JP2023168130A - 車両用前照灯 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両前方の視認性の低下を抑制し得る車両用前照灯を提供する。【解決手段】 車両用前照灯1は、灯具ユニット10、及び車両100の前方に位置する対象物を検出する検出装置から信号が入力される制御部COを備え、制御部COは、対象物が車両100の前方に位置しない場合、ハイビームの配光パターンPHを有する光が出射するように灯具ユニット10を制御し、複数の対象物が車両100の前方に位置する場合、ハイビームの配光パターンPHのうち、それぞれの対象物の少なくとも一部とそれぞれ重なる複数の第1領域91a-91dの光量が減少し、それぞれの第1領域91a-91dの外縁の少なくとも一部にそれぞれ沿う複数の第2領域92a-92dの光量が増加すると共に、それぞれの第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが複数の第1領域91a-91dの面積の合計に応じて変化するように、灯具ユニット10を制御する。【選択図】 図7

Description

本発明は、車両用前照灯に関する。
自動車用ヘッドライトに代表される車両用前照灯として、出射する光の配光パターンを変化させるものが知られており、下記特許文献1には、このような車両用前照灯が開示されている。
下記特許文献1に記載の車両用前照灯は、出射する光の配光パターンを変更可能な灯具ユニットと、制御部と、を備える。制御部は、車両前方に位置する他車両を検出する検出装置からの情報に基づいて灯具ユニットを制御して、当該他車両への光の照射を抑制しつつ、他車両の周囲に光が照射されるようにする。このため、下記特許文献1では、車両用前照灯が車両前方に位置する他車両の運転者にグレアを与えることを抑制できるとされている。
特開2011-031807号公報
上記特許文献1の車両用前照灯のように光量が減少された領域が形成される場合、自車両の運転者はこの領域と共に当該領域の周囲も暗くなったように見える傾向にあり、車両前方の視認性が低下する場合がある。また、上記特許文献1の車両用前照灯では、車両前方に複数の他車両が位置する場合、これら他車両と重なる1つの領域における光量が減少されている。このため、隣り合う他車両の間の領域も暗くなり、車両前方の視認性が低下する。このため、このような車両前方の視認性の低下を抑制したいとの要請がある。
そこで、本発明は、車両前方の視認性の低下を抑制し得る車両用前照灯を提供することを目的とする。
上記目的の達成のため、本発明の車両用前照灯は、出射する光の配光パターンを変更可能な灯具ユニットと、車両前方に位置する所定の対象物を検出する検出装置から信号が入力され前記灯具ユニットを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記所定の対象物が前記車両前方に位置しない場合、所定の配光パターンを含む配光パターンを有する光が出射するように前記灯具ユニットを制御し、複数の前記所定の対象物が前記車両前方に位置する場合、前記所定の対象物が前記車両前方に位置しない場合と比べて、前記所定の配光パターンのうち、それぞれの前記所定の対象物の少なくとも一部とそれぞれ重なる複数の第1領域の光量が減少し、それぞれの前記第1領域の外縁の少なくとも一部にそれぞれ沿う複数の第2領域の光量が増加すると共に、それぞれの前記第2領域の当該第2領域が前記第1領域の外縁に沿う方向と垂直な方向における幅が複数の前記第1領域の面積の合計に応じて変化するように、前記灯具ユニットを制御するものである。
この車両用前照灯では、車両前方の状況に応じて出射する光の配光パターンが変化し、車両前方に位置する複数の対象物に照射される光の量が減少される。例えば、複数の対象物に他車両が含まれる場合、当該他車両に照射される光の量が減少される。このため、この車両用前照灯によれば、他車両の運転者にグレアを与えることを抑制し得る。また、複数の対象物に標識等の再帰反射物体が含まれる場合、再帰反射物体に照射される光の量が減少される。このため、この車両用前照灯によれば、当該再帰反射物体で反射して自車に向かう反射光の量が低減され、当該反射光による自車両の運転者へのグレアを抑制し得る。また、この車両用前照灯によれば、複数の対象物に対して1つの第1領域が設けられる場合と比べて、隣り合う対象物の間の領域が暗くなることを抑制し得る。また、この車両用前照灯によれば、第2領域がない場合と比べて、光量が減少する第1領域の周囲が暗くなったように見えることを抑制し得、車両前方の視認性の低下を抑制し得る。また、この車両用前照灯では、上記のように、それぞれの第2領域の上記の幅が複数の第1領域の面積の合計に応じて変化する。所定の配光パターンの全体に対する第1領域の割合が多いほど所定の配光パターンが全体的に暗くなったように見える傾向にある。このため、それぞれの第2領域の上記の幅が複数の第1領域の面積の合計が多いほど広くなる場合には、所定の配光パターンが全体的に暗くなったように見えることを抑制し得る。
前記制御部は、複数の前記第1領域の減光量の合計と複数の前記第2領域の増光量の合計とが同じになるように、前記灯具ユニットを制御してもよい。
このような構成にすることで、複数の第2領域の増光量の合計が複数の第1領域の減光量の合計より多い場合と比べて、エネルギー消費量の増加を抑制できる。
前記制御部は、複数の前記第2領域の前記幅が互いに同じとなるように、前記灯具ユニットを制御してもよい。
このような構成にすることで、複数の第2領域の前記幅が互い異なる場合と比べて、制御部の制御負荷を低減し得る。
前記制御部は、複数の前記第2領域の単位面積当たりの増光量が互いに同じとなるように、前記灯具ユニットを制御してもよい。
このような構成にすることで、複数の第2領域の単位面積当たりの増光量が互い異なる場合と比べて、制御部の制御負荷を低減し得る。
前記制御部は、複数の前記第1領域の面積の合計の変化量に対するそれぞれの前記第2領域の前記幅の変化量が、複数の前記第1領域の面積の合計が多いほど少なくなるように、前記灯具ユニットを制御してもよい。
隣接する第2領域同士が重なる場合、第2領域同士が重なっている領域が明るくなり過ぎて、自車両での運転者が違和感を覚える場合がある。また、複数の第1領域の面積の合計が多いほど、隣接する第1領域同士が近づきやすくなり、隣接する第2領域同士が近づきやすくなる傾向にある。このため、上記のような構成にすることで、複数の第1領域の面積の合計の変化量に対するそれぞれの第2領域の上記の幅の変化量が複数の第1領域の面積の合計によらずに一定である場合と比べて、隣接する第2領域が重なり難くし得、自車両の運転者が違和感を覚えることを抑制し得る。
