JP2023182145A - タイヤの摩耗状態評価装置、及びタイヤの摩耗状態評価方法 - Google Patents

タイヤの摩耗状態評価装置、及びタイヤの摩耗状態評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車両の自動搬送装置におけるタイヤの摩耗状態を高精度にかつ低コストに評価する。【解決手段】自動走行により車両Cの搬送を行う自動搬送装置11のタイヤ20aの摩耗状態評価装置27は、自動走行時における自動搬送装置11の速度Vを設定する速度設定部28と、自動走行時にタイヤ20aの回転数Nを測定する回転数測定部30と、速度設定部28で設定した速度Vと、回転数測定部30で測定した回転数Nとに基づいて、タイヤ20aの摩耗状態Wを評価する摩耗状態評価部31とを備える。【選択図】図8

Description

本発明は、タイヤの摩耗状態評価装置、及びタイヤの摩耗状態評価方法に関し、特に自動走行により車両を搬送する自動搬送装置のタイヤの摩耗状態を評価するための技術に関する。
例えば工場で量産された自動車などの完成車両を出荷地など所定の場所まで効率よく輸送するための手段として、コンテナなどの積載容器に複数台の完成車両を積載した状態で、当該積載容器を大型トラックなどの輸送車両で目的地近傍の港まで陸上輸送し、然る後、積載容器を輸送用船舶に積み替えて目的地まで水上輸送を行う方法が一般的に採られている(例えば、特許文献1を参照)。
また、特許文献2には、牽引車両の無人自動運転により複数の台車を牽引して限定されたエリア内における所定の走行ルート上を走行する形式の搬送移動車両が、搬送対象である完成車両を台車上に搭載した状態で目的地まで搬送するシステムが提案されている。
特開2004-123258号公報 特開2019-36036号公報 特開2017-156295号公報 特開平5-332762号公報
近年、製造業界においても、来る高齢化社会に向けて、人手不足を補うための対策を講じる必要性が益々高まってきている。このような観点から少人数で効率よく完成車両の輸送を行うことを検討した場合、例えば搬送車を特許文献2に記載のように自走式とし、かつ搬送車を低コストで製作して多数の搬送車を準備することで、完成車両を一台ずつ搬送車に搭載して自動搬送する方法が考えられる。
上述のように、完成車両を搬送車に搭載して繰り返し自動搬送することを考えた場合、自動搬送装置となる搬送車の接地部、具体的にはタイヤの摩耗状態を定期的に評価する必要が生じる。この種の評価は、例えば作業者の目視により行われるが、多数の自動搬送装置のタイヤの摩耗状態を須らく目視で確認し評価していたのでは、多数の人員を割く必要が生じ、人件費の高騰を招く。
ここで、特許文献3には、所定の走行路上を走行する車両の少なくとも車速、走行パターン、タイヤの操舵量に関するデータを含む車両パラメータに関するデータを生成して記憶している車両走行データ生成部と、走行路に関する少なくとも勾配、曲率半径、曲線長を含むデータを生成して記憶している軌道情報生成部と、車両における各種の諸元及び摩擦エネルギーの演算に必要なパラメータを生成して記憶している車両モデル生成部と、走行パターンと、直線区間又は曲線区間の一方との組み合わせにより規定される走行モード毎の摩擦エネルギーを、走行パターンのそれぞれが持続する距離として規定される区間毎に、車両走行データ生成部と軌道情報生成部と車両モデル生成部とが記憶しているデータに基づき演算すると共に、各区間の摩擦エネルギーを積算して走行路の全区間におけるタイヤの全摩擦エネルギーを演算する摩擦エネルギー演算部とを有するタイヤの摩耗寿命推定システムが提案されている。また、摩擦エネルギー演算部は、走行パターンが加減速走行のときには、加減速走行に応じた第1摩擦エネルギーとして、車両の重量、加速度、車両のタイヤの本数、走行距離、及びタイヤのスリップ率とに基づいて演算することが記載されている。
また、特許文献4には、車両の走行時に、タイヤの振動周波数成分を含む信号を出力する出力手段と、上記信号から共振周波数成分の信号を抽出する抽出手段と、出力手段からの信号から単位時間当たりのタイヤの回転数と共振周波数とを演算する演算手段と、共振周波数と、基準車輪との単位時間当たりのタイヤ回転数差との関係に基づいてタイヤ外周の摩耗量を算定する算定手段と、算定手段の算定値と判定値とを比較してタイヤの異常摩耗を検知する検知手段とを備えるタイヤ異常摩耗検知装置が提案されている。
特許文献3に記載の摩耗寿命推定システムにおいて、摩擦エネルギーは、加速度、走行距離、及びタイヤのスリップ率を考慮に入れて算出されているが、実際のタイヤの摩耗状態を鑑みた場合、上述した要因だけでは十分な算出精度とはいえない。そのため、この摩擦エネルギーの大きさに比例するタイヤの摩耗量を高精度に評価することは難しい。
特許文献4に記載の異常摩耗検知装置では、走行時に発生するタイヤの共振周波数に基づいてタイヤ外周の摩耗量を算定しているが、この検知装置による摩耗検知が有効なのは、タイヤがラジアルタイヤの場合である。車両の自動搬送装置のように、総重量が非常に大きい場合、耐荷重性に優れたソリッドタイヤを使用する必要性が高まるが、ソリッドタイヤだと走行中の共振周波数が変動しにくい。そのため、特許文献4に記載の検知装置では、高精度にタイヤの摩耗状態を検知することが難しい。
