サブファミリーのメンバー、例えばCdk14自体またはCdk16などは、サイクリンYによって膜で活性化され、Wnt依存性シグナル伝達または一次繊毛におけるシグナル伝達などの多くの異なる経路にも関与している。明確にするために、CDKと他のパートナー、基質または細胞プロセスとの間の多くの相互作用は示されていない。例として、Cdk1は、他のサイクリンに結合することができ、ここに示されていない有糸分裂開始中に100を超える基質をリン酸化することもできる。CAK、CDK活性化キナーゼ;CDK、サイクリン依存性キナーゼ;CTD、C末端ドメイン;Rb、網膜芽細胞腫タンパク質;RNAPII、RNAポリメラーゼII;SPF、スプライシング因子;TF、転写因子。
アルボシジブは、細胞周期とは無関係に急速な細胞死を引き起こす。インビトロ研究で示されるように、アルボシジブに誘発される細胞アポトーシスは急速であり、細胞周期の停止とは関係がない。Mayer F.Invest New Drugs.2005;23:205-211。図2は、24時間のアルボシジブ曝露後にアポトーシスを受けた細胞のパーセンテージ(y軸)をアルボシジブのnM(x軸)でプロットしたものである。臨床では、アルボシジブを3日投与すると、循環芽球が平均75%を超えて減少した。図3Aおよび3Bは、アルボシジブのIC50値を示す棒グラフである。図3Aは、無細胞生化学アッセイにおいてアルボシジブにより標的化された異なるCDKファミリーメンバーのIC50値(M)の棒グラフである。図3Bは、2μM未満の細胞濃度でアルボシジブにより阻害されたキナーゼのIC50値(nM)の棒グラフである。Methodology:Kinobeads(proteomics);Cell Lysate mixture:K-562,COLO 205,MV-4-11,SK-N-BE;Klaeger S,ら、Science.2017;358(6367):pii:eaan4368。インビボ研究は、アルボシジブの3日間の投与により、循環芽球が平均75%を超えて減少することをさらに実証する。Blum W.Haematologica.2010;1098-1105
図4に示されるように、CDK9キナーゼ活性とMCL-1安定性のアップレギュレーションが、白血病におけるサイクリン依存性キナーゼ阻害剤に対する獲得耐性に寄与する。Yey YY,ら、Oncotarget.2014:6(5):2667-2679。図4の左側パネルの棒グラフは、白血病細胞がインビトロでフラボピリドール誘導性細胞死に対する耐性を獲得したことを示す。697親細胞およびフラボピリドール耐性(Flavo-R)細胞を、連続的なフラボピリドール(0.2μMまたは0.3μM)で、または1μMディナシクリブによる2時間の曝露とウォッシュアウト(w/o)で処置した。細胞生存率は、24時間後にアネキシンV-FITCおよびPI-PE染色と、それに続くフローサイトメトリーによって測定された。Flavo-Rはディナシクリブに対する交差耐性も発現し、ディナシクリブ処置の24時間後に親細胞よりも大幅に生存上優位であった。連続的な0.2μMまたは0.3μMフラボピリドール処置の効果が類似しているため、p値は両方の用量の平均の効果を表す。図4の右上のパネルは、RNA Pol IIのCTDのSer2のリン酸化が、フラボピリドールの薬効に対して耐性がより高いことを示している。697親細胞およびFlavo-R細胞を、2μMフラボピリドールによる4時間の曝露とウォッシュアウト(w/o)、または1μMディナシクリブによる2時間の曝露とウォッシュアウト(w/o)で処置し、右上のパネルに示されているように様々な時点で収集した。タンパク質溶解物を調製し、RNA Pol IIのSer2のリン酸化、全RNA Pol IIおよびアクチンについて免疫ブロット法に供した。一貫して、Flavo-Rは、フラボピリドールおよびディナシクリブでより強固なSer2リン酸化を明らかにし、RNA Pol IIの活性が高いことを示唆している。右上のパネルは、左のパネルを参照して記載される細胞毒性の観察に呼応して、Flavo-Rがインビトロでディナシクリブに対する耐性を機構的に確立したことも示唆している。デンシトメトリーを適用して、免疫反応性バンドの強度を定量化した。任意の数値が右上のパネルの下部に表示される。図4の右中央のパネルは、CDK9キナーゼ活性がアップレギュレートされ、RNA Pol II活性を促進し、フラボピリドールの薬物機構に対抗することを示している。697親細胞および耐性細胞を2μMフラボピリドールの4時間曝露で処置し、前(0時間)、2、4、および6時間でタンパク質溶解物を回収した。溶解物を、CDK9キナーゼ活性の代理としてCDK9活性化ループのホスホ-Thr186の免疫ブロット法に供した。デンシトメトリーを適用して、両方のCDK9アイソフォームのホスホ-Thr186の免疫反応性バンドの強度を定量化し、これを総CDK9に対して正規化した。任意の数値を図の下部に示す。両方のアイソフォームのCDK9キナーゼ活性は、Flavo-Rのフラボピリドールでさらに増加した。図4の右下のパネルは、MCL-1タンパク質レベルがより安定しており、Flavo-Rのフラボピリドール媒介性枯渇に拮抗することを示している。免疫ブロット法を適用して、2μMフラボピリドールで4時間処置し、ウォッシュアウト(w/o)した細胞から回収したタンパク質溶解物中のMCL-1タンパク質レベルを検出した。
CDK9の強力な阻害剤として、アルボシジブはCDK9阻害を介してスーパーエンハンサー活性を破壊する。図5の概略図に示されるように、アルボシジブ(Alvcodib)は、c-MycおよびMCL-1などのスーパーエンハンサー調節遺伝子のCDK9駆動型の転写をダウンレギュレートする。図6は、CDK9がどのようにしてRNAポリメラーゼIIを調節するスーパーエンハンサー複合体の一部であり、アポトーシスを阻害するBCL-2ファミリーのメンバーであるMCL-1の発現を駆動するかを示す図である。
図4は、AML細胞においてMCL-1がスーパーエンハンサーによって調節されていることをともに実証する。図7Aに示されるように、スーパーエンハンサーのエンハンサー関連因子の協同的相互作用は、より高い転写出力と、因子濃度に対する感受性の増加の両方をもたらす。図7Aの左側のパネル(左)は、典型的なエンハンサーによって制御されている代表的な遺伝子(上)とスーパーエンハンサーによって制御されている遺伝子(下)の転写開始部位(TSS)の上流の、典型的なエンハンサー(黒色)とスーパーエンハンサー(赤色)の遺伝子トラックのChIP-seq占有率を示している。記号「+」の例は、相対的な転写活性を表す。図7Aの右側のパネルは、典型的なエンハンサーとスーパーエンハンサーについて、活性化因子濃度の変化に転写活性がどのように応答するかを示す。図7Bは、MCL1遺伝子と重なっていて、その下流にあるMED1(上)およびBRD4(下)の遺伝子トラックのChIP-seq占有率を示す。MCL1の下流にあるスーパーエンハンサーを含む領域は、灰色のボックスで表される。y軸は、ChIP-seq占有率のシグナルを、1bpあたりマップされたリード数100万あたりのリード数(rpm/bp)の単位で示す。
アルボシジブは、図8に示されるように、MCL-1のタンパク質発現を阻害する。図8の左側のパネルは、アルボシジブに応答したMCL-1の用量依存的な減少を実証するウエスタンブロットである。図8の右側のパネルは、80nMアルボシジブで処置したMV4-11細胞におけるMCL-1の経時的な段階的減少を示すウエスタンブロットである。図8の右側のパネルは、MCL-1のノックダウンが96時間を超えることを実証する。図9は、アルボシジブがCDK9を阻害することによってMCL-1の発現を阻害する機構を提案する説明図である。
アルボシジブは、MCL-1タンパク質とmRNAの発現を抑制する。図10は、アルボシジブによるMCL-1抑制を示す、示された濃度のアルボシジブの正規化されたMCL-1の遺伝子発現(mRNAとして測定)の棒グラフである。さらに、NOXAプライミング(MCL-1依存)は、示された濃度のアルボシジブで処置した細胞のBH3プロファイル(ミトコンドリアプロファイリング)の結果を示す図11に示されるように、アルボシジブ応答に関連している。有意性の値(p値)が提供されている。
「プロドラッグ」は、生理学的条件下で、または加溶媒分解によって生物活性化合物に変換され得る化合物を示すことを意味する。従って、「プロドラッグ」という用語は、薬学的に許容され得る生物活性化合物の前駆体を指す。いくつかの態様では、プロドラッグは、対象に投与されたときには不活性であるが、インビボでは、例えば加水分解によって活性化合物に変換される。プロドラッグ化合物は、しばしば、哺乳動物における溶解度、組織適合性または遅延放出の利点を提供する(例えば、Bundgard,H.,Design of Prodrugs(1985)、pp.7-9、21-24(Elsevier、Amsterdam)を参照)。プロドラッグの考察は、Higuchi,T.ら、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S.Symposium Series、Vol.14、およびBioreversible Carriers in Drug Design、ed.Edward B.Roche、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987に記載されており、これらは両方とも、プロドラッグに関するその教示に関して参照により本明細書に完全に組み込まれる。また、「プロドラッグ」という用語は、任意の共有結合した担体を含むことも意味し、そのようなプロドラッグが対象に投与されると、この担体はインビボで活性化合物を放出する。本明細書に記載されるような活性化合物のプロドラッグは、通常、その修飾が日常的な操作またはインビボで切断されて親活性化合物となるように、活性化合物に存在する官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグには、ヒドロキシ、アミノまたはメルカプト基が任意の基に結合している化合物が含まれ、これは、活性化合物のプロドラッグが哺乳動物対象に投与されると、それぞれ開裂して遊離ヒドロキシ、遊離アミノ、または遊離メルカプト基を形成する。プロドラッグの例としては、限定されるものではないが、活性化合物中のヒドロキシ官能基のホスフェート、アセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体、あるいはアミン官能基のアセトアミド、ホルムアミドおよびベンズアミド誘導体などが挙げられる。
アルボシジブのプロドラッグの例は、国際公開第2016/187316号および国際公開第2018/094275号に記載されている。これらはプロドラッグに関するその教示に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、アルボシジブのプロドラッグは、アルボシジブのホスフェートプロドラッグである。いくつかの例では、アルボシジブのプロドラッグは、以下の構造:
Figure 2023504515000007
(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり得、この際、R、RおよびRのうちの1つは-P(=O)(OH)であり、R、RおよびRのうちの他の2つは各々-Hである。いくつかの例では、アルボシジブのプロドラッグは、以下の構造:
Figure 2023504515000008
(Ia)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であり得る。構造式IおよびIaの化合物は、経口で生物学的に利用可能である。従って、構造式IおよびIaの化合物、または前述の薬学的に許容され得る塩は、経口投与することができ、構造式IおよびIaの化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物は、経口投与用に製剤化することができる。
構造式Iaの化合物などのアルボシジブのプロドラッグは、以下の構造:
Figure 2023504515000009
(Ib)で表される双性イオン形態などの双性イオン形態で存在することができることは理解されよう。本明細書のプロドラッグの実施形態のいずれにおいても、プロドラッグ(例えば、構造式Iaの化合物)は、その遊離形態または双性イオン形態、または薬学的に許容され得る塩形態で存在することができる。従って、いくつかの実施形態では、プロドラッグは、構造式Iaの化合物、またはその双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩、例えば、構造式Ibの化合物である。
構造式Iaの化合物、またはその双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩、例えば、構造式Ibの化合物の結晶形態は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2020/117988号に開示されている。
本明細書において「結晶」とは、原子、イオンまたは分子が成分部分間に一定の距離をもって三次元のパターンを繰り返すことによって形成された均質な固体を指す。単位格子は、このパターンで最も単純な繰り返し単位である。理想的な結晶は均質性であるにもかかわらず、完全な結晶が存在することはめったにない。本明細書において「結晶」は、結晶の欠陥、例えば、本明細書に記載される結晶形態を操作(例えば、調製、精製)することによって一般に生じる結晶の欠陥を含む結晶形態を包含する。当業者であれば、そのような欠陥の存在にかかわらず、化合物の試料が結晶性であるかどうかを決定できる。
本明細書において「多形」とは、結晶格子内にその分子が明確に配置されていることを特徴とする化合物の結晶形態を指す。多形は、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)および熱重量分析などの分析方法によって特徴付けることができる。
本明細書に記載される結晶形態および/または多形は、実質的に純粋であり得る。本明細書において、さらなる必要条件なしに使用される「実質的に純粋な」とは、示された化合物が、化合物の重量に基づいて90重量パーセントよりも大きい純度、例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99重量パーセントよりも大きい純度を有し、約100重量パーセントに等しい純度も含むことを意味する。残りの材料は、化合物の1つまたは複数の他の形態、および/または反応不純物および/またはその調製から生じる加工不純物(例えば、アルボシジブ)を含む。純度は、当技術分野で公知の技術を使用して、例えば、本明細書に記載されるHPLCアッセイを使用して評価することができる。「実質的に純粋な」はまた、「実質的に純粋な、構造式Iの化合物の他の物理的形態、またはその互変異性体もしくは双性イオン形態」または「実質的に純粋なアルボシジブ」のようにも認定され得る。このように認定する場合、「実質的に純粋な」とは、示された化合物が、10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは3%未満、最も好ましくは、1重量%未満の示された不純物(例えば、示された化合物の結晶形態の任意の他の物理的形態;アルボシジブ)を含有することを意味する。
XRPDパターンまたは回折図またはDSCサーモグラムをそれぞれ示す、本明細書中の1またはそれを超える図面と「実質的に一致する」XRPDパターンまたはDSCサーモグラムは、本明細書中に提供される1またはそれを超える図面のパターンまたは回折図またはサーモグラムをもたらした化合物の試料と同じ、構造式Iの化合物、またはその互変異性体もしくは双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩の単結晶形態を表すと当業者に見なされるものである。従って、実質的に一致するXRPDパターンまたはDSCサーモグラムは、図面の1つのそれと同一であってよく、さらに可能性が高いのは、1またはそれを超える図面と多少異なっていてもよい。例えば、図面のうちの1またはそれより多くと多少異なるXRPDパターンは、本明細書に提示された回折パターンの線の各々を必ずしも示さないことがあり、かつ/あるいは線の外観もしくは強度のわずかな変化または線の位置のシフトを示すことがある。これらの違いは、通常、データを得る際の条件の違い、またはデータを得るために使用した試料の純度の違いに起因する。当業者は、結晶性化合物の試料のXRPDパターンまたはDSCサーモグラムと本明細書に開示された対応するXRPDパターンまたはDSCサーモグラムを比較することにより、この試料が本明細書に開示された形態と同じ形態であるか、または異なる形態であるかを決定することが可能である。
本明細書において提供される結晶形態は、示差走査熱量測定(DSC)および/または熱重量分析(TGA)に基づいても特定することができる。DSCは、試料の温度を上昇させるために必要な熱量の差を温度の関数として測定する熱分析技法である。DSCは、試料の相転移などの物理的変換を検出するために使用することができる。例えば、DSCを用いて、試料が結晶化、融解またはガラス転移を受ける1または複数の温度を検出することができる。本明細書に明記されたDSCに関連するあらゆる温度は、図面または実施例のDSC温度を除いて、明記された値±5℃またはそれ未満を意味することが理解される。例えば、実施形態または特許請求の範囲に264℃の吸熱ピークが明記されている場合、これは平均264℃±5℃またはそれ未満、すなわち259℃から269℃までの温度を意味すると理解される。好ましい実施形態では、DSCは、明記された値±3℃またはそれ未満、より好ましい実施形態では、±2℃またはそれ未満である。
いくつかの実施形態では、構造式Iaの化合物、またはその双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩、例えば、構造式Ibの化合物は、形態Bを含むか、形態Bから本質的になるか、または形態Bからなる。いくつかの実施形態では、結晶形態(例えば、形態B)は、実質的に純粋である(例えば、構造式Iの化合物の他の物理的形態、またはその互変異性体もしくは双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩;不純物;アルボシジブ)。形態Bは、構造式Ibの構造を有し、いくつかの実施形態では、4.8±0.2°、10.8±0.2°、13.7±0.2°、14.9±0.2°、20.0±0.2°および24.6±0.2°からなる群より選択される2θ角に少なくとも3つのピーク(例えば、3つのピーク、少なくとも4つのピーク、4つのピーク、少なくとも5つのピーク、5つのピーク、6つのピーク)を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、形態Bは、以下の2θ角:10.8±0.2°、14.9±0.2°および20.0±0.2°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、形態Bは、以下の2θ角:4.8±0.2°、10.8±0.2°、14.9±0.2°および20.0±0.2°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、形態Bは、以下の2θ角:4.8±0.2°、10.8±0.2°、13.7±0.2°、14.9±0.2°および20.0±0.2°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、形態BのXRPDパターンは、図44Aに表されたものと実質的に一致する。いくつかの実施形態では、形態Bは、約264℃の吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、形態Bは、図44Bに表されたものと実質的に一致するDSCサーモグラムを特徴とする。
一実施形態では、構造式Iaの化合物、またはその双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩、例えば、構造式Ibの化合物の多形のX線粉末回折パターンは、「D」間隔(’’D’’spacing)で表され、以下を含む。
D間隔(Å):
18.3±0.09
8.1±0.06
6.4±0.08
5.9±0.06
4.4±0.05
関連実施形態では、多形のX線粉末回折パターンは、「D」間隔で表され、以下を含む。
D間隔(Å):
18.38±0.003
8.15±0.008
6.47±0.002
5.95±0.007
4.44±0.006
さらに別の関連実施形態では、多形のX線粉末回折パターンは、「D」間隔で表され、以下を含む。
D間隔(Å):
18.382
8.157
6.472
5.956
4.445
一実施形態では、構造式Iaの化合物、またはその双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩、例えば、構造式Ibの化合物の多形は、格子定数:a=6.46(1)Å、b=9.07(2)Å、c=18.25(4)Å、およびβ=95.457(2)°;体積1066.11(4)Åの単斜晶空間群P21を有する結晶形態である。別の実施形態では、構造式Iaの化合物、またはその双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩、例えば、構造式Ibの化合物の多形は、格子定数:a=6.4695(1)Å、b=9.0692(2)Å、c=18.2530(4)Å、およびβ=95.457(2)°;体積1066.11(4)Åの単斜晶空間群P21を有する結晶形態である。
理論に縛られることを望むものではないが、多形の含水量は、多形の純度および貯蔵安定性に重要な影響を及ぼし得ると考えられる。すなわち、多形は、ホスフェート部分をヒドロキシル基に変換する加水分解反応を受け得る。したがって、不純物は、加水分解された構造式Ia(すなわち、アルボシジブ)の形態で存在することがある。しかし、多形およびその後に形成されるあらゆる組成物の含水量を低く保つことにより、はるかに強固な安定性をもつ活性物質(例えば、形態B)が得られることが予想外にも発見された。
したがって、いくつかの実施形態では、構造式Iaの化合物、またはその双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩、例えば、構造式Ibの化合物の多形は、初期純度が少なくとも99.5%であり、相対湿度60%、約25℃±2℃よりも高い温度で、約12時間から約7日間まで保存された後の、その後の純度が少なくとも99.5%である。いくつかの実施形態では、相対湿度60%、約25℃±2℃で約7日を超えて保存された後の、その後の純度は少なくとも99.5%である。その他の実施形態では、相対湿度60%、約25℃±2℃で約30日を超えて保存された後の、その後の純度は少なくとも99.5%である。前述の実施形態のいくつかでは、初期純度とその後の純度はHPLCによって測定される通りである。
前述の実施形態のいくつかでは、カール・フィッシャー滴定によって決定される多形の含水量は、0.50%未満である。例えば、いくつかの実施形態では、カール・フィッシャー滴定によって決定される多形の含水量は、0.45%未満、0.40%未満、0.35%未満、0.30%未満、0.25%未満、0.20%未満、0.15%未満、または0.10%未満である。
低メチル化剤(HMA)であるアザシチジンとデシタビンは、骨髄異形成症候群(MDS)の患者の承認された治療である。両方のHMAは、DNA損傷とDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)の阻害を介して生物活性を発揮する。DNMT阻害は、NOXAなどの主要なアポトーシス促進タンパク質の再発現を誘導すると仮定されている。NOXAは、抗アポトーシスタンパク質MCL-1を隔離し、ミトコンドリアの膜孔形成タンパク質BAX/BAKとの会合を防ぐ。上記のように、アルボシジブは、強力なサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤であり、RNAポリメラーゼII(RNA Pol II)によって調節されるCDK9依存性MCL-1発現を遮断することができる。
例えば、デシタビンは、すべてのフランス-アメリカ-イギリス(FAB)サブタイプ(不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、芽球増加を伴う不応性貧血、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血、および慢性骨髄単球性白血病)と、国際予後判定システム(International Prognostic Scoring System)で中間-1、中間-2、および高リスクの、これまでに処置を受けたおよび処置を受けていない、デノボおよび続発性MDSを含む、MDSに適応される。推奨されるデシタビン用量は、3時間にわたる持続静脈内注入による15mg/mであり、6週間のサイクルで8時間ごとに3日間繰り返される。また、デシタビンは、1時間にわたる持続静脈内注入により20mg/mの用量で投与することもでき、4週間のサイクルで5日間毎日繰り返される。
INQOVI(登録商標)(ASTX727とも呼ばれる)は、デシタビンとセダズリジンの組合せであり、以下のフランス-アメリカ-イギリスサブタイプ(不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、芽球増加を伴う不応性貧血、および慢性骨髄単球性白血病[CMML])と、中間-1、中間-2、および高リスクの国際予後判定システム群の、これまでに処置を受けたおよび処置を受けていない、デノボおよび続発性MDSを含む、骨髄異形成症候群(MDS)の成人患者の処置に適応される。INQOVI(登録商標)の推奨される用量は、1錠(35mgデシタビンと100mgセダズリジンを含有)で、それぞれの28日間のサイクルの1日目から5日目までに1日1回経口投与される。
アザシチジンは、以下のFAB骨髄異形成症候群(MDS)サブタイプの患者に適応される:不応性貧血(RA)または環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)(好中球減少症または血小板減少症を伴うかまたは輸血を必要とする場合)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB-T)、および慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)。ベースラインの血液学値にかかわらず、すべての患者に対する最初の処置サイクルで推奨されるアザシチジンの開始用量は、7日間毎日75mg/mであり、皮下注射または静脈内注入により、4週間のサイクルで最低4~6サイクル投与される。2サイクルの後、アザシチジンの用量は、100mg/mに増加することができる。
