JP2023151222A - 樹脂組成物、崩壊性硬化物、掘削用ダウンホールツール、及び坑井掘削方法 - Google Patents

樹脂組成物、崩壊性硬化物、掘削用ダウンホールツール、及び坑井掘削方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023151222A
JP2023151222A JP2022060718A JP2022060718A JP2023151222A JP 2023151222 A JP2023151222 A JP 2023151222A JP 2022060718 A JP2022060718 A JP 2022060718A JP 2022060718 A JP2022060718 A JP 2022060718A JP 2023151222 A JP2023151222 A JP 2023151222A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
bis
cyanatophenyl
cured product
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022060718A
Other languages
English (en)
Inventor
洋飛 熊谷
Hiroto Kumagai
仁 岡崎
Hitoshi Okazaki
昌宏 島田
Masahiro Shimada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP2022060718A priority Critical patent/JP2023151222A/ja
Publication of JP2023151222A publication Critical patent/JP2023151222A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】100°C(212°F)以下の水中において比較的短時間で崩壊することができる崩壊性硬化物に用いられる樹脂組成物、並びに、当該樹脂組成物を硬化してなる崩壊性硬化物、該崩壊性硬化物を含む掘削用ダウンホールツール、及び坑井掘削方法を提供すること。【解決手段】熱硬化性樹脂と、アルカリ土類金属酸化物と、を含み、上記アルカリ土類金属酸化物の含有量が、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して100~700質量部である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、崩壊性硬化物、掘削用ダウンホールツール、及び坑井掘削方法に関する。
地下層から採取される石油又は天然ガス等は、坑井(以下、ダウンホール、ともいう。)といわれる油井又はガス井を通じて採掘されている。これらの天然ガス等を坑井から効率よく採掘するための方法としては、特に限定されないが、例えば、酸処理や破砕方法を行うことに加え、近年では流体圧を利用して亀裂等の細孔を坑井に形成させる水圧破砕法等が用いられている。
水圧破砕法は、流体の水圧を利用して生産層に穿孔や亀裂等を発生させる方法であり、近年では、垂直な孔を掘削し、当該垂直なダウンホールの各地点から水平方向に向けて孔を掘削する水平坑井掘削技術等も発達している。
また、水圧破砕法は、フラクチャリング流体等の流体を高圧で坑井に送り込み、高深度地下の生産層(石油又は天然ガス等を産出する層)に対して、水圧によって亀裂等を生じさせ、当該亀裂等を介して石油又は天然ガス等を採取する技術である。水圧破砕法は、いわゆるシェールガス等の非在来型資源の開発においても着目されている技術である。
ここで、水圧粉砕方法においては、坑井孔に対して効率よく亀裂等を生じさせるために、亀裂等を意図しない坑井孔の一部を閉塞することが行われている。坑井孔の一部を閉塞することにより、所望の箇所に対する水圧が増すことによって、閉塞された区画内において効率よく亀裂等を生じさせることができる。
このような坑井孔の閉塞は、亀裂等を生じさせる際に、順次所定の区画に対して行われる。また、坑井孔の閉塞は、既に形成された坑井孔の所望の区画について、再度生産層の刺激を行うためや、坑井の仕上げを行うために行われることもある。
このような坑井孔の閉塞等に用いられるツールは、掘削用ダウンホールツール、等といわれており、種々のものが開発されている。このような掘削用ダウンホールツールとしては、特に限定されないが、例えばボール状の樹脂硬化物等種々のものが開発されている。また、掘削用ダウンホールツールは、坑井が完成するまで順次坑井内に配置されるが、新たに閉塞区間を形成する際や、シェールガス等の採取が開始される前に除去される必要がある。
そのため、掘削用ダウンホールツールの回収は、当該ツールを破砕やドリル空け等の物理的作用によって破壊し、その後回収する技術が利用されている。しかし、破砕やドリル空け等には多くの経費と時間が必要である。
このような問題に対し、今般では、分解性樹脂組成物を用いた掘削用ダウンホールツールが開発されている(例えば、下記特許文献1及び2を参照)。分解性樹脂組成物の組成を調整することで、分解速度を調整できる技術であり、多様な坑井の環境条件下で掘削用ダウンホールツールを容易に除去できる。
国際公開WO2020/158956号公報 米国特許US2016/0369083号公報
一方で、本発明者らが、鋭意研究したところ、坑井ごとに温度は異なっており、その坑井の温度域の水中で分解する掘削用ダウンホールツールが求められており、その中でも特に、掘削用ダウンホールツールの主要な市場である北米等の坑井の温度は、38°C(100°F)から93°C(200°F)であり、この温度域の水中で分解する掘削用ダウンホールツールが求められていることがわかってきた。
上記の特許文献1及び2にて開示されている分解性樹脂組成物は、該組成物中の添加剤の配合量を変えることで分解速度を調整する旨が示されているが、しかしながら、特許文献1で提案されている分解性樹脂組成物については、149°C(300°F)での分解性しか開示されておらず、提案されている分解性樹脂組成物を用いて分解性を評価したところ、66°C(150°F)および93°C(200°F)での分解速度が十分に速いとは言えないことがわかった。
また、特許文献2で提案されている分解性樹脂組成物については、25°C(77°F)から300°C(572°F)で分解する旨が示されているが、分解速度に関しては何ら言及されていない。
このようなことから、坑井孔の閉塞に用いる掘削用ダウンホールツールについては、その使用後に、低温水中において短時間で除去できるようにする改良が望まれている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、100°C(212°F)以下の水中において比較的短時間で崩壊することができる崩壊性硬化物に用いられる樹脂組成物、並びに、当該樹脂組成物を硬化してなる崩壊性硬化物及び該崩壊性硬化物を含む掘削用ダウンホールツールを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
