JP2023174574A - 短繊維の製造方法、及び当該方法により製造された短繊維 - Google Patents

短繊維の製造方法、及び当該方法により製造された短繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明においては、極めて短時間(ミリ秒以下)で良溶媒を除去して希薄高分子溶液から短繊維を直接かつ連続的に製造できる技術を提供することを目的とするものである。また、本発明においては、特定の形状を有する短繊維を提供することも目的とするものである。【解決手段】 本発明は、内管の末端より押し出した内相の周囲に外相を合流させる合流部と、前記合流で生成した二重円環流を中心方向へ微細化する延伸部とを有する二重管型マイクロノズル装置を用いた短繊維の製造方法であって、前記内管の末端から、溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)を含む内相を、前記高分子の貧溶媒である溶媒(S2)を含む前記外相中に押し出す工程、及び、前記内相中の溶媒(S1)を、外相中に拡散又は抽出させることにより、前記高分子からなる短繊維を形成する工程を含み、前記内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることを特徴とする短繊維の製造方法に関する。【選択図】 図1

Description

本発明は、高分子を含む溶液から、直接かつ連続的に短繊維を製造することができる短繊維の製造方法に関する。また本発明は、前記製造方法により製造された短繊維に関する。
繊維を懸濁液もしくは他材料との複合化に用いる際には、混練性や分散安定性の観点から、長繊維よりも短繊維であることが望ましい。このような短繊維は、長繊維を機械的に切断して製造することが知られており、例えば、連続繊維からなるナノファイバを含む繊維堆積シートから細片を得、前記細片に剪断力を加えて該細片を解繊するとともに該細片を構成するナノファイバを切断して短繊維化することが知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、長繊維を化学処理することで高分子鎖を切断して、短繊維化する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、二重管型マイクロノズル装置を用いた湿式紡糸繊維の製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3には、内管(内相を流すためのマイクロ流路)及び外管(外相を流すためのマイクロ流路)からなる二重管マイクロ流路を備える二重管型マイクロノズル装置が開示されている。繊維素材及び良溶媒を含む溶液を内相として、貧溶媒を外相として、それぞれ所望の流量で内管又は外管に送液し、ノズル状になっている内管及び外管の吐出口から押出されて、オリフィス部(開口部)において合流することが開示されている。このような工程によって、内相中の良溶媒が外相に拡散され、内相中の繊維素材を析出させて、繊維素材からなる繊維を形成できることが開示されている。
特開2021-17681号公報 特開2019-214715号公報 国際公開第2020/067570号パンフレット
特許文献1に記載されているような長繊維を機械的に切断して短繊維を製造する方法では、多段階の工程を要する場合が多く、エネルギー消費が大きなプロセスとなっている。また、特許文献2に記載の化学処理で長繊維を短繊維化する技術では、化学処理が可能な一部の高分子にしか適用できないため、製造することができる短繊維の種類が限定的になるという問題があった。
また、特許文献3では、二重管型マイクロノズル装置を用いた湿式紡糸繊維の製造方法が開示されているが、湿式紡糸によって、短繊維を高分子溶液から直接かつ連続的に製造することは何ら開示されていないものである。
本発明においては、極めて短時間(ミリ秒以下)で良溶媒を除去して希薄高分子溶液から短繊維を直接かつ連続的に製造できる技術を提供することを目的とするものである。また、本発明においては、特定の形状を有する短繊維を提供することも目的とするものである。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の短繊維の製造方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、内管の末端より押し出した内相の周囲に外相を合流させる合流部と、前記合流で生成した二重円環流を中心方向へ微細化する延伸部とを有する二重管型マイクロノズル装置を用いた短繊維の製造方法であって、
前記内管の末端から、溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)を含む内相を、前記高分子の貧溶媒である溶媒(S2)を含む前記外相中に押し出す工程、及び、
前記内相中の溶媒(S1)を、外相中に拡散又は抽出させることにより、前記高分子からなる短繊維を形成する工程を含み、
前記内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることを特徴とする短繊維の製造方法に関する。
前記内相を外相中に押し出す工程の前に、
前記溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)に、前記溶媒(S1)と非混和な溶媒(S3)を混合して、前記溶媒(S3)中に前記溶液(A)がセグメントに分割されているセグメント状内相を形成する工程を有し、
前記セグメント状内相を外相中に押し出すことにより、内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることが好ましい。
前記内相を外相中に押し出す工程の前に、
前記溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)に、前記溶媒(S1)と非混和な溶媒(S3)を混合して、前記溶媒(S3)中に前記溶液(A)が分散しているエマルション状内相を形成する工程を有し、
前記エマルション状内相を外相中に押し出すことにより、内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることが好ましい。
前記内相を外相中に押し出す工程の前に、
前記溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)を含む内相に振動を加える工程を有し、
前記振動により、内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることが好ましい。
また、本発明は、前記製造方法により製造された短繊維であって、
アスペクト比が20~150の範囲であることを特徴とする短繊維に関する。
前記短繊維の平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が60%以下であることが好ましい。
前記繊維末端部が、先端まで径が小さくなる先細り形状を有することが好ましい。
本発明の短繊維の製造方法では、二重管型マイクロノズル装置を用いて、内相中に含まれる溶液(A)を外相中に脈動的に押し出すことで、極めて短時間(ミリ秒以下)で良溶媒を除去して、希薄高分子溶液から、直接かつ連続的に短繊維を製造することができるものである。本発明の製造方法は、従来の技術と比較して、非常に簡略な工程で短繊維を製造することができるものであり、エネルギー消費も小さいプロセスである。また、溶媒系を選定することによって、様々な高分子の短繊維を得ることができるものである。
