JP2023502923A - 質量分析の方法-直交断片化方法論を用いたswath - Google Patents

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Abstract

DIA方法では、着目される規定された前駆体イオンm/z範囲が、2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓のセットに分割される。タンデム質量分析計が、規定されたサイクル時間内にセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択し、第1の解離技法を使用して解離し、質量分析するように命令される。生成イオン強度およびm/z測定値が、第1の解離技法を使用して、セットの窓毎に生成される。タンデム質量分析計はまた、同一のサイクル時間内にセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択し、第2の解離技法を使用して解離し、質量分析するように命令される。生成イオン強度およびm/z測定値が、第2の解離技法を使用して、セットの窓毎に生成される。第1および第2の解離技法の両方からの生成イオン測定値が、サンプルの化合物を同定または定量化するために使用される。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2019年11月14日に出願された、米国仮特許出願第62/935,211号の利益を主張する。
本明細書の教示は、2つまたはそれを上回る異なる断片化もしくは解離技法が、各サイクルの間に適用される、データ非依存性入手(DIA)方法においてタンデム質量分析計を動作させることに関する。より具体的には、本明細書の教示は、DIAタンデム質量分析方法の各サイクル時間内に、2つまたはそれを上回る異なる解離方法を使用することから生成された前駆体イオン質量選択窓の生成イオンを測定するためのシステムおよび方法に関する。
本明細書に開示されるシステムおよび方法はまた、限定ではないが、液体クロマトグラフィ(LC)デバイス、または微分移動度分離(DMS)、もしくはイオン移動度(IM)等の付加的かつ先行するサンプル分離デバイスを使用して実施されることができる。本明細書に開示されるシステムおよび方法はまた、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または図1のコンピュータシステム等のコンピュータシステムと併せて実施されることができる。
(MS/MS実験における単一の解離技法)
従来の生物学的特性評価では、単一の解離または断片化技法は、質量分析/質量分析(MS/MS)実験において分析物を同定するために十分な情報を提供しない場合がある。MS/MSデータは、高レベルの選択性を伴って種を同定および定量化するために日常的に使用される。分析物の応答を記録するために選択的断片化に依拠することが、多重反応監視(MRM)およびDIA分析の基本である。
DIAは、例えば、従来のペプチド分析において使用される。本分析では、yイオン信号(典型的には、3つまたはそれを上回る)の整合が、適切なペプチドが検出および定量化されていると判定するために使用される。所与の保持時間(RT)における全ての液体クロマトグラフィ(LC)ピークの整合もまた、正しい化合物が検出されていることの同定および確認のためにMS/MSデータを発生させるために使用される(MS/MSスペクトルを発生させる)。本アプローチは、選択的断片が、着目種(ペプチド/代謝物)に関して発生される場合、良好に機能する。しかしながら、本アプローチは、種が、多くの共通の断片イオンを共有する場合(例えば、グリカン断片を形成するグリコールペプチド)、または有用な断片情報が、殆どもしくは全く取得されることができない場合(例えば、ジスルフィド結合ペプチド)、問題となり得る。言い換えると、MS/MS実験では、使用される解離または断片化技法は、サンプル中に存在する多くの他の共通の生成イオンから分析物生成イオンを区別するために十分な情報を提供しない場合がある。
本問題に対処するために最近提案された1つの解決策は、十分な区別する断片化情報が、取得され得ないと思われるとき、第2の直交解離または断片化技法をトリガすることである。第2の直交技法は、使用される第1の技法と異なるタイプの断片を生成することが公知である、解離または断片化の異なる機構を使用するものである。下記に説明されるように、情報依存性入手(IDA)またはデータ依存性入手(DDA)方法が、例えば、第2の直交技法をトリガするために使用されることができる。
例えば、米国仮特許出願第62/877,173号(以降では、「第’173号出願」)(その全体として本明細書に組み込まれる)では、電子ベースの解離(ExD)が、化合物のアルカリ金属付加物が、検出されるとき、IDA方法においてトリガされる。衝突誘起解離(CID)MS/MSが、[M+Na]または[M+K]等の同一の化合物の同等のアルカリ金属付加物に対して実施されると、弱い断片イオンが、典型的には、観察される、またはいかなる断片イオンも、典型的には、観察されない。これは、IDAの有効性およびメタボロミック用途において発生される情報の量を低減させる。
しかしながら、電子ベースの解離(ExD)技法は、アルカリ金属付加物を解離することが可能であることが公知である。結果として、第’173号出願は、アルカリ金属付加物を検出し、IDA方法において検出されたアルカリ金属付加物のためのExD技法をトリガすることを対象とする。本IDA方法では、ExD技法は、使用される第2の解離技法である。本第2のExD技法は、第1のCID技法に直交する。
IDA方法では、ある前駆体イオンが、2つの解離技法の両方を使用して解離されることができる、またはある前駆体イオンが、2つの解離技法のうちのいずれか一方を使用して解離されることができる。IDAは、リアルタイム論理に依拠し、入手の前に方法を設定するためにユーザ側に有意な労力を要求する。言い換えると、IDAは、複雑なMS/MS入手方法であり、これは、要求されるMSMS情報が、着目化合物のために収集されるであろうことを保証しない。
加えて、IDA方法では、付加的または補足的情報が、本情報が入手可能であり得ることが予測される、ある事例に関してのみ取得される。全ての他の事例に関して、本付加的または補足的情報は、取得されない。結果として、付加的または補足的生成イオン情報のために照会されるべきである質量範囲の他の面積内に前駆体イオンが存在することが、後で見出される場合、別の実験を行う以外に、いかなる他の頼みの綱も、存在しない。
結果として、付加的システムおよび方法が、IDA以外のMS/MS方法において2つまたはそれを上回る異なる解離技法を使用して、前駆体イオンを解離することが可能であるために必要とされる。これらのシステムおよび方法は、サンプル中に存在する多くの他の共通の生成イオンから分析物生成イオンを区別するために十分な情報を提供するために必要とされる。
(断片化技法の背景技術)
電子ベースの解離(ExD)、紫外線光解離(UVPD)、赤外光解離(IRMPD)、および衝突誘起解離(CID)が、多くの場合、タンデム質量分析(MS/MS)のための断片化技法として使用される。CIDは、タンデム質量分析計における解離のための最も一般的な技法である。
ExDは、限定ではないが、電子誘起解離(EID)、有機物中の電子衝撃励起(EIEIO)、電子捕捉解離(ECD)、または電子移動解離(ETD)を含むことができる。
(質量分析法技法に関する背景技術)
質量分析計は、多くの場合、サンプルから溶出する既知の着目化合物を同定し、特性評価するために、クロマトグラフィまたは他の分離システムと結合される。そのような結合されたシステムでは、溶出する溶媒は、イオン化され、一連の質量スペクトルが、溶出する溶媒から、「保持時間」と呼ばれる、規定された時間間隔において取得される。これらの保持時間は、例えば、1秒~100分またはそれを上回る時間に及ぶ。一連の質量スペクトルは、クロマトグラムまたは抽出イオンクロマトグラム(XIC)を形成する。
XICに見出されるピークは、サンプル中の既知のペプチドまたは化合物を同定もしくは特性評価するために使用される。より具体的には、ピークの保持時間および/またはピークの面積は、サンプル中の既知のペプチドもしくは化合物を同定または特性評価(定量化)するために使用される。
従来的分離結合質量分析システムでは、既知の化合物の断片または前駆体イオンが、分析のために選択される。タンデム質量分析または質量分析/質量分析(MS/MS)走査が、次いで、生成イオンを含む質量範囲にわたって、各分離間隔において実施される。各MS/MS走査に見出される生成イオンの強度が、経時的に収集され、スペクトルの集合、または、例えば、XICとして分析される。
一般に、タンデム質量分析またはMS/MSは、化合物を分析するための周知の技法である。タンデム質量分析は、サンプルからの1つまたはそれを上回る化合物のイオン化、1つまたはそれを上回る化合物の1つまたはそれを上回る前駆体イオンの選択、断片または生成イオンへの1つまたはそれを上回る前駆体イオンの断片化、および生成イオンの質量分析を伴う。
タンデム質量分析は、定質的および定量的情報の両方を提供することができる。生成イオンスペクトルは、着目分子を同定するために使用されることができる。1つまたはそれを上回る生成イオンの強度は、サンプル中に存在する化合物の量を定量化するために使用されることができる。
多数の異なるタイプの実験方法またはワークフローが、タンデム質量分析計を使用して実施されることができる。これらのワークフローの3つの広いカテゴリは、標的化入手、情報依存性入手(IDA)またはデータ依存性入手(DDA)、およびデータ非依存性入手(DIA)である
