JP2023177490A - 結晶性ベーマイトアルミナの製造方法 - Google Patents

結晶性ベーマイトアルミナの製造方法 Download PDF

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Takayoshi Mizuno
智靖 香川
Tomoyasu Kagawa
武聡 長谷川
Tatsuaki Hasegawa
博紀 長谷川
Hiroki Hasegawa
泰 新宅
Yasushi Shintaku
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Abstract

【課題】短時間の水熱処理を用いることで、高い結晶性を有するベーマイトアルミナを得ることのできる製造方法を提供する。【解決手段】a.アルミナヒドロゲルを含む分散液を準備する工程と、b.前記アルミナヒドロゲルを、塩基性化合物でpH10.6~12.6の範囲に調整し、塩基性アルミナヒドロゲルを含む分散液を調製した後、水熱処理を行い、結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を得る工程と、を含む、結晶性ベーマイトアルミナの製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、高い結晶性を有するベーマイトアルミナの製造方法に関する。特に、短時間の水熱処理で高い結晶性を有するアルミナを生産することができる技術に関する。
高い結晶性を有するベーマイトアルミナ粒子については、製造方法に関する多数の報告がなされている。
特許文献1には、適量のベーマイトの播種剤(seeding agents)の存在下に他の形のアルミナ(ベーマイトアルミナ前駆物質)を、好ましくは約5以下のpHにおいて、または、一定の用途のためには8以上のpHにおいて、水熱処理することが記載されている。それにより適当な微結晶性ベーマイト並びに微結晶性ゾルおよびゲルを作ることができるとしている。
特許文献2には、アルミナ水和物などのアルミナ粉体を主とする固体に、水または無機化合物および含酸素有機化合物水溶液を混合して調製し、空気を含む固液気の三相状態の湿潤粉体を反応容器に充填して水熱反応を行わせることが記載されている。それによって、伝熱速度の向上と温度の均一性を確保し、さらに流動性の良好なアルミナ組成物を製造することができるとしている。
特許文献3には、複数の正方板状アルミナ微粒子が、少なくとも2辺が重なることなく積層した構造をなす結晶性アルミナ積層粒子と該結晶性アルミナ積層粒子の製造方法が記載されている。
特開平01-069511号公報 国際公開第2007/135977号 特表2014-058438号公報
しかしながら、従来の技術では、水熱処理を用いた結晶性ベーマイトアルミナの製造方法は、比較的長い時間、処理することが必要であり、大量生産が求められる工業化において、さらなる改善の余地があった。結晶性ベーマイトアルミナを短時間で大量に得続けることは、産業プロセス上有用である。
本発明の目的は、短時間の水熱処理を用いることで、高い結晶性を有するベーマイトアルミナを得ることのできる製造方法を用いて、高い結晶性を有するベーマイトアルミナを提供することにある。
前記課題を解決し上記の目的を実現するため開発した本発明は、下記のとおりのものである。すなわち、本発明は、
a.アルミナヒドロゲルを含む分散液を準備する工程と、
b.前記アルミナヒドロゲルを、塩基性化合物でpH10.6~12.6の範囲に調整し、塩基性アルミナヒドロゲルを含む分散液を調製した後、水熱処理を行い、結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を得る工程と、
を含む、結晶性ベーマイトアルミナの製造方法を提案する。
なお、本発明にかかる結晶性ベーマイトアルミナの製造方法については、
(1)さらに、
c1.前記結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を、加熱処理し結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品を得る工程と、
c2.前記結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を、酸性化合物でpH3.6~5.0の範囲に調整した後、噴霧乾燥処理し結晶性ベーマイトアルミナ粉末を得る工程と、および、
c3.前記結晶性ベーマイトアルミナに含まれる残存塩を除去した後、噴霧乾燥処理し結晶性ベーマイトアルミナ粉末を得る工程と、
から選ばれるいずれか一つの工程を含むこと、
