JP2023164159A - バイオマス由来ポリプロピレンを含む組成物および成形体 - Google Patents

バイオマス由来ポリプロピレンを含む組成物および成形体 Download PDF

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武 中島
Takeshi Nakajima
真範 丸山
Masanori Maruyama
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Abstract

【課題】環境負荷を低減しかつ優れた耐衝撃性を有するポリプロピレン系樹脂組成物を提供する【解決手段】 バイオマス由来ポリプロピレン系樹脂B-PPと、石油由来ポリプロピレン系樹脂P-PPと、を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、前記B-PPと前記P-PPとの合計100重量部中、P-PPを60~99重量部含み、前記P-PPが、プロピレン重合体からなる連続相と、エチレンと炭素数3~10のαオレフィンとの共重合体からなる分散相とを含むポリプロピレン系樹脂を含み、かつ特定の物性を備える、組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、バイオマス由来ポリプロピレンを含む組成物および成形体に関する。
環境負荷低減の観点から、バイオマス材料の検討が進められている。例えば、特許文献1にはデンプンや木粉などのバイオマス原料と石油由来ポリプロピレン(Petroleum-based PP、以下「P-PP」ともいう)とを複合化した材料が開示されている。バイオマス原料としては、食用油などから得たプロピレンを重合して得られるバイオマス由来ポリプロピレン(biomass-based PP、以下「B-PP」ともいう)が知られている。B-PPとして、例えばLyondelbasell社のCirculen Renewなどが上市されている。B-PPの流動性や機械的強度はP-PPと同等であり、臭気の問題なども発生しない。しかし、B-PPは原料コストが高いことなどから、その活用は十分といえるほどには進んでいない。
特開2021-059676号公報
発明者らは、P-PPとB-PPを混合し、かつ成形品を薄肉化することによって、1成形品あたりのCO排出量削減とコスト削減を両立することを着想した。しかし、発明者らは、現状のP-PPを用いる場合、耐衝撃性が低下し薄肉化が困難となるとともに、透明性も低下することを見出した。かかる事情に鑑み、本発明は環境負荷を低減しかつ優れた耐衝撃性および透明性を有するポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを課題とする。
発明者らは、最適なP-PPを用いることで、前記課題を解決した。
態様1
バイオマス由来ポリプロピレン系樹脂B-PPと、石油由来ポリプロピレン系樹脂P-PPと、を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、
前記B-PPと前記P-PPとの合計100重量部中、P-PPを60~99重量部含み、
前記P-PPが、以下の組成物(I)、(II)、およびこれらの組合せからなる群から選択される:
(I):
15重量%以下のエチレンまたは1種類もしくは複数のC4~C10-α-オレフィンを含むプロピレン共重合体(A1)と、
コモノマーとして16~25重量%の1種類または複数のC4~C10-α-オレフィンを含む、エチレン共重合体(A2)を含む、ポリプロピレン系樹脂(A)
を含み、
成分(A1):成分(A2)の重量比が75~84重量%:16~25重量%であり、
前記(A)の、230℃、2.16kgにおいて測定したMFRが2.5g/10分未満であり、
室温においてキシレン中に可溶の全フラクションの極限粘度が1.5dL/g以下である組成物、
(II):
エチレン単位が1.2重量%以下のエチレン・プロピレン共重合体またはホモポリプロピレン(a1)と、1-ブテン単位が16~25重量%のエチレン・1-ブテン共重合体(a2)を含むポリプロピレン系樹脂(a)
を含み、
前記(a)におけるキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が0.9~1.3dl/gであり、
前記(a)のJIS K 7210に準拠し、温度230℃、2.16kgにおいて測定したMFRが30~70g/10分であり、
前記(a)を100重量%とした際のエチレン・1-ブテン共重合体(a2)の含有量が18~30重量%である、組成物、
であるポリプロピレン系樹脂組成物。
態様2
前記組成物(I)が核剤(C)を更に含み、
核剤(C)の含有量が、前記(A)100重量部に対して0.02~0.5重量部である、あるいは、
前記組成物(II)が核剤(C)を更に含み、
核剤(C)の含有量が、前記(a)100重量部に対して0.02~0.5重量部である、
態様1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
態様3
前記核剤(C)がリン酸エステル系核剤である態様1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
態様4
前記(A)について、対応するモノマーを重合して前記(A1)を得た後、当該(A1)の存在下で対応するモノマーを重合して前記(A2)を得る逐次重合段階を経て製造する工程を備える、あるいは
前記(a)について、対応するモノマーを重合して前記(a1)を得た後、当該(a1)の存在下で対応するモノマーを重合して前記(a2)を得る逐次重合段階を経て製造する工程を備える、
態様1~3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
態様5
態様1~3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物が前記(I)を含み、当該ポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなるシート成形体。
態様6
厚さが0.35mm以下である、態様5に記載のシート成形体。
態様7
容器用である態様5または6に記載のシート成形体。
態様8
態様1~3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物が前記(II)を含み、当該ポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる射出成形体。
態様9
最薄肉部の厚さが1mm以下である、態様8に記載の射出成形体。
態様10
容器の形状に成形されており、前記容器の側壁の厚さが0.1~1mmである、態様8または9に記載の射出成形体。
態様11
前記容器の側壁の厚さが0.1~0.45mmである、態様10に記載の射出成形体。
態様12
0℃での面衝撃強度をI(J)、シート成形体の最薄肉部の厚さをt(mm)とするとき、
I/t≧4
である、態様5~7のいずれかに記載のシート成形体。
本発明によって環境負荷を低減しかつ優れた耐衝撃性を有するポリプロピレン系樹脂組成物を提供できる。
ドリンク容器 フランジ強度 F50の試験方法を説明する図
以下、本発明を説明する。本発明において「X~Y」はその端値を含む。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、バイオマス由来ポリプロピレン系樹脂B-PPと、石油由来ポリプロピレン系樹脂P-PPと、を含み、B-PPとP-PPとの合計100重量部中、P-PPを60~99重量部含み、P-PPが、組成物(I)、(II)、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
[B-PP]
