JP2023152982A - レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置 - Google Patents

レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置 Download PDF

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Tetsuo Suzuki
猛 田邉
Takeshi Tanabe
尚訓 米永
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崇 茅原
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Abstract

Figure 2023152982000001
【課題】例えば、より高品質な溶接部を形成することが可能となるような、改善された新規なレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置を得る。
【解決手段】レーザ溶接方法は、例えば、レーザ光を照射して加工対象としてのアルミニウム合金材料を含む複数の部材をレーザ溶接するレーザ溶接方法であって、レーザ光は、複数のビームを含み、複数のビームは、加工対象の表面上に、第一パワー領域と、第二パワー領域と、を形成し、レーザ光は、加工対象の表面上で相対的にウォブリングされながら走査されるか、加工対象の表面上において所定周期で断続的に照射されながら走査されるか、あるいは、表面上において所定周期で断続的に照射される状態で相対的にウォブリングされながら走査される。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置に関する。
金属材料で作られた加工対象を溶接する手法の一つとして、レーザ光の照射によるレーザ溶接が知られている(例えば、特許文献1参照)。レーザ溶接は、レーザ光を加工対象の表面に照射し、レーザ光のエネルギで複数の部材を部分的に溶融させた後に固化して溶接部を形成することにより、当該溶接部を介して複数の部材を接合する方法である。
特開平07-155974号公報
発明者らの研究により、加工対象としての複数の部材にアルミニウム合金材料が含まれる場合のレーザ溶接では、アルミニウム合金材料が含まれない場合のレーザ溶接に比べて、溶接部にクラックやブローホールが生じ易く、高品質な溶接部を形成し難い場合があることが判明した。このようなクラックやブローホールは、接合強度の低下の一因となるため、抑制されるべきである。
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、加工対象がアルミニウム合金材料を含む場合にあっても、より高品質な溶接部を形成することが可能となるような、改善された新規なレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置を得ること、である。
本発明のレーザ溶接方法は、例えば、レーザ光を照射して加工対象としてのアルミニウム合金材料を含む複数の部材をレーザ溶接するレーザ溶接方法であって、前記レーザ光は、複数のビームを含み、前記複数のビームは、前記加工対象の表面上に、第一パワー領域と、第二パワー領域と、を形成し、前記レーザ光は、前記表面上で相対的にウォブリングされながら走査される。
また、本発明のレーザ溶接方法は、例えば、レーザ光を照射して加工対象としてのアルミニウム合金材料を含む複数の部材をレーザ溶接するレーザ溶接方法であって、前記レーザ光は、複数のビームを含み、前記複数のビームは、前記加工対象の表面上に、第一パワー領域と、第二パワー領域と、を形成し、前記レーザ光は、前記表面上において所定周期で断続的に照射されながら走査される。
前記レーザ溶接方法では、前記レーザ光は、前記加工対象の表面上で相対的にウォブリングされながら走査されてもよい。
前記レーザ溶接方法では、前記表面上で、前記第二パワー領域は、前記第一パワー領域を囲うように配置されてもよい。
前記レーザ溶接方法では、前記表面上で、前記第二パワー領域は、略円環状に配置されてもよい。
