JP2023167667A - 量子波長変換器、伝令付き単一光子源 - Google Patents

量子波長変換器、伝令付き単一光子源 Download PDF

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Abstract

【課題】光ファイバとの結合が容易な量子波長変換器を達成する。【解決手段】量子波長変換器(2)は、少なくとも一部に共通の共振光路を有する複数の共振器(34、36、38、40)を内部に含む光ファイバ(8)と、光ファイバと接続し、少なくとも1つ以上の周波数を有するポンプ光を光ファイバに入力するレーザ光源(6)とを備える。複数の共振器は、共通の共振光路における四光波混合過程またはパラメトリック変換のエネルギー保存則および位相整合条件を満たす。【選択図】図1

Description

本開示は量子波長変換器、および当該量子波長変換器を備えた伝令付き単一光子源に関する。
光子の波長を変換する量子波長変換技術として、パラメトリック下方変換、または四光波混合過程等を含む非線形光学過程によって実現する手法が一般に知られている。これらの非線形光学過程は光子対の生成にも用いられ、また、伝令付き単一光子源の動作原理として重要でもある。
非特許文献1および非特許文献2は、上述した量子波長変換をKTP結晶等の非線形光学結晶バルクを用いて実現する手法を開示する。また、非特許文献3および非特許文献4は、上述した量子波長変換をPPLN導波路等の非線形光学結晶導波路を用いて実現する手法を開示する。さらに、非特許文献5および非特許文献6は、上述した量子波長変換を、チップ上リング型微小共振器を用いて実現する手法を開示する。
非特許文献1から6に記載された量子波長変換技術に用いられる、非線形光学結晶バルク、非線形光学結晶導波路、およびリング型微小共振器は、何れも光ファイバとの結合が困難である。このため、非特許文献1から6に記載された技術を用いた量子波長変換器を、例えば、光子を伝搬させる量子チャンネルに光ファイバを用いる装置に導入する場合、当該光ファイバと量子波長変換器とを結合するための機構を要する。したがって、上記量子波長変換器は、当該量子波長変換器を備える装置の複雑化を招来する。
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る量子波長変換器は、少なくとも一部に共通の共振光路を有する複数の共振器を内部に含む光ファイバと、前記光ファイバと接続し、少なくとも1つ以上の周波数を有するポンプ光を前記光ファイバに入力するレーザ光源とを備え、前記複数の共振器は、第1共振周波数ωを共振周波数に有する第1共振器と、第2共振周波数ωを共振周波数に有する第2共振器と、第3共振周波数ωを共振周波数に有する第3共振器と、前記第1共振周波数ω、前記第2共振周波数ω、および前記第3周波数の何れとも異なる第4共振周波数ωを共振周波数に有する第4共振器とを含み、nを前記第i共振周波数ωの光に対する前記光ファイバの内部における実効屈折率、cを光速、γを前記光ファイバの非線形パラメータ、Pを前記ポンプ光の強度として、
Figure 2023167667000002
Figure 2023167667000003
上記(1)式および(2)式が成立する。
本開示の他の一態様に係る量子波長変換器は、少なくとも一部に共通の共振光路を有する複数の共振器を内部に含む光ファイバと、前記光ファイバと接続し、ポンプ光を前記光ファイバに入力するレーザ光源とを備え、前記複数の共振器は、第1共振周波数ωを共振周波数に有する第1共振器と、第3共振周波数ωを共振周波数に有する第3共振器と、前記第1共振周波数ωおよび第3共振周波数ωの双方と異なる第4共振周波数ωを共振周波数に有する第4共振器とを含み、nを前記第i共振周波数ωの光に対する前記光ファイバの内部における実効屈折率、cを光速、γを前記光ファイバの非線形パラメータ、Pを前記ポンプ光の強度として、
Figure 2023167667000004
Figure 2023167667000005
上記(3)式および(4)式が成立する。
本開示の他の一態様に係る量子波長変換器は、少なくとも一部に共通の共振光路を有する複数の共振器を内部に含む光ファイバと、前記光ファイバと接続し、ポンプ光を前記光ファイバに入力するレーザ光源とを備え、前記複数の共振器は、第1共振周波数ωを共振周波数に有する第1共振器と、第2共振周波数ωを共振周波数に有する第2共振器と、前記第1共振周波数ωおよび前記第2共振周波数ωの双方と異なる第4共振周波数ωを共振周波数に有する第4共振器とを含み、nを前記第i共振周波数ωの光に対する前記光ファイバの内部における実効屈折率、cを光速、γを前記光ファイバの非線形パラメータ、Pを前記ポンプ光の強度として、
Figure 2023167667000006
Figure 2023167667000007
上記(5)式および(6)式が成立する。
本開示の一態様によれば、光ファイバへの結合が容易であり、光ファイバを用いた量子デバイスに導入する場合にも、当該量子デバイスの複雑化を低減できる量子波長変換器を達成する。
本開示の実施形態1に係る量子波長変換器の概略平面図、および共振器構造体の概略拡大図である。 本開示の実施形態1に係る単一光子源の概略拡大図である。 本開示の実施形態1に係る共振器構造体における光子の入出力を表す模式図、および共振器構造体におけるエネルギー遷移を表すエネルギーダイヤグラムである。 本開示の実施形態2に係る量子波長変換器の概略平面図、および共振器構造体の概略拡大図である。 本開示の実施形態2に係る共振器構造体における光子の入出力を表す模式図、および共振器構造体におけるエネルギー遷移を表すエネルギーダイヤグラムである。 本開示の実施形態3に係る量子波長変換器の概略平面図、および共振器構造体の概略拡大図である。 本開示の実施形態3に係る共振器構造体における光子の入出力を表す模式図、および共振器構造体におけるエネルギー遷移を表すエネルギーダイヤグラムである。 本開示の実施形態4に係る量子波長変換器の概略平面図、および共振器構造体の概略拡大図である。 本開示の実施形態4に係る共振器構造体における光子の入出力を表す模式図、および共振器構造体におけるエネルギー遷移を表すエネルギーダイヤグラムである。 本開示の実施形態5に係る量子波長変換器の概略平面図、および共振器構造体の概略拡大図である。 本開示の実施形態5に係る共振器構造体における光子の入出力を表す模式図、および共振器構造体におけるエネルギー遷移を表すエネルギーダイヤグラムである。 本開示の実施形態6に係る伝令付き単一光子源の概略平面図である。 本開示の実施形態6に係る共振器構造体における光子の入出力を表す模式図、および共振器構造体におけるエネルギー遷移を表すエネルギーダイヤグラムである。 本開示の実施形態7に係る伝令付き単一光子源の概略平面図である。 本開示の実施形態7に係る共振器構造体における光子の入出力を表す模式図、および共振器構造体におけるエネルギー遷移を表すエネルギーダイヤグラムである。 本開示の実施形態8に係る伝令付き単一光子源の概略平面図である。 本開示の実施形態8に係る共振器構造体における光子の入出力を表す模式図、および共振器構造体におけるエネルギー遷移を表すエネルギーダイヤグラムである。
〔実施形態1〕
<量子波長変換器>
本実施形態に係る量子波長変換器は、例えば、入力された特定の波長を有する単一光子の波長を変換し、当該波長とは異なる波長を有する単一光子を出力することにより、単一光子の波長を変換する装置である。特に、本実施形態に係る量子波長変換器は、単一光子源からの単一光子と、レーザ光源からのポンプ光とを、共通の共振光路を有する複数の共振器を含む共振器構造体に入力することにより、当該共振器構造体から波長変換後の単一光子を出力する装置である。
本実施形態に係る量子波長変換器、および当該量子波長変換器が備える共振器構造体について、図1を参照し説明する。図1は、本実施形態に係る量子波長変換器2の概略平面図、および、当該概略平面図のうち、量子波長変換器2が備える共振器構造体4について拡大して示す概略図である。
図1に示すように、量子波長変換器2は、共振器構造体4と、レーザ光源6と、単一モードの光ファイバ8とを備える。さらに、量子波長変換器2は、単一光子源10と、ダイクロイックミラー12と、光終端器14とを備える。なお、図1は、後述する方法により量子波長変換器2によって生成された、波長変換後の単一光子が入力される量子デバイスXについても示す。本実施形態に係る量子波長変換器2は、後に詳述するが、単一光子源10から共振器構造体4に入力された単一光子を、量子デバイスXが必要とする波長の単一光子に変換する量子波長変換器を例に挙げて説明する。
<共振器構造体>
共振器構造体4は、図1に示すように、ナノ光ファイバ部16と、当該ナノ光ファイバ部16にテーパー部18を介して接続する両端部8Aを含む。ここで、例えば、両端部8Aは、量子波長変換器2が備える光ファイバ8の一部である。また、ナノ光ファイバ部16は、光ファイバ8の一部をセラミックヒータ、または酸素水炎等を含む種々の加熱方法により加熱しつつ、加熱部分を両端から引張する等の手法により、光ファイバ8の当該加熱部分に形成される。換言すれば、共振器構造体4は、光ファイバ8の一部としてナノ光ファイバ部16および両端部8Aを含む。
共振器構造体4は、さらに、両端部8Aまたはナノ光ファイバ部16の内部に、共通FBG(fiber Bragg grating:ファイバブラッグ格子)20、第1FBG22、第2FBG24、第3FBG26、および第4FBG28を含む。特に、本実施形態においては、両端部8Aが含む、光子が伝搬するコア部30と当該コア部30の周囲におけるクラッド部32とのうち、コア部30に上述した各FBGが形成されている。
共通FBG20、第1FBG22、第2FBG24、第3FBG26、および第4FBG28は、特定の周波数を有する光子の一部を反射する。本明細書において、第1FBG22は第1共振周波数ω、第2FBG24は第2共振周波数ω、第3FBG26は第3共振周波数ω、第4FBG28は第4共振周波数ω、それぞれの周波数を有する光子の一部を反射する。また、共通FBG20は、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωの何れの周波数を有する光子も一部を反射する。
なお、本実施形態において、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωは、何れも互いに異なる周波数である。換言すれば、本実施形態において、少なくとも、第4共振周波数ωは、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、および第3共振周波数ωの何れの周波数とも異なっている。
