JP2023165133A - エレクトロクロミック素子、眼鏡レンズ及び窓材 - Google Patents

エレクトロクロミック素子、眼鏡レンズ及び窓材 Download PDF

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Abstract

【課題】消色状態において色づきがあるEC素子について、透過率低下を小さく抑えながら略無彩色化を実現することができるEC素子、眼鏡レンズ及び窓材を提供する。【解決手段】 エレクトロクロミック素子は、一対の電極と、一対の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層とを有する素子構造であって、消色状態での色度がCIE1976色空間の色度図において彩度C*=6~15、色相角h*=105~130°の範囲にある素子構造と、素子構造に設けられ、波長550~570nmの間に吸光度0.04~0.12、半値幅20~60nmの主吸収ピークを有する色素層と、を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子、眼鏡レンズ及び窓材に関する。
エレクトロクロミック(以下、「EC」と表記する場合がある)素子は、一対の電極と、その電極間に配置されたEC層とを有し、一対の電極間に電圧を印加してEC層内の化合物を酸化又は還元することで可視光帯域の色相や光量を調整する光学素子である。
EC素子は、これまでに航空機の調光窓、自動車の防眩ミラー等の製品に応用されている。また、近年では、撮像装置の可変NDフィルタ、眼鏡の調光レンズ等へのEC素子の適用が試みられている。EC素子は、調光性能に関して広いダイナミックレンジを有する。このため、EC素子は、眼鏡の調光レンズに使用した場合には従来のサングラスのように暗所で外す必要がなく、常時装用することが可能となる。シーンを選ばずに眼鏡を装用できることはユーザーにとって大きなメリットである一方、製品に求められる性能はより厳しいものとなる。例えば、眼鏡レンズの色については特定色の透過率減衰がないよう略無彩色であることが求められる。また、例えば、夜間や薄暮時に運転を行うために眼鏡レンズの視感透過率は75%以上であることが求められていれる。
特許文献1は、防眩性を付与するために透明なプラスチック眼鏡レンズに波長380~650nmの間に半値幅40~140nmの主吸収ピークを有する色素を含む層を設置する技術を開示している。
特開2013-228520号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、略無彩色の透明な眼鏡レンズに色素を含む層を設置して調色するため、消色状態において色づきがあるEC素子の略無彩色化を図ることは困難であり、EC素子の透過率低下を小さく抑えることも困難である。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、消色状態において色づきがあるEC素子について、透過率低下を小さく抑えながら略無彩色化を実現することができるEC素子、眼鏡レンズ及び窓材を提供することを目的とする。
本発明の一観点によれば、一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層とを有する素子構造であって、消色状態での色度がCIE1976色空間の色度図において彩度C=6~15、色相角h=105~130°の範囲にある素子構造と、前記素子構造に設けられ、波長550~570nmの間に吸光度0.04~0.12、半値幅20~60nmの主吸収ピークを有する色素層と、を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子が提供される。
本発明によれば、消色状態において色づきがあるEC素子について、透過率低下を小さく抑えながら略無彩色化を実現することができる。
本発明の一実施形態に係るEC素子を示す断面模式図である。 従来のEC素子のCIE1976色空間における消色状態での色度を示すグラフである。 吸収スペクトル形状を変えたときのEC素子の彩度Cと視感透過率Tとの相関を示すグラフである。 色素層を形成しない素子1、及び色素層を形成した素子1A、1B、1C、1D、1E、1a、1bの分光透過率を示すグラフである。 色素層を形成しない素子1、及び色素層を形成した素子1A、1B、1C、1D、1E、1a、1bの彩度Cと視感透過率Tとの相関を示すグラフである。 色素層を形成しない素子2、及び色素層を形成した素子2A、2B、2C、2D、2E、2a、2bの分光透過率を示すグラフである。 色素層を形成しない素子2、及び色素層を形成した素子2A、2B、2C、2D、2E、2a、2bの彩度Cと視感透過率Tとの相関を示すグラフである。 色素層を形成しない素子3、及び色素層を形成した素子3A、3B、3C、3D、3E、3a、3bの分光透過率を示すグラフである。 色素層を形成しない素子3、及び色素層を形成した素子3A、3B、3C、3D、3E、3a、3bの彩度Cと視感透過率Tとの相関を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るEC素子を用いた調光眼鏡レンズを示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るEC素子を用いた調光窓を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係るEC素子の構成について、好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成、相対配置等は、特に記載がない限り、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