さらに、本発明の製造方法においては、外相の流量によって、短繊維のアスペクト比も調節できるものであり、本発明の製造方法により得られた短繊維は、アスペクト比が20~150の範囲である。また、短繊維の平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が60%以下であることが好ましく、繊維の先端が先細りした形状になっていることが好ましい。このような形状となることで、フィラーとして樹脂等との接着性や分散性を高める効果や乾燥させた状態での質感に効果があることが期待される。
(a)本発明の製造方法において使用する二重管型マイクロノズル装置の模式図である。(b)二重管型マイクロノズル装置の内部構造(延伸部(オリフィス部)周辺)を表す模式図である。 (a)本発明の製造方法において使用する二重管型マイクロノズル装置の模式図である。(b)二重管型マイクロノズル装置の内部構造(延伸部(オリフィス部)周辺)を表す模式図である。 (a)本発明の製造方法において使用する二重管型マイクロノズル装置の模式図である。(b)二重管型マイクロノズル装置の内部構造(延伸部(オリフィス部)周辺)を表す模式図である。(c)内相チューブに振動を与えた際の内相の脈動流を示す図である。 実施例1~17で得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)短繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例18~20で得られたポリスチレン(PS)短繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例25~29で得られたポリカーボネート(PC)短繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例30~31で得られたポリスチレン(PS)短繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例20で得られたポリスチレン(PS)短繊維の先端を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例32~37で得られたポリカーボネート(PC)短繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例38、40~43で得られたポリカーボネート(PC)短繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例44、45で得られたポリ乳酸(PLLA)短繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
1.短繊維の製造方法
本発明の短繊維の製造方法は、内管の末端より押し出した内相の周囲に外相を合流させる合流部と、前記合流で生成した二重円環流を中心方向へ微細化する延伸部とを有する二重管型マイクロノズル装置を用いた短繊維の製造方法であって、
前記内管の末端から、溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)を含む内相を、前記高分子の貧溶媒である溶媒(S2)を含む前記外相中に押し出す工程、及び、
前記内相中の溶媒(S1)を、外相中に拡散又は抽出させることにより、前記高分子からなる短繊維を形成する工程を含み、
前記内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることを特徴とする。
本発明においては、短繊維を形成する高分子を含む溶液(A)が「脈動的」に外相中に押し出されることにより、短繊維を連続的に製造することができるものである。ここで、溶液(A)を「脈動的」に押し出すとは、溶液(A)を周期的にオリフィス部(延伸部)へ送り込むことをいう。
溶液(A)を「脈動的」に押し出す方法としては、例えば、図1(b)に示すように、溶液(A)に、溶液(A)に含まれる溶媒(S1)と非混和な溶媒(S3)を混合し、溶媒(S3)中に溶液(A)がセグメントに分割されているセグメント状内相を形成して(即ち、溶液(A)が分散相、溶媒(S3)が連続相となる)、当該セグメント状内相を合流部9にて外相の溶媒2で覆われてオリフィス部(延伸部)10に押し出されることにより、周期的に送り込まれた溶液(A)と溶媒(S3)の各セグメントにより周期的流れ(脈動流)を形成する方法が挙げられる。以下、この方法を「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」ということもある。
また、溶液(A)を「脈動的」に押し出す別の方法としては、例えば、図2(b)に示すように、界面活性剤等の分散安定剤を含む溶媒(S3)と溶液(A)を混合し、溶媒(S3)中に溶液(A)が分散しているエマルション状内相を形成して(即ち、溶液(A)が分散相、溶媒(S3)が連続相となる)、当該エマルション状内相を合流部9にて外相の溶媒2で覆われてオリフィス部(延伸部)10に押し出されることにより、溶媒(S3)に分散している溶液(A)が周期的流れ(脈動流)を形成する方法が挙げられる。以下、この方法を「エマルション状内相により脈動流を形成する方法」ということもある。
さらに、溶液(A)を「脈動的」に押し出す別の方法としては、例えば、図3に示すように、溶液(A)を含む内相に振動を加えることにより、周期的に流量が変動する溶液(A)の流れ(脈動流)を形成する方法も挙げられる。以下、この方法を「振動により脈動流を形成する方法」ということもある。
以下、前述の「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」、「エマルション状内相により脈動流を形成する方法」、「振動により脈動流を形成する方法」のそれぞれについて、詳細に説明する。
1-1.セグメント状内相により脈動流を形成する方法
この方法において用いられる二重管型マイクロノズル装置は、例えば、特許文献3に記載の発明で用いられている二重管型マイクロノズル装置と基本的な構造が共通するものである。本方法で使用する二重管型マイクロノズル装置の基本的な構造の一例を図1(a)に模式的に示す。図1(b)は、二重管型マイクロノズル装置の内部構造(延伸部(オリフィス部)周辺)を表す模式図である。
本発明で使用する二重管型マイクロノズル装置1では、内管6(内相を流すためのマイクロ流路)及び外管7(外相を流すためのマイクロ流路)からなる二重管マイクロ流路を備えており、特に本発明においては、内管が分岐している分岐内管8を有している。溶媒
(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)を内相シリンジ4に充填し、前記溶媒
(S1)と非混和な溶媒(S3)を内相シリンジ2に充填し、溶媒(S2)を含む外相は、外相シリンジ3に充填する。前記内相シリンジ4は内管6に、前記内相シリンジ2は分岐内管8に、外相シリンジ3は外管7につながっており、溶液(A)、溶媒(S3)、外相は、各シリンジにより、それぞれ所望の流量で内管6、分岐内管8、外管7に送液される。
図1(b)に示すように、前記内管6から導入される溶液(A)と分岐内管8から導入される溶媒(S3)は、内相と外相の合流部9より上流で交互流(スラグ流)が形成され、溶媒(S3)で溶液(A)が短いセグメントに分割されているセグメント状内相を形成する。内管6(吐出口)は外管7の中心部にノズル状(あるいは孔)で配置されており、それぞれセグメント状内相及び外相が押し出される(吐出される)。内管6から押し出されたセグメント状内相と、外管7から押し出された外相は、合流部9において合流して、合流で生成した内相と外相からなる二重円環流(即ち、中心となる内相の流れの周囲に外相の流れを形成した複合流)は、図1(b)に示すように、延伸部10(オリフィス部)で中心方向に絞られて延伸される。本発明においては、前記溶液(A)を溶媒(S3)に押し出すことにより、周期的な溶液(A)の流れ(脈動流)が形成され、外相の溶媒(S2)と合流して延伸部10(オリフィス部)に流し込まれた結果、高分子を含む溶液から直接かつ連続的に短繊維が得られるものである。
