JP2023172986A - パルスアーク溶接制御方法 - Google Patents

パルスアーク溶接制御方法 Download PDF

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    • B23K9/1006Power supply

Abstract

【課題】消耗電極パルスアーク溶接において、高速溶接時のスパッタの発生を削減すること。【解決手段】溶接ワイヤを送給し、ピーク電流及びベース電流から形成される溶接電流Iwを通電して溶接するパルスアーク溶接制御方法において、溶接ワイヤと母材とが短絡すると短絡電流を通電する。短絡電流は、時刻t22~t23の第1期間中はピーク電流の立上り速度以上の立上り速度で増加させ、時刻t23~t24の第2期間中はピーク電流の立上り速度未満の立上り速度で増加させる。その後に溶滴のくびれを検出すると短絡電流を減少させてアーク期間へと移行させる。【選択図】 図2

Description

本発明は、溶接ワイヤを送給して行うパルスアーク溶接制御方法に関するものである。
消耗電極パルスアーク溶接では、溶接ワイヤを送給し、ピーク電流及びピーク電圧を出力するピーク期間と、ベース電流及びベース電圧を出力するベース期間とを繰り返して溶接が行われる。ピーク電流は臨界電流値以上となる500A程度の大電流値に設定され、溶接ワイヤを溶融して溶滴の形成及び移行が行われる。ベース電流は臨界電流値未満となる50A程度に設定され、溶接ワイヤはほとんど溶融しない。溶接電流値が臨界電流値以上になると、溶滴の移行携帯がスプレー移行状態となる。パルスアーク溶接では、1回のピーク電流の通電によって1つの溶滴を移行させる1パルス周期1溶滴移行の状態を維持することが、スパッタの発生の少ない高品質の溶接ビードを得るために重要である。
パルスアーク溶接において、アーク長が適正値になるように溶接電圧を設定すると、ピーク電流の通電時に溶接ワイヤの先端が溶融されて溶滴が形成され、ピーク電流の通電終了直後に溶滴が溶融池へとスプレー状態で移行する。溶滴が溶融池に移行するときに、溶滴の先端が溶融池と接触して、0.5ms程度以下の微小短絡が発生する場合が多い。しかし、この微小短絡は、炭酸ガスアーク溶接のように溶滴が短絡によって移行するのではなく、あくまでもスプレー移行する過程で溶滴が溶融池と接触するだけである。このために、微小短絡に対しては、溶接電流を増加させる等の短絡を解除させるための制御を行う必要はなく、微小短絡は自動的に解除される。
溶接速度が1m/min程度以上となる高速溶接を行うときには、溶接品質を良好にするために、アーク長が短くなるように溶接電圧を低く設定する必要がある。アーク長が短くなると、微小短絡以外にも0.5ms以上となる通常短絡が発生するようになる。通常短絡では、溶滴が短絡移行する状態となり、短絡が解除されるときに多くのスパッタが発生する。特許文献1の発明では、高速溶接を行うパルスアーク溶接において、通常短絡が発生すると、ピーク電流の立上り速度よりも遅い立上り速度で溶接電流を増加させ、溶滴のくびれを検出すると溶接電流を減少させている。
特許第3844004号公報
高速溶接を行うパルスアーク溶接において、従来技術の短絡時溶接電流制御では、スパッタ削減効果が十分ではなく、さらなるスパッタの削減が望まれていた。
そこで、本発明では、パルスアーク溶接による高速溶接時に、スパッタの発生を削減することができるアーク溶接制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤを送給し、ピーク電流及びベース電流を通電して溶接するパルスアーク溶接制御方法において、
前記溶接ワイヤと母材とが短絡すると短絡電流を通電し、前記短絡電流を前記ピーク電流の立上り速度以上の立上り速度で増加させ、
その後に溶滴のくびれを検出すると前記短絡電流を減少させる、
ことを特徴とするパルスアーク溶接制御方法である。
請求項2の発明は、
前記短絡電流の増加は、前記ピーク電流の立上り速度以上の立上り速度で増加する第1期間と、それに続く前記ピーク電流の立上り速度未満の立上り速度で増加する第2期間とを備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパルスアーク溶接制御方法である。
請求項3の発明は、
前記第1期間及び前記第2期間中の前記短絡電流は、曲線状に増加する、
ことを特徴とする請求項2に記載のパルスアーク溶接制御方法である。
請求項4の発明は、
前記短絡電流の値が屈曲電流値に達した時点で前記第1期間から前記第2期間に移行し、
