JP2023159862A - 誘導結合プラズマ励起用アンテナ、誘導結合プラズマ励起用アンテナユニット及びプラズマ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘導結合プラズマ励起用アンテナを用いてプラズマを励起する際、当該アンテナによる磁界の生成効率を向上させつつ、磁界強度の周方向均一性を向上させる。【解決手段】誘導結合プラズマ励起用アンテナであって、導電性プレートと、一端が前記導電性プレートに接続される、複数のコイルアセンブリと、前記複数のコイルアセンブリのそれぞれに対して、前記複数のコイルアセンブリの他端と接地の間に設けられるインピーダンス調整部と、を備える、誘導結合プラズマ励起用アンテナ。【選択図】図2
Description
本開示は、誘導結合プラズマ励起用アンテナ、誘導結合プラズマ励起用アンテナユニット及びプラズマ処理装置に関する。
特許文献1には、処理チャンバ内でプラズマを生成するためのアンテナが開示されている。アンテナは、中央コイルターンと外側コイルターンの2つの環状コイルターンを有する。中央コイルターンと外側コイルターンは、半径方向経路又は弧状経路に延びる複数の導体で接続される。中央コイルターンにはRF源及びRFマッチネットワークを含むRF生成システムが接続され、アンテナ接続によって中央コイルターンにRF電力が供給される。外側コイルターンは、接地接続によって接地される。
特許文献2には、RFプラズマ源電力をプラズマに誘導結合する誘導コイルアンテナが開示されている。誘導コイルアンテナは、共通のアンテナ中心から複数のラジアルアームによって接続された複数の巻線を有する。アンテナ中心は、インピーダンス整合回路を介してRFプラズマ源発電機によって駆動される。巻線の複数の外側端部は接地される。
本開示にかかる技術は、誘導結合プラズマ励起用アンテナを用いてプラズマを励起する際、当該アンテナによる磁界の生成効率を向上させつつ、磁界強度の周方向均一性を向上させる。
本開示の一態様は、誘導結合プラズマ励起用アンテナであって、導電性プレートと、一端が前記導電性プレートに接続される、複数のコイルアセンブリと、前記複数のコイルアセンブリのそれぞれに対して、前記複数のコイルアセンブリの他端と接地の間に設けられるインピーダンス調整部と、を備える。
本開示によれば、誘導結合プラズマ励起用アンテナを用いてプラズマを励起する際、当該アンテナによる磁界の生成効率を向上させつつ、磁界強度の周方向均一性を向上させることができる。
半導体デバイスの製造工程では、半導体基板に対してエッチングや成膜処理等のプラズマ処理が行われる。プラズマ処理では、処理ガスを励起させることによりプラズマを生成し、当該プラズマによって半導体基板を処理する。
プラズマ源の一つとして、例えば誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を用いることができる。上述した特許文献1、2に開示のアンテナは、この誘導結合プラズマを励起するためのアンテナであって、複数のコイルを含む。
アンテナに接続されるRF電源やインピーダンス整合回路は高価なものである。そこで従来、例えば特許文献1、2に開示されているように、RF電源やインピーダンス整合回路からのRF電力の供給はアンテナ中心の1箇所とし、当該アンテナ中心から分岐線を介して複数のコイルに分岐させている。かかる場合、アンテナ中心の分岐部では、各コイルへの分岐線が近接するため、互いに誘導結合して電流配分比率の偏りが生じる。誘導結合は、例えばRF電力の供給線と分岐線とが誘導結合する場合や、分岐線同士が誘導結合する場合が含まれる。そしてその結果、アンテナによって生成される磁界の強度の周方向均一性が悪化する。
また、アンテナ中心には、例えば処理ガスの通路である中央ガス注入部(CGI:Center Gas Injector)等を挿通させるための開口部が形成される場合がある。かかる場合、アンテナ中心の開口部に磁力線が生じ、誘電起電力が発生するため、アンテナによる磁界の生成効率が低下する。
本開示にかかる技術は、誘導結合プラズマ励起用アンテナを用いてプラズマを励起する際、当該アンテナによる磁界の生成効率を向上させつつ、磁界強度の周方向均一性を向上させる。
以下、本実施形態にかかるプラズマ処理装置及び誘導結合プラズマ励起用アンテナについて、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<プラズマ処理システムの構成>
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。図1は、プラズマ処理システムの構成の概略を示す断面図である。本実施形態のプラズマ処理システムでは、誘導結合プラズマを用いて基板(ウェハ)Wにプラズマ処理を行う。なお、プラズマ処理対象の基板Wはウェハに限定されるものではない。
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。図1は、プラズマ処理システムの構成の概略を示す断面図である。本実施形態のプラズマ処理システムでは、誘導結合プラズマを用いて基板(ウェハ)Wにプラズマ処理を行う。なお、プラズマ処理対象の基板Wはウェハに限定されるものではない。
プラズマ処理システムは、誘導結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。誘導結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101及び側壁102を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11、ガス導入部、誘導結合プラズマ励起用アンテナユニット(アンテナユニット14)及び導体板15を含む。アンテナユニット14は、誘導結合プラズマ励起用アンテナを含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。アンテナユニット14は、後述する中央ガス注入部13を囲むようにプラズマ処理チャンバ10上又はその上方(すなわち誘電体窓101上又はその上方)に配置される。なお、アンテナユニット14は、EPD窓等のような他の中空部材を囲むように配置されてもよい。この場合、他の中空部材の一部又は全部は、石英のような絶縁材料で作製される。なお、絶縁材料は、石英以外のセラミック材料であってもよい。導体板15は、アンテナユニット14の上方に配置される。上記の他、アンテナユニット14の詳細については、後述する。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101、側壁102及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材はバイアス電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極がバイアス電極として機能する。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数のバイアス電極として機能してもよい。また、静電電極1111bがバイアス電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つのバイアス電極を含む。
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
ガス導入部は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。一実施形態において、ガス導入部は、中央ガス注入部(CGI:Center Gas Injector)13を含む。中央ガス注入部13は、基板支持部11の上方に配置され、誘電体窓101に形成された中央開口部に取り付けられる。中央ガス注入部13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス流路13b、及び少なくとも1つのガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス流路13bを通過してガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。なお、ガス導入部は、中央ガス注入部13に加えて又はその代わりに、側壁102に形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してガス導入部に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つのバイアス電極及びアンテナユニット14に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つのバイアス電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオンを基板Wに引き込むことができる。