本実施形態において、ナノ光ファイバ部16の両端に形成された2つの両端部8Aのうち、一方に共通FBG20が形成され、他方に第1FBG22、第2FBG24、第3FBG26、および第4FBG28が形成されている。したがって、共通FBG20と、第1FBG22、第2FBG24、第3FBG26、および第4FBG28とのそれぞれの間には、少なくともナノ光ファイバ部16の光子の伝搬路を含む共通の光路が形成されている。
したがって、共振器構造体4には、共通FBG20と、第1FBG22、第2FBG24、第3FBG26、および第4FBG28とのそれぞれによって、第1共振器34、第2共振器36、第3共振器38、および第4共振器40が形成される。ここで、本実施形態において、第1共振器34、第2共振器36、第3共振器38、および第4共振器40は、それぞれ、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωを共振周波数に有する。換言すれば、共振器構造体4が含む各共振器においては、対応する共振周波数を有する光子が共振する。
特に、第1共振器34、第2共振器36、第3共振器38、および第4共振器40は、少なくとも光ファイバ8の一部であるナノ光ファイバ部16の光子の伝搬路を、共通の共振光路として有する。換言すれば、共振器構造体4は、少なくとも一部が共通の共振光路を有する複数の共振器を含む。
さらに、当該複数の共振器は、それぞれの共振周波数を反射帯域に含む一対のファイバブラッグ格子をそれぞれ有する。特に、共通FBG20は、複数の共振器の間において同一のファイバブラッグ格子として形成されている。なお、共振器構造体4が含む複数の共振器が有するファイバブラッグ格子のうち、少なくとも一つが共通FBG20であってもよい。
本実施形態においては、上述の通り、一方の両端部8Aに、第1FBG22、第2FBG24、第3FBG26、および第4FBG28が個別に形成されている。このため、本実施形態においては、第1共振器34、第2共振器36、第3共振器38、および第4共振器40のそれぞれの共振器長であるL1、L2、L3、およびL4を独立して設計することができる。
なお、本実施形態においては、第1FBG22、第2FBG24、第3FBG26、および第4FBG28が個別に形成されているが、これに限られない。例えば、本実施形態においては、両端部8Aの一方に、連続したファイバブラッグ格子を形成し、当該ファイバブラッグ格子の複数の位置のそれぞれにチャープを形成してもよい。これにより、本実施形態においては、ファイバブラッグ格子の各チャープを形成した位置において特定波長の光子を反射させることにより、各共振器を形成してもよい。
<レーザ光源、単一光子源>
図1の量子波長変換器2の平面図の参照に戻ると、レーザ光源6は、光ファイバ8を介して共振器構造体4の各共振器に、少なくとも一つ以上の周波数を有するポンプ光を入力するための光源である。例えば、レーザ光源6は、複数の周波数帯を含むポンプ光を生成してもよく、あるいは、特定の周波数を含む複数のポンプ光を生成してもよい。特に、本実施形態において、レーザ光源6は、第2共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1と、第3共振周波数ωを有する第2ポンプ光PL2とを生成し、第1ポンプ光PL1および第2ポンプ光PL2を共振器構造体4の各共振器に入力する。
次いで、単一光子源10について、図2を参照して詳細に説明する。図2は、図1に示す量子波長変換器2の概略平面図のうち、量子波長変換器2が備える単一光子源10について拡大して示す概略図である。図2に示すように、単一光子源10は、共振器構造体4が含む各構成のうち、ナノ光ファイバ部16、および当該ナノ光ファイバ部16とテーパー部18を介して接続する両端部8Aを含む。
ただし、単一光子源10は、共振器構造体4が含む各ファイバブラッグ格子のうち、一方の両端部8Aのコア部30に共通FBG20を含み、他方の両端部8Aのコア部30に第1FBG22のみを含む。このため、単一光子源10は、共振器構造体4が含む各共振器のうち、第1共振器34のみを含む。
さらに、単一光子源10は、ナノ光ファイバ部16上に形成された量子系42を備える。量子系42は、少なくとも、基底準位と当該基底準位よりも上位の準位である励起準位とを含み、例えば、原子、イオン、窒素欠陥を有するダイヤモンド、および量子ドット等を含む。また、本実施形態において、量子系42の基底準位と励起準位との準位差は、第1共振周波数ωを有する光子のエネルギーに相当する。
単一光子源10は、例えば、量子系42の基底準位と励起準位との間の状態遷移を用いて、第1共振周波数ωを有する単一光子を生成してもよい。この場合、単一光子源10は、例えば、量子系42の基底準位と励起準位との間の状態遷移を引き起こすコントロール光を量子系42に照射可能な図示しないレーザ光源を含んでいてもよい。
単一光子源10は、例えば、量子系42と第1共振器34との結合により、基底準位と励起準位との間の状態遷移に伴う単一光子の自然放出が強調されるパーセル効果に基づき、第1共振周波数ωを有する単一光子を第1共振器34中に生成してもよい。換言すれば、上述したレーザ光源からのコントロール光により量子系42の状態を励起させ、再び基底状態に戻る際に単一光子が生じることを利用し、単一光子源10は単一光子を生成してもよい。
あるいは、単一光子源10は、振幅が0から次第に上昇するコントロール光を量子系42に照射することにより単一光子を第1共振器34に生成してもよい。この場合、コントロール光の振幅の時間変化を制御することにより、単一光子の波形を制御できる。
図1の参照に戻ると、単一光子源10は光ファイバ8を介して共振器構造体4と接続する。このため、単一光子源10は生成した第1共振周波数ωを有する単一光子を、入力単一光子IFとして共振器構造体4の各共振器に入力する。量子波長変換器2は、レーザ光源6からの第1ポンプ光PL1および第2ポンプ光PL2と、単一光子源10からの入力単一光子IFと、を混合して共振器構造体4の各共振器に入力するための合流器44を備えていてもよい。
<四光波混合過程>
以上より、本実施形態において、共振器構造体4の各共振器には、レーザ光源6からの第1ポンプ光PL1および第2ポンプ光PL2と、単一光子源10からの入力単一光子IFと、が入力される。本実施形態において、共振器構造体4は、入力された第1ポンプ光PL1、第2ポンプ光PL2、および入力単一光子IFによる四光波混合過程により、第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。本実施形態において、出力光子OFは単一光子である。
共振器構造体4による出力光子OFの生成について、図3を参照してより詳細に説明する。図3は、共振器構造体4における光子の入出力を説明するための模式図4Aと、共振器構造体4において生じる状態遷移を表すエネルギーダイヤグラムD1である。
図3の模式図4Aに示す通り、共振器構造体4には、第1共振周波数ωを有する単一入力光子IF、第2共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1、および第3共振周波数ωを有する第2ポンプ光PL2が入力される。この結果、後述の方法により、模式図4Aに示す通り、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが共振器構造体4から出力される。
ここで、本実施形態においては、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωについて、以下の式(1)および式(2)が成立する。
Figure 2023167667000008
Figure 2023167667000009
上記2式において、nは第i共振周波数ωの光に対するナノ光ファイバ部16の内部における実効屈折率である。また、上記2式において、cは光速、γはナノ光ファイバ部16の非線形係数、Pはレーザ光源6からのポンプ光の合計強度である。
ここで、共振器構造体4の各共振器の共通光路に含まれるナノ光ファイバ部16において、図3のエネルギーダイヤグラムD1に示すように、基底準位gと励起準位eとを仮想的に設定する。また、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差を、第1共振周波数ωを有する光子のエネルギーと第2共振周波数ωを有する光子のエネルギーとの合計値と略同一とする。なお、上記式(1)から、ω+ω=ω+ωが成立するため、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差は、第3共振周波数ωを有する光子のエネルギーと第4共振周波数ωを有する光子のエネルギーとの合計値とも略同一である。
上記2式が成立する場合、ナノ光ファイバ部16においては、単一入力光子IF、第1ポンプ光PL1、および第2ポンプ光PL2によって、エネルギーダイヤグラムD1に示す状態遷移が生じる。具体的には、単一入力光子IFおよび第1ポンプ光PL1によって、基底準位gから励起準位eへの励起が生じる。また、当該励起と併せて、第2ポンプ光PL2によって、励起準位eから2準位の中間への遷移が生じる。結果として、第2ポンプ光PL2のエネルギーと、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差との差に相当するエネルギーを有する、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが生成される。
以上により、ナノ光ファイバ部16においては四光波混合過程が発生する。換言すれば、本実施形態に係る共振器構造体4の各共振器は、共通の共振光路であるナノ光ファイバ部16における四光波混合過程のエネルギー保存則および位相整合条件を満たしている。ここで、上記2式のうち、式(1)は四光波混合過程のエネルギー保存則を表し、式(2)は四光波混合過程の位相整合条件を表す。
ここで、ナノ光ファイバ部16を共通の共振光路として含む共振器構造体4の各共振器は、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωを有する光と結合する。このため、共振器構造体4の各共振器により、ナノ光ファイバ部16における上述の四光波混合過程は促進され、共振器構造体4における出力光子OFの生成が促進される。
<フリースペクトルレンジの設計>
ここで、共振器構造体4の各共振器の共振条件は、(n・ω・Li/c)+φ=m・πと表される。当該共振条件の式において、cは光速、nは第i共振器中の群屈折率、Liは第i共振器の共振器長、φは第i共振周波数ωを有する光子を反射するファイバブラッグ格子における当該光子の位相変化、mは自然数である。ここで、一般に、nおよびφは光子の周波数に依存し得る。このため、共振器長Liが同一であり、共振器構造体4が含むファイバブラッグ格子の分散を無視する場合、共振器構造体4の各共振器の共振条件を満たす第i共振周波数ωにおいて、上記式(2)は一般には成立しない。
