JP2023169707A - 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】流路内の泡溜まりの影響を低減すること。【解決手段】主走査方向に走査しながら液体を吐出する液体吐出ヘッドは、圧力室内の液体を吐出するための吐出素子と、圧力室に液体を供給する供給流路と、供給流路と圧力室を介して接続され、圧力室から液体を回収する回収流路と、供給流路から圧力室内に液体を供給し、かつ、回収流路から圧力室内の液体を回収して供給流路へ液体を送液可能な循環ポンプと、循環ポンプの出口流路と供給流路との間に配される第1圧力調整手段と、前記循環ポンプの入口流路と回収流路との間に配される第2圧力調整手段と、第1圧力調整手段と第2圧力調整手段とを連通させるバイパス流路と、を備える。第1圧力調整手段および第2圧力調整手段のうちの少なくとも一方は、主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成されている。【選択図】図11

Description

本開示は、液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に関する。
液体吐出ヘッドと液体収容部との間で液体を循環させることで、流路中の気泡の排出、及び、吐出口近傍のインクの増粘を抑制する循環型の液体吐出装置が知られている。循環型の液体吐出装置の中には、液体吐出ヘッド外部の本体側ポンプを用いて液体吐出ヘッドと本体の間で液体を循環させるものもあれば、液体吐出ヘッド内のポンプを用いて液体吐出ヘッド内で液体を循環させるものもある。
特許文献1には、液体吐出ヘッド内に圧電方式の循環ポンプを搭載することで、液体吐出ヘッド内のインクを循環させる液体吐出装置が開示されている。特許文献1の構成では、循環ポンプから圧力制御機構へ供給されたインクは、インク供給流路を介して圧力室に供給され、吐出されなかったインクは、インク回収流路を介して循環ポンプへ回収される。
特開2014-195932号公報
特許文献1では、圧力室に供給されるインクは、圧力制御機構からインク供給流路を介して供給されるインクのみである。即ち、インク回収流路を逆流して圧力室にインクが供給されることはない。これは、インクを循環させる循環ポンプに逆止弁が搭載されており、循環流路において、一方向のみにしかインクが循環しない構成となっているからである。そのため、例えば流路内に泡溜まりが発生した場合、泡溜まりの影響を低減することが難しい。その結果、吐出安定性が低下する虞がある。
本開示は、流路内の泡溜まりの影響を低減することを目的とする。
本開示の一態様に係る液体吐出ヘッドは、主走査方向に走査しながら液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、圧力室内の液体を吐出するための圧力を発生する吐出素子と、前記圧力室に液体を供給する供給流路と、前記供給流路と前記圧力室を介して接続され、前記圧力室から液体を回収する回収流路と、前記供給流路から前記圧力室内に液体を供給し、かつ、前記回収流路から前記圧力室内の液体を回収して前記供給流路へ液体を送液可能な循環ポンプと、前記循環ポンプの出口流路と前記供給流路との間に配され、前記供給流路の圧力を調整する第1圧力調整手段と、前記循環ポンプの入口流路と前記回収流路との間に配され、前記回収流路の圧力を調整する第2圧力調整手段と、前記第1圧力調整手段と前記第2圧力調整手段とを連通させるバイパス流路と、を備え、前記第1圧力調整手段および前記第2圧力調整手段のうちの少なくとも一方は、前記主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成されていることを特徴とする。
本開示によれば、流路内の泡溜まりの影響を低減することができる。
液体吐出装置を説明する図である。 液体吐出ヘッドの分解斜視図である 液体吐出ヘッドの縦断面及び吐出モジュールの拡大断面図である。 循環ユニットの外観概略図である 循環経路を示す縦断面図である。 循環経路を模式的に示すブロック図である。 圧力調整手段の例を示す断面図である。 記録動作を行っているときのインクの流れを模式的に示した図である。 吐出口付近におけるインクの逆流を模式的に示す図である。 吐出モジュール300内のインク供給を説明する図である。 キャリッジ走査によって生じるインク循環を説明する図である。 慣性力によって生じる圧力制御室内の圧力変動を説明する図である。 圧力調整手段における負圧値の測定データの一例を示す図である。 圧力調整手段を説明する図である。 圧力調整手段の例を示す図である。 液体吐出ヘッド内のインクの流れを説明する図である。 インク1色分の循環経路を示した模式図である。 開口プレートを示した図である。 吐出素子基板を示した図である。 インク流れを示した断面図である。 吐出口の近傍を示した断面図である。 液体吐出ヘッドの流路構成を示した図である。 循環ポンプ等の配置をより詳細に示す概略構成図である。 循環ポンプの外観斜視図である。 循環ポンプの断面図である。 循環経路を模式的に示す図である。 循環経路を模式的に示す図である。 循環経路を模式的に示す図である。 循環経路を模式的に示す図である。 循環経路を模式的に示す図である。
以下、添付図面を参照して本開示の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は本開示事項を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせすべてが本開示の解決手段に必須のものとは限らない。尚、同一の構成要素には同一の参照番号を付す。本実施形態では、液体を吐出する吐出素子として、電熱変換素子により気泡を発生させて液体を吐出するサーマル方式を採用した例を用いて説明するが、これに限られない。圧電素子(ピエゾ)を用いて液体を吐出する吐出方式、または、他の吐出方式が採用された液体吐出ヘッドにも適用することができる。さらに、以下に説明するポンプ及び圧力調整手段等も、実施形態及び図面に記載されている構成自体に限定されるものではない。
<<第1実施形態>>
<液体吐出装置>
図1は、液体吐出装置を説明するための図であり、液体吐出装置の液体吐出ヘッド及びその周辺の拡大図である。まず、本実施形態における液体吐出装置50の概略構成を、図1を参照しつつ説明する。図1(a)は、液体吐出ヘッド1を用いる液体吐出装置を模式的に示す斜視図である。本実施形態の液体吐出装置50は、液体吐出ヘッド1を走査しつつ液体としてのインクを吐出して記録媒体Pへの記録を行うシリアル型のインクジェット記録装置を構成している。
液体吐出ヘッド1は、キャリッジ60に搭載されている。キャリッジ60は、ガイド軸51に沿って主走査方向(X方向)に沿って往復移動する。記録媒体Pは、搬送ローラ55、56、57、58によって、主走査方向と交差(本例の場合は、直交)する副走査方向(Y方向)に搬送される。尚、以下で参照する各図において、Z方向は鉛直方向を示しており、X方向及びY方向によって規定されるX-Y平面と交差(本例の場合は、直交)している。液体吐出ヘッド1は、ユーザによって、キャリッジ60に対し取り外し及び取り付けが可能に構成されている。
液体吐出ヘッド1は、循環ユニット54と、後述する吐出ユニット3(図2参照)とを含み構成されている。具体的な構成については後述するが、吐出ユニット3には、複数の吐出口と、各吐出口から液体を吐出するための吐出エネルギーを発するエネルギー発生素子(以下、吐出素子と称す)とが設けられている。
また、液体吐出装置50には、インクの供給源であるインクタンク2及び外部ポンプ21が設けられており、インクタンク2に貯留されたインクは、外部ポンプ21の駆動力によってインク供給チューブ59を介して循環ユニット54に供給される。
液体吐出装置50は、キャリッジ60に搭載された液体吐出ヘッド1が主走査方向へと移動しつつインクを吐出して記録を行う記録走査と、記録媒体Pを副走査方向へと搬送する搬送動作とを繰り返すことにより、記録媒体Pに所定の画像を形成する。尚、本実施形態における液体吐出ヘッド1は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4種類のインクを吐出可能としており、これらのインクによってフルカラー画像を記録することが可能である。但し、液体吐出ヘッド1から吐出可能とするインクは、上記の4種類のインクに限定されない。他の種類のインクを吐出するための液体吐出ヘッドにも本開示は適用可能である。すなわち、液体吐出ヘッドから吐出するインクの種類及びその数は限定されない。
また、液体吐出装置50には記録媒体Pの搬送路からX方向に外れた位置に、液体吐出ヘッドの吐出口が形成された吐出口面を覆うことが可能なキャップ部材(不図示)が設けられている。キャップ部材は、非記録動作時において液体吐出ヘッド1の吐出口面を覆い、吐出口の乾燥防止や保護、吐出口からのインク吸引動作等に使用される。
尚、図1(a)に示す液体吐出ヘッド1は、4種類のインクに応じた4つの循環ユニット54が液体吐出ヘッド1に備えられている例を示しているが、吐出する液体の種類に応じた循環ユニット54が備えられていればよい。また、同種類の液体に対して複数の循環ユニット54が備えられていてもよい。即ち、液体吐出ヘッド1は、1つ以上の循環ユニットを備える構成とすることができる。4種類のインク全てを循環せず、少なくとも1つのインクのみ循環する構成でもよい。
図1(b)は、液体吐出装置50の制御系を示すブロック図である。CPU103は、ROM101に格納された処理手順等のプログラムに基づいて液体吐出装置50の各部の動作を制御する制御手段としての機能を果す。RAM102は、CPU103が処理を実行する際のワークエリア等として用いられる。CPU103は、液体吐出装置50の外部のホスト装置400からの画像データを受信してヘッドドライバ1Aを制御し、吐出ユニット3に設けられた吐出素子の駆動を制御する。また、CPU103は、液体吐出装置に設けられた種々のアクチュエータのドライバの制御も行う。例えば、CPU103は、キャリッジ60を移動させるためのキャリッジモータ105のモータドライバ105A、及び、記録媒体Pを搬送させるための搬送モータ104のモータドライバ104A等の制御を行う。さらに、CPU103は、後述の循環ポンプ500の駆動を行うポンプドライバ500A、及び、外部ポンプ21のポンプドライバ21A等の制御を行う。尚、図1(b)では、ホスト装置400からの画像データを受信した処理を行う形態を示しているが、ホスト装置400からのデータに拠らずに液体吐出装置50で処理が行われてもよい。
<液体吐出ヘッドの基本構成>
図2は、本実施形態の液体吐出ヘッド1の分解斜視図である。図3は図2に示す液体吐出ヘッド1のIIIA-IIIA線断面図である。図3(a)は液体吐出ヘッド1の全体的な縦断面図、図3(b)は図3(a)に示す吐出モジュールの拡大図である。以下、図2及び図3を中心に、図1を適宜参照しつつ、本実施形態における液体吐出ヘッド1の基本構成を説明する。
図2に示すように、液体吐出ヘッド1は、循環ユニット54と、循環ユニット54から供給されたインクを記録媒体Pに吐出するための吐出ユニット3とを含み構成されている。本実施形態における液体吐出ヘッド1は、液体吐出装置50のキャリッジ60に設けられている不図示の位置決め手段及び電気的接点によってキャリッジ60に固定支持される。液体吐出ヘッド1は、キャリッジ60と共に図1に示す主走査方向(X方向)に移動しながらインクを吐出し、記録媒体Pへの記録を行う。
インクの供給源となるインクタンク2に接続された外部ポンプ21には、インク供給チューブ59が設けられている(図1参照)。このインク供給チューブ59の先端には、不図示の液体コネクタが設けられている。液体吐出装置50に液体吐出ヘッド1が搭載された際、液体吐出ヘッド1のヘッド筐体53に設けられた、液体の導入口である液体コネクタ挿入口53aに、インク供給チューブ59の先端に設けられた液体コネクタが気密接続される。これにより、インクタンク2から外部ポンプ21を経て液体吐出ヘッド1に至るインク供給路が形成される。本実施形態では、4種類のインクを用いるため、インクタンク2、外部ポンプ21、インク供給チューブ59、及び循環ユニット54が、それぞれのインクに対応して4組設けられており、各インクに対応した4本のインク供給路が独立して形成されている。このように、本実施形態の液体吐出装置50には、液体吐出ヘッド1の外部に設けられたインクタンク2からインクが供給されるインク供給系が備えられている。尚、本実施形態の液体吐出装置50には、液体吐出ヘッド1内のインクをインクタンク2に回収するようなインク回収系は備えられていない。従って、液体吐出ヘッド1には、インクタンク2のインク供給チューブ59を接続するための液体コネクタ挿入口53aは設けられているが、液体吐出ヘッド1のインクをインクタンク2に回収するためのチューブを接続させるコネクタ挿入口は設けられていない。尚、液体コネクタ挿入口53aは、インク毎に設けられている。
図3において、54Bはブラックインク用の循環ユニットを、54Cはシアンインク用の循環ユニットを、54Mはマゼンタインク用の循環ユニットを、54Yはイエローインク用のインク循環ユニットを、それぞれ示している。各循環ユニットは略同様の構成を有しており、本実施形態において各循環ユニットを特に区別しない場合には、いずれも循環ユニット54と表記する。
図2及び図3(a)において、吐出ユニット3は、2つの吐出モジュール300、第1支持部材4、第2支持部材7、電気配線部材(電気配線テープ)5、及び電気コンタクト基板6を備える。図3(b)に示すように、吐出モジュール300は、厚さ0.5~1mmのシリコン基板310と、シリコン基板310の片面に設けられた複数の吐出素子15とを備えている。本実施形態における吐出素子15は、液体を吐出するための吐出エネルギーとして熱エネルギーを発生する電気熱変換素子(ヒータ)により構成されている。各吐出素子15には、シリコン基板310上に成膜技術によって形成された電気配線を介して電力が供給される。