前記内管6、外管7の形状は特に限定されるものではなく、製造しようとする短繊維の繊維径等に応じて適宜設定することができ、例えば、円形、楕円形、矩形等、様々な形状を取り得る。一つの実施形態としては、内管6の吐出口が円形であり、外管7の吐出口は、内管を取り囲むような円形であり、内管6及び外管7は吐出部において円形の入れ籠状(同心円状)を挙げることができる。また、この場合の内管径、外管径は、製造しようとする短繊維の繊維径等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、例えば、内管径は100μm~500μm程度、分岐内管径は100μm~500μm程度、外管径は500μm~1000μm程度とすることができる。
また、延伸部の径、延伸部の長さについても、製造しようとする短繊維の繊維径等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、例えば、延伸部の径は100μm~500μm程度、延伸部の長さは300μm~3000μm程度とすることができる。
<内相>
内相は、溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)を含む。前記高分子は短繊維を形成するものであり、その材料は特に限定されるものではなく、溶媒中に溶解又は分散することができるものであれば制限なく使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリ乳酸;ポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG-PLA)共重合体;ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリスチレン等のビニル樹脂、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミドやその前駆体、ポリアミド、ポリぺプチド、セルロース、ヒアルロン酸等の多糖類、セルロースナノファイバー(CNF)、カーボンナノチューブ(CNT)等を挙げることができる。これらを1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレン、ポリカーボネートが、溶媒(S1)及び溶媒(S2)の組み合わせとして選択できる溶媒の種類が多い観点から好ましい。
前記高分子を溶解又は分散させる溶媒(S1)としては、特に限定されるものではなく、上記の高分子を溶解又は分散できるもの(即ち前記高分子の良溶媒)であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル(環状エーテルを含む);アセトン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン(環状ケトンを含む);1-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エタノール、メタノール等のアルコール;クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサフルオロ-2-プロパノール等のハロゲン含有溶媒;炭酸エステル、有機酸、その他の有機溶媒(ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等);水;イオン液体;超臨界流体等を挙げることができる。これらの溶媒は、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で使用する溶液(A)の濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、1~50重量%程度であることが好ましく、1~30重量%程度であることがより好ましく、5~20重量%程度であることがさらに好ましい。溶液(A)の濃度が前記範囲にあることで、溶液(A)に溶解又は分散した溶質(高分子)の繊維が得られやすく、また溶液(A)の粘度を適度に保つことができることから作業性の観点からも好ましい。
本発明で使用する溶液(A)には、必要に応じて、前記高分子と溶媒(S1)以外の添加剤を添加することができる。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、塩類、金属化合物、薬物等の生理活性物質、ナノ粒子、カプセル、触媒、モノマー等を挙げることができる。また、前記添加剤の添加量は特に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
前記溶液(A)は、高分子と溶媒(S1)(必要に応じて、上記添加剤)を、本発明の製造方法に供する前に常法に従って混合して調製することができる。
セグメント状内相により脈動流を形成する方法においては、前記溶液(A)と溶媒(S3)を混合して、溶媒(S3)中に溶液(A)がセグメントに分割されているセグメント状内相を形成するものである。この際に使用される溶媒(S3)は、溶液(A)に含まれる溶媒(S1)と非混和なものであればよく、特に限定されない。具体的には、溶媒(S3)としては、前記溶媒(S1)と同様のものを挙げることができ、溶液(A)に使用する溶媒(S1)との関係で適宜選択することができるものである。
<外相>
本発明においては、内相に含まれる溶媒(S1)を、外相中に拡散又は抽出させることにより、過飽和濃度に達した高分子が析出し、前記高分子からなる短繊維を形成することができるものである。また、内相に含まれる溶媒(S3)についても、外相中に拡散又は抽出させることが好ましい。外相中の溶媒(S2)は、高分子の貧溶媒であり、高分子の種類、溶媒(S1)や溶媒(S3)の種類に応じて適宜選択して用いることができる。代表的な外相の溶媒(S2)としては、水(純水)や有機溶媒が挙げられ、さらに具体的には、前記溶媒(S1)と同様のものを挙げることができる。さらに、溶媒(S2)は、非混和な2種の溶媒(溶媒(S1)、(S3))をいずれも拡散又は抽出できることが好ましいものであって、このような溶媒として、アルコール(1-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エタノール、メタノール等)を好適に用いることができる。溶媒(S2)は、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
また、外相には、必要に応じて、界面活性剤等の添加剤が添加されていてもよい。前記添加剤の添加量は特に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
前記高分子、溶媒(S1)~(S3)の組合せの一例を下記表に示す。ただし、本発明は、以下の組合せに限定されるものではなく、当業者であれば、表に示した以外の組み合わせも十分に理解し、実施することができるものである。
