JP2023173495A - 静電噴出装置 - Google Patents

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Ryo Kobayashi
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Abstract

【課題】紡糸性を向上させることができると共に、低電圧においても使用することが可能な静電噴出装置に関する。【解決手段】液体に電圧を印加して該液体を噴出させる静電噴出装置であって、液体に電圧を印加する電極と、液体を対象物に向けて噴出させる噴出孔を有するノズルとを備え、ノズルは、液体の噴出方向に向かって先細りとなるノズル本体と、ノズル本体の先端部から噴出方向側に向かって突出し、噴出孔を有する突出部とを備え、突出部の最大の外径は、突出部とノズル本体との接続部の外径以下であり、突出部の噴出孔側の外周端面は、R面状に形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、静電噴出装置に関する。
従来、静電気力によって液体を噴出する静電噴出装置が知られている。例えば特許文献1には、使用者の手で握ることができる寸法に作られたハウジングの内部に、モータ、高電圧発生器及び電池等を備え、高電圧発生器からの高電圧により静電チャージ(静電的に帯電)された液体組成物を、ノズルから対象物に向けて噴出する静電噴出装置が記載されている。
特開2020-195957号公報
しかしながら、特許文献1の静電噴霧装置は、高電圧で使用するものであるため、低電圧で使用した場合には、電場が弱まり、ノズルから噴出された液体が対象物に到達するまでの間に分散し、噴出範囲が広がってしまうおそれがあると共に、噴出量及び紡糸可能な範囲が制限されるおそれがある。このため、噴出される液体の広がりを抑制すると共に、紡糸性を向上させ、低電圧においても使用できる観点において、改善の余地がある。
本発明は、紡糸性を向上させることができると共に、低電圧においても使用することが可能な静電噴出装置に関する。
本発明は、液体に電圧を印加して該液体を噴出させる静電噴出装置であって、前記液体に電圧を印加する電極と、前記液体を対象物に向けて噴出させる噴出孔を有するノズルとを備え、前記ノズルは、液体の噴出方向に向かって先細りとなるノズル本体と、該ノズル本体の先端部から前記噴出方向側に向かって突出し、前記噴出孔を有する突出部とを備え、前記突出部の最大の外径は、前記突出部と前記ノズル本体との接続部の外径以下であり、前記突出部の前記噴出孔側の外周端面は、R面状に形成されている静電噴出装置に関する。
本発明に係る静電噴出装置によれば、紡糸性を向上させることができると共に、低電圧においても使用することができる。
本実施形態に係る静電噴出装置を示す斜視図である。 本実施形態に係るカートリッジが静電噴出本体から外された状態を示す分解斜視図である。 本実施形態に係るカートリッジの噴出部を示す断面図である。 本実施形態に係るノズルを概略的に示す断面図である。 本実施形態に係るノズルの突出部を示す拡大断面図である。 本実施形態に係る静電噴出装置のハウジング内の構成を示すブロック構成図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面は、本発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
まず、本実施形態に係る静電噴出装置10について、図1~図6を用いて説明する。本実施形態に係る静電噴出装置10は、液体に電圧を印加して該液体を噴出させる静電噴出装置10であって、概略的には、液体に電圧を印加する電極と、液体を対象物に向けて噴出させる噴出孔123aを有するノズル123とを備え、ノズル123は、液体の噴出方向に向かって先細りとなるノズル本体125と、ノズル本体125の先端部から噴出方向側に向かって突出し、噴出孔123aを有する突出部129とを備え、突出部129の最大の外径は、突出部129とノズル本体125との接続部127の外径以下であり、突出部129の噴出孔側の外周端面129aは、R面状に形成されている。
なお、本明細書において、「液体の噴出方向」とは、ノズル123の噴出孔123aの中心軸に沿う方向をいう。
[静電噴出装置の全体構成と動作概要]
本実施形態に係る静電噴出装置10は、図1及び図2に示すように、液体を収容するカートリッジ100と、該カートリッジ100を挿脱可能な静電噴出本体200とを備えている。なお、本実施形態に係る静電噴出装置10は、カートリッジ100に装着されるキャップを備える構成でも良い。以下本実施形態において、説明の便宜上、カートリッジ100が静電噴出本体200に挿入される方向を下側、カートリッジ100が静電噴出本体200から離脱する方向を上側として説明する。ただし、ここでいう上下方向は、実際の使用状況における上下方向とは限らない。
本実施形態に係る静電噴出装置10は、使用者が手で握ることができる形状と大きさになっているハンドヘルドタイプの装置であり、静電スプレー法により、液体(液体組成物)を対象物に向けて噴出する。静電スプレー法とは、液体(例えば、高分子化合物を揮発性の溶媒に溶解した溶液)に、電圧(例えば、数kVから数十kV)を印加して液体を静電チャージし(静電的に帯電させ)、帯電した液体と対象物との電位差に基づく静電気力によって、液体を対象物に向けて噴出する方法である。静電スプレー法により噴出された液体は、霧状または極細の糸状になって対象物に向かって送り出される。噴出された液体は、噴出されてから対象物に向かって送り出されている過程、及び、対象物に付着した後に、揮発性物質である溶媒が乾燥することで、対象物の表面に被膜を形成することができる。人体に対して液体を噴出させる場合には、例えば皮膚が堆積面となる。なお、本実施形態に係る静電噴出装置10は、静電紡糸用の原料を含む溶液すなわち紡糸用液を、対象物に向けて噴出する静電噴出装置である。
液体として、例えば、例えば、(a)揮発性物質と(b)繊維形成用水不溶性ポリマーと(c)水を含む溶液を採用した場合には、使用者が静電噴出装置10を手で握り、この液体を使用者の皮膚に向けて噴出することで、被対象面である人の(使用者の)皮膚の表面(堆積面)に被膜を形成することができる。被膜は、成分(b)を主成分とする繊維を含む堆積物であることが好ましい。液体の詳細については、後述する。
[カートリッジの構成]
