JP2023156038A - マイカ部品の成型方法並びにプレス成型金型 - Google Patents

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泰成 福田
Yasunari Fukuda
朋宏 猪野
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純一 郷
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Abstract

【課題】耐熱性、電気的絶縁性に優れた三次元形状のマイカ部品の製造方法を提供すると共に当該マイカ部品を製造するのに最適なプレス成型金型を提供する。【解決手段】マイカ鱗片から抄造されたマイカ箔が接着剤によって多層に重なって形成されると共にマイカ含有量が重量比90%以上であり、平面部及び屈曲部を含んで三次元立体形状をなして前記マイカ箔が途切れることなく連続するマイカ部品を熱プレス成型によって製造する方法であって、接着剤を付着させたマイカ箔を複数枚積層した積層マイカ素材を金型内に挿入し、加熱した上金型及び下金型の成型面に接触させる仮曲げ工程と、段階的に前記上金型及び下金型を接近させ、前記複層マイカ素材を加熱しながら加圧して前記屈曲部を形成する複数回の予成型工程と、前記上金型及び下金型を型締めして当該積層マイカ素材を前記上金型及び下金型の成型面で所定時間だけ加圧保持する加圧保持工程と、を備えている。【選択図】 図5

Description

本発明は、微細なマイカ鱗片から抄造したマイカ箔を多層に重ねて形成した板状のマイカ部品の成型方法並びにプレス成型金型に関する。
特許文献1には耐熱性及び電気的絶縁性に優れたマイカ板状部材が開示されている。このマイカ板状部材は、マイカを粉砕して得られた微細なマイカ鱗片を抄造してマイカ箔を形成した後に、当該マイカ箔に耐熱性樹脂としてのシリコーン樹脂を含侵させて多層に積層し、これを金型内に導入し、高温高圧でプレス成型したものである。かかるマイカ板状部材は、例えば、耐火バスダクトの耐火絶縁層や、工業用ヒータのヒータ基板として利用されている。
特開平4-162312号公報
従来のマイカ板状部材は二次元形状の単なる平板であり、平面部及び屈曲部を含む三次元立体形状をなすマイカ部品を製作する際には、マイカ箔の積層枚数を増やして板厚の大きなマイカ板状部材を作成した後、これを切削加工することで三次元形状を与えていた。
しかし、マイカ板状部材を切削加工すると、多層に積層されたマイカ箔を削り取っていくことになるので、加工性が悪い他、切削断面において積層されたマイカ箔が剥離してしまう懸念があった。
また、マイカ板状部材は、マイカ箔が多重に積層されていることに起因して、良好な耐熱性及び絶縁性を発揮しているが、切削によって三次元形状を有するマイカ部品を製作すると、結果としてマイカ箔の連続性が寸断されるので、完成したマイカ部品の耐熱性や絶縁性の部分的低下が懸念される。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、耐熱性、絶縁性に優れた三次元立体形状を有するマイカ部品の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、耐熱性、絶縁性に優れた三次元立体形状のマイカ部品を製造するのに最適な成型方法及び当該成型方法に使用するプレス成型金型を提供することにある。
すなわち、本発明のマイカ部品の製造方法は、微細なマイカ鱗片から抄造されたマイカ箔が接着剤によって多層に重なって形成されると共にマイカ含有量が重量比90%以上であり、平面部及び屈曲部を含んで三次元立体形状をなしてこれら平面部及び屈曲部において前記マイカ箔が途切れることなく連続するマイカ部品を熱プレス成型によって製造する方法であって、前記マイカ箔の表面に接着剤を付着させてベースシートを形成する工程と、前記ベースシートを複数枚積層して積層マイカ素材を形成する工程と、加熱された金型内に前記積層マイカ素材を挿入し、上金型及び下金型を相対的に移動させて当該積層マイカ素材を上金型及び下金型の成型面に接触させる仮曲げ工程と、前記仮曲げ工程から段階的に前記上金型及び下金型を接近させ、前記複層マイカ素材を加熱しながら段階的に加圧して前記屈曲部を形成する複数回の予成型工程と、前記上金型及び下金型を型締めして当該積層マイカ素材を前記上金型及び下金型の成型面で所定時間だけ加圧保持する加圧保持工程と、前記上金型及び下金型を型開きして成型されたマイカ部品を取り出す取り出し工程と、を備えている。
