JP2023163334A - Rfidタグ - Google Patents

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Akira Kawamura
明 渡辺
Akira Watanabe
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Abstract

【課題】人体や水のような高誘電体に接触した状態の通信距離が、接触していない状態よりも長いRFIDタグの提供。【解決手段】開口40を有するアンテナパターン30と、開口40の近傍でアンテナパターン30に電気的に接続されたICチップ20と、を備え、アンテナパターン30は、開口40を形成するインピーダンス整合部32と、第1端部35まで第1方向に延伸する第1放射導体33と、第2端部36まで第1方向とは反対向きの第2方向に向けて延伸する第2放射導体34と、を含み、第1端部35と第2端部36との間のアンテナ長Lは、2cm以上6cm以下であり、第1放射導体33の幅W1、第2放射導体34の幅W2及びインピーダンス整合部32の幅W3は、0.5cm以上3.0cm以下である、RFIDタグ。【選択図】図4A

Description

本開示は、RFIDタグに関する。
従来技術として、電磁界や電波を用いて非接触でデータの読み書きを行い、それらのデータによって認証を行うRFID(Radio Frequency Identification)技術が知られている。RFID技術は、在庫管理、入出荷管理、商品管理、物流等における業務の効率化・省力化を目的として、近年広く用いられている。
最近では、認証機能だけにとどまらず、貼付した対象物の温度データを非接触で取得できるセンサー機能を有したRFID用ICとこれを用いたタグが開発されている。
RFID技術の応用分野に関しても、従来のモノの管理を目的とした分野から、ヒトの管理を目的とした分野にも応用が広がりつつある。医療の現場では、患者の識別情報を非接触で得て管理することを目的として、RFIDタグを有したリストバンド等が開発されている。
しかし、RFIDタグを有したリストバンドを手首に装着して人体に密着させると、体内に70%前後含まれる体内水分によって、RFIDタグの読み書きのための通信距離の大幅な低下が起こるという問題があった。
水のような高誘電体による通信特性の低下は、フリースペースでは、通信距離が数十cmであるようなHF帯域(3MHz~30MHz)に比べて、通信距離が数mと長くなるUHF帯(920MHz)でより顕著となる。従来の技術では、UHF帯RFIDタグを有するリストバンドを人体に密着させると、ほとんど通信が行えなくなる。
このような問題に対して、人体とUHF帯RFIDタグの間に、5mm~15mmの空隙を形成するような構造のリストバンドが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、空気の内包部を有する弾性緩衝部材をスペーサーとして用いて、UHF帯域の電磁波が人体から受ける影響を小さくするリストバンドが知られている(例えば、特許文献2参照)。
一方、水分を多量に含む対象物上に直接貼付して使用する、UHF帯Near Field型RFIDタグがある。しかしながら、このRFIDタグの通信方式は、UHF帯RFIDリーダーが発する電磁波の電界成分と磁界成分のうち、近傍界(Near Field)で強くなる磁界成分による電磁誘導方式(磁界結合方式)である。電磁誘導方式(磁界結合方式)のUHF帯RFIDタグは、通信距離が数cm~数十cmと短く、電波方式のUHF帯RFIDタグに比べて、通信距離の面での制限がある。
特開2015-230502号公報 特開2016-186706号公報
従来においては、人体のような水分を多量に含む高誘電体に、UHF帯のRFIDタグが近接する場合、水による電磁波の反射や吸収の低減を考え、RFIDタグと高誘電体との間に空隙やスペーサー層を設けることで、通信距離の低下を防ぐことが考えられてきた。
この場合、UHF帯RFIDタグと対象物は、空隙やスペーサー層で分離された状態となり、温度センサー等のセンサー機能を有したRFIDタグによって、対象物の状態を正確にセンシングすることが難しくなる。
例えば、センサー機能を有したUHF帯RFIDタグを用いた、ウェアラブルな人体のバイタルセンシングを考えた場合、人体とセンサー機能を有したRFIDタグとは、直接接触していることが好ましい。
また、従来の空隙やスペーサー層を用いた方法では、たとえUHF帯のRFIDタグの通信距離の低下を低減できたとしても、その通信距離は、フリースペースでの通信距離よりも短くなる。このため、タグから情報をリーダーで読み込む際の通信距離は、人体に装着したタグよりも、フリースペースにある未装着のタグのほうが長くなり、タグが装着状態にあるのか、タグが未装着状態にあるのかを、区別することができない。また、未装着のタグの情報が読み込まれることで、データ処理が煩雑となる。
図1は、患者の識別情報をUHF帯RFIDタグ及びリーダーで管理する場合の病室内において、患者、看護師、装着されたRFIDタグ、及び未装着のRFIDタグの相対的な位置関係の一例を示す概略的な図である。RFIDタグからの情報の読み込みは、リーダー3によって行われる。図1に示すような一般的な病室では、看護師5が所持するリーダー3と患者1に装着されたタグ2との距離は、看護師5が所持するリーダー3と患者1に装着されていないタグ4又はタグ6との距離と、ほとんど違いがない。そのため、患者1に装着されていないタグ4又はタグ6の情報がリーダー3に読み込まれ、データの取得及び処理を効率的に行うことが難しくなるおそれがある。
図2は、UHF帯RFID用リーダーを備えたスマートゲートを人が通過する場合において、その通過者の装着したRFIDタグと、未装着のRFIDタグとの相対的な位置関係の一例を示す概略的な図である。温度センサー付きのタグを身体に装着した者が、RFIDリーダーを備えたスマートゲート7を通過するとき、その通過者の識別情報と体温情報とを管理したい場合がある。しかしながら、従来の技術では、人体に接触したタグ8と、人体に非接触のタグ9(例えば、ポケットの中のタグ)とを、区別することが困難であった。
また、データの取りこぼしを防ぐためには、RFIDタグの通信可能距離は、一対のスマートゲート7間の幅の1/2以上、すなわち、一対のスマートゲート7の中央部を通過する場合のリーダーとRFIDタグとの間の距離以上であることが望ましい。しかしながら、スマートゲート幅として、建築物移動等円滑化基準値である1.2m以上を考えた場合、通信可能距離が数cm~数十cmである従来のUHF帯Near Field型RFIDタグでは、ゲート通過者の識別情報や体温情報の取得に欠損が生じうる。そのため、ゲート通過者の管理が困難であった。
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、人体や水のような高誘電体に接触した状態の通信距離が、接触していない状態よりも長いRFIDタグを提供することにある。
本開示の一態様では、
第1表面と、前記第1表面とは反対側の第2表面とを有する絶縁層と、
前記第1表面の側に設けられ、開口を有するアンテナパターンと、
前記開口の近傍で前記アンテナパターンに電気的に接続されたICチップと、を備え、
前記アンテナパターンは、
前記開口を形成する環状パターンと、
前記環状パターンから第1端部まで第1方向に延伸する第1パターンと、
前記環状パターンから第2端部まで前記第1方向とは反対向きの第2方向に延伸する第2パターンと、を含み、
前記第2端部から前記第1端部まで前記第1方向のアンテナ長は、2cm以上6cm以下であり、
前記第1方向に平面視で直角な方向を第3方向とすると、
前記第1パターンは、前記第3方向の幅である第1導体幅を有し、
前記第2パターンは、前記第3方向の幅である第2導体幅を有し、
前記環状パターンは、前記第3方向の幅である第3導体幅を有し、
前記第1導体幅、前記第2導体幅及び前記第3導体幅は、0.5cm以上3.0cm以下であり、
比誘電率が12以上88以下の誘電体が前記絶縁層に接触した状態での通信距離をCLd、空気中での通信距離をCLaとするとき、CLdは、CLaよりも長い、RFIDタグが提供される。
上記のRFIDタグにあっては、
例えば、CLa/CLdは、0以上0.8以下である。
上記のRFIDタグにあっては、
前記第3導体幅は、前記第1導体幅及び前記第2導体幅と略等しくてもよい。
上記のRFIDタグにあっては、
前記第1パターンは、前記第3導体幅と同一幅で前記環状パターンから前記第1端部まで前記第1方向に延伸してもよく、
前記第2パターンは、前記第3導体幅と同一幅で前記環状パターンから前記第2端部まで前記第2方向に延伸してもよい。
上記のRFIDタグにあっては、
前記第2表面の側に設けられ、平面視で前記開口と重複する導電層を更に備えてもよい。
上記のRFIDタグにあっては、
前記導電層を備える場合、
例えば、CLa/CLdは、0以上0.1以下である。
上記のRFIDタグにあっては、
前記導電層の表面抵抗率は、8Ω/□以上50Ω/□以下でもよい。
本開示の一態様では、
前記第1パターンは、前記第1端部に開放端を有する第1凹凸構造を有してもよく、
前記第2パターンは、前記第2端部に開放端を有する第2凹凸構造を有してもよい。
前記第1凹凸構造は、前記第1端部に開放端を有するラダー状の凹凸構造でもよく、
前記第2凹凸構造は、前記第2端部に開放端を有するラダー状の凹凸構造でもよい。
あるいは、
前記第1凹凸構造は、前記第1端部又は前記開口に向けて先細るスパイク状の凹凸構造でもよく、
前記第2凹凸構造は、前記第2端部又は前記開口に向けて先細るスパイク状の凹凸構造でもよい。
本開示の一態様によれば、人体や水のような高誘電体に接触した状態の通信距離が、接触していない状態よりも長いRFIDタグを提供できる。
患者の識別情報をUHF帯RFIDタグ及びリーダーで管理する場合の病室内において、患者、看護師、装着されたRFIDタグ、及び未装着のRFIDタグの相対的な位置関係の一例を示す概略的な図である。 UHF帯RFID用リーダーを備えたスマートゲートを人が通過する場合において、その通過者の装着したRFIDタグと、未装着のRFIDタグとの相対的な位置関係の一例を示す概略的な図である。 種々の物質、並びに人体を構成する各種の組織及び臓器について、920MHz帯での比誘電率と誘電正接tanδを示す表である。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状A)である。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの断面図(アンテナ形状A)である。 比較の形態1に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状B)である。 比較の形態2に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状C-1)である。 比較の形態2に係るUHF帯RFIDタグの断面図(アンテナ形状C-1)である。 比較の形態3に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状C-2)である。 比較の形態4に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状C-3)である。 比較の形態5に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状D-1)である。 比較の形態6に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状D-2)である。 比較の形態7に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状D-3)である。 比較の形態8に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状E)である。 