本発明の一実施形態に係るEC素子は、一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層とを有し、消色状態での色度がCIE1976色空間の色度図において彩度C=6~15、色相角h=105~130°の範囲にある素子構造と、前記素子構造に設けられ、波長550~570nmの間に吸光度0.04~0.12、半値幅20~60nmの主吸収ピークを有する色素層と、を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
[EC素子の構成及び部材]
まず、図1を用いて本発明の一実施形態に係るEC素子の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るEC素子10を示す断面模式図である。
図1に示すように、EC素子10は、一対の基板1a、1bと、一対の透明電極2a、2bと、一対のバス配線3a、3bと、シール4と、EC層5と、色素層6と、を有している。基板1aの一方の面には、透明電極2aが形成されている。基板1bの一方の面には、透明電極2bが形成されている。基板1aと基板1bとは、透明電極2aと透明電極2bとが互いに対向するようにシール4を介して配置されて設けられている。透明電極2aが形成された基板1aと、透明電極2bが形成された基板1bと、シール4とにより画定にされた空間には、EC層5が配置されている。基板1bの他方の面には、色素層6が設けられている。シール4の外周部には、EC層5に対する均一な電圧印加を実現するためのバス配線3a、3bが一対の透明電極2a、2b上にそれぞれEC素子10の調光領域を囲繞するように形成されている。
EC素子10のバス配線3a、3bには、駆動回路7が電気的に接続される。駆動回路7は、バス配線3a、3bを介して透明電極2a、2bに電気的に接続され、透明電極2a、2bに駆動電圧を印加する。
次に、本実施形態によるEC素子10を構成する部材について詳細に説明する。
EC層5は、エレクトロクロミック特性(EC特性)を示すEC化合物を含む。EC層5は、有機溶媒にEC化合物を溶解させた溶液層であることが好ましい。溶液層は電解質を含んでもよい。さらに、溶液層は後述する色素を含んでもよい。このとき、EC層5は色素層6をも兼ねることになる。EC層5の形成方法は、特に限定されるものではないが、一対の透明電極2a、2bの間に設けた間隙に、真空注入法、ODF法、大気注入法、メニスカス法等によって予め調製したEC化合物を含有する液体を注入する方法が挙げられる。
EC層5に含まれるEC化合物は、有機化合物であっても無機化合物であってもよいが、有機化合物であることが好ましい。また、EC化合物は、酸化反応によって透明状態から着色するアノード性エレクトロクロミック化合物であってもよいし、還元反応によって透明状態から着色するカソード性エレクトロクロミック化合物であってもよい。また、EC層5に含まれるEC化合物として、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物の双方を用いても構わない。アノード性EC化合物とカソード性EC化合物とを共に用いると、電流に対する着色効率が高くなり好ましい。本明細書においては、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物の双方を有するEC素子を相補型EC素子と呼ぶ。アノード性EC化合物はアノード材料、カソード性EC化合物はカソード材料とも呼ばれる。
相補型EC素子を駆動した場合、透明電極2a、2bのうち、一方の電極では酸化反応によってEC化合物から電子が引き抜かれ、他方の電極では還元反応によってEC化合物が電子を受け取る。酸化反応によって中性分子からラジカルカチオンを生成してもよい。また、還元反応によって中性分子からラジカルアニオンを生成しても、ジカチオン分子からラジカルカチオンを生成してもよい。相補型EC素子においては一対の基板1a、1b上の一対の透明電極2a、2bの双方においてEC化合物が着色するため、着色時に大きな光学濃度変化を必要とする場合は相補型EC素子を採用することが好ましい。
有機EC化合物は、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性高分子、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、オリゴチオフェン誘導体、フェナジン誘導体等の有機低分子化合物等が挙げられる。
