JP2023161202A - 情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法 - Google Patents

情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】介助者による被介助者の介助を適切にサポートする情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法等の提供。
【解決手段】 情報処理システムは、複数の動作モードの何れかで動作し、被介助者の介助に用いられるデバイスと、デバイスとネットワークを介して接続されるサーバシステムを含み、サーバシステムは、デバイスから送信されたセンシングデータに基づいて、被介助者の活動能力を表す能力情報を求め、求めた能力情報をデバイスに送信し、デバイスは、能力情報に基づいて、複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法等に関する。
従来、介助者が被介助者の介助を行う場面において利用されるシステムが知られている。特許文献1には、居住空間にセンサを配置し、当該センサにより取得された検知情報の時間変化に基づいて、居住空間に居住する居住者の状態に関する提供情報を生成する手法が開示されている。
特開2021-18760号公報
介助者による被介助者の介助を適切にサポートする情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法等を提供する。
本開示の一態様は、複数の動作モードの何れかで動作し、被介助者の介助に用いられるデバイスと、前記デバイスとネットワークを介して接続されるサーバシステムと、を含み、前記サーバシステムは、前記デバイスから送信されたセンシングデータに基づいて、前記被介助者の活動能力を表す能力情報を求め、求めた前記能力情報を前記デバイスに送信し、前記デバイスは、前記能力情報に基づいて、前記複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する情報処理システムに関係する。
本開示の他の態様は、複数の動作モードの何れかで動作し、被介助者の介助に用いられるデバイスと通信を行う通信部と、前記デバイスから送信されたセンシングデータに基づいて、前記被介助者の活動能力を表す能力情報を求める処理を行う処理部と、を含み、前記処理部は、前記能力情報を、前記デバイスが前記複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する情報として、前記通信部を介して前記デバイスに送信する処理を行う情報処理装置に関係する。
本開示のさらに他の態様は、複数の動作モードの何れかで動作し、被介助者の介助に用いられるデバイスと、前記デバイスとネットワークを介して接続されるサーバシステムと、を含む情報処理システムにおける情報処理方法であって、前記デバイスによって取得されたセンシングデータに基づいて、前記被介助者の活動能力を表す能力情報を求め、求めた前記能力情報に基づいて、前記デバイスが前記複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する、情報処理方法に関係する。
情報処理システムの構成例を示す図である。 デバイスと暗黙知の関係例を示す図である。 サーバシステムの構成例を示す図である。 デバイスの構成例を示す図である。 被介助者の能力と、想定されるリスクの関係例を示す図である。 情報処理システムの処理を説明するシーケンス図である。 情報処理システムの処理を説明するシーケンス図である。 転倒リスクに関するデバイスの具体例を示す図である。 転倒リスクに関するデバイスの具体例を示す図である。 転落リスクに関するデバイスの具体例を示す図である。 転落リスクに関するデバイスの具体例を示す図である。 誤嚥リスクに関するデバイスの具体例を示す図である。 褥瘡リスクに関するデバイスの具体例を示す図である。 褥瘡リスクに関するデバイスの具体例を示す図である。 ベッドポジション調整に用いられる画面例である。 ベッドポジション調整に用いられる画面例である。 看取りケアに用いられる画面例である。 能力に応じたデバイスの動作モード例を示す図である。 情報処理システムの処理を説明するシーケンス図である。 デバイスにおける動作モードの決定処理を説明するフローチャートである。 デバイスにおける動作モードの決定処理を説明するフローチャートである。 嚥下ムセ検出装置と他のデバイスの連携例を説明する図である。 デバイスにおける動作モードの決定処理を説明するフローチャートである。 制御対象デバイスの具体例を示す図である。 制御対象デバイスの具体例を示す図である。
以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
1.システム構成例
図1は、本実施形態に係る情報処理システム10の構成例である。本実施形態に係る情報処理システム10は、例えば医療施設や介護施設において、介助者の“勘”や“暗黙知”によって行われる作業について、当該“勘”や“暗黙知”をデジタル化することによって、熟練度によらず適切な介助を行えるように、介助者に指示を与えるものである。
なお、ここでの介助者は、介護施設の介護職員であってもよいし、病院等の医療施設における看護師や准看護師であってもよい。即ち、本実施形態における介助とは、被介助者をサポートする種々の行動を含むものであり、介護を含んでもよいし、注射等の医療に関する行為を含んでもよい。またここでの被介助者は、介助者による介助を受ける者であり、介護施設の入居者であってもよいし、病院に入院や通院を行う患者であってもよい。
また本実施形態における介助は、家庭において行われてもよい。例えば、本実施形態における被介助者は、在宅介護を受ける要介護者であってもよいし、在宅医療を受ける患者であってもよい。また介助者は、要介護者や患者等の家族であってもよいし、訪問ヘルパー等であってもよい。
図1に示す情報処理システム10は、サーバシステム100、デバイス200、ゲートウェイ300を含む。ただし、情報処理システム10の構成は図1に限定されず、一部を省略する、他の構成を追加する等の種々の変形実施が可能である。例えば図1では、デバイス200としてスマートフォン等のタブレット型の端末装置、車椅子630に配置される座面センサ440(図10を用いて後述)、ベッド610に載置される検出装置430(図9を用いて後述)を例示しているが、デバイス200の数や種類はこれに限定されない。例えば情報処理システム10は、図8~図14を用いて後述する種々のデバイス200を含んでもよい。また情報処理システム10は、図8~図14に示すデバイス200以外のデバイスを含むことも妨げられない。なお以下では、複数のデバイス200を互いに区別する必要が無い場合、単にデバイス200と表記する。また、構成の省略や追加等の変形実施が可能である点は、後述する図3や図4等においても同様である。
本実施形態の情報処理装置は、例えばサーバシステム100に対応する。ただし、本実施形態の手法はこれに限定されず、サーバシステム100と他の装置を用いた分散処理によって、情報処理装置の処理が実行されてもよい。例えば、本実施形態の情報処理装置は、サーバシステム100と、デバイス200を含んでもよい。以下、情報処理装置がサーバシステム100である例について説明する。
サーバシステム100は、例えばネットワークを介してデバイス200と接続される。例えば、サーバシステム100はインターネット等の公衆通信網を介してゲートウェイ300と接続され、ゲートウェイ300はLAN(Local Area Network)等を用いてデバイス200と接続される。例えばゲートウェイ300は、IEEE802.11の規格に従った通信を行うアクセスポイント(AP)であり、デバイス200はIEEE802.11の規格に従った通信を行うステーション(STA)であってもよい。ただし、各機器の間の通信手法については種々の変形実施が可能である。
サーバシステム100は、1つのサーバであってもよいし、複数のサーバを含んでもよい。例えばサーバシステム100は、データベースサーバとアプリケーションサーバを含んでもよい。データベースサーバは、図3を用いて後述する種々のデータを記憶する。アプリケーションサーバは、図6~図7等を用いて後述する処理を行う。なおここでの複数のサーバは、物理サーバであってもよいし仮想サーバであってもよい。また仮想サーバが用いられる場合、当該仮想サーバは1つの物理サーバに設けられてもよいし、複数の物理サーバに分散して配置されてもよい。以上のように、本実施形態におけるサーバシステム100の具体的な構成は種々の変形実施が可能である。
デバイス200は、例えば種々のセンサを有し、当該センサによってセンシングされたデータ(以下、センシングデータと記載)に基づいて処理を行う。上述した熟練者の暗黙知のデジタル化は、例えばデバイス200のベンダによって実行されてもよい。例えば熟練者が車椅子での被介助者の姿勢に基づいて、前ずれ横ずれ判定を行う暗黙知を備えていたとする。この場合、座面センサ440によって検出される被介助者の姿勢に対応するセンシングデータを収集し、当該センシングデータに基づいて前ずれ横ずれ判定を行うアプリケーションを作成することによって、上記暗黙知をデジタル化することが可能である。例えばベンダは、座面センサ440及び上記アプリケーションを提供する。その結果として熟練者でない者(例えば新人職員)は熟練者と同等の前ずれ横ずれ判定等を活用できる。
また1つのデバイス200においてデジタル化される暗黙知は1つに限定されない。例えば、座面センサ440を用いてデジタル化される暗黙知は、前ずれ横ずれ判定に限定されず、転落可能性の判定行うものや、前ずれ横ずれ判定と転落可能性の両方を組み合わせるものを含んでもよい。前ずれ横ずれ判定とは、被介助者の姿勢の良し悪しの判定に対応し、転落可能性の判定とは、座面からのずり落ちの判定に対応する。また前ずれ横ずれ判定においても、どの程度のずれを前ずれや横ずれと判定するかの判定基準、判定処理内容等が異なる複数の暗黙知が存在しうる。よって各デバイス200は、1又は複数の暗黙知に対応する処理を実行可能であって、各暗黙知に対応する処理を実行するか否かを切り替えてもよい。例えばベンダは暗黙知をアプリケーションソフトウェア(以下、単にアプリケーションとも表記する)として実装し、サーバシステム100に登録してもよい。各デバイス200は、登録されたアプリケーションのうち、実行可能性のあるアプリケーションをダウンロード、インストールすることによって、暗黙知に対応する処理を実行する。
図2は、デバイス200と暗黙知(アプリケーション)の関係例を示す図である。図2ではサーバシステム100に接続されるデバイス200として、デバイス200a~200eの5つを例示している。図2の例では、デバイス200aに暗黙知1及び暗黙知2の2つの暗黙知が対応付けられる。例えばデバイス200aに暗黙知1及び暗黙知2のアプリケーションがインストール済みの状態である。デバイス200aは例えば後述する転倒リスクに関するデバイスであってもよい。具体的には、デバイス200aは座面センサ440であって、暗黙知1は前ずれ横ずれ判定に関する暗黙知であり、暗黙知2は転落可能性判定に関する暗黙知であってもよい。暗黙知1及び暗黙知2に対応する処理結果は、例えばサーバシステム100に送信される。
デバイス200b及びデバイス200cは、例えば後述する誤嚥リスクに関するデバイスであり、それぞれが誤嚥リスク等に対処するための複数の暗黙知と対応付けられる。デバイス200d及びデバイス200eは、例えば後述する褥瘡リスクに関するデバイスであり、それぞれが褥瘡リスク等に対処するための複数の暗黙知と対応付けられる。このようにすれば、種々のデバイスを用いて多様な暗黙知をデジタル化することが可能である。なおここでは1つのデバイス200につき2つの暗黙知を例示しているが、1つのデバイス200と対応付けられる暗黙知の数はこれに限定されない。
本実施形態の手法では、状況に応じて使用する暗黙知を切り替えることが可能である。例えば、図2に示した暗黙知1~暗黙知10はその全てを使用する必要はなく、必要に応じて使用/不使用が切り替えられる。暗黙知の切り替えは、使用するデバイス200を切り替えることによって実現されてもよい。例えば転倒リスクが高いが、誤嚥リスク及び褥瘡リスクが低い被介助者を対象とする場合、デバイス200aが使用され、デバイス200b-200eは使用されない。このようにすれば、暗黙知1及び暗黙知2の少なくとも一方が使用され、他の暗黙知が使用されないため、被介助者にとって必要性の高い暗黙知を適切に使用することが可能になる。また被介助者の誤嚥リスクが高まった場合にはデバイス200bやデバイス200cを使用することによって、使用する暗黙知の切り替えが可能である。また誤嚥リスクに対処する場合にも、デバイス200bのみを使用するケース、デバイス200cのみを使用するケース、デバイス200bと200cの両方を使用するケース等が切り替えられてもよい。このようにすれば、例えば誤嚥リスクが高い場合に、図2の暗黙知3~暗黙知6のうち、必要な暗黙知を使用できる。褥瘡リスクが高まった場合も同様であり、デバイス200dやデバイス200eを使用することによって、使用する暗黙知の切り替えが可能である。また転倒リスクが低下した場合にデバイス200aの使用を停止する等の切り替えも可能である。
また暗黙知の切り替えは、使用するデバイス200を維持しつつ、当該デバイス200内で使用する暗黙知を切り替えることによって実現されてもよい。例えばデバイス200aにおいて、暗黙知1のみを使用するケース、暗黙知2のみを使用するケース、暗黙知1と暗黙知2の両方を使用するケース等を切り替えてもよい。この処理は、例えば各暗黙知に対応するアプリケーションのアクティブ/非アクティブを制御することによって実現できる。
そして暗黙知の切り替えは、被介助者の能力情報を用いて実行されてもよい。ここでの能力情報は、被介助者の活動能力を表す情報であって、例えばデバイス200が何らかの暗黙知を用いた処理を行った結果として求められる情報である。能力情報は、例えば転倒リスク、誤嚥リスク、褥瘡リスクの高低に関連する情報であってもよい。能力情報の詳細については後述する。
例えば、あるデバイス200において暗黙知の処理結果が求められた場合に、同じデバイス200の中で使用する暗黙知を切り替える処理が行われてもよい。例えば図2のデバイス200aでの暗黙知1の処理結果に基づいて、暗黙知1に対応するアプリケーションと暗黙知2に対応するアプリケーションのアクティブ/非アクティブが切り替えられてもよい。
また、あるデバイス200において暗黙知の処理結果が求められた場合に、当該処理結果が他のデバイス200に影響を与えてもよい。例えばデバイス200aでの暗黙知1の処理結果に基づいて、デバイス200bで使用する暗黙知が切り替えられる。例えば、デバイス200bが使用されていない状態から、デバイス200bが使用される状態への切り替えが行われてもよい。あるいは、デバイス200bに対応付けられた暗黙知3及び暗黙知4について、個別にアクティブ/非アクティブが切り替えられてもよい。
また暗黙知の切り替えは、能力情報に基づくものに限定されず、被介助者の介助シーンや、複数のデバイス200の併用状況等に基づいて実行されてもよい。暗黙知の切り替えに用いられる情報、及び、暗黙知を切り替える処理の詳細については後述する。
なお、デバイス200と暗黙知の対応関係は柔軟に変更することが可能である。例えば、複数のデバイス200を用いて取得されたセンシングデータに基づいて、1つの暗黙知に対応する処理が実行されてもよい。例えばデバイス200aで取得されたセンシングデータ、及び、デバイス200bで取得されたセンシングデータに基づいて、暗黙知1に対応する処理が実行されてもよい。このようにすれば、処理に用いるセンシングデータの種類を増やせるため、処理精度の向上等が可能である。上記の例において、暗黙知1に対応する処理は、デバイス200aで行われてもよいし、デバイス200bで行われてもよいし、デバイス200aとデバイス200bの分散処理により実現されてもよい。さらに言えば、暗黙知に対応する処理は、センシングデータを取得するデバイス200で実行されるものに限定されない。例えばデバイス200aで取得されたセンシングデータ、及び、デバイス200bで取得されたセンシングデータに基づいて、デバイス200aとデバイス200bの何れとも異なるデバイス200において、暗黙知1に対応する処理が実行されてもよい。例えば図1において、座面センサ440で取得されたセンシングデータや検出装置430で取得されたセンシングデータに基づいて、スマートフォンであるデバイス200が暗黙知に対応する処理を実行してもよい。
なお、以上ではデバイス200のベンダによって暗黙知がデジタル化される例を説明したがこれには限定されない。例えば、デバイス200を利用する介助者が、自身の暗黙知をデジタル化することも妨げられない。例えば当該介助者は、暗黙知に対応するアプリケーションを作成し、当該アプリケーションをサーバシステム100に登録してもよい。このようにすれば、暗黙知のデジタル化、及び利用を促進することが可能になる。
図3は、サーバシステム100の詳細な構成例を示すブロック図である。サーバシステム100は、例えば処理部110と、記憶部120と、通信部130を含む。
本実施形態の処理部110は、下記のハードウェアによって構成される。ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、ハードウェアは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子によって構成できる。1又は複数の回路装置は例えばIC(Integrated Circuit)、FPGA(field-programmable gate array)等である。1又は複数の回路素子は例えば抵抗、キャパシター等である。
また処理部110は、下記のプロセッサによって実現されてもよい。本実施形態のサーバシステム100は、情報を記憶するメモリと、メモリに記憶された情報に基づいて動作するプロセッサと、を含む。情報は、例えばプログラムと各種のデータ等である。メモリは、記憶部120であってもよいし、他のメモリであってもよい。プロセッサは、ハードウェアを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサを用いることが可能である。メモリは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよいし、レジスタであってもよいし、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリはコンピュータによって読み取り可能な命令を格納しており、当該命令をプロセッサが実行することによって、処理部110の機能が処理として実現される。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