アザシチジンの経口製剤である、ONUREG(登録商標)(CC-486とも呼ばれる)は、集中的な導入化学療法後に最初の完全寛解または血球数の回復が不完全な完全寛解を達成し、集中的な治癒的治療を完了できない成人のAML患者の継続的処置に適応される。ONUREG(登録商標)は、200mgまたは300mgアザシチジンを含有する経口用フィルムコーティング錠として供給される。ONUREG(登録商標)の推奨される用量は、300mgであり、それぞれの28日間のサイクルの1日目から14日目に1日1回経口投与される。
アルボシジブは、活発に臨床調査が行われており、シタラビンとミトキサントロンを併用投与した場合に、新規診断および再発難治性AML患者において高い完全奏効率が実証されている(Zella201試験)。アルボシジブとHMAを併用する二重のNOXA/MCL-1標的化能力を考えると、この併用は、NOXAの転写誘導とMCL-1発現の抑制によって、AMLとMDSの非臨床モデルの処置において治療上の相乗効果を発揮する可能性がある。アルボシジブ+HMAを用いる前臨床実験により、AML細胞株およびMDS患者由来骨髄細胞(BMMC)において、RNA Pol IIリン酸化、NOXA遺伝子メチル化、NOXAおよびMCL-1 mRNAおよびタンパク質発現の低下と、アポトーシス、細胞生存率、腫瘍増殖抑制および生存の増加が実証されている。さらに、遺伝子操作マウスモデル、MDS細胞株および初代MDS細胞をインビトロおよびインビボで評価して、アルボシジブ+HMAの治療応答をいずれかの薬剤単独と比較して決定する実験が計画されている。読み出し情報には、様々なモデルのMDS負荷、生存、骨髄および末梢血の回復が含まれる。
図12Aおよび12Bは、Zella201臨床試験(CT.gov識別子:NTC02520011)の設計を要約した図である。臨床試験は、MCL-1依存性、再発、もしくは難治性AML患者において、シタラビン(cytabine)およびミトキサントロン(ACM)と併用して投与したアルボシジブと、シタラビンおよびミトキサントロン単独とを比較する、バイオマーカー駆動の第2相臨床試験である。図12Aは、Zella201臨床試験のステージ1およびステージ2の概要を提供する。図12Bは、Zella201臨床試験の用量および処置スケジュールの概要を提供する。
図13は、Zella201臨床試験の患者の特徴を記載する。難治性:持続性疾患またはCR持続期間<90日。早期再発:CR持続期間、90日~1年。遅発性再発:CR持続期間、1年~2年。2名の患者はリストから除外されている:自殺を試みて死亡(n=1);処置の完了の失敗(n=1)。N=ステージ1の評価可能な患者23名。「」は、好ましくない細胞遺伝学が、サウスウエスト・オンコロジー・グループ(SWOG)細胞遺伝学的リスク群に対応することを示す。
図14は、Zella201臨床試験のステージ1の応答特性を記載する。CR=10;CRi=3;ORR=61%(1名の患者はPRを受容した)。4名が応答評価の前に早期死亡した。43%の患者が同種異系幹細胞移植に進んだ(合計10名)。メジアンOS=11.2mos(95% CI[3.0、16.8])。ステージ1は、CR率の基準を満たし、ステージ2に進んだ。OSの傾向は、メジアンOSが11.1か月の過去の対照と比べて遜色ない。
図15は、Zella201臨床試験から得たレスポンダー(CR/CRi)の結果を要約したグラフである。応答のメジアン持続期間は、8.5mos(95% CI[2.2、15.9])であった。全体的なCR率は57%であった。
さらに、高いNOXAプライミング(MCL-1依存)から、AML患者におけるアルボシジブ感受性が予測される。図16Aおよび16Bは、NOXAプライミングはアルボシジブへの応答を予測するが、NOXAプライミングは7+3化学療法への応答を予測しないことを示す。図16Aは、急性骨髄性白血病(AML)患者において、高いNOXAプライミング(MCL-1依存)がアルボシジブ感受性を予測することを示す箱ひげ図である。この箱ひげ図は、アルボシジブによる処置の前に患者から採取した完全寛解および無応答の患者骨髄試料でのNOXAプライミングをプロットしている。処置前の骨髄試料でNOXAプライミングが40%またはそれ以上であった患者は、100%の完全回復率を示した。図16Bは、NOXAプライミングされた(MCL-1依存性)患者の応答と7+3化学療法による処置とが相関しないことを示す箱ひげ図である。(CR=完全寛解;NR=無応答)。この箱ひげ図は、7+3化学療法による処置の前に患者から採取した完全寛解および無応答の患者骨髄試料でのNOXAプライミングをプロットしている。
図17は、MCL-1依存がACM応答のバイオマーカーであり、MCL-1依存がAML患者のアルボシジブ感受性を予測することを実証する棒グラフである。この棒グラフは、MCL-1非依存性(NOXA<40%)およびMCL-1依存性(NOXAプライミング≧40%)の患者のCR率(%)をプロットしている。MCL-1依存は、7+3化学療法の応答を予測しなかった。MCL-1依存は、ACMレジメンで処置したAML患者のCRおよびNRの処置前骨髄試料を使用して決定された。ACM=アルボシジブ、シタラビン、ミトキサントロン;NR=無応答;CR=完全寛解。
MDS患者は、より高度にNOXAプライミングされる(MCL-1依存性)。40%を超えるNOXAプライミングが、高度にNOXAプライミングされたとみなされる。図18Aおよび18Bは、AML(続発性AML)を発症している骨髄異形成症候群(MDS)患者が非MDS AML患者よりもアルボシジブ処置に対して応答する可能性が高いことを実証する。図18Aは、AMLおよびMDS患者試料のNOXAプライミング結果のヒストグラムおよびガウス曲線フィッティング(95%CIは網掛け部分)である。図18Bは、MDS患者が一般的なAML患者集団よりも高度にNOXAプライミングされる(MCL-1依存性である)ことを示す。網掛けされた領域は、95%信頼区間を表す。図18Bは、40%以上のNOXAプライミング(MCL-1依存)を有する患者が、40%未満のNOXAプライミングを有する患者よりも長い生存を実証したことを示すプロットである。
図19は、MCL-1依存がAML、MDS、および続発性AML(以前のMDS)患者において蔓延していることを裏付ける棒グラフである。図19は、BH3プロファイリングによって決定された、MCL-1依存性であると推定される集団のパーセンテージをグラフにしたものである。MCL-1依存は、MCL-アンタゴニスト(NOXAミメティック(memetic))に曝露された場合の、標的細胞集団における40%またはそれを超えるアポトーシス誘導と定義される。
理論に縛られることを望むものではないが、アルボシジブと低メチル化剤(HMA)、例えば、アザシチジンとデシタビンとの間には相乗作用の機構が存在すると仮定される。図20に示されるように、HMA(例えば、アザシチジンおよびデシタビン)は、NOXAをはじめとする主要なタンパク質の再発現を誘導する。下に記載されるように、CDK9阻害剤であるアルボシジブは、RNA Pol IIを介してMCL-1発現を抑制する。NOXAの発現が増加すると、MCL-1喪失に対する感受性が高まる可能性がある。従って、アルボシジブとHMAを併用することにより、例えば、骨髄異形成症候群(MDS)においてがん細胞に相乗効果をもたらす可能性がある。
本開示の方法
一態様では、本開示は、患者に治療有効量のHMA(例えば、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;またはデシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩)と、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含む、MDSの処置を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、この際、患者は、これまでにMDSの処置を受けていない;6サイクル未満の低メチル化剤による処置を受けた;デノボMDSを有するおよび/または続発性MDSを有する。例えば、いくつかの実施形態では、患者は、これまでに処置を受けていない、デノボMDSを有する。いくつかの実施形態では、患者はデノボMDSを有しており、6サイクル未満のHMAによる処置を受けている。いくつかの実施形態では、患者は、これまでに処置を受けていない続発性MDSを有している。いくつかの実施形態では、患者は続発性MDSを有しており、6サイクル未満のHMAによる処置を受けている。いくつかの実施形態では、患者は、これまでに処置を受けていないデノボMDSを有しているか、または患者はデノボMDSを有しており、6サイクル未満のHMAによる処置を受けている。いくつかの実施形態では、患者は、これまでに処置を受けていない続発性MDSを有しているか、または患者は続発性MDSを有しており、6サイクル未満のHMAによる処置を受けている。
別の態様では、本開示は、MDSの処置を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、方法は、患者に治療有効量のアザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;および、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含む。アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩は、28日間の処置サイクルの1、2、3、4、5、6および7日目、または1、2、3、4、5、8および9日目に投与される。アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩は、28日間の処置サイクルの10日目に投与される。
なお別の態様では、本開示は、MDSの処置を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、方法は、患者に治療有効量のデシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;および、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含む。デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩は、28日間の処置サイクルの1、2、3、4および5日目に投与される。アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩は、28日間の処置サイクルの8日目に投与される。
別の態様では、本開示は、治療有効量のHMAと治療有効量のアルボシジブを患者に投与することを含む、これまでに処置を受けていないMDSを有する患者においてMDSを処置する方法を提供する。
別の態様では、本開示は、治療有効量のHMAと治療有効量のアルボシジブを患者に投与することを含む、6サイクル未満のHMAによる処置を受けた患者においてMDSを処置する方法を提供する。
別の態様では、本開示は、患者に治療有効量のHMAと治療有効量のアルボシジブを投与することを含む、これまでにMDS処置を受けていないデノボMDSを有する患者においてMDSを処置する方法を提供する。
一実施形態では、患者は、集中的な導入化学療法にも幹細胞移植にも適格でない。
NCCN、ELNおよびESMOは、MDSにおける移植の適格性についてのガイドラインを発行している。NCCNのガイドラインでは、移植適格性の原則には、適合するパフォーマンスステータス、年齢を有し、ドナーを有する患者が含まれると述べられている。HCT-CIは、患者の生存転帰に対する併存疾患の重要性を評価するために使用することができる。https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/mds.pdfを参照されたい。ELNのガイドラインは、個々のリスクを評価することにより、先行集中処置、主に同種異系幹細胞移植の候補者である予後不良の適合患者の特定が可能になると述べている。併存疾患は、移植後の転帰を予測する。HCT-CIは、移植前の併存疾患を把握する手段であり、移植後の転帰を予測し、MDSの患者を層別化するのに使用することができる。https://ashpublications.org/blood/article-lookup/doi/10.1182/blood-2013-03-492884を参照されたい。alloSCTの主な障害は、大部分のMDS患者が70歳を超えていることであるとESMOのガイドラインは述べている。併存疾患、年齢、IPSSおよびIPSS-Rスコア、細胞遺伝学、コンディショニングレジメンおよびドナーの選択は、移植後の転帰の予測因子であり、決定プロセスにおいて慎重に考慮されるべきである。高リスクMDSと診断された65~70歳未満のすべての患者(ただし、特に「適合する」70歳を超える患者が考慮される場合もある)は、alloSCTの適格性について評価されるべきである。HLAが同一の(または単一の抗原がミスマッチの)同胞、あるいは一致する非血縁の個体を適したドナーとみなされるはずである。https://www.annalsofoncology.org/article/S0923-7534(19)34080-3/pdfを参照されたい。
いくつかの実施形態では、MDSを有する対象は、NCCNガイドラインによれば、移植不適格または移植適格(例えば、移植不適格)である。いくつかの実施形態では、MDSを有する対象は、ELNガイドラインによれば、移植適格または移植不適格(例えば、移植不適格)である。いくつかの実施形態では、MDSを有する対象は、ESMOガイドラインによれば、移植不適格または移植適格(例えば、移植不適格)である。
Lindsley,R.C.,ら、Blood 26 February 2015,Volume 125,No.9,1367-76は、続発性AMLに特異的なゲノム/遺伝子シグネチャを特定した。Lindsleyらは、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の任意の1つまたはそれより多くにおける変異の存在が、続発性AMLに95%を超えて特異的であることを示した。この続発性AMLのいわゆる遺伝子シグネチャは、治療関連AML集団と高齢のデノボAML集団に共有され、CR率の低下、再誘導の頻度の増加、および無イベント生存の短縮を含む、臨床転帰の悪化したAML患者のサブセットに関連している。Lindsleyら。
また、RUNX1の変異もAML患者で観察されている。例えば、RUNX1および/またはASXL1の変異は、特に好ましいリスク遺伝学を伴わない場合に(例えば、t(8;21)(q22;q22.1);RUNX1-RUNX1T1 inv(16)(p13.1q22)またはt(16;16)(p13.1;q22);CBFB-MYH11;FLT3-ITDのないまたはFLT3-ITDlowのある変異NPM1;両アレル変異CEBPA)、変異と有害リスクの独立した関連性の認識において、ELNリスク層別化ガイドラインにしたがって有害リスクAMLに関連している。例えば、RUNX1変異は、予後不良に関連しており、ASXL1変異は、劣った生存に関連している。Dohner,H.,ら、Blood 26 January 2017;Vol.129;No.4;424-447。
理論に縛られることを望むものではないが、MDSの症例の約30%がAMLに進行することを考慮すると、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の任意の1つまたはそれより多くにおける変異の存在は、MDS、特にMDSの臨床転帰に関連する遺伝子シグネチャでもあり得ると仮定される。
したがって、いくつかの実施形態では、患者(例えば、本明細書に記載されるMDSを有する患者)は、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたはそれより多く(例えば、1つ、少なくとも2つ、2つ、少なくとも3つ、3つ、少なくとも4つ、4つ、少なくとも5つ、5つ、少なくとも6つ、6つ、少なくとも7つ、7つ、少なくとも8つ、8つ、9つ)において変異(例えば、1またはそれを超える変異)を有する。いくつかの実施形態では、患者はNPM1に変異(例えば、1またはそれを超える変異)を有する。いくつかの実施形態では、患者は、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCOR、STAG2およびNPM1の1つまたはそれより多く(例えば、1つ、少なくとも2つ、2つ、少なくとも3つ、3つ、少なくとも4つ、4つ、少なくとも5つ、5つ、少なくとも6つ、6つ、少なくとも7つ、7つ、少なくとも8つ、8つ、少なくとも9つ、9つ、10)において変異(例えば、1またはそれを超える変異)を有する。変異パターンの限定されない例としては、RUNX1;SRSF2;SF3B1;U2AF1;ZRSR2;ASXL1;EZH2;BCOR;STAG2;NPM1;SRSF2およびBCOR;IDH2、SRSF2およびBCOR;NPM1;NPM1、IDH1およびNRAS;FLT3;CEBPA;ASXL1およびTET2;RUNX1、IDH1、SRSF2およびBCOR;RUNX1、SRSF2およびBCOR;RUNX1、IDH2およびSRSF2;RUNX1およびSRSF2;TP53;U2AF1およびBCOR;DNMT3A、IDH1およびNPM1;NPM1およびDNMT3A;NPM1およびTET2;NPM1、DNMT3AおよびNRAS;NPM1、FLT3、CEBPA、DNMT3A;ASXL1、RUNX1、EZH2、IDH2およびNRAS;ASXL1、RUNX1およびEZH2;FLT3、ASXL1、RUNX1およびBCOR;ならびにASXL1、RUNX1およびBCORにおける1つまたは複数の変異が挙げられる。
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、対象が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたはそれより多くにおいて1またはそれを超える変異を有するかどうかを決定すること;および、対象が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたはそれより多くにおいて1またはそれを超える変異を有すると判定された場合に、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を対象に投与することをさらに含む。
別の態様では、本開示は、患者に治療有効量の低メチル化剤(HMA)と治療有効量のアルボシジブを投与することを含む、これまでにMDS処置を受けていない続発性MDSを有する患者においてMDSを処置する方法を提供する。
一実施形態では、患者が、集中的な導入化学療法にも幹細胞移植にも適格でない。
一実施形態では、患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたは複数において、1またはそれを超える変異を有する。
別の実施形態では、MDSが、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB-T)、および慢性骨髄単球性白血病(CMML)からなる群より選択される。
IPSS-Rは、未処置のMDSを有する成人患者における予後を予測するための標準を提供する。IPSS-Rのいくつかの特徴が、表A、BおよびCにおいて強調されている。IPSS-Rは、Greenberg, Tuechler, Schanz et al., Revised International Prognostic Scoring System (IPSS-R) for Myelodysplastic Syndrome, Blood 120: 2454, 2012(その内容の全体が参考として本明細書に援用される)に記載されている。
Figure 2023504515000010
Figure 2023504515000011
Figure 2023504515000012
いくつかの実施形態では、MDSは、例えば、IPSS-Rの予後リスク分類/スコアによれば、中間リスク、高リスクまたは非常に高リスクである。いくつかの実施形態では、MDSは、例えば、IPSS-Rの予後リスク分類/スコアによれば、中間リスクである。いくつかの実施形態では、MDSは、例えば、IPSS-Rの予後リスク分類/スコアによれば、高リスクまたは非常に高リスクである。
別の実施形態では、MDSが、中間-1改訂国際予後判定システム(IPSS-R)群、中間-2 IPSS-R群、および高IPSS-R群から選択される。
別の実施形態では、HMAとアルボシジブが同時に投与される。
別の実施形態では、HMAとアルボシジブが逐次的に投与される。
別の実施形態では、HMAが最初に投与され、続いてアルボシジブが投与される。
一実施形態では、HMAおよび/またはアルボシジブは、プロドラッグとして、例えば、代謝されてHMAおよび/またはアルボシジブ薬を生成することのできる、生物学的に不活性な化合物または活性の低い化合物として投与されてよい。
一実施形態では、HMAがプロドラッグとして投与される。
別の実施形態では、アルボシジブがプロドラッグとして投与される。
別の実施形態では、アルボシジブプロドラッグが、アルボシジブホスフェートプロドラッグである。
別の実施形態では、アルボシジブホスフェートプロドラッグが、以下の構造
Figure 2023504515000013
を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
上記の方法のいずれかの一実施形態では、本方法は、HMAおよびアルボシジブを別の活性薬剤と組み合わせて投与することをさらに含む。
別の実施形態では、HMAがシチジンデアミナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
一実施形態では、HMAは、全身に投与されてよい。本明細書において「全身」という用語には、非経口、局所、経皮、経口、吸入による/肺、直腸、鼻、頬側、および舌下投与が含まれる。本明細書において「非経口」という用語には、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、頭蓋内、および腹腔内投与が含まれる。
別の実施形態では、HMAが静脈内投与されるかまたは皮下注射により投与される。
別の実施形態では、HMAがアザシチジンおよびデシタビンから選択される。
アザシチジン投与
もう一つの実施形態では、HMAは、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩である。例えば、いくつかの実施形態では、HMAは、アザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)である。他の実施形態では、HMAは、アザシチジンのプロドラッグ(例えば、アザシチジンのホスフェートプロドラッグ)、またはその薬学的に許容され得る塩である。
もう一つの実施形態では、アザシチジンは、アザシチジンホスフェートプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジンホスフェートプロドラッグ)として投与される。非限定的な例として、本発明の方法における使用に適した1つのアザシチジンプロドラッグは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/153374号に開示されている。
別の実施形態では、アザシチジンホスフェートプロドラッグが、式
Figure 2023504515000014
(式中、RおよびRは、独立にHまたはCO(C~Cアルキル)である)
を有する。
別の実施形態では、式中、Rが各出現においてHであり、RがHおよびCO(Cアルキル)から選択される。
別の実施形態では、アザシチジンが、2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジンまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジン)である。
もう一つの実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)は、経口投与される。
もう一つの実施形態では、アザシチジンは、CC-486組成物として投与される。CC-486組成物は、経口投与用に製剤化されたアザシチジン組成物である。
もう一つの実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)は、静脈内注入として投与される。静脈内注入は、瞬時にまたは時間をわたり投与されてよい。一実施形態では、静脈内注入は、約1分~約6時間、または約2分~約4時間、または約5分~約2時間、または約5分~約100分、または約10分~約40分、または約10分、または約15分、または約20分、または約25分、または約30分、または約35分、または約40分の期間にわたって投与されてよい。
別の実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)の静脈内注入が約5分から約100分にわたる。
別の実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)の静脈内注入が約10分から約40分にわたる。
別の実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)が皮下投与される。
一実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)は、毎日連続して投与される。一実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)は、少なくとも2日間、または3日間、または4日間、または5日間、または6日間、または7日間連続して投与される。
もう一つの実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)は、7日間連続して(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの1、2、3、4、5、6および7日目に)投与される。
一実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)の投与は、休薬期間によって中断されてよい。一例として、アザシチジンまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)を3~5日間投与し、その後1~3日間アザシチジンを投与せず、その後、アザシチジンまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)を2~4日間投与することができる。