EC層5は、EC化合物を1種類のみ有していても、複数種類のEC化合物を有していてもよい。EC層5が複数種類のEC化合物を含有する場合は、EC化合物の酸化還元電位の差が小さいことが好ましい。EC層5が複数種類のEC化合物を有する場合は、アノード性EC化合物とカソード性EC化合物とを合わせて4種類以上のEC化合物を有してよい。EC層5は、5種類以上のEC化合物を有してもよい。複数種類のEC化合物を有する場合、複数のアノード材料の酸化還元電位は60mV以内であってよく、複数のカソード材料の酸化還元電位は60mV以内であってよい。
EC層5が複数種類のEC化合物を有する場合、複数種類のEC化合物は、400nm以上500nm以下に吸収ピークを有する化合物、500nm以上650nm以下に吸収ピークを有する化合物及び650nm以上に吸収ピークを有する化合物を含んでよい。吸収ピークは半値幅が20nm以上のものを指す。また、光を吸収する場合のEC化合物の状態は、酸化状態であっても、還元状態であっても、中性状態であってもよい。
また、EC層5は電解質を含んでもよい。電解質としては、イオン解離性の塩であり、かつ溶媒に対して良好な溶解性、固体電解質においては高い相溶性を示すものであれば限定されない。EC層5に含まれる電解質としては、なかでも電子供与性を有する電解質が好ましい。これら電解質は、支持電解質と呼ぶこともできる。電解質としては、例えば、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩や、4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。具体的には、電解質として、LiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CH34NBF4、(C254NBF4、(n-C494NBF4、(n-C494NPF6、(C254NBr、(C254NClO4、(n-C494NClO4等の4級アンモニウム塩及び環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
EC化合物及び電解質を溶かす溶媒としては、EC化合物や電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、特に極性を有するものが好ましい。具体的には、溶媒として、水や、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、3-メトキシプロピオンニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン等の有機極性溶媒が挙げられる。
EC層5は、さらにポリマーマトリックスやゲル化剤を含有してもよい。この場合、EC層5は粘稠性が高い液体となり、場合によってはゲル状となる。ポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、プルラン系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(登録商標)等が挙げられ、PMMAが好ましく用いられる。
一対の基板1a、1bは、それぞれ透明電極2a、2b、EC層5及び色素層6を含む構造を指示する基材となるものである。一対の基板1a、1bは、光透過性の材料により構成されうる。「光透過性」とは、光を透過することを意味し、例えば、対象となる波長の光に対して50%以上100%以下の光透過率を有することとして定義されうる。ここで対象となる光の波長は、EC素子10が対象とする光の波長のことであり、典型的な例としては可視光線の波長領域である。具体的な光の波長の例としては、380nm以上、780nm以下を挙げることができる。なお、「透明」も、「光透過性」と同義に定義されうる。
一対の基板1a、1bとしては、ガラス材、樹脂材等の基板を使用することができる。ガラス材としては、例えば白板ガラス、光学ガラス、無アルカリガラス、化学強化ガラス等が挙げられ、これらの中から眼鏡レンズとして使用できるほど薄板軽量化したものを好ましく使用できる。樹脂材としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリカーボネート(PC)、アリルジグリコールカーボネート樹脂(ADC)、無色透明ポリイミド樹脂(PI)等が挙げられ、高透明で強度や耐熱性が高いものを好ましく使用できる。
さらに、一対の基板1a、1bには、EC層5の紫外線劣化を防ぐために紫外線を遮蔽する部材が形成され又は貼合されていることが好ましい。紫外線を遮蔽する部材としては、紫外線反射膜、紫外線吸収膜等を挙げることができる。
一対の透明電極2a、2bは、これらに印加する電圧によってEC層5の着消色を制御する役割を有する。一対の透明電極2a、2bは、ともに透明な電極材料により構成される。EC素子10は、この透明電極2a、2b間に電圧が印加されることによりEC特性を示す。