標的化入手方法では、生成イオンへの前駆体イオンの1つまたはそれを上回る遷移が、着目化合物に関して事前定義される。サンプルがタンデム質量分析計の中に導入されるにつれて、1つまたはそれを上回る遷移が、複数の時間周期またはサイクルのうちの各時間周期またはサイクル中に照会または監視される。言い換えると、質量分析計は、各遷移の前駆体イオンを選択および断片化し、遷移の生成イオンに関してのみ標的化質量分析を実施する。結果として、強度(生成イオン強度)が、遷移毎に生成される。標的化入手方法は、限定ではないが、多重反応監視(MRM)および選択反応監視(SRM)を含む。
IDA方法では、ユーザは、サンプルがタンデム質量分析計の中に導入されている間に、生成イオンの非標的化質量分析を実施するための基準を規定することができる。例えば、IDA方法では、前駆体イオンまたは質量分析(MS)調査走査が、前駆体イオンピークリストを発生させるように実施される。ユーザは、ピークリスト上の前駆体イオンのサブセットに関してピークリストをフィルタ処理するための基準を選択することができる。MS/MSは、次いで、前駆体イオンのサブセットの各前駆体イオンに実施される。生成イオンスペクトルが、前駆体イオン毎に生成される。MS/MSは、サンプルがタンデム質量分析計の中に導入されるにつれて、前駆体イオンのサブセットの前駆体イオンに繰り返し実施される。
しかしながら、プロテオミクスおよび多くの他のサンプルタイプでは、化合物の複雑性およびダイナミックレンジは、非常に大きい。これは、従来的な標的化およびIDA方法に課題を提起し、広範囲の分析物の同定および定量化の両方を行うために、サンプルを徹底的に照会するように超高速MS/MS入手を要求する。
結果として、タンデム質量分析の第3の広いカテゴリである、DIA方法が、開発された。これらのDIA方法は、複雑なサンプルからのデータ収集の再現性および包括性を増加させるために使用されてきた。DIA方法はまた、非特異的断片化方法と呼ばれることもできる。従来的なDIA方法では、タンデム質量分析計の作用は、以前の前駆体または生成イオン走査において入手されるデータに基づいて、MS/MS走査の間で変動されない。代わりに、前駆体イオン質量範囲が、選択される。前駆体イオン質量選択窓が、次いで、前駆体イオン質量範囲を横断して漸進される。前駆体イオン質量選択窓内の全ての前駆体イオンが、断片化され、前駆体イオン質量選択窓内の全ての前駆体イオンの全ての生成イオンが、質量分析される。
質量範囲を走査するために使用される前駆体イオン質量選択窓は、窓内の複数の前駆体の可能性が小さいように、非常に狭くあり得る。本タイプのDIA方法は、例えば、MS/MSALLと呼ばれる。MS/MSALL方法では、約1amuの前駆体イオン質量選択窓が、質量範囲全体を横断して走査または漸進される。生成イオンスペクトルが、1amu前駆体質量窓毎に生成される。質量範囲全体を1回分析または走査するために要する時間は、1つの走査サイクルと称される。しかしながら、各サイクル中に広い前駆体イオン質量範囲を横断して狭い前駆体イオン質量選択窓を走査することは、いくつかの器具および実験にとって実用的ではない。
結果として、より大きい前駆体イオン質量選択窓またはより大きい幅を伴う選択窓が、前駆体質量範囲全体を横断して漸進される。本タイプのDIA方法は、例えば、SWATH入手と呼ばれる。SWATH入手では、各サイクル内で前駆体質量範囲を横断して漸進される前駆体イオン質量選択窓は、5~25amuまたはさらに大きい幅を有してもよい。MS/MSALL方法のように、各前駆体イオン質量選択窓内の全ての前駆体イオンが、断片化され、各質量選択窓内の全ての前駆体イオンの全ての生成イオンが、質量分析される。
米国特許第8,809,770号(その全体として本明細書に組み込まれる)は、SWATH入手が着目化合物の前駆体イオンについての定量的および定性的情報を提供するために使用され得る方法を説明する。特に、前駆体イオン質量選択窓を断片化することから見出される生成イオンが、着目化合物の既知の生成イオンのデータベースと比較される。加えて、前駆体イオン質量選択窓を断片化することから見出される生成イオンのイオントレースまたはXICが、定量的および定性的情報を提供するように分析される。
図2は、データ独立入手(DIA)SWATHワークフローのために10個の前駆体イオン質量選択窓に分割される、前駆体イオン質量/電荷比(m/z)範囲の例示的略図200である。図2に示されるm/z範囲は、200m/zである。用語「質量」および「m/z」は、本明細書では、同義的に使用されることに留意されたい。概して、質量分析法測定は、m/zにおいて行われ、電荷によって乗算することによって質量に変換される。
10個の前駆体イオン質量選択または単離窓はそれぞれ、20m/zの幅に及ぶ、またはそれを有する。10個の前駆体イオン質量選択窓のうちの3つ、すなわち、窓201、202、および210が、図2に示される。前駆体イオン質量選択窓201、202、および210は、同一幅を伴う非重複窓として示される。前駆体イオン質量選択窓はまた、重複することができ、および/または可変幅を有することもできる。
図2は、例示的SWATH入手の単一サイクルにおいて使用される、非可変および非重複前駆体イオン質量選択窓を描写する。SWATH入手方法を実施し得る、タンデム質量分析計はさらに、例えば、経時的に、1つまたはそれを上回る化合物をサンプルから分離する、サンプル導入デバイスと結合されることができる。サンプル導入デバイスは、限定ではないが、注入、液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ、またはキャピラリー電気泳動を含む、技法を使用して、サンプルをタンデム質量分析計に導入することができる。分離された1つまたはそれを上回る化合物は、タンデム質量分析計によって選択および断片化される、1つまたはそれを上回る化合物の前駆体イオンのイオンビームを生成する、イオン源によってイオン化される。
結果として、分離された化合物のサンプル導入の時間ステップ毎に、10個の前駆体イオン質量選択窓がそれぞれ、選択され、次いで、断片化され、m/z範囲全体にわたって10個の生成イオンスペクトルを生成する。言い換えると、10個の前駆体イオン質量選択窓がそれぞれ、選択され、次いで、複数のサイクルの各サイクルの間、断片化される。
図3は、DIAワークフローの各サイクルの間、生成イオントレースまたはXICを各前駆体イオン質量選択窓から取得するためのステップを図式的に描写する、例示的略図300である。例えば、図3では、前駆体イオン質量選択窓201、202、および210によって表される、10個の前駆体イオン質量選択窓が、選択され、合計1,000サイクルの各サイクルの間、断片化される。
各サイクルの間、生成イオンスペクトルが、前駆体イオン質量選択窓毎に取得される。例えば、生成イオンスペクトル311は、サイクル1の間、前駆体イオン質量選択窓201を断片化することによって取得され、生成イオンスペクトル312は、サイクル2の間、前駆体イオン質量選択窓201を断片化することによって取得されることができ、生成イオンスペクトル313は、サイクル1000の間、前駆体イオン質量選択窓201を断片化することによって取得されることができる。
各前駆体イオン質量選択窓の各生成イオンスペクトル内の生成イオンの強度を経時的にプロットすることによって、XICが、各前駆体イオン質量選択窓から生成された生成イオン毎に計算されることができる。例えば、プロット320は、前駆体イオン質量選択窓201の1,000個の生成イオンスペクトルの生成イオン毎に計算される、XICを含む。XICは、時間またはサイクルの観点からプロットされることができることに留意されたい。
プロット320におけるXICは、図3では、2次元でプロットされて示される。しかしながら、各XICは、異なるXICが異なるm/z値に関して計算されるため、実際には、3次元である。
図4は、前駆体イオン質量選択窓にわたって経時的に取得される生成イオンXICの3次元性を示す、例示的略図400である。図4では、x軸は、時間またはサイクル数であって、y軸は、生成イオン強度であって、z軸は、m/zである。本3次元プロットから、より多くの情報が、取得される。例えば、XICピーク410および420は両方とも、同一形状を有し、同時または同一保持時間に生じる。しかしながら、XICピーク410および420は、異なるm/z値を有する。これは、XICピーク410および420が、同位体ピークである、または同一前駆体イオンからの異なる生成イオンを表すことを意味し得る。同様に、XICピーク430および440は、同一m/z値を有するが、異なる時間に生じる。これは、XICピーク430および440が、同一生成イオンであるが、それらが、2つの異なる前駆体イオンに由来することを意味し得る。
図2-4は、質量および保持時間が、DIA方法を使用して、ペプチド等の化合物を特性評価するために使用され得る方法を示す。しかしながら、上記に説明されるように、本アプローチは、選択的断片が、着目種のために発生される場合、良好に機能する。しかしながら、本アプローチは、種が、多くの共通の断片イオンを共有する場合、または有用な断片情報が、殆どもしくは全く取得されることができない場合、問題となり得る。結果として、付加的システムおよび方法が、類似する質量および保持時間挙動におけるわずかな差異を伴う、化合物またはペプチドを判別するために必要とされる。
(サイクル時間に関する背景技術)
DIA実験のサイクル時間、走査時間、またはデューティサイクルは、質量範囲全体に関する標的化MS/MSデータの全ての入手するためにかかる時間の量である。図3に再び目を向けると、従来のDIA方法では、サイクル時間は、全10個の前駆体イオン質量選択窓201-210に関するMS/MSデータの全てを入手するためにかかる時間の量である。言い換えると、サイクル時間は、各サイクルを実施するためにかかる時間の量である。