もう一つの実施形態では、アザシチジンまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)は、1日1回5日間(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの1、2、3、4および5日目に)投与し、続いてアザシチジンまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)を1日1回2日間(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの8日目および9日目に)投与する。もう一つの実施形態では、アザシチジンまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)は、1日1回5日間(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの1、2、3、4および5日目に)投与し、続いて2日間(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの6日目および7日目に)アザシチジンを投与せず、その後、アザシチジンまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)を1日1回2日間(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの8日目および9日目に)投与する。
別の実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)が、約10mg/m~約90mg/mの投薬量で投与される。
別の実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)が約90mg/mより低い投薬量で投与され、その後、約90mg/mの投薬量まで漸増させる。
別の実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)が約75mg/mの投薬量で投与される。
別の実施形態では、アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)が、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン)の投与開始から10日目に投与される。
別の実施形態では、アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)が静脈内注入として投与される。
静脈内注入は、瞬時にまたは時間をわたり投与されてよい。一実施形態では、静脈内注入は、約1分~約6時間、または約5分~約4時間、または約10分~約2時間、または約30分~約90分、または約45分~約75分、または約30分、または約45分、または約60分、または約75分、または約90分の期間にわたって投与されてよい。
別の実施形態では、静脈内注入が約20分から約120分にわたる。
別の実施形態では、静脈内注入が約1時間にわたる。
別の実施形態では、アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)が約90mg/mの投薬量で投与される。
従って、いくつかの実施形態では、約50mg/m~約125mg/m、好ましくは、約75mg/mのアザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩)が、対象に1日1回、約10分~約40分の持続時間の静脈内注入または皮下注射により5~10日間、好ましくは5日間または7日間投与され得る。
いくつかの実施形態では、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩)は、7日間連続して毎日(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの1日目~7日目に)投与される。7日間の処置スケジュールを用いる場合、8日目および9日目は、通常、アザシチジンを投与しない日であり、いくつかの実施形態では、休薬日である。
あるいは、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩)は、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩を1日1回連続5日間(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの1日目~5日目に)投与し、1日1回2日間(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの8日目および9日目に)投与する、5-2-2レジメンに従って投与することができる。5-2-2の処置スケジュールを用いる場合、6日目および7日目は、通常、アザシチジンを投与しない日であり、いくつかの実施形態では、休薬日である。
いくつかの実施形態では、約150mg~約350mg、好ましくは、約200mgまたは300mgのアザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩(例えば、CC-486)は、1日1回、例えば、7日間、14日間、または21日間(例えば、それぞれ、21日間または28日間のサイクルの1~7日目、1~14日目または1~21日目に)対象に経口投与される。いくつかの実施形態では、有効量または治療有効量のCC-486は、1日1回、例えば、7日間、14日間、または21日間(例えば、それぞれ、21日間または28日間のサイクルの1~7日目、1~14日目または1~21日目に)対象に経口投与される。
アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩をアザシチジンと併用する場合、アルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩は、アルボシジブまたは本明細書に記載されるその薬学的に許容され得る塩の任意の投薬量および投与スケジュールを用いて(例えば、約90mg/mの用量のアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩の約1時間の持続時間の静脈内注入により)、処置サイクル中に1回(例えば、処置サイクルの10日目に)投与することができる。
デシタビンの投与
もう一つの実施形態では、HMAは、デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩である。いくつかの実施形態では、HMAは、デシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩(例えば、デシタビン)である。他の実施形態では、HMAは、デシタビンのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩である。
もう一つの実施形態では、デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、デシタビン)は、ASTX727のように、セダズリジン、例えば、約100mgのセダズリジンと組み合わせて投与される。
もう一つの実施形態では、デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、デシタビン)は、ASTX727として投与される。
もう一つの実施形態では、デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、デシタビン)は、静脈内注入として投与される。
静脈内注入は、瞬時にまたは時間をわたり投与されてよい。一実施形態では、静脈内注入は、約1分~約6時間、または約5分~約4時間、または約10分~約2時間、または約30分~約90分、または約45分~約75分、または約30分、または約45分、または約60分、または約75分、または約90分の期間にわたって投与されてよい。
もう一つの実施形態では、静脈内注入は、約20から約120分にわたる。
もう一つの実施形態では、静脈内注入は約1時間にわたる。
一実施形態では、デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、デシタビン)は、毎日連続して投与される。一実施形態では、デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、デシタビン)は、少なくとも2日間、または3日間、または4日間、または5日間、または6日間、または7日間連続して投与される。
もう一つの実施形態では、デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩(例えば、デシタビン)は、5日間毎日(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの1日目~5日目に)投与される。
もう一つの実施形態では、アルボシジブは、デシタビンの投与の開始から8日目に投与される。
従って、いくつかの実施形態では、約15mg/m~約50mg/m、好ましくは、約20mg/mのデシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩を、1日1回、3日~10日間(例えば、連続して)約1時間の持続時間の静脈内注入により、対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、約15mg~約50mg、好ましくは、約35mgのデシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩は、1日1回、3日~10日間(例えば、連続して)(例えば、5日連続などの5日間)、対象に経口投与することができる。いくつかの実施形態では、約35mgのデシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩と、約100mgのセダズリジン、またはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ASTX727)を、1日1回、3日~10日間(例えば、連続して)(例えば、5日連続などの5日間)、対象に経口投与することができる。いくつかの実施形態では、デシタビンは、5日間毎日(例えば、28日間の処置サイクルなどの処置サイクルの1日目~5日目に)投与される。デシタビンまたはその薬学的に許容され得る塩が処置サイクルの1日目~5日目に投与される場合、6日目および7日目は、通常、デシタビンを投与しない日であり、いくつかの実施形態では、休薬日である。
アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩を、デシタビン、またはそのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩と併用する場合、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、アルボシジブまたは本明細書に記載される薬学的に許容され得る塩の任意の投薬量および投与スケジュールを用いて(例えば、約30mg/mの用量のアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩の約30分の持続時間の静脈内ボーラス、続いて約60mg/mの用量のアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩の約4時間の持続時間の静脈内注入により;約90mg/mの用量のアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩の約1時間の持続時間の静脈内注入により)、処置サイクル中に1回(例えば、処置サイクルの8日目に)投与することができる。
アルボシジブの投与
一実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が投与される。通常、アルボシジブ、または薬学的に許容され得る塩は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、約10分~約60分、約15分~約45分または約30分の持続時間で静脈内ボーラスにより投与される。アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩を静脈内ボーラスにより投与する場合、通常、約5mg/m~約50mg/m、約20mg/m~約30mg/m、約25mg/m~約35mg/mまたは約25mg/m~約60mg/m(例えば、約25mg/m、約30mg/m、約50mg/m)がボーラスで投与される。いくつかの実施形態では、約30mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、例えば、1日1回、3日間連続して、例えば28日間のサイクルで静脈内ボーラスにより投与される。いくつかの実施形態では、約20mg/m~約30mg/m(例えば、約20mg/m、約30mg/m)のアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、例えば、処置サイクルに1回、例えば、処置サイクルの8日目または10日目に静脈内ボーラスにより投与される。いくつかの実施形態では、約50mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、例えば、週1回(例えば、28日間のサイクルで、3週間連続にわたり週1回など)静脈内ボーラスにより投与される。いくつかの実施形態では、約25mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、例えば、28日間の処置サイクルの1日目に、静脈内ボーラスにより1回投与され、50mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、例えば、28日間の処置サイクルの15日目に、静脈内ボーラスにより1回投与される。いくつかの実施形態では、約25mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、例えば、28日間の処置サイクルの1日目に、静脈内ボーラスにより1回投与され、50mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、例えば、28日間の処置サイクルの8日目と15日目に、静脈内ボーラスにより2回投与される。
いくつかの実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、約3時間~約5時間、約3.5時間~約4.5時間または約4時間(例えば、±30分)の持続時間の静脈内注入により投与される。いくつかの実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、約30分~約1時間の持続時間の注入により投与される。いくつかの実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、約1時間の持続時間(例えば、1時間±15分)の注入により投与される。アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩を静脈内注入により投与する場合、通常、約10mg/m~約100mg/m、約25mg/m~約90mg/m、約10mg/m~約65mg/m、約30mg/m~約60mg/m、約75mg/m~約100mg/m(例えば、約75mg/m、約90mg/m)または約50mg/m~約75mg/m(例えば、約25mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m)が注入で投与される。いくつかの実施形態では、約60mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、例えば28日間のサイクルで、例えば、1日1回、3日間連続して、静脈内注入により投与される。いくつかの実施形態では、約30mg/m~約60mg/m(例えば、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m)のアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、例えば、処置サイクルに1回、静脈内注入により投与される。いくつかの実施形態では、約80mg/m~約100mg/m(例えば、約90mg/m)のアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、例えば、処置サイクルに1回、静脈内注入により投与される。いくつかの実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、アザシチジンまたはデシタビンなどの低メチル化剤または前述の薬学的に許容され得る塩の投与の後に投与される場合、約25mg/m~約90mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、例えば、毎週または8日目に静脈内注入により投与される。
いくつかの実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩は、例えば本明細書に記載されるような静脈内ボーラス、および、例えば本明細書に記載されるような静脈内注入により投与される。アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、静脈内ボーラスおよび静脈内注入により投与される場合、ボーラスは、通常、静脈内注入よりも先に行われる。いくつかの実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩の静脈内注入は、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩のボーラスの完了から約1時間以内(例えば、約45分以内、約30分以内)に開始される。いくつかの実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩の静脈内注入は、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩のボーラスの完了から約30分後に開始される。いくつかの実施形態では、約30mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、静脈内ボーラスにより投与された後、約60mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が、静脈内注入により投与される。アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩のいわゆるハイブリッド用量(静脈内ボーラスおよび静脈内注入によって投与される用量)の投与は、本明細書に記載される処置サイクルおよび/または投与スケジュールのいずれか1つに従って行うことができる。
いくつかの実施形態では、1日あたり約10mg/m~約100mg/m、約25mg/m~約60mg/m、約75mg/m~約100mg/m、約50mg/m、約75mg/mまたは約90mg/mのアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩が患者に投与される。
他の実施形態では、アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が投与される。本開示の方法での使用に適したアルボシジブのプロドラッグの例には、上記に記載のものが含まれ、上記に記載のアルボシジブのプロドラッグの結晶形態が含まれる。
アルボシジブのプロドラッグ(例えば、構造式I、IaまたはIbの化合物)、またはその薬学的に許容され得る塩は、1日1回または1日1回より多く、例えば1日2回投与することができる。
いくつかの実施形態では、アルボシジブのプロドラッグ(例えば、構造式I、IaまたはIbの化合物、例えば構造式Ibの化合物の形態Bなど)、またはその薬学的に許容され得る塩は、21日間の処置サイクルの最初の14日間に投与される。この処置スケジュールを用いる場合、アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩は、通常、アルボシジブを投与しない日であり、いくつかの実施形態では休薬日である、21日間の処置サイクルの15日~21日目に投与されない。その他の実施形態では、アルボシジブのプロドラッグ(例えば、構造式I、IaまたはIbの化合物、例えば構造式Ibの化合物の形態Bなど)、またはその薬学的に許容され得る塩は、28日間の処置サイクルの最初の21日間に投与される。この処置スケジュールを用いる場合、アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩は、通常、アルボシジブを投与しない日であり、いくつかの実施形態では休薬日である、28日間の処置サイクルの22日~28日目に投与されない。
アルボシジブのプロドラッグ(例えば、構造式I、IaまたはIbの化合物、例えば構造式Ibの化合物の形態Bなど)、またはその薬学的に許容され得る塩は、広い投薬量範囲にわたって有効である。例えば、成人の処置において、1日あたり約0.01mg~約1000mg、約0.5mg~約100mg、約0.5mg~約100mg、約1mg~約50mg、および1日あたり約5mg~約40mgの投薬量は、いくつかの実施形態で使用される投薬量の例である。特定の実施形態では、投薬量範囲は、1日あたり約1mg~約60mg(例えば、約5mg~約60mg、約10mg~約60mg、約5mg~約50mg、約10mg~約30mg、約10mg~約50mg、約20~約50mg、約25mg~約45mg)である。他の実施形態では、投薬量は、1日あたり約1mg~約30mg、例えば、1日あたり約1mg、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約20mg、約22mg、約24mg、約26mg、約28mg、約30mgまたは約32mgである(例えば、QD投与、BID投与)。他の実施形態では、投薬量は、約1mg~約30mg、例えば、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mg、約11mg、約12mg、約16mg、約20mg、約22mg、約24mg、約26mg、約28mgまたは約30mgであり、BID投与される。正確な投薬量は、例えば、投与経路、プロドラッグの投与形態、処置される対象、処置される対象の体重、ならびに主治医の優先傾向および経験に依存することになる。
一実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)は、静脈内注入によって投与される。
一実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)は、ボーラスとして投与され、その後、静脈内注入によって投与される。
一実施形態では、ボーラスは、約1~約60分、または約5~約50分、または約10~約40分、または約10分、または約20分、または約30分、または約40分、または約50分にわたる。
一実施形態では、ボーラスは、約10~約40分にわたる。
もう一つの実施形態では、ボーラスは約30分にわたる。
一実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)は、ボーラスなしで静脈内注入によって投与される。
一実施形態では、静脈内注入は、約1分~約12時間、または約5分~約10時間、または約10分~約8時間、または約30分~約6時間、または約1時間~約5時間、または約1時間、または約2時間、または約3時間、または約4時間、または約5時間、または約6時間の期間にわたって投与されてよい。
もう一つの実施形態では、静脈内注入は、約30分~約6時間にわたる。
もう一つの実施形態では、静脈内注入は、約4時間にわたる。
別の実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)が、約20mg/mの投薬量でボーラスとして投与され、続いて約10mg/m~約60mg/mの投薬量で静脈内注入される。
別の実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)が、約20mg/m~約100mg/mの全体的な投薬量で投与される。
別の実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)が静脈内注入として投与される。
別の実施形態では、静脈内注入が約1時間にわたる。
別の実施形態では、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、アルボシジブ)が約90mg/mの投薬量で投与される。
別の実施形態では、デシタビンまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、デシタビン)が、約10mg/m~約30mg/mの1日投薬量で投与される。
別の実施形態では、デシタビンまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、デシタビン)が、約20mg/mの1日投薬量で投与される。
組成物、組合せおよびキット
本明細書に記載される治療薬(例えば、アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩など)は、純粋な形態で、あるいは、1またはそれを超える治療薬(例えば、薬学的組合せ)、および1またはそれを超える薬学的に許容され得る担体を含む適切な医薬組成物の形で投与することができる。
