JP2023168655A - 選択式還元触媒システムおよび還元剤噴霧方法 - Google Patents

選択式還元触媒システムおよび還元剤噴霧方法 Download PDF

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聡一郎 櫻井
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Abstract

Figure 2023168655000001
【課題】燃料または貨物として船舶に搭載されるLNH3等を有効利用しつつ、当該船舶のエンジン等に既設の尿素水供給系の設備を流用できる選択式還元触媒システムおよび還元剤噴霧方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様によれば、選択式還元触媒システムおよび還元剤噴霧方法が提供される。この選択式還元触媒システムは混合部と、噴霧部とを備える。混合部は、船舶の既設タンクに貯蔵された尿素水に、アンモニアを混合する。噴霧部は、混合により生成された合成還元剤を噴霧するよう構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、選択式還元触媒システムおよび還元剤噴霧方法に関する。
アンモニアを燃料の一部とする舶用ディーゼルエンジンでは、液化アンモニア(以下「LNH3」とする)が用いられる。またカーボンフリー社会の実現のため、燃料としてアンモニアは注目されており、LNH3を貨物として搭載する船舶は増加している。
一方、舶用ディーゼルエンジンでは、重油に代表される原料の燃焼により発生する窒素酸化物を除去するために、選択式還元触媒ユニットが用いられる。還元剤として、一般的に安全性の高いとされる尿素水が広く用いられている。
特許文献1には、舶用ディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒の還元剤として尿素水を用いる方法および、当該方法によって安全性、保守性を重視した選択式還元触媒システムが開示されている。
特開2011-144765号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、耐食性等の観点から選択式還元触媒の還元剤として尿素水を用いる方法であって、アンモニアを燃料の一部とする舶用ディーゼルエンジン等に用いられるLNH3や、貨物として搭載しているLNH3等を有効利用しつつ、当該エンジン等における既存の尿素水供給系の設備を流用することができるものとはなっていない。
本発明は、アンモニアを燃料の一部とする舶用ディーゼルエンジン等に用いられるLNH3や、貨物として搭載しているLNH3等を有効利用しつつ、当該エンジン等における既存の尿素水供給系の設備を流用できる選択式還元触媒システムおよび還元剤噴霧方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、
燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムであって、
混合部と、噴霧部とを備え、
前記混合部は、前記船舶の既設タンクに貯蔵された尿素水に、前記船舶に搭載されたアンモニアを混合し、
前記噴霧部は、前記混合部により生成された合成還元剤を所定の分量噴霧する、ものである。
本発明の第2の観点は、
燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムであって、
造水部と、攪拌部と、混合部と、噴霧部とを備え、
前記造水部は、海水から清水を生成し、
前記攪拌部は、前記清水と粉末尿素を攪拌し、
前記混合部は、前記攪拌により生成した尿素水に、前記船舶に搭載されたアンモニアを混合し、
前記噴霧部は、前記混合部により生成された合成還元剤を所定の分量噴霧する、ものである。
本発明の第3の観点は、
燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶に接続されるアンモニア除害装置であって、
前記船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムは、尿素水貯蔵タンクを備えており、
前記尿素水貯蔵タンクの下部から不活性ガスのバブリングによってアンモニアを吸収し、人体に影響がない濃度に希釈する、ものである。
本発明の第4の観点は、
燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって、
次の各ステップを備え、
混合ステップでは、前記船舶の既設タンクに貯蔵された尿素水に、前記船舶に搭載されたアンモニアを混合し、
噴霧ステップでは、前記混合ステップにより生成された合成還元剤を所定の分量噴霧する、方法である。