そこで、本実施形態においては、共振器構造体4の各共振器の共振器長Liを個別に設計し、あるいは、当該各共振器が有するファイバブラッグ格子によって付加される分散を考慮して、当該各共振器の設計を行う。これにより、本実施形態においては、上記式(2)が成立するように、共振器構造体4の各共振器の設計を行う。例えば、上述の通り、共通FBG20に対し、第1FBG22、第2FBG24、第3FBG26、および第4FBG28を個別に形成することにより、各共振器の共振器長Liを個別に設計可能とする。
これにより、各共振器において、共振条件である(n・ω・Li/c)+φ=m・πを満たす共振器長Liを個別に設計できる。なお、上記式(2)が満たされる限り、共振器構造体4が含む各共振器の共振器長Liは特に限定されない。したがって、共振器構造体4が含む各共振器の共振器長Liの大小関係は、図1等に示す大小関係には限定されない。
このため、本実施形態に係る共振器構造体4は、上記式(2)を満たすように各共振器の設計を行うことが容易となる。また、共振器構造体4は、各共振器の一対のファイバブラッグ格子のうち一方を個別に形成しているため、温度変化または振動等の外乱に対し、各共振器に対する共振器長Liの安定化を独立して行うことができる。
<ダイクロイックミラー、光終端器>
以上により、共振器構造体4は第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。図1の参照に戻ると、共振器構造体4から出力された出力光子OFは光ファイバ8を介してダイクロイックミラー12に入射する。ただし、共振器構造体4からは、単一光子源10からの単一入力光子IF、レーザ光源6からの第1ポンプ光PL1、および第2ポンプ光PL2も出射し、ダイクロイックミラー12に入射する。
ダイクロイックミラー12は、特定周波数の光子を透過または反射するミラーである。本実施形態において、ダイクロイックミラー12は、透過した光子が量子デバイスXに入射し、反射した光子が光終端器14に入射するように設置される。なお、本実施形態に係る量子波長変換器2は、透過または反射する光子の周波数が互いに異なる複数のダイクロイックミラー12を備えていてもよい。
本実施形態において、ダイクロイックミラー12は、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、および第3共振周波数ωを有する光子を反射し、第4共振周波数ωを有する光子を透過する。したがって、ダイクロイックミラー12は、第1共振周波数ωを有する単一入力光子IF、第2共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1、および第3共振周波数ωを有する第2ポンプ光PL2を反射し、光終端器14に入射させる。また、ダイクロイックミラー12は、第4共振周波数ωを有する出力光子OFを透過させて、量子デバイスXに入射させる。換言すれば、ダイクロイックミラー12は、共振器構造体4から出射した光子のうち、量子デバイスXに入射する光子を、出力光子OFのみに限定する。
なお、本実施形態に係る量子波長変換器2は、ダイクロイックミラー12に代えて、共振器構造体4から出射した光を波長ごとに異なる方向に回折させる回折格子を備えていてもよい。また、本実施形態に係る量子波長変換器2は、ダイクロイックミラー12に代えて、共振器構造体4から出射した光を分波するWDMフィルタを備えていてもよい。
光終端器14は、例えば、入射した光子のエネルギーを熱等のエネルギーに変換することにより、当該光子を反射または分散等させることなく消失させるための光学素子である。光終端器14により、量子波長変換器2は、共振器構造体4から出射した単一入力光子IF、第1ポンプ光PL1、および第2ポンプ光PL2が外部に出射することを低減する。
ただし、量子波長変換器2は、光終端器14に代えてさらに他の共振器構造体4を備えていてもよく、当該共振器構造体4にダイクロイックミラー12が反射した光子を入射させてもよい。これにより、量子波長変換器2は、複数の共振器構造体4のそれぞれにおいて、出力光子OFを生成してもよい。
<実施形態1のまとめ>
本実施形態に係る量子波長変換器2は、単一光子源10が生成した第1共振周波数ωを有する単一入力光子IFを、当該第1共振周波数ωと異なる周波数である第4共振周波数ωを有する出力光子OFに変換することができる。また、量子波長変換器2は、量子デバイスXに出力光子OFを入力する。これにより、量子波長変換器2は、単一光子源10が生成する光子の周波数と、量子デバイスXが必要とする光子の周波数との間に差異があっても、単一光子源10が生成する光子の周波数を変換して量子デバイスXに入力することができる。
本実施形態においては、例えば、図3のエネルギーダイヤグラムD1に示すように、第4共振周波数ωを他の共振周波数の何れよりも低い周波数とした。しかしながら、これに限られず、第4共振周波数ωは何れかの共振周波数よりも大きくともよい。本実施形態においては、例えば、第4共振周波数ωを第3共振周波数ωよりも大きくしてもよい。本実施形態においては、上記式(1)および式(2)を満たすように、第1ポンプ光PL1と第2ポンプ光PL2との周波数、および共振器構造体4が含む各共振器の共振器長等の設計を変更することにより、第4共振周波数ωの変更を実現してもよい。
本実施形態に係る量子波長変換器2は、ポンプ光等が入力され、波長変換後の光子を生成する各共振器の共通の共振光路を、光ファイバ8の一部として含む。このため、波長変換前の光子を出射する量子デバイス、または、波長変換後の光子を必要とする量子デバイスが光ファイバを有していた場合においても、本実施形態に係る量子波長変換器2は、当該光ファイバとの結合を容易に実現する。したがって、量子波長変換器2は、光ファイバを含む量子デバイスに組み込んだ場合においても、当該量子デバイスの構造の複雑化を低減する。
なお、量子波長変換器2は、単一光子源10が生成する単一入力光子IFの波長を変換するが、これに限られない。例えば、量子波長変換器2は、量子コンピュータにおける量子演算ユニット、または、量子通信器における量子中継器から出力された、第1共振周波数ωを有する光子の波長を変換してもよい。あるいは、量子波長変換器2は、他の量子波長変換器2が生成した出力光子OFの波長をさらに変換してもよい。
一般に、量子系として原子を備える量子演算ユニットまたは量子中継器において、当該原子と光子とを相互作用させる場合、原子における十分なコヒーレンス時間の確保のために、原子の基底準位とその直上の励起準位との遷移が利用される場合が多い。この場合、一般に、原子と光子とを相互作用させるために、当該光子の波長は1μm未満であることが求められる。
一方、ある量子演算ユニットにおける演算に利用した光子を利用してさらなる演算を行うために、当該光子を他の量子演算ユニットに伝搬させるために、または、複数の量子中継器の間における光子の伝搬のために、一般に単一モードの光ファイバが用いられる。ここで、一般に、光ファイバ中における光子の損失を十分に低減するために、当該光ファイバを伝搬する光子の波長は1.3μm以上1.6μm以下の波長帯である通信波長帯に含まれる場合が多い。
本実施形態に係る量子波長変換器2は、例えば、上述した量子演算ユニットまたは量子中継器から出力され、波長が1μm未満の光子を、1.3μm以上1.6μm以下の波長を有する光子に変換し、光ファイバ中を伝搬させてもよい。次いで、他の量子波長変換器2が、当該光ファイバ中を伝搬する光子を、再び1μm未満の波長を有する光子に変換した後、他の量子演算ユニットまたは量子中継器に入力してもよい。この場合、量子波長変換器2によって、複数の量子演算ユニットまたは量子中継器における光子の低損失の伝搬が実現する。
本実施形態において、共振器構造体4の各共振器における共通の共振光路は、両端部8Aよりも径の小さいナノ光ファイバ部16を含む。このため、モード断面積が小さいことにより、ナノ光ファイバ部16においては、光ファイバ8の他の部分よりも、上述した四光波混合過程が有意に発生する。したがって、本実施形態に係る量子波長変換器2は、単一入力光子IFから出力光子OFへの変換効率を向上させることができる。
本実施形態において、共振器構造体4の各共振器は、一対のファイバブラッグ格子を有する。このため、量子波長変換器2は、一対のミラー等の光学素子、または、リング共振器等を備える場合と比較して、共振器構造体4の各共振器を簡素に構成できる。さらに、複数の共振器の間において、ファイバブラッグ格子の少なくとも一部は、同一の共通FBG20である。このため、量子波長変換器2は、共振器ごとに独立した一対のファイバブラッグ格子を備える場合と比較して、共振器構造体4の各共振器をより簡素に構成できる。なお、各共振器の一対のファイバブラッグ格子のうち、一方を共通とし、他方を個々に形成することにより、量子波長変換器2は、上述の通り、各共振器の共振器長の設計をより容易とできる。
なお、量子波長変換器2は、単一入力光子IFの代わりに、レーザ光源6から出射した第1共振周波数ωのポンプ光を共振器構造体4に入力してもよい。この場合、レーザ光源6から出射した各ポンプ光の強度を十分に強くすることにより、共振器構造体4は、第4共振周波数ωを有するコヒーレントな光子を生成する。換言すれば、量子波長変換器2は、光パラメトリック発振器としても機能してよい。なお、本実施形態に限られず、本明細書に記載された各実施形態に係る量子波長変換器は、レーザ光源からのポンプ光から第4共振周波数ωを有するコヒーレントな光子を生成する光パラメトリック発振器としても機能してよい。
〔実施形態2〕
<パラメトリック下方変換を利用した波長変換>
図4は、本実施形態に係る量子波長変換器46の概略平面図、および、当該概略平面図のうち、量子波長変換器46が備える共振器構造体48について拡大して示す概略図である。本実施形態に係る量子波長変換器46は、前実施形態に係る量子波長変換器2と比較して、共振器構造体4に代えて共振器構造体48を備える点においてのみ構成が異なる。なお、以降の実施形態において、特に説明しない限り、異なる実施形態の間において同一の構成を有し、または同一の機能を果たす部材については、同一の部材番号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る共振器構造体48は、前実施形態に係る共振器構造体4と比較して、第2FBG24および第2共振器36を備えていない点において構成が異なる。このため、共振器構造体48は、第1共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωをそれぞれ共振周波数として有する、第1共振器34、第3共振器38、および第4共振器40を含む。また、共振器構造体48は、第1共振器34、第3共振器38、および第4共振器40の共通の共振光路として、少なくともナノ光ファイバ部16を含む。