(2)前記a工程で用いる前記アルミナヒドロゲルを、平均粒子径:0.1~3.5μm、粒子径比(D90/D50):1.1~2.5とし、前記b工程における前記塩基性化合物のアルミナに対するモル比を0.05~0.20とすること、
(3)前記結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品は、比表面積:80~125m/g、結晶子径:18~30nm(180~300Å)およびベーマイトからγ-アルミナへの結晶転移温度:470~490℃であること、
(4)前記結晶性ベーマイトアルミナ粉末は、平均粒子径:5~25μmおよび粒子径比(D90/D50):1.5~3.0であること、
などがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
本発明は、上記構成とすることにより、短時間の水熱処理を用いることで、高い結晶性を有するベーマイトアルミナを製造することができる。
以下、本発明にかかる結晶性ベーマイトアルミナの製造方法の実施形態について説明する。
[結晶性ベーマイトアルミナ]
本実施形態に係る結晶性ベーマイトアルミナは、比表面積が80~125m/gの範囲である。結晶子径が18~30nm(180~300Å)の範囲である。ベーマイトからγ-アルミナへの相転移温度(ベーマイトからγ)が470~490℃の範囲である。
本実施形態に係る結晶性ベーマイトアルミナは、通常、濾別、乾燥すると粉末状を有している。濾別することで塊状となるため、適宜粉砕を行ってもよい。
後述する実施例で採用した条件下でレーザー回折・散乱法により測定される前記粉末状の結晶性ベーマイトアルミナの平均粒子径は、好ましくは5~25μmの範囲であり、より好ましくは10~20μmの範囲である。
また、噴霧乾燥法により乾燥した場合は、レーザー回折・散乱法により測定される前記粉末状の結晶性ベーマイトアルミナの平均粒子径は、好ましくは5~25μmの範囲であり、より好ましくは10~20μmの範囲である。また、粒子径比(D90/D50)が、1.5~3.0の範囲であり、より好ましくは1.5~2.8の範囲である。
[結晶性ベーマイトアルミナの製造方法]
本実施形態に係る結晶性ベーマイトアルミナの製造方法は、
a.アルミナヒドロゲルを含む分散液を準備する工程と、
b.前記アルミナヒドロゲルを、塩基性化合物でpH10.6~12.6の範囲に調整し、塩基性アルミナヒドロゲルを含む分散液を調製した後、水熱処理を行い、結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を得る工程と、
を含むことを特徴としている。
本実施形態の結晶性ベーマイトアルミナは、アルミナヒドロゲル(以下、水酸化アルミニウムともいう。)と塩基性化合物と水の混合物を水熱処理することにより得ることができる。水酸化アルミニウムは、特に限定されず、鉱酸系アルミニウム(塩化物、硫酸物、硝酸物)やアルミン酸塩から調製されるもの、アルマイト製造時などに生じた廃棄物として処理されるものを用いることもできる。また、アルミナヒドロゲル(水酸化アルミニウム)の平均粒子径も特に限定されないが、レーザー回折・散乱法により測定される0.1~3.5μmの範囲が好ましく、0.15~2.5μmの範囲がより好ましい。この範囲内であれば、水熱合成時のベーマイト結晶成長速度が工業的にふさわしい。ここで平均粒子径は体積基準で50%累積時の粒子径D50とする。
また、アルミナヒドロゲルの粒子径比(D90/D50)が、1.1~2.5の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.2~2.2の範囲である。この範囲内であれば、水熱合成時に成長するベーマイト結晶成長速度が工業的にふさわしい。ここで、D90は、体積基準で90%累積時の粒子径を表し、D50は同じく50%累積時の粒子径を表す。
b工程で用いる塩基性化合物は、アンモニアやナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩などから選ばれた一種以上を用いることができる。これらの中でも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
また、b工程で添加する塩基性化合物の量は、pH10.6~12.6の範囲に調整できる量とする。pHが下限未満では結晶成長速度が低下するおそれがある。一方、pHが上限超えでは、過度の溶解が起こり、粒子サイズが低下するおそれがある。好ましくはpHが11.0~12.0の範囲であり、より好ましくは11.3~11.8の範囲である。