前記制御部は、所定の配光パターンの面積に対する複数の前記第1領域の面積の合計の比が所定値以下の場合、それぞれの前記第2領域の前記幅が変化しないように、前記灯具ユニットを制御してもよい。
上記の比が小さいほど、所定の配光パターンが全体的に暗くなったように見え難い。このため、上記のような構成にすることで、制御部の制御負荷を低減しつつ、所定の配光パターンが全体的に暗くなったように見え易くなることを抑制し得る。
前記制御部は、前記第1領域の数が多いほどそれぞれの前記第2領域の前記幅が狭くなるように、前記灯具ユニットを制御してもよい。
このような構成にすることで、隣接する第2領域が重なり難くし得、自車両の運転者が違和感を覚えることを抑制し得る。
以上のように本発明によれば、車両前方の視認性の低下を抑制し得る車両用前照灯を提供できる。
本発明の実施形態における車両用前照灯を備える車両を概念的に示す平面図である。 図1に示す一方の車両用前照灯の灯具部を概略的に示す断面図である。 図2に示す光源部を概略的に示す正面図である。 本実施形態における制御部の制御フローチャートである。 本実施形態におけるハイビームの配光パターンの一例を示す図である。 本実施形態におけるADB配光パターンの一例を図5と同様に示す図である。 図6に示す状態から所定時間経過した際のADB配光パターンの一例を図6と同様に示す図である。
以下、本発明に係る車両用前照灯を実施するための形態が添付図面と共に例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。また、本発明は、以下に例示する各実施形態における構成要素を適宜組み合わせてもよい。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
図1は、本発明の実施形態における車両用前照灯を備える車両を概念的に示す平面図である。図1に示すように、本実施形態の車両100は、自動車であり、左右一対の車両用前照灯1と、ライトスイッチ110と、車両100の前方に位置する所定の対象物を検出する検出装置120と、を備える。
本実施形態では、それぞれの車両用前照灯1は、灯具部5と、制御部COと、メモリMEと、電源回路50と、を主な構成として備える。なお、本明細書において、特に明示のない限り、「右」とは自車両である車両100の運転者の視点における右側を意味し、「左」とは自車両である車両100の運転者の視点における左側を意味する。
本実施形態では、一方の車両用前照灯1の構成は、灯具部5の形状が概ね左右対称であることを除いて、他方の車両用前照灯1の構成と同じとされる。このため、以下では、一方の車両用前照灯1について説明し、他方の車両用前照灯1についての説明は省略する。
図2は、図1に示す一方の車両用前照灯1の灯具部5を概略的に示す断面図である。図2に示すように、灯具部5は、灯具ユニット10と、筐体16とを主な構成として備える。
筐体16は、ハウジング17及びフロントカバー18を主な構成として備える。フロントカバー18は、灯具ユニット10から出射する光を透過する。ハウジング17は前方に開口を有する箱状に構成され、当該開口を塞ぐようにフロントカバー18がハウジング17に固定される。こうして、筐体16には、ハウジング17とフロントカバー18とによって囲われる収容空間が形成され、当該収容空間に灯具ユニット10が配置される。この灯具ユニット10は、出射する光の配光パターンを変更可能であり、光源部12と、投影レンズ15とを主な構成として備える。
図3は、図2に示す光源部12を概略的に示す正面図である。図3に示すように、本実施形態の光源部12は、光を出射する光出射部としての複数の発光素子13と、複数の発光素子13が実装される回路基板14とを有する。複数の発光素子13は、マトリックス状に配置されて上下方向及び左右方向に列を形成し、前方に向かって光を出射する。これら発光素子13は、出射する光の光量を個別に変更可能とされている。本実施形態では、これら発光素子13はマイクロLED(Light Emitting Diode)であり、光源部12は所謂マイクロLEDアレイである。なお、左右方向に並ぶ発光素子13の数、及び上下方向に並ぶ発光素子13の数は、特に限定されるものではない。
本実施形態では、それぞれの発光素子13は、後述する制御部COの画像生成部によって生成される画像の画素と対応する。光源部12は、それぞれの発光素子13から出射する光の光量を当該発光素子13に対応する画素のデータに応じて調節することで、この画像に基づく光を出射し、当該光によって当該画像に基づく配光パターンを形成する。本実施形態では、発光素子13と画素とが1対1で対応するが、特に制限されるものではない。
投影レンズ15は、光源部12より前方に配置され、光源部12から出射する光が入射し、この光の発散角が投影レンズ15で調節される。このため、投影レンズ15で発散角が調節された光が灯具ユニット10から出射し、当該光がフロントカバー18を介して灯具部5から車両100の前方へ照射される。本実施形態の投影レンズ15は、光の入射面及び出射面が凸状に形成されたレンズであり、投影レンズ15の後方焦点は、光源部12におけるいずれかの発光素子13の光の出射面上またはその近傍に位置している。このため、車両100の前方へ照射される光の配光パターンは、光源部12が出射する光の配光パターンが上下左右に反転された配光パターンであり、この配光パターンを表す画像は、光源部12が出射する光の配光パターンを表す画像が上下左右に反転された画像である。
次に、図1に示す制御部COは、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置から成る。また、制御部COは、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。
メモリMEは、情報を記憶し、当該記憶した情報を読み出し可能に構成される。メモリMEは、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体記録媒体が好適であるが、光学式記録媒体や磁気記録媒体等の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、「非一過性」の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く全てのコンピュータで読み取り可能な記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。このメモリMEには、灯具ユニット10を制御するための各種プログラムや当該制御に必要な情報が記憶され、制御部COはメモリMEに記憶されるプログラムや情報を読み出す。
