JP2023501651A - ポリヌクレオチドの高効率テンプレートなしの酵素的合成 - Google Patents
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Abstract
本発明は、異なる末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアントを使用して、異なる3’-O-可逆的ブロックデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を成長鎖に組み込む、ポリヌクレオチドの酵素的テンプレートなしの合成のための組成物及び方法に関する。部分的には、本発明は、4つの3’-O-可逆的ブロックdNTPを全て組み込むために使用される単一の「汎用」TdTバリアントよりも高い効率で特定のdNTPを優先的に組み込むために異なるTdTバリアントを設計することができるという認識及び理解である。【選択図】なし
Description
背景
[0001] 広範囲の長さの所定の配列の高度に精製された安価なポリヌクレオチドの使用は、ゲノム及び診断配列決定、多重核酸増幅、治療用抗体の開発、合成生物学、核酸ベースの治療薬、DNAオリガミ、DNAベースのデータ記憶などを含む多くの技術の中核を成している。最近、化学ベースの合成方法を、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)など、その酵素の証明された効率と穏やかな非毒性反応条件の利点のために、テンプレートなしのポリメラーゼ(template-free polymerase)を使用する酵素ベースの方法で補うか又は置き換えることに関心が集まっている(例えば、Ybert et al,国際特許公開WO2015/159023;Hiatt et al,米国特許5763594;Jensen et al,Biochemistry,57:1821-1832(2018)など)。酵素ベースの合成におけるほとんどのアプローチは、ポリヌクレオチド生成物において所望の配列を得るために、可逆的にブロックされたヌクレオシド三リン酸の使用を必要とする。残念ながら、天然のTdTは、修飾されていないヌクレオシド三リン酸と比較して、このような修飾されたヌクレオシド三リン酸の組み込み効率が低い。したがって、多くの研究が、修飾されたヌクレオシド三リン酸のより良好な組み込み効率を有する新規TdTバリアントを開発することに向けられてきた。例えば、Champion et al,米国特許公開US2019/0211315;Ybert et al,国際特許公開WO2017/216472など。
[0001] 広範囲の長さの所定の配列の高度に精製された安価なポリヌクレオチドの使用は、ゲノム及び診断配列決定、多重核酸増幅、治療用抗体の開発、合成生物学、核酸ベースの治療薬、DNAオリガミ、DNAベースのデータ記憶などを含む多くの技術の中核を成している。最近、化学ベースの合成方法を、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)など、その酵素の証明された効率と穏やかな非毒性反応条件の利点のために、テンプレートなしのポリメラーゼ(template-free polymerase)を使用する酵素ベースの方法で補うか又は置き換えることに関心が集まっている(例えば、Ybert et al,国際特許公開WO2015/159023;Hiatt et al,米国特許5763594;Jensen et al,Biochemistry,57:1821-1832(2018)など)。酵素ベースの合成におけるほとんどのアプローチは、ポリヌクレオチド生成物において所望の配列を得るために、可逆的にブロックされたヌクレオシド三リン酸の使用を必要とする。残念ながら、天然のTdTは、修飾されていないヌクレオシド三リン酸と比較して、このような修飾されたヌクレオシド三リン酸の組み込み効率が低い。したがって、多くの研究が、修飾されたヌクレオシド三リン酸のより良好な組み込み効率を有する新規TdTバリアントを開発することに向けられてきた。例えば、Champion et al,米国特許公開US2019/0211315;Ybert et al,国際特許公開WO2017/216472など。
[0002] 上記を考慮して、可逆的にブロックされたヌクレオシド三リン酸の組み込みを改善するために、新規TdTバリアントのような新規テンプレートなしのポリメラーゼとその使用方法が利用できれば、テンプレートなしの酵素ベースのポリヌクレオチド合成の分野は進歩するであろう。
[0003] 本発明は、ポリヌクレオチドのテンプレートなしの酵素的合成のための方法、組成物及びキットであって、(i)異なる種類の可逆的にブロックされたヌクレオシド三リン酸が組み込まれている場合、及び(ii)所望の生成物のポリヌクレオチド中間体における異なる二次構造(例えば、ヘアピン、クロスストランドハイブリッド、イントラストランドハイブリッド、Gカルテットなど)の存在下を含む、異なる反応環境下でヌクレオシド三リン酸を組み込む際の効率の向上を示す末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアントを含む、ポリヌクレオチドのテンプレートなしの酵素的合成のための方法、組成物及びキットに関する。より具体的には、本発明は部分的には、異なるTdTバリアントを設計して、異なる種類の3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸を異なる効率で組み込むことができ、且つこのような効率の違いを使用して、同じプロセスにおいて、異なる種類の3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸又は3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸のサブセットを用いて、異なるTdTバリアントを使用することにより、全体的な合成効率を向上させることができるという認識及び理解である。同様に、本発明は、ポリヌクレオチド中間体に形成され得る異なる二次構造の存在下で、異なるTdTバリアントが3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸を組み込むように設計され得るという認識及び理解である。
[0004] いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸と少なくとも90パーセント同一であり、配列番号1に関して以下の置換:A17V+L52F+G57E+M63R+A108V+K147R+C173G+R207L+M210Q+R325V+E328K+N345E+R351Kを有するアミノ酸配列を含む末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアント(「ACT-TdTバリアント」)であって、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O修飾dATP、dCTP、又はdTTPのそれぞれを、全てのdNTPに対して実質的に等しい組み込み率を示す参照のTdTよりも高い率で、核酸断片の遊離3’-ヒドロキシルに組み込むことができる、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアントを含む組成物に関する。
[0005] いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸と少なくとも90パーセント同一であり、配列番号1に関して以下の置換:A17V+L52F+G57E+M63R+I76V+A108V+C173G+R207L+F259E+Q261R+K265G+R325V+E328N+R351Kを有するアミノ酸配列を含む末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアント(「G-TdTバリアント」)であって、(i)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(ii)3’-O修飾dGTPを、全てのdNTPに対して実質的に等しい組み込み率を示す参照のTdTよりも高い率で、核酸断片の遊離3’-ヒドロキシルに組み込むことができる、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアントを含む組成物に関する。
[0006] いくつかの実施態様では、配列番号2(M27)のTdTバリアントは、例えば、ACT-TdT又はG-TdTバリアントなどの他のTdTバリアントによる組み込み率を評価及び比較するための参照のTdTとして使用される。
[0007] (ii)配列番号1と比較して、A17V+L52F+G57E+M63R+A108V+K147R+C173G+R207L+M210Q+R325V+E328K+N345E+R351Kの置換の組み合わせであることを除いて、配列番号1に記載の全長アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、(iii)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(iv)修飾ヌクレオチドを核酸断片に組み込むことができる末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアントを提供することもまた、本発明の目的である。特定の実施態様では、TdTは、配列番号1と比較して、A17V+Q37E+D41R+L52F+G57E+M63R+S94R+G98E+A108V+S146E+K147R+Q149R+C173G+M184T+R207L+K209H+M210Q+G284L+E289A+R325V+E328K+N345E+R351Kの置換の組み合わせを含む。
[0008] (ii)配列番号1と比較して、A17V+L52F+G57E+M63R+I76V+A108V+C173G+R207L+F259E+Q261R+K265G+R325V+E328N+R351Kの置換の組み合わせであることを除いて、配列番号1に記載の全長アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアントであって、(iii)テンプレートなしで核酸断片を合成することができ、(iv)修飾ヌクレオチドを核酸断片に組み込むことができるTdTバリアントを提供することは、本発明の別の目的である。特定の実施態様では、TdTは、配列番号1と比較して、A17V+Q37E+D41R+L52F+G57E+M63R+I76V+S94R+G98E+A108V+S146E+Q149R+C173G+M184T+R207L+K209H+F259E+Q261R+K265G+G284L+E289A+R325V+E328N+R351Kの置換の組み合わせを含む。