カートリッジ100は、液体の供給対象となる装置に交換可能に装着される使い捨て容器であり、その使用用途は特に制限されるものではないが、本実施形態では、静電噴出装置に用いられる静電噴出装置用カートリッジである。具体的には、図2及び図3に示すように、カートリッジ100は、液体を収容可能なシリンダ型の液収容部110と、液収容部110の上方に配され、液収容部110内の液体を噴出させる噴出部120とを有している。なお、液収容部110及び噴出部120は、一体的に形成されていても良いし、別部材からなっても良い。
液収容部110は、図2に示すように、噴出部120の下方に配されており、噴出部120と接続可能な第1筒部材111と、該第1筒部材111の下方に配され、第1筒部材111と接続可能な第2筒部材112とを備えるシリンダ形状を有している。また、液収容部110は、該液収容部110の軸(上下方向に沿う軸)と、ノズル123の軸とが直交するように構成されている。第1筒部材111は、シリンダ状の容器であり、液体組成物を収容可能に構成されている。また、第1筒部材111は、硬質の部材からなり、容器の破損や液体が容器から滲み出る等の理由により、第1筒部材111から液体組成物が漏れるのを防止するように構成されている。ここで、硬質の部材とは、静電噴出装置10の使用時及び持ち運び時等において、第1筒部材111が破損しない程度の剛性を有する材料であれば良く、例えば、プラスチック材料等を採用することができる。
第2筒部材112は、プラスチック製のシリンダ状の容器であり、第1筒部材111よりも小さい径を有している。また、第2筒部材112は、後述する駆動部246が駆動して発生した回転力により、第1筒部材111に対して回転するように構成されている。また、第2筒部材112の内部には、図3に示すように、ピストンロッド112aと、ピストンロッド112aの噴出部120側の端部に設けられたピストン112bが配されている。
ピストンロッド112aは、第2筒部材112の回転により軸方向に進退可能に構成されており、ピストン112bを噴出部120側に押し上げるように構成されている。具体的には、第2筒部材112の内面とピストンロッド112aの外面には、互いに螺合可能なねじ(図示せず)がそれぞれ形成されており、第2筒部材112の回転によってピストンロッド112aが噴出部120側に螺進するように構成されている。ピストン112bは、ピストンロッド112aにより、軸方向(液収容部110に沿う方向)に進退可能に構成されており、ピストンロッド112aにより噴出部120側に押し上げられることにより、液体組成物を噴出部120に押し出すように構成されている。
噴出部120は、図3に示すように、装着体121と、接続体122と、ノズル123と、シャットオフピン124とを有しており、本実施形態では装着体121の一部が導電性樹脂(例えば、カーボンを含有する樹脂)により形成されている。なお、「導電性樹脂」とは、金属やカーボン等の導電性材料を含み、また、電気抵抗が低く、電気が流れ易い樹脂をいい、例えば、10-2Ωm以下の体積抵抗率を有する樹脂のことをいう。また、樹脂としては、例えば、PP(ポリプロピレン:polypropylene)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート:polyethylene terephthalate)、PE(ポリエチレン:polyethylene)樹脂、PОМ(ポリアセタール:polyacetal)樹脂など、エタノール等の溶媒に対して耐溶媒性を有する樹脂を採用可能である。なお、装着体121の全て、または装着体121および接続体122を導電性樹脂で構成しても良い。
装着体121は、流路121a及び小電極121bを有している。流路121aは、液体組成物を流通させる通路である。また、小電極121bは、流路内を流通する液体組成物を付加的に静電チャージするように構成されている。接続体122は、液収容部110に接続されると共に、液収容部110の内部に連通しており、液収容部110内の液体組成物を、装着体121の流路121aに導くように構成されている。ノズル123は、装着体121に接続されており、先端に噴出孔123aを有すると共に、噴出孔123aと装着体121の流路121aとを接続する直線状のノズル流路を有している。そして、ノズル123は、噴出孔123aにより液収容部110内の液体組成物を噴出するように構成されている。なお、本実施形態において、ノズル123は、装着体121と別体のものとして構成されているが、ノズル123と、装着体121とが一体的に構成されていても良い。
シャットオフピン124は、ノズル123の軸方向に沿って進退可能に構成されており、ノズル123の噴出孔123aを開閉するように構成されている。なお、「ノズル123の軸方向」とは、ノズル123の噴出孔123aの中心を通り、かつ、液体の噴出方向に沿う軸を意味する。具体的には、シャットオフピン124は、ノズル123の先端と反対側の端部において、後述する作動操作部242に接続されており、該作動操作部242が操作されると、シャットオフピン124がノズル123の先端に対して後退し、ノズル123の噴出孔123aを開放するように構成されている。また、作動操作部242の操作が終了されると、シャットオフピン124がノズル123の先端側に移動し、ノズル123の噴出孔123aを密閉するように構成されている。なお、シャットオフピン124は、カートリッジ100同様使い捨てる態様であっても良いし、カートリッジ100のみ使い捨てでシャットオフピン124は繰り返し使用できる態様であっても良い。
ノズル123から噴出される液体の単位時間あたりの量(噴出量)の合計は、噴出量を向上し、使用者の皮膚に素早く所定の量を吹き付けられるという観点から、0.01ml/分以上であることが好ましく、0.02ml/分以上であることがより好ましく、0.04ml/分以上であることがさらに好ましく、また、吹き付けられる範囲を抑え、吹き付けたい範囲に吹き付けるという観点から、1.00ml/分以下であることが好ましく、0.5ml/分以下であることがより好ましく、0.3ml/分以下であることがさらに好ましい。具体的には、該噴出量は、約0.15ml/分とすることができる。該噴出量は、電場を生成するために供給される電流及び電圧や噴出される液体等に基づいて、適宜設定することが可能である。なお、該噴出量は、分子量、種類及び伝導率等の液体の特性や、気温及び湿度等の環境的要因や、ノズルの構造等の機械的要因等の影響も受けるため、これらの要因を考慮して設定することが好ましい。