本実施形態の制御部COは、メモリMEから各種プログラムを読み出した状態において、画像生成部20、及び配光制御部40を備え、後述する検出装置120から信号が入力される。画像生成部20は、メモリMEに記憶される画像を基に画像を生成する。本実施形態では、この画像は、各画素のデータが濃淡値であるグレースケール画像であり、濃淡値が大きい画素ほど明るい。しかし、各画素のデータは特に限定されるものではない。また、画像の情報は、車両100に備わる無線通信機器を介して車外のメモリから読み込まれたものであってもよい。
本実施形態では、メモリMEに記憶される画像は、ハイビーム画像とされる。ハイビーム画像は、光源部12から出射する光がハイビームの配光パターンを形成する画像である。本実施形態の画像生成部20は、検出装置120から入力される信号が示す情報に基づいて、ハイビーム画像に処理を施すことで、ハイビームの配光パターンにおける一部の領域の光量が減少されると共に他の一部の領域の光量が増加されたADB配光パターンを表す画像を生成する。
本実施形態の配光制御部40は、メモリMEに記憶されるハイビーム画像の情報、または、画像生成部20が生成した画像の情報に基づいて、電源回路50を制御することで灯具ユニット10を制御する。上記のように、画像生成部20は検出装置120から入力される信号が示す情報に基づいて画像を生成する。このため、制御部COは、検出装置120から信号が入力され、画像生成部20及び配光制御部40によって、灯具ユニット10を制御すると理解できる。
電源回路50は、ドライバを含んでおり、配光制御部40から制御信号が入力すると、このドライバによって図示しない電源から光源部12の各発光素子13に供給される電力が調節される。こうして、それぞれの発光素子13から出射する光の光量が調節され、ハイビーム画像または画像生成部20で生成された画像に基づく光を光源部12が出射する。そして、ハイビームまたは画像生成部20で生成された画像が表すADB配光パターンを有する光が灯具ユニット10から出射する。なお、濃淡値が大きい画素に対応する発光素子13ほど供給される電力が多く、本実施形態では、濃淡値が閾値を超える場合には、当該閾値に対応する電力が発光素子13に供給される。また、本実施形態では、電源回路50のドライバがPWM(Pulse Width Modulation)制御によってそれぞれの発光素子13に供給される電力を調整することで、それぞれの発光素子13から出射する光の光量が調節される。しかし、それぞれの発光素子13から出射する光の光量の調節方法は特に制限されない。
本実施形態のライトスイッチ110は、光の出射または非出射を選択するスイッチである。ライトスイッチ110は、オンの場合には光の出射を示す信号を車両100のECU(Electronic Control Unit)101を介して制御部COに出力し、オフの場合には信号を出力しない。
本実施形態の検出装置120は、車両100の前方に位置する所定の対象物を検出する。所定の対象物として、例えば、先行車や対向車等の他車両、再帰反射物体、歩行者等の人間、障害物等が挙げられる。本実施形態の再帰反射物体は、自ら発光せず、照射される光を所定の広がり角度で再帰反射する物体であり、このような再帰反射物体として、例えば、道路標識、視線誘導標等が挙げられる。本実施形態の検出装置120は、画像取得部121と検出部122とを備える。
画像取得部121は車両100の前方の画像を取得し、画像取得部121によって取得される画像には、一対の車両用前照灯1から出射する光を照射可能な領域の少なくとも一部が含まれる。画像取得部121として、例えば、CCD(Charged coupled device)カメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)、ミリ波レーダ等が挙げられる。
検出部122は、例えば、制御部COと同様の構成である。検出部122は、画像取得部121によって取得された画像に所定の画像処理を施し、当該画像処理が施された画像から所定の対象物の存在、画像における所定の対象物の存在位置、所定の対象物の種類等を検出する。検出装置120は、車両100の前方に位置する所定の対象物を検出した場合に、当該所定の対象物の存在、画像における所定の対象物の存在位置、所定の対象物の種類といった情報を示す信号を、車両100のECU(Electronic Control Unit)101を介して制御部COに出力する。また、検出装置120は、車両100の前方に位置する所定の対象物を検出しない場合に、所定の対象物が存在しないことを示す信号を、ECU101を介して制御部COに出力するが、当該信号を出力しなくてもよい。
なお、検出装置120が検出する所定の対象物、所定の対象物の種類の数、及び検出装置120の構成は特に限定されるものではない。例えば、画像取得部121はCCDカメラ及びLiDARであってもよく、この場合、検出部122は、CCDカメラ及びLiDARによって取得された画像に基づいて、所定の対象物の検出を行う。
次に、本実施形態の車両用前照灯1の動作について説明する。本実施形態では、一対の車両用前照灯1の動作は、互いに同じであり、同期する。このため、以下では、一方の車両用前照灯1の動作について説明し、他方の車両用前照灯1の動作の説明は省略する。
図4は、本実施形態における制御部COの制御フローチャートである。図4に示すように、制御フローは、ステップSP11~ステップSP15を含んでいる。
(ステップSP11)
本ステップは、制御部COが、ライトスイッチ110から信号が入力するか否かに応じて場合分けをして次に進むステップを変更するステップである。本ステップでは、制御部COは、ライトスイッチ110から信号が入力する場合には、制御フローをステップSP12に進め、この信号が入力されない場合にはステップSP15に進める。
(ステップSP12)
本ステップは、制御部COが、検出装置120から入力する信号に応じて場合分けをして次に進むステップを変更するステップである。本ステップでは、制御部COは、検出装置120から所定の対象物が存在しないことを示す信号が入力する場合には制御フローをステップSP13に進め、検出装置120から所定の対象物の情報を示す信号が入力する場合にはステップSP14に進める。
(ステップSP13)