[0009] 一態様では、本発明は、上記のTdTバリアント又は類似のTdTバリアントの組成物を使用して、(a)遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーターを提供する工程;及び(b)(i)伸長条件下で、遊離3’-O-ヒドロキシルを有するイニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアントと接触させ、その結果、イニシエーター又は伸長断片が、3’-O-ブロック化、塩基保護ヌクレオシド三リン酸の組み込みによって伸長されて、3’-O-ブロック伸長断片を形成するサイクルと(ii)伸長断片を脱ブロッキングして、遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片を形成するサイクルを、ポリヌクレオチドが合成されるまで繰り返す工程を含むポリヌクレオチドを合成する方法であって、ここで、第1のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第1のセットの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第2のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第2のセットの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第1のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第2のTdTバリアントよりも高い効率で、第1のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第2のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第1のTdTバリアントよりも高い効率で、第2のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長する、方法に関する。いくつかの実施態様では、ACT-TdTバリアントは第1のTdTバリアントであり、G-TdTバリアントは第2のTdTバリアントである。
[0010] いくつかの実施態様では、第1、第2及び第3のTdTバリアントを使用することができ、これらはそれぞれ、その第1、第2及び第3のセットのそれぞれからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の組み込み率が最も高い。さらに他の実施態様では、第1、第2、第3及び第4のTdTバリアントを使用することができ、これらはそれぞれ、第1、第2、第3、及び第4の3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸のそれぞれに関して、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の組み込み率が最も高い。
[0011] いくつかの実施態様では、第1及び第2;第1、第2、及び第3;又は、第1、第2、第3、及び第4のTdTバリアントを、それぞれのセットの3’O-ブロックdNTPと別々に使用することができ;他の実施態様では、そのようなTdTバリアントは、組み込み及び脱保護の各サイクルにおいて混合物として使用され得る。
[0012] いくつかの実施態様では、本発明は、上記の方法を実施するためのキットであって、第1のTdTバリアント及び第2のTdTバリアントを含み、ここで、(i)第1のTdTバリアントは、第1のセットの3’-O-修飾dNTPを、第2のTdTバリアントよりも高い率でイニシエーター又は伸長断片に組み込み、(ii)第2のTdTバリアントは、第2のセットの3’-O-修飾dNTPを、第1のTdTバリアントよりも高い率でイニシエーター又は伸長断片に組み込み、且つ(iii)dNTPの第1のセットと第2のセットは重複していない、キットに関する。
[0013] いくつかの実施態様では、ACT-TdTバリアントは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90パーセント同一であり、以下の置換:A17V+Q37E+D41R+L52F+G57E+M63R+S94R+G98E+A108V+S146E+K147R+Q149R+C173G+M184T+R207L+K209H+M210Q+G284L+E289A+R325V+E328K+N345E+R351Kを有するTdTを含む。このようなTdTバリアントには、TdTバリアントM55が含まれ、これは、前述の文の置換を条件として、配列番号1のアミノ酸配列と100パーセント同一である。さらなる実施態様では、ACT-TdTバリアントは、突然変異Q4Eを有する配列番号15(M55-1)、配列番号16(M55-2)を含む。
[0014] いくつかの実施態様では、G-TdTバリアントは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90パーセント同一であり、以下の置換:A17V+Q37E+D41R+L52F+G57E+M63R+I76V+S94R+G98E+A108V+S146E+Q149R+C173G+M184T+R207L+K209H+F259E+Q261R+K265G+G284L+E289A+R325V+E328N+R351Kを有するTdTを含む。このようなTdTバリアントには、TdTバリアントM56が含まれ、これは、前述の文の置換を条件として、配列番号1のアミノ酸配列と100パーセント同一である。さらなる実施態様では、G-TdTバリアントは、突然変異Q4Eを有する、配列番号9(M33)、配列番号10(M33-1)、配列番号11(M33-2)、突然変異Q4Eを有する、配列番号13(M56-1)及び配列番号14(M56-2)を含む。
[0015] いくつかの実施態様では、上記のパーセント同一性値は、示された配列番号と少なくとも80パーセントの同一性である。いくつかの実施態様では、上記のパーセント同一性値は、示された配列番号と少なくとも90パーセントの同一性である。いくつかの実施態様では、上記のパーセント同一性値は、示された配列番号と少なくとも95パーセントの同一性である。いくつかの実施態様では、上記のパーセント同一性値は、少なくとも97パーセントの同一性である。いくつかの実施態様では、上記のパーセント同一性値は、少なくとも98パーセントの同一性である。いくつかの実施態様では、上記のパーセント同一性値は、少なくとも99パーセントの同一性である。
[0016] (ii)に関して、そのような3’-O-修飾ヌクレオチドは、3’-O-NH2-ヌクレオシド三リン酸、3’-O-アジドメチル-ヌクレオシド三リン酸、3’-O-アリル-ヌクレオシド三リン酸、3’O-(2-ニトロベンジル)-ヌクレオシド三リン酸、又は3’-O-プロパルギル-ヌクレオシド三リン酸を含み得る。
[0018] 本発明は様々な修正及び代替形態に従うことができるが、その詳細は例として図面に示され、詳細に説明される。意図することは、本発明を記載された特定の実施態様に限定することではないことを理解されたい。本発明の精神及び範囲内にある全ての修正、均等物、及び代替物を網羅することが意図されている。本発明の態様に関する指針は、当業者に周知の多数の利用可能な参考文献及び論文(例えば、Sambrook et al.(1989),Molecular cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratoryなどが含まれる)に見出される。
[0019] 本発明は、全体的な合成効率を高めるために、異なる反応環境下で高められたdNTP組み込み効率を有する異なるTdTバリアントを使用して、所定の配列を有するポリヌクレオチドを酵素的に合成するための方法及びキットに関する。いくつかの実施態様では、異なるTdTバリアントは、そのようなTdTバリアントが最大の組み込み効率を提供する反応環境(例えば、組み込まれる3’-O-ブロックdNTPのタイプ)を提示する異なる合成サイクル工程において別々に使用される。他の実施態様では、異なるTdTバリアントは、TdTバリアントが最大の組み込み効率を提供する反応混合物中に常に存在するが、カップリング反応を実施するために存在する他のTdTバリアントとも競合しなければならないように、混合物として使用される。後者のタイプのいくつかの実施態様では、混合物中のTdTバリアントの比率は、合成される標的ポリヌクレオチドの所定の又は予想されるヌクレオチド組成に対してポリヌクレオチド合成時間を最小化するように選択される。いくつかの実施態様では、そのような所定のヌクレオチド組成は、A:C:G:T=1:1:1:1:1である。
[0020] いくつかの実施態様では、本発明の方法は、a)遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーターを提供する工程;及びb)(i)伸長条件下で、遊離3’-O-ヒドロキシルを有するイニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアントと接触させ、その結果、イニシエーター又は伸長断片が、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の組み込みによって伸長されて、3’-O-ブロック伸長断片を形成するサイクルと(ii)伸長断片を脱ブロッキングして、遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片を形成するサイクルを、ポリヌクレオチドが合成されるまで繰り返す工程であって、ここで、第1のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第1のセットから選択される3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第1のTdTバリアントとは異なる第2のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第2のセットから選択される3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第1のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第2のTdTバリアントよりも高い効率で、第1のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第2のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第1のTdTバリアントよりも高い効率で、第2のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長する、工程を用いて実行される。
[0021] 他の実施態様では、本発明の方法は、a)遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーターを提供する工程;及びb)(i)伸長条件下で、遊離3’-O-ヒドロキシルを有するイニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸及びTdT混合物と接触させ、その結果、イニシエーター又は伸長断片が、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の組み込みによって伸長されて、3’-O-ブロック伸長断片を形成するサイクルと(ii)伸長断片を脱ブロッキングして、遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片を形成するサイクルを、ポリヌクレオチドが合成されるまで繰り返す工程であって、ここで、TdT混合物は、イニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第1のセットから選択される3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長する第1のTdTバリアントと、イニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第2のセットから選択される3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長する、第1のTdTバリアントとは異なる第2のTdTバリアントとを含み、第1のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第2のTdTバリアントよりも高い効率で、第1のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第2のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第1のTdTバリアントよりも高い効率で、第2のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長する、工程を用いて実行される。いくつかの実施態様では、TdT混合物は、所定の生成物収率で所望のポリヌクレオチドを合成するための時間を最小化する比率で、第1のTdTバリアント及び第2のTdTバリアントを含む。