分散液中に含まれるアルミナヒドロゲルのアルミナ換算に対して、金属の場合は金属酸化物換算(ナトリウムではNaO換算)で、アンモニアの場合その含有量で、(塩基性化合物)/Al(モル比)が、0.05~0.20の範囲で添加することが好ましい。より好ましくは0.07~0.18の範囲であり、最も好ましくは0.08~0.16の範囲である。下限値以上で、ベーマイト結晶成長速度が工業的にふさわしいものとなる。一方上限値以下で、ベーマイト粒子サイズが十分な大きさとなる。
b工程で用いる水熱処理は、オートクレーブなどの加圧容器を用いて140℃以上350℃未満の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは150~220℃の範囲で行う。反応時間は、1~50時間の範囲で行うことができ、より好ましくは1~10時間の範囲である。下限以上の長さで水熱反応によりベーマイトの結晶が十分に生成し、上限の長さまで水熱反応が生じるので、エネルギーの無駄なく処理できる。また、加圧圧力は5~18×10Pa程度とすることが好ましい。
本実施形態の結晶性ベーマイトアルミナは、様々な態様で水熱処理に供することができる。すなわち、アルミナヒドロゲル(水酸化アルミニウム)と塩基性化合物と水を混合後、所望の形状の容器に充填し、そのまま水熱処理することができる。また、市販の水酸化アルミニウムを所望の粒子径に粉砕し水分散液(スラリー)を調製した後、塩基性化合物と混合した後、水熱処理することもできる。また、水酸化アルミニウムと塩基性化合物と水とからなる混合物に増粘剤を添加して水熱処理し、結晶性ベーマイトアルミナを製造することもできる。増粘剤としては特に限定はなく、一般に用いられるポリビニルアルコール、メチルセルロース、アラビアゴム、ケイソウ土、ベントナイト、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸エステル、ローカストビーンガムなどを挙げることができる。増粘剤は酸性が強くなると水熱反応が阻害され易くなるため、弱酸性~アルカリ性のものが好ましい。特にポリアクリル酸エステル(エマルジョン)は、ベーマイト結晶の成長が促進され、強度の向上、気孔率の向上に寄与し得るのでより好ましく用いることができる。
本実施形態の結晶性ベーマイトアルミナは、板状あるいは針状のベーマイトの結晶が連晶構造を形成し繋がり合うことによるものと推測される。また、連続気孔が形成されるので極めて多孔質で、ガス透過性に卓越し、以下の様々な用途、とりわけ可及的に多孔質であることが要求される用途に好適に供し得る。同時に焼成しなくても極めて多孔質な成形体となるためエネルギーの節減も可能である。また、従来からある多孔体のように粒状や塊状ではなく、板状又は針状であるため、比表面積も高い。
ここで、加熱処理(乾燥)して得られる結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品(c1工程)は、BET吸着法により測定される比表面積が、80~125m/gでの範囲であり、結晶子径:18~30nm(180~300Å)およびベーマイトからγ-アルミナへの結晶転移温度:470~490℃である。
さらに、本実施形態の結晶性ベーマイトアルミナを焼成して結晶性アルミナ(γ-アルミナ)を製造することもできる。焼成の温度は、500~750℃、好ましくは550~700℃の範囲の温度で、好ましくは0.2~5.0時間の範囲で、より好ましくは0.5~2.0時間の範囲で熱処理を行うことにより、結晶性アルミナ(γ-アルミナ)粉末が得られる。また、原料物質のベーマイト成形体自体が板状又は針状の連晶構造で多孔質であるため、焼成して得られる結晶性アルミナは極めて多孔質で、上記の結晶性ベーマイトアルミナと同様の様々な用途に供することができる。
また、水熱処理を行った後、結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液に酸性化合物を添加しpH3.6~5.0の範囲に調整した後、噴霧乾燥により、粉状の結晶性ベーマイトアルミナ粉末を得る工程(c2工程)を行ってもよい。酸性化合物としては硫酸、硝酸、塩酸、ギ酸、酢酸等を用いることができる。替えて、結晶性ベーマイトアルミナに含まれる残存塩を除去した後、噴霧乾燥処理し結晶性ベーマイトアルミナ粉末を得る工程(c3工程)を行ってもよい。残存塩の除去には、脱気式のプレートフィルターなどで結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を脱水し、温水のイオン交換水で濾過ケーキを洗浄することができる。
噴霧乾燥の条件は、たとえば以下のとおりである。
スプレー入口温度:200~450℃
出口温度:110~350℃
噴霧乾燥により得られた粉末は、常温(たとえば0~40℃)にまで放冷した後、分級してから加熱処理に供してもよい。