比較の形態9に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状F)である。 UHF帯RFIDタグの特性を表すパラメータであるフリースペースでの通信距離CLaの測定に関する概念図である。 UHF帯RFIDタグが高誘電体の人体に接触している状態での通信距離CLdの測定に関する概念図である。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ幅Wが0.3cmのときの、通信距離とアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ幅Wが0.5cmのときの、通信距離とアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ幅Wが1.0cmのときの、通信距離とアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長Lとアンテナ幅WとCLa/CLdとの関係を示す表である。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、接触対象物とアンテナ長LとCLaとCLdとCLa/CLdとの関係を示す表である。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ幅Wが0.5cmのときの、アンテナ長Lとタグアンテナの配向方向とフリースペースでの通信距離CLaとの関係を示す表である。 比較の形態2~9に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長LとCLaとCLdとCLa/CLdとの関係を示す表である。 フリースペースにあるRFIDタグを模擬した電磁界シミュレーションモデルの断面を示す模式図である。 高誘電体に直接接触した状態にあるRFIDタグを模擬した電磁界シミュレーションモデルの断面を示す模式図である。 実施の形態1(アンテナ形状A)に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにより得られた電流分布および電流ベクトルを示す図である。 比較の形態4(アンテナ形状C-3)に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにより得られた電流分布および電流ベクトルを示す図である。 比較の形態7(アンテナ形状D-3)に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにより得られた電流分布および電流ベクトルを示す図である。 比較の形態8(アンテナ形状E)に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにより得られた電流分布および電流ベクトルを示す図である。 実施の形態3(アンテナ形状G-7)に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにより得られた電流分布および電流ベクトルを示す図である。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20B使用)において、アンテナ幅Wが0.5cmのときの、通信距離とアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20B使用)において、アンテナ幅Wが0.5cmのときの、アンテナ長LとCLa/CLdとの関係を示す表である。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長Lが4cmのときの、通信距離とアンテナ幅Wとの関係を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長Lが4cmのときの、アンテナ幅WとCLa/CLdとの関係を示す表である。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにおいて、誘電体上に形成されたアンテナモデルの平面図である。 電磁界シミュレーションで得られるインピーダンスZの実部と虚部及びそれらの位相差を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにおいて、複数の異なる高誘電体にアンテナを接触させたときの、インピーダンスZの実部と虚部の位相差とアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにおいて、複数の異なる高誘電体にアンテナを接触させたときの、インピーダンスZの実部と虚部の位相差とアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにおいて、複数の異なる高誘電体にアンテナを接触させたときの、高誘電体の誘電正接tanδとアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにおいて、複数の異なる高誘電体にアンテナを接触させたときの、高誘電体の誘電正接tanδとアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。 実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにおいて、複数の異なる高誘電体にアンテナを接触させたときの、高誘電体の誘電正接tanδのピーク値とそのピーク値でのアンテナ長Lとを示す表である。 図20Aのアンテナ構造を用いて電磁界シミュレーションを行った場合の、高誘電体の誘電正接tanδとアンテナ幅Wとの関係を示す図である。 図20Aのアンテナ構造を用いて電磁界シミュレーションを行った場合の、アンテナの放射パターンを示す図である。 実施の形態2に係るUHF帯RFIDタグの平面図である。 実施の形態2に係るUHF帯RFIDタグの断面図である。 実施の形態2に係るUHF帯RFIDタグにおいて、通信距離と導電層の表面抵抗率との関係を示す図である。 実施の形態2に係るUHF帯RFIDタグにおいて、通信距離と導電層の表面抵抗率との関係を示す図である。 実施の形態3に係るUHF帯RFIDタグの平面図である。 実施の形態1及び形態3に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ形状とCLaとCLdとCLa/CLdとの関係を示す表である。 実施の形態3に係るアンテナ形状G-7を有するUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A)において、第1接続部又は第2接続部にある尖頭とインピーダンス整合部の開口とのギャップDが通信距離に与える影響を示すグラフである。 UHF帯RFIDタグを入れた直径40mmの円筒ガラス容器に水を満たしてく状態を示す図である。 UHF帯RFIDタグを入れた直径40mmの円筒ガラス容器内の水体積と通信距離Cldとの関係を示す図である。 直径40mmの円筒ガラス容器に入れたUHF帯RFIDタグの平面図である。 図38に示すアンテナ形状を有するRFIDタグ(ICチップ20A使用)を水没させた状態において、リーダーのアンテナから250cmの距離での通信の可否と、ギャップDとの関係を示す表である。
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。理解の容易のため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、ならびに、同一および等しいなどの用語には、実施形態の作用及び効果を損なわない程度のずれが許容される。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を表す。X軸方向とY軸方向とZ軸方向は、互いに直交する。
図3は、種々の物質、並びに人体を構成する各種の組織及び臓器について、920MHz帯での比誘電率と誘電正接tanδを示す表である。本実施の形態に係るUHF帯RFIDタグは、例えば、人の識別情報や体温情報等を取得し管理するために、人体に装着されて使用される。そのため、本実施の形態に係るUHF帯RFIDタグは、比誘電率が12以上の比較的低い組織である爪や比誘電率が40以上の肌に直接接触した状態で使用できることが要求される。さらに、本実施の形態に係るUHF帯RFIDタグは、人体に装着された状態での発汗を考慮すれば、比誘電率が80前後の水に直接接触した状態で使用できることが要求される。このように、本実施の形態に係るUHF帯RFIDタグは、比誘電率が12以上88以下の高誘電体に直接に接触した状態で使用できることが要求される。
さらに、高誘電体に装着したタグと未装着のタグを判別しデータ処理の効率化を図るため、本実施の形態に係るUHF帯RFIDタグでは、高誘電体接触状態での通信距離であるCLdは、フリースペース(空気中)での通信距離であるCLaよりも長いことが要求される。それらの比として定義されるパラメータであるCLa/CLdは、0以上1.0未満であることが要求される。高誘電体に装着したタグと未装着のタグとの判別性を向上させるため、好ましくは0以上0.9以下、より好ましくは0以上0.8以下であることが要求される。
ここでの通信距離CL(CLd又はCLa)は、リーダーのアンテナ面とRFIDタグのICチップとの間の距離として計測される。また、CLa/CLdが0という定義には、UHF帯RFIDタグがリーダーのアンテナに直接接触することで通信が起こる場合や、リーダーのアンテナからタグまでの距離が1cm前後と短く、電磁誘導方式で通信が起こる場合を含めている。図1の病室や図2のバイタルセンシングの現場での使用においては、1m前後の通信距離CLdが要求される。
次に、本実施の形態に係るUHF帯RFIDタグの各要素を詳述する。
(実施の形態1)
[RFIDタグのアンテナパターン形状]
図4Aは、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状A)である。図4Bは、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの断面図(アンテナ形状A)である。図4A及び図4Bを参照して、実施の形態1に係るRFIDタグの101について説明する。実施の形態1に係るRFIDタグ101は、絶縁基材10、アンテナパターン30及びICチップ20を備える。
絶縁基材10は、絶縁層の一例である。絶縁基材10は、第1表面11と第2表面12とを有する板状又はフィルム状の部材である。第1表面11は、Z軸方向の正側に面する。第2表面12は、第1表面11とはZ軸方向において反対側の表面であり、Z軸方向の負側に面する。この例では、絶縁基材10は、平面視において、X軸方向を長手方向とする矩形状の外形を有する。しかし、絶縁基材10の外形は、矩形以外の形状でもよく、例えば、X軸方向に平行な長軸を有する楕円、X軸方向に平行な辺とY軸方向に平行な辺が等しい正方形などでもよい。
絶縁基材10の材質は、特に限定はされないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素化樹脂共重合体、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステルスルフォン、ポリエーテルイミド、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリアセタール等の樹脂基材や、紙基材等、紙フェノール基材、紙エポキシ基材、ガラスコンポジット基材、ガラスエポキシ基材等の複合基材等が挙げられる。可撓性の観点からは、樹脂基材や紙基材等が好ましい。絶縁基材10の厚さは、基板の柔軟性、強度の観点から、8~1000μmが好ましく、8~150μmがより好ましい。
アンテナパターン30は、第1表面11の側に設けられた平面状の導体であり、開口40を有する。アンテナパターン30は、絶縁基材10の第1表面11に所定の公知の方法で平面状に形成された導電層でよい。
