JP2023163799A - トナー - Google Patents

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Toru Hiramatsu
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Abstract

【課題】高温高湿度環境における長期間の印字を経てもボタ落ちや、スジの発生が少ないトナー。【解決手段】ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子及びシリカ微粒子を含有するトナーであって、該シリカ微粒子の飛行時間型二次イオン質量分析における測定においてD単位構造に対応するフラグメントイオンが観測され、該シリカ微粒子をエタノールとNaCl水溶液の混合液に分散し水酸化ナトリウムを用いた滴定操作を行ったとき特定の範囲の滴定量となり、該シリカ微粒子の固体29Si-NMR測定において、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するピークの面積をDとし、-19ppmを超え-17ppm以下の範囲にピークトップが存在するピークの面積をD1としたとき、シリカ微粒子の比表面積、D及びD1が特定の関係で存在し、該トナー粒子の表面に該ポリエステル樹脂が存在する。【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法などの画像形成方法に用いられるトナーに関する。
近年複写機やプリンターの長寿命化と環境安定性の改良が進められており、トナーには長期間の印字におけるカートリッジ内の摩擦にも耐えられる耐ストレス性と高温高湿度環境でも帯電が落ちない帯電安定性が求められている。
これまで耐ストレス性を向上させることを目的として、例えば、特許文献1では、トナー粒子にポリエステル樹脂を含有させる手段が検討されている。
また、環境安定性を向上させることを目的として、例えば特許文献2では、トナー粒子に環状シロキサン又はジメチルシリコーンオイルで表面を疎水化処理したシリカ粒子を外添する手段が検討されている。
特開2000-147831号公報 特開2016-167029号公報
特許文献1のトナーにより、耐ストレス性は向上する。しかし、ポリエステル樹脂は高温高湿度環境で水分が吸着しやすいため、トナーの帯電が低下しやすい。その結果、現像ローラのトナー規制部より下流部において、トナーが現像ローラに保持されずに非印字部にトナーが印字されてしまう「ボタ落ち」といわれる画像弊害を起こしやすいことがわかってきた。
また、特許文献2のトナーにより初期の環境安定性には一定の効果が見られるが、長期間の印字を経ることでシリカ微粒子の表面処理が劣化しやすく安定した帯電性を発揮することが難しい。
以上の理由から、耐ストレス性と環境安定性に優れるトナーの開発が望まれている。
本開示は、高温高湿度環境における長期間の印字を経てもボタ落ちや、スジの発生が少ないトナーを提供する。
本開示は、ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子及び該トナー粒子の表面のシリカ微粒子を含有するトナーであって、
該シリカ微粒子の飛行時間型二次イオン質量分析における測定において、下記式(1)で示される構造に対応するフラグメントイオンが観測され、
Figure 2023163799000001

該式(1)中、nは1以上の整数を示し、
該シリカ微粒子2.00gをエタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液に分散し水酸化ナトリウムを用いた滴定操作を行ったとき、
Sn={(a-b)×c×NA}/(d×e)で定義されるSnが、下記式(2)を満たし、
0.05≦Sn≦0.20 ・・・(2)
該式(2)において、
aは、該シリカ微粒子を分散させた該混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH滴定量(L)であり、
bは、エタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH滴定量(L)であり、
cは、滴定に用いたNaOH溶液の濃度(mol/L)であり、
NAは、アボガドロ数であり、
dは、該シリカ微粒子の質量(g)であり、
eは、該シリカ微粒子のBET比表面積(nm/g)であり、
該シリカ微粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するピークの面積をDとし、-140~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をSとし、該シリカ微粒子の比表面積をB(m/g)としたとき、
(D/S)のBに対する比の値(D/S)/Bが、5.7×10-4~4.9×10-3であり、
該シリカ微粒子をクロロホルムで洗浄した後に測定した該(D/S)/Bが、1.7×10-4~4.9×10-3であり、
該ケミカルシフトにおいて、-19ppmを超え-17ppm以下の範囲にピークトップが存在するピークの面積をD1としたとき、D1のDに対する比の値(D1/D)が、0.09~0.32であり、
該トナー粒子の表面に該ポリエステル樹脂が存在するトナーに関する。
本開示により、高温高湿度環境における長期間の印字を経てもボタ落ちや、スジの発生が少ないトナーを提供することができる。
本開示において、数値範囲を示す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。また、モノマーユニットとは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
上記トナーにより課題を解決できる理由を本発明者らは次のように考えている。耐久性向上のためにトナー粒子はポリエステル樹脂を含有し、かつトナー粒子表面にポリエステル樹脂が存在することが必要である。これによりトナーの弾性が向上し、長期間の印字においてもスジの発生を抑えることができる。
また、シリカ微粒子の飛行時間型二次イオン質量分析TOF-SIMSにおける測定において、式(1)で示される構造に対応するフラグメントイオンが観測されることが必要である。式(1)で示されるフラグメントイオンが観測されることは、シリカ微粒子が、ポリジメチルシロキサン構造を有する表面処理剤で表面処理されていることを示す。ポリジメチルシロキサンは疎水性であり、ポリジメチルシロキサン構造を有する処理剤による表面処理によってシリカ微粒子の高温高湿度環境でのトナーへの水分吸着を防ぐことができる。
Figure 2023163799000002
(式(1)中、nは1以上の(好ましくは1~500の、より好ましくは1~200の、さらに好ましくは1~100の、さらにより好ましくは1~80の)整数である。)
TOF-SIMSは試料にイオンを照射し、試料から放出される二次イオンの質量を分析することにより、試料表面の組成を分析する方法である。二次イオンは試料表面から深さ数nmの領域から放出されるため、シリカ微粒子の表面近傍の構造を分析することができる。測定により得られる二次イオンのマススペクトルはシリカ微粒子の表面処理剤がもつ分子構造を反映したフラグメントイオンである。
シリカ微粒子は、TOF―SIMSによる測定において、前記式(1)で示される構造に対応するフラグメントイオンが観測される。本開示ではこの構造をもつ構造単位をD単位と定義する。TOF-SIMSにより、D単位のフラグメントイオンが観測される場合、シリカ微粒子がD単位を含む表面処理剤で表面処理されていることを意味している。
また、シリカ微粒子のSi-OR基量(Rはメチル基、エチル基、又は水素原子)を制御する必要がある。Si-OR基量はシリカ微粒子基体(表面処理前のシリカ微粒子のことである)の表面及びシリカ微粒子の表面処理剤中のSi-OR基量の総和である。Si-OR基は分極し、Si―Oδ-―Rδ+のように極性を持つため、含有量によって帯電性が制御されると考えられる。Si-OR量が少なければ帯電性が得られず、Si-OR量が過剰であると、高温高湿環境で帯電性が低下しやすい。
Si-OR基のうち、シリカ微粒子基体の表面のSi-OH基は水分を吸着しやすいため、特に帯電性への影響が大きいと考えられる。Si-OH基量は水酸化ナトリウムの滴定量から求められる値Sn(個/nm)によって評価することができる。これはシリカ微粒子の基体のSi-OHやポリジメチルシロキサンのSi-OH基が水酸化ナトリウムと中和反応を起こすためである。
具体的には、シリカ微粒子2.00gをエタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液に分散し水酸化ナトリウムを用いた滴定操作を行ったとき、
Sn={(a-b)×c×NA}/(d×e)で定義されるSnが、下記式(2)を満たすことが必要である。
0.05≦Sn≦0.20 ・・・(2)
該式(2)において、
aは、シリカ微粒子を分散させた上記混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH滴定量(L)であり、
bは、エタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH滴定量(L)であり、
cは、滴定に用いたNaOH溶液の濃度(mol/L)であり、
NAは、アボガドロ数であり、
dは、シリカ微粒子の質量(g)であり、
eは、シリカ微粒子のBET比表面積(nm/g)である。
上述のとおりSnが0.05未満であると帯電サイトであるSi-OH基が少なすぎるため帯電性が低下し、Snが0.20より大きいと高温高湿度環境での水分吸着を防ぐこ
とができない。Snは、好ましくは0.08~0.19であり、より好ましくは0.10~0.18である。
Snは、シリカ微粒子基体の表面処理の際の反応時間を長くすることにより小さくすることができる。一方、Snは、シリカ微粒子基体の表面処理の際の反応時間を短くすることにより大きくすることができる。
前述したように、Si-OR基のうち、シリカ微粒子基体の表面のSi-OH基は水分を吸着しやすく、帯電性への影響が大きい。これに対しシリカ微粒子の表面処理剤中のSi-OH基は、上記式(1)で示される構造や後述するD2単位を介するなどシリカ微粒子基体に距離を持って存在しているのに加え、Siに疎水性の高い二つのメチル基が結合しているため水分吸着の影響が小さいと考えられる。
また、Si-OR基の制御として、シリカ微粒子の表面処理状態((D/S)/B、D1/D)を制御する必要がある。シリカ微粒子の表面処理状態は、固体29Si-NMR
DD/MAS法によって算出される。DD/MAS測定法では、測定試料中の全てのSi原子が観測されるため、シリカ微粒子中のSi原子の化学結合状態について定量的な情報が得られる。
一般的に、固体29Si-NMRでは、固体試料中のSi原子に対し、M単位(式(4))、D単位(式(5))、T単位(式(6))、Q単位(式(7))という4種のピークを観測することができる。
M単位:(R)(R)(R)SiO1/2 式(4)
D単位:(R)(R)Si(O1/2 式(5)
T単位:RSi(O1/2 式(6)
Q単位:Si(O1/2 式(7)
該式(4)、(5)、(6)中のR、R、R、R、R、Rはケイ素に結合している、炭素数1~6の炭化水素基などのアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基などを示す。