さらに、噴霧乾燥後に、さらに加熱処理により焼成を行ってもよい。
ここで加熱処理(乾燥)して得られる結晶性ベーマイトアルミナ粉末は、レーザー回折・散乱法により測定される平均粒径(D50)が5~25μmの範囲にあることが好ましく、10~20μmの範囲にあることがより好ましい。また、その粒子径比(D90/D50)が、1.5~3.0の範囲であり、より好ましくは1.5~2.8の範囲である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[測定方法ないし評価方法]
実施例等における測定方法および評価試験方法は、以下の通りである。
(各元素の含有量の測定方法)
各元素の質量分析は、Naは原子吸光光度計、Na以外は誘導結合プラズマ分光分析装置にて化学分析を行った。具体的には、試料は硫酸とフッ化水素酸を加え加熱し、乾固させ、乾固物を濃塩酸に溶解し、水で濃度10~100質量ppmに希釈した溶液に調製し、株式会社日立ハイテクサイエンス社製の原子吸光光度計(Z-2310)、株式会社島津製作所製の誘導結合プラズマ分光分析装置(ICPS-8100)にて分析した。
(アルミナの平均粒子径)
試料の粒度分布の測定を、堀場製作所株式会社製のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA-300)にて行った。具体的には、光線透過率が70~95%の範囲となるように試料を溶媒(水)に投入し、循環速度:2.8L/分、超音波照射:3分間、反復回数:30回の条件で測定した。前記粒度分布において50%累積径(D50)を平均粒子径とし、90%累積径(D90)として採用した。粒子径比はD90/D50で計算した。
(アルミナの比表面積)
比表面積(SA)は、マイクロトラック・ベル株式会社製のBELSORP-mini Ver2.5.6にて行った。具体的には触媒を500℃で1時間前処理した試料を用い、吸着ガスには窒素を用いて測定した。アルミナの比表面積(SA)はBET法にて算出した。
(結晶形態および結晶子径の測定)
結晶子径は、X線回折装置(理学電機株式会社製:RINT2100)を用い、測定試料は測定用無反射板に圧粉したものを観察試料とし、結晶状態をX線回折によって測定した。試料の結晶子径は、ベーマイトに帰属される(020)面の回折ピークからScherrer法にて計算した。試料の結晶構造はベーマイトやγ-アルミナなどに帰属される回折ピークを比較し判断した。
ここで、ベーマイト(020)面および(120)面結晶構造を示す回折ピークはそれぞれ2θ=14°および2θ=28°、で測定したものであり、γ-アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピークは2θ=67°で測定したものである。バイヤライト(002)面および(-132)面を示す回折ピークはそれぞれ2θ=19°および2θ=40°で測定した。
(結晶相転移温度の測定)
ベーマイトアルミナからγ-アルミナへの結晶相転移温度は、示差熱重量分析(TG-DTA)を行い、重量変化を伴う吸熱のピーク温度とした。
[実施例1]
a-1.アルミナヒドロゲル1を含む分散液を準備する工程
イオン交換水16000gに硫酸アルミニウム・14~18水和物(関東化学株式会社製、鹿特級、アルミナ換算17質量%)を3411g加え、よく撹拌し溶解させた。その後、80℃まで加温し、濃度48質量%の水酸化ナトリウム水溶液(関東化学株式会社製、特級)を10倍に希釈して調製した水酸化ナトリウム溶液を、pHが3.8~4.0となるまで添加し、1時間保持した。得られたスラリーを脱気式のプレートフィルターにて脱水した。プレートフィルター上に得られた調合アルミナヒドロゲルケーキに減圧下で、60℃のイオン交換水を30~60L通水し、洗浄アルミナヒドロゲル1ケーキを得た。該洗浄アルミナヒドロゲル1ケーキのアルミナ濃度は11.3質量%であった。
該洗浄アルミナヒドロゲル1ケーキをアルミナ濃度1質量%となるようにイオン交換水で希釈し、pHが0.8となるように硝酸1.38(関東化学社製、鹿1級)で調整した。粒度分布測定を行った時の粒度分布は平均粒子径D50が0.17μm、粒子径比D90/D50=1.33であった。各種性状分析結果を表1に記載した。
b.結晶性ベーマイトアルミナ1を含む分散液を得る工程
前記工程aで得られた洗浄アルミナヒドロゲル1ケーキにイオン交換水を加え、固形分濃度が7.8質量%となるように希釈した。よく撹拌した後、前記水酸化ナトリウム溶液を加え、pHを11.6に調整した。その後、オートクレーブ反応器に入れ、撹拌下170℃へ加熱し、加圧下で4時間保持し、結晶性ベーマイトアルミナ1を含む分散液を得た。加圧圧力は8×10Pa程度とした。
