JP2023160313A - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回スクロールの旋回運動による遠心力等の影響を従来に比べて効果的に抑制することができるスクロール型圧縮機を提供する。【解決手段】スクロール型圧縮機において、回転軸30の軸方向から見て、回転軸30の中心線CL0と偏心ブッシュ72の中心線CL2とを通る直線を第1直線VLとし、回転軸30の中心線CL0を通り第1直線VLに直交する直線を第2直線HLとしたとき、偏心ブッシュ72と一体に設けられたブッシュ・バランサ721の重心G1は、第2直線HLを挟んで偏心ブッシュ72の中心線CL2とは反対側に位置すると共に、第1直線VLを挟んで偏心ピン71の中心線CL1とは反対側に位置し、回転軸30と一体に設けられたシャフト・バランサ31の重心G2は、第2直線HLを挟んで偏心ブッシュ72の中心線CL2とは反対側に位置すると共に、第1直線VLに対して偏心ピン71の中心線CL1と同じ側に位置している。【選択図】図6

Description

本発明は、スクロール型圧縮機に関する。
スクロール型圧縮機は、互いの渦巻壁が噛み合うように配置された固定スクロール及び旋回スクロールを有する。スクロール型圧縮機は、旋回スクロールが固定スクロールに対して旋回運動を行うことにより、双方の渦巻壁の間に形成される圧縮室の容積が変化し、これにより、圧縮室に取り込まれた流体が圧縮される。また、通常、スクロール型圧縮機には、旋回スクロールの旋回運動に起因する振動などを低減するためのバランサ(バランスウエイト、カウンターウエイトともいう)が設けられている。
例えば、特許文献1に記載のスクロール型圧縮機において、旋回スクロールに駆動力を伝達する駆動力伝達機構は、回転駆動される回転軸、回転軸の一端に設けられたクランクピン、及び、クランクピンに相対回転可能に外嵌されると共に軸受を介して旋回スクロールの背面に設けられた円筒部に相対回転可能に内嵌された偏心ブッシュを含み、偏心ブッシュにバランサが一体に設けられている。
特開2019-100246号公報
近年、スクロール型圧縮機のさらなる低騒音化(低振動化)が求められている。スクロール型圧縮機のさらなる低騒音化を図るためには、旋回スクロールの旋回運動による遠心力等の影響を従来に比べて効果的に抑制することが必要である。
そこで、本発明は、旋回スクロールの旋回運動による遠心力等の影響を従来に比べて効果的に抑制することができるスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討及び実験を行った結果、旋回スクロールの旋回運動による遠心力等の影響を従来に比べて効果的に抑制することを可能とするバランサの組み合わせを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
本発明の一側面によると、スクロール型圧縮機は、固定基板及び前記固定基板に立設された固定渦巻壁を有する固定スクロールと、旋回基板、前記旋回基板の一方の面に立設されて前記固定渦巻壁と噛み合う旋回渦巻壁及び前記旋回基板の他方の面に立設された円筒部を有する旋回スクロールと、前記固定スクロールと前記旋回スクロールとの間に形成される圧縮室と、回転駆動される回転軸、前記回転軸の一端に設けられた偏心ピン及び前記偏心ピンに回転可能に取り付けられると共に軸受を介して前記円筒部の内側に回転可能に挿入された偏心ブッシュを含み、前記旋回スクロールに駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を有する。前記スクロール型圧縮機は、前記駆動力によって前記旋回スクロールが前記固定スクロールに対して旋回運動を行うことで前記圧縮室の容積が変化し、これによって、前記圧縮室に取り込んだ流体を圧縮するように構成されている。前記スクロール型圧縮機は、前記偏心ブッシュと一体に設けられ、前記偏心ブッシュの径方向外側に位置する第1ウエイト部を有するブッシュ・バランサと、前記回転軸と一体に設けられ、前記回転軸の径方向外側に位置する第2ウエイト部を有するシャフト・バランサと、を有する。そして、前記回転軸の軸方向から見て、前記回転軸の中心線と前記偏心ブッシュの中心線とを通る直線を第1直線とし、前記回転軸の中心線を通り前記第1直線に直交する直線を第2直線としたとき、前記ブッシュ・バランサの重心は、前記第2直線を挟んで前記偏心ブッシュの中心線とは反対側に位置すると共に、前記第1直線を挟んで前記偏心ピンの中心線とは反対側に位置し、前記シャフト・バランサの重心は、前記第2直線を挟んで前記偏心ブッシュの中心線とは反対側に位置すると共に、前記第1直線に対して前記偏心ピンの中心線と同じ側に位置している。
本発明の一側面によれば、旋回スクロールの旋回運動による遠心力等の影響を従来に比べて効果的に抑制することを可能とするスクロール型圧縮機を提供することができる。