シリカ微粒子をDD/MAS測定した場合、Q単位は表面処理される前のシリカ微粒子基体中のSi原子に対応するピークを示す。本開示において、シリカ微粒子がシリコーンオイル等の表面処理剤で表面処理されている場合、表面処理剤由来の部分を含めてシリカ微粒子という。また、表面処理される前のシリカ微粒子をシリカ微粒子基体ともいう。表面処理された後のシリカ微粒子のBET比表面積をB(m/g)とする。M単位、D単位及びT単位は、それぞれ上記式(4)~(6)で表されるシリカ微粒子の表面処理剤の構造に対応するピークを示す。
いずれも、固体29Si-NMRスペクトルのケミカルシフト値によって同定が可能であり、Q単位はケミカルシフトが-130~-85ppmに、T単位は-65~-51ppmに、D単位は-25~-15ppmに、M単位は10~25ppmに表れ、それぞれ積分値によって定量できる。それぞれのピーク積分値をQ、T、D、Mとし、これらの積分値の総和をSとする。
シリカ微粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するピークの面積をDとし、-140~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をSとする。シリカ微粒子のBET比表面積をB(m/g)とする。このとき、(D/S)/Bが、5.7×10-4~4.9×10-3である。
パラメーター(D/S)/Bは、シリカ微粒子全体のSi原子量に対するD単位を構成する単位表面積あたりのSi原子量を意味する。ここで、TOF―SIMSにおいて、上
記式(1)で示されるフラグメントが観測され、かつ固体29Si-NMR測定において、D単位にピークをもつシリカ微粒子は、ジメチルシロキサン構造をもつ化合物により表面処理されていることを表している。
つまり、パラメーター(D/S)/Bは単位表面積あたりのシリカ微粒子表面のジメチルシロキサン量を表している。(D/S)/Bが小さいほどシリカ微粒子表面のジメチルシロキサン量が少なく、外添剤として流動性を阻害しないが、シリカ微粒子基体の表面のシラノール基が残存しやすいため、高温高湿環境での水分により帯電が低下しやすい。
逆に、(D/S)/Bが大きいほどシリカ微粒子表面のジメチルシロキサン量が多くなるが、D単位が過剰であると外添剤として流動性を阻害するためやはり帯電性が低下しやすい。また、ジメチルシロキサン処理状態が不均一であるとシリカ微粒子基体の表面のシラノール基が残存するため、印字枚数が多い場合、特に高温高湿環境では帯電性が低下しやすい。
したがって、(D/S)/Bが、5.7×10-4~4.9×10-3であることが必要である。(D/S)/Bが5.7×10-4未満の場合高温高湿度環境での水分吸着を防ぐことができず、4.9×10-3より大きいとトナーの流動性が低下し帯電性が低下する。(D/S)/Bは、好ましくは6.1×10-4~3.7×10-3であり、より好ましくは7.5×10-4~3.3×10-3である。
(D/S)/Bは、シリカ微粒子基体の表面処理の際の表面処理剤の量を増やすことや、ポリジメチルシロキサン構造を有する成分を多く含有する表面処理剤を用いることにより大きくすることができる。一方、(D/S)/Bは、シリカ微粒子基体の表面処理の際の表面処理剤の量を少なくすることや、ポリジメチルシロキサン構造を有する成分を多く含有しない表面処理剤を用いることにより小さくすることができる。
またシリカ微粒子をクロロホルムで洗浄した後に測定した(D/S)/Bが、1.7×10-4~4.9×10-3であることが必要である。洗浄操作によって物理的に吸着した表面処理剤は除去され、化学的に結合した表面処理剤が残存する。そのため洗浄後の(D/S)/Bは化学的に結合したD単位の量を示している。(D/S)/Bが、1.7×10-4未満であると、高温高湿度環境での水分吸着を防ぐことができず、4.9×10-3より大きいとトナーの流動性が低下し帯電性が低下する。
シリカ微粒子をクロロホルムで洗浄した後の(D/S)/Bは、好ましくは2.5×10-4~3.7×10-3であり、より好ましくは3.5×10-4~3.3×10-3である。
また、シリカ微粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-19ppmを超え-17ppm以下の範囲にピークトップが存在するピークの面積をD1と定義する。D単位で処理されたシリカ微粒子において、D1はD単位末端のSi-OR基(より詳細には-Si(R)-OR;Rは、それぞれメチル基、エチル基、又は水素原子)を意味する。疎水性の高いD単位末端のD1は分極することにより、Si-OR基中の酸素原子が負電荷δ-を持つ。
このため、このようなD1を有する表面処理剤に由来する構造物の末端は電子供与性が高い状態であり、疎水基末端に帯電性を付与する効果がある。また、上述したようにシリカ微粒子基体の表面に存在するQ単位におけるシラノール基などの極性基と比較して、D単位末端のD1のSi-OH基は疎水性が適度に高い。加えて、クロロホルムで洗浄した後の(D/S)/Bで表されるように、D単位は一定程度シリカ微粒子基体に結合し、D単位末端のD1はシリカ微粒子基体の表面から離れた位置に存在する。そのため、D1のSi-OH基はシリカ微粒子基体の表面に存在するシラノール基に比べ、シリカ微粒子基体に対する水分の影響を抑え、帯電性を低下させにくい。
よって、シリカ微粒子の表面を、D単位を持つ処理剤で処理し、シリカ微粒子基体の表面のシラノール基を減らすとともに、D単位末端のD1を導入し、(D/S)/B、クロロホルムで洗浄した後の(D/S)/B及びD1/Dを適正な範囲にする。これらを満足することで、高温高湿環境でも帯電量を向上させることができる。また、D1の存在によって、トナー粒子表面に存在するポリエステル樹脂のエステル部位と双極子相互作用により、トナー粒子とシリカ微粒子の密着性を高めることができる。これにより高温高湿度環境での水分吸着をより一層防ぐことができる。
D1のDに対する比の値(D1/D)が、0.09~0.32であることが必要である。D1が0.09未満であるとD1の帯電性が発揮できず、0.32より大きいと高温高湿度環境での水分吸着を防ぐことができない。D1/Dは、好ましくは0.10~0.30であり、より好ましくは0.15~0.25である。
D1/Dは、シリカ微粒子基体の表面処理に用いる処理剤成分において、シラノールや環状シロキサンの含有比率を高くすることや処理温度を低くすることにより大きくすることができる。一方、D1/Dは、シリカ微粒子基体の表面処理に用いる処理剤成分において、シラノールや環状シロキサンの含有比率を低くすることや処理温度を高くすることにより小さくすることができる。
また、固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-23~-19ppmの範囲にピークトップが存在するピークの面積をD2と定義する。シリカ微粒子で測定されるD単位のうち、D単位末端のOR基に結合するSi原子はピークD1に対応することが知られている。また、ジメチルシロキサン鎖内のSi原子はピークD2に対応することが知られている。
またD1のD2に対する比の値(D1/D2)は、0.15~0.42であることが好ましく、0.18~0.40であることがより好ましく、0.30~0.39であることがさらに好ましい。D1/D2が0.15以上であることによってD1のもつ帯電性を発揮させる効果がより高くなり、0.42以下であることによって高温高湿度環境での環境安定性がより良化する。
D1/D2は、シリカ微粒子基体の表面処理に用いる処理剤成分において、シラノールや環状シロキサンの含有比率を高くすることにより大きくすることができる。一方、D1/D2は、シリカ微粒子基体の表面処理に用いる処理剤成分において、シラノールや環状シロキサンの含有比率を低くすることにより小さくすることができる。
また、D2のDに対する比の値(D2/D)が、0.30~0.90であることが好ましく、0.40~0.70であることがより好ましく、0.45~0.60であることがさらに好ましい。D2/Dが0.30以上であることによって高温高湿度環境での帯電安定性がより良化し、0.90以下であることによって流動性がよく帯電性をより高くすることができる。
トナー粒子の表面におけるポリエステル樹脂の存在率をSp(面積%)としたとき、Spは、50面積%以上であることが好ましい。より好ましくは60面積%以上であり、さらに好ましくは70面積%以上である。Spが50面積%以上であることによって長期間の印字における耐久性をより向上させることができる。Spの上限は特に制限されないが、好ましくは100面積%以下であり、より好ましくは98面積%以下であり、さらに好ましくは95面積%以下である。
Spは、ポリエステル樹脂の酸価により制御することができる。酸価が大きいポリエステルほど親水性が大きくトナー表面に存在しやすく、酸価が小さいポリエステルほど疎水性が大きくトナー内部に存在しやすくなる。
また、トナーの表面の走査電子顕微鏡(SEM)による観察像から算出した、トナー粒子の表面に対するシリカ微粒子による被覆率Ssiは、30面積%以上であることがより好ましい。より好ましくは50~90面積%であり、さらに好ましくは60~85面積%である。Ssiが30面積%以上であることによって高温高湿度環境での帯電安定性がより良化する。
Ssiは、シリカ微粒子の添加量により制御することができる。
また、ポリエステル樹脂の存在率Spの、シリカ微粒子による被覆率Ssiに対する比の値(Sp/Ssi)は、0.70~2.50であることが好ましい。より好ましくは0.40~2.00であり、さらに好ましくは0.50~1.50である。Sp/Ssiが0.7以上であることによって長期間の印字における耐久性をより向上させることができ、2.5以下であることによって高温高湿度環境での帯電安定性がより良化する。
また、シリカ微粒子の含有量が、トナー粒子100質量部に対して、0.3~2.0質量部であることが好ましく、0.18~0.40質量部であることがより好ましく、0.30~0.39質量部であることがさらに好ましい。0.3質量部以上であることによって長期間の印字においても帯電性をより高くすることができ、2.0質量部以下であることによって過剰量のシリカ微粒子のトナーからの剥がれを抑制することで帯電安定性がより良化する。
また、シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径が、5~50nmであることが好ましく、10~40nmであることがより好ましく、15~25nmであることがさらに好ましい。個数平均粒径が5nm以上であることによって、トナー粒子への水分吸着を防ぎやすくなるため高温高湿度環境での帯電安定性がより良化する。個数平均粒径が50nm以下であることによってシリカ微粒子の表面積が増えるため帯電をより高くできる。
シリカ微粒子は、小粒径のシリカ微粒子及び大粒径のシリカ微粒子を含有することが好ましい。小粒径のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、5~25nmであることが好ましく、10~20nmであることがより好ましい。また、大粒径のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、25nmを超え50nm以下であることが好ましく、30~40nmであることがより好ましい。
小粒径のシリカ微粒子のBET比表面積は、100~500m/gであることが好ましく、150~300m/gであることがより好ましい。また、大粒径のシリカ微粒子のBET比表面積は、10~100m/gであることが好ましく、30~80m/gであることがより好ましい。
小粒径のシリカ微粒子及び大粒径のシリカ微粒子の質量基準の含有割合は、小粒径のシリカ微粒子:大粒径のシリカ微粒子が、20:1~5:1であることが好ましく、15:1~7:1であることがより好ましい。
なお、表面処理後のシリカ微粒子のBET比表面積Bは、40~200m/gであることが好ましく、100~150m/gであることがより好ましい。