処理部110は、例えば能力情報取得部111、シーン情報取得部112、デバイス種類情報取得部113、通信処理部114を含む。
能力情報取得部111は、被介助者の活動能力を表す能力情報を取得する処理を行う。例えば、能力情報取得部111は、デバイス200からセンシングデータを取得する。ここでのセンシングデータは、例えば所定期間におけるログデータであってもよい。能力情報取得部111は、ログデータに基づいて、被介助者の状態の時系列的な変化を求め、当該変化に基づいて能力情報を推定する。ここでの能力情報は、日常的な動作(ADL:Activities of Daily Living)に関する指標情報であってもよい。例えばバーセル指数等、ADLを評価する手法は種々知られており、本実施形態ではそれらを広く適用可能である。また能力情報は、 “Frailty and the potential kidney transplant recipient: time for a more holistic assessment?”, Henry H.L. Wu等に、Clinical Frailty Scaleとして開示されている9段階の指標が用いられてもよい。例えば本実施形態の能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて被介助者が当該9段階のうちの何れの段階に属するかを判定する。
なお、能力情報はデバイス200等において求められてもよい。能力情報取得部111は、通信部130を介して、当該デバイス200等から能力情報を取得する処理を実行してもよい。
シーン情報取得部112は、被介助者の介助が行われるシーンを判定する。ここでのシーン情報とは、食事介助、排泄介助、移動・移乗介助等、実行される介助の種類を特定する情報であってもよい。またシーン情報は、被介助者の介助を実行する介助者の数や熟練度等、介助者に関する情報であってもよい。またシーン情報は、被介助者の属性等、被介助者に関する情報であってもよい。例えばシーン情報取得部112は、ユーザ入力や介助者のスケジュール等に基づいてシーン情報を求める処理を行う。
デバイス種類情報取得部113は、対象となるデバイス200とともに動作するデバイス200の種類を特定する情報である。ここでのデバイス種類とは、車椅子、ベッド等の大まかな分類を表すものであって、ベンダを区別しない情報であってもよい。例えば第1ベンダの車椅子と、第1ベンダと異なる第2ベンダの車椅子のデバイス種類が同一であってもよい。例えばデバイス種類情報取得部113は、対象となるデバイス200を使用する被介助者(あるいは当該被介助者を介助する介助者)が使用する他のデバイス200を特定し、当該他のデバイス200の種類を表す情報をデバイス種類情報として取得する処理を行ってもよい。
通信処理部114は、通信部130を用いた通信を制御する。例えば通信処理部114は、データリンク層におけるMACフレーム等、送信対象となるデータを作成する処理を実行する。また通信処理部114は、通信部130が受信したデータに対して、フレーム構造の解釈等を行い、必要なデータを抽出し、アプリケーション等の上位層に出力する処理を行ってもよい。
記憶部120は、処理部110のワーク領域であって、種々の情報を記憶する。記憶部120は、種々のメモリによって実現が可能であり、メモリは、SRAM、DRAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよいし、レジスタであってもよいし、磁気記憶装置であってもよいし、光学式記憶装置であってもよい。
記憶部120は、ユーザ情報121、デバイス情報122、アプリケーション情報123を記憶してもよい。
本実施形態の手法では、例えば暗黙知はアプリケーションとしてサーバシステム100に登録されている。そして暗黙知を利用する各ユーザは、デバイス200をシステムに登録した上で、必要なアプリケーションを当該デバイス200にダウンロードして利用してもよい。
ユーザ情報121は、情報処理システム10のユーザを一意に特定するユーザIDやユーザ名等の情報、当該ユーザによって利用されているデバイス200を一意に特定する情報であるデバイスID等を含む。
デバイス情報122は、デバイス200に関する情報であって、デバイスID、デバイス200の種類を表すデバイス種類ID、ベンダ、インストール済のアプリケーションのアプリケーションID等を含む。アプリケーションIDは、アプリケーションを一意に特定する情報である。
アプリケーション情報123は、アプリケーションに関する情報であり、アプリケーションID、アプリケーション名、作成者等を含む。またアプリケーション情報は、アプリケーションの具体的な処理内容を特定する情報を含んでもよい。処理内容を特定する情報は、プログラムのソースコードであってもよいし、実行ファイルであってもよい。またアプリケーションが学習済モデルに対応する場合、当該学習済モデルの構造の情報を含んでもよい。例えば学習済モデルがニューラルネットワーク(以下NNと記載)である場合、学習済モデルの構造とは、NNの層の数、各層に含まれるノード数、ノード間の接続関係、重み、活性化関数等を含む。
ユーザ情報121を用いることによって、情報処理システム10を利用するユーザを適切に管理することが可能になる。またデバイス情報122を参照することによって、各ユーザが使用するデバイス200の詳細を確認することが可能になる。さらに、アプリケーション情報123を参照することによって、サーバシステム100に登録された各アプリケーションの詳細を確認することが可能になる。
通信部130は、ネットワークを介した通信を行うためのインターフェイスであり、サーバシステム100が無線通信を行う場合、例えばアンテナ、RF(radio frequency)回路、及びベースバンド回路を含む。ただしサーバシステム100は有線通信を行ってもよく、その場合の通信部130は、イーサネットコネクタ等の通信インターフェイス及び、当該通信インターフェイスの制御回路等を含んでもよい。通信部130は、通信処理部114による制御に従って動作する。ただし通信部130が、通信処理部114とは異なる通信制御用のプロセッサを含むことも妨げられない。通信部130は、例えばIEEE802.11やIEEE802.3に規定された方式に従った通信を行ってもよい。ただし具体的な通信方式は種々の変形実施が可能である。
図4は、デバイス200の詳細な構成例を示すブロック図である。デバイス200は、例えば処理部210と、記憶部220と、通信部230と、表示部240と、操作部250を含む。なお図8~図14を用いて後述するように、本実施形態の手法では種々の態様のデバイス200を用いることが可能である。各デバイス200の構成は図4に限定されず、一部の構成を省略する、他の構成を追加する等の変形実施が可能である。例えばデバイス200は、加速度センサやジャイロセンサ等のモーションセンサ、撮像センサ、圧力センサ、GPS(Global Positioning System)センサ等、デバイス200に応じた種々のセンサを有してもよい。
処理部210は、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むハードウェアによって構成される。また処理部210は、プロセッサによって実現されてもよい。プロセッサは、CPU、GPU、DSP等、各種のプロセッサを用いることが可能である。デバイス200のメモリに格納された命令をプロセッサが実行することによって、処理部210の機能が処理として実現される。
記憶部220は、処理部210のワーク領域であって、SRAM、DRAM、ROM等の種々のメモリによって実現される。
通信部230は、ネットワークを介した通信を行うためのインターフェイスであり、例えばアンテナ、RF回路、及びベースバンド回路を含む。通信部230は、例えばネットワークを介して、サーバシステム100との通信を行う。通信部230は、例えばIEEE802.11の規格に準拠した無線通信をゲートウェイ300との間で実行し、当該ゲートウェイ300を介してサーバシステム100との通信を行ってもよい。
表示部240は、種々の情報を表示するインターフェイスであり、液晶ディスプレイであってもよいし、有機ELディスプレイであってもよいし、他の方式のディスプレイであってもよい。操作部250は、ユーザ操作を受け付けるインターフェイスである。操作部250は、デバイス200に設けられるボタン等であってもよい。また表示部240と操作部250は、一体として構成されるタッチパネルであってもよい。
またデバイス200は、発光部、振動部、音入力部、音出力部等、図4には不図示の構成を含んでもよい。発光部は例えばLED(light emitting diode)であり、発光による報知を行う。振動部は例えばモータであり、振動による報知を行う。音入力部は例えばマイクである。音出力部は例えばスピーカであり、音による報知を行う。
2.能力情報に基づくデバイス制御
本実施形態の情報処理システム10は、図1に示したようにサーバシステム100とデバイス200を含む。そしてデバイス200は、複数の動作モードの何れかで動作してもよい。本実施形態における動作モードとは、使用する暗黙知(アプリケーション)の組み合わせによって決定されるものであってもよい。例えば上述したように、デバイス200は、異なる暗黙知に対応する複数のアプリケーションをインストール可能であり、当該複数のアプリケーションのそれぞれについて、アクティブ/非アクティブを切り替える。このようにすれば、状況に応じて利用する暗黙知を適切に切り替えることが可能になる。
特にサーバシステム100(能力情報取得部111)は、デバイスから送信されたセンシングデータに基づいて、被介助者の活動能力を表す能力情報を求めてもよい。そしてサーバシステム100は、求めた能力情報をデバイス200に送信する。デバイス200は、受信した能力情報に基づいて、複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する。被介助者の能力情報の変化に合わせて実施すべき介助が変化するため、デバイス200の望ましい動作が変化する可能性があるところ、本実施形態の手法によれば、能力情報に合わせて動作モードを適切に切り替えることが可能になる。例えば、デバイス200は能力情報に応じてアプリケーションのアクティブ/非アクティブ(暗黙知の使用/不使用)を適切に切り替えることが可能である。以下、能力情報に基づく処理について説明する。
2.1 概要
図5は、被介助者の能力情報と、想定されるリスクの関係例を示す図である。例えば被介助者の能力が十分高い場合、日常的な動作を他者の介助なしに実行することが可能であるため、日常におけるリスクは高くない。しかし能力の低下が始まると、例えば被介助者はまず起居動作を行うことが難しくなる。起居動作とは、立ち上がる動作や座る動作を表す。この場合、起居動作を含めた動き出し動作の際にバランスをとることが難しくなるため、被介助者の転倒リスクが増大する。動き出し動作とは、動きが小さい状態(狭義には静止した状態)から動き始める動作を表す。一方で、この段階では動き出し以外の日常的な動作には支障が少ないことが想定される。例えば被介助者は、座位状態を長時間保持すること、立ち上がった後に歩行器等を用いて歩行すること、食事をある程度自由にとること、等が可能である。
さらに能力が低下すると、例えば被介助者は歩行を行うことが困難になり、車椅子等を用いた移動介助が必要となる。この場合、動き出しにおける転倒リスクが高い状態は上述の例と同様であるが、さらに座位状態を保持する能力も低下するため、転落リスクを考慮する必要も生じる。例えばこの段階の被介助者は、ベッドや車椅子に座っている状態でもバランスを崩してベッドのマットレスや車椅子の座面から転落する可能性がある。
さらに能力が低下すると、例えば被介助者は食事をうまく取ることができなくなる。例えば、嚥下能力が低下するため、誤嚥リスクが高くなる。誤嚥リスクとは、例えば誤嚥性肺炎が発生する可能性が高くなることを表す。この段階では、被介助者は体を動かすことが可能であると考えられるため、上述の転倒リスク及び転落リスクが高い状態は維持され、さらに誤嚥性肺炎リスクを考慮する必要が生じる。
さらに能力が低下すると、例えば被介助者は日常的な動作の大部分において介助が必要となる寝たきりの状態に移行する。この場合も、ベッドでのオムツ交換や、車椅子等での移動の可能性があるため、転落リスクは高い。また胃瘻等の特別の事情がなければ経口での食事が継続されるため、誤嚥性肺炎リスクも高い。さらに、ベッドにいる時間が非常に長く、自発的な寝返りも容易でなくなるため、褥瘡リスクも高くなる。一方で、寝たきりの場合には被介助者が自ら動き出すことは想定されないため、動き出し時の転倒リスクは低くなる。
図5に示したように、被介助者の能力に応じて、想定されるリスクが異なるため、介助者が行うべき介助も変化する。そのため、デバイス200を用いてデジタル化された暗黙知を利用する場合、用いるべき暗黙知も能力に応じて変化する。その点、本実施形態では能力情報に応じてデバイス200の動作モードを設定できるため、能力変化に応じた処理を実行可能である。例えば、介護施設等において10人程度の被介助者をユニットとして介助を行う場合、当該ユニット内に能力の異なる被介助者が混在することも考えられるが、本実施形態の手法によれば介助者が被介助者毎に必要な介助を手動で設定する必要が無い。即ち、複数の被介助者を担当する場合であっても、介助者の負担を増大させることなく、適切な動作モードを設定することが可能である。
なお図5では上から下に向かって能力が低下する場合を例に説明を行ったが、能力変化の方向はこれに限定されない。例えば疾病の治癒や寛解、リハビリの実施等により能力が回復することもある。本実施形態の手法は能力に応じて動作モードを設定するものであるため、能力が回復する場合にも柔軟に対応可能である。また図5では、「起居できない」、「歩行できない」、「食事がうまくできない」、「寝たきり」の4段階を例示したが、能力情報によって表される能力の段階はこれに限定されず、一部の段階が省略されてもよいし、他の段階が追加されてもよい。また歩行はできるため転倒リスクは低いものの、嚥下能力が低下したため誤嚥リスクが高くなっているといった状態が考慮されてもよい。即ち上記4つの段階は、上述の順に変化していくものに限定されず、より複雑な組み合わせが考慮されてもよい。
図6は、サーバシステム100及びデバイス200の動作を説明するシーケンス図であって、デバイス200が暗黙知に対応する処理を実行する前に実行される前処理を説明する図である。
まずステップS101において、サーバシステム100は、予めアプリケーションの登録を受け付ける処理を行う。例えば、上述したようにアプリケーションはそれぞれが暗黙知に対応し、デバイス200のベンダ等によって作成される。アプリケーションの作成者は、例えば任意の端末装置(PCやスマートフォン等)を用いて本実施形態の情報処理システム10にログインを行った後、当該端末装置の表示部に表示される不図示のベンダ画面を用いて、アプリケーションをサーバシステム100に登録する処理を行う。サーバシステム100の処理部110は、登録されたアプリケーションに関する情報を、アプリケーション情報123として記憶部120に記憶する。ここでは、ベンダによって作成されたアプリケーションであるベンダアプリ1~ベンダアプリ3が登録されている例を示している。
ステップS102において、デバイス200を使用するユーザの操作に基づいて、デバイス200の登録リクエストをサーバシステム100に送信する。ここでのユーザは、暗黙知を利用する介助者であってもよいし、介護施設の管理者等であってもよい。例えばユーザは、新たなデバイス200を自身の環境に導入する際にステップS102の処理を実行する。例えばユーザは、デバイス200の操作部、または、デバイス200と接続される端末装置の操作部を用いて情報処理システム10にログインを行った後、不図示のユーザ画面を用いてデバイス200をサーバシステム100に登録する処理を行う。登録リクエストは、例えばユーザを特定するユーザIDと、デバイス200のベンダや型番等の情報を含む。
ステップS103において、サーバシステム100の処理部110は、登録リクエストに基づく処理を実行する。例えば処理部110は、対象のデバイス200に対して、デバイス200を一意に特定するデバイスIDを付与し、当該デバイスIDをデバイス200に送信する。また処理部110は、ログインユーザと、登録リクエストのあったデバイス200を対応付ける処理を実行してもよい。例えばログインユーザのユーザ情報121に、登録リクエストのあったデバイス200のデバイスIDを追加する処理を行ってもよい。また処理部110は、デバイス情報122に、登録リクエストのあったデバイス200のデバイスIDと、当該デバイス200のデバイス種類ID等を対応付けて記憶してもよい。デバイス種類IDは、例えば登録リクエストに含まれるベンダや型番等の情報に基づいて特定可能である。以上の処理によって、新たに導入されるデバイス200が情報処理システム10に登録される。
次にステップS104において、デバイス200を使用するユーザの操作に基づいて、デバイス200が使用するアプリケーションを選択する。例えば、登録済みのデバイス200がサーバシステム100にアクセスした場合、サーバシステム100は、当該デバイス200において使用可能なアプリケーション一覧画面を返信してもよい。ユーザは、一覧表示されたアプリケーションの中から、使用するアプリケーションを選択するユーザ操作を行う。ここでは、ステップS101に示す処理で登録されていたベンダアプリ1~ベンダアプリ3を含むアプリケーションが一覧表示されており、ユーザはベンダアプリ1~ベンダアプリ3の選択操作を行った例を考える。
ステップS105において、サーバシステム100は、選択されたアプリケーションのダウンロードを許可し、デバイス200は選択されたアプリケーションのダウンロードを実行する。またサーバシステム100は、デバイス200と、当該デバイス200にダウンロードされたアプリケーションを対応付ける処理を行ってもよい。例えば処理部110は、デバイス200に関するデバイス情報122に、ベンダアプリ1~ベンダアプリ3に対応するアプリケーションIDを追加する処理を実行する。
ステップS106において、デバイス200は、ダウンロードしたベンダアプリ1~ベンダアプリ3をインストールする処理を実行する。これにより、デバイス200は、複数の動作モードの何れかで動作することが可能になる。例えば、デバイス200は、ベンダアプリ1~ベンダアプリ3のそれぞれについて、アクティブ/非アクティブを切り替えてもよい。この場合、デバイス200は、2=8通りの動作モードを選択可能である。なお本実施形態では、ベンダアプリ1~ベンダアプリ3の全てが非アクティブである状態も1つの動作モードと考える。また、アプリケーションと動作モードの関係はこれに限定されない。例えば複数のアプリケーションは排他的に動作するものであってもよい。上記の例であれば、デバイス200は、全てのベンダアプリが非アクティブであるモード、ベンダアプリ1のみがアクティブであるモード、ベンダアプリ2のみがアクティブであるモード、及び、ベンダアプリ3のみがアクティブであるモードの4つの動作モードを設定可能であってもよい。