アンテナパターン30の材質は、特に限定はされないが、導電性を有する導体から形成される。例えば、アルミニウム、銅、金、白金、銀、ニッケル、クロム、亜鉛、鉛、タングステン、鉄等の金属であってもよい。アンテナパターン30の材質は、酸化スズもしくはITO(酸化インジウムスズ)等の金属酸化物、金、銀もしくは銅等の金属ナノワイヤーを用いた導電膜、樹脂に上記金属粉や導電性カーボン材料を混合した導電性樹脂混合物、または導電性樹脂のフィルム等であってもよい。アンテナ層(アンテナパターン30)の厚さは、柔軟性、強度の観点から、0.05~1000μmが好ましく、1~100μmがより好ましい。
ICチップ20は、開口40の近傍でアンテナパターン30に電気的に接続された半導体部品である。ICチップ20は、RFIDタグ101外部に存在するリーダー等の通信機器との間で、所定の情報をアンテナパターン30によって送受する。ICチップ20は、RFIDタグ101が接触する高誘電体の状態を検知するセンサーを有してもよい。ICチップ20は、アンテナパターン30を介して、センサーにより検知された状態を表す情報を送信する。センサーにより検知される物理量は、特に限定されず、例えば、温度、電流、電圧、抵抗値、圧力、気流などでもよい。RFIDタグ101が接触する高誘電体が人体の場合、センサーは、人体の生体情報(例えば、体温、脈拍、血圧など)を検知するものでもよい。
ICチップ20は、アンテナパターン30と同層に配置されてもよいし、アンテナパターン30とは異なる層に配置されてもよい。ICチップ20は、アンテナパターン30に引き出し線を介して電気的に接続されてもよいし、アンテナパターン30に設けられた電極に実装されてもよい。ICチップ20は、アンテナパターン30に形成されたスリット又は切り欠きを跨ぐように配置されてもよい。
アンテナパターン30は、給電部31、インピーダンス整合部32、第1放射導体33及び第2放射導体34を含み、ダイポールアンテナを形成するパターンである。
給電部31は、ICチップ20が電気的に接続された箇所である。ICチップ20は、給電部31を介してアンテナパターン30に給電する。給電部31は、例えば、アンテナパターン30に形成された導体部(例えば、引き出し線、電極、スリット又は切り欠きなど)である。
インピーダンス整合部32は、開口を形成する環状パターンの一例である。インピーダンス整合部32は、給電部31が近傍に設けられた辺41を有する略四辺形の開口40を形成する環状導体である。開口40は、X軸方向に平行な一対の辺41と、Y軸方向に平行な一対の辺42とを有する。インピーダンス整合部32は、給電部31を含む領域において、開口40を囲うループ回路を形成する。インピーダンス整合部32は、このループ回路の作用によって、ICチップ20とアンテナパターン30との間で(具体的には、ICチップ20と第1放射導体33及び第2放射導体34との間で)、インピーダンスを整合する。
開口40の形状は、図示の形態では、X軸方向に平行な一対の長辺(一対の辺41)と、Y軸方向に平行な一対の短辺(一対の辺42)とを有する略四辺形である。しかし、開口40の形状は、図示の形態に限られず、例えば、X軸方向に平行な一対の短辺と、Y軸方向に平行な一対の長辺とを有する略四辺形でもよい。開口40の形状である略四辺形には、完全な四辺形が含まれてもよい。"略"とは、角又は辺が丸みを帯びていることを表す。四辺形には、長方形、ひし形、平行四辺形、正方形が含まれてもよい。開口40の形状は、四辺形以外の多角形、円形、楕円でもよい。
アンテナパターン30とICチップ20との間でインピーダンス整合が取れていない場合には、信号の反射が起こってしまい、RFIDタグ101の通信距離が低下する。UHF帯RFIDタグ用のICチップ20のインピーダンスは、数十~百数十Ωの範囲であり、統一されてはいない。インピーダンス整合部32のループ状構造の大きさや形状によって、複素インピーダンスの虚部(リアクタンス)を制御することで、ICチップ20とのインピーダンス整合を取ることができる。
第1放射導体33は、環状パターンから第1端部まで第1方向に延伸する第1パターンの一例である。第1放射導体33は、第1方向(この例では、X軸方向の正側)に向けて、インピーダンス整合部32の第1方向側から延伸する。この例では、第1放射導体33は、X軸方向を長手方向とする帯状領域である。第1放射導体33は、第1方向側の第1端部35を有する。
第2放射導体34は、環状パターンから第2端部まで第1方向とは反対向きの第2方向に延伸する第2パターンの一例である。第2放射導体34は、第1方向とは反対向きの第2方向(この例では、X軸方向の負側)に向けて、インピーダンス整合部32の第2方向側から延伸する。この例では、第2放射導体34は、X軸方向を長手方向とする帯状領域である。第2放射導体34は、第2方向側の第2端部36を有する。
この例では、第1放射導体33は、インピーダンス整合部32のY軸方向の幅と同一幅でインピーダンス整合部32から第1端部35まで第1方向に延伸する。一方、第2放射導体34は、インピーダンス整合部32のY軸方向の幅と同一幅でインピーダンス整合部32から第2端部36まで第2方向に延伸する。
第1方向に平面視で直角な方向を第3方向とすると、この例では、Y軸方向の正側又は負側に向かう方向に相当する。第1放射導体33は、第3方向の幅である第1導体幅を有し、第2放射導体34は、第3方向の幅である第2導体幅を有し、インピーダンス整合部32は、第3方向の幅である第3導体幅を有する。ここでは、第1放射導体33の第3方向の幅をW1、第2放射導体34の第3方向の幅をW2、インピーダンス整合部32の第3方向の幅をW3と定義する。導体幅W1,W2,W3を、まとめて、アンテナ幅Wともいう。図4Aは、幅W1と幅W2と幅W3が等しい場合を例示する。しかし、幅W1と幅W2と幅W3は、0.5cm以上3.0cm以下を満たす限り、互いに異なる寸法でもよい。
RFIDタグ101は、アンテナパターン30及びICチップ20を覆う絶縁層50(図4B参照)を備えてもよい。アンテナパターン30及びICチップ20は、絶縁基材10と絶縁層50との間に挟まれる。絶縁層50は、アンテナパターン30及びICチップ20の保護膜として機能する。絶縁層50の材質及び厚さの例示は、絶縁基材10の材質及び厚さの上述の例示と同じでよい。
次に、本実施の形態と比較される形態(比較の形態)について説明する。
[比較の形態1]
図4Cは、比較の形態1に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状B)である。比較の形態1に係るRFIDタグ301は、一般的なメアンダライン型アンテナを有する。RFIDタグ301は、クランク状に折れ曲がった導体からなるメアンダラインアンテナ120と、タグの中央に位置するループ状の導体からなるインピーダンス整合部132と、インピーダンス整合部32に配置されたICチップ130と、を備える。フリースペースでのダイポールアンテナの最適長は、UHF帯(920MHz)では約16cmに及ぶため、RFIDタグの小型化を図るために、メアンダライン構造を用いることが一般的である。
図5Aは、比較の形態2に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状C-1)である。図5Bは、比較の形態2に係るUHF帯RFIDタグの断面図(アンテナ形状C-1)である。図5Cは、比較の形態3に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状C-2)である。図5Dは、比較の形態4に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状C-3)である。比較の形態1に係るRFIDタグ301と同様に、比較の形態2,3,4に係るRFIDタグ302,303,304は、メアンダラインアンテナ120と、インピーダンス整合部132と、ICチップ130と、を備える。RFIDタグ302,303,304では、インピーダンス整合部132の長手方向の両端部から延伸するメアンダラインアンテナ120の折れ曲がり回数が、互いに異なる。
図6Aは、比較の形態5に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状D-1)である。図6Bは、比較の形態6に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状D-2)である。図6Cは、比較の形態7に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状D-3)である。比較の形態1に係るRFIDタグ301と同様に、比較の形態5,6,7に係るRFIDタグ305,306,307は、メアンダラインアンテナ120と、インピーダンス整合部132と、ICチップ130と、を備える。RFIDタグ305,306,307では、インピーダンス整合部132の短手方向の端部から延伸してから分岐するメアンダラインアンテナ120の折れ曲がり回数が、互いに異なる。
図7Aは、比較の形態8に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状E)である。図7Bは、比較の形態9に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状F)である。比較の形態1に係るRFIDタグ301と同様に、比較の形態8,9に係るRFIDタグ308,309は、メアンダラインアンテナ120と、インピーダンス整合部132と、ICチップ130と、を備える。RFIDタグ308は、インピーダンス整合部132を中心とする略Z字状のアンテナパターンを含む。RFIDタグ309は、インピーダンス整合部132を中心とする略H字状のアンテナパターンを含む。
[実施の形態1と比較の形態1~9との相違点]
図4A,4Bに示す実施の形態1(アンテナ形状A)に係るUHF帯RFIDタグ101では、アンテナパターン30は、略四辺形の開口40が形成されたインピーダンス整合部32の長手方向に沿って直線状に延伸する一対のアンテナ端43,44を有する。第1のアンテナ端43は、インピーダンス整合部32の第1の辺41に沿って対向し、第2のアンテナ端44は、インピーダンス整合部32の第2の辺41(第1の辺41の対辺)に対向する。ICチップ20は、第1の辺41と第1のアンテナ端43との間の導体部である給電部31に配置されている。
図4A,4Bに示す実施の形態1(アンテナ形状A)は、放射導体(第1放射導体33及び第2放射導体34)がインピーダンス整合部32から連続的かつ直線的にX軸方向に繋がって延びている。これに対し、図4C~図7Bに示す比較の形態1~9(アンテナ形状B~F)は、放射導体(メアンダラインアンテナ120)がインピーダンス整合部132に連続的かつ直線的にX軸方向に繋がらずに屈曲する部分を有している点で、アンテナ形状Aと相違する。比較の形態1~9では、放射導体が屈曲し、放射導体に流れる電流のベクトルの方向が反対向きとなる対向部分が形成されているのに対し、実施の形態1(アンテナ形状A)では、そのような対向部分は形成されていない。
放射導体とインピーダンス整合部との間の屈曲部の有無、及び、アンテナパターンのアンテナ長Lは、高誘電体接触状態での通信距離CLdがフリースペースでの通信距離CLaよりも長くなるUHF帯RFIDタグを実現するための因子の一つである。
図4A,4Bに示す実施の形態1(アンテナ形状A)において、アンテナ長Lは、第1端部35と第2端部36との間の長さ(距離)に相当し、第1放射導体33及び第2放射導体は、電流ベクトルが屈曲する点(屈曲点)を有しない。これに対し、図4C~図7Bに示す比較の形態1~9では、メアンダラインアンテナ120は、屈曲点を有する。電流密度が屈曲点で高くなるので、高誘電体との接触によって屈曲点での放射現象が起こりやすくなり、屈曲点での誘電損失が大きくなりやすい。この屈曲点の存在が、高誘電体との接触で通信距離が低下する原因の一つとなる。
[通信距離の測定]