透明電極2a、2bの材料としては、例えば、酸化インジウムスズ合金(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、グラフェン等を挙げることができる。また、ドーピング処理等で導電率を向上させた導電性ポリマー、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の錯体(PEDOT:PSS)等も透明電極2a、2bの材料として好適に用いられる。
本実施形態に係るEC素子10は、消色状態で高い透過率を有することが好ましい。このため、一対の基板1a、1b上の一対の透明電極2a、2bの材料は、例えば、ITO、IZO、NESA、PEDOT:PSS、グラフェン等の透明材料が特に好ましい。これらはバルク状、微粒子状等様々な形態で透明電極2a、2bとして使用できる。なお、これらの電極は、単独で透明電極2a、2bとして使用してもよいし、複数組み合わせて透明電極2a、2bとして使用してもよい。
色素層6は、好適な吸収スペクトル形状を有する色素を含む層であり、EC素子10の透過率低下を小さく抑えながら略無彩色化を実現するための層である。色素層6は、EC特性を有しないものであることが好ましい。色素層6は、EC素子10の調光領域を含むように設置されていればよい。色素層6は、一対の基板1a、1bの一方の基板表面に設置されていてもよい。この場合、色素層6は、基板の上に形成された薄膜でありうる。また、色素層6は、EC層5に含まれていてもよい。すなわち、色素を含むEC層5が色素層6を兼ねてもよい。
色素層6に含まれる色素としては、シアニン色素、メチン色素、キサンテン色素等が挙げられ、これらの中から好適な吸収スペクトル形状を有するものを使用することができる。好適なスペクトル形状については以下に詳細に説明するが、波長550~570nmの間に半値幅25~70nm、吸光度0.04~0.12の主吸収ピークを有するものとして規定される。ここで「主吸収ピーク」とは、複数の吸収ピークの中で最も吸光度が大きいピークを指す。
なお、色素層6の形成方法は、特に限定されるものではないが、基板表面に薄膜として形成する場合は、色素を樹脂や溶媒と混合して調整した溶液を基板上に塗布し、加熱することで形成される。
一対の透明電極2a、2b上に調光領域を囲繞するように形成された一対のバス配線3a、3bは、調光領域外からのEC層5に対する均一な電圧印加を実現するための給電部位として形成されている。一対のバス配線3a、3bの材料としては、低抵抗の金属材料を好適に使用することができる。例えば、銀、パラジウム、銅、アルミニウム、銀-パラジウム-銅合金(APC)、アルミニウム-ネオジウム合金等の薄膜等を一対のバス配線3a、3bとして好ましく使用することができる。さらに、バス配線3a、3bには、バス配線内での電圧降下を防ぐために、一つのバス配線について複数の給電部位を設置することが好ましい。
シール4は、一対の透明電極2a、2bの間の空間を封止してその空間にEC層5を保持するためのものである。シール4としては、化学的に安定で気体及び液体を透過させず、EC化合物の酸化還元反応を阻害しない材料であることが好ましい。例えば、シール4の材料としては、ガラスフリット等の無機材料、エポキシ樹脂等の有機材料等が挙げられる。
本実施形態に係るEC素子10は、一対の透明電極2a、2b間の距離を規定する機能を有するスペーサーを有してもよい。スペーサーの機能は、シール4が有してもよい。スペーサーは、シリカビーズ、ガラスファイバー等の無機材料や、ポリジビニルベンゼン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等の有機材料で構成されてもよい。
[EC素子の色度]
従来のEC素子の色度について説明する。図2は、従来のEC素子のCIE1976色空間(L色空間)における消色状態での色度を示すグラフである。図2中、各プロットの説明における左側は透明電極材料、右側は基板材料を示している。
図2に示すように、従来のEC素子では、消色状態において、透明電極や基板の種類が異なっているにも関わらず色度が略同じ位置に集中していることが分かる。さらに、従来のEC素子は、総じてやや強い黄緑色を呈していることが分かる。これは、透明電極の吸収、反射等により短波長側(青色側)の透過率が低下するためである。従来のEC素子では、これが略同程度であるため略同じ色度位置をとっていると考えられる。ここで、彩度C及び色相角hは、L色空間の色度座標a、bを用いてそれぞれ次式(1)及び(2)で表される。
Figure 2023165133000002
Figure 2023165133000003
とすると、従来のEC素子の色度範囲は、図2から次の範囲となる。
=8.1~12.9、h=109°~125°
一方、本実施形態では、色素層6を設置することにより視感透過率の低下を小さく抑えながら、色の適正化、すなわち消色状態におけるEC素子10の略無彩色化を実現するものである。なお、無彩色化とは、消色状態におけるEC素子をC<5とすることを意味する。