また、シリコン基板310の表面(図3(b)において下面)には、吐出口形成部材320が形成されている。吐出口形成部材320には、複数の吐出素子15に対応する複数の圧力室12と、インクを吐出する複数の吐出口13とがフォトリソグラフィ技術によってそれぞれ形成されている。さらに、シリコン基板310には、共通供給流路18と共通回収流路19とが形成されている。また、シリコン基板310には、共通供給流路18と各圧力室12とを連通する供給接続流路323と、共通回収流路19と各圧力室12とを連通する回収接続流路324が形成されている。本実施形態では、1つの吐出モジュール300が、2種類のインクの吐出を行うように構成されている。即ち、図3(a)に示す2つの吐出モジュールのうち、図中の左側に位置する吐出モジュール300は、ブラックインクとシアンインクの吐出を行い、図中の右側に位置する吐出モジュール300は、マゼンタインクとイエローインクの吐出を行う。尚、この組み合わせは一例であり、インクの組み合わせはいずれであってもよい。1つの吐出モジュールが1種類のインクを吐出する構成でもよいし、3種類以上のインクを吐出する構成としてもよい。2つの吐出モジュール300が同じ種類数のインクを吐出するものでなくてもよい。1つの吐出モジュール300が備えられる構成としてもよいし、3つ以上の吐出モジュール300が備えらえる構成としてもよい。さらに、図3に示す例では、1色のインクに対して、Y方向に延在する2つの吐出口列が形成されている。各吐出口列を構成する複数の吐出口13の各々に対し、圧力室12、共通供給流路18及び共通回収流路19がそれぞれ形成されている。
シリコン基板310の裏面(図3(b)において上面)側には、後述するインク供給口及びインク回収口が形成されている。インク供給口は複数の共通供給流路18にインク供給流路48からインクを供給し、インク回収口は複数の共通回収流路19からインク回収流路49にインクを回収する。
尚、ここでいうインク供給口及びインク回収口は、後述する順方向のインク循環時においてインクの供給及び回収を行う開口を指す。すなわち、順方向へのインク循環時にはインク供給口から各共通供給流路18にインクが供給されると共に、各共通回収流路19からインク回収口へとインクが回収される。但し、逆方向へインクを流すインク循環を行う場合もある。この場合には、上記で説明したインク回収口から共通回収流路19にインクが供給されると共に、共通供給流路18からインク供給口へとインクが回収されることになる。
図3(a)に示すように、吐出モジュール300は、その裏面(図3(a)における上面)が、第1支持部材4の一方の面(図3(a)において下面)に接着固定されている。第1支持部材4には、その一方の面から他方の面に亘って貫通するインク供給流路48とインク回収流路49とが形成されている。インク供給流路48の一方の開口はシリコン基板310における前述のインク供給口に、インク回収流路49の一方の開口はシリコン基板310における前述のインク回収口に、それぞれ連通している。尚、インク供給流路48及びインク回収流路49は、インクの種類毎に独立して設けられている。
また、第1支持部材4の一方の面(図3(a)における上面)には、吐出モジュール300を挿通させる開口7a(図2参照)を有する第2支持部材7が接着固定されている。第2支持部材7には、吐出モジュール300に対して電気的に接続される電気配線部材5が保持されている。電気配線部材5は、インクを吐出するための電気信号を吐出モジュール300に印加するための部材である。吐出モジュール300と電気配線部材5との電気接続部分は、封止材(不図示)により封止され、インクによる腐食や外的衝撃から保護されている。
また、電気配線部材5の端部5a(図2参照)には、不図示の異方性導電フィルムを用いて電気コンタクト基板6が熱圧着され、電気配線部材5と電気コンタクト基板6とは電気的に接続されている。電気コンタクト基板6は、液体吐出装置50からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子(不図示)を有している。
さらに、第1支持部材4と循環ユニット54との間にはジョイント部材8(図3(a))が設けられている。ジョイント部材8には、供給口88と回収口89とがインクの種類毎に形成されている。供給口88及び回収口89は、第1支持部材4のインク供給流路48及びインク回収流路49と循環ユニット54に形成される流路とを連通させる。尚、図3(a)において、供給口88B及び回収口89Bはブラックインクに対応し、供給口88C及び回収口89Cはシアンインクに対応する。また、供給口88M及び回収口89Mはマゼンタインクに対応し、供給口88Y及び回収口89Yはイエローインクに対応している。
尚、第1支持部材4のインク供給流路48及びインク回収流路49のそれぞれの一端部の開口は、シリコン基板310におけるインク供給口及びインク回収口に合わせた小さな開口面積を有している。これに対し、第1支持部材4のインク供給流路48及びインク回収流路49のそれぞれの他端部の開口は、循環ユニット54の流路に合わせて形成されたジョイント部材8の大きな開口面積と同一の開口面積にまで拡大させた形状を有している。このような構成を採ることにより、各回収流路から集められたインクに対する流路抵抗の上昇を抑制することができる。但し、インク供給流路48及びインク回収流路49のそれぞれの一端部及び他端部の開口の形状は、上記の例に限定されない。
上記構成を有する液体吐出ヘッド1において、循環ユニット54に供給されたインクは、ジョイント部材8の供給口88及び第1支持部材4のインク供給流路48を経て、吐出モジュール300のインク供給口から共通供給流路18に流入する。続いてインクは共通供給流路18から供給接続流路323を介して圧力室12に流入し、圧力室内に流入したインクの一部は、吐出素子15の駆動によって吐出口13から吐出される。吐出されなかった残りのインクは、圧力室12から回収接続流路324、共通回収流路19を経てインク回収口から第1支持部材4のインク回収流路49に流入する。そして、インク回収流路49に流入したインクは、ジョイント部材8の回収口89を経て循環ユニット54へと流入し、回収される。
<循環ユニットの構成要素>
図4は、本実施形態の記録装置に適用される1種類のインクに対応する1つの循環ユニット54の外観概略図である。循環ユニット54には、フィルタ110、第1圧力調整手段120、第2圧力調整手段150、及び循環ポンプ500が配置されている。これらの構成要素は、図5及び図6に示すように各流路によって接続され、液体吐出ヘッド1内において、吐出モジュール300に対してインクの供給及び回収を行う循環経路を構成している。
<液体吐出ヘッド内の循環経路>
図5は、液体吐出ヘッド1内に構成される1種類のインク(1色のインク)の循環経路を模式的に示す縦断面図である。循環経路をより明確に説明するため、図5における各構成(第1圧力調整手段120、第2圧力調整手段150、循環ポンプ500等)の相対位置は簡略化している。そのため各構成の相対位置は後述する図19の構成とは異なる。また、図6は、図5に示した循環経路を模式的に示すブロック図である。図5及び図6に示すように、第1圧力調整手段120は、第1バルブ室121及び第1圧力制御室122を備えている。第2圧力調整手段150は、第2バルブ室151及び第2圧力制御室152を備えている。第1圧力調整手段120は、第2圧力調整手段150よりも相対的に制御圧力が高くなるように構成されている。本実施形態では、この二つの圧力調整手段120、150を用いることで、循環経路内において一定の圧力範囲での循環を実現している。また、第1圧力調整手段120と第2圧力調整手段150との圧力差に応じた流量で圧力室12(吐出素子15)をインクが流れるように構成されている。以下、図5及び図6を参照しつつ、液体吐出ヘッド1における循環経路及び循環経路内におけるインクの流れを説明する。尚、各図中の矢印はインクの流れる方向を示している。
まず、液体吐出ヘッド1における各構成要素の接続状態を説明する。
液体吐出ヘッド1の外部に設けられたインクタンク2(図6)に収容されたインクを液体吐出ヘッド1へ送る外部ポンプ21は、インク供給チューブ59(図1)を介して循環ユニット54と接続されている。循環ユニット54の上流側に位置するインク流路にはフィルタ110が設けられている。フィルタ110の下流側に位置するインク供給路は、第1圧力調整手段120の第1バルブ室121に接続されている。第1バルブ室121は、図5に示すバルブ190Aにより開閉可能な連通口191Aを介して第1圧力制御室122に連通している。
第1圧力制御室122は、供給流路130、バイパス流路160、及び循環ポンプ500のポンプ出口流路180に接続されている。供給流路130は、吐出モジュール300に設けられた前述のインク供給口を介して共通供給流路18に接続されている。また、バイパス流路160は、第2圧力調整手段150に設けられた第2バルブ室151に接続されている。第2バルブ室151は、図5に示すバルブ190Bによって開閉する連通口191Bを介して第2圧力制御室152に連通している。尚、図5及び図6では、バイパス流路160の一端を第1圧力調整手段120の第1圧力制御室122に接続し、且つバイパス流路160の他端を第2圧力調整手段150の第2バルブ室151に接続した例を示している。しかし、バイパス流路160の一端を供給流路130に接続し、バイパス流路の他端を第2バルブ室151に接続してもよい。
第2圧力制御室152は、回収流路140に接続されている。回収流路140は、吐出モジュール300に設けられた前述のインク回収口を介して共通回収流路19に接続されている。さらに、第2圧力制御室152は、ポンプ入口流路170を介して循環ポンプ500に接続されている。尚、図5において、170aはポンプ入口流路170の流入口を示している。
次に、上記構成を有する液体吐出ヘッド1におけるインクの流れについて説明する。図6に示すように、インクタンク2に収容されているインクは、液体吐出装置50に設けられた外部ポンプ21によって加圧され、正圧のインク流となって液体吐出ヘッド1の循環ユニット54に供給される。
循環ユニット54に供給されたインクは、フィルタ110を通過することにより塵埃などの異物や気泡が除去された後、第1圧力調整手段120に設けられた第1バルブ室121に流入する。フィルタ110を通過する際の圧力損失によってインクの圧力は低下するが、この段階でのインクの圧力は正圧の状態にある。その後、第1バルブ室121に流入したインクは、バルブ190Aが開状態にあるとき、連通口191Aを通過して第1圧力制御室122に流入する。連通口191Aを通過する際の圧力損失によって、第1圧力制御室122に流入したインクは、正圧から負圧へと切り替わる。
次に、循環経路内におけるインクの流れを説明する。循環ポンプ500は、その上流側となるポンプ入口流路170から吸引したインクを下流側となるポンプ出口流路180へとインクを送り出すように動作する。従って、ポンプが駆動されることにより、第1圧力制御室122に供給されたインクは、ポンプ出口流路180から送液されたインクと共に、供給流路130及びバイパス流路160に流入する。尚、詳細は後述するが、本実施形態では送液可能な循環ポンプとして、ダイヤフラムに貼り付けた圧電素子を駆動源とする圧電ダイヤフラムポンプを用いている。圧電ダイヤフラムポンプは、圧電素子に駆動電圧を入力することでポンプ室内の容積を変化させ、圧力変動によって2つの逆止弁が交互に動くことにより送液を行うポンプである。
供給流路130に流入したインクは、吐出モジュール300のインク供給口から共通供給流路18を介して圧力室12に流入し、その一部のインクは吐出素子15の駆動(発熱)によって吐出口13から吐出される。また、吐出に使用されなかった残りのインクは、圧力室12を流動し、共通回収流路19を通過した後、吐出モジュール300に接続されている回収流路140に流入する。回収流路140に流入したインクは、第2圧力調整手段150の第2圧力制御室152に流入する。
一方、第1圧力制御室122からバイパス流路160に流入したインクは、第2バルブ室151に流入した後、連通口191Bを通過して第2圧力制御室152に流入する。バイパス流路160を経由して第2圧力制御室152に流入したインクと回収流路140から回収されたインクとは、循環ポンプ500の駆動によってポンプ入口流路170を経て循環ポンプ500内に吸引される。そして、循環ポンプ500内に吸引されたインクは、ポンプ出口流路180へと送られ、第1圧力制御室122に再び流入する。以降では、第1圧力制御室122から供給流路130を介して吐出モジュール300を経て第2圧力制御室152に流入したインクと、バイパス流路160を介して第2圧力制御室152に流入したインクとが、循環ポンプ500に流入する。そして、循環ポンプ500から第1圧力制御室122に送られる。このようにして循環経路内でのインクの循環が行われることになる。
ここで、第1圧力調整手段120と圧力室12とを連通する流路を第1の流路と称し、圧力室12と循環ポンプ500とを連通する流路を第2の流路と称する。即ち、供給流路130を第1の流路と称し、回収流路140、第2圧力調整手段150及びポンプ入口流路170を合わせて第2の流路と称する。なお、第2の流路においては、第2圧力調整手段150及びポンプ入口流路170を有していなくてもよい。また、ポンプ出口流路180を第3の流路とも称する。したがって、本実施形態においては、循環ポンプ500、第3の流路、第1圧力調整手段120、第1の流路、圧力室12、第2の流路、循環ポンプ500の循環経路を順に液体が流動する。
以上のように、本実施形態では、循環ポンプ500によって、液体吐出ヘッド1内に形成した循環経路に沿って液体を循環させることが可能になる。このため、吐出モジュール300内でのインクの増粘や色材のインクの沈降成分の堆積を抑制することが可能となり、吐出モジュール300におけるインクの流動性および吐出口における吐出特性を良好な状態に保つことが可能になる。
また本実施形態における循環経路は、液体吐出ヘッド1内で完結する構成を採るため、液体吐出ヘッドの外部に設けられたインクタンク2と液体吐出ヘッド1との間でインクの循環を行う場合に比べ、循環経路長を大幅に短縮することができる。このため、インクの循環を小型な循環ポンプで行うことが可能になる。