サイクル時間は、ある実験に関するユーザ規定パラメータである。選択されたサイクル時間は、他の時間に影響を及ぼす。例えば、滞留時間は、図3の10個の前駆体イオン質量選択窓201-210のうちのいずれかが選択、解離、および質量分析される時間の量を指し得る。より長いサイクル時間は、より長い滞留時間を可能にし、これは、ひいては、前駆体イオン質量選択窓毎により高い品質結果を生成する。
しかしながら、サイクル時間の長さは、典型的には、クロマトグラフィ考慮事項に基づいて限定される。各サイクル時間は、LCまたはXICピークを横断するデータ点を提供する。結果として、より短いサイクル時間は、LCまたはXICピークを横断するより多くの点を提供する。典型的には、例えば、LCまたはXICピークを横断する10~15個のデータ点を提供するサイクル時間が、正確な定量化および再現性のために最適である。結果として、図3の1,000回のサイクルのそれぞれのサイクル時間は、典型的には、プロット320に示されるピークを横断する10~15個のデータ点を提供するように設定される。
DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するためのシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品が、開示される。本システムは、イオン源デバイスと、タンデム質量分析計とを含む。イオン源デバイスは、サンプルの化合物をイオン化し、イオンビームを生成する。タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスと、少なくとも2つの異なる解離技法を実施する、1つまたはそれを上回る解離デバイスと、質量分析器とを含む。
タンデム質量分析計は、イオン源デバイスからイオンビームを受け取る。タンデム質量分析計は、イオンビームの規定された前駆体イオン質量/電荷比(m/z)範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第1のセットに分割する。タンデム質量分析計はまた、イオンビームの前駆体イオンm/z範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第2のセットに分割する。
規定されたサイクル時間内に、タンデム質量分析計は、第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を分析する。タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスを使用して、第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択する。タンデム質量分析計は、1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される少なくとも2つの異なる解離技法の第1の解離技法を使用して、第1のセットの各窓を解離する。タンデム質量分析計は、質量分析器を使用して、第1のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、第1のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成する。
また、同一のサイクル時間内に、タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスを使用して、第2のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択する。タンデム質量分析計は、1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される少なくとも2つの異なる解離技法の第2の解離技法を使用して、第2のセットの各窓を解離する。タンデム質量分析計は、質量分析器を使用して、第2のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、第2のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成する。
本出願人の教示のこれらおよび他の特徴が、本明細書に記載される。
当業者は、下記に説明される図面が、例証目的にすぎないことを理解するであろう。図面は、本教示の範囲をいかようにも限定することを意図していない。
図1は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステムを図示する、ブロック図である。
図2は、データ独立入手(DIA)SWATHワークフローのための10個の前駆体イオン質量選択窓に分割される、前駆体イオン質量/電荷比(m/z)範囲の例示的略図である。
図3は、DIAワークフローの各サイクルの間、生成イオントレースまたは抽出されるイオンクロマトグラフ(XIC)を各前駆体イオン質量選択窓から取得するためのステップを図式的に描写する、例示的略図である。
図4は、前駆体イオン質量選択窓に関して経時的に取得される生成イオンXICの3次元性を示す、例示的略図である。
図5は、種々の実施形態による、Chimera電子捕捉解離(ECD)および衝突誘起解離(CID)衝突セルの裁断3次元斜視図である。
図6は、種々の実施形態による、複数の前駆体イオン質量選択窓の各前駆体イオン質量選択窓が、2つの直交解離技法(CIDおよびECD)のそれぞれを使用して断片化される、DIA方法の単一のサイクルにおいて実施されるステップを示す、例示的フローチャートである。
図7は、種々の実施形態による、DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するためのシステムの概略図である。
図8は、種々の実施形態による、DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するためのステップをグラフで描写する、例示的略図である。
図9は、種々の実施形態による、DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するための方法を示す、フローチャートである。
図10は、種々の実施形態による、DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するための方法を実施する、1つまたはそれを上回る明確に異なるソフトウェアモジュールを含む、システムの概略図である。
本教示の1つまたはそれを上回る実施形態が、詳細に説明される前に、当業者は、本教示が、その用途において、以下の発明を行うための形態に記載される、または図面に図示される、構造、構成要素の配列、およびステップの配列の詳細に限定されないことを理解するであろう。また、本明細書で使用される表現および専門用語は、説明の目的のためであって、限定的と見なされるべきではないことを理解されたい。
種々の実施形態の説明
コンピュータ実装システム
図1は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステム100を図示するブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を通信するためのバス102または他の通信機構と、情報を処理するためにバス102と結合されたプロセッサ104とを含む。コンピュータシステム100はまた、プロセッサ104によって実行される命令を記憶するために、バス102に結合されるランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスであり得るメモリ106も含む。メモリ106はまた、プロセッサ104によって実行される命令の実行の間、一時的変数または他の中間情報を記憶するためにも使用され得る。コンピュータシステム100はさらに、プロセッサ104のための静的情報および命令を記憶するために、バス102に結合された読取専用メモリ(ROM)108または他の静的記憶デバイスを含む。磁気ディスクまたは光ディスク等の記憶デバイス110が、情報および命令を記憶するために提供され、バス102に結合される。
コンピュータシステム100が、情報をコンピュータユーザに表示するために、バス102を介して、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ112に結合され得る。英数字および他のキーを含む入力デバイス114が、情報およびコマンド選別をプロセッサ104に通信するために、バス102に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選別をプロセッサ104に通信し、ディスプレイ112上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キー等のカーソル制御116である。本入力デバイスは、典型的には、デバイスが平面において位置を指定することを可能にする2つの軸、すなわち、第1の軸(すなわち、x)および第2の軸(すなわち、y)において、2自由度を有する。
コンピュータシステム100が、本教示を実施することができる。本教示のある実装によると、結果は、メモリ106内に含有される1つまたはそれを上回る命令の1つまたはそれを上回るシーケンスをプロセッサ104が実行することに応答して、コンピュータシステム100によって提供される。そのような命令は、記憶デバイス110等の別のコンピュータ可読媒体から、メモリ106内に読み込まれ得る。メモリ106内に含有される命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に、本明細書に説明されるプロセスを実施させる。代替として、有線回路が、本教示を実装するためのソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、使用され得る。したがって、本教示の実装は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の具体的組み合わせに限定されない。