また、シリカ微粒子が、少なくとも下記式(3)で示される化合物で表面処理されたものであることがより好ましい。
Figure 2023163799000003
式(3)中の、R、Rは、それぞれ独立してカルビノール基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシ基、(好ましくは炭素数1~6、より好ましくは炭素数1~3の)アルキル基、又は水素原子である。mは平均繰り返し単位数であり、1~200(好ましくは30~150、より好ましくは70~130)の整数である。
式(3)の表面処理剤により高温高湿度環境での帯電安定性をより良化することができる。使用する表面処理剤は式(3)で示される化合物であれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、官能基の異なる2種類以上の表面処理剤を順次または混合して用いてもよいし、同じ官能基を持ち、粘度や分子量分布が異なる2種類以上の表面処理剤を順次または混合して用いてもよい。
特に、シリカ微粒子は、シリカ微粒子基体を環状シロキサンとともに加熱処理した後、シリコーンオイルで加熱処理された疎水化処理シリカ粒子であることが好ましい。そして、シリカ微粒子100質量部に対する環状シロキサンの処理量をX質量部とし、シリコーンオイルの処理量をY質量部としたとき、XのYに対する比の値(X/Y)が0.60~1.20であることが好ましい。より好ましくは0.65~1.15であり、さらに好ましくは0.70~1.00である。
X/Yが0.60以上であることによって環状シロキサン由来のD1でトナーの帯電をより高くすることができ、X/Yが1.20以下であることによって高温高湿度環境での帯電安定性をより良化することができる。
ポリエステル樹脂の酸価をAv(mgKOH/g)としたとき、Avが2.0~30.0であることが好ましい。Avは、より好ましくは2.5~15.0であり、さらに好ましくは4.0~10.0である。
また、Sp、Av及びSnより算出される(Av/Sp)/Snの値が、0.20~7.00であることが好ましい。(Av/Sp)/Snは、より好ましくは0.40~2.00であり、さらに好ましくは0.70~0.80である。
Avが2.0以上かつ(Av/Sp)/Snが0.20以上であることによってポリエステル樹脂とシリカ微粒子の双極子相互作用による密着性がより高まる。Avが30.0以下かつ(Av/Sp)/Snが7.00以下であることによって高温高湿度環境での帯電安定性をより良化することができる。
シリコーンオイルなどで表面処理する前の基材となるシリカ微粒子基体は、公知の方法によって得られたシリカ微粒子を特に制限なく使用することができる。例えば、フュームドシリカ、湿式法シリカ、ゾル-ゲル法シリカなどが代表的である。また、これらのシリカは一部又は全部が溶融されたシリカであってもよい。
シリカ微粒子基体には、フュームドシリカ、湿式シリカなどの中から、個別トナーの要求特性に応じて好適なものを適宜選択して使用することが可能である。特に、フュームドシリカは、流動性付与効果に優れており、電子写真トナー用外添剤に使用するシリカ微粒
子基体として好適である。
シリカ微粒子は疎水性、流動性を付与する目的でシリカ微粒子基体を表面処理したものを用いる。表面処理方法としては、シリカ微粒子基体と反応あるいは物理吸着するケイ素化合物で化学的に処理する方法が挙げられる。
シリカ微粒子基体の表面処理を行う方法は特に限定されず、シロキサン結合を含む表面処理剤をシリカ微粒子に接触させる事により行う事ができる。シリカ微粒子基体の表面を均一に処理し、上記物性を容易に達成する観点から、表面処理剤を乾式でシリカ微粒子基体に接触させる事が好ましい。後述するように、表面処理剤の蒸気をシリカ微粒子原体に接触させる方法、又は表面処理剤の原液若しくは各種溶媒による希釈液を噴霧してシリカ微粒子基体に接触させる方法が挙げられる。
シリカ微粒子基体の表面処理方法として、シリカ微粒子の製造方法は、第一処理としてシリカ微粒子基体を環状シロキサンにより表面処理(乾式処理)する工程、及び第二処理として環状シロキサン処理後のシリカ微粒子基体をシリコーンオイルにより表面処理(乾式処理)する工程を有することが好ましい。シリカ微粒子は、シリカ微粒子の環状シロキサンによる処理物のシリコーンオイル処理物であることが好ましい。トナーの製造方法は、上記方法で得られたシリカ微粒子を用意する工程を有することが好ましい。
第一処理に関して、低分子量の環状シロキサンで高温処理することで効率的にシリカ微粒子基体表面のシラノール基を低減できるとともに、末端にOH基を持つ短いジメチルシロキサン鎖をシリカ微粒子基体表面に付加することができる。
シリカ微粒子基体表面への環状シロキサンの処理温度は300℃以上が好ましい。300℃以上であることによりシリカ微粒子基体表面のシラノール基を効果的に低減できる。また、処理温度が300℃以上である事でシロキサン結合の生成と切断が起こり、シロキサンの鎖長を均一に制御しながらシリカ微粒子基体の表面をより均一に処理することが可能になる。
シリカ微粒子基体表面への環状シロキサンの処理温度は、310℃以上がより好ましく、320℃以上がさらに好ましく、330℃以上がさらにより好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは380℃以下であり、より好ましくは350℃以下である。
上記の環状シロキサン処理を施したのち、第二処理として環状シロキサン処理後のシリカ微粒子基体をシリコーンオイルにより加熱処理する。シリコーンオイルが第一処理による環状シロキサンが反応した成分の末端のOH基と結合し、シリカ微粒子表面に長鎖ジメチルシロキサン成分を導入することができる。シリカ微粒子基体表面へのシリコーンオイル処理の際の温度は300℃以上が好ましく、320℃以上がより好ましく、330℃以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは380℃以下であり、より好ましくは350℃以下である。
上述した環状シロキサンの処理量X及びシリコーンオイルの処理量Yを制御することで、シリカ微粒子基体表面のシラノール成分を低減し、上述したD単位量とD1量を制御することができ、少ない表面処理量でトナーの流動性を低下させず、かつ帯電安定性を向上できる。
環状シロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等、10員環までの低分子環状シロキサンからなる群から選択される少なくとも一を用いることができる。なかでもオクタメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
また、シリコーンオイルは、シロキサン結合を主鎖とする分子構造をもつオイル状の物質を示すものであり、前述した式(3)を満たすものであれば、一般に入手できるものを特に制限なく使用することができる。
具体的には、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、オレフィン変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、及びカルビノール変性シリコーンオイル等の直鎖状ポリシロキサン骨格よりなるシリコーンオイルが挙げられる。
第一処理及び第二処理における処理時間は、処理温度や用いた表面処理剤の反応性によっても異なるが、好ましくは5分以上300分以下、より好ましくは30分以上240分以下、さらに好ましくは、50分以上200分以下である。表面処理の処理温度及び処理時間が上述の範囲であると、処理剤をシリカ微粒子基体と十分に反応させる観点、及び生産効率の観点からも好ましい。
第一処理における表面処理剤のシリカ微粒子基体への接触は、減圧下、又は窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下において、表面処理剤の蒸気を接触させる方法が好ましい。蒸気を接触させる方法を用いる事により、シリカ微粒子表面と反応しない表面処理剤を除去しやすく、シリカ微粒子の表面を適度な極性を有する修飾基で適切に覆うことができる。表面処理剤の蒸気を接触させる方法を用いる場合、表面処理剤の沸点以上の処理温度で処理することが好ましい。蒸気の接触は複数回に分けて実施してもよい。
窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下において表面処理剤の蒸気を接触させる場合、容器内の表面処理剤の蒸気による圧力(ゲージ圧)が50~300kPa以下となるようにすることが好ましく、150~250kPaがさらに好ましい。
トナー粒子は、結着樹脂を含有してもよい。結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、特に限定されず公知の樹脂を用いることができる。好ましくは、トナー粒子は、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有する。
具体的には、ポリスチレン、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル等を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。この中でも特にスチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。ポリエステル樹脂がより好ましい。
ポリエステル樹脂を構成する成分について詳述する。なお、以下の成分は種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
ポリエステル樹脂を構成する2価のカルボン酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;炭素数の平均値が1以上50以下のアルケニルコハク酸類又はアルキルコハク酸類、又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル。
該低級アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
一方、ポリエステル樹脂を構成する2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げ
られる。
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(I-1)で表されるビスフェノール及びその誘導体:及び式(I-2)で示されるジオール類。
Figure 2023163799000004
式(I-1)中、Rはエチレン基又はプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。
Figure 2023163799000005
式(I-2)中、R’はエチレン基又はプロピレン基であり、x’、y’はそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x’+y’の平均値は0以上10以下である。
該ポリエステル樹脂の構成成分は、上述の2価のカルボン酸成分及び2価のアルコール成分以外に、3価以上のカルボン酸成分、3価以上のアルコール成分を含有してもよい。
3価以上のカルボン酸成分としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。また、3価以上のアルコール成分としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂の構成成分は、上述した化合物以外に、1価のカルボン酸成分及び1価のアルコール成分を構成成分として含有してもよい。具体的には、1価のカルボン酸成分としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、テトラコンタン酸、ペンタコンタン酸などが挙げられる。