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、アンテナユニット14に結合され、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、アンテナユニット14に供給される。
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つのバイアス電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つのバイアス電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、バイアスDC生成部32aを含む。一実施形態において、バイアスDC生成部32aは、少なくとも1つのバイアス電極に接続され、バイアスDC信号を生成するように構成される。生成されたバイアスDC信号は、少なくとも1つのバイアス電極に印加される。
種々の実施形態において、バイアスDC信号は、パルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つのバイアス電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部がバイアスDC生成部32aと少なくとも1つのバイアス電極との間に接続される。従って、バイアスDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、バイアスDC生成部32aは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
<第1の実施形態>
次に、第1の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成例について説明する。図2は、アンテナユニット14の構成の概略を示す下方から見た平面図である。図3は、アンテナユニット14の構成の概略を示す断面図である。図4は、アンテナユニット14の構成の概略を模式的に示す斜視図である。
次に、第1の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成例について説明する。図2は、アンテナユニット14の構成の概略を示す下方から見た平面図である。図3は、アンテナユニット14の構成の概略を示す断面図である。図4は、アンテナユニット14の構成の概略を模式的に示す斜視図である。
アンテナユニット14は、少なくとも1つのアンテナを含む。本実施形態においては、アンテナユニット14は、複数のコイルアセンブリ200、導電性プレート210及び導電性円筒(導電性中空部材)230を有するアンテナを含む。
なお、図示の例では、4つのコイルアセンブリ200が示されているが、コイルアセンブリ200の数は特に限定されるものではない。複数のコイルアセンブリ200は、誘電体窓101の上方に配置される。また、複数のコイルアセンブリ200は、導電性プレート210の周方向に等間隔で配置され、かつ中心に対して回転対象の位置に配置される。なお回転対象とは、一般的な意味であって、nを2以上の整数として中心の周りを(360/n)°回転させると自らと重なるような配置のことをいう。具体的に図示の例では、4つのコイルアセンブリ200が導電性プレート210の周方向に等間隔で配置されており、かつ、4つのコイルアセンブリ200を導電性プレート210の中心に対して90度回転することにより元の配置と重なるように配置されている。
各コイルアセンブリ200は、コイルセグメント201と鉛直コイルセグメント202、203を有する。コイルセグメント201は、水平方向に延伸するか、又は、水平方向に対して斜めに延伸し、コイルアセンブリ200の底部に配置される。なお、コイルセグメント201は、プラズマ処理空間10sに対向する方向に延伸するプラズマ対向セグメントとも呼ばれる。一の鉛直コイルセグメント202は、コイルセグメント201から上方に延伸し、コイル端子200aを介して導電性プレート210の外周部に接続される。なお、一の鉛直コイルセグメント202は、導電性プレート210の上面又は下面に接続されてもよい。他の鉛直コイルセグメント203は、コイルセグメント201から上方に延伸し、コイル端子200bからはインピーダンス調整部を介してグランド電位に接続される。図示の例で、インピーダンス調整部はコンデンサ221である。コンデンサ221は可変容量コンデンサである。ただし、コンデンサ221の構成はこれに限定されず、コンデンサ221は固定の容量を有するコンデンサであってもよいし、可変容量コンデンサ及び/又は固定容量コンデンサを含む複数のコンデンサを含んでもよい。ただし、少なくとも一つの可変容量コンデンサを含むことが好ましい。また、インピーダンス調整部は、可変抵抗、可変インダクタを含んでもよい。ただし、抵抗やインダクタは高周波電力の効率を妨げるので、インピーダンス調整部は容量コンデンサで構成されることが望ましい。
導電性プレート210は、複数のコイルアセンブリ200の上方、すなわちプラズマが生成されるプラズマ処理空間10sから離れて配置され、且つ、導体板15に近接して配置される。また、導電性プレート210は、略円筒状の中央ガス注入部13を囲むように中央ガス注入部13の周囲に配置される。導電性プレート210は平面視において略円形状を有し、中央開口部211が形成される。なお、導電性プレート210の形状は特に限定されるものではなく、例えば多角形であってもよい。導電性プレート210の形状も回転対称であることが望ましく、多角形の場合、頂点の数がコイルアセンブリ200の個数の整数倍であることが望ましい。中央開口部211の内側には中央ガス注入部13が挿通する。導電性プレート210の上面には中央プレート端子210aが設けられる。なお、中央プレート端子210aは、導電性プレート210の下面に設けられてもよい。中央プレート端子210aは、電源30の第1のRF生成部31aに接続され、すなわちRF電位に接続される。なお、中央プレート端子210aは、RF電位に直接接続されてもよいし、コンデンサやコイル等の電気素子を介してRF電位に接続されてもよい。すなわち、中央プレート端子210aは、RF電位に直接的に又は間接的に接続される。
導電性円筒230は、中央開口部211の内側において中央ガス注入部13を囲むように中央ガス注入部13の周囲に配置される。導電性円筒230は、中央開口部211から誘電体窓101上又はその上方まで下方に延伸する。導電性円筒230は、導電性プレート210に接続されてもよいし、導電性プレート210と接続されない、すなわち導電性プレート210から離れていてもよい。また、導電性円筒230は、中央ガス注入部13の一部であってもよい。
[アンテナの作用]
以上のように構成されたアンテナユニット14では、電源30の第1のRF生成部31aから供給されたRF電力が、中央プレート端子210aを介して導電性プレート210に供給される。これにより、電流が導電性プレート210から複数のコイルアセンブリ200に分岐して流れる。この電流によって、鉛直軸方向に磁界が発生し、発生した磁界により、プラズマ処理チャンバ10内に誘導電界が発生する。プラズマ処理チャンバ10内に発生した誘導電界により、中央ガス注入部13からプラズマ処理チャンバ10内に供給された処理ガスがプラズマ化する。そして、プラズマに含まれるイオンや活性種によって、中央領域111a上の基板Wに対して、エッチングや成膜処理等のプラズマ処理が施される。