図8は、UHF帯RFIDタグの通信距離の測定方法を示す概念図である。図8Aは、UHF帯RFIDタグの特性を表すパラメータであるフリースペースでの通信距離CLaの測定に関する概念図である。図8Bは、UHF帯RFIDタグが高誘電体の人体に接触している状態での通信距離CLdの測定に関する概念図である。
測定装置70は、リーダ・ライタ71とアンテナ72を有する。図8Aでは、空気中に配置された状態でのタグ73の通信距離を測定するため、タグ73は、発泡スチロールプレート74に固定されている。図8Bでは、タグ73は、人体75の肌(肩)に取り付けられている。
測定装置70で、比較の形態1(アンテナ形状B)に係るRFIDタグ301の通信距離(リーダ・ライタ71でRFIDタグ301の識別情報を読み込むことが可能な最大距離)を測定したところ、フリースペースでの通信距離CLaは、5m以上と測定される。しかし、このRFIDタグ301を人肌(肩)に直接に装着した状態での通信距離CLdは、10cm以下と測定される。それらの比から算出されるパラメータCLa/CLdは、60.4であり、1よりも非常に大きい。つまり、比較の形態1(アンテナ形状B)に係るRFIDタグ301では、高誘電体接触状態での通信距離CLdは、フリースペースでの通信距離CLaよりも短い。
これに対し、実施の形態1(アンテナ形状A)に係るRFIDタグ101では、アンテナ長L及びアンテナ幅W(幅W1,W2,W3)を所定の寸法範囲に設定することで、比誘電率が12以上88以下の高誘電体の接触状態での通信距離CLdは、フリースペースでの通信距離CLaよりも長くなる。なお、明細書中の説明において特に断りのない限り、アンテナ幅Wの数値は、W1=W2=W3の場合の数値とする。
図9A,9B,9Cは、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長Lがフリースペースでの通信距離CLa及び肌(肩)への直接接触状態での通信距離CLdに与える影響を示すグラフである。図9A,9B,9Cは、それぞれ、アンテナ幅Wが0.3cm、0.5cm、1.0cmのときを示す。図9A,9B,9Cは、ICチップ20にICチップ20Aを使用した場合を示す。
ICチップ20Aは、ICチップ20の一例であり、100Ω以下の入力インピーダンスを有するチップである。
実施の形態1に係るRFIDタグ101では、アンテナ長Lが12cmよりも長い場合、アンテナ幅Wの違いによらず、フリースペースでの通信距離CLaは、660cm以上であり、長距離通信が可能である。しかしながら、アンテナ長Lが12cmよりも短い場合、通信距離CLaは、アンテナ長Lが短くなるほど、急激に減少する。
これに対して、RFIDタグ101を人肌(肩)に直接に装着した場合の通信距離CLdは、アンテナ長Lが8cm以上の範囲では、アンテナ幅Wの違いによらず、フリースペースでの通信距離CLaよりも短い。しかし、アンテナ長Lが2cm以上6cm以下の範囲では、アンテナ幅Wの違いによらず、肌(肩)接触状態での通信距離CLdが、フリースペースでの通信距離CLaよりも長くなる逆転現象が起こる。
このように、実施の形態1に係るRFIDタグ101は、アンテナ長Lが2cm以上6cm以下の範囲では、アンテナ幅Wの違いによらず、人肌(肩)に直接に装着した場合の通信距離CLdは、フリースペースでの通信距離CLaよりも長いという特徴を有する。
図10は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長Lとアンテナ幅WとCLa/CLdとの関係を示す表である。図10に示すCLa/CLdは、RFIDタグ101に関して、フリースペースでの通信距離CLaと肌(肩)に直接接触して装着した状態での通信距離CLdとの比に相当する。
図10に示すように、RFIDタグ101において、アンテナ長Lが2cm~6cmの範囲では、アンテナ幅Wの違いによらず、CLa/CLdは、1より小さい。つまり、肌(肩)接触状態での通信距離CLdは、フリースペースでの通信距離CLaよりも長い。
RFIDタグ101において、アンテナ長Lが2cm~6cmの範囲では、CLa/CLdの上限値は、アンテナ幅Wが0.3、0.5及び1.0cmのとき、それぞれ、0.98、0.67、及び0.73である。アンテナ幅Wが0.3cmの場合、CLa/CLdは1に近く、フリースペースと人肌(肩)での通信距離の違いが小さい。これに対して、アンテナ幅Wが0.5cmおよび1.0cmの場合、CLa/CLdは、0.8以下である。
RFIDタグ101において、アンテナ長Lが1.5cmまで短くなると、CLa/CLdは、増加に転じる。CLa/CLdは、アンテナ幅Wが0.3、0.5及び1.0cmのとき、それぞれ、1.02、0.98、及び0.87である。このように、アンテナ長Lが1.5cmのとき、アンテナ幅Wがいずれの場合でも、CLa/CLdは、0.8より大きい。この原因としては、UHF帯Near Field型RFIDタグの場合のように、通信距離CLの減少に伴い、電磁誘導による影響が強くなることが挙げられる。
図11は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、接触対象物とアンテナ長LとCLaとCLdとCLa/CLdとの関係を示す表である。図11は、アンテナ幅Wが1.0cmの場合を示す。図11の通信距離Cldは、爪(比誘電率:12.4)に接触した状態、60mlの水(比誘電率:81)を入れたポリプロピレン容器の底面に接触した状態、及び、60mlの氷水(比誘電率87.4)を入れたポリプロピレン容器の底面に接触した状態を示す。ポリプロピレン容器の寸法は、幅6cm、長さ9cm、高さ5cm、厚さ1.5mmである。
図11に示すように、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの場合、比誘電率が12.4以上87.4以下のいずれの高誘電体に接触した状態でも、アンテナ長Lが2cm~6cmの範囲において、CLa/CLdは、0.8以下である。
図12は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ幅Wが0.5cmのときの、アンテナ長Lとタグアンテナの配向方向とフリースペースでの通信距離CLaとの関係を示す表である。タグアンテナとは、図4Aに示す実施の形態1では、アンテナパターン30に相当する。通信距離CLaは、図8Aに測定装置70(リーダ・ライタ71及びアンテナ72)によって測定された値である。
「(a)横」は、タグアンテナ面(アンテナパターン30のZ軸方向の正側に面する表面)がリーダー側のアンテナ72の表面に平行で、タグアンテナの長手方向が地面に対して横向き(地面に対して略平行)の配向方向の場合を示す。「(b)縦」は、タグアンテナ面がリーダー側のアンテナ72の表面に平行で、タグアンテナの長手方向が地面に対して縦向き(地面に対して略垂直)の配向方向の場合を示す。「(c)水平」は、タグアンテナ面がリーダー側のアンテナ72の表面に垂直で、タグアンテナの長手方向が地面に対して横向きの配向方向の場合を示す。
アンテナ長Lが3cm以下の場合、「(c)水平」は、「(a)横」及び「(b)縦」に比べて、アンテナ長Lの減少に伴う通信距離CLaの低下が起こっていない。この原因は、UHF帯Near Field型RFIDタグの場合のように、通信距離CLの減少に伴い、電磁誘導による影響が強くなることが挙げられる。
アンテナ長Lが3cmよりも長い場合、タグアンテナの配向方向の依存性はほとんど無視できる程度である。しかし、上記のようなタグアンテナの配向方向依存が顕著である場合には、複数の異なる配向方向での通信距離の値の中での最大値を示したタグアンテナが採用される。
図13は、図5A~5D,6A~6C,7A,7Bに示す比較の形態2~9に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長LとCLaとCLdとCLa/CLdとの関係を示す表である。図13の通信距離CLdは、人肌(肩)に直接に装着した場合を示す。比較の形態2~9(アンテナ形状C-1,C-2,C-3,D-1,D-2,D-3,E,F)では、CLa/CLdが0.8よりも高い。また、比較の形態2~9での通信距離CLdは、実施の形態1(アンテナ形状A)での通信距離CLd(図9B(アンテナ幅W=0.5cm)及び図9C(アンテナ幅W=1.0cm)参照)に比べて低い。
[アンテナ形状がCLd及びCLa/CLdに影響を及ぼす原因]
次に、アンテナ形状がCLd及びCLa/CLdに影響を及ぼす原因について、図14A及び図14Bに示すモデルを用いた電磁界シミュレーションの結果を示して説明する。
図14Aは、フリースペースにあるRFIDタグを模擬した電磁界シミュレーションモデルの断面を示す模式図である。このモデルの構造は、厚さ100μmのPET絶縁層203上に50μmのアルミニウムからなるアンテナパターン202があり、その上層及び下層のそれぞれに、60mmの厚さの空気層201,205がある。
図14Bは、人肌(肩)上にあるRFIDタグを模擬した電磁界シミュレーションモデルの断面を示す模式図である。図14Bのモデルは、図14Aの構造に加えて、厚さ100μmのPET絶縁層203と空気層205との間に、40mmの厚さの高誘電体層204(肌(wet)を想定した46.002の比誘電率)が介在する構造を有する。
空気層201,205及び高誘電体層204は、シミュレーションがそれらの厚さの影響をほとんど受けなくなる十分な厚さに設定されている。
図15A、15B、15C、15D、15Eは、種々の形状のRFIDタグに対する電磁界シミュレーションにより得られた電流分布および電流ベクトルを示す図である。各図において、電流分布密度の高いところほど、より明るく白く表示されている。また、電流ベクトルの方向を矢印で示す。
図15Aに示すアンテナ形状Aを有するRFIDタグ101においては、屈曲点が存在しないため、アンテナ部の電流分布は均一で、ICチップ20が装着されるインピーダンス整合部32で最も電流分布の密度が高くなっている。
これに対して、図15Bに示すアンテナ形状C-3及び図15Cに示すアンテナ形状D-3を有するRFIDタグでは、屈曲点が存在するため、それらの部分で不均一な電流分布が起こっている。さらに、クランク状の折れ曲がり構造のところで、電流ベクトルの方向が異なることで、電流分布密度が高くなっている。さらに、アンテナとループ状のインピーダンス整合部が分離された構造となっているため、ICチップが装着されるインピーダンス整合部の中央部よりも、ループ状のインピーダンス整合部の外側のエッジ部分で電流分布密度が高くなっている。これらの不均一な電流分布密度は、アンテナからICチップへの電流供給を阻害し、高誘電体に接触する場合には、不均一な電流分布密度となっている折れ曲がり点等で、誘電損失が大きくなると考えられる。
図15Dに示すアンテナ形状Eを有するRFIDタグにおいても、クランク状の折れ曲がり構造のところで、電流ベクトルの方向が異なることで、電流分布密度が高くなっている。このため、アンテナ形状Aと同様なアンテナ幅(0.5cm)を有しているにも関わらず、高誘電体との接触で、折れ曲がり点での誘電損失が大きくなると考えられる。
図3に示されるように、高誘電体は、エネルギー損失の度合いを表す誘電正接tanδの値が大きい。このため、高誘電体に接触した状態で使用されるUHF帯RFIDタグのアンテナ構造においては、誘電損失によって通信距離の低下の起こりやすい折れ曲がり点を減らした構造が有利となる。実施の形態1に係るUHF帯RFIDのアンテナ形状Aは、それに最も合致した構造となっている。また、折れ曲がりのないシンプルな形状により、アンテナのパターニング等のプロセスを簡略化できることから、製造コスト面での利点も有している。
[異なるICチップへの適用]
次に、ICチップの違いによる、通信距離及びアンテナ長Lの変化について説明する。