本ステップは、車両用前照灯1からハイビームが出射するように、制御部COが灯具ユニット10を制御するステップである。本実施形態では、画像生成部20がメモリMEに記憶されるハイビーム画像を読み込み、配光制御部40がこのハイビーム画像の情報に基づいて電源回路50を制御して光源部12のそれぞれの発光素子13に電力を供給させる。この電力の供給によって、光源部12がハイビーム画像に基づく光を出射し、ハイビームの配光パターンを有する光が車両用前照灯1から出射する。こうして、所定の対象物が車両100の前方に位置しない場合に、車両用前照灯1からハイビームが出射する。そして、制御部COは、制御フローをステップSP11に進める。
図5は、本実施形態におけるハイビームの配光パターンの一例を示す図である。図5において、Sは水平線を示し、Vは車両100の左右方向の中心を通る鉛直線を示し、車両100の25m前方に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるハイビームの配光パターンPHが太線で示される。本実施形態では、ハイビームを出射する際に全ての発光素子13から光が出射され、ハイビームの配光パターンの外形は概ね横長の長方形状である。また、ハイビームの配光パターンPHにおける光の強度が最も高い領域であるホットゾーンは、水平線Sと鉛直線Vとの交点上またはその近傍に位置している。ハイビームの配光パターンPHにおける光の強度は、このホットゾーンから外方へ向かって遠ざかるほど低くなっている。
(ステップSP14)
本ステップは、車両用前照灯1から出射する光の配光パターンが検出装置120によって検出される車両100の前方に位置する所定の対象物に応じたADB配光パターンとなるように、制御部COが灯具ユニット10を制御するステップである。本実施形態におけるADB配光パターンは、ハイビームの配光パターンPHのうち、所定の対象物の少なくとも一部と重なる第1領域、及びこの第1領域の外縁の少なくとも一部に沿う第2領域における光量が変化された配光パターンである。第1領域の光量の変化は所定の対象物が車両100の前方に位置しない場合と比べて減少する変化である。第2領域の光量の変化は所定の対象物が車両100の前方に位置しない場合と比べて増加する変化である。つまり、制御部COは、所定の対象物が車両100の前方に位置しない場合と比べて、ハイビームの配光パターンPHのうち、第1領域の光量が減少し、第2領域の光量が増加するように、灯具ユニット10を制御する。
なお、車両100の前方に位置する所定の対象物が複数である場合、それぞれの所定の対象物に対して第1領域が設けられ、それぞれの第1領域に対して第2領域が設けられる。つまり、この場合のADB配光パターンは、ハイビームの配光パターンPHのうち、それぞれの所定の対象物の少なくとも一部とそれぞれ重なる複数の第1領域の光量が減少し、それぞれの第1領域の外縁の少なくとも一部にそれぞれ沿う複数の第2領域の光量が増加した配光パターンである。また、それぞれの第2領域の当該第2領域が第1領域の外縁に沿う方向と垂直な方向における幅は、複数の第1領域の面積の合計に応じて変化する。このため、制御部COは、このようなADB配光パターンを有する光が出射するように、灯具ユニット10を制御する。なお、以下において、第2領域の幅とは上記の幅を示す。
このような制御において、本実施形態では、まず、画像生成部20が、メモリに記憶されるハイビーム画像を読み込み、検出装置120から入力する所定の対象物の情報に基づいて、ハイビーム画像に処理を施して上記のADB配光パターンを表すADB配光画像を生成する。具体的には、画像生成部20は、検出装置120からの情報に基づいて、ハイビーム画像における上記の第1領域に対応する領域の画素が暗くなると共に、上記の第2領域に対応する領域の画素が明るくなる処理をする。画像生成部20は、このようにハイビーム画像に処理をしてハイビーム画像の一部の明るさが変化されたADB配光画像を生成する。
次に、生成されたADB配光画像の情報に基づいて配光制御部40が電源回路50を制御して、光源部12からADB配光画像に基づく光を出射させる。このため、所定の対象物に応じたADB配光パターンを有する光が車両用前照灯1から出射する。そして、制御部COは制御フローをステップSP11に進める。
図6は、本実施形態におけるADB配光パターンの一例を図5と同様に示す図であり、検出装置120によって検出された所定の対象物としての再帰反射物体81、人間82、及び他車両83が車両100の前方に位置する際のADB配光パターンを示す図である。図6において、再帰反射物体81は道路標識であり、人間82は歩行者であり、他車両83は先行車である。ADB配光パターンPADBのうち、再帰反射物体81と重なる第1領域91aの光量は、ハイビームの配光パターンPHにおける当該第1領域91aの光量より少ない。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、再帰反射物体81によって反射して自車である車両100に向かう反射光の量を低減し得、当該反射光による運転者へのグレアを抑制し得る。なお、図6に示す例では、第1領域91aは、再帰反射物体81の全体に重なる矩形状である。しかし、運転者へのグレアを抑制する観点では、第1領域91aは再帰反射物体81の少なくとも一部に第1領域91aが重なっていればよく、第1領域91aの形状や大きさは制限されない。
また、ADB配光パターンPADBのうち、人間82と重なる第1領域91bの光量は、ハイビームの配光パターンPHにおける当該第1領域91bの光量より少ない。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、人間82に照射される光の量を減少させて、当該人間へのグレアを抑制し得る。なお、図6に示す例では、第1領域91bは人間82の頭部に重なる矩形状であり、第1領域91bは人間82の胴体部の大部分に重なっていない。しかし、人間82へのグレアを抑制する観点では、第1領域91bは人間82の頭部の少なくとも一部に重なっていればよく、人間82の全体に第1領域91bが重なっていてもよく、第1領域91bの形状や大きさは制限されない。