本発明においては、セグメント状内相を形成するために、溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)と溶媒(S3)を混合する。溶液(A)の流量は、特に限定されないが、1~100μL/分であることが好ましく、1~50μL/分であることがより好ましい。また、溶媒(S3)の流量は、特に限定されないが、1~500μL/分であることが好ましく、1~150μL/分であることがより好ましい。また、溶液(A)と溶媒(S3)の流量比(溶液(A)/溶媒(S3))は、特に限定されないが、1/10~2/1程度であることが好ましく、1/5~1/1程度であることがより好ましい。このような流量比で溶液(A)と溶媒(S3)を混合することで、前記溶媒(S3)中に溶液(A)がセグメントに分割されているセグメント状内相を良好に形成することができるため好ましい。
外相流量は、特に限定されるものではないが、100~50000μL/分程度であることが好ましく、1000~20000μL/分であることがより好ましく、3000~15000μL/分であることがさらに好ましい。外相流量を内相の流量と比較して大きな流量にすることで、溶媒(S1)を容易に溶媒(S2)中に拡散又は抽出することができるため好ましい。
また、内相と外相の流量比(内相/外相)は、特に限定されないが、1/10~1/1000程度であることが好ましく、1/20~1/400程度であることが好ましい。内相と外相の流量比(内相/外相)が前記範囲であることで二重管型マイクロノズル装置からの脈動流の吐出が安定するため好ましい。ここで内相の流量は、溶液(A)の流量と溶媒(S3)の流量の合計値である。
本発明においては、前記セグメント状内相を外相中に押し出す工程の後、流路構造と外相によって変形した前記溶液(A)中の溶媒(S1)を、外相中に拡散又は抽出させることにより、前記高分子からなる短繊維を形成する工程を含む。前記拡散又は抽出は、溶媒
(S1)の種類を考慮して溶媒(S2)を選択することで行うことができる。
流路構造と外相によって変形した前記溶液(A)中の溶媒(S1)を、外相中に拡散又は抽出して、分散液から溶媒を除くことで、短繊維を得ることができる。短繊維に残存する溶媒を除去する方法としては、通常用いる方法により除去することができ、具体的には、例えば、洗浄、遠心分離、透析、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、加熱乾燥等を挙げることができる。溶媒除去後に洗浄を行った場合は、さらに、洗浄に使用した溶媒を除去することで短繊維を得ることができる。また、短繊維の用途によっては、得られた短繊維を含む分散液5をそのまま利用することもできる。
1-2.エマルション状内相により脈動流を形成する方法
この方法は、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」において、セグメント状内相をエマルション状内相にするものである。
この方法において用いられる二重管型マイクロノズル装置については、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」で挙げたものと同様のものを使用することができる。但し、この方法で使用する二重管型マイクロノズル装置は、図2(b)に示すように、内管6(内相を流すためのマイクロ流路)及び外管7(外相を流すためのマイクロ流路)からなる二重管マイクロ流路を備えていればよく、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」において必要とされた分岐内管8を有している必要はない。
溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)と、界面活性剤等の分散安定剤を含む溶媒(S3)を混合してエマルションを予め形成し、内相シリンジ4に充填し、溶媒(S2)を含む外相は、外相シリンジ3に充填する。前記内相シリンジ4は内管6に、外相シリンジ3は外管7につながっており、エマルション状内相及び外相は、各シリンジにより、それぞれ所望の流量で内管6、外管7に送液される。
内管6(吐出口)は外管7の中心部にノズル状(あるいは孔)で配置されており、それぞれセグメント状内相及び外相が押し出される(吐出される)。内管6から押し出されたエマルション状内相と、外管7から押し出された外相は、合流部9において合流して、合流で生成した内相と外相からなる二重円環流(即ち、中心となる内相の流れの周囲に外相の流れを形成した複合流)は、図2(b)に示すように、延伸部10(オリフィス部)で中心方向に絞られて延伸される。本発明においては、前記溶液(A)と溶媒(S3)からなるエマルションとすることにより、周期的な溶液(A)の流れ(脈動流)が形成され、外相の溶媒(S2)と合流して延伸部10(オリフィス部)に流し込まれた結果、エマルション状内相の連続相にあたる溶媒(S3)は外相の溶媒(S2)と完全混和して、周期的な高分子を含む溶液(A)から直接かつ連続的に短繊維が得られるものである。
前記内管6、外管7の形状、延伸部の径、延伸部の長さは、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」と同じ形状、同じ範囲を挙げることができる。
<内相>
内相中の溶液(A)としては、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」と同じものを挙げることができる。溶液(A)の濃度、溶液(A)に添加できる添加剤も前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」と同じものを挙げることができる。
エマルション状内相により脈動流を形成する方法においては、前記溶液(A)と、界面活性剤等の分散安定剤を含む溶媒(S3)を混合して、溶媒(S3)中に溶液(A)が分散したエマルション状内相を形成するものである。この際に使用される溶媒(S3)としては、例えば、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」で挙げた溶媒(S3)を挙げることができる。
前記分散安定剤としては、エマルションを形成できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、カルボキシセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシセルロース等のセルロース類、ゼラチン等の水溶性ポリマー;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム等の無機粉体;アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等の各種界面活性剤等を挙げることができる。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類、オクチルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルアンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル塩類、アセチルアルコール硫酸エステルナトリウム等の脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、ラウリル燐酸ナトリウム、ステアリル燐酸ナトリウム等のアルキル燐酸エステル塩類、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリルエーテル硫酸アンモニウムのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェニルエーテル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ラウリルエーテル燐酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテル燐酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニルフェニルエーテル燐酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェニルエーテル燐酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類等を挙げることができる。