以上のように構成されたアンテナユニット14では、電源30の第1のRF生成部31aから供給されたRF電力が、中央プレート端子210aを介して導電性プレート210に供給される。これにより、電流が導電性プレート210から複数のコイルアセンブリ200に分岐して流れる。この電流によって、鉛直軸方向に磁界が発生し、発生した磁界により、プラズマ処理チャンバ10内に誘導電界が発生する。プラズマ処理チャンバ10内に発生した誘導電界により、中央ガス注入部13からプラズマ処理チャンバ10内に供給された処理ガスがプラズマ化する。そして、プラズマに含まれるイオンや活性種によって、中央領域111a上の基板Wに対して、エッチングや成膜処理等のプラズマ処理が施される。
[アンテナの効果1]
ここで従来、上述したようにアンテナ中心から分岐線を介して複数のコイルに分岐させる場合、磁力線がコイルの間を自由に通過するため、誘電起電力が発生し、アンテナによる磁界の生成効率が低下する。この点、本第1の実施形態のアンテナユニット14によれば、板状の導電性プレート210が磁力線を通過させないため、余分な磁力線の回り込みを抑制することができる。すなわち、導電性プレート210をコイルとして機能させないようにできる。したがって、磁界の生成効率を向上させることができる。
ここで従来、上述したようにアンテナ中心から分岐線を介して複数のコイルに分岐させる場合、磁力線がコイルの間を自由に通過するため、誘電起電力が発生し、アンテナによる磁界の生成効率が低下する。この点、本第1の実施形態のアンテナユニット14によれば、板状の導電性プレート210が磁力線を通過させないため、余分な磁力線の回り込みを抑制することができる。すなわち、導電性プレート210をコイルとして機能させないようにできる。したがって、磁界の生成効率を向上させることができる。
導電性プレート210は、導体板15に近接して配置される。例えば、導電性プレート210と導体板15との間の距離は、中央開口部211の直径より小さい。このため、磁力線の回り込みをさらに抑制することができる。
中央開口部211において導電性プレート210の内端部と中央ガス注入部13との隙間は、磁力線の回り込みを抑制する観点から小さい方が好ましく、本第1の実施形態では20mm以内である。この20mmは、通常必要とされるコイルの耐圧、例えば20kVを確保するために必要な距離である。
中央開口部211には導電性円筒230が設けられているので、中央開口部211の隙間を小さくすることができ、磁力線の回り込みをさらに抑制することができる。
[アンテナの効果2]
ここで従来、上述したようにアンテナ中心から分岐線を介して複数のコイルに分岐させる場合、アンテナ中心の分岐部では分岐線が近接するため、互いに誘導結合して電流配分比率の偏りが生じ、その結果、アンテナによって生成される磁界の強度の周方向均一性が悪化する。この点、本第1の実施形態のアンテナユニット14によれば、電流の分岐部が板状の導電性プレート210であるため、上記のような誘導結合が生じず、各コイルアセンブリ200への電流配分比率に偏りが生じない。したがって、磁界強度の周方向均一性を向上させることができる
ここで従来、上述したようにアンテナ中心から分岐線を介して複数のコイルに分岐させる場合、アンテナ中心の分岐部では分岐線が近接するため、互いに誘導結合して電流配分比率の偏りが生じ、その結果、アンテナによって生成される磁界の強度の周方向均一性が悪化する。この点、本第1の実施形態のアンテナユニット14によれば、電流の分岐部が板状の導電性プレート210であるため、上記のような誘導結合が生じず、各コイルアセンブリ200への電流配分比率に偏りが生じない。したがって、磁界強度の周方向均一性を向上させることができる
複数のコイルアセンブリ200は、導電性プレート210の周方向に等間隔で配置され、かつ中心に対して回転対象の位置に配置されている。かかる場合、コイルアセンブリ200への電流配分比率の偏りをさらに抑制することができる。
[アンテナの効果3]
複数のコイルアセンブリ200は、コイル端子200bを介してそれぞれコンデンサ221に接続されている。電流配分比率の偏りが発生している場合には、一の又は複数のコンデンサ221の容量を変更するよう制御することでインピーダンスを調整し、電流配分比率の偏りをさらに抑制することができる。このため、可変容量コンデンサであるコンデンサ221を制御部2に接続し、制御部2によって容量の変更などの制御を行うこととしてもよい。なお、電流配分比率の偏りの抑制に際して、全てのコイルアセンブリ200に接続された全てのコンデンサ221の容量を変更することは必ずしも必要ではない。少なくとも一つのコンデンサ221の容量を変更することで電流配分比率の偏りを緩和することが可能である場合がある。したがって当該効果を得るためには、コンデンサ221のうち少なくとも一つのコンデンサ221を可変容量コンデンサとし、他のコンデンサ221を固定容量コンデンサとしてもよい。また、コンデンサ221の他、コイルアセンブリ200におけるインピーダンスを調整し得る所望のインピーダンス調整部を設けることとしてもよい。
複数のコイルアセンブリ200は、コイル端子200bを介してそれぞれコンデンサ221に接続されている。電流配分比率の偏りが発生している場合には、一の又は複数のコンデンサ221の容量を変更するよう制御することでインピーダンスを調整し、電流配分比率の偏りをさらに抑制することができる。このため、可変容量コンデンサであるコンデンサ221を制御部2に接続し、制御部2によって容量の変更などの制御を行うこととしてもよい。なお、電流配分比率の偏りの抑制に際して、全てのコイルアセンブリ200に接続された全てのコンデンサ221の容量を変更することは必ずしも必要ではない。少なくとも一つのコンデンサ221の容量を変更することで電流配分比率の偏りを緩和することが可能である場合がある。したがって当該効果を得るためには、コンデンサ221のうち少なくとも一つのコンデンサ221を可変容量コンデンサとし、他のコンデンサ221を固定容量コンデンサとしてもよい。また、コンデンサ221の他、コイルアセンブリ200におけるインピーダンスを調整し得る所望のインピーダンス調整部を設けることとしてもよい。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成例について説明する。図5は、アンテナユニット14の構成の概略を示す断面図である。図6は、アンテナユニット14の構成の概略を模式的に示す斜視図である。
次に、第2の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成例について説明する。図5は、アンテナユニット14の構成の概略を示す断面図である。図6は、アンテナユニット14の構成の概略を模式的に示す斜視図である。
複数のコイルアセンブリ250は、導電性プレート210の周方向に等間隔で配置され、かつ中心に対して回転対象の位置に配置される。複数のコイルアセンブリ250のそれぞれはコイルセグメント251を有する。コイルセグメント251は導電性プレート210と略同一平面上に配置される。コイルセグメント251は、水平方向に延伸するか、又は、水平方向に対して斜めに延伸し、コイルアセンブリ250の底部に配置される。なお、コイルセグメント251は、プラズマ処理空間10sに対向する方向に延伸するプラズマ対向セグメントとも呼ばれる。また、コイルセグメント251はコイル端子250aを介して導電性プレート210の外周部に接続され、コイル端子250bはコンデンサ221を介してグランド電位に接続される。図示の例で、コンデンサ221はすべて可変容量コンデンサである。ただし、コンデンサ221の構成はこれに限定されない。少なくとも一つの可変容量コンデンサを含んでいることが好ましく、この場合可変容量コンデンサ及び/又は固定容量コンデンサを含む複数のコンデンサを含んでもよい。また、インピーダンス調整部は、可変抵抗、可変インダクタを含んでもよい。ただし、抵抗やインダクタは高周波電力の効率を妨げるので、インピーダンス調整部は容量コンデンサで構成されることが望ましい。
上記以外の構成については第1の実施形態にかかるアンテナユニット14と同様であり、作用及び効果も同様であるため、記載を省略する。
<第1及び第2の実施形態の変形例>
