本明細書に記載する内容のいくつかの態様では、複製不可の一意の物理識別子が適用および使用される。いくつかの実装形態では、一意マーカは、対象の表面特徴の形態に合った形状である。表面特徴は、対象の小面、表面パターン、テキスチャ、または他の凹みとすることができる。いくつかの事例では、対象は、複数の側面または面を有し、小面は、対象の複数の側面または面のうちの1つとすることができる。たとえば、対象は、宝石とすることができ、小面は、宝石の複数の側面または面のうちの1つとすることができる。一意マーカは、対象(物品と呼ぶこともできる)に適用または組み込むことができる。いくつかの実装形態では、一意マーカは、対象に適用または組み込まれたホスト材料中またはホスト材料上に分布させられた要素を含むことができる。これらの要素は、結晶粒子(たとえば、ミクロン規模またはナノ規模のダイヤモンド粒子)または他のタイプの要素を含むことができる。一意マーカは、物理的に複製不可とすることができ、したがって一意マーカを対象のためのタガントにすることが可能になる。たとえば、要素の配向はランダムに分布していることがあり、要素のサイズおよび相対位置は規則的またはランダムに分布していることがある。いくつかの例では、類似の組成および配向の要素を含むマーカを有する対象のコピーを作る可能性は十分に低く、したがって一意マーカを有する対象を、別個または一意のものと見なすことができる。いくつかの事例では、一意マーカは、接着性の裏地を有する基材上に要素の分布を含むステッカであり、ステッカの少なくとも一部分が対象に貼付される。
一意マーカを使用して、対象を解析することができる。いくつかの例では、一意マーカを使用して対象を解析することは、対象の識別情報を認証すること、対象が不正変更されたかどうかを判定すること、対象が使用もしくは起動されたかどうかを判定すること、対象が環境応力に曝露されたかどうかを判定すること、対象が機械的応力もしくは摩耗を受けたかどうかを判定すること、または対象の他のタイプの解析を行うことを含む。本明細書に論じる方法およびシステムを使用して、様々なタイプの対象を解析することができる。対象の非限定的な説明例には、銀行券および残高証明書、クレジットカードなど、電子決済システム、投票システム、通信システムおよび要素、宝飾品および収集品、ダイヤモンドおよび宝石、包装、紙製品、電子機器ケース、電子部品およびシステム(たとえば、集積回路、チップ、回路基板)、小売り商品(たとえば、ハンドバッグ、衣類、スポーツ用品)、工業部品およびシステム(たとえば、機械部品、自動車部品、航空宇宙部品)、原材料(加工済みまたは未加工)(たとえば、インゴット、ビレット、原木、スラブ)、食品および包装(たとえば、ワイン、蒸留酒、トリュフ、香辛料)、医薬品、医薬品包装およびロット、医療デバイスおよび外科ツールならびにその包装、公文書(たとえば、契約書、パスポート、ビザ)、デジタル記憶システムおよび要素、郵便物および郵便包装、シールおよび不正変更防止ラベルが含まれる。例示的な対象のこのリストは網羅的ではなく、本明細書に開示する方法およびシステムを使用して、多くの他のタイプの対象を解析することができる。
本明細書に記載する内容のいくつかの態様では、一意マーカの要素に基づいて、一意コードを生成することができる。いくつかの事例では、これらの要素の1つまたは複数の特性を判定して(たとえば、要素の走査による)、一意コードを生成することができ、次いで一意コードを使用して、たとえば対象を解析することができる。たとえば、一意マーカから要素の空間的な配向、場所、またはサイズを抽出して、一意コードを生成することができるが、これらの要素の他のタイプの特性を使用して、一意コードを生成することができる。対象を容易に識別するためにバーコードおよびクイック応答(QR)コードが現在使用されているのと同様に、一意コードを使用して、対象を解析することができる。したがって、一意マーカは、たとえば対象に取り付けられたとき、または対象に組み込まれたとき、対象を解析することを可能にする「指紋」として使用することができる。
一意マーカは、本明細書に記載する1つまたは複数の方法を使用して形成することができる。本明細書に記載する内容のいくつかの態様では、一意マーカは、対象の表面形態に合った形状とすることができる。たとえば、一意マーカは、対象の表面パターン、テキスチャ、または他の凹みに合った形状とすることができる。いくつかの事例では、一意マーカを対象の表面形態に合った形状にすることは、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む流体(たとえば、液体または粘性流体)を提供することと、流体を硬化させて一意マーカを形成することとを含む。いくつかの実装形態では、流体(要素の分布を含む)は、対象の表面パターン、テキスチャ、または他の凹みで硬化して、一意マーカになる。いくつかの実装形態では、流体は、セルのパターンから基材上へ移動させられて、一意マーカを生じさせる。
本明細書に記載する内容のいくつかの態様では、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布は、未硬化または半硬化の材料に組み込むことができる。いくつかの実装形態では、材料は、接着剤または封止材料とすることができ、未硬化または半硬化の材料は、ゲルのような粘稠性を有することができる。未硬化または半硬化の材料は、対象の1つもしくは複数の構成要素を共形に被覆するように、または対象の継ぎ目を覆いもしくは充填するように、対象に塗布することができる。その後、未硬化または半硬化の材料は、材料を凝固させるプロセス(たとえば、通常の乾燥、硬化、エネルギー源への曝露(たとえば、UV放射)、または別のプロセス)に曝露され、したがって接着剤または封止材料(要素の分布を含む)が物理的に複製不可の識別情報を得ることを可能にしながら、下にある対象の設計の範囲内でその機能的目的(たとえば、装飾、情報供与、保護など)を維持する。加えて、接着剤または封止材を利用することで、たとえばカスタムタグ付けキャンペーンにおいて、一意マーカをホストするように以前は設計されていなかった表面上に、要素の分布を組み込むための効率的で特注の方法が提供される。
本明細書に記載する内容のいくつかの態様では、要素の分布を含む一意マーカを使用して、タグ付き対象の不正変更または使用の証拠を実証することができる。
本明細書に記載するシステムおよび技法は、技術的な利点および改善を提供することができる。たとえば、表面の形態に合った形状の一意マーカは、対象の解析(たとえば、製品の追跡、認証など)のための隠れた簡単で見た目に美しい安全な方法を提供することができる。包装または製品自体の表面上へ一意マーカを一体化することによって、企業は、その原材料、部品、および製品を(たとえば、製品寿命全体にわたって)安全に追跡することが可能になる。いくつかの事例では、容易に損なわれず製品の機能または美観に干渉しない機構を使用して、製品を追跡することができる。いくつかの事例では、表面の形態に合った形状の一意マーカから、一意コードを繰返し迅速に読み取ることができ、より効率的かつ確実な一連の追跡解析を可能にすることができる。表面の形態に合った形状の一意マーカはまた、既存の製造技法および製品特徴に適合するように、製品に一体化することができる。いくつかの事例では、表面の形態に合った形状の一意マーカを使用して、製品の刻印されたブランディング、ロゴ、グラフィックス、商標、または他の視覚的な特徴に、製品の一意識別子(たとえば、シリアル番号など)を一体化することができる。いくつかの事例では、一意マーカは、たとえばその存在を目立たなくするために、または環境への曝露から遮蔽するために、製品の表面内の裂け目または隠れた特徴に一体化することができる。さらに、いくつかの実装形態では、表面の形態に合った形状の一意マーカは、ラベリングのために一貫した形状で大量生産することができる。
いくつかの実装形態では、物品は次のように解析される。物品に一意マーカを適用した後、出発地位置および配向マップ内で結晶の相対的な位置および配向を位置合わせする出発地スキャナによって、最初の走査または「出発地」走査が実行される。いくつかの実装形態では、これは、既知の印加磁場下で、結晶内の蛍光原子欠陥の磁気共鳴測定を各結晶に対して並行して実行することによって行われる。いくつかの事例では、結晶の位置および配向に加えて、物品の解析で使用するために各結晶のサイズが判定および位置合わせされる。粒子配向は、欠陥中心軸に沿って、磁場ベクトルの投影から計算することができる。配向情報は完全である必要はなく、配向の部分的な投影を使用することもできる。配向情報は、幾何学的に考えることができる。欠陥中心は、その中心から発生する単位ベクトルとして表すことができる。ベクトルの配向は、その出発地の周りの球面座標を使用して記述することができる。経度および緯度の座標は、完全または部分的に記述および認識することができる。いくつかの例では、その大きさおよび配向が知られている磁場に対する欠陥中心のゼーマンシフトを測定することによって、配向情報の問合せが行われる。欠陥中心配向が磁場平面に投影される単一の測定によって、部分的な配向情報を推論することができる。異なる磁場配向におけるいくつかのそのような測定を組み合わせることによって、完全な配向情報を抽出することができる。
物品の解析(たとえば、物品の識別情報を認証すること、物品が不正変更されたかどうかを判定すること、物品が使用または起動されたかどうかを判定すること、物品が環境応力に曝露されたかどうかを判定すること、物品が機械的応力または摩耗を受けたかどうかを判定することなど)が所望された後(たとえば、物品が目的地に到達した後)、最初の走査と同様に物品上の一意マーカが走査され(ただし、必ずしも同じ磁場構成である必要はない)、第2の走査を使用して、結晶の相対的な位置および配向を判定する。部分的または完全な配向情報は、第2の走査の時点での磁場の所定の設定に基づいて計算される。この計算によってマーカの配向マップが得られ、このマップを、以前の走査(たとえば、元の走査)からの既知のマップと比較することができる。
1つの例示的な比較は、以前の走査(出発地)マップ上で位置値の集合を見出すために行われるはずであり、この集合の現在の走査(目的地)マップ上の対応する各位置は、値Vだけ異なる。たとえば、Vは、各粒子のサイズの何分の1かにすることができる。この部分集合内の粒子に関して、配向マップ内にそれらの配向を見出すことができる。出発地マップ内の粒子配向と、目的地マップ内の粒子配向との間の角度を計算することができる。目的地スキャナの条件(たとえば、磁場強度、検出時間など)からの制約によって選択された、角度差が所定の閾値Wより小さい部分集合内の粒子だけが、一致と見なされる。2つのマップが一致のための閾値基準を超過した場合、目的地にある物品は、真正であり一意に識別される、不正変更されていない、使用または起動されていない、環境応力に曝露されていない、摩耗の機械的応力を受けていない、などと見なすことができる。1つの閾値基準は、一致する粒子の割合が出発地位置マップ内の粒子の総数の90%であることとすることができる。
いくつかの実装形態では、一意マーカ内の結晶粒子は蛍光色中心を含み、したがって標準的な撮像技法を使用して、それらの位置およびサイズを取得することができる。結晶粒子の配向はまた、磁気共鳴技法と組み合わせた標準的な蛍光顕微鏡検査の変形例を使用して判定することができる。粒子の相対配向はランダムなことがあり(粒子の相対的な位置およびサイズもランダムなことがある)、十分に大きい粒子群は、その属性に関して概ね一意および別個である。
いくつかの事例では、一意マーカおよび他の対象で使用するために、色中心を含むダイヤモンドおよび他の結晶粒子の窒素空孔中心(NVC)の特性を利用することができる。
結晶粒子ホストおよび色中心のいくつかの一意の組合せにより、粒子ならびにその位置およびサイズに関する配向情報をもたらす磁気共鳴応答が可能になる。ダイヤモンドのNVCは、光学的に検出された磁気共鳴を呈する色中心の一例である。NVCは、600nmを下回る光放射(典型的には530nm付近)によって励起されたとき、635nm~800nmの光波長範囲内の広い蛍光応答を呈する。ダイヤモンド格子の対称性およびNVの組成のため、この中心の電子基底状態は、2つのスピン副準位1からスピン副準位0のエネルギーを分割する固有結晶場を有するスピン三重項である。このエネルギー分割は、マイクロ波レジーム内で2.8GHz付近であり、副準位0と副準位±1との間の遷移は、共鳴励起によって駆動される。NV対称軸に沿って磁場が印加された状態で、副準位±1は、印加磁場の大きさに比例してエネルギーがシフトする(ゼーマン効果)。この結果、2つの異なる周波数が共鳴条件を満たすことになる。逆に、磁場の配向が分かっている場合、共鳴周波数の測定およびNV軸に対する投影の逆算によって、NVを含む結晶の配向を取得することができる。加えて、NVCの三重項/一重項の電子構造により、磁気応答の測定が容易になる。光放射(600nm未満の波長)の短時間(5μ秒未満)の照射後、スピン副準位0、±1の相対的な母集団は、一重項状態と三重項状態との間の固有の相互変換による照射の休止から数マイクロ秒後、優先的に0状態に変化および偏光する。さらに、そのような相互変換の結果、副準位±1ではスピン副準位0より蛍光が約30%小さくなるため、スピン副準位の母集団が区別される。
図1Aは、例示的な物品、この例ではスニーカ101を示し、物品には一意マーカ103aが組み込まれており、一意マーカ103aを使用して、物品を解析する(たとえば、その真正性を確認する)ことができる。一意マーカ103aは、たとえば図1Aに示すロゴ102を含む様々な方法で、物品上へ組み込むことができる。一意マーカ103aはまた、ラベルまたは物品内の他の場所に組み込むことができ、裸眼に見える必要はない。後述する技法による十分な拡大103b下の一意マーカ(UM)を使用して、UM内の1群の粒子104の配向105および相対的な位置付け106を明らかにすることができる。
いくつかの事例では、ホスト材料内の粒子または他の要素の相対的な位置付けおよび配向から、マーカの一意性が導出される。図2Aは、蛍光を放出する少なくとも1つの欠陥中心(色中心としても知られている)201を含む結晶粒子202を概略的に示す。結晶粒子ホストの一例はダイヤモンドであり、ダイヤモンドは、図2Bに示すように、炭素原子203の規則的な繰返し構造から構成される。ダイヤモンドの色中心の一例は、窒素空孔中心204であり、窒素空孔中心204は、窒素に置き換えられた格子の炭素からなり、その窒素に最も近い近隣炭素は完全に除去される。色中心の配向は、たとえば窒素原子から空孔へのベクトルによって画定することができる。いくつかの事例では、格子の対称性およびNV中心の4回対称性により、結晶配向の絶対的な知識を除外することができ、2回対称性によって2つの中心の相対配向を知ることができる。
図3は、多くの粒子を含むホスト材料301の拡大フィルムまたは体積を示し、これらの粒子の部分集合が、少なくとも1つの色中心302を担う。それらの粒子の離隔距離ならびに粒子の配向は、任意とすることができる。
粒子の離隔距離および配向に関する情報は、従来の光学顕微鏡検査技法を使用して一意マーカを撮像することによって取得することができる。図4は、粒子の離隔距離および配向を判定するために使用される例示的なスキャナを概略的に示す。図示の例では、一意マーカ(ホストフィルムおよび粒子の複合物)401が、レーザなどの光源402によって照射されており、1組の標準的な光学構成要素406および集束対物レンズ407によって反射および変換される。集束対物レンズ407は、一意マーカの関心視野を分解するのに十分な粒子の蛍光の拡大を提供するように構成される。これは、一意マーカ全体または一意マーカの関心領域とすることができる。標準的なフィルタおよび光学系406による蛍光および像形成からの照射源の適切なフィルタリング後、たとえばCMOSまたはCCDカメラなどの撮像ユニット405において、ホスト平面の画像が捕捉される。図5は、例示的な画像500を示し、画像500により、固定の座標系501からの位置および粒子間の相対距離502を取得することができる。これは、一意マーカを読み取るためのいくつかの可能な技法の一例である。
粒子の配向は、粒子に対してスキャナ基準枠内で向けられた電磁場の相対配向による粒子の蛍光変化を観察することによって判定することができる。一例は、光学系406内の標準的な波長板を使用して、伝播する電磁放射(すなわち、照射光)の横断方向の偏光を変化させて、線形または円形に偏光させることである。これは、203のダイヤモンド-NVシステムを含む色中心を含む多くの結晶材料に効果がある。別法として、磁場に対するNVC(正しくは、負に帯電したNVC)の応答もまた、配向に関する情報を提供することができる。これは、マイクロ波RFレジーム内の固有の磁気共鳴条件によって観察される。スキャナ409の磁石モジュールは、一意マーカに印加される磁場の大きさおよび配向を同調させる。マイクロ波アンテナ404およびRF信号生成器403の出力周波数は、磁石の変化する共鳴条件に同調される。主論理モジュール408は、1組の蛍光画像を使用して粒子配向を判定することができるように、レーザの出力(たとえば、振幅および時間に依存する変調)、マイクロ波またはRF場(たとえば、振幅、位相、共鳴周波数)、および磁場の配向および大きさを協調的に制御する。
その結果得られる画像は、ある特定の夜に望遠鏡によって得られる夜空の光学像(可視光スペクトル内)に類似したものとなる可能性があり、大部分は暗い背景に様々なサイズの明るい点が位置し、点同士の間には多くの離隔距離がある。空にあるいずれか1つの星、惑星、または天体の位置は、地球の表面上の観察点が既知であると仮定して、基準天体、すなわち北極星(ポラリス)からのその変位によって記述することができる。同様に、一意マーカ内の位置合わせマーク(たとえば、基準マーク)が、類似しているが必ずしも同一でない光学スキャナシステムを使用して、異なる時間または異なる場所で得られた同じ一意マーカの再現可能な画像を取得するのを助けるように、スキャナの位置決めを案内することができる。これらの位置合わせマーカに対して、走査内の蛍光を発する粒子の位置を判定することで、マーカ内の粒子の場所の絶対的な尺度を与えることができる。位置合わせマーカの一例は、緑色光を吸収しかつNVCに類似の波長で蛍光を発する消せないインクによって、「+」記号を印刷することである(たとえば、インクジェット技術を使用)。
UMの画像内の単一の明るい点の場所は、画像の画素に割り当てられた規則的に隔置されたデカルト格子システム501を使用することによって表すことができる。場所は、順序対(Xa,Ya)として指定することができ、ここでXは、1つの次元に沿った粒子aの画素座標であり、Yは、直交する次元503に沿った座標である。XaおよびYaは、整数または実数とすることができる。所与の絶対原点(0,0)に対する順序対の場所の集合{(Xa,Ya)、(Xb,Yb)、...、(Xzz,Yzz)}は、画像の粒子の場所の一意の記述を指定する。絶対原点が指定されていない場合、各順序対に対してラベルを作成し、2つの粒子を分離するベクトルを画定することで、粒子位置の一意の記述を取得する。たとえば、点(X2,Y2)の粒子が「2」とラベル付けされ、点(X3,Y3)の粒子が「3」とラベル付けされている場合、一意識別子は、「Δ23」=(X2-X3,Y2-Y3)になるはずである。すべての対のベクトルを計算することによって、格子座標系の全体的な変換に対して変動しないという追加の特性を有する粒子の場所を記述するための識別子の一意のリストLが得られる。Lは、任意の粒子離隔距離を有する所与のホストフィルムに対する一意の集合である。
画像内の粒子の場所に加えて、個々の粒子は、ホスト材料基準枠に対して配向を有する。いくつかの事例では、ホスト材料が拡張対象であると仮定した場合、ホスト材料の範囲内に原点を画定することができ、図6に示すこの原点601で、右手3次元デカルト座標系の基準枠を画定することができる。同様に、ホスト材料内の各結晶粒子に対して、別個の右手デカルト座標系を画定することができる。それに応じて、粒子座標系とホスト材料座標系との間を動くための一意の座標変換が存在する。1つの例示的なパラメータ化は、2つの座標系で方向コサインを使用することであり、別のパラメータ化は、オイラー回転の集合である。上述した命名規則と同様に、点(XA,YA)の粒子が「A」とラベル付けされており、「A」枠602で指定されたベクトルをホスト基準枠に変換する変換行列Taを有すると想定する。同様に、点(XB,YB)の第2の粒子は「B」とラベル付けされており、「B」枠603からホスト基準枠へ動く変換行列Tbを有する。変換行列は、座標枠に対する粒子の配向を識別する働きをする。同様に、行列Tab=(Ta)^(-1)*Tbは、図7に示すように、粒子結晶枠「A」と「B」との間の相対配向701を指定する。Tabはまた、枠AおよびBを含む直交軸間の角度の方向コサインを介して取得することができる。粒子の単一の結晶の性質により、粒子内の色中心は、粒子座標系に対して固定の配向を有する。したがって、ホスト材料枠に対する色中心の配向を測定することによって、色中心の座標軸と結晶粒子の座標軸との間の類似の座標変換を使用して、粒子の配向を判定することが可能である。すべての対の変換を計算することによって、ホスト格子座標系の全体的な回転に対して変動しないという追加の特性を有する粒子の相対配向を記述するための変換行列の一意のリストM(たとえば、「AB」など)が得られる。Mは、ランダムな粒子配向を有する所与のホストフィルムに対する一意の集合である。
粒子の結晶格子が高度の対称性を有する事例では、結晶主軸に対する色中心座標系の軸を指定するのに自由が存在する。そのような事例では、色中心の測定のみを使用して色中心の配向を結晶主軸系に一意に変換することはできない。そのような事例では、ホスト材料基準枠から色中心の単一の対称軸のみへの座標変換のパラメータ化を提供すると十分である。たとえば、この変換は、対称軸とデカルト座標軸の各々との間の3つの方向コサインによってパラメータ化することができる。別のパラメータ化は、極角および方位角であり、極角は、ホスト基準枠のzデカルト軸と対称軸との間の角度として画定され、方位角は、ホスト基準枠のxデカルト軸とホスト基準枠のxyデカルト平面への対称軸の投影との間の角度として画定される。
結晶粒子に埋め込まれた特定の色中心の特性を使用して、それらの粒子の配向を判定することができる。一例として、ダイヤモンド結晶粒子内の負に帯電した窒素空孔色中心を考慮されたい。ダイヤモンドの炭素格子内の窒素原子および空孔は、結晶格子座標軸に対する別個の配向によって方向ベクトルを画定することができる。色中心の光物理学は、周波数が図8に示すシステム800の固有共鳴に同調されている振動ラジオ周波場によって照射されたとき、蛍光の減少を呈することができる。たとえば、ほぼf0=2870MHzの周波数で、中心の光ルミネセンスは約30%減少する。さらに、NV対称軸に沿って磁場が印加された場合、この単一の共鳴は2つの共鳴に分割され、対称軸に沿って強度Gガウスの磁場投影に対してf+=2870+2.8Gおよびf-=2870-2.8Gによって、別個の周波数が与えられる。最低次では、この対称軸に直交する磁場は、周波数のシフトに寄与しない。したがって、外部磁場の大きさを維持し、周知の方法でホスト材料座標などの共通の座標系に対するその方向を変化させることによって、結晶粒子の絶対的な配向を判定することが可能である。この情報により、上述した技法を使用して、ホスト材料内で対のいずれか2つの粒子の別個の配向を確立することができる。
ホスト材料内の粒子の数が十分に小さいという条件で、上述した顕微鏡検査技法を使用して、個々の各粒子から放出される蛍光を空間的に特定することができる。たとえば、ホスト材料が粒子のまばらな分布(たとえば、20%以下の充填率を有する)を含むとき、その結果得られる蛍光画像は、粒子より大きい空隙を含むことができる。ホスト材料に印加される既知の磁場によって最大および最小周波数が設定されたf0付近のマイクロ波周波数をサンプリングすることによって、図8に示すように、個々の粒子の各関心領域に対する共鳴応答800を測定することが可能である。次に、ホストフィルム基準枠に対して異なる配向の静磁場900を印加することによって、一連の磁気共鳴応答から個々の粒子の配向を判定することが可能である。たとえば、図9に示すように、第1の配向は、ホスト材料枠のX軸901に沿ったものとすることができ、第2の配向は、ホスト材料枠のY軸902に沿ったものとすることができる。これらの異なるマイクロ波周波数および磁場配向下で獲得される1組の画像は、図10に示すように、ホストフィルム1000内の各粒子の空間的な場所および配向の完全な走査および記述を提供することができる。各粒子は、一意の場所および配向変換行列1001を含む。一意マーカの完全な配向は、たとえば、ホストフィルム内のすべてのi個の粒子の各粒子に対する座標および行列の集合{(Xi,Yi,Zi,Ti)}として画定することができる。それぞれのホスト磁場内で設定された粒子の2つのランダムな事例は、一致しない完全な配向の集合を有し、それによって粒子の所与の集合の一意性を保証する。
