JP2023172460A - 情報処理装置及び情報処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】周辺症状の主要因を適切に推定する情報処理装置及び情報処理方法等の提供。【解決手段】 情報処理装置は、センサを用いて取得されたセンシングデータを含む入力データを取得する取得部と、入力データに基づいて、被介助者が、認知症の周辺症状が見られる状態である周辺症状状態となった主要因が、被介助者の周辺環境に起因する環境要因、被介助者の実行機能障害に起因する第1中核要因、被介助者の見当識障害に起因する第2中核要因、及び、被介助者の心理に起因する心理要因を含む複数の要因の何れであるかを推定する要因推定部と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、情報処理装置及び情報処理方法等に関する。
従来、介助者が被介助者の介助を行う場面において利用されるシステムが知られている。特許文献1には、居住空間にセンサを配置し、当該センサにより取得された検知情報の時間変化に基づいて、居住空間に居住する居住者の状態に関する提供情報を生成する手法が開示されている。
また特許文献2には、利用者に装着したセンサから取得した生体情報に基づいて、不穏リスクを評価し、対処法を通知する手法が開示されている。
特開2021-18760号公報 国際公開第2019/073927号
介助者による被介助者の介助を適切にサポートする情報処理装置及び情報処理方法等を提供する。
本開示の一態様は、センサを用いて取得されたセンシングデータを含む入力データを取得する取得部と、前記入力データに基づいて、介助者による介助を受ける被介助者が、認知症の周辺症状が見られる状態である周辺症状状態となった主要因が、前記被介助者の周辺環境に起因する環境要因、前記被介助者の実行機能障害に起因する第1中核要因、前記被介助者の見当識障害に起因する第2中核要因、及び、前記被介助者の心理に起因する心理要因を含む複数の要因の何れであるかを推定する要因推定部と、を含む情報処理装置に関係する。
本開示の他の態様は、センサを用いて取得されたセンシングデータを含む入力データを取得し、前記入力データに基づいて、介助者による介助を受ける被介助者が、認知症の周辺症状が見られる状態である周辺症状状態となった要因が、前記被介助者の周辺環境に起因する環境要因、前記被介助者の実行機能障害に起因する第1中核要因、前記被介助者の見当識障害に起因する第2中核要因、前記被介助者の心理に起因する心理要因を含む複数の要因の何れであるかを推定する、情報処理方法に関係する。
情報処理装置の構成例である。 認知症における症状及び要因を説明する模式図である。 情報処理システムの構成例である。 サーバシステムの構成例である。 端末装置の構成例である。 動き出しを検出するセンシングデバイスの例である。 動き出しを検出するセンシングデバイスの例である。 食事に関連するセンシングデバイスの例である。 失禁を検出するセンシングデバイスの例である。 座位保持に関連するセンシングデバイスの例である。 ニューラルネットワークの例である。 ニューラルネットワークの入出力の例である。 学習処理を説明するフローチャートである。 主要因の推定を含む推論処理を説明するフローチャートである。 被介助者の食事をサポートする自動供給装置の例である。 嚥下ムセ検出装置と自動供給装置の接続例を示す図である。 タブの構造の例を示す図である。 タブの構造の例を示す図である。 タブの構造の例を示す図である。 タブの構造の例を示す図である。 食事量調整のためのスプーンの動きの例を示す図である。 食事量調整のためのスプーンの動きの例を示す図である。 食事量調整のためのスプーンの動きの例を示す図である。 嚥下ムセ検出装置において表示される画面例である。 MACフレームの構成例を示す図である。 フレームボディの構成例を示す図である。 data type IDとcontentsの関係例を示す図である。
以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
1.システム構成例
図1は、本実施形態に係る情報処理装置20の構成例である。情報処理装置20は、取得部21と、要因推定部22を含む。情報処理装置20の各部の詳細については後述する。本実施形態における情報処理装置20は、例えば医療施設や介護施設において、被介助者を介助する介助者に、介助をサポートするための情報を出力するものである。
ここでの介助者は、介護施設の介護職員であってもよいし、病院等の医療施設における看護師や准看護師であってもよい。即ち、本実施形態における介助とは、被介助者をサポートする種々の行動を含むものであり、介護を含んでもよいし、注射等の医療に関する行為を含んでもよい。またここでの被介助者は、介助者による介助を受ける者であり、介護施設の入居者であってもよいし、病院に入院や通院を行う患者であってもよい。また、被介助者は、例えば認知症を患っている可能性のある被介助者であってもよい。
また本実施形態における介助は、家庭において行われてもよい。例えば、本実施形態における被介助者は、在宅介護を受ける要介護者であってもよいし、在宅医療を受ける患者であってもよい。また介助者は、要介護者や患者等の家族であってもよいし、訪問ヘルパー等であってもよい。
図2は認知症における症状及び要因を説明する模式図である。認知症の被介助者には、周辺症状と呼ばれる種々の症状が見られる。ここでの周辺症状は、不穏行動やせん妄を含む。不穏行動とは、行動が過剰で落ち着かない状態を表す。せん妄とは、精神機能の障害であって、注意力および思考力の低下を伴う。より具体的には、周辺症状は、図2に示すように妄想、抑うつ、不眠、興奮、徘徊、幻覚等、種々の症状を含んでもよい。また周辺症状は図2に示した例に限定されず、不安、誤認、多動、不潔行為、暴言、暴力等、平常状態では見られない種々の症状を含んでもよい。また周辺症状は、精神症状や行動症状を含むものであり、BPSD(Behavioral and Psychological Symptom of Dementia)とも呼ばれる。上記の例であれば、抑うつ、妄想、幻覚等が精神症状に対応し、徘徊、暴力等が行動症状に対応する。周辺症状は、被介助者本人の生活の質を低下させるだけでなく、介助者の介助負担を増大させる。
また認知症において、脳の働きが低下することによって直接的に引き起こされる症状は中核症状と呼ばれる。中核症状は、図2に示すように、実行機能障害、見当識障害、記憶障害、失語、失行等が含まれる。
実行機能障害とは、順序立てて物事を実行することが難しくなる障害を表す。実行機能障害を発症している場合、例えば複数の行動を組み合わせた一連の行動を行う際に、各々の行動をすることが可能であったとしても、複数の行動を効率的に進めることが困難になる。
見当識障害とは、自分が置かれている状況を把握することが難しくなる障害を表す。見当識障害を発症している場合、例えば、被介助者は今がいつであるのか、自分がどこにいて、何をしているのか等を把握できなくなる。
記憶障害とは、新しいことを覚えることが難しくなる、あるいは、記憶していたことを忘れる障害を表す。失語とは、言葉を理解できない、思っていることを言葉として表現できない状態を表す。失行とは、日常的に行っていた動作を行えなくなる状態を表す。
認知症の患者に周辺症状が見られた場合、これらの中核症状が要因となりうる。しかし図2に示すように、周辺症状は、中核症状と、被介助者の環境や心理等の要因が相互に作用し合った結果として発生することが知られており、主要因の特定は容易でなかった。
よって本実施形態の手法では、認知症の可能性がある被介助者、及び、当該被介助者を介助する介助者の少なくとも一方に関連する情報を入力データとして取得し、当該入力データに基づいて周辺症状の主要因を推定する処理を行う。
図1に示したように、本実施形態に係る情報処理装置20は、取得部21と、要因推定部22を含む。取得部21は、センサを用いて取得されたデータであるセンシングデータを含む入力データを取得する。要因推定部22は、介助者による介助を受ける被介助者が、認知症の周辺症状が見られる状態である周辺症状状態となった主要因が、複数の要因の何れであるかを推定する。ここで複数の要因は、被介助者の周辺環境に起因する環境要因、被介助者の実行機能障害に起因する第1中核要因、被介助者の見当識障害に起因する第2中核要因、被介助者の心理に起因する心理要因を含む。なお情報処理装置20の構成は図1に限定されず、他の構成を追加する、一部の構成を省略する等の種々の変形実施が可能である。また、構成の省略や追加等の変形実施が可能である点は、後述する図3~図5等においても同様である。
本実施形態の手法によれば、被介助者に周辺症状が見られた場合に、その主要因を適切に推定できる。上記の通り、周辺症状は複数の要因が相互に関連して発生するものであるため、介助者が主要因を判断することは容易でなかったが、本実施形態の手法によれば主要因を適切に特定することが可能である。例えば、主要因に応じた対応を介助者に促すことが可能になるため、認知症である被介助者の生活の質を向上させることや、介助者の負担を軽減することが可能になる。なお本実施形態の手法では、要因推定部22は、入力データに基づいて被介助者が周辺症状状態であるかを推定してもよい。このようにすれば、周辺症状が見られるか否かの判定も情報処理装置20において実行することが可能になる。
以下、図3~図5を用いて、情報処理装置20を含む情報処理システム10の例について説明する。
図3は、情報処理システム10の構成例を示す図である。図3に示すように、情報処理システム10は、サーバシステム100、端末装置200、管理端末装置300、センシングデバイス400を含む。ただし、情報処理システム10の構成は図3に限定されない。例えば図3では、センシングデバイス400として、ベッドサイドセンサ420、検出装置430及び嚥下ムセ検出装置460を例示しているが、後述するように、センシングデバイス400として他のデバイスが用いられてもよい。例えばセンシングデバイス400として、図6~図10を用いて後述するデバイスが用いられてもよい。なお以下では、複数のセンシングデバイス400を互いに区別する必要が無い場合、単にセンシングデバイス400と表記する。
本実施形態の情報処理装置20は、例えばサーバシステム100に対応する。ただし、本実施形態の手法はこれに限定されず、サーバシステム100と他の装置を用いた分散処理によって、情報処理装置20の処理が実行されてもよい。例えば、本実施形態の情報処理装置20は、サーバシステム100と、端末装置200を含んでもよい。以下、情報処理装置20がサーバシステム100である例について説明する。
サーバシステム100は、例えばネットワークを介して端末装置200、管理端末装置300、センシングデバイス400と接続される。ここでのネットワークは、例えば、インターネット等の公衆通信網である。ただし、ネットワークは公衆通信網に限定されず、LAN(Local Area Network)等であってもよい。例えばサーバシステム100は、IEEE802.11の規格に従った通信を行ってもよい。ただし、各機器の間の通信手法については種々の変形実施が可能である。
サーバシステム100は、1つのサーバであってもよいし、複数のサーバを含んでもよい。例えばサーバシステム100は、データベースサーバとアプリケーションサーバを含んでもよい。データベースサーバは、図4を用いて後述する種々のデータを記憶する。アプリケーションサーバは、図13~図14等を用いて後述する処理を行う。なおここでの複数のサーバは、物理サーバであってもよいし仮想サーバであってもよい。また仮想サーバが用いられる場合、当該仮想サーバは1つの物理サーバに設けられてもよいし、複数の物理サーバに分散して配置されてもよい。以上のように、本実施形態におけるサーバシステム100の具体的な構成は種々の変形実施が可能である。
端末装置200は、例えば被介助者の介助を行う介助者によって使用される装置である。ここでの端末装置200は、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末装置である。ただし端末装置200は、PC(Personal Computer)、ヘッドセット、AR(Augmented Reality)グラスやMR(Mixed Reality)グラス等のウェアラブル装置等、他の装置であってもよい。また1人の介助者が複数の端末装置200を使用してもよい。例えば介助者は、スマートフォンとヘッドセットの両方を使用してもよい。
管理端末装置300は、例えば介護施設等において入居者である被介助者の情報を管理するために用いられる装置である。管理端末装置300は、例えばPCであるが、他の装置が用いられてもよい。管理端末装置300は、例えば介護ソフトウェアがインストールされており、被介助者の管理や、介助者(介護施設の職員)のスケジュール管理等を行う。例えば管理端末装置300は、被介助者の属性に関する情報を記憶する。ここでの属性は、年齢、性別、身長、体重、既往歴、投薬履歴等を含む。
センシングデバイス400は、種々のセンサを有し、当該センサに基づいてセンシングデータを取得する。以下におけるセンシングデータは、センサ出力そのものであってもよいし、当該センサ出力に基づく演算処理によって求められた情報であってもよい。
図3に示す情報処理システム10において、例えば管理端末装置300は、被介助者に関する情報をサーバシステム100に送信する。またセンシングデバイス400は、センシングデータをサーバシステム100に送信する。サーバシステム100は、管理端末装置300及びセンシングデバイス400から送信されたデータを入力データとして、周辺症状の有無や、周辺症状が見られた場合の主要因を推定する処理を行う。サーバシステム100は、推定した主要因に基づいて、端末装置200に情報を送信する。例えばサーバシステム100は、主要因を表す情報を送信してもよいし、主要因に基づいて求められた具体的な対処を表す情報を送信してもよい。またサーバシステム100による情報の送信先は端末装置200に限定されない。例えば、サーバシステム100は、主要因の推定結果をセンシングデバイス400や他の制御対象デバイス(図3には不図示)に送信してもよい。センシングデバイス400や制御対象デバイスは、送信された主要因に基づいて、例えば動作モードを変更する処理を実行する。処理の詳細については後述する。
図4は、サーバシステム100の詳細な構成例を示すブロック図である。サーバシステム100は、例えば処理部110と、記憶部120と、通信部130を含む。
本実施形態の処理部110は、下記のハードウェアによって構成される。ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、ハードウェアは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子によって構成できる。1又は複数の回路装置は例えばIC(Integrated Circuit)、FPGA(field-programmable gate array)等である。1又は複数の回路素子は例えば抵抗、キャパシター等である。
また処理部110は、下記のプロセッサによって実現されてもよい。本実施形態のサーバシステム100は、情報を記憶するメモリと、メモリに記憶された情報に基づいて動作するプロセッサと、を含む。情報は、例えばプログラムと各種のデータ等である。メモリは、記憶部120であってもよいし、他のメモリであってもよい。プロセッサは、ハードウェアを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサを用いることが可能である。メモリは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよいし、レジスタであってもよいし、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリはコンピュータによって読み取り可能な命令を格納しており、当該命令をプロセッサが実行することによって、処理部110の機能が処理として実現される。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
処理部110は、例えば取得部111、要因推定部112、対処決定部113、通信処理部114、学習部115、提示処理部116を含む。
取得部111は、被介助者に周辺症状が見られた場合の主要因を特定するための入力データを取得する。例えば取得部111は、通信部130を介して、管理端末装置300やセンシングデバイス400から入力データを取得する。入力データの詳細については後述する。
要因推定部112は、入力データに基づいて、主要因を推定する処理を行う。本実施形態のサーバシステム100は、例えば入力データと主要因を対応付ける情報を記憶してもよい。入力データと主要因を対応付ける情報は、例えば学習済モデル124である。ただし入力データと主要因を対応付ける情報は、テーブルデータであってもよいし、入力データに基づいて主要因を求めるアルゴリズムであってもよい。要因推定部112は、入力データと主要因を対応付ける情報と、取得部111が取得した入力データとに基づいて、主要因を推定する。
対処決定部113は、推定された主要因に基づいて、被介助者の周辺症状に対して推奨される対処を表す対処情報を求める。本実施形態のサーバシステム100は、例えば主要因と対処情報を対応付ける対処テーブル125を記憶してもよい。対処決定部113は、推定された主要因と対処テーブル125に基づいて、主要因に応じた対処を求める。
通信処理部114は、通信部130を用いた通信を制御する。例えば通信処理部114は、データリンク層におけるMACフレーム等、送信対象となるデータを作成する処理を実行する。また通信処理部114は、通信部130が受信したデータに対して、フレーム構造の解釈等を行い、必要なデータを抽出し、アプリケーション等の上位層に出力する処理を行ってもよい。
学習部115は、訓練データに基づく機械学習を行うことによって、学習済モデル124を求める処理を行う。ここでの機械学習は、ニューラルネットワーク(以下、NNと記載)を用いてもよいし、SVMを用いてもよいし、他の手法を用いた学習であってもよい。また学習部115は、更新用の訓練データに基づく機械学習を行うことによって、既存の学習済モデル124を更新する処理を行ってもよい。
提示処理部116は、サーバシステム100において求められた情報を端末装置200等の他の装置において提示するための処理を行う。例えば提示処理部116は、通信部130を介して、端末装置200等に主要因を表す情報や、推奨される対処を表す情報を送信する処理を行ってもよい。また提示処理部116は、端末装置200等における提示態様を特定する情報を送信してもよい。ここでの提示は、画像やテキストの表示であってもよいし、音声の出力であってもよいし、発光や振動等を用いた提示であってもよい。