図16は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20B使用)において、アンテナ幅Wが0.5cmのときの、通信距離とアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。図9B(アンテナ幅W=0.5cm)は、ICチップ20Aを使用した場合を示すのに対し、図16は、ICチップ20Bを使用した場合を示す。ICチップ20AとICチップ20Bでの違いの一つは、入力インピーダンスである。ICチップ20Bに関して公開されている等価回路から計算される入力インピーダンスは、100Ω以上であった。これに対して、ICチップ20Aを有する既存UHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションでは、100Ω以下の入力インピーダンスを示した。
図16に示すように、図9Bの場合と同様に、アンテナ長Lが2cm以上6cm以下の範囲では、肌(肩)接触状態での通信距離CLdが、フリースペースでの通信距離CLaよりも長くなる逆転現象が起こる。
図17は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20B使用)において、アンテナ幅Wが0.5cmのときの、アンテナ長LとCLa/CLdとの関係を示す表であり、図16に示すデータをまとめたものである。アンテナ長Lが2cm~6cmの範囲のCLa/CLdの上限値は、0.8以下であり、ICチップ20Aを使用する場合と同様である。これにより、アンテナ形状Aを有するUHF帯RFIDの構造は、入力インピーダンスの異なるICチップにも用いることが可能である。
また、ICチップ20Bを使用する場合、アンテナ長Lが2cm~4cmの範囲では、肌(肩)に直接装着した状態の通信距離CLdは、100cm以下ではあるものの(図16参照)、通信距離CLaが0のため、CLa/CLdは0である(図17参照)。このように、アンテナ形状Aを有するUHF帯RFIDの構造は、高誘電体接触状態では通信感度を確保しつつ、フリースペースでの通信感度を限りなく零に近づけることができる。
[高誘電体に接触するRFIDタグのアンテナ幅W]
次に、高誘電体に接触した状態での通信距離に対してアンテナ幅Wが与える影響について説明する。
図18は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長Lが4cmのときの、通信距離とアンテナ幅Wとの関係を示すグラフである。0.3cm以上3.5m以下のアンテナ幅Wを有するRFIDタグ101では、肩に直接装着した状態の通信距離CLdは、フリースペースでの通信距離CLaよりも長く、且つ、100cm以上である。通信距離CLdは、アンテナ幅Wが2cmのとき、極大値をとる。
図19は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長Lが4cmのときの、アンテナ幅WとCLa/CLdとの関係を示す表であり、図18に示すデータをまとめたものである。アンテナ幅Wが0.5cm以上3.0cm以下の範囲でCLa/CLdは0.8以下である。アンテナ幅Wが、その範囲より小さい0.3cmおよびその範囲より大きい3.5cmの場合、CLa/CLdは、増加する。
実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A)において、アンテナ幅Wが、3.5cmになりアンテナ長L(4cm)に近づくと、ダイポールアンテナの特性に有利な方向に揃った電流ベクトル(図15A参照)とは異なる挙動が生じる。つまり、アンテナ幅Wが3.5cmの場合、アンテナ長Lの方向である長手方向に直交する方向の電流ベクトルが生じるため、通信距離CLdの減少及びCLa/CLdの増加が起こると考えられる。
また、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A)において、アンテナ幅Wが、0.3cmとなり開口40の幅(0.27cm=2.7mm)に近づくと、ICチップ20Aの領域を含むインピーダンス整合部32の上下の導体領域の幅が狭くなる。そのため、アンテナ幅Wが0.3cmの場合、通信距離CLdの減少及びCLa/CLdの増加が起こると考えられる。
[高誘電体に接触するUHF帯RFIDタグのアンテナ長L]
次に、高誘電体に直接接触するUHF帯RFIDタグに好適なアンテナ長Lについて、誘電正接tanδの周波数特性に関する電磁界シミュレーションの結果を示して説明する。
前述の通り、種々のアンテナ長Lを有するUHF帯RFIDタグでは、アンテナ長Lが2cm~6cmの範囲では、アンテナ幅Wの違いによらず、CLa/CLdは、1より小さい(図10参照)。
図20Bは、電磁界シミュレーションで得られるインピーダンスZの実部と虚部及びそれらの位相差を示すグラフである。アンテナの電磁界シミュレーションにおいては、図20Bに示すようなインピーダンスZの実部(抵抗成分)と虚部(キャパシタンス成分あるいはインダクタンス成分)が得られ、また、インピーダンスZの実部と虚部の位相差が得られる。
図21A及び図21Bは、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにおいて、複数の異なる高誘電体にアンテナを接触させたときの、インピーダンスZの実部と虚部の位相差とアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。図21A及び図21Bは、アンテナ幅Wが0.5cmのアンテナ形状Aについて、図14Bのモデルの高誘電体層204を種々の物質又は人体の組織とした場合の、位相差の、アンテナ長Lの依存性を示す。
図22A及び図22Bは、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにおいて、複数の異なる高誘電体にアンテナを接触させたときの、高誘電体の誘電正接tanδとアンテナ長Lとの関係を示すグラフである。図22A及び図22Bは、インピーダンスZの実部と虚部の位相差から求まる損失角δの正接である誘電正接tanδの、アンテナ長Lの依存性を、種々の物質および人体の組織にタグが接触している状態に関して示す。誘電正接tanδのグラフに現れている平坦部及びピークは、それぞれ、アンテナが共振から外れた状態における損失及びアンテナが共振状態にある場合の損失に帰属される。それらの損失は、主に、誘電体による誘電損失及びアンテナからの放射による損失に、それぞれ帰属される。
図22A及び図22Bにおいて、ダイポールアンテナの共振長である約16cmから外れた、アンテナ長Lが26cmの場合を見ると、フリースペースではtanδは0に近いのに対し、高誘電体接触では高誘電体の比誘電率が高いほど、tanδは大きくなる。このように、図22A及び図22Bは、アンテナの共振状態以外でも起こっている誘電損失が、高誘電体にUHF帯RFIDタグが直接接触した場合に起こる通信距離の低下の原因の一つであることを示す。
図23は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグの電磁界シミュレーションにおいて、複数の異なる高誘電体にアンテナを接触させたときの、高誘電体の誘電正接tanδのピーク値とそのピーク値でのアンテナ長Lとを示す表である。図23は、図22A及び図22Bから得られたデータを示す。CLa/CLdが1より小さくなる範囲(つまり、アンテナ長Lが2cm~6cmの範囲)に、アンテナからの放射によるtanδのピーク値が存在する誘電体の比誘電率は、12.4(爪)から87.4(水0℃)までである。
したがって、上述の内容により、比誘電率が10(好ましくは12)から88までの高誘電体に、アンテナ長Lが2cm~6cmのUHF帯RFIDタグを接触させることで、CLa/CLdを1より小さい値とすることができる。また、実施の形態1(アンテナ形状A)においては、アンテナ長Lが2cm以上6cm以下の範囲において、アンテナ幅Wが0.5cm以上3.0cm以下の場合、CLa/CLdを0.8以下にできる(図19参照)。
[アンテナ幅Wが誘電損失に及ぼす影響]
次に、アンテナ幅Wが誘電損失に及ぼす影響について説明する。
図20Aは、アンテナ幅Wが誘電損失に及ぼす影響に関して、電磁界シミュレーションで使用するアンテナ構造(アンテナ形状A)を示す。アンテナ長Lは、放射による損失の影響を除くために、共振周波数よりも十分に長い26cmとしている。
図24は、図20Aのアンテナ構造を用いて、図14Bのモデルの高誘電体層204を肌(wet)として電磁界シミュレーションを行った場合の、誘電正接tanδとアンテナ幅Wとの関係を示す図である。図24に示す誘電正接tanδは、アンテナ幅Wを変化させて、UHF帯の920MHzでの位相差から算出された値である。920MHzでの位相差は、位相差の周波数特性のシミュレーション(図20B)から導出された値である。
図24において、アンテナ幅Wの臨界値は、0.5cm付近である。アンテナ幅Wがその臨界値よりも狭くなると、急激な誘電正接tanδの増加が起こる。この原因は、アンテナ幅Wの減少に伴い、アンテナのエッジにおいて、アンテナと高誘電体(肌(wet))との間での誘電損失の寄与が増加するためと考えられる。
図25は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグを用いて、図14Bのモデルの高誘電体層204を肌(wet)として電磁界シミュレーションを行った場合の、アンテナの放射パターンを示す図である。図25は、アンテナ長Lが4cm、アンテナ幅Wが0.5cmの場合を示す。図25に示されるように、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグは、ダイポールアンテナに特徴的な放射パターンを有する。
したがって、図4A及び図4Bに示す実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグは、アンテナ長Lが2cm以上6cm以下であり、アンテナ幅Wが0.5cm以上3.0cm以下であると、比誘電率が12以上88以下の誘電体が絶縁基材10の第1表面11又は第2表面12に接触した状態での通信距離CLdは、空気中での通信距離CLaよりも長くなる。これにより、人体や水のような高誘電体に接触した状態の通信距離が、接触していない状態よりも長いRFIDタグを提供できる。
実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグによれば、例えば図1のような状況で、高誘電率の人体に接触している装着状態のタグ2は、フリースペースにあるタグ4又はタグ6よりも長い通信距離を有することになる。装着状態のタグのみを選択的に読み込むことで、データの取得及び処理を効率的に行うことが可能となる。
実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグによれば、例えば図2のような状況で、人体に接触したタグ8と人体に非接触のタグ9とを区別することができる。人体に非接触でフリースペースにあるタグ9の通信距離が0に近いことで、タグ9は、スマートゲート7のRFIDリーダーに対する感度を低くできる。一方、人体に接触したタグ8は、スマートゲート7のRFIDリーダーに対する感度を高くでき、リーダーでの読み込みが可能となる。
また、図4Aにおいて、第1接続部37のY軸方向の幅W1及び第2接続部38のY軸方向の幅W2は、インピーダンス整合部32のY軸方向の幅と略等しいことが好ましい。これは、比誘電率が12以上88以下の誘電体が絶縁基材10の第1表面11又は第2表面12に接触した状態での通信距離CLdは、空気中での通信距離CLaよりも長くなる点で、有利である。
また、図4Aにおいて、インピーダンス整合部32のY軸方向の幅W3は、第1放射導体33のY軸方向の幅W1及び第2放射導体34のY軸方向の幅W2と略等しいことが好ましい。これは、比誘電率が12以上88以下の誘電体が絶縁基材10の第1表面11又は第2表面12に接触した状態での通信距離CLdは、空気中での通信距離CLaよりも長くなる点で、より有利である。