本開示の化合物は、典型的には医薬組成物(例えば、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、1またはそれを超える薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物)で使用される。「薬学的に許容され得る担体」は、当業者に知られているように、一般に安全と認められる(GRAS)溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物安定剤、結合剤、緩衝化剤(例えば、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなど)、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素などおよびこれらの組み合わせを含む、動物、特に哺乳動物に生物学的に活性な薬剤を送達するための当技術分野で一般的に受け入れられている媒体を指す(例えば、Allen,L.V.,Jr.ら、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2巻)、第22版、Pharmaceutical Press(2012)参照)。
典型的には、薬学的に許容され得る担体は無菌である。医薬組成物は、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内投与)および直腸投与などの特定の投与経路用に製剤化することができる。さらに、医薬組成物は、固体形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤または坐剤を含むが、これらに限定されない)または液体形態(液剤、懸濁剤またはエマルジョンを含むが、これらに限定されない)で構成することができる。医薬組成物は、滅菌などの従来の薬学操作に供することができる、ならびに/あるいは従来の不活性希釈剤、滑沢剤または緩衝化剤、ならびに保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤および緩衝剤などの佐剤を含有することができる。典型的には、医薬組成物は、以下のもののうちの1またはそれを超える数と共に有効成分を含む錠剤またはゼラチンカプセルである:
a)希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;
c)結合剤、例えばケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;
d)崩壊剤、例えばデンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;ならびに
e)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤。
錠剤は、当技術分野で公知の方法に従って、フィルムコーティングまたは腸溶コーティングされ得る。
経口投与に適した組成物には、錠剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁物、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、ハードもしくはソフトカプセル、またはシロップもしくはエリキシルの形態の本明細書に記載される治療薬(例えば、構造式I、IaもしくはIbの化合物、または前記のものの薬学的に許容され得る塩)が含まれる。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物を製造するための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製され、このような組成物は、薬学的に洗練された口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群より選択される1またはそれを超える薬剤を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容され得る賦形剤と混和して有効成分を含有し得る。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア;ならびに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤は、コーティングされていないか、または既知の技術によってコーティングされて、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたって持続的な作用を提供する。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用することができる。経口使用のための製剤は、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセルとして、または有効成分が水もしくは油性媒体、例えば落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセルとして提供することができる。
本方法で使用するための医薬組成物は、液体、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、エマルジョンまたは懸濁物の形態であってよい。液体は、アルボシジブ、アザシチジンおよび/またはデシタビンのプロドラッグ、または前述のいずれかの薬学的に許容され得る塩を含む組成物などの経口投与用であってもよいし、例えばアルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物などの注射による送達用であってもよい。経口投与を意図する場合、医薬組成物は、例えば、1つまたは複数の治療用化合物に加えて、1またはそれを超える甘味剤、保存料、色素/着色剤および風味増強剤を含む。注射による投与を意図する組成物には、界面活性剤、保存料、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝液、安定剤および等張剤のうちの1つまたはそれより多くが含まれてよい。
液体医薬組成物は、それらが溶液、懸濁物またはその他の同様の形態であるかどうかに関わらず、以下の佐剤のうちの1つまたはそれより多くが含まれてよい:注射用水、食塩溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウムなどの滅菌希釈剤、溶媒または懸濁媒体として機能し得る合成モノグリセリドおよびジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールおよびその他の溶媒;ベンジルアルコールおよびメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸およびリン酸などの緩衝液ならびに塩化ナトリウムおよびデキストロースなどの張度を調整するための作用物質。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回用量バイアルに封入され得る。生理食塩水は好ましい佐剤である。注射可能な医薬組成物は無菌であることが好ましい。実施形態では、医薬組成物は注射用に製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物はボーラス注射用に製剤化される。実施形態では、医薬組成物は注入用に製剤化される。
特定の注射可能な組成物は、本明細書に記載される治療薬(例えば、アルボシジブまたはその薬学的に許容され得る塩;アザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩;デシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩)を等張水溶液または懸濁物の形態で含み、本明細書に記載される治療薬を含む特定の坐剤は、脂肪性のエマルジョンまたは懸濁物から有利に調製される。前記組成物は、滅菌されてもよい、ならびに/あるいは佐剤、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝剤を含有してもよい。さらに、これらはまた、他の治療的に価値のある物質を含有してもよい。前記組成物は、それぞれ従来の混合、造粒またはコーティング方法に従って調製され、約0.1~75%または約1~50%の有効成分を含有する。
経皮施用のための適切な組成物は、適切な担体と共に本明細書に記載される治療薬を含む。経皮送達に適した担体には、宿主の皮膚を通過するのを助けるための吸収性の薬理学的に許容され得る溶媒が含まれる。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、必要に応じて担体と共に化合物を含有するリザーバ、必要に応じて長期間にわたって制御された所定の速度で宿主の皮膚への化合物を送達するための速度制御バリア、およびデバイスを皮膚に固定する手段を含む包帯の形態である。
例えば皮膚および眼への局所施用に適した本明細書に記載される治療薬を含む組成物には、水溶液、懸濁物、軟膏、クリーム、ゲル、または例えばエアロゾルなどによる送達のための噴霧可能な製剤が含まれる。このような局所送達システムは、特に、皮膚施用、例えば皮膚がんの処置、例えば日焼け止めクリーム、ローション、スプレーなどにおける予防的使用に適している。したがって、これらは、当技術分野で周知の化粧品を含む局所製剤での使用に特に適している。このようなものは、可溶化剤、安定剤、張度増強剤、緩衝剤および保存剤を含有し得る。
本明細書で使用される場合、局所施用は、吸入または鼻腔内施用にも関連し得る。吸入または鼻腔内投与に適した組成物は、適切な噴射剤の使用の有無にかかわらず、乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独、混合物として、例えばラクトースとのドライブレンド、または例えばリン脂質との混合成分粒子のいずれか)の形態で、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザもしくはネブライザからのエアロゾルスプレーでの提供で都合よく送達され得る。
水は一定の化合物の分解を促進し得るので、本明細書に記載される治療薬はまた、無水医薬組成物および剤形において提供され得る。無水医薬組成物および剤形は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製および保存され得る。したがって、無水組成物は、適切な処方キットに含めることができるように、水への曝露を防ぐことが知られている材料を使用して包装される。適切な包装の例としては、それだけに限らないが、密封ホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられる。
医薬組成物および剤形は、治療薬が分解する速度を低下させる1またはそれを超える薬剤も含み得る。本明細書で「安定剤」と呼ばれるこのような薬剤には、それだけに限らないが、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝剤、または塩緩衝剤が含まれる。
本開示の特定の実施形態で使用される医薬組成物は、薬学分野で周知の方法論によって調製されてよい。例えば、注射による投与を意図する医薬組成物は、1またはそれを超える治療薬を滅菌蒸留水と組み合わせて溶液を形成することによって調製することができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って投与するための1または複数の医薬組成物は、治療薬が溶液中、懸濁物中、またはその両方に存在する液体の形態をとる。いくつかの実施形態では、治療薬が溶液または懸濁物として投与される場合、薬剤の第1の部分は溶液中に存在し、薬剤の第2の部分は微粒子の形態で、液体マトリックスの懸濁物中に存在する。いくつかの実施形態では、液体組成物にはゲル製剤が含まれる。他の実施形態では、液体組成物は水性である。
特定の実施形態では、有用な水性懸濁物は、懸濁化剤として1またはそれを超えるポリマーを含む。有用なポリマーとしては、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマー、および架橋カルボキシル含有ポリマーなどの水不溶性ポリマーが挙げられる。本明細書に記載の特定の医薬組成物は、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチル共重合体、アルギン酸ナトリウムおよびデキストランから選択される粘膜付着性ポリマーを含む。
また、医薬組成物には、必要に応じて、治療薬の溶解性を助けるための可溶化剤が含まれる。「可溶化剤」という用語には、一般に、薬剤のミセル溶液または真の溶液の形成をもたらす作用物質が含まれる。特定の許容され得る非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80は、眼科的に許容され得るグリコール、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール400、およびグリコールエーテルと同様に、可溶化剤として有用である。
さらに、医薬組成物には、必要に応じて1またはそれを超えるpH調節剤または緩衝化剤が含まれ、それには、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリスヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;ならびにクエン酸/デキストロース、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの緩衝液が含まれる。そのような酸、塩基および緩衝液は、組成物のpHを許容され得る範囲に維持するために必要な量で含まれている。
さらに、医薬組成物には、必要に応じて、組成物の質量オスモル濃度を許容され得る範囲にするのに必要な量の1またはそれを超える塩も含まれる。そのような塩としては、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンまたはアンモニウムカチオンと、塩化物アニオン、クエン酸アニオン、アスコルビン酸アニオン、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、重炭酸アニオン、硫酸アニオン、チオ硫酸アニオンまたは亜硫酸水素アニオンを有する塩が挙げられ;適した塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび硫酸アンモニウムが挙げられる。
その他の医薬組成物は、必要に応じて、微生物活性を阻害するための1またはそれを超える保存料を含む。適した保存料としては、メルフェンおよびチオメルサールなどの水銀含有物質;安定化された二酸化塩素;および、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムなどの第四級アンモニウム化合物が挙げられる。
均一な溶液または懸濁物の形成を促進するために界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、溶解または均質な懸濁を促進するために、治療薬と非共有結合的に相互作用する化合物である。実施形態では、医薬組成物には、物理的安定性を向上させるために、1またはそれを超える界面活性剤が含まれる。適した非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;およびポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40が挙げられる。
さらに他の医薬組成物には、必要な場合に化学的安定性を高めるために1またはそれを超える抗酸化剤が含まれる。適した抗酸化剤としては、例として、アスコルビン酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
特定の実施形態では、水性懸濁物組成物は、単回用量の再封入不能な容器に包装される。あるいは、複数回用量の再封入可能な容器が使用され、その場合は組成物に保存料を含めるのが一般的である。
本開示の実施形態で使用するための医薬組成物には、固体または液体の投薬単位の物理的形態を改変する様々な材料が含まれてよい。例えば、組成物には、1またはそれを超える治療薬の周囲にコーティングシェルを形成する材料が含まれてよい。コーティングシェルを形成する材料は一般に不活性であり、例えば、糖、セラック、およびその他の腸溶コーティング剤から選択され得る。あるいは、有効成分はゼラチンカプセルに包まれていてよい。
特定の実施形態で使用される医薬組成物は、エアロゾルとして投与され得る投薬単位から成っていてもよい。エアロゾルという用語は、コロイド性の系から加圧パッケージからなる系に至る多様な系を表すために使用される。送達は、液化もしくは圧縮ガスによるか、または有効成分を分注する適したポンプ系によるものであってよい。治療薬のエアロゾルは、1または複数の有効成分を送達するために、単相、二相、または三相の系で送達され得る。エアロゾルの送達には、必要な容器、アクチベーター(activator)、バルブ、副容器などが含まれ、これらを一緒にしてキットを形成することができる。当業者は、過度の実験を行うことなく、好ましいエアロゾルを決定することができる。
本明細書に記載される治療薬は、典型的には、薬物の容易に制御可能な投薬量を提供し、患者に洗練された容易に操作できる製品を与えるために医薬剤形に製剤化される。投与レジメンは、当然、特定の薬剤の薬力学的特性ならびにその投与様式および投与経路;レシピエントの種、年齢、性別、健康、医学的症状および体重;症候の性質および程度;併用処置の種類;処置の頻度;投与経路、患者の腎機能および肝機能、ならびに所望の効果などの既知の要因に応じて変化する。本明細書に記載される治療薬は、1日1回の用量で投与され得るか、または総1日量が、例えば、1日に2回、3回もしくは4回の分割用量で投与され得る。
併用療法で使用するための組成物は、医薬組み合わせ物として一緒に製剤化されるか、または別個の投与のために提供される(例えば、キットに関連する)。したがって、さらなる実施形態は、本明細書に記載の2またはそれを超える治療薬を含む医薬組み合わせ物である。医薬組み合わせ物は、1またはそれを超える薬学的に許容され得る担体、例えば1またはそれを超える本明細書に記載される薬学的に許容され得る担体をさらに含むことができる。
医薬組成物は、約50~約70kgの対象について約1~約1000mgの有効成分(単数または複数)、または約50~約70kgの対象について約1~約500mg、約1~約250mg、約1~約150mg、約0.5~約100mg、もしくは約1~約50mgの有効成分(単数または複数)を含有する単位投薬量であり得る。治療薬/医薬組成物の有効および/または治療上有効投薬量は、対象の種、対象の体重、年齢および個体症状、ならびに処置される障害もしくは疾患またはその重症度に依存する。通常の知識を有する医師、臨床医または獣医は、障害または疾患の進行を予防または処置するのに必要な有効成分の各々の有効および/または治療上有効量を容易に決定することができる。
いくつかの実施形態では、医薬組成物で提供される1またはそれを超える治療薬の濃度が、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%または0.0001% w/w、w/vまたはv/v未満である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物で提供される1またはそれを超える治療薬の濃度が、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25%、9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%または0.0001% w/w、w/vまたはv/v超である。
いくつかの実施形態では、医薬組成物で提供される1またはそれを超える治療薬の濃度が、約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10% w/w、w/vまたはv/vの範囲にある。
いくつかの実施形態では、医薬組成物で提供される1またはそれを超える治療薬の濃度が、約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9% w/w、w/vまたはv/vの範囲にある。
もう一つの態様は、2またはそれを超える別々の治療薬(例えば、2またはそれを超える別々の医薬組成物)を含むキットである。一実施形態では、キットは、治療有効量の各治療薬(例えば、各医薬組成物)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、アルボシジブ、またはそのプロドラッグ(例えば、構造式IaまたはIbの化合物)、または前述の薬学的に許容され得る塩、およびHMA(例えば、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩)を含む。
本開示のキットは、異なる剤形を例えば経口および非経口投与するために、別々の組成物を異なる投与間隔で投与するために、あるいは別々の組成物を互いに対して滴定するために使用されてもよい。
コンプライアンスを助けるために、キットには通常、投与に関する指図が含まれている。書面での指示には、投薬量、投与方法、投与の順序およびタイミングなどに関する指示が含まれていてよい。書面での指示は、印刷された指示の形でキット内に提供することもでき、キットを収容する容器の一部に印刷することもできる。書面での指示は、シート、パンフレット、冊子、CD-ROM、またはコンピュータで読み取り可能なデバイスの形態であってもよく、ウェブサイトなどの遠隔地にある指示の位置を特定するための指図を提供することもできる。書面での指示は、英語および/または国または地域の言語で書かれていてよい。
キットは、1またはそれを超えるシリンジ、アンプル、バイアル、チューブ、管状材料、フェイスマスク、無針流体移送デバイス、注入キャップ、スポンジ、滅菌接着ストリップ、Chloraprep、手袋などをさらに含むことができる。本明細書に記載されるキットのいずれも、内容物の変更を行うことができる。様々な実施形態において、キットの内容物は、コンパクトな容器で提供される。
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、1または複数の有効成分を含有する1またはそれを超える単位剤形を含むパックまたはディスペンサーデバイスで提示される。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属箔またはプラスチック箔を含むことがある。
実施形態では、キット(例えば、パックまたはディスペンサー)には、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関が規定した形態の通知が容器に関連づけられて添付されていることがあり、この通知は、投与についての指示に加えて、組成物の形態またはヒトまたは獣医学的投与の該機関による承認を反映している。このような通知は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局により承認されたラベル、または承認された製品挿入物である場合がある。
腫瘍崩壊症候群の予防
もう一つの実施形態では、患者は、腫瘍崩壊症候群の予防をさらに投与される。
もう一つの実施形態では、腫瘍崩壊症候群の予防は、例えば、水性塩を用いる静脈内水分補給を含む。一実施形態では、水性塩は、水性NaClである。一実施形態では、水性NaClの濃度は、約0.05%~約5%、または約0.1%~約2.5%、または約0.25%~約1%、または約0.4%~約0.6%、または約0.4%、または約0.45%、または約0.5%の水性NaClである。
もう一つの実施形態では、腫瘍崩壊症候群の予防は、0.45%水性NaClによる静脈内水分補給を含む。
別の実施形態では、腫瘍崩壊症候群の予防が、アロプリノール、経口ホスフェート結合剤(oral phosphate binder)、体液喪失の補充、および止痢薬のうちの1またはそれより多くを投与することを含む。
別の実施形態では、腫瘍崩壊症候群の予防が、最初のHMA用量の前に投与される。
別の実施形態では、腫瘍崩壊症候群の予防が、最初のアルボシジブ用量の前に投与される。
患者集団
一実施形態では、患者は成人である、すなわち、患者は18歳またはそれより年長である。
もう一つの実施形態では、患者は18歳未満の小児である。
もう一つの実施形態では、患者は、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS)スコアが下の表1に従って2以下である。
Figure 2023504515000015
Oken MM,Creech RH,Tormey DCら、Toxicity And Response Criteria Of The Eastern Cooperative Oncology Group.Am J Clin Oncol 1982;5:649-655。
入手先:http://www.ecog.org/general/perf_stat.html
もう一つの実施形態では、患者の平均余命は、1か月、または2か月、または3か月、または4か月、または6か月、または9か月、または12か月以上である。
もう一つの実施形態では、患者の平均余命は、3か月以上である。
別の実施形態では、患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたは複数において、1またはそれを超える変異を有する。
別の実施形態では、患者が、検査データに基づいて以下の判定基準を満たす:
a)患者の血清クレアチニンが、正常値上限(ULN)範囲の1.8倍以下であり;
b)患者の総ビリルビンが、ULN範囲の2倍以下であり、かつ
c)患者のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアラニントランスアミナーゼ(ALT)が、ULN範囲の3倍以下である。
別の実施形態では、患者が重度の心血管疾患を併発していない。
別の実施形態では、患者が、ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類IIIまたはIVの心疾患(表2を参照のこと)、米国国立がん研究所(NCI)の有害事象の共通用語基準(CTCAE)v5.0のグレード3またはそれを超える不整脈、狭心症、異常な心電図所見、間質性肺炎、および肺線維症から選択される状態を有していない。
Figure 2023504515000016
Mets=代謝当量
参照:http://www.merck.com/mmpe/sec07/ch074/ch074a.html#CEGDEIFG
米国国立がん研究所の有害事象の共通用語基準v5.0(NCI CTCAE)基準は、以下のウェブサイトで電子的に閲覧することができる:https://ctep.cancer.gov/protocoldevelopment/electronic_applications/docs/CTCAE_v5_Quick_Reference_8.5x11.pdf。
別の実施形態では、患者が処置前の6か月以内に心筋梗塞を起こしていない。