記憶部120は、処理部110のワーク領域であって、種々の情報を記憶する。記憶部120は、種々のメモリによって実現が可能であり、メモリは、SRAM、DRAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよいし、レジスタであってもよいし、磁気記憶装置であってもよいし、光学式記憶装置であってもよい。
記憶部120は、ユーザ情報121、デバイス情報122、ログデータ123、学習済モデル124、対処テーブル125を記憶してもよい。
ユーザ情報121は、情報処理システム10のユーザを管理する情報であり、ユーザを一意に特定するユーザIDやユーザ名等の情報を含む。ここでのユーザは、被介助者と介助者の両方を含む。またここでのユーザは、被介助者の関係者を含んでもよい。関係者は、被介助者と日常的に関わりを有する者であり、家族や親しい友人、施設関係者等を含んでもよい。
デバイス情報122は、情報処理システム10に含まれる種々のデバイスを管理する情報であり、デバイスを一意に特定するデバイスID、デバイス名、デバイスの種類を表すデバイス種類ID、ベンダ等を含む。ここでのデバイスは、端末装置200であってもよいし、管理端末装置300であってもよいし、センシングデバイス400であってもよい。またデバイス情報122は、対象のデバイスを使用するユーザを特定するユーザIDを含んでもよい。端末装置200の使用者は、例えば介助者である。センシングデバイス400の使用者は、被介助者であってもよいし、当該被介助者を担当する介助者であってもよいし、この両方であってもよい。またデバイス情報122は、センシングデバイス400が使用される施設等の情報を含んでもよい。
ログデータ123は、取得部111が取得した入力データのログである。例えばログデータ123は、時系列の入力データと、当該入力データの取得タイミングとが対応付けられた情報である。またログデータ123は、入力データの取得元のデバイスや、対象の被介助者等を特定する情報を含んでもよい。
学習済モデル124は、学習部115の学習処理によって取得された情報であり、入力データに基づいて周辺症状の主要因を特定するモデルである。学習済モデル124の詳細については後述する。
対処テーブル125は、主要因と、推奨される対処とが対応付けられた情報である。具体的な対応付けについては後述する。
通信部130は、ネットワークを介した通信を行うためのインターフェイスであり、サーバシステム100が無線通信を行う場合、例えばアンテナ、RF(radio frequency)回路、及びベースバンド回路を含む。ただしサーバシステム100は有線通信を行ってもよく、その場合の通信部130は、イーサネットコネクタ等の通信インターフェイス及び、当該通信インターフェイスの制御回路等を含んでもよい。通信部130は、通信処理部114による制御に従って動作する。ただし通信部130が、通信処理部114とは異なる通信制御用のプロセッサを含むことも妨げられない。通信部130は、例えばIEEE802.11やIEEE802.3に規定された方式に従った通信を行ってもよい。ただし具体的な通信方式は種々の変形実施が可能である。
図5は、端末装置200の詳細な構成例を示すブロック図である。端末装置200は、例えば処理部210と、記憶部220と、通信部230と、表示部240と、操作部250を含む。端末装置200の構成は図5に限定されず、一部の構成を省略する、他の構成を追加する等の変形実施が可能である。例えば端末装置200は、加速度センサやジャイロセンサ等のモーションセンサ、撮像センサ、圧力センサ、GPS(Global Positioning System)センサ等、端末装置200に応じた種々のセンサを有してもよい。また上述したように、端末装置200は種々の態様の機器を用いることが可能であり、図5に不図示の機器特有の構成を有してもよい。
処理部210は、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むハードウェアによって構成される。また処理部210は、プロセッサによって実現されてもよい。プロセッサは、CPU、GPU、DSP等、各種のプロセッサを用いることが可能である。端末装置200のメモリに格納された命令をプロセッサが実行することによって、処理部210の機能が処理として実現される。
記憶部220は、処理部210のワーク領域であって、SRAM、DRAM、ROM等の種々のメモリによって実現される。
通信部230は、ネットワークを介した通信を行うためのインターフェイスであり、例えばアンテナ、RF回路、及びベースバンド回路を含む。通信部230は、例えばネットワークを介して、サーバシステム100との通信を行う。通信部230は、例えばIEEE802.11の規格に準拠した無線通信をサーバシステム100との間で実行してもよい。
表示部240は、種々の情報を表示するインターフェイスであり、液晶ディスプレイであってもよいし、有機ELディスプレイであってもよいし、他の方式のディスプレイであってもよい。操作部250は、ユーザ操作を受け付けるインターフェイスである。操作部250は、端末装置200に設けられるボタン等であってもよい。また表示部240と操作部250は、一体として構成されるタッチパネルであってもよい。
また端末装置200は、発光部、振動部、音入力部、音出力部等、図5には不図示の構成を含んでもよい。発光部は例えばLED(light emitting diode)であり、発光による報知を行う。振動部は例えばモータであり、振動による報知を行う。音入力部は例えばマイクである。音出力部は例えばスピーカであり、音による報知を行う。
また、本実施形態の情報処理装置20が行う処理の一部又は全部は、プログラムによって実現されてもよい。情報処理装置20が行う処理とは、例えばサーバシステム100の処理部110が行う処理である。
本実施形態に係るプログラムは、例えばコンピュータによって読み取り可能な媒体である非一時的な情報記憶装置(情報記憶媒体)に格納できる。情報記憶装置は、例えば光ディスク、メモリーカード、HDD、或いは半導体メモリなどによって実現できる。半導体メモリは例えばROMである。処理部110等は、情報記憶装置に格納されるプログラムに基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶装置は、処理部110等としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶する。コンピュータは、入力装置、処理部、記憶部、出力部を備える装置である。具体的には本実施形態に係るプログラムは、図13~図14等を用いて後述する各ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
また本実施形態の手法は、以下の各ステップを含む情報処理方法に適用できる。情報処理方法は、センサを用いて取得されたセンシングデータを含む入力データを取得するステップと、介助者による介助を受ける被介助者が認知症の周辺症状が見られる状態である周辺症状状態となった要因が、複数の要因の何れであるかを推定するステップと、を含む。複数の要因は、上述したように、被介助者の周辺環境に起因する環境要因、被介助者の実行機能障害に起因する第1中核要因、被介助者の見当識障害に起因する第2中核要因、被介助者の心理に起因する心理要因を含む。
2.処理の詳細
次に本実施形態に係る処理について詳細に説明する。まず複数の要因のそれぞれについて、当該要因と関連するデータの例を説明する。要因に関連するデータは、例えば入力データの一部として用いられる。その後、サーバシステム100での処理について詳細に説明する。さらに、食事介助を例にとって、使用するデバイスを追加する対処の具体例を説明する。また、推定された主要因を端末装置200や他のデバイスに送信する際のデータ構造の例についても説明する。
2.1 要因と関連するデータの例
2.1.1 環境要因
図2を用いて上述したように、周辺症状の要因の1つとして、被介助者の周囲の環境が知られている。環境要因に関連するデータとは、被介助者の周囲の環境を特定するデータを含む。以下、環境要因に関連するデータを環境情報と標記する。環境情報は、明るさ、温度、湿度、香り、音、映像、季節に関する情報を含む。
例えば明るさを表す情報は、被介助者の生活環境に配置される照明機器に関する情報であってもよい。照明機器の情報は、ルーメン等を単位として表現される明るさの情報であってもよいし、色温度の情報であってもよい。また1日の中で照明がオンにされる時間を特定する情報であってもよい。これらの情報は、例えば照明機器の動作ログから自動的に取得されてもよいし、介助者等が入力してもよい。
また温度や湿度を表す情報は、温度計や湿度計等のセンサを用いて取得されてもよい。また温度や湿度を表す情報は、被介助者の生活環境に配置される空調機器に関する情報であってもよい。空調機器が温度センサや湿度センサを含む場合、当該センサの出力に基づいて、温度や湿度を表す情報が取得されてもよい。また温度や湿度を表す情報は、空調機器の設定温度、動作モード(冷房、暖房、除湿等)、動作時間等の情報であってもよい。これらの情報は、例えば空調機器の動作ログから自動的に取得されてもよいし、介助者等が入力してもよい。
香りを表す情報は、例えば被介助者の周囲に存在する香りに関する情報であり、香りの種類や、当該香りが感じられる継続時間等の情報を含む。例えば、被介助者の居室に花や芳香剤等が配置される場合、花の品種、芳香剤のメーカや製品型番等に基づいて香りの種類が特定されてもよい。また被介助者の衣類の香りを表す情報として、洗剤や柔軟剤に関する情報が用いられてもよい。また香りを表す情報は、被介助者自身、あるいは介助者の体臭を表す情報を含んでもよい。香りを表す情報は、臭気センサの出力に基づいて自動的に取得されてもよいし、介助者等が入力してもよい。
音を表す情報は、音楽プレイヤー等から出力される音楽の種類や、当該音楽が出力される時間帯等を表す情報を含む。音楽の種類とは、例えばポップスやクラシック等のジャンルを表す情報であってもよい。音楽を表す情報は、音楽プレイヤーの動作ログに基づいて自動的に取得されてもよいし、介助者等が入力してもよい。また音を表す情報は、マイク等の集音装置を用いて取得される情報であってもよい。例えば、音の周波数、大きさ、継続時間等の情報が音を表す情報として用いられてもよい。
映像を表す情報は、例えばテレビ等の表示装置を用いて表示される映像の種類や、当該映像が出力される時間帯等を表す情報を含む。映像の種類は、映画、ドラマ、ニュース等のジャンルを表す情報であってもよく、アクション映画やコメディ映画等、より詳細なジャンルを含んでもよい。映像を表す情報は、テレビの動作ログに基づいて自動的に取得されてもよいし、介助者等が入力してもよい。
季節を表す情報は、例えば今の季節が春夏秋冬のいずれに該当するかを特定する情報である。例えば季節を表す情報は、春夏秋冬の4状態を識別する2ビットのデータであってもよい。また季節を表す情報は、季節の移り変わりの時期であるか否かの情報を含んでもよいし、具体的な日付の情報を含んでもよい。季節を表す情報は、管理端末装置300等において動作するカレンダーソフトウェア等を用いて自動的に取得されてもよいし、介助者等が入力してもよい。
2.1.2 第1中核要因(実行機能障害)
上述したように、中核症状として実行機能障害、失行等が知られており、実行機能障害や失行とは、日常的な行為の実行が難しくなる状態を表す。よって第1中核要因に関連するデータとは、日常的な活動を実行する能力を表すデータであってもよい。ここでの能力を表すデータとは、ADL(Activities of Daily Living)の指標値であってもよい。またここでのADLはiADL(Instrumental Activities of Daily Living)であってもよい。
例えば、実行機能障害や失行が見られる被介助者は、日常的な活動である動き出し、食事、排泄等がうまくできなくなる。ここでの動き出しとは、例えば立ち上がりや起き上がりを含む。本実施形態では、動き出しを検出するセンシングデバイス400、食事を検出するセンシングデバイス400、失禁を検出するセンシングデバイス400等のセンシングデータが、第1中核要因に関連するデータとしてサーバシステム100に出力されてもよい。以下、各センシングデバイス400の具体例について説明する。
<動き出し>
図6は、動き出しを検出するセンシングデバイス400である撮像装置410の例、及び撮像装置410の出力画像IM1の例を示す図である。撮像装置410は、センシングデータとして撮像画像を出力するイメージセンサを有する。撮像装置410は、介護施設のリビングやホール等、多人数がまとまって活動する場所に配置されてもよい。図6の例では、撮像装置410はテレビジョン装置の上部に配置される。また撮像装置410が配置される場所はこれに限定されず、居室等の他の場所に配置されてもよい。例えば図7を用いて後述するベッドサイドセンサ420及び検出装置430やベッドでの動き出しを検出するが、これらのセンシングデバイス400にかえて居室に配置される撮像装置410が用いられてもよい。
撮像装置410は、撮像画像に基づいて人物の動き出しを検知する処理を行ってもよい。撮像装置410は、例えば撮像装置410にインストールされるアプリケーションに従って動作することによって、撮像画像を入力データとして取得し、当該撮像画像から人物を検出する処理、及び、検出された人物の動き出しの有無を判定する処理を実行する。例えば撮像装置410は、時系列の撮像画像をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力する。あるいは撮像装置410は、時系列の撮像画像に基づいて、以下で説明する処理を実行することによって動き出しの有無を判定し、判定結果をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。また撮像装置410は動き出しの有無を判定し、動き出しが検出された場合に、当該動き出しの前後所定期間の撮像画像をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。この場合、特に立ち上がりの能力の判定に有用な情報をセンシングデータとして出力できる。その他、センシングデータの具体例については種々の変形実施が可能である。
例えば撮像装置410は、撮像画像に基づいて人物の顔を認識する顔認識処理を行う。例えば撮像装置410は、検出対象となる人物の顔画像を記憶しており、当該顔画像をテンプレートとするマッチング処理に基づいて顔認識処理を行ってもよい。また顔認識処理は種々の手法が知られており、本実施形態ではそれらを広く適用可能である。例えば撮像装置410は、検出された顔領域の動きが所与の閾値以下の状態が一定時間継続した場合に、当該状態での顔領域の位置を基準位置に設定する。そして撮像装置410は、当該基準位置から所定距離離れた位置に検出領域を設定し、顔領域が当該検出領域に到達した場合に、動き出しがあったと判定してもよい。例えば、立ち上がり動作が行われた場合、顔の位置は相対的に上方に移動することが想定されるため、上記検出領域は基準位置に比べて所定距離だけ上方の位置に設定される領域であってもよい。この場合、顔領域の画像上での位置が基準位置に対して所定距離以上、上方向に移動した場合に、動き出しが検出される。なお、ここでの検出領域は、例えばライン状の領域であるが他の形状の領域が設定されてもよい。
また撮像装置410は、顔認識処理によって対象の被介助者を特定できる。よって撮像装置410は、特定の被介助者については動き出し検知を行い、他の被介助者については動き出し検知を省略してもよい。ここでの特定の被介助者は、例えば認知症が疑われる被介助者であってもよいし、ADLの指標値が所定以下の被介助者であってもよい。例えば撮像装置410は、立ち上がり時の転倒リスクの高い被介助者を対象に動き出し検知を行ってもよい。
また動き出しの検出処理は上記の手法に限定されない。例えば撮像装置410は、撮像画像に基づいて骨格トラッキング処理を行ってもよい。なお画像に基づく骨格トラッキングの手法としては、“Realtime Multi-Person 2D Pose Estimation using Part Affinity Fields” (https://arxiv.org/pdf/1611.08050.pdf), Zhe Cao他に開示されたOpenPose等、種々の手法が知られており、本実施形態ではそれらを広く適用できる。
またOpenPoseでは、画像中に撮像された複数の人物のそれぞれについて骨格トラッキングを行い、その結果を表示する手法が開示されている。図6の例であれば、イメージセンサは3人の被介助者を含む撮像画像を出力し、撮像装置410は、3人の被介助者のそれぞれを対象として動き出しの有無を判定する。
例えば、能力が低下することで起居が難しくなっている被介助者は、立ち上がる姿勢を取るだけでも転倒する可能性がある。よって撮像装置410は、骨格トラッキングによって立ち上がる姿勢を取っているかを判定してもよい。例えば撮像装置410は、座っている状態から手を膝や椅子の座面等について前屈みになったと判定した場合に、立ち上がる姿勢であると判定し、転倒リスクを介助者に通知する。例えば撮像装置410は、骨格トラッキング結果から手の位置と膝の位置の間の距離が所定以下であること、肩の位置が所定以上下方に移動したこと等を検出した場合に、被介助者が立ち上がる姿勢を取っていると判定してもよい。
あるいは、撮像装置410は、処理対象データを数秒単位のウィンドウで区分し、各ウィンドウ内において頭や首等の特定の位置が、所定閾値以上移動した場合に立ち上がり等の姿勢変化が起こっていると判定してもよい。なお移動検出の対象となる部位は頭や首以外であってもよい。また移動方向は縦でも横でも斜めでもよい。また検出対象の部位に応じて、検出に用いる閾値が変更されてもよい。あるいは、撮像装置410は、静止状態の被介助者を対象とする骨格トラッキングによって検出された特徴点を内包する領域を求め、所定数以上の特徴点が当該領域から外れた場合に、立ち上がり等の動き出し動作があったと判定してもよい。その他、撮像装置410を用いた動き出し検出処理の手法については種々の変形実施が可能である。
図6のIM1は、撮像装置410を用いて出力される出力画像の例である。以下、撮像装置410が出力画像を生成する例を説明するが、サーバシステム100がセンシングデータに基づいて出力画像IM1を生成してもよい。