実施形態に係るスクロール型圧縮機の概略構成を示す断面図である。 図1の要部拡大図である。 回転軸、ブッシュ・バランサ及びシャフト・バランサなどを示す概略斜視図斜視図である。 回転軸、ブッシュ・バランサ及びシャフト・バランサなどを示す概略斜視図である。 回転軸、ブッシュ・バランサ及びシャフト・バランサなどを回転軸の軸方向から見た図である。 回転軸、ブッシュ・バランサ及びシャフト・バランサなどを回転軸の軸方向(図5とは反対側)から見た図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスクロール型圧縮機の概略構成を示す断面図である。実施形態に係るスクロール型圧縮機10は、例えば、車両用空調装置の冷媒回路に組み込まれ、当該冷媒回路から低圧の気体冷媒(流体)を受けて圧縮し、高圧化して当該冷媒回路に戻すように構成される。なお、図1における左側がスクロール型圧縮機10における前側、図1における右側がスクロール型圧縮機10における後側、図1における上側がスクロール型圧縮機10における上側、及び、図1における下側がスクロール型圧縮機10における下側である。また、図1における紙面手前側がスクロール型圧縮機10における左側であり、図1における紙面奥側がスクロール型圧縮機10の右側である。
スクロール型圧縮機10は、ハウジング20と、回転軸30と、回転軸30を回転駆動する電動モータ40と、回転軸30を介して駆動されて(低圧の)気体冷媒を圧縮するスクロールユニット50と、電動モータ40を駆動制御するインバータ60とを有する。回転軸30、電動モータ40、スクロールユニット50及びインバータ60は、ハウジング20に収容されている。また、スクロールユニット50は、固定スクロール51と、固定スクロール51に対して旋回運転する旋回スクロール52とを含む。
ハウジング20は、フロントハウジング21、カバー部材22、センターハウジング23及びリアハウジング24を含む。そして、これらが図示省略の締結具などによって締結されてスクロール型圧縮機10のハウジング20が構成されている。
フロントハウジング21は、前後に延びる円筒状の周壁部(以下「第1周壁部」という)211と、第1周壁部211の内部を前後に仕切る隔壁部(以下「第1隔壁部」という)212とを有する。第1周壁部211の前端面がフロントハウジング21の前端面を構成し、第1周壁部211の後端面がフロントハウジング21の後端面を構成する。第1周壁部211の内部(すなわち、フロントハウジング21の内部空間)は、第1隔壁部212により、インバータ60が収容される前側のインバータ収容空間と、電動モータ40が収容される後側のモータ収容空間とに仕切られている。つまり、電動モータ40及びインバータ60は、フロントハウジング21に収容されている。
第1隔壁部212には回転軸30の前端部を支持する支持部213が設けられている。支持部213は、第1隔壁部212の後側の面から前記モータ収容空間内に円筒状に突出するように形成され、内部に装着された第1軸受214を介して回転軸30の前端部を回転自在に支持するように構成されている。
フロントハウジング21の前端面にはカバー部材22が接合され、これにより、前記インバータ収容空間が閉塞されている(インバータ収容室が形成されている)。フロントハウジング21の後端面にはセンターハウジング23の前端面が接合されている。なお、フロントハウジング21とカバー部材22との間及びフロントハウジング21とセンターハウジング23との間には必要に応じてシール部材が配置され得る。
センターハウジング23は、前後に延びる円筒状の周壁部(以下「第2周壁部」という)231と、第2周壁部231の内部を前後に仕切る隔壁部(以下「第2隔壁部」という)232とを有する。第2周壁部231の前端面がセンターハウジング23の前端面を構成し、第2周壁部231の後端面がセンターハウジング23の後端面を構成する。第2周壁部231の内部(すなわち、センターハウジング23の内部空間)は、第2隔壁部232により、フロントハウジング21の前記モータ収容空間に接続する前側の接続空間と、スクロールユニット50を収容する後側のスクロール収容空間とに仕切られている。つまり、スクロールユニット50は、センターハウジング23に収容されている。
第2隔壁部232は、フロントハウジング21(モータ収容空間)側に突出する中空突出部233を有している。中空突出部233は、フロントハウジング21の第1隔壁部212に設けられた支持部213に対向するように、第2隔壁部232の径方向中央に設けられている。中空突出部233の頂部(前端)には、中空突出部233の内外を連通し且つ回転軸30が挿通される軸挿通孔234が形成されている。中空突出部233の内部には、回転軸30の後端側の部位を回転自在に支持する第2軸受235が装着されている。つまり、本実施形態において、回転軸30は、ハウジング20内を前後方向に延びており、フロントハウジング21側に設けられた第1軸受214とセンターハウジング23側に設けられた第2軸受235とによって回転自在に支持されている。
センターハウジング23の後端面にはリアハウジング24の前端面が接合されている。ここで、本実施形態において、センターハウジング23の後端面、すなわち、第2周壁部231の後端面には、スクロールユニット50を構成する固定スクロール51の固定基板511(後述する)の外縁部を収容する凹部236が形成されている。そして、固定基板511の外縁部が凹部236に収容されると共にセンターハウジング23とリアハウジング24とに挟持されている。これにより、固定スクロール51が固定され、また、第2周壁部231の後側の開口が固定スクロール51の固定基板511で閉塞される。なお、センターハウジング23とリアハウジング24との間には必要に応じてシール部材が配置され得る。