また、ADB配光パターンPADBのうち、他車両83と重なる第1領域91cの光量は、ハイビームの配光パターンPHにおける当該第1領域91cの光量より少ない。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、他車両83に照射される光の量を減少させて、他車両83の運転者へのグレアを抑制し得る。なお、図6に示す例では、第1領域91cは。他車両83におけるナンバープレートより上部に重なる矩形状である。しかし、他車両83の運転者へのグレアを抑制する観点では、第1領域91cは他車両83の運転者が車外を視認するための視認部の少なくとも一部に重なっていればよい。例えば、他車両83の全体に第1領域91cが重なっていてもよく、第1領域91cの形状や大きさは制限されない。なお、視認部とは、他車両83が対向車の場合には例えばフロントウインドであり、他車両83が先行車の場合には例えばサイドミラー、リアウインド、車両の後方を撮像する撮像装置等であり、これらは一般的にナンバープレートより上部に配置される傾向にある。
また、本実施形態では、それぞれの第1領域91a-91cの明るさは同じであり、第1領域91a-91cの単位面積当たりの光量が同じである。図6に示す例では、第1領域91aの面積は、第1領域91bの面積より大きく、第1領域91cの面積は、第1領域91aの面積より大きい。そして、第1領域91aにおいて減少した光量である減光量は、第1領域91bにおける減光量より多く、第1領域91cにおける減光量は、第1領域91aにおける減光量より多い。
また、第2領域92aは、第1領域91aの外縁の少なくとも一部に沿う領域である。また、第2領域92aと同様に、第2領域92bは、第1領域91bの外縁の少なくとも一部に沿う領域であり、第2領域92cは、第1領域91cの外縁の少なくとも一部に沿う領域である。図6に示す例では、これら第2領域92a-92cは、第1領域91a-91cの外縁の全体に亘って沿い、第1領域91a-91cを囲っている。また、第1領域91aの幅Wa、第1領域91bの幅Wb、及び第1領域91cの幅Wcは、第2領域92a-92cが第1領域91a-91cの外縁に沿う方向においてそれぞれ概ね一定であり、それぞれの第2領域92a-92cの光量は、ハイビームの配光パターンPHにおける当該第2領域92a-92cの光量より多い。
本実施形態では、これら第2領域92a-92cにおいて増加した光量である増光量の合計は、第1領域91a-91cの減光量の合計と同じである。また、これら第2領域92a-92cの単位面積当たりの増光量は、互いに同じであり、これら第2領域92a-92cの幅Wa-Wcは、互いに同じである。このような第2領域92a-92cの幅Wa-Wcは、複数の第1領域91a-91cの面積の合計に応じて変化し、本実施形態では、複数の第1領域91a-91cの面積の合計が多いほど広くなる。
図7は、図6に示す状態から所定時間経過した際のADB配光パターンの一例を図6と同様に示す図であり、図6に示す状態から複数の第1領域の面積の合計が増加したADB配光パターンを示す図である。図7に示す状態では、所定の対象物としての再帰反射物体81、人間82、他車両83、及び別の人間182である歩行者が車両100の前方に位置している。図7における車両100に対する他車両83の位置は、図6における位置と概ねおなじである。また、図7における車両100に対する再帰反射物体81及び人間82の位置は、図6における位置より車両100に近い。図6に示すADB配光パターンPADBにおける第1領域91a-91cがそれぞれ図7に示すADB配光パターンPADBにおける第1領域91a-91cに変化し、図6に示すADB配光パターンPADBにおける第2領域92a-92cがそれぞれ図7に示すADB配光パターンPADBにおける第2領域92a-92cに変化している。また、図7に示すADB配光パターンPADBでは、別の人間182の少なくとも一部と重なる第1領域91dと、当該第1領域91dの外縁の少なくとも一部に沿う第2領域92dとが設けられている。図7に示す例では、第2領域92dは第1領域91dの外縁の全体に亘って沿っており、第2領域92dの幅Wdは第2領域92dが第1領域91dの外縁に沿う方向において概ね一定である。第1領域91dの光量は、ハイビームの配光パターンPHにおける当該第1領域91dの光量より少なく、第2領域92dの光量は、ハイビームの配光パターンPHにおける当該第2領域92dの光量より多い。なお、以下では、理解容易のため、図6に示すADB配光パターンPADBの構成についは、変化前とし、図7に示すADB配光パターンPADBの構成についは、変化後とする。
本実施形態では、変化後の第1領域91aの明るさは変化前の第1領域91aの明るさと同じであり、変化後の第1領域91bの明るさは変化前の第1領域91bの明るさと同じであり、変化後の第1領域91cの明るさは変化前の第1領域91cの明るさと同じであり、これら変化後の第1領域91a,91b,91c及び第1領域91dの明るさは互いに同じである。このため、変化後の複数の第1領域91a-91dの減光量の合計は、変化前のADB配光パターンPADBにおける複数の第1領域91a-91cの減光量の合計より大きい。また、変化後の第1領域91aの面積は変化前の第1領域91aの面積より大きく、変化後の第1領域91bの面積は変化前の第1領域91bの面積より大きく、変化後の第1領域91cの面積は変化前の第1領域91cの面積と概ね同じである。このため、変化後のADB配光パターンPADBにおける複数の第1領域91a-91dの面積の合計は、変化前のADB配光パターンPADBにおける複数の第1領域91a-91cの面積の合計より大きい。そして、変化後の第2領域92aの幅Waは変化前の幅Waより広く、変化後の第2領域92bの幅Wbは変化前の幅Wbより広く、変化後の第2領域92cの幅Wcは変化前の幅Wcより広く、これら変化後の幅Wa-Wc及び第2領域92dの幅Wdは互いに同じである。
また、変化後の複数の第1領域91a-91dの減光量の合計は変化後の複数の第2領域92a-92dの増光量の合計と同じであり、変化後の複数の第2領域92a-92dの単位面積当たりの増光量は互いに同じである。このため、これら変化後の第2領域92a-92dの単位面積当たりの増光量は、変化後の複数の第1領域91a-91dの減光量の合計、及び互いに同じである変化後の幅Wa-Wdによって決まる。
なお、図示による説明は省略するが、検出装置120によって検出される所定の対象物が1つの場合、第1領域の数は1つとなり、第2領域は、第1領域の外縁の少なくとも一部に沿う1つの領域となる。また、この第2領域の増光量は、第1領域の減光量が多いほど多く、本実施形態では、第1領域の減光量と同じである。また、第2領域の幅は、第1領域の面積が大きいほど広い。
このように本実施形態の車両用前照灯1は、ライトスイッチ110で光の出射が選択されている場合、車両100の前方の状況に応じて出射する光の配光を制御する。
(ステップSP15)
