JP2023165140A - 固定式泡消火設備 - Google Patents

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めぐみ 林
Megumi Hayashi
真門 梅津
Masakado Umezu
健二 大木
Kenji Oki
弘幸 砂原
Hiroyuki Sunahara
のりこ 五十嵐
Noriko Igarashi
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Abstract

【課題】フッ素系界面活性剤を含まない合成界面活性剤泡消火薬剤の消火性能を向上させることにより、床面積1m2あたりの泡の放射量が8.0L/min未満であっても十分な消火性能を得ることが可能な固定式泡消火設備を提供する。【解決手段】消火用水と泡消火薬剤とが混合された水溶液を複数のフォームヘッド30で発泡させ、フォームヘッド30から泡を放射させる固定式泡消火設備1であって、泡消火薬剤は、少なくとも有効成分、溶媒及び水を含み、且つフッ素、フッ素化合物及び不凍剤をいずれも含まず、有効成分は、炭化水素系アニオン界面活性剤及び炭化水素系両性界面活性剤であり、有効成分の濃度の合計は、1重量%~3.8重量%の範囲内であり、溶媒の濃度は、1重量%~5重量%の範囲内であり、床面積1m2あたりの前記泡の放射量が、8.0L/min未満となるように構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、消防法第17条に規定された防火対象物のうち、特に、常時人が出入りする自走式駐車場に好適な固定式泡消火設備に関する。
常時人が出入りする自走式駐車場には、固定式泡消火設備が設置されることが多い。固定式泡消火設備は、主として、消火水槽、加圧送水装置、プロポーショナー(混合器)、薬剤貯蔵容器、及び複数のフォームヘッドで構成される。消火水槽には消火用水が貯蔵され、薬剤貯蔵容器には泡消火薬剤が貯蔵される。自走式駐車場で火災が発生した場合は、まず、加圧送水装置によって、消火水槽内の消火用水が配管に圧送される。次に、プロポーショナーによって、消火用水に泡消火薬剤が混合される。そして、消火用水に泡消火薬剤が混合された水溶液が、複数のフォームヘッドに供給される。フォームヘッドは、水溶液を発泡させ、自走式駐車場内に泡を放射させる。この泡が火面を覆い、泡の窒息及び冷却の効果によって火災が消火される。
特許第6449063号公報 特許第6449064号公報
<PFOAの規制>
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和3年政令第144号)において、ペルフルオロオクタン酸(PFOA) が第一種特定化学物質に指定され、令和3年10月22日より施行された。PFOAは、フッ素を含む有機化合物である。
一方、自走式駐車場の多くの固定式泡消火設備は、フッ素系界面活性剤を有効成分とする水成膜泡消火薬剤を使用している。フッ素系界面活性剤は、表面張力を低下させる性能があり、油面上に水成膜を形成することができるからである。しかし、今後、フッ素系界面活性剤を含む水成膜泡消火薬剤は、自走式駐車場の固定式泡消火設備に使用することができなくなる。
<泡消火薬剤の変更>
泡消火薬剤には、水成膜泡消火薬剤の他に、たん白泡消火薬剤及び合成界面活性剤泡消火薬剤がある。自走式駐車場の固定式泡消火設備に、フッ素系界面活性剤を含まないたん白泡消火薬剤又は合成界面活性剤泡消火薬剤を使用することが考えられる。
しかし、固定式泡消火設備は、使用する泡消火薬剤の種類に応じて、床面積1mあたりの泡の放射量が定められている(消防法施行規則第18条第1項第2号ハ)。すなわち、水成膜泡消火薬剤の泡の放射量は、3.7L/minである。たん白泡消火薬剤の泡の放射量は、6.5L/minである。合成界面活性剤泡消火薬剤の泡の放射量は、8.0L/minである。つまり、水成膜泡消火薬剤、たん白泡消火薬剤、及び合成界面活性剤泡消火薬剤は、この順番で消火性能が高い。最も消火性能の高い水成膜泡消火薬剤は、床面積1mあたりの泡の放射量が最も少ない。一方、最も消火性能の低い合成界面活性剤泡消火薬剤は、床面積1mあたりの泡の放射量が最も多い。