以上の事情に鑑み、本明細書では、車両の自動搬送装置におけるタイヤの摩耗状態を高精度にかつ低コストに評価することを、解決すべき技術課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価装置によって達成される。すなわち、この評価装置は、自動走行により車両の搬送を行う自動搬送装置のタイヤの摩耗状態を評価するための装置であって、自動走行時における自動搬送装置の速度を設定する速度設定部と、自動走行時にタイヤを回転駆動する駆動装置の回転数を測定する回転数測定部と、速度設定部で設定した速度と、回転数測定部で測定した回転数とに基づいて、タイヤの摩耗状態を評価する摩耗状態評価部とを備えた点をもって特徴付けられる。
車両の自動搬送装置は、例えば完成した車両を工場ヤードから輸送ヤード(コンテナヤードなど)まで所定の経路を所定の速度履歴で繰り返し走行する特徴を有する。また、この種の搬送は、相対的に低速(例えば40km以下)で行われる。この場合、自動搬送装置の速度Vとタイヤを回転駆動する駆動装置(例えばモータ)の回転数Nとの間には、数式1に示す関係が成り立つ。
V=N×R×P …(数1)
ここで、Rは駆動装置からタイヤに至る動力伝達系の減速比、Pはタイヤの周長である。ここで、この種の搬送装置においては、重量物である車両を一定の経路で繰り返し搬送することを考慮した場合、減速比Rを大きく変動させる必要はなく、むしろ安定的な車両搬送を考慮した場合、減速比Rは一定であったほうが好ましい。以上のことから、自動搬送装置の速度Vを所定の値に制御する場合、摩耗に伴いタイヤの周長Pが変化(減少)するに伴って、タイヤの回転数Nが増加する。
ここで、摩耗した状態のタイヤの周長Pは、回転数Nの関数として、数式2に示すように表すことができる。
P=V/(R×N) …(数2)
一方で、摩耗状態におけるタイヤの周長Pは、タイヤの半径rの関数として、数式3のように表すことができる。
P=2×π×r …(数3)
ここで、タイヤの摩耗量Wは、タイヤの初期半径をriとした場合、数式4のように表すことができる。
W=ri-r …(数4)
よって、数式2と数式3とから周長Pを削除し、数式4に代入すると、タイヤの摩耗量Wは、回転数Nの関数として、数式5のように表すことができる。
W=ri-V/(2×π×R×N) …(数5)
本発明は以上の知見に基づき成されたもので、上記構成の摩耗状態評価装置によれば、予め設定される自動走行時における自動搬送装置の速度と実際の回転数とに基づいて、タイヤの摩耗量をその半径減少量として容易に求めることができる。なにより、この種の自動搬送装置においては、数式1に示す関係が正確に成り立つものと考えられるので、本発明によれば、タイヤの周長の減少量、ひいてはタイヤの摩耗量を高精度に評価することが可能となる。また、上述したパラメータは全て自動搬送装置に既存の機器で測定でき、かつ摩耗状態の評価に至る一連の処理を全て自動で実施できるので、人件費の抑制を図って低コストに摩耗状態の評価を図ることが可能となる。
また、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価装置において、自動走行時にタイヤの振動量を測定する振動量測定部をさらに備え、摩耗状態評価部は、速度と回転数、及び、振動量測定部で測定した振動量とに基づいて、タイヤの摩耗状態を評価してもよい。
本発明者が、走行中に測定される駆動装置の回転数に影響を及ぼす因子について検討を行ったところ、特にタイヤに生じる振動が回転数に影響を及ぼすことが判明した。詳述すると、振動方向が鉛直上方でその振動量が大きいほど、回転数は増加し、振動方向が鉛直下方でその振動量が大きいほど、回転数は減少する傾向(相関)が見られた。当該知見に基づき、本構成では、自動搬送装置の走行時にタイヤの振動量を測定し、測定した振動量(振動方向とその大きさ)をさらに考慮に入れて、タイヤの摩耗量を評価したので、走行中に測定される回転数から振動の影響を排除した数値(修正後の回転数)を取得することができる。よって、この修正後の回転数と速度とに基づいて、タイヤの摩耗状態を評価することで、タイヤの摩耗状態をより高精度に評価することが可能となる。
また、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価装置において、自動搬送装置は複数のタイヤを有し、回転数測定部は、複数のタイヤの駆動装置の回転数をそれぞれ測定すると共に、摩耗状態評価部は、速度と、各タイヤの駆動装置の回転数とに基づいて各タイヤの摩耗状態を評価してもよい。
このように、タイヤごとに走行時の駆動装置の回転数を測定し、測定した各タイヤの駆動装置の回転数と速度とに基づいて各タイヤの摩耗状態を評価することで、タイヤごとの摩耗状態をより正確に評価することができ、これにより必要なタイヤのみ交換する等のメンテナンスを効率よく実施することが可能となる。
また、前記課題の解決は、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価方法によっても達成され得る。すなわち、この評価方法は、自動走行により車両の搬送を行う自動搬送装置のタイヤの摩耗状態を評価するための方法であって、自動走行時における自動搬送装置の速度を設定する速度設定ステップと、自動走行時にタイヤを回転駆動する駆動装置の回転数を測定する回転数測定ステップと、速度設定ステップで設定した速度と、回転数測定ステップで測定した回転数とに基づいて、タイヤの摩耗状態を評価する摩耗状態評価ステップとを備えた点をもって特徴付けられる。