前記屈曲電流値は150A以上300A以下の範囲で設定される、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のパルスアーク溶接制御方法である。
請求項5の発明は、
前記第1期間の前に初期期間を設け、前記初期期間中は前記短絡電流を増加させない、
ことを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載のパルスアーク溶接制御方法である。
請求項6の発明は、
前記初期期間中は前記短絡電流を前記ベース電流の値とする、
ことを特徴とする請求項5に記載のパルスアーク溶接制御方法である。
本発明によれば、パルスアーク溶接による高速溶接時に、スパッタの発生を削減することができる。
本発明の実施の形態に係るパルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態に係るパルスアーク溶接制御方法を示す図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るパルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路MCは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する電流誤差増幅信号Eiに従ってインバータ制御等の出力制御を行い、溶接に適した出力電圧を出力する。
リアクトルWLは、電源主回路MCの出力を平滑する。
溶接ワイヤ1は、ワイヤ送給モータ(図示は省略)に結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を通って送給され、母材2との間にアーク3が発生する。溶接トーチ4内の給電チップ(図示は省略)と母材2との間には溶接電圧Vwが印加し、溶接電流Iwが通電する。
電圧検出回路VDは、上記の溶接電圧Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。電圧平均化回路VAVは、上記の電圧検出信号Vdを平均化して、電圧平均信号Vavを出力する。電圧設定回路VRは、所望値の電圧設定信号Vrを出力する。
電圧誤差増幅回路EVは、上記の電圧設定信号Vrと上記の電圧平均信号Vavとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。
V/FコンバータVFは、上記の電圧誤差増幅信号Evに応じた周期を有するパルス周期信号Tfを出力する。このパルス周期信号Tfは、ピーク期間とベース期間との1周期を決定する信号である。
ピーク電流立上り速度設定回路SURは、予め定めたピーク電流立上り速度設定信号Surを出力する。ピーク電流立下り速度設定回路SDRは、予め定めたピーク電流立下り速度設定信号Sdrを出力する。
ピーク期間設定回路TPRは、予め定めたピーク期間設定信号Tprを出力する。
ベース電流設定回路IBRは、予め定めたベース電流設定信号Ibrを出力する。ピーク電流設定回路IPRは、予め定めたピーク電流設定信号Iprを出力する。ピーク電流設定信号Iprは、溶接ワイヤの直径、材質、送給速度等に応じて、400~600A程度に設定される。
電流設定回路IRは、上記のベース電流設定信号Ibr、上記のピーク電流設定信号Ipr、上記のパルス周期信号Tf、上記のピーク電流立上り速度設定信号Sur、上記のピーク電流立下り速度設定信号Sdr及び上記のピーク期間設定信号Tprを入力として、以下の処理を行い、電流設定信号Irを出力する。
1)パルス周期信号Tfが短時間Highレベルに変化すると、ベース電流設定信号Ibrの値からピーク電流立上り速度設定信号Surの値で増加する電流設定信号Irを出力する。
2)その後、電流設定信号Irの値がピーク電流設定信号Iprの値に達すると、その値をピーク期間設定信号Tprの間維持する。
3)その後、ピーク電流設定信号Iprの値からピーク電流立下り速度設定信号Sdrの値で減少する電流設定信号Irを出力する。
4)その後、電流設定信号Irの値がベース電流設定信号Ibrの値と等しくなるとその値を維持する。
5)上記の1)~4)を繰り返す。
短絡判別信号SDは、上記の電圧検出信号Vdを入力として、この値が短絡判別値(10V程度)未満のときは短絡期間であると判別してHighレベルとなり、以上のときはアーク期間であると判別してLowレベルとなる短絡判別信号Sdを出力する。
第1立上り速度設定信号S1Rは、予め定めた第1立上り速度設定信号S1rを出力する。第1立上り速度設定信号S1rの値は、上記のピーク電流立上り速度設定信号Surよりも大きな値に設定される。