このため、水成膜泡消火薬剤の使用を前提に設計された固定式泡消火設備に、たん白泡消火薬剤又は合成界面活性剤泡消火薬剤を使用すると、消火に必要な泡の放射量(6.5L/min又は8.0L/min)が得られない。消火に必要な泡の放射量を得るためには、固定式泡消火設備を構成する加圧送水装置や配管などを変更する必要がある。
<本発明の目的>
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フッ素系界面活性剤を含まない合成界面活性剤泡消火薬剤の消火性能を向上させることにより、床面積1mあたりの泡の放射量が8.0L/min未満であっても十分な消火性能を得ることが可能な固定式泡消火設備を提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明の固定式泡消火設備は、消火用水と泡消火薬剤とが混合された水溶液を複数のフォームヘッドで発泡させ、前記フォームヘッドから泡を放射させる固定式泡消火設備であって、前記泡消火薬剤は、少なくとも有効成分、溶媒及び水を含み、且つフッ素、フッ素化合物及び不凍剤をいずれも含まず、前記有効成分は、炭化水素系アニオン界面活性剤及び炭化水素系両性界面活性剤であり、前記有効成分の濃度の合計は、1重量%~3.8重量%の範囲内であり、前記溶媒の濃度は、1重量%~5重量%の範囲内であり、床面積1mあたりの前記泡の放射量が、8.0L/min未満となるように構成される。
(2)好ましくは、上記(1)の固定式消火設備において、前記炭化水素系アニオン界面活性剤は、アルファオレフィンスルホン酸塩であり、前記炭化水素系両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸である。
(3)好ましくは、上記(1)又は(2)の固定式消火設備において、前記溶媒は、カルビトール類である。
(4)好ましくは、上記(3)の固定式消火設備において、前記溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
(5)好ましくは、上記(1)~(4)のいずれかの固定式消火設備において、前記泡消火薬剤の生物化学的酸素要求量は、100mg/L~600mg/Lである。
(6)好ましくは、上記(1)~(5)のいずれかの固定式消火設備において、前記フォームヘッドは、ヘッド本体、金網、ロッド及びデフレクターを備え、前記ヘッド本体は、直径50mm以上の円板の上面に、円筒状の流路を設けた構成となっており、前記円板の中央には、前記流路内に通じる出口が設けられるとともに、前記円板の板面には、少なくとも1つの空気孔が設けられ、前記ヘッド本体の前記流路の上端には、前記ロッドの上端が固定され、前記ロッドの下端には、板状の前記デフレクターが固定され、前記ヘッド本体の下面に、椀状の前記金網を固定することにより、前記デフレクターが前記金網に覆われる。
(7)好ましくは、上記(6)の固定式消火設備において、1つの前記フォームヘッドの放射量が、放射圧力0.25MPaで35L/min~54L/minの範囲内である。
本発明の固定式消火設備に使用される泡消火薬剤の有効成分を、炭化水素系アニオン界面活性剤及び炭化水素系両性界面活性剤とすることによって、フッ素、フッ素化合物及び不凍剤をいずれも含まずに、泡消火薬剤の消火性能を向上させることができる。また、溶媒としてのカルビトール類を添加することによって、泡消火薬剤の消火性能は、さらに向上する。特に、溶媒をジエチレングリコールモノブチルエーテルとした場合は、泡消火薬剤を貯蔵したときの低温安定性が向上する。