バイオマス由来ポリプロピレン系樹脂B-PPとは、主として植物由来の原料に由来するポリプロピレンである。バイオマス原料としては、限定されず、食用油、木材、および紙等を使用できる。バイオマス原料からポリプロピレン製造する方法も限定されず、例えば、食用油等からプロピレンモノマーを取り出し、これを重合する方法が挙げられる。市販品としてはLyondelbasell社のCirculen Renewが知られている。P-PPの含有量は、B-PPとP-PPとの合計100重量部中、60~99重量部である。環境負荷低減および物性のバランスの観点から、P-PPの含有量の下限値は、好ましくは70重量部以上であり、その上限値は、好ましくは90重量部以下である。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、使用するP-PPによって、押出成形に好適な第1の態様と、射出成形に好適な第2の態様に大別される。以下、各態様について説明する。
[第1の態様]
本態様においては、P-PPとして組成物(I)を用いる。組成物(I)は、以下を含有するポリプロピレン系樹脂(A)を含む。
プロピレン共重合体(A1):15重量%以下のエチレンまたは1種類もしくは複数のC4~C10-α-オレフィンを含むプロピレン共重合体、および
エチレン共重合体(A2):コモノマーとして16~25重量%の1種類または複数のC4~C10-α-オレフィンを含む共重合体。
成分(A1):成分(A2)の重量比は75~84重量%:16~25重量%である。
(1)プロピレン共重合体(A1)
プロピレン共重合体(A1)(以下「成分(A1)」ともいう)は、エチレン、C4~C10-α-オレフィン、およびこれらの組合せからなる群から選択されるコモノマーに由来するユニットを含む。当該コモノマー由来ユニットの量は、成分(A1)の重量を基準として、15重量%以下であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは6重量%以下、さらに好ましくは2.5~5重量%、特に好ましくは2.5~3.5重量%である。当該量が上限値を超えると、剛性が低下する。また、当該量が過度に少ないと透明性が悪化する。
前記コモノマーであるC4~C10-α-オレフィンとしては、CH=CHRで表すことができる。式中、Rは、2~8個の炭素原子を有する線状または分岐のアルキル基、あるいはアリール基である。アリール基としてはフェニル基が好ましい。α-オレフィンとして、より具体的には1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、または1-オクテンが挙げられる。中でも入手容易性および透明性の観点から、前記α-オレフィンは1-ブテンであることが好ましい。
(2)エチレン共重合体(A2)
エチレン共重合体(A2)(以下「成分(A2)」ともいう)は、コモノマーとして1種類または複数のC4~C10-α-オレフィンを含むエチレン共重合体である。α-オレフィンについては、成分(A1)で述べたものを使用できる。コモノマーに由来するユニットの量は、成分(A2)の重量を基準として、16~25重量%であり、好ましくは16~24重量%である。当該量が下限値未満であると耐衝撃性が低下し、当該量が過度に多いと剛性が低下する。
(3)ポリプロピレン系樹脂(A)の特性
ポリプロピレン系樹脂(A)(以下「成分(A)」ともいう)は以下の特性を備える。
1)重量比
成分(A1):成分(A2)の重量比は、75~84重量%:16~25重量%であるが、好ましくは、77~83重量%:17~23重量%である。
2)MFR
成分(A)の、230℃、2.16kgにおいて測定したMFRは2.5g/10分未満であり、好ましくは1.5~2.0g/10分である。MFRが上限値を超えると、耐衝撃性が低下する。また、MFRが下限値未満であると、生産性が低下する。
3)XSIV
室温においてキシレン中に可溶の全フラクションの極限粘度(以下「XSIV」ともいう)は、1.5dL/g以下であり、好ましくは0.9~1.5、より好ましくは0.95~1.5dL/gである。当該粘度が上限値を超えると、生産性が低下する。また、当該粘度が下限値未満であると、耐衝撃性が低下する。キシレン可溶分は、ポリプロピレン系樹脂の試料をo-キシレン中、135℃で溶解させた後、25℃に冷却し、その冷却した溶液を、濾紙を用いて濾過し、濾液を蒸発乾固して得られる成分である。
(3)核剤(C)
組成物(I)は核剤(C)を含有してもよい。核剤は結晶核剤とも呼ばれる。核剤(C)としては、従来のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる公知の核剤を使用でき、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体核剤、カルボン酸金属塩核剤、およびキシリトール系核剤から選択されることが好ましい。タルクを核剤として使用することも可能である。射出成形体の臭気を低減する観点から、リン酸エステル系核剤が好ましい。
ノニトール系の構造を有する結晶核剤として、例えば、1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、キシリトール系の構造を有する結晶核剤として、例えば、ビス-1,3:2,4-(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフトアルデヒドベンジリデン)1-アリルキシリトール、ビス-1,3:2,4-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)1-プロピルキシリトール、ソルビトール系の構造を有する結晶核剤として、例えば、ビス-1,3:2,4-(4’-エチルベンジリデン)1-アリルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(3’-メチル-4’-フルオロ-ベンジリデン)1-プロピルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)1’-メチル-2’-プロペニルソルビトール、ビス-1,3,2,4-ジベンジリデン2’,3’-ジブロモプロピルソルビトール、ビス-1,3,2,4-ジベンジリデン2’-ブロモ-3’-ヒドロキシプロピルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(3’-ブロモ-4’-エチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、モノ2,4-(3’-ブロモ-4’-エチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(4’-エチルベンジリデン)1-アリルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)1-メチルソルビトール、ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4-ビス-o-(4-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール等が挙げられる。
ノニトール系の市販の結晶核剤として、例えばMillad NX8000(ミリケンジャパン社製)、ソルビトール系の市販の結晶核剤として、RiKAFAST R-1(新日本理化社製)、Millad 3988(ミリケンジャパン社製)、ゲルオールE-200(新日本理化社製)、ゲルオールMD(新日本理化社製)等が挙げられる。
リン酸エステル系結晶核剤として、リン酸-2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ナトリウム塩、リン酸-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)アルミニウム塩、リン酸-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)リチウム塩等が挙げられる。市販のリン酸エステル系結晶核剤として、例えばアデカスタブNA-11(ADEKA社製)、アデカスタブNA-21(ADEKA社製)、アデカスタブNA-71(ADEKA社製)などが挙げられる。