前記レーザ溶接方法では、前記第二パワー領域は、複数のビームによって形成されてもよい。
前記レーザ溶接方法では、前記レーザ光は、前記加工対象の表面上で相対的にウォブリングされながら走査され、ウォブリング周波数が、45[Hz]以上300[Hz]以下であってもよい。
前記レーザ溶接方法では、前記レーザ光は、前記加工対象の表面上で相対的にウォブリングされながら走査され、ウォブリング半径が、400[μm]以上800[μm]以下であってもよい。
前記レーザ溶接方法では、前記レーザ光は、前記加工対象の表面上において第一周波数で断続的に照射されながら走査され、前記第一周波数は、5[kHz]以上10[kHz]以下であり、照射時間と非照射時間とを含む前記レーザ光の照射の1周期に対する前記照射時間の比は、0.6以上0.95以下であってもよい。
前記レーザ溶接方法では、前記第一パワー領域のパワーに対する前記第二パワー領域のパワーの比が、1以上9以下であってもよい。
前記レーザ溶接方法では、前記複数のビームは、ビームシェイパによって形成されてもよい。
前記レーザ溶接方法では、前記ビームシェイパは、回折光学格子であってもよい。
本発明のレーザ溶接装置は、例えば、レーザ光を照射して加工対象としてのアルミニウム合金材料を含む複数の部材をレーザ溶接するレーザ溶接装置であって、前記レーザ光は、複数のビームを含み、前記複数のビームにより、前記加工対象の表面上に、第一パワー領域と、第二パワー領域と、を形成し、前記レーザ光を、前記表面上で相対的にウォブリングしながら走査する。
また、本発明のレーザ溶接装置は、例えば、レーザ光を照射して加工対象としてのアルミニウム合金材料を含む複数の部材をレーザ溶接するレーザ溶接装置であって、前記レーザ光は、複数のビームを含み、前記複数のビームにより、前記加工対象の表面上に、第一パワー領域と、第二パワー領域と、を形成し、前記レーザ光を、前記表面上において所定周期で断続的に照射しながら走査する。
前記レーザ溶接装置は、前記複数のビームを形成するビームシェイパを備えてもよい。
前記レーザ溶接装置では、前記ビームシェイパは、回折光学格子であってもよい。
本発明によれば、改善された新規なレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置を得ることができる。
図1は、実施形態のレーザ溶接装置の例示的な概略構成図である。 図2は、実施形態のレーザ溶接装置に含まれる回折光学素子の原理の概念を示す説明図である。 図3は、実施形態のレーザ溶接装置から照射されたレーザ光により加工対象の表面上に形成された照射領域の一例を示す模式的な平面図である。 図4は、実施形態のレーザ溶接装置による加工対象の例示的かつ模式的な平面図であって、ウォブリングした場合の表面上でのレーザ光の照射領域の走査経路の一例を示す図である。 図5は、実施形態のレーザ切断装置に含まれるレーザ装置の出力の経時変化の一例を示す模式図である。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表している。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに直交している。X方向およびY方向は、加工対象Wの表面Wa(加工面)に沿う方向であり、Z方向は、当該表面Waの法線方向である。
また、本明細書において、加工対象Wとしてのアルミニウム合金材料は、展伸材であり、非熱処理型合金では、純アルミニウム(1000系)、Al-Mn系合金(3000系)、Al-Si系合金(4000系)、Al-Mg系合金(5000系)などをいい、熱処理型合金では、Al-Cu-Mg系合金(2000系)、Al-Mg-Si系合金(6000系)、Al-Zn-Mg系合金(7000系)などをいう。
[実施形態]
[レーザ溶接装置の構成]
図1は、第1実施形態のレーザ溶接装置100の概略構成図である。レーザ溶接装置100は、レーザ装置110と、光学ヘッド120と、光ファイバ130と、移動機構140と、を備えている。