また、本実施形態において、レーザ光源6は、第3共振周波数ωを有する第2ポンプ光PL2を共振器構造体48に入力し、第1ポンプ光PL1を出射しない。したがって、本実施形態に係る共振器構造体48には、レーザ光源6からの第2ポンプ光PL2と、単一光子源10が生成する単一入力光子IFとが入力される。本実施形態において、共振器構造体48は、入力された第2ポンプ光PL2、および入力単一光子IFによるパラメトリック下方変換により、第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。
共振器構造体48による出力光子OFの生成について、図5を参照してより詳細に説明する。図5は、共振器構造体48における光子の入出力を説明するための模式図48Aと、共振器構造体48において生じる状態遷移を表すエネルギーダイヤグラムD2である。
図5の模式図48Aに示す通り、共振器構造体48には、第1共振周波数ωを有する単一入力光子IF、および第3共振周波数ωを有する第2ポンプ光PL2が入力される。この結果、後述の方法により、模式図48Aに示す通り、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが共振器構造体48から出力される。本実施形態においても、出力光子OFは単一光子である。
ここで、本実施形態においては、第1共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωについて、上述した式(1)および式(2)を、以下の式(3)および式(4)に読み替えた式が成立する。
Figure 2023167667000010
Figure 2023167667000011
ここで、本実施形態においては、図5のエネルギーダイヤグラムD2に示すように、ナノ光ファイバ部16における基底準位gと励起準位eとのエネルギー差を、第1共振周波数ωを有する光子のエネルギーと略同一とする。なお、上記式(3)から、ω=ω+ωが成立するため、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差は、第3共振周波数ωを有する光子のエネルギーと第4共振周波数ωを有する光子のエネルギーとの合計値とも略同一である。
上記2式が成立する場合、ナノ光ファイバ部16においては、単一入力光子IF、および第2ポンプ光PL2によって、エネルギーダイヤグラムD2に示す状態遷移が生じる。具体的には、単一入力光子IFによって、基底準位gから励起準位eへの励起が生じる。また、当該励起と併せて、第2ポンプ光PL2によって、励起準位eから2準位の中間への遷移が生じる。結果として、第2ポンプ光PL2のエネルギーと、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差との差に相当するエネルギーを有する、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが生成される。
以上により、ナノ光ファイバ部16においてはパラメトリック下方変換が発生する。換言すれば、本実施形態に係る共振器構造体48の各共振器は、共通の共振光路であるナノ光ファイバ部16におけるパラメトリック下方変換のエネルギー保存則および位相整合条件を満たしている。ここで、上記2式のうち、式(3)はパラメトリック下方変換のエネルギー保存則を表し、式(4)はパラメトリック下方変換の位相整合条件を表す。
ここで、3次の非線形光学効果である四光波混合過程は、反転対称性を有する物質中であっても有意に発生するのと比較して、2次の非線形光学効果であるパラメトリック下方変換は、反転対称性を有さない物質中において有意に発生する。一般に、例えば、単一モードの光ファイバがシリカガラスからなる場合、当該光ファイバは反転対称性を有する。しかしながら、ナノ光ファイバにおいては、構造として反転対称性を有さない表面の効果が顕著となり、2次の非線形光学効果が観測される。したがって、本実施形態に係る共振器構造体48のように、ナノ光ファイバ部16を共通の共振光路に含む各共振器においては、四光波混合過程のみならず、パラメトリック下方変換についても有意に発生する。
以上により、共振器構造体48は第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。図4の参照に戻ると、共振器構造体48から出力された出力光子OFはダイクロイックミラー12を透過して量子デバイスXに入射する。また、共振器構造体48からの単一入力光子IF、および第2ポンプ光PL2は、ダイクロイックミラー12において反射し光終端器14に入射し消失する。
本実施形態に係る量子波長変換器46は、量子波長変換器2と同じく、単一光子源10が生成する第1共振周波数ωを有する単一入力光子IFを、第4共振周波数ωを有する出力光子OFに変換し、量子デバイスXに入力することができる。また、量子波長変換器46の共振器構造体48は、量子波長変換器2の共振器構造体4と比較して、第2共振器36を含まないため、含む共振器の個数が1つ少ない。したがって、量子波長変換器46は、量子波長変換器2と比較して、より簡素に共振器構造体48を構成でき、また、共振器構造体48の設計をより容易とする。量子波長変換器46は、パラメトリック下方変換を用いて光子の波長を変換するため、量子波長変換器2と比較して、共振器構造体48に入力する単一光子をより長波長低周波数の光子に変換したい場合に有用である。
〔実施形態3〕
<パラメトリック上方変換を利用した波長変換>
図6は、本実施形態に係る量子波長変換器50の概略平面図、および、当該概略平面図のうち、量子波長変換器50が備える共振器構造体52について拡大して示す概略図である。本実施形態に係る量子波長変換器50は、実施形態1に係る量子波長変換器2と比較して、共振器構造体4に代えて共振器構造体52を備える点においてのみ構成が異なる。
本実施形態に係る共振器構造体52は、共振器構造体4と比較して、第3FBG26および第3共振器38を備えていない点において構成が異なる。このため、共振器構造体52は、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、および第4共振周波数ωをそれぞれ共振周波数として有する、第1共振器34、第2共振器36、および第4共振器40を含む。また、共振器構造体52は、第1共振器34、第2共振器36、および第4共振器40の共通の共振光路として、少なくともナノ光ファイバ部16を含む。
また、本実施形態において、レーザ光源6は、第2共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1を共振器構造体52に入力し、第2ポンプ光PL2を出射しない。したがって、本実施形態に係る共振器構造体52には、レーザ光源6からの第1ポンプ光PL1と、単一光子源10が生成する単一入力光子IFとが入力される。本実施形態において、共振器構造体52は、入力された第1ポンプ光PL1、および入力単一光子IFによるパラメトリック上方変換により、第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。
共振器構造体52による出力光子OFの生成について、図7を参照してより詳細に説明する。図7は、共振器構造体52における光子の入出力を説明するための模式図52Aと、共振器構造体52において生じる状態遷移を表すエネルギーダイヤグラムD3である。
図7の模式図52Aに示す通り、共振器構造体52には、第1共振周波数ωを有する単一入力光子IF、および第2共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1が入力される。この結果、後述の方法により、模式図52Aに示す通り、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが共振器構造体52から出力される。本実施形態においても、出力光子OFは単一光子である。
ここで、本実施形態においては、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、および第4共振周波数ωについて、上述した式(1)および式(2)を、以下の式(5)および式(6)に読み替えた式が成立する。
Figure 2023167667000012
Figure 2023167667000013
ここで、本実施形態においては、図7のエネルギーダイヤグラムD3に示すように、ナノ光ファイバ部16における基底準位gと励起準位eとのエネルギー差を、第4共振周波数ωを有する光子のエネルギーとも略同一とする。なお、上記式(5)から、ω+ω=ωが成立するため、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差は、第1共振周波数ωを有する光子のエネルギーと第2共振周波数ωを有する光子のエネルギーとの合計値と略同一である。
上記2式が成立する場合、ナノ光ファイバ部16においては、単一入力光子IF、および第1ポンプ光PL1によって、エネルギーダイヤグラムD3に示す状態遷移が生じる。具体的には、単一入力光子IFおよび第1ポンプ光PL1によって、基底準位gから励起準位eへの励起が生じる。結果として、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差に相当するエネルギーを有する、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが生成される。
以上により、ナノ光ファイバ部16においてはパラメトリック上方変換が発生する。換言すれば、本実施形態に係る共振器構造体52の各共振器は、共通の共振光路であるナノ光ファイバ部16におけるパラメトリック上方変換のエネルギー保存則および位相整合条件を満たしている。ここで、上記2式のうち、式(5)はパラメトリック上方変換のエネルギー保存則を表し、式(6)はパラメトリック上方変換の位相整合条件を表す。
ここで、パラメトリック上方変換は、パラメトリック下方変換と同じく2次の非線形光学効果であるため、反転対称性を有さない物質中において有意に発生する。しかしながら、構造として反転対称性を有さない表面の効果が顕著となるナノ光ファイバ部16においては、パラメトリック上方変換についても有意に発生する。
以上により、共振器構造体52は第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。図6の参照に戻ると、共振器構造体52から出力された出力光子OFはダイクロイックミラー12を透過して量子デバイスXに入射する。また、共振器構造体52からの単一入力光子IF、および第1ポンプ光PL1は、ダイクロイックミラー12において反射し光終端器14に入射し消失する。