前記カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラノリン誘導第4級アンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩類、ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピリジニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩類、2-ステアリル-ヒドロキシエチル-2-イミダゾリン誘導体等のイミダゾリニウム塩類、N,N-ジエチル-ステアロアミド-メチルアミン塩酸塩、ポリオキシエチレンステアリルアミン等のアミン塩類等を挙げることができる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールベヘニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールデシルテトラデシルエーテル等のポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル類、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル類、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリルのポリエチレンオキサイド付加物、モノオレイン酸グリセリルのポリエチレンオキサイド付加物等のグリセリン脂肪酸エステルのポリエチレンオキサイド付加物類、モノパルミチン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、モノステアリン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、トリステアリン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、モノオレイン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、トリオレイン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物等のソルビタン脂肪酸エステルのポリエチレンオキサイド付加物類、モノラウリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、テトラステアリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、ヘキサステアリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、テトラオレイン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物等のソルビット脂肪酸エステルのポリエチレンオキサイド付加物類、ヒマシ油のポリエチレンオキサイド付加物類等を挙げることができる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシルメチル)-2-イミダゾリンナトリウム等のイミダゾリン系両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、スルホベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等を挙げることができる。
前記高分子界面活性剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレート等のポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記分散安定剤は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記分散安定剤の添加量は、特に限定されるものではなく、エマルションを形成できる量であればよいが、例えば、溶媒(S3)において、0.001~10重量%の濃度になるように調整することが好ましく、0.01~5重量%がより好ましく、0.1~3重量%がさらに好ましい。分散安定剤の添加量を前記範囲にすることで、安定なエマルションが形成されるため好ましい。
エマルションの平均粒子径は、精乳化における条件や組成の変更により適宜変更することができる。エマルションの平均粒子径としては、特に限定されないが、例えば、30~100000nm程度を挙げることができる。
エマルション状内相の形成方法としては、慣用されている方法を適宜用いることができる。例えば、高圧ホモジナイザー法、高速攪拌法、超音波乳化法、膜乳化法、マイクロ流路分岐乳化法等が挙げられる。
<外相>
本発明においては、エマルション状の内相を、外相中に拡散又は抽出させることにより、高分子からなる短繊維を形成することができるものである。また、内相に含まれる溶媒(S3)についても、外相中に拡散又は溶解させることが好ましい。外相中の溶媒(S2)は、高分子の貧溶媒であり、高分子の種類、溶媒(S1)や溶媒(S3)の種類に応じて適宜選択して用いることができる。代表的な外相の溶媒(S2)としては、例えば、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」で挙げた溶媒(S2)を挙げることができる。
また、外相には、必要に応じて、界面活性剤等の添加剤が添加されていてもよい。前記添加剤の添加量は特に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
前記高分子、溶媒(S1)、(S2)、(S3)、分散安定剤の組合せの一例を下記表に示す。ただし、本発明は、以下の組合せに限定されるものではなく、当業者であれば、表に示した以外の組み合わせも十分に理解し、実施することができるものである。
外相流量は、特に限定されるものではないが、100~50000μL/分程度であることが好ましく、1000~20000μL/分であることがより好ましく、3000~18000μL/分であることがさらに好ましく、5000~15000μL/分であることが特に好ましい。外相流量を内相の流量と比較して大きな流量にすることで、溶媒(S1)を容易に溶媒(S2)中に拡散又は抽出することができるため好ましい。
また、内相と外相の流量比(内相/外相)は、特に限定されないが、1/5~1/1500程度であることが好ましく、1/100~1/1000程度であることが好ましい。内相と外相の流量比(内相/外相)が前記範囲であることで二重管型マイクロノズル装置からの脈動流の吐出が安定するため好ましい。
本発明においては、前記セグメント状内相を外相中に押し出す工程の後、流路構造と外相によって変形した前記溶液(A)中の溶媒(S1)を、外相中に拡散又は抽出させることにより、前記高分子からなる短繊維を形成する工程を含む。前記拡散又は抽出は、溶媒(S1)の種類を考慮して溶媒(S2)を選択することで行うことができる。