熱硬化性樹脂と、
アルカリ土類金属酸化物と、を含み、
前記アルカリ土類金属酸化物の含有量が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して100~700質量部である、
樹脂組成物。
〔2〕
前記熱硬化性樹脂が、シアネートエステル樹脂を含む、
〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕
前記アルカリ土類金属酸化物が、酸化カルシウムを含む、
〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕
硬化剤をさらに含む、
〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔5〕
前記硬化剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1.0~10質量部である、
〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔6〕
〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化してなる、
崩壊性硬化物。
〔7〕
〔6〕に記載の崩壊性硬化物を含む、
掘削用ダウンホールツール。
〔8〕
〔6〕に記載の崩壊性硬化物を、崩壊性硬化物に液体を接触させ崩壊させる工程を含む、
坑井掘削方法。
本発明によれば、100°C(212°F)以下の水中において比較的短時間で崩壊することができる崩壊性硬化物に用いられる崩壊性樹脂組成物、並びに、当該樹脂組成物を用いてなる崩壊性硬化物及び該崩壊性硬化物を含む掘削用ダウンホールツールを提供することができる。
実施例1の崩壊性評価(93°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 実施例2の崩壊性評価(93°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 実施例3の崩壊性評価(93°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 実施例4の崩壊性評価(93°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 比較例1の崩壊性評価(93°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 実施例1の崩壊性評価(66°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 実施例2の崩壊性評価(66°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 実施例3の崩壊性評価(66°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 実施例4の崩壊性評価(66°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 比較例1の崩壊性評価(66°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 実施例6の崩壊性評価(93°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。 実施例6の崩壊性評価(66°C)における乾燥残渣の外観を示す図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
1.樹脂組成物
本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、アルカリ土類金属酸化物、とを含み、上記アルカリ土類金属酸化物の含有量が、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して100~700質量部である、樹脂組成物である。本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。
以下、樹脂組成物の各成分について詳説する。
(熱硬化性樹脂)
本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。その中でも、シアネートエステル樹脂を含むことが好ましい。それにより、フラクチャリング流体等の流体との接触下において一定時間機械強度を維持することができ、かつ、所望の時間経過後には機械強度が低下して小片化することに優れる傾向にある。
なお、本実施形態において、「樹脂」とは、重合反応を完了した重合体のみに限らず、重合性モノマーの重合反応を途中段階で停止させた化合物であって、さらなる重合反応を行うことが可能な官能基を有するプレポリマー、及び、後述する重合反応により重合することが可能な重合性モノマーをも包含した概念を意味する。
そのような重合反応の種類としては、特に限定されないが、例えば、縮合重合、付加重合、開環重合、及び付加縮合等の逐次重合;ラジカル重合、カチオン重合、及びアニオン重合等の連鎖重合;リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、及びリビングアニオン重合等のリビング重合;等が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、1種単独又は2種以上を併用することができる。
(シアネートエステル樹脂)
本実施形態におけるシアネートエステル樹脂とは、少なくとも2つのシアナト基(シアン酸エステル基)により置換された、芳香環を分子内に有する樹脂を意味する。
本実施形態におけるシアネートエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、国際公開WO2017/135168公報に記載のシアン酸エステル化合物を用いることができ、例えば、シアナトベンゼン、1-シアナト-2-,1-シアナト-3-,又は1-シアナト-4-メチルベンゼン、1-シアナト-2-,1-シアナト-3-,又は1-シアナト-4-メトキシベンゼン、1-シアナト-2,3-,1-シアナト-2,4-,1-シアナト-2,5-,1-シアナト-2,6-,1-シアナト-3,4-又は1-シアナト-3,5-ジメチルベンゼン、シアナトエチルベンゼン、シアナトブチルベンゼン、シアナトオクチルベンゼン、シアナトノニルベンゼン、2-(4-シアナフェニル)-2-フェニルプロパン(4-α-クミルフェノールのシアネート)、1-シアナト-4-シクロヘキシルベンゼン、1-シアナト-4-ビニルベンゼン、1-シアナト-2-又は1-シアナト-3-クロロベンゼン、1-シアナト-2,6-ジクロロベンゼン、1-シアナト-2-メチル-3-クロロベンゼン、シアナトニトロベンゼン、1-シアナト-4-ニトロ-2-エチルベンゼン、1-シアナト-