ノズル123の噴出孔123aから対象物の面までの紡糸可能な距離(直線距離)は、溶媒の揮発時間を設け、乾燥した繊維を形成するという観点から、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましく、20mm以上であることがさらに好ましく、また、皮膚上で吹き付けられる範囲を抑え、狙いやすくするという観点から、300mm以下であることが好ましく、200mm以下であることがより好ましく、150mm以下であることがさらに好ましい。
ノズル123は、図4に示すように、液体の噴出方向に向かって先細りとなるノズル本体125と、ノズル本体125の先端部から噴出方向側に向かって突出し、噴出孔123aを有する突出部129とを備えている。
ノズル本体125は、図4に示すように、液体の噴出方向に延出するに連れて先細りとなる筒状に形成されている。本実施形態において、ノズル本体125は、噴出方向に向かうにつれて外径を段階的に小さくした先細り形状となっている。ノズル本体125は、噴出方向側の先端部に、突出部129と接続する接続部127を有している。接続部127は、ノズル本体125において最小の外径D1(図5参照)となっている。換言すれば、ノズル本体125は、接続部127よりも噴出方向後方側の領域が接続部127よりも大径に形成されており、これにより、十分な機械的強度を有している。なお、ノズル本体125は、接続部127が、ノズル本体125において最小の外径D1となる構成であれば、上述した外径を段階的に小さくした先細り形状に限定されず、任意の形状を採用可能であり、例えば、ノズル本体125が噴出方向に向かうにつれて外径を連続的に小さくした先細り形状であっても良く、一部分が先細りとなる形状であっても良い。
接続部127は、図5に示すように、R面状に形成されている。具体的には、接続部127は、突出部129の径方向内側に凸となるR面状に形成されている。より具体的には、接続部127の曲率半径(R)は、該接続部127における電場の集中を抑えることで液体に作用する電場を強め、吐出可能(紡糸可能)な距離の範囲を広げるという観点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましく、また、ノズル123のサイズをコンパクトにするという観点から、5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。特に、接続部127の曲率半径(R)が大きくなると、ノズル本体125が全体的に細い形状となるため、吐出における圧力損失が増大し、液体を吐出させるための機構の大型化やコスト増につながるおそれがあると共に、突出部129の肉厚が薄くなることによって突出部129の機械的強度が低下するおそれがあるが、接続部127の曲率半径(R)を上記数値範囲内に収めることにより、液体の吐出性能を十分に維持しつつ十分な機械的強度を確保することが可能となると共に、装置の小型化やコスト削減を図ることが可能となる。
接続部127の外径D1は、機械的強度の観点から、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、また、液体に作用する電場を集中させ、紡糸可能距離を増加させる観点から、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
突出部129は、図5に示すように、ノズル本体125の先端部から噴出方向側に向かって突出し、噴出孔123aを有している。具体的には、突出部129は、ノズル本体125と接続部127を介して一体として設けられている。なお、突出部129は、ノズル本体125と一体として設けられる構成に限定されず、ノズル本体125に対して後付け可能な別部材として構成されても良い。
突出部129は、少なくとも一部に噴出方向に対して平行な外周面を有する。本実施形態において、突出部129は、接続部127から後述する突出部129の外周端面129aまで、噴出方向に対して平行な外周面を有している。
突出部129の最大の外径D2は、突出部129とノズル本体125の接続部127の外径D1以下である。具体的には、突出部129の最大の外径は、機械的強度の観点から、1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましく、また、液体に作用する電場を集中させ、紡糸可能距離を増加させる観点から、3mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であることがより好ましい。本実施形態において、突出部129の最大の外径D2は、平行な外周面の外径である。また、本実施形態において、突出部129の最大の外径D2とノズル本体125の接続部127の外径D1は、同じ大きさである。
突出部129の噴出孔123aの内径D3は、安定して送液を行い、かつ液体の詰まりを抑えるという観点から、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、また、液体に作用する電場を強め、吐出可能(紡糸可能)な距離の範囲を広げるという観点から、2.00mm以下であることが好ましく、1.50mm以下であることがより好ましい。
突出部129の噴出方向に沿う長さL1は、液体に作用する電場を強め、吐出可能(紡糸可能)な距離の範囲を広げるという観点から、0.2mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましい。一方、突出部129の噴出方向に沿う長さL1が長くなると、その分狭い流路部分が長く存在することとなり、吐出における圧力損失が増大するため、液体を吐出させるための機構の大型化やコスト増につながるおそれがある。また、突出部129が細長い形状になるため、突出部129の機械的強度が低下し、落下時等に破損するおそれがある。これらの観点から、突出部129の噴出方向に沿う長さL1は、3.0mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることが更に好ましい。突出部129の噴出方向に沿う長さL1を上記数値範囲内とすることにより、液体の吐出性能を十分に維持しつつ十分な機械的強度を確保することが可能となると共に、装置の小型化やコスト削減を図ることが可能となる。特に、突出部129の噴出方向に沿う長さL1が3.0mmを超える場合、吐出における圧力損失は該長さL1に対して概ね比例的に増加する一方で、電波強度は、該長さL1が3.0mm以下の場合よりも増加率が低下する。このため、圧力損失の増加をできるだけ抑えつつ電場強度を効率良く高めるという観点においても、突出部129の噴出方向に沿う長さL1を上記数値範囲内とすることが好ましい。ここで、「長さL1」とは、接続部127の噴出方向後方側の変曲点から突出部129の噴出方向側の端部までの噴出方向に沿う長さ(直線距離)をいう。