したがって、水成膜泡消火薬剤又はたん白泡消火薬剤の使用を前提に設計された固定式泡消火設備に、本発明の泡消火薬剤を使用することにより、床面積1mあたりの泡の放射量が8.0L/min未満であっても十分な消火性能を得ることが可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係る固定式泡消火設備を示すブロック図である。 図2(a)は、フォームヘッドの部分断面図であり、図2(b)は、フォームヘッドの平面図である。 図3は、固定式泡消火設備の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態に係る固定式泡消火設備について、図面を参照して説明する。
1.固定式泡消火設備
1.1 概要
図1は、本実施形態の固定式泡消火装置1を示す。固定式泡消火装置1は、主として、消火水槽11、加圧送水装置12、薬剤貯蔵容器13、プロポーショナー14、流水検知装置15、一斉開放弁16、自動式起動装置21、手動式起動装置22及び複数のフォームヘッド30で構成される。
消火水槽11には、消火用水が貯蔵される。薬剤貯蔵容器13には、泡消火薬剤が貯蔵される。自動式起動装置21、手動式起動装置22及び複数のフォームヘッド30は、例えば、自走式駐車場の駐車スペースに設置される。固定式泡消火装置1は、消火用水と泡消火薬剤とが混合された水溶液を複数のフォームヘッド30で発泡させ、フォームヘッド30から泡を放射させる。自走式駐車場の駐車スペースで発生した火災は、フォームヘッド30から放射される泡によって消火される。
ここで、図1中の太い実線は、直径の大きい第1配管41を示す。図1中の細い実線は、直径の小さい第2配管42及び第3配管43を示す。図1中の鎖線は、信号の伝送路を示す。固定式泡消火装置1は、例えば、水成膜泡消火薬剤の使用を前提に設計されている。例えば、第1配管41の外径は、60.5mm(A呼称で50A)である。また、第2配管42及び第3配管43の外径は、42.7mm(A呼称で32A)である。さらに、固定式泡消火装置1の床面積1mあたりの泡の放射量は、3.7L/minである。この放射量の値は、加圧送水装置12のポンプ性能、第1及び第2配管41、42の内径及び長さ、フォームヘッド30の数、配置及び放射量などによって決まる。
1.2 構成要素
図1において、消火水槽11に貯蔵された消火用水は、加圧送水装置12によって吸い上げられ、第1配管41、第2配管42及び第3配管43に供給される。加圧送水装置12は、消火ポンプであり、ポンプ制御盤12Aにより制御される。加圧送水装置12のポンプ内は、呼水槽12Bから供給される水によって常に満たされる。
プロポーショナー14は、加圧送水装置12から供給される消火用水の流れによって作動する。プロポーショナー14は、消火用水の流量に応じた量の泡消火薬剤を、薬剤貯蔵容器13から吸い上げ、消火用水に混合する。これにより、泡消火薬剤の使用に適した濃度の水溶液が生成される。
流水検知装置15は、一斉開放弁16が開放されたことによって生じる第1配管41内の水の流れを検出し、信号を出力する。一方、一斉開放弁16は、自動式起動装置21又は手動式起動装置22の作動に伴って、内蔵された弁を開放する。これにより、第1配管41内の水が、一斉開放弁16の一次側から二次側へ流れる。
本実施形態の自動式起動装置21は、例えば、火災が発生したときの熱によって作動する感知ヘッドである。感知ヘッドは、熱によって溶融する可溶片と、この可溶片の溶融によって開放される弁を備える。また、図1中の自動式起動装置(感知ヘッド)21と一斉開放弁16とを接続する第3配管43は、水によって常に満たされる。火災が発生したときの熱によって可溶片が溶融し、感知ヘッドの弁が開放される。すると、第3配管43内の水が感知ヘッドから排出される。これにより、一斉開放弁16に内蔵された弁が加圧又は減圧され、この弁が開放される。
なお、自動式起動装置21は、例えば、センサーを備えた感知器であってもよい。感知器は、図1に示される第3配管43ではなく、信号の伝送路によって一斉開放弁16に電気的に接続される。感知器は、火災が発生したときの煙、熱又は炎を検知し、信号を出力する。この信号は、伝送路を介して一斉開放弁16に入力される。一斉開放弁16は、感知器から出力された信号に基づいて、内蔵された弁を開放させる。