流路構造と外相によって変形した前記溶液(A)中の溶媒(S1)を、外相中に拡散又は抽出して、分散液から溶媒を除くことで、短繊維を得ることができる。短繊維に残存する溶媒を除去する方法としては、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」で挙げた方法を挙げることができる。溶媒除去後に洗浄を行った場合は、さらに、洗浄に使用した溶媒を除去することで短繊維を得ることができる。また、短繊維の用途によっては、得られた短繊維を含む分散液5をそのまま利用することもできる。
1-3.振動により脈動流を形成する方法
この方法において用いられる二重管型マイクロノズル装置は、例えば、特許文献3に記載の発明で用いられている二重管型マイクロノズル装置と基本的な構造が共通するものである。本方法で使用する二重管型マイクロノズル装置の基本的な構造の例を図3(a)に模式的に示す。図3(b)は、二重管型マイクロノズル装置の内部構造(延伸部(オリフィス部)周辺)を表す模式図である。
本発明で使用する二重管型マイクロノズル装置1では、内管6(内相を流すためのマイクロ流路)及び外管7(外相を流すためのマイクロ流路)からなる二重管マイクロ流路を備えており、特に本発明においては、溶液(A)を供給するチューブに振動装置11を有する。溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)を内相シリンジ4に充填し、外相である溶媒(S2)を外相シリンジ3に充填する。前記内相シリンジ4は内管6に、前記外相シリンジ3は外管7につながっており、溶液(A)と外相は、各シリンジにより、それぞれ所望の流量で内管6、外管7に送液される。本発明においては、溶液(A)を供給するチューブに振動装置11を設置して振動を与えることで、内管6内の溶液(A)は脈動流を形成する。内管6及び外管7の一端(吐出口)はノズル状(マイクロノズル)になっており、それぞれ内相及び外相が押し出される(吐出される)。内管6から脈動的に押し出された内相と、外管7から押し出された外相は、合流部9において合流して、合流で生成した内相と外相からなる二重円環流は、延伸部10(オリフィス部)で中心方向に絞られて延伸される。本発明においては、このように内相に振動を与えることで、延伸部10(オリフィス部)への内相の流入量が周期的に変動して、脈動流を形成する(図3(c))。
振動装置11により付与する振動は、特に限定されるものではないが、例えば、10~10000Hz程度であることが好ましく、50~1000Hz程度であることがより好ましい。前記範囲内の振動数とすることで、安定した脈動流が形成できるため好ましい。
二重管型マイクロノズル装置の内管、外管の形状やそれらの径、延伸部の径、延伸部の長さや、使用する高分子、溶媒(S1)、溶媒(S2)等については、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」と同様のものを挙げることができる。
振動により脈動流を形成する方法において、高分子、溶媒(S1)、(S2)の組合せの一例を下記表に示す。ただし、本発明は、以下の組合せに限定されるものではなく、当業者であれば、表に示した以外の組み合わせも十分に理解し、実施することができるものである。
また、溶液(A)の濃度、溶液(A)に添加できる添加剤及びその量、外相に添加できる添加剤及びその量、溶液(A)や外相の流量、内相と外相の流量比(内相/外相)、内相を外相に押し出す工程の後の工程については、前記「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」と同様のものを挙げることができる。
2.短繊維
本発明の短繊維は、前述の製造方法により得られ、アスペクト比が20~150の範囲であることを特徴とする。
短繊維のアスペクト比は、20~150の範囲であり、40~100の範囲であることが好ましく、50~80の範囲であることがより好ましい。アスペクト比が前記範囲となることで、樹脂との混合時に繊維状フィラーによる強度等の樹脂の物性値を向上させることができるため好ましい。ここで、アスペクト比は、短繊維の平均繊維長(μm)を短繊維の平均繊維径(μm)で除した値であり、平均アスペクト比ということもある。前述の通り、本発明に製造方法によれば、外相の流量を調整することによりアスペクト比が制御できるものである。また、前記「エマルション状内相により脈動流を形成する方法」で得られた短繊維のアスペクト比は、20~560の範囲と、非常に幅広い範囲で調製することができる。
本発明の短繊維の平均繊維径は、特に限定されるものではなく、例えば、0.1~100μmであることが好ましく、1~20μmであることがより好ましい。ここで、平均繊維径は、得られた短繊維の複数箇所の繊維径(繊維の断面を円とみなしたときの直径)の平均値であって、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、十分な数(例えば50箇所)の繊維径を測定することにより算出することができる。また、前記「エマルション状内相により脈動流を形成する方法」では、より小さい平均繊維径の短繊維を得ることができるものであり、その平均繊維径は、例えば、0.03~5μm程度にすることができる。
本発明の短繊維の平均繊維長は、特に限定されるものではなく、通常短繊維と呼ばれる程度の平均繊維長を有するものであればよいが、例えば、50~1500μmであることが好ましく、100~1000μmであることがより好ましい。ここで、平均繊維長は、本発明の製造方法で得られた複数の短繊維の繊維長の平均値であって、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、十分な数(例えば、20本の短繊維)の繊維長を測定することにより算出することができる。本発明の製造方法において、例えば、「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」のセグメント状内相における溶液(A)セグメント(即ち分散相)の体積(長さ)を変更したり、「振動により脈動流を形成する方法」の振動の周波数や振幅を変更することで、短繊維の平均繊維長の制御をすることができる。また、前記「エマルション状内相により脈動流を形成する方法」では、より広範囲の平均繊維長を有する短繊維を形成することができるものであり、例えば、50~2000μm程度にすることができる。
本発明の短繊維は、平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることがさらに好ましく、15%以下であることが特に好ましい。また、下限値は特に限定されないが、通常1%以上である。一般的な短繊維の製造方法では、長繊維を機械的に切断するため、繊維の先端断面径は、繊維の平均繊維径とほぼ同等であり、短繊維の平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が約90~100%程度である。そのような機械的に切断して得られた短繊維と比較して、短繊維の平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が60%以下である短繊維は、短繊維同士が縺れ難くなり、非常に有用である。ここで、繊維末端部とは、繊維の末端から平均繊維径の1000%以下の位置のことをさす。
本発明の短繊維の繊維末端部は、図8中の点線で囲んだ部分に示すように、繊維端部が角ばっておらず、先端まで径が小さくなる先細り形状を有することが好ましい。