更に、液体吐出ヘッド1とインクタンク2との接続流路としては、インクを供給する流路のみを備える構成となっている。即ち、液体吐出ヘッド1からインクタンク2へとインクを回収するための流路を不要とする構成を採る。このため、インクタンク2と液体吐出ヘッド1との接続にはインク供給用のチューブのみを設ければよく、インク回収用のチューブを設ける必要はない。従って、液体吐出装置50の内部を、チューブの本数が削減された簡潔な構成とすることができ、装置全体の小型化を実現することができる。更にチューブの本数が削減されることにより、液体吐出ヘッド1の主走査に伴うチューブの揺動に起因するインクの圧力変動を軽減することが可能になる。また、液体吐出ヘッド1の主走査時におけるチューブの揺動は、キャリッジ60を駆動するキャリッジモータの駆動負荷となる。このため、チューブの本数削減によってキャリッジモータの駆動負荷が低減され、キャリッジモータ等を含む主走査機構の簡略化を図ることが可能になる。更に、液体吐出ヘッドからインクタンクへのインクの回収が不要となるため、外部ポンプ21の小型化も可能となる。このように、本実施形態によれば、液体吐出装置50の小型化及びコスト低減を実現することができる。
<圧力調整手段>
図7は、圧力調整手段の例を示す図である。図7を参照して、上述の液体吐出ヘッド1に内蔵される圧力調整手段(第1圧力調整手段120、第2圧力調整手段150)の構成及び作用を、より詳細に説明する。尚、第1圧力調整手段120と第2圧力調整手段150とは、実質的に同一の構成を有している。このため、以下では、第1圧力調整手段120を例に採り説明し、第2圧力調整手段150については、図7において第1圧力調整手段に対応する部分の符号を併記するにとどめる。第2圧力調整手段150の場合には、以下で説明する第1バルブ室121を第2バルブ室151と読み替え、第1圧力制御室122を第2圧力制御室152と読み替えることとする。
第1圧力調整手段120は、円筒状の筐体125内に形成された第1バルブ室121と第1圧力制御室122とを有する。第1バルブ室121と第1圧力制御室122とは、円筒状の筐体125内に設けられた隔壁123によって隔てられている。但し、第1バルブ室121は、隔壁123に形成された連通口191を介して第1圧力制御室122に連通している。第1バルブ室121には、連通口191における第1バルブ室121と第1圧力制御室122との連通及び遮断を切り替えるバルブ190が設けられている。バルブ190は、バルブばね200によって、連通口191に対向する位置に保持されており、バルブばね200の付勢力によって隔壁123と密接可能な構成を有している。バルブ190が隔壁123に密接することにより、連通口191におけるインクの流通は遮断される。尚、隔壁123との密接性を高めるため、バルブ190の隔壁123との接触部分は弾性部材によって形成されることが好ましい。また、バルブ190の中央部には連通口191に挿通されるバルブシャフト190aが突設されている。このバルブシャフト190aをバルブばね200の付勢力に抗して押圧することにより、バルブ190は隔壁123から離間し、連通口191におけるインクの流通が可能になる。以下、バルブ190によって連通口191におけるインクの流通が遮断される状態を「閉状態」、連通口191におけるインクの流通が可能な状態を「開状態」と称す。
円筒状の筐体125の開口部は、可撓性部材230と圧力板210とにより閉塞されている。この可撓性部材230と、圧力板210と、筐体125の周壁と、隔壁123とにより、第1圧力制御室122が形成されている。圧力板210は、可撓性部材230の変位に伴って変位可能に構成されている。圧力板210及び可撓性部材230の材質は、特に限定されないが、例えば、圧力板210を樹脂成形部品で構成し、可撓性部材230を樹脂フィルムで構成することが可能である。この場合、圧力板210は可撓性部材230に熱溶着によって固定することができる。
圧力板210と隔壁123との間には、圧力調整ばね220(付勢部材)が設けられている。圧力調整ばね220の付勢力によって、圧力板210及び可撓性部材230は、図7(a)に示すように、第1圧力制御室122の内容積が広がる方向に付勢されている。また、第1圧力制御室122内の圧力が減少すると、圧力板210及び可撓性部材230は、圧力調整ばね220の圧力に抗して、第1圧力制御室122の内容積が減少する方向に変位する。そして、第1圧力制御室122の内容積が一定量まで減少すると、圧力板210がバルブ190のバルブシャフト190aに当接する。その後、さらに第1圧力制御室122の内容積が減少すると、バルブばね200の付勢力に抗してバルブシャフト190aと共にバルブ190が移動し、隔壁123から離間する。これにより、連通口191が開状態(図7(b)の状態)となる。
本実施形態では、連通口191が開状態となったときの第1バルブ室121の圧力を第1圧力制御室122の圧力よりも高くなるように、循環経路内における接続設定をする。これにより、連通口191が開状態となると、第1バルブ室121から第1圧力制御室122へとインクが流入する。このインク流入により、第1圧力制御室122の内容積が増加する方向へ可撓性部材230及び圧力板210が変位する。その結果、圧力板210がバルブ190のバルブシャフト190aから離間し、バルブ190はバルブばね200の付勢力によって隔壁123に密接し、連通口191は閉状態(図7(c)の状態)となる。
このように、本実施形態における第1圧力調整手段120では、第1圧力制御室122内の圧力が一定圧力以下まで減少すると(例えば負圧が強くなると)、第1バルブ室121から連通口191を介してインクが流入する。これにより、第1圧力制御室122の圧力がそれ以上減少しないように構成されている。従って、第1圧力制御室122は一定範囲内の圧力に保たれるよう制御される。
次に、第1圧力制御室122の圧力についてより詳細に説明する。
前述のように第1圧力制御室122の圧力に応じて可撓性部材230及び圧力板210が変位し、圧力板210がバルブシャフト190aに当接して連通口191が開状態となった状態(図7(b)の状態)を考える。このとき、圧力板210に働く力の関係は、次の式1によって表される。
P2×S2+F2+(P1-P2)×S1+F1=0・・・式1
さらに、式1をP2について整理すると、
P2=-(F1+F2+P1×S1)/(S2-S1)・・・式2
となる。
P1:第1バルブ室121の圧力(ゲージ圧)
P2:第1圧力制御室122の圧力(ゲージ圧)
F1:バルブばね200のばね力
F2:圧力調整ばね220のばね力
S1:バルブ190の受圧面積
S2:圧力板210の受圧面積
ここで、バルブばね200のばね力F1及び圧力調整ばね220のばね力F2は、バルブ190及び圧力板210を押す方向を正(図7において右方向)とする。また、第1バルブ室121の圧力P1及び第1圧力制御室122の圧力P2に関し、P1が、P1≧P2の関係となるように構成する。
連通口191が開状態となるときの第1圧力制御室122の圧力P2は、式2によって決定され、連通口191が開状態となると、P1≧P2の関係に構成したことにより、第1バルブ室121から第1圧力制御室122へインクが流入する。その結果、第1圧力制御室122の圧力P2はそれ以上減少せず、P2は一定範囲内の圧力に保たれる。
一方、図7(c)に示すように、圧力板210がバルブシャフト190aと非当接状態となり、連通口191が閉状態となったときの圧力板210に働く力の関係は、式3のようになる。
P3×S3+F3=0・・・式3
ここで、式3をP3について整理すると
P3=-F3/S3・・・式4
となる。
F3:圧力板210とバルブシャフト190aとが非当接状態にあるときの圧力調整ばね220のばね力
P3:圧力板210とバルブシャフト190aとが非当接状態にあるときの第1圧力制御室122の圧力(ゲージ圧)
S3:圧力板210とバルブ190が非当接状態にあるときの圧力板210の受圧面積
ここで図7(c)では、圧力板210及び可撓性部材230が変位可能な限界まで図右方向へ変位した状態を表している。圧力板210及び可撓性部材230が図7(c)の状態へと変位する間の変位量に応じて、第1圧力制御室122の圧力P3、圧力調整ばね220のばね力F3、圧力板210の受圧面積S3は変化する。具体的には、図7(c)よりも圧力板210及び可撓性部材230が図7において左方向にあるとき、圧力板210の受圧面積S3は小さくなり、圧力調整ばね220のばね力F3は大きくなる。その結果、式4の関係により第1圧力制御室122の圧力P3は小さくなる。従って、式2及び式4により、図7(b)の状態から図7(c)の状態になるまでの間に、第1圧力制御室122の圧力は徐々に上昇していく(つまり、負圧が弱くなり、正圧側に近づく値になる)。即ち、連通口191が開状態となっている状態から、圧力板210及び可撓性部材230が右方向に徐々に変位していき、最終的に第1圧力制御室122の内容積が変位可能な限界に達するまでの間に、第1圧力制御室の圧力は徐々に上昇していく。つまり、負圧が弱まっていくことになる。本実施形態において、第1圧力調整手段120は第1の流路内の液体の圧力を調整し、第2圧力調整手段150はポンプ入口流路170内(入口流路内)の液体の圧力を調整する。
<記録動作時のインク供給の説明>
図8は、吐出口13からインクを吐出して記録を行う記録動作を行っているときのインクの流れを模式的に示した図である。図8(a)は、図5に示した循環経路を模式的に示す図であり、図8(b)は、図3(b)に示した吐出モジュールの拡大図である。インク循環経路をより明確に説明するため、図8における各構成(第1圧力調整手段120、第2圧力調整手段150、循環ポンプ500等)の相対位置は簡略化している。そのため各構成の相対位置は後述する図23の構成とは異なる。図中の矢印はインクの流れを示している。
本実施形態において、記録動作を行う際には外部ポンプ21及び循環ポンプ500の両方が駆動を開始する。尚、記録動作に関わらず、外部ポンプ21及び循環ポンプ500が駆動していてもよい。また、外部ポンプ21と循環ポンプ500との駆動は、連動して行われなくてもよく、別個に独立して駆動されてもよい。
記録動作中は循環ポンプ500がONの状態(駆動状態)となっており、第1圧力制御室122から流出したインクは供給流路130及びバイパス流路160に流入する。供給流路130に流入したインクは、吐出モジュール300を通過した後、回収流路140に流入し、その後、第2圧力制御室152に供給される。
一方、第1圧力制御室122からバイパス流路160に流入したインクは、第2バルブ室151を経て第2圧力制御室152に流入する。第2圧力制御室152に流入したインクは、ポンプ入口流路170、循環ポンプ500、及びポンプ出口流路180を通過した後、再び第1圧力制御室122に流入する。このとき、第1バルブ室121による制御圧力は、前述した式2の関係に基づいて、第1圧力制御室122の制御圧力よりも高く設定されている。従って、第1圧力制御室122内のインクは、第1バルブ室121に流れずに再度供給流路130を介して吐出モジュール300に供給される。吐出モジュール300に流入したインクは、回収流路140、第2圧力制御室152、ポンプ入口流路170、循環ポンプ500、及びポンプ出口流路180を経て、再び第1圧力制御室122に流入する。以上により液体吐出ヘッド1内で完結するインク循環が行われる。
以上のインク循環において、吐出モジュール300内のインクの循環量(流量)は第1圧力制御室122及び第2圧力制御室152の制御圧力の差圧によって決定される。そして、この差圧は、吐出モジュール300内の吐出口近傍のインクの増粘を抑制可能な循環量となるように設定される。また、記録によって消費された分のインクは、インクタンク2からフィルタ110、第1バルブ室121を介して第1圧力制御室122に供給される。消費されたインクが供給される仕組みを、詳細に説明する。記録によって消費されたインクの分だけ循環経路内からインクが減ることで、第1圧力制御室内の圧力が減少し、結果として第1圧力制御室122内のインクも減少する。第1圧力制御室122内のインクの減少に伴い、第1圧力制御室122の内容積が減少する。この第1圧力制御室122の内容積の減少により、連通口191Aが開状態となり、第1バルブ室121から第1圧力制御室122にインクが供給される。この供給されるインクには、第1バルブ室121から連通口191Aを通過する際に圧力損失が発生し、第1圧力制御室122に流入することで、正圧のインクは、負圧の状態に切り替わる。そして、第1圧力制御室122に第1バルブ室121からインクが流入することで、第1圧力制御室内の圧力が上昇することで第1圧力制御室の内容積が増加し、連通口191Aが閉状態となる。このように、インクの消費に応じて連通口191Aは、開状態と閉状態とを繰り返すことになる。また、インクが消費されない場合には、連通口191Aは、閉状態に維持される。
図9は、吐出口付近におけるインクの逆流を模式的に示す図である。図9(a)は、図8(a)に対応し、図9(b)は、図8(b)に対応した図である。図8においては、圧力室12内のインクは、共通供給流路18から流入し、圧力室12を通過して、共通回収流路19から流出する流れを示した。一方、高いデューティの記録を続ける場合、回収流路140側からもインクが圧力室12に逆流する。つまり、圧力室12には、図9に示すように、供給流路130(共通供給流路18)および回収流路140(共通回収流路19)の両方から、インクがリフィルされることがある。以下、バイパス流路160が、供給流路130及び回収流路140の両側から圧力室12にインクを供給するために設けられている例を説明する。循環経路内の圧力変動は、吐出素子15による吐出動作によっても生じ得る。吐出動作に伴い、圧力室にインクを引き込む力が生じるからである。
以下、高いデューティの記録を続ける場合に、圧力室12に供給されるインクが、供給流路130側と回収流路140側との両側供給となる点を説明する。尚、デューティは、各種条件によって定義が変わり得るが、ここでは、1200dpi格子に4plのインク滴を1発記録した状態を100%として扱うものとする。高いデューティの記録とは、例えば100%のデューティで記録が行われるものとする。
高いデューティの記録を続けると、圧力室12から回収流路140を通じて第2圧力制御室152内に流入するインク量が減る。一方で、循環ポンプ500は一定量でインクの流出を行うため、第2圧力制御室152内での流入と流出とのバランスが崩れ、第2圧力制御室152内のインクが減少し、第2圧力制御室152内の負圧が強くなり、第2圧力制御室152が縮小する。そして、第2圧力制御室152内の負圧が強くなることで、バイパス流路160を介して第2圧力制御室152へ流入するインクの流入量が増え、流出と流入とがバランスした状態で第2圧力制御室152が安定する。このように、結果的に、デューティに応じて第2圧力制御室152内の負圧は強くなっていく。また、循環ポンプ500が駆動している場合に、連通口191Bが閉状態である構成においては、デューティに応じて連通口191Bが開状態となり、バイパス流路160から第2圧力制御室152にインクが流入することになる。