本実施形態の手動起動装置22は、例えば、手動起動弁である。また、図1中の手動式起動装置(手動起動弁)22と一斉開放弁16とを接続する第3配管43は、水によって常に満たされる。例えば、人の操作によって手動起動弁が開放されると、一斉開放弁16に内蔵された弁を作動させるための水が、一斉開放弁16に供給されるか又は一斉開放弁16から排出される。これにより、一斉開放弁16に内蔵された弁が開放される。
なお、手動起動装置22は、例えば、人が押下することが可能な非常ボタンであってもよい。非常ボタンは、図1に示される第3配管43ではなく、信号の伝送路によって一斉開放弁16に電気的に接続される。非常ボタンは、人が押下することによって、信号を出力する。この信号は、伝送路を介して一斉開放弁16に入力される。一斉開放弁16は、感知器から出力された信号に基づいて、内蔵された弁を開放させる。
防災監視盤50は、例えば、自走式駐車場が設けられた建物の防災センターや中央管理室に設置される。防災監視盤50は、伝送路を介して、ポンプ制御盤12A、流水検知装置15及びエアコンプレッサー17に電気的に接続される。防災監視盤50は、流水検知装置15が出力した信号に基づいて、火災の発生を建物内及び消防機関に報知する。
本実施形態の防災監視盤50は、固定式泡消火設備1を制御するための制御盤51を備える。制御盤51は、流水検知装置15から出力された信号に基づいて、ポンプ制御盤12Aに信号を出力し、加圧送水装置12を作動させる。これにより、プロポーショナー14に消火用水が供給され、適量の泡消火薬剤が混合された水溶液が生成される。この水溶液は、一斉開放弁16の一次側から二次側に流れ、第2配管42を介して、複数のフォームヘッド30に供給される。フォームヘッド30は、水溶液を発泡させ、自走式駐車場の駐車スペースに泡を放射させる。
1.3 フォームヘッド
図2(a)、(b)は、フォームヘッド30の構成を示す。図2(a)において、フォームヘッド30は、ヘッド本体31、支持部32、ロッド33、デフレクター34、旋回流コマ35、金網36及びねじ37で構成される。
図2(a)、(b)に示されるように、ヘッド本体31は、直径50mm以上の円板31aの上面に、円筒状の流路31bを設けた構成となっている。円板31aの中央には、流路31b内に通じる出口31cが設けられる。円板31aの板面には、60°の間隔をおいて6つの空気孔31dが設けられる。
ヘッド本体31の流路31bの上端には、支持部32が設けられる。支持部32は、120°の間隔をおいて3方向に延びる支柱と、支柱の中心に設けられた雌ねじ部とを備える。支持部32の雌ねじ部には、ロッド33の上端に設けられた雄ねじが螺合される。ロッド33は、流路31bの上端から出口31cを貫通し、円板31aの下方に延びる。ロッド33の下端には、板状のデフレクター34が固定される。そして、ヘッド本体31の下面に、椀状の金網36を固定することによって、デフレクター34が金網36に覆われる。デフレクター34及び金網36は、いずれもねじ37によって、ロッド33の下端に締結される。図2(a)に示されるように、ロッド33の上端には、旋回流コマ35が装着される。
ヘッド本体31aの流路31bは、図1に示される第2配管42の出口に接続される。第2配管42から流路31b内に供給される水溶液は、旋回流コマ35によって旋回される。水溶液は、流路31bの内壁面に沿って旋回しながら、円板31a中央の出口31cに導かれる。そして、出口31cから流出した水溶液は、6つの空気孔31dから流入する空気を巻き込みながら、デフレクター34に衝突することによって発泡される。デフレクター34によって発泡された泡は、金網36によって分散され、フォームヘッド30を中心とした円形の範囲に放射される。
例えば、図2に示すフォームヘッド30を床面から8mの高さに取り付け、放射圧力0.25MPaで35L/min~54L/minの泡を放射させた場合、フォームヘッド30の泡の放射範囲は、直径約5mの円形になる。
1.4 固定式泡消火設備の動作の流れ
次に、固定式泡消火設備1の動作の流れについて、図3のステップS1~S7を参照しつつ説明する。
