JP2023500654A - 1型肝腎症候群及び低い平均動脈圧を有する患者を治療する方法 - Google Patents

1型肝腎症候群及び低い平均動脈圧を有する患者を治療する方法 Download PDF

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Abstract

本開示の原理及び実施形態は、1型肝腎症候群(HRS-1)及び低い平均動脈圧(MAP)を有する患者の生存率を増加させる方法に関する。当該方法は、ベースラインMAPが65mmHg未満であるHRS-1患者を同定することと、当該患者に、当該患者のHRS-1を治療するのに有効なテルリプレシンの量を投与することとを含み得る。他の態様において、当該方法は、それを必要とする患者に、テルリプレシンの有効用量を6時間ごとに静脈内(IV)ボーラス注射により2分かけて投与することを含むことができ、このとき、当該用量は、患者にMAPを増加させ、心拍数を減少させるのに十分である。患者は、明白な敗血症、敗血症性ショック、または制御されていない感染症を有しないと考えられる。【選択図】なし

Description

優先権の主張
本出願は、2019年10月30日に出願された米国特許出願第62/928,152号の米国特許法119条(e)に基づく優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書に援用される。
配列表の援用
「669317_SequenceListing_ST25.txt」(2020年10月28日頃作成、ファイルサイズ約1キロバイト)という名称のコンピュータ可読テキストファイルに本出願の配列表が含まれており、その全体は参照により本明細書に援用される。
本開示の原理及び実施形態は、概して、平均動脈圧が低い1型肝腎症候群患者の治療方法に関する。
1型肝腎症候群(1型HRSまたはHRS-1)は、任意の他の原因の不在下で後期の肝硬変患者に発生する急性腎不全である。1型肝腎症候群は腎不全の急速な発症を特徴としており、その死亡率は高く、3か月以内に80%を超える。腎不全は肝硬変の合併症として同定されており、急性腎不全により肝硬変の患者が予後不良に至ることが知られている。様々な場合において、腎不全は、血液量減少、進行中の感染を伴わない肝腎症候群、または進行中の感染を伴う肝腎症候群によって引き起こされ得る。残念ながら、1型HRS患者は肝臓移植の待機中に腎不全で死亡することがある。テルリプレシン治療から最大限に利益を受けて1型HRSから回復し得る患者を判定する方法は、現在のところ存在しない。
肝腎症候群(HRS)は、腎血管収縮による糸球体濾過率の低下、血管抵抗の減少をもたらす内臓及び末梢動脈の血管拡張、ならびに門脈圧亢進によって示される。HRSは、腹水を伴う肝硬変と、血清クレアチニンレベルが133μmol/l(1.5mg/dL)超であることと、利尿剤の休薬及びアルブミンによる容積拡大から少なくとも2日後に血清クレアチニンのレベルが改善しない(133μmol/l以下にレベルが減少しない)ことと、ショック及び実質性腎疾患が存在しないこととによって示される。1型HRSは、初期血清クレアチニンレベルが2週間未満で倍増して226μmol/l(2.56mg/dL)超になることによって示される。
正常なクレアチニンレベルは、男性で0.7~1.3mg/dL、女性で0.6~1.1mg/dLの範囲である。クレアチニンの1mg/dlは88.4μmol/lに等しい。
ある特定の機序は、肝硬変患者の有効動脈血液量及び比較的正常な動脈圧を維持するように働くが、これは腎機能(例えば、ナトリウム及び溶質非含有水分の保持)に影響を及ぼして腹水症及び浮腫につながり、また、腎臓内血管収縮及び低灌流を引き起こすことで腎不全につながる恐れがある。腹水は、門脈圧亢進と内臓動脈の血管拡張との組合せが腸毛管血管の圧力及び浸透性を変化させ、保持液体の腹腔内貯留を促進することから生じ得る。
腹水形成に寄与する因子は、有効動脈血液量の減少をもたらす内臓血管拡張である。また、門脈圧亢進は硬変肝臓の門脈血流に対する肝臓の抵抗が増加することに起因し、これも内臓血管拡張を誘導し得る。腎臓の溶質非含有水分排出及び腎血管収縮に顕著な障害が存在することでHRSに至る可能性がある。
様々な場合において、1.5超のINR、腹水症、及び脳症を含めた肝臓の代償不全の徴候が認められ得る。低ナトリウム血症も肝硬変及び腹水のある患者に頻繁に見られる合併症であり、罹患率の増加に関連する。
敗血症は、感染に対する全身性の炎症反応と定義され、敗血症性ショックは、補液蘇生に抵抗性の低血圧または高乳酸塩血症と合併した敗血症である。
65mmHg未満の低い平均動脈圧(MAP)、すなわち低血圧は、非代償性肝硬変の患者に一般的に見られる。低血圧は、明白なショックが存在しなくてもしばしば発生し、これは、低灌流異常(例えば、末梢チアノーゼ、低体温、著明な無力症、蒼白、肝性脳症に起因しない鈍麻)によって証明される。この知見は、門脈圧亢進に関係する内臓血管拡張及び末梢血管拡張を特徴とする血行力学的変化と、末梢血管拡張をもたらす循環因子とに起因する。
65mmHg未満の低MAPは、典型的には、この患者群における予後不良及びさらなる合併症を発生する傾向と結び付けられている。通常、このような患者には、この無症候性低血圧だけでは血管拡張薬による治療を行わない。
テルリプレシンは長時間の効果を有するバソプレシンの合成アナログであり、ペプチド性バソプレシンVIa受容体アゴニストとして作用する。テルリプレシンは、3つのアミノ酸残基でN末端を延長することによって調製されるバソトシンの誘導体であり、低血圧の管理で血管作動薬として使用される。テルリプレシンは、ペプチドシンセサイザーを用いて、液相または固相でアミノ酸を互いに段階的に結合することにより、合成することができる。テルリプレシンは、リジン-バソプレシンに低速で代謝するプロドラッグであり、このようにして長時間の生物学的効果をもたらす。テルリプレシンの半減期は6時間(作用持続時間は2~10時間)であり、これに対しバソプレシンの半減期は短く、わずか6分(作用持続時間は30~60分)である。
注射用製剤としてのテルリプレシン(Gly-Lys-Pro-Cys-Asn-Gln-Phe-Tyr-Cys-Gly-Gly;配列番号1)の化学構造を以下に示す。
Figure 2023500654000001
分子式:C52741615
分子量:1227.4ダルトン
外観:白色~オフホワイトの均質な凍結乾燥固体
溶解性:無色透明な食塩水溶液
バイアル:白色~オフホワイト色の固体11mg、活性成分1mg、及び10mgマンニトールを含む無色のガラス製バイアル
活性成分のN-[N-(N-グリシルグリシル)グリシル]-8-L-リジンバソプレシンは、合成によって製造された8-リジンバソプレシンのホルモン前駆体であり、12アミノ酸で構成され、第4及び第9アミノ酸の間にジスルフィド架橋を有する環状ノナペプチドという特徴的な環構造を有する。3つのグリシル-アミノ酸が8-リジン-バソプレシンの1(システイン)位で置換されている。この8-リジン-バソプレシンのN末端延長により、グリシル分子が迅速なN末端酵素分解を阻害するため、活性成分の代謝分解速度が著しく低下する。テルリプレシンは、塩、二酢酸塩、水和物、及び/または遊離塩基として医薬組成物中に存在し得る(例えば、テルリプレシン酢酸塩またはテルリプレシン二酢酸塩五水和物)。
本開示の原理及び実施形態は、概して、患者にテルリプレシンを投与して、HRS-1からの回復、全生存率の改善、及び/または無移植生存率の改善を得ることにより、HRS-1患者を治療する方法に関する。1つ以上の実施形態において、65mmHg未満の低いベースライン平均動脈圧(MAP)が、テルリプレシンの投与に対する患者の応答が改善する可能性を示すという新規かつ有用な機能を提供する。