レーザ装置110は、光源としてレーザ発振器を備えており、一例としては、数kWのパワーのレーザ光を出力できるよう構成されている。レーザ装置110は、内部に複数の半導体レーザ素子を備えてもよいし、ファイバレーザ、YAGレーザ、ディスクレーザ等のレーザ光源を備えてもよい。レーザ装置110が出力するレーザ光の波長は、例えば、800[nm]以上かつ1200[nm]以下(赤外光)であるが、これには限定されない。また、レーザ装置110は、出力するレーザ光の波長が異なる複数の光源を有してもよい。この場合、少なくとも一つの光源は、赤外光よりも加工対象による吸収率の高い波長のレーザ光、例えば、400[nm]以上かつ550[nm]以下の波長のレーザ光を出力してもよいし、複数の光源は、800[nm]以上かつ1200[nm]以下の波長のレーザ光を出力する光源と、400[nm]以上かつ550[nm]以下の波長のレーザ光を出力する光源と、を含んでもよい。
光ファイバ130は、レーザ装置110と光学ヘッド120とを光学的に接続し、レーザ装置110から出力されたレーザ光を光学ヘッド120に導く。レーザ装置110が、シングルモードレーザ光を出力する場合、光ファイバ130は、シングルモードレーザ光を伝送するよう構成される。この場合、シングルモードレーザ光のMビーム品質は、1.2以下に設定される。また、レーザ装置110がマルチモードレーザ光を出力する場合、光ファイバ130はマルチモードレーザ光を伝送するよう、構成される。
光学ヘッド120は、レーザ装置110から入力されたレーザ光を加工対象Wの表面Waへ照射するための光学装置である。光学ヘッド120は、コリメートレンズ121と、集光レンズ122と、DOE123(diffractive optical element、回折光学素子)と、を有している。コリメートレンズ121および集光レンズ122は、光学部品とも称されうる。光学ヘッド120は、コリメートレンズ121および集光レンズ122以外の光学部品を有してもよい。
コリメートレンズ121は、入力されたレーザ光をコリメートする。コリメートされたレーザ光は、平行光になる。集光レンズ122は、平行光としてのレーザ光を集光し、レーザ光L(出力光)として、加工対象Wに照射する。
DOE123は、コリメートレンズ121と集光レンズ122との間に配置されている。図2は、DOE123の原理の概念を示す説明図である。図2に例示されるように、DOE123は、例えば、周期の異なる複数の回折格子123aが重ね合わせられた構成を備えている。DOE123は、平行光を、各回折格子123aの影響を受けた方向に曲げたり、重ね合わせたりすることにより、レーザ光を複数のビームに分岐し、当該複数のビームの数や、相対的な配置、各ビームの形状等のスペックを定めることができる。光学ヘッド120から、当該分岐された複数のビームを含むレーザ光Lが加工対象Wの表面Wa上に照射されることにより、表面Wa上には、各ビームに対応した照射領域が形成される。すなわち、DOE123は、表面Wa上に形成される照射領域の数や、相対的な配置、各照射領域の形状等のスペックを定めている。また、光学ヘッド120においてDOE123を交換することにより、表面Wa上に、種々のスペックの照射領域を形成することができる。また、光学ヘッド120は、DOE123を光軸回りに回動可能に支持し、当該回動角度を変更可能に構成されてもよい。この場合、表面Wa上で、照射領域のパターンを回転させることが可能となる。
光学ヘッド120は、加工対象Wの表面Waへ、Z方向の反対方向に、レーザ光Lを照射する。光学ヘッド120からのレーザ光Lの照射方向は、Z方向の反対方向である。光学ヘッド120は、例えば、ビーム径が10[μm]以上かつ2000[μm]以下となるようにレーザ光Lを集光することができる。
光学ヘッド120は、加工対象Wの表面Wa上でレーザ光Lの照射を行いながらレーザ光Lを走査するため、加工対象Wとの相対位置を変更可能に構成されている。移動機構140は、光学ヘッド120を、Z方向と交差する方向、言い換えると表面Waに沿う方向に、移動することができる。また、加工対象Wは、不図示の搬送機構により、Z方向と交差する方向に搬送されてもよい。