突出部129の噴出孔側の外周端面129aは、図5に示すように、R面状に形成されている。具体的には、突出部129の噴出孔側の外周端面129aは、突出部129の径方向外側に凸となるR面状に形成されている。
外周端面129aの曲率半径(R)は、該外周端面129aに起因する電場の乱れを抑えることで液体に作用する電場を強め、吐出可能(紡糸可能)な距離の範囲を広げると共に、液体の吐出方向性を向上させる観点から、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、また、ノズル全体を小型化する観点から、5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。
[ハウジングの構成及び動作]
静電噴出本体200は、図1、図2及び図6に示すように、電源部243等の各構成要素を内包するハウジング210を備えている。ハウジング210は、図2に示すように、液収容部110を収容する収容空間220と、収容空間220に液収容部110を挿入させるための挿入孔221と、使用者が把持可能な把持部230と、電源部243からの給電をON/OFFさせる主電源操作部241と、液体組成物を噴出させるために操作される作動操作部242とを備えており、全体として使用者が片手で握ることができる形状と大きさとなっている。具体的には、ハウジング210は、収容空間220と、電源部243等の各構成要素を収容するための空間とがそれぞれ隔離された内部空間を有する箱状(上面及び下面を有する筒状)に形成されており、軸方向(第1の方向、図1における上下方向)と直交する断面が、長軸と短軸を有する楕円形状を有している。また、ハウジング210は、ノズル123の軸に沿う方向の長さが例えば、3cm以上11cm以下である。
ハウジング210は、絶縁性材料、すなわち、電気を通し難い性質を有する材料により形成されている。なお、ここでいう「絶縁性」又は「電気を通し難い」とは、例えば1012Ωmを超える体積抵抗率(ASTM D257, JIS K6911)を有することをいうものとする。ハウジング210及びカバー140に用いられる絶縁性材料としては、例えば、合成樹脂等の絶縁性の有機材料、又はガラス若しくはセラミック等の絶縁性の無機材料等が例示される。絶縁性の有機材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、モノマーキャストナイロンなどを用いることができる。一方、導電性材料とは、電気を通し易い性質を有する材料、すなわち、例えば10-2Ωm以下の体積抵抗率を有する材料をいうものとする。
挿入孔221は、ハウジング210内の収容空間220に連通しており、カートリッジ100の液収容部110が、挿入孔221を挿通して収容空間220に挿脱することができる形状及び大きさになっている。本実施形態において、挿入孔221及び収容空間220は、ハウジング210の端に形成されており、他方の側に、帯電構造や駆動部等の収容スペースを広く確保することが可能となっている。
図1及び図2に示すように、ハウジング210の他端部側に把持部230、主電源操作部241及び作動操作部242が配されている。具体的には、把持部230、主電源操作部241及び作動操作部242は、ノズル123よりも液体噴出方向の後方側に配置されている。主電源操作部241及び作動操作部242は、ハウジング210の外部から操作しうる状態で取り付けられている。具体的には、作動操作部242は、ハウジング210の上面と後面(液体噴出方向の後方側の面)とが交わる角部に配されており、主電源操作部241は、ハウジング210の後面に配されている。また、把持部230は、作動操作部242よりも静電噴出本体200の下側に配置されている。把持部230は、使用者が片手で把持することができる形状及び大きさで形成されており、該把持部230内部に後述する電源部243、電圧発生部244、出力端子245及び駆動部246が配置されている。
ここで、主電源操作部241と作動操作部242を操作することにより行われる動作を説明する。カートリッジ100がハウジング210の収容空間220に収容されると、出力端子245は、カートリッジ100に設けられたリング電極を介してカートリッジ100の装着体121内部に備えた小電極121bに電気的に接続される。また、駆動部246は、カートリッジ100に備えた第2筒部材112に機械的に連結される。
主電源操作部241をオフ(OFF)にしておくと、電源部243から電圧発生部244や駆動部246に給電がされることはない。このため、電圧発生部244から電圧が発生することはなく、また駆動部246が駆動することもない。したがって、主電源操作部241をOFFにしておけば、使用者が間違って作動操作部242を操作しても、液収容部110に収容した液体組成物に静電チャージがされることはなく、液体組成物が噴出されることもない。
作動操作部242は、例えば、オン(ON)状態とオフ(OFF)状態とを切り替えることが可能なスイッチにより構成されている。主電源操作部241がON状態になっているときに、作動操作部242をONすると、電源部243から電圧発生部244と駆動部246に給電がされる。そうすると、駆動部246のモータが駆動して回転力を発生し、この回転力は、駆動部246のギアを介してカートリッジ100に備えた第2筒部材112に伝達され、第2筒部材112が回転する。第2筒部材112の回転により第2筒部材112の内面に螺合されたピストンロッド112aが噴出部120側に螺進し、ピストン112bを噴出部120側に押し上げ、第1筒部材111内の液体組成物が噴出部120側に押出される。また、電圧発生部244は正の高電圧(例えば、数kVから数十kV)を発生し、発生した高電圧を出力端子245に送る。出力端子245は、カートリッジ100に設けられたリング電極を介してカートリッジ100の装着体121内部に備えた小電極121bに高電圧を送る。小電極121bは、高電圧が印加されることにより、カートリッジ100内を流通する液体組成物を静電チャージする。