トリアミノベンゼン誘導体結晶核剤として、例えば、1,3,5-トリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。市販のトリアミノベンゼン誘導体結晶核剤として、例えばIRGACLEAR XT386(BASFジャパン社製)、リカクリア PC1(新日本理化株式会社製)などが挙げられる。
カルボン酸金属塩核剤として、1,2-シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩等が挙げられる。市販のカルボン酸金属塩核剤として、例えばHyperform HPN-20E(ミリケンジャパン社製)などが挙げられる。これらの結晶核剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
核剤(C)を用いる場合、その含有割合は、成分(A)の重量100重量部に対して0.02~0.5重量部であることが好ましい。当該含有量が前記下限値以上であると、成形体の剛性が高まる。また、当該含有量が、前記上限値を超えると、成形体の剛性向上の効果が頭打ちになり、不経済となる。
(4)組成物(I)の製造方法
組成物(I)は、成分(A)と、必要に応じて核剤(C)とを混合した後、溶融混練する方法で製造されることが好ましい。混合方法としては、ヘンシェルミキサー、タンブラーおよびリボンミキサー等の混合機を使用してドライブレンドする方法が挙げられる。溶融混練方法としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等の混合機を用いて溶融しながら混合する方法が挙げられる。溶融混練する場合の溶融温度は160~350℃であることが好ましく、170~260℃であることがより好ましい。溶融混練した後でさらにペレット化してもよい。
組成物(I)は、前記(A)について、対応するモノマーを重合して前記(A1)を得た後、当該(A1)の存在下で対応するモノマーを重合して前記(A2)を得る逐次重合段階を経て製造されることが好ましい。
前記重合混合物の製造方法としては、典型的には、多段重合法が用いられる。例えば、二段の重合反応器を備える重合装置の一段目の重合反応器にて、プロピレン単量体および必要に応じてエチレン単量体を重合してプロピレン重合体を得て、得られたプロピレン重合体を二段目の重合反応器に供給すると共に、この二段目の重合反応器にてエチレン単量体およびプロピレン単量体を重合することで前記重合混合物を得ることができる。重合条件は、公知の重合条件と同様であってよい。例えば一段目の重合条件としては、プロピレンが液相でモノマー密度と生産性の高いスラリー重合法が挙げられる。二段目の重合条件としては、一般的にプロピレンへの溶解性が高い共重合体の製造が容易な気相重合法が挙げられる。重合温度は50~90℃が好ましく、60~90℃がより好ましく、70~90℃がさらに好ましい。重合温度が上記範囲の下限値以上であると、生産性および得られたポリプロピレンの立体規則性がより優れる。
重合圧力は、液相中で行われる場合には25~60bar(2.5~6.0MPa)が好ましく、33~45bar(3.3~4.5MPa)がより好ましい。気相中で行われる場合には、5~30bar(0.5~3.0MPa)が好ましく、8~30bar(0.8~3.0MPa)がより好ましい。重合は、通常、触媒を用いて行われる。重合の際、必要に応じて、分子量の調整のために、水素が添加されてもよい。プロピレン重合体やエチレン・プロピレン共重合体の分子量を調整することで、ポリプロピレン系樹脂(A)のMFR、ひいては組成物(I)のMFRを調整できる。一段目の重合反応器での重合の前に、その後の本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させるために、プロピレンの予重合を行ってもよい。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。
触媒としては、公知のオレフィン重合触媒を用いることができる。触媒としては、立体特異性チーグラー・ナッタ触媒が好ましく、以下の成分(x)と成分(y)と成分(z)とを含む触媒(以下、「触媒(X)」ともいう。)が特に好ましい。
(x)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒。
(y)有機アルミニウム化合物。
(z)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物
成分(x)は、例えば、チタン化合物、マグネシウム化合物、電子供与体化合物を用いて調製される。成分(x)に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)4-g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)で表される4価のチタン化合物が好適である。炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられ、ハロゲンとしては、Cl、Br等が挙げられる。より具体的なチタン化合物としては、TiCl、TiBr、TiIのようなテトラハロゲン化チタンの他、特開2021-176923号公報に開示されているものを使用できる。
成分(x)に用いられるマグネシウム化合物としては、マグネシウム-炭素結合やマグネシウム-水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライド等が挙げられる。さらに、より具体的には、特開2021-176923号公報に開示されているものを使用できる。
成分(x)に用いられる電子供与体化合物はとしてはフタレート系化合物が挙げられる。フタレート系化合物としては、例えば、モノエチルフタレート、ジメチルフタレート、メチルエチルフタレート、モノイソブチルフタレート、モノノルマルブチルフタレート、ジエチルフタレート、エチルイソブチルフタレート、エチルノルマルブチルフタレート、ジn-プロピルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジn-ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジn-ヘプチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジn-オクチルフタレート、ジネオペンチルフタレート、ジデシルフタレート、ベンジルブチルフタレート、ジフェニルフタレート等が挙げられる。中でもジイソブチルフタレートが特に好ましい。
フタレート系化合物以外の前記固体触媒中の電子供与体化合物としては、モノまたはジカルボン酸のエステル、またはジエーテル系化合物が挙げられる。モノまたはジカルボン酸のエステルとしてはベンゾエート、マロネート、フタレート、またはスクシネートが挙げられる。これらの具体的な化合物としては、特開2021-176923号公報に開示されているものを使用できる。
成分(x)を構成するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、またはこれらの混合物が挙げられるが、塩素が好ましい。
成分(y)の有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウムの他、特開2021-176923号公報に開示されているものを使用できる。