EC素子10は、一対の透明電極2a、2bと、一対の透明電極2a、2bの間に配置されたEC層5とを有する素子構造を有する。当該素子構造は、消色状態での色度がCIE1976色空間の色度図において彩度C=6~15、色相角h=105~130°の範囲にある。なお、当該素子構造は、EC素子10における色素層6を除く構造であるが、一対の基板1a、1bを含んでも含まなくてもよい。本実施形態では、かかる消色状態において色づきがある素子構造に、以下に述べる主吸収ピークを有する色素層6を設けることにより、消色状態におけるEC素子10について透過率低下を小さく抑えながら略無彩色を実現する。
[EC素子の色(彩度)と視感透過率とを最適化する吸収スペクトル形状]
従来のEC素子の分光透過率にローレンツ型の吸収(ピーク波長λ,強度A/(πγ),半値幅2γ)を重畳して色(彩度)と視感透過率を計算し、好適な吸収スペクトル形状の範囲を求める。ローレン型の吸収スペクトル形状L(λ;A,λ,γ)は、次式(3)により表すことができる。
Figure 2023165133000004
ここで、λ、λ、2γ、A/(πγ)はそれぞれ次のとおりである。
λ:波長
λ:ピーク波長
2γ:半値幅(γは半値半幅)
A/(πγ):吸収強度
ピーク波長550~580nm、半値幅20~60nm、吸収強度0.04~0.24の範囲で吸収スペクトル形状を変えたときのEC素子の彩度及び視感透過率を表1に、また彩度と視感透過率との相関を図3に示す。ここで用いたEC素子は、透明電極として金属スタックフィルム、基板としてPETを用いたものである(図2の色度グラフの黒丸)。図3中、各プロットの説明における括弧書き内の数値は、左から順にピーク波長、半値幅及び吸収強度である。
Figure 2023165133000005
表1から分かるように、視感透過率に関しては、吸収強度を大きくしていくとピーク波長や半値幅に依存せず低下する傾向が見られるが、彩度に関しては、ピーク波長や半値幅に依存して極小点を持つことが特徴である。図3から、色づきに関する人の眼の許容範囲を彩度Cに関してC<5とすれば、最大取り得る視感透過率は68%程度であることが分かる。吸収波長に関しては、ピーク波長580nmでは彩度C<5となる条件で視感透過率低下が大きくなるため、550~570nmの範囲が好ましい。半値幅に関しては、20nm未満では彩度C>5となり、60nmより大きくなると視感透過率低下が大きくなるため、20~60nmの範囲が好ましい。また、吸収強度に関しては、上記条件と彩度Cと視感透過率値を考慮して0.04~0.12nmの範囲が好ましい。したがって、EC素子に重畳する吸収スペクトルの形状の好適な範囲は、ピーク波長550~570nm、且つ半値幅20~60nm、且つ吸収強度0.04~0.12となる。
そこで、本実施形態に係るEC素子10は、波長550~570nmの間に吸光度0.04~0.12、半値幅20~60nmの主吸収ピークを有する色素層6を有する。本実施形態では、かかる色素層6により、消色状態におけるEC素子10について透過率低下を小さく抑えながら略無彩色化を実現することができる。
本実施形態に係るEC素子10において、一対の透明電極2a、2bの一方又は両方は、a座標における彩度Cが6より大きい透明電極でありうる。かかる場合であっても、色素層6を有することで、消色状態におけるEC素子10を透過する光のa座標における彩度Cは6以下となる。なお、a座標は、CIE1976色空間におけるa座標である。
[公知の色素を使用した実施例及び比較例]
以下では、公知の色素のうち本実施形態で規定した吸収スペクトル形状の好適な範囲にあるもの5種類(色素A、B、C、D、E)及び当該好適な範囲から逸脱するもの2種類(色素a、b)を含有する色素層を形成したEC素子を用意した。各色素層は、素子構成が異なる3種類のEC素子について適用した。用意した各EC素子について、色度(a,b,C,h)及び視感透過率Tを評価した。表2には、本実施形態で規定した吸収スペクトル形状の好適な範囲にあるもの5種類(色素A、B、C、D、E)及び当該好適な範囲から逸脱するもの2種類(色素a、b)の具体的な内容について示す。合計7種の色素は、SR-8913((株)ケミクレア)、KJ-170((株)ケムジェネシス)、Solvent Red 49(WILLIAMS)、NK-76((株)林原生物化学研究所)、Acid Red 94(東京化成工業(株))、Plast Violet DV-483(有本化学工業(株))、DC-370((株)ケミクレア)である。
Figure 2023165133000006
[実施例1]
本実施例は、透明電極としてシート抵抗10.8Ω/□の銀スタックフィルム(TDK(株))、基板として厚さ125μmのPETフィルムを使用してEC素子を作製した例である。一方のPET基板表面(透明電極と反対側の表面)には、上記実施形態で規定した吸収スペクトル形状の好適な範囲にある5種類の色素(色素A、B、C、D、E)及び当該好適な範囲から逸脱する2種類の色素(色素a、b)を含有する色素層を形成した。作製したEC素子は、比較例としての素子1、実施例としての素子1A、1B、1C、1D、1E、及び比較例としての1a、1bの8種類である。素子1には色素層を形成しなかった。素子1Aには色素Aを含有する色素層を形成した。素子1Bには色素Bを含有する色素層を形成した。素子1Cには色素Cを含有する色素層を形成した。素子1Dには色素Dを含有する色素層を形成した。素子1Eには色素Eを含有する色素層を形成した。素子1aには色素aを含有する色素層を形成した。素子1bには色素bを含有する色素層を形成した。ここで、色素層単体の吸収強度は、全ての色素について吸光度0.1になるように調整した。