また、1価のアルコール成分としては、ベヘニルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、テトラコンタノールなどが挙げられる。
トナー粒子には、荷電制御剤を添加してもよい。
負帯電用の荷電制御剤としては、有機金属錯化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯化合物;アセチルアセトン金属錯化合物;芳香族ハイドロキシカルボン酸または芳香族ダイカルボン酸の金属錯化合物等が挙げられる。
市販品の具体例として、Spilon Black TRH、T-77、T-95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S-34、S-44、S-54、E-84、E-88、E-89(オリエント化学社)が挙げられる。
また、正帯電性の荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような四級アンモニウム塩、及びこれらの類
似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩、及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブテン酸、リンタングステンモリブテン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドのようなジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートのようなオルガノスズボレートが挙げられる。
市販品の具体例として、TP-302、TP-415(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)N-01、N-04、N-07、P-51(オリエント化学社)、コピーブルーPR(クラリアント社)が挙げられる。
これらの荷電制御剤は単独、又は二種以上組み合わせて用いることが可能である。これらの荷電制御剤の使用量は、トナーの帯電量の点から、結着樹脂100質量部当たり0.1~10.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~5.0質量部である。
トナー粒子には、定着性向上のために必要に応じて離型剤を配合してもよい。離型剤としては、特に制限されず、公知の離型剤を用いることができる。
具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体、エステルワックスなどである。ここで、誘導体とは酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
また、エステルワックスとしては1官能エステルワックス、2官能エステルワックスをはじめ、4官能や6官能等の多官能エステルワックスを用いる事ができる。
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。着色剤としては、有機顔料、有機染料、及び、無機顔料等が挙げられるが、特に限定されず公知の着色剤を用いることができる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、及び、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び、66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及び、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び、254、C.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及び、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191、及び、194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、並びに、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、シアン系着色剤、及び磁性体を用いて黒色に調色されたものなどが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
トナーに着色剤として磁性体を用いる場合、磁性体は、四三酸化鉄やγ-酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2~30m/gであることが好ましく、3~28m/gであることがより好ましい。また、モース硬度が5~7のものが好ましい。磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
着色剤の添加量は、結着樹脂又は結着樹脂を構成する重合性単量体100質量部に対し、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。磁性粉体を用いる場合は、結着樹脂又は結着樹脂を構成する重合性単量体100質量部に対し、好ましくは20質量部以上200質量部以下、より好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
トナーは、シリカ微粒子に加えシリカ微粒子以外の無機微粒子などその他の外添剤を含有してもよい。トナーは、トナー粒子にシリカ微粒子及び必要に応じてシリカ微粒子以外の無機微粒子を外添剤として外添して得ることができる。無機微粒子はハイドロタルサイト化合物、チタン酸ストロンチウム、脂肪酸金属塩、アルミナ、及び酸化チタン、酸化亜鉛微粒子、酸化セリウム微粒子及び炭酸カルシウム微粒子の金属酸化物微粒子(無機微粒子)を挙げることができる。
また、その他の外添剤としては、2種類以上の金属を用いた複合酸化物微粒子を用いることもできるし、これらの微粒子群の中から任意の組み合わせで選択される2種以上を用いることもできる。
また、樹脂微粒子や、樹脂微粒子と無機微粒子の有機無機複合微粒子を用いることもできる。好ましくは、トナーは、外添剤としてシリカ微粒子に加え、酸化チタン粒子を含有する。
その他の外添剤は、疎水化処理剤により疎水化処理がされていてもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどのクロロシラン類;
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o-メチルフェニルトリメトキシシラン、p-メチルフェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i-ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエ
チル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン類;
ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザンなどのシラザン類;
ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル;
ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンなどのシロキサン類;
脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸、前記脂肪酸と亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシシラン類、シラザン類、シリコーンオイルは、疎水化処理を実施しやすいため、好ましく用いられる。これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
該外添剤の含有量は、前記トナー粒子100質量部に対して、0.05質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。シリカ微粒子以外の外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1~1.0質量部が好ましく、0.1~0.5質量部がより好ましい。
トナーの重量平均粒径(D4)は3.0μm以上12.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは4.0μm以上10.0μm以下である。重量平均粒径(D4)が3.0μm以上12.0μm以下であると良好な流動性が得られ、潜像に忠実に現像することができる。
トナーの60℃での複素弾性率G´(60℃)は、4×10~8×1010であるこ
とが好ましく、4×10~1×1010であることがより好ましく、4×10~8×10であることがさらに好ましい。G´(60℃)は、長期間の印字においてカートリ
ッジ内でトナーが摩擦されたときの耐久性を表している。上記範囲であると、低温定着性を阻害することなく、現像スジの発生を抑えられる。G´(60℃)は、ポリエステルの
添加量により制御することができる。
トナー粒子の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、懸濁重合法・乳化凝集法・溶解懸濁法のような、親水性媒体中で直接トナーを製造する方法が挙げられる。また、粉砕法を用いてもよく、粉砕法により得られたトナーを熱球形化してもよい。
例えば懸濁重合法は、樹脂を生成しうる重合性単量体及び離型剤、並びに必要に応じてその他の添加剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体を重合することにより、トナー母粒子を得る方法である。
また、重合工程終了後は、公知の方法で、生成した粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥してトナー母粒子を得るとよい。
なお、重合工程の後半に昇温してもよい。さらに未反応の重合性単量体又は副生成物を除去する為に、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である
また得られたトナー粒子に対し、シリカ微粒子を添加することによってトナーを得ることができる。必要に応じて、その他の外添剤を添加してもよい。外添工程における混合時間は外添剤の分散性の観点から、0.5分以上10.0分以下が好ましく、1.0分以上5.0分以下がより好ましい。
次に、各物性の測定方法に関して記載する。
<シリカ微粒子の固体29Si-NMR DD/MAS測定によるD1/D、D2/D、D1/D2、(D/S)/Bの算出法>
シリカ微粒子の固体29Si-NMR測定はシリカ微粒子をトナー表面から分離して行う。以下では、シリカ微粒子のトナー表面からの分離方法と固体29Si-NMR測定について記載する。
<シリカ微粒子のトナー表面からの分離方法>
トナーの表面から分離したシリカ微粒子を測定試料とする場合、シリカ微粒子のトナーからの分離は以下の手順で行う。