一実施形態では、患者は、悪性疾患を併発していない。
別の実施形態では、患者が化学療法を必要とする悪性疾患を併発しておらず、また患者が処置前6か月以内に化学療法を受けた悪性疾患を併発していない(ただし、悪性疾患は皮膚の基底細胞癌および扁平上皮癌から選択されない)。
別の実施形態では、患者が、制御されないかまたは制御できない感染、あるいはNCI CTCAE v5.0によるグレードが3以上の感染を有していない。
別の実施形態では、患者が骨髄穿刺でドライタップを有さない。
別の実施形態では、患者が、自己免疫疾患を併発しておらず、または慢性もしくは再発性の自己免疫疾患の既往歴もない。
別の実施形態では、患者が、毎日20mgのプレドニゾンに相当する量よりも多い長期の全身ステロイド治療を必要としない。
別の実施形態では、患者が、過去1年以内に別の記録された悪性疾患を有さない。
別の実施形態では、患者が、NCI CTCAE v5.0によるグレードが2以上の出血を有していない。
別の実施形態では、患者が妊娠していないかまたは授乳していない。
別の実施形態では、患者がこれまでにアルボシジブまたは別のサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤を投与されていない。
別の実施形態では、方法は、患者の腫瘍細胞標本のBH3プロファイルを決定することをさらに含む。
バイオマーカープロファイル
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、MDSに関連する1またはそれを超えるバイオマーカーを評価することをさらに含む。評価には、1またはそれを超えるバイオマーカーのレベル(例えば、バイオマーカーの存在または不在、適切な対照と比較したバイオマーカーのアップレギュレーションまたはダウンレギュレーション)の測定または決定と、および1またはそれを超えるバイオマーカーの変異状態および/またはエピジェネティックな変異状態の決定が含まれ、評価はDNA、RNA(例えば、mRNA)またはタンパク質のレベルで行うことができる。例えば、MCL-1依存またはMCL-1 mRNA発現を評価することができる。NOXAメチル化またはNOXA mRNA発現も、またはその代わりに評価することができる。LINE-1メチル化も、またはその代わりに評価することができる。
いくつかの実施形態では、MDSに関連する1またはそれを超えるバイオマーカーは、核酸、タンパク質、脂質、および代謝物からなる群より選択される。例えば、いくつかの実施形態では、MDSに関連する1またはそれを超えるバイオマーカーには、MCL-1またはMCL-1 mRNAが含まれる。いくつかの実施形態では、MDSに関連する1またはそれを超えるバイオマーカーには、NOXAまたはNOXA mRNAが含まれる。いくつかの実施形態では、MDSに関連する1またはそれを超えるバイオマーカーには、長鎖散在反復配列(long interspersed element)-1(LINE-1)が含まれる。
いくつかの実施形態では、MDSに関連する1またはそれを超えるバイオマーカーには、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたはそれより多く(例えば、1つ、少なくとも2つ、2つ、少なくとも3つ、3つ、少なくとも4つ、4つ、少なくとも5つ、5つ、少なくとも6つ、6つ、少なくとも7つ、7つ、少なくとも8つ、8つ、9つ)が含まれる。従って、本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、対象が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたはそれより多く(例えば、1つ、少なくとも2つ、2つ、少なくとも3つ、3つ、少なくとも4つ、4つ、少なくとも5つ、5つ、少なくとも6つ、6つ、少なくとも7つ、7つ、少なくとも8つ、8つ、9つ)において1またはそれを超える変異を有しているかどうかを決定すること;および、対象が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたはそれより多くにおいて1またはそれを超える変異を有していると決定された場合に、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、MDSに関連する1またはそれを超えるバイオマーカーには、NPM1が含まれるか、またはさらに含まれる。MDSに関連するバイオマーカーの限定されない例としては、RUNX1;SRSF2;SF3B1;U2AF1;ZRSR2;ASXL1;EZH2;BCOR;STAG2;NPM1;SRSF2およびBCOR;IDH2、SRSF2およびBCOR;NPM1;NPM1、IDH1およびNRAS;FLT3;CEBPA;ASXL1およびTET2;RUNX1、IDH1、SRSF2およびBCOR;RUNX1、SRSF2およびBCOR;RUNX1、IDH2およびSRSF2;RUNX1およびSRSF2;TP53;U2AF1およびBCOR;DNMT3A、IDH1およびNPM1;NPM1およびDNMT3A;NPM1およびTET2;NPM1、DNMT3AおよびNRAS;NPM1、FLT3、CEBPA、DNMT3A;ASXL1、RUNX1、EZH2、IDH2およびNRAS;ASXL1、RUNX1およびEZH2;FLT3、ASXL1、RUNX1およびBCOR;ならびにASXL1、RUNX1およびBCORが挙げられる。
例えば対象が1またはそれを超える変異を有するかどうかを決定するために、変異解析を実施する方法は当技術分野で公知であり、それには次世代シーケンシングが含まれる。例えば、市販の製品および試薬を使用して、独自の分子病理学分析プロセスを確立している機関がある。例えば、ある機関の複合がんパネルは、Custom Agilent SureSelect captureおよびIllumina HiSeq2500シーケンシングを用いて腫瘍から精製したDNAから(正常なDNAの有無にかかわらず)得たエキソン配列とイントロン配列を標的にしている。試料の平均カバレッジは少なくとも500倍であり、関心対象の領域のコード配列の98%超のカバレッジは少なくとも30倍である。これらの配列は、一塩基変異、および小さな挿入と欠失について評価される。作用しうる変異は、オルソロガスな方法によって確認される。さらに、Hematologics、Inc.およびFoundation Medicineをはじめとする数社が、商業的な変異解析サービスを提供している。また、FoundationOne(登録商標)Heme(マサチューセッツ州ケンブリッジのFoundation Medicineより入手可能)をはじめとする、包括的なゲノムプロファイリングを実施するための市販製品も多数ある。
もう一つの実施形態では、上記の方法のいずれかは、患者のBH3プロファイルに基づいて、MDS処置に対する応答の可能性に関して患者を分類することをさらに含む。
もう一つの実施形態では、上記の方法のいずれかは、末梢血および/または脊髄吸引液におけるBH3および/または他のバイオマーカーの評価をさらに含む。
実施形態では、未処置のMDS患者におけるMCL-1依存の予備有病率は、BH3プロファイリングを介して評価され得る。もう一つの実施形態では、末梢血におけるBH3プロファイリング結果の調節に対する、HMA処置の効果を決定することができる。もう一つの実施形態では、末梢血におけるBH3プロファイリング結果の調節に対する、HMA処置後のアルボシジブの順次投与の効果を決定することができる。
別の実施形態では、方法は、MDSに関連する追加のバイオマーカーの測定をさらに含む。
別の実施形態では、MDSに関連する追加のバイオマーカーが、核酸、タンパク質、脂質、および代謝物からなる群より選択される。
分析には、限定されるものではないが、MCL-1依存に重点を置いたフローサイトメトリーによるBH3プロファイリングの評価、遺伝子変異の評価、およびMDSに関連する他のバイオマーカーが含まれ得る。別の実施形態では、MDSに関連する追加のバイオマーカーがMCL-1である。
別の実施形態では、BH3プロファイルがフローサイトメトリーによって決定される。
別の態様では、本開示は、これまでに処置を受けていないMDS患者に低メチル化剤およびアルボシジブを投与することを含む、MDS処置に対する応答を決定するための方法であって、患者の腫瘍細胞標本のBH3プロファイルを決定すること、およびMDS処置に対する応答の可能性について患者を分類することを含む、方法を提供する。
別の実施形態では、方法は、MDSに関連する追加のバイオマーカーの測定をさらに含む。
別の実施形態では、追加のバイオマーカーが、核酸、タンパク質、脂質、および代謝物からなる群より選択される。
別の実施形態では、追加のバイオマーカーがMCL-1である。
別の実施形態では、BH3プロファイルがフローサイトメトリーによって決定される。
なお別の態様では、本開示は、アザシチジンおよびデシタビンから選択される治療有効量の低メチル化剤(HMA)を患者に投与し、続いて治療有効量のアルボシジブを患者に投与することを含む、骨髄異形成症候群(MDS)の患者を処置する方法を提供する。
別の実施形態では、HMAが静脈内投与される。
別の実施形態では、HMAが、約10mg/m~約30mg/mの用量で、約1~約3時間、1日1~3回投与されるデシタビンである。
別の実施形態では、デシタビンが1日1回、3~7日間投与される。
別の実施形態では、デシタビンが1日1回、5日間投与される。
別の実施形態では、デシタビンが、約20mg/mの用量で1時間の注入で投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、約10mg/m~約120mg/mの速度で投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、デシタビン投与の停止から2日後に投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、デシタビン投与の停止から2日後に投与される。
別の実施形態では、アルボシジブの一部が、約10分~約60分の期間にわたって約10mg/m~約50mg/mのボーラス用量として投与される。
別の実施形態では、ボーラス用量が約30分の期間にわたって投与される。
別の実施形態では、ボーラス用量が約20mg/m~約30mg/mである。
別の実施形態では、約10mg/m~約60mg/mのアルボシジブが、約2時間~約6時間の期間にわたって静脈内投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、約4時間の期間にわたって投与される。
別の実施形態では、アルボシジブの用量が、約20mg/m~約60mg/mである。
別の実施形態では、アルボシジブが、約90mg/mの用量で約20分~約120分の期間にわたって静脈内投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、約1時間の期間にわたって投与される。
別の実施形態では、静脈内注入によるアルボシジブの投与が、ボーラス用量の完了から約30分以内に開始される。
別の実施形態では、HMAが、約30~約90mg/mの用量のアザシチジンである。
別の実施形態では、用量が1日あたり約75mg/mである。
別の実施形態では、アザシチジンが、約10~約40分にわたる静脈内ボーラス注射または皮下注射として7日間投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、アザシチジン投与の停止から2日後に静脈内投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、アザシチジン投与の開始後10日目に投与され、8日目および9日目にアザシチジン投与を行わない。
別の実施形態では、90mg/mのアルボシジブが、約20分~約120分の期間にわたって静脈内投与される。
別の実施形態では、アルボシジブが、約1時間の期間にわたって投与される。
別の実施形態では、アザシチジンが、約30~約90mg/m/日の用量で5日間連続して投与され、続いて6日目および7日目にアザシチジンを投与せず、さらに8日目および9日目に約30~約90mg/mの用量でアザシチジンが静脈内投与され、さらに、10日目にアルボシジブが静脈内投与される。
別の実施形態では、アザシチジンが、1~5日目および8日目および9日目に約75mg/m/日の用量で静脈内ボーラス注射により投与され、アルボシジブが、10日目に約90mg/mの用量で約1時間の期間にわたって静脈内注入により投与される。
別の実施形態では、処置が少なくとも1回繰り返される。
別の実施形態では、処置サイクルが28日を含む。
別の実施形態では、処置サイクルが少なくとも1回繰り返される。
別の実施形態では、処置が少なくとも4サイクル繰り返される。
別の実施形態では、処置サイクルが4~6週間を含む。
別の実施形態では、処置が少なくとも4サイクル繰り返される。
別の実施形態では、HMAが経口投与される。
別の実施形態では、HMAがプロドラッグとして投与される。
別の実施形態では、HMAがシチジンデアミナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
別の実施形態では、HMAがデシタビンである。
別の実施形態では、シチジンデアミナーゼ阻害剤がセダズリジンである。
別の実施形態では、HMAがアザシチジンホスフェートプロドラッグである。
別の実施形態では、アザシチジンプロドラッグが、式
Figure 2023504515000017
(式中、RおよびRは、独立にHまたはCO(C~Cアルキル)である)
を有する。
別の実施形態では、HMAが組成物CC-486である。
別の実施形態では、HMAが、2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジンとして投与されるアザシチジンである。
実施形態
1.治療有効量の低メチル化剤(HMA)と治療有効量のアルボシジブを患者に投与することを含む、これまでに処置を受けていないMDSを有する患者において骨髄異形成症候群(MDS)を処置する方法。
2.治療有効量のHMAと治療有効量のアルボシジブを患者に投与することを含む、6サイクル未満の低メチル化剤(HMA)による処置を受けた患者においてMDSを処置する方法。
3.患者に治療有効量の低メチル化剤(HMA)と治療有効量のアルボシジブを投与することを含む、これまでにMDS処置を受けていないデノボMDSを有する患者においてMDSを処置する方法。
4.患者が、集中的な導入化学療法にも幹細胞移植にも適格でない、実施形態3に記載の方法。
5.患者に治療有効量の低メチル化剤(HMA)と治療有効量のアルボシジブを投与することを含む、これまでにMDS処置を受けていない続発性MDSを有する患者においてMDSを処置する方法。
6.患者が、集中的な導入化学療法にも幹細胞移植にも適格でない、実施形態5に記載の方法。
7.MDSが、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB-T)、および慢性骨髄単球性白血病(CMML)からなる群より選択される、実施形態1~6のいずれか一つに記載の方法。
8.MDSが、中間-1改訂国際予後判定システム(IPSS-R)群、中間-2 IPSS-R群、および高IPSS-R群から選択される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.HMAとアルボシジブが同時に投与される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
10.HMAとアルボシジブが逐次的に投与される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
11.HMAが最初に投与され、続いてアルボシジブが投与される、実施形態10に記載の方法。
12.HMA投与後のNOXA発現が増加している期間中にアルボシジブが投与される、実施形態10または11に記載の方法。
13.HMAがプロドラッグとして投与される、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
14.アルボシジブがプロドラッグとして投与される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.アルボシジブプロドラッグが、アルボシジブホスフェートプロドラッグである、実施形態14に記載の方法。
16.アルボシジブホスフェートプロドラッグが、以下の構造
Figure 2023504515000018
を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である、実施形態15に記載の方法。
17.HMAがシチジンデアミナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
18.HMAが静脈内投与されるかまたは皮下注射により投与される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.HMAがアザシチジンおよびデシタビンから選択される、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.HMAがアザシチジンである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.アザシチジンがアザシチジンホスフェートプロドラッグとして投与される、実施形態20に記載の方法。
22.アザシチジンホスフェートプロドラッグが、式
Figure 2023504515000019
(式中、RおよびRは、独立にHまたはCO(C~Cアルキル)である)
を有する、実施形態21に記載の方法。
23.式中、Rが各出現においてHであり、RがHおよびCO(Cアルキル)から選択される、実施形態22に記載の方法。
24.アザシチジンが、2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジンである、実施形態21に記載の方法。
25.アザシチジンが経口投与される、実施形態20に記載の方法。
26.アザシチジンがCC-486組成物として投与される、実施形態25に記載の方法。
27.アザシチジンが静脈内注入として投与される、実施形態20に記載の方法。
28.静脈内注入が約5分から約100分にわたる、実施形態23に記載の方法。
29.静脈内注入が約10分から約40分にわたる、実施形態28に記載の方法。
30.アザシチジンが皮下投与される、実施形態20に記載の方法。
31.アザシチジンが7日間連続して投与される、実施形態20~30のいずれか1つに記載の方法。
32.アザシチジンが1日1回5日間投与され、続いて2日間アザシチジンは投与されず、その後、アザシチジンが1日1回2日間投与される、実施形態20~30のいずれか1つに記載の方法。
33.アザシチジンが、約10mg/m~約90mg/mの投薬量で投与される、実施形態20~32のいずれか1つに記載の方法。
34.アザシチジンが約90mg/mより低い投薬量で投与され、その後、約90mg/mの投薬量まで漸増させる、実施形態33に記載の方法。
35.アザシチジンが約75mg/mの投薬量で投与される、実施形態33に記載の方法。
36.アルボシジブが、アザシチジンの投与開始から10日目に投与される、実施形態20~32のいずれか1つに記載の方法。
37.アザシチジン投与後のNOXA発現が増加している期間中にアルボシジブが投与される、実施形態20~32に記載の方法。
38.アルボシジブが静脈内注入として投与される、実施形態36に記載の方法。
39.静脈内注入が約20分から約120分にわたる、実施形態37に記載の方法。
40.静脈内注入が約1時間にわたる、実施形態39に記載の方法。
41.アルボシジブが約90mg/mの投薬量で投与される、実施形態36~40のいずれか1つに記載の方法。
42.HMAがデシタビンである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
43.デシタビンがセダズリジンと組み合わせて投与される、実施形態42に記載の方法。
44.デシタビンが静脈内注入として投与される、実施形態42に記載の方法。
45.静脈内注入が約20分から約120分にわたる、実施形態44に記載の方法。
46.静脈内注入が約1時間にわたる、実施形態45に記載の方法。
47.デシタビンが5日間毎日投与される、実施形態42~46のいずれか1つに記載の方法。
48.アルボシジブが、デシタビンの投与開始から8日目に投与される、実施形態47に記載の方法。
49.デシタビン投与後のNOXA発現が増加している期間中にアルボシジブが投与される、実施形態42~48に記載の方法。
50.アルボシジブがボーラスとして投与され、続いて静脈内注入される、実施形態48に記載の方法。
51.ボーラスが約10分から約40分にわたる、実施形態49に記載の方法。
52.ボーラスが約30分にわたる、実施形態51に記載の方法。
53.静脈内注入が約30分から約6時間にわたる、実施形態49に記載の方法。
54.静脈内注入が約4時間にわたる、実施形態51に記載の方法。
55.アルボシジブが、約20mg/mの投薬量でボーラスとして投与され、続いて約10mg/m~約60mg/mの投薬量で静脈内注入される、実施形態48~54のいずれか1つに記載の方法。
56.アルボシジブが、約20mg/m~約100mg/mの全体的な投薬量で投与される、実施形態56に記載の方法。
57.アルボシジブが静脈内注入として投与される、実施形態48に記載の方法。
58.静脈内注入が約1時間にわたる、実施形態57に記載の方法。
59.アルボシジブが約90mg/mの投薬量で投与される、請求項58に記載の方法。
60.デシタビンが、約10mg/m~約30mg/mの1日投薬量で投与される、実施形態42~59のいずれか1つに記載の方法。
61.デシタビンが、約20mg/mの1日投薬量で投与される、実施形態60に記載の方法。
62.患者が、腫瘍崩壊症候群の予防をさらに投与される、実施形態1~61のいずれか1つに記載の方法。
63.腫瘍崩壊症候群の予防が、0.45%水性NaClによる静脈内水分補給を含む、実施形態62に記載の方法。
64.腫瘍崩壊症候群の予防が、アロプリノール、経口ホスフェート結合剤(oral phosphate binder)、体液喪失の補充、および止痢薬のうちの1またはそれより多くを投与することを含む、実施形態62に記載の方法。
65.腫瘍崩壊症候群の予防が、最初のHMA用量の前に投与される、実施形態62に記載の方法。
66.腫瘍崩壊症候群の予防が、最初のアルボシジブ用量の前に投与される、実施形態62に記載の方法。
67.患者が18歳またはそれより年長である、実施形態1~61のいずれか1つに記載の方法。
68.前記患者の米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS)スコアが2以下である、実施形態1~67のいずれか1つに記載の方法。
69.患者の平均余命が3か月以上である、実施形態1~68のいずれか1つに記載の方法。
70.患者が、検査データに基づいて以下の判定基準を満たす:
a)患者の血清クレアチニンが、正常値上限(ULN)範囲の1.8倍以下であり;
b)患者の総ビリルビンが、ULN範囲の2倍以下であり、かつ
c)患者のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアラニントランスアミナーゼ(ALT)が、ULN範囲の3倍以下である、
実施形態1~69のいずれか1つに記載の方法。
71.患者が重度の心血管疾患を併発していない、実施形態1~70のいずれか1つに記載の方法。
72.患者が、ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類IIIまたはIVの心疾患、米国国立がん研究所(NCI)の有害事象の共通用語基準(CTCAE)v5.0のグレード3またはそれを超える不整脈、狭心症、異常な心電図所見、間質性肺炎、および肺線維症から選択される状態を有していない、実施形態1~71のいずれか1つに記載の方法。
73.患者が処置前の6か月以内に心筋梗塞を起こしていない、実施形態1~72のいずれか1つに記載の方法。
74.患者が化学療法を必要とする悪性疾患を併発しておらず、また患者が処置前6か月以内に化学療法を受けた悪性疾患を併発していない(ただし、悪性疾患は皮膚の基底細胞癌および扁平上皮癌から選択されない)、実施形態1~73のいずれか1つに記載の方法。
75.患者が、制御されないかまたは制御できない感染、あるいはNCI CTCAE v5.0によるグレードが3以上の感染を有していない、実施形態1~74のいずれか1つに記載の方法。
76.患者が骨髄穿刺でドライタップを有さない、実施形態1~75のいずれか1つに記載の方法。
77.患者が、自己免疫疾患を併発しておらず、または慢性もしくは再発性の自己免疫疾患の既往歴もない、実施形態1~76のいずれか1つに記載の方法。
78.患者が、毎日20mgのプレドニゾンに相当する量よりも多い長期の全身ステロイド治療を必要としない、実施形態1~77のいずれか1つに記載の方法。
79.患者が、過去1年以内に別の記録された悪性疾患を有さない、実施形態1~78のいずれか1つに記載の方法。
80.患者が、NCI CTCAE v5.0によるグレードが2以上の出血を有していない、実施形態1~79のいずれか1つに記載の方法。
81.患者が妊娠していないかまたは授乳していない、実施形態1~80のいずれか1つに記載の方法。
82.患者がこれまでにアルボシジブまたは別のサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤を投与されていない、実施形態1~81のいずれか1つに記載の方法。
83.患者の腫瘍細胞標本のBH3プロファイルを決定することをさらに含む、実施形態1~82のいずれか1つに記載の方法。
84.患者のBH3プロファイルに基づいて、MDS処置への応答の可能性について患者を分類することをさらに含む、実施形態83に記載の方法。
85.MDSに関連する追加のバイオマーカーの測定をさらに含む、実施形態83または84のいずれか1つに記載の方法。
86.MDSに関連する追加のバイオマーカーが、核酸、タンパク質、脂質、および代謝物からなる群より選択される、実施形態85に記載の方法。
87.MDSに関連する追加のバイオマーカーがMCL-1である、実施形態85に記載の方法。
88.BH3プロファイルがフローサイトメトリーによって決定される、実施形態83~87のいずれか1つに記載の方法。
89.これまでに処置を受けていないMDS患者に低メチル化剤およびアルボシジブを投与することを含む、MDS処置に対する応答を決定するための方法であって、患者の腫瘍細胞標本のBH3プロファイルを決定すること、およびMDS処置に対する応答の可能性について患者を分類することを含む、方法。