ここで、電圧発生部244が発生させる電圧は、吐出可能(紡糸可能)な距離の範囲を広げる観点から、3kV以上であることが好ましく、5kV以上であることがより好ましく、また、安全性と静電噴出装置の小型化とのバランスの観点から、20kV以下であることが好ましく、15kV以下であることがより好ましい。
また、電圧発生部244から発生される電圧と、紡糸可能な距離との関係、すなわち、「『紡糸可能な距離』÷『電圧』」(mm/kV)は、2.00mm/kV以上であることが好ましく、2.30mm/kV以上であることがより好ましく、2.60mm/kV以上であることが更に好ましく、また、吹き付けられる範囲を抑え、吹き付けたい範囲に吹き付けるという観点から、13.00mm/kV以下であることが好ましく、12.50mm/kV以下であることがより好ましく、12.00mm/kV以下であることが更に好ましい。
また、小電極121bは、電圧が印加されることにより、電場が生じうる。すなわち、小電極121bとこれらに対向する対象物(接地電位)との間には、高電位差の電場が生じうる。この電場における等電位面に対し直交する電気力線に沿って、液体が進む。
このようにして静電チャージされた液体組成物が、液収容部110から噴出部120に流入し、ノズル123にまで達すると、帯電した液体組成物と対象物との電位差に基づく静電気力によって、液体組成物は対象物に向かって噴出される。その後、作動操作部242をOFFにすると、液体組成物の噴出が停止する。
主電源操作部241は、押しボタンとランプ表示で構成されており、液体組成物の噴出量を多段的(今回の事例では大/小の2段階)に調整できる機能があり、1回押し込むと電圧を発生させずに液体組成物をノズル123にまで早く到達させるプライムモード、更に押し込むと電圧が発生し噴霧量が小の噴霧モード、更に押し込むと電圧が発生し噴霧量が大の噴霧モードに切り替わる。すなわち、主電源操作部241のモードにより、電源部243から駆動部246に給電される電圧が調整され、駆動部246の回転数が調整される。これにより、液収容部110から噴出部120側に押出されてくる(流入してくる)液体組成物の量が調され、噴出される液体組成物の噴出量も調整される。
[液体の組成]
液収容部110に収容される液体は、特に限定されるものではないが、例えば、静電噴出装置又は静電紡糸装置において使用される液体組成物又は紡糸用の液体組成物(紡糸用液)が例示される。また、そのような液体組成物としては、例えば、被膜形成可能な高分子化合物、より好ましくは繊維形成の可能な高分子化合物が溶媒に溶解した溶液を用いることができる。そのような高分子化合物としては、水溶性高分子化合物または水不溶性高分子化合物のいずれも用いることができる。繊維形成可能な高分子化合物としては水不溶性高分子化合物を含むことが好ましい。
水不溶性高分子化合物を用いる場合、液体組成物は、次の成分(a)、(b)および(c)を含有し、成分(b)と成分(c)の質量比(b/c)が0.4以上50以下であることが好ましい。
(a)アルコールおよびケトンから選ばれる1種以上の揮発性物質
(b)繊維形成用水不溶性ポリマー
(c)水
具体的には、水不溶性高分子化合物を用いる場合、液体組成物は、アルコール及びケトンから選ばれる揮発性液剤を50質量%以上含有する。揮発性液剤は、液体の状態において揮発性を有する物質である。揮発性液剤はその蒸気圧が20℃において0.01kPa以上、106.66kPa以下であることが好ましく、0.13kPa以上、66.66kPa以下であることがより好ましく、0.67kPa以上、40.00kPa以下であることが更に好ましく、1.33kPa以上、40.00kPa以下であることがより一層好ましい。
揮発性液剤のうち、アルコールとしては例えば一価の鎖式脂肪族アルコール、一価の環式脂肪族アルコール、一価の芳香族アルコールが好適に用いられる。一価の鎖式脂肪族アルコールとしてはC1-C6アルコール、一価の環式アルコールとしてはC4-C6環式アルコール、一価の芳香族アルコールとしてはベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等がそれぞれ挙げられる。それらの具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、フェニルエチルアルコール、n-プロパノール、n-ペンタノールなどが挙げられる。これらのアルコールは、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
揮発性液剤のうち、ケトンとしてはジC1-C4アルキルケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらのケトンは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
揮発性液剤は、より好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を含有し、より好ましくはエタノール及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種を含有し、形成される繊維の感触の観点から、更に好ましくはエタノールを含有する揮発性液剤である。上記揮発性液剤の含有量は、揮発性液剤中85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%以下であることが好ましい。
液体組成物における揮発性液剤の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。また、95質量%以下であることが好ましく、94質量%以下であることがより好ましく、93質量%以下であることが更に好ましい。液体組成物における揮発性液剤の含有量は、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、55質量%以上94質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上93質量%以下であることが更に好ましい。この割合で液体組成物中に揮発性液剤を含有させることで、静電スプレー法を行うときに液体組成物を十分に揮発させることができ、皮膚又は爪の表面に繊維を含む被膜を形成することができる。