イオン交換水1Lにスクロース(キシダ化学製)1.6kgを加え、湯せんをしながら溶解させて、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに該ショ糖濃厚液31gと、6mLのコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を入れ、分散液を作製する。この分散液にトナー10gを添加し、スパチュラ等でトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブを、いわき産業社製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、1分当たり350往復の条件で20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて、3500rpm、30分間の条件で遠心分離を行う。
遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはトナー粒子が存在し、下層の水溶液側にはシリカ微粒子を含む無機微粒子混合物が存在する。上層の水溶液と下層の水溶液を分離し、それぞれ乾燥し、上層側からトナー粒子、下層側から無機微粒子混合物を得る。得られたトナー粒子は後述のポリエステル樹脂の表面存在率の測定に用いる。下層側から得られる無機微粒子混合物量が合計で10g以上になるよう、上記遠心分離工程を繰り返し行う。
続いて、イオン交換水100mLと6mLのコンタミノンNを入れた分散液に、得られた無機微粒子混合物10gを入れ分散する。得られた分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて、3500rpm、30分間の条件で遠心分離を行う。
遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはシリカ微粒子が存在し、下層の水溶液側にはその他の無機微粒子が存在する。上層の水溶液を採取して、必要に応じて遠心分離操作を繰り返し行い、分離を十分に行った後、分散液を乾燥し、シリカ微粒子を採集する。
次に、トナー粒子から回収したシリカ微粒子の固体29Si-NMR測定を、下記に示すような測定条件で行う。
<固体29Si-NMR測定のDD/MAS測定条件>
固体29Si-NMR測定のDD/MAS測定条件は、下記の通りである。
装置:JNM-ECX5002(JEOL RESONANCE)
温度:室温
測定法:DD/MAS法 29Si 45°
試料管:ジルコニア3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
試料回転数:10kHz
relaxation delay:180s
Scan:2000
校正用標準物質:DSS(3-(トリメチルシリル)-1-プロパンスルホン酸ナトリウム)
上記測定後に、シリカ微粒子の固体29Si-NMRスペクトルから、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィッティングにて、下記M単位、D単位、T単位、及びQ単位にピーク分離する。
カーブフィッティングは、日本電子社製のJNM-EX400用ソフトのEXcalibur for Windows(登録商標) version 4.2(EX series)を用いて行う。メニューアイコンから「1D Pro」をクリックして測定データを読み込む。次に、メニューバーの「Command」から「Curve fitting function」を選択し、カーブフィッティングを行う。カーブフィッティングによって得られる各ピークを合成した合成ピークと測定結果のピークとの差分(合成ピーク差分)が最も小さくなるように、各成分に対するカーブフィッティングを行う。
M単位:(R)(R)(R)SiO1/2 式(4)
D単位:(R)(R)Si(O1/2 式(5)
T単位:RSi(O1/2 式(6)
Q単位:Si(O1/2 式(7)
該式(4)、(5)、(6)中のR、R、R、R、R、Rはケイ素に結合している、炭素数1~6の炭化水素基などのアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基などを示す。
また、D単位ピークについては、フォークト関数により波形分離を行い、-19ppmを超え-17ppm以下の範囲のピークD1と、-23ppm以上-19ppm以下のピークD2の面積を算出する。
ピーク分離後、ケミカルシフトが-25~-15ppmの範囲に存在するD単位の積分値を算出する。また、-140~100ppmの範囲に存在するM、D、T、Q単位のすべての積分値の総和Sを算出し、後述する方法でシリカ微粒子のBET比表面積B(m/g)を求め、比(D/S)/Bを算出する。また、波形分離により得られたピークD1、D2とDの積分値からD1/D、D2/D、D1/D2をそれぞれ算出する。
さらに、シリカ微粒子に対し下記に示すクロロホルムによる洗浄操作を行った後、同様のNMR測定を行い洗浄後の(D/S)/Bを算出する。
<シリカ微粒子のクロロホルムによる洗浄>
遠心分離用チューブにクロロホルム100mLとシリカ微粒子1gを入れ、スパチュラ等で攪拌する。遠心分離用チューブをKM Shakerにセットし、1分当たり350往復の条件で20分間振とうする。振とう後、スイングローター用ガラスチューブに入れ替えて遠心分離機にて、3500rpm、30分間の条件で遠心分離を行う。上澄み液を捨て、再度クロロホルム100mLを加えて振とう、遠心分離操作を2回行う。沈殿したシリカ微粒子を採取し、40℃での真空乾燥を24時間行い、洗浄後のシリカ微粒子を得る。
<飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)によるシリカ微粒子表面のフラ
グメントイオンの測定方法>
シリカ微粒子のTOF-SIMS測定は、上述したシリカ微粒子のトナー表面からの分離方法により、トナーから分離したシリカ微粒子を用いて測定する。TOF-SIMSを用いたシリカ微粒子表面のフラグメントイオン測定には、アルバック・ファイ社製、TRIFT-IVを使用する。
分析条件は以下の通りである。
サンプル調整:シリカ微粒子をインジウムシートに付着させる
一次イオン:Auイオン
加速電圧:30kV
電荷中和モード:On
測定モード:Positive
ラスター:200μm
測定時間:60s
得られた二次イオン質量/二次イオン電荷数(m/z)のマスプロファイルより、式(1)で示される構造に対応するフラグメントイオンが観測されているか確認する。例えば、表面処理剤がポリジメチルシロキサンや環状シロキサンである場合、m/z=147、207、221といった位置にフラグメントイオンが観測される。
<ポリエステル樹脂成分のモノマー分析方法>
[トナーから樹脂成分の分離]
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mLの試料溶液を調製する。得られた試料溶液3.5mLを、下記装置に注入し、下記条件で、分子量2000未満の離型剤由来の低分子量成分と、分子量2000以上の樹脂成分由来の高分子量成分とを分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC-980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5mL/min
樹脂成分由来の高分子量成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。ポリエステル樹脂以外の高分子量成分が存在する場合には、下記に示すポリエステル樹脂のモノマー分析を行うことによってポリエステル樹脂であるかどうかを判別することができる。
ポリエステル樹脂が100mg程度得られるまで上記操作を繰り返す。得られたポリエステル樹脂を40℃で24時間減圧乾燥する。
[ポリエステル樹脂成分のモノマー分析]
ポリエステル樹脂成分のモノマーの種類は、トナーから分取した各樹脂成分の試料を下記条件で熱分解GC/MS装置を用いて分析する。
測定装置:「Voyager」(商品名、サーモエレクトロン社製)
熱分解温度:600℃
カラム:HP-1(15m×0.25mm×0.25μm)
Inlet:300℃、Split:20.0
注入量:1.2mL/min
昇温:50℃(4min)-300℃(20℃/min)
<飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)によるトナー粒子表面のポリエステル樹脂のフラグメントイオンの測定方法とポリエステル樹脂の存在率Sp(面積%)の算出)>
トナー粒子表面のポリエステル樹脂のTOF-SIMS測定は、前述したシリカ微粒子のトナー表面からの分離方法により、シリカ微粒子をトナーから分離したトナー粒子を用いて測定する。
TOF-SIMSを用いたポリエステル樹脂のフラグメントイオン測定には、アルバック・ファイ社製、TRIFT-IVを使用する。
分析条件は以下の通りである。
サンプル調整:トナー粒子をインジウムシートに付着させる
一次イオン:Auイオン
加速電圧:30kV
電荷中和モード:On
測定モード:Positive
ラスター:200μm
測定時間:60s
得られた二次イオン質量/二次イオン電荷数(m/z)のマスプロファイルより、上記のモノマー分析によって同定したモノマー種のフラグメントイオンが観測されているか確認する。この値をトナー粒子の測定においてカウントした全イオン量で割った値Atを求める。
同様の測定を上記方法で分離精製したポリエステル樹脂においても行い、得られた二次イオン質量/二次イオン電化数(m/z)を全イオン量で割った値Apを求める。AtのApに対する比の値(At/Ap)をトナー粒子表面のポリエステル樹脂の存在率Spとする。トナー粒子100個の算術平均値を採用する。
なお、トナー粒子の表面にポリエステル樹脂が存在するかどうかの判断については、上記のモノマー分析によって同定したモノマー種由来のフラグメントイオンのピークが検出された場合に、トナー粒子の表面にポリエステル樹脂が存在していると判断する。
<ポリエステル樹脂の酸価の測定>
酸価は、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。酸価はJIS K0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置した後、濾過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。上記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1mol/Lの塩酸25mLを三角フラスコに取り、上記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、上記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した上記水酸化カリウム溶液の量から求められる力価である。上記0.1mol/Lの塩酸は、JIS K8001-1998に準じて作成されたものを用いる。
粉砕した結晶性ポリエステルの試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として上記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、上記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
空試験として試料を用いない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、Aは、酸価(mgKOH/g)であり、Bは、空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)であり、Cは、本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)であり、fは、水酸化カリウム溶液のファクターであり、Sは、試料の質量(g)である。