図4には、色素層を形成しない素子1、及び上記色素層を形成した素子1A、1B、1C、1D、1E、1a、1bの分光透過率を示す。また、図5には、これらの素子の彩度Cと視感透過率Tとの相関を示す。さらに、表3には、これらの素子の色度座標a、b、彩度C、色相角h及び視感透過率Tの数値を示す。
Figure 2023165133000007
上記実施形態で規定した吸収スペクトル形状の好適な範囲にある5種類の色素(色素A、B、C、D、E)を含有する色素層を形成した素子1A、1B、1C、1D、1Eでは、彩度Cを4.4~5.5まで無彩色化することができた。さらに、素子1A、1B、1C、1D、1Eでは、視感透過率Tの低下を4.8%~6.3%と小さく抑えることができた。
一方、好適な範囲から逸脱する2種類の色素(色素a、b)を含有する色素層を形成した素子1a、1bでは、彩度Cは3未満まで無彩色化することができたものの、視感透過率Tが10%以上低下してしまった。
[実施例2]
本実施例は、透明電極としてシート抵抗11.0Ω/□のITO(日本電気硝子(株))、基板として厚さ100μmの無アルカリガラス(G-Leaf(登録商標))を使用してEC素子を作製した例である。一方の基板表面(透明電極と反対側の表面)には、上記実施形態で規定した吸収スペクトル形状の好適な範囲にある5種類の色素(色素A、B、C、D、E)及び当該好適な範囲から逸脱する2種類の色素(色素a、b)を含有する色素層を形成した。作製したEC素子は、比較例としての素子2、実施例としての素子2A、2B、2C、2D、2E、及び比較例としての素子2a、2bの8種類である。素子2には色素層を形成しなかった。素子2Aには色素Aを含有する色素層を形成した。素子2Bには色素Bを含有する色素層を形成した。素子2Cには色素Cを含有する色素層を形成した。素子2Dには色素Dを含有する色素層を形成した。素子2Eには色素Eを含有する色素層を形成した。素子2aには色素aを含有する色素層を形成した。素子2bには色素bを含有する色素層を形成した。ここで、色素層単体の吸収強度、は全ての色素について吸光度0.1になるように調整した。
図6には、色素層を形成しない素子2、及び上記色素層を形成した素子2A、2B、2C、2D、2E、2a、2bの分光透過率を示す。また、図7には、これらの素子の彩度Cと視感透過率Tとの相関を示す。さらに、表4には、これらの素子の色度座標a、b、彩度C、色相角h及び視感透過率Tの数値を示す。
Figure 2023165133000008
上記実施形態で規定した吸収スペクトル形状の好適な範囲にある5種類の色素(色素A、B、C、D、E)を含有する色素層を形成した素子2A、2B、2C、2D、2Eでは、彩度Cを4.6~5.9まで無彩色化することができた。さらに、素子2A、2B、2C、2D、2Eでは、視感透過率Tの低下を5.4%~7.1%と小さく抑えることができた。素子2A、2B、2C、2D、2Eは、視感透過率が75%以上であった。
一方、好適な範囲から逸脱する2種類の色素(色素a、b)を含有する色素層を形成した素子2a、2bは、彩度Cは2未満まで無彩色化することができたものの、視感透過率Tが11%以上低下してしまった。
[実施例3]
本実施例は、透明電極としてシート抵抗5.8Ω/□のITO(ジオマテック(株))、基板として厚さ700μmの無アルカリガラスを使用して素子を作製した例である。一方の基板表面(透明電極と反対側の表面)には、上記実施形態で規定した吸収スペクトル形状の好適な範囲にある5種類の色素(色素A、B、C、D、E)及び当該好適な範囲から逸脱する2種類の色素(色素a、b)を含有する色素層を形成した。作製したEC素子は、比較例としての素子3、実施例としての素子3A、3B、3C、3D、3E、及び比較例としての素子3a、3bの8種類である。素子3には色素層を形成しなかった。素子3Aには色素Aを含有する色素層を形成した。素子3Bには色素Bを含有する色素層を形成した。素子3Cには色素Cを含有する色素層を形成した。素子3Dには色素Dを含有する色素層を形成した。素子3Eには色素Eを含有する色素層を形成した。素子3aには色素aを含有する色素層を形成した。素子3bには色素bを含有する色素層を形成した。ここで、色素層単体の吸収強度は全ての色素について吸光度0.06になるように調整した。
図8には、色素層を形成しない素子3、及び上記色素層を形成した素子3A、3B、3C、3D、3E、3a、3bの分光透過率を示す。また、図9には、これらの素子の彩度Cと視感透過率Tとの相関を示す。さらに、表5には、これらの素子の色度座標a、b、彩度C、色相角h及び視感透過率Tの数値を示した。