一意マーカの位置および配向の特性に加えて、任意選択で、粒子のサイズおよび形状から、追加の一意性を導出することができる。これは、粒子の投影画像内の形状(たとえば、外形)および相対的なサイズ(たとえば、最大軸の長さ)を解析する画像処理技法を使用して行うことができる。
図11に示すように、いくつかの事例では、完全な配向の試験測定1101、ならびに測定対象が同じ物理的な一意マーカ|s-s0|<ε1103であることを保証するのに十分な重複で、粒子の位置および配向の集合s={(Xi,Yi,Zi,Ti}を一意マーカ1102の既知の完全な配向s0={(Xi,Yi,Zi,Ti}に一致させることによって、所与の一意マーカを識別することができる。ここで、|.|は、標準などの設定ベクトルに対する集合的な距離の尺度を表し、εは、2つの集合の同等性を判定する単一のパラメータ閾値を表す。
図12および図13は、物品を解析するための例示的なプロセスを示す。
第1の例では、2つの場所が識別に関与する。出発地1200は、一意マーカが最初に走査される場所である。一意マーカ1201の完全な位置および配向は、完全な走査に使用される任意の磁場構成を印加することが可能なスキャナ1204によって、本明細書に記載する技法を使用して取得される。一意マーカは、シリアル番号1207に関連付けられており、関心物品1202に取り付けられる。出発地における完全な位置情報、配向情報1206、およびスキャナ設定1203は、シリアル番号1207に関連付けられて、安全に記憶される。そのような記憶装置1208は、出発地の近くにあってもよいし、またはインターネットもしくは他のネットワークを介してデータを受け取る遠隔データセンタ1351に位置してもよい。次いで、一意の物品1209が出発地を離れる。
目的地1300(出発地から離れた物理的な場所であってもよいし、または以下に論じるように、出発地と同じ場所であってもよい)では、一意の物品1301に取り付けられた一意マーカ1303が識別および解析されることが望ましい。この例では、目的地は、一意の当該物品のシリアル番号1302によって、インターネットまたは他のネットワークを介して認証サーバ1350に照会する。認証サーバは、物品シリアル番号に関連付けられた安全なデータベース1351から走査パラメータを検索する。サーバは、試験磁場構成およびマイクロ波周波数パラメータなど、目的地のスキャナ1304が調整するべきスキャナ設定1305に対する1組のチャレンジパラメータによって目的地に応答する。この例では、磁場構成は、目的地スキャナが、ホストフィルムの中心に位置する座標系に対する一意マーカ内の各粒子の位置および配向の集合1306を判定するのに十分である。目的地スキャナは、出発地で完了したものに類似している一連の走査を実行する。次いで、目的地スキャナは、認証サーバへの測定された位置および配向の集合1306ならびにシリアル番号によって、認証サーバ1350へ応答を提供する。認証サーバ1350は、シリアル番号に関連付けられ、データベース1351に記憶され、出発地走査での初期化走査から取得された位置および配向について、知識を有している。サーバ1350は、配向および位置マップを比較して、2つの集合(初期化走査および目的地走査)の重複の計算を実行し、これらの集合が真正の一致であると見なされるのに十分に近いかどうかを判定する。この例では、サーバ1350は、近似基準が満たされた場合は合格、すべての他の結果の場合は不合格という2つの結果1307のうちの1つで応答する。
一意の物品の単一の目的地点が、第1の例に対する説明例として与えられている。特定の応用例および使用実例(たとえば、銀行券の認証)に関して、一意の物品が様々な当事者および目的地点間を循環し続けることがあるので、単一の目的地点は存在しないことがある。加えて、目的地は、物理的な離れた場所にないことがあり、上述した解析方法の変形例では、単一の物理的な箇所で一意の物品を初期化、貯蔵、および解析することができる。
第2の例では、上記の第1の例1200に記載するように、物品の出発地走査が開始する。目的地で、一意の物品が受け取られ、一意マーカならびにシリアル番号が物品から検索される。この第2の例では、スキャナは、変化可能ではなく解析システムに知られている大きさおよび配向の磁場を有する。スキャナユニットは、スキャナのシリアル番号によって識別される。この単一の磁場構成によって、目的地スキャナは、各々異なるマイクロ波周波数が指定された一意マーカの成功した蛍光画像を捕捉することによって、走査を実行する。各粒子の画像位置および磁気共鳴周波数が記録される。この情報は、物品シリアル番号およびスキャナ識別番号とともに認証サーバへ送られる。
この例では、認証サーバは、初期化走査中に捕捉されたシリアル番号に関連付けられた一意マーカの粒子の位置および配向を知っている。認証サーバは、印加磁場の知識を有することによって、この特定の一意マーカに対して予期される磁気共鳴応答を計算することができる。スキャナシリアル番号に関連付けられた磁場は、NV中心に対する数学的なモデルを使用することによってこの情報を提供するため、認証サーバは、シリアル番号およびスキャナシリアル番号の組合せに対する予期される磁気共鳴応答を判定することができる。予期される磁気共鳴応答は、粒子の部分的で不完全な配向を取得することと同等である。走査情報(粒子の位置および共鳴周波数)は、目的地から認証サーバへ送られ、モデルによって計算された値と比較される。上述した単一のパラメータεによる類似の閾値処理基準を使用して、目的地での部分的な走査が、認証サーバで計算された部分的な走査に十分に類似している場合、一意マーカは、物品シリアル番号およびスキャナシリアル番号の組合せに対する真正の一致であると考えられる。
いくつかの事例では、本明細書に記載する解析技法は、著しい利点を提供することができる。たとえば、1次元、2次元、または3次元の蛍光を発する粒子の物理的に一意の分布を識別するための階層システムを使用することができる。使用される粒子の位置だけでなく、互いに対する粒子のランダムの配向も一意の識別に使用される。粒子ごとのピックアンドプレース手順を実行して指紋を再現するために、たとえば原子力顕微鏡などのナノ位置決めツールを使用して、位置情報と配向情報との両方を使用して物理的な指紋を複製することは、非実用的またはさらには不可能なことがある。
配向に加えて、任意選択で、いくつかの事例では、一意マーカの安全性、一意性、および複製不可性を促進する粒子の他の物理特性を、蛍光から観察することができる。これらの特性は、それだけに限定されるものではないが、各粒子の結晶歪み、各粒子のスピン離調時間(たとえば、T2時間)、個々の粒子環境に局所的な磁気ノイズの一意署名、個々の粒子環境に局所的な電場ノイズの一意署名、粒子内の局所的な核スピンアンサンブルの一意共鳴署名(たとえば、超微細分割)、および双極の蛍光エネルギーの局所的な双極場共振(FRET)による蛍光寿命の一意署名を含むことができる。
いくつかの事例では、本明細書に記載する技法は、蛍光のスペクトル署名に依拠する必要を回避することができる。わずかな波長の変化によってスペクトル署名を測定することは、大きい回折格子および長い反射経路を伴い、特に現場展開可能な状況で、これらの指紋採取方法の実際的な使用を制限する。
いくつかの実装形態では、粒子内の色中心の磁気共鳴応答の測定とともに、またはそれとは別個に、粒子の蛍光強度を使用して、粒子配向に関する情報を得ることができる。上述したように数百ガウスなどのNV色中心内のいくつかの磁場強度に関して、NV中心対称軸に直交して大きい磁場成分が印加されたとき、蛍光応答が「消滅」することが観察されている。この技法により、RFまたはマイクロ波を使用することなく配向情報を得ることが可能になる。
いくつかの事例では、UMまたはその付近への磁気粒子またはマーカの追加によって、追加の安全性層を提供することができる。磁気マーカの一例は、磁化された超常磁性の酸化鉄粒子を含む薄いポリマーフィルムである。そのような事例では、目的地スキャナは、磁気マーカの試験下で一意マーカに接近し、それによって表面上の磁気ドメインまたは粒子が、一意マーカを走査するための視野にまたがる局所的な磁場を生成する。一意マーカは、上述した方法で撮像され、磁気共鳴応答が記録される。磁気マーカは、一意マーカに関して本明細書で前述した一意性に対するものと同じ基準によって、一意であると見なすことができる。一意磁気マーカは、事前に特徴付けられており、マーカの磁場(大きさおよび配向)に関する情報が、認証部1350に記憶される。この情報によって、認証部は、所与のスキャナの一意磁気マーカの識別番号および一意マーカのシリアル番号に対する予想される応答を計算することができる。目的地スキャナで測定された応答および計算された応答は、類似性に関して解析され、認証は、上述した閾値基準によって判定される。
いくつかの実装形態では、一意磁気マーカおよび一意マーカが融合されて、複合型の物理マーカになる。物品内、たとえばUMの下に、磁気粒子(MP)を埋め込むことができる。MPは、UM付近に特定の磁場パターンを生じさせる。UMが物品の元の場所から除去または移動された場合、所望の解析(たとえば、認証)を行うことはできない。いくつかの実装形態では、MPは、UMの接着剤または物品の懸濁媒体に組み込むことができる。
いくつかの実装形態では、一意マーカは、物理的複製不可機能(PUF)として働くことができる。PUFは、チャレンジ/応答挙動によって動作し、それによってシステムのいくつかのパラメータを変更することができ(すなわち、チャレンジ)、それらのパラメータに対する物理システムの応答を容易に測定することができる。デバイス内の固有のランダム性のため、PUFを複製することは困難である。ランダム性により、入力(すなわち、チャレンジ)パラメータに基づいて物理システムの応答(すなわち、機能出力)を同様に予測することが困難になる。一意マーカは、パラメトリックに制御された磁気環境に配置されたとき、PUFとして作用することができる。一例として、1群の非常に小さいコイルの電流などのパラメータを設定することによって、局所的な磁場の強度および配向を変更することができる。これらの電流は、PUF内に磁場を生じさせる。PUFチャレンジは、コイルに対する電流値の集合とすることができ、PUF応答は、一意マーカ内の各粒子に対する共鳴周波応答となるはずである。
いくつかの実装形態では、磁場を設定するためのチャレンジパラメータは、各走査に対して目的地スキャナと認証部との間で通信される必要はない。代わりに、認証部は、目的地スキャナに設置された一意のランダムキーシードを知っている。認証部および目的地スキャナはまた、共通の同期されたクロックを共用する。次いで目的地スキャナは、出力パラメータが磁場パラメータを設定する一方向(たとえば、ハッシュ)機能への入力として、クロック値およびランダムシードを使用する。そのような体系では、認証部は、スキャナおよび認証部の両方に知られている相互情報から磁場パラメータを判定し、閾値の整合を実行することができる。そのようなスキャナパラメータのランダム化は、追加の安全性層を加える。
いくつかの実装形態では、UMは、認証および暗号化のための一意指紋または物理的複製不可機能(PUF)として使用することができる。配向パターンは、メッセージを符号化するためにまたは別の暗号化プロトコルに対するシードとして使用されるランダムのビット列キーを生成する。
いくつかの実装形態では、認証部が認証に対する簡単な合否メッセージを提供する代わりに、認証部は、予期されるスキャナ応答を目的地に提供する。認証部は、スキャナシリアル番号から計算されたスキャナ/タグ対に対する部分的な配向情報、および物品への取付け中に出発地の初期化走査で捕捉されるUMの完全な配向情報を含むメッセージに応答する。目的地スキャナは、その測定結果を認証部へ送らず、代わりに認証部によって提供された予期される応答によって測定した走査を確認する。目的地は、メッセージを走査情報と比較し、応答が閾値基準を満たす場合、対象を認証する。出発地データと目的地データとを比較する認証ステップは、目的地で、または両方のスキャナからデータを受け取るシステム内で行うことができる。
いくつかの実装形態では、一意マーカはまた、出発地走査を離れるとき、その物理組成に関して意図的に変更することができる。一例として、スキャナまたは別のデバイスが、UMを変更または修正することができる。それらの変更は、UMの物理的な変形によって、または設定温度を上回るようにUMを加熱することによって行うことができる。たとえば、粒子の配向および位置が変化するように、レーザビームを使用してUM内の区域を加熱し、懸濁媒体を再び流すことができる。以前のスキャナが将来のスキャナに一致しないように、全体的および完全な変更をマーカのリセットに使用することができる。言い換えれば、マーカは、元のスキャナ(または従来のシステム)がUMの新しい構成に関する情報を有することなく再初期化される。
いくつかの実装形態では、物理的な変更を使用して、使用後にUMを破壊することもできる(使い捨ての応用例の場合)。たとえば、UMを使用して、パッケージ上のシールを(たとえば、不正変更されていない証拠として)認証することができる。シールはパッケージが開封されるときに破られ、UMは必要とされなくなる。真正のUMを一意でない物品に取り付けるなど、マーカを再利用する試みを回避するために、UMを破壊することができる。
いくつかの実装形態では、UMの管理チェーンを確実にするために、部分的な物理的変更を使用することができる。一例として、スキャナ(たとえば、目的地スキャナ)がUMを部分的に変更して、マーカの1つの領域内の粒子の位置および配向など、マーカ特性のいくつかに変動を導入することができる。これらの修正は、修正スキャナで測定され、応用例の必要に応じて、局所的にまたは外部に記憶することができる。これは、走査事象をUMに直接記録するための台帳として使用することができる。UMは、マーカを認証するのに十分な情報を含むが、UMの修正された区分の記録および認証を可能にするために、追加の空間/情報/粒子を含む。これは、同じUM上で複数回行うことができる。たとえば、この技法を使用して、異なるチェックポイントスキャナが使用される供給網内で、物品を追跡することができる。
いくつかの実装形態では、UMは、暗号化鍵として使用され、それによって一意マーカは目的地で物理的に変更され、暗号化されたデータは目的地で記憶される。UM配向の知識は、製造時に知ることができるが、他者による鍵のUMの将来知識の従来の管理を否定するために、暗号化の時点でスキャナによって変更することができる。鍵の複製不可性は、不正なアクセス者がその場で鍵を複製することを防止する。いくつかの例では、クリアテキスト(暗号化されていない)データを受け入れるデバイスは、対称の暗号化/解読のための鍵としてUMを必要とする。
対象の認証のための本明細書に記載する一意マーカの応用例に加えて、一意マーカは、他の応用例(対象の認証との組合せまたは対象の認証に対する代替とすることができる)を有することができる。応用例の一例は、多因子認証である。一意マーカは複製不可であり、その特性の知識は、認証サーバによって記憶することができる。取引、事象、対象、データなどを認証することを求めるユーザは、自身の識別情報を証明するために、この物理マーカ(鍵)およびパスワードの両方を提供することができる。別の例では、スキャナデバイス内に特定の所定の磁気パターンを生成し、したがって追加の安全性層を提供するために、ユーザパスワードが使用される。ユーザID、スキャナID、およびマーカ走査は、認証システムと共用される。これは、給電する必要はないが、専用のリーダデバイスを必要とすることを除いて、ハードウェアの安全性トークンに類似している。
別の例示的な応用例は、暗号化鍵として使用されるランダムビットの生成である。所与の一意マーカの配向および位置情報を使用して、暗号化のために使用されるランダムビット列を生成することができる。一意マーカに関連付けられたデータが意図的に記憶されるのではなく、ランダム列を導出するために出発地場所のみで使用されることを条件として、情報を解読するには、物理的に複製不可の鍵が必要とされるはずである。
別の例示的な応用例は、対象の完全性が損なわれたかどうかを判定することである。いくつかの事例では、対象が不正変更、使用、環境応力への曝露、または機械的応力もしくは摩耗への曝露を受けたとき、対象の完全性を損なうことができる。一意マーカは、対象に適用して適用することができ、または対象に組み込むことができる。一例として、一意マーカは、対象の1つまたは複数の構成要素を共形に被覆することができる。別の例として、一意マーカは、対象の表面パターン、テキスチャ、または他の凹みに合った形状とすることができる。対象の完全性が損なわれているとき、一意マーカを物理的に変更または変形し、したがって一意マーカの1つまたは複数の特性を変化させることができる。対象の管理チェーンに沿って様々な点における一意マーカの特性の比較は、対象が不正変更、使用、あるいは環境応力または機械的応力もしくは摩耗への曝露を受けたかどうか(および対象の管理チェーンに沿ってどこか)を明らかにすることができる。いくつかの事例では、一意マーカの特性は、たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、一意マーカの特性を取得することができる。いくつかの事例では、一意マーカの特性は、一意マーカの完全性の視覚または光学検査によって取得することができる。
図14は、対象から抽出された配向情報を使用する例示的なプロセス1400を概略的に示す流れ図である。例示的なプロセス1400は、追加のエンティティまたは異なるエンティティによって実行される動作を含む、追加の動作または異なる動作を含むことができ、これらの動作は、図示の順序または別の順序で実行することができる。いくつかの事例では、図14に示す動作のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のシステムによって実行される複数の動作、サブプロセス、または他のタイプのルーチンを含むプロセスとして実装される。たとえば、いくつかの事例では、図1A、図1B、図2A、図2B、図3~図8、図9A、図9B、図10、図11A、図11B、図12、図13、または図15に示すシステム、構成要素、およびプロセスを使用して、図14に示す例示的な動作のうちの1つまたは複数を実行することができる。いくつかの事例では、動作は、組み合わせることができ、並行して実行することができ、反復もしくは他の形で繰り返すことができ、または別の方法で実行することができる。
図14は、第1のエンティティ1402、第2のエンティティ1404、および第3のエンティティ1406という3つのエンティティによって実行される例示的なプロセス1400を示す。図14に示すエンティティは、製造プロセス、工業プロセス、供給網、流通チャネル、金融プロセス、企業ワークフロー、または別のタイプのプロセスにおける別個のエンティティを表すことができる。図14に示すように、各エンティティは、同じ対象の要素から一意コードを取得し、次いで一意コードはエンティティによって使用される。
いくつかの事例では、例示的なプロセス1400における対象は、たとえば上述したタイプの一意マーカ(UM)とすることができ、またはそのようなUMを含むことができる。たとえば、いくつかの実装形態では、対象は、図1Aに示すスニーカ101または一意マーカ103a、図4に示す一意マーカ401、図12に示す物品1202または一意マーカ1201、図13に示す一意の物品1301または一意マーカ1303とすることができる。いくつかの事例では、対象は、別のタイプの一意マーカ(UM)、またはUMを含む別のタイプのシステム、デバイス、もしくは構成要素とすることができ、あるいはそれを含むことができる。いくつかの事例では、対象は、構造の完全性を検証するために使用することができる不正変更がすぐ分かるデバイスとすることができ、またはそのようなデバイスを含むことができる。
いくつかの例では、第1のエンティティ1402は部品製造者であり、第2のエンティティ1404はシステム製造者であり、第3のエンティティ1406は小売り流通業者である。対象は、第1のエンティティ1402によって製造された構成要素(または構成要素の一部)とすることができ、第2のエンティティ1404は、第1のエンティティ1402からの構成要素を製品に組み込むことができ、その製品は、第3のエンティティ1406によって販売または流通される。第2のエンティティ1404および第3のエンティティ1406は、たとえば、構成要素を追跡および追尾するため、または構成要素の供給元、タイプ、もしくは別の属性を認証するために、一意コードを使用することができる。一例として、構成要素としては、消費者向け電子デバイス、医療用デバイスなどのための電池、チップセット、または別の部品を挙げることができる。
いくつかの例では、第1のエンティティ1402は商用文書の製造者または印刷者であり、第2のエンティティ1404および第3のエンティティ1406は金融機関である。対象は、第1のエンティティ1402によって製造された商用文書(または商用文書の一部)とすることができる。たとえば、商用文書の供給元、タイプ、または別の属性を認証するために、一意コードを使用することができる。商用文書の例には、現金、硬貨、および他の通貨または銀行券、小切手、債券、株券などが含まれる。
いくつかの例では、第1のエンティティ1402は医薬品、医療用デバイス、または医療機器の製造者であり、第2のエンティティ1404は流通業者であり、第3のエンティティ1406は医療提供者である。対象は、医薬品、医療用デバイス、または医療機器(またはそのための包装、または医薬品、医療用デバイス、もしくは医療機器の構成要素)とすることができ、第1のエンティティ1402によって製造され、第2のエンティティ1404によって医療機関へ流通される。第2のエンティティ1404および第3のエンティティ1406は、たとえば、医療用デバイスまたは医療機器の供給元、タイプ、意図される受取り側(たとえば、特有の患者)、または別の属性を認証するために、一意コードを使用することができる。一例として、医療用デバイスは、特定の患者のために製造されまたは割り当てられた人工器官またはインプラントとすることもできる。
いくつかの例では、第1のエンティティ1402は、容器(たとえば、バイアル、ボトル、ビン、輸送容器など)の製造者であり、第2のエンティティ1404は、これらの容器に何らかの内容物を入れ、貯蔵、解析、輸送、処理、または別の目的で、容器を第3のエンティティ1406に委託する。対象は、容器(または容器の一部)とすることができ、第1のエンティティ1402によって製造され、第2のエンティティ1404へ提供される。第2のエンティティ1404および第3のエンティティ1406は、たとえば、個々の各容器の識別情報または内容物を認証するために、一意コードを使用することができる。一例として、個々の患者の生体サンプル、あるタイプの処方薬、または他の繊細な内容物を認証するために、一意コードを使用することができる。別の例として、たとえば容器の不正変更がすぐ分かる構成要素を検証し、容器またはその内容物が不正変更されたかどうかを判定するために、一意コードを使用することもできる。
いくつかの例では、特有のエンティティまたは1群のエンティティ、たとえば特有の地理的地域にあるエンティティまたは適切な資格を有するエンティティによって、対象が取扱いまたは使用に関して認可されていることを検証するために、一意コードを使用することができる。
1410で、第1のエンティティ1402が対象を製造する。いくつかの実装形態では、別のエンティティ(図14に示す第1のエンティティ1402、第2のエンティティ1404、または第3のエンティティ1406以外)が、1410で対象を製造し、次いで対象を第1のエンティティ1402へ提供する。対象は、複数の場所にある複数のエンティティによって製造することができ、1410で実行される製造は、全体的な製造ワークフロー内の1つの製造プロセスを表すことができる。
図14に示す例では、対象が製造されるとき、対象内に要素の分布が形成される。いくつかの事例では、製造プロセスは、対象内の要素の密度、まばらさ、または数を制御することができる。いくつかの例では、要素はダイヤモンド粒子であり、対象は、対象の体積の閾値割合未満(たとえば、20%未満、10%未満、1%未満など)を充填するダイヤモンド粒子を有するように製造することができる。いくつかの事例では、対象内の要素の密度(たとえば、質量密度、体積密度)は、たとえば、対象の蛍光画像がダイヤモンド粒子のまばらな集合体を含むように、撮像システムによって個々の要素を識別することを可能にするように制御される。