本発明に係るタイヤの摩耗状態評価方法においても、予め設定される自動走行時における自動搬送装置の速度と実際のタイヤの駆動装置の回転数とに基づいて、タイヤの摩耗量をその半径減少量として容易に求めることができる。また、この種の自動搬送装置においては、数式1に示す関係が正確に成り立つものと考えられるので、本発明に係る評価方法においても、タイヤの周長の減少量、ひいてはタイヤの摩耗量を高精度に評価することが可能となる。また、上述したパラメータは全て自動搬送装置に既存の機器で測定でき、かつ摩耗状態の評価に至る一連の処理を全て自動で実施できるので、人件費の抑制を図って低コストに摩耗状態の評価を図ることが可能となる。
以上のように、本発明によれば、車両の自動搬送装置におけるタイヤの摩耗状態を高精度にかつ低コストに評価することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る車両の自動搬送システムの全体構成を示す図である。 図1に示す自動搬送装置の側面図である。 図1に示す自動搬送装置の平面図である。 図1に示す自動搬送装置の正面図である。 図1に示す自動搬送装置に完成車両の前輪が搭載された状態を示す側面図である。 図1に示す自動搬送装置に設けた端末制御部、及び、タイヤの摩耗状態評価装置の構成を概念的に説明するための図である。 自動走行時における速度制御方法の手順を示すフローチャートである。 自動走行時におけるタイヤの摩耗状態評価方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係る摩耗状態評価方法の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態に係るタイヤの摩耗状態評価装置を備えた自動搬送装置、及びこの自動搬送装置を備えた車両の自動搬送システムの内容を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両の自動搬送システム10の全体構成を示している。この自動搬送システム10は、工場Fで完成した完成車両Cを、車両待機場であるコンテナヤードYに搬送するためのもので、自動走行が可能な複数の自動搬送装置11と、複数の自動搬送装置11の駆動を制御する制御部12と、摩耗状態評価装置27(図6を参照)を主に備える。ここでいう自動搬送装置11が、本発明に係る車両に相当する。本実施形態では、前輪駆動車である完成車両Cの左右の前輪FW(後述する図5を参照)を自動搬送装置11に搭載し、完成車両Cの左右の後輪RW(図5を参照)を接地させた状態で完成車両Cを搬送する場合を例にとって、以下に詳細を説明する。
自動搬送装置11は、図2~図4に示すように、二個の駆動輪13と、各駆動輪13に動力を付与する動力付与部14と、完成車両Cの前輪FWを搭載可能な搭載部15と、衛星測位システム(GNSS)の受信部16とを有する。本実施形態では、自動搬送装置11は検出部17をさらに有する。また、各駆動輪13はそれぞれケーシング18に収容されている。これら二個のケーシング18は連結部19により互いに連結されている。この場合、連結部19上の幅方向所定位置、すなわち、搭載すべき完成車両Cの前輪FWに対応した二箇所の幅方向位置に搭載部15がそれぞれ設けられている。よって、この場合、搭載部15は、二個の駆動輪13の間に配設される。言い換えると、搭載部15は、二個の駆動輪13と車体前後方向で重複する位置に配設される(図3を参照)。なお、ここでいう幅方向とは、完成車両Cを搭載した状態において車体前後方向に直交する向きを意味し、自動搬送装置11でいえば二個の駆動輪13が互いに離れている向きに相当する。なお、本実施形態では、自動搬送装置11による搬送対象を完成車両Cとした場合を例示したが、もちろんこれには限定されない。例えば量産される車両であって、軽トラックの開口荷台や箱状荷室などがない、言い換えると架装されていない状態の車両(架装前車両)などを搬送対象としてもよい。
各駆動輪13は、本実施形態では、図3及び図4に示すように、互いに並列に配置された二個の車輪20で構成されている。各車輪20はタイヤ20aを有し、互いに独立して回転可能に構成されると共に、車輪20間に配設された回転軸21に回転可能に支持されている。タイヤ20aの種類は原則として任意であるが、耐荷重性やメンテナンス性を考慮した場合、また自動搬送装置11の走行態様等を考慮した場合、ソリッドタイプが好適である。回転軸21は、自動搬送装置11の走行時において、その長手方向を鉛直方向に一致させた状態で配設され、これにより、例えば二個の車輪20を互いに逆方向に回転させることで、あるいは一方の車輪20のみを回転駆動させることで、二個の車輪20を有する駆動輪13が回転軸21まわりに回転し、自動搬送装置11としての操舵が可能となる。なお、本実施形態では、駆動輪13としての二個の車輪20は、回転軸21まわりに少なくとも90度回転可能(好ましくは360度回転可能)とされているので、例えば図示は省略するが、これら二個の車輪20を90度回転させることで、自動搬送装置11の移動方向を車体前後方向から幅方向に変更可能としている。