さらに、光学ヘッド120は、コリメートレンズ121と集光レンズ122との間に、ガルバノスキャナ126を有している。ガルバノスキャナ126は、二つのミラー126aと、当該ミラー126aの姿勢を変化させるアクチュエータ126bと、を有している。アクチュエータ126bによるこれら二つのミラー126aの姿勢の変化により、レーザ光Lの照射方向および照射位置が変化する。
レーザ溶接装置100は、レーザ光Lのビーム(照射領域A、図3参照)の位置を表面Wa上で移動する、すなわち走査することができる。表面Wa上でのレーザ光Lのビームの走査は、移動機構140による光学ヘッド120の移動、搬送機構による加工対象Wの移動、および光学ヘッド120に対するレーザ光Lの出射角度の変化のうち、少なくとも一つによって実現される。
なお、図1では、加工対象Wとしての複数の金属部材10がY方向に並べられた状態で、それらの境界に溶接部200を形成して溶接する、所謂突き合わせ溶接の場合が例示されているが、これには限定されず、本実施形態の溶接は、Z方向に重ねられた複数の金属部材10に溶接部200を形成して溶接する、所謂重ね合わせ溶接においても、同様に適用することができる。また、複数の金属部材10の数は、3以上であってもよい。また、加工対象Wは、複数の金属部材として、異種材料を含んでもよいし、加工対象Wに含まれる少なくとも一つの金属部材が、めっき処理されていてもよい。
[照射領域]
図3は、レーザ光Lのビームの照射によって表面Wa上に形成された照射領域Aの平面図である。本実施形態では、上述したDOE123の作用によって光学ヘッド120から出射されるレーザ光Lが複数のビームを有することにより、照射領域Aは、図3に例示されるような、複数の照射領域Ai,Aoを含む。照射領域Aiは、第一パワー領域の一例であり、照射領域Aoは、第二パワー領域の一例である。
照射領域Aiは、照射領域Aの中心C(重心)と重なるとともに、略円形の形状を有している。また、照射領域Aiは、一つのビームによって形成されてもよいし、複数のビームのスポットの集合体として形成されてもよい。なお、照射領域Aiの直径Diは、ピーク強度の1/e以上の強度となる領域の長さと定義する。
また、照射領域Aoは、照射領域Aiを囲うように配置され、図3の例では、例えば略円環状の形状を有しているが、これには限定されない。また、照射領域Aoは、周状(環状)に並んだ複数のビームのスポットによって形成されてもよい。なお、照射領域Aoの直径Doは、中心Cを通り走査方向と直交した径方向上で二つの強度がピークとなる位置間の距離と定義する。図3の例では、照射領域Aoの直径Doは、照射領域Aの直径でもある。
発明者らの鋭意研究により、金属部材10のうち少なくとも一つがアルミニウム合金材料である場合、照射領域Aiのパワーに対する照射領域Aoのパワーの比は、1以上9以下であるのが好ましいことが判明した。言い換えると、(照射領域Aiのパワー):(照射領域Aoのパワー)は、1:1~1:9の範囲であるのが好ましいことが判明した。このような二つの照射領域Ai,Aoを形成することにより、照射領域Aを広げて表面Waの単位面積あたりのパワーをより小さくすることができる。レーザ光Lのパワー密度が大きいほど、キーホールが生じ易くなり、当該キーホールが崩壊し易くなる。そして、キーホール崩壊時には当該キーホールが気泡となって溶融池内、ひいては溶接部200内に残存し、ブローホールの一因となる虞がある。DOE123を用いた照射領域の分割は、このような観点で、ブローホールの低減に寄与するものと考えられる。照射領域Aiのパワーに対する照射領域Aoのパワーの比が1未満になる、言い換えると、照射領域Aoのパワーに対して照射領域Aiのパワーが相対的に大きくなると、照射領域が分割されていない場合と類似した状況になるものと推定される。
[ウォブリング]
また、発明者らの実験的な研究により、表面Wa上で照射領域Aを渦巻き状に旋回しながら走査する所謂ウォブリングが、クラックおよびブローホールの低減に有効であることが判明した。これは、レーザ光の照射によって形成された溶融池にアルミニウム合金材料に含まれている水素に由来する気泡が含まれた場合、適宜なウォブリングによって、溶融池の流れが生じ、ウォブリングを行わない場合に比べて気泡が溶融池外に抜けやすくなっているものと推定される。