図7は、サーバシステム100及びデバイス200の動作を説明するシーケンス図であって、被介助者の能力情報に基づいて、デバイス200の動作モードが変化する例を説明する図である。
まずステップS201において、サーバシステム100は、デバイス200に対して能力情報を含むデータを送信する処理を行う。図7では、ADLの指標値が2であるデータが送信された例を示している。
ステップS202において、デバイス200は、取得した能力情報に基づいて、インストール済のベンダアプリのアクティブ/非アクティブを制御する。例えばデバイス200の記憶部220は、能力情報と、動作モードを対応付けた情報を記憶してもよい。デバイス200の処理部210は、当該情報と、サーバシステム100から取得した能力情報とに基づいて、動作モードを求める処理を行う。例えば記憶部220は、ADLの指標値と、各アプリケーションのアクティブ/非アクティブとを対応付けたテーブルデータを記憶してもよい。処理部210は、当該テーブルデータのうち、受信したADLの指標値に合致するレコードを抽出することによって、各アプリケーションのアクティブ/非アクティブを決定する。ここでは、ベンダアプリ1~ベンダアプリ3のうち、ベンダアプリ1及び2がアクティブとなり、ベンダアプリ3が非アクティブとなる動作モードが設定される。ただし、能力情報に基づいて動作モードを決定する処理は上記の例に限定されず、種々の変形実施が可能である。
ステップS202の処理後、デバイス200は、ベンダアプリ1に従った処理、及びベンダアプリ2に従った処理を実行する。具体的にはデバイス200の処理部210は、センサを用いてセンシングデータを取得し、当該センシングデータを入力として、アプリケーションに規定された処理を実行することによって処理結果を求める。ステップS203において、デバイス200は、処理結果をサーバシステム100に送信する。ここでの処理結果とは、熟練者の暗黙知を用いて実行された判断の結果に相当する。またここでサーバシステム100に送信される情報は、処理結果に限定されず、センシングデータのログ等の情報を含んでもよい。
ステップS204において、サーバシステム100は、デバイス200から受信した処理結果に基づく制御を実行する。例えば、処理部110は、制御対象デバイスを特定し、当該制御対象デバイスを動作させる制御信号を送信する処理を行ってもよい。ここでの制御対象デバイスは、図23を用いて後述するリクライニング車椅子510や図24を用いて後述する介護ベッド520であってもよい。この場合の制御信号とは、リクライニング車椅子510の背面部の角度や介護ベッド520のボトム角度の変更を指示する信号であってもよい。また制御信号とは、制御対象デバイスに対して報知の実行を指示する信号であってもよい。例えば、制御対象デバイスは表示部や発光部等の報知部を含むデバイスであって、制御信号は、画像の表示や発光等を用いた報知の実行を制御対象デバイスに指示する信号である。
また、デバイス200での処理結果に基づいて制御対象デバイスや制御内容を決定する処理は、サーバシステム100の処理部110が行ってもよいし、デバイス200の処理部210が行ってもよい。後者の場合、ステップS203において、処理結果に加えて、制御対象デバイスや制御内容を特定する情報が送信されてもよい。またデバイス200やサーバシステム100は制御対象デバイスの特定のみを行い、具体的な制御内容の決定は制御対象デバイスにおいて実行されてもよい。この場合、ステップS203及びS204では、それぞれ処理結果を送信する処理が実行される。その他、制御対象デバイス及び制御信号等については種々の変形実施が可能である。例えば制御対象デバイスがデバイス200であってもよい。またステップS204において、サーバシステム100は、デバイス200から送信されたセンシングデータのログを記憶部120に記憶する処理を行ってもよい。
またステップS205において、サーバシステム100は、被介助者の能力情報を更新する処理を実行する。例えば能力情報取得部111は、上記センシングデータのログに基づいて、能力情報を求めてもよい。例えばサーバシステム100の記憶部120は、センシングデータと能力情報を対応付ける情報を記憶してもよい。処理部110は、当該情報と、デバイス200から送信されたセンシングデータとに基づいて、能力情報を求める処理を実行する。ここで、センシングデータと能力情報を対応付ける情報とは、学習済モデルであってもよい。ここでの学習済モデルを生成するための訓練データは、例えば、被介助者に関連するセンシングデータに対して、専門的な知識を有するもの(例えば医師や熟練の介助者等)が判断した当該被介助者の能力情報が正解データとして付与されたデータである。正解データは、上述したように、能力を表す指標値であってもよいし、個別の能力(後述する座位保持能力、嚥下能力等)の有無や高低を表す情報の集合であってもよい。処理部110は、学習済モデルにセンシングデータを入力することによって能力情報を求める。あるいは記憶部120が記憶する情報は、能力情報との対応関係が既知のセンシングデータである基準データであってもよい。処理部110は、取得されたセンシングデータと当該基準データの類似度を判定し、当該類似度に基づいて能力情報を求めてもよい。ここでの基準データは、例えば能力の高い被介助者を対象として取得されたセンシングデータであってもよい。この場合、基準データとの類似度が高い場合、能力値が高いと判定され、類似度が低い場合能力値が低いと判定される。また基準データは、能力の低い被介助者を対象として取得されたセンシングデータ等、他の情報であってもよい。また処理部110は、現在の能力情報を処理に用いてもよい。例えば処理部110は、センシングデータに基づいて能力情報の変化量を求め、当該変化量と現在の能力情報とに基づいて、更新後の能力情報を求めてもよい。能力情報を求める処理の具体例については後述する。またステップS205の処理において、介助者が入力するレポートや、医師等による診察結果等、センシングデータ以外の情報が用いられてもよい。
ステップS206において、サーバシステム100は、デバイス200に対して、更新後の能力情報を含むデータを送信する処理を行う。図7では、ADLの指標値が3であるデータが送信された例を示している。
ステップS207において、デバイス200は、取得した能力情報に基づいて、インストール済のベンダアプリのアクティブ/非アクティブを制御する。例えばデバイス200は上述したように、テーブルデータに基づいて各ベンダアプリのアクティブ/非アクティブを決定する。図7の例では、ベンダアプリ1及び2はアクティブな状態が維持され、且つ、ベンダアプリ3が非アクティブからアクティブに変更される。これにより、ステップS207以降では、デバイス200は、ベンダアプリ1~ベンダアプリ3の全てがアクティブとなる動作モードによって動作する状態に移行する。ステップS207以降の動作は、例えばステップS203-S206と同様である。
なお本実施形態の手法は、サーバシステム100とデバイス200を含む情報処理システム10に適用されるものに限定されず、情報処理装置に適用されてもよい。ここでの情報処理装置とは、狭義にはサーバシステム100である。情報処理装置は、複数の動作モードの何れかで動作し、被介助者の介助に用いられるデバイス200と通信を行う通信部(図3の通信部130に対応)と、デバイス200から送信されたセンシングデータに基づいて、被介助者の活動能力を表す能力情報を求める処理を行う処理部(図3の処理部110、狭義には能力情報取得部111に対応)と、を含む。そして情報処理装置の処理部は、デバイス200が複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する情報として、能力情報を、通信部を介してデバイス200に送信する処理を行う。このようにすれば、デバイス200から収集した情報に基づいて被介助者の能力情報の推移を推定するとともに、当該能力情報に応じてデバイス200を動作させることが可能になる。
また、本実施形態の情報処理システムが行う処理の一部又は全部は、プログラムによって実現されてもよい。情報処理システムが行う処理とは、例えばサーバシステム100の処理部110が行う処理及びデバイス200の処理部210が行う処理の少なくとも一方を含むである。同様に、本実施形態の情報処理装置が行う処理の一部又は全部は、プログラムによって実現されてもよい。
本実施形態に係るプログラムは、例えばコンピュータによって読み取り可能な媒体である非一時的な情報記憶装置(情報記憶媒体)に格納できる。情報記憶装置は、例えば光ディスク、メモリーカード、HDD、或いは半導体メモリなどによって実現できる。半導体メモリは例えばROMである。処理部110等は、情報記憶装置に格納されるプログラムに基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶装置は、処理部110等としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶する。コンピュータは、入力装置、処理部、記憶部、出力部を備える装置である。具体的には本実施形態に係るプログラムは、図6、図7等を用いて上述した各ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
また本実施形態の手法は、複数の動作モードの何れかで動作し、被介助者の介助に用いられるデバイス200と、デバイス200とネットワークを介して接続されるサーバシステム100と、を含む情報処理システム10における情報処理方法に適用できる。情報処理方法は、デバイス200によって取得されたセンシングデータに基づいて、被介助者の活動能力を表す能力情報を求めるステップと、求めた能力情報に基づいて、デバイス200が複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定するステップと、を含む。
以下では、図5に示した各段階を例に、具体的なデバイス200や、当該デバイス200において実行される処理について説明する。
2.2 起居できない
<デバイス及び動作の例:転倒リスク判定>
まず起居動作が難しくなった状態において、動き出し時の転倒リスクに対応するためのデバイス200について説明する。図8~図9は、動き出し時の転倒リスク判定に用いられるデバイス200の例である。
図8は、被介助者を撮像する撮像装置410の例、及び撮像装置410の出力画像IM1の例を示す図である。撮像装置410は、図4に示した各構成に加えて、センシングデータとして撮像画像を出力するイメージセンサを有する。撮像装置410は、介護施設のリビングやホール等、多人数がまとまって活動する場所に配置されてもよい。図8の例では、撮像装置410はテレビジョン装置の上部に配置される。
撮像装置410の処理部210は、撮像画像に基づいて人物の動き出しを検知する処理を行ってもよい。処理部210は、例えば撮像装置410にインストールされるアプリケーションに従って動作することによって、撮像画像を入力データとして取得し、当該撮像画像から人物を検出する処理、及び、検出された人物の動き出しの有無を判定する処理を実行する。
例えば撮像装置410は、撮像画像に基づいて人物の顔を認識する顔認識処理を行う。例えば撮像装置410の記憶部220は、検出対象となる人物の顔画像を記憶しており、処理部210は、当該顔画像をテンプレートとするマッチング処理に基づいて顔認識処理を行ってもよい。また顔認識処理は種々の手法が知られており、本実施形態ではそれらを広く適用可能である。例えば撮像装置410は、検出された顔領域の動きが所与の閾値以下の状態が一定時間継続した場合に、当該状態での顔領域の位置を基準位置に設定する。そして撮像装置410は、当該基準位置から所定距離離れた位置に検出領域を設定し、顔領域が当該検出領域に到達した場合に、動き出しがあったと判定してもよい。例えば、立ち上がり動作が行われた場合、顔の位置は相対的に上方に移動することが想定されるため、上記検出領域は基準位置に比べて所定距離だけ上方の位置に設定される領域であってもよい。この場合、顔領域の画像上での位置が基準位置に対して所定距離以上、上方向に移動した場合に、動き出しが検出される。なお、ここでの検出領域は、例えばライン状の領域であるが他の形状の領域が設定されてもよい。
また撮像装置410は、顔認識処理によって対象の被介助者を特定できる。よって撮像装置410は、能力情報によって表される能力が所定閾値以下(起居動作ができないことに対応)である被介助者については動き出し検知を行い、能力が当該閾値より高い被介助者については動き出し検知を省略してもよい。
また動き出しの検出処理は上記の手法に限定されない。例えば撮像装置410は、撮像画像に基づいて骨格トラッキング処理を行ってもよい。なお画像に基づく骨格トラッキングの手法としては、“Realtime Multi-Person 2D Pose Estimation using Part Affinity Fields” (https://arxiv.org/pdf/1611.08050.pdf), Zhe Cao他に開示されたOpenPose等、種々の手法が知られており、本実施形態ではそれらを広く適用できる。
またOpenPoseでは、画像中に撮像された複数の人物のそれぞれについて骨格トラッキングを行い、その結果を表示する手法が開示されている。図8の例であれば、イメージセンサは3人の被介助者を含む撮像画像を出力し、撮像装置410は、3人の被介助者のそれぞれを対象として動き出しの有無を判定する。
例えば、能力が低下することで起居が難しくなっている被介助者は、立ち上がる姿勢を取るだけでも転倒する可能性がある。よって撮像装置410は、骨格トラッキングによって立ち上がる姿勢を取っているかを判定してもよい。例えば撮像装置410は、座っている状態から手を膝や椅子の座面等について前屈みになったと判定した場合に、立ち上がる姿勢であると判定し、転倒リスクを介助者に通知する。例えば撮像装置410は、骨格トラッキング結果から手の位置と膝の位置の間の距離が所定以下であること、肩の位置が所定以上下方に移動したこと等を検出した場合に、被介助者が立ち上がる姿勢を取っていると判定してもよい。
あるいは、撮像装置410は、処理対象データを数秒単位のウィンドウで区分し、各ウィンドウ内において頭や首等の特定の位置が、所定閾値以上移動した場合に立ち上がり等の姿勢変化が起こっていると判定してもよい。なお移動検出の対象となる部位は頭や首以外であってもよい。また移動方向は縦でも横でも斜めでもよい。また検出対象の部位に応じて、検出に用いる閾値が変更されてもよい。あるいは、撮像装置410は、静止状態の被介助者を対象とする骨格トラッキングによって検出された特徴点を内包する領域を求め、所定数以上の特徴点が当該領域から外れた場合に、立ち上がり等の動き出し動作があったと判定してもよい。その他、撮像装置410を用いた動き出し検出処理の手法については種々の変形実施が可能である。
図8のIM1は、撮像装置410の出力画像の例である。撮像装置410は、撮像画像上に何らかの表示オブジェクトを重畳表示してもよい。図8の例では、動き出しが検知された被介助者に対応付けて、「!」マークを含むオブジェクトが表示される。このようにすれば、動き出しが検知された被介助者を分かりやすく介助者に通知することが可能になる。例えば、図7のステップS203において、撮像装置410は出力画像IM1をサーバシステム100に送信する。サーバシステム100は、ステップS204において、介助者が使用するスマートフォン等に出力画像IM1を出力する。ただし、撮像装置410の出力は、動き出しが検知された被介助者を特定する情報(例えば被介助者のID)であってもよく、具体的な態様は種々の変形実施が可能である。例えばここでは動き出しが検知された被介助者を通知する例を示したが、被介助者の動きを停止させるための情報が出力されてもよい。例えば撮像装置410は、動き出した被介助者を特定し、当該被介助者の家族等の音声データ、動画データ等を出力してもよい。特に認知症の患者の場合、呼びかけへの応答が鈍くなるが、家族等の顔や声は覚えているケースが多く、動きの停止に有効である。このように被介助者の動きを停止させることによって、介助者が介入するまでの時間を稼ぐことが可能である。なお、家族の音声データや動画データを出力する例については、シーン情報に基づくデバイス制御に関連して後述する。
図9は、ベッド610のボトムに配置されるベッドサイドセンサ420及び検出装置430の例を説明する図である。ベッドサイドセンサ420及び検出装置430は、例えば図9に示すように、ベッド610のボトムとマットレス620の間に設けられるシート状またはプレート状のデバイス200である。なお図9ではベッドサイドセンサ420と検出装置430の両方を図示したが、何れか一方のみが用いられてもよい。また、以下で説明するようにベッドサイドセンサ420と検出装置430は圧力センサを有する点で共通するため、ベッドサイドセンサ420が検出装置430を兼ねてもよいし、検出装置430がベッドサイドセンサ420を兼ねてもよい。その他、具体的な態様については種々の変形実施が可能である。
ベッドサイドセンサ420は、センシングデータとして圧力値を出力する圧力センサを含み、ボトムのうち、介助者がベッドの上り下りに用いる側に配置される。図9の例では、介助者の上り下りはベッド610の手前側を用いて行われる。この際、図9に示すように、ベッド610の手前側には転落防止用の柵が配置され、ベッドサイドセンサ420は当該柵が設けられない位置に配置されてもよい。このようにすれば、ベッド610の上り下りを行うユーザは、一旦、ベッドサイドセンサ420上に座る動作を行う。
ベッドサイドセンサ420の処理部210は、例えばベッドサイドセンサ420にインストールされるアプリケーションに従って動作することによって、圧力値を入力データとして取得し、当該圧力値からベッド610上での被介助者の動きを判定する処理を実行する。
例えば被介助者がベッド610から立ち上がる際には、被介助者は、ベッド上で臥位を取っている状態から、ベッドサイドで座位を取った状態(以下、端座位と表記)に移行し、さらに膝やボトム面に手をついて力を加えることで立ち上がり動作を実行することが想定される。ベッドサイドセンサ420が検出する圧力値は、臥位、端座位、立ち上がり動作の順で大きくなる。例えばベッドサイドセンサ420は、圧力値と所与の閾値の比較処理に基づいて、端座位から立ち上がり動作への変化を検出した場合に動き出しが検出されたと判定してもよい。あるいは、立ち上がり動作をより速い段階で検出するという観点から、ベッドサイドセンサ420は、圧力値と所与の閾値の比較処理に基づいて、臥位から端座位への変化を検出した場合に動き出しが検出されたと判定してもよい。
あるいは、立ち上がり動作が継続されると、被介助者の臀部がボトム面から浮き上がるため、圧力センサから出力される圧力値は大きく減少する。よって処理部210は、圧力値の時系列変化に基づいて、圧力値が第1閾値以上に増加した後、第1閾値よりも小さい第2閾値以下に減少した場合に、立ち上がり動作が行われたと判定してもよい。その他、動き出し判定の具体的な処理内容については種々の変形実施が可能である。