本開示のいくつかの態様は、HRS-1を治療する方法であって、患者がHRS-1を有すると同定することと、当該患者が65mmHg未満の平均動脈圧を示すと判定することと、患者が制御されていない感染症、敗血症、または敗血症性ショックを有しないと判定することと、患者が65mmHg未満の平均動脈圧を示すことを理由に、患者のHRS-1がテルリプレシンによる治療に応答する可能性があると判定することと、患者に、患者のHRS-1を治療するのに有効なテルリプレシンの量を投与することとを含む、方法に関する。テルリプレシンで治療された患者の全生存率及び/または無移植生存率は、プラセボと比較して増加し得る。いくつかの例において、投与されるテルリプレシンは、テルリプレシン酢酸塩であり得る。
本開示のさらなる態様において、HRS-1及び低MAPを有する患者の生存率を増加させる方法は、それを必要とする患者に、テルリプレシンの有効用量を約6時間ごとに静脈内(IV)ボーラス注射により約2分かけて投与することを含み、このとき当該用量は、患者のMAPを増加させ、心拍数を減少させるのに十分である。
本開示の他の態様において、HRS-1及び低MAPを有する患者の生存率を増加させる方法は、それを必要とする患者に、テルリプレシンの有効用量を約6時間ごとに静脈内(IV)ボーラス注射により約2分かけて投与することを含み、このとき当該用量は、患者の拡張期、収縮期、及びMAPを増加させ、心拍数を減少させるのに十分である。
本開示のさらなる態様において、HRS-1及び低MAPを有する患者の生存率を増加させる方法は、それを必要とする患者に、テルリプレシン酢酸塩の有効用量約0.5mg~約2mgを約4~10時間ごとに静脈内(IV)ボーラス注射により約1~5分かけて投与することを含み、このとき当該用量は、患者のMAPを増加させ、心拍数を減少させるのに十分である。
以下の説明でさらなる態様及び特徴が部分的に記載されているが、これらは、本明細書を検討すれば当業者には明らかになるか、または本開示の主題の実施によって理解され得るものである。
本開示の実施形態のさらなる特徴、その性質、及び様々な利点は、以下の発明を実施するための形態を添付の図面と併せて検討することでより明らかになるであろう。添付の図面は、出願人が考慮した最良の形態を例示するものでもあり、全体を通して同様の参照文字列は同様の部分を指す。
図1は、テルリプレシン治療プロトコルの例示的な実施形態を示している。 図2は、2つの患者群の全生存率を治療群及びプラセボで比較するグラフである。 図3は、2つの患者群の無移植生存率を治療群及びプラセボで比較するグラフである。 図4は、テルリプレシン治療プロトコルの例示的な実施形態を示している。
本明細書で使用する場合、「無症候性低血圧」という用語は、ショックの不在下でMAPが65mmHg未満であることと定義される。
本明細書で使用する場合、「低MAP」という用語は、MAPが65mmHg未満であることと定義される。
本明細書で使用する場合、「テルリプレシン」の使用は、テルリプレシン、またはその塩、二酢酸塩、水和物、及び/もしくは遊離塩基を指し得る。例えば、テルリプレシンの使用は、テルリプレシン酢酸塩またはテルリプレシン二酢酸塩五水和物を含み得る。さらなる例では、テルリプレシンは、任意の他の好適な塩もしくは水和物、または任意の他の生物学的に許容される塩もしくは水和物を指す場合がある。
本開示の原理及び実施形態は、テルリプレシンを含む治療プロトコルを伴う、患者の腎臓状態を改善する方法に関する。したがって、本開示の様々な実施形態は、テルリプレシンまたはテルリプレシン及びアルブミンで患者を治療する方法を提供する。
本開示の諸実施形態において、患者を評価して患者が罹患している特定の疾患及び/または症候群を判定し、テルリプレシン投与から利益を得る患者向けの治療レジメンを開始する。
様々な実施形態において、患者は、急性腎不全と合併した末期肝疾患(例えば、HRS)を有し、テルリプレシンによる治療を受ける。
様々な実施形態において、末期肝疾患は、肝硬変または劇症肝不全であり得る。様々な実施形態において、末期肝疾患は腎機能障害と合併する。
本開示の1つの態様は、HRSから回復する確率の増加によって示される、テルリプレシン治療に対する応答の改善を示す患者の診断方法に関する。
1つ以上の実施形態において、テルリプレシン治療レジメンに応答する可能性が増加したHRS-1患者を同定する方法は、患者が末期肝疾患及び腎機能障害を有するものと同定することと、複数の患者が65mmHg未満の平均動脈圧を示すと判定することと、患者が65mmHg未満の平均動脈圧を示すことを理由に、患者のHRS-1がテルリプレシンによる治療に応答する可能性があると判定することと、患者のHRS-1を治療するのに有効なテルリプレシンの量を患者に投与することとを含む。
様々な実施形態において、テルリプレシンの薬用量は、一連の単回用量として4~6時間ごとに約0.5mg~約2.0mgの範囲で患者に投与され、その結果、患者はテルリプレシン約0.5mg~約2.0mgの範囲で単回用量を受け、4~6時間後に別の単回用量を受ける。様々な実施形態において、患者は約24時間にわたって約4~6回用量を受けることができ、このとき各用量は約0.5mg~約2.0mgの範囲である。様々な実施形態において、総薬用量は24時間で約12.0mgを超えない。
様々な実施形態において、最初に末期肝疾患を有すると同定され、血管拡張薬による当該疾患の治療が腎機能を改善する可能性がある患者は、患者の肝硬変及び腎不全の程度を判定する検査を受ける。
重篤状態であるものの通常は無症候性低血圧の治療を受けない非代償性肝硬変患者にテルリプレシンを投与したところ、この患者群において驚くほど有効であった。例えば、テルリプレシンで治療したHRS-1患者における全生存率(OS)及び無移植生存率(TFS)は、ベースラインMAPが低いほど改善することが予想された。
ベースラインMAPが65mmHg未満の患者では、テルリプレシンで治療した場合のOS及びTFSが、プラセボと比較して有意に高い可能性がある。これに対し、ベースラインMAPが65mmHg以上の患者では、テルリプレシンで治療した場合のOSまたはTFSが、プラセボと比較して差がない可能性がある。いくつかの例では、この効果は、HRSからの回復(血清クレアチニン(SCr)が1.5mg/dL以下に減少)の達成によって定義されるテルリプレシンによる治療に対する応答とは無関係であり得る。いかなる1つの理論にも束縛されるものではないが、この効果は、MAPが65mmHg未満の対象をテルリプレシンで治療した場合に、MAPが顕著に増加することと関係する可能性がある。
1つ以上の実施形態において、テルリプレシン治療プロトコルは、末期肝疾患及び腎機能障害を有する患者を同定することであって、同定された患者が、テルリプレシンの投与を含む治療から利益を得ることができる、同定することと、患者が65mmHg未満の平均動脈圧を示すと判定することと、患者に、腎機能を改善するのに有効な量でテルリプレシンの薬用量を投与することとを含む。腎機能の改善は、SCrのベースラインから少なくとも25%の減少、HRSからの回復(SCrレベルが1.5mg/dl以下に低下することと定義される)、及び/または確認されたHRSからの回復(少なくとも48時間間隔を空けた2つの血清クレアチニン値が1.5mg/dL以下になることと定義される)によって示される。