種々の実施形態では、コンピュータシステム100は、ネットワークを横断して、コンピュータシステム100のような1つまたはそれを上回る他のコンピュータシステムに接続され、ネットワーク化されたシステムを形成することができる。ネットワークは、プライベートネットワークまたはインターネット等のパブリックネットワークを含むことができる。ネットワーク化されたシステムでは、1つまたはそれを上回るコンピュータシステムが、データを記憶し、他のコンピュータシステムにサーブすることができる。データを記憶し、サーブする、1つまたはそれを上回るコンピュータシステムは、クラウドコンピューティングシナリオでは、サーバまたはクラウドと称され得る。1つまたはそれを上回るコンピュータシステムは、例えば、1つまたはそれを上回るウェブサーバを含むことができる。データをサーバまたはクラウドにおよびそこから送信ならびに受信する、他のコンピュータシステムは、例えば、クライアントまたはクラウドデバイスと称され得る。
本明細書で使用されるような用語「コンピュータ可読媒体」は、実行のために命令をプロセッサ104に提供する際に関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、限定されないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス110等の光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ106等の動的メモリを含む。伝送媒体は、バス102を備える配線を含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。
コンピュータ可読媒体またはコンピュータプログラム製品の一般的形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD-ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、ブルーレイディスク、任意の他の光学媒体、サムドライブ、メモリカード、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュ-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の有形媒体を含む。
コンピュータ可読媒体の種々の形態は、実行のために、1つまたはそれを上回る命令の1つまたはそれを上回るシーケンスをプロセッサ104に搬送することに関わり得る。例えば、命令は、最初は、遠隔コンピュータの磁気ディスク上で搬送され得る。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリ内にロードし、モデムを使用して、電話回線を介して、命令を送信することができる。コンピュータシステム100にローカルのモデムが、データを電話回線上で受信し、赤外線送信機を使用して、データを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合された赤外線検出器が、赤外線信号で搬送されるデータを受信し、データをバス102上に設置することができる。バス102は、データをメモリ106に搬送し、そこから、プロセッサ104は、命令を読み出し、実行する。メモリ106によって受信された命令は、随意に、プロセッサ104による実行の前後のいずれかにおいて、記憶デバイス110上に記憶され得る。
種々の実施形態によると、方法を実施するためにプロセッサによって実行されるように構成される命令が、コンピュータ可読媒体上に記憶される。コンピュータ可読媒体は、デジタル情報を記憶するデバイスであることができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、ソフトウェアを記憶するために、当技術分野において周知のように、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD-ROM)を含む。コンピュータ可読媒体は、実行されるように構成される命令を実行するために好適なプロセッサによってアクセスされる。
本教示の種々の実装の以下の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。これは、包括的でもなく、本教示を開示される精密な形態に限定するものでもない。修正および変形例が、上記の教示に照らして可能である、または本教示の実践から取得され得る。加えて、説明される実装は、ソフトウェアを含むが、本教示は、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして、またはハードウェア単独において、実装され得る。本教示は、オブジェクト指向および非オブジェクト指向両方のプログラミングシステムによって実装され得る。
DIAにおける直交解離
上記に説明されるように、単一の解離または断片化技法は、質量分析/質量分析(MS/MS)実験において分析物を同定するために十分な情報を提供しない場合がある。使用される解離または断片化技法は、サンプル中に存在する多くの他の共通の生成イオンから分析物生成イオンを区別するために十分な情報を提供しない場合がある。
本問題に対処するために最近提案された1つの解決策は、十分な区別する断片化情報が、取得され得ないと思われるとき、第2の直交解離または断片化技法をトリガすることである。IDAまたはDDA方法が、例えば、第2の直交技法をトリガするために使用されることができる。しかしながら、IDAは、リアルタイム論理に依拠し、入手の前に方法を設定するためにユーザ側に有意な労力を要求する。言い換えると、IDAは、複雑なMS/MS入手方法である。加えて、IDA方法では、付加的または補足的情報が、本情報が入手可能であり得ることが予測される、ある事例に関してのみ取得される。
結果として、付加的システムおよび方法が、IDA以外のMS/MS方法において2つまたはそれを上回る異なる解離技法を使用して、前駆体イオンを解離することが可能であるために必要とされる。これらのシステムおよび方法は、サンプル中に存在する多くの他の共通の生成イオンから分析物生成イオンを区別するために十分な情報を提供するために必要とされる。
種々の実施形態では、タンデム質量分析計が、少なくとも2つの異なる、もしくは直交解離技法を実施することが可能な1つまたはそれを上回る解離デバイスを含むように修正される。タンデム質量分析計は、次いで、複数の前駆体イオン質量選択窓の各前駆体イオン質量選択窓が、サイクル時間内に少なくとも2つの異なる、または直交解離技法のそれぞれを使用して断片化される、DIA方法を実施するように動作される。
例えば、SCIEX(Framingham, MA)は、CIDまたはECDを実施し得る単一の解離デバイスを開発した。本デバイスは、Chimera ECDおよびCID衝突セルと呼ばれる。本衝突セルの鍵となるものは、そのマルチデバイスインターフェースである。本マルチデバイスインターフェースは、米国特許第7,358,488号(その全体として本明細書に組み込まれる)に説明されている。
図5は、種々の実施形態による、Chimera ECDおよびCID衝突セルの裁断3次元斜視図500である。図5は、分析物イオンの解離が、Chimera ECDマルチデバイスインターフェース514における場所511において、またはCID衝突セル515における場所512において選択的に実施され得ることを示す。この場合では、単一のデバイスである、Chimera ECDおよびCID衝突セルは、少なくとも2つの異なる、または直交解離技法を実施することが可能である。種々の代替実施形態では、1つを上回る解離デバイスが、使用されることができる。
Chimera ECDおよびCID衝突を含む、タンデム質量分析計は、次いで、複数の前駆体イオン質量選択窓の各前駆体イオン質量選択窓が、サイクル時間内に少なくとも2つの異なる、または直交解離技法のそれぞれを使用して断片化される、DIA方法を実施するように動作されることができる。理想的には、少なくとも2つの異なる、または直交解離技法は、補足的かつ一意の生成イオンを発生させる。
図6は、種々の実施形態による、複数の前駆体イオン質量選択窓の各前駆体イオン質量選択窓が、2つの直交解離技法(CIDおよびECD)のそれぞれを使用して断片化される、DIA方法の単一のサイクルにおいて実施されるステップを示す、例示的フローチャート600である。図6のDIA方法では、500~800m/zの質量範囲が、分析される。規定されたサイクル時間内に、7つのステップが、実施される。最初に、ステップ610において、500~800m/zの質量範囲全体が、選択され、質量分析され、質量範囲内の前駆体イオンを判定する。ステップ620-640において、それぞれ、500~600、600~700、および700~800m/zの前駆体イオン質量選択窓が、選択され、これらの窓内の前駆体イオンが、CIDを使用して解離または断片化され、結果として生じる生成イオンが、質量分析される。ステップ650-670において、それぞれ、500~600、600~700、および700~800m/zの前駆体イオン質量選択窓が、選択され、これらの窓内の前駆体イオンが、ECDを使用して解離または断片化され、結果として生じる生成イオンが、質量分析される。