成分(z)の外部電子供与体化合物としては、有機ケイ素化合物が用いられる。好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル-t-ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、t-ブチルプロピルジメトキシシラン、t-ブチル-t-ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ-sec-ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン-2-イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル-ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルセク-ブチルジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリン2-イル)ジメトキシシラン、トリ(イソプロペニロキシ)フェニルシラン、i-ブチルi-プロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、p-トリルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、t-ブチルプロピルジメトキシシラン、t-ブチルt-ブトキシジメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、i-ブチルセク-ブチルジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリン2-イル)ジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン-2-イル)ジメトキシシラン、トリ(イソプロペニロキシ)フェニルシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、i-ブチルi-プロピルジメトキシシラン、シクロペンチルt-ブトキシジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ-sec-ブチルジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、p-トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル(3、3、3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシラン、ケイ酸エチル等が好ましい。これらの中から1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機ケイ素化合物は、特にキシレン不溶分の量を調整するのに重要な役割を果たす。他の触媒成分が同じ場合、キシレン不溶分の量は、有機ケイ素化合物の種類と量および重合温度に依存するが、適切な有機ケイ素化合物を用いた場合においても、通常ジエーテル系触媒を除き、有機ケイ素化合物の量が特定の値以下になると大きく低下する。このため、重合温度が75℃の場合、有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物とのモル比(有機ケイ素化合物/有機アルミニウム)の下限は0.015が好ましく、0.018がより好ましい。当該比の上限は、0.30が好ましく、0.20がより好ましく、0.10がさらに好ましい。
内部電子供与体化合物としてフタレート系化合物を用いる場合は、重合温度を上げるとキシレン不溶分が増加するので、好ましい有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物とのモル比(有機ケイ素化合物/有機アルミニウム)の下限および上限が低下する。具体的には、フタレート系化合物を用いて80℃で重合する場合の前記モル比の下限は、0.010が好ましく、0.015がより好ましく、0.018がさらに好ましい。前記モル比の上限は、0.20が好ましく、0.14がより好ましく、0.08がさらに好ましい。
触媒(X)としては、成分(y)が、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムであり、成分(z)が、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン等の有機ケイ素化合物であるものが好ましい。
多段重合法により前記重合混合物を得る方法は上記の方法に限定されず、成分(A1)を複数の重合反応器にて重合してもよいし、成分(A2)を複数の重合反応器にて重合してもよい。前記重合混合物を得る方法として、単量体濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法も挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接合されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、重合生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入ることを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体または液体混合物を下降管中に導入する。この重合方法は、例えば、特表2002-520426号公報に記載された方法を適用することができる。
(5)他の成分
B-PPと組成物(I)を含む第1の態様にかかるポリプロピレン系樹脂組成物は、任意成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分以外の添加剤を含んでいてもよい。当該添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、前記核剤以外の核剤、耐候剤、顔料(有機または無機)、内部滑剤および外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展等が挙げられる。これらの添加剤は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。含有量は公知の量としてよい。
(6)シート成形
本態様のポリプロピレン系樹脂組成物は、押出成形、特にシート成形に好適である。シートは、例えばキャスト成形法により製造することができる。成形温度は例えば150~350℃、好ましくは170~250℃である。当該シートはさらに容器等への二次加工が可能であり、本態様のシートは特に食品用として有用である。
シート成形体の厚さは、好ましくは0.1mm超かつ0.5mm以下とすることができる。その上限は用途によって適宜調整されるが、0.4mm以下、0.35mm以下、2.0mm以下、または1.0m以下とすることができる。シート成形体の厚さは、ベータ線膜厚計等の公知方法で測定される。
シート成形体は透明性に優れる。またシート成形体は極低温下における耐衝撃性に優れるので、例えば、-50℃~0℃、好ましくは-45℃~-10℃、より好ましくは-40℃~-20℃の低温環境下で使用することができる。シート成形体の0℃における面衝撃強度(ハイレートインパクトともいう)(単位:J)は、2以上が好ましく、高い程より好ましい。面衝撃強度は、パンクチャー衝撃試験機(島津製作所製ハイドロショットHITS-P10)を用い、JISK7211-2に準拠して測定される。面衝撃強度の値が大きい程、耐衝撃性に優れる。
シート成形体は、0℃での面衝撃強度をI(J)、シート成形体の最薄肉部の厚さをt(mm)とするとき、以下の関係を満たすことが好ましい。
I/t≧4
I/tは、面衝撃強度と厚さの比であり、この値が高いほど、薄くて耐衝撃性に優れるシート成形体であるといえる。成形体が薄いということは成形品一つあたりの二酸化炭素排出量が低減されていることであるから、より環境負荷を低減した材料といえる。
[第2の態様]
本態様においては、P-PPとして組成物(II)を用いる。組成物(II)は、以下を含有するポリプロピレン系樹脂(a)を含む。
プロピレン(共)重合体(a1):エチレン単位が1.2重量%以下のエチレン・プロピレン共重合体またはホモポリプロピレン、および
エチレン・1-ブテン共重合体(a2):1-ブテン単位が16~25重量%である共重合体。