また、本発明のマイカ部品の製造方法に用いられるプレス成型金型には、前記上金型及び下金型の成型面の周囲にはパーティング面が途切れた開放部が設けられ、あるいは前記金型のパーティング面に当該金型のキャビティ内に発生した気体成分を排出するガスベントが設けられている。
本発明方法により製造されるマイカ部品は、平面部及び屈曲部を含む部品の全体においてマイカ鱗片が幾重にも重なりあったまま面方向へ配列された状態が維持されており、しかもマイカ含有量は重量比で90%以上であって樹脂含有量は一般的な繊維強化プラスチックに比べて極めて少ないので、優れた耐熱性と電気的絶縁性を発揮することが可能である。そして、本発明方法によれば、仮曲げ工程と複数回の予成型工程を経ることで、マイカ鱗片が幾重にも重なりあったまま面方向へ連続的に配列された状態を崩すことなく、耐熱性と電気的絶縁性に優れた三次元立体形状を有するマイカ部品を製造することが可能となる。
また、本発明のプレス成型金型によれば、三次元立体形状を有するマイカ部品を製造するに際し、製造サイクルタイムの短縮化を図ることが可能となり、当該マイカ部品の生産コストの低減化に資するものとなる。
本発明を適用した三次元立体形状を有するマイカ部品の一例を示す斜視図である。 マイカ箔の構造を模擬的に示す拡大図である。 ベースシートを積層した積層マイカ素材の構造を模擬的に示す拡大図である。 熱プレス成型後のマイカ部品の構造を模擬的に示す拡大図である。 図5は図3に示す積層マイカ素材を熱プレス成型する工程での金型の開閉状態と金型温度の関係を示すタイミングチャートである。 プレス成型工程における金型内に積層マイカ素材を導入した状態を示す図である。 金型内における積層マイカ素材の仮曲げ工程を示す図である。 金型内における積層マイカ素材の予成形工程を示す図である。 金型内における積層マイカ素材の加圧保持工程を示す図である。 パーティング面を有する金型で積層マイカ素材を熱プレス成型する様子を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の三次元立体形状を有するマイカ部品の製造方法並びにプレス成型金型について詳細に説明する。
図1は本発明により製造されるマイカ部品の一例を示す斜視図である。このマイカ部品1は、接着剤としての熱硬化性樹脂が含侵されたマイカ箔を多層に積層して平板状の積層マイカ素材を形成し、この積層マイカ素材を熱プレス成型によって所定形状に形成したものでる。前記マイカ部品1は平面部1a及び屈曲部1bを含む三次元立体形状をなしており、前記屈曲部1bは金型を用いた熱プレス成型の過程において平面部1aと連続して形成されている。このマイカ部品1におけるマイカ含有量は重量比で90%以上であり、一般的な繊維強化プラスチックと比べて樹脂の含有量が極めて少なくなっている。
前記マイカ箔はマイカ原料を粉砕して得られた微細なマイカ鱗片を抄造してシート状に形成したものであり、例えば厚さ0.07mm程度に形成することができる。図2は前記マイカ箔2におけるマイカ鱗片2aの重なり具合を模擬的に示したものである。マイカ原料を粉砕して得られた粒子は厚みに比べて表面積の大きな扁平状の鱗片をなしていることから、図2に示されるように、抄造したマイカ箔2では無数のマイカ鱗片2aが僅かずつ重なりながら連なったものとなっている。
前記マイカ箔に対しては接着剤が塗工されてベースシートが形成される。このベースシートでは前記マイカ箔において重なり合ったマイカ鱗片の隙間に熱硬化性樹脂が含侵した状態にある。
前記接着剤としては、マイカ鱗片の隙間に含侵して、熱プレス成型によって互いに重なり合ったマイカ鱗片を結合するものであれば、製造するマイカ部品に必要とされる機械的強度、耐熱性等に応じて熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等を任意に選択することが可能である。例えば、熱硬化性樹脂としてはシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、セラック樹脂等、熱可塑性樹脂としてはポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂等が挙げられる。