本ステップは、車両用前照灯1からの光が非出射となるように、制御部COが灯具ユニット10を制御するステップである。制御部COにおける配光制御部40が電源回路50を制御して灯具ユニット10からの光を非出射とする。このため、車両用前照灯1からの光が非出射となる。そして、制御部COは制御フローをステップSP11に進める。
以上説明したように、本実施形態では、制御部COは、所定の対象物が車両100の前方に位置しない場合、所定の配光パターンを含む配光パターンとしてハイビームの配光パターンPHを有する光が出射するように灯具ユニット10を制御する。また、制御部COは、複数の所定の対象物が車両100の前方に位置する場合、所定の対象物が車両100の前方に位置しない場合と比べて、ハイビームの配光パターンPHのうち、それぞれの所定の対象物の少なくとも一部とそれぞれ重なる複数の第1領域91a-91dの光量が減少し、それぞれの第1領域91a-91dの外縁の少なくとも一部にそれぞれ沿う複数の第2領域92a-92dの光量が増加するように灯具ユニット10を制御する。
このため、前述のように、本実施形態の車両用前照灯1では、車両100の前方に位置する複数の対象物に他車両83や人間82,182が含まれる場合、当該他車両83や人間82,182に照射される光の量が減少される。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、他車両83の運転者や人間82にグレアを与えることを抑制し得る。また、車両100の前方に位置する複数の対象物に標識等の再帰反射物体81が含まれる場合、再帰反射物体81に照射される光の量が減少される。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、再帰反射物体81で反射して自車に向かう反射光の量が低減され、当該反射光による車両100の運転者へのグレアを抑制し得る。また、本実施形態の車両用前照灯1によれば、複数の対象物に対して1つの第1領域が設けられる場合と比べて、隣り合う対象物の間の領域が暗くなることを抑制し得、例えば、図7に示すように、再帰反射物体81と他車両83との間、人間182と他車両83との間、人間182と人間82との間の領域が暗くなることを抑制し得る。また、本実施形態の車両用前照灯1によれば、第2領域92a-92dがない場合と比べて、光量が減少する第1領域91a-91dの周囲が暗くなったように見えることを抑制し得、車両100の前方の視認性の低下を抑制し得る。また、本実施形態の車両用前照灯1では、それぞれの第2領域92a-92dの当該第2領域92a-92dが第1領域91a-91dの外縁に沿う方向と垂直な方向における幅Wa-Wdは、複数の第1領域91a-91dの面積の合計に応じて変化し、この面積の合計が多いほど広くなる。ハイビームの配光パターンPHの全体に対する複数の第1領域91a-91dの割合が多いほどハイビームの配光パターンPHが全体的に暗くなったように見える傾向にある。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、ハイビームの配光パターンPHが全体的に暗くなったように見えることを抑制し得る。
なお、第1領域91a-91dの周囲が暗くなったように見えることを抑制する観点では、第2領域92a-92dは、第1領域91a-91dの外縁の半分以上に亘って沿うことが好ましく、第1領域91a-91dの外縁の全体に亘って沿うことがより好ましい。また、第1領域91a-91dの外縁の一部がハイビームの配光パターンPHの外縁の一部を兼ねる場合、第2領域92a-92dは、第1領域91a-91dの外縁のうちハイビームの配光パターンPHの外縁を兼ねる部位以外の部位の半分以上に亘って沿うことが好ましく、当該部位の全体に亘って沿うことがより好ましい。
また、本実施形態の車両用前照灯1では、制御部COは、複数の第1領域91a-91dの減光量の合計と複数の第2領域92a-92dの増光量の合計とが同じになるように、灯具ユニット10を制御する。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、複数の第2領域92a-92dの増光量の合計が複数の第1領域91a-91dの減光量の合計より多い場合と比べて、エネルギー消費量の増加を抑制できる。
また、本実施形態の車両用前照灯1では、制御部COは、複数の第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが互いに同じとなるように、灯具ユニット10を制御する。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、複数の第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが互い異なる場合と比べて、制御部COの制御負荷を低減し得る。
また、本実施形態の車両用前照灯1では、制御部COは、複数の第2領域92a-92dの単位面積当たりの増光量が互いに同じとなるように、灯具ユニット10を制御する。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、複数の第2領域92a-92dの単位面積当たりの増光量が互い異なる場合と比べて、制御部COの制御負荷を低減し得る。
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、車両100の前方に所定の対象物が位置しない場合、ハイビームの配光パターンPHを有する光を出射するように、灯具ユニット10を制御する制御部COを例に説明した。しかし、車両100の前方に所定の対象物が位置しない場合、制御部COは、所定の配光パターンを含む配光パターンを有する光を灯具ユニット10から出射させればよく、所定の配光パターンは制限されない。例えば、所定の配光パターンは、ロービームの配光パターンに付加されることでハイビームの配光パターンが形成される付加配光パターンであってもよい。この場合、例えば、灯具部5の構成を灯具ユニット10及び別の灯具ユニットを備える構成にし、制御部COは別の灯具ユニットからロービームを出射させる。この場合、付加配光パターンの一部とロービームの配光パターンの一部とが重なっていてもよい。また、上記実施形態における第1領域91a-91dや第2領域92a-92dは、付加配光パターンにおけるロービームの配光パターンと重なる領域を含んでいてもよい。