図4は、ウォブリングした場合の、照射領域Aの走査経路Ptの一例を示す。図4のウォブリングにおいて、照射領域Aは、ウォブリング半径Rwで旋回中心Cw回りに等角速度で回転している。そして、当該旋回中心Cwは、移動方向MDに等速で移動している。CLは、旋回中心Cwの移動経路を示している。よって、照射領域Aの走査経路Ptは、X方向にずれた渦巻き状の形状を有している。ここで、照射領域Aが旋回中心Cw回りに1回転(360°回転)するのに要する時間、すなわちウォブリング周期をTw[sec]とした場合、ウォブリング周波数は、1/Twとなる。ウォブリング周期Twは、例えば、走査経路Pt上のY方向の端部P1から、次のY方向の端部P2まで、図4中の太線区間を移動するのに要する時間である。
発明者らは、実験的な研究により、ウォブリング周波数1/Twおよびウォブリング半径Rwが所定範囲にある場合に、溶接部200の表面において、クラックおよびブローホールを低減できることを見出した。表1は、照射領域Aの直径(照射領域Aoの直径Do)が600[μm]、照射領域Aiのパワーに対する照射領域Aoのパワーの比が9、ウォブリングの旋回中心Cwの移動速度が5[m/min]、レーザ光Lのパワーが7[kW]の場合の実験結果である。
Figure 2023152982000002
表1において、×は、溶接部200の検出対象領域におけるクラック指数が第一閾値を超えるとともにブローホールの数が第二閾値を超えた場合を示す。また、○は、溶接部200の検出対象領域におけるクラック指数が第一閾値以下であるとともにブローホールの数が第二閾値以下である場合を示す。ここに、クラック指数は、溶接部200の撮影画像においてクラックに残存した発色剤の発色領域の面積(ピクセル)の、検査対象領域の面積(800×548ピクセル)に対する割合、である。発色剤は、溶接後に溶接部200の表面に塗布され、クラックに残存して発色する。また、ブローホールの数は、溶接部200の検出対象領域における所定の大きさ以上のブローホールの数である。第一閾値および第二閾値は、溶接部200の所要の強度および信頼性の確保という観点から定められた値である。実験を行った加工対象Wにおいては、第一閾値は、0.1%であり、第二閾値は、15個であった。
表1から明らかとなるように、実験により、ウォブリング周波数1/Twは、クラックおよびブローホールの数が少ないという観点から、45[Hz]以上300[Hz]以下であるのが好ましいことが判明した。
また、表1から明らかとなるように、実験により、ウォブリング半径Rwは、クラックおよびブローホールの数が少ないという観点から、400[μm]以上800[μm]以下であるのが好ましいことが判明した。
ウォブリングによって生じる溶融池の流速は、ウォブリングによる照射領域Aの移動速度とともに、溶融して流動する金属材料の粘性にも依存するものと推定される。このため、ウォブリングによる照射領域Aの移動速度が高すぎると、流動する金属材料がその粘性によって当該照射領域Aの移動速度に追従し難くなり、ウォブリングによる溶融池からの気泡排出の効果が抑制されてしまうのではないかと推定される。他方、ウォブリングによる照射領域Aの移動速度が低すぎると、ウォブリングによる溶融池からの気泡排出の効果自体が低減してしまうのではないかと推定される。ここで、ウォブリング周波数1/Twが高いほど、またウォブリング半径Rwが大きいほど、照射領域Aの移動速度は高くなる。したがって、ウォブリング周波数1/Twおよびウォブリング半径Rwに、上述したような好適な範囲があるものと推定される。単位面積当たりの投入エネルギ量とウォブリング条件の適正化を図ることでクラック低減とブローホール低減の両立を図ることができる。
なお、上述したように、表1は、照射領域Aiのパワーに対する照射領域Aoのパワーの比が9である場合の実験結果であるが、照射領域Aiのパワーに対する照射領域Aoのパワーの比が1以上9以下である場合には、ウォブリング周波数1/Twおよびウォブリング半径Rwともに、同じ範囲において○、すなわち、溶接部200の検出対象領域におけるクラック指数が第一閾値以下であるとともにブローホールの数が第二閾値以下である、という結果が得られた。
[間欠照射]