本実施形態では、動力付与部14は、図3に示すように、車輪20と同じ数だけ設けられ、各車輪20に回転駆動力を付与する複数のインホイールモータ22で構成されている。各インホイールモータ22は、例えば図示は省略するがステータとロータとを有し、ステータが回転軸21に固定され、ロータが車輪20のホイールに連結される。これにより、インホイールモータ22のロータを回転駆動することで、ロータに連結された車輪20がロータと共に回転可能となる。また、各インホイールモータ22は独立して電気的に制御可能であり、上述のように動力付与部14を構成することによって、並列して配設された二個の車輪20をそれぞれ独立して回転駆動できると共に、駆動輪13としてもそれぞれ独立して鉛直軸線まわりに回転し、かつ水平軸線まわりに回転駆動できるようになっている。また、本実施形態では、上述のように、駆動装置であるインホイールモータ22のロータが車輪20の一部(ここではホイール)に連結されるので、減速比Rは一定であり、走行中に変動することはない。
また、本実施形態では、連結部19の車体前方側に補助輪23が配設されている。この場合、補助輪23は、各駆動輪13よりも自動搬送装置11の車体前方側で接地可能とされ、駆動輪13の接地状態における回転駆動に伴って従動的に回転(地面に対して転動)する。あるいは、後述するように完成車両Cの前輪FWが搭載部15に搭載された状態で自動搬送装置11が走行する際、補助輪23は、駆動輪13の接地状態における回転駆動に伴って従動的に回転する。
受信部16は、衛星測位システム用の複数の衛星(図示は省略)からの信号を受信可能とされる。そして、この受信した信号に基づいて所定の演算処理を実行することにより、受信時刻における完成車両C(の受信部16)の地球上の位置を取得可能としている。ここで、位置取得のための演算処理は、受信部16で実行してもよく、あるいは制御部12(具体的には後述する端末制御部24又は統括制御部25)で実行してもよい。自動搬送装置11に対する受信部16の取付け位置は任意であり、例えば衛星測位システム用の衛星(測位衛星)との円滑な通信を考慮した場合、自動搬送装置11のなるべく高い位置に取付けるのがよい。本実施形態では、ケーシング18の上面から立設した立設部26の先端(上端)に受信部16が配設されている(図2等を参照)。
検出部17は、自動搬送装置11の所定位置に設けられる。この検出部17は、自動搬送装置11の周囲の空間情報(接近物の有無など)を正確に知るために用いられ、あるいは、搬送対象となる完成車両Cの所定部位(例えば前輪FW)の位置を正確に知るために用いられる。本実施形態では、検出部17は、光学カメラ、赤外線カメラなどの画像取得装置であり、自動搬送装置11が自動走行する路面(例えば自動搬送装置11の前方側の路面)を撮像可能としている。
制御部12は、二個の駆動輪13と動力付与部14を制御することで、自動搬送装置11の操舵を伴う自動走行を可能としている。本実施形態では、制御部12は、各自動搬送装置11に設けられる複数の端末制御部24と、これら複数の端末制御部24との間で通信を行う統括制御部25とで構成される。ここで、端末制御部24は、統括制御部25からの指令と、受信部16を通じて衛星測位システムにより得られた自動搬送装置11の位置情報(位置データ)及び走行状態に関する情報(操舵角、速度、加速度データなど)と、自動走行の際の目標となる目標経路TR(図1を参照)に関する情報とに基づき、駆動輪13と動力付与部14とを制御することで、自動搬送装置11の操舵を伴う自動走行を可能としている。すなわち、端末制御部24は、上述した指令や位置情報等に基づいて、自動搬送装置11の操舵角と速度Vを適時制御可能としている。
上述した制御を可能とするため、端末制御部24は、例えば図6に示すように、自動走行時における自動搬送装置11の速度Vを設定する速度設定部28と、速度設定部28で設定した速度Vになるように、速度Vを制御する速度制御部、ここではインホイールモータ22の回転数Nを制御する回転数制御部29とを備える。
速度設定部28は、統括制御部25からの指令、及び、自動搬送装置11の位置情報等に基づき、自動走行時の速度Vを設定する。また、本実施形態では、上述した数式1に基づいて、速度Vに応じたインホイールモータ22の回転数Nを算出し、算出した回転数Nを目標回転数NAとして設定する。この際、減速比Rは一定の値であり、タイヤ20aの周長Pには、後述する摩耗状態評価部31で評価した最新の摩耗量Wの値に基づいて、数式3及び数式4より算出される周長Pの値が用いられるのがよい。
回転数制御部29は、速度設定部28で設定した目標回転数NAと後述する回転数測定部30で測定された回転数Nとの差に基づいて、インホイールモータ22の回転数Nを制御する。具体的には、回転数制御部29は、目標回転数NAと回転数Nとの差分が零となる向き及び大きさの電流をインホイールモータ22に供給し、回転数Nが目標回転数NAと実質的に一致するようにフィードバック制御を行う。
摩耗状態評価装置27は、図6に示すように、速度設定部28と、回転数測定部30と、摩耗状態評価部31とを備える。本実施形態では、摩耗状態評価装置27は、振動量測定部32をさらに備えている。
回転数測定部30は、駆動装置(ここでは車輪20を回転駆動するインホイールモータ22)の回転数Nを計測可能な回転数センサであって、測定対象となる各車輪20、各車輪20と同期して回転する要素(本実施形態でいえばインホイールモータ22のロータ)、又はその近傍に配設される。これにより、自動搬送装置11の自動走行時における各インホイールモータ22の回転数を測定可能としている。