90.MDSに関連する追加のバイオマーカーの測定をさらに含む、実施形態89に記載の方法。
91.追加のバイオマーカーが、核酸、タンパク質、脂質、および代謝物からなる群より選択される、実施形態90に記載の方法。
92.追加のバイオマーカーがMCL-1である、実施形態90に記載の方法。
93.BH3プロファイルがフローサイトメトリーによって決定される、実施形態89~92のいずれか1つに記載の方法。
94.アザシチジンおよびデシタビンから選択される治療有効量の低メチル化剤(HMA)を患者に投与し、続いて治療有効量のアルボシジブを患者に投与することを含む、骨髄異形成症候群(MDS)の患者を処置する方法。
95.HMAが静脈内投与される、実施形態94に記載の方法。
96.HMAが、約10mg/m~約30mg/mの用量で、約1~約3時間、1日1~3回投与されるデシタビンである、実施形態95に記載の方法。
97.デシタビンが1日1回、3~7日間投与される、実施形態96に記載の方法。
98.デシタビンが1日1回、5日間投与される、実施形態97に記載の方法。
99.デシタビンが、約20mg/mの用量で1時間の注入で投与される、実施形態98に記載の方法。
100.アルボシジブが、約10mg/m~約120mg/mの速度で投与される、実施形態96に記載の方法。
101.アルボシジブが、デシタビン投与の停止から2日後に投与される、実施形態97に記載の方法。
102.アルボシジブが、デシタビン投与の停止から2日後に投与される、実施形態98に記載の方法。
103.アルボシジブの一部が、約10分~約60分の期間にわたって約10mg/m~約50mg/mのボーラス用量として投与される、実施形態102に記載の方法。
104.ボーラス用量が約30分の期間にわたって投与される、実施形態103に記載の方法。
105.ボーラス用量が約20mg/m~約30mg/mである、実施形態103に記載の方法。
106.約10mg/m~約60mg/mのアルボシジブが、約2時間~約6時間の期間にわたって静脈内投与される、実施形態105に記載の方法。
107.アルボシジブが、約4時間の期間にわたって投与される、実施形態106に記載の方法。
108.アルボシジブの用量が、約20mg/m~約60mg/mである、実施形態106に記載の方法。
109.アルボシジブが、約90mg/mの用量で約20分~約120分の期間にわたって静脈内投与される、実施形態100に記載の方法。
110.アルボシジブが、約1時間の期間にわたって投与される、実施形態109に記載の方法。
111.静脈内注入によるアルボシジブの投与が、ボーラス用量の完了から約30分以内に開始される、実施形態106に記載の方法。
112.HMAが、約30~約90mg/mの用量のアザシチジンである、実施形態95に記載の方法。
113.用量が1日あたり約75mg/mである、実施形態112に記載の方法。
114.アザシチジンが、約10~約40分にわたる静脈内ボーラス注射または皮下注射として7日間投与される、実施形態113に記載の方法。
115.アルボシジブが、アザシチジン投与の停止から2日後に静脈内投与される、実施形態112に記載の方法。
116.アルボシジブが、アザシチジン投与の開始後10日目に投与され、8日目および9日目にアザシチジン投与を行わない、実施形態114に記載の方法。
117.90mg/mのアルボシジブが、約20分~約120分の期間にわたって静脈内投与される、実施形態116に記載の方法。
118.アルボシジブが、約1時間の期間にわたって投与される、実施形態117に記載の方法。
119.アザシチジンが、約30~約90mg/m/日の用量で5日間連続して投与され、続いて6日目および7日目にアザシチジンを投与せず、さらに8日目および9日目に約30~約90mg/mの用量でアザシチジンが静脈内投与され、さらに、10日目にアルボシジブが静脈内投与される、実施形態112に記載の方法。
120.アザシチジンが、1~5日目および8日目および9日目に約75mg/m/日の用量で静脈内ボーラス注射により投与され、アルボシジブが、10日目に約90mg/mの用量で約1時間の期間にわたって静脈内注入により投与される、実施形態112に記載の方法。
121.処置が少なくとも1回繰り返される、実施形態120に記載の方法。
122.処置が少なくとも1回繰り返される、実施形態111に記載の方法。
123.処置サイクルが28日を含む、実施形態120に記載の方法。
124.処置サイクルが少なくとも1回繰り返される、実施形態123に記載の方法。
125.処置が少なくとも4サイクル繰り返される、実施形態124に記載の方法。
126.処置サイクルが4~6週間を含む、実施形態121に記載の方法。
127.処置が少なくとも4サイクル繰り返される、実施形態126に記載の方法。
128.HMAが経口投与される、実施形態94に記載の方法。
129.HMAがプロドラッグとして投与される、実施形態128に記載の方法。
130.HMAがシチジンデアミナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される、実施形態128に記載の方法。
131.HMAがデシタビンである、実施形態130に記載の方法。
132.シチジンデアミナーゼ阻害剤がセダズリジンである、実施形態131に記載の方法。
133.HMAがアザシチジンホスフェートプロドラッグである、実施形態129に記載の方法。
134.アザシチジンプロドラッグが、式
Figure 2023504515000020
(式中、RおよびRは、独立にHまたはCO(C~Cアルキル)である)
を有する、実施形態133に記載の方法。
135.HMAが組成物cc-486である、実施形態128に記載の方法。
136.HMAが、2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジンとして投与されるアザシチジンである、実施形態128に記載の方法。
137.患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたはそれより多くにおいて1またはそれを超える変異を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
138.患者がRUNX1に1またはそれを超える変異を有する、実施形態137に記載の方法。
139.患者がASXL1に1またはそれを超える変異を有する、実施形態137または138に記載の方法。
140.前記患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つにおいて、1またはそれを超える変異を有する、実施形態137~139のいずれか1つに記載の方法。
141.MDSがMCL-1依存性である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
以下の例は本説明の具体的な態様を示している。実施例は、単に実施形態およびその様々な態様の具体的な理解および実践を提供しているにすぎないため、実施例は、限定的であると解釈されるべきではない。
略語
AE 有害事象
ACM シタラビンおよびミトキサントロン
ALL 急性リンパ性白血病
ALP アルカリホスファターゼ
ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ
AML 急性骨髄性白血病
aPTT 活性化部分トロンボプラスチン時間
AST アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
AUC 濃度時間曲線下面積
AUC0-24 0時間から24時間までのAUC
AUC0-inf 時間0から無限大までのAUC
AUC 時間0から時間tまでのAUC
AZA アザシチジン
B-CLL B細胞慢性リンパ性白血病
β-HCG βヒト絨毛性性腺刺激ホルモン
AUC 曲線下面積
BM 骨髄
BSA 体表面積
BUN 血中尿素窒素
CBC 全血球数
CDK9 サイクリン依存性キナーゼ9
CFR 米国連邦規則集
CI 信頼区間
CIV 持続静脈内
CL ノンコンパートメント法を使用したクリアランス
max 最大濃度
CR 完全奏効
CRA 臨床研究アソシエイト
CRF 症例報告書
CRi 血球数の回復が不完全な完全奏効
CRO 医薬品開発業務受託機関
CRR 完全奏効率(CR/CRi/CRmarrow/PR/HI)
CSR 治験総括報告書
CTCAE 有害事象の共通用語基準
DCF データ明確化フォーム(Data clarification form)
DEC デシタビン
DLT 用量制限毒性
DSMB データ安全性モニタリング委員会
ECOG 米国東海岸がん臨床試験グループ
ECG 心電図
ECHO 心エコー図
eCRF 電子症例報告書
ESA エリスロポエチン刺激剤
FAB フランス-アメリカ-イギリス(分類システム)
FDA 米国食品医薬品局
GCP 優良臨床試験基準
hERG ヒトether-a-go-go関連遺伝子
Hgb ヘモグロビン
HI 血液学的改善
HMA 低メチル化剤
IC50 試験対象の50%阻害濃度
IEC 独立倫理委員会
IHC 免疫組織化学
IND 治験薬(適用)
IPSS-R 改訂国際予後判定システム
IRB 施設内審査委員会
ITT 治療企図
IV 静脈内(に)
IVI 静脈内注入
IWG 国際作業部会
LDH 乳酸デヒドロゲナーゼ
LVEF 左室駆出率
MCL-1 骨髄細胞白血病1
MDS 骨髄異形成症候群
MedDRA 医薬品規制用語集
MTD 最大許容用量
MUGA マルチゲート収集法(スキャン)
NCI 米国国立がん研究所
NYHA ニューヨーク心臓協会
OS 全生存
PD 進行性疾患
PD 薬力学的な
PK 薬物動態
PR 部分奏効
PRN 必要に応じて
PS パフォーマンスステータス
PT プロトロンビン時間
QTc QT間隔(補正済)
RBC 赤血球
RP2D 第2相の推奨用量
RT-aPCR 定量的逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応
SAE 重篤有害事象
SAS 統計解析システム(ソフトウェア)
SD 安定病態
SGOT(AST) 血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ
SGPT(ALT) 血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ
SIV 試験開始時訪問
SOP 標準業務手順
SPRT 逐次確率比検定
1/2 半減期
TEAE 処置下で発現した有害事象
TLS 腫瘍崩壊症候群
max 最高濃度到達時間
ULN 正常値上限
WHO 世界保健機関
XIAP X連鎖アポトーシス阻害剤


実施例1:アルボシジブは続発性AMLにおいて臨床活性を示す
アルボシジブは、続発性AMLにおいて臨床活性を示す(図21)。ACM(アルボシジブ+シタラビン+ミトキサントロン)レジメンは、続発性AML患者の臨床研究においてCR率の有意な改善を実証した。ACMレジメンは、7+3化学療法よりも優れていた。続発性AMLを有する処置群のCR/CRi率を評価した(図14A)。AML患者は、7+3化学療法患者よりもCR率の有意な改善を実証した。ミトコンドリアプロファイリングを処置前の骨髄試料(n=24)で実施し、応答と相関させた。マン・ホイットニー検定を各模倣ペプチドに用いた。ACM処置に対する患者の応答は、AML患者におけるNOXAプライミングと相関させた(図14B)。
実施例2:アルボシジブは、インビトロでRNA pol IIのリン酸化とMCL-1の発現を減少させる
アルボシジブは、インビトロでRNA pol IIのリン酸化とMCL-1の発現を減少させることが示されている。図22Aおよび22Bは、24時間処置後のフローサイトメトリーによって測定されるように、MV-4-11 AML細胞において、アルボシジブが、RNA pol IIリン酸化(主要なCDK9基質)およびMCL-1発現(CDK9によるRNApol IIのリン酸化によって調節される遺伝子によってコードされるPDマーカー)を用量依存的に阻害することを示す。図22Cは、図22Aおよび22Bに示されるフローサイトメトリーデータのグラフである。MDS患者細胞において、ホスホRNAポリメラーゼ(pRpb1)およびMCL-1(MCL1)レベルは、アルボシジブ処置の後に低下する(図23)。レベルは、DMSO処置試料で測定したレベルに対するパーセントとして示されている。括弧内の数字は、各アルボシジブ(Alvo)処置の濃度をnMの単位で表す。
実施例3:HMAはインビトロでNOXA発現を増加させる
MDSの処置に承認された低メチル化剤(HMA)であるデシタビンおよびアザシチジンが、NOXAのようなアポトーシス促進タンパク質の発現を通じて、MCL-1依存に影響を及ぼすことができるかどうかを評価する実験を実施した。
HMA(例えば、デシタビンおよびアザシチジン)は、インビトロでNOXA発現を増加させる(図24A~24Cおよび図35~36(デシタビン)および図25(アザシチジン))。デシタビンの実験(図24および36)では、続発性AML(以前のMDS)のMV-4-11 AML細胞株およびMOLM13細胞株モデルが使用された。MV-4-11 AML細胞(または示される通りのMOLM13細胞)を、示された濃度のデシタビンで示された時間処置し、タンパク質をウエスタンブロットでNOXA発現について評価した。NOXA発現の時間依存的増加が観察された。図24Aおよび24Cはウエスタンブロットであり、図24Bは、mRNA濃度の棒グラフである。総合して、図24A~24Cは、デシタビンなどのHMAがNOXAの再発現を誘導することを実証する。図36は、デシタビンがNOXA発現の増加をもたらすことをさらに実証するウエスタンブロットである。ウエスタンブロットは、1mg/kg IPのデシタビンで24時間処置したMOLM13異種移植片から調製した。図35は、デシタビンに媒介されるNOXAの再発現が、アルボシジブによるMCL-1抑制を補完することを示す。
アザシチジン実験(図25)では、MV-4-11 AML細胞を、示された濃度のアザシチジンで24時間処置し、タンパク質をNOXA発現についてウエスタンブロットで評価した。NOXA発現の用量依存的増加が観察された。
さらに、AMLおよびMDS患者の骨髄単核細胞(BMMC)において、アルボシジブによる治療の前にMCL-1依存を調べるためのアッセイを試験した。AML患者のBMMCの約25%およびMDS患者のBMMCの60%が、MCL-1依存性である。アザシチジンおよびデシタビンは、AML細胞株モデルでNOXA発現を増加させた。さらに、アザシチジン処置は、MV4-11細胞をMCL-1依存性アポトーシスに感作させた。アルボシジブ処置は、原発性MDSのBMMCにおいてpRpb1およびMCL1の用量依存的な減少をもたらした。アルボシジブおよびアザシチジンによる処置により、MDS BMMCにおいて、それぞれ約100nMと約1000nMのIC50値が得られた。現在、アルボシジブによるCDK9阻害を介するMCL-1の薬理学的ダウンレギュレーションと、HMA曝露後のMCL-1アンタゴニストNOXAのアップレギュレーションを通じて抗がん活性の増強が観察されるかどうかを決定するための併用試験が調査中である。
実施例4:アルボシジブと併用したHMAの相乗効果
図26Aおよび26Bは、示された濃度のアザシチジン(単独)またはアルボシジブ(単独)での48時間処置後の細胞生存率を示す散布図である。図26Aは、示された濃度のアザシチジンに対する48時間処置後の細胞生存率のプロットである。アザシチジン処置のIC50は1031nMであった。図26Bは、示された濃度のアルボシジブに対する48時間処置後の細胞生存率のプロットである。アザシチジン処置のIC50は95.63nMであった。
アルボシジブとHMAとの間の相乗効果によるアポトーシス誘導が図27において実証される。図27Aは、DMSO(対照)と示された濃度のアザシチジン、または80nMのアルボシジブ(alvocibib)と示された濃度のアザシチジンで処置した細胞における細胞生存率のプロットである。図27Aの下側のパネルは、細胞生存率のプロットから求めたEC50値が記載されている。細胞生存率はMV4-11細胞で評価した(Celltiter-glo)。細胞は、80nMのアルボシジブを用いて様々な濃度のアザシチジンで24時間処置した。相加的な抗増殖活性が併用処置で観察された。図27Bは、DMSO(対照)、デシタビン、アルボシジブ、またはデシタビンとアルボシジブで処置した細胞におけるカスパーゼ活性の棒グラフである。細胞を24時間処置した。カスパーゼ活性は、Caspase-gloを使用して測定した。デシタビンおよびアルボシジブの併用は、相乗的なアポトーシス活性を実証した。
アルボシジブは、MV-4-11細胞におけるNOXA誘導に影響を及ぼすことなく、アザシチジンによるMCL-1のアップレギュレーションを阻害する(図28)。図28Aは、MCL-1およびNOXA発現に関してアルボシジブとアザシチジンとの相互作用を評価するために使用した実験の概要である。図28Bは、示された薬物濃度で図28Aに要約された実験に従って処置した細胞中のNOXAおよびMCL-1レベルを示すウエスタンブロットである。
図37は、デシタビンの投与とそれに続くアルボシジブの投与が、AML細胞株において正規化されたカスパーゼ3/7活性の相乗的増加をもたらすことを実証する。図37の下側のパネルは、デシタビンとアルボシジブとの間の任意の相乗作用を評価するために使用される投薬レジメンを示す図である。細胞をデシタビン(DAC)に24時間曝露させた後、ALVまたはPalboに24時間曝露させた。図37の左上のパネルと図37の右上のパネルは、図37の下のパネルに示されるプロトコールに従って示された濃度で投与されたDACとAMLとの間の相乗作用を実証する棒グラフである。すべての実験において、Palboは300nMで評価され、ALVは300nMで評価された。理論に縛られることを望むものではないが、デシタビンとそれに続くアルボシジブの相乗効果は、CDK9-依存性の機構を通じてもたらされていると仮定される。
実施例5:HMAはMCL-1依存を高める
図37は、HMA処置がMCL-1依存を高めることを実証するMCL-1依存アッセイの結果を示す。BMMCをフィコール勾配で分離し、細胞表面マーカーで染色し、水またはT-MS1(MCL-1特異的ペプチド)とともにインキュベートし、Dioc6で染色して、ミトコンドリア膜電位を測定する。蛍光の喪失は、MCL-1依存の増加を示している。図29Bは、アザシチジンで24時間処置したMV-4-11細胞が、DMSO対照と比較してMCL-1依存の増加を示したことを実証しているフローサイトメトリーデータを示す。図29Bの下側のパネルは、各処置条件下のプライミング%を示す。
図29Bは、HMA処置がMCL-1抑制に対する感受性を増加させることを実証する棒グラフである。アザシチジンで処置したMV-4-11細胞は、MCL-1抑制に対する感受性の増加を実証した。対照(DMSO)は、16.1%のMCL-1依存を示し、アザシチジンは2.5μMで29.6%のMCL-1依存を示した。
実施例6:インビトロでのアルボシジブとHMAの逐次的投与
図31Aおよび31Bは、MDS/sAML用のMOLM13モデルにおけるアルボシジブおよびHMAの逐次的投与の結果を示す。HMAの投与は、AML細胞を逐次的投与に感作させ、インビボでの生存を改善した。アルボシジブ、アザシチジン、およびデシタビンの活性は、MOLM13異種移植モデルで評価した。図31Aは、腫瘍体積の経時的なプロットであり、図31Bは、生存パーセントの経時的なプロットである。マウスにアルボシジブ、qdx2、および/またはHMA、qdx3を毎週投与した。用量はmg/kg(mpk)で示される。
図29Bは、MOLM13モデルにおけるアルボシジブおよびデシタビンの積極的な毎日の投与の結果を示す。腫瘍を有するマウスを処置した。用量およびスケジュールが示されている。図32Aは、処置後の腫瘍体積をプロットし、図32Bは、処置後の体重をプロットしている。単剤として、アルボシジブは75.8の腫瘍増殖阻害(%TGI)を達成した。デシタビンは、単剤として58.6の%TGIを達成した。組み合わせると、デシタビンとアルボシジブは95.8の%TGIを達成した。
実施例7:AML異種移植モデルにおけるアルボシジブの単独またはHMAと併用での有効性
アルボシジブの単独またはHMAと併用での有効性は、高リスクMDS患者の研究を支援するためにいくつかのAML異種移植モデルで調査されている。アルボシジブ単独による処置は、ルシフェラーゼ発現MV4-11モデルにおいて総フラックス計数の完全な抑止をもたらし、THP-1 AMLモデルにおいて30.8%のTGIをもたらした。アザシチジンまたはデシタビンとアルボシジブの併用は、OCI AML3異種移植モデルにおいて活性であり、それぞれ、最大62.6または78.2%の腫瘍増殖抑制(%TGI)をもたらした。一方、単剤としてのアルボシジブは、55.0%のTGIを示した。生存データも、アルボシジブとHMAの併用を支持している。
これらのインビトロ研究および前臨床データは、アルボシジブ/HMAの併用が、NOXA/MCL-1の過剰標的化(hypertargeting)に注目した理論的根拠をもつ実行可能な治療レジメンを構成し得ることを示唆している。総合すると、インビトロおよびインビボの研究は、アルボシジブとHMA試薬の併用が、AML/MDS細胞をMCL-1依存性アポトーシスに向けて駆動し得ることを示す。
実施例8:併用処置レジメンの効果
併用処置レジメンでの、NOXAの発現に対する低メチル化剤(HMA)処置の効果を評価するために、図38に示されるように、示された時間に患者から採取されたPBMCにおいて、標準的な定量的リアルタイムPCR(qPCR)技術を用いて、NOXA mRNAの発現を測定した。参照用に、処置のタイミングおよび持続時間も示されている(着色されたバー)。
図38は、MDSの患者においてデシタビンの後に順次投与(「順次」処置)した場合のアルボシジブの予備安全性を決定するための、TPI-ALV-102第1b/2相、非盲検臨床研究(https://www.ClinicalTrials.gov 識別子NCT03593915)のコホート1の患者のNOXA mRNAレベルの平均傾向を示す散布図を表す。図38の左および右のパネルは、NOXA発現がHMA投与の終了後数日(左パネルでは約2週間、右(left)パネルでは約2日)でピークに達することを実証する。散布図中の着色されたバーは、薬物投与のタイミングおよび持続時間を示す。
HMA処置後のNOXA発現の増加は、処置のサイクル1(図38、左パネル)と、その後のサイクル(サイクル3、図38、右パネル)の両方で観察された。サイクル1の処置では、NOXA発現のピークは22日に観察された。これらの観察結果にしたがって、プロトコールおよび実験室マニュアルに追加の収集を加えて、処置中の解像度を向上させた。NOXAのサイクル3の処置の測定値は、図38の右パネルに示される。処置開始直後にNOXAの減少が見られるが、これは芽細胞死の結果である可能性があり、最終的には65日目まで観察される増加を導く。アルボシジブは、ここではNOXA発現の局所的なピークに投与された。
これらの結果は、HMA(デシタビンによって例示される)とアルボシジブの併用の最適な相乗効果が、デシタビン投与後に達成されるNOXA発現が最大または増加した期間中にアルボシジブを投与することによって達成され得ることを示す。
実施例9:患者集団、組み入れおよび除外基準
図33は、アザシチジンアームを含む臨床試験の研究スキームを説明する図である。臨床試験は、HMA+/-アルボシジブを、新たに診断された中および高リスクの骨髄異形成症候群で評価することになる。アルボシジブは、1時間の注入として投与されることになる。
中~高リスクのMDS患者においてHMA(例えば、アザシチジンまたはデシタビン)の後にアルボシジブを順次投与する第1b/2相臨床研究が行われている(Zella102)。登録には、これまでに処置を受けていないMDSを有するMDS患者(第1b相)および6サイクル未満のHMAをこれまでに投与された患者、ならびに(第2相)デノボ(原因不明)または続発性MDS(処置関連)を有する未処置の患者が含まれる。これには、すべてのフランス-アメリカ-イギリス(FAB)サブタイプ(不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、芽球増加を伴う不応性貧血、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血、および慢性骨髄単球性白血病)と、改訂国際予後判定システム(IPSS-R)による中間以上の群が含まれる。主目的は、デシタビンまたはアザシチジンと順次投与される場合のアルボシジブの最大許容用量および推奨される第2相用量を決定することである。主要な第2相評価項目には、完全奏効率および輸血依存の低下が含まれる。
患者集団:
これまでに処置を受けていないMDS患者
6サイクル未満の低メチル化剤(HMA)による処置を受けたMDS患者
集中的な導入化学療法にも幹細胞移植にも適格ではないデノボ(原因不明)または続発性MDS(処置関連)患者
すべてのフランス-アメリカ-イギリス(FAB)サブタイプ(不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、芽球増加を伴う不応性貧血、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血、および慢性骨髄単球性白血病)
改訂国際予後判定システム(IPSS-R)による中間以上の群
組み入れ基準:
本研究への参加に適格であるためには、患者は以下の組み入れ基準をすべて満たす必要がある:
1.18歳以上
2.第1b相:これまでに処置を受けていないMDS患者および6サイクル未満のHMAをこれまでに投与されたMDS患者
第2相:未処置のデノボまたは続発性MDS患者
3.米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS)スコアが登録時に2以下である患者
4.研究に関連するあらゆる手順の前に書面によるインフォームドコンセントを提供する。(患者が研究参加のために再スクリーニングされた場合、またはプロトコールの修正により進行中の患者のケアが変更された場合には、新しいインフォームドコンセントに署名する必要がある)。
5.平均余命が3か月(90日)以上の患者
6.登録前4週間(28日)以内の検査データ(複数のデータが利用可能な場合は、その期間中の最近のデータ)に基づいて、以下の判定基準を満たす適切な主要臓器機能をもつ患者:
a.血清クレアチニン:≦1.8×正常値上限(ULN)の範囲
b.総ビリルビン:≦2×ULN
c.アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアラニントランスアミナーゼ(ALT):≦3×ULN