第1の実施形態にかかるアンテナユニット14及び第2の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成の変形例について説明する。図7はアンテナユニット14の構成の変形例の一例の概略を示す断面図である。また、図8はアンテナユニット14の構成の変形例の一例の概略を示す斜視図である。また、図9~図15はそれぞれ、アンテナユニット14の構成の変形例の概略を示す下方から見た平面図である。なお図9~図15においては、見やすさのためコイルアセンブリ200以外の構成については図示を省略する。また、第1の実施形態におけるコイルセグメント201及び第2の実施形態におけるコイルセグメント251は互いに対応しており、配置に関して同様であるため、以下の説明では第1の実施形態にかかるアンテナユニット14についてのみ説明する。図9~図15中の点線で示す円は、アンテナユニット14における複数のコイルアセンブリ200の回転対称性を示す。nを2以上の整数として、複数のコイルアセンブリ200を点線で示す円の中心の周りに(360/n)°回転させると自らと重なるようなnが存在する。図9~図15の場合は、n=4であり、点線で示す円の周りに90°回転させると元の配置と重なる。図16は、アンテナユニット14の構成の変形例の概略を示す下方から見た平面図(図16A、図16B)と、複数のコイルアセンブリ200を周方向に側面からみた説明図(図16C)である。なお、見やすさのためコイルアセンブリ200以外の構成については図示を省略する。図17~図22はそれぞれ、アンテナユニット14の構成の変形例の概略を示す下方から見た平面図又は斜視図である。
第1の実施形態にかかるアンテナユニット14及び第2の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成の変形例について説明する。図7はアンテナユニット14の構成の変形例の一例の概略を示す断面図である。また、図8はアンテナユニット14の構成の変形例の一例の概略を示す斜視図である。また、図9~図15はそれぞれ、アンテナユニット14の構成の変形例の概略を示す下方から見た平面図である。なお図9~図15においては、見やすさのためコイルアセンブリ200以外の構成については図示を省略する。また、第1の実施形態におけるコイルセグメント201及び第2の実施形態におけるコイルセグメント251は互いに対応しており、配置に関して同様であるため、以下の説明では第1の実施形態にかかるアンテナユニット14についてのみ説明する。図9~図15中の点線で示す円は、アンテナユニット14における複数のコイルアセンブリ200の回転対称性を示す。nを2以上の整数として、複数のコイルアセンブリ200を点線で示す円の中心の周りに(360/n)°回転させると自らと重なるようなnが存在する。図9~図15の場合は、n=4であり、点線で示す円の周りに90°回転させると元の配置と重なる。図16は、アンテナユニット14の構成の変形例の概略を示す下方から見た平面図(図16A、図16B)と、複数のコイルアセンブリ200を周方向に側面からみた説明図(図16C)である。なお、見やすさのためコイルアセンブリ200以外の構成については図示を省略する。図17~図22はそれぞれ、アンテナユニット14の構成の変形例の概略を示す下方から見た平面図又は斜視図である。
図7、図8の例において、第1の実施形態においてコイルセグメント201が導電性プレート210の周方向に1/4周程度の長さとしていたのに対し、3/4周程度の長さとしている。このように、コイルセグメント201の長さは目的に合わせて所望の長さとすることができる。具体的には図9~図15に示すように、点線で示す円の円周に対して、図9及び図10に示すように1/4周、図11に示すように3/8周、図12、図14、図15に示すように3/4周、図13に示すように(1+1/4)周、などの様に設定することができる。
コイルセグメント201の配置に関し、図9の例において、コイルセグメント201の両端部が同一円周上にあるように配置してもよい。また、図10~図15の例において、コイルセグメント201の一端が内側の円周上にあり、他端が外側の円周上にあるように配置してもよい。なお、内側の円と外側の円は同心円である。
図11~図15の例において、一のコイルアセンブリ200の一部が、他のコイルアセンブリ200の一部の外周側を囲うように配置される。換言すれば、それぞれのコイルアセンブリ200の一端が、いずれかのコイルアセンブリ200の内側に囲われるように配置されている。以下、図11~図15の例におけるこのような配置を、オーバーラップと称する。以下オーバーラップの意義について説明する。まず、複数のコイルアセンブリ200をオーバーラップして回転対称に配置することによって、アンテナの性能を損ねずに、十分に長いアンテナを複数配置することができる。次に、複数のコイルアセンブリ200における端部においては、電界の偏りに伴う磁界の偏りが生じる可能性がある。これに対し複数のコイルアセンブリ200をオーバーラップして配置することによって、当該端部が生じる磁界が、当該端部の外側を囲うコイルアセンブリ200が生じる磁界の存在によって相対的に軽減される。これによって磁界強度の周方向均一性を向上させることができる。
図12及び図13に示す、コイルアセンブリ200のコイルセグメント201の曲線形状は、代数螺旋におけるアルキメデスの螺旋で表すことができる。すなわち、複数のコイルセグメント201において、隣接するコイルセグメント201の径方向間隔は常に一定である。具体的に、コイルセグメント201の曲線は、極座標の方程式r=aθで表すことができる。なお、rは中心からの距離、θは角度、aは定数である。
図14に示す、コイルアセンブリ200のコイルセグメント201の曲線形状は、代数螺旋における放物螺旋で表すことができる。すなわち、複数のコイルセグメント201は径方向外側にいくほど、径方向間隔は小さくなる。具体的に、コイルセグメント201の曲線は、極座標の方程式r=a√θで表すことができる。
図15に示す、コイルアセンブリ200のコイルセグメント201の曲線形状は、対数螺旋で表すことができる。すなわち、複数のコイルセグメント201は径方向外側にいくほど、径方向間隔は大きくなる。具体的に、コイルセグメント201の曲線は、極座標の方程式r=ae^bθで表すことができる。なお、bは定数である。
以上のように、コイルセグメント201がアルキメデスの螺旋、放物螺旋、対数螺旋等のように規則正しく配置されることによって、安定した偏りの小さいプラズマを生成することができる。
なお、図10~図15に示す例では、コイルセグメント201の径方向内側の一端から外側の他端に向けて左回転しているが、コイルセグメント201の回転方向はこれに限定されず、逆回転でもよい。
図16A~図16Cは、第1の実施形態にかかるアンテナユニット14について図10に示す例と同様に、4つのコイルアセンブリ200におけるそれぞれのコイルセグメント201a、201b、201c、201dが点線で示す円の円周に対して3/4周の長さで配置された例である。なお、見やすさのためコイルアセンブリ200以外の構成については図示を省略する。図16Aは、コイルアセンブリ200を下方から見た平面図である。図16Bは、図16Aに示す4つのコイルアセンブリ200のうち、コイルセグメント201aを含むコイルアセンブリ200のみを図示し、他のコイルアセンブリ200については図示を省略した図である。図16A及び図16Bでは、後述する傾斜部261、262を1点鎖線で示し、傾斜部261、262を除くコイルセグメント201の部分を実線で示す。図16Cは、図16Aに示す4つのコイルアセンブリ200の構成の概略を示す説明図であって、アンテナユニット14の周方向(θ方向)に、コイルアセンブリ200の側面を外周側から見た説明図である。ただし、見やすさのため、コイルセグメント201aを実線、コイルセグメント201bを破線、コイルセグメント201cを点線、コイルセグメント201dを1点鎖線で示す。なお、図中においてXはアンテナユニット14の軸方向を示し、θはアンテナユニット14の周方向を示す。
図16A~図16Cで、コイルセグメント201はコイルアセンブリ200の底部に配置されている。コイルセグメント201は、鉛直コイルセグメント202又は203に接続する端部が持ち上がっており、傾斜部261、262を形成している。傾斜部261はコイル端子200aに接続される側のコイルセグメント201の一部分であり、傾斜部262はコイル端子200bに接続される側のコイルセグメント201の他の一部分である。傾斜部261a、261b、261c、261dはそれぞれ、コイルセグメント201a、201b、201c、201dの一部分である。また、傾斜部262a、262b、262c、262dはそれぞれ、コイルセグメント201a、201b、201c、201dの他の一部分である。傾斜部261、262を除くコイルセグメント201の部分は、誘電体窓101に水平であるか、誘電体窓101に接していてもよい。