<トナーの複素弾性率G´の測定方法>
トナーの硬さは60℃における複素弾性率G´によって評価する。測定装置としては、回転平板型レオメーター「ARES」(TA INSTRUMENTS社製)を用いる。
測定試料としては、トナーを0.1g秤量し、室温(25℃)の環境下で、錠剤成型器を用いて、直径8.0mm、厚さ1.5±0.3mmの円板状に加圧成型した試料を用いる。
該試料を直径8.0mmのパラレルプレートに装着し、室温(25℃)から100℃に5分間で昇温して、3分間保持し、10分間かけて25℃まで試料を冷却する。その後、30分間25℃を保持してから測定を開始する。この際、初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットする。また、以下に述べるように、その後の測定においては、自動テンション調整(Auto Tension Adjustment ON)にすることで、ノーマルフォースの影響をキャンセルできる。測定は、以下の条件で行う。
(1)直径8.0mmのパラレルプレートを用いる。
(2)周波数(Frequency):1Hzとする。
(3)印加歪初期値(Strain)を0.05%に設定する。
(4)25℃以上70℃以下の温度範囲において、昇温速度(Ramp Rate)2.0[℃/分]で測定を行う。なお、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。自動歪み調整モード(Auto Strain)で測定を行う。
(5)最大歪(Max Applied Strain)を20.0%に設定する。
(6)最大トルク(Max Allowed Torque)を200.0[g・cm]に設定し、最低トルク(Min Allowed Torque)を0.2[g・cm]に設定する。
(7)歪み調整(Strain Adjustment)を20.0% of Current Strainに設定する。測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
(8)自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)に設定する。
(9)初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10gに設定し、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を10.0gに設定する。
(10)自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus):1.00×10Pa以上とする。
上記条件で、周波数1Hzで測定した際の、60℃における複素弾性率G´を求める。
<シリカ微粒子のSi-OH量測定方法>
シリカ微粒子のSi-OH量は、上述したシリカ微粒子のトナー表面からの分離方法により、トナーから分離したシリカ微粒子を用い、以下の方法により求めることができる。
エタノール25.0gと20質量%塩化ナトリウム水溶液75.0gを混合した試料液1を作製する。また、シリカ微粒子2.00gをガラス瓶に精秤し、エタノール25.0gと20質量%塩化ナトリウム水溶液75.0gを混合した溶媒を加えた試料液2を作製する。試料液2は5分以上マグネチックスターラーで撹拌し、シリカ微粒子を分散させる。
次いで試料液1及び2それぞれについて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を0.01mL/minで滴下しながら、試料液のpH変化を測定する。pH9.0に到達した時点の水酸化ナトリウム水溶液の滴定量(L)を記録する。下記式から1nmあた
りのSi-OH量Sn(個/nm)を算出することができる。
Sn={(a-b)×c×NA}/(d×e)
a:試料液2のNaOH滴定量(L)
b:試料液1のNaOH滴定量(L)
c:滴定に用いたNaOH溶液の濃度(mol/L)
NA:アボガドロ数
d:シリカ微粒子の質量(g)
e:シリカ微粒子のBET比表面積(nm/g:下記で得られた比表面積(m/g)より換算)
<シリカ微粒子のBET比表面積測定方法>
シリカ微粒子のBET比表面積は以下手順で測定する。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 Tri
Star3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行う。また、装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値をBET比表面積とする。
なお、BET比表面積は以下のようにして算出する。まず、シリカ微粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(P)と磁性体の窒素吸着量V(mol・g-1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(P)を窒素の飽和蒸気圧P(P)で除した値である相対圧Pを横軸とし、窒素吸着量V(mol・g-1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、シリカ微粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量V(mol・g-1)を、下記のBET式を適用して求める。
/V(1-P)=1/(V×C)+(C-1)×P/(V×C)
(ここでCはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をP、Y軸をP/V(1-P)とすると、傾きが(C-1)/(V×C)、切片が1/(V×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C-1)/(V×C)
直線の切片=1/(V×C)
の実測値とP/V(1-P)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VとCが算出できる。さらに、上記で算出したVと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm)から、下記の式に基づいて、シリカ微粒子のBET比表面積S(m/g)を算出する。
S=V×N×0.162×10-18
(ここで、Nはアボガドロ数(mol-1)である。)
本装置を用いた測定は、具体的には以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積5mL)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に0.1gのシリカ微粒子を入れる。シリカ微粒子を入れた試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を10時間継続する。
なお、真空脱気の際には、シリカ微粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には0.4Pa(約3mTorr)となる。
真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差からシリカ微粒子の正確な質量を算出する。なお、この際に、試料セル内のシリカ微粒子が大気中の水分などで汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、シリカ微粒子が入った試料セルに専用の等温ジャケットを取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。なお、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を、同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧P(P)は、装置に内蔵されたPチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してシリカ微粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(P)を随時計測することにより吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。
なお、データを収集する相対圧Pのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVを算出する。さらに、このVの値を用いて、前記したようにシリカ微粒子のBET比表面積を算出する。
<トナー粒子の表面に対するシリカ微粒子による被覆率Ssiの算出方法>
トナー粒子の表面に対するシリカ微粒子による被覆率Ssiは走査電子顕微鏡(SEM)観察により取得した反射電子像より算出する。反射電子像は“組成像”とも呼ばれており、原子番号の小さいものほど暗く、大きいものほど明るく検出される。トナーの反射電子像は以下の観察条件で取得する。以下に、トナーの反射電子像取得方法及びトナー粒子の表面に対するシリカ微粒子による被覆率の算出方法を記す。
<トナーの反射電子像取得方法>
使用装置:カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
加速電圧:1.0kV
WD:2.5mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:EsB(エネルギー選択式反射電子)
EsB Grid:700V
観察倍率:20,000倍
コントラスト:63.0±5.0%(参考値)
ブライトネス:38.0±5.0%(参考値)
解像度:1024×768ピクセル
前処理:トナーをカーボンテープに散布(Pt蒸着は行わない)
コントラスト及びブライトネスは、使用装置の状態に合わせ、適宜設定する。また、加速電圧及びEsB Gridは、トナーの最表面の構造情報の取得、未蒸着試料のチャージアップ防止、エネルギーの高い反射電子の選択的検出、といった項目を達成するように設定する。観察視野は、トナーの曲率が小さい箇所を選択する。
<トナーのシリカ被覆率の算出方法>
シリカ被覆率は、上記手法で得られたトナー最表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで取得する。以下に手順を示す。
まず、ImageメニューのTypeから、解析対象の反射電子像を8-bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。次に、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像全体を選択する。続いて、ImageメニューのAjustからThresholdを選択し、反射電子内のシリカ微粒子由来の輝度ピクセルのみが選択されるように輝度閾値(85~128(256諧調))を指定する。最後にAnalyzeメニューのMeasureを選択し、反射電子像中の輝度選択部分の面積率(面積%)の値を算出する。
上記手順を、評価対象のトナーにつき20視野について行い、その算術平均値をトナー粒子の表面に対するシリカ微粒子による被覆率Ssiとする。
<シリカ微粒子の個数平均粒径測定方法>
シリカ微粒子の個数平均粒径は、トナー表面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により取得される二次電子像から測定する。
(トナーの二次電子像取得方法)
使用装置:カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
加速電圧:1.0kV