そして、更に高いデューティの記録を続けると、圧力室12から回収流路140を通じて第2圧力制御室152に流入する量が減り、代わりに、バイパス流路160を経由して連通口191Bから第2圧力制御室152内に流入する量が増えていく。この状態が更に進むと、圧力室12から回収流路140を通じて第2圧力制御室152に流入するインク量が、ゼロになり、循環ポンプ500に流出するインクは全て連通口191Bから流入するインクとなる。この状態が更に進むと、今度は第2圧力制御室152から回収流路140を通じて圧力室12にインクが逆流する。この状態では、第2圧力制御室152から循環ポンプ500に流出するインクと圧力室12に流出するインクとが、バイパス流路160を通じて連通口191Bから第2圧力制御室152に流入することになる。この場合、圧力室12には、供給流路130のインク及び回収流路140のインクが充填されて、吐出されることになる。
尚、この記録デューティが高い場合に生じるインクの逆流は、バイパス流路160を設けていることで生じる現象である。また、上記では、インクの逆流に応じて第2圧力調整手段における連通口191Bが開状態となる例を説明したが、第2圧力調整手段における連通口191Bが開状態となっている状態においてインクの逆流が生じることもある。また、第2圧力調整手段を設けない構成においても、バイパス流路160を設けていることで、上記のインクの逆流は発生し得るものである。尚、バイパス流路160は第1の流路又は第1圧力調整手段120の少なくとも一方と第2の流路とを圧力室12を介さずに連通していればよい。
このように、第1圧力制御室122からバイパス流路160へ供給されたインクは、第2圧力調整手段150の第2バルブ室151を介して第2圧力制御室152に供給される。そして、第2圧力制御室152に供給されたインクの一部が、回収流路140に供給され、共通回収流路19を介して吐出口13に供給される。
図10は、吐出モジュール300内のインク供給を説明する図である。図10(a)は、圧力室12の近傍における流路構成を示す図であり、本実施形態とは異なる比較例を示す図である。図10(a)では、圧力室12の一方のみが流路2010と連通する構成である。この構成では、圧力室12へのインクの供給は、流路2010のみから行われる片側供給となる。図10(a)の構成では、圧力室12に連通する独立供給口2020は、共通供給流路18もしくは共通回収流路19、または、そのいずれとも接続される。吐出素子15として、特に、サーマル方式の吐出素子を用いる場合、圧力室12内での発泡により、吐出口13からインクが吐出される。また、この発泡に応じた消泡により、圧力室12内にインクがリフィルされる。このような流路構成においては、圧力室12に接続されている流路2010の幅を狭めたり、長さを長くしたりすることで、発泡時の後方抵抗を増加させることが行われている。これにより、発泡が対称に近づき、滴の形成が良化する。一方で、図10(a)のような構成では、吐出後の消泡時における圧力室12へのインクリフィルに際しては、後方抵抗を増加させることで供給性が低下してしまう。従って、図10(a)に示す流路構成では、リフィル周波数を向上させることが、一般的に難しい。特に、高いデューティでの記録動作を行う場合では、吐出口に供給されるインクが少なくなり、吐出安定性が低下する虞がある。
一方、図10(b)は、本実施形態における圧力室12の近傍における流路構成を示す図である。第1独立供給口である供給接続流路323は、圧力室12へ通じる第1液体流路2030と共通供給流路18とを接続する。第2独立供給口である回収接続流路324は、圧力室12へ通じる第2液体流路2040と共通回収流路19とを接続する。前述したように、本実施形態では、吐出口13から吐出されたインクは、第1液体流路2030および第2液体流路2040からリフィルされる。図10(b)に示すように、圧力室12の両側が第1液体流路2030および第2液体流路2040と連通する両側供給の構成となっている。このような構成においては、図10(b)に示すように、圧力室12に通じる流路の幅を広くしたり、長さを短くしたりしても、発泡時の後方抵抗の対称性から、発泡が対称に近づきやすくなる。このため、インク滴の形成が良化しやすくなる。また、吐出後の消泡時における圧力室12へのインクのリフィルに対しても、後方抵抗を増加させずに済むため、インクの供給性を向上させることができる。このように、本実施形態によれば、高いデューティで記録動作を行う場合であっても、吐出安定性を向上させることができる。即ち、滴形成の良化とリフィル周波数の向上とを両立させることが可能となる。
なお、上述の実施形態では主にサーマル方式の吐出素子を用いる場合について説明したが、ピエゾ方式の吐出素子を用いても良い。ただし、サーマル方式は、滴形成の良化とリフィル周波数の向上の両立の面においてより困難であるため、本実施形態はサーマル方式により好適である。
<キャリッジ走査によるインク循環>
次に、上記のような循環経路を有する本実施形態の液体吐出ヘッド1において、キャリッジ走査によってもインク循環が生じることを説明する。
図11は、キャリッジ走査によって生じるインク循環を説明する図である。前述したように、キャリッジ60は、X方向に往復移動する。本実施形態の液体吐出ヘッド1は、キャリッジ60に搭載されており、キャリッジ60の往復移動によっても液体吐出ヘッド1
内のインクが循環する。これは、キャリッジ60の走査によって、対向する第1圧力調整手段120および第2圧力調整手段150の圧力板210にそれぞれ慣性力が生じるからである。そして、この慣性力によって第1圧力制御室122内および第2圧力制御室152内の負圧が変動するため、圧力室12内において双方向にインクが移動する。図11では、慣性力によって生じた負圧の変化によって、供給流路130および回収流路140を含む循環経路に生じるインクの流れを示している。以下に双方向のキャリッジ走査のそれぞれにおいて生じるインクの流れを説明する。図11(a)は、キャリッジ60の左方向の走査(以下、往方向とする)の図であり、図11(b)は、キャリッジ60の右方向の走査(以下、復方向とする)の図である。
図11(a)に示すようにキャリッジ60の左方向の走査(往方向)によって液体吐出ヘッド1の第1圧力調整手段120においては、圧力板210に作用する慣性力により第1圧力制御室122が収縮する。つまり、圧力板210が押し込まれることで第1圧力制御室122が収縮する。そして、第1圧力制御室122が収縮することで第1圧力制御室122内部の圧力が高まる(より加圧される)ことで、静止時よりも負圧が弱くなる。一方で、第2圧力調整手段150においては、圧力板210に作用する慣性力により第2圧力制御室152が膨張する。つまり、圧力板210が引っ張られることで第1圧力制御室122が膨張する。そして、第2圧力制御室152が膨張することで第2圧力制御室152内部の圧力が低下することで、静止時よりも負圧が強くなる。
これにより液体吐出ヘッド1内のインクの流れは、図11(a)に示したように第1圧力調整手段120から圧力室12を介して第2圧力調整手段150へ向かう方向への流れが発生する。尚、第2圧力調整手段150の圧力板210が引っ張られることで圧力板210がバルブ190Bから離間する。このため、バルブ190Bによって連通口191Bが閉塞されるため、図11(a)では、バイパス流路160のインクの流れは生じていない状態を示している。ただし、圧力板210がバルブ190Bから完全に離間せず、連通口191Bが閉塞されていない状態では、バイパス流路160を経由してインクが第2圧力調整手段150に向かう流れも発生する。
次に図11(b)に示すようにキャリッジ60の右方向の走査(復方向)における場合を説明する。キャリッジ60の右方向への走査(復方向)によって液体吐出ヘッドの第1圧力調整手段120においては、圧力板210への慣性力により第1圧力制御室122が膨張する。そして、第1圧力制御室122が膨張することで第1圧力制御室122内部の圧力が低下することで、静止時よりも負圧が強くなる。一方で、第2圧力調整手段150においては、圧力板210への慣性力により第2圧力制御室152が収縮する。そして、第2圧力制御室152が収縮することで第2圧力制御室152内部の圧力が高まる(より加圧される)ことで、静止時よりも負圧が弱くなる。
これにより液体吐出ヘッド1内のインクの流れは、図11(b)に示したように第2圧力調整手段150から圧力室12を介して第1圧力調整手段120へ向かう方向への流れが発生する。図11(b)においては、供給流路130からバイパス流路160を経由して第2圧力調整手段150に向かう流れも生じている。
尚、図11に示すインクの流れは、循環ポンプ500が駆動された状態と、循環ポンプ500が停止された状態のいずれにも該当する。即ち、循環ポンプ500を駆動させなくても、循環経路内のインクを循環させることができる。また、循環ポンプ500が駆動した直後においては、キャリッジ60の走査自体により、循環経路内のインクの循環を補填することも可能である。
図12は、キャリッジ60の走査によって圧力調整手段内の圧力板210への慣性力によって生じる圧力制御室内の圧力変動を説明する図である。図12は、第1圧力調整手段120および第2圧力調整手段150のいずれにおいても共通する事項であるため、第1および第2の区別は付けずに説明する。
図12(a)は、静止時の圧力制御室内の圧力P4を説明する図である。静止時の圧力制御室内の圧力P4は、各部に加わる力の釣り合いを示す関係式である下記の式5から決定される。
P4=P0-(P1Sv + k1x)/Sd ・・・式5
Sd:圧力板210の受圧面積
Sv:バルブ190の受圧面積
P0:大気圧
P1:バルブ室内の圧力
P4:圧力制御室内の圧力[Pa]
k1:付勢部材(バルブばね、圧力調整ばね)の合成ばね定数
x:ばね変位
ここで、バルブ室内の圧力P1は、前述のように、圧力制御室にインクを供給するため、相対的に正の圧力になっている。このため、式5の右辺第2項の「(P1Sv + k1x)」の部分が常に正となるため、圧力P4<圧力P0となり、圧力制御室内の圧力P4は負圧となる。図12(b)は、キャリッジ走査が図の右方向に行われた際の圧力制御室の圧力P5を説明する図であり、図12(c)は、キャリッジ走査が図の左方向に行われた際の圧力制御室の圧力P6を説明する図である。圧力P5と圧力P6とは、式5の関係から、以下の式6および式7のように決定される。
・キャリッジ走査時(右へ)
P5=P0-(P1Sv + k1・(H3-H2))/Sd ・・・式6
・キャリッジ走査時(左へ)
P6=P0-(P1Sv + k1・(H4-H2))/Sd ・・・式7
ここで、H3<H2<H4の関係の時、P6<P4<P5<0の関係となることがわかる。よって、2つの圧力制御室内バネ袋には、静止時に対しキャリッジ走査時においては、往方向と復方向とで正負逆の負圧が生じることにより双方向の循環が可能になる。
尚、本実施形態においてはキャリッジ60の静止時においては、前述のように第1圧力調整手段120と第2圧力調整手段150との間には差圧が生じている。キャリッジ60の静止時においては、この差圧によって、第1圧力調整手段120から第2圧力調整手段150に向かう一方向の循環が行われている。
第1バルブ室121及び第1圧力制御室122の圧力は、前述した式2によって決定され、第1バルブ室121の制御圧力を第1圧力制御室122の制御圧力よりも高く設定する。これにより、第1圧力制御室122から供給流路130を介して吐出モジュール300に供給され、その後回収流路140を介して第2圧力制御室152に至る吐出モジュール300内の循環が行われる。吐出モジュール300内の循環量は、第1圧力制御室122及び第2圧力制御室152の制御圧の差圧によって決定され、吐出モジュール300内の吐出口近傍のインクの増粘を抑制可能な循環量となるように設定される。つまり、上記の差圧が生じるように、第1圧力制御室122及び第2圧力制御室152を構成する圧力板210の受圧面積(サイズ)、並びに、バルブばね200および圧力調整ばね220のばね定数(ばね特性)として、異なるものを使用している。
このような状況においても、本実施形態では、キャリッジ60の走査によって、対向する圧力調整手段の圧力板210に生じる慣性力によってインクの流れを一時的に双方向に生じさせることができる。即ち、第1圧力調整手段120の第1圧力制御室122内および第2圧力調整手段150の第2圧力制御室152内の負圧が、圧力板210に生じる慣性力によって変動する。その結果、供給流路130および回収流路140を含む循環経路に生じるインクの流れを一時的に逆転させることが可能となる。つまり、一時的に双方向のインクの流れを生じさせることが可能となる。これにより、各流路の狭小流路部に溜まった泡が、上流に戻されるタイミングを生じさせることができる。この結果、泡溜まりの影響を低減させ、吐出安定性を向上させることができる。
図13は、キャリッジ走査によって生じる液体吐出ヘッドの圧力調整手段における負圧値の測定データの一例を示す図である。図13は、第2圧力調整手段150における第2圧力制御室152の負圧値の測定データの例を示している。第2圧力調整手段150は、キャリッジ60が往方向に走査した際には静止時の負圧値P4に対して、強い負圧P6となっている。つまり、往方向に走査した際の圧力P6は、圧力P4よりも低い圧力になっている。一方、キャリッジ60が復方向に走査した際には、静止時の負圧値P4に対して、弱い負圧P5となっている。
キャリッジ走査方向に対して対向するように設けられている第1圧力調整手段120では、図13に示す関係とは反対の負圧関係となる。キャリッジ走査方向に対して対向するように設けられているとは、キャリッジの走査方向において、例えば連通口191を中心として、圧力調整手段を構成する部材が対称に設けられている状態を示す。つまり、付勢部材によって圧力板210を付勢する方向は、第1圧力調整手段120と第2圧力調整手段150とで逆向きに構成されている。即ち、キャリッジ走査方向のうちの一方向(例えば往方向)への走査が行われる場合、一方の圧力制御室が収縮し、他方の圧力制御室が膨張するような関係となるような状態を示す。従って、第1圧力調整手段120においては、第2圧力調整手段150とは逆に、往方向時には静止時の負圧値P4に対して、弱い負圧P5となる。一方、復方向に走査した際には静止時の負圧値P4に対して、強い負圧P6となる。