リアハウジング24は、有底円筒状に形成されており、前後に延びる円筒状の周壁部(以下「第3周壁部」という)241と、第3周壁部241の後側の開口を閉塞する底壁部242とを有する。そして、リアハウジング24の前端面を構成する第3周壁部241の前端面がセンターハウジング23の後端面である第2周壁部231の後端面に接合され、これによって、第3周壁部241の前側の開口が固定スクロール51の固定基板511で閉塞されている。
電動モータ40は、例えば三相交流モータで構成されており、ステータコアユニット41と、ロータ42とを含む。
ステータコアユニット41は、フロントハウジング21の第1周壁部211の内周面に固定されている。ステータコアユニット41には、図示しない車載バッテリなどからの直流電流がインバータ60によって交流電流に変換されて供給される。
ロータ42は、ステータコアユニット41の径方向内側に所定の隙間を有して配置されている。ロータ42には永久磁石が組み込まれている。ロータ42は、円筒状に形成されており、その中空部に回転軸30が挿通された状態で回転軸30に固定されている。すなわち、ロータ42は、回転軸30と一体化されており、回転軸30と一体に回転する。
電動モータ40は、インバータ60からの給電によってステータコアユニット41に磁界が発生すると、ロータ42の前記永久磁石に回転力が作用してロータ42が回転し、これによって、回転軸30を回転させる(回転駆動する)。
スクロールユニット50は、上述のように、固定スクロール51と、固定スクロール51に対して旋回運転する旋回スクロール52とを含む。
固定スクロール51は、円板状の固定基板511と、固定基板511の一方の面に立設された固定渦巻壁512とを有する。固定渦巻壁512は、固定基板511の前記一方の面上を径方向内側の内端部(巻き初め部)から径方向外側の外端部(巻き終わり部)まで渦巻状(インボリュート曲線状)に延びている。固定スクロール51は、固定基板511の前記一方の面(固定渦巻壁512が立設された面)が前方を向いた状態で固定基板511の外縁部が凹部236に収容された状態でセンターハウジング23とリアハウジング24とに挟持されて固定されている。
旋回スクロール52は、円板状の旋回基板521と、旋回基板521の一方の面に立設された旋回渦巻壁522と、旋回基板521の他方の面に突出形成された円筒部523とを有する。旋回渦巻壁522は、旋回基板521の前記一方の面上を径方向内側の内端部(巻き初め部)から径方向外側の外端部(巻き終わり部)まで渦巻状(インボリュート曲線状)に延びている。円筒部523は、旋回基板521の前記他方の面の概ね中央部から突出している。旋回スクロール52は、旋回渦巻壁522が固定スクロール51の固定渦巻壁512に噛み合うように配置されている。すなわち、旋回スクロール52は、センターハウジング23の第2隔壁部232と固定スクロール51との間に、旋回基板521の前記一方の面(旋回渦巻壁522が立設されている面)が後方を向いた状態で配置されている。なお、旋回基板521の前記他方の面を旋回基板521の背面という場合もある。
旋回スクロール52は、回転軸30及びクランク機構70を介して伝達される駆動力によって駆動される。駆動された旋回スクロール52は、自転阻止機構80によって自転が阻止された状態で、固定スクロール51に対して旋回運動するように、換言すれば、固定スクロール51の軸心まわりに旋回運動するように構成されている。したがって、本実施形態においては、回転軸30及びクランク機構70によって本発明の「駆動力伝達機構」が構成される。
スクロールユニット50は、旋回スクロール52が固定スクロール51に対して旋回運動を行うことで低圧の気体冷媒を取り込んで圧縮するように構成されている。なお、旋回スクロール52の旋回基板521とセンターハウジング23の第2隔壁部232との間には円環板状のスラストプレート90が配置されており、第2隔壁部232の後側の面がスラストプレート90を介して旋回スクロール52からのスラスト力を受けるようになっている。
図2は、図1の要部拡大図であり、主にクランク機構70及び自転阻止機構80を示している。
クランク機構70は、回転軸30と旋回スクロール52とを連結すると共に回転軸30の回転運動を旋回スクロール52の旋回運動に変換するように構成されている。図2に示されるように、クランク機構70は、回転軸30の後端に設けられた偏心ピン71と、偏心ピン71に取り付けられた偏心ブッシュ72とを含む。
偏心ピン71は、回転軸30の後端面から回転軸30の軸方向に延びている。また、偏心ピン71は、回転軸30に対して偏心している。すなわち、偏心ピン71の中心線CL1は、回転軸30の中心線CL0からずれている。
偏心ブッシュ72は、偏心ピン71に回転可能に取り付けられていると共に軸受73を介して旋回スクロール52の円筒部523の内側に回転可能に挿入されている。具体的には、偏心ブッシュ72は、円柱(円筒)状に形成されている。また、偏心ブッシュ72には、偏心ピン71が回転可能に挿通されるピン挿通孔72aが形成されている。ピン挿通孔72aは、偏心ブッシュ72の中心線CL2から偏心した位置に形成されて偏心ブッシュ72を軸方向に貫通している。そして、偏心ブッシュ72は、ピン挿通孔72aに偏心ピン71を挿通させることにより、すなわち、ピン挿通孔72aを介して偏心ピン71に回転可能に取り付けられている。したがって、ピン挿通孔72aの中心線は、偏心ピン71の中心線CL1に一致する。