ここで、要素の分布は、対象の2次元表面上の要素の懸濁として、もしくは対象の3次元体積内の要素の懸濁として、または両方として形成することができる。いくつかの事例では、要素の懸濁は、対象の表面(たとえば、外面、内面、または両方)上に要素を分布させることによって、対象内に形成される。いくつかの事例では、要素の懸濁は、対象の媒体内(たとえば、対象が作られる材料内)に要素を分布させることによって、対象内に形成される。要素は、たとえば、要素が互いに対して、かつ対象の媒体に対して静止したままになるように、定位置に固定することができる。たとえば、要素の懸濁は、要素の静的空間分布とすることができ、要素の相対的な場所、配向、サイズ、磁場環境、および他の特性は固定されたままとすることができる。いくつかの実装形態では、要素は、対象の形状および構造が変化しない限り、定位置に固定されており、要素の位置は、たとえば、要素の相対的な場所、配向、サイズ、磁場環境、および他の特性を修正するために、対象を変形または他の方法で変化させることによって修正することができる。
いくつかの例では、要素はダイヤモンド粒子であり、ダイヤモンド粒子の懸濁は、対象が1410で製造されるときに対象内に形成される。ダイヤモンド粒子の懸濁は、図3に示すホスト材料301内のタイプ、または別のタイプの分布とすることができる。ダイヤモンド粒子の懸濁は、たとえば、ダイヤモンド粒子を含む原材料を使用する製造システムによって形成することができる。たとえば、製造システムは、射出成形システム、付加製造システム、プリンタ、塗装システム、のこぎり、旋盤、ミル、および他の製造システムを含むことができる。いくつかの事例では、製造システムはまた、ダイヤモンド粒子を原材料に混合または他の方法で分布させるミキサまたは別のタイプのシステムを含むことができる。
ダイヤモンド粒子の懸濁は、たとえば、対象の表面上にダイヤモンド粒子を分布させることによって形成することができる。たとえば、ダイヤモンド粒子を液体、気体、または他の流体媒体に混合し、液体、気体、または他の流体媒体を対象の表面に塗布することによって、ダイヤモンド粒子を対象の表面上に分布させることができる。いくつかの事例では、ダイヤモンド粒子を加圧容器内でエアロゾル塗料と混合することができ、このエアロゾル塗料を対象の表面(内面、外面、または両方)上へ噴霧することができる。いくつかの事例では、ダイヤモンド粒子をラテックス系塗料、油性塗料、または別のタイプの塗料と混合することができ、この塗料が、刷毛塗り、ローラ塗り、噴霧、または他の方法で対象の表面(内面、外面、または両方)上に塗布される。いくつかの事例では、半導体製造で使用されるスピンまたは浸漬被覆プロセスによって、ダイヤモンド粒子を対象の表面上に分布させることができる。
たとえば、ダイヤモンド粒子を共形の被覆材料に混合し、共形の被覆材料を対象の表面に塗布することによって、ダイヤモンド粒子を対象の表面上に分布させることができる。共形の被覆材料は、アクリル、シリコーン、ウレタン、もしくはパリレン材料、または典型的には電子構成要素(たとえば、プリント回路基板など)に塗布されるタイプの別の材料を含むことができる。共形の被覆材料は、噴霧、刷毛塗り、または他の方法で対象の表面(内面、外面、または両方)に塗布することができる。
たとえば、ダイヤモンド粒子をトナーまたはインク材料(たとえば、プリンタカートリッジ内)に混合し、トナーまたはインク材料を対象上に印刷することによって、ダイヤモンド粒子を対象の表面上に分布させることができる。トナーまたはインク材料は、典型的にはインクジェットプリンタ、レーザプリンタなどで使用されるタイプの材料を含むことができる。トナーまたはインク材料は、たとえば、従来のプリンタまたは別のタイプのシステムによって、対象のすべてまたは一部を形成する紙、布、または他の材料上に印刷することができる。
たとえば、材料内にダイヤモンド粒子を分布させ、その材料から対象を形成することによって、ダイヤモンド粒子の懸濁を形成することができる。たとえば、ダイヤモンド粒子を液体、気体、または他の流体媒体に混合し、その液体、気体、または他の流体媒体から対象を形成することによって、ダイヤモンド粒子を材料内に分布させることができる。たとえば、ダイヤモンド粒子を原材料(たとえば、液体または樹脂の熱可塑性材料、溶融ガラス材料、溶融金属材料など)と混合することができ、この原材料を射出成形プロセスまたは付加製造プロセスで使用して、対象を形成することができる。典型的な射出成形プロセスでは、加熱された原材料が、成形型によって画定された空洞内へ高い圧力で射出され、原材料は、成形型に適合し(conform to)、次いで冷却され、空洞の形状に硬化させられる。典型的な付加製造プロセスでは、コンピュータモデルに従って、原材料が堆積させられて連続する層となり、これらの層が蓄積されて、対象を形成する。付加製造プロセスは、たとえば、従来の3Dプリンタまたは別のタイプのシステムによって実行することができる。
ダイヤモンド粒子を原材料(たとえば、液体または樹脂の熱可塑性材料、溶融ガラス材料、溶融金属材料など)と混合することができ、この原材料を冷却または他の方法で処理して、固体の加工物を形成することができ、この加工物から対象が形成される。たとえば、加工物は、プラスチック、金属、または他のタイプの固体の加工物とすることができ、加工物から材料を除去(たとえば、切断、やすりがけ、研摩、粉砕、穿孔、打抜き、機械加工など)することによって、対象を形成することができる。いくつかの事例では、たとえば除去製造プロセスにおいて、従来の機器(たとえば、のこぎり、紙やすり、旋盤、ミル、ドリルなど)を使用して、加工物を機械加工することができる。
1412で、第1のエンティティ1402は、対象の要素から一意コードを取得する。たとえば、要素がダイヤモンド粒子であるとき、第1のエンティティ1402は、ダイヤモンド粒子の懸濁を使用して、対象のための一意コードを生成することができる。第1のエンティティ1402は、たとえば、図15に示す例示的なプロセス1500または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを取得することができる。いくつかの例では、一意コードは、配向情報(たとえば、図12に示す配向情報1206、図13に示す配向情報1306)、または対象から抽出された別のタイプの要素情報(たとえば、磁場環境情報、トポグラフィ情報、場所情報など)に基づくことができる(たとえば、一意コードは、そのような情報とすること、そのような情報を含むこと、そのような情報から導出することなどができる)。いくつかの実装形態では、一意コードは、要素情報を抽出するスキャナシステム、および要素情報から一意コードを生成するコンピュータシステムによって取得される。たとえば、対象がダイヤモンド粒子の懸濁を含むとき、要素情報は、懸濁内のそれぞれのダイヤモンド粒子の配向、場所、磁場環境、もしくはサイズを記述することができ、または対象情報は、懸濁内のそれぞれのダイヤモンド粒子のこれらの特性の任意の組合せを記述することができる。
1414で、第2のエンティティ1404は対象を取得する。第2のエンティティ1404は、対象を第1のエンティティ1402から直接取得することができ、または仲介エンティティを介して間接的に取得することができる。たとえば、対象は、配送サービス、税関または交通職員、供給網内の別のエンティティなどによって取り扱うことができる。いくつかの事例では、対象は、第1のエンティティ1402と第2のエンティティ1404との間で、数日、数か月、または数年の期間にわたって、1つまたは複数の中間所有者、受託者、または他のエンティティを通過することができる。
1416で、第2のエンティティ1404は、対象の要素から一意コードを取得する。第2のエンティティ1404は、たとえば、図15に示す例示的なプロセス1500または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを取得することができる。いくつかの実装形態では、第2のエンティティ1404は、第1のエンティティ1402が一意コードを取得するために使用したものと同じプロセスを使用して、一意コードを取得する。たとえば、第2のエンティティは、同じタイプのスキャナ機器へのアクセスを有することができ、第1のエンティティ1402および第2のエンティティ1404の両方に知られているプロトコルによって、一意コードを取得することができる。
いくつかの事例では、対象から一意コードを取得するためのプロトコルは、パラメータ(たとえば、磁場強度、照射強度、スキャナ設定、または他のタイプのパラメータ)を含み、プロトコルの実行によって作成される一意コードは、対象の特性およびパラメータの値に依存する。いくつかの事例では、第1のエンティティ1402は、一意コードを抽出するために(1412で)使用されたパラメータの値を選択し、第2のエンティティ1404は、一意コードを抽出するために同じ値を(1416で)使用する。たとえば、これらの値は、対象に提供することができ、第1のエンティティ1402から別個に取得することができ、信頼できる第三者機関から受け取ることができ、公的データベースから取得することができ、または他の方法で第2のエンティティ1404によって入手することができる。いくつかの事例では、第2のエンティティ1404は、たとえば、値をランダムに選択することによって、事前定義された値を使用することによって、または他の方法で一意コードを取得するために第1のエンティティによって(1412で)使用される値とは独立して、一意コードを抽出するために(1416で)使用するパラメータの値を独立して選択する。
いくつかの事例では、第1のエンティティ1402および第2のエンティティ1404は、それぞれ1412および1416で同じ一意コードを取得する。たとえば、対象の要素が変更されておらず、かつ抽出プロトコルが適切に実行されたとき、第2のエンティティ1404によって(1416で)取得される一意コードは、第1のエンティティ1402によって(1412で)取得される一意コードと同一のものとすることができる。いくつかの事例では、第1のエンティティ1402および第2のエンティティ1404は、それぞれ1412および1416で異なる一意コードを取得する。たとえば、対象の要素が変更されたとき、または抽出プロトコルが不適切に実行されたとき、第2のエンティティ1404によって(1416で)取得される一意コードは、第1のエンティティ1402によって(1412で)取得される一意コードとは異なることがある。
1418で、第2のエンティティ1404が一意コードを使用する。いくつかの実装形態では、一意コードは、対象を認証するためのプロセス、対象を追跡するためのプロセス、対象の完全性を検証するためのプロセス、または対象に関係する別のタイプのプロセスで使用される。一例として、一意コードは、一意の物品1301を認証するために使用される図13の配向情報1306とすることができる。いくつかの実装形態では、一意コードは、その他の点で対象に関係しないプロセスで使用することができる。いくつかの事例では、一意コードは、品質対策、安全性対策、および在庫管理ツールとして使用することができる。いくつかの事例では、一意コードは、規制遵守の実証または他の目的で使用することができる。
いくつかの実装形態では、第2のエンティティ1404は、1418で一意コードを使用するために、第1のエンティティ1402(または別のエンティティ)と通信する。いくつかの事例では、第1のエンティティ1402および第2のエンティティ1404は、たとえば通信チャネルまたは直接通信リンクを介して、互いに直接通信する。例示的な通信チャネルには、有線または無線接続(たとえば、ラジオ接続、光接続、または電気接続など)、有線または無線ネットワーク(たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、私設ネットワーク、公衆ネットワーク(インターネットなど)、ピアツーピアネットワーク、セルラーネットワーク、Wi-Fiネットワークなど)、他の物理的な接続(たとえば、気送管、音響媒体など)などが含まれる。いくつかの事例では、第1のエンティティ1402および第2のエンティティ1404は、たとえば共用データベースまたは他の資源へのアクセス、中間エンティティ、エスクローチャネルなどを介して、互いに間接的に通信する。いくつかの実装形態では、1418で一意コードを使用することは、第2のエンティティ1404が第1のエンティティ1402または任意の他のエンティティと通信することを必要としない。たとえば、第2のエンティティ1404によって内部で実行されるプロセス(たとえば、安全性プロセスまたは別のタイプのプロセス)で一意コードを使用することができる。
いくつかの実装形態では、一意コードは認証プロセスで使用される。たとえば、第2のエンティティ1404は、図16に示す例示的なプロセス1600において、要求部1602の動作を実行することができる。いくつかの事例では、認証プロセスは、たとえば図17に示す例示的なチャレンジ応答プロセス1700などのチャレンジ応答プロセスを含み、またはそのようなプロセスとして実装される。認証プロセスは、偽造防止、完全性検証、識別情報検証、管理チェーン検証、または別の目的で使用することができる。認証プロセスは、たとえば、2進値(「合格」または「不合格」)または勾配値(たとえば、割合、可能性、または確率)として、対象の真正性を示す出力を作成することができる。
偽造防止の場合、たとえば、一意コードを使用して対象を認証し、称されている対象の供給元、等級、タイプ、または品質が本物(すなわち、真正)であるか、それとも偽物(すなわち、真正でない)であるかどうかを判定することができる。製品製造者は、たとえば、製品構成要素を認証して、製品構成要素が特定の部品製造者によって製造されたかどうかを判定することができる。小売り業者は、たとえば、ブランド付きの製品を認証して、ブランド付きの製品が示されているブランド供給元または認可された製造者によって生産されたものであるかどうかを判定することができる。銀行は、たとえば、通貨を認証して、通貨が特定の金融機関または政府によって発行されたものであるかどうかを判定することができる。認証プロセスは、他のタイプの偽造防止のために使用することもできる。
完全性検証の場合、たとえば、一意コードを使用して対象を認証し、対象が完全な状態のままである(すなわち、真正)か、それとも損なわれもしくは不正変更された(すなわち、真正でない)かどうかを判定することができる。流通業者または最終使用者は、たとえば、製品を認証して、製品シールが妨害されたかどうか、構成要素が解体もしくは交換されたかどうか(たとえば、取付けねじが妨害されたかどうか)、または対象が他の方法で不正変更されたかどうかを判定することができる。薬局は、たとえば、化合物を認証して、包装または容器が不正変更されたかどうかを判定することができる。認証プロセスは、他のタイプの完全性検証のために使用することもできる。
識別情報検証の場合、たとえば、一意コードを使用して対象を認証し、対象が人物または他のエンティティ(たとえば、法人エンティティ、政府エンティティなど)の特定の識別情報または識別子に関連付けられているかどうかを判定することができる。病院は、たとえば、処方薬容器を認証して、内容物が特定の処方または患者に関連付けられているかどうかを判定することができる。医療提供者は、たとえば、人工器官またはインプラントを認証して、人工器官またはインプラントが特定の患者または処置に関連付けられているかどうかを判定することができる。認証プロセスは、他のタイプの識別情報検証のために使用することもできる。
管理チェーン検証の場合、一意コードを使用して、対象が1つまたは複数のエンティティを保持しているかどうかを認証することができる。法人エンティティは、たとえば、繊細な製品または情報の管理チェーンを検証して、安全な内部プロセスに導入するまでの機密性を確実にすることができる。法執行エンティティは、物理的証拠の管理チェーンを検証して、たとえば捜査の完全性を確実にすることができる。認証プロセスは、他のタイプの管理チェーン検証に使用することもできる。
認証プロセスは、第2のエンティティ1404が作用することができる結果をもたらすことができる。一例として、認証プロセスが、対象が真正であることを示す場合(たとえば、2進インジケータ、許容閾値を上回る勾配などによる)、第2のエンティティ1404は、対象を受け入れて導入することができる。たとえば、構成要素を設置すること、薬物を投与すること、金融商品を支払いとして受け入れることなどができる。別の例として、認証プロセスが、対象が真正でないことを示す場合(たとえば、2進インジケータ、許容閾値を下回る勾配などによる)、第2のエンティティ1404は、対象を拒否または隔離することができる。たとえば、構成要素を返却すること、薬物を処分すること、金融商品を支払いとしては断ることなどができる。
いくつかの実装形態では、一意コードは、暗号プロセスで使用される。たとえば、一意コード(たとえば、鍵としてまたは鍵を導出するために使用することができる一意コード)に基づいて、鍵(たとえば、秘密鍵、共有秘密など)または暗号プロセスのための別の値を生成することができる。一意コードは、メッセージの認証(たとえば、署名、検証)、メッセージの暗号化(たとえば、暗号化、解読)、鍵の導出(たとえば、セッション鍵、短期鍵などの作成)、および他の暗号の応用例のために使用することができる。
いくつかの実装形態では、第1のエンティティ1402および第2のエンティティ1404は、たとえば暗号鍵共有アルゴリズム(たとえば、ディフィー-ヘルマン、量子鍵配送(QKD)、または別のアルゴリズム)によって作成される共有秘密のタイプに類似している共有秘密として、一意コードを使用することができる。第2のエンティティ1404は、公共チャネルを介した暗号化された通信セッションにおいて、たとえば第1のエンティティ1402へのメッセージを暗号化するため、または第1のエンティティ1402からのメッセージを解読するために、共有秘密を使用することができる。第2のエンティティ1404は、公共チャネルを介した認証された通信セッションにおいて、たとえば第1のエンティティ1402へのメッセージに署名するため、または第1のエンティティ1402からのメッセージを検証するために、共有秘密を使用することができる。
いくつかの実装形態では、第2のエンティティ1404は、一意コードを秘密鍵として使用し、たとえば公開鍵インフラストラクチャ(PKI)システムで使用するために、関連する公開鍵を生成することができる。たとえば、第2のエンティティ1404は、秘密鍵を使用して、公開鍵を使用して別のエンティティによって暗号化されたメッセージを解読することができる。別の例として、別のエンティティが、公開鍵を使用して、秘密鍵を使用して第2のエンティティ1404によって署名されたメッセージを検証することもできる。例示的なPKIシステムには、RSAに基づくシステム、楕円曲線システムなどが含まれる。
いくつかの実装形態では、対象は、台帳(たとえば、安全な台帳、公開台帳、分散台帳、または別のタイプの台帳)として使用され(またはそのような台帳に関連する)、一意コードは、台帳内でエントリもしくは更新として使用される(またはそれらを生成するために使用される)。たとえば、第1のエンティティ1402によって(1412で)取得される第1の一意コードは、台帳内の第1のエントリを表すことができ、第2のエンティティ1404によって(1416で)取得される第2の異なる一意コードは、台帳内の第2の異なるエントリを表すことができる。いくつかの事例では、第2のエンティティ1404は、1416で一意コードを取得する前に対象を修正し、それにより第2のエンティティ1404に、1416で第2の異なる一意コードを取得させる。たとえば、第2のエンティティ1404は、対象の要素のうちの1つまたは複数の配向を変化させることができ、したがって対象から抽出される配向情報は、異なる一意コードを作成する。
1420で、第3のエンティティ1406は対象を取得する。第3のエンティティ1406は、対象を第2のエンティティ1404から直接取得することができ、または1つもしくは複数の仲介エンティティを介して間接的に取得することができる。
1422で、第3のエンティティ1406は、対象の要素から一意コードを取得する。第3のエンティティ1406は、たとえば、図15に示す例示的なプロセス1500または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを取得することができる。いくつかの実装形態では、第3のエンティティ1406は、第1のエンティティ1402または第2のエンティティ1404(または両方)が一意コードを取得するために使用したものと同じプロセスを使用して、一意コードを取得する。いくつかの事例では、第1のエンティティ1402、第2のエンティティ1404、および第3のエンティティ1406は、それぞれ1412、1416、および1422で同じ一意コードを取得する。たとえば、対象の要素が変更されておらず、かつ抽出プロトコルが適切に実行されたとき、第3のエンティティ1406によって(1422で)取得される一意コードは、第1のエンティティ1402によって(1412で)取得され、第2のエンティティ1404によって(1416で)取得される一意コードと同一のものとすることができる。いくつかの事例では、第1、第2、および第3のエンティティのうちの1つまたは複数は、他のエンティティとは異なる一意コードを取得する。
1424で、第3のエンティティ1406は一意コードを使用する。第3のエンティティ1406は、1416で取得された一意コードを第2のエンティティ1404が(1418で)使用する方法と同様に、1422で取得された一意コードを(1424で)使用することができる。いくつかの実装形態では、第3のエンティティ1406は、一意コードを1424で使用するために、第1のエンティティ1402または第2のエンティティ1404(または別のエンティティ)と通信する。たとえば、第3のエンティティ1406と第1のエンティティとの間で認証プロセスを実行することができ、認証プロセスは、第3のエンティティ1406と第1のエンティティ1402との間で直接実行することができ、または中間エンティティ(たとえば、第2のエンティティ1404または別のエンティティ)を介して実行することができる。いくつかの事例では、プロセス1400は、追加のエンティティへ同様に拡大される。
図15は、対象のための一意コードを生成するための例示的なプロセス1500を概略的に示す流れ図である。例示的なプロセス1500は、追加の動作または異なる動作を含むことができ、これらの動作は、図示の順序または別の順序で実行することができる。いくつかの事例では、動作は、組み合わせることができ、並行して実行することができ、反復もしくは他の形で繰り返すことができ、または別の方法で実行することができる。
いくつかの事例では、図15に示す動作のうちの1つまたは複数は、たとえば図4に示すスキャナまたは別のタイプのスキャナシステムなどのスキャナシステムによって実装される。スキャナシステムは、たとえば、サンプルに刺激を印加し、その刺激に対するサンプルの応答を記録ことによって、サンプルから情報を抽出するように構成することができる。スキャナシステムは、刺激の印加もしくはサンプルの応答の記録(または両方)を行う1つまたは複数のプローブを含むことができる。たとえば、スキャナシステムは、照射源(たとえば、レーザまたは他の光源)、光学構成要素(たとえば、レンズ、鏡、フィルタ、増幅器など)、光センサ、カメラ(たとえば、CMOSカメラ、CCDカメラ、または別のタイプのカメラ)、信号生成器(たとえば、RF信号生成器、マイクロ波信号生成器など)、コイルおよびアンテナ、磁石システム(たとえば、電磁石、超伝導磁石など)、ならびに他の構成要素を含むことができ、これらは図14に示す例に従ってまたは他の形で配置することができる。
スキャナシステムがダイヤモンド粒子の色中心を検査するように構成された例では、スキャナシステムは、たとえば、サンプルに照射を印加し、(たとえば、印加された静磁場、印加された静電場などの範囲にわたって)対象の蛍光応答を検出することによって、サンプルの蛍光画像を取得するように構成された1つまたは複数のプローブを含む。いくつかの例では、スキャナシステムはまた、たとえば、サンプルを外部磁場内に配置し、サンプルにラジオまたはマイクロ波パルスを印加して、パルスに対する対象の応答を検出することによって、サンプルの磁気共鳴特性を取得するように構成された1つまたは複数のプローブを含む。いくつかの例では、スキャナシステムはまた、サンプルがスキャナシステムによって検査されるときに位置するサンプル領域を含む。
いくつかの事例では、図15に示す動作のうちの1つまたは複数は、コンピュータシステムによって実装される。たとえば、サンプルから情報を抽出するスキャナシステムは、抽出された情報を解析するプロセッサを含むことができる。追加または別法として、別のコンピュータシステムによって動作を実行することもできる。たとえば、スキャナシステムによって抽出される情報は、スキャナシステムとは別個(いくつかの事例では、遠隔)の離れたコンピュータシステムへ通信することができる。