7.研究全体の要件に従うことができる。
除外基準:
これらの除外基準のいずれか1つを満たす患者は、本研究への参加が禁止される。
1.重度の心血管疾患の併発があること:
a.登録前6か月(180日)以内に心筋梗塞を起こした患者
b.登録時に、研究処置に影響を及ぼし得る重大な疾患、例えばニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類クラスIIIまたはIVの心疾患、米国国立がん研究所(NCI)有害事象の共通用語基準(CTCAE)v5.0グレード3以上の不整脈、狭心症、異常な心電図所見、間質性肺炎または肺線維症などを有する患者
2.化学療法を必要とする悪性疾患の併発、または患者が登録前6か月以内に化学療法を受けた任意の悪性疾患(皮膚の基底細胞癌および扁平上皮癌を除く)があること。注:したがって、悪性疾患の既往または併発の診断は除外基準ではない。
3.制御されないかまたは制御できない1または複数の感染;またはNCI CTCAE v5.0によるグレード3以上の感染があること
4.治験責任医師の意見では、研究プロトコールおよびフォローアップスケジュールの遵守を妨げる可能性があり得る任意の心理的、家族的、社会的または地理的条件があること。
5.登録前の骨髄穿刺でドライタップを有する患者
6.自己免疫疾患を併発しているかまたは慢性もしくは再発性の自己免疫疾患の既往歴のある患者、あるいは、毎日20mgのプレドニゾンに相当する量を上回る長期の全身ステロイド治療を必要とする患者(「必要に応じて」[PRN]ベースで行われる治療を除く)
7.過去1年以内に、無病期間が5年以下の同時性または異時性の複数のがんを除く、他の悪性疾患が記録されている患者(上皮内癌、粘膜癌、または局所治療で治癒的に処置された他のそのような癌腫を除く)
8.NCI CTCAE v5.0によるグレード2以上の出血のある患者
9.これまでにアルボシジブまたは別のサイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤を投与されたことのある患者
10.妊娠中または授乳中の患者
11.性的に活発であり、試験薬の最後の用量中および用量後少なくとも6か月間、失敗率が低いことに関連する医学的に許容され得る避妊方法を使用することを望まない、妊娠する可能性のある女性患者(子宮摘出術、または両側卵管結紮術/卵管摘除術による不妊手術を行うかまたは閉経後少なくとも2年経っていなければ、患者は妊娠する可能性があるとみなされる)。
12.試験中および研究処置の最後の投与後少なくとも6か月間、コンドームを2番目に効果的な避妊方法を組み合わせて使用することを望まない、妊娠する可能性のあるパートナーを持つ男性患者
13.治験責任医師または1または複数の治験分担医師の意見で、他の理由で研究への参加が不適切な患者
14.DEC、AZAまたはマンニトールに対して知られた過敏症のある患者
実施例10:処置プロトコール(DEC+アルボシジブ)
患者は、DECまたはAZAの後にアルボシジブを順次投与される。
デシタビン(DEC)は、以下のスケジュールに従って、1時間の静脈内(IV)注入(IVI)として20mg/mの用量で5日間毎日投与され、その後8日目にアルボシジブが負荷用量として30分にわたり投与され、その後4時間のIVIで投与される。
Figure 2023504515000021
a 追加および/または中間の用量レベルを本研究の過程で添加することが可能である。
b アルボシジブは最初に30分(±10分)のIVボーラスとして投与され、その後、30分後までに4時間(±15分)のIVIとして投与される。
c コホート4が、ハイブリッド投与スケジュール(すなわち、30分のIVボーラス+4時間のIVI)を用いて完了すると、少なくとも3名の患者のコホートがDECを投与され、続いて90mg/mのALVが1時間のIVIで投与される。
ハイブリッド投与(例えば、30分ボーラスとそれに続く4時間のIVI)によって投与されたアルボシジブのMTDが決定されると、2コホートの患者(最低6名の患者;コホートあたり3名)にAZAを投与し、続いてアルボシジブを1時間のIVIとして投与する。最初のAZAのコホートでのアルボシジブの用量は、75mg/mとなるであろう。重大な毒性が一切ない場合は、アルボシジブの用量を漸増させる。
1~5日目:デシタビンは20mg/mの開始用量で1時間のIVI注入として投与される(すなわち、コホート1の開始用量;処置コホートごとに割り当てられたデシタビン用量については表4(上記)参照)。
6日目および7日目:薬物を投与しない日
8日目:アルボシジブは、20mg/mの開始用量で30分(±10分)のIVボーラスとして投与され、続いて30分後までに30mg/mが4時間(±15分)のIVIとして投与される(コホート1の開始用量;処置コホートごとに割り当てられたアルボシジブ用量については表(上記)参照)。
実施例11:処置プロトコール(AZA+アルボシジブ)
アザシチジンは、7日間のスケジュール(例えば、連続7日間)または5-2-2のスケジュール(例えば、1日1回5日間の投与後、2日間は薬物を投与せず、さらに2日間処置を行う)で投与されてよい。アザシチジンは、IVIとして10~40分にわたって投与されてもよいし、皮下(SC)注射として投与されてもよい。どのAZAの投与スケジュールまたは投与経路が使用されているかにかかわらず、アルボシジブは10日目に1時間のIVIとして投与される。AZAの投与スケジュールおよび投与経路の選択は、治験責任医師の裁量に委ねられる。
Figure 2023504515000022
a 追加および/または中間の用量レベルを本研究の過程で添加することが可能である。
b AZAは、7日間または5-2-2のスケジュールのいずれかで投与することができる。
c AZAは、10~40分にわたるIVIとして、またはSC注射として投与されてよい。
AZA7日間スケジュール:
1~7日目:AZAは75mg/mのIVボーラスとして10~40分にわたって投与、またはSC注射として7日間連続で毎日投与
8~9日目:薬物を投与しない日
10日目:アルボシジブ、75または90mg/mを1時間のIVIとして投与
AZA5-2-2スケジュール:
1~5日目:AZAは75mg/mのIVボーラスとして10~40分にわたって投与、またはSC注射として5日間連続で毎日投与
6~7日目:薬物を投与しない日
8~9日目:AZAは75mg/mのIVIとして10~40分にわたって投与、またはSC注射として2日間連続で毎日投与
10日目:アルボシジブ、75または90mg/mを1時間のIVIとして投与
一実施形態では、デシタビンの併用で使用されているよりも低い用量から開始し、90mg/mまで漸増することを目標とする、アザシチジンの短期間での用量漸増が行われる。
アルボシジブ用量は、1時間の単回注入として、またはボーラス/注入のハイブリッド投与スケジュールとして投与されてよい。
第2相には10名の患者が登録され、評価可能な患者の総数は25名までとなる。第2相研究は、第1b相研究の1時間IVIで投与されたアルボシジブのRP2Dを使用し、サイモンの2段階ミニマックス設計に従う。患者は、最低4サイクルの処置を受けるのに適格である。
実施例12:支持療法およびTLS予防
すべての患者を対象とした支持療法の手段には、以下が含まれる:
施設の基準に従う感染予防(抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤)
日常的な増殖因子のサポートは許可されていない。増殖因子のサポートは、進行中の好中球減少症による生命を脅かす感染症がある場合、治験責任医師の裁量で、医療モニターの承認を得て投与することができる。
研究中はいつでもドナーリンパ球の注入は許可されていない。
腫瘍溶解は、最初の細胞減少療法の一部として起こる可能性がある。腫瘍崩壊症候群(TLS)として知られる最も極端な形は、高カリウム血症、高尿酸血症、高リン血症、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の増加、凝固障害、および潜在的なサイトカイン放出症候群を特徴とする。TLSを発症する可能性を減らすための予防策には、アルボシジブの投与の前に患者の十分な水分補給を確保すること、ならびに注入前後の検査パラメータを注意深く監視することが含まれる。治験責任医師は、TLSの症状のある患者に対する最良の処置を決定する際には施設独自のプロトコールに従うべきである。
TLS予防(DEC+ALV)
DECを投与されるすべての患者は、各施設の標準治療に従ってTLS予防を受ける。
TLS予防(AZA+ALV)
AZAの後にアルボシジブを順次投与されるすべての患者は、各施設の標準治療に従ってAZAの初回用量の前にTLS予防を受ける
アルボシジブの初回用量の前に、以下に詳述されるようなTLS予防が開始される:
実施例13:腫瘍溶解の予防および処置
サイクル1(その後のサイクルでは必要に応じて)中に、IV水分補給を0.45%NaCl(または施設基準による同様の水分補給液)滅菌溶液500ccを用いてアルボシジブの1~2時間前に行い、その後、アルボシジブの1~2時間後にさらに500ccを用いて行うことが義務付けられている。
下痢によるものを含む過剰な体液喪失の補充は、臨床的に特に示されていない限り、AZAおよびアルボシジブの投与中に行うべきである。
アルボシジブは、処置期間中に軽度の下痢を誘発することがある。この状況では、早期に開始された場合、OTC薬による対策が一般に有効である。患者は、アルボシジブIVIの前に2錠のロペラミド、各2mg(または同等物)を服用し、その後、緩い便が出るたびに1錠(2mg)を24時間の期間内に最大8錠(16mg)まで服用することが強く推奨されている。最適な外来患者管理にもかかわらず下痢が続く場合は、医療相談を受けるきっかけになるであろう。この患者集団ではClostridioides difficile(C.diff)感染の可能性を早期に検討し、可能な限り迅速に特定/処置することを最優先にするべきである。
経口アロプリノールを、サイクル1の10日目の少なくとも72時間前に開始し、最初のサイクルが終了するまで(すなわち、28日間)継続することが義務付けられている。尿酸レベルが正常な限界内であり、腫瘍崩壊症候群の証拠がない場合、これは、その後の処置サイクルで中止されることがある。
サイクル1の10日目にIV水分補給を開始すると同時に経口ホスフェート結合剤を開始し、2週間(すなわち、14日間)継続することが義務付けられている。
アルボシジブによる最初の処置後に血清リンレベルが3未満であり、TLSの証拠がない場合、ホスフェート結合剤を中断してもよい。その後の処置サイクルで概説されているように、患者は、TLSについて監視を継続する必要がある。依然として高い芽球数を有する患者は、その後の処置でTLSのリスクが残るため、注意が必要である。
サイクル1中のTLSの実験室指標の評価:
腫瘍溶解の実験室評価(腫瘍溶解labs)には、電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物、および二酸化炭素)ならびにクレアチニン、カルシウム、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、尿酸、およびリンレベルが含まれる。
サイクル1の間、最初のAZAの前と最初のAZA用量の終了後2時間(±30分)に腫瘍溶解labsが監視される。アルボシジブ注入の前と、アルボシジブの後のIV水分補給の完了後2時間(±30分)に腫瘍溶解labsが監視される。しかし、すべての腫瘍溶解labsを取り出すべきであるが、水分補給の2時間後に得られたカリウムレベルを直ちに見直して、追加の処置が必要とされるかどうかを決定する必要がある。また、Labsは、アルボシジブ後の最初の2日間(すなわち、11~12日目)は毎日、サイクル1の残りの期間は少なくとも毎週取り出される。
サイクル2の間、腫瘍溶解labsは、C2D1の最初のAZA用量の前とC2D1 AZA用量の2時間後、およびC2D10アルボシジブIVIの前と、アルボシジブIVIの完了後2時間(±30分)に評価される。
サイクル3+の間、腫瘍溶解labsは、治験責任医師の裁量で、芽球数に基づいて評価される。
これらの支持療法の推奨用量は、プロトコールで提供されている;しかし、患者の臨床状態または各施設の標準治療に基づいて投薬量を調整することが許可されている。
実施例14:PK評価項目
HMAおよび/またはアルボシジブの血漿濃度は、平均、n、標準偏差、変動係数、最小値、最大値、およびメジアンを含む記述統計によって要約される。研究試料の分析の前に、アッセイの感度、特異性、線形性、および再現性が記録される。
アルボシジブおよび既知の代謝物(存在する場合)の血漿PK分析、および用量比例性は、表5または表6に従って、本研究に登録したすべての患者のサイクル1の8日目および9日目(DECに続いてアルボシジブを投与される患者用)または10日目および11日目(AZAに続いてアルボシジブを投与される患者用)に決定される:
Figure 2023504515000023
a この待機時間は、DECとそれに続くアルボシジブハイブリッド投与(すなわち、30分IVボーラス;最大30分の待機;その後4時間のIVI)を受ける患者にのみ必要である。
Figure 2023504515000024
実施例15:PD評価項目
CR/CRi/CRmarrow/PR/HIの率とBH3プロファイリングとの間の可能性のある任意の相関関係は、MCL-1依存に重点を置いたフローサイトメトリーによって決定される。
分析するバイオマーカーの種類には、限定されるものではないが、核酸、タンパク質、脂質または代謝物が含まれる。バイオマーカー評価を用いて、予後、予測、または代理のバイオマーカーシグネチャを評価し、生成することができる。これらの評価は、MDSまたは関連状態または類似のクラスの薬物との関連で調査され得る。これらの分析の結果は本質的に探索的であり、臨床試験報告書(CSR)に含まれない場合がある。試料は、表7または表8に記載のスケジュールに従って分析されてよい。
Figure 2023504515000025
Figure 2023504515000026
データの解釈に有用な場合、および/または、スポンサーが今後の研究の計画を立てる際に役立つ場合には、追加の探索的解析を行うことができる。
実施例16:CD34MDS骨髄単核細胞(BMMNC)でのインビトロ薬力学的マーカー研究
薬力学的マーカー研究を、Cureline社のMDS患者由来BMMNCを使用してアザシチジン(azaditidine)およびアルボシジブについて行った。CD34細胞をCD34MicroBead Kit(Miltenyi Biotec)で分離し、StemSpan(商標)CD34Expansion Supplementを含むStemSpan(商標)SFEM II(STEMCELL Technologies)で培養した。細胞を6ウェルプレートに播種し、DMSOまたはアザシチジン(0.3または0.6μM)で24時間処置した。その後、DMSOまたはアルボシジブ(0.1μM)を逐次的に加え、細胞をさらに6時間インキュベートした。プロテアーゼとホスファターゼの阻害剤カクテルを含むRIPA緩衝液を用いてタンパク質を抽出した。タンパク質発現は、NOXA(CST、カタログ番号14766S)、MCL-1(CST、カタログ番号39224S)およびβ-アクチン(CST、カタログ番号4967L)抗体を用いるウエスタンブロットにより評価した。アポトーシス活性は、カスパーゼ-Glo(登録商標)3/7アッセイ(Promega)により評価した。
図39Aは、患者0219のCD34MDS BMMNCにおいてDMSO処置試料と比較して、アザシチジン(単独)はNOXA発現を誘導し、アルボシジブ(単独)はMCL-1発現を抑制したが、アザシチジンとアルボシジブの逐次的処置は、NOXA誘導とMCL-1抑制の両方を示したことを示す。図39Bは、DMSO処置試料と比較して、アザシチジン(単独)が、それぞれ0.3および0.6μMの濃度でアポトーシス活性の52および62%の増加を示し、一方、アザシチジン(0.3または0.6μM)とアルボシジブの逐次的処置は、それぞれ、アポトーシス活性の104および110%の増加を示し、単独処置試料のいずれと比較しても統計的に有意であった。アザシチジンとアルボシジブの逐次的処置は、CD34MDS患者由来BMMNCにおいて、アポトーシスタンパク質誘導と抗アポトーシスタンパク質の減少によってアポトーシス経路を調節する。
実施例17:CD34MDS骨髄単核細胞(BMMNC)でのインビトロ有効性研究
Cureline社のMDS患者由来BMMNCを使用してアザシチジンおよびアルボシジブについて有効性研究を行った。CD34細胞をCD34MicroBead Kit(Miltenyi Biotec)で単離し、StemSpan(商標)CD34Expansion Supplementを含むStemSpan(商標)SFEM II(STEMCELL Technologies)で培養した。細胞を96ウェルプレートに播種し、DMSOまたはアザシチジン(100nM)で24時間処置した。その後、DMSOまたはアルボシジブ(100nM)を加え、細胞をさらに24時間インキュベートした。アポトーシス活性は、カスパーゼ-Glo(登録商標)3/7アッセイ(Promega)により評価した。
図40Aは、アザシチジン(単独)およびアルボシジブ(単独)が、それぞれ、アポトーシス活性の35%および240%の増加を示したのに対して、アザシチジンとアルボシジブの逐次的処置は、患者1115由来のCD34MDS BMMNCにおけるDMSO処置試料と比較してアポトーシス活性の538%の増加を示したことを示す。これは単一の処置試料のいずれと比較しても統計学的に有意であった。患者1115は高リスクMDSを有していた。
図40Bは、アザシチジン(単独)およびアルボシジブ(単独)が、それぞれ、アポトーシス活性の20%および31%の増加を示したのに対して、アザシチジンとアルボシジブの逐次的処置は、患者0219由来のCD34MDS BMMNCにおけるDMSO処置試料と比較してアポトーシス活性の49%の増加を示したことを示す。これは単一の処置試料のいずれと比較しても統計学的に有意ではなかった。
アザシチジンに続くアルボシジブの逐次的処置は、CD34MDS患者由来BMMNCにおいて相乗的なアポトーシス誘導を示す。
実施例18:T-MS1ベースのMCL-1依存アッセイ
生存のためのMCL-1抗アポトーシスタンパク質への患者の細胞の依存を決定するために、MCL-1結合タンパク質、MS1を、細胞浸透を高めるためにN末端を修飾して利用した。この修飾ペプチドをT-MS1と呼ぶ。細胞に加えると、T-MS1は細胞膜を通過し、MCL-1に拮抗し、ミトコンドリア外膜孔(MOMP)を形成し、その後、ミトコンドリアの脱分極を引き起こす。ミトコンドリア電位は、負に帯電した健康なミトコンドリアに蓄積されるカチオン染料、DiOC(3)を使用して評価した。新鮮な、または以前に凍結したMDS骨髄細胞を、RPMI+10%FBS+pen/strepを含有する培地において、アザシチジンまたはDMSO対照で48時間処置した後、T-MS1で調べた。ブロッキングし、抗体カクテルで染色してMDS芽球についてゲーティングした後、T-MS1を添加し、細胞を37℃で30分間インキュベートした。T-MS1処置の後、細胞を洗浄し、カチオン染料Dioc6で90分間染色して、フローサイトメトリー解析によりミトコンドリアの脱分極を評価した。プライミング%は、次式を使用して計算した:
プライミング%=(対照-処置)/対照100。
以前のプライミング値と一致させるため、さらなる較正係数1.6を患者のプライミング値に適用した。図41Aは、このアッセイに用いられたゲーティング戦略を示し、図41Bは、アッセイ設計を示す。
アザシチジンによる処置後の患者の細胞のMCL-1依存を決定するため、MDS患者由来BMMCをDMSO、0.3μMアザシチジン、1μMアザシチジンまたは2.5μMアザシチジンで48~72時間処置した後、MCL-1依存アッセイによって評価した。図41Cは、アザシチジンでの処置による数名の患者の芽球のMCL-1感作を示す。患者0216の芽球は、DMSO対照に対して113.4%、1μMのアザシチジン処置に対して115.3%、そして2.5μMのアザシチジン処置に対して132.1%のプライミングパーセントを示した。患者0515の芽球は、DMSO対照に対して74.1%、1μMのアザシチジン処置に対して82.1%、そして2.5μMのアザシチジン処置に対して81.6%のプライミングパーセントを示した。患者1060の芽球は、DMSO対照に対して32.7%、72時間の0.3μMアザシチジン処置に対して45.8%、そして72時間の1μMアザシチジン処置に対して60.9%のプライミングパーセントを示した。
MDS患者由来の複数の骨髄試料において、0.3、1および2.5μMのアザシチジン処置によってプライミングの用量依存的な増加が観察された。プライミングは、ほぼすべての患者試料、特に1および2.5μMのアザシチジンで増加し、ある患者試料では最大で35%増加した。
実施例19:治験の中間報告書の結果
臨床試験は、実施例9~15に記載のガイドラインに従って実施した。臨床試験の中間結果を図42に表す。
図43Aおよび43Bは、C1D8のコホート4(30mg/mボーラス+60mg/m注入)、およびC1D10のコホート5(75mg/mIVI)のアルボシジブの薬物動態曲線を示す。図43Aおよび43Bの曲線から計算された薬物動態データの要約を、それぞれ表9および10に示す。
Figure 2023504515000027
Figure 2023504515000028
maxは、コホート4からコホート5に進んで15.4%低下し、AUCは、コホート4からコホート5に進んで47.6%低下した。コホート5で観察されるAUCは、コホート5で使用された処置投与の持続時間が短いことを反映している。コホート5では、観察されたT1/2は8時間であった。
図43Cおよび43Dは、それぞれ、コホートごとのアルボシジブの平均CmaxおよびAUCを示す。コホート4と比較して、コホート5ではCmaxおよびAUCの増加は観察されなかった。図43E、43Fおよび43Gは、コホート1~4の様々な処置傾向を処置サイクルの関数として示す。図43Hおよび43Iは、それぞれ、C1D8およびC1D15での相対的なNOXA発現をコホートの関数として示す。
実施例20:BH3プロファイリングアッセイ
BH3プロファイリングアッセイは、T-MS1ベースのMCL-1依存アッセイプロトコールに従って、わずかな変更を加えて行われる。手短に言えば、培養で増殖した細胞(例えば、BMMC)または凍結保存試料を、RPMI+10%FBS+pen/strepを含有する培地中、37℃で60分間回復させた後、抗体カクテルで染色する。条件ごとに250,000個の細胞を37℃で45分間、T-PUMA、T-BAD、T-MS1、およびT-HRKで二重に処置するか、または陰性対照としてビヒクルのみで処置する。T-BADペプチド依存性膜脱分極の正確な機構を解明するために、阻害剤とともにアッセイを行う。阻害剤およびBH3ペプチドを添加し、37℃で30分間インキュベートする。特異的なBCL-W阻害剤は存在しない-そのため、可能性のあるBCL-W依存は、細胞のT-BADに対する依存によって決定される。阻害剤/ペプチド処置の後、細胞を洗浄し、カチオン染料Dioc6で90分間染色して、フローサイトメトリー解析によりミトコンドリアの脱分極を評価する。プライミング%は、次式を使用して計算する:
プライミング%=(対照-処置)/対照100。
T-MS1ベースのMCL-1依存アッセイから得たプライミングパーセンテージと一致させるために、1.6の較正係数をT-MS1プライミング結果に適用する。T-MS1はHOで再構成される。T-PUMA、T-BAD、およびT-HRKは、特異的結合および活性のためにペプチドの正しいαヘリックスコンフォメーションを維持するために、30%TFE(トリフルオロエタノール)で再構成される。阻害剤はDMSOで再構成される。
実施例21:形態B
データは、以下に列挙されるパラメータに従って取得した:
X線粉末回折(XRPD):Stoe Stadi P.銅KαI放射線、40kV/40mA;Mythen 1K検出器伝送モード、湾曲モノクロメーター、ステップサイズ0.02°2θ、ステップ時間12秒、ステップスキャンモードの検出器ステップ1°2θを含むスキャン範囲1.5~50.5°2θ。各試料(25~40mgの粉末)を、金属ワッシャ(0.4mm厚、内径12mm;「サンドイッチ素子」)で離間した2枚の酢酸セルロース箔の間に配置した。このサンドイッチ素子を、アセテート箔で密封された試料ホルダー(SCell)に移した。試料は周囲空気雰囲気中で取得し、測定中に回転させた。
TG-FTIR:Bruker FT-IR スペクトロメーターIFS28またはベクター22を備えたNetzsch Thermo-Microbalance TG 209;マイクロホールを有するAlるつぼ、N雰囲気、加熱速度10K/分、25℃~300℃(または350℃レンジ)。
HPLC:構造(I)の化合物および関連物質(アルボシジブなど)の検出およびその純度の決定に使用した方法は、勾配プログラムおよびDAD検出技術を用いた逆相HPLC法であった。逆相C18 Waters X-bridge 150mm×4.6mm、3.5μm粒子カラム;流量=1.0mL/分;検出波長=265nm;ランタイム:35.0分;試料はメタノールで希釈;移動相Aは80:20(v/v)pH6.5緩衝化アセトニトリル水溶液;移動相Bは35:65(v/v)pH6.5緩衝化アセトニトリル水溶液;1.0mL/分;カラム温度=35℃。勾配プログラムを次の表に示す:
Figure 2023504515000029
総不純物(%)は、アルボシジブを含む各々個々の不純物のパーセンテージを合計することによって計算した。その他の不純物(%)は、アルボシジブを除く各々個々の不純物のパーセンテージを合計することによって計算した。構造(I)の化合物の純度(%)は、100%と総不純物(%)の差を求めることによって計算した。0.05%以上のすべての個々の不純物を総不純物の計算に使用した。
H NMR:Bruker DPX 300、300.13MHzの周波数、30°励起パルスおよび1秒のリサイクル遅延(recycle delay)を使用。スペクトルごとに16~1024スキャンを累積した;重水素化DMSOまたはDOを溶媒として使用した。2次元COSYスペクトルは、間接次元の512データポイント、間接時間増分441.60μs、スライスあたり16スキャン、および0.36秒のリサイクル遅延で取得した。
示差走査熱量測定(DSC):DSCは、TA InstrumentsのTA Q200/Q2000DSCを使用し、ランプ法および圧着されたアルミニウム試料パンを使用して25℃で実施した。加熱速度は10℃/分、パージガスは窒素であった。
多形合成:
Figure 2023504515000030
スキーム1.