また、図4Aにおいては、アンテナ長Lが2cm以上6cm以下の範囲において、アンテナ幅が0.5cm以上3.0cm以下の場合、CLa/CLdを0以上0.8以下にできる。これにより、フリースペースでのタグの感度を、高誘電体接触状態でのタグの感度よりも下げることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るUHF帯RFIDタグについて説明する。実施の形態2の説明において、実施の形態1と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。
図26Aは、実施の形態2に係るUHF帯RFIDタグの平面図である。図26Bは、実施の形態2に係るUHF帯RFIDタグの断面図である。図26A及び図26Bを参照して、実施の形態2に係るRFIDタグの102について説明する。実施の形態2に係るRFIDタグ101は、絶縁基材10、アンテナパターン30、ICチップ20及び導電層60を備える。
導電層60は、絶縁基材10の第2表面12の側に設けられ、平面視で開口40と重複する平面状の導体である。導電層60は、絶縁基材10の第2表面12に所定の公知の方法で平面状に形成された導電層でよい。RFIDタグ102は、導電層60を備えることで、導電層60及び絶縁基材10の第2表面12が高誘電体と接触する場合、CLaが零に近づき、CLa/CLdが0以上0.1以下の特性が得られる。導電層60が平面視で開口40の一部と重複する形態に比べて、導電層60が平面視で開口40の全体と重複する形態の方が、CLa及びCLa/CLdは、0に近づく。
導電層60の表面抵抗率は、8Ω/□以上50Ω/□以下であると、通信距離CLdが50cm以上150cm以下で、且つ、CLa/CLdが0以上0.1以下の特性を得ることができる。ただし、導電層60を、平面視で、インピーダンス整合部32とは異なる位置に設けた場合には、このような特性を得ることが難しい。
導電層60の材質は、特に限定はされないが、例えば、アルミニウム、銅、金、白金、銀、ニッケル、クロム、亜鉛、鉛、タングステン、鉄等の金属であってもよい。導電層60の材質は、酸化スズもしくはITO(酸化インジウムスズ)等の金属酸化物、金、銀もしくは銅等の金属ナノワイヤーを用いた導電膜、樹脂に上記金属粉や導電性カーボン材料を混合した導電性樹脂混合物、または導電性樹脂のフィルム等であってもよい。導電層60は、絶縁基材10の第2表面12に直接形成されてもよいし、なんらかの絶縁性フィルム上に形成された導電層を、絶縁基材10の第2表面12に貼り付けて形成されてもよい。
図26Cは、実施の形態2に係るUHF帯RFIDタグにおいて、通信距離と導電層の表面抵抗率との関係を示す図である。図26Cは、アンテナ長Lが5cm、アンテナ幅Wが0.5cm、開口40の大きさが11.5mm×3mm、導電層60のX軸方向の長さが20mm、導電層60のY軸方向の長さが5mmの場合を示す。
図26Cが示すように、導電層60の表面抵抗率の減少とともに、フリースペースでの通信距離CLa及び高誘電体である人肌(肩)に装着した状態の通信距離CLdは、共に、減少する。導電層60の表面抵抗率が50Ω/□以下のとき、CLa/CLdを0にできる。ただし、導電層60を、平面視で、インピーダンス整合部32とは異なる位置に設けた場合には、このような特性を得ることが難しい。導電層60の表面抵抗率が25Ω/□以上50Ω/□以下のとき、通信距離CLdが1m以上となる特性を得ることができる。
図27は、実施の形態2に係るUHF帯RFIDタグにおいて、通信距離と導電層の表面抵抗率との関係を示す図である。図27の場合は、開口40の大きさが7.9mm×2.7mmであることを除いて、図26Cの場合と同じである。
図27の場合でも、導電層60の表面抵抗率の減少とともに、フリースペースでの通信距離CLa及び高誘電体である人肌(肩)に装着した状態の通信距離CLdは、共に、減少する。導電層60の表面抵抗率が50Ω/□以下のとき、CLa/CLdを0にできる。ただし、導電層60を、平面視で、インピーダンス整合部32とは異なる位置に設けた場合には、このような特性を得ることが難しい。導電層60の表面抵抗率が25Ω/□以上50Ω/□以下のとき、通信距離CLdが1m以上となる特性を得ることができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るUHF帯RFIDタグについて説明する。実施の形態3の説明において、実施の形態1と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。
図28は、アンテナ形状G-1を除いて、実施の形態3に係るUHF帯RFIDタグの平面図(アンテナ形状G-2,G-3,G-4,G-5,G-6,G-7)である。アンテナ形状G-1は、実施の形態1(アンテナ形状A)と同じである。
実施の形態3(アンテナ形状G-2,G-3,G-4,G-5,G-6,G-7)に共通な構造的特徴は、アンテナのダイポール方向に垂直な、クランク状に折れ曲がった構造を有さない点で、図5A~5D,6A~6C,7A,7Bに示す比較の形態2~9と相違する。
実施の形態3は、第1放射導体33が第1端部35に開放端を有する第1凹凸構造45を有し、且つ、第2放射導体34が第2端部36に開放端を有する第2凹凸構造46を有する点で、実施の形態1と相違する。
形状G-2,G-3,G-4では、第1凹凸構造45は、第1放射導体33が第1端部35に開放端を有するラダー状の凹凸構造であり、第2凹凸構造46は、第2放射導体34が第2端部36に開放端を有するラダー状の凹凸構造である。ラダー状の凹凸構造は、第1端部35から第1接続部37までアンテナパターン30の長手方向に延伸する一又は複数のスリットを有し、ラダー状の凹凸構造は、第2端部36から第2接続部38までアンテナパターン30の長手方向に延伸する一又は複数のスリットを有する。形状G-2,G-3,G-4は、スリットの本数又は幅が互いに異なる。
形状G-5,G-6,G-7では、第1凹凸構造45は、第1端部35又は開口40に向けて先細るスパイク状の凹凸構造であり、第2凹凸構造46は、第2端部36又は開口40に向けて先細るスパイク状の凹凸構造である。形状G-5は、第1端部35及び第2端部36のそれぞれに一つの尖頭を有する。形状G-6は、第1端部35及び第2端部36のそれぞれに二つの尖頭を有し、開口40の両側のそれぞれに一つの尖頭を有する。形状G-7は、第1端部35及び第2端部36のそれぞれに三つの尖頭を有し、開口40の両側のそれぞれに二つの尖頭を有する。これらのスパイク状の凹凸構造は、一又は複数の尖頭を有するように、アンテナパターン30の長手方向に対して傾斜する複数の辺を有する。
図29は、実施の形態1及び形態3に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長Lが4cm、アンテナ幅Wが5mm、開口40の大きさが9mm×3mmである場合の、アンテナ形状とCLaとCLdとCLa/CLdとの関係を示す表である。図29の通信距離CLdは、高誘電体である人肌(肩)に接触した状態での通信距離を示す。
図29に示すように、すべてのアンテナ形状は、0.8以下のCLa/CLであるが、通信距離に違いがある。アンテナ形状G-7は、最も長いCLdと、最も小さいCLa/CLdを有する。
アンテナ形状G-7は、開口40の両側のそれぞれに二つの尖頭を有する。アンテナ形状G-7は、図15Eに示すように、電磁界シミュレーションより求めた電流分布及び電流ベクトルにおいて、インピーダンス整合部32に近い側のアンテナの尖頭部分で電流分布が高くなっている。これによって、ICチップ20への電流の供給がスムーズに行われることになる。アンテナ形状G-7における通信距離の向上は、このようなアンテナの尖頭部分での電流分布の増加によって起こっている。
図30は、実施の形態3に係るアンテナ形状G-7を有するUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A)において、アンテナ長Lが4cm、アンテナ幅Wが5mm、開口40の大きさが11.5mm×3mmである場合の、開口40の両側にある尖頭とインピーダンス整合部32の開口40とのギャップDが通信距離に与える影響を示すグラフである。
ギャップDは、ICチップ20周りの電流分布に影響を与える。ギャップDが小さく、インピーダンス整合部32にアンテナの尖頭が近いほど、誘電体である人肌(肩)に接触した状態での通信距離CLdは、長くなる。通信距離CLdを60cm以上にする点で、ギャップDは、例えば、8mm以下がよく、7mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましい。
[水中でのUHF帯RFIDタグの特性]
UHF帯RFIDタグは、人体に装着した場合の発汗を考慮すれば、水の比誘電率である80前後の高誘電体に直接に接触した状態でも使用可能なことが要求されることから、水中でも動作可能な特性を有していることが好ましい。
図31は、UHF帯RFIDタグを入れた直径40mmの円筒ガラス容器に水を満たしてく状態を示す図である。図32は、UHF帯RFIDタグを入れた直径40mmの円筒ガラス容器内の水体積と通信距離CLdとの関係を示す図である。図33は、直径40mmの円筒ガラス容器に入れたUHF帯RFIDタグの平面図である。図33に示すRFIDタグ103は、実施の形態3に係るアンテナ形状G-7を有するUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用、アンテナ長L:4cm、アンテナ幅W:5mm、開口40大きさ:11.5mm×3mm、ギャップD:1mm)に、実施の形態2に係る導電層60を組み合わせた構造を有する。
図32において、ガラス容器に水が無いフリースペースでの通信距離CLaは、0であるのに対して、図31のように容器に水を満たしていくと、通信距離は、水面の上昇によって増加する傾向を示す。
水に接触した状態での通信距離CLdは、水体積が0mlから60mlまでの範囲では、水体積に比例して増加せずに、複雑に変化する。このような複雑な変化は、水体積が0mlから60mlまでの範囲では、RFIDタグ103と水との接触が部分的であることから、インピーダンス整合部32のインピーダンス変化に及ぼす影響が連続的ではないことに起因する。水体積が60mlを超え、RFIDタグ103が均一に水没してからは、通信距離CLdは、水体積の増加に伴って連続的に増加する。
RFIDタグ103の上端が水面に重なるとき(水体積が60mlのとき)、通信距離CLdは、30cm以上である。水面が高くなるほど(つまり、RFIDタグ103の上端と水面との距離が長くなるほど)、通信距離CLdは、40cm以上、50cm以上、60cm以上と、長くなる。
図34は、図28に示すアンテナ形状を有するRFIDタグ(ICチップ20A使用、アンテナ長L:4cm、アンテナ幅W:5mm、開口40大きさ:11.5mm×3mm)を水没させた状態において、リーダーのアンテナから250cmの距離での通信の可否と、ギャップDとの関係を示す表である。ギャップDが8mmでは、通信(リーダによるタグの識別情報の読み込み)は行えなかったのに対して、ギャップDが2cm~6cmの場合には、水中のRFIDタグ103とリーダーとの通信が可能ある。
(具体例)
次に、本実施の形態の具体的な実施例及び比較の形態の具体的な比較例について説明する。本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。なお、具体例で使用した材料および装置は、以下のとおりである。
[材料]
(1)アンテナパターン形成用導体:日東電工株式会社製;アルミテープS、軟質アルミ箔、厚さ0.05mm、テープ層厚0.1mm×幅50mm×長さ10m
(2)絶縁フィルム:スリーエムジャパン株式会社製; ポリエステル(PET)フィルム、厚さ0.10mm
(3)シリコーン系粘着剤:セメダイン株式会社製;変性シリコーン系粘着剤 BBX
(4)伸縮性Agペースト:ナミックス株式会社製;XE181G
(5)薄型フィルムドレッシング:日東電工株式会社製;パーミロールLite、厚さ 8μm