このように第1圧力調整手段120と第2圧力調整手段150との間には、静止時の負圧に対して、正負逆の負圧変化が生じることになる。このため、キャリッジ60の往復走査で各々逆方向のインク流れを生じさせることができる。尚、本実施形態では、第1圧力調整手段120と第2圧力調整手段150とは、主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成される例を説明した。そして、主走査方向への走査の際に第1圧力調整手段120に静止時の圧力に対して正圧が生じる場合、第2圧力調整手段150に静止時の圧力に対して負圧が生じるように構成されている例を説明した。しかしながら、第1圧力調整手段120と第2圧力調整手段150のいずれか一方が、主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成されていてもよい。この場合であっても、例えば図13に示すような負圧関係が生じるため、キャリッジ60の主走査方向に応じてインクの双方向の流れが生じることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、流路内の泡溜まりの影響を低減することができる。即ち、液体吐出ヘッド1内の圧力室12を通るように双方向でインクを循環させることが可能となり、各流路の狭小流路部に溜まった泡が、上流に戻されるタイミングを生じさせることができる。このため、液体吐出装置が液体吐出ヘッド1のインク充填状態を回復する頻度を減らすことが可能となり、廃インク削減を実現することもできる。
尚、液体吐出装置50は、キャリッジ60を主走査方向に往復走査させる際に、両方向の走査時においてインクを吐出してもよいし、片方向の走査時においてのみ、インクを吐出するように構成されていてもよい。
<<第2実施形態>>
第1実施形態においては、キャリッジ60が静止時において、第1圧力調整手段120と第2圧力調整手段150との間の圧力差により、循環経路におけるインクの流れが生じている例を説明した。その上で、キャリッジ60の往復走査により、インクが循環経路内を双方向に移動する例を説明した。本実施形態では、キャリッジ60が静止時(継続して静止した時)においては、循環経路におけるインクの流れが生じない形態を説明する。
図14は、本実施形態の圧力調整手段を説明する図である。ここでは、第1実施形態で説明した第1圧力調整手段の代わりに、第2圧力調整手段150を設ける例を示している。図14(a)は、圧力室12とポンプ入口流路170との間に配される圧力調整手段を示し、図14(b)は、圧力室12とポンプ出口流路180との間に配される圧力調整手段を示している。このように、本実施形態では、対向する2つの圧力調整手段には、圧力差を設けない。より具体的には、同じ圧力調整手段を配している。これにより、キャリッジ60が静止した場合(継続して静止した時)、循環経路内のインクの流れが停止する。一方で、キャリッジ60が走査することで、前述したように、循環経路内においてインクの流れを生じさせることができる。
尚、ここでは、同じ圧力調整手段を配する例を説明したが、対向する2つの圧力調整手段において圧力差がない形態であればよい。即ち、第1圧力制御室122及び第2圧力制御室152を構成する圧力板210のサイズ、バルブばね200および圧力調整ばね220のばね定数、ならびに、各々の形状、体積、または密度などは、同じであっても異なってもよい。
本実施形態においても、第1実施形態で説明した例と同様に、流路内の泡溜まりの影響を低減することができる。このため、液体吐出装置が液体吐出ヘッド1のインク充填状態を回復する頻度を減らすことが可能となり、廃インク削減を実現することもできる。
<<第3実施形態>>
本実施形態では、キャリッジ60の走査によって生じる圧力板210への負圧変動を、第1実施形態で説明した例よりも大きくする構成を説明する。尚、基本的な構成は、第1実施形態で説明したものと同様であり、以下では、相違点を中心に説明する。
図15は、本実施形態における圧力調整手段の例を示す図である。ここでは、第2圧力調整手段150を例に挙げて示しているが、第1圧力調整手段も同様の構成とすることができる。本実施形態では、圧力板210の近傍に、圧力加勢部材1401を設けている。圧力加勢部材1401は、例えば圧力板210に接続した箱1402内を動く球体である。圧力加勢部材1401により、キャリッジ60走査の慣性に応じた負圧変動を、第1実施形態の例よりも大きくすることができる。また、圧力加勢部材1401により、キャリッジ60走査の慣性に応じた負圧変動が生じている時間を、第1実施形態の例よりも長くすることができる。尚、上記効果をもたらすためには、圧力加勢部材1401が、圧力板210に接続した箱1402内を移動するように質量及び密度が構成されていればよい。このため、圧力加勢部材1401の形状および体積などは、図示したものに限られない。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1実施形態で説明した例よりも、圧力板210への負圧変動を大きくし、負圧変動が生じる時間を長くすることができる。このため、流路内の泡溜まりの影響を低減することができる。尚、本実施形態では、第1圧力調整手段120および第2圧力調整手段150のいずれにも圧力加勢部材1401を設ける例を説明したが、いずれか一方に設ける構成としてもよい。
<<参考例>>
これまで説明した液体吐出装置のより詳細な参考例を説明する。以下で説明する参考例は、第1実施形態に基づく参考例を示すが、第2実施形態または第3実施形態においても同様に該当する内容とすることができる。
<液体吐出ヘッド内のインクの流れ>
図16は、液体吐出ヘッド内のインクの流れを説明する図である。図16(a)は、先に説明した図8(a)と同様に、循環ポンプ500が駆動してインクが循環経路内を循環している状態を示す。尚、図16(b)から図16(e)では、簡便な説明のため、キャリッジ60が停止している状態のものであるとして説明する。即ち、第1実施形態で説明したキャリッジ60の走査方向への移動によって慣性力が生じていないものとして説明する。
図16(b)は、記録動作が終了し、循環ポンプ500がOFFの状態(停止状態)となった直後のインクの流れを模式的に示したものである。記録動作が終了し、循環ポンプ500がOFFとなった時点では、第1圧力制御室122の圧力及び第2圧力制御室152の圧力は、いずれも記録動作中の制御圧となっている。このため、第1圧力制御室122の圧力と第2圧力制御室152の圧力との差圧に応じて、図16(b)に示すようなインクの移動が生じる。具体的には第1圧力制御室122から供給流路130を介して吐出モジュール300に供給され、その後、回収流路140を経て第2圧力制御室152に至るインクの流れが引き続き発生する。また、第1圧力制御室122からバイパス流路160及び第2バルブ室151を経て第2圧力制御室152に至るインクの流れも引き続き発生する。
これらのインクの流れによって第1圧力制御室122から第2圧力制御室152へ移動したインク量が、インクタンク2からフィルタ110及び第1バルブ室121を経て第1圧力制御室122に供給される。このため第1圧力制御室122内の内容量は一定に保たれる。前述した式2の関係から、第1圧力制御室122の内容量が一定の時は、バルブばね200のばね力F1、圧力調整ばね220のばね力F2、バルブ190の受圧面積S1、圧力板210の受圧面積S2は一定に保たれる。このため、第1バルブ室121の圧力(ゲージ圧)P1の変化に応じて第1圧力制御室122の圧力が決定される。よって第1バルブ室121の圧力P1の変化がない場合には、第1圧力制御室122の圧力P2は記録動作中の制御圧と同じ圧力に保たれる。
一方、第2圧力制御室152の圧力は、第1圧力制御室122からのインクの流入に伴う内容量の変化に応じて経時的に変化する。具体的には、図16(b)の状態から、図16(c)に示すように、連通口191が閉状態となって第2バルブ室151と第2圧力制御室152とが非連通状態となるまでの間は、式2に従って第2圧力制御室152の圧力は変化する。その後、圧力板210とバルブシャフト190aとが非当接状態となって連通口191が閉状態となる。そして、図16(d)に示すように、回収流路140から第2圧力制御室152へインクが流入する。このインク流入によって圧力板210及び可撓性部材230が変位し、第2圧力制御室152の内容積が最大に達するまでの間は、式4に従って第2圧力制御室152の圧力は変化する。即ち上昇する。
尚、図16(c)の状態になると、第1圧力制御室122からバイパス流路160及び第2バルブ室151を経て第2圧力制御室152に至るインクの流れは発生しない。従って、第1圧力制御室122内のインクが、供給流路130を介して吐出モジュール300に供給された後、回収流路140を経て第2圧力制御室152に至る流れのみが生じる。前述のように、第1圧力制御室122から第2圧力制御室152へのインクの移動は、第1圧力制御室122内の圧力と第2圧力制御室152内の圧力との差圧に応じて生じる。このため、第2圧力制御室152内の圧力が第1圧力制御室122内の圧力と等しくなるとインクの移動は停止する。
また、第2圧力制御室152内の圧力が第1圧力制御室122内の圧力と等しくなる状態においては、第2圧力制御室152が、図16(d)に示す状態まで拡張する。図16(d)に示すように第2圧力制御室152が拡張した場合、第2圧力制御室152には、インクを貯留できる貯留部が形成される。尚、循環ポンプ500の停止から図16(d)の状態に移行するまでは、流路の形状及びサイズ並びにインクの性質に応じて変わり得るが、概ね1~2分程度の時間で移行する。貯留部にインクを貯留した図16(d)に示す状態から循環ポンプ500を駆動すると、貯留部のインクは循環ポンプ500によって第1圧力制御室122に供給される。これにより図16(e)に示すように第1圧力制御室122のインク量は増加し、可撓性部材230及び圧力板210は拡張方向へと変位する。そして、循環ポンプ500の駆動が引き続き行われると、図16(a)に示すように、循環経路内の状態が変化することになる。
尚、上記説明においては、図16(a)は、記録動作時の例として説明したが、記録動作を伴わずにインクの循環が行われてもよい。この場合であっても、循環ポンプ500の駆動及び停止に応じて、図16(a)~(e)に示すようなインクの流れが生じることになる。
また上述したように、第1実施形態では、第2圧力調整手段150における連通口191Bは、循環ポンプ500が駆動されてインクの循環が行われる場合に開状態になり、インクの循環が停止すると、閉状態になる例を用いるが、これに限られない。第2圧力調整手段150における連通口191Bは、循環ポンプ500が駆動されてインクの循環が行われている場合であっても、閉状態であるように制御圧力を設定してもよい。以下、バイパス流路160の役割も更に併せて具体的に説明する。
第1圧力調整手段120と第2圧力調整手段150とを接続するバイパス流路160は、例えば循環経路内に生じた負圧が既定値よりも強まる場合に、その影響を吐出モジュール300に及ぼさないようにするために設けられている。また、バイパス流路160は、供給流路130及び回収流路140の両側から圧力室12にインクを供給するためにも設けられている。
負圧が既定値よりも強まる場合に、バイパス流路160を設けていることで、その影響を吐出モジュール300に及ぼさないようにする例を説明する。例えば、環境温度の変化によりインクの特性(例えば粘度)が変化することがある。インクの粘度が変化すると、循環経路内の圧力損失も変化する。例えば、インクの粘性が下がると、循環経路内の圧力損失分が減少する。この結果、一定の駆動量で駆動している循環ポンプ500の流量が増加し、吐出モジュール300を流れる流量が増えることになる。一方で、吐出モジュール300は、不図示の温度調整機構により一定温度に保たれるため、吐出モジュール300内のインクの粘度は、環境温度が変化しても一定に維持される。吐出モジュール300内のインクの粘度に変化がない一方で吐出モジュール300内を流れるインクの流量が増加する分、流抵抗により、吐出モジュール300における負圧が強まる。このようにして、吐出モジュール300における負圧が既定値よりも強まると、吐出口13のメニスカスが破壊され、外部の空気が循環経路内に引き込まれて、正常な吐出が行えなくなる虞がある。また、メニスカスが破壊されないとしても、圧力室12の負圧が所定よりも強まり、吐出に影響を及ぼす虞がある。
このため、第1実施形態では、バイパス流路160を循環経路内に形成している。バイパス流路160を設けることで、負圧が既定値よりも強まる場合には、バイパス流路160にもインクが流れるため、吐出モジュール300の圧力を一定に保つことができる。従って、例えば第2圧力調整手段150における連通口191Bは、循環ポンプ500を駆動中の場合であっても、閉状態を維持するような制御圧力で構成してもよい。そして、既定値よりも負圧が強まる場合に、第2圧力調整手段150における連通口191が開状態となるように、第2圧力調整手段における制御圧力を設定してもよい。つまり、環境変化などの粘度変化によるポンプの流量変化によってもメニスカスが崩壊しないか、または、所定の負圧が維持されるのであれば、循環ポンプ500が駆動している場合に、連通口191Bが閉状態であってもよい。
<吐出ユニットの構成>
図17は、第1実施形態の吐出ユニット3におけるインク1色分の循環経路を示した模式図である。図17(a)は、吐出ユニット3を第1支持部材4側から見た分解斜視図であり、図17(b)は、吐出ユニット3を吐出モジュール300側から見た分解斜視図である。尚、図中のIN、OUTで示した矢印はインクの流れを示しており、インクの流れは1色分のみ説明するが、他の色も同様の流れである。また、図17では第2支持部材7と電気配線部材5との記載を省略し、以下の吐出ユニットの構成の説明においてもその省略している。また、図17(a)における第1支持部材4については、図3のXVII-XVIIにおける断面を示している。吐出モジュール300は、吐出素子基板340と開口プレート330とを備えている。図18は、開口プレート330を示した図であり、図19は、吐出素子基板340を示した図である。
吐出ユニット3には、循環ユニット54からジョイント部材8(図3参照)を介してインクが供給される。インクがジョイント部材8を通過した後から、ジョイント部材8に戻るまでのインクの経路について説明する。尚、以下の図面では、ジョイント部材8の記載を省略する。