図6では、3つの前駆体イオン質量選択窓は全て、最初に、CIDを使用して解離され、次いで、これらの3つの窓は全て、ECDを使用して解離される。言い換えると、サイクル時間内のステップは、解離技法によって順序付けられる。
種々の代替実施形態では、第1の解離技法を使用した1つの窓の解離の直後に、第2の解離技法を使用した同一の窓または別の窓の解離が続くことができる。例えば、図6では、ステップ620の後に、ステップ630の代わりにステップ650が続いてもよい。言い換えると、サイクル時間内のステップは、例えば、前駆体イオン質量選択窓範囲によって順序付けられることができる。
図6では、CIDによって解離される前駆体イオン質量選択窓の数およびCIDによって解離される各前駆体イオン質量選択窓の範囲は、ECDによって解離される前駆体イオン質量選択窓の数およびECDによって解離される各前駆体イオン質量選択窓の範囲と同一である。言い換えると、ECDは、CIDによって解離される同一の窓を解離するために使用される。
種々の代替実施形態では、CIDによって解離される前駆体イオン質量選択窓の数は、ECDによって解離される前駆体イオン質量選択窓の数と異なり得る。また、CIDによって解離される各前駆体イオン質量選択窓の範囲は、ECDによって解離される各前駆体イオン質量選択窓の範囲と異なり得る。また、前駆体イオン質量窓サイズは、CIDとECDとの間で異なり得る。言い換えると、ECDは、CIDと異なる窓を解離するために使用されることができる。しかしながら、両方の技法は、依然として、同一の全体的前駆体イオン質量範囲を分析するべきである。異なる前駆体イオン質量選択窓の生成イオンは、比較される必要性があるため、異なる解離技法に関して異なる前駆体イオン質量選択窓を使用することが、データの比較をより困難にするが、MSMS情報を引き出す際に利点をもたらし得ることに留意されたい。
本明細書に説明される本実施形態に先立って、DIA方法を使用して、単一のサイクル時間内に有用な質量範囲を横断して2つの解離技法を実施することは、当業者によって可能であると考えられていなかったことに留意されたい。言い換えると、DIA方法の前駆体イオン質量選択窓を2回解離し、依然として、LCピークを横断する十分なデータ点を得るために十分な時間が、存在しないと考えられていた。
種々の実施形態では、少なくとも2つの最近の改良に起因して、DIA方法の前駆体イオン質量選択窓を2回解離し、依然として、LCピークを横断する十分なデータ点を得ることが、現在では可能である。まず第1に、CID以外の解離技法を提供する解離デバイスが、最近有意に改良されている。例えば、SCIEXのChimera ECDおよびCID衝突セルを使用すると、前駆体イオン質量選択窓は、現在では、50~100m秒(またはさらにそれを下回る)以内に選択され、ECDを使用して解離され、質量分析されることができる。
第2に、それから分析物が明確に分離され得るサンプルを使用することは、より大きい前駆体イオン質量選択窓が、DIA方法において使用されることを可能にし、これは、ひいては、より少ない解離ステップを要求する。例えば、殆どの生物学的分析物は、LCによって明確に分離され得る簡略化された消化物に由来するため、より大きい前駆体イオン質量選択窓(100~200m/zの幅)が、使用され得ることが見出されている。これは、より少ない数の前駆体イオン質量選択窓が使用されることを可能にし、これは、各サイクル時間内のより少ない解離ステップを意味する。言い換えると、あるサンプルに関して、より大きい前駆体イオン質量選択窓が、使用されることができ、これは、これらの窓に対して少なくとも2つの異なる解離技法を実施するために十分な時間を可能にする。
これはまた、第1の解離技法を使用して、着目領域を同定するために、MS/MSモードにおいてデータを照会する可能性を広げる。次いで、同定された着目領域は、第2の解離技法からのデータを処理するために使用される。例えば、グリコペプチドの分析において、具体的グリカン残基のCID MS/MSから計算されたXICが、グリコペプチドの場所を発生させるために使用されることができる。次いで、ECD MS/MSから計算されたXICが、具体的グリコペプチド断片を同定するために使用されることができる。
DIA方法において前駆体イオン質量選択窓に対して少なくとも2つの異なる、または直交解離技法を実施することは、IDA方法において第2の直交解離をトリガすることに優るいくつかの利点を提供する。例えば、ユーザ視点から、DIA方法の設定は、IDA方法よりもはるかに単純である。加えて、上記に説明されるように、IDA方法では、付加的または補足的情報が、本情報が入手可能であり得ることが予測される、ある事例に関してのみ取得される。したがって、補足的情報は、質量範囲全体にわたって入手可能ではない。
対照的に、DIA方法では、両方の解離技法からの補足的情報が、質量範囲全体にわたって入手可能である。結果として、付加的または補足的生成イオン情報のために照会されるべきである質量範囲の他の面積内に前駆体イオンが存在することが、後で見出される場合、別の実験を行ういかなる必要性も、存在しない。すでに収集されたデータが、本情報のために照会されることができる。
(DIAにおける直交解離のためのシステム)
図7は、種々の実施形態による、DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するためのシステム700の概略図である。図7のシステムは、イオン源デバイス710と、タンデム質量分析計720とを含む。
イオン源デバイス710は、サンプルの化合物をイオン化し、イオンビームを生成する。イオン源デバイス710は、限定ではないが、エレクトロスプレーイオン源(ESI)デバイス、大気圧化学イオン化源(APCI)デバイス等の化学イオン化(CI)源デバイス、大気圧光イオン化(APPI)源デバイス、またはマトリクス支援レーザ脱離源(MALDI)デバイスであり得る。例示的実施形態では、イオン源デバイス710は、ESIデバイスである。
タンデム質量分析計720は、質量フィルタデバイス724と、少なくとも2つの異なる解離技法を実施する、1つまたはそれを上回る解離デバイス725と、質量分析器727とを含む。図2に示される例示的実施形態における質量フィルタデバイス724は、Q1四重極である。しかしながら、質量フィルタデバイス724は、イオントラップ等の任意のタイプの質量フィルタであり得る。
図7に示される例示的実施形態における1つまたはそれを上回る解離デバイス725は、図5に示される衝突セルのようなChimera ECDおよびCID衝突セルである。1つまたはそれを上回る解離デバイス725は、したがって、図7に示されるような1つの物理的デバイスである。しかしながら、種々の代替実施形態では、1つまたはそれを上回る解離デバイス725は、2つまたはそれを上回る物理的デバイスを含むことができる。
種々の実施形態では、1つまたはそれを上回る解離デバイス725によって実施される少なくとも2つの異なる解離技法は、電子ベースの解離(ExD)、紫外線光解離(UVPD)、赤外光解離(IRMPD)、および衝突誘起解離(CID)のうちの1つまたはそれを上回るものを含む。
図7に示される例示的実施形態における質量分析器727は、飛行時間(TOF)質量分析器である。しかしながら、質量分析器727は、限定ではないが、四重極、イオントラップ、線形イオントラップ、オービトラップ、またはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析器を含む、任意のタイプの質量分析器であり得る。
タンデム質量分析計720は、イオン源デバイス710からイオンビームを受け取る。タンデム質量分析計720は、イオンビームの規定された前駆体イオン質量/電荷比(m/z)範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第1のセットに分割する。タンデム質量分析計720はまた、イオンビームの前駆体イオンm/z範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第2のセットに分割する。
図8は、種々の実施形態による、DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するためのステップをグラフで描写する、例示的略図800である。図8では、イオンビームの規定された前駆体イオン質量/電荷比(m/z)範囲(500~800m/z)が、3つの前駆体イオン質量選択窓の第1のセット801に分割される。同一の規定された前駆体イオンm/z範囲はまた、3つの前駆体イオン質量選択窓の第2のセット802に分割される。
規定された前駆体イオンm/z範囲は、例えば、特定の実験に関する入手の前に判定される。上記に説明されるように、簡略化された消化物が、使用される場合、従来的DIA方法において使用されるものよりも幅広い前駆体イオン質量選択窓が、使用されることができる。これは、より少ない数の前駆体イオン質量選択窓が使用されることを可能にし、これは、各サイクル時間内のより少ない解離ステップを意味する。
図8に示されるように、第1のセット801および第2のセット802は、実際には、3つの前駆体イオン質量選択窓の同一のセットである。結果として、3つの前駆体イオン質量選択窓の1つのセットのみが、この場合では、実際に使用される。
種々の代替実施形態では、第1のセット801および第2のセット802は、異なる数の前駆体イオン質量選択窓を有することができる。例えば、第1のセット801は、3つの前駆体イオン質量選択窓を有することができるが、第2のセット802は、前駆体イオンm/z範囲500~800m/zに及ぶ、2つのみの前駆体イオン質量選択窓(図示せず)を有してもよい。したがって、第1のセットおよび第2のセットは、異なる数の前駆体イオン質量選択窓を有する。