本実施形態に係る量子波長変換器50は、量子波長変換器2と同じく、単一光子源10が生成する第1共振周波数ωを有する単一入力光子IFを、第4共振周波数ωを有する出力光子OFに変換し、量子デバイスXに入力することができる。また、量子波長変換器50の共振器構造体52は、量子波長変換器2の共振器構造体4と比較して、第3共振器38を含まないため、含む共振器の個数が1つ少ない。したがって、量子波長変換器50は、量子波長変換器2と比較して、より簡素に共振器構造体52を構成でき、また、共振器構造体52の設計をより容易とする。量子波長変換器50は、パラメトリック上方変換を用いて光子の波長を変換するため、量子波長変換器2および量子波長変換器46と比較して、共振器構造体52に入力する単一光子をより短波長高周波数の光子に変換したい場合に有用である。
〔実施形態4〕
<ポンプ光の波長変換>
図8は、本実施形態に係る量子波長変換器54の概略平面図、および、当該概略平面図のうち、量子波長変換器54が備える共振器構造体56について拡大して示す概略図である。本実施形態に係る量子波長変換器54は、実施形態1に係る量子波長変換器2と比較して、共振器構造体4に代えて共振器構造体56を備え、単一光子源10を備えていない点においてのみ構成が異なる。このため、量子波長変換器54は合流器44を備えていなくともよい。
本実施形態に係る共振器構造体56は、共振器構造体48と比較して、各共振器の共振器長の大小関係を除いて同一の構成を有する。特に、本実施形態においてはL1よりもL3の方が長い。例えば、共振器構造体56は、共振器構造体4において、第2FBG24を第1FBG22と同一とすることにより、第1共振器34を第2共振器36と同一としたものに相当する。この場合、本実施形態においては、第2共振周波数ωを第1共振周波数ωと同一とみなせる。
このため、共振器構造体56は、第1共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωをそれぞれ共振周波数として有する、第1共振器34、第3共振器38、および第4共振器40を含む。また、共振器構造体56は、第1共振器34、第3共振器38、および第4共振器40の共通の共振光路として、少なくともナノ光ファイバ部16を含む。
また、本実施形態において、レーザ光源6は、第2共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1および第3共振周波数ωを有する第2ポンプ光PL2を共振器構造体56に入力する。なお、本実施形態において、第2共振周波数ωを第1共振周波数ωと同一とみなせるため、第1ポンプ光PL1は第1共振周波数ωを有するとみなせる。本実施形態において、共振器構造体56は、入力された第1ポンプ光PL1、および第2ポンプ光PL2による四光波混合過程により、第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。
共振器構造体56による出力光子OFの生成について、図9を参照してより詳細に説明する。図9は、共振器構造体56における光子の入出力を説明するための模式図56Aと、共振器構造体56において生じる状態遷移を表すエネルギーダイヤグラムD4である。
図9の模式図56Aに示す通り、共振器構造体56には、第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1、および第3共振周波数ωを有する第2ポンプ光PL2が入力される。この結果、後述の方法により、模式図56Aに示す通り、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが共振器構造体56から出力される。本実施形態においては、出力光子OFは単一光子であってもよく、あるいは、共振器構造体56から略同時に出射した複数の光子を含んでいてもよい。
ここで、本実施形態においては、第1共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωについて、上述した式(1)および式(2)において、ω=ωとした式が成立する。
ここで、本実施形態においては、図9のエネルギーダイヤグラムD4に示すように、ナノ光ファイバ部16における基底準位gと励起準位eとのエネルギー差を、第1共振周波数ωを有する光子のエネルギーの2倍と略同一とする。なお、上記式(5)から、2ω=ω+ωが成立するため、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差は、第3共振周波数ωを有する光子のエネルギーと第4共振周波数ωを有する光子のエネルギーとの合計値とも略同一である。
上記2式が成立する場合、ナノ光ファイバ部16においては、第1ポンプ光PL1、および第2ポンプ光PL2によって、エネルギーダイヤグラムD4に示す状態遷移が生じる。具体的には、第1ポンプ光PL1によって、基底準位gから、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差の半分のエネルギーまで励起が生じ、さらに第1ポンプ光PL1による励起が連続して発生する。このため、第1ポンプ光PL1によって、基底準位gから励起準位eへの励起が生じる。この基底準位gから励起準位eへの励起は、第1ポンプ光PL1の強度に比例してより効率よく発生する。
また、当該励起と併せて、第2ポンプ光PL2によって、励起準位eから2準位の中間への遷移が生じる。結果として、第2ポンプ光PL2のエネルギーと、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差との差に相当するエネルギーを有する、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが生成される。
以上により、ナノ光ファイバ部16においては四光波混合過程が発生する。換言すれば、本実施形態に係る共振器構造体56の各共振器は、共通の共振光路であるナノ光ファイバ部16における四光波混合過程のエネルギー保存則および位相整合条件を満たしている。なお、本実施形態における四光波混合過程は、実施形態1における四光波混合過程において、ω=ωとした場合に相当する縮退四光波混合過程である。ただし、本実施形態における縮退四光波混合過程は、実施形態1における非縮退四光波混合過程と同じく、3次の非線形光学効果であるため、光ファイバ8中において有意に発生する。
以上により、共振器構造体56は第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。図8の参照に戻ると、共振器構造体56から出力された出力光子OFはダイクロイックミラー12を透過して量子デバイスXに入射する。また、共振器構造体56からの第1ポンプ光PL1、および第2ポンプ光PL2は、ダイクロイックミラー12において反射し光終端器14に入射し消失する。
本実施形態に係る量子波長変換器54は、レーザ光源6からのポンプ光の波長を変換することにより、第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成し、量子デバイスXに入力することができる。
また、量子波長変換器54の共振器構造体56は、量子波長変換器2の共振器構造体4と比較して、第2共振器36を含まないため、含む共振器の個数が1つ少ない。したがって、量子波長変換器54は、量子波長変換器2と比較して、より簡素に共振器構造体56を構成でき、また、共振器構造体56の設計をより容易とする。
〔実施形態5〕
<二次高調波発生器>
図10は、本実施形態に係る量子波長変換器58の概略平面図、および、当該概略平面図のうち、量子波長変換器58が備える共振器構造体60について拡大して示す概略図である。本実施形態に係る量子波長変換器58は、前実施形態に係る量子波長変換器54と比較して、共振器構造体56に代えて共振器構造体60を備える点においてのみ構成が異なる。
本実施形態に係る共振器構造体60は、共振器構造体4と比較して、第2FBG24、第3FBG26、第2共振器36、および第3共振器38を備えていない点において構成が異なる。例えば、共振器構造体60は、共振器構造体52において、第2FBG24を第1FBG22と同一とすることにより、第1共振器34を第2共振器36と同一としたものに相当する。この場合、本実施形態においては、第2共振周波数ωを第1共振周波数ωと同一とみなせる。
このため、共振器構造体60は、第1共振周波数ω、および第4共振周波数ωをそれぞれ共振周波数として有する、第1共振器34、および第4共振器40を含む。また、共振器構造体60は、第1共振器34、および第4共振器40の共通の共振光路として、少なくともナノ光ファイバ部16を含む。
また、本実施形態において、レーザ光源6は、第2共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1を共振器構造体56に入力する。なお、本実施形態において、第2共振周波数ωを第1共振周波数ωと同一とみなせるため、第1ポンプ光PL1は第1共振周波数ωを有するとみなせる。本実施形態において、共振器構造体60は、入力された第1ポンプ光PL1によるパラメトリック上方変換により、第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。
共振器構造体60による出力光子OFの生成について、図11を参照してより詳細に説明する。図11は、共振器構造体60における光子の入出力を説明するための模式図60Aと、共振器構造体60において生じる状態遷移を表すエネルギーダイヤグラムD5である。
図11の模式図60Aに示す通り、共振器構造体60には、第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1が入力される。この結果、後述の方法により、模式図60Aに示す通り、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが共振器構造体60から出力される。本実施形態においては、出力光子OFは単一光子であってもよく、あるいは、共振器構造体56から略同時に出射した複数の光子を含んでいてもよい。
ここで、本実施形態においては、第1共振周波数ω、および第4共振周波数ωについて、上述した式(5)および式(6)において、ω=ωとした式が成立する。
ここで、本実施形態においては、図11のエネルギーダイヤグラムD5に示すように、ナノ光ファイバ部16における基底準位gと励起準位eとのエネルギー差を、第1共振周波数ωを有する光子のエネルギーの2倍と略同一とする。なお、上記式(5)から、2ω=ωが成立するため、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差は、第4共振周波数ωを有する光子のエネルギーとも略同一である。