TdTバリアント
[0022] 上記の本発明のTdTバリアントはそれぞれ、示された置換の存在を条件として、特定の配列番号とのパーセント配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、このように記載された本発明のTdTバリアントと特定の配列番号との間の配列の違いの数及びタイプは、置換、欠失及び/又は挿入に起因し得、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸は、任意のアミノ酸を含み得る。いくつかの実施態様では、そのような欠失、置換、及び/又は挿入は、天然に存在するアミノ酸のみを含む。いくつかの実施態様では、Grantham,Science,185:862-864(1974)に記載されているように、置換は、保存的又は同義のアミノ酸変化のみを含む。つまり、アミノ酸の置換は、その同義アミノ酸のセットのメンバー間でしか起こり得ない。いくつかの実施態様では、使用され得る同義アミノ酸のセットが表1Aに示されている。
表1A:アミノ酸の同義セットI
いくつかの実施態様では、使用され得る同義アミノ酸のセットが表1Bに示されている。
表1B:アミノ酸の同義セットII
[0022] 上記の本発明のTdTバリアントはそれぞれ、示された置換の存在を条件として、特定の配列番号とのパーセント配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、このように記載された本発明のTdTバリアントと特定の配列番号との間の配列の違いの数及びタイプは、置換、欠失及び/又は挿入に起因し得、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸は、任意のアミノ酸を含み得る。いくつかの実施態様では、そのような欠失、置換、及び/又は挿入は、天然に存在するアミノ酸のみを含む。いくつかの実施態様では、Grantham,Science,185:862-864(1974)に記載されているように、置換は、保存的又は同義のアミノ酸変化のみを含む。つまり、アミノ酸の置換は、その同義アミノ酸のセットのメンバー間でしか起こり得ない。いくつかの実施態様では、使用され得る同義アミノ酸のセットが表1Aに示されている。
表1A:アミノ酸の同義セットI
いくつかの実施態様では、使用され得る同義アミノ酸のセットが表1Bに示されている。
表1B:アミノ酸の同義セットII
ヌクレオチド組み込み活性の測定
[0023] 本発明のバリアントによるヌクレオチド組み込みの効率は、例えば、Boule et al(以下に引用);Bentolila et al(以下に引用);及びHiatt et al,米国特許第5808045(後者は、本明細書中で参考として援用される)に記載の伸長(extension)、又は伸長(elongation)アッセイによって測定され得る。簡潔に言えば、そのようなアッセイの一形態において、遊離3’-ヒドロキシルを有する蛍光標識したオリゴヌクレオチドを、TdT伸長条件下にて可逆的にブロックされたヌクレオシド三リン酸の存在下で所定の期間にわたって試験されるべきバリアントTdTと反応させ、その後に伸長反応を停止させ、伸長生成物及び非伸長イニシエーターオリゴヌクレオチドの量をゲル電気泳動による分離後に定量する。そのようなアッセイにより、バリアントTdTの組み込み効率は、他のバリアントの効率又は野生型若しくは参照TdT若しくは他のポリメラーゼの効率と容易に比較され得る。いくつかの実施態様では、バリアントTdT効率の尺度は、等価なアッセイにおいて、野生型TdTを使用する伸長生成物の量に対する、バリアントTdTを使用する伸長生成物の量の比(パーセンテージとして与えられる)であり得る。
[0023] 本発明のバリアントによるヌクレオチド組み込みの効率は、例えば、Boule et al(以下に引用);Bentolila et al(以下に引用);及びHiatt et al,米国特許第5808045(後者は、本明細書中で参考として援用される)に記載の伸長(extension)、又は伸長(elongation)アッセイによって測定され得る。簡潔に言えば、そのようなアッセイの一形態において、遊離3’-ヒドロキシルを有する蛍光標識したオリゴヌクレオチドを、TdT伸長条件下にて可逆的にブロックされたヌクレオシド三リン酸の存在下で所定の期間にわたって試験されるべきバリアントTdTと反応させ、その後に伸長反応を停止させ、伸長生成物及び非伸長イニシエーターオリゴヌクレオチドの量をゲル電気泳動による分離後に定量する。そのようなアッセイにより、バリアントTdTの組み込み効率は、他のバリアントの効率又は野生型若しくは参照TdT若しくは他のポリメラーゼの効率と容易に比較され得る。いくつかの実施態様では、バリアントTdT効率の尺度は、等価なアッセイにおいて、野生型TdTを使用する伸長生成物の量に対する、バリアントTdTを使用する伸長生成物の量の比(パーセンテージとして与えられる)であり得る。
[0024] いくつかの実施態様では、以下の特定の伸長アッセイを使用して、TdTの組み込み効率を測定することができる。使用されるプライマーは以下である:
5’-AAAAAAAAAAAAAAGGGG-3’(配列番号3)
また、プライマーは、5’末端にATTO蛍光色素を有する。使用される代表的な修飾ヌクレオチド(表2中にdNTPとして示す)には、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシヌクレオチド-5’-三リン酸(ONH2、Firebird Biosciences)(3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸など)が含まれる。試験した各々の異なるバリアントについて、1つの管を反応のために使用する。試薬を、水から開始し、次いで、表2の順序で管に添加した。37℃で30分後、ホルムアミド(Sigma)の添加によって反応を停止させる。
表2:伸長活性アッセイ試薬
活性緩衝液は、例えば、CoCl2を補充したTdT反応緩衝液(New England Biolabsから入手可能)を含む。
5’-AAAAAAAAAAAAAAGGGG-3’(配列番号3)
また、プライマーは、5’末端にATTO蛍光色素を有する。使用される代表的な修飾ヌクレオチド(表2中にdNTPとして示す)には、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシヌクレオチド-5’-三リン酸(ONH2、Firebird Biosciences)(3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸など)が含まれる。試験した各々の異なるバリアントについて、1つの管を反応のために使用する。試薬を、水から開始し、次いで、表2の順序で管に添加した。37℃で30分後、ホルムアミド(Sigma)の添加によって反応を停止させる。
表2:伸長活性アッセイ試薬
活性緩衝液は、例えば、CoCl2を補充したTdT反応緩衝液(New England Biolabsから入手可能)を含む。
[0025] アッセイの生成物を、従来のポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析する。例えば、上記のアッセイ生成物は、16パーセントポリアクリルアミド変性ゲル(Bio-Rad)において分析することができる。ゲルは、分析の直前にガラスプレートの内側にポリアクリルアミドを注ぎ、それを重合させることによって作られる。ガラスプレート内側のゲルを、電気泳動工程のためのTBE緩衝液(Sigma)を満たした適合タンク上にマウントした。分析する試料を、ゲルの上部にロードする。ゲルの上部と下部との間に500~2,000Vの電圧を室温で3~6時間印加する。分離後、ゲルの蛍光を、例えば、Typhoonスキャナ(GE Life Sciences)を使用してスキャンする。ゲル画像を、ImageJソフトウェア(imagej.nih.gov/ij/)又はそれに同等のものを使用して分析し、修飾ヌクレオチドの組み込みのパーセンテージを計算する。
[0026] ヘアピン完了アッセイ。一態様では、本発明は、ポリヌクレオチド(すなわち、「試験ポリヌクレオチド」)の3’末端にdNTPを組み込む、TdTバリアントなどのポリメラーゼの能力を測定する方法を含む。そのような方法の1つは、試験ポリヌクレオチドは実質的に一本鎖のみであるが、TdTバリアントなどのポリメラーゼを用いて伸長させると、一本鎖ループ及び二本鎖ステムを含む安定なヘアピン構造を形成する反応条件下で、試験ポリヌクレオチドに遊離3’ヒドロキシルを供給する工程を含み、それにより、二本鎖ポリヌクレオチドの存在によって3’末端の伸長の検出を可能にする。二本鎖構造は、二本鎖構造への挿入時に優先的に蛍光を発する蛍光色素、伸長したポリヌクレオチド上のアクセプター(又はドナー)と新規に形成されたヘアピンステムと三重鎖を形成するオリゴヌクレオチド上のドナー(又はアクセプター)との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、FRETアクセプター及びドナーであって、これらの両方が試験ポリヌクレオチドに結合しており、この試験ポリヌクレオチドがヘアピンの形成時にFRET近傍に至る、FRETアクセプター及びドナーなどが含まれるがこれらに限定されない様々な方法で検出することができる。いくつかの実施態様では、単一のヌクレオチドによる伸長後の試験ポリヌクレオチドのステム部分は、4~6塩基対長の範囲であり;他の実施態様では、そのようなステム部分は4~5塩基対長であり;さらに他の実施態様では、そのようなステム部分は4塩基対長である。いくつかの実施態様では、試験ポリヌクレオチドの長さは、10~20ヌクレオチドの範囲であり;他の実施態様では、試験ポリヌクレオチドの長さは、12~15ヌクレオチドの範囲である。いくつかの実施態様では、伸長していないステムと伸長したステムとの間の融解温度の差を最大にするヌクレオチドを用いて試験ポリヌクレオチドを伸長させることが有利であるか都合がよく;したがって、いくつかの実施態様では、試験ポリヌクレオチドは、dC又はdGを用いて伸長される(したがって、試験ポリヌクレオチドは、ステム形成に適切な相補的ヌクレオチドを有するように選択される)。
[0027] ヘアピン完了アッセイのための例示的な試験ポリヌクレオチドには、dGTPを用いた伸長によって完了するp875(5’-CAGTTAAAAACT)(配列番号4);dCTPを用いた伸長によって完了するp876(5’-GAGTTAAAACT)(配列番号5);及びdGTPを用いた伸長によって完了するp877(5’-CAGCAAGGCT)(配列番号6)が含まれる。そのような試験ポリヌクレオチドのための例示的な反応条件は、以下を含み得る:2.5~5μMの試験ポリヌクレオチド、GelRed(登録商標)(Biotium,Inc.,Fremont,CAの挿入色素)の1:4000希釈物、200mMカコジレートKOH(pH6.8)、1mM CoCl2、0~20%のDMSO、並びに所望の濃度の3’ONH2 dGTP及びTdT。ヘアピンの完了は、360nmに設定した励起フィルターセット及び635nmに設定した発光フィルターセットを使用した反応温度28~38℃での従来の蛍光光度計(TECANリーダーなど)を使用したGelRed(登録商標)色素の蛍光の増加によって監視され得る。