ステップS1において、固定式泡消火設備1は、自動式起動装置21又は手動式起動装置22が作動すること(ステップS1の「YES」)によって、消火のための動作を開始する。自走式駐車場の駐車スペースにおいて、例えば、自動式起動装置21としての感知ヘッドが火災の熱によって作動し、感知ヘッドから第3配管43内の水が排出される。また例えば、火災を発見した人が、手動起動装置22である手動起動弁を開放することにより、手動起動弁から第3配管43内の水が排出される。
ステップS2において、自動式起動装置21又は手動式起動装置22が接続された第3配管43内から水が排出されると、一斉開放弁16に内蔵された弁が加圧又は減圧され、この弁が開放される。これにより、第1配管41内の水が、一斉開放弁16の一次側から二次側へ流れる。
ステップS3において、流水検知装置15は、第1配管41内の水の流れを検出し、信号を出力する。この信号は、防災監視盤50に入力される。
ステップS4において、防災監視盤50は、流水検知装置15から出力された信号に基づいて、火災の発生を建物内及び消防機関に報知する。また、防災監視盤50の制御盤51は、加圧送水装置12のポンプ制御盤12Aに信号を出力する。
ステップS5において、ポンプ制御盤12Aは、防災監視盤50の制御盤51から出力された信号に基づいて、加圧送水装置12を作動させる。これにより、消火水槽11に貯蔵された消火用水が、第1配管41を通ってプロポーショナー14に供給される。
ステップS6において、プロポーショナー14は、消火用水の流量に応じた量の泡消火薬剤を、薬剤貯蔵容器13から吸い上げ、消火用水に混合する。これにより、泡消火薬剤の使用に適した濃度の水溶液が生成される。この水溶液は、一斉開放弁16の一次側から二次側に流れ、第2配管42を介して、複数のフォームヘッド30に供給される。
ステップS7において、複数のフォームヘッド30は、第2配管42から供給される水溶液を発泡させた泡を生成し、床面積1mあたり3.7L/minの放射量で泡を放射する。
2.泡消火薬剤
本実施形態の固定式泡消火設備1に使用される泡消火薬剤は、少なくとも有効成分、溶媒及び水を含み、且つフッ素、フッ素化合物及び不凍剤をいずれも含まない。有効成分は、炭化水素系アニオン界面活性剤及び炭化水素系両性界面活性剤である。有効成分の濃度の合計は、1重量%~3.8重量%の範囲内である。一方、溶媒の濃度は、1重量%~5重量%の範囲内である。
有効成分としての炭化水素系アニオン界面活性剤は、アルファオレフィンスルホン酸塩が好ましい。アルファオレフィンスルホン酸塩には、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムが含まれる。また、有効成分としての炭化水素系両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸が好ましい。ラウリルジメチルアミノ酢酸には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが含まれる。溶媒は、カルビトール類が好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルがより好ましい。
2.1 実施例
以下、固定式泡消火設備1に使用される泡消火薬剤の実施例について説明する。
2.1.1 成分
下記の表1は、泡消火薬剤の実施例1及び比較例1の成分を示す。実施例1は、合成界面活性剤泡消火薬剤であり、炭化水素系界面活性剤、溶媒、その他、水を含む。一方、比較例1は、出願人が販売する水成膜泡消火薬剤である製品名「サーフウォータIII」(検定型式番号:泡第10~6号)である。比較例1は、フッ素系界面活性剤、溶媒、不凍剤、その他、水を含む。
Figure 2023165140000002
さらに、表1中の実施例1の成分の詳細を、下記の表2に示す。
Figure 2023165140000003