以下、傾斜部261、262を設ける意義を説明する。従来の渦巻き型のコイルでは、RF生成部31aに接続される端部とグランド電位に接続される端部が大きく離れて配置され、プラズマ側から見てコイルセグメント201の当該端部が突然に終端するような構造を採る。この場合、電界の偏りに伴う磁界の偏りが生じる可能性がある。これに対して図16A~図16Cに示す例のように傾斜部261、262を設けることで、コイルセグメント201の端部がプラズマ側から徐々に遠くなるように構成することができる。このため上記端部における磁界の偏りのプラズマの形成に対する影響を軽減することができ、磁界強度の周方向均一性を向上させることができる。
なお、傾斜部261、262がコイルセグメント201に占める長さの割合は、図示のようにそれぞれ1/3の長さとしてもよい。ただしこれに限定されず、目的に応じて所望の長さの割合となるように変更してもよい。また、傾斜部261、262を除くコイルセグメント201の部分に対して傾斜部261、262のなす角は、目的に応じて所望の角度となるように変更してもよい。
図17~図22はそれぞれ、アンテナユニット14の構成の変形例の概略を示す下方から見た平面図(図17)又は斜視図(図18~図22)である。図17、図18、図20~図22は第1の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成の変形例であり、図19は第2の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成の変形例である。
図17~図19に示すように、複数のコイルアセンブリ200、250が導電性プレート210の中央開口部211の内側に設けられていてもよい。換言すれば、複数のコイルアセンブリ200、250の外径が中央開口部211の内周部の径と等しいか、又は中央開口部211の内周部の径よりも小さくてもよい。この場合、コイルアセンブリ200、250の外端がコイル端子200a、250aとして導電性プレート210における中央開口部211の内周部に接続され、内端がコイル端子200bとしてインピーダンス調整部を介してグランド電位に接続されることとしてもよい。なお、本明細書において中央開口部211の内周部とは、導電性プレート210における中央開口部211を形成する周縁部のことを指す。
図20~図22に示すように、複数のコイルアセンブリ200の外径が導電性プレート210の外径以下であってもよい。換言すれば、複数のコイルアセンブリ200の少なくとも一部が、平面視において導電性プレート210と重なるように配置されていてもよい。この場合、図20に示すように、コイルアセンブリ200の内端がコイル端子200aとして導電性プレート210における中央開口部211の内周部に接続され、外端がコイル端子200bとしてインピーダンス調整部を介してグランド電位に接続されることとしてもよい。また、図21に示すように、コイルアセンブリ200の外端がコイル端子200aとして導電性プレート210の周縁部(外周部又は内周部)を除く面上に接続され、内端がコイル端子200bとしてインピーダンス調整部を介してグランド電位に接続されることとしてもよい。また、図22に示すように、コイルアセンブリ200の外端がコイル端子200aとして導電性プレート210における中央開口部211の外周部に接続され、内端がコイル端子200bとしてインピーダンス調整部を介してグランド電位に接続されることとしてもよい。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成例について説明する。図23は、アンテナユニット14の構成の概略を示す断面図である。図24は、アンテナユニット14の構成の概略を模式的に示す斜視図である。
次に、第3の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成例について説明する。図23は、アンテナユニット14の構成の概略を示す断面図である。図24は、アンテナユニット14の構成の概略を模式的に示す斜視図である。
アンテナユニット14は、少なくとも1つのアンテナを含む。一実施形態において、アンテナユニット14は、メインアンテナとサブアンテナ310とを含む。メインアンテナは、少なくとも1つのメインコイルを含む。図23、図24の例では、メインアンテナは、1つのメインコイル300を含む。メインコイル300とサブアンテナ310はそれぞれ、誘電体窓101の上方に配置される。なお、サブアンテナ310は、誘電体窓101から離れていることに限定されない。例えばサブアンテナ310は、誘電体窓101の上面に接していてもよい。
サブアンテナ310は、略円筒状の中央ガス注入部13を囲むように中央ガス注入部13の周囲に設けられ、且つ、メインコイル300の径方向内側に設けられる。すなわち、サブアンテナ310は、中央ガス注入部13とメインコイル300との間に配置される。メインコイル300は、中央ガス注入部13及びメインコイル300を囲むように中央ガス注入部13及びメインコイル300の周囲に設けられる。メインコイル300の外形とサブアンテナ310の外形はそれぞれ、平面視において略円形に形成される。そして、メインコイル300とサブアンテナ310は、それぞれの外形が同心円となるように配置される。
メインコイル300は略円形の渦巻き状に形成され、メインコイル300の外形の中心軸が鉛直軸に一致するように配置される。また、メインコイル300は、水平方向に延伸する、又は、水平方向に対して斜めに延伸する平面コイルである。メインコイル300の一端には給電端子300aが設けられる。給電端子300aは、電源30の第1のRF生成部31aが接続され、すなわちRF電位に接続される。また、メインコイル300の他端には接地端子300bが設けられる。接地端子300bはグランドに接続され、すなわちグランド電位に接続される。メインコイル300は、第1のRF生成部31aから供給されたRF電力の波長λに対し、λ/2で共振するように構成されている。メインコイル300を構成する線路に発生する電圧は、線路の中点付近で最小となり、線路の両端で最大となるように分布する。また、メインコイル300を構成する線路に発生する電流は、線路の中点付近で最大となり、線路の両端で最小となるように分布する。メインコイル300にRF電力を供給する第1のRF生成部31aは、周波数および電力の変更が可能である。
図25及び図26はそれぞれ、サブアンテナ310の構成の概略を示す上方から見た斜視図である。図27は、サブアンテナ310の構成の概略を示す下方から見た斜視図である。
サブアンテナ310は、第1のコイルアセンブリ320、第2のコイルアセンブリ330、接続部材340~343、導電性プレート350及び導電性円筒360を有する。
第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330はそれぞれ、螺旋構造を有する。第1のコイルアセンブリ320は、1以上のターンを有し、第2のコイルアセンブリ330は、1以上のターンを有する。第1のコイルアセンブリ320の各ターンと第2のコイルアセンブリ330の各ターンは、側面視において鉛直方向に交互に配置されている。第1のコイルアセンブリ320の外形の中心軸と第2のコイルアセンブリ330の外形の中心軸はそれぞれ鉛直軸に一致し、第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330は同軸上に配置されている。第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330はそれぞれ、平面視において略円形に形成されている。また、第1のコイルアセンブリ320の各ターンの径は同じであり、第2のコイルアセンブリ330の各ターンの径は同じである。このようにサブアンテナ310は、略円筒形の2重螺旋構造を有している。
なお、図示の例においては第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330のターン数(巻き数)は1.5ターンであるが、これに限定されず、1以上の任意のターン数に設定できる。例えば、第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330のターン数は、2ターン以上であってもよい。