振動量測定部32は、例えばIMU(慣性計測装置)であり、測定対象となる各車輪20、又は各車輪20と同期して回転する要素に配設される。振動量測定部32は、加速度センサと角速度センサを有しており、各車輪20の並進運動を速度、加速度として、各車輪20の回転運動を角速度(回転数)として測定可能としている。なお、自動搬送装置11全体としての振動量を測定する場合には、振動量測定部32の個数は1つで足り、自動搬送装置11の任意の位置に配設される。また、本実施形態では、回転数測定部30と振動量測定部32とは共通の機器により構成されてもよい。一例として、対象物体の加速度と各速度(回転数)を計測可能なIMU(慣性計測装置)を挙げることができる。要は、車輪の加速度(振動数)と角速度を計測可能な限りにおいて、回転数測定部30及び振動量測定部32の構成は任意である。
摩耗状態評価部31は、目標経路TRのうち指定区間R1(図1を参照)を自動搬送装置11が走行している際のインホイールモータ22の回転数Nと、速度設定部28で設定された自動搬送装置11の速度Vとに基づいてタイヤ20aの摩耗状態を評価可能に構成される。具体的には、摩耗状態評価部31は、上述した数式1~数式5に基づいて、回転数Nと速度Vとからタイヤ20aの外周面の摩耗量Wを算出可能に構成されている。
本実施形態では、摩耗状態評価部31は、インホイールモータ22の回転数Nと、自動搬送装置11の速度V、及び、振動量測定部32で測定した振動量Acとに基づいてタイヤ20aの摩耗状態を評価可能に構成されている。この場合、摩耗状態評価部31は、予め同時刻における振動量Acの向き(例えば鉛直上方を正、鉛直下方を負)及び大きさ(加速度)と、回転数Nの変動量Nxとの関係に関するデータを取得し、振動量Acと回転数Nの変動量Nxとの相関を求めておく。この場合、例えば振動量Acと回転数Nの変動量Nxとの間には、数式6の関係が成り立つ。
Ac=k×Nx …(数6)
ここで、kは、上記振動量Acと回転数Nの変動量Nxとの関係に関するデータから求められる相関定数である。
そして、摩耗状態評価部31は、回転数測定部30により測定した回転数Nと、振動量測定部32により測定した振動量Acとに対し、数式6に基づいて、回転数Nを修正する。回転数測定部30で測定した回転数Nは、測定時刻に発生したタイヤ20aの振動の影響が反映されているため、この影響(振動が生じたことによる回転数Nの変動量Nx)を測定値から排除する。具体的には、測定した振動量Acを数式6に代入して、対応する回転数Nの変動量Nxを算出する。そして、この変動量Nxを測定した回転数Nから減じることで、修正後の回転数NBを取得する。然る後、修正後の回転数NBを数式5に代入することで摩耗量Wが算出され得る。
また、摩耗状態評価部31は、上述のようにして評価したタイヤ20aの摩耗状態(摩耗量W)に基づいて、タイヤ20aの交換の要否を判定してもよい(後述するタイヤ交換要否判定ステップS12)。すなわち、この判定ステップS12では、例えばタイヤ20aの交換が必要な摩耗量Wにつき予め基準値(ここでは警告基準値T1)を設定しておき、評価した摩耗量Wが警告基準値T1以上又は警告基準値T1を超えた場合、タイヤ20aの交換の必要ありと判定し、評価した摩耗量Wが警告基準値T1未満であった場合、タイヤ20aの交換の必要なしと判定する。なお、タイヤ20aの交換の必要ありと判定した場合、図8に示すように、警告を発してもよい。
上記構成の摩耗状態評価部31は、本実施形態では、速度設定部28と共に端末制御部24に組み込まれている(図6を参照)。
次に、上記構成の自動搬送装置11及び摩耗状態評価装置27を備えた完成車両Cの自動搬送システム10の動作の一例を主に図1~図5に基づいて説明すると共に、自動搬送装置11の速度制御の一例を主に図6及び図7に基づき説明する。また、上記構成の摩耗状態評価装置27による摩耗状態の評価の一例を主に図6及び図8に基づいて説明する。
まず、統括制御部25は、複数の自動搬送装置11に向けて各自動搬送装置11が次になすべきことに関する指令を送る。例えば図1中、コンテナヤードYと工場Fとの間に位置する空の状態(完成車両Cを搭載していない状態)の自動搬送装置11(11a)に対しては、工場Fに向けて移動する指令を送る。また、工場Fの敷地内に位置する自動搬送装置11(11b)に対しては、搬送対象となる完成車両Cを搭載可能な位置に向けて移動する指令を送る。また、工場FとコンテナヤードYとの間に位置し完成車両Cを搭載した状態の自動搬送装置11(11c)に対しては、コンテナヤードY内の所定の待機位置に向けて所定の目標経路TR上を移動する指令を送り、荷下ろし後の自動搬送装置11(11d,11e)に対しては、必要に応じて移動方向に対する姿勢を変更した後、コンテナヤードY内から退避する指令を送る。指令を受けた各自動搬送装置11(11a~11e)は、指令の内容に応じた動作を行うよう、端末制御部24により駆動輪13及び動力付与部14の制御を行う。このようにして、複数の自動搬送装置11(11a~11e)の自動走行、及びこれらの自動搬送装置11(11a~11e)による完成車両Cの自動搬送が継続的に実施される。
ここで、上述した完成車両Cの自動搬送(自動走行)は、例えば図7に示すフローチャートに沿って実施される。すなわち、この自動走行は、まず自動搬送装置11の走行状態に関する情報を取得する情報取得ステップS1と、取得した情報に基づいて速度Vを設定する速度設定ステップS2と、速度Vに応じた目標回転数NAを設定する目標回転数設定ステップS3と、目標回転数NAと実際に測定した回転数Nとに基づいて速度Vを制御する速度制御ステップS4とを備える。以下、各ステップS1~S5の詳細を順に説明する。