本発明の第5の観点は、
燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって、
次の各ステップを備え、
造水ステップでは、海水から清水を生成し、
攪拌ステップでは、前記清水と粉末尿素または尿素水を攪拌し、
混合ステップでは、前記攪拌により生成した尿素水に前記液化アンモニアを搭載する船舶の余剰アンモニアを混合し、
噴霧ステップでは、前記混合ステップにより生成された合成還元剤を所定の分量噴霧する、方法である。
本発明の第6の観点は、
燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶における余剰アンモニアの除害方法であって、
前記船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムは、尿素水貯蔵タンクを備えており、
前記尿素水貯蔵タンクの下部から不活性ガスのバブリングによってアンモニアを吸収し、人体に影響がない濃度に希釈する、方法である。
本発明の選択式還元触媒システムおよび還元剤噴霧方法によれば、アンモニアを燃料の一部とする舶用ディーゼルエンジン等に用いられるLNH3や、貨物として搭載しているLNH3等を有効利用しつつ、当該エンジン等における既存の尿素水供給系の設備を流用することで、別途還元剤の供給系の設置によるコストアップを抑制できる。
本実施形態における選択式還元触媒システムの全体図 尿素水をも作成する場合の選択式還元触媒システムの全体図 尿素水と合成還元剤の脱硝率比較図
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
1.選択式還元触媒システム1の構成
第1節では、本実施形態の選択式還元触媒システムの構成について説明する。
1.1 選択式還元触媒システム1
図1は、本実施形態の一態様であって、燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システム1の全体図である。選択式還元触媒システム1は、尿素水備蓄タンク2と、混合部3と、噴霧部6とを備え、尿素水備蓄タンク2に流量調整部5が取り付けられていてもよい。尿素水備蓄タンク2は選択式還元触媒ユニット8にて使用される濃度の尿素水を備蓄する既設タンクであって、混合部3により作成された合成還元剤について、必要な分量を選択式還元触媒ユニット8に噴霧するように構成される。
1.2 尿素水備蓄タンク2
尿素水備蓄タンク2は選択式還元触媒ユニット8に使用される還元剤を備蓄している。ディーゼルエンジンの自動車では32.5重量%の尿素水が使用されるのに対して、船舶では、40.0重量%の尿素水が使用される。これは還元剤として消費される量が船舶のほうが圧倒的に大きいため、船内におけるスペースをできるだけ確保すべく、できる限り高い濃度にしておくことが求められるからである。
図1、図2のとおり尿素水備蓄タンク2は混合部3や撹拌部4を有しており、作成された合成還元剤を、噴霧部6を介して選択式還元触媒ユニット8に供給するよう構成される。
1.3 混合部3
図1に示すように、混合部3は、尿素水備蓄タンク2に備蓄されている尿素水に、アンモニアガス、アンモニア水、LNH3を混ぜ合わせる。
図2に示すように、混合部3は、尿素水備蓄タンク2に備蓄されていた清水に粉末尿素を撹拌させてできた尿素水に、アンモニアガス、アンモニア水、LNH3を混ぜ合わせる。
上記アンモニアガスは、燃料タンクや貨物タンクのボイルオフガス等であって、不活性ガスによるバブリングで混合される。また、上記アンモニア水は、余剰アンモニアを除害すべく、上記尿素水備蓄タンク2に備蓄されている清水とは別の清水に吸収させたアンモニア水等である。上記LNH3は、燃料タンクや貨物タンク等から直接的に液体状態にて取り出したものである。
なお、尿素水は固体である粉末尿素を溶解したもので、アンモニア水は気体であるアンモニアガスが溶解したものである。そのため尿素水とアンモニア水はどちらも水分子と水素結合しているものであるが共存できるものである。つまりアンモニア分子は尿素水の濃度の高低を問わず混合できることになる。
さらに尿素水とアンモニア水の溶解パラメータは近い値をとるため、液体同士であっても非常に混ぜ合わせやすいものである。
そのため混合部3は棒・板・プロペラ状の攪拌子を槽内で一定速度・一方向に回転させる撹拌装置機能を有するものであれば何でもよく、容器を自動反転させるなどの特段の動きまでは要しない。
1.4 撹拌部4
撹拌部4は、尿素水備蓄タンク2に貯留されている清水に上部から導入された粉末尿素を撹拌し、尿素水を作成するよう構成される。導入される粉末尿素は、上述のとおり尿素水の濃度を略40重量%になるよう調整される。