(6)弱粘着テープ:スリーエムジャパン株式会社製;スコッチテープ 811-3-24、厚さ 0.051mm
(7)ICチップ20A:AXZON社製;Magnus-S3、サイズ 1.6BSC×1.6BSC、厚さ 0.35mm
(8)ICチップ20B:エイリアンテクノロジー社製;Higgs4、ダイサイズ 589.5μm。
[装置]
(9)固定型UHF帯RFIDリーダ・ライタ:Impinj社;SPEEDWAY REVOLUTION IPJ-REV-R420-JP22M、日本国内電波法対応、916.8 MHz - 920.4 MHz、RF出力 日本最大30.0dBm、感度 -84dBm
(10)UHF帯 (920MHz) アンテナ: MTI Wireless Edge社、MT-263020、円偏波
(11)イオンスパッタ装置:JEOL社,イオンコータ JFC-1500
(12)355nmナノ秒パルスレーザー光源:Inngu laser社; Pulse 355-3A,355nm、3W、繰り返し周波数 30kHz、パルス幅 13ns
(13)ガルバノスキャナー:MASTER LASER社製;Model GH2D10C f‐θレンズ焦点距離 100mm、制御ソフトウェア BJJCZ社製 EzCAD
(14)表面抵抗率測定:測定部 ADCMT社製;直流電圧・電流源/モニタ 6241A、プローブ部 ビー・エー・エス株式会社製;4探針プローブ モデル1116SLD。
(実施例1)
[RFIDタグの作成]
アルミテープを、ガルバノスキャナーのf‐θレンズ下にマグネットプレートで固定し、制御ソフトウェアのEzCADで作成したアンテナパターンのデータを用いて、f‐θレンズで集光した355nmナノ秒パルスレーザー光をガルバノスキャナーで走査することによって、アルミテープのレーザーカット加工を行った。レーザーカット加工における、レーザー光のスキャン速度は5mm/sで、アンテナパターン形状のレーザー光スキャン操作を4サイクル行った。レーザーカット加工で形成したアルミニウム(Al)アンテナパターンを、PETフィルム上に張り付けてRFIDタグのアンテナとした。
上記Alアンテナパターンにおいては、ICチップを装着するインピーダンス整合部の1箇所に、数mmのギャップが形成されており、この部分に、市販のUHF帯用RFIDタグからICチップの部分を切り出して、移植した。Alアンテナパターンと移植したICチップとの接合部に、伸縮性Agペーストを塗布し、70℃で加熱乾燥することで、電気的な導通をとった。
上記のPETフィルム上のICチップを有するAlアンテナパターン上に、シリコーン系粘着剤を塗布し、その上にPETフィルムを被せて接着することで、封止を行った。
上記製造プロセスによって、アンテナ形状A等の本実施の形態の複数のアンテナ形状を有するアンテナを作成した。しかし、RFIDタグを製造するための材料や加工プロセスは、それらに限定されるものではない。
(実施例2)
[UHF帯RFIDタグの通信距離の測定]
上記で作成したUHF帯RFIDタグの通信距離の評価は、図8A及び図8Bに示すような、UHF帯リーダ・ライタ、アンテナ、及びRFIDタグの配置で行った。床からアンテナ中心までの距離は、1.0mであった。ここでの通信距離は、タグのICの識別情報を、UHF帯リーダ・ライタで読み込むことが可能な距離とした。UHF帯リーダ・ライタ、アンテナ、及びアンテナケーブルからなる測定系の等価等方輻射電力(EIRP)は、電波法により免許局(構内無線局)で許される、4W(36dBm)とした。
上記UHF帯RFIDタグの通信距離の評価において、フリースペースでの通信距離CLaは、図8Aに示されるような測定系で行った。通信距離の評価においては、RFIDタグを発泡スチロールからなるプレート(220mm×90mm×5mm)の上に弱粘着テープで固定した。発泡スチロールのような発泡体は、空気を内包し、RFIDタグのフリースペースでの特性の評価に影響しない点で、好ましい物質となる。
上記発泡スチロールプレートの先端に固定したRFIDタグを、上述の「(a)横」「(b)縦」「(c)水平」の3通りの配向方向に配向を変え、通信可能な距離の測定を行った。これらの異なるアンテナ配向での測定値のなかで、最も通信距離が長いものを、CLaとして評価した。
上記UHF帯RFIDタグを、人体の右肩部に、薄型フィルムドレッシング(厚さ8μm)をタグの上から被せて貼り付けることにより、人肌に密着した状態で装着した。この時、ICチップの上面(金属との導通がとられている面の反対側)を人肌に密着させるように装着した。また、ここで用いた薄型フィルムドレッシングは、水蒸気透過性に優れたポリウレタン系の材料がからできており、極薄で柔軟なことから、人肌への装着時に容易に伸び縮みすることで、人肌に密着した状態へ影響が無視できる素材となっている。
上記にように人肌(右肩)に装着したRFIDタグの通信距離を、右腕を下した状態で、アンテナと身体との位置を変えながら測定し、その値を、高誘電体である人肌(肩)に装着した場合の通信距離CLdとした。この場合、RFIDタグのアンテナの長手方向を、右腕が伸びた方向に合わせて、薄型フィルムドレッシングで装着しており、右腕を下した状態で測定していることから、RFIDタグのアンテナの長手方向は、地面に対して縦向きの配向方向であった。
(実施例3)
[CLa/CLdの評価]
CLa/CLdを評価するため、インピーダンス整合部32の開口40は、略四辺形(7.9mm×2.7mm、四隅の半径0.5mm)の孔とした。
図8A及び図8Bの測定系においては、RFIDリーダ・ライタのアンテナからRFIDタグまでの最長距離が330cmであったため、これを越えるような通信距離を有するRFIDタグの場合には、RFIDリーダ・ライタのRF出力を3dBm落として測定し、3dBmの出力低下分の補正をすることで通信距離を求めた。図9A,9B,9Cにおいて、それ以上の通信距離を有する場合には、660cm以上と表記している。
上記のCLa及びCLdの測定においては、Al箔及びPETフィルムからなるRFIDタグの、長手方向の左右端の部分のアンテナをカットしながら測定を繰り返すことで、CLa及びCLdのアンテナ長L依存性を評価した。
図10のCLa/CLdは、上記のCLa及びCLdの測定値の比から算出した。アンテナ長6cm付近が、CLaとCLdの値の大小の逆転の起こる臨界値となった。また、アンテナ長が2cmより小さい場合には、CLaとCLdの値が再度近くなり、W=0.3cmの場合には、CLaとCLdの値の大小の再逆転が起こっている。
図12に示すように、CLaの測定においては、RFIDリーダ・ライタのアンテナとRFIDタグとの通信可能距離が短くなると、電磁誘導機構の影響によって、タグアンテナ配向方向の影響が顕著になった。
(実施例4)
[種々の高誘電体におけるCLa/CLdの評価]
上記のCLdは、高誘電体である肌(比誘電率 41.3~46.0、図11参照)に対して測定されたものであった。異なる比誘電率を有する人体組織あるいは物質として、爪(比誘電率 12.4)、水(比誘電率81)、及び氷水(比誘電率87.4)に対して、CLd及びCLa/CLdパラメータの測定を、実施の形態1のUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A)において、アンテナ幅Wを1.0cmとして行った。この場合のインピーダンス整合部32の開口40は、略四辺形(7.9mm×2.7mm、四隅の半径0.5mm)の孔とした。
爪にRFIDタグが接触した状態での測定においては、アンテナ長Lが2cmでアンテナ幅Wが1cmのUHF帯RFIDタグを、ICチップ上面側が爪に接触するように弱粘着テープで固定した。この時、アンテナの長さ方向は、親指の伸びる方向に垂直になった。このようにRFIDタグを爪に装着した右手親指を、リーダ・ライタのアンテナ方向に向けて、通信可能な距離の測定を行った。
水および氷水にRFIDタグが接触した状態での測定においては、60mlの水あるいは氷水を、幅6cm×長さ9cm×高さ5cm、厚さ 1.5mmのポリプロピレン容器に入れ、その底面にRFIDタグを接触させ、弱粘着テープで固定して測定を行った。
図11は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A)において、アンテナ幅Wが1.0cmの場合を示す。実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグにおいては、比誘電率が12.4~87.4の範囲にある、いずれの高誘電体に対しても、アンテナ長Lが、2cm~6cmの範囲において、CLa/CLdパラメータは、0.8以下であった。
上記のCLa/CLdパラメータの評価では、CLaの評価の際に、上述の「(a)横」「(b)縦」「(c)水平」の3通りのアンテナ配向方向での測定を行い、もっとも通信距離が長い値を採用して、CLa/CLdの算出を行った。
(比較例1)
[一般的なメアンダラインアンテナ型RFIDタグ]
一般的なメアンダライン型アンテナを有したUHF帯RFIDタグの形状は、例えば、アンテナ形状Bで示されるような形状である。一般的なメアンダライン型アンテナは、クランク状に折れ曲がった導体からなるメアンダラインアンテナ、タグの中央に位置するループ状の導体からなるインピーダンス整合部、及びICチップを備えたものである。
また、本実施の形態に係るRFIDタグの構造との大きな違いは、屈曲点であり、図4Cに示す接続幅WAは、0.1cmとした。ICチップ20Bを備えるメアンダラインアンテナ型RFIDタグ(アンテナ形状B)においては、CLaは544cm、高誘電体である肌(肩)に直接接触して装着した場合の通信距離CLdは9cm、CLa/CLdは60.4となった。
(比較例2)
[種々の形状のメアンダラインアンテナ型RFIDタグ]
図13は、図5A~5D,6A~6C,7A,7Bに示す比較の形態2~9に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長LとCLaとCLdとCLa/CLdとの関係を示す表である。接続幅WAは、アンテナ形状C,D,E及びFで、それぞれ、0.15cm、0.15cm、0.5cm、及び0.5cmとした。
アンテナ長が短くなるにつれて、CLaが減少し、CLdが増加する傾向は、アンテナ形状Aの場合と同様であったが、CLa/CLd値を0.8以下に下げることができなかった。また、CLdは、アンテナ形状Aでのアンテナ幅Wが0.5cmの場合(図9B)および1.0cmの場合(図9C)に比べて、低くなった。
(実施例5)
[RFIDタグアンテナにおける電流分布および電流密度の電磁界シミュレーション]
図14A及び図14Bに示すモデルを用いて、電磁界解析(NI AWRソフトウェア)により、RFIDタグアンテナ上の電流分布及び電流ベクトルのシミュレーションを行った。
図14Aは、フリースペースにあるUHF帯RFIDタグのモデルの断面図であり、空気層201及び空気層205の厚さは60mmとし厚さ依存性の無い十分な厚さとした。アルミニウムのアンテナパターン202及びPET絶縁層203の各々の厚さは、50μm及び100μmとした。
図14Bは、高誘電体に直接接触した状態にあるUHF帯RFIDタグのモデルの断面図である。空気層201及び空気層205の厚さは60mm、アルミニウムのアンテナパターン202の厚さは50μm、PET絶縁層203の厚さは100μmとした。高誘電体層204は、肌(wet)を想定し、解析において厚さ依存性の起こらない十分な厚さである40mmとした。実施の形態1に係るRFIDタグにおいては、封止構造形成のためのPET膜が上記のアルミニウムのアンテナパターン202の上側にあるが、通信距離CLdにほとんど影響を及ぼさないことから、電磁界シミュレーションのモデルには加えなかった。
図15A、15B、15C、15D、15Eには、種々形状のアンテナにおいて、高誘電体である人肌(wet)に接触した状態に対して、電磁界シミュレーションにより得られた電流分布および電流ベクトルを示した。各アンテナの図において、電流分布密度の高いところほど、より明るく白く表示した。また、電流ベクトルの方向を矢印で示した。この場合のインピーダンス整合部32の開口40は、略四辺形(7.9mm×2.7mm、四隅の半径0.5mm)の孔とした。