[0028] 本発明のこの態様のいくつかの実施態様では、TdTバリアントは、以下の工程によってヌクレオシド三リン酸をテンプレートなしの組み込みのためのそれらの能力について試験され得る:(a)遊離3’-ヒドロキシルを有する試験ポリヌクレオチド、TdTバリアント、及びヌクレオシド三リン酸を、試験ポリヌクレオチドは一本鎖であるが、ヌクレオシド三リン酸を組み込むと、二本鎖ステム領域を有するヘアピンを形成する条件下で組み合わせる工程、及び(b)TdTバリアントがヌクレオシド三リン酸を組み込む能力の尺度として、二本鎖ステム領域の形成量を検出する工程。いくつかの実施態様では、ヌクレオシド三リン酸は、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸である。
テンプレートなしの酵素的合成
[0029] ポリヌクレオチドのテンプレートなしの酵素的合成を、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)などのテンプレートなしのポリメラーゼ(3’-O-ブロックデオキシヌクレオシド三リン酸(3’-O-ブロックdNTP)の組み込みにおいてより優れた温度安定性又はより高い効率などの改善された特性を有するように設計されたそのバリアントを含む)を使用した様々な既知のプロトコールによって行うことができる(例えば、Ybert et al,国際特許公開WO/2015/159023号;Ybert et al,国際特許公開WO/2017/216472号;Hyman,米国特許第5436143;Hiatt et al,米国特許第5763594;Jensen et al,Biochemistry,57:1821-1832(2018);Mathews et al,Organic&Biomolecular Chemistry,DOI:0.1039/c6ob01371f(2016);Schmitz et al,Organic Lett.,1(11):1729-1731(1999))。
[0029] ポリヌクレオチドのテンプレートなしの酵素的合成を、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)などのテンプレートなしのポリメラーゼ(3’-O-ブロックデオキシヌクレオシド三リン酸(3’-O-ブロックdNTP)の組み込みにおいてより優れた温度安定性又はより高い効率などの改善された特性を有するように設計されたそのバリアントを含む)を使用した様々な既知のプロトコールによって行うことができる(例えば、Ybert et al,国際特許公開WO/2015/159023号;Ybert et al,国際特許公開WO/2017/216472号;Hyman,米国特許第5436143;Hiatt et al,米国特許第5763594;Jensen et al,Biochemistry,57:1821-1832(2018);Mathews et al,Organic&Biomolecular Chemistry,DOI:0.1039/c6ob01371f(2016);Schmitz et al,Organic Lett.,1(11):1729-1731(1999))。
[0030] いくつかの実施態様では、酵素DNA合成方法は、図1に示されるように、所定のヌクレオチドが各サイクルにおいて添加される、工程のサイクルの反復を含む。例えば、遊離3’-ヒドロキシル基(103)を有する、固体支持体(102)に結合したイニシエーターポリヌクレオチド(100)を提供する。イニシエーターポリヌクレオチド(100)(又は後続のサイクルの伸長イニシエーターポリヌクレオチド)に、イニシエーターポリヌクレオチド(100)(又は伸長イニシエーターポリヌクレオチド)の3’末端への3’-O-保護dNTPの酵素的組み込みに有効な条件下(104)で、3’-O-保護dNTP及びTdTバリアントを添加する。この反応により、3’-ヒドロキシルが保護された伸長イニシエーターポリヌクレオチドが産生される(106)。伸長したイニシエーターポリヌクレオチドが競合配列を含む場合、3’-O-保護基が除去又は脱保護され、元のイニシエーターポリヌクレオチドから所望の配列が切断される。このような切断は、様々な一本鎖切断技術のいずれかを使用して、例えば、元のイニシエーターポリヌクレオチド内の所定の位置に切断可能なヌクレオチドを挿入することによって実施することができる。例示的な切断可能なヌクレオチドは、ウラシルDNAグリコシラーゼによって切断されるウラシルヌクレオチドであり得る。伸長したイニシエーターポリヌクレオチドが完了した配列を含まない場合、3’-O-保護基が除去されて遊離3’-ヒドロキシル(103)が露出し、伸長したイニシエーターポリヌクレオチドがヌクレオチドの付加と脱保護の別のサイクルに供される。
[0031]本明細書で使用される場合、ヌクレオチド又はヌクレオシドの3’-ヒドロキシルなどの特定の基に関して「保護された」及び「ブロックされた」という用語は、交換可能に使用され、部分が指定された基に共有結合し、化学的又は酵素的プロセス中に基に対する化学的変化を防ぐことを意味することを意図している。指定された基がヌクレオシド三リン酸の3’-ヒドロキシル、又は3’-保護(又はブロック)-ヌクレオシド三リン酸が組み込まれた伸長断片(又は「伸長中間体」)である場合は常に、阻止される化学変化は、酵素的カップリング反応による伸長断片(又は「伸長中間体」)のさらなる、又は後続の伸長である。
[0032] いくつかの実施態様では、ヌクレオチドの順序付けられた配列は、各合成工程において3’-O-可逆的ブロックdNTPの存在下でTdTを使用してイニシエーター核酸にカップリングされる。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドを合成する方法は、(a)遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーターを準備する工程;(b)伸長条件下で、遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーター又は伸長中間体を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の存在下においてTdTと反応させて、3’-O-ブロック伸長中間体を産生する工程;(c)伸長中間体を脱ブロッキングして、遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長中間体を産生する工程;及び(d)ポリヌクレオチドが合成されるまで工程(b)及び(c)を繰り返す工程を含む。(ときおり、「伸長中間体(extension intermediate)」は、「伸長断片(elongation fragment)」ともいわれる)。いくつかの実施態様では、イニシエーターは、例えば、その5’末端が固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドとして提供される。上記の方法はまた、反応工程、又は伸長工程の後、及び脱ブロッキング工程の後に、洗浄工程を含み得る。例えば、反応させる工程は、所定のインキュベーション期間又は反応時間の後に、例えば洗浄によって非組み込みヌクレオシド三リン酸を除去するサブ工程を含み得る。そのような所定のインキュベーション期間又は反応時間は、数秒間、例えば30秒から数分間、例えば30分間であり得る。
[0033] 上記の方法はまた、反応工程、又は伸長工程後並びに脱ブロッキング工程後のキャッピング工程(複数可)並びに洗浄工程を含み得る。上記のように、いくつかの実施態様では、非伸長遊離3’-ヒドロキシルを、キャッピングされた鎖の任意のさらなる伸長を防止する化合物と反応させるキャッピング工程が含まれ得る。いくつかの実施態様では、そのような化合物は、ジデオキシヌクレオシド三リン酸であり得る。他の実施態様では、遊離3’-ヒドロキシルを有する非伸長鎖は、それらを3’-エキソヌクレアーゼ活性、例えば、ExoIで処理することによって分解され得る。例えば、Hyman,米国特許第5436143号を参照のこと。同様に、いくつかの実施態様では、脱ブロックされない鎖は、鎖を除去するか、さらなる伸長に不活性になるように処理され得る。
[0034] オリゴヌクレオチドの連続合成を含むいくつかの実施態様では、キャッピングが等モル量の複数のオリゴヌクレオチドの産生を防止し得るので、キャッピング工程は望ましくない可能性がある。キャッピングを用いない場合、配列は、欠失エラーが均一に分布するが、複数のオリゴヌクレオチドの各々が等モル量で存在する。これは、非伸長断片がキャッピングされる場合にはあてはまらない。
[0035] いくつかの実施態様では、伸長工程(extension or elongation step)のための反応条件は、以下を含み得る:2.0μM 精製TdT;125~600μM 3’-O-ブロックdNTP(例えば、3’-O-NH2-ブロックdNTP);約10~約500mMカコジル酸カリウム緩衝液(pHは6.5と7.5の間)、及び約0.01~約10mMの二価カチオン(例えば、CoC12又はMnC12)、ここで、伸長反応は、50μLの反応体積中、室温から45℃までの範囲内の温度で3分間行われ得る。3’-O-ブロックdNTPが3’-O-NH2ブロックdNTPである実施態様では、脱ブロッキング工程のための反応条件は、以下を含み得る:700mM NaNO2;1M酢酸ナトリウム(酢酸を用いてpH4.8~6.5の範囲に調整)、ここで、脱ブロッキング反応は、50μLの体積中、室温から45℃までの範囲内の温度で30秒間から数分間行われ得る。
[0036] 特定の適用に応じて、脱ブロッキング及び/又は切断工程は、種々の化学的又は物理的条件、例えば、光、熱、pH、特定の化学結合を切断することができる酵素などの特定の試薬の存在などを含み得る。3’-O-ブロッキング基及び対応する脱ブロッキング条件の選択における指針は、参照により援用される以下の参考文献に見出され得る:Benner,米国特許第7544794号及び同第8212020号;米国特許第5808045号;米国特許第8808988号;国際特許公開WO91/06678号;及び以下に引用した参考文献。いくつかの実施態様では、切断剤(脱ブロッキング試薬又は脱ブロッキング剤と呼ばれることもある)は、例えば、ジチオスレイトール(DTT)などの化学的切断剤である。別の実施態様では、切断剤は、3’-リン酸ブロッキング基を切断し得る、例えば、ホスファターゼなどの酵素的切断剤であり得る。当業者は、脱ブロッキング剤の選択が、使用する3’-ヌクレオチドブロッキング基のタイプ、1つ又は複数のブロッキング基が使用されているかどうか、イニシエーターが生細胞若しくは生物体に結合しているのか、或いは固体支持体に結合しているかどうかなどに依存することを理解するであろう。例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)などのホスフィンを使用して3’O-アジドメチル基を切断することができ、パラジウム錯体を使用して3’O-アリル基を切断することができ、或いは、亜硝酸ナトリウムを使用して3’O-アミノ基を切断することができる。特定の実施態様では、切断反応は、TCEP、パラジウム錯体、又は亜硝酸ナトリウムを含む。
[0037] 上記のように、いくつかの実施態様では、直交性の脱ブロッキング条件を使用して除去され得る2つ以上のブロッキング基を使用することが望ましい。以下の例示的なブロッキング基の対は、上記の実施態様のような並行合成の実施態様において使用され得る。他のブロッキング基の対又は2つより多くを含む基が、本発明のこれらの実施態様における使用のために利用可能であり得ることが理解される。
[0038] 生細胞上でオリゴヌクレオチドを合成するには、穏やかな脱ブロッキング条件又は脱保護条件、すなわち、細胞膜を破壊せず、タンパク質を変性させず、重要な細胞機能に干渉しない条件などが必要である。いくつかの実施態様では、脱保護条件は、細胞生存に適合する生理学的条件の範囲内にある。そのような実施態様では、酵素的脱保護は、生理学的条件下で実施され得るので望ましい。いくつかの実施態様では、特定の酵素的に除去可能なブロッキング基は、それらの除去のための特定の酵素と関連付けられる。例えば、エステル又はアシルベースのブロッキング基は、アセチルエステラーゼなどのエステラーゼ又は類似の酵素を用いて除去され得、リン酸ブロッキング基は、T4ポリヌクレオチドキナーゼなどの3’ホスファターゼを用いて除去され得る。例として、3’-O-リン酸は、100mM Tris-HCl(pH6.5)、10mM MgC12、5mM 2-メルカプトエタノール、及び1単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼの溶液での処理によって除去され得る。反応は、37℃で1分間進行する。