また、偏心ブッシュ72は、外周面72bを旋回スクロール52の円筒部523の内側に取り付けられた軸受73に外周面72bを支持させることにより、軸受73を介して旋回スクロール52の円筒部523の内側に回転可能に挿入されている。なお、旋回スクロール52の重心は、概ね偏心ブッシュ72の中心線CL2上に位置している。
自転阻止機構80は、ピンリング式の自転阻止機構として構成されており、複数の自転阻止部81を含む。自転阻止機構80の自転阻止部81は、図2に示されるように、旋回基板521の前記他方の面(背面)に形成された円形穴に圧入されたリング82と、センターハウジング23の第2隔壁部232に固定され且つスラストプレート90を貫通してリング82の内側まで延びるピン83とで構成されている。本実施形態において、旋回基板521の前記他方の面(背面)には、円筒部523を囲むように等間隔で6個の円形穴が形成されており、各円形穴にリング82が圧入されている(図3参照)。また、センターハウジング23の第2隔壁部232には、6個のリング82に対応する6個のピン83が固定されている。つまり、本実施形態において、自転阻止機構80は、周方向に等間隔で配置された6個の自転阻止部81を有している。但し、これに限られるものではない。自転阻止部81は3個以上あればよく、自転阻止部81の個数は任意に設定され得る。
図1に戻り、スクロール型圧縮機10は、低圧の気体冷媒が流入する吸入室H1と、低圧の気体冷媒を圧縮する圧縮室H2と、圧縮室H2で圧縮された気体冷媒が吐出される吐出室H3と、圧縮室H2で圧縮された気体冷媒から潤滑油を分離する気液分離室H4と、旋回スクロール52の旋回基板521の前記他方の面側(背面側)に設けられた背圧室H5とを有している。
吸入室H1は、フロントハウジング21の第1周壁部211、フロントハウジング21の第1隔壁部212、センターハウジング23の第2周壁部231及びセンターハウジング23の第2隔壁部232によって区画形成されている。すなわち、本実施形態においては、フロントハウジング21の前記モータ収容空間とセンターハウジング23の前記接続区間とによって吸入室H1が形成されている。第1周壁部211には、吸入口P1が形成されている。吸入口P1は、図示省略の接続管などを介して前記冷媒回路(の低圧側)に接続されている。このため、吸入室H1には、吸入口P1を介して前記冷媒回路からの低圧の冷媒が流入する。また、センターハウジング23には、吸入室H1内の低圧の気体冷媒をスクロールユニット50の外端部近傍の空間H6に導くための冷媒通路L1が形成されている。
圧縮室H2は、固定スクロール51と旋回スクロール52との間に形成される。具体的には、スクロールユニット50において、旋回スクロール52が固定スクロール51に対して旋回運動すると、旋回渦巻壁522が固定渦巻壁512に接触し、固定基板511、固定渦巻壁512、旋回基板521及び旋回渦巻壁522によって三日月状の密閉空間が径方向外側で形成される。また、形成された三日月状の密閉空間が容積を徐々に減少させながら径方向内側へと移動する。この固定スクロール51と旋回スクロール52との間に形成される三日月状の密閉空間が圧縮室H2を構成する。スクロールユニット50は、前記三日月状の密閉空間(すなわち、圧縮室H2)の形成時に空間H6から低圧の気体冷媒を取り込むことで低圧の気体冷媒を圧縮するように構成されている。
吐出室H3は、リアハウジング24の第3周壁部241と、リアハウジング24の底壁部242と、固定スクロール51の固定基板511とによって区画形成されている。つまり、リアハウジング24の第3周壁部241の内部が吐出室H3を構成している。固定スクロール51の固定基板511の径方向中央には、最も内側に移動した圧縮室H2と吐出室H3とを連通する吐出孔L2が形成されている。このため、吐出室H3には、スクロールユニット50の圧縮室H2で圧縮された気体冷媒が吐出孔L2を介して吐出される。なお、吐出孔L2には、圧縮室H2から吐出室H3への気体冷媒の流通を許容するが、吐出室H3から圧縮室H2への気体冷媒の流通を規制する逆止弁(リード弁)95が取り付けられている。
気液分離室H4は、リアハウジング24に設けられている。具体的には、本実施形態において、気液分離室H4は、リアハウジング24の底壁部242を外周面から内部へと向かって下方に延びる円柱状空間として形成されている。吐出室H3と気液分離室H4とは連通孔L3を介して連通している。気液分離室H4には、気体冷媒に含まれる潤滑油を分離するオイルセパレータ100が配置されている。ここでは遠心分離式のオイルセパレータが用いられているが、これに限られるものではなく、他の方式のオイルセパレータが用いられてもよい。気液分離室H4におけるオイルセパレータ100より上部には、吐出口P2が設けられている。吐出口P2は、図示省略の接続管などを介して前記冷媒回路(の高圧側)に接続されている。