本発明の短繊維は、本発明の製造方法により得られるものであるが、前述の先細り形状を有する短繊維は、本発明の製造方法の中でも、特に「セグメント状内相により脈動流を形成する方法」や「エマルション状内相により脈動流を形成する方法」により製造することができる。
本発明の短繊維の用途は、特に限定されるものではなく、様々な目的のために本発明の短繊維を利用することができる。例えば、長繊維の樹脂では困難であった短繊維ならではの樹脂への均一混合によって、高強度化(繊維強化樹脂)や帯電防止機能付与など樹脂全体及び樹脂表面の改質剤(ナノフィラー)として用いることができる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の%は特記ない限りいずれも重量基準である。
<平均繊維径の測定方法>
走査型電子顕微鏡(SEM)により、50箇所の繊維径を測定することにより算出した。
<平均繊維長の測定方法>
走査型電子顕微鏡(SEM)により、画角に収まっている20本の短繊維の繊維長を測定することにより算出した。
<繊維末端部の断面径の測定方法>
走査型電子顕微鏡(SEM)により、繊維の末端から平均繊維径の1000%以下の位置で測定可能な最小径を繊維末端部の断面径とした。
実施例1(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)短繊維)
溶液(A)として、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの20重量%水溶液を調製した。調整した溶液(A)を、室温(25℃)に置かれた、図1に示す二重管型マイクロノズル装置(内管径130μm、外管径800μm、延伸部(オリフィス部)の管径200μm)の内相シリンジ4に充填し、3μL/分の流量で押し出し、前記内相シリンジ2に、溶媒(S3)としてヘキサンを充填し、7μL/分の流量で押し出し、合流部9の上流において、ヘキサン(連続相)中に前記溶液(A)が分散相として存在するセグメント状内相を形成した。また、外相の溶媒(S2)として2-プロパノールを外相シリンジ3に充填し、7,000μL/分の流量で押し出し、外管吐出口から吐出し、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムからなる短繊維を含む分散液が得られた。
得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウムからなる短繊維を含む分散液を、2-プロパノール中に回収して、2-プロパノールで3回洗浄した後、一晩凍結乾燥してポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)短繊維が得られた。
得られた短繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。得られたSEM写真より、短繊維の平均繊維長は398μmであり、平均アスペクト比は66であり、短繊維の平均繊維径は6.0μmであり、繊維末端部の断面径は3.9μmであり、前記平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が65%であった。
実施例2~17
内相のPSSNa水溶液、ヘキサン、外相の2-プロパノールの流量を表4に示す流量に変更した以外は実施例1と同様の方法により短繊維を形成した。
実施例18(ポリスチレン(PS)短繊維)
溶液(A)として、ポリスチレンをクロロホルムに溶解した溶液(濃度:10重量%)を調製した。調整した溶液(A)を、室温(25℃)に置かれた、図1に示す二重管型マイクロノズル装置(内管径130μm、外管径800μm、延伸部(オリフィス部)の管径200μm)の内相シリンジ4に充填し、15μL/分の流量で押し出し、溶媒(S3)としての純水を内相シリンジ2に充填し、15μL/分の流量で押し出し、合流部9の上流において、純水(連続相)中に前記溶液
(A)が分散相として存在するセグメント状内相を形成した。また、外相の溶媒(S2)としてエタノールを外相シリンジ3に充填し、6,000μL/分の流量で押し出し、外管吐出口から吐出して、ポリスチレンからなる短繊維を含む分散液が得られた。
得られたポリスチレンからなる短繊維を含む分散液から、短繊維をエタノール中に回収し、エタノールで3回洗浄した後、純水で3回洗浄し、一晩凍結乾燥してポリスチレン(PS)短繊維が得られた。
得られた短繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。得られたSEM写真より、短繊維の平均繊維長は529μmであり、平均アスペクト比は52.4であり、短繊維の平均繊維径は10.1μmであり、繊維末端部の断面径は6.07μmであり、前記平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が60%であった。
実施例19~24
内相のPS/クロロホルム溶液、純水、外相のエタノールの流量を表5に示す流量に変更した以外は実施例18と同様の方法により短繊維を形成した。
実施例25(ポリカーボネート(PC)短繊維)
溶液(A)として、ポリカーボネートをクロロホルムに溶解した溶液(濃度:10重量%)を調製した。調整した溶液(A)を、室温(25℃)に置かれた、図1に示す二重管型マイクロノズル装置(内管径130μm、外管径800μm、延伸部(オリフィス部)の管径200μm)の内相シリンジ4に充填し、30μL/分の流量で押し出し、溶媒(S3)として純水を内相シリンジ2に充填し、30μL/分の流量で押し出し、合流部9の上流において、純水(連続相)中に前記溶液(A)が分散相として存在するセグメント状内相を形成した。また、外相の溶媒(S2)としてエタノールを外相シリンジ3に充填し、8,000μL/分の流量で押し出し、外管吐出口から吐出して、ポリカーボネートからなる短繊維を含む分散液が得られた。
得られたポリカーボネートからなる短繊維を含む分散液から、短繊維をエタノール中に回収し、エタノールで3回洗浄した後、純水で3回洗浄し、一晩凍結乾燥してポリカーボネート短繊維が得られた。
得られた短繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。得られたSEM写真より、短繊維の平均繊維径は8.35μmであり、繊維末端部の断面径は4.6μmであり、前記平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が55%であった。
実施例26~29
内相のPC/クロロホルム溶液、純水、外相のエタノールの流量を表6に示す流量に変更した以外は実施例25と同様の方法により短繊維を形成した。
実施例25~29で得られた短繊維の平均繊維長は、50~1500μm程度であった。
実施例30(ポリスチレン(PS)短繊維)
溶液(A)として、ポリスチレンをクロロホルムに溶解した溶液(濃度:10重量%)を調製した。調整した溶液(A)を、室温(25℃)に置かれた、図2に示す二重管型マイクロノズル装置(内管径130μm、外管径800μm、延伸部(オリフィス部)の管径200μm)の内相シリンジ4に充填し、30μL/分の流量で押し出した。内相を供給するチューブに振動装置を設置して50Hzの振動を与え、内相に脈動流を形成した。また、外相の溶媒(S2)としてエタノールを外相シリンジ3に充填し、6,000μL/分の流量で押し出し、外管吐出口から吐出して、ポリスチレンからなる短繊維を含む分散液が得られた。
得られたポリスチレンからなる短繊維を含む分散液から、短繊維をエタノール中に回収し、エタノールで3回洗浄した後、純水で3回洗浄し、一晩凍結乾燥してポリスチレン(PS)短繊維が得られた。