第2立上り速度設定信号S2Rは、予め定めた第2立上り速度設定信号S2rを出力する。第2立上り速度設定信号S2rの値は、上記のピーク電流立上り速度設定信号Surよりも小さな値に設定される。
減流抵抗器Rは、上記のリアクトルWLと溶接トーチ4との間に挿入される。この減流抵抗器Rの値は、短絡負荷(0.01~0.03Ω程度)の50倍以上大きな値(0.5~3Ω程度)に設定される。この減流抵抗器Rが通電路に挿入されると、リアクトルWL及び外部ケーブルのリアクトルに蓄積されたエネルギーが急放電される。
トランジスタTRは、上記の減流抵抗器Rと並列に接続されて、後述する駆動信号Drに従ってオン又はオフ制御される。
くびれ検出回路NDは、上記の短絡判別信号Sd、上記の電圧検出信号Vd及び上記の電流検出信号Idを入力として、短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)であるときの電圧検出信号Vdの電圧上昇値が基準値に達した時点でくびれの形成状態が基準状態になったと判別してHighレベルとなり、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)に変化した時点でLowレベルになるくびれ検出信号Ndを出力する。また、短絡期間中の電圧検出信号Vdの微分値がそれに対応した基準値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。さらに、電圧検出信号Vdの値を電流検出信号Idの値で除算して溶滴の抵抗値を算出し、この抵抗値の微分値がそれに対応する基準値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。
低レベル電流設定回路ILRは、予め定めた低レベル電流設定信号Ilrを出力する。電流比較回路CMは、この低レベル電流設定信号Ilr及び上記の電流検出信号Idを入力として、Id<IlrのときはHighレベルになり、Id≧IlrのときはLowレベルになる電流比較信号Cmを出力する。
駆動回路DRは、上記の電流比較信号Cm及び上記のくびれ検出信号Ndを入力として、くびれ検出信号NdがHighレベルに変化するとLowレベルに変化し、その後に電流比較信号CmがHighレベルに変化するとHighレベルに変化する駆動信号Drを上記のトランジスタTRのベース端子に出力する。したがって、この駆動信号Drはくびれが検出されるとLowレベルになり、トランジスタTRがオフ状態になり通電路に減流抵抗器Rが挿入されるので、短絡負荷を通電する溶接電流Iwは急減する。そして、急減した溶接電流Iwの値が低レベル電流設定信号Ilrの値まで減少すると、駆動信号DrはHighレベルになり、トランジスタTRがオン状態になるので、減流抵抗器Rは短絡されて通常の状態に戻る。
短絡電流設定回路ISRは、上記の短絡判別信号Sd、上記の低レベル電流設定信号Ilr、上記のくびれ検出信号Nd、上記の第1立上り速度設定信号S1r及び上記の第2立上り速度設定信号S2rを入力として、以下の処理を行い、短絡電流設定信号Isrを出力する。
1)短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)に変化すると、予め定めた初期期間中は予め定めた初期電流設定値となる短絡電流設定信号Isrを出力する。初期電流設定値は上記のベース電流設定信号Ibrの値以下に設定される。
2)その後、短絡電流設定信号Isrの値は、上記の初期電流設定値から第1立上り速度設定信号S1rの値で増加する。
3)その後、短絡電流設定信号Isrの値が予め定めた屈曲電流値に達すると、第2立上り速度設定信号S2rの値で増加する。
4)その後に、くびれ検出信号NdがHighレベルに変化すると、低レベル電流設定信号Ilrの値となる短絡電流設定信号Isrを出力する。
電流制御設定回路ICRは、上記の短絡判別信号Sd、上記の電流設定信号Ir及び上記の短絡電流設定信号Isrを入力として、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)のときは電流設定信号Irを電流制御設定信号Icrとして出力し、短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)のときは短絡電流設定信号Isrを電流制御設定信号Icrとして出力する。
電流検出回路IDは、上記の溶接電流Iwを検出して、電流検出信号Idを出力する。
電流誤差増幅回路EIは、上記の電流制御設定信号Icrと上記の電流検出信号Idとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。