粉末尿素は水に溶けやすいため、上述の混合部と同様に、撹拌部4は棒・板・プロペラ状の攪拌子を槽内で一定速度・一方向に回転させる撹拌装置機能を有するものであれば何でもよく、容器を自動反転させるなどの特段の動きまでは要しない。
また粉末尿素は溶媒温度の上昇に合わせて、溶解量も増える。そのため図2のように、特に、尿素水備蓄タンク2の下部からアンモニアガスがバブリングされる場合、反応熱の発生によって溶媒となる水の温度が上昇し、より溶け込みやすくなる。つまりその場合、撹拌部4での動作時間も短くなる。
1.5 流量調整部5
流量調整部5は、図1や図2に示すように、燃料タンクまたは貨物タンクからのLNH3、余剰アンモニアを除害すべく、上記尿素水備蓄タンク2に備蓄されている清水とは別の清水に吸収させたアンモニア水といった液体における流量調整弁である。
なお、合成還元剤の濃度調整のため、尿素水備蓄タンク2での圧力を一定に保ちたい場合がある。その場合には流量調整弁ではなく、圧力調整弁を用いてもよく、使用状況に合わせて適時変更できるものである。
1.6 噴霧部6
噴霧部6は、尿素水備蓄タンク2で生成された合成還元剤を選択式還元触媒ユニット8に供給するよう構成される。噴霧部6は、いわゆるシャワーヘッド型の構造をしており、選択式還元触媒ユニット8の直前に付けられることが多い。所定の濃度が維持されていれば、下部で詳述する分析部9でサンプリングされた合成還元剤を含むものを噴霧するものであってもよい。そうすることで無駄なく合成還元剤を使用しうる。
1.7 造水部7
造水部7は、図2のように、特に船舶のまわりに位置する海水を汲み上げ、蒸留し、清水を得るための蒸留装置や、膜式の淡水化装置(不図示)などである。清水は、主に舶用ディーゼルエンジンにおける主機、発電機関、空気圧縮機の冷却水として用いられ、ボイラへの給水及び飲料水及び雑用水としても用いられるものである。この清水の一部が尿素水備蓄タンク2に導入され、尿素水やアンモニア水の溶媒となる。
なお上述のとおり、混合部3において発熱反応が生じる状況であり、撹拌部4での粉末尿素の溶解へのアシストが不要な場合には、当該反応熱を造水部7でのアシストとして利用しても勿論よい。
1.8 選択式還元触媒ユニット8
選択式還元触媒ユニット8は、気体の流路を形成するように一方向に延びた複数の貫通孔を有する構造体を備えるものであって、上記貫通孔を画定する前記構造体の内壁に沿って触媒が担持されており、上記触媒表面において、バナジウムやタングステンや白金が含有元素として構成される、ものが想定される。同様に、酸化チタンを主成分として、押出成形にて製造されるものも想定される。上記流路に沿って舶用ディーゼルエンジンから出る窒素酸化物を含む排気ガスが流されることになり、還元剤としてのアンモニア水が噴霧部6から所定の流量、所定の濃度で供給されることで上記窒素酸化物の除去ができることになる。
1.9 分析部9
分析部9は尿素水備蓄タンク2で生成された合成還元剤の尿素水とアンモニア水のそれぞれの濃度を計測するよう構成される。そのため分析部9は濃度計が想定されるが、濃度計よりも計測することが容易な密度計であってもよい。なおその場合、密度計の計測値と濃度との関係を予め取得しておくことが必要となる。例えばアンモニア水のみの場合であって、光計測での密度計で0.912という数値になっている場合、アンモニア水濃度は常温常圧で約15%程度と考えられる。
合成還元剤として尿素またはアンモニアが最大限まで溶け込んだ場合、尿素水の濃度は略40重量%、アンモニア水の濃度は略20重量%である。そこで予め定めた閾値を超える分析結果が得られた場合には、分析部9は混合部3や撹拌部4の動作を停止する信号をおくるように構成される。
また同様に、予め定めた閾値を超える分析結果が得られた場合には、噴霧部6を起動させる信号をおくるように構成されるものであってもよい。
2 第1の実施形態
第2節では、本発明第1の実施形態の態様について説明する。
図1は、本実施形態の一態様であって、選択式還元触媒システム1の全体図である。図1に記載のLNH3は、燃料タンクや貨物タンク等から直接的に液体状態にて取り出したものであり、図1に記載のアンモニアガスは、燃料タンクや貨物タンクのボイルオフガス等である。さらに図1に記載のアンモニア水は、舶用エンジン配管内に残る余剰アンモニアガスの無害化処理を図りうるよう清水に吸収させたものを流用している。
なお、上記LNH3の一部は環境調和性の向上を図るため、アンモニアを燃料の一部とする舶用ディーゼルエンジン自体から出た廃液を回収し、そこから分離して得られたLNH3を含むものであっても勿論よい。
尿素水備蓄タンク2には、選択式還元触媒ユニット8に噴霧部6を介して供給しうるように、最大濃度である略40重量%の尿素水が備蓄されている。上記LNH3、アンモニアガス、アンモニア水は流量調整部5により所定の流量で尿素水備蓄タンク2に導入される。