Figure 2023165133000009
上記実施形態で規定した吸収スペクトル形状の好適な範囲にある5種類の色素(色素A、B、C、D、E)を含有する色素層を形成した素子3A、3B、3C、3D、3Eでは、彩度Cを4.9~5.9まで無彩色化することができた。さらに、素子3A、3B、3C、3D、3Eでは、視感透過率Tの低下を3.4%~4.5%と小さく抑えることができた。素子3A、3B、3C、3D、3Eは、素子2A、2B、2C、2D、2Eの視感透過率が75%以上を上回る80%以上であった。
一方、好適な範囲から逸脱する2種類の色素(色素a、b)を含有する色素層を形成した素子2a、2bは、彩度Cは4未満まで無彩色化することができたものの、視感透過率Tは7%以上低下してしまった。
[EC素子の用途等]
本発明の一実施形態に係るEC素子は、調光機能を有する部材、機器、装置等に適用することができる。以下では、本発明の一実施形態に係るEC素子を調光眼鏡レンズ及び調光窓に適用した場合について説明する。調光眼鏡レンズは、調光機能を有する眼鏡レンズである。調光窓は、調光機能を有する窓材である。
(調光眼鏡レンズ)
図10は、本発明の一実施形態に係るEC素子10を含む調光眼鏡レンズ100を示す断面模式図である。図10に示すように、調光眼鏡レンズ100は、EC素子10と、保護板9a、9bと、OCA(光学用透明粘着剤)8a、8bとを有している。EC素子10の表裏には、EC素子10を衝撃から保護する保護板9a、9bがそれぞれOCA8a、8bによって貼合されている。EC素子10を含む調光眼鏡レンズ100は、所定の眼鏡レンズの形状を有するように形成されている。
保護板9a、9bとしては、高透明で強度や耐熱性が高いものを好ましく使用することができる。具体的には、保護板9a、9bとして、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリカーボネート(PC)、アリルジグリコールカーボネート樹脂(ADC)、無色透明ポリイミド樹脂(PI)等を用いることができる。
OCA8a、8bとしては、透明な粘着剤でシート状に成型されているものを好ましく用いることができる。先に述べたように、調光眼鏡レンズ100には、EC層5の紫外線劣化を防ぐために紫外線を遮蔽する部材を形成又は貼合することが好ましい。紫外線を遮蔽する部材としては、紫外線反射膜、紫外線吸収膜等である。また、紫外線反射膜、紫外線吸収膜等の他に、OCA8a、8bに紫外線吸収剤を含有させてこれに紫外線吸収機能を持たせることも好ましく適用することができる。
調光眼鏡レンズ100は、眼鏡のつる部分や前枠のブリッジ部分に収納された駆動手段としての駆動回路7及び電池に接続される。調光眼鏡レンズ100は、駆動回路7によるEC層5への電圧印加を調光眼鏡装用者によって調整することにより任意の調光を行うことが可能である。
(調光窓)
図11(a)は本発明の一実施形態に係るEC素子10を用いた窓材としての調光窓200を示す概観図であり、図11(b)は図11(a)のX-X’断面図を示す模式図である。調光窓200は、EC素子10(光学フィルタ)と、それを挟持する基板である透明板21a、21bと、全体を囲繞して一体化するフレーム22とを有している。駆動回路7(図1参照)は、フレーム22内に一体化されていてもよく、フレーム22外に配置され配線を通してEC素子10と接続されてもよい。
透明板21a、21bは光透過率が高い材料であれば特に限定されず、窓としての利用を考慮すればガラス素材であることが好ましい。フレーム22の材質は問わないが、EC素子10の少なくとも一部を被覆し、一体化された形態を有するもの全般をフレームとして見なして構わない。図11においてEC素子10は透明板21a、21bとは独立した構成部材であるが、例えば、EC素子10の基板1a、1bを透明板21a、21bと見なしても構わない。
調光窓200は、例えば日中の太陽光の室内への入射量を調整する用途に適用できる。太陽の光量の他、熱量の調整にも適用できるため、室内の明るさや温度の制御に使用することが可能である。また、シャッターとして、室外から室内への眺望を遮断する用途にも適用可能である。このような調光窓は、建造物用のガラス窓の他に、自動車や電車、飛行機、船など乗り物の窓にも適用可能である。
以上のとおり、本発明の実施形態によれば、EC素子10において上記吸収スペクトル形状を有する色素を含有する色素層6を設置することによって、消色状態において、高い透過率を維持しながら略無彩色化したEC素子10を提供することができる。これによって、夜間から日中屋外までシーンを選ばずに装用でき、且つ消色状態においても特定色の透過率減衰が見られない優れた調光眼鏡レンズを提供することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
また、上記実施形態では、本発明によるEC素子を、眼鏡レンズ及び窓材に適用した例を示したが、本発明によるEC素子の適用例はこれらに限定されるものではない。本発明によるEC素子は、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、防眩ミラー等にも適用することができる。