[0039] 「3’-リン酸ブロック」又は「3’-リン酸保護」ヌクレオチドは、3’位のヒドロキシル基がリン酸含有部分の存在によってブロックされているヌクレオチドを指す。本発明による3’-リン酸ブロックヌクレオチドの例は、ヌクレオチジル-3’-リン酸モノエステル/ヌクレオチジル-2’,3’-環状ホスファート、ヌクレオチジル(nuclcotidyl)-2’-リン酸モノエステル及びヌクレオチジル-2’又は3’-アルキルリン酸ジエステル、並びにヌクレオチジル-2’又は3’-ピロホスファートである。置換がホスファターゼによって遊離3’-OHを生じる脱リン酸化を阻止しないという条件で、チオホスファート又はそのような化合物の他の類似体も使用することができる。
[0040] 3’-O-エステル保護dNTP又は3’-O-リン酸保護dNTPの合成及び酵素的脱保護のさらなる例は、以下の参考文献に記載されている:Canard et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,92:10859-10863(1995);Canard et al,Gene,148:1-6(1994);Cameron et al,Biochemistry,16(23):5120-5126(1977);Rasolonjatovo et al,Nucleosides&Nucleotides,18(4&5):1021-1022(1999);Ferrero et al,Monatshefte fur Chemie,131:585-616(2000);Taunton-Rigby et al,J.Org.Chem.,38(5):977-985(1973);Uemura et al,Tetrahedron Lett.,30(29):3819-3820(1989);Becker et al,J.Biol.Chem.,242(5):936-950(1967);Tsien,国際特許公開WO1991/006678号。
[0041] 本明細書中で使用される場合、「イニシエーター」(又は「開始断片」、「イニシエーター核酸」、若しくは「イニシエーターオリゴヌクレオチド」などのような等価な用語)は、テンプレートなしのポリメラーゼ(TdTなど)によってさらに伸長することができる、遊離3’末端を有する短いオリゴヌクレオチド配列を指す。一実施態様では、開始断片はDNA開始断片である。別の実施態様では、開始断片はRNA開始断片である。一実施態様では、開始断片は、3個と100個との間のヌクレオチド、特に、3個と20個との間のヌクレオチドを保有する。一実施態様では、開始断片は一本鎖である。別の実施態様では、開始断片は二本鎖である。特定の実施態様では、5’-第一級アミンを用いて合成したイニシエーターオリゴヌクレオチドを、製造者のプロトコールを使用して磁性ビーズに共有結合させ得る。同様に、3’-第一級アミンを用いて合成したイニシエーターオリゴヌクレオチドを、製造者のプロトコールを使用して磁性ビーズに共有結合させ得る。本発明の実施態様での使用に適した他の様々な付着化学は、当技術分野で周知である。例えば、Integrated DNA Technologies brochure,“Strategies for Attaching Oligonucleotides to Solid Supports,” v.6(2014);Hermanson,Bioconjugate Techniques,Second Edition(Academic Press,2008);及び同様の参考文献。
[0042] 本発明で使用される3’-O-ブロックdNTPのうちの多くは、商業的販売者から購入するか、又は公開された技術、例えば、米国特許第7057026号;国際特許公開番号WO2004/005667号、WO91/06678号;Canard et al,Gene(上記で引用);Metzker et al,Nucleic Acids Research,22:4259-4267(1994);Meng et al,J.Org.Chem.,14:3248-3252(3006);米国特許出願公開第2005/037991号を使用して合成することができる。いくつかの実施態様では、修飾ヌクレオチドは、プリン塩基又はピリミジン塩基、及び3’炭素原子が構造:
-O-Z
の基に結合しているように、除去可能な3’-OHブロッキング基が共有結合で付着したリボース糖部分又はデオキシリボース糖部分を含む修飾ヌクレオチド又はヌクレオシド分子を含み、
ここで、-Zは、-C(R’)2-O-R’’、-C(R’)2-N(R’’)2、-C(R’)2-N(H)R’’、-C(R’)2-S-R’’、及び-C(R’)2-Fのうちのいずれかであり、各R’’は、除去可能な保護基であるか又はその一部であり;各R’は、独立して、水素原子、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式、アシル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、若しくはアミド基、又は連結基を介して結合した検出可能な標識であり;但し、いくつかの実施態様では、かかる置換基は、10個までの炭素原子及び/又は5個までの酸素若しくは窒素ヘテロ原子を有し;或いは、(R’)2は、式=C(R’’’)2の基を示し、ここで、各R’’’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子及びハロゲン原子並びにアルキル基を含む群から選択され、但し、いくつかの実施態様では、各R’’’のアルキルは、1~3個の炭素原子を有し;分子が反応して中間体を生成してよく、各R’’はHと交換されるか、Zは-(R’)2-Fであり、FはOH、SH、又はNH2、好ましくはOHと交換され、水性条件下で中間体が解離して遊離3’-OHを有する分子が得られ;但し、Zが-C(R’)2-S-R’’である場合、両方のR’基がHというわけではない。特定の実施態様では、修飾ヌクレオチド又はヌクレオシドのR’は、アルキル又は置換アルキルであり、但し、かかるアルキル又は置換アルキルは、1~10個の炭素原子及び0~4個の酸素又は窒素ヘテロ原子を有する。特定の実施態様では、修飾ヌクレオチド又はヌクレオシドの-Zは、式-C(R’)2-N3である。特定の実施態様では、Zはアジドメチル基である。
-O-Z
の基に結合しているように、除去可能な3’-OHブロッキング基が共有結合で付着したリボース糖部分又はデオキシリボース糖部分を含む修飾ヌクレオチド又はヌクレオシド分子を含み、
ここで、-Zは、-C(R’)2-O-R’’、-C(R’)2-N(R’’)2、-C(R’)2-N(H)R’’、-C(R’)2-S-R’’、及び-C(R’)2-Fのうちのいずれかであり、各R’’は、除去可能な保護基であるか又はその一部であり;各R’は、独立して、水素原子、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式、アシル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、若しくはアミド基、又は連結基を介して結合した検出可能な標識であり;但し、いくつかの実施態様では、かかる置換基は、10個までの炭素原子及び/又は5個までの酸素若しくは窒素ヘテロ原子を有し;或いは、(R’)2は、式=C(R’’’)2の基を示し、ここで、各R’’’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子及びハロゲン原子並びにアルキル基を含む群から選択され、但し、いくつかの実施態様では、各R’’’のアルキルは、1~3個の炭素原子を有し;分子が反応して中間体を生成してよく、各R’’はHと交換されるか、Zは-(R’)2-Fであり、FはOH、SH、又はNH2、好ましくはOHと交換され、水性条件下で中間体が解離して遊離3’-OHを有する分子が得られ;但し、Zが-C(R’)2-S-R’’である場合、両方のR’基がHというわけではない。特定の実施態様では、修飾ヌクレオチド又はヌクレオシドのR’は、アルキル又は置換アルキルであり、但し、かかるアルキル又は置換アルキルは、1~10個の炭素原子及び0~4個の酸素又は窒素ヘテロ原子を有する。特定の実施態様では、修飾ヌクレオチド又はヌクレオシドの-Zは、式-C(R’)2-N3である。特定の実施態様では、Zはアジドメチル基である。
[0043] いくつかの実施態様では、Zは、200以下の分子量を有するヘテロ原子を有するか又は有しない切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、100以下の分子量を有するヘテロ原子を有するか又は有しない切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、50以下の分子量を有するヘテロ原子を有するか又は有しない切断可能な有機部分である。いくつかの実施態様では、Zは、200以下の分子量を有するヘテロ原子を有するか又は有しない、酵素的に切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、100以下の分子量を有するヘテロ原子を有するか又は有しない、酵素的に切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、50以下の分子量を有するヘテロ原子を有するか又は有しない、酵素的に切断可能な有機部分である。他の実施態様では、Zは、分子量が200以下の酵素的に切断可能なエステル基である。他の実施態様では、Zは、3’-ホスファターゼによって除去可能なリン酸基である。いくつかの実施態様では、次の3’-ホスファターゼの1つ又は複数を、製造者が推奨するプロトコールを用いて使用することができる:T4ポリヌクレオチドキナーゼ、仔牛腸アルカリホスファターゼ、組換えエビアルカリホスファターゼ(例えば、New England Biolabs,Beverly,MAから入手可能)。
[0044] さらなる特定の実施態様では、3’-ブロックヌクレオチド三リン酸は、3’-O-アジドメチル基、3’-O-NH2基、又は3’-O-アリル基のいずれかによってブロックされる。
[0045] さらに他の実施態様では、本発明の3’-O-ブロッキング基には、3’-O-メチル、3’-O-(2-ニトロベンジル)、3’-O-アリル、3’-O-アミン、3’-O-アジドメチル、3’-O-tert-ブトキシエトキシ、3’-O-(2-シアノエチル)、及び3’-O-プロパルギルが含まれる。
バリアントTdTの産生
[0046] 本発明のバリアントは、既知の参照TdT又は野生型TdTをコードするポリヌクレオチドを変異させ、次いで、従来の分子生物学技術を用いてこれを発現させることによって産生され得る。例えば、マウスTdT遺伝子(配列番号1)を、従来の分子生物学技術を使用して、例えば、Stemmer et al,Gene,164:49-53(1995);Kodumal et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,101:15573-15578(2004)などに記載のプロトコールを使用して、合成断片から組み立てられ得るか、Boule et al,Mol.Biotechnology,10:199-208(1998)又はBentolila et al,EMBO J.,14:4221-4229(1995)などに記載のプロトコールを使用して、マウス細胞から直接クローン化され得る。