また、第2のセット802が、2つのみの前駆体イオン質量選択窓を有し、依然として、前駆体イオンm/z範囲500~800m/zに及ぶ場合、その窓は、第1のセット801の窓よりも幅広い必要性がある。したがって、示されない種々の実施形態では、第1のセットの窓は、第2のセットの窓と異なる窓幅を有することができる。
さらに、第2のセット802が、2つのみの前駆体イオン質量選択窓を有し、依然として、前駆体イオンm/z範囲500~800m/zに及ぶ場合、その窓は、第1のセット801の窓と異なるm/z範囲を有する必要性がある。したがって、示されない種々の実施形態では、第1のセットの窓は、第2のセットの窓と異なるm/z範囲を有することができる。
図7に再び目を向けると、規定されたサイクル時間内に、タンデム質量分析計720は、第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を分析する。例えば、タンデム質量分析計720は、質量フィルタデバイス724を使用して、第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択する。タンデム質量分析計720は、1つまたはそれを上回る解離デバイス725を使用して、少なくとも2つの異なる解離技法の第1の解離技法を使用して、第1のセットの各窓を解離する。タンデム質量分析計720は、質量分析器727を使用して、第1のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、第1のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成する。
また、同一のサイクル時間内に、タンデム質量分析計720は、質量フィルタデバイス724を使用して、第2のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択する。タンデム質量分析計720は、1つまたはそれを上回る解離デバイス725を使用して、少なくとも2つの異なる解離技法の第2の解離技法を使用して、第2のセットの各窓を解離する。タンデム質量分析計720は、質量分析器727を使用して、第2のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、第2のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成する。
サイクル時間は、例えば、ユーザによって規定され、入手の前に打ち込まれる。上記に説明されるように、サイクル時間の長さは、典型的には、クロマトグラフィ考慮事項に基づいて限定される。各サイクルは、LCまたはXICピークを横断するデータ点を提供する。結果として、より短いサイクル時間は、LCまたはXICピークを横断するより多くの点を提供する。
図8に再び目を向けると、同一のサイクル時間またはサイクル内に、第1のセット801の各前駆体イオン質量選択窓が、選択され、第1の解離技法を使用して解離され、質量分析され、第1のセット801の窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成する。例えば、サイクル1において、生成イオン強度およびm/z測定値811が、第1のセット801の窓毎に生成される。加えて、同一のサイクル時間またはサイクル内に、第2のセット802の各前駆体イオン質量選択窓が、選択され、第2の解離技法を使用して解離され、質量分析され、第2のセット802の窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成する。サイクル1において、したがって、生成イオン強度およびm/z測定値812もまた、第2のセット802の窓毎に生成される。
図8は、合計で1,000回のサイクルが実施されることを示す。各サイクルにおいて、第1のセット801の各前駆体イオン質量選択窓が、選択され、第1の解離技法を使用して解離され、質量分析され、第1のセット801の窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成する。加えて、各サイクル内で、第2のセット802の各前駆体イオン質量選択窓が、選択され、第2の解離技法を使用して解離され、質量分析され、第2のセット802の窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成する。例えば、サイクル1000において、生成イオン強度およびm/z測定値891が、第1のセット801の窓毎に生成され、生成イオン強度およびm/z測定値892が、第2のセット802の窓毎に生成される。
図8の1,000回のサイクルを横断する測定値は、測定される生成イオンに関するXICピーク(図示せず)をプロットするために使用されることができる。種々の実施形態では、第1のセット801の窓毎の生成イオン強度およびm/z測定値は、サンプルの化合物を同定または定量化するために、第2のセット802の窓毎の生成イオン強度およびm/z測定値とは別個に分析される。言い換えると、2つの異なる解離技法から生成された生成イオンは、別個に、または独立して分析される。
種々の代替実施形態では、第1のセット801の窓毎の生成イオン強度およびm/z測定値は、第2のセット802の窓毎の生成イオン強度およびm/z測定値と組み合わせられ、組み合わせられた測定値は、サンプルの化合物を同定または定量化するために分析される。言い換えると、2つの異なる解離技法から生成された生成イオンは、組み合わせられた測定値から分析される。
図7に再び目を向けると、タンデム質量分析計720はまた、前駆体イオンm/z範囲のMS走査を実施することができる。タンデム質量分析計720はさらに、同一のサイクル時間内に、質量フィルタデバイス724を使用して、前駆体イオンm/z範囲を選択し、1つまたはそれを上回る解離デバイス725を使用して、前駆体イオンm/z範囲の前駆体イオンを質量フィルタデバイス724から質量分析器727に透過させ、質量分析器727を使用して、透過された前駆体イオンを質量分析し、前駆体イオンm/z範囲に関する前駆体イオン強度およびm/z測定値を生成する。駆体イオン強度およびm/z測定値は、生成イオン測定値を特定の前駆体イオンに合致させるために使用される。例えば、上記に説明されるように、生成イオンは、保持時間を使用して、前駆体イオンに合致される。
図6に再び目を向けると、典型的には、1回のMS走査が、前駆体イオンm/z範囲に関する前駆体イオン強度およびm/z測定値を取得するために、各サイクル内で実施される。図6はまた、(ECDを使用する)第2のセットの各窓が、選択、解離、および質量分析される前に、(CID解離を使用する)第1のセットの各窓が、選択、解離、および質量分析されることを示す。示されない種々の代替実施形態では、(CID解離を使用する)第1のセットの第1の窓(例えば、ステップ620の窓)が、選択、解離、および質量分析された後、(CID解離を使用する)第1のセットの第2の窓(例えば、ステップ630の窓)が、選択、解離、および質量分析される前に、(ECDを使用する)第2のセットの少なくとも1つの窓(例えば、ステップ650の窓)は、選択、解離、および質量分析されることができる。
図7に再び目を向けると、種々の実施形態では、1つまたはそれを上回る解離デバイス725は、1つのみの解離デバイスを含み、1つの解離デバイスは、第1の解離技法および第2の解離技法を実施する。示されない種々の実施形態では、1つまたはそれを上回る解離デバイス724は、第1の解離デバイスと、第2の解離デバイスとを含み、第1の解離デバイスは、第1の解離技法を実施し、第2の解離デバイスは、第2の解離技法を実施する。
種々の実施形態では、プロセッサ730は、イオン源デバイス710、タンデム質量分析計720、質量フィルタデバイス724、1つまたはそれを上回る解離デバイス725、および質量分析器727への命令を制御または提供し、収集されたデータを分析するために使用される。プロセッサ730は、例えば、1つまたはそれを上回る電圧、電流、もしくは圧力源(図示せず)を制御することによって、命令を制御または提供する。プロセッサ730は、図7に示されるような別個のデバイスであり得る、もしくはタンデム質量分析計720の1つまたはそれを上回るデバイスのプロセッサもしくはコントローラであり得る。プロセッサ730は、限定ではないが、コントローラ、コンピュータ、マイクロプロセッサ、図1のコンピュータシステム、または制御信号およびデータを送信ならびに受信することが可能な任意のデバイスであり得る。
種々の実施形態では、タンデム質量分析計720はさらに、オリフィスおよびスキマ721と、イオンガイド722と、Q0イオンガイド723とを含むことができる。
(DIAにおける直交解離のための方法)
図9は、種々の実施形態による、DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するための方法900を示す、フローチャートである。
方法900のステップ910において、プロセッサを使用して、イオン源デバイスが、サンプルの化合物をイオン化するように命令される。イオンビームが、生成される。
ステップ920において、プロセッサを使用して、質量フィルタデバイスと、少なくとも2つの異なる解離技法を実施する、1つまたはそれを上回る解離デバイスと、質量分析器とを含む、タンデム質量分析計が、イオン源デバイスからイオンビームを受け取るように命令される。