被介助者の動き出しが検出された場合、ベッドサイドセンサ420は、その旨を表す情報をサーバシステム100に送信する。サーバシステム100は、例えば介助者が使用するスマートフォン等に当該情報を送信し、スマートフォン等において報知処理が実行される。このようにすれば、動き出しが検出された被介助者を分かりやすく介助者に通知することが可能になる。
また図9に示す検出装置430は、被介助者の睡眠に関する情報をセンシングするデバイス200である。検出装置430は、圧力値を出力する圧力センサを含む。
検出装置430は、ユーザが就床すると、マットレス620を介してユーザの体振動(体動、振動)を検知する。検出装置430が検知した体振動に基づいて、呼吸数、心拍数、活動量、姿勢、覚醒/睡眠、離床/在床に関する情報が求められる。また検出装置430は、ノンレム睡眠とレム睡眠の判定や、睡眠の深さの判定を行ってもよい。例えば体動の周期性を分析し、ピーク周波数から呼吸数、心拍数が算出されてもよい。周期性の分析は、例えばフーリエ変換等である。呼吸数は、単位時間あたりの呼吸の回数である。心拍数は、単位時間あたりの心拍の回数である。単位時間は、例えば1分である。また、サンプリング単位時間当たりに体振動を検出し、検出された体振動の回数が活動量として算出されてもよい。またユーザの離床時には、在床時に比べて検出される圧力値が減少するため、圧力値やその時系列的な変化に基づいて離床/在床の判定が可能である。
例えば検出装置430の処理部210は、離床/在床の判定結果に基づいて、被介助者が在床から離床へと移行した場合に、動き出しが検出されたと判定してもよい。
被介助者の動き出しが検出された場合、検出装置430は、その旨を表す情報をサーバシステム100に送信する。サーバシステム100は、例えば介助者が使用するスマートフォン等に当該情報を送信し、スマートフォン等において報知処理が実行される。このようにすれば、動き出しが検出された被介助者を分かりやすく介助者に通知することが可能になる。
例えば図8~図9に示した各デバイス200は、能力情報によって表される被介助者の能力が所定以上である場合には非アクティブである動作モード0に設定され、能力が所定未満である場合にはアクティブである動作モード1に設定される。能力が所定未満とは、ここでは起居動作ができないことを表す。このようにすれば、上述した動き出しの判定動作を適切な状況で実行できる。結果として、転倒リスクが高い被介助者が存在する場合に、当該被介助者の転倒リスクを適切に低減できる。
<能力情報の更新>
また図7のステップS205に示したように、サーバシステム100の能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて能力情報を更新する処理を行ってもよい。例えば能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて起居に関する状態の変化を判定する。
例えば能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて立ち上がりの仕方を判定してもよい。立ち上がり時には、上述したように端座位からボトム面等に手をつき、さらに足に体重をかけ、膝を伸ばしながら背筋を伸ばす動作が実行される。この際、足への体重移動が十分でない場合、重心が相対的に後ろに偏ってしまい、ボトム面に倒れ込む状態になってしまう。また足への体重移動が過剰である場合、重心が前に偏るため、前方へ転倒するおそれがある。また端座位での座り方が浅すぎれば、臀部がボトム面から転落する可能性もある。
よって能力情報取得部111は、撮像装置410による骨格トラッキングのログ、ベッドサイドセンサ420や検出装置430からの圧力値のログに基づいて、立ち上がり時の被介助者の体の動きが適切であるかを判定してもよい。例えば立ち上がり時の動きが正常状態に近いほど能力が高いと判定され、重心の偏りや端座位における臀部の位置等が正常状態に対してずれるほど能力が低いと判定される。
また能力情報取得部111は、所定期間内に実行された立ち上がり動作の回数に基づいて、能力情報を求めてもよい。例えば立ち上がり回数が多いほど能力が高いと判定され、回数が少ないほど能力が低いと判定される。
また能力情報取得部111は、端座位となってから立ち上がるまでの経過時間に基づいて、能力情報を求めてもよい。臥位、端座位、立位は骨格トラッキングの特徴点の位置関係や、圧力値の時系列変化によって判定できる。例えば端座位となってから立ち上がるまでの経過時間が短いほど能力が高いと判定され、経過時間が長いほど能力が低いと判定される。
また能力情報取得部111は、ベッド610での活動量に基づいて能力情報を求めてもよい。活動量は、例えば上述したように検出装置430によって検出される。また骨格トラッキングの結果やベッドサイドセンサ420の出力に基づいて活動量が求められてもよい。例えば活動量が多いほど能力が高いと判定され、活動量が少ないほど能力が低いと判定される。
本実施形態の手法では、能力情報の判定は上記のうちの何れか1つを用いて実行されてもよいし、2以上が組み合わされてもよい。また上述したように、センシングデータと、センシングデータ以外のデータの組み合わせに基づいて能力情報が求められてもよい。本実施形態の手法によれば、起居動作ができない被介助者の転倒リスクを軽減するとともに、当該被介助者の能力情報の変化を適切に判定することが可能になる。
2.3 歩行ができない
<デバイス及び動作の例:転落リスク>
次に歩行が難しくなった状態において、車椅子630等からの転落リスクに対応するために動作するデバイス200について説明する。図10~図11は、転落リスク判定に用いられるデバイス200の例である。
図10は、例えば車椅子630の座面に配置されるデバイス200である座面センサ440を示す図である。座面センサ440は圧力値を出力する圧力センサを含み、当該圧力値に基づいて、被介助者が車椅子630に座った際の姿勢(以下、座姿勢とも記載する)が、正常、前ずれ、横ずれ等を含む複数の姿勢の何れであるかを判定する。前ずれとは、ユーザの重心が通常よりも前方にずれた状態を表し、横ずれとは、ユーザの重心が通常よりも左右の何れか一方にずれた状態を表す。前ずれと横ずれのいずれも、ずり落ちのリスクが相対的に高い状態に対応する。なお、座面センサ440は、通常の椅子に配置されるセンサデバイスであってもよいし、ベッド等に座っているユーザの姿勢を判定するセンサデバイスであってもよい。また座面センサ440は、被介助者が座面から転落する可能性の有無を判定する転落可能性の判定を行ってもよい。
図10の例では、車椅子630の座面に配置されるクッション441の裏面側に4つの圧力センサSe1~Se4が配置される。圧力センサSe1は前方に配置されるセンサであり、圧力センサSe2は後方に配置されるセンサであり、圧力センサSe3は右方に配置されるセンサであり、圧力センサSe4は左方に配置されるセンサである。なおここでの前後左右は、車椅子630に被介助者が座った状態において、当該被介助者から見た方向を表す。
図10に示すように、圧力センサSe1~Se4は、制御ボックス442に接続される。制御ボックス442は、内部に圧力センサSe1~Se4を制御するプロセッサと、プロセッサのワーク領域となるメモリを含む。例えばプロセッサは処理部210に対応し、メモリは記憶部220に対応する。プロセッサは、圧力センサSe1~Se4を動作させることによって圧力値を検出する。
車椅子630に座っている被介助者は、臀部に痛みを感じ、臀部の位置をずらす可能性がある。例えば、臀部が通常よりも前にずれた状態が前ずれであり、左右にずれた状態が横ずれである。また、前ずれと横ずれが同時に発生し、重心が斜めにずれることもある。図10に示すようにクッション441に配置した圧力センサを用いることによって、臀部の位置の変化を適切に検出できるため、前ずれや横ずれを精度よく検出することが可能になる。
例えば、まず車椅子630に移乗して正常な姿勢を取ったタイミングを初期状態とする。初期状態では、被介助者は車椅子630の座面に深く座るため、後方の圧力センサSe2の値が相対的に大きいことが想定される。一方、前ずれが起こると、臀部の位置が前方に移動するため、前方の圧力センサSe1の値が大きくなる。例えば制御ボックス442のプロセッサは、圧力センサSe1の値が初期状態に比べて所定以上増加した場合に、前ずれが発生したと判定してもよい。圧力センサSe1の値がある閾値を超えると被介助者が車椅子630に乗っていると判定され、圧力センサSe1との比較をせずに圧力センサSe2の値の変化だけで前ずれが発生したと判定してもよい。また圧力センサSe1の値を単体で用いるのではなく、圧力センサSe2と圧力センサSe1の値の関係を用いて処理が行われてもよい。例えば圧力センサSe2と圧力センサSe1の出力である電圧値の差が用いられてもよいし、電圧値の比率が用いられてもよいし、差や比率の初期状態に対する変化割合が用いられてもよい。
同様に横ずれが起こると、臀部の位置が左右何れかの方向に移動するため、左ずれであれば圧力センサSe4の値が大きくなり、右ずれであれば圧力センサSe3の値が大きくなる。よってプロセッサは、圧力センサSe4の値が初期状態に比べて所定以上増加した場合に、左ずれが発生したと判定し、圧力センサSe3の値が初期状態に比べて所定以上増加した場合に、右ずれが発生したと判定してもよい。あるいは、プロセッサは、圧力センサSe4と圧力センサSe3の値の関係を用いて右ずれ及び左ずれを判定してもよい。前ずれの例と同様に、圧力センサSe4と圧力センサSe3の出力である電圧値の差が用いられてもよいし、電圧値の比率が用いられてもよいし、差や比率の初期状態に対する変化割合が用いられてもよい。
前ずれや横ずれ等が検出された場合、座面センサ440は、その旨を表す情報をサーバシステム100に送信する。サーバシステム100は、例えば介助者が使用するスマートフォン等に当該情報を送信し、スマートフォン等において報知処理が実行される。また制御ボックス442が発光部等を含み、当該発光部を用いて介助者への報知が行われてもよい。このようにすれば、車椅子630等における座姿勢の変化を分かりやすく介助者に通知できるため、被介助者の転落を抑制することが可能になる。
図11は、車椅子ポジションの調整支援に用いられるデバイス200である端末装置450を示す図である。車椅子ポジションとは、車椅子630における被介助者の位置、姿勢に関する情報である。車椅子ポジションは、上述した座姿勢を表してもよいし、クッション等の配置等を含む情報を表してもよい。図11に示すように、車椅子ポジションの調整では、カメラを有し、当該カメラによって車椅子630に座った被介助者の少なくとも上半身を撮像可能な高さに固定された端末装置450が用いられてもよい。なお、端末装置450は、被介助者のより広い範囲を撮像可能であってもよく、例えば膝までを撮像してもよいし、全身を撮像してもよい。端末装置450は、例えば介護施設の所定位置に配置され、介助者は被介助者を車椅子630に移乗させた上で、端末装置450の正面まで移動させた後、車椅子ポジションの調整を行う。
端末装置450は、表示部を含み、カメラによって撮像された画像と、教師データの比較結果を表示する。ここでの教師データとは、例えば熟練度の高い介助者が、被介助者を適切な姿勢で車椅子630に座らせた状態で、当該被介助者を撮像した画像データである。例えば教師データは、端末装置450等を用いて事前に登録される。また、サーバシステム100の記憶部120に教師データが登録されてもよい。また教師データは、適切な姿勢を表す画像データそのものに限定されず、付加情報が付加されたデータであってもよい。ここでの付加情報とは、熟練度の高い介助者が重要と考えるポイントを示す情報であってもよい。また教師データは、骨格トラッキングの結果であってもよい。
端末装置450(処理部210)は、実際の撮像画像に対して、透過処理が行われた教師データを重畳表示する画像を出力してもよい。また端末装置450は、教師データと実際の撮像画像の比較処理に基づいて、車椅子630における被介助者のポジションが適切であるか否かを判定し、判定結果を出力してもよい。また被介助者のポジションが適切でない場合、修正すべき点を提示してもよい。修正すべき点とは、例えば教師データと実際の撮像画像の差が所定以上の部位である。
例えば図10~図11に示した各デバイス200は、能力情報によって表される被介助者の能力が所定以上である場合には非アクティブである動作モード0に設定され、能力が所定未満である場合にはアクティブである動作モード1に設定される。能力が所定未満とは、ここでは歩行ができないことを表す。このようにすれば、上述した車椅子630等におけるポジション判定を適切な状況で実行できる。結果として、車椅子630やベッド610からの転落リスクが高い被介助者が存在する場合に、当該被介助者の転落リスクを適切に低減できる。
<転倒リスクに関するデバイスの動作>
また図5に示したように、歩行ができない被介助者であっても、寝たきりではないため、立ち上がり等の動き出し動作を行う可能性があるため、転倒リスクは高い。歩行ができない被介助者を対象とする場合にも、図8~図9に示した各デバイス200による動き出し検出は継続されることが望ましい。
その際、起居できないが歩行ができる状態と、歩行ができない状態では、後者の方がより能力が低く、転倒リスクが高い場合がある。よって図8~図9に示した各デバイス200は、起居できないが歩行ができる状態では動作モード1で動作し、歩行ができない状態では動作モード1とは異なる動作モード2で動作してもよい。例えば、デバイス200として検出装置430が用いられる場合に、検出装置430の処理部210は、動作モード1では離床/在床の判定結果に基づいて動き出しを検出し、動作モード2では覚醒/睡眠の判定結果に基づいて動き出しを検出してもよい。例えば動作モード2において、処理部210は、睡眠状態から覚醒状態に移行した場合に、動き出しの可能性有りと判定する。このようにすれば、動作モード2では、動作モード1に比べて早い段階で動き出しを検出できるため、より転倒リスクを軽減することが可能になる。
<能力情報の更新>
また図7のステップS205に示したように、サーバシステム100の能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて能力情報を更新する処理を行ってもよい。例えば能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて座位状態を維持する能力である座位保持能力の変化を判定する。
例えば能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて前ずれや横ずれの回数を判定してもよい。例えば前ずれや横ずれの回数が少ないほど座位保持能力が高いと判定され、回数が少ないほど座位保持能力が低いと判定される。
また能力情報取得部111は、姿勢を保持できる時間(以下、姿勢保持時間と表記する)に基づいて座位保持能力を求めてもよい。姿勢保持時間とは、例えば所与の基準姿勢となったタイミングを始点とし、被介助者の姿勢が当該基準姿勢に対して所定以上変化したタイミングを終点とする期間の長さである。姿勢保持時間は、例えば端末装置450を用いて介助者が被介助者の姿勢を修正してから、座面センサ440によって前ずれや横ずれと判定されるまでの時間であってもよい。例えば姿勢保持時間が長いほど座位保持能力が高いと判定され、姿勢保持時間が短いほど座位保持能力が低いと判定される。また座位保持能力が高ければ同じような姿勢を維持できるため、各圧力センサに対して同程度の圧力がかかった状態が継続される。一方、座位保持能力が下がってくると、前ずれや横ずれとは判定されなかったとしても、頻繁に体が傾いたり姿勢を直したりする。結果として、圧力値が減少するタイミング(圧力の抜け)が生じやすい。よって能力情報取得部111は、このような圧力の抜けの回数、頻度、値の減少度合い、抜けの方向(圧力センサSe1~Se4の何れの値が減少したか)等に基づいて座位保持能力を推定してもよい。
本実施形態の手法では、能力情報の判定は上記のうちの何れか1つを用いて実行されてもよいし、2以上が組み合わされてもよい。また上述したように、センシングデータと、センシングデータ以外のデータの組み合わせに基づいて能力情報が求められてもよい。本実施形態の手法によれば、歩行ができない被介助者の転落リスクを軽減するとともに、当該被介助者の能力情報の変化を適切に判定することが可能になる。
2.4 食事がうまくできない
<デバイス及び動作の例:誤嚥リスク>
次に食事がうまくできなくなった状態において、誤嚥リスク(狭義には誤嚥性肺炎リスク)に対応するために動作状態となるデバイス200について説明する。図12は、食事における誤嚥リスク判定に用いられるデバイス200の例である。
図12は、食事の場面において利用されるデバイス200である嚥下ムセ検出装置460を例示する図である。図12に示すように、嚥下ムセ検出装置460は、被介助者の首回りに装着されるスロートマイク461と、カメラを有する端末装置462が用いられる。なお端末装置462に代えて、カメラを有する他の装置が用いられてもよい。スロートマイク461は、被介助者の嚥下や咳込み等による音声データを出力する。端末装置462のカメラは、被介助者の食事の様子を撮像した撮像画像を出力する。端末装置462は、例えば被介助者の食事をする卓上に置かれるスマートフォン等である。スロートマイク461は、Bluetooth(登録商標)等を用いて端末装置462に接続され、端末装置462はゲートウェイ300を介してサーバシステム100に接続される。ただし、スロートマイク461と端末装置462の両方がゲートウェイ300に接続可能であってもよく、具体的な接続態様は種々の変形実施が可能である。
例えば嚥下ムセ検出装置460に含まれるプロセッサは、スロートマイク461からの音声データと、カメラを用いて撮像した撮像画像を取得する。ここでのプロセッサは処理部210に対応し、例えば端末装置462に含まれるプロセッサであってもよい。
プロセッサは、スロートマイク461の音声データに基づいて、被介助者のムセと、嚥下を判定する。首回りに装着したマイクを用いて嚥下を検出するデバイスは、例えば“Swallowing action measurement device and swallowing action support system”という2019年2月15日に出願された米国特許出願第16/276768号に記載されている。この特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。プロセッサは、音声データに基づいて、ムセの回数、ムセの時間(発生時刻、継続時間等)、嚥下をしたか否かを検出できる。
また端末装置462のカメラは、例えば図12に示すように被介助者を正面方向から撮像することによって、被介助者の口、目、及び被介助者が使用する箸やスプーン等を検出できる。なお画像処理に基づいてこれらの顔のパーツや物体を検出する手法は種々知られており、本実施形態では公知の手法を広く適用可能である。