上記2式が成立する場合、ナノ光ファイバ部16においては、第1ポンプ光PL1によって、エネルギーダイヤグラムD5に示す状態遷移が生じる。具体的には、第1ポンプ光PL1によって、基底準位gから、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差の半分のエネルギーまで励起が生じる。ここで、第1ポンプ光PL1の強度が十分に強い場合には、さらに第1ポンプ光PL1による励起が連続して発生する。このため、第1ポンプ光PL1によって、基底準位gから励起準位eへの励起が生じる。結果として、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差に相当するエネルギーを有する、第4共振周波数ωを有する出力光子OFが生成される。
以上により、ナノ光ファイバ部16においてはパラメトリック上方変換が発生する。換言すれば、本実施形態に係る共振器構造体60の各共振器は、共通の共振光路であるナノ光ファイバ部16におけるパラメトリック上方変換のエネルギー保存則および位相整合条件を満たしている。
以上により、共振器構造体60は第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成する。図10の参照に戻ると、共振器構造体60から出力された出力光子OFはダイクロイックミラー12を透過して量子デバイスXに入射する。また、共振器構造体60からの第1ポンプ光PL1は、ダイクロイックミラー12において反射し光終端器14に入射し消失する。
本実施形態に係る量子波長変換器58は、レーザ光源6からのポンプ光の波長を変換することにより、第4共振周波数ωを有する出力光子OFを生成し、量子デバイスXに入力することができる。特に、第4共振周波数ωは第1共振周波数ωの2倍であるため、共振器構造体60において生じるパラメトリック上方変換は、いわゆる2次高調波発生である。換言すれば、量子波長変換器58は、レーザ光源6からのポンプ光の周波数の2倍の周波数を有する出力光子OFを生成する、2次高調波発生器として機能する。
また、量子波長変換器58の共振器構造体60は、量子波長変換器2の共振器構造体4と比較して、第2共振器36および第3共振器38を含まないため、含む共振器の個数が2つ少ない。したがって、量子波長変換器58は、量子波長変換器2と比較して、より簡素に共振器構造体60を構成でき、また、共振器構造体60の設計をより容易とする。
〔実施形態6〕
<伝令付き単一光子源>
上述した各実施形態に係る共振器構造体を含む量子波長変換器を用いて、レーザ光源からのポンプ光の波長変換を行うことにより、光子対の生成および伝令付き単一光子の生成を行うことができる。以下、量子波長変換器を備えた、本実施形態に係る伝令付き単一光子源について説明する。図12は、本実施形態に係る伝令付き単一光子源62の概略平面図である。
図12に示すように、伝令付き単一光子源62は、量子波長変換器64と、ダイクロイックミラー66と、単一光子検出器68と、第1出力光ファイバ70と、第2出力光ファイバ72とを備える。量子波長変換器64は、実施形態1に係る量子波長変換器2と比較して、単一光子源10を備えていない点においてのみ構成が異なる。
ただし、本実施形態において、ダイクロイックミラー12は、第4共振周波数ωを有する光子に加えて、第3共振周波数ωを有する光子も透過させる。さらに、本実施形態に係るダイクロイックミラー12は、第1共振周波数ωおよび第2共振周波数ωを有する光子を反射する。このため、光終端器14には、ダイクロイックミラー12において反射した第1共振周波数ωおよび第2共振周波数ωを有する光子が入射する。
ダイクロイックミラー66は、ダイクロイックミラー12と比較して、第4共振周波数ωを有する光子を透過させ、第3共振周波数ωを有する光子を反射する点においてのみ構成が異なる。ダイクロイックミラー66は、ダイクロイックミラー12を透過した光子が入射するように配置される。
単一光子検出器68は、入射した単一光子を検出するための素子である。単一光子検出器68は、ダイクロイックミラー66において反射した光子が入射するように配置される。このため、単一光子検出器68は、ダイクロイックミラー66において反射した第3共振周波数ωを有する光子を検出する。
本実施形態において、量子デバイスXには、ダイクロイックミラー66を透過した光子が入射するように配置される。このため、単一光子検出器68は、ダイクロイックミラー12を透過した第4共振周波数ωを有する光子が入射する。
第1出力光ファイバ70および第2出力光ファイバ72は、単一モードの光ファイバであり、光ファイバ8と同一の構成を備えていてもよい。第1出力光ファイバ70は、ダイクロイックミラー66において反射した光子が入射するように配置され、第2出力光ファイバ72は、ダイクロイックミラー66を透過した光子が入射するように配置される。
したがって、第1出力光ファイバ70は、ダイクロイックミラー66において反射した第3共振周波数ωを有する光子を、単一光子検出器68まで伝搬させる。また、第2出力光ファイバ72は、ダイクロイックミラー66を透過した第4共振周波数ωを有する光子を、量子デバイスXまで伝搬させる。
また、本実施形態において、レーザ光源6は、第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1および第2共振周波数ωを有する第2ポンプ光PL2を共振器構造体4に入力する。
本実施形態において、共振器構造体4は、後述の方法により、入力されたポンプ光による四光波混合過程により、第3共振周波数ωを有する第1出力光子OF1および第4共振周波数ωを有する第2出力光子OF2を生成する。換言すれば、共振器構造体4は、入力されたポンプ光から、互いに波長の異なる光子対を生成する。本実施形態に係るレーザ光源6が出射する第1ポンプ光PL1と第2ポンプ光PL2とは、共振器構造体4の各共振器の光子寿命をパルス長とするパルス波が連続したものとみなすことができる。ここで、本実施形態においては、第1ポンプ光PL1と第2ポンプ光PL2とのそれぞれの一つのパルス波から、上記光子対が一つ生成される確率を、1よりも十分に小さいpとする。なお、レーザ光源6は、第1ポンプ光PL1および第2ポンプ光PL2として、各共振周波数を有するパルス波を断続的に出射してもよい。
共振器構造体4における光子対の生成について、図13を参照してより詳細に説明する。図13は、共振器構造体4における光子の入出力を説明するための模式図4Bと、共振器構造体4において生じる状態遷移を表すエネルギーダイヤグラムD6である。
図13の模式図4Bに示す通り、共振器構造体4には、第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1、および第2共振周波数ωを有する第2ポンプ光PL2が入力される。この結果、後述の方法により、模式図4Bに示す通り、第3共振周波数ωを有する第1出力光子OF1および第4共振周波数ωを有する第2出力光子OF2が共振器構造体4から出力される。
ここで、本実施形態においては、第1共振周波数ω、第2共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωについて、上述した式(1)および式(2)が成立する。本実施形態においても、ナノ光ファイバ部16において仮想的に基底準位gと励起準位eとを設定する。本実施形態において、図13のエネルギーダイヤグラムD6に示すように、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差は、第1共振周波数ωを有する光子のエネルギーと第2共振周波数ωを有する光子のエネルギーとの合計値と略同一とする。なお、上記式(1)から、ω+ω=ω+ωが成立するため、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差は、第3共振周波数ωを有する光子のエネルギーと第4共振周波数ωを有する光子のエネルギーとの合計値とも略同一である。
上記2式が成立する場合、ナノ光ファイバ部16においては、第1ポンプ光PL1、および第2ポンプ光PL2によって、エネルギーダイヤグラムD6に示す状態遷移が生じる。具体的には、第1ポンプ光PL1および第2ポンプ光PL2によって、基底準位gから励起準位eへの励起が生じる。
また、当該励起と併せて、励起準位eから基底準位gへの状態遷移が生じる。ここで、共振器構造体4は、共振周波数として第3共振周波数ωを有する第3共振器38と、共振周波数として第4共振周波数ωを有する第4共振器40とを有する。このため、エネルギーダイヤグラムD6に示すように、ナノ光ファイバ部16においては、はじめに励起準位eから基底準位gに向かって第3共振周波数ωを有する光子のエネルギー分だけ状態遷移が生じる。さらに、第4共振周波数ωを有する光子のエネルギー分だけ状態遷移が生じることにより、励起準位eから基底準位gへの状態遷移が生じる。
したがって、本実施形態に係るナノ光ファイバ部16においては、エネルギーダイヤグラムD6に示すように四光波混合過程が有意に発生する。上述した四光波混合過程に伴い、共振器構造体4の第3共振器38には、第3共振器38と結合し第3共振周波数ωを有する光子が有意に生成される。また、上述した四光波混合過程に伴い、共振器構造体4の第4共振器40には、第4共振器40と結合し第4共振周波数ωを有する光子が、上述した第3共振周波数ωを有する光子と略同時に生成される。
したがって、共振器構造体4において上述した四光波混合過程が生じた場合、第3共振器38からは第1出力光子OF1が出射し、第4共振器40からは第2出力光子OF2が出射する。図12の参照に戻ると、共振器構造体4から出射した第1出力光子OF1は、ダイクロイックミラー12を透過し、ダイクロイックミラー66において反射することにより、第1出力光ファイバ70を伝搬し、単一光子検出器68によって検出される。また、共振器構造体4から出射した第2出力光子OF2は、ダイクロイックミラー12およびダイクロイックミラー66を共に透過することにより、第2出力光ファイバ72を伝搬し、量子デバイスXに入射する。
ここで、上述した通り、四光波混合過程により各ポンプ光の一つのパルス波から一つの光子対が生成される確率はpである。このため、四光波混合過程により各ポンプ光から二つの光子対が同時に生成される確率はpの二乗となる。このため、単一光子検出器68が光子を検出した際に、二つの光子が量子デバイスXに入射する確率は、1よりも十分に小さくなる。換言すれば、単一光子検出器68が光子を検出した際、量子デバイスXに入射する光子は、1に十分近い確率にて単一光子である。具体的に、単一光子検出器68が第1出力光子OF1を検出した際に、第2出力光子OF2が複数の光子を含む確率は、1よりも十分に小さい。換言すれば、単一光子検出器68が第1出力光子OF1を検出した際に、第2出力光子OF2は、1に十分近い確率にて、単一光子である。