図2は、本発明の実施の形態に係るパルスアーク溶接制御方法を示す図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(C)は短絡判別信号Sdの時間変化を示し、同図(D)はくびれ検出信号Ndの時間変化を示し、同図(E)は駆動信号Drの時間変化を示す。以下、同図を参照して各信号の動作について説明する。
同図は高速溶接を行うために溶接電圧を低く設定してアーク長が短く設定されている場合である。同図は、2周期の波形を示しており、第1周期は微小短絡が発生した場合であり、第2周期は溶滴が移行する通常短絡が発生した場合である。溶接ワイヤは図示していないが定速送給されている。
(1)第1周期の動作説明
同図(A)に示すように、溶接電流Iwは時刻t1~t11の立上り期間中はベース電流Ibから図1のピーク電流立上り速度設定信号Surの値で増加し、時刻t11~t12のピーク期間中はピーク電流値となり、時刻t12~t13の立下り期間中は図1のピーク電流立下り速度設定信号Sdrの値で減少し、時刻t13~t2のベース期間中はベース電流値となる。上記のベース電流値は図1のベース電流設定信号Ibrによって設定され、上記のピーク電流値は図1のピーク電流設定信号Iprによって設定され、上記のピーク期間は図1のピーク期間設定信号Tprによって設定される。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、アーク長に比例した電圧値となり、電流波形と相似した波形となる。ピーク電流値及びピーク期間は、1パルス周期に1溶滴移行が行われるように設定される。ピーク電流立上り速度及びピーク電流立下り速度は、溶滴の形成状態が安定するように設定される。溶接電圧Vwの平均値が図1の電圧設定信号Vrの値と等しくなるように時刻t1~t2のパルス周期がフィードバック制御されて、アーク長が制御される。例えば、ピーク電流値は550Aに設定され、ピーク期間は1.2msに設定され、ベース電流値は50Aに設定される。ピーク電流立上り速度は400~600A/msの範囲に設定され、ピーク電流立下り速度は300~500A/msの範囲に設定される。両速度は、上記の範囲に設定されたときが最も安定した溶接状態となる。
第1周期では、ベース期間中の時刻t14~t15の期間に微小短絡が発生している。微小短絡は、0.5ms以下の短絡となり、0.1ms程度の短絡が多く発生する。微小短絡は、ピーク電流の通電によって形成された溶滴がスプレー状態で移行する過程で、溶滴の先端が溶融池に微小時間の間接触することで発生する。したがって、微小短絡では溶滴は短絡移行せずにあくまでもスプレー移行する。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは微小短絡期間中はベース電流値以下の初期電流値に制御されており、このことでスパッタの発生を抑制している。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの短絡電圧値となり、同図(C)に示すように、短絡判別信号SdはHighレベルとなる。同図(D)に示すように、くびれ検出信号Ndは、微小短絡中に溶滴のくびれが検出されないのでLowレベルのままである。このために、同図(E)に示すように、駆動信号Drは、Highレベルのままとなり、図1のトランジスタはオン状態となり、図1の減流抵抗Rは短絡された状態となる。
(2)第2周期の動作説明
第1周期とは異なる点について説明する。第2周期では、ベース期間中の時刻t21~t26の期間中に、溶滴が短絡移行する通常短絡が発生した場合である。アーク長が短くなるように設定されているために、時々通常短絡が発生する。時刻t21において、短絡が発生すると、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの短絡電圧値へと急減し、同図(C)に示すように、短絡判別信号SdがHighレベルに変化する。これに応動して、同図(A)に示すように、図1の短絡電流設定信号Isrによって制御される短絡電流が通電する。時刻t21~t22の予め定めた初期期間中は、短絡電流は予め定めた初期電流値となる。初期電流値は、上述したように、ベース電流値以下に設定される。続けて、時刻t22~t23の第1期間中の短絡電流は、図1の第1立上り速度設定信号S1rの値で増加する。続けて、短絡電流の値が予め定めた屈曲電流値に達すると、図1の第2立上り速度設定信号S2rの値で増加する。ここで、第1立上り速度はピーク電流立上り速度以上の速度である。さらに、第2立上り速度は、第1立上り速度及びピーク電流立上り速度未満の速度である。すなわち、S1r>Sur>S2rである。さらに、第1期間及び第2期間中の短絡電流を曲線状に円滑に増加させるようにしても良い。