背圧室H5は、旋回スクロール52の旋回基板521とセンターハウジング23の第2隔壁部232との間に形成されている。本実施形態において、背圧室H5は、第2隔壁部232の中空突出部233の内部空間を含む。センターハウジング23及びリアハウジング24には、吐出室H3と背圧室H5とを接続すると共に気液分離室H4と背圧室H5とを接続する潤滑油通路L4が形成されている。潤滑油通路L4の途中には、オリフィス(絞り部)OLが配置されている。また、背圧室H5は、軸挿通孔234の内周面と回転軸30の外周面との間の微小隙間を介して吸入室H1に連通している。但し、これに限られるものではない。背圧室H5は、途中にオリフィスや背圧制御弁が設けられた放圧通路を介して吸入室H1に連通するように構成されてもよいし、途中に絞り弁や逆止弁が設けられた放圧通路を介して圧縮室H2に連通するように構成されてもよい。
ここで、スクロール型圧縮機10の動作を簡単に説明する。
インバータ60からの給電によって電動モータ40が回転軸30を回転させると、回転軸30の回転がクランク機構70を介して旋回スクロール52に伝達され、旋回スクロール52は固定スクロール51に対して旋回運動を行う。すると、前記冷媒回路からの低圧の気体冷媒が吸入口P1を介して吸入室H1に流入し、冷媒通路L1を通過して空間H6に至り、その後、固定スクロール51と旋回スクロール52との間に形成される圧縮室H2に取り込まれて圧縮される。圧縮室H2で圧縮された気体冷媒(高圧の気体冷媒)は、吐出孔L2(及び逆止弁95)を介して吐出室H3に吐出され、その後、連通孔L3を介して気液分離室H4に流入する。気液分離室H4に流入した気体冷媒は、オイルセパレータ100によって、そこに含まれた潤滑油が分離される。そして、オイルセパレータ100によって潤滑油が分離された後の気体冷媒は、吐出口P2から前記冷媒回路へと導出される。他方、オイルセパレータ100によって気体冷媒から分離された潤滑油は、気液分離室H4の底部に貯留される。なお、吐出室H3に吐出された気体冷媒に含まれた潤滑油の一部は、吐出室H3の底部に貯留される。
背圧室H5は、潤滑油通路L4を介して吐出室H3及び気液分離室H4に連通していると共に、軸挿通孔234の内周面と回転軸30の外周面との間の微小隙間を介して吸入室H1に連通している。このため、吐出室H3の底部及び/又は気液分離室H4の底部に貯留された潤滑油は、潤滑油通路L4を介して背圧室H5に供給されるが、その際に、オリフィスOLによって減圧される。また、背圧室H5と吸入室H1とは前記微小隙間を介して連通しており、背圧室H5から吸入室H1に流出する潤滑油(及び/又は気体冷媒)が制限される。このため、背圧室H5の圧力が吸入室H1の圧力Psと吐出室H3の圧力Pd(=気液分離室H4の圧力)との間の中間圧力Pmに保持される。そして、この中間圧力Pmによって旋回スクロール52が固定スクロール51に向かって押し付けられる。つまり、背圧室H5は、固定スクロール51に向かって押し付ける圧力(背圧)Pmを旋回スクロール52に作用させる。
次に、スクロール型圧縮機10において、旋回スクロール52の旋回運動による遠心力等の影響を抑制するための構成について説明する。
スクロール型圧縮機10がこのような構成を有するのは、主に回転軸30を支持する第1軸受214及び第2軸受235が振動して騒音が発生することを抑制するためである。また、固定渦巻壁512に対する旋回渦巻壁522の押し付け力が増大して固定渦巻壁512及び/又は旋回渦巻壁522の摩耗が増大したり、固定渦巻壁512及び/又は旋回渦巻壁522が破損したりすることを防止するためである。
スクロール型圧縮機10は、旋回スクロール52の旋回運動による遠心力等の影響を抑制する構成として、主に偏心ブッシュ72と一体に設けられたバランサ(以下「ブッシュ・バランサ」という)721と、回転軸30と一体に設けられたバランサ(以下「シャフト・バランサ」という)31とを有する。
図3、図4は、回転軸30、ブッシュ・バランサ721及びシャフト・バランサ31なDを示す概略斜視図であり、図5は、回転軸30、ブッシュ・バランサ721及びシャフト・バランサ31などを回転軸30の軸方向から見た状態を示す図であり、図6は、回転軸30、ブッシュ・バランサ721及びシャフト・バランサ31などを回転軸30の軸方向(図5とは反対側)から見た状態を示す図である。なお、以下の説明においては、前後方向の寸法、換言すれば、回転軸30の軸方向に相当する寸法のことを「厚さ」といい、左右方向に相当する寸法のことを「幅」という。
ブッシュ・バランサ721は、偏心ブッシュ72の前端近傍(すなわち、回転軸30側の端部近傍)の外周面に固定されている。ブッシュ・バランサ721は、偏心ブッシュ72と一体に回転する。ブッシュ・バランサ721は、背圧室H5に配置されている(図1、図2参照)。なお、図4中の符号74は、偏心ピン71に取り付けられた偏心ブッシュ72を固定するスナップリングを示している。
ブッシュ・バランサ721は、偏心ブッシュ72の外周面72bに外嵌されて固定される円環状の固定部(以下「第1固定部」という)722と、第1固定部722(換言すれば、偏心ブッシュ72)の径方向外側に第1固定部722(偏心ブッシュ72)から離隔して設けられたウエイト部(以下「第1ウエイト部」という)723と、第1固定部722と第1ウエイト部723との間を繋ぐ連結部(以下「第1連結部」という)724と、を有する。