2-メトキシ-4-アリルベンゼン(オイゲノールのシアネート)、メチル(4-シアナトフェニル)スルフィド、1-シアナト-3-トリフルオロメチルベンゼン、4-シアナトビフェニル、1-シアナト-2-又は1-シアナト-4-アセチルベンゼン、4-シアナトベンズアルデヒド、4-シアナト安息香酸メチルエステル、4-シアナト安息香酸フェニルエステル、1-シアナト-4-アセトアミノベンゼン、4-シアナトベンゾフェノン、1-シアナト-2,6-ジ-tert-ブチルベンゼン、1,2-ジシアナトベンゼン、1,3-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナト-2-tert-ブチルベンゼン、1,4-ジシアナト-2,4-ジメチルベンゼン、1,4-ジシアナト-2,3,4-トリメチルベンゼン、1,3-ジシアナト-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3-ジシアナト-5-メチルベンゼン、1-シアナト又は2-シアナトナフタレン、1-シアナト4-メトキシナフタレン、2-シアナト-6-メチルナフタレン、2-シアナト-7-メトキシナフタレン、2,2’-ジシアナト-1,1’-ビナフチル、1,3-、1,4-、1,5-、1,6-、1,7-、2,3-、2,6-又は2,7-ジシアナトシナフタレン、2,2’-又は4,4’-ジシアナトビフェニル、4,4’-ジシアナトオクタフルオロビフェニル、2,4’-又は4,4’-ジシアナトジフェニルメタン、ビス(4-シアナト-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-シアナト-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(2-シアナト-5-ビフェニルイル)プロパン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-シアナト-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)イソブタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)ペンタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)-2-メチルブタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)-2,2-ジメチルプロパン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ヘキサン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-3-メチルブタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-3,3-ジメチルブタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)ヘキサン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)ヘプタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)オクタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2-メチルペンタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2-メチルヘキサン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2,2-ジメチルペンタン、4,4-ビス(4-シアナトフェニル)-3-メチルヘプタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2-メチルヘプタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2,2-ジメチルヘキサン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2,4-ジメチルヘキサン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2,2,4-トリメチルペンタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-シアナトフェニル)フェニルメタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-シアナトフェニル)ビフェニルメタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-シアナト-3-イソプロピルフェニル)プロパン、1,1-ビス(3-シクロヘキシル-4-シアナトフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-シアナトフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-シアナトフェニル)-2,2-ジクロロエチレン、1,3-ビス[2-(4-シアナトフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-シアナトフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4-[ビス(4-シアナトフェニル)メチル]ビフェニル、4,4-ジシアナトベンゾフェノン、1,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2-プロペン-1-オン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルフィド、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、4-シアナト安息香酸-4-シアナトフェニルエステル(4-シアナトフェニル-4-シアナトベンゾエート)、ビス-(4-シアナトフェニル)カーボネート、1,3-ビス(4-シアナトフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-シアナトフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、1,3-ビス(3-メチル-4-シアナトフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)イソベンゾフラン-1(3H)-オン(フェノールフタレインのシアネート)、3,3-ビス(4-シアナト-3-メチルフェニル)イソベンゾフラン-1(3H)-オン(o-クレゾールフタレインのシアネート)、9,9’-ビス(4-シアナトフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