1つ以上の実施形態において、テルリプレシンの薬用量は、単回投与当たり約0.5mg~約10mg、または約0.5mg~約5.0mg、または約0.5mg~約2.0mg、または約0.5mg~約1mg、または約1.0mg~約2.0mgの範囲とすることができる。様々な実施形態において、注入は低速のボーラス注射として約2分にわたって静脈内投与することができ、このとき、用量は約4~6時間ごとに繰り返すことができる。治療の4日目(最低で10回用量の後)に、SCrの減少がベースライン値から30%未満であった場合、用量を6時間(±30分)ごとに2mg(8mg/日)に増加させることができる。対象が冠状動脈疾患を有していた場合、または循環過負荷、肺水腫、もしくは治療抵抗性気管支痙攣の臨床状況では、用量を増やすことができない。様々な実施形態において、非虚血性有害事象により投与が中断された場合、テルリプレシンは、同じまたはより低い用量(すなわち、6時間ごとに0.5~1mg)で再開することができる。
図1は、テルリプレシン治療プロトコルの例示的な実施形態を示している。
また、本開示の原理及び実施形態は、HRS-1及び低MAPについて同定された患者に、テルリプレシンを静脈内投与として4~6時間ごとに提供することにも関する。
1つ以上の実施形態において、患者は、治療前に平均動脈圧の検査を受ける。
本開示の1つ以上の実施形態において、テルリプレシンは、腎血管収縮を緩和し、腎機能を改善する(血清クレアチニンレベルが初期ベースラインから約1.7mg/dLに低下することにより示される)ために、特定の症状セットを示す患者に投与される。
110において、1名以上のHRS-1患者が同定される。いくつかの実施形態において、末期肝疾患の症状を示している可能性のある1名以上の患者を検査して、腹水を伴う肝硬変に罹患しているかどうか、及び血清クレアチニンレベルが133μmol/l超であるかどうかを判定する。HRSを有すると同定された患者には、さらに検査及び/または病歴の確認を行って、初期の血清クレアチニンレベルが2週間未満で226μmol/l超に倍増し、1型HRSを示すかどうかを判定する。
120において、患者がHRS-1に罹患していると同定されると、当該患者は、同じ患者が65mmHg未満のベースラインMAPを有するかを判定するための検査を受ける。
様々な実施形態において、65mmHg未満のベースラインMAPを示すことが同定されない患者は、テルリプレシン治療プロトコルから除外される。驚くべきことに、HRS-1を有しベースラインMAPが65mmHg未満の患者は、ベースラインMAPが65mmHg以上のHRS-1患者と比較して、全生存率及び無移植生存率の増加によって示されるように、テルリプレシン治療への応答が改善した。
130において、HRS-1を有し、かつベースラインMAPが65mmHg未満であると同定された患者は、制御されていない感染症、敗血症、または敗血症性ショックも有し得るか判定するための検査を受ける。制御されていない感染症、敗血症、または敗血症性ショックを示していると同定された患者は、テルリプレシン治療プロトコルから除外される。
140において、HRS-1を有し、ベースラインMAPが65mmHg未満であり、制御されていない感染症、敗血症、または敗血症性ショックを有しない患者には、テルリプレシン治療を開始する。1つ以上の実施形態において、テルリプレシン治療は、患者がHRS-1を有し、かつベースラインMAPが65mmHg未満であると最初に診断されてから48時間以内に開始される。様々な実施形態において、患者が制御されていない感染症、敗血症、または敗血症性ショックも有するか有しないかの判定が、HRS-1及び低MAPに対する最初の診断から48時間後に行われる場合、治療プロトコルは最初の診断から48時間以内に開始され、制御されていない感染症、敗血症、または敗血症性ショックが発現するかまたは判定されたら、治療を終了することができる。
様々な実施形態において、患者へのテルリプレシンの投与を開始する前に、患者のベースライン血清クレアチニンレベルを定量する場合があり、ベースライン血清クレアチニンレベルを定量してから2日以内または3日以内、または4日以内にテルリプレシンの投与を開始する。様々な実施形態において、患者をテルリプレシン投与開始から4日以内に少なくとも1日に1回検査して、患者の血清クレアチニンレベルが、事前に定量したベースライン血清クレアチニンレベルと比較して減少を示すかを判定する場合がある。
1つ以上の実施形態において、テルリプレシンは低速の注入として24時間かけて患者に投与することができ、この24時間の薬用量は約2.0mg~約12mgの範囲とすることができる。様々な実施形態において、この24時間の薬用量は約2.0mg~約4.0mgの範囲とすることができる。様々な実施形態において、テルリプレシンは、約4時間から約6時間持続し約0.5mg~約2.0mgの薬用量を含む、持続的な静脈内(IV)点滴として投与される。様々な実施形態において、テルリプレシンの薬用量はボーラスとして投与されない。
様々な実施形態において、テルリプレシンの薬用量はボーラス注射として投与されない。1つ以上の実施形態において、HRS-1及び低MAPを有する患者には、患者のMAPを増加させ心拍数を減少させるのに十分であるようなテルリプレシンの有効用量をIVボーラス注射により投与することができる。テルリプレシンの有効用量を投与することにより、患者の生存率を増加させることができる。
1つ以上の実施形態において、HRS-1及び低MAPを有する患者には、患者の拡張期、収縮期、及びMAPを増加させ、患者の心拍数を減少させるのに十分であるようなテルリプレシンの有効用量をIVボーラス注射により投与することができる。テルリプレシンの有効用量を投与することにより、患者の生存率を増加させることができる。
いくつかの実施形態において、MAPの増加は、約1mmHg~約20mmHgであり得る。少なくとも1つの例において、用量に対するMAPの推定最大効果は、約16.2mmHgの増加であり得る。いくつかの実施形態において、心拍数の減少は、約1拍/分~約15拍/分の減少であり得る。少なくとも1つの例において、心拍数の推定最大効果は、10.6拍/分の減少であり得る。拡張期、収縮期、及びMAPの増加ならびに心拍数の減少は、投与後5分以内に明らかになり、投与後少なくとも6時間維持され得る。血圧及び心拍数の最大変化は投与後1.2~2時間後に生じ得、これは、リジン-バソプレシンの血漿濃度が最大になるのと同じ時間であり得る。
1つ以上の実施形態において、テルリプレシンの薬用量は約0.5mg~約2.0mgの薬用量とすることができ、約4~12時間ごとに低速のボーラス注射として約1~5分かけて静脈内投与される。いくつかの実施形態において、用量は、約6時間ごとにIVボーラス注射により約2分かけて投与することができる。1つ以上の実施形態において、テルリプレシンの薬用量はテルリプレシン酢酸塩約1mgであり、約6時間ごとに低速のボーラス注射として約2分かけて静脈内投与される。
1つの実施形態において、投与されるテルリプレシンは、テルリプレシン酢酸塩とすることができる。テルリプレシン酢酸塩の薬用量は、約0.5mg~約4.0mgの範囲で患者に投与することができる。様々な例において、テルリプレシン酢酸塩の薬用量は、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、または約4mgとすることができる。いくつかの例では、テルリプレシンの薬用量は、テルリプレシン酢酸塩約0.85mgまたは約1mgとすることができる。他の例では、テルリプレシン酢酸塩は、約1mg~約2mgの薬用量で投与することができる。少なくとも1つの例では、初期薬用量は、テルリプレシン酢酸塩約1.0mg(すなわち、テルリプレシン0.85mg)とすることができ、テルリプレシン酢酸塩約2mgの薬用量まで増加させることができる。