1502で、対象が受け取られる。対象は、たとえば、スキャナシステムのサンプル領域内に受け取ることができる。1502で受け取られる対象は、物理的な対象であり、要素、たとえば対象の構造に一体化されまたは他の方法で対象内に分散された要素を含む。1502で受け取られた対象は、図14のプロセス1400で参照したタイプとすることができる。たとえば、対象は、一意マーカ(UM)もしくは要素の懸濁を含む別の物品とすることができ、またはそれを含むことができる。
いくつかの実装形態では、対象は、製造されたシステムまたはデバイス(たとえば、容器、文書、医療用デバイスなど)である。いくつかの実装形態では、対象は、製造されたシステムまたはデバイスの構成要素である。たとえば、対象としては、容器(たとえば、処方薬容器、生体サンプル容器、封筒、または他の文書用の入れ物、貨物用コンテナなど)の構成要素(たとえば、ラベル、蓋、シール、または他の構成要素)、文書(たとえば、通貨、銀行券、または他の商用文書)上の印刷区域、医療用デバイス(たとえば、人工器官またはインプラント)の一部、小売り商品または電子デバイスに取り付けられたタグなどを挙げることができる。
いくつかの実装形態では、対象は巨視的な対象であり、要素は対象の微細構造またはナノ構造である。たとえば、要素としては、ダイヤモンド粒子、磁気粒子、ナノロッド、薄片または箔などの微細構造、電子常磁性を呈する分子、有限の電気双極モーメントを有する分子、または対象内に懸濁する他のタイプの構造を挙げることができる。対象は、巨視的なサイズを有することができ、たとえば、およそ数ミリメートル、数センチメートル、またはそれ以上の最大寸法を有することができ、要素は、対象より1桁または数桁分小さいサイズを有することができ、たとえば要素は、いくつかの事例では、およそ数ミリメートル、数マイクロメートル、または数ナノメートルの最大寸法を有することができる。いくつかの例では、要素は、媒体内で固定された結晶粒子である。結晶粒子は、たとえば、それぞれの色中心(たとえば、NV中心または他のタイプの色中心)を有するダイヤモンド粒子とすることができ、媒体は、有機または無機材料とすることができる。いくつかの事例では、結晶粒子は、シリコン、ガラス、熱可塑性物質(たとえば、アクリル、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン)、熱硬化性ポリマー(たとえば、エポキシおよびポリウレタン)、または他のタイプの材料に懸濁させることができる。対象は、数百、数千、数百万、またはそれ以上の要素を含むことができる。要素は、対象の体積のすべてもしくは一部にわたって分布させることができ、対象の表面のすべてもしくは一部にわたって分布させることができ、または他の形で対象内に分布させることができる。
いくつかの実装形態では、各要素は、要素の配向を画定する構造(内部または外部)を有する。たとえば、要素は、結晶構造を有することができ、要素の配向は、要素の結晶構造の特定の軸(たとえば、対称軸)または平面によって画定することができる。別の例として、要素は、細長い構造を有することができ、要素の配向は、要素の細長い形状の特定の軸(たとえば、長軸)または平面によって画定することができる。別の例として、要素は、内部の特徴または構造(たとえば、色中心)を有することができ、要素の配向は、要素の内部の特徴または構造の特定の軸(たとえば、NV軸)または平面によって画定することができる。
いくつかの実装形態では、各要素は、対象内で対象内の他の要素に対して固定される。たとえば、要素は、対象の形状および構造が固定されたままである限り、相対的な場所および配向が固定されたままになるように、対象内で固定することができる。それに応じて、対象は、個々の要素を検出することによって繰返し可能かつ決定論的に検出することができる要素特性の分布を一意に画定することができる。たとえば、要素の懸濁は、相対的な空間配向の分布、相対場所の分布、サイズおよび形状の分布などを画定することができる。要素特性の分布は、数千、数百万、またはそれ以上の独立した自由度を有することができ、そのような自由度は、各対象内で変動する可能性がある。
いくつかの実装形態では、要素特性のいくつかまたはすべては、対象が製造されるときに発生する非常に複雑でランダムまたは準ランダムなプロセス、たとえば熱力学プロセスによって制御される。それに応じて、個々の対象内の要素特性の分布は、別の対象内で複製または複写するのが困難もしくは非実用的(またはさらには不可能)になりうる。したがって、要素特性の分布は、個々の各対象に対して一意とすることができ、指紋または署名と同様に、対象の一意識別子として働くことができる。
1504で、対象から要素情報が抽出される。要素情報は、たとえばスキャナシステムの1つまたは複数のプローブの動作によって、対象から抽出することができる。要素情報は、対象の要素によって画定される要素特性の分布を含むことができ、またはそのような分布に基づくことができる。たとえば、要素情報は、相対的な空間配向の分布、相対場所の分布、サイズおよび形状の分布、またはこれらの組合せを記述することができる。
いくつかの事例では、要素情報は、光学顕微鏡検査(たとえば、図4に関して説明)を使用して対象を撮像し、その結果得られる画像を処理することによって抽出される。いくつかの事例では、要素情報は、対象の磁気共鳴特性(たとえば、図4に関して説明)を検出し、磁気共鳴データを処理することによって抽出される。
いくつかの事例では、要素情報は、スキャナシステムによって実行される抽出プロトコルによって抽出され、要素情報は、要素特性および抽出プロトコルのパラメータに依存することができる。たとえば、抽出プロトコルのパラメータは、スキャナシステムのプローブを動作させるコントローラまたは制御プロセス(たとえば、図4の主論理モジュール408)への入力として提供することができる。いくつかの事例では、対象から抽出される要素情報は、必ずしも抽出プロトコルのパラメータに依存しない。たとえば、配向が固定されているため、同じ要素(たとえば、要素のすべて、または要素の同じ部分集合)の配向を識別する2つの別個の抽出プロトコルは、同じ配向情報を作成することができる。要素情報は、標準化または事前定義されたフォーマットで画定することができ、そのようなフォーマットは、対象の全体的な回転下で変動しないものとすることができる。
いくつかの実装形態では、要素情報を抽出することは、対象から配向情報を抽出することを含み、配向情報は、対象のそれぞれの要素の相対的な空間配向を示す。配向情報は、リスト、アレイ、または別のフォーマットとしてフォーマットすることができる。いくつかの事例では、配向情報は、それぞれの要素の相対的な空間配向を記述する座標変換を含む。座標変換は、たとえば、変換行列のリスト、直交回転の順序集合(オイラー分解など)、または別の形態の座標変換とすることができる。要素がダイヤモンド粒子である例では、配向情報は、複合変換行列(たとえば、各ダイヤモンド粒子に対する複合変換行列)のリストとすることができ、複合変換行列のリストは、対象の座標系の全体的な回転に対して変動しないものとすることができる。
いくつかの事例では、配向情報、および場合により他の要素情報(たとえば、場所情報、サイズ情報、形状情報)は、対象に印加される照射に対する光応答(たとえば、蛍光応答または別のタイプの光応答)を取得することによって抽出される。光応答は、いくつかの事例では、ラマン散乱または別の非線形の作用(たとえば、第2高調波発生、自発的パラメトリック下方変換など)を含むことができる。いくつかの例では、蛍光応答は、要素の色中心または別の特徴(たとえば、ストークスおよび反ストークスシフトまたは別の非線形プロセス)によって生成される、たとえば635nm~800nmの範囲内または別の波長の電磁信号を含むことができる。要素の蛍光応答に基づいて、対象の蛍光画像を生成することができ、蛍光画像から相対的な空間配向を判定することができる。図5に示す画像500は、1ビットの色深度を有する単色蛍光画像の一例を表す。対象内の蛍光変化、たとえば対象に印加される照射の変化または磁場の変化に応答して検出された要素の蛍光変化に基づいて、配向情報を判定することができる。別の例では、非線形の光学プロセス(たとえば、第2高調波発生(SHG))の配向依存度に基づいて、配向情報を判定することができる。
いくつかの事例では、配向情報、および場合により他の要素情報(たとえば、磁場環境情報)は、たとえば電子スピン共鳴(ESR)、核磁気共鳴(NMR)、光学的に検出された磁気共鳴(ODMR)、または別のタイプの磁気共鳴技法などの磁気共鳴技法を使用して抽出される。たとえば、スキャナが、対象に印加される振動電磁場(たとえば、ラジオ周波数、マイクロ波周波数など)に対する磁気共鳴応答を取得することができ、コンピュータシステムが、磁気共鳴応答を解析することによって相対的な空間配向を判定することができる。磁気共鳴応答は、たとえば、対象を外部磁場(たとえば、外部静磁場)内に配置し、振動電磁場(たとえば、ラジオまたはマイクロ波周波数パルス)を外部磁場内の対象に印加し、外部磁場の相対変化(たとえば、外部磁場の強度または配向の相対変化)、振動電磁場の相対変化(たとえば、振動電磁場の振幅、周波数、または位相の相対変化)に応答して、要素の磁気共鳴の変化を光学的に検出することによって取得することができる。
いくつかの実装形態では、配向情報は、たとえばスキャナシステムに対して対象を位置合わせすることとは独立して抽出することができる。いくつかの事例では、対象は、それらの要素以外の位置合わせマークまたは配向基準を含まない。対象に照射を印加することによって配向情報が抽出されるとき、照射角を参照することなく、互いに対して要素の配向を記述することができる。同様に、磁気共鳴技法によって配向情報が抽出されるとき、印加された磁場の角度を参照することなく、互いに対して要素の配向を記述することができる。それに応じて、配向情報は、対象の座標系の全体的な回転に対して変動しないものとすることができる。
結晶粒子がそれぞれの色中心を有するダイヤモンド粒子であるとき、色中心の相対配向を検出することによって、配向情報を抽出することができる。いくつかの事例では、対象の蛍光画像、磁気共鳴データ、または他の測定結果を処理することによって、相対配向を検出することができる。たとえば、座標変換、たとえば各ダイヤモンド粒子に対する複数の変換を表す複合変換行列(たとえば、図6および図7に関して説明)を使用して、相対配向を識別することができる。ダイヤモンド粒子に対する複合変換行列は、対象の座標系とダイヤモンド粒子の座標系との間の第1の変換、およびダイヤモンド粒子の座標系とダイヤモンド粒子内の色中心の座標系との間の第2の変換を表すことができる。いくつかの例では、各ダイヤモンド粒子が単一の色中心を含む(たとえば、個々の各ダイヤモンド粒子が単一のNV中心を含む)。いくつかの例では、ダイヤモンド粒子のいくつかまたはすべてが複数の色中心を含む(たとえば、個々の各ダイヤモンド粒子が2つ以上のNV中心を含む)。単一のダイヤモンド結晶が複数のNV中心を含むとき、ダイヤモンド格子の4回対称性は、粒子の配向を記述するための基準として、4つの配向のいずれかを選択することができることを意味する。
いくつかの実装形態では、要素情報を抽出することは、対象から場所情報を抽出することを含み、場所情報は、対象のそれぞれの要素の相対的な空間位置を示す。場所情報は、リスト、アレイ、または別のフォーマットとしてフォーマットすることができる。いくつかの事例では、場所情報は、それぞれの要素の相対的な空間位置を記述する座標ベクトルのリストを含む。いくつかの事例では、対象の蛍光画像、磁気共鳴データ、または他の測定結果を処理することによって、相対場所を検出することができる。たとえば、図5に関して説明した方法を使用して、または別の方法で、相対場所を識別することができる。
いくつかの実装形態では、要素情報を抽出することは、対象からトポグラフィ情報を抽出することを含み、トポグラフィ情報は、対象のそれぞれの要素の相対的な空間トポグラフィ(たとえば、相対サイズ、相対形状など)を示す。トポグラフィ情報は、リスト、アレイ、または別のフォーマットとしてフォーマットすることができる。いくつかの事例では、トポグラフィ情報は、(たとえば、1つまたは複数の座標軸に沿った)次元を記述する座標ベクトルのリストを含む。いくつかの事例では、対象の蛍光画像、磁気共鳴データ、または他の測定結果を処理することによって、要素のトポグラフィを検出することができる。
いくつかの実装形態では、要素情報を抽出することは、対象から磁場環境情報を抽出することを含み、磁場環境情報は、対象のそれぞれの要素の磁場環境を示す。磁場環境情報は、リスト、アレイ、または別のフォーマットとしてフォーマットすることができる。いくつかの事例では、磁場環境情報は、各要素が受ける磁場強度を(たとえば、1つまたは複数の座標軸に沿って)記述する座標ベクトルのリストを含む。いくつかの事例では、対象の磁気共鳴データまたは他の測定結果を処理することによって、要素の磁場環境を検出することができる。
要素情報は、たとえば2つまたは3つの空間次元で要素の特性を示すことができる。たとえば、配向情報は、2次元空間または3次元空間で相対的な空間配向を示すことができ、同様にトポグラフィ情報および場所情報は、2次元空間または3次元空間で相対的な場所、サイズ、形状などを示すことができる。要素が対象の別の媒体内に固定された結晶粒子である例では、要素情報は、たとえば2つまたは3つの空間次元で、結晶粒子の相対的なサイズ、形状、配向、もしくは位置、またはこれらの特性の組合せを示すことができる。
1506で、要素情報から一意コードが生成される。たとえば、スキャナシステム内のプロセッサ、スキャナシステムとは別個のコンピュータシステム、またはこれらの組合せによって、一意コードを生成することができる。たとえば、別のコンピュータシステムが、要素情報(配向情報、場所情報、トポグラフィ情報、磁場環境情報、またはこれらの組合せ)を取得し、一意コードを生成することができる。
いくつかの実装形態では、一意コードは、スキャナシステムが対象から抽出した配向情報から生成され、一意コードは、対象とスキャナシステムとの間のいかなる位置合わせまたは相対配向にも依存しない。たとえば、配向情報は、対象とスキャナシステムとの間の相対配向とは独立して処理することができる。配向情報が対象に照射を印加することによって抽出されるとき、照射が対象に印加される角度への参照なく、一意コードを判定することができる。同様に、配向情報が磁気共鳴技法によって抽出されるとき、外部(静止または振動)磁場が対象に印加される角度への参照なく、一意コードを判定することができる。
いくつかの実装形態では、一意コードは、対象内の要素の部分集合のみを表す要素情報から生成される。たとえば、対象は、要素の上位集合を含むことができ、一意コードを生成するために使用される要素情報は、要素の部分集合(すべての要素より少ない)のみを表すことができる。
いくつかの事例では、1504で抽出される要素情報は、要素の部分集合のみの特性を示し、1506で、一意コードは、1504で抽出された要素情報のすべてから生成される。たとえば、要素の部分集合は、磁場強度、周波数、偏光などの特定の範囲内の刺激に応答する要素とすることができる。一例として、要素がダイヤモンド粒子であるとき、カメラを使用して、特有の周波数帯域、たとえば2.77~2.79ギガヘルツ(GHz)または別の周波数帯域に対する光応答を有するダイヤモンド粒子のみを観察することができる。
いくつかの事例では、1504で抽出される要素情報は、上位集合内のすべての要素の特性を示し、1506で、一意コードは、1504で抽出された要素情報の部分集合から生成される。たとえば、要素の部分集合の相対的な空間配向を示す配向情報の部分集合は、その部分集合のみの相対的な空間配向に基づいて一意コードを生成することができるように、要素情報の完全な集合から識別することができる。要素の部分集合は、対象の特定の領域内の要素、特定の信号強度をもたらす要素、または別の部分集合の要素とすることができる。
一意コードは、任意の好適な形式またはフォーマットの情報を含むことができ、任意の好適な方法で要素情報を処理することによって生成することができる。たとえば、一意コードは、2進もしくは英数字とすることができ、または他のタイプの記号もしくは値を含むことができる。一意コードは、単一の値もしくは1群の値(たとえば、リスト、アレイなど)、または別のフォーマットとしてフォーマットすることができる。一例として、配向情報が座標変換のリストを含むとき、このリストを処理または再フォーマットして一意コードを画定することができる。いくつかの事例では、一意コードを生成するために、要素情報に関数または変換が適用される。
例示的なプロセス1500では、1506で生成される一意コードは、対象に対して一意である。たとえば、一意コードは、実際的に、2つの対象が同じコードを生じさせるはずがないほど十分に大きい位相空間内のパラメータによって画定することができる。たとえば、対象から抽出された要素情報内の自由度数によって、位相空間のサイズを画定することができる。別の対象(同じプロセスによって製造されたもの、同じ材料を使用して製造されたものなど)が位相空間内の同じ位置を占めうる可能性は、無限に小さくなりうる。いくつかの事例では、位相空間内のそれを生じさせて同じ位置を占めかつ同じコードを生じさせる別の対象を生じさせることは、非実用的なはずである。
1508で、対象を修正することができる。たとえば、対象を修正することで、要素のうちの少なくともいくつかの相対的な空間配向もしくは空間場所(または両方)を変化させることができる。プロセス1500は、たとえば1508または他の事例で対象を修正した後、繰り返すことができる。いくつかの事例では、プロセス1500の第1の反復で、対象のための第1の一意コードが生成され、プロセス1500の第2の反復で、相対的な空間配向を変化させた後、対象から抽出された配向情報に基づいて、第2の異なる一意コードが同じ対象から生成される。いくつかの事例では、要素の相対的な空間配向は、対象に関係する情報のための安全な台帳または公開台帳として使用することができる。たとえば、空間配向を変化させること(1508で対象を修正することによる)は、台帳への更新に関連付けることができる。
図16は、対象を解析するための例示的なプロセス1600を概略的に示す流れ図である。例示的なプロセス1600は、追加のエンティティまたは異なるエンティティによって実行される動作を含む、追加の動作または異なる動作を含むことができ、これらの動作は、図示の順序または別の順序で実行することができる。いくつかの事例では、動作は、組み合わせることができ、並行して実行することができ、反復もしくは他の形で繰り返すことができ、または別の方法で実行することができる。例示的なプロセス1600を使用して、対象の識別情報を認証し、対象が不正変更されたかどうかを判定し、対象が使用もしくは起動されたかどうかを判定し、対象が環境応力に曝露されたかどうかを判定し、対象が機械的応力もしくは摩耗を受けたかどうかを判定し、または対象の他のタイプの解析を行うことができる。
いくつかの事例では、図16に示す動作は、1つまたは複数のコンピュータシステムによって実装される。図16は、要求部1602および認証部1604によって実行される例示的なプロセス1600を示す。要求部1602および認証部1604は、たとえば単一のコンピュータシステム、別個のコンピュータシステム(たとえば、異なる場所、異なる環境など)、分散されたコンピューティングシステム、または別個のエンティティのプロセス(たとえば、製造プロセス、工業プロセス、供給網、流通チャネル、金融プロセス、企業ワークフロー、または別のタイプのプロセス)に導入されたコンピュータ実装モジュールを表すことができる。一例として、要求部1602は、図13の目的地1300で実行されるプロセスを表すことができ、認証部1604は、図13の認証部1350で実行されるプロセスを表すことができる。別の例として、要求部1602は、図14の第2のエンティティ1404で実行されるプロセスを表すことができ、認証部1604は、図14の第1のエンティティ1402で実行されるプロセスを表すことができる。
要求部1602および認証部1604は、プロセス1600中に互いに通信する。いくつかの実装形態では、要求部1602および認証部1604は、たとえば通信チャネルまたは直接通信リンクを介して、互いに直接通信する。いくつかの実装形態では、要求部1602および認証部1604は、たとえば共用データベースへのアクセスまたは他の方法によって、互いに間接的に通信する。
図16に示す例示的なプロセス1600は、物理的な対象から抽出された情報を利用する。いくつかの事例では、図16の例示的なプロセス1600で参照する対象は、上述したタイプの一意マーカ(UM)、図14のプロセス1400で参照したタイプの対象、図15のプロセス1500で参照したタイプの対象、もしくは別のタイプの対象とすることができ、またはそれらを含むことができる。いくつかの実装形態では、抽出される情報は、対象のそれぞれの要素の特性を示す要素情報(たとえば、それぞれの要素の相対的な空間配向を示す配向情報)を含む。
例示的なプロセス1600はまた、対象識別子、および場合により物理的な対象に関係する他の情報を利用することができる。対象識別子としては、たとえば、対象のシリアル番号、対象の部品番号、または供給元の識別情報、対象の等級、タイプ、または品質を挙げることができる。対象識別子は、たとえば、対象に関連付けられた人物または他のエンティティに対する識別情報または識別子(たとえば、名称、住所、電話番号、ユーザ名、社会保障番号など)とすることができる。
プロセス1600前またはプロセス1600中に、対象抽出された要素情報から一意コードが生成され、一意コードは、対象のための対象識別子に関連付けられる。一意コードは、図15に示すプロセス1500で一意コードが生成される方法と同様に生成することができる。対象識別子および一意コードは、たとえば安全なデータベース内に記憶することによって、または別の方法で関連付けることができる。たとえば、対象識別子は、図12のシリアル番号1207とすることができ、要素情報は、図12の配向情報1206とすることができ、対象識別子および要素情報は、図12の安全なデータ記憶装置1208(または図13の安全なデータベース1351)内でこれらの情報をリンクさせることによって関連付けることができる。対象識別子および一意コードは、別の方法で関連付けることもできる。
いくつかの実装形態では、追加の情報が安全なデータベース内に記憶され、または他の方法で対象識別子および一意コードに関連付けられる。たとえば、要素情報を抽出するためにスキャナシステムによって使用されるスキャナ設定を、対象識別子および一意コードに関連付けることができる。スキャナ設定は、たとえば、対象に対して実行される抽出プロトコルで使用されるパラメータの値を含むことができる。
1610で、要求部1602が対象データを取得する。たとえば、対象データは、要求部1602が対象から抽出した要素情報に基づく一意コードを含むことができる。一意コードは、たとえば、図15に示すプロセス1500と同様に、もしくは別の方法で、要求部1602によって要素情報から生成された一意コードとすることができ、またはそのような一意コードを含むことができる。1610で取得された対象データはまた、たとえば対象のシリアル番号などの対象識別子を含むことができる。1610で取得された対象データはまた、チャレンジ応答データまたは他のタイプの情報を含むことができる。
1612で、要求部1602が認証提供部へ解析要求を送る。解析要求は、たとえば一意コードおよび対象識別子を含む対象データを含むことができ、またはそのような対象データに基づくことができる。いくつかの事例では、解析要求は追加の情報を含む。たとえば、解析要求は、要素情報を抽出するために要求部1602のスキャナシステムによって使用されるスキャナ設定を示すことができる。
1614で、認証部1604が解析要求を評価する。認証要求は、安全なデータベースまたは認証部1604にアクセス可能な別のタイプの保証システム内の情報に基づいて評価することができる。一例として、認証部1604は、解析要求からの対象識別子(いくつかの事例では、たとえばスキャナ設定などの他の情報)を使用して、対象識別子に以前に関連付けられた有効な一意コードを見出すことができる。次いで認証部1604は、有効な一意コードを、解析要求内の差し出された一意コードと比較することができる。