得られた短繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。得られたSEM写真より、短繊維の平均繊維長は453μmであり、平均アスペクト比は61であり、短繊維の平均繊維径は7.46μmであり、繊維末端部の断面径は7.32μmであり、前記平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が98%であった。
実施例31
振動数を100Hzにした以外は、実施例30と同様の方法により短繊維を形成した。
実施例32(ポリカーボネート(PC)短繊維)
溶液(A)として、ポリカーボネートの8重量%クロロホルム溶液を調製した。調整した溶液(A)を、2重量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液と混合し、ホモジナイザーを使用して、2,000rpm、10分間攪拌して、エマルション状内相を作製した。図2に示す二重管型マイクロノズル装置(内管径130μm、外管径800μm、延伸部(オリフィス部)の管径200μm)の内相シリンジ4に、製造したエマルション状内相を充填し、15μL/分の流量で押し出した。また、外相の溶媒(S2)としてエタノールを外相シリンジ3に充填し、6,000μL/分の流量で押し出し、外管吐出口から吐出し、ポリカーボネートからなる短繊維を含む分散液が得られた。
得られたポリカーボネートからなる短繊維を含む分散液を、エタノール中に回収して、エタノールで3回、純水で3回洗浄した後、一晩凍結乾燥してポリカーボネート(PC)短繊維が得られた。
得られた短繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。得られたSEM写真より、短繊維の平均繊維長は約358μmであり、平均アスペクト比は137であり、短繊維の平均繊維径は約2.61μmであった。
実施例33~43
内相のPCエマルション状溶液、外相のエタノールの流量を表8に示す流量に変更した以外は実施例32と同様の方法により短繊維を形成した。
実施例44(ポリ乳酸(PLLA)短繊維)
溶液(A)として、ポリ乳酸の6重量%クロロホルム溶液を調製した。調整した溶液(A)を、2重量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液と混合し、ホモジナイザーを使用して、3,000rpm、10分間攪拌して、エマルション状内相を作製した。図2に示す二重管型マイクロノズル装置(内管径130μm、外管径800μm、延伸部(オリフィス部)の管径200μm)の内相シリンジ4に、製造したエマルション状内相を充填し、30μL/分の流量で押し出した。また、外相の溶媒(S2)としてエタノールを外相シリンジ3に充填し、6,000μL/分の流量で押し出し、外管吐出口から吐出し、ポリ乳酸からなる短繊維を含む分散液が得られた。
得られたポリ乳酸からなる短繊維を含む分散液を、エタノール中に回収して、エタノールで3回、純水で3回洗浄した後、一晩凍結乾燥してポリ乳酸(PLLA)短繊維が得られた。
得られた短繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。得られたSEM写真より、短繊維の平均繊維長は約358μmであり、平均アスペクト比は1085であり、短繊維の平均繊維径は約0.33μmであった。
実施例45
内相のPLLAエマルション状溶液、外相のエタノールの流量を表9に示す流量に変更した以外は実施例44と同様の方法により短繊維を形成した。
本発明の製造方法により、高分子を含む溶液から、直接的かつ連続的に短繊維が得られた。また、表4から明らかなように、外相の流量の増加に伴って、短繊維のアスペクト比が増加する傾向があり、外相の流量を調整することにより短繊維のアスペクト比が制御できることが分かった。
本発明の製造方法の中でも、特に、「エマルション状内相により脈動流を形成する方法」においては、外相の流量を増加させることで、繊維形状のみが得られることが分かった。また、図9~10から明らかなように、ポリカーボネートに関しては外相の流量を増加させることで、より細く高アスペクト比の短繊維が得られることが分かった。一方、図11からポリ乳酸に関してはポリカーボネートよりも細く高アスペクト比の短繊維が得られることが分かった。
1 二重管型マイクロノズル装置
2 内相シリンジ(溶媒(S3))
3 外相シリンジ(溶媒(S2)を含む外相)
4 内相シリンジ(溶液(A))
5 短繊維を含む分散液
6 内管
7 外管
8 分岐内管
9 合流部(内管末端)
10 延伸部(オリフィス部)
11 振動装置

Claims (7)

  1. 内管の末端より押し出した内相の周囲に外相を合流させる合流部と、前記合流で生成した二重円環流を中心方向へ微細化する延伸部とを有する二重管型マイクロノズル装置を用いた短繊維の製造方法であって、
    前記内管の末端から、溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)を含む内相を、前記高分子の貧溶媒である溶媒(S2)を含む前記外相中に押し出す工程、及び、
    前記内相中の溶媒(S1)を、外相中に拡散又は抽出させることにより、前記高分子からなる短繊維を形成する工程を含み、
    前記内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることを特徴とする短繊維の製造方法。
  2. 前記内相を外相中に押し出す工程の前に、
    前記溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)に、前記溶媒(S1)と非混和な溶媒(S3)を混合して、前記溶媒(S3)中に前記溶液(A)がセグメントに分割されているセグメント状内相を形成する工程を有し、
    前記セグメント状内相を外相中に押し出すことにより、内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることを特徴とする請求項1に記載の短繊維の製造方法。
  3. 前記内相を外相中に押し出す工程の前に、
    前記溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)に、前記溶媒(S1)と非混和な溶媒(S3)を混合して、前記溶媒(S3)中に前記溶液(A)が分散しているエマルション状内相を形成する工程を有し、
    前記エマルション状内相を外相中に押し出すことにより、内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることを特徴とする請求項1に記載の短繊維の製造方法。
  4. 前記内相を外相中に押し出す工程の前に、
    前記溶媒(S1)中に高分子が溶解又は分散した溶液(A)を含む内相に振動を加える工程を有し、
    前記振動により、内相中に含まれる溶液(A)が、脈動的に外相中に押し出されることを特徴とする請求項1に記載の短繊維の製造方法。
  5. 請求項1~4に記載のいずれかの製造方法により製造された短繊維であって、
    アスペクト比が20~150の範囲であることを特徴とする短繊維。
  6. 前記短繊維の平均繊維径に対する繊維末端部の断面径が60%以下であることを特徴とする請求項5に記載の短繊維。
  7. 前記繊維末端部が、先端まで径が小さくなる先細り形状を有することを特徴とする請求項6に記載の短繊維。
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