(1)プロピレン(共)重合体(a1)
プロピレン(共)重合体(a1)(以下、「成分(a1)」ともいう)は、ホモポリプロピレン、またはエチレン単位が1.2重量%以下のエチレン・プロピレン共重合体である。エチレン単位とはエチレンに由来するユニットを意味する。他の単位についても同じである。エチレン単位含有量は、成分(a1)の重量を基準として、0~0.6重量%であることが好ましい。エチレン単位含有量が前記上限値を超えると、組成物(II)の剛性、薄肉成形性が低下することがある。
(2)エチレン・1-ブテン共重合体(a2)
エチレン・1-ブテン共重合体(a2)(以下、「成分(a2)」ともいう)における1-ブテン単位含有量は、成分(a2)の重量を基準として、16~25重量%である。1-ブテン単位含有量は、16~20重量%であることが好ましい。当該含有量が前記上限値を超えると、組成物(II)の低温衝撃強度が低下する傾向にあり、前記下限値未満であると、ポリプロピレン系樹脂の製造が困難になる傾向にある上に、組成物(II)の剛性、透明性、薄肉成形性が低下することがある。
ポリプロピレン系樹脂(a)(以下、成分(a)ともいう)におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量は、成分(a)100重量%に対し、18~30重量%であり、好ましくは19~29重量%であり、より好ましくは20~28重量%である。当該含有量が前記上限値を超えると、ポリプロピレン系樹脂の生産性が低下する傾向にあり、前記下限値未満であると、組成物(II)の低温耐衝撃性が低下する傾向にある。
(3)ポリプロピレン系樹脂(a)の特性
1)XSIV
成分(a)におけるキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度(XSIV)は0.9~1.3dl/gであり、好ましくは0.95~1.15dl/gである。XSIVが前記上限値を超えると、耐白化性および透明性が低下する傾向にある。XSIVが前記下限値未満であるポリプロピレン系樹脂(a)の生産性が低下する。
2)MFR
成分(a)のJIS K 7210に準拠し、温度230℃、2.16kgにおいて測定したMFRは30~70g/10分であり、好ましくは40~60g/10分である。MFRは、JIS K7210に準拠して測定される。MFRが前記下限値未満であると、薄肉成形性が低くなり、前記上限値を超えると、低温耐衝撃性が低下する。
3)分子量
成分(a)の重量平均分子量は160,000~210,000であることが好ましい。当該分子量が前記範囲であれば、成分(a)のMFRを容易に30~70g/10分にできる。
(3)核剤(C)
組成物(II)は、前述の核剤(C)を含んでいてもよい。その量は成分(a)100重量部に対して0.02~0.5重量部である。好ましい核剤の量および種類は第1の態様で説明したとおりである。
(4)組成物(II)の製造方法
組成物(II)を製造する方法としては、ポリプロピレン系樹脂(a)と、必要に応じて核剤(C)とを混合した後、溶融混練する方法が挙げられる。混合方法としては、ヘンシェルミキサー、タンブラーおよびリボンミキサー等の混合機を使用してドライブレンドする方法が挙げられる。溶融混練方法としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等の混合機を用いて溶融しながら混合する方法が挙げられる。溶融混練する場合の溶融温度は160~350℃であることが好ましく、170~260℃であることがより好ましい。溶融混練した後でさらにペレット化してもよい。
成分(a)は、第1の態様において説明した成分(A)と同様にして製造される。使用される触媒についても第1の態様で説明したとおりである。
(5)他の成分
B-PPと組成物(II)を含む第2の態様にかかるポリプロピレン系樹脂組成物は、任意成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分以外の添加剤を含んでいてもよい。当該添加剤については、第1の態様で説明したとおりである。
(6)射出成形
本態様にかかるポリプロピレン系樹脂組成物は射出成形に好適である。成形温度は一般的には150~350℃、好ましくは170~250℃である。成形温度が350℃を超えると、樹脂組成物の劣化および成形不良の原因となり、150℃より低いと流動性が低下することで金型内への充填不足による外観不良や成形不良が発生しうる。
金型温度は、10~60℃が好ましい。金型温度が60℃を超えると成形体の表面仕上げ度が優れ、剛性に優れた成形体が得られるものの、成形サイクルが長くなり生産性が低下する。逆に、金型温度を10℃より低温に設定すると反りや収縮などが顕著になり、満足な成形体が得られにくくなる。これに加えて金型に結露が生じやすくなるために金型腐食を進行させる原因となり、冷却に関わるエネルギーコストの観点からも好ましくない。
本態様にかかるポリプロピレン系樹脂組成物は、薄肉射出成形に適している。例えば、最も薄肉の部分の厚さが1mm以下、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.45mm以下の射出成形体を形成することができる。薄肉部の厚さの下限値の目安は0.1mm程度である。薄肉部の厚さは、測定箇所の断面を測定顕微鏡等の公知手段で観察して測定される。
射出成形体の形状は特に制限されず、種々の機械物性のバランスに優れ、薄肉化も可能であることから、容器に適している。前記容器の側壁の厚さは、例えば0.1~1mm、好ましくは0.1~0.7mm、より好ましくは0.1~0.45mmとすることができる。側壁の厚さは、測定箇所の断面を測定顕微鏡等の公知手段で観察して測定される。
射出成形体が容器である場合、前記容器の側壁にインモールドラベルが備えられていてもよい。インモールドラベルは前記側壁を一巻き(一周)しており、始端の辺と終端の辺とが重なった合わせ部を有しているものが挙げられる。通常、インモールドラベルの本体は、容器本体をなすポリプロピレン系樹脂組成物とは異なる樹脂で形成されている。インモールドラベルの厚さは、例えば10~100μmとすることができる。インモールドラベルの厚さは、容器の側壁の厚さに含まれるものとする。インモールドラベルには、文字、絵、記号、数字、その他の任意の図形やデザイン画が印刷されていてもよい。
射出成形体は低温耐衝撃性に優れるので、例えば、-10℃以下、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-30℃以下の低温環境下で使用することができる。
本発明の射出成形体は、透明性に優れ、かつ食品衛生性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物によって形成されているので、食品に接する容器または包装体としての用途に適している。
重合体の各特性は、好ましくは以下のとおりに測定される。以下は成分(a1)および成分(a2)について例示したが、成分(A1)および成分(A2)についても同様である。
[成分(a1)のMw/Mn]
重合された成分(a1)を、GPCを用いて分析する。移動相として酸化防止剤を含む1,2,4-トリクロロベンゼンを用いることが好ましい。カラムの較正は、ポリスチレン標準試料を使用し、三次式近似により実施することが好ましい。
[共重合体の総エチレン量、成分(a1)のエチレン由来単位含有量]
サンプルの13C-NMRのスペクトルを取得し、Kakugo,Y.Naito,K.Mizunuma and T.Miyatake,Macromolecules,15,1150-1152(1982)の文献に記載された方法により、共重合体試料の総エチレン量(重量%)を求める。
[成分(a2)中のエチレン由来単位含有量]
上記文献に記載された方法で共重合体の総エチレン量を測定するに際して求めたTββの積分強度の替わりに、下記式で求めた積分強度T’ββを使用した以外は、総エチレン量と同様の方法で計算を行い、成分(a2)のエチレン由来単位含有量(重量%)を求める。