-シアナト-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(2-シアナト-5-ビフェニルイル)フルオレン、トリス(4-シアナトフェニル)メタン、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、1,1,3-トリス(4-シアナトフェニル)プロパン、α,α,α’-トリス(4-シアナトフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、1,1,2,2-テトラキス(4-シアナトフェニル)エタン、テトラキス(4-シアナトフェニル)メタン、2,4,6-トリス(N-メチル-4-シアナトアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(N-メチル-4-シアナトアニリノ)-6-(N-メチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ビス(N-4-シアナト-2-メチルフェニル)-4,4’-オキシジフタルイミド、ビス(N-3-シアナト-4-メチルフェニル)-4,4’-オキシジフタルイミド、ビス(N-4-シアナトフェニル)-4,4’-オキシジフタルイミド、ビス(N-4-シアナト-2-メチルフェニル)-4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタルイミド、トリス(3,5-ジメチル-4-シアナトベンジル)イソシアヌレート、2-フェニル-3,3-ビス(4-シアナトフェニル)フタルイミジン、2-(4-メチルフェニル)-3,3-ビス(4-シアナトフェニル)フタルイミジン、2-フェニル-3,3-ビス(4-シアナト-3-メチルフェニル)フタルイミジン、1-メチル-3,3-ビス(4-シアナトフェニル)インドリン-2-オン、及び、2-フェニル-3,3-ビス(4-シアナトフェニル)インドリン-2-オン等、及びこれらのプレポリマーが挙げられる。
その中でも、フラクチャリング流体等の流体との接触下において一定時間機械強度を維持することができ、かつ、所望の時間経過後には機械強度が低下して小片化することに優れる観点、及び溶融時の粘度を調整することができる観点から、シアネートエステル樹脂は、好ましくはジフェニルメタン骨格を有する重合性モノマー及び/又はそのプレポリマーを含み、より好ましくはビスフェノールA型骨格を有する重合性モノマー及び/又はそのプレポリマー、ビスフェノールB型骨格を有する重合性モノマー及び/又はそのプレポリマー、ビスフェノールE型骨格を有する重合性モノマー及び/又はそのプレポリマー、並びにビスフェノールF型骨格を有する重合性モノマー及び/又はそのプレポリマーからなる群より選ばれる1以上の重合性モノマー及び/又はそのプレポリマーを含む。
より一層溶融時の粘度を調整できる等の観点から、さらに好ましくは、本実施形態におけるシアネートエステル樹脂は、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン及び/又はそのプレポリマー、ビス(4-シアナトフェニル)メタン及び/又はそのプレポリマー、1,1-(4-シアナトフェニル)エタン及び/又はそのプレポリマー、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)-1-フェニルエタン及び/又はそのプレポリマー、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ブタン及び/又はそのプレポリマー、並びに、2,2-ビス(3-メチル-4-シアナトフェニル)プロパン及び/又はそのプレポリマーからなる群より選ばれる1以上の重合性モノマー及び/又はそのプレポリマーを含む。
シアネートエステル樹脂がプレポリマーを含む場合、プレポリマーは、特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)が160~4000の重合体であることが好ましく、160~3000がより好ましく、160~2000がさらに好ましい。
また、シアネートエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、硬化物の強度及び混練時の粘度の観点から、160~4000が好ましく、160~3000がより好ましく、160~2000がさらに好ましい。
本実施形態のシアネートエステル樹脂としては、市販品を適宜用いることができる。そのようなシアネートエステル樹脂の市販品としては、特に限定されないが、例えば、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー(三菱ガス化学株式会社製、TA(製品名)やTA-1500(製品名)等)が挙げられる。シアネートエステル樹脂は、1種単独又は2種以上を併用することができる。
また、シアネート樹脂は、自ら調製して用いることもでき、そのようなシアネートエステル樹脂の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、従来公知の方法を用いることができる。そのような製法の例としては、所望の骨格を有するヒドロキシ基含有化合物を入手又は合成し、当該ヒドロキシ基を公知の手法により修飾してシアネート化する方法が挙げられる。ヒドロキシ基をシアネート化する手法としては、特に限定されないが、例えば、Ian Hamerton,“Chemistry and Technology of Cyanate Ester Resins,”Blackie Academic & Professionalに記載の手法が挙げられる。
1.2.アルカリ土類金属酸化物
本実施形態の樹脂組成物は、アルカリ土類金属酸化物を含む。アルカリ土類金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。その中でも低温における水との反応性の観点から、酸化カルシウムが好ましい。これらのアルカリ土類金属酸化物は、1種単独又は2種以上を併用することができる。
アルカリ土類金属酸化物である酸化カルシウム及び酸化マグネシウムは、水との水和反応により、水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムとなる際に体積が膨張する。そのため、例えば、後述する崩壊性硬化物を、水と接触させる場合において、崩壊性硬化物中のアルカリ土類金属酸化物と水が反応し、アルカリ土類金属酸化物の体積が膨張する。崩壊性硬化物中のアルカリ土類金属酸化物の体積が膨張すると、その形状が脆化して崩壊性硬化物が本末又は小片に崩壊する。
特許文献1及び2で提案されている分解性樹脂組成物においては、樹脂の加水分解によって樹脂の分子量低下が引き起こされるが、本実施形態によればアルカリ土類金属酸化物の膨張という物理的な力によって崩壊が引き起こされるため、100°C(212°F)以下の水中においても容易に除去できる。