例えば撮像装置410は、撮像画像上に何らかの表示オブジェクトを重畳表示してもよい。図6の例では、動き出しが検知された被介助者に対応付けて、「!」マークを含むオブジェクトが表示される。このようにすれば、動き出しが検知された被介助者を分かりやすく介助者に通知することが可能になる。例えば、撮像装置410はセンシングデータの一部として出力画像IM1をサーバシステム100に送信してもよい。サーバシステム100は、介助者が使用する端末装置200に出力画像IM1を出力する。ただし、撮像装置410の出力は、動き出しが検知された被介助者を特定する情報(例えば被介助者のID)であってもよく、具体的な態様は種々の変形実施が可能である。例えばここでは動き出しが検知された被介助者を通知する例を示したが、被介助者の動きを停止させるための情報が出力されてもよい。例えば撮像装置410は、動き出した被介助者を特定し、当該被介助者の家族等の音声データ、動画データ等を出力してもよい。特に認知症の患者の場合、呼びかけへの応答が鈍くなるが、家族等の顔や声は覚えているケースが多く、動きの停止に有効である。このように被介助者の動きを停止させることによって、介助者が介入するまでの時間を稼ぐことが可能である。
図7は、ベッド610のボトムに配置されるベッドサイドセンサ420及び検出装置430の例を説明する図である。ベッドサイドセンサ420及び検出装置430は、例えば図7に示すように、ベッド610のボトムとマットレス620の間に設けられるシート状またはプレート状のデバイスである。
ベッドサイドセンサ420は、センシングデータとして圧力値を出力する圧力センサを含み、ボトムのうち、介助者がベッドの上り下りに用いる側に配置される。図7の例では、介助者の上り下りはベッド610の手前側を用いて行われる。この際、図7に示すように、ベッド610の手前側には転落防止用の柵が配置され、ベッドサイドセンサ420は当該柵が設けられない位置に配置されてもよい。このようにすれば、ベッド610の上り下りを行うユーザは、一旦、ベッドサイドセンサ420上に座る動作を行う。ベッドサイドセンサ420は、時系列の圧力データをセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。あるいは、ベッドサイドセンサ420は、以下で説明する処理を実行することによって動き出しの有無を判定し、判定結果をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。
ベッドサイドセンサ420は、例えばベッドサイドセンサ420にインストールされるアプリケーションに従って動作することによって、圧力値を入力データとして取得し、当該圧力値からベッド610上での被介助者の動きを判定する処理を実行する。
例えば被介助者がベッド610から立ち上がる際には、被介助者は、ベッド上で臥位を取っている状態から、ベッドサイドで座位を取った状態(以下、端座位と表記)に移行し、さらに膝やボトム面に手をついて力を加えることで立ち上がり動作を実行することが想定される。ベッドサイドセンサ420が検出する圧力値は、臥位、端座位、立ち上がり動作の順で大きくなる。例えばベッドサイドセンサ420は、圧力値と所与の閾値の比較処理に基づいて、端座位から立ち上がり動作への変化を検出した場合に動き出しが検出されたと判定してもよい。あるいは、立ち上がり動作をより速い段階で検出するという観点から、ベッドサイドセンサ420は、圧力値と所与の閾値の比較処理に基づいて、臥位から端座位への変化を検出した場合に動き出しが検出されたと判定してもよい。
あるいは、立ち上がり動作が継続されると、被介助者の臀部がボトム面から浮き上がるため、圧力センサから出力される圧力値は大きく減少する。よってベッドサイドセンサ420は、圧力値の時系列変化に基づいて、圧力値が第1閾値以上に増加した後、第1閾値よりも小さい第2閾値以下に減少した場合に、立ち上がり動作が行われたと判定してもよい。その他、動き出し判定の具体的な処理内容については種々の変形実施が可能である。
また図7に示す検出装置430は、被介助者の睡眠に関する情報をセンシングするセンシングデバイス400である。検出装置430は、圧力値を出力する圧力センサを含む。
検出装置430は、ユーザが就床すると、マットレス620を介してユーザの体振動(体動、振動)を検知する。検出装置430が検知した体振動に基づいて、呼吸数、心拍数、活動量、姿勢、覚醒/睡眠、離床/在床に関する情報が求められる。また検出装置430は、ノンレム睡眠とレム睡眠の判定や、睡眠の深さの判定を行ってもよい。例えば体動の周期性を分析し、ピーク周波数から呼吸数、心拍数が算出されてもよい。周期性の分析は、例えばフーリエ変換等である。呼吸数は、単位時間あたりの呼吸の回数である。心拍数は、単位時間あたりの心拍の回数である。単位時間は、例えば1分である。また、サンプリング単位時間当たりに体振動を検出し、検出された体振動の回数が活動量として算出されてもよい。またユーザの離床時には、在床時に比べて検出される圧力値が減少するため、圧力値やその時系列的な変化に基づいて離床/在床の判定が可能である。
例えば検出装置430は、圧力センサの出力をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。あるいは検出装置430は、上述した呼吸数、心拍数、活動量、姿勢、覚醒/睡眠、離床/在床に関する情報をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。
例えば検出装置430は、被介助者が在床状態から離床状態に移行した場合に、動き出しがあったと判定する。またより早い段階で動き出しの兆候を検出するという観点から、検出装置430は、被介助者が睡眠状態から覚醒状態に移行した場合に、動き出しがあったと判定してもよい。検出装置430は、覚醒/睡眠、離床/在床に関する情報をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよいし、動き出しの検出結果をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。
<食事>
図8は、食事の場面において利用されるセンシングデバイス400である嚥下ムセ検出装置460を例示する図である。図8に示すように、嚥下ムセ検出装置460は、被介助者の首回りに装着されるスロートマイク461と、カメラを有する端末装置462を含む。なお端末装置462に代えて、カメラを有する他の装置が用いられてもよい。スロートマイク461は、被介助者の嚥下や咳込み等による音声データを出力する。端末装置462のカメラは、被介助者の食事の様子を撮像した撮像画像を出力する。端末装置462は、例えば被介助者の食事をする卓上に置かれるスマートフォンやタブレット型のPC等である。スロートマイク461は、Bluetooth(登録商標)等を用いて端末装置462に接続され、端末装置462はネットワークを介してサーバシステム100に接続される。ただし、スロートマイク461と端末装置462の両方がサーバシステム100に直接接続可能であってもよく、具体的な接続態様は種々の変形実施が可能である。
嚥下ムセ検出装置460は、スロートマイク461が検出した時系列の音声データ、及び、端末装置462のカメラによって撮像された時系列の撮像画像をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力する。あるいは、嚥下ムセ検出装置460は、音声データや撮像画像に基づいて以下で説明する処理を実行することによって食事に関する各種情報を求め、当該情報をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。
嚥下ムセ検出装置460は、スロートマイク461の音声データに基づいて、被介助者のムセと、嚥下を判定する。首回りに装着したマイクを用いて嚥下を検出するデバイスは、例えば“Swallowing action measurement device and swallowing action support system”という2019年2月15日に出願された米国特許出願第16/276768号に記載されている。この特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。プロセッサは、音声データに基づいて、ムセの回数、ムセの時間(発生時刻、継続時間等)、嚥下をしたか否かを検出できる。
また端末装置462のカメラは、例えば図8に示すように被介助者を正面方向から撮像することによって、被介助者の口、目、及び被介助者が使用する箸やスプーン等を検出できる。なお画像処理に基づいてこれらの顔のパーツや物体を検出する手法は種々知られており、本実施形態では公知の手法を広く適用可能である。
例えば嚥下ムセ検出装置460は、カメラの撮像画像に基づいて、被介助者の口が開いているか否か、口から食事が出ているか否か、食事を噛んでいるか否かを判定できる。また嚥下ムセ検出装置460は、カメラの撮像画像に基づいて、被介助者の目が開いているか否かを判定できる。また嚥下ムセ検出装置460は、カメラの撮像画像に基づいて、箸やスプーン等が食器の近くにあるか否か、被介助者が持てているか否か、食事をこぼしているか否かを判定できる。
本実施形態の手法では、これらの情報に基づいて、被介助者の嚥下やムセに関する状況を推定する。例えば嚥下ムセ検出装置460は、ムセ及び嚥下の検出結果、及び、被介助者の口の開閉判定結果に基づいて、食事に関する情報を求めてもよい。
例えば嚥下ムセ検出装置460は、ムセの回数や時間に基づいて、ムセが頻発しているか否かを判定し、判定結果を出力してもよい。例えば嚥下ムセ検出装置460は、単位時間あたりのムセの回数が閾値を超えた場合に、ムセが頻発したと判定してもよい。このようにすれば、ムセに関する状況を自動的に判定できる。
また嚥下ムセ検出装置460は、嚥下の検出結果、及び、被介助者の口の開閉判定結果に基づいて、被介助者が口を開けてから嚥下するまでの嚥下時間を求めてもよい。このようにすれば、例えば嚥下の回数が減っている場合において、食事を口に入れる動作自体が行われていないのか、食事を口に入れたのに嚥下が行われないのか等、具体的な状況を判定できる。例えば嚥下ムセ検出装置460は、端末装置462の撮像画像に基づいて口が閉じた状態から開いた状態に移行したときにタイマーのカウントアップを開始し、スロートマイク461によって嚥下が検出された場合にタイマーの計測を停止してもよい。停止時のタイムが、嚥下時間を表す。このようにすれば、食事において誤嚥リスクが高く、介助者が何らかのアクションを実行すべき状況であるかを精度よく判定できる。
また嚥下ムセ検出装置460は、嚥下時間に基づいて食事のペースを判定してもよい。また嚥下ムセ検出装置460は、1回の食事の中での嚥下時間の変化(例えば最初の方の嚥下時間に対する増加量や比率等)に基づいて、嚥下時間が長いか否かを判定してもよい。あるいはプロセッサは、同じ被介助者について、複数回の食事のそれぞれでの平均嚥下時間等を求め、当該平均嚥下時間の変化に基づいて嚥下時間が長くなったか否かを判定してもよい。
また端末装置462の撮像画像による口の開閉判定結果を用いることによって、介助者がスプーン等を近づけても開口しなくなった状況であるかを判定できる。このように、被介助者が開口を渋る状況において、嚥下時間が長くなった場合、口内に食べ物が残るため込みが発生した状況であると推定できる。また撮像画像を用いて口から食事が出ているか否か、食事を噛んでいるか口の認識結果を用いることによって、被介助者が食べ物を噛み切れなくなった状況であるかを判定できる。例えば噛む回数は通常通りであるのに、嚥下時間が長い場合、噛み切れなくなった状況であると推定される。また撮像画像を用いて目が閉じていると判定された場合、被介助者が眠そうになった状況であるかを判定できる。
また撮像画像を用いて箸やスプーン等の認識処理を行うことによって、食べ物で遊んでいる、器が持てない、何もしていない等の状況であるか否かが判定されてもよい。例えばスプーン等のオブジェクトが被介助者の手に重なっているが、当該オブジェクトを口に運ぶまでの時間が所定閾値以上である場合、食器が持てない、あるいは、食べ物で遊んでいると判定される。またスプーン等のオブジェクトが被介助者の手に重ならず、且つ、被介助者の視線が食事に向いている時間が所定閾値以上である場合、何もしないで食事を見ていると判定される。
<失禁>
図9は、失禁の検出に用いられるセンシングデバイス400の例である失禁検出装置450の例である。失禁検出装置450は、例えばベッド610のマットレス620上に載置される。
図9に示す失禁検出装置450は、例えば臭気センサを含み、被介助者が失禁をしたか否かを検出する。ここでの臭気センサは、半導体式であってもよいし、水晶振動子式であってもよいし、他の方式であってもよい。例えば失禁検出装置450は、臭気センサによって出力された臭気を表す数値データが所与の閾値以上である場合に、失禁有りと判定する。
失禁検出装置450は、臭気センサの出力データをセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよいし、当該出力データに基づいて失禁の有無を判定し、判定結果をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。また失禁検出装置450は、失禁の割合をセンシングデータとして出力してもよい。ここでの失禁割合は、対象期間の全日数に対する、失禁が検出された日数の比率であってもよいし、1日等の単位期間における全排泄回数に対する、失禁と判定された排泄回数の比率であってもよいし、他の比率であってもよい。
また失禁検出装置450は、臭気センサを含むものに限定されない。例えば失禁検出装置450は、静電容量センサを含み、液体(尿)の有無による静電容量の変化に基づいて、失禁の有無を検出してもよい。失禁検出装置450は、静電容量センサの出力データ、及び、失禁の検出結果(失禁の有無であってもよいし、失禁割合であってもよい)の少なくとも一方を、センシングデータとしてサーバシステム100に出力する。
以上の例では、例えば図9に示したように、マットレス620の上に配置された失禁検出装置450を用いて失禁が検出される。そのため、被介助者がオムツを装着していない場合、尿が失禁検出装置450の近傍に到達するため、失禁による臭気や静電容量の変化を適切に検出することが可能である。一方、被介助者がオムツを装着している場合、オムツからの漏れがあるほどの失禁であれば臭気や静電容量の変化が大きいが、オムツ内で吸収可能な量の失禁であれば、臭気や静電容量の変化が小さく、オムツ内での失禁の検出が難しい可能性もある。
よって本実施形態では、失禁検出装置450は、被介助者の状態に応じて、具体的には被介助者がオムツを装着しているか否かに応じて、失禁判定の内容を変更してもよい。例えば失禁検出装置450は、被介助者がオムツを装着していない場合、失禁の有無を判定する閾値として第1閾値を設定し、被介助者がオムツを装着している場合、失禁の有無を判定する閾値として第1閾値よりも小さい第2閾値を設定する。このようにすれば、オムツを装着している場合の感度が高くなるため、失禁を精度よく検出することが可能になる。また、失禁に関する判定はサーバシステム100において実行されてもよく、例えば処理部110は、オムツの装着有無に応じて異なる複数の閾値を用いた判定を行ってもよい。
また図9に示す失禁検出装置450は、ベッド610における失禁を検出する装置であるが、失禁の検出に用いられるセンシングデバイス400はこれに限定されない。例えば、センシングデバイス400は、静電容量センサを含み、被介助者の下着またはオムツに装着される携帯型のデバイスであってもよい。このようにすれば、ベッド610以外の場所でも失禁に関係するセンシングデータを取得することが可能になる。
また本実施形態では、失禁に関するセンシングデバイス400として、ベッドに配置される失禁検出装置450と、被介助者の衣類に装着される携帯型のデバイスの両方が用いられてもよい。失禁検出装置450やサーバシステム100は、これらのセンシングデバイス400からのセンシングデータを組み合わせることによって、失禁の有無の判定や失禁割合等を求めてもよい。あるいは、被介助者がオムツを装着していない場合、ベッドに配置される失禁検出装置450が用いられ、被介助者がオムツを装着している場合、失禁検出装置450と携帯型のデバイスが併用される等、状況に応じて使用するセンシングデバイス400が切り替えられてもよい。
<その他の変形例>
また座位保持能力や歩行能力に基づいて、ユーザのADL等の推定が行われてもよい。座位保持能力とは、座位状態を保持する能力を表す。歩行能力とは、転倒等をせずに歩行を行える能力を表す。
図10は、座位保持能力または歩行能力を推定するためのセンシングデータを出力するセンシングデバイス400の例であり、例えば車椅子630の座面に配置される座面センサ440を示す図である。座面センサ440は圧力値を出力する圧力センサを含み、当該圧力値に基づいて、被介助者が車椅子630に座った際の姿勢(以下、座姿勢とも記載する)が、正常、前ずれ、横ずれ等を含む複数の姿勢の何れであるかを判定する。前ずれとは、ユーザの重心が通常よりも前方にずれた状態を表し、横ずれとは、ユーザの重心が通常よりも左右の何れか一方にずれた状態を表す。前ずれと横ずれのいずれも、座面からの転落リスクが相対的に高い状態に対応する。なお、座面センサ440は、通常の椅子に配置されるセンサデバイスであってもよいし、ベッド等に座っているユーザの姿勢を判定するセンサデバイスであってもよい。また座面センサ440は、被介助者が座面から転落する可能性の有無を判定する転落可能性の判定を行ってもよい。
図10の例では、車椅子630の座面に配置されるクッション441の裏面側に4つの圧力センサSe1~Se4が配置される。圧力センサSe1は前方に配置されるセンサであり、圧力センサSe2は後方に配置されるセンサであり、圧力センサSe3は右方に配置されるセンサであり、圧力センサSe4は左方に配置されるセンサである。なおここでの前後左右は、車椅子630に被介助者が座った状態において、当該被介助者から見た方向を表す。
図10に示すように、圧力センサSe1~Se4は、制御ボックス442に接続される。制御ボックス442は、内部に圧力センサSe1~Se4を制御するプロセッサと、プロセッサのワーク領域となるメモリを含む。プロセッサは、圧力センサSe1~Se4を動作させることによって圧力値を検出する。
車椅子630に座っている被介助者は、臀部に痛みを感じ、臀部の位置をずらす可能性がある。例えば、臀部が通常よりも前にずれた状態が前ずれであり、左右にずれた状態が横ずれである。また、前ずれと横ずれが同時に発生し、重心が斜めにずれることもある。図10に示すようにクッション441に配置した圧力センサを用いることによって、臀部の位置の変化を適切に検出できるため、前ずれや横ずれを精度よく検出することが可能になる。