T’ββ=0.98×Sαγ×A/(1-0.98×A)
ここで、A=Sαγ/(Sαγ+Sαδ)であり、上記文献に記載のSαγおよびSαδより算出される。
成分(a1)と成分(a2)からなる共重合体において、成分(a1)がエチレン単位を含む場合の成分(a2)中のエチレン由来単位含有量は、重量比 成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]が重合条件より明らかな場合、下記式により求める。
成分(a2)のエチレン由来単位含有量(単位:重量%)=
[共重合体の総エチレン量
-成分(a1)のエチレン由来単位含有量×共重合体中の成分(a1)の含有割合]
/(共重合体中の成分(a2)の含有割合)
[成分(a1)+成分(a2)のXSIV]
サンプルをo-キシレンに溶解させ、得られた溶液からキシレン可溶分を分離し、キシレン化用分をテトラヒドロナフタレンに溶解させて、毛管粘度計を用いて測定する。
[重合体1]
B-PPとして、Lyondelbasell社のプロピレン重合体Circulen HP525J(MFR=2.0g/10分、バイオマス度=50重量%)を用いた。
[共重合体2の合成]
MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第728769号公報の実施例5に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、液相状態のプロピレンにエチレンをフィードして成分(A1)であるプロピレン-エチレンランダム共重合体を製造し、二段目の気相重合反応器で成分(A2)であるエチレン-1-ブテン共重合体を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。
重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度、エチレン濃度が、それぞれ70℃、0.054モル%、0.80モル%、二段目の反応器では、重合温度、H2/C2、C4/(C2+C4)が、それぞれ80℃、0.30モル比、0.48モル比であった。また、成分(A2)の量が18重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。
共重合体2の100重量部に対し、酸化防止剤イルガノックス1010(BASF社製)を0.04、加工熱安定剤としてイルガノフォス168(BASF社製)を0.04重量部、中和剤として淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量部加え、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した。当該混合物を、株式会社JSW製同方向2軸押出機TEX-30αを用いて、シリンダー温度230℃で溶融混練して押出した。ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、共重合体2組成物のペレットを得た。
[共重合体3の合成]
MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持した固体触媒を、特開2004-27218公報の段落0032の21~36行に記載された方法により調製した。
上記固体触媒を用い、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、プロピレンを供給してプロピレン単独重合体(成分(A1))を製造した。続いて、二段目の重合反応器に、プロピレン単独重合体、プロピレン及びエチレンを供給してエチレン-プロピレン共重合体(成分(A2))を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。一段目の反応器の重合温度と水素濃度は、それぞれ80℃と0.139モル%、二段目の反応器の重合温度、水素濃度、エチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合は、それぞれ80℃、1.06モル%、0.51モル比であった。また、成分(A2)/[成分(A1)+成分(A2)]の重量比が21重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。
共重合体3の100重量部に対し、酸化防止剤イルガノックス1010(BASF社製)を0.04、加工熱安定剤としてイルガノフォス168(BASF社製)を0.04重量部、中和剤として淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量部加え、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した。当該混合物を、株式会社JSW製同方向2軸押出機TEX-30αを用いて、シリンダー温度230℃で溶融混練して押出した。ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、共重合体3組成物のペレットを得た。
[重合体4]
B-PPとして、Lyondelbasell社のプロピレン重合体Circulen HP483R(MFR=30.0g/10分、バイオマス度=50重量%)を用いた。
[共重合体5の合成]
一段目の反応器において、エチレンをフィードせず、水素濃度を0.850モル%に変更して、プロピレン単独重合体を重合し、二段目の反応器では、H2/C2とC4/(C2+C4)を、それぞれ0.30モル比と0.39モル比に変更すると共に、エチレン-1-ブテン共重合体の量が27重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。それ以外は、共重合体2の場合と同様の製造方法にて、共重合体5を得た。
共重合体5の100重量部に対し、酸化防止剤イルガノックス1010(BASF社製)を0.04、加工熱安定剤としてイルガノフォス168(BASF社製)を0.04重量部、中和剤として淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量部加え、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した。当該混合物を、株式会社JSW製同方向2軸押出機TEX-30αを用いて、シリンダー温度230℃で溶融混練して押出した。ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、共重合体5組成物のペレットを得た。
[共重合体6の合成]
一段目の反応器の水素濃度を2.22モル%、二段目の反応器の水素濃度とエチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合を、それぞれ1.88モル%と0.45モル比に変更すると共に、成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]の重量比が16重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。それ以外は、共重合体3の場合と同様の製造方法にて、共重合体6を得た。
共重合体6の100重量部に対し、酸化防止剤イルガノックス1010(BASF社製)を0.04、加工熱安定剤としてイルガノフォス168(BASF社製)を0.04重量部、中和剤として淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量部加え、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した。当該混合物を、株式会社JSW製同方向2軸押出機TEX-30αを用いて、シリンダー温度230℃で溶融混練して押出した。ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、共重合体6組成物のペレットを得た。これらの物性を表1に示した。