(S1)情報取得ステップ
まずこのステップS1では、自動走行の対象となる自動搬送装置11の走行状態に関する情報を取得する。具体的には、自動搬送装置11の位置情報、情報取得時における自動搬送装置11の実速度、インホイールモータ22の回転数Nを取得する。この際、自動搬送装置11の位置情報は、自動搬送装置11に設けられた受信部16を通じて衛星測位システムにより取得される。また、自動搬送装置11の実速度は、自動搬送装置11に設けられた慣性計測装置(ここでは振動量測定部32)により取得される。また、インホイールモータ22の回転数Nは、同じく自動搬送装置11に設けられた回転数測定部30により取得される。
(S2)速度設定ステップ
このステップS2では、情報取得ステップS1で取得した自動搬送装置11の走行状態に関する情報に基づいて、自動走行時の速度Vを設定する。具体的には、情報取得ステップS1で取得した自動搬送装置11の位置情報、実速度、及び、予め設定しておいた目標経路TRに関する情報とに基づき、自動走行時の速度Vを設定する。
(S3)目標回転数設定ステップ
このステップS3では、速度設定ステップS2で設定した速度Vに応じたインホイールモータ22の目標回転数NAを設定する。本実施形態では、インホイールモータ22から車輪20(タイヤ20a)に至る動力伝達系の減速比Rは一定の値に固定されているので、目標回転数NAは、上述した数式1に、ステップS2で設定した速度Vの値と、タイヤ20aの周長Pとを代入することにより求めることができる。ここで、タイヤ20aが既に摩耗している場合、後述する摩耗量算出ステップS11で算出した摩耗量Wから摩耗状態を考慮した最新の周長Pの値を用いるのがよい。あるいは、未だタイヤ20aが摩耗していない場合には、タイヤ20aの周長Pの初期値を用いるのがよい。
(S4)速度制御ステップ
このステップS4では、予め設定した速度Vと、実際に測定した回転数Nとに基づいて速度Vを制御する。本実施形態では、目標回転数NAと回転数Nとの差に基づいて、インホイールモータ22の回転数Nを制御する。具体的には、回転数制御部29は、目標回転数NAと回転数Nとの差分が零となる向き及び大きさの電流をインホイールモータ22に供給し、回転数Nが目標回転数NAと実質的に一致するようにフィードバック制御を行う。このようにしてインホイールモータ22の回転数Nを制御することにより、回転数Nとの間に数式1の関係が精度よく成立する速度Vが高精度に制御可能となる。
以上のステップS1~S4を例えば所定時間おきに実施し、自動搬送装置11が搬送目標地点(例えば図1に示すコンテナヤードY内の所定位置)に到達したものと判定した場合(目標地点到達判定ステップS5)、上述した速度制御を終了する。以上のようにして、自動搬送装置11による完成車両Cの自動搬送が繰り返し実施される。
また、統括制御部25は、所定のタイミングで、摩耗状態評価装置27に対し、自動走行中の自動搬送装置11(11a~11e)のタイヤ20aの摩耗状態の評価を行う旨の指令を送る。指令を受けた摩耗状態評価装置27は、所定の手順でタイヤ20aの摩耗状態を評価する。
ここで、本実施形態に係る摩耗状態評価方法は、図8に示すように、自動搬送装置11の現在の位置情報を取得する位置情報取得ステップS6と、自動搬送装置11の位置が指定区間R1内か否かを判定する位置判定ステップS7と、回転数Nを測定する回転数測定ステップS8と、振動量Acを測定する振動量測定ステップS9と、回転数Nを修正する回転数修正ステップS10と、タイヤ20aの摩耗量Wを算出する摩耗量算出ステップS11とを備える。ここで摩耗量算出ステップS11が本発明に係る摩耗状態評価ステップに相当する。また、本実施形態では、算出した摩耗量Wに基づきタイヤ20aの交換の要否を判定するタイヤ交換要否判定ステップS12と、交換が必要と判定された場合に警告を発する警告ステップS13とをさらに備える。以下、各ステップS6~S13の詳細を順に説明する。
(S6)位置情報取得ステップ
まずこのステップS6では、自動走行の対象となる自動搬送装置11の位置情報を取得する。自動搬送装置11の位置情報は、自動搬送装置11に設けられた受信部16を通じて衛星測位システムにより取得される。
(S7)位置判定ステップ
このステップS7では、位置情報取得ステップS6で取得した自動搬送装置11の位置情報に基づいて、自動搬送装置11が目標経路TR上の指定区間R1内に位置しているか否かを判定する。そして、自動搬送装置11が指定区間R1内に位置していると判定した場合には、ステップS8以降に進む。自動搬送装置11が指定区間R1内に位置していないと判定した場合には、ステップS8に進むことなく本プログラムを終了する。
なお、指定区間R1は、原則として目標経路TR上の任意の箇所に設定できる。一方で、例えば完成車両Cの搬送時と、完成車両Cの非搬送時とでは、設定される速度Vが異なる(例えば完成車両Cの搬送時における速度Vのほうが非搬送時における速度Vよりも遅く設定される)ことを考慮した場合には、目標経路TRのうち完成車両Cを搬送している箇所に指定区間R1を設定するのがよい。
(S8)回転数測定ステップ
このステップS8では、指定区間R1内を自動走行している自動搬送装置11のインホイールモータ22の回転数Nを測定する。この測定は、回転数測定部30により実施される。本実施形態では、各車輪20に連結される全てのインホイールモータ22の回転数Nを測定する。