例えばプロセッサは、カメラの撮像画像に基づいて、被介助者の口が開いているか否か、口から食事が出ているか否か、食事を噛んでいるか否かを判定できる。またプロセッサは、カメラの撮像画像に基づいて、被介助者の目が開いているか否かを判定できる。またプロセッサは、カメラの撮像画像に基づいて、箸やスプーン等が食器の近くにあるか否か、被介助者が持てているか否か、食事をこぼしているか否かを判定できる。
本実施形態の手法では、これらの情報に基づいて、被介助者の嚥下やムセに関する状況を推定する。例えばプロセッサは、ムセ及び嚥下の検出結果、及び、被介助者の口の開閉判定結果に基づいて、処理を行ってもよい。
例えばプロセッサは、ムセの回数や時間に基づいて、ムセが頻発しているか否かを判定し、判定結果を出力してもよい。例えばプロセッサは、単位時間あたりのムセの回数が閾値を超えた場合に、ムセが頻発したと判定してもよい。このようにすれば、ムセに関する状況を自動的に判定できる。
またプロセッサは、嚥下の検出結果、及び、被介助者の口の開閉判定結果に基づいて、被介助者が口を開けてから嚥下するまでの嚥下時間を求めてもよい。このようにすれば、例えば嚥下の回数が減っていることが分かったとしても、食事を口に入れる動作自体が行われていないのか、食事を口に入れたのに嚥下が行われないのか等、具体的な状況を判定できる。例えばプロセッサは、端末装置462の撮像画像に基づいて口が閉じた状態から開いた状態に移行したときにタイマーのカウントアップを開始し、スロートマイク461によって嚥下が検出された場合にタイマーの計測を停止してもよい。停止時のタイムが、嚥下時間を表す。このようにすれば、食事において誤嚥リスクが高く、介助者が何らかのアクションを実行すべき状況であるかを精度よく判定できるため、熟練者の暗黙知を適切に利用することが可能になる。
例えば、嚥下ムセ検出装置460は、嚥下時間を処理結果としてサーバシステム100に出力してもよい。またプロセッサは嚥下時間に基づいて食事のペースを判定してもよい。またプロセッサは、1回の食事の中での嚥下時間の変化(例えば最初の方の嚥下時間に対する増加量や比率等)に基づいて、嚥下時間が長いか否かを判定してもよい。あるいはプロセッサは、同じ被介助者について、複数回の食事のそれぞれでの平均嚥下時間等を求め、当該平均嚥下時間の変化に基づいて嚥下時間が長くなったか否かを判定してもよい。
また端末装置462の撮像画像による口の開閉判定結果を用いることによって、介助者がスプーン等を近づけても開口しなくなった状況であるかを判定できる。このように、被介助者が開口を渋る状況において、嚥下時間が長くなった場合、口内に食べ物が残るため込みが発生した状況であると推定できる。また撮像画像を用いて口から食事が出ているか否か、食事を噛んでいるか口の認識結果を用いることによって、被介助者が食べ物を噛み切れなくなった状況であるかを判定できる。例えば噛む回数は通常通りであるのに、嚥下時間が長い場合、噛み切れなくなった状況であると推定される。また撮像画像を用いて目が閉じていると判定された場合、被介助者が眠そうになった状況であるかを判定できる。
また撮像画像を用いて箸やスプーン等の認識処理を行うことによって、食べ物で遊んでいる、器が持てない、食事をこぼしている等の状況であるか否かが判定されてもよい。
以上のように、嚥下ムセ検出装置460を用いることによって、食事における種々の状況を判定できる。本実施形態の入力データの嚥下ムセ検出装置460では、これらの判定のそれぞれが、暗黙知に対応するアプリケーションとして実現されてもよい。例えば嚥下ムセ検出装置460は、ムセと嚥下の検出、及び、嚥下時間の算出を行うアプリケーション、ムセの頻発を検出するアプリケーション、危険なムセを検出するアプリケーション、眠そうになった状況かを判定するアプリケーション、食べ物で遊んでいるかを判定するアプリケーション、等を含んでもよい。そして本実施形態では、能力情報等に基づいて、各アプリケーションのアクティブ/非アクティブが制御される。換言すれば、上述した各種の処理は、実行/非実行が柔軟に設定可能であってもよい。そして嚥下ムセ検出装置460は、所定の状況であると判定された場合に、その旨を表す情報をサーバシステム100に送信する。サーバシステム100は、例えば当該情報に基づいて、介助者が使用する端末装置に報知処理を実行させてもよい。またサーバシステム100は、嚥下ムセ検出装置460によって検出された食事状況に応じた適切なアクションを示す情報を、介助者が使用する機器に出力し、当該機器が当該情報に基づいてアクションを提示してもよい。介助者への提示は、例えばヘッドセットへの音声の出力であってもよいし、スマートフォン等の表示部での表示であってもよいし、他の手法を用いた提示であってもよい。
<転倒リスクに関するデバイスの動作>
また図5に示したように、食事が難しい被介助者であっても、立ち上がり等の動き出し動作を行う可能性があるため、転倒リスクは高い。よって食事が難しい被介助者を対象とする場合にも、図8~図9に示した各デバイス200による動き出し検出は継続されることが望ましい。各デバイス200は、例えば上述した動作モード2で動作してもよい。また各デバイス200は、動作モード2よりも早い段階で動き出し検知が可能な動作モード3で動作してもよい。
<転落リスクに関するデバイスの動作>
また食事が難しい被介助者であっても、車椅子630等を用いることが考えられるため、転落リスクが高い。よって食事が難しい被介助者を対象とする場合にも、図10~図11に示した各デバイス200による車椅子ポジションに関する処理は継続されることが望ましい。例えば各デバイス200は、歩行ができない被介助者を対象とする場合と同様に動作モード1によって動作する。また各デバイス200は、歩行ができない被介助者を対象とする場合とは異なるモードで動作してもよい。例えば歩行ができない被介助者を対象とする場合、前ずれ横ずれ判定のみを行う動作モードで動作し、食事が難しい被介助者を対象とする場合、前ずれ横ずれ判定に加えて転落可能性の判定を実行可能な動作モードで動作してもよい。
<能力情報の更新>
また図7のステップS205に示したように、サーバシステム100の能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて能力情報を更新する処理を行ってもよい。例えば能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて嚥下能力の変化を判定する。
例えば能力情報取得部111は、被介助者が口を開けてから嚥下するまでの嚥下時間が短いほど嚥下能力が高いと判定し、嚥下時間が長いほど嚥下能力が低いと判定してもよい。例えば能力情報取得部111は、直近の被介助者の平均嚥下時間が過去の被介助者の平均嚥下時間より閾値以上長くなったとき、嚥下能力が低下したと判定し、平均嚥下時間が閾値より長くならなかったとき、嚥下能力が低下していない(維持された)と判定し、平均嚥下時間が短くなったときに、嚥下能力が回復したと判定してもよい。また食形態を変更する前後で、平均嚥下時間の変化が閾値以下であれば、嚥下能力が回復したと判定してもよい。また能力情報取得部111は、嚥下能力と座位保持能力の組み合わせに基づいて、能力情報を求めてもよい。例えば能力情報取得部111は、車椅子630の使用時間や使用頻度に基づいて能力情報を求めてもよい。例えば、座位保持能力が低下した被介助者はベッドでの食事に移行する場合があるため、車椅子630を使用できることは座位保持能力が高いことを表す。例えば車椅子の使用頻度が高いほど能力が高いと判定され、使用頻度が低いほど能力が低いと判定される。また、上述したように、嚥下ムセ検出装置460は、異なる処理を実行する種々のアプリケーションを実行可能であってもよい。例えば嚥下ムセ検出装置460は、まずムセと嚥下の検出、及び、嚥下時間の算出を行うアプリケーションをアクティブにし、能力情報取得部111は当該アプリケーションの出力に基づいて能力情報を求めてもよい。そして能力情報が変化した場合に、ムセの頻発を検出するアプリケーション等の他のアプリケーションが非アクティブからアクティブに変更される。このようにすれば、能力情報に基づいて、嚥下ムセ検出装置460で実行する処理内容を適切に制御できる。またアクティブであるアプリケーションの数が増えた場合、能力情報取得部111は各アプリケーションの出力を組み合わせることによって、より多くのセンシングデータに基づいて嚥下能力を求めてもよい。
2.5 寝たきり
<デバイス及び動作の例:褥瘡リスク>
次にさらに能力が低下し、被介助者が寝たきりになった状態において、褥瘡リスクに対応するために動作するデバイス200について説明する。図13~図14は、褥瘡リスク判定に用いられるデバイス200の例である。
図13は、ベッド610の周辺に配置されるデバイス200であるベッドポジション検出装置470を例示する図である。図13に示すように、ベッドポジション検出装置470は、ベッド610のフットボード側に固定される第1端末装置471と、ベッド610のサイドレールに固定される第2端末装置472と、第2端末装置472の反対側に固定されるディスプレイ473を含む。なおディスプレイ473は、ベッド610に固定されるものには限定されず、ベッドポジション調整を行う介助者が自然に閲覧可能な他の位置に配置されてもよい。例えばディスプレイ473は壁面に固定されてもよいし、床面に自立するスタンド等に固定されてもよい。なおディスプレイ473は省略が可能である。また、第1端末装置471と第2端末装置472は何れか一方が省略されてもよい。例えば以下では、第1端末装置471がベッドポジションの調整に用いられ、第2端末装置472がオムツ交換に用いられる例を説明するがこれには限定されない。
第1端末装置471及び第2端末装置472は、例えばカメラを有するスマートフォン等の装置である。第1端末装置471は直接サーバシステム100に撮像画像を送信する。第2端末装置472は、直接、又は、第1端末装置471を介して、サーバシステム100にカメラの撮像画像を送信する。ディスプレイ473は、サーバシステム100から送信された画像を直接、または第1端末装置471等の他の装置を介して受信し、受信した画像を表示する。なお、第1端末装置471及び第2端末装置472は、カメラに代えて、あるいはカメラに加えて、深度センサを有してもよい。即ち、これらのデバイスは、デプス画像を出力してもよい。
例えば、ベッドポジション調整では、教師データの登録処理と、当該教師データを用いたポジション調整処理が実行されてもよい。教師データは、例えば熟練の介助者によって登録される情報である。非熟練者である介助者は、ベッドポジションを調整する際に、教師データを選択し、当該教師データと、実際の被介助者の状態が近くなるように、ベッドポジションを調整する。例えば第1端末装置471は、調整対象の被介助者がベッドに横になった状態(クッション等の状態も含む)を撮像した撮像画像を取得し、ディスプレイ473は、当該撮像画像と教師データの比較結果を表す画像を表示する。このようにすれば、介助者の熟練度によらず、熟練者と同様のポジション調整を行わせることが可能になる。例えば熟練者は、被介助者をベッド610に横たわらせ、褥瘡対策等に好適なポジションとした上で、第1端末装置471を用いて対象の被介助者を撮像する。熟練者は、適切なベッドポジションとなっていることを確認した上で、登録ボタンを選択する。これにより、登録ボタンが操作された際に表示されていた静止画像が、教師データとしてサーバシステム100に送信される。このようにすれば、熟練者が好ましいと考えるポジションを教師データとして登録することが可能になる。この際、付加情報が付加されてもよい点は、上述した車椅子ポジションの例と同様である。
また実際に介助者がベッドポジションの調整を行う際には、まず第1端末装置471を起動し画像の撮像を開始する。例えば介助者が音声で第1端末装置471を音声起動させ、ディスプレイ473は、第1端末装置471が撮像している動画像を表示する。またベッドポジション検出装置470は、介助者による教師データの選択処理を受け付けてもよい。処理部110は、ユーザ操作に基づいて教師データを決定し、当該教師データをディスプレイ473に表示させる制御を行う。
あるいはベッドポジションの調整対象である被介助者の属性と、教師データに撮像された被介助者の属性の類似度判定に基づいて、処理部110が教師データを自動的に選択する処理を行ってもよい。ここでの属性は、被介助者の年齢、性別、身長、体重、既往歴、投薬履歴等の情報を含む。
あるいは、ベッドポジション検出装置470は、ベッドポジションの調整対象である被介助者の属性と、教師データに含まれる付加情報の比較処理に基づいて、教師データを自動的に選択する処理を行ってもよい。例えば教師データの付加情報として「XXという傾向が見られる被介助者は、左肩がYYとなるように調整するとよい」といったテキストが含まれるとする。この場合、調整対象の被介助者がXXに該当する場合、当該教師データが選択されやすくなる。例えばベッドポジション調整を行う介助者は、第1端末装置471に被介助者を特定する情報を入力し、ベッドポジション検出装置470は当該情報に基づいて被介助者の属性を特定してもよい。
ベッドポジション検出装置470は、例えば第1端末装置471によって撮像されているリアルタイムの撮像画像に対して、透過処理が施された教師データを重畳して表示する画像を出力してもよい。この際、教師データの付加情報が認識可能な態様で表示されてもよい。例えば介助者がヘッドセットのマイク等を用いて「ポイントを教えて」と発話したことが検出された場合、ベッドポジション検出装置470は例えばサーバシステム100を介して、当該テキストを当該ヘッドセットから音声として出力してもよい。
ベッドポジション検出装置470は、例えばポジション調整中に撮像されている画像と、教師データの類似度合いに基づいてOK,NGの何れかを判定し、判定結果を出力してもよい。判定結果は、直接またはサーバシステム100を介してディスプレイ473に表示される。またベッドポジション検出装置470は、NGと判定された具体的な点を表示する処理を行ってもよい。例えばサーバシステム100またはベッドポジション検出装置470は、第1端末装置471で撮像された画像と教師データを比較し、差分が大きいと判定された箇所を強調表示する処理を行ってもよい。
このようにすれば、被介助者のベッドポジションと、理想的なベッドポジションを比較して提示することや、理想的なベッドポジションを実現するための情報を提示することが可能になる。
またベッドポジション検出装置470は、オムツ交換の支援に用いられてもよい。オムツ交換における暗黙知として、熟練者は以下の点を重視していることが分かった。
A.側臥位になっているか
B.オムツの位置が適切か
C.オムツからパットがでていないか
D.オムツが適切に装着されたか
よってベッドポジション検出装置470の処理部210は、上記のA~Dのポイントが満たされているか否かを判定し、判定結果をサーバシステム100に送信する。ここでの処理部210は、例えば第2端末装置472のプロセッサに対応する。これにより、介助者の熟練度によらず、適切にオムツ交換を実行させることが可能になる。
例えば第2端末装置472は、カメラを用いて被介助者を撮像した動画像を構成する各画像に対して骨格トラッキング処理を行い、元画像に骨格トラッキング結果が重畳表示された画像を処理結果として出力する。処理結果は、例えばディスプレイ473に表示されてもよい。このようにすれば、介助者は被介助者のオムツ交換を行いつつ、自然な姿勢でディスプレイ473を確認することが可能になる。
なお、夜間にオムツ交換が行われる場合を考慮し、第2端末装置472は照明部を含んでもよい。また被介助者のプライバシーを考慮し、カメラではなく深度センサ等が用いられてもよい。深度センサは、ToF(Time of Flight)方式を用いたセンサであってもよいし、構造化照明を用いたセンサであってもよいし、他の方式のセンサであってもよい。
図15A及び図15Bは、オムツ交換を行う場合において、ディスプレイ473に表示される画像の例である。上述したように、各画像には被介助者と、被介助者の骨格トラッキング結果が含まれる。
図15Aの状態では、被介助者は側臥位で安定しており、第2端末装置472のカメラは被介助者を背面側からまっすぐ撮像した状態となる。例えば、図15Aでは、被介助者の体の前後方向と、カメラの光軸方向の差が小さい。結果として、図15Aに示すように骨格トラッキングの検出対象となる点が多数検出される。
一方、図15Bは図15Aに比べて姿勢が安定しておらず、仰向けに倒れそうな状態となっている。第2端末装置472のカメラは斜め後方から被介助者を撮像した状態となるため、骨格トラッキングで検出される点の数が減少する。例えば腰に対応する点がオムツ等に隠れることで検出されない。
よって第2端末装置472は、骨格トラッキングの結果に基づいて上記Aに示した側臥位になっているか否かを判定してもよい。例えば第2端末装置472は、腰等の特定の部位に対応する点が骨格トラッキングによって検出された場合に、側臥位になっていると判定してもよい。ただし、側臥位の判定に腰以外の点の検出有無や、複数の点の間の関係等が用いられてもよく、具体的な手法はこれに限定されない。
またベッドポジション検出装置470は、第2端末装置472のカメラが撮像した動画像に基づいてオブジェクトトラッキング処理を行うことによって、継続的に画像中のオムツの領域を検出する。オブジェクトトラッキングについては公知であるため、詳細な説明は省略する。例えば図15A及び図15Bではオムツ領域ReDが検出されている。
ベッドポジション検出装置470は、例えば骨格トラッキングの結果と、オブジェクトトラッキングにより検出されたオムツ領域ReDとの関係に基づいて、上記Bに示したオムツの位置が適切か否かを判定してもよい。例えばオムツが装着される位置を考慮し、骨格トラッキングによって検出された腰の位置と、オムツ領域ReDが所定の位置関係にあるかを判定する。例えば処理部210は、骨盤に対応する2点を含む直線がオムツ領域ReDを通過する場合に、オムツの位置が適切であると判定してもよい。あるいは、熟練者による教師データから骨格トラッキングの結果とオムツ領域ReDの検出結果を特徴量として抽出し、当該特徴量を入力データとする機械学習が行われてもよい。学習済モデルは、例えば骨格トラッキングの結果とオムツ領域ReDの検出結果を受け付けた場合に、オムツの位置が適切である確からしさを出力するモデルである。
またベッドポジション検出装置470は、オムツ領域ReDの水平方向での長さに基づいて、上記Cに示したオムツからパットがでていないかを判定してもよい。通常、パットはオムツの内部に収まるものであるため、画像上でのオムツ領域ReDの長さは、オムツ本体の長さに対応する長さとなる。なお想定されるオムツ領域ReDのサイズは、オムツの種類及びサイズと、第2端末装置472のカメラの光学特性等に基づいて推定できる。一方、パットがはみ出している場合、その分だけ画像上でのオムツ領域ReDの長さが長くなる。よって、ベッドポジション検出装置470は、画像から検出されたオムツ領域ReDの長さが、想定される長さよりも所定閾値以上大きい場合、オムツがパットから出ており不適切であると判定する。