[0046] 本発明のバリアントは、既知の参照TdT又は野生型TdTをコードするポリヌクレオチドを変異させ、次いで、従来の分子生物学技術を用いてこれを発現させることによって産生され得る。例えば、マウスTdT遺伝子(配列番号1)を、従来の分子生物学技術を使用して、例えば、Stemmer et al,Gene,164:49-53(1995);Kodumal et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,101:15573-15578(2004)などに記載のプロトコールを使用して、合成断片から組み立てられ得るか、Boule et al,Mol.Biotechnology,10:199-208(1998)又はBentolila et al,EMBO J.,14:4221-4229(1995)などに記載のプロトコールを使用して、マウス細胞から直接クローン化され得る。
[0047] 例えば、単離されたTdT遺伝子を、pET32(Novagen)などの発現ベクターに挿入してベクターpCTdTを得ることができ、次いでベクターpCTdTを使用して、従来のプロトコールを使用してバリアントTdTタンパク質を作製及び発現させることができる。正確な配列を有するベクターを、E.coli産生株において形質転換することができる。
[0048] 形質転換された株を、従来技術を使用してペレットに培養し、このペレットからTdTタンパク質を抽出する。例えば、あらかじめ調製したペレットを30~37℃の水浴中で解凍する。完全に解凍した時点で、ペレットを、50mM tris-HCL(Sigma)(pH7.5)、150mM NaCl(Sigma)、0.5mMメルカプトエタノール(Sigma)、5%グリセロール(Sigma)、20mMイミダゾール(Sigma)、及び100mL用のプロテアーゼカクテル阻害剤1錠(Thermofisher)からなる溶解緩衝液に再懸濁する。早すぎる溶解及び凝集物の残存を回避するために注意深く再懸濁する。再懸濁した細胞を、完全な色の均一性が得られるまで、数サイクルのフレンチプレスによって溶解する。通常の使用圧力は14,000psiである。次いで、ライセートを、10,000rpmで1時間~1時間30分間遠心分離する。カラム精製前に遠心分離物を0.2μmフィルターに通して、任意のデブリを除去する。
[0049] TdTタンパク質は、ワンステップアフィニティー手順で遠心分離物から精製することができる。例えば、Ni-NTAアフィニティーカラム(GE Healthcare)を使用して、ポリメラーゼを結合する。最初に、カラムを洗浄し、15カラム体積の50mM tris-HCL(Sigma)(pH7.5)、150mM NaCl(Sigma)、及び20mMイミダゾール(Sigma)で平衡化する。平衡化後にポリメラーゼをカラムに結合させる。次いで、50mM tris-HCL(Sigma)(pH7.5)、500mM NaCl(Sigma)、及び20mMイミダゾール(Sigma)からなる15カラム体積の洗浄緩衝液を、カラムにアプライする。洗浄後、ポリメラーゼを、50mM tris-HCL(Sigma)(pH7.5)、500mM NaCl(Sigma)、及び0.5Mイミダゾール(Sigma)で溶出する。最高濃度の目的のポリメラーゼに対応する画分を回収し、単一試料にプールする。プールした画分を、透析緩衝液(20mM Tris-HCl(pH6.8)、200mM NaCl、50mM MgOAc、100mM[NH4]2SO4)に対して透析する。透析液をその後に濃縮フィルター(Amicon Ultra-30,Merk Millipore)を用いて濃縮する。濃縮した酵素を、少量のアリコートに分配し、最終濃度50%のグリセロールを添加し、次いで、これらのアリコートを-20℃に凍結し、長期間保存する。精製された酵素の5μLの様々な画分をSDSPAGEゲルで分析する。
[0050] いくつかの実施態様では、TdTバリアントは、リンカー部分(共有結合又は非共有結合;アミノ酸タグ(例えば、ポリ-アミノ酸タグ、ポリ-Hisタグ、6His-タグ);化学化合物(例えば、ポリエチレングリコール);タンパク質-タンパク質結合対(例えば、ビオチン-アビジン);親和性カップリング;捕捉プローブ;又はこれらの任意の組み合わせが含まれる)に作動可能に連結され得る。リンカー部分は、TdTバリアントから分離することができるか、TdTバリアントの一部であり得る。本発明のTdTバリアントと共に使用するための例示的なHisタグは、MASHSHHHHHSSGSENLYFQTGSSG-(配列番号12))である。タグ-リンカー部分は、ヌクレオチド結合活性、又はTdTバリアントの触媒活性を阻害しない。
[0051] 上記のプロセス、又は同等のプロセスは、活性及び/又は保存に必要又は有用である、塩、pH緩衝液などの様々な試薬と混合することができ、それによって、本発明の方法で使用することができる製剤を提供する、単離されたTdTバリアントをもたらす。
本発明の方法を実施するためのキット
[0052] 本発明は、本発明の方法を実施するための様々なキットを含む。一態様では、本発明のキットは、本明細書に記載のテンプレートなしの酵素的ポリヌクレオチド合成を実施するのに適した製剤中の本発明の複数のTdTバリアントを含む。いくつかの実施態様では、複数のTdTバリアントは2個から4個の間である。他の実施態様では、複数とは2個である。このようなキットは、3’-O-保護dNTPの成長中の鎖へのテンプレートなしの付加又は組み込みを最適にするための反応条件を提供する各TdTバリアントのための合成緩衝液も含み得る。いくつかの実施態様では、複数のTdTバリアントのそれぞれは、別々に、同じ又は異なる製剤で、別々の容器で提供され得、他の実施態様では、TdTバリアントのいくつか又は全ては、共通の製剤でそれらの混合物で提供され得る。いくつかの実施態様では、本発明のキットは、3’-Oを可逆的に保護したdNTPをさらに含む。そのような実施態様では、3’-Oを可逆的に保護したdNTPは、3’-O-アミノ-dNTP又は3’-O-アジドメチル-dNTPを含み得る。さらなる実施態様では、キットは、以下の品目のうちの1つ又は複数を、個別に、又は上記品目と一緒に含み得る:(i)本明細書中に記載の脱保護工程を行うための脱保護試薬、(ii)イニシエーターが結合した固体支持体、(iii)完成したポリヌクレオチドを固体支持体から放出させるための切断試薬、(iv)酵素付加又は酵素カップリング工程の終了時に未反応の3’-O-保護dNTPを除去するための洗浄試薬又は洗浄緩衝液、及び(v)精製カラム、脱塩試薬、及び溶出試薬などの合成後の処理試薬。
[0052] 本発明は、本発明の方法を実施するための様々なキットを含む。一態様では、本発明のキットは、本明細書に記載のテンプレートなしの酵素的ポリヌクレオチド合成を実施するのに適した製剤中の本発明の複数のTdTバリアントを含む。いくつかの実施態様では、複数のTdTバリアントは2個から4個の間である。他の実施態様では、複数とは2個である。このようなキットは、3’-O-保護dNTPの成長中の鎖へのテンプレートなしの付加又は組み込みを最適にするための反応条件を提供する各TdTバリアントのための合成緩衝液も含み得る。いくつかの実施態様では、複数のTdTバリアントのそれぞれは、別々に、同じ又は異なる製剤で、別々の容器で提供され得、他の実施態様では、TdTバリアントのいくつか又は全ては、共通の製剤でそれらの混合物で提供され得る。いくつかの実施態様では、本発明のキットは、3’-Oを可逆的に保護したdNTPをさらに含む。そのような実施態様では、3’-Oを可逆的に保護したdNTPは、3’-O-アミノ-dNTP又は3’-O-アジドメチル-dNTPを含み得る。さらなる実施態様では、キットは、以下の品目のうちの1つ又は複数を、個別に、又は上記品目と一緒に含み得る:(i)本明細書中に記載の脱保護工程を行うための脱保護試薬、(ii)イニシエーターが結合した固体支持体、(iii)完成したポリヌクレオチドを固体支持体から放出させるための切断試薬、(iv)酵素付加又は酵素カップリング工程の終了時に未反応の3’-O-保護dNTPを除去するための洗浄試薬又は洗浄緩衝液、及び(v)精製カラム、脱塩試薬、及び溶出試薬などの合成後の処理試薬。
[0053] 上記の品目(ii)及び(iii)に関して、特定のイニシエーター及び切断試薬が一緒にされる。例えば、イノシン切断可能なヌクレオチドを含むイニシエーターには、エンドヌクレアーゼV切断試薬が付属し得;ニトロベンジル光切断性リンカーを含むイニシエーターには、光切断性リンカーの切断に適切な光源が付属し得;ウラシルを含むイニシエーターには、ウラシルDNAグルコシラーゼ切断試薬が付属し得る、等であり得る。
実施例1
TdTバリアントM55及びM56の組み込み効率
[0054] TdTバリアントM55及びM56(上記で定義)は、2つの異なるプライマー(synGG:5’-TGTGAGAGTGAAATGAGG(配列番号7)及びpolyT:5’-TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT(20T)(配列番号8)に3’-O-アジドメチルヌクレオシド三リン酸(AM-dNTP)を以下の反応条件下で溶液中で組み込む能力について試験された:1uMプライマー、2uM精製TdTバリアント、80uM AM-dNTP、10% DMSO、緩衝液(100mMカコジル酸カリウム、1mM CoCl2、pH:6.8);反応は37℃で5分間行った;95℃で5分間加熱することによって反応を停止させた。表3は、異なるプライマー、dNTP、及びTdTバリアントについての伸長プライマーのパーセンテージを示す。
表3
TdTバリアントM55及びM56の組み込み効率
[0054] TdTバリアントM55及びM56(上記で定義)は、2つの異なるプライマー(synGG:5’-TGTGAGAGTGAAATGAGG(配列番号7)及びpolyT:5’-TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT(20T)(配列番号8)に3’-O-アジドメチルヌクレオシド三リン酸(AM-dNTP)を以下の反応条件下で溶液中で組み込む能力について試験された:1uMプライマー、2uM精製TdTバリアント、80uM AM-dNTP、10% DMSO、緩衝液(100mMカコジル酸カリウム、1mM CoCl2、pH:6.8);反応は37℃で5分間行った;95℃で5分間加熱することによって反応を停止させた。表3は、異なるプライマー、dNTP、及びTdTバリアントについての伸長プライマーのパーセンテージを示す。
表3
定義
[0055]アミノ酸は、次の命名法に従って1文字又は3文字のコードで表される:A:アラニン(Ala);C:システイン(Cys);D:アスパラギン酸(Asp);E:グルタミン酸(Glu);F:フェニルアラニン(Phe);G:グリシン(Gly);H:ヒスチジン(His);I:イソロイシン(Ile);K:リジン(Lys);L:ロイシン(Leu);M:メチオニン(Met);N:アスパラギン(Asn);P:プロリン(Pro);Q:グルタミン(Gln);R:アルギニン(Arg);S:セリン(Ser);T:スレオニン(Thr);V:バリン(Val);W:トリプトファン(Trp)及びY:チロシン(Tyr)。
[0055]アミノ酸は、次の命名法に従って1文字又は3文字のコードで表される:A:アラニン(Ala);C:システイン(Cys);D:アスパラギン酸(Asp);E:グルタミン酸(Glu);F:フェニルアラニン(Phe);G:グリシン(Gly);H:ヒスチジン(His);I:イソロイシン(Ile);K:リジン(Lys);L:ロイシン(Leu);M:メチオニン(Met);N:アスパラギン(Asn);P:プロリン(Pro);Q:グルタミン(Gln);R:アルギニン(Arg);S:セリン(Ser);T:スレオニン(Thr);V:バリン(Val);W:トリプトファン(Trp)及びY:チロシン(Tyr)。