前記マイカ部品1を熱プレス成型する際には、図3に示すように、マイカ箔2に対して熱硬化性樹脂を塗工したベースシート3を多層に積層して積層マイカ素材4を形成し、この積層マイカ素材4に対して熱プレス成型を行う。熱プレス成型を行うことにより、マイカ箔2に塗工されていた熱硬化性樹脂が多重に重なり合ったマイカ鱗片2aの隙間に確実に入り込むと共に、重なったベースシート3同士の距離が接近する。熱プレス成型が終了して金型から取り出したマイカ部品1は、図4に示すように、厚みが熱プレス成型前の積層マイカ素材4よりも減少し、その分だけマイカ部品1の内部におけるマイカ鱗片2aはマイカ箔2と同様に僅かずつ重なりながら連なったものとなっている。前述の如く、マイカ箔2は厚さが極めて薄いが、これを多層に積層することで、厚さ数cmのマイカ部品とすることが可能である。
前記マイカ部品1には熱プレス成型によって屈曲部1bを有する三次元立体形状が与えられるが、かかる屈曲部1bにおいてもマイカ鱗片2aは重なりが解消されることなく、平面部1aと同様にマイカ鱗片2aは多層に重なった状態で存在している。すなわち、熱プレス成型時においても各マイカ箔2におけるマイカ鱗片2aの配列は崩れておらず、屈曲部1bにおいても扁平状のマイカ鱗片2aは当該マイカ部品1の面方向に沿って配列され、僅かずつ重なりながら途切れることなく連続したものとなっている。
このように、本実施形態のマイカ部品1はマイカ含有量が重量比で90%以上であり、しかも熱プレス成型によって三次元立体形状を与えることで、微細なマイカ鱗片2aが幾重にも重なりながら当該マイカ部品1の面方向(図4の紙面左右方向)へ連なった状態となっている。このため、当該マイカ部品1はその厚み方向(図4の紙面上下方向)に関して、高度の耐熱性及び電気的絶縁性を発揮することが可能である。
次に、本発明のマイカ部品の製造方法について説明する。
図5は前記積層マイカ素材4(図3参照)を金型によって熱プレス成型する工程での金型の開閉状態と金型温度の関係を示すタイミングチャート、図6a~図6dは当該工程における金型と積層マイカ素材との関係を段階的に示す図である。
前述の如く、最終のマイカ部品1に必要な厚みを考慮して前記ベースシート3を積層して積層マイカ素材4を形成したら、これを型開きした金型5内に導入する(図6a参照)。この際、金型5それ自体は所定の型温度に加熱されているが、図5に示すように、金型5内に導入した積層マイカ素材4の温度は略室温の状態である。
前記積層マイカ素材4を下型5aの所定の位置に載置したら、上型5bを徐々に下降させて当該積層マイカ素材4を下型5a及び上型5bの成型面50で挟み込み、積層マイカ素材4の仮曲げを開始する(図6b参照)。この段階では下降した上型5bによって積層マイカ素材4が下型5aに向けて押圧されて、当該積層マイカ素材4に撓みが発生し、前記屈曲部1bにおいては重なり合ったベースシート3に僅かに面方向へのずれが生じる。また、積層マイカ素材4と下型5a、上型5bの接触面積は依然少ないので、当該積層マイカ素材4の表面温度は上昇していても、内部の温度は殆ど上昇していない。このため、ある程度の位置まで上型5bを下降させたら、上型5bの下降を一旦停止し、そのままの状態を所定時間だけ維持して積層マイカ素材4の予熱を行う。この予熱工程において積層マイカ素材4の厚み方向の中心にまで金型5の熱を伝達する。
前記仮曲げ工程における上型5bの下降距離、前記予熱工程の時間は、この熱プレス成型によって製作するマイカ部品1の厚み、形状によって異なったものとなる。また、マイカ部品1の厚みが大きい場合、すなわち金型5内に導入した積層マイカ素材4の厚みが大きい場合は、仮曲げ工程及び予熱工程を複数回に分けて実施し、徐々に上型5bを下降させることが必要となるケースも考えられる。
積層マイカ素材4の中心にまで熱が伝達され、当該積層マイカ素材4の温度が所定値まで上昇してきたら、更に上型5bを下降させて積層マイカ素材4の予成型を行う(図6c参照)。この実施形態では積層されたマイカ箔を結合する接着剤として熱硬化性樹脂を用いているので、予成型工程は金型5内の積層マイカ素材4の温度が前記ベースシート3に含侵された熱硬化性樹脂の硬化温度に到達する前に実行される。
この予成型工程では積層マイカ素材4を金型5の成型面の形状に倣って変形させていくため、前述の仮曲げ工程と比較して積層されたベースシート3間の面方向へのずれが増大するが、当該ベースシート3に含侵された熱硬化性樹脂の流動性が高まった状態で実施されるため、各マイカ箔2におけるマイカ鱗片2aの積層状態を維持したまま積層マイカ素材4に変形を与えることができる。また、この工程では積み重なった前記ベースシート3の間の面方向へのずれが増大するのに伴い、屈曲部1bにおいてベースシート3間に微細な隙間が発生する懸念があるが、上型5bを所定量だけ下降させたら当該上型5bの下降を停止し、この状態を維持することで、ベースシート3の面方向への移動時間を確保し、当該隙間の発生を可及的に防止することが可能となる。この予成型の工程では上型5bは下死点には到達していない。