c1.前記結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を、加熱処理し結晶性ベーマイトアルミナ粉末1を得る工程
前記工程bで得られた結晶性ベーマイトアルミナ1を含む分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水し、60℃のイオン交換水を50L通水し、洗浄された結晶性ベーマイトアルミナケーキを得た。該結晶性ベーマイトケーキを送風式の箱型乾燥機で120℃にて8時間保持して乾燥し、結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品1を得た。該結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品1の各種性状分析を実施し、結果を表1に記載した。
c2.前記結晶性ベーマイトアルミナ1を含む分散液を、酸性化合物でpH3.6~5.0の範囲に調整した後、噴霧乾燥処理し結晶性ベーマイトアルミナ粉末1を得る工程
また、前記工程bで得られた結晶性ベーマイトアルミナ1を含む分散液は、濃度96質量%の硫酸水溶液(関東化学株式会社製、特級)を10倍に希釈した酸性化合物水溶液により、pHを4.0に調整した。そのようにして原料スラリーを調製した後、該原料スラリーを液滴として入口温度が250℃、出口温度が120℃の噴霧乾燥機で乾燥させ、結晶性ベーマイトアルミナ粉末1を得た。得られた結晶性ベーマイトアルミナ粉末1を固形分濃度が約1質量%となるようにイオン交換水に懸濁し、粒度分布測定を実施した。平均粒子径は12μmであった。各種性状分析結果を表1に記載した。
[実施例2]
実施例1の工程bにおいて、オートクレーブでの保持時間を8時間とした以外は同様に実施し、結晶性ベーマイトアルミナ2を含む分散液、結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品2および結晶性ベーマイトアルミナ粉末2を得た。各種性状分析結果を表1に記載した。
[実施例3]
c3.結晶性ベーマイトアルミナに含まれる残存塩を除去した後、噴霧乾燥処理し結晶性ベーマイトアルミナ粉末3を得る工程
実施例1において、得られた結晶性ベーマイトアルミナ1を含む分散液を脱気式のプレートフィルターにて脱水した。そして、60℃のイオン交換水を35L通水し、残った洗浄ケーキを固形分濃度が8.5質量%となるようにイオン交換水でスラリー化した。その後、その原料スラリーを液滴として入口温度が250℃、出口温度が120℃の噴霧乾燥機で乾燥させ、結晶性ベーマイトアルミナ粉末3を得た。各種性状分析結果を表1に記載した。
[実施例4]
実施例1の工程bにおいて、オートクレーブに入れる前のアルミナヒドロゲル分散液のpHを11.1とした以外は同様に実施した。結晶性ベーマイトアルミナ4を含む分散液、結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品4および結晶性ベーマイトアルミナ粉末4を得た。各種性状分析結果を表1に記載した。
[実施例5]
実施例1の工程bにおいて、オートクレーブに入れる前のアルミナヒドロゲル分散液のpHを12.4とした以外は同様に実施した。結晶性ベーマイトアルミナ5を含む分散液、結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品5および結晶性ベーマイトアルミナ粉末5を得た。各種性状分析結果を表1に記載した。
[実施例6]
a-2.イオン交換水18800gに、微結晶性ベーマイトアルミナ粉末(Sasol社製、Catapal-A、濃度78質量%)を744g加え、良く撹拌した。その後、アトライターにて1時間粉砕を行ってスラリーを得た。そのスラリーに10倍に希釈した濃度96質量%の硫酸水溶液(関東化学株式会社製、特級)を加えpHを3.4に調整した。その後、80℃まで加温し、1時間保持した。得られたスラリーを脱気式のプレートフィルターにて脱水し、プレートフィルター上に得られた調合ヒドロゲルケーキに減圧下で、60℃のイオン交換水を30~60L通水し、洗浄ケーキを得た。洗浄ケーキのアルミナ濃度は13.5質量%であった。
工程b以降、実施例1と同様にして、結晶性ベーマイトアルミナ6を含む分散液、結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品6および結晶性ベーマイトアルミナ粉末6を得た。各種性状分析結果を表1に記載した。
[比較例1]