またベッドポジション検出装置470は、オムツを装着した状態で固定するテープを検出することによって、上記Dに示したオムツが適切に装着されたかを判定してもよい。通常、テープはオムツ本体とは異なる色の部材が用いられる。一例としては、オムツ本体が白色であり、テープが青色である。またオムツを適切に装着するために、テープをどのように固定すべきであるかはオムツの構造から既知である。よって処理部210は、色に基づいて画像中のテープ領域を検出し、当該テープ領域とオムツ領域ReDの関係、あるいはテープ領域と骨格トラッキングで検出された腰等の位置の関係に基づいて、オムツが適切に装着されたかを判定できる。なお、メーカや種類の異なる複数のオムツが用いられる場合、ベッドポジション検出装置470はオムツを特定する情報を取得し、特定されたオムツの種類等に基づいてオムツが適切に装着されたかを判定してもよい。
例えばベッドポジション検出装置470は、上記A~DのそれぞれについてOK,NGを判定し、判定結果をサーバシステム100に送信する。サーバシステム100は、判定結果をディスプレイ473等に送信する。またベッドポジション検出装置470は、NGである場合、正解データとの乖離が大きい部分を強調表示してもよい。
以上のようにすれば、褥瘡リスクを低減するポジションを取らせることだけでなく、オムツ交換における暗黙知を適切に利用して、介助者に適切にオムツ交換を実行させることが可能になる。なお、オムツ交換の作業において被介助者の体を動かす必要がある。例えば、オムツを配置しやすいように一旦側臥位にする、オムツをはかせるために足を上げる等の作業が介助者によって行われる。そのため、オムツ交換完了時には、被介助者がベッドで横になる際に適した姿勢になっていない可能性もある。よってベッドポジション検出装置470は、オムツ交換が完了したことが検出された場合、自動的に上述したベッドポジションを調整するための処理を実行してもよい。例えば第1端末装置471は、被介助者の撮像を開始し、ディスプレイ473は、第1端末装置471によって撮像されているリアルタイムの撮像画像に対して、透過処理が施された教師データを重畳して表示する。
また以上ではベッドポジション調整支援やオムツ交換支援にスマートフォン等の第1端末装置471や第2端末装置472を用いる例を説明したが、具体的なデバイス200はこれに限定されない。
図14は、ベッドポジション調整支援やオムツ交換支援に用いられるデバイス200の他の例であるAR(Augmented Reality)グラスやMR(Mixed Reality)グラス等のメガネ型デバイス480を例示する図である。メガネ型デバイス480は例えばユーザの視界に対応する領域を撮像するカメラを有する。メガネ型デバイス480は、レンズ部分の一部または全部がディスプレイとなっており、外界からの光を透過することによって、あるいはカメラによって撮像されたユーザ視界に相当する画像を表示することによって、外界の状況をユーザに視認させることが可能である。さらにメガネ型デバイス480は、ディスプレイを用いることによって、ユーザの視界上に何らかの情報を付加表示する。
メガネ型デバイス480を用いる場合であっても、ベッド610上のユーザを撮像した画像を取得できる点は同様である。よってメガネ型デバイス480は、上述したように撮像画像と教師データを重畳表示することによってベッドポジション調整を支援する処理を行ってもよい。またメガネ型デバイス480は、オムツ領域ReDに関する判定を行うことによって、オムツ交換を支援する処理を行ってもよい。またオムツ交換が完了した場合に、ベッドポジション調整が開始されてもよい点は、メガネ型デバイス480を用いる場合も同様である。例えばオムツ調整の完了が検出された場合に、ベッドポジション調整に係る正解データが、メガネ型デバイス480の表示部に透過表示されてもよい。
またメガネ型デバイス480は、被介助者の皮膚を撮像した撮像画像に基づいて、褥瘡の有無や範囲を自動的に検出する処理を行ってもよい。このようにすれば、褥瘡が実際に発生しているか否か、また、発生している場合にはその状態を判定することが可能になる。例えば、被介助者を撮像した画像と、医師等の専門家によって付与された褥瘡領域を特定する正解データとを対応付けた訓練データに基づく機械学習によって、学習済モデルが生成される。メガネ型デバイス480は、当該学習済モデルに基づく処理を行うことによって褥瘡の判定を行う。
また圧力検知及び自動体位変更が可能なマットレスや枕も知られている。圧力検知については、ベッドサイドセンサ420や検出装置430と同様に圧力センサを用いて行われる。またここでのマットレスや枕は、エアー等を用いて部分毎に高さ(厚み)を調整することによって、被介助者に寝返りを促すものであってもよい。また圧力検知を行うデバイス200と、自動体位変更を促すデバイス200は異なってもよい。例えば検出装置430は圧力値に基づいて同じ姿勢が継続していると判定した場合に、その旨を表す情報をサーバシステム100に送信する。サーバシステム100は、当該情報に基づいて、マットレスや枕を制御することによって、被介助者に体位変更を促してもよい。このようにしても、寝たきりである被介助者の褥瘡リスクを低減することが可能である。また、これらのマットレスや枕の制御手法は1通りに限定されない。例えば同じ寝たきりの中でも細かく能力情報(ADL等)が判定され、当該能力情報の高低に応じて体位変更の促し方が変化してもよい。例えば能力が極端に下がっている被介助者の場合、姿勢の維持等も難しいため、体位変更を促した際に過剰に姿勢が変化してしまうケースも考えられる。よってマットレスや枕は、体位変更を促す頻度や、体位変更を促す際のエアーの量等が異なる複数の動作モードを有しており、能力情報の高低に応じて動作モードが制御されてもよい。またマットレス等は、能力が高い間は睡眠状況の改善(例えば側臥位を促すことによるいびき抑制等)を行うモードで動作し、被介助者が寝たきりになった場合に褥瘡リスクを低減するモードで動作してもよく、寝たきり以外の状態も含めて、能力情報に応じた動作モード制御が実行されてもよい。
また寝たきりの被介助者を対象とする場合、看取りケアに関する暗黙知が用いられてもよい。当該暗黙知に対応するアプリケーションが動作するデバイス200は、例えばスマートフォン等の端末装置であってもよい。例えばデバイス200の処理部210は、入力データとして、各食事における種類(例えば主菜・副菜としてもよいし、肉類、魚類等材料ごとでもよい)毎の摂取量または摂取割合、水分の摂取量、摂取のタイミング、疾病に関する情報、体重(またはBMI)の5種類の情報を取得する。これらの入力データは、介助者が入力するものであってもよい。あるいは食事量の自動記録デバイスが用いられることによって、一部の入力データがデバイス200によって自動的に取得されてもよい。
処理部210は、当該入力データに基づいて、看取りケアを所定期間後に開始すべきか否か、看取りケア開始後にケアの内容を変更するタイミングか否か、を示す出力データを出力する。例えば入力データに対して、熟練者による正解データが付与された訓練データに基づいて、機械学習が行われてもよい。この場合、処理部210は学習済モデルに入力データを入力することによって出力データを求める。またSVM等の他の機械学習手法が用いられてもよいし、機械学習以外の手法が用いられてもよい。
ここでの看取りケアとは、近い将来に死亡する可能性が高いと考えられる被介助者に対する介助を表す。看取りケアでは、身体的苦痛や精神的苦痛の緩和、対象の被介助者にとって尊厳のある生活の支援等が重視される点で、通常の介助とは異なる。また看取りケアを行っている中でも、時間の経過とともに被介助者の状態が変化することによって、対象の患者に適した介助が変化していく可能性もある。即ち、看取りケアの開始タイミングや、看取りケアの中での介助内容の変更タイミングを提示することによって、被介助者に対して最期まで適切な介助を行うことが可能になる。例えば、熟練の介助者は食事量等の種々の観点から、看取りケアが必要となるタイミングやケア内容を推定する暗黙知を備えており、当該暗黙知をデジタル化することによって、他の介助者も適切な看取りケアが可能になる。
デバイス200の処理部210は、能力情報によって表される能力が寝たきりを表す状態まで低下した場合に、上記入力データに基づく判定を開始し、判定結果を表す分析結果画面をサーバシステム100に出力する。なお分析結果画面は、デバイス200の表示部240に表示されてもよい。
図16は、分析結果画面の例を示す図である。分析結果画面は、入力データに基づいて求められる特徴量の時系列変化と、看取りケアを所定期間後に開始すべきか否かの判定結果を含んでもよい。ここでの特徴量は、食事量の移動平均等、入力情報のうち重要と判定された情報であってもよいし、上記5つの入力情報に基づいて演算される情報であってもよい。例えば、NNが用いられる場合、特徴量は所与の中間層または出力層の出力であってもよい。例えば、入力データは2020年2月13日までの主菜の摂取量、水分量、BMIの実測値を含む。処理部210は、学習済モデルに基づいて、2020年2月14日以降の主菜の摂取量、水分量、BMIの推移を推定してもよい。分析画面は、この3つの項目についての実測値及び推定値の時系列変化を表すグラフを含んでもよい。なお、図16では、これらの値の7日間での移動平均のグラフを例示している。このようにすれば、看取りケアにおいて重要な項目の推移を介助者に容易に把握させることが可能になる。なお、上述したように、入力データは他の項目を含んでもよく、分析結果画面に表示される情報は図16の例に限定されない。
また分析結果画面は、看取りケアが行われる可能性のある期間を表示してもよい。図16の例では、「2020-03-14から看取りケアの可能性があります」というテキストが表示されるとともに、グラフにおける対応する期間が、それ以外の期間とは異なる背景色を用いて識別可能に表示される。このようにすれば、看取りケアが必要と推定されるタイミング、期間が明示されるため、看取りケアに関する情報を適切にユーザに提示することが可能になる。
<転倒リスクに関するデバイスの動作>
また図5に示したように、寝たきりである介助者は自発的に立ち上がり等の動き出し動作を行う蓋然性が低いため、転倒リスクは想定的に低くなる。よって寝たきりの被介助者を対象とする場合、図8~図9に示した各デバイス200は非アクティブである動作モード0に設定されてもよい。
<転落リスクに関するデバイスの動作>
一方で、寝たきりの被介助者であっても、車椅子630等を用いることが考えられるため、転落リスクが高い。よって寝たきりの被介助者を対象とする場合にも、図10~図11に示した各デバイス200による転落リスクに関する処理は継続されることが望ましい。この際、被介助者は自発的な姿勢変更が難しいため、褥瘡リスクの高くなる。よって図10に示した座面センサ440は、前ずれ横ずれ判定や転落判定に加えて、車椅子630での褥瘡リスクの高低を判定する動作モード3で動作してもよい。例えば座面センサ440は、圧力値の変化が少ない状態が所定時間以上経過した場合に、褥瘡リスク有りと判定してもよい。同様に、図11に示した端末装置450は、褥瘡を抑制するためのポジションを介助者に提示する動作モードで動作してもよい。
<誤嚥リスクに関するデバイスの動作>
また寝たきりの被介助者であっても経口での食事を継続する場合がある。よって図12に示した嚥下ムセ検出装置460は、寝たきりの被介助者を対象とする場合にも動作を行う。なお嚥下ムセ検出装置460は、寝たきりではないが食事が難しい被介助者を対象とする場合と、寝たきりの被介助者を対象とする場合とで同じ動作モードで動作してもよい。また嚥下ムセ検出装置460は、寝たきりではないが食事が難しい被介助者を対象とする場合に比べて、寝たきりの被介助者を対象とする場合には、より誤嚥リスクを低減できる動作モードで動作してもよい。例えば、嚥下ムセ検出装置460は、嚥下時間との比較に用いる閾値を下げることによって、より誤嚥リスクが検出されやすくしてもよい。あるいは嚥下ムセ検出装置460は、寝たきりの被介助者を対象とする場合、食形態に関する判定を追加することによって、誤嚥リスクを低減する動作を行ってもよい。あるいは、嚥下ムセ検出装置460は、寝たきりの被介助者を対象とする場合、通常のムセ検出や嚥下時間の算出等の処理に加えて、危険なムセの有無に関する判定を追加することによって、誤嚥リスクを低減する動作を行ってもよい。また嚥下ムセ検出装置460は、ムセが頻発しているかを判定する処理を追加してもよいし、被介助者が眠そうにしているか否かを判定する処理を追加してもよい。
また上記の看取りケアにおいて上述したように、寝たきりの被介助者を対象とする場合、食事量の自動記録が行われてもよい。例えば嚥下ムセ検出装置460の端末装置462は食事の前後において食事の画像を撮像し、その差分に基づいて食事量を自動記録してもよい。即ち、嚥下ムセ検出装置460は、寝たきりの被介助者を対象とする場合、食事量の自動記録を含む動作モードで動作してもよい。また食事量を自動記録するデバイス200として、嚥下ムセ検出装置460とは異なるデバイスが用いられてもよい。
<能力情報の更新>
また図7のステップS205に示したように、サーバシステム100の能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて能力情報を更新する処理を行ってもよい。例えば能力情報取得部111は、センシングデータに基づいて褥瘡に関する評価を行い、評価結果に基づいて能力の変化を判定する。
例えば能力情報取得部111は、検出装置430等を用いて圧力値の分散度合いを判定し、決まったところに所定時間以上圧力が加わっている場合、褥瘡を抑制する姿勢変化を実現できておらず、能力が低いと判定する。
また能力情報取得部111は、ベッドポジション検出装置470からの情報に基づいてポジショニング調整中のNGと判定された回数、オムツの位置が適切でない回数を判定し、これらの回数に基づいて能力情報を求めてもよい。例えば、NGと判定された回数が少ないほど、またはオムツの位置が適切でない回数が少ないほど能力が高く判定され、回数が多いほど能力が低く判定される。
また能力情報取得部111は、MRグラス等のメガネ型デバイス480から出力される褥瘡の有無に基づいて能力情報を更新してもよい。例えば、褥瘡がない場合、褥瘡がある場合に比べて能力が高く判定される。
2.6 まとめ
以上、図8~図14等を用いてデバイス200の具体例、及び動作例を説明した。上述したように、各デバイス200は、能力情報に応じて少なくとも非アクティブである動作モード0と、アクティブである動作モード1の間で動作モードを切り替える。また上述したように、アクティブである場合の動作モードも1つに限定されず、処理内容が異なる複数の動作モードが設定されてもよい。
図17は、各デバイス200の動作モードの一例である。図17に示すように、転倒リスクを検出する撮像装置410は、起居できない被介助者については動作モード1で動作し、歩行できない被介助者及び食事がうまくできない被介助者については動作モード2で動作し、寝たきりの被介助者については非アクティブである動作モード0で動作する。
例えば動作モード1とは、端座位が検出された場合に動き出しがあったと判定されるモードであり、動作モード2とは、覚醒が検出された場合に動き出しがあったと判定されるモードであってもよい。動作モード2は、動作モード1に比べて早い段階で動き出しが検出されるため、より転倒リスクを低減できる。
また転落リスクを検出する座面センサ440は、起居できない被介助者については非アクティブである動作モード0で動作し、歩行できない被介助者については動作モード1で動作し、食事がうまくできない被介助者については動作モード2で動作し、寝たきりの被介助者については動作モード3で動作する。
例えば動作モード1は前ずれ横ずれのみを行うモードであり、動作モード2は転落可能性の判定が追加されるモードであり、動作モード3は車椅子での褥瘡判定が追加されるモードであってもよい。この例では、能力の低下とともに判定対象が追加されるため、能力変化に伴うリスクの増大に適切に対応できる。
また誤嚥リスクを検出する嚥下ムセ検出装置460は、起居できない被介助者及び歩行できない被介助者については非アクティブである動作モード0で動作し、食事がうまくできない被介助者については動作モード1で動作し、寝たきりの被介助者については動作モード2で動作する。
例えば動作モード1は嚥下時間に基づく判定を行うモードであり、動作モード2は動作モード1に加えて食形態等のオプションが追加されるモードであってもよい。この例では、能力の低下とともに判定対象が追加されるため、能力変化に伴うリスクの増大に適切に対応できる。
また褥瘡リスクを検出するベッドポジション検出装置470は、起居できない被介助者、歩行できない被介助者、及び食事がうまくできない被介助者については非アクティブである動作モード0で動作し、寝たきりの被介助者については動作モード1で動作する。
以上のように、本実施形態の手法によれば、能力と各種リスクの関係を考慮した上で、必要性の高い場面で適切にリスク有無の判定や、当該リスクを低減するための処理を行うことが可能になる。なお図17はデバイス200、能力情報、動作モードの関係の一例を示すものであり、本実施形態の手法はこれに限定されない。
能力情報に基づいてデバイス200の動作モードを設定する場合、被介助者の能力が下がるほど、それを補うためにデバイス200の機能が追加されることが想定される。ただし、デバイス200のうちの第1デバイスは、能力情報によって表される能力値が所定閾値以上の範囲において、能力値の低下に伴って使用する機能が増える動作モードに設定され、能力値が所定閾値未満の範囲において、所定閾値以上の範囲に比べて使用する機能が少ない動作モードに設定されてもよい。即ち、本実施形態のデバイスの一部は、ある程度の能力低下についてはそれを補うために機能を増やす方向で動作するが、一定以上の能力低下が見られた場合、機能を減らす方向にシフトしてもよい。このようにすれば、能力に応じた各暗黙知の要否を適切に考慮し、必要性の低い暗黙知に対応するアプリケーションを非アクティブとすることによって処理負荷を低減することが可能になる。
ここでの第1デバイスは、被介助者の動き出しにおける転倒リスクの判定に用いられるデバイス200であってもよい。例えば第1デバイスは、図8に示した撮像装置410、図9に示したベッドサイドセンサ420、図9に示した検出装置430のうちの少なくとも1つである。図17の例であれば、「起居できない」、「歩行できない」、「食事がうまくできない」の範囲内では、これらのデバイス200の動作モードは処理内容を追加する方向で変化するのに対して、より能力が低い「寝たきり」では非アクティブに対応する動作モードが設定される。このようにすれば、必要性が低下したデバイスの動作が継続することを抑制できる。なお検出装置430は「寝たきり」における看取り判定に用いられてもよく、動き出しにおける転倒リスクの判定に用いられるデバイス200の全てが、能力値の低い状態で機能を減らす必要は無い。