同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、短絡電流の立上り速度が遅くなる第2期間中に上昇する。これは、短絡電流によるピンチ力の作用によって、溶滴にくびれが次第に形成されるためである。その後に溶接電圧Vwの電圧上昇値が基準値に達すると、くびれの形成状態が基準状態になったと判別して、時刻t24において、同図(D)に示すように、くびれ検出信号NdはHighレベルに変化する。これに応動して、同図(E)に示すように、駆動信号DrはLowレベルになり、図1のトランジスタTRはオフ状態となるので、図1の減流抵抗器Rが通電路に挿入される。同時に、図1の短絡電流設定信号Isrの値が低レベル電流設定信号Ilrの値に小さくなる。このために、同図(A)に示すように、短絡電流は低レベル電流値へと急減する。そして、短絡電流が低レベル電流値まで減少する時刻t25において、同図(E)に示すように、駆動信号DrはHighレベルに戻るので、トランジスタTRはオン状態となり減流抵抗器Rは短絡される。同図(A)に示すように、短絡電流は、短絡電流設定信号Isrが低レベル電流設定信号Ilrのままであるので、アーク再発生する時刻t26までは低レベル電流値を維持する。したがって、トランジスタTRは、くびれ検出信号NdがHighレベルに変化した時点から短絡電流が低レベル電流値に減少するまでの期間のみオフ状態となる。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、短絡電流が小さくなるので一旦減少した後に急上昇する。くびれ検出制御によってアーク再発生時の電流値を小さくすることができるので、スパッタ発生を削減することができる。
時刻t26においてアークが発生すると、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは数十Vのアーク電圧値へと急増し、同図(C)に示すように、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)に変化する。。これに応動して、同図(A)に示すように、溶接電流Iwはベース電流値に変化する。同時に、同図(D)に示すように、くびれ検出信号NdもLowレベルに戻る。
上述したように、高速溶接を行う等のために溶接電圧を低く設定してアーク長が短くなるようにして溶接を行うと、短絡移行を伴う通常短絡が発生するようになる。通常短絡が発生すると、スパッタが多く発生することになる。本実施の形態では、このスパッタを削減するために、短絡電流の制御及びくびれ検出制御を行っている。この結果、通常短絡が発生しても、スパッタ発生を少なくすることができる。
上述した各パラメータは、例えば以下の値に設定される。初期電流=50A、初期期間=0.5ms、屈曲電流値=190A、第1立上り速度=700A/ms、第2立上り速度=70A/ms、低レベル電流値=30A。
以下、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、溶接ワイヤと母材とが短絡すると短絡電流を通電し、短絡電流をピーク電流の立上り速度以上の立上り速度で増加させ、その後に溶滴のくびれを検出すると短絡電流を減少させる。パルスアーク溶接における通常短絡は、炭酸ガスアーク溶接、直流マグ溶接等の短絡移行アーク溶接に比べて、短絡時間のばらつきが大きい。このために、短絡電流をピーク電流の立上り速度以上の立上り速度で増加させて早期にくびれを形成するように促している。このようにすると、短絡時間がばらついて短くなった場合でも、くびれを早期に形成してくびれ検出制御を確実に動作させることができる。この結果、高速溶接等のアーク長を短く設定して行う溶接において、スパッタの発生を削減することができる。
さらに好ましくは、本実施の形態によれば、短絡電流の増加は、ピーク電流の立上り速度以上の立上り速度で増加する第1期間と、それに続くピーク電流の立上り速度未満の立上り速度で増加する第2期間とを備えている。第2期間中の短絡電流の立上り速度をピーク電流の立上り速度未満にすることによって、くびれの検出精度を高めることができる。これは、短絡電流の立上り速度が遅いほど、溶接電圧の微小な変化を検出するくびれ検出の制度が高まるためである。これにより、さらにスパッタの発生を削減することができる。ここで、第1期間及び第2期間中の短絡電流は曲線状に増加することが好ましい。このようにすると、第1期間から第2期間に移行するときの短絡電流が曲線状に変化するので、くびれ検出の制度が向上する。さらに、短絡電流の値が屈曲電流値に達した時点で第1期間から第2期間に移行し、屈曲電流値は150A以上300A以下の範囲で設定されることが好ましい。屈曲電流値が小さすぎると、くびれの形成が遅くなるので短絡期間が長くなり、溶接状態が不安定になりやすくなる。逆に、屈曲電流値が大きすぎると、くびれの形成状態が不安定になり、くびれ検出の制度が悪くなる。