例えば、まず車椅子630に移乗して正常な姿勢を取ったタイミングを初期状態とする。初期状態では、被介助者は車椅子630の座面に深く座るため、後方の圧力センサSe2の値が相対的に大きいことが想定される。一方、前ずれが起こると、臀部の位置が前方に移動するため、前方の圧力センサSe1の値が大きくなる。例えば制御ボックス442のプロセッサは、圧力センサSe1の値が初期状態に比べて所定以上増加した場合に、前ずれが発生したと判定してもよい。また圧力センサSe1の値を単体で用いるのではなく、圧力センサSe2と圧力センサSe1の値の関係を用いて処理が行われてもよい。例えば圧力センサSe2と圧力センサSe1の出力である電圧値の差が用いられてもよいし、電圧値の比率が用いられてもよいし、差や比率の初期状態に対する変化割合が用いられてもよい。また圧力センサSe1の値がある閾値を超えると被介助者が車椅子630に乗っていると判定され、圧力センサSe1との比較をせずに圧力センサSe2の値の変化だけで前ずれが発生したと判定してもよい。
同様に横ずれが起こると、臀部の位置が左右何れかの方向に移動するため、左ずれであれば圧力センサSe4の値が大きくなり、右ずれであれば圧力センサSe3の値が大きくなる。よってプロセッサは、圧力センサSe4の値が初期状態に比べて所定以上増加した場合に、左ずれが発生したと判定し、圧力センサSe3の値が初期状態に比べて所定以上増加した場合に、右ずれが発生したと判定してもよい。あるいは、プロセッサは、圧力センサSe4と圧力センサSe3の値の関係を用いて右ずれ及び左ずれを判定してもよい。前ずれの例と同様に、圧力センサSe4と圧力センサSe3の出力である電圧値の差が用いられてもよいし、電圧値の比率が用いられてもよいし、差や比率の初期状態に対する変化割合が用いられてもよい。
座面センサ440は、圧力センサSe1~Se4の出力である圧力値をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよいし、前ずれや横ずれの判定結果、転落可能性の判定結果等をセンシングデータとしてサーバシステム100に出力してもよい。また制御ボックス442が発光部等を含み、当該発光部を用いて介助者への報知が行われてもよい。このようにすれば、車椅子630等における座姿勢の変化を分かりやすく介助者に通知できるため、被介助者の転落を抑制することが可能になる。
また本実施形態のセンシングデバイス400は、歩行能力を推定するためのセンシングデータを出力するデバイスを含んでもよい。ここでのセンシングデバイス400は、例えば足圧センサや加速度センサである。足圧センサは、例えばインソールの複数の場所に設けられる圧力センサを含んでもよい。足圧センサのセンシングデータは、圧力値そのものの時系列変化であってもよいし、重心位置の時系列変化等であってもよい。また加速度センサは、被介助者が携帯するスマートフォン等に含まれてもよいし、被介助者が装着するウェアラブルデバイス(例えば腕時計型デバイスであってもよいし、衣類や肌に貼り付けられるデバイスであってもよい)に含まれてもよい。加速度センサのセンシングデータは、加速度値の時系列変化そのものであってもよいし、加速度値の周期や振幅に関する情報であってもよい。例えば歩行能力が高い被介助者であれば重心位置、加速度の周期、振幅等のパラメータが安定するが、歩行能力が低くなるにつれて足のもつれ、ふらつき、転倒等によりこれらのパラメータのばらつきが大きくなる。よって足圧センサや加速度センサのセンシングデータは、歩行能力を表す情報となる。
また電子機器の操作において押下回数に対する長押し回数の割合に基づいて認知症レベルを判定するデバイスが、例えば「認知症判定システム」というPCT/JP2018/038075号に記載されている。この特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。本実施形態のセンシングデバイス400は、この手法と同様に、機器の長押し割合等をセンシングデータとして出力するデバイスを含んでもよい。
2.1.3 第2中核要因(見当識障害)
上述したように、中核症状として見当識障害が知られている。見当識障害は、自分の置かれている状況(時間や場所等)の認識が難しくなる状態を表す。例えば、見当識障害が見られる被介助者は、夜間の徘徊が多くなる。また見当識障害が見られる被介助者は、トイレの場所が分からなくなるため、失禁が多くなる。また見当識障害が見られる被介助者は場所が分からなくなるため、本来移動すべき場所とは異なる場所に移動してしまう可能性がある。例えば、自分以外の被介助者に割り当てられた居室やベッドに入ってしまう、トイレ以外の場所で排泄を行ってしまう等の行動が現れる場合もある。
よって本実施形態では、被介助者の徘徊に関する徘徊情報、及び、被介助者の失禁に関する失禁情報を少なくとも一方を含む情報が、第2中核要因に関連するデータとして、サーバシステム100に送信されてもよい。なおここでの徘徊は、夜間の徘徊であってもよい。また徘徊は、昼夜を問わず、本来移動すべき場所とは異なる場所に移動してしまうことであってもよい。また、上記の通り、本来移動すべき場所とは異なる場所に移動することによって失禁が発生することもあるため、徘徊情報の一部が失禁情報と重複することも妨げられない。
図7に示した検出装置430は、上述したように在床/離床の状態を判定できる。よって本実施形態では、検出装置430が徘徊情報を求めるためのセンシングデバイス400として用いられてもよい。例えば検出装置430は、圧力センサの出力、在床/離床の結果の少なくとも一方をセンシングデータとしてサーバシステム100に送信してもよい。あるいは、時刻情報と対応付けることによって、夜間の離床が発生したタイミング、離床が継続した時間、単位時間あたりの夜間の離床回数等が求められてもよい。これらの夜間の離床は、夜間の徘徊を表す徘徊情報として利用可能である。検出装置430は、夜間の離床に関する徘徊情報を、センシングデータとしてサーバシステム100に送信してもよい。また図7のベッドサイドセンサ420を用いて離床を検出することも可能である。よって徘徊情報を取得するデバイスとして、ベッドサイドセンサ420が用いられることも妨げられない。
また徘徊情報を取得するデバイスとして、RFID(radio frequency identifier)リーダ及びICタグが利用されてもよい。例えば介護施設内の居室、ベッド、食堂、トイレ等に予めRFIDリーダが設置され、被介助者の衣類や被介助者によって携帯される端末装置等にICタグが設置される。このようにすれば、RFIDリーダの読取り結果に基づいて、対象の被介助者が居室、食堂、トイレ等のどの場所に移動したかの履歴を徘徊情報として求めることが可能になる。例えばRFIDリーダは、読取り結果を徘徊情報としてサーバシステム100に出力してもよい。あるいは、RFIDリーダ、またはRFIDリーダと接続される他の装置において、被介助者が他者の居室やベッドに入ったか否かを判定し、判定結果を徘徊情報として出力してもよい。例えば、被介助者が他者の居室やベッドに入った頻度(例えば1月あたりの回数)が徘徊情報として用いられてもよい。
またトイレ以外で排泄を行ってしまう場合、その場所はある程度固定されることが多い。よって、対象の被介助者がトイレと誤認する場所に予めRFIDリーダを設置しておき、当該場所での読取り結果や、当該場所に移動したか否かの判定結果が徘徊情報として出力されてもよい。例えば、対象のRFIDリーダによって対象の被介助者のICタグが読み取られた頻度(例えば1月あたりの回数)が徘徊情報または失禁情報として用いられてもよい。
また失禁情報は、図9を用いて上述した失禁検出装置450や、被介助者の衣類に装着される静電容量センサ等を用いて取得されてもよい。ここでの失禁情報は、第1中核要因の例と同様に、静電容量センサ等の出力データ、及び、失禁の検出結果(失禁の有無であってもよいし、失禁割合であってもよい)の少なくとも一方であってもよい。また失禁情報は、検出装置430の出力を含んでもよい。例えば失禁情報は、失禁が記録された前後での離床回数や離床時間、あるいはこれらの時系列的な変化を含む情報であってもよい。このようにすれば、尿意に気づけずにベッドで失禁したのか、離床はしたがトイレの場所が分からなかったために失禁したのか等を区別することが可能になる。
また失禁情報は、失禁が発生した場所に関する情報を含んでもよい。場所に関する情報は、例えば上述したRFIDリーダとICタグ等を用いて求められてもよいし、他の手法により求められてもよい。失禁情報に場所の情報を含めることによって、トイレに行く途中で失禁したのか、ベッドで失禁したのか等を区別することが可能になる。トイレに行く途中の失禁であれば、尿意の有無や排泄をすべき場所等を認識できている可能性が高く、深刻度が相対的に低い。一方、ベッドでの失禁は尿意を認識できていない、あるいは、現在の場所がトイレでないことを認識できていない可能性があるため、深刻度が相対的に高い。失禁情報に失禁場所の情報を含めることによって、これらのケースを区別できる。例えば所与の被介助者が、トイレに行く途中で失禁しやすい状態から、ベッドで失禁しやすい状態へ変化した場合、当該被介助者の状態が悪化している可能性があると判定できる。
また上述したように、PCT/JP2018/038075号には、認知症レベルを判定するデバイスが記載されている。本実施形態では、第2中核要因に関連するセンシングデータを出力するセンシングデバイス400として、この手法と同様のデバイスを含んでもよい。
2.1.4 心理要因
認知症では、日常動作がうまくできない、聞いたことを理解できない、覚えられない等の症状が見られた場合に、家族等の関係者にそれを叱責されることによって、症状が悪化する可能性がある。また関係者からの叱責があった場合、再度の叱責を恐れて、うまくできなかったことを隠そうとするケースもある。つまり、叱責されたタイミングだけで無く、それ以降の期間においても、被介助者が心理的な不安を抱えてしまい症状を悪化させてしまう可能性がある。
このように、被介助者の心理状態には、当該被介助者と日常的に接する関係者の状態が大きく関係する。よって本実施形態では、被介助者の関係者の生体情報が、当該被介助者の心理要因に関連するデータとして取得されてもよい。例えば被介助者の周辺症状に対して激高した関係者は、心拍数や活動量の増加、ストレスによる睡眠時間の低下等が発生する可能性がある。よって、被介助者の関係者の生体情報に基づいて、被介助者の心理に影響を与える関係者の有無を推定することが可能である。
ここでの生体情報とは、例えば上述した心拍数、活動量、睡眠時間等の情報である。また生体情報は、関係者の生体活動を表す他の情報を含んでもよい。関係者の生体情報は、例えば図7を用いて上述した検出装置430を用いて検出されてもよい。また心拍数等の生体情報を検出するデバイスとして、加速度センサや光電センサ等の種々のセンサを含む腕時計型等のウェアラブルデバイスを用いる手法が知られており、これらの手法を用いて関係者の生体情報が取得されてもよい。例えばこれらのデバイスは、センサの出力を生体情報としてサーバシステム100に出力してもよいし、当該センサの出力に基づいて求められた心拍数等を生体情報としてサーバシステム100に送信してもよい。また関係者が激高したか否かの判定は、生体情報が正常状態に比べて大きく変化したか否かに基づいて行われてもよい。即ち、ここでの生体情報は、時系列的な変化を表すデータであってもよい。
2.2 サーバシステムにおける処理の詳細
次にサーバシステム100において実行される処理の例について説明する。以下、学習済モデル124を作成する学習処理、学習済モデル124を用いて主要因を推定する推論処理、学習済モデル124を更新する更新処理についてそれぞれ説明する。なお、本実施形態の手法は学習済モデル124を用いるものに限定されず、入力データを用いた他の処理によって主要因が特定されてもよい。
2.2.1 学習処理
本実施形態ではニューラルネットワーク(NN)を用いた機械学習が行われてもよい。ただし機械学習はNNに限定されず、SVM(support vector machine)、k-means法等の他の手法が用いられてもよいし、これらを発展させた手法が用いられてもよい。また以下では教師あり学習を例示するが、教師なし学習等の他の機械学習が用いられてもよい。
図11は、NNの基本的な構造例である。図11の1つの円をノード又はニューロンと呼ぶ。図11の例では、NNは、入力層と、2以上の中間層と、出力層を有する。入力層がIであり、中間層がH1及びHnであり、出力層がOである。また図11の例においては、入力層のノード数が2、中間層のノード数がそれぞれ5、出力層のノード数が1である。ただし、中間層の層数や、各層に含まれるノードの数は種々の変形実施が可能である。また図11では、所与の層に含まれる各ノードが、次の層に含まれるすべてのノードと接続される例を示しているが、この構成についても種々の変形実施が可能である。
入力層は、入力値を受け付け、中間層H1に出力する。図11の例では、入力層Iは、2種類の入力値を受け付ける。なお入力層の各ノードは、入力値に対して何らかの処理を行い、当該処理後の値を出力してもよい。
NNにおいて、接続される2つのノードの間には重みが設定されている。図11のW1は、入力層Iと第1中間層H1の間の重みである。W1は入力層に含まれる所与のノードと、第1中間層に含まれる所与のノードとの間の重みの集合を表す。例えば図11のW1は、10個の重みを含む情報である。
第1中間層H1の各ノードでは、当該ノードに接続される入力層Iのノードの出力を、重みW1を用いて重み付け加算し、さらにバイアスを加算する演算を行う。さらに各ノードでは、加算結果に非線形関数である活性化関数を適用することによって、当該ノードの出力が求められる。活性化関数は、ReLU関数であってもよいし、シグモイド関数であってもよいし、他の関数であってもよい。また活性化関数は、複数の出力の合計値を1に正規化するソフトマックス関数であってもよい。例えばソフトマックス関数は最後のノードにおける活性化関数として用いられてもよい。
これ以降の層についても同様である。即ち、所与の層では、重みWを用いて、1つ前の層の出力を重み付け加算し、バイアスを加算した上で活性化関数を適用することによって、次の層への出力を求める。NNは、出力層の出力を、当該NNの出力とする。
以上の説明からわかるように、NNを用いて入力データから所望の出力データを得るためには、適切な重みとバイアスを設定する必要がある。学習では、所与の入力データと、当該入力データでの正しい出力データを表す正解データとを対応付けた訓練データを用意しておく。NNの学習処理とは、訓練データに基づいて、最も確からしい重みを求める処理である。なお、NNの学習処理では、誤差逆伝播法(Backpropagation)等の学習手法が種々知られている。本実施形態においては、それらの学習手法を広く適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
また本実施形態におけるNNの構造は図11の例に限定されない。例えば本実施形態のNNは、RNN(Recurrent Neural Network)であってもよい。RNNは、ある時点での入力がそれ以降の出力に影響を及ぼすNNであり、時系列データの処理に好適である。例えばNNは、LSTM(Long Short Term Memory)であってもよい。
図12は、本実施形態におけるNNの入力データ及び出力データを例示する図である。図12に示すように、入力データは、被介助者の生体情報、被介助者の関係者の生体情報、電子カルテ及び介護ソフトの情報、センシングデータ、環境情報を含む。また、入力データは、図12に不図示の他のデータを含んでもよい。
被介助者の生体情報は、被介助者の生体活動の状態を表す情報であり、例えば心拍数、活動量、睡眠時間等の情報を含む。また生体情報は、体温、血圧値、血中酸素飽和度、心電図、脳波の測定結果等、種々の情報を含んでもよい。これらの情報は、関係者の生体情報を取得する例と同様に、種々のデバイスを用いて取得可能である。生体情報は被介助者の状態に密接に関わる情報であるため、周辺症状が発生しやすい状態と発生しにくい状態とでは生体情報に差が出る可能性がある。よって周辺症状に関する推定を行う上で、生体情報を用いることは有用と考えられる。
関係者の生体情報については、上述したとおりである。即ち、本実施形態において主要因の推定に用いられる入力データは、被介助者の関係者の生体情報を含んでもよい。そして関係者の生体情報は、上述したように心理要因に関するデータである。このようにすれば、心理要因に関連する情報を入力データに含めることができるため、周辺症状に対する心理要因の寄与度を適切に推定することが可能になる。
なお、ここでは周辺症状の主要因が心理要因であるか否かの判定において、関係者の生体情報を用いる例を説明した。ただし、被介助者の心理状態の推定に、当該被介助者とは異なる人物である関係者の生体情報を用いる手法は、他の状況においても利用可能である。例えば本実施形態の手法は、被介助者の関係者の生体情報を取得する取得部(例えば取得部111に対応)と、関係者の生体情報に基づいて、被介助者の心理状態を推定する推定部と、を含む情報処理装置に適用できる。上述したように、被介助者の心理状態にはその関係者との関係が強く影響する。よって、あえて被介助者本人の情報ではなく、関係者の情報を用いることによって、被介助者の心理状態を適切に推定することが可能になる。
電子カルテの情報は、被介助者が診察を受けた病院等から提供される情報であり、既往歴、投薬履歴等の情報を含む。介護ソフトの情報は、介護施設において被介助者及び介助者の管理に用いられるソフトウェアによって蓄積された情報である。介護ソフトの情報は、例えば被介助者の年齢等の属性を表す情報、被介助者の周辺症状(例えば不穏行動)の発生履歴、食事内容や摂取量、担当の介助者、介護施設で実施されるアクティビティへの参加状況等、介護施設内での被介助者の生活履歴を表す種々の情報を含む。
例えば、特定の病気を患った場合や、特定の薬の投薬を受けた場合に周辺症状が発生しやすくなる可能性があるため、周辺症状に関する推定を行う上で、電子カルテの情報を用いることは有用である。また、周辺症状の有無や発生しやすさに応じて介護施設での被介助者の生活が変化する可能性があるため、介護ソフトの情報も周辺症状に関連する。よって周辺症状に関する推定を行う上で、介護ソフトの情報を用いることは有用である。
センシングデータは、センシングデバイス400の出力である。ここでセンシングデバイス400は、動き出しを検出する撮像装置410、ベッドサイドセンサ420及び検出装置430、食事に関する処理を行う嚥下ムセ検出装置460等を含んでもよい。またセンシングデバイス400は、失禁検出装置450、座面センサ440、加速度センサ、足圧センサ等を含んでもよい。これらのセンシングデバイス400のセンシングデータは、被介助者の日常動作における能力、例えば立ち上がりを行う能力、嚥下能力、座位保持能力、歩行能力等を表す情報である。上述したように、実行機能障害や失行に起因して、被介助者は日常的な活動をうまく行うことが難しくなる。即ち、これらのセンシングデータは、第1中核要因に関連する情報である。