表2において、実施例1は、炭化水素系アニオン界面活性剤と、炭化水素系両性界面活性剤とを含む。炭化水素系アニオン界面活性剤として、2.9重量%のアルファオレフィンスルホン酸ナトリウム(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社が販売する製品名「リポランLB-440」)を使用した。一方、炭化水素系両性界面活性剤として、0.3重量%のラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(花王株式会社が販売する製品名「アンヒトール20BS」)を使用した。実施例1の残りの成分は、96.8重量の水である。
2.1.2 消火時間、発泡倍率の比較
図1に示す固定式泡消火設備1、及び図2に示すフォームヘッド30を使用して、実施例1と比較例1との消火時間、発泡倍率を比較した。比較の結果を下記の表3に示す。
Figure 2023165140000004
ここで、表3中の泡の放射量は、床面積1mあたり3.7L/minである。この放射量は、消火性能の高い水成膜泡消火薬剤について定められたものである。一般的に、水成膜泡消火薬剤よりも消火性能が低い合成界面活性剤泡消火薬剤については、床面積1mあたり8.0L/minの泡の放射量が定められている(消防法施行規則第18条第1項第2号ハ)。
表3に示されるように、床面積1mあたりの泡の放射量が3.7L/minの条件下において、合成界面活性剤泡消火薬剤である実施例1の消火時間は69秒であった。一方、水成膜泡消火薬剤である比較例1の消火時間は50秒であった。実施例1と比較例1との消火時間の差は、僅か19秒であり、表3中の消火時間の結果は、合成界面活性剤泡消火薬剤である実施例1が、水成膜泡消火薬剤である比較例1と同等の消火性能を有することを意味する。
また、表3に示されるように、床面積1mあたりの泡の放射量が3.7L/minの条件下において、合成界面活性剤泡消火薬剤である実施例1の発泡倍率は6.26であった。一方、水成膜泡消火薬剤である比較例1の発泡倍率は7.47であった。実施例1と比較例1との発泡倍率の差は、僅か1.21であり、表3中の発泡倍率の結果は、合成界面活性剤泡消火薬剤である実施例1が、水成膜泡消火薬剤である比較例1と同等の発泡倍率を有することを意味する。
2.1.3 生物学的酸素要求量(BOD)
合成界面活性剤泡消火薬剤において、炭化水素系界面活性剤の含有量は、生物学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)に大きく影響する。下記の表4に示されるように、実施例2~6の合成界面活性剤泡消火薬剤の合計は2.6重量%~3.8重量%であり、生物学的酸素要求量は310mg/L~430mg/Lであった。一方、比較例2の合成界面活性剤泡消火薬剤の合計は、4.0重量%であり、生物学的酸素要求量は1360mg/Lであった。表4中の生物学的酸素要求量の結果は、合成界面活性剤泡消火薬剤の合計が3.8重量%を超えるほど、生物学的酸素要求量が大幅に増加することを示している。本発明者らは、炭化水素系アニオン界面活性剤及び炭化水素系両性界面活性剤の合計を1重量%~3.8重量%の範囲内とすることにより、合成界面活性剤泡消火薬剤の生物化学的酸素要求量を100mg/L~600mg/Lに抑えることが可能であることを知見した。
Figure 2023165140000005
3.作用効果
固定式消火設備1に使用される泡消火薬剤の有効成分を、炭化水素系アニオン界面活性剤及び炭化水素系両性界面活性剤とすることによって、フッ素、フッ素化合物及び不凍剤をいずれも含まずに、泡消火薬剤の消火性能を向上させることができる。また、溶媒としてのカルビトール類を添加することによって、泡消火薬剤の消火性能は、さらに向上する。特に、溶媒をジエチレングリコールモノブチルエーテルとした場合は、泡消火薬剤を貯蔵したときの低温安定性が向上する。
したがって、水成膜泡消火薬剤又はたん白泡消火薬剤の使用を前提に設計された固定式泡消火設備に、本実施形態の泡消火薬剤とフォームヘッド30とを適用することにより、床面積1mあたりの泡の放射量が8.0L/min未満であっても十分な消火性能を得ることが可能となる。特に、本実施形態の泡消火薬剤とフォームヘッド30とを適用することにより、床面積1mあたりの泡の放射量が6.0L/min未満、さらには4.0L/min未満であっても十分な消火性能を得ることができる。