また、エタノールは、揮発性の高さと形成される繊維の感触の観点から、揮発性液剤の全量に対して、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上であることが一層好ましい。また100質量%以下であることが好ましい。エタノールは揮発性液剤の全量に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、65質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、80質量%以上100質量%以下であることが一層好ましい。
また、液体組成物は、繊維形成用水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。繊維形成用水不溶性ポリマーは、揮発性液剤に溶解することが可能な物質である。ここで、溶解するとは20℃において分散状態にあり、その分散状態が目視で均一な状態、好ましくは目視で透明又は半透明な状態であることをいう。
繊維形成用水不溶性ポリマーとしては、揮発性物質に可溶で、水に対して不溶なポリマーである。本明細書において「水溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1gを秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g以上が水に溶解する性質を有するものをいう。一方、本明細書において「水不溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1g秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g以上が溶解しない性質を有するもの、言い換えれば溶解量が0.5g未満の性質を有するものをいう。
水不溶性である繊維形成能を有するポリマーとしては、例えば被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらの水不溶性ポリマーから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水不溶性ポリマーのうち、被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリ(N-プロパノイルエチレンイミン)グラフト-ジメチルシロキサン/γ-アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリ乳酸(PLA)、ツエインから選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。これらの水不溶性ポリマーのうち、アルコール溶媒への分散性、繊維の感触の観点等から、部分鹸化ポリビニルアルコール、完全鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂がより好ましく、部分鹸化ポリビニルアルコール、完全鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂がさらに好ましく、皮膚又は爪の表面に繊維を含む被膜を安定して効率的に形成することができる点、被膜の耐久性、被膜の形成性、皮膚への追随性と耐久性との両立の点からポリビニルブチラール樹脂が殊更に好ましい。
液体組成物中の繊維形成用水不溶性ポリマーの含有量は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが一層好ましい。また、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。液体組成物の繊維形成用水不溶性ポリマーの含有量は、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上25質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上20質量%以下が一層好ましい。この割合で液体組成物中に繊維形成用水不溶性ポリマーを含有させることで、繊維状の被膜を安定して効率的に形成することができる。
また、液体組成物は、水が含まれていても良い。水は、エタノール等の電離しない溶媒に比べて電離し荷電するため、あるいはイオン性成分を溶解して電離を誘導し、液体組成物に導電性を付与することができる。そのため、静電スプレーにより皮膚や爪の表面上に繊維状の被膜が安定して形成される。また、水は、静電スプレーにより形成される被膜の皮膚や爪への密着性の向上、耐久性の向上、外観に寄与する。これらの作用効果を得る点から、水は、液体組成物中に0.2質量%以上20質量%以下含有することが好ましく、0.3質量%以上15質量%以下がより好ましく、湿度の高い環境においても繊維状の被膜の形成性の観点から0.4質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
液体組成物は、更に他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば上記揮発性液剤以外のポリオール、25℃で液状の油、繊維形成用水不溶性ポリマーの可塑剤、液体組成物の導電率制御剤、粘結剤、着色顔料、体質顔料等の粉体、染料、香料、忌避剤、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、各種ビタミン等が挙げられる。液体組成物中に他の成分が含まれる場合、当該他の成分の含有割合は、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
液体組成物の粘度は、繊維状の被膜を安定して形成する点、静電スプレー時の紡糸性の観点、被膜の耐久性を向上する観点と、被膜の感触を向上する観点から、25℃で2mPa・s以上3000mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以上1500mPa・s以下がより好ましく、15mPa・s以上1000mPa・s以下がさらに好ましく、15mPa・s以上800mPa・s以下がよりさらに好ましい。液体組成物の粘度は、E型粘度計を用いて25℃で測定される。E型粘度計としては例えば東京計器株式会社製のE型粘度計(VISCONICEMD)を用いることができる。その場合の測定条件は、25℃、コーンプレートのローターNo.43、回転数は粘度に応じた適切な回転数が選択され、500mPa・S以上の粘度は5rpm、150mPa・S以上500mPa・S未満の粘度は10rpm、150mPa・S未満の粘度は20rpmとする。