即ち、本実施形態の入力データは、第1中核要因に関するデータとして、被介助者の日常動作における能力を表す能力情報を含んでもよい。このようにすれば、第1中核要因に関連するデータを入力データに含めることが可能になるため、周辺症状に対する第1中核要因の寄与度を精度よく求めることが可能になる。
ここでの能力情報は、上述したように、被介助者の動き出し、食事、座位保持、及び歩行の少なくとも1つにおけるセンシング結果を表すセンシングデータである。このようにすれば、日常生活における動作をどの程度正常に行えているかを表す情報を能力情報として取得できる。実行機能障害や失行との関連度合いの高い情報を取得できるため、周辺症状に対する第1中核要因の寄与度を精度よく求めることが可能になる。
またセンシングデータを出力するセンシングデバイス400は、検出装置430、RFIDリーダ及びICタグ、失禁検出装置450等を含んでもよい。検出装置430、RFIDリーダ及びICタグは、上述したように徘徊情報を出力する。失禁検出装置450は、上述したように失禁情報を出力する。上述したように、見当識障害に起因して、被介助者は自分の置かれている状況の認識が難しくなり、徘徊や失禁等が増える。即ち、これらのセンシングデータは、第2中核要因に関連する情報である。
即ち、本実施形態の入力データは、第2中核要因に関するデータとして、介助者の失禁に関する失禁情報、及び、被介助者の徘徊に関する徘徊情報の少なくとも一方を含んでもよい。このようにすれば、第2中核要因に関連するデータを入力データに含めることが可能になるため、周辺症状に対する第2中核要因の寄与度を精度よく求めることが可能になる。
また入力データは、環境情報を含んでもよい。環境情報は、上述したように、明るさ、温度、湿度、香り、音、映像、季節に関する情報を含む。このようにすれば、環境要因に関連するデータを入力データに含めることが可能になるため、周辺症状に対する環境要因の寄与度を精度よく求めることが可能になる。
なお、上述したようにNNはRNNであって、本実施形態の入力データは時系列のデータであってもよい。即ち、上述した入力データに含まれる各データは、単一のタイミングのデータに限定されず、時系列データであってもよい。
また図12に示したように、NNの出力データは、周辺症状に対する環境要因の寄与度、第1中核要因の寄与度、第2中核要因の寄与度、及び、心理要因の寄与度を含んでもよい。ここでの寄与度は、対象の要因によって周辺症状が発生した確からしさを表す情報であってもよい。
例えばNNは、周辺症状が発生している確からしさを表す周辺症状スコア、環境要因によって周辺症状が発生した確からしさを表す環境要因スコア、第1中核要因によって周辺症状が発生した確からしさを表す第1中核要因スコア、第2中核要因によって周辺症状が発生した確からしさを表す第2中核要因スコア、及び、心理要因によって周辺症状が発生した確からしさを表す心理要因スコアの5つのデータを出力してもよい。例えば各スコアは0以上1以下の値となるように正規化された情報であってもよい。この場合の周辺症状スコアは、周辺症状が発生している確率を表す。また各要因スコアは、対応する要因の周辺症状に対する寄与度の高低を表す。このようにすれば、出力データに基づいて、周辺症状の発生有無、及び、周辺症状が発生した場合の各要因の寄与度を求めることが可能になる。
ただし図12に示したように、周辺症状スコアが直接的に出力されない構成であってもよい。例えば環境要因スコア、第1中核要因スコア、第2中核要因スコア、及び、心理要因スコアの合計が、周辺症状スコアとして用いられてもよい。この場合も、NNの出力データに基づいて、周辺症状の発生有無、及び、周辺症状が発生した場合の各要因の寄与度を求めることが可能になる。
なお、ここでは周辺症状の発生有無の判定、及び各要因の寄与度の判定の両方を行うNNを例示したがこれには限定されない。例えば、周辺症状の発生有無の判定と、各要因の寄与度の判定とがそれぞれ異なるNNを用いて実行されてもよい。
またNNは、環境要因、第1中核要因、第2中核要因、心理要因の何れかを主要因として特定するだけでなく、より詳細な要因を特定する情報を出力してもよい。例えば環境要因は、明るさ要因、温度要因、湿度要因、季節要因等のより詳細な要因に分割されてもよい。第1中核要因は、動き出し要因、食事要因、座位保持要因、歩行要因等に分割が可能である。第2中核要因は、夜間徘徊要因、失禁要因、不適切な場所への立ち入り要因等に分割が可能である。その他、NNの構成については種々の変形実施が可能である。
図13は、学習部115が学習済モデル124を作成する処理である学習処理を説明するフローチャートである。まずステップS101において、学習部115は、学習用入力データを取得する。入力データの例については、図12を用いて上述したとおりであり、学習用入力データについても同様の構成のデータを利用できる。
次にステップS102において、学習部115は正解データを取得する。ここでの正解データは、周辺症状の主要因を特定する情報を少なくとも含む。また上述した例であれば、正解データは周辺症状の発生有無を特定する情報を含んでもよい。ここでの正解データは、例えば医師や熟練の介助者等、認知症の症状や要因に関する知見を有する専門家が入力したデータである。例えば、被介助者の診察や介助を行った専門家が周辺症状の発生有無や主要因を推定し、推定結果を入力する。例えば学習部115は、サーバシステム100と接続される専門家のPC等にアノテーション画面を表示し、当該アノテーション画面において推定結果の入力を促す。そして学習部115は、入力されたアノテーション結果を、対象の被介助者に関する入力データに正解データとして対応付ける。これにより、学習用入力データに対して正解データが対応付けられた訓練データが取得される。
ステップS103において、学習部115は、訓練データに基づいて機械学習が行う。具体的には、学習部115は、NNに学習用入力データを入力し、その段階での重みを用いて順方向の演算を行うことによって出力データを取得する。学習部115は、当該出力データと、正解データに基づいて目的関数を求める。ここでの目的関数は、例えば出力データと正解データの差分に基づく誤差関数、または出力データの分布と正解データの分布に基づく交差エントロピー関数等である。学習部115は、目的関数に基づいて、重みを更新する。重みの更新手法としては上述した誤差逆伝播法等が知られており、本実施形態でもそれらの手法を広く適用可能である。
ステップS104において、学習部115は学習処理を終了するかを判定する。例えば学習部115は、所与の条件が満たされた場合に学習処理を終了する。例えば訓練データは、学習用データとバリデーションデータに分けられてもよい。学習部115は、バリデーションデータによる正解率が所与の閾値を超えた場合に学習処理を終了してもよい。学習処理の終了後、その段階での重みを含むNNが、学習済モデル124として記憶部120に記憶される。なお学習処理はサーバシステム100で実行されるものには限定されず、外部機器において実行されてもよい。サーバシステム100は、当該外部機器から学習済モデルを取得してもよい。
2.2.2 推論処理
要因推定部112は、入力データを入力とし、被介助者が周辺症状状態である確からしさを表す周辺症状スコア、及び複数の要因のそれぞれの要因スコアを出力する学習済モデル124に基づいて、主要因を求める処理を行ってもよい。なお上述したように、周辺症状スコアは直接出力されるものに限定されず、複数の要因スコアの合計等として求められてもよい。具体的には、要因推定部112は、上述した学習処理によって取得された学習済モデル124を用いることによって主要因を求める。このようにすれば、主要因の推定に機械学習を適用できるため、主要因を精度よく求めることが可能になる。
図14は、入力データに基づいて周辺症状の主要因を推定する推論処理を説明するフローチャートである。要因推定部112は、例えば情報処理システム10を利用する全被介助者を対象として、定期的に推論処理を実行してもよい。あるいは要因推定部112は、認知症を患っている被介助者、認知症が疑われる被介助者を対象として推論処理を実行してもよい。また被介助者に周辺症状が見られると介助者や関係者が判定した場合に、介助者等の操作入力をトリガーとして、要因推定部112が推論処理を実行してもよい。その他、推論処理を実行する対象、タイミングは種々の変形実施が可能である。
まずステップS201において、取得部111は入力データを取得する。入力データについては図12を用いて上述したとおりである。例えば取得部111は、管理端末装置300から電子カルテや介護ソフトの情報を取得し、センシングデバイス400からセンシングデータを取得する。環境情報は、例えば介護ソフトに記憶されており、管理端末装置300から取得部111に送信される。ただし環境情報は、当該環境情報を検出するデバイスから直接取得部111に送信されてもよい。被介助者及び関係者の生体情報は、当該生体情報を検出するデバイスから取得部111に送信される。ただし、関係者の使用する端末装置や管理端末装置300等、生体情報が他の装置を介して取得部111に送信されてもよい。
ステップS202において、要因推定部112は、入力データに基づいて周辺症状の主要因を推定する。例えば、要因推定部112は、時系列データである入力データに基づいて、環境要因、第1中核要因、第2中核要因及び心理要因のそれぞれについて、周辺症状状態への寄与度を表す要因スコアを求めてもよい。ここでの要因スコアは、例えば図12を用いて上述した各スコアに対応する。例えば要因推定部112は、記憶部120からRNNやLSTMである学習済モデル124を読み出し、当該学習済モデル124に時系列データである入力データを入力することによって周辺症状スコア及び各要因の要因スコアを求める。周辺症状が発生する場合、直近に起こった事象のみが被介助者に影響を与えるのではなく、過去に起こった事象やその積み重ねが被介助者に影響を与えている場合がある。例えば、単一のタイミングだけみれば第2中核要因が疑われたが、より長いスパンで観察してみると第1中核要因の寄与が大きかったと判断されるケースもある。その点、時系列データである入力データを用いることによって、主要因を精度よく推定することが可能になる。なおステップS202において、要因推定部112は、周辺症状が発生した確からしさを表す周辺症状スコアを求めてもよい。周辺症状スコアは、上述したようにNNの出力の1つであってもよいし、複数の要因に関する要因スコアの合計値であってもよいし、他の出力から求められてもよい。
ステップS203において、要因推定部112は周辺症状スコアが所与の閾値以上であるかを判定する。周辺症状スコアが閾値未満である場合(S203:No)、周辺症状は発生していないと推定される。よってステップS204-S206の処理は行われずに、図14に示した推論処理が終了する。
周辺症状スコアが閾値以上である場合(S203:Yes)、周辺症状が発生している蓋然性が高い。よってステップS204において、要因推定部112は、主要因を推定する。例えば要因推定部112は、要因スコアの変動度合いに基づいて、主要因を推定する。例えば要因推定部112は、所定期間における要因スコアの増加度合いを求める。ここでの増加度合いは、当該期間の始点における要因スコアに対する、期間の終点における要因スコアの比率であってもよい。また増加度合いは、当該期間内での要因スコアの最低値に対する最大値の比率であってもよい。その他、増加度合いを求める手法は種々の変形実施が可能である。要因推定部112は、要因スコアの増加度合いが最も大きい要因を主要因と判定する。
またステップS204において、環境要因、第1中核要因、第2中核要因及び心理要因のいずれの要因スコアの増加率も所定閾値以下である場合、要因推定部112は主要因が心理要因であると判定してもよい。上記のとおり、心理要因に関係する情報として関係者の生体情報を用いることが可能であるが、生体情報の測定対象である関係者以外に被介助者の心理に負担を与える人物あるいは事象が存在する可能性もある。この場合、実際には心理要因であるのに、心理要因の要因スコアが変動しない可能性もある。よっていずれの要因スコアの増加率も小さい場合、要因推定部112は、主要因が心理要因であると判定してもよい。
なお本実施形態における各要因の要因スコアには個人差がある可能性がある。例えば、日常的な動作をうまくできるかは認知機能だけでなく運動機能も関係するため、能力情報が表す能力の高低は被介助者の運動機能に応じても変化する。そのため、仮に実行機能障害が周辺症状に同程度寄与している被介助者がいたとしても、運動機能の高低に応じて、第1中核要因の要因スコアの値が大きい被介助者もいれば、小さい被介助者もいる。他の要因についても同様であり、環境要因、第1中核要因、第2中核要因及び心理要因のそれぞれの要因スコアの大小関係は被介助者ごとにばらつく可能性があり、値を単純に比較した場合(例えば要因スコアが最大となる要因を主要因と推定した場合)、推定精度が十分でない可能性も考えられる。その点、要因スコアの変動度合いを用いることによって、対象の被介助者の過去の値を基準として判断が行われる。結果として、個人差による影響を抑制できるため、主要因を精度よく推定できる。ただし、本実施形態では要因スコアの大きさそのものを用いて主要因を判定することも妨げられない。
また学習処理において上述したように、NNは環境要因、第1中核要因、第2中核要因及び心理要因の要因スコアを推定するものに限定されず、各要因をより細かく分割した要因の要因スコアを求めてもよい。即ち要因推定部112は、環境要因、第1中核要因、第2中核要因及び心理要因の少なくとも1つを分割した要因をサブ要因としたとき、複数のサブ要因のなかから主要因を推定してもよい。あるいは、要因推定部112は、学習済モデル124を用いて4つの要因のなかから主要因を推定した後、当該主要因に含まれるサブ要因のうち、最も寄与度が大きい要因を推定する処理を別途実行してもよい。例えば要因推定部112は、主要因に関連する入力データのうち、何れのデータの変動が最も大きいかに応じて、寄与度の高いサブ要因を推定する。例えば主要因が第1中核要因である場合、要因推定部112は、立ち上がりにおける圧力値の変動が大きければ立ち上がり要因が支配的であると判定し、食事において測定された各種情報の変動が大きければ食事要因が支配的であると判定してもよい。
また本実施形態の情報処理装置20は、要因推定部22によって推定された主要因に応じて、周辺症状状態に対する対処を判定する対処決定部をさらに含んでもよい。例えば図4に示したように、サーバシステム100は、要因推定部112によって推定された主要因に応じて、周辺症状状態に対する対処を判定する対処決定部113を含む。このようにすれば、主要因を推定するだけでなく、当該主要因に応じた対処を決定できるため介助者の負担軽減等が可能になる。ただし、介護職員等のプロフェッショナルには主要因のみを通知し、被介助者の家族等の非プロフェッショナルには対処を通知する等、通知先の介助者に応じて通知内容が変更されてもよい。
例えばステップS205において、対処決定部113は、推定された主要因に基づいて介助者や関係者に推奨される対処を求める処理を行う。例えば記憶部120は、図4に示したように、対処テーブル125を記憶してもよい。対処テーブル125は、主要因と、推奨される対処が対応付けられた情報である。対処決定部113は、推定された主要因と対処テーブル125に基づいて、対処を求める。以下、対処決定部113によって求められる対処を表す情報を対処情報と記載する。
例えば主要因が環境要因であると判定された場合、対処決定部113は、被介助者の環境を基準環境にそろえる対処を表す対処情報を出力する。ここでの基準環境とは、被介助者にとって好ましい環境であり、例えば大きな環境変化が生じる前の環境である。例えば自宅で過ごしていた被介助者が施設等に入った後に、環境要因が主要因と推定される周辺症状が発生した場合、基準環境は被介助者の自宅環境に相当する。あるいは、介護施設において居室の変更や模様替え等があった場合、変更前の環境が基準環境として用いられてもよい。また被介助者の周辺症状の発生有無や発生頻度のログに基づいて、対象の被介助者が周辺症状を発症しにくい環境を推定する処理が行われてもよい。この場合、周辺症状の発生しにくい環境が基準環境として用いられる。
例えば基準環境における照明機器、空調機器、音楽プレイヤー、テレビ等の家電のログデータに基づいて、当該基準環境を特定する情報(以下、基準環境情報と記載)が取得されてもよい。またこれらの家電はスマートフォン等のアプリケーションによって制御されてもよく、当該アプリケーションを用いて各機器の設定情報を取得することによって、基準環境情報が取得されてもよい。この際、自宅環境の情報をサーバシステム100等の他の機器と共有する機能を有するアプリケーションが提供されてもよい。また光電センサ、臭気センサ、マイク等を用いた測定を行うことによって、基準環境情報が取得されてもよい。また、以上では基準環境情報として、明るさ、温度、湿度、香り、音、映像等の情報を例示したが、基準環境情報はこれに限定されない。例えば、使用している介助器具の種類や、動作履歴の情報が基準環境情報として用いられてもよい。このようにすれば、被介助者の介助で使用される器具やその動作設定等を基準環境に合わせることが可能になる。ここでの介助器具とは、高さやボトム角度を変更可能な介護ベッドであってもよいし、背角度を変更可能なリクライニング車椅子であってもよいし、歩行器であってもよいし、他の器具であってもよい。動作設定とは、上述した高さ、ボトム角度、背角度等の設定であってもよい。
対処決定部113は、例えば基準環境情報を取得し、被介助者の環境を基準環境に合わせる対処を、推奨される対処として決定する。なおここでは対処決定部113が基準環境情報を取得する例を示したがこれには限定されない。例えば対処決定部113は、基準環境情報の取得が推奨される旨を表す情報を出力し、当該情報を取得した他の機器等において、基準環境情報が取得されてもよい。
また上述したように、本実施形態の入力データは、環境要因に関するデータとして、季節を特定する情報を含んでもよい。そして要因推定部112は、主要因が環境要因のうち季節に起因する季節要因であるか否かを判定してもよい。このような判定が可能な場合、対処決定部113は、主要因が季節要因であると推定された場合と、季節要因以外の環境要因であると推定された場合とで、対処を異ならせてもよい。
例えば対処決定部113は、季節要因以外の環境要因が主要因である場合、上記のように基準環境に合わせる対処を推奨する。一方、認知症の患者は、特定の季節になった場合や、季節の変わり目になった場合に周辺症状が出やすくなるケースがある。このように季節要因の周辺症状の場合、自宅環境等に合わせたとしても周辺症状の抑制効果が低い可能性がある。また、季節要因であれば対象の季節を過ぎれば自然と周辺症状が治まる可能性もある。よって季節要因と判定された場合、対処決定部113は、積極的な対応を抑制する対処を推奨してもよい。このようにすれば、必要性の低い対処を抑制できる。また季節要因であることが分かっていれば、その季節さえ乗り切ればよいことになるため、負担の大きい期間をある程度推定できる。そのため、介助者の心理的な負担を軽減することが可能である。