そうして尿素水備蓄タンク2に備え付けられた混合部3が、アンモニア成分と尿素成分を混合し、合成還元剤を生成することになる。なおアンモニアガスが尿素水備蓄タンク2に導入される際のバブリング用のガスは窒素に代表されるような不活性ガスは勿論だが、エンジンから出たアンモニアが交ったパージガスであってもよい。その場合、混合部3における撹拌子の回転速度はアンモニア水やLNH3と比較して、さらに緩やかである。
上述のとおり尿素水備蓄タンク2にて合成還元剤が生成されることになるが、尿素水とアンモニア水が所定の濃度を超えているかどうかを、分析部9にて判断する。分析部9は光透過型密度計のような簡易に計測できるものでもよいし、尿素水備蓄タンク2から合成還元剤をサンプリング方式で取り出して、化学反応による濃度測定であってもよい。
さらに、アンモニアは水に溶けると弱アルカリ性となるため、水素イオン指数で濃度を判断するものであってもよい。なおその場合、水素イオン指数と濃度との関係を予め取得しておくことが必要となる。
上記合成還元剤の尿素水とアンモニア水のそれぞれの効果を検討する。尿素はアンモニア基(NH2基)を2つ有する炭酸のアミドである。また尿素の質量は60g/molであり、アンモニアは17g/molである。よって、アンモニアは空気と比較して十分に軽いものの、多くの分子が水に溶け込んでおり、詳細に計算すると尿素水40%と23%のアンモニア水で同等の還元作用能力を有すると考えられる。
32.5重量%の尿素水と、当該尿素水にアンモニアを溶かし込んだ合成還元剤((尿素:アンモニア:水=32.5:10:57.5)を噴霧部6により模擬選択式還元触媒ユニット8に噴霧した場合の実験結果を図3に示す。脱硝のための噴霧量は合成還元剤のほうがかなり少なくできることが確認できる。
アンモニアを飽和状態まで尿素水の中に溶け込ませることで、噴霧量を最大で略半減させることも可能となり、ランニングコストの削減につながる。また尿素水備蓄タンク2の省スペース化および軽量化を達成させることができることになる。さらに配管内に残る余剰アンモニアガスの無害化処理を図りうるよう、造水部7で造水した清水にアンモニアを吸収させてできたアンモニア水を有効利用でき、アンモニア除害装置にかかる負荷の低減も可能となる。またアンモニアを直接的に尿素水に溶け込ませることで、造水部7での負荷自体も低減できることになる。
ここで、アンモニアを周囲温度における飽和状態まで尿素水の中に溶け込ませるか否かは、尿素水備蓄タンク2付近外での船内環境に依存する。船内の想定最高温度における飽和状態のアンモニア量のみ溶け込ませることでアンモニアの拡散防止をなし得るからである。
なお図3のとおり、合成還元剤は尿素水と比較して氷点温度が低くなる。特に寒冷地域で尿素水が凍結して送液できず、バルブや配管が破損するリスクがあることから尿素水備蓄タンク2の温度管理が必要となるところ、そういった温度管理をせずとも選択式還元触媒システム1が起動できることになるため、なお好ましい。
こうして作製された合成還元剤は、既存の尿素水供給系のポンプモジュール等の設備を流用しつつ、排出される二酸化炭素を削減することができ環境調和性も高い。上述のとおり尿素水備蓄タンク2をより小さく設営することができ、選択式還元触媒システム1全体における空間をうまく利用しうるようにもなり、噴霧部6を介して選択式還元触媒ユニット8に噴霧され脱硝が行われる。
なお、尿素水とアンモニアとを混ぜた合成還元剤を予め用意しておき、尿素水備蓄タンク2に搭載することで、尿素水備蓄タンク2をより小さく設営でき、船舶のスペースの有効利用が図れる。さらには、スクラバ用の清水の保管タンクを減少させることもできる。ただし、この場合、尿素水備蓄タンク2内の温度管理が必要になる。エンジンの運転状況等によっては、合成還元剤にあるアンモニア等が飽和状態を超えて析出することになるからである。
3 第2の実施形態
第3節では、本発明第2の実施形態の態様について説明する。なお、第1の実施形態と略同様の機能や構成については、その説明を省略する。
図2は、本実施形態の一態様であって選択式還元触媒システム1の全体図である。本発明第1の実施形態と大きく異なるのは、尿素水備蓄タンク2にあらかじめ備蓄されているのが尿素水ではなく、造水部7により造水された清水であることである。尿素水備蓄タンク2に貯留されている清水に上部から粉末尿素を導入し、撹拌部4にて撹拌し、尿素水を作成するよう構成される。当該尿素水の濃度は略40重量%になるよう調整され、撹拌部4は所定の濃度に到達したときに動きを止める。
なお流量調整部5を介して尿素水備蓄タンク2にアンモニアガスやアンモニア水やLNH3が導入される時期が、撹拌部4の動きが止まった後でなくてもよい。特にアンモニアガスの導入の場合、反応熱により水分の温度上昇が起こる。その場合、粉末尿素の清水への溶解量が増加することになり、撹拌部4ひいては混合部3での撹拌時間を短縮することもできることになる。