第1ウエイト部723は、ブロック状に形成されている。他方、第1連結部724は、板状に形成されている。換言すれば、第1ウエイト部723は、第1連結部724よりも肉厚に形成されている。また、ブッシュ・バランサ721を回転軸30の軸方向から見たとき、第1ウエイト部723及び第1連結部724は、全体として半円形又は略扇形に形成されている。
第1ウエイト部723は、第1連結部724に対して後方(すなわち、旋回スクロール52側)に突出した後方突出部723aと、第1連結部724に対して前方(すなわち、回転軸30側)に突出した第1前方突出部723b及び第2前方突出部723cとを有する。換言すれば、後方突出部723a、第1前方突出部723b及び第2前方突出部723cは、それぞれ第1ウエイト部723の一部を構成する。第1前方突出部723bと第2前方突出部723cとは、左右方向、換言すれば、回転軸30の回転方向Rに互いに離隔している。本実施形態において、第1前方突出部723bは、後方突出部723aよりも小さく形成されており、第2前方突出部723cは、後方突出部723a及び第1前方突出部723bよりも小さく形成されている。
シャフト・バランサ31は、回転軸30の後端近傍(すなわち、偏心ピン71側の端部近傍)の外周面に固定されている。シャフト・バランサ31は、回転軸30と一体に回転する。シャフト・バランサ31は、ブッシュ・バランサ721と同様、背圧室H5に配置されている。シャフト・バランサ31は、背圧室H5内において、ブッシュ・バランサ721の前側に位置している(図1、図2参照)。
シャフト・バランサ31は、回転軸30の外周面に外嵌されて固定される円環状の固定部(以下「第2固定部」という)32と、第2固定部32(換言すれば、回転軸30)の径方向外側に第2固定部32(回転軸30)から離隔して設けられたウエイト部(以下「第2ウエイト部」という)33と、第2固定部32と第2ウエイト部33との間を繋ぐ連結する連結部(以下「第2連結部」という)34と、を有する。
シャフト・バランサ31は、概ね一定の厚さで形成されている。第2連結部34は、第2固定部32及び第2ウエイト部33よりも幅狭に形成されている。
また、本実施形態において、回転軸30の回転方向Rにおけるブッシュ・バランサ721の第1前方突出部723bと第2前方突出部723cとの間隔は、シャフト・バランサ31の第2連結部34の幅よりも大きく設定されている。そして、ブッシュ・バランサ721の第1前方突出部723bと第2前方突出部723cとの間に、シャフト・バランサ31の第2連結部34が配置されている(図5参照)。したがって、ブッシュ・バランサ721は、シャフト・バランサ31と一体的に回転すると共に、シャフト・バランサ31に対する多少の変位が許容されている。
本実施形態では、図5及び図6に示されるように、回転軸30の軸方向から見て、回転軸30の中心線CL0と偏心ブッシュ72の中心線CL2とを通る直線を第1直線VLとし、回転軸30の中心線CL0を通り第1直線VLに直交する直線を第2直線HLとしたとき、ブッシュ・バランサ721の第1ウエイト部723は、第2直線HLを挟んでピン挿通孔72aの中心線(=偏心ピン71の中心線CL1)とは反対側に位置している。また、ブッシュ・バランサ721の重心G1は、第2直線HLを挟んで偏心ブッシュ72の中心線CL2とは反対側に位置している。上述のように、旋回スクロール52の重心は、概ね偏心ブッシュ72の中心線CL2上に位置する。したがって、ブッシュ・バランサ721の重心G1は、回転軸30の軸方向から見たとき、第2直線HLを挟んで旋回スクロール52の重心とは反対側に位置することになる。さらに、ブッシュ・バランサ721の重心G1は、第1直線VLを挟んで偏心ピン71の中心線CL1とは反対側に位置している。
回転軸30の軸方向から見て、シャフト・バランサ31の第2ウエイト部33は、第2直線HLを挟んで偏心ピン71とは反対側に位置しており、シャフト・バランサ31の第2連結部34は、第2固定部32から第2ウエイト部33に向かって第1直線VLに対して傾斜して、すなわち、所定の角度θ(ここでは約20°)を有して延びている。また、シャフト・バランサ31の重心G2は、第2直線HLを挟んで偏心ブッシュ72の中心線CL2とは反対側に位置している。つまり、シャフト・バランサ31の重心G2は、ブッシュ・バランサ721の重心G1と同様、第2直線HLを挟んで旋回スクロール52の重心とは反対側に位置している。さらに、シャフト・バランサ31の重心G2は、第1直線VLに対して、偏心ピン71の中心線CL1と同じ側に位置している。
実施形態に係るスクロール型圧縮機10によれば、以下のような効果が得られる。
スクロール型圧縮機10は、偏心ブッシュ72と一体に設けられたブッシュ・バランサ721を有し、ブッシュ・バランサ721は、偏心ブッシュ72の径方向外側に位置する第1ウエイト部723を有している。
このため、旋回スクロール52の旋回による遠心力が、ブッシュ・バランサ721に生じる遠心力によって相殺され、固定渦巻壁512に対する旋回渦巻壁522の押し付け力が適正に維持され得る。したがって、固定渦巻壁512及び/又は旋回渦巻壁522の摩耗が増大したり、固定渦巻壁512及び/又は旋回渦巻壁522が破損したりすることが抑制される。また、固定スクロール51と旋回スクロール52との間に形成される圧縮室H2の良好なシール性(密閉性)が確保され得る。