また対処決定部113は、主要因が第1中核要因であると推定された場合、日常的な動作をサポートする介助用デバイスを使用することを、推奨すべき対処として決定する処理を行ってもよい。上述したように、第1中核要因が主要因である場合、日常的な動作を行えないことが周辺症状の要因ということになる。日常的な動作をサポートする介助用デバイスを導入することによって、被介助者が日常的な動作を行いやすくなる。なおここでの介助用デバイスの使用とは、新たなデバイスの導入に限定されず、既存のデバイスの動作モードの変更を含んでもよい。
なお対処決定部113は、介助用デバイスの導入の前に、被介助者や介助者とのコミュニケーションを行う対処を推奨してもよい。例えば、コミュニケーションロボットやチャットロボットを用いて、被介助者や介助者に対して、動作をサポートする必要があるか否かをヒアリングする処理が行われてもよい。対処決定部113は、ヒアリングにおいて動作のサポートが必要であるとの返答が得られた場合に、介助用デバイスの導入を推奨する。例えば対処決定部113は、具体的なデバイスの種類、ベンダ、型番等を特定する処理を行ってもよい。あるいは対処決定部113は、介助用デバイスを購入できるEC(Electric Commerce)のサイト等を特定する処理を行ってもよい。なお対処決定部113は、これらの処理が推奨される旨を表す情報を出力し、実際の処理は当該情報を受信した他の機器において実行されてもよい。
また対処決定部113は、主要因が第2中核要因であると推定された場合、被介助者の転倒リスクに対して介入することを、推奨すべき対処として決定する処理を行ってもよい。見当識障害が要因として大きい場合、被介助者は自身の置かれている状況を把握できないため、転倒リスクが高くなりやすい。よって転倒リスクに対する介入を行うことによって転倒によるインシデントの発生を抑制できる。
例えば対処決定部113は、被介助者の腰等に装着可能な携帯型のエアバッグの使用する対処を出力してもよい。このようにすれば、介助者が被介助者の近くにいない場合や、人手が足りない場合にも転倒による怪我等を抑制できる。また対処決定部113は、図6等を用いて上述した撮像装置410、ベッドサイドセンサ420,加速度センサ等を用いて動き出しの検出処理を行うという対処を推奨してもよい。例えば動き出しが検出された場合、図6の出力画像IM1等を用いてその旨が介助者に通知される。このようにすれば、転倒可能性の高い被介助者がいることを介助者に通知できるため転倒リスクを抑制できる。また、図7の検出装置430を用いて動き出しが検出されてもよい。例えば検出装置430は、在床状態から離床状態に移行した場合、あるいは睡眠状態から覚醒状態に移行した場合に被介助者の動き出しがあったと判定する。例えば動き出しの検出結果を介助者に提示することによって、転倒リスクの高低を提示できるため、介入の要否を分かりやすく介助者に提示することが可能になる。
また対処決定部113は、主要因が心理要因であると推定された場合、被介助者の心理に影響を及ぼす度合いの高い関係者を特定することを、推奨される対処として決定する処理を行ってもよい。上述したように、被介助者の心理に影響を及ぼす関係者は、生体情報に変化が見られる蓋然性が高い。しかし、関係者は常に被介助者とともに生活している訳ではなく、被介助者とは関係がない理由によって生体情報が変化する可能性もある。即ち、生体情報が変化した関係者がいたとしても、当該関係者は必ずしも被介助者の心理に影響を与えているとは限らない。
よって対処決定部113は、関係者の関与の強さを判定する対処を推奨してもよい。例えば被介助者と関係者にそれぞれ通信機器を携帯させ、当該通信機器が送受信するビーコン信号等に基づいて、関係者の関与度合いを求める処理が行われてもよい。例えば被介助者から所定距離以内に位置する時間が長いほど、被介助者への関与の強さが高いと判定される。なおここでのビーコン信号は、Bluetooth(登録商標)のアドバタイズパケットであってもよいし、IEEE802.11におけるSSIDブロードキャストであってもよいし、他の通信方式のビーコン信号であってもよい。関与度合いが所定以上であり、且つ、生体情報の変化が大きい関係者がいた場合、当該関係者が周辺症状の要因となっている可能性が高いと判定される。
この場合、対処決定部113は、コミュニケーションロボットやチャットロボットを用いて被介助者と会話をする対処を推奨してもよい。例えば会話では、環境要因、第1中核要因、第2中核要因のうち、要因スコアの増加率が高い順に、当該要因に関する質問が被介助者に行われてもよい。例えば被介助者が何かをうまくできないことを要因として関係者に叱責されるケースであれば、どの要因によるどのような行動が関係者を激高させているかという具体的な状況を特定することが有用である。その点、要因スコアの増加率が高いほど周辺症状の要因となりやすいため、その順で質問を行うことによって効率的に関係者が介助者を叱責する理由(即ち被介助者がストレスを感じる理由)を特定できる。この際、会話をテキスト化し、当該テキストに対するテキストマイニング処理を行うことによって、被介助者が心理的に負荷を感じる状況が特定されてもよい。
被介助者が心理的に負荷を感じる状況が特定された場合、対処決定部113は、さらに当該会話のサマリーを対象の関係者に提示する対処を推奨してもよい。これはテキストのサマリーであってもよいし、会話を録音した録音データのサマリーであってもよい。このようにすれば、被介助者に負荷を与えた状況や具体的な言動を関係者に通知できるため、同じような状況の再発を抑制できる。
本実施形態の情報処理装置20は、要因推定部22によって推定された主要因、及び、対処決定部によって決定された対処の少なくとも一方を提示する提示処理部を含んでもよい。例えば図4に示したように、サーバシステム100は、要因推定部112によって推定された主要因、及び、対処決定部113によって決定された対処の少なくとも一方を提示する提示処理部116を含む。
例えばステップS206において、提示処理部116は、主要因や対処を提示する処理を行う。例えば提示処理部116は、通信処理部114及び通信部130を介して、介助者が使用する端末装置200に主要因や対処を提示する。ここでの提示は、画像やテキストの表示であってもよいし、ヘッドセットのスピーカを用いた音声の出力であってもよい。
なお対処の提示は、当該対処の実行に必要な機器や操作等を提示するものであって、具体的な操作等は介助者に委ねられてもよい。ただし本実施形態の手法はこれに限定されず、対処決定部113が決定した対処に基づいて、サーバシステム100は制御対象となる制御対象デバイスの自動的な制御を行ってもよい。例えば基準環境に合わせるための介護ベッドやリクライニング車椅子の制御は、サーバシステム100からの指示に基づいて自動的に実行されてもよい。またコミュニケーションロボット等を用いた被介助者との会話が行われる場合、コミュニケーションロボットの起動や会話を開始するための操作が、サーバシステム100からの制御信号に基づいて自動的に実行されてもよい。その他、推奨される対処を実行する具体的な手法が種々の変形実施が可能である。
また図12では種々の入力データがNNに入力され、当該入力データに基づいて複数の要因に対応する要因スコアを含む出力データが出力される例を説明した。ただし、多くのパラメータをNNに入力すると処理負荷が大きくなるため、要因推定部112は処理を分割してもよい。例えば要因推定部112は、第1入力データに基づいて、主要因を判定する第1判定を行い、第1判定において主要因が推定されなかった場合、第1入力データに含まれないデータを含む第2入力データに基づいて、主要因を判定する第2判定を行う。例えば要因推定部112は、まず環境要因及び第1中核要因に関連する入力データを第1入力データとすることによって、環境要因及び第1中核要因の要因スコアを求める処理を行い、いずれかの変動度合いが所定以上である場合、当該要因を主要因として推定し、主要因の推定処理を終了する。そして要因推定部112は、環境要因及び第1中核要因の要因スコアの変動度合いがいずれも閾値未満である場合に、第2中核要因と心理要因に関連する入力データを第2入力データとすることによって、第2中核要因と心理要因の要因スコアを求めてもよい。この場合、前段の処理では第2中核要因に関連するデータである徘徊情報、心理要因に関連するデータである関係者の生体情報の入力を省略できる。また、後段の処理では、環境要因に関連する環境情報、第1中核要因に関連するデータである能力情報の入力を省略できる。結果として、要因推定部112における処理負荷の軽減が可能である。
また第2入力データは第1入力データを包含するデータであってもよい。例えば第1入力データは、図12に示した入力データの一部であり、第2入力データは、図12に示した入力データの全部であってもよい。このようにすれば、まず相対的に負荷の低い第1判定を試行できる。第1判定で主要因が推定されれば第2判定が不要となるため、処理負荷の軽減が可能である。
また、環境要因、第1中核要因、第2中核要因及び心理要因のいずれか1つに関係し、且つ、他の3つのいずれにも関係しないデータを固有入力データとしたとき、第2入力データは、第1入力データには含まれない固有入力データを少なくとも1つ含んでもよい。例えば図12を用いて上述した例であれば、失禁に関する情報は第1中核要因と第2中核要因の両方に関連するため固有入力データではない。一方、環境情報に含まれる明るさや温度、湿度等の情報は、第1中核要因、第2中核要因及び心理要因との関連度合いが低く、固有入力データである。
このようにすれば、第2入力データから少なくとも1つ以上の固有入力データを除外したデータを、第1入力データとして用いることが可能になる。例えば、第1判定として被介助者の生体情報や電子カルテ、介護ソフトの情報等、関連度合いが特定の要因に偏らないデータを中心とした処理を行ってもよい。このようにすれば、第1入力データに含まれるデータの種類が少なくなったとしても、特定の要因に偏った判定が行われること(特定の要因の要因スコアが高くなりやすくなること)を抑制できる。また第2入力データでは固有入力データが入力データに含まれるため、各要因の要因スコアを精度よく求めることが可能である。以上のように第1入力データと第2入力データで固有入力データの有無や数を異ならせることによって、特性の異なる2つの判定を組み合わせることが可能になる。
なお、以上では学習済モデル124に基づいて主要因を推定する手法を説明したが、本実施形態の手法はこれに限定されない。例えば要因推定部112は、複数の入力データのそれぞれについて時系列的な変動度合いを求めてもよい。例えば要因推定部112は、最も変動度合いの大きい入力データを特定し、当該入力データに対応する要因を主要因と判定してもよい。なお各入力データと要因との対応関係については上述したとおりである。また要因推定部112は、複数の入力データの変動度合いを求めることによって、各要因の評価値を求めてもよい。例えば評価値は、対象の要因に対応する入力データの変動度合いが大きいほど大きくなる数値データであってもよい。例えば所与の要因に対して複数の入力データが関連付けられる場合、当該複数の入力データのそれぞれの変動度合いに基づいて、当該所与の要因の評価値が演算される。要因推定部112は、複数の要因のうち、評価値が最も大きい要因を主要因と推定してもよい。その他、主要因を推定する処理の詳細については種々の変形実施が可能である。
2.2.3 更新処理
また本実施形態では、学習済モデル124の更新処理が実行されてもよい。例えば学習部115は、主要因を表す要因情報の提示処理が行われた場合、要因情報、要因情報の提示前の周辺症状スコアである第1周辺症状スコア、及び、要因情報の提示後の周辺症状スコアである第2周辺症状スコアに基づいて、学習済モデル124を更新する処理を行ってもよい。ここで第1周辺症状スコアは、単一のタイミングでの周辺症状スコアに限定されず、要因情報の提示前の所定期間における統計量であってもよい。例えば第1周辺症状スコアは要因情報の提示前の所定期間における平均値であってもよいし、最大値や最小値であってもよい。また第1周辺症状スコアは、周辺症状スコアが周辺症状ありに対応する閾値を超えた回数であってもよい。第2周辺症状スコアについても、対象期間が要因情報の提示後の期間となる点を除いて、第1周辺症状スコアと同様である。
このようにすれば、主要因の提示前後での周辺症状の発生度合いを比較することが可能になる。例えば第1周辺症状スコア及び第2周辺症状スコアに基づいて、周辺症状の発生度合いが低下していると判定される場合、提示した主要因は適切であり、当該主要因に基づく対処により、被介助者の状態が改善されたことを表す。この場合、同様の状況において同じ主要因が選択されやすくなるように、学習済モデル124が更新される。例えば学習部115は、入力データと主要因の推定結果を対応付けた訓練データを正の訓練データとして、重みの更新処理を行う。
一方、第1周辺症状スコア及び第2周辺症状スコアに基づいて、周辺症状の発生度合いが増加していると判定される場合、主要因の提示が周辺症状の改善につながっていない。即ち、主要因の推定結果が誤っていた可能性がある。この場合、同様の状況において同じ主要因が選択されにくくなるように、学習済モデル124が更新される。例えば学習部115は、入力データと主要因の推定結果を対応付けた訓練データを負の訓練データとして、重みの更新処理を行う。
また学習部115は、要因情報及び対処を表す対処情報の提示処理が行われた場合、要因情報、対処情報、第1周辺症状スコア、及び、第2周辺症状スコアに基づいて、学習済モデルを更新する処理を行ってもよい。この場合、主要因の提示だけでなく、対処の提示が周辺症状の改善に寄与したかという観点から学習済モデル124を更新することが可能になる。
2.3 食事介助における具体例
食事介助を例にとって、主要因の推定結果に基づいて実行される対処の具体例を説明する。例えば、それまでは介護施設は食事を被介助者自身に任せており、食事に関するモニタリングに嚥下ムセ検出装置460を用いていたケースを考える。
当該ケースにおいて、あるときから周辺症状スコアが閾値を超えてきたため、要因推定部112が主要因を特定する処理が実行される場合がある。なお、嚥下ムセ検出装置460のセンシングデータは当初から周辺症状スコアを算出する際の入力データとして用いられてもよい。あるいは、嚥下ムセ検出装置460のセンシングデータを用いずに算出された周辺症状スコアが閾値を超えたことをトリガーとして、固有入力データである嚥下ムセ検出装置460のセンシングデータが入力データに追加されてもよい。いずれにせよ、要因推定部112は、入力データに基づいて第1中核要因が主要因であると推定し、さらに詳細には、「何もしないで食事を見ている」ことの寄与度が高いと判定したとする。
この場合、対処決定部113は、食事をサポートする介助用デバイスの使用を、推奨される対処として決定し、提示処理部116は当該対処を介助者の端末装置200に提示する。なお、提示処理部116は、まず嚥下ムセ検出装置460の端末装置462において「食事のサポートが必要ですか?」等の音声を出力し、それに対して被介助者が「はい」と返答した場合や、うなずく動作を行った場合に、介助者の端末装置200に上記対処を提示してもよい。
ここでの介助用デバイスは、図15に示すように、食事を自動的に被介助者の口に運ぶ自動供給装置470であってもよい。自動供給装置470は、食べ物が入れられる複数の皿を含む容器472と、当該容器472に入れられた食事を所定量だけすくい、被介助者の口まで運ぶアーム471を含む。容器472にはタブ473が設けられてもよい。タブ473については図17A~図17Gを用いて後述する。アーム471は、例えば関節部によって接続される複数のフレームと、先端部に設けられるエンドエフェクタを含む。ここでのエンドエフェクタは、例えばスプーンを把持するハンドであってもよいし、スプーンそのものであってもよい。また自動供給装置470は、重量を測定する計り474と、カメラ475を含んでもよい。図15の例では、計り474は容器472に隣接して配置されているが、これに限定されることなく、例えばスプーンに計りが内蔵されていてもよいし、アーム471に計りが設けられ、スプーンの重量の変化から重量を測定する形態であってもよい。また、図15の例では、カメラ475は、アーム471の先端付近に配置され、例えばスプーンの中身や被介助者の顔等を撮像する。例えば患者に自動的に食事を行わせる装置が、「APPARATUS AND METHOD FOR FOOD CAPTURE」という2016年4月8日に出願された米国特許出願15/094800号に記載されている。この特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。本実施形態における自動供給装置470は、例えば米国特許出願15/094800号に開示されたfeeding deviceであってもよいし、これに類する機構を有する装置であってもよい。
図16は、嚥下ムセ検出装置460と自動供給装置470の接続例を説明する図である。例えば自動供給装置470は、嚥下ムセ検出装置460の端末装置462と接続される。また上述したように、端末装置462はスロートマイク461と接続される。これらの接続はUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等のケーブルを用いた有線接続であってもよいし、WiFi(登録商標)やBluetooth等を用いた無線接続であってもよい。
なお、自動供給装置470の使用を推奨する対処の具体的な態様は種々考えられる。例えば提示処理部116は、推奨される対処を表す対処情報として、自動供給装置470の使用をリコメンドする情報を提示してもよい。この場合、自動供給装置470を使用するか否かの判断、使用する場合の自動供給装置470の手配や、図16に示した接続等は、介助者等が実行する。また提示処理部116は、推奨される対処を表す対処情報として、自動供給装置470と嚥下ムセ検出装置460の接続手法を端末装置200に表示する処理を行ってもよい。このようにすれば、自動供給装置470をスムーズに導入することが可能になる。また対処決定部113は、まず被介助者及び介助者の少なくとも一方とコミュニケーションロボット等を用いたコミュニケーションを行うことによって、サポートの要否を確認してもよい。そしてサポートが必要であるとの回答が得られた場合、対処決定部113は、自動供給装置470の自動搬送、及び、自動供給装置470と端末装置462の自動接続を行う旨の対処情報を出力してもよい。なお、自動搬送や自動接続を行う機器は、サーバシステム100に限定されず、対処情報を受信した他の機器であってもよい。この場合、自動供給装置470と端末装置462の接続は、WiFi等の無線接続が用いられてもよい。このようにすれば、自動供給装置470の手配や接続を自動化できるため、介助者の負担軽減等が可能になる。