樹脂組成物中のアルカリ土類金属酸化物の含有量は、崩壊性及び成型性の観点から、熱硬化性樹脂100質量部に対して100~700質量部である。アルカリ土類金属酸化物の含有量の下限値は、150質量部以上であることが好ましく、200質量部以上であることがより好ましく、250質量部以上であることがさらに好ましく、300質量部以上であることがよりさらに好ましく、350質量部以上であることがよりさらにより好ましく、380質量部以上であることがよりさらによりさらに好ましく、410質量部以上であることがよりさらによりさらにより好ましい。前記下限値以上とすることで、樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の崩壊性に優れる傾向にある。また、アルカリ土類金属酸化物の含有量の上限値は、600質量部以下であることが好ましく、500質量部以下であることがより好ましく、450質量部以下であることがさらに好ましく、445質量部以下であることがよりさらに好ましく、440質量部以下であることがよりさらにより好ましく、435質量部以下であることがよりさらによりさらに好ましく、430質量部以下であることがよりさらによりさらにより好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物中のアルカリ土類金属酸化物の分散性及び、樹脂組成物の成型性が向上する傾向にあり、樹脂組成物を硬化してなる硬化物の機械物性に優れる傾向にある。また、アルカリ土類金属酸化物を2種類以上含む場合は、その合計量が前記範囲となることが好ましい。なお、樹脂組成物中のアルカリ土類金属酸化物の含有量として、上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせて用いることが可能である。
また、アルカリ土類金属酸化物の含有量は、150~600質量部が好ましく、200~500質量部がより好ましく、250~450質量部がさらに好ましく、300~445質量部がよりさらに好ましく、350~440質量部がよりさらにより好ましく、380~435質量部がよりさらによりさらに好ましく、410~430質量部がよりさらによりさらにより好ましい。
樹脂組成物中のアルカリ土類金属酸化物の含有量が、熱硬化性樹脂100質量部に対して100質量部以上であることにより、樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の崩壊性に優れる傾向にある。一方で、樹脂組成物中のアルカリ土類金属酸化物の含有量が、熱硬化性樹脂100質量部に対して700質量部以下であることにより、樹脂組成物中のアルカリ土類金属酸化物の分散性及び樹脂組成物の成型性が向上する傾向にあり、樹脂組成物を硬化してなる硬化物の機械物性に優れる傾向にある。
本実施形態のアルカリ土類金属酸化物の形状としては、特に限定されないが、例えば、球状、不定形等の種々の形状を有するものを用いることができる。
本実施形態のアルカリ土類金属酸化物の粒径は、アルカリ土類金属酸化物の分散性及び充填性の観点から、粒子径が20μm~200μmのものが好ましい。また、アルカリ金属酸化物は、分散媒を含むものであってもよく、含まないものであってもよい。
1.3.硬化剤
本実施形態の樹脂組成物は、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤を含むことにより、特に、成形時間を短縮することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂が、上述のシアネートエステル樹脂を含む場合、硬化剤として、シアネートエステル樹脂硬化剤を使用することができる。シアネートエステル樹脂硬化剤としては、一般に公知のものが使用でき、特に限定されないが、例えば、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等の有機金属塩類、イミダゾール類、アミン類、アルコール類等が挙げられる。
硬化剤の含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部である。硬化剤の含有量の下限値は1.0質量部以上であることが好ましく、2.0質量部以上であることがより好ましく、4.0質量部以上であることがさらに好ましい。また、硬化剤の含有量の上限値は、8.0質量部以下であることが好ましく、6.0質量部以下であることがより好ましい。また、硬化剤を2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。なお、樹脂組成物中の硬化剤の含有量として、上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせて用いることが可能である。
また、熱硬化性樹脂100質量部に対して0.1~10質量部が好ましく、1.0~10質量部がより好ましく、2.0~8.0質量部がさらに好ましく、4.0~6.0質量部がよりさらに好ましい。
1.4.充填材
本実施形態の樹脂組成物は、充填材を含んでいてもよい。樹脂組成物が、充填材を含むことにより、硬化して得られる硬化物の機械強度や耐熱性を向上させることができる傾向にある。充填材としては、無機充填材および有機充填材の少なくともいずれかを含んでいればよく、2種類以上の充填剤を含んでいてもよい。
無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカ等のシリカ類、ホワイトカーボン、チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の酸化物、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物、酸化モリブデンやモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、E-ガラス、A-ガラス、NE-ガラス、C-ガラス、L-ガラス、D-ガラス、S-ガラス、M-ガラスG20、ガラス繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等のガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラス、ソーダガラス、構成イオンとしてアルカリ金属イオンが含まれるアルカリ金属塩等が挙げられる。
有機充填材としては、特に限定されないが、例えば、スチレン型、ブタジエン型、アクリル型等のゴムパウダー、コアシェル型のゴムパウダー、並びにシリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーン複合パウダー等が挙げられる。
上記の充填材は、シランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。
充填材の含有量は、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂、アルカリ土類金属酸化物及び充填材の総量100質量部に対する充填材の含有率を、0~40質量部としてもよく、5~20質量部としてもよい。また、2種類以上の充填材を含んでいてもよい。