(S9)振動量測定ステップ
このステップS9では、指定区間R1内を自動走行している自動搬送装置11の車輪20の振動量Acを測定する。ここで、振動量Acは、車輪20又は車輪20と一体的に回転する要素の振動の大きさとその向きとして、振動量測定部32により鉛直方向の加速度とその正負を測定する。本実施形態では、全ての車輪20につき振動量Acを測定する。なお、振動量Acの測定は、回転数Nの測定と同期して行うことが望ましい。すなわち、回転数測定ステップS8で測定した複数の回転数Nの値と、振動量測定ステップS9で測定した複数の振動量Acの値の少なくとも一部が、同時刻に測定されたものであることが望ましい。
(S10)回転数修正ステップ
このステップS10では、回転数測定ステップS8で測定した回転数Nの値を振動量Acの値に基づいて修正する。具体的には、回転数測定ステップS8で測定された複数の回転数Nの値と、振動量測定ステップS9で測定された複数の振動量Acの値のうち同時刻に測定したデータを利用して、回転数Nの修正を行う。すなわち、同時刻に測定した振動量Acを数式6に代入して、対応する回転数Nの変動量Nxを算出する。そして、この変動量Nxを、対応する時刻に測定した回転数Nから減じる(変動量Nxが負の値の場合、回転数Nに変動量Nxを加える)ことで、修正後の回転数NBを取得する。上述した演算を、全ての回転数N及び振動量Acに対して実施することで、演算対象となる回転数N及び振動量Acと同数の修正後回転数NBが取得されるので、例えば本実施形態では、これら複数の修正後回転数NBの平均値を、摩耗量算出ステップS11では修正後回転数NBとして取り扱う。
上述した一連の処理は、車輪20(タイヤ20a)ごとに実行される。これにより、車輪20(タイヤ20a)ごとに修正後回転数NBが取得される。
(S11)摩耗量算出ステップ
このステップS11では、回転数修正ステップS10で取得した修正後回転数NBに基づいて、タイヤ20aの摩耗量Wを算出する。具体的には、速度設定ステップS2で設定した速度Vの値と、回転数修正ステップS10で取得した修正後回転数NBを回転数Nとして数式5に代入することで、タイヤ20aの摩耗量Wを算出する。本実施形態では、タイヤ20aごとに修正後回転数NBを取得しているので、これらタイヤ20aごとの修正後回転数NBを数式5に代入することで、各タイヤ20aの摩耗量Wを算出し得る。このようにして各タイヤ20aの摩耗状態が外径寸法の減少量(摩耗量W)として評価される。
(S12)交換要否判定ステップ
このステップS12では、摩耗量算出ステップS11で算出した各タイヤ20aの摩耗量Wに基づいて、タイヤ20aの交換の要否を判定する。本実施形態では、摩耗量Wが、予め設定しておいた摩耗量Wの警告基準値T1を超える場合、又は警告基準値T1以上であった場合、タイヤ20aの交換の必要ありと判定し、警告を発する(警告ステップS13)。摩耗量Wが警告基準値T1未満であった場合、タイヤ20aの交換の必要なしと判定し、終了する。
タイヤ20aの交換の必要ありとして警告が発せられた場合、直ちに完成車両Cの自動搬送を停止し、あるいは現時点で実施している自動搬送が完了次第、タイヤ20aの交換エリアに移動し、タイヤ20aの交換を行う。タイヤ20aの交換の必要なしと判定された場合、引き続き、完成車両Cの自動搬送を繰り返し行う。このようにして、タイヤ20aの摩耗状態の評価並びに評価に基づく処理が行われる。この摩耗状態の評価は、例えば自動搬送装置11が指定区間R1を所定の回数通過する度に実施される。
以上述べたように、本実施形態に係る摩耗状態評価装置27によれば、予め設定される自動走行時における自動搬送装置11の速度Vと実際の回転数Nとに基づいて、タイヤ20aの摩耗量Wをその半径減少量として容易に求めることができる。なにより、この種の自動搬送装置11においては、一定の経路を一定の速度で繰り返し走行することから、数式1に示す関係が正確に成り立つものと考えられる。そのため本実施形態に係る摩耗状態評価装置27によれば、タイヤ20aの周長Pの減少量、ひいてはタイヤ20aの摩耗量Wを高精度に評価することが可能となる。また、上述したパラメータは全て自動搬送装置11に既存の機器(ここではIMU)で測定でき、かつ摩耗状態の評価に至る一連の処理を全て自動で実施できるので、人件費の抑制を図って低コストに摩耗状態の評価を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、インホイールモータ22の減速比Rが固定値であり、かつタイヤ20aにソリッドタイヤを用いていること、及び少なくとも完成車両Cの搭載時には目標経路TR上を低速で走行することを鑑みると、数式1がより高精度に成立し得る。よって、これら数式1~数式5により、タイヤ20aの摩耗量Wをより高精度に評価することが可能となる。
また、本実施形態では、自動搬送装置11の走行時にタイヤ20aの振動量Acを測定し(振動量測定ステップS9)、測定した振動量Ac(振動方向とその大きさ)をさらに考慮に入れて、タイヤ20aの摩耗量Wを評価したので、走行中に測定される回転数Nから振動の影響を排除した数値(修正後の回転数NB)を取得することができる。よって、この修正後回転数NBと速度Vとに基づいて、タイヤ20aの摩耗量Wを評価することで、タイヤ20aの摩耗量Wをより高精度に評価することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係る摩耗状態評価方法、及び摩耗状態評価装置は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