また、上記実施形態では、明るさが互いに同じ複数の第1領域91a-91dを例に説明した。しかし、第1領域の明るさは制限されるものではなく、例えば、第1領域の光量がゼロであってもよい。また、複数の第1領域の少なくとも2つにおける明るさは互いに異なっていてもよく、例えば、重なる所定の対象物に応じて第1領域の明るさが異なっていてもよい。例えば、他車両83と重なる第1領域91cが再帰反射物体81と重なる第1領域91aより暗くてもよく、このような構成によれば、他車両83の運転者へのグレアを抑制しつつ、再帰反射物体81の視認性の低下を抑制し得る。また、第1領域91aが人間82,182と重なる第1領域91b,91dより明るくてもよく、このような構成によれば、人間82,182へのグレアを抑制しつつ、再帰反射物体81の視認性の低下を抑制し得る。
また、上記実施形態では、それぞれの第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが複数の第1領域91a-91dの面積の合計が多いほど広くなるように、灯具ユニット10を制御する制御部COを例に説明した。しかし、制御部COは、それぞれの第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが複数の第1領域91a-91dの面積の合計に応じて変化するように、灯具ユニット10を制御すればよい。例えば、制御部COは、それぞれの第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが複数の第1領域91a-91dの面積の合計が多いほど狭くなるように、灯具ユニット10を制御してもよい。隣接する第2領域同士が重なる場合、第2領域同士が重なっている領域が明るくなり過ぎて、自車両である車両100の運転者が違和感を覚える場合がある。また、複数の第1領域の面積の合計が多いほど、隣接する第1領域同士が近づきやすくなり、隣接する第2領域同士が近づきやすくなる傾向にある。このため、上記のような構成にすることで、隣接する第2領域が重なり難くし得、車両100の運転者が違和感を覚えることを抑制し得る。
また、上記実施形態では、複数の第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが互いに同じとなるように、灯具ユニット10を制御する制御部COを例に説明した。しかし、複数の第2領域92a-92dの幅Wa-Wdは、複数の第1領域91a-91dの面積の合計に応じて変化する限りにおいて、制限されるものではなく、互いに異なっていてもよい。また、これら第2領域92a-92dの幅Wa-Wdは当該第2領域92a-92dが第1領域91a-91dの外縁に沿う方向において一定でなくてもよい。例えば、制御部COは、複数の第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが当該第2領域92a-92dが沿う第1領域91a-91dの面積が大きいほど広くなるように、灯具ユニット10を制御してもよい。第1領域91a-91dの周囲において暗くなったように見える領域は、当該第1領域91a-91dの面積が大きいほど広くなる傾向にある。このため、このような構成にすることで、第1領域91a-91dの周囲が暗くなったように見えることをより適切に抑制し得る。また、制御部COは、複数の第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが当該第2領域92a-92dが沿う第1領域91a-91dの減光量が多いほど広くなるように、灯具ユニット10を制御してもよい。このような構成にすることで、第2領域92a-92dが明るくなり過ぎることを抑制し得、車両100の運転者が違和感を覚えることを抑制し得る。また、図示による説明は省略するが、制御部COは、第1領域の数が多いほどそれぞれの第2領域の幅が狭くなるように、灯具ユニット10を制御してもよい。このような構成にすることで、隣接する第2領域が重なることを抑制し得、車両100の運転者が違和感を覚えることを抑制し得る。
また、上記実施形態では、複数の第1領域91a-91dの減光量の合計と複数の第2領域92a-92dの増光量の合計とが同じで、複数の第2領域92a-92dの単位面積当たりの増光量が互いに同じとなるように、灯具ユニット10を制御する制御部COを例に説明した。しかし、複数の第2領域92a-92dの増光量の合計は、複数の第1領域91a-91dの減光量の合計と異なっていてもよく、複数の第2領域92a-92dの単位面積当たりの増光量は、互いに異なっていてもよい。例えば、制御部COは、複数の第2領域92a-92dの単位面積当たりの増光量が当該第2領域92a-92dが沿う第1領域91a-91dの減光量が多いほど多くなるように、灯具ユニット10を制御してもよい。このような構成にすることで、第2領域の増光量と当該第2領域が沿う第1領域の減光量とが同じであっても、第2領域92a-92dが大きくなり過ぎることを抑制し得、車両100の運転者が違和感を覚えることを抑制し得る。また、制御部COは、第1領域91a-91dの面積が大きいほど当該第1領域に沿う第2領域92a-92dの単位面積当たりの増光量が多くなるように、灯具ユニット10を制御してもよい。第1領域91a-91dの周囲は、当該第1領域91a-91dの面積が大きいほど暗くなったように見える傾向にある。このため、このような構成にすることで、第1領域91a-91dの周囲が暗くなったように見えることをより適切に抑制し得る。また、制御部COは、それぞれの第2領域の増光量と当該第2領域が沿う第1領域の減光量が同じとなるように、それぞれの第2領域92a-92dの単位面積当たりの増光量を調節してもよい。
また、図示による説明は省略するが、制御部COは、複数の第1領域91a-91dの面積の合計の変化量に対するそれぞれの第2領域92a-92dの幅Wa-Wdの変化量が、複数の第1領域91a-91dの面積の合計が多いほど少なくなるように、灯具ユニット10を制御してもよい。前述のように、複数の第1領域の面積の合計が多いほど、隣接する第2領域同士が近づきやすくなる傾向にある。このため、このような構成にすることで、複数の第1領域の面積の合計の変化量に対するそれぞれの第2領域の幅の変化量が複数の第1領域の面積の合計によらずに一定である場合と比べて、隣接する第2領域が重なり難くし得、自車両の運転者が違和感を覚えることを抑制し得る。
また、図示による説明は省略するが、制御部COは、所定の配光パターンとしてのハイビームの配光パターンPHの面積に対する複数の第1領域91a-91dの面積の合計の比が所定値以下の場合、それぞれの第2領域92a-92dの幅Wa-Wdが変化しないように、灯具ユニット10を制御してもよい。上記の比が小さいほど、ハイビームの配光パターンPHが全体的に暗くなったように見え難い。このため、このような構成にすることで、制御部COの制御負荷を低減しつつ、ハイビームの配光パターンPHが全体的に暗くなったように見え易くなることを抑制し得る。なお、上記の比の所定値は、制限されるものではなく、例えば、所定の配光パターンがハイビームの配光パターンPHである場合、0.1以上0.3以下であってもよい。