テルリプレシンは、白色~オフホワイト色の凍結乾燥粉末として注射用に調製することができ、テルリプレシン0.85mg(テルリプレシン酢酸塩1mgに相当)の用量で再構成用の単回用量バイアルに入れる。いくつかの実施形態において、テルリプレシン酢酸塩の薬用量は、約0.5mgまたは約1mgの初期用量で投与することができる。少なくとも1つの例では、投与は、テルリプレシン酢酸塩1mgで開始することができる。他の実施形態において、テルリプレシンの薬用量は、初期用量を投与する期間の後に変更することができる。少なくとも1つの例では、変更薬用量は、テルリプレシン酢酸塩約2mgとすることができる。
薬用量は、約4時間ごと、約5時間ごと、約6時間ごと、約7時間ごと、約8時間ごと、約9時間ごと、約10時間ごと、約11時間ごと、または約12時間ごとに、低速のIVボーラス注射により投与することができる。少なくとも1つの例では、薬用量は、約6時間ごとに低速のIVボーラス注射により投与することができる。ボーラス注射は、約1分、約2分、約3分、約4分、または約5分かけて投与することができる。少なくとも1つの例では、ボーラス注射は約2分かけて投与することができる。
本開示の1つの態様は、HRS-1を治療する及び/または回復させる方法に関する。テルリプレシン治療プロトコルの1つの実施形態による、成人のHRS-1患者を治療する方法の例示的な実施形態が図4に示されている。
ステップ410において、いくつかの実施形態では、ベースライン血清クレアチニンレベルは、1日目にテルリプレシンを投与する前に測定することができる。次に、テルリプレシンの初期用量をHRS-1患者に投与することができる。1つの例において、テルリプレシンの初期用量はテルリプレシン酢酸塩約0.5mg~約1.0mgとすることができ、6時間ごとに約1~3日間投与することができる。少なくとも1つの例では、初期薬用量は、テルリプレシン酢酸塩約1.0mg(すなわち、テルリプレシン0.85mg)とすることができる。
ステップ420において、投与4±1日目(例えば、最低で10回用量の後)に、血清クレアチニンレベルを評価し、ベースラインレベルと比較することができる。様々な実施形態において、テルリプレシンを投与している患者に、1~4±1日の投与中に少なくとも1回検査をして、患者がテルリプレシンに応答しているかを判定する。様々な実施形態において、患者は、テルリプレシンの約3日または4日の投与の終了時に1回検査することができる。いくつかの例では、血清クレアチニンレベルは、投与が中止されるまで継続的に(例えば毎日)評価することができる。様々な実施形態において、患者に投与する薬用量は、測定された血清クレアチニンレベルに基づいて調整することができる。様々な実施形態において、テルリプレシンを投与されている患者は、テルリプレシンを受けている全期間の間、血清クレアチニンレベルがモニターされ得る。1つ以上の実施形態において、患者の血清クレアチニンレベルは、患者がテルリプレシン治療に依然としてプラスに応答していることを確認するために、毎日、または2日に1回、または3日に1回、または4日に1回検査することができる。
いくつかの実施形態において、テルリプレシンは、最大4日間患者に投与することができ、このとき、患者を4日間の各日に検査して、テルリプレシン治療に応答しているかどうかを判定することができる。様々な実施形態において、テルリプレシン治療への応答は、患者の血清クレアチニンレベルの変化によって示され得、その徴候はベースラインからの少なくとも25%のSCr低下とすることができる。様々な実施形態において、テルリプレシンは少なくとも4日間投与することができる。
血清クレアチニンレベルは、当技術分野で知られている任意の方法により測定することができ、例えば、アルカリ性ピクリン酸塩を用いたヤッフェ反応により測定することができる。GFRは、外来性マーカー(例えば、イヌリン、イオヘキソール、イオタラメート、及びCr51-EDTA)のクリアランス試験により、蛍光GFRトレーサー剤の患者レベルの変化を非侵襲的に検出することにより、または同位体希釈質量分析(IDMS)に基づく参照方法に由来するクレアチニン検査方法を用いた推定糸球体濾過率(eGFR)により、直接測定することができる。
様々な実施形態において、患者の血清クレアチニンの低下が認められたかを判定するために、患者のクレアチニンレベルを評価する。このとき、患者の初期ベースライン値から血清クレアチニンレベルが約1.0mg/dL以上もしくは約1.0mg/dL~約2.0mg/dLの範囲で低下している場合、または約1.7mg/dL低下している場合は腎機能の改善を示し、この患者がテルリプレシンに応答していることを示す。いくつかの例では、評価血清クレアチニンレベルは、ベースライン血清クレアチニンレベルより30%以上低い場合もあれば、ベースライン血清クレアチニンレベルより1%~29%低い場合もあれば、ベースライン血清クレアチニンレベルより0%以上高い場合もある。ステップ430、440、及び450において、テルリプレシンの変更薬用量は次に、4±1日目の評価血清クレアチニンレベルとベースライン血清クレアチニンレベルとの比較に基づいて投与することができる。
ステップ430において、4±1日目の評価SCrレベルがベースラインSCrレベルから30%以上減少した場合、約0.5mg~約1.0mgの用量のテルリプレシンを引き続き6時間ごとに患者に投与することができる。例えば、評価SCrレベルがベースラインSCrレベルから30%以上減少した場合、変更薬用量は初期薬用量と同じ(例えば、0.5mg~1.0mg)とすることができる。
いくつかの実施形態において、血清クレアチニンの変化量はテルリプレシンによる治療の4日後に定量され、血清クレアチニンレベルが改善した場合はテルリプレシンによる治療が継続される。様々な実施形態において、治療から4日後における血清クレアチニンレベルの十分な改善は、血清クレアチニンレベルの少なくとも1.0mg/dLの減少、または血清クレアチニンレベルの約1.7mg/dLの減少によって示される。
いくつかの実施形態において、患者が過去1~4日にわたり改善を示した場合、1.5mg/dL未満のベースラインSCr値に達するまで、さらに数日間テルリプレシンを投与することができる。様々な実施形態において、患者は、過去1~4日にわたり改善が示された場合、さらに約1日~約10日間、約3日~約4日間、約3日~約6日間、約3日~約8日間、約3日~約10日間、または約3日~約12日間テルリプレシンを投与される。様々な実施形態において、患者は、過去1~4日にわたり改善が示された場合、さらに3日~4日間テルリプレシンを受ける。
ステップ440において、評価SCrレベルが減少したものの、4±1日目のベースラインレベルから30%未満の減少である場合、テルリプレシンの薬用量は、約6時間ごとに約1.0mg~約2.0mgに増加させることができる。例えば、評価SCrレベルが減少したものの、ベースラインレベルから30%未満の減少である場合、変更薬用量は、約6時間(±30分)ごとにテルリプレシン酢酸塩約0.1mg~約2.0mg(8mg/日)とすることができる。少なくとも1つの例では、変更薬用量は、テルリプレシン酢酸塩2mgとすることができる。対象が冠状動脈疾患を有していた場合、または循環過負荷、肺水腫、もしくは治療抵抗性気管支痙攣の臨床状況においては、評価用量を初期用量から増加させることができない。様々な実施形態において、非虚血性有害事象により投与が中断された場合、テルリプレシンは、同じまたはより低い用量(すなわち、6時間ごとに0.5~1mg)で再開することができる。
ステップ450において、評価SCrレベルが4±1日目のベースラインSCrレベル以上である場合、テルリプレシン投与が中止され得る。例えば、評価SCrレベルがベースラインSCrレベル以上の場合は、変更薬用量は、テルリプレシン投与の中止とすることができる。有害作用の管理は、一時的な用量の低減または中断を含み得る。テルリプレシンは、低用量(例えば、0.5mgまたは1mg)または低頻度の投与間隔(例えば、8~12時間)で投与することができる。有害作用が消失または改善された場合、テルリプレシンは同量またはより低用量で再開することができる。用量の調節後も重篤な有害作用が持続または再発する場合は、テルリプレシン投与は恒久的に中止され得る。