例えば上記実施形態では、摩耗状態評価ステップとして、タイヤ20aの摩耗量Wを算出し(摩耗量算出ステップS11)、算出した摩耗量Wに基づいてタイヤ20aの交換の要否を判定した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。図9は、本発明の他の実施形態に係る摩耗状態評価方法の手順を示している。図9に示すように、本実施形態に係る評価方法では、摩耗状態評価部31による摩耗状態評価ステップの内容が、先の実施形態と相違している。
本実施形態に係る摩耗状態評価方法では、回転数修正ステップS10で修正後回転数NBを取得した後、摩耗量Wを算出することなく、タイヤ20a交換の要否の判定を行う(タイヤ交換要否判定ステップS12a)。この場合、予め、摩耗量Wが、タイヤ20aの交換が必要と認められるレベルの大きさである場合の回転数N(修正後回転数NB)を求めておく。そして、この際の回転数N(修正後回転数NB)を警告基準値T2とし、回転数修正ステップS10で取得した修正後回転数NBの値を警告基準値T2と比較し、タイヤ20aの交換の要否を判定する(タイヤ交換要否判定ステップS12a)。ここで、修正後回転数NBが、予め設定しておいた修正後回転数NBの警告基準値T2を超える場合、又は警告基準値T2以上であった場合、タイヤ20aの交換の必要ありと判定し、警告を発する(警告ステップS13)。修正後回転数NBが警告基準値T2未満であった場合、タイヤ20aの交換の必要なしと判定し、終了する。このように、本実施形態に係る摩耗状態評価方法によれば、摩耗量算出ステップS11を省略できるので、一連のステップS6~S13に係る処理を短時間で実施することが可能となる。
また、以上の説明では、端末制御部24と統括制御部25とで制御部12を構成した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば統括制御部25を省略し、端末制御部24のみで自動搬送装置11の自動走行をそれぞれ制御してもかまわない。この場合、例えば自動搬送装置11については、予め搭載及び荷下ろしを伴う自動搬送に関するプログラムを端末制御部24に記憶させておき、作業者の所定の操作により上記プログラムに基づいて、駆動輪13及び動力付与部14を駆動制御するようにしてもよい。
また、以上の説明では、自動搬送装置11の駆動部を二個の駆動輪13とした場合を例示したが、もちろんこれには限られない。図示は省略するが、三個又は四個以上の駆動輪13で駆動部を構成してもかまわない。同様に、以上の説明では、各駆動輪13を並列配置された二個の車輪20で構成した場合を例示したが、もちろんこれ以外の構成をとることも可能である。駆動輪13の数によっては、駆動輪13を一個の車輪20で構成してもよい。
また、以上の説明では、動力付与部14として、各車輪20にインホイールモータ22が連結される構造をとる場合を例示したが、もちろんこれには限られない。駆動輪13(車輪20)に所定の回転駆動力を付与可能な限りにおいて、任意の構成の駆動装置を動力付与部14として自動搬送装置11に設けることが可能である。
10 自動搬送システム
11 自動搬送装置
12 制御部
13 駆動輪
14 動力付与部
15 搭載部
16 受信部
17 検出部
18 ケーシング
19 連結部
20 車輪
20a タイヤ
21 回転軸
22 インホイールモータ
23 補助輪
24 端末制御部
25 統括制御部
26 立設部
27 摩耗状態評価装置
28 速度設定部
29 回転数制御部
30 回転数測定部
31 摩耗状態評価部
32 振動量測定部
Ac 振動量
C 完成車両
F 工場
FW 前輪
N 回転数
NA 目標回転数
NB 修正後回転数
Nx 変動量
P タイヤ周長
R 減速比
R1 指定区間
RW 後輪
T1,T2 警告基準値
TR 目標経路
V 速度
W 摩耗量
Y コンテナヤード
S1 情報取得ステップ
S2 速度設定ステップ
S3 目標回転数設定ステップ
S4 速度制御ステップ
S5 目標地点到達判定ステップ
S6 位置情報取得ステップ
S6 位置情報取得ステップ
S7 位置判定ステップ
S8 回転数測定ステップ
S9 振動量測定ステップ
S10 回転数修正ステップ
S11 摩耗量算出ステップ
S12,S12a タイヤ交換要否判定ステップ
S13 警告ステップ

Claims (2)

  1. 自動走行により車両の搬送を行う自動搬送装置のタイヤの摩耗状態を評価するための装置であって、
    前記自動走行時における前記自動搬送装置の速度を設定する速度設定部と、
    前記自動走行時に前記タイヤの回転数を測定する回転数測定部と、
    前記速度設定部で設定した前記速度と、前記回転数測定部で測定した前記回転数とに基づいて、前記タイヤの摩耗状態を評価する摩耗状態評価部とを備えた、タイヤの摩耗状態評価装置。
  2. 前記自動搬送装置の走行時に前記タイヤの振動量を測定する振動量測定部をさらに備え、
    前記摩耗状態評価部は、前記速度と前記回転数、及び、前記振動量測定部で測定した前記振動量とに基づいて、前記タイヤの摩耗状態を評価する、請求項1に記載の摩耗状態評価装置。
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