実施例1の工程a-1において、イオン交換水18000gにアルミン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、鹿1級、アルミナ換算39質量%)を1487g加え、よく撹拌した。その後、80℃まで加温し、10倍に希釈した濃度96質量%の硫酸水溶液(関東化学株式会社製、特級)をpHが10.3~10.5となるまで添加し、その後、1時間保持した以外は、実施例1と同様に実施した。結晶性ベーマイトアルミナR1を含む分散液、結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品R1および結晶性ベーマイトアルミナ粉末R1を得た。各種性状分析結果を表1に記載した。
[比較例2]
実施例1の工程bにおいてオートクレーブに入れる前のアルミナヒドロゲル分散液のpHを13.0とした以外は同様に実施した。結晶性ベーマイトアルミナR2を含む分散液、結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品R2および結晶性ベーマイトアルミナ粉末R2を得た。各種性状分析結果を表1に記載した。
[比較例3]
実施例1の工程bにおいてオートクレーブに入れる前のアルミナヒドロゲル分散液のpHを10.1とした以外は同様に実施した。結晶性ベーマイトアルミナR3を含む分散液、結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品R3および結晶性ベーマイトアルミナ粉末R3を得た。各種性状分析結果を表1に記載した。
[比較例4]
実施例6において、アトライター粉砕およびpH調整、80℃までの加温と1時間の保持を行わなかった以外は同様に実施した。結晶性ベーマイトアルミナR4を含む分散液、結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品R4および結晶性ベーマイトアルミナ粉末R4を得た。各種性状分析結果を表1に記載した。
Figure 2023177490000001
本発明に係る結晶性ベーマイトアルミナの製造方法によれば、短時間の水熱処理を用いることで、高い結晶性を有するベーマイトアルミナを提供できるようになった。この結果、得られる結晶性ベーマイトアルミナは、触媒分野、研磨分野、化粧料分野、接着剤や塗料にブレンドするフィラー、フイルター、酸素センサー隔壁、易加工性セラミックス、摺動部材(ワックスなどを含浸させる)、芳香剤など蒸散剤、水素吸蔵部材、耐火被覆材などに用いることが可能である。

Claims (5)

  1. a.アルミナヒドロゲルを含む分散液を準備する工程と、
    b.前記アルミナヒドロゲルを、塩基性化合物でpH10.6~12.6の範囲に調整し、塩基性アルミナヒドロゲルを含む分散液を調製した後、水熱処理を行い、結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を得る工程と、
    を含む、結晶性ベーマイトアルミナの製造方法。
  2. さらに、
    c1.前記結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を、加熱処理し結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品を得る工程と、
    c2.前記結晶性ベーマイトアルミナを含む分散液を、酸性化合物でpH3.6~5.0の範囲に調整した後、噴霧乾燥処理し結晶性ベーマイトアルミナ粉末を得る工程と、および、
    c3.前記結晶性ベーマイトアルミナに含まれる残存塩を除去した後、噴霧乾燥処理し結晶性ベーマイトアルミナ粉末を得る工程と、
    から選ばれるいずれか一つの工程を含む、請求項1に記載の結晶性ベーマイトアルミナの製造方法。
  3. 前記a工程で用いる前記アルミナヒドロゲルを、平均粒子径:0.1~3.5μm、粒子径比(D90/D50):1.1~2.5とし、前記b工程における前記塩基性化合物のアルミナに対するモル比:0.05~0.20とする、請求項1または2に記載の結晶性ベーマイトアルミナの製造方法。
  4. 前記結晶性ベーマイトアルミナ乾燥品は、比表面積:80~125m/g、結晶子径:18~30nm(180~300Å)およびベーマイトからγ-アルミナへの結晶転移温度:470~490℃である、請求項2に記載の結晶性ベーマイトアルミナの製造方法。
  5. 前記結晶性ベーマイトアルミナ粉末は、平均粒子径:5~25μmおよび粒子径比(D90/D50):1.5~3.0である、請求項2に記載の結晶性ベーマイトアルミナの製造方法。
JP2022090198A 2022-06-02 2022-06-02 結晶性ベーマイトアルミナの製造方法 Pending JP2023177490A (ja)

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