4 第3の実施形態
第4節では、本発明第3の実施形態の態様について説明する。なお、第1および第2の実施形態と略同様の機能や構成については、その説明を省略する。
燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶において余剰アンモニアの発生は不可避である。しかし当該アンモニアは、人体に影響があるため、そのまま大気放出することはできず、除害装置にて除去する必要がある。
上述のとおり、アンモニア除害方法の代表例としてスクラバが挙げられ、溶媒に不活性ガスによるバブリングにより吸収させる方法等が知られている。舶用ディーゼルエンジンでは、コストが掛からず操作が容易という利点から、スクラバが多く用いられるが、アンモニアを吸収させる溶媒の設置スペースが問題となる。
そこで図1~2のとおり、スクラバタンクとして、選択式還元触媒システム1に設置される尿素水備蓄タンク2を用いる。つまり尿素水を溶媒としてアンモニアを吸収させることで、尿素水備蓄タンク2は、選択式還元触媒システム1の一部で、かつ除害装置の一部として機能することになる。船内スペースを有効利用できるだけでなく、上述の本発明第1~2の実施形態のとおり、合成還元剤として有用に用いることもできることになる。
4 その他の実施形態
本発明第2の実施形態の態様において、混合部3と撹拌部4が略同時に行われてもよい。特にアンモニアガスと水分との反応熱は大きいため、当該反応熱による粉末尿素の溶解度を上昇させることで撹拌部4の動作時間を短縮させることができるからである。
アンモニアガスやアンモニア水やLNH3が尿素水備蓄タンク2に導入される際に、合成還元剤におけるアンモニアの飽和濃度以上にならないよう流量調整部5にてアンモニア量が調整されていることが好ましい。
燃料として使用しているか、貨物として使用しているかによって発生するアンモニア水の量が大きく変わるため、船舶の運用状況に合わせた流量調整が行われることで無駄のない環境調和性の高い選択式還元触媒システム1となるからである。
尿素水備蓄タンク2に導入されるアンモニアが、流量調整部5を介したアンモニアガスであって不活性ガスによるバブリングであるとなお好ましい。
上述のとおり反応熱の利用による溶解度の上昇が期待できるだけでなく、尿素水備蓄タンク2の下部に熱交換器等が取り付けられている場合、その熱で造水部7での清水の造水をアシストすることも可能となるからであり、より環境調和性の高いシステムとなるからである。
選択式還元触媒ユニット8に合成還元剤を噴霧する前に、分析部9が設けられており、所定の濃度に到達しているかを判断できるのがさらに好ましい。
バブリング等により反応熱が生ずる場合、尿素水備蓄タンク2の上部と下部で温度勾配が発生することがありうる。その際、アンモニアと尿素が完全に清水に溶け込んでおらず濃度の斑が発生し、合成還元剤の有効利用に適さないからである。
以上、種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 選択式還元触媒システム
2 尿素水備蓄タンク
3 混合部
4 撹拌部
5 流量調整部
6 噴霧部
7 造水部
8 選択式還元触媒ユニット
9 分析部

Claims (18)

  1. 燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムであって、
    混合部と、噴霧部とを備え、
    前記混合部は、前記船舶の既設タンクに貯蔵された尿素水に、前記船舶に搭載されたアンモニアを混合し、
    前記噴霧部は、前記混合部により生成された合成還元剤を所定の分量噴霧する、もの。
  2. 燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムであって、
    造水部と、攪拌部と、混合部と、噴霧部とを備え、
    前記造水部は、海水から清水を生成し、
    前記攪拌部は、前記清水と粉末尿素を攪拌し、
    前記混合部は、前記攪拌により生成した尿素水に、前記船舶に搭載されたアンモニアを混合し、
    前記噴霧部は、前記混合部により生成された合成還元剤を所定の分量噴霧する、もの。
  3. 請求項2に記載の選択式還元触媒システムであって、
    前記攪拌部での攪拌と、前記混合部での混合が略同時に行われる、もの。
  4. 請求項1~3に記載の選択式還元触媒システムであって、
    さらに流量調整部を備え、前記船舶に搭載されたアンモニアが、所定の分量で前記混合部に輸送される、もの。
  5. 請求項4に記載の選択式還元触媒システムであって、
    前記船舶に搭載されたアンモニアが、前記混合部の下部から不活性ガスのバブリングによって供給されるよう構成される、もの。
  6. 請求項1~3に記載の選択式還元触媒システムであって、