[本実施形態に係る静電噴出装置の利点]
以上説明したとおり、本実施形態に係る静電噴出装置10は、概略的には、液体に電圧を印加する電極と、液体を対象物に向けて噴出させる噴出孔123aを有するノズル123とを備え、ノズル123は、液体の噴出方向に向かって先細りとなるノズル本体125と、該ノズル本体125の先端部から噴出方向側に向かって突出し、噴出孔123aを有する突出部129とを備え、突出部129の最大の外径D2は、突出部129とノズル本体125との接続部127の外径D1以下であり、突出部129の噴出孔側の外周端面129aは、R面状に形成されている。
このような構成を備える静電噴出装置10によれば、液体に作用する電場を強め、吐出可能(紡糸可能)な距離の範囲を広げることが可能である。すなわち、本実施形態に係る静電噴出装置10によれば、ノズル本体125との接続部127の外径D1以下の外径D2を有する突出部129により、噴出孔123aに電場を集中させることが可能となる。また、本実施形態に係る静電噴出装置10によれば、突出部129の噴出孔側の外周端面129aがR面状に形成されていることにより、該外周端面129aに起因する電場の乱れを抑えることが可能となるため、噴出孔123aに電場をより一層集中させることが可能となる。これにより、本実施形態に係る静電噴出装置10によれば、低い電圧であっても液体に作用する電場を強くすることができるため、帯電した液体の単位時間あたりの噴出量を増やすことが可能であると共に、遠くまで液体を吐出させることが可能となる。また、噴出孔123aに電場を集中させるほど、等電位線が勾配のきつい山状となるため、噴出孔123aからの距離に対する液体の広がりが大きくなり、液体の乾燥に有利となる。このため、本実施形態に係る静電噴出装置10によれば、近い距離であっても紡糸性を確保することが可能となる。さらに、本実施形態に係る静電噴出装置10によれば、低い電圧で使用することが可能となるため、装置の小型化やコスト削減が図れると共に、安全性を高めることができる。
また、本実施形態に係る静電噴出装置10において、接続部127は、R面状に形成されていることにより、電場の乱れを抑制することができるため、安定して紡糸することができる。これにより、より一層、紡糸性を向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る静電噴出装置10では、突出部129の噴出孔側の外周端面129aは、突出部129の径方向外側に凸となるR面状に形成されており、接続部127は、突出部129の径方向内側に凸となるR面状に形成されている。このような構成によれば、突出部129に電荷を集中させ、より電場を強くすることができる。これにより、より一層、紡糸性を向上させることができる。
さらにまた、本実施形態に係る静電噴出装置10では、突出部129は、少なくとも一部に噴出方向に対して平行な外周面を有することにより、外周面全体が凹凸に形成される構成と比較して電場の乱れを抑えること可能となるため、紡糸性を向上させることができる。また、本実施形態に係る静電噴出装置10では、平行な外周面を有することにより突出部129の肉厚を確保することが可能となるため、接続部127からすぐに外周端面129aに至る肉薄の構成と比較して、突出部129の成形性を向上させることが可能になると共に、落下時等における破損を抑制することが可能となる。
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態として本実施形態を例示して説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、ハウジング210内に電源部243及び電圧発生部244が内蔵されたスタンドアローンタイプの静電噴出装置であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電源部243及び電圧発生部244が内蔵されたベースステーション(図示せず)を別に設け、該ベースステーションとハウジング210とを接続ケーブル等で接続することにより、ハウジング210の出力端子245及び駆動部246に電圧が印加される構成としても良い。
さらに、上述した実施形態では、液収容部110は、液体を収容可能なシリンダ型の液収容部110であるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、袋状に形成された導電性の液収容部等の種々の任意の構成を採用することが可能である。
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。
[実施例1、実施例2、比較例1]
まず、ノズル123における突出部129の有無が与える紡糸性能への影響について、実施例1、2及び比較例1を用いて説明する。
[実施例1]
実施例1に係る静電噴出装置は、ノズル123にPP樹脂を使用して製造した。実施例1に係る静電噴出装置は、ノズル123に突出部129を有しており、突出部129の外周端面129aの曲率半径(R)は、0.5mmであった。
[実施例2]
突出部129の外周端面129aの曲率半径(R)を変更した点以外は実施例1と同様にして、実施例2の静電噴出装置を得た。実施例2に係る静電噴出装置における突出部129の外周端面129aの曲率半径(R)は、2.0mmであった。
[比較例1]
突出部129を排除した点以外は実施例1と同様にして、比較例1の静電噴出装置を得た。
これら実施例1、2及び比較例1に係る静電噴出装置について、以下の紡糸条件下で液体を噴出させ、ノズル123の噴出孔123aと対象物の面との紡糸可能な距離(mm)を測定した。また、環境(室温・湿度)は、約25℃・50%とした場合、約30℃・65%とした場合、約30℃・80%とした場合についてそれぞれ測定した。紡糸可能な距離(mm)及び「『紡糸可能な距離』÷『電圧』」は、表1に示すとおりである。
[紡糸条件]
・処方:ポリマー(PVB)+EtОH
・紡糸対象:接地させたアルミ箔
・電圧:10.5kV
・噴出量:0.15g/min
Figure 2023173495000002