吐出モジュール300は、シリコン基板310である吐出素子基板340と開口プレート330とを備えており、更に、吐出口形成部材320を備えている。吐出素子基板340と開口プレート330と吐出口形成部材320とは、各インクの流路が連通するように重なり接合されることで吐出モジュール300となり、第1支持部材4に支持される。吐出モジュール300が第1支持部材4に支持されることで、吐出ユニット3が形成される。吐出素子基板340は、吐出口形成部材320を備えており、吐出口形成部材320は、複数の吐出口13が列を成した複数の吐出口列を備えており、吐出モジュール300内のインク流路を介して供給されたインクの一部を吐出口13から吐出する。吐出されなかったインクは、吐出モジュール300内のインク流路を介して回収される。
図17及び図18に示すように、開口プレート330は、複数の配列されたインク供給口311と複数の配列されたインク回収口312とを備えている。図19及び図20に示すように、吐出素子基板340は、複数の配列された供給接続流路323と、複数の配列された回収接続流路324とを備えている。更に吐出素子基板340は、複数の供給接続流路323と連通する共通供給流路18と、複数の回収接続流路324と連通する共通回収流路19とを備えている。吐出ユニット3内のインク流路は、第1支持部材4に設けられたインク供給流路48やインク回収流路49(図3参照)と、吐出モジュール300に設けられた流路と、を連通させることで形成されている。支持部材供給口211は、インク供給流路48を形成している断面開口であり、支持部材回収口212は、インク回収流路49を形成している断面開口である。
吐出ユニット3に供給されるインクは、循環ユニット54(図3(a)参照)側から第1支持部材4のインク供給流路48(図3(a)参照)に供給される。インク供給流路48内の支持部材供給口211を経て流れたインクは、インク供給流路48(図3(a)参照)と開口プレート330のインク供給口311とを介して吐出素子基板340の共通供給流路18に供給され、供給接続流路323に入る。ここまでが供給側流路となる。その後、インクは、吐出口形成部材320の圧力室12(図3(b)参照)を経て回収側流路の回収接続流路324へと流れる。圧力室12におけるインクの流れの詳細は後述する。
回収側流路において、回収接続流路324に入ったインクは、共通回収流路19に流れる。その後、インクは、共通回収流路19から開口プレート330のインク回収口312を介して第1支持部材4のインク回収流路49に流れ、支持部材回収口212を経て、循環ユニット54に回収される。
開口プレート330におけるインク供給口311やインク回収口312が無い領域は、第1支持部材4において支持部材供給口211及び支持部材回収口212を仕切るための領域と対応している。また、当該領域は、第1支持部材4も開口を有さない。そのような領域は、吐出モジュール300と第1支持部材4とを接着する場合の接着領域として使用される。
図18において開口プレート330は、X方向に配列された複数の開口の列が、Y方向に複数列設けられており、供給用(IN)の開口と回収用(OUT)の開口とが、X方向に半ピッチずれるように、Y方向に交互に配列されている。図19において吐出素子基板340は、Y方向に配列された複数の供給接続流路323と連通する共通供給流路18と、Y方向に配列された複数の回収接続流路324と連通する共通回収流路19と、がX方向に交互に配列されている。共通供給流路18、共通回収流路19はインクの種類毎に分かれており、更に、各色の吐出口列の数に応じて共通供給流路18及び共通回収流路19の配置数が決まる。また、供給接続流路323及び回収接続流路324も吐出口13に対応した数だけ配置される。尚、必ずしも1対1対応していなくてもよく、複数の吐出口13に対して一つの供給接続流路323及び回収接続流路324が対応してもよい。
このような開口プレート330と、吐出素子基板340とが各インクの流路が連通するように重なり接合されることで吐出モジュール300となり、第1支持部材4に支持されることで、上記のような供給流路と回収流路とを備えたインク流路が形成される。
図20(a)から(c)は、吐出ユニット3の異なる部分におけるインク流れを示した断面図である。図20(a)は、図17(a)のXXa-XXaで示す断面であり、吐出ユニット3におけるインク供給流路48とインク供給口311とが連通した部分の断面を示している。また、図20(b)は、図17(a)のXXb-XXbで示す断面であり、吐出ユニット3におけるインク回収流路49とインク回収口312とが連通した部分の断面を示している。また、図20(c)は、図17(a)のXXc-XXcで示す断面であり、インク供給口311とインク回収口312とが第1支持部材4の流路と連通していない部分の断面を示している。
インクを供給する供給流路では、図20(a)のように、第1支持部材4のインク供給流路48と開口プレート330のインク供給口311とが重なり連通した部分からインクが供給される。また、インクを回収する回収流路では、図20(b)のように、第1支持部材4のインク回収流路49と開口プレート330のインク回収口312とが重なり連通した部分からインクが回収される。また、図20(c)のように、吐出ユニット3では、部分的に開口プレート330に開口が設けられていない領域もある。そのような領域では、吐出素子基板340と第1支持部材4間でのインクの供給や回収は成されない。図20(a)のようにインク供給口311が設けられた領域でインクの供給が成され、図20(b)のようにインク回収口312が設けられた領域でインクの回収が成される。尚、第1実施形態では、開口プレート330を用いた構成を例に説明したが、開口プレート330を用いない形態としてもよい。例えば、インク供給流路48及びインク回収流路49に対応した流路を第1支持部材4に形成し、第1支持部材4に吐出素子基板340を接合する構成であってもよい。
図21(a)、(b)は、吐出モジュール300における吐出口13の近傍を示した断面図である。尚、図21における共通供給流路18、共通回収流路19内に示した太矢印は、シリアル型の液体吐出装置50を用いる形態におけるインクの揺動を示すものである。共通供給流路18、供給接続流路323を経て圧力室12に供給されたインクは、吐出素子15が駆動されることで吐出口13から吐出される。吐出素子15が駆動されない場合は、インクは、圧力室12から回収流路である回収接続流路324を経て共通回収流路19へと回収される。
シリアル型の液体吐出装置50を用いる形態において、このように循環するインクから吐出を行う場合、インクの吐出は、少なからず液体吐出ヘッド1の主走査によるインク流路内におけるインクの揺動の影響を受ける。具体的には、インク流路内のインクの揺動の影響は、インクの吐出量の違いや吐出方向のずれとなって現れることがある。共通供給流路18と共通回収流路19とが、主走査方向であるX方向に幅広の断面形状を備えている場合、共通供給流路18、共通回収流路19内のインクは、主走査方向に慣性力を受け易くなりインクに大きな揺動が生じる。その結果、インクの揺動が吐出口13からのインクの吐出に影響を及ぼす虞がある。また、共通供給流路18と共通回収流路19とをX方向に広げてしまうと、色同士の距離を広げることとなり、印刷効率が落ちる可能性がある。
そこで、第1実施形態の共通供給流路18及び共通回収流路19は、図21に示す断面において共に、Y方向に延在しているが、主走査方向であるX方向に対して垂直であるZ方向にも延在する構成としている。このような構成とすることで、共通供給流路18及び共通回収流路19の主走査方向における各流路幅を小さくすることができる。共通供給流路18及び共通回収流路19の主走査方向における各流路幅を小さくすることで、主走査中における共通供給流路18及び共通回収流路19内のインクに作用する主走査方向と反対側に働く慣性力(図中黒太矢印)によるインクの揺動を少なくしている。これによって、インクの揺動によるインクの吐出への影響を抑制することができる。また、共通供給流路18及び共通回収流路19をZ方向に延在させることでの断面積を増やし、流路圧損を低減させている。
上述の通り、共通供給流路18及び共通回収流路19の主走査方向における各流路幅を小さくすることで、主走査時の共通供給流路18及び共通回収流路19内のインクの揺動が少なくなるように構成されているが、揺動が無くなるわけではない。そこで、少なくなった揺動によってもなお生じ得るインク種類ごとの吐出に差が生じることを抑制すべく、第1実施形態では、共通供給流路18と共通回収流路19とは、X方向に対して重なる位置に配置されるよう構成されている。
前述した通り第1実施形態では、供給接続流路323及び回収接続流路324は吐出口13に対応して設けられ、かつ供給接続流路323と回収接続流路324とは吐出口13を挟んでX方向に並んで配置される対応関係となっている。そのため、共通供給流路18と共通回収流路19とがX方向において重ならない部分があり、X方向における供給接続流路323と回収接続流路324との対応関係が崩れると、圧力室12におけるX方向へのインクの流れや吐出に影響を及ぼす。そこにインクの揺動の影響が加わることで、更に、吐出口毎のインクの吐出に影響を及ぼす虞がある。
そのため、共通供給流路18と共通回収流路19とをX方向に対して重なる位置に配置することで、吐出口13が配列されるY方向におけるどの位置においても、共通供給流路18と共通回収流路19とにおける主走査時のインク揺動がほぼ同等となる。その結果、圧力室12内で生じる共通供給流路18側と共通回収流路19側との圧力差が大きくばらつくことは無く、安定した吐出を行うことができる。
また、インクを循環させる液体吐出ヘッドでは、液体吐出ヘッドへインクを供給する流路と回収する流路とが同じ流路で構成されているものもあるが、第1実施形態においては、共通供給流路18と共通回収流路19とがそれぞれ別流路になっている。そして、供給接続流路323と圧力室12とが連通しており、圧力室12と回収接続流路324とが連通しており、圧力室12の吐出口13からインクが吐出される。つまり供給接続流路323と回収接続流路324とをつなぐ経路である圧力室12が、吐出口13を備えた構成となっている。そのため圧力室12には供給接続流路323側から回収接続流路324側へ流れるインク流れが発生しており、圧力室12内のインクは効率よく循環されている。圧力室12内のインクが効率よく循環されることで、吐出口13からのインクの蒸発による影響を受けやすい圧力室12のインクをフレッシュな状態に保つことができる。
また、共通供給流路18及び共通回収流路19の2つ流路が、圧力室12と連通していることで、もし高流量で吐出を行うことが必要になった場合には、両方の流路からインクを供給することも可能となる。つまり、インクの供給と回収とを1流路だけで構成する構成と比べて、第1実施形態における構成は、循環を効率的に行えるだけでなく、高流量の吐出にも対応することができるというメリットがある。
また、共通供給流路18と共通回収流路19とは、X方向において近い位置に配置された方が、よりインクの揺動による影響が生じにくい。望ましくは、流路間が75μm~100μmで構成されているとよい。
ここで、共通回収流路19には、圧力室12で吐出素子15による熱エネルギーを受けたインクが流れ込むため、共通供給流路18内のインクの温度に対して、比較的温度の高いインクが流れる。このとき、仮に、吐出素子基板340のX方向における一部分において、共通回収流路19だけが存在している部分があると、その部分で局所的に温度が高まり、吐出モジュール300内に温度ムラが生じ、吐出に影響を与える可能性がある。
共通供給流路18には、共通回収流路19に対して比較的低い温度のインクが流れている。そのため、共通供給流路18と共通回収流路19とが隣接していると、その近傍では、共通供給流路18と共通回収流路19とで一部の温度が相殺されることから、温度上昇が抑えられる。よって、共通供給流路18と共通回収流路19とは、略同じ長さで互いにX方向において重なり合う位置に存在し、隣接していることが好ましい。
図22(a)、(b)は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のインクに対応した液体吐出ヘッド1の流路構成を示した図である。液体吐出ヘッド1には、図22(a)のようにインクの種類ごとに循環流路が設けられている。圧力室12は、液体吐出ヘッド1の主走査方向であるX方向に沿って設けられている。また、図22(b)のように、共通供給流路18と共通回収流路19とは、吐出口13が配列された吐出口列に沿って設けられており、共通供給流路18と共通回収流路19とで吐出口列を挟むようにY方向に延在して設けられている。
<本体部と液体吐出ヘッドとの接続>
図23は、第1実施形態の液体吐出装置50の本体部に設けられたインクタンク2及び外部ポンプ21と液体吐出ヘッド1との接続状態、及び循環ポンプ等の配置をより詳細に示す概略構成図である。第1実施形態における液体吐出装置50は、液体吐出ヘッド1に不具合が発生した際に、液体吐出ヘッド1のみを簡単に交換できるような構成を備える。具体的には、外部ポンプ21に接続されているインク供給チューブ59と液体吐出ヘッド1との接続、離脱を簡単に行い得る液体接続部700を有している。これにより、液体吐出装置50に対し液体吐出ヘッド1のみを簡単に着脱することが可能になっている。
液体接続部700は、図23に示すように、液体吐出ヘッド1のヘッド筐体53に突設された液体コネクタ挿入口53aと、この液体コネクタ挿入口53aを差し込むことが可能な円筒状の液体コネクタ59aとを有する。液体コネクタ挿入口53aは液体吐出ヘッド1内に形成されたインク供給流路に流体的に接続されており、前述のフィルタ110を介して第1圧力調整手段120に接続されている。また、液体コネクタ59aは、インクタンク2のインクを液体吐出ヘッド1に加圧供給する外部ポンプ21に接続されたインク供給チューブ59の先端に設けられている。
上記のように図23に示す液体吐出ヘッド1は、液体接続部700によって、液体吐出ヘッド1の着脱及び交換作業を容易に行うことが可能となっている。但し、液体コネクタ挿入口53aと液体コネクタ59aとのシール性が低下した場合、外部ポンプ21によって加圧供給されたインクが液体接続部700から漏出する虞がある。液漏出したインクが循環ポンプ500等に付着した場合、電気系統に不具合が発生する可能性がある。そこで、第1実施形態では、以下のように循環ポンプ等を配置している。