上述した理由から、本実施形態において、単一光子検出器68が第1出力光子OF1を検出した場合、ほぼ確実に第2出力光子OF2が量子デバイスXに入射している。加えて、第2出力光子OF2は、1に十分近い確率にて単一光子である。ゆえに、伝令付き単一光子源62は、アイドラー光子である第1出力光子OF1の検出を伝令として、シグナル光子である第2出力光子OF2を生成する伝令付き単一光子源として機能する。量子デバイスXは、例えば、量子暗号通信器等、伝令が付いた単一光子を必要とする量子通信器を含むデバイスであってもよい。
本実施形態に係る伝令付き単一光子源62は、アイドラー光子である第1出力光子OF1と、シグナル光子である第2出力光子OF2とを生成に、共振器構造体4を含む量子波長変換器64を用いる。このため、伝令付き単一光子源62は、量子波長変換器2と同一の理由から、光ファイバを含む量子デバイスに組み込んだ場合においても、当該量子デバイスの構造の複雑化を低減する。
〔実施形態7〕
<縮退四光波混合過程を用いる伝令付き単一光子源>
図14は、本実施形態に係る伝令付き単一光子源74の概略平面図である。図12に示すように、伝令付き単一光子源74は、伝令付き単一光子源62と比較して、量子波長変換器64に代えて、実施形態4に係る量子波長変換器54を備える点においてのみ構成が異なる。ただし、本実施形態において、量子波長変換器54が備えるダイクロイックミラー12は、第4共振周波数ωを有する光子に加えて、第3共振周波数ωを有する光子も透過させ、第1共振周波数ωおよび第2共振周波数ωを有する光子は反射する。
また、本実施形態において、レーザ光源6は、第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1を共振器構造体4に入力する。本実施形態において、共振器構造体4は、後述の方法により、入力されたポンプ光による四光波混合過程により、第3共振周波数ωを有する第1出力光子OF1および第4共振周波数ωを有する第2出力光子OF2を生成する。
したがって、本実施形態においては、前実施形態において、第2共振周波数ωを第1共振周波数ωと同一としたものとみなせる。また、本実施形態に係る伝令付き単一光子源74は、伝令付き単一光子源62において、第2共振器36を第1共振器34と同一とし、第2ポンプ光PL2を第1ポンプ光PL1と同一としたものに相当する。
共振器構造体56における光子対の生成について、図15を参照してより詳細に説明する。図15は、共振器構造体56における光子の入出力を説明するための模式図56Bと、共振器構造体56において生じる状態遷移を表すエネルギーダイヤグラムD7である。
図15の模式図56Bに示す通り、共振器構造体56には、第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1が入力される。この結果、後述の方法により、模式図56Bに示す通り、第3共振周波数ωを有する第1出力光子OF1および第4共振周波数ωを有する第2出力光子OF2が共振器構造体4から出力される。
ここで、本実施形態においては、第1共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωについて、上述した式(1)および式(2)において、ω=ωとした式が成立する。なお、本実施形態においては、ナノ光ファイバ部16における基底準位gと励起準位eとのエネルギー差を、第1共振周波数ωを有する光子のエネルギーの2倍と略同一とする。なお、上記式(1)から、2ω=ω+ωが成立するため、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差は、第3共振周波数ωを有する光子のエネルギーと第4共振周波数ωを有する光子のエネルギーとの合計値とも略同一である。
上記2式が成立する場合、ナノ光ファイバ部16においては、第1ポンプ光PL1によって、エネルギーダイヤグラムD7に示す状態遷移が生じる。具体的には、第1ポンプ光PL1によって、基底準位gから、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差の半分のエネルギーまで励起が生じる。ここで、第1ポンプ光PL1の強度が十分に強い場合には、さらに第1ポンプ光PL1による励起が連続して発生する。このため、第1ポンプ光PL1によって、基底準位gから励起準位eへの励起が生じる。
また、当該励起と併せて、励起準位eから基底準位gへの状態遷移が生じる。本実施形態においても、前実施形態において説明した理由と同一の理由から、エネルギーダイヤグラムD7に示すように四光波混合過程が有意に発生する。本実施形態に係るナノ光ファイバ部16において生じる四光波混合過程は、前実施形態に係るナノ光ファイバ部16において生じる四光波混合過程において、ω=ωとした縮退四光波混合過程に相当する。当該縮退四光波混合過程に伴い、共振器構造体4の第3共振器38には第3共振周波数ωを有する光子が、共振器構造体4の第4共振器40には第4共振周波数ωを有する光子が略同時に生成される。
第1ポンプ光PL1は、共振器構造体4の各共振器の光子寿命をパルス長とするパルス波が連続したものとみなすことができる。ここで、本実施形態においては、第1ポンプ光PL1の一つのパルス波から光子対が一つ生成される確率を、1よりも十分に小さいpとする。この場合、本実施形態においても、第1ポンプ光PL1から四光波混合過程により二つの光子対が同時に生成される確率はpの二乗となる。このため、単一光子検出器68が光子を検出した際に、二つの光子が量子デバイスXに入射する確率は、1よりも十分に小さくなる。換言すれば、本実施形態においても、単一光子検出器68が光子を検出した際、量子デバイスXに入射する光子は、1に十分近い確率にて単一光子である。具体的に、単一光子検出器68が第1出力光子OF1を検出した際に、第2出力光子OF2が複数の光子を含む確率は1よりも十分に小さい。換言すれば、単一光子検出器68が第1出力光子OF1を検出した際に、第2出力光子OF2は、1に十分近い確率にて単一光子である。
したがって、共振器構造体4において上述した四光波混合過程が生じた場合、第3共振器38からは第1出力光子OF1が出射し、第4共振器40からは第2出力光子OF2が出射する。図14の参照に戻ると、共振器構造体56から出射した第1出力光子OF1は、単一光子検出器68によって検出され、また、共振器構造体56から出射した第2出力光子OF2は、量子デバイスXに入射する。
本実施形態においても、前実施形態において説明した理由と同一の理由から、共振器構造体56から光子対が生成され、単一光子検出器68が第1出力光子OF1を検出した場合、量子デバイスXにはほぼ確実に第2出力光子OF2が入力される。加えて、本実施形態においても、第2出力光子OF2は、は、1に十分近い確率にて単一光子である。したがって、伝令付き単一光子源74は、アイドラー光子である第1出力光子OF1の検出を伝令として、シグナル光子である第2出力光子OF2を生成する伝令付き単一光子源として機能する。
本実施形態に係る伝令付き単一光子源74は、アイドラー光子である第1出力光子OF1と、シグナル光子である第2出力光子OF2とを生成に、共振器構造体56を含む量子波長変換器54を用いる。このため、伝令付き単一光子源74は、量子波長変換器2と同一の理由から、光ファイバを含む量子デバイスに組み込んだ場合においても、当該量子デバイスの構造の複雑化を低減する。
また、伝令付き単一光子源74の共振器構造体56は、伝令付き単一光子源62の共振器構造体4と比較して、第2共振器36を含まないため、含む共振器の個数が1つ少ない。したがって、伝令付き単一光子源74は、伝令付き単一光子源62と比較して、より簡素に共振器構造体56を構成でき、また、共振器構造体56の設計をより容易とする。
〔実施形態8〕
<パラメトリック下方変換を用いる伝令付き単一光子源>
図16は、本実施形態に係る伝令付き単一光子源76の概略平面図である。図16に示すように、伝令付き単一光子源76は、伝令付き単一光子源62と比較して、量子波長変換器64に代えて、量子波長変換器78を備える点において構成が異なる。量子波長変換器78は、実施形態2に係る量子波長変換器46と比較して、単一光子源10を備えていない点においてのみ構成が異なる。ただし、本実施形態において、量子波長変換器78が備えるダイクロイックミラー12は、第4共振周波数ωを有する光子に加えて、第3共振周波数ωを有する光子も透過させ、第1共振周波数ωおよび第2共振周波数ωを有する光子は反射する。
また、本実施形態において、レーザ光源6は、第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1を共振器構造体4に入力する。本実施形態において、共振器構造体48は、後述の方法により、入力されたポンプ光によるパラメトリック下方変換により、第3共振周波数ωを有する第1出力光子OF1および第4共振周波数ωを有する第2出力光子OF2を生成する。
共振器構造体48における光子対の生成について、図17を参照してより詳細に説明する。図17は、共振器構造体48における光子の入出力を説明するための模式図48Bと、共振器構造体48において生じる状態遷移を表すエネルギーダイヤグラムD8である。
図17の模式図48Bに示す通り、共振器構造体48には、第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光PL1が入力される。この結果、後述の方法により、模式図48Bに示す通り、第3共振周波数ωを有する第1出力光子OF1および第4共振周波数ωを有する第2出力光子OF2が共振器構造体4から出力される。
ここで、本実施形態においては、第1共振周波数ω、第3共振周波数ω、および第4共振周波数ωについて、上述した式(3)および式(4)が成立する。なお、本実施形態においては、ナノ光ファイバ部16における基底準位gと励起準位eとのエネルギー差を、第1共振周波数ωを有する光子のエネルギーと略同一とする。なお、上記式(3)から、ω=ω+ωが成立するため、基底準位gと励起準位eとのエネルギー差は、第3共振周波数ωを有する光子のエネルギーと第4共振周波数ωを有する光子のエネルギーとの合計値とも略同一である。
上記2式が成立する場合、ナノ光ファイバ部16においては、第1ポンプ光PL1によって、エネルギーダイヤグラムD7に示す状態遷移が生じる。具体的には、第1ポンプ光PL1によって、基底準位gから励起準位eへの励起が生じる。
また、当該励起と併せて、励起準位eから基底準位gへの状態遷移が生じる。本実施形態においても、前実施形態において説明した理由と同一の理由から、エネルギーダイヤグラムD8に示すようにパラメトリック下方変換が有意に発生する。上述したパラメトリック下方変換に伴い、共振器構造体4の第3共振器38には第3共振周波数ωを有する光子が、共振器構造体4の第4共振器40には第4共振周波数ωを有する光子が略同時に生成される。