表1に示す特性は、以下のとおりに測定された。以下は成分(a1)および成分(a2)について記載したが、成分(A1)および成分(A2)についても同様に測定された。
[成分(a1)のMw/Mn]
一段目の反応器で重合した成分(a1)を採取した試料2.5gを測定試料とし、以下のように、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の測定を行い、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除して分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
装置としてポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220を使用し、酸化防止剤を含む1,2,4-トリクロロベンゼンを移動相とし、カラムとして昭和電工社製UT-G(1本)、UT-807(1本)、UT-806M(2本)を直列に接続したものを使用し、検出器として示差屈折率計を使用した。また、試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して測定試料を調製した。これにより得た試料溶液500μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度145℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。カラムの較正には、分子量580~745万のポリスチレン標準試料(ShodexSTANDARD、昭和電工株式会社製)を使用し、三次式近似で行った。Mark-Houwink-Sakuradaの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10-4、α=0.707、ポリプロピレン系重合体に関しては、K=1.37×10-4、α=0.75を使用した。
[共重合体の総エチレン量、成分(a1)のエチレン由来単位含有量]
1,2,4-トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した共重合体試料について、Bruker社製AVANCEIII HD400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、測定温度120℃、フリップ角45度、パルス間隔7秒、試料回転数20Hz、積算回数5000回の条件で13C-NMRのスペクトルを得た。
上記で得られたスペクトルを用いて、Kakugo,Y.Naito,K.Mizunuma and T.Miyatake,Macromolecules,15,1150-1152(1982)の文献に記載された方法により、共重合体試料の総エチレン量(重量%)を求めた。
なお、成分(a1)を試料として測定する場合、上記方法により得られる総エチレン量(重量%)は、成分(a1)のエチレン由来単位含有量(重量%)となる。
[成分(a2)中のエチレン由来単位含有量]
上記文献に記載された方法で共重合体の総エチレン量を測定するに際して求めたTββの積分強度の替わりに、下記式で求めた積分強度T’ββを使用した以外は、総エチレン量と同様の方法で計算を行い、成分(a2)のエチレン由来単位含有量(重量%)を求めた。
T’ββ=0.98×Sαγ×A/(1-0.98×A)
ここで、A=Sαγ/(Sαγ+Sαδ)であり、上記文献に記載のSαγ及びSαδより算出される。
なお、成分(a1)と成分(a2)からなる共重合体において、成分(a1)がエチレン単位を含む場合の成分(a2)中のエチレン由来単位含有量は、重量比 成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]が重合条件より明らかな場合、下記式により求めた。
成分(a2)のエチレン由来単位含有量(単位:重量%)=
[共重合体の総エチレン量
-成分(a1)のエチレン由来単位含有量×共重合体中の成分(a1)の含有割合]
/(共重合体中の成分(a2)の含有割合)
<重量比 成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]>
下記式により求めた。
成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)](単位:重量%)=共重合体の総エチレン量/(成分(a2)中のエチレン由来単位含有量/100)
[成分(a1)+成分(a2)のXSIV]
以下の方法によって共重合体のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
共重合体のサンプル2.5gを、o-キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレート及び還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS-780-H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
<成分(a1)+成分(a2)のMFR>
実施例においては、組成物のペレット5gについて、JIS K6921-2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
[実施例S1~実施例S5、および比較例S1、S2]
表2に示す組成で各成分を配合し、B-PPとP-PPの総量100重量部に対し、酸化防止剤としてBASF社製B225を0.2重量部、中和剤として淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量部加え、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した。当該混合物を、株式会社JSW製同方向2軸押出機TEX-30αを用いて、シリンダー温度230℃で溶融混練して押出した。ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを用い、後述する方法でシート成形体を得た。得られた各例のシート成形体について各種物性を評価した。
サーモプラステイックス工業社製3種3層φ25mmフィルム・シート成形装置を用い、シリンダー~ダイス温度を250℃に温調し、前記ペレットを原料として、ダイスより押出した溶融樹脂を成形速度1.0m/分にて冷却ロールで冷却・固化しながら引取り、厚さ400μmのシートを得た。成形されたシートは23℃恒温室で48時間以上状態調節した後、サンプルとして用いた。
核剤として、以下を用いた。
C-1:大日精化工業株式会社製クリアマスターR8020 (Milliken製NX8000 (ノニトール系核剤マスターバッチ))
C-2:ADEKA製M801 (アデカスタブ NA71(リン酸エステル系核剤マスターバッチ))
評価は以下のとおりに行った。
[ヘーズ]
シートについて、ISO 14782に従い株式会社村上色彩技術研究所製HM-150を使用してヘーズ測定を行い、全ヘーズの値を表に記載した。
[曲げ剛性]
JIS P8125に基づき、シートサンプルから切り出した試料について、テーバーインスツルメントコーポレーション製のV-5スティフネステスター(型式150-B)を用い、測定スパンの長さ5cmのシート状サンプル片を反り角度15°で曲げ荷重を測定した。観察された荷重から、スティフネスを求めた。
[面衝撃強度(ハイレートインパクト)]
パンクチャー衝撃試験機(島津製作所製ハイドロショットHITS-P10)を用い、JISK7211-2に準拠し、前記試験片の0℃における面衝撃強度を測定した。面衝撃強度の値が大きい程、耐衝撃性に優れる。
[1容器当たりの廃棄時CO排出量]