ステップ460において、テルリプレシンの投与は、患者が少なくとも2時間間隔を空けて第2の連続した1.5mg/dL以下の血清クレアチニン値を達成してから24時間後まで、または最大14日間、継続することができる。様々な実施形態において、薬用量は、患者が回復を示すまで、または患者が改善を示さなくなるまで、約4~6時間ごとに1日以上の期間反復することができる。様々な実施形態において、テルリプレシンによる患者の治療の持続期間は1~14日とすることができる。様々な実施形態において、テルリプレシンは少なくとも4日間投与することができる。様々な実施形態において、患者は有害事象を経験しない限り、テルリプレシンを最大約14日間投与される。様々な実施形態において、テルリプレシンは、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、または少なくとも14日間、投与することができる。いくつかの例では、テルリプレシンは、約2日~約14日の範囲の期間、または約4日~約8日の範囲の期間の間、患者に投与することができる。様々な実施形態において、期間は約7日の範囲である。様々な実施形態において、テルリプレシン治療は、完全奏効が認められるまで継続することができる。
様々な実施形態において、患者の血清クレアチニンレベルが減少を示す場合は、患者へのテルリプレシン投与は、最初の4日の他にさらに3日~12日間継続される。様々な実施形態において、患者へのテルリプレシン投与は、SCr値が少なくとも1回1.5mg/dL未満になる(すなわち、HRSからの回復)まで継続することができる。いくつかの実施形態において、患者へのテルリプレシン投与は、少なくとも48時間間隔を空けた少なくとも2つのSCr値が1.5mg/dL以下で得られる(すなわち、検証されたHRSからの回復)まで継続することができる。様々な実施形態において、HRSからの回復が13または14日目に最初に達成された場合、それぞれ最大15日または16日まで治療の持続期間を延長することができる。様々な実施形態において、テルリプレシンによる患者の治療の持続期間は1~28日とすることができる。様々な実施形態において、血清クレアチニンレベルの低下は、ベースラインから少なくとも1%、または少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%のSCrの低下によって示され得る。
様々な実施形態において、患者は、テルリプレシンの投与を開始してから約4日~約90日後にHRSからの回復を経験し得る。さらなる実施形態において、患者は、テルリプレシンの投与を開始してから約4日~約90日後に、検証されたHRSからの回復を経験し得る。1つ以上の実施形態において、HRSからの回復は、SCrレベルが1.5mg/dl以下に減少することによって示され、検証されたHRSからの回復は、少なくとも48時間間隔を空けた2つのSCr値が1.5mg/dl以下になることと定義される。
1つの実施形態において、患者の全生存率は、プラセボと比較して増加し得る。例えば、ベースラインMAPが低い患者をテルリプレシンで治療すると、プラセボと比較して生存する可能性が高くなり得る。いくつかの実施形態において、患者のテルリプレシン投与開始後の全生存日数中央値は、プラセボと比較して増加し得る。いくつかの実施形態において、患者のテルリプレシン投与開始後約90日時の全生存率は、プラセボと比較して増加し得る。例えば、患者のテルリプレシンの投与開始後の全生存率は、プラセボと比較して50%~185%増加し得る。いくつかの実施形態において、患者のテルリプレシン投与開始後約90日時の全生存率は、HRS-1を有するがベースラインMAPが65mmHg以上である患者と比較して同様であり得る。
1つの実施形態において、患者の無移植生存率は、プラセボと比較して増加し得る。例えば、テルリプレシンで治療したベースラインMAPが低い患者は、プラセボと比較して、生存し無移植状態である可能性が増加し得る。いくつかの実施形態において、患者のテルリプレシン投与開始後の無移植生存日数中央値は、プラセボと比較して増加し得る。他の実施形態において、患者のテルリプレシン投与開始後約90日時の無移植生存率は、プラセボと比較して増加し得る。例えば、患者のテルリプレシンの投与開始後の無移植生存率は、プラセボと比較して30%~145%増加し得る。他の実施形態において、患者のテルリプレシン投与開始後約90日時の無移植生存率は、HRS-1を有するがベースラインMAPが65mmHg以上である患者と比較して同様であり得る。
1つ以上の実施形態において、患者はテルリプレシン治療プロトコルを始める前に、及び/または患者がHRS-1もしくは低ベースラインMAPを有することを判定する前に、アルブミンを投与されていてもよい。様々な実施形態において、アルブミンは、患者へのテルリプレシン投与を開始する7日~2日前に、患者に投与することができる。様々な実施形態において、アルブミン治療は、患者体重1kg当たりアルブミン1グラム~1日当たりアルブミン最大100gを患者に投与することを含む。様々な実施形態において、アルブミンは、約20g/日~約50g/日の範囲で投与することができ、このときアルブミンは、患者がテルリプレシンを投与される期間に投与してもよい。
低ベースラインMAPを示すHRS-1患者をテルリプレシンで治療する方法の非限定的な実施形態は、このような治療を必要とする患者に、テルリプレシンの薬用量を1日当たり2.0mg~12.0mgの範囲で1~28日間、または1日当たり2.0mg~4.0mgの範囲で1~7日間投与することを含み、この薬用量は、持続的な静脈内供給として、または低速のボーラス注射として投与することができる。
本開示の実施形態は、HRS-1及び低ベースラインMAPを有する患者を6時間ごとにテルリプレシンの1回用量で治療することにも関し、このとき、HRS-1からの回復を達成するための用量は、約0.5mg~2.0mgの範囲で3~8日間である。
本開示の諸実施形態は、患者がHRS-1及び65mmHg未満のMAPを示すが、敗血症、敗血症性ショック、または制御されていない感染症を伴わないと判定してから48時間以内にテルリプレシン治療を開始することにも関する。
本開示の別の態様は、医薬製品を配布する方法に関する。
1つ以上の実施形態において、配布する方法は、1型肝腎症候群に罹患している患者の治療を担当する可能性がある医療提供者にテルリプレシンを供給することを含む。様々な実施形態において、患者は明白な敗血症、敗血症性ショック、または制御されていない感染症を有しない。様々な実施形態において、当該方法は、医療提供者に、明白な敗血症、敗血症性ショック、または制御されていない感染症を有さず、ベースラインMAPが65mmHg未満の1型肝腎症候群に罹患している患者を、全生存率、無移植生存率を改善し、及び/またはSCrを低下させるのに有効な量のテルリプレシンで治療するように推奨を提供することを含む。1つ以上の実施形態において、医療提供者は勧告に従い、HRS-1に罹患しているが明白な敗血症、敗血症性ショック、または制御されていない感染症には罹患しておらず、ベースラインMAPが65mmHg未満である患者に、全生存率、無移植生存率を改善し、及び/またはSCrを低下させるためのテルリプレシンの有効量を用いた治療を投与する。
実施例1:
1型HRSにおけるテルリプレシンの有効性を評価するため、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験を行った。本試験の目的は、アルブミン静脈内投与を受けている成人1型HRS患者の治療において、プラセボと比較したテルリプレシン静脈内投与の有効性及び安全性を判定することである。肝硬変、腹水を有し、2007年International Ascites Club(IAC)の診断基準(Salerno F,Gerbes A,Gines P,Wong F,Arroyo V.,Diagnosis,prevention and treatment of hepatorenal syndrome in cirrhosis,Gut.2007;56:1310-1318)に基づいて1型HRSと診断された18才以上の男女が参加に適格とした。SCrレベルが2.5mg/dL超であり、2週間以内にSCr倍増したか、またはSCrレベルの経時的変化が2週間以内に倍増するのと同等以上の勾配を有する軌跡を示す患者を登録した。制御されていない感染症、敗血症、または敗血症性ショックの患者は除外した。
ベースラインMAPを使用して、HRS-1患者307名をベースラインMAPが65mmHg未満の群及び65mmHg以上の群の2群に層別化し、ベースラインMAPが65mmHg未満の患者が50名、ベースラインMAPが65mmHg以上の患者が257名となった。
HRSからの回復に関する群間比較は、各MAP群内でフィッシャー正確確率検定を用いて行った。生存率推定値を比較するP値は、2標本のログランク検定を用いて算出した(ランダム化は、SCr(3.6mg/dL未満または3.6mg/dL以上)及びアルコール性肝炎(存在の有無)で層別化した。
除外基準は、肝硬変及び腹水から二次的に生じた機能的腎障害を有し、安全にテルリプレシンを投与することができ、この実薬試験期間中生存することが期待され得る個体に限定した患者サンプルを得ることを意図するものであった。
無症候性低血圧の患者を評価した結果、以下の表1に見られるように、無症候性低血圧は、全身性炎症反応症候群(SIRS)またはアルコール性肝炎の有無に関係しないことが示された。
Figure 2023500654000002
MAPが65mmHg未満の群では、試験治療曝露の平均持続期間(SD)は、テルリプレシン群で4.7日(3.54)、プラセボ群で4.5日(2.77)であった。MAPが65mmHg以上の群では、それぞれの曝露の平均持続期間(SD)は、6.0日(4.27)及び6.3日(3.99)であった。
実施例2:
2つの患者群におけるHRSからの回復、確認または検証されたHRSからの回復、SCrの変化、及びMAPの変化をプラセボと比較した。
テルリプレシン治療プロトコルにおいてHRS-1を有しベースラインMAPが65mmHg未満と同定された患者は、プラセボと比較して、確認されたHRSからの回復(8%に対し25%、p<.247)、HRSからの回復(8%に対し24%、p<.247)、腎機能(ベースラインからのSCrの変化(mg/dL)、0.2に対し-0.8、p<0.0001)、及びMAP(ベースラインMAPからの変化(mmHg)、3.4に対し14.4、p<.001)の増加を示した。これに対し、HRS-1を有しベースラインMAPが65mmHg以上の患者群では、確認されたHRSからの回復はプラセボ14%に対し24.2%、HRSからの回復はプラセボ15.5%に対し28.1%、腎機能変化はプラセボ-0.6mg/dLに対し-0.9mg/dL、ベースラインからのMAP変化はプラセボ-2.4mmHgに対し2.0mmHgとなった。
テルリプレシンを投与した患者におけるHRSからの回復率は、MAPが65mmHg未満の群と65mmHg以上の群で同様であった。MAPが65mmHg以上の群でHRSが回復した患者の割合は、テルリプレシンを投与した患者ではプラセボを投与した患者と比較して有意に高かった。ベースラインから治療終了時までのSCrの改善は、いずれのMAP群でもテルリプレシンの方がプラセボより有意に大きかった。ただし、MAPが65mmHg以上の群では改善の程度が低かった。
Figure 2023500654000003
実施例3:
この2つの患者群の全生存率及び無移植生存率をプラセボと比較した。
HRS-1及び低MAPを有する患者に対してテルリプレシンで治療したところ、プラセボと比較して90日時の全生存率(OS)の改善を示した(24%に対し68%;P=.005)。さらに、HRS-1及び低MAPを有する患者は、HRS-1に罹患しているが低MAPを有しない患者と比較して、両群をテルリプレシンで治療したときに、90日時における全生存率の改善を示した(51.6%に対し68%)。一方、MAPが65mmHg以上の群では、テルリプレシン群とプラセボ群との間で90日時のOSの差が観察されなかった(55.8%に対し51.6%;P=.429)。図2は、治療群及びプラセボを比較した2つの患者群の全生存率を示している。
さらに、テルリプレシンで治療したHRS-1及び低MAPを有する患者は、プラセボと比較して無移植生存(TFS)率の改善を示した(28%に対し68%;P=.015)。治療群では、HRS-1及び低MAPを有する患者は、HRS-1に罹患しているが低MAPを有しない患者と比較して無移植生存率の改善を示した(52%に対し68%)。一方、MAPが65mmHg以上の群では、テルリプレシン群とプラセボ群との間で90日時のTFSの差が観察されなかった(58.9%に対し52.3%;P=.291)。図3は、治療群及びプラセボを比較した2つの患者群の無移植生存率を示している。
これらの結果を、以下の表3にさらに詳しく示す。
Figure 2023500654000004
テルリプレシンによる治療は、HRS-1を有しベースラインMAPが65mmHg未満の患者においては、OS及びTFSの大幅な改善に関連するものであった。この効果は、HRS-1からの回復とは無関係であるように思われ、この群のSCrがベースラインからEOTにかけて著明に改善したことに関係している可能性がある。また、テルリプレシン投与を受けたこの群の患者は、プラセボ投与を受けた患者と比較して、ベースラインからEOTにかけてMAPの顕著な改善も経験した。
これらの結果は、ベースラインMAPが65mmHg未満であることは、患者が、テルリプレシンによる治療にプラセボと比較してプラスの応答を示す可能性が高いことを示すものである。
また、非代償性肝疾患患者は、制御されていない感染症または敗血症の非存在下で低MAPを有することが多く、かつ低MAPの存在が予後不良に関連することも認識されていた。そのため、低MAPを有する患者が全生存率及び無移植生存率を有意に改善したことは驚くべきことであった。
実施例4:
1型HRSにおけるテルリプレシンの有効性を評価するため、ランダム化プラセボ対照二重盲検研究を行った。本試験の目的は、十分に定義されたHRS-1の患者を対象に、HRS-1の治療法としてのアルブミン単独に対するテルリプレシン+アルブミンの有効性及び安全性を特徴付けることであった。本試験では、実施例1に記載のものと同様の選択基準及び除外基準を使用した。
本試験に300例の対象を登録した。300例の対象のうち、199例をテルリプレシンに、101例をプラセボ(アルブミン単独)にランダムに割り付けた。人口統計学的特性及びBL臨床特性は治療群間で同様であった。例えば、2つの治療群の平均年齢、体重、身長、性分布、民族分布、人種分布、アルコール性肝炎の有無、ベースライン血清クレアチニン、大量胸腔穿刺(LVP)ランダム化層、ベースラインモデル末期肝疾患(MELD)スコア、ベースラインチャイルド・ピュースコア、ベースライン白血球数、ベースラインビリルビン、ベースライン平均動脈圧(MAP)、ベースライン心拍数、ベースライン血中尿素窒素(BUN)、ベースライン重炭酸(HCO)または二酸化炭素(CO)、ベースライン体温、ベースライン呼吸数、ベースライン慢性肝不全急性増悪(ACLF)グレード、ベースライン慢性肝不全-敗血症臓器不全評価(CLIF-SOFA)スコア、ならびに既往状態/事前治療(例えば、食道静脈瘤出血(EVH)結紮、肺炎、尿路感染症(UTI)、特発性細菌性腹膜炎(SBP)、及びアルブミン投与)の有無は同様であった。各群におけるLTを受けた患者の割合は、テルリプレシン群で23.1%、プラセボ群で28.7%であった。