第1ポンプ光PL1は、共振器構造体4の各共振器の光子寿命をパルス長とするパルス波が連続したものとみなすことができる。ここで、本実施形態においては、第1ポンプ光PL1の一つのパルス波から光子対が一つ生成される確率を、1よりも十分に小さいpとする。この場合、本実施形態においても、第1ポンプ光PL1からパラメトリック下方変換により二つの光子対が同時に生成される確率はpの二乗となる。このため、単一光子検出器68が光子を検出した際に、二つの光子が量子デバイスXに入射する確率は、1よりも十分に小さくなる。換言すれば、本実施形態においても、単一光子検出器68が光子を検出した際、量子デバイスXに入射する光子は、1に十分近い確率にて単一光子である。具体的に、単一光子検出器68が第1出力光子OF1を検出した際に、第2出力光子OF2が複数の光子を含む確率は、1よりも十分に小さい。換言すれば、単一光子検出器68が第1出力光子OF1を検出した際に、第2出力光子OF2は、1に十分近い確率にて単一光子である。
したがって、共振器構造体4において上述したパラメトリック下方変換が生じた場合、第3共振器38からは第1出力光子OF1が出射し、第4共振器40からは第2出力光子OF2が出射する。図16の参照に戻ると、共振器構造体48から出射した第1出力光子OF1は、単一光子検出器68によって検出され、また、共振器構造体48から出射した第2出力光子OF2は、量子デバイスXに入射する。
本実施形態においても、前実施形態において説明した理由と同一の理由から、共振器構造体56から光子対が生成され、単一光子検出器68が第1出力光子OF1を検出した場合、量子デバイスXにはほぼ確実に第2出力光子OF2が入力される。加えて、本実施形態においても、第2出力光子OF2は、1に十分近い確率にて単一光子である。したがって、伝令付き単一光子源76は、アイドラー光子である第1出力光子OF1の検出を伝令として、シグナル光子である第2出力光子OF2を生成する伝令付き単一光子源として機能する。
本実施形態に係る伝令付き単一光子源76は、アイドラー光子である第1出力光子OF1と、シグナル光子である第2出力光子OF2とを生成に、共振器構造体48を含む量子波長変換器78を用いる。このため、伝令付き単一光子源76は、量子波長変換器2と同一の理由から、光ファイバを含む量子デバイスに組み込んだ場合においても、当該量子デバイスの構造の複雑化を低減する。
また、伝令付き単一光子源76の共振器構造体48は、伝令付き単一光子源62の共振器構造体4と比較して、第2共振器36を含まないため、含む共振器の個数が1つ少ない。したがって、伝令付き単一光子源76は、伝令付き単一光子源62と比較して、より簡素に共振器構造体48を構成でき、また、共振器構造体48の設計をより容易とする。
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
2 量子波長変換器
4 共振器構造体
6 レーザ光源
8 光ファイバ
16 ナノ光ファイバ部
18 テーパー部
20 共通FBG
22 第1FBG
24 第2FBG
26 第3FBG
28 第4FBG
34 第1共振器
36 第2共振器
38 第3共振器
40 第4共振器
62 伝令付き単一光子源
68 単一光子検出器
70 第1出力光ファイバ
72 第2出力光ファイバ

Claims (17)

  1. 少なくとも一部に共通の共振光路を有する複数の共振器を内部に含む光ファイバと、
    前記光ファイバと接続し、少なくとも1つ以上の周波数を有するポンプ光を前記光ファイバに入力するレーザ光源とを備え、
    前記複数の共振器は、第1共振周波数ωを共振周波数に有する第1共振器と、第2共振周波数ωを共振周波数に有する第2共振器と、第3共振周波数ωを共振周波数に有する第3共振器と、前記第1共振周波数ω、前記第2共振周波数ω、および前記第3共振周波数ωの何れとも異なる第4共振周波数ωを共振周波数に有する第4共振器とを含み、
    を第i共振周波数ωの光に対する前記光ファイバの内部における実効屈折率、cを光速、γを前記光ファイバの非線形係数、Pを前記ポンプ光の強度として、
    Figure 2023167667000014
    Figure 2023167667000015
    上記(1)式および上記(2)式が成立する量子波長変換器。
  2. 前記光ファイバと接続し、前記複数の共振器に前記第1共振周波数ωを有する入力光子を前記光ファイバに入力する単一光子源をさらに備え、
    前記レーザ光源が、前記第2共振周波数ωを有する第1ポンプ光と、前記第3共振周波数ωを有する第2ポンプ光とを、前記光ファイバに入力し、
    前記第4共振器から前記第4共振周波数ωを有する出力光子を出射させる請求項1に記載の量子波長変換器。
  3. 前記第1共振周波数ωが前記第2共振周波数ωと同一であり、
    前記第1共振器が前記第2共振器と同一であり、
    前記レーザ光源が、前記第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光と、前記第3共振周波数ωを有する第2ポンプ光とを、前記光ファイバに入力し、
    前記第4共振器から前記第4共振周波数ωを有する出力光子を出射させる請求項1に記載の量子波長変換器。
  4. 少なくとも一部に共通の共振光路を有する複数の共振器を内部に含む光ファイバと、
    前記光ファイバと接続し、ポンプ光を前記光ファイバに入力するレーザ光源とを備え、
    前記複数の共振器は、第1共振周波数ωを共振周波数に有する第1共振器と、第3共振周波数ωを共振周波数に有する第3共振器と、前記第1共振周波数ωおよび第3共振周波数ωの双方と異なる第4共振周波数ωを共振周波数に有する第4共振器とを含み、
    を第i共振周波数ωの光に対する前記光ファイバの内部における実効屈折率、cを光速、γを前記光ファイバの非線形係数、Pを前記ポンプ光の強度として、
    Figure 2023167667000016
    Figure 2023167667000017
    上記(3)式および上記(4)式が成立する量子波長変換器。
  5. 前記光ファイバと接続し、前記複数の共振器に前記第1共振周波数ωを有する入力光子を前記光ファイバに入力する単一光子源をさらに備え、
    前記レーザ光源が、前記第3共振周波数ωを有する前記ポンプ光を前記光ファイバに入力し、
    前記第4共振器から前記第4共振周波数ωを有する出力光子を出射させる請求項4に記載の量子波長変換器。
  6. 少なくとも一部に共通の共振光路を有する複数の共振器を内部に含む光ファイバと、
    前記光ファイバと接続し、ポンプ光を前記光ファイバに入力するレーザ光源とを備え、
    前記複数の共振器は、第1共振周波数ωを共振周波数に有する第1共振器と、第2共振周波数ωを共振周波数に有する第2共振器と、前記第1共振周波数ωおよび前記第2共振周波数ωの双方と異なる第4共振周波数ωを共振周波数に有する第4共振器とを含み、
    を第i共振周波数ωの光に対する前記光ファイバの内部における実効屈折率、cを光速、γを前記光ファイバの非線形係数、Pを前記ポンプ光の強度として、
    Figure 2023167667000018
    Figure 2023167667000019
    上記(5)式および上記(6)式が成立する量子波長変換器。
  7. 前記光ファイバと接続し、前記複数の共振器に前記第1共振周波数ωを有する入力光子を前記光ファイバに入力する単一光子源をさらに備え、
    前記レーザ光源が、前記第2共振周波数ωを有する前記ポンプ光を前記光ファイバに入力し、
    前記第4共振器から前記第4共振周波数ωを有する出力光子を出射させる請求項6に記載の量子波長変換器。
  8. 前記第1共振周波数ωが前記第2共振周波数ωと同一であり、
    前記第1共振器が前記第2共振器と同一であり、
    前記レーザ光源が、前記第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光を、前記光ファイバに入力し、
    前記第4共振器から前記第4共振周波数ωを有する請求項6に記載の量子波長変換器。
  9. 前記光ファイバは、ナノ光ファイバ部と、前記ナノ光ファイバ部よりも径が大きく、前記ナノ光ファイバ部の両端とテーパー部を介して接続する両端部とを含み、前記共振光路の少なくとも一部が前記ナノ光ファイバ部に位置する請求項1から8の何れか1項に記載の量子波長変換器。
  10. 前記複数の共振器は、それぞれの共振周波数を反射帯域に含む一対のファイバブラッグ格子をそれぞれ有する請求項1から8の何れか1項に記載の量子波長変換器。
  11. 少なくとも一つの前記ファイバブラッグ格子は、他の何れかの前記ファイバブラッグ格子と同一である請求項10に記載の量子波長変換器。
  12. 請求項1に記載の量子波長変換器と、
    前記光ファイバと接続し、前記第3共振器から出射した前記第3共振周波数ωを有する第1単一出力光子を伝搬させる第1出力光ファイバと、
    前記光ファイバと接続し、前記第4共振器から出射した前記第4共振周波数ωを有する第2単一出力光子を伝搬させる第2出力光ファイバと、
    前記第1出力光ファイバと接続し、前記第1単一出力光子を検出する単一光子検出器とをさらに備え、
    前記レーザ光源が、前記第1共振周波数ωを有する第1ポンプ光と、前記第2共振周波数ωを有する第2ポンプ光とを、前記光ファイバに入力する伝令付き単一光子源。
  13. 前記第1共振周波数ωが前記第2共振周波数ωと同一であり、
    前記第1共振器が前記第2共振器と同一であり、
    前記第2ポンプ光が前記第1ポンプ光と同一である請求項12に記載の伝令付き単一光子源。
  14. 請求項4に記載の量子波長変換器と、
    前記光ファイバと接続し、前記第3共振器から出射した前記第3共振周波数ωを有する第1単一出力光子を伝搬させる第1出力光ファイバと、
    前記光ファイバと接続し、前記第4共振器から出射した前記第4共振周波数ωを有する第2単一出力光子を伝搬させる第2出力光ファイバと、
    前記第1出力光ファイバと接続し、前記第1単一出力光子を検出する単一光子検出器とをさらに備え、
    前記レーザ光源が、前記第1共振周波数ωを有する前記ポンプ光を前記光ファイバに入力する伝令付き単一光子源。
  15. 前記光ファイバは、ナノ光ファイバ部と、前記ナノ光ファイバ部よりも径が大きく、前記ナノ光ファイバ部の両端とテーパー部を介して接続する両端部とを含み、前記共振光路の少なくとも一部が前記ナノ光ファイバ部に位置する請求項12から14の何れか1項に記載の伝令付き単一光子源。
  16. 前記複数の共振器は、それぞれの共振周波数を反射帯域に含む一対のファイバブラッグ格子をそれぞれ有する請求項12から14の何れか1項に記載の伝令付き単一光子源。
  17. 少なくとも一つの前記ファイバブラッグ格子は、他の何れかの前記ファイバブラッグ格子と同一である請求項16に記載の伝令付き単一光子源。
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