ステップ1.A-1をクロロベンゼン中の三臭化ホウ素で処置した。蒸留により副生成物を除去し、クロロベンゼン-メタノール-水から晶析することにより、A-2を遊離塩基として得た。
ステップ2:A-2(遊離塩基形態)をN-メチルピロリドン中のジエチルクロロホスフェートおよびジイソプロピルエチルアミンで処置した。水を加えて反応を停止し、生成物を沈殿させた。得られたスラリーを濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて化合物 A-3を生成した。
ステップ3:A-3をトリメチルシリルブロミドで処置してA-3を脱保護し、A-4を臭化水素酸塩として得、これを重炭酸アンモニウム溶液で処置した。沈殿したA-4(すなわち、アモルファス結晶構造(すなわち、「形態A」)を有する構造(I)の化合物)を濾過し、乾燥させた。
ステップ4:A-4をTHFと水(19:1)の混合物に懸濁させ、マレイン酸を添加した。室温で撹拌した後、固体を濾過し、およびフィルタ乾燥機で乾燥させてA-5を得た。得られた濾過された固体化合物A-5をエタノールに懸濁し、再スラリー化した後、さらに濾過を行った。濾過された生成物(すなわち、多形形態BとしてのA-5)をエタノールで洗浄し、乾燥させて、所望の生成物を得た。
スキーム1による多形形態Bの合成を、5.72kgのA-1、4.17kgのA-2および2.70kgのA-3を用いて行った。この規模で、ステップ1の収率は79.9%であった。再結晶後、ステップ2からのA-3の収率は48%であり、このように得た化合物A-3の純度は、HPLCで86%であった。ステップ3および4の合計収率は、37.5%であった。スキーム1のプロセスの全収率は15%であり、プロセスは0.90kgのA-5を生成した。
Figure 2023504515000031
スキーム2.
A-10は、国際公開第2020/117988号に記載のプロトコールに従って得られた。A-10(100mg)を50℃でメタノール(1ml)に実質的に溶解した。メタノール(1.5ml)中のマレイン酸(12.2mg、0.5当量)の溶液を、メタノール中のA-10の混合物に滴下添加し、続いてアセトン(2.5ml)を添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した後、濾過して、94%の結晶化度を有するA-5(77.4mg)を得た。残留マレイン酸はH NMR(0.01プロトン)で確認した。
多形形態Bは、上記のパラメータを使用してXRPDおよびDSCを使用して分析した。得られたスペクトルを、それぞれ図44Aおよび44Bに示す。形態Bについて生成された表形式のXRPDデータを表11に示す。
Figure 2023504515000032
Figure 2023504515000033
* * *
上記の主題には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な変更を加えることができるため、上記の説明に含まれるかまたは添付される特許請求の範囲に定義される主題はすべて、本発明の説明および例示として解釈されることが意図される。上記の教示に照らして、本発明の多くの変更および変形が可能である。したがって、本明細書は、添付される特許請求の範囲内にあるそのようなすべての代替手段、変更および相違を包含することを意図する。
本明細書で引用されたすべての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、および他の資料は、本明細書に物理的に存在するかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (85)

  1. 骨髄異形成症候群(MDS)の処置を、それを必要とする患者において行う方法であって、前記患者に、治療有効量の低メチル化剤(HMA)および治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含み、前記患者が、
    これまでにMDSの処置を受けていないか;
    6サイクル未満の低メチル化剤による処置を受けたことがあるか;
    デノボMDSを有しているか;または
    続発性MDSを有している、方法。
  2. 前記患者が、これまでにMDSの処置を受けていない、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者が、6サイクル未満の低メチル化剤による処置を受けたことがある、請求項1に記載の方法。
  4. 前記患者が、デノボMDSを有している、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記患者が、続発性MDSを有している、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記患者が、集中的な導入化学療法にも幹細胞移植にも適格でない、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記MDSが、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB-T)、および慢性骨髄単球性白血病(CMML)からなる群より選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記MDSが、中間リスク、高リスク、または非常に高リスクのMDSである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記患者の米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS)スコアが2以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記MDSがMCL-1依存性である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記HMAが、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩、あるいは、デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記HMAが、アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が最初に投与され、続いてアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が投与される、請求項12に記載の方法。
  14. 骨髄異形成症候群(MDS)の処置を、それを必要とする患者において行う方法であって、前記患者に治療有効量のアザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;および、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含み、
    前記アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が、28日間の処置サイクルの1、2、3、4、5、6および7日目、または1、2、3、4、5、8および9日目に投与され;かつ
    前記アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が、前記28日間の処置サイクルの10日目に投与される、方法。
  15. アザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
  16. 1日あたり約50mg/m~約125mg/mのアザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項15に記載の方法。
  17. 1日あたり約75mg/mのアザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が、静脈内注入または皮下注射によって投与される、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 1日あたり約150mg~約350mgのアザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項15に記載の方法。
  20. 1日あたり約300mgのアザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記アザシチジン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が経口投与される、請求項11から17、19および20のいずれか一項に記載の方法。
  22. アザシチジンのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項11から13、18および21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記アザシチジンのプロドラッグが、アザシチジンホスフェートプロドラッグである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記アザシチジンのプロドラッグが、
    Figure 2023504515000034
    またはその薬学的に許容され得る塩であり、式中、RおよびRは、独立に、HまたはCO(C~Cアルキル)である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記アザシチジンのプロドラッグが、2’,3’,5’-トリアセチル-5-アザシチジン、またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項22に記載の方法。
  26. 前記HMAが、デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩である、請求項11に記載の方法。
  27. 前記デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が最初に投与され、続いてアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が投与される、請求項26に記載の方法。
  28. 骨髄異形成症候群(MDS)の処置を、それを必要とする患者において行う方法であって、前記患者に治療有効量のデシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩;および、治療有効量のアルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩を投与することを含み、
    前記デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が、28日間の処置サイクルの1、2、3、4および5日目に投与され;かつ
    前記アルボシジブ、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が、前記28日間の処置サイクルの8日目に投与される、方法。
  29. デシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項11および26から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 1日あたり約15mg/m~約50mg/mのデシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項29に記載の方法。
  31. 1日あたり約20mg/mのデシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が、静脈内注入によって投与される、請求項26から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 1日あたり約15mg~約50mgのデシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項30に記載の方法。
  34. 1日あたり約35mgのデシタビン、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項33に記載の方法。
  35. 前記デシタビン、またはそのプロドラッグ、または前述の薬学的に許容され得る塩が、経口投与される、請求項11から31、33および34のいずれか一項に記載の方法。
  36. アルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 1日あたり約10mg/m~約100mg/mのアルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩が、対象に投与される、請求項36に記載の方法。
  38. 1日あたり約75mg/mのアルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記対象に投与される、請求項37に記載の方法。
  39. 1日あたり約90mg/mのアルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記対象に投与される、請求項37に記載の方法。
  40. 約30mg/mのアルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩が、約30分の持続時間の静脈内ボーラスにより前記対象に投与され、約60mg/mのアルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩が、約4時間の持続時間の静脈内注入により前記対象に投与される、請求項37に記載の方法。
  41. アルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記対象に静脈内投与される、請求項36から39のいずれか一項に記載の方法。
  42. アルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩が、約60分の持続時間の静脈内注入により前記対象に投与される、請求項36から39および41のいずれか一項に記載の方法。
  43. アルボシジブ、またはその薬学的に許容され得る塩が、約30分の持続時間の静脈内ボーラスと、それに続く約4時間の持続時間の静脈内注入により前記対象に投与される、請求項36から39および41のいずれか一項に記載の方法。
  44. アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記患者に投与される、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記アルボシジブのプロドラッグが、以下の構造式:
    Figure 2023504515000035
    またはその双性イオン形態もしくは薬学的に許容され得る塩を有する、請求項44に記載の方法。
  46. 前記アルボシジブのプロドラッグが、以下の構造式:
    Figure 2023504515000036
    を有する、請求項44または45に記載の方法。
  47. 前記アルボシジブのプロドラッグが結晶形態である、請求項46に記載の方法。
  48. 前記結晶形態が形態Bを含む、請求項47に記載の方法。
  49. 前記結晶形態が形態Bからなる、請求項47に記載の方法。
  50. 前記アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が、実質的に純粋である、請求項45から49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記アルボシジブのプロドラッグが、4.8±0.2°、10.8±0.2°、13.7±0.2°、14.9±0.2°、20.0±0.2°および24.6±0.2°からなる群より選択される2θ角に少なくとも3つのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項46から50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記アルボシジブのプロドラッグが、4.8±0.2°、10.8±0.2°、13.7±0.2°、14.9±0.2°、20.0±0.2°および24.6±0.2°からなる群より選択される2θ角に少なくとも4つのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項51に記載の方法。
  53. 前記アルボシジブのプロドラッグが、4.8±0.2°、10.8±0.2°、13.7±0.2°、14.9±0.2°、20.0±0.2°および24.6±0.2°からなる群より選択される2θ角に少なくとも5つのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項52に記載の方法。
  54. 前記アルボシジブのプロドラッグが、次の2θ角:10.8±0.2°、14.9±0.2°および20.0±0.2°にピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項46から50のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記アルボシジブのプロドラッグが、次の2θ角:4.8±0.2°、10.8±0.2°、14.9±0.2°および20.0±0.2°にピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項54に記載の方法。
  56. 前記アルボシジブのプロドラッグが、次の2θ角:4.8±0.2°、10.8±0.2°、13.7±0.2°、14.9±0.2°および20.0±0.2°にピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項55に記載の方法。
  57. 前記アルボシジブのプロドラッグのX線粉末回折パターンが、図44Aに示されるものと実質的に一致する、請求項46から56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記アルボシジブのプロドラッグが、約264℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、請求項46から57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記アルボシジブのプロドラッグが、図44Bに示されるものと実質的に一致する示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、請求項46から58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が、対象に経口投与される、請求項44から59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 1日あたり約10mg~約50mgの前記アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含む、請求項44から60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 約8mgの前記アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が、1日2回、前記対象に投与される、請求項61に記載の方法。
  63. 約16mgの前記アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が、1日1回、前記対象に投与される、請求項61に記載の方法。
  64. 約11mgの前記アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が、前記対象に1日2回投与される、請求項61に記載の方法。
  65. 約22mgの前記アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩、またはその薬学的に許容され得る塩が、1日1回、前記対象に投与される、請求項61に記載の方法。
  66. 前記アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が、21日間の処置サイクルの最初の14日間に投与され、前記21日間の処置サイクルの15日目から21日目に投与されない、請求項1から13、15から27、29から35および44から65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記アルボシジブのプロドラッグ、またはその薬学的に許容され得る塩が、28日間の処置サイクルの最初の21日間に投与され、前記28日間の処置サイクルの22日目から28日目に投与されない、請求項1から13、15から27、29から35および44から65のいずれか一項に記載の方法。
  68. MDSに関連する1またはそれを超えるバイオマーカーを評価することをさらに含む、請求項1から67のいずれか一項に記載の方法。
  69. MDSに関連する前記1またはそれを超えるバイオマーカーが、核酸、タンパク質、脂質、および代謝物からなる群より選択される、請求項68に記載の方法。
  70. MDSに関連する前記1またはそれを超えるバイオマーカーに、MCL-1またはMCL-1 mRNAが含まれる、請求項69に記載の方法。
  71. MDSに関連する前記1またはそれを超えるバイオマーカーに、NOXAまたはNOXA mRNAが含まれる、請求項68から70のいずれか一項に記載の方法。
  72. 前記1またはそれを超えるバイオマーカーに、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたはそれより多くが含まれる、請求項69から71のいずれか一項に記載の方法。
  73. 前記患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つまたはそれより多くにおいて1またはそれを超える変異を有する、請求項1から72のいずれか一項に記載の方法。
  74. 前記患者が、RUNX1に1またはそれを超える変異を有する、請求項73に記載の方法。
  75. 前記患者が、ASXL1に1またはそれを超える変異を有する、請求項73または74に記載の方法。
  76. 前記患者が、RUNX1、SRSF2、SF3B1、U2AF1、ZRSR2、ASXL1、EZH2、BCORおよびSTAG2の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つにおいて、1またはそれを超える変異を有する、請求項73から75のいずれか一項に記載の方法。
  77. 前記患者が、これまでにMDSの処置を受けていない、請求項11から76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 前記患者が、6サイクル未満の低メチル化剤による処置を受けたことがある、請求項11から76のいずれか一項に記載の方法。
  79. 前記患者が、デノボMDSを有している、請求項11から78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記患者が、続発性MDSを有している、請求項11から78のいずれか一項に記載の方法。
  81. 前記患者が、集中的な導入化学療法にも幹細胞移植にも適格でない、請求項11から80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 前記MDSが、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB-T)、および慢性骨髄単球性白血病(CMML)からなる群より選択される、請求項11から81のいずれか一項に記載の方法。
  83. 前記MDSが、中間リスク、高リスク、または非常に高リスクのMDSである、請求項11から82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 前記患者の米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS)スコアが2以下である、請求項11から83のいずれか一項に記載の方法。
  85. 前記MDSがMCL-1依存性である、請求項11から84のいずれか一項に記載の方法。
JP2022533119A 2019-12-05 2020-12-04 骨髄異形成症候群の処置のための併用療法 Pending JP2023504515A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201962944339P 2019-12-05 2019-12-05
US62/944,339 2019-12-05
US202063037553P 2020-06-10 2020-06-10
US63/037,553 2020-06-10
PCT/US2020/063381 WO2021113688A1 (en) 2019-12-05 2020-12-04 Combination therapies for treatment of myelodysplastic syndrome

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023504515A true JP2023504515A (ja) 2023-02-03

Family

ID=73839155

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022533119A Pending JP2023504515A (ja) 2019-12-05 2020-12-04 骨髄異形成症候群の処置のための併用療法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2023504515A (ja)
WO (1) WO2021113688A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA3232623A1 (en) * 2021-09-21 2023-03-30 Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. Methods of treating myelodysplastic syndromes with decitabine and cedazuridine
WO2023163988A1 (en) * 2022-02-22 2023-08-31 Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. Combination formulation of cedazuridine

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011153374A1 (en) 2010-06-04 2011-12-08 Syndax Pharmaceuticals Inc. Prodrugs of azacitidine 5'-phosphate
AU2016252609B2 (en) 2015-04-20 2022-06-30 Sumitomo Pharma Oncology, Inc. Predicting response to alvocidib by mitochondrial profiling
US9758539B2 (en) 2015-05-18 2017-09-12 Tolero Pharmaceuticals, Inc. Alvocidib prodrugs having increased bioavailability
US11279694B2 (en) 2016-11-18 2022-03-22 Sumitomo Dainippon Pharma Oncology, Inc. Alvocidib prodrugs and their use as protein kinase inhibitors
WO2018119000A1 (en) 2016-12-19 2018-06-28 Tolero Pharmaceuticals, Inc. Profiling peptides and methods for sensitivity profiling
MX2021006544A (es) 2018-12-04 2021-07-07 Sumitomo Pharma Oncology Inc Inhibidores de cinasa dependiente de ciclina 9 (cdk9) y polimorfos de los mismos para uso como agentes para el tratamiento de cancer.

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021113688A1 (en) 2021-06-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230165857A1 (en) Axl kinase inhibitors and use of the same
JP2021130682A (ja) 悪性腫瘍の治療のための併用療法
EP3897647B1 (en) Combinations of a hdm2-p53 interaction inhibitor and a bcl2 inhibitor and their use for treating cancer
JP2023504515A (ja) 骨髄異形成症候群の処置のための併用療法
WO2013188355A1 (en) Cdk inhibitor for treating refractory chronic lymphocytic leukemia
WO2017023899A1 (en) Inhibitors of ack1/tnk2 tyrosine kinase
US20240033266A1 (en) Combination therapy involving diaryl macrocyclic compounds
JP2023022190A (ja) 癌治療
CN111417395A (zh) 用于治疗癌症的芳基咪唑
JP2012505880A (ja) 新規ベンジリデン−インドリノンとその医療及び診断用途
JP2022521173A (ja) 癌治療
EP3329923A1 (en) The potential of crbn-independent imid resensitization by epigenetic therapy
CA3148858A1 (en) Therapeutic agent for cancer having resistance to anti-ccr4 antibody
JP2024067010A (ja) 疾患の治療用のホスホイノシチド3-キナーゼ(pi3k)のアロステリッククロメノン阻害剤
WO2024097206A1 (en) Allosteric chromenone inhibitors of phosphoinositide 3-kinase (pi3k) for the treatment of disease
US20230090742A1 (en) Aminopyrimidinylaminobenzonitrile derivatives as nek2 inhibitors
WO2022082056A1 (en) Dosing regimens for cyclin‑dependent kinase 7 (cdk7) inhibitors
WO2024035921A1 (en) Degraders of son of sevenless homolog 1

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20230626