3.シーン情報、デバイス種類情報に基づくデバイス制御
また本実施形態の手法では、デバイス200の動作モードの設定に能力情報以外の情報が用いられてもよい。以下、シーン情報及びデバイス種類情報について説明する。
3.1 概要
図18は、サーバシステム100及びデバイス200の動作を説明するシーケンス図であって、被介助者の能力情報、シーン情報、及びデバイス種類情報に基づいて、デバイス200の動作モードが変化する例を説明する図である。
まずステップS301において、サーバシステム100は、デバイス200に対して能力情報、シーン情報、デバイス種類情報を含むデータを送信する処理を行う。なおシーン情報とデバイス種類情報の一方が省略されてもよい。図18では、ADLの指標値が2であり、シーンを特定するシーンIDが0であり、デバイス種類を特定するデバイス種類IDがxxであるデータが送信された例を示している。
ステップS302において、デバイス200は、取得した能力情報、シーン情報、デバイス種類情報に基づいて、インストール済のベンダアプリのアクティブ/非アクティブを制御する。例えばデバイス200の記憶部220は、ADLの指標値、シーンID、デバイス種類IDと、各アプリケーションのアクティブ/非アクティブとを対応付けたテーブルデータを記憶してもよい。デバイス200の処理部210は、当該テーブルデータのうち、受信したデータに合致するレコードを抽出することによって、各アプリケーションのアクティブ/非アクティブを決定する。また図19、図20、図22を用いて後述するように、各デバイス200は、能力情報、シーン情報及びデバイス種類情報に基づいて動作モードを決定するアルゴリズムを記憶してもよい。図18では、ベンダアプリ1~ベンダアプリ3のうち、ベンダアプリ1及び2がアクティブとなり、ベンダアプリ3が非アクティブとなる動作モードが設定される例を示している。
ステップS302の処理後、デバイス200は、ベンダアプリ1に従った処理、及びベンダアプリ2に従った処理を実行する。ステップS303において、デバイス200は、処理結果をサーバシステム100に送信する。ここでの処理結果とは、熟練者の暗黙知を用いて実行された判断の結果に相当する。またここでの処理結果は、デバイス200が検出したセンシングデータのログ等を含んでもよい。
ステップS304において、サーバシステム100は、デバイス200から受信した処理結果に基づく制御を実行する。例えば、処理部110は、制御対象デバイスを特定し、当該制御対象デバイスを動作させる制御信号を送信する処理を行ってもよい。
またステップS305において、サーバシステム100は、被介助者の能力情報、シーン情報、デバイス種類情報を更新する処理を実行する。能力情報の更新処理については上述したとおりである。またシーン情報取得部112は、デバイス200から取得したセンシングデータのログ、属性等の被介助者に関する情報、スケジュール等の介助者に関する情報の少なくとも1つに基づいて、シーン情報を求める。またデバイス種類情報取得部113は、対象のデバイス200とともに用いられる他のデバイス200の種類を表す情報をデバイス種類情報として取得する。具体的な処理の例については後述する。
ステップS306において、サーバシステム100は、デバイス200に対して、更新後の能力情報、シーン情報、デバイス種類情報を含むデータを送信する処理を行う。図18では、シーンIDが0から1に変更された例を示している。
ステップS307において、デバイス200は、取得したデータに基づいて、インストール済のベンダアプリのアクティブ/非アクティブを制御する。例えばデバイス200は上述したように、テーブルデータに基づいて各ベンダアプリのアクティブ/非アクティブを決定する。図18の例では、ベンダアプリ1及び2はアクティブな状態が維持され、且つ、ベンダアプリ3が非アクティブからアクティブに変更される。これにより、ステップS307以降では、デバイス200は、ベンダアプリ1~ベンダアプリ3の全てがアクティブとなる動作モードによって動作する状態に移行する。ステップS307以降の動作は、例えばステップS303-S306と同様である。
以下では、シーン情報に基づく動作モードの設定例、及び、デバイス種類情報を用いた動作モードの設定例についてそれぞれ説明する。
3.2 シーン情報に基づく処理の具体例
サーバシステム100は、被介助者の介助のシーンを特定するシーン情報を求め、求めたシーン情報をデバイスに送信してもよい。そしてデバイス200は、能力情報及びシーン情報に基づいて、複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する。例えばデバイス200の記憶部220は、能力情報及びシーン情報と、動作モードとを対応付けた情報を記憶する。処理部210は、当該情報と、サーバシステム100から取得した能力情報及びシーン情報とに基づいて、動作モードを求める。能力情報及びシーン情報と、動作モードとを対応付けた情報は、例えば、能力情報の値、シーン情報の値、及び各アプリケーションのアクティブ/非アクティブを対応付けたテーブルデータであってもよい。あるいは、能力情報及びシーン情報と、動作モードとを対応付けた情報は、能力情報及びシーン情報に基づいて、各アプリケーションのアクティブ/非アクティブを求めるアルゴリズムであってもよい。このようにすれば、介助シーンに応じて適切なデバイス200を動作させること、換言すれば、適切な暗黙知を使用した介助を実行させることが可能になる。
例えばシーン情報取得部112は、被介助者の介助を実行する介助者に関する情報をシーン情報として求めてもよい。具体的には、シーン情報は、被介助者の介助を実行可能な介助者の人数に関する情報であってもよいし、勤務年数、熟練度、保有資格等に関する情報であってもよい。以下、介助者の人数を用いる例について説明する。この場合、デバイス200は、介助者の人数に応じて動作モードを決定する。
ここでのデバイス200は、例えば図8を用いて上述した撮像装置410であってもよい。例えば被介助者がまとまって活動を行うリビング等に一定数以上の介助者が存在する場合、介助者同士でフォローすることが可能であるため、被介助者の動き出しを介助者が目視で判断することや、転倒リスク有りと介助者が判断した場合に、適切に介入を行うことが可能である。ここでの介入とは、例えば動き出そうとしている被介助者の近くまで移動し、必要に応じて体を支える等、動き出しをサポートすることを表す。この場合、撮像装置410がアクティブとなる必要性が相対的に低い。
一方で、対象空間に位置する介助者の数が少ない場合、一人の介助者が実行すべきタスクが多くなるため、被介助者の動きを詳細に観察することが難しく、適切なタイミングでの介入が難しいおそれがある。この場合、撮像装置410がアクティブとなる必要性が相対的に高くなる。
以上を鑑みれば、能力情報に加えてシーン情報を用いて撮像装置410の動作モードを決定することによって、撮像装置410を適切に動作させることが可能になる。
図19は、撮像装置410における動作モードの決定処理を説明するフローチャートである。まずステップS401において、撮像装置410の処理部210は、対象となる被介助者を特定する処理を行う。例えば処理部210は、撮像画像に基づく顔認識処理を行うことによって、被介助者を特定する。
ステップS402において、処理部210は、被介助者の能力情報を取得する。例えば処理部210は、図18のステップS301やS306に示すデータをサーバシステム100から受信することによって、能力情報を特定する。
ステップS403において、処理部210は、能力情報に基づいて、被介助者の能力が起居できない状態まで低下しているか否かを判定する。能力が低下していない場合(ステップS403:No)、転倒リスクは低いため、ステップS404において、処理部210は、撮像装置410の動作モードを非アクティブに対応するモード0に設定する。なお、本実施形態における能力情報は、ADLの指標値に限定されず、より詳細な情報、例えば上述した立ち上がりの仕方を表す情報、座位保持能力、嚥下能力、歩行能力等を表す情報であってもよい。さらに言えば、座位保持能力等を求める際に種々のセンシングデータを用いることが可能であるし、当該センシングデータから座位保持能力等を求める際のアルゴリズムにも種々の変形実施が可能である。ステップS403に示した被介助者の能力が起居できない状態まで低下しているか否かの判定においては、上記の通り、ADLの指標値に比べてデータ量の多い詳細な能力情報を用いた処理が実行されてもよい。この場合、ステップS403の処理負荷が大きくなるため、当該処理はサーバシステム100において実行されてもよい。
被介助者の能力が起居できない状態まで低下している場合(ステップS403:Yes)、ステップS405において処理部210はシーン情報に基づいて、介助者の人数を特定するする。例えばサーバシステム100のシーン情報取得部112は、撮像画像に基づいて介助者の人数を判定してもよいし、介護施設等における介助スケジュール(例えば勤務表)に基づいて介助者の人数を判定してもよい。あるいは、介助者にRFID(radio frequency identifier)タグ等を装着するとともに、対象空間の出入り口等に読取り装置を設けることによって、対象空間内の介助者数を表す情報が求められてもよい。デバイス200の処理部210は、これらの情報をサーバシステム100から取得することによってステップS405に示す処理を実行する。
ステップS406において、処理部210は、シーン情報に基づく判定を行う。具体的には、処理部210は介助者の人数が所定閾値以下であるかを判定する。人数が所定閾値よりも多い場合(ステップS406:No)、転倒リスクに対応可能な人員が確保されているため、ステップS404に移行し、処理部210は、撮像装置410の動作モードを非アクティブに対応するモード0に設定する。
人数が所定閾値以下である場合(ステップS406:Yes)、介助者が不十分であり転倒リスク抑制のためにはデバイス200のサポートが重要となる。よってステップS407において、処理部210は、撮像装置410の動作モードをアクティブに対応するモード1に設定する。なお、図19ではステップS405,S406を処理部210が行う形態で説明したが、これに限定されることなく例えばサーバシステム100がステップS405,S406を実施し、その結果のみを処理部210が受領してステップS404に遷移するか、ステップS407に遷移するかを判定してもよい。
またシーン情報は、介助者に関する情報に限定されない。例えば、サーバシステム100のシーン情報取得部112は、被介助者に関する情報をシーン情報として求めてもよい。具体的には、シーン情報は、被介助者の属性を表す属性情報であってもよい。属性情報には、被介助者の年齢、身長、体重、性別、既往歴、服用履歴等が含まれる。例えばシーン情報取得部112は、被介助者が認知症であるか否かを表す情報をシーン情報として求める。
動き出し時の転倒リスク軽減のためには、介助者が呼びかけを行うことによって一旦動作を停止させることが重要であるが、認知症患者は介助者が呼びかけても反応しない場合がある。しかし認知症患者であっても、家族等の親しい関係にある人物の声は覚えているケースが多く、家族による呼びかけには反応する蓋然性が高いという知見がある。
よって撮像装置410は、家族の声を録音した音声データまたは家族が注意喚起をする動画データを記憶し、不図示のスピーカを用いて当該音声データまたは動画データを出力する動作モードを有してもよい。例えば撮像装置410の処理部210は、図19に示したように能力情報、及び介助者の人数であるシーン情報に基づいて、アクティブ/非アクティブを判定する。そして処理部210は、撮像装置410がアクティブに設定された場合、ステップS401で特定された被介助者が認知症患者であるかを判定する。撮像装置410は、被介助者が認知症患者である場合は、家族の音声データ等を出力する動作モードで動作し、認知症患者でない場合は音声データ等を出力しない動作モードで動作する。このようにすれば、被介助者の属性に合わせた動作モードを設定することが可能になる。なお、1人の被介助者に対して、家族等の音声データは複数用意されてもよい。例えば、家族等による呼びかけが1通りのみであると、被介助者は当該呼びかけを覚えてしまい反応が鈍くなる可能性がある。よって撮像装置410は、対象の被介助者に対応付けて記憶された複数の音声データのうち、ランダムに選択された1つを出力する処理を行ってもよい。このようにすれば、家族等による呼びかけのバリエーションを増やすことができるため、効果的に被介助者の動き出しを停止させることが可能になる。
また本実施形態におけるシーン情報とは、食事介助、排泄介助、移動・移乗介助等、介助の種類を表す情報であってもよい。例えばシーン情報取得部112は、介助者によるユーザ入力に基づいて、介助の種類を表すシーン情報を取得してもよい。またシーン情報取得部112は、介護施設等における介助スケジュールと、現在時刻との関係に基づいて、実行されている介助の種類を求めてもよい。あるいはシーン情報取得部112は、介護施設等における被介助者の位置を推定することによって、介助の種類を求めてもよい。例えばシーン情報取得部112は、被介助者が食堂にいれば食事介助が行われており、トイレにいれば排泄介助や転倒防止のための介助が行われていると判定する。位置判定は、施設の各所に配置された人感センサ等を用いて行われてもよい。あるいは施設の各所にアクセスポイント(AP)を配置し、介助者が携帯するステーション機器(STA)がいずれのAPに接続したかに応じて位置判定が行われてもよい。
例えば図10に示した座面センサ440は、上述したように、前ずれ横ずれ判定と、転落可能性の判定を実行可能である。しかし、車椅子630に座って食事を行う場合、図12に示すように被介助者の前には食事を並べるテーブル等が配置されるため、当該テーブルが支えとなり転落が発生する可能性が低い。よって座面センサ440は食事中には転落可能性の判定を非アクティブとすることによって、必要性の低い処理を省略できる。
図20は、座面センサ440における動作モードの決定処理を説明するフローチャートである。まずステップS501において、座面センサ440の処理部210は、対象となる被介助者を特定する処理を行う。例えば処理部210は、介助スケジュール等に基づいて被介助者を特定してもよいし、ユーザ入力に基づいて被介助者を特定してもよい。
ステップS502において、処理部210は、被介助者の能力情報を取得する。例えば処理部210は、図18のステップS301やS306に示すデータをサーバシステム100から受信することによって、能力情報を特定する。
ステップS503において、処理部210は、能力情報に基づいて、被介助者の能力が歩行できない状態まで低下しているか否かを判定する。能力が低下していない場合(ステップS503:No)、座面センサ440を用いた判定の必要性は低いため、ステップS504において、処理部210は、座面センサ440の動作モードを非アクティブに対応するモード0に設定する。またステップS403において上述した例と同様に、ステップS503では能力情報について、より詳細な情報まで考慮した処理が実行されてもよい。そのため、ステップS503の処理は、サーバシステム100において実行されてもよい。
被介助者の能力が歩行できない状態まで低下している場合(ステップS503でYes)、ステップS505において処理部210はシーン情報として、介助の種類を表す情報を取得する。上述したように、ステップS505の処理は、ユーザ入力に基づいて行われてもよいし、何らかのセンシングデータに基づいて行われてもよい。
ステップS506において、処理部210は、シーン情報に基づく判定を行う。具体的には、処理部210は介助種類が食事介助であるかを判定する。食事介助である場合(ステップS506:Yes)、前ずれ横ずれ判定は有用であるが、転落可能性の判定は必要性が低い。よってステップS507において、処理部210は、座面センサ440の動作モードを、前ずれ横ずれ判定を行い、且つ、転落可能性の判定を行わないモードに設定する。
介助種類が食事介助でない場合(ステップS506:No)、被介助者の前にテーブルがあるとは限らず、車椅子630からの転落リスクが高い。よってステップS508において、処理部210は、座面センサ440の動作モードを、前ずれ横ずれ判定と、転落可能性の判定の両方を実行するモードに設定する。またステップS508において、処理部210は、座面センサ440の動作モードを、前ずれ横ずれ判定を実行せず、且つ、転落可能性の判定を実行するモードに設定してもよい。
なお、以上では撮像装置410及び座面センサ440について、シーン情報に基づく処理を行う例を説明した。ただし、他のデバイス200の動作モードがシーン情報に基づいて決定されてもよい点は言うまでもない。
3.3 デバイス種類情報に基づく処理の具体例
またサーバシステム100(デバイス種類情報取得部113)は、デバイス200と同じ被介助者の介助に用いられる併用デバイスの種類を特定するデバイス種類情報を求めてもよい。サーバシステム100は、デバイス種類情報をデバイス200に送信する。デバイス200は、能力情報及びデバイス種類情報に基づいて、複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する。例えばデバイス200の記憶部220は、能力情報及びデバイス種類情報と、動作モードとを対応付けた情報を記憶する。処理部210は、当該情報と、サーバシステム100から取得した能力情報及びデバイス種類情報とに基づいて、動作モードを求める。能力情報及びデバイス種類情報と、動作モードとを対応付けた情報は、例えば、能力情報の値、デバイス種類情報の値、及び各アプリケーションのアクティブ/非アクティブを対応付けたテーブルデータであってもよい。あるいは、能力情報及びデバイス種類情報と、動作モードとを対応付けた情報は、能力情報及びデバイス種類情報に基づいて、各アプリケーションのアクティブ/非アクティブを求めるアルゴリズムであってもよい。
図21は、図12を用いて上述した嚥下ムセ検出装置460と併用デバイスの例を説明する図である。ここでの併用デバイスは、具体的には本実施形態に係るデバイス200であってもよい。嚥下ムセ検出装置460は食事中に用いられるが、食事は車椅子630を用いて行われてもよいし、ベッド610を用いて行われてもよい。
例えば、嚥下ムセ検出装置460の併用デバイスは、図10に示した座面センサ440であってもよい。デバイス種類情報取得部113は、嚥下ムセ検出装置460がアクティブであり、且つ、座面センサ440からの検出結果やセンシングデータのログが取得されている場合に、嚥下ムセ検出装置460と座面センサ440が併用されていると判定してもよい。あるいはデバイス種類情報取得部113は、座面センサ440からの検出結果やセンシングデータのログに基づいて、被介助者が車椅子630に座っていると判定された場合に、嚥下ムセ検出装置460と座面センサ440が併用されていると判定してもよい。この場合、被介助者は車椅子630を用いて食事を行っていると考えられる。