第1のコイルアセンブリ320は、第1のコイルセグメント321と第1の螺旋状コイルセグメント322を有する。第1のコイルセグメント321は、水平方向に延伸するか、又は、水平方向に対して斜めに延伸し、第1のコイルアセンブリ320の底部に配置される。第1の螺旋状コイルセグメント322は、第1のコイルセグメント321から鉛直方向に螺旋状に設けられる。第1のコイルアセンブリ320の上端部(第1の螺旋状コイルセグメント322の端部)には第1の上側コイル端子320aが設けられ、第1のコイルアセンブリ320の下端部(第1のコイルセグメント321の端部)には第1の下側コイル端子320bが設けられる。
第2のコイルアセンブリ330は、第2のコイルセグメント331と第2の螺旋状コイルセグメント332を有する。第2のコイルセグメント331は、水平方向に延伸するか、又は、水平方向に対して斜めに延伸し、第2のコイルアセンブリ330の底部に配置される。第2の螺旋状コイルセグメント332は、第2のコイルセグメント331から鉛直方向に螺旋状に設けられる。第2のコイルアセンブリ330の上端部(第2の螺旋状コイルセグメント332の端部)には第2の上側コイル端子330aが設けられ、第1のコイルアセンブリ320の下端部(第1のコイルセグメント321の端部)には第2の下側コイル端子330bが設けられる。
第1の上側コイル端子320aと第2の上側コイル端子330aはサブアンテナ310の中心に対して対称位置、すなわち隣接する上側コイル端子の中心角が約180度の位置に配置されている。また、第1の上側コイル端子320aと第2の上側コイル端子330aは、後述するプレート端子350aに対しても軸対称に配置される。すなわち、第1の上側コイル端子320aとプレート端子350aの距離と、第2の上側コイル端子330aとプレート端子350aの距離は同じである。第1の下側コイル端子320bと第2の下側コイル端子330bもサブアンテナ310の中心に対して対称位置、すなわち隣接する下側コイル端子の中心角が約180度の位置に配置されている。
第1の上側コイル端子320aは、接続部材340を介して導電性プレート350の下面に接続される。第2の上側コイル端子330aも、接続部材341を介して導電性プレート350の下面に接続される。なお、第1の上側コイル端子320a及び第2の上側コイル端子330aは、導電性プレート350の上面に接続されてもよい。
第1の下側コイル端子320bは接続部材342及びインピーダンス調整部を介してグランド電位に接続される。第2の下側コイル端子330bは、接続部材343及びインピーダンス調整部を介してグランド電位に接続される。図示の例で、インピーダンス調整部はコンデンサ221である。また、コンデンサ221は可変容量コンデンサである。このようにサブアンテナ310は電源30に接続されておらず、したがって、当該サブアンテナ310にはRF電力が直接供給されない。
なお、平面視における第1の上側コイル端子320a及び第2の上側コイル端子330aと、第1の下側コイル端子320b及び第2の下側コイル端子330bとの配置は特に限定されない。但し、第1の上側コイル端子320a及び第2の上側コイル端子330aと、第1の下側コイル端子320b及び第2の下側コイル端子330bとの間では電圧差が大きいため、実用上は、ある程度の間隔を維持するのが好ましい。
導電性プレート350は、第1のコイルアセンブリ320及び第2のコイルアセンブリ330の上方、すなわちプラズマが生成されるプラズマ処理空間10sから離れて配置され、且つ、導体板15に近接して配置される。また、導電性プレート350は、略円筒状の中央ガス注入部13を囲むように中央ガス注入部13の周囲に配置される。導電性プレート350は平面視において略円形状を有し、中央開口部351が形成される。なお、導電性プレート350の形状は特に限定されるものではなく、例えば多角形であってもよい。導電性プレート210の形状も回転対称であることが望ましく、多角形の場合、頂点の数がコイルアセンブリ200の個数の整数倍であることが望ましい。中央開口部351の内側には中央ガス注入部13が挿通する。導電性プレート350の上面にはプレート端子350aが設けられる。なお、プレート端子350aは、導電性プレート350の下面に設けられてもよい。プレート端子350aは、コンデンサ352を介してグランドに接続され、すなわちグランド電位に接続される。なお、プレート端子350aは、グランド電位に直接接続されてもよいし、コイル等の他の電気素子を介してグランド電位に接続されてもよい。すなわち、プレート端子350aは、グランド電位に直接的に又は間接的に接続される。コンデンサ352は、可変容量コンデンサを含む。なお、コンデンサ352は本第2の実施形態に限定されず、固定の容量を有するコンデンサであってもよいし、可変容量コンデンサ及び/又は固定容量コンデンサを含む複数のコンデンサを含んでもよい。また、インピーダンス調整部は、可変抵抗、可変インダクタを含んでもよい。ただし、抵抗やインダクタは高周波電力の効率を妨げるので、インピーダンス調整部は容量コンデンサで構成されることが望ましい。なお、上記の実施形態では、プレート端子350a及び下側コイル端子320b、330bは、コンデンサ352を介してグランド電位に接続されている。一方で、プレート端子350a及び下側コイル端子320b、330bは、他の導電性プレートを介してグランド電位に接続されてもよい。この場合においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
導電性円筒360は、上記第1の実施形態の導電性円筒230と同様の構成を有する。すなわち、導電性円筒360は、中央開口部351の内側において中央ガス注入部13を囲むように中央ガス注入部13の周囲に配置される。導電性円筒360は、中央開口部351から誘電体窓101上又はその上方まで下方に延伸する。導電性円筒360は、導電性プレート350に接続して設けられてもよいし、導電性プレート350と接続されずに独立して設けられてもよい。
サブアンテナ310はメインコイル300と誘導結合し、サブアンテナ310には、メインコイル300に流れる電流によって発生した磁界を打ち消す向きの電流が流れる。コンデンサ352の容量を制御することによって、メインコイル300に流れる電流に対してサブアンテナ310に流れる電流の向きや大きさを制御することができる。
[アンテナの作用]
以上のように構成されたアンテナユニット14では、メインコイル300に流れる電流と、サブアンテナ310に流れる電流とによって、鉛直軸方向に磁界が発生し、発生した磁界により、プラズマ処理チャンバ10内に誘導電界が発生する。プラズマ処理チャンバ10内に発生した誘導電界により、中央ガス注入部13からプラズマ処理チャンバ10内に供給された処理ガスがプラズマ化する。そして、プラズマに含まれるイオンや活性種によって、中央領域111a上の基板Wに対して、エッチングや成膜処理等のプラズマ処理が施される。
以上のように構成されたアンテナユニット14では、メインコイル300に流れる電流と、サブアンテナ310に流れる電流とによって、鉛直軸方向に磁界が発生し、発生した磁界により、プラズマ処理チャンバ10内に誘導電界が発生する。プラズマ処理チャンバ10内に発生した誘導電界により、中央ガス注入部13からプラズマ処理チャンバ10内に供給された処理ガスがプラズマ化する。そして、プラズマに含まれるイオンや活性種によって、中央領域111a上の基板Wに対して、エッチングや成膜処理等のプラズマ処理が施される。
[アンテナの効果]
ここで、比較例において、サブアンテナ310の構成において導電性プレート350が設けられず、接続部材340、341が連結され、コンデンサ352を介してグランドに接続される場合、従来のアンテナと同様の課題が生じる。すなわち、比較例においては、第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330への電流配分比率の偏りが生じ、その結果、磁界強度の周方向均一性が悪化する。この点、本第2の実施形態のアンテナユニット14によれば、電流の分岐部が板状の導電性プレート350であるため、上記のような誘導結合が生じず、各第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330への電流配分比率に偏りが生じない。したがって、磁界強度の周方向均一性を向上させることができる。