例えば、フッ素系界面活性剤を有効成分とする水成膜泡消火薬剤又はたん白泡消火薬剤の使用を前提に設計された固定式泡消火設備において、これらの水成膜泡消火薬剤又はたん白泡消火薬剤を使用することができなくなったとしても、本実施形態の泡消火薬剤とフォームヘッド30とを適用することにより、既存の固定式泡消火設備をそのまま使用することができる。このように、本実施形態の泡消火薬剤は、配管や加圧送水装置などを交換することなく、既存の固定式泡消火設備に適用することができるので、極めて容易、迅速且つ安価にPFOAの規制に対処することが可能である。
本実施形態の泡消火薬剤は、生物化学的酸素要求量を100mg/L~600mg/Lに抑えることができる。これにより、本実施形態の泡消火薬剤の泡をフォームヘッド30から駐車スペースに放射させた場合でも、泡をそのまま下水に流すことができ、泡の回収や特別な処理が不要である。したがって、固定式泡消火設備の試験運転や実際の火災消火の後、速やかに自走式駐車場の運営を再開することが可能である。
1 固定式泡消火設備
11 消火水槽
12 加圧送水装置
12A ポンプ制御盤
12B 呼水槽
13 薬剤貯蔵容器
14 プロポーショナー
15 流水検知装置
16 一斉開放弁
17 エアコンプレッサー
21 自動式起動装置
22 手動式起動装置
30 フォームヘッド
31 ヘッド本体
31a 円板
31b 流路
31c 出口
31d 空気孔
32 支持部
33 ロッド
34 デフレクター
35 旋回流コマ
36 金網
37 ねじ
41 第1配管
42 第2配管
43 第3配管
50 防災監視盤
51 制御盤

Claims (7)

  1. 消火用水と泡消火薬剤とが混合された水溶液を複数のフォームヘッドで発泡させ、前記フォームヘッドから泡を放射させる固定式泡消火設備であって、
    前記泡消火薬剤は、少なくとも有効成分、溶媒及び水を含み、且つフッ素、フッ素化合物及び不凍剤をいずれも含まず、
    前記有効成分は、炭化水素系アニオン界面活性剤及び炭化水素系両性界面活性剤であり、前記有効成分の濃度の合計は、1重量%~3.8重量%の範囲内であり、前記溶媒の濃度は、1重量%~5重量%の範囲内であり、
    床面積1mあたりの前記泡の放射量が、8.0L/min未満となるように構成された、固定式泡消火設備。
  2. 前記炭化水素系アニオン界面活性剤が、アルファオレフィンスルホン酸塩であり、前記炭化水素系両性界面活性剤が、ラウリルジメチルアミノ酢酸である請求項1に記載の固定式泡消火設備。
  3. 前記溶媒が、カルビトール類である請求項1に記載の固定式泡消火設備。
  4. 前記溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである請求項3に記載の固定式泡消火設備。
  5. 前記泡消火薬剤の生物化学的酸素要求量が、100mg/L~600mg/Lである請求項1に記載の固定式泡消火設備。
  6. 前記フォームヘッドが、ヘッド本体、金網、ロッド及びデフレクターを備え、
    前記ヘッド本体は、直径50mm以上の円板の上面に、円筒状の流路を設けた構成となっており、前記円板の中央には、前記流路内に通じる出口が設けられるとともに、前記円板の板面には、少なくとも1つの空気孔が設けられ、
    前記ヘッド本体の前記流路の上端には、前記ロッドの上端が固定され、
    前記ロッドの下端には、板状の前記デフレクターが固定され、
    前記ヘッド本体の下面に、椀状の前記金網を固定することにより、前記デフレクターが前記金網に覆われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の固定式泡消火設備。
  7. 1つの前記フォームヘッドの放射量が、放射圧力0.25MPaで35L/min~54L/minの範囲内である請求項6に記載の固定式泡消火設備。
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