充填材は、特に限定されないが、例えば、充填量と機械強度とのバランスを取るため、繊維状、鱗片状、板状、針状、球状、不定形等の種々の形状を有するものを用いることができる。また、これら形状の異なる充填材を適宜組み合わせて用いてもよい。
1.5.その他の配合成分
本実施形態における樹脂組成物は、本実施形態の目的を阻害しない範囲で、その他の配合成分として、鎖延長剤、安定剤、強化材又は顔料等の着色剤、可塑剤、核剤等の各種添加剤や、分解性樹脂等の他の樹脂材料や耐衝撃性改良剤を含んでいてもよい。また、目的等に応じて、樹脂改良剤、炭酸亜鉛、炭酸ニッケル等の金型腐食防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、ボロンナイトライド等の核剤、難燃剤等を含んでいてもよい。
その他の配合成分の含有量は、それぞれの種類及び目的等に応じて適宜定めることができ、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物総量100質量部に対して0~10質量部としてもよい。
1.6.樹脂組成物の調製
本実施形態における樹脂組成物の調製方法としては、公知の坑井掘削用に用いられる樹脂組成物の方法を利用することができる。そのような方法としては、特に限定されないが、例えば、上述の熱硬化性樹脂、及びアルカリ土類金属酸化物を、一括又は所定量に区分して、常温又は加熱下において混合することにより調製することができる。上記混合に際してはせん断力を与えてもよく、また、組成成分の全部又は一部を加熱した上で溶融混合してもよい。また、取り扱いの利便性等を考慮して、ペレットを調整してもよい。
2.崩壊性硬化物
本実施形態の崩壊性硬化物は、上述の樹脂組成物を硬化させることにより得られる。本実施形態の崩壊性硬化物は、熱硬化性樹脂とアルカリ土類金属酸化物を含む樹脂組成物を硬化して得られることで、一定時間坑井孔の閉塞用途に使用した後に容易に除去することが可能な掘削用ダウンホールツールに用いることができる。
ここで、崩壊性硬化物とは、熱硬化性樹脂を硬化してなる硬化物を含み、フラクチャリング流体等の液体との接触を用いた化学的方法によって脆化し、粉体を含む小片まで崩壊する硬化物を意味する。液体が接触してから崩壊するまでの時間は、4時間以上であれば特に限定されないが、例えば24時間後であってもよく、100時間後であってもよい。崩壊までの時間は必要に応じて、組成、硬化物の形状等を選択することで適宜調整することができる。
すなわち、崩壊性硬化物は、上述のとおり、フラクチャリング流体等の液体との接触下において、坑井孔の閉塞の役割を担う際には一定時間強度を維持しつつも、所望の時間経過後に粉体又は小片に崩壊することができる。
ここで、崩壊性硬化物の崩壊速度の制御は、熱硬化性樹脂及びアルカリ土類金属酸化物の種類を調整することや、熱硬化性樹脂に対するアルカリ土類金属酸化物の含有量を調整することによって行うことができる。
崩壊性硬化物の製造方法は特に限定されないが、例えば、射出成形、押出成形(固化押出成形を含む)、遠心成形、圧縮成形その他の公知の成形方法を用いて、所望の形状の成形品とすることができる。
本実施形態の崩壊性硬化物の形状は、例えば、シート状(薄いフィルム状及び薄板状)、厚板状、棒状(丸棒状、角柱状等)、直方体状(立方状を含む)、塊状(定形、不定形等)等の形状でもよいし、その他所定の形状を有する成形体でもよい。
なお、崩壊性硬化物をシート状として用いたり、シーリング材又はパッキング材(詰め物様)等として用いる場合は、所定の形状を有する成形体でなくてもよい。
3.掘削用ダウンホールツール
本実施形態の掘削用ダウンホールツールは、熱硬化性樹脂とアルカリ土類金属酸化物を含む樹脂組成物を硬化して得られる崩壊性硬化物を含み、それにより、一定時間坑井孔の閉塞用途に使用した後に容易に除去することが可能なものであり、そのため、本実施形態の掘削用ダウンホールツールによれば、坑井掘削の経費削減及び工程短縮に寄与することができる。
掘削用ダウンホールツールとは、坑井を通じて石油や天然ガスを採掘する際に用いるツールのことを意味する。掘削用ダウンホールツールとしては、特に限定されないが、例えば、フラックボール、フラックプラグ、ブリッジプラグ、ボールシーラー、目止めプラグ、パッカー等が挙げられる。その中でも、本実施形態の掘削用ダウンホールツールは、フラクチャリング流体等の流体との接触下において一定時間機械強度を維持することができ、かつ、数時間経過後には機械強度が低下して小片化することに優れる観点から、フラックボールであることが好ましい。
また、掘削用ダウンホールツールの製造法については、崩壊性硬化物を予備成形した後、必要に応じて切削加工や穿孔等の機械加工した後に、公知の方法を組み合わせることにより、製造することができる。また、本実施形態の崩壊性硬化物及び掘削用ダウンホールツールは、コーティング剤が塗布されたものであってもよい。
本実施形態によれば、樹脂組成物を硬化して得られる崩壊性硬化物として、機械的特性や耐熱性に優れ、かつ、坑井掘削処理終了後に必要に応じて容易に除去することができる掘削用ダウンホールツールを提供することができる。掘削用ダウンホールツールの種類、形状や大きさは、特に限定されない。
掘削用ダウンホールツールの形状やサイズについては、特に限定されないが、例えば、坑井孔の閉塞用途向けのものであることが好ましい。そのような形状としては、上述のとおり、ボール(ボールシーラー)やボールシートの他、ブリッジプラグの部材として知られているマンドレル、スリップ、ウエッジ及びリング等が挙げられる。また、掘削用ダウンホールツールのサイズは、坑井孔等に応じて適宜選定することができる。
4.坑井掘削方法
上述のように、例えば、水圧粉砕方法においては、坑井孔に対して効率よく亀裂等を生じさせるために、坑井孔の一部を閉塞することが行われる。本実施形態の掘削用ダウンホールツールは、このような坑井孔を閉塞するために用いることが好ましい。すなわち、本実施形態の坑井掘削方法は、本実施形態の崩壊性硬化物に液体を接触させ崩壊させる工程を含む。その具体的な使用態様について以下詳説する。
まず、本実施形態の掘削用ダウンホールツール(例えば、ボール形状)を坑井孔の所定部位に配置する。これにより、掘削用ダウンホールツールと坑井孔(ダウンホール)との間の空間が閉塞され、地上から流体を注入されるフラクチャリング流体を所定の区画内に塞き止めることができる。続いて、坑井孔に亀裂等を生じさせる諸区画のフラクチャリング等の坑井処理が終了した後、次区間の処理を始める前に、又は、遅くとも石油や天然ガス等の生産を開始する前には、坑井孔を閉塞している掘削用ダウンホールツールの除去を行う。
上述のとおり、本実施形態の掘削用ダウンホールツールは、フラクチャリング流体により水和反応が進み所定の時間後に崩壊するように設計されている。このため、坑井処理終了後に容易に掘削用ダウンホールツールを崩壊して除去することができる。それにより、本実施形態の坑井掘削方法によれば、従来、坑井処理の終了後又は坑井完成後に、坑井内に残置されていた多数の坑井掘削用ダウンホールツールを除去、回収したり、破砕、穿孔その他の方法によって、破壊したり、小片化したりするために要していた多くの経費と時間が不要となるので、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる。