ここで、比較例において、サブアンテナ310の構成において導電性プレート350が設けられず、接続部材340、341が連結され、コンデンサ352を介してグランドに接続される場合、従来のアンテナと同様の課題が生じる。すなわち、比較例においては、第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330への電流配分比率の偏りが生じ、その結果、磁界強度の周方向均一性が悪化する。この点、本第2の実施形態のアンテナユニット14によれば、電流の分岐部が板状の導電性プレート350であるため、上記のような誘導結合が生じず、各第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330への電流配分比率に偏りが生じない。したがって、磁界強度の周方向均一性を向上させることができる。
また、比較例においては、磁力線が第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330の間を自由に通過するため、誘電起電力が発生し、磁界の生成効率が低下する。この点、本第2の実施形態のアンテナユニット14によれば、板状の導電性プレート350が磁力線を通過させないため、余分な磁力線の回り込みを抑制することができる。その結果、磁界の生成効率を向上させることができる。なお、第2の実施形態では、比較例より磁界の生成効率を向上させることができるものの、導電性プレート350の中央開口部351が形成されているため、その磁界の生成効率の向上効果は小さい場合がある。この点、後述の変形例のように導電性プレート350にスリット370を設けることで、磁界の生成効率の向上効果を大きくすることができる。
また、第1の下側コイル端子320b及び第2の下側コイル端子330bはコンデンサ221を介してグランド電位に接続されている。コンデンサ221のうち少なくとも一つは可変容量コンデンサである。このため、電流配分比率の偏りが発生している場合には、一の又は複数のコンデンサ221の容量を変更することでインピーダンスを調整し、電流配分比率の偏りをさらに抑制することができる。コンデンサ221の他、所望のインピーダンス調整部を設けることで、サブアンテナ310におけるインピーダンスを調整することとしてもよい。
<第3の実施形態の変形例>
図28に示すように、本第2の実施形態のサブアンテナ310において、導電性プレート350には、中央開口部211から導電性プレート350の外端部(外周縁部)まで径方向に延伸するスリット370が形成されてもよい。スリット370は導電性プレート350を分離するように形成され、後述するようにスリット370によって導電性プレート350における電流が変化する。
図28に示すように、本第2の実施形態のサブアンテナ310において、導電性プレート350には、中央開口部211から導電性プレート350の外端部(外周縁部)まで径方向に延伸するスリット370が形成されてもよい。スリット370は導電性プレート350を分離するように形成され、後述するようにスリット370によって導電性プレート350における電流が変化する。
本発明者らが鋭意検討したところ、このようにスリット370を形成すると、スリット370を形成しない場合に比べて、磁界強度の周方向均一性が若干低くなるものの、磁界の生成効率を向上させることができることが分かった。また、導電性プレート350におけるスリット370の位置によって、磁界強度の周方向均一性と磁界の生成効率に変動があることが分かった。
図29~図32を用いて、このような磁界強度の周方向均一性と磁界の生成効率の変動について説明する。図29~図32は、導電性プレート350におけるスリット370の有無及び位置に応じた電流を示す説明図である。なお、以下では、磁界強度の周方向均一性は偏りBとして説明する。偏りBは、1周(360度)の磁界分布において、磁界の平均値に対する、最大値と最小値の差分の割合を示す。また、磁界の生成効率は効率Eとして説明する。効率Eは、サブアンテナ310がプラズマ中に生成する磁界の単位長さ辺りの強さを示す。
[パターン1]
パターン1は、図29に示すように導電性プレート350にスリット370が形成されないパターンである。パターン1では、第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330に流れる電流Pに対して、導電性プレート350に誘導電流Q1が流れる。かかる場合、偏りB1は小さく抑えることができる。しかしながら、電流Pに対して誘導電流Q1が打ち消すように流れるので、効率E1が小さくなる。
パターン1は、図29に示すように導電性プレート350にスリット370が形成されないパターンである。パターン1では、第1のコイルアセンブリ320と第2のコイルアセンブリ330に流れる電流Pに対して、導電性プレート350に誘導電流Q1が流れる。かかる場合、偏りB1は小さく抑えることができる。しかしながら、電流Pに対して誘導電流Q1が打ち消すように流れるので、効率E1が小さくなる。
[パターン2]
パターン2は、図30に示すように平面視において、スリット370が第1の上側コイル端子320aと第2の上側コイル端子330aの間に形成され、且つ、プレート端子350aの反対側に形成されるパターンである。かかる場合、スリット370が形成されていることにより、誘導電流Q2は導電性プレート350を周回せず、パターン1の誘導電流Q1に比べて小さくなる。このため、パターン1の効率E1より、パターン2の効率E2は大きくなる。但し、パターン2の偏りB2は、パターン1の偏りB1より大きくなる。
パターン2は、図30に示すように平面視において、スリット370が第1の上側コイル端子320aと第2の上側コイル端子330aの間に形成され、且つ、プレート端子350aの反対側に形成されるパターンである。かかる場合、スリット370が形成されていることにより、誘導電流Q2は導電性プレート350を周回せず、パターン1の誘導電流Q1に比べて小さくなる。このため、パターン1の効率E1より、パターン2の効率E2は大きくなる。但し、パターン2の偏りB2は、パターン1の偏りB1より大きくなる。
[パターン3]
パターン3は、図31に示すように平面視において、スリット370がプレート端子350aの近傍に形成されるパターンである。かかる場合、すべての誘導電流Q3が電流Pと同じ向きになるため、効率E3は大きくなる。但し、パターン3の偏りB3は、パターン2の偏りB2よりさらに大きくなる。
パターン3は、図31に示すように平面視において、スリット370がプレート端子350aの近傍に形成されるパターンである。かかる場合、すべての誘導電流Q3が電流Pと同じ向きになるため、効率E3は大きくなる。但し、パターン3の偏りB3は、パターン2の偏りB2よりさらに大きくなる。
[パターン4]
パターン4は、図32に示すように平面視において、スリット370がプレート端子350aと第1の上側コイル端子320aの間に形成されるパターンである。かかる場合、すべての誘導電流Q4が電流Pと反対向きになるため、効率E4は小さくなる。しかし、パターン4の偏りB4は小さく抑えることができる。
パターン4は、図32に示すように平面視において、スリット370がプレート端子350aと第1の上側コイル端子320aの間に形成されるパターンである。かかる場合、すべての誘導電流Q4が電流Pと反対向きになるため、効率E4は小さくなる。しかし、パターン4の偏りB4は小さく抑えることができる。
以上の結果をまとめると、偏りBについては、B1<B4<B2<B3となる。一方、効率Eについては、E3>E2>E4>E1となる。スリット370の有無と位置は、これら偏りBと効率Eが仕様に合致するように適宜設計される。
なお、本第2の実施形態で導電性プレート350に形成したスリット370は、第1の実施形態の導電性プレート210に形成してもよい。導電性プレート210にスリットを形成した場合でも、上記と同様の効果を享受することができる。
なお、サブアンテナ310はメインコイル300と誘導結合することとしたが、これに限定されない。サブアンテナ310はメインコイル300と容量結合することとしてもよい。