[0056] 2つ以上の異なるTdTのアミノ酸位置に関して「機能的に等価」とは、(i)それぞれの位置のアミノ酸がTdTの活性において同じ機能的役割を果たし、(ii)アミノ酸がそれぞれのTdTのアミノ酸配列の相同アミノ酸位置に存在することを意味する。配列アラインメント及び/又は分子モデリングに基づいて、2つ以上の異なるTdTのアミノ酸配列内の位置的に同等又は相同なアミノ酸残基を同定することが可能である。いくつかの実施態様では、機能的に等価なアミノ酸位置は、進化的に関連する種、例えば、属、科などによって関連する種のTdTのアミノ酸配列の間で保存されている配列モチーフに属している。このような保存された配列モチーフの例は、Motea et al,Biochim.Biophys.Acta.1804(5):1151-1166(2010);Delarue et al,EMBO J.,21:427-439(2002);及び同様の参考文献に記載されている。
[0057] タンパク質に関する「単離された」とは、その自然環境の成分又は不均一な反応混合物から同定され、分離及び/又は回収された化合物を意味する。自然環境又は反応混合物の汚染成分は、タンパク質の機能を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質が含まれ得る。いくつかの実施態様では、本発明のタンパク質は、(1)ローリー法によって決定される場合、95重量%を超えるタンパク質、最も好ましくは99重量%を超えるタンパク質まで、(2)スピニングカップシークエネーターの使用によって、N末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)クーマシーブルー若しくは好ましくは銀染色を使用した還元条件下又は非還元条件下でSDS-PAGEによって均一になるまで精製される。組換え法によって製造される場合、本発明の単離されたタンパク質は、タンパク質の自然環境のうちの少なくとも1つの成分が存在しないと考えられるので、本発明のタンパク質を組換え細胞内にin situで含み得る。通常、本発明の単離されたタンパク質は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
[0058] 「キット」は、本発明の方法を実施するための材料又は試薬を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイの文脈において、そのような送達システムは、反応試薬(例えば、適切な容器中の1又は複数のTdTバリアント、反応緩衝液、3’-O-保護dNTP、脱保護試薬、イニシエーターが結合した固体支持体など)及び/又は補助材料(例えば、緩衝液、アッセイ実施のための書面による指示など)をある場所から別の場所に貯蔵、輸送、又は送達を可能にするシステム及び/又は化合物(希釈剤(dilutant)、界面活性剤、担体など)を含む。例えば、キットには、関連する反応試薬及び/又は補助材料を含む1つ又は複数のエンクロージャ(例えば、箱)が含まれる。そのような内容物は、意図するレシピエントに一緒に又は個別に送達させることができる。例えば、第1の容器は、合成方法で使用する1つ又は複数のTdTバリアントを含み得、第2又は追加の容器は、脱保護剤、イニシエーターを有する固体支持体、又は3’-O-保護dNTPなどを含み得る。
[0059] 互換的に使用される「変異体」又は「バリアント」は、配列番号1又は他の特定のアミノ酸配列に由来するポリペプチドであって、1つ又は複数の位置での修飾又は改変、すなわち、置換、挿入、及び/又は欠失を含むポリペプチドを指す。このような変異体又バリアントは通常、テンプレートなしのポリメラーゼ活性と、1つ又は複数の可逆的にブロックされたヌクレオシド三リン酸前駆体を組み込む能力の両方を備えている。バリアントは、当技術分野で周知の様々な技術によって得ることができる。特に、野生型タンパク質をコードするDNA配列を改変するための技術の例には、部位特異的突然変異誘発、ランダム突然変異誘発及び合成オリゴヌクレオチド構築などが含まれるが、これらに限定されない。突然変異誘発活性は、タンパク質の、又は本発明の場合ポリメラーゼの配列中の、1つ又は複数のアミノ酸を欠失させる、挿入する、又は置換することからなる。
[0060] 次の用語法が置換を示すために使用される:L238Aは、参照又は野生型の配列の238位のアミノ酸残基(ロイシン、L)がアラニン(A)に変更されていることを示す。A132V/I/Mは、親配列の132位のアミノ酸残基(アラニン、A)が以下のアミノ酸のうちの1つによって置換されていることを示す:バリン(V)、イソロイシン(I)、又はメチオニン(M)。置換は、保存的置換又は非保存的置換であり得る。保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸、及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン、及びスレオニン)、疎水性アミノ酸(メチオニン、ロイシン、イソロイシン、システイン、及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシン)、及び小アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン)のグループ内のものが挙げられる。
[0061] 「配列同一性」とは、2つのポリペプチド配列又は2つのポリヌクレオチド配列などの2つの配列間の一致(例えば、同一のアミノ酸残基)の数(又は分率、通常はパーセンテージで表される)を指す。配列同一性は、配列ギャップを最小限に抑えながら重複及び同一性を最大化するようにアラインメントされたときに配列を比較することによって決定される。特に、配列同一性は、2つの配列の長さに応じて、いくつかの数学的なグローバル又は局所のアラインメントアルゴリズムのいずれかを使用して決定され得る。同様の長さの配列は、全長にわたって配列を最適にアラインメントするグローバルアラインメントアルゴリズム(例えば、Needleman and Wunschアルゴリズム;Needleman and Wunsch,1970)を使用してアラインメントすることが好ましく、一方で、実質的に異なる長さの配列は、局所アラインメントアルゴリズム(例えば、Smith and Watermanアルゴリズム(Smith and Waterman,1981)又はAltschulアルゴリズム(Altschul et al.,1997;Altschul et al.,2005))を使用してアラインメントすることが好ましい。アミノ酸配列の同一率を決定する目的のアラインメントを、当技術分野の技術の範囲内である様々な方法で、例えば、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/又はttp://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/などのインターネットウェブサイトで利用可能な公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して行うことができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。本明細書中の目的のために、アミノ酸配列の同一率の値は、Needleman-Wunschアルゴリズムを使用して2つの配列の最適なグローバルアラインメントを作出するペアワイズ配列アラインメントプログラムEMBOSS Needleを使用して生成された値を指し、ここで全ての検索パラメーターは、デフォルト値(すなわち、スコアリング行列=BLOSUM62、ギャップオープン=10、ギャップ伸長=0.5、エンドキャップペナルティ=偽、エンドキャップオープン=10、及びエンドキャップ伸長=0.5)に設定されている。
[0062] 「ポリヌクレオチド」又は「オリゴヌクレオチド」は、互換的に使用され、各々は、ヌクレオチド単量体の線状ポリマー又はその類似体を意味する。ポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドを構成する単量体は、単量体と単量体の相互作用の規則的パターン、例えばワトソン・クリックタイプの塩基対合、塩基スタッキング、又はフーグスティーン若しくは逆フーグスティーンタイプの塩基対合などによって、天然のポリヌクレオチドに特異的に結合することができる。そのような単量体及びそれらのヌクレオシド間連結は、天然に存在し得るか、又はそれらの類似体、例えば天然に存在する類似体又は天然に存在しない類似体であり得る。天然に存在しない類似体には、PNA、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結、標識(フルオロフォアなど)を結合可能な連結基を含む塩基、又はハプテンなどが含まれ得る。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの使用が、ポリメラーゼによる伸長、リガーゼによるライゲーションなどの酵素的プロセシングを必要とするときはいつでも、当業者は、それらの例のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、任意の位置又はいくつかの位置にヌクレオチド間連結、糖部分又は塩基の特定の類似体を含まないであろうことを理解することができる。ポリヌクレオチドのサイズは、通常「オリゴヌクレオチド」と呼ばれる数個の単量体単位、例えば5~40個から数千個の単量体単位までの範囲である。ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドが「ATGCCTG」などの文字(大文字又は小文字)の配列によって表される場合はいつでも、別段の指示がない限り、又は文脈から明白でない限り、ヌクレオチドが左から右に5’→3’の順序であり、かつ「A」がデオキシアデノシンを示し、「C」がデオキシシチジンを示し、「G」がデオキシグアノシンを示し、「T」がチミジンを示し、「I」がデオキシイノシンを示し、「U」がウリジンを示すと理解される。他に断りのない限り、用語法及び原子番号の慣習は、Strachan and Read,Human Molecular Genetics 2(Wiley-Liss,New York,1999)に開示のものに従うであろう。通常、ポリヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって連結された4つの天然のヌクレオシド(例えば、DNAについては、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、又はRNAについてはこれらのリボース対応物)を含む;しかしながら、ポリヌクレオチドは、例えば、改変された塩基、糖、又はヌクレオチド間連結を含む非天然ヌクレオチド類似体も含み得る。酵素が活性のための特異的なオリゴヌクレオチド基質又はポリヌクレオチド基質の要件、例えば、一本鎖DNA又はRNA/DNA二重鎖などを有する場合、特に、Sambrook et al,Molecular Cloning,second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1989)などの専門書及び同様の参考文献からのガイダンスを用いて、オリゴヌクレオチド基質又はポリヌクレオチド基質に適切な組成の選択は、当業者の知識の範囲内に十分にあることが当業者に明らかである。同様に、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、一本鎖形態又は二本鎖形態(すなわち、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド及びそのそれぞれの相補鎖の二重鎖)のいずれかを指し得る。使用された用語の文脈から、どちらの形態が意図されているか、或いは両方の形態が意図されているかは当業者には明らかであろう。