33例の患者のベースラインMAPが65mmHg未満であり、このうち24例にテルリプレシン治療、9例にプラセボを投与した。ベースラインMAPが65mmHg未満の患者の全生存率の結果を表4に、ベースラインMAPが65mmHg未満の患者の無移植生存率の結果を以下の表5に示す。
Figure 2023500654000005
Figure 2023500654000006
本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態が本開示の原理及び応用の例示に過ぎないことを理解されたい。本開示のデバイス、システム、及び方法には、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形がなされ得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示には、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内にある変更及び変形が含まれることが意図されている。
本明細書全体において、「1つの(one)実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「1つの(a)実施形態」に言及された場合、実施形態に関して記載された特定の特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所にある「1つ以上の実施形態において」、「ある特定の実施形態において」、「1つの(one)実施形態において」、または「1つの(a)実施形態において」などの語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態で任意の好適な方法で組み合わせることができる。

Claims (64)

  1. 1型肝腎症候群(HRS-1)を有する患者の生存率を増加させる方法であって、
    ベースライン平均動脈圧(MAP)が65mmHg未満であるHRS-1患者を同定することと、
    前記患者に、前記患者のHRS-1を治療するのに有効なテルリプレシンの量を投与することと、を含み、
    前記患者が、明白な敗血症、敗血症性ショック、または制御されていない感染症を有しない、方法。
  2. 前記患者へのテルリプレシンの投与が、血清クレアチニンレベルを1.5mg/dl以下に減少させ、HRS-1から回復させる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者に投与されるテルリプレシンの前記量が、1~14日間、1日当たり1.0mg~12.0mgの範囲である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記投与されるテルリプレシンがテルリプレシン酢酸塩である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記テルリプレシン酢酸塩が約0.5mg~約2mgの量で投与される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記テルリプレシンが静脈内(IV)投与される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記テルリプレシンが、6時間ごとにIVボーラス注射により2分かけて投与される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記患者がテルリプレシンを投与される期間の各日に、1日当たり最大100g以下のアルブミンで前記患者を治療することを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記患者の全生存率が、プラセボで治療された患者と比較して改善される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記患者が、前記テルリプレシンの投与を開始してから90日目に生存している、請求項9に記載の方法。
  11. 前記患者の無移植生存率が、プラセボで治療された患者と比較して改善される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記患者が90日目に生存しており、無移植状態である、請求項11に記載の方法。
  13. 1型肝腎症候群(HRS-1)を治療する方法であって、
    複数の患者を、HRS-1を有すると同定することと、
    前記複数の患者のベースライン平均動脈圧(MAP)が65mmHg未満であると判定することと、
    前記患者が、明白な敗血症、敗血症性ショック、または制御されていない感染症を有しないと判定することと、
    前記患者が65mmHg未満のベースラインMAPを示し、明白な敗血症、敗血症性ショック、または制御されていない感染症を有しないことを理由に、前記患者の前記HRS-1がテルリプレシンによる治療に応答する可能性があると判定することと、
    前記患者に、前記患者のHRS-1を治療するのに有効なテルリプレシンの量を投与することと、を含む、方法。
  14. 前記患者に投与されるテルリプレシンの前記量が、1~14日間、1日当たり1.0mg~12.0mgの範囲である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記投与されるテルリプレシンがテルリプレシン酢酸塩である、請求項13に記載の方法。
  16. 前記テルリプレシン酢酸塩が約0.5mg~約2mgの量で投与される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記患者が、テルリプレシンを4~6時間ごとに4日間静脈内(IV)投与される、請求項13に記載の方法。
  18. 前記テルリプレシンが、6時間ごとにIVボーラス注射により2分かけて投与される、請求項13に記載の方法。
  19. テルリプレシン投与の最初の1~4日の間に、前記患者の血清クレアチニンレベルが低下しているか判定することを含む、請求項18に記載の方法。
  20. テルリプレシン投与の最初の1~4日の間に、前記患者が血清クレアチニンレベルの低下を示さない場合、前記患者へのテルリプレシン投与を中止することを含む、請求項19に記載の方法。
  21. テルリプレシン投与の最初の1~4日の間に、前記患者が血清クレアチニンレベルの低下を示す場合、さらに3~12日間、前記患者へのテルリプレシン投与を継続することを含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記患者へのテルリプレシン投与が、血清クレアチニン(SCr)レベルを1.5mg/dl以下に減少させる、請求項13に記載の方法。
  23. 前記患者が、HRSからの回復、検証されたHRSからの回復、及び/またはSCrの30%超の改善を経験する、請求項13に記載の方法。
  24. 前記患者の全生存率が、プラセボで治療された患者と比較して改善される、請求項13に記載の方法。
  25. 前記患者が、前記テルリプレシンの投与を開始してから90日目に生存している、請求項24に記載の方法。
  26. 前記患者の無移植生存率が、プラセボで治療された患者と比較して改善される、請求項13に記載の方法。