(実施例6)
[異なるICチップへの適用]
実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグにおいて、ICチップの違いによるアンテナ長Lの影響を調べた結果を調べた。
図16は、入力インピーダンスが100Ω以上と測定されたICチップ20Bを使用した場合を示す。アンテナ長Lが8cmで、フリースペースでの通信距離CLaよりも、人肌(肩)に直接に装着した場合の通信距離CLdのほうが大きくなる逆転現象が起こった。
図17は、図16に示すデータをまとめた表である。アンテナ長Lが2cm~6cmの範囲のCLa/CLdの値の上限値は、0.8以下であった。また、通信距離CLdは100cm以下ではあるものの、CLa/CLdは0であった。
(実施例7)
[アンテナ幅Wによる通信距離の変化]
図18は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A使用)において、アンテナ長Lが4cmのときの、通信距離とアンテナ幅Wとの関係を示すグラフである。アンテナ幅Wが0.3cmから3.5mの範囲においては、いずれのアンテナ幅Wを有するタグも、肌(肩)に直接装着した状態のほうが、フリースペースよりも通信距離が長くなった。CLdは、100cm以上であった。
図19は、実施の形態1に係るUHF帯RFIDタグにおいて、CLa/CLdとアンテナ幅Wとの関係を示す。アンテナ幅Wが0.5cm~3.0cmの範囲で、CLa/CLdは0.8以下であった。
(実施例8)
[アンテナ長Lに及ぼす比誘電率の影響に関する電磁界シミュレーション]
電磁界シミュレーションによれば、インピーダンスZの実部(抵抗成分)と虚部(キャパシタンス成分あるいはインダクタンス成分)が得られ、また、インピーダンスZの実部と虚部の位相差が得られる。損失角δは、(90°-位相差)となり、これより、誘電正接tanδを求めることができる。図21A及び図21Bには、アンテナ幅Wが0.5cmのアンテナ形状Aに関して、図14Bのモデルの高誘電体層204を、種々の物質および人体の組織とした場合の、位相差のアンテナ長L依存性を示した。
図22A及び図22Bには、インピーダンスZの実部と虚部の位相差から求まる損失角δの正接である誘電正接tanδの、アンテナ長Lの依存性を、種々の物質および人体の組織にタグが接触している状態に関して示した。
図23には、図22A及び図22Bから得られたデータを示した。アンテナ長Lが2cm~6cmの範囲)に、アンテナからの放射によるtanδのピーク値が存在する誘電体の比誘電率は、12.4(爪)から87.4(水0℃)までの範囲となった。
図22A及び図22Bにおいて、アンテナ長Lが、フリースペースでのダイポールアンテナの共振長(約16cm)より十分に長い場合には、tanδの値は、誘電損失の寄与に帰属される。アンテナ長Lが26cmである場合に、アンテナ幅Wを変動パラメータとして電磁界シミュレーションを行い、アンテナ幅Wとtanδとの相関を図24に示した。アンテナ幅Wが0.5cm以下になると、tanδは増加し、すなわち誘電損失の増加が示唆された。
アンテナ長Lが4cmでアンテナ幅Wが0.5cmであるアンテナ形状Aについて、電磁界シミュレーションを行うと、図25に示すような、アンテナ放射の仰角平面パターン(方位角0°)が得られた。図25では、人肌(wet)と接触状態でのシミュレーションであるため、上下の放射形状が非対称になっているものの、ダイポールアンテナに特徴的な、ドーナッツ状の3D放射パターンに対する断面形状が示された。
(実施例9)
[導電層60によるUHF帯RFIDタグの特性制御]
図26Bに示すように、導電層60を、アンテナパターン30が第1表面11に形成された絶縁フィルム(絶縁基材10の一例)の第2表面12に設けることで、CLa/CLdパラメータを制御することができた。導電層60として、例えば、アルミ箔(厚さ11μm)を用いたところ、CLa及びCLdともに、通信距離はほぼ0となった。そこで、表面抵抗率の異なる導電層60を用いて、それぞれの通信距離への影響を調べたところ、図26C及び図27のような結果が得られた。人肌と接触した状態での通信距離CLdが1m以上で、且つ、CLa/CLdが0であるような特性を有するRFIDタグを得ることができた。図26C及び図27において、表面抵抗率の異なる導電層は、PETフィルムへの金スパッタによって形成し、スパッタ膜厚を変えることで作成した。
(実施例10)
[RFIDタグアンテナの長手方向の先端の形状の効果]
図28に示したアンテナ形状が異なる複数のUHF帯RFIDタグ(ICチップ20A)を作成し、フリースペースでの通信距離CLa、高誘電体である人肌(肩)に接触した状態での通信距離CLd、及び、それらの比として定義されるCLa/CLを測定した。図29は、その測定値を示す。
アンテナ形状G-2、G-3及びG-4は、アンテナの長手方向の左右端の各々からインピーダンス整合部32に向かってスリットが延伸するラダー状の凹凸構造を有する。図29において、アンテナ形状G-2、G-3及びG-4うち、スリット幅が最も短いアンテナ形状G-4で、より長いCLdが得られた。
アンテナ形状G-5、G-6及びG-7は、アンテナの長手方向の左右端の各々からインピーダンス整合部32に向かって傾斜する辺を有するスパイク状の凹凸構造を有する。これらのアンテナ形状は、図4C~図7Bに示す比較の形態1~9(アンテナ形状B~F)と違って、アンテナのダイポール方向に垂直なクランク状に折れ曲がった構造を有していない。
図29において、アンテナ形状G-7を有するアンテナで、矩形状のアンテナ形状G-1を有するアンテナに比べて、より長いCLdと、より小さなCLa/CLdとが得られ、特性の向上が示された。
図30には、アンテナ形状G-7を有するアンテナの通信距離に対してギャップDが与える影響を示した。ギャップDが小さいほど、通信距離CLdは長くなった。
(実施例11)
[水中でのUHF帯RFIDタグの特性]
直径40mmのガラス容器にRFIDタグを設置し、水を加えていった場合の通信距離の変化を測定した。ガラス容器には、図33に示すRFIDタグ103を設置した。ICチップ20は、ICチップ20Aとし、インピーダンス整合部32の開口40は、11.5mm×3mmの略四辺形の孔とし、導電層60は、表面抵抗率39.8Ω/の金スパッタPETフィルムとした。
水は、蒸留水ではなく、水道水を用いた。ガラス容器に水が無いフリースペースでは、通信距離は0であった。これに対して、容器に水を満たしていって、RFIDタグが高誘電体である水に接触することで、RFIDリーダ・ライタとRFIDタグとの間の通信が可能となった。
図34は、アンテナ形状G-7を有するUHF帯RFIDタグを、80mlの水をいれた上記のガラス容器に設置して、リーダーのアンテナから250cmの距離での通信の可否と、ギャップDとの関係を示す。ギャップDが2cm~6cmの場合には、水中のRFIDタグとリーダーとの通信が可能であった。
本開示により、人体や水のような高誘電体(比誘電率12~88)と直接接触しても、RFIDリーダ・ライタとの間でのデータ通信に障害の起こらない、UHF帯RFIDタグを得ることができる。また、本開示により、人体や水のような高誘電体(比誘電率12~88)に接触した状態での通信距離が、フリースペースでの通信距離よりも長くなるUHF帯RFIDタグを得ることができる。さらに、高誘電体とアンテナパターンが形成された絶縁基材との間に導電層を設けることで、フリースペースではほとんど感度を有さず、高誘電体接触状態にのみ通信が可能となる、UHF帯RFIDタグを提供することが可能となる。本開示に係るUHF帯RFIDタグは、医療分野もしくはバイタルセンシング分野において、又は、高誘電率の水に直接接触する環境下において、好適に利用可能である。
以上、実施形態を説明したが、本開示の技術は上記の実施形態に限定されない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
10 絶縁基材
11 第1表面
12 第2表面
20 ICチップ
30 アンテナパターン
31 給電部
32 インピーダンス整合部(環状導体)
33 第1放射導体
34 第2放射導体
35 第1端部
36 第2端部
40 開口
41,42 辺
43,44 アンテナ端
45 第1凹凸構造
46 第2凹凸構造
50 絶縁層
60 導電層
70 測定装置
75 人体
101,102,103 RFIDタグ
120 メアンダラインアンテナ
130 ICチップ
132 インピーダンス整合部
201,205 空気層
202 アンテナパターン
203 PET絶縁層
204 高誘電体層
301~309 RFIDタグ

Claims (11)

  1. 第1表面と、前記第1表面とは反対側の第2表面とを有する絶縁層と、
    前記第1表面の側に設けられ、開口を有するアンテナパターンと、
    前記開口の近傍で前記アンテナパターンに電気的に接続されたICチップと、を備え、
    前記アンテナパターンは、
    前記開口を形成する環状パターンと、
    前記環状パターンから第1端部まで第1方向に延伸する第1パターンと、
    前記環状パターンから第2端部まで前記第1方向とは反対向きの第2方向に延伸する第2パターンと、を含み、
    前記第2端部から前記第1端部まで前記第1方向のアンテナ長は、2cm以上6cm以下であり、
    前記第1方向に平面視で直角な方向を第3方向とすると、
    前記第1パターンは、前記第3方向の幅である第1導体幅を有し、
    前記第2パターンは、前記第3方向の幅である第2導体幅を有し、
    前記環状パターンは、前記第3方向の幅である第3導体幅を有し、
    前記第1導体幅、前記第2導体幅及び前記第3導体幅は、0.5cm以上3.0cm以下であり、
    比誘電率が12以上88以下の誘電体が前記絶縁層に接触した状態での通信距離をCLd、空気中での通信距離をCLaとするとき、CLdは、CLaよりも長い、RFIDタグ。
  2. CLa/CLdは、0以上0.8以下である、請求項1に記載のRFIDタグ。
  3. 前記第3導体幅は、前記第1導体幅及び前記第2導体幅と略等しい、請求項2に記載のRFIDタグ。
  4. 前記第1パターンは、前記第3導体幅と同一幅で前記環状パターンから前記第1端部まで前記第1方向に延伸し、
    前記第2パターンは、前記第3導体幅と同一幅で前記環状パターンから前記第2端部まで前記第2方向に延伸する、請求項3に記載のRFIDタグ。
  5. 前記第2表面の側に設けられ、平面視で前記開口と重複する導電層を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
  6. CLa/Cldは、0以上0.1以下である、請求項5に記載のRFIDタグ。
  7. 前記導電層の表面抵抗率は、8Ω/□以上50Ω/□以下である、請求項5に記載のRFIDタグ。
  8. 前記第1パターンは、前記第1端部に開放端を有する第1凹凸構造を有し、
    前記第2パターンは、前記第2端部に開放端を有する第2凹凸構造を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
  9. 前記第1凹凸構造は、前記第1端部に開放端を有するラダー状の凹凸構造であり、
    前記第2凹凸構造は、前記第2端部に開放端を有するラダー状の凹凸構造である、請求項8に記載のRFIDタグ。
  10. 前記第1凹凸構造は、前記第1端部又は前記開口に向けて先細るスパイク状の凹凸構造であり、
    前記第2凹凸構造は、前記第2端部又は前記開口に向けて先細るスパイク状の凹凸構造である、請求項8に記載のRFIDタグ。
  11. 前記第2表面の側に設けられ、平面視で前記開口と重複する導電層を更に備える、請求項10に記載のRFIDタグ。
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