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層とを有する素子構造であって、消色状態での色度がCIE1976色空間の色度図において彩度C=6~15、色相角h=105~130°の範囲にある素子構造と、
前記素子構造に設けられ、波長550~570nmの間に吸光度0.04~0.12、半値幅20~60nmの主吸収ピークを有する色素層と、
を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
(構成2)
前記エレクトロクロミック素子の視感透過率が75%以上であることを特徴とする構成1に記載のエレクトロクロミック素子。
(構成3)
前記色素層は、エレクトロクロミック特性を有しないことを特徴とする構成1又は2に記載のエレクトロクロミック素子。
(構成4)
前記色素層は、基板の上に形成された薄膜であることを特徴とする構成1乃至3のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
(構成5)
前記色素層は、前記エレクトロクロミック層に含まれることを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
(構成6)
前記色素層は、アノード性エレクトロクロミック化合物と、カソード性エレクトロクロミック化合物と、を含むことを特徴とする構成1乃至5のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
(構成7)
前記色素層は、SR-8913、KJ-170、Solvent Red 49、NK-76、及びAcid Red 94のいずれかを含むことを特徴とする構成1乃至6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
(構成8)
エレクトロクロミック素子を有する眼鏡レンズであって、
前記エレクトロクロミック素子は、構成1乃至7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子であることを特徴とする眼鏡レンズ。
(構成9)
構成1乃至7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子を有する窓材。
1a、1b 基板
2a、2b 透明電極
3a、3b バス配線
4 シール
5 エレクトロクロミック層
6 色素層
7 駆動回路
10 エレクトロクロミック素子
8a、8b OCA
9a、9b 保護板
100 調光眼鏡レンズ
200 調光窓

Claims (9)

  1. 一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたエレクトロクロミック層とを有する素子構造であって、消色状態での色度がCIE1976色空間の色度図において彩度C=6~15、色相角h=105~130°の範囲にある素子構造と、
    前記素子構造に設けられ、波長550~570nmの間に吸光度0.04~0.12、半値幅20~60nmの主吸収ピークを有する色素層と、
    を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 前記エレクトロクロミック素子の視感透過率が75%以上であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記色素層は、エレクトロクロミック特性を有しないことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記色素層は、基板の上に形成された薄膜であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記色素層は、前記エレクトロクロミック層に含まれることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記色素層は、アノード性エレクトロクロミック化合物と、カソード性エレクトロクロミック化合物と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  7. 前記色素層は、SR-8913、KJ-170、Solvent Red 49、NK-76、及びAcid Red 94のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  8. エレクトロクロミック素子を有する眼鏡レンズであって、
    前記エレクトロクロミック素子は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子であることを特徴とする眼鏡レンズ。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子を有する窓材。
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