[0063] 「プライマー」は、ポリヌクレオチドテンプレートと二重鎖を形成する際に、核酸合成の開始点として作用することができ、伸長した二重鎖が形成されるようにテンプレートに沿ってその3’末端から伸長する、天然又は合成のオリゴヌクレオチドを意味する。通常、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼなどの核酸ポリメラーゼを用いてプライマー伸長を行う。伸長過程において付加されるヌクレオチド配列は、テンプレートポリヌクレオチド配列によって決定される。通常、プライマーは、DNAポリメラーゼによって伸長される。プライマーの長さは、通常、14~40ヌクレオチドの範囲、又は18~36ヌクレオチドの範囲である。プライマーは、様々な核増幅反応、例えば、単一のプライマーを使用する線形増幅反応、又は2つ以上のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応において使用される。特定の用途のためのプライマーの長さ及び配列の選択のためのガイダンスは、参考として援用される以下の参考文献によって証明されているように、当業者に周知である:Dieffenbach,editor,PCR Primer:A Laboratory Manual,2nd Edition(Cold Spring Harbor Press,New York,2003)。
[0064] 「置換」とは、アミノ酸残基が別のアミノ酸残基で置き換えられることを意味する。好ましくは、用語「置換」は、アミノ酸残基の、天然に存在する標準的な20種のアミノ酸残基、稀な天然に存在するアミノ酸残基(例えば、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、6-N-メチルリジン(6-N-methylysine)、N-エチルグリシン、N-メチルグリシン、N-エチルアスパラギン、アロ-イソロイシン、N-メチルイソロイシン、N-メチルバリン、ピログルタミン、アミノ酪酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン)、及びしばしば合成で作製される天然に存在しないアミノ酸残基(例えば、シクロヘキシル-アラニン)から選択される別のアミノ酸残基による置き換えを指す。好ましくは、用語「置換」は、あるアミノ酸残基の、天然に存在する標準的な20種のアミノ酸残基から選択される別のアミノ酸残基による置き換えを指す。記号「+」は、置換の組み合わせを示す。
[0065] 本明細書では、次の用語法が置換を示すために使用される:L238Aは、親配列の238位のアミノ酸残基(ロイシン、L)がアラニン(A)に変更されていることを示す。A132V/I/Mは、親配列の132位のアミノ酸残基(アラニン、A)が以下のアミノ酸のうちの1つによって置換されていることを示す:バリン(V)、イソロイシン(I)、又はメチオニン(M)。置換は、保存的置換又は非保存的置換であり得る。保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸、及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン、及びスレオニン)、疎水性アミノ酸(メチオニン、ロイシン、イソロイシン、システイン、及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシン)、及び小アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン)のグループ内のものが挙げられる。
[0066] 本開示は、記載された特定の形態の範囲に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載の変形形態の代替、修正、及び均等物を網羅することを意図する。さらに、本開示の範囲は、本開示を考慮して当業者に明らかになる可能性のある他の変形を完全に包含する。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
Claims (12)
- 所定の配列を有するポリヌクレオチドを合成する方法であって、
a)遊離3’-ヒドロキシルを有するイニシエーターを提供する工程;及び
b)(i)伸長条件下で、遊離3’-O-ヒドロキシルを有するイニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)バリアントと接触させ、その結果、イニシエーター又は伸長断片が、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の組み込みによって伸長されて、3’-O-ブロック伸長断片を形成するサイクルと(ii)伸長断片を脱ブロッキングして、遊離3’-ヒドロキシルを有する伸長断片を形成するサイクルを、ポリヌクレオチドが合成されるまで繰り返す工程であって、ここで、第1のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第1のセットから選択される3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第1のTdTバリアントとは異なる第2のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第2のセットから選択される3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第1のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第2のTdTバリアントよりも高い効率で、第1のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第2のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第1のTdTバリアントよりも高い効率で、第2のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長する、工程、
を含む方法。 - 第1のTdTバリアント及び第2のTdTバリアントとは異なる第3のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第3のセットから選択される3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、ここで、第1のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第2のTdTバリアント又は第3のTdTバリアントよりも高い効率で、第1のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第2のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第1のTdTバリアント又は第3のTdTバリアントよりも高い効率で、第2のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長し、第3のTdTバリアントは、イニシエーター又は伸長断片を、第1のTdTバリアント又は第2のTdTバリアントよりも高い効率で、第3のセットからの3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸で伸長する、請求項1に記載の方法。
- 前記第1のセットが、3’-O-ブロックデオキシアデノシン三リン酸、3’-O-ブロックデオキシシチジン三リン酸、及び3’-O-ブロックデオキシチミジン三リン酸を含み、前記第1のTdTバリアントが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、以下の置換の組み合わせ:A17V+L52F+G57E+M63R+A108V+K147R+C173G+R207L+M210Q++R325V+E328K+N345E+R351Kを含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記第1のTdTバリアントが、以下の置換の組み合わせ:A17V+Q37E+D41R+L52F+G57E+M63R+S94R+G98E+A108V+S146E+K147R+Q149R+C173G+M184T+R207L+K209H+M210Q+G284L+E289A+R325V+E328K+N345E+R351Kを含む、請求項3に記載の方法。
- 前記第2のセットが、3’-O-ブロックデオキシグアノシン三リン酸を含み、前記第2のTdTバリアントが、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、以下の置換の組み合わせ:A17V+L52F+G57E+M63R+I76V+A108V+C173G+R207L+F259E+Q261R+K265G+R325V+E328N+R351Kを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第2のTdTバリアントが、以下の置換の組み合わせ:A17V+Q37E+D41R+L52F+G57E+M63R+I76V+S94R+G98E+A108V+S146E+Q149R+C173G+M184T+R207L+K209H+F259E+Q261R+K265G+G284L+E289A+R325V+E328N+R351Kを有する、請求項5に記載の方法。
- 配列番号1に記載の全長アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、(ii)配列番号1と比較して、A17V+L52F+G57E+M63R+A108V+K147R+C173G+R207L+M210Q+R325V+E328K+N345E+R351Kの置換の組み合わせを有する、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)。
- 配列番号1と比較して、A17V+Q37E+D41R+L52F+G57E+M63R+S94R+G98E+A108V+S146E+K147R+Q149R+C173G+M184T+R207L+K209H+M210Q+G284L+E289A+R325V+E328K+N345E+R351Kの置換の組み合わせを含む、請求項7に記載のTdT。
- 配列番号1に記載の全長アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、(ii)配列番号1と比較して、A17V+L52F+G57E+M63R+I76V+A108V+C173G+R207L+F259E+Q261R+K265G+R325V+E328N+R351Kの置換の組み合わせを有する、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)。
- 配列番号1と比較して、A17V+Q37E+D41R+L52F+G57E+M63R+I76V+S94R+G98E+A108V+S146E+Q149R+C173G+M184T+R207L+K209H+F259E+Q261R+K265G+G284L+E289A+R325V+E328N+R351Kの置換の組み合わせを含む、請求項9に記載のTdT。
- 所定の配列を有するポリヌクレオチドを合成する方法を実施するためのキットであって、
- 請求項7又は8に記載の第1のTdTバリアント、
- 請求項9又は10に記載の第2のTdTバリアント、及び
- 3’-O-ブロックヌクレオシド三リン酸の第1セットと第2セットであって、前記dNTPは重複してない、該第1セットと第2セット
を含む、キット。 - dNTPの第1のセットが、3’-O-ブロックデオキシアデノシン三リン酸、3’-O-ブロックデオキシシチジン三リン酸、及び3’-O-ブロックデオキシチミジン三リン酸を含み、第2のセットが、3’-O-ブロックデオキシグアノシン三リン酸を含む、請求項11に記載のキット。
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