また、上記実施例では、メモリMEから読み込んだハイビーム画像に処理を施してADB配光画像を生成する画像生成部20を例に説明した。しかし、画像生成部20のADB配光画像の生成方法は制限されるものではない。例えば、画像生成部20は、検出装置120からの情報に基づいて、ハイビーム画像における第1領域に対応する領域の画像、及び第2領域に対応する領域の画像を生成し、ハイビーム画像にこれら生成した画像を合成してADB配光画像を生成してもよい。また、ハイビーム画像における第1領域に対応する領域となる複数の画像、またはこれら画像及び第2領域に対応する領域となる複数の画像が予めメモリMEに記憶されていてもよい。この場合、画像生成部20は、検出装置120からの情報に基づいて、これら画像から特定の画像を選択し、ハイビーム画像と選択した画像とを合成してADB配光画像を生成してもよい。また、このような画像の合成方法は制限されるものではなく、例えば、レイヤ機能を用いた画像の合成であってもよい。
また、上記実施形態では、画像生成部20を有し、当該画像生成部20で生成されるADB画像に基づいて灯具ユニット10を制御する制御部COを例に説明した。しかし、制御部COは画像生成部20を有さなくてもよい。この場合、例えば、所定の対象物に応じたADB配光パターンに係る情報を予めメモリMEに記憶させる。この情報としては、光源部12から出射する光が所定の対象物に応じたADB配光パターンを有する光となるような各発光素子13から出射する光量に関する情報が挙げられる。そして、制御部COは、検出装置120から入力する所定の対象物の情報に基づいて、メモリMEに記憶される情報を参照し、当該情報に基づいて、灯具ユニット10を制御する。
また、上記実施形態では、出射する光の光量を個別に変更可能な複数の発光素子13を有する光源部12を例に説明した。しかし、光源部12は、制限されるものではない。例えば、光源部12は、マトリックス状に配列される複数の反射素子を含むDMD(Digital Mirror Device)と当該DMDに光を照射する発光部とを有していてもよい。DMDは、それぞれの反射素子の反射面から所定の方向に出射する光の光量を調節可能であり、それぞれの反射素子から所定の方向に出射する光を画像生成部20で生成された画像に基づく光にできる。この場合、それぞれの反射素子の反射面が出射する光の光量を個別に変更可能な光出射部に対応すると理解できる。
また、上記実施形態では、制御部CO及びメモリMEを備える一対の車両用前照灯1を含む車両100を例に説明した。しかし、制御部CO及びメモリMEの少なくとも一方は、一対の車両用前照灯1において共有されてもよい。また、検出装置120から出力される信号は、車両100のECU101を介さずに制御部COに入力されもよい。また、車両用前照灯1が備えられる車両、車両が備える車両用前照灯1の数等は、特に制限されない。
本発明によれば、車両前方の視認性の低下を抑制し得る車両用前照灯が提供され、自動車等の車両用前照灯などの分野において利用可能である。
1・・・車両用前照灯
10・・・灯具ユニット
81,82,83,182・・・所定の対象物
91a,91b,91c,91d・・・第1領域
92a,92b,92c,92d・・・第2領域
100・・・車両
120・・・検出装置
CO・・・制御部
PH・・・ハイビームの配光パターン
Wa,Wb,Wc,Wd・・・第2領域の幅

Claims (7)

  1. 出射する光の配光パターンを変更可能な灯具ユニットと、
    車両前方に位置する所定の対象物を検出する検出装置から信号が入力され前記灯具ユニットを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記所定の対象物が前記車両前方に位置しない場合、所定の配光パターンを含む配光パターンを有する光が出射するように前記灯具ユニットを制御し、
    複数の前記所定の対象物が前記車両前方に位置する場合、前記所定の対象物が前記車両前方に位置しない場合と比べて、前記所定の配光パターンのうち、それぞれの前記所定の対象物の少なくとも一部とそれぞれ重なる複数の第1領域の光量が減少し、それぞれの前記第1領域の外縁の少なくとも一部にそれぞれ沿う複数の第2領域の光量が増加すると共に、それぞれの前記第2領域の当該第2領域が前記第1領域の外縁に沿う方向と垂直な方向における幅が複数の前記第1領域の面積の合計に応じて変化するように、前記灯具ユニットを制御する
    ことを特徴とする車両用前照灯。
  2. 前記制御部は、複数の前記第1領域の減光量の合計と複数の前記第2領域の増光量の合計とが同じになるように、前記灯具ユニットを制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
  3. 前記制御部は、複数の前記第2領域の前記幅が互いに同じとなるように、前記灯具ユニットを制御する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
  4. 前記制御部は、複数の前記第2領域の単位面積当たりの増光量が互いに同じとなるように、前記灯具ユニットを制御する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
  5. 前記制御部は、複数の前記第1領域の面積の合計の変化量に対するそれぞれの前記第2領域の前記幅の変化量が、複数の前記第1領域の面積の合計が多いほど少なくなるように、前記灯具ユニットを制御する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
  6. 前記制御部は、所定の配光パターンの面積に対する複数の前記第1領域の面積の合計の比が所定値以下の場合、それぞれの前記第2領域の前記幅が変化しないように、前記灯具ユニットを制御する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
  7. 前記制御部は、前記第1領域の数が多いほどそれぞれの前記第2領域の前記幅が狭くなるように、前記灯具ユニットを制御する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。

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