スクロール型圧縮機10は、さらに回転軸30と一体に設けられたシャフト・バランサ31を有し、シャフト・バランサ31は、回転軸30の径方向外側に位置する第2ウエイト部33を有している。そして、回転軸30の軸方向から見たとき、ブッシュ・バランサ721の重心G1は、第2直線HLを挟んで偏心ブッシュ72の中心線CL2と反対側であって、且つ、第1直線VLを挟んで偏心ピン71の中心線CL1とは反対側に位置している。また、シャフト・バランサ31の重心G2は、第2直線HLを挟んで偏心ブッシュ72の中心線CL2とは反対側であって、且つ、第1直線VLに対して偏心ピン71の中心線CL1と同じ側に位置している。
このような構成により、実施形態に係るスクロール型圧縮機10によれば、回転軸30に関し、第1直線VLに沿った方向である上下方向の重量バランスと、第1直線VLに直交する第2直線HLに沿った方向である左右方向の重量バランスとを取ることができる。また、主にシャフト・バランサ31により、旋回スクロール52及びブッシュ・バランサ721の遠心力によって発生するモーメントの影響を抑制することも可能である。したがって、回転軸30を支持する第1軸受214及び第2軸受235の振動/騒音が抑制されて、低騒音性(低振動性)が向上する。
また、ブッシュ・バランサ721は、前方(すなわち、シャフト・バランサ31側)に突出すると共に回転軸30の回転方向に互いに離隔した第1前方突出部723bと第2前方突出部723cとを有し、シャフト・バランサ31の第2連結部34が第1前方突出部723bと第2前方突出部723cとの間に配置されている。
このため、シャフト・バランサ31の第2連結部34がブッシュ・バランサ721の揺動範囲を制限するストッパとして機能し、慣性などによってブッシュ・バランサ721が必要以上に揺動してしまうことが防止される。また、回転軸30の軸方向において、シャフト・バランサ31及びブッシュ・バランサ721を配置するためのスペースを小さくすることもできる。
さらに、上記のようなブッシュ・バランサ721とシャフト・バランサ31の組み合わせは、スクロール型圧縮機10の高速化や軽量化(特に渦巻壁の薄肉化)によって生じ得る課題、例えば、高速運転時における振動/騒音の増大にも対処し得る。以下、その一例を説明する。
旋回スクロール52の旋回運動による遠心力等の影響を抑制するための構成としてシャフト・バランサ31及びブッシュ・バランサ721が用いられる場合、旋回スクロール52の旋回運動に伴う不釣り合い(以下「不釣り合い(A)」という)と、ブッシュ・バランサ721による不釣り合い(以下「不釣り合い(B)」という)及びシャフト・バランサ31による不釣り合い(以下「不釣り合い(C)」という)とが互いに相殺するように構成される。
通常、旋回スクロール52とブッシュ・バランサ721とシャフト・バランサ31の動釣り合いが取れている。つまり、「不釣り合い(A)=不釣り合い(B)+不釣り合い(C)」となっている。しかし、スクロール型圧縮機10の高速化や軽量化に伴い、高速運転時の固定渦巻壁512に対する旋回渦巻壁522の押し付け力の増加によって固定渦巻壁512が外側に倒れるように(弾性)変形することがある。
固定渦巻壁512が外側に倒れると、旋回渦巻壁522と固定渦巻壁512の接触によって規定される旋回スクロール52の旋回半径AORが増加する。旋回スクロール52の旋回半径AORが増加すると、旋回スクロール52の動不釣り合いが増加する(不釣り合い(A)⇒不釣り合い(A´)>不釣り合い(A))。また、旋回スクロール52の旋回半径AORが増加すると、偏心ブッシュ72(すなわち、ブッシュ・バランサ721)が偏心ピン71を中心に揺動してブッシュ・バランサ721の動不釣り合いが減少する(不釣り合い(B)⇒不釣り合い(B´)<不釣り合い(B))。
その結果、低速~中速運転では、旋回スクロール52とブッシュ・バランサ721とシャフト・バランサ31の動釣り合いが取れていた場合であっても、高速運転では、旋回スクロール52とブッシュ・バランサ721とシャフト・バランサ31の動釣り合いが取れなくなって、つまり、「不釣り合い(A´)>不釣り合い(B´)+不釣り合い(C)」となってしまい、振動/騒音が増大する。
ここで、低速~中速運転時の振動/騒音は、通常、高速運転時の振動/騒音に比べて小さい。そのため、低速~中速運転時の振動/騒音が多少増加したとしても、高速運転時の振動/騒音が減少すれば、スクロール型圧縮機10全体としての振動/騒音の低減を図ることが可能である。
上記のような高速運転時の振動/騒音を減少するためには、例えば、シャフト・バランサ31の不釣り合い(B)を、旋回スクロール52の旋回半径AORが設計値であるときに旋回スクロール52とブッシュ・バランサ721とシャフト・バランサ31の動釣り合いを取ることのできる不釣り合い(B)よりも大きく設定し、これによって、高速運転時において、旋回スクロール52とブッシュ・バランサ721とシャフト・バランサ31の動釣り合いを取ること、つまり、「不釣り合い(A´)=不釣り合い(B´)+不釣り合い(C)」となるようにすることが考えられる。
一例として、高速運転時には旋回スクロール52の旋回半径AORが基準値(設計値)よりも0.5~2%程度増加するものとし、旋回スクロール52の動不釣り合い(不釣り合い(A´))を、シャフト・バランサ31の不釣り合い(C)と、旋回半径AORの増加による偏心ブッシュ72の揺動後のブッシュ・バランサ721の動不釣り合い(不釣り合い(B´))とによって相殺するように、ブッシュ・バランサ721の不釣り合い(B)が設定され得る。