    さらに分析部を備え、
    前記分析部が、前記混合部により生成された合成還元剤の成分分析を行い、
    前記噴霧部が、前記成分分析結果の値により定まる所定の分量を噴霧する、もの。
  7. 請求項4に記載の選択式還元触媒システムであって、
    さらに分析部を備え、
    前記分析部が、前記混合部により生成された合成還元剤の成分分析を行い、
    前記噴霧部が、前記成分分析結果の値により定まる所定の分量を噴霧する、もの。
  8. 請求項5に記載の選択式還元触媒システムであって、
    さらに分析部を備え、
    前記分析部が、前記混合部により生成された合成還元剤の成分分析を行い、
    前記噴霧部が、前記成分分析結果の値により定まる所定の分量を噴霧する、もの。
  9. 燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶に接続されるアンモニア除害装置であって、
    前記船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムは、尿素水貯蔵タンクを備えており、
    前記尿素水貯蔵タンクの下部から不活性ガスのバブリングによってアンモニアを吸収し、人体に影響がない濃度に希釈する、もの。
  10. 燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって、
    次の各ステップを備え、
    混合ステップでは、前記船舶の既設タンクに貯蔵された尿素水に、前記船舶に搭載されたアンモニアを混合し、
    噴霧ステップでは、前記混合ステップにより生成された合成還元剤を所定の分量噴霧する、方法。
  11. 燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって、
    次の各ステップを備え、
    造水ステップでは、海水から清水を生成し、
    攪拌ステップでは、前記清水と粉末尿素または尿素水を攪拌し、
    混合ステップでは、前記攪拌により生成した尿素水に前記液化アンモニアを搭載する船舶の余剰アンモニアを混合し、
    噴霧ステップでは、前記混合ステップにより生成された合成還元剤を所定の分量噴霧する、方法。
  12. 請求項11に記載の選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって、
    前記攪拌ステップと、前記混合ステップが略同時に行われる、方法。
  13. 請求項10~12に記載の選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって
    さらに流量調整ステップを備え、前記混合ステップに輸送される前記船舶に搭載されたアンモニアが所定の分量となる、方法。
  14. 請求項13に記載の選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって、
    前記混合ステップが、前記船舶に搭載されたアンモニアの下部方向からの不活性ガスのバブリングによって供給される、方法。
  15. 請求項10~12に記載の選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって、
    さらに分析ステップを備え、
    前記分析ステップが、前記混合ステップにより生成された合成還元剤の成分分析を行い、
    前記噴霧ステップが、前記成分分析結果の値により定まる所定の分量を噴霧する、方法。
  16. 請求項13に記載の選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって、
    さらに分析ステップを備え、
    前記分析ステップが、前記混合ステップにより生成された合成還元剤の成分分析を行い、
    前記噴霧ステップが、前記成分分析結果の値により定まる所定の分量を噴霧する、方法。
  17. 請求項14に記載の選択式還元触媒システムにおける還元剤噴霧方法であって、
    さらに分析ステップを備え、
    前記分析ステップが、前記混合ステップにより生成された合成還元剤の成分分析を行い、
    前記噴霧ステップが、前記成分分析結果の値により定まる所定の分量を噴霧する、方法。
  18. 燃料又は貨物として、液化アンモニアを搭載する船舶における余剰アンモニアの除害方法であって、
    前記船舶のディーゼルエンジンに接続される選択式還元触媒システムは、尿素水貯蔵タンクを備えており、
    前記尿素水貯蔵タンクの下部から不活性ガスのバブリングによってアンモニアを吸収し、人体に影響がない濃度に希釈する、方法。



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