自動供給装置470は実際の使用の前にティーチングが行われてもよい。ティーチングでは、例えばアーム471を介助者が実際に動かすことによって、スプーンを被介助者の口に運ぶまでのアーム471の動きを自動供給装置470に記憶させる処理である。なお、ティーチングはロボット分野において公知の手法であるため、詳細な説明は省略する。
接続及びティーチングの終了後、嚥下ムセ検出装置460と自動供給装置470が連携した食事介助が実行される。例えば、自動供給装置470は、嚥下ムセ検出装置460での判定結果に基づいて、スプーンに1回に入れる料理の量や、スプーンを口に運ぶペースを判定してもよい。例えば嚥下ムセ検出装置460は、熟練者の暗黙知に基づいて、これらのパラメータを予め学習しておいてもよい。また嚥下ムセ検出装置460(狭義には端末装置462)は、暗黙知に対応する処理を実行するアプリケーションソフトウェアを記憶しておき、当該アプリケーションソフトウェアを自動供給装置470に送信する処理を行ってもよい。このようにすれば、以下で説明する嚥下ムセ検出装置460における処理(暗黙知に対応する処理)の少なくとも一部を、自動供給装置470において実行することが可能になる。
例えば、自動供給装置470は、スプーンに1回分の食べ物を入れ、計り474や画像処理に基づいて食べ物の量を求める。端末装置462は、上述した暗黙知に基づいて、スプーンに入れられた食べ物の量が、被介助者に適した量であるかを判定する。
量が適切であると判定された場合、自動供給装置470はティーチング結果に基づいて被介助者の口元までスプーンを運ぶ。そして撮像画像に基づいて被介助者の口が開いたと判定された場合、アーム471を制御してスプーンを口の中まで入れる。なおここでの撮像画像は端末装置462のカメラによって撮像されてもよい。あるいは、アーム471の先端付近に設けられるカメラ475によって撮像画像が撮像されてもよい。
端末装置462は、スロートマイク461からの音声データに基づいて嚥下が検出されたかを判定する。嚥下が検出された場合、口だまりがないかを判定する。口だまりとは、食べ物が嚥下されずに口の中に残ることを表す。例えば、嚥下される食べ物の量が多いほど、嚥下音が大きくなることが分かっている。よって端末装置462は、スプーンに取られた食べ物の量に基づいて、口だまりがない場合の嚥下音の大きさを推定できる。端末装置462は、スロートマイク461によって検出された嚥下音が、想定される嚥下音よりも小さかった場合、口だまりがあるとして再度嚥下が行われるまで待機する。また端末装置462は、嚥下音が十分大きく口だまりが少ないと判定された場合、自動供給装置470に次の1口のための動作を許可する。これにより、自動供給装置470は上記の動作を再度繰り返す。このループ処理を繰り返すことによって、食事をうまくできなくなった被介助者を適切にサポートすることが可能になる。
なお上記ループ処理において、嚥下ムセ検出装置460は、開口しなくなった、嚥下するまでの時間が長くなった、眠そうになった等の状況が発生しているかを判定してもよい。例えば端末装置462は、カメラの撮像画像に基づいて開口しなくなったか否かを判定する。また端末装置462は、撮像画像とスロートマイク461の音声データに基づいて、口が開いてから嚥下するまでの時間を判定する。また端末装置462は、座面センサ440に基づいて姿勢の傾きが検出された場合に、眠そうにしていると判定する。またベッドで食事が行われる場合、眠そうにしているか否かの判定に検出装置430が用いられてもよい。
開口しなくなった、嚥下するまでの時間が長くなった、眠そうになった等の状況が発生していると判定した場合、端末装置462は音声データを出力することによって被介助者に対応を促す。端末装置462は、音声データの出力等の後、状況が改善されたかを判定し、改善された場合には上述したループ処理に戻る。状況が改善されない場合、端末装置462は、再度音声データを出力してもよい。あるいは端末装置462は、介助者に対して介入を求めてもよい。
なお、上述したように食事介助では被介助者に適した食事の量があり、当該量は対象の被介助者によって異なる可能性がある。よって自動供給装置470を用いる場合、スプーンに入れる食べ物の量を細かく調整できることが望ましい。そこで本実施形態では、容器472に設けられるタブ473の高さが調節されてもよい。このようにすれば、食べ物の量の細かい調整が可能になる。特に、スプーンですくった量が多すぎた場合に、適量まで減らすことが容易になる。以下、タブ473の具体例について説明する。なおここでのタブ473は、食事が入れられる皿部分の周縁に一端が接続され、他端が皿部分の中央へ向かう方向に傾斜する部材である。タブ473を設けることによって、スプーンを用いて食べ物をすくう際に、食べ物が皿からこぼれることを抑制できる。またタブ473を設けることによって、当該タブ473によって食べ物がスプーンの奥側に押されるため、食べ物をすくいやすくすることが可能になる。
図17A~図17Gは、本実施形態におけるタブ473の構成例を示す図である。図17Aは、鉛直上方から容器472の皿部分とタブ473を観察した図である。上述したように、タブ473は、食事が入れられる皿部分の周縁に一端が接続され、他端が皿部分の中央へ向かう方向に傾斜する。
図17B~図17Dは、それぞれ図17AにおけるA-A、B-B、C-Cの3箇所でのタブ473の断面構造を例示する図である。図17BはA-Aにおける断面構造であり、タブ473は、皿部分の中央へ向かう方向に傾斜する面473aと、当該面473aに接続され、水平方向に沿った方向の面を有する部材473bを有する。例えば部材473bは、図17Bに示すように略三角形の断面形状を有する部材である。
同様に、図17CはB-Bにおける断面構造の例であり、図17DはC-Cにおける断面構造の例である。タブ473が傾斜する面473aと略三角形の断面形状を有する部材473bを有する点は図17Aと同様である。しかし、図17B~図17Dから分かるように、タブ473における位置に応じて、部材473bの高さが異なってもよい。例えば図17Bでの部材473bまでの高さをL1、図17Cでの部材473bまでの高さをL2、図17Dでの部材473bまでの高さをL3としたとき、L1<L2<L3である。
例えば自動供給装置470が図17Eの矢印に示す軌道に沿ってスプーンを動かした場合、スプーンの中に入った食べ物は相対的に低い位置で部材473bと衝突する(図17B)。結果として、スプーンの先端がタブ473に沿って上方に引き上げられた場合、相対的に多くの食べ物が皿部分に落下し、スプーンに残る食べ物の量は少なくなる。
一方、自動供給装置470が図17Gの矢印に示す軌道に沿ってスプーンを動かした場合、スプーンの中に入った食べ物は相対的に高い位置で部材473bと衝突する(図17D)。結果として、スプーンの先端がタブ473に沿って上方に引き上げられた場合、食べ物とタブ473の接触度合いが相対的に少なくなるため、皿部分に落下する食べ物の量は少なくなり、スプーンに残る食べ物の量は多くなる。
また自動供給装置470が図17Fの矢印に示す軌道に沿ってスプーンを動かした場合、図17Eのケースと図17Gのケースの中間的な量の食べ物がスプーンに残る。
このように、位置に応じて高さの異なるタブ473を設けることによって、図17E~図17Gに示したように、スプーンの軌道を調整することによって、容易に1口分の食べ物の量を調整できる。例えば、図17Gの軌道でスプーンにすくった食べ物を計り474や画像処理で計量した結果、一口の量として多すぎると判定された場合、軌道を図17Fや図17Eに変更することによって容易に量を減らすことが可能である。この際、すでにスプーンにすくってある食べ物を全て容器472に戻した後に再度すくう動作を行ってもよいが、これは必須ではない。例えば食べ物をスプーンに入れたまま新たな軌道に沿ってスプーンを動かすという容易な動作により、適切な量の食べ物がタブ473と衝突して容器472に落下するため、量を減らす方向の微調整を行うことも可能である。結果として、被介助者に適した量の食べ物を自動的に供給することが可能になる。なお、ここでは位置に応じて高さの異なるタブ473を設ける例を説明したが、本実施形態の手法はこれに限定されない。例えば、可動式のタブ473が設けられ、当該タブ473の角度や高さを調整することによって、1口分の食べ物の量が調整されてもよい。
また自動供給装置470を用いる場合、自動供給装置470の動作ログや、自動供給装置470を制御する端末装置462の動作ログが自動記録されてもよい。このようにすれば、食事がどのようなペースで行われたか、被介助者の食事においてどのような状況が発生したか、当該状況にどのように対応したか、当該対応が効果的であったか等、種々の情報を自動的に収集できる。
また食事の摂取量が自動的に記録されてもよい。例えば介護施設ではバーコード付きメモを食事とともに提供するケースが多い。よって上述したループ処理が終了した場合に、カメラを用いてバーコードを読み取る処理が行われてもよい。ここでのカメラはアーム471に設けられるカメラ475であってもよいし、端末装置462のカメラであってもよい。これにより、対象の被介助者を特定できる。また上述したように、食事の摂取量はスプーンですくった食事の量の合計として求められる。また容器472のどの皿にどのような料理が盛り付けられたかは既知であるため、アーム471の動作ログに基づいて摂取内容も特定できる。またRFID等を用いてどの皿の料理が摂取されたかが判定されてもよく、摂取内容を特定する処理は種々の変形実施が可能である。よって本実施形態では、摂取量及び摂取内容をバーコードに対応する被介助者に対応付けて記憶する処理が行われてもよい。なお、本実施形態では、複数の料理をどのような順番で食べるかを選択可能であってもよい。例えば自動供給装置470は。各皿を順番に回るように制御されてもよいし、特定の皿を集中的に食べさせるように制御されてもよい。そして摂取量の自動記録では、料理の摂取順序が記憶されてもよい。
また食事介助では少数(狭義には一人)の介助者が、複数の被介助者を同時に介助するケースも考えられる。この場合、それぞれに嚥下ムセ検出装置460が設けられ、嚥下やムセに関する情報がモニタリングされてもよい。また上述したように、食事が難しくなっている被介助者に対しては自動供給装置470が使用されてもよい。この場合、複数の被介助者が使用している嚥下ムセ検出装置460及び自動供給装置470が、それぞれ独立に動作することも妨げられない。ただし、同じ介助者が介助を行う複数の被介助者については、複数の嚥下ムセ検出装置460及び自動供給装置470が連携して動作してもよい。
例えば、N人(Nは2以上の整数)の被介助者によってN台の嚥下ムセ検出装置460とN台の自動供給装置470が用いられているとする。この場合、N台の嚥下ムセ検出装置460のうちの1台がマスターとして動作し、他のN-1台がスレーブとして動作してもよい。例えば、スレーブである嚥下ムセ検出装置460は、嚥下やムセの検出結果等を、マスターである嚥下ムセ検出装置460に送信してもよい。そしてマスターである端末装置462が、N台分の嚥下ムセ検出装置460の出力を一括して表示する処理を行ってもよい。
図18は、マスターである端末装置462の表示部に表示される画面の例である。図18の例では、6人の被介助者に関する情報が表示されており、各被介助者に関する情報は、スロートマイク461の出力である音声波形と、嚥下ムセ判定により被介助者が正常、注意、異常のいずれであるかの判定結果とを含む。判定結果の表示態様は任意であるが、例えば図18に示すように、それぞれが正常、注意、異常に対応する3つのボタンの点灯/消灯を用いて判定結果が表示されてもよい。正常とは、例えばムセが検出されていない状態を表す。注意とは、例えばムセが検出されているが危険度合いが小さいことを表す。異常とは、危険度合いの高いムセが検出されていることを表す。このようにすれば、複数の被介助者の情報をわかりやすい態様で表示することが可能になる。特に図18の例では、一人の被介助者あたりの情報量が限定されるため、介助者は介入の必要があるか否かを容易に判断できる。
またマスターである端末装置462を用いて、N台の自動供給装置470の制御が可能であってもよい。例えば図18に示すように、各被介助者に関する表示領域に、自動供給装置470を緊急停止させるための停止ボタンが表示されてもよい。停止ボタンの選択操作が行われた場合、マスターである端末装置462は、対象の被介助者が使用している自動供給装置470の動作を停止させる。例えば、マスターである端末装置462を使用する被介助者の停止ボタンが押された場合、当該端末装置462が直接、自動供給装置470を停止する制御信号を出力する。マスター以外の端末装置462を使用する被介助者の停止ボタンが押された場合、マスターである端末装置462は、対象の被介助者が使用するスレーブの端末装置462に停止を指示する情報を送信し、当該スレーブの端末装置462が対象の自動供給装置470を停止させる制御を行う。なお、マスターである嚥下ムセ検出装置460(端末装置462)とスレーブである嚥下ムセ検出装置460(端末装置462)は直接接続されてもよいし、サーバシステム100を介して接続されてもよい。
また複数の嚥下ムセ検出装置460の何れかがマスターとして動作するのではなく、介助者の端末装置200が当該複数の嚥下ムセ検出装置460を制御してもよい。例えば図18に示す画面は、介助者の端末装置200の表示部240に表示されてもよい。またいずれかの停止ボタンの選択操作が行われた場合、端末装置200は直接、または、サーバシステム100を介して、対象の端末装置462に自動供給装置470の停止を指示する信号を出力してもよい。
また以上の説明からも分かるように、嚥下ムセ検出装置460は、自動供給装置470を用いるか否かに応じて、その処理内容が変化する。換言すれば、嚥下ムセ検出装置460は、主要因が第1中核要因であると判定された場合に、動作モードが変化する。このように本実施形態では、主要因の推定結果に基づいて、介助で用いられるデバイスの動作モードが変更されてもよい。
例えば情報処理装置20(例えばサーバシステム100)は、被介助者の介助に用いられ、複数の動作モードの何れかで動作するデバイスと通信を行う通信部130を含む。ここでのデバイスは例えばセンシングデバイス400であってもよいし、他のデバイスであってもよい。そして通信部130は、要因推定部112によって推定された主要因を表す情報を、複数の動作モードの何れで動作するかを決定するための情報として、上記デバイスに送信してもよい。このようにすれば、主要因の推定結果に基づいて各デバイスの動作モードを自動的に変更できる。結果として、周辺症状への対応の少なくとも一部を自動化できるため、介助者の更なる負担軽減が可能になる。
例えばここでのデバイスは、被介助者の食事における嚥下及びムセの少なくとも一方を検出する通常処理を行う第1モードと、通常処理に加えて料理を自動で被介助者の口に運ぶ処理を行う第2モードとを含む複数の動作モードで動作する第1デバイスを含んでもよい。ここでの第1デバイスは、例えば嚥下ムセ検出装置460である。情報処理装置20の通信部(例えばサーバシステム100の通信部130)は、主要因が第1中核要因であると推定された場合、主要因を表す情報を、第1モードから第2モードへの遷移を指示する情報として、第1デバイスに送信する。第1デバイスは、主要因が第1中核要因である旨を表す情報を情報処理装置20から受信した場合に、第1モードから第2モードに動作モードを変更する。このようにすれば、嚥下ムセのモニタリングだけでなく、食事の自動化を実現することが可能になる。さらに動作モード変更が自動化されるため、介助者の負担軽減が可能である。
2.4 サーバシステムから介助デバイスへのデータ送信
嚥下ムセ検出装置460を例に上述したように、本実施形態におけるセンシングデバイス400は複数の動作モードを含み、当該動作モードのいずれかで動作してもよい。例えば、センシングデバイス400は、それぞれが熟練者の暗黙知に対応する処理を実行する複数のアプリケーションを含み、各アプリケーションのアクティブ/非アクティブを制御することによって動作モードが変更されてもよい。即ち、動作モードが切り替えられることによって使用する暗黙知が切り替えられる。
例えば各アプリケーションは、機械学習を用いて生成された学習済モデルであってもよい。ここでの機械学習は、入力データ(センシングデータ)と、当該入力データに対応する正解データとが対応付けられた訓練データに基づく学習を表す。正解データは、熟練者によって入力されるデータであり、例えば介助における熟練者の判定結果を表す情報である。このようにすれば、熟練者の暗黙知を適切にデジタル化することが可能になる。熟練者の暗黙知がデジタル化されるため、熟練度の低い介助者であっても、熟練者と同様の介助を実行することが可能になる。例えば図6~図10を用いて上述した各センシングデバイス400での処理は、1つ1つが暗黙知に対応してもよい。また暗黙知に対応する複数の処理を実行可能なデバイスは、センシングデバイス400とは異なるデバイスであってもよい。
例えば、暗黙知の切り替えは、上述したように周辺症状スコアや、主要因の推定結果に基づいて実行されてもよい。このようにすれば、被介助者の認知症の状態に合わせて、使用する暗黙知を切り替えられるため、周辺症状への対処や発生抑制に適した介助を実行できる。
また暗黙知の切り替えは、被介助者の能力情報を用いて実行されてもよい。ここでの能力情報は、被介助者の活動能力を表す情報であって、例えばセンシングデバイス400が何らかの暗黙知を用いた処理を行った結果として求められる情報である。能力情報は、第1中核要因に関係する入力データと同じ情報であってもよいし、異なる情報であってもよい。能力情報は、例えばADLの程度を表す指標値であってもよいし、介助において発生しうるリスクの高低に関連する情報であってもよい。ここでのリスクは、転倒に関する転倒リスク、車椅子やベッド等からの転落に関する転落リスク、誤嚥性肺炎等に関する誤嚥リスク、褥瘡に関する褥瘡リスク等、種々のリスクを含む。例えば、特定のリスクが低い場合、当該リスクに対応するための暗黙知は使用する必要性が低い。例えば誤嚥リスクが低い場合に、上述した危険なムセの判定を行う暗黙知を使用する必要性は低い。逆に特定のリスクが高い場合、当該リスクに対応するための暗黙知は積極的に使用することが望ましい。よって能力情報を考慮することで暗黙知の切り替えを適切に実行できる。
また暗黙知の切り替えには、被介助者の介助のシーンを特定するシーン情報が用いられてもよい。シーン情報は、食事介助、排泄介助、移動・移乗介助等、実行される介助の種類を特定する情報であってもよい。またシーン情報は、被介助者の介助を実行する介助者の数や熟練度等、介助者に関する情報であってもよい。またシーン情報は、被介助者の属性等、被介助者に関する情報であってもよい。このようにすれば、介助の種類、介助者の状況(余裕を持ってリスク対応できるか等)、被介助者の属性に適した暗黙知の使用が可能になる。