サブアンテナ310は、メインコイル300の径方向内側に設けていたが、これに限定されない。サブアンテナ310はメインコイル300の径方向外側に設けてもよく、平面視においてメインコイル300と重なるように配置されてもよい。このような変形例について、図33~図36を用いて以下説明する。
図33は第3の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成の変形例の一例の概略を示す断面図である。また、図34は第3の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成の変形例の一例であって図33に示す例の斜視図である。図33、図34に示すように、メインアンテナは1つのメインコイル300を含み、サブアンテナ310は第1の実施形態において説明したコイルセグメント201と鉛直コイルセグメント202、203を含む。このほかの構成については、第1の実施形態で説明したアンテナユニット14の構成を用いることができる。図33、図34の例において、メインコイル300とサブアンテナ310はそれぞれ、誘電体窓101の上方に配置される。メインコイル300は、導電性プレート210とサブアンテナ310の間に配置される。また、鉛直コイルセグメント202はメインコイル300の内側に配置され、鉛直コイルセグメント203はメインコイル300の外側に配置される。
図35は、第3の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成の変形例の一例の概略を示す斜視図である。図35に示すように、メインアンテナは1つのメインコイル300を含み、サブアンテナ310は第1の実施形態において説明したコイルセグメント201と鉛直コイルセグメント202、203を含む。このほかの構成については、第1の実施形態で説明したアンテナユニット14の構成を用いることができる。図35の例においては、サブアンテナ310の内端がコイル端子200aとして導電性プレート210における中央開口部211の内周部に接続され、外端がコイル端子200bとしてインピーダンス調整部を介してグランド電位に接続される。
図36は、第3の実施形態にかかるアンテナユニット14の構成の変形例の一例の概略を示す斜視図である。図36に示すように、メインアンテナは1つのメインコイル300を含み、サブアンテナ310は第2の実施形態において説明したコイルセグメント251を含む。このほかの構成については、第2の実施形態で説明したアンテナユニット14の構成を用いることができる。図36の例においては、同一平面上にある導電性プレート210とサブアンテナ310の上方であって、平面視において重なる位置にメインコイル300が配置されている。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
14 アンテナユニット
200 コイルアセンブリ
210 導電性プレート
221 コンデンサ
200 コイルアセンブリ
210 導電性プレート
221 コンデンサ
Claims (18)
- 誘導結合プラズマ励起用アンテナであって、
導電性プレートと、
一端が前記導電性プレートに接続される、複数のコイルアセンブリと、
前記複数のコイルアセンブリのそれぞれに対して、前記複数のコイルアセンブリの他端と接地の間に設けられるインピーダンス調整部と、
を備える、誘導結合プラズマ励起用アンテナ。 - 前記複数のコイルアセンブリは、前記導電性プレートの中心に対して回転対称となるように配置される、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記複数のコイルアセンブリは、前記導電性プレートの周方向に等間隔で配置される、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記複数のコイルアセンブリの一端と他端は、同一円周上に配置される、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記複数のコイルアセンブリの一端と他端は、異なる2つの円周上に配置され、
前記2つの円周は同心円である、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。 - 前記複数のコイルアセンブリの形状は、代数螺旋形状又は対数螺旋形状である、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記代数螺旋形状は、アルキメデスの螺旋形状又は放物螺旋形状である、請求項6に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記導電性プレートは、中央開口部を有する、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記導電性プレートの外周縁部から前記中央開口部まで延伸するスリットを有する、請求項8に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記複数のコイルアセンブリは、前記導電性プレートの外周に複数配置され、一端が前記導電性プレートの外周部に接続される、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記複数のコイルアセンブリは、少なくとも一部が前記導電性プレートと平面視において重なるように配置され、一端が前記導電性プレートの外周部に接続される、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記複数のコイルアセンブリは、前記導電性プレートの前記中央開口部より内側に複数配置され、一端が前記導電性プレートの前記中央開口部を形成する内周部に接続される、請求項8に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記複数のコイルアセンブリは、少なくとも一部が前記導電性プレートと平面視において重なるように配置され、一端が前記導電性プレートの前記中央開口部を形成する内周部に接続される、請求項8に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 複数の前記インピーダンス調整部は、可変容量コンデンサを備える、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記複数のコイルアセンブリが、前記導電性プレートと同一平面上に設けられる、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 前記複数のコイルアセンブリは、一の前記コイルアセンブリにおける前記導電性プレートに接続される前記一端が、他の前記コイルアセンブリに平面視において内側に囲われるように配置される、請求項1に記載の誘導結合プラズマ励起用アンテナ。
- 誘導結合プラズマ励起用アンテナユニットであって、
RF電位に接続される給電端子を有するメインアンテナと、
前記メインアンテナと誘導結合もしくは容量結合される位置に配置されるサブアンテナと、を備え、
前記サブアンテナは、
導電性プレートと、
前記導電性プレートの外周に複数配置され、一端が前記導電性プレートに接続される、複数のコイルアセンブリと、
前記複数のコイルアセンブリのそれぞれに対して、前記複数のコイルアセンブリの他端と接地の間に設けられるインピーダンス調整部と、
を備える、誘導結合プラズマ励起用アンテナユニット。 - プラズマ処理装置であって、
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバに取り付けられる中空部材と、
前記中空部材を囲むように前記プラズマ処理チャンバ上又は当該プラズマ処理チャンバの上方に配置されるに誘導結合プラズマ励起用アンテナと、を備え、
前記誘導結合プラズマ励起用アンテナは、
導電性プレートと、
一端が前記導電性プレートに接続される、複数のコイルアセンブリと、
前記複数のコイルアセンブリのそれぞれに対して、前記複数のコイルアセンブリの他端と接地の間に設けられるインピーダンス調整部と、
を備える、プラズマ処理装置。
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