WD:2.5mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:SE2(二次電子像)
観察倍率:50,000倍
解像度:1024×768ピクセル
前処理:トナーをカーボンテープに散布 (Pt蒸着は行わない)
得られた二次電子像からトナー粒子表面のシリカ微粒子の一次粒子100個について最長径を測定し、平均値をシリカ粒子の個数平均粒径とする。
<シリカ微粒子の含有量の測定>
シリカ微粒子含有量は上記のシリカ微粒子のトナー表面からの分離方法により得たシリカ微粒子とトナー粒子の質量を測定することで求める。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer
3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパー
チャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、本発明を製造例及び実施例により更に具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部を示す。
<シリカ微粒子1の製造例>
小粒径無機微粒子として未処理の乾式シリカ(一次粒子の個数平均粒径15nm、BET比表面積200m/g)と大粒径無機微粒子として未処理の乾式シリカ(一次粒子の個数平均粒径35nm、BET比表面積50m/g)を10:1の質量比で投入し、撹拌による流動化状態において、330℃に加熱した。反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、スプレーノズルを使用して第一表面処理剤として、オクタメチルシクロテトラシロキサンをゲージ圧が200kPaとなるまで噴霧、混合した。その後、加熱、撹拌を1時間継続し反応させることによって被覆処理した。
処理後、反応系内を窒素雰囲気に置換し、再び330℃に加熱した。引き続いて、第二表面処理剤として、未処理の乾式シリカ100部に対し、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製 KF-96-50CS)10部を噴霧処理し、さらに同様に1時間の被覆処理を実施して、シリカ微粒子1を得た。シリカ微粒子1の物性値を表1-2に示す。
<シリカ微粒子2~5、12,14,19の製造例>
第一表面処理剤の反応時間と、第二表面処理剤の部数と処理温度を表1-1に示すよう
に変更する以外は、シリカ微粒子1の製造例と同様にしてシリカ微粒子2~5、12,14,19を得た。
なお、表1-1における第二処理成分の構造に関し、式(3)で表される化合物の置換基の構造を示している。
<シリカ微粒子6~11、13、15、18、20の製造例>
表1-1に記載のようにシリカ微粒子基体を投入し、第二表面処理剤を両末端カルビノール変性シリコーンオイル(信越化学工業社製 KF―6002)とし、投入する未処理の乾式シリカのBET比表面積及び第一表面処理剤の反応時間と第二表面処理剤の部数と、第二表面処理剤の処理温度を表1-1に示すように変更する以外は、シリカ微粒子1の製造例と同様にしてシリカ微粒子6~11、13、15、18、20を得た。
<シリカ微粒子21の製造例>
無機微粒子として未処理の乾式シリカ(BET比表面積200m/g)を投入し、撹拌による流動化状態において、250℃に加熱した。反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、スプレーノズルを使用して第一表面処理剤として、未処理の乾式シリカ100部に対し、ヘキサメチルジシラザンを25部噴霧した。その後、加熱、撹拌を1時間継続し反応させることによって被覆処理し、シリカ微粒子21を得た。
Figure 2023163799000006
表1-1中、基体BET/m/gはシリカ微粒子基体のBET比表面積を示す。シリカ微粒子1~5,12~20において、基体BET/m/gの列は、BET比表面積200m/gの小粒径シリカ微粒子と50m/gの大粒径シリカ微粒子を、小粒径シリカ:大粒径シリカ=10:1の質量比で用いたことを示す。D4はオクタメチルシクロテトラシロキサンを示し、HMDSはヘキサメチルジシラザンを示す。入れ目に関し、HMDSは部数を示す。
Figure 2023163799000007

表1-2中、Bは、シリカ微粒子の比表面積B(m/g)である。洗浄前(D/S)/Bは、シリカ微粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法における分析での比の値(D/S)/Bである。洗浄後(D/S)/Bは、シリカ微粒子をクロロホルムで洗浄した後の比の値(D/S)/Bである。
例えば、「1.5E-03」の値は、「1.5×10-3」であることを示す。
<ポリエステル樹脂1の製造>
テレフタル酸:75部
ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物:100部
テトラブトキシチタネート:0.125部
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、撹拌装置を備えたオートクレーブ中に、上記ポリエステルモノマーを仕込み、窒素雰囲気下、常圧下、200℃で5時間反応を行った。その後トリメリット酸を2.1部及びテトラブトキシチタネートを0.120部追加し、220℃で3時間反応させ、更に10~20mmHgの減圧下で2時間反応してポリエステル樹脂1を得た。
得られたポリエステル樹脂1の物性は酸価=8.3mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)=11000、ガラス転移温度=72.5℃であった。
<ポリエステル樹脂2~5の製造例>
テレフタル酸やビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物といった原料の種類や量を表2に記載のように変更した以外はポリエステル樹脂の製造例1と同様にして、ポリエステル樹脂2~5を得た。物性を表2に示す。
Figure 2023163799000008

表中、TPAはテレフタル酸、BPA-POはビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物、TMAはトリメリット酸を示す。酸価の単位は、mgKOH/gである。
<トナー1の製造例>
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム2.3部を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて10,000rpmにて攪拌し、水系媒体を得た。また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100rpmで均一に溶解混合して樹脂含有単量体を調製した。
・スチレン 45.0部
・n-ブチルアクリレート 25.0部
・ポリエステル樹脂1 4.0部
また、下記の材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)で分散し、微粒状着色剤含有単量体を得た。
・スチレン 30.0部
・カーボンブラック 7.4部
・荷電制御剤ボントロンE-88(オリエント化学社製) 1.0部
・ワックス HNP-51(日本精鑞社製) 9.0部
次に、該微粒状着色剤含有単量体と該樹脂含有単量体を均一に混合して重合性単量体組成物を得た。その後、該重合性単量体組成物を60℃に加温し、次いで、該重合性単量体組成物を上記水系媒体中に投入して、重合性単量体組成物を造粒して該重合性単量体組成物の粒子を形成した。
そして、これに重合開始剤tert-ブチルパーオキシピバレート10.0部を加えて10分間造粒を継続させた。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100rpmで攪拌しつつ、75℃で5時間反応
させた後、85℃まで昇温し、さらに5時間反応を行い、重合反応を行った。重合反応終了後、粒子を含むスラリーを室温(25℃)まで冷却し、該スラリーに塩酸を加えてリン三カルシウムを溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。そして、該湿潤着色粒子を温度40℃にて72時間乾燥しトナー粒子1を得た。
<トナー1の製造>
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)を用いて、回転速度3500rpmの条件で、トナー粒子1:100部と、シリカ微粒子1:0.6部、酸化チタン粒子(個数平均粒径1.2μm):0.2部を入れ180秒間混合し、トナー混合物を得た。
その後、300メッシュ(目開き48μm)の篩を用いて粗大粒子を除去し、トナー1を得た。製造条件及び物性を表3に示す。
<トナー2~33>
トナー1において、ポリエステル樹脂の種類、ポリエステル樹脂粒子の添加量、シリカ微粒子の種類、シリカ微粒子の添加部数の添加部数を表3に示すように変更した以外は、トナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー2~33、を製造した。製造条件及び物性を表3に示す。
Figure 2023163799000009
得られたトナーを用いて、以下の評価を行った。
<初期及び耐久後の画像スジの評価>
画像スジは、長期間の印字におけるカートリッジ内の摩擦によってトナーが割れることにより発生する0.5mm程度の縦スジであり、全面ハーフトーン画像を出力した際に観察されやすい画像不良である。
画像形成装置としてLBP712Ci(キヤノン社製)の改造機を使用した。本体のプロセススピードを250mm/secに改造した。そして、この条件で画像形成が可能となるように必要な調整を行った。また、ブラック及びシアンカートリッジからトナーを除去し、代わりに評価するトナーを50gずつ充填した。トナー載り量は1.0mg/cmとした。
常温常湿環境下(23℃、60%RH)での連続使用時の画像スジを評価した。評価紙として、XEROX4200用紙(XEROX社製75g/m)を用いた。
常温常湿環境下において、印字率1%となるE文字画像を4秒ごとに2枚出力する間欠連続使用を1000枚実施し、その後全面に50%ハーフトーン画像を出力し、スジの有無を観察した。この時の評価結果を初期の画像スジ(初期スジ)とした。また、さらに14000枚を間欠連続使用した後に全面に50%ハーフトーン画像を出力し、スジの有無
を観察した。この時の評価結果を耐久後の画像スジ(耐久スジ)とした。A~Cを良好と判断した。評価結果を表4に示す。
(現像スジの評価基準)
A:スジやトナー塊が未発生。
B:斑点状のスジはないが、1~2個所の小さなトナー塊がある。
C:端部に斑点状のスジが1~2本ある、又は3~4カ所の小さなトナー塊がある。
D:全面に斑点状のスジが1~2本ある、又は5~6カ所の小さなトナー塊がある。
E : 全面に斑点状のスジが3本以上ある、又は7カ所以上の小さなトナー塊がある。
<高温高湿度環境での帯電性及びボタ落ち評価>
HP LaserJet Enterprise M609dnを、高速機での定着性評価を考慮して、プロセススピードを500mm/secに改造して使用した。また、外部電源を接続して転写バイアスを変えられるように改造し、帯電安定性、ボタ落ちの評価を行った。
32.5℃/80%RHの高温高湿環境に20日又は30日上記画出し試験機及び評価トナーの充填されたトナーカートリッジを放置したのち、上記画出し試験機で4ドットの横ラインを176ドットスペースおきに印字した横ラインパターンを2万枚プリントする試験を行った。