1616で、認証部1604は、要求部1602へ解析応答を送る。図16の解析応答は、1614で実行された評価の結果を示す解析データを含む。解析応答は、その結果を2進値として示すことができる。たとえば、解析データは、比較が一致をもたらした(たとえば、データベース内の有効な一意コードが、解析要求内の差し出された一意コードに厳密にまたはある程度の公差範囲内で一致する)ことを示すことができ、これは、対象が真正であること、不正変更されていないこと、使用もしくは起動されていないこと、環境応力に曝露されていないこと、機械的応力もしくは摩耗を受けていないことなどを意味することができ、または解析データは、比較が一致をもたらさなかった(たとえば、データベース内の有効な一意コードが、解析要求内の差し出された一意コードに厳密にまたはある程度の公差範囲内で一致しない)ことを示すことができ、これは、対象が真正でないこと、不正変更されたこと、使用もしくは起動されたこと、環境応力に曝露されたこと、機械的応力もしくは摩耗を受けたことなどを意味することができる。解析応答は、その結果を勾配値として示すことができる。たとえば、解析データは、有効な一意コードが解析要求内の差し出された一意コードに一致する割合または程度を示すことができ、要求部1602は、その独自の基準に基づいて(たとえば、ある程度の公差または他の受入れ基準を参照して)、勾配値を解釈することができる。
図17は、例示的なチャレンジ応答プロセス1700を概略的に示す流れ図である。例示的なプロセス1700は、追加のエンティティまたは異なるエンティティによって実行される動作を含む、追加の動作または異なる動作を含むことができ、これらの動作は、図示の順序または別の順序で実行することができる。いくつかの事例では、動作は、組み合わせることができ、並行して実行することができ、反復もしくは他の形で繰り返すことができ、または別の方法で実行することができる。
いくつかの事例では、図17に示す動作は、1つまたは複数のコンピュータシステムによって実装される。図17は、要求部1702および認証部1704によって実行される例示的なプロセス1700を示す。要求部1702および認証部1704は、図16の要求部1602および認証部1604、たとえば1つまたは複数のコンピュータシステム内のコンピュータ実装モジュールと同様に実装することができる。一例として、要求部1702は、図13の目的地1300で実行されるコンピュータ実装プロセスを表すことができ、認証部1704は、図13の認証部1350で実行されるコンピュータ実装プロセスを表すことができる。別の例として、要求部1702は、図14の第2のエンティティ1404で実行されるプロセスを表すことができ、認証部1704は、図14の第1のエンティティ1402で実行されるプロセスを表すことができる。要求部1702および認証部1704は、プロセス1700中に互いに(直接または間接的に)通信する。
図17に示す例示的なプロセス1700は、物理的な対象から抽出された情報を利用する。いくつかの事例では、図17の例示的なプロセス1700で参照する対象は、上述したタイプの一意マーカ(UM)、図14のプロセス1400で参照したタイプの対象、図15のプロセス1500で参照したタイプの対象、もしくは別のタイプの対象とすることができ、またはそれらを含むことができる。いくつかの実装形態では、抽出される情報は、対象のそれぞれの要素の特性を示す要素情報(たとえば、それぞれの要素の相対的な空間配向を示す配向情報)を含む。例示的なプロセス1700はまた、対象識別子、および場合により物理的な対象に関係する他の情報を利用することができる。
チャレンジ応答プロセス1700は、解析プロセスとして(たとえば、対象を認証するため、対象が不正変更されたかどうかを判定するため、対象が使用または起動されたかどうかを判定するため、対象が環境応力に曝露されたかどうかを判定するため、対象が機械的応力または摩耗を受けたかどうかを判定するためなど)、または他の目的で実行することができる。いくつかの事例では、チャレンジ応答プロセス1700は、対象が物理的複製不可機能(PUF)として導入される場合に使用される。たとえば、特定の刺激またはチャレンジが対象に印加された場合、対象は、その対象に一意の予測可能な応答を提供することができ、そのような応答は、その対象なしに取得することが困難もしくは非実用的(またはさらには不可能)である。個々のチャレンジへの応答は、たとえば、対象の非常に複雑な内部構造に依存することがあり、そのような構造は、解析的に複写または判定するのが困難もしくは非実用的(またはさらには不可能)である。それに応じて、いくつかの事例では、対象は、PUFとして導入されるとき、一方向性関数(たとえば、ハッシュ関数)と同じ目的を担うことができる。
1710で、要求部1702がチャレンジデータを取得する。たとえば、チャレンジデータは、対象から要素情報を抽出するために要求部1702のスキャナシステムによって使用することができる抽出プロトコルを示すことができる。いくつかの事例では、チャレンジデータは、抽出プロトコルに対するスキャナ設定を示す。スキャナ設定は、たとえば、抽出プロトコルを実行するためのスキャナシステムのパラメータに対する特有の値を含むことができる。いくつかの実装形態では、要求部1702は、認証部1704または別の外部源からチャレンジデータを取得する。いくつかの実装形態では、要求部1702は、たとえば、スキャナ設定をランダムに選択することによって、事前定義された1組のスキャナ設定を選択することによって、または他の方法で、チャレンジデータを生成する。
1712で、要求部1702がチャレンジデータに基づいて応答データを取得する。応答データは、チャレンジデータに従って対象に問い合わせることによって、たとえばチャレンジデータによって示されるスキャナ設定を使用して抽出プロトコルを実行することによって取得することができる。応答データは、チャレンジデータを使用して対象から抽出された要素情報から生成される一意コードを含むことができる。要素情報は、図15に示すプロセス1500と同様に、または別の方法で、対象から抽出することができる。1712で取得された応答データはまた、たとえば対象のシリアル番号などの対象識別子を含むことができる。
1714で、要求部1702が応答データを認証部1704へ送る。いくつかの事例では、要求部1702はまた、チャレンジデータを認証部1704へ送る。要求部1702はまた、対象識別子または他の情報を認証部1704へ送ることができる。
1716で、認証部1704が応答データを評価する。応答データは、安全なデータベースまたは認証部1704にアクセス可能な別のタイプの保証システム内の情報に基づいて評価することができる。一例として、認証部1704は、チャレンジデータ(いくつかの事例では、たとえば対象識別子などの他の情報)を使用して、対象から以前に取得された有効な応答を見出すことができる。次いで認証部1704は、有効な応答(たとえば、安全なデータベースから)を、応答データ内の差し出された応答と比較することができる。
いくつかの事例では、認証部1704は、1716で、事前定義された有効な応答を使用して、応答データを評価する。たとえば、認証部1704は、対象のためのチャレンジ応答ライブラリへのアクセスを有することができ、チャレンジ応答ライブラリ内の各々の有効な応答は、別個のチャレンジに関連付けられている。チャレンジ応答ライブラリは、たとえば1組の別個のチャレンジに基づいて対象に問い合わせることによって、または別の方法で、チャレンジ応答プロセス1700が実行される前に画定することができる。いくつかの事例では、認証部1704は、1710で取得されたチャレンジデータに基づいて、チャレンジ応答プロセス1700中に有効な応答を生成する。たとえば、認証部1704は、対象のための完全な要素情報へのアクセスを有することができ、それにより、認証部1704がチャレンジデータに基づいて有効な応答を計算することを可能にすることができる。
1718で、認証部1704が要求部1702へ有効性データを送る。図17の有効性データは、1716で実行された評価の結果を示す。有効性データは、その結果を2進値として示すことができる。たとえば、有効性データは、比較が一致をもたらした(たとえば、データベース内の有効な応答が、応答データ内の差し出された応答に厳密にまたはある程度の公差範囲内で一致する)ことを示すことができ、これは、応答が有効であることを意味することができ、または有効性データは、比較が一致をもたらさなかった(たとえば、データベース内の有効な応答が、応答データ内の差し出された応答に厳密にまたはある程度の公差範囲内で一致しない)ことを示すことができ、これは、応答が無効であることを意味することができる。有効性データは、その結果を勾配値として、たとえば有効な応答が差し出された応答に一致する割合または程度として示すことができ、要求部1702は、その独自の基準に基づいて(たとえば、ある程度の公差または他の受入れ基準を参照して)、勾配値を解釈することができる。
いくつかの実装形態では、一意マーカは、対象の表面形態に合った形状とすることができる。一例として、図1Aに示す一意マーカ103a、図4に示す一意マーカ401、図12に示す一意マーカ1201、図13に示す一意マーカ1303、または任意の他の一意マーカは、対象または物品の表面パターン、テキスチャ、または他の凹みに合った形状とすることができる。
図18Aおよび図18Bは、対象1802の表面形態に合った形状の例示的な一意マーカ1804を有する例示的な対象1802の図である。具体的には、図18Aは、その表面形態に合った形状の一意マーカ1804を有する対象1802の図であり、図18Bは、図18Aに示す対象1802および一意マーカ1804の分解図である。いくつかの実装形態では、対象1802は、図1Aに示すスニーカ101、図12に示す物品1202、図13に示す一意の物品1301、または任意の他の対象もしくは物品とすることができる。いくつかの実装形態では、一意マーカ1804は、図1Aに示す一意マーカ103a、図4に示す一意マーカ401、図12に示す一意マーカ1201、図13に示す一意マーカ1303、または任意の他の一意マーカとすることができる。例示的な対象1802および一意マーカ1804は、図18Aおよび図18Bに概略的に示されており、概して任意のサイズおよび形状を有することができる。
図18Bに示すように、対象1802の表面は、凹み1803を含むことができる。いくつかの事例では、対象1802は、任意の固体材料(金属、プラスチック、木材、革など)から作ることができ、凹み1803は、たとえば、対象1802を打抜き、彫刻、エッチング、または他の方法でパターニングすることを介して作ることができる。いくつかの例では、凹み1803は、一意マーカ1804を保持すること以外の理由で作られる。たとえば、凹み1803は、製造プロセス、材料の自然のテキスチャ、または他の方法によって作製された表面パターンとすることができる。いくつかの事例では、表面パターニングは、対象1802の美的または機能的な目的で、対象1802の製造において使用することができる。いくつかの例では、凹み1803は、装飾的な表面テキスチャなどの製品の美的特徴である。いくつかの例では、凹み1803は、表面に埋め込まれた会社名、ロゴ、もしくはシリアル番号などの製品の機能的特徴であり、または製品の構造的な利益を提供するためのもの(たとえば、外部の摩耗から保護するためのリブまたは刻み目)である。いくつかの例では、凹み1803はさらなる製造のために存在する。たとえば、凹み1803は、円筒形の対象1802(第1の基材とすることができる)上のパターニングされた彫刻を含むことができ、この彫刻を使用して、(たとえば、グラビア印刷またはフレキソ印刷プロセスを介して)特有のパターンを第2または第3の基材上に刻印することで、均一の形状およびサイズのタグを大量生産する。
いくつかの事例では、凹み1803を使用して、対象1800に対する一意の指紋として働く一意マーカ1804をホストすることができる。たとえば、いくつかの実装形態では、一意マーカ1804(たとえば、一意マーカ1804の外面)は、凹み1803のサイズおよび形状に一致する(たとえば、一意マーカ1804が凹み1803内に位置する)ようなサイズおよび形状である。いくつかの実装形態では、一意マーカ1804は、たとえば、凹み1803のエッチ、溝、セル、または表面パターンを液体材料で充填することによって、凹み1803内に形成され、この液体材料が乾燥して、対象1802に対する長期的(たとえば、恒久的)な指紋として働くことができる一意マーカ1804を形成する。
図19Aは、凹状ロゴ1903を有する例示的な対象1900の概略図であり、図19B、図19C、図19D、および図19Eは、凹状ロゴ1903内に一意マーカ1908を形成する例示的なプロセスの図である。対象1900は、たとえば、凹状ロゴ1903または別のタイプの表面形態を含む商品とすることができる。たとえば、いくつかの実装形態では、対象1900は、図1Aに示すスニーカ101、図12に示す物品1202、図13に示す一意の物品1301、図18に示す対象1802、または任意の他の対象もしくは物品とすることができる。いくつかの実装形態では、凹状ロゴ1903は、図18に示す凹み1803とすることができ、一意マーカ1908は、図1Aに示す一意マーカ103a、図4に示す一意マーカ401、図12に示す一意マーカ1201、図13に示す一意マーカ1303、図18に示す一意マーカ1804、または任意の他の一意マーカとすることができる。
図19B、図19C、図19D、および図19Eは、対象1900のうち凹状ロゴ1903を有する部分の切開断面図を示す。具体的には、図19B、図19C、図19D、および図19Eは、図19Aに示す線A-Aに沿って切り取った切開断面図を示す。図19Bに見られるように、対象1900は、凹状ロゴ1903を形成するようにパターニングされた基材1902を含む。いくつかの実装形態では、凹状ロゴ1903は、基材1902を打抜き、彫刻、エッチング、または他の方法でパターニングすることを介して形成することができる。
図19Cで、要素1905(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む流体1904(たとえば、液体または粘性流体)が基材1902に塗布されて、凹状ロゴ1903を充填(たとえば、過充填)する。流体1904内の要素1905の濃度は、少なくとも部分的に、要素のサイズおよび形成されている一意マーカのサイズに依存することができる。要素1905は、流体1904が凝固するまで、流体1904内の空間分布および相対配向が固まらないように、流体1904内に分布させることができる。
流体1904は、液体樹脂または別のタイプの液体材料とすることができる。たとえば、流体1904は、樹脂、エポキシ、アクリル、ウレタン、シリコーン、もしくは別の液体樹脂とすることができ、またはこれを含むことができる。いくつかの事例では、追加の機能化のために、樹脂を溶剤(たとえば、キシレン、トルエン、酢酸エチル)、インク、およびシリカなどの他の要素と混合することができる。いくつかの実装形態では、塗布プロセス(たとえば、基材1902上への流し込み、浸漬、ローラ塗り、印刷、塗装、滴下、被覆、噴霧、展着、刷毛塗りなど)によって、流体1904を基材1902に塗布することができる。流体1904は、任意の好適なプロセス(たとえば、手動、自動機械プロセスなど)によって塗布することができる。
図19Dで、平坦化プロセスを使用して、流体1904の余分な材料が基材1902の表面から除去される。図19Dの例などのいくつかの事例では、平坦化プロセスは、除去器具1906を使用して、流体1904の余分な材料を基材1902の表面から除去することができる。いくつかの実装形態では、除去器具1906は、たとえば、ドクターブレード、スパチュラ、スキージ、もしくは別のタイプの除去器具1906とすることができ、またはこれを含むことができる。具体的には、基材1902の表面と凹状ロゴ1903内の流体1904の表面とが実質的に同一平面になるように、基材1902の非凹状部分からの流体1904の余分な材料1907が除去される。いくつかの事例では、擦り落としプロセスを使用して、流体1904の余分な材料1907を除去することができる。流体1904の除去された余分な材料1907は、再利用されても廃棄されてもよい。
図19Eで、凹状ロゴ1903内に留まっている流体1904は、流体1904を硬化および凝固させるプロセス(たとえば、硬化プロセス)にかけられ、したがって要素1905の空間分布および相対配向が固まった一意マーカ1908を形成する。流体1904は、たとえば通常の乾燥、硬化、エネルギー源(たとえば、UV放射)への曝露、または流体1904を硬化および凝固させる別のプロセスによって凝固することができる。
一意マーカ1908は、いくつかの事例では、装飾的な特徴として使用することができ、認証、安全性、対象1900の完全性の検証、および他の応用例に使用することができる。たとえば、一意コードは、たとえば、図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、要素1905の空間分布および相対配向に基づいて抽出することができる。いくつかの実装形態では、一意マーカ1908は、他のツール(たとえば、機能性蛍光粒子による分光、核スピンの測定によるNMR、特定の粒子サイズ分布による動的光散乱(DLS))を使用して導出することができる2次識別を可能にする特徴の一意の集合を有し、それによりバッチ、ロット、またはブランドレベルの情報を抽出することが可能になる。
図19B、図19C、図19D、および図19Eに示す例は、凹状ロゴ1903を作製した後に流体1904が塗布されることを示すが、いくつかの実装形態では、凹状ロゴ1903を作製するのと同じプロセスによって、流体1904を基材1902に塗布することができる。たとえば、ダイまたはスタンプヘッドを流体1904(要素1905を含む)で被覆することによって、流体1904を塗布した後、ダイまたはスタンプヘッドを基材1902に刻印して、凹状ロゴ1903を形成することができる。
図20Aは、例示的なフレキソ印刷システム2000の概略図である。例示的なフレキソ印刷システム2000を使用して、対象の表面形態に合った形状の一意マーカを形成することができる。フレキソ印刷システム2000は、インク溜め2002を含む。いくつかの実装形態では、インク溜め2002は、一意マーカを形成するために使用される要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む流体(たとえば、液体または粘性流体)2004を含む容器である。流体2004は、図19C、図19D、図19Eに関連して上述した流体1904に類似したものとすることができる。
フレキソ印刷システム2000は、流体2004内に少なくとも部分的に浸漬される第1の円筒形構造2006(たとえば、インク出しローラ)を含む。いくつかの実装形態では、第1の円筒形構造2006は、金属(たとえば、鋼または銅)の円筒とすることができるが、他の材料(たとえば、セラミック)を使用することもできる。フレキソ印刷システム2000の動作中、第1の円筒形構造2006は、第1の方向(たとえば、図20Aの例では反時計回り方向)に回転し、したがって第1の円筒形構造2006が回転するにつれて、流体2004は、第1の円筒形構造2006のうち流体2004内に浸漬されていない部分を被覆する。
フレキソ印刷システム2000は、流体2004のためのキャリアとして使用される第2の円筒形構造2008(たとえば、アニロックスローラ)を含む。いくつかの実装形態では、第2の円筒形構造2008は、金属(たとえば、鋼または銅)の円筒とすることができるが、他の材料(たとえば、セラミック)を使用することもできる。いくつかの実装形態では、第2の円筒形構造2008の外面は、パターニングまたはエッチングされたセル、チャネル、または流体2004(したがって、流体2004内に含まれる要素の分布)のためのキャリアとして機能する他のくぼんだ特徴を含む。フレキソ印刷システム2000の動作中、第2の円筒形構造2008は、第2の異なる方向(たとえば、図20Aの例では時計回り方向)に回転し、第1の円筒形構造2006からの流体2004が、第2の円筒形構造2008の表面上に形成されているエッチングされたセルを充填する。いくつかの実装形態では、フレキソ印刷システム2000は、第2の円筒形構造2008の表面上に形成されているエッチングセルから流体2004の余分な材料を除去する任意選択の除去器具2010(たとえば、ドクターブレード)を含む。
フレキソ印刷システム2000は、印刷版2014(たとえば、フレキソ版)を保持する第3の円筒形構造2012(たとえば、版胴)を含む。いくつかの実装形態では、第3の円筒形構造2012は、金属(たとえば、鋼または銅)の円筒とすることができるが、他の材料(たとえば、セラミック)を使用することもできる。印刷版2014は、柔らかい軟質ゴム状の材料から作ることができる。いくつかの実装形態では、テープ、磁石、テンションストラップ、ラチェット、またはこれらの組合せを使用して、印刷版2014を第3の円筒形構造2012に対して保持することができる。フレキソ印刷システム2000の動作中、第3の円筒形構造2012は、第1の方向(たとえば、図20Aの例では反時計回り方向)に回転し、第2の円筒形構造2008のエッチングされたセル内の流体2014が、印刷版2014へ移動させられる。
フレキソ印刷システム2000は、第4の円筒形構造2016(たとえば、圧胴)を含む。いくつかの実装形態では、第4の円筒形構造2016は、金属(たとえば、鋼または銅)の円筒とすることができるが、他の材料(たとえば、セラミック)を使用することもできる。フレキソ印刷システム2000の動作中、基材2018(たとえば、金属、プラスチック、木材、革など)が、第4の円筒形構造2016と第3の円筒形構造2012との間に配置される。第4の円筒形構造2016は、第3の円筒形構造2012に圧力を印加して、第2の方向(たとえば、図20Aの例では時計回り方向)に回転し、それによって基材2018に凹みを刻印し、流体2004が凹みの形態に適合するように、流体2004を基材2018へ移動させる。いくつかの事例では、流体2004を有する基材2018を硬化させて(たとえば、通常の乾燥、UV放射などのエネルギー源への曝露、または別のプロセスによる)、流体2004内の要素の空間分布および相対配向を固めて一意マーカを形成することができる。いくつかの実装形態では、フレキソ印刷システム2000を使用して、正常に印刷されたタグの付いていない区域とともに、基材2018内または基材2018上に多数のパターニングされた一意マーカを作成することができる。次に、一意マーカを有する基材2018を使用して、製品または物品を製造することができる。
上記で論じたように、第2の円筒形構造2008の外面は、流体2004のためのキャリアとして機能するエッチングされたセルを含む。図20Aはまた、第2の円筒形ローラ2008の外面にエッチングされたいくつかのセル2020の拡大上面図を示す。図20Aでは、例示的なセル2020が四辺形として示されているが、他の例では、セル2020は、任意の形状をとることができる。各セルは、それぞれのサイズ(たとえば、それぞれの幅およびそれぞれの深さ)を有することができる。各セルのサイズは、少なくとも、流体2004内に含まれる要素のサイズ、印刷版2014のうち第2の円筒形構造2008からの流体2004を受け入れて一意マーカを基材2018に刻印するために使用される部分、基材2018に刻印される一意マーカのサイズ、および基材2018に刻印するために必要とされる流体2004の量といった要因に依存することができる。いくつかの事例では、エッチングされたセル2020は、印刷版2014への流体2004の特有の移動体積を保持するように設計することができる。いくつかの事例では、流体2004内に含まれる要素のサイズと、第2の円筒形構造2008上の最小セルまたはパターン幅との間には、数学的な関係が存在することができる。たとえば、フレキソ印刷システム2000のいくつかの実装形態では、セル2020の各々が、最も広い次元で最大300μmの幅W(たとえば、約20μm~約300μmの範囲内)を有する。別の例では、フレキソ印刷システム2000のいくつかの実装形態において、セルの体積が要素の平均幅(たとえば、直径)より少なくとも1桁分大きくなるように、システムおよび材料を設計することができる(たとえば、10μmの平均幅を有するダイヤモンド粒子を含む流体2004を、100μm3のセルとともに使用することなどができる)。