また暗黙知の切り替えには、併用されるセンシングデバイス400の種類を表すデバイス種類情報が用いられてもよい。ここでのデバイス種類とは、車椅子、ベッド等の大まかな分類を表すものであって、ベンダを区別しない情報であってもよい。このようにすれば、組み合わせて使用されるセンシングデバイス400を考慮して使用する暗黙知を決定できる。例えば、複数のセンシングデバイス400の連携に適した暗黙知を使用すること等が可能になる。
これらを考慮すると、本実施形態のサーバシステム100は、各センシングデバイス400に対して、動作モードを特定するための情報として、能力情報、シーン情報、デバイス種類情報、主要因の推定結果を通知することが望ましい。なお、以下では主要因の推定結果を通知する例を説明するが、周辺症状スコアが通知されてもよい。また周辺症状スコアと主要因の推定結果の両方が通知されてもよい。
ただし、上述したセンシングデバイス400は種々のベンダの製品が混在する可能性がある。その際、ベンダ毎に上記能力情報等を送信するデータのデータ構造が異なってしまうと、サーバシステム100の処理負荷が大きく、通信制御の汎用性が低くなる。よって本実施形態のサーバシステム100は、センシングデバイス400のベンダ、型番、種類等によらず、データ構造を統一してもよい。例えば、サーバシステム100は、センシングデバイス400との通信のデータリンク層で用いられるMACフレームのビット割り付けを、通信先のセンシングデバイス400によらず共通化する。
図19は、MACフレームのフォーマット例である。なお、図19に示すフォーマット例は管理フレームや制御フレームにも適用可能であるが、以下ではデータフレームを例に説明を行う。図19に示すように、MACフレームは、MACヘッダ、フレームボディ、トレイラを含む。
MACヘッダは、Frame Control, Duration ID, Address 1, Address 2, Address 3, Sequence Control, Address 4, QoS Control, HT Controlの各フィールドを含む。またこれらのうちの一部が省略されてもよい。
Frame Controlは、対象のMACフレームがデータフレームか、管理フレームか、制御フレームかの判別するためのタイプフィールドを含む。またFrame Controlはより細かい種別を特定するサブタイプフィールドを含んでもよい。Duration/IDには電波を使用する予定期間を表す情報が格納される。電波を使用する予定時間とは、フレーム送信に必要な時間と言い換えてもよい。Duration/IDはRTS(Request To Send)/CTS(Clear to Send)等に用いられる。
Address 1~Address 4は、受信先や送信元の機器のアドレスを表す情報を格納する。例えばAddress 1は、受信先アドレスに対応し、Address 2は送信元アドレスに対応する。Address 3, Address 4には、フレーム用途に応じたデータが格納される。
Sequence Controlは、送信するデータのシーケンス番号に対応する。QoS ControlはQoS制御に用いられる情報を格納する。QoS制御とは、フレームの優先度を考慮して送信を行う制御を表す。HT Controlは例えば管理フレームにおいて用いられるフィールドである。
フレームボディの構成については、図20A、図20Bを用いて後述する。またトレイラは例えばFCS(Frame Check Sequence)である。FCSは、フレームの誤り検出に用いられる情報であり、例えばチェックサム符号である。FSCは、例えばCRC(Cyclic Redundancy Code)である。
図20A及び図20Bは、サーバシステム100が送信するデータフレームのフレームボディのビット割り付け例を説明する図である。図20Aに示すように、フレームボディは、User ADL, scene flag, device type ID, primary factor, data type ID, Instruction length, contentsの各フィールドを含んでもよい。
User ADLは、被介助者の能力情報を格納するフィールドである。例えば能力情報は、能力の程度を所定数の段階に区分した場合に、被介助者の能力がいずれの段階に属するかを表す数値データである。例えば段階が8個以下であればUser ADLは3ビットのフィールドである。また段階が9個以上である場合には、User ADLは4ビットかそれ以上のフィールドであってもよい。能力情報の定義に応じて必要なビット数は既知であるため、User ADLは固定長のフィールドであってもよい。また本実施形態の能力情報は、ADLの指標値に限定されず、立ち上がりの仕方を表す情報、座位保持能力、嚥下能力、歩行能力等のより詳細な情報であってもよい。よってUser ADLは、これらの各能力を表現可能なビット数を有するフィールドであってもよい。またUser ADLは、被介助者を特定するIDを含んでもよい。
Scene flagは、シーン情報を格納するフィールドである。例えばシーン情報は、介助者の数が所定以上であるか否かを表すビットを含んでもよい。当該ビットが第1の値(例えば0)である場合に介助者の数が所定以上であり、第2の値(例えば1)の場合に所定未満であることを表す。またシーン情報は、介助の種類を特定するビットを含んでもよい。例えば介助の種類として、食事介助、排泄介助、移動・移乗介助、その他の4種類を識別する場合、シーン情報は介助の種類を特定するビットとして2ビットを含む。例えば、当該2ビットが00である場合は食事介助を表し、01である場合は排泄介助を表し、10である場合は移動・移乗介助を表し、11である場合はその他を表す。またシーン情報はこれらに限定されず、他の情報が用いられてもよい。そのため、Scene flagの具体的なビット数や意味についても種々の変形実施が可能である。ただし、どのようなシーン情報を用いるかは既知であり、当該シーン情報の表現に必要なビット数も既知であるため、Scene flagは固定長のフィールドであってもよい。
device type IDは、デバイス種類情報を格納するフィールドである。デバイス種類情報は、図6~図10を用いて上述したセンシングデバイス400毎に異なる情報であってもよい。あるいは、転倒リスクに対応するセンシングデバイス400であれば、図6の撮像装置410と図7のベッドサイドセンサ420に同じデバイス種類IDが割り振られてもよい。あるいはセンシングデバイス400が有するセンサ種類等に基づいてデバイス種類IDが割り振られてもよい。対象とするデバイス種類IDの数は既知であるため、device type IDは固定長のフィールドであってもよい。
primary factorは、主要因の推定結果を表すフィールドである。例えば主要因が環境要因、第1中核要因、第2中核要因及び心理要因の何れかから選択される場合、primary factorはこの4つを識別する2ビットのデータであってもよい。ただし上述したように、要因推定部112は、上記4つの要因を細分化したより細かい要因を推定してもよく、primary factorのデータ構造は種々の変形実施が可能である。
またここではprimary factorを例示したが、primary factorフィールドに代えて、周辺症状の有無を表す情報を格納するフィールドが用いられてもよい。当該フィールドには、例えば周辺症状スコアが格納されてもよい。
図20Aに示すdata type ID, Instruction length, contentsは、制御対象デバイスへの制御信号の送信に用いられるフィールドである。ここでの制御対象デバイスとは、介助者が使用する端末装置200であってもよいし、センシングデバイス400であってもよいし、対処情報によって表される対処に使用される他のデバイスであってもよい。data type IDは、制御対象デバイスに対して出力される指示の種類を表す情報を格納するフィールドである。ここでの指示は、「報知(アラーム)」、「移動/搬送」、「制御」、「レコメンド等」の4つを含んでもよい。この場合、data type IDは4つの指示を識別可能な2ビットの固定長のフィールドである。
「報知」とは、センシングデバイス400における処理結果を制御対象デバイスで報知する際に用いられる情報である。例えば「報知」は、転倒リスクを判定するデバイスにおいて転倒リスクが検出された場合に、その旨を端末装置200等で報知する際に用いられる指示であってもよい。「移動/搬送」とは、リクライニング車椅子や歩行器等、移動可能な制御対象デバイスを移動させる指示である。例えば移動/搬送の指示は、転倒リスクが検出された場合に、対象の被介助者が捕まれるように歩行器等を近くに移動させる制御に用いられてもよい。「制御」とは、制御対象デバイスを動作させる「移動/搬送」以外の制御を広く含み、リクライニング車椅子の背面部の角度変更や、介護ベッドのボトム角度の変更等を含む。「レコメンド等」は、例えば介助の質向上のために用いられる製品の購入等のレコメンドを含む。例えばレコメンドは、ベッド610や車椅子630でのクッションの使用を推奨するという判定が行われた場合に、その旨を介助者の端末装置200等である制御対象デバイスに出力する指示を表してもよい。また「レコメンド等」には、ニュース配信等が含まれてもよい。例えば、「レコメンド等」は、人気のセンシングデバイス400の紹介に用いられてもよい。
contentsは、具体的な指示の内容を特定する情報を格納するフィールドである。例えばcontentsフィールドには、「報知」における報知内容、「移動/搬送」における現在位置と目標位置、「制御」における制御対象部位と駆動量、「レコメンド」におけるレコメンド製品、等の情報が格納される。なおcontentsフィールドは、data type IDや具体的な指示内容に応じて長さが異なる。よって図20Aに示すように、フレームボディはcontentsフィールドの前に、当該contentsフィールドの長さを格納するinstruction lengthフィールドを含んでもよい。contentsフィールドの最大長は既知であると考えられるため、instruction lengthは例えば固定長のフィールドであってもよい。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また情報処理システム、情報処理装置、サーバシステム、端末装置、センシングデバイス等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10…情報処理システム、20…情報処理装置、21…取得部、22…要因推定部、100…サーバシステム、110…処理部、111…取得部、112…要因推定部、113…対処決定部、114…通信処理部、115…学習部、116…提示処理部、120…記憶部、121…ユーザ情報、122…デバイス情報、123…ログデータ、124…学習済モデル、125…対処テーブル、130…通信部、200…端末装置、210…処理部、220…記憶部、230…通信部、240…表示部、250…操作部、300…管理端末装置、400…センシングデバイス、410…撮像装置、420…ベッドサイドセンサ、430…検出装置、440…座面センサ、441…クッション、442…制御ボックス、450…失禁検出装置、460…嚥下ムセ検出装置、461…スロートマイク、462…端末装置、470…自動供給装置、471…アーム、472…容器、473…タブ、473a…面、473b…部材、474…計り、475…カメラ、510…リクライニング車椅子、520…介護ベッド、610…ベッド、620…マットレス、630…車椅子、IM1…出力画像、Se1~Se4…圧力センサ

Claims (20)

  1. センサを用いて取得されたセンシングデータを含む入力データを取得する取得部と、
    前記入力データに基づいて、介助者による介助を受ける被介助者が、認知症の周辺症状が見られる状態である周辺症状状態となった主要因が、前記被介助者の周辺環境に起因する環境要因、前記被介助者の実行機能障害に起因する第1中核要因、前記被介助者の見当識障害に起因する第2中核要因、及び、前記被介助者の心理に起因する心理要因を含む複数の要因の何れであるかを推定する要因推定部と、
    を含む情報処理装置。
  2. 請求項1において、
    前記要因推定部は、
    時系列データである前記入力データに基づいて、前記環境要因、前記第1中核要因、前記第2中核要因及び前記心理要因のそれぞれについて、前記周辺症状状態への寄与度を表す要因スコアの変動度合いを求め、前記要因スコアの変動度合いに基づいて、前記主要因を推定する情報処理装置。
  3. 請求項1において、
    前記要因推定部によって推定された前記主要因に応じて、前記周辺症状状態に対する対処を決定する対処決定部をさらに含む情報処理装置。
  4. 請求項3において、
    前記対処決定部は、
    前記主要因が前記第1中核要因であると推定された場合、日常的な動作をサポートする介助用デバイスを使用することを、前記対処として決定する処理を行う情報処理装置。
  5. 請求項3において、
    前記対処決定部は、
    前記主要因が前記第2中核要因であると推定された場合、前記被介助者の転倒リスクに対して介入することを、前記対処として決定する処理を行う情報処理装置。
  6. 請求項3において、
    前記対処決定部は、
    前記主要因が前記心理要因であると推定された場合、前記被介助者の心理に影響を及ぼす度合いの高い関係者を特定することを、前記対処として決定する処理を行う情報処理装置。
  7. 請求項3において、
    前記入力データは、
    前記環境要因に関するデータとして、季節を特定する情報を含み、
    前記要因推定部は、
    前記主要因が、前記環境要因のうち、前記季節に起因する季節要因であるか否かを判定し、
    前記対処決定部は、
    前記主要因が前記季節要因であると推定された場合と、前記季節要因以外の前記環境要因であると推定された場合とで、前記対処を異ならせる情報処理装置。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項において、
    前記入力データは、
    前記第1中核要因に関するデータとして、前記被介助者の日常動作における能力を表す能力情報を含む情報処理装置。
  9. 請求項8において、
    前記能力情報は、
    前記被介助者の動き出し、食事、座位保持、歩行の少なくとも1つにおけるセンシング結果を表す前記センシングデータを含む情報処理装置。
  10. 請求項1乃至7の何れか一項において、
    前記入力データは、
    前記第2中核要因に関するデータとして、前記被介助者の徘徊を表す徘徊情報を含む情報処理装置。
  11. 請求項1乃至7の何れか一項において、
    前記入力データは、
    前記心理要因に関するデータとして、前記被介助者の関係者の生体情報を含む情報処理装置。
  12. 請求項2において、
    前記要因推定部は、
    第1入力データに基づいて、前記主要因を判定する第1判定を行い、
    前記第1判定において前記主要因が推定されなかった場合、前記第1入力データに含まれないデータを含む第2入力データに基づいて、前記主要因を判定する第2判定を行う情報処理装置。
  13. 請求項12において、
    前記環境要因、前記第1中核要因、前記第2中核要因及び前記心理要因のいずれか1つに関係し、且つ、他の3つのいずれにも関係しないデータを固有入力データとしたとき、
    前記第2入力データは、前記第1入力データには含まれない前記固有入力データを少なくとも1つ含む情報処理装置。
  14. 請求項1乃至7の何れか一項において、
    前記要因推定部は、
    前記入力データに基づいて、前記被介助者が前記周辺症状状態であるか否かを推定する情報処理装置。
  15. 請求項14において、
    前記被介助者の介助に用いられ、複数の動作モードの何れかで動作するデバイスと通信を行う通信部をさらに含み、
    前記通信部は、
    前記要因推定部によって推定された前記周辺症状状態であるか否かを表す情報、及び、前記主要因を表す情報、の少なくとも一方を、前記複数の動作モードの何れで動作するかを決定するための情報として、前記デバイスに送信する情報処理装置。
  16. 請求項15において、
    前記デバイスは、
    前記被介助者の食事における嚥下及びムセの少なくとも一方を検出する通常処理を行う第1モードと、前記通常処理に加えて料理を自動で前記被介助者の口に運ぶ処理を行う第2モードとを含む前記複数の動作モードで動作する第1デバイスを含み、
    前記通信部は、
    前記主要因が前記第1中核要因であると推定された場合、前記主要因を表す情報を、前記第1モードから前記第2モードへの遷移を指示する情報として、前記第1デバイスに送信する情報処理装置。
  17. 請求項2において、
    前記要因推定部は、
    前記入力データを入力とし、前記被介助者が前記周辺症状状態である確からしさを表す周辺症状スコア、及び前記複数の要因のそれぞれの前記要因スコアを出力する学習済モデルに基づいて、前記主要因を求める情報処理装置。
  18. 請求項17において、
    前記主要因を表す要因情報の提示処理が行われた場合、前記要因情報、前記要因情報の提示前の前記周辺症状スコアである第1周辺症状スコア、及び、前記要因情報の提示後の前記周辺症状スコアである第2周辺症状スコアに基づいて、前記学習済モデルを更新する処理を行う学習部を含む情報処理装置。
  19. 請求項18において、
    前記要因推定部によって推定された前記主要因に応じて、前記周辺症状状態に対する対処を判定する対処決定部をさらに含み、
    前記学習部は、
    前記要因情報及び前記対処を表す対処情報の前記提示処理が行われた場合、前記要因情報、前記対処情報、前記第1周辺症状スコア、及び、前記第2周辺症状スコアに基づいて、前記学習済モデルを更新する処理を行う情報処理装置。
  20. センサを用いて取得されたセンシングデータを含む入力データを取得し、
    前記入力データに基づいて、介助者による介助を受ける被介助者が、認知症の周辺症状が見られる状態である周辺症状状態となった要因が、前記被介助者の周辺環境に起因する環境要因、前記被介助者の実行機能障害に起因する第1中核要因、前記被介助者の見当識障害に起因する第2中核要因、前記被介助者の心理に起因する心理要因を含む複数の要因の何れであるかを推定する、
    情報処理方法。
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