ここで、掘削用ダウンホールツールの崩壊速度の制御は、熱硬化性樹脂及びアルカリ土類金属酸化物の種類を調整することや、熱硬化性樹脂に対するアルカリ土類金属酸化物の含有量を調整することによって行うことができる。
なお、本実施形態の掘削用ダウンホールツールの崩壊に関しては、フラクチャリング流体とは別の液体を用いて、崩壊用に他の液体を別途注入してもよい。
なお、坑井処理が終了した後に残存する掘削用ダウンホールツールは、生産を開始するまでに完全に消失していることが好ましいが、完全に消失していないとしても、強度が低下してダウンホール中の水流等の刺激により崩壊するような状態となれば、崩壊したダウンホールツール用分解性シール部材は、フローバック等により容易に回収することができ、ダウンホールやフラクチャに目詰まりを生じさせることがないので、石油や天然ガス等の生産障害となることがない。なお、坑井によっては地層中の含水量が低いことがあり、その場合にはフラクチャリング時に使用した水ベースの流体を、フラクチャリング後に回収することなく坑井中に残留させることで、掘削用ダウンホールツールの崩壊を促進させることができる。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
1.樹脂組成物の調製
[実施例1]
ニーダー((株)入江商会製、型番:卓上型ニーダー PVB-0.1)に、熱硬化性樹脂として、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー(三菱ガス化学(株)製、TA-1500(製品名))を34.2g、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(三菱ガス化学(株)製、TA(製品名))を8.5g、アルカリ土類金属酸化物として、酸化カルシウム(近江化学工業(株)製、CML35(製品名))を45.0g、硬化剤として、トリイソプロパノールアミン(東京化成工業(株)製)2.3gを加え、80°Cで混練することで上記各成分が混合分散した粘土状の樹脂組成物を調製した。
[実施例2]
ニーダー((株)入江商会製、型番:卓上型ニーダー PVB-0.1)に、熱硬化性樹脂として、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー(三菱ガス化学(株)製、TA-1500(製品名))を27.4g、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(三菱ガス化学(株)製、TA(製品名))を6.8g、アルカリ土類金属酸化物として、酸化カルシウム(近江化学工業(株)製、CML35(製品名))を54.0g、硬化剤として、トリイソプロパノールアミン(東京化成工業(株)製)1.8gを加え、80°Cで混練することで上記各成分が混合分散した粘土状の樹脂組成物を調製した。
[実施例3]
ニーダー((株)入江商会製、型番:卓上型ニーダー PVB-0.1)に、熱硬化性樹脂として、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン(三菱ガス化学(株)製、P-201(製品名))を28.5g、アルカリ土類金属酸化物として、酸化カルシウム(足立石灰工業(株)製)を70.0g、硬化剤として、トリイソプロパノールアミン(東京化成工業(株)製)1.5gを加え、室温で混練することで上記各成分が混合分散した粘土状の樹脂組成物を調製した。
[実施例4]
ニーダー((株)入江商会製、型番:卓上型ニーダー PVB-0.1)に、熱硬化性樹脂として、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン(三菱ガス化学(株)製、P-201(製品名))を19.0g、アルカリ土類金属酸化物として、酸化カルシウム(近江化学工業(株)製、CML35(製品名))を80.0g、硬化剤として、トリイソプロパノールアミン(東京化成工業(株)製)1.0gを加え、室温で混練することで上記各成分が混合分散した粘土状の樹脂組成物を調製した。
[比較例1]
ニーダー((株)入江商会製、型番:卓上型ニーダー PVB-0.1)に、熱硬化性樹脂として、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー(三菱ガス化学(株)製、TA-1500(製品名))を34.2g、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(三菱ガス化学(株)製、TA(製品名))を8.5g、充填材として、ケイ酸ナトリウム((株)トクヤマ製、プリフィード粉末品)を45.0g、硬化剤として、トリイソプロパノールアミン(東京化成工業(株)製)2.3gを加え、80°Cで混練することで上記各成分が混合分散した粘土状の樹脂組成物を調製した。
[比較例2]
ニーダー((株)入江商会製、型番:卓上型ニーダー PVB-0.1)に、熱硬化性樹脂として、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン(三菱ガス化学(株)製、P-201(製品名))を9.5g、アルカリ土類金属酸化物として、酸化カルシウム(近江化学工業(株)製、CML35(製品名))を90.0g、硬化剤として、トリイソプロパノールアミン(東京化成工業(株)製)0.5gを加え、室温で混練して樹脂組成物を調製したが、上記各成分が混合分散した粘土状にすることが出来ず、後述する厚板状崩壊性硬化物の作製及び評価に用いることができなかった。
2.厚板状崩壊性硬化物の作製
実施例1~4及び比較例1の樹脂組成物をフッ素樹脂でコーティングしたSUS304製の型に充填し、真空プレス成型機にて真空条件下、圧力20MPa、温度220°Cで90分間硬化させた。硬化後にフッ素樹脂でコーティングしたSUS304製の型を外して厚板状の崩壊性硬化物を得た。得られた厚板状崩壊性硬化物から、10mm×10mm×3.5mmのサンプルを切り出し、各種測定を行った。
3.評価方法
(圧縮強度測定)
得られたサンプルを用いて、JIS K 7181の手法にて圧縮強度を測定し、得られた圧縮強度の平均値(N=3)を算出した。
(崩壊性評価)
得られたサンプルを、テフロン(登録商標)内筒密閉容器(耐圧硝子工業(株)製(型式TAF-SR))に入れ、蒸留水13mLを加えて密閉し、93°C(200°F)又は66°C(150°F)の恒温槽にて24時間加熱処理を行った。24時間後に取り出し、穴径3μmのメンブレンフィルター((株)ADVANTEC製)を用いてろ過を行い、残渣を100°C、3時間、真空乾燥を行うことで乾燥残渣を得た。乾燥残渣の様子から、崩壊性を下記のように以下の評価基準により評価した。評価結果を表1に示す。また、93°C(200°F)での崩壊性の評価についての乾燥残渣の外観を図1~5に示し、66°C(150°F)での崩壊性の評価についての乾燥残渣の外観を図6~10に示す。