さらに、発明者らは、アルミニウム合金材料を含む加工対象Wのレーザ溶接においては、レーザ光Lを表面Waに所定の周波数で断続的に(間欠的に)照射することにより、より短い加工時間でより高品質な加工を実行可能であるという知見を得た。
図5は、レーザ装置110が出力するレーザ光のパルスの模式的な経時変化を示すグラフである。図5において、横軸は時間であり、縦軸はレーザ装置110からのレーザ光の出力である。Ppは、ピークパワー(ハイパワー)である。間欠照射において、各パルスにおける発振時間をTp、パルスの周期をTcとしたとき、デューティ比Drは、Dr=(Tp/Tc)×100[%]と表すことができる。また、パルスの周波数(照射周波数)は、1/Tcとなる。パルスの周波数(照射周波数)は、第一周波数の一例である。
発明者らは、実験的な研究により、照射周波数1/Tcおよびデューティ比Drが所定範囲にある場合に、溶接部200の表面において、クラックおよびブローホールを低減できることを見出した。表2は、照射領域Aの直径(照射領域Aoの直径Do)が600[μm]、照射領域Aiのパワーに対する照射領域Aoのパワーの比が9、ウォブリングの旋回中心Cwの移動速度が5[m/min]、レーザ光Lのパワーが7[kW]の場合の実験結果である。
Figure 2023152982000003
表2において、×および○は、表1の場合と同様であって、×は、溶接部200の検出対象領域におけるクラック指数が第一閾値を超えるとともにブローホールの数が第二閾値を超えた場合を示す。また、○は、溶接部200の検出対象領域におけるクラック指数が第一閾値以下であるとともにブローホールの数が第二閾値以下である場合を示す。
表2から明らかとなるように、実験により、照射周波数1/Tcは、クラックおよびブローホールの数が少ないという観点から、5[kHz]以上10[kHz]以下であるのが好ましいことが判明した。
また、表2から明らかとなるように、実験により、デューティ比Drは、クラックおよびブローホールの数が少ないという観点から、60[%]以上95[%]以下、すなわち0.6以上0.95以下であるのが好ましいことが判明した。
以上、説明したように、本実施形態のように、加工対象Wが、アルミニウム合金材料を含む場合、表面Wa上に照射領域Ai,Ao(第一パワー領域、第二パワー領域)を形成するとともに、ウォブリングを含む走査を行いながらの照射、および走査しながら所定周波数で断続的に照射、のうち少なくとも一方を行うことにより、クラックやブローホールの少ない、高品質な溶接部200を形成することができる。
さらに、ウォブリング周波数1/Twや、ウォブリング半径Rw、照射周波数1/Tc、デューティ比Drを適宜な値に設定することにより、高品質な溶接部200をより確実に形成することができる。
また、DOE123(ビームシェイパ)によってレーザ光Lを複数のビームに分割し、表面Wa上に照射領域Ai,Aoを形成することにより、比較的簡素な構成によって、照射領域Ai,Aoを形成することが可能になるとともに、DOE123の交換により、溶接条件に適した種々のレイアウトの照射領域Ai,Aoを実現することが可能となる。
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
10…金属部材
100…レーザ溶接装置
110…レーザ装置
120…光学ヘッド
121…コリメートレンズ
122…集光レンズ
123…DOE
123a…回折格子
126…ガルバノスキャナ
126a…ミラー
126b…アクチュエータ
130…光ファイバ
140…移動機構
200…溶接部
A…照射領域
Ai…照射領域(第一パワー領域)
Ao…照射領域(第二パワー領域)
C…中心(重心)
CL…移動経路
Cw…旋回中心
Di…直径
Do…直径
Dr…デューティ比
L…レーザ光
MD…移動方向
P1…端部
P2…端部
Pp…ピークパワー
Pt…走査経路
Rw…ウォブリング半径
Tc…周期(所定周期)
1/Tc…照射周波数(第一周波数)
Tp…発振時間
Tw…ウォブリング周期
1/Tw…ウォブリング周波数
W…加工対象
Wa…表面
X…方向
Y…方向
Z…方向

Claims (16)