この場合、高速運転時の振動/騒音が減少され得るが、低速~中速運転では、旋回スクロール52とブッシュ・バランサ721とシャフト・バランサ31の動釣り合いが取れなくなる。つまり、「不釣り合い(A)<不釣り合い(B)+不釣り合い(C)」となり、低速~中速運転での振動/騒音の増加が懸念される。しかし、発明者らの実験によれば、上述のようなブッシュ・バランサ721とシャフト・バランサ31の組み合わせを採用することにより、低速~中速運転での振動/騒音は増加するものの、その影響は小さく、スクロール型圧縮機10全体としての振動/騒音の低減を図ることができることが確認されている。したがって、スクロール型圧縮機10の高速化や軽量化によって生じる高速運転時における振動/騒音の増大にも効果的に対処し得る。
なお、上述の実施形態において、ブッシュ・バランサ721は、偏心ブッシュ72とは別体で形成されて偏心ブッシュ72の外周面に固定されている。しかし、これに限られるものではない。偏心ブッシュ72とブッシュ・バランサ721とが一体に、すなわち、一つの部品(例えば、バランサ付き偏心ブッシュ)として形成されてもよい。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらなる変形や変更が可能であることはもちろんである。
10…スクロール型圧縮機、30…回転軸、31…シャフト・バランサ、32…第2固定部、33…第2ウエイト部、34…第2連結部、51…固定スクロール、52…旋回スクロール、71…偏心ピン、72…偏心ブッシュ、73…軸受、511…固定基板、512…固定渦巻壁、521…旋回基板、522…旋回渦巻壁、523…円筒部、721…ブッシュ・バランサ、722…第1固定部、723…第1ウエイト部、723a…後方突出部、723b…第1前方突出部、723c…第2前方突出部、G1…ブッシュ・バランサの重心、G2…シャフト・バランサの重心、CL0…回転軸の中心線、CL1…偏心ピンの中心線、CL2…偏心ブッシュの中心線、H1…吸入室、H2…圧縮室、H3…吐出室、H5…背圧室、HL…第2直線、VL…第1直線、

Claims (5)

  1. 固定基板及び前記固定基板に立設された固定渦巻壁を有する固定スクロールと、
    旋回基板、前記旋回基板の一方の面に立設されて前記固定渦巻壁と噛み合う旋回渦巻壁及び前記旋回基板の他方の面に突出形成された円筒部を有する旋回スクロールと、
    前記固定スクロールと前記旋回スクロールとの間に形成される圧縮室と、
    回転駆動される回転軸、前記回転軸の一端に設けられた偏心ピン、及び、前記偏心ピンに回転可能に取り付けられ且つ軸受を介して前記円筒部の内側に回転可能に挿入された偏心ブッシュを含み、前記旋回スクロールに駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、
    を有し、
    前記駆動力によって前記旋回スクロールが前記固定スクロールに対して旋回運動を行うことで前記圧縮室の容積が変化し、これによって、前記圧縮室に取り込まれた流体を圧縮するように構成されたスクロール型圧縮機であって、
    前記偏心ブッシュと一体に設けられ、前記偏心ブッシュの径方向外側に位置する第1ウエイト部を有するブッシュ・バランサと、
    前記回転軸と一体に設けられ、前記回転軸の径方向外側に位置する第2ウエイト部を有するシャフト・バランサと、
    を有し、
    前記回転軸の軸方向から見て、前記回転軸の中心線と前記偏心ブッシュの中心線とを通る直線を第1直線とし、前記回転軸の中心線を通り前記第1直線に直交する直線を第2直線としたとき、前記ブッシュ・バランサの重心は、前記第2直線を挟んで前記偏心ブッシュの中心線とは反対側に位置すると共に、前記第1直線を挟んで前記偏心ピンの中心線とは反対側に位置し、前記シャフト・バランサの重心は、前記第2直線を挟んで前記偏心ブッシュの中心線とは反対側に位置すると共に、前記第1直線に対して前記偏心ピンの中心線と同じ側に位置している、
    スクロール型圧縮機。
  2. 前記ブッシュ・バランサは、前記シャフト・バランサ側に突出すると共に前記回転軸の回転方向に互いに離隔した第1突出部及び第2突出部を有し、前記第1突出部と前記第2突出部との間に前記シャフト・バランサの一部が配置されている、請求項1に記載のスクロール型圧縮機。
  3. 前記ブッシュ・バランサは、前記偏心ブッシュの外周面に固定された第1固定部と、前記第1固定部と前記第1ウエイト部とを繋ぐ第1連結部とをさらに有し、
    前記第1突出部及び前記第2突出部は、前記第1ウエイト部に設けられている、請求項2に記載のスクロール型圧縮機。
  4. 前記シャフト・バランサは、前記回転軸の外周面に固定された第2固定部と、前記第2固定部と前記第2ウエイト部と間を繋ぐ第2連結部とをさらに有し、前記第2連結部が前記第1突出部と前記第2突出部との間に配置されている、請求項2に記載のスクロール型圧縮機。
  5. 前記回転軸の軸方向から見たとき、前記第2連結部が前記第1直線に対して傾斜して延びている、請求項4に記載のスクロール型圧縮機。
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