従来のP-PP容器に対する割合(%)で評価した。具体的には、以下の式で評価した。シート成形品の場合、従来シート成形品の厚さを0.4mmとして、これに対して本件は厚さを0.3mmとしてシート成形を実施した。射出成形品ドリンク容器の場合、従来ドリンク容器成形品側面の厚さを0.5mmとして、これに対して本件は側面の厚さを0.4mmとして射出成形を実施した。
[実施例M1~M4、および比較例M1~M3]
表3に示す組成で各成分を配合し、B-PPとP-PPの総量100重量部に対し、酸化防止剤としてBASF社製B225を0.2重量部、中和剤として淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量部を加え、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した。当該混合物を、株式会社JSW製同方向2軸押出機TEX-30αを用いて、シリンダー温度200℃で溶融混練して押出した。ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ポリプロピレン系組成物のペレットを得た。このようにして製造したポリプロピレン系樹脂組成物を用いて得た射出成形体を得て、各種物性を評価した。結果を表3に示す。評価方法を下記に示すが、下記に記載のない項目は、実施例Sと同じ方法で実施した。核剤としては実施例Sで使用したものと同じものを使用した。
[引張試験]
JIS K6921-2に従い、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度を200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件にて、ポリプロピレン組成物からJIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形し測定用試験片を得た。JIS K7161-2に従い、株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG-X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、試験速度1mm/分の条件で引張強度および引張弾性率を測定した。
[シャルピー衝撃試験]
JIS K6921-2に準拠し、株式会社東洋精機製作所製試験機デジタル衝撃試験機DG-UB型を用いて測定した。
[ドリンク容器 フランジ強度 F50]
ハイドロショット HIPS-P10(株式会社島津製作所製)を用いて実施した。
ストライカー:20mmφ円柱
衝撃速度:1m/sec
住友重機械工業製射出成形機SE-230HYを用いて、ドリンク容器(側面の厚さ:0.5/0.4mm、フランジ部の厚さ:0.7/0.6mm)を樹脂温度230℃/金型温度15℃で成形した。成形品を図1のように4点で支持し、ストライカーで容器底面を一定の位置まで押下げてフランジ部に衝撃を与えた。-40℃から30℃の範囲で、5℃刻みで温度を変化させながら試験を実施した。各温度で割れたフランジ部の個数の割合を測定した。50%が割れる温度F50を以下の式で算出した。
:100%割れた最大温度 (℃)
:0%割れた最小温度 (℃)
Δx:試験温度の刻み幅 (本件の場合は5℃)
f(x):xの試験温度においてフランジが割れた個数の割合(%)
[HDT]
株式会社東洋精機製作所製AUTO HDT.TESTER 6A-2を用いて評価した。4.6kgf/cmにおける荷重たわみ温度を計測した。(ASTM準拠)
1 容器底面
3 固定治具
5 ストライカー

Claims (13)

  1. バイオマス由来ポリプロピレン系樹脂B-PPと、石油由来ポリプロピレン系樹脂P-PPと、を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、
    前記B-PPと前記P-PPとの合計100重量部中、P-PPを60~99重量部含み、
    前記P-PPが、以下の組成物(I)、(II)、およびこれらの組合せからなる群から選択される:
    (I):
    15重量%以下のエチレンまたは1種類もしくは複数のC4~C10-α-オレフィンを含むプロピレン共重合体(A1)と、
    コモノマーとして16~25重量%の1種類または複数のC4~C10-α-オレフィンを含む、エチレン共重合体(A2)を含む、ポリプロピレン系樹脂(A)
    を含み、
    成分(A1):成分(A2)の重量比が75~84重量%:16~25重量%であり、
    前記(A)の、230℃、2.16kgにおいて測定したMFRが2.5g/10分未満であり、
    室温においてキシレン中に可溶の全フラクションの極限粘度が1.5dL/g以下である組成物、
    (II):
    エチレン単位が1.2重量%以下のエチレン・プロピレン共重合体またはホモポリプロピレン(a1)と、1-ブテン単位が16~25重量%のエチレン・1-ブテン共重合体(a2)を含むポリプロピレン系樹脂(a)
    を含み、
    前記(a)におけるキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が0.9~1.3dl/gであり、
    前記(a)のJIS K 7210に準拠し、温度230℃、2.16kgにおいて測定したMFRが30~70g/10分であり、
    前記(a)を100重量%とした際のエチレン・1-ブテン共重合体(a2)の含有量が18~30重量%である、組成物、
    であるポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 前記組成物(I)が核剤(C)を更に含み、
    核剤(C)の含有量が、前記(A)100重量部に対して0.02~0.5重量部である、あるいは、
    前記組成物(II)が核剤(C)を更に含み、
    核剤(C)の含有量が、前記(a)100重量部に対して0.02~0.5重量部である、
    請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記核剤(C)がリン酸エステル系核剤である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記(A)について、対応するモノマーを重合して前記(A1)を得た後、当該(A1)の存在下で対応するモノマーを重合して前記(A2)を得る逐次重合段階を経て製造する工程を備える、あるいは
    前記(a)について、対応するモノマーを重合して前記(a1)を得た後、当該(a1)の存在下で対応するモノマーを重合して前記(a2)を得る逐次重合段階を経て製造する工程を備える、
    請求項1~3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物が前記(I)を含み、当該ポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなるシート成形体。
  6. 厚さが0.35mm以下である、請求項5に記載のシート成形体。
  7. 容器用である請求項5に記載のシート成形体。
  8. 容器用である請求項6に記載のシート成形体。
  9. 請求項1~3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物が前記(II)を含み、当該ポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる射出成形体。
  10. 最薄肉部の厚さが1mm以下である、請求項9に記載の射出成形体。
  11. 容器の形状に成形されており、前記容器の側壁の厚さが0.1~1mmである、請求項9に記載の射出成形体。
  12. 前記容器の側壁の厚さが0.1~0.45mmである、請求項11に記載の射出成形体。
  13. 0℃での面衝撃強度をI(J)、シート成形体の最薄肉部の厚さをt(mm)とするとき、
    I/t≧4
    である、請求項5に記載のシート成形体。
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