同様に、嚥下ムセ検出装置460の併用デバイスは、図9に示した検出装置430であってもよい。デバイス種類情報取得部113は、嚥下ムセ検出装置460がアクティブであり、且つ、検出装置430からの検出結果やセンシングデータのログが取得されている場合に、嚥下ムセ検出装置460と検出装置430が併用されていると判定してもよい。あるいはデバイス種類情報取得部113は、検出装置430からの検出結果やセンシングデータのログに基づいて、被介助者が在床状態であると判定された場合に、嚥下ムセ検出装置460と検出装置430が併用されていると判定してもよい。この場合、被介助者はベッド610を用いて食事を行っていると考えられる。
図22は、嚥下ムセ検出装置460における動作モードの決定処理を説明するフローチャートである。まずステップS601において、嚥下ムセ検出装置460の処理部210は、対象となる被介助者を特定する処理を行う。例えば処理部210は、端末装置462が撮像した撮像画像に対する顔認識処理に基づいて被介助者を特定してもよい。
ステップS602において、嚥下ムセ検出装置460は、被介助者の能力情報を取得する。例えば処理部210は、図18のステップS301やS306に示すデータをサーバシステム100から受信することによって、能力情報を特定する。
ステップS603において、嚥下ムセ検出装置460は、能力情報に基づいて、被介助者の能力が、食事がうまくできない状態まで低下しているか否かを判定する。能力が低下していない場合(ステップS603:No)、嚥下ムセ検出装置460を用いた判定の必要性は低いため、ステップS604において、処理部210は、嚥下ムセ検出装置460の動作モードを非アクティブに対応するモード0に設定する。
食事がうまくできない状態まで被介助者の能力が低下している場合(ステップS603でYes)、ステップS605において嚥下ムセ検出装置460はデバイス種類情報取得部113から併用デバイスを特定する情報を取得する。なお、上述した例からもわかるように、ここではベッド610での食事か車椅子630での食事かを判定できればよいため、併用デバイスの種類が重要である一方で、ベンダや型番まで特定する必要性は低い。よってステップS605において嚥下ムセ検出装置460は、併用デバイスのデバイス種類IDを取得する。
ステップS606において、嚥下ムセ検出装置460は、デバイス種類情報に基づく判定を行う。具体的には、嚥下ムセ検出装置460は食事が車椅子630を用いて行われているかを判定する。具体的には上述したように、嚥下ムセ検出装置460は、デバイス種類情報によって表される併用デバイスが、座面センサ440であるか検出装置430であるかを判定してもよい。食事が車椅子630を用いて行われている場合(ステップS606:Yes)、食堂等までの移動が可能であることになるため、被介助者の状態が相対的によい。よってステップS607において、処理部210は嚥下ムセ検出装置460の動作モードを、嚥下時間等を用いた通常の判定を行うモードに設定する。
一方、食事がベッド610を用いて行われている場合(ステップS606:No)、被介助者は移動が容易でない、あるいはベッド610のように柔軟な背角度設定が可能な機器がなければ食事が難しい状態であると推定される。よってステップS608において、処理部210は嚥下ムセ検出装置460の動作モードを、より誤嚥リスクを低減可能なモードに設定する。例えば嚥下ムセ検出装置460は、単にムセの有無を検出するだけでなく、ムセの内容を判定する処理を行ってもよい。例えば嚥下ムセ検出装置460は、ムセが誤嚥につながりやすい危険なムセであるか否かを判定してもよい。また、嚥下ムセ検出装置460は、被介助者が眠そうにしているか否かの判定を行ってもよい。眠そうか否かの判定は、例えば端末装置462の撮像する撮像画像に基づいて、目の開閉、口や手の動く頻度等に基づいて行われてもよい。また眠そうか否かの判定が、検出装置430を用いて実行されてもよい。
なお以上では、車椅子630とベッド610の2通りの併用デバイスを例示したがこれには限定されない。例えば車椅子630として、通常の車椅子とリクライニング車椅子とが用いられてもよい。この場合、背角度調整の柔軟性は、通常の車椅子、リクライニング車椅子、ベッド610の順で高くなる。よって嚥下ムセ検出装置460は、通常の車椅子、リクライニング車椅子、ベッド610の順でより手厚い介護が実行できるように、動作モードが制御されてもよい。例えば嚥下ムセ検出装置460は、上記の順で、アクティブに設定するアプリケーションの数を増やしてもよい。
また以上では、嚥下ムセ検出装置460が動作モードの設定対象となるデバイス200であり、座面センサ440や検出装置430が併用デバイスである例について説明した。ただし、座面センサ440や検出装置430が動作モードの設定対象となるデバイス200であり、嚥下ムセ検出装置460が併用デバイスとなってもよい。換言すれば、本実施形態の手法では、複数のデバイス200が併用される場合に、当該複数のデバイス200が相互に連動することによって動作モードが変更されてもよい。例えば、図10に示した座面センサ440と、図11に示した車椅子ポジションの調整に用いられる端末装置450は、いずれか一方を用いることでも転落リスクの低減に有用である。ただし、座面センサ440及び端末装置450は両方が併用されてもよい。そしてこの場合、一方のデバイス200の制御に連動して、他方のデバイス200の制御が行われてもよい。
例えば、能力情報に基づいて被介助者が歩行できない状態に移行したと判定された場合、まず座面センサ440がアクティブに対応する動作モードに移行し、端末装置450は非アクティブに対応する動作モードを維持してもよい。このようにすれば、まずは前ズレ横ズレ判定が行われるとともに、ログデータを用いて座位保持能力が求められる。
そして、座位保持能力が所定以下に低下したと判定された場合、端末装置450はアクティブに対応する動作モードに移行する。これにより、デバイス種類情報取得部113は、座面センサ440に対して、端末装置450が併用デバイスである旨のデータを送信する。そして座面センサ440は、端末装置450が併用される場合、併用されない場合とは異なる動作モードに設定されてもよい。例えば座面センサ440の処理部210は、判定における閾値を変更してもよい。あるいは、座面センサ440は、前ズレ横ズレ判定等における基準(初期値)を内部で決定する動作モードから、端末装置450を用いたポジション調整が行われたタイミング等に基づいて当該基準を決定する動作モードへ切り替わってもよい。またこれ以外の場合にも同様に、座面センサ440と端末装置450の一方の情報に基づいて、他方の制御が変更されてもよい。
あるいは、座面センサ440は、端末装置450において取得された情報に基づいて、動作モードが制御されてもよい。例えば端末装置450では、介助者が被介助者の姿勢を調整する際に気をつけるべきポイントを入力できる。例えば、右肩の位置を注意する、右腕の下にクッションを入れる等のポイントが入力されることがあり、端末装置450では、当該ポイントに基づいて、被介助者の属性を推定できる。上記の例であれば、被介助者が右肩麻痺気味であるという属性が求められる。座面センサ440は、これらの情報に基づいて動作モードを決定してもよい。例えば座面センサ440は、前ずれ横ずれ判定を行うアプリケーションとして、麻痺の有無や麻痺が生じている部位に応じて異なる複数のアプリケーションを記憶してもよい。そして座面センサ440は、端末装置450から取得された属性に基づいて、各アプリケーションのアクティブ/非アクティブを制御する。上記の例であれば、座面センサ440は、右肩麻痺の被介助者に適した前ずれ横ずれ判定を行うアプリケーションをアクティブとし、他の前ずれ横ずれ判定を行うアプリケーションを非アクティブに設定する。このようにすれば、前ずれ横ずれ判定の暗黙知を複数使用可能な座面センサ440において、被介助者の属性に合わせて暗黙知を切り替えることが可能になる。
また本実施形態のサーバシステム100は、併用デバイスの動作モードを特定するモード情報を取得し、デバイス種類情報及びモード情報をデバイス200に送信してもよい。デバイス200は、能力情報、デバイス種類情報及びモード情報に基づいて、複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する。
例えば座面センサ440において、前ずれ横ずれ判定に加えて転落可能性の判定を行う動作モードに移行した場合、端末装置450では車椅子ポジションの適否を判定する通常処理に加えて、クッション等をレコメンドする追加処理を実行する動作モードに移行してもよい。あるいは、座面センサ440での動作モードが変化した場合に、端末装置450において正解と判定する教師データを切り替える処理が実行されてもよい。その他、具体的な動作モードの連携手法については種々の変形実施が可能である。
このようにすれば、単純なアクティブ/非アクティブに限定されず、より詳細な動作モードを用いて、複数のデバイス200を連動させることが可能になる。上記の例であれば、車椅子ポジションの検出に係るデバイス200と、車椅子ポジションの調整支援に係るデバイス200を適切に連携させられるため、被介助者の転落リスク等をより低減することが可能になる。なおここでは座面センサ440と端末装置450の連携について説明したが、他のデバイス200が連携して動作することも妨げられない。
また以上では能力情報とシーン情報の組み合わせ、及び能力情報とデバイス種類情報の組み合わせについて説明したが、能力情報、シーン情報及びデバイス種類情報の3つが組み合わされてもよい。
また本実施形態の手法では、介助の種類とデバイス200の種類とが対応付けられてもよい。例えば、図12に示した嚥下ムセ検出装置460は、食事介助に特有のデバイス200であり、嚥下ムセ検出装置460が動作中である場合、被介助者の食事介助が行われている蓋然性が高い。このように、デバイス200の中にはデバイス種類情報と介助の種類の対応付けが可能なデバイスが存在する。例えば、嚥下ムセ検出装置460は、アクティブ状態であればゲートウェイ300を介してサーバシステム100と通信するため、シーン情報取得部112は、嚥下ムセ検出装置460との通信有無に基づいて、嚥下ムセ検出装置460の動作状態を判定できる。
例えばサーバシステム100のシーン情報取得部112は、デバイス種類情報取得部113が取得したデバイス種類情報に基づいて、介助の種類を表すシーン情報を求め、当該シーン情報をデバイス200に送信してもよい。例えばシーン情報取得部112は、嚥下ムセ検出装置460がアクティブである場合に食事中と判定し、非アクティブである場合に食事中でないと判定する。あるいはサーバシステム100は、デバイス種類情報取得部113が取得したデバイス種類情報をデバイス200に送信し、デバイス200において、当該デバイス200に対応付けられた介助種類に応じて動作モードを決定する処理を行ってもよい。例えばデバイス200は、嚥下ムセ検出装置460が併用デバイスである場合に、食事介助に適した動作モードを選択する処理を行ってもよい。以上のように、介助の種類に合わせた動作モード設定は、シーン情報に関する処理として実行されてもよいし、デバイス種類情報に関する処理として実行されてもよく、具体的な実施態様は種々の変形実施が可能である。
4.デバイスの他の例
また本実施形態におけるデバイス200は、上述したものに限定されない。例えば本実施形態のデバイス200は、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)の判定を行うMCI判定デバイスであってもよい。例えばMCI判定デバイスは、音声や画像を用いて被介助者に対して質問を行い、当該質問に対する応答を受け付ける処理を行う。ここでの質問は、MMSE(Mini-Mental State Examination)等を用いたものであってもよいし、他の方式の質問であってもよい。MCI判定デバイスは、被介助者の応答に基づいてMCI判定を行う。またMCI判定デバイスは、被介助者の睡眠に関する情報等に基づいてMCIの判定を行ってもよい。
また本実施形態におけるデバイス200は、介助の履歴を自動で記録する介助記録デバイスであってもよい。例えば介助記録デバイスは、介助者及び被介助者の少なくとも一方の位置情報を検出するデバイス200であってもよい。介助記録デバイスは、例えば対象の人物がベッド610にいる時間、トイレにいる時間、風呂にいる時間、食堂にいる時間等を判定し、判定結果に基づいてどのような種類の介助がどの程度の頻度、時間で行われたかを介助記録として記憶する処理を行う。介助記録デバイスは、例えば介助スケジュール等が厳密に設定されていない在宅介護等に有用である。
また本実施形態のデバイス200は、図23に示す背もたれの角度調整が可能なリクライニング車椅子510や、図24に示すボトム面の角度調整が可能な介護ベッド520を含んでもよい。リクライニング車椅子510及び介護ベッド520は、例えば図7や図18に示した制御対象デバイスである。例えば、嚥下ムセ検出装置460によってムセが検出された場合に、被介助者の嚥下に適した角度に背もたれやボトムの角度が制御される。
また、座面センサ440や端末装置450の処理結果に基づいてリクライニング車椅子510が制御されてもよい。例えば、図10や図11に示した車椅子630は、制御対象デバイスであるリクライニング車椅子510であってもよい。同様に、ベッドサイドセンサ420、検出装置430、ベッドポジション検出装置470、メガネ型デバイス480等の処理結果に基づいて介護ベッド520が制御されてもよい。例えば、図9、図13、図14に示したベッド610は制御対象デバイスである介護ベッド520であってもよい。
その他、本実施形態で用いられるデバイス200は、形状、センサの数や種類、処理内容等に関して種々の変形実施が可能である。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。またサーバシステム、デバイス、情報処理システム等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10…情報処理システム、100…サーバシステム、110…処理部、111…能力情報取得部、112…シーン情報取得部、113…デバイス種類情報取得部、114…通信処理部、120…記憶部、121…ユーザ情報、122…デバイス情報、123…アプリケーション情報、130…通信部、200…デバイス、210…処理部、220…記憶部、230…通信部、240…表示部、250…操作部、300…ゲートウェイ、410…撮像装置、420…ベッドサイドセンサ、430…検出装置、440…座面センサ、441…クッション、442…制御ボックス、450…端末装置、460…嚥下ムセ検出装置、461…スロートマイク、462…端末装置、470…ベッドポジション検出装置、471…第1端末装置、472…第2端末装置、473…ディスプレイ、480…メガネ型デバイス、510…リクライニング車椅子、520…介護ベッド、610…ベッド、620…マットレス、630…車椅子、IM1…出力画像、ReD…オムツ領域、Se1~Se4…圧力センサ

Claims (8)

  1. 複数の動作モードの何れかで動作し、被介助者の介助に用いられるデバイスと、
    前記デバイスとネットワークを介して接続されるサーバシステムと、
    を含み、
    前記サーバシステムは、
    前記デバイスから送信されたセンシングデータに基づいて、前記被介助者の活動能力を表す能力情報を求め、求めた前記能力情報を前記デバイスに送信し、
    前記デバイスは、
    前記能力情報に基づいて、前記複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する情報処理システム。
  2. 請求項1において、
    前記サーバシステムは、
    前記被介助者の前記介助のシーンを特定するシーン情報を前記デバイスに送信し、
    前記デバイスは、
    前記能力情報及び前記シーン情報に基づいて、前記複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する情報処理システム。
  3. 請求項1または2において、
    前記サーバシステムは、
    前記デバイスと同じ前記被介助者の前記介助に用いられる併用デバイスの種類を特定するデバイス種類情報を前記デバイスに送信し、
    前記デバイスは、
    前記能力情報及び前記デバイス種類情報に基づいて、前記複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する情報処理システム。
  4. 請求項3において、
    前記サーバシステムは、
    前記併用デバイスの前記動作モードを特定するモード情報を取得し、前記デバイス種類情報及び前記モード情報を前記デバイスに送信し、
    前記デバイスは、
    前記能力情報、前記デバイス種類情報及び前記モード情報に基づいて、前記複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する情報処理システム。
  5. 請求項1または2において、
    前記デバイスのうちの第1デバイスは、前記能力情報によって表される能力値が所定閾値以上の範囲において、前記能力値の低下に伴って使用する機能が増える前記動作モードに設定され、前記能力値が前記所定閾値未満の範囲において、前記所定閾値以上の範囲に比べて使用する機能が少ない前記動作モードに設定される情報処理システム。
  6. 請求項5において、
    前記第1デバイスは、前記被介助者の動き出しにおける転倒リスクの判定を行う情報処理システム。
  7. 複数の動作モードの何れかで動作し、被介助者の介助に用いられるデバイスと通信を行う通信部と、
    前記デバイスから送信されたセンシングデータに基づいて、前記被介助者の活動能力を表す能力情報を求める処理を行う処理部と、
    を含み、
    前記処理部は、
    前記デバイスが前記複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する情報として、前記能力情報を、前記通信部を介して前記デバイスに送信する処理を行う情報処理装置。
  8. 複数の動作モードの何れかで動作し、被介助者の介助に用いられるデバイスと、前記デバイスとネットワークを介して接続されるサーバシステムと、を含む情報処理システムにおける情報処理方法であって、
    前記デバイスによって取得されたセンシングデータに基づいて、前記被介助者の活動能力を表す能力情報を求め、
    求めた前記能力情報に基づいて、前記デバイスが前記複数の動作モードのうちのいずれで動作するかを決定する、
    情報処理方法。
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