[評価基準]
◎:崩壊しており、粉体以外の部分がほとんど残っていない。
〇:一部崩壊しており、粉体以外の部分は指が触れると容易に崩壊するほど脆い。
△:一部崩壊しており、粉体以外の部分は指が触れても容易に崩壊しない。
×:崩壊しておらず、粉体がほとんど生じていない。
[実施例6]
(球状崩壊性硬化物の作製)
実施例4の樹脂組成物をφ30mm、高さ50mmの円柱状の金型に充填し、プレス成型機にて、圧力50MPa、温度70°Cで60分、100°Cで60分、130°Cで60分、160°Cで60分、190°Cで60分、220°Cで60分加熱して硬化させ、円柱状崩壊性硬化物を作製した。
得られた円柱状崩壊性硬化物をマシニングセンタで加工し、φ25.4mmの球状崩壊性硬化物を作製した。
(崩壊性の評価)
得られた球状崩壊性硬化物をビーカーに入れ、蒸留水200mLを加えてアルミホイルで蓋をしたのち、93°C(200°F)又は66°C(150°F)の恒温槽にて24時間加熱処理を行った。その後、所定時間後に取り出し、穴径3μmのメンブレンフィルター((株)ADVANTEC製)を用いてろ過を行い、残渣を100°C、3時間、真空乾燥を行うことで乾燥残渣を得た。乾燥残渣のうち、球状崩壊性硬化物から脱落している部分のみを除去し、残った球状崩壊性硬化物の重量を測定し、重量残存率を算出した。評価結果を表2に示す。また、それぞれの温度における乾燥残渣の外観を図11及び12に示した。
重量残存率(%)=(脱落部位除去後の球状崩壊性硬化物重量/加熱処理前崩壊性硬化物重量)×100

Claims (8)

  1. 熱硬化性樹脂と、
    アルカリ土類金属酸化物と、を含み、
    前記アルカリ土類金属酸化物の含有量が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して100~700質量部である、
    樹脂組成物。
  2. 前記熱硬化性樹脂が、シアネートエステル樹脂を含む、
    請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記アルカリ土類金属酸化物が、酸化カルシウムを含む、
    請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 硬化剤をさらに含む、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記硬化剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して1.0~10質量部である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化してなる、
    崩壊性硬化物。
  7. 請求項6に記載の崩壊性硬化物を含む、
    掘削用ダウンホールツール。
  8. 請求項6に記載の崩壊性硬化物に液体を接触させ崩壊させる工程を含む、
    坑井掘削方法。
JP2022060718A 2022-03-31 2022-03-31 樹脂組成物、崩壊性硬化物、掘削用ダウンホールツール、及び坑井掘削方法 Pending JP2023151222A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022060718A JP2023151222A (ja) 2022-03-31 2022-03-31 樹脂組成物、崩壊性硬化物、掘削用ダウンホールツール、及び坑井掘削方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022060718A JP2023151222A (ja) 2022-03-31 2022-03-31 樹脂組成物、崩壊性硬化物、掘削用ダウンホールツール、及び坑井掘削方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023151222A true JP2023151222A (ja) 2023-10-16

Family

ID=88326870

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022060718A Pending JP2023151222A (ja) 2022-03-31 2022-03-31 樹脂組成物、崩壊性硬化物、掘削用ダウンホールツール、及び坑井掘削方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023151222A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9505974B2 (en) Thermoset nanocomposite particles, processing for their production, and their use in oil and natural gas drilling applications
AU2015288256B2 (en) Downhole tools comprising cast degradable sealing elements
US20110284245A1 (en) Fluid composition comprising particles and method of modifying a wellbore using the same
WO2015133545A1 (ja) ダウンホールツール用分解性ゴム部材、分解性シール部材、分解性保護部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法
JPWO2014109347A1 (ja) ポリ−l−乳酸固化押出成形物及びその製造方法並びにその応用
JP6635785B2 (ja) ダウンホールツール用分解性ゴム部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法
WO2017110610A1 (ja) 組成物、ダウンホールツール用組成物、ダウンホールツール用分解性ゴム部材、ダウンホールツール、及び坑井掘削方法
EP2085449A1 (en) Cement composition comprising mixture of organic and inorganic fibres for curing severe losses especially in the reservoir section
JP2023151222A (ja) 樹脂組成物、崩壊性硬化物、掘削用ダウンホールツール、及び坑井掘削方法
WO2020158956A1 (ja) 分解性樹脂組成物、分解性硬化物、及び、掘削用ダウンホールツール
CN110016330B (zh) 一种支撑剂及其制备方法
WO2020012839A1 (ja) ダウンホールツール