前記予成型工程を複数回繰り返すことで金型5内の積層マイカ素材4を徐々に上型及び下型の成型面に密着させ、当該成形面の形状に倣った目的の三次元立体形状に向けて変形させていく。図5に示すタイミングチャートでは、予成型工程が二回繰り返されているが、成型するマイカ部品1の厚み、屈曲部1bの形状などに応じて、繰り返し回数は適宜設計変更することが可能である。
最後の予成形工程が完了した後、上型5bを下死点まで下降させて加圧保持工程を実施する(図6d参照)。この加圧保持工程では前述の仮曲げ工程、予成型工程において徐々に変形してきた積層マイカ素材4が下型5a及び上型5bの成型面に完全に密着し、積層マイカ素材4は厚みが減じられると共に、最終製品であるマイカ部品1の形状が与えられる。このとき、金型5内に保持された積層マイカ素材4の温度はマイカ箔2に含侵された熱硬化性樹脂の硬化温度を上回っている。従って、前記下型5a及び上型5bによる積層マイカ素材4の加圧状態を所定時間だけ維持することにより、加圧下における積層マイカ素材4では合成樹脂の硬化反応が進行し、目的物である三次元立体形状を有するマイカ部品1が成型される。前記加圧保持工程に要する時間はマイカ部品1の厚みや形状に応じて適宜設定される
前記加圧保持工程が終了したら、上型5bを下死点から上昇させて上死点にまで移動させると共に、熱プレス成型によって三次元立体形状が与えられたマイカ部品1を金型から取り出す。この取り出し工程の終了後の金型5には次に熱プレス成型を実施する積層マイカ素材4が導入され、同じように仮曲げ、予熱。予成型、加圧保持、取り出しの各工程のサイクルが繰り返されることになる。
このようにして得られたマイカ部品1は、平面部1aのみならず、屈曲部1bにおいてもマイカ鱗片2aが幾重にも重なりあったまま面方向へ配列された状態が維持されており、当該マイカ部品1の全体において無数のマイカ鱗片2aが隙間なく重なり合った状態となっている。また、前述の如く、このマイカ部品1におけるマイカ含有量は重量比で90%以上であり、熱硬化性樹脂はマイカ鱗片2aの微細な隙間を埋めてこれらを強固に接着する程度にしか含まれていない。
従って、前記マイカ部品1はその厚み方向に関して無数のマイカ鱗片2aが間断なく積み重なった状態で三次元立体形状が与えられているので、優れた耐熱性と電気的絶縁性を発揮し、例えば高度の耐火性や電気的絶縁性が要求される車載用バッテリーケース等に最適である。
本実施形態で使用する金型5は下型5aと上型5bのパーティング面の少なくとも一部に開放部が設けられた所謂パーティングレス金型である。通常、金型を用いて繊維強化プラスチックを成形する際には、溶融した合成樹脂が金型5の成型面50の周囲に漏れ出すのを防止するため、下型5aと上型5bを分割するパーティング面が成型面50の周囲を途切れることなく囲んでいる。これにより、上型5bが下死点まで移動した際に前記パーティング面で下型5aと上型5bが密着し、下型5aの成型面50と上型5bの成型面50との間に外部から密閉されたキャビティが形成される。しかし、パーティング面の一部に開放部が設けられた本実施形態の金型5では、上型5bが下死点まで降下しても、そのような外部から密閉されたキャビティは形成されない。
このようにパーティング面の一部に開放部を設けることで、前述の製造方法では前記予成型工程及び加圧保持工程に要する時間を短縮できるといった利点がある。
前記予成型工程では接着剤としての熱硬化性樹脂を加熱する際に、積層マイカ素材4の内部に気体成分が発生し、この気体成分の金型外への排出が促進されないと、成型したマイカ部品1の内部に気泡か残留してしまい、当該マイカ部品1の機械的強度、耐熱性及び電気的絶縁性が損なわれる懸念がある。このため、予成型工程では積層マイカ素材4を加圧した後に、当該加圧力を一時的に弱めて気体成分の排出を促進するガス抜き時間を設けるなどの対策が必要となり、その分だけ予成型工程に余分な時間が必要となってしまう。また、前記加圧保持工程では、加熱によって発生した気体成分が金型内に留まることによって熱硬化性樹脂の硬化反応速度が低下し、その分だけ加圧保持時間を長く設定する必要が生じる。
これに対し、前述のごとく金型のパーティング面の一部に開放部を設けると、加熱によって積層マイカ素材4の内部に発生した気体成分を金型外へ効率的に排出することができるので、ガス抜き時間を設けずとも、予成型工程においてマイカ部品の内部に気泡が生じてしまう不具合を防止することができる。また、同じ理由により、加圧保持工程における熱硬化性樹脂の硬化反応の速度を促進することができ、その分だけ加圧保持時間を短縮して製造サイクルの時間短縮を図ることが可能となる。