上記試験の初期及び2万枚プリント後に、トナーカートリッジ内の現像担持体上のトナーの帯電量(μC/g)を、ブローオフ粉体帯電量測定装置TB-200(東芝ケミカル社製)を用いて測定し、高温高湿環境での帯電性の評価を行った。帯電性の数値の絶対値が大きいほど、帯電性が高く環境安定性がある。また上記試験における2万枚目の画像サンプルを目視し下記の基準によりボタ落ちを評価した。帯電量とボタ落ちの評価ランクを下記のように決め評価した。
(帯電量の評価基準)
S:帯電量が-25.0μC/g未満
A:帯電量が-25.0μC/g以上-20.0μC/g未満
B:帯電量が-20.0μC/g以上-15.0μC/g未満
C:帯電量が-15.0μC/g以上-10.0μC/g未満
D:帯電量が-10.0μC/g以上
(ボタ落ちの評価基準)
S:30日放置後の評価で現像部でのボタ落ちは発生せず
A:20日放置後の評価で現像部でのボタ落ちは発生せず
B:20日放置後の評価で現像ブレード上にトナーの落下がみられるものの、画像上は問題ない。
C:20日放置後の評価で画像上に1か所ボタ落ちが発生
D:20日放置後の評価で画像上に2か所以上ボタ落ちが発生
この評価における「トナーボタ落ち」の発生とは、現像ローラのトナー規制部より下流部において、トナーが現像ローラ上に保持されずに現像ブレード上にトナーが落下している状態である。トナーボタ落ちが発生した状態で画像形成を継続すると、画像形成本体内や記録紙への汚染に発展し画像品質の低下が生じる。
Figure 2023163799000010
本開示は以下の構成に関する。
(構成1)
ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子及び該トナー粒子の表面のシリカ微粒子を含有するトナーであって、
該シリカ微粒子の飛行時間型二次イオン質量分析における測定において、下記式(1)で示される構造に対応するフラグメントイオンが観測され、
Figure 2023163799000011

該式(1)中、nは1以上の整数を示し、
該シリカ微粒子2.00gをエタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液に分散し水酸化ナトリウムを用いた滴定操作を行ったとき、
Sn={(a-b)×c×NA}/(d×e)で定義されるSnが、下記式(2)を満たし、
0.05≦Sn≦0.20 ・・・(2)
該式(2)において、
aは、該シリカ微粒子を分散させた該混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH滴定量(L)であり、
bは、エタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH滴定量(L)であり、
cは、滴定に用いたNaOH溶液の濃度(mol/L)であり、
NAは、アボガドロ数であり、
dは、該シリカ微粒子の質量(g)であり、
eは、該シリカ微粒子のBET比表面積(nm/g)であり、
該シリカ微粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するピークの面積をDとし、-140~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をSとし、該シリカ微粒子の比表面積をB(m/g)としたとき、(D/S)のBに対する比の値(D/S)/Bが、5.7×10-4~4.9×10-3であり、
該シリカ微粒子をクロロホルムで洗浄した後に測定した該(D/S)/Bが、1.7×10-4~4.9×10-3であり、
該ケミカルシフトにおいて、-19ppmを超え-17ppm以下の範囲にピークトップが存在するピークの面積をD1としたとき、D1のDに対する比の値(D1/D)が、0.09~0.32であり、
該トナー粒子の表面に該ポリエステル樹脂が存在する
ことを特徴とするトナー。
(構成2)
前記トナー粒子の表面における前記ポリエステル樹脂の存在率をSp(面積%)としたとき、該Spが、50面積%以上である構成1に記載のトナー。
(構成3)
前記ケミカルシフトにおいて、-23~-19ppmの範囲にピークトップが存在するピークの面積をD2としたとき、D1のD2に対する比の値(D1/D2)が、0.15~0.42である構成1又は2に記載のトナー。
(構成4)
前記D2の前記Dに対する比の値(D2/D)が、0.30~0.90である構成1~3のいずれかに記載のトナー。
(構成5)
前記トナーの表面の走査電子顕微鏡による観察像から算出した、前記トナー粒子の表面に対する前記シリカ微粒子による被覆率をSsiとしたとき、
該Ssiが、30面積%以上である構成1~4のいずれかに記載のトナー。
(構成6)
前記トナー粒子の表面における前記ポリエステル樹脂の存在率をSp(面積%)とし、
前記トナーの表面の走査電子顕微鏡による観察像から算出した、前記トナー粒子の表面に対する前記シリカ微粒子による被覆率をSsiとしたとき、
該Spの該Ssiに対する比の値(Sp/Ssi)が、0.70~2.50である構成1~5のいずれかに記載のトナー。
(構成7)
前記シリカ微粒子の含有量が、前記トナー粒子100質量部に対して、0.3~2.0質量部である構成1~6のいずれかに記載のトナー。
(構成8)
前記シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径が、5~50nmである構成1~7のいずれかに記載のトナー。
(構成9)
前記シリカ微粒子が、少なくとも下記式(3)で示される化合物で表面処理されている構成1~8のいずれかに記載のトナー。
Figure 2023163799000012

(式(3)中のR、Rは、それぞれ独立してカルビノール基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシ基、アルキル基、又は水素原子であり、mは1~200の整数である。)
(構成10)
前記トナー粒子の表面における前記ポリエステル樹脂の存在率をSp(面積%)とし、
前記ポリエステル樹脂の酸価をAv(mgKOH/g)としたとき、
該Avが、2.0~30.0であり、
該Sp、該Av及び前記Snより算出される(Av/Sp)/Snが、0.20~7.00である構成1~9のいずれかに記載のトナー。
(構成11)
前記シリカ微粒子が、シリカ微粒子の環状シロキサンによる処理物のシリコーンオイル処理物である構成1~10のいずれかに記載のトナー。

Claims (11)

  1. ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子及び該トナー粒子の表面のシリカ微粒子を含有するトナーであって、
    該シリカ微粒子の飛行時間型二次イオン質量分析における測定において、下記式(1)で示される構造に対応するフラグメントイオンが観測され、
    Figure 2023163799000013

    該式(1)中、nは1以上の整数を示し、
    該シリカ微粒子2.00gをエタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液に分散し水酸化ナトリウムを用いた滴定操作を行ったとき、
    Sn={(a-b)×c×NA}/(d×e)で定義されるSnが、下記式(2)を満たし、
    0.05≦Sn≦0.20 ・・・(2)
    該式(2)において、
    aは、該シリカ微粒子を分散させた該混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH滴定量(L)であり、
    bは、エタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH滴定量(L)であり、
    cは、滴定に用いたNaOH溶液の濃度(mol/L)であり、
    NAは、アボガドロ数であり、
    dは、該シリカ微粒子の質量(g)であり、
    eは、該シリカ微粒子のBET比表面積(nm/g)であり、
    該シリカ微粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するピークの面積をDとし、-140~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をSとし、該シリカ微粒子の比表面積をB(m/g)としたとき、
    (D/S)のBに対する比の値(D/S)/Bが、5.7×10-4~4.9×10-3であり、
    該シリカ微粒子をクロロホルムで洗浄した後に測定した該(D/S)/Bが、1.7×10-4~4.9×10-3であり、
    該ケミカルシフトにおいて、-19ppmを超え-17ppm以下の範囲にピークトップが存在するピークの面積をD1としたとき、D1のDに対する比の値(D1/D)が、0.09~0.32であり、
    該トナー粒子の表面に該ポリエステル樹脂が存在する
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記トナー粒子の表面における前記ポリエステル樹脂の存在率をSp(面積%)としたとき、該Spが、50面積%以上である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ケミカルシフトにおいて、-23~-19ppmの範囲にピークトップが存在するピークの面積をD2としたとき、D1のD2に対する比の値(D1/D2)が、0.15~0.42である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記D2の前記Dに対する比の値(D2/D)が、0.30~0.90である請求項1又は2に記載のトナー。
  5. 前記トナーの表面の走査電子顕微鏡による観察像から算出した、前記トナー粒子の表面に対する前記シリカ微粒子による被覆率をSsiとしたとき、
    該Ssiが、30面積%以上である請求項1又は2に記載のトナー。
  6. 前記トナー粒子の表面における前記ポリエステル樹脂の存在率をSp(面積%)とし、
    前記トナーの表面の走査電子顕微鏡による観察像から算出した、前記トナー粒子の表面に対する前記シリカ微粒子による被覆率をSsiとしたとき、
    該Spの該Ssiに対する比の値(Sp/Ssi)が、0.70~2.50である請求項1又は2に記載のトナー。
  7. 前記シリカ微粒子の含有量が、前記トナー粒子100質量部に対して、0.3~2.0質量部である請求項1又は2に記載のトナー。
  8. 前記シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径が、5~50nmである請求項1又は2に記載のトナー。
  9. 前記シリカ微粒子が、少なくとも下記式(3)で示される化合物で表面処理されている請求項1又は2に記載のトナー。
    Figure 2023163799000014

    (式(3)中のR、Rは、それぞれ独立してカルビノール基、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボキシ基、アルキル基、又は水素原子であり、mは1~200の整数である。)
  10. 前記トナー粒子の表面における前記ポリエステル樹脂の存在率をSp(面積%)とし、
    前記ポリエステル樹脂の酸価をAv(mgKOH/g)としたとき、
    該Avが、2.0~30.0であり、
    該Sp、該Av及び前記Snより算出される(Av/Sp)/Snが、0.20~7.00である請求項1又は2に記載のトナー。
  11. 前記シリカ微粒子が、シリカ微粒子の環状シロキサンによる処理物のシリコーンオイル処理物である請求項1又は2に記載のトナー。
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