  27. 前記患者が90日目に生存しており、無移植状態である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記患者がテルリプレシンを投与される期間の各日に、1日当たり最大100g以下のアルブミンで前記患者を治療することを含む、請求項13に記載の方法。
  29. 1型肝腎症候群(HRS-1)から回復させる方法であって、
    ベースライン平均動脈圧(MAP)が65mmHg未満であるHRS-1患者に、前記患者のHRS-1を回復させるのに有効なテルリプレシンの量を投与することを含み、
    前記患者が、明白な敗血症、敗血症性ショック、または制御されていない感染症を有さず、
    前記患者へのテルリプレシンの投与が、血清クレアチニンレベルを1.5mg/dl以下に減少させ、HRS-1から回復させ、
    前記テルリプレシンの投与を開始してから90日目に前記患者が生存している、方法。
  30. 前記投与されるテルリプレシンがテルリプレシン酢酸塩である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記テルリプレシン酢酸塩が約1mg~約2mgの量で投与される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記テルリプレシンが、6時間ごとに静脈内(IV)ボーラス注射により2分かけて投与される、請求項29に記載の方法。
  33. 前記患者の全生存率が、プラセボで治療された患者と比較して改善される、請求項29に記載の方法。
  34. 前記患者の無移植生存率が、プラセボで治療された患者と比較して改善される、請求項29に記載の方法。
  35. 前記患者が90日目に生存しており、無移植状態である、請求項34に記載の方法。
  36. 1型肝腎症候群(HRS-1)及び低い平均動脈圧(MAP)を有する患者の生存率を増加させる方法であって、
    それを必要とする患者に、テルリプレシンの有効用量を6時間ごとに静脈内(IV)ボーラス注射により2分かけて投与することを含み、
    前記用量が、前記患者にMAPを増加させ、心拍数を減少させるのに十分である、方法。
  37. 前記用量におけるMAPの推定最大効果が16.2mmHgの増加である、請求項36に記載の方法。
  38. 心拍数の推定最大効果が10.6拍/分の減少である、請求項36に記載の方法。
  39. 前記投与されるテルリプレシンがテルリプレシン酢酸塩である、請求項36に記載の方法。
  40. 前記有効用量がテルリプレシン酢酸塩約0.5mg~約2mgである、請求項39に記載の方法。
  41. テルリプレシン投与の最初の1~4日の間に、前記患者の血清クレアチニンレベルが低下しているか判定することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
  42. テルリプレシン投与の最初の1~4日の間に、前記患者が血清クレアチニンレベルの低下を示さない場合、前記患者へのテルリプレシン投与を中止することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  43. テルリプレシン投与の最初の1~4日の間に、前記患者が血清クレアチニンレベルの低下を示す場合、さらに3~12日間、前記患者へのテルリプレシン投与を継続することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  44. テルリプレシン投与の最初の1~4日後に、テルリプレシンの用量を初期用量から変更用量に増加させることをさらに含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記初期用量がテルリプレシン酢酸塩約0.5mg~約1mgであり、前記変更用量がテルリプレシン酢酸塩約1mg~約2mgである、請求項44に記載の方法。
  46. 1型肝腎症候群(HRS-1)及び低い平均動脈圧(MAP)を有する患者の生存率を増加させる方法であって、
    それを必要とする患者に、テルリプレシンの有効用量を6時間ごとに静脈内(IV)ボーラス注射により2分かけて投与することを含み、
    前記用量が、前記患者に拡張期、収縮期、及びMAPを増加させ、心拍数を減少させるのに十分である、方法。
  47. 前記用量におけるMAPの推定最大効果が16.2mmHgの増加である、請求項46に記載の方法。
  48. 心拍数の推定最大効果が10.6拍/分の減少である、請求項46に記載の方法。
  49. 前記投与されるテルリプレシンがテルリプレシン酢酸塩である、請求項46に記載の方法。
  50. 前記有効用量が、テルリプレシン酢酸塩約1mg~約2mgである、請求項49に記載の方法。
  51. テルリプレシン投与の最初の1~4日の間に、前記患者の血清クレアチニンレベルが低下しているか判定することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
  52. テルリプレシン投与の最初の1~4日の間に、前記患者が血清クレアチニンレベルの低下を示さない場合、前記患者へのテルリプレシン投与を中止することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
  53. テルリプレシン投与の最初の1~4日の間に、前記患者が血清クレアチニンレベルの低下を示す場合、さらに3~12日間、前記患者へのテルリプレシン投与を継続することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
  54. テルリプレシン投与の最初の1~4日後に、テルリプレシンの用量を初期用量から変更用量に増加させることをさらに含む、請求項53に記載の方法。
  55. 前記初期用量がテルリプレシン酢酸塩約0.5mg~約1mgであり、前記変更用量がテルリプレシン酢酸塩約1mg~約2mgである、請求項54に記載の方法。
  56. 1型肝腎症候群(HRS-1)及び低い平均動脈圧(MAP)を有する患者の生存率を増加させる方法であって、
    それを必要とする患者に、テルリプレシン酢酸塩の有効用量約0.5mg~約2mgを約4~10時間ごとに静脈内(IV)ボーラス注射により約1~5分かけて投与することを含み、
    前記用量が、前記患者にMAPを増加させ、心拍数を減少させるのに十分である、方法。
  57. 前記用量がさらに、拡張期血圧及び収縮期血圧を増加させるのに十分である、請求項56に記載の方法。
  58. 前記用量におけるMAPの推定最大効果が16.2mmHgの増加である、請求項56に記載の方法。
  59. 心拍数の推定最大効果が10.6拍/分の減少である、請求項56に記載の方法。
  60. テルリプレシン酢酸塩投与の最初の1~4日の間に、前記患者の血清クレアチニンレベルが低下しているか判定することをさらに含む、請求項56に記載の方法。
  61. テルリプレシン酢酸塩投与の最初の1~4日の間に、前記患者が血清クレアチニンレベルの低下を示さない場合、前記患者へのテルリプレシン酢酸塩投与を中止することをさらに含む、請求項60に記載の方法。
  62. テルリプレシン酢酸塩投与の最初の1~4日の間に、前記患者が血清クレアチニンレベルの低下を示す場合、さらに3~12日間、前記患者へのテルリプレシン酢酸塩投与を継続することをさらに含む、請求項60に記載の方法。
  63. テルリプレシン酢酸塩投与の最初の1~4日後に、テルリプレシン酢酸塩の用量を初期用量から変更用量に増加させることをさらに含む、請求項62に記載の方法。
  64. 前記初期用量がテルリプレシン酢酸塩約0.5mg~約1mgであり、前記変更用量がテルリプレシン酢酸塩約1mg~約2mgである、請求項63に記載の方法。
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