さらに好ましくは、本実施の形態によれば、第1期間の前に初期期間を設け、初期期間中は短絡電流を増加させない。短絡直後に短絡電流を増加させると短絡が一時的に解除されてその直後に再び短絡が発生する状態となることがある。これを防ぎ、安定した短絡状態へと導くために、短絡電流を増加させない初期期間を設けている。これにより、さらにスパッタの発生を削減することができる。さらに、初期期間中の短絡電流はベース電流の値とすることが好ましい。初期期間中の短絡電流の値が小さすぎると定電流制御が不安定になる場合が生じる。このために、ベース電流の値に設定すれば、安定した定電流制御が可能となる。
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
CM 電流比較回路
Cm 電流比較信号
DR 駆動回路
Dr 駆動信号
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
Ib ベース電流
IBR ベース電流設定回路
Ibr ベース電流設定信号
ICR 電流制御設定回路
Icr 電流制御設定信号
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
ILR 低レベル電流設定回路
Ilr 低レベル電流設定信号
Ip ピーク電流
IPR ピーク電流設定回路
Ipr ピーク電流設定信号
IR 電流設定回路
Ir 電流設定信号
ISR 短絡電流設定回路
Isr 短絡電流設定信号
Iw 溶接電流
MC 電源主回路
ND くびれ検出回路
Nd くびれ検出信号
R 減流抵抗
S1R 第1立上り速度設定回路
S1r 第1立上り速度設定信号
S2R 第2立上り速度設定回路
S2r 第2立上り速度設定信号
SD 短絡判別回路
Sd 短絡判別信号
SDR ピーク電流立下り速度設定回路
Sdr ピーク電流立下り速度設定信号
SUR ピーク電流立上り速度設定回路
Sur ピーク電流立上り速度設定信号
Tf パルス周期信号
TPR ピーク期間設定回路
Tpr ピーク期間設定信号
TR トランジスタ
VAV 電圧平均化回路
Vav 電圧平均信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VF V/Fコンバータ
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
Vw 溶接電圧
WL リアクトル

Claims (6)

  1. 溶接ワイヤを送給し、ピーク電流及びベース電流を通電して溶接するパルスアーク溶接制御方法において、
    前記溶接ワイヤと母材とが短絡すると短絡電流を通電し、前記短絡電流を前記ピーク電流の立上り速度以上の立上り速度で増加させ、
    その後に溶滴のくびれを検出すると前記短絡電流を減少させる、
    ことを特徴とするパルスアーク溶接制御方法。
  2. 前記短絡電流の増加は、前記ピーク電流の立上り速度以上の立上り速度で増加する第1期間と、それに続く前記ピーク電流の立上り速度未満の立上り速度で増加する第2期間とを備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のパルスアーク溶接制御方法。
  3. 前記第1期間及び前記第2期間中の前記短絡電流は、曲線状に増加する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のパルスアーク溶接制御方法。
  4. 前記短絡電流の値が屈曲電流値に達した時点で前記第1期間から前記第2期間に移行し、
    前記屈曲電流値は150A以上300A以下の範囲で設定される、
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載のパルスアーク溶接制御方法。
  5. 前記第1期間の前に初期期間を設け、前記初期期間中は前記短絡電流を増加させない、
    ことを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載のパルスアーク溶接制御方法。
  6. 前記初期期間中は前記短絡電流を前記ベース電流の値とする、
    ことを特徴とする請求項5に記載のパルスアーク溶接制御方法。
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