表1に示す結果より、実施例1は、比較例1と比較して、環境(室温・湿度)が約25℃・50%及び約30℃・65%の場合において、より遠い位置で紡糸可能であり、約30℃・80%の場合において、より近い位置及びより遠い位置で紡糸可能である。また、実施例2は、環境(室温・湿度)が約25℃・50%の場合において、より遠い位置で紡糸可能であり、約30℃・65%及び約30℃・80%の場合において、より近い位置で紡糸可能である。すなわち、実施例1及び2の静電紡糸装置は、同じ電圧において、突出部129を備えない比較例1と比較して、紡糸可能な距離の範囲が広いことが分かる。
また、実施例1、2及び比較例1に係る静電噴出装置について、以下の紡糸条件下で液体を噴出させ、ノズル123の噴出孔123aと対象物の面との紡糸可能な距離(mm)を測定した。また、環境(室温・湿度)は、約25℃・50%とした場合、約30℃・65%とした場合、約30℃・80%とした場合についてそれぞれ測定した。紡糸可能な距離(mm)及び「『紡糸可能な距離』÷『電圧』」は、表2に示すとおりである。
[紡糸条件]
・処方:ポリマー(PVB)+EtОH
・紡糸対象:接地させたアルミ箔
・電圧:10.0kV
・噴出量:0.20g/min
Figure 2023173495000003
表2に示す結果より、実施例1は、比較例1と比較して、環境(室温・湿度)が約25℃・50%及び約30℃・65%の場合において、より近い位置及びより遠い位置で紡糸可能であり、約30℃・80%の場合において、より遠い位置で紡糸可能である。また、実施例2は、比較例1と比較して、環境(室温・湿度)が約25℃・50%、約30℃・65%及び約30℃・80%の場合において、より近い位置及びより遠い位置で紡糸可能である。
表1及び表2に示す結果より、実施例1及び2の静電紡糸装置は、突出部129を備えない比較例1と比較して、電圧を低くし、帯電した液体の単位時間あたりの噴出量を増やした場合でも、紡糸可能な距離の範囲が広いことが分かる。
[実施例3、比較例2、比較例3]
次に、ノズル123の突出部129におけるR面の有無及び突出部129と接続部127との径の大小関係が与える紡糸性能への影響について、実施例3及び比較例2、3を用いて説明する。
[実施例3]
実施例3に係る静電噴出装置は、ノズル123にPE樹脂を使用して製造した。実施例3に係る静電噴出装置は、ノズル123に突出部129を有しており、突出部129の外周端面129aの曲率半径(R)は、0.5mmであった。突出部129の最大の外径は、φ2.2mmであり、突出部129とノズル本体125との接続部127の外径は、φ2.2mmであった。
[比較例2]
突出部129の外周端面129aをR面状に形成せず、直角状に形成した点以外は実施例3と同様にして、比較例2の静電噴出装置を得た。
[比較例3]
突出部129の最大の外径をφ3.0mmとし、突出部129の外周端面129aの曲率半径(R)を0.2mmとした点以外は実施例3と同様にして、比較例3の静電噴出装置を得た。
これら実施例3及び比較例2、3に係る静電噴出装置について、以下の紡糸条件下で液体を噴出させ、ノズル123の噴出孔123aと対象物の面との紡糸可能な距離(mm)を測定した。紡糸可能な距離(mm)及び「『紡糸可能な距離』÷『電圧』」は、表3に示すとおりである。
[紡糸条件]
・処方:エタノール99.5(88%)+PVB(12%)
・環境:室温23.1℃、湿度52.2%
・紡糸対象:接地させたアルミ箔
・電圧:10.0kV
・噴出量:0.15g/min
Figure 2023173495000004
表3に示す結果より、突出部129にR面を有する実施例3は、突出部129にR面を有さない比較例2と比較して、より近い位置及びより遠い位置で紡糸可能である。また、突出部129の最大外径が接続部127の外径以下である実施例3は、突出部129の最大外径が接続部127の外径よりも大きい比較例3と比較して、より近い位置及びより遠い位置で紡糸可能である。すなわち、実施例3の静電紡糸装置は、同じ電圧において、比較例2及び3と比較して、紡糸可能な距離の範囲が広いことが分かる。
10 :静電噴出装置
100 :カートリッジ
110 :液収容部
120 :噴出部
122 :接続体
123 :ノズル
125 :ノズル本体
127 :接続部
129 :突出部
129a:外周端面
123a:噴出孔
210 :ハウジング
220 :収容空間
221 :挿入孔
241 :主電源操作部
242 :作動操作部
243 :電源部
244 :電圧発生部
245 :出力端子
246 :駆動部

Claims (9)

  1. 液体に電圧を印加して該液体を噴出させる静電噴出装置であって、
    前記液体に電圧を印加する電極と、
    前記液体を対象物に向けて噴出させる噴出孔を有するノズルと
    を備え、
    前記ノズルは、液体の噴出方向に向かって先細りとなるノズル本体と、該ノズル本体の先端部から前記噴出方向側に向かって突出し、前記噴出孔を有する突出部とを備え、
    前記突出部の最大の外径は、前記突出部と前記ノズル本体との接続部の外径以下であり、
    前記突出部の前記噴出孔側の外周端面は、R面状に形成されている
    静電噴出装置。
  2. 前記接続部は、R面状に形成されている
    請求項1に記載の静電噴出装置。
  3. 前記突出部の前記噴出孔側の外周端面は、該突出部の径方向外側に凸となるR面状に形成されており、
    前記接続部は、前記突出部の径方向内側に凸となるR面状に形成されている
    請求項2に記載の静電噴出装置。
  4. 前記突出部は、少なくとも一部に前記噴出方向に対して平行な外周面を有する
    請求項1~3のいずれか1項に記載の静電噴出装置。
  5. 前記突出部の最大の外径は、5mm以下である
    請求項1~4のいずれか1項に記載の静電噴出装置。
  6. 前記突出部の前記噴出方向に沿う長さは、0.2mm以上かつ3.0mm以下である
    請求項1~5のいずれか1項に記載の静電噴出装置。
  7. 前記ノズルは、非導電性の合成樹脂により形成されている
    請求項1~6のいずれか1項に記載の静電噴出装置。
  8. 前記電極に対して電圧を印加する電圧発生部を更に備え、
    前記電圧発生部は、3kV以上20kV以下の電圧を印加可能に構成されている
    請求項1~7のいずれか1項に記載の静電噴出装置。
  9. 使用者が把持可能なハンドヘルドタイプの装置である
    請求項1~8のいずれか1項に記載の静電噴出装置。
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