ステップ930において、プロセッサを使用して、イオンビームの規定された前駆体イオンm/z範囲が、2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第1のセットに分割される。プロセッサを使用して、イオンビームの前駆体イオンm/z範囲がまた、2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第2のセットに分割される。
ステップ940において、プロセッサを使用して、タンデム質量分析計が、規定されたサイクル時間内に、第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を分析するように命令される。タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスを使用して、第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択するように命令される。タンデム質量分析計は、1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される少なくとも2つの異なる解離技法の第1の解離技法を使用して、第1のセットの各窓を解離するように命令される。タンデム質量分析計は、質量分析器を使用して、第1のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析するように命令される。生成イオン強度およびm/z測定値が、第1のセットの窓毎に生成される。
ステップ950において、プロセッサを使用して、タンデム質量分析計が、同一のサイクル時間内に、第2のセットの各前駆体イオン質量選択窓を分析するように命令される。タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスを使用して、第2のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択するように命令される。タンデム質量分析計は、1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される少なくとも2つの異なる解離技法の第2の解離技法を使用して、第2のセットの各窓を解離するように命令される。タンデム質量分析計は、同一のサイクル時間内に、プロセッサを使用して、質量分析器を使用して、第2のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析するように命令される。生成イオン強度およびm/z測定値が、第2のセットの窓毎に生成される。
(DIAにおける直交解離のためのコンピュータプログラム製品)
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品が、そのコンテンツが、DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するための方法を実施するように、プロセッサ上で実行される命令を伴う、プログラムを含む、有形コンピュータ可読記憶媒体を含む。本方法は、1つまたはそれを上回る明確に異なるソフトウェアモジュールを含む、システムによって実施される。
図10は、種々の実施形態による、DIA質量分析実験の各サイクルにおいて少なくとも2つの異なる解離技法を実施するための方法を実施する、1つまたはそれを上回る明確に異なるソフトウェアモジュールを含む、システム1000の概略図である。システム1000は、制御モジュール1010と、分析モジュール1020とを含む。
制御モジュール1010は、サンプルの化合物をイオン化し、イオンビームを生成するようにイオン源デバイスに命令する。制御モジュール1010は、イオン源デバイスからイオンビームを受け取るように、質量フィルタデバイスと、少なくとも2つの異なる解離技法を実施する、1つまたはそれを上回る解離デバイスと、質量分析器とを含む、タンデム質量分析計に命令する。
分析モジュール1020は、イオンビームの規定された前駆体イオンm/z範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第1のセットに分割する。分析モジュール1020は、イオンビームの前駆体イオンm/z範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第2のセットに分割する。
制御モジュール1010は、規定されたサイクル時間内に、第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を分析するようにタンデム質量分析計に命令する。タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスを使用して、第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択するように命令される。タンデム質量分析計は、1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される少なくとも2つの異なる解離技法の第1の解離技法を使用して、第1のセットの各窓を解離するように命令される。タンデム質量分析計は、質量分析器を使用して、第1のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析するように命令される。生成イオン強度およびm/z測定値が、第1のセットの窓毎に生成される。
制御モジュール1010は、同一のサイクル時間内に、第2のセットの各前駆体イオン質量選択窓を分析するようにタンデム質量分析計に命令する。タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスを使用して、第2のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択するように命令される。タンデム質量分析計は、1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される少なくとも2つの異なる解離技法の第2の解離技法を使用して、第2のセットの各窓を解離するように命令される。タンデム質量分析計は、同一のサイクル時間内に、質量分析器を使用して、第2のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析するように命令される。生成イオン強度およびm/z測定値が、第2のセットの窓毎に生成される。
本教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本教示がそのような実施形態に限定されることは意図されない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替案、修正、および均等物を包含する。
さらに、種々の実施形態の説明において、本明細書は、ステップの特定のシーケンスとして、方法および/またはプロセスを提示し得る。しかしながら、方法またはプロセスが、本明細書に記載されるステップの特定の順序に依拠しないという点において、方法またはプロセスは、説明されるステップの特定のシーケンスに限定されるべきではない。当業者が理解するであろうように、ステップの他のシーケンスも可能であり得る。したがって、本明細書に記載されるステップの特定の順序は、請求項に関する限定として解釈されるべきではない。加えて、方法および/またはプロセスを対象とする請求項は、それらのステップの実施を書かれた順序に制限されるべきではなく、当業者は、シーケンスが、変動され得、依然として、種々の実施形態の精神および範囲内に留まることを容易に理解することができる。

Claims (15)

  1. データ非依存性入手(DIA)質量分析実験において少なくとも2つの異なる解離技法を実施するためのシステムであって、
    サンプルの化合物をイオン化し、イオンビームを生成するイオン源デバイスと、
    タンデム質量分析計であって、前記タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスと、少なくとも2つの異なる解離技法を実施する1つまたはそれを上回る解離デバイスと、質量分析器とを含み、前記タンデム質量分析計は、前記イオン源デバイスから前記イオンビームを受け取り、
    前記イオンビームの規定された前駆体イオン質量/電荷比(m/z)範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第1のセットに分割し、前記イオンビームの前駆体イオンm/z範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第2のセットに分割することと、
    規定されたサイクル時間内に、前記質量フィルタデバイスを使用して、前記第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択し、前記1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される前記少なくとも2つの異なる解離技法の第1の解離技法を使用して、前記第1のセットの各窓を解離し、前記質量分析器を使用して、前記第1のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、前記第1のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成することと、