<循環ポンプ等の配置>
図23に示すように、第1実施形態では、液体接続部700から漏出したインクが循環ポンプ500に付着するのを避けるため、液体接続部700より重力方向上方に循環ポンプ500を配置している。つまり循環ポンプ500を、液体吐出ヘッド1の液体の導入口である液体コネクタ挿入口53aより重力方向における上方に配置している。さらに、循環ポンプ500が、液体接続部700を構成する部材と非接触となる位置に配置されている。これにより、液体接続部700からインクが漏出したとしても、インクは液体コネクタ59aの開口方向である水平方向または重力方向下方に流れていくため、重力方向上方にある循環ポンプ500にインクが到達するのを抑制することができる。また、循環ポンプ500を、液体接続部700から離れた位置に配置されているため、インクが部材を伝って循環ポンプ500に到達する可能性も低減される。
また、循環ポンプ500と電気コンタクト基板6とをフレキシブル配線部材514を介して電気的に接続する電気接続部515を、液体接続部700より重力方向上方に設けている。このため、液体接続部700からインクによる電気的なトラブルを起こす可能性を低減することができる。
また、第1実施形態では、ヘッド筐体53の壁部52bが設けられているため、液体接続部700の開口59bからインクが噴出したとしても、そのインクを遮断し、循環ポンプ500や電気接続部515に到達する可能性を低減することができる。
<循環ポンプ>
次に、図24及び図25を参照して、上述の液体吐出ヘッド1に内蔵される循環ポンプ500の構成及び作用を詳細に説明する。
図24は、循環ポンプ500の外観斜視図である。図24(a)は循環ポンプ500の正面側を示す外観斜視図、図24(b)は循環ポンプ500の背面側を示す外観斜視図である。循環ポンプ500の外殻は、ポンプ筐体505と、ポンプ筐体505に固定されたカバー507とにより構成されている。ポンプ筐体505は、筐体部本体505aと、筐体部本体505aの外面に接着固定された流路接続部材505bとにより構成されている。筐体部本体505aと流路接続部材505bとの各々には、互いに連通する一対の貫通孔が異なる2つの位置に設けられている。一方の位置に設けられた一対の貫通孔はポンプ供給孔501を形成し、他方の位置に設けられた一対の貫通孔はポンプ排出孔502を形成している。ポンプ供給孔501は、第2圧力制御室152に接続されたポンプ入口流路170に接続され、ポンプ排出孔502は、第1圧力制御室122に接続されたポンプ出口流路180に接続されている。ポンプ供給孔501から供給されたインクは、後述のポンプ室503(図25参照)を通過してポンプ排出孔502から排出される。
図25は、図24(a)に示した循環ポンプ500のXXVI-XXVI線断面図である。ポンプ筐体505の内面にはダイヤフラム506が接合されており、このダイヤフラム506とポンプ筐体505の内面に形成された凹部との間にポンプ室503が形成されている。ポンプ室503は、ポンプ筐体505に形成されたポンプ供給孔501及びポンプ排出孔502に連通している。また、ポンプ供給孔501の中間部分には、逆止弁504aが設けられ、ポンプ排出孔502の中間部分には、逆止弁504bが設けられている。即ち、循環ポンプ500には、第2の流路と第3の流路とを連通する流路に逆止弁を備えている。具体的には、逆止弁504aは、その一部がポンプ供給孔501の中間部分に形成されている空間512aにおいて図中の左方へと移動し得るように配置されている。また、逆止弁504bは、その一部がポンプ排出孔502の中間部分に形成されている空間512bにおいて図中の右方へと移動し得るように配置されている。
ダイヤフラム506が変位してポンプ室503の容積が増加することでポンプ室503が減圧されると、逆止弁504aは空間512a内のポンプ供給孔501の開口から離間する(つまり、図中の左方へと移動する)。逆止弁504aが空間512a内のポンプ供給孔501の開口から離間することで、ポンプ供給孔501におけるインクの流通を可能とする開状態となる。また、ダイヤフラム506が変位してポンプ室503の容積が減少することでポンプ室503が加圧されると、逆止弁504aはポンプ供給孔501の開口の周囲の壁面に密接する。この結果、ポンプ供給孔501におけるインクの流通を遮断する閉状態となる。
一方、逆止弁504bは、ポンプ室503が減圧されると、ポンプ筐体505の開口の周囲の壁面に密接して、ポンプ排出孔502におけるインクの流通を遮断する閉状態となる。また、ポンプ室503が加圧されると、逆止弁504bは、ポンプ筐体505の開口から離間して空間512b側に移動し(つまり、図中の右方へと移動し)、ポンプ排出孔502におけるインクの流通を可能とする。
尚、各逆止弁504a、504bの材質は、ポンプ室503内の圧力に応じて変形可能なものであればよく、例えば、EPDMやエラストマ等の弾性部材やポリプロピレン等のフィルムや薄板で形成することが可能である。但し、これらに限定されるものではない。
前述のように、ポンプ室503はポンプ筐体505とダイヤフラム506との接合によって形成されている。従って、ダイヤフラム506が変形することによりポンプ室503の圧力は変化する。例えば、ダイヤフラム506がポンプ筐体505側に変位して(図中、右側に変位して)ポンプ室503の容積が減少すると、ポンプ室503内の圧力は上昇する。これによりポンプ排出孔502に対向して配置した逆止弁504bが開状態となり、ポンプ室503のインクが排出される。このとき、ポンプ供給孔501に対向して配置された逆止弁504aは、ポンプ供給孔501の周囲の壁面に密接するためポンプ室503からポンプ供給孔501へのインクの逆流は抑制される。
また逆に、ダイヤフラム506がポンプ室503が広がる方向に変位した場合にはポンプ室503の圧力は減少する。これにより、ポンプ供給孔501に対向して配置された逆止弁504aが開状態となり、ポンプ室503にインクが供給される。このとき、ポンプ排出孔502に配置された逆止弁504bは、ポンプ筐体505に形成された開口の周囲の壁面に密接して当該開口を閉塞する。このため、ポンプ排出孔502からポンプ室503へのインクの逆流は抑制される。
このように循環ポンプ500では、ダイヤフラム506が変形し、ポンプ室503内の圧力を変化させることにより、インクの吸引と排出を行う。この際、ポンプ室503内に泡が混入すると、ダイヤフラム506が変位しても、泡の膨張・収縮によってポンプ室503内の圧力変化が小さくなり送液量が低下する。そこでポンプ室503を重力と平行に配置してポンプ室503に混入した泡をポンプ室503の上方に集まりやすくすると共に、ポンプ排出孔502をポンプ室503の中心よりも上方に配置する。これにより、ポンプ内の泡の排出性を向上させることが可能となり、流量の安定化を図ることができる。
<<変形例>>
次に、上述した各実施形態における各種の変形例を説明する。以下で示す変形例は、第1~第3実施形態のいずれにも適用することができる。
<第1変形例>
図26および図27は、第1変形例における循環経路を模式的に示す図である。図26は、吐出が行われずに循環が行われている場合の循環経路を示している。図27は、高いデューティの記録が行われている場合の循環経路を示している。第1変形例は、第2圧力調整手段150を配置せず、バイパス流路160と回収流路140とを直接接続した例を示している。
この形態において、バイパス流路160を介して回収流路140に流れる流路の流抵抗をR1とし、供給流路130から吐出モジュール300を介して回収流路140に流れる流路の流抵抗をR2とする。それぞれに流れるインク量は、抵抗の逆比となるため、バイパス流路160を介した流路の流量と吐出モジュール300を介した流路の流量との比率はR2対R1となる。この関係に従い、吐出モジュール300内の吐出口13近傍のインクの増粘を抑制可能な循環量となるようにそれぞれの流抵抗を設定する。即ち、圧力室内の液体の流速が所定以上となるようにそれぞれの流抵抗を設定するバイパス流路160の流抵抗R1は、流路断面積もしくは流路長さを変えたり、または、絞りを設けたりするなどしてコントロールされる。
第1変形例の場合においても、高いデューティで記録動作を行う場合、図27に示すように、圧力室12には、両側供給が行われることになる。即ち、第1圧力制御室122から供給流路130に供給されたインクは、吐出モジュール300の共通供給流路18を介して吐出口13へ供給される。一方で、第1圧力制御室122からバイパス流路160へ供給されたインクの一部は、循環ポンプ500、およびポンプ出口流路180を介して第1圧力制御室122へ供給される。また、バイパス流路160へ供給されたインクの一部は、回収流路140へ供給され、吐出モジュール300の共通回収流路19を介して吐出口13へ供給される。従って、吐出口13から吐出されるインクは、供給流路130および回収流路140のいずれからも供給される状態となる。
また、前述したように、圧力調整手段が一つの場合であっても、キャリッジの走査方向への移動に応じて循環経路内でインクを循環させることができる。
<第2変形例>
図28および図29は、第2変形例における循環経路を模式的に示す図である。図28は、吐出が行われずに循環が行われている場合の循環経路を示している。図29は、高いデューティの記録が行われている場合の循環経路を示している。第2変形例は、第2圧力調整手段150を配置せず、バイパス流路160と回収流路140とを直接接続し、バイパス流路160内にリリーフバルブ2301を配置した例を示している。
リリーフバルブ2301は、リリーフバルブの下流側の圧力が一定値以下になると、リリーフバルブの上流側から下流側へのインクが流入するように構成されている。即ち、リリーフバルブにおいて供給流路側よりも回収流路側の圧力が所定以上に低くなった際に、開くように構成されている。インク供給の流れは、図5のように、第2圧力調整手段150を配置していた構成と基本的に同じである。吐出モジュール300内の循環量は、第1圧力制御室122及びリリーフバルブ2301の制御圧力の差圧によって決定される。リリーフバルブ2301の制御圧力は、吐出モジュール300内の吐出口13近傍のインクの増粘を抑制可能な循環量となるように設定される。
第2変形例の形態においても、高いデューティでの記録動作を行う場合、図29に示すように、圧力室12には、両側供給が行われることになる。即ち、第1圧力制御室122から供給流路130に供給されたインクは、吐出モジュール300の共通供給流路18を介して吐出口13へ供給される。一方で、第1圧力制御室122からバイパス流路160へ供給されたインクの一部は、リリーフバルブ2301を通過して、循環ポンプ500、およびポンプ出口流路180を介して第1圧力制御室122へ供給される。また、バイパス流路160へ供給されたインクの一部は、リリーフバルブ2301を通過して、回収流路140へ供給され、吐出モジュール300の共通回収流路19を介して吐出口13へ供給される。従って、吐出口13から吐出されるインクは、供給流路130および回収流路140のいずれからも供給される状態となる。
また、前述したように、圧力調整手段が一つの場合であっても、キャリッジの走査方向への移動に応じて循環経路内でインクを循環させることができる。
<第3変形例>
図30は、第3変形例における循環経路を模式的に示す図である。第3変形例は、第1圧力調整手段120の第1圧力制御室122と供給流路130とを連通させる第2供給流路600を備える例である。
第2供給流路600は、その一端部が第1圧力制御室122の重力方向における上端部に連通し、他端部が供給流路130の重力方向における上端部に連通している。この第2供給流路600を備えることにより、第1圧力調整手段120の上流側から流入した気泡あるいは循環流路内に発生した気泡を、効率的に外部へ排出することが可能になる。
すなわち、第1圧力調整手段120の第1圧力制御室122は、液体吐出ヘッド1において重力方向上方に配置されている。このため、液体吐出ヘッド1の上流側からインクと共に第1圧力調整手段120に流入した気泡BLまたは循環流路から第1圧力制御室122に流入した気泡BLは、第1圧力制御室122の上方あるいは第2供給流路600の上部に浮上し、集められる。なお、集められた気泡BLは、インクの吐出動作時の供給流路130及び第2供給流路600に流れる液体の流速では、吐出モジュール300へ移動することはない。
第1圧力制御室122及び第2供給流路600の上方部に集められた気泡BLは、液体吐出動作が行われていない状態において、吐出口から強制的にインクを吸引する吸引処理を行うことによってインクと共に排出することができる。吸引処理は、液体吐出ヘッド1の吐出口が形成されている吐出口面にキャップ部材を密接させ、キャップ部材に接続されている負圧源の負圧を吐出口に印加することによって吐出口から強制的にインクを吸引することにより行う。この吸引時に流路内に発生するインクの流速は、通常のインクの吐出動作によって発生するインクの流速より大きい。このため、第1圧力制御室122及び第2供給流路600の上方部に集められた気泡BLは、インクと共に第2供給流路600及び供給流路130を経て圧力室12に至り、その後、吐出口13からインクと共に排出される。なお、この吸引処理は、一般に、吐出口あるいは圧力室等に生じた増粘インク等を吐出口から排出させて吐出性能を回復させるために行う吸引回復処理、あるいは流路内にインクを充填させる初期充填処理などにおいて実行される。
このように、第2供給流路を形成することにより、液体吐出ヘッド1内のインクに混入している気泡を集めて吸引処理により一度に排出することができ、気泡の排出処理を効率的に行うことができる。
<<その他の実施形態>>
上記各実施形態で説明した開示事項は、以下の液体吐出ヘッド例および液体吐出装置例に代表される構成を含むものである。
<構成1>
主走査方向に走査しながら液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、
圧力室内の液体を吐出するための圧力を発生する吐出素子と、
前記圧力室に液体を供給する供給流路と、
前記供給流路と前記圧力室を介して接続され、前記圧力室から液体を回収する回収流路と、
前記供給流路から前記圧力室内に液体を供給し、かつ、前記回収流路から前記圧力室内の液体を回収して前記供給流路へ液体を送液可能な循環ポンプと、