金型5のパーティング面の一部に前記開放部を設けることで、加熱され溶融した合成樹脂が金型5の成型面50の周囲に漏れ出すことが懸念されるが、本発明のマイカ部品1は前述のようにマイカ含有量が重量比で90%以上であり、一般的な繊維強化プラスチックと比べて樹脂の含有量が極めて少ない。このため、前記開放部を設けても溶融した合成樹脂が金型5の成型面50の周囲に漏れ出す懸念はなく、熱プレス成形によるマイカ部品1の製造時間の短縮の利点を享受することが可能である。
仮に、溶融した合成樹脂が金型5の成型面50の周囲に漏れ出す恐れか高い場合には、図7に示すように下型と上型を分割するパーティング面51を成型面50の周囲に途切れることなく設けても差し支えない。但し、そのような場合には、前記パーティング面51に対してガスベントを設け、当該ガスベントから金型内で発生した気体成分を外部へ排出するのが好ましい。
前記ガスベントは前記パーティング面51に設けられた直径0.02mm程度の排気孔であり、積層マイカ素材4の樹脂を加熱した際に生じる気体成分を金型外に排出する。前記ガスベントを設けて硬化反応に伴って生じた気体成分の金型外への排出を促進すれば、金型のパーティング面51の一部に開放部を設けた例と同様に、マイカ部品1の内部に気泡が生じてしまう不具合を防止することができる他、熱硬化性樹脂の硬化反応の速度を促進することができ、その分だけ加圧保持時間を短縮して製造サイクルの時間短縮を図ることが可能となる。
以上説明してきた実施形態では、前記マイカ箔に塗工される接着剤として熱硬化性樹脂を用いた例を説明したが、前記接着剤としては熱可塑性樹脂を用いることも可能である。但し、接着剤として熱可塑性樹脂を用いる場合には、前述の製造方法のうちの加圧保持工程と取り出し工程の間に金型の冷却行程を設け、成型したマイカ部品1がガラス転移点又は融点よりも低い温度に冷却された後に当該マイカ部品1の取り出し工程を行う必要がある。
1…マイカ部品、2…マイカ箔、2a…マイカ鱗片、3…ベースシート、4…積層マイカ素材、5…金型

Claims (5)

  1. 微細なマイカ鱗片から抄造されたマイカ箔が接着剤によって多層に重なって形成されると共にマイカ含有量が重量比90%以上であり、平面部及び屈曲部を含んで三次元立体形状をなしてこれら平面部及び屈曲部において前記マイカ箔が途切れることなく連続するマイカ部品を熱プレス成型によって製造する方法であって、
    前記マイカ箔の表面に接着剤を付着させてベースシートを形成する工程と、
    前記ベースシートを複数枚積層して積層マイカ素材を形成する工程と、
    加熱された金型内に前記積層マイカ素材を挿入し、上金型及び下金型を相対的に移動させて当該積層マイカ素材を上金型及び下金型の成型面に接触させる仮曲げ工程と、
    前記仮曲げ工程から段階的に前記上金型及び下金型を接近させ、前記複層マイカ素材を加熱しながら段階的に加圧して前記屈曲部を形成する複数回の予成型工程と、
    前記上金型及び下金型を型締めして当該積層マイカ素材を前記上金型及び下金型の成型面で所定時間だけ加圧保持する加圧保持工程と、
    前記上金型及び下金型を型開きして成型されたマイカ部品を取り出す取り出し工程と、
    を備えたことを特徴とするマイカ部品を製造方法。
  2. 前記接着剤が熱硬化性樹脂であり、前記複数回の予成型工程は前記熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低い温度で行われることを特徴とする請求項1記載のマイカ部品の製造方法。
  3. 前記接着剤が熱可塑性樹脂であり、前記加圧保持工程と取り出し工程との間には成型したマイカ部品をガラス転移点又は融点よりも低い温度に冷却する工程が設けられていることを特徴とする請求項1記載のマイカ部品の製造方法。
  4. 請求項1記載のマイカ部品の製造方法に用いるプレス成型金型であって、前記上金型及び下金型の成型面の周囲にはパーティング面が途切れた開放部が設けられていることを特徴とするマイカ部品のプレス成型金型。
  5. 請求項1記載のマイカ部品の成型方法に用いる金型であって、前記金型のパーティング面に当該金型のキャビティ内に発生した気体成分を排出するガスベントを設けたことを特徴とするマイカ部品のプレス成型金型。
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