    前記サイクル時間内に、前記質量フィルタデバイスを使用して、前記第2のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択し、前記1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される前記少なくとも2つの異なる解離技法の第2の解離技法を使用して、前記第2のセットの各窓を解離し、前記質量分析器を使用して、前記第2のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、前記第2のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成することと
    を行う、タンデム質量分析計と
    を備える、システム。
  2. 前記タンデム質量分析計はさらに、前記サイクル時間内に、前記質量フィルタデバイスを使用して、前記前駆体イオンm/z範囲を選択し、前記1つまたはそれを上回る解離デバイスを使用して、前記前駆体イオンm/z範囲の前駆体イオンを前記質量フィルタデバイスから前記質量分析器に透過させ、前記質量分析器を使用して、前記透過された前駆体イオンを質量分析し、前記前駆体イオンm/z範囲に関する前駆体イオン強度およびm/z測定値を生成する、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記第1のセットおよび前記第2のセットは、同一のセットである、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記第1のセットおよび前記第2のセットは、異なる数の前駆体イオン質量選択窓を有する、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記第1のセットの窓は、前記第2のセットの窓と異なる窓幅を有する、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記第1のセットの窓は、前記第2のセットの窓と異なるm/z範囲を有する、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記第2のセットの各窓が、選択、解離、および質量分析される前に、前記第1のセットの各窓は、選択、解離、および質量分析される、請求項1に記載のシステム。
  8. 前記第1のセットの第1の窓が、選択、解離、および質量分析された後、前記第1のセットの第2の窓が、選択、解離、および質量分析される前に、前記第2のセットの少なくとも1つの窓は、選択、解離、および質量分析される、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記少なくとも2つの異なる解離技法は、電子ベースの解離(ExD)、紫外線光解離(UVPD)、赤外光解離(IRMPD)、および衝突誘起解離(CID)のうちの1つまたはそれを上回るものを含む、請求項1に記載のシステム。
  10. 前記1つまたはそれを上回る解離デバイスは、1つの解離デバイスを備え、前記1つの解離デバイスは、前記第1の解離技法および前記第2の解離技法を実施する、請求項1に記載のシステム。
  11. 前記1つまたはそれを上回る解離デバイスは、第1の解離デバイスと、第2の解離デバイスとを備え、前記第1の解離デバイスは、前記第1の解離技法を実施し、前記第2の解離デバイスは、前記第2の解離技法を実施する、請求項1に記載のシステム。
  12. 前記第1のセットの窓毎の前記生成イオン強度およびm/z測定値は、前記サンプルの化合物を同定または定量化するために、前記第2のセットの窓毎の前記生成イオン強度およびm/z測定値とは別個に分析される、請求項1に記載のシステム。
  13. 前記第1のセットの窓毎の前記生成イオン強度およびm/z測定値は、前記第2のセットの窓毎の前記生成イオン強度およびm/z測定値と組み合わせられ、前記組み合わせられた測定値は、前記サンプルの化合物を同定または定量化するために分析される、請求項1に記載のシステム。
  14. データ非依存性入手(DIA)質量分析実験において少なくとも2つの異なる解離技法を実施するための方法であって、
    プロセッサを使用して、サンプルの化合物をイオン化し、イオンビームを生成するようにイオン源デバイスに命令することと、
    前記プロセッサを使用して、前記イオン源デバイスから前記イオンビームを受け取るように、タンデム質量分析計に命令することであって、前記タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスと、少なくとも2つの異なる解離技法を実施する1つまたはそれを上回る解離デバイスと、質量分析器とを含む、ことと、
    前記プロセッサを使用して、前記イオンビームの規定された前駆体イオン質量/電荷比(m/z)範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第1のセットに分割し、前記イオンビームの前駆体イオンm/z範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第2のセットに分割することと、
    前記プロセッサを使用して、規定されたサイクル時間内に、前記質量フィルタデバイスを使用して、前記第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択し、前記1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される前記少なくとも2つの異なる解離技法の第1の解離技法を使用して、前記第1のセットの各窓を解離し、前記質量分析器を使用して、前記第1のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、前記第1のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成するように前記タンデム質量分析計に命令することと、
    前記プロセッサを使用して、前記サイクル時間内に、前記質量フィルタデバイスを使用して、前記第2のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択し、前記1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される前記少なくとも2つの異なる解離技法の第2の解離技法を使用して、前記第2のセットの各窓を解離し、前記質量分析器を使用して、前記第2のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、前記第2のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成するように前記タンデム質量分析計に命令することと
    を含む、方法。
  15. 非一過性かつ有形コンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記非一過性かつ有形コンピュータ可読記憶媒体のコンテンツは、命令を伴うプログラムを含み、前記命令は、データ非依存性入手(DIA)質量分析実験において少なくとも2つの異なる解離技法を実施するための方法を実施するように、プロセッサ上で実行され、前記方法は、
    システムを提供することであって、前記システムは、1つまたはそれを上回る明確に異なるソフトウェアモジュールを備え、前記明確に異なるソフトウェアモジュールは、制御モジュールと、分析モジュールとを備える、ことと、
    前記制御モジュールを使用して、サンプルの化合物をイオン化し、イオンビームを生成するようにイオン源デバイスに命令することと、
    前記制御モジュールを使用して、前記イオン源デバイスから前記イオンビームを受け取るように、タンデム質量分析計に命令することであって、前記タンデム質量分析計は、質量フィルタデバイスと、少なくとも2つの異なる解離技法を実施する1つまたはそれを上回る解離デバイスと、質量分析器とを含む、ことと、
    前記分析モジュールを使用して、前記イオンビームの規定された前駆体イオン質量/電荷比(m/z)範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第1のセットに分割し、前記イオンビームの前駆体イオンm/z範囲を2つまたはそれを上回る前駆体イオン質量選択窓の第2のセットに分割することと、
    前記制御モジュールを使用して、規定されたサイクル時間内に、前記質量フィルタデバイスを使用して、前記第1のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択し、前記1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される前記少なくとも2つの異なる解離技法の第1の解離技法を使用して、前記第1のセットの各窓を解離し、前記質量分析器を使用して、前記第1のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、前記第1のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成するように前記タンデム質量分析計に命令することと、
    前記制御モジュールを使用して、前記サイクル時間内に、前記質量フィルタデバイスを使用して、前記第2のセットの各前駆体イオン質量選択窓を選択し、前記1つまたはそれを上回る解離デバイスによって実施される前記少なくとも2つの異なる解離技法の第2の解離技法を使用して、前記第2のセットの各窓を解離し、前記質量分析器を使用して、前記第2のセットの各窓の解離から発生された生成イオンを質量分析し、前記第2のセットの窓毎に生成イオン強度およびm/z測定値を生成するように前記タンデム質量分析計に命令することと
    を含む、コンピュータプログラム製品。
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