  1. レーザ光を照射して加工対象としてのアルミニウム合金材料を含む複数の部材をレーザ溶接するレーザ溶接方法であって、
    前記レーザ光は、複数のビームを含み、
    前記複数のビームは、前記加工対象の表面上に、第一パワー領域と、第二パワー領域と、を形成し、
    前記レーザ光は、前記表面上で相対的にウォブリングされながら走査される、レーザ溶接方法。
  2. レーザ光を照射して加工対象としてのアルミニウム合金材料を含む複数の部材をレーザ溶接するレーザ溶接方法であって、
    前記レーザ光は、複数のビームを含み、
    前記複数のビームは、前記加工対象の表面上に、第一パワー領域と、第二パワー領域と、を形成し、
    前記レーザ光は、前記表面上において所定周期で断続的に照射されながら走査される、レーザ溶接方法。
  3. 前記レーザ光は、前記加工対象の表面上で相対的にウォブリングされながら走査される、請求項2に記載のレーザ溶接方法。
  4. 前記表面上で、前記第二パワー領域は、前記第一パワー領域を囲うように配置された、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  5. 前記表面上で、前記第二パワー領域は、略円環状に配置された、請求項4に記載のレーザ溶接方法。
  6. 前記第二パワー領域は、複数のビームによって形成された、請求項4に記載のレーザ溶接方法。
  7. 前記レーザ光は、前記加工対象の表面上で相対的にウォブリングされながら走査され、
    ウォブリング周波数が、45[Hz]以上300[Hz]以下である、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  8. 前記レーザ光は、前記加工対象の表面上で相対的にウォブリングされながら走査され、
    ウォブリング半径が、400[μm]以上800[μm]以下である、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  9. 前記レーザ光は、前記加工対象の表面上において第一周波数で断続的に照射されながら走査され、
    前記第一周波数は、5[kHz]以上10[kHz]以下であり、
    照射時間と非照射時間とを含む前記レーザ光の照射の1周期に対する前記照射時間の比は、0.6以上0.95以下である、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  10. 前記第一パワー領域のパワーに対する前記第二パワー領域のパワーの比が、1以上9以下である、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  11. 前記複数のビームは、ビームシェイパによって形成された、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  12. 前記ビームシェイパは、回折光学格子である、請求項11に記載のレーザ溶接方法。
  13. レーザ光を照射して加工対象としてのアルミニウム合金材料を含む複数の部材をレーザ溶接するレーザ溶接装置であって、
    前記レーザ光は、複数のビームを含み、
    前記複数のビームにより、前記加工対象の表面上に、第一パワー領域と、第二パワー領域と、を形成し、
    前記レーザ光を、前記表面上で相対的にウォブリングしながら走査するレーザ溶接装置。
  14. レーザ光を照射して加工対象としてのアルミニウム合金材料を含む複数の部材をレーザ溶接するレーザ溶接装置であって、
    前記レーザ光は、複数のビームを含み、
    前記複数のビームにより、前記加工対象の表面上に、第一パワー領域と、第二パワー領域と、を形成し、
    前記レーザ光を、前記表面上において所定周期で断続的に照射しながら走査する、レーザ溶接装置。
  15. 前記複数のビームを形成するビームシェイパを備えた、請求項13または14に記載のレーザ溶接装置。
  16. 前記ビームシェイパは、回折光学格子である、請求項15に記載のレーザ溶接装置。
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