前記循環ポンプの出口流路と前記供給流路との間に配され、前記供給流路の圧力を調整する第1圧力調整手段と、
前記循環ポンプの入口流路と前記回収流路との間に配され、前記回収流路の圧力を調整する第2圧力調整手段と、
前記第1圧力調整手段と前記第2圧力調整手段とを連通させるバイパス流路と、
を備え、
前記第1圧力調整手段および前記第2圧力調整手段のうちの少なくとも一方は、前記主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
<構成2>
前記第1圧力調整手段および前記第2圧力調整手段の両方は、前記主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成され、
前記主走査方向への走査の際に前記第1圧力調整手段に前記静止時の圧力に対して正圧が生じる場合、前記第2圧力調整手段に前記静止時の圧力に対して負圧が生じるように構成されていることを特徴とする構成1に記載の液体吐出ヘッド。
<構成3>
前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段のうちの少なくとも一方は、
バルブ室と、圧力制御室と、前記バルブ室と前記圧力制御室とを連通させる開口と、前記開口を開閉可能に構成されたバルブとを有し、
前記圧力制御室は、
変位可能に構成された可撓性部材により一部の面が構成され、
前記可撓性部材と連動して変位可能な圧力板と、
前記圧力板を前記圧力制御室の容積が大きくなる方向に付勢する付勢部材とを有し、
前記圧力板及び前記可撓性部材の変位に応じて前記バルブを開閉可能に構成され、
前記付勢部材によって前記圧力板を付勢する方向は、前記主走査方向に対応していることを特徴とする構成1または2に記載の液体吐出ヘッド。
<構成4>
前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段は、それぞれ、
バルブ室と、圧力制御室と、前記バルブ室と前記圧力制御室とを連通させる開口と、前記開口を開閉可能に構成されたバルブとを有し、
前記圧力制御室は、
変位可能に構成された可撓性部材により一部の面が構成され、
前記可撓性部材と連動して変位可能な圧力板と、
前記圧力板を前記圧力制御室の容積が大きくなる方向に付勢する付勢部材とを有し、
前記圧力板及び前記可撓性部材の変位に応じて前記バルブを開閉可能に構成され、
前記付勢部材によって前記圧力板を付勢する方向は、前記主走査方向に対応し、前記第1圧力調整手段と前記第2圧力調整手段とで逆向きに構成されていることを特徴とする構成2に記載の液体吐出ヘッド。
<構成5>
前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段が有する変位可能な圧力板は、前記主走査方向に対して対向して配置されることを特徴とする構成4に記載の液体吐出ヘッド。
<構成6>
前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段の前記圧力制御室は、前記液体吐出ヘッドが前記主走査方向に往復走査する際の慣性力によって、前記圧力制御室内を収縮または膨張させることが可能なことを特徴とする構成4または5に記載の液体吐出ヘッド。
<構成7>
前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段の前記圧力制御室は、前記付勢部材として、それぞれ異なるばね特性を有するバネを有することを特徴とする構成4乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
<構成8>
前記バイパス流路は、前記第2圧力調整手段における前記バルブ室に接続されている、構成3乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
<構成9>
前記循環ポンプの出口流路は、前記第1圧力調整手段の前記圧力制御室に接続されていることを特徴とする構成3乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
<構成10>
前記第2圧力調整手段における前記圧力制御室は、前記循環ポンプの入口流路に接続されていることを特徴とする構成3乃至9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
<構成11>
前記液体吐出ヘッドにインクを供給する第2供給流路を備えており、前記循環ポンプの出口流路は、前記第1圧力調整手段の前記圧力制御室に接続されていることを特徴とする構成3乃至10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
<構成12>
前記第1圧力調整手段は、前記圧力室を介して前記第2圧力調整手段と接続されており、
前記バイパス流路は、前記圧力室の上流側と該圧力室の下流側とを連通していることを特徴とする構成1乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
<構成13>
主走査方向に走査しながら液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、
圧力室内の液体を吐出するための圧力を発生する吐出素子と、
前記圧力室に液体を供給する供給流路と、
前記供給流路と前記圧力室を介して接続され、前記圧力室から液体を回収する回収流路と、
前記供給流路から前記圧力室内に液体を供給し、かつ、前記回収流路から前記圧力室内の液体を回収して前記供給流路へ液体を送液可能な循環ポンプと、
前記循環ポンプの出口流路と前記供給流路との間に配され、前記供給流路の圧力を調整する圧力調整手段と、
前記圧力調整手段と回収流路とを連通させるバイパス流路と、
を備え、
前記圧力調整手段は、前記主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
<構成14>
前記循環ポンプが駆動し前記圧力室内をインクが循環している状態において、前記圧力室内のインクの流速が所定以上となるように前記バイパス流路の流抵抗が設定されていることを特徴とする構成13に記載の液体吐出ヘッド。
<構成15>
前記バイパス流路にリリーフバルブが配され、
前記リリーフバルブは、前記リリーフバルブにおいて前記供給流路側よりも前記回収流路側の圧力が所定以上に低くなった際に、開くように構成されている、構成13に記載の液体吐出ヘッド。
<構成16>
インクタンクと、
前記インクタンクから構成1乃至15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドに液体を供給するポンプと、
を備える液体吐出装置。
1 液体吐出ヘッド
12 圧力室
15 吐出素子
120 第1圧力調整手段
130 供給流路
140 回収流路
150 第2圧力調整手段
160 バイパス流路
500 循環ポンプ

Claims (16)

  1. 主走査方向に走査しながら液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、
    圧力室内の液体を吐出するための圧力を発生する吐出素子と、
    前記圧力室に液体を供給する供給流路と、
    前記供給流路と前記圧力室を介して接続され、前記圧力室から液体を回収する回収流路と、
    前記供給流路から前記圧力室内に液体を供給し、かつ、前記回収流路から前記圧力室内の液体を回収して前記供給流路へ液体を送液可能な循環ポンプと、
    前記循環ポンプの出口流路と前記供給流路との間に配され、前記供給流路の圧力を調整する第1圧力調整手段と、
    前記循環ポンプの入口流路と前記回収流路との間に配され、前記回収流路の圧力を調整する第2圧力調整手段と、
    前記第1圧力調整手段と前記第2圧力調整手段とを連通させるバイパス流路と、
    を備え、
    前記第1圧力調整手段および前記第2圧力調整手段のうちの少なくとも一方は、前記主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記第1圧力調整手段および前記第2圧力調整手段の両方は、前記主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成され、
    前記主走査方向への走査の際に前記第1圧力調整手段に前記静止時の圧力に対して正圧が生じる場合、前記第2圧力調整手段に前記静止時の圧力に対して負圧が生じるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段のうちの少なくとも一方は、
    バルブ室と、圧力制御室と、前記バルブ室と前記圧力制御室とを連通させる開口と、前記開口を開閉可能に構成されたバルブとを有し、
    前記圧力制御室は、
    変位可能に構成された可撓性部材により一部の面が構成され、
    前記可撓性部材と連動して変位可能な圧力板と、
    前記圧力板を前記圧力制御室の容積が大きくなる方向に付勢する付勢部材とを有し、
    前記圧力板及び前記可撓性部材の変位に応じて前記バルブを開閉可能に構成され、
    前記付勢部材によって前記圧力板を付勢する方向は、前記主走査方向に対応していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段は、それぞれ、
    バルブ室と、圧力制御室と、前記バルブ室と前記圧力制御室とを連通させる開口と、前記開口を開閉可能に構成されたバルブとを有し、
    前記圧力制御室は、
    変位可能に構成された可撓性部材により一部の面が構成され、
    前記可撓性部材と連動して変位可能な圧力板と、
    前記圧力板を前記圧力制御室の容積が大きくなる方向に付勢する付勢部材とを有し、
    前記圧力板及び前記可撓性部材の変位に応じて前記バルブを開閉可能に構成され、
    前記付勢部材によって前記圧力板を付勢する方向は、前記主走査方向に対応し、前記第1圧力調整手段と前記第2圧力調整手段とで逆向きに構成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段が有する変位可能な圧力板は、前記主走査方向に対して対向して配置されることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段の前記圧力制御室は、前記液体吐出ヘッドが前記主走査方向に往復走査する際の慣性力によって、前記圧力制御室内を収縮または膨張させることが可能なことを特徴とする請求項4または5に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記第1圧力調整手段及び前記第2圧力調整手段の前記圧力制御室は、前記付勢部材として、それぞれ異なるばね特性を有するバネを有することを特徴とする請求項4または5に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記バイパス流路は、前記第2圧力調整手段における前記バルブ室に接続されている、請求項3または4に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記循環ポンプの出口流路は、前記第1圧力調整手段の前記圧力制御室に接続されていることを特徴とする請求項3または4に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記第2圧力調整手段における前記圧力制御室は、前記循環ポンプの入口流路に接続されていることを特徴とする請求項3または4に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記液体吐出ヘッドにインクを供給する第2供給流路を備えており、前記循環ポンプの出口流路は、前記第1圧力調整手段の前記圧力制御室に接続されていることを特徴とする請求項3または4に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 前記第1圧力調整手段は、前記圧力室を介して前記第2圧力調整手段と接続されており、
    前記バイパス流路は、前記圧力室の上流側と該圧力室の下流側とを連通していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  13. 主走査方向に走査しながら液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、
    圧力室内の液体を吐出するための圧力を発生する吐出素子と、
    前記圧力室に液体を供給する供給流路と、
    前記供給流路と前記圧力室を介して接続され、前記圧力室から液体を回収する回収流路と、
    前記供給流路から前記圧力室内に液体を供給し、かつ、前記回収流路から前記圧力室内の液体を回収して前記供給流路へ液体を送液可能な循環ポンプと、
    前記循環ポンプの出口流路と前記供給流路との間に配され、前記供給流路の圧力を調整する圧力調整手段と、
    前記圧力調整手段と回収流路とを連通させるバイパス流路と、
    を備え、
    前記圧力調整手段は、前記主走査方向への往復走査に応じて、静止時の圧力に対して正負が異なる圧力が生じるように構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  14. 前記循環ポンプが駆動し前記圧力室内をインクが循環している状態において、前記圧力室内のインクの流速が所定以上となるように前記バイパス流路の流抵抗が設定されていることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 前記バイパス流路にリリーフバルブが配され、
    前記リリーフバルブは、前記リリーフバルブにおいて前記供給流路側よりも前記回収流路側の圧力が所定以上に低くなった際に、開くように構成されている、請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
  16. インクタンクと、
    前記インクタンクから請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドに液体を供給するポンプと、
    を備える液体吐出装置。
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