いくつかの事例では、フレキソ印刷システム2000のセルおよび他の特徴のサイズは、指定の特性(たとえば、サイズ、形状、要素の空間密度、要素の空間分布など)を有する一意マーカを作成するように設計することができる。さらに、より多いまたはより少ないタグ付け材料(たとえば、流体2004)を保持するように、エッチングされたセル2020の幾何形状を修正することによって、基材2018上のタグ付きおよびタグなしのパターンを設計することができる。図20Bは、指定の形状(たとえば、X字状)を有する一意マーカを作成することができるように、異なる寸法を有するように設計されたいくつかのセル2022の拡大上面図を示す。たとえば、第1のセル群2024の各セルは、第2のセル群2026の各セルより大きい寸法(たとえば、幅、深さ、または両方)を有する。その結果、流体2004は、第1のセル群2024からのセルを充填することが可能になるが、第2のセル群2026からのセルは充填しない(たとえば、セルの寸法がより小さいため)。いくつかの実装形態では、第1のセル群2024からの各セルの体積は、要素の平均幅(たとえば、直径)より少なくとも1桁分大きい(たとえば、10μmの平均幅を有するダイヤモンド粒子を含む流体2004を、100μm3のセルとともに使用することなどができる)。
図21は、例示的なグラビア印刷システム2100の概略図である。例示的なグラビア印刷システム2100を使用して、対象の表面形態に合った形状の一意マーカを形成することができる。グラビア印刷システム2100は、インク溜め2102を含む。いくつかの実装形態では、インク溜め2102は、一意マーカを形成するために使用される要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む流体(たとえば、液体または粘性流体)2104を含む容器である。流体2104は、図19C、図19D、図19Eに関連して上述した流体1904に類似したものとすることができる。
グラビア印刷システム2100は、流体2104内に少なくとも部分的に浸漬される第1の円筒形構造2106(たとえば、グラビアシリンダ)を含む。いくつかの実装形態では、第1の円筒形構造2106は、金属(たとえば、鋼または銅)の円筒とすることができるが、他の材料(たとえば、セラミック)を使用することもできる。グラビア印刷システム2100の動作中、第1の円筒形構造2206は、(たとえば、図21の例では時計回り方向に)回転し、したがって第1の円筒形構造2106が回転するにつれて、流体2104は、第1の円筒形構造2106のうち流体2104内に浸漬されていない部分を被覆する。
いくつかの実装形態では、第1の円筒形構造2106の外面は、パターニングまたはエッチングされたセル、チャネル、または流体2104のためのキャリアとして機能する他のくぼんだ特徴を含む。グラビア印刷システム2100の動作中、第1の円筒形構造2106は回転し、第1の円筒形構造2006からの流体2004が、第1の円筒形構造2106の表面上に形成されているエッチングされたセルを充填する。いくつかの実装形態では、グラビア印刷システム2100は、第1の円筒形構造2106の表面上に形成されているエッチングセルから流体2104の余分な材料を除去する任意選択の除去器具2108(たとえば、ドクターブレード)を含む。
グラビア印刷システム2100は、第2の円筒形構造2110(たとえば、印圧ロール)を含む。いくつかの実装形態では、第2の円筒形構造2110は、金属(たとえば、鋼または銅)の円筒とすることができるが、他の材料(たとえば、セラミック)を使用することもできる。
グラビア印刷システム2100の動作中、基材2112(たとえば、金属、プラスチック、木材、革など)が、第2の円筒形構造2110と第1の円筒形構造2106との間に配置される。第2の円筒形構造2110は、第1の円筒形構造2106に圧力を印加して、(たとえば、図21の例では反時計回り方向に)回転し、それによって基材2112に凹みを刻印し、流体2104が凹みの形態に適合するように、流体2104を基材2112へ移動させる。いくつかの事例では、流体2104を有する基材2112を硬化させて(たとえば、通常の乾燥、UV放射などのエネルギー源への曝露、または別のプロセスによる)、流体2104内の要素の空間分布および相対配向を固めて一意マーカを形成することができる。いくつかの実装形態では、グラビア印刷システム2100を使用して、正常に印刷されたタグ付き区域とともに、基材2112内または基材2112上に多数のパターニングされた一意マーカを作成することができる。次に、一意マーカを有する基材2112を使用して、製品または物品を製造することができる。
フレキソ印刷システム2000と同様に、グラビア印刷システム2100において、各セルのサイズは、少なくとも、流体2104内に含まれる要素のサイズ、一意マーカを基材2112に刻印するために使用される第1の円筒形構造2106の部分、基材2112に刻印される一意マーカのサイズ、および基材2112に刻印するために必要とされる流体2104の量といった要因に依存することができる。フレキソ印刷システム2000と同様に、グラビア印刷システム2100において、流体2104内に含まれる要素のサイズと、第1の円筒形構造2106上の最小セルまたはパターン幅との間には、数学的な関係が存在することができる。
図18A、図18B、図19A、図19B、図19C、図19D、図19E、図20A、図20B、および図21で論じる例では、製造者は、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む一意マーカを含み、したがって下にある基材に対して安全な指紋を提供するように、基材上の特有の特徴および場所を調節することができる。一意マーカは、凹状ロゴまたは他の表面特徴がブランドに対する隠れた安全な識別子として働くことを可能にするために、または物理的な環境要因への曝露からタグを隠すために、基材の凹みに適合することができる。図20A、図20B、および図21の例などのいくつかの事例では、印刷ローラ上のエッチングされたセル内で一意マーカを複製することができ、これを使用して、基材または印刷版上へ形状タグを与えることで、特有の形状のタグを大量生産することができる。製品がランダムな凹みを有することができるいくつかの事例(たとえば、木材および革のような天然材料の表面上に見られる)では、一意マーカは、折り目、亀裂、およびエッチング(たとえば、多くのぜいたく品によく見られる)に一体化することができる。いくつかの実装形態では、作成された一意マーカは、たとえば、顕微鏡サイズ(たとえば、1μm2~1000μm2の範囲の表面積を有する)から巨視的サイズ(たとえば、1mm2~1000mm2の範囲の表面積を有する)の範囲とすることができる。
いくつかの実装形態では、下にある対象またはインターフェース上に一意の識別情報を確立するために、物理的に複製不可の一意マーカが、接着/封止材料と組み合わされる。図22Aおよび図22Bは、接着性の裏地を有する基材の前面に要素の分布が埋め込まれた例を示す。図22Aおよび図22Bの例では、一意マーカは、ステッカまたはラベル(たとえば、事前に作られた「剥がして貼る」方式のタグ)に類似したものとすることができる。図22Aは、下にある対象またはインターフェースに貼付する前の単一のタグ2200の例を示す。図22Bは、複数の単一タグ2200(たとえば、図22Aから)がテープまたはロール2208の形態で構成された一例を示す。
タグ2200は、ステッカとすることができる。いくつかの事例では、ステッカは基材2202を含み、基材2202の前面に要素2204(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布が形成されている。基材2202は、一例として、紙、プラスチック、またはステッカもしくはラベル(たとえば、マルチパートステッカまたはマルチパートラベル)のための任意の好適な可撓性基材とすることができる。基材2202は、第1の部分2202Aおよび第2の部分2202Bを有することができ、どちらの部分にも要素2204が分散されている。図22Aの例では、第1の部分2202Aおよび第2の部分2202Bは、穿孔2203または類似の境界によって区切られている。基材2202の少なくとも一部分は、接着性の裏地(たとえば、基材2202の裏面に形成された接着剤)を有することができる。たとえば、基材2202の第1の部分2202Aは、接着性の裏地を有することができ、基材2202の第2の部分2202Bは、接着性の裏地を含まない。別の例では、substate2202の第1の部分2202Aおよび第2の部分2202Bの両方が、接着性の裏地を有することができる。いくつかの実装形態では、接着剤は、エポキシ、ウレタン、ホットメルト、シリコーン、ポリイミド、ラテックス、アクリル、クリアコート、塗料、マリングリス、通常の感圧接着剤、非反応性接着剤、熱硬化性接着剤、化学反応性接着剤、または物理反応性接着剤といった材料のうちの1つまたは複数とすることができる。
いくつかの事例では、タグ2200は、下にある対象またはインターフェースに貼付する前に解析することができる。例示として、たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、タグ2200の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができる。
タグ2200が下にある対象またはインターフェースに貼付されるとき、第1の部分2202A(たとえば、接着性の裏地を有する)は第2の部分2202Bから分離され、第1の部分2202Aが一意マーカ2206を形成する。次いで、一意マーカ2206を下にある対象またはインターフェースに貼付することができる。いくつかの実装形態では、一意マーカ2206は、製品またはインターフェースに貼付された後に解析することができる。追加または別法として、一意マーカ2206が製品またはインターフェースに貼付された後、基材2202の第2の部分2202B(たとえば、タグ2200の残り部分)の特性を取得することができる。例示として、たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、タグ2200の残り部分および一意マーカ2206の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができる。タグ2200(下にある対象またはインターフェースに貼付する前に取得される)、一意マーカ2206、およびタグ2200の残り部分の特性を比較して、下にある対象またはインターフェースを解析することができる(たとえば、識別情報の認証、不正変更の証拠の提供、使用の証拠の提供、環境応力への曝露の証拠の提供、機械的応力または摩耗への曝露の証拠の提供など)。
その結果、図22Aおよび図22Bの例では、マルチパートタグまたはステッカ2200(たとえば、ラベル2202Aおよび裏地2202B)が示されており、タグ2200は、ラベル2202Aおよび裏地2202Bが合わさっており、タグ2200(たとえば、ラベル2202A)の一部のみがステッカ/接着剤を介して対象上へ移動させられているときに走査可能/登録可能であり、したがって下にある対象またはインターフェースへの貼付の前および後に識別を行うことができる。タグ2200の残り部分2202B(たとえば、裏地/非接着部分)を識別し、下にある対象またはインターフェースへの貼付事象に結び付けることもできる。一例として、ステッカ2200の第1の部分2202Aが対象に貼付される前に、ステッカ2200から初期配向情報を抽出することができる。初期配向情報は、ステッカ2200全体におけるそれぞれの要素2204の相対的な空間配向を示すことができ、初期配向情報に基づいて、初期一意コード(ステッカ2200全体に関連付けられる)を生成することができる。次に、第1の部分2202Aを第2の部分2202Bから分離して、対象上に配置することができる。ステッカ2200(対象上にある)の第1の部分2202Aからの配向情報を抽出することができ、配向情報は、ステッカ2200の第1の部分2202Aのそれぞれの要素2204の相対的な空間配向を示すことができる。次に、ステッカ2200の第1の部分2202Aの配向情報に基づいて、対象のための一意コードを生成することができる。いくつかの実装形態では、ステッカ2200の第1の部分2202Aが対象上に配置された後、ステッカ2200の第2の部分2202Bから第2の配向情報を抽出することができる。第2の配向情報は、ステッカ2200の第2の部分2202Bのそれぞれの要素2204の相対的な空間配向を示すことができる。次に、ステッカ2200の第2の部分2202Bの配向情報に基づいて、第2の一意コードを生成することができる。第2の一意コードは、対象へのステッカ2200の第1の部分2202Bの貼付に関連付けることができる。
図22Aおよび図22Bの例では、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布が基材の表面に形成され、基材の裏面に接着剤が形成される。しかし、他の例では、接着剤自体の中に要素を分布させることができる。図23は、完全に硬化していない接着剤2302内に要素2300の分布が配置された一例を示す。図23の例では、接着剤2302は未硬化または半硬化であり、ゲルのような粘稠性を有することができる。いくつかの実装形態では、接着剤2302は、エポキシ、ウレタン、ホットメルト、シリコーン、ポリイミド、ラテックス、アクリル、クリアコート、塗料、マリングリス、通常の感圧接着剤、非反応性接着剤、熱硬化性接着剤、化学反応性接着剤、または物理反応性接着剤といった材料のうちの1つまたは複数とすることができる。
要素2300の分布を含む接着剤2302は、ライナ2304、2306間に挟まれる。ライナ2304、2306は、一例として、UVを遮断する裏打ち紙とすることができる。接着剤2302を使用して、下にある対象またはインターフェースに貼付される一意マーカを形成することができる。たとえば、ライナ2304、2306を除去し、したがって接着剤2302を曝露することができる。次いで、接着剤2302を下にある対象またはインターフェースに貼付することができる。次いで、下にある対象またはインターフェース(接着剤2302を有する)は、接着剤2302を凝固させる硬化プロセス(たとえば、通常の乾燥、硬化、エネルギー源(たとえば、UV放射)への曝露、または別のプロセス)を受けることができ、したがって接着剤2302(要素2300の分布を含む)が物理的に複製不可の識別情報を得ることを可能にしながら、下にある対象またはインターフェースの設計の範囲内でその機能的目的(たとえば、装飾、情報供与、保護など)を維持することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、硬化した接着剤2302の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができる。硬化した接着剤2302の特性を使用して、下にある対象またはインターフェースを解析することができる(たとえば、識別情報の認証、不正変更の証拠の提供、使用の証拠の提供、環境応力への曝露の証拠の提供、機械的応力または摩耗への曝露の証拠の提供など)。
図22A、図22B、および図23の例では、一意マーカを特有の形状に事前形成することができ、またはより大きいタグもしくはタグ付きシート(それ自体を押出しプロセスを使用して作製することができる)から打ち抜くことができる。さらに、一意マーカは、除去が試みられた場合、うまく識別される一意マーカの能力を維持しながら、変形を介して不正変更の証拠を示す弾性を有することができる。一意マーカはまた、一意マーカを製品の表面形態に合った形状にする製造プロセス(たとえば、図18A、図18B、図19A、図19B、図19C、図19D、図19E、図20A、図20B、および図21に上記で論じた)を介して大量生産することができる。
いくつかの実装形態では、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を、封止材料(たとえば、被覆、ポッティングコンパウンド、塗料など)と組み合わせることができる。要素の分布は、未硬化の封止材料内で事前に混合することができ、または塗布されたが未硬化の封止材料の表面に加えることができ、硬化プロセス中または硬化プロセス後に識別情報が作成される。封止材料は、噴霧、浸漬、塗装、または押出しなどの様々な方法によって、下にある対象またはインターフェースに塗布することができる。
図24は、要素2400の分布および封止材料2402の両方が、ノズルまたは先端2406を有する手持ち式のアプリケータ2404に組み込まれた一例を示す。手持ち式のアプリケータ2404が配置される表面2408のテキスチャは、手持ち式のアプリケータ2404から材料を除去し、未硬化の材料を有する表面2404の特有の区域をマークまたは被覆するために使用され、次にこの材料を硬化させて、一意マーカ2410を形成する。図24に示す例は、高分子接着剤を有するペンのフォームファクタまたは塗料マーカに組み込まれたマリングリスに類似したものとすることができる。
いくつかの事例では、たとえば、封止材を使用して、任意の形成の小さい空隙(たとえば、インターフェース、孔、亀裂、ひび割れ、表面間の間隙など)を充填することができる。図25Aおよび図25Bは、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を封止材に組み込んで、インターフェースおよび電子筐体を封止することができる例を示す。図25Aに示す例では、要素2502の分布を含む封止材2500が、封止材アプリケータ2504によって塗布されて、下にある対象2507内のインターフェースまたは間隙2506を充填する。封止材2500は、インターフェースまたは間隙2506を充填するとき、未硬化または半硬化の状態とすることができる。次に、封止材2500を硬化させて、インターフェースまたは間隙2506を固定する一意マーカ2508を形成することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、一意マーカ2508の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができる。一意マーカ2508の特性を使用して、下にある対象またはインターフェースを解析することができる(たとえば、識別情報の認証、不正変更の証拠の提供、使用の証拠の提供、環境応力への曝露の証拠の提供、機械的応力または摩耗への曝露の証拠の提供など)。
図25Bに示す例では、要素2512の分布を含む封止材2510(たとえば、ポッティングコンパウンドまたは樹脂)が、1つまたは複数の電子構成要素2516を含む電子筐体2514を封止するために使用される。封止材2510は、電子筐体2514を充填するときに未硬化または半硬化の状態とすることができる。次に、封止材2510を硬化させて、封止材2510内の要素の空間分布および相対配向を固めることができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、封止材2510の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができる。封止材2510の特性を使用して、電子筐体2514を解析することができる(たとえば、識別情報の認証、不正変更の証拠の提供、使用の証拠の提供、環境応力への曝露の証拠の提供、機械的応力または摩耗への曝露の証拠の提供など)。電子筐体2514の解析は、電子構成要素2516のうちの1つまたは複数がサービスまたは修理を必要とするかどうかを明らかにすることができる。
図25Bの例では、要素2512は封止材2510内に均一に分布している。しかし、図26Aおよび図26Bに示す例などの他の例では、要素2512を封止材2510の一部分のみに分布させることができる。具体的には、図26Aで、要素の分布は、電子構成要素2516上の共形の被覆2612Aとして形成されており、封止材2610A(実質的に透明であり、要素を含まない)が、共形の被覆2612Aの上に形成されている。図26Bでは、封止材2610B(実質的に透明であり、要素を含まない)が電子構成要素2516上に形成され、要素の分布は、封止材2610B上に共形の被覆2612Bとして形成されている。
図27Aおよび図27Bは、下にある基材または対象上に共形の被覆を形成するための例示的なプロセスを示す。図27Aの例では、スプレーガン2700を使用して、対象2704上に要素2702の共形の被覆を形成することができる。いくつかの事例では、要素の分布を含む封止材をカップ2706に入れることができる。次に、要素の分布を含む封止材が、対象2704上へ噴霧される。いくつかの事例では、対象2704の1つまたは複数の表面にわたって要素の分布の分散を確実にするために、噴霧しながらスプレーガン2700を大きく動かすことができる。図27Bの例では、類似したプロセスを使用して、1つまたは複数の電子構成要素2708上に要素の共形の被覆を形成することができる。たとえば、要素の分布を含む封止材2710(たとえば、ポッティングコンパウンドまたは樹脂)を1つまたは複数の電子構成要素2708上へ噴霧(噴霧機器2712を使用)して、要素の共形の被覆を形成することができる(たとえば、図26Aの例に示す)。
いくつかの事例では、要素の分布を含む封止材は、圧力の変化により変形の証拠を提供することができるガスケットとして働くことができる。図28は、要素2804の分布を有するガスケット2802が筐体2800に提供された一例を示す。いくつかの実装形態では、ガスケット2802は、要素2804の分布を含む封止材料から形成される。ガスケット2802は、圧力の変化により変形させることができる。いくつかの実装形態では、ガスケット2802の特性を解析して、筐体2800が圧力の変化に曝露されたかどうかを判定することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、ガスケット2802の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができる。ガスケット2802の特性を使用して、筐体2800を解析することができる(たとえば、識別情報の認証、不正変更の証拠の提供、使用の証拠の提供、環境応力への曝露の証拠の提供、機械的応力もしくは摩耗または圧力の変化への曝露の証拠の提供など)。
図22A、図22B、図23、図24、図25A、図25B、図26A、図26B、図27A、図27B、および図28に示す例では、単一の封止または被覆ステップを使用して、基材上に複数の識別区域を作成することができる(たとえば、被覆を使用して、さらなる安全性のために、または単一のプロセスで被覆によって複数の下位構成要素にタグ付けする能力のために、複数の識別点を提供することができる)。さらに、これらの例では、連続走査区域(単一の走査点とは異なる)を作成し、それによってスキャナは、表面を横切って動きながら、要素の分布を認証し、場所に応じて表面被覆の変化を検出することができ、したがって下にある対象またはインターフェースの解析を可能にする(たとえば、識別情報の認証、不正変更の証拠の提供、使用の証拠の提供、環境応力への曝露の証拠の提供、機械的応力もしくは摩耗または圧力の変化への曝露の証拠の提供など)。
図22A、図22B、図23、図24、図25A、図25B、図26A、図26B、図27A、図27B、および図28に示す例はまた、少なくとも以下の特徴を有する。ステッカまたはラベルが、安全性および追跡用途のために、要素の分布を使用して、複製不可の識別情報を提供することができる。いくつかの事例では、要素の分布が、未硬化の接着/封止材料に組み込まれて、塗布時に硬化され、それによって識別情報を確立する。ステッカまたはラベルは、装飾機能または保護機能のうちの少なくとも1つに、隠れた解析機能を組み合わせることができる(たとえば、車両のコーティング内で使用されるとき)。ステッカまたはラベルは、識別情報と、一意マーカの変形によって示される不正変更/環境応力の証拠との両方を提供する一意マーカを形成することができる。ステッカまたはラベルは、識別情報および他の情報を保持する走査可能点および走査可能領域の両方を作成することができる。ステッカまたはラベルは、ステッカ、ラベル、封止材、被覆、接着剤、および塗料(いくつかの事例では、好都合な従来のプロセスで適用することができる)に、安全な複製不可の識別情報を隠れてまたは明白に組み込み、媒体の既存の機能(装飾、情報供与、保護など)を維持する方法を提供し、それによって製品が固有の安全性、追尾可能性、およびデジタル記録への結合を有することを可能にすることができる。
物理的な商品を保護するとき、1つの主要な安全性層は、無許可の第三者が物品へのアクセスを試みたかどうかを、所有者が見分けることができることを確実にすることである。筐体、締結具、接合部、構成要素、または他のアタック点を介して、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む一意マーカを安全性層として包装および/または製品自体に組み込むことができる。たとえば、識別情報、追尾可能性、および安全性/不正変更の証拠が所望される製品、構成要素、部品、筐体、締結具、または他の物品に、一意マーカを適用することができる。タグ付きの対象(たとえば、製品および/または包装)の不正変更の証拠を実証することに加えて、一意マーカを使用して、タグ付きの対象の識別情報を認証することができる。いくつかの事例では、一意マーカの部分的な変形、変更、修正、または破壊は、一意マーカの一意コードが認識されまたはある程度計算されることを防止しない。しかし、一意マーカは、再利用可能はではなく、不正変更によって変形することができる。その結果、不正変更は、一意マーカの一意コードの変化を引き起こすことができる。いくつかの事例では、不正変更(たとえば、一意マーカの除去および交換)は、対象の認証時に不正変更警報を引き起こすことができる。
図29は、識別情報の認証および不正変更の証拠の提供のために使用することができるタグ付き区域2900の一例を示す。いくつかの事例では、タグ付き区域2900は、要素2902(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む一意マーカを有する。一意マーカは、第1の領域2904、第2の領域2906、および第3の領域2908を含むことができる。第2の領域2906および第3の領域2908は、一例として、タグ付きのねじ頭を集合的に形成することができ、第1の領域2904は、タグ付きのねじ頭を取り囲む基材の領域とすることができる。いくつかの事例では、第1の領域2904および第2の領域2906を使用して、対象の識別情報を認証することができ、第1の領域2904および第2の領域2906を使用して、ねじが回されたかどうかの証拠を提供することもできる。いくつかの例では、第3の領域2908は、一意マーカの破壊の証拠を示すことができる(たとえば、第3の領域2908に力が印加された場合)。
いくつかの実装形態では、下にある表面形態に応じて、システム(たとえば、図4に示すシステム)は、一意マーカ内で、不正変更の証拠を示す区域、および不正変更の証拠を示さない区域を判定することができ、次いでこれらの領域を使用して、一意マーカの識別情報を検証することができる。たとえば、システムは、一意マーカの中心を判定し、一意マーカの変化を径方向に解析することができ、または一意マーカを複数のセクタ(図29に示す例と同様に)に分離して、セクタ内およびセクタ間の変化を解析することができる。
たとえば、図29に示す例では、システムは、タグ付き区域2900の画像内の局所的な画素の類似性を使用して、局所的な形態学的類似性を導出することができ、様々な砂目立てまたは平滑化動作を使用して、それらの特徴を包含または除外することができる。タグ付き区域2900を次に走査する際、システムは、一意マーカを識別することができ、次いで基準画像に対する一意マーカの差分解析を実行して、不正変更の証拠を引き出す。
いくつかの事例では、事前に指定された不正変更点で、一意マーカを利用することができる。不正変更点は、対象(たとえば、製品または製品の包装)のうち、開封されまたは破られる可能性があり、したがって第三者が対象の形状を変更すること、または対象の内容物にアクセスすることを可能にする任意の区域とすることができる。言い換えれば、第三者が製品または製品の包装の開封、交換、または物質的な変更を試みると、不正変更により一意マーカが変形することができる。図30、図31、図32、図33、図34、および図35は、不正変更の証拠を提供するために一意マーカが不正変更点で利用される例を示す。
図30は、箱3000の図であり、箱3000は、箱3000の縁部に一意マーカ3002を含む。図30の例では、箱3000は対象のための包装として使用される。要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む一意マーカ3002が、箱3000の継ぎ目または箱3000への入り口点を横切って配置されている。図30の例では、一意マーカ3002はテープの形態である。箱3000が開封されたとき、一意マーカ3002が変更される(たとえば、引き裂かれる)。箱3000の再封止を試みると、一意マーカ3002内に裂け目および位置合わせ不良3004が生じる。一意マーカ3002の特性を解析することによって、不正変更を調査することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、一意マーカ3002の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができ、したがって箱3000の不正変更の証拠を提供することができる。
図31は、箱3100の図であり、箱3100は、箱3100の継ぎ目に一意マーカ3102を含む。図31の例では、箱3100は対象のための包装として使用される。要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む一意マーカ3102が、箱3100の継ぎ目または箱3100への入り口点を横切って配置されている。図31の例では、一意マーカ3102は、箱3100の継ぎ目または入り口点を横切って配置された接着剤の形態である。箱3100が開封されたとき、一意マーカ3102が変更される(たとえば、引き裂かれる)。箱3100の再封止を試みると、一意マーカ3102内に裂け目および位置合わせ不良3104が生じる。一意マーカ3102の特性を解析することによって、不正変更を調査することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、一意マーカ3102の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができ、したがって箱3100の不正変更の証拠を提供することができる。
図32は、一意マーカ3204を含むフィルム3200の図である。図32の例では、フィルム3200(たとえば、プラスチックラップ)が、対象3202(たとえば、ダイ)の上に配置されて、収縮包装された製品を作製する。要素3205(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む一意マーカ3204が、フィルム3200上に配置される。フィルム3200の不正変更は、基材(たとえば、フィルム3200)内の緊張を緩和し、したがって一意マーカ3204の変形を引き起こすことができる。一意マーカ3204の特性を解析することによって、不正変更を調査することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、一意マーカ3204の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができ、したがってフィルム3200の不正変更の証拠を提供することができる。
図33は、締結具3300の図であり、締結具3300は、締結具3300のクラッチ上に配置された一意マーカ3302を有する。図33の例では、締結具3300(たとえば、結束バンド)を使用して、製品を包装に締結することができる。要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む一意マーカ3302を、締結具3300のクラッチ3304上に配置することができる。締結具3300の不正変更は、一意マーカ3302の変形を引き起こすことができる。一意マーカ3302の特性を解析することによって、不正変更を調査することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、一意マーカ3302の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができ、したがって締結具3300の不正変更の証拠を提供することができる。
図34は、物品の筐体3400の図であり、物品の筐体3400は、筐体3400の継ぎ目上に配置された一意マーカ3402を有する。図34の例では、一意マーカ3402は要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む。一意マーカ3402は、筐体3400の継ぎ目3404を横切って配置することができる。一意マーカ3402はまた、表面間の任意の非恒久的な接合部またはインターフェースを横切って配置することができる。筐体3400が開封されたとき、一意マーカ3402が変更される(たとえば、引き裂かれる)。筐体3400の再封止を試みると、一意マーカ3402内に裂け目および位置合わせ不良3406が生じる。一意マーカ3402の特性を解析することによって、不正変更を調査することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、一意マーカ3402の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができ、したがって筐体3400の不正変更の証拠を提供することができる。
図35は、はんだ点3504に一意マーカ3502を備えたマイクロチップ3500の図である。一意マーカ3502の各々が、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む。マイクロチップ3500の不正変更の事象において、不正な第三者が、はんだ点3504のうちの1つまたは複数を介して、マイクロチップ3500へ信号を提供し(またはマイクロチップ3500から信号を受け取る)、したがってそれぞれの一意マーカ3502を損傷しようと試みる可能性がある。一意マーカ3502の特性を解析することによって、不正変更を調査することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、一意マーカ3502の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができ、したがってマイクロチップ3500の不正変更の証拠を提供することができる。
図36は、一意マーカ3600を使用して対象の使用または起動の証拠を提供することができる一例を示す。図36の例では、対象は、対象が起動または使用されると熱くなるヒートシンクブレード3602を含む。いくつかの事例では、ヒートシンクブレード3602はまた、対象が環境応力(たとえば、高温)に曝露されると熱くなることができる。一意マーカ3600は、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含み、ヒートシンクブレード3602のうちの1つまたは複数に配置される。対象が使用または起動されると、ヒートシンクブレード3602は熱くなり、したがって一意マーカ3600の変形(たとえば、溶融)を引き起こす。一意マーカ3600の特性を解析することによって、対象の使用または起動を調査することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、一意マーカ3600の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができ、したがって対象の使用または起動の証拠を提供することができる。
図37は、一意マーカ3700を使用して、タグ付き表面に外力が印加された証拠を提供することができる一例を示す。図37の例では、対象3702の表面に、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含む一意マーカ3700が提供されている。別の対象3706によって表面に外力3704が印加されたとき、一意マーカ3700の一部分3708を対象3702の表面から取り除くことができる。一意マーカ3700の特性を解析することによって、対象3702の表面への外力の印加を調査することができる。たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、一意コードを生成することによって、一意マーカ3700の特性を取得することができる。いくつかの事例では、配向情報、たとえば図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報を生成することによって、特性を取得することができ、したがってタグ付き表面に外力が印加された証拠を提供することができる。
図29~図37の例では、1つの一意マーカの不正変更が、関連付けられた他のすべての一意マーカの検査または隔離を引き起こすことができる(たとえば、箱が不正変更の証拠を表示し、したがって密閉された製品およびそのタグに、さらなる再調査のためのフラグを立てることができる)。さらに、図29~図37の例では、システムは、不正変更を示すことに対する感受性に基づいて、一意マーカ内の領域を分離することができる(たとえば、図29の例と同様)。タグ付きの対象の安全性の必要に応じて、操作者は、警報を引き起こすことができる一意マーカの変化の変更に対して異なる感度レベルを画定することができる。追加または別法として、システムは、変更に対する独自の検出感度を自動的に画定することができる。システムは、差分解析の結果を描画することができ、一意マーカが識別できないほど損傷された場合、不正変更がすぐ分かるものとして一意マーカを指定し、安全性監査に提出することができ、一意マーカが、画定された複数の起こりうる変更レベルのいずれかを超過した場合、システムは、一意マーカの識別情報を認証し、解析の結果を操作者に警報して、解決するための1組の行動を提供することができ、安全性レベルおよびタグ付き基材(たとえば、ねじ頭)の性質に応じて、一意マーカが最小の変更レベルを示す場合、システムは、タグの識別情報を認証し、不正変更が行われていない可能性が高いという認証を提供することができる。
図38は、対象の表面形態に適合する一意マーカを形成および使用するための例示的なプロセス3800を概略的に示す流れ図である。3802で、表面特徴を有する対象が受け取られる。表面特徴は、対象の小面、対象の1つもしくは複数の構成要素の表面、または対象の表面パターン、テキスチャ、もしくは他の凹みとすることができる。さらに、対象は、任意の固体材料(金属、プラスチック、木材、革など)とすることができ、表面特徴は、たとえば、対象を打抜き、彫刻、エッチング、または他の方法でパターニングすることを介して作ることができる。3804で、対象の表面特徴上に一意マーカが形成される。図19A、図19B、図19C、図19D、図19E、図20A、図20B、図21、図22A、図22B、図23、図24、図25A、図25B、図26A、図26B、図27A、図27B、および図29~図37に示す例で上記に論じたプロセスのいずれかを使用して、対象の表面特徴上に一意マーカを形成することができる。一意マーカは、要素(たとえば、結晶粒子または他のタイプの要素)の分布を含み、表面特徴の形態または形状に適合する。3806で、一意マーカから配向情報が抽出される。配向情報は、たとえば、図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報とすることができる。3808で、たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、配向情報に基づいて、対象のための一意コードが生成される。次に、一意コードを使用して、対象を解析することができる(たとえば、対象の識別情報の認証、対象が不正変更されたかどうかの判定、対象が使用もしくは起動されたかどうかの判定、対象が環境応力に曝露されたかどうかの判定、対象が機械的応力もしくは摩耗を受けたかどうかの判定、または対象の他のタイプの解析)。
図39は、接着性の裏地を有する基材上に要素の分布を含むステッカを形成および使用するための例示的なプロセス3900を概略的に示す流れ図である。3902で、接着性の裏地を有する基材上に要素の分布を含むステッカが提供される。一例として、図22Aに示すステッカ2200を提供することができる。3904で、ステッカの少なくとも一部分(たとえば、ステッカ2200の第1の部分2202A)が対象に貼付される。3906で、ステッカのうち対象に位置する部分から配向情報が抽出される。配向情報は、たとえば、図12および図13に示す配向情報1206、1306、または別のタイプの配向情報とすることができる。3908で、たとえば図14および図15に示す例示的なプロセス1400、1500、または別のタイプのプロセスに従って、配向情報に基づいて、対象のための一意コードが生成される。次に、一意コードを使用して、対象を解析することができる(たとえば、対象の識別情報の認証、対象が不正変更されたかどうかの判定、対象が使用もしくは起動されたかどうかの判定、対象が環境応力に曝露されたかどうかの判定、対象が機械的応力もしくは摩耗を受けたかどうかの判定、または対象の他のタイプの解析)。
本明細書に記載する主題および動作のうちのいくつかは、デジタル電子回路で、もしくは本明細書に開示する構造およびその構造上の均等物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアで、またはこれらのうちの1つもしくは複数の組合せで実装することができる。本明細書に記載する主題のうちのいくつかは、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、コンピュータ記憶媒体で符号化された1つまたは複数のコンピュータプログラム、すなわちコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実装することができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリアレイもしくはデバイス、またはこれらのうちの1つもしくは複数の組合せとすることができ、またはこれに含むことができる。さらに、コンピュータ記憶媒体は伝播信号ではなく、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成される伝播信号で符号化されたコンピュータプログラム命令の供給元または宛先とすることができる。コンピュータ記憶媒体はまた、1つもしくは複数の別個の物理的な構成要素もしくは媒体(たとえば、複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)とすることができ、またはこれに含むことができる。
本明細書に記載する動作のうちのいくつかは、1つもしくは複数のコンピュータ可読記憶デバイスに記憶されまたは他の供給元から受け取られたデータ上のデータ処理装置によって実行される動作として実装することができる。
「データ処理装置」という用語は、例としてプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、または上記の複数もしくは組合せを含めて、データを処理するためのすべての種類の装置、デバイス、および機械を包含する。装置は、特別目的論理回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。装置はまた、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムのための実行環境をもたらすコード、たとえばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットホームランタイム環境、仮想機械、またはこれらのうちの1つもしくは複数の組合せを構成するコードを含むことができる。
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られている)は、コンパイルまたは解釈された言語、宣言型または手続き型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書き込むことができ、独立型プログラム、またはコンピューティング環境で使用するのに好適なモジュール、構成要素、サブルーチン、オブジェクト、もしくは他のユニットを含む任意の形態で導入することができる。コンピュータプログラムは、必須ではないが、ファイルシステム内のファイルに対応することができる。他のプログラムもしくはデータ(たとえば、マークアップ言語文書内に記憶された1つまたは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部分内、プログラムに専用の単一のファイル内、または複数の協働ファイル(たとえば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコード部分を記憶するファイル)内に、プログラムを記憶することができる。1つのコンピュータまたは複数のコンピュータ上で実行されるように、コンピュータプログラムを導入することができ、そのようなコンピュータは、1つの箇所に位置し、または複数の箇所にわたって分散されて通信ネットワークによって相互接続される。
本明細書に記載するプロセスおよび論理フローのうちのいくつかは、入力データ上で動作して出力を生成することによって行動を実行する1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラム可能プロセッサによって実行することができる。プロセスおよび論理フローはまた、特別目的論理回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行することができ、装置はまた、そのような特別目的論理回路として実装することができる。
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサには、例として、汎用および特別目的マイクロプロセッサと、任意の種類のデジタルコンピュータのプロセッサとの両方が含まれる。概して、プロセッサは、読取り専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたは両方から、命令およびデータを受け取る。コンピュータの要素は、命令に従って行動を実行するプロセッサと、命令およびデータを記憶する1つまたは複数のメモリデバイスとを含むことができる。コンピュータはまた、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイス、たとえば磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクを含むことができ、あるいはこれらの記憶デバイスからのデータの受取りもしくはデータの伝達または両方のために動作可能に結合することができる。しかし、コンピュータはそのようなデバイスを有する必要はない。さらに、別のデバイス、たとえば電話、電子機器、移動音声もしくはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、グローバルポジショニングシステム(GPS)レシーバ、または携帯型記憶デバイス(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)にコンピュータを埋め込むことができる。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに好適なデバイスには、例として半導体メモリデバイス(たとえば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイスなど)、磁気ディスク(たとえば、内蔵ハードディスク、取外し可能ディスクなど)、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスが含まれる。いくつかの事例では、プロセッサおよびメモリは、特別目的論理回路によって補足することができ、または特別目的論理回路内に組み込むことができる。
ユーザとの対話を提供するために、ユーザに情報を表示するための表示デバイス(たとえば、モニタまたは別のタイプの表示デバイス)と、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボードおよびポインティングデバイス(たとえば、マウス、トラックボール、タブレット、タッチ感応スクリーン、または別のタイプのポインティングデバイス)とを有するコンピュータ上で、動作を実装することができる。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話を同様に提供することもでき、たとえばユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、たとえば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響、音声、または触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。加えて、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスへ文書を送ること、およびそのようなデバイスから文書を受け取ることによって、たとえばウェブブラウザから受け取った要求に応答して、ユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送ることによって、ユーザと対話することができる。
コンピュータシステムは、単一のコンピューティングデバイスまたは複数のコンピュータを含むことができ、複数のコンピュータは、互いに近接してまたは概して互いから遠隔で動作し、典型的には通信ネットワークを介して相互作用する。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(たとえば、インターネット)およびピアツーピアネットワーク(たとえば、アドホックピアツーピアネットワーク)が含まれる。クライアントおよびサーバの関係は、コンピュータプログラムがそれぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアントサーバ関係を有することによって生じることができる。
概略的な態様では、複製不可の一意の物理識別子が適用および使用される。いくつかの実装形態では、一意マーカは、対象の表面特徴の形態に合った形状である。表面特徴は、対象の小面、表面パターン、テキスチャ、または他の凹みとすることができる。一意マーカは、要素の分布を含むことができ、コードを生成するために要素情報が使用される。いくつかの例では、要素情報は、配向情報、および場合によりダイヤモンド粒子または他のタイプの要素を記述する他の情報を含むことができる。いくつかの事例では、一意マーカは、接着性の裏地を有する基材上に要素の分布を含むステッカであり、ステッカの少なくとも一部分が対象に貼付される。
第1の例では、複数の要素を含む対象が受け取られる。スキャナシステムが要素を検出することによって、対象から配向情報が抽出される。配向情報は、それぞれの要素の相対的な空間配向を示す。配向情報に基づいて、対象のための一意コードが生成される。
第1の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。配向情報を抽出することは、対象に印加された照射に対する光応答を取得することを含むことができる。配向情報を抽出することは、対象の蛍光画像を取得し、蛍光画像からそれぞれの要素の相対的な空間配向を判定することを含むことができる。照射に対する光応答を取得することは、照射の変化に応答して要素の蛍光変化を検出することを含むことができ、検出された蛍光変化に基づいて、相対的な空間配向を判定することができる。配向情報から生成される一意コードは、対象に照射が印加される1つまたは複数の角度とは独立したものとすることができる(たとえば、そのような変化を受けて変動しない)。
第1の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。配向情報を抽出することは、対象に印加された振動(たとえば、ラジオ周波数、マイクロ波など)電磁場に対する磁気共鳴応答を取得することと、磁気共鳴応答に基づいて相対的な空間配向を判定することとを含むことができる。磁気共鳴応答を取得することは、外部磁場内に対象を位置決めすることと、外部磁場内の対象に振動電磁場を印加することと、外部磁場内の相対変化(たとえば、磁場強度または配向の変化)、振動電磁場内の相対変化(たとえば、信号振幅、周波数、または位相の相対変化)、または両方の相対変化に応答して、要素の磁気共鳴の変化を光学的に検出することとを含むことができる。配向情報から生成される一意コードは、振動電磁場および外部磁場が対象に印加される1つまたは複数の角度とは独立したものとすることができる(たとえば、そのような変化を受けて変動しない)。
第1の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。対象は、要素の上位集合を含むことができ、一意コードは、上位集合内のすべての要素より少ない要素を含む要素の部分集合のみの相対的な空間配向に基づいて生成することができる。対象から抽出される配向情報は、要素の部分集合のみの相対的な空間配向を示すことができる。対象から抽出される配向情報は、上位集合内のすべての要素の相対的な空間配向を示すことができ、部分集合の相対的な空間配向を示す配向情報の部分集合を識別することができる。
第1の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。配向情報は、対象をスキャナシステムに対して位置合わせすることとは独立して抽出することができる。配向情報は、2次元座標空間または3次元座標空間内の要素の相対的な空間配向を示すことができる。配向情報は、対象の座標系の全体的な回転に対して変動しないフォーマットで相対的な空間配向を示すことができる。
第1の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。配向情報は、それぞれの要素の相対的な空間配向を記述する座標変換(たとえば、変換行列)のリストを含むことができる。リストは、各要素に対する複合変換行列を含むことができる。複合変換行列のリストは、対象の座標系の全体的な回転に対して変動しないものとすることができる。要素がダイヤモンド粒子である場合、各要素に対する複合変換行列は、対象の座標系とダイヤモンド粒子の座標系との間の第1の変換、およびダイヤモンド粒子の座標系とダイヤモンド粒子内の色中心の座標系との間の第2の変換を表すことができる。
第1の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。要素は、結晶粒子とすることができ、対象は、媒体内で固定された結晶粒子を含むことができる。結晶粒子は、それぞれの色中心を有するダイヤモンド粒子とすることができ、配向情報を抽出することは、色中心の相対配向を検出することを含むことができる。
第1の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。それぞれの要素の相対的な空間位置を示す場所情報を、対象から抽出することができる。それぞれの要素の相対的な空間トポグラフィを示すトポグラフィ情報を、対象から抽出することができる。それぞれの要素の磁場環境を示す磁場環境情報を、対象から抽出することができる。場所情報、トポグラフィ情報、磁場環境情報、および配向情報の任意の組合せから、一意コードを生成することができる。
第1の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。一意コードは、第1の一意コードとすることができ、対象を修正することによって、要素のうちの少なくともいくつかの相対的な空間配向を変化させることができる。相対的な空間配向を変化させた後に対象から抽出された配向情報に基づいて、対象のための第2の異なる一意コードを生成することができる。相対的な空間配向は、たとえば、対象に関係する情報のための台帳として使用することができる。
第1の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。スキャナシステムは、サンプル領域、プローブ、およびプロセッサを含むことができる。サンプル領域は、対象を受け取るように構成することができる。プローブは、要素を検出することによって、対象から配向情報を抽出するように構成することができる。プロセッサは、配向情報に基づいて、対象のための一意コードを生成するように構成することができる。プローブは、対象に照射を印加し、その照射に対する光応答(たとえば、蛍光応答)を取得することによって、配向情報を抽出するように構成された光撮像システム(たとえば、蛍光撮像システム)を含むことができる。いくつかの事例では、光撮像システムは、ラマン散乱または別の非線形の作用(たとえば、第2高調波発生、自発的パラメトリック下方変換など)に基づいて、光応答を取得するように構成することができる。プローブは、磁場(たとえば、振動電磁場および外部磁場)を対象に印加し、それらの磁場に対する磁気共鳴応答を取得することによって、配向情報を抽出するように構成された磁気共鳴システムを含むことができる。
第2の例では、対象のそれぞれの要素の相対的な空間配向を示す配向情報が取得される。配向情報から対象のための一意コード。
第2の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。一意コードは、チャレンジ応答プロトコルで使用することができる。チャレンジ応答プロトコルに対するチャレンジデータに基づいて、配向情報を抽出することができ、一意コードを使用して、チャレンジ応答プロトコルに対する応答データを生成することができ、応答データを認証部へ送ることができる。
第2の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。一意コードは、認証プロセスで使用することができる。認証プロセスを実行して、対象の供給元を認証することができる。認証プロセスを実行して、対象の完全性を検証することができる。認証プロセスを実行して、対象の管理チェーンを検証することができる。
第2の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。一意コードは、暗号プロセスで使用することができる。一意コードを使用して、暗号化プロトコル、デジタル署名プロトコル、または別のタイプの暗号プロセスのための秘密鍵を取得することができる。
第2の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。対象は、要素の上位集合を含むことができ、一意コードは、上位集合内のすべての要素より少ない要素を含む要素の部分集合のみの相対的な空間配向に基づいて生成することができる。配向情報は、2次元座標空間または3次元座標空間内の要素の相対的な空間配向を示すことができる。配向情報は、対象の座標系の全体的な回転に対して変動しないフォーマットで相対的な空間配向を示すことができる。
第2の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。配向情報は、それぞれの要素の相対的な空間配向を記述する座標変換(たとえば、変換行列)のリストを含むことができる。リストは、各要素に対する複合変換行列を含むことができる。複合変換行列のリストは、対象の座標系の全体的な回転に対して変動しないものとすることができる。要素がダイヤモンド粒子である場合、各要素に対する複合変換行列は、対象の座標系とダイヤモンド粒子の座標系との間の第1の変換、およびダイヤモンド粒子の座標系とダイヤモンド粒子内の色中心の座標系との間の第2の変換を表すことができる。
第3の例では、要素の懸濁が対象内に形成され、要素の懸濁は、対象のための一意コードを生成するために使用される。要素の懸濁は、たとえば、ダイヤモンド粒子の懸濁とすることができる。
第3の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。懸濁は、対象の表面上にダイヤモンド粒子を分布させることによって形成することができる。対象の表面上にダイヤモンド粒子を分布させることは、ダイヤモンド粒子を含む塗料を対象の表面に塗布することを含むことができる。対象の表面上にダイヤモンド粒子を分布させることは、ダイヤモンド粒子を含む共形の被覆材料を対象の表面に塗布することを含むことができる。
第3の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。懸濁は、材料内にダイヤモンド粒子を分布させ、ダイヤモンド粒子を含む材料から対象を形成することによって形成することができる。材料から対象を形成することは、射出成形プロセスによって対象を形成することを含むことができる。材料から対象を形成することは、付加製造プロセスによって対象を形成することを含むことができる。材料から対象を形成することは、印刷プロセスによって対象を形成することを含むことができる。材料から対象を形成することは、材料から加工物を形成し、加工物から材料を除去することを含むことができる。
第3の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。対象は、送り出し側のエンティティから受取り側のエンティティへ送られ、一意コードは、送り出し側のエンティティと受取り側のエンティティとの間で実行される解析プロセスで使用される。ダイヤモンド粒子の懸濁は、物理的複製不可機能(PUF)として、対象に関係する情報のための台帳として、または他の方法で使用される。
第3の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。製造システムが、対象内にダイヤモンド粒子の懸濁を形成するように構成される。スキャナシステムが、対象から粒子情報を抽出するように構成され、粒子情報は、懸濁内のそれぞれのダイヤモンド粒子の特性を示す。コンピュータシステムが、粒子情報に基づいて、対象のための一意コードを生成するように構成される。
第4の例では、対象のそれぞれの要素の相対的な空間配向を示す配向情報が受け取られる。一意コードが、配向情報から生成される。一意コードは、対象の対象識別子に関連付けられる。
第4の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。対象は、物品に適用された一意マーカを含むことができ、対象識別子は、物品のシリアル番号とすることができる。物品は、分布させることができ、一意コードおよびシリアル番号は、安全なデータベース内に記憶することができる。スキャナシステムの動作によって、一意マーカから配向情報を抽出することができ、配向情報を抽出するためにスキャナシステムによって使用されるスキャナ設定を、安全なデータベース内に記憶することができる。一意マーカは、物品の受取り側が物品を解析することを可能にすることができる。
第5の例では、解析プロセスが実行される。解析プロセスは、対象のための対象識別子を受け取ることと、対象のそれぞれの要素の検出された相対配向に基づく対象のための一意コードを受け取ることと、一意コードおよび対象識別子に基づいて対象を解析することとを含む。
第5の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。対象は、物品に適用された一意マーカを含むことができ、対象識別子は、物品のシリアル番号を含むことができる。対象を解析することは、一意コードおよび対象識別子を認証部へ通信することを含むことができる。対象を解析することは、安全なデータベース内の情報に基づいて一意コードを評価することを含むことができる。対象を解析することは、対象の供給元の認証、対象の完全性の認証、または対象の管理チェーンの認証のために、認証プロセスを実行することを含むことができる。
第6の例では、チャレンジ応答プロトコルが実行される。チャレンジ応答プロトコルのためのチャレンジデータが取得される。このチャレンジデータに基づいて、スキャナシステムが対象のそれぞれの要素の相対的な空間配向を検出する動作によって、対象から配向情報が抽出される。チャレンジデータは、相対的な空間配向を検出するためにスキャナシステムによって使用されるパラメータを含む。配向情報に基づいて、チャレンジ応答プロトコルのための応答データが生成される。
第6の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。応答データを認証部へ送り、チャレンジ応答プロトコルのための応答データを検証することができる。チャレンジデータおよび応答データに基づいて、チャレンジ応答プロトコルの結果を認証部から受け取ることができる。チャレンジデータを取得することは、認証部からチャレンジデータを受け取ることを含むことができる。チャレンジデータを取得することは、スキャナシステムでチャレンジデータを生成することを含むことができる。
第7の例で、チャレンジ応答プロトコルが実行される。チャレンジ応答プロトコルのためのチャレンジデータおよび応答データが取得される。チャレンジデータは、対象から配向情報を抽出するためのパラメータを含み、応答データは、パラメータを使用して対象から(たとえば、スキャナシステムによって)抽出される配向情報に基づいている。配向情報は、対象のそれぞれの要素の相対的な空間配向を示す。チャレンジデータおよび応答データは、応答データがチャレンジデータに対する有効な応答を表すかどうかを判定するために使用される。
第7の例の実装形態では、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。応答データがチャレンジデータに対する有効な応答を表すかどうかを判定することは、安全なデータベース内の有効な情報に基づいて配向情報を評価することを含むことができる。チャレンジデータおよび対象の対象識別子に基づいて、安全なデータベースから有効な情報を取得することができる。認証部は、チャレンジデータおよび応答データを遠隔スキャナシステムから受け取ることができ、認証部は、応答データが有効な応答を表すかどうかの指示を遠隔スキャナシステムへ送ることができる。
第4、第5、第6、および第7の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。要素は、それぞれの色中心を有するダイヤモンド粒子とすることができ、色中心の相対配向を検出することによって、配向情報を抽出することができる。配向情報を抽出することは、ダイヤモンド粒子に印加される照射に対する光応答(たとえば、蛍光応答)を取得することを含むことができる。ダイヤモンド粒子の光学的に検出された磁気共鳴によって、配向情報を抽出することができる。一意コードおよび対象識別子を解析プロセスで使用して、対象を解析することができる。
第8の例では、方法が、表面特徴を有する対象を受け取ることと、対象の表面特徴上に一意マーカを形成することとを含む。一意マーカは、要素の分布を含み、表面特徴の形態に適合する。この方法は、一意マーカから配向情報を抽出することをさらに含む。配向情報は、それぞれの要素の相対的な空間配向を示す。この方法は、配向情報に基づいて対象のための一意コードを生成することをさらに含む。
第8の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。要素は、結晶粒子とすることができ、一意マーカは、媒体内で固定された結晶粒子を含む。結晶粒子は、それぞれの色中心を含むダイヤモンド粒子とすることができ、配向情報を抽出することは、色中心の相対配向を検出することを含むことができる。表面特徴は、凹みを含むことができ、表面特徴上に一意マーカを形成することは、要素の分布を含む流体を凹み内に形成することと、流体を硬化させて一意マーカを形成させる硬化プロセスに、凹み内の流体を曝露することとを含む。硬化プロセスは、乾燥プロセス(たとえば、室温の雰囲気への曝露)、硬化プロセス(たとえば、触媒または硬膜剤などの硬化剤を使用するプロセス、例として、第3級アミン、ルイス酸、脂肪族および芳香族アミン、またはカルボン酸無水物が挙げられる)、またはエネルギー源(たとえば、ランプ、例として、水銀灯または発光ダイオード(LED)ランプが挙げられる)への曝露のうちの少なくとも1つを含む。エネルギー源(たとえば、水銀灯またはLEDランプ)は、紫外放射を放出するように構成することができる。流体は、樹脂材料、エポキシ材料、アクリル材料、ウレタン材料、シリコーン材料、キシレン材料、トルエン材料、酢酸エチル材料、またはインクのうちの少なくとも1つを含む。要素の分布を含む流体を凹み内に形成することは、対象に流体を塗布して凹みを充填することと、対象の表面から流体の余分な材料を除去することとを含む。対象の表面から流体の余分な材料を除去することは、除去器具を使用して対象の表面から流体の余分な材料を除去することを含む。除去器具は、ドクターブレード、スパチュラ、またはスキージのうちの少なくとも1つを含む。要素の分布を含む流体を凹み内に形成することは、フレキソ印刷システムを使用して、要素の分布を含む流体を対象の凹み内に形成すること、もしくはグラビア印刷システムを使用して、要素の分布を含む流体を対象の凹み内に形成すること、またはこれらの組合せを含む。
第8の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。要素の分布を含む流体を凹み内に形成することは、フレキソ印刷システムを使用することを含み、フレキソ印刷システムのアニロックスローラの表面上に、複数のセルが存在する。最も広い次元での各セルの幅は、約20μm~約300μmの範囲内とすることができる。要素の分布を含む流体を凹み内に形成することは、フレキソ印刷システムを使用することを含み、フレキソ印刷システムのアニロックスローラの表面上に、複数のセルが存在し、複数のセルは、第1のセル群および第2のセル群を含む。第1のセル群内の各セルの体積は、第2のセル群内の各セルの体積より大きくすることができ、第1のセル群内の各セルの体積は、要素の平均幅より少なくとも1桁分大きくすることができる。表面特徴は、対象の小面を含み、表面特徴上に一意マーカを形成することは、対象の小面上に共形の層として一意マーカを形成することを含む。表面特徴は、対象の1つまたは複数の構成要素の表面を含み、表面特徴上に一意マーカを形成することは、対象の1つまたは複数の構成要素上に共形の層として一意マーカを形成することを含む。表面特徴は、対象のうち不正変更を受けやすい領域を含み、表面特徴上に一意マーカを形成することは、対象のうち不正変更を受けやすい領域上に一意マーカを形成することを含む。いくつかの事例では、対象のうち不正変更を受けやすい領域は、対象(たとえば、製品または製品の包装)のうち、開封されまたは破られる可能性があり、したがって第三者が対象の形状を変更すること、または対象の内容物にアクセスすることを可能にする任意の区域とすることができる。
第9の例では、方法が、接着性の裏地を有する基材上に要素の分布を含むステッカを提供することと、ステッカの少なくとも一部分を対象上に貼付することとを含む。この方法は、対象上のステッカの一部分から配向情報を抽出することをさらに含む。配向情報は、対象上のステッカの一部分のそれぞれの要素の相対的な空間配向を示すことができる。この方法は、配向情報に基づいて対象のための一意コードを生成することをさらに含む。
第9の例の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。ステッカの一部分を、対象のうち不正変更を受けやすい領域に貼付することができる。ステッカは、第1の部分および第2の部分を含み、ステッカの少なくとも一部分を対象上に貼付することは、ステッカの第1の部分をステッカの第2の部分から分離することと、ステッカの第1の部分を対象上に貼付することとを含むことができる。ステッカの第1の部分を対象上に貼付する前に、ステッカから初期配向情報を抽出することができる。初期配向情報は、ステッカの第1および第2の部分のそれぞれの要素の相対的な空間配向を示すことができる。初期配向情報に基づいて、初期一意コードを生成することができ、初期一意コードをステッカに関連付けることができる。ステッカの第1の部分を対象上に貼付した後、ステッカの第2の部分から第2の配向情報を抽出することができる。第2の配向情報は、ステッカの第2の部分のそれぞれの要素の相対的な空間配向を示すことができる。第2の配向情報に基づいて、第2の一意コードが生成される。第2の一意コードは、ステッカの第2の部分および対象へのステッカの第1の部分の貼付に関連付けられる。
いくつかの実装形態では、システムが、表面特徴を有する対象を受け取り、対象の表面特徴上に一意マーカを形成するように構成された製造装置を含み、一意マーカは、要素の分布を含み、表面特徴の形態に適合する。システムは、一意マーカから配向情報を抽出するように構成されたスキャナシステムをさらに含み、配向情報は、それぞれの要素の相対的な空間配向を示す。システムは、配向情報に基づいて対象のための一意コードを生成するように構成されたコンピュータシステムをさらに含む。
本明細書は多くの詳細を含むが、これらは、特許請求することができる内容の範囲に対する限定ではなく、特定の例に特有の特徴の説明であると理解されたい。別個の実装形態の文脈で本明細書に記載または図示した特定の特徴は、組み合わせることもできる。逆に、単一の実装形態の文脈で記載または図示した様々な特徴を、複数の実施形態で別個に、または任意の好適な副結合で実装することもできる。
同様に、図面では動作について特定の順序で示したが、これは、望ましい結果を実現するために、そのような動作が特定の図示の順序もしくは連続する順序で実行されること、またはすべての図示の動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクおよび並行処理が有利となりうる。さらに、上述した実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載するプログラム構成要素およびシステムは概して、単一の製品内にともに一体化することができ、または複数の製品内に包装することができることを理解されたい。
複数の実施形態について説明した。それにもかかわらず、様々な修正を加えることができることが理解されよう。それに応